JP2007049948A - 酸性ゲル状食品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 カゼイン蛋白質を含む酸性のゲル状物中に、果肉等の水分含有固形物が内包されているゲル状食品を製造する際に、加熱殺菌してもカゼイン蛋白質の凝集・沈殿・層分離等のゲル組織不良が生じることなく、滑らかなゲル組織を有するゲル状食品を製造できるようにする。
【解決手段】 カゼイン蛋白質、熱可逆性ゲル化剤、および有機酸モノグリセリドを含有し、pHが3.5〜4.5である液状原料組成物と、水分含有固形物を容器内に充填した後、加熱処理を施し、しかる後に冷却処理してゲル化させることを特徴とする酸性ゲル状食品の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、酸性ゲル状食品の製造方法に関する。
従来より、ゲル化剤を含有する原料液を容器に充填し、密封して加熱殺菌を施した後、冷却してゲル化させたゲル状食品が知られている。
このようなゲル状食品の中でも、乳製品を添加して、発酵乳風味、チーズ風味、または酸性乳飲料風味を付与した酸性のゲル状食品は、殺菌・冷却工程中に、乳蛋白質が凝集して、不均一な外観を呈する場合があることが問題であった。
例えば下記特許文献1には、広い酸性pH域の範囲内で、かつ高温殺菌処理を施しても、凝集、肌荒れ等の品質の劣化を抑制できる乳含有酸性ゲル食品として、コロイド性高分子及びショ糖脂肪酸エステルを含有する、pH3.7〜4.4のゲル状食品が開示されている。
下記特許文献2には、凝集防止剤を多量に使用することなく、乳蛋白質の凝集物やムラのないなめらかな外観を有する乳蛋白質含有酸性ゲル状食品を製造する方法として、乳蛋白質含有物、熱溶解性ゲル化剤および有機酸からなる均質化した原料組成物を、容器内にヘッドスペースを有するように充填密封し、冷却してゲル化するまでの間に振動処理および/または回転処理する方法が開示されている。
下記特許文献3には、乳原料を含むゲル状食品を製造する際に、耐熱性ゲル化剤を使用することにより、加熱殺菌処理工程における乳蛋白質の凝集を防止する方法が開示されている。
特開昭60−210955号公報 特開平8−298942号公報 特開2001−211840号公報
しかしながら、乳蛋白質を含む酸性の原料組成物からなるゲル状食品の中でも、特に、果肉等の水分含有固形物がゲルの中に内包されている食品にあっては、加熱殺菌中や冷却中に該固形物から滲出する液によって、及び/又は該固形物の破片によって、乳蛋白質の凝集、沈殿、層分離が誘発され易いという特有の問題がある。
乳蛋白質は、カゼイン蛋白質と乳清蛋白質とに大きく分けられ、カゼイン蛋白質の等電点はpH4.6程度、乳清蛋白質の等電点はpH5.2程度である。乳蛋白質の中でも特にカゼイン蛋白質は、その等電点が酸性ゲル状食品に求められるpH領域に近いことから、酸性ゲル状食品中で凝集を起こし易い。
そこで、乳蛋白質として乳清蛋白質だけを用いることも考えられるが、カゼイン蛋白質を含まないゲル状食品は、乳の風味が不足し、特に乳のこく味に欠ける。
なお上記特許文献2および3には、果肉を添加してもよい旨の記載があるものの、いずれも固形物を含有させることによるゲル状態への影響については考慮されていない。また、特許文献2の方法では振動処理および/または回転処理する際に果肉が崩れるおそれがある。
上記特許文献1には、固形物を内包するゲル状食品については何等言及されていない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、カゼイン蛋白質を含む酸性のゲル状物中に、果肉等の水分含有固形物が内包されているゲル状食品を製造する際に、加熱殺菌してもカゼイン蛋白質の凝集・沈殿・層分離等のゲル組織不良が生じることなく、滑らかなゲル組織を有するゲル状食品を製造できる方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の酸性ゲル状食品の製造方法は、カゼイン蛋白質、熱可逆性ゲル化剤、および有機酸モノグリセリドを含有し、pHが3.5〜4.5である液状原料組成物と、水分含有固形物を容器内に充填した後、加熱処理を施し、しかる後に冷却処理してゲル化させることを特徴とする。
前記有機酸モノグリセリドが、クエン酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド、および酒石酸モノグリセリドからなる群より選択される1種類以上であることが好ましい。
前記液状原料組成物における前記カゼイン蛋白質の含有量が3.5質量%以下であり、且つ前記液状原料組成物中のカゼイン蛋白質に対する前記有機酸モノグリセリドの含有量が3.7質量%以上であることが好ましい。
本発明によれば、カゼイン蛋白質を含む酸性のゲル状物中に、果肉等の水分含有固形物が内包されたゲル状食品において、加熱殺菌によるカゼイン蛋白質の凝集・沈殿・層分離等のゲル組織不良を防止して、滑らかなゲル組織を有するゲル状食品を製造できる。また、ゲル状物にカゼイン蛋白質を含有させることができるので、乳のこく味ある風味に優れたゲル状食品が得られる。
本発明において、液状原料組成物の材料として、乳由来のカゼイン蛋白質を含有する材料が用いられる。具体例としては、全脂粉乳、脱脂粉乳、調製粉乳などの粉状の乳製品や;牛乳、山羊乳等の乳、脱脂乳、濃縮乳、全脂練乳、脱脂練乳、発酵乳、乳酸菌飲料、クリーム、コンパウンドクリーム、ノンデイリークリーム等の液状またはクリーム状の乳製品;が挙げられる。
これらのカゼイン蛋白質を含有する材料はいずれか一種類のみを使用してもよいし、二種類以上を混合して使用してよい。
これらの乳製品の配合量は、少なすぎると乳のこく味を充分に得ることができず、多すぎるとゲル組織不良が生じ易くなるため、無脂乳固形分に換算して、0.1〜15質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましい。
液状原料組成物中におけるカゼイン蛋白質の含有量は、本発明によるカゼイン蛋白質の凝集防止効果を得るには3.5質量%以下が好ましい。また乳のコク味のある良好な風味を得るために、液状原料組成物中におけるカゼイン蛋白質の含有量は0.01質量%以上であることが好ましい。より好ましい範囲は0.1〜2質量%である。
本発明において液状原料組成物に含有させる熱可逆性ゲル化剤は、冷却することにより液状原料組成物をゲル化させることができ、ゲル化したものを加熱すると可逆的に液状に溶融する特性を有するゲル化剤である。
具体例としては、寒天、カラギ−ナン、ファーセルラン、低メトキシルペクチン、ローカストビーンガム・キサンタンガム混合物、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、およびジェランガム等が挙げられる。これらのゲル化剤はいずれか一種類のみを使用してもよいし、二種類以上を混合して使用してよい。
ゲル化剤の配合量は、出来上がりの食感や物性によって決定するが、液状原料組成物中における好ましい濃度は、寒天が0.2〜0.4質量%、カラギ−ナンが0.15〜0.3質量%、ファーセルランが0.2〜0.4質量%、低メトキシルペクチンが0.1〜1.0質量%、ローカストビーンガム・キサンタンガム混合物が0.1〜0.3質量%、ゼラチンが0.5〜2質量%、アルギン酸ナトリウムが0.2〜0.8質量%、ジェランガムが0.1〜0.3質量%程度である。
また、液状原料組成物に増粘剤を含有させてもよい。増粘剤を含有させるとゲル化剤の食感の改良や離水防止の点で好ましい。増粘剤の具体例としては、グァーガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、高メトキシルペクチン、大豆多糖類等を用いることができる。
増粘剤の配合量は、出来上がりの食感や物性によって決定するが、液状原料組成物中における好ましい濃度は、グァーガムが0.05〜0.5質量%、ローカストビーンガムが0.05〜0.5質量%、タマリンドシードガムが0.1〜0.5質量%、高メトキシルペクチンが0.1〜1.0質量%、大豆多糖類が0.1〜1.5質量%程度である。
なお、上記に挙げたゲル化剤のうち、カラギーナンおよびキサンタンガムは、カゼイン蛋白質と反応性を持つので、含有量が多いとゲル組織に悪影響を及ぼす可能性がある。したがって、該カゼイン蛋白質と反応性を持つゲル化剤及び増粘剤の配合量の合計は、液状原料組成物に含有させるゲル化剤及び増粘剤総量中の10質量%未満に留めることが望ましい。
本発明における有機酸モノグリセリドとしては、クエン酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド、および酒石酸モノグリセリドからなる群から選ばれる1種類以上が好ましい。
有機酸モノグリセリドの使用量は、本発明の効果を充分に得るうえで、液状原料組成物中のカゼイン蛋白質に対して3.7質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、100質量%(カゼイン蛋白質と同量)でもよい。ただし、多すぎるとゲル状食品の風味の劣化をまねくおそれがあるため、液状原料組成物の全量に対して、0.5質量%未満に抑えることが望ましい。
本発明において、液状原料組成物のpHは3.5〜4.5の範囲に調整される。この範囲にする理由は、以下の通りである。
(1)カゼイン蛋白質とのバランスにより適度な酸味が得られる。
(2)殺菌効率が上昇するため、加熱条件を下げて、凝集を低減できる。
(3)カゼイン蛋白質の等電点(pH4.6)以下とすることにより、カゼイン蛋白質の凝集を低減できる。
(4)ゲル化剤の酸加水分解の著しい進行を防止できるため、良好なゲル組織と風味を得るうえで好ましい。
すなわち、液状原料組成物のpHが高すぎると、殺菌効率が悪くなるので加熱条件を上げなければならず、そうするとカゼイン蛋白質の凝集が起こりやすくなる。また風味として酸味が不足する。
一方、pHが低すぎると、ゲル化剤の加水分解が起こりやすくなるので、ゲル化剤の添加量を増やさねばならず、そうすると糊っぽい食感になる。また風味として酸味が強すぎる。
液状原料組成物のpH調整剤としては、クエン酸、アジピン酸、イタコン酸、グルコノデルタラクトン、グルコン酸、α−ケトグルタル酸、コハク酸、酢酸、酒石酸、乳酸、氷酢酸、フィチン酸、フマル酸、リンゴ酸等の有機酸及びそのナトリウム塩;発酵乳;各種の果汁等を使用できる。有機酸及びそのナトリウム塩は味に大きく影響を及ぼすので、液状原料組成物中における濃度が0.05〜1質量%の範囲であることが好ましい。発酵乳や果汁は酸度が様々であるため、使用量は風味とpHのバランスの良い量に設定することが好ましい。
また、ゲル状食品の風味を調製するために、液状原料組成物に、各種フルーツ、コーヒー、紅茶、緑茶、烏龍茶、ココア等の飲料類、各種酒類、チョコレート、ナッツ類、餡、豆乳、糖類、調味料、香料等の呈味成分を配合できる。また、見た目を良くするために色素等を適宜配合してよい。
また、本発明のゲル状食品は水分含有固形物を含有するため、ゲル化剤を含有する液状原料組成物の比重によって、該水分含有固形物が浮く又は沈むことがある。液状原料組成物の比重が高すぎる場合には、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、カンゾウ、サッカリン、スクラロース、ステビア、ソーマチン等の高甘味度甘味料を用いて比重を調整することができる。
本発明における水分含有固形物は、水分含有率が40質量%以上99質量%以下で固形状態を成し、70〜100℃の加熱によっても溶融せず固形状を維持できる食材であれば特に限定されないが、具体例としては、オレンジ、みかん、桃、ぶどう、パインアップル、キウイ、メロン等の果肉や、豆類、アロエ等の果物でない植物、ナタデココや角型寒天、こんにゃく等の加工固形食品などが挙げられる。ゲル状食品に含有させる水分含有固形物は一種類でも二種類以上でもよい。
水分含有固形物の配合量は、ゲル状食品製品の全体量に対して、少なすぎるとその味や食感を生かすことができず、多すぎると液状原料組成物が果肉を捕らえて製品全体をゲル状とすることが困難となるため、液状原料組成物と水分含有固形物の合計に対して5〜50質量%程度が望ましい。
酸性ゲル状食品を製造するには、まず、ゲル状食品に含有させる各成分を水に溶解させて液状原料組成物を調製する。
具体的には、適当量の溶解水に、カゼイン蛋白質を含有する原料(乳製品)、熱可逆性ゲル化剤、および有機酸モノグリセリド、また必要に応じて増粘剤、呈味成分、色素等を溶解させて混合液を調製する。
カゼイン蛋白質を含有する乳製品として、粉状の乳製品を用いた場合は、この混合液を調製する際に均質化工程を行う。乳製品が液状の場合、および脂肪分を含み既に乳化されている場合は、均質化工程は任意である。均質化工程は、例えば均質機(例えば、製品名:HOMOGENIZER、三丸機械工業社製)等により機械的に処理すると、組織がより均質になるので望ましい。
該混合液はゲル化剤の溶融温度以上に加熱し、ゲル化剤が溶融した後は、ゲル化剤のゲル化力の低下を防止するために70℃以下に冷却することが望ましい。かかる加熱工程を行うことにより、ゲル化剤の溶解性が向上して、液状原料組成物の取り扱い性が良くなり、冷却後のゲル組織の均一性も向上する。
混合液の加熱を行う場合、加熱後にpH調整剤を添加することにより、pHが上記好ましい範囲に調整された液状原料組成物を得る。前記混合液の加熱を行わない場合は、混合液を調製する際に、他の原料とpH調整剤を一括的に添加してもよい。
次に、液状原料組成物および水分含有固形物を容器内に充填する。
水分含有固形物は、予め液状原料組成物と混合しておき、これらを一括的に容器内に充填してもよい。水分含有固形物が大きい場合など、液状原料組成物と水分含有固形物を一括的に充填することが難しい場合には、容器内に水分含有固形物を充填する工程と、液状原料組成物を充填する工程とを別工程として行ってもよい。
別作業に水分含有固形物を充填しその前若しくは後の工程で液状原料組成物を充填すればよい。
液状原料組成物および水分含有固形物を容器内に充填する際、容器容積にヘッドスペースを設けてもよいし、満杯となるように充填してもよい。
次いで、液状原料組成物および水分含有固形物が充填された容器内を密封した後、容器ごと加熱殺菌処理を施す。
加熱殺菌処理の条件は、加熱温度70℃〜100℃、保持時間10〜60分間の範囲が望ましい。上記範囲より高温および/または長時間の加熱条件では、液状原料組成物中に存在するカゼイン蛋白質の変質が生じて、乳製品に由来する風味食感が損なわれるおそれがある。また、上記範囲より低温および/または短時間の加熱条件では、耐熱性菌が十分に殺菌されず、十分な殺菌効果が得られない。
加熱殺菌処理の方法としては、温水浸漬法、蒸気噴霧殺菌法、レトルト殺菌法等を用いることができる。
次いで、冷却処理を施すことにより、容器内で液状原料組成物がゲル化されて、酸性ゲル状食品が得られる。冷却処理は室温にて自然冷却してもよいが、冷却水等により急速に冷却することが望ましい。
以上の方法で製造された酸性ゲル状食品は、液状原料組成物からなる酸性のゲル組織中に、水分含有固形物が内包されている。ゲル組織は、カゼイン蛋白質の凝集・沈殿・層分離等のゲル組織不良が抑えられるので、滑らかな食感が得られる。
また、カゼイン蛋白質を含有する乳製品が含まれているので、乳のコク味のある風味が得られる。
<試験1>試験No.11〜19
(目的)
この試験は、乳化剤の種類を検索する目的で実施した。
(試料の調整)
まず表1の配合(単位:質量部、以下同様)のうち、クエン酸以外の原料を溶解水に溶解させ、95℃に加温し温度を保持しつつ5分間攪拌した。この後、50℃まで冷却してクエン酸を加え、攪拌して液状原料組成物を得た。液状原料組成物中におけるカゼイン蛋白質の含有量は0.5質量%であり、カゼイン蛋白質に対する乳化剤の含有量(カゼイン蛋白質当たり乳化剤の含有量)は19.2質量%である。また液状原料組成物のpHは3.9である。
次に、プラスチックカップにみかん40gを充填した後、上記で得た液状原料組成物100gを充填し、カップの開口部にフィルムをヒートシールして密封した。その後、レトルト殺菌機(製品名:フレーバーエース、日坂工業社製)を用いて、加熱温度85℃、保持時間30分の条件で、定差圧式加熱殺菌処理を施した。殺菌処理後、冷却水にて急速冷却し、酸性ゲル状食品を得た。
Figure 2007049948
乳化剤としては、以下の原料を用いた。
蔗糖脂肪酸エステル:製品名リョートーシュガーエステルS−1570、HLB=15.0。
ソルビタン脂肪酸エステル:製品名サンソフトNo.61NN、HLB=6.2。
プロピレングリコール脂肪酸エステル:製品名サンソフトNo.25CD、HLB=3.9。
コハク酸モノグリセリド:製品名ステップSS、HLB=8.5。
クエン酸モノグリセリド:製品名サンソフトNo.621B、HLB=9.5。
酒石酸モノグリセリド:製品名サンソフトNo.641C、HLB=10.0。
乳酸モノグリセリド:製品名サンソフトNo.661AS、HLB=7.5。
トリグリセリン脂肪酸エステル:製品名サンソフトA−181C、HLB=10.0。
レシチン:製品名サンレシチンL−6、HLB=7.0。
(評価方法)
得られた酸性ゲル状食品のカップ側面及び内部を目視で観察し、全体的に凝集しているもの、又はゲルが不均一なものを×、部分的に凝集しているものを△、凝集の見られないものを○として評価した。その結果を表2に示す。
Figure 2007049948
(結果)
表2に示す通り、コハク酸モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、酒石酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリドを添加した試験No.14、15、16、17では良好な状態のゲル組織が得られた。
(考察)
液状原料組成物に有機酸モノグリセリドを含有させることが、加熱殺菌を含む製造工程におけるカゼイン蛋白質の凝集・沈殿・相分離等の防止に有効であることがわかった。
<試験2>試験No.21〜25
(目的)
この試験は、有機酸モノグリセリドの添加量を検索する目的で実施した。
(試料の調整)
試験1と同様の方法で、表3の配合に従って酸性ゲル状食品を製造した。液状原料組成物中におけるカゼイン蛋白質の含有量は1.3質量%であり、液状原料組成物のpHは3.9である。
Figure 2007049948
(評価方法)
得られた酸性ゲル状食品におけるゲル組織の評価は、試験1と同様の方法で行った。
風味評価は10名のパネラーにて評価し、順位法の検定表を用いる方法(古川秀子著、「おいしさを測る−食品官能検査の実際−」、p28,幸書房発行、1994年)に基づいて行った。具体的には、10人の味覚審査員に、それぞれ試験No.21〜25の試料(酸性ゲル状食品を試食してもらい、「有機酸モノグリセリドの味を感じない順位」をつけてもらい、各試料の順位合計を求めた。各試料間の順位合計差の絶対値を求め、その数値から、順位法の検定表に基づいて有意水準を判定した。その結果を表4に示す。
Figure 2007049948
(結果)
表4に示す通り、組織評価について、いずれの試料も良好であった。
風味評価については、試験No.21≦22=23≦24≦25の順で有機酸モノグリセリドの味を感じ(≦:記号の左右で右側が上位であるが統計的に有意差なし)、試験No.25は、試験No.21、22、23に対して統計的に有意な差で有機酸モノグリセリドの味を感じる結果となった。
(考察)
有機酸モノグリセリドの風味が製品の味に影響を与えないのは液状原料組成物に対し、0.5%未満であることが分かった。
<試験3>試験No.31〜40
この試験は、カゼイン蛋白質の含有量及びカゼイン蛋白質に対する有機酸モノグリセリドの添加量を検索する目的で行った。
(試料の調整)
試験1と同様の方法で、表5の配合に従って酸性ゲル状食品を製造した。液状原料組成物のpHは3.9とした。
Figure 2007049948
(評価方法)
得られた酸性ゲル状食品におけるゲル組織の評価を試験1と同様の方法で行った。その結果を表6に示す。
Figure 2007049948
(結果)
表6に示す通り、試験No.32、33、34、35、37において、良好なゲル組織が得られた。
(考察)
カゼイン蛋白質の添加量が液状原料組成物当たり3.5質量%以下で、かつカゼイン蛋白質当りの有機酸モノグリセリドの添加量が3.7質量%以上の範囲で、ゲル組織不良が抑えられることがわかった。
<試験4>試験No.41〜45
(目的)
この試験は液状原料組成物のpHの範囲を検索する目的で実施した。
(試料の調整)
試験1と同様の方法で、表7の配合に従って酸性ゲル状食品を製造した。
液状原料組成物中におけるカゼイン蛋白質の含有量は0.5質量%で、カゼイン蛋白質に対するコハク酸モノグリセリドの含有量(カゼイン蛋白質当たりコハク酸モノグリセリドの含有量)は19.2質量%である。
Figure 2007049948
(評価方法)
得られた酸性ゲル状食品におけるゲル組織の評価を試験1と同様の方法で行った。また、各試料(酸性ゲル状食品)について微生物検査を行い、大腸菌群、一般細菌群、カビ、酵母について、すべて陰性であれば○、それ以外を×とした。これらの結果を下記表8に示す。
Figure 2007049948
(結果)
表8に示す通り、試験No.42、43、44は組織、殺菌ともに良好であった。
(考察)
液状原料組成物のpHが3.5〜4.5の範囲で、良好な殺菌効果が得られるとともに、良好なゲル組織が得られることが分かった。
<実施例1>ミルクゼリーの製造
まず液状原料組成物を調製した。すなわち表9の配合に従い、クエン酸以外の原料を溶解し、95℃に加温し、温度を保持しつつ5分間攪拌した。その後、50℃まで冷却し、クエン酸を添加し、攪拌して液状原料組成物を得た。液状原料組成物中におけるカゼイン蛋白質の含有量は0.5質量%で、カゼイン蛋白質に対するコハク酸モノグリセリドの含有量は19.2質量%である。
カップ(製品名:PPデザートカップ、大日本印刷社製)に、表9に示す各種固形物(各15g、合計45g)を手で充填した後、上記で調製した液状原料組成物100gを充填機(製品名:MTYパッカー、トーワテクノ社製)により、満杯状態となるように充填した。カップの開口部にフィルム蓋をかぶせ、ヒートシールして密封した。その後、90℃の熱温水槽に浸漬し、25分保持して加熱殺菌し、その後、25℃の水槽に浸漬して一時間保持して製品(酸性ゲル状食品)を得た。製品は、ミルクゼリー中に固形物が充填前と同じ形状で内包されており、外観に凝集は見られず、ミルクゼリー部分の組織は滑らかで、風味は良好であった。
Figure 2007049948
<実施例2>杏仁ゼリーの製造
まず液状原料組成物を調製した。すなわち表10の配合に従い、クエン酸以外の原料を溶解し、95℃まで加温し、温度を保持しつつ5分間攪拌した。その後、50℃まで冷却し、クエン酸を添加し、攪拌して液状原料組成物を得た。液状原料組成物中におけるカゼイン蛋白質の含有量は0.4質量%で、カゼイン蛋白質に対するコハク酸モノグリセリドの含有量は25.0質量%である。
カップ(製品名:PPデザートカップ、生駒化学社製)に、表10に示す各種固形物(各10g、合計40g)を手で充填した後、上記で調製した液状原料組成物100gを充填機(製品名:オートカップシーラー、サニーパッケージ社製)で充填し、ヘッドスペースのある状態で、カップの開口部にフィルム蓋をかぶせ、ヒートシールして密封した。その後、85℃、30分のレトルト殺菌処理(装置の製品名:フレーバーエース、日坂工業社製)を施した。殺菌処理終了後、冷却水にて急速冷却し、製品(酸性ゲル状食品)を得た。製品は、杏仁ゼリー中に固形物が充填前と同じ形状で内包されており、外観に凝集は見られず、杏仁ゼリー部分の組織は滑らかで、杏仁と乳の風味がマッチした、良好な風味であった。
Figure 2007049948

Claims (3)

  1. カゼイン蛋白質、熱可逆性ゲル化剤、および有機酸モノグリセリドを含有し、pHが3.5〜4.5である液状原料組成物と、水分含有固形物を容器内に充填した後、加熱処理を施し、しかる後に冷却処理してゲル化させることを特徴とする酸性ゲル状食品の製造方法。
  2. 前記有機酸モノグリセリドが、クエン酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド、および酒石酸モノグリセリドからなる群より選択される1種類以上であることを特徴とする請求項1に記載の酸性ゲル状食品の製造方法。
  3. 前記液状原料組成物における前記カゼイン蛋白質の含有量が3.5質量%以下であり、且つ前記液状原料組成物中のカゼイン蛋白質に対する前記有機酸モノグリセリドの含有量が3.7質量%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の酸性ゲル状食品の製造方法。



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