以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態のタグラベル作成装置が適用される無線タグ生成システムを表すシステム構成図である。この実施形態は、本発明を読み取りのみ可能な(書き込みは不可の)無線タグの生成システムに適用した場合の実施形態である。
図1に示すこの無線タグ生成システム1において、本実施形態によるタグラベル作成装置2は、有線あるいは無線による通信回線3を介してルートサーバ4、端末5、汎用コンピュータ6、及び複数の情報サーバ7に接続されている。
図2は、上記タグラベル作成装置2の詳細構造を表す概念的構成図である。
図2において、タグラベル作成装置2の装置本体8には、凹所としてのカートリッジホルダ部(図示せず)が設けられ、このホルダ部に、カートリッジ(無線タグ回路素子カートリッジ)100が着脱可能に取り付けられている。
装置本体8は、カートリッジ100を嵌合させる上記カートリッジホルダ部を備えるとともに外郭を構成する筐体9と、カバーフィルム(被印字媒体)103に所定の印字(印刷)を行う印字手段としての印字ヘッド(この例ではサーマルヘッド)10と、カバーフィルム103への印字が終了したインクリボン105を駆動するリボン巻取りローラ駆動軸11と、カバーフィルム103とタグ媒体としての基材テープ101(101h又は101v、詳細は後述)とを貼り合わせつつ印字済タグラベル用テープ110としてカートリッジ100から繰り出すための圧着ローラ駆動軸12と、印字済タグラベル用テープ110に備えられる無線タグ回路素子To(詳細は後述)との間でUHF帯等の高周波を用いて無線通信により信号の送受を行う送受信手段としての2つの第1アンテナ14h及び第2アンテナ14v(詳細は後述)と、上記印字済タグラベル用テープ110を所定のタイミングで所定の長さに切断しラベル状の無線タグラベルT(詳細は後述)を生成するカッタ15と、上記無線通信による信号送受時において無線タグ回路素子Toを第1アンテナ14h又は第2アンテナ14vに対向する所定のアクセスエリアに設定保持するとともに、切断後のテープ110(=無線タグラベルT)を案内するための一対の搬送ガイド13と、その案内された無線タグラベルTを搬出口16へと搬送し送出する送出ローラ17と、搬出口16における無線タグラベルTの有無を検出する排出センサ18とを有している。
一方、装置本体8はまた、装置側アンテナである上記第1アンテナ14h,14vを介し上記無線タグ回路素子Toへアクセスする(読み取り又は書き込みを行う)ための高周波回路21と、無線タグ回路素子Toから読み出された信号を処理するための信号処理回路22と、前述したリボン巻取りローラ駆動軸11、テープ送りローラ駆動軸12を駆動するカートリッジ用モータ23と、このカートリッジ用モータ23の駆動を制御するカートリッジ駆動回路24と、上記印字ヘッド10への通電を制御する印刷駆動回路25と、上記カッタ15を駆動して切断動作を行わせるソレノイド26と、そのソレノイド26を制御するソレノイド駆動回路27と、上記送出ローラ17を駆動する送出ローラ用モータ28と、この送出ローラ用モータ28を制御する送出ローラ駆動回路29と、カートリッジ100に設けた被検出部190(偏波方向情報記録部、詳細は後述)に備えられた複数の識別子のそれぞれの凹凸形状を検出するセンサ(偏波方向情報取得手段)20と、上記高周波回路21、信号処理回路22、カートリッジ駆動回路24、印刷駆動回路25、ソレノイド駆動回路27、送出ローラ駆動回路29等を介し、タグラベル作成装置2全体の動作を制御するための上記制御回路30とを有する。
制御回路30は、いわゆるマイクロコンピュータであり、詳細な図示を省略するが、中央演算処理装置であるCPU、ROM、及びRAM等から構成され、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うようになっている。またこの制御回路30は、入出力インターフェイス31を介し例えば通信回線に接続され、この通信回線に接続された前述のルートサーバ4、他の端末5、汎用コンピュータ6、及び情報サーバ7等との間で情報のやりとりが可能となっている。
図3は、カートリッジ100の一例として横アンテナ型無線タグ回路素子を形成した基材テープを備えるカートリッジ100hの詳細構造を説明するための説明図である。
この図3において、カートリッジ100は、筐体100hAと、この筐体100hA内に配置され帯状の上記基材テープ101hが巻回された第1ロール102hと、上記基材テープ101hと略同じ幅である透明な上記カバーフィルム103が巻回された第2ロール104と、上記インクリボン105(熱転写リボン、但しカバーフィルムが感熱テープの場合は不要)を繰り出すリボン供給側ロール111と、印字後のリボン105を巻取るリボン巻取りローラ106と、上記基材テープ101hと上記カバーフィルム103とを押圧し接着させ上記印字済タグラベル用テープ110としつつ矢印Aで示す方向にテープ送りをする(=搬送手段として機能する)圧着ローラ107とを有する。
第1ロール102hは、リール部材102haの周りに、長手方向に複数の横アンテナ型無線タグ回路素子Tohが所定の等間隔で順次形成された上記基材テープ101hを巻回している。
基材テープ101hはこの例では(無線タグ回路素子及びその近傍を除くと)基本的には4層構造となっており(図3中部分拡大図参照)、内側に巻かれる側(図3中右側)よりその反対側(図3中左側)へ向かって、適宜の粘着材からなる粘着層101ha、PET(ポリエチレンテレフタラート)等から成る色付きのベースフィルム101hb、適宜の粘着材からなる粘着層(貼付用粘着材層)101hc、剥離紙(剥離材層)101hdの順序で積層され構成されている。
ベースフィルム101hbの裏側(図3中左側)には、情報の送受信を行う細長いダイポールアンテナ152hが一体的に設けられており、これに接続するように情報を記憶するIC回路部151が形成され、これらによって横アンテナ型無線タグ回路素子Tohが構成されている。この図3に示す例では、ダイポールアンテナ152hが基材テープ101hのテープ長手方向に平行な配置(横配置)で設けられている(後述の図10参照)。
ベースフィルム101hbの表側(図3中右側)には、後にカバーフィルム103を接着するための上記粘着層101haが形成され、またベースフィルム101hbの裏側(図3中左側)には、無線タグ回路素子Tohを内包するように設けた上記粘着層101hcによって上記剥離紙101hdがベースフィルム101hbに接着されている。なお、この剥離紙101hdは、最終的にラベル状に完成した無線タグラベルThが所定の物品等に貼り付けられる際に、これを剥がすことで粘着層101hcにより当該物品等に接着できるようにしたものである。
第2ロール104は、リール部材104aの周りに上記カバーフィルム103を巻回している。第2ロール104より繰り出されるカバーフィルム103は、その裏面側(すなわち上記基材テープ101hと接着される側)に配置されたリボン供給側ロール111及びリボン巻取りローラ106で駆動されるリボン105が、上記印字ヘッド10に押圧されることで当該カバーフィルム103の裏面に当接させられるようになっている。
リボン巻取りローラ106及び圧着ローラ107は、それぞれカートリッジ100h外に設けた例えばパルスモータである上記カートリッジ用モータ23(前述の図2参照)の駆動力が上記リボン巻取りローラ駆動軸11及び上記テープ送りローラ駆動軸12に伝達されることによって回転駆動される。
上記構成のカートリッジ100hにおいて、上記第1ロール102hより繰り出された基材テープ101hは、圧着ローラ107へと供給される。一方、第2ロール104より矢印A方向に繰り出されるカバーフィルム103は、その裏面側(すなわち上記基材テープ101hと接着される側)に配置されたリボン供給側ロール111及びリボン巻取りローラ106で駆動されるインクリボン105が、上記印字ヘッド10に押圧されることで当該カバーフィルム103の裏面に当接させられるようになっている。
そして、カートリッジ100hが上記装置本体8のカートリッジホルダ部に装着されロールホルダ(図示せず)が離反位置から当接位置に移動されると、カバーフィルム103及びインクリボン105が印字ヘッド10とプラテンローラ108との間に狭持されるとともに、基材テープ101h及びカバーフィルム103が圧着ローラ107とサブローラ109との間に狭持される。そして、カートリッジ用モータ23の駆動力によってリボン巻取りローラ106及び圧着ローラ107が矢印B及び矢印Dで示す方向にそれぞれ同期して回転駆動される。このとき、前述のテープ送りローラ駆動軸12と上記サブローラ109及びプラテンローラ108はギヤ(図示せず)にて連結されており、テープ送りローラ駆動軸12の駆動に伴い圧着ローラ107、サブローラ109、及びプラテンローラ108が回転し、第1ロール102hから基材テープ101hが繰り出され、上述のように圧着ローラ107へ供給される。一方、第2ロール104からはカバーフィルム103が繰り出されるとともに、上記印刷駆動回路25により印字ヘッド10の複数の発熱素子が通電される。この結果、カバーフィルム103の裏面に印字R(後述の図10参照)が印刷される。そして、上記基材テープ101hと上記印刷が終了したカバーフィルム103とが上記圧着ローラ107及びサブローラ109により接着されて一体化され、印字済タグラベル用テープ110hとして形成され、カートリッジ100h外へと矢印C方向に搬出される。なお、カバーフィルム103への印字が終了したインクリボン105は、リボン巻取りローラ駆動軸11の駆動によりリボン巻取りローラ106に巻取られる。この動作において、基材テープ101及びカバーフィルム103はそれぞれテープ長手方向に搬送されることになり、すなわちテープ長手方向がテープ搬送方向と同方向とになる。
図4は、上記カートリッジ100の一例として、縦アンテナ型無線タグ回路素子を形成した基材テープを備えるカートリッジ100vの詳細構造を説明するための説明図である。
上記図3に示したカートリッジ100hと比較して、この図4に示すカートリッジ100vは、その内部の第1ロール102vに巻回された基材テープ101vに縦アンテナ型無線タグ回路素子Tovが形成されている点で相違しているだけであり、その他同等の構成には同じ符号を付して説明を省略する。
基材テープ101vは、上記カートリッジ100hの基材テープ101hと各層同じ材料からなる4層構造となっており(図4中部分拡大図参照)、ベースフィルム101vbの裏側(図4中左側)には、情報の送受信を行う細長いダイポールアンテナ152vが基材テープ101vのテープ長手方向に直角な配置(縦配置)で設けられ(後述の図12参照)、これに接続するように情報を記憶するIC回路部(第1IC回路部)151が形成され、これらによって縦アンテナ型無線タグ回路素子Tovが構成されている。
そしてタグラベル作成装置2の装置本体8は、上記図3のカートリッジ100hと図4のカートリッジ100vのどちらも置換可能に嵌合でき、それぞれのカバーフィルム103に対して同等の印字が行えるようになっている。
図5は、基材テープに設けられた横アンテナ型無線タグ回路素子Toh及び縦アンテナ型無線タグ回路素子Tovのそれぞれのタグ側アンテナの偏波方向の配置を概念的に示した説明図である。図5(a)は横アンテナ型無線タグ回路素子Tohの概念的平面図であり、図5(b)は横アンテナ型無線タグ回路素子Tohとこれに対応する上記第1アンテナ14hの偏波方向の位置関係を表す概念的斜視図である。図5(c)は縦アンテナ型無線タグ回路素子Tovの概念的平面図であり、図5(d)は縦アンテナ型無線タグ回路素子Tovとこれに対応する上記第2アンテナ14vの偏波方向の位置関係を表す概念的斜視図である。
図5(a)及び図5(b)において、前述したように横アンテナ型無線タグ回路素子Tohは、1本の細長いダイポールアンテナ152hを基材テープ101hのテープ搬送方向に平行に配置しており、この結果その電界の偏波方向Hthはテープ搬送方向と平行となっている。そして、第1アンテナ14hはテープ搬送経路を搬送される無線タグ回路素子Tohのアンテナ152hの真上に(垂直方向に)配置される位置関係となり、第1アンテナ14hから放射された電波の伝播方向に交差して電界(その方向の一例をEで表す)が発生され、その電界の偏波方向Hdhがテープ搬送方向となっている。なお、図5(b)ではこの電界の交番方向を含む偏波面(偏波方向Hdhを含む面)をHhとして概念的に示している。また、ダイポールアンテナ152hは説明のために図示しているが実際には内層に配置されているので見えないように構成されている。
また、図5(c)及び図5(d)において、前述したように縦アンテナ型無線タグ回路素子Tovは、1本の細長いダイポールアンテナ152vを基材テープ101vのテープ搬送方向と略直角な方向に平行に配置しており、この結果電界の偏波方向Htvはテープ搬送方向と略直交となっている。そして、第2アンテナ14vはテープ搬送経路を搬送される無線タグ回路素子Tovのアンテナ152vの真上に(垂直方向に)配置される位置関係となり、第2アンテナ14vから放射された電波の伝播方向に交差して電界(その方向の一例をEで表す)が発生され、その電界の偏波方向Hdvがテープ搬送方向と略直交する(略直角な)方向となっている(言い換えれば偏波方向がテープ搬送方向と略直交している)。なお、上記同様、図5(d)ではこの電界の交番方向を含む偏波面(偏波方向Hdvを含む面)をHvとして概念的に示している。
以上のように、上記横アンテナ型無線タグ回路素子Tohを内包する無線タグラベルThと上記縦アンテナ型無線タグ回路素子Tovを内包する無線タグラベルTvとの間では、それぞれのタグ側アンテナ(ダイポールアンテナ152h,152v)の偏波方向どうしが略直交する関係となっている。これにより各無線タグラベルTh,Tvどうしを平行に配置させ、いずれか一方のタグ側アンテナの偏波方向に合わせて外部から無線信号を放射した場合には、偏波方向が一致する方の無線タグ回路素子に対してのみ無線通信を行うことができるが、他方の偏波方向が一致しない無線タグ回路素子(この場合タグ側アンテナの偏波方向は無線信号の偏波方向と直交)に対しては無線通信が行えないことになる。これにより、タグ側アンテナの偏波方向を異ならせることにより、無線通信を行わせる無線タグ回路素子Toの選別が可能となる。
なお、この選別は偏波方向の違いによるものであるため、上記横アンテナ型無線タグ回路素子Tohと上記縦アンテナ型無線タグ回路素子Tovをそれぞれ偏波方向を一致させるように各無線タグラベルTh,Tvを配置(無線タグラベルTh,Tvどうしを直交配置)してそれらに一致する偏波方向で外部から無線信号を放射した場合には、両方に対して無線通信を行うことができることとなる。また、それぞれ横アンテナ型無線タグ回路素子Tohを内包する2つの同じ無線タグラベルthを互いに直交に配置した場合には、両方同時に無線通信を行うことができず、いずれか一方のみに対して無線通信を行うことができることとなる(後述する人タグと物タグの配置関係がこれに相当する)。
図6は、上記高周波回路21の詳細機能を表す機能ブロック図である。この図6において、高周波回路21は、制御回路30により切り替えられるアンテナスイッチ(切替)回路341と、このアンテナスイッチ回路341を経て2つの第1、第2アンテナ14h,14vを介し上記無線タグ回路素子Toh,Tovに対して信号を送信する送信部32と、第1、第2アンテナ14h,14vにより受信された無線タグ回路素子Toh,Tovからの反射波を入力する受信部33と、送受分離器34とから構成される。
アンテナスイッチ回路341は、周知の高周波用FETやダイオードを用いたスイッチ回路であり、制御回路30からの選択信号により第1、第2アンテナ14h,14vのいずれかを送受分離器34に接続するものである。
送信部32は、制御回路30からの制御信号に応じ、無線タグ回路素子Toh,TovのIC回路部151の無線タグ情報にアクセスする(この例では読み取り、後述の変形例では書き込みも含む)ための搬送波を発生させる水晶振動子35、PLL(Phase
Locked Loop)36、及びVCO(Voltage Controlled Oscillator)37と、上記信号処理回路22から供給される信号に基づいて上記発生させられた搬送波を変調(この例では信号処理回路22からの「TX_ASK」信号に基づく振幅変調)する送信乗算回路38(但し振幅変調の場合は増幅率可変アンプ等を用いてもよい)と、その送信乗算回路38により変調された変調波を、制御回路30からの「TX_PWR」信号によって増幅率を決定し増幅する可変送信アンプ39とを備えている。そして、上記発生される搬送波は、好適にはUHF帯又はマイクロ波帯の周波数を用いており、上記送信アンプ39の出力は、送受分離器34を介してアンテナスイッチ回路341を経て第1、第2アンテナ14h,14vに伝達されて無線タグ回路素子Toh,TovのIC回路部151に供給される。
受信部33は、第1、第2アンテナ14h,14vにより受信された無線タグ回路素子Toh,Tovからの反射波と上記発生させられた搬送波とを乗算して復調する受信第1乗算回路40と、その受信第1乗算回路40の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第1バンドパスフィルタ41と、この第1バンドパスフィルタ41の出力を増幅する受信第1アンプ43と、この受信第1アンプ43の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換する第1リミッタ42と、上記第1、第2アンテナ14h,14vにより受信された無線タグ回路素子Toh,Tovからの反射波と上記発生された後に移相器49で位相を90°遅らせた搬送波とを乗算する受信第2乗算回路44と、その受信第2乗算回路44の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第2バンドパスフィルタ45と、この第2バンドパスフィルタ45の出力を増幅する受信第2アンプ47と、この受信第2アンプ47の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換する第2リミッタ46とを備えている。そして、上記第1リミッタ42から出力される信号「RXS−I」及び第2リミッタ46から出力される信号「RXS−Q」は、上記信号処理回路22に入力されて処理される。
また、受信第1アンプ43及び受信第2アンプ47の出力は、RSSI(Received Signal Strength Indicator)回路48にも入力され、それらの信号の強度を示す信号「RSSI」が信号処理回路22に入力されるようになっている。このようにして、本実施形態のタグラベル作成装置2では、I−Q直交復調によって無線タグ回路素子Toh,Tovからの反射波の復調が行われる。
図7は、タグラベル作成装置2側の第1アンテナ14hと第2アンテナ14vの構成を表し、それぞれの偏波方向Hdh,Hdvの配置を概念的に示した図である。
図7において、第1アンテナ14hはこの例では直線状のダイポールアンテナ14hA,14hBを略一直線上に設けた構成のものであり、基材テープ101のテープ搬送方向に対して略平行な配置で設けられている。このため、前述したように、偏波方向Hdhはテープ搬送方向と平行となっている。
また第2アンテナ14vはこの例では略折りたたみ形状となるように屈曲変形させたダイポールアンテナ14vA,14vBを設けた構成のものであり、基材テープ101のテープ搬送方向と略直角な方向に設けられている。このため、偏波方向Hdvはテープ搬送方向と略直交している。なお、第2アンテナ14vのダイポールアンテナ14vA,14vBが略折りたたみ形状に形成されている理由としては、信号送受信の際に十分な感度を得るためにアンテナが送受される信号の周波数に対応した長さに形成する必要があるところ、それよりも通常の基材テープ101の幅寸法が短いためそれに合わせるため略折りたたみ形状に屈曲変形させている。しかし、テープ幅寸法が十分に大きい場合や、十分大きな略シート状のテープ(単票状のテープ片)を扱う場合には第2アンテナ14vも直線状のものを利用することができる。
そして、これら第1アンテナ14hと第2アンテナ14vは共に上記のアンテナスイッチ回路341に接続されており、制御回路30からの選択信号によって第1アンテナ14hが送受分離器34に接続する状態と、第2アンテナ14vが送受分離器34に接続する状態とに切り替えられる。
なお、第1アンテナ14h及び第2アンテナ14vは、それらの中心間距離がテープ搬送方向にdだけ離れて配置されているが、このdの値は装置設計上、適宜に設定すればよい。またd=0とする(第1アンテナ14h及び第2アンテナ14vを重なるように配置する)こともできる。また上下方向(テープ面に対し直交方向)位置についても第1アンテナ14h及び第2アンテナ14vで互いにほぼ同一としても良いし、異なる上下方向位置としても良い。
図8は、上記センサ20の構成の一例を表す説明図である。
図8において、センサ20は、この例では、凹凸形状(孔も含む)を備えた被検出部190(偏波方向情報記録部)の識別子190A〜Dに対しバネ部材20Aで接点20Bを付勢当接させることで凹凸形状を検出するメカニカルスイッチであり、各凹凸部に対応して配置された接点20Bより制御回路30へ検出信号を出力するようになっている。
これら識別子190A〜Dは、上記凹凸の有無によって、カートリッジ100内の上記無線タグ回路素子Tov,Tohに最適な通信パラメータ(無線通信に使用する電波の周波数、通信プロトコル等)やタグ属性パラメータ(基材テープ101内における無線タグ回路素子Tov,Tohの配置間隔(ピッチ)、偏波方向情報に相当する無線タグ回路素子Tovなのか無線タグ回路素子Tohなのかという情報、タグ感度、IC回路部のメモリ容量や、基材テープ101のテープ幅等)に関するパラメータデータを表している。なお、通常、1つのカートリッジ内に備えられるすべての無線タグ回路素子Tov,Tohについて、上記通信パラメータ及びタグ属性パラメータはすべてカートリッジごとに共通となっている。
例えば、識別子190A〜Dのいずれか1つの識別子では、上記タグ属性パラメータに関する情報の例として、その内包する基材テープ101hにおける無線タグ回路素子Tohの配置間隔(例えば12cm、16cm等)を表し、また別の識別子には無線タグ回路素子Tov,Tohの偏波方向情報(テープ搬送方向と略直交する偏波方向Htvである、あるいはテープ搬送方向と平行な偏波方向Hthである等)を表している。
そして制御回路30は、これら識別子190A〜Dの凹凸状態を示す接点20Bの検出信号からカートリッジ100における上記パラメータデータを知ることができ、さらにこれらパラメータデータの組み合わせから上記データベース51より装着しているカートリッジ100の種類(カートリッジ100h、100v等)を検索することができる。
なお、上記の検出手段としてのセンサ20は、メカニカルスイッチに限られず、他の方式、例えば光の反射を利用したセンサであってもよい。この場合、例えば制御回路30からの信号により発光する発光ダイオードと、その発光の各識別子190A〜Dにおける反射光を受光し対応する検出信号を制御回路30に出力するフォトトランジスタとを備えて構成することができる。また、さらに発展した光学センサとして、各種バーコード(1次元、2次元なども含む)をカートリッジ100や基材テープ101の例えば剥離紙表面に記載し、タグラベル作成装置2の装置本体8に設けた読み取り装置で読み込む構成も可能である。さらに磁気的検出を行うセンサも用いることができる。
このように、カートリッジ100に関するパラメータデータ(偏波方向情報)をカートリッジ100側から自動取得することで、いちいち手動入力をするような煩わしさがなく、また入力ミスのない正しいパラメータデータを取得して確実にこれに対応する印字を行うことができる(偏波方向情報に対応する印字については後述する)。
図9は、上記無線タグ回路素子Toh,Tovの機能的構成を表す機能ブロック図である。この図9において、無線タグ回路素子Toh,Tovは、タグラベル作成装置2側のアンテナ14h,14vとUHF帯等の高周波を用いて非接触で信号の送受信を行う上記アンテナ152と、このアンテナ152に接続された上記IC回路部151とを有している。
IC回路部151は、アンテナ152により受信された搬送波を整流する整流部153と、この整流部153により整流された搬送波のエネルギを蓄積しIC回路部151の駆動電源とするための電源部154と、上記アンテナ152により受信された搬送波からクロック信号を抽出して制御部155に供給するクロック抽出部156と、所定の情報信号を記憶し得るメモリ部157と、上記アンテナ152に接続された変復調部158と、上記整流部153、クロック抽出部156、及び変復調部158等を介して上記無線タグ回路素子Toh,Tovの作動を制御するための上記制御部155とを備えている。
変復調部158は、アンテナ152により受信された上記タグラベル作成装置2のアンテナ14からの通信信号の復調を行うと共に、上記制御部155からの応答信号に基づき、アンテナ152が受信した搬送波を変調し、アンテナ152より反射波として再送信する。
制御部155は、上記変復調部158により復調された受信信号を解釈し、上記メモリ部157において記憶された情報信号に基づいて返信信号を生成し、上記変復調部158により返信する制御等の基本的な制御を実行する。
クロック抽出部156は受信した信号からクロック成分を抽出して制御部155にクロックを抽出するものであり、受信した信号のクロック成分の速度に対応したクロックを制御部155に供給する。
図10(a)及び図10(b)は、横アンテナ型無線タグ回路素子Tohを備えた基材テープ101hから、上述のように無線タグ回路素子Tohの情報読み取り(後述の変形例では書き込み)及び印字済タグラベル用テープ110hの切断が完了し形成された無線タグラベルThの外観の一例を表す図であり、図10(a)は上面図、図10(b)は下面図である。また図11は、図10中XI−XI′断面による横断面図である。
これら図10(a)、図10(b)、及び図11において、無線タグラベルThは1つの横アンテナ型無線タグ回路素子Tohを内包し、図11に示すように、図3に示した4層構造にカバーフィルム103が加わった5層構造となっており、カバーフィルム103側(図11中上側)よりその反対側(図11中下側)へ向かって、カバーフィルム103、粘着層101ha、ベースフィルム101hb、粘着層101hc、剥離紙101hdで5層を構成している。そして、前述のようにベースフィルム101hbの裏側に設けられたダイポールアンテナ152hを含む横アンテナ型無線タグ回路素子Tohが粘着層101hc内に備えられるとともに、カバーフィルム103の裏面に印字R(この例では「RF−ID」の文字)が印刷されている。
図12(a)及び図12(b)は、縦アンテナ型無線タグ回路素子Tovを備えた基材テープ101vから、上述のように無線タグ回路素子Tovの情報読み取り(後述の変形例では書き込み)及び印字済タグラベル用テープ110vの切断が完了し形成された無線タグラベルTvの外観の一例を表す図であり、図12(a)は上面図、図12(b)は下面図である。また図13は、図12中XIII−XIII′断面による横断面図である。
これら図12(a)、図12(b)、及び図13において、無線タグラベルTvは1つの縦アンテナ型無線タグ回路素子Tovを内包し、図13に示すように、図4に示した4層構造にカバーフィルム103が加わった5層構造となっており、上記横アンテナ型無線タグ回路素子Tohを内包した無線タグラベルThと同様の積層構造となっている。そして、前述のようにベースフィルム101vbの裏側に縦アンテナ型無線タグ回路素子Tovが粘着層101vc内に備えられている。
なお、この実施形態では、図12(a)、図12(a)に示すように、無線タグラベルTh,Tvは、それぞれテープ幅が一定であり、かつ無線タグ回路素子Toh,Tovを中央に位置させる配置でテープ長手方向に一定の長さLで切断されて作成されるものであり、この切断されたラベル長さLは上記タグ属性パラメータのひとつである無線タグ回路素子Toh,Tovの配置間隔と一致している。そして、この無線タグラベルTh,Tvのラベル長さL、すなわち無線タグ回路素子Toh,Tovの配置間隔及びテープ幅は、それぞれ1つのカートリッジから引き出されて作成される全ての無線タグラベルTh,Tvで同一となっている。
図14は、上述したようなタグラベル作成装置2による無線タグ回路素子Toh,TovのIC回路部151の無線タグ情報へのアクセス(読み取り又は書き込み)に際して、上記した端末5又は汎用コンピュータ6などに備えられた表示部に表示される画面の一例を表す図である。
図14において、この例では、タグラベルの種別(この例では、上記タグ属性パラメータ情報であるラベル長さや偏波方向の情報で表されている)、無線タグ回路素子Toに対応して印刷される印字文字R、その無線タグ回路素子Toh,Tovに固有のIDであるアクセス(読み取り又は書き込み)ID、及び上記データベース51に記憶された物品情報のアドレス、及び上記ルートサーバ4におけるそれらの対応情報の格納先アドレス等が前記端末5又は汎用コンピュータ6に表示可能となっている。そして、タグ作成時に、その端末5又は汎用コンピュータ6の操作によりタグラベル作成装置2が作動されて、カバーフィルム103に上記印字文字Rが印刷されると共に、後述するように無線タグ回路素子ToのIC回路部151に予め記憶された対象物情報等の無線タグ情報が読みとられる(又はIC回路部151に上記書き込みID及び物品情報等の情報が書き込まれる)。
ここで、本発明の最も大きな特徴は、取得した偏波方向情報に応じて、カバーフィルムの所定の印字領域に対し搬送方向に沿った横向き印字を行うか、若しくは搬送方向に沿った縦向き印字を行うかを制御する機能がタグラベル作成装置2に備えられていることである。特に、この実施形態では、装着されているカートリッジ中に巻回された基材テープに備えられている無線タグ回路素子が、横アンテナ型無線タグ回路素子Tohか(タグ側アンテナ152の偏波方向Htがテープ長手方向に対して平行な偏波方向Hthか)、又は縦アンテナ型無線タグ回路素子Tovか(タグ側アンテナ152の偏波方向Htがテープ長手方向に対して直角な偏波方向Htvか)を示す偏波方向情報と、さらに無線タグラベルを貼付・所持する対象物の種類に対応して選択されたモードとに応じて、タグラベル作成装置2が搬送方向に沿った横向き印字を行うか、若しくは縦向き印字を行うかを制御することにある。
以下、その詳細を、物品用タグラベル(以下単に、物タグTobjという)を貼付させる物品と人物用タグラベル(以下単に、人タグTmanという)を所持した人物とがリーダ(無線タグ情報読み取り装置;不図示)の通信範囲内に存在した場合を一例にとり、順次説明する。そして、この場合に、物タグTobjと人タグTmanとの間でそれぞれのタグ側アンテナ152の偏波方向を異ならせることで上記リーダによる無線通信の可否での選別するとともに、物タグTobjと人タグTmanとの間でそれぞれのラベルにおける印字方向(縦向き印字か横向き印字か)を異ならせることで視覚的にも選別できるように各無線タグラベルTobj,Tmanを作成する。そして、基材テープ101における無線タグ回路素子Toのタグ側アンテナ152の偏波方向がいずれの方向であるか(言い換えれば無線タグラベルThか、無線タグラベルTvか)は、前述したように装着するカートリッジの種類により決まるものであり、また同じカートリッジ100から作成する物タグTobjと人タグTmanの選択は、タグラベル作成装置2において無線タグラベルT1枚ごとに設定されるモード(後述)により選択される。
図15は、横アンテナ型無線タグ回路素子Tohを内包する基材テープ101hを用いてタグラベルThを作成する場合に、モードの設定によって選択作成される物タグTobjと人タグTmanの外観(すなわちタグラベルThにおける印字方向が縦向き印字であれば物タグTobjとなり横向き印字であれば人タグTmanとなる)の一例を示す上面図であり、図15(a)は物タグTobjの上面図、図15(b)は人タグTmanの上面図である。
これら図15(a)、図15(b)において、物タグTobj及び人タグTmanのどちらも横アンテナ型無線タグ回路素子Tohがテープ長手方向のほぼ中央に位置しており(=その意味で前述のタグラベルThであり)、またタグ側アンテナ152hの偏波方向Hthがテープ搬送方向と平行となっている。そして、図15(a)に示す物タグTobjの例においては、テープ長手方向(搬送方向)に沿って物品名の印字(図示する例では「物品1」の文字)が縦向き印字されており、図15(b)に示す人タグTmanの例においては、テープ長手方向(搬送方向)に沿って人物名の印字(図示する例では「日本太郎」の文字)が横向き(横書き)印字されている。
ここで、縦向き印字とは、図15(a)のようにテープ長手方向を上下縦方向に合わせた際に各印字文字の上下方向が正しい方向(上下縦方向に一致)となるよう印字する(いわゆる縦書き印字)ことであり、このように印字することにより無線タグラベルの貼付作業時には視覚的必然性からテープ長手方向を上下縦方向に合わせるよう貼付されることになる。また、横向き印字については、図15(b)のようにテープ長手方向を左右横方向に合わせた際に各印字文字の上下方向が正しい方向(上下縦方向に一致)となるよう印字する(いわゆる横書き印字)ことであり、このように印字することにより無線タグラベルの貼付作業時には視覚的必然性からテープ長手方向を左右横方向に合わせるよう貼付されることになる。
図16は、縦アンテナ型無線タグ回路素子Tovを内包する無線タグラベルTvを用いてタグラベルを作成する場合に、モードの設定によって選択作成される物タグTobjと人タグTmanの外観の一例を示す上面図であり、図16(a)は物タグTobjの上面図、図16(b)は人タグTmanの上面図である。
図16(a)において、物タグTobjの場合は縦アンテナ型無線タグ回路素子Tovがテープ長手方向の図中左側端部に位置しており(=その意味で前述のタグラベルTvであり)、また図16(b)において、人タグTmanの場合は縦アンテナ型無線タグ回路素子Tovがテープ長手方向の図中上側端部に位置している。また、物タグTobj、人タグTmanのどちらもタグ側アンテナ152vの電界の偏波方向Htvはテープ搬送方向と略直交している。そして、図16(a)に示す物タグTobjの例においては、テープ長手方向(搬送方向)に沿って物品名の印字(図示する例では「物品2」の文字)が横向き印字されており、図16(b)に示す人タグTmanの例においては、テープ長手方向(搬送方向)に沿って人物名の印字(図示する例では「鈴木花子」の文字)が縦向き印字されている。
また、本実施形態においては、上記図15に示したように無線タグラベルThを用いて物タグTobjや人タグTmanを構成する場合と、上記図16に示したように無線タグラベルTvを用いて物タグTobjや人タグTmanを構成する場合のどちらにおいても、共通する基準として、物タグTobjにおけるタグ側アンテナの偏波方向を(貼り付けた状態で)上下鉛直方向となるようにし、また人タグTmanにおけるタグ側アンテナの偏波方向を左右水平方向となるようにする。これにより、図15と図16のいずれに示した無線タグラベルの場合でも、リーダが垂直偏波と水平偏波のいずれかに切り替えて無線通信することで、無線通信の可否による物タグTobjと人タグTmanの選別が可能となる。
図17は、上述した各種の配置態様の無線タグラベルTobj,Tmanを作成、すなわち、カバーフィルム103を搬送し印字ヘッド10で所定の印字を行いつつ基材テープ101を貼り合わせて印字済タグラベル用テープ110とした後印字済タグラベル用テープ110を無線タグ回路素子Toごとに切断し無線タグラベルTobj,Tmanとする際に、制御回路30によって実行される制御手順を表すフローチャートである。
この図17において、タグラベル作成装置2における情報読み取り操作が行われるとこのフローが開始される。まずステップS5において、これから作成しようとする1枚の無線タグラベルを物タグラベルTobjとして作成する物タグモードか人タグラベルTmanとして作成する人タグモードかのモードの選択と、印字ヘッド10により無線タグラベルTへ印字すべき印字情報が、操作手段としての上記端末5又は汎用コンピュータ6を介して入力操作されて通信回線3及び入出力インターフェイス31を介し読み込まれる(したがって上記端末5又は汎用コンピュータ6の操作手段がモード選択手段を構成する)。また、センサ20により検出されたカートリッジ100の上記偏波方向情報を含むパラメータデータが読み込まれる。
次にステップS10において、無線タグ回路素子Toからの応答がなく、リトライを行う回数(アクセス試行回数)をカウントする変数N、及び通信良好か不良かを表すフラグFを0に初期化する。
次のステップS100において、上記ステップS5で読み込んだモードと偏波方向情報に応じて印字方向(縦向き印字方向、横向き印字方向)を決定する印字方向決定処理を行う(後述の図18のフロー参照)。
その後、ステップS15において、ラベル作成装置2側で使用するアンテナを切り替える。これは、上記ステップS5でセンサ20により読み込まれた偏波方向情報(カートリッジ100中の基材テープ101に内包されているのが横アンテナ型無線タグ回路素子Tohか縦アンテナ型無線タグ回路素子Tovか)に応じてアンテナスイッチ回路341に選択信号を出力し、第1アンテナ14hを送受分離器34に接続する状態とするか、若しくは、第2アンテナ14vを送受分離器34に接続する状態に、切り替える。
すなわち、横アンテナ型無線タグ回路素子Tohが内包されている(=テープ搬送方向の偏波方向Hthである)ことがセンサ20で検出された場合には、第1アンテナ14hを送受分離器34に接続する状態に切り替えられ、これによりタグ側アンテナ152hの偏波方向Hthの方向と装置側アンテナ14hの偏波方向Hdhの方向とが合致する。
また、縦アンテナ型無線タグ回路素子Tovが内包されている(=テープ搬送方向と直交する偏波方向Htvである)ことがセンサ20で検出された場合には、第2アンテナ14vを送受分離器34に接続する状態に切り替えられ、これによりタグ側アンテナ152vの偏波方向Htvの方向と装置側アンテナ14vの偏波方向Hdvの方向とが合致する。
次にステップS20へ移り、カートリッジ駆動回路24に制御信号を出力し、カートリッジ用モータ23の駆動力によってリボン巻取りローラ106及び圧着ローラ107を回転駆動させる。これにより、第1ロール102から基材テープ101が繰り出され圧着ローラ107へ供給され、第2ロール104からはカバーフィルム103が繰り出される。また、送出ローラ駆動回路29を介して送出ローラ用モータ28に制御信号を出力し、送出ローラ17を回転駆動させる。なおこのとき、印字ヘッド10はまだ通電されておらず、カバーフィルム103に印字は行われていない。
次のステップS25において、上記ステップS20の搬送により印字開始位置に到達したかどうか、すなわち、上記ステップS20で搬送した未印字のタグラベル用テープ110の搬送量が所定量となったかどうかを判定する。このときの搬送距離判定は、例えば、上記基材テープ101の剥離紙101hdに設けた適宜の識別用マークを別途設けた公知のテープセンサで検出することにより行えば足りる。判定が満たされたら、ステップS30に移る。
ステップS30では、上記ステップS100の印字方向決定処理により決定された印字方向と上記ステップS5で読み込んだ印字情報(印字文字)に基づいた制御信号(詳細は後述の図19参照)を印刷駆動回路25に出力し、印字ヘッド10を通電する。その結果、カバーフィルム103のうち所定の領域に、ステップS5で読み込んだ文字、記号、バーコード等の印字Rを、上記ステップS100で決定した印字方向(縦向き印字方向又は横向き印字方向)に基づき印刷させる。その結果、基材テープ101と上記印刷が終了したカバーフィルム103とが上記圧着ローラ107及びサブローラ109により接着されて一体化され、印字済タグラベル用テープ110として形成され、カートリッジ体100外方向へと搬送される。
その後、ステップS200では、タグ情報読み取り処理を行い、読み込むための問いかけ信号を無線タグ回路素子Toに送信し、無線タグ情報を含む返答信号を受信して読み込む(詳細は後述の図20参照)。このステップS200が終了したらステップS35に移る。
ステップS35では、フラグF=0であるかどうかが判定される。読み取り処理が正常に完了していればF=0のまま(後述の図20に示すフローのステップS280参照)であるので、この判定が満たされ、ステップS40に移る。
ステップS40では、上記ステップS200で無線タグ回路素子Toより読み取られた情報と、これに対応して既に印字ヘッド10により印字された印字情報との組み合わせを、入出力インターフェイス31及び通信回線3を介し端末5又は汎用コンピュータ6を介して出力し、情報サーバ7やルートサーバ4に記憶させる。なお、この記憶データは必要に応じて端末5又は汎用コンピュータ6より参照可能に例えばデータベース内に格納保持される。
その後、カバーフィルム103のうちこの時点で処理対象としている無線タグ回路素子Toに対応する領域への印字がすべて完了するまでステップS45の判断を繰り返し、印字終了後、ステップS55へ移る。
なお、先に述べたステップS35において、何らかの理由で読み取り処理が正常に完了していない場合はF=1とされている(後述の図20に示すフローのステップS280参照)のでS35の判定が満たされず、ステップS50に移り、印刷駆動回路25に制御信号を出力して印字ヘッド10を通電を中止し印字を停止させる。このように印字中途停止によって当該無線タグ回路素子Toが正常品でないことを明らかに表示するようにした後、ステップS55へ移る。
ステップS55では、印字済タグラベル用テープ110がさらに所定量(例えば、対象とする無線タグ回路素子Toh,Tov及びこれに対応するカバーフィルム103の印字領域のすべてがカッタ15を所定の長さ(余白量)分越えるだけの搬送距離)だけ搬送されたかどうかを判断する。このときの搬送距離判定も、前述のステップS25と同様、例えばマーキングをテープセンサで検出することにより行えば足りる。判定が満たされたら、ステップS60に移る。
ステップS60では、カートリッジ駆動回路24及び送出ローラ駆動回路29に制御信号を出力し、カートリッジ用モータ23及び送出ローラ用モータ28の駆動を停止して、リボン巻取りローラ106、圧着ローラ107、送出ローラ17の回転を停止する。これにより、第1ロール102からの基材テープ101の繰り出し、第2ロール104からのカバーフィルム103の繰り出し、及び送出ローラ17による印字済タグラベル用テープ110の搬送が停止し、剥離紙101dに設けた切断ラインがちょうどカッタ15の刃物どうしの間に挟まれる位置となる(そのようになるように配置位置関係が予め設定されている)。
その後、ステップS65でソレノイド駆動回路27に制御信号を出力してソレノイド26を駆動し、カッタ15の上記刃物を用いて印字済タグラベル用テープ110を上記切断ラインにて切断(分断)する。その結果、前述したように、無線タグ回路素子Toh,Tovを所定位置に有し、且つ所定の印字方向の印字が行われたラベル状の無線タグラベルTobj,Tmanが生成される。
その後、ステップS70に移り、送出ローラ用駆動回路29に制御信号を出力し、送出ローラ用モータ28の駆動を再開して、送出ローラ17を回転させる。これにより、送出ローラ17による搬送が再開されて上記ステップS65でラベル状に生成された無線タグラベルTobj,Tmanが搬出口16へ向かって搬送され、さらに搬出口16から装置2外へと排出される。
このようにして前述の図15(a)、図16(a)に示す各態様の物タグである無線タグラベルTobj、又は図15(b)、図16(b)に示す各態様の人タグである無線タグラベルTmanが作成される。
図18は、上記図17中におけるステップS100の印字方向決定処理の詳細手順を表すフローチャートである。
図18において、まず、ステップS105において、上記図17中のステップS5で読み込んだ偏波方向情報から装着されているカートリッジ100中の基材テープ101に内包されている無線タグ回路素子Toが横アンテナ型無線タグ回路素子Toh(タグ側アンテナ152の偏波方向Htがテープ長手方向に平行な偏波方向Hth)であるか否かを判定する。無線タグ回路素子Toが横アンテナ型無線タグ回路素子Tohである場合には、判定が満たされ、ステップS110へ移る。
次のステップS110では、上記図17中のステップS5で読み込んだモードが物タグモード(物タグである無線タグラベルTobjを作成するモード)であるか否かを判定する。読み込んだモードが物タグモードである場合には、判定が満たされ、次のステップS115で印字方向を縦向き印字方向に決定(上記図17中ステップS30の印字開始時にこの決定した印字方向を反映させる;以下同様)した後、このルーチンを終了する。
一方、上記ステップS105において、上記図17中のステップS5で読み込んだ偏波方向情報から装着されているカートリッジ100中の基材テープ101に内包されている無線タグ回路素子Toが縦アンテナ型無線タグ回路素子Tov(タグ側アンテナ152の偏波方向Htがテープ長手方向に直角な偏波方向Htv)であった場合には、判定が満たされず、ステップS120へ移る。
ステップS120では、上記ステップS110と同様、上記図17中のステップS5で読み込んだモードが物タグモードであるか否かを判定する。読み込んだモードが物タグモードである場合には、判定が満たされ、次のステップS125で印字方向を横向き印字方向に決定した後、このルーチンを終了する。
また、上記ステップS110において、読み込んだモードが人タグモードである場合には、判定が満たされず、ステップS125へ移り、印字方向を横向き印字方向に決定した後、このルーチンを終了する。
また、上記ステップS120において、読み込んだモードが人タグモードである場合には、判定が満たされず、ステップS115へ移り、印字方向を縦向き印字方向に決定した後、このルーチンを終了する。
以上の印字方向決定処理により、アンテナの偏波方向Hthがテープ搬送方向となる無線タグ回路素子Tohが配置された基材テープ101hを用いて無線タグラベルTobj,Tmanを作成する場合と、アンテナの偏波方向Htvがテープ搬送方向と略直交する無線タグ回路素子Tovが配置された基材テープ101vを用いて無線タグラベルTobj,Tmanを作成する場合の両方を、1つのタグラベル作成装置2で切り替えて対応することができる。さらに、偏波方向Htを横方向にして貼り付ける横向きラベル、偏波方向Htを縦方向にして貼り付ける縦向きラベルのいずれについても、1つのタグラベル作成装置2で作成することができる。
図19は、制御回路30の機能のうち、印字方向(縦向き印字方向又は横向き印字方向)の設定に係わる機能を表す機能ブロック図である。
この図19に示すように、制御回路30は、入力部30a、横向き印字方向印字バッファ部30b、縦向き印字方向印字バッファ部30c、制御信号生成部30d、及び出力部30eを有している。
制御回路30は、操作者により端末5又は汎用コンピュータ6を介して入力操作され、図17のステップS5で通信回線3及び入出力インターフェイス31を介し読み込まれた印字情報(文字情報)を、入力部30aを介して上記横向き印字方向印字バッファ部30b及び縦向き印字方向印字バッファ部30cに取り込む。
横向き印字方向印字バッファ部30bは、上記入力部30aを介して入力された印字情報を通常の方向でバッファ上に展開し、一時的に保管する。一方、縦向き印字転方向印字バッファ部30cは、上記入力部30aを介して入力された印字情報を反時計方向に90°回転させた方向でバッファ上に展開し、一時的に保管する。なお、この図19では、バッファ上のデータの一例として「A」の一文字を展開した場合を示している。
制御信号生成部30cは、図18に示す印字方向決定処理により印字方向が横向き印字方向に決定された場合には、上記横向き印字方向印字バッファ部30bのデータを読み取り、横向き印字方向に対応した制御信号を生成する。一方、図18に示す印字方向決定処理により印字方向が縦向き印字方向に設定された場合には、上記縦向き印字方向印字バッファ部30cのデータを読み取り、縦向き印字方向に対応した制御信号を生成する。
そして、上記制御信号生成部30dで生成した横向き印字方向制御信号又は縦向き印字方向制御信号を、出力部30eを介して印刷駆動回路25へ出力する。これにより、印字ヘッド10が横向き印字方向又は縦向き印字方向の印字に対応するように通電され、カバーフィルム103の所定の領域に、印字Rが図18に示す印字方向決定処理により決定した印字方向(横向き印字方向又は縦向き印字方向)にしたがって印刷されるようになっている。
図20は、上記図17中におけるステップS200のタグ情報読み取り処理の詳細手順を表すフローチャートである。
図20において、まず、ステップS210において、印字済みタグラベル用テープ110の印刷後、情報読み取り対象とする無線タグ回路素子Toがアンテナ14(第1アンテナ14h又は第2アンテナ14vのうちいずれか送受分離器34に接続された方のアンテナ)近傍に搬送され、対象となるタグが設定される。
その後、ステップS220において、所定の通信パラメータ等に沿う形で無線タグ回路素子Toに記憶された情報を読み出す無条件タグ情報取得命令である「Scroll ALL ID」コマンド(又は応答を求め階層的に処理するための「Ping」コマンドでもよい)を信号処理回路22に出力する。これに基づき信号処理回路22でアクセス情報としての「Scroll
ALL ID」信号(又は「Ping」信号)が生成されて高周波回路21を介してアクセス対象の無線タグ回路素子Toに送信され、返信を促す。
次に、ステップS230において、上記「Scroll ALL ID」信号に対応し上記アクセス対象の無線タグ回路素子Toから送信されたリプライ信号(タグID等の無線タグ情報を含む)をアンテナ14を介して受信し、高周波回路21及び信号処理回路22を介し取り込む。
次に、ステップS240において、上記ステップS230で受信したリプライ信号に誤りがないか否かを公知の誤り検出符号(CRC符号;Cyclic Redundancy Check等)を用いて判定する。
判定が満たされない場合はステップS250に移ってNに1を加え、さらにステップS260においてNが予め定められた所定のリトライ回数(この例では5回。それ以外の回数に適宜設定してもよい)となったかどうかが判定される。N≦4の場合は判定が満たされずステップS220に戻り同様の手順を繰り返す。N=5の場合はステップS270に移り、エラー表示信号を入出力インターフェイス31に及び通信回線3を介し上記端末5又は汎用コンピュータ6に出力して読み取り失敗(エラー)表示を行わせ、ステップS280で前述のフラグF=1にし、このフローを終了する。このようにして読み取りが不調でも所定回数(この例では5回)までは再試行が行われる。
ステップS240の判定が満たされた場合、読み取り対象とする無線タグ回路素子Toからの無線タグ情報の読み取りが完了し、このフローを終了する。
以上のルーチンにより、カートリッジ100内のアクセス対象の無線タグ回路素子Toに対し、IC回路部151の無線タグ情報にアクセスしこれを読み出すことができる。また、IC回路部151の無線タグ情報が所定回数以内で正しく読み出せなかった場合には、無線タグ回路素子Toが破損していることが判るので、無線タグラベルが不良品でないかを判断することができる。
以上において、制御回路30が、各請求項記載の、センサ20で取得した偏波方向情報に応じて印字ヘッド10が所定の印字領域に対しいずれの方向での印字を行うかを制御する印字制御手段を構成する。このとき、制御回路30が実行する図18に示すフローが、偏波方向情報に応じて、圧着ローラ駆動軸12のテープ搬送方向(テープ長手方向)に沿った横向き印字を行うか、若しくは、ローラ駆動軸12のテープ搬送方向に沿った縦向き印字を行うかを決定する印字方向決定手段に相当する。また、制御回路30中の制御信号生成部30dが、上記印字方向決定処理で決定された印字方向に対応し、対応する駆動信号を生成して印字ヘッド10へ出力する駆動信号生成手段を構成する。
以上説明したように、本実施形態のタグラベル作成装置2においては、圧着ローラ107の駆動力で搬送される基材テープ101h又は101vに備えられた無線タグ回路素子Toh又はTovに対し、第1、第2アンテナ14h又は14v、より無線通信にて情報送受信が行われ、さらに基材テープ101h又は101vに貼り合わされるカバーフィルム103の所定の印字領域に対し印字ヘッド10で印字が行われることで、印字付きの無線タグラベルTh又はTvが作成される。このとき、制御回路30が、センサ20で取得した偏波方向情報に応じて印字ヘッド10の印字方向を制御することにより、完成した無線タグラベルTh又はTvにおいて、その印字方向と、ラベルに含まれる無線タグ回路素子Toh,Tovのタグ側アンテナ152の偏波方向Hth,Htvとは一対一に対応している。
例えば図15の例では、横アンテナ型無線タグ回路素子Tohを内包する無線タグラベルThを用いて、物タグ(無線タグラベルTobj;図15(a))と人タグ(無線タグラベルTman;図15(b))の2種類のタグラベルを構成する場合、物タグTobjには縦向き印字で印字する一方で人タグTmanには横向き印字で印字する。この結果、視覚的必然性から物タグTobjは長手方向を上下垂直方向に向けて貼付され、人タグTmanは長手方向を左右水平方向に向けて貼付されることになる。このとき、貼付された物タグTobjの偏波方向Hthは上下垂直方向となる一方、貼付された人タグTmanの偏波方向Hthは左右水平方向となる。すなわち、物タグTobjと人タグTmanのそれぞれにおける印字方向と偏波方向Hthの向きが一対一に対応していることになる。この結果、いずれの場合であっても、使用者が臨む所望の偏波方向態様となるように、無線タグラベルの方向を間違えることなく正しく貼り付けることができる。
同様に図16の例では、縦アンテナ型無線タグ回路素子Tovを内包する無線タグラベルTvを用いて、物タグ(無線タグラベルTobj;図16(a))と人タグ(無線タグラベルTman;図16(b))の2種類のタグラベルを構成する場合、物タグTobjには横向き印字で印字する一方で人タグTmanには縦向き印字で印字する。この結果、視覚的必然性から物タグTobjは長手方向を左右水平方向に向けて貼付され、人タグTmanは長手方向を上下鉛直方向に向けて貼付されることになる。このとき、貼付された物タグTobjの偏波方向Htvは上下垂直方向となる一方、貼付された人タグTmanの偏波方向Htvは左右水平方向となる。この場合も上記同様物タグTobjと人タグTmanのそれぞれにおける印字方向と偏波方向Hthの向きが一対一に対応しており、いずれの場合であっても、使用者が臨む所望の偏波方向態様となるように、無線タグラベルの方向を間違えることなく正しく貼り付けることができる。
また、本実施形態では特に、予め複数のモード(物タグモードと人タグモード)を設定しておき、操作者がその中から所望のモードを選択し、図17中のステップS5でそのモードを読み込み、制御回路30がその選択結果に応じて印字ヘッド10の印字方向を制御する方式とすることにより、無線タグラベル作成時の操作者の入力の手間を低減し、利便性を向上することができる。
また、本実施形態では特に、基材テープ101に備えられた無線タグ回路素子Toの偏波方向Htの態様に応じて装置側アンテナ14の偏波方向Hdを切り替える(すなわち第1アンテナ14hと第2アンテナ14vとを切り替える)ことで、無線タグ回路素子To側の偏波方向態様がいずれであっても、確実に無線タグ回路素子Toと情報の送受信を行い、無線タグラベルを作成することができる。
なお、本実施形態のタグラベル作成装置2の制御手順では、図18のフローに示す印字方向決定処理で複数の判定手順の組合せにより印字方向を決定したが、本発明はこれに限られず、例えば図21に示すような各モードごとの偏波方向情報とこれに対応する印字方向との相関が記載されたモードテーブルを参照して印字方向を決定してもよい。この場合、制御回路30が備えるROMや情報サーバ7などで構成する記憶手段にこのモードテーブルを記憶しておき、上記印字方向決定処理でこのモードテーブルを読み出して参照し、図17中ステップS5で読み出した偏波方向情報とモードに対応させて印字方向を決定すればよい。
これにより、操作者が所望のモードを選択して図17中のステップS5でモードを読み込むと、制御回路30は、情報サーバ7等に記憶されたこのモードテーブルを参照しつつ、制御回路30がセンサ20で取得した偏波方向情報に対応した印字方向となるように印字ヘッド10を制御する。この結果、モード選択操作のみでタグラベルの偏波方向に対応する印字方向を一対一に対応させることができる。
また、本実施形態のタグラベル作成装置2の構成では、装置側アンテナとしてそれぞれ偏波方向Hdh,hdvが直交する配置の2つの第1アンテナ14hと第2アンテナ14vを独立して設け、基材テープ101に内包されている無線タグ回路素子Toのタグ側アンテナ152の偏波方向Hth又はHtvの向きに対応して無線通信する装置側アンテナを切り替える構成としたが、これに限られず、他にも例えば装置側アンテナを1つ設けてそれをモータなどの駆動により回転させることで装置側の偏波方向Hdの向きを切り替える構成を適用することも可能である。あるいは、送信時における偏波方向特性がいわゆる円偏波(偏波方向が所定周期で時間変動する)となる装置側アンテナを用いることも考えられる。
また、以上は物品用タグラベルを備えた物品と人物用タグラベルを所持した人物とが存在し、これらを混信せず区別してリーダで読み取りたい場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち例えば、人物どうしを所定の2つの属性に区別(例えば男性と女性、従業員と招待客、親と子等)してそれぞれの所持するタグを識別したい場合や、物どうしを所定の2つの属性に区別(例えば位置を特定したい可般物等の物品とその位置特定の基準となる建造物や車、書類と事務機器、古いものと新しいもの、消耗品とそうでないもの等)してそれぞれのタグを識別したい場合等にも適用でき、これらの場合も同様の効果を得る。
また、タグラベル作成装置2の装置本体8に設けるカートリッジホルダ部に対し、基材テープ101の色、幅、厚さ等の属性や基材テープ101における無線タグ回路素子Toの配置方向が互いに異なる複数種類のカートリッジ100を着脱可能に構成してもよい。この場合も各カートリッジ100に設けた被検出部190(図8参照)からセンサ20によって上記属性や無線タグ回路素子Toの配置方向に関するタグ属性パラメータを検出すれば、例えば無線タグラベルの対象物の種類(人か物か、人が男性か女性か、物が場所を表す固定部材か物品か)等に応じて、異なるカートリッジ100を着脱交換して使い分けることで、それら細分化された対象物の種類ごとに視覚的に明確に区別できるように無線タグラベルを作成することが可能となる(青色は物タグ、赤色は人タグなど)。これにより、さらに確実にラベルの貼り間違いを防止することができる。
また、タグラベルの印字面に無線タグ回路素子Tohの外郭方向に合せるように(偏波方向をイメージしやすいように)、例えば図22(a)や図22(b)に示すように、印字ヘッド10においてセンサ20での偏波方向に関する情報取得結果に応じて偏波方向を表すマーク印字TMを行うのも有効である。これは、図19における各バッファ部30b,30cに印字情報を取り込んで展開する際に、併せて上記マーク印字の図形情報も重ねて展開すればよい。これにより、偏波方向を表すマーク印字によって偏波方向の態様を視覚的に明確にすることができるので、さらに確実に無線タグラベルTobj,Tmanの方向を正しく貼り付けることができる。
また、本実施形態のタグラベル作成装置2の構成では、無線タグ回路素子Toの配置方向が異なる2種類のカートリッジ100h,100vのいずれを装着しても、操作者の選択したモードに自動的に対応させて2種類の無線タグラベルTobj,Tmanを作成したが、いずれか一方の種類のカートリッジだけを装着可能として、そのカートリッジが備える基材テープ101を用いてモードに対応した2種類の無線タグラベルTobj,Tmanを作成することももちろん可能である。このような(タグ媒体側の偏波方向態様が予め限定されている)場合、例えば横アンテナ型無線タグ回路素子Tohである場合には装置2側にはアンテナ14hのみを設けアンテナ14vを省略してもよいし、逆に縦アンテナ型無線タグ回路素子Tovである場合には装置2側にはアンテナ14vのみを設けアンテナ14vを省略してもよい。またこれらの場合にはアンテナスイッチ回路341も不要となり、この結果前述の装置アンテナ切り替え手順(ステップS15)も省略できる。
また、特に図示しないが、前述したものと逆に、物タグTobjの偏波方向Htを水平偏波に対応したものとし、人タグTmanの偏波方向Htを垂直偏波に対応したものとするよう無線タグラベルTobj,Tmanを作成することも可能である。
さらに、本発明は、上記に限られるものではなく、その趣旨と技術思想の範囲を逸脱しない範囲でさらに種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を説明する。
(1)モード別に対応させて偏波方向の異なる基材テープを使用する場合
上記実施形態では、基材テープに備える無線タグ回路素子の偏波方向が全てそろっている(同一の)1つのカートリッジから、モード別に対応して異なる印字方向の2つの無線タグラベルを作成したが、本発明はこれに限られず、操作者が選択したモード(無線タグラベルを貼付・所持させる対象物の種類)に対応させてタグ側アンテナの偏波方向の異なるカートリッジを交換装着させてモード別に無線タグラベルを作成してもよい。
図23は、この変形例によりモードの設定によって選択作成される物タグTobjと人タグTmanの外観の一例を示す上面図であり、図23(a)は物タグTobjの上面図、図23(b)は人タグTmanの上面図である。
これら図23(a)、図23(b)において、物タグTobj及び人タグTmanのどちらも横向き印字方向でそれぞれ物品名と人物名が印字されている。そして、図23(a)に示す物タグTobjは、縦アンテナ型無線タグ回路素子Tovがテープ長手方向の図中左側端部に位置する前述の無線タグラベルTvを用いて構成されており、また図23(b)に示す人タグTmanは、横アンテナ型無線タグ回路素子Tohがテープ長手方向のほぼ中央に位置する前述の無線タグラベルThを用いて構成されている。
この変形例においては、物タグTobjについては、縦アンテナ型無線タグ回路素子Tovが配置された基材テープ101vを備えたカートリッジ100vを用い横向き印字方向で印字してタグラベルの作成を行い、完成した物タグTobjにおけるタグ側アンテナ152の偏波方向を上下垂直方向となるようにする(図23(a))。また人タグTmanについては、横アンテナ型無線タグ回路素子Tohが配置された基材テープ101hを備えたカートリッジ100hを用いて横向き印字方向で印字してタグラベルの作成を行い、完成した人タグTmanにおけるタグ側アンテナ152の偏波方向を左右水平方向となるようにする(図23(b))。
これらにより、リーダが垂直偏波と水平偏波のいずれかに切り替えて無線通信することで、無線通信の可否による物タグTobjと人タグTmanの選別が可能となる。
この変形例のタグラベル作成装置は、上記実施形態と同じハードウェア構成を用いてフローの制御手順を多少変更することで実現する。すなわち、特に図示しないが、上記実施形態の図17のフローにおけるステップS100の印字方向決定処理の代わりに、以下に説明するカートリッジ交換処理を実行すればよい。
図24はこのような変形例における制御回路30の実行するカートリッジ交換処理の詳細手順を表すフローチャートであり、上記実施形態の図18のフローの代わりに行われるフローである。図24のフローにおいては、まず、ステップS305で、上記図17中のステップS5で読み込んだモードが物タグモードであるか否かを判定する。読み込んだモードが物タグモードである場合には、判定が満たされ、次のステップS310へ移る。
ステップS310においては、上記図17中のステップS5で読み込んだ偏波方向情報から装着されているカートリッジ100中の基材テープ101に内包されている無線タグ回路素子Toが縦アンテナ型無線タグ回路素子Tovである(タグ側アンテナ152の偏波方向Htがテープ長手方向に直角な方向である)か否かを判定する。無線タグ回路素子Toが縦アンテナ型無線タグ回路素子Tovである場合には、判定が満たされ、そのままこのルーチンを終了する。
無線タグ回路素子Toが横アンテナ型無線タグ回路素子Tohである場合には、判定が満たされず、ステップS315に移って通信回線3を介し端末5又は汎用コンピュータ6などに備えられた表示部に縦アンテナ型無線タグ回路素子Tovを備えたカートリッジ100vを交換装着するよう報知表示する。そしてカートリッジ100vが装着されてステップS310の判定が満たされるまで、同様の手順を繰り返す。
一方、上記ステップS305において、上記図17中のステップS5で読み込んだモードが人タグモードである場合には、判定が満たされず、ステップS320へ移る。
ステップS320においては、上記図17中のステップS5で読み込んだ偏波方向情報から装着されているカートリッジ100中の基材テープ101に内包されている無線タグ回路素子Toが横アンテナ型無線タグ回路素子Tohであるか(タグ側アンテナ152の偏波方向Htがテープ長手方向に平行であるか)否かを判定する。無線タグ回路素子Toが横アンテナ型無線タグ回路素子Tohである場合には、判定が満たされ、そのままこのルーチンを終了する。
無線タグ回路素子Toが縦アンテナ型無線タグ回路素子Tovである場合には、判定が満たされず、ステップS325に移って上記ステップS315と同様にしてカートリッジ100hを交換装着するよう報知表示し、カートリッジ100hが装着されてステップS320の判定が満たされるまで、同様の手順を繰り返す。
以上のルーチンにより、物タグモードが選択されている場合には縦アンテナ型無線タグ回路素子Tovを備えるカートリッジ100vを装着させるよう報知し、人タグモードが選択されている場合には横アンテナ型無線タグ回路素子Tohを備えるカートリッジ100hを装着させるよう報知して、モードに対応した適切なカートリッジの装着を操作者に行わせることができる。
そして上記カートリッジ交換処理の実行後に、図17中のステップS15以降の手順を実行することで、図23に示した物タグラベルTobj又は人タグラベルTmanを作成することができる。なお、この変形例の場合は、上記ステップS15の装置側アンテナ切替において、上記カートリッジ交換処理で検出した最新の偏波方向情報に基づいて装置側アンテナを切り替えればよい。
本変形例によれば、1つのタグラベル作成装置で、無線タグ回路素子Tohが配置された基材テープ101h、及び、無線タグ回路素子Tovが配置された基材テープ101vを、選択的に用い、どちらも印字方向を横方向にして貼り付ける横向きラベルで作成することができる。
なお、本変形例では、物タグラベルTobjと人タグラベルTmanが相互に偏波方向の異なる無線タグ回路素子Toを備えることを前提としているため、どちらも同じ印字方向で印字すれば必然的に互いの偏波方向が相違することになる。したがって図23に示したように物タグラベルTobjと人タグラベルTmanのどちらも横向きラベルとして作成する以外にも、どちらも縦向きラベルとして作成しても同じ効果が得られる。
(2)スタンドアローン型の場合
上記実施形態のタグラベル作成装置2は、入出力I/F31及び通信回線3を介して端末5又は汎用コンピュータ6などが備える操作部及び表示部により操作者のモードや印字情報の入力、又は各種情報の表示を行うネットワーク型の構成となっていたが、本発明はこれに限られるものではなく、タグラベル作成装置自体に操作部、表示部及びデータベースなどを設けたスタンドアローン型として構成してもよい。
図25は、本変形例のタグラベル作成装置502の詳細構造を表す概念的構成図であり、上記実施形態の図2に相当する図である。なお、図2と同等の部分には同じ符号を付し、適宜説明を省略する。図25において、装置本体8の内部には、入出力I/F31及びセンサ20に代えて、物品情報のアドレス等の各種情報が予め記憶された不揮発性記憶装置からなるデータベース51(但しこのデータベース51は装置502外に設けてもよい)と、複数の文字入力キーや各種ファンクションキーからなり操作者が印字に関する文字データや指示データを入力するための操作部52(モード選択手段)と、LCD(Liquid
crystal display)などからなり上記操作部52から入力した文字データや指示データ又は報知信号などを操作者に対して表示するための表示部53とを有する。
本変形例では、上記実施形態の場合の図17のステップS5においては、上記操作部52を操作することにより、モードの選択入力、印字情報の入力の入力を行う。そして、図17のステップS40においては、印字情報と無線タグ回路素子Toからの読み取り情報との組合せを、上記データベース51に保存する。また、センサ20を省略したのに対応し、現在使用しているカートリッジ100に備えられた無線タグ回路素子Toの偏波方向がどのような態様であるのか(テープ長手方向に平行であるのか、テープ長手方向に直角であるのか等)の偏波方向情報についても当該操作部52より操作入力することによって制御回路30へ情報を与える。
その他の構成及び動作は、上記実施形態や各変形例と同様であるので詳細な説明を省略する。
本変形例によれば、偏波方向情報を手動入力とすることで、基材テープ101上の無線タグ回路素子Toの偏波方向Htがどのような態様である場合でも、確実に対応させることができる。
(3)無線タグ回路素子に情報書き込みを行い無線タグラベルを作成する場合
以上においては、無線タグ回路素子ToのIC回路部151からタグ情報の読み込みのみを行う場合を例にとって説明したが、これに限られず、情報書き込みが可能な無線タグ回路素子Toを備えた無線タグラベルのタグラベル作成装置に本発明を適用してもよい。この場合も同様の効果を得る。
(4)その他
なお、以上においては、カートリッジ100等の内部を移動中の基材テープ101に対して無線タグ情報の書き込み・読み取りや印字を行う例を示したが、これに限られず、基材テープ101等を所定位置で停止させて(さらに読み取り・書き込みについては所定の搬送ガイドにて保持した状態としてもよい)上記印字や読み取り・書き込みを行うようにしてもよい。
また、以上において、印字及び無線タグ回路素子Toへのアクセス(読み取り又は書き込み)の終了した印字済みタグラベル用テープ110をカッタ15で切断してタグラベルTを作成した場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、ラベルに対応した所定の大きさに予め分離されたラベル台紙(いわゆるダイカットラベル)がロールから繰り出されるテープ上に連続配置されているような場合には、カッタ15で切断しなくても、テープが排出口16から排出されてきた後にラベル台紙(アクセス済みの無線タグ回路素子Toが備えられかつ対応する印字がなされたもの)のみをテープから剥がしてタグラベルTを作成しても良く、本発明はこのようなものに対しても適用できる。
また、以上においては、無線タグ回路素子Toを備えた基材テープ101とは別のカバーフィルム103に印字を行ってこれらを貼り合わせる方式であったが、これに限られず、タグ媒体としてのタグテープに備えられたカバーフィルムに印字を行う方式(貼りあわせを行わないタイプ)に本発明を適用してもよい。すなわちこの場合、印字ヘッドはタグ媒体に印字を行うこととなる。
さらに、以上は、基材テープ101がリール部材102aの周りに巻回されてロールを構成し、カートリッジ100内にそのロールが配置されて基材テープ101が繰り出される場合を例にとって説明したが、これに限られない。例えば、無線タグ回路素子Toが少なくとも一つ配置された長尺平紙状あるいは短冊状のテープやシート(ロールに巻回されたテープを繰り出した後に適宜の長さに切断して形成したものを含む)を、所定の収納部にスタック(例えばトレイ状のものに平積み積層)してカートリッジ化し、このカートリッジをタグラベル作成装置2側のカートリッジホルダに装着して、上記収納部から移送、搬送して印字及び書き込みを行いタグラベルを作成するようにしてもよい。
さらには上記ロールを直接タグラベル作成装置2側に着脱可能に装着する構成や、長尺平紙状あるいは短冊状のテープやシートをタグラベル装置2外より1枚ずつ所定のフィーダ機構によって移送しタグラベル装置2内へ供給する構成も考えられ、さらにはカートリッジ100のようなタグラベル作成装置2本体側に着脱可能なものにも限られず、装置本体側に着脱不能のいわゆる据え付け型あるいは一体型として第1ロール102を設けることも考えられる。この場合も同様の効果を得る。
なお、以上で用いた「Scroll ALL ID」信号、「Ping」信号等は、EPC globalが策定した仕様に準拠しているものとする。EPC globalは、流通コードの国際機関である国際EAN協会と、米国の流通コード機関であるUniformed Code Council(UCC)が共同で設立した非営利法人である。なお、他の規格に準拠した信号でも、同様の機能を果たすものであればよい。
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。