JP2007076099A - 端末被覆樹脂製品の製造方法 - Google Patents

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泰憲 清
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Abstract

【課題】 反応射出成形でも、樹脂基材の表面から端末の裏面まで至る表皮材を成形することができる端末被覆樹脂製品の製造方法を提供する。
【解決手段】 樹脂基材2の裏面2b側の第2金型8に、喰切部を形成する耐熱弾性シール部材11を備え、樹脂基材2の射出空間15に表面2a側から反応射出成形材料16を注入することにより、樹脂基材2を耐熱弾性シール部材11側に押付けて耐熱弾性シール部材11を圧縮させるため、耐熱弾性シール部材11によるシールが確実となり、反応射出成形材料16の粘性が低くても、耐熱弾性シール部材11と樹脂基材2との間から反応射出成形材料16が漏れ出すことはない。従って、反応射出成形でも、樹脂基材2の表面2aから端末4の裏面2bまで至る表皮材6を成形することができる。
【選択図】 図5

Description

本発明は、端末被覆樹脂製品の製造方法に関するものである。
例えば、車両用内装材等の樹脂製品は、樹脂基材の表面又は裏面に、ポリウレタン等による表皮材を形成し、樹脂部品の加飾性と触感性を向上させている。このような表皮材は、予め成形した樹脂基材を、一対の金型内に配置して、樹脂基材の表面又は裏面側に形成した射出空間内に、表皮材用のポリウレタン原料等を注入して成形している。
ポリウレタン原料等は、一般的な溶融樹脂とは異り、反応射出成形材料として、2種のモノマーを金型内に混合射出し、重合反応を起こさせると同時に発泡させて、発泡成形品を得るRIM成形法(反応射出成形法)が採用される。このRIM成形による反応射出成形材料は、一般的な溶融樹脂に比べて粘性が低いため、樹脂基材の表面又は裏面において表皮材の境界となる喰切部は、一方の金型に形成した突起と、他方の金型に形成した耐熱シール部材とで、樹脂基材の同じ部位を表裏で挟持し、反応射出成形材料の漏れを防止していた(例えば、特許文献1参照。)。
特許第2779394号公報
しかしながら、このような従来の技術にあっては、樹脂基材の同じ部位を、金型の突起と耐熱シール部材とで挟持する構造のため、樹脂基材の表裏の喰切部が同じ位置となり、樹脂基材の表裏の同じ領域にしか表面を形成することができない。従って、樹脂基材の表面には喰切部がなく、裏面だけに喰切部があるような場合、すなわち、樹脂基材の表面全体から端末を巻き込んで裏面の一部へ至る表皮材が形成された端末被覆樹脂製品を成形することができない。
本発明は、このような従来の技術に着目してなされたものであり、反応射出成形でも、樹脂基材の表面から端末の裏面まで至る表皮材を成形することができる端末被覆樹脂製品の製造方法を提供するものである。
請求項1記載の発明は、予め成形された樹脂基材を、表面側の第1金型と、裏面側の第2金型の内部に配置して、樹脂基材の表面から端末の裏面まで至る射出空間を形成し、第2金型の樹脂基材の裏面における喰切部に相当する部分に、耐熱弾性シール部材を第2金型の内面から突出した状態で備え、反応射出成形材料を樹脂基材の表面側から射出空間内に注入して、該反応射出成形材料の注入圧により樹脂基材を耐熱弾性シール部材に押付けて耐熱弾性シール部材を圧縮させながら、該耐熱弾性シール部材にて区切られた喰切部まで反応射出成形材料を射出空間内で反応成形させ、反応射出成形材料による表皮材を樹脂基材の表面から端末の裏面の喰切部まで一体的に成形することを特徴とする。
請求項2記載の発明は、第2金型における耐熱弾性シール部材よりも内側部位に、反応射出成形材料の注入圧により樹脂基材が耐熱弾性シール部材側に押された際に、樹脂基材の裏面が当接して射出空間を正規の寸法に規定する当接面を形成したことを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、樹脂基材の裏面側の第2金型に、喰切部を形成する耐熱弾性シール部材を備え、樹脂基材の射出空間に表面側から反応射出成形材料を注入することにより、樹脂基材を耐熱弾性シール部材側に押付けて耐熱弾性シール部材を圧縮させるため、耐熱弾性シール部材によるシールが確実となり、反応射出成形材料の粘性が低くても、耐熱弾性シール部材と樹脂基材との間から反応射出成形材料が漏れ出すことはない。従って、反応射出成形でも、樹脂基材の表面から端末の裏面まで至る表皮材を確実に成形することができる。
請求項2記載の発明によれば、反応射出成形材料の注入圧により押された樹脂基材が、第2金型の当接面に当接するため、樹脂基材が第1金型と第2金型の内部で安定すると共に、射出空間が正規の寸法に規定されるため、正規厚さの表皮材を正確に成形することができる。
本発明は、反応射出成形でも、樹脂基材の表面から端末の裏面まで至る表皮材を成形することができる端末被覆樹脂製品の製造方法を提供するという目的を、予め成形された樹脂基材を、表面側の第1金型と、裏面側の第2金型の内部に配置して、樹脂基材の表面から端末の裏面まで至る射出空間を形成し、第2金型の樹脂基材の裏面における喰切部に相当する部分に、耐熱弾性シール部材を第2金型の内面から突出した状態で備え、反応射出成形材料を樹脂基材の表面側から射出空間内に注入して、該反応射出成形材料の注入圧により樹脂基材を耐熱弾性シール部材に押付けて耐熱弾性シール部材を圧縮させながら、該耐熱弾性シール部材にて区切られた喰切部まで反応射出成形材料を射出空間内で反応成形させ、反応射出成形材料による表皮材を樹脂基材の表面から端末の裏面の喰切部まで一体的に成形することで、実現した。以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1〜図15は、本発明の第1実施例を示す図である。尚、図は構造を簡略化して表している。
この実施例に係る樹脂製品1は、樹脂基材2を主要部としている。樹脂基材2には開口3が形成され、一方の端末4は通常カット端で、他方の端末5は一段低く形成されている。樹脂基材2の表面2aには、開口3を除き全面に発泡ポリウレタン製の表皮材6が加飾及び触感向上のために一体形成されている。
また、表皮材6は一方の端末4を巻き込んだ状態で、樹脂基材2の裏面2bの一部にまで形成されている。他方の端末5は表面2a側のエッジ部5eまでしか表皮材6が形成されていない。開口3部分では、裏面2b側のエッジ部3eまでしか表皮材6が形成されていない。表皮材6の表面には成形時のバリアコート(型内コーティング)が表皮材6の色調及び機能対応のために形成されている。
次に、この樹脂製品1の製造方法を説明する。製造には、表面側の第1金型7と、裏面側の第2金型8が使用される。第1金型7の内面には開口3を形成するための凸部9も形成され、内面全体にスプレーによるバリアコート10が塗布されている。
第2金型8の内面には、一方の端末4の裏面2bの喰切部を規定する耐熱弾性シール部材11と、他方の端末5のエッジ部5eの喰切部を規定する耐熱弾性シール部材12と、開口3のエッジ部3eの喰切部を形成する耐熱弾性シール部材13が、それぞれ内面から突出した状態で設けられている。各耐熱弾性シール部材11、12、13は発泡シリコンゴム(無発泡シリコンゴムでも可)で形成されている。第2金型8の内面における耐熱弾性シール部材11、12の内側部位には若干高い当接面14が形成されている。
まず、予め成型された樹脂基材2を第2金型8内にセットする。樹脂基材2は各耐熱弾性シール部材11、12、13の上に乗った状態となる(図3、図8、図12参照)。他方の端末5は耐熱弾性シール部材12の一部に乗るため、少し沈んだ状態となる(図8参照)。
次に、第2金型8に対して第1金型7を型閉めする(図4、図9、図13参照)。そうすることにより、第1金型7と第2金型8の内部に、樹脂基材2の開口3を除く表面2a側全体と、一方の端末4を巻き込んで裏面2bの耐熱弾性シール部材11にて区切られた喰切部まで、射出空間15が形成される。
そして、その射出空間15に、樹脂基材2の表面2a側から、図示せぬインジェクションノズルより、反応射出成形材料16を注入する(図4参照)。反応射出成形材料16が射出空間15内に注入されると、その注入圧により、樹脂基材2が下に押され、各耐熱弾性シール部材11、12、13が圧縮されると共に、樹脂基材2の耐熱弾性シール部材11、12よりも内側の裏面2bが、第2金型8の当接面14に当接する。樹脂基材2の裏面2bが当接面14に当接することにより、樹脂基材2が第1金型7及び第2金型8の内部で安定すると共に、射出空間15が正規寸法に規定される。
樹脂基材2の表面2a側の射出空間15に注入された反応射出成形材料16は、一方の端末4から裏面2bに回り込み、耐熱弾性シール部材11に区画された喰切部まで充填される。樹脂基材2の裏面2bと耐熱弾性シール部材11とが、該耐熱弾性シール部材11の弾性反力により密着しているため、その間に反応射出成形材料16が漏れ出すことはない(図5参照)。
他方の端末5においても、耐熱弾性シール部材12が、第1金型7の内面のエッジ部5eに対応する角部17に圧縮した状態で密着しているため、その間から反応射出成形材料16が漏れ出すことはない(図10参照)。
更に、開口3において、開口3のエッジ部3eに対応する第1金型7の内面の凸部9の角部9aに耐熱弾性シール部材13が圧縮した状態で密着しているため、その間から反応射出成形材料16が漏れ出すことはない(図14参照)。
射出空間15内では、反応射出成形材料16が重合反応を起こすと同時に発泡して表皮材6が形成される。表皮材6の成形後、第1金型7を開いて、樹脂基材2に表皮材6が一体形成された樹脂製品1を取り出す(図6、図11、図15参照)。樹脂基材2に形成された表皮材6は、樹脂基材2と当接面14の当接により、射出空間15が正規寸法に規定されているため、正規厚さで正確に形成されている。
樹脂製品1では、表皮材6が一方の端末4の裏面2bまで確実に巻き込んだ状態で形成されている。また、他方の端末5では、表皮材6がエッジ部5eに確実に対応した位置まで形成されている。開口3でも、表皮材6がエッジ部3eに確実に対応した位置まで形成されている。
そして、表皮材6の表面には、第1金型7の内面に予め型内コーティングしたバリアコート10が転写された状態で形成されている。バリアコート10は一方の端末4に対応する部分は全てがそのまま転写されているが、他方の端末5や、開口3に対応する部分では、第1金型7を型閉めする際に、第1金型7のエッジ部5e、3eに対応する角部17,9aがそれぞれ耐熱弾性シール部材12、13を圧縮し、その弾性反力がエッジ部5e、3eに対応するバリアコート10に加わることで、バリアコート10の不要部分が切断され、必要な部分のバリアコート10だけが表皮材6の表面に転写形成されることとなる。従って、成形後に不要なバリアコート10を取り除く作業を行わずに済み、作業性が大幅に改善される。
この実施例によれば、以上説明したように、樹脂基材2の裏面2b側の第2金型8に、喰切部を形成する耐熱弾性シール部材11を備え、樹脂基材2の射出空間15に表面2a側から反応射出成形材料16を注入することにより、樹脂基材2を耐熱弾性シール部材11側に押付けて耐熱弾性シール部材11を圧縮させるため、耐熱弾性シール部材11によるシールが確実となり、反応射出成形材料16の粘性が低くても、耐熱弾性シール部材11と樹脂基材2との間から反応射出成形材料16が漏れ出すことはない。従って、反応射出成形でも、樹脂基材2の表面2aから端末4の裏面2bまで至る表皮材6を成形することができる。
図16及び図17は、本発明の第2実施例を示す図である。先の実施例と共通する部分には、同一の符号を用いて説明する。
この実施例は、バリアコート18の塗膜強度が強く、開口3に対応する耐熱弾性シール部材13の弾性反力だけでは、開口3のエッジ部3eにおけるバリアコート18が切断されにくい場合の対応を説明するものである。
そのような場合には、第1金型7の凸部9の底面に凸部9よりも若干張り出した状態のプレート19を予め固定する。このプレート19は耐熱弾性シール部材12の弾性反力により撓む強度を有する。バリアコート18の形成は、図16に示すように、プレート19の下側からスプレーにより行う。プレート19が凸部9から張り出していることにより、プレート19の周囲にはバリアコート18の無い隙間S(又は極端に薄い部分)が形成される。従って、バリアコート18の塗膜強度に対して、耐熱弾性シール部材13の弾性反力が相対的に弱くても、不要な部分のバリアコート18は確実に切断され、必要な部分のバリアコート18だけが転写される。
仮に、バリアコート18の形成時に隙間Sが形成されず、プレート19の周囲に薄いバリアコート18が形成されたとしても、プレート19が耐熱弾性シール部材12の弾性反力により撓むことで、その薄いバリアコート18は切断されることになる。
以上の実施例では、一方の端末4だけ表皮材6を裏面2bまで巻き込む例を示したが、全ての端末を巻き込むようにしても良い。耐熱弾性シール部材11、12、13を発泡又は無発泡のシリコンゴムで形成する例を示したが、それに限定されない。
本発明の第1実施例に係る樹脂製品及び耐熱弾性シール部材を示す分解斜視図。 図1中矢示SA−SA線に沿う部分の金型による成形作業の初期状態を示す断面図。 樹脂基材をセットした状態を示す図2相当の断面図。 第1金型を第2金型に対して型閉めして、反応射出成形材料を注入する状態を示す図2相当の断面図。 反応射出成形材料による表皮材が成形された状態を示す図2相当の断面図。 型開きして樹脂製品を取り出した状態を示す図2相当の断面図。 図1中矢示SB−SB線に沿う部分の金型による成形作業の初期状態を示す断面図。 樹脂基材をセットした状態を示す図7相当の断面図。 第1金型を第2金型に対して型閉めして、反応射出成形材料を注入する状態を示す図7相当の断面図。 反応射出成形材料による表皮材が成形された状態を示す図7相当の断面図。 型開きして樹脂製品を取り出した状態を示す図7相当の断面図。 図1中矢示SC−SC線に沿う部分の金型へ樹脂基材をセットした状態を示す断面図。 第1金型を第2金型に対して型閉めして、反応射出成形材料を注入する状態を示す図12相当の断面図。 反応射出成形材料による表皮材が成形された状態を示す図12相当の断面図。 型開きして樹脂製品を取り出した状態を示す図12相当の断面図。 本発明の第2実施例に係る第1金型の内面にスプレーによりバリアコートを形成する途中状態を示す断面図。 バリアコートを形成した後の状態を示す図16相当の断面図。
符号の説明
1 樹脂製品
2 樹脂基材
2a 表面
2b 裏面
3 開口
4 一方の端末
5 他方の端末
6 表皮材
7 第1金型
8 第2金型
10、18 バリアコート
11、12、13 耐熱弾性シール部材
14 当接面
15 射出空間
16 反応射出成形材料
19 プレート
S 隙間

Claims (2)

  1. 予め成形された樹脂基材を、表面側の第1金型と、裏面側の第2金型の内部に配置して、樹脂基材の表面から端末の裏面まで至る射出空間を形成し、
    第2金型の樹脂基材の裏面における喰切部に相当する部分に、耐熱弾性シール部材を第2金型の内面から突出した状態で備え、
    反応射出成形材料を樹脂基材の表面側から射出空間内に注入して、該反応射出成形材料の注入圧により樹脂基材を耐熱弾性シール部材に押付けて耐熱弾性シール部材を圧縮させながら、該耐熱弾性シール部材にて区切られた喰切部まで反応射出成形材料を射出空間内で反応成形させ、反応射出成形材料による表皮材を樹脂基材の表面から端末の裏面の喰切部まで一体的に成形することを特徴とする端末被覆樹脂製品の製造方法。
  2. 請求項1記載の端末被覆樹脂製品の製造方法であって、
    第2金型における耐熱弾性シール部材よりも内側部位に、反応射出成形材料の注入圧により樹脂基材が耐熱弾性シール部材側に押された際に、樹脂基材の裏面が当接して射出空間を正規の寸法に規定する当接面を形成したことを特徴とする端末被覆樹脂製品の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010131828A (ja) * 2008-12-03 2010-06-17 Calsonic Kansei Corp 二層発泡成形方法および装置並びに二層発泡成形品
JP2019181905A (ja) * 2018-04-18 2019-10-24 ヤマハファインテック株式会社 インサート成形体の製造方法及びインサート成形体

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