JP4394655B2 - 電子放出材料、電極基板、電子放出装置及びフィールド・エミッション・ディスプレイ並びに照明装置 - Google Patents

電子放出材料、電極基板、電子放出装置及びフィールド・エミッション・ディスプレイ並びに照明装置 Download PDF

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Description

本発明は、電子放出材料、電極基板、電子放出装置及びフィールド・エミッション・ディスプレイ並びに照明装置に関する。
近年、省エネルギー化の要求から薄型テレビなどのディスプレイとして、例えばフィールド・エミッション・ディスプレイなどの自発光型平面表示装置が注目されている。フィールド・エミッション・ディスプレイには、電界を印加することによって電子を放出させる電子放出装置が用いられている。
このような電子放出装置は、電界電子放出装置とも呼ばれ、陰極と、陽極と、陰極側に設けられたゲート電極と、を有し、陰極側には突起状の電子放出部いわゆるエミッタが形成される。電子放出装置は、低電界における電子放出と、高電流密度と、長寿命と、が要求される。
電子放出装置の電子放出材料として、窒化アルミニウムやカーボンナノファイバーが提案されている。窒化アルミニウムを電子放出材料として用いた場合には、電子放出効率が低く、電子注入が難しいという課題があった(例えば、特許文献1参照)。また、カーボンナノファイバーは、低電界で高い電流密度を達成することができるが、電子放出時に破壊されるため、寿命が短かいことがわかった(例えば、特許文献2参照)。
特許第3580930号公報 特開2003−77386号公報
そこで、本発明の目的は、低電界における電子放出を可能とした、電子放出材料、電極基板、電子放出装置及びフィールド・エミッション・ディスプレイ並びに照明装置を提供することにある。
本発明にかかる電子放出材料は、
アルミニウムのマトリクス中に均一に分散されたカーボンナノファイバーと、該カーボンナノファイバーの周囲に形成された周辺相と、を含み、
前記周辺相は、アルミニウムと窒素と酸素とからなる非晶質相と、窒化アルミニウムからなる結晶質相と、を含む。
本発明の電子放出材料によれば、長寿命でありながら、低電界における電子放出を可能とすることができる。また、本発明の電子放出材料は、金属のマトリクスを有するので、電子注入が容易である。
本発明にかかる電子放出材料において、
前記カーボンナノファイバーは、平均直径が0.5ないし500nmとすることができる。
本発明にかかる電極基板は、本発明にかかる電子放出材料で形成される。
本発明にかかる電極基板によれば、電子放出材料をそのまま電極基板として用いることができる。
本発明にかかる電極基板において、
前記電極基板の少なくとも一部をエミッタとすることができる。
本発明にかかる電子放出装置は、
本発明にかかる電子放出材料からなる陰極と、
前記陰極から所定の間隔をあけて配置された陽極と、
前記陰極と前記陽極との間に配置されたゲート電極と、を具備する。
本発明にかかる電子放出装置によれば、長寿命でありながら省電力化が可能である。
本発明にかかる電子放出装置において、
前記陰極の少なくとも一部がエミッタとすることができる。
本発明にかかるフィールド・エミッション・ディスプレイは、本発明にかかる電子放出装置と、蛍光体と、を有する。
本発明にかかるフィールド・エミッション・ディスプレイによれば、長寿命でありながら省電力の薄型ディスプレイとすることができる。
本発明にかかる照明装置は、本発明にかかる電子放出材料で形成された陰極と、
前記陰極から所定の間隔をあけて配置された蛍光色素膜が形成されたガラス板と、
前記ガラス板と前記陰極の間に形成された陽極と、
を具備する。
本発明にかかる照明装置は、本発明にかかる電子放出材料で形成された陰極と、
前記陰極の周囲に所定の間隔をあけて配置された蛍光色素膜が形成されたガラス外囲器と、
前記ガラス外囲器と前記陰極との間に形成された陽極と、
を具備する。
本発明にかかる照明装置の前記陽極は、複数の微小孔が形成されたグリットを含むことができる。
本発明に係る照明装置によれば、長寿命でありながら省電力に優れ、陰極やガラス板の形状によって薄型の平面照明や曲面照明など多様な形状に対応することができる。
本発明におけるエラストマーは、ゴム系エラストマーあるいは熱可塑性エラストマーのいずれであってもよい。原料エラストマーとしては、ゴム系エラストマーの場合、無架橋体が用いられる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施の形態にかかる電子放出材料は、アルミニウムのマトリクス中に均一に分散されたカーボンナノファイバーと、該カーボンナノファイバーの周囲に形成された周辺相と、を含み、前記周辺相は、アルミニウムと窒素と酸素とからなる非晶質相と、窒化アルミニウムからなる結晶質相と、を含む。

本実施の形態にかかる電子放出材料の製造方法は、エラストマーと、カーボンナノファイバーと、を混合して複合エラストマーを得る工程(a)と、電子放出材料を得る工程(b)と、を有する。
本実施の形態にかかる電極基板は、電子放出材料で形成される。
本実施の形態にかかる電子放出装置は、電子放出材料からなる陰極と、陰極から所定の間隔をあけて配置された陽極と、陰極と陽極との間に配置されたゲート電極と、を具備する。
本実施の形態にかかるフィールド・エミッション・ディスプレイは、電子放出装置と、蛍光体と、を有する。
本実施の形態にかかる照明装置は、電子放出材料で形成された陰極と、陰極から所定の間隔をあけて配置された蛍光色素膜が形成されたガラス板と、ガラス板と陰極の間に形成された陽極と、を具備する。
本発明にかかる照明装置は、本発明にかかる電子放出材料で形成された陰極と、陰極の周囲に所定の間隔をあけて配置された蛍光色素膜が形成されたガラス外囲器と、ガラス外囲器と陰極との間に形成された陽極と、を具備する。
(A)まず、エラストマーについて説明する。
エラストマーは、分子量が好ましくは5000ないし500万、さらに好ましくは2万ないし300万である。エラストマーの分子量がこの範囲であると、エラストマー分子が互いに絡み合い、相互につながっているので、エラストマーはカーボンナノファイバーを分散させるために良好な弾性を有している。エラストマーは、粘性を有しているので凝集したカーボンナノファイバーの相互に侵入しやすく、さらに弾性を有することによってカーボンナノファイバー同士を分離することができる。エラストマーの分子量が5000より小さいと、エラストマー分子が相互に充分に絡み合うことができず、後の工程で剪断力をかけても弾性が小さいためカーボンナノファイバーを分散させる効果が小さくなる。また、エラストマーの分子量が500万より大きいと、エラストマーが固くなりすぎて加工が困難となる。
エラストマーは、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって、30℃、観測核が で測定した、非架橋体におけるネットワーク成分のスピン−スピン緩和時間(T2n/30℃)が好ましくは100ないし3000μ秒、より好ましくは200ないし1000μ秒である。上記範囲のスピン−スピン緩和時間(T2n/30℃)を有することにより、エラストマーは、柔軟で充分に高い分子運動性を有することができ、すなわちカーボンナノファイバーを分散させるために適度な弾性を有することになる。また、エラストマーは粘性を有しているので、エラストマーとカーボンナノファイバーとを混合したときに、エラストマーは高い分子運動によりカーボンナノファイバーの相互の隙間に容易に侵入することができる。スピン−スピン緩和時間(T2n/30℃)が100μ秒より短いと、エラストマーが充分な分子運動性を有することができない。また、スピン−スピン緩和時間(T2n/30℃)が3000μ秒より長いと、エラストマーが液体のように流れやすく、弾性が小さいため、カーボンナノファイバーを分散させることが困難となる。
また、エラストマーは、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって30℃、観測核が で測定した、架橋体における、ネットワーク成分のスピン−スピン緩和時間(T2n)が100ないし2000μ秒であることが好ましい。その理由は、上述した未架橋体と同様である。すなわち、上記の条件を有する未架橋体を本発明の製造方法によって架橋化すると、得られる架橋体のT2nはおおよそ上記範囲に含まれる。
パルス法NMRを用いたハーンエコー法によって得られるスピン−スピン緩和時間は、物質の分子運動性を表す尺度である。具体的には、パルス法NMRを用いたハーンエコー法によりエラストマーのスピン−スピン緩和時間を測定すると、緩和時間の短い第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)を有する第1の成分と、緩和時間のより長い第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)を有する第2の成分とが検出される。第1の成分は高分子のネットワーク成分(骨格分子)に相当し、第2の成分は高分子の非ネットワーク成分(末端鎖などの枝葉の成分)に相当する。そして、第1のスピン−スピン緩和時間が短いほど分子運動性が低く、エラストマーは固いといえる。また、第1のスピン−スピン緩和時間が長いほど分子運動性が高く、エラストマーは柔らかいといえる。
パルス法NMRにおける測定法としては、ハーンエコー法でなくてもソリッドエコー法、CPMG法(カー・パーセル・メイブーム・ギル法)あるいは90゜パルス法でも適用できる。ただし、本発明にかかるエラストマーは中程度のスピン−スピン緩和時間(T2)を有するので、ハーンエコー法が最も適している。一般的に、ソリッドエコー法および90゜パルス法は、短いT2の測定に適し、ハーンエコー法は、中程度のT2の測定に適し、CPMG法は、長いT2の測定に適している。
エラストマーは、主鎖、側鎖および末端鎖の少なくともひとつに、カーボンナノファイバーの場合、特にその末端のラジカルに対して親和性を有する不飽和結合または基を有するか、もしくは、このようなラジカルまたは基を生成しやすい性質を有する。かかる不飽和結合または基としては、二重結合、三重結合及び官能基から選択される少なくともひとつであることができる。官能基としては、カルボニル基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、ニトリル基、ケトン基、アミド基、エポキシ基、エステル基、ビニル基、ハロゲン基、ウレタン基、ビューレット基、アロファネート基および尿素基などがある。
カーボンナノファイバーは、通常、側面は炭素原子の6員環で構成され、先端は5員環が導入されて閉じた構造となっているが、構造的に無理があるため、実際上は欠陥を生じやすく、その部分にラジカルや官能基を生成しやすくなっている。本実施の形態では、エラストマーの主鎖、側鎖および末端鎖の少なくともひとつに、カーボンナノファイバーのラジカルと親和性(反応性または極性)が高い不飽和結合や基を有することにより、エラストマーとカーボンナノファイバーとを結合することができる。このことにより、カーボンナノファイバーの凝集力にうち勝ってその分散を容易にすることができる。そして、エラストマーと、カーボンナノファイバーと、を混練する際に、エラストマーの分子鎖が切断されて生成したフリーラジカルは、カーボンナノファイバーの欠陥を攻撃し、カーボンナノファイバーの表面にラジカルを生成すると推測できる。
エラストマーとしては、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレンゴム(EPR,EPDM)、ブチルゴム(IIR)、クロロブチルゴム(CIIR)、アクリルゴム(ACM)、シリコーンゴム(Q)、フッ素ゴム(FKM)、ブタジエンゴム(BR)、エポキシ化ブタジエンゴム(EBR)、エピクロルヒドリンゴム(CO,CEO)、ウレタンゴム(U)、ポリスルフィドゴム(T)などのエラストマー類;オレフィン系(TPO)、ポリ塩化ビニル系(TPVC)、ポリエステル系(TPEE)、ポリウレタン系(TPU)、ポリアミド系(TPEA)、スチレン系(SBS)、などの熱可塑性エラストマー;およびこれらの混合物を用いることができる。特に、エラストマーの混練の際にフリーラジカルを生成しやすい極性の高いエラストマー、例えば、天然ゴム(NR)、ニトリルゴム(NBR)などが好ましい。また、極性の低いエラストマー、例えばエチレンプロピレンゴム(EPDM)であっても、混練の温度を比較的高温(例えばEPDMの場合、50℃〜150℃)とすることで、フリーラジカルを生成するので本発明に用いることができる。
(B)次に、カーボンナノファイバーについて説明する。
本実施の形態にかかる複合エラストマーは、カーボンナノファイバーを1〜50重量%の割合で含むことが好ましい。
カーボンナノファイバーは、平均直径が0.5ないし500nmであることが好ましいく、電子放出効率を向上させるためには0.5ないし30nmであることがさらに好ましい。さらに、カーボンナノファイバーは、ストレート繊維状であっても、湾曲繊維状であってもよい。
カーボンナノファイバーとしては、例えば、いわゆるカーボンナノチューブなどが例示できる。カーボンナノチューブは、炭素六角網面のグラフェンシートが円筒状に閉じた単層構造あるいはこれらの円筒構造が入れ子状に配置された多層構造を有する。すなわち、カーボンナノチューブは、単層構造のみから構成されていても多層構造のみから構成されていても良く、単層構造と多層構造が混在していてもかまわない。また、部分的にカーボンナノチューブの構造を有するカーボンナノファイバーも使用することができる。なお、カーボンナノチューブという名称の他にグラファイトフィブリルナノチューブといった名称で称されることもある。
単層カーボンナノチューブもしくは多層カーボンナノチューブは、アーク放電法、レーザーアブレーション法、気相成長法などによって望ましいサイズに製造される。
アーク放電法は、大気圧よりもやや低い圧力のアルゴンや水素雰囲気下で、炭素棒でできた電極材料の間にアーク放電を行うことで、陰極に堆積した多層カーボンナノチューブを得る方法である。また、単層カーボンナノチューブは、前記炭素棒中にニッケル/コバルトなどの触媒を混ぜてアーク放電を行い、処理容器の内側面に付着するすすから得られる。
レーザーアブレーション法は、希ガス(例えばアルゴン)中で、ターゲットであるニッケル/コバルトなどの触媒を混ぜた炭素表面に、YAGレーザーの強いパルスレーザー光を照射することによって炭素表面を溶融・蒸発させて、単層カーボンナノチューブを得る方法である。
気相成長法は、ベンゼンやトルエン等の炭化水素を気相で熱分解し、カーボンナノチューブを合成するもので、より具体的には、流動触媒法やゼオライト担持触媒法などが例示できる。
カーボンナノファイバーは、エラストマーと混練される前に、あらかじめ表面処理、例えば、イオン注入処理、スパッタエッチング処理、プラズマ処理などを行うことによって、エラストマーとの接着性やぬれ性を改善することができる。
(C)次に、エラストマーにカーボンナノファイバーを混合させ、かつ剪断力によって分散させる工程(a)について説明する。
エラストマーにカーボンナノファイバーを剪断力によって分散させる工程(a)は、オープンロール法、密閉式混練法、多軸押出し混練法、などを用いて行うことができる。
本実施の形態では、エラストマーにカーボンナノファイバーを混合させる工程として、ロール間隔が0.5mm以下のオープンロール法を用いた例について述べる。
図1は、2本のロールを用いたオープンロール法を模式的に示す図である。図1において、符号10は第1のロールを示し、符号20は第2のロールを示す。第1のロール10と第2のロール20とは、所定の間隔d、好ましくは1.0mm以下、より好ましくは0.1ないし0.5mmの間隔で配置されている。第1および第2のロールは、正転あるいは逆転で回転する。図示の例では、第1のロール10および第2のロール20は、矢印で示す方向に回転している。第1のロール10の表面速度をV1、第2のロール20の表面速度をV2とすると、両者の表面速度比(V1/V2)は、1.05ないし3.00であることが好ましく、さらに1.05ないし1.2であることが好ましい。このような表面速度比を用いることにより、所望の剪断力を得ることができる。まず、第1,第2のロール10,20が回転した状態で、第2のロール20に、エラストマー30を巻き付けると、ロール10,20間にエラストマーがたまった、いわゆるバンク32が形成される。このバンク32内に粒子状の金属41,42を加えて、さらに第1,第2のロール10,20を回転させることにより、エラストマー30と、粒子状の金属41,42と、を混合する工程が行われる。なお、粒子状の金属41,42については、後述する。ついで、このエラストマー30と粒子状の金属41、42とが混合されたバンク32内にカーボンナノファイバー40を加えて、第1、第2のロール10,20を回転させる。さらに、第1,第2ロール10,20の間隔を狭めて前述した間隔dとし、この状態で第1,第2ロール10,20を所定の表面速度比で回転させる。これにより、エラストマー30に高い剪断力が作用し、この剪断力によって凝集していたカーボンナノファイバーが1本づつ引き抜かれるように相互に分離し、エラストマー30に分散される。さらに、ロールによる剪断力はエラストマー内に分散された粒子状の金属41、42のまわりに乱流状の流動を発生させる。この複雑な流動によってカーボンナノファイバーはさらにエラストマー30に分散される。なお、粒子状の金属41、42の混合前に、エラストマー30とカーボンナノファイバー40とを先に混合すると、カーボンナノファイバー40にエラストマー30の動きが拘束されてしまうため、粒子状の金属41,42を混合することが難しくなる。したがって、エラストマー30にカーボンナノファイバー40を加える前に粒子状の金属41、42を混合することが好ましい。
また、この工程(a)では、剪断力によって剪断されたエラストマーにフリーラジカルが生成され、そのフリーラジカルがカーボンナノファイバーの表面を攻撃することで、カーボンナノファイバーの表面は活性化される。例えば、エラストマーに天然ゴム(NR)を用いた場合には、各天然ゴム(NR)分子はロールによって混練される間に切断され、オープンロールへ投入する前よりも小さな分子量になる。このように切断された天然ゴム(NR)分子にはラジカルが生成しており、混練の間にラジカルがカーボンナノファイバーの表面を攻撃するので、カーボンナノファイバーの表面が活性化する。
さらに、この工程(a)では、できるだけ高い剪断力を得るために、エラストマーとカーボンナノファイバーとの混合は、好ましくは0ないし50℃、より好ましくは5ないし30℃の比較的低い温度で行われる。オープンロール法を用いた場合には、ロールの温度を上記の温度に設定することが望ましい。第1,第2ロール10,20の間隔dは、もっとも狭めた状態においても粒子状の金属41、42の平均粒径よりも広く設定することで、エラストマー30中のカーボンナノファイバー40の分散を良好に行うことができる。
このとき、本実施の形態にかかるエラストマーは、上述した特徴、すなわち、エラストマーの分子形態(分子長)や分子運動によって表される弾性と、粘性と、特にカーボンナノファイバーとの化学的相互作用などの特徴と、を有することによってカーボンナノファイバーの分散を容易にするので、カーボンナノファイバーの分散性および分散安定性(一端分散したカーボンナノファイバーが再凝集しにくいこと)に優れた複合エラストマーを得ることができる。より具体的には、エラストマーとカーボンナノファイバーとを混合すると、粘性を有するエラストマーがカーボンナノファイバーの相互に侵入し、かつ、エラストマーの特定の部分が化学的相互作用によってカーボンナノファイバーの活性の高い部分と結合する。この状態で、分子長が適度に長く、分子運動性の高い(弾性を有する)エラストマーとカーボンナノファイバーとの混合物に強い剪断力が作用すると、エラストマーの変形に伴ってカーボンナノファイバーも移動し、さらに剪断後の弾性によるエラストマーの復元力によって、凝集していたカーボンナノファイバーが分離されて、エラストマー中に分散されることになる。本実施の形態によれば、混合物が狭いロール間から押し出された際に、エラストマーの弾性による復元力で混合物はロール間隔より厚く変形する。その変形は、強い剪断力の作用した混合物をさらに複雑に流動させ、カーボンナノファイバーをエラストマー中に分散させると推測できる。そして、一旦分散したカーボンナノファイバーは、エラストマーとの化学的相互作用によって再凝集することが防止され、良好な分散安定性を有することができる。
エラストマーにカーボンナノファイバーを剪断力によって分散させる工程は、上記オープンロール法に限定されず、既に述べた密閉式混練法あるいは多軸押出し混練法を用いることもできる。要するに、この工程では、凝集したカーボンナノファイバーを分離できる剪断力をエラストマーに与え、エラストマー分子にラジカルを生成させることができればよい。
上述したエラストマーに粒子状の金属とカーボンナノファイバーとを分散させて両者を混合させる工程(混合・分散工程)によって得られた複合エラストマーは、架橋剤によって架橋させて成形するか、もしくは架橋させずに成形することができる。このときの成形方法は、例えば圧縮成形工程や押出成形工程などを採用することができる。圧縮成形工程は、例えば粒子状の金属とカーボンナノファイバーとが分散した複合エラストマーを、所定温度(例えば175℃)に設定された所望形状を有する成形金型内で所定時間(例えば20分)加圧状態で成形する工程を有する。
エラストマーとカーボンナノファイバーとの混合・分散工程において、あるいは続いて、通常、ゴムなどのエラストマーの加工で用いられる配合剤を加えることができる。配合剤としては公知のものを用いることができる。配合剤としては、例えば、架橋剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫遅延剤、軟化剤、可塑剤、硬化剤、補強剤、充填剤、老化防止剤、着色剤などを挙げることができる。
(D)次に、粒子状の金属について説明する。
工程(a)で用いられた粒子状の金属41,42は、カーボンナノファイバーの分散性を良好にするために、使用するカーボンナノファイバーの平均直径よりも大きい平均粒径であることが好ましい。粒子状の金属41,42は、例えば平均粒径が500μm以下、好ましくは1〜300μmである。また、粒子状の金属41,42の形状は、球形粒状に限らず、混合時に粒子状の金属41,42のまわりに乱流状の流動が発生する形状であれば平板状、りん片状であってもよい。
粒子状の金属41は、工程(b)において還元剤となる物質である。粒子状の金属41は、カーボンナノファイバーより融点の低い金属もしくは半金属であることが好ましく、より好ましくは融点が1000℃以下の低融点(高蒸気圧)金属もしくは半金属が好ましい。粒子状の金属41は、マトリクス金属の還元剤としてもマグネシウムが好ましい。
粒子状の金属42は、電子放出材料のマトリクスとなる金属であることが好ましい。また、粒子状の金属42は、カーボンナノファイバーより融点の低い金属であり、かつ粒子状の金属41よりも融点の高い金属であることが好ましい。粒子状の金属41の融点が上記の条件を満たせば、工程(b)における熱処理によってカーボンナノファイバーに損傷を与えることなく粒子状の金属41を気化させることができる。粒子状の金属42がマトリクスの金属と同じ材質である場合、III属元素例えばアルミニウム、ガリウム、インジウムなどの大きなバンドギャップが得られる元素が好ましい。粒子状の金属42は、導電性のよい材質が好ましく、軽量で加工性のよいアルミニウムが好ましい。
なお、ここでいう金属はいわゆる合金を含み、例えばマグネシウムはマグネシウム合金を含み、またアルミニウムはアルミニウム合金を含む。
(E)次に、上記工程(a)によって得られた複合エラストマーについて述べる。
図2は、本実施の形態にかかる複合エラストマーの一部を拡大して示す模式図である。工程(a)で2種類の粒子状の金属を混合させた場合には、粒子状の金属もエラストマー30中に分散されるが、ここでは省略した。
本実施の形態の複合エラストマー4は、図2に示すように、基材であるエラストマー30にカーボンナノファイバー40が均一に分散されている。このことは、エラストマー30がカーボンナノファイバー40によって拘束されている状態であるともいえる。この状態では、カーボンナノファイバーによって拘束を受けたエラストマー分子の運動性は、カーボンナノファイバーの拘束を受けない場合に比べて小さくなる。そのため、本実施の形態にかかる複合エラストマーの第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)、第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)及びスピン−格子緩和時間(T1)は、カーボンナノファイバーを含まないエラストマー単体の場合より短くなる。なお、架橋体におけるスピン−格子緩和時間(T1)は、カーボンナノファイバーの混合量に比例して変化する。
また、エラストマー分子がカーボンナノファイバーによって拘束された状態では、以下の理由によって、非ネットワーク成分(非網目鎖成分)は減少すると考えられる。すなわち、カーボンナノファイバーによってエラストマーの分子運動性が全体的に低下すると、非ネットワーク成分は容易に運動できなくなる部分が増えて、ネットワーク成分と同等の挙動をしやすくなること、また、非ネットワーク成分(末端鎖)は動きやすいため、カーボンナノファイバーの活性点に吸着されやすくなること、などの理由によって、非ネットワーク成分は減少すると考えられる。そのため、第2のスピン−スピン緩和時間を有する成分の成分分率(fnn)は、カーボンナノファイバーを含まないエラストマー単体の場合より小さくなる。
以上のことから、本実施の形態にかかる複合エラストマーは、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって得られる測定値が以下の範囲にあることが望ましい。
すなわち、未架橋体において、150℃、観測核が で測定した、第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)は100ないし3000μ秒であり、第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)は存在しないか、あるいは1000ないし10000μ秒であり、さらに第2のスピン−スピン緩和時間を有する成分の成分分率(fnn)は0.2未満であることが好ましい。
パルス法NMRを用いた反転回復法により測定されたスピン−格子緩和時間(T1)は、スピン−スピン緩和時間(T2)とともに物質の分子運動性を表す尺度である。具体的には、エラストマーのスピン−格子緩和時間が短いほど分子運動性が低く、エラストマーは固いといえ、そしてスピン−格子緩和時間が長いほど分子運動性が高く、エラストマーは柔らかいといえる。
なお、複合エラストマーは、工程(b)において分解気化しやすくするために、未架橋体のまま成形されることが好ましい。
(F)次に、複合エラストマーを用いて電子放出材料を製造する工程(b)について説明する。
(1)工程(b−1)は、工程(a)で得られた複合エラストマーを熱処理し、該複合エラストマー中に含まれる前記エラストマーを分解気化させると共に、マトリクスとなる金属を該複合エラストマー中に浸透させる。
(2)工程(b−2)は、工程(a)で得られた複合エラストマーを熱処理し、該複合エラストマー中に含まれる前記エラストマーを分解気化させると共に、前記粒子状の金属を溶融させて粉末成形する。
(3)工程(b−3)は、工程(a)で得られた複合エラストマーを、金属溶湯に混入し、該複合エラストマー中に含まれる前記エラストマーを分解気化させると共に、所望の形状を有する鋳型内で鋳造する。
(浸透法)
まず、工程(b−1)について、図3及び図4を用いて説明する。図3及び図4は、非加圧浸透法によって電子放出材料を製造する装置の概略構成図である。前記工程(a)で得られた複合エラストマーは、工程(b)に先立って、例えば最終製品の形状を有する成形金型内で予備圧縮成形された複合エラストマー4を使用することができる。図3において、密閉された容器1内には、あらかじめ成形された複合エラストマー4が入れられる。その複合エラストマー4の上方にマトリクスとなる金属の塊例えばアルミニウム塊5が配置される。また、容器1の室内を容器1に接続された減圧手段2例えば真空ポンプによって脱気してもよい。さらに、容器1に接続された注入手段3から窒素ガスを容器1内へ導入する。注入手段としては、例えば窒素ガスボンベを用いることができ、導入される窒素ガスには少量ではあるが酸素も含まれる。
次に、容器1に内蔵された図示せぬ加熱手段によって、容器1内に配置された複合エラストマー4及びアルミニウム塊5をアルミニウムの融点以上まで徐々に昇温して加熱する。まず、加熱された複合エラストマー4を構成する材料の内、最も融点の低いエラストマーが分解気化する。さらに容器1内を昇温すると、複合エラストマー4に含まれた粒子状の金属41(例えば、アルミニウムより融点の低いマグネシウム粒子)が気化する。さらに昇温されて加熱されたアルミニウム塊5は、溶融してアルミニウム溶湯となり、エラストマーが分解気化してできた空所に浸透する。また、マグネシウム粒子41は、気化することで、容器1内を還元雰囲気とすることができ、アルミニウム溶湯をアルミニウム粒子42間に毛細管現象によって容易に浸透する。そして、容器1の加熱手段による加熱を停止させ、アルミニウムの溶湯を冷却・凝固させ、図4に示すようなカーボンナノファイバーが均一に分散された電子放出材料6を製造することができる。
また、本実施の形態のように工程(a)で粒子状の金属41を混合してもよいが、工程(b)の容器1内に粒子状の金属41と同じ金属塊を配置してもよい。粒子状の金属42は、工程(b−1)において毛細管現象によって金属溶湯を浸透させ易くするため、工程(a)でエラストマーに混合することが好ましいが、混合しなくてもよい。したがって、工程(a)において粒子状の金属41,42をエラストマー30に混合させなくても工程(b)を実施することができる。
また、上記実施の形態においては非加圧浸透法について説明したが、浸透法であればこれに限らず例えば不活性ガスなどの雰囲気の圧によって加圧する加圧浸透法を用いることもできる。また、工程(b−1)において金属溶湯を得るために金属塊を複合エラストマー上に配置したが、工程(b−1)においては金属溶湯が複合エラストマーに浸透すればよく、例えば、金属溶湯に複合エラストマーを浸漬させてもよいし、金属溶湯を滴下してもよい。
(粉末成形法)
次に、工程(b−2)について、説明する。工程(b−2)は、例えば前記実施の形態で得られた工程(a)で得られた複合エラストマーをそのまま型内で圧縮し、粒子状の金属42の焼結温度(粒子状の金属42がアルミニウムの場合550℃)で焼成して電子放出材料を得ることができる。この工程(b−2)における焼結温度までの昇温工程を緩やかに行うことで、まず該複合エラストマー中に含まれるエラストマーが分解気化し、次に、粒子状の金属41(例えばマグネシウム)が気化して型内を還元雰囲気とする。さらに、昇温することでマトリクスとなる粒子状の金属42が溶融し、焼成する。このとき、前記浸透法の説明と同様に窒素ガスボンベなどから窒素ガスを導入し、型内もしくは焼結雰囲気を窒素雰囲気とすることが好ましい。
本実施の形態にかかる粉末成形は、金属の成形加工における粉末成形と同様であり、いわゆる粉末冶金を含み、複合エラストマーをそのまま型内で焼結する場合のみならず、複合エラストマーからあらかじめエラストマーを分解気化させた炭素系材料及び粒子状の金属を混合させた原料をも含む。また、このような炭素系材料とマトリクスとなる粒子状の金属及び還元剤との混合は、ドライブレンド、湿式混合などを採用できる。湿式混合の場合、溶剤中の炭素系材料の粉末に対して、マトリクスの粒子状の金属を混ぜる(湿式混合)ことが望ましい。なお、粉末成形法としては、一般的な焼結法の他、プラズマ焼結装置を用いた放電プラズマ焼結法(SPS)などを採用することができる。
(鋳造法)
次に、工程(b−3)について、説明する。工程(b−3)としては、工程(a)で得られた複合エラストマーを金属溶湯に混入し、該複合エラストマー中に含まれる前記エラストマーを分解気化させると共に、所望の形状を有する鋳型内で鋳造して電子放出材料を得ることができる。このような鋳造工程は、まず、複合エラストマーと金属溶湯との混合が行われる。坩堝に金属例えばアルミニウムを溶解(650〜800℃)し、さらに溶解したアルミニウムを攪拌しながら複合エラストマーを坩堝に投入し、混合する。このとき、攪拌は、一方向の回転でもよいが、3方向(3次元)に攪拌することで混合の効果は高くなる。不活性雰囲気例えば窒素ガス雰囲気中で混合されたアルミニウム溶湯は、例えば鋼製の鋳型内に金属溶湯を注湯して行う金型鋳造法、ダイカスト法、低圧鋳造法を採用することができる。またその他特殊鋳造法に分類される、高圧化で凝固させる高圧鋳造法(スクイズカスティング)、溶湯を攪拌するチクソカスティング、遠心力で溶湯を鋳型内へ鋳込む遠心鋳造法などを採用することができる。これらの鋳造法においては、金属溶湯の中に複合エラストマーを混合し、鋳型内で凝固させ、所望の形状を有する電子放出材料を成形する。
例えば、チクソカスティングにおいては、700〜800℃でアルミニウムを溶解した後、攪拌しながら温度を下げて400〜600℃でチクソトロピー状態を得て、その状態で複合エラストマーを混合することが好ましい。チクソトロピー状態においては、粘度が大きくなるので、均一な分散を可能とする。これらの鋳造工程では、不活性雰囲気例えば窒素雰囲気中、窒素に少量の水素ガスを加えた弱還元雰囲気中、あるいは減圧した真空下で行うと、金属溶湯(例えば、アルミニウム溶湯)の酸化が防止され、よりカーボンナノファイバーとの濡れ性がよくなるので望ましい。なお、この鋳造工程において、複合エラストマーにおけるエラストマーは、金属溶湯の熱によって分解され、除去される。
さらに、このような製造方法よって得られた電子放出材料を、例えばインゴットとして用いて、鋳造法、粉末鍛造法、粉末押出成形法、あるいは粉末射出成形法によって所望の形態に成形することもできる。
ここでは、工程(b−1〜b−3)において複合エラストマーからエラストマーを分解気化させて除去する工程を連続して行なうことを説明したが、あらかじめ複合エラストマーからエラストマーを分解気化させてカーボンナノファイバーを主体とする炭素系材料を得た後に、別途浸透法などを用いて溶融金属と一体化させてもよい。
また、工程(b−1〜b−3)で説明した金属は金属合金も含み、例えばアルミニウムはアルミニウム合金も含む。マトリクスとなる金属は、導電性のよい金属が好ましく、また、周辺相の主成分となる金属でもあるため、III族元素例えばアルミニウム、ガリウム
、インジウムなどが好ましい。III族元素は、V族元素例えば窒素、リン、ヒ素、アンチモンなどの元素と結合してバンドギャップが大きなIII−V族半導体を形成する。したって、工程(b−1〜b−3)で用いられた窒素雰囲気を他のV族元素のガスにしてもよいが、工業的には窒素が望ましい。
(G)次に、電子放出材料について説明する。
図5は、本実施の形態にかかる電子放出材料の一部を拡大して示す模式図である。電子放出材料6は、マトリクス60の金属中にカーボンナノファイバー40が分散されている。カーボンナノファイバー40の周囲には、非晶質の周辺相70が形成される。
周辺相70は、工程(b)における雰囲気ガスが例えば窒素と少量の酸素とを含み、マトリクス60の金属がアルミニウムである場合、カーボンナノファイバー40の周囲に、アルミニウム、窒素及び酸素を含む非晶質の周辺相70として形成される。特に、周辺相70は、主な構成元素がマトリクスの金属と同じアルミニウムであり、マトリクスの結晶質アルミニウムとの濡れ性が良好である。また、既に知られているように、結晶状態の窒化アルミニウム(AlN)が電子放出材料として好ましい評価を得ていることから、周辺相70がアルミニウムと窒素と酸素(Al/N/O)を主な成分とした非晶質相であるので、電子放出効率が好ましい材料であると推測できる。したがって、電子放出効率のよいカーボンナノファイバーの周囲を、アルミニウムと窒素と酸素(Al/N/O)の非晶質の周辺相で覆うことで、電子放出効率の高い電子放出材料を得ることができる。
電子放出材料6に占める周辺相70の割合は、カーボンナノファイバー40の含有量によって容易に増減でき、また、工程(b−1〜b−3)における熱処理時間によっても調整することができる。なお、周辺相70のアルミニウムと窒素と酸素(Al/N/O)の生成割合は、約10/9/1であるが、工程(b−1〜b−3)における窒素雰囲気の酸素濃度や供給する窒素の流量などにより調整することができる。電子放出材料6における周辺相70の組成については、電界放射走査型電子顕微鏡(FE−SEM)で観察し、照射点近傍の元素分析によって調べることができる。
また、周辺相70は、例えば窒化アルミニウムからなる結晶質相を含むことができる。例えば、工程(b−1〜b−3)で得られた電子放出材料をさらに高温で熱処理することで非晶質のアルミニウムと窒素と酸素(Al/N/O)の周辺相が結晶化して、周辺相の一部もしくは全部を窒化アルミニウムとすることができる。
電子放出材料6におけるカーボンナノファイバー40の表面は、カーボンナノファイバー40を構成する炭素原子と酸素との化合物層(例えば酸化物層)に覆われ、さらに酸素と粒子状の金属41を構成する元素例えばマグネシウムとの反応物層に覆われた構造を有している。カーボンナノファイバー40と周辺相70とは、これら酸化物層によって濡れ性がよい。このようにカーボンナノファイバーの周りが濡れ性のよい周辺相70に覆われているため、これまで短寿命であるとされてきたカーボンナノファイバーを長寿命化できる。また、もともとカーボンナノファイバーは電子放出効率がよいため、カーボンナノファイバー40及び周辺相70を含む電子放出材料6も低電界で効率よく電子放出することができる。このようなカーボンナノファイバーの表面構造については、X線分光分析(XPS)やEDS分析(Energy Dispersive Spectrum)によっても解析することができる。
電子放出材料6におけるマトリクス60は、金属例えばアルミニウムの連続相である。したがって、電子放出材料6そのものを電極基板として利用することができるため、これまでのようにSi基板の上に例えば炭素材料からなるエミッタ(電子放出部)を別途形成させる必要がない。電子放出材料6のマトリクスが例えばアルミニウムのような良導体で形成されることで、電子放出材料6への電子注入が容易である。
電子放出材料6を電極基板として用いる場合には、図6に示すように、電子放出材料6の表面を例えばアルゴンイオンでエッチングしてもよい。アルゴンイオンでエッチングすることで、電子放出材料6の表面にあるマトリクス金属例えばアルミニウムをエッチングによって除去することができ、非晶質の周辺相70が現れることで電子放出効率を向上させることができる。電子放出材料6の表面からマトリクス金属を一部取り除くためには、例えば、アルゴンイオンなどの気体イオンによるエッチング、フッ酸、塩酸、硝酸などの液体を用いたウェットエッチング、サンドブラスト加工などを採用することができる。
(H)最後に、電子放出装置及びフィールド・エミッション・ディスプレイ並びに照明装置について説明する。
図7は、本実施の形態にかかる電子放出装置を用いたフィールド・エミッション・ディスプレイの構成を示す模式図である。フィールド・エミッション・ディスプレイ100は、前記工程(b−1〜b−3)で得られた電子放出材料6を電極基板として形成された陰極82と、ゲート電極80を挟んで、陰極82から所定の間隔をあけて対向配置されたガラス基板90と、を例えば真空気密容器中に有している。ガラス基板90の陰極82側には陽極92及び蛍光体94が積層して形成されている。したがって、フィールド・エミッション・ディスプレイ100は、陰極82と、陽極92と、陰極82と陽極92との間に配置されたゲート電極80と、を具備する、電子放出装置を含む。
陰極82とゲート電極80間へ電圧を印加すると、電子放出材料6で形成された陰極82のゲート電極80側の表面から陽極92へ向かって電子(e)を放出する。陰極82から放出された電子(e)は、陽極92に向かって進行し、蛍光体94に当たることによって生じる発光を利用して像を表示することができる。陰極82のゲート電極80側の表面は、アルゴンイオンなどによってエッチングされて周辺相70が多少突出して現れている。このように陰極82のゲート電極80側の表面に現れた周辺相70の少なくとも一部が電子放出部としてのエミッタとして電子(e)を放出すると推測される。特に、カーボンナノファイバー40によって表面に現れている周辺相70に電子が効率よく供給されるため、電子放出材料6は高い電子放出効率が得られると推測される。したがって、陰極82のゲート電極80側の表面にエッチングによって周辺相70からなる突起状の電子放出部としてのエミッタを形成してもよいし、エッチングしなくても表面全体が電子放出材料6で形成されているためエミッタとして機能することができる。
このような電子放出装置は、全体に分散されたカーボンナノファイバー及び周辺相によって電子放出効率が高く、電子放出材料のマトリクスが金属例えばアルミニウムであるため電子注入が容易である。また、カーボンナノファイバーは、非晶質の周辺相に覆われているため、長寿命である。
このようにして得られた電子放出材料、電極基板及び電子放出装置は、フィールド・エミッション・ディスプレイの他、各種用途に用いることができる。例えば、電極基板の表面全体を発光させることで、面発光体(面蛍光体)としてもよいし、あるいは蛍光ランプ、電子顕微鏡、プラズマディスプレイなどの熱陰極動作または冷陰極動作による放電を利用する各種電極として用いることができる。
図13〜図18は、本実施の形態にかかる電子放出材料を用いた照明装置の構成を示す縦断面模式図である。
図13の平面照明装置200は、前記工程(b−1〜b−3)で得られた電子放出材料6を電極基板として形成された陰極160と、陰極160から所定の間隔をあけて配置された蛍光色素膜130が陰極160側に形成されたガラス板120と、ガラス板120と陰極160との間隔を決めるスペーサ150と、ガラス板120と陰極160との間に形成されたグリッド(陽極)140と、を具備する。ガラス板120、グリッド140、陰極160は、例えば四角形の平板状であり、グリッド140は打抜きや電鋳などにより形成された複数の微小孔を持つ金属板である。ガラス板120は、透明で、陰極160側の表面にスクリーン印刷などの方法で塗布されている。一定厚さのスペーサ150は、その平板状ガラス板120と陰極160の外周端部に配置され、かつガラス板120と陰極160とで挟み込まれ、ガラス板120と陰極160との間に気密な真空状態の空間180を形成する。また、グリッド140の外周端部は、スペーサ150の中間部分に挟み込まれて固定されている。陰極160とグリッド140間へ電圧を印加すると、電子放出材料で形成された陰極160のグリッド140側の表面からガラス基板120へ向かって電子が放出され、グリッド140の複数の微小孔を通過する。陰極160から放出され、グリッド140の微小孔を通過した電子は、陽極120に向かって進行し、蛍光色素膜130に当たることによって発光し、照明装置となる。陰極160とガラス板120の間の空間は、真空でもよいが、例えばアルゴンガスなどの所定のガスを封入してもよい。また、ガラス板120は、本実施の形態のように透明でもよいが、既存の照明装置と同様に着色されていてもよい。
また、図14の平面照明装置202においては、例えばアルミニウムなどで形成された基板170上に陰極薄膜162を貼り付け固定している以外は、図13の実施例と同様である。陰極薄膜162は、前記工程(b−1〜b−3)で得られた電子放出材料を薄膜状に切り出したものを基板170に貼り付けてもよいし、前記工程(a)で得られた複合エラストマーを溶剤に溶かして基板170上に薄く塗布し、乾いた薄膜状の複合エラストマーに工程(b−1)と同様に金属溶湯を浸透させて陰極薄膜162を形成させてもよい。
図15の平面照明装置204は、図13のグリッドをなくして、陽極124が陰極160側の表面に形成された透明なITOガラス板122を有する以外は、図13の実施例と同様である。ITOガラス板122を用いた場合には、蛍光色素膜130はITOガラス122の陰極160側表面に形成された陽極124の上にスクリーン印刷などの方法で塗布される。つまり、ITOガラス板122を用いた場合には、陽極124はガラス板122の本体と蛍光色素膜130との間に配置することになる。したがって、陽極124と陰極160との間へ電圧を印加すると、電子放出材料で形成された陰極160の表面からITOガラス板122へ向かって電子を放出し、蛍光色素130に当たって発光する。なお、ITOガラス板122の替わりに、透明なガラス板にスクリーン印刷で蛍光色素膜を塗布した上に、真空蒸着法などでアルミニウム薄膜の陽極を形成させてもよい。
図16の平面照明装置206は、図7に示した電子放出装置と同様の構成であって、図15のITOガラス122と陰極160との間にグリッド140を追加した構成である。このように、平面照明装置200〜206は、薄板状であり、省電力で発光するため、建物の内壁材の一部として施工することも可能である。
図17の曲面照明装置208は、ITOガラス板122、グリッド140、陰極162、基板170が部分的に曲面を形成している。このように、電極などを曲面に形成することで照明装置の形状を自由に設計することが可能である。したがって、住宅などにおける照明装置の形状の自由度が高くなる。なお、蛍光色素膜130は、照明装置として多く用いられる白色蛍光色素が好ましいが、必要に応じて他の色の蛍光色素を選択してもよい。
図18の管状照明装置210は、横断面円形のいわゆる蛍光灯型の照明装置であって、図17の曲面照明装置208と基本的な構成は同じである。ITOガラス板が管状に形成されたガラス外囲器121は、内周面に陽極124が形成され、その上に蛍光色素膜130が形成されている。ガラス外囲器121の両端は、口金152,152によって密封され、密閉された空間180を真空状態に保持する。管状照明装置210の中心には長細い円柱状の電極棒172が配置され、電極棒172の両端は口金152,152に固定されている。電極棒172の外表面は陰極薄膜162で覆われ、さらに陰極薄膜162から所定の間隔を隔てて管状に配置されたグリッド140が電極棒172を取り囲んでいる。したがって、グリッド140と陰極薄膜162との間へ電圧を印加すると、電子放出材料で形成された陰極薄膜162の表面からグリッド140へ向かって放射状に電子を放出し、グリッド140の微小孔を通過した電子が蛍光色素膜130に当たって管全体が発光する。特に、管状照明装置210は、現行の蛍光灯と同様の形態でありながら、管内部に水銀を含んでおらず、リサイクル性のよい照明装置である。
以下、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1〜4、比較例1、2)
(1)サンプルの作製
(a)複合エラストマー(未架橋サンプル)の作製
第1の工程:ロール径が6インチのオープンロール(ロール温度10〜20℃)に、表1に示す所定量(100g)の天然ゴム(100重量部(phr))を投入して、ロールに巻き付かせた。
第2の工程:天然ゴムに対して表1に示す量(重量部)のマグネシウム粒子及びアルミニウム粒子を天然ゴムに投入した。このとき、ロール間隙を1.5mmとした。なお、投入したマグネシウム粒子及びアルミニウム粒子の詳細については後述する。
第3の工程:次に、マグネシウム粒子及びアルミニウム粒子を含む天然ゴムに対して表1に示す量(重量部)のカーボンナノファイバー(表1では「CNT」と記載する)を投入した。このとき、ロール間隙を1.5mmとした。
第4の工程:カーボンナノファイバーを投入し終わったら、天然ゴムとカーボンナノファイバーとの混合物をロールから取り出した。
第5の工程:ロール間隙を1.5mmから0.3mmと狭くして、混合物を投入して薄通しをした。このとき、2本のロールの表面速度比を1.1とした。薄通しは繰り返し10回行った。
第6の工程:ロールを所定の間隙(1.1mm)にセットして、薄通しした混合物を投入し、分出しした。
このようにして、実施例の複合エラストマー(未架橋サンプル)を得た。なお、実施例1において、マグネシウム粒子としては平均粒径50μmのマグネシウム粒子を用い、アルミニウム粒子としては平均粒径50μmの純アルミニウム粒子(99.7%がアルミニウム)を用いた。カーボンナノファイバーは、直径(繊維径)が約10〜20nmのものを用いた。
(b)電子放出材料の作製
前記(a)で得られた複合エラストマー(未架橋サンプル)を容器(炉)内に配置させ、アルミニウム塊(純アルミニウムインゴット)をその上に置き、不活性ガス(微量の酸素を含む窒素)雰囲気中でゆっくりとアルミニウムの融点(800℃)まで昇温し、加熱した。この昇温の過程において、まず、エラストマーの分解気化温度以上でエラストマーが分解気化し、次に、マグネシウムが気化し、さらに、アルミニウム塊が溶融した。アルミニウムの溶湯は、マグネシウムによってその表面が還元され、分解気化したエラストマーと置換するように複合エラストマーに浸透した。アルミニウムの溶湯を浸透させた後、これを自然放冷して凝固させ、電子放出材料を得た。このようにして得られた電子放出材料を精密カッター加工により20×20×1(厚さ)mmのサイズに切り出して、電子放出材料のサンプルとした。
比較例1は、同じサイズの純アルミニウム板を電子放出材料として用いた。比較例2は、純アルミニウムの陰極基板の表面にシリカをドープした窒化アルミニウム(表1ではSiドープAlNと記載した)をエミッタとした。
(c)電子放出装置の作製
前記(b)で得られた電子放出材料を陰極基板として設置し、ゲート電極を挟んでITOガラス基板を陰極基板に対向配置させた。ITOガラス基板の表面には、陽極及び蛍光体が形成された。陰極基板とガラス基板(蛍光体)の電極間隔は150μmとした。実施例1、2及び比較例1、2の電子放出材料の表面にはエッチングなどの加工を施さず、ゲート電極と対向する面全体をエミッタとした。実施例3の電子放出材料の表面はアルゴンイオンによって部分的にエッチングして、マトリクスのアルミニウム相の一部を除去した。実施例4の電子放出材料の表面は、#1500のサンドペーパで研磨して、1μmの研磨剤を用いてバフ研磨仕上げにより鏡面加工を行った。
(2)パルス法NMRを用いた測定
原料エラストマーの天然ゴムについて、パルス法NMRを用いてハーンエコー法による測定を行った。この測定は、日本電子(株)製「JMN−MU25」を用いて行った。測定は、観測核がH、共鳴周波数が25MHz、90゜パルス幅が2μsecの条件で行い、ハーンエコー法のパルスシーケンス(90゜x−Pi−180゜x)にて、Piをいろいろ変えて減衰曲線を測定した。また、サンプルは、磁場の適正範囲までサンプル管に挿入して測定した。測定温度は150℃であった。この測定によって、原料エラストマー単体の第1スピン−スピン緩和時間(T2n)と、第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)と、第2のスピン−スピン緩和時間を有する成分の成分分率(fnn)と、を求めた。なお、測定温度が30℃の場合における原料エラストマー単体の第1スピン−スピン緩和時間(T2n)についても求めた。測定結果を表1に示す。
(3)走査型電子顕微鏡による観察
実施例1の電子放出材料の電子顕微鏡(SEM)におけるカーボンナノファイバーの分散状態の観察では、カーボンナノファイバーの凝集はほとんど観察されず良好であった。
(4)周辺相の解析
実施例2の電子放出材料を、約1100℃で真空昇華処理したところ、マトリクスの一部が昇華した。図8は、真空昇華処理後の実施例2の電子放出材料を、電界放射走査型電子顕微鏡で撮影した写真である。真空昇華処理で昇華せずに残った周辺相の電子放出材料における重量%を表1に示した。
(4−1)示差走査熱量分析(DSC)
そこで、実施例2の電子放出材料を、示差走査熱量分析(DSC)したところ、融解したアルミニウム量は約64重量%であり、不融解分は約36重量%であった。したがって、真空昇華処理で昇華した物質はアルミニウムであり、昇華しなかった物質はカーボンナノファイバーと周辺相であることがわかった。
(4−2)X線回折による結晶構造の分析
実施例2の電子放出材料を、X線回折(XRD)によって結晶構造の分析を行なった。結晶成分として検出された成分は、ほとんどがアルミニウムであり、前記(4−1)で電子放出材料の約40重量%をしめる周辺相が結晶構造を有していない非晶質(アモルファス)相であることがわかった。
(4−3)電界放射走査型電子顕微鏡による元素分析
さらに、実施例2の電子放出材料を、電界放射走査型電子顕微鏡(FE−SEM)で観察し、照射点近傍の元素分析を行なった。電子放出材料の電界放射走査型電子顕微鏡による反射電子像を図9に示す。図9の左下から右上に延びる黒い部分(図9の002点)における元素分析結果を図10に示し、その周りの白いマトリクス(図9の001点)における元素分析結果を図11に示す。図11から白いマトリクス部分は、アルミニウムであることがわかった。また、図9の黒い部分が非晶質の周辺相であることがわかった。さらに、図10の元素分析結果から、非晶質の周辺相(黒い部分)は、アルミニウム、窒素及び酸素の各元素を有することがわかった。
(5)しきい値電界及び飽和電流密度の測定
実施例1〜4及び比較例1,2の電子放出材料のしきい値及び飽和電流密度を、前記(c)で作製した装置で測定した。しきい値の測定は、陽極と陰極の間に徐々に電圧をかけ、電子放出し始める電界(電圧/電極間距離)をしきい値電界とした。飽和電流密度は、陽極と陰極の間に徐々に電圧をかけ、電流密度がほぼ飽和状態になった値を飽和電流密度とした。測定結果を表1に示す。また、実施例2の電子放出特性を図12に示す。図12において、横軸は電極間における電界(V/μm)であり、縦軸は陰極から放出された電流密度(A/cm)である。
表1から、本発明の実施例1〜4によれば、以下のことが確認された。すなわち、本発明の実施例1〜4は、しきい値電界が3.5〜4.5(V/μm)と低く、特に電子放出材料の表面になんら加工を施さなくてもしきい値電界が低いことが確認された。また、実施例1〜4の電子放出材料の飽和電流密度は高く、良好な電子放出特性を有することがわかった。
図12から、本発明の実施例2によれば、3.8(V/μm)のしきい値から10(V/μm)辺りまで電流密度が急激に上昇し、3.8(V/μm)付近の低電圧でも高い電流密度が得られることがわかった。
本実施の形態で用いたオープンロール法によるエラストマーとカーボンナノファイバーとの混練法を模式的に示す図である。 本実施の形態にかかる複合エラストマーの一部を拡大して示す模式図である。 非加圧浸透法によって電子放出材料を製造する装置の概略構成図である。 非加圧浸透法によって電子放出材料を製造する装置の概略構成図である。 本実施の形態にかかる電子放出材料の一部を拡大して示す模式図である。 本実施の形態にかかる電子放出材料の一部を拡大して示す模式図である。 本実施の形態にかかる電子放出装置を用いたフィールド・エミッション・ディスプレイの構成を示す模式図である。 実施例2で得られた電子放出材料のアルミニウムを昇華させた後の電界放射走査型電子顕微鏡写真である。 実施例2で得られた電子放出材料の電界放射走査型電子顕微鏡による反射電子像を示す図である。 図9の002点における元素分析結果を示す図である。 図9の001点における元素分析結果を示す図である。 実施例2の電子放出材料の電子放出特性を示すグラフである。 本実施の形態にかかる平面照明装置の構成を示す模式図である。 本実施の形態にかかる平面照明装置の構成を示す模式図である。 本実施の形態にかかる平面照明装置の構成を示す模式図である。 本実施の形態にかかる平面照明装置の構成を示す模式図である。 本実施の形態にかかる曲面照明装置の構成を示す模式図である。 本実施の形態にかかる管状照明装置の構成を示す模式図である。
符号の説明
1 容器
2 減圧手段
3 注入手段
4 複合エラストマー
5 アルミニウム塊
6 電子放出材料
10 第1のロール
20 第2のロール
30 エラストマー
40 カーボンナノファイバー
41 粒子状の金属(マグネシウムなどの還元剤)
42 粒子状の金属(アルミニウムなどのマトリクス金属)
60 マトリクス
70 周辺相
80 ゲート電極
82 陰極基板
90 ガラス基板
92 陽極
94 蛍光体
100 フィールド・エミッション・ディスプレイ
120 ガラス板
121 ガラス外囲器
122 ITOガラス板
130 蛍光色素膜
140 グリッド
150 スペーサ
152 口金
160 陰極
162 陰極薄膜
170 基板
172 電極棒
180 真空状態の空間
200〜206 平面照明装置
208 曲面照明装置
210 管状照明装置

Claims (10)

  1. アルミニウムのマトリクス中に均一に分散されたカーボンナノファイバーと、該カーボンナノファイバーの周囲に形成された周辺相と、を含み、
    前記周辺相は、アルミニウムと窒素と酸素とからなる非晶質相と、窒化アルミニウムからなる結晶質相と、を含む、電子放出材料。
  2. 請求項1において、
    前記カーボンナノファイバーは、平均直径が0.5ないし500nmである、電子放出材料。
  3. 請求項1または2に記載の電子放出材料で形成された電極基板。
  4. 請求項において、
    前記電極基板の少なくとも一部がエミッタである、電極基板。
  5. 請求項1または2に記載の電子放出材料で形成された陰極と、
    前記陰極から所定の間隔をあけて配置された陽極と、
    前記陰極と前記陽極との間に配置されたゲート電極と、を具備する、電子放出装置。
  6. 請求項において、
    前記陰極の少なくとも一部がエミッタである、電子放出装置。
  7. 請求項またはに記載の電子放出装置と、
    蛍光体と、を有する、フィールド・エミッション・ディスプレイ。
  8. 請求項1または2に記載の電子放出材料で形成された陰極と、
    前記陰極から所定の間隔をあけて配置された蛍光色素膜が形成されたガラス板と、
    前記ガラス板と前記陰極との間に形成された陽極と、
    を具備する、照明装置。
  9. 請求項1または2に記載の電子放出材料で形成された陰極と、
    前記陰極の周囲に所定の間隔をあけて配置された蛍光色素膜が形成されたガラス外囲器と、
    前記ガラス外囲器と前記陰極との間に形成された陽極と、
    を具備する、照明装置。
  10. 請求項またはにおいて、
    前記陽極は、複数の微小孔が形成されたグリットを含む、照明装置。
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