JP2007073491A - 端子付アルミ電線及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アルミニウム製又はアルミニウム合金製の多数本の素線2から成る導線部7を絶縁体3で被覆して成るアルミ電線1の一端部を剥離して露出させた露出導線部7aの素線端部2aと、端子4とを、接続した接続構造を有する端子付アルミ電線に於けるものである。かつ、各素線端部2aは、延展性に富む電導被覆層6にて被覆されている。さらに、露出導線部7aの横断面形状を円形乃至略円形として端子4内に圧着保持されているものである。
【選択図】図1
Description
しかし、従来の銅製等の導線は、端子をかしめる(コーキング)するだけで十分に導通(導電)させることが可能であったが、アルミニウム製又はアルミニウム合金製の導線では、表面に酸化皮膜が形成されるので、導線と端子間の接触抵抗の増大により導通し難い(電気的接続を確保し難い)という欠点があった。特に、アルミ電線をバッテリーケーブルのように温度が上がる環境下で使用する場合は、酸化皮膜の形成が促進されて、酸化皮膜が厚くなって一層導通が困難になるという問題が生じていた。
なお、上記特許文献1の図3等には、複数本の素線を束ねた芯線部が端子に圧着された状態が示され、各素線の横断面形状までは図示されていないが、このようにカシメ加工した場合は各素線は当然横断面円形を維持できず変形して圧着保持されている。
本発明に係る端子付アルミ電線及びその製造方法によれば、露出導線部の横断面形状を円形乃至略円形に維持でき、かつ、各素線端部の横断面円形状を維持することができる。つまり、端子内で露出導線部の横断面形状と各素線端部の横断面形状が大きく変形しないので、各素線端部を覆う電導被覆層が割れたり剥がれたりすることがない。従って、端子をカシメ加工して接続した状態で、各素線端部が電導被覆層に覆われているので、露出導線部(各素線端部)と端子との接触面積を増大させて接触抵抗を低減することができると共に、各素線端部の表面(外面)に酸化皮膜が形成されるのを防止することができ、十分に導通性を確保して接続することができる。
言い換えれば、露出導線部(素線端部)と端子とを電導被覆層を介して機械的に強固に接続でき、かつ、電導被覆層が各素線端部の酸化皮膜の形成を防止して(接触抵抗を低減して)十分に導通性を確保して接続することができる。
さらに、高温環境下で使用されてもその導通性を長期間維持することができる。
まず、本発明に係る端子付アルミ電線について説明すると、図1〜図3に於て、1は自動車のバッテリーケーブルに使用されるアルミ電線であり、アルミニウム製又はアルミニウム合金製の多数本の素線2を撚り合わせた導線部(撚線)7を絶縁体3で被覆して成るものである。アルミ電線1の一端部は、絶縁体3が剥離され導線部7の一部が露出している。そして、露出させた露出導線部7aの各素線端部2aは、延展性に富む電導被覆層6にて被覆され、そして、端子4がカシメ加工され接続されている。9は端子4がカシメ加工されたカシメ加工部である。このように本発明に係る端子付アルミ電線は、アルミ電線1の端部に端子4が固着された接続構造を有する。
端子4は、スリーブ部10の外面からプレス機等により縮径塑性加工(カシメ加工)されたカシメ加工部9を有し、露出導線部7aをカシメ加工部9にて圧着保持している。
端子4の挿入孔5内では、露出導線部7aの横断面形状を円形乃至略円形として圧着保持されている。ここで略円形には、例えば、楕円形・レモン形等を含むものと定義する。 また、各素線端部2aは、横断面円形状を維持したまま端子4内に圧着保持されている。
図5に於て、容器17内に延展性に富んだ金属材11を溶融状態で入れ、予めアルミ電線1の一端部の絶縁体3を剥離して露出した露出導線部7aを、挿入孔5内の溶融金属材11に没入させ引き抜いて、露出導線部7aの各素線端部2aを被覆するように溶融金属材11を付着させる。付着した溶融金属材11が固化後、図6に示すように、端子4のスリーブ部10の挿入孔5内に露出導線部7aを挿入する。また、露出導線部7aを挿入孔5内に挿入した状態でのスリーブ部10及び露出導線部7aの横断面図を、図7の(A)に示す。
図8に示すように、挿入孔5の開口部14が上方を向くように有底円筒状のスリーブ部10(端子4)を鉛直方向縦向きに配置し、挿入孔5内に延展性に富む金属材11を溶融状態で所定量注入する。或いは、挿入孔5内で金属材11を溶融してもよい。そして、予めアルミ電線1の一端部の絶縁体3を剥離して露出させた露出導線部7aを、図9に示すように、挿入孔5内の溶融金属材11へ埋入する。この露出導線部7aを溶融金属材11内へ埋入した状態では、溶融金属材11は露出導線部7aの各素線端部2aの間に入り込んで、図10の(B)に示す横断面図のようになっている。
また、この矢印Pと矢印Qで示す押圧力は、図10の(A)に示すように、露出導線部7aが溶融金属材11に埋入した部位に対応するスリーブ部10の外面に付与される。
そして、端子4が露出導線部7aを圧着保持する際、露出導線部7aの横断面形状は円形乃至略円形に維持され、かつ、各素線端部2aの横断面円形状は維持される。その後、溶融した金属材11は固化し、各素線端部2aの外面に延展性に富む金属材11から成る電導被覆層6が形成される。
また、各図に示すアルミ電線1の一端部の絶縁体3を剥離して露出した露出導線部7aには、予め延展性に富む金属材11が付着され、その金属材11は露出導線部7aの各素線端部2aの間にも介在している。
具体的には、アルミ電線1の種類は38SQと50SQの2種類を用意し、38SQのアルミ電線1は、以下(i)〜(iv)に示す4種類の端子付アルミ電線のサンプルを作製した。また、50SQのアルミ電線1は、以下(v)〜(vii)に示す3種類の端子付アルミ電線のサンプルを作製した。
〔アルミ電線が38SQの場合の端子付アルミ電線〕
(i) 本発明の接続構造にて接続した。
(ii) 図12に示す比較例(比較例1)の接続構造にて接続した。
(iii) 図13に示す比較例(比較例2)の接続構造にて接続した。
(iv) 図14に示す比較例(比較例3)の接続構造にて接続した。
〔アルミ電線が50SQの場合の端子付アルミ電線〕
(v) 本発明の接続構造にて接続した。
(vi) 図12に示す比較例(比較例1)の接続構造にて接続した。
(vii) 図14に示す比較例(比較例3)の接続構造にて接続した。
なお、(i)〜(vii)の全ての各素線端部2aには金属材11を付着させている。また、金属材11の素材は、Sn系やZn系などアルミ用ハンダを使用した。
それぞれの試験結果を下記の表1〜5に示す。
また、50SQのアルミ電線1を使用した場合の表4に於て、(v)〜(vii)の各サンプルの接触抵抗値の平均値を比較すると、本発明の端子付アルミ電線を用いた(v)のサンプルの平均値(0.03mΩ)が他のサンプルの平均値に比べ最も小さい値を示した。
表5に示されている試験前(加熱前)の(i)と(iv)のサンプルの接触抵抗値のデータは、加熱後の接触抵抗値との比較のため上記表3と同じデータを表示したものである。なお、所定時間経過後の接触抵抗値に関しては、上述の通り、(i)のサンプルの測定値及びその平均値は、(iv)のサンプルの値に比べ小さい。
そして、(i)と(iv)のサンプルを120 ℃で200 時間加熱後、接触抵抗値を測定した場合は、例えば、(iv)のサンプルでは、加熱前(試験前)の値0.09mΩから120 ℃×200時間の加熱後0.43mΩと著しく増加した。
一方、(i)のサンプルでは、加熱前(試験前)の値0.03mΩが、120 ℃×1000時間の加熱後でも0.04mΩであり、0.01mΩというわずかな増加を示しただけであった。
言い換えれば、素線端部2aと端子4とを電導被覆層6を介して機械的に強固に接続でき、かつ、電導被覆層6が各素線端部2aの酸化皮膜の形成を防止して(接触抵抗を低減して)十分に導通性を確保して接続することができる。
さらに、高温環境下で使用されてもその導通性を長期間維持することができる。
さらに、高温環境下で使用されてもその導通性を長期間維持することができる。
言い換えれば、素線端部2aと端子4とを電導被覆層6を介して機械的に強固に接続でき、かつ、電導被覆層6が各素線端部2aの酸化皮膜の形成を防止して(接触抵抗を低減して)十分に導通性を確保して接続することができる。
さらに、高温環境下で使用されてもその導通性を長期間維持することができる。
また、端子4が露出導線部7aの外周のほぼ全面に渡って均等な押圧力を付与して保持することができ、電導被覆層6を破損させずに機械的に強固に接続することができる。また、その接続を簡単かつ迅速に行うことができる。
言い換えれば、素線端部2aと端子4とを電導被覆層6を介して機械的に強固に接続でき、かつ、電導被覆層6が各素線端部2aの酸化皮膜の形成を防止して(接触抵抗を低減して)十分に導通性を確保して接続することができる。
さらに、高温環境下で使用されてもその導通性を長期間維持することができる。
また、端子4が露出導線部7aの外周のほぼ全面に渡って均等な押圧力を付与して保持することができ、電導被覆層6を破損させずに機械的に強固に接続することができる。また、その接続を簡単かつ迅速に行うことができる。
言い換えれば、素線端部2aと端子4とを電導被覆層6を介して機械的に強固に接続でき、かつ、電導被覆層6が各素線端部2aの酸化皮膜の形成を防止して(接触抵抗を低減して)十分に導通性を確保して接続することができる。
さらに、高温環境下で使用されてもその導通性を長期間維持することができる。
2 素線
2a 素線端部
3 絶縁体
4 端子
5 挿入孔
6 電導被覆層
7 導線部
7a 露出導線部
8 圧着折返外鍔部
9 カシメ加工部
10 スリーブ部
11 金属材
Claims (6)
- アルミニウム製又はアルミニウム合金製の多数本の素線(2)から成る導線部(7)を絶縁体(3)で被覆して成るアルミ電線(1)の一端部を剥離して露出させた露出導線部(7a)の素線端部(2a)と、端子(4)とを、接続した接続構造を有する端子付アルミ電線に於て、
上記各素線端部(2a)は、延展性に富む電導被覆層(6)にて被覆され、上記露出導線部(7a)の横断面形状を円形乃至略円形として上記端子(4)内に圧着保持されていることを特徴とする端子付アルミ電線。 - アルミニウム製又はアルミニウム合金製の多数本の素線(2)から成る導線部(7)を絶縁体(3)で被覆して成るアルミ電線(1)の一端部を剥離して露出させた露出導線部(7a)の素線端部(2a)と、端子(4)とを、接続した接続構造を有する端子付アルミ電線に於て、
上記各素線端部(2a)は、延展性に富む電導被覆層(6)にて被覆され、各素線端部(2a)の横断面円形状を維持したまま上記端子(4)内に圧着保持されていることを特徴とする端子付アルミ電線。 - アルミニウム製又はアルミニウム合金製の多数本の素線(2)から成る導線部(7)を絶縁体(3)で被覆して成るアルミ電線(1)の一端部を剥離して露出させた露出導線部(7a)の素線端部(2a)と、端子(4)とを、接続した接続構造を有する端子付アルミ電線に於て、
上記各素線端部(2a)は、延展性に富む電導被覆層(6)にて被覆され、上記露出導線部(7a)の横断面形状を円形乃至略円形として、かつ、各素線端部(2a)の横断面円形状を維持したまま上記端子(4)内に圧着保持されていることを特徴とする端子付アルミ電線。 - 上記端子(4)は、上記露出導線部(7a)をカシメ加工部(9)にて圧着保持すると共に、該カシメ加工部(9)は、横断面形状が切れ目の無い閉環状であり、かつ、横断面 180°対称位置に圧着折返外鍔部(8)(8)を有する請求項1,2又は3記載の端子付アルミ電線。
- アルミニウム製又はアルミニウム合金製の多数本の素線(2)から成る導線部(7)を絶縁体(3)で被覆して成るアルミ電線(1)の一端部にて該絶縁体(3)を剥離して上記導線部(7)を露出させその露出導線部(7a)の素線端部(2a)に端子(4)を圧着保持させて接続する接続工程を備えた端子付アルミ電線の製造方法に於て、
上記各素線端部(2a)を被覆するように延展性に富む金属材(11)を付着させ、次に、上記端子(4)のスリーブ部(10)の挿入孔(5)内に上記露出導線部(7a)を挿入し、上記スリーブ部(10)の横断面 180°対称位置に圧着折返外鍔部(8)(8)が形成されるように縮径塑性加工して上記素線端部(2a)を圧着保持し、各素線端部(2a)の横断面円形状を維持しつつ上記各素線端部(2a)の外面に延展性に富む金属材(11)から成る電導被覆層(6)を形成することを特徴とする端子付アルミ電線の製造方法。 - アルミニウム製又はアルミニウム合金製の多数本の素線(2)から成る導線部(7)を絶縁体(3)で被覆して成るアルミ電線(1)の一端部にて該絶縁体(3)を剥離して上記導線部(7)を露出させその露出導線部(7a)の素線端部(2a)に端子(4)を圧着保持させて接続する接続工程を備えた端子付アルミ電線の製造方法に於て、
上記端子(4)の有底円筒状のスリーブ部(10)の挿入孔(5)内に延展性に富む金属材(11)を溶融状態で注入し、又は、該挿入孔(5)内で延展性に富む金属材(11)を溶融し、次に、上記露出導線部(7a)を上記挿入孔(5)内に挿入して溶融した上記金属材(11)に上記各素線端部(2a)を埋入し、上記スリーブ部(10)の横断面 180°対称位置に圧着折返外鍔部(8)(8)が形成されるように縮径塑性加工して上記素線端部(2a)を圧着保持し、各素線端部(2a)の横断面円形状を維持しつつ上記各素線端部(2a)の外面に延展性に富む金属材(11)から成る電導被覆層(6)を形成することを特徴とする端子付アルミ電線の製造方法。
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