JP2013171287A - 防汚層、防汚性基材、表示装置および入力装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】防汚性基材は、表面を有する基材1と、基材の表面に設けられた防汚層2とを備える。防汚層2が、末端以外の部分にエステル結合を有する第1の化合物、および環状炭化水素基を有する第2の化合物の少なくとも一方を含んでいる。防汚層2の表面におけるオレイン酸の前進接触角が15°以下であり、防汚層の表面におけるオレイン酸の後退接触角が10°以下である。
【選択図】図1
Description
表面を有する基材と、
基材の表面に設けられた防汚層と
を備え、
防汚層が、末端以外の部分にエステル結合を有する第1の化合物、および環状炭化水素基を有する第2の化合物の少なくとも一方を含み、
第1の化合物および第2の化合物の少なくとも一方は、基材の表面に吸着され、
防汚層の表面におけるオレイン酸の前進接触角が15°以下であり、
防汚層の表面におけるオレイン酸の後退接触角が10°以下である防汚性基材である。
表面を有する基材と、
基材の表面に設けられた防汚層と
を備え、
防汚層が、末端以外の部分にエステル結合を有する第1の化合物、および環状炭化水素基を有する第2の化合物の少なくとも一方を含み、
第1の化合物は、下記の式(1)または式(2)で表され、
第2の化合物は、下記の式(3)または式(4)で表され、
防汚層の表面におけるオレイン酸の前進接触角が15°以下であり、
防汚層の表面におけるオレイン酸の後退接触角が10°以下である防汚性基材である。
表面を有する基材と、
基材の表面に設けられた防汚層と
を備え、
防汚層が、末端以外の部分にエステル結合を有する第1の化合物、および環状炭化水素基を有する第2の化合物の少なくとも一方を含み、
防汚層が、第2の化合物とともに、末端に鎖状炭化水素基を有する第3の化合物をさらに含み、
第3の化合物は、下記の式(5)または式(6)で表され、
防汚層の表面におけるオレイン酸の前進接触角が15°以下であり、
防汚層の表面におけるオレイン酸の後退接触角が10°以下である防汚性基材である。
末端以外の部分にエステル結合を有する第1の化合物、および環状炭化水素基を有する第2の化合物の少なくとも一方を含み、
第1の化合物および第2の化合物の少なくとも一方は、基材の表面に吸着され、
表面におけるオレイン酸の前進接触角が15°以下であり、
表面におけるオレイン酸の後退接触角が10°以下である防汚層である。
第5の技術は、
末端以外の部分にエステル結合を有する第1の化合物、および環状炭化水素基を有する第2の化合物の少なくとも一方を含み、
第1の化合物は、下記の式(1)または式(2)で表され、
第2の化合物は、下記の式(3)または式(4)で表され、
表面におけるオレイン酸の前進接触角が15°以下であり、
表面におけるオレイン酸の後退接触角が10°以下である防汚層である。
末端以外の部分にエステル結合を有する第1の化合物、および環状炭化水素基を有する第2の化合物の少なくとも一方を含み、
防汚層が、第2の化合物とともに、末端に鎖状炭化水素基を有する第3の化合物をさらに含み、
第3の化合物は、下記の式(5)または式(6)で表され、
表面におけるオレイン酸の前進接触角が15°以下であり、
表面におけるオレイン酸の後退接触角が10°以下である防汚層である。
1.第1の実施形態(耐指紋表面を有する防汚性基材の例)
2.第2の実施形態(耐指紋表面を有する防汚性基材の例)
3.第3の実施形態(耐指紋表面を有する防汚性基材の例)
4.第4の実施形態(耐指紋表面を有する表示装置の例)
5.第5の実施形態(耐指紋表面を有する入力装置の例)
[防汚性基材の構成]
図1は、本技術の第1の実施形態に係る防汚性基材の一構成例を示す断面図である。この防汚性基材は、図1に示すように、基材1と、基材1の一方の主面に設けられた防汚層2とを備える。防汚性基材は、防汚層2が設けられた側の表面に耐指紋表面(防汚性表面)Sを有している。
基材1は、例えば、透明性を有する無機基材またはプラスチック基材である。基材1の形状としては、例えば、フィルム状、シート状、板状、ブロック状などを用いることができる。無機基材の材料としては、例えば、石英、サファイア、ガラスなどが挙げられる。プラスチック基材の材料としては、例えば、公知の高分子材料を用いることができる。公知の高分子材料としては、具体的には例えば、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエステル(TPEE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、アラミド、ポリエチレン(PE)、ポリアクリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン(PP)、ジアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)などがあげられる。
防汚層2は、末端以外の部分にエステル結合を有する第1の化合物、および環状炭化水素基を有する第2の化合物の少なくとも一方を含んでいる表面改質層である。防汚層2が第1の化合物および第2の化合物の少なくとも一方を含むことで、指紋払拭性を向上することができる。ここで、末端とは、主鎖および側鎖の末端を示す。防汚層2は、例えば、ウエットプロセスまたはドライプロセスにより形成されるコーティング層である。
第1の化合物は、末端以外の部分にエステル結合を有していればよく、有機材料でも有機−無機の複合材料でも、また高分子材料でも単分子材料でも構わない。また、第1の化合物は、エステル結合を有してさえいれば、それ以外の分子構造については特に限定されるものではなく、いかなる官能基、結合部位、ヘテロ原子、ハロゲン原子および金属原子などを有していてもよい。第1の化合物としては、例えば、下記の式(1)または式(2)に示す構造を分子内に有する化合物を用いることができる。
第2の化合物は、環状炭化水素基を有している。環状炭化水素基は、例えば、不飽和環状炭化水素基および飽和環状炭化水素基のいずれであってもよく、不飽和環状炭化水素基および飽和環状炭化水素基の両方を分子内に有していてもよい。防汚層2が、不飽和環状炭化水素基を有する第2の化合物と飽和環状炭化水素基を有する第2の化合物とを両方含んでいてもよい。環状炭化水素基は単環式および多環式のいずれであってもよい。またこれらの環状炭化水素基は別の置換基を有していてもよい。別の置換基としては、例えば、炭化水素基、スルホ基(スルホン酸塩含む)、スルホニル基、スルホンアミド基、カルボン酸基(カルボン酸塩含む)、アミノ基、アミド基、リン酸基(リン酸塩、リン酸エステル含む)、フォスフィノ基、シラノール基、エポキシ基、イソシアネート基、シアノ基、チオール基または水酸基などである。第2の化合物は、環状炭化水素基を含んでいれば有機材料でも有機−無機の複合材料でも、また高分子材料でも単分子材料でも構わない。第2の化合物は、環状炭化水素基を有してさえいれば、それ以外の分子構造については特に限定されるものではなく、いかなる官能基、結合部位、ヘテロ原子、ハロゲン原子および金属原子などを有していてもよい。飽和環状炭化水素基としては、例えば、炭素数5以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造などを有する基を挙げることができる。より具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロドデシル基、アダマンチル基、ノルアダマンチル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、ステロイド基などを挙げることができる。不飽和環状炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ピレニル基、ペンタセニル基、アントリル基などを挙げることができる。
第3の化合物は、末端に鎖状炭化水素基(非環系炭化水素基)を有している。鎖状炭化水素基は、例えば、不飽和鎖状炭化水素基および飽和鎖状炭化水素基のいずれであってもよく、不飽和鎖状炭化水素基および飽和鎖状炭化水素基の両方を分子内に有していてもよい。鎖状炭化水素基は直鎖および分岐鎖のいずれであってもよく、直鎖の炭化水素基および分岐鎖の炭化水素基の両方を分子内に有していてもよい。また、鎖状炭化水素基は別の置換基を有していてもよい。別の置換基としては、例えば、炭化水素基、スルホ基(スルホン酸塩含む)、スルホニル基、スルホンアミド基、カルボン酸基(カルボン酸塩含む)、アミノ基、アミド基、リン酸基(リン酸塩、リン酸エステル含む)、フォスフィノ基、シラノール基、エポキシ基、イソシアネート基、シアノ基、チオール基または水酸基などが挙げられる。
防汚性基材が耐指紋表面Sを有しているか否かは、例えば以下のようにして確認することができる。まず、防汚性基材の表面の動的接触角を測定し、オレイン酸の前進接触角が15°以下であり、オレイン酸の後退接触角が10°以下の範囲内であるか否かを確認する。そして、オレイン酸の前進接触角およびオレイン酸の後退接触角が上記範囲内であれば、防汚性基材が耐指紋表面Sを有していると判断できる。
まず、防汚性基材の表面の材料を溶剤で抽出後、組成分析をガスクロマトグラフ質量分析法(Gas Chromatograph-Mass Spectrometry:GC−MASS)で行う。そして、上述の第1の化合物および第2の化合物の少なくとも一方が検出されれば、防汚性基材が耐指紋表面Sを有していると判断できる。
上述の2つの確認方法を組み合わせて、防汚性基材が耐指紋表面Sを有しているか否かを確認するようにしてもよい。
以下、ウエットプロセスを用いた防汚性基材の製造方法の一例について説明する。
まず、樹脂成分を溶媒に溶かして樹脂組成物を調製する。溶媒としては、例えば、水または有機溶剤が用いることができる。樹脂組成物は、エネルギー線硬化性樹脂組成物および熱硬化性樹脂組成物の少なくとも一方を主成分としている。
次に、調製した樹脂組成物を基材の一主面または両主面に塗布または印刷する。塗布方法としては、例えば、ワイヤーバーコーティング、ブレードコーティング、スピンコーティング、リバースロールコーティング、ダイコーティング、スプレーコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、マイクログラビアコーティング、リップコーティング、エアーナイフコーティング、カーテンコーティング、コンマコート法、ディッピング法などを用いることができる。印刷方式としては、例えば、凸版印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法、凹版印刷法、ゴム版印刷法、インクジェット法、スクリーン印刷法などを用いることができる。
次に、必要に応じて、樹脂組成物を乾燥させることにより、溶剤を揮発させる。乾燥条件は特に限定されるものではなく、自然乾燥であっても、乾燥温度や乾燥時間などを調整する人工的乾燥であってもよい。但し、乾燥時に塗料表面に風を当てる場合、塗膜表面に風紋が生じないようすることが好ましい。また、乾燥温度および乾燥時間は塗料中に含まれる溶剤の沸点によって適宜決定することが可能である。その場合、乾燥温度および乾燥時間は、基材11の耐熱性を配慮し、熱収縮により基材11の変形が起きない範囲で選定することが好ましい。
次に、例えば、電離放射線照射または熱により、基材1の一主面に塗布された樹脂組成物を硬化させる。これにより、基材1の一主面または両主面に防汚層2が形成される。電離放射線としては、例えば、電子線、紫外線、可視光線、ガンマ線、電子線などを用いることができ、生産設備の観点から、紫外線が好ましい。積算照射量は、樹脂組成物の硬化特性、樹脂組成物や基材11の黄変抑制などを考慮して適宜選択することが好ましい。また、照射の雰囲気としては、樹脂組成物の種類に応じて適宜選択することが好ましく、例えば、空気、窒素、アルゴンなどの不活性ガスの雰囲気が挙げられる。
以上により、目的とする防汚性基材が得られる。
第1の実施形態によれば、防汚性基材の耐指紋表面Sにおけるオレイン酸の前進接触角を15°以下とし、オレイン酸の後退接触角を10°以下としているので、防汚性基材の耐指紋表面Sに付着した指紋を指などで擦ってうすく濡れ広がらせて、目立たなくすることができる。したがって、指などによる指紋払拭性を向上できる。
上述の第1の実施形態では、防汚層2が、環状炭化水素基を有する第2の化合物と、末端に鎖状炭化水素基を有する第3の化合物との両方の化合物を含む構成を例として説明したが、本技術はこの例に限定されるものではない。防汚層2が、環状炭化水素基を有し、かつ、末端に鎖状炭化水素基を有する第4の化合物を含む構成を採用してもよい。この場合にも、上述の第1の実施形態と同様の指紋払拭性を得ることができる。
図3は、第1の変形例に係る防汚性基材の一構成例を示す断面図である。この防汚性基材は、図3に示すように、基材1と防汚層2との間に設けられたアンカー層3をさらに備える点において、第1の実施形態に係る防汚性基材とは異なっている。このように基材1と防汚層2との間に設けられたアンカー層3を備えることで、基材1と防汚層2との密着性を向上することができる。
図4は、第2の変形例に係る防汚性基材の一構成例を示す断面図である。この防汚性基材は、図4に示すように、基材1と防汚層2との間に設けられたハードコート層4をさらに備える点において、第1の実施形態に係る防汚性基材とは異なっている。基材1としてプラスチックフィルムなどの樹脂基材を用いる場合には、このようにハードコート層4を設けることが特に好ましい。上述したように基材1と防汚層2との間にハードコート層4を備えることで、実用特性(例えば耐久性や鉛筆硬度など)を向上することができる。
図5は、第3の変形例に係る防汚性基材の一構成例を示す断面図である。この防汚性基材は、図5に示すように、基材1と防汚層2との間に設けられたハードコート層4と、基材1とハードコート層4との間に設けられたアンカー層3とをさらに備える点において、第1の実施形態に係る防汚性基材とは異なっている。基材1としてプラスチックフィルムなどの樹脂基材を用いる場合には、このようにハードコート層4を設けることが特に好ましい。
図6は、第4の変形例に係る防汚性基材の一構成例を示す断面図である。この防汚性基材は、図6に示すように、基材1の両主面にハードコート4をさらに備える点において、第1の実施形態に係る防汚性基材とは異なっている。防汚層2は、基材1の両主面に設けられたハードコート層4のうちの一方の表面上に設けられる。基材1としてプラスチックフィルムなどの樹脂基材を用いる場合には、このようにハードコート層4を設けることが特に好ましい。
図7は、第5の変形例に係る防汚性基材の一構成例を示す断面図である。この防汚性基材は、図7に示すように、基材1の両主面にアンカー層3およびハードコート4をさらに備える点において、第1の実施形態に係る防汚性基材とは異なっている。アンカー層3が、基材1とハードコート層4との間に設けられる。防汚層2は、基材1の両主面に設けられたハードコート層4のうちの一方の表面上に設けられる。基材1としてプラスチックフィルムなどの樹脂基材を用いる場合には、このようにハードコート層4を設けることが特に好ましい。
[防汚性基材の構成]
図8A〜図8Cは、本技術の第2の実施形態に係る防汚性基材の構成例を示す模式図である。第2の実施形態に係る防汚性基材は、基材1の一方の主面に吸着化合物2aが吸着されて、防汚層2が形成されている点において、第1の実施形態に係る防汚性基材とは異なっている。ここで、基材1が防汚層以外の層(アンカー層、ハードコート層など)を含んでいてもよい。防汚層2は、例えば、吸着化合物2aにより形成される単分子層である。吸着化合物2aが吸着される領域は、基材1の一方の主面に限定されるものではなく、基材1の両主面、またはその一部の領域であってもよく、手や指などで頻繁に触れる主面または領域のみに選択的に吸着化合物2aを吸着させるようにしてもよい。
以下、ウエットプロセスを用いた防汚性基材の製造方法の一例について説明する。
まず、吸着化合物2aを溶媒に溶かして処理溶液を調製する。吸着化合物2aが常温で液体である場合、または加熱処理などを施して液体状態にした場合には、そのまま用いることもできる。この処理溶液が基材1の表面に接近することで、吸着化合物2aが吸着される。処理溶液中の吸着化合物の量を増やしたほうが吸着速度は向上するため、化合物濃度は大きいほうが好ましく、具体的には0.01質量%以上が好ましい。
次に、例えば、処理対象物である基材1を処理溶液に浸漬するか、もしくは処理対象物である基材1の一主面または両主面に一定量の処理溶液を塗布または印刷する。
第2の実施形態によれば、基材1の表面に吸着化合物2aを吸着させて、防汚層2を基材1の表面に形成しているので、上述の第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
上述の第1の実施形態および第2の実施形態では、防汚性基材の製造方法としてウエットプロセスを用いる方法を例として説明したが、防汚性基材の製造方法はこの例に限定されるものではなく、ドライプロセスを用いることも可能である。すなわち、ドライプロセスにより、上述の第1の実施形態または第2の実施形態の防汚層2を基材1の表面に直接成膜することも可能である。
図9Aは、本技術の第3の実施形態に係る防汚性基材の一構成例を示す断面図である。図9Bは、本技術の第3の実施形態に係る防汚性基材の一構成例を示す平面図である。
第3の実施形態に係る防汚性基材は、防汚層2の耐指紋表面Sに凹部2aが設けられている点において、第1の実施形態とは異なっている。
図10Bは、凹凸面における毛管現象を説明するための略線図である。凹凸面における毛管現象は、以下のLucas−Washburnの式(1)により表される。
L=√(rγcosθt/2η) ・・・(1)
L=変位(進む距離)、r:毛管半径、γcosθ:浸透力、γ:液体の表面張力、θ:接触角、η:粘度、t:時間
図10Cは、凹凸面の接触角を説明するための概略図である。凹凸面の接触角は、以下のWenzelの式(2)により表される。
cosθ*=rcosθ ・・・(2)
r(実面積係数):Aact/Aapp(Aact:実際の面積、Aapp:みかけの面積)、θ*:凹凸面の接触角、θ:平滑面の接触角
図11は、変形例に係る防汚性基材の一構成例を示す断面図である。基材1の表面に凹部1aを設け、この凹部1aに倣うように防汚層2の凹部2aを設けるようにしてもよい。この構成の防汚性基材では、防汚層2として第2の実施形態の防汚層2を採用するようにしてもよい。すなわち、複数の凹部1aが設けられた基材1の表面に、吸着化合物2aを吸着させて、防汚層2を設けるようにしてもよい。
図12は、本技術の第4の実施形態に係る表示装置の一構成例を示す斜視図である。図12に示すように、表示装置101の表示面S1に防汚層2が設けられている。図12では、防汚層2を表示装置101の表示面S1に直接設ける例が示されているが、防汚性基材を表示装置101の表示面S1に適用することにより、防汚層2を表示装置101の表示面S1に設けるようにしてもよい。このように表示面S1に対して防汚性基材を適用する場合には、防汚性基材を表示装置101の表示面S1に貼合層を介して貼り合わせる構成を採用することができる。この構成を採用する場合には、防汚性基材の基材1としては、透明性および可撓性を有するシートなどを用いることが好ましい。
図13Aは、本技術の第5の実施形態に係る表示装置の一構成例を示す斜視図である。図13Aに示すように、表示装置101の表示面S1上に入力装置102が設けられている。そして、入力装置102の入力面S2上に防汚層2が設けられている。表示装置101と入力装置102とは、例えば粘着剤などからなる貼合層を介して貼り合わされている。図13Aでは、防汚層2を入力装置102の入力面S2に直接設ける例が示されているが、防汚性基材を入力装置102の入力面S2に適用することにより、防汚層2を入力装置2の表示面S1に設けるようにしてもよい。このように入力面S2に対して防汚性基材を適用する場合には、防汚性基材を入力装置102の入力面S2に貼合層を介して貼り合わせる構成を採用することができる。この構成を採用する場合には、防汚性基材の基材1としては、透明性および可撓性を有するシートなどを用いることが好ましい。
図13Bは、本技術の第5の実施形態に係る入力装置の変形例を示す分解斜視図である。図13Bに示すように、入力装置102の入力面S2にフロントパネル(表面部材)103をさらに備えるようにしてもよい。この場合、フロントパネル103のパネル表面S3に防汚層2が設けられる。入力装置102とフロントパネル(表面部材)103とは、例えば粘着剤などからなる貼合層により貼り合わされる。
1.エステル結合を有する化合物を含む表面
2.環状炭化水素基を有する化合物含む表面
3.動的接触角
4.溝形状を有する表面
(実施例1)
下記の配合を有する樹脂組成物を、厚み80μmのTACフィルム(富士フィルム社製)にコイルバー番手3を用いて塗布し、80℃で2分乾燥することで、TACフィルム上に防汚層を形成した。これにより、目的とする防汚性フィルムが得られた。
下記の式(10)に示す構造を有する化合物:10質量%
溶剤(メチルイソブチルケトン):90質量%
R1、R2、R6は炭化水素基、R3は炭素数が2個以上の炭化水素基、R5は炭素数が2個以上の基であり、中間および/または末端にアミノ基を有している。
下記の配合を有する樹脂組成物を、厚み80μmのTACフィルム(富士フィルム社製)にコイルバー番手3を用いて塗布し、80℃で2分乾燥することで、TACフィルム上に防汚層を形成した。これにより、目的とする防汚性フィルムが得られた。
下記の式(11)に示す構造を有する化合物:10質量%
溶剤(メチルエチルケトン):90質量%
R1〜R4は炭化水素基である。
下記の配合を有する樹脂組成物を、厚み80μmのTACフィルム(富士フィルム社製)にコイルバー番手5を用いて塗布し、80℃で2分乾燥後、窒素雰囲気下でUV硬化することで、TACフィルム上に防汚層を形成した。
親水ハードコート(中国塗料株式会社製、商品名:フォルシード440C−M開始剤抜き):38.4質量%
多官能アクリレート(新中村化学工業株式会社製、商品名:A−TMM−3L):10.5質量%
光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製、商品名:イルガキュアー127):1.1質量%
溶剤(エタノール):50質量%
下記の式(12)に示す構造を有する化合物:10質量%
溶剤(アセトニトリル):90質量%
R1、R2、R6は炭化水素基、R3は炭素数が2個以上の炭化水素基、R5は炭素数が2個以上の基であり、中間および/または末端にアミノ基を有している。
下記の配合の樹脂組成物を、厚み80μmのTACフィルム(富士フィルム社製)にコイルバー番手10を用いて塗布し、80℃で2分乾燥後、窒素雰囲気下でUV硬化することで、TACフィルム上に防汚層を形成した。これにより、目的とする防汚性フィルムが得られた。
ウレタンアクリレート(サートマー社製、商品名:CN9006):9.4質量%
光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製、商品名:イルガキュアー184):0.5質量%
溶剤(t−ブタノール):90質量%
レベリング剤(下記の式(13)に示す構造を有する化合物):0.1質量%
フッ素原子を含有する、下記の式(14)に示す構造を有する化合物を、蒸着法を用いてガラス基板に付着させた。これにより、目的とする表面処理基板が得られた。
R1はフッ素原子を含む炭化水素基、R2は炭素数が5以下の炭化水素基である。
下記の配合の樹脂組成物を、厚み80μmのTACフィルム(富士フィルム社製)にコイルバー番手5を用いて塗布し、80℃で2分乾燥後窒素雰囲気下でUV硬化することで、TACフィルム上に防汚層を形成した。これにより、目的とする防汚性フィルムが得られた。
ウレタンアクリレート(サートマー社製、商品名:CN9006):9.4質量%
光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製、商品名:イルガキュアー184):0.5質量%
溶剤(t−ブタノール):90質量%
親油化剤(セチルアクリレート):0.1質量%
ポータブル接触角計(協和界面化学株式会社製、商品名:PCA−1)を用いて下記条件で水およびオレイン酸の静的接触角を評価した。その結果を表1に示した。
・水はプラスチックシリンジにいれ、その先端にステンレス製の針(15G)を取り付けて評価面に滴下した。
・オレイン酸はプラスチックシリンジにいれ、その先端にテフロン製の針(18G)を取り付けて評価面に滴下した。
・液滴滴下量:2μl(水)、1μl(オレイン酸)
・測定温度:25℃
自動接触角計(協和界面化学株式会社製、商品名:DM−501)を用いて、下記条件で滑落法によってオレイン酸の転落開始時の前進接触角と後退接触角とを評価した。その結果を表1に示した。ここで、前進接触角および後退接触角の定義は、図2を参照して説明した通りである。
・オレイン酸をプラスチックシリンジにいれて、その先端にステンレス製の針を取り付けて評価面に滴下した。
・オレイン酸滴下量:5μl
・測定温度:25℃
・転落開始の判定は液滴の傾斜下側が動き始めた時とする。
・前進接触角と後退接触角は接線法により求めた。
まず、準備したサンプルを、その評価面が上になるように黒色アクリル板(三菱レイヨン株式会社製、商品名:アクリライト)に両面粘着シート(日東電工株式会社製、商品名:LUCIACS CS9621T)を用いて貼合した。次に、評価面に指紋を付けてその部分を指で5回擦ったのち、その表面に蛍光灯を写し込み、目視で表面を観察し、以下の基準で評価でした。その結果を表1に示した。
4:評価結果「3」よりもさらに指紋付着汚れが見えなくなっている。
3:指紋付着汚れがほとんど見えなくなっている。
2:指紋付着汚れが少し見える。
1:指紋付着汚れがよく見える。
硬度は、マルテンス硬度により評価した。マルテンス硬度は、PICODENTOR HM500(商品名;(株)フィッシャー・インストルメンツ製)で評価した。荷重3mNとした。針としてダイアモンド錐体を用い、面角136°で測定した。
ポータブル接触角計(協和界面化学株式会社製、商品名:PCA−1)を用いて下記条件で水、エチレングリコールおよびヘキサデカンの静的接触角を評価し、その後Zisman Plotを用いて臨界表面張力を算出した。その結果を表1に示した。
・水およびエチレングリコールはプラスチックシリンジにいれ、その先端にステンレス製の針(15G)を取り付けて評価面に滴下した。
・ヘキサデカンはプラスチックシリンジにいれ、その先端にテフロン製の針(22G)を取り付けて評価面に滴下した。
・液滴滴下量:2μl
・測定温度:25℃
表1から以下のことがわかる。
実施例1、2:エステル結合を有する化合物により防汚層を形成しているので、オレイン酸の動的接触角が低く、良好な払拭性が得られる。
実施例3:エステル結合を有する化合物を表面に吸着させた場合でも、良好な払拭性が発現する。
実施例4:アクリル化合物を主成分とする材料により防汚層を形成した場合であっても、その材料にレベリング剤としてエステル結合を有する化合物を含有させることで、表面の動的接触角を抑制し、払拭性を改善できる。
比較例1:撥水撥油防汚表面では、動的接触角が高く、指での払拭性は悪い。
比較例2:付着指紋の見えにくい親油フィルムでも、動的接触角が高いため、指での払拭性は悪い。
(実施例5)
下記の配合を有する樹脂組成物を、厚み100μmのゼオノアフィルム(日本ゼオン株式会社製)にコイルバー番手3を用いて塗布し、80℃で2分乾燥後、窒素雰囲気下でUV硬化することで、防汚層を形成した。これにより、目的とする防汚性フィルムが得られた。
下記の式(15)に示す構造を有する2官能アクリレート:9.5質量%
イルガキュアー184(チバスペシャリティケミカルズ社製光重合開始剤):0.5質量%
溶剤(メチルイソブチルケトン):90質量%
下記の配合を有する樹脂組成物を、厚み100μmのゼオノアフィルム(日本ゼオン株式会社製)にコイルバー番手3を用いて塗布し、80℃で2分乾燥後、窒素雰囲気下でUV硬化することで、防汚層を形成した。これにより、目的とする防汚性フィルムが得られた。
下記の式(16)に示す構造を有する2官能アクリレート:9.5質量%
イルガキュアー184(チバスペシャリティケミカルズ社製光重合開始剤):0.5質量%
溶剤(メチルイソブチルケトン):90質量%
下記の配合を有する樹脂組成物を、厚み100μmのゼオノアフィルム(日本ゼオン株式会社製)にコイルバー番手3を用いて塗布し、80℃で2分乾燥後、窒素雰囲気下でUV硬化することで、防汚層を形成した。これにより、目的とする防汚性フィルムが得られた。
下記の式(17)に示す構造を有する2官能アクリレート:9.4905質量%
下記の式(18)に示す構造を有する1官能メタクリレート:0.0095質量%
イルガキュアー184(チバスペシャリティケミカルズ社製光重合開始剤):0.5質量%
溶剤(メチルイソブチルケトン):90質量%
下記の配合を有する樹脂組成物を、厚み100μmのゼオノアフィルム(日本ゼオン株式会社製)にコイルバー番手3を用いて塗布し、80℃で2分乾燥後、窒素雰囲気下でUV硬化することで、防汚層を形成した。これにより、目的とする防汚性フィルムが得られた。
下記の式(19)に示す構造を有する2官能アクリレート:9.4525質量%
下記の式(20)に示す構造を有する1官能メタクリレート:0.0475質量%
イルガキュアー184(チバスペシャリティケミカルズ社製光重合開始剤):0.5質量%
溶剤(メチルイソブチルケトン):90質量%
下記の配合を有する樹脂組成物を、厚み100μmのゼオノアフィルム(日本ゼオン株式会社製)にコイルバー番手3を用いて塗布し、80℃で2分乾燥後、窒素雰囲気下でUV硬化することで、防汚層を形成した。これにより、目的とする防汚性フィルムが得られた。
下記の式(21)に示す構造を有する2官能アクリレート:9.405質量%
下記の式(22)に示す構造を有する1官能メタクリレート:0.095質量%
イルガキュアー184(チバスペシャリティケミカルズ社製光重合開始剤):0.5質量%
溶剤(メチルイソブチルケトン):90質量%
下記の配合を有する樹脂組成物を、厚み100μmのゼオノアフィルム(日本ゼオン株式会社製)にコイルバー番手3を用いて塗布し、80℃で2分乾燥後、窒素雰囲気下でUV硬化することで、防汚層を形成した。これにより、目的とする防汚性フィルムが得られた。
下記の式(23)に示す構造を有する2官能アクリレート:9.31質量%
下記の式(24)に示す構造を有する1官能メタクリレート:0.19質量%
イルガキュアー184(チバスペシャリティケミカルズ社製光重合開始剤):0.5質量%
溶剤(メチルイソブチルケトン):90質量%
下記の配合を有する樹脂組成物を、厚み100μmのゼオノアフィルム(日本ゼオン株式会社製)にコイルバー番手3を用いて塗布し、80℃で2分乾燥後、窒素雰囲気下でUV硬化することで、防汚層を形成した。これにより、目的とする防汚性フィルムが得られた。
下記の式(25)に示す構造を有する2官能アクリレート:9.4525質量%
下記の式(26)に示す構造を有する1官能アクリレート:0.0475質量%
イルガキュアー184(チバスペシャリティケミカルズ社製光重合開始剤):0.5質量%
溶剤(メチルイソブチルケトン):90質量%
下記の配合を有する樹脂組成物に、厚み1.3mmのスライドグラス(松浪硝子工業社製)を常温で2時間ディップした。その後、アセトンでリンスし80℃で2分乾燥させ、さらに150℃で2時間硬化させた。これにより、目的とする防汚性表面が得られた。
下記の式(27)に示す構造を有する化合物:1質量%
下記の式(28)に示す構造を有する化合物:1質量%
溶剤(アセトン):98質量%
上述の実施例1〜4および比較例1、2と同様にして動的接触角を評価した。その結果を表3に示す。
上述の実施例1〜4および比較例1、2と同様にして指紋の指払拭性を評価した。その結果を表2に示す。
表2から以下のことがわかる。
実施例5、6では、環状炭化水素基を有する化合物を表面に含んでいるので、オレイン酸の動的接触角が低く、良好な払拭性が得られている。
実施例7〜10では、環状炭化水素基を有する化合物と片末端に鎖状炭化水素基を有する化合物との両方を表面に含んでいるので、オレイン酸の動的接触角が低く、良好な払拭性が得られている。
実施例11では、分岐鎖のある鎖状炭化水素基を有する化合物を表面に含んでいる。この場合でも、実施例7〜10と同様の効果が得られている。
実施例12では、環状炭化水素基を有する化合物と片末端に鎖状炭化水素基を有する化合物との両方を含むシランカップリング剤を表面に含んでいる。この場合でも、実施例7〜10と同様の効果が得られている。
環状炭化水素基を有する化合物と鎖状炭化水素基を有する化合物との両方を表面に含んでいる場合には、環状炭化水素基を有する化合物、またはエステル結合を有する化合物を単独で表面に含んでいる場合に比して、さらに良好な払拭性が得られる。
(比較例3)
下記の配合を有する樹脂組成物を、厚み80μmのTACフィルム(富士フィルム社製)にコイルバー番手3を用いて塗布し、80℃で2分乾燥することで、TACフィルム上にコーティング層を形成した。これにより、目的とする防汚性フィルムが得られた。
三酢酸セルロース(和光純薬製):10質量%
溶剤(塩化メチレン):90質量%
下記の配合を有する樹脂組成物を、厚み80μmのTACフィルム(富士フィルム社製)にコイルバー番手3を用いて塗布し、150℃で30分乾燥することで、TACフィルム上にコーティング層を形成した。これにより、目的とする防汚性フィルムが得られた。
ポリアミドイミド(東洋紡社製、商品名:HR−11NN):10質量%
溶剤(N−メチル−2−ピロリドン(NMP)):90質量%
下記の配合の樹脂組成物を、厚み80μmのTACフィルム(富士フィルム社製)にコイルバー番手3を用いて塗布し、80℃で2分乾燥後、窒素雰囲気下でUV硬化することで、TACフィルム上にコーティング層を形成した。これにより、目的とする防汚性フィルムが得られた。
ウレタンアクリレート(サートマー社製、商品名:CN9006):9.5質量%
光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製、商品名:イルガキュアー184):0.5質量%
溶剤(t−ブタノール):90質量%
上述の実施例1〜4、比較例1、2と同様にして指紋の動的接触角を評価した。その結果を表3に示す。
上述の実施例1〜4、比較例1、2と同様にして指紋の指払拭性を評価した。その結果を表3に示す。
表1〜表3に示した評価結果を総合すると、オレイン酸の動的接触角および防汚層材料の分子構造について以下のことがわかる。
オレイン酸の前進接触角が15°以下であり、後退接触角が10°以下であると、払拭性に優れ、評価面に付着した指紋を指で擦るだけで、指紋付着汚れがほとんど見えなくなる。
実施例1〜12では、防汚層の材料として分子内にエステル結合または環状炭化水素基(飽和環状炭化水素基または不飽和環状炭化水素基)を有する材料が用いられている。このような防汚層では、防汚層表面におけるオレイン酸の動的接触角が小さく、良好な払拭性が得られている。
また、末端ではない部分にエステル結合を有する化合物、または環状炭化水素基を有する化合物を表面に含むことで、上記の動的接触角の数値範囲を有する表面が得られることがわかる。
(実施例13)
まず、φ150mmのガラス基板(アトック社製、AN100材)にCr(クロム)層を厚さ1μmで蒸着した。次に、Cr層上にフォトレジスト(AZエレクトリックマテリアルズ株式会社製)をスピンコートし、100℃で2分間プレベークした。これにより、膜厚約1μmのフォトレジスト層が成膜された。
下記の式(29)に示す構造を有する樹脂:95質量%
イルガキュアー184(チバスペシャリティケミカルズ社製光重合開始剤):5質量%
上述のようにして得られた実施例13の防汚性フィルムの表面形状をレーザー顕微鏡で確認した。その結果を図14Aに示す。
上述の実施例1〜4および比較例1、2と同様にして動的接触角を評価した。その結果を表4に示す。
表4から以下のことがわかる。
実施例6では、環状炭化水素基を有する樹脂組成物を用いて平面を形成しているので、後退接触角を6.7°に低減できる。
実施例13では、実施例6と同様の樹脂組成物を用いて格子状溝を有する表面を形成しているので、後退接触角を実施例6に比してさらに低減し、4.7°とすることができる。
したがって、動的接触角をさらに低減し、指紋の指払拭性をさらに向上するためには、防汚層の表面に溝などの凹部を設けることが好ましい。
(1)
表面を有する基材と、
上記基材の表面に設けられた防汚層と
を備え、
上記防汚層が、末端以外の部分にエステル結合を有する第1の化合物、および環状炭化水素基を有する第2の化合物の少なくとも一方を含み、
上記防汚層の表面におけるオレイン酸の前進接触角が15°以下であり、
上記防汚層の表面におけるオレイン酸の後退接触角が10°以下である防汚性基材。
(2)
上記防汚層は、凹部が設けられた表面を有する(1)に記載の防汚性基材。
(3)
上記凹部は、上記防汚層の表面にある液体に対して正の毛管圧力を及ぼす(2)に記載の防汚性基材。
(4)
上記凹部の幅Wは、1nm以上1mm以下の範囲内であり、
上記凹部の深さDは、1nm以上1mm以下の範囲内である(2)または(3)に記載の防汚性基材。
(5)
上記第1の化合物および上記第2の化合物の少なくとも一方は、上記基材の表面に吸着されている(1)から(4)のいずれかに記載の防汚性基材。
(6)
上記防汚層は、上記第1の化合物および上記第2の化合物の少なくとも一方を含む単分子層である(1)から(5)のいずれかに記載の防汚性基材。
(7)
上記防汚層が、コーティング層である(1)から(6)のいずれかに記載の防汚性基材。
(8)
上記コーティング層は、エネルギー線硬化性樹脂組成物および熱硬化性樹脂組成物の少なくとも一方を含み、
上記エネルギー線硬化性樹脂組成物および熱硬化性樹脂組成物は、上記第1の化合物、および上記第2の化合物の少なくとも一方を含んでいる(7)に記載の防汚性基材。
(9)
上記第1の化合物および上記第2の化合物は、添加剤である(7)または(8)に記載の防汚性基材。
(10)
上記添加剤は、レベリング剤である(9)に記載の防汚性基材。
(11)
上記防汚層が、上記第2の化合物とともに、末端に鎖状炭化水素基を有する第3の化合物をさらに含んでいる(1)から(10)のいずれかに記載の防汚性基材。
(12)
上記第1の化合物は、下記の式(1)または式(2)で表され、
上記第2の化合物は、下記の式(3)または式(4)で表される(1)から(11)のいずれかに記載の防汚性基材。
上記式(1)および式(2)のR1、R2はそれぞれ独立に、炭化水素基、スルホ基、スルホニル基、スルホンアミド基、カルボン酸基、アミノ基、アミド基、リン酸基、フォスフィノ基、シラノール基、エポキシ基、イソシアネート基、シアノ基、チオール基、または水酸基である(12)に記載の防汚性基材。
(14)
上記第3の化合物は、下記の式(5)または式(6)で表される(11)に記載の防汚性基材。
防汚層が設けられた入力面を有し、
上記防汚層が、末端以外の部分にエステル結合を有する第1の化合物、および環状炭化水素基を有する第2の化合物の少なくとも一方を含む入力面を有し、
上記防汚層の表面におけるオレイン酸の前進接触角が15°以下であり、
上記防汚層の表面におけるオレイン酸の後退接触角が10°以下である入力装置。
(16)
防汚層が設けられた表示面を有し、
上記防汚層が、末端以外の部分にエステル結合を有する第1の化合物、および環状炭化水素基を有する第2の化合物の少なくとも一方を含み、
上記防汚層の表面におけるオレイン酸の前進接触角が15°以下であり、
上記防汚層の表面におけるオレイン酸の後退接触角が10°以下である表示装置。
(17)
末端以外の部分にエステル結合を有する第1の化合物、および環状炭化水素基を有する第2の化合物の少なくとも一方を含み、
表面におけるオレイン酸の前進接触角が15°以下であり、
表面におけるオレイン酸の後退接触角が10°以下である防汚層。
1a 凹部
2 防汚層
2a 凹部
2a 吸着化合物
3 アンカー層
4 ハードコート層
101 表示装置
102 入力装置
103 フロントパネル
S 耐指紋表面(防汚性表面)
S1 表示面
S2 入力面
S2 パネル表面
θa 前進接触角
θr 後退接触角
Claims (17)
- 表面を有する基材と、
上記基材の表面に設けられた防汚層と
を備え、
上記防汚層が、末端以外の部分にエステル結合を有する第1の化合物、および環状炭化水素基を有する第2の化合物の少なくとも一方を含み、
上記第1の化合物および上記第2の化合物の少なくとも一方は、上記基材の表面に吸着され、
上記防汚層の表面におけるオレイン酸の前進接触角が15°以下であり、
上記防汚層の表面におけるオレイン酸の後退接触角が10°以下である防汚性基材。 - 表面を有する基材と、
上記基材の表面に設けられた防汚層と
を備え、
上記防汚層が、末端以外の部分にエステル結合を有する第1の化合物、および環状炭化水素基を有する第2の化合物の少なくとも一方を含み、
上記第1の化合物は、下記の式(1)または式(2)で表され、
上記第2の化合物は、下記の式(3)または式(4)で表され、
上記防汚層の表面におけるオレイン酸の前進接触角が15°以下であり、
上記防汚層の表面におけるオレイン酸の後退接触角が10°以下である防汚性基材。
- 表面を有する基材と、
上記基材の表面に設けられた防汚層と
を備え、
上記防汚層が、末端以外の部分にエステル結合を有する第1の化合物、および環状炭化水素基を有する第2の化合物の少なくとも一方を含み、
上記防汚層が、上記第2の化合物とともに、末端に鎖状炭化水素基を有する第3の化合物をさらに含み、
上記第3の化合物は、下記の式(5)または式(6)で表され、
上記防汚層の表面におけるオレイン酸の前進接触角が15°以下であり、
上記防汚層の表面におけるオレイン酸の後退接触角が10°以下である防汚性基材。
- 上記防汚層は、凹部が設けられた表面を有する請求項1から3のいずれかに記載の防汚性基材。
- 上記凹部は、上記防汚層の表面にある液体に対して正の毛管圧力を及ぼす請求項4に記載の防汚性基材。
- 上記凹部の幅Wは、1nm以上1mm以下の範囲内であり、
上記凹部の深さDは、1nm以上1mm以下の範囲内である請求項4または5に記載の防汚性基材。 - 上記防汚層は、上記第1の化合物および上記第2の化合物の少なくとも一方を含む単分子層である請求項1に記載の防汚性基材。
- 上記防汚層が、コーティング層である請求項1から7のいずれかに記載の防汚性基材。
- 上記コーティング層は、エネルギー線硬化性樹脂組成物および熱硬化性樹脂組成物の少なくとも一方を含み、
上記エネルギー線硬化性樹脂組成物および熱硬化性樹脂組成物は、上記第1の化合物、および上記第2の化合物の少なくとも一方を含んでいる請求項8に記載の防汚性基材。 - 上記第1の化合物および上記第2の化合物は、添加剤である請求項8または9に記載の防汚性基材。
- 上記添加剤は、レベリング剤である請求項10に記載の防汚性基材。
- 上記式(1)および式(2)のR1、R2はそれぞれ独立に、炭化水素基、スルホ基、スルホニル基、スルホンアミド基、カルボン酸基、アミノ基、アミド基、リン酸基、フォスフィノ基、シラノール基、エポキシ基、イソシアネート基、シアノ基、チオール基、または水酸基である請求項2に記載の防汚性基材。
- 請求項1から12のいずれか1項に記載の防汚性基材を備える入力装置。
- 請求項1から12のいずれか1項に記載の防汚性基材を備える表示装置。
- 末端以外の部分にエステル結合を有する第1の化合物、および環状炭化水素基を有する第2の化合物の少なくとも一方を含み、
上記第1の化合物および上記第2の化合物の少なくとも一方は、上記基材の表面に吸着され、
表面におけるオレイン酸の前進接触角が15°以下であり、
表面におけるオレイン酸の後退接触角が10°以下である防汚層。 - 末端以外の部分にエステル結合を有する第1の化合物、および環状炭化水素基を有する第2の化合物の少なくとも一方を含み、
上記第1の化合物は、下記の式(1)または式(2)で表され、
上記第2の化合物は、下記の式(3)または式(4)で表され、
表面におけるオレイン酸の前進接触角が15°以下であり、
表面におけるオレイン酸の後退接触角が10°以下である防汚層。
- 末端以外の部分にエステル結合を有する第1の化合物、および環状炭化水素基を有する第2の化合物の少なくとも一方を含み、
上記防汚層が、上記第2の化合物とともに、末端に鎖状炭化水素基を有する第3の化合物をさらに含み、
上記第3の化合物は、下記の式(5)または式(6)で表され、
表面におけるオレイン酸の前進接触角が15°以下であり、
表面におけるオレイン酸の後退接触角が10°以下である防汚層。
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