以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1,図2に本発明の第1の実施形態に係る高所作業車をそれぞれ示している。なお、図1に示す矢印Fの方向を前方、矢印Rの方向を右方、図2に示す矢印Uの方向を上方とする。高所作業車1は、前後輪11a,11bを備えて走行自在に構成されて前方に配設される運転キャビン12から走行操作可能な車体10と、車体10に設けられた作業装置20と、車体10の側部前後左右に設けられた4本のジャッキ40,40,…とを有して構成されている。作業装置20は、車体10に立設された旋回ポスト21と、基端部が旋回ポスト21に取り付けられたブーム22と、ブーム22の先端部に取り付けられた作業台24とから構成される。
旋回ポスト21は、車体10の前部であって運転キャビン12の後部に立設されており、内蔵された旋回モータBA3の駆動を受けて旋回自在に構成されている。ブーム22は、基端ブーム22aと先端ブーム22bとを入れ子式に組み合わせて構成され、基端ブーム22aを旋回ポスト21に枢結して取り付けられており、旋回ポスト21とともに旋回作動される。ブーム22は、内蔵された伸縮シリンダBA1の伸縮作動を受けて伸縮自在に構成されるとともに、旋回ポスト21と基端ブーム22aとの間に配設される起伏シリンダBA2の伸縮作動を受けて上下に起伏自在に構成されている。先端ブーム22bの先端部には垂直ポスト23が揺動自在に取り付けられており、先端ブーム22bと垂直ポスト23との間に伸縮自在のレベリングシリンダA1が配設されている。垂直ポスト23はレベリングシリンダA1の伸縮作動を受けて揺動される。
作業台24は、作業者搭乗用のバケット部24aと、バケット部24aと垂直ポスト23との間に取り付けられた作業台保持ブラケット24bとから構成され、作業台保持ブラケット24bは垂直ポスト23の軸周りに首振り動(旋回動)自在に取り付けられている。作業台保持ブラケット24bには首振モータBA4が内蔵されており、首振モータBA4が駆動されると作業台保持ブラケット24bおよびバケット部24aが垂直ポスト23の軸周りに首振作動する。なお、作業台24は、垂直ポスト23が垂直姿勢であるときにバケット部24aの床面が水平状態になるように垂直ポスト23に取り付けられている。バケット部24aの一側面は一部が上端から下端部まで切り欠かれており、このようにして切り欠かれた部分を開閉自在にドア24cが取り付けられている。作業者は鎖線で示すようにドア24cを開けてバケット部24aへの乗降を行う。
この作業装置20は、走行中などの非作業時には図1,図2に示すように車体10上に格納される。この格納姿勢においては、伸縮シリンダBA1が全縮されてブーム22が全縮状態にされるとともに、全縮状態のブーム22の先端部が平面視において車体10からはみ出ないような旋回角(右方に旋回)に旋回ポスト21が位置している。また、基端ブーム22aを載置するためのブーム載置面13aを上端に形成したブーム受け13が車体10の後部に立設されており、ブーム22がこのブーム載置面13aに載置されるように起伏シリンダBA2が作動される。なお、ブーム載置面13aに載置された状態のブーム22の起伏角は車体10に対して負角(例えば約−10度)をとっているが、起伏シリンダBA2はこの状態からさらに縮小可能であり、ブーム22をさらに倒伏作動させることができる。このように格納されるブーム22の先端部に取り付けられる作業台24は、車体10の後部かつ上方に位置しており、平面視において車体10からはみ出ないようにブーム22側面に沿うような首振角とされ、ブーム22の先端左方に位置して格納される。
ブーム受け13は、車体10に上方に延びて固設される基部ポスト13bと、上端にブーム載置面13aが形成された伸縮ポスト13cとを入れ子式に組み合わせて構成されており、両ポスト13b,13cに内蔵されたブーム受けシリンダA2の伸縮作動により伸縮ポスト13cが上下に伸縮自在に構成されている。この構成により、ブーム載置面13aの高さ位置を上下に移動させることができるようになっている。
作業台24には、ブーム22等の作動操作を行うための上部操作装置30が備えられている。図3に示すように上部操作装置30には、ブーム22の伸縮操作、起伏操作、および旋回操作を行うためのブーム操作レバー31と、作業台24の首振操作を行うための首振操作レバー32とが設けられており、図示各矢印方向への傾動操作、捻動操作でブーム22および作業台24が所定の作動を行うようになっている。また、上部操作装置30には、両操作レバー31,32とともに、後述する作業状態移行スイッチSW2、自動地上降下スイッチSW3、および作業台自動格納スイッチSW5が設けられている。
さらに、ブーム操作レバー31の基部には、ブーム伸縮操作を検出する伸縮ポテンショメータ、ブーム起伏操作を検出する起伏ポテンショメータ、およびブーム旋回操作を検出する旋回ポテンショメータからなるブーム操作センサS1が設けられている。首振操作レバー32の基部には、中立位置でオフ、左右の傾動位置でそれぞれオンとなるスイッチからなる首振操作センサS2が設けられている。
各ジャッキ40は、車体10の側部に固設されて上下方向に延びるアウタポスト41と、アウタポスト41の下端から上下方向に伸縮自在に挿入されたインナポスト42と、インナポスト42の下端部に揺動自在に取り付けられたジャッキパッド43とから構成され、内蔵されたジャッキシリンダJA1(JA2,JA3,JA4)の伸縮作動によりインナポスト42を上下に伸縮作動させることができる。4本のジャッキ40,40,…のインナポスト42,42,…をそれぞれ下方に伸長作動させることにより、ジャッキパッド43,43,…を接地させて車体10が持上支持される。このとき、車体10を水平状態にすることで車体10が安定した状態になり、ブーム22の作動に応じて車体10に作用する転倒モーメントに抗し、ブーム22の作動を安全に行うことができる。前方左右のジャッキ40,40は前輪11a,11aの後方に、後方左右のジャッキ40,40は後輪11b,11bの後方にそれぞれ設けられている。
車体10には、ジャッキ操作装置36が設けられており、ジャッキ操作装置36の操作に応じてインナポスト42,42,…を上下に伸縮作動させることができるように構成されている。なお、ジャッキ操作装置36には、操作を検出するジャッキ操作センサS3が設けられている。また、車体10には、ジャッキ操作装置36とともに、後述する地上乗込スイッチSW1および車体自動格納スイッチSW4がそれぞれ後部に設けられる。
図4に、本発明に係る高所作業車のコントローラ50に係る構成ブロック図を示している。高所作業車1の作動制御を行うコントローラ50は、ブーム22、ジャッキ40等に設けられる油圧アクチュエータの制御バルブを駆動制御するためのバルブ制御部51と、それぞれこのバルブ制御部51に接続されるレベリング制御部53、地上乗込制御部54、作業状態移行制御部55、自動地上降下制御部56、および自動格納制御部57とを有して構成される。
バルブ制御部51は、各油圧アクチュエータJA1〜JA4,BA1〜BA4,A1,A2に対応して設けられて作動油の給排を制御する各制御バルブJV1〜JV4,BV1〜BV4,V1,V2の駆動制御を行う。図4に示すように、ブーム操作レバー31に設けられるブーム操作センサS1、および首振操作レバー32に設けられる首振操作センサS2がそれぞれ、バルブ制御部51に出力されるように構成されている。バルブ制御部51は、両操作センサS1,S2から出力される操作信号に基づき、伸縮動制御バルブBV1を電磁駆動して伸縮シリンダBA1を伸縮作動させ、起伏動制御バルブBV2を電磁駆動して起伏シリンダBA2を伸縮作動させ、旋回動制御バルブBV3を電磁駆動して旋回モータBA3を駆動させ、首振動制御バルブBV4を電磁駆動して首振モータBA4を駆動させる。これにより、ブーム操作レバー31のレバー操作に応じたブーム22の作動、および首振操作レバー32の操作に応じた作業台24の首振り作動が行われる。また、ジャッキ操作センサS3からの操作信号がバルブ制御部51に出力されるように構成されており、バルブ制御部51はジャッキ操作センサS3からの操作信号に基づき、各ジャッキ制御バルブJV1〜JV4を電磁駆動して対応するジャッキシリンダJA1〜JA4を伸縮作動させ、ジャッキ操作装置36の操作に応じたインナポストの上下伸縮作動が行われる。
また、このバルブ制御部51により、レベリング制御バルブV1を電磁駆動してレベリングシリンダA1を伸縮作動させ、ブーム受け制御バルブV2を電磁駆動してブーム受けシリンダA2を伸縮作動させることができる。
各油圧アクチュエータに給排される作動油は、車体10の所定箇所に設けられた油圧ポンプPにより吐出されており、油圧ポンプPから吐出された作動油が上記各制御バルブを介して対応する油圧アクチュエータに給排される。油圧ポンプPはエンジンEの回転出力を受けて駆動される。
コントローラ50には、車両状態が所定の条件になると作動するインタロック部52が設けられている。インタロック部52が作動すると、ブーム操作センサS1とバルブ制御部51との接続回路、および首振操作センサS2とバルブ制御部51との接続回路がともに断線され、両操作レバー31,32をレバー操作しても両操作センサS1,S2の操作信号がバルブ制御部51に出力されず、レバー操作に基づくブーム22および作業台24の作動が規制される。
作業台24には重力式の作業台傾斜角センサS4が設けられており、作業台24の鉛直方向に対する傾斜角の検出信号が逐次レベリング制御部53に出力されるように構成されている。この作業台傾斜角センサS4から出力される検出信号に基づき、レベリング制御部53は、作業台24の傾斜状態を判断してバルブ制御部51にレベリング制御信号を出力する。バルブ制御部51は、このレベリング制御信号に基づいてレベリング制御バルブV1を駆動制御し、レベリングシリンダA1を伸縮作動させ、垂直ポスト23を常時垂直姿勢に保持するように揺動させる。これにより作業台24が常時水平状態に保持される。
さらに、車体10に設けられる地上乗込スイッチSW1の操作信号が地上乗込制御部54に出力されるように構成され、作業台24に設けられる作業状態移行スイッチSW2の操作信号が作業状態移行制御部55に出力されるように構成され、作業台24に設けられる自動地上降下スイッチSW3の操作信号が自動地上降下制御部56に出力されるように構成されている。また、車体10に設けられる車体自動格納スイッチSW4の操作信号、および作業台24に設けられる作業台自動格納スイッチSW5の操作信号がそれぞれ自動格納制御部57に出力されるように構成されている。なお、地上乗込制御部54および作業状態移行制御部55は、インタロック部52に接続される。
作業状態移行制御部55には、車体傾斜角センサS5による車体10の傾斜角の検出信号、および、各ジャッキ40,40,…に設けられた接地センサS6によるジャッキ40,40,…の接地状態の検出信号が、それぞれ入力されるようになっている。
次に、この高所作業車1を使用して行われる高所作業の手順と、地上乗込制御部54、作業状態移行制御部55、自動地上降下制御部56、および自動格納制御部57の作動とについて説明する。高所作業の開始前においては、高所作業車1は、図1,図2に示すようにブーム22および作業台24が格納されているとともに、ジャッキ40,40,…が上方に収縮されて格納されており、前後輪11a,11bが接地した状態になっている。まず、車体10に設けられた地上乗込スイッチSW1を操作する。地上乗込スイッチSW1が操作されると、地上乗込スイッチSW1の操作信号が地上乗込制御部54に出力され、地上乗込制御部54から地上乗込制御信号がバルブ制御部51に出力される。同時に、地上乗込制御部54がインタロック部52を作動させる。
地上乗込制御信号が出力されると、バルブ制御部51はまず、各ジャッキ制御バルブJV1〜JV4を駆動制御する。バルブ制御部51は、まず、前左および前右ジャッキ制御バルブJV1,JV2を駆動制御して前左および前右ジャッキシリンダJA1,JA2をともに最大伸長量になるまで伸長作動させ、前方左右のジャッキ40,40のインナポスト42,42を下方に最大伸長量になるまで伸長作動させる。そして、後左および後右ジャッキ制御バルブJV3,JV4を駆動制御して後左および後右ジャッキシリンダJA3,JA4を伸長作動させ、後方左右のジャッキ40,40のインナポスト42,42を下方に伸長作動させる。そして、後方左右のジャッキ40,40のそれぞれに設けられた接地センサS6から対応するジャッキパッド43,43が接地したことを検出する検出信号が出力されると、後方左右のジャッキ40,40のインナポスト42,42の伸長作動を停止させる制御を行うようになっている。
このように前後左右のジャッキ40,40,…を作動させることで、後輪11b,11bが接地した状態で車体10が後方に傾けられ、前輪11a,11aが地切りされるとともに後輪11b,11bおよび前後左右のジャッキ40,40,…により車体10が支持される。車体10は所定の後傾角θ1だけ後方に傾けられた地上乗込姿勢になる。
なお、接地センサS6は、ジャッキシリンダJA3,JA4の圧力値から接地しているか否かを検出する方法により構成してもよいし、ジャッキシリンダJA3,JA4がアウタポスト41,41との取り付け部に設定されるガタ分だけ移動したか否かを検出して接地しているか否かを検出する方法により構成してもよい。
各ジャッキシリンダJA1〜JA4の伸長作動により車体10が後方に傾けられると、バルブ制御部51は、次いで伸縮動制御バルブBV1を駆動制御して伸縮シリンダBA1を伸長作動させ、ブーム22を所定の伸長量だけ伸長作動させる。ブーム22は格納された状態では先端部を後方に向けていることから、このブーム22の伸長作動により作業台24が後方に移動される。また、車体10が後傾角θ1だけ後方に傾けられることにより、これに応じてブーム22の延びる方向が下方に傾けられ、ブーム22の伸長作動により作業台24が地面に近付けられる。
ブーム22の伸長作動が終わると、バルブ制御部51は、次いで起伏動制御バルブBV2を駆動制御して起伏シリンダBA2を縮小作動させ、ブーム22を所定の倒伏角θ2だけ倒伏作動させる。これにより作業台24がさらに地面に近付けられるとともに車体10に近付けられる。また、図5に示すように、バルブ制御部51は、起伏動制御バルブBV2の駆動制御と同時に、ブーム受け制御バルブV2を駆動制御してブーム受けシリンダA2を縮小作動させ、伸縮ポスト13cを収縮作動させ、ブーム載置面13aの高さ位置をブーム22の倒伏作動に合わせて下方に移動させる。
このように、地上乗込スイッチSW1が操作されると、地上乗込制御部51から出力される制御信号に基づくバルブ制御部51の駆動制御により、図5に示すように、車体10が後方に傾けられて車体10が地上乗込姿勢となるとともに、ブーム22が伸長作動および倒伏作動され、作業台24が車体10上の格納位置から車体10の後方の地面近くの地上乗込位置まで移動する。作業者は作業台24が地上乗込位置まで移動すると、作業台24に地上から容易に搭乗できる。
このとき、ジャッキ40の伸長作動およびブーム22の倒伏作動により、作業台24は格納位置にある状態から後傾角θ1と倒伏角θ2との和だけ、図5に二点鎖線で示すように後方に傾けられることになる。本実施形態では、コントローラ50にレベリング制御部53を設けて構成しており、地上乗込スイッチSW1の操作後、作業台傾斜角センサS4から車体10の後傾角およびブーム22の倒伏角の変化を示す検出信号がこのレベリング制御部53に逐次出力され、レベリング制御部53からの制御信号に基づくバルブ制御部51によるレベリング制御バルブV1の駆動制御が常時行われている。作業台24は、車体10の後傾角およびブーム22の倒伏角に拘らず、図5に実線で示すように常時水平状態に保持される。
次いで、作業台24に搭乗した作業者により、作業台24の上部操作装置30に設けられた作業状態移行スイッチSW2が操作される。作業状態移行スイッチSW2が操作されると、作業状態移行スイッチSW2の操作信号が作業状態移行制御部55に出力される。作業状態移行制御部55は、作業状態移行スイッチSW2の操作信号が出力されると、車体傾斜角センサS5の検出信号に基づいて作業状態移行制御信号をバルブ制御部51に出力する。
作業状態移行制御信号が出力されると、バルブ制御部51は、後左および後右ジャッキ制御バルブJV3,JV4を駆動制御して後左および後右ジャッキシリンダJA3,JA4を伸長作動させ、後方左右のジャッキ40,40のインナポスト42,42を伸長作動させる。これにより、後輪11b,11bが地切りされ、車体10が持上支持される。また、前左および前右ジャッキバルブJV1,JV4を場合により駆動制御して前左および前右ジャッキシリンダJA1,JA2を縮小作動させ、前方左右のジャッキ40,40のインナポスト42,42を収縮作動させる。作業状態移行制御信号は車体傾斜角センサS5からの検出信号に基づいて車体が水平状態になったと判断されると、ジャッキ制御バルブJV1〜JV4の駆動が停止され、図6に示すように車体10が後方に傾けられた地上乗込姿勢から水平状態になる。
このとき、車体10は、図5に示す後方に傾けられた状態から、車体10の後部を持ち上げるように姿勢を変化させながら、図6に示す水平状態になるが、この間においても地上乗込制御部54によるジャッキ40,40,…およびブーム22の作動制御が行われたときと同様にしてレベリング制御部53からの制御信号に基づくバルブ制御部51によるレベリング制御バルブV1の駆動制御が行われており、車体10の姿勢に拘らず作業台24は水平状態に保持される。
車体傾斜角センサS5からの検出信号により車体10が水平状態になったとされると、作業状態移行制御部55がインタロック部52の作動を解除するように構成されている。これにより、地上乗込スイッチSW1が操作されて作業台24が格納位置から地上乗込位置まで移動し、さらに作業状態移行スイッチSW2が操作されて車体10が水平状態に持上支持されるまでの一連の作動が行われている間、インタロック部52が作動し、作業台24に搭乗した作業者によりブーム操作レバー31あるいは首振操作レバー32が操作されてもブーム22および作業台24の作動が規制されることになる。車体10が水平状態に持上支持されていると、ブーム22を作動させても車体10に作用する転倒モーメントに抗することができ、図7に示すように、作業者が所望する高所作業位置に作業台24を安全に移動させることができる。
所望の高所作業位置で作業を終了した作業者は、上部操作装置30に設けられる自動地上降下スイッチSW3および作業台自動格納スイッチSW5のいずれかを操作する。自動地上降下スイッチSW3が操作されると、自動地上降下スイッチSW3の操作信号が自動地上降下制御部56に出力され、自動地上降下制御部56から地上降下制御信号がバルブ制御部51に出力される。
地上降下制御信号が出力されると、バルブ制御部51はまず、伸縮動制御バルブBV1および起伏動制御バルブBV2を駆動制御してブーム22を収縮作動および倒伏作動させ、作業台24を高所作業位置から、ジャッキ40,40,…およびブーム22を安全に作動することができる所定の位置まで降下させる。同時に、旋回動制御バルブBV3および首振動制御バルブBV4を駆動制御し、旋回ポスト21を作業台24が上記地上乗込位置にあるときの旋回角になるように旋回作動させ、作業台24を上記地上乗込位置にあるときの首振角になるように首振り作動させる。なお、旋回ポスト31を格納時の旋回角になるように旋回作動させ、作業台を格納時の首振角になるように首振り作動させてもよい。バルブ制御部51は次いで、各ジャッキ制御バルブJV1〜JV4を駆動制御してインナポスト42,42,…を伸縮作動させ、車体10を後方に傾けた地上乗込姿勢にする。そして、伸縮動制御バルブBV1および起伏動制御バルブBV2を駆動制御して作業台24を地面に近付ける。これにより、伸縮ポスト13cが収縮作動されたままのブーム受け13のブーム載置面13aに基端ブーム22aが載置され、作業台24は図5に示す地上乗込位置まで移動する。ジャッキ40,40,…、ブーム22、および作業台24の作動が停止すると、作業者はドア24cを開けて地上に降りることができる。
地上に降りた作業者は、車体10に設けられる車体自動格納スイッチSW4を操作する。車体自動格納スイッチSW4が操作されると、車体自動格納スイッチSW4の操作信号が自動格納制御部57に出力され、自動格納制御部57からの自動格納制御信号がバルブ制御部51に出力される。
自動格納制御信号が出力されると、バルブ制御部51は、起伏動制御バルブBV2を駆動制御して起伏シリンダBA2を伸長作動させ、ブーム22を起仰作動させるとともに、伸縮動制御バルブBV1を駆動制御して伸縮シリンダBA1を全縮状態に縮小作動させ、ブーム22を全縮状態に収縮作動させ、各ジャッキ制御バルブJV1〜JV4を駆動制御して各ジャッキシリンダJA1〜JA4を全縮状態に縮小作動させ、各ジャッキ40,40,…のインナポスト42,42,…を全縮状態に収縮作動させる。また、起伏動制御バルブBV2の駆動制御とともに、ブーム受け制御バルブV2を駆動制御してブーム受けシリンダA2を伸長作動させ、伸縮ポスト13cを伸長作動させてブーム載置面13aの高さ位置を上方に移動させる。このように、地上乗込制御部54による作動制御により格納位置から地上乗込位置まで作業台24が移動したときと逆の順序でブーム22を作動させる。これにより、図1,図2に示すように、車体10が後方に傾けられた地上乗込姿勢から前後輪11a,11bを接地させた状態になるとともに、ブーム22が格納された状態となって作業台24が車体10上の格納位置まで移動する。
なお、高所作業位置での作業終了時に作業台自動格納スイッチSW5が操作されたときについても、車体自動格納スイッチSW4が操作されたときと同様に、自動格納制御部57から自動格納制御信号がバルブ制御部51に出力され、伸縮動制御バルブBV1、起伏動制御バルブBV2、旋回動制御バルブBV3、首振動制御バルブBV4、およびブーム受け制御バルブV2がそれぞれ駆動制御され、ブーム22および作業台24が車体10上に格納されるようにそれぞれ作動し、ブーム受け13のブーム載置面13aの高さ位置が初期位置まで移動する。なお、ジャッキシリンダJA1〜JA4はこれにより伸縮作動されず、車体10上に格納された作業台24から降りた作業者が手動でジャッキ操作装置36を操作してジャッキ制御バルブJV1〜JV4を駆動し、ジャッキシリンダJA1〜JA4を縮小作動させ、インナポスト42,42,…を収縮作動させてジャッキ40,40,…を格納させる。これにより高所作業車1は、図1,図2に示すように前後輪11a,11bが接地した状態になる。
このように、本実施形態に係る高所作業車1によると、ブーム22が格納されて作業台24が格納位置にあるときに地上乗込スイッチSW1を操作すると、地上乗込制御部54からの地上乗込制御信号に基づき、前方左右のジャッキ40,40のインナポスト42,42が最大伸長量になるまで伸長作動して車体10が後方に傾けられて地上乗込姿勢になる。これにより、車体上において後方に位置して格納される作業台24が、地面に近付けられ、作業者が地上から作業台に搭乗することが容易となり、昇降経路を介して搭乗する必要がなくなり、作業者が転倒や転落することのない安全な高所作業車を提供できる。
このとき、地上乗込制御部54からの地上乗込制御信号に基づき、前後左右のジャッキを伸長させ、それぞれ接地された前後左右のジャッキにより支持された状態で車体が地上乗込姿勢になっている。したがって、前方左右の2本のジャッキで支持する形態と比べ、後方に傾けられた車体を安定させることができる。なお、本実施形態では、後方左右のジャッキ40,40の伸長量はジャッキパッド43,43を接地させる程度としており、前方左右のジャッキ40,40が最大伸長量で伸長したときに車体10の後傾角を小さくさせることなく地上乗込姿勢にすることができる構成になっている。
また、地上乗込スイッチSW1を操作すると、地上乗込制御部54からの地上乗込制御信号に基づき、ブーム22を伸長作動させて作業台24を格納位置から地上乗込位置に移動させる制御を行うようになっている。これにより、作業台24がさらに地面に近付けられ、地面からの作業台24への搭乗がより容易になる。また、車体10を後方に傾けた状態でブーム22を伸張させているため、車体10を傾けずにブーム22を伸長作動させて作業台24を地面に近付ける構成と比べ、地面に近付けた状態における作業台24の位置を車体10に近付けることができる。このため、地上から作業台24に搭乗させるために高所作業車1の周囲に必要となるスペースをコンパクトにすることができる。
さらに、本実施形態においては、ブーム22を倒伏作動させる制御を行うように構成されている。このため、作業台24がさらに地面に近付けられ、地上からの作業台24への搭乗がより容易になる。また、この倒伏作動によって、作業台24の位置をさらに車体10に近付けることができ、地上から作業台24に搭乗させるために高所作業車1の周囲に必要となるスペースをさらにコンパクトにすることができる。
また、このブーム22の倒伏作動に伴って、地上乗込制御部54からの地上乗込制御信号に基づき、バルブ制御部51によりブーム受け制御バルブV2が駆動制御され、ブーム受け13の伸縮ポスト13cが収縮作動し、ブーム載置面13aの位置が下方に移動するように構成されている。これによりブーム22の倒伏作動がブーム受け13により妨げられることがなく、ブーム22およびブーム受け13を構成する部材の損傷が回避される。
また、作業台24に設けられる作業状態移行スイッチSW2を操作すると、作業状態移行制御部55からの作業状態移行制御信号に基づき、各ジャッキ40,40,…のインナポスト42,42,…が作動し、後方に傾けられて地上乗込姿勢となっている車体10が水平状態に持上支持される。これにより車体10が安定してブーム22の作動を安全に行うことができるが、このジャッキ40,40,…の作動が作業状態移行制御部55およびバルブ制御部51による作動制御で自動的に行われる。このため、車体10側にいる作業者が車体10の姿勢を確認してジャッキ操作装置36を操作する必要がなく、地上から作業台24に搭乗した作業者が作業台24内で自動制御の操作を行うことができるようになっている。このように、取扱性がよく、作業効率の向上が図られた高所作業車を提供できる。
さらに、コントローラ50にインタロック部52を備え、本実施形態では、地上乗込スイッチSW1が操作されるとインタロック部52を作動させ、車体10が水平状態になったときにインタロック部52を解除するように構成しており、車体10が不安定な状態になっているときに、両操作レバー31,32のレバー操作に応じたブーム22および作業台24の作動が規制される。これにより、ブーム22を安全に作動させることができる状態になるまで作業者がブーム22を作動操作できなくなり、また、誤操作があってもブーム22が作動することがなく、車体10が不意に転倒するおそれを回避できる。
また、作業台24に設けられる自動地上降下スイッチSW3を操作すると、車体10を地上乗込姿勢にして作業台24が地上乗込位置に移動するように、ジャッキ40,40,…、旋回ポスト21、ブーム22、作業台24を作動させる。これにより地上から搭乗した作業者が地上に降りることができ、昇降経路を介して降りる必要がなくなり、転落等の危険が回避された安全な高所作業車を提供できる。さらに、車体10に設けられた車体自動格納スイッチSW4を操作すると、作業台24が地上乗込位置から格納位置に移動するように、ジャッキ40,40,…およびブーム22を作動させる。これにより作業を終了して地上に降りた作業者が車体10側でブーム22を自動格納することができ、取扱性のよい高所作業車を提供できる。
また、作業台24をブーム22に対して揺動自在に取り付けるとともに、作業台24を揺動駆動するレベリングシリンダA1を先端ブーム22bと作業台24との間に配設し、作業台24に設けた作業台傾斜角センサS4からの検出信号に基づいてレベリング制御バルブV1を駆動制御してレベリングシリンダA1を作動させ、車体10およびブーム22の姿勢、すなわち車体10の後傾角およびブーム22の倒伏角に拘らず作業台24を水平状態に保持するようにしている。これにより、作業者が作業台24に搭乗するときに作業台24を水平状態にすることができ、搭乗を安全に行わせることができる。また、作業状態移行スイッチSW2を操作して車体10が後方に傾けられた状態から水平状態になるまでの間についても、車体10の後傾角が変化する一方で作業台24は水平状態に保持され、作業者に対する安全性を向上させることができる。
また、バケット部24aの一側面が上端から下端部まで切り欠かれ、このようにして切り欠かれた部分を開閉自在にドア24cが取り付けられている。このようなドア24cを設けることにより、地上での作業台24への乗降が容易となり、取扱性を向上させることができる。
以上、本発明の第1の実施形態に係る高所作業車について説明したが、本発明の範囲は上述の実施形態に示したものに限られない。例えば、後輪11b,11bよりも後方に配設されている後方左右のジャッキ40,40のインナポスト42,42をジャッキパッド43,43が接地するまで伸長作動させてから前方左右のジャッキ40,40を伸長作動させて車体10が地上乗込姿勢になるように制御を行ってもよい。これにより、前方左右のジャッキ40、40を伸長させて車体10を後方に傾ける作動を行う間においては、接地させた後方左右のジャッキ40,40のジャッキパッド43,43が支点となる。このため、後輪11b,11bにより支持された状態で車体10を傾ける場合においては、車体10を後方に傾ける際の車体10の重心移動に伴って車体後方側の荷重が大きくなって後輪11b,11bのサスペンションが縮小し、車体10の後端部が下方に沈み込むおそれがあるが、このようにサスペンションを縮小させるような力に対して接地されたジャッキ40,40により抗することができ、車体10と地面とが干渉するおそれを回避できる。そして、このようにして地上乗込姿勢になった車体10を前後左右の4本のジャッキ40,40,…により安定して支持することができる。
また、図8に上記第1の実施形態の変更例を示している。上述の通り格納位置にある作業台24は、平面視において車体10からはみ出ないようにブーム22の側面に沿うような首振角にされている。ここで、本変更例においては、地上乗込スイッチSW1が操作されると、地上乗込制御部54から出力される地上乗込制御信号に基づき、所定の順序でバルブ制御部51が首振動制御バルブBV4を駆動制御して首振モータBA4を駆動させ、矢印rで示すように作業台24を垂直ポスト23の軸周りに平面視における反時計回りに首振作動させ、ブーム22の左側方且つ収縮方向に位置する作業台24をブーム22の延びる方向に位置させるようにしている。
図8(a)に示すブーム22の伸長量において、二点鎖線で示すように作業台24が格納時の首振角になっていると、平面視において車体10から完全に離隔させることができないのに対し、実線で示すように作業台24をブーム22の延びる方向に位置させるように首振作動させることで、車体10から後方に完全に離隔させることができる。このような首振作動により、ブーム22の伸長量を短くして作業台24を地面に近付けることができる。
また、図8(b)に示すように本変更例では、地上乗込位置にある作業台24が水平状態になく、後方に傾けられた状態となっている。一方、作業台24を首振作動させることにより、ドア24cが形成される側面が後方に向けられており、作業者はバケット部24aにおいて最も地面に近付けられた側面から乗降できるようになっている。このとき、作業台24を前方に傾けて水平状態に保持する場合と比べて作業台24への段差が小さくなることから、乗降を容易に行うことができる。さらに、バケット24の床面が、搭乗する方向に上り傾斜(降りる方向に下り傾斜)になり、作業者に違和感を与えることなく乗降させることができる。このように、作業台24を常時水平状態に保持しない形態であっても、作業者に対する取扱性のよい高所作業車を提供できる。
なお、垂直ポスト23(作業台24)を揺動駆動させるレベリングアクチュエータを油圧シリンダとしたが、電動モータ、油圧モータ等から構成してもよい。また、作業台24に設けた作業台傾斜角センサS4からの検出信号に基づいてレベリング制御バルブV1を駆動制御してレベリングシリンダA1を伸縮作動させ、作業台24を水平状態に保持する形態としたが、旋回ポスト21および基端ブーム22aの間に配設される油圧シリンダと、先端ブーム22bおよび垂直ポスト23の間に配設される油圧シリンダとの連動により作業台24の水平状態を保持する形態としてもよい。
また、地上乗込スイッチSW1が操作されると、地上乗込制御部54からの地上乗込制御信号に基づいてバルブ制御部51が各ジャッキ制御バルブJV1〜JV4、伸縮動制御バルブBV1、起伏動制御バルブBV2の順で駆動制御するとしたが、どのような順序でもよい。これは、首振動制御バルブBV4を駆動制御する形態においても同様である。
なお、これらの駆動制御を同時に行ってジャッキ40の作動、ブーム22の作動、作業台24の作動を連動させてもよく、連動させることにより作業台24を格納位置から地上乗込位置に移動させるまでの所要時間の短縮を図ることができる。このとき、地上乗込スイッチSW1から操作信号が出力されると、エンジンEのスロットル開度を変化させる等してエンジンEの回転数を上昇させる制御を行うことが好ましい。これにより、エンジンEの回転出力を受けて駆動される油圧ポンプPの駆動力が上昇し、連動に必要な油量を充分に確保できる。
さらに、ジャッキ40は車体10の側部前後左右の4箇所に配設されるとしたが、車体10の側部前方左右の2箇所に配設する形態であっても本発明を実施可能であり、同様の効果を得ることができる。例えば車体10の前端中央部に1本ジャッキを増設して5箇所に配設する形態であっても本発明を実施可能であり、同様の効果を得ることができる。
また、ブーム受け13は、ブーム22の起伏作動に伴ってブーム載置面13aの高さ位置を上下に移動させることができる構成であればどのようなものであってもよい。例えば、図9に変更例を示すように、ブーム受け63を車体10に対して前後方向に揺動自在に取り付け、車体10とブーム受け63の間にブーム受けシリンダA12を配設し、ブーム受けシリンダA12の伸縮作動によりブーム受け63を揺動させてブーム載置面63cの高さ位置を上下に移動させることができるようにした構成であってもよい。また、ブーム受け63を揺動させる構成においては、ブーム受けシリンダA12を車体10の後方側に設ける構成にしても同様に実施可能である。
なお、地上乗込スイッチSW1を操作したとき、地上乗込制御部54からの地上乗込制御信号に基づいて、バルブ制御部51により、一度起伏シリンダBA2を伸長作動させてブーム22を起仰作動させるように起伏動制御バルブBV2を駆動制御し、旋回モータBA3によりブーム22(旋回ポスト21)を旋回作動させるように旋回動制御バルブBV3を駆動制御し、その後、起伏シリンダBA2を縮小作動させてブーム22を倒伏作動させるように起伏動制御バルブBV2を駆動制御するようにしてもよい。ブーム22を旋回させることでブーム受け13,63の上方からブーム22が移動し、ブーム受け13,63がブーム22の倒伏作動の妨げにならない。このように地上乗込制御部54およびバルブ制御部51によるブーム22の作動制御を変更することで、上記のようにブーム受け13,63の構成を複雑化することなく作業台24を地上乗込位置まで移動させることができる。なお、このような構成の場合、車体自動格納スイッチSW4の操作により地上乗込位置から格納位置まで移動させるときにおいても、ブーム受け13,63を避けるように、バルブ制御部51により旋回動制御バルブBV3を駆動制御して旋回モータBA3を駆動させ、ブーム22(旋回ポスト21)を旋回作動させることが好ましい。
そして、このような旋回作動を行うときに、図8に示したような作業台24の首振作動を行わせてもよい。このとき、作業台24が、この首振作動によって平面視において車体10の車幅方向外方に突出しないように、旋回ポスト21を旋回作動させることが好ましい。このように旋回ポスト21および作業台24を作動させることにより、高所作業車1の車幅方向に対して作業台24を地上乗込位置まで移動させる制御を行うためのスペースを確保する必要がなくなり、狭い作業現場であっても、図8に示すような作業台24を首振作動させて地上乗込位置まで移動させる制御を行うことができる。
なお、地上乗込スイッチSW1および車体自動格納スイッチSW4を車体10上に設ける構成としたが、運転キャビン12に設ける構成としてもよい。また、ブーム22および作業台24の作動操作を行うためのブーム操作レバー31および首振操作レバー32を作業台24にのみ設けるとしたが、車体10に併せて設ける形態としてもよい。このとき、車体10に設けられる操作レバーに対しても、地上乗込スイッチSW1が操作されてから車体10が水平状態に持上支持されるまでの間に、インタロック部52による規制制御を行うことが好ましい。
また、インタロック部52を、両操作レバー31,32とバルブ制御部51との接続回路を断線することでレバー操作に基づくブーム22の作動を規制するように構成したが、必ずしもこのような構成に限らず、伸縮シリンダBA1、起伏シリンダBA2、旋回モータBA3、首振モータBA4等の油圧アクチュエータへの作動油の給排を制御するインタロック制御バルブを新たに設け、バルブ制御部51によりこのインタロック制御バルブを電磁駆動することでこれら油圧アクチュエータへの作動油の給排を停止し、両操作レバー31,32が操作されてもブーム22が作動しないように構成する形態としてもよい。また、上記実施形態では、高所作業車1は、車両状態が所定の条件になったときにブーム22の作動が規制されるブーム・インタロック機能を有するものであるとしていたが、更に、ブーム22が未格納状態にあるときにジャッキ40,40,・・・の作動が規制されるジャッキ・インタロック機能を備えた構成とするようにしてもよい。
また、ジャッキを左右方向(車幅方向)に張出格納自在に構成してもよい。このような場合、作業を開始するにあたって、まず所定の張出量でジャッキを車幅方向外方に張出作動させ、次いで地上乗込スイッチSW1を操作することで、その後は上記第1の実施形態と同様に実施可能であり同様の効果を得ることができる。また、車体自動格納スイッチSW4を操作してブーム22および作業台24を車体10上に格納した後、ジャッキを車幅方向内方に格納作動させることで作業が終了される。
また、この第1の実施形態においては、前方左右のジャッキ40,40を最大伸長量まで伸長作動させ、後方左右のジャッキ40,40をジャッキパッド43,43が接地する程度の伸長量で伸長作動させて車体10を後方に傾けるとしたが、後方左右のジャッキ40,40が車体10を支持し、前方左右のジャッキ40,40の伸長量が後方左右のジャッキ40,40の伸長量よりも大きく設定されて車体10が後方に傾けられるとともに、車体10の後傾角θ1が図2に示すデパーチャーアングルθDAよりも小さい限りにおいて、各ジャッキ40,40,…の伸長量は適宜設定可能である。なお、デパーチャーアングルθDAは、側面視において後輪11bの接地部と車体10の後端下部との結線で表されるデパーチャーアングル形成面DAと、水平面とにより形成される。また、ブーム22の伸長量およびブーム22の倒伏角θ2についても同様に適宜設定可能であるが、図2に二点鎖線で示されるように、地上乗込位置にある作業台24の下面がデパーチャーアングル形成面DAよりも上方に位置することが好ましい。これにより、地面が傾斜しているときに作業台24を地上乗込位置に移動させても、作業台24が地面と干渉する前に車体10の後端下部が接地することになり、地面の傾斜状態に拘らず作業台24が地面との干渉により損傷するおそれを回避できる。
上記第1の実施形態および各変更例においては、本発明に係る高所作業車として、基端ブームおよび先端ブームからなる直伸2段ブームを作業装置に備えた高所作業車を例示して説明したが、格納時にブームの先端部が車体の後方に向けられ、このようなブームの先端部に作業台が取り付けられる形態の高所作業車であれば、例えば基端ブーム、中間ブーム、および先端ブームとからなる直伸3段ブームを備える形態など、他の構成の作業装置を設けた高所作業車であっても同様に実施可能であり、同様の効果を得ることができる。
図10には、図1〜図8に示す高所作業車1と別形態の作業装置70を車体10に設けた高所作業車6を示している。図10に示す高所作業車6の作業装置70は、上記高所作業車1の作業装置20と同様の旋回ポスト21、ブーム22、垂直ポスト23、および作業台24と、ブーム22の先端部と垂直ポスト23との間に設けられる屈伸アーム75とから構成される。また、図示略するが、バケット部24aには上記実施形態と同様にドアが設けられ、また、ブーム22の起伏作動に合わせてブーム載置面の高さ位置を上下移動自在に構成されたブーム受けが車体10に立設されている。このような作業装置70は、図10に二点鎖線で示すように、上記実施形態と同様にして車体10上に格納される。
屈伸アーム75は、ブーム22の先端に取り付けられるブーム側ブラケット75aと、垂直ポスト23に取り付けられる作業台側ブラケット75bと、両ブラケット75a,75bの間に揺動自在に跨設されて平行リンク機構を構成する第1および第2リンク部材75c,75dとから構成され、両リンク部材75c,75dに跨設される屈伸シリンダA3の伸縮作動により両リンク部材75c,75dを平行状態にしたまま揺動作動させることができる。この両リンク部材75c,75dの揺動作動により、作業台24を矢印r′で示すように、ブーム22の起伏作動と同一面で起伏自在(特に屈伸自在と称する)に構成される。また、作業台側ブラケット75bと垂直ポスト23との間にはレベリングシリンダA1が跨設されており、上記実施形態と同様にして、作業台傾斜角センサS4の検出する検出信号に基づいてレベリングシリンダA1を伸縮作動させることにより、作業台24がブーム22の起伏角、作業台23の屈伸角に拘らず常時水平状態に保持されるようになっている。
この高所作業車6においても、車体10に設けられる地上乗込スイッチSW1を操作すると、地上乗込制御部54からの制御信号に基づいてバルブ制御部51により、前後左右のジャッキバルブJV1〜JV4を駆動制御してインナポスト42,42,…を伸長作動させて車体10を後方に傾け、伸縮動制御バルブBV1を駆動制御してブーム22を伸長作動させ、起伏動制御バルブBV2を駆動制御してブーム22を倒伏作動させ、屈伸シリンダA3に対応する屈伸動制御バルブを駆動制御して作業台24を車体10に近付けるように屈伸作動させて作業台24が地上乗込位置まで移動する。これにより、上記実施形態と同様に、地上での作業台24への乗降が容易になる。また、このように作業台24が屈伸自在に構成されることから、地上乗込位置にある作業台24を車体10により近付けることができるとともに、作業台24と車体10との距離、作業台24と地面との距離の設定の自由度を向上させることができる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図11は本発明の第2実施形態に係る高所作業車を示している。この高所作業車101は走行用の左右の前輪111a,111a及び左右の後輪111b,111bを備えて運転キャビン112から走行運転が可能なトラック式の車体110と、車体110上に設けられて上方に延びた旋回ポスト120と、この旋回ポスト120の上部にフートピン121を介して基端部が支持されたブーム(伸縮ブーム)130と、このブーム130の先端部に取り付けられた作業者搭乗用の作業台140とを有して構成される。
旋回ポスト120は車体110の前部に上下軸まわり回動自在に取り付けられている。車体110の内部には旋回モータ(油圧モータ)122が設けられており、この旋回モータ122を回転作動させることにより、図示しないギヤを介して旋回ポスト120を水平旋回動させることができる。ブーム130は基端ブーム130a及び先端ブーム130bが入れ子式に構成されており、内部に設けられた伸縮シリンダ(油圧シリンダ)131の伸縮作動により両ブーム130a,130bを相対的に移動させてブーム130全体を軸方向に伸縮動させることができる。また、基端ブーム130aと旋回ポスト120との間には起伏シリンダ(油圧シリンダ)123が跨設されており、この起伏シリンダ123を伸縮作動させることによりブーム130全体を起伏動させることができる。
先端ブーム130bの先端部には垂直ポスト保持金具132が取り付けられており、この垂直ポスト保持金具132により垂直ポスト133の下端部が枢支されている。この垂直ポスト133は図示しないレベリング装置により、ブーム130の起伏角度によらず常時垂直姿勢が保持される構成となっている。
作業台140は箱形状を有しており、外部に突出して設けられた作業台保持ブラケット141を介して垂直ポスト133の上端部に回動自在に取り付けられている。作業台保持ブラケット141の内部には首振モータ(油圧モータ)142が設けられており、この首振モータ142を回転作動させることにより、作業台140全体を垂直ポスト133まわりに首振り動(水平旋回動)させることができる。ここで、垂直ポスト133は上述のように常時垂直姿勢が保たれるため、結果として作業台140の床面はブーム130の起伏角度によらず常時水平に保持される。
作業台140には上部操作装置144が設けられており、ここにはブーム130の起伏・伸縮・旋回操作を行うためのブーム操作レバー145及び作業台140の首振り操作を行うための首振操作レバー146が備えられている(図12参照)。ブーム操作レバー145の操作により出力された操作信号は図12に示すように、車体110内に設置されたコントローラ160のブーム・ジャッキ作動制御部161に入力され、上記操作信号を受けたコントローラ160のブーム・ジャッキ作動制御部161は、ブーム操作レバー145の操作信号に基づいて起伏動制御バルブV101、伸縮動制御バルブV102及び旋回動制御バルブV103の各スプール(図示せず)を電磁駆動する。また、首振操作レバー146の操作により、首振動制御バルブV104のスプール(図示せず)が直接(機械的に)駆動される。
車体110内に設けられた油圧ポンプP1は図示しないエンジンや電動モータ等により回転駆動され、油圧ポンプP1が吐出する圧油は、上記制御バルブV101,V102,V103,V104経由で起伏シリンダ123、伸縮シリンダ131、旋回モータ122及び首振モータ142に供給される。このため起伏シリンダ123、伸縮シリンダ131及び旋回モータ122はブーム操作レバー145の操作により所望に作動させることができ、首振モータ142は首振操作レバー146の操作により所望に作動させることができる。このため、作業台140に搭乗した作業者は、ブーム操作レバー145及び首振操作レバー146の操作を行うことにより作業台140を任意の位置に移動させて所要の作業を行うことができる。
また、高所作業車101には転倒防止装置が備えられており、車体110を転倒させる方向に作用するモーメント(転倒モーメント)によって車体110が転倒することがないようになっている。この転倒防止装置は車体110に対する作業台140の位置を検出する作業台位置検出手段180と、上記コントローラ160のブーム・ジャッキ作動制御部161とから構成される。作業台位置検出手段180はブーム130の基端部に設けられてブーム130の起伏角度を検出する起伏角度センサ181、ブーム130内に設けられてブーム130の長さを検出する長さセンサ182、車体110内に設けられてブーム130の(旋回ポスト120の)旋回角度を検出する旋回角度センサ183及びコントローラ160の作業台位置算出部162から構成され(図12参照)、コントローラ160の作業台位置算出部162は、上記3つのセンサ181,182,183からの検出情報に基づいて車体110の基準位置に対するブーム130の先端部の位置、すなわち作業台140の位置を算出する。そして、コントローラ160のブーム・ジャッキ作動制御部161は、コントローラ160の作業台位置算出部162が算出した作業台140の位置が、予め設定した許容作動範囲内に収まるように上記制御バルブV101,V102,V103のスプール動作をコントロールする。これにより転倒モーメントが過大になって車体110が転倒に至るような事態が防止される。
また、高所作業車101には車体110を安定支持させるためのジャッキ装置(アウトリガジャッキ)113が備えられており、車体110を安定させてより大きな転倒モーメントに抗し得るようになっている。ジャッキ装置113は車体110の前方左右に取り付けられた前方ジャッキ113p,113p及び車体110の後方左右に取り付けられた後方ジャッキ113q,113qからなっており、それぞれジャッキ制御バルブJVを介して油圧ポンプP1からの圧油供給を受けるようになっている。前方ジャッキ113p及び後方ジャッキ113qはそれぞれ、車体110に固定されて下方に延びたアウタポスト113aと、アウタポスト113a内を上下方向に移動自在なインナポスト113bと、インナポスト113bの下端部に揺動自在に取り付けられたジャッキパッド113cとから構成される(図11及び図13参照)。
左右の前方ジャッキ113p,113p及び左右の後方ジャッキ113q,113qそれぞれの張出し及び格納操作、すなわち各ジャッキに対応するジャッキ制御バルブJVの作動制御は、車体110上の下部操作装置114に備えられたジャッキ操作装置115の操作によって行うことが可能である。ジャッキ操作装置115は左右の前方ジャッキ113p,113p及び左右の後方ジャッキ113q,113qそれぞれに対応する複数のスイッチからなっており、各スイッチが操作されると、その操作信号はコントローラ160のブーム・ジャッキ作動制御部161に入力され、コントローラ160のブーム・ジャッキ作動制御部161は、入力された上記操作信号に応じて対応するジャッキ制御バルブJVを電磁駆動する。このため、左右の前方ジャッキ113p,113p及び左右の後方ジャッキ113q,113qはジャッキ操作装置115の操作によって各自独立して伸長(張出し)或いは収縮(格納)作動させることができる。
また、この高所作業車101には、作業者が地上から作業台140への搭乗と作業台140から地上への下乗とを容易に行うことができるようにするための地上乗込装置が備えられている。この地上乗込装置は上記ジャッキ装置113及びコントローラ160に加え、車体110に内蔵されて地面の水平面からの傾斜角(以下、地面傾斜角θと称する。図13〜図15参照)及び車体110の水平(水平姿勢)からの前後方向傾斜角(以下、車体傾斜角φと称する。図13〜図15参照)とを検出する傾斜角センサ171と、車体110の下部操作装置114内(或いは運転キャビン112内)に設けられた地上乗込スイッチ172及び自動地上降下スイッチ174と、作業台140の上部操作装置144内に設けられた作業状態移行スイッチ173及び車体自動格納スイッチ175とを備えて構成される。
傾斜角センサ171は例えば、錘を垂下させた振子と、車体110が水平にあるときの振子の位置を基準とした振子の振れ角に対応した電圧信号を出力するポテンショメータとから構成される。このような構成の傾斜角センサ171では、車体110が水平から傾いているときにはその水平からの前後方向傾斜角(すなわち車体傾斜角φ)に応じた電圧信号が出力される。傾斜角センサ171から出力された電圧信号はコントローラ160のブーム・ジャッキ作動制御部161に入力されるようになっており、コントローラ160のブーム・ジャッキ作動制御部161は、傾斜角センサ171から出力された上記電圧信号に基づいて車体110の水平からの前後方向傾斜角φを検知することができるようになっている。なお、この実施形態では、車体傾斜角φは車体110が頭上げとなるときに正の値(φ>0)として検出され、車体110が頭下げとなるときには負の値(φ<0)として検出されるようになっているものとする。
傾斜角センサ171は上記のように車体傾斜角φを検出するものであるが、左右の前方ジャッキ113p,113p及び左右の後方ジャッキ113q,113qのいずれをも非接地にした状態で、すなわち全ての走行用車輪(左右の前輪111a,111a及び左右の後輪111b,111b)が接地している状態で検出される車体傾斜角φはそのまま地面の水平面からの傾斜角(すなわち地面傾斜角θ)に相当することになる。このためコントローラ160のブーム・ジャッキ作動制御部161は、ジャッキ装置113を使用していない(全てのジャッキを格納している)状態で出力される傾斜角センサ171からの検出情報は、これを地面傾斜角θとして認識するようになっている。なお、この実施形態では、地面が車体110の進行方向から見て上り坂のときには地面傾斜角θは正の値(θ>0)として検出され、地面が車体110の進行方向から見て下り坂のときには地面傾斜角θは負の値(θ<0)として検出されるものとする。
コントローラ160は図12に示すように記憶部163を有しており、この記憶部163には、地面傾斜角θに応じて予め定められた地上乗込時車体傾斜角φ0と地上乗込位置とが記憶されている。ここで、地上乗込時車体傾斜角φ0は、左右の前方ジャッキ113p,113pを張出して左右の前輪111a,111aを地面から浮かせた(地切りさせた)後、左右の後方ジャッキ113q,113qを張出すことによって左右の後輪111b,111bを地面から浮かせる(地切りさせる)ことができ、かつ車体110をほぼ水平に支持し得る値に設定されている。また、地上乗込位置は、地面傾斜角θの如何によらず、車体110の後端部から作業台140までの車体110の前後軸に沿った距離L及び地面から作業台140の最下部までの距離Hがそれぞれほぼ一定となる位置に設定されている(図13〜図15参照)。なお、ここで、上記距離Hの値は、作業台140が地上付近に位置して、地上の作業者が容易に作業台140に乗込むことができる値とする。
次に、高所作業車101に備えられた上記地上乗込装置の動作順序について図13〜図15を参照して説明する。ここで、図13は作業台140への地上乗込時における地面が水平のとき(地面傾斜角θ=0)、図14は作業台140への地上乗込時における地面が車体110の進行方向から見て上り坂のとき(地面傾斜角θ>0)、図15は作業台140への地上乗込時における地面が車体110の進行方向から見て下り坂のとき(地面傾斜角θ<0)をそれぞれ示している。
地上乗込装置を使用した作業台140への搭乗を行うのは作業者が地上にいるときであって、高所作業車101のブーム130及び作業台140が所定の車体110上の格納位置に格納された状態にあり、かつ左右の前方ジャッキ113p,113p及び左右の後方ジャッキ113q,113qが非接地の状態にあるときである。この高所作業車101では、ブーム130はその先端部を車体110の後方に向けて倒伏した姿勢に格納され、このとき作業台140は車体110の後部に設けられた作業台レスト116に載置される(図11の実線で示すブーム30及び作業台40参照)。
ブーム130及び作業台140が格納姿勢にあり、かつ左右の前方ジャッキ113p,113p及び左右の後方ジャッキ113q,113qが非接地にある状態から、地上の作業者により下部操作装置114の地上乗込スイッチ172が操作されると、その操作信号はコントローラ160のブーム・ジャッキ作動制御部161に入力される。そして地上乗込スイッチ172の操作信号を受けたコントローラ160のブーム・ジャッキ作動制御部161は、その時点において傾斜角センサ171が検出している車体傾斜角φから地面傾斜角θを求める。そして、求めた地面傾斜角θに対応した地上乗込時車体傾斜角φ0と地上乗込位置とを記憶部163から読出し(設定し)、傾斜角センサ171により検出される車体傾斜角φがその地上乗込時車体傾斜角φ0に一致するようにジャッキ制御バルブJVをコントロールして左右の前方ジャッキ113p,113pを張出させる(図13(A)、図14(A)及び図15(A)参照)。なお、後述するように、その後左右の後方ジャッキ113q,113qを張出させることになるので、このとき設定される地上乗込時車体傾斜角φ0は必ず車体110が頭上げの姿勢となる角度となる。
コントローラ160のブーム・ジャッキ作動制御部161は、上記のように車体傾斜角φが地上乗込時車体傾斜角φ0に一致するように左右の前方ジャッキ113p,113pを張出させたら、続いて、制御バルブV101,V102,V103をコントロールして、作業台140が設定した地上乗込位置に位置するようにブーム130を伸長作動させる(図13(B)、図14(B)及び図15(B)参照)。このため作業台140は車体110の後方において地面に近付く(地上付近に位置する)ようになり、作業者は地上から直接作業台140に搭乗することが可能となる。なお、上記ブーム130の伸長作動は、作業台140と車体110との接触を避けるため、必要に応じてブーム130の起伏、旋回作動を伴うものとなる。また、作業者の搭乗を容易にするため、作業台140の首振り作動を伴うようにしてもよい。また、前方ジャッキ113p,113pを張出させた後、ブーム130を伸長作動させる前に後方ジャッキ113q,113qを接地するまで張出させてもよい。このようにすると、ブーム130の伸長作動を行っても車両後方が沈み込むことを防止することができる。
作業者は、作業台140に搭乗したら、上部操作装置144に備えられた作業状態移行スイッチ173を操作する。作業状態移行スイッチ173が操作されると、その操作信号はコントローラ160のブーム・ジャッキ作動制御部161に入力される。作業状態移行スイッチ173の操作信号を受けたコントローラ160のブーム・ジャッキ作動制御部161は、傾斜角センサ171により検出される車体傾斜角φがほぼ零になるように(車体110がほぼ水平になるように)、ジャッキ制御バルブJVをコントロールして左右の後方ジャッキ113q,113qを伸長させる(図13(C)、図14(C)及び図15(C)参照)。これにより車体110はほぼ水平になるので、高所作業中における車体110の十分な安定性を確保することが可能となる。
また、高所作業が終わった後には、作業台140上の作業者はブーム操作レバー145及び首振操作レバー146の操作を行って、或いはブーム130の自動格納装置が備えられている場合にはその自動格納装置を作動させることによってブーム130及び作業台140を格納姿勢にするが、その後作業者は地上へ下乗するために上部操作装置144に備えられた自動地上降下スイッチ174を操作する。自動地上降下スイッチ174が操作されると、その操作信号はコントローラ160のブーム・ジャッキ作動制御部161に入力され、自動地上降下スイッチ174の操作信号を受けたコントローラ160のブーム・ジャッキ作動制御部161は、左右の後方ジャッキ113q,113qを全縮させて格納状態にする。これにより車体110は左右の後輪111b,111bが接地した状態となり、車体110はその傾斜角φが作業者の地上乗込時に設定された地上乗込時車体傾斜角φ0に一致した傾斜姿勢になる(図13(A)、図14(A)及び図15(A)参照)。
コントローラ160のブーム・ジャッキ作動制御部161は、上記のように左右の後方ジャッキ113q,113qを格納させたら、続いてブーム130を作動させ、作業者の地上乗込時に設定した地上乗込位置に作業台140が位置するようにする(図13(B)、図14(B)及び図15(B)参照)。これにより作業者は、作業台140から直接地上に下乗することが可能となる。
作業者は、地上に下乗したら、車体110上に備えられた車体自動格納スイッチ175を操作する。車体自動格納スイッチ175が操作されると、その操作信号はコントローラ160のブーム・ジャッキ作動制御部161に入力され、車体自動格納スイッチ175の操作信号を受けたコントローラ160のブーム・ジャッキ作動制御部161は、制御バルブV101,V102,V103,V104をコントロールしてブーム130及び作業台140を所定の車体110上の格納位置に格納させた後、続いてジャッキ制御バルブJVをコントロールして、左右の前方ジャッキ113p,113pを格納させる(図13(A)、図14(A)及び図15(A)参照)。これにより車体110は前輪111a,111a及び後輪111b,111bにより接地した状態となるので、その後の道路走行が可能となる。
上述のように、本実施形態に示した高所作業車101では、地上乗込スイッチ172が操作されたとき、車体傾斜角φがそのときの地面傾斜角θに対応して設定された地上乗込時車体傾斜角φ0に一致するように左右の前方ジャッキ113p,113pを張出させた後、作業台140が車体110の後方に移動するようにブーム130を作動させるようになっている。そして、地上乗込時車体傾斜角φ0は、左右の前方ジャッキ113p,113pを張出して前輪111a,111aを地面から浮かせた後、後方ジャッキ113q,113qを張出すことによって後輪111b,111bを地面から浮かせることができ、かつ車体110をほぼ水平に支持し得る値に設定されているので、作業台140に作業者が搭乗した後には、必ず車体110をほぼ水平にすることができ、高所作業中における車体の十分な安定性を確保することが可能である。
なお、ここで設定される地上乗込時車体傾斜角φ0は上述のように前方ジャッキ113p,113pを張出して前輪111a,111aを地面から浮かせた後、後方ジャッキ113q,113qを張出すことによって後輪111b,111bを地面から浮かせることができ、かつ車体110をほぼ水平に支持し得る値に設定されるが、その値は最終的に車体110をほぼ水平にしたときの前方ジャッキ113p,113pの張出し量と後方ジャッキ113q,113qの張出し量がともに必要最小限の量となる値であることが好ましい。具体的には、地面が水平或いは上り坂であるときには前方ジャッキ113p,113pの張出し量を前輪111a,111aが地切りをした直後に傾斜角センサ171が示すであろう角度とし、地面が下り坂であるときには、後において後方ジャッキ113q,113qを張出して後輪111b,111bが地切りをした直後に車体110がほぼ水平となるような角度である。このようにすれば、車体傾斜角φが必要以上に大きくなることが防止され(特に、地面が上り坂であるときにおいて)、車体110が傾くことによって車体110上の積載物が滑り落ちるような不測の事態を防止することができるようになる。
また、地上乗込スイッチ172の操作が行われたとき、地面が急傾斜であり、検出された地面傾斜角θが最終的に車体110を水平にすることができない角度であったような場合には、その旨の警報を発して前方ジャッキ113p,113pの張出しを行わない構成としてもよい。
また、本実施形態で示した高所作業車101では、車体傾斜角φが地上乗込時車体傾斜角φ0に一致するように左右の前方ジャッキ113p,113pが張出された後、作業台140が地面傾斜角θの如何によらず、車体110の後端部から作業台140までの車体110の前後軸に沿った距離L及び地面から作業台140の最下部までの距離Hがそれぞれほぼ一定となる地上乗込位置に位置するようにブーム130が作動されるようになっているため、作業台140は常に車体110に対するほぼ一定の位置に下ろされることになる。従って、作業台140に搭乗しようとする作業者は、車体110に対して作業台140が下ろされる位置を予め予測することができ、作業台140が下ろされる位置を作業者が見込み違いすること等による作業台140と作業者、或いは作業台140と後方の障害物との接触事故等を未然に防止することが可能である。
以上、本発明の第2実施形態について説明してきたが、本発明の範囲は上述の実施形態に示したものに限定されない。例えば、上述の実施形態では、車体傾斜角φを検出する手段(傾斜角センサ171)が地面傾斜角θを検出する手段をも兼ねる構成となっていたが、地面傾斜角θを検出する手段と、車体傾斜角φを検出する手段とをそれぞれ別部材として構成するようにしても構わない。