JP2007039713A - 酸化物膜付き基板の製造方法および酸化物膜付き基板製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】透明で、かつ非常に高いバリア性を有するシートを製造するために、プラスチック等の基板上に酸化膜を形成するのに適し、かつコストが低くメンテナンス性が高い装置よび方法を提供すること。
【解決手段】真空容器内で物理気相成長法および/または化学気相成長法で基板上に膜を形成する工程において、前記真空容器内に酸化性ガスを供給して、前記膜の材料を基板に到達する際に酸化させることによって、前記基板上に前記材料の酸化物膜を形成する酸化物膜つき基板の製造方法において、前記真空容器内に供給された酸化性ガス中の酸素原子存在比を5質量%以上にする。
【選択図】図1
【解決手段】真空容器内で物理気相成長法および/または化学気相成長法で基板上に膜を形成する工程において、前記真空容器内に酸化性ガスを供給して、前記膜の材料を基板に到達する際に酸化させることによって、前記基板上に前記材料の酸化物膜を形成する酸化物膜つき基板の製造方法において、前記真空容器内に供給された酸化性ガス中の酸素原子存在比を5質量%以上にする。
【選択図】図1
Description
本発明は、酸化物膜付き基板の製造方法および酸化物膜付き基板製造装置に関する。
従来、透明ガスバリアフィルムとして、プラスチックフィルム等の基板上に酸化アルミニウムや酸化珪素などの酸化物を形成したものが知られている。
プラスチックフィルム等の基板の上に酸化物を形成する方法としては、真空容器の中で、酸化物を直接加熱し蒸発させて基板上に酸化物を蒸着する方法と、同様に減圧された容器の中で、材料を加熱し蒸発させて、基板上に材料を蒸着させながら、材料の蒸気、あるいは蒸着した材料に酸素ガスを供給し、材料を酸化させる方法がある。
前記2つの方法のいずれかを用いて、プラスチックフィルム上に通常5〜30nm程度の酸化物を積層することにより、ガスバリア性を有する透明フィルムを得ることができる。
前記2つの方法のうち、酸化物を直接加熱する方法は、酸化物の蒸気圧が低く、蒸発に必要な温度が高いことから、蒸発速度を高めることが困難であり、高速成膜には適さない。このため、包装材料など大量生産が必要な用途に対しては材料を蒸着させながら酸素ガスを供給する方法を用いるのが一般的となっている。
後者を用いた場合に、透明で、かつ高いガスバリア性を有するフィルムを得るための手段として、供給する酸素ガスに酸素より活性なオゾンを含有させる方法で成膜中の真空容器内の圧力を下げる技術が特許文献1に開示されている。
しかし、さらにガスバリア性を向上させるためにオゾンの濃度を高くしようとすると、オゾン発生器として一般的な放電式オゾン発生器を使用する場合、発生できるオゾンの濃度はせいぜい10質量%であり、この濃度では十分なガスバリア性を得るには至らなかった。また、オゾン発生器として10質量%を越えるオゾン発生器を使用する場合、オゾン発生器が高価で装置が複雑となり、コスト性およびメンテナンス性の観点から望ましくない。
特開平03−23933号公報
本発明の目的は、透明で、かつ非常に高いバリア性を有するシートを製造するために、プラスチック等の基板上に酸化膜を形成するのに適し、かつコストが低くメンテナンス性が高い装置よび方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は下記の方法、および装置を提供する。
(1)真空容器内で物理気相成長法および/または化学気相成長法で基板上に膜を形成する工程において、前記真空容器内に酸化性ガスを供給して、前記膜の材料を基板に到達する際に酸化させることによって、前記基板上に前記材料の酸化物膜を形成する酸化物膜つき基板の製造方法であって、前記真空容器中の酸化性ガス中の酸素原子存在比を5質量%以上とすることを特徴とする酸化物膜付き基板の製造方法。
(2)真空容器内で物理気相成長法および/または化学気相成長法で基板上に膜を形成する工程において、前記真空容器内にオゾンを含む酸化性ガスを供給し、前記膜の材料を基板に到達する際に酸化させることによって、前記基板上に前記材料の酸化物膜を形成する酸化物膜つき基板の製造方法であって、前記酸化性ガスに含まれる少なくとも一部のオゾンを、前記膜の材料と酸化反応を起こす前に強制的に分解することを特徴とする酸化物膜付き基板の製造方法。
(3)前記オゾンの分解は、前記酸化性ガスの供給口付近の接ガス部を加熱することによって行なうことを特徴とする(2)に記載の酸化物膜付き基板の製造方法。
(4)前記酸化性ガスの供給口付近の接ガス部を加熱する方法として、前記酸化性ガス供給口の近傍に加熱体を前記酸化性ガスの一部が接触するように、かつ前記酸化性ガスが膜材料に到達するまでの経路を妨げないように設置することを特徴とする(3)に記載の酸化物膜付き基板の製造方法。
(5)前記接ガス部の温度が100℃以上500℃以下となるように加熱することを特徴とする(3)または(4)に記載の酸化物膜付き基板の製造方法。
(6)前記材料として、無機物または無機酸化物を用いることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の酸化物膜付き基板の製造方法。
(7)前記材料として、アルミニウム、珪素、またはこれらの酸化物を用いることを特徴とする(6)に記載の酸化物膜付き基板の製造方法。
(8)前記酸化性ガスとして、酸素ガスまたは酸素を主成分とするガスを用いることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の酸化物膜付き基板の製造方法。
(9)前記基板としてプラスチックフィルムを用いることを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載の酸化物膜付き基板の製造方法。
(10)基板を保持する基板保持機構と該基盤保持機構により保持された前記基板上に材料を供給する材料供給源とを内部に備える真空容器と、オゾンを含有する酸化性ガスを発生させるガス発生機構と、前記ガス発生機構に接続され、前記ガス発生機構が発生させた酸化性ガスを前記真空容器内に供給するガス供給機構とを備え、前記ガス供給機構は、前記ガス発生機構が発生させた酸化性ガスを前記ガス発生機構との接続部から前記真空容器内に供給する酸化性ガス供給口付近までの間において前記酸化性ガスに含まれる少なくとも一部の前記オゾンを強制的に分解するガス分解手段を備えたことを特徴とする酸化物膜付き基板製造装置。
(11)前記ガス分解手段は、前記ガス導入口付近の接ガス部を加熱するガス加熱機構であることを特徴とする(10)に記載の酸化物膜付き基板製造装置。
(1)真空容器内で物理気相成長法および/または化学気相成長法で基板上に膜を形成する工程において、前記真空容器内に酸化性ガスを供給して、前記膜の材料を基板に到達する際に酸化させることによって、前記基板上に前記材料の酸化物膜を形成する酸化物膜つき基板の製造方法であって、前記真空容器中の酸化性ガス中の酸素原子存在比を5質量%以上とすることを特徴とする酸化物膜付き基板の製造方法。
(2)真空容器内で物理気相成長法および/または化学気相成長法で基板上に膜を形成する工程において、前記真空容器内にオゾンを含む酸化性ガスを供給し、前記膜の材料を基板に到達する際に酸化させることによって、前記基板上に前記材料の酸化物膜を形成する酸化物膜つき基板の製造方法であって、前記酸化性ガスに含まれる少なくとも一部のオゾンを、前記膜の材料と酸化反応を起こす前に強制的に分解することを特徴とする酸化物膜付き基板の製造方法。
(3)前記オゾンの分解は、前記酸化性ガスの供給口付近の接ガス部を加熱することによって行なうことを特徴とする(2)に記載の酸化物膜付き基板の製造方法。
(4)前記酸化性ガスの供給口付近の接ガス部を加熱する方法として、前記酸化性ガス供給口の近傍に加熱体を前記酸化性ガスの一部が接触するように、かつ前記酸化性ガスが膜材料に到達するまでの経路を妨げないように設置することを特徴とする(3)に記載の酸化物膜付き基板の製造方法。
(5)前記接ガス部の温度が100℃以上500℃以下となるように加熱することを特徴とする(3)または(4)に記載の酸化物膜付き基板の製造方法。
(6)前記材料として、無機物または無機酸化物を用いることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の酸化物膜付き基板の製造方法。
(7)前記材料として、アルミニウム、珪素、またはこれらの酸化物を用いることを特徴とする(6)に記載の酸化物膜付き基板の製造方法。
(8)前記酸化性ガスとして、酸素ガスまたは酸素を主成分とするガスを用いることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の酸化物膜付き基板の製造方法。
(9)前記基板としてプラスチックフィルムを用いることを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載の酸化物膜付き基板の製造方法。
(10)基板を保持する基板保持機構と該基盤保持機構により保持された前記基板上に材料を供給する材料供給源とを内部に備える真空容器と、オゾンを含有する酸化性ガスを発生させるガス発生機構と、前記ガス発生機構に接続され、前記ガス発生機構が発生させた酸化性ガスを前記真空容器内に供給するガス供給機構とを備え、前記ガス供給機構は、前記ガス発生機構が発生させた酸化性ガスを前記ガス発生機構との接続部から前記真空容器内に供給する酸化性ガス供給口付近までの間において前記酸化性ガスに含まれる少なくとも一部の前記オゾンを強制的に分解するガス分解手段を備えたことを特徴とする酸化物膜付き基板製造装置。
(11)前記ガス分解手段は、前記ガス導入口付近の接ガス部を加熱するガス加熱機構であることを特徴とする(10)に記載の酸化物膜付き基板製造装置。
本発明において、「物理気相成長法」とは材料を真空中で気化して基板上に膜として堆積させる方法であり、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などが挙げられる。「化学気相成長法」とは、材料のガスを容器に導入し、化学反応を利用して目的の組成の膜を基板上に堆積させる方法であり、熱CVD法、プラズマCVD法などが挙げられる。基板上に膜を形成する手段としては特に限定しない。
また、「酸化性ガス」とは酸化性を持つガスであり、例えば酸素、オゾン、一酸化炭素、二酸化炭素、NOxなどの酸化窒素類などのガス、あるいはこれらの混合ガスが挙げられる。中でも酸素ガス、オゾンガスが反応性が高く、かつ不純物が残らないことから好ましい。
また、「真空容器内に供給された酸化性ガス中の酸素原子存在比」は、ガス分析計などにより真空容器内の酸素原子の存在比(質量%)を測定した値とする。
また、「オゾンを分解する」とはオゾンを酸素分子と酸素原子に分解することである。
また、「基板を保持する機構」とは、成膜中に基板を動かさずに保持する機構および、成膜中に基板を搬送しながら、基板のうち膜が形成される部位と蒸発源との間の位置関係を一定に、保持する機構などをあわせていう。基板を搬送しながら保持する機構は、膜付き基板を連続的に製造するのに良い。さらに、基板の搬送を繰り出し手段からロール状の基板を繰り出し巻き取り手段で基板を巻き取ることにより行うと、大面積の膜付き基板を製造するのに良い。
基板上に形成する膜の材料としては、無機物、または無機酸化物が好ましく用いられる。一般的には、アルミニウム、珪素、マグネシウム、亜鉛、またはこれらの酸化物または/および亜酸化物が用いられるが、特に安価で透明バリア層に適したものとして、アルミニウム、珪素、またはこれらの酸化物または/および亜酸化物が好ましい。
基板としてはプラスチックフィルムが好適である。また、好適なプラスチックフィルムとしては、特に限定を受けないが、代表的なものとしては次のものが挙げられる。ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、ナイロン6、ナイロン12などのポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリサルフォン、ポリフェニレンオキサイド、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、セルロース、酢酸セルロースなどおよび、これらの共重合体や、他の有機物との共重合体であっても良い。これらのプラスチックフィルムは未延伸、一軸延伸、二軸延伸のいずれでも良いが、寸法安定性や機械特性およびガス遮断性の安定性の点から二軸延伸されたものが好ましい。また、プラスチックフィルム中に公知の添加剤、例えば帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、着色防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、着色剤などが添加されていても良い。また、プラスチックフィルム等の基板は、透明であることが好ましく、全光線透過率(JISK7361−1:1997に準拠)が少なくとも70%以上、好ましくは85%以上であることが望ましい。着色剤など公知の添加剤は、この範囲を損わない程度に添加されるのが望ましい。また、酸化物膜の形成に先立ち、プラスチックフィルムに公知の表面処理、例えばコロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、グロー放電処理、粗面化処理や、有機物や無機物およびこれらの混合物のアンカーコート処理が施されても良い。
真空容器内の圧力は、0.1Pa以下が、蒸発した材料の散乱が少なく、また膜内に混入する残留ガスの量が少なくなるので好ましい。
酸化性ガス供給口付近の接ガス部の加熱手段としては、酸化性ガス供給口の近傍にヒーターなどの加熱体をガスの一部が接触するように、かつガスが膜材料に到達するまでの経路を妨げないように設置するのが、オゾンを分解させ、かつ発生した酸素原子が材料と反応する前に他の原子と反応して安定にならないようにする点で良い。
酸化性ガス供給口付近の接ガス部の温度は100〜500℃が好ましい。100℃未満だと、十分な反応性を得るには至らず、500℃を越えると、オゾンが分解して発生した酸素原子が、材料と反応する前に、他の酸素原子などと反応して、安定になるので、材料との反応性を低下させることがある。
形成する酸化物膜の厚さは5〜30nmが好ましい。5nm未満ではガスバリア性を得るのに膜厚が十分でないことがあり、30nmを越えると膜にクラックが発生しやすくなりガスバリア性を低下させることがある。また、酸化物膜は透明であることが好ましく、基板としてプラスチックフィルムを用いた場合に、全光線透過率が少なくとも70%以上、好ましくは85%以上であることが望ましい。
材料を蒸発する方法は、高周波誘導加熱、抵抗加熱、電子ビーム加熱、レーザービーム加熱等のいずれの方法でも良い。大面積にわたって高速蒸着を行うには、高周波誘導加熱および電子ビーム加熱が好ましい。
本発明の酸化物膜付き基板の製造方法、および酸化物膜付き基板製造装置によれば、透明で、かつ高いバリア性を有するシートを低コストで比較的簡易に得ることができる。
以下、本発明を酸化物膜付きプラスチックフィルムの製造方法、および酸化物膜付き基板製造装置に適用した例を、図1〜図2に参照しながら説明する。
図1は酸化物膜付きプラスチックフィルムの製造装置の一例を断面図で示したもの、図2は酸化性ガス供給口付近13の詳細図である。図3は酸化性ガス供給口付近13の詳細を、真空容器内面側から見た図である。
1は真空容器であり排気機構2によって排気される。5は基板ホルダであり基板6を保持する。3は蒸発源である。蒸発源3に膜の材料4をセットし、材料を加熱して基板6に向けて蒸発させる。加熱手段は高周波誘導加熱法をとる。7は真空計であり、真空容器内の圧力を測定する。
8はオゾン含有酸素ガス発生機構である。酸素ボンベ9とオゾン発生器10と配管11からなり、オゾンの発生方法として、酸素ボンベ9から酸素ガスを配管11に供給し、下流のオゾン発生器10で酸素の一部をオゾン化する方法をとっている。オゾン発生器でのオゾン化のさせ方としては、電圧をかけた誘電体の間に酸素を通過させ、そこで放電を起こす放電法をとっている。12は流量調節器である。
13は酸化性ガス供給口付近を示したものであり、17は真空容器の内壁面、18はプレートヒーターである。ここで、プレートヒーター18が本発明における接ガス部を構成する。
14はガス分析計であり、真空容器内のガスの組成および存在比などを測定する。15はオゾン濃度計であり排気ガス中のオゾン濃度を測定する。14および15は成膜中は取り外しても良い。
以上の構成で、基板を保持し材料を蒸発させ、かつプレートヒーター18を100〜500℃のいずれかの温度に加熱した状態で、オゾンを含有するガスを真空容器に内に供給すると、材料と反応する前に分解するオゾンの量が増加する。これにより、プラスチックフィルム上に透明な酸化物膜を形成するときの真空容器内の圧力を酸化性ガス供給口付近の接ガス部を加熱しない場合よりさらに低くすることが可能になり、バリア性の高い酸化物膜付きフィルムを製造することができる。
なお、基板保持機構は図4のようにロール状の基板を繰り出して巻き取る搬送機構を備えても良い。
以下、実施例にて本発明をより詳細に説明する。なお本発明は本実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例における物性は、以下の方法で測定および分析した。
(1)全光線透過率
JISK7361−1:1997に準拠して、日本電色工業株式会社製のNDH−300Aにて全光線透過率を測定した。
(2)水蒸気透過率
JISK7129:1992Bに準拠して、モコン社製の水蒸気透過率測定装置(機種名、“パ−マトラン”W3/31)を使用して温度40℃、湿度90%RHの条件で測定した。
(3)酸素透過率
JISK7126:1987に準拠してモコン社製の酸素透過率測定装置(機種名、“オキシトラン”(OXTRAN 2/20))を使用して温度23℃、湿度0%RHの条件で測定した。
(4)酸素原子存在比
ガス分析計としてファイファーバキューム社製の四重極分析計(機種名、“プリズマ”QMS200)を使用して酸化性ガス中に含まれる酸素原子の存在比を分析した。
[実施例1]
図1および2に示す構造の装置を使用して、基板として2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製“ルミラー”12T705)を基板ホルダ5にセットし、材料として純度99.99%のアルミニウムを蒸発源で蒸発させ、オゾンを含有するガスを真空容器1内に供給して酸化アルミニウム膜付きフィルムを作製した。プレートヒーターの温度は、プレートヒーター18の接ガス部の一部に熱電対を接続して温度測定し100℃で維持できるようプレートヒーターの出力を調節することにより行った。
(1)全光線透過率
JISK7361−1:1997に準拠して、日本電色工業株式会社製のNDH−300Aにて全光線透過率を測定した。
(2)水蒸気透過率
JISK7129:1992Bに準拠して、モコン社製の水蒸気透過率測定装置(機種名、“パ−マトラン”W3/31)を使用して温度40℃、湿度90%RHの条件で測定した。
(3)酸素透過率
JISK7126:1987に準拠してモコン社製の酸素透過率測定装置(機種名、“オキシトラン”(OXTRAN 2/20))を使用して温度23℃、湿度0%RHの条件で測定した。
(4)酸素原子存在比
ガス分析計としてファイファーバキューム社製の四重極分析計(機種名、“プリズマ”QMS200)を使用して酸化性ガス中に含まれる酸素原子の存在比を分析した。
[実施例1]
図1および2に示す構造の装置を使用して、基板として2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製“ルミラー”12T705)を基板ホルダ5にセットし、材料として純度99.99%のアルミニウムを蒸発源で蒸発させ、オゾンを含有するガスを真空容器1内に供給して酸化アルミニウム膜付きフィルムを作製した。プレートヒーターの温度は、プレートヒーター18の接ガス部の一部に熱電対を接続して温度測定し100℃で維持できるようプレートヒーターの出力を調節することにより行った。
アルミニウムを蒸発する前に真空容器内を1×10−3Pa以下まで排気した。アルミニウムの蒸発速度は2nm/secとした。蒸発速度は、事前に基板と同じ位置に水晶式膜厚計を設置して測定し、蒸発源の出力を調節して設定した。また、オゾン発生器で生成するオゾンの濃度は10質量%とし、真空容器内へのオゾン含有酸素の供給量は成膜中の真空容器内の圧力が0.01〜0.1Paで0.01Paずつ変わるように調節して、各圧力下で前記フィルムを作製した。形成する酸化アルミニウム膜の厚みは蛍光X線膜厚計(セイコー電子工業株式会社製:SFT3200)で測定して10nmとなるように成膜時間を調整した。
作製した酸化アルミニウム膜付きフィルムの全光線透過率を測定した。また、全光線透過率が85%以上で蒸着中の真空容器内の圧力が一番低かったものについて水蒸気透過率、酸素透過率を測定した。
また、成膜中の真空容器内の圧力が0.05Paとなる量のオゾン含有酸素をアルミニウムを蒸発せずに真空容器内に供給した状態で、真空容器内のガスを分析して酸素原子の存在比を求め、また排気ガス中のオゾン濃度を測定した。
[実施例2]
プレートヒーター18の温度を300℃とする以外は実施例1と同様に酸化アルミニウム膜付きフィルムを作製し、測定・分析も同様に行った。
[実施例3]
プレートヒーターの温度を500℃とする以外は実施例1と同様に酸化アルミニウム膜付きフィルムを作製し、測定・分析も同様に行った。
[比較例1]
プレートヒーターを加熱せず、オゾン発生器で生成するオゾン濃度を10質量%とする以外は実施例1と同様に酸化アルミニウム膜付きフィルムを作製し、測定・分析も同様に行った。
[比較例2]
プレートヒーターの温度を50℃とする以外は実施例1と同様に酸化アルミニウム膜付きフィルムを作製し、測定・分析も同様に行った。
[比較例3]
プレートヒーターの温度を600℃とする以外は実施例1と同様に酸化アルミニウム膜付きフィルムを作製し、測定・分析も同様に行った。
また、成膜中の真空容器内の圧力が0.05Paとなる量のオゾン含有酸素をアルミニウムを蒸発せずに真空容器内に供給した状態で、真空容器内のガスを分析して酸素原子の存在比を求め、また排気ガス中のオゾン濃度を測定した。
[実施例2]
プレートヒーター18の温度を300℃とする以外は実施例1と同様に酸化アルミニウム膜付きフィルムを作製し、測定・分析も同様に行った。
[実施例3]
プレートヒーターの温度を500℃とする以外は実施例1と同様に酸化アルミニウム膜付きフィルムを作製し、測定・分析も同様に行った。
[比較例1]
プレートヒーターを加熱せず、オゾン発生器で生成するオゾン濃度を10質量%とする以外は実施例1と同様に酸化アルミニウム膜付きフィルムを作製し、測定・分析も同様に行った。
[比較例2]
プレートヒーターの温度を50℃とする以外は実施例1と同様に酸化アルミニウム膜付きフィルムを作製し、測定・分析も同様に行った。
[比較例3]
プレートヒーターの温度を600℃とする以外は実施例1と同様に酸化アルミニウム膜付きフィルムを作製し、測定・分析も同様に行った。
前記測定および分析結果について、真空容器内圧力別の酸化アルミニウム膜付きプラスチックフィルムの全光線透過率を表1、全光線透過率が85%のものの全光線透過率と水蒸気透過率、酸素透過率を表2、成膜中の真空容器内の圧力が0.05Paとなる量のオゾン含有酸素を、アルミニウムを蒸発せずに真空容器内に供給し、その組成を分析して求めた酸素原子の真空容器内に供給されたガス全体に対する存在比を表3、排気ガスのオゾン濃度を表4に示す。
表1、2から、実施例1〜3が比較例1〜3に比べて製品の全光線透過率が85%以上となる真空容器内圧力が低く、同じ85%の製品では水蒸気透過率、酸素透過率ともに実施例が比較例に比べて低くなっていることがわかる。
表3、4から、実施例1〜3が比較例1〜3に比べて真空容器内に供給されたオゾン含有酸素内の酸素原子の存在比が大きく、オゾンの濃度が小さくなっていることがわかる。
以上の結果は、酸化性ガス供給口付近の接ガス部を100〜500℃に加熱することにより、オゾン含有酸素のうちの一部のオゾンが真空容器内に供給する前に強制的に分解され、それによって、透明度を維持しつつガスバリア性が向上した酸化アルミニウム膜付きフィルムを作製できたことを示す。
本発明は、透明バリアフィルムの製造に限らず、プラスチックフィルムの補強や基板がプラスチックフィルム以外の用途にも応用することができるが、その応用範囲が、これらに限られるものではない。
1:真空容器
2:排気機構
3:蒸発源
4:膜の材料
5:基板ホルダ
6:基板
7:真空計
8:オゾン含有酸素ガス発生機構
9:酸素ボンベ
10:オゾン発生器
11:配管(酸素ボンベ〜酸化性ガス供給口)
12:流量調節器
13:酸化性ガス供給口付近
14:ガス分析計
15:オゾン濃度計
16:酸化性ガス供給口
17:真空容器の内壁面
18:プレートヒーター
19:基板のロール(繰り出し側)
20:基板(繰り出し〜ドラム〜巻き取り)
21:ガイドローラー
22:基板のロール(巻き取り側)
23:ドラム
2:排気機構
3:蒸発源
4:膜の材料
5:基板ホルダ
6:基板
7:真空計
8:オゾン含有酸素ガス発生機構
9:酸素ボンベ
10:オゾン発生器
11:配管(酸素ボンベ〜酸化性ガス供給口)
12:流量調節器
13:酸化性ガス供給口付近
14:ガス分析計
15:オゾン濃度計
16:酸化性ガス供給口
17:真空容器の内壁面
18:プレートヒーター
19:基板のロール(繰り出し側)
20:基板(繰り出し〜ドラム〜巻き取り)
21:ガイドローラー
22:基板のロール(巻き取り側)
23:ドラム
Claims (11)
- 真空容器内で物理気相成長法および/または化学気相成長法で基板上に膜を形成する工程において、前記真空容器内に酸化性ガスを供給して、前記膜の材料が飛行中および/または基板に到達する際に、前記膜の材料を酸化させることによって、前記基板上に前記材料の酸化物膜を形成する酸化物膜つき基板の製造方法であって、前記真空容器中の酸化性ガス中の酸素原子存在比を5質量%以上とすることを特徴とする酸化物膜付き基板の製造方法。
- 真空容器内で物理気相成長法および/または化学気相成長法で基板上に膜を形成する工程において、前記真空容器内にオゾンを含む酸化性ガスを供給し、前記膜の材料が飛行中および/または基板に到達する際に、前記膜の材料を酸化させることによって、前記基板上に前記材料の酸化物膜を形成する酸化物膜つき基板の製造方法であって、前記酸化性ガスに含まれる少なくとも一部のオゾンを、前記膜の材料と酸化反応を起こす前に強制的に分解することを特徴とする酸化物膜付き基板の製造方法。
- 前記オゾンの分解は、前記酸化性ガスの供給口付近の接ガス部を加熱することによって行なうことを特徴とする請求項2に記載の酸化物膜付き基板の製造方法。
- 前記酸化性ガスの供給口付近の接ガス部を加熱する方法として、前記酸化性ガス供給口の近傍に加熱体を前記酸化性ガスの一部が接触するように、かつ前記酸化性ガスが前記膜の材料に到達するまでの経路を妨げないように設置することを特徴とする請求項3に記載の酸化物膜付き基板の製造方法。
- 前記接ガス部の温度が100℃以上500℃以下となるように加熱することを特徴とする請求項3または4に記載の酸化物膜付き基板の製造方法。
- 前記材料として、無機物または無機酸化物を用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の酸化物膜付き基板の製造方法。
- 前記材料として、アルミニウム、珪素、またはこれらの酸化物を用いることを特徴とする請求項6に記載の酸化物膜付き基板の製造方法。
- 前記酸化性ガスとして、酸素ガスまたは酸素を主成分とするガスを用いることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の酸化物膜付き基板の製造方法。
- 前記基板としてプラスチックフィルムを用いることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の酸化物膜付き基板の製造方法。
- 基板を保持する基板保持機構と該基板保持機構により保持された前記基板上に材料を供給する材料供給源とを内部に備える真空容器と、オゾンを含有する酸化性ガスを発生させるガス発生機構と、前記ガス発生機構に接続され、前記ガス発生機構が発生させた酸化性ガスを前記真空容器内に供給するガス供給機構とを備え、前記ガス供給機構は、前記ガス発生機構が発生させた酸化性ガスを前記ガス発生機構との接続部から前記真空容器内に供給する酸化性ガス供給口付近までの間において前記酸化性ガスに含まれる少なくとも一部の前記オゾンを強制的に分解するガス分解手段を備えたことを特徴とする酸化物膜付き基板製造装置。
- 前記ガス分解手段は、前記ガス導入口付近の接ガス部を加熱するガス加熱機構であることを特徴とする請求項10に記載の酸化物膜付き基板製造装置。
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JP2005222565A JP2007039713A (ja) | 2005-08-01 | 2005-08-01 | 酸化物膜付き基板の製造方法および酸化物膜付き基板製造装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN103741118A (zh) * | 2013-12-25 | 2014-04-23 | 上海纳米技术及应用国家工程研究中心有限公司 | 彩色银制品的制备方法 |
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2005
- 2005-08-01 JP JP2005222565A patent/JP2007039713A/ja active Pending
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