以下、本発明を、電子写真方式の複写機(以下、単に複写機という)に適用した第1実施形態について説明する。
まず、本第1実施形態に係る複写機の基本的な構成について説明する。図1は、本複写機を示す概略構成図である。この複写機は、画像形成装置1と、白紙供給装置40と、原稿搬送読取ユニット50とを備えている。原稿搬送読取ユニット50は、画像形成装置1の上に固定された原稿読取装置たるスキャナ150と、これに支持される原稿搬送装置たるADF51とを有している。
白紙供給装置40は、ペーパーバンク41内に多段に配設された2つの給紙カセット42、給紙カセットから転写紙を送り出す送出ローラ43、送り出された転写紙を分離して給紙路44に供給する分離ローラ45等を有している。また、画像形成装置1の給紙路37に転写紙を搬送する複数の搬送ローラ47等も有している。そして、給紙カセット内の転写紙を画像形成装置1内の給紙路37内に給紙する。
図2は、画像形成装置の内部構成の一部を拡大して示す部分拡大構成図である。画像形成装置1は、光書込装置2や、K,Y,M,C色のトナー像を形成する4つのプロセスユニット3K,Y,M,C、転写ユニット24、紙搬送ユニット28、レジストローラ対33、定着装置34、スイッチバック装置36、給紙路37等を備えている。そして、光書込装置2内に配設された図示しないレーザーダイオードやLED等の光源を駆動して、ドラム状の4つの感光体4K,Y,M,Cに向けてレーザー光Lを照射する。この照射により、感光体4K,Y,M,Cの表面には静電潜像が形成され、この潜像は所定の現像プロセスを経由してトナー像に現像される。なお、符号の後に付されたK,Y,M,Cという添字は、ブラック,イエロー,マゼンタ,シアン用の仕様であることを示している。
プロセスユニット3K,Y,M,Cは、それぞれ、感光体とその周囲に配設される各種装置とを1つのユニットとして共通の支持体に支持するものであり、画像形成装置1本体に対して着脱可能になっている。ブラック用のプロセスユニット3Kを例にすると、これは、感光体4Kの他、これの表面に形成された静電潜像をブラックトナー像に現像するための現像装置6Kを有している。また、後述するK用の1次転写ニップを通過した後の感光体4K表面に付着している転写残トナーをクリーニングするドラムクリーニング装置15なども有している。本複写機では、4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cを、後述する中間転写ベルト25に対してその無端移動方向に沿って並べるように対向配設したいわゆるタンデム型の構成になっている。
図3は、4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cからなるタンデム部の一部を示す部分拡大図である。なお、4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cは、それぞれ使用するトナーの色が異なる他はほぼ同様の構成になっているので、同図においては各符号に付すK,Y,M,Cという添字を省略している。同図に示すように、プロセスユニット3は、感光体4の周りに、帯電装置23、現像装置6、ドラムクリーニング装置15、除電ランプ22等を有している。
感光体4としては、アルミニウム等の素管に、感光性を有する有機感光材の塗布による感光層を形成したドラム状のものを用いている。但し、無端ベルト状のものを用いても良い。
現像装置6は、図示しない磁性キャリアと非磁性トナーとを含有する二成分現像剤を用いて潜像を現像するようになっている。内部に収容している二成分現像剤を攪拌しながら搬送して現像スリーブ12に供給する攪拌部7と、現像スリーブ12に担持された二成分現像剤中のトナーを感光体4に転移させるための現像部11とを有している。
攪拌部7は、現像部11よりも低い位置に設けられており、互いに平行配設された2本の搬送スクリュウ8、これらスクリュウ間に設けられた仕切り板、現像ケース9の底面に設けられたトナー濃度センサ10などを有している。
現像部11は、現像ケース9の開口を通して感光体4に対向する現像スリーブ12、これの内部に回転不能に設けられたマグネットローラ13、現像スリーブ12に先端を接近させるドクタブレード14などを有している。現像スリーブ12は、非磁性の回転可能な筒状になっている。マグネットローラ12は、ドクタブレード14との対向位置からスリーブの回転方向に向けて順次並ぶ複数の磁極を有している。これら磁極は、それぞれスリーブ上の二成分現像剤に対して回転方向の所定位置で磁力を作用させる。これにより、攪拌部7から送られてくる二成分現像剤を現像スリーブ13表面に引き寄せて担持させるとともに、スリーブ表面上で磁力線に沿った磁気ブラシを形成する。
磁気ブラシは、現像スリーブ12の回転に伴ってドクタブレード14との対向位置を通過する際に適正な層厚に規制されてから、感光体4に対向する現像領域に搬送される。そして、現像スリーブ12に印加される現像バイアスと、感光体4の静電潜像との電位差によってトナーを静電潜像上に転移させて現像に寄与する。更に、現像スリーブ12の回転に伴って再び現像部11内に戻り、マグネットローラ13の磁極間に形成される反発磁界の影響によってスリーブ表面から離脱した後、攪拌部7内に戻される。攪拌部7内には、トナー濃度センサ10による検知結果に基づいて、二成分現像剤に適量のトナーが補給される。なお、現像装置6として、二成分現像剤を用いるものの代わりに、磁性キャリアを含まない一成分現像剤を用いるものを採用してもよい。
ドラムクリーニング装置15としては、ポリウレタンゴム製のクリーニングブレード16を感光体4に押し当てる方式のものを用いているが、他の方式のものを用いてもよい。クリーニング性を高める目的で、本例では、外周面を感光体4に接触させる接触導電性のファーブラシ17を、図中矢印方向に回転自在に有する方式のものを採用している。このファーブラシ17は、図示しない固形潤滑剤から潤滑剤を掻き取って微粉末にしながら感光体4表面に塗布する役割も兼ねている。ファーブラシ17にバイアスを印加する金属製の電界ローラ18を図中矢示方向に回転自在に設け、これにスクレーパ19の先端を押し当てている。ファーブラシ17に付着したトナーは、ファーブラシ17に対してカウンタ方向に接触して回転しながらバイアスが印加される電界ローラ18に転位する。そして、スクレーパ19によって電界ローラ18から掻き取られた後、回収スクリュウ20上に落下する。回収スクリュウ20は、回収トナーをドラムクリーニング装置15における図紙面と直交する方向の端部に向けて搬送して、外部のリサイクル搬送装置21に受け渡す。リサイクル搬送装置21は、受け渡されたトナーを現像装置15に送ってリサイクルする。
除電ランプ22は、光照射によって感光体4を除電する。除電された感光体4の表面は、帯電装置23によって一様に帯電せしめられた後、光書込装置2による光書込処理がなされる。なお、帯電装置23としては、帯電バイアスが印加される帯電ローラを感光体4に当接させながら回転させるものを用いている。感光体4に対して非接触で帯電処理を行うスコロトロンチャージャ等を用いてもよい。
先に示した図2において、4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cの感光体4K,Y,M,Cには、これまで説明してきたプロセスによってK,Y,M,Cトナー像が形成される。
4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cの下方には、転写ユニット24が配設されている。この転写ユニット24は、複数のローラによって張架した中間転写ベルト25を、感光体4K,Y,M,Cに当接させながら図中時計回り方向に無端移動させる。これにより、感光体4K,Y,M,Cと中間転写ベルト25とが当接するK,Y,M,C用の1次転写ニップが形成されている。K,Y,M,C用の1次転写ニップの近傍では、ベルトループ内側に配設された1次転写ローラ26K,Y,M,Cによって中間転写ベルト25を感光体4K,Y,M,Cに向けて押圧している。これら1次転写ローラ26K,Y,M,Cには、それぞれ図示しない電源によって1次転写バイアスが印加されている。これにより、K,Y,M,C用の1次転写ニップには、感光体4K,Y,M,C上のトナー像を中間転写ベルト25に向けて静電移動させる1次転写電界が形成されている。図中時計回り方向の無端移動に伴ってK,Y,M,C用の1次転写ニップを順次通過していく中間転写ベルト25のおもて面には、各1次転写ニップでトナー像が順次重ね合わせて1次転写される。この重ね合わせの1次転写により、中間転写ベルト25のおもて面には4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
転写ユニット24の図中下方には、駆動ローラ30と2次転写ローラ31との間に、無端状の紙搬送ベルト29を掛け渡して無端移動させる紙搬送ユニット28が設けられている。そして、自らの2次転写ローラ31と、転写ユニット24の下部張架ローラ27との間に、中間転写ベルト25及び紙搬送ベルト29を挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト25のおもて面と、紙搬送ベルト29のおもて面とが当接する2次転写ニップが形成されている。2次転写ローラ31には図示しない電源によって2次転写バイアスが印加されている。一方、転写ユニット24の下部張架ローラ27は接地されている。これにより、2次転写ニップに2次転写電界が形成されている。
この2次転写ニップの図中右側方には、レジストローラ対33が配設されており、ローラ間に挟み込んだ転写紙を中間転写ベルト25上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで2次転写ニップに送り出す。2次転写ニップ内では、中間転写ベルト25上の4色トナー像が2次転写電界やニップ圧の影響によって転写紙に一括2次転写され、転写紙の白色と相まってフルカラー画像となる。2次転写ニップを通過した転写紙は、中間転写ベルト25から離間して、紙搬送ベルト29のおもて面に保持されながら、その無端移動に伴って定着装置34へと搬送される。
2次転写ニップを通過した中間転写ベルト25の表面には、2次転写ニップで転写紙に転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、中間転写ベルト25に当接するベルトクリーニング装置によって掻き取り除去される。
定着装置34に搬送された転写紙は、定着装置34内における加圧や加熱によってフルカラー画像が定着させしめられた後、定着装置34から排紙ローラ対35に送られた後、機外へと排出される。
先に示した図1において、紙搬送ユニット22および定着装置34の下には、スイッチバック装置36が配設されている。これにより、片面に対する画像定着処理を終えた転写紙が、切換爪で転写紙の進路を転写紙反転装置側に切り換えられ、そこで反転されて再び2次転写転写ニップに進入する。そして、もう片面にも画像の2次転写処理と定着処理とが施された後、排紙トレイ上に排紙される。
画像形成装置1の上に固定されたスキャナ150は、原稿MSの画像を読み取るための読取手段として、固定読取部151と、移動読取部152とを有している。光源、反射ミラー、CCD等の画像読取センサなどを有する固定読取部151は、原稿MSに接触するようにスキャナ150のケーシング上壁に固定された図示しない第1コンタクトガラスの直下に配設されている。そして、後述するADF51によって搬送される原稿MSが第1コンタクトガラス上を通過する際に、光源から発した光を原稿面で順次反射させながら、複数の反射ミラーを経由させて画像読取センサで受光する。これにより、光源や反射ミラー等からなる光学系を移動させることなく、原稿MSを走査する。なお、以下、ADF51による原稿搬送を行いながら固定読取部151によって原稿MSの画像を読み取る制御を、スルー読取制御という。
一方、移動読取部152は、原稿MSに接触するようにスキャナ150のケーシング上壁に固定された図示しない第2コンタクトガラスの直下であって、固定読取部151の図中右側方に配設されており、光源や、反射ミラーなどからなる光学系を図中左右方向に移動させることができる。そして、光学系を図中左側から右側に移動させていく過程で、光源から発した光を第2コンタクトガラス上に載置された図示しない原稿で反射させた後、複数の反射ミラーを経由させて、スキャナ本体に固定された画像読取センサ153で受光する。これにより、光学系を移動させながら、原稿を走査する。
スキャナ150の上に配設されたADF51は、揺動体たる本体カバー52に、読取前の原稿MSを載置するための原稿載置台53、原稿MSを搬送するための搬送ユニット54、読取後の原稿MSをスタックするための原稿スタック台55などを保持している。図4に示すように、その下面をスキャナ150に対面させる第1位置X1と、スキャナ150から大きく離間させる第2位置X2との間で揺動可能に蝶番159を介してスキャナ150に支持されている。そして、その揺動によって開閉扉のような動きをとり、開かれた状態でスキャナ150の上面の第1コンタクトガラス154や第2コンタクトガラス155を露出させる。原稿束の片隅を綴じた本などの片綴じ原稿の場合には、原稿を1枚ずつ分離することができないため、ADFによる搬送を行うことができない。そこで、片綴じ原稿の場合には、ADF51を図4に示すように開いた後、読み取らせたいページが見開かれた片綴じ原稿を下向きにして第2コンタクトガラス154上に載せた後、ADFを閉じる。そして、スキャナ150の図1に示した移動読取部152によってそのページの画像を読み取らせる。
一方、互いに独立した複数の原稿MSを単に積み重ねた原稿束の場合には、その原稿MSをADFによって1枚ずつ自動搬送しながら、スキャナ150の固定読取部151に順次読み取らせていくことができる。この場合、原稿束を原稿載置台53上にセットした後、図示しないコピースタートボタンを押す。すると、ADF51が、原稿載置台53上に載置された原稿束の原稿MSを上から順に搬送ユニット54内に送り、それを反転させながら原稿スタック台55に向けて搬送する。この搬送の過程で、原稿MSを反転させた直後にスキャナ150の固定読取部151の真上に通す。このとき、原稿MSの画像がスキャナ150の固定読取部151によって読み取られる。
図5は、ADF51の要部構成をスキャナ150の上部とともに示す拡大構成図である。また、図6は、ADF51及びスキャナ150の電気回路の一部を示すブロック図である。また、図7は、スキャナ150の搬送読取制御部(200)によって実施される自動搬送制御の第1段階の制御フローを示すフローチャートである。また、図8は、同自動搬送制御の第2段階の制御フローを示すフローチャートである。また、図9は、同自動搬送制御の第3段階の制御フローを示すフローチャートである。また、図10は、搬送読取制御部(200)によって実施されるスルー読取制御の第1段階の制御フローを示すフローチャートである。また、図11は、同スルー読取制御の第2段階の制御フローを示すフローチャートである。また、図12は、同スルー読取制御の第3段階の制御フローを示すフローチャートである。また、図13は、同スルー読取制御の第4段階の制御フローを示すフローチャートである。また、図14は、同スルー読取制御の第5段階の制御フローを示すフローチャートである。以下、これらの図を用いて、ADF51とスキャナ150との組合せである原稿搬送読取ユニット(50)によって実施されるスルー読取制御について説明する。
図5のADF51において、読み取られた後の原稿MSをスタックする原稿スタック台55は、ADFの本体カバー52の下部に固定されており、この真上には、読み取られる前の原稿MSを載置する原稿載置台53が本体カバー52に固定されている。原稿スタック台55と原稿載置台53とが互いに鉛直方向に重なるように配設されているのである。これら載置台の図中左側方には、原稿MSを搬送するための搬送手段たる搬送ユニット54が、揺動体たる本体カバー52に固定されており、内部に通紙のための原稿搬送路56を形成している。この原稿搬送路56は、図中でアルファベットの「C」字状に湾曲した形状になっており、原稿載置台53から受け取った原稿MSを図中右側から左に向けて搬送した後、左端の湾曲部で反転させる。この反転により、原稿載置台53で読取面を鉛直方向上方に向けていた原稿MSの読取面を鉛直方向下方に向ける。そして、今度は、原稿MSを図中左側から右側に向けて搬送する。
ADF51の原稿搬送路56の大部分は、上下に所定の間隙を介して対向しながら複雑に湾曲する2枚のガイド板の間に形成されており、原稿MSはこれら2枚のガイド板の間で搬送される。但し、原稿搬送路56の全工程のうち、スキャナ150の図示しない固定読取部(図1の151)による原稿露光位置の真上を横切る工程では、原稿搬送路56が、ADF51とスキャナ150との間に形成されている。具体的には、原稿搬送路56の下部に設けられた固定読取ガイド部材60と、スキャナ150の第1コンタクトガラス154との間に形成されている。
ADF51の原稿搬送路56における図中左端の湾曲部で反転せしめられた後、図中左側から右側に搬送されるようになった原稿MSは、上記固定読取部の露光位置である第1コンタクトガラス154の真上を横切る。このとき、原稿MSの読取面の画像が固定読取部に読み取られる。読み取られた後の原稿MSは、スキャナ150の第1コンタクトガラス154と第2コンタクトガラス155との間に配設されたガイド突起156に案内されて、ADF51の搬送ユニット54内に再び進入する。そして、原稿スタック台55上に送られる。
図6に示すように、ADF51は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等からなるコントローラ64を有しており、これによって各種の機器やセンサを制御することができる。このコントローラ64には、レジストセンサ65、原稿セットセンサ63、読取出口センサ66、読取入口センサ67、第1原稿長さセンサ57、第2原稿長さセンサ58、第3原稿長さセンサ59、分離センサ68、突き当てホームポジションセンサ69、ピックアップホームポジションセンサ70、給紙カバー開閉センサ71、突き当てセンサ72、原稿幅センサ73、スイッチバックセンサ74などが接続されている。また、呼び出しモータ75、給紙モータ76、読取モータ77、スイッチバックモータ78、スイッチバックソレノイド79なども接続されている。
スキャナ150は、図示しないCPU(Central Processing Unit)やRAM(Random Access Memory)等からなる搬送読取制御部200を有しており、これにより、スキャナ150内部の図示しない各種機器やセンサを制御することができる。また、ハーネス(図4の157)によってADF51のコントローラ64と接続されており、コントローラ64を介して、ADF51内の各種機器やセンサを間接的に制御することもできる。
図5において、原稿載置台53には、反射型フォトセンサからなる第1原稿長さセンサ57、第2原稿長さセンサ58、第3原稿長さセンサ59が図中左側から右側に向けて順に並ぶように配設されている。これら3つの長さセンサによる原稿載置台53上の原稿MSの検知結果に基づいて、原稿MSの搬送方向の長さを把握することができる。
原稿載置台53は、図中右上から左下に向かう傾斜をもつように固定されており、原稿載置台53上に載置された原稿束は重力によって搬送ユニット54に向けて台上を滑り落ちていく。そして、原稿載置台53の上面と所定の間隙を介して対向する位置で揺動可能に支持されるレバー部材62を倒しながら(図中2点鎖線の位置から実線の位置に倒れる)、更に滑り落ちていく。このとき、倒れたレバー部材62が原稿セットセンサ63によって検知される。その後、原稿MSは、原稿載置台53の図中左側方に配設されたストッパー部材61に突き当たって止まる。そして、原稿MSの幅方向(図紙面に直交する方向)の位置が、図示しないサイドフェンスによって調整される。
このようにして原稿束が原稿載置台53上にセットされた状態で、スキャナ150に設けられたコピースタートボタン(図4の158)が押されると、その信号がADF51のコントローラ64に送られる。そして、呼出しモータ75が正転駆動する(図7のステップ2:以下、ステップをSと記す)。そして、この正転駆動により、ストッパー部材61をストッパーホームポジションセンサ69による検知位置よりも、下方の位置(図5における実線の位置)まで待避させる(図7のS3)。次いで、呼び出しモータ75の逆転によってピックアップローラ80をピックアップホームポジションセンサ70に検知される位置まで下降させて、ピックアップローラ80によって原稿束を上から押さえる(図7のS4〜S6)。そして、原稿載置台53に固定された3つの原稿長さセンサ(57〜59)による検知結果に基づいて、原稿MSの搬送方向における長さを判定する(図7のS7)。
その後、給紙モータ76の正転により、原稿MSを搬送ユニット54の受入口に向けて搬送させる向きにピックアップローラ80を回転駆動する。これにより、原稿載置台53上の原稿束における上部数枚(理想は1枚)の原稿MSを、搬送ユニット54内に進入させて、入口給紙ユニット81に送る(図7のS8)。この入口給紙ユニット81は、駆動ローラ82と従動ローラ83とによって無端状の給紙ベルト84を張架しており、給紙モータ76の正転に伴う駆動ローラ82の回転によって給紙ベルト84を図中時計回り方向に無端移動させる。この給紙ベルト84の下部張架面には、給紙モータ76の正転によって図中時計回りに回転駆動されるリバースコロ85が当接している。当接部においては、給紙ベルト84の表面が給紙方向に移動するのに対し、リバースコロ85の表面が給紙とは反対方向に移動する。入口給紙ユニット81に向けて送られた数枚の原稿MSは、この当接部に挟まれ、給紙ベルト84に接触する最上位の原稿MSに対して給紙方向の移動力が付与される。また、最上位よりも下の原稿MSには、リバースコロ85によって給紙とは反対方向の移動力が付与される。これにより、数枚の原稿から最上位の原稿MSだけが分離される仕組みになっている。
入口給紙ユニット81の図中左側には、分離センサ68、突き当てセンサ72、プルアウト従動ローラ86、紙幅検知レバー群73が、右側から左側に向けて順に並ぶように配設されている。プルアウト従動ローラ86には、その下方からプルアウト駆動ローラ87が当接していおり、これの回転駆動によってプルアウト従動ローラ86が回転する。
入口給紙ユニット81によって分離された原稿MSは、給紙ベルト84によって給紙搬送路56内を図中左側に向けて送られながら、分離センサ68、突き当てセンサ72に順次検知される。コントローラ64は、原稿MSの先端が突き当てセンサ72によって検知された時点からカウントを開始する(図7のS9、S12)。そして、呼び出しモータ75の逆転及び逆転停止によってピックアップローラ80を原稿束上から待避させて、給紙ベルト84の表面移動だけで原稿MSを送るようにする(図8のS14〜S16)。その後、所定の値までカウントが進んだ時点で給紙モータ76を逆転駆動する(図8のS18)。なお、給紙ベルト84の駆動開始から所定時間経過しても突き当てセンサ72によって原稿MSが検知されない場合には、全ての駆動系を停止し、ユーザーに突き当て未達ジャムが発生した旨を報知するための突き当て未達ジャム処理が行われた後、一連の制御フローがリターンされる(図7のS10〜S11)。
給紙モータ76から駆動ローラ82への駆動伝達系内には、図示しないワンウエイクラッチが設けられており、これにより、給紙モータ76の正回転駆動だけを駆動ローラ82に伝達するようになっている。また、給紙モータ76は、プルアウト駆動ローラ87の駆動源にもなっており、給紙モータ76からプルアウト駆動ローラ87への駆動伝達系内にも、ワンウエイクラッチが設けられている。そして、プルアウト駆動ローラ87には、給紙モータ76の逆回転駆動だけが伝達される。よって、上述のS18で、給紙モータ76の回転駆動方向が正転から逆転に繰り替えられると、給紙ベルト84の駆動が停止するとともに、プルアウト駆動ローラ87の駆動及びプルアウト従動ローラ86の従動が開始する。
コントローラ64によるカウントアップ値は、原稿MSの先端が検知された時点から、給紙ベルト84によって原稿MSをプルアウトローラ対(86と87との対)のニップ入口に搬送するまでに要する時間よりも少し長めになっている。このため、原稿MSは、その先端をプルアウトローラ対のニップに突き当ててから、更に少しだけ給紙ベルト84によって送られて中央部を撓ませた後に止まる。このような停止により、原稿MSは、分離給送時に発生した原稿の幅方向への傾き(スキュー)が補正される。
プルアウト駆動ローラ87は、原稿MSのスキューを補正したり、補正後の原稿MSを後述する読取入口ローラ対(89と90との対)まで搬送するためのローラである。給紙モータ76の逆転によってプルアウト駆動ローラ87が回転駆動を開始すると、原稿MSがプルアウトローラ対(86、87)のニップに挟まれて、給紙搬送路56内を更に左側に向けて搬送される。そして、やがて、紙幅検知レバー群73との接触位置にさしかかる。
紙幅検知レバー群73は、図紙面と直交する方向に並ぶ複数の紙検知レバーからなり、これらは個々に独立して揺動可能に支持されている。紙幅検知レバー群73との接触位置にさしかかった原稿MSは、複数の紙検知レバーをその紙幅に応じた数だけ倒しながら、更に図中左側へと搬送されていく。このとき、倒れた紙検知レバーの数に基づいて、原稿MSの紙幅が把握される(図8のS19〜S20)。コントローラ64は、上述のS7で取得した原稿MSの長さ情報や、先のS20で取得した原稿MSの幅寸法情報を、スキャナ150の搬送読取制御部200に送る(図8のS22)。なお、原稿MSの搬送方向の正確な長さについては突き当てセンサ72によって原稿MSの先端を検知してから後端を検知しなくなるまでのカウント値に基づいて算出される。
プルアウト駆動ローラ87の駆動による原稿MSの搬送速度は、給紙ベルト84による給紙速度よりも高速に設定されている。これにより、特に2枚目以降の原稿では先行する原稿との紙間を詰めて読取速度を高速化することができる。
紙幅検知レバー群73との接触位置を通過した原稿MSは、給紙搬送路56の図中左端に設けられた湾曲部に進入し、鉛直方向上方から下方に向けて「C」時状の弧を描くような経路によって反転せしめられる。このとき、反転の途中で読取入口センサ67によって検知され、コントローラ64は、この検知結果に基づいてプルアウト駆動ローラ87による搬送を減速するとともに、補正カウントを開始する(図9のS23〜S24)。そして、所定時間の補正カウントを行った後に給紙モータ76を停止させる(図9のS25〜S26)。
給紙搬送路56の図中左端に設けられた湾曲部の搬送方向末端付近には、読取入口駆動ローラ89と、これに対して図中左側方から当接する読取入口従動ローラ90とからなる読取入口ローラ対が配設されている。
コントローラ64による補正カウントのカウントアップ値は、原稿MSの先端が読取入口センサ67に検知された時点から、プルアウト駆動ローラ87によって原稿MSを読取入口ローラ対(89、90)のニップ入口に搬送するまでに要する時間よりも少し長めになっている。このため、原稿MSは、その先端を読取入口ローラ対のニップに突き当ててから、更に少しだけプルアウト駆動ローラ87によって送られて中央部を撓ませた後に止まる。このような停止により、原稿MSは、プルアウトローラ87による原稿搬送時に発生したスキューが補正されて、スキャナ150の固定読取部に読み取られる直前のレジスト位置にセットされる。コントローラ64は、その後直ちに、レジスト完了信号をスキャナ150の搬送読取制御部200に送信する(図9のS27)。なお、プルアウト駆動ローラ87の駆動開始から所定時間経過しても読取入口センサ67によって原稿MSが検知されない場合には、全ての駆動系を停止し、ユーザーに先端入口未達ジャムが発生した旨を報知するための先端入口未達ジャム処理が行われた後、一連の制御フローがリターンされる(図9のS28〜S29)。
スキャナ151の搬送読取制御部200は、ADF51のコントローラ64からレジスト完了信号を受信すると、コントローラ64と共同して以下のようなスルー読取制御を実施する。即ち、まず、ADF51のコントローラ64は、ユーザーのキー操作による読取モードの設定について、片面モードであるか両面モードであるかを判断し(図10のS1)、片面モードである場合には、図10のS2〜S12及び図11のS13〜S23までの制御フローを実行する。また、両面モードである場合には、図12のS24〜図14のS66までの制御フローを実行する。
片面、両面の何れのモードであっても、読取りモータ77を正転駆動させて読取入口駆動ローラ89を読取り倍率に応じた搬送速度で回転駆動する(図10のS2〜3、又は図12のS25)。そして、これによって原稿MSが読取入口ローラ対(89、90)のニップから送り出され、給紙搬送路56の図中左端から右側に向けて搬送される。そして、読取入口ローラ対の図中右側方に配設されているレジストセンサ65によって検知された後、スキャナ151の固定読取部(151)の露光位置に通される。この露光位置は、固定読取部(151)による原稿読取位置であり、具体的には、ADF51の固定読取ガイド部材60と、スキャナ151の第1コンタクトガラス154とが対向している位置である。原稿MSは両者間に通される際に、その下面の原稿画像が読み取られる。
コントローラ64は、レストセンサ65によって原稿MSの先端が検知されると、パルスカウントを開始する(図10のS4〜S5、又は図12のS25)。そして、原稿MSの先端をスキャナ150の固定読取部(151)による露光位置に到達させるタイミングで、スキャナ150の搬送読取制御部200に対し、副走査方向有効画像領域を示すゲート信号を送る(図10のS6〜S8、又は図12のS26〜S28)。なお、このゲート信号は、原稿MSの後端が前述の露光位置を抜けるまで出力される(図11のS19、又は図13のS43)。また、コントローラ64は、ゲート信号を出力すると直ちに、ゲートカウントを開始する(図10のS9、又は図12のS29)。
固定読取部(151)による露光位置を通過した原稿MSは、スキャナ151の第1コンタクトガラス154の右横に配設されたガイド突起156によってADF51の搬送ユニット54内に案内される。そして、搬送ユニット54内において、読取出口駆動ローラ91とこれに当接する読取入口従動ローラ92とによる読取出口ローラ対のニップを通過した後、読取出口センサ66によって検知される(図10のS10、又は図12のS30)。
上述のゲートカウントが開始されてから(図10のS9、又は図12のS29)所定時間経過しても原稿MSが読取出口センサ66によって検知されない場合には、ジャム発生用の処理が行われる(図10のS11〜S12、又は図12のS35〜S36)。また、ゲートカウントが開始されてから所定時間経過してもレジストセンサ65が原稿MSの後端側を検知し続けている場合にも、ジャム発生用の処理が行われる(図11のS13〜S15、又は図13のS37〜S39)。
読取出口センサ66によって検知された後の原稿MSは、排紙駆動ローラ93と、これに当接する排紙従動ローラ94とからなる排紙ローラ対のニップを通過する。
これ以降は、片面モードと両面モードとで異なった制御が実施される。片面モードの場合には、排紙ローラ対(93、94)のニップを通過した原稿MSが、図5の実線で示した状態にある切替爪95の下面に突き当たりながら、原稿スタック台55上に案内されて(図5の矢印A方向)、そこにスタックされる。スタックが完全に終わるに先立って、レジストセンサ65が原稿MSの後端側を検知しなくなり(S13でY)、その後端が固定読取部(151)による露光位置を抜けきるタイミングでコントローラ64から搬送読取制御部200へのゲート信号の出力が停止される(図11のS16〜S19)。
一方、両面モードの場合には、原稿MSの先端が読取出口センサ66に検知された時点でスイッチバックソレノイド79が駆動され(図12の33)、切替爪95が図5の実線で示した位置から2点鎖線で示した位置まで回転する。そして、排紙ローラ対(93、94)のニップを通過した原稿MSが、切替爪95の上面に沿って図中矢印B方向に搬送されて、スイッチバックセンサ74よって検知された後(図12のS34)、スイッチバック待機路に送られる。このスイッチバック待機路では、スイッチバック駆動ローラ96と、これに当接するスイッチバック従動ローラ97とからなるスイッチバックローラ対が配設されている。原稿MSは、このスイッチバックローラ対のニップに挟まれてスイッチバック待機路内を進んでいく(図中矢印B方向)。
読取出口センサ66が原稿MSの後端を検知しなくなってから所定時間が経過すると(図13のS44〜S47)、スイッチバック待機路で図中矢印B方向に搬送される原稿MSの後端が排紙ローラ対を抜けたと判断される。そして、スイッチバックソレノイド79の駆動が停止されて、切替爪95が図中2点鎖線の位置から実線の位置に回転する。この後、スイッチバックモータ78が逆転駆動される(図13のS48)。これにより、スイッチバックローラ対や排紙ローラ対が逆回転を初めて、原稿MSが今度は後端側を先頭に向けながら、リバースコロ85の真下にある再給紙路内を突き当てセンサ72に向けて再搬送される。この時、搬送時間短縮のためにスイッチバック駆動モータ96や、読取モータ77が高速回転する。また、原稿MSがスイッチバックを始めてから所定時間経過後に給紙モータ76が高速逆回転する(図13のS49〜S50)。
やがて、原稿MSがスイッチバックセンサ74に検知されなくなると、スイッチバックモータ78が停止して、原稿MSがプルアウトローラ対のニップに突き当たって一時停止する(図14のS51〜52)。その後、先の読取時と同様の制御によって原稿MSの裏面画像の読取が行われた後、原稿MSが排紙ローラ対を経て原稿スタック台55にスタックされる(図14のS53〜S58)。但し、スイッチバック時には読取り倍率に応じた速度で搬送する必要は無いので、高速搬送のまま読取り位置(露光位置)を通過させ、原稿後端を読取出口センサ66にて検知したら減速することにより、原稿排出時の飛出し防止と処理時間短縮とが図られる。
次に、本複写機の特徴的な構成について説明する。
図15は、本複写機のADF51を示す分解斜視図である。同図において、ADF51は、図示しないスキャナに揺動可能に支持される揺動体たる本体カバー52の上面で、搬送ユニット54を下側から支持している。
この搬送ユニット54は、搬送ユニット上カバー98に、図5に示したADF51の全部材のうち、原稿載置台53及び原稿スタック台55を除く各種部材を内包している。また、搬送ユニット上カバー98の図中左側の側面で、原稿載置台53を支持している。
搬送ユニット上カバー98は、搬送ユニット54の内包部材の周囲及び上を覆うものであり、その主走査方向の両側の側面からは、それぞれ固定部材103が図中水平方向に延在するように突設せしめられている。これらカバー固定部材103には、それぞれ図中鉛直方向に貫通する貫通穴103aが設けられている。
搬送ユニット上カバー98の下部には、搬送ユニット下カバー99が装着される。搬送ユニット下カバー99は、矩形状の開口部99aを有しており、これによって搬送ユニット54の内包部材の殆どを鉛直方向下側から覆っている。但し、内包部材のうち固定読取ガイド部材(図5の60)だけは、開口部99aを通じて外部に露出させており、これによって図1に示した固定読取部101による原稿MSの読み取りを可能にしている。
搬送ユニット下カバー99には、主走査方向の両端付近にそれぞれ軸部材100が図中鉛直方向に延在するように突設せしめられている。また、これら軸部材100の近傍に、それぞれ副走査方向に延びる長穴101を有している。本体カバー52の上面における主走査方向の両端付近には、それぞれこれら長穴101に対応するネジ穴102が設けられている。
搬送ユニット54は、搬送ユニット下カバー99に設けられた2つの長穴101に通されたボルト104が、本体カバー52に設けられた2つのネジ穴102に螺合することで、本体カバー52に固定される。このとき、搬送ユニット下カバー99については、長穴101の内壁と、ボルト104との間に形成される副走査方向のクリアランスの範囲で、副走査方向にスライド移動させることで、ボルト104を完全に締め付ける前に、副走査方向の微妙な位置決めを行うことができる。そして、微妙な位置決めを行った後に、ボルト104を完全に締め付けることで、位置決め時の位置で搬送ユニット54を固定することができる。
搬送ユニット上カバー98の主走査方向の両端部にそれぞれ設けられたカバー固定部材103の貫通穴103aには、搬送ユニット下カバー99に設けられた軸部材100が通される。これにより、搬送ユニット上カバー98、これに内包される各種部材及び原稿載置台53がそれぞれ、上下方向に遊動可能に搬送ユニット下カバー99に支持される。搬送ユニット上カバー98及びこれに内包される各種部材が上下方向に遊動可能になると、上記固定読取部(101)による露光位置(読取位置)にて、それらが原稿MSの厚みに応じて厚み方向に移動する。これにより、原稿MSとして厚紙からなるものが用いられても、搬送ユニット上カバー98やこれに内包される各種部材を露光位置にて原稿MSの厚みに応じて厚み方向に移動させて、原稿MSを安定して搬送することができる。
以上の構成の本複写機では、重たいADF51の全体を持ち上げながらその位置合わせを行うという手間のかかる操作ではなく、ADF51の一部である搬送手段たる搬送ユニット54だけを副走査方向に位置合わせするという簡単な操作により、原稿画像の副走査方向においける読取位置ズレを解消することができる。
なお、本実施形態では、長穴101、ネジ穴102、ボルト104等により、搬送手段たる搬送ユニット54の副走査方向における取付位置を調整する副走査位置調整機構が構成されている。
また、搬送ユニット下カバー99に設けた軸部材100を搬送ユニット上カバ−98のカバー固定部材103の貫通穴103aに通すことで、搬送ユニット上カバー98やこれに内包される各種部材を上下方向に遊動可能に支持させるようにした構成について説明したが、次のようにしてもよい。即ち、図16に示すように、カバー固定部材103の貫通穴に通した段ネジ105を、搬送ユニット下カバー99に設けたネジ穴に螺合せしめるのである。このようにすることで、搬送ユニット上カバー98の搬送ユニット下カバー99からの抜けを回避しつつ、段ネジ105の頭部105aと、カバー固定部材103とのクリアランスLの範囲内で、搬送ユニット上カバー98等を上下方向に遊動可能に支持させることができる。
また、搬送ユニット54の取付位置の調整に際して、ADF51全体をスキャナに対して開く必要がないため、開いているADF51全体を閉じないように押さえるといった作業を不要にして、取付位置調整操作性を更に向上させることができる。更には、原稿載置台53を搬送ユニット54で支持することにより、ADF51による搬送経路の全行程のうち、原稿スタック台55を除く行程を搬送ユニット54とともに位置調整して、上記露光位置(読取位置)に対する行程のずれによる各種の不具合を解消することもできる。
図17は、実施形態に係る複写機のADF51の第1変形例装置51Aを示す分解斜視図である。この第1変形例装置51Aは、ユニットカバー110により、搬送ユニット54の全部材のうち、原稿載置台53及び原稿スタック台55を除く各種部材を内包している。このユニットカバー110は、内包部材を周囲や上からだけでなく、下からも覆っているが、固定読取ガイド部材(図5の60)だけは、カバー底板に設けられた図示しない開口を通して外部に露出させている。
第1変形例装置51Aの本体カバー52の上面には、実施形態のADFと同様に2つのネジ穴102が設けられている。これらネジ穴102に螺合せしめられるボルト104は、それぞれ揺動体たる本体カバー52の所定位置に設けられた所定位置配設部材として機能している。
本体カバー52と搬送ユニット54との間には、搬送ユニット54の主走査方向の両端部において、支持ブラケット106がそれぞれ介在するようになっている。具体的には、第1変形例装置51Aは、2つの支持ブラケット106を備えている。これら支持ブラケット106は、それぞれ、図中鉛直方向に延在するようにブラケット本体の上面から突出する軸部106aと、副走査方向に延在するようにブラケット本体に設けられた長穴106とを有している。そして、長穴106に通されたボルト104が本体カバー52のネジ穴102に螺合せしめられることで、支持ブラケット106が本体カバー52に固定される。2つの支持ブラケット106は、それぞれこの状態で搬送ユニット54のユニットカバー110を下側から支えながら、軸部106aをユニットカバー110の両端側面にそれぞれ設けられたカバー固定部材103の貫通穴103aに通す。これにより、ユニットカバー110の上下方向の遊動を可能にしている。即ち、2つの支持ブラケット106は、それぞれ、所定位置配設部材たるボルト104に対して副走査方向に移動可能に係合しながら搬送手段たる搬送ユニット54を支持する係合支持部材として機能している。
搬送ユニット54については、その主走査方向における両端部において、それぞれボルト104を完全に締め付ける前に、支持ブラケット106の長穴106bの内壁と、ボルト104との間に形成される副走査方向のクリアランスの範囲で、副走査方向にスライド移動させる。これにより、副走査方向の微妙な位置決めを行うことができる。そして、微妙な位置決めを行った後に、ボルト104を完全に締め付けることで、位置決め時の位置で搬送ユニット54を固定することができる。即ち、2つのボルト104はそれぞれ、主走査方向の一端部又は他端部において、係合支持部材たる支持ブラケット106の副走査方向への移動を係止する移動係止部材として機能している。
かかる構成の第1変形例装置51Aにおいては、揺動体たる本体カバー52に対する搬送ユニット54の副走査方向における取付位置を、搬送ユニット54の主走査方向の一端部と他端部とでそれぞれ調整することが可能である。これにより、搬送ユニット54の全体の副走査方向における取付位置に加えて、副走査方向からの傾き(スキュー)を補正することができるようになった。
また、実施形態のADF51とは異なり、搬送ユニット54のカバーとして、上カバーと下カバーとを一体的にしたユニットカバー110を用いたことで、図18に示すように、搬送ユニット54全体を上下方向に遊動可能にすることができた。
図19は、第1変形例装置(51A)に更なる変形を加えた第2変形例装置における支持ブラケット106を本体カバー52の一部とともに示す拡大斜視図である。この第2変形例装置では、支持ブラケット106に2つの足部を設け、これらのうち、図中右側の足部に長穴106bと貫通穴106cとを設けている。また、図中左側の足部には、鉛直方向下方に向けて突出する爪106dを設けている。一方、本体カバー52の上面には、ボルト104に螺合せしめるためのネジ穴102の他に、仮止め用ネジ穴107や、副走査方向に延在する爪用長穴108を設けている。ボルト104を支持ブラケット106の長穴106bではなく、貫通穴106cに通し、本体カバー52の仮止め用ネジ穴107に螺合せしめることで、搬送ユニット54を本体カバー52に仮止めすることができる。そして、搬送ユニット54の副走査方向への取付位置を調整する必要が生じた場合には、ボルト54を仮止め用ネジ穴107から外し、支持ブラケット106の長穴106bに通した後、本体カバー52のネジ穴102に螺合させる。これにより、搬送ユニット54の副走査方向の取付位置を調整することができる。
本体カバー52の爪用長穴108には、支持ブラケット106の図中左側の足部に設けられた爪106dが係合する。爪用長穴108が副走査方向に延在するように形成されていることで、爪106dが爪用長穴108内で副走査方向に移動可能になっている。これにより、爪106dによる支持ブラケット106の副走査方向への移動の係止を回避している。但し、爪106dは、爪用長穴108内において、主走査方向への移動が規制されている。支持ブラケット106の図中左側の足部でこのように主走査方向への移動を規制することで、ボルト104を緩めても、ボルト104を中心とする支持ブラケット106の回転が阻止される。これにより、支持ブラケット106のスキューによる位置決め精度の悪化を回避している。
図20は、第2変形例装置に、更なる変形を加えた第3変形例装置における支持ブラケット106と本体カバー52の一部とを示す拡大斜視図である。この第3変形例装置では、をユニットカバー(110)のカバー固定部材(103)の貫通穴(103a)に対して、支持ブラケット106に設けた軸部通すのではなく、支持ブラケット106に螺合せしめた段ネジ109を通す点が第2変形例装置と異なっている。
図21は、上述の第1変形例装置に、より特徴的な構成を付加した実施例のADF51Bを示す分解斜視図である。この実施例に係るADF51Bでは、本体カバー52の上面に鉛直方向上方に向けて突出する位置決め軸部材109を設けている。この位置決め軸部材109は、本体カバー52上における搬送ユニット54の主走査方向の位置決めを行うための主走査方向位置決め部材として機能している。
搬送ユニット54のユニットカバー110の天板には、主走査方向に延在する貫通穴110aが設けられており、本体カバー52の位置決め軸部材109に係合する。ユニットカバー110は、主走査方向位置決め係合部たる貫通穴110aと、位置決め軸部材109とのクリアランスの範囲内で副走査方向に移動することができるが、主走査方向への移動は位置決め部材109によって規制される。このように主走査方向への移動を規制することで、搬送ユニット54を主走査方向に位置決めすることができる。
本実施例に係るADF51Bにおいても、図22に示すように、上記第2変形例装置と同様の構成の支持ブラケット106を用いることができる。また、上記第3変形例と同様の構成の支持ブラケットを用いることもできる。
図23は、実施例に係るADF(51B)に、更なる特徴的な構成を付加した具体例のADFにおける搬送ユニット54を示す斜視図である。この具体例に係るADFでは、搬送ユニット54のユニットカバー110の主走査方向における一端部にブラケット111を一体的に設けている。このブラケット111は、副走査方向に延在する長穴111aを有しており、本体カバー(52)に設けられた位置決め軸部材109に係合することで、搬送ユニット54全体の主走査方向の位置決めを行う。このように、ブラケット111の長穴111aは、実施例に係るADF(51B)のユニットカバー110の天板に設けられた長穴(110a)と同様に、主走査方向位置決め係合部として機能しているのである。
ユニットカバー110の側面から突出しているカバー固定部材103には、貫通穴の代わりに、主走査方向に延在する長穴103bが設けられている。係合支持部材たる支持ブラケットに設けられた軸部106aは、支持ブラケットの基準位置に設けられた部材基準部として機能している。また、カバー固定部材103の長穴103bは、この軸部106aに対して主走査方向に移動可能に係合する主走査方向移動係合部として機能しており、図24に示すように、ユニットカバー110の主走査方向への移動を許容する一方で、副走査方向への移動を規制する。但し、搬送ユニット54全体としては、図示しない支持ブラケットの長穴による副走査方向への移動が可能であるので、これによって副走査方向への取付位置を調整することができる。
かかる構成では、主走査方向位置決め部材たる位置決め軸部材109と、主走査方向位置決め係合部たるカバー固定部材103の長穴103bとの係合により、支持ブラケットに支持される搬送ユニット54の主走査方向への移動を可能にしている。これにより、ユニットカバー110の寸法誤差や、支持ブラケットの寸法誤差等により、カバー固定部材103の長穴103bの位置と、本体カバー52の位置決め軸部材109との相対位置が正規の位置からずれたとして、搬送ユニット54を主走査方向に移動させて、主走査方向の正規の位置に固定することができる。なお、図23では、2つのカバー固定部材103のうちの一方しか示さなかったが、図24に示したように、もう一方の固定部材103についても、貫通穴の代わりに長穴103bを設けている。
図25は、本具体例のADFにおける支持ブラケット106を、搬送ユニットのユニットカバー110の一部とともに示す拡大平面図である。この支持ブラケット106には、搬送ユニットを副走査方向に移動させるための長穴106b、搬送ユニットを仮固定するための貫通穴106c、軸部106aなどの他に、開口106aや、これの近傍に配設した基準矢印106fなどを設けている。本体カバー(図24の52)の上面には、複数の目印が副走査方向に所定ピッチで並ぶスケール52aが付されており、支持ブラケット106の開口106aを通してこのスケール52aが見えるようになっている。支持ブラケット106の基準矢印106fの位置に相当するスケール52aの目盛を読むことで、搬送ユニット54の主走査方向の一端部における副走査方向の取付位置を容易に把握することができる。なお、図25では、2つある支持ブラケット106のうち、一方だけしか示さなかったが、もう一方も同様の構成になっている。
また、スケールと基準矢印との配設位置の関係を逆にしてもよい。具体的には、スケールを支持ブラケット106に設ける一方で、基準矢印を本体カバー52の上面に設けるのである。
以上、実施形態に係る複写機のADFの各変形例装置においては、副走査位置調整機構として、揺動体たる本体カバー52の所定位置に設けられた所定位置配設部材たるボルト104と、これに副走査方向に移動可能に係合しながら搬送手段たる搬送ユニット54を支持する係合支持部材たる支持ブラケット106と、これの副走査方向への移動を係止するための移動係止部材たるボルト104とを有するものを用いている。かかる構成では、支持ブラケット106を副走査方向へ移動させることで、搬送ユニット54の副走査方向の取付位置を調整し、ボルト104を締めて支持ブラケット106の副走査方向への移動を係止することで、搬送ユニット54を調整した取付位置に位置決めすることができる。
また、実施形態に係る複写機のADFの各変形例装置においては、本体カバー52における、露光位置(読取位置)での原稿面方向であって且つ原稿搬送方向と直交する方向である主走査方向の一端部と他端部とにそれぞれ所定位置配設部材たるボルト104を設け、係合支持部材たる支持ブラケット106として、主走査方向の一端部に設けられたボルト104に係合するものと、他端部に設けられたボルト104に係合するものとを設けている。更に、移動係止部材たるボルト104として、前者の支持ブラケット106の移動を係止するものと、後者の支持ブラケット106の移動を係止するものとを設け、本体カバー52に対する搬送ユニット54の副走査方向における取付位置を、搬送ユニット54の主走査方向の一端部と他端部とでそれぞれ調整するようにしている。かかる構成では、上述したように、搬送ユニット54の主走査方向の両端部で、それぞれ副走査方向における取付位置を調整することで、搬送ユニット54のスキューを補正することもできる。
また、実施例や具体例に係る複写機のADFにおいては、本体カバー52上における搬送ユニット54の主走査方向の位置決めを行うための主走査方向位置決め部材たる位置決め軸部材109を本体カバー52に設けるとともに、位置決め軸部材109に係合する主走査方向位置決め係合部たる長穴(110a又は111a)を設けているので、両者の係合によって搬送ユニット54を主走査方向に位置決めすることができる。
また、具体例に係る複写機のADFにおいては、係合支持部材たる支持ブラケット106の基準位置に部材基準部たる軸部106aを設けるとともに、これに対して主走査方向に移動可能に係合する主走査方向移動係合部たる長穴103bを搬送ユニットにおけるユニットカバー110のカバー固定部材103に設けている。かかる構成では、上述したように、ユニットカバー110の寸法誤差や、支持ブラケットの寸法誤差等により、カバー固定部材103の長穴103bの位置と、本体カバー52の位置決め軸部材109との相対位置が正規の位置からずれたとして、搬送ユニット54を主走査方向に移動させて、主走査方向の正規の位置に固定することができる。
また具体例に係る複写機のADFにおいては、複数の目盛を副走査方向に所定のピッチで配設したスケール52aを本体カバー52に設けたので、目盛を読むことで、搬送ユニット54の主走査方向の一端部における副走査方向の取付位置を容易に把握することができる。