以下、本発明を、電子写真方式の複写機(以下、単に複写機という)に適用した第1実施形態について説明する。
まず、本第1実施形態に係る複写機の基本的な構成について説明する。図1は、本複写機を示す概略構成図である。この複写機は、画像形成装置1と、白紙供給装置40と、原稿搬送読取ユニット50とを備えている。原稿搬送読取ユニット50は、画像形成装置1の上に固定された原稿読取装置たるスキャナ150と、これに支持される原稿搬送装置たるADF51とを有している。
白紙供給装置40は、ペーパーバンク41内に多段に配設された2つの給紙カセット42、給紙カセットから転写紙を送り出す送出ローラ43、送り出された転写紙を分離して給紙路44に供給する分離ローラ45等を有している。また、画像形成装置1の給紙路37に転写紙を搬送する複数の搬送ローラ47等も有している。そして、給紙カセット内の転写紙を画像形成装置1内の給紙路37内に給紙する。
図2は、画像形成装置の内部構成の一部を拡大して示す部分拡大構成図である。画像形成装置1は、光書込装置2や、K,Y,M,C色のトナー像を形成する4つのプロセスユニット3K,Y,M,C、転写ユニット24、紙搬送ユニット28、レジストローラ対33、定着装置34、スイッチバック装置36、給紙路37等を備えている。そして、光書込装置2内に配設された図示しないレーザーダイオードやLED等の光源を駆動して、ドラム状の4つの感光体4K,Y,M,Cに向けてレーザー光Lを照射する。この照射により、感光体4K,Y,M,Cの表面には静電潜像が形成され、この潜像は所定の現像プロセスを経由してトナー像に現像される。なお、符号の後に付されたK,Y,M,Cという添字は、ブラック,イエロー,マゼンタ,シアン用の仕様であることを示している。
プロセスユニット3K,Y,M,Cは、それぞれ、感光体とその周囲に配設される各種装置とを1つのユニットとして共通の支持体に支持するものであり、画像形成装置1本体に対して着脱可能になっている。ブラック用のプロセスユニット3Kを例にすると、これは、感光体4Kの他、これの表面に形成された静電潜像をブラックトナー像に現像するための現像装置6Kを有している。また、後述するK用の1次転写ニップを通過した後の感光体4K表面に付着している転写残トナーをクリーニングするドラムクリーニング装置15なども有している。本複写機では、4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cを、後述する中間転写ベルト25に対してその無端移動方向に沿って並べるように対向配設したいわゆるタンデム型の構成になっている。
図3は、4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cからなるタンデム部の一部を示す部分拡大図である。なお、4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cは、それぞれ使用するトナーの色が異なる他はほぼ同様の構成になっているので、同図においては各符号に付すK,Y,M,Cという添字を省略している。同図に示すように、プロセスユニット3は、感光体4の周りに、帯電装置23、現像装置6、ドラムクリーニング装置15、除電ランプ22等を有している。
感光体4としては、アルミニウム等の素管に、感光性を有する有機感光材の塗布による感光層を形成したドラム状のものを用いている。但し、無端ベルト状のものを用いても良い。
現像装置6は、図示しない磁性キャリアと非磁性トナーとを含有する二成分現像剤を用いて潜像を現像するようになっている。内部に収容している二成分現像剤を攪拌しながら搬送して現像スリーブ12に供給する攪拌部7と、現像スリーブ12に担持された二成分現像剤中のトナーを感光体4に転移させるための現像部11とを有している。
攪拌部7は、現像部11よりも低い位置に設けられており、互いに平行配設された2本の搬送スクリュウ8、これらスクリュウ間に設けられた仕切り板、現像ケース9の底面に設けられたトナー濃度センサ10などを有している。
現像部11は、現像ケース9の開口を通して感光体4に対向する現像スリーブ12、これの内部に回転不能に設けられたマグネットローラ13、現像スリーブ12に先端を接近させるドクタブレード14などを有している。現像スリーブ12は、非磁性の回転可能な筒状になっている。マグネットローラ12は、ドクタブレード14との対向位置からスリーブの回転方向に向けて順次並ぶ複数の磁極を有している。これら磁極は、それぞれスリーブ上の二成分現像剤に対して回転方向の所定位置で磁力を作用させる。これにより、攪拌部7から送られてくる二成分現像剤を現像スリーブ13表面に引き寄せて担持させるとともに、スリーブ表面上で磁力線に沿った磁気ブラシを形成する。
磁気ブラシは、現像スリーブ12の回転に伴ってドクタブレード14との対向位置を通過する際に適正な層厚に規制されてから、感光体4に対向する現像領域に搬送される。そして、現像スリーブ12に印加される現像バイアスと、感光体4の静電潜像との電位差によってトナーを静電潜像上に転移させて現像に寄与する。更に、現像スリーブ12の回転に伴って再び現像部11内に戻り、マグネットローラ13の磁極間に形成される反発磁界の影響によってスリーブ表面から離脱した後、攪拌部7内に戻される。攪拌部7内には、トナー濃度センサ10による検知結果に基づいて、二成分現像剤に適量のトナーが補給される。なお、現像装置6として、二成分現像剤を用いるものの代わりに、磁性キャリアを含まない一成分現像剤を用いるものを採用してもよい。
ドラムクリーニング装置15としては、ポリウレタンゴム製のクリーニングブレード16を感光体4に押し当てる方式のものを用いているが、他の方式のものを用いてもよい。クリーニング性を高める目的で、本例では、外周面を感光体4に接触させる接触導電性のファーブラシ17を、図中矢印方向に回転自在に有する方式のものを採用している。このファーブラシ17は、図示しない固形潤滑剤から潤滑剤を掻き取って微粉末にしながら感光体4表面に塗布する役割も兼ねている。ファーブラシ17にバイアスを印加する金属製の電界ローラ18を図中矢示方向に回転自在に設け、これにスクレーパ19の先端を押し当てている。ファーブラシ17に付着したトナーは、ファーブラシ17に対してカウンタ方向に接触して回転しながらバイアスが印加される電界ローラ18に転位する。そして、スクレーパ19によって電界ローラ18から掻き取られた後、回収スクリュウ20上に落下する。回収スクリュウ20は、回収トナーをドラムクリーニング装置15における図紙面と直交する方向の端部に向けて搬送して、外部のリサイクル搬送装置21に受け渡す。リサイクル搬送装置21は、受け渡されたトナーを現像装置15に送ってリサイクルする。
除電ランプ22は、光照射によって感光体4を除電する。除電された感光体4の表面は、帯電装置23によって一様に帯電せしめられた後、光書込装置2による光書込処理がなされる。なお、帯電装置23としては、帯電バイアスが印加される帯電ローラを感光体4に当接させながら回転させるものを用いている。感光体4に対して非接触で帯電処理を行うスコロトロンチャージャ等を用いてもよい。
先に示した図2において、4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cの感光体4K,Y,M,Cには、これまで説明してきたプロセスによってK,Y,M,Cトナー像が形成される。
4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cの下方には、転写ユニット24が配設されている。この転写ユニット24は、複数のローラによって張架した中間転写ベルト25を、感光体4K,Y,M,Cに当接させながら図中時計回り方向に無端移動させる。これにより、感光体4K,Y,M,Cと中間転写ベルト25とが当接するK,Y,M,C用の1次転写ニップが形成されている。K,Y,M,C用の1次転写ニップの近傍では、ベルトループ内側に配設された1次転写ローラ26K,Y,M,Cによって中間転写ベルト25を感光体4K,Y,M,Cに向けて押圧している。これら1次転写ローラ26K,Y,M,Cには、それぞれ図示しない電源によって1次転写バイアスが印加されている。これにより、K,Y,M,C用の1次転写ニップには、感光体4K,Y,M,C上のトナー像を中間転写ベルト25に向けて静電移動させる1次転写電界が形成されている。図中時計回り方向の無端移動に伴ってK,Y,M,C用の1次転写ニップを順次通過していく中間転写ベルト25のおもて面には、各1次転写ニップでトナー像が順次重ね合わせて1次転写される。この重ね合わせの1次転写により、中間転写ベルト25のおもて面には4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
転写ユニット24の図中下方には、駆動ローラ30と2次転写ローラ31との間に、無端状の紙搬送ベルト29を掛け渡して無端移動させる紙搬送ユニット28が設けられている。そして、自らの2次転写ローラ31と、転写ユニット24の下部張架ローラ27との間に、中間転写ベルト25及び紙搬送ベルト29を挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト25のおもて面と、紙搬送ベルト29のおもて面とが当接する2次転写ニップが形成されている。2次転写ローラ31には図示しない電源によって2次転写バイアスが印加されている。一方、転写ユニット24の下部張架ローラ27は接地されている。これにより、2次転写ニップに2次転写電界が形成されている。
この2次転写ニップの図中右側方には、レジストローラ対33が配設されており、ローラ間に挟み込んだ転写紙を中間転写ベルト25上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで2次転写ニップに送り出す。2次転写ニップ内では、中間転写ベルト25上の4色トナー像が2次転写電界やニップ圧の影響によって転写紙に一括2次転写され、転写紙の白色と相まってフルカラー画像となる。2次転写ニップを通過した転写紙は、中間転写ベルト25から離間して、紙搬送ベルト29のおもて面に保持されながら、その無端移動に伴って定着装置34へと搬送される。
2次転写ニップを通過した中間転写ベルト25の表面には、2次転写ニップで転写紙に転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、中間転写ベルト25に当接するベルトクリーニング装置によって掻き取り除去される。
定着装置34に搬送された転写紙は、定着装置34内における加圧や加熱によってフルカラー画像が定着させしめられた後、定着装置34から排紙ローラ対35に送られた後、機外へと排出される。
先に示した図1において、紙搬送ユニット22および定着装置34の下には、スイッチバック装置36が配設されている。これにより、片面に対する画像定着処理を終えた転写紙が、切換爪で転写紙の進路を転写紙反転装置側に切り換えられ、そこで反転されて再び2次転写転写ニップに進入する。そして、もう片面にも画像の2次転写処理と定着処理とが施された後、排紙トレイ上に排紙される。
画像形成装置1の上に固定されたスキャナ150は、原稿MSの画像を読み取るための読取手段として、固定読取部151と、移動読取部152とを有している。光源、反射ミラー、CCD等の画像読取センサなどを有する固定読取部151は、原稿MSに接触するようにスキャナ150のケーシング上壁に固定された図示しない第1コンタクトガラスの直下に配設されている。そして、後述するADF51によって搬送される原稿MSが第1コンタクトガラス上を通過する際に、光源から発した光を原稿面で順次反射させながら、複数の反射ミラーを経由させて画像読取センサで受光する。これにより、光源や反射ミラー等からなる光学系を移動させることなく、原稿MSを走査する。なお、以下、ADF51による原稿搬送を行いながら固定読取部151によって原稿MSの画像を読み取る制御を、スルー読取制御という。
一方、移動読取部152は、原稿MSに接触するようにスキャナ150のケーシング上壁に固定された図示しない第2コンタクトガラスの直下であって、固定読取部151の図中右側方に配設されており、光源や、反射ミラーなどからなる光学系を図中左右方向に移動させることができる。そして、光学系を図中左側から右側に移動させていく過程で、光源から発した光を第2コンタクトガラス上に載置された図示しない原稿で反射させた後、複数の反射ミラーを経由させて、スキャナ本体に固定された画像読取センサ153で受光する。これにより、光学系を移動させながら、原稿を走査する。
スキャナ150の上に配設されたADF51は、揺動体たる本体カバー52に、読取前の原稿MSを載置するための原稿載置台53、原稿MSを搬送するための搬送ユニット54、読取後の原稿MSをスタックするための原稿スタック台55などを保持している。図4に示すように、その下面をスキャナ150に対面させる第1位置X1と、スキャナ150から大きく離間させる第2位置X2との間で揺動可能に蝶番159を介してスキャナ150に支持されている。そして、その揺動によって開閉扉のような動きをとり、開かれた状態でスキャナ150の上面の第1コンタクトガラス154や第2コンタクトガラス155を露出させる。原稿束の片隅を綴じた本などの片綴じ原稿の場合には、原稿を1枚ずつ分離することができないため、ADFによる搬送を行うことができない。そこで、片綴じ原稿の場合には、ADF51を図4に示すように開いた後、読み取らせたいページが見開かれた片綴じ原稿を下向きにして第2コンタクトガラス154上に載せた後、ADFを閉じる。そして、スキャナ150の図1に示した移動読取部152によってそのページの画像を読み取らせる。
一方、互いに独立した複数の原稿MSを単に積み重ねた原稿束の場合には、その原稿MSをADFによって1枚ずつ自動搬送しながら、スキャナ150の固定読取部151に順次読み取らせていくことができる。この場合、原稿束を原稿載置台53上にセットした後、図示しないコピースタートボタンを押す。すると、ADF51が、原稿載置台53上に載置された原稿束の原稿MSを上から順に搬送ユニット54内に送り、それを反転させながら原稿スタック台55に向けて搬送する。この搬送の過程で、原稿MSを反転させた直後にスキャナ150の固定読取部151の真上に通す。このとき、原稿MSの画像がスキャナ150の固定読取部151によって読み取られる。
図5は、ADF51の要部構成をスキャナ150の上部とともに示す拡大構成図である。また、図6は、ADF51及びスキャナ150の電気回路の一部を示すブロック図である。また、図7は、スキャナ150の搬送読取制御部(200)によって実施される自動搬送制御の第1段階の制御フローを示すフローチャートである。また、図8は、同自動搬送制御の第2段階の制御フローを示すフローチャートである。また、図9は、同自動搬送制御の第3段階の制御フローを示すフローチャートである。また、図10は、搬送読取制御部(200)によって実施されるスルー読取制御の第1段階の制御フローを示すフローチャートである。また、図11は、同スルー読取制御の第2段階の制御フローを示すフローチャートである。また、図12は、同スルー読取制御の第3段階の制御フローを示すフローチャートである。また、図13は、同スルー読取制御の第4段階の制御フローを示すフローチャートである。また、図14は、同スルー読取制御の第5段階の制御フローを示すフローチャートである。以下、これらの図を用いて、ADF51とスキャナ150との組合せである原稿搬送読取ユニット(50)によって実施されるスルー読取制御について説明する。
図5のADF51において、読み取られた後の原稿MSをスタックする原稿スタック台55は、ADFの本体カバー52の下部に固定されており、この真上には、読み取られる前の原稿MSを載置する原稿載置台53が本体カバー52に固定されている。原稿スタック台55と原稿載置台53とが互いに鉛直方向に重なるように配設されているのである。これら載置台の図中左側方には、原稿MSを搬送するための搬送手段たる搬送ユニット54が、揺動体たる本体カバー52に固定されており、内部に通紙のための原稿搬送路56を形成している。この原稿搬送路56は、図中でアルファベットの「C」字状に湾曲した形状になっており、原稿載置台53から受け取った原稿MSを図中右側から左に向けて搬送した後、左端の湾曲部で反転させる。この反転により、原稿載置台53で読取面を鉛直方向上方に向けていた原稿MSの読取面を鉛直方向下方に向ける。そして、今度は、原稿MSを図中左側から右側に向けて搬送する。
ADF51の原稿搬送路56の大部分は、上下に所定の間隙を介して対向しながら複雑に湾曲する2枚のガイド板の間に形成されており、原稿MSはこれら2枚のガイド板の間で搬送される。但し、原稿搬送路56の全工程のうち、スキャナ150の図示しない固定読取部(図1の151)による原稿露光位置の真上を横切る工程では、原稿搬送路56が、ADF51とスキャナ150との間に形成されている。具体的には、原稿搬送路56の下部に設けられた固定読取ガイド部材60と、スキャナ150の第1コンタクトガラス154との間に形成されている。
ADF51の原稿搬送路56における図中左端の湾曲部で反転せしめられた後、図中左側から右側に搬送されるようになった原稿MSは、上記固定読取部の露光位置である第1コンタクトガラス154の真上を横切る。このとき、原稿MSの読取面の画像が固定読取部に読み取られる。読み取られた後の原稿MSは、スキャナ150の第1コンタクトガラス154と第2コンタクトガラス155との間に配設されたガイド突起156に案内されて、ADF51の搬送ユニット54内に再び進入する。そして、原稿スタック台55上に送られる。
図6に示すように、ADF51は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等からなるコントローラ64を有しており、これによって各種の機器やセンサを制御することができる。このコントローラ64には、レジストセンサ65、原稿セットセンサ63、読取出口センサ66、読取入口センサ67、第1原稿長さセンサ57、第2原稿長さセンサ58、第3原稿長さセンサ59、分離センサ68、突き当てホームポジションセンサ69、ピックアップホームポジションセンサ70、給紙カバー開閉センサ71、突き当てセンサ72、原稿幅センサ73、スイッチバックセンサ74などが接続されている。また、呼び出しモータ75、給紙モータ76、読取モータ77、スイッチバックモータ78、スイッチバックソレノイド79なども接続されている。
スキャナ150は、図示しないCPU(Central Processing Unit)やRAM(Random Access Memory)等からなる搬送読取制御部200を有しており、これにより、スキャナ150内部の図示しない各種機器やセンサを制御することができる。また、ハーネス(図4の157)によってADF51のコントローラ64と接続されており、コントローラ64を介して、ADF51内の各種機器やセンサを間接的に制御することもできる。
図5において、原稿載置台53には、反射型フォトセンサからなる第1原稿長さセンサ57、第2原稿長さセンサ58、第3原稿長さセンサ59が図中左側から右側に向けて順に並ぶように配設されている。これら3つの長さセンサによる原稿載置台53上の原稿MSの検知結果に基づいて、原稿MSの搬送方向の長さを把握することができる。
原稿載置台53は、図中右上から左下に向かう傾斜をもつように固定されており、原稿載置台53上に載置された原稿束は重力によって搬送ユニット54に向けて台上を滑り落ちていく。そして、原稿載置台53の上面と所定の間隙を介して対向する位置で揺動可能に支持されるレバー部材62を倒しながら(図中2点鎖線の位置から実線の位置に倒れる)、更に滑り落ちていく。このとき、倒れたレバー部材62が原稿セットセンサ63によって検知される。その後、原稿MSは、原稿載置台53の図中左側方に配設されたストッパー部材61に突き当たって止まる。そして、原稿MSの幅方向(図紙面に直交する方向)の位置が、図示しないサイドフェンスによって調整される。
このようにして原稿束が原稿載置台53上にセットされた状態で、スキャナ150に設けられたコピースタートボタン(図4の158)が押されると、その信号がADF51のコントローラ64に送られる。そして、呼出しモータ75が正転駆動する(図7のステップ2:以下、ステップをSと記す)。そして、この正転駆動により、ストッパー部材61をストッパーホームポジションセンサ69による検知位置よりも、下方の位置(図5における実線の位置)まで待避させる(図7のS3)。次いで、呼び出しモータ75の逆転によってピックアップローラ80をピックアップホームポジションセンサ70に検知される位置まで下降させて、ピックアップローラ80によって原稿束を上から押さえる(図7のS4〜S6)。そして、原稿載置台53に固定された3つの原稿長さセンサ(57〜59)による検知結果に基づいて、原稿MSの搬送方向における長さを判定する(図7のS7)。
その後、給紙モータ76の正転により、原稿MSを搬送ユニット54の受入口に向けて搬送させる向きにピックアップローラ80を回転駆動する。これにより、原稿載置台53上の原稿束における上部数枚(理想は1枚)の原稿MSを、搬送ユニット54内に進入させて、入口給紙ユニット81に送る(図7のS8)。この入口給紙ユニット81は、駆動ローラ82と従動ローラ83とによって無端状の給紙ベルト84を張架しており、給紙モータ76の正転に伴う駆動ローラ82の回転によって給紙ベルト84を図中時計回り方向に無端移動させる。この給紙ベルト84の下部張架面には、給紙モータ76の正転によって図中時計回りに回転駆動されるリバースコロ85が当接している。当接部においては、給紙ベルト84の表面が給紙方向に移動するのに対し、リバースコロ85の表面が給紙とは反対方向に移動する。入口給紙ユニット81に向けて送られた数枚の原稿MSは、この当接部に挟まれ、給紙ベルト84に接触する最上位の原稿MSに対して給紙方向の移動力が付与される。また、最上位よりも下の原稿MSには、リバースコロ85によって給紙とは反対方向の移動力が付与される。これにより、数枚の原稿から最上位の原稿MSだけが分離される仕組みになっている。
入口給紙ユニット81の図中左側には、分離センサ68、突き当てセンサ72、プルアウト従動ローラ86、紙幅検知レバー群73が、右側から左側に向けて順に並ぶように配設されている。プルアウト従動ローラ86には、その下方からプルアウト駆動ローラ87が当接していおり、これの回転駆動によってプルアウト従動ローラ86が回転する。
入口給紙ユニット81によって分離された原稿MSは、給紙ベルト84によって給紙搬送路56内を図中左側に向けて送られながら、分離センサ68、突き当てセンサ72に順次検知される。コントローラ64は、原稿MSの先端が突き当てセンサ72によって検知された時点からカウントを開始する(図7のS9、S12)。そして、呼び出しモータ75の逆転及び逆転停止によってピックアップローラ80を原稿束上から待避させて、給紙ベルト84の表面移動だけで原稿MSを送るようにする(図8のS14〜S16)。その後、所定の値までカウントが進んだ時点で給紙モータ76を逆転駆動する(図8のS18)。なお、給紙ベルト84の駆動開始から所定時間経過しても突き当てセンサ72によって原稿MSが検知されない場合には、全ての駆動系を停止し、ユーザーに突き当て未達ジャムが発生した旨を報知するための突き当て未達ジャム処理が行われた後、一連の制御フローがリターンされる(図7のS10〜S11)。
給紙モータ76から駆動ローラ82への駆動伝達系内には、図示しないワンウエイクラッチが設けられており、これにより、給紙モータ76の正回転駆動だけを駆動ローラ82に伝達するようになっている。また、給紙モータ76は、プルアウト駆動ローラ87の駆動源にもなっており、給紙モータ76からプルアウト駆動ローラ87への駆動伝達系内にも、ワンウエイクラッチが設けられている。そして、プルアウト駆動ローラ87には、給紙モータ76の逆回転駆動だけが伝達される。よって、上述のS18で、給紙モータ76の回転駆動方向が正転から逆転に繰り替えられると、給紙ベルト84の駆動が停止するとともに、プルアウト駆動ローラ87の駆動及びプルアウト従動ローラ86の従動が開始する。
コントローラ64によるカウントアップ値は、原稿MSの先端が検知された時点から、給紙ベルト84によって原稿MSをプルアウトローラ対(86と87との対)のニップ入口に搬送するまでに要する時間よりも少し長めになっている。このため、原稿MSは、その先端をプルアウトローラ対のニップに突き当ててから、更に少しだけ給紙ベルト84によって送られて中央部を撓ませた後に止まる。このような停止により、原稿MSは、分離給送時に発生した原稿の幅方向への傾き(スキュー)が補正される。
プルアウト駆動ローラ87は、原稿MSのスキューを補正したり、補正後の原稿MSを後述する読取入口ローラ対(89と90との対)まで搬送するためのローラである。給紙モータ76の逆転によってプルアウト駆動ローラ87が回転駆動を開始すると、原稿MSがプルアウトローラ対(86、87)のニップに挟まれて、給紙搬送路56内を更に左側に向けて搬送される。そして、やがて、紙幅検知レバー群73との接触位置にさしかかる。
紙幅検知レバー群73は、図紙面と直交する方向に並ぶ複数の紙検知レバーからなり、これらは個々に独立して揺動可能に支持されている。紙幅検知レバー群73との接触位置にさしかかった原稿MSは、複数の紙検知レバーをその紙幅に応じた数だけ倒しながら、更に図中左側へと搬送されていく。このとき、倒れた紙検知レバーの数に基づいて、原稿MSの紙幅が把握される(図8のS19〜S20)。コントローラ64は、上述のS7で取得した原稿MSの長さ情報や、先のS20で取得した原稿MSの幅寸法情報を、スキャナ150の搬送読取制御部200に送る(図8のS22)。なお、原稿MSの搬送方向の正確な長さについては突き当てセンサ72によって原稿MSの先端を検知してから後端を検知しなくなるまでのカウント値に基づいて算出される。
プルアウト駆動ローラ87の駆動による原稿MSの搬送速度は、給紙ベルト84による給紙速度よりも高速に設定されている。これにより、特に2枚目以降の原稿では先行する原稿との紙間を詰めて読取速度を高速化することができる。
紙幅検知レバー群73との接触位置を通過した原稿MSは、給紙搬送路56の図中左端に設けられた湾曲部に進入し、鉛直方向上方から下方に向けて「C」時状の弧を描くような経路によって反転せしめられる。このとき、反転の途中で読取入口センサ67によって検知され、コントローラ64は、この検知結果に基づいてプルアウト駆動ローラ87による搬送を減速するとともに、補正カウントを開始する(図9のS23〜S24)。そして、所定時間の補正カウントを行った後に給紙モータ76を停止させる(図9のS25〜S26)。
給紙搬送路56の図中左端に設けられた湾曲部の搬送方向末端付近には、読取入口駆動ローラ89と、これに対して図中左側方から当接する読取入口従動ローラ90とからなる読取入口ローラ対が配設されている。
コントローラ64による補正カウントのカウントアップ値は、原稿MSの先端が読取入口センサ67に検知された時点から、プルアウト駆動ローラ87によって原稿MSを読取入口ローラ対(89、90)のニップ入口に搬送するまでに要する時間よりも少し長めになっている。このため、原稿MSは、その先端を読取入口ローラ対のニップに突き当ててから、更に少しだけプルアウト駆動ローラ87によって送られて中央部を撓ませた後に止まる。このような停止により、原稿MSは、プルアウトローラ87による原稿搬送時に発生したスキューが補正されて、スキャナ150の固定読取部に読み取られる直前のレジスト位置にセットされる。コントローラ64は、その後直ちに、レジスト完了信号をスキャナ150の搬送読取制御部200に送信する(図9のS27)。なお、プルアウト駆動ローラ87の駆動開始から所定時間経過しても読取入口センサ67によって原稿MSが検知されない場合には、全ての駆動系を停止し、ユーザーに先端入口未達ジャムが発生した旨を報知するための先端入口未達ジャム処理が行われた後、一連の制御フローがリターンされる(図9のS28〜S29)。
スキャナ151の搬送読取制御部200は、ADF51のコントローラ64からレジスト完了信号を受信すると、コントローラ64と共同して以下のようなスルー読取制御を実施する。即ち、まず、ADF51のコントローラ64は、ユーザーのキー操作による読取モードの設定について、片面モードであるか両面モードであるかを判断し(図10のS1)、片面モードである場合には、図10のS2〜S12及び図11のS13〜S23までの制御フローを実行する。また、両面モードである場合には、図12のS24〜図14のS66までの制御フローを実行する。
片面、両面の何れのモードであっても、読取りモータ77を正転駆動させて読取入口駆動ローラ89を読取り倍率に応じた搬送速度で回転駆動する(図10のS2〜3、又は図12のS25)。そして、これによって原稿MSが読取入口ローラ対(89、90)のニップから送り出され、給紙搬送路56の図中左端から右側に向けて搬送される。そして、読取入口ローラ対の図中右側方に配設されているレジストセンサ65によって検知された後、スキャナ151の固定読取部(151)の露光位置に通される。この露光位置は、固定読取部(151)による原稿読取位置であり、具体的には、ADF51の固定読取ガイド部材60と、スキャナ151の第1コンタクトガラス154とが対向している位置である。原稿MSは両者間に通される際に、その下面の原稿画像が読み取られる。
コントローラ64は、レジストセンサ65によって原稿MSの先端が検知されると、パルスカウントを開始する(図10のS4〜S5、又は図12のS25)。そして、原稿MSの先端をスキャナ150の固定読取部(151)による露光位置に到達させるタイミングで、スキャナ150の搬送読取制御部200に対し、副走査方向有効画像領域を示すゲート信号を送る(図10のS6〜S8、又は図12のS26〜S28)。なお、このゲート信号は、原稿MSの後端が前述の露光位置を抜けるまで出力される(図11のS19、又は図13のS43)。また、コントローラ64は、ゲート信号を出力すると直ちに、ゲートカウントを開始する(図10のS9、又は図12のS29)。
固定読取部(151)による露光位置を通過した原稿MSは、スキャナ151の第1コンタクトガラス154の右横に配設されたガイド突起156によってADF51の搬送ユニット54内に案内される。そして、搬送ユニット54内において、読取出口駆動ローラ91とこれに当接する読取入口従動ローラ92とによる読取出口ローラ対のニップを通過した後、読取出口センサ66によって検知される(図10のS10、又は図12のS30)。
上述のゲートカウントが開始されてから(図10のS9、又は図12のS29)所定時間経過しても原稿MSが読取出口センサ66によって検知されない場合には、ジャム発生用の処理が行われる(図10のS11〜S12、又は図12のS35〜S36)。また、ゲートカウントが開始されてから所定時間経過してもレジストセンサ65が原稿MSの後端側を検知し続けている場合にも、ジャム発生用の処理が行われる(図11のS13〜S15、又は図13のS37〜S39)。
読取出口センサ66によって検知された後の原稿MSは、排紙駆動ローラ93と、これに当接する排紙従動ローラ94とからなる排紙ローラ対のニップを通過する。
これ以降は、片面モードと両面モードとで異なった制御が実施される。片面モードの場合には、排紙ローラ対(93、94)のニップを通過した原稿MSが、図5の実線で示した状態にある切替爪95の下面に突き当たりながら、原稿スタック台55上に案内されて(図5の矢印A方向)、そこにスタックされる。スタックが完全に終わるに先立って、レジストセンサ65が原稿MSの後端側を検知しなくなり(S13でY)、その後端が固定読取部(151)による露光位置を抜けきるタイミングでコントローラ64から搬送読取制御部200へのゲート信号の出力が停止される(図11のS16〜S19)。
一方、両面モードの場合には、原稿MSの先端が読取出口センサ66に検知された時点でスイッチバックソレノイド79が駆動され(図12の33)、切替爪95が図5の実線で示した位置から2点鎖線で示した位置まで回転する。そして、排紙ローラ対(93、94)のニップを通過した原稿MSが、切替爪95の上面に沿って図中矢印B方向に搬送されて、スイッチバックセンサ74よって検知された後(図12のS34)、スイッチバック待機路に送られる。このスイッチバック待機路では、スイッチバック駆動ローラ96と、これに当接するスイッチバック従動ローラ97とからなるスイッチバックローラ対が配設されている。原稿MSは、このスイッチバックローラ対のニップに挟まれてスイッチバック待機路内を進んでいく(図中矢印B方向)。
読取出口センサ66が原稿MSの後端を検知しなくなってから所定時間が経過すると(図13のS44〜S47)、スイッチバック待機路で図中矢印B方向に搬送される原稿MSの後端が排紙ローラ対を抜けたと判断される。そして、スイッチバックソレノイド79の駆動が停止されて、切替爪95が図中2点鎖線の位置から実線の位置に回転する。この後、スイッチバックモータ78が逆転駆動される(図13のS48)。これにより、スイッチバックローラ対や排紙ローラ対が逆回転を初めて、原稿MSが今度は後端側を先頭に向けながら、リバースコロ85の真下にある再給紙路内を突き当てセンサ72に向けて再搬送される。この時、搬送時間短縮のためにスイッチバック駆動モータ96や、読取モータ77が高速回転する。また、原稿MSがスイッチバックを始めてから所定時間経過後に給紙モータ76が高速逆回転する(図13のS49〜S50)。
やがて、原稿MSがスイッチバックセンサ74に検知されなくなると、スイッチバックモータ78が停止して、原稿MSがプルアウトローラ対のニップに突き当たって一時停止する(図14のS51〜52)。その後、先の読取時と同様の制御によって原稿MSの裏面画像の読取が行われた後、原稿MSが排紙ローラ対を経て原稿スタック台55にスタックされる(図14のS53〜S58)。但し、スイッチバック時には読取り倍率に応じた速度で搬送する必要は無いので、高速搬送のまま読取り位置(露光位置)を通過させ、原稿後端を読取出口センサ66にて検知したら減速することにより、原稿排出時の飛出し防止と処理時間短縮とが図られる。
次に、本複写機の特徴的な構成について説明する。本複写機のADF51のモータ(呼び出しモータ75、給紙モータ76、読取モータ77、スイッチバックモータ78)として、図21で示すようなステッピングモータを用いている。図15は、ステッピングモータの駆動制御装置を示す図である。ステッピングモータの駆動制御装置は、CPU210と、電流切替え制御部212と、モータ駆動IC211とで構成されている。CPU210は、図示しないメモリ領域から呼び出されるプログラムに従いモータ駆動IC211に駆動パルスを入力する。また、CPU210は、図示しないメモリ領域から呼び出されるプログラムに従いモータ駆動IC211にモータ駆動(Enable)信号も入力している。
電流切替え制御部212は、トランジスタ212aと分圧抵抗回路212bとで構成されており、このトランジスタ212aをON/OFF制御することで、分圧比が切り替わり、モータ駆動IC211に入力するDC電圧値(Vref)が切り替わるようになっている。
モータ駆動IC211は、上記電流切替え制御部212から入力される電圧値に応じて駆動電流値が増減する内部回路を備えている。モータ駆動IC211は、CPU210から入力された駆動パルスに基づいてステッピングモータに駆動電流を供給する。
このように、ステッピングモータの駆動制御装置のCPU211、メモリ領域から呼び出されるプログラム、電流切替え制御部212およびモータ駆動IC211が駆動電流切替制御手段として機能している。また、ステッピングモータの駆動制御装置のCPU211、メモリ領域から呼び出されるプログラム、モータ駆動IC211がパルス入力手段として機能する。
次に、ステッピングモータの駆動制御について、説明する。図16は、モータ起動時の駆動制御フローを示す図であり、図17は、加速駆動(スローアップ)時の駆動制御フローであり、図18は、モータ停止時の駆動制御フローである。
まず、モータ起動時の駆動制御について図16に基づき説明する。図示しないメモリ領域から呼び出されるプログラムからモータ起動がCPU210に指示されると、CPU210は、電流切替え制御部212のトランジスタ212aをONにする(S72)。トランジスタ212aがONになると、モータ駆動IC211に入力される電圧値Vrefが、駆動電流値がLowになるような電圧値に変更される(S73)。CPU210は、電流切替え制御部212のトランジスタ212aをONにしたら、モータ駆動IC211に、モータ駆動(Enable)信号を入力するとともに、起動タイマカウントをクリアにして、タイマー値のカウントを開始する(S74)。モータ駆動IC211に、Enable信号が入力されると(S71のNO)、ステッピングモータのコイルにLow設定の電流が流れる。ステッピングモータのコイルにLow設定の電流が流れると、励磁して、所定の励磁パターンが発生する。すると、停止したロータが、ロータの磁極の位置と励磁パターンとが合う位置まで回転する。このとき、ロータの磁極の位置と励磁パターンとが大きくずれていると、ロータが磁極の位置と励磁パターンとが合う位置まで回転したときに大きくオーバシュートする。しかしながら、本実施形態においては、この駆動起動時の駆動電流値をLowにして、ステータの磁力を弱めている。よって、ロータの加速を抑制することができ、オーバーシュートを小さくできる。これにより、起動時の振動を弱めることができ、異音の発生を抑制することができる。
次に、CPU210は、タイマー値が、セトリングタイム(振動が減衰して停止するまでの時間)以上になったら(S75のYES)、電流切替え制御部212のトランジスタ212aをOFFにする。トランジスタ212aがOFFになると、モータ駆動IC211に入力される電圧値Vrefが、駆動電流値がHighになるような電圧値に変更される。CPU210は、トランジスタ212aをOFFにしたら、加速駆動(スローアップ)制御を開始する(S76)。
図17に示すように、CPU210は、加速駆動(スローアップ)制御が開始されたら、メモリ領域から、駆動パルステーブルを呼び出す。駆動パルステーブルは、それぞれ異なる駆動パルスの周波数とアドレスとが関連付けられており、駆動パルスの周波数(パルスレート)が高くなるほど関連付けられるアドレス値が増加するようになっている。CPU210は、呼び出した駆動パルステーブルからアドレス値1に対応する駆動パルス周波数を呼び出し、この周波数で駆動パルス信号をモータ駆動IC211に入力する。モータ駆動IC211は、この駆動パルス信号に基づいてステッピングモータにHighに設定された電流を入力する。次に、CPU210は、アドレス値を一つインクリメントして(S78)、このインクリメントしたアドレス値に対応する駆動パルス周波数を駆動パルステーブルから呼び出す。このインクリメントしたアドレス値に対応する駆動パルス周波数は、インクリメントする前のアドレス値に対応する駆動パルス周波数よりも高くなっている。CPU210は、この呼び出した駆動パルス周波数に基づいて、駆動パルス信号を上述同様にモータ駆動IC211に入力しステッピングモータを駆動させる。このような動作を繰り返し行い、駆動パルス周波数(パルスレート)除々に高めていき、ステッピングモータを除々に加速させていく。そして、駆動パルス周波数が所定の周波数となったら(S77のYES)、アドレス値を固定して、ステッピングモータを定速で回転させる(S79)。
本実施形態においては、加速駆動(スローアップ)時及び定速駆動時の設定電流値をHighとして、モータトルクを高めている。これにより、ステッピングモータ加速駆動時および定速駆動時の負荷変動によってステッピングモータが脱調することが抑制される。
ADF51による原稿MSの搬送が終了して、ステッピングモータの駆動を停止させるときは、図18に示すような駆動制御フローを実行する。すなわち、CPU210は、図示しないメモリ領域から呼び出されるプログラムからモータ停止が指示されると、電流切替え制御部212のトランジスタ212をONにして、駆動電流値をLowに設定する(S81)。駆動電流値をLowに設定したら、CPU210は、プログラムから減速駆動(スローダウン)制御開始が指示される(S83)。減速駆動(スローダウン)制御開始が指示されたら、CPU210は、加速駆動(スローアップ)制御で固定したアドレス値から1つデクリメントしたアドレスに対応する駆動パルス周波数を駆動パルステーブルから呼び出す。この呼び出した駆動パルス周波数に基づいて駆動パルス信号をモータ駆動IC211に入力する。モータ駆動IC211は、入力された駆動パルス信号に基づいて、ステッピングモータを駆動させる。このような動作を繰り返し行い、駆動パルス周波数を除々に低めていき、ステッピングモータを除々に減速させていく。そして、駆動パルス周波数が所定の周波数となったら(S84のYES)、モータ駆動(Enable)信号をOFFにして、ステッピングモータへの通電を遮断する(S86)。
本実施形態においては、モータ停止時の駆動制御における駆動電流値をLowとすることで、停止時の振動を抑制することができる。停止時に駆動電流値が加速駆動(スローアップ)時及び定速駆動時と同様にHighのままだと、ステッピングモータが停止する寸前までに速度が低下したときに振動が発生してしまう。これは、ステッピングモータが停止しかかったときに電流値が高いと、ロータがステータの磁力で引き付けられる力が大きいため、1ステップ間でロータが減速せずに逆に加速して停止するような動きとなってしまう。その結果、オーバシュートが大きくなり、振動が大きくなってしまい、異音が発生してしまう。このような、振動が発生する前に、モータ駆動(Enable)信号をOFFにして、ステッピングモータへの通電を遮断し、惰性でロータを停止することも考えらるが、停止したときに磁励パターンとロータの磁極との位置関係が大幅にずれるおそれがあり、駆動起動時の振動が大きくなるおそれがある。
モータ停止時の駆動電流値をLowとすることでステータの磁力が弱くなる。よって、ロータを引きつける力が弱くなり、ステッピングモータが停止しかかったときにロータが1ステップ間で加速するを抑制することができ、停止駆動時の振動の発生を抑制することができる。また、ロータを十分減速させても振動が発生しないため、ロータを十分減速させてからステッピングモータへの通電を遮断することができる。よって、通電を遮断後にロータが惰性であまり動くことがないので、停止したときに磁励パターンとロータの磁極との位置関係が大幅にずれるのを抑制することができる。これにより、起動駆動時の振動を抑制することができる。
呼び出しモータ75は、正転駆動して、ストッパー部材61を退避させた後、逆転駆動に切り替えて、ピックアップローラ80を下降させて、原稿束を上から押さえるようにしている。この呼び出しモータ75にステッピングモータを用いた場合は、正転駆動から逆転駆動の切り替え時に、電流設定値をLowにするようにしても良い。すなわち、正転駆動から逆転駆動に切り替える際の減速駆動制御時に、先の図18に示したモータ停止時の駆動制御と同様の制御を行って、正転駆動の停止を行う。そして、逆転駆動の起動時は、先の図16に示したモータ起動時の駆動制御と同様の制御を行うのである。これにより、正転駆動から逆転駆動切り替え時の振動の発生を抑制することができる。また、逆転駆動起動時のオーバーシュートを抑制できるのでセトリングタイムを短縮することができ、短時間で逆転駆動させることができる。
また、読取りモータ77を正転駆動させて読取入口駆動ローラ89を読取り倍率に応じた搬送速度で回転駆動している。この読取りモータ77をステッピングモータとした場合は、モータの駆動速度に応じて、励磁パターンを変更させるようにしても良い。また、このとき、励磁パターンによっては駆動電流の切替え制御を行わないように制御する。
この場合、モータ駆動IC211に、複数の励磁パターンを記憶しておき、CPU210は、図示しないメモリ領域から呼び出されるプログラムに従い励磁パターン切り替え指示信号をモータ駆動IC211に入力する。モータ駆動IC211は、この切り替え指示信号に基づいて、励磁パターンが切り替える。このように、CPU211、メモリ領域から呼び出されるプログラム、モータ駆動IC211が、励磁パターン切り替え制御手段として機能して、励磁パターンの切り替え制御を行う。また、CPU210は、図示しないメモリ領域から呼び出されるプログラムに従いステッピングモータの励磁パターンに基づいて、駆動電流の切替え制御を行うか否かを判定する。そして、駆動電流の切替え制御「否」と判定された場合は、ステッピングモータの起動制御時および停止制御時に駆動電流の切り替え制御を行わないように制御する。具体的には、モータの起動制御時及び停止制御時に図示しないメモリ領域から呼び出されるプログラムに従いCPU210は、設定されている励磁パターンを検知して、検知した励磁パターンが、駆動電流の切替え制御「否」の場合は、電流切り替え制御部のトランジスタをONにしない。
図19は、励磁パターン切り替え制御の制御フローである。読取り倍率が縮小のときは、読取り倍率が等倍のときに比べて遅い搬送速度で原稿を搬送するので、図に示すように、ステッピングモータの定速駆動におけるモータ速度は、所定値Aよりも遅い速度となる(S90のNO)。この場合は、励磁パターンを先の図24(a)で示したようなマイクロステップ駆動を行うW1−2相励磁に設定する(S94)。励磁パターンをW1−2相励磁に設定することで、ステップ角を細かくすることができ、ロータを微小な角度で回転させることができる。よって、低速回転におけるモータの回転を安定させることができ、原稿を安定的に搬送することができる。また、低速回転時の振動の発生も抑制することができる。W1−2相励磁の場合は、電流値も細かく制御する必要があるので、モータ起動時やモータ停止時における電流値の切り替え制御は、行わない。
また、読取り倍率が拡大のときは、読取り倍率が等倍のときに比べて速い搬送速度で原稿を搬送するので、図に示すように、ステッピングモータの定速駆動におけるモータ速度は、所定値Bよりも速い速度となる(S91のYES)。この場合は、励磁パターンを先の図24の(b)で示すような、2相励磁に設定する(S92)。励磁パターンを2相励磁に設定することで、高速回転でもモータの回転が安定し、原稿を安定的に搬送することができる。この2相励磁においては、モータのトルクが高くなるため、モータ起動時やモータ停止時に大きな振動が発生するおそれがある。このため、2相の励磁に設定したときは、モータ起動時やモータ停止時において、電流値の切り替え制御を行って、モータ起動時およびモータ停止時の駆動電流値をLowにする。これにより、モータ起動時やモータ停止時に大きな振動が発生するのを抑制することができる。
また、読取り倍率が等倍のときは、所定値Aよりも速く(S90のYES)、所定値Bよりも遅い(S91のNO)搬送速度で原稿を搬送するので、励磁パターンを図20に示すような1−2相励磁に設定する(S93)。1−2相励磁にすることで、ステップ角を機械的に決まるステップ角の半分にすることができる。これにより、2相励磁に比べて、低速でも安定的にモータを回転することができ、原稿を安定的に搬送することができる。1−2相励磁は、W1−2相励磁や2相励磁よりも消費電力を抑えることができる。また、1−2相励磁とすると、モータのトルクが小さくので、モータ起動時やモータ停止時に大きな振動が発生するおそれがない。よって、励磁パターンを1−2相励磁としたときは、モータ起動時やモータ停止時に電流値の切り替え制御を行なわないようにする。
このように、ステッピングモータの定速時の回転速度に応じて、励磁パターンの設定を変更することで、低速回転から高速回転まで安定的にステッピングモータを回転させることができる。その結果、読取入口駆動ローラ89を安定的に回転させることができ、原稿MSを安定的に搬送することができる。
また感光体の駆動モータや、中間転写ベルトの駆動モータなどにもステッピングモータを用いることができる。この場合も、上述したように、モータ起動時やモータ駆動停止時の設定電流値をLowにすることで、起動時および停止時の振動を抑制することができる。
(1)
以上、本実施の画像形成装置によれば、ステッピングモータの起動時の駆動電流値をモータ加速駆動時の駆動電流値よりも小さくしているので、モータ起動時の振動を、モータ加速駆動時の駆動電流値を同じに値にしたものに比べて低減することができる。また、加速駆動時の駆動電流値を起動時の駆動電流値よりも大きくしているので、モータへの負荷変動によって加速時にモータが脱調するのを抑制することができる。
(2)
また、ステッピングモータの駆動を停止するための減速駆動時の駆動電流値を定速駆動時の駆動電流値よりも小さくすることで、モータのステータの磁力が弱くなり、ロータを引きつける力を弱めることができる。その結果、ステッピングモータが停止する寸前までに速度が低下したときに、ステップ間でロータが加速されることを抑制することができる。その結果、ステッピングモータが停止する寸前までに速度が低下してもスムーズにロータが移動することができ、停止時の振動を抑制することができる。また、ステッピングモータが停止する寸前まで、モータの駆動制御を行うことで、モータへの通電を切った後に、ロータが惰性であまり動くことがない。よって、ステッピングモータ起動時に、ロータの磁極の位置と励磁パターンとが大幅にずれることがなくなり、起動時の振動を抑制することができる。
(3)
また、駆動起動時のセトリングタイム(振動が減衰して停止するまでの時間)経過してから、加速駆動(スローアップ)制御を行うことで、駆動起動時の振動が加速駆動(スローアップ)制御時に生じる振動と共振して増幅するのを抑制することができる。これにより、加速駆動(スローアップ)制御において、振動によってステッピングモータが脱調するのを抑制することができる。
(4)
また、定速駆動時の回転速度に応じて励磁パターンを切り替えることで、ステッピングモータを安定的に回転させることができる。
(5)
また、本実施形態のステッピングモータの駆動制御装置は、少なくとも上記(1)の特徴点を有したステッピングモータの駆動制御方法を用いているので、駆動起動時のモータ振動を抑制することができる。
(6)
また、励磁パターンに基づいて上記駆動電流の切り替えを実施するか否かを判定する。例えば、励磁パターンがW1−2相励磁のように、駆動電流値も細かく制御する励磁パターンの場合、モータ起動制御時や停止制御時に電流値設定値をLowに切り替えてしまうと、良好な起動や、停止時の良好な減速駆動ができなくなってしまうおそれがある。このような励磁パターンの場合は、駆動電流の切り替えを制御を行わないようにすれば、起動や停止時の減速駆動を良好に行うことができる。
(7)
また、ステッピングモータの正転駆動から逆転駆動への切り替える際、駆動電流の切り替え制御を行う。すなわち、正転駆動から逆転駆動する際の減速駆動および、逆転駆動起動時の駆動電流をLowに切り替えるのである。これにより、正転駆動から逆転駆動する際の振動を抑制することができる。
(8)
また、本実施形態の原稿搬送装置によれば、ステッピングモータの駆動を制御する駆動制御装置として、少なくとも上記(5)の特徴を有するステッピングモータの駆動制御装置を用いることで、原稿搬送開始時の異音や、原稿搬送終了時の異音の発生を抑制することができる。
(9)
また、本実施形態の原稿搬送装置によれば、上記(8)特徴点を備えた原稿搬送装置を有することで、異音の発生が抑制された画像形成装置を提供することができる。