JPH09118726A - 樹脂粒子およびその製造方法 - Google Patents

樹脂粒子およびその製造方法

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JPH09118726A
JPH09118726A JP7277838A JP27783895A JPH09118726A JP H09118726 A JPH09118726 A JP H09118726A JP 7277838 A JP7277838 A JP 7277838A JP 27783895 A JP27783895 A JP 27783895A JP H09118726 A JPH09118726 A JP H09118726A
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Masahiro Sato
藤 雅 裕 佐
Akira Nishii
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Soken Chemical and Engineering Co Ltd
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Soken Kagaku KK
Soken Chemical and Engineering Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】本発明の樹脂粒子は、有機系紫外線吸収剤
を含有する(メタ)アクリル系樹脂あるいはスチレン系
樹脂からなる芯材部と、この芯材部の表面に形成された
表層部とからなり、この表層部が親水性樹脂で形成され
ている。この樹脂粒子は、有機系紫外線吸収剤を含有す
る芯材部を形成した後、水性媒体中に親水性樹脂を形成
するモノマーを添加して、上記工程で生成したポリマー
粒子の表面に親水性樹脂を形成するモノマーを重合させ
るか、または、親水性樹脂を添加して上記工程で生成し
たポリマー粒子の表面に該親水性樹脂を付着させて表層
部を形成することにより製造することができる。 【効果】本発明の樹脂粒子は、有機系紫外線吸収剤が溶
出しにくく、特に化粧料としての使用に適する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の分野】本発明は、紫外線吸収性の樹脂粒子およ
びこの樹脂粒子を製造する方法に関する。さらに詳しく
は、本発明は例えば化粧料に配合されることにより皮膚
に有害な紫外線を吸収して皮膚を保護する樹脂粒子およ
びその樹脂粒子を製造する方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】太陽光線中には、人の皮膚に紅斑
(サンバーン)を起こすと共に、シミ、そばかすなどの
原因になる紫外線が含まれており、こうした紫外線を遮
蔽あるいは吸収するために紫外線吸収剤を含有する化粧
料が使用されている。
【0003】紫外線吸収剤には、紫外線を遮蔽する二酸
化チタン、酸化亜鉛および酸化鉄等の無機顔料と、紫外
線を吸収する有機系紫外線吸収剤とがある。上記無機顔
料は、皮膚を隠蔽して紫外線を遮蔽するものであり、こ
のような無機顔料を皮膚に塗布すると白化あるいは着色
するために、化粧料に多量に配合することはできない。
【0004】これに対して有機系の紫外線吸収剤は、皮
膚を隠蔽することなく紫外線を吸収するために白化ある
いは着色という問題が生ずることがない。こうした理由
から、近年、紫外線吸収剤として有機系紫外線吸収剤を
使用することが多くなってきている。
【0005】しかしながら、有機系の紫外線吸収剤に
は、皮膚に対して刺激性を有するものもあり、こうした
有機系の紫外線吸収剤をそのまま他の化粧品基材と混合
して使用すると、皮膚を刺激することがあり好ましくな
い。
【0006】そこで、このような有機系の紫外線吸収剤
が皮膚に直接接することを防止するために、紫外線吸収
剤を樹脂粒子の内部に分散して拘束して使用することが
提案されている。たとえば特公昭62-51931号、特開昭62
-198612号公報等に、こうした有機系の紫外線吸収剤を
内包する樹脂粒子が開示されている。
【0007】このように有機系紫外線吸収剤を樹脂粒子
中に拘束することにより、紫外線吸収剤が直接皮膚と接
触しにくくなり、紫外線吸収剤を直接配合した化粧品よ
りも刺激性が低減される。従って、このように内部に紫
外線吸収剤を拘束した樹脂粒子を使用すれば、紫外線吸
収剤による皮膚刺激はなくなるはずであるが、実際にこ
のような樹脂粒子を使用しても依然として紫外線吸収剤
により皮膚が刺激されることがある。
【0008】本発明者は、こうした有機系の紫外線吸収
剤を内包する樹脂粒子を含有する化粧品の皮膚刺激性に
ついて検討した結果、特に、化粧品基材が油剤である場
合に皮膚刺激性が高くなる傾向があるとの知見を得た。
【0009】上記のような樹脂粒子は海綿状多孔質構造
を有しており、紫外線吸収剤はこうした構造を有する樹
脂粒子の樹脂層全体に均一に分布している。即ち、こう
した樹脂粒子は、反応媒体中に反応性モノマーと紫外線
吸収剤と分散させて乳化重合あるいは懸濁重合により製
造されており、反応性モノマーが重合する際に紫外線吸
収剤を巻き込みながら重合することにより紫外線吸収剤
が海綿状多孔質構造の樹脂粒子中に拘束される。従っ
て、樹脂粒子の表面と樹脂粒子内部とで紫外線吸収剤の
濃度勾配はほとんど生じない。
【0010】ところが、このような樹脂粒子は海綿状多
孔質構造を有しており、かつ紫外線吸収剤は親油性が高
いことから、このような樹脂粒子を化粧料として使用す
ると、樹脂粒子表面の多孔部分から油性の化粧品基材が
樹脂粒子内部に浸透して紫外線吸収剤を溶出させ、こう
して溶出された紫外線吸収剤が皮膚を刺激するのである
との問題を有していた。
【0011】本発明者は、有機系紫外線吸収剤を芯材部
に配合し、この芯材部の外周に有機系紫外線吸収剤を含
有しない(メタ)アクリル酸樹脂および/またはスチレ
ン系樹脂からなる表層部を形成することにより、有機系
紫外線吸収剤の溶出量を低減することができるとの知見
に基づき、こうした(メタ)アクリル酸樹脂またはスチ
レン系樹脂で表層が被覆された化粧用粒子について既に
出願している(特願平6-92613号明細書参照)。
【0012】こうした発明に基づいてさらに研究したと
ころ、表層部を特定の樹脂を用いて形成することによ
り、さらに有機系紫外線吸収剤の溶出量を低減すること
ができるとの知見を得て本発明を完成するに至った。
【0013】
【発明の目的】本発明は、紫外線吸収作用を低下させる
ことなく、有機系有機系紫外線吸収剤の溶出量を低減し
た樹脂粒子およびこの樹脂粒子を製造する方法を提供す
ることを目的としている。
【0014】
【発明の概要】本発明の樹脂粒子は、有機系紫外線吸収
剤を含有する(メタ)アクリル系樹脂および/またはス
チレン系樹脂からなる芯材部と、該芯材部の表面に形成
された表層部とからなり、該表層部が親水性樹脂からな
ることを特徴としている。
【0015】この樹脂粒子は、有機系紫外線吸収剤を芯
材である(メタ)アクリル系樹脂および/またはスチレ
ン系樹脂を形成するモノマーに溶解させた後、該有機系
紫外線吸収剤含有モノマーを水性媒体に分散させて重合
反応を行い、次いで該水性媒体中に親水性樹脂を形成す
るモノマーを添加して、該水性媒体中の上記工程で生成
したポリマー粒子の表面に親水性樹脂を形成するモノマ
ーを重合させるか、または、親水性樹脂を添加して上記
工程で生成したポリマー粒子の表面に該親水性樹脂を付
着させて表層部を形成することにより製造することがで
きる。
【0016】本発明の樹脂粒子は、芯材部とこの芯材部
の表面に形成された表層部とからなる構造を有してお
り、有機系紫外線吸収剤は、芯材部に含有されており、
表層部には実質的には含有されていない。そして、この
表層部を、親水性樹脂で形成することにより、この表層
部を通過して溶出する有機系紫外線吸収剤の量を低減す
ることができる。
【0017】このような本発明の樹脂粒子は、芯材部を
形成する(メタ)アクリル系モノマーおよび/またはス
チレン系モノマーに有機系紫外線吸収剤を予め溶解させ
て重合を行い、芯材を形成した後、親水性樹脂を形成す
るモノマーを反応系に別途供給してこのモノマーを重合
させて芯材に表面に親水性樹脂からなる表層部を形成す
るか、あるいは、親水性樹脂を添加して芯材表面に付着
させることにより表層部を形成することにより、容易に
製造することができる。
【0018】
【発明の具体的説明】次に本発明の樹脂粒子およびその
製造方法について具体的に説明する。本発明の樹脂粒子
は、芯材部とこの芯材部の表面に形成された表層部とか
らなる。
【0019】この芯材部は、(メタ)アクリル系樹脂、
スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂とスチレン系
樹脂との混合樹脂、または、(メタ)アクリル系モノマ
ーとスチレン系モノマーとの共重合体で形成されてお
り、かつこの芯材部には、有機系紫外線吸収剤が内包さ
れている。
【0020】この芯材部を形成する(メタ)アクリル系
樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステルの(共)重
合体、あるいは(メタ)アクリル酸エステル系のモノマ
ーと他のモノマーとの共重合体であることが好ましい。
【0021】ここで(メタ)アクリル酸エステル系のモ
ノマーの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エ
チル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレ
ート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルへキシル
(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレー
ト、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロへキシル
(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)ア
クリレート、2-プロピル(メタ)アクリレート、クロロ
-2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレ
ングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチ
ル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレ
ート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシ
クロペンテニル(メタ)アクリレートおよびイソボロノ
ル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0022】また、本発明の樹脂粒子の芯材を形成する
スチレン系モノマーの具体的な例としては、スチレン、
メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレ
ン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルス
チレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、へキシル
スチレン、ヘプチルスチレンおよびオクチルスチレン等
のアルキルスチレン;フロロスチレン、クロロスチレ
ン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨウ化スチレ
ンおよびクロルメチルスチレンなどのハロゲン化スチレ
ン;ならびに、ニトロスチレン、アセチルスチレンおよ
びメトキシスチレンを挙げることができる。
【0023】芯材は、上記のような(メタ)アクリル系
樹脂またはスチレン系樹脂のいずれかの樹脂単独で形成
されていることが好ましいが、これらの樹脂からなる組
成物から形成されていてもよい。また、上記(メタ)ア
クリル酸エステル系のモノマーとスチレン系のモノマー
との共重合体であってもよい。
【0024】さらに、この(メタ)アクリル系樹脂また
はスチレン系樹脂には、上記のような(メタ)アクリル
酸エステル系のモノマーおよび/またはスチレン系のモ
ノマーと共重合可能な他のモノマーが共重合していても
よい。
【0025】上記のような(メタ)アクリル酸エステル
系のモノマーあるいはスチレン系モノマーと共重合可能
な他のモノマーの例としては、ビニル系モノマー、不飽
和カルボン酸モノマーを挙げることができる。
【0026】ここでビニル系モノマーの具体的な例とし
ては、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルカル
バゾール、酢酸ビニルおよびアクリロニトリル;ブタジ
エン、イソプレンおよびクロロプレン等の共役ジエンモ
ノマー;塩化ビニルおよび臭化ビニル等のハロゲン化ビ
ニル、塩化ビニリデンなどのハロゲン化ビニリデンを挙
げることができる。
【0027】また、不飽和カルボン酸モノマーの具体的
な例としては、(メタ)アクリル酸、α-エチル(メ
タ)アクリル酸、クロトン酸、α-メチルクロトン酸、
α-エチルクロトン酸、イソクロトン酸、チグリン酸お
よびウンゲリカ酸等の付加重合性不飽和脂肪族モノカル
ボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコ
ン酸、メサコン酸、グルタコン酸およびヒドロムコン酸
等の付加重合性不飽和脂肪族ジカルボン酸を挙げること
ができる。
【0028】さらに、上記(メタ)アクリル酸エステル
の共重合体には、必要により2官能性あるいは多官能性
モノマーが共重合していてもよい。2官能あるいは多官
能性モノマーの例としては、エチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、トリエチレングリコール(メタ)ア
クリレート、テトラエチレングリコール(メタ)アクリ
レート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレ
ート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレー
ト、1,1,1-トリヒドロキシメチルエタントリアクリレー
ト、1,1,1-トリスヒドロキシメチルメチルエタントリア
クリレート、1,1,1-トリスヒドロキシメチルプロパント
リアクリレートおよびビニルベンゼンを挙げることがで
きる。
【0029】芯材部が(メタ)アクリル系樹脂からなる
場合、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの単独重
合体が好ましいが、これに限らず、(メタ)アクリル酸
エステル系モノマーを、通常は20〜100重量部、好
ましくは40〜100重量部、スチレン系モノマーを、
通常は0〜80重量部、好ましくは0〜60重量部、2
官能あるいは多官能モノマーを、通常は0〜20重量
部、好ましくは0〜15重量部、ビニル系モノマーを、
通常は0〜50重量部、不飽和カルボン酸モノマーを通
常は0〜50重量部の量で(共)重合させた共重合体が
使用できる可能性を有している。
【0030】また、芯材部がスチレン系樹脂からなる場
合、スチレン系モノマーの単独共重合体が好ましいが、
これに限らず、スチレン系モノマーを、通常は20〜1
00重量部、好ましくは40〜100重量部、(メタ)
アクリル酸エステル系モノマーを、通常は0〜80重量
部、好ましくは0〜60重量部、2官能あるいは多官能
モノマーを、通常は0〜20重量部、好ましくは0〜1
5重量部、ビニル系モノマーを、通常は0〜50重量
部、不飽和カルボン酸モノマーを通常は0〜50重量部
の量で(共)重合させた共重合体が使用できる可能性を
有している。
【0031】また、芯材部が(メタ)アクリル酸エステ
ル系モノマーとスチレン系モノマーとの共重合体からな
る場合、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーが、通
常は20〜80重量部、好ましくは40〜60重量部、
スチレン系モノマーが、通常は20〜80重量部、好ま
しくは40〜60重量部の量で共重合した共重合体を使
用することが可能であるが、さらにこの共重合体とし
て、2官能あるいは多官能モノマーを、通常は0〜20
重量部、好ましくは0〜15重量部、ビニル系モノマー
を、通常は0〜50重量部、不飽和カルボン酸モノマー
を通常は0〜50重量部の量で(共)重合させた共重合
対が使用できる可能性を有している。
【0032】さらに(メタ)アクリル酸エステル系モノ
マーを単独で重合させたポリ(メタ)アクリル酸エステ
ル重合体、あるいは、複数の種類の(メタ)アクリル酸
エステル系モノマーを共重合させたポリ(メタ)アクリ
ル酸エステル共重合体が特に好ましく、また、スチレン
系モノマーを単独で重合させたポリスチレン樹脂、ある
いは複数の種類のスチレン系モノマーを共重合させたポ
リスチレン共重合体が特に好ましい。上記のようなモノ
マーから形成される樹脂からなる芯材は、水に不溶(即
ち、親水性ではなく、親油性である)である。
【0033】この芯材部には、有機系紫外線吸収剤が内
包されている。本発明では、有機系紫外線吸収剤とし
て、4-tert-ブチル-4'-メトキシ-ジベンゾイルメタン、
p-ジメチルアミノ安息香酸オクチル、次式で示されるよ
うなグリセリンのp-メトキシケイ皮酸エステル、2-ヒド
ロキシ-4-メトキシベンゾフェノンおよび2(2'-ヒドロキ
シ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾールの有効性が
特に高い。
【0034】
【化1】
【0035】ここで4-tert-ブチル-4'-メトキシ-ジベン
ゾイルメタンは320〜400nmのA波長の紫外線を吸
収する能力が高く、p-ジメチルアミノ安息香酸オクチ
ル、上記式で表されるグリセリンのp-メトキシケイ皮酸
エステル、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノンは
280〜320nmのB波長の紫外線を吸収する能力が高
く、また2(2'-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾト
リアゾールは上記A波長およびB波長の両者にわたる紫
外線を吸収する能力が高い。
【0036】本発明では、上記のような有機系紫外線吸
収剤を単独で使用することもできるし、さらに2種類以
上を組み合わせて使用することもできる。さらに、本発
明では、上記のような紫外線吸収剤のほかに、アミノベ
ンゾエート系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収
剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾー
ル系紫外線吸収剤、シンナメート系紫外線吸収剤、ニッ
ケルキレート系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外
線吸収剤、ウロカニン酸系紫外線吸収剤およびビタミン
系紫外線吸収剤等の他の紫外線吸収剤を、単独であるい
は上記3種類の有機系紫外線吸収剤と組み合わせて使用
することもできる。さらに、これらの紫外線吸収剤は、
単独であるいは上記の紫外線吸収剤とは別に組み合わせ
て使用することができる。特に本発明では、芯材部を形
成する樹脂を製造するのに使用されるモノマーに可溶な
紫外線吸収剤を用いることが好ましく、特にアミノベン
ゾエート系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収
剤、シンナメート系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫
外線吸収剤、ウロカニン酸系紫外線吸収剤およびビタミ
ン系紫外線吸収剤が好ましい。
【0037】ここで使用されるアミノベンゾエート系紫
外線吸収剤の例としていは、2-エチルヘキシル-p-ジメ
チルアミノベンゾエート、アミル-p-ジメチルアミノベ
ンゾエート、グリセリル-p-アミノベンゾエート、エチ
ル-p-ジメチルアミノベンゾエート、エチル-p-ジエチル
アミノベンゾエートおよびグリセリル-モノ-p-アミノベ
ンゾエートを挙げることができる。
【0038】サリチレート系紫外線吸収剤の例として
は、p-tert-ブチルサリチレート、p-オクチルフェニル
サリチレートおよびジプロピレングリコールサリチレー
トを挙げることができる。
【0039】シンナメート系紫外線吸収剤の例として
は、2-エトキシエチル-p-メトキシシンナメート、2,2'-
ビス-(p-メトキシスチリル)-エチル-p-メトキシシン
ナメート、2-エトキシエチル-p-メトキシシンナメート
およびメチル-2,5-ジイソプロピルシンナメートを挙げ
ることができる。
【0040】ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の例として
は、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒド
ロキシ-4-メトキシ-4'-メチルベンゾフェノン、2-ヒド
ロキシ-4-メトキシ-5-スルホベンゾフェノン、ソジウム
-2,2'-ヒドロキシ-4,4'-ジメトキシ-5-スルホベンゾフ
ェノン、2,2',4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メ
トキシベンゾフェノンおよび2,2'-ジヒドロキシ-4,4'-
ジメトキシベンゾフェノンを挙げることができる。
【0041】ウロカニン酸系紫外線吸収剤の例として
は、ウロカニン酸およびウロカニン酸エチルを挙げるこ
とができる。さらに、ビタミン系紫外線吸収剤の例とし
ては、ビタミンA1、ビタミンA2、ビタミンA3、ビタ
ミンB2およびビタミンB12を挙げることができる。
【0042】上記有機系紫外線吸収剤は、芯材部に、こ
の芯材部を形成する樹脂100重量部に対して通常は1
〜40重量部、好ましくは10〜30重量部の量で含有
されている。
【0043】この芯材部は、通常は0.05〜15μ
m、好ましくは0.05〜6μmの平均粒子径を有する
ポリマー粒子である。本発明の樹脂粒子には、上記のよ
うな紫外線吸収剤を含有する芯材部の表面に、親水性を
示す樹脂からなる表層部が形成されている。
【0044】本発明では、以下に記載するように操作し
た結果、被覆PMMA粒子の篩残部が0.5重量%以下
になるようにすることができる被覆樹脂を、親水性樹脂
と定義する。即ち、表面が疎水性樹脂により被覆された
粉体と親水性樹脂により被覆された粉体とを比較する
と、水に対する両者の分散性は著しく異なり、親水性樹
脂で被覆した粉体は水に均一に分散するのに対して、疎
水性樹脂で被覆された粉体は、粉体表面が水に対して濡
れ性が低いため、水中に均一に分散させることが困難で
あり、水に投入すると凝集する。従って、水に対する両
者の挙動の相違を定量化することにより、親水性樹脂を
定義することができる。
【0045】本発明における親水性樹脂であると特定す
るための試験を、以下に記載するように行う。まず、メ
チルメタクリレート(MMA)とメタアクリル酸(MA
A)とを、それぞれ、サンプルA=50:50、サンプ
ルB=80:20、サンプルC=90:10、サンプルD
=95:5、サンプルE=100:0の比率で水性媒体中
で共重合させて平均粒子径が1μmの粒子を製造する。
ここでMMAは疎水性樹脂を形成するために使用された
単量体であり、MAAは粒子表面に親水性を付与するた
めに使用された単量体である。
【0046】こうして製造された粒子の表面には分散剤
等が付着しており、この分散剤などを低減するために、
この粒子25重量部を75重量部の精製水に超音波分散
させてヌッチェまたはクロスフロー式濾過装置を用い
て、上記の粒子に付着している分散剤等を低減する。
【0047】分散剤等の低減は下式に従って算定された
残存分散剤量が0.001重量%以下になるように行
う。
【0048】
【数1】
【0049】上記式において、V0 は初期仕込量(リッ
トル)であり、Xは、nV/100 であり、C0は初期分散
剤濃度であり、C∞は洗浄中の分散剤濃度であり、Vは
洗浄水量であり、Cは最終の分散剤濃度である。
【0050】上記式に基づいて、例えば1重量%量の分
散剤を含有する粒子をnV=25,V/V0=8(回数)
の条件で洗浄すると、上記式より算定される分散剤の
含有率が0.0002重量%になり、分散剤の影響を無
視することができるができる。
【0051】上記のようにして試験用の粒子を調製する
と共に、目開き36μm(400メッシュに相当する)
の篩、70℃に加熱可能な乾燥機、篩を収納できる大き
さのデシケーターおよび電子天秤を用意する。
【0052】上述の方法により予め分散剤を除去した粒
子10gと精製水70gとを混合し、超音波をかけて粒
子を精製水に分散させる。予め秤量された上記篩をメタ
ノールで濡らし、上記粒子が分散された分散液を、メタ
ノールで濡らした篩を用いて篩分けする。
【0053】篩の中あるいは篩の周囲に付着している粒
子を水で流し込みこれらの粒子も篩分けする。上記のよ
うに操作して篩を透過できなかった粒子は、巨大粒子あ
るいは凝集粒子である。
【0054】この篩を70℃に加熱した乾燥機に1時間
入れて乾燥させた後、デシケーター中で少なくとも30
分間保存して室温まで冷却する。こうして冷却した篩を
正確に秤量して、この値から最初に秤量した篩自体の重
量を除して篩の中に残留した粒子の重量を求める。
【0055】上記のようにして定量された残留粒子の量
およびこの試験に共した試料の重量(20g)とから、
残留粒子の重量比を求める。上記のようにして求めた篩
残留分を下表に示す。
【0056】
【表1】
【0057】上記表1の値から、本発明における親水性
樹脂は、上記篩残留部が0.5重量%以下になる樹脂で
あると定義する。このような親水性樹脂に導入される官
能基の例を以下に示す。
【0058】(1)−COOX (式中Xは、−H、−K、−Na、=Ca1/2、≡Al
1/3、=Mg1/2または−NH4のいずれかである。)、 (2)−OH、 (3)−NH2または−N(R)3 + - (式中Xは、−H、−Clまたは−Brのいずれかであ
り、Rはそれぞれ独立に水素原子または炭化水素基を表
す。)、 (4)−SO3X (式中Xは、−H、−Naまたは−NH4のいずれかで
ある。)、 (5)−OSO3X (式中Xは、−H、−Naまたは−NH4のいずれかで
ある。)、 (6)−O−R−H (式中Rは、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキ
サイドのようなアルキレンオキサイドから誘導される基
であり、具体的には−[CH2CH20]n−,−[CH2
CH2CH20]n−(nは任意の整数)等である。)。
【0059】本発明において上記のような官能基は親水
性樹脂中に単独で導入されていてもよいし、複数の種類
の官能基が導入されていてもよい。上記のような官能基
を有する親水性樹脂の代表的な例を以下に示す。
【0060】・メチルメタクリレート(MMA)とアクリル
酸(AA)とからなる樹脂。 MMA=90〜50重量部、AA=10〜50重量部を
共重合させることによる下記構造を有する樹脂。
【0061】
【化2】
【0062】上記式において、a:b=60モル:40
モルである。また、上記式において、p+m+nは、3
〜1200である。さらにこの樹脂の重量平均分子量は
1000〜400000である。
【0063】・メチルメタクリレート(MMA)とメタクリ
ル酸(MAA)とからなる樹脂。 MMA=90〜50重量部、MAA=10〜60重量部
を共重合させることによる下記構造を有する樹脂:
【0064】
【化3】
【0065】上記式において、a:b=70〜90モ
ル:30〜10モルである。また、上記式において、p
+m+nは、3〜1200である。さらにこの樹脂の重
量平均分子量は1000〜400000である。
【0066】・メチルメタクリレート(MMA)と2-ヒドロ
キシエチルアクリレート(HEA)との共重合体。 MMA=90〜50重量部、HEA=10〜50重量部
を共重合させることによる下記構造を有する樹脂:
【0067】
【化4】
【0068】上記式において、a:b=70〜90モ
ル:30〜10モルであり、p+m+nは、3〜120
0である。さらにこの樹脂の重量平均分子量は通常は1
000〜400000である。
【0069】・メチルメタクリレート(MMA)とアクリル
アミド(AM)との共重合体。 MMA=90〜50重量部、AM=10〜50重量部を
共重合させることによる下記構造を有する樹脂:
【0070】
【化5】
【0071】上記式において、mは6〜2400、nは
7〜2200である。また、この樹脂の重量平均分子量
は1000〜400000である。上記のような官能基
を有する親水性樹脂の中でも、特に(1)で示されるカ
ルボキシル基を有する樹脂が特に好ましい。
【0072】また、上記のような親水性樹脂の重量平均
分子量は、通常は1000〜800000、好ましくは
5000〜400000の範囲内にある。上記のように
して官能基を導入することにより樹脂の特性を親水性に
すると、この導入された官能基の中には、酸性を示す基
および塩基性を示す基があり、こうした極性を有する基
が導入されている場合には、中和して使用することがで
きる。特に本発明の樹脂粒子を化粧料中に配合して使用
する場合、本発明の樹脂粒子が分散している水性媒体の
pH値が6〜9程度になるように中和することにより、
本発明の樹脂粒子を化粧料中に配合した際の皮膚に対す
る刺激性を低減することができる。
【0073】このような親水性樹脂からなる表層部は、
通常は0.01〜5μm、好ましくは0.02〜2μmの
平均層厚を有している。この表層部の平均層厚が上記範
囲を逸脱して薄いと、芯材部からの紫外線吸収剤の溶出
を有効に防止できないことがあり、また上記範囲を逸脱
して厚いと製造が困難になる場合が多い。
【0074】このような層構成を有する本発明の樹脂粒
子の平均粒子径は、通常は0.06〜20μm、好まし
くは0.07〜8μmの範囲内にある。本発明の樹脂粒
子では、有機系紫外線吸収剤は芯材部に含有されてお
り、油性基材等の有機系紫外線吸収剤を溶出させる成分
と接触する粒子の表面はこうした油性基材に対する親和
性のない親水性樹脂で形成されているため、この親水性
樹脂中には有機系紫外線吸収剤は実質的には含有されて
いない。また、本発明の樹脂粒子の芯材部に含有される
紫外線吸収剤は、通常は油性であり、この表層部を形成
する親水性樹脂に対して親和性を示さないものが多く、
従って、芯材部に含有される有機系紫外線吸収剤は、こ
の親水性樹脂からなる表層部を通過して溶出することは
極めて困難になる。
【0075】本発明の樹脂粒子は、水性媒体中で有機系
紫外線吸収剤を含有する芯材を形成し、次いでこの水性
媒体中に親水性を示す樹脂を形成可能なモノマーを添加
して芯材外周で重合させる方法(第1の方法)、また
は、芯材を形成した後、親水性樹脂を添加して芯材外周
に付着させる方法(第2の方法)により製造することが
できる。
【0076】第1の方法は、有機系紫外線吸収剤を(メ
タ)アクリル系樹脂を形成するモノマーに溶解させた
後、この有機系紫外線吸収剤含有モノマーを水性媒体に
微粒子状に分散させて重合し、得られた粒子にさらに
(メタ)アクリル系樹脂を形成するモノマーを重合させ
る方法である。
【0077】本発明の方法では、まず芯材部を形成する
モノマーに有機系紫外線吸収剤を配合して有機系紫外線
吸収剤をモノマーに溶解させる。次いで、この有機系紫
外線吸収剤が溶解されたモノマーを水性媒体に分散させ
る。ここで水性媒体としては、通常は水が使用される
が、この水性媒体には、アルコール等の水に可溶な有機
溶媒が混合されていてもよい。
【0078】上記のような有機系紫外線吸収剤が溶解さ
れたモノマーを水性媒体に分散させる際には、乳化剤お
よび分散安定剤等を使用することができる。従って、乳
化重合、ソープフリー乳化重合、懸濁重合またはシード
重合により芯材部を形成することができる。例えば乳化
重合の場合に使用される乳化剤の例としては、ドデシル
ベンゼンスルホン酸ナトリウムのようなアルキルベンゼ
ンスルホン酸塩;ポリエチレングリコールノニルフェニ
ルエーテルのようなポリエチレングリコールアルキルエ
ーテル;ならびに、ビニル基、アクリロイル基およびア
リル基のような反応性基を有する反応性乳化剤等を挙げ
ることができ、また分散安定剤の例としては、ポリビニ
ルアルコールおよびポリアクリル酸塩のような水溶性高
分子化合物を挙げることができる。この乳化剤および分
散安定剤等は、モノマー100重量部に対して通常は
0.1〜5重量部の量で使用される。
【0079】有機系紫外線吸収剤が溶解されたモノマー
は、通常はホモミキサー等の分散装置を用いて水性媒体
中に分散される。さらに、この水性媒体中に、通常は反
応開始剤を分散して重合させる。ここで使用することが
できる反応開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリ
ル等のアゾ化合物、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウリル
等の有機過酸化物、および、過硫酸カリウム、過硫酸ア
ンモニウム等の過硫酸塩を挙げることができる。このよ
うな反応開始剤は、モノマー100重量部に対して通常
は0.1〜5重量部の量で使用される。
【0080】上記のようにして水性媒体中に分散された
モノマーを重合させる際には反応容器内を窒素ガスなど
の不活性ガスでパージすることが好ましい。こうして反
応容器内を不活性ガスでパージした後、反応液の温度を
60〜80℃に加熱することにより重合反応が進行す
る。そして、モノマーが重合するにつれてモノマー中に
溶解していた有機系紫外線吸収剤が析出して芯材部を形
成する樹脂によって芯材部に封じ込められる。このよう
にして予めモノマーに紫外線吸収剤を溶解した後、重合
させると、この重合により生成した樹脂粒子の表面部分
における有機系紫外線吸収剤の濃度は、中心部分よりも
低くなる傾向がある。
【0081】なお、上記のような反応条件では、この芯
材部を形成するポリマー粒子を製造するのに要する反応
時間は、通常3〜6時間である。こうして形成された有
機系紫外線吸収剤を含有する粒子(芯材部)を含有する
反応液に、親水性樹脂を形成するモノマーを添加して、
このモノマーを共重合させて芯材である粒子の外周に析
出させることにより、表層部を形成することができる。
【0082】具体的には、上記のようにして芯材部を形
成するポリマー粒子が分散された反応液中に、親水性樹
脂を形成するモノマーを、芯材部を形成するために使用
したモノマー量100重量部に対して10〜200重量
部添加し、ホモミキサー等の攪拌装置等で攪拌する。な
お、通常は、この水性媒体中にさらに反応開始剤を投入
する。
【0083】こうして追加添加されたモノマーは、少な
くともその一部が上記工程で生成したポリマー粒子の表
面に付着すると考えられる。こうしてモノマーを追加添
加した後、反応液を60〜80℃に加熱することによ
り、ポリマー粒子の表面にあるモノマーを重合させて表
層部を形成する。なお、この表層部を形成する際の反応
時間は通常は3〜6時間である。
【0084】こうして形成された表層部を形成する親水
性樹脂には有機系紫外線吸収剤が溶解しないため、この
表層部は実質的に有機系紫外線吸収剤を含有していな
い。上記のようにして表層部を形成した後、必要によ
り、濾過あるいは遠心分離等により生成した粒子を分離
する。
【0085】なお、必要により、得られた樹脂粒子を洗
浄して使用する。また、本発明の第2の方法は、上記第
1の方法で使用されたモノマーの代わりに、こうしたモ
ノマーを重合して得れる親水性樹脂を別途製造し、この
親水性樹脂をそのまま反応液中に添加して、芯材である
ポリマー粒子の表面にこの親水性樹脂を付着させる方法
である。
【0086】ここで使用される親水性樹脂の量は、芯材
となるポリマー粒子100重量部に対して通常は1〜3
0重量部、好ましくは3〜10重量部程度である。こう
して配合された親水性樹脂の少なくとも一部は、芯材で
あるポリマー粒子の表面に付着して表層部を形成する。
【0087】このようにして製造した樹脂粒子は、水性
媒体分散物として提供することもできるし、さらに水性
媒体から分離した後乾燥し、次いでこの乾燥物を解砕し
てパウダーとして提供することもできる。
【0088】また、本発明では上記のようにして樹脂粒
子を製造する際に、顔料、例えば体質顔料あるいはパー
ル顔料を共存下にモノマーの重合反応を行うことができ
る。こうして体質含量の存在下に重合を行うと、顔料の
表面が本発明の樹脂粒子で被覆された複合体を得ること
ができる。
【0089】この方法では、例えば体質顔料あるいはパ
ール顔料の共存下に本発明の製造方法を実施する場合
に、体質顔料あるいはパール顔料100重量部に対して
生成する本発明の樹脂粒子の量が110重量部以下、好
ましくは100重量部以下、さらに好ましくは98〜5
重量部の範囲内になるようにモノマーの量を調整するこ
とにより、体質顔料あるいはパール顔料の表面を、本発
明の樹脂粒子で被覆することができる。このように表面
を本発明の樹脂粒子で被覆された体質顔料あるいはパー
ル顔料は、樹脂粒子の被覆量によって体質顔料の流動
性、光沢性等の特性が改善される。
【0090】本発明の樹脂粒子は、有機系紫外線吸収剤
を含有する芯材部の外周に表層部が形成されているの
で、芯材部に有機系紫外線吸収剤を封じ込めることがで
きる。従って、仮にこの樹脂粒子がエステル油などのよ
うな有機系紫外線吸収剤を溶解し得る油材とともに使用
したとしても、主として本発明の樹脂粒子の芯材部に含
有されている有機系紫外線吸収剤が、親水性樹脂からな
る表層部に侵入することがなく、従って本発明の樹脂粒
子の表面から溶出する有機系紫外線吸収剤の量は極めて
少量である。
【0091】本発明の樹脂粒子は、化粧料中に紫外線防
止剤として配合することが可能であり、しかもこの樹脂
粒子の表面が親水性樹脂で被覆されていることから、こ
の樹脂を配合することにより、紫外線を遮断すると共
に、化粧品に湿潤感を与えることができる。
【0092】本発明の樹脂粒子は、有機系紫外線吸収剤
を含有する芯材部とこの外周に形成された親水性樹脂か
らなる表層部とからなり、有機系紫外線吸収剤として
は、上述のように有機系紫外線防止剤を必須成分として
いるが、紫外線吸収剤として、上記のような有機系紫外
線紫外線吸収剤と共に、二酸化チタン、酸化鉄、酸化亜
鉛、硫酸バリウム等の無機系紫外線遮蔽剤を併用しても
良い。このような無機系紫外線遮蔽剤は、芯材部を形成
するモノマーには不溶であるが、モノマー中に微分散さ
せることにより芯材部に安定に保持させることができ
る。
【0093】本発明の樹脂粒子は、そのまま他の化粧品
原料と共に配合して使用することができるし、上記のよ
うに例えば体質顔料など他の化粧品原料を被覆するな
ど、他の化粧品原料の処理剤として使用し、こうして処
理された他の化粧品原料と共に使用することができる。
【0094】
【発明の効果】本発明の樹脂粒子は、芯材部と表層部と
からなり構造を有しており、さらにこの樹脂粒子は、透
明性の高い(メタ)アクリル系樹脂および/またはスチ
レン系樹脂から形成されている。そして、この樹脂粒子
において、有機系紫外線吸収剤は芯材部に含有されてお
り、表層部には実質的に有機系紫外線吸収剤は含有され
ていない。しかもこの表層部は、親水性樹脂で形成され
ており、芯材中に含有される紫外線吸収剤は有機系であ
り親水性を示さないことから、この有機系紫外線吸収剤
は表層部に侵入しにくい。
【0095】従って、溶出する有機系紫外線吸収剤に起
因する刺激性、例えば本発明の樹脂粒子を化粧品に配合
して使用する際に、有機系紫外線吸収剤の溶出による刺
激性を低減することができる。
【0096】さらに、本発明の樹脂粒子を構成する表層
部は親水性樹脂で形成されており、この層自体に保水性
があることから、本発明の樹脂粒子を化粧品に使用する
ことにより、化粧品の保水性が補助的に向上する。
【0097】また、本発明の化粧料用粒子を含有する化
粧料は、透明性の高い(メタ)アクリル系樹脂あるいは
スチレン系樹脂を使用することにより、紫外線は粒子の
芯材部で確実に吸収されるので、同量の有機系紫外線吸
収剤を含有する化粧料と同等の紫外線吸収作用を有す
る。
【0098】このような本発明の化粧料用粒子は、有機
系紫外線吸収剤を予め(メタ)アクリル系モノマーある
いはスチレン系モノマーに溶解させた後、この有機系紫
外線吸収剤を含有する(メタ)アクリル系モノマーある
いはスチレン系モノマーを水性媒体に分散させて重合さ
せることにより、まず有機系紫外線吸収剤を内包する芯
材部を形成し、次いでこの水性媒体中に親水性樹脂を形
成し得るモノマーを配合してこれらのモノマーの少なく
とも一部を芯材の表面で重合させるか、あるいは親水性
樹脂を配合して芯材表面に付着させることにより、容易
に形成することができる。
【0099】
【実施例】次に本発明の実施例を示して本発明をさらに
詳しく説明するが、本発明はこの実施例によって限定さ
れるものではない。
【0100】
【実施例1】メチルメタクリレート(MMA)90gに
4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン(有機
系紫外線吸収剤)10gを完全に溶解させた後、さらに
アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1gを添加し
溶解させた。
【0101】これとは別に、丸底セパラブルフラスコに
精製水500mlを入れ、ここに乳化剤であるドデシルベ
ンゼンスルホン酸ナトリウム1gを添加してホモミキサ
ーを用いて充分混合して分散させた。
【0102】上記のようにして乳化剤が分散された精製
水に、上記工程で得られた有機系紫外線吸収剤が溶解さ
れたMMAを添加し、ホモミキサーにより乳化した。乳
化後、窒素ガスでフラスコ内の乳化液を30分間シール
し、その後温度73℃で攪拌しながら5時間重合反応を
行った。5時間経過後、反応液を室温まで冷却した。
【0103】得られた粒子の平均粒子径は0.8μmで
あった。次いで、この反応液にMMA30gとアクリル
酸30gとアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1
gとを追加添加して充分に撹拌した後、再び反応液を7
3℃に加熱して5時間反応させた。
【0104】5時間経過後、反応液にNaOHを加えて
反応液のpH値を7に調整し室温まで冷却した。次い
で、生成した粒子と反応液とを濾過により分離した。
【0105】得られた粒子の平均粒子径は0.90μm
であり、この粒子には、芯材部の表面に平均厚さ0.1
0μmの厚さの親水性樹脂からなる表層が形成されてお
り、この表層には有機系紫外線吸収剤は実質的に含有さ
れていない。
【0106】得られた粒子1重量部を、有機系紫外線吸
収剤が可溶であり、かつポリアクリレート樹脂が不溶で
あるエステル油999重量部に3分間超音波をかけて分
散させ、40℃で24時間静置した後、上澄み液を分取
して、この中に含まれる粒子を2000rpmで20分間
遠心分離することにより分離した。得られたオイルにつ
いて吸光度を測定し、予め作成した検量線から溶出した
有機系紫外線吸収剤の量を求め、溶出した有機系紫外線
吸収剤の量を使用した有機系紫外線吸収剤(全内包量)
に対する相対値として表した。
【0107】結果を表2に示す。
【0108】
【実施例2】実施例1において、アクリル酸30gの代
わりにメタクリル酸30gを用いた以外は同様にして粒
子を製造した。
【0109】得られた粒子の平均粒子径は、0.90μ
mであった。この粒子には、芯材部の表面に平均厚さ
0.10μmの厚さの親水性樹脂からなる表層が形成さ
れており、この表層には有機系紫外線吸収剤は実質的に
は含有されていない。
【0110】こうして得られた粒子について、実施例1
と同様にして有機系紫外線吸収剤の溶出試験を行った。
結果を表2に示す。
【0111】
【実施例3】実施例1において、アクリル酸30gの代
わりにアクリルアマイド30gを用いた以外は同様にし
て粒子を製造した。
【0112】得られた粒子の平均粒子径は、0.90μ
mであった。この粒子には、芯材部の表面に平均厚さ
0.10μmの厚さの親水性樹脂からなる表層が形成さ
れており、この表層には有機系紫外線吸収剤は実質的に
は含有されていない。
【0113】こうして得られた粒子について、実施例1
と同様にして有機系紫外線吸収剤の溶出試験を行った。
結果を表2に示す。
【0114】
【実施例4】メチルメタクリレート(MMA)80gに
4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン(有機
系紫外線吸収剤)10gを完全に溶解させた後、アゾビ
スイソブチロニトリル(AIBN)1gを添加し溶解さ
せた。
【0115】これとは別に、丸底セパラブルフラスコに
精製水500mlを入れ、ここに乳化剤であるドデシルベ
ンゼンスルホン酸ナトリウム1gを添加してホモミキサ
ーを用いて充分混合して分散させた。
【0116】上記のようにして乳化剤が分散された精製
水に、上記工程で得られた有機系紫外線吸収剤が溶解さ
れたMMAを添加し、ホモミキサーにより乳化した。乳
化後、窒素ガスでフラスコ内の乳化液を30分間シール
し、その後温度73℃で攪拌しながら2時間重合反応を
行った。
【0117】この反応液を80℃に加熱した。この80
℃の反応液に、親水性樹脂であるポリアクリル酸10g
(固形分換算重量)を添加して、この反応液を80℃に
2時間撹拌した。
【0118】2時間経過後、反応液にNaOHを加えて
反応液のpH値を7に調整し、室温まで冷却した。生成
した粒子と反応液とを濾過により分離した。
【0119】得られた粒子の平均粒子径は0.60μm
であり、この粒子には、芯材部の表面に平均厚さ0.0
2μmの厚さの親水性樹脂であるポリアクリル酸(一部
中和されている)からなる表層が形成されており、この
表層には有機系紫外線吸収剤は含有されていない。
【0120】こうして得られた粒子について、実施例1
と同様にして有機系紫外線吸収剤の溶出試験を行った。
結果を表2に示す。
【0121】
【比較例1】実施例1において、親水性樹脂を用いた表
層の形成操作を行わず、かつNaOH水溶液による反応
液のpH値調整操作を行わなかった以外は実施例1と同
様にして粒子を製造した。
【0122】得られた粒子の平均粒子径は、0.50μ
mであった。この粒子には、親水性樹脂からなる表層は
形成されていない。こうして得られた粒子について、実
施例1と同様にして有機系紫外線吸収剤の溶出試験を行
った。
【0123】結果を表2に示す。
【0124】
【表2】
【0125】上記の表2から明らかなように、本発明の
粒子は、その表面が親水性樹脂で覆われているので、樹
脂粒子からの紫外線吸収剤の溶出が少ない。
【0126】
【参考例1】上記実施例1〜4で製造した粒子をファン
デーションの全体量に対して10重量%の量で配合して
刺激性の実施権に供したが。紫外線吸収剤に起因すると
思われる肌荒れ等は発生せず、かつ良好な日焼け止め性
能を有していた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08J 7/04 CET C08J 7/04 CETT CEY CEYT

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機系紫外線吸収剤を含有する(メタ)
    アクリル系樹脂および/またはスチレン系樹脂からなる
    芯材部と、該芯材部の表面に形成された表層部とからな
    り、該表層部が親水性樹脂からなることを特徴とする樹
    脂粒子。
  2. 【請求項2】 親水性樹脂が、少なくとも1種類の下記
    (1)〜(6)よりなる群から選ばれる官能基を有する樹脂で
    あることを特徴とする請求項第1項記載の樹脂粒子; (1)−COOX (式中Xは、−H、−K、−Na、=Ca1/2、≡Al
    1/3、=Mg1/2または−NH4のいずれかである。)、 (2)−OH、 (3)−NH2または−N(R)3 + - (式中Xは、−Clまたは−Brのいずれかであり、R
    はそれぞれ独立に水素原子または炭化水素基であ
    る。)、 (4)−SO3X (式中Xは、−H、−Naまたは−NH4のいずれかで
    ある。)、 (5)−OSO3X (式中Xは、−H、−Naまたは−NH4のいずれかで
    ある。)、 (6)−O−R−H (式中Rは、アルキレンオキサイドから誘導される基で
    ある。)。
  3. 【請求項3】 上記樹脂粒子が化粧料に配合されること
    を特徴とする請求項第1項記載の樹脂粒子。
  4. 【請求項4】 有機系紫外線吸収剤を芯材である(メ
    タ)アクリル系樹脂および/またはスチレン系樹脂を形
    成するモノマーに溶解させた後、該有機系紫外線吸収剤
    含有モノマーを水性媒体に分散させて重合反応を行い、
    次いで該水性媒体中に親水性樹脂を形成するモノマーを
    添加して、該水性媒体中の上記工程で生成したポリマー
    粒子の表面に親水性樹脂を形成するモノマーを重合させ
    るか、または、親水性樹脂を添加して上記工程で生成し
    たポリマー粒子の表面に該親水性樹脂を付着させて表層
    部を形成することを特徴とする樹脂粒子の製造方法。
  5. 【請求項5】 親水性樹脂が、少なくとも1種類の下記
    (1)〜(6)よりなる群から選ばれる官能基を有する樹脂で
    あることを特徴とする請求項第4項記載の樹脂粒子の製
    造方法; (1)−COOX (式中Xは、−H、−K、−Na、=Ca1/2、≡Al
    1/3、=Mg1/2または−NH4のいずれかである。)、 (2)−OH、 (3)−NH2または−N(R)3 + - (式中Xは、−H、−Clまたは−Brのいずれかであ
    り、Rはそれぞれ独立に水素原子または炭化水素基を表
    す。)、 (4)−SO3X (式中Xは、−H、−Naまたは−NH4のいずれかで
    ある。)、 (5)−OSO3X (式中Xは、−H、−Naまたは−NH4のいずれかで
    ある。)、 (6)−O−R−H (式中Rは、アルキレンオキサイドから誘導される基で
    ある。)。
  6. 【請求項6】 上記樹脂粒子が化粧料に配合されること
    を特徴とする請求項第1項記載の樹脂粒子の製造方法。
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