JP2008007786A - 反射防止フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】透明プラスチックフィルム基材上に、(メタ)アクリロイルオキシ基を含有する多官能性モノマーを主成分とする重合体を用いてハードコート層を形成し、表面処理を行い、化学式(1)で表される有機珪素化合物、若しくはその重合体と、化学式(2)で表される有機珪素化合物、若しくはその重合体との共重合体を主成分とするコーティング溶液を用いて低屈折率層を形成すること。
【選択図】図1
Description
特に、最近のオフィスのOA化に伴い、コンピュータを使用する頻度が増し、ディスプレイと相対していることが長時間化した。これにより反射光による表示品質の低下が、目の疲労など健康障害等を引き起こす要因とも考えられている。
これらの要求を満たす対応の例として、透明基材の表面に、金属酸化物などから成る高屈折率層と低屈折率層を積層した、或いは無機や有機フッ素化合物などの低屈折率層を単層で形成した、可視光の広範囲にわたり反射防止効果を有する反射防止フィルムをディスプレイの表示画面の表面に張り合わせることが知られている。
また、これとは別に、透明プラスチックフィルム基材の表面に透明な微粒子を含むコーティング層を形成し、表面の微小な凹凸により外光を乱反射させるなどして、類似の効果が得られることも知られている。
そのため、ディスプレイの表示画面の表面に反射防止フィルムを貼り合わせた場合、擦過等による傷のため表示画像が見にくくなるほか、外観を著しく損なうものであり、また、傷をきっかけとして低屈折率層の剥離を招くなどの問題が生じる。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、擦過による低屈折率層の表面への傷が付きにくく、また、低屈折率層の剥離のない反射防止フィルムを提供することを課題とするものである。
1)1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を含有する多官能性モノマーを主成分とする重合体を用いてハードコート層を形成し、
2)該ハードコート層に表面処理を行い、
3)表面処理を行ったハードコート層上に、化学式(1)で表される有機珪素化合物、若しくはその重合体と、化学式(2)で表される有機珪素化合物、若しくはその重合体との共重合体を主成分とするコーティング溶液を用いて低屈折率層を形成し、
作製することを特徴とする反射防止フィルムである。
図1は、本発明による反射防止フィルムの一実施例を示す断面図である。図1に示すように、本発明による反射防止フィルム(10)は、透明プラスチックフィルム基材(1)の片面上にハードコート層(2)及び低屈折率層(3)が形成されたものである。
低屈折率層(3)の屈折率は、透明プラスチックフィルム基材(1)の屈折率より低い屈折率であり、透明プラスチックフィルム基材の屈折率より低い屈折率の低屈折率層を透明プラスチックフィルム基材上に形成することにより、反射防止効果を奏するものとなる。
また、透明プラスチックフィルム基材としては、単層、あるいは複数の有機高分子を積層したものでも良い。また、その厚みは、特に限定されるものではないが、70〜200μm程度が好ましい。
ハードコート層は、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を含有する多官能性モノマーを主成分とする重合体を用いて形成したものである。
多官能モノマーは、一種類のみを使用しても良いし、二種類以上を併用しても良い。また、必要で有れば単官能モノマーと併用して共重合させることもできる。
ハードコート層に平均粒子径0.01μm〜3μmの無機或いは有機物微粒子を混合分散させるか、又はハードコート層の表面形状を凹凸にさせて、一般にアンチグレアと呼ばれる光拡散性を具備させることが出来る。これらの微粒子は透明であれば特に限定されるものではないが、低屈折率材料が好ましく、酸化珪素、フッ化マグネシウムが安定性、耐熱性等で好ましい。これらのハードコート層は均一に塗布されるものであれば、塗布方法はいかなる方法でも構わない。
ハードコート層の表面処理としては、高周波放電プラズマ法、電子ビーム法、イオンビーム法、蒸着法、スパッタリング法、アルカリ処理法、酸処理、コロナ処理法、大気圧グロー放電プラズマ法等を挙げることができる。
アルカリ処理の条件は、例えば、水酸化ナトリウム水溶液を用いた場合、0.1〜10Nの濃度の水溶液として使用することが望ましく、更には、1〜2Nの濃度が望ましい。また、アルカリ水溶液の温度は、0〜100℃、好ましくは、20〜80℃である。アルカリ処理の時間は、0.01〜10時間、好ましくは、0.1〜1時間である。
また、溶媒は1種類のみならず2種類以上の混合物として用いることも可能である。
このウエットコーティング法は、複雑な形状の透明基材や、面積の広い透明基材への成膜に使用することが好ましい。
この低屈折率層は、耐擦過性、密着性に優れたものであり、擦過による低屈折率層の表面の傷付きや低屈折率層の剥離がなくなる。
反応基は、ジメチルシリコーンの両末端、片末端、側鎖中に含有するものであり、反応基としては、例えば、水酸基、アミノ基、エポキシ基、ビニル基、アクリル基、メタクリロキシ基、シラノール基、ハロゲン基、メルカブト基等が挙げられ、これらを単独に、或いは2種類以上併せて含有していてもかまわない。
<実施例1>
(ハードコート層の形成)
透明プラスチックフィルム基材としてTACフィルムを用いた。厚さ80μmのTACフィルム上に、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、及びペンタエリスリトールテトラアクリレートを用いてハードコート層用の塗布液を調整した。
このハードコート層用の塗布液をマイクログラビア法を用いて膜厚5μmで塗布し、120Wのメタルハライドランプを20cmの距離から10秒間照射することにより、ハードコート層を形成した。
(表面処理)
上記ハードコート層を形成したTACフィルムを、50℃に加熱した1.5N−NaOH水溶液に2分間浸漬しアルカリ処理を行い、水洗後、0.5N−H2SO4水溶液に室温で30秒間浸漬し中和させ、水洗、乾燥を行った。
(低屈折率層の形成)
Si(OC2H5)4を95mol、CF3(CF2)7(CH2)2Si(OCH3)3を5molの混合比で、0.1N−HClを触媒に用い共重合体を得、この共重合体からコーティング溶液を調製した。
上記表面処理を行ったハードコート層を形成したTACフィルム上にマイクログラビア法を用いてコーティング溶液を膜厚100nmで塗布し、120℃で1分間乾燥を行うことにより、低屈折率層を形成した。
(ハードコート層の形成)、及び(表面処理)は実施例1と同一である。
(低屈折率層の形成)
Si(OC2H5)4を95mol、CF3(CF2)7(CH2)2Si(OCH3)3を5molの混合比で、0.1N−HClを触媒に用い共重合体を得、この共重合体から両末端シラノール基含有ジメチルシリコーンオイルを添加したコーティング溶液を調製した。
実施例1と同一の表面処理を行ったハードコート層を形成したTACフィルム上にマイクログラビア法を用いてコーティング溶液を膜厚100nmで塗布し、120℃で1分間乾燥を行うことにより、低屈折率層を形成した。
(ハードコート層の形成)、及び(表面処理)は実施例1と同一である。
(低屈折率層の形成)
Si(OC2H5)4と、CF3(CF2)7(CH2)2Si(OCH3)3の混合モル比を、50:50、80:20、95:5、100:0とした4種類を0.1N−HClを触媒に用い共重合体を得、この共重合体から4種類のコーティング溶液を調製した。
実施例1と同一の表面処理を行ったハードコート層を形成したTACフィルム上にマイクログラビア法を用いて4種類のコーティング溶液を各々膜厚100nmで塗布し、120℃で1分間乾燥を行うことにより、4種類の低屈折率層を形成した。
(ハードコート層の形成)、及び(表面処理)は実施例1と同一である。
(低屈折率層の形成)
Si(OC2 H5 )4 の混合モル比を100とし、0.1N−HClを触媒に用い重合体を得、この重合体からコーティング溶液を調製した。 実施例1と同一の表面処理を行ったハードコート層を形成したTACフィルム上にマイクログラビア法を用いてコーティング溶液を膜厚100nmで塗布し、120℃で1分間乾燥を行うことにより低屈折率層を形成した。
(ハードコート層の形成)は実施例1と同一であり、表面処理は行わず。
(低屈折率層の形成)
Si(OC2H5)4を95mol、CF3(CF2)7(CH2)2Si(OCH3)3を5molの混合比で、0.1N−HClを触媒に用い共重合体を得、この共重合体からコーティング溶液を調製した。
ハードコート層を形成したTACフィルム上に、表面処理は行わずマイクログラビア法を用いてコーティング溶液を膜厚100nmで塗布し、120℃で1分間乾燥を行うことにより、低屈折率層を形成した。
(ハードコート層の形成)は実施例1と同一であり、表面処理は行わず。
(低屈折率層の形成)
Si(OC2H5)4の混合モル比を100とし、0.1N−HClを触媒に用い重合体を得、この重合体からコーティング溶液を調製した。
ハードコート層を形成したTACフィルム上に、表面処理は行わずマイクログラビア法を用いてコーティング溶液を膜厚100nmで塗布し、120℃で1分間乾燥を行うことにより低屈折率層を形成した。
(a)反射率測定
反射防止フィルム面をサンドペーパーでこすり、艶消しの黒色塗料を塗布した後、波長550nmの光を入射角5°で片面の反射率を測定した。
(b)接触角測定
接触角計〔協和界面科学(株)製:CA−X型〕を用いて、乾燥状態(20℃−65%RH)で直径1.0mmの液滴を針先に作り、これを反射防止フィルム(固体)の表面に接触させて液滴を作った。接触角とは、固体と液体が接する点における液体表面に対する接線と固体表面がなす角で、液体を含む方の角度で定義した。液体には、蒸留水を使用した。
尚、接触角測定は、以下の摩耗処理を行った後にも行った。評価結果を表1、表2に括弧で示す。
摩耗処理:反射防止フィルム表面をセルロース製不織布〔旭化成工業(株)製:ベンコットM−3〕により荷重500g/cm2 で100回擦る。
(c)油性ペンの拭き取り性
反射防止フィルムの表面に付着した油性ペンのインキをセルロース製不織布〔旭化成工業(株)製:ベンコットM−3〕で拭き取り、その取れ易さを目視判定で行った。判定基準を以下に示す。
○:油性ペンのインキを完全に拭き取ることが出来る。
△:油性ペンのインキの拭き取り跡が残る。
×:油性ペンのインキを拭き取ることが出来ない。
(d)指紋の拭き取り性
反射防止フィルムの表面に付着した指紋をセルロース製不織布〔旭化成工業(株)製:ベンコットM−3〕で拭き取り、その取れ易さを目視判定で行った。判定基準を以下に示す。
○:指紋を完全に拭き取ることが出来る。
△:指紋の拭き取り跡が残る。
×:指紋を拭き取ることが出来ない。
(e)耐擦傷性
反射防止フィルムの表面をスチールウール〔日本スチールウール(株)製:ボンスター#0000〕により250g/cm2で20回擦り、傷の有無を目視判定で行った(スチールウール試験)。判定基準を以下に示す。
○:傷を確認することが出来ない。
△:数本傷を確認できる。
×:傷が多数確認できる。
(f)密着性
反射防止フィルムの表面を1mm角で100点カット後、粘着セロハンテープ〔ニチバン(株)製:工業用24mm巾セロテープ(登録商標)〕による剥離の有無を目視判定で行った(クロスカットテープピール試験)。
表1に、実施例1〜2、比較例1〜3の評価結果を、また、表2に、実施例3の評価結果を示す。
1…透明プラスチックフィルム基材
2…ハードコート層
3…低屈折率層
Claims (4)
- 前記共重合体の、化学式(1)で表される有機珪素化合物、若しくはその重合体と、化学式(2)で表される有機珪素化合物、若しくはその重合体の混合モル比が、50:50〜99:1であることを特徴とする請求項1記載の反射防止フィルム。
- 前記表面処理が、アルカリ処理であることを特徴とする請求項1、又は請求項2記載の反射防止フィルム。
- 前記コーティング溶液が、反応基含有ジメチルシリコーンオイルを添加したコーティング溶液であることを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3記載の反射防止フィルム。
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