JP2005106150A - 防振マウント組立体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 マウント本体の第二の取付部材を筒状ブラケットに対して隙間をもって嵌め入れる構成を採用しつつも、第二の取付部材を筒状ブラケットに対して軸直角方向で高精度に位置決めすることが可能とされて、アルミニウム合金等の軽量材製の筒状ブラケットの実用化が有利に図られ得る、新規な構造の防振マウント組立体を提供することを目的とする。
【解決手段】 筒状ブラケット20に対して第二の取付部材16が隙間をもって嵌め入れられるようにすると共に、かかる隙間に圧縮状態で介在せしめられた嵌合ゴム42によって、第二の取付部材16と筒状ブラケット20を軸直角方向で相対的に位置決めするようにした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、自動車においてエンジンマウント等として有利に採用されるマウント組立体に係り、より詳しくは、第一の取付部材と筒状の第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結したマウント本体に対してアルミニウム合金等の軽量材製の筒状ブラケットを組み付けてなる、新規な構造の防振マウント組立体に関するものである。
従来から、振動伝達系を構成する部材間に介装される防振連結体乃至は防振支持体の一種として、第一の取付金具を円筒形状の第二の取付金具における軸方向一方の開口部側に離隔配置せしめて、それら第一の取付金具と第二の取付金具を本体ゴム弾性体で連結した防振マウントが知られている。このような防振マウントにおいては、第二の取付金具の軸方向および軸直角方向の耐荷重性能と防振性能を何れも有利に得ることが出来ることから、例えば、自動車用のエンジンマウント等に採用されている。
そこにおいて、このような構造とされた防振マウントは、製造上の理由等から、第二の取付金具がブラケットを介して車両ボデー等の防振連結される部材に取り付けられるようになっている場合が多い。即ち、例えば、本体ゴム弾性体の耐久性を確保するために本体ゴム弾性体に対して予圧縮を加える場合には、第二の取付金具に対して八方絞り等の縮径加工を施す必要があり、それ故、第二の取付金具に対して防振連結される部材への取付部分が設けられていると、第二の取付金具に対して縮径加工を施すことが困難になってしまうからである。
そこで、従来では、一般に、第二の取付金具とは別体形成されて、防振連結される部材に固定される筒状のブラケットを用い、かかる筒状ブラケットに対して第二の取付金具を圧入固定することにより、第二の取付金具を筒状ブラケットを介して防振連結される部材に取り付けるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
ところで、近年においては、車両の燃費向上や軽量化等の理由により、筒状ブラケットの形成材料として、鉄系金属よりもアルミニウム合金等の非鉄金属や繊維強化樹脂等の合成樹脂材を用いることが検討されてきている。
しかしながら、このような軽量材で筒状ブラケットを形成した場合、一般に、鉄系金属ほどの耐荷重強度を得ることが難しく、特に第二の取付金具を筒状ブラケットに圧入固定するに際して筒状ブラケットにクラックが入り易くなってしまう等の問題があった。
なお、このような問題に対処するために、筒状ブラケットの厚さ寸法を大きくして、筒状ブラケット自体の耐荷重強度を確保することも考えられるが、それでは、筒状ブラケットが要求される耐荷重強度を発揮する厚さ寸法よりも不必要に厚肉となってしまい、製造コストや配設スペース等の観点から現実的ではないし、筒状ブラケットの形成材料として軽量材を採用する趣旨にも反することとなる。
また、第二の取付金具を筒状ブラケットに対して隙間をもって嵌め入れると共に、第二の取付金具を筒状ブラケットに対してボルト等で固定することも考えられる。しかしながら、たとえボルト等で固定したとしても、第二の取付金具を筒状ブラケットに対して隙間をもって嵌め入れる場合には、第二の取付金具を筒状ブラケットに圧入固定する場合に比して、第二の取付金具の筒状ブラケットに対する軸直角方向での位置決め精度が大幅に低下してしまうという問題がある。その結果、例えば自動車の製造ライン上において、筒状ブラケットの車両ボデーへの取付位置と第一の取付金具のパワーユニットへの取付位置との相対位置精度が悪くなってしまい、筒状ブラケットを車両ボデーに固定した後、クレーンで下ろされてくるパワーユニットの固定位置に第一の取付金具を位置合わせし難いために、防振マウントの装着作業が面倒になってしまうという問題がある。
特開2001−82531号公報
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであり、その解決課題とするところは、マウント本体の第二の取付部材を筒状ブラケットに対して隙間をもって嵌め入れる構成を採用しつつも、第二の取付部材を筒状ブラケットに対して軸直角方向で高精度に位置決めすることが可能とされて、アルミニウム合金等の軽量材製の筒状ブラケットの実用化が有利に図られ得る、新規な構造の防振マウント組立体を提供することにある。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載されたもの、或いはそれらの記載から当業者が把握することが出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
本発明の第一の態様は、防振連結すべき一方の部材に取り付けられる第一の取付部材を筒状の第二の取付部材の軸方向一方の開口部側に離隔配置せしめて、それら第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結したマウント本体を用い、該第二の取付部材を別体の筒状ブラケットに嵌め入れて固着することにより、該第二の取付部材が該筒状ブラケットを介して防振すべき他方の部材に取り付けられるようにした防振マウント組立体において、前記筒状ブラケットとして非鉄金属または合成樹脂材からなる軽量材製のものを採用し、前記第二の取付部材を該筒状ブラケットに隙間をもって嵌め入れると共に、該第二の取付部材を該筒状ブラケットに対して固定する固定手段を設ける一方、該第二の取付部材における前記第一の取付部材が配置されたほうの前記軸方向一方の開口部において該筒状ブラケットの軸方向端部に重ね合わせられるフランジ状部を一体形成すると共に、該第二の取付部材における該軸方向一方の端部付近において、該第二の取付部材と該筒状ブラケットの隙間に嵌合ゴムを圧縮状態で介在させて、該筒状ブラケットに対して該第二の取付部材を該嵌合ゴムを介して軸直角方向で位置決めすると共に、該第二の取付部材の該筒状ブラケットからの軸方向の抜け抗力が発揮されるようにしたことを、特徴とする。
このような本態様に従う構造とされた防振マウント組立体においては、筒状ブラケットに対して第二の取付部材が隙間をもって嵌め入れられることから、第二の取付部材を組み付けるに際して筒状ブラケットに及ぼされる力が、従来の圧入組付構造に比して十分に小さく抑えられることとなり、アルミニウム合金や合成樹脂材等の軽量材製の筒状ブラケットを採用することが可能となる。
しかも、筒状ブラケットと第二の取付部材は、隙間に介在せしめられた嵌合ゴムによって軸直角方向で相対的に位置決めされることから、防振マウント組立体における筒状ブラケットと第一の取付部材における各取付位置を相対的に高精度に位置決めすることができる。それ故、例えば、防振マウント組立体を振動伝達系を構成する部材間に装着するに際して、振動伝達系を構成する一方の部材に対して筒状ブラケットを固定した後、振動伝達系を構成する他方の部材に対して第一の取付部材を固定する際にも、第一の取付部材が当該他方の部材に対して高精度に位置合わせされ得て、容易に装着することが可能となるのである。
また、第二の取付部材と筒状ブラケットの間に嵌合ゴムが挟み込まれていることから、かかる嵌合ゴムの材料やボリューム,大きさ等を適当に選定することにより、相互に固定された第二の取付部材と筒状ブラケットの全体に対して、制振鋼板のように高度な減衰性能を付与することが可能となる。それによって、防振マウント組立体における振動伝達率の更なる低減も図られ得る。
さらに、本態様の防振マウント組立体においては、第二の取付部材と筒状ブラケットの隙間に介在された嵌合ゴムが、第一の取付部材が配設された側の軸方向端部付近に配設されていることから、かかる嵌合ゴムを介しての第二の取付部材と筒状ブラケットの軸直角方向での相対位置決め効果が、第一の取付部材に近い位置で発揮されることとなる。それ故、筒状ブラケットに対する第一の取付部材の相対的な位置決め精度、ひいては防振連結される一方の部材に対する筒状ブラケットの取付位置と、防振連結される他方の部材に対する第一の取付部材の取付位置を、より一層高精度に相対位置決めすることが可能となって、防振マウント組立体の装着作業の更なる向上が図られ得る。
本発明の第二の態様は、前記第一の態様に係る防振マウント組立体において、前記嵌合ゴムが前記第二の取付部材の外周面に加硫接着されていることを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされた防振マウント組立体においては、第二の取付部材の外周面に嵌合ゴムが加硫接着されていることから、筒状ブラケットにマウント本体の第二の取付部材を嵌め入れる際に、嵌合ゴムの筒状ブラケットに対する摺接ストロークを十分に小さくすることができる。それ故、筒状ブラケットに第二の取付部材を嵌め入れるに際して、嵌合ゴムに筒状ブラケットが擦れることに起因する損傷が有利に抑えられることとなり、目的とする位置決め作用等の効果を一層有利に且つ安定して得ることが可能となる。
本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に係る防振マウント組立体において、前記第二の取付部材における軸方向一方の端部付近において、径方向内方に凹んで周方向に延びる環状凹部を形成して、該環状凹部に前記嵌合ゴムを設けたことを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされた防振マウント組立体においては、第二の取付部材に形成された環状凹部によって嵌合ゴムの径方向外方への突出を抑えつつ、ゴムボリュームを確保することが可能となる。それ故、嵌合ゴムの耐久性を向上しつつ、圧縮代を確保することが可能となり、その結果、安定した位置決め特性を発揮することが可能となる。
本発明の第四の態様は、前記第一の態様に係る防振マウント組立体において、前記嵌合ゴムが前記筒状ブラケットの内周面に加硫接着されていると共に、前記第二の取付部材における前記フランジ状部と反対の軸方向端部側の所定長さに亘る部分が、該フランジ状部の形成された軸方向一方の端部側において該嵌合ゴムに当接せしめられる部分よりも、外径寸法の小さい小径部とされていることを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされた防振マウント組立体においては、筒状ブラケットの内周面に嵌合ゴムが加硫接着されていることから、第二の取付部材を筒状ブラケットに嵌め入れるに際して、第二の取付部材が嵌合ゴムに擦れることにより、嵌合ゴムが筒状ブラケットの軸方向内方に押し込まれるように弾性変形せしめられることとなる。それ故、筒状ブラケットと第二の取付部材との軸方向重ね合わせ面間への嵌合ゴムの挟み込みが防止されて、第二の取付部材の筒状ブラケットに対する組付時の軸方向の位置決め精度が向上され得る。
また、本態様の防振マウント組立体においては、第二の取付部材の筒状ブラケットに対する嵌め入れ方向の先端側が小径部とされていることから、かかる第二の取付部材を筒状ブラケットに嵌め入れる際に、第二の取付部材の嵌合ゴムに対する摺接ストローク乃至は摺接抵抗を十分に小さくすることができる。従って、筒状ブラケットに第二の取付部材を嵌め入れるに際して、第二の取付部材が嵌合ゴムに擦れることに起因する損傷が有利に抑えられることとなり、目的とする位置決め作用等の効果を一層有利に且つ安定して得ることが可能となる。
本発明の第五の態様は、前記第一乃至第四の何れかの態様に係る防振マウント組立体において、前記筒状ブラケットに対してアクチュエータが組み付けられており、該アクチュエータによる付勢力が、前記マウント本体に対して、軸方向の抜け出し方向に向かって常時及ぼされるようになっていることを、特徴とする。本態様の防振マウント組立体においては、マウント本体の第二の取付部材と筒状ブラケットの隙間に圧縮状態で介在せしめられた嵌合ゴムにより、第二の取付部材の筒状ブラケットからの軸方向の抜け抗力が発揮されることとなる。それ故、第二の取付部材を筒状ブラケットに対して嵌め入れるだけで、第二の取付部材を筒状ブラケットに対して固定手段で固定する前にも、マウント本体の筒状ブラケットに対する嵌め入れ状態が有利に保持され得る。従って、第二の取付部材を筒状ブラケットに嵌め入れた後の固定手段による固定作業を容易に行うことが出来ると共に、例えば、マウント本体を筒状ブラケットに嵌め入れるだけで搬送し、マウントの装着時に第二の取付部材と筒状ブラケットを固定手段で固定するような場合において、不必要にマウント本体が筒状ブラケットから抜け出してしまうことを防止することも可能となる。
なお、本態様におけるアクチュエータとしては、例えば、特開2003−130126号公報や特開2000−227137号公報等に記載されているように、マウント本体の内部に非圧縮性流体が封入された流体室を形成し、この流体室に形成された流体流路を開閉制御したり、流体室の圧力を加振制御したりする空気圧式アクチュエータや電磁式アクチュエータなどであって、マウント本体に対してコイルスプリングや板ばね等のバネ手段による付勢力を及ぼすものが具体的に挙げられるが、本態様の適用範囲がそのようなものに限定的に解釈されるべきでないことは、言うまでもない。
本発明の第六の態様は、前記第一乃至第五の何れかの態様に係る防振マウント組立体であって、前記マウント本体において、前記第二の取付部材に対して縮径加工が施されていることを、特徴とする。本態様に従う構造とされた防振マウント組立体においては、第二の取付部材の外径寸法に多少のばらつきがあっても、マウント本体を筒状ブラケットに対して容易に嵌め入れることが出来ると共に、固定手段によってマウント本体の第二の取付部材を筒状ブラケットに対して確実に固定することが出来ることから、第二の取付部材に縮径加工を施して、例えば、マウント本体の内部に形成された非圧縮性流体が封入された流体室の密封性が確保された防振マウント組立体や本体ゴム弾性体に予圧縮を及ぼした防振マウント組立体が有利に実現可能となる。
すなわち、マウント本体の第二の取付部材への縮径加工は本体ゴム弾性体の耐久性向上等に有効であるが、縮径加工に際しての加工精度の確保が難しいことや縮径加工後のスプリングバックの管理が難しいこと等から、従来構造の圧入による固定構造では第二の取付部材と筒状ブラケットの固定力を安定して得ることが難しいという問題があったのである。これに対して、本発明を適用した本態様においては、第二の取付部材の外径寸法に多少のばらつきがあっても、マウント本体の筒状ブラケットへの組付作業や、第二の取付部材の筒状ブラケットへの固定力に、何等の悪影響がおよぼされないのであり、それ故、例えば、マウント本体の内部に形成された非圧縮性流体が封入された流体室の密封性が確保された防振マウント組立体や本体ゴム弾性体に予圧縮を及ぼした防振マウント組立体が有利に実現可能となるのである。
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされたマウント組立体においては、第二の取付部材と筒状ブラケットの隙間に圧縮状態で介在せしめられた嵌合ゴムによって、第二の取付部材と筒状ブラケットが軸直角方向で相対的に位置決めされるようになっていることから、筒状ブラケットへの大きな応力の作用を回避しつつ、筒状ブラケットに対する第二の取付部材の組み付けを行うことが可能となり、また、筒状ブラケットと第一の取付部材の各振動伝達部材に対する取付位置を相対的に高精度に位置決めすることが可能となる。
従って、本発明に従えば、防振マウント組立体においてアルミニウム合金等の非鉄金属や繊維強化樹脂等の合成樹脂材料などからなる軽量材製の筒状ブラケットの実用化が有利に図られ得ることとなり、それによって、防振マウント組立体の軽量化が実現されると共に、第二の取付部材と筒状ブラケットの間に介在せしめられた嵌合ゴムの制振作用に基づいて防振性能の向上も図られ得るのである。
以下、本発明を、更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
先ず、図1及び図2には、本発明の一実施形態としての防振マウント組立体10が示されていると共に、図3には、かかる防振マウント組立体10を構成するマウント本体12が示されている。この防振マウント組立体10は、第一の取付部材としての第一の取付金具14と第二の取付部材としての第二の取付金具16が本体ゴム弾性体18で弾性連結されることで構成されたマウント本体12を含んで構成されており、図4に示されているように、第一の取付金具14がパワーユニット側に取り付けられる一方、第二の取付金具16が筒状ブラケットとしてのブラケット20を介して車両ボデー側に取り付けられることで、パワーユニットを車両ボデーに対して防振支持せしめるようになっている。なお、以下の説明において、上下方向とは、原則として、図1中の上下方向を言うものとする。
より詳細には、第一の取付金具14は、略逆円錐台形のブロック形状を有している。また、その大径側端面には、軸方向上方に突出するようにして取付ボルト22が一体形成されている。
一方、第二の取付金具16は、全体として大径の略円筒形状を有している。また、第二の取付金具16は、その軸方向上側端部において、環状凹溝としてのくびれ部24を備えている。このくびれ部24は、径方向内方に凹んで周方向に延びており、本実施形態では、第二の取付金具16の全周に亘って略一定の断面形状とされている。特に、かかるくびれ部24の幅方向一方の壁部を構成する第二の取付金具16の軸方向開口部分は、開口部側に向かって次第に拡開するテーパ部23とされており、それによって、くびれ部24の深さが、第二の取付金具16の開口側に行くに従って次第に浅くなっている。
また、第二の取付金具16の軸方向上側の開口縁部であるくびれ部24の開口側端縁部には、径方向外方に向かって広がるフランジ状部26が一体形成されている。更に、このフランジ状部26には、それぞれ外周側に突出する一対の固定片25,25が、径方向一方向で対向位置して一体形成されており、これらの固定片25,25にボルト挿通孔28,28が設けられている。また、フランジ状部26には、周上の一箇所において、外周側に突出する一つの当接片27が一体形成されている。そして、かかる当接片27の軸方向外面に緩衝ゴム40が被着形成されることにより、後述するパワーユニット側の取付ブラケット122(図4参照)が当接せしめられるバウンドストッパが構成されている。
さらに、第二の取付金具16の軸方向中間部分には、軸方向下方に行くに従って次第に小径化する傾斜部30が形成されており、かかる傾斜部30とくびれ部24の間が大径部32とされている一方、傾斜部30よりも軸方向下側が小径部34とされている。また、小径部34側の開口端縁部は、径方向内側に屈曲されたかしめ部とされている。
このような構造とされた第二の取付金具16には、その軸方向上側の開口部側に離隔して、第一の取付金具14が略同一中心軸上に配されている。そして、これら第一の取付金具14と第二の取付金具16の間に本体ゴム弾性体18が配設されており、この本体ゴム弾性体18によって第一の取付金具14と第二の取付金具16が弾性的に連結されている。
本体ゴム弾性体18は、全体として円錐台形状を有しており、第一の取付金具14が小径側端面から差し込まれるようにして本体ゴム弾性体18に加硫接着されている。また、本体ゴム弾性体18の大径側端部外周面には、第二の取付金具16の軸方向上側の開口部分が重ね合わされて加硫接着されている。特に本実施形態では、くびれ部24の全体が本体ゴム弾性体18の外周面上に位置せしめられている。なお、本実施形態では、本体ゴム弾性体18が、第一の取付金具14と第二の取付金具16を備えた一体加硫成形品とされている。
また、このように第二の取付金具16の開口部が本体ゴム弾性体18の外周面に加硫接着されることにより、第二の取付金具16の軸方向上側の開口部が本体ゴム弾性体18によって流体密に閉塞されている。なお、本体ゴム弾性体18の大径側端面には、すり鉢状の大径凹所36が形成されて、第二の取付金具16内に開口せしめられている。また、大径凹所36の開口周縁部には、軸直角方向に広がる環状段差面38が形成されている。
更にまた、第二の取付金具16の内周面には、シールゴム層39が被着形成されている。このシールゴム層39は、本体ゴム弾性体18と一体形成されており、かかるシールゴム層39によって大径部32と傾斜部30の内周面が略全面に亘って覆われている。
また、第二の取付金具16の外周面には、嵌合ゴム42が被着されている。なお、本実施形態において、かかる嵌合ゴム42は、本体ゴム弾性体18と一体形成されており、第二の取付金具16のフランジ状部26の外周面上や第二の取付金具16のくびれ部24等に設けられた貫通孔(図示せず)において、嵌合ゴム42と本体ゴム弾性体18が一体的に接続されている。
そして、嵌合ゴム42は、第二の取付金具16の外周面を、その軸方向上端部から大径部32の下端近くに至る軸方向中間部分までの領域の全体に亘って覆っている。また、かかる嵌合ゴム42は、第二の取付金具16の軸方向上側端部においてくびれ部24に充填されることによって厚肉とされていると共に、軸方向下方に延び出して、略一定の肉厚寸法で大径部32を覆っている。なお、これらくびれ部24に被着された部分と大径部32に被着された部分の両方に亘って、嵌合ゴム42の外径寸法が略一定とされており、嵌合ゴム42の外周面が略円筒形状とされている。但し、第二の取付金具16のフランジ状部26に被着された上端縁部では、嵌合ゴム42が、くびれ部24の開口幅寸法よりも小さい寸法領域でネック状に絞られた外周面形状とされており、周方向の全周に連続して延びる小径部44が形成されている。また、嵌合ゴム42の外周面上には、小径部44よりも下方に位置して、小突起形状で周方向に延びる環状のシールリップ46,46が一体形成されている。
なお、図面では必ずしも明らかでないが、本実施形態では、第二の取付金具16におけるくびれ部24と大径部32およびそこに被着された嵌合ゴム42が、何れも、中心軸回りの全周に亘って同一断面形状とされている。また、嵌合ゴム42の外径寸法は、少なくとも小径部44を除く領域において、後述するブラケット20の筒状部90の内径寸法よりも大きくされている。なお、本実施形態では、小径部44の外径寸法が、第二の取付金具16の大径部32の外径寸法と略同じか、僅かに大きくされており、ブラケット20の筒状部90の内径寸法と略同じか僅かに小さくされている。
更に、第二の取付金具16には、その軸方向下方の開口部から仕切部材48とダイヤフラム50が順次挿入されて、第二の取付金具16に対して嵌着固定されている。仕切部材48は、何れも金属材や合成樹脂材等の硬質材で形成された略円板形状を有する上下の仕切板54,52が、軸方向で相互に重ね合わされた構造とされている。ダイヤフラム50は、薄肉ゴム膜によって形成されており、波紋状の弛みをもった略薄肉円板形状を有していると共に、その外周縁部には、円筒形状の支持金具64が加硫接着されている。
そして、これら仕切部材48とダイヤフラム50が、第二の取付金具16に対して順次軸方向に挿入されて、その後、第二の取付金具16に八方絞り等の縮径加工が施されることにより、仕切部材48と支持金具64の各外周面が第二の取付金具16に対して嵌着固定されている。なお、第二の取付金具16の下端開口部は、かしめ加工されて支持金具64の下端部に係止されている。また、かかる組付状態下、仕切部材48と支持金具64は、相互に軸方向で重ね合わされて、本体ゴム弾性体18の環状段差面38と第二の取付金具16の下端かしめ部との間で、軸方向に位置決めされている。更にまた、仕切部材48と第二の取付金具16の間には、シールゴム層39が挟圧されていると共に、支持金具64と第二の取付金具16の間には、ダイヤフラム50と一体形成されて支持金具64の外周面に被着されたシールゴム65が挟圧されている。
これにより、仕切部材48の軸方向上側には、壁部の一部が本体ゴム弾性体18で構成された受圧室66が形成されている一方、仕切部材48の軸方向下側には、壁部の一部がダイヤフラム50で構成された平衡室68が形成されている。また、これら受圧室66および平衡室68は、外部空間に対して流体密に仕切られており、それぞれ、水やアルキレングリコール,ポリアルキレングリコール,シリコーン油等の非圧縮性流体が封入されている。
そして、受圧室66は、第一の取付金具14と第二の取付金具16の間への振動入力時に、本体ゴム弾性体18の弾性変形に基づいて圧力変化が生ぜしめられるようになっている一方、平衡室68は、ダイヤフラム50の変形が容易に生ぜしめられることにより、容積変化が容易に許容されるようになっている。なお、受圧室66や平衡室68への流体の封入は、仕切部材48やダイヤフラム50を、非圧縮性流体中において第二の取付金具16に嵌め入れて、第二の取付金具16に絞り加工を施すこと等によって有利に為され得る。
また、仕切部材48を構成する上仕切板54には、外周縁部を略一定の断面形状で延びる周溝62が、外周面に開口して周方向に所定の長さで形成されている。一方、下仕切板52には、外周縁部を略一定の断面形状で延びる外周溝56が、外周面および軸方向上面に開口して周方向に所定の長さで形成されていると共に、径方向中間部分を略一定の断面形状で延びる内周溝58が、軸方向上面に開口して周方向に所定の長さで形成されている。更に、下仕切板52の中央部分には、下方に開口する円形の凹所59が形成されている。
そして、上下の仕切板54,52が軸方向で重ね合わされると共に、各外周面に第二の取付金具16が嵌着固定されることにより、周溝62と外周溝56が覆蓋されており、以て、仕切部材48の内部には、外周縁部をそれぞれ周方向に所定長さで延びる上下二段の外側流路70,72が形成されている。また、これらの外側流路70,72は、各一方の端部において上仕切板54に形成された接続孔76で直列的に接続されていると共に、各他方の端部において上下仕切板54,52に形成された連通孔78,80を通じて受圧室66と平衡室68の各一方に開口して連通せしめられている。これにより、仕切部材48の外周部分には、周方向に一周以上の長さで延びて、受圧室66と平衡室68の間での流体流動を許容する第一のオリフィス通路82が形成されている。
また、下仕切板52の内周溝58が上仕切板54で覆蓋されており、以て、仕切部材48の内部には、径方向の中間部分を所定長さで延びる内側流路74が形成されている。また、この内側流路74の一方の端部が、上仕切板54に形成された連通孔84を通じて受圧室66に開口して連通せしめられていると共に、他方の端部が、下仕切板52に形成された連通孔86を通じて凹所59から平衡室68に開口して連通せしめられている。これにより、仕切部材48の径方向中間部分には、周方向に一周以下の長さで延びて、受圧室66と平衡室68の間での流体流動を許容する第二のオリフィス通路88が形成されている。
なお、本実施形態では、第一のオリフィス通路82は、エンジンシェイクに対して有効な防振効果が発揮されるように10Hz前後の低周波数域にチューニングされている一方、第二のオリフィス通路88は、アイドリング振動に対して有効な防振効果が発揮されるように20〜40Hz程度の高周波数域にチューニングされている。また、図3において、ダイヤフラム50は、凹所59の開口を覆蓋するようにして仕切部材48の下面に当接せしめられているが、防振マウント組立体10がパワーユニットと車両ボデーの間に装着された状態下では、マウント本体12に対してパワーユニットの分担支持荷重が入力されるようになっており、それによって、第一の取付金具14と第二の取付金具16が接近せしめられる。その結果、本体ゴム弾性体18が弾性変形せしめられて受圧室66の容積が小さくなる一方、ダイヤフラム50が弾性変形せしめられて平衡室68の容積が大きくなり、外力が及ぼされていない状況では、ダイヤフラム50が仕切部材48の下面から離隔した位置に保持されるようになっている。また、ダイヤフラム50が仕切部材48の下面から離隔した位置に保持されることにより、第二のオリフィス通路88が連通状態となる。
このような構造とされたマウント本体12は、図1に示されているように、ブラケット20に対して固定的に組み付けられている。ブラケット20は、アルミニウム合金や繊維強化樹脂等の軽量材によって形成されており、略一定の円形内周面89でストレートに延びる筒状部90を含んで構成されている。ここにおいて、筒状部90の内径寸法は、第二の取付金具16の筒状部分において最大の外径寸法を有する部分、即ち、大径部32の外径寸法よりも大きくされている。しかも、かかる筒状部90の内径寸法は、前述の如く、マウント本体12に設けられた嵌合ゴム42の外径寸法よりも所定量だけ小さくされている。
そして、マウント本体12は、ブラケット20における筒状部90の上側開口部から嵌め入れられて、第二の取付金具16が、そのフランジ状部26を除く略全体に亘ってブラケット20の筒状部90内に収容された状態で組み込まれている。かかる状態下、第二の取付金具16のフランジ状部26が、ブラケット20の軸方向上端面に対して重ね合わされている。
なお、ブラケット20の筒状部90は、その上端面に対して、第二の取付金具16のフランジ状部26が、十分な面積で重ね合わされ得る肉厚寸法とされている。また、筒状部90の上側開口縁部には、一対の固定支持片92,92と、一つの当接支持片91が外周側に向かって一体的に突出形成されており、これらの固定支持片92,92と当接支持片91に対して、第二の取付金具16に突設された一対の支持片25,25と当接片27が重ね合わされて下方から支持せしめられるようになっている。更にまた、一対の固定支持片92,92には、固定孔93,93が形成されており、これらの固定孔93,93に対して、固定ボルト94,94が、それぞれ上方に向かって圧入されて嵌着固定されている。更に、ブラケット20の外周面には、固定支持片92,92および当接支持片91をそれぞれ補強する補強リブが一体形成されている。また一方、筒状部90の下側開口縁部には、外周側に広がる取付脚部96が一体形成されていると共に、かかる取付脚部96には複数の取付用孔95が設けられている。
そして、ブラケット20に上方から嵌め込まれたマウント本体12は、その第二の取付金具16の支持片25,25に貫設されたボルト挿通孔28,28に対して、固定支持片92,92に植設された固定ボルト94,94が挿通されており、これらの固定ボルト94,94によって、第二の取付金具16がブラケット20に固定されるようになっている。
ここにおいて、上述の如くマウント本体12をブラケット20に嵌め入れるに際しては、第二の取付金具16の筒状部分において最大の外径寸法を有することとなる大径部32の外径寸法が、ブラケット20における筒状部90の内径寸法よりも小さくされていることから、ブラケット20に対して大きな応力が及ぼされることが回避されると共に、容易且つ速やかに作業することが出来る。しかも、第二の取付金具16の外径寸法とブラケット20における筒状部90の内径寸法との差に相当する隙間が、それら両部材16,20間に存在するが、かかる隙間には、第二の取付金具16に被着された嵌合ゴム42が挟圧状態で介在せしめられて、隙間が実質的に消失せしめられることとなる。特に、本実施形態では、ブラケット20における筒状部90の上側開口端部から軸方向下方の所定長さに亘る領域の全体に亘って、嵌合ゴム42が挟圧状態で介在せしめられており、嵌合ゴム42の外周面が全面に亘ってブラケット20における筒状部90の内周面に当接せしめられている。
さらに、ブラケット20には、下側開口部から嵌め入れられて、アクチュエータとしての空気圧式アクチュエータ98が組み付けられている。
この空気圧式アクチュエータ98は、外壁部材100とゴム弾性壁102を含んで構成されている。ゴム弾性壁102は、全体として円環板形状を有しており、その内周縁部が略逆カップ形状を有する押圧金具104の開口周縁部に加硫接着されていると共に、その外周縁部が略円環形状の嵌着リング106に加硫接着されている。なお、押圧金具104の表面には、その全体に亘って、ゴム弾性壁102と一体形成された被覆ゴム108が被着されている。
一方、外壁部材100は、硬質の合成樹脂材や金属材等の硬質材によって形成されており、全体として浅底の皿形状を有している。そして、嵌着リング106が外壁部材100の周壁部に圧入固定されることにより、外壁部材100に対してゴム弾性壁102が固定的に組み付けられている。このように外壁部材100にゴム弾性壁102が組み付けられた状態下において、ゴム弾性壁102の外周縁部が外壁部材100の底壁部に流体密に圧接されており、それによって、外壁部材100と押圧金具104の対向面間において、外部空間に対して密閉された作用空気室110が形成されている。
また、作用空気室110の中央部分には、コイルスプリング112が収容配置されており、外壁部材100と押圧金具104の対向面間に配設されている。このコイルスプリング112の付勢力によって、押圧金具104が、常時、外壁部材100から軸方向上方に離隔する方向に付勢されている。なお、外壁部材100の中央部分には、作用空気室110内に突出する略逆カップ形状の中央突部114が一体形成されており、この中央突部114によってコイルスプリング112が位置決め支持されている。また、かかる中央突部114には、外方に突出して延びるポート116が一体形成されている。
このような構造とされた空気圧式アクチュエータ98は、図1に示されているように、ブラケット20に対して下側開口部から嵌め入れられており、外壁部材100から外周側に向かって突設された複数の取付部118において、ブラケット20の取付脚部96に重ね合わされて、リベット120で固定されている。
このようにして組み付けられた空気圧式アクチュエータ98は、その押圧金具104の上底部がダイヤフラム50を挟んで仕切部材48の底部中央に対して対向配置されている。そこにおいて、作用空気室110が大気中に接続せしめられた状態下では、図1に示されているように、押圧金具104がコイルスプリング112の付勢力で上方に向かって弾性的に突出せしめられており、かかる押圧金具104の上底部によって、ダイヤフラム50が凹所59の開口部に押し付けられている。
而して、上述の如き構造とされた防振マウント組立体10は、図4に示されているようにして自動車に装着されることとなる。
すなわち、図4中、122は、図示しない自動車のパワーユニットに固設された取付ブラケットであり、123は、自動車におけるサブフレーム等の車両ボデーである。そして、防振マウント組立体10は、そのブラケット20が、車両ボデー123に載置されて、取付脚部96の各取付用孔95において、それぞれ、取付ボルト97によって固定される。また一方、防振マウント組立体10は、その第一の取付金具14に対して取付ブラケット122が載置されて、該取付ブラケット122に形成されたボルト挿通孔124に取付ボルト22が挿通されてボルト固定される。
なお、かかる装着状態下では、第一の取付金具14とブラケット20の間に、パワーユニットの分担支持荷重が略軸方向に及ぼされることにより、図示されている如く、本体ゴム弾性体18が所定量だけ弾性変形せしめられて、マウント本体12における第一の取付金具14と第二の取付金具16が軸方向で相互に接近方向に所定量だけ変位せしめられた状態とされる。これにより、外力が及ぼされていない状態では、ダイヤフラム50が仕切部材48の下面から離隔した位置に保持されることとなるが、作用空気室110が大気中に接続された状態下では、図4に示されているように、押圧金具104がコイルスプリング112の付勢力に基づいて上方に向かって弾性的に突出せしめられるようになっており、かかる押圧金具104の上底部によって、ダイヤフラム50が凹所59の開口部に押し付けられて、第二のオリフィス通路88が遮断状態に維持されるようになっている。一方、空気圧式アクチュエータ98の作用空気室110に外部から負圧が及ぼされた状態下では、押圧金具104がコイルスプリング112の付勢力に抗して下方に変位せしめられることとなり、それによって、コイルスプリング112の付勢力に基づくダイヤフラム50への押圧力が解除されて、第二のオリフィス通路88が連通状態に維持されるようになっている。
さらに、自動車への装着後、防振マウント組立体10には、第二の取付金具16に対してストッパ金具128が装着されている。このストッパ金具128は、全体として略門形状のプレート金具であって、略水平方向に延びる天板部130と、一対の脚部132,132から形成されている。また、両脚部132,132の各下端部分には、それぞれ固定片134,134が一体形成されており、それら固定片134,134には、ボルト挿通孔136,136が貫設されている。また、各脚部132の幅方向両縁部には全長に亘って補強リブ135,135が一体形成されている。
かかるストッパ金具128は、ブラケット20の上側開口部から組み付けられており、マウント本体12の軸方向上方に離隔して、マウント本体12を径方向一方向に跨いで延びるようにして配設されている。また、ストッパ金具128の両脚部132,132の下端に設けられた固定部134,134が、ブラケット20の固定支持片92,92に対して、第二の取付金具16の固定片25,25を挟んだ上から重ね合わされている。そして、固定支持片92,92に植設されて第二の取付金具16の固定片25,25のボルト挿通孔28,28に挿通された固定ボルト94,94が、各固定部134,134のボルト挿通孔136,136に挿通されており、固定部134,134が、固定片25,25と共に、固定ボルト94,94でとも締めされて、ブラケット20に固定されている。なお、このことから明らかなように、本実施形態では、固定ボルト94,94と、それに螺着されたナット138,138によって、第二の取付金具16をブラケット20に固定する固定手段が構成されている。
また、ストッパ金具128における天板部130の下面には、厚肉ブロック形状のストッパゴム140が軸方向下方に突出するように固着されている。そして、上述の如くストッパ金具128がブラケット20に固定された状態下では、図4に示されているように、ストッパゴム140の下面が、パワーユニット側の取付ブラケット122に対して、軸方向で所定距離を隔てて対向位置せしめられるようになっている。これにより、リバウンド方向の振動荷重の入力時に、取付ブラケット122がストッパゴム140を介してストッパ金具128に打ち当たることによって、第一の取付金具14が第二の取付金具16から軸方向に離隔するリバウンド方向の相対変位量を制限するストッパ機能が発揮されるようになっている。
また、防振マウント組立体10の装着状態下では、空気圧式アクチュエータ98を構成する外壁部材100に形成されたポート116に対して空気管路144が接続されており、かかる空気管路144を通じて、作用空気室110が大気中と負圧源(図示せず)に接続されるようになっている。即ち、作用空気室110に接続された空気管路144上には、圧力制御弁(図示せず)が配設されており、かかる圧力制御弁が、コントローラ(図示せず)で作動制御されて、切換作動されることによって、作用空気室110が大気中と負圧源に対して、択一的に切り替え接続されるようになっている。
そして、自動車の走行状態に応じて作用空気室110に大気圧と負圧を選択的に及ぼすことにより、前述の如く第二のオリフィス通路88を連通/遮断制御せしめて、マウント防振特性を切換変更することが出来るようになっている。なお、押圧金具104の上底部には、下方に突出する緩衝ストッパゴム142が形成されており、負圧吸引による押圧金具104の引き下げ時における押圧金具104の変位量が、緩衝ストッパゴム142の中央突部114への当接で緩衝的に制限されるようになっている。
上述の如き構造とされた本実施形態の防振マウント組立体10においては、マウント本体12をブラケット20に組み付ける際に、従来の圧入組付構造に比して、ブラケット20に及ぼされる外力が十分に小さく抑えられるのであり、それ故、アルミニウム合金や合成樹脂材等の軽量材製のブラケット20を採用することが可能となる。
しかも、第二の取付金具16とブラケット20は、周方向の全周に亘って、嵌合ゴム42によって軸直角方向で相対的に位置決めされるようになっていることから、ブラケット20に及ぼされる外力を十分に小さく抑えつつ、ブラケット20と第一の取付金具14の車両ボデー側への取付部(96)とパワーユニット側への取付部(22)を、相対的に高精度に位置設定することが出来る。それ故、例えば、防振マウント組立体10を自動車に装着するに際して、ブラケット20を車両ボデー123に対して取付ボルト97で固定した後、上方からクレーンで下ろされてくるパワーユニットの取付ブラケット122に対して、第一の取付金具14を取付ボルト22で固定するに際して、取付ブラケット122のボルト挿通孔124に対する取付ボルト22の位置合わせが高精度に為され得ることとなり、それによって、取付ブラケット122のボルト挿通孔124に取付ボルト22を挿通して固定する際の作業を、容易に且つ速やかに行うことが可能となるのである。
特に本実施形態では、嵌合ゴム42が第二の取付金具16の軸方向上端に被着されていることから、第二の取付金具16とブラケット20の軸直角方向での相対位置決め効果が、第一の取付金具14に近い位置で発揮されることとなり、ブラケット20に対する第一の取付金具14の相対的な位置決め精度を、より高い水準で確保することが可能となる。
さらに、上述の如き構造とされた防振マウント組立体10においては、第二の取付金具16と筒状部90との間に嵌合ゴム42が挟まれていることから、相互に固定された第二の取付金具16とブラケット20の全体に対して、制振鋼板のような高度な減衰性能を与えることが出来るのであり、それによって、防振マウント組立体10における振動伝達率の更なる低減を図ることが出来る。
また、本実施形態では、第二の取付金具16における軸方向上端にフランジ状部26が形成されており、かかるフランジ状部26がブラケット20の軸方向端面に重ね合わせられていることから、防振マウント組立体10に対してバウンド方向の入力荷重に対して、第二の取付金具16とブラケット20の組付部位における軸方向の耐荷重性能が有利に発揮され得る。
さらに、本実施形態では、嵌合ゴム42の軸方向上端部分に小径部44が形成されていることから、第二の取付金具16を筒状部90に嵌め入れる際に、嵌合ゴム42が摩擦力によって軸方向上方に向かって押し上げられるように弾性変形せしめられたとしても、かかる小径部44によって、嵌合ゴム42における弾性変形せしめられた部分が吸収されることとなり、その結果、第二の取付金具16のフランジ状部26とブラケット20の固定支持片92の間に嵌合ゴム42が挟み込まれるという不具合を回避することが出来る。
以上、本発明の一実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
例えば、前記実施形態では、嵌合ゴム42は、周方向に略一定の断面形状で延びるように形成されていたが、周方向で断面形状が異なるように形成されていても良い。また、嵌合ゴム42は、第二の取付金具16とブラケット20に対して軸直角方向で略同一中心軸上に位置決めし得るものであれば良く、周上の適数箇所に分断して形成することも可能である。更にまた、前記実施形態では、第二の取付金具16にくびれ部24が形成されていたが、くびれ部24は必ずしも形成されている必要はない。また、くびれ部24が形成されていない第二の取付金具を採用する場合において、嵌合ゴムの肉厚寸法を軸方向で異ならせることも可能である。
さらに、前記実施形態では、第二の取付金具16の外周面に対して嵌合ゴム42が被着されていたが、ブラケット20の筒状部90の内周面に対して嵌合ゴムが被着されていても良い。また、このようにブラケット20における筒状部90の内周面に嵌合ゴムが被着される場合において、嵌合ゴムは略一定の肉厚寸法で周方向に延びるように形成されていても良いし、筒状部90の軸方向、或いは、周方向で肉厚寸法が異なる形状とされていても良い。更に、ブラケット20における筒状部90の内周面側に周方向に延びる凹溝を形成し、かかる凹溝に嵌合ゴムを設けるようにしても良い。
また、嵌合ゴム42を、本体ゴム弾性体18と別体として、本体ゴム弾性体18と異なるゴム材料で形成しても良い。それにより、本体ゴム弾性体18と嵌合ゴム42のそれぞれに対して、異なる要求特性を一層高度に付与することが可能となる。
更にまた、前記実施形態では、固定手段として固定ボルト94とナット138が採用されていたが、固定手段は、前記実施形態のものに限定されることなく、例えば、第二の取付金具16のフランジ状部26をブラケット20の固定支持片92にかしめ固定する構造,第二の取付金具16のフランジ状部26およびブラケット20の固定支持片92の何れか一方に雌ネジをきっておいて、かかる雌ネジにボルトを螺着する構造,第二の取付金具16のフランジ状部26とブラケット20の固定支持片92をリベットで固定する構造,第二の取付金具16のフランジ状部26とブラケット20の固定支持片92を溶接で固定する構造等が何れも採用可能である。
また、前記実施形態では、受圧室66や平衡室68,第一のオリフィス通路82,第二のオリフィス通路88が設けられていたが、受圧室66や平衡室68,第一のオリフィス通路82,第二のオリフィス通路88は必ず設けられている必要はない。更に、前記実施形態では、空気圧式アクチュエータ98が設けられていたが、空気圧式アクチュエータ98は必ず設けられている必要はない。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
本発明の一実施形態としての防振マウント組立体を示す縦断面図であって、図2におけるI−I方向の断面図である。 図1に示された防振マウント組立体の平面図である。 図1に示された防振マウント組立体を構成する防振マウント本体を示す縦断面図であって、図2におけるI−I方向の断面図である。 図1に示された防振マウント組立体の装着状態を示す縦断面図であって、図2におけるI−I方向の断面図である。
符号の説明
10 防振マウント組立体
12 マウント本体
14 第一の取付金具
16 第二の取付金具
18 本体ゴム弾性体
20 ブラケット
26 フランジ状部
42 嵌合ゴム
94 固定ボルト
138 ナット

Claims (6)

  1. 防振連結すべき一方の部材に取り付けられる第一の取付部材を筒状の第二の取付部材の軸方向一方の開口部側に離隔配置せしめて、それら第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結したマウント本体を用い、該第二の取付部材を別体の筒状ブラケットに嵌め入れて固着することにより、該第二の取付部材が該筒状ブラケットを介して防振すべき他方の部材に取り付けられるようにした防振マウント組立体において、
    前記筒状ブラケットとして非鉄金属または合成樹脂材からなる軽量材製のものを採用し、前記第二の取付部材を該筒状ブラケットに隙間をもって嵌め入れると共に、該第二の取付部材を該筒状ブラケットに対して固定する固定手段を設ける一方、該第二の取付部材における前記第一の取付部材が配置されたほうの前記軸方向一方の開口部において該筒状ブラケットの軸方向端部に重ね合わせられるフランジ状部を一体形成すると共に、該第二の取付部材における該軸方向一方の端部付近において、該第二の取付部材と該筒状ブラケットの隙間に嵌合ゴムを圧縮状態で介在させて、該筒状ブラケットに対して該第二の取付部材を該嵌合ゴムを介して軸直角方向で位置決めすると共に、該第二の取付部材の該筒状ブラケットからの軸方向の抜け抗力が発揮されるようにしたことを特徴とする防振マウント組立体。
  2. 前記嵌合ゴムが前記第二の取付部材の外周面に加硫接着されている請求項1に記載の防振マウント組立体。
  3. 前記第二の取付部材における軸方向一方の端部付近において、径方向内方に凹んで周方向に延びる環状凹部を形成して、該環状凹部に前記嵌合ゴムを設けた請求項1又は2に記載の防振マウント組立体。
  4. 前記嵌合ゴムが前記筒状ブラケットの内周面に加硫接着されていると共に、前記第二の取付部材における前記フランジ状部と反対の軸方向端部側の所定長さに亘る部分が、該フランジ状部の形成された軸方向一方の端部側において該嵌合ゴムに当接せしめられる部分よりも、外径寸法の小さい小径部とされている請求項1に記載の防振マウント組立体。
  5. 前記筒状ブラケットに対してアクチュエータが組み付けられており、該アクチュエータによる付勢力が、前記マウント本体に対して、軸方向の抜け出し方向に向かって常時及ぼされるようになっている請求項1乃至4の何れかに記載の防振マウント組立体。
  6. 前記マウント本体において、前記第二の取付部材に対して縮径加工が施されている請求項1乃至5の何れかに記載の防振マウント組立体。
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