JP2007082482A - プロアントシアニジン含有食品及びその製造法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 プロアントシアニジンを含有する飲食品に、レバウジオシドA及びステビオシドの2種の甘味料を好適な濃度で組み合わせて添加することにより、プロアントシアニジン由来の渋味・収斂味を顕著に低減させることができる。錠剤やカプセル剤の形態での摂取が困難な小児や高齢者であっても容易にプロアントシアニジンが摂取でき、また渋味が低減化されたプロアントシアニジン組成物を広く市場に提供することができる。
【選択図】なし
Description
なお上記の式は、理解を助けるために4−8位で縮合した場合だけを示している。これらは酸処理によりシアニジン、デルフィニジン、ペラルゴニジン等のアントシアニジンを生成するところから、この名称が与えられているものである。そして上記構成単位の2量体、3量体、4量体さらに10〜30量体以上の高分子のプロシアニジン、プロデルフィニジン、プロペラルゴニジン等のプロアントシアニジン及びそれらの立体異性体等を含むものである。
一方、タンニン系の「渋味食品」の代表格は柿渋タンニンであるが、古くより柿渋の脱渋方法として「焼酎・アルコール抜き」「湯抜き」「ドライアイス・炭酸ガス抜き」「灰汁抜き」などが知られている。
しかし、これらは柿果実の細胞に嫌気的呼吸をさせてアセトアルデヒドを発生させ、これが柿渋タンニンを重合させ、その結果タンニンが不溶性化することによる渋抜きであって、あらかじめ抽出した高濃度のプロアントシアニジンの渋味をこの方法により低減することは不可能である。
また、ステビオシドの添加量を多くして、プロアントシアニジンの渋味・収斂味をマスクしようとすると、ステビオシド由来の甘味の発現時間とプロアントシアニジン由来の渋味・収斂味の発現時間とが一致しないため、渋味・収斂味を十分にマスクすることができないばかりか甘味を感じる閾値を大きく越えてしまう。そのため、渋味・収斂味及び強い甘味を共に有してしまい、食品には向かない風味となってしまう問題点を有していた。
同様にプロアントシアニジンの渋味・収斂味をマスキングする目的で例えば砂糖を添加すると、砂糖の甘味の発現時間はプロアントシアニジンより早いため、甘味及び渋味・収斂味の両方が感じられてしまい食品には向かない風味となってしまう。
従って、プロアントシアニジンの量的な損失を伴わず、安価で効率よく、しかも安全な方法で渋味を低減する方法が求められている。
(1)プロアントシアニジン、レバウジオシドA及びステビオシドを含有し、レバウジオシドAとステビオシドとの重量比が
レバウジオシドA/ステビオシド=0.11〜0.21
の組成である飲食品。
(2)(レバウジオシドA重量+ステビオシド重量)/プロアントシアニジン重量=0.001〜0.1
の組成である(1)記載の飲食品。
(3)プロアントシアニジン濃度が200〜1,700ppmである(1)又は(2)記載の飲食品。
(4)少なくとも2種の甘味料(A)レバウジオシドA及び(B)ステビオシドを含有する茶飲料であって、甘味料の組成が、
(イ)(A)+(B)=1〜30ppm
(ロ)(A)=0.11〜6.3ppm
(ハ)(A)/(B)=0.11〜0.21
である(1)〜(3)記載の茶飲料。
(5)プロアントシアニジン、レバウジオシドA及びステビオシドを添加する飲食品の製造法であって、添加されるレバウジオシドAとステビオシドとの重量比が、
レバウジオシドA/ステビオシド=0.11〜0.21
の組成である飲食品の製造法。
(6)プロアントシアニジン、レバウジオシドA及びステビオシドが、
(レバウジオシドA重量+ステビオシド重量)/プロアントシアニジン重量=0.001〜0.1
の組成である(5)記載の飲食品の製造法。
(7)濃度が200〜1,700ppmとなるようにプロアントシアニジンを添加する、(5)又は(6)記載の飲食品の製造法。
1.本発明の飲食品
本発明の飲食品は、プロアントシアニジン、レバウジオシドA及びステビオシドを含有し、レバウジオシドAとステビオシドとの重量比が、レバウジオシドA/ステビオシド=0.11〜0.21の組成であることを特徴とする。
本発明の飲食品におけるプロアントシアニジン濃度は、当該飲食品の摂食の目的に応じて適宜設定すればよいが、例えば、200〜1,700ppm(プロアントシアニジン純品換算)である。
これら2種の甘味料は、南米原産のキク科植物ステビアに含まれており、これらはいかなる方法で得てもかまわないが、例えば和光純薬工業株式会社から購入することができる。
レバウジオシドAとステビオシドの甘味の発現時間は異なっているので、これら2種の甘味料を併用して、プロアントシアニジンの渋味・収斂味の発現時間と、甘味の発現時間をできるだけ一致させることができる。このため、プロアントシアニジンの渋味・収斂味の低減(以下「マスク」ともいう)が可能となる。
レバウジオシドAとステビオシドとの重量比が、ステビオシド1に対するレバウジオシドAの添加量比を0.11〜0.21、好ましくは0.13〜0.18の範囲になるように添加することより、プロアントシアニジンの渋味・収斂味発現時間とレバウジオシドA及びステビオシドの甘味発現時間を一致させることができ、効果的に渋味・収斂味を抑制することができる。
同様に、レバウジオシドAとステビオシドとの重量比において、ステビオシド1に対するレバウジオシドAの添加量比を0.11未満にすると、今度は甘味の発現時間が渋味・収斂味の発現時間より遅くなるために、前述と同様になる。従って、レバウジオシドA及びステビオシドの添加量比を0.11〜0.21の範囲になるように調製する必要がある。
レバウジオシドA及びステビオシドを上記の添加量でプロアントシアニジンを含有する抽出物又はプロアントシアニジンを含有させた又は含有する食品又は飲料に添加することにより効果的にプロアントシアニジン特有の渋味・収斂味を低減させることができるが、必要により砂糖、スクラロース、アセスルファカリウム、アスパルテーム、グリチルリチン、ソーマチン、モネリン、アリテーム、サッカリン、チクロ、ズルチン、異性化糖、ブドウ糖、果糖、乳糖、麦芽糖、キシロース、異性化乳糖、フラクトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、カップリングシュガー、パラチノース、マルチトール、エリスリトール、キシリトール、ラクチトール、還元パラチノース等の他の甘味料と組み合わせてさらに製品に甘味を持たせたり、味を調えることができる。
本発明の茶飲料は、プロアントシアニジン濃度が200〜1,700ppm(プロアントシアニジン純品換算)であり、かつ2種の甘味料(A)レバウジオシドA及び(B)ステビオシドを含有する茶飲料であって、甘味料の組成が、
(イ)(A)+(B)=1〜30ppm
(ロ)(A)=0.11〜6.3ppm
(ハ)(A)/(B)=0.11〜0.21
であることを特徴とする。
ここでいう茶飲料とは、特に限定されないが、例えば、緑茶、紅茶、烏龍茶、ほうじ茶及び麦茶等の茶飲料、並びにこれらの茶飲料が配合された酒類等である。
そこで、レバウジオシドAとステビオシドとの重量比においてステビオシド1に対するレバウジオシドAの添加量比を0.11〜0.21の範囲になるように配合することにより渋味・収斂味を低減させることができるが、緑茶、烏龍茶等、甘味を有さない風味が好まれる飲料の場合はレバウジオシドA及びステビオシドのトータルの配合量を、1〜30ppm(0.35〜10.5mg/350ml)好ましくは5〜20ppm(1.75〜7.0mg/350ml)にすることにより渋味・収斂味を大きく低減させ、かつ甘味を有さない、若しくは強くなりすぎない飲料を調製することが可能である。
また本発明は、プロアントシアニジン、レバウジオシドA及びステビオシドを添加する飲食品の製造法であって、添加されるレバウジオシドAとステビオシドとの重量比が、
レバウジオシドA/ステビオシド=0.11〜0.21
の組成である飲食品の製造法に関する。
プロアントシアニジンは、その濃度が200〜1,700ppmとなるように添加することが好ましい。また、甘味料とプロアントシアニジンの組成は以下であることが好ましい。
(レバウジオシドA重量+ステビオシド重量)/プロアントシアニジン重量=0.001〜0.1
プロアントシアニジン、レバウジオシドA及びステビオシドの飲食品への添加方法には制限がないが、例えば、1〜10%濃度のプロアントシアニジン水溶液へ、必要量のレバウジオシドA及びステビオシドを混合し、この混合液を飲食品に添加すればよい。
<渋味及びの尺度の設定>
本発明において、渋味の尺度は以下のようにして定めた。
渋味の強さを表す単位、尺度あるいは標準品が存在しないため、レバウジオシドA及びステビオシドを添加したプロアントシアニジン、並びにプロアントシアニジン、レバウジオシドA、及びステビオシドを添加した飲料を10人のパネラーを使って、官能評価し、渋味評価点を次の様に定めた。
{0点;渋味を感じない、1点;わずかに渋い、2点;渋い、3点;かなり渋い。}
同様に甘味の評価点を次の様に定めた。
{0点;甘味を感じない、1点;わずかに甘い、2点;甘い、3点;かなり甘い。}
プロアントシアニジンはブドウ種子抽出物(キッコーマン社製、「グラヴィノール−S」、プロアントシアニジン純度90%)を使用した。
市販キッコーマン社製烏龍茶にブドウ種子抽出物を350mlあたり333.3mg(プロアントシアニジン300mg/350ml)添加し、さらに種々の濃度比になるように調整したレバウジオシドA及びステビオシドの混合物を合計15ppm(3.5mg)の一定量を添加し、10人のパネラーを使って、渋味・収斂味及び甘味を官能評価した。評価試験の結果を図1に示す。
官能試験1の結果より、レバウジオシドAとステビオシドとの重量比においてステビオシド1に対するレバウジオシドAの配合比が0.11以上0.21以下のときに効果的に渋味・収斂味の発現が抑制され、かつ、添加した甘味料由来の甘味が抑制され甘味の官能評価に優れていることがわかる。また、配合比が0.11未満の場合若しくは0.21を超える場合には、渋味・収斂味の抑制効果は弱くなり、かつ、甘味が強く感じられ甘味の官能評価が劣っていることがわかる。このことから、レバウジオシドAとステビオシドとの重量比においてステビオシド1に対するレバウジオシドAの配合比が0.11未満の場合若しくは0.21を超える場合には烏龍茶、緑茶等の茶飲料には適さないことがわかる。
市販キッコーマン社製烏龍茶にブドウ種子抽出物を350mlあたり333mg(プロアントシアニジン300mg/350ml)添加し、さらにレバウジオシドA/ステビオシドの配合比が0.15であるレバウジオシドA及びステビオシドを飲料中で種々の濃度になるように(0〜45ppm、0〜15.8mg)添加し、10人のパネラーを使って渋味・収斂味及び甘味を官能評価した。評価試験の結果を図2に示す。
官能試験2の結果よりレバウジオシドA・ステビオシドの合計の配合量がおよそ1ppm以上のときに渋味・収斂味の発現を低減し、5以上で効果的低減していることがわかる。また、レバウジオシドAとステビオシドの合計配合量が30ppm(10.5mg/350ml)を超えると甘味が強くなりすぎる事がわかる。また、例えば、烏龍茶、緑茶等甘味が強すぎることが好まれない茶飲料に添加する場合には、甘味料由来の甘味が感じられにくい20ppm(7mg/350ml)以下でかつ渋味・収斂味を効果的に低減する5ppm以上のレバウジオシドAとステビオシド(1.75mg/350ml)の添加が好ましいことがわかる。また、甘味を有する風味が好まれるジュース等の飲料の場合、20ppm以上の添加が好ましい事がわかる。
市販キッコーマン社製ブドウ種子抽出物1.0gを水10mlに溶解し、そこにレバウジオシドA/ステビオシドの配合比が0.15であるレバウジオシドA及びステビオシドをプロアントシアニジンに対して種々の濃度比になるように(0〜0.14g)添加した。次に混合液を凍結乾燥に付し、得られた粉末を10人のパネラーを使って、渋味・収斂味及び甘味を官能評価した。評価試験の結果を図3に示す。
官能試験3の結果より、レバウジオシドA/ステビオシドの配合比が0.15で、プロアントシアニジンに対するレバウジオシドAとステビオシドの合計添加量の比((レバウジオシドA+ステビオシド)/プロアントシアニジン)が0.001以上のときに渋味・収斂味の発現が低減し、0.1以上では甘味の発現が強くなることがわかる。
(プロアントシアニジン入り烏龍茶)
90℃の熱水1Lに烏龍茶葉10gを添加し、5分間抽出を行い、得られた烏龍茶350mlあたりブドウ種子抽出物(キッコーマン社製:グラヴィノールS)333.3mg(プロアントシアニジン量300mg)、レバウジオシドA0.42mg、及びステビオシド2.8mgを添加し、さらに135℃で1分加熱する超高温殺菌を行い、PETボトルに充填することにより、渋味を低減させたプロアントシアニジン入り烏龍茶を得た。
50℃の温水1Lに緑茶10gを添加し、5分間抽出を行い、得られた緑茶エキス350mlあたりブドウ種子抽出物(キッコーマン社製:グラヴィノールS)167mg(プロアントシアニジン量150mg)、レバウジオシドA0.42mg、及びステビオシド2.8mgを添加し、さらに135℃で1分加熱する超高温殺菌を行い、PETボトルに充填することにより、渋味を低減させたプロアントシアニジン入り緑茶を得た。
(経口用錠剤)
以下の配合で通常の方法で錠剤状の食品を製造した。
配合原料:
(1)ブドウ種子抽出物(プロアントシアニジン含量95%) 125.0mg
(2)水飴 100.0mg
(3)セルロース 12.5mg
(3)デキストリン 5.25mg
(4)グリセリン脂肪酸エステル 6.0mg
(5)レバウジオシドA 0.17mg
(6)ステビオシド 1.08mg
合計250.0mg
Claims (7)
- プロアントシアニジン、レバウジオシドA及びステビオシドを含有し、レバウジオシドAとステビオシドとの重量比が
レバウジオシドA/ステビオシド=0.11〜0.21
の組成である飲食品。 - (レバウジオシドA重量+ステビオシド重量)/プロアントシアニジン重量=0.001〜0.1
の組成である請求項1記載の飲食品。 - プロアントシアニジン濃度が200〜1,700ppmである請求項1又は2記載の飲食品。
- 少なくとも2種の甘味料(A)レバウジオシドA及び(B)ステビオシドを含有する茶飲料であって、甘味料の組成が、
(イ)(A)+(B)=1〜30ppm
(ロ)(A)=0.11〜6.3ppm
(ハ)(A)/(B)=0.11〜0.21
である請求項1〜3記載の茶飲料。 - プロアントシアニジン、レバウジオシドA及びステビオシドを添加する飲食品の製造法であって、添加されるレバウジオシドAとステビオシドとの重量比が、
レバウジオシドA/ステビオシド=0.11〜0.21
の組成である飲食品の製造法。 - プロアントシアニジン、レバウジオシドA及びステビオシドが、
(レバウジオシドA重量+ステビオシド重量)/プロアントシアニジン重量=0.001〜0.1
の組成である請求項5記載の飲食品の製造法。 - 濃度が200〜1,700ppmとなるようにプロアントシアニジンを添加する、請求項5又は6記載の飲食品の製造法。
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