JP2007069432A - 多孔性薄葉支持体を有しない感熱孔版印刷原紙用ポリエステルフィルム - Google Patents

多孔性薄葉支持体を有しない感熱孔版印刷原紙用ポリエステルフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】 サーマルヘッド、あるいはハロゲンランプ、キセノンランプ、フラッシュランプ、レーザー光線等によって穿孔製版される感熱孔版印刷用原紙に用いられる、多孔性薄葉支持体を有しない感熱孔版印刷原紙用フィルムとして使用した場合に、穿孔感度、印刷時の解像度(階調性)、印字品位性、濃度、耐刷性(印刷耐久性)に優れるポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】 融点が140〜250℃のポリエステル樹脂からなる厚み2〜20μmの二軸延伸フィルムであって、下記式(1)および(2)を同時に満足することを特徴とする多孔性薄葉支持体を有しない感熱孔版印刷原紙用ポリエステルフィルム。
10≦S≦40 …(1)
100≦F≦600 …(2)
(上記式中、Sは100℃で3分処理後のフィルムの加熱収縮率(%)、Fは100℃で10秒処理後のフィルムの加熱収縮応力(g/mm)を表す)
【選択図】 なし

Description

本発明は、サーマルヘッド、あるいはハロゲンランプ、キセノンランプ、フラッシュランプ、レーザー光線等によって穿孔製版される感熱孔版印刷用原紙に用いられる、多孔性薄葉支持体を有しない感熱孔版印刷原紙用ポリエステルフィルムに関するものである。さらに詳しくは、本発明は、穿孔感度、印刷時の解像度(階調性)、印字品位性、濃度、耐刷性(印刷耐久性)に優れた多孔性薄葉支持体を有しない感熱孔版印刷原紙用ポリエステルフィルムに関する。
従来、感熱孔版印刷用原紙としては、ポリエステル等の熱可塑性樹脂フィルムに多孔性薄葉紙をラミネートしたものが知られている。また、感熱孔版印刷原紙用フィルムそのものを、多孔性薄葉支持体を用いないで感熱孔版印刷原紙として使用することが提案されている。これらの用途に用いられるフィルムには、以下のような特性が要求される。
(1)フィルム製造時および原紙作成時の取扱い性および生産性に優れていること。具体的には、フィルム製造時には、延伸性が良好で、破断等のトラブルを起こさず、また巻取性、スリット性も良好で、巻取時にシワが入ったり、巻きずれを起こしたりしないことが必要である。原紙作成時においても、フィルムの巻出しや、工程内でのフィルム走行等でのトラブルが発生しないことが必要である。
(2)多孔性薄葉紙とのラミネートおよび印刷時の作業に十分耐え得る強度、弾性率を有すること。また、かかるラミネート条件あるいは保存中の温湿度変化によりカールが生じないこと。カールが大きくなると、取り扱いおよび孔版印刷機内で原紙の搬送性が不良となり、原紙詰り等のトラブルが生じ大きな問題となる。
(3)熱穿孔感度が良いこと。すなわち、低エネルギーで溶融し、かつ、印刷時の画像が鮮明になるような適度な大きさの穿孔が得られるよう十分な熱収縮特性を有することが必要である。
(4)多数回製版時においても熱穿孔感度が低下しないこと。すなわち、離形層の界面活性剤やシリコーンオイル、フィルムの溶融カス等が感熱ヘッドの汚れとして付着しないことが必要である。
(5)印刷時の解像度、印字品位性及び濃度が良いこと。原紙として使用する際、穿孔されるべき部分以外が周囲の熱の影響で溶融や収縮してしまうと、印刷時の解像度、印字品位性及び濃度が劣るようになり、好ましくない。すなわち、穿孔部と未穿孔部とがはっきり区別できるような熱穿孔特性を有することが望まれる。従来、かかる用途に用いるフィルムとして、特許文献1、特許文献2、特許文献3等に種々提案されているが、上記課題を全て解決できるものでなかった。
特開昭63−312192号公報 特開平3−30996号公報 特開平6−320700号公報
本発明は上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、多孔性薄葉支持体を有しない感熱孔版印刷原紙用フィルムとして使用した場合に、穿孔感度、印刷時の解像度(階調性)、印字品位性、濃度、耐刷性(印刷耐久性)に優れるポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成を有するフィルムによれば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、融点が140〜250℃のポリエステル樹脂からなる厚み2〜20μmの二軸延伸フィルムであって、下記式(1)および(2)を同時に満足することを特徴とする多孔性薄葉支持体を有しない感熱孔版印刷原紙用ポリエステルフィルムに存する。
10≦S≦40 …(1)
100≦F≦600 …(2)
(上記式中、Sは100℃で3分処理後のフィルムの加熱収縮率(%)、Fは100℃で10秒処理後のフィルムの加熱収縮応力(g/mm)を表す)
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明でいうポリエステルを構成する二官能性酸成分は、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を主とするものであり、具体的にはテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、そのエステル形成誘導体としてはテレフタル酸ジメチル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルなどが挙げられ、これらの中でもテレフタル酸、テレフタル酸ジメチルが好ましい。また、ポリエステルを構成するグリコール成分としては、エチレングリコール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられ、これらの中でもエチレングリコール、ブチレングリコールが好ましい。
かかるポリエステルは、1種の芳香族ジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体と、1種のアルキレングリコールとを出発原料とするポリエステルでもよいが、2種以上の成分を含む共重合体であることが好ましい。共重合する成分として、上記のほかに、例えば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコールなどのジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸などのジカルボン酸成分、トリメリット酸、ピロメリット酸などが挙げられる。また、それぞれ単一成分で構成されるホモポリマー同士、ホモポリマーと2種以上の成分を含む共重合体および当該共重合体同士のブレンドポリエステルが好ましく、それらの中でもポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートとイソフタル酸を共重合成分とするポリエチレンテレフタレート共重合体とのブレンドポリエステルがさらに好ましい。
本発明の対象となるポリエステルフィルムの融点は、140〜250℃、好ましくは140〜245℃の範囲である。融点が250℃より高い場合には、感熱孔版印刷用原紙とした際の低エネルギーでの穿孔性が低下し、本発明の目的とする高度な穿孔感度が得られなくなる。一方、フィルムの融点が140℃未満では、フィルムの耐熱寸法安定性が悪化して原紙を製造する工程や、原紙の保存中にカールが発生したり、印刷画像の階調性が劣ったりする。また、本発明においては最も高い融点(Tm2)と最も低い融点(Tm1)との差は通常50℃未満、好ましくは30℃未満であるがTm1とTm2が同一であってもよい。温度差が50℃以上になると短時間で均一な穿孔が起こらず、印刷画像の階調性が劣るようになることがある。
本発明の対象となるフィルムの厚みは、2〜20μm、好ましくは3〜15μm、さらに好ましくは4〜12μmである。フィルム厚みが薄くなれば熱伝導距離が短縮され、穿孔時に必要な熱エネルギーも減少するため穿孔性が向上し、印刷時の解像度や印字品位性が向上するが、厚みが2μm未満では、フィルムの剛性が低下し、孔版用原紙とした際の搬送性が悪化するようになり、かつ耐刷性も著しく低下するようになり好ましくない。また、厚みが20μmを超えると、穿孔性が悪化するため印刷時にむらが生じるようになるため好ましくない。
本発明のフィルムの100℃で3分間処理後のフィルムの加熱収縮率(S)は、10〜40%、好ましくは10〜30%の範囲である。Sが10%未満では、穿孔感度が不足して印刷時の画像濃度が低下するようになるため好ましくない。また40%を超えると、穿孔むらや未穿孔部分におけるフィルムの収縮シワが生じやすくなるため好ましくない。
本発明のフィルムの100℃で10秒間処理後のフィルムの加熱収縮応力は、100〜600g/mm、好ましくは100〜550g/mmである。加熱収縮応力が100g/mm未満では、穿孔時に穴が広がる力が不足して、印刷時に鮮明な画像が得られるほどの十分な大きさを有する穿孔が得られなくなるため好ましくない。加熱収縮応力が600g/mmを超える場合は、太さむら、濃淡むら、あるいは寸法変化が生じやすい傾向がある。
なお、本発明において、製膜に供するポリエステル全量に対し、10重量%程度以下の他のポリマー(例えばポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリイミド等)を含有させることができる。また必要に応じ、酸化防止剤、熱安定剤、潤滑剤、帯電防止剤、染料、顔料等の添加剤を配合してもよい。上記の添加剤の配合方法は、特に限定されず、例えば、添加剤とポリエステルチップとを直接ブレンドする方法、添加剤を予めポリエステル中に高濃度に配合したマスターバッチチップを得、それを再度ポリエステルにブレンドする所謂マスターバッチ法などを採用することができる。
本発明のフィルムは、フィルム製造時の巻き上げ工程、マスター作成時のコーテング、および印刷時の作業性を向上させたり、あるいは、サーマルヘッドとフィルムとの融着を防止したりするため、フィルムに適度な滑り性を付与する。具体的には、表面を適度に粗面化するために、例えば平均粒径0.05〜3.0μm、粒度分布値(r)が1.5以下の微粒子を0.01〜3.0重量%、好ましくは0.1〜2.0重量%、フィルム中に含有させる。かかる微粒子の例として、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸リチウム、リン酸マグネシウム、フッ化リチウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化チタン、カオリン、タルク、カーボンブラック、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ゼオライト、セライトおよび特公昭59−5216号公報に記載されているような架橋高分子微粉体を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。この際、配合する微粒子は、単成分でもよく、また、2成分以上を同時に用いてもよい。2成分以上用いる場合は、それらの全体の平均粒径および含有量が上記した範囲内にあることが好ましい。用いる微粒子の平均粒径が0.05μm未満、または微粒子の含有量が0.01重量%未満である場合は、フィルム表面の粗面化が不足し、十分に効果が得られないことがある。また、平均粒径が3.0μmを超え粒度分布値(r)が1.5を超える場合や含有量が3.0重量%を超える場合には、フィルム表面の粗面化の度合いが大きすぎて熱伝達にムラが生じ、穿孔が不均一となり、解像度が劣ったり、印字品位性が損なわれたりすることがある。
原料ポリエステルに対する前記各粒子の配合方法は、特に限定されないが、例えば、ポリエステルの重合工程に各粒子を添加する方法または原料ポリエステルと各粒子を溶融混練する方法などが好適である。本発明で得られるフィルムは、作業性、印刷時の解像度、印字品位性、濃度などの特性を高度に満足させるため、中心線平均粗さ(Ra)が0.01〜0.30μmの範囲であることが好ましく、0.05〜0.20μmの範囲であることがさらに好ましい。Raが0.01μm未満の場合は、フィルムの巻き取り時にフィルムにシワが入りやすくなる傾向があり、また、Raが0.30μmを超える場合は、フィルム表面の平面性が損なわれ、熱伝達にムラが生じ、穿孔が不均一となり、解像度が劣り、印字品位性、濃度が損なわれる傾向がある。
また、本発明のフィルムは薄いフィルムであるため、フィルムの長手方向と幅方向の引張弾性率をともに通常2000MPa以上、好ましくは2500MPa以上とすることにより、取り扱い作業性や耐刷性がより良好となる。
次に、本発明のフィルムの製造方法について説明する。
本発明の感熱孔版印刷用ポリエステルフィルムは、まず、エクストルーダーに代表される周知の溶融押し出し機に原料ポリマーを供給し、当該ポリマーの融点以上の温度に加熱して溶融する。次いで、溶融したポリマーをスリット状のダイから押し出し、回転冷却ドラム上で急冷固化し、実質的に非晶状態の未延伸シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高める必要があり、本発明においては、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。
本発明においては、上記のようにして得られた未延伸シートを2軸方向に延伸してフィルム化する。具体的には、まず、ロールまたはテンター方式の延伸機により、前記未延伸シートを一方向に延伸する。この一段目において、延伸温度は、通常20〜120℃、好ましくは25〜100℃、延伸倍率は、通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜5.0倍とする。次に、テンター方式の延伸機により、一段目と直交する方向に延伸する。この二段目において、延伸温度は、通常20〜120℃、好ましくは25〜100℃、延伸倍率は、通常2.5〜7.0倍、好ましくは3.0〜5.0倍、さらに好ましくは4.0〜7.0倍とする。
一方向の延伸を2段階以上で行う方法も採用することができるが、その場合も最終的な延伸倍率が上記した範囲に入ることが好ましい。また、前記未延伸シートを面積倍率が10〜40倍になるように同時二軸延伸することも可能である。得られたフィルムの熱処理は、任意に行うことができ、また、必要に応じ、熱処理を行う前または後に再度縦および/または横方向に延伸してもよい。本発明においては、延伸後の熱処理を実質的に行わないか、または、熱処理を行う場合は次の条件を採用するのが好ましい。すなわち、熱処理温度は、通常130℃以下、好ましくは120℃以下とし、熱処理時間は1秒から5分間でフィルムを定長下または30%以内の伸長下のフィルムについて熱処理を行うことが好ましい。
また、本発明のポリエステルフィルムは、サーマルヘッド等との融着防止のため、片面あるいは両面にシリコーンオイル、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、界面活性剤、帯電防止剤、離型剤、有機粒子、無機粒子等を塗布することもできる。塗布方法は特に限定されないが、ロールコーター、グラビアコーター、リバースコーター、バーコーター等を用いて塗布するのが好ましい。また、塗布剤を設ける前に必要に応じて、塗布面に空気中その他種々の雰囲気中でコロナ放電処理等の活性化処理を施してもよい。
以上、詳述したように、本発明のポリエステルフィルムは、穿孔感度および印刷時の画像の解像度、印字品位性、濃度に優れた多孔性薄葉支持体を有しない感熱孔版印刷原紙用ポリエステルフィルムを得ることができ、本発明の工業的価値は高い。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、本発明で用いた物性測定法は以下のとおりである。
(1)融点(Tm)
パーキンエルマー製示差熱走査カロリーメーターDSC7型を用いて測定した。DSC測定条件は以下のとおりである。すなわち、試料フィルム6mgをDSC装置にセットし、300℃の温度で5分間溶融保持した後、液体窒素にて急冷した。急冷試料を0℃より10℃/分の速度で昇温し、融点(Tm)を検知した。
(2)加熱収縮率(S)
試料を無張力状態で100℃に保ったオーブン中、3分間熱処理し、その前後の試料長さを測定して次式にて熱収縮率を算出した。
S(%)={(L0−L1)/L0}X100
上記式中、L0は熱処理前のサンプル長、L1は熱処理後のサンプル長をそれぞれ意味し、フィルム縦方向と横方向に5点ずつ測定し、平均値を求めた。
(3)加熱収縮応力(F)
フィルムを幅10mmの短冊状に切り出し、一端を荷重検出器のチャックに、もう一方を固定チャックにセットし、チャック間は50mmとした。初期荷重をかけない状態でフィルムを100℃のオイルバス中に浸漬し、浸漬開始から10秒後の応力値を測定した。浸漬前のフィルム断面積から加熱収縮応力(g/mm)を算出した。フィルム縦方向と横方向に5点ずつ測定し、平均値を求めた。
(4)微粒子の平均粒径及び粒度分布値
(株)島津製作所製遠心沈降式粒度分布測定装置SA−CP3型を用いてストークスの抵抗則に基づく沈降法によって粒子の大きさを測定した。測定により得られた粒子の等価球形分布における積算(体積基準)50%の値を用いて平均粒径とした。なお、粒度分布値(r)は下記式から算出した。
粒度分布値(r)=d25/d75
(上記式中、d25、d75は、粒子群の積算体積を大粒子側から計測し、それぞれの総体積の25%、75%に相当する粒径(μm)を示す)
(5)中心線平均粗さ(Ra)
日本工業規格JIS B0601に記載されている方法に従い、(株)小坂研究所製表面粗さ測定機(SE−3F)を用いて、中心線平均粗さ(Ra)を求めた。なお、触針の先端半径は2μm、荷重は30mgとし、カットオフ値は0.08mmとした。
(6)感熱孔版印刷原紙実用特性(穿孔感度)
上記方法にて作成した孔版印刷用原紙をサーマルヘッドにより、印加エネルギー0.09mJおよび0.12mJにて文字画像および16階調画像を製版した。製版された原紙のフィルム側から顕微鏡で階調画像部の穿孔状態を観察して以下の4段階に分けて評価した。
◎:所定の穿孔が確実に行われ、穿孔の大きさも十分であり非常に良好
○:所定の穿孔が確実に行われ、穿孔の大きさも十分であり良好
△:希に所定の穿孔が得られない部分や穿孔の大きさが不十分な部分があるが、実用は可能
×:所定の穿孔が得られない部分が数多くあり、穿孔の大きさも不十分であり、実用上支障がある
(7)感熱孔版印刷原紙実用特性(印字品位性)
感度測定で得た製版原紙を用い、理想科学工業(株)製リソグラフAP7200印刷機を用いて実際に印刷し、得られた文字、画像について、以下の3段階に分けて評価した。
◎:濃度のムラ、にじみが全くなく、鮮明に印字でき、非常に良好
○:濃度ムラ、にじみがなく、鮮明に印字でき良好
△:僅かに濃淡のムラ、にじみが認められ、やや鮮明さに欠ける
×:濃淡のムラ、あるいはにじみ、かすれがはっきり出ている
実施例1:
(ポリエステル−Aの製造)
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.09重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去と共に徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応の終了したこの反応混合物に平均粒径が1.1μm、粒度分布値(r)が1.2の球状架橋高分子粒子を1.0重量部を含有するエチレングリコールスラリー10重量部を添加し、エチルアシッドフォスフェート0.04部、三酸化アンチモン0.04部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、4時間を経た時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、ポリエステル−Aを製造した。
(ポリエステル−Bの製造)
テレフタル酸ジメチル100重量部、1,4−ブタンジオール56重量部、テトラブチルチタネート0.005重量部を反応機にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留出と共に反応温度を徐々に上昇させ、3時間後に210℃とした。4時間後実質的にエステル交換反応が終了したこの反応混合物にテトラブチルチタネート0.005重量部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を210℃から徐々に昇温し260℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、4時間を経た時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、ポリエステル−Bを製造した。
(ポリエステル−Cの製造)
ポリエステルの製造−Aにおいてテレフタル酸ジメチル100重量部の替わりにテレフタル酸ジメチル78重量部、イソフタル酸ジメチル22重量部とする以外はポリエステルの製造−Aと同様の方法でポリエステル−Cを得た。
(ポリエステルフィルムの製造及び孔版印刷用原紙の作成)
ポリエステル−A 10重量部とポリエステル−B 45重量部とポリエステル−C 45重量部とを均一にブレンドし、280℃にて押出機よりシート状に押出し、表面温度を30℃に設定した回転冷却ドラムで静電印加冷却法を利用して急冷固化させ、厚み155μmの実質的に非晶質のシートを得た。得られたシートを縦方向に80℃で3.5倍、横方向に90℃で4.5倍に延伸し、さらに100℃で6秒間熱処理を施し、厚み10μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムに熱融着防止層としてシリコーン系エマルジョン(KM768 信越化学工業製)をワイヤーバーで塗布して孔版印刷用原紙を作成し、評価を行った。
実施例2:
ポリエステル−A 10重量部とポリエステル−C 90重量部とを均一にブレンドし、275℃にて押出機よりシート状に押出した以外は、実施例1と同様の方法で感熱孔版印刷用原紙を作成、評価を実施した。
実施例3:
実施例1において、厚み118μmの実質的に非晶質のシートを得、当該シートを縦方向に80℃で3.0倍、横方向に90℃で4.0倍に延伸し、さらに100℃で6秒間熱処理を施し、厚み10μmの二軸配向フィルムを製造した以外は実施例1と同様の方法で感熱孔版用原紙を作成し、評価を行った。
実施例4:
実施例1において、厚み44μmの実質的に非晶質のシートを得、当該シートを縦方向に80℃で2.7倍、横方向に90℃で2.8倍に延伸し、さらに100℃で6秒間熱処理を施し、厚み6μmの二軸配向フィルムを製造した以外は実施例1と同様の方法で感熱孔版用原紙を作成し、評価を行った。
比較例1:
ポリエステル−Aを100重量部、押出機の温度を285℃、得られたシートを縦方向に85℃で3.5倍、横方向に95℃で4.5倍に延伸する以外は実施例1と同様の方法で感熱孔版印刷用原紙を作成、評価を実施した。
比較例2:
実施例1において145℃で6秒間処理した以外は実施例1と同様の方法で感熱孔版印刷用原紙を作成、評価を実施した。
比較例3:
実施例1において、厚み401μmの実質的に非晶質のシートを得、当該シートを縦方向に82℃で3.5倍、横方向に92℃で4.5倍に延伸し、さらに100℃で6秒間熱処理を施し、厚み26μmの二軸配向フィルムを製造した以外は実施例1と同様の方法で感熱孔版用原紙を作成し、評価を行った。
比較例4:
ポリエステル−A 70重量部とポリエステル−B 15重量部とポリエステル−C 15重量部とを均一にブレンドし、285℃にて押出機よりシート状に押出した以外は、実施例1と同様の方法で感熱孔版印刷用原紙を作成、評価を実施した。
Figure 2007069432
本発明のフィルムは、例えば、多孔性薄葉支持体を有しない感熱孔版印刷原紙用フィルムとして好適に利用することができる。

Claims (1)

  1. 融点が140〜250℃のポリエステル樹脂からなる厚み2〜20μmの二軸延伸フィルムであって、下記式(1)および(2)を同時に満足することを特徴とする多孔性薄葉支持体を有しない感熱孔版印刷原紙用ポリエステルフィルム。
    10≦S≦40 …(1)
    100≦F≦600 …(2)
    (上記式中、Sは100℃で3分処理後のフィルムの加熱収縮率(%)、Fは100℃で10秒処理後のフィルムの加熱収縮応力(g/mm)を表す)
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