JP2007091490A - 多孔質材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、カーボンナノファイバーを効率よく利用でき、工業上の取り扱いを容易にした多孔質材及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明にかかる多孔質材は、エラストマーにカーボンナノファイバーを混合し、かつ剪断力によって分散させて得られた複合エラストマーを、熱処理して得られた多孔質材である。カーボンナノファイバーは、エラストマーが分解気化して得られた結着物質で結着される。
【選択図】 図4

Description

本発明は、多孔質材、特にカーボンナノファイバーを含む多孔質材及びその製造方法に関する。
燃料電池の電極、各種フィルタ、触媒の担持体などで多孔質材が採用されている。
例えば、燃料電池の電極に用いられる多孔質炭素板は、有機高分子繊維のシートに熱硬化性樹脂を含浸し、焼成炭素化する製造方法がある(例えば、特許文献1参照)。
また、金属の複合材料の鋳造方法として、酸化物系セラミックスからなる多孔質成形体内にマグネシウム蒸気を浸透、分散させ、同時に窒素ガスを導入することで、多孔質成形体内に金属を浸透させるようにした鋳造方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
近年、カーボンナノファイバーを用いた複合材料が注目されている。このような複合材料は、カーボンナノファイバーを含むことで、機械的強度などの向上が期待されている。カーボンナノファイバーをエラストマーに混合した後、エラストマーを金属に置き換えて炭素繊維複合金属材料を得る方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開平05−254957号公報 特開平10−183269号公報 特開2005−68309号公報
そこで、本発明の目的は、カーボンナノファイバーを効率よく利用でき、工業上の取り扱いを容易にした多孔質材及びその製造方法を提供することにある。
本発明にかかる多孔質材は、カーボンナノファイバーを90〜98重量%含む。
本発明にかかる多孔質材は、カーボンナノファイバーが結着物質によって互いに結着され、
前記結着物質を2〜10重量%含む。
本発明にかかる多孔質材によれば、カーボンナノファイバーを主な構成材料とした多孔質材を得ることができる。このような多孔質材によれば、非常に緻密な気孔を多数有することができる。
本発明にかかる多孔質材は、エラストマーにカーボンナノファイバーを混合し、かつ剪断力によって分散させて得られた複合エラストマーを、熱処理して得られた多孔質材であって、
前記カーボンナノファイバーは、前記エラストマーが分解気化して得られた結着物質で結着される。
このとき、前記熱処理の温度は、前記エラストマーの分解気化温度以上とすることができる。
本発明にかかる多孔質材によれば、エラストマーによってカーボンナノファイバーを複合エラストマー中に分散させることができるため、カーボンナノファイバーが凝集しておらず、適度に気孔を有する多孔質材となる。また、エラストマーが分解気化してできた結着物質によってカーボンナノファイバーを互いに結着させることができるため、製造も容易である。
本発明にかかる多孔質材は、カーボンナノファイバーが結着物質によって互いに結着され、
圧縮強度が1〜11MPaである。
本発明にかかる多孔質材によれば、多孔質の構造を維持したままカーボンナノファイバーをハンドリングすることができ、他の用途例えば鋳造などの金属加工においてカーボンナノファイバーを凝集させること無く利用することができる。
本発明にかかる多孔質材の製造方法は、エラストマーにカーボンナノファイバーを混合し、かつ剪断力によって分散させて複合エラストマーを得る工程(a)と、
熱処理炉内で前記複合エラストマーを熱処理し、該複合エラストマー中に含まれるエラストマーを分解気化させて炭素系物質を含む雰囲気とし、炭素系物質を含む雰囲気を冷却して形成された結着物質によってカーボンナノファイバー同士を結着させ、多孔質材を得る工程(b)と、
を有する。
本発明にかかる多孔質材の製造方法によれば、工程(a)においてエラストマーによってカーボンナノファイバーを複合エラストマー中に分散させることができるため、カーボンナノファイバーが凝集していない多孔質材を得ることができる。また、工程(b)において、エラストマーの分解気化した炭素系物質を含む雰囲気を冷却することで、カーボンナノファイバーを結着物質によって互いに結着させることができるため、製造も容易である。
このとき前記熱処理の温度は、200〜500℃であることができる。
このように、熱処理の温度を設定することで、多孔質の構造を維持したままカーボンナノファイバーをハンドリング可能な多孔質材を製造することができる。
本発明におけるエラストマーは、ゴム系エラストマーあるいは熱可塑性エラストマーのいずれであってもよい。また、ゴム系エラストマーの場合、原料エラストマーとしては、未架橋体が用いられることが好ましい。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明にかかる多孔質材は、カーボンナノファイバーを90〜98重量%含む。
本発明にかかる多孔質材は、カーボンナノファイバーが結着物質によって互いに結着され、前記結着物質を2〜10重量%含む。
本発明にかかる多孔質材は、エラストマーにカーボンナノファイバーを混合し、かつ剪断力によって分散させて得られた複合エラストマーを、熱処理して得られた多孔質材であって、前記カーボンナノファイバーは、前記エラストマーが分解気化して得られた結着物質で結着される。
本発明にかかる多孔質材は、カーボンナノファイバーが結着物質によって互いに結着され、圧縮強度が1〜11MPaである。
本実施の形態にかかる多孔質材の製造方法は、エラストマーにカーボンナノファイバーを混合し、かつ剪断力によって分散させて複合エラストマーを得る工程(a)と、熱処理炉内で前記複合エラストマーを熱処理し、該複合エラストマー中に含まれるエラストマーを分解気化させて炭素系物質を含む雰囲気とし、炭素系物質を含む雰囲気を冷却して形成された結着物質によってカーボンナノファイバー同士を結着させ、多孔質材を得る工程(b)と、を有する。
(I)まず、エラストマーについて説明する。
エラストマーは、分子量が好ましくは5000ないし500万、さらに好ましくは2万ないし300万である。エラストマーの分子量がこの範囲であると、エラストマー分子が互いに絡み合い、相互につながっているので、エラストマーは、凝集したカーボンナノファイバーの相互に侵入しやすく、したがってカーボンナノファイバー同士を分離する効果が大きい。エラストマーの分子量が5000より小さいと、エラストマー分子が相互に充分に絡み合うことができず、後の工程で剪断力をかけてもカーボンナノファイバーを分散させる効果が小さくなる。また、エラストマーの分子量が500万より大きいと、エラストマーが固くなりすぎて加工が困難となる。
エラストマーは、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって、30℃で測定した、未架橋体におけるネットワーク成分のスピン−スピン緩和時間(T2n/30℃)が好ましくは100ないし3000μ秒、より好ましくは200ないし1000μ秒である。上記範囲のスピン−スピン緩和時間(T2n/30℃)を有することにより、エラストマーは、柔軟で充分に高い分子運動性を有することができる。このことにより、エラストマーとカーボンナノファイバーとを混合したときに、エラストマーは高い分子運動によりカーボンナノファイバーの相互の隙間に容易に侵入することができる。スピン−スピン緩和時間(T2n/30℃)が100μ秒より短いと、エラストマーが充分な分子運動性を有することができない。また、スピン−スピン緩和時間(T2n/30℃)が3000μ秒より長いと、エラストマーが液体のように流れやすくなり、カーボンナノファイバーを分散させることが困難となる。
また、エラストマーは、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって30℃で測定した、架橋体における、ネットワーク成分のスピン−スピン緩和時間(T2n)が100ないし2000μ秒であることが好ましい。その理由は、上述した未架橋体と同様である。すなわち、上記の条件を有する未架橋体を本発明の製造方法によって架橋化すると、得られる架橋体のT2nはおおよそ上記範囲に含まれる。
パルス法NMRを用いたハーンエコー法によって得られるスピン−スピン緩和時間は、物質の分子運動性を表す尺度である。具体的には、パルス法NMRを用いたハーンエコー法によりエラストマーのスピン−スピン緩和時間を測定すると、緩和時間の短い第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)を有する第1の成分と、緩和時間のより長い第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)を有する第2の成分とが検出される。第1の成分は高分子のネットワーク成分(骨格分子)に相当し、第2の成分は高分子の非ネットワーク成分(末端鎖などの枝葉の成分)に相当する。そして、第1のスピン−スピン緩和時間が短いほど分子運動性が低く、エラストマーは固いといえる。また、第1のスピン−スピン緩和時間が長いほど分子運動性が高く、エラストマーは柔らかいといえる。
パルス法NMRにおける測定法としては、ハーンエコー法でなくてもソリッドエコー法、CPMG法(カー・パーセル・メイブーム・ギル法)あるいは90゜パルス法でも適用できる。ただし、本発明にかかるエラストマーは中程度のスピン−スピン緩和時間(T2)を有するので、ハーンエコー法が最も適している。一般的に、ソリッドエコー法および90゜パルス法は、短いT2の測定に適し、ハーンエコー法は、中程度のT2の測定に適し、CPMG法は、長いT2の測定に適している。
エラストマーは、主鎖、側鎖および末端鎖の少なくともひとつに、カーボンナノファイバーの末端のラジカルに対して親和性を有する不飽和結合または基を有するか、もしくは、このようなラジカルまたは基を生成しやすい性質を有する。かかる不飽和結合または基としては、二重結合、三重結合、α水素、カルボニル基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、ニトリル基、ケトン基、アミド基、エポキシ基、エステル基、ビニル基、ハロゲン基、ウレタン基、ビューレット基、アロファネート基および尿素基などの官能基から選択される少なくともひとつであることができる。
カーボンナノファイバーは、通常、側面は炭素原子の6員環で構成され、先端は5員環が導入されて閉じた構造となっているが、構造的に無理があるため、実際上は欠陥を生じやすく、その部分にラジカルや官能基を生成しやすくなっている。本実施の形態では、エラストマーの主鎖、側鎖および末端鎖の少なくともひとつに、カーボンナノファイバーのラジカルと親和性(反応性または極性)が高い不飽和結合や基を有することにより、エラストマーとカーボンナノファイバーとを結合することができる。このことにより、カーボンナノファイバーの凝集力にうち勝ってその分散を容易にすることができる。そして、エラストマーと、カーボンナノファイバーと、を混練する際に、エラストマーの分子鎖が切断されて生成したフリーラジカルは、カーボンナノファイバーの欠陥を攻撃し、カーボンナノファイバーの表面にラジカルを生成すると推測できる。
エラストマーとしては、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレンゴム(EPR,EPDM)、ブチルゴム(IIR)、クロロブチルゴム(CIIR)、アクリルゴム(ACM)、シリコーンゴム(Q)、フッ素ゴム(FKM)、ブタジエンゴム(BR)、エポキシ化ブタジエンゴム(EBR)、エピクロルヒドリンゴム(CO,CEO)、ウレタンゴム(U)、ポリスルフィドゴム(T)などのエラストマー類;オレフィン系(TPO)、ポリ塩化ビニル系(TPVC)、ポリエステル系(TPEE)、ポリウレタン系(TPU)、ポリアミド系(TPEA)、スチレン系(SBS)、などの熱可塑性エラストマー;およびこれらの混合物を用いることができる。特に、エラストマーの混練の際にフリーラジカルを生成しやすい極性の高いエラストマー、例えば、天然ゴム(NR)、ニトリルゴム(NBR)などが好ましい。また、極性の低いエラストマー、例えばエチレンプロピレンゴム(EPDM)であっても、混練の温度を比較的高温(例えばEPDMの場合、50℃〜150℃)とすることで、フリーラジカルを生成するので本発明に用いることができる。
本実施の形態のエラストマーは、ゴム系エラストマーあるいは熱可塑性エラストマーのいずれであってもよい。また、ゴム系エラストマーの場合、エラストマーは未架橋体が好ましい。
(II)次に、カーボンナノファイバーについて説明する。
本実施の形態にかかるカーボンナノファイバーは、多孔質材の用途に応じて適宜選択できるが、平均直径が0.5ないし500nmであることが好ましく、0.5ないし30nmであることがさらに好ましい。さらに、カーボンナノファイバーは、ストレート繊維状であっても、湾曲繊維状であってもよい。
カーボンナノファイバーの配合量は、多孔質材の用途に応じて設定できるが、本実施の形態にかかる複合エラストマーは、エラストマー100重量部に対して、カーボンナノファイバーを10〜60重量部の割合で含むことが好ましい。
カーボンナノファイバーとしては、例えば、いわゆるカーボンナノチューブなどが例示できる。カーボンナノチューブは、炭素六角網面のグラフェンシートが円筒状に閉じた単層構造あるいはこれらの円筒構造が入れ子状に配置された多層構造を有する。すなわち、カーボンナノチューブは、単層構造のみから構成されていても多層構造のみから構成されていても良く、単層構造と多層構造が混在していてもかまわない。また、部分的にカーボンナノチューブの構造を有する炭素材料も使用することができる。なお、カーボンナノチューブという名称の他にグラファイトフィブリルナノチューブといった名称で称されることもある。
単層カーボンナノチューブもしくは多層カーボンナノチューブは、アーク放電法、レーザーアブレーション法、気相成長法などによって望ましいサイズに製造される。
アーク放電法は、大気圧よりもやや低い圧力のアルゴンや水素雰囲気下で、炭素棒でできた電極材料の間にアーク放電を行うことで、陰極に堆積した多層カーボンナノチューブを得る方法である。また、単層カーボンナノチューブは、前記炭素棒中にニッケル/コバルトなどの触媒を混ぜてアーク放電を行い、処理容器の内側面に付着するすすから得られる。
レーザーアブレーション法は、希ガス(例えばアルゴン)中で、ターゲットであるニッケル/コバルトなどの触媒を混ぜた炭素表面に、YAGレーザーの強いパルスレーザー光を照射することによって炭素表面を溶融・蒸発させて、単層カーボンナノチューブを得る方法である。
気相成長法は、ベンゼンやトルエン等の炭化水素を気相で熱分解し、カーボンナノチューブを合成するもので、より具体的には、流動触媒法やゼオライト担持触媒法などが例示できる。
なお、これらのカーボンナノファイバーは、エラストマーと混練される前に、あらかじめ表面処理、例えば、イオン注入処理、スパッタエッチング処理、プラズマ処理などを行うことによって、エラストマーとの接着性やぬれ性を改善することができる。
(III)次に、工程(a)について説明する。
本実施の形態にかかる工程(a)は、エラストマーにカーボンナノファイバーを混合させ、かつ剪断力によって分散させて複合エラストマーを得る。
工程(a)は、オープンロール法、密閉式混練法、多軸押出し混練法などを用いて行うことができる。
本実施の形態では、エラストマーにカーボンナノファイバーを混合させる工程として、ロール間隔が0.5mm以下の薄通しを行なうオープンロール法を用いた例について述べる。
図1は、2本のロールを用いたオープンロール法を模式的に示す図である。図1において、符号10は第1のロールを示し、符号20は第2のロールを示す。第1のロール10と第2のロール20とは、所定の間隔d、例えば1.5mmの間隔で配置されている。第1および第2のロールは、正転あるいは逆転で回転する。図示の例では、第1のロール10および第2のロール20は、矢印で示す方向に回転している。
まず、第1,第2のロール10,20が回転した状態で、第2のロール20に、エラストマー30を巻き付けると、ロール10,20間にエラストマーがたまった、いわゆるバンク32が形成される。このバンク32内にカーボンナノファイバー40を加えて、第1、第2のロール10,20を回転させると、エラストマーとカーボンナノファイバーの混合物が得られる。この混合物をオープンロールから取り出す。さらに、第1のロール10と第2のロール20の間隔dを、好ましくは0.5mm以下、より好ましくは0.1ないし0.5mmの間隔に設定し、得られたエラストマーとカーボンナノファイバーの混合物をオープンロールに投入して薄通しを行なう。薄通しの回数は、例えば10回程度行なうことが好ましい。第1のロール10の表面速度をV1、第2のロール20の表面速度をV2とすると、薄通しにおける両者の表面速度比(V1/V2)は、1.05ないし3.00であることが好ましく、さらに1.05ないし1.2であることが好ましい。このような表面速度比を用いることにより、所望の剪断力を得ることができる。
このようにして得られた剪断力により、エラストマー30に高い剪断力が作用し、凝集していたカーボンナノファイバー40がエラストマー分子に1本づつ引き抜かれるように相互に分離し、エラストマー30に分散される。
また、この工程(a)では、できるだけ高い剪断力を得るために、エラストマーとカーボンナノファイバーとの混合は、好ましくは0〜50℃、より好ましくは5〜30℃の比較的低い温度で行われる。なお、エラストマーとしてEPDMを用いた場合には、2段階の混練工程を行なうことが望ましく、第1の混練工程では、できるだけ高い剪断力を得るために、EPDMとカーボンナノファイバーとの混合は、第2の混練工程より50〜100℃低い第1の温度で行なわれる。第1の温度は、好ましくは0〜50℃、より好ましくは5〜30℃の第1の温度である。ロールの第2の温度は、50〜150℃の比較的高い温度に設定することでカーボンナノファイバーの分散性を向上させることができる。
また、この工程(a)では、剪断力によって剪断されたエラストマーにフリーラジカルが生成され、そのフリーラジカルがカーボンナノファイバーの表面を攻撃することで、カーボンナノファイバーの表面は活性化される。例えば、エラストマーに天然ゴム(NR)を用いた場合には、各天然ゴム(NR)分子はロールによって混練される間に切断され、オープンロールへ投入する前よりも小さな分子量になる。このように切断された天然ゴム(NR)分子にはラジカルが生成しており、混練の間にラジカルがカーボンナノファイバーの表面を攻撃するので、カーボンナノファイバーの表面が活性化する。
このとき、本実施の形態のエラストマーは、上述した特徴、すなわち、エラストマーの分子形態(分子長)、分子運動、特にカーボンナノファイバーとの化学的相互作用などの特徴を有することによってカーボンナノファイバーの分散を容易にするので、カーボンナノファイバーの分散性および分散安定性(一端分散したカーボンナノファイバーが再凝集しにくいこと)に優れた複合エラストマーを得ることができる。より具体的には、エラストマーとカーボンナノファイバーとを混合すると、分子長が適度に長く、分子運動性の高いエラストマーがカーボンナノファイバーの相互に侵入し、かつ、エラストマーの特定の部分が化学的相互作用によってカーボンナノファイバーの活性の高い部分と結合する。この状態で、エラストマーとカーボンナノファイバーとの混合物に強い剪断力が作用すると、エラストマーの移動に伴ってカーボンナノファイバーも移動し、凝集していたカーボンナノファイバーが分離されて、エラストマー中に分散されることになる。そして、一旦分散したカーボンナノファイバーは、エラストマーとの化学的相互作用によって再凝集することが防止され、良好な分散安定性を有することができる。
工程(a)は、上記オープンロール法に限定されず、既に述べた密閉式混練法あるいは多軸押出し混練法を用いることもできる。要するに、この工程(a)では、凝集したカーボンナノファイバーを分離でき、かつエラストマー分子を切断してラジカルを生成する剪断力をエラストマーに与えることができればよい。
エラストマーとカーボンナノファイバーとの混合・分散工程において、あるいは続いて、通常、ゴムなどのエラストマーの加工で用いられる配合剤を加えることができる。配合剤としては公知のものを用いることができる。配合剤としては、例えば、架橋剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫遅延剤、軟化剤、可塑剤、硬化剤、補強剤、充填剤、老化防止剤、着色剤などを挙げることができる。
工程(a)によって得られた複合エラストマーは、基材であるエラストマーにカーボンナノファイバーが均一に分散されている。このことは、エラストマーがカーボンナノファイバーによって拘束されている状態であるともいえる。この状態では、カーボンナノファイバーによって拘束を受けたエラストマー分子の運動性は、カーボンナノファイバーの拘束を受けない場合に比べて小さくなる。そのため、本実施の形態にかかる複合エラストマーの第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)、第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)及びスピン−格子緩和時間(T1)は、カーボンナノファイバーを含まないエラストマー単体の場合より短くなる。
また、エラストマー分子がカーボンナノファイバーによって拘束された状態では、以下の理由によって、非ネットワーク成分(非網目鎖成分)は減少すると考えられる。すなわち、カーボンナノファイバーによってエラストマーの分子運動性が全体的に低下すると、非ネットワーク成分は容易に運動できなくなる部分が増えて、ネットワーク成分と同等の挙動をしやすくなること、また、非ネットワーク成分(末端鎖)は動きやすいため、カーボンナノファイバーの活性点に吸着されやすくなること、などの理由によって、非ネットワーク成分は減少すると考えられる。そのため、第2のスピン−スピン緩和時間を有する成分の成分分率(fnn)は、カーボンナノファイバーを含まないエラストマー単体の場合より小さくなる。
以上のことから、本実施の形態にかかる複合エラストマーは、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって得られる測定値が以下の範囲にあることが望ましい。
すなわち、未架橋体において、150℃で測定した、第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)は100ないし3000μ秒であり、第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)は存在しないか、あるいは1000ないし10000μ秒であり、さらに第2のスピン−スピン緩和時間を有する成分の成分分率(fnn)は0.2未満であることが好ましい。
また、架橋体において、150℃で測定した、第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)は100ないし2000μ秒であり、第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)は1000ないし4000μ秒であり、前記第2のスピン−スピン緩和時間を有する成分の成分分率(fnn)は0.08未満であることが好ましい。
また、本実施の形態にかかる複合エラストマーは、パルス法NMRを用いたハーンエコー法によって得られる測定値が以下の範囲にあることが望ましい。すなわち、カーボンナノファイバー1重量部あたりの架橋体の150℃で測定したスピン−格子緩和時間(T1)変化量(ΔT1)が、エラストマー単体の場合より1msec以上低下することが好ましく、さらに好ましくは2〜15msec低下することが好ましい。
パルス法NMRを用いたハーンエコー法により測定されたスピン−格子緩和時間(T1)は、スピン−スピン緩和時間(T2)とともに物質の分子運動性を表す尺度である。具体的には、エラストマーのスピン−格子緩和時間が短いほど分子運動性が低く、エラストマーは固いといえ、そしてスピン−格子緩和時間が長いほど分子運動性が高く、エラストマーは柔らかいといえる。
本実施の形態にかかる複合エラストマーは、動的粘弾性の温度依存性測定における流動温度が、原料エラストマー単体の流動温度より20℃以上高温であることが好ましい。本実施の形態の複合エラストマーは、エラストマーにカーボンナノファイバーとが良好に分散されている。このことは、上述したように、エラストマーがカーボンナノファイバーによって拘束されている状態であるともいえる。この状態では、エラストマーは、カーボンナノファイバーを含まない場合に比べて、その分子運動が小さくなり、その結果、流動性が低下する。
(IV)次に、工程(b)について説明する。
本実施の形態にかかる工程(b)は、複合エラストマーを熱処理し、多孔質材を得る。より詳細には、工程(b)は、熱処理炉内で工程(a)で得られた複合エラストマーを熱処理し、複合エラストマー中に含まれるエラストマーを分解気化させて炭素系物質を含む雰囲気とし、炭素系物質を含む雰囲気を冷却して形成された結着物質によってカーボンナノファイバー同士を結着させ、多孔質材を得る。
工程(b)は、例えば熱処理炉内で工程(a)で得られた複合エラストマーを熱処理することで、該複合エラストマー中に含まれるエラストマーが分解気化して、表面が活性化された多孔質材を製造することができる。複合エラストマーからエラストマーを分解気化して得られた多孔質材は、エラストマー中に均一に分散された状態をほとんどそのまま維持しており、カーボンナノファイバーと、カーボンナノファイバーを互いに結着させる結着物質と、からなる多孔質の材料である。
図2は、工程(a)で得られた複合エラストマー100を模式的に示す断面図である。図3は、工程(b)で得られた多孔質材200を模式的に示す断面図である。図2に示すように、複合エラストマー100は、エラストマー30のマトリクス中にカーボンナノファイバー40が分散している。工程(b)は、図示せぬ熱処理炉に工程(a)で得られた複合エラストマー100を配置し、熱処理炉内をエラストマー30の分解気化温度以上、例えばエラストマーが天然ゴム(NR)の場合、400℃の熱処理温度で加熱する。この熱処理によって、エラストマー30は分解気化する。分解気化したエラストマーは、例えば分子量200以下であってC8の化学構造を有する炭素系物質となり、熱処理炉内の雰囲気の一部を構成する。この炭素系物質のガスは、熱処理炉内に供給される窒素ガスとともに熱処理炉内から一部は排出され、一部はそのまま熱処理炉内に残って雰囲気の一部を構成する。熱処理炉内を降温させることで熱処理炉内に残った炭素系物質がカーボンナノファイバー40に付着して、カーボンナノファイバー40を互いに結着する炭素樹脂のような結着物質となる。なお、分解気化温度は、エラストマーが分解気化する温度であり、エラストマーの種類、熱処理炉内の雰囲気などによって異なるが、熱処理の温度は200〜500℃が好ましく、熱処理時間は10分〜3時間が好ましい。熱処理の温度が200℃未満では結着物質はタール状となり多孔質材の強度が弱く、熱処理の温度が500℃を超えると結着物質が少なすぎて多孔質材としての形状を維持することが難しい。
こうして得られた多孔質材200は、図3に示すような構造を有する。多孔質材200は、エラストマーが除去された部分が気孔60となり、カーボンナノファイバー40は分散した状態を維持したまま少量の結着物質によって部分的に結着される。図3では、カーボンナノファイバー40が結着した箇所を符号50で示している。
エラストマーに天然ゴム(NR)を用いた場合、工程(b)における熱処理炉内から排出したガスを熱処理炉に連結したTG−MS(熱重量分析法−質量分析法:Thermo Gravimetry−Mass Spectrometry)を用いて分析することで、熱処理炉内の雰囲気に含まれる物質が分子量200以下例えば96であってC8の化学構造を有する炭素系物質であることがわかっている。したがって、この雰囲気を冷却することでカーボンナノファイバー同士を結着する結着物質は、低分子量でC8の化学構造を有する炭素系物質であると推定できる。
カーボンナノファイバーを結着させる炭素系物質を熱処理炉内に残留させ、滞留させるためには、工程(b)の間、熱処理炉内から外部への排気(熱処理炉内への給気)量を制御することが好ましい。結着物質の量を多くしたい場合には排気量を少なくし、結着物質の量を少なくしたい場合には排気量を多くする。結着物質の量が少なければカーボンナノファイバーを強固に結着することができないので、多孔質材の強度例えば圧縮強度が小さくなる。このような排気量の制御は、熱処理炉内の雰囲気ガス例えば窒素ガスを供給する流量で制御できる。また、結着物質の量が多ければカーボンナノファイバーを強固に結着することができる反面、多孔質材の気孔率が低くなる。
多孔質材における結着物質の量を制御する方法は、熱処理炉からの排気量の制御の他、上述のような熱処理温度や熱処理時間でも制御することができる。例えば、熱処理温度がエラストマーが分解気化する温度よりも十分に高ければ、エラストマーは一気に分解気化し、多孔質材内部から出てしまい、結果として結着物質の量が少なくなる。その反対に、熱処理温度がエラストマーの分解気化し始める温度に近ければ、エラストマーは多孔質材内部に滞留するので結着物質の量が多くなる。熱処理時間は、熱処理温度にも依存する。短時間で熱処理を行なうということは、短時間でエラストマーを分解気化させることになり、結果的に熱処理温度が高くなるので、結着物質の量は少なくなる。反対に、長時間で熱処理を行なうということは、長時間かけてエラストマーを分解気化させればよいため、熱処理温度は低く設定されるので、結着物質の量は多くなる。
工程(b)の熱処理温度は、熱処理炉内に配置された複合エラストマーの温度を測定し、制御することが望ましい。例えば、複合エラストマーに熱電対を埋め込み、複合エラストマー内部の温度を正確に測定することができる。
工程(b)で得られた多孔質材は、カーボンナノファイバーが分散した状態のまま結着物質によって形態を維持することができ、さらに、微細な多孔質構造を維持したまま保管、搬送などの後工程で容易にハンドリングすることができる。
(V)次に、多孔質材について説明する。
本実施の形態にかかる多孔質材は、カーボンナノファイバーを90〜98重量%含むことが好ましい。多孔質材中のカーボンナノファイバーが90重量%未満であると、多孔質材の気孔率が低くなる。また、多孔質材中のカーボンナノファイバーが98重量%を超えると、結着物質が少なすぎ、多孔質材の機械的強度が下がるため、脆くなり、多孔質構造を維持したままハンドリングできない。
また、本実施の形態にかかる多孔質材は、カーボンナノファイバーが結着物質によって互いに結着され、結着物質を2〜10重量%含むことが好ましい。多孔質材中の結着物質が2重量%未満であると、結着物質が少なすぎ、多孔質材の機械的強度が下がるため、脆くなり、多孔質構造を維持したままハンドリングできない。多孔質材中の結着物質が10重量%を超えると、多孔質材の気孔率が低くなる。
本実施の形態にかかる多孔質材は、多孔質構造を有しかつ他の工程で利用可能な程度にハンドリング可能であることが好ましく、例えば圧縮強度が1〜11MPaであることが好ましい。多孔質材の圧縮強度が1MPa未満であると、脆くなり、多孔質構造を維持したままハンドリングできない。また、多孔質材中の圧縮強度が11MPaを超える多孔質材は製造が難しい。多孔質材の圧縮強度は、例えばJIS−R−1608に準拠して測定することができる。
以下、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1〜6、比較例1、2)
(1)サンプルの作製
(a)複合エラストマーの作製
第1の工程:ロール径が6インチのオープンロール(ロール温度10〜20℃)に、表1に示すエラストマーを所定量(100g:100重量部(phr))投入して、ロールに巻き付かせた。
第2の工程:エラストマーに対して表1に示す量(重量部(phr))のカーボンナノファイバー(表1では、「CNT」と記載する)を投入した。このとき、ロール間隙を1.5mmとした。
第3の工程:カーボンナノファイバーを投入し終わったら、エラストマーとカーボンナノファイバーとの混合物をロールから取り出した。
第4の工程:ロール間隙を1.5mmから0.3mmと狭くして、混合物を投入して薄通しをした。このとき、2本のロールの表面速度比を1.1とした。薄通しは繰り返し10回行った。
第5の工程:ロールを所定の間隙(1.1mm)にセットして、薄通しした混合物を投入し、分出しした。
このようにして、実施例1〜6及び比較例1、2の複合エラストマーを得た。なお、実施例1〜6及び比較例1、2において、直径(繊維径)が約10〜20nmのカーボンナノファイバーを用いた。また、表1において、「NR」は天然ゴムを示し、「EPDM」はエチレン・プロピレンゴムを示す。
(b)多孔質材の作製
上記(a)の実施例1〜6及び比較例1、2で得られた複合エラストマー(未架橋)を、酸素を含む窒素雰囲気の炉内で表1に示す熱処理の温度で1時間熱処理して、エラストマーを分解気化させると同時に酸化させ、その後室温まで降温させて多孔質材を得た。炉内への窒素供給量(リットル/分)及び熱処理の温度は、表1に示す。このようにして実施例1〜6及び比較例1、2の多孔質材を得た。
(2)パルス法NMRを用いた測定
各複合エラストマーについて、パルス法NMRを用いてハーンエコー法による測定を行った。この測定は、日本電子(株)製「JMN−MU25」を用いて行った。測定は、観測核がH、共鳴周波数が25MHz、90゜パルス幅が2μsecの条件で行い、ハーンエコー法のパルスシーケンス(90゜x−Pi−180゜x)にて、Piをいろいろ変えて減衰曲線を測定した。また、サンプルは、磁場の適正範囲までサンプル管に挿入して測定した。測定温度は150℃であった。この測定によって、原料エラストマー単体、複合エラストマーの第1スピン−スピン緩和時間(T2n)と、第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)と、第2のスピン−スピン緩和時間を有する成分の成分分率(fnn)と、を求めた。なお、原料エラストマー単体については、測定温度が30℃の場合における原料エラストマー単体の第1スピン−スピン緩和時間(T2n)についても求めた。測定結果を表1に示す。実施例1〜6及び比較例1、2における第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)は、検出されなかった。従って、第2のスピン−スピン緩和時間を有する成分の成分分率(fnn)は、0(ゼロ)であった。
(3)多孔質材の観察
上記(b)で得られた実施例2の多孔質材を電子顕微鏡(SEM)で観察した。実施例2の多孔質材の電子顕微鏡写真を図4に示す。
(4)圧縮強度の測定
多孔質材の圧縮強度は、上記(b)で得られた実施例1〜6の多孔質材について、厚さ5mmの10×10mmの試験片を、0.01mm/minで圧縮したときの圧縮強度を測定した。その結果を表1に示す。なお、比較例1、2の多孔質材は、工程(b)の終了後、炉から取り出す際に多孔質の形態を維持することができず、圧縮強度の測定は行なっていない。
表1から、本発明の実施例1〜6によれば、以下のことが確認された。すなわち、複合エラストマーにおける150℃でのスピン−スピン緩和時間(T2n/150℃)は、原料エラストマーの場合に比べて短い。また、複合エラストマーにおける成分分率(fnn/150℃)は、原料エラストマーの場合に比べて小さい。これらのことから、実施例1〜6にかかる複合エラストマーでは、カーボンナノファイバーが良く分散されていることがわかる。
実施例1〜6の多孔質材の圧縮強度は、4〜11MPaであり、ハンドリング性に優れ、後工程で容易に持ち運ぶことができた。また、実施例1〜6の多孔質材におけるカーボンナノファイバーの重量%は約92〜97%であり、したがって、多孔質材における結着物質の重量%は約3〜8%程度であった。
また、実施例2の多孔質材の電子顕微鏡における観察では、カーボンナノファイバーが分散されたままの状態で多孔質の構造を維持していることが観察された。
以上のことから、本発明によれば、一般に凝集性が強いカーボンナノファイバーを複合エラストマー中に分散でき、その分散した状態を維持したままカーボンナノファイバーを主体とするハンドリング可能な多孔質材を得られることがわかった。
本実施の形態で用いたオープンロール法によるエラストマーとカーボンナノファイバーとの混練法を模式的に示す図である。 工程(a)で得られた複合エラストマーを模式的に示す断面図である。 工程(b)で得られた多孔質材を模式的に示す断面図である。 実施例2の多孔質材の電子顕微鏡写真である。
符号の説明
10 第1のロール
20 第2のロール
30 エラストマー
40 カーボンナノファイバー
60 気孔
100 複合エラストマー
200 多孔質材

Claims (12)

  1. カーボンナノファイバーを90〜98重量%含む、多孔質材。
  2. カーボンナノファイバーが結着物質によって互いに結着され、
    前記結着物質を2〜10重量%含む、多孔質材。
  3. エラストマーにカーボンナノファイバーを混合し、かつ剪断力によって分散させて得られた複合エラストマーを、熱処理して得られた多孔質材であって、
    前記カーボンナノファイバーは、前記エラストマーが分解気化して得られた結着物質で結着される、多孔質材。
  4. 請求項3において、
    前記熱処理の温度は、前記エラストマーの分解気化温度以上である、多孔質材。
  5. 請求項3または4において、
    前記エラストマーは、分子量が5000ないし500万である、多孔質材。
  6. 請求項3ないし5のいずれかにおいて、
    前記エラストマーは、カーボンナノファイバーに対して親和性を有する不飽和結合または基を少なくともひとつ有する、多孔質材。
  7. 請求項3ないし6のいずれかにおいて、
    前記エラストマーは、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって30℃で測定した、未架橋体における、ネットワーク成分のスピン−スピン緩和時間(T2n)が100ないし3000μ秒である、多孔質材。
  8. 請求項1ないし7のいずれかにおいて、
    圧縮強度が1〜11MPaである、多孔質材。
  9. カーボンナノファイバーが結着物質によって互いに結着され、
    圧縮強度が1〜11MPaである、多孔質材。
  10. 請求項1ないし9のいずれかにおいて、
    前記カーボンナノファイバーは、平均直径が0.5ないし500nmである、多孔質材。
  11. エラストマーにカーボンナノファイバーを混合し、かつ剪断力によって分散させて複合エラストマーを得る工程(a)と、
    熱処理炉内で前記複合エラストマーを熱処理し、該複合エラストマー中に含まれるエラストマーを分解気化させて炭素系物質を含む雰囲気とし、炭素系物質を含む雰囲気を冷却して形成された結着物質によってカーボンナノファイバー同士を結着させ、多孔質材を得る工程(b)と、
    を有する多孔質材の製造方法。
  12. 請求項11において、
    前記熱処理の温度は、200〜500℃である、多孔質材の製造方法。
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