JP2007034027A - ディスプレイ用表面材及びそれを備えたディスプレイ - Google Patents

ディスプレイ用表面材及びそれを備えたディスプレイ Download PDF

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Abstract

【課題】 付着した指紋が速やかに目立たなくなり、ディスプレイの良好な視認性を得ることができるディスプレイ用表面材及びそれを備えたディスプレイを提供する。
【解決手段】 ディスプレイ用表面材10は、ディスプレイの表面に配置されて用いられる。ディスプレイ用表面材10を構成する透明基材11の表面、該透明基材11上に設けられる凹凸層13の表面又は該凹凸層13上に設けられる被覆層16の表面は、JIS B 0601−1994に規定される算術平均粗さ(Ra)として20〜200nm、凹凸間の平均間隔(Sm)として5〜600nmに設定される。さらに、透明基材11、凹凸層13又は被覆層16中にはフッ素原子を含有しないか、又はフッ素原子の含有量が0.05質量%以下に設定される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば自動現金引出し預け入れ装置(ATM:Automatic Teller Machine)、現金自動支払機(CD:Cash Dispenser)、ナビゲーション装置等のディスプレイ(表示装置)の表面に設けられるディスプレイ用表面材及びそれを備えたディスプレイに関するものである。
従来の情報端末、例えば自動現金引出し預け入れ装置、現金自動支払機、自動販売機、ナビゲーション装置、セキュリティーシステム端末、パーソナルコンピュータ等には、入出力部にディスプレイが装着されている。ところが、これらの情報端末の使用時には、ディスプレイの表面に指を触れて操作するため、その表面に皮脂等の生体由来脂質成分による指紋等(以下、単に「指紋」ともいう)が付着し、それが目で認識されて入出力の操作がし難くなっていた。
そのため、指紋がディスプレイの表面に付着するのを防止する対策が提案されている。例えば、加水分解性金属アルコキシド、それと反応するフッ素化合物及び密着性向上剤からなる表面処理剤が知られている(例えば、特許文献1を参照)。また、生体由来脂質成分に対する親油性を有する被膜よりなる汚れ目立ち防止被膜が知られている(例えば、特許文献2を参照)。
再公表特許(国際公開)W02002/077116号公報(第2頁及び第5頁) 特開2001−353808号公報(第2頁及び第7頁)
しかしながら、特許文献1に記載された表面処理剤では、指紋を拭き取りやすいという利点を有するが、指紋の主成分である脂質を完全には弾くことができず、指紋の付着による汚れが目立ち、ディスプレイ表面の視認性について実用レベルで満足できないという問題があった。一方、特許文献2に記載された汚れ目立ち防止被膜では、指紋を形成する脂質が被膜上に付着した後、拡散してそれが目立たなくなるまでには相当な時間を要する。従って、そのような汚れ目立ち防止被膜は、実用上の使用に適合するものではないという問題があった。
そこで、本発明の目的とするところは、付着した指紋が速やかに目立たなくなり、ディスプレイの良好な視認性を得ることができるディスプレイ用表面材及びそれを備えたディスプレイを提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明における第1の発明のディスプレイ用表面材は、ディスプレイの表面に配置されて用いられるディスプレイ用表面材であって、透明基材の表面、該透明基材上に設けられる凹凸層の表面又は該凹凸層上に設けられる被覆層の表面がJIS B 0601−1994に規定される算術平均粗さ(Ra)として20〜200nm、凹凸間の平均間隔(Sm)として5〜600nmであり、かつ透明基材、凹凸層又は被覆層中にはフッ素原子を含有しないか、又はフッ素原子の含有量が0.05質量%以下であることを特徴とするものである。
第2の発明のディスプレイ用表面材は、第1の発明において、前記凹凸層は、下記(1)〜(3)の工程に基づいて設けられるものであることを特徴とするものである。
(1)アルミニウムアルコキシド、有機溶剤及びキレート化剤からなる混合溶液に水を加えてアルミナゾル液を調製する工程。
(2)前記アルミナゾル液を透明基材上に塗布し、乾燥してアモルファスアルミナよりなるアルミナ層を形成する工程。
(3)前記アルミナ層を、電気伝導率が200μS/cm以下の温水に浸漬し、アルミナ層の表面を凹凸化する工程。
第3の発明のディスプレイは、表面に第1又は第2の発明のディスプレイ用表面材が配置されて構成されていることを特徴とするものである。
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
第1の発明のディスプレイ用表面材では、透明基材の表面、該透明基材上に設けられる凹凸層の表面又は該凹凸層上に設けられる被覆層の表面がJIS B 0601−1994に規定される算術平均粗さ(Ra)として20〜200nm、凹凸間の平均間隔(Sm)として5〜600nmという微細な凹凸に設定されている。このため、ディスプレイ用表面材の表面に付着した指紋を形成する生体由来脂質成分が微細に形成された凹凸の凹部に速やかに入り込む結果、指紋が視認され難くなる。さらに、透明基材、凹凸層又は被覆層中にはフッ素原子が実質上ほとんど含まれておらず、フッ素原子に基づく生体由来脂質成分の液滴化が回避され、指紋が目立つのを抑制することができる。従って、付着した指紋が速やかに目立たなくなり、ディスプレイの良好な視認性を得ることができる。
第2の発明のディスプレイ用表面材では、ディスプレイ用表面材は、第1の発明において、凹凸層が前記(1)〜(3)の工程に基づいて設けられることから、第1の発明の効果に加えて、凹凸層の微細な凹凸を精度良く、容易に形成することができる。
第3の発明のディスプレイでは、表面に第1又は第2の発明のディスプレイ用表面材が配置されて構成されていることから、ディスプレイの表面で第1又は第2の発明の効果を奏することができ、ディスプレイの機能を十分に発揮させることができる。
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。
本実施形態のディスプレイ用表面材10は種々の態様に具体化されるが、代表的には図1(a)〜(d)に示すように構成されている。図1(a)に示すように、透明基材11上にはアルミナ層により表面に凹凸部12を有する凹凸層13が設けられるとともに、裏面には粘着剤層14が設けられている。また、図1(b)に示すように、上記図1(a)のディスプレイ用表面材10において、透明基材11と凹凸層13との間には機能層15が設けられている。図1(c)に示すように、透明基材11の表面がプラズマ放電によって凹凸状に形成されるとともに、裏面には粘着剤層14が設けられている。図1(d)に示すように、前記図1(a)のディスプレイ用表面材10において、凹凸層13の表面には指紋を形成する生体由来脂質成分になじむ樹脂による被覆層16が設けられている。
前記透明基材11としては、ガラス、透明樹脂等特に制限されるものではない。透明基材11の形状としては、例えば板状、シート状、フィルム状等が採用されるが、生産性及び運搬性の点からフィルム状のものが好ましい。フィルムの厚さとしては10〜500μmであることが透明性及び作業性の点より好ましい。また、フィルムとしては樹脂フィルムが好ましい。樹脂フィルムを形成する樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、再生セルロース、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン3元共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ナイロン、ポリエチレン、セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ノルボルネン系樹脂等が挙げられる。これらの中では、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート等の透明性の高いものが好ましい。
前記透明基材11、凹凸層13及び被覆層16の表面、つまり凹凸部12は、透明基材11、凹凸層13及び被覆層16の透明性を維持し、指紋による視認性の低下を抑制するために、表面粗さが次のように設定される。すなわち、JIS B 0601−1994に規定される算術平均粗さ(Ra)として20〜200nm、凹凸間の平均間隔(Sm)として5〜600nmに設定されている。これらの算術平均粗さ(Ra)及び凹凸間の平均間隔(Sm)は、原子間力顕微鏡により面積5μmx5μmの形状像を測定し、JIS B0601−1994に従って測定される値である。好ましくはRaが30〜150nm、Smが10〜550nmであり、より好ましくはRaが35〜100nm、Smが20〜500nmである。
前記Raが20nmより小さい場合又はSmが5nmより小さい場合及び600nmより大きい場合には、指紋を形成する生体由来脂質成分とのなじみが不十分となり、指紋が目立ってしまう。一方、Raが200nmより大きい場合には透明性が悪化する傾向にある。さらに、前記透明基材11、凹凸層13又は被覆層16中にはフッ素原子を含有しないか、又はフッ素原子の含有量が0.05質量%以下、好ましくは0.01質量%以下に設定される。フッ素原子は、その影響を避けるため、全く含まないことが最も好ましい。言い換えれば、透明基材11、凹凸層13又は被覆層16は、フッ素原子以外の原子で構成されるか、又はフッ素原子以外の原子の含有量が99.95質量%以上に設定される。
凹凸層13を形成する成分は有機成分又は無機成分ともに特に制限なく使用することができる。しかしながら、凹凸層13を形成する成分は汚れ成分となじむことで、より汚れ成分の目立ち防止につながるため、その表面エネルギーが30〜70mN/mであることが好ましい。この範囲を外れると、ディスプレイ用表面材10の表面に付着した指紋を形成する生体由来脂質成分のなじみが極端に悪くなり、付着した生体由来脂質成分がはじかれることにより、付着した指紋がより見やすくなる現象を呈する。表面エネルギーについて具体的には、アルミナでは38〜50mN/m、酸化シリコンでは35mN/m、ポリエチレンテレフタレートでは39〜47mN/m等である。
前記凹凸層13は、以下の3段階の工程を経て形成することが好ましい。
(1)アルミニウムアルコキシド、有機溶剤及びキレート化剤からなる混合溶液に水を加えてアルミナゾル液を調製する工程。
(2)前記アルミナゾル液を透明基材上に塗布、乾燥してアモルファスアルミナよりなるアルミナ層を形成する工程。
(3)前記アルミナ層を、電気伝導率(導電率)が200μS/cm以下の温水に浸漬し、アルミナ層の表面を凹凸化する工程。
前記(1)工程におけるアルミニウムアルコキシドとしては、例えばアルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウム-n-ブトキシド、アルミニウム-sec-ブトキシド、アルミニウム-tert-ブトキシド、アルミニウムアセチルアセトナート等が挙げられる。
キレート化剤としては、例えばアセチルアセトン、ジピバロイルメタン、トリフルオロアセチルアセトン、ヘキサフルオロアセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタン等のβ−ジケトン化合物類;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸アリル、アセト酢酸ベンジル、アセト酢酸−iso−プロピル、アセト酢酸−tert−ブチル、アセト酢酸−iso−ブチル、アセト酢酸−2−メトキシエチル、3−ケト−n−バレリック酸メチル等のβ−ケトエステル化合物類;さらには、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類等が挙げられる。
有機溶剤としては、アルコール類、脂肪族系又は脂環族系の炭化水素類、芳香族炭化水素類、エステル類、ケトン類、エーテル類、塩素化炭化水素類、非プロトン性極性溶剤等が挙げられる。これらの有機溶剤のうち、アルミナゾル液の安定性の観点からアルコール類を使用することが好ましい。
また、アルミニウムアルコキシドとキレート化剤からアルミナゾル液を調製する際には、水を添加する。水の添加量は特に制限されないが、アルミニウムアルコキシド1モルあたり1〜4モル程度にすることが好ましい。水を前記混合溶液に直接添加してもよいが、有機溶剤との混合液を添加する方が好ましい。
前記アルミナゾル液には、アルコキシ基の加水分解を促進したり、脱水縮合反応を促進するための触媒を添加することができる。触媒の代表的なものとしては、硝酸、塩酸、硫酸、燐酸、酢酸、アンモニア等が挙げられる。触媒類の添加量としては、幅広く設定できるが、アルミニウムアルコキシド1モルに対して、0.0001〜1モルであることが好ましい。
さらに、アルミナゾル液に、必要に応じて水溶性有機高分子、界面活性剤又は無機塩を添加することができる。水溶性有機高分子は、温水への浸漬によってゲル膜中から容易に溶出し、これにより温水との反応表面積が増大し、低温かつ短時間での微細凹凸の形成を可能にすることができる。また、添加する水溶性有機高分子、界面活性剤又は無機塩の種類や分子量を変化させることにより、形成される微細凹凸組織の形状を制御することが可能になる。
アルミニウムアルコキシド、有機溶剤、キレート化剤及び水の好ましい混合割合(モル比)としては、アルミニウムアルコキシド:有機溶剤:キレート化剤:水=1:1〜100:0.5〜2:0〜5である。
また、(2)工程における乾燥条件としては、室温で30分程度である。必要に応じ、加熱して乾燥させることも可能である。
さらに、(3)工程では、作製したアモルファスアルミナよりなるアルミナ層を温水に浸漬することによりアルミナ層の表面に微細な凹凸を形成することができる。温水に使用する水の電気伝導率は好ましくは200μS/cm以下、さらに好ましくは150μS/cm以下、最も好ましくは100μS/cm以下である。温水の電気伝導率を200μS/cm以下に設定することで、アモルファスアルミナ層からアモルファスアルミナが溶け出しやすくなり、温水中で結晶化されアモルファスアルミナ層の表面に付着されやすくなるものと推測される。温水の電気伝導率が200μS/cmより大きい場合には、微細な凹凸部12の形成が阻害されやすくなる。また、温水の温度は好ましくは20〜100℃、より好ましくは50〜100℃である。温水の温度は、透明基材11の耐熱性等を考慮して決定されるが、温度が低いほど凹凸部12を完全に形成するためには長い時間を必要とする。なお、アルミナ層よりなる凹凸層13の厚さは任意に設定されるが、5〜100000nm程度であることが好ましい。
次に、凹凸部12を形成する第2の方法として、透明基材11の少なくとも片面に無機硬質層を形成する工程と、該無機硬質層の表面を炭素及びフッ素を含むガス中でプラズマ放電処理を行い、微小な凹凸部12を形成する方法が挙げられる。前記無機硬質層としては、シリコンを含む酸化膜又は窒化膜であることが好ましい。それらをターゲットとしたスパッタリング法により透明基材11上に無機硬質層を作製することができる。
無機硬質層の厚さは0.02〜10μmであることが好ましい。無機硬質層の厚さがこの範囲であれば、層の可視光域での光透過性を妨げることがない。得られた無機硬質層表面を凹凸化するプラズマ放電処理は放電電力密度0.5〜20w/cmの強度にて1〜20分間処理を行う。放電電力密度及び処理時間がこの範囲を越えると、凹凸部12が大きくなり過ぎて、透明性が悪化する。
続いて、凹凸部12を形成する第3の方法として、金属アルコキシド、コロイダルシリカ、シラン化合物、希釈溶剤及び水を含む混合液を透明基材上に塗布し、加熱する方法が挙げられる。金属アルコキシドを形成する金属又は半金属(準金属)の種類としては、アルミニウム、ケイ素、チタン、バナジウム、マンガン、鉄、コバルト、亜鉛、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、カドミウム、タンタル等のアルコキシドを形成し得る金属が挙げられる。
また、アルコキシドの種類は特に限定されず、例えばメトキシド、エトキシド、プロポキシド、イソプロポキシド、ブトキシド等が挙げられ、さらにはアルコキシ基の一部をβ−ジケトン、β−ケトエステル、アルカノールアミン、アルキルアルカノールアミン等で置換したアルコキシド誘導体であってもよい。金属アルコキシドとして具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、アルミニウムブトキシド、チタンイソプロポキシド等が好ましく、この中でもテトラエトキシシランが常温で液体であり、汎用性の面から特に好ましい。
コロイダルシリカは、薄層表面に微細な凹凸部12を形成させるために用いられるものであり、その平均粒子径は通常1〜150nm、好ましくは5〜50nmである。コロイダルシリカは、例えば高分子無機珪酸の超微粒子を水又は有機溶剤中に分散せしめたコロイド溶液として入手でき、代表例として日産化学工業(株)製の「スノーテックス」、触媒化成工業(株)製の「OSCAL」等を挙げることができる。コロイダルシリカの添加量は、上記金属アルコキシドに対して、通常10〜70質量%、好ましくは20〜60質量%である。コロイダルシリカの添加量が10質量%未満の場合には表面に微細な凹凸部12を十分に形成することができず、70質量%より多い場合には被膜の強度が低下する傾向にある。
シラン化合物としては、フッ素原子を含まない公知のものを使用することができる。シラン化合物として好ましくは、指紋を形成する生体由来脂質成分となじみやすいという観点から長鎖アルキル基含有シラン化合物である。
希釈溶剤は混合液を均質なものにし、加水分解反応を円滑に進行させるためのものであり、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類等の有機溶剤が主に用いられる。その他に、金属アルコキシドを溶解するエチレングリコール、エチレンオキシド、トリエタノールアミン、キシレン等の有機溶剤も使用され、金属アルコキシドを溶解するものであれば制限されない。
水は金属アルコキシドを加水分解するために必要である。添加量としては特に制限されないが、金属アルコキシドに対して2倍モル量以上添加することが好ましい。金属アルコキシドの加水分解反応を促進させる目的で触媒を加えることができる。そのような触媒として例えば塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、フッ酸等の酸が使用され、アルカリとしては処理後に揮発により除去できるアンモニアが使用される。
さらに、金属アルコキシドの加水分解時におけるキレート化剤を添加することができる。係るキレート化剤として例えばアセチルアセトン、ジピバロイルメタン、トリフルオロアセチルアセトン、ヘキサフルオロアセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタン等のβ−ジケトン化合物類;アセト酢酸ベンジル、アセト酢酸イソプロピル、アセト酢酸tert―ブチル、アセト酢酸イソブチル、アセト酢酸2−メトキシエチル、3−ケト−n−バレリック酸メチル等のβ―ケトエステル化合物類;さらには、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類等が挙げられる。
以上の混合液を透明基材11上に塗布することにより、金属アルコキシドより形成された金属酸化物をマトリックスとし、その中にコロイダルシリカが分散され、表面に微細な凹凸が形成される。そして、コロイダルシリカの表面に存在する水酸基がマトリックスと反応することによりコロイダルシリカをマトリックス中に強固に固定し、さらにシラン化合物とも反応するため、指紋を形成する生体由来脂質成分とのなじみが良好である。その厚さは任意に設定できるが、5〜100000nm程度であることが好ましい。
次いで、凹凸部12を形成する第4の方法として、透明基材11表面を直接プラズマエッチングすることにより微細な凹凸部12を形成する方法が挙げられる。プラズマエッチングは、放電電力密度0.5〜20w/cmの強度で1〜20分間の条件にて行われる。放電電力密度及び処理時間がこの範囲を越えると、凹凸部12が大きくなりすぎて、透明性が悪化する傾向を示す。
次に、凹凸部12を形成する第5の方法として、高分子材料の溶剤による抽出を利用した方法が挙げられる。この場合、微細な凹凸部12を形成するために、溶剤に溶解しないマトリックスとしての高分子材料と、溶剤に溶解する高分子材料が組合せて用いられ、後者はマトリックス中で微細に相分離している。後者の高分子材料としてブロック共重合体等が使用される。ブロック共重合体の製造方法、構成成分及び組成等は特に制限されず、常法に従って行われる。
次いで、凹凸部12を形成する第6の方法として、型により透明基材11上にその型の形状を直接転写するいわゆるナノプリント法を利用する方法が挙げられる。この方法は、まずシリコン基板等の表面に微小なパターンを有するスタンパを作製する。これとは別の基板上に透明樹脂フィルムを設ける。そして、加熱、加圧機構を有するプレス装置を用い、透明樹脂のガラス転移温度(Tg)以上の温度にて、所定の圧力でスタンパを透明樹脂フィルム上にプレスする。その後、冷却、硬化させる。スタンパと基板を剥離して、スタンパの微細なパターンを基板上の透明樹脂フィルムに転写する。また、加熱成形する工程の代わりに、光硬化性樹脂を用い、成形後に、光硬化性樹脂に光を照射し、樹脂を硬化させてもよい。さらに、ガラス等の光透過性のスタンパを用い、プレス後に、光透過性のスタンパの上方より光を照射して、光硬化性樹脂を光硬化させてもよい。また、透明樹脂フィルム側から光を照射して硬化してもよい。
次に、前記透明基材11と凹凸層13との間には、一層以上の機能層を設けることができる。その機能としては、硬度の向上、耐擦傷性の向上、防眩性の向上、ニュートンリング(同心円状の明暗)の形成防止、密着性の向上、特定波長の光の遮断、導電性向上、帯電性の防止等の少なくとも一種が挙げられる。特に、硬度の向上、密着性及び耐擦傷性の向上を目的とした機能層を形成することが好ましい。この機能層は無機物、有機物又はそれらの混合物を用いて形成することができる。その厚さは0.005〜100μmが好ましい。また、機能層の形成方法は特に限定されず、ドライコーティング法又はウェットコーティング法を用いることができる。
例えば、耐擦傷性を向上させるためには、透明基材11と凹凸層13の間の層の硬度を高くする方法と軟質化する方法とがある。前記機能層の材料としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、従来公知のものを使用することができる。例えば有機物、無機物及びその混合物を用いることができる。特に硬度を上げるために(例えば、ハードコート層用に)、架橋性の硬化性単量体を含むことが好ましい。硬化性単量体としては、加熱により又は紫外線、電子線等の活性エネルギー線照射により短時間に硬化するものが好ましい。硬化性単量体として例えば単官能又は多官能(メタ)アクリル酸エステル、テトラエトキシシラン等の珪素化合物が挙げられる。多官能(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート(ペンタエリスリトールテトラアクリレート)、テトラメチロールメタントリアクリレート(ペンタエリスリトールトトアクリレート)、トリメチロルプロパントリアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ビス(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ヘキサン等の多官能アルコール誘導体、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリウレタンアクリレート等が挙げられる。また、無機物としてはシリカゲル超微粒子等を用いることができる。
次に、前記被覆層16について説明する。この被覆層16は、指紋を形成する生体由来脂質成分に良好ななじみ性を有する指紋なじみ層である。そのような生体由来脂質成分とのなじみが良好であることの指標として、被覆層16を構成する樹脂の平坦膜でのオレイン酸に対する接触角を60°以下に設定することが好ましく、50°以下であることがより好ましく、1〜35°であることが特に好ましい。接触角を60°を越えると、生体由来脂質成分が被覆層16上で微小液滴を形成しやすく、光がその微小液滴に反射して指紋が認識される傾向を示す。被覆層16を構成する樹脂として、例えば活性エネルギー線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、熱可塑性樹脂等が使用可能である。その中でも、生産性及び諸物性の観点から活性エネルギー線硬化型樹脂又は熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。これらの樹脂は、フッ素原子以外の原子で構成され、フッ素原子を含まないものである。
活性エネルギー線硬化型樹脂を被覆層16用のコーティング剤とする場合、そのコーティング剤の構成成分として重合性成分が必須である。すなわち、重合性成分は、単官能単量体、多官能単量体、(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマー及び(メタ)アクリロイル基を有する重合体の中から一種又は二種以上が選択して使用される。その他必要に応じ、重合開始剤、(メタ)アクリロイル基を含まないオリゴマー、(メタ)アクリロイル基を含まない重合体、界面活性剤、希釈溶剤、光増感剤、安定化剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、酸化防止剤等を添加してもよい。
熱可塑性樹脂をコーティング剤とする場合、そのコーティング剤構成成分は、上記活性エネルギー線硬化型樹脂の場合に用いられる単官能単量体を重合して得られる重合体、(メタ)アクリロイル基を含まない重合体が必須であり、その他として必要に応じ、界面活性剤、希釈溶剤、安定化剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤や酸化防止剤等を添加してもよい。
単官能単量体としては、公知の単官能単量体が全て使用可能であるが、効果的である単官能単量体として例えば次の単官能単量体が好ましい。すなわち、炭素数が1〜20であるアルコールとのエステル化合物であり、さらにフッ素原子を含まない(メタ)アクリル酸エステル、イタコン酸エステル、フマル酸エステル、炭素数が1〜10であるアミンとのアミド化合物であり、フッ素原子を含まない(メタ)アクリル酸アミド、スチレン及びフッ素原子を含まない置換スチレン、N−ビニル−2−ピロリドン及びフッ素原子を含まない置換N−ビニル−2−ピロリドンが挙げられる。
具体的には以下の単官能単量体を例示することができる。すなわち、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸トリシクロデシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ペンタメチルピペリジル、(メタ)アクリル酸ヘキサヒドロフタル酸エチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルフタル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシジエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシトリエチレングリコール、スチレン、N−イソプロピルアクリルアミドを含むことが好ましい。
これら好ましい単官能単量体は、1種又は2種以上を用いることができるが、活性エネルギー線硬化型樹脂又は熱可塑性樹脂中に占める割合は、30質量%以上が好ましく、50質量%以上がさらに好ましく、75質量%以上が最も好ましい。この割合が30質量%未満では、生体由来脂質成分とのなじみが劣る傾向を示す。
多官能単量体としては、被膜強度向上や入手性の点から、ジ(メタ)アクリル酸ヘキサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ネオペンチルグリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリプロピレングリコール、トリ(メタ)アクリル酸ポリメチロールプロパン、トリ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトール、ヘキサ(メタ)アクリル酸ジペンタエリスリトール、ヘキサメチレンジイソシアネートと(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルとの付加体、イソホロンジイソシアネートと(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルとの付加体、トリレンジイソシアネートと(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルとの付加体、アダクト変性イソホロンジイソシアネートと(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルとの付加体及びビウレット変性イソホロンジイソシアネートと(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルとの付加体が好ましい。
アクリル系官能基を含まないオリゴマーとしては、アクリルオリゴマー、ポリエステルオリゴマー、エポキシオリゴマー、ウレタンオリゴマー、ポリエーテルオリゴマー、アルキッドオリゴマー、ポリブタジエンオリゴマー、ポリチオールポリエンオリゴマー及びスピロアセタールオリゴマーの各オリゴマー、多価アルコールの多官能(メタ)アクリル酸エステルからなるオリゴマーが挙げられる。
(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマーとしては、上記オリゴマーに(メタ)アクリロイル基を付加させたオリゴマーが挙げられる。(メタ)アクリロイル基を含まない各種重合体としては、上記(メタ)アクリロイル基を含まないオリゴマーの重合体タイプが挙げられる。(メタ)アクリロイル基を有する重合体としては、上記(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマーの重合体タイプが挙げられる。
これらオリゴマー及び重合体については、各種機能を発揮させることができるように、又は隣り合う層との密着性を向上させることができるように選択することが好ましい。例えば、密着性について言えば、隣り合う層を形成している樹脂と親和性のある樹脂を選択することが好ましい。すなわち、前記活性エネルギー線硬化型樹脂又は熱可塑性樹脂と親和性のある重合体と、活性エネルギー線硬化型樹脂又は熱可塑性樹脂と隣り合う層と親和性のある重合体の両重合体からなるブロック共重合体やグラフト共重合体等のセグメント化共重合体を選択するのがより好ましい。
重合開始剤としては、紫外線や光等の活性エネルギー線照射により重合を開始する公知の化合物が挙げられ、例えばベンゾフェノン類、アセトフェノン類、チオキサントン類が挙げられる。
活性エネルギー線硬化型樹脂をコーティング剤とする場合、重合性成分に対する重合開始剤の配合割合は、0.01〜20質量%であることが望ましい。この配合割合が0.01質量%未満の場合には、同コーティング剤から得られる被膜が完全には硬化し難く、硬化が不十分となるため好ましくない。一方、20質量%を越える場合には、硬化は十分であるが、それ以上の効果は望めず、不必要に多い量であり無駄である。
界面活性剤は、各種原料を配合したときの相溶化の目的や、被膜の平滑性を向上させる目的に用いられ、特に限定されないが、例えばポリシロキサン系化合物が挙げられる。ポリシロキサン系化合物としては直鎖状又は分岐状のポリジオルガノシロキサン系化合物が好ましく、ポリオルガノシロキサン基含有共重合体であってもよい。界面活性剤のコーティング剤中に占める配合割合は、通常0.01〜10質量%であり、0.01〜5質量%が好ましい。この配合割合が10質量%を越える場合には、相溶化又は被膜の平滑性を発現するのに必要以上の量であり意味がない。一方、0.01質量%未満の場合には、十分な効果が得られなくなる傾向にあり好ましくない。
希釈溶媒は、活性エネルギー線硬化型樹脂又は熱可塑性樹脂を形成するためのコーティング剤を塗布する際に塗布液の粘度を調整するために用いられ、非重合性のものであれば特に限定されないが、例えばトルエン、キシレン、酢酸エチル、メチルセルソルブ、エチルアルコール等が挙げられる。光増感剤としては、上記重合開始剤用の公知である物質が挙げられ、例えば、トリブチルアミン、トリエチルアミン、ポリエチレンイミン等が挙げられる。
また、上記よりなるエネルギー線硬化型樹脂又は熱可塑性樹脂のうち、フッ素原子の占める割合が0.05質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以下であることがさらに好ましく、全く含まないことが最も好ましい。この割合が0.05%を越える場合には、フッ素原子は低表面自由エネルギー成分となり、ディスプレイ用表面材の最表面上で、生体由来脂質成分が微小液滴化する傾向となるため、付着した指紋が目立ち易くなって指紋付着後の視認性を低下させるため好ましくない。
上記被覆層16形成用のコーティング剤を凹凸層13上に塗布する方法としては、ロールコート法、スピンコート法、ディップコート法、ハケ塗り法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ダイコート法、グラビアコート法、カーテンフローコート法、リバースコート法、キスコート法、コンマコート法等公知のいかなる方法でもよい。塗布に際しては、必要に応じて層間密着性を向上させるために、あらかじめコロナ放電等の何らかの前処理を施してもよい。
活性エネルギー線硬化型樹脂の硬化に用いられる活性エネルギー線源としては、例えば、高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、窒素レーザ、電子線加速装置、放射性元素等の線源等が使用される。エネルギー線源の照射量は、紫外線波長365nmでの積算光量として、50〜5000mJ/cm2が好ましい。照射量が、50mJ/cm2未満の場合には、コーティング剤の硬化が不十分となるため、好ましくない。一方、5000mJ/cm2を越える場合には、活性エネルギー線硬化型樹脂が着色する傾向を示すため、好ましくない。
前述のように透明基材11の裏面に粘着剤層14を形成することにより、ディスプレイ用表面材10をタッチパネルの表面上に接着することが容易になる。このような粘着剤層14を形成する粘着剤としては、例えばアクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等を用いることができるが、透明性の点でアクリル系粘着剤を用いるのが好ましく、また再剥離性の点でシリコーン系粘着剤を用いるのが好ましい。これら粘着剤中には、粘着性樹脂成分のほか、可塑剤、粘着付与剤等を含ませることができるが、透明性を損なわないように使用することがより望ましい。
アクリル系粘着剤の主成分である粘着性樹脂としては、(メタ)アクリル酸のアルキルエステルと官能基含有不飽和単量体との共重合体が好ましい。(メタ)アクリル酸のアルキルエステルとしては、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソオクチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸プロピル等の炭素数が1〜10のアルキル基のアルコールと(メタ)アクリル酸とのアルキルエステルが挙げられる。官能基含有不飽和単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル等の官能基含有不飽和単量体との共重合体が挙げられる。ゴム系粘着剤の主成分である粘着剤としては、スチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチレン−イソプレン系ブロック共重合体、天然ゴム等が挙げられる。これらの成分による粘着剤層の厚さは、5〜100μmであることが好ましい。
以上説明したディスプレイ用表面材10は、ディスプレイの表面に配置されて使用される。ディスプレイとしては、CRT(ブラウン管)、LCD(液晶表示装置)、PDP(プラズマディスプレイ)、FED(フィールドエミッションディスプレイ)、ELD(エレクトロルミネッセンスディスプレイ)、プロジェクションディスプレイ、タッチパネル及びタッチパネル付きのディスプレイのほか、ガラスケース、プラスチックケース等の展示用ディスプレイ等が挙げられる。
タッチパネルは上記のような各種ディスプレイに組み込まれた一体型の場合や、各種ディスプレイの表示面上に配置されるセパレート型がある。タッチパネルの方式としては公知の方式が何れも使用可能であり、特に限定されない。具体的には、超音波方式、抵抗膜方式、静電容量方式、電気歪み方式、磁気歪み方式、赤外線方式及び電磁誘導方式等の方式が挙げられる。消費電力及び製造コストの観点からは抵抗膜方式のタッチパネルが好ましく、分解能の観点からは電磁誘導方式のタッチパネルが好ましい。
図2(a)に示すように、抵抗膜方式のタッチパネル20は、片面に透明導電性薄膜21、22が設けられた固定側(図中下側)及び可動側(図中上側)の透明樹脂シートよりなる基材23、24を透明導電性薄膜21、22同士が対向するように配置し、周囲を接着用補強材25で接着して一定間隔を保持できるように構成されている。一方の透明導電性薄膜21上には多数の絶縁スペーサ26が点状に設けられ、対向する透明導電性薄膜21、22間が絶縁される構造となっている。上記基材23、24、透明導電性薄膜21、22、絶縁スペーサ26等によりタッチパネル本体が構成されている。可動側の基材24上には、前記ディスプレイ用表面材10が設けられている。或いは、図2(b)に示すタッチパネル20は、図2(a)の構成において、可動側の基材24表面には、粘着剤層14によって透明基材11が接着され、その表面に凹凸層13が設けられている。そして、入力ペン27又は指でディスプレイ用表面材10を押圧することにより、可動側の透明導電性薄膜22を固定側の透明導電性薄膜21に接触させ電気的に導通させて入力できるように構成されている。
電磁誘導方式のタッチパネル20は、図3に示すように、基材24の表面には、粘着剤層14によって透明基材11が接着され、その表面に凹凸層13が設けられている。基材24の裏面には液晶素子(LCD)に受信回路が張り巡らされたペン位置検出器28が設けられて構成されている。さらに、図示しない送信コイルが内蔵された電磁型の入力ペン27が備えられている。そして、入力ペン27で凹凸層13を押圧することにより、電磁誘導が引き起こされて発生した電磁波がペン位置検出器28で検出されて入力位置が記録されるように構成されている。前記抵抗膜方式及び電磁誘導方式のいずれのタッチパネル20においても、入力操作等に際して指、手等がディスプレイ用表面材10の表面に接触し、生体由来脂質成分が付着する。
ディスプレイ表面の視認性を損なわないという観点から、全光線透過率は好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上である。全光線透過率が80%未満であると、ディスプレイ表面に暗さを感じ、視認性が悪くなる。また、ヘイズ値は好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下である。ヘイズ値が5%を越える場合、不透明感を感じて視認性が悪くなる。
さて、本実施形態の作用について説明すると、ディスプレイ用表面材10は、例えば透明基材11の表面にアルミナ層よりなる凹凸層13を形成し、それを温水に浸漬して表面を凹凸化することにより製造される。その凹凸層13の表面には、算術平均粗さ(Ra)が20〜200nm、凹凸間の平均間隔(Sm)が5〜600nmという微細な凹凸部12が形成されている。このディスプレイ用表面材10をディスプレイとしてのタッチパネル20表面に配置して使用する場合、ディスプレイ用表面材10の表面を入力ペン27で押圧することでタッチパネル20の操作が行われる。この操作に際して指等がディスプレイ用表面材10の表面に接触する。
従って、ディスプレイ用表面材10の表面には指紋を形成する生体由来脂質成分が付着し、タッチパネル20の視認性が低下する。ところが、ディスプレイ用表面材10の表面には前記のようなナノオーダーの微細な凹凸部12が形成されていることから、指紋を形成する生体由来脂質成分がその凹凸部12の凹部12aに毛細管現象によって速やかに入り込む。従って、指紋の生体由来脂質成分による乱反射が抑えられ、指紋が視認されなくなってタッチパネル20の画像の視認性を向上させることができる。
以上の実施形態によって発揮される効果について、以下にまとめて記載する。
・ 本実施形態のディスプレイ用表面材10では、透明基材11の表面、該透明基材11上に設けられる凹凸層13の表面又は該凹凸層13上に設けられる被覆層16の表面がJIS B 0601−1994に規定される算術平均粗さ(Ra)として20〜200nm、凹凸間の平均間隔(Sm)として5〜600nmという微細な凹凸に設定されている。このため、ディスプレイ用表面材10の表面に付着した指紋を形成する生体由来脂質成分が微細に形成された凹凸部12の凹部12aに迅速に入り込む結果、指紋が視認され難くなる。さらに、透明基材11、凹凸層13又は被覆層16中にはフッ素原子が実質上ほとんど含まれておらず、フッ素原子に基づく生体由来脂質成分の液滴化が回避され、指紋が目立つのを抑制することができる。従って、付着した指紋が速やかに目立たなくなり、ディスプレイの良好な視認性を得ることができる。
・ また、上記の凹凸層13が前記(1)〜(3)の工程に基づいてアルミナ層によって形成されることにより、凹凸層13の微細な凹凸部12を精度良く、容易に形成することができる。しかも、凹凸部12を実用強度をもって、広い面積で形成することができる。
・ さらに、タッチパネル20等のディスプレイの表面に、前述のディスプレイ用表面材10を備えることにより、ディスプレイの表面でディスプレイ用表面材10の効果を奏することができ、ディスプレイの機能を十分に発揮させることができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。各例における指紋視認性評価、表面粗さ並びに全光線透過率及びヘイズ値は次に示す方法によって測定した。
1)指紋視認性評価
基材とその上に形成した被膜上に跨るように指紋を付着させ、基材側に付着した指紋との比較により、その視認性について目視による官能評価を下記の5段階にて行った。
5:全く見えない、4:指紋の一部が薄く見える、3:基材側より薄いが指紋が見える、2:基材側と同程度に指紋が見える、1:基材側より指紋が濃く見える。
2)表面粗さ
原子間力顕微鏡(セイコインスツルメント社製、商品名:SPA 400)を用いて縦5μm、横5μmの範囲を測定し、JIS B 0601−1994の規定に基づいて算術平均粗さ(Ra)及び凹凸間の平均間隔(Sm)を算出した。
3)全光線透過率及びヘイズ値
直読ヘイズメーター〔東洋精機製作所社製、商品名:直読ヘイズメーター(No.206)〕を使用して、全光線透過率(%)及びヘイズ値(%)を測定した。
(実施例1)
アルミニウム-sec-ブトキシド[Al(O−sec−Bu)]、イソプロピルアルコ−ル[IPA]及びアセト酢酸エチル[EAcAc]を混合、攪拌した。さらに、水とイソプロピルアルコールの混合液を加え、モル比で、Al(O−sec−Bu):IPA:EAcAc:HO=1:10:1:4の割合とし、約1時間室温で攪拌しアルミナゾル液を調製した。
得られたアルミナゾル液を用いてディップコーティングし、さらに乾燥して透明基材11として厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)基板上にアモルファスアルミナよりなるアルミナ層を作製した。次いで、60℃に調製した電気伝導率1.5μS/cmの温水中にアルミナ層を1時間浸漬した後、150℃オーブンにて乾燥し、凹凸層13を得た。その凹凸層13の厚さは200nmであった。
凹凸層13表面の算術平均粗さ(Ra)及び凹凸間の平均間隔(Sm)はそれぞれ、39nm及び308nmであった。次に、PETフィルムの凹凸部12と反対側の面に、シリコーン系粘着剤による粘着剤層14を形成し、ディスプレイ用表面材10を作製した。得られたディスプレイ用表面材10について、指紋視認性評価並びに全光線透過率及びヘイズ値の測定を行い、それらの結果を表1に示した。さらに、このディスプレイ用表面材10がタッチパネル本体の前面に貼り合わされたタッチパネル20を作製した。
(実施例2)
透明基材11としてPETフィルムの代わりにガラス基板を使用する以外は実施例1と同様の操作にて製膜を行い、ディスプレイ用表面材10を作製し、さらにタッチパネル20を作製した。形成された凹凸層13の厚さ、Ra及びSmはそれぞれ、210nm、38nm及び340nmであった。また、ディスプレイ用表面材10について、指紋視認性評価並びに全光線透過率及びヘイズ値の測定を行い、それらの結果を表1に示した。
(実施例3、透明基材11と凹凸層13との間に機能層15としてのハードコート層を形成)
ハードコート液として、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート70質量部、トリアクリル酸テトラメチロールメタン20質量部、1,6−ビス(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ヘキサン10質量部、光重合開始剤(商品名:IRGACURE184、チバガイギー(株)製)4質量部、イソプロパノール100質量部を混合して調製した。そのハードコート液を厚さが100μmのPETフィルムの上にバーコーターで乾燥膜厚が4μm程度になるように塗布し、紫外線照射装置(岩崎電気(株)製)により120W高圧水銀灯を用いて400mJの紫外線を照射して硬化し、ハードコート処理PETフィルムを作製した。このハードコート処理PETフィルムを透明基材11として使用した以外は、実施例1と同様にしてタッチパネル20を作製した。形成された凹凸層13の膜厚、微小な凹凸のRa及びSmはそれぞれ、210nm、45nm及び310nmであった。また、ディスプレイ用表面材10について、指紋視認性評価並びに全光線透過率及びヘイズ値の測定を行い、それらの結果を表1に示した。
(実施例4、凹凸層13表面に被覆層16を形成)
メチルメタクリレート(MMA)の単独重合体をラジカル重合により合成し、ポリメチルメタクリレート(PMMA)(表面張力:45mN/m)を得た。その1%メチルエチルケトン溶液を調製し、コーティング液とした。そのコーティング液を実施例1で得られたディスプレイ用表面材10の表面にコーティングすること以外は実施例1と同様にしてディスプレイ用表面材10及びタッチパネル20を作製した(フッ素含有量:0%)。形成された凹凸層13のRa及びSmはそれぞれ、40nm及び305nmであった。また、ディスプレイ用表面材10について、指紋視認性評価並びに全光線透過率及びヘイズ値の測定を行い、それらの結果を表1に示した。
(実施例5)
まず、PETフィルムを真空容器内に入れ、0.6Paに保持したアルゴンガス中で、RF放電電力500WでSiOターゲットをスパッタリングし、PETフィルム上に厚さ3μmの酸化シリコン膜を形成した。その酸化シリコン膜の表面を炭素及びフッ素を含むガスをPETフィルムの表面にシャワー状に供給しながら、放電電力密度1.5W/cm2のプラズマ放電によって酸化シリコン膜上を5分間エッチングし、凹凸層13を形成した。
形成された凹凸層13のRa及びSmはそれぞれ、100nm及び350nmであった。次に、PETフィルムの凹凸部12と反対側の面に、アクリル系粘着剤による粘着剤層14を形成し、ディスプレイ用表面材10を作製した。さらに、このディスプレイ用表面材10がタッチパネル本体の前面に貼り合わされたタッチパネル20を作製した。前記ディスプレイ用表面材10について、指紋視認性評価並びに全光線透過率及びヘイズ値の測定を行い、それらの結果を表1に示した。
(実施例6)
テトラエトキシシラン100.0質量部、コロイダルシリカ(日産化学(株)製、商品名:スノーテックIPA−ST、30%イソプロパノール溶液、平均粒径:12nm)50.0質量部、オクタデシルトリエトキシシラン25.0質量部及び0.1N塩酸水溶液19.3質量部を攪拌して混合液を得た。それをディップコーティング法により厚さ100μmのPETフィルム上に製膜し、100℃にて1時間加熱した。形成された凹凸層13の厚さ、Ra及びSmはそれぞれ、250nm、50nm及び307nmであった。次に、PETフィルムの凹凸部12と反対側の面に、シリコーン系粘着剤による粘着剤層14を形成し、ディスプレイ用表面材10を作製した。このディスプレイ用表面材10がタッチパネル本体の前面に貼り合わされたタッチパネル20を作製した。前記ディスプレイ用表面材10について、指紋視認性評価並びに全光線透過率及びヘイズ値の測定を行い、それらの結果を表1に示した。
(実施例7)
厚さ100μmのPETフィルム表面に酸素を含むガスをシャワー状に供給しながら、放電電力密度1.5W/cm2のプラズマ放電によって5分間エッチングし、凹凸層13を形成した。形成された凹凸層13のRa及びSmはそれぞれ、35nm及び360nmであった。次に、PETフィルムの凹凸部12と反対側の面に、アクリル系粘着剤による粘着剤層14を形成し、ディスプレイ用表面材10を作製した。さらに、このディスプレイ用表面材10がタッチパネル本体の前面に貼り合わされたタッチパネル20を作製した。前記ディスプレイ用表面材10について、指紋視認性評価並びに全光線透過率及びヘイズ値の測定を行い、それらの結果を表1に示した。
(実施例8)
一辺が200nmの正方形で深さ400nmの凹所がピッチ200nmで均等に並んだパターンを有するスタンパをシリコンウエハ上に作製した。スタンパを、透明基材11である厚さ100μmのPETフィルム上にセットした。次に、0.1Torr以下に減圧後、150℃に加熱し、12MPaの圧力で10分間保持し、PETフィルム上にスタンプし、100℃以下になるまで放冷後、大気開放を行い、PETフィルム上に凹凸層13を作製した。
形成された凹凸層13のRa及びSmはそれぞれ、198nm及び405nmであった。次に、PETフィルムの凹凸部12と反対側の面に、アクリル系粘着剤による粘着剤層14を形成し、ディスプレイ用表面材10を作製した。さらに、このディスプレイ用表面材10がタッチパネル本体の前面に貼り合わされたタッチパネル20を作製した。前記ディスプレイ用表面材10について、指紋視認性評価並びに全光線透過率及びヘイズ値の測定を行い、それらの結果を表1に示した。
(比較例1)
メチルメタクリレート(MMA)99.8質量%とパーフルオロオクチルエチルアクリレート(FA)0.2質量%との共重合体をメチルエチルケトンに1質量%となるように溶解し、コーティング液とした。そのコーティング液により、実施例1で得られたディスプレイ用表面材10の表面を処理すること以外は実施例1と同様にしてタッチパネル20を作製した(コーティング液による凹凸層13のフッ素原子の含有量:0.12質量%)。形成された凹凸層13のRa及びSmはそれぞれ、37nm及び300nmであった。前記ディスプレイ用表面材10について、指紋視認性評価並びに全光線透過率及びヘイズ値の測定を行い、それらの結果を表2に示した。
(比較例2)
処理する温水の電気伝導率が250μS/cmである以外は実施例1と同様な手法にてディスプレイ用表面材10を作製した。凹凸層13の厚さ、表面のRa及びSmはそれぞれ、210nm、3nm及び140nmであった。このディスプレイ用表面材10をタッチパネル本体の前面に貼り合わせてタッチパネル20を作製した。前記ディスプレイ用表面材10について、指紋視認性評価並びに全光線透過率及びヘイズ値の測定を行い、それらの結果を表2に示した。
Figure 2007034027
Figure 2007034027
表1に示した結果より、実施例1〜8では指紋視認性評価が良好であった。実施例4では凹凸層13の上に指紋になじむ被覆層16を設けたことから、実施例1〜3に比べて指紋視認性評価が向上した。また、実施例8では表面における凹凸層13のRaが198nmで好ましい範囲を外れていたため、指紋視認性評価は実施例1〜7に比べて低下した。一方、表2に示した結果より、比較例1では凹凸層13に含まれるフッ素原子の割合が0.12質量%であったため、指紋視認性は指紋が基材側より濃く見える状態であった。さらに、比較例2では表面における凹凸のRaが3nmという小さい表面粗さであったため、指紋視認性は指紋が基材側と同程度に濃く見える結果であった。
なお、本実施形態は、次のように変更して実施することも可能である。
・ 指紋以外の生体由来脂質成分に対してディスプレイ用表面材10の視認性を向上させるように構成することができる。
・ 透明基材11の裏面に粘着剤層14を設けることなく、接着剤等を用いてディスプレイ用表面材10をディスプレイの表面に取付けるように構成することもできる。
さらに、前記実施形態より把握される技術的思想について以下に記載する。
・ 前記被覆層は、指紋を形成する生体由来脂質成分に親和性を示す指紋なじみ層であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のディスプレイ用表面材。このように構成した場合、請求項1又は請求項2に係る発明の効果を向上させることができる。
・ 前記透明基材と凹凸層との間には、ディスプレイ用表面材としての機能を発現する機能層を設けることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のディスプレイ用表面材。このように構成した場合、請求項1又は請求項2に係る発明の効果に加えて、機能層に基づく機能を発揮することができる。
・ 前記透明基材の裏面には粘着剤層が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のディスプレイ用表面材。このように構成した場合、請求項1又は請求項2に係る発明の効果に加え、ディスプレイ用表面材をディスプレイの表面に容易に貼着することができる。
(a)〜(d)は実施形態における4種類のディスプレイ用表面材を示す断面図。 (a)は抵抗膜方式のタッチパネルを模式的に示す断面図、(b)は別の形態の抵抗膜方式のタッチパネルを模式的に示す断面図。 電磁誘導方式のタッチパネルを模式的に示す断面図。
符号の説明
10…ディスプレイ用表面材、11…透明基材、12…凹凸部、13…凹凸層、16…被覆層、20…ディスプレイとしてのタッチパネル。

Claims (3)

  1. ディスプレイの表面に配置されて用いられるディスプレイ用表面材であって、透明基材の表面、該透明基材上に設けられる凹凸層の表面又は該凹凸層上に設けられる被覆層の表面がJIS B 0601−1994に規定される算術平均粗さ(Ra)として20〜200nm、凹凸間の平均間隔(Sm)として5〜600nmであり、かつ透明基材、凹凸層又は被覆層中にはフッ素原子を含有しないか、又はフッ素原子の含有量が0.05質量%以下であることを特徴とするディスプレイ用表面材。
  2. 前記凹凸層は、下記(1)〜(3)の工程に基づいて設けられるものであることを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ用表面材。
    (1)アルミニウムアルコキシド、有機溶剤及びキレート化剤からなる混合溶液に水を加えてアルミナゾル液を調製する工程。
    (2)前記アルミナゾル液を透明基材上に塗布し、乾燥してアモルファスアルミナよりなるアルミナ層を形成する工程。
    (3)前記アルミナ層を、電気伝導率が200μS/cm以下の温水に浸漬し、アルミナ層の表面を凹凸化する工程。
  3. 表面に請求項1又は請求項2に記載のディスプレイ用表面材が配置されて構成されていることを特徴とするディスプレイ。
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