JP2007035375A - 電極活物質、電池および重合体 - Google Patents
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Abstract
Description
二次電池において、活物質は充放電により酸化もしくは還元されるため、活物質は出発状態と還元状態の二つの状態を取る。本発明において、前記活物質は充電または放電された状態の何れかの状態で、式(1)または式(2)で表される構造を分子中に有する重合体となる。
本発明における電極活物質とは、充電反応および放電反応等の電極反応に直接寄与する物質のことであり、電池システムの中心的役割を果たすものである。
本発明では電極活物質として式(1)または式(2)で表される構造を分子中に有する重合体を用いることができる。
本発明の電池において電極活物質は電極に固定された状態であっても、また、電解液へ溶解または分散した状態であってもよい。ただし、電極に固定された状態で用いる場合、電解液への溶解による容量低下を抑制するために、固体状態でさらに電解液に対し不溶性または低溶解性であることが好ましい。電解液への溶解性が高い場合、電極から電解液中に活物質が溶出することで、充放電サイクルに伴い容量が低下するためである。このため、式(1)または式(2)で表される構造を分子中に有する重合体は、数平均分子量が500以上であることが好ましく、さらには5000以上であることがより好ましい。これは、数平均分子量が500以上であると電池用電解液に溶解しづらくなり、さらに数平均分子量5000以上になるとほぼ不溶となるからである。また、数平均分子量の上限には特に制限はないが、合成の都合上、数平均分子量が5000000以下、より好ましくは数平均分子量が1000000以下の重合体を好適に使用できる。重合体の形状としては鎖状、分岐状、網目状のいずれでもよい。また、架橋剤で架橋したような構造でもよい。
本発明の電池は正極もしくは負極の一方の電極反応、または両方の電極反応における活物質として、前記式(1)または式(2)で表される構造を分子中に有する重合体を用いるが、このうち、一方の電極反応における活物質として用いる場合、もう一方の電極に電池の活物質として従来公知のものが利用できる。
前記電極活物質を用いて電極を形成する場合に、インピーダンスを低下させる目的で、補助導電材やイオン伝導補助材を混合させることもできる。これらの材料としては、補助導電材としては、グラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラック等の炭素質微粒子、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリアセン等の導電性高分子が挙げられ、イオン伝導補助材としては高分子ゲル電解質、高分子固体電解質等が挙げられる。電極中のこれらの材料の割合としては、10〜80質量%が好ましい。
電極の各構成材料間の結びつきを強めるために、結着剤を用いることもできる。このような結着剤としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフロライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフロライド−テトラフルオロエチレン共重合体、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、各種ポリウレタン等の樹脂バインダーが挙げられる。電極中のこれらの材料の割合としては、5〜30質量%が好ましい。
電極反応をより潤滑に行うために、酸化還元反応を助ける触媒を用いることもできる。このような触媒としては、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリアセン等の導電性高分子、ピリジン誘導体、ピロリドン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、アクリジン誘導体等の塩基性化合物、金属イオン錯体等が挙げられる。電極中のこれらの材料の割合としては、10質量%以下が好ましい。
負極集電体、正極集電体としては、ニッケル、アルミニウム、銅、金、銀、アルミニウム合金、ステンレス、炭素等からなる箔、金属平板、メッシュ状などの形状のものを用いることができる。また、集電体に触媒効果を持たせたり、電極活物質と集電体とを化学結合させたりしてもよい。一方、上記の正極、および負極が接触しないようにポリエチレン、ポリプロピレン等からなる多孔質フィルムや不織布などのセパレータを用いることもできる。
本発明において、電解質は、負極と正極の両極間の荷電担体輸送を行うものであり、一般には20℃で10-5〜10-1S/cmのイオン伝導性を有していることが好ましい。電解質としては、例えば電解質塩を溶剤に溶解した電解液を利用することができる。電解質塩として、例えばLiPF6、LiClO4、LiBF4、LiCF3SO3、Li(CF3SO2)2N、Li(C2F5SO2)2N、Li(CF3SO2)3C、Li(C2F5SO2)3C等の従来公知の材料を用いることができる。
本発明において、電池の形状は特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。電池形状としては、電極積層体、あるいは巻回体を金属ケース、樹脂ケース、あるいはアルミニウム箔などの金属箔と合成樹脂フィルムからなるラミネートフィルム等によって封止したもの等が挙げられ、円筒型、角型、コイン型、およびシート型等で作製されるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
電池の製造方法としては特に限定されず、材料に応じて様々な方法を用いることができる。例えば、活物質に溶剤を加えスラリー状にして電極集電体に塗布し、加熱もしくは常温で溶剤を揮発させたのちに、対極、セパレータを挟んで積層または巻回して外装体で包み、電解液を注入して封止するといった方法である。スラリー化のための溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒、N−メチルピロリドン等のアミン系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素系、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系炭化水素等が挙げられる。
下記式(12)で表される構造を有する単独重合体(I)の合成例を示す。
1H-NMR(CDCl3, 500MHz, ppm): δ= 8.47 (s, 1H, N-OH), 7.56 (d, 2H, Ph-H), 7.31 (d, 2H, Ph-H), 1.20 (s, 9H, t-Bu);
13C-NMR(CDCl3, 125MHz, ppm): δ= 175.9, 139.9, 132.2, 128.6, 122.5, 39.2, 28.3;
IR(cm-1): 3442 (νO-H), 1623 (νC=O);
Mass: m/z 271, 273(found), 272.14(calcd).
50mlナスフラスコ中、4-(N-ヒドロキシル-N-ピバロイルアミノ)ブロモベンゼンを4.00 g (14.7 mmol)、DMF 21 mlを加え溶解した。そこへt-ブチルジメチルシリルクロリド (TBDMS-Cl) 5.54 g (36.7 mmol, 2.5eq)、トリエチルアミン3.84 g (5.30 ml, 37.8 mmol, 2.57 eq)を加え、60℃、5時間反応させた。反応終了後、エーテル抽出を行い、乾燥した。溶媒除去後、酢酸エチル/ヘキサン 1/19を展開溶媒としてカラム精製(Rf = 0.14)を経て、4-(N-t-ブチルジメチルシリロキシ-N-ピバロイルアミノ)ブロモベンゼンを橙色針状結晶として5.40 g得た (収率 95%)。
1H-NMR(CDCl3, 500MHz, ppm): δ= 7.51 (d, 2H, Ph-H), 7.22 (d, 2H, Ph-H), 1.19 (s, 9H, t-Bu), 0.89 (s, 9H, t-Bu), 0.06 (s, 6H, Si-CH3);
13C-NMR(CDCl3, 125MHz, ppm): δ= 179.8, 143.5, 132.0, 129.3, 122.0, 40.2, 28.0, 26.0, 18.2, -4.48;
IR(cm-1): 1670 (νC=O) 1255 (νSi-CH3);
Mass: m/z 386, 388(found), 386.40(calcd).
アルゴン雰囲気下、100ml二口ナスフラスコ中、4-(N-t-ブチルジメチルシリロキシ-N-ピバロイルアミノ)ブロモベンゼン5.00 g (12.9 mmol)、ジクロロビストリフェニルホスフィンパラジウム654 mg (0.93 mmol, 0.072 eq)、ヨウ化銅88.7 mg (0.47 mmol, 0.036 eq)を加え、トリエチルアミン54 mlに溶解させた。トリエチルアミン5.4 mlに溶解させたトリメチルシリルアセチレン1.84 g (2.65 ml, 18.8 mmol, 1.45 eq)を加え、80℃で1.5時間反応させた。反応終了後、溶媒除去し、ジクロロメタン抽出した。乾燥、溶媒除去後、酢酸エチル/ヘキサン 1/19を展開溶媒としてカラム精製(Rf = 0.14)を経て、1-(4-(N-t-ブチルジメチルシリロキシ-N-ピバロイルアミノ)フェニル)-2-トリメチルシリルアセチレンを白色針状結晶として4.96 g得た (収率 95%)。
1H-NMR(CDCl3, 500MHz, ppm): δ= 7.51 (d, 2H, Ph-H), 7.37 (d, 2H, Ph-H), 1.16 (s, 9H, t-Bu), 0.87 (s, 9H, t-Bu), 0.25 (s, 9H, Si-CH3), 0.07 (s, 6H, Si-CH3);
13C-NMR(CDCl3, 125MHz, ppm): δ= 179.3, 144.2, 132.4, 127.6, 123.1, 104.1, 95.6, 40.1, 28.1, 25.9, 18.2, -0.12, -4.58;
IR(cm-1): 2159 (νC≡C) 1682 (νC=O);
Mass: m/z 403(found), 403.71(calcd).
500mlナスフラスコ中、1-(4-(N-t-ブチルジメチルシリロキシ-N-ピバロイルアミノ)フェニル)-2-トリメチルシリルアセチレン4.5 gをメタノール255 mlに溶解させた。水酸化ナトリウムのメタノール溶液(水酸化ナトリウム0.4 gをメタノール100 mlに溶解したもの)63.6 mlを加え、室温下1時間反応させた。反応終了後、溶媒除去し、ジクロロメタン抽出を行った。乾燥、溶媒除去後、酢酸エチル/ヘキサン 1/9を展開溶媒としてカラム精製(Rf = 0.46)を経て、ヘキサンから再結晶精製し、4-(N-t-ブチルジメチルシリロキシ-N-ピバロイルアミノ)フェニルアセチレンを無色針状結晶として1.03 g得た (収率 95%)。
1H-NMR(CDCl3, 500MHz, ppm): δ= 7.48 (d, 2H, Ph-H), 7.29 (d, 2H, Ph-H), 1.17 (s, 9H, t-Bu), 0.87 (s, 9H, t-Bu), 0.04 (s, 6H, Si-CH3);
13C-NMR(CDCl3, 125MHz, ppm): δ= 179.6, 144.6, 132.6, 127.5, 121.9, 82.8, 78.2, 40.1, 28.0, 25.9, 18.2, -4.53;
IR(cm-1): 2105 (νC≡C) 1669 (νC=O);
Mass: m/z 332(found), 331.52(calcd).
10mlナスフラスコに4-(N-t-ブチルジメチルシリロキシ-N-ピバロイルアミノ)フェニルアセチレンを100 mg、Rh触媒[Rh(nbd)Cl]2 13.9 mg (0.030 mmol, 0.1 eq)、トリエチルアミン1.53 mg (2.11 ml, 0.030 mmol, 0.1 eq)を加えた。アルゴン雰囲気下、三方コックを通して、トルエン1.41 mlに溶解させ、50℃、4時間反応させた。反応終了後、メタノールへの再沈殿精製、真空乾燥を経て、黄色粉末としてポリ(4-(N-t-ブチルジメチルシリロキシ-N-ピバロイルアミノ)フェニルアセチレン)99 mgを得た (Mn = 1.3×106, Mw/Mn = 6.6)。
1H-NMR(CDCl3, 500MHz, ppm): δ= 6.98 (b, 2H, Ph-H), 6.88 (b, 2H, Ph-H), 5.78 (b, 1H, vinyl-H), 1.03 (s, 9H, t-Bu), 0.88 (s, 9H, Si t-Bu), -0.08 (s, 6H, Si-CH3).
アルゴン雰囲気下、5mlナスフラスコ中、ポリ(4-(N-t-ブチルジメチルシリロキシ-N-ピバロイルアミノ)フェニルアセチレン) 10 mgをTHF15 ml に溶解させた。テトラブチルアンモニウムフルオリド (TBAF) 79.0 mg、酸化銀70.0 mgを加え、室温下1時間反応させ酸化することにより重合体(I)を得た。
下記式(20)で表される構造を有する単独重合体(II)の合成例を示す。
1H-NMR(CDCl3, 500MHz, ppm): δ= 7.42 (d, 2H, Ph-H), 7.30 (d, 2H, Ph-H), 6.72 (dd, 1H, vinyl-H), 5.78 (d, 1H, vinyl-H), 5.31 (d, 1H, vinyl-H), 1.16 (s, 9H, t-Bu), 0.87 (s, 9H, t-Bu), 0.11 (s, 6H, Si-CH3);
13C-NMR(CDCl3, 125MHz, ppm): δ= 179.1, 143.4, 137.7, 135.9, 128.2, 126.5, 115.0, 40.0, 28.3, 25.9, 18.2, -4.63;
IR(cm-1): 1670 (νC=O), 1631 (νC=C);
Mass: m/z 334(found), 333.54(calcd).
5mlアンプルに4-(N-t-ブチルジメチルシリロキシ-N-ピバロイルアミノ)スチレンを50 mg (0.15 mmol)入れ、アゾビスイソブチロニトリル 0.12 mg (0.749 μmol)を含むベンゼン溶液0.15 ml を加えた。真空ラインを用いて溶封し、80℃、19時間反応後、メタノールへ沈殿精製したが、沈殿しなかった。溶媒を除去、真空乾燥を経て、ポリ(4-(N-t-ブチルジメチルシリロキシ-N-ピバロイルアミノ)スチレン)を得た (Mn = 800, Mw/Mn = 1.1)。
実施例1と同様な方法で、ただし、重合体(I)を用いず、代わりに炭素粉末を900mgに増やして、コイン電池を作製した。作製した電池に対して、実施例1と同様にして充放電を行った。その結果、放電時に電圧平坦部はみられず電圧は急速に低下し、電池として十分に動作しなかった。
2 絶縁パッキン
3 負極
4 セパレータ
5 正極
6 正極集電体
Claims (12)
- 正極および負極の少なくとも一方の活物質として、請求項1に記載の電極活物質を用いることを特徴とする電池。
- 正極および負極の少なくとも一方の活物質として、請求項2に記載の電極活物質を用いることを特徴とする電池。
- 正極の活物質として前記電極活物質を用いる請求項3または4に記載の電池。
- リチウム電池である請求項3〜5のいずれか一項に記載の電池。
- 活物質の電極反応を利用する二次電池において、正極および負極の少なくとも一方の電極反応が、請求項1に記載の電極活物質が含有する前記重合体を反応物もしくは生成物とする電極反応であることを特徴とする二次電池。
- 活物質の電極反応を利用する二次電池において、正極および負極の少なくとも一方の電極反応が、請求項2に記載の電極活物質が含有する前記重合体を反応物もしくは生成物とする電極反応であることを特徴とする二次電池。
- 正極の電極反応が、前記重合体を反応物もしくは生成物とする電極反応である請求項7または8に記載の二次電池。
- リチウム二次電池である請求項7〜9のいずれか一項に記載の二次電池。
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