JP2007114331A - 光拡散性有機微粒子とそれを用いた光拡散樹脂成形体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】多層構造を有する架橋ビニル共重合体からなる球状微粒子であって、その最外層を除く内層の少なくとも一層に蛍光増白剤を粒子の全量に対して0.001〜1.0重量%含有させた光拡散性有機微粒子が前記課題を解決した。
【選択図】なし
Description
即ち、本発明は、
(1)
多層構造を有する架橋ビニル共重合体からなる微粒子であって、その外層を除く内層の少なくとも一層に蛍光増白剤を粒子の全量に対して0.001〜1.0重量%含有させた光拡散性有機微粒子、
(2)
マトリックス樹脂に対し、(1)記載の光拡散性有機微粒子を0.05〜20重量%練り込んだ樹脂組成物から成型した光拡散樹脂成形体、
(3)
(1)記載の光拡散性有機微粒子をフィルム又はシートにバインダーと共に塗布した光拡散フィルム又はシート、
である。
重合開始剤はベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドなどの過酸化物系開始剤、アゾビスイソブチロニトリルのようなアゾビス系開始剤を用いることが出来る。その使用量はモノマーに対して、0.1〜2重量%、好ましくは0.1〜1重量%である。重合安定剤はポリビニルアルコールなどの水溶性高分子やリン酸カルシウムなどの無機系安定剤を用いることが出来る。
重合により得られた有機ポリマー微粒子は重合反応液から通常の操作により、粉体として取り出して使用される。すなわち、塩析や凍結により凝集させた後、遠心分離による方法、噴霧乾燥などによる方法をとることができる。
このフィルムやシート基材の材質は光学的に透明で、耐熱性、耐光性に優れたものがよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体樹脂、シクロポリオレフィンポリマー樹脂などが挙げられるが、ポリエチレンテレフタレート樹脂が好ましく用いられる。
これらの基材フィルムやシートの厚みはディスプレイの大きさに応じて通常10μm〜200μmのものが選択される。
基板上に設ける層の微粒子厚みは、通常15μmから150μm、好ましくは20μm〜100μm程度である。
また、上記のバインダーとしては透明な溶剤タイプのアクリル樹脂、ポリエステル樹脂が用いられ、乾燥時にウレタン系架橋剤などで固着される。透明樹脂に対する微粒子の割合は特に限定されるものではないが、光拡散性能を考慮すれば透明樹脂100重量部に対して30〜500重量部、好ましくは50〜300重量部である。
微粒子の基板表面への塗布方法としては、ロールコート法、ディッピング法、スプレーコティング法、スピンコーティング法、ラミネート法、掛け流し法等各種の方法が行われるが特に限定されるものではない。
このマトリックス樹脂としてはポリカーボネート樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸メチル樹脂などのポリ(メタ)アクリル酸アルキル樹脂、ポリスチレン樹脂、及びポリ(メタ)アクリル酸アルキル−ポリスチレン共重合樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂で透明性に優れ、耐光性がよく、剛性のある樹脂が好ましく用いられる。
マトリックス樹脂と微粒子は混合機で混合し、溶融混練機で混練した後、シート上に押し出すことにより光拡散樹脂成形体を得ることができる。また溶融混練後、ペレットとして取り出し、このペレットを溶融後射出成形することにより光拡散樹脂成形体を得ることができる。
マトリックス樹脂に対する微粒子の練り込み量は用途と求められる光拡散能によって選定されるが、通常マトリックス樹脂に対し0.05〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%である。
さらにこの微粒子を用いて塗布タイプの光拡散フィルム、シートや練り込みタイプの光拡散樹脂成形体を製造するとき、屈折率や粒度分布や平均粒子径の異なる粒子を2種以上配合して使用することができる。
また、必要に応じて、マトリクス樹脂に、蛍光増白剤や酸化防止剤や紫外線吸収剤を添加しても良い。
分散容器に、脱イオン水300重量%、ポリビニルアルコール2重量%を入れた。これとは別に、メチルメタクリレート63重量%、エチレングリコールジメタクリレート7重量%及びラウリルパーオキサイド0.7重量%、UVITEX OB(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ製)0.1重量%からなる単量体溶液を調製し、上記の分散容器に加えた。得られた混合液をホモミキサーを用いて分散処理し、液滴径を調整した分散液を得た。この分散液を撹拌機、温度計、環流冷却器及び窒素導入口を備えた重合反応機に注入し、窒素気流中の攪拌下で70℃で1時間、次いで80〜90℃で1時間の第一段目の重合反応を行い、コア層を形成する蛍光増白剤含有の重合体の懸濁液を得た。次いで、得られたコア層の懸濁液を70℃に冷却した。
分散容器に、脱イオン水100重量%、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1重量%を入れた。これとは別に、メチルメタクリレート27重量%、エチレングリコールジメタクリレート3重量%、ラウリルパーオキサイド0.3重量%からなる単量体溶液を調製し、上記の分散容器に加えた。得られた混合液をホモミキサーにより分散処理し、第二段目の反応のためのビニル系単量体乳化液を得た。
この乳化液を上記の第一段目の反応液に10分かけて連続的に添加し、その後70℃で1時間、次いで80〜90℃で3時間反応させて第二段目の重合反応を行った。
分散容器に、脱イオン水300重量%、ポリビニルアルコール2重量%を入れた。これとは別に、メチルメタクリレート21重量%、スチレン42重量%、ジビニルベンゼン7重量%及びラウリルパーオキサイド0.7重量%、UVITEX OB(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ製)0.1重量%からなる単量体溶液を調製し、上記の分散容器に加えた。得られた混合液をホモミキサーを用いて分散処理し、液滴径を調整した分散液を得た。この分散液を撹拌機、温度計、環流冷却器及び窒素導入口を備えた重合反応機に注入し、窒素気流中の攪拌下で70℃で1時間、次いで80〜90℃で1時間の第一段目の重合反応を行い、コア層を形成する蛍光増白剤含有の重合体の懸濁液を得た。得られたコア層の懸濁液を70℃に冷却した。
分散容器に、脱イオン水100重量%、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1重量%を入れた。これとは別に、メチルメタクリレート9重量%、スチレン18重量%、ジビニルベンゼン3重量%、ラウリルパーオキサイド0.3重量%からなる単量体溶液を調製し、上記の分散容器に加えた。得られた混合液をホモミキサーを用いて分散処理し、第二段目の反応のためのビニル系単量体乳化液を得た。この乳化液を上記の第一段目の反応液に10分かけて連続的に添加し、その後70℃で1時間、次いで80〜90℃で3時間反応させて第二段目の重合反応を行った。
[比較例1]
得られたポリマー粒子の分散液を濾過、洗浄、乾燥することにより平均粒子径5.2μmの蛍光増白剤を含有した単層の光拡散剤を得ることができた。この微粒子は、実施例1で得られた微粒子と同種、同量の材料を用いて調製したものであるが、光拡散剤が粒子全体に均一に配合されたものである。
[比較例2]
得られたポリマー粒子の分散液を濾過、洗浄、乾燥することにより平均粒子径5.0μmの蛍光増白剤を含有した単層光拡散剤を得ることができた。この微粒子は、実施例2で得られた微粒子と同種、同量の材料を用いて調製したものであるが、光拡散剤が粒子全体に均一に配合されたものである。
(1)ポリカーボネート樹脂(ポリジオキシジフェニルメタンカーボネート、屈折率1.589)100重量部、実施例1の光拡散剤3重量%を二軸押し出し機(池貝鉄鋼(株)製:PCM−30)を用いて約300℃で混練、押し出しを行い、ペレットを得た。このペレットを射出成型機により射出成形して、2mm厚のプレートを得た。実施例1の微粒子に換えて同量の実施例2、比較例1、比較例2のポリマー粒子を練り込んだ光拡散板を調製した。
(2)それぞれの光拡散板の光学的性質の測定結果を表1に示した。
(i)全光線透過率(Tt):日本電色工業(株)製濁度計NDH−2000にて測定。
(ii)Haze:日本電色工業(株)製濁度計NDH−2000にて測定。
(iii)色調(b値):日本電色工業(株)製側色色差計Z−1001DPにて測定。
(iv)耐熱退色:130℃、240時間の熱履歴後の色調(b値)を測定。(iii)の色調と比較し、その差を求める。(Δb)
Claims (3)
- 多層構造を有する架橋ビニル共重合体からなる微粒子であって、その外層を除く内層の少なくとも一層に蛍光増白剤を粒子の全量に対して0.001〜1.0重量%含有させた光拡散性有機微粒子。
- マトリックス樹脂に対し、請求項1記載の光拡散性有機微粒子を0.05〜20重量%練り込んだ樹脂組成物から成型した光拡散樹脂成形体。
- 請求項1記載の光拡散性有機微粒子をフィルム又はシートにバインダーと共に塗布した光拡散フィルム又はシート。
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