JP2006116737A - ガスバリア性積層フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】酸素及び水蒸気の透過防止性を有し、しかも透明性に優れたガスバリア性積層フィルムを提供する。
【解決手段】ガスバリア性積層フィルムは、プラスチックフィルムからなる基材フィルム上に、透明な無機酸化物蒸着層を備え、この無機酸化物蒸着層上に、燐酸イオン含有溶液と金属イオン含有溶液を混合してなる、液中に含まれる金属対燐の原子比が1より小さいコーティング液を塗布し、空気中で乾燥固化してなる金属燐酸塩被覆層を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、ガスバリア性積層フィルムに係わり、更に詳しくは優れた酸素及び水蒸気に対する良好な透過防止性を有するガスバリア性積層フィルムに関する。
これまでに多くの異なる被覆材料が熱可塑性フィルムの特性を改質するのに用いられてきた。たとえば、プラスチックフィルムからなる基材フィルムの上に金属燐酸塩コロイド分散液をコーティングしてなる燐酸塩被覆された重合体成形品が知られている(特許文献1参照)。また、プラスチックフィルムの上に金属蒸着層を形成し、この金属蒸着層面に金属燐酸塩コロイド分散液をコーティングしてなる被覆層を設けた包装材料も知られている(特許文献2参照)。また、ポリアミド系樹脂フィルムの片面に、物理気相成長法あるいは化学気相成長法等により酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機酸化物蒸着膜を設けた透明バリア性フィルムが開発されている(特許文献3参照)。
特開昭55−46969号公報 特開昭61−34183号公報 特開2001−162713号公報
しかしながら、特許文献1に記載の成形品においては、金属燐酸塩コロイド分散液中の金属原子と燐原子のモル比がオルト燐酸塩の金属原子と燐原子モル比に比べて低い場合には、高い湿潤状態に置かれると、燐酸塩が加水分解を起こしやすくなり、耐水性が低下して基材フィルムとの境界面から剥離するという基材フィルムと金属燐酸塩被覆層間の密着性に問題がある。また、金属燐酸塩コロイド分散液を塗布して形成した金属燐酸塩被覆層には小さい孔または亀裂が存在し、さらに透過防止性を向上させるためには、金属燐酸塩被覆層の上にポリ塩化ビニリデン等の上塗層を設けなければならない。また特許文献2に記載の包装材料においては不透明な金属蒸着層を設けているために包装材料を通して内容物を見ることができない。また無機酸化物の蒸着膜は屈曲及び伸縮等によりクラックが発生しやすい。
本発明の課題は、特許文献2に記載の包装材料の欠点を解消した、酸素及び水蒸気の透過防止性を有し、しかも透明性に優れたガスバリア性積層フィルムを提供することである。
請求項1に記載の発明は、上記の課題を解決するもので、プラスチックフィルムからなる基材フィルム上に、透明な無機酸化物蒸着層を設け、この無機酸化物蒸着層上に、燐酸イオン含有溶液と金属イオン含有溶液を混合してなる、液中に含まれる金属原子対燐原子の比が1より小さいコーティング液を塗布し、空気中で乾燥固化してなる金属燐酸塩被覆層を設けたことを特徴とするガスバリア性積層フィルムを要旨とする。
本発明によれば、金属燐酸塩の密着性の問題と無機酸化物蒸着層におけるクラック発生の問題の両方の問題を無機酸化物蒸着層と金属燐酸塩層を組みあわせることによって解決することができ、また、金属燐酸塩層が蒸着層のクラックを補い、1cc/m2・day・atm以下の酸素透過度及び1g/m2・day以下の水蒸気透過度が得られる。また、本発明の積層フィルムは透明性を有し、包装材料を通して被包装物を透視することができる。
本発明においては、無機酸化物蒸着層として、物理気相成長法または化学気相成長法により形成した無機酸化物蒸着膜を用いることができる。
また、無機酸化物蒸着層として、物理気相成長法により形成した酸化アルミニウムの蒸着膜、または化学気相成長法により形成した酸化珪素の蒸着膜を用いることができる。
本発明のガスバリア性積層フィルムは、プラスチックフィルムからなる基材フィルム上に、透明な無機酸化物蒸着層を設け、この無機酸化物蒸着層上に、燐酸イオン含有溶液と金属イオン含有溶液を混合してなる、液中に含まれる金属原子対燐原子の比が1より小さいコーティング液を塗布し、空気中で乾燥固化してなる金属燐酸塩被覆層を設けたもので、金属燐酸塩の密着性の問題と無機酸化物蒸着層におけるクラック発生の問題の両方の問題を無機酸化物蒸着層と金属燐酸塩層を組みあわせることによって解決することができ、また、金属燐酸塩層が蒸着層のクラックを補い、1cc/m2・day・atm以下の酸素透過度及び1g/m2・day以下の水蒸気透過度が得られるという効果を奏するものである。
図1は本発明のガスバリア性積層フィルムの略断面図である。
図1に示すように、本発明のガスバリア性積層フィルムは、プラスチックフィルムからなる基材フィルム1上に、透明な無機酸化物蒸着層2を設け、この無機酸化物蒸着層2上に、燐酸イオン含有溶液と金属イオン含有溶液を混合してなる、液中に含まれる金属対燐の原子比が1より小さいコーティング液を塗布し、空気中で乾燥固化してなる金属燐酸塩被覆層3を設けたものである。
本発明において、本発明に係るガスバリア性積層フィルムを構成する材料、製造法等について説明すると、先ず、基材フィルム1として、本発明に係るガスバリア性積層フィルムの基本素材となること、更にアンカーコート剤層、無機酸化物からなる蒸着層等を保持する基材であること等から、先ず、それらの形成、加工等の条件に耐え、且つ、その特性を失うことなく、それらを良好に保持することができること、更に包装用袋の製袋に際し、加工作業性、耐熱性、滑り性、耐ピンホール性その他の諸物性に優れ、更にその他の条件を充足し得る樹脂のフィルム乃至シートを使用することができる。
本発明において、上記の樹脂のフィルム乃至シートとしては、具体的には、例えば、ポリエチレン系樹脂或いはポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン樹脂等のポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂その他の各種の樹脂のフィルム乃至シートを使用できる。
本発明においては、上記の樹脂のフィルム乃至シートの中でも、特に、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、または、ポリアミド系樹脂のフィルム乃至シートを使用できる。
本発明において、上記の各種の樹脂のフィルム乃至シートとしては、例えば、上記の各種の樹脂の1種乃至2種以上を使用し、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法その他の製膜化法を用いて、上記の各種の樹脂を単独で製膜化する方法、或いは、2種以上の各種の樹脂を使用して多層共押し出し製膜化する方法、更には、2種以上の樹脂を使用し、製膜化する前に混合して製膜化する方法等により、各種の樹脂のフィルム乃至シートを製造し、更に、要すれば、例えば、テンター方式、或いはチューブラー方式等を利用して1軸乃至2軸方向に延伸してなる各種の樹脂のフィルム乃至シートを使用することができる。
本発明において、各種の樹脂のフィルムのフィルム乃至シートの膜厚としてしては6〜200μm位、より好ましくは9〜100μm位が望ましい。
尚、上記の各種の樹脂の1種乃至2種以上を使用し、その製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐侯性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離型性、難燃性、抗黴性、電気的特性、強度その他を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量は、極く微量から数十%まで、その目的に応じて任意に決定することができる。上記において、一般的な添加剤として、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料その他を使用することができ、更には、改質用樹脂等も使用することができる。
次に、本発明において、本発明に係るガスバリア性積層フィルムを構成する基材フィルム1の一方の面における無機酸化物からなる蒸着層について説明すると、かかる無機酸化物からなる蒸着層としては、例えば、化学気相成長法、または、物理気相成長法、或いはその両者を併用して、無機酸化物からなる蒸着層の1層からなる単層膜或いは2層以上からなる多層膜又は複合膜を形成して製造することができる。
本発明において、上記の化学気相成長法による無機酸化物からなる蒸着層について更に詳しく説明すると、かかる化学気相成長法による無機酸化物からなる蒸着層としては、例えば、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等を用いて無機酸化物からなる蒸着層を形成することができる。
本発明においては、具体的には、基材フィルム1の一方の面に、有機珪素化合物等の蒸着用モノマーガスを原料とし、キャリアーガスとして、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスを使用し、更に、酸素供給ガスとして、酸素ガス等を使用し、低温プラズマ発生装置等を利用する低温プラズマ化学気相成長法を用いて酸化珪素等の無機酸化物からなる蒸着層を形成することができる。
上記において、低温プラズマ発生装置としては、例えば、高周波プラズマ、パルス波プラズマ、マイクロ波プラズマ等の発生装置を使用することができる。而して、本発明において、高活性の安定したプラズマを得るためには、高周波プラズマ方式による発生装置を使用することが望ましい。
具体的に、上記の低温プラズマ化学気相成長法による無機酸化物からなる蒸着層の形成についてその一例を例示して説明する。図2は、上記のプラズマ気相成長法による無機酸化物からなる蒸着層の形成法について、その概要を示す低温プラズマ化学気相成長装置の概略的構成図である。
本発明においては、図2に示すように、プラズマ化学気相成長装置21の真空チャンバ22内に配置された巻き出しロール23から基材フィルム1を繰り出し、更に、この基材フィルム1を、補助ロール24を介して所定の速度で冷却・電極ドラム25周面上に搬送する。
而して、本発明においては、ガス供給装置26、27及び原料揮発供給装置28等から酸素ガス、不活性ガス、有機珪素化合物等の蒸着用モノマーガスその他を供給し、それらのガスからなる蒸着用混合ガス組成物を、調整しながら、原料供給ノズル29を通して真空チャンバ22内に導入し、そして、冷却・電極ドラム25周面上に搬送された、基材フィルム1の一方の面にグロー放電プラズマ30によってプラズマを発生させ、これを照射して、酸化珪素等の無機酸化物からなる蒸着膜を製膜化する。
本発明においては、その際に、冷却・電極ドラム25は、真空チャンバ22の外に配置された電源31から所定の電力が印加されており、また、冷却・電極ドラム25の近傍には、マグネット32を配置してプラズマの発生が促進されている。
次いで、上記で基材フィルム1の一方の面に、酸化珪素等の無機酸化物からなる蒸着層を形成した後、その基材フィルム1は、無機酸化物からなる蒸着層を保持した状態で、補助ロール33を介して巻き取りロール34に巻き取られ、本発明にかかるプラズマ化学気相成長法による無機酸化物からなる蒸着層を形成することができる。尚、図中35は真空ポンプを表す。
上記の例示は、蒸着層の形成の一例を示すものであり、これによって本発明は限定されるものではない。
また、図示しないが、本発明においては、無機酸化物からなる蒸着層としては、無機酸化物からなる蒸着層の1層だけではなく、2種以上の混合物を使用し、また、異種の材質で混合した無機酸化物からなる蒸着層を形成することもできる。
上記において、真空チャンバ22内を真空ポンプ35により減圧し、真空度1×10-1〜1×10-8Torr位、好ましくは真空度1×10-3〜1×10-7Torr位に調整することが望ましい。
また、原料揮発供給装置28においては、原料である有機珪素化合物を揮発させ、ガス供給装置26、27から供給される酸素ガス、不活性ガス等と混合させ、この混合ガスを原料供給ノズル29を介して真空チャンバ22内に導入される。
この場合、混合ガス中の有機珪素化合物の含有量は、1〜40%位、酸素ガスの含有量は、10〜70%位、不活性ガスの含有量は、10〜60%位の範囲とすることができ、例えば、有機珪素化合物、酸素ガス及び不活性ガスの混合比を1:6:5〜1:17:14程度とすることができる。
一方、冷却・電極ドラム25には、電源31から所定の電圧が印加されているため、真空チャンバ22内の原料供給ノズル29の開口部と冷却・電極ドラム25との近傍でグロー放電プラズマ30が生成され、このグロー放電プラズマ30は、混合ガス中の1種以上のガス成分から導出される。この状態において、基材フィルム1を一定速度で搬出させ、グロー放電プラズマ30によって、冷却・電極ドラム25周面上の例えば二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムからなる基材フィルム1の面に、酸化珪素等の無機酸化物からなる蒸着層を形成することができる。
尚、このときの真空チャンバ22内の真空度は、1×10-1〜1×10-4Torr位、好ましくは真空度1×10-1〜1×10-2Torr位に調整することが望ましい。また、基材フィルム1の搬送速度は、10〜300m/分位、好ましくは、50〜150nm/分位に調整することが望ましい。
また、上記のプラズマ化学気相成長装置において、酸化珪素等の無機酸化物からなる蒸着層は、基材フィルム1の一方の面に、プラズマ化した原料ガスを酸素ガスで酸化しながらSiOXの形で薄膜状に形成されるので、当該形成される酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜は、緻密で、隙間の少ない、可能性に富む連続層となる。従って、酸化珪素等の無機酸化物からなる蒸着層のバリア性は、従来の真空蒸着法等によって形成される酸化珪素等の無機酸化物からなる蒸着層と比較してはるかに高いものであり、薄い膜厚で十分なガスバリア性を得ることができる。
また、SiOXプラズマにより基材フィルムの表面が、清浄化され、基材フィルム1の表面に、極性基やフリーラジカル等が発生するので、形成される酸化珪素等の無機酸化物からなる蒸着層と基材フィルム1の表面との密接着性が高いものとなる。
更に、上記のように酸化珪素等の無機酸化物からなる連続膜の形成時の真空度は、1×10-1〜1×10-4Torr位、好ましくは真空度1×10-1〜1×10-2Torr位に調整することから、従来の真空蒸着法により酸化珪素等の無機酸化物からなる蒸着層を形成するときの真空度、1×10-4〜1×10-8Torr位に比較して低真空度であることから、基材フィルム1の原反交換時の真空状態設定時間を短くすることができ、真空度を安定しやすく、製膜プロセスが安定する。
本発明において、有機珪素化合物等の蒸着モノマーガスを使用して形成される酸化珪素からなる蒸着層は、有機珪素化合物等の蒸着モノマーガスと酸素ガスが化学反応し、その反応生成物が、基材フィルム1の一方の面と密接着し、緻密な、柔軟性等に富む薄膜を形成するものであり、通常、一般式SiOX(但し、Xは、0〜2の数を表す)で表される酸化珪素を主体とする連続状の薄膜である。
而して、上記の酸化珪素からなる蒸着層は、透明性、バリア性等の点から、一般式SiOX(但し、Xは、1.3〜1.9の数を表す)で表される酸化珪素からなる蒸着層をら主体とする薄膜であることが好ましい。
上記において、Xの値は、蒸着モノマーガスと酸素ガスのモル比は、プラズマのエネルギー等により変化するが、一般的に、Xの値が小さくなればガス透過度は小さくなるが、膜自身は黄味を帯び、透明性が悪くなる。
また、上記の酸化珪素からなる蒸着層は、酸化珪素を主体とし、これに、更に、炭素、水素、珪素または酸素の1種類、または、2種類以上の元素からなる化合物の少なくとも1種類を化学結合等により含有する蒸着膜からなることを特徴とする。
例えば、C−H結合を有する化合物、Si−H結合を有する化合物、または、炭素単位がグラファイト状、ダイヤモンド状、フラーレン状等になっている場合、更に、原料の有機珪素化合物やそれらの誘導体を化学結合等によって含有する場合とがある。
具体例を挙げると、CH3部位を持つハイドロカーボン、SiH3シリル、SiH2シリレン等のハイドロシリカ、SiH2OHシラノール等の水酸基誘導体等を挙げることができる。
上記以外でも、蒸着過程の条件を変化させることにより、酸化珪素の蒸着膜中に含まれる化合物の種類、量等を変化させることができる。
而して、酸化珪素の蒸着膜中に含まれる上記化合物の含有量は、0.1〜50%位、好ましくは、5〜20%位が望ましい。
上記において、含有率が、0.1%未満であると、酸化珪素からなる蒸着層の耐衝撃性、延展性、柔軟性等が不十分となり、曲げなどにより、擦り傷、クラック等が発生し易く、高いバリア性を安定して維持することが困難になり、また、50%を越えると、バリア性が低下して好ましくない。
更に、酸化珪素からなる蒸着層において、上記の化合物の含有量を、酸化珪素からなる蒸着層の表面から深さ方向に向かって減少させることが好ましい。これにより、酸化珪素からなる蒸着層の表面においては、上記の化合物の含有量が少ないために、基材フィルム1と酸化珪素からなる蒸着層間の密接着が強固なものとなる。
而して、上記の酸化珪素からなる蒸着層について、例えば、X線光電子分光装置(Xray Photoelectron Spectroscopy、XPS)等の表面分析装置を用い、深さ方向にイオンエッチングする等して分析する方法を利用して、酸化珪素からなる蒸着層の元素分析を行うことにより、上記のような物性を確認することができる。
また、本発明において、上記の酸化珪素からなる蒸着層の膜厚としては、膜厚50Å〜
4000Å位であることが望ましく、具体的には、100〜1000Å位が望ましい。而して膜厚が、1000Å、更には4000Åより大きくなると、その膜にクラック等が発生し易くなるので好ましくない。また、膜厚が、100Å、更には、50Å未満であると、バリア性の効果を奏することが困難となることから好ましくない。
上記において、膜厚は、例えば、株式会社理学性の蛍光X線分析装置(機種名:RIX2000型)を用いて、ファンダメンタルパラメーター法で測定することができる。
また、上記の酸化珪素からなる蒸着層の膜厚を変更する手段としては、蒸着層の体積速度を大きくすること、即ち、モノマーガスと酸素ガスガスの量を大きくする方法や蒸着する方法等が挙げられる。
次に、上記において、酸化珪素等の無機酸化物からなる蒸着層を形成する有機珪素化合物等の蒸着モノマーとしては、例えば、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサンその他を使用することができる。
本発明において、上記のような有機珪素化合物の中でも、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、または、ヘキサメチルジシロキサンを原料として使用することが、その取り扱い性、形成された連続膜の特性等から、特に、好ましい。
また、不活性ガスとしては、例えば、アルゴンガス、ヘリウム等を使用することができる。
次に、物理気相成長法による無機酸化物からなる蒸着層について説明する。物理気相成長法による無機酸化物からなる蒸着層として、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、
イオンプレーティング法、イオンクラスタービーム法等の物理気相成長法(Physical Vapor Description法、PVD法)を用いて無機酸化物からなる蒸着層を形成することができる。
本発明において、具体的には、金属または金属の酸化物を原料とし、これらの原料を加熱して蒸気化し、これを基材フィルム1の一方の面に蒸着する真空蒸着法、あるいは、原料として金属または金属の酸化物を使用し、これらの原料に酸素を導入して酸化させて、基材フィルム1の一方の面に蒸着する酸化反応蒸着法、更に酸化反応をプラズマで助成するプラズマ助成式の酸化反応蒸着法等を用いて蒸着層を形成することができる。
上記において、蒸着材料の加熱方式としては、例えば、抵抗加熱方式、高周波誘導加熱方式、エレクトロンビーム加熱方式(EB)等がある。
本発明において、物理気相成長法による無機酸化物からなる薄膜層を形成する方法について、具体例を挙げる。図3は巻き取り式真空蒸着装置の一例を示す概略的構成図である。
図3に示すように、巻き取り式真空蒸着装置41の真空チャンバ42の中で、巻き出しロール43から繰り出す、基材フィルム1はガイドロール44、45を介して、冷却したコーティングドラム46に案内される。
而して、冷却したコーティングドラム46上に案内された、基材フィルム1の一方の面に、坩堝47で熱せられた蒸着源48、例えば、金属アルミニウム、あるいは酸化アルミニウム等を蒸発させ、更に、必要ならば、酸素ガス吹き出し口49より酸素ガス等を噴出し、これを供給しながら、マスク50、50を介して、例えば、酸化アルミニウム等の無機酸化物からなる蒸着層を成膜化し、次いで、例えば、酸化アルミニウム等の無機酸化物からなる蒸着層を形成した基材フィルム1を、ガイドロール51、52を介して送り出し、巻き取りロール53に巻き取ることによって、物理気相成長法による無機酸化物からなる蒸着層を形成することができる。
尚、本発明において、上記のような巻き取り式真空蒸着装置を用いて、先ず、第1層の無機酸化物からなる蒸着層を形成し、次いで、同様にして、無機酸化物からなる蒸着層の上に、更に、第2層の無機酸化物からなる蒸着層を形成するか、あるいは上記のような巻き取り式真空蒸着装置を用いて、真空チャンバ内に2つ以上の巻き取り式真空蒸着装置を連続配置し、連続的に無機酸化物からなる蒸着層を順次形成することにより、2層以上の多層膜からなる無機酸化物の蒸着層を形成してもよい。
上記において、無機酸化物からなる蒸着層として、基本的には、金属の酸化物を蒸着した薄膜であれば使用可能であり、例えば珪素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、錫(Sn)、ナトリウム(Na)、硼素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の金属の酸化物の蒸着膜を使用することができる。
而して、好ましいものとして、珪素(Si)、アルミニウム(Al)等の金属の酸化物の蒸着膜を挙げることができる。
また、上記の金属の酸化物の蒸着膜は、珪素酸化物、アルミニウム酸化物、マグネシウム酸化物等のように金属の酸化物と呼ぶことができ、その表記は、例えば、SiOX、AlOX、MgOX(但し、式中Mは、金属元素を表し、Xの値は、金属元素によってそれぞれ範囲が異なる)で表される。
上記のXの値の範囲としては、珪素(Si)は、0〜2、アルミニウム(Al)は、0〜1.5、マグネシウム(Mg)は、0〜1、カルシウム(Ca)は、0〜1、カリウム(K)は、0〜0.5、錫(Sn)は、0〜2、ナトリウム(Na)は、0〜0.5、硼素(B)は、0〜1.5、チタン(Ti)は、0〜2、鉛(Pb)は、0〜1、ジルコニウム(Zr)は0〜2、イットリウム(Y)は、0〜1.5の範囲の値を取ることができる。
また、上記において、X=0の場合、完全な金属であり、透明ではなく全く使用することができない、また、Xの値の範囲の上限は完全に金属元素が酸化したときの値である。
本発明において、上記のような無機酸化物の種類等によって異なるが、例えば、
50〜2000Å位、好ましくは、100〜1000Å位kfye内で任意に選択して形成する個とが望ましい。
また、本発明においては、無機酸化物からなる蒸着層の膜厚としては、使用する金属、または金属の酸化物の種類等によって異なるが、例えば、50〜2000Å位、好ましくは、100〜1000Å位の範囲内で選択して形成することが望ましい。
また、本発明においては、無機酸化物からなる蒸着層としては、使用する金属または金属の酸化物としては、1種または2種以上の混合物を使用し、異種の材質で混合した無機酸化物からなる蒸着層を構成することもできる。
而して、本発明において、上記の物理気相成長法による無機酸化物からなる薄膜層において、酸化アルミニウムからなる蒸着層としては、酸化度が高過ぎると、形成される膜質が硬くなることからクラックが入り易くなり、また、酸化度が低過ぎると、透明性が低下することから、蒸着中乃至蒸着直後の紫外線(波長366nm)透過率が85〜96%の範囲、より好ましくは、87〜94%の範囲内であり、且つ、膜厚が、後加工適性を考慮して、150〜600Å位の範囲内である酸化アルミニウムの蒸着膜からなるものを使用することが望ましい。また、酸化珪素からなる蒸着層としては、一酸化珪素と珪素の混合物を原料とし、膜厚が、後加工適性を考慮して、50〜300Å位の範囲内である物理気相成長法による酸化珪素の蒸着膜を使用することが望ましい。
ところで、本発明に係るガスバリア性積層フィルムにおいて、上記のような基材フィルム1の一方の面に設けた無機酸化物からなる蒸着層の面には、その上に設ける金属燐酸塩被覆層との密接着性等を向上させ、終極的には蒸着層と金属燐酸塩被覆層を互いに強固に密着させて、層間剥離(デラミ)等の発生を防止するために、蒸着層の表面に酸素ガスによるプラズマ表面処理を施すことが好ましい。
而して、酸素ガスによるプラズマ処理面は、不活性ガスによるプラズマ処理面と同様に形成することができる。
即ち、本発明において、酸素ガスによるプラズマ処理は、気体をアーク放電により電離させる事により生じるプラズマガスを利用して表面改質を行うプラズマ表面処理法を利用して、酸素ガスによるプラズマ処理面を形成することができる。
而して、本発明において、プラズマガスとして、酸素ガス、または、酸素ガスと窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスその他の不活性ガスとの混合ガス等を使用するプラズマ表面処理法でプラズマ表面処理を行うことにより、酸素ガスによるプラズマ処理面を形成することができる。
尚、本発明に置いて、酸素ガスによるプラズマ処理面を形成する場合、無機酸化物からなる蒸着層を形成した直後に、当該蒸着層にインラインで酸素ガスによるプラズマ放電処理を行うことにより、酸素ガスによるプラズマ処理面を形成することができる。
更に、本発明において、上記のプラズマ処理において、プラズマ出力、プラズマガスの種類、プラズマガスの供給量、処理時間その他の条件を考慮してプラズマ放電処理を行うことが好ましい。
また、本発明において、プラズマを発生させる方法として、例えば、直流グロー放電、高周波放電、マイクロ波放電その他の装置を利用して行う方法を適用することができる。勿論、本発明において、大気プラズマ処理法によってもプラズマ表面処理を行うことができる。
次に、金属燐酸塩被覆層として、特許文献1に記載の、金属対燐の原子比が約2.3〜0.5であり、金属原子の50〜100%が錫、チタン及びジルコニウムから選ばれ、金属原子の0〜約20%が亜鉛、クロム及びマグネシウムから選ばれた金属オルト燐酸塩からなるコーティング液を無機酸化物蒸着層上に塗布し、空気中で乾燥固化してなる、実質的に連続的で且つ実質的に非結晶性のガス透過防止被膜、あるいは特許文献2に記載の、クロム水酸化アルミニウム水溶液と85%燐酸を用いて、燐酸アルミニウムが4.5%となり、しかもアルミニウム原子対燐原子の比が0.80となるように調整したメタノール分散コロイド溶液を無機酸化蒸着層上に塗布し、空気中で乾燥固化してなるものを適用することができる。
金属燐酸塩被覆層の上に更に上塗り層を設けることができる。金属燐酸塩被覆層上に、シラン、ポリウレタン、メラミンフォルムアルデヒド樹脂の水溶液及びクロロ水酸化アルミニウムを下塗りし、その上に例えばポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン及びエチレンビニルアセテートを塗布することにより上塗り層を形成することができる。
金属燐酸塩被膜層の上に上塗り層を設けることにより、金属燐酸塩被膜層の耐衝撃性及び耐磨耗性を向上させることができる。また、これにより、酸素、水蒸気等の透過防止性を向上させ、且つ透過防止性を低下させることなく包装材料を引き伸ばすことができる程度を増加させることができる。
本発明のガスバリア性積層フィルムの表面又は裏面には、例えば、文字、図形、記号、絵柄、模様等の所望の印刷絵柄を通常の印刷法で施してもよい。
また、本発明のガスバリア性積層フィルムは透明包装材料として使用することができるのみならず、純白ロール紙、クラフト紙、板紙、加工紙等と貼り合わせて賦型性、耐屈曲性、耐性等を有する包装材料を構成してもよい。
次に実施例及び比較例を挙げて本発明につき、具体的に説明する。
基材フィルムとして、ウェブ状の、片面にコロナ処理を施した、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、これを巻き取り式真空蒸着装置の送り出しロールに装着し、次いで送り出しロールから繰り出し、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートのコロナ処理面にアルミニウムを蒸着源として用いて、酸素ガスを供給しながら、エレクトロンビーム(EB)加熱方式による真空蒸着法により、下記の蒸着条件により、厚さ20nmの酸化アルミニウム蒸着層を形成した。
(蒸着条件)
・蒸着方法;物理気相成長法(PVD)
・蒸着チャンバー内の真空度;2×10-4mbar
・巻き取りチャンバー内の真空度;2×10-2mbar
・電子ビーム電力;25kW
・冷却ドラム温度;−15℃
・フィルムの搬送速度;540m/分
・蒸着面;コロナ処理面
次に、厚さ20nmの酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した直後に、その蒸着膜面に、グロー放電プラズマ発生装置を使用し、パワー9kw、酸素ガス(O2)とアルゴンガス(Ar)の混合ガス(酸素ガス(O2):アルゴンガス(Ar)=7.0:2.5(単位:slm))を使用し、混合ガス圧6.0×10-2mbar、処理速度200m/minで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、酸化アルミニウムの蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上に向上させたプラズマ処理面を形成した。
クロロ水酸化アルミニウム40%溶液845g、86%燐酸500g、水13kg及びメラミンフォルムアルデヒド樹脂を用意し、先ず燐酸と半量の水を混合し、これにメラミンフォルムアルデヒド樹脂を加え、次いでこれをクロロ水酸化アルミニウムと残りの半量の水の混合液と一緒にすることによりコロイド分散コーティング液を作製した。
このコロイド分散コーティング液をドクターロールを用いて塗布し、しかる後4秒間約115℃の空気中で乾燥し、次いで約170℃の空気中で8秒間乾燥して0.3μmの金属燐酸塩被覆層を形成し、ガスバリア性積層フィルムを得た。
基材フィルムとして、ウェブ状の、片面にコロナ処理を施した、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、これをプラズマ化学蒸着装置の送り出しロールに装着し、これを繰り出し、ポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ処理面に、下記の蒸着条件により、厚さ10nmの酸化珪素の蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
・化学ガス混合比;ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO):酸素ガス(O2):ヘ
リウムガス(He)=1:10:10(単位:slm)
・真空チャンバー内の真空度;5.5×10-6mbar
・蒸着チャンバー内の真空度;6.5×10-2mbar
・冷却・電極ドラム供給電力;18kW
・フィルムの搬送速度;100m/分
次に、厚さ10nmの酸化珪素の蒸着膜を形成した直後に、その蒸着膜面に、グロー放電プラズマ発生装置を使用し、パワー9kw、酸素ガス(O2)とアルゴンガス(Ar)の混合ガス(酸素ガス(O2):アルゴンガス(Ar)=7.0:2.5(単位:slm))を使用し、混合ガス圧6.0×10-2mbar、処理速度200m/minで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、酸化アルミニウムの蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上に向上させたプラズマ処理面を形成した。
次に実施例1で用いたコロイド分散コーティング液をドクターロールを用いて塗布し、しかる後4秒間約115℃の空気中で乾燥し、次いで約170℃の空気中で8秒間乾燥して0.3μmの金属燐酸塩被覆層を形成し、ガスバリア性積層フィルムを得た。
基材フィルムとして、ウェブ状の、片面にコロナ処理を施した、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、これを巻き取り式真空蒸着装置の送り出しロールに装着し、次いで送り出しロールから繰り出し、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートのコロナ処理面にアルミニウムを蒸着源として用いて、酸素ガスを供給しながら、エレクトロンビーム(EB)加熱方式による真空蒸着法により、下記の蒸着条件により、厚さ20nmの酸化アルミニウム蒸着層を形成した。
(蒸着条件)
・蒸着方法;物理気相成長法(PVD)
・蒸着チャンバー内の真空度;2×10-4mbar
・巻き取りチャンバー内の真空度;2×10-2mbar
・電子ビーム電力;25kW
・冷却ドラム温度;−15℃
・フィルムの搬送速度;540m/分
・蒸着面;コロナ処理面
次に、厚さ20nmの酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した直後に、その蒸着膜面に、グロー放電プラズマ発生装置を使用し、パワー9kw、酸素ガス(O2)とアルゴンガス(Ar)の混合ガス(酸素ガス(O2):アルゴンガス(Ar)=7.0:2.5(単位:slm))を使用し、混合ガス圧6.0×10-2mbar、処理速度200m/minで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、酸化アルミニウムの蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上に向上させたプラズマ処理面を形成した。
クロロ水酸化アルミニウム水溶液と85%燐酸を用いて、燐酸アルミニウム(AlPO4)が4.5w%となり、しかもアルミニウム対燐の原子比が0.80となるように調整したメタノール分散コロイド溶液を作製した。
このコーティング液を酸化アルミニウム蒸着層上に燐酸アルミニウムが80〜90mg/m3となるようにリバースロールを用いてコーティングし、乾燥して0.3μmの金属燐酸塩被覆層を形成し、ガスバリア性積層フィルムを得た。
基材フィルムとして、ウェブ状の、片面にコロナ処理を施した、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、これをプラズマ化学蒸着装置の送り出しロールに装着し、これを繰り出し、ポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ処理面に、下記の蒸着条件により、厚さ10nmの酸化珪素の蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
・化学ガス混合比;ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO):酸素ガス(O2):ヘリウムガス(He)=1:10:10(単位:slm)
・真空チャンバー内の真空度;5.5×10-6mbar
・蒸着チャンバー内の真空度;6.5×10-2mbar
・冷却・電極ドラム供給電力;18kW
・フィルムの搬送速度;100m/分
次に、厚さ10nmの酸化珪素の蒸着膜を形成した直後に、その蒸着膜面に、グロー放電プラズマ発生装置を使用し、パワー9kw、酸素ガス(O2)とアルゴンガス(Ar)の混合ガス(酸素ガス(O2):アルゴンガス(Ar)=7.0:2.5(単位:slm))を使用し、混合ガス圧6.0×10-2mbar、処理速度200m/minで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、酸化アルミニウムの蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上に向上させたプラズマ処理面を形成した。
次に実施例3で用いたコーティング液を酸化珪素蒸着層上に燐酸アルミニウムが80〜90mg/m3となるようにリバースロールを用いてコーティングし、乾燥して0.3μmの金属燐酸塩被覆層を形成し、ガスバリア性積層フィルムを得た。
[比較例1]
厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に実施例1で用いたコーティング液を実施例1と同様にして塗布、乾燥固化して、ガスバリア性積層フィルムを得た。
[比較例2]
厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に実施例1と同様にして酸化アルミニウム蒸着層を形成し、ガスバリア性積層フィルムを得た。
[比較例3]
厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に実施例2と同様にして酸化珪素蒸着層を形成し、ガスバリア性積層フィルムを得た。
実施例1〜4の包装材料及び比較例1〜3のガスバリア性積層フィルムについて下記の方法で酸素透過度を測定し、また水蒸気透過度の測定を行った。
(酸素透過度の測定)
温度23℃、湿度90%RHの条件下で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機[機種名:オクストラン(OXTRAN)を用いて酸素透過度の測定を行った。
(水蒸気透過度の測定)
温度40℃、湿度100%RHの条件下で、米国モコン(MOCON)社製の測定機[機種名:パーマトラン(PERMATRAN)]を用いて水蒸気透過℃の測定を行った。 酸素透過度及び水蒸気透過度の測定結果を表1に示す。
Figure 2006116737
また、実施例1〜4の包装材料及び比較例1〜3のガスバリア性積層フィルムをポリエチレンフィルムとドライラミネーションしたものを用意して、ラミネート強度の測定を行った。
ラミネート強度の測定結果を表2に示す。
Figure 2006116737
表1に示すように、実施例1〜4のガスバリア性積層フィルムは、酸素透過度は0.3cc/m2・day・atmであり、水蒸気透過度は0.5〜0.7g/m2・dayであり、比較例1〜3に比較して、極めて低く、優れた酸素及び水蒸気の透過防止性を有することが分かった。
更に表2に示すようにラミネート強度試験の結果、基材フィルム破断は見られるが層間の剥離は見られず密着性は極めて高いことがわかる。これに対し比較例1は基材フィルムと金属燐酸塩被覆層の間でラミネート強度40gf/15mmで層間剥離が見られた。
本発明のガスバリア性積層フィルムは、優れた酸素、水蒸気等の透過防止性を有する、被包装物を透視できる透明な包装材料として種々の飲食品、接着剤、粘着剤等の化学品、化粧品、医薬品、ケミカルカイロ等の雑貨品、その他の種々の物品の充填包装に利用することができる。また、純白ロール紙、クラフト紙、板紙、加工紙等と貼り合わせて、酸素、水蒸気等の透過防止性を有し、しかも賦型性、耐屈曲性、耐性等を有する包装材料を構成することができる。
本発明のガスバリア性積層フィルムの略断面図である。 低温プラズマ化学気相成長装置の概略的構成図である。 巻き取り式真空蒸着装置の概略的構成図である。
符号の説明
1 基材フィルム
2 無機酸化物蒸着層
3 金属燐酸塩被覆層
21 プラズマ化学気相成長装置
22 真空チャンバ
23 巻き出しロール23
24 補助ロール
25 冷却・電極ドラム
26 ガス供給装置
27 ガス供給装置
28 原料揮発供給装置
29 原料供給ノズル
30 グロー放電プラズマ
31 電源
32 マグネット
33 補助ロール
34 巻き取りロール
35 真空ポンプ
41 巻き取り式真空蒸着装置
42 真空チャンバ
43 巻き出しロール
44 ガイドロール
45 ガイドロール
46 冷却したコーティングドラム
48 蒸着源
49 酸素ガス吹き出し口
50 マスク
51 ガイドロール
52 ガイドロール
53 巻き取りロール

Claims (4)

  1. プラスチックフィルムからなる基材フィルム上に、無機酸化物蒸着層を設け、この無機酸化物蒸着層上に、燐酸イオン含有溶液と金属イオン含有溶液を混合してなる、液中に含まれる金属対燐の原子比が1より小さいコーティング液を塗布し、空気中で加熱乾燥してなる金属燐酸塩被覆層を設けたことを特徴とするガスバリア性積層フィルム。
  2. 無機酸化物蒸着層が、物理気相成長法または化学気相成長法により形成した無機酸化物蒸着膜であることを特徴とする請求項1に記載のガスバリア性積層フィルム。
  3. 無機酸化物蒸着層が、物理気相成長法により形成した酸化アルミニウムの蒸着膜であることを特徴とする請求項2に記載のガスバリア性積層フィルム。
  4. 無機酸化物蒸着層が、化学気相成長法により形成した酸化珪素の蒸着膜であることを特徴とする請求項2に記載のガスバリア性積層フィルム。
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