JP2007038909A - トルクロッド - Google Patents
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Abstract
【課題】定常的な運転時にパワーユニットから入力する小振幅の振動を効果的に吸収し、かつパワーユニットから衝撃的な荷重が入力した場合にも、パワーユニットの過大な変位を防止しつつ、この衝撃的な荷重の車体側への伝達を効果的に遮断する。
【解決手段】車両が停止すると、制御回路82は、切換弁72により負圧室58を大気空間へ連通させる。これにより、負圧室58内が大気圧となり、蓋金具48内のダイヤフラム54が負圧室58の内壁面から離間して副液室56の内容積を拡縮するように変形可能となる。車両が走行すると、制御回路82は、切換弁72により負圧室58をインテークマニホールド80へ連通させる。これにより、負圧室58内が負圧なり、ダイヤフラム54が負圧室58内の負圧の作用により副液室56の内容積を拡張する方向へ変形し、負圧室58の内壁面に吸着され、ダイヤフラム54が副液室56の容積拡縮方向へ変形不能になる。
【選択図】図1
【解決手段】車両が停止すると、制御回路82は、切換弁72により負圧室58を大気空間へ連通させる。これにより、負圧室58内が大気圧となり、蓋金具48内のダイヤフラム54が負圧室58の内壁面から離間して副液室56の内容積を拡縮するように変形可能となる。車両が走行すると、制御回路82は、切換弁72により負圧室58をインテークマニホールド80へ連通させる。これにより、負圧室58内が負圧なり、ダイヤフラム54が負圧室58内の負圧の作用により副液室56の内容積を拡張する方向へ変形し、負圧室58の内壁面に吸着され、ダイヤフラム54が副液室56の容積拡縮方向へ変形不能になる。
【選択図】図1
Description
本発明は、車両におけるエンジンを含んで構成されるパワーユニットの車体に対する防振支持機構を構成するマウント装置の一種であって、主としてパワーユニットから車体に及ぼされるトルク反力が負荷荷重として入力するトルクロッドに関するものである。
従来から、自動車等の車両においては、主な振動発生源であるエンジンを含むパワーユニットから車体への振動伝達を抑えて優れた乗り心地を実現すると共に、車体に取り付けられた各種部材を振動から保護するために、パワーユニットが防振支持機構を介して車体に支持されている。かかる防振支持機構は、一般に、ゴム弾性体を用いた複数のマウント部材によって構成されるが、このようなマウント部材の一種として、複数のエンジンマウント等により車体に支持されたパワーユニットから車体に及ぼされるトルク反力が主として負荷荷重として入力するエンジントルクロッド(以下、単に「トルクロッド」と呼称する。)が知られている。
例えば、FF型(フロントエンジン・フロントドライブ型)の自動車で多く採用されているペンデュラム方式等のパワーユニット支持形態において、トルクロール軸から外れたパワーユニットの外周部分を車体に弾性的に連結して、パワーユニットの車体に対するローリング方向の変位量を緩衝的に制限するものがそれである(例えば、特許文献1、2参照)。
ところで、このようなトルクロッドにおいては、主としてアイドリング振動の周波数域でのロール方向の振動に対して有効な防振効果が要求されることとなる。そこで、かかるロール方向のアイドリング振動に対して有効な防振効果を得るためには、トルクロッドの両端部にそれぞれ設けられる防振ブッシュのゴム弾性体として剛性が比較的低いものを用いると共に、例えば、特許文献2に示されているように、少なくとも一方の防振ブッシュのゴム弾性体に軸方向へ貫通する空洞部を形成し、これにより、パワーユニットからの負荷荷重に沿った防振ブッシュの剛性(ばね剛性)を低いものとし、アイドリング周波数域でのロール方向の振動に対して高い防振効果を得るようにしている。
特開2001−200892号公報
再表02/042662号公報
しかしながら、上記のようにアイドリング周波数域でのロール方向の振動に高い防振効果を得るために、負荷荷重に対する防振ブッシュのばね剛性、すなわちトルクロッドのばね剛性を低いものとすると、例えば、車両の急発進時や急停車時に、パワーユニットからトルクロッドに衝撃的に及ぼされる大荷重に対するばね剛性を充分に確保することが難しくなるという問題が生じる。
すなわち、トルクロッドには、上記したようにアイドリング振動に対する防振効果の加え、大きなトルク反力等の大荷重が及ぼされた際に、パワーユニットの車体に対する変位を抑えるために大きなばね剛性が要求されることとなる。しかし、アイドル振動域の負荷荷重にのみ適合するようにトルクロッドのばね剛性を調整すると、パワーユニットのロール方向での変位が過大になり、また防振ブッシュのゴム弾性体に形成された空洞部が完全に潰れた底付き状態となり、これと同時に搭乗者にとって不快な大衝撃が車体側へ伝達されることがある。一方、車両の急発進時や急停車時等に生じる衝撃的な大荷重を基準としてトルクロッドのばね剛性を高いものに設定すると、急発進時や急減速時を除くアイドル運転時等の定常的な運転時にパワーユニットから伝達されるロール方向の振動を効果的に吸収できなくなる。
本発明の目的は、上記事実を考慮して、定常的な運転時にパワーユニットから入力する小振幅の振動を効果的に吸収でき、しかもパワーユニットから衝撃的な荷重が入力した場合にも、パワーユニットの過大な変位を防止しつつ、この衝撃的な荷重の車体側への伝達を効果的に遮断できるトルクロッドを提供することにある。
上記の目的を達成するため、本発明の請求項1に係るトルクロッドは、エンジンを含むパワーユニットを車体側に弾性的に連結し、該パワーユニット及び車体の一方から他方へ伝達される負荷荷重を弾性的に支持するトルクロッドであって、パワーユニット及び車体の一方に連結される第1の取付部材と、パワーユニット及び車体の他方に連結される第2の取付部材と、前記第1の取付部材と前記第2の取付部材との間に設けられ、前記第1の取付部材及び前記第2の取付部材の一方に入力した付加荷重を他方へ伝達する中間連結部と、前記第1の取付部材と前記中間連結部との間に配置され、前記第1の取付部材と前記中間連結部との間で伝達される負荷荷重により弾性変形する第1の弾性体と、前記第2の取付部材と前記中間連結部との間に配置され、前記第2の取付部材と前記中間連結部との間で伝達される負荷荷重により弾性変形する第2の弾性体と、を有する防振装置であって、前記第1の弾性体及び前記第2の弾性体の少なくとも一方を、該弾性体を隔壁の少なくとも一部とする主液室と、内容積が拡縮可能とされた副液室と、前記主液室と前記副液室とを互いに連通する連通路が内部に設けられた液封弾性体として構成し、しかも前記連通路を通じた前記主液室と前記副液室との間の液体の流通抵抗を制御する流通制御手段を備えたことを特徴とする。
本発明の請求項1に係るトルクロッドの作用を以下に説明する。
請求項1に係るトルクロッドでは、第1の弾性体及び第2の弾性体の少なくとも一方を、該弾性体を隔壁の少なくとも一部とする主液室と、内容積が拡縮可能とされた副液室と、前記主液室と前記副液室とを互いに連通する連通路が内部に設けられた液封弾性体として構成し、しかも流通制御手段が連通路を通じた主液室と副液室との間の液体の抵抗流通を制御することにより、第1の取付部材又は第2の取付部材への負荷荷重の入力時に、この負荷荷重の伝達方向に沿って液封弾性体として構成された第1の弾性体及び第2の弾性体の少なくとも一方が弾性変形すると、液封弾性体の弾性変形に伴って主液室の内容積が拡縮すると共に、連通路を通して主液室と副液室との間に液体が行き来するので、負荷荷重を第1の弾性体及び第2の弾性体の弾性的な反発力(復元力)及び、液封弾性体内に封入された液体が連通路を通過する際の流通抵抗により支持できる。
ここで、第1の弾性体及び第2の弾性体固有の剛性(すなわち、静的バネ定数)はそれぞれ一定であるが、連通路により互いに連通する主液室及び副液室と液封弾性体とを備えた構造体(防振構造体)の静的バネ定数は、液封弾性体の弾性変形に伴って連通路を通過する液体の流通抵抗の大小に応じて増減する。
従って、請求項1に係るトルクロッドによれば、第1の取付部材又は第2の取付部材への負荷荷重の入力時に、流通制御手段により連通路を通じた主液室と副液室との間の液体の流通抵抗の大小を変化させれば、トルクロッド全体としての静的バネ定数を増減することができので、例えば、パワーユニットから小振幅の振動(小荷重)が入力する場合には、流通制御手段により連通路の液体の流通抵抗を十分に小さくすれば、第1の弾性体及び第2の弾性体のバネ定数を十分に小さく維持できるので、第1の弾性体及び第2の弾性体の弾性変形により入力する小振幅の振動を効果的に吸収でき、またパワーユニットから衝撃的な荷重(大荷重)が入力する場合にも、流通制御手段により連通路の液体の流通抵抗を十分に大きく(流通抵抗を無限大にする場合、すなわち連通路を閉塞する場合も含む。)すれば、入力する負荷荷重に対してトルクロッド全体としての静的バネ定数を十分に大きくできるので、パワーユニットの過大な変位を防止しつつ、この衝撃的な荷重の車体側への伝達を効果的に遮断できる。
また本発明の請求項2に係るトルクロッドは、請求項1記載の防振装置において、前記液封弾性体における前記負荷荷重の伝達方向に沿った少なくとも一部に、内周側に前記伝達方向へ貫通する開口部が形成された環状部を形成すると共に、前記開口部内に前記主液室を配置したことを特徴とする。
また本発明の請求項3に係るトルクロッドは、請求項2記載のトルクロッドにおいて、前記環状部の外周側に、前記荷重伝達方向に略直交する剪断方向に沿って延在するプレート状の仕切板を埋設固定したことを特徴とする。
また本発明の請求項4に係るトルクロッドは、請求項1乃至3の何れか1項記載のトルクロッドにおいて、前記流通制御手段は、前記連通路を開放する開放位置と閉塞する閉塞位置との間で移動可能に支持された弁体と、該弁体を前記開放位置及び前記閉塞位置の何れか一方の位置へ選択的に移動させる弁体駆動部とを備えたバルブ機構であることを特徴とする。
また本発明の請求項5に係るトルクロッドは、請求項1乃至4の何れか1項記載のトルクロッドにおいて、前記副液室の隔壁の一部を、弾性膜からなるダイヤフラムによりに形成したことを特徴とする。
また本発明の請求項6に係るトルクロッドは、請求項5記載のトルクロッドにおいて、前記流通制御手段は、前記ダイヤフラムを前記副液室の容積拡縮方向への変形が生じないように拘束した拘束状態及び、前記ダイヤフラムを前記副液室の容積拡縮方向への変形が可能となるように解放する解放状態の何れか一方の状態とすることを特徴とする。
以上説明したように、本発明のトルクロッドによれば、定常的な運転時にパワーユニットから入力する小振幅の振動を効果的に吸収でき、しかもパワーユニットから衝撃的な荷重が入力した場合にも、パワーユニットの過大な変位を防止しつつ、この衝撃的な荷重の車体側への伝達を効果的に遮断できる。
以下、本発明の実施形態に係るトルクロッドについて図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1及び図2には、本発明の第1の実施形態に係るトルクロッドが示されている。このトルクロッド10は、車両におけるエンジンを含んで構成されるパワーユニットの車体に対する防振支持機構を構成するマウントの一種であって、例えば、横置き型のパワーユニットを車体に吊り下げた状態で支持する複数のエンジンマウントと共に防振支持機構を構成するものであって、パワーユニットの後端部と車体との間に介装され、パワーユニットのトルク反力や慣性力によりパワーユニットがロール方向及び車体前後方向へ変位することを制限する。
図1及び図2には、本発明の第1の実施形態に係るトルクロッドが示されている。このトルクロッド10は、車両におけるエンジンを含んで構成されるパワーユニットの車体に対する防振支持機構を構成するマウントの一種であって、例えば、横置き型のパワーユニットを車体に吊り下げた状態で支持する複数のエンジンマウントと共に防振支持機構を構成するものであって、パワーユニットの後端部と車体との間に介装され、パワーユニットのトルク反力や慣性力によりパワーユニットがロール方向及び車体前後方向へ変位することを制限する。
図1に示されるように、トルクロッド10には、その軸心Sと平行な軸方向に沿った一端側(図1では上側)に全体として略円柱状に形成された防振構造体12が設けられると共に、他端側に肉厚円筒状の防振ブッシュ14が設けられており、防振ブッシュ14は、その軸心SBがトルクロッド10の軸心Sと略直交するように配置されている。またトルクロッド10には、防振構造体12と防振ブッシュ14との間に中間連結部として連結フレーム16が設けられている。
連結フレーム16は、防振ブッシュ14側の一端部が底板部18により閉塞された略有底円筒状に形成されており、その他端部には、外周側へ延出する環状のフランジ部20が屈曲形成されている。連結フレーム16は、防振構造体12と防振ブッシュ14とを互いに連結し、防振構造体12及び防振ブッシュ14の一方に入力した負荷荷重を他方へ伝達する。すなわち、トルクロッド10では、防振構造体12、連結フレーム16及び防振ブッシュ14が軸心Sに沿って直列的に配設されている。
防振ブッシュ14には、大径円筒状の外筒22と、この外筒22の内周側に配置された小径円筒状の内筒24と、外筒22と内筒24との間に配置された肉厚円筒状のブッシュゴム26を備えており、ブッシュゴム26は、その内外周面がそれぞれ内筒24の外周面及び外筒22の内周面にそれぞれ加硫接着され、内筒24と外筒22とを弾性的に連結している。また防振ブッシュ14には、外筒22の外側に略U字状に湾曲した金属板からなるホルダ金具28が設けられており、このホルダ金具28には、その両端部にそれぞれ軸直角方向に沿って外側へ延出するフランジ部30が屈曲形成されている。ここで、防振ブッシュ14は、内筒24内を挿通するボルト等の連結軸を介して車体側及びパワーユニット側の一方に連結される。
防振ブッシュ14では、外筒22がホルダ金具28の内側へ圧入固定されると共に、ホルダ金具28における一対のフランジ部30が連結フレーム16の底板部18両端部へそれぞれ溶接等により固着されている。このとき、外筒22の外周面の一部が底板部18の中央部に当接する。これにより、防振ブッシュ14は、ホルダ金具28内からの外筒22の脱落が防止されると共に、ホルダ金具28を介して連結フレーム16の底板部18に連結固定される。なお、外筒22のホルダ金具28内での軸方向への移動を防止するため、外筒22及びホルダ金具28の一方及び他方にそれぞれ互いに係合する凸部及び凹部をプレス成形等により形成しても良い。
図1に示されるように、防振構造体12には、その軸方向外側の一端部に円板状の取付金具32が設けられると共に、この取付金具32と連結フレーム16との間にゴム製の液封弾性体34及び円板状の仕切金具36が設けられている。液封弾性体34は全体として略肉厚円筒状に形成されており、その内周側に軸方向へ貫通する円柱状の中空部38が形成されている。また液封弾性体34は、その軸方向外側の一端面が取付金具32に加硫接着されると共に、他端面が仕切金具36に加硫接着されている。これにより、取付金具32が液封弾性体34を介して仕切金具36に弾性的に連結される。
液封弾性体34には、その軸方向中間部に2枚のインタリーフ40が同軸的に埋設固定されている。インタリーフ40は、それぞれ厚さ一定の金属板がリング状に加工されて形成されており、その内径及び外径がそれぞれ液封弾性体34の内径及び外径よりも大径とされている。また一方のインタリーフ40は軸方向に沿って取付金具32寄りの部位に配置され、他方のインタリーフ40は軸方向に沿って仕切金具36寄りの部位に配置されている。これにより、液封弾性体34の外周側の部分が2枚のインタリーフ40により3分割される。
ここで、液封弾性体34では、インタリーフ40の液封弾性体34へのインサート量D(図1参照)が調整されると共に、インタリーフ40の枚数(すなわち、軸方向に沿った液封弾性体34の分割数)が変更されることにより、軸方向に沿った荷重(主として圧縮荷重)に対する剛性が調整されると共に、軸方向に沿った剛性と剪断方向に沿った剛性との比(剛性比)が調整される。また取付金具32には、その中央部に軸心Sに沿って外側へ突出する連結ロッド42が溶接等により固定されており、この連結ロッド42の先端部には円管状のスリーブ44が一体的に形成されている。取付金具32は、スリーブ44内を挿通するボルト等の連結部材を介して車体側及びパワーユニット側の他方に連結される。
防振構造体12では、中空部38の両端がそれぞれ取付金具32及び仕切金具36により閉塞されることにより、液封弾性体34の内部に外部から区画されると共に、液封弾性体34を隔壁の一部とする空間(液室空間)が形成される。この液室空間は、水、エチレングリコール等の液体が充填されて主液室46とされる。主液室46は、液封弾性体34に負荷荷重が入力して液封弾性体34が弾性変形すると、この液封弾性体34の弾性変形に伴って内容積が変化(拡縮)する。
防振構造体12には、仕切金具36を介して液封弾性体34の反対側に蓋金具48が設けられている。蓋金具48は、仕切金具36へ向かって開口した略ハット状に形成されている。蓋金具48には、その内周側に有底円筒状の隔室部50が形成されると共に、この隔室部50の開口側の端部に外周側へ延出する環状のフランジ部52が屈曲形成されている。防振構造体12では、蓋金具48のフランジ部52を間に挟んで仕切金具36の外周縁部が連結フレーム16のフランジ部20へボルト、ナット等の締結部材により固定される。これにより、防振構造体12は、連結フレーム16に連結固定されると共に、連結フレーム16を介して防振ブッシュ14に連結される。なお、仕切金具36の外周縁部が連結フレーム16のフランジ部20の一方に円筒状のかしめ部を一体的に形成し、このかしめ部の先端側を、連結フレーム16のフランジ部20の他方が挟持されるように屈曲することにより、蓋金具48のフランジ部52を間に挟んで仕切金具36の外周縁部を連結フレーム16のフランジ部20へ固定(かしめ固定)しても良い。
蓋金具48の隔室部50内には、略半球状に湾曲したゴム膜からなるダイヤフラム54が配置されている。このダイヤフラム54は、その中央側が底板部側へ突出するよう湾曲しており、外周縁部が隔室部50の内周面に全周に亘って加硫接着されている。これにより、隔室部50内の空間が仕切金具36及びダイヤフラム54を隔壁とする小空間である副液室56と、隔室部50及びダイヤフラム54を隔壁とする小空間である負圧室58とに区画される。ここで、副液室56内には主液室46内と同一の液体が充填され、負圧室58内には、後述する切換弁72を介して負圧及び大気圧の一方が選択的に供給される。
仕切金具36には、その中央部に軸方向へ貫通する円形のオリフィス穴60が穿設されており、このオリフィス穴60は、主液室46と副液室56とを互いに連通している。ここで、オリフィス穴60は、その軸方向に沿った寸法(路長)及び断面積がアイドル振動の周波数及び振幅に適合するように設定(チューニング)されている。これにより、液封弾性体34が弾性変形して主液室46の内容積が拡縮すると、オリフィス穴60を通して主液室46と副液室56との間で液体が行き来する。このとき、副液室56は、その隔壁の一部がダイヤフラム54により形成されており、ダイヤフラム54が副液室56の内容積を拡縮するように変形することにより、副液室56内の液圧変化が十分に小さいものになる。また液封弾性体34に入力する荷重が特にアイドル振動である場合には、オリフィス穴60を通って主液室46と副液室56との間を流通する液体に共振現象(液柱共振)が生じる。
トルクロッド10では、蓋金具48の底板部及び連結フレーム16の周壁部にそれぞれニップル62及びニップル64が貫通するように捻じ込まれており、これらのニップル62,64間が内部配管66により接続されている。ニップル64には、外側の端部に耐圧ホース、配管等からなる吸排気管70の先端部が接続されており、この吸排気管70は、その基端部が切換弁72の吸排気ポート74に接続されている。これにより、切換弁72が吸排気管70及び内部配管66を通して負圧室58に連通する。ここで、切換弁72は、電磁力により駆動する3ポート2位置切換型の電磁弁として構成されており、その第1ポート76がエンジンの吸気部分であるインテークマニホールド80と繋がる接続パイプ88に連結されると共に、第2ポート78が大気空間へ開放されている。
切換弁72は、駆動電圧が印加されていないオフ状態では、吸排気ポート74を第2ポート78へ連通させる。これにより、負圧室58内には、切換弁72及び吸排気管70を通して大気圧の空気が供給される。このとき、ダイヤフラム54は、図1に示されるように、負圧室58の内壁面から離間した状態となり、副液室56の内圧変化に応じて副液室56の内容積を拡縮するように変形可能になる。
また切換弁72は、駆動電圧が印加されているオン状態では、吸排気ポート74を第1ポート76連通させる。これにより、負圧室58内には、切換弁72及び吸排気管70を通して負圧状態とされた空気が供給される。このとき、ダイヤフラム54は、図2に示されるように、負圧室58内の負圧の作用により副液室56の容積拡張方向へ強制的に弾性変形して負圧室58の内壁面に密着した状態となり、副液室56の内圧が変化しても副液室56の内容積を拡縮するように変形することが阻止される。
切換弁72は、車両の運転状況を判断して印加電圧をオン・オフする制御手段である制御回路82に連結されている。制御回路82は車両電源によって駆動され、少なくとも車両の運転状況を判断する車速センサ84及びエンジン回転数センサ86からの検出信号を受け、車速及びエンジン回転数をそれぞれ検出する。これにより、制御回路82は、車速センサ84及びエンジン回転数センサ86からの信号に基づいて、車両がアイドル振動発生時か走行時かの判断ができるようになっている。従って、制御回路82により、切換弁72への駆動電圧の通電及び通電停止が制御されて、負圧室58内の空気圧が大気圧と負圧の何れかに切り換えられる。
次に、上記のように構成された本発明の第1の実施形態に係るトルクロッド10の動作及び作用について説明する。
本実施形態に係るトルクロッド10をパワーユニットが横置とされた車両に適用した場合には、トルクロッド10は、車体の前後方向に沿って延在するように配置され、複数個のエンジンマウントにより車体に吊り下げられ、又は複数個のエンジンマウントを介して車体上に載置されたパワーユニットを車体に弾性的かつ緩衝的に連結する。これにより、トルクロッド10には、パワーユニットから車体に及ぼされるトルク反力が主たる負荷荷重として入力し、このトルク反力に抗してトルクロッド10はパワーユニットのロール方向及び前後方向への変位を所定の範囲内に制限すると共に、パワーユニットのロール方向の振動を減衰吸収し、この振動の車体側への伝達を阻止する。
このとき、トルクロッド10では、防振ブッシュ14の内筒24又は防振構造体12の取付金具32を介して負荷荷重が入力すると、防振ブッシュ14のブッシュゴム26が負荷荷重の伝達方向(軸方向)に沿って弾性変形すると共に、防振構造体12の液封弾性体34も軸方向に沿って弾性変形する。これにより、防振ブッシュ14及び液封弾性体34が軸方向に沿った弾性変形量に対応する弾性的な復元力(負荷反力)をそれぞれ発生し、この負荷反力により車体に対するパワーユニットの相対変位を制限する。また、負荷荷重がパワーユニットから入力するアイドル振動等の振動である場合には、振動により弾性変形するブッシュゴム26及び液封弾性体34の内部摩擦等の吸振作用により振動が減衰吸収され、パワーユニット側から車体側への振動伝達が抑制される。
次に、負荷荷重が入力している時のトルクロッド10の動作及び作用を更に具体的に説明する。
例えば車両が停止すると、エンジンがアイドリング運転となって振動の周波数が走行時のシェイク振動よりも高いアイドル振動が生じる。この際、制御回路82は、車速センサ84及びエンジン回転数センサ86からの信号により車両がアイドル振動発生時であると判断し、切換弁72により負圧室58を大気空間へ連通させる。これにより、負圧室58内が大気圧となり、図1に示されるように、蓋金具48内のダイヤフラム54が負圧室58の内壁面から離間して副液室56の内容積を拡縮するように変形可能となる(アイドルモード)。
この結果、トルクロッド10では、負圧室58内へ大気圧が供給されると、入力振動に同期してオリフィス穴60を通って主液室46と副液室56との間に液体が行き来するようになる。このとき、アイドル振動の入力に伴い、オリフィス穴60を通って主液室46と副液室56との間を相互に流通する液体に共振現象(液柱共振)が生じるので、この液柱共振に伴うオリフィス穴60における液体の流通抵抗や液圧変化により入力振動(アイドル振動)を特に効果的に吸収できる。
またトルクロッド10では、アイドルモードに制御されている場合には、液封弾性体34の弾性変形に伴って主液室46内に充填された液体がオリフィス穴60を通って副液室56に対して相対的に小さい流通抵抗で流出及び流入可能になるので、後述する走行モードに制御されている場合と比較し、液封弾性体34に対して軸方向(圧縮方向及び引張り方向)に沿った変形抵抗として作用する液圧も相対的に小さくなる。
この結果、トルクロッド10では、アイドルモードに制御されている場合には、防振構造体12(液封弾性体34)の軸方向に沿った静的バネ定数を相対的に小さいものにできるので、防振ブッシュ14の静的バネ定数と防振構造体12の静的バネ定数とが合成されたトルクロッド10全体の静的バネ定数Tも、走行モードである場合と比較して小さくできる。従って、トルクロッド10によれば、入力する負荷荷重が比較的小さい車両のアイドル時には、負荷荷重の大きさに対応するように静的バネ定数Tを小さくできるので、パワーユニットからの車体側への振動伝達を効果的に遮断しつつ、パワーユニットの車体の相対変位量を所定の範囲内に確実に制限できる。
一方、車両が走行すると、例えば、車両の急発進時や急減速時にパワーユニットから衝撃的な負荷荷重がトルクロッド10へ入力する場合がある。このとき、制御回路82は、車速センサ84及びエンジン回転数センサ86により車両が走行時であると判断すると、切換弁72により負圧室58をインテークマニホールド80へ連通させる。これにより、負圧室58内が負圧なり、図2に示されるように、ダイヤフラム54が負圧室58内の負圧の作用により副液室56の内容積を拡張する方向へ変形し、負圧室58の内壁面に吸着される。従って、ダイヤフラム54が副液室56の容積拡縮方向へ変形不能になる(走行モード)。
トルクロッド10では、負圧室58内へ負圧が供給されると、副液室56の内容積が変化しなくなり、副液室56内の液圧が主液室46内の液圧と実質的に同じ圧力に維持されるので、負荷荷重の入力に伴って液封弾性体34が弾性変形して主液室46内の液圧が変化しても、オリフィス穴60を通って主液室46と副液室56との間に液体が行き来することが実質的に阻止される。
従って、トルクロッド10では、走行モードに制御されている場合には、アイドルモードに制御されている場合と比較し、液封弾性体34の弾性変形(圧縮変形及び引張り変形)に伴って主液室46内の液圧変化が大きくなり、液封弾性体34に対して軸方向(圧縮方向及び引張り方向)に沿った変形抵抗として作用する液圧も相対的に大きいものになる。
この結果、トルクロッド10では、走行モードに制御されている場合には、防振構造体12(液封弾性体34)の軸方向に沿った静的バネ定数を相対的に大きいものにできるので、防振ブッシュ14の静的バネ定数と防振構造体12の静的バネ定数とが合成されたトルクロッド10全体の静的バネ定数Tも、アイドルモードである場合と比較して大きくできる。従って、トルクロッド10によれば、過大な負荷荷重が入力することがある車両の走行時には、入力荷重の大きさに対応するように静的バネ定数Tを十分に大きくできるので、パワーユニットからの車体側へ過大な負荷荷重が入力した場合にも、パワーユニットの車体の相対変位量を所定の範囲内に確実に制限できる。
(第2の実施形態)
図3及び図4には、本発明の第2の実施形態に係るトルクロッドが示されている。このトルクロッド100は、第1の実施形態に係るトルクロッド10と同様に、車両におけるエンジンを含んで構成されるパワーユニットの車体に対する防振支持機構を構成するマウントの一種である。なお、本実施形態に係るトルクロッド100では、第1の形態に係るトルクロッド10と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
図3及び図4には、本発明の第2の実施形態に係るトルクロッドが示されている。このトルクロッド100は、第1の実施形態に係るトルクロッド10と同様に、車両におけるエンジンを含んで構成されるパワーユニットの車体に対する防振支持機構を構成するマウントの一種である。なお、本実施形態に係るトルクロッド100では、第1の形態に係るトルクロッド10と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
図3に示されるように、トルクロッド10には、その軸心Sと平行な軸方向に沿った一端側(図1では上側)に全体として略円柱状に形成された防振構造体102が設けられている。防振構造体102には、その軸方向外側の一端部に円板状の取付金具104が設けられると共に、この取付金具104と連結フレーム16との間にゴム製のゴム弾性体106が設けられている。ゴム弾性体106は全体として略円柱状に形成されている。ゴム弾性体106には、軸方向に沿って取付金具104寄りの一端側に肉厚円板状の中実弾性部110が形成されると共に、他端側に中実弾性部110よりも大外径とされた肉厚円筒状の液封弾性部112が形成されている。液封弾性部112には、その内周側に軸方向へ貫通する円柱状の中空部114が形成されている。
液封弾性部112には、その軸方向外側の一端面に略円板状の仕切板116が加硫接着されると共に、他端面に薄肉リング状の連結板118が加硫接着されている。仕切板116には、その中央部に底浅の有底筒状とされた凸部120が取付金具104側へ突出するように形成されており、この凸部120の頂面及び外周面には、中実弾性部110が加硫接着により固着されている。これにより、中実弾性部110及び液封弾性部112が仕切板116を介して一体化されてゴム弾性体106を構成する。
液封弾性部112には、その軸方向中間部に2枚のインタリーフ122が同軸的に埋設固定されている。これらのインタリーフ122は、それぞれ厚さ一定の金属板がリング状に加工されて形成されており、その内径がそれぞれ液封弾性部112の内径と略等しくされると共に、外径が液封弾性部112の外径よりも大径とされている。また一方のインタリーフ122は軸方向に沿って仕切板116寄りの部位に配置され、他方のインタリーフ122は軸方向に沿って連結板118寄りの部位に配置されている。これにより、液封弾性部112が2枚のインタリーフ122により3分割される。
防振構造体102には、ゴム弾性体106の軸方向内側に蓋金具124が設けられている。蓋金具124は、液封弾性部112へ向かって開口した略ハット状に形成されている。蓋金具124には、その内周側に防振ブッシュ14側へ突出する有底円筒状のコイル収納部126が形成されると共に、このコイル収納部126の開口側の端部に外周側へ延出する環状のフランジ部128が屈曲形成されている。防振構造体102では、フランジ部128の外周側が連結板118の外周縁部を挟持するようにコ字状に折り曲げられることにより、蓋金具124が連結板118にかしめ固定される。またフランジ部128には、その径方向中間部に連結フレーム16のフランジ部20が溶接等により固定されている。
防振構造体102には、液封弾性部112と蓋金具124との間に略ハット状の隔壁部材130が配置されており、この隔壁部材130は液封弾性部112における中空部114の開口端を閉塞している。隔壁部材130には、その中央部に中実弾性部110側へ突出する有底円筒状の隔室部132が形成されると共に、この隔室部132の蓋金具124側の端部に外周側へ延出する環状のフランジ部134が形成されている。隔壁部材130は、隔室部132を液封弾性部112の中空部114内へ挿入すると共に、フランジ部134を連結板118の内周縁部へ当接させている。隔室部132には、その中央部に後述する開閉弁146の摺動軸152が摺動可能に挿入される軸受穴136が穿設されると共に、この軸受穴136の外周側に複数のオリフィス穴138が穿設されている。ここで、オリフィス穴138は、その軸方向に沿った寸法(路長)及び断面積がアイドル振動の周波数及び振幅に適合するように設定(チューニング)されている。
防振構造体102には、連結板118と蓋金具124のフランジ部128との間に挟持固定される円板状の支持板140が設けられている。支持板140には、その中央部に中空部114内へ突出する有底円筒状のホルダ部142が形成されると共に、このホルダ部142の中央部に開閉弁146の摺動軸152が摺動可能に挿通する円筒状の軸受部144が形成されている。支持板140は、隔壁部材130のフランジ部134を連結板118と間に挟持して隔壁部材130を液封弾性部112と固定している。
防振構造体102は、隔壁部材130のオリフィス穴138を開閉するための開閉弁146と、この開閉弁146を駆動するための電磁ソレノイド148を備えている。電磁ソレノイド148には、支持板140の中央部におけるホルダ部142の反対側に同軸的に固定される肉厚円筒状のソレノイドコイル150が設けられている。
開閉弁146には、隔壁部材130の軸受穴136及び支持板140の軸受部144内に挿入され、軸受穴136及び軸受部144により軸方向へ摺動可能に支持されるロッド状の摺動軸152が設けられている。この摺動軸152には、その軸方向中間部に外周側へ延出する環状の鍔部154が設けられている。
また開閉弁146には、摺動軸152の先端部に円板状の弁体156が同軸的に連結固定されている。この弁体156は、摺動軸152と共に隔室部132の頂面へ圧接して複数のオリフィス穴138を閉塞する閉塞位置(図3参照)と、隔室部132の頂面から離間して複数のオリフィス穴138を開放する開放位置(図4参照)との間で移動可能とされている。ここで、弁体156には、仕切板116に正対する下面側に薄膜状のシールゴム158が貼り付けられている。
電磁ソレノイド148には、摺動軸152の鍔部154とホルダ部142の頂板部分との間に圧縮状態で介装されるコイルスプリング160が設けられている。このコイルスプリング160は、開閉弁146を常に閉塞位置へ付勢している。また防振構造体102には、仕切板116と隔壁部材130のフランジ部134との間に挟持固定されるリング状の固定金具162が設けられており、この固定金具162の内周部には、薄膜状に形成されたダイヤフラム163の外周縁部が全周に亘って加硫接着されている。このダイヤフラム163は、その内周縁部が隔室部132内で摺動軸152の外周面に全周に亘って加硫接着されている。
防振構造体102では、液封弾性部112の中空部114内に液封弾性部112及びダイヤフラム54をそれぞれ隔壁とする外部から区画された空間(液室空間)が形成され、この液室空間が更に隔壁部材130により液封弾性部112を隔壁の一部とする主液室164と、ダイヤフラム163を隔壁の一部とする副液室166とが形成あれ、これらの主液室164と副液室166とが複数のオリフィス穴138により互いに連通する。
トルクロッド10には、蓋金具124及び連結フレーム16をそれぞれ貫通する電磁ソレノイド148を駆動するための配線168が設けられており、この配線168の一端部はソレノイドコイル150に接続されている。また配線168の他端部は、車両の運転状況を判断して印加電圧をオン・オフする制御手段である駆動・制御回路170に連結されている。駆動・制御回路170は車両電源によって駆動され、少なくとも車両の運転状況を判断する車速センサ84及びエンジン回転数センサ86からの検出信号を受け、車速及びエンジン回転数をそれぞれ検出する。これにより、駆動・制御回路170は、車速センサ84及びエンジン回転数センサ86からの信号に基づいて、車両がアイドル振動発生時か走行時であるかの判断ができるようになっている。
次に、上記のように構成された本発明の第2の実施形態に係るトルクロッド100の動作及び作用について説明する。
本実施形態に係るトルクロッド100では、防振ブッシュ14の内筒24又は防振構造体102の取付金具104を介して負荷荷重が入力すると、防振ブッシュ14のブッシュゴム26が負荷荷重の伝達方向(軸方向)に沿って弾性変形すると共に、防振構造体102のゴム弾性体106も軸方向に沿って弾性変形する。これにより、防振ブッシュ14及びゴム弾性体106が軸方向に沿った弾性変形量に対応する弾性的な復元力(負荷反力)をそれぞれ発生し、この負荷反力により車体に対するパワーユニットの相対変位を制限する。また、負荷荷重がパワーユニットから入力するアイドル振動等の振動である場合には、振動により弾性変形するブッシュゴム26及びゴム弾性体106の内部摩擦等の吸振作用により振動が減衰吸収され、パワーユニット側から車体側への振動伝達が抑制される。
次に、負荷荷重が入力している時のトルクロッド100の動作及び作用を更に具体的に説明する。
例えば車両が停止すると、エンジンがアイドリング運転となって振動の周波数が走行時のシェイク振動よりも高いアイドル振動が生じる。この際、駆動・制御回路170は、車速センサ84及びエンジン回転数センサ86からの信号により車両がアイドル振動発生時であると判断し、ソレノイドコイル150へ駆動電圧を印加する。これにより、ソレノイドコイル150が発生する電磁力により開閉弁146が、コイルスプリング160の付勢力に抗して閉塞位置(図3参照)から開放位置へ移動し、図4に示されるように、弁体156が仕切板116から離間して複数のオリフィス穴138を開放する(アイドルモード)。
この結果、トルクロッド100では、入力振動に同期して液封弾性部112が軸方向へ弾性変形すると、
複数のオリフィス穴138をそれぞれ通って主液室164と副液室166との間に液体が行き来するようになる。このとき、アイドル振動の入力に伴い、複数のオリフィス穴138を通って主液室164と副液室166との間を相互に流通する液体に共振現象(液柱共振)が生じるので、この液柱共振に伴うオリフィス穴138における液体の流通抵抗や液圧変化により入力振動(アイドル振動)を特に効果的に吸収できる。
複数のオリフィス穴138をそれぞれ通って主液室164と副液室166との間に液体が行き来するようになる。このとき、アイドル振動の入力に伴い、複数のオリフィス穴138を通って主液室164と副液室166との間を相互に流通する液体に共振現象(液柱共振)が生じるので、この液柱共振に伴うオリフィス穴138における液体の流通抵抗や液圧変化により入力振動(アイドル振動)を特に効果的に吸収できる。
またトルクロッド100では、アイドルモードに制御されている場合には、液封弾性部112の弾性変形に伴って主液室164内に充填された液体がオリフィス穴138を通って副液室166に対して相対的に小さい流通抵抗で流出及び流入可能になるので、後述する走行モードに制御されている場合と比較し、液封弾性部112に対して軸方向(圧縮方向及び引張り方向)に沿った変形抵抗として作用する液圧も相対的に小さくなる。
この結果、トルクロッド100では、アイドルモードに制御されている場合には、防振構造体102(液封弾性部112)の軸方向に沿った静的バネ定数を相対的に小さいものにできるので、防振ブッシュ14の静的バネ定数と防振構造体102の静的バネ定数とが合成されたトルクロッド100全体の静的バネ定数Tも、走行モードである場合と比較して小さくできる。従って、トルクロッド100によれば、入力する負荷荷重が比較的小さい車両のアイドル時には、負荷荷重の大きさに対応するように静的バネ定数Tを小さくできるので、パワーユニットからの車体側への振動伝達を効果的に遮断しつつ、パワーユニットの車体の相対変位量を所定の範囲内に確実に制限できる。
一方、車両が走行すると、例えば、車両の急発進時や急減速時にパワーユニットから衝撃的な負荷荷重がトルクロッド100へ入力する場合がある。このとき、駆動・制御回路170は、車速センサ84及びエンジン回転数センサ86により車両が走行時であると判断すると、ソレノイドコイル150へ駆動電圧を印加することを停止する。これにより、ソレノイドコイル150から電磁力が発生しなくなり、図3に示されるように、コイルスプリング160の付勢力により開放位置にあった開閉弁146が閉塞位置へ復帰する。
トルクロッド10では、開閉弁146が閉塞位置へ復帰すると、複数のオリフィス穴138が弁体156により閉塞され、オリフィス穴138を通じた主液室164との副液室166との間の液体流通が発生しなくなるので、負荷荷重の入力に伴って液封弾性部が弾性変形した際には、アイドルモードに制御されている場合と比較し、液封弾性部112の弾性変形(圧縮変形及び引張り変形)に伴って主液室164内の液圧変化が大きくなり、液封弾性部112に対して軸方向(圧縮方向及び引張り方向)に沿った変形抵抗として作用する液圧も相対的に大きいものになる。
この結果、トルクロッド100では、走行モードに制御されている場合には、防振構造体102(液封弾性部112)の軸方向に沿った静的バネ定数を相対的に大きいものにできるので、防振ブッシュ14の静的バネ定数と防振構造体102の静的バネ定数とが合成されたトルクロッド10全体の静的バネ定数Tも、アイドルモードである場合と比較して大きくできる。従って、トルクロッド100によれば、過大な負荷荷重が入力することがある車両の走行時には、過大な負荷荷重の大きさに対応するように静的バネ定数Tを十分に大きくできるので、パワーユニットからの車体側へ過大な負荷荷重が入力した場合にも、パワーユニットの車体の相対変位量を所定の範囲内に確実に制限できる。
なお、本実施形態に係るトルクロッド100では、走行モード時に複数のオリフィス穴138を全て完全に閉塞したが、オリフィス穴138の閉塞時の防振構造体102の静的バネ定数が過大になるような場合には、複数のオリフィス穴138うち一部のもののみを開閉弁146により閉塞するようにしても、また各オリフィス穴138を完全に閉塞せずに、開度制御弁等により各オリフィス穴138の開口面積を減少(絞る)ようにし、オリフィス穴138における液体の流通抵抗を制御するようにしても良い。
次に、本発明の第2の実施形態に係るトルクロッド100における防振構造体102をアイドルモード及び走行モードにそれぞれ実際に制御した場合における防振構造体102単体としての静的バネ定数TA及び、トルクロッド100全体としての静的バネ定数Tを下記(表1)に示す。なお、TBは防振ブッシュ14の静的バネ定数(=1200N/mm)である。
10 トルクロッド
12 防振構造体
14 防振ブッシュ
16 連結フレーム(中間連結部)
24 内筒(第2の取付部材)
26 ブッシュゴム(第2の弾性体)
32 取付金具(第1の取付部材)
34 液封弾性体(第2の弾性体)
40 インタリーフ(仕切板)
46 主液室
54 ダイヤフラム
56 副液室
58 負圧室(流通制御手段)
60 オリフィス穴(連通穴)
72 切換弁(流通制御手段)
82 制御回路(流通制御手段)
100 トルクロッド
102 防振構造体
104 取付金具(第1の取付部材)
106 ゴム弾性体(第1の弾性体、液封弾性体)
112 液封弾性部
122 インタリーフ(仕切板)
146 開閉弁(バルブ機構)
148 電磁ソレノイド(バルブ機構)
163 ダイヤフラム
164 主液室
166 副液室
12 防振構造体
14 防振ブッシュ
16 連結フレーム(中間連結部)
24 内筒(第2の取付部材)
26 ブッシュゴム(第2の弾性体)
32 取付金具(第1の取付部材)
34 液封弾性体(第2の弾性体)
40 インタリーフ(仕切板)
46 主液室
54 ダイヤフラム
56 副液室
58 負圧室(流通制御手段)
60 オリフィス穴(連通穴)
72 切換弁(流通制御手段)
82 制御回路(流通制御手段)
100 トルクロッド
102 防振構造体
104 取付金具(第1の取付部材)
106 ゴム弾性体(第1の弾性体、液封弾性体)
112 液封弾性部
122 インタリーフ(仕切板)
146 開閉弁(バルブ機構)
148 電磁ソレノイド(バルブ機構)
163 ダイヤフラム
164 主液室
166 副液室
Claims (6)
- エンジンを含むパワーユニットを車体側に弾性的に連結し、該パワーユニット及び車体の一方から他方へ伝達される負荷荷重を弾性的に支持するトルクロッドであって、
パワーユニット及び車体の一方に連結される第1の取付部材と、
パワーユニット及び車体の他方に連結される第2の取付部材と、
前記第1の取付部材と前記第2の取付部材との間に設けられ、前記第1の取付部材及び前記第2の取付部材の一方に入力した付加荷重を他方へ伝達する中間連結部と、
前記第1の取付部材と前記中間連結部との間に配置され、前記第1の取付部材と前記中間連結部との間で伝達される負荷荷重により弾性変形する第1の弾性体と、
前記第2の取付部材と前記中間連結部との間に配置され、前記第2の取付部材と前記中間連結部との間で伝達される負荷荷重により弾性変形する第2の弾性体と、を有する防振装置であって、
前記第1の弾性体及び前記第2の弾性体の少なくとも一方を、内部に該弾性体を隔壁の少なくとも一部とする主液室と、内容積が拡縮可能とされた副液室と、前記主液室と前記副液室とを互いに連通する連通路が内部に設けられた液封弾性体として構成し、
しかも前記連通路を通じた前記主液室と前記副液室との間の液体の流通抵抗を制御する流通制御手段を備えたことを特徴とするトルクロッド。 - 前記液封弾性体における前記負荷荷重の伝達方向に沿った少なくとも一部に、内周側に前記伝達方向へ貫通する開口部が形成された環状部を形成すると共に、前記開口部内に前記主液室を配置したことを特徴とする請求項1記載のトルクロッド。
- 前記環状部の外周側に、前記荷重伝達方向に略直交する剪断方向に沿って延在するプレート状の仕切板を埋設固定したことを特徴とする請求項2記載のトルクロッド。
- 前記流通制御手段は、前記連通路を開放する開放位置と閉塞する閉塞位置との間で移動可能に支持された弁体と、該弁体を前記開放位置及び前記閉塞位置の何れか一方の位置へ選択的に移動させる弁体駆動部とを備えたバルブ機構であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載のトルクロッド。
- 前記副液室の隔壁の一部を、弾性膜からなるダイヤフラムによりに形成したことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載のトルクロッド。
- 前記流通制御手段は、前記ダイヤフラムを前記副液室の容積拡縮方向への変形が生じないように拘束した拘束状態及び、前記ダイヤフラムを前記副液室の容積拡縮方向への変形が可能となるように解放する解放状態の何れか一方の状態とすることを特徴とする請求項5記載のトルクロッド。
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