JP2007057673A - 加熱装置および画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電磁誘導加熱方式の加熱装置において、励磁コイル自身の発熱損失、磁性コア自身の発熱損失の低減により従来よりも大きな電力が使用でき、また、同じ電力に対して従来よりも加熱部材の発熱量を増やせる装置構成を実現することで、より高速な画像形成装置に使用可能な加熱装置を提供する。
【解決手段】電磁誘導加熱方式の加熱装置において、磁束が集中する部分における磁性コアの厚みを、磁束が集中しない部分より増やす。
【選択図】図1

Description

本発明は、被記録材を加熱する、電磁誘導加熱方式の加熱装置に関する。
また、前記加熱装置を、被記録材に形成担持させた未定着像を加熱定着処理する像加熱装置として具備した電子写真装置・静電記録装置などの画像形成装置に関するものである。
プリンタや複写機などの画像形成装置において、電子写真・静電記録・磁気記録等の適宜の画像形成プロセス手段部で被記録材に転写方式あるいは直接方式にて形成担持させた画像情報の未定着画像(トナー画像)は定着装置により永久固着画像とされる。
上記において、被記録材は、転写シート・エレクトロファックスシート・静電記録紙・OHPシート・印刷用紙・フォーマット紙などである。
定着装置としては、加熱ローラと加圧ローラを圧接して形成させた定着ニップにおいて、被記録材を挟持搬送して加熱する熱ローラ方式等の加熱装置が広く用いられている。
近時は、エネルギー効率に優れ、カラー画像形成装置の高速化が可能な加熱装置として、被記録材を加熱する加熱部材を電磁誘導発熱させる電磁誘導加熱方式の装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、磁場発生手段を電磁誘導発熱させる加熱部材の外部に配置した外部加熱方式の装置も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
実開昭51−109736号公報 特開平11−135246号公報
電磁誘導加熱方式は被記録材を加熱する加熱部材自身を発熱させるので他の方式に比べて熱変換効率が高く、高速機向きといえる。しかしながら、より高速な画像形成装置においては、トナー像を被記録材に固着させるために必要な加熱電力が増大する傾向にあり、従来の電磁誘導加熱装置においては以下の問題があった。
すなわち、大きな加熱電力を得るには、磁場発生手段に流す電流量を増やさねばならず、これが原因で磁場発生手段自身の発熱損失が増加する。従って磁場発生手段に流せる電流量を制限せねばならず、高速化に必要な加熱電力を得るのが困難であった。
従って本発明の目的は、電磁誘導加熱方式の加熱装置において、磁場発生手段自身の発熱損失の低減により従来よりも大きな電力が使用でき、また、同じ電力に対して従来よりも加熱部材の発熱量を増やせる装置構成を実現することである。
また本発明の目的は、これにより、より高速な画像形成装置に使用可能な加熱装置を提供することである。
上記目的を達成するための本発明に係る加熱装置の代表的な構成は、磁場発生手段と、前記磁場発生手段の磁場の作用で電磁誘導発熱する少なくとも一つの発熱回転体と、前記磁場発生手段から発生する磁束Φを前記発熱回転体へ導く磁路形成手段を有し、前記発熱回転体により被記録材を加熱する加熱装置であり、前記磁場発生手段から発生する全磁束をΦ0とし、磁路中の異なる場所である、前記磁路形成手段の断面積がS1である場所Aと、断面積がS2である場所Bにおいて、前記磁路形成手段を通る磁束をそれぞれΦ1、Φ2、Φ0≧Φ1>Φ2とするとき、前記場所Aにおける前記断面積S1と、前記場所Bにおける前記断面積S2の間に、S1>S2の関係が成り立つことを特徴とする。
本発明によれば、磁束が集中する部分における磁路形成手段の厚みを増やすことにより、発熱効率の向上、磁場発生手段・磁路形成手段の発熱損失の低減、発熱回転体における発熱量増大が図れる。これにより、従来よりもより高速な画像形成装置に用いることが可能な、電磁誘導加熱方式の加熱装置を提供することが可能となる。
(1)画像形成装置
図12は画像形成装置の一例の概略構成図である。本例の画像形成装置は電子写真カラープリンタである。
101は有機感光体やアモルファスシリコン感光体でできた感光体ドラム(像担持体)であり、矢示の反時計方向に所定のプロセススピード(周速度)で回転駆動される。
感光体ドラム101はその回転過程で帯電ローラ等の帯電装置102で所定の極性・電位の一様な帯電処理を受ける。
次いで、その帯電処理面に、レーザ光学箱(レーザスキャナー)110から出力されるレーザ光103による画像情報走査露光処理を受ける。
レーザ光学箱110は不図示の画像読み取り装置等の画像信号発生装置から入力する画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調(オン/オフ)したレーザ光103を出力する。このレーザ光103による走査露光で回転感光体ドラム101面に画像情報に対応した静電潜像が形成される。109はレーザ光学箱110からの出力レーザ光を感光体ドラム101の露光位置に偏向させるミラーである。
フルカラー画像形成の場合は、フルカラー画像の第1の色分解成分画像、例えばイエロー成分画像についての走査露光・潜像形成がなされる。そして、その潜像が4色カラー現像装置104のうちのイエロー現像器104Yの作動でイエロートナー画像として現像される。そのイエロートナー画像は感光体ドラム101と中間転写体ドラム105との接触部(或いは近接部)である1次転写部T1において中間転写体ドラム105の面に転写される。中間転写体ドラム105面に対するトナー画像転写後の回転感光体ドラム101面はクリーナ107により転写残りトナー等の付着残留物の除去を受けて清掃される。
上記のような帯電・走査露光・現像・一次転写・清掃のプロセスサイクルが、フルカラー画像の第2の色分解成分画像(例えばマゼンタ成分画像、マゼンタ現像器104Mが作動)、第3の色分解成分画像(例えばシアン成分画像、シアン現像器104Cが作動)、第4の色分解成分画像(例えば黒成分画像、黒現像器104Bkが作動)の各色分解成分画像について順次実行される。そして、中間転写体ドラム105の面にイエロートナー画像・マゼンタトナー画像・シアントナー画像・黒トナー画像の都合4色のトナー画像が順次重ねて転写される。これにより、目的のフルカラー画像に対応したカラートナー画像が合成形成される。
中間転写体ドラム105は、金属ドラム上に中抵抗の弾性層と高抵抗の表層を有するもので、感光体ドラム101に接触して或いは近接して感光体ドラム101と略同じ周速度で矢示の時計方向に回転駆動される。中間転写体ドラム105の金属ドラムにバイアス電位を与えて感光体ドラム101との電位差で感光体ドラム101側のトナー画像を中間転写体ドラム105面側に転写させる。
上記の中間転写体ドラム105面に合成形成されたカラートナー画像は、中間転写体ドラム105と転写ローラ106との接触ニップ部である二次転写部T2において、該二次転写部T2に不図示の給紙部から所定のタイミングで送り込まれた被記録材Pの面に転写されていく。転写ローラ106は被記録材Pの背面からトナーと逆極性の電荷を供給することで中間転写体ドラム105面側から被記録材P側へ合成カラートナー画像を順次に一括転写する。
二次転写部T2を通過した被記録材Pは中間転写体ドラム105の面から分離されて加熱装置(像加熱装置、定着装置)100へ導入され、未定着トナー画像の加熱定着処理を受けてカラー画像形成物として機外の不図示の排紙トレーに排出される。加熱装置100については次の(2)項で詳述する。
被記録材Pに対するカラートナー画像転写後の中間転写体ドラム105はクリーナ108により転写残りトナー・紙粉等の付着残留物の除去を受けて清掃される。このクリーナ108は常時は中間転写体ドラム105に非接触状態に保持されており、中間転写体ドラム105から被記録材Pに対するカラートナー画像の二次転写実行過程において中間転写体ドラム105に接触状態に保持される。
また転写ローラ106も常時は中間転写体ドラム105に非接触状態に保持されており、中間転写体ドラム105から被記録材Pに対するカラートナー画像の二次転写実行過程において中間転写体ドラム105に被記録材Pを介して接触状態に保持される。
本例装置は、白黒画像などモノカラー画像のプリントモードも実行できる。また両面画像プリントモード、或いは多重画像プリントモードも実行できる。
両面画像プリントモードの場合は、加熱装置100を出た1面目画像プリント済みの被記録材Pは不図示の再循環搬送機構を介して表裏反転されて再び二次転写部T2へ送り込まれて2面に対するトナー画像転写を受ける。そして、その被記録材Pが、再度、加熱装置100に導入されて2面に対するトナー画像の定着処理を受けることで両面画像プリントが出力される。
多重画像プリントモードの場合は、加熱装置100を出た1回目画像プリント済みの被記録材Pは不図示の再循環搬送機構を介して表裏反転されずに再び二次転写部T2へ送り込まれて1回目画像プリント済みの面に2回目のトナー画像転写を受ける。そして、その被記録材Pが、再度、加熱装置100に導入されて2回目のトナー画像の定着処理を受けることで多重画像プリントが出力される。
(2)加熱装置100
本例において加熱装置100は電磁誘導加熱方式の加熱装置である。図13は本例の加熱装置100の要部の横断側面模型図、図2は要部の正面模型図である。
18は磁場発生手段としての励磁コイル(誘導コイル)である。17a・17b・17cは磁路形成手段としての磁性コアである。
本例の加熱装置100は、磁場発生手段としての励磁コイル18が、発熱回転体である定着ローラ10の長手に沿って巻かれている。磁路形成手段としての磁性コア17a・17b・17cが、定着ローラ10の長手方向に垂直な断面が、誘導コイル18の中心に発生する磁束を導く一つの幹(磁性コア17a)から複数の枝(磁性コア17b・17c)に分かれた形を成すように構成されていて、定着ローラ10の誘導コイル対向面が誘導発熱する。そして、磁性コアの前記幹の部分(磁性コア17a)における磁路に垂直な断面積が前記枝の部分(磁性コア17b・17c)における磁路に垂直な断面積よりも大きくしてある。
磁性コア17a・17b・17cは高透磁率の部材であり、フェライトやパーマロイ等といったトランスのコアに用いられる材料がよく、より好ましくは100kHz以上でも損失の少ないフェライトを用いるのがよい。本例において、磁性コアは、キュリー点温度=240[℃]、比透磁率=2500、飽和磁束密度=400[mT]である。磁性コアがキュリー点温度以上になると、透磁率の急激な低下により励磁コイル18により発生した磁束を、加熱回転体(加熱部材)である定着ローラ10へ効率良く導く磁路が形成できなくなる。このため、大電力を投入しても必要な定着ローラの発熱が得られない。このため、加熱装置の温調制御が破綻し、正常な定着動作がおこなえなくなる。
また、磁性コアを貫く磁束密度が飽和磁束密度を超えると、正規の磁路外へ磁束が溢れ出してしまう。そのため、定着ローラの発熱量はそこで飽和してしまうのは勿論のこと、もともと磁束が集中しやすい励磁コイル周辺に磁束が集中し、励磁コイル自身の誘導発熱が発生しやすくなる。励磁コイル自身が誘導発熱すると、コイル抵抗の上昇による誘導発熱効率の低下がおこり、定着ローラを必要な温度に維持できなくなる。
定着ローラを必要な温度に維持しようとして電流量を増やすと、益々コイル温度が上昇し励磁コイル自身が破損する可能性がある。
以上の問題を回避するため、キュリー点温度、飽和磁束密度に達しない条件で磁性コアを使用し、常に正常な温調制御がおこなわれるようにしている。
励磁コイル18には図3に示すように給電部18a・18bに励磁回路27を接続してあり、20kHzから500kHzの高周波をスイッチング電源で発生できるようになっている。
励磁コイル18は励磁回路27から供給される交番電流(高周波電流)によって交番磁束を発生する。
16は横断面略半円弧状樋型のホルダであり、磁性コア17a・17b・17cと励磁コイル18を内側に保持している。
ホルダ16の外側には、空隙をもって、円筒状の発熱回転体である定着ローラ10が回転可能に配設してある。
図13中の19は磁性コア17a・17b・17c及び励磁コイル18と保持ステイ(不図示)の間を絶縁するための絶縁部材である。保持ステイは、鉄、アルミニウム、ステンレス、非磁性ステンレスなどの金属材料を用いることができる。また、ホルダ16を保持できればよく、耐熱性樹脂で代用することもできる。
磁場発生手段としての励磁コイル18によって交番磁束を発生させる。磁束Cは発生した交番磁束の一部を表す。磁性コア17a,17b,17cに導かれた磁束Cは、磁性コア17aと磁性コア17bとの間、そして磁性コア17aと磁性コア17cとの間において定着ローラ10の発熱層1に渦電流を発生させる。この渦電流は、発熱層1の固有抵抗によって、発熱層1にジュール熱(渦電流損)を発生させる。
発熱量Qは発熱層1を通る磁束Cの密度によって決まり、図13のグラフような分布を示す。グラフの縦軸は磁性コア17aの中心を0とした角度θで表した定着ローラ10における円周方向の位置を示し、横軸は定着ローラ10の発熱層1での発熱量Qを示す。ここで、発熱域Hは最大発熱量をQとし、発熱量がQ/e以上の領域と定義する(eは自然対数の底)。これは、定着プロセスに必要な発熱量が得られる領域である。
図4は、本実施例における定着ローラ10の層構成模型図である。この定着ローラ10は、芯金となる電磁誘導発熱性の金属等でできた発熱層1と、その外面に積層した弾性層2と、その外面に積層した離型層3の複合構造のものである。
発熱層1と弾性層2との間の接着、弾性層2と離型層3との間の接着のために、各層間にプライマー層(図示せず)を設けてもよい。
定着ローラ10において、発熱層1が内面側であり、離型層3が加圧ローラ若しくは被記録材と接触する外面側である。
発熱層1に上述した交番磁束が作用することにより、発熱層1に渦電流が発生して発熱層1が発熱する。この熱が弾性層2、離型層3に伝達されて、定着ローラ10全体が加熱され、定着ニップ部Nに通紙される被記録材Pを加熱してトナーt画像の加熱定着がなされる。
発熱層1としては、磁性及び非磁性の金属を用いることができるが、磁性金属が好ましく用いられる。このような磁性金属としては、ニッケル、鉄、強磁性ステンレス、ニッケル−コバルト合金、パーマロイといった強磁性体の金属が好ましく用いられる。又、定着ローラ10が回転時に受ける繰り返しの屈曲応力による金属疲労を防ぐために、ニッケル中にマンガンを添加した部材を用いるのも良い。
発熱層1の厚さは、次の式で表される表皮深さδ[m]より厚く、且つ1mm以下にすることが好ましい。発熱層1の厚さをこの範囲とすれば、発熱層1が電磁波を効率よく吸収することができるため、効率良く発熱させることができる。
ここで、fは励磁回路の周波数[Hz]、μは発熱層1の透磁率、κは発熱層1の導電率である。
この表皮深さδは、電磁誘導で使われる電磁波の吸収の深さを示しており、これより深いところでは電磁波の強度は1/e以下になっている。逆にいうと殆どのエネルギーはこの深さまでで吸収されている(図6に示した発熱層深さと電磁波強度の関係を参照)。
発熱層1の厚さは、より好ましくは0.2〜0.8mmがよい。発熱層1の厚みが上記範囲よりも薄い場合には、ほとんどの電磁エネルギーが吸収しきれないため効率が悪くなる。又、発熱層1が上記範囲よりも厚い場合には、熱容量が大きくなり昇温速度が遅くなる。
弾性層2は、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フルオロシリコーンゴム等の、耐熱性、熱伝導率が良い材質が好ましく用いられる。
弾性層2の厚さは、定着画像品質を保証するために0.05〜3mmであることが好ましい。カラー画像を印刷する場合、特に写真画像等では、被記録材P上で大きな面積に渡ってベタ画像が形成される。この場合、被記録材Pの凹凸或いはトナー層tの凹凸に加熱面(離型層3)が追従できないと加熱ムラが発生し、伝熱量が多い部分と少ない部分で画像に光沢ムラが発生する。即ち、伝熱量が多い部分は光沢度が高く、伝熱量が少ない部分では光沢度が低くなる。弾性層2の厚さが上記範囲よりも小さい場合には、上記離型層3が被記録材P或いはトナー層tの凹凸に追従しきれず、画像光沢ムラが発生してしまう。又、弾性層2が上記範囲よりも大きすぎる場合には、弾性層2の熱抵抗が大きくなりすぎ、クイックスタートを実現するのが難しくなる。この弾性層2の厚さは、より好ましくは0.1〜2mmが良い。
弾性層2は、硬度が高すぎると被記録材P或いはトナー層tの凹凸に追従しきれず画像光沢ムラが発生してしまう。そこで、弾性層2の硬度としては60゜(JIS−A)以下、より好ましくは45゜(JIS−A)以下がよい。
弾性層2の熱伝導率λは、2.5×10−1〜8.4×10−1W/m・Kであることが好ましい。熱伝導率λが上記範囲よりも小さい場合には、熱抵抗が大きすぎて、定着ローラ10の表層(離型層3)における温度上昇が遅くなる。熱伝導率λが上記範囲よりも大きい場合には、弾性層2の硬度が高くなりすぎたり、圧縮永久歪みが発生しやすくなる。より好ましくは3.3×10−1〜6.3×10−1W/m・Kが良い。
離型層3は、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、フルオロシリコーンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、PFA、PTFE、FEP等の離型性且つ耐熱性のよい材料を用いることが好ましい。
離型層3の厚さは1〜100μmが好ましい。離型層3の厚さが上記範囲よりも薄い場合には、塗膜の塗ムラが生じ、離型性の悪い部分が発生したり、耐久性が不足するといった問題が発生する。又、離型層3の厚さが上記範囲よりも厚い場合には、熱伝導が悪化する。特に、離型層3に樹脂系の材質を用いた場合は、離型層3の硬度が高くなりすぎて、弾性層2の効果がなくなってしまう。
加圧部材としての加圧ローラ30は、芯金30aと、前記芯金周りに同心一体にローラ状に成形被覆させたシリコーンゴム・フッ素ゴム・フッ素樹脂などの耐熱性・弾性材層30bとで構成されており、表層に離型層30cを設けてある。
図2に示すように、定着ローラ10は軸受け41を介して定着フレーム50に回転可能に支持されている。加圧ローラ30は、軸受け42を介して揺動部材としての加圧フレーム51に回転可能に支持されている。加圧フレーム51は定着フレーム50に固定された支持軸52により揺動可能に支持され、加圧手段としての加圧スプリング53により加圧ローラ30が定着ローラ10に押圧されるように付勢されている。
定着ローラ10の一端には、駆動ギア43が定着ローラ10と一体で回転するように取付けられている。また、定着ローラ10は駆動手段Mにより矢示の時計方向に回転駆動される。
44は加圧解除手段としてのカムであり、定着フレーム50に回転可能に支持されたカム軸45の両側にそれぞれ固定されており、該カム軸45と一体となって回転するようになっている。カム軸45の一端にはギア46がカム軸45と一体で回転するように取付けられている。また、カム軸45は駆動手段M2により回転駆動される。
加熱装置100は、カム44の回転により加圧フレーム51を加圧スプリング53の加圧力に抗して揺動させることで定着ローラ10と加圧ローラの当接/離間を行うように構成している。
この定着ローラ10と加圧ローラ30の当接と離間は、制御手段としてのCPU(不図示)の判断により選択的に切換えられる構成となっている。
図5は図2のa−a線に沿う断面図である。定着ローラ10と加圧ローラ30の当接は、画像形成時に、図5の(A)に示すように、加圧スプリング53により加圧フレーム51が押圧されており、加圧ローラ30は定着ローラ10に押圧されて当接する。そして、図13に示すように、定着ローラ10と加圧ローラ30の接触部には定着ニップ部Nが形成されている。
定着ローラ10は駆動手段Mにより矢示の反時計方向に回転駆動される。この定着ローラ10の回転駆動による定着ローラ10と加圧ローラ30の外面との摩擦力で加圧ローラ30に回転力が作用し、加圧ローラ30は矢示の方向に定着ローラ10の回転周速度にほぼ対応した周速度をもって回転状態になる。
この定着ローラ10の温度は、温度検知手段26を含む不図示の温調系により励磁コイル18に対する電流供給が制御されることで、所定の温度が維持されるように温調される。温度検知手段26はサーミスタなどの温度センサであり、本例では非接触タイプのものを用いている。
而して、定着ローラ10が回転し、励磁回路27から励磁コイル18への給電により定着ローラ10が電磁誘導発熱し、定着ローラ10が所定の温度に立ち上がって温調される。この状態において、画像形成手段部から搬送された未定着トナー画像tが形成された被記録材Pが定着ニップ部Nに画像面が上向き、即ち定着ローラ面に対向して導入される。そして、被記録材Pは、定着ニップ部Nにおいて画像面が定着ローラ10の外面に密着して定着ローラ10と一緒に定着ニップ部Nを挟持搬送されていく。その挟持搬送過程において被記録材P上の未定着トナー画像tが加熱定着される。被記録材Pは定着ニップ部Nを通過すると定着ローラ10の外面から分離して排出搬送されていく。被記録材上の加熱定着トナー画像は定着ニップ部通過後、冷却して永久固着像となる。
定着ローラ10と加圧ローラ30の離間は、非画像形成時に所定のタイミングで駆動手段M2を回転し、図5の(B)に示すように、カム44が約180°回転し、加圧フレーム51を加圧スプリング53の付勢力に抗して押し下げる。これにより、定着ローラ10と加圧ローラ30が離間され、定着ニップ部Nの形成が解除される。
次に画像形成装置の動作における加熱装置100の動作について説明する。
通常、画像形成装置の電源オフ時は定着ローラ10と加圧ローラ30は離間状態に保持されている。
電源オンで、定着ローラ10と加圧ローラ30は当接状態にされる。そして定着ローラ10の回転駆動と加熱が開始されて、加熱装置100は定着可能状態になるまでウォームアップが行なわれる。定着ローラ10が所定の温度(定着可能温度)に到達するまで加熱をおこない、プリント信号を受けていればそのままプリント(定着)動作を行い、プリント信号を受けていなければ画像形成装置はプリント待機状態に入る。加熱装置100は定着可能温度に定着ローラ温度を維持するスタンバイ温調をおこなう。
これより先、加熱装置100における発熱効率、コア発熱損失、インダクタンス(発熱強度)について詳細に説明する。
励磁コイル18に高周波電流を流すことにより磁束Φが発生する。この磁束Φは主に空気よりも透磁率が高い磁性コア17a、17b、17c、定着ローラ発熱層1を通り磁路を形成する。
しかしながら、磁性コア、定着ローラ発熱層の透磁率は空気の数十〜数千倍(それぞれの比透磁率が数十〜数千程度)しかないため、磁束Φの一部は上記磁路近傍の空気中を通過することになる。
発熱効率を向上させるには、上記磁路における定着ローラ発熱層1以外の磁気抵抗を小さくし、励磁コイル18と定着ローラ発熱層1の磁気結合を強くする必要がある。
ここで、磁路を形成する各要素(磁性コア、発熱層、空気層)の磁気抵抗Rは、透磁率μ、磁路断面積S、磁路長lを用いて次式(1)で表される。
上式より磁気抵抗を小さくするには、透磁率μが大きな材料で断面積を広くすれば良いことが判る。
従って、定着ローラ発熱層1以外の磁気抵抗を小さくするには、空気よりも透磁率が高い磁性コアになるべく多くの磁束を導くようにし、更に磁性コアの断面積を広くする構成とすれば良い。
磁路のインダクタンスLは、励磁コイル18のターン数をNとすると、次式(2)で表される。
上式より、インダクタンスを大きくし大きな発熱を得るには、磁路全体の磁路長を短くし、磁路の断面積を大きくすれば良いことが判る。
また、上記式(1)と(2)を比較すれば、磁気抵抗の低減とインダクタンス増加は同時に実現可能であることが理解できる。
ここで、図1の(a)に、電磁誘導加熱主要部の断面図を示す。また、(b)に(a)の磁路LP1に対する磁気回路モデルを示す。(a)は分かりやすくするために、図13で示した断面を時計周りに90°回転させた方向で描かれている。
(b)では、磁性コア17cの磁気抵抗をR1、磁路LP1が使用する磁性コア17aの半分にあたる部分の磁気抵抗をR2、定着ローラの発熱層1の磁束通過部の磁気抵抗をRheatで表している。また、R3は(a)における空気層GP1airの磁気抵抗を表している。
説明を簡略化するため、この磁気回路では磁性コアと定着ローラとのギャップGP1及びGP2における空気層の磁気抵抗は省略している。
磁性コア17a、17b、17cの透磁率をμ1、空気層の透磁率をμ0(=1)、定着ローラ発熱層1の透磁率をμheatとする。また、30kHzにおける定着ローラ発熱層1の表皮深さをds、磁性コア17a、17b、17cの長手長さをLGとすると、R1、R2、R3、Rheatは表1のように表される。
以下に、磁性コア17aの厚みd2を磁性コア17cの厚みd1と等しくした構成を比較例1、磁性コア17aの厚みd2を磁性コア17cの厚みd1の2倍にした構成を実施例1として磁気抵抗及び発熱効率の比較をおこなう。
実施例1、比較例1において、磁路LP1の経路である磁性コア17cの半分の厚みと、空気層の厚みGP1airの厚みは、d1及びコイルの内径Dを用いて以下表2のように表される。
次に発熱効率、コア発熱損失、インダクタンス(発熱強度)のそれぞれについて、実施例1と比較例1の比較をおこなう。
(a)発熱効率
磁気回路中における定着ローラ発熱層以外の磁気抵抗をRlossとすると、
である。
実施例1と比較例1では上式のRSの値に差が現れる。それぞれの磁気抵抗RSを、RS(実施例1)、RS(比較例1)とすると、表2の関係を代入して以下式(5)、(6)のようになる。
ここで、本発明の磁性コアの比透磁率=2500であるのでμ1=2500μ0、また、本実施例での距離Dとd1の間の関係は1<(D/d1)≦5程度である。
従って、RS(実施例1)はRS(比較例1)の1/2となり、その分だけ磁気回路全体において定着ローラ発熱層以外の磁気抵抗をRlossを小さく、定着ローラ発熱層の磁気抵抗Rheatが占める割合を大きくでき、コイルと発熱層の磁気結合が強くなるので効率良く定着ローラを加熱することができる。
(b)コア発熱損失
また、実施例1、比較例1の磁性コア17aにおける磁束密度をB(実施例1)、B(比較例1)とすると、表2に示したそれぞれの磁性コア17aの半分の断面積を用いて、
となり、B(実施例1)はB(比較例1)の1/2となる。
磁性コア自身の発熱損失(コアロス)が磁束密度Bに概略で比例すると考えると、実施例1は比較例1の約半分にコア自身の発熱損失を低減できることになる。従って磁性コア自身の過昇温によりキュリー点温度超えを起こしにくくすることができる。
また、比較例1では磁束が磁性コア17b及び17cの約2倍となる磁性コア17aの飽和磁束密度が、コア17b及び17cと同じであったため、この部分で磁気飽和を起こしやすかった。
これに対し、実施例1では磁束が集中する磁性コア17aと、磁性コア17b及び17cの磁束密度をほぼ等しくでき、比較例1の2倍程度の磁束まで磁束飽和が起こらない。
以上の効果により、より大きな電力まで加熱装置の温調制御が正常におこなえ、高速で安定したプリントを実現できる。
(c)インダクタンス(発熱強度)
図7に実施例1及び比較例1における磁路を示した。比較例1の磁路長はML1(比較例1)、ML2(比較例1)、実施例1の磁路長はML1(実施例1)、ML2(実施例1)で示されている。
もともと励磁コイル18から発生する磁束は、励磁コイル自身の周りに磁路をつくりやすい性質をもとが、本発明の加熱装置では、透磁率の大きい磁性コア、定着ローラ発熱層を用いることで、図7のような磁路を形成している。
従って、磁束は図7のように磁性コア、定着ローラ発熱層の励磁コイル寄り(内側)を通りやすい。
ここで、実施例1と比較例1の磁路長を比べてみると、例えばML1(実施例1)とML1(比較例1)では、ML1(実施例1)の方が磁性コア17aにおいて、より励磁コイル側を磁束が通ることになり磁路長が短くなる。
式(2)の関係より、実施例1、比較例1のインダクタンスをL(実施例1)、L(比較例1)で表すと、L(実施例1)>L(比較例1)となるので、実施例1では同じコイル電流量での定着ローラ発熱層の発熱を大きくすることができる。同じ発熱を得るときにはコイル自己昇温(コイルの発熱損失)を比較例1より低減できる。
これらの効果により、高速で安定したプリントを実現できる。
以上で説明した効果を確認するため、定着ローラ表面温度が所定温度160、170、180℃になるように温調制御しつつ、A4サイズの紙を横送りで毎分30、35、40枚の速度(ppm)でプリントしたときの励磁コイル、磁性コアの温度、またその時のトナー像の紙への定着性(固着度)を実施例1、比較例1の構成で確認した。
表3に上記確認結果を示す。定着性は2色重ねのベタ画像を定着し、定着画像を擦って剥げなければ○、剥げてしまった場合は×とした。コイル温度は非通紙域端部のコイル温度、コア温度は磁性コア17aの温度を測定した結果である。
前述したように、本発明の加熱装置における磁性コアのキュリー点温度は240℃である。また、励磁コイルには線径Φ0.17のPAI絶縁被覆線を168本用いたリッツ線を用いており、コイル温度が240℃を超えて連続使用すると加熱装置の規定寿命に達する前に、絶縁被覆が破壊されてしまう。
従って加熱装置を動作させることができるのは、磁性コア温度<240℃且つ励磁コイル温度<240℃の条件下のみである。
プリント速度が速く、温調温度が高くなるほど単位時間当たりにトナーを紙に定着するために必要な電力が増加するため、加熱装置の平均消費電力は増加する。
一方、加熱装置の定着性は温調温度が高く、プリント速度が遅いほど良好となり、逆に温調温度が低く、プリント速度が速くなるほど悪化する。
消費電力の増加により、励磁コイル及び磁性コアの発熱損失が増えるため、コイル、コア温度が高温となる。特に比較例1では実施例1よりも加熱効率が低く、定着ローラでの発熱を実施例1と同じだけ得ようとすると、励磁コイルに流す電流量が増え、コイル昇温が実施例1よりも悪化する。
また、比較例1では磁性コア17aの磁束密度が多いのでコア昇温も実施例1より悪化する。
表3から、加熱装置を動作させることが可能であり、定着性が良好である動作条件(プリント速度の限界ppm)を求めると、実施例1で40ppm、比較例1では35ppmであり、実施例1では比較例1よりも5ppm分高速化が可能である。
以上に述べてきたように、実施例1では磁束が集中する磁性コア17aの厚みを増やすことにより、すなわち、磁場発生手段としての励磁コイル18から発生する全磁束をΦ0とし、磁路中の異なる場所である、磁路形成手段としての磁性コアの断面積がS1である場所A(磁性コア17a)と、断面積がS2である場所B(磁性コア17b・17c)において、磁性コアを通る磁束をそれぞれΦ1、Φ2、Φ0≧Φ1>Φ2とするとき、前記場所Aにおける前記断面積S1と、前記場所Bにおける前記断面積S2の間に、S1>S2の関係が成り立つことにより、発熱効率の向上、励磁コイル・磁性コアの発熱損失の低減、定着ローラ発熱層における発熱量増大が図れるため、従来よりもより高速な画像形成装置に用いることが可能な加熱装置を提供することができた。
本実施例ではd2=2×d1とした、すなわち、nを1より大きい数、磁路形成手段である磁性コアの前記場所A(磁性コア17a)における磁束がΦ1、前記場所B(磁性コア17b・17c)における磁束をΦ2=Φ1/nとするとき、前記場所Aにおける磁性コア断面積S1と、前記場所Bにおける磁性コア断面積S2との間に、S1=n×S2の関係にしたが、d2がd1よりも厚くなる構成であれば、その厚み(断面積S1)に見合った同様の効果を得ることが可能である。
本実施例2は、定着ローラ10の外部に、磁場発生手段としての励磁コイル及び磁路形成手段としての磁性コアを配置する、外部加熱方式の加熱装置に本発明を適用したものである。その他の構成、シーケンスは特に説明のない限り実施例1と同様であり、再度の説明は省略する。
励磁コイル及び磁性コアを加熱部材の外部に配置することで以下の大きな利点がある。
励磁コイル、磁性コアが高温に加熱される加熱部材の中に密閉されず、外気にさらされるので冷却効果が得られ、励磁コイル、磁性コアが昇温しにくい。
高コスト部材である励磁コイルを画像形成装置本体に配置できるので、加熱装置が交換部品である画像形成装置の場合、交換部品コストを大幅に低減することができる。
以上の利点を持つ外部加熱方式の加熱装置に対しても本発明は有効である。以下に適応例とその効果を説明する。
本実施例2の加熱装置主要部の横断面図を図8に示す。本実施例2では、実施例1において定着ローラ10に内包していた励磁コイル・磁性コアを外側に配置している。励磁コイル18の巻き方向はこれまでと同様に定着ローラ長手に沿った方向であり、巻き数も同じく11ターンである。
励磁コイル18、磁性コア17fは、定着ローラ10の外側に定着ローラ表面と規定のギャップを介して配置されており、励磁コイルに流れる高周波電流により図に示す磁束Φが発生する。なお、60は励磁コイル、磁性コアの保持部材であるホルダであり、励磁コイルと磁性コアが定着ローラ10の表面と後述する規定のギャップGPを維持できるように定着装置フレームと接続されている。
磁束Φが定着ローラ芯金1を貫く部分において、磁束Φを打ち消そうとする誘導電流が発生し、ジュール損失により定着ローラが発熱する。
26aは定着ローラ10の温度検知手段である接触サーミスタであり、定着ローラ内面温度を検知する。
サーミスタ26aの検知温度に基づき、不図示のコントローラからの命令により励磁コイル電流が制御され、定着ローラ温度が所定温度になるように温調される。
サーミスタ26aによる測温位置は、これまでと同様にローラ周方向で最も発熱が強くなる位置が選ばれている。
定着ローラ10の層構成は実施例1と同様であり、芯金となる電磁誘導発熱性の金属等でできた発熱層1と、その外面に積層した弾性層2と、その外面に積層した離型層3の複合構造のものである。
発熱層1と弾性層2との間の接着、弾性層2と離型層3との間の接着のために、各層間にプライマー層(図示せず)を設けてもよい。
磁性コア17fと定着ローラ表面とのギャップGPは1.0mmであり、弾性層2の厚みは0.5mmに設定されている。従って磁性コアと加熱対象である定着ローラ芯金1との距離は1.5mmとなる。
この距離であれば励磁コイル・磁性コアと定着ローラ芯金の間で十分な磁気結合が得られるので、効率良く定着ローラを加熱することが可能である。
図9に本実施例2における誘導加熱主要部の断面図を示す。誘導コイルから発生する磁束Φは、図9に示す磁路LP1、LP2を形成する。本実施例2では、実施例1と同様にこの二つの磁路が合流する部分における磁性コア17fの厚みd2を、その他の部分の厚みd1の2倍に設定することにより、磁気抵抗低減、発熱効率の向上等実施例1と同様の効果を得ることができる。
また、実施例1と同様の効果に加え、励磁コイル及び磁性コアを雰囲気温度が低い定着ローラの外部に配置することにより、励磁コイル及び磁性コアの温度を実施例1よりも低減することができる。
これにより実施例2では、A4サイズの紙を横送りで毎分42枚の速度(ppm)まで、磁性コア温度<240℃且つ励磁コイル温度<240℃の条件を満たすことができ、実施例1よりも更に2ppmのプリント速度高速化が可能となる。
以上に述べてきたように、実施例2では磁束が集中する場所での磁性コア17fの厚みを増やすことにより、発熱効率の向上、励磁コイル・磁性コアの発熱損失の低減、定着ローラ発熱層における発熱量増大が図れ、励磁コイル及び磁性コアを雰囲気温度が低い定着ローラの外部に配置することにより、実施例1よりも更に高速な画像形成装置に用いることが可能な加熱装置を提供することができた。
なお、本実施例ではd2=2×d1としたが、d2がd1よりも厚くなる構成であれば、その厚みに見合った同様の効果を得ることが可能である。
本実施例3では、実施例1、実施例2と同様の発熱効率の向上、励磁コイル・磁性コアの発熱損失の低減、定着ローラ発熱層における発熱量増大効果を得つつ、定着ローラ端部における温度低下を低減して定着性の向上を図る。すなわち、磁場発生手段である励磁コイル18の磁場の作用で発熱回転体である定着ローラ10が電磁誘導発熱する際、定着ローラ10の長手端部の発熱量が長手中央部より大きくなるように構成する。これにより温調温度を低減し、励磁コイル・磁性コアの温度を下げ、更なるプリント速度の高速化を実現する。
このため、本実施例3では実施例1の構成の端部における磁性コアの構成を中央部と異なる構成とする。
また、実施例1、実施例2と同様に、二つの磁路が合流する部分における磁性コアの厚みを、その他の部分の厚みの2倍に設定することにより、磁気抵抗低減、発熱効率の向上等実施例1、実施例2と同様の効果を得ることができる。
その他の構成、シーケンスは特に説明のない限り実施例1、と同様であり、再度の説明は省略する。
図10は本実施例3における定着ローラ及び内包される主要部の簡略的な断面図である。
a)は長手中央部、b)は中央より100mmより外側の長手端部の断面であり、実施例3では中央と端部で磁性コアの形状を異なるものとしている。
磁性コア17dは以下の説明を簡略にするためT型一体としているが、実施例1と同様に分割しても良い。端部の磁性コア17eについても分割で同様の形状を形成しても良い。
図10には、中央と端部における代表的な磁束Φの経路である磁路が示されており、それぞれの磁路長をMLとMLとする。
磁性コア17d、17eの形状は、d2=2×d1であり、MLとMLが合流する部分での磁気抵抗低減を実現している。
b)に描かれているように、端部では磁束Φが磁性コアのT字交差部分をショートカットすることができるので、中央部に比べて磁路長が短くなりML1>ML1、ML2>ML2となる。
ここでインダクタンスLは前述の式(2)の関係があるので、中央部、端部のインダクタンスをそれぞれ、LC、LEとすると、LC<LEの関係となり端部における発熱量を中央部より増加させ、発熱を増加させることができる。
この方法では、磁性コアや励磁コイルと加熱対象物である定着ローラとの距離を調整して発熱分布をコントロールする場合と異なり、電磁誘導発熱の効率を低下させることなく均一な発熱分布を得ることができる。
図11は、本実施例3における定着ローラ長手温度分布(実線)と実施例1の温度分布(破線)を比較したものである。それぞれ温調温度170℃及び180℃時の温度分布を示した。それぞれの温度分布におけるA4用紙端部での定着ローラ温度を、実施例3の180℃、170℃温調時はTD1、TD2、実施例1の180℃、170℃温調時はTD1ref、TD2refで示した。
また、A4サイズの紙を横送りで毎分40、42枚の速度(ppm)で定着する場合の定着不良発生領域が示されており、プリント速度が速い42ppm時の方がより高い温度から定着不良が発生するのがわかる。
表4に図11中の端部温度TD1、TD2、TD1ref、TD2refとプリント速度40ppmと42ppmのそれぞれの場合における定着不良領域の関係及び、コイル温度、コア温度をまとめた。
実施例3のコイル温度、コア温度は、同条件での実施例1での温度と同じであった。
表4より、40ppm時は実施例1、実施例3共に磁性コア温度<240℃且つ励磁コイル温度<240℃の条件を満たしており、定着性も確保できる。しかしながら、定着性を確保するのに必要な温調温度は、実施例1で180℃、実施例3で170℃であり、実施例3では温調温度を10℃低減できる。従って励磁コイル、磁性コア温度もその分だけ実施例1より下げることができ、消費電力も減らすことができる。
42ppm時は、実施例1では端部温度が定着不領域に入ってしまうため温調温度180℃でも定着性を確保できない。一方、実施例3の180℃温調時では端部温度が定着不領域まで下がらないため、定着性が確保できる。
以上のように、本実施例3では実施例1よりも2ppmだけプリント速度を高速化可能であり、また、装置のプリント速度を40ppmとする場合には、温調温度を10℃低く設定できる。
以上に述べてきたように、本実施例3では磁束が集中する場所での磁性コア17d、17eの厚みを増やすことにより、発熱効率の向上、励磁コイル・磁性コアの発熱損失の低減、定着ローラ発熱層における発熱量増大が図れる。更に端部磁性コア17eの構成を磁路長を短く、インダクタンスを大きくできる形状とすることで、定着ローラ端部温度低下を低減し定着性の向上を図ることができた。
従って、同じプリント速度では、温調温度を低く設定することにより消費電力の低減、励磁コイル・磁性コア昇温の更なる低減が実現でき、定着能力の向上により実施例1よりも更に高速な画像形成装置に用いることも可能な加熱装置を提供することができた。
なお、本実施例ではd2=2×d1としたが、d2がd1よりも厚くなる構成であれば、その厚みに見合った同様の効果を得ることが可能である。
また、本実施例の構成を実施例2の外部加熱定着装置に適用することで、実施例2よりも更に高速な画像形成装置が実現可能である。
本発明の実施例1に係わる加熱装置の要部の横断面側面模型図及び磁気回路モデル 本発明に関わる加熱装置の正面模型図 内部に磁場発生手段を配設支持させた右側のホルダの斜視模型図 電磁誘導発熱性の定着ローラの層構成模型図 図2のa−a断面における当接状態(A)と離間状態(B)を示す図 発熱層深さと電磁波強度の関係を示したグラフ 本発明の実施例1における磁路長を示した図 本発明の実施例2に係わる加熱装置の横断面側面模型図 本発明の実施例2に係わる加熱装置主要部の横断面側面模型図 本発明の実施例3における磁路長を示した図 本発明の実施例3における定着ローラの長手温度分布を示した図 本発明の画像形成装置の概略構成模型図 本発明に関わる加熱装置の横断面側面模型図
符号の説明
1‥‥発熱層、2‥‥弾性層、3‥‥離型層、4‥‥断熱層、10‥‥定着ローラ(加熱回転体)、16‥‥ホルダ、17‥‥磁性コア(磁路形成手段)、18‥‥励磁コイル(磁場発生手段)、26‥‥温度検知素子、28‥‥安全素子としての温度検知素子、30‥‥加圧ローラ(加圧部材)、100‥‥定着装置(加熱装置)、N‥‥定着ニップ

Claims (6)

  1. 磁場発生手段と、前記磁場発生手段の磁場の作用で電磁誘導発熱する少なくとも一つの発熱回転体と、前記磁場発生手段から発生する磁束Φを前記発熱回転体へ導く磁路形成手段を有し、前記発熱回転体により被記録材を加熱する加熱装置であり、
    前記磁場発生手段から発生する全磁束をΦ0とし、磁路中の異なる場所である、前記磁路形成手段の断面積がS1である場所Aと、断面積がS2である場所Bにおいて、前記磁路形成手段を通る磁束をそれぞれΦ1、Φ2、Φ0≧Φ1>Φ2とするとき、前記場所Aにおける前記断面積S1と、前記場所Bにおける前記断面積S2の間に、S1>S2の関係が成り立つことを特徴とする加熱装置。
  2. nを1より大きい数、前記磁路形成手段の前記場所Aにおける磁束がΦ1、前記場所Bにおける磁束をΦ2=Φ1/nとするとき、前記磁路形成手段の前記場所Aにおける断面積S1と、前記場所Bにおける断面積S2との間に、S1=n×S2の関係が成り立つことを特徴とする請求項1に記載の加熱装置。
  3. 前記磁場発生手段としての誘導コイルが前記発熱回転体の長手に沿って巻かれ、前記磁路形成手段の前記発熱回転体の長手方向に垂直な断面が、前記誘導コイルの中心に発生する磁束を導く一つの幹から複数の枝に分かれた形を成すように構成され、前記発熱回転体の前記誘導コイル対向面が誘導発熱する加熱装置であり、前記幹の部分における磁路に垂直な断面積が前記枝の部分における磁路に垂直な断面積よりも大きいことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の加熱装置。
  4. 前記磁場発生手段が前記発熱回転体の外部に設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の加熱装置。
  5. 前記磁場発生手段の磁場の作用で前記発熱回転体が電磁誘導発熱する際、前記発熱回転体の長手端部の発熱量が長手中央部よりも大きくなるような構成であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の加熱装置。
  6. 被記録材にトナー画像を形成する画像形成手段と、前記被記録材上に形成した画像を加熱処理する像加熱装置とを具備し、前記像加熱装置として請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の加熱装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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