JP2007021880A - バリア性フィルムおよびそれを使用した積層材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの両方の面に、保護層、無機酸化物からなるバリア性薄膜層、および、ガスバリア性塗布膜を順次に設けることを特徴とするバリア性フィルムおよびそれを使用した積層材に関するものである。
【選択図】 図1
Description
例えば、エチレン含有率20〜60モル%、ケン化度90%以上のエチレン−ビニルアルコ−ル共重合体からなり、120℃、5分間の条件における縦方向及び横方向の寸法変化率の各々の絶対値の和が2%以下で、かつ上記条件における揮発減量が1重量%以下であり、少なくとも一軸方向に3倍以上延伸されたエチレン−ビニルアルコ−ル共重合体フィルムの片方の面に、ケイ素酸化物の透明な薄膜層が形成されてなることを特徴とするガスバリア性の優れた透明プラスチックフィルムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、金属酸化物を含有するエチレン−ビニルアルコ−ル共重合体樹脂膜表面に金属酸化物の薄膜を有するガス遮断性材料も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
更に、エチレン、酢酸ビニル及びビニルシラン系化合物の共重合体をけん化して得た、シラン含有量0.0005〜0.2モル%、酢酸ビニル成分のけん化度95モル%以上、エチレン含有率25〜60モル%である、エチレン−ビニルアルコ−ル共重合樹脂膜表面に金属酸化物の薄膜を有するガス遮断性材料も提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
次に、エチレン含有量20〜65モル%、ビニルエステル成分のけん化度90モル%以上のエチレン−ビニルエステル共重合体けん化物層の少なくとも片方の表面をプラズマ処理し、ついで該表面にケイ素酸化物をプラズマ化学蒸着することを特徴とする蒸着フィルムの製法も提案されている(例えば、特許文献4参照。)。
また、上記の特許文献2に係る発明においては、金属酸化物を含有させること自体が極めて稀なことであり、また、上記の特許文献3に係る発明においても、ビニルシラン系化合物を共重合させること自体も極めて稀なことであり、終局的には、酸素バリア性、水蒸気バリア性等に優れたガス遮断性材料を製造することは極めて困難なことである。
更に、上記の特許文献4に係る発明においては、予め、プラズマ処理を施す方法を提案されているが、上記のようなプラズマ前処理は、若干ではあるが、エチレン−ビニルエステル共重合体けん化物層の表面にダメ−ジを加えることとなり、プラズマ化学蒸着を行う前処理としては好ましくないものである。
そこで本発明は、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの面に、無機酸化物からなるバリア性薄膜層を形成する際に、その蒸着等の形成条件等による、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムへの影響を改善し、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムと無機酸化物からなるバリア性薄膜層との密着強度等を改良し、例えば、印刷加工、ラミネ−ト加工、熱処理加工、その他等の加工処理後においても、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムと無機酸化物からなるバリア性薄膜層との密着性に優れ、かつ、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性にも優れ、しかも、引っ張り、揉み、しごき等の物理ストレスにさらされても、そのガスバリア性の劣化が少なく、また、透明性等にも優れ、極めて有用なバリア性フィルムを提供することである。
更には、上記のエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムが、その両方の面に、アクリル系樹脂とポリウレタン系樹脂とを含み、かつ、固形分含有率で、前者が、50〜80重量%、後者が、20〜50重量%の割合で含む混合樹脂組成物による保護層を設けることを特徴とする上記に記載するバリア性フィルムおよびそれを使用した積層材に解するものである。
また、本発明は、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの両方の面に、無機酸化物からなるバリア性薄膜層およびガスバリア性塗布膜を順次に積層すること、更には、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの両方の面に、保護層、無機酸化物からなるバリア性薄膜層およびガスバリア性塗布膜をを順次に積層することにより、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルム自身の高湿度下でのバリア性を著しく改良すると共に無機酸化物からなるバリア性薄膜層およびガスバリア性塗布膜の両層によるバリア性により、その両者の相乗効果を発揮し、包装用材料等に使用されるバリア性素材として、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性に優れ、更に、そのガスバリア性の性能の低下も認められない極めて有用なバリア性フィルムを製造し得るものである。
本発明においては、例えば、印刷加工、ラミネ−ト加工、熱処理加工、その他等の加工処理後においても、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムと無機酸化物からなるバリア性薄膜層との密着性は損なわれず、かつ、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性にも優れ、しかも、引っ張り、揉み、しごき等の物理ストレスにさらされても、そのガスバリア性の劣化が少なく、また、透明性等にも優れ、極めて有用なバリア性フィルムを製造し得るものである。
而して、本発明は、上記のような作用効果を奏することにより、例えば、包装用材料等に使用されるバリア性基材として、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性に優れ、更に、そのガスバリア性の性能の低下も認められない極めて有用なものである。
図1および図2は、本発明に係るバリア性フィルムについてその層構成の一二例を示す概略的断面図であり、図3および図4は、本発明に係るバリア性フィルムを使用して製造した本発明に係る積層材についてその層構成の一二例を示す概略的断面図であり、図5は、図3に示す本発明に係る積層材を使用して製袋して製造した本発明に係る包装用袋についてその一例を示す概略的斜視図であり、図6は、図5に示す本発明に係る包装用袋を使用して内容物を充填包装して製造した本発明に係る包装製品についてその一例を示す概略的斜視図である。
また、本発明に係るバリア性フィルムA1 としては、図2に示すように、上記の図1に示す本発明に係るバリア性フィルムAにおいて、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルム1が、その両方の面に、更に、アクリル系樹脂とポリウレタン系樹脂とを含み、かつ、固形分含有率で、前者が、50〜80重量%、後者が、20〜50重量%の割合で含む混合樹脂組成物による保護層4、4を設けた構成からなることを基本の層構造とするものである。
なお、図2中、符号1、2、3等は、上記の図1に示すそれらの符号と同じ意味を有するものである。
なお、上記の図3および図4において、符号1、2、3、4等は、前述の図1、図2に示す符号1、2、3、4等と同じ意味である。
なお、本発明においては、図示しないが、上記で製造した本発明に係るバリア性フィルムを使用して製造した積層材を使用して製袋した本発明に係る三方シ−ル型の包装用袋を使用し、その開口部から、例えば、カレ−、シチュ−、ス−プ、ミ−トソ−ス、ハンバ−グ、ミ−トボ−ル、しゅうまい、おでん、その他等の所望の飲食品等の内容物を充填し、次いで、上方の開口部をヒ−トシ−ルして上方のシ−ル部等を形成して包装半製品を製造し、しかる後、該包装半製品を、例えば、温度、110℃〜130℃位、圧力、1〜3Kgf/cm2 ・G位で20〜60分間程度加圧加熱殺菌処理等のレトルト処理等を施して、種々の形態からなるレトルト包装製品を製造することができるものである。
また、本発明においては、上記のようなレトルト処理に代えて、例えば、90℃位で30分間位煮沸して加熱殺菌処理等を施して、ボイル加熱殺菌処理包装製品を製造することもできるものである。
なお、本発明においては、図示しないが、上記の図4に示す本発明に係るバリア性フィルムを使用して製造した積層材を使用し、上記と同様にして、上記と同様に、本発明に係るバリア性フィルムを使用して製造した積層材を使用して製袋した包装用袋、包装製品等を製造し得ることがでるものである。
なお、本発明において、本発明に係る包装用袋、包装製品等としては、上記に図示した例示の包装用袋の形状に限定されるものでないことは言うまでもないことであり、その目的、用途等により、四方シ−ル型、自立性型、ガゼット型、角底型、ピロ−型、その他等の種々の形態からなる包装用袋を製造することができるものである。
例えば、本発明においては、図示しないが、更に、その使用目的、用途等によって、他の素材等を任意に使用し、種々の形態からなるバリア性フィルム、該バリア性フィルムを使用した積層材、および、積層材を使用して製袋した包装用袋、包装製品等を設計して製造することができるものである。
また、例えば、図示しないが、本発明においては、無機酸化物からなるバリア性薄膜層としては、無機酸化物からなるバリア性薄膜層の1層からなる単層膜のみならず無機酸化物からなるバリア性薄膜層の2層以上からなる多層膜等から構成することもできるものである。
なお、本発明において、上記のような本発明に係るバリア性フィルムを使用して製造した積層材を積層する方法としては、図示しないが、例えば、例えば、アンカ−コ−ト剤によるアンカ−コ−ト剤層、ポリオレフィン系樹脂等を溶融押出した溶融押出樹脂層等を介して積層する溶融押出ラミネ−ト法、あるいは、例えば、ラミネ−ト用接着剤によるラミネ−ト用接着剤層等をを介して積層するドライラミネ−ト法、その他等により積層することができる。
而して、本発明において、上記のエチレン−ビニルエステル共重合体ケン物フィルムとしては、具体的には、例えば、エチレンとビニルエステルとの共重合体からなり、更に、酸、または、アルカリ触媒でケン化して得られるエチレン−ビニルエステル共重合体ケン物のフィルムないしシートを使用することができる。
上記において、ビニルエステルとしては、具体的には、酢酸ビニルエステル、プロピオン酸ビニルエステル、その他等を使用することができる。
また、上記において、ガスバリア性の観点から、エチレンの含有量としては、20〜65モル%、好ましくは、25〜50モル%位のものが望ましく、また、ビニルエステル成分のケン化度としては、90モル%以上、好ましくは、95モル%以上であることが望ましいものである。
上記において、一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料、その他等を使用することができ、更には、改質用樹脂等も使用することがてきる。
本発明において、上記の表面処理層としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いて処理する酸化処理、その他等の前処理を任意に施し、例えば、コロナ処理層、オゾン処理層、プラズマ処理層、酸化処理層、その他等を形成して設けることができる。
上記の表面前処理は、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物のフィルムないしシートと保護層、無機酸化物からなるバリア性薄膜層、ガスバリア性塗布膜等との密接着性等を改善するための方法として実施するものであるが、上記の密接着性を改善する方法として、その他、例えば、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物のフィルムないしシートの表面に、予め、プライマーコート剤層、アンダーコート剤層、アンカーコート剤層、接着剤層、あるいは、蒸着アンカーコート剤層等を任意に形成して、表面処理層とすることもできる。
上記の前処理のコート剤層としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレン或いはポリプロピレン等のポリオレフイン系樹脂あるいはその共重合体ないし変性樹脂、セルロース系樹脂、その他等をビヒクルの主成分とする樹脂組成物を使用することができる。
而して、本発明において、上記の保護層としては、アクリル系樹脂、具体的には、水溶性もしくは水分散性アクリル系樹脂の1種ないしそれ以上と、ポリウレタン系樹脂、具体的には、水溶性もしくは水分散性ポリウレタン系樹脂の1種ないしそれ以上とを含み、かつ、固形分含有率で、前者が、50〜80重量%、後者が、20〜50重量%の配合割合で含む混合樹脂組成物による樹脂層からなるものである。
而して、上記の官能基としては、例えば、カルボキシル基、酸無水物基、スルホン酸基またはその塩、アミド基またはアルキルメチロール化されたアミド基、アミノ基(置換アミノ基を含む)、アルキルメチロール化されたアミノ基またはそれらの塩、水酸基、エポキシ基などが挙げられ、特に、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基などが好ましいものである。
これらの基は、樹脂中に二種類以上含有されていてもよい。
また、スルホン酸基またはその塩を有する化合物としては、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、これらスルホン酸のナトリウム等の金属塩、アンモニウム塩などが挙げられる。
次に、アミド基またはアルキルメチロール化されたアミド基を有する化合物としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、メチロール化アクリルアミド、メチロール化メタクリルアミド、ウレイドビニルエーテル、β−ウレイドイソブチルビニルエーテル、ウレイドエチルアクリレート等が挙げられる。
更に、アミノ基やアルキルメチロール化されたアミノ基またはそれらの塩を有する化合物としては、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、2−アミノエチルビニルエーテル、3−アミノプロピルビニルエーテル、2−アミノブチルビニルエーテル、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、それらのアミノ基をメチロール化したもの、ハロゲン化アルキル、ジメチル硫酸、サルトン等により4級化したもの等が挙げられる。
また、水酸基を有する化合物としては、β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタクリレート、β−ヒドロキシプロピルアクリレート、β−ヒドロキシプロピルメタクリレート、β−ヒドロキシビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート等が挙げられる。
更にまた、エポキシ基を有する化合物としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等が挙げられる。
具体的には、例えば、過酸化物、アゾ化合物等の重合開始剤、熱、紫外線、放射線等によりラジカル重合を開始し、高分子量のポリマ−を製造し、而して,その重合法としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、その他等によるものである。
上記の水溶性もしくは水分散性ポリウレタン系樹脂としては、水媒体との親和性を高めたり、上記のアクリル系樹脂との反応性を高めるため、例えば、カルボキシル基またはその塩を含有するものが好ましい。
また、水酸基含有カルボン酸としては、例えば、3−ヒドロキシプロピオン酸、γ−ヒドロキシ酪酸、p−(2−ヒドロキシエチル)安息香酸、リンゴ酸などを使用することができ、また、アミノ基含有カルボン酸としては、例えば、β−アミノプロピオン酸、γ−アミノ酪酸、P−アミノ安息香酸などが挙げられる。
上記の混合樹脂組成物において、アクリル系樹脂とポリウレタン系樹脂とを固形分含有率で、前者を、50〜80重量%、後者を、20〜50重量%の配合割合で配合する場合、アクリル系樹脂を50重量%未満とすると、その理由は定かではないが、ガスバリア性能が低下するという傾向が見られることから好ましくなく、また、80重量%を超えると、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの滑り性が良すぎて、そのフィルムの巻取り加工時に蛇行等の問題が発生し、また、無機酸化物からなるバリア性薄膜層との密着力がウレタン系樹脂より低いという問題もあることから好ましくないものである。
また、逆に、ポリウレタン系樹脂を20重量%未満とすると、蒸着条件後のエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルム表面の着色が濃くなるという問題があることから好ましくなく、また、50重量%を超えると、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの滑り性が悪く、巻取り加工時に皺が入り易くなるという問題があり、また、無機酸化物からなるバリア性薄膜層に関しても耐熱性が不十分であり、ガスバリア性等が低下するという問題もあることから好ましくないものである。
更に、本発明においては、必要に応じて、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、帯電防止剤、有機系潤滑剤、有機系高分子粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔料なども使用することができる。
また、本発明においては、本発明に係る保護層の膜質を改質するために、例えば、飽和ないし不飽和のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、各種のビニル系樹脂、更には、他のアクリル系樹脂あるいはポリウレタン系樹脂等を添加することもできるものである。 更に、本発明においては、必要に応じて、上記のアクリル系樹脂とポリウレタン系樹脂との反応性を高めて、樹脂層からなる保護層の固着性(ブロッキング性)、耐水性、耐溶剤性、機械的強度の改良のため、エポキシ系架橋剤、メチロール化またはアルキルメチロール化した尿素系、メラミン系、グアナミン系、アクリルアミド系、ポリアミド系などのアミノ系化合物、アジリジン化合物、ブロックポリイソシアネート化合物、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコーアルミネートカップリング剤、過酸化物、光反応性のビニル化合物や感光性樹脂等も使用することができる。
なお、本発明においては、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムに上記のよう保護層を形成する場合、例えば、縦方向に一軸延伸したエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムに、上記の混合樹脂組成物をコ−ティングないし印刷し、乾燥または未乾燥の状態で更に横方向に延伸し、次いで、熱処理を施すことによって、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの両方の面に、本発明に係る保護層を形成することができる。
上記において、膜厚が、0.01μm未満の場合は、均一な樹脂層からなる保護層を形成することが困難であり、また、5μmを超える場合は、滑り性が低下して、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの取扱いが困難となる傾向にあることから好ましくないものである。
また、上記において、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの表面には、必要ならば、例えば、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、オゾン処理、その他等の前処理を任意に施すことができる。
本発明においては、具体的には、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの両方の面に、更には、そのエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの両方の面に設けた保護層の両方の面に、有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガスを原料とし、キャリヤ−ガスとして、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスを使用し、更に、酸素供給ガスとして、酸素ガス等を使用し、低温プラズマ発生装置等を利用する低温プラズマ化学気相成長法を用いて酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。
上記において、低温プラズマ発生装置としては、例えば、高周波プラズマ、パルス波プラズマ、マイクロ波プラズマ等の発生装置を使用することがてき、而して、本発明においては、高活性の安定したプラズマを得るためには、高周波プラズマ方式による発生装置を使用することが望ましい。
本発明においては、図7に示すように、プラズマ化学気相成長装置21の真空チャンバ−22内に配置された巻き出しロ−ル23から、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルム1、あるいは、その両方の面に保護層を設けたエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルム1を繰り出し、更に、そのフィルム1を、補助ロ−ル24を介して所定の速度で冷却・電極ドラム25周面上に搬送する。
而して、本発明においては、原料揮発供給装置26、および、ガス供給装置27等から、有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガス、酸素ガス、不活性ガス、その他等を供給し、それらからなる蒸着用混合ガス組成物を調整しなから原料供給ノズル28を通して真空チャンバ−22内に該蒸着用混合ガス組成物を導入し、そして、上記の冷却・電極ドラム25周面上に搬送された、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルム1の一方の面、あるいは、その両方の面に保護層を設けたエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルム1の一方の保護層の面に、グロ−放電プラズマ29によってプラズマを発生させ、これを照射して、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を製膜化する。
本発明においては、その際に、冷却・電極ドラム25は、真空チャンバ−22の外に配置されている電源30から所定の電力が印加されており、また、冷却・電極ドラム25の近傍には、マグネット31を配置してプラズマの発生が促進されている。
次いで、上記でエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルム1の一方の面、あるいは、その両方の面に保護層を設けたエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルム1の一方の保護層の面に、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を形成したそのエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルム1を、補助ロ−ル32を介して巻き取りロ−ル33に巻き取って、本発明にかかるプラズマ化学気相成長法による無機酸化物の蒸着膜を形成することができるものである。
なお、図示しないが、上記のプラズマ化学気相成長装置には、真空ポンプを装備しているものである。
上記の例示は、その一例を例示するものであり、これによって本発明は限定されるものではないことは言うまでもないことである。
図示しないが、本発明においては、無機酸化物の蒸着膜としては、無機酸化物の蒸着膜の1層だけではなく、2層あるいはそれ以上を積層した多層膜の状態でもよく、また、使用する材料も1種または2種以上の混合物で使用し、また、異種の材質で混合した無機酸化物の蒸着膜を構成することもできる。
また、原料揮発供給装置においては、原料である有機珪素化合物を揮発させ、ガス供給装置から供給される酸素ガス、不活性ガス等と混合させ、この混合ガスを原料供給ノズルを介して真空チャンバ−内に導入されるものである。
この場合、混合ガス中の有機珪素化合物の含有量は、1〜40%位、酸素ガスの含有量は、10〜70%位、不活性ガスの含有量は、10〜60%位の範囲とすることができ、例えば、有機珪素化合物と酸素ガスと不活性ガスとの混合比を1:6:5〜1:17:14程度とすることができる。
一方、冷却・電極ドラムには、電源から所定の電圧が印加されているため、真空チャンバ−内の原料供給ノズルの開口部と冷却・電極ドラムとの近傍でグロ−放電プラズマが生成され、このグロ−放電プラズマは、混合ガスなかの1つ以上のガス成分から導出されるものであり、この状態において、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムを一定速度で搬送させ、グロ−放電プラブマによって、冷却・電極ドラム周面上のエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの面、あるいは、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの上に設けた保護層の面に、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を形成することができるものである。
なお、このときの真空チャンバ−内の真空度は、1×10-1〜1×10-4Torr位、好ましくは、真空度1×10-1〜1×10-2Torr位に調製することが望ましく、また、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの搬送速度は、10〜300m/分位、好ましくは、50〜150m/分位に調製することが望ましいものである。
また、本発明においては、SiOX プラズマにより、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの面、あるいは、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの上に設けた保護層の面が、清浄化され、そのエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの面、あるいは、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの上に設けた保護層の面に、極性基やフリ−ラジカル等が発生するので、形成される酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜とエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの面、あるいは、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの上に設けた保護層の面との密接着性が高いものとなるという利点を有するものである。
更に、上記のように酸化珪素等の無機酸化物の連続膜の形成時の真空度は、1×10-1〜1×10-4Torr位、好ましくは、1×10-1〜1×10-2Torr位に調製することから、従来の真空蒸着法により酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を形成する時の真空度、1×10-4〜1×10-5Torr位に比較して低真空度であることから、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルム等の原反交換時の真空状態設定時間を短くすることができ、真空度を安定しやすく、製膜プロセスが安定するものである。
而して、上記の酸化珪素の蒸着膜としては、透明性、バリア性等の点から、一般式SiOX (ただし、Xは、1.3〜1.9の数を表す。)で表される酸化珪素の蒸着膜を主体とする薄膜であることが好ましいものである。
上記において、Xの値は、蒸着モノマ−ガスと酸素ガスのモル比、プラズマのエネルギ−等により変化するが、一般的に、Xの値が小さくなればガス透過度は小さくなるが、膜自身が黄色性を帯び、透明性が悪くなる。
例えば、C−H結合を有する化合物、Si−H結合を有する化合物、または、炭素単位がグラファイト状、ダイヤモンド状、フラ−レン状等になっている場合、更に、原料の有機珪素化合物やそれらの誘導体を化学結合等によって含有する場合があるものである。
具体例を挙げると、CH3 部位を持つハイドロカ−ボン、SiH3 シリル、SiH2 シリレン等のハイドロシリカ、SiH2 OHシラノ−ル等の水酸基誘導体等を挙げることができる。
上記以外でも、蒸着過程の条件等を変化させることにより、酸化珪素の蒸着膜中に含有される化合物の種類、量等を変化させることができる。
而して、上記の化合物が、酸化珪素の蒸着膜中に含有する含有量としては、0.1〜50%位、好ましくは、5〜20%位が望ましいものである。
上記において、含有率が、0.1%未満であると、酸化珪素の蒸着膜の耐衝撃性、延展性、柔軟性等が不十分となり、曲げなとにより、擦り傷、クラック等が発生し易く、高いバリア性を安定して維持することが困難になり、また、50%を越えると、バリア性が低下して好ましくないものである。
更に、本発明においては、酸化珪素の蒸着膜において、上記の化合物の含有量が、酸化珪素の蒸着膜の表面から深さ方向に向かって減少させることが好ましく、これにより、酸化珪素の蒸着膜の表面においては、上記の化合物等により耐衝撃性等を高められ、他方、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの面、あるいは、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの上に設けた保護層の面との界面においては、上記の化合物の含有量が少ないために、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの面、あるいは、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの上に設けた保護層の面と酸化珪素の蒸着膜との密接着性が強固なものとなるという利点を有するものである。
また、本発明において、上記の酸化珪素の蒸着膜の膜厚としては、膜厚50Å〜4000Å位であることが望ましく、具体的には、その膜厚としては、100〜1000Å位が望ましく、而して、上記において、1000Å、更には、4000Åより厚くなると、その膜にクラック等が発生し易くなるので好ましくなく、また、100Å、更には、50Å未満であると、バリア性の効果を奏することが困難になることから好ましくないものである。
上記のおいて、その膜厚は、例えば、株式会社理学製の蛍光X線分析装置(機種名、RIX2000型)を用いて、ファンダメンタルパラメ−タ−法で測定することができる。 また、上記において、上記の酸化珪素の蒸着膜の膜厚を変更する手段としては、蒸着膜の体積速度を大きくすること、すなわち、モノマ−ガスと酸素ガス量を多くする方法や蒸着する速度を遅くする方法等によって行うことができる。
本発明において、上記のような有機珪素化合物の中でも、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、または、ヘキサメチルジシロキサンを原料として使用することが、その取り扱い性、形成された連続膜の特性等から、特に、好ましい原料である。
また、上記において、不活性ガスとしては、例えば、アルゴンガス、ヘリウムガス等を使用することができる。
本発明において、具体的には、金属または金属の酸化物を原料とし、これを加熱して蒸気化し、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの面、あるいは、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの上に設けた保護層の面に蒸着する真空蒸着法、あるいは、原料として金属または金属の酸化物を使用し、酸素を導入して酸化させてエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの面、あるいは、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの上に設けた保護層の面に蒸着する酸化反応蒸着法、更に酸化反応をプラズマで助成するプラズマ助成式の酸化反応蒸着法等を用いて蒸着膜を形成することができる。
上記において、蒸着材料の加熱方式としては、例えば、抵抗加熱方式、高周波誘導加熱方式、エレクトロンビ−ム加熱方式(EB)等にて行うことができる。
図8に示すように、巻き取り式真空蒸着装置41の真空チャンバ−42の中で、巻き出しロ−ル43から繰り出す、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルム1、あるいは、その両方の面に保護層を設けたエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルム1は、ガイドロ−ル44、45を介して、冷却したコ−ティングドラム46に案内される。
而して、上記の冷却したコ−ティングドラム46上に案内された、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルム1の一方の面、あるいは、その両方の面に保護層を設けたエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルム1の一方の保護層の面に、るつぼ47で熱せられた蒸着源48、例えば、金属アルミニウム、あるいは、酸化アルミニウム等を蒸発させ、更に、必要ならば、酸素ガス吹出口49より酸素ガス等を噴出し、これを供給しながら、マスク50、50を介して、例えば、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を成膜化し、次いで、上記において、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルム1の一方の面、あるいは、その両方の面に保護層を設けたエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルム1の一方の保護層の面に、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を形成したエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルム1を、ガイドロ−ル51、52を介して送り出し、巻き取りロ−ル53に巻き取ることによって、本発明にかかる物理気相成長法による無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。
而して、本発明においては、上記のようにエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルム一方の面、あるいは、その両方の面に保護層を設けたエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの一方の保護層の面に、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を形成したそのエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムを使用し、それを上記の巻き取り式真空蒸着装置内に再度装着し、上記と同様にして、上記のエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの他方の面、あるいは、その両方の面に保護層を設けたエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの他方の保護層の面に、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を形成することにより、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの両方の面、あるいは、その両方の面に保護層を設けたエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの両方の保護層の面に、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を形成することができるものである。
上記の例示は、その一例を例示するものであり、これによって本発明は限定されるものではないことは言うまでもないことである。
なお、本発明においては、上記のような巻き取り式真空蒸着装置を用いて、まず、第1層の無機酸化物の蒸着膜を形成し、次いで、同様にして、該無機酸化物の蒸着膜の上に、更に、無機酸化物の蒸着膜を形成するか、あるいは、上記のような巻き取り式真空蒸着装置を用いて、これを2連に連接し、連続的に、無機酸化物の蒸着膜を形成することにより、2層以上の多層膜からなる無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。
而して、好ましいものとしては、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)等の金属の酸化物の蒸着膜を挙げることができる。
また、上記の金属の酸化物の蒸着膜は、ケイ素酸化物、アルミニウム酸化物、マグネシウム酸化物等のように金属酸化物として呼ぶことができ、その表記は、例えば、SiOX 、AlOX 、MgOX 等のようにMOX (ただし、式中、Mは、金属元素を表し、Xの値は、金属元素によってそれぞれ範囲がことなる。)で表される。
上記のXの値の範囲としては、ケイ素(Si)は、0〜2、アルミニウム(Al)は、0〜1.5、マグネシウム(Mg)は、0〜1、カルシウム(Ca)は、0〜1、カリウム(K)は、0〜0.5、スズ(Sn)は、0〜2、ナトリウム(Na)は、0〜0.5、ホウ素(B)は、0〜1、5、チタン(Ti)は、0〜2、鉛(Pb)は、0〜1、ジルコニウム(Zr)は0〜2、イットリウム(Y)は、0〜1.5の範囲の値をとることができる。
また、上記において、X=0の場合、完全な金属であり、透明ではなく全く使用することができない、また、Xの範囲の上限は、完全に酸化した値である。
本発明において、一般的に、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)以外は、使用される例に乏しく、ケイ素(Si)は、1.0〜2.0、アルミニウム(Al)は、0.5〜1.5の範囲の値のものを使用することができる。
本発明において、上記のような無機酸化物の蒸着膜の膜厚としては、使用する金属、または、金属の酸化物の種類等によって異なるが、例えば、50〜2000Å位、好ましくは、100〜1000Å位の範囲内で任意に選択して形成することが望ましい。
また、本発明においては、無機酸化物の蒸着膜としては、使用する金属または金属の酸化物としては、1種または2種以上の混合物で使用し、異種の材質で混合した無機酸化物の蒸着膜を構成することもできる。
而して、本発明において、不活性ガスによるプラズマ処理面について説明すると、かかるプラズマ処理面としては、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの面、あるいは、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの上に設けた保護層の面に、気体をア−ク放電により電離させることにより生じるプラズマガスを利用して表面改質を行うプラズマ表面処理法等を利用して、プラズマ処理面を形成することがてきる。
すなわち、本発明においては、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、その他等の不活性ガスをプラズマガスとして使用するプラズマ表面処理法でプラズマ処理を行うことによりプラズマ処理面を形成することができる。
なお、本発明において、プラズマガスとしては、上記の不活性ガスに、更に、酸素ガスを添加した混合ガスを使用することもできる。
また、本発明において、不活性ガスによるプラズマ処理面を形成する場合、例えば、物理気相成長法または化学気相成長法による無機酸化物の蒸着膜を形成する直前に、インラインでプラズマ処理を行うことにより、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの面、あるいは、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの上に設けた保護層の面の水分、塵等を除去すると共にその表面の平滑化、活性化、その他等の表面処理を可能とすることから望ましいものである。
更に、本発明において、上記のプラズマ処理としては、プラズマ出力、プラズマガスの種類、プラズマガスの供給量、処理時間、その他等の条件を考慮してプラズマ放電処理をおこなうことが好ましいものである。
また、本発明において、プラズマを発生させる方法としては、例えば、直流グロ−放電、高周波放電、マイクロ波放電、その他等の装置を利用して行うことができる。
また、本発明においては、大気圧プラズマ処理法等を利用してプラズマ処理面を形成することもできる。
而して、本発明において、上記のガスバリア性塗布膜としては、例えば、まず、アルコキシシランおよび水溶性樹脂を含有し、更に、ゾル−ゲル法触媒、酸、水および有機溶剤の存在下に、ゾルゲル法により重縮合するガスバリア性組成物、あるいは、アルコキシシラン、シランカップリング剤および水溶性樹脂を含有し、更に、ゾル−ゲル法触媒、酸、水および有機溶剤の存在下に、ゾルゲル法により重縮合するガスバリア性組成物を調製する工程、上記でエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの両方の面に設けた無機酸化物からなるバリア性薄膜層の両方の面に、上記のゾルゲル法によって重縮合するガスバリア性組成物を塗工して塗工膜を設ける工程、上記の無機酸化物からなるバリア性薄膜層の両方の面に塗工膜を設けたエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムを、20℃〜180℃で、かつ、上記のエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの融点以下の温度で10秒〜10分間加熱処理して、上記のエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの両方の面に設けた無機酸化物からなるバリア性薄膜層の両方の面に、上記のガスバリア性組成物によるガスバリア性塗布膜を形成する工程等を包含する製造工程により製造することができる。
また、本発明においては、上記のガスバリア性組成物としては、好ましい実施態様によれば、更に、1種以上の金属アルコキシドを含有することが好ましいものである。
上記において、Raとしては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、その他等が用いられる。
上記のアルコキシシランの具体例としては、例えば、テトラメトキシシラン[Si(OCH3 )4] 、テトラエトキシシラン[Si(OC2 H5 )4] 、テトラプロポキシシラン[Si(0C 3H7 )4] 、テトラブトキシシラン[Si(OC4 H9 )4]、その他 等を使用することができる。
上記のアルキルアルコキシシランの具体例としては、例えば、メチルトリメトキシシラン[CH3 Si(OCH3 )3] 、メチルトリエトキシシラン[CH3 Si(OC2 H5 )3] 、ジメチルジメトキシシラン[(CH3 )2 Si(OCH3 )2] 、ジメチルジエトキシシラン[(CH3 )2 Si(OC2 H5 )2] 、その他等を使用することができる。
上記のアルコキシシラン、アルキルアルコキシシラン等は、単独又は2種以上を混合しても用いることができる。
また、本発明において、上記のアルコキシシランの縮重合物も使用することができ、具体的には、例えば、ポリテトラメトキシシラン、ポリテトラエメトキシシラン、その他等を使用することができる。
上記において、ジルコニウムアルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシジルコニウム[Zr(OCH3 )4] 、テトラエトキシジルコニウム[Zr(OC2 H5 )4 ]、テトラiプロポキシジルコニウム[Zr(is0−0C 3H7 )4] 、テトラnブトキシジルコニウム[Zr(OC4 H9 )4] 、その他等を使用することができる。
なお、本発明において、ジルコニウムアルコキシドを用いることによって、得られるバリア性フィルムの靭性や耐熱性を向上させることができる。
上記において、その使用量は、上記のアルコキシシラン100重量部に対して10重量部以下の範囲であり、好ましくは、約5重量部位である。
上記において、10重量部を上回ると、形成されるガスバリア性塗布膜が、ゲル化しやすくなり、その脆性が大きくなり、更に、基材フィルムに被覆した際に、ガスバリア性塗布膜が、剥離しやすくなる傾向にある。
なお、チタニウムアルコキシドを用いることによって、形成されるガスバリア性塗布膜の熱伝導率が低くなり、基材フィルムの耐熱性が著しく向上するという利点がある。
その使用量は、上記のアルコキシシラン100重量部に対して5重量部以下の範囲であり、好ましくは、約3重量部位である。
上記において、5重量部を上回ると、形成されるガスバリア性塗布膜の脆性が大きくなり、基材フィルムに被覆した際に、ガスバリア性塗布膜が剥離しやすくなるという傾向にある。
なお、本発明においては、上記のようなアルコキシドは、その2種以上を混合して用いてもよいものである。
而して、本発明においては、水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコ−ル系樹脂を使用することが最も好ましく、これを使用することにより、ガスバリア性を著しく向上させることができるものである。
更に、本発明においては、ガスバリア性を向上させるという観点から、ポリビニルアルコ−ル系樹脂とエチレン−ビニルアルコ−ル共重合体とを併用することも好ましい形態のものである。
上記において、200重量部を上回るとガスバリア性塗布膜の脆性が大きくなり、得られるバリア性フィルムの耐水性も低下することから好ましくないものである。
更に、50重量%を下回ると、ガスバリア性が低下することから好ましくないものである。
具体的には、例えば、N、N−ジメチルベンジルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミンなどがあり、特に、N、N−ジメチルベンジルアミンが好適である。
その使用量は、アルコキシシラン、金属アルコキシド、およびシランカップリング剤の合計量100重量部当り、0.01〜1重量部、好ましくは、約0.03重量部位であることが好ましいものである。
具体的に、酸としては、硫酸、塩酸、硝酸などが用いられ、該酸の使用量は、アルコキシシラン、金属アルコキシドおよびシランカップリング剤のアルコキシド分(シリケート部分)の総モル量に対し0.001〜0.05モルであり、好ましくは、約0.01モル位である。
特に、エポキシ基を有するオルガノアルコキシシランが好適である。
具体的には、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、あるいは、β―(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等を使用することができる。
上記のようなシランカップリング剤は2種以上を混合して用いてもよい。
このようなシランカップリング剤の使用量は、上記のアルコキシシラン100重量部に対して1〜20重量部の範囲内である。
上記において、20重量部以上を使用すると形成されるガスバリア性塗布膜の剛性と脆性とが大きくなり、ガスバリア性塗布膜の絶縁性および加工性が低下する傾向にある。
上記において、水の量が2モルを上回ると、上記のアルコキシシランと金属アルコキシドとから得られるガスバリア性塗布膜が球状粒子となり、さらに、この球状粒子同士が3次元的に架橋し、密度の低い、多孔性のポリマーとなりやすいということから好ましくないものである。
上記の多孔性のポリマーは、基材フィルムのガスバリア性を改善することができないことから好ましくないものである。
また、上記において、水の量が、0.8モルを下回ると、加水分解反応が進行しにくくなることから好ましくないものである。
上記の溶媒の使用量は、通常、上記のアルコキシシラン、金属アルコキシド、シランカップリング剤、ポリビニルアルコ−ル系樹脂、酸およびゾル−ゲル法触媒の合計量100重量部当り30〜100重量部位である。
まず、上記のアルコキシシラン、ポリビニルアルコ−ル系樹脂、ゾル−ゲル法触媒、酸、水、有機溶媒、および、必要に応じて、金属アルコキシドを混合して塗工液を調製する。
あるいは、上記のアルコキシシラン、シランカップリング剤、ポリビニルアルコ−ル系樹脂、ゾル−ゲル法触媒、酸、水、有機溶媒、および、必要に応じて、金属アルコキシドを混合して塗工液を調製する。
なお、この塗工液中では次第に重縮合反応が進行する。
次に、上記でエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの両方の面に設けた無機酸化物からなるバリア性薄膜層の両方の面に、常法により上記の塗工液を塗布し、乾燥する。
上記の乾燥により、上記のアルコキシシラン、金属アルコキシド、シランカップリング剤およびポリビニルアルコ−ル系樹脂の重縮合がさらに進行し、ガスバリア性塗布膜が形成される。
本発明においては、好ましくは上記の操作を繰り返して、複数のガスバリア性塗布膜を積層する。
最後に、上記の塗工液を無機酸化物からなるバリア性塗布膜の両方の面に塗布したエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムを120℃以上位で、かつ、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの融点以下の温度、好ましくは、150〜200℃の範囲の温度で、30秒〜10分間加熱すると、本発明のガスバリア性塗布膜が得られる。
このようにして得られた本発明のガスバリア性塗布膜は、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止し、遮断するガスバリア性に優れる。
このようにして単数もしくは複数のガスバリア性塗布膜が形成されたバリア性フィルムは、必要に応じて、アセタール化処理がなされる。
例えば、具体的には、このバリア性フィルムを、酸を含むアルデヒド溶液に浸漬すると、アルデヒドとしてはホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒドなどが用いられるアセタール化処理を施すことにより、ガスバリア性塗布膜中に微量存在するポリビニルアルコ−ル系樹脂に起因する未反応の水酸基がアルデヒドと反応してアセタール化され、ガスバリア性塗布膜の耐水性(耐湿性)がさらに向上するものである。
更に、反応系にはポリビニルアルコ−ル系樹脂が存在するため、ポリビニルアルコ−ル系樹脂が有する水酸基との反応も生じ、生成する重縮合物は、Si−O−Si、Si−O−Zr、Si−O−Tiなどの結合からなる無機質部分と、シランカップリング剤に起因する有機部分とを含有する複合ポリマーからなるガスバリア性塗布膜を形成することができるものである。
上記のガスバリア性塗布膜を複数層積層した場合には、層間のガスバリア性塗布膜同士も縮合し、層と層との間が強固に結合し、更に、シランカップリング剤の有機反応性基や、加水分解によって生じた水酸基がエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの両方の面に設けた無機酸化物からなるバリア性薄膜層の水酸基等と結合するため、無機酸化物からなるバリア性薄膜層とガスバリア性塗布膜との接着性も良好である。
而して、このようなガスバリア性塗布膜は、結晶性を有し、非晶質部分の中に多数の微小の結晶が埋包された構造をなり、このような結晶構造は、結晶性有機ポリマー(例えば、ポリ塩化ビニリデンやポリビニルアルコ−ル系樹脂)と同様であり、さらに、極性基(OH基)が部分的に分子内に存在し、分子の凝集エネルギーが高く分子鎖剛性も高いため良好なガスバリア性を示すものであると考えられている。
また、Si−O−CH結合は、ポリビニルアルコ−ル系樹脂のアセチル化やホルマール化により形成される安定な結合状態と同様である。
このようにして得られるバリア性フィルムは、耐水性に優れるが、上記のようにさらにアセタール化処理を施すことにより、更に、耐水性が向上する。
なお、本発明において、上記のガスバリア性塗布膜の膜厚としては、0.1〜10μm(乾燥状態)の範囲内位が好ましいものである。
なお、本発明において、本発明に係るバリア性フィルムを構成するガスバリア性塗布膜としては、上記のエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの両方の面に設けた無機酸化物からなるバリア性薄膜層の両方の面に、ゾルゲル法によって重縮合するガスバリア性組成物を塗工して塗工膜を形成する際に、該ゾルゲル法によって重縮合するガスバリア性組成物を2層以上重層し、上記のガスバリア性組成物によるガスバリア性塗布膜を2層以上重層して形成する工程等を包含する製造工程により製造することができる。
而して、本発明において、好ましい金属としては、例えば、ケイ素を挙げることができる。
また、本発明において、アルコキシドの用い方としては、単独又は2種以上の異なる金属原子のアルコキシドを同一溶液中に混合して使うこともできる。
また、上記の一般式R1 n M(OR2 )m で表されるアルコキシドにおいて、R2 で表される有機基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、その他等を挙げることができる。
なお、本発明において、同一分子中にこれらのアルキル基は同一であっても、異なってもよい。
上記のアルコキシシランとしては、一般式Si(ORa )4 (ただし、式中、Raは、低級アルキル基を表す。)で表されるものである。
上記において、Raとしては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、その他等が用いられる。
上記のアルコキシシランの具体例としては、例えば、テトラメトキシシラン Si(OCH3 )4 、テトラエトキシシラン Si(OC2 H5 )4 、テトラプロポキシシラン Si(0C 3H7 )4 、テトラブトキシシラン Si(OC4 H9 )4 、その他等を使用することができる。
上記のアルキルアルコキシシランの具体例としては、例えば、メチルトリメトキシシラン CH3 Si(OCH3 )3 、メチルトリエトキシシラン CH3 Si(OC2 H5 )3 、ジメチルジメトキシシラン (CH3 )2 Si(OCH3 )2 、ジメチルジエトキシシラン (CH3 )2 Si(OC2 H5 )2 、その他等を使用することができる。
上記のアルコキシシラン、アルキルアルコキシシラン等は、単独又は2種以上を混合しても用いることができる。
また、本発明において、上記のアルコキシシランの縮重合物も使用することができ、具体的には、例えば、ポリテトラメトキシシラン、ポリテトラエメトキシシラン、その他等を使用することができる。
上記のジルコニウムアルコキシドの具体例としては、例えば、テトラメトキシジルコニウム Zr(OCH3 )4 、テトラエトキシジルコニウム Zr(OC2 H5 )4 、テトラiプロポキシジルコニウム Zr(is0−0C 3H7 )4 、テトラnブトキシジルコニウム Zr(OC4 H9 )4 、その他等を使用することができる。
上記のチタニウムアルコキシドの具体例としては、例えば、テトラメトキシチタニウム Ti(OCH3 )4 、テトラエトキシチタニウム Ti(OC2 H5 )4 、テトライソプロポキシチタニウム Ti(is0−0C 3H7 )4 、テトラnブトキシチタニウム Ti(OC4 H9 )4 、その他等を使用することができる。
上記のアルミニウムアルコキシドの具体例としては、例えば、テトラメトキシアルミニウム Al(OCH3 )4 、テトラエトキシアルミニウム Al(OC2 H5 )4 、テトライソプロポキシアルミニウム Al(is0−0C 3H7 )4 、テトラnブトキシアルミニウム Al(OC4 H9 )4 、その他等を使用することができる。
而して、本発明において、特に、アルコキシシランとジルコニウムアルコキシドを混合して用いることによって、得られるガスバリア性積層フィルムの靭性、耐熱性等を向上させることができ、また、延伸時のフィルムの耐レトルト性などの低下が回避されるものである。
上記のジルコニウムアルコキシドの使用量は、上記のアルコキシシラン100重量部に対して10重量部以下の範囲であり、好ましくは、約5重量部位が好ましいものである。 上記において、10重量部を越えると、形成されるガスバリア性塗布膜が、ゲル化し易くなり、また、その膜の脆性が大きくなり、ガスバリア性塗布膜が剥離し易くなる傾向にあることから好ましくないものである。
上記において、チタニウムアルコキシドの使用量は、上記のアルコキシシラン100重量部に対して5重量部以下の範囲であり、好ましくは、約3重量部位が好ましいものである。
上記において、5重量部を越えると、形成されるガスバリア性塗布膜の脆性が大きくなり、ガスバリア性塗布膜が剥離し易くなる傾向にあることから好ましくないものである。
特に、本発明において、ポリビニルアルコール系樹脂およびエチレン・ビニルアルコール共重合体とを組み合わせて使用することにより、上記のガスバリア性、耐水性、および耐候性等の物性に加えて、耐熱水性および熱水処理後のガスバリア性等に著しく優れたガスバリア性塗布膜を形成することができるものである。
上記において、500重量部を越えると、ガスバリア性塗布膜の脆性が大きくなり、得られるバリア性フィルムの耐水性および耐候性等も低下する傾向にあることから好ましくなく、更に、5重量部を下回るとガスバリア性が低下することから好ましくないものである。
上記のポリビニルアルコール系樹脂としては、酢酸基が数十%残存している部分ケン化ポリビニルアルコール系樹脂でも、もしくは、酢酸基が残存しない完全ケン化ポリビニルアルコールでも、あるいは、OH基が変性された変性ポリビニルアルコール系樹脂でもよく、特に限定されるものではない。
上記ポリビニルアルコール系樹脂の具体例としては、株式会社クラレ製のRSポリマーであるRS−110(ケン化度=99%、重合度=1,000)、同社製のクラレポバールLM−20SO(ケン化度=40%、重合度=2,000)、日本合成化学工業株式会社製のゴーセノールNM−14(ケン化度=99%、重合度=1,400)等を使用することができる。
具体的には、酢酸基が数十モル%残存している部分ケン化物から、酢酸基が数モル%しか残存していないかまたは酢酸基が残存しない完全ケン化物まで含み、特に限定されるものではないが、ガスバリア性の観点から好ましいケン化度は、80モル%以上、より好ましくは、90モル%以上、さらに好ましくは、95モル%以上であるものを使用することが望ましいものである
また、上記のエチレン・ビニルアルコール共重合体中のエチレンに由来する繰り返し単位の含量(以下「エチレン含量」ともいう)は、通常、0〜50モル%、好ましくは、20〜45モル%であるものを使用することが好ましいものである。
上記のエチレン・ビニルアルコール共重合体の具体例としては、株式会社クラレ製、エバールEP−F101(エチレン含量;32モル%)、日本合成化学工業株式会社製、ソアノールD2908(エチレン含量;29モル%)等を使用することができる。
而して、上記のシランカップリング剤としては、既知の有機反応性基含有オルガノアルコキシシランを用いることができる。
本発明においては、特に、エポキシ基を有するオルガノアルコキシシランが好適であり、それには、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、あるいは、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等を使用することができる。
上記のようなシランカップリング剤は、1種ないし2種以上を混合して用いてもよい。 本発明において、上記のようなシランカップリング剤の使用量は、上記のアルコキシシラン100重量部に対して1〜20重量部位の範囲内で使用することができる。
上記において、20重量部以上を使用すると、形成されるガスバリア性塗布膜の剛性と脆性とが大きくなり、また、ガスバリア性塗布膜の絶縁性および加工性が低下する傾向にあることから好ましくないものである。
具体的には、例えば、N、N−ジメチルベンジルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、その他等を使用することができる。
本発明においては、特に、N、N−ジメチルべンジルアミンが好適である。
その使用量は、アルコキシド、および、シランカップリング剤の合計量100重量部当り、0.01〜1.0重量部、好ましくは、約0.03重量部位使用することが好ましいものである。
また、上記のガスバリア性組成物において用いられる、酸としては、上記ゾルーゲル法の触媒、主として、アルコキシドやシランカップリング剤などの加水分解のための触媒として用いられる。
上記の酸としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸などの鉱酸、ならびに、酢酸、酒石酸な等の有機酸、その他等を使用することができる。
上記の酸の使用量は、アルコキシドおよびシランカップリング剤のアルコキシド分(例えばシリケート部分)の総モル量に対し0.001〜0.05モル位、好ましくは、約0.01モル位を使用することが好ましいものである。
上記の水の量が、2モルを越えると、上記のアルコキシシランと金属アルコキシドとから得られるポリマーが球状粒子となり、更に、この球状粒子同士が3次元的に架橋し、密度の低い、多孔性のポリマーとなり、而して、そのような多孔性のポリマーは、ガスバリア性積層フィルムのガスバリア性を改善することができなくなることから好ましくないものである。
また、上記の水の量が0.8モルを下回ると、加水分解反応が進行しにくくなる傾向にあることから好ましくないものである。
更に、上記のガスバリア性組成物において、ポリビニルアルコ−ル系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体は、上記のアルコキシドやシランカップリング剤などを含む塗工液中で溶解した状態であることが好ましく、そのため上記の有機溶媒の種類が適宜選択されるものである。
ポリビニルアルコール系樹脂およびエチレン・ビニルアルコール共重合体とを組み合わせて使用する場合には、n−ブタノールを使用することが好ましい。
本発明において、溶媒中に可溶化されたエチレン・ビニルアルコール共重合体は、例えば、ソアノール(商品名)として市販されているものを使用することができる。
上記の有機溶媒の使用量は、通常、上記のアルコキシド、シランカップリング剤、ポリビニルアルコ−ル系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体、酸およびゾルーゲル法触媒の合計量100重量部当り30〜500重量部位である。
まず、上記のアルコキシシラン等のアルコキシド、シランカップリング剤、ポリビニルアルコ−ル系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体、ゾルーゲル法触媒、酸、水、有機溶媒、および、必要に応じて、金属アルコキシド等を混合してガスバリア性組成物(塗工液)を調製する。
次に、上記のガスバリア性組成物(塗工液)中では次第に重縮合反応が進行する。
次いで、前述のエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの両方の面に設けた無機酸化物からなるバリア性薄膜層の両方の面に、常法により、上記のガスバリア性組成物(塗工液)を通常の方法で塗布し、乾燥する。
而して、上記の乾燥により、上記のアルコキシシラン等のアルコキシド、金属アルコキシド、シランカップリング剤およびポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体等の重縮合が進行し、塗工膜が形成される。
更に、好ましくは、上記の塗布操作を繰り返して、2層以上からなる複数の塗工膜を積層する。
最後に、上記の塗工液を塗布したエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムを20℃〜180℃位で、かつ、 エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの融点以下の温度、好ましくは、約50℃〜160℃位の範囲の温度で、10秒〜10分間加熱処理して、上記のガスバリア性組成物(塗工液)によるガスバリア性塗布膜を1層ないし2層以上形成して、本発明に係るバリア性フィルムを製造することができる。
このようにして得られた本発明に係るバリア性フィルムは、ガスバリア性に優れているものである。
その際、酸が加水分解の触媒となる。
次いで、ゾルーゲル法触媒の働きによって、生じた水酸基からプロトンが奪取され、加水分解生成物同士が脱水重縮合する。
このとき、酸触媒により同時にシランカップリング剤も加水分解されて、アルコキシ基が水酸基となる。
また、塩基触媒の働きにより、エポキシ基の開環も起こり、水酸基が生じる。
加水分解されたシランカップリング剤と加水分解されたアルコキシドとの重縮合反応も進行する。
さらに、反応系にはポリビニルアルコール系樹脂、または、エチレン・ビニルアルコール共重合体、または、ポリビニルアルコール系樹脂およびエチレン・ビニルアルコール共重合体とが存在するため、ポリビニルアルコール系樹脂およびエチレン・ビニルアルコール共重合体が有する水酸基との反応も生じる。
生成する重縮合物は、例えば、Si−O−Si、Si−O−Zr、Si−O−Ti、その他等の結合からなる無機質部分と、シランカップリング剤に起因する有機部分とを含有する複合ポリマーを構成する
上記の反応においては、例えば、下記の式(III)に示される部分構造式を有し、更に、シランカップリング剤に起因する部分を有する直鎖状のポリマーがまず生成する。
このポリマーは、OR基(エトキシ基などのアルコキシ基)が、直鎖状のポリマーから分岐した形で有する。
このOR基は、存在する酸が触媒となって加水分解されてOH基となり、ゾルーゲル法触媒(塩基触媒)の働きにより、まず、OH基が、脱プロトン化し、次いで、重縮合が進行する。
すなわち、このOH基が、下記の式(I)に示されるポリビニルアルコール系樹脂、または、下記の式(II)に示されるエチレン・ビニルアルコール共重合体と重縮合反応し、Si−O−Si結合を有する、例えば、下記の式(IV)に示される複合ポリマー、あるいは、下記の式(V)及び(VI)に示される共重合した複合ポリマーが生じると考えられるものである。
このガスバリア性組成物(塗工液)を、前述のエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの両方の面に設けた無機酸化物からなるバリア性薄膜層の両方の面に、塗布し、加熱して溶媒および重縮合反応により生成したアルコールを除去すると、重縮合反応が完結し、上記のエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの両方の面に設けた無機酸化物からなるバリア性薄膜層の両方の面に、透明な塗工層が形成される。
上記の塗工層を複数層積層する場合には、層間の塗工層中の複合ポリマー同士も縮合し、層と層との間が強固に結合する。
更に、シランカップリング剤の有機反応性基や、加水分解によって生じた水酸基が、上記のエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの両方の面に設けた無機酸化物からなるバリア性薄膜層の表面の水酸基等と結合するため、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの両方の面に設けた無機酸化物からなるバリア性薄膜層との表面と、塗工層との密着性、接着性等も良好なものとなるものである。
このような直鎖状ポリマーは、結晶性を有し、非晶質部分の中に多数の微小の結晶が埋包された構造をとる。
このような結晶構造は、結晶性有機ポリマー(例えば、塩化ビニリデンやポリビニルアルコール)と同様であり、さらに極性基(OH基)が部分的に分子内に存在し、分子の凝集エネルギーが高く分子鎖剛性も高いため良好なガスバリアー性を示す。
特に、N2 あるいは、CO2 ガス等を充填した、いわゆる、ガス充填包装に用いた場合には、その優れたガスバリア性が、充填ガスの保持に極めて有効となる。
更に、本発明に係るバリア性フィルムは、熱水処理、特に、高圧熱水処理(レトルト処理)に優れ、極めて優れたガスバリア性特性を示すものである。
上記の本発明のガスバリア性組成物を塗布する方法としては、例えば、グラビアロ−ルコーターなどのロールコート、スプレーコート、スピンコ−ト、デイツピング、刷毛、バーコード、アプリケータ等の塗布手段により、1回あるいは複数回の塗布で、乾燥膜厚が、0.01〜30μm、好ましくは、0.1〜10μm位の塗工膜を形成することができ、更に、通常の環境下、50〜300℃、好ましくは、70〜200℃の温度で、0.005〜60分間、好ましくは、0.01〜10分間、加熱・乾操することにより、縮合が行われ、本発明のガスバリア性塗布膜を形成することができる。
また、必要ならば、本発明のガスバリア性組成物を塗布する際に、予め、無機酸化物からなるバリア性薄膜層の上に、プライマー剤等を塗布することもできるものであり、また、コロナ放電処理あるいはプラズマ処理、その他等の前処理を任意に施すことができるものである。
而して、本発明に係るバリア性フィルムは、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルム、保護層、無機酸化物からなるバリア性薄膜層、ガスバリア性塗布膜等との良好な密接着性を有し、更に、高いガスバリア性を安定して維持すると共に良好な透明性、及び、対熱水性、耐衝撃性等を備え、包装用袋等を構成するバリア性素材として極めて有用なものであり、これに、例えば、基材シ−ト、ヒ−トシ−ル性樹脂層、中間基材、その他等を任意に積層して、種々の層構成からなる包装用材料としての積層材を製造し、次いで、これを使用し、製袋して、種々の形態からなる包装用袋を製造し得るものである。
具体的には、本発明に係るバリア性フィルムは、その一方のガスバリア性塗布膜の面に、基材シ−トを積層し、その他方のガスバリア性塗布膜の面に、ヒ−トシ−ル性樹脂層を積層して、本発明に係る積層材を製造することができる。
而して、本発明においては、上記のような積層材において、その積層間には、例えば、中間も基材、その他等の基材を任意に積層し、種々の層構成からなる本発明に係る積層材を製造することができる。
具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン樹脂等のポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、フッ素系樹脂、その他等の強靭な樹脂のフィルムないしシートを使用することができる。
上記において、上記の樹脂のフィルムないしシートとしては、未延伸フィルム、あるいは一軸方向または二軸方向に延伸した延伸フィルム等のいずれのものでも使用することができる。
また、本発明において、その樹脂のフィルムないしシートの厚さとしては、強度、耐突き刺し性、その他等について、必要最低限に保持され得る厚さであればよく、厚すぎると、コストを上昇するとい欠点もあり、逆に、薄すぎると、強度、耐突き刺し性、その他等が低下して好ましくないものである。
本発明においては、上記のような理由から、約9μmないし100μm位、好ましくは、約12μmないし50μm位が最も望ましい。
なお、本発明において、上記のプラスチック基材の表面および/または裏面には、所望の印刷模様層等を設けることができるものである。
上記の樹脂のフィルムないしシ−トは、単層ないし多層で使用することができ、また、上記の樹脂のフィルムないしシ−トの厚さとしては、5μm〜300μm位、好ましくは、10μm〜110μm位が望ましい。
更に、本発明において、上記の樹脂のフィルムないしシ−トの厚さとしては、本発明に係る積層材を使用し、包装用袋の製袋時において、本発明に係るバリア性フィルムを構成する無機酸化物からなるバリア性薄膜層に、擦り傷、あるいは、クラック等を発生するすることを防止するために、比較的に、その膜厚を厚くすることが好ましく、具体的には、40μm〜110μm位、望ましくは、50μm〜100μm位であることが好ましいものである。
而して、本発明においては、上記のような樹脂のフィルムないしシ−トの中でも、特に、厚さ50μm〜100μm位の無延伸ポリプロピレンフィルムないしシ−トを使用することが好ましいものである。
具体的には、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリアセタ−ル系樹脂、フッ素系樹脂、その他等の強靱な樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
而して、上記の樹脂のフィルムないしシ−トとしては、未延伸フィルム、あるいは、一軸方向または二軸方向に延伸した延伸フィルム等のいずれのものでも使用することができる。
また、本発明において、その樹脂のフィルムないしシ−トの厚さとしては、強度、耐突き刺し性、剛性、その他等について必要最低限に保持され得る厚さであればよく、厚すぎると、コストを上昇するとい欠点もあり、逆に、薄すぎると、強度、耐突き刺し性、剛性、その他等が低下して好ましくないものである。
本発明においては、上記のような理由から、約10μmないし100μm位、好ましくは、約12μmないし50μm位が最も望ましい。
而して、本発明においては、上記のような樹脂のフィルムないしシ−トの中でも、特に、厚さ15μm〜30μm位の2軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムを使用することが好ましいものである。
その他、例えば、紙基材、合成紙等も使用することができる。
本発明において、上記のフィルムないしシ−トは、未延伸、一軸ないし二軸方向に延伸されたもの等のいずれのものでも使用することができる。
また、その厚さは、任意であるが、数μmから300μm位の範囲から選択して使用することができる。
更に、本発明においては、フィルムないしシ−トとしては、押し出し成膜、インフレ−ション成膜、コ−ティング膜等のいずれの性状の膜でもよい。
これらの材料は、一種ないしそれ以上を組み合わせて使用することができる。
また、上記のフィルムないしシ−トの厚さとしては、任意であるが、通常、5μmないし300μm位、更には、10μmないし100μm位が望ましい。
上記の接着剤の組成系は、水性型、溶液型、エマルジョン型、分散型等のいずれの組成物形態でもよく、また、その性状は、フィルム・シート状、粉末状、固形状等のいずれの形態でもよく、更に、接着機構については、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれの形態でもよいものである。
而して、本発明においては、積層する両者の一方の面に、上記のラミネート用接着剤を、例えば、ロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、その他等のコート法、あるいは、印刷法等によって施し、次いで、溶剤等を乾燥させてラミネート用接着剤層を形成すことができ、そのコーティングないし印刷量としては、0.1〜10g/m2 (乾燥状態)位が望ましい。
更に、本発明において、溶融押出ラミネ−ト法における溶融押出樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、メタロセン系触媒を使用して重合したエチレンーα・オレフイン共重合体、ポリプロピレン、エチレンー酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレンーアクリル酸エチル共重合体、エチレンーアクリル酸共重合体、エチレンーメタクリル酸共重合体、エチレンープロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフイン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマール酸、その他等の不飽和カルポン酸で変性した酸変性ポリオレフイン系樹脂、その他等を使用することができる。
なお、本発明において、上記の積層を行う際に、必要ならば、例えば、積層する基材等の表面に、例えば、コロナ処理、オゾン処理、フレーム処理等の前処理を任意に施すことができる。
而して、上記のようなアンカ−コ−ト剤、あるいは、ラミネ−ト用接着剤を使用して形成してなるアンカ−コ−ト剤層、あるいは、ラミネ−ト用接着剤層は、柔らかく、柔軟性に富み、かつ、屈曲性に富む薄膜を形成することができ、その引っ張り伸長度を向上させ、無機酸化物からなるバリア性薄膜層に対し柔軟性、屈曲性等を有する被膜として作用し、例えば、ラミネ−ト加工、印刷加工、あるいは、製袋加工等の後加工時における無機酸化物からなるバリア性薄膜層の後加工適性を向上させ、後加工時における無機酸化物からなるバリア性薄膜層へのクラック等の発生等を防止するものである。
ちなみに、本発明において、上記のようなアンカ−コ−ト剤によるアンカ−コ−ト剤層および/またはラミネ−ト用接着剤によるラミネ−ト用接着剤層は、JIS規格K7113に基づいて、100〜300%の範囲からなる引っ張り伸度を有するものである。
而して、本発明においては、上記のようなアンカ−コ−ト剤によるアンカ−コ−ト剤層および/またはラミネ−ト用接着剤によるラミネ−ト用接着剤層の引っ張り伸度、その他により、バリア性フィルムと、ヒ−トシ−ル性樹脂層との密接着性を向上させ、これにより、無機酸化物からなるバリア性薄膜層へのクラック等の発生を防止し、そのラミネ−ト強度等を高めるものである。
上記において、引っ張り伸度が、100%未満であると、積層材としての柔軟性がなくなり、無機酸化物からなるバリア性薄膜層へのクラック等が発生し易くなることから好ましくなく、また、引っ張り伸度が、300%を越えると、アンカ−コ−ト剤、あるいは、ラミネ−ト用接着剤等としての接着性の強度が十分でなく、要求されるラミネ−ト強度が発現されにくくなることから好ましくないものである。
而して、その製袋方法としては、上記のような積層材を、折り曲げるかあるいは重ね合わせて、その内層の面を対向させ、更にその周辺端部を、例えば、側面シ−ル型、二方シ−ル型、三方シ−ル型、四方シ−ル型、封筒貼りシ−ル型、合掌貼りシ−ル型(ピロ−シ−ル型)、ひだ付シ−ル型、平底シ−ル型、角底シ−ル型、ガゼット型、その他等のヒ−トシ−ル形態によりヒ−トシ−ルして、上端部に開口部を有する種々の形態からなる包装用袋を製造することができる。
その他、包装用袋としては、例えば、自立性包装用袋(スタンディングパウチ)等も可能である。
上記において、ヒ−トシ−ルの方法としては、例えば、バ−シ−ル、回転ロ−ルシ−ル、ベルトシ−ル、インパルスシ−ル、高周波シ−ル、超音波シ−ル等の公知の方法で行うことができる。
更に、本発明において、上記で製造した包装用袋の開口部から内容物を充填し、次いで、その上端部に開口部をヒ−トシ−ル等により密閉することによって、包装半製品を製造し、しかる後、該包装半製品を、レトルト処理あるいはボイル処理等の加熱処理を施すことによって、本発明にかかるレトルト用パウチを使用したレトルト包装食品を製造することができるものである。
上記において、レトルト処理あるいはボイル処理する方法としては、例えば、通常のレトルト釜を使用し、温度、110〜130℃位、好ましくは、120℃前後位、圧力、1〜3Kgf/cm2 ・G、好ましくは、2.1Kgf/cm2 ・G前後位、時間、20〜60分間位、好ましくは、30分間前後で加熱加圧処理する方法、あるいは、温度、90〜100℃、好ましくは、90℃前後位、時間、5〜20分間位、好ましくは、10分間前後位でボイル処理する方法等により行うことができる。
而して、本発明においては、上記のようなレトルト処理あるいはボイル処理により、内容物を加熱殺菌、あるいは、加熱殺菌調理等を行うことができるものである。
而して、本発明において、本発明に係る包装用袋は、耐熱性、耐圧性、耐水性、ヒ−トシ−ル性、耐ピンホ−ル性、耐突き刺し性、その他等の諸物性に優れ、特に、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性、透明性等に優れ、かつ、レトルト処理等の加工に伴う熱処理に耐え、更に、容器・包装ごみの軽量化、減量化等を図ると共にその製造工程の短縮化によりその製造コストの低減化を図ることができ、内容物の充填包装適性、品質保全性等に優れているものである。
また、本発明においては、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルム、保護層、無機酸化物からなるバリア性薄膜層、ガスバリア性塗布膜等との良好な密接着性を有し、かつ、それらは、各々、透明性を有し、かつ、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性を有するものであり、終極的には、アルミニウム箔等の金属箔とほぼ同等のバリア性等の作用効果を発揮すると共にアルミニウム箔等の金属箔と異なり、透明性に優れ、内容物等の視認性等に優れているものであり、更に、金属探知機等による金属探知テストを可能とするものである。
更に、本発明においては、無機酸化物からなるバリア性薄膜層等は、その膜厚は、数十Å〜数千Åからなるものであり、例えば、膜厚が5〜20μm前後からなるアルミニウム箔等の金属箔等と比較して、その膜厚を著しく薄膜化し、軽量化することができ、また、その重量を著しく低減化し、容器・包装ごみの軽量化、減量化等を図ることができるものである。
更にまた、本発明においては、有機珪素化合物を蒸着用モノマ−ガスとして使用し、プラズマ化学気相成長法を用いて製膜化してなる酸化珪素の蒸着膜を、バリア性層を構成する無機酸化物からなるバリア性薄膜層として使用すると、該酸化珪素の蒸着膜が、柔軟性に富み、耐屈曲性等を有することから、酸化珪素の蒸着膜にクラック等を生じてバリア性等を低下するということが少ないという利点を有するものである。
次に、上記の本発明について実施例を挙げて更に具体的に説明する。
他方、下記に示す組成に従って、各組成成分を十分に攪拌し、混合して塗工液を得た。 (塗工液組成)
水溶性アクリル樹脂(日本純薬株式会社製、商品名
「ジュリマ−FC−60」) 75(wt%)
水溶性ポリウレタン樹脂(楠本化成株式会社製 商品名
「NeoRez R−9637) 25
水溶性エポキシ硬化剤 5
合 計 105(wt%)
次に、上記のエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの表裏両面のコロナ処理面の面に、上記で製造した塗工液を使用し、これをグラビアロールコート法によりコーティングして、次いで、巻取り速度100m/min、乾燥温度100℃で処理して、厚さ0.1μm(乾操状態)の保護層を両面に形成した。
(2).次に、上記の(1)で両面に保護層を形成した二軸延伸エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムを使用し、これをプラズマ化学気相成長装置の巻き出しロールに装着し、次いで、これをコ−ティングドラムの上に繰り出し、しかる後、上記の二軸延伸エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの一方の保護層の面に、下記に示す蒸着条件により、厚さ20nmの酸化珪素の蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
反応ガス混合比;へキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1.2:5.0:2.5(単位:Slm)
到達圧力;5.0×10-5mbar
製膜圧力;7.0×10-2mbar
ライン速度;150m/min
パワー;35kW
次に、上記で厚さ20nmの酸化珪素の蒸着膜を形成した直後に、その酸化珪素の蒸着膜面に、グロー放電プラズマ発生装置を使用し、パワー9kW、酸素ガス(O2 ):アルゴンガス(Ar)=7.0:2.5(単位:Slm)からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧6×10-2mbar、処理速度150m/minで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、酸化珪素の蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上向上させてたプラズマ処理面を形成した。
(3).次に、上記で二軸延伸エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの一方の保護層の面に、厚さ20nmの酸化珪素の蒸着膜およびプラズマ処理面を形成した後、更に、その二軸延伸エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムを使用し、上記と同様に、これをプラズマ化学気相成長装置の巻き出しロールに装着し、次いで、これをコ−ティングドラムの上に繰り出し、しかる後、上記の二軸延伸エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの他方の保護層の面に、下記に示す蒸着条件により、厚さ20nmの酸化珪素の蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
反応ガス混合比;へキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1.2:5.0:2.5(単位:Slm)
到達圧力;5.0×10-5mbar
製膜圧力;7.0×10-2mbar
ライン速度;150m/min
パワー;35kW
次に、上記で厚さ20nmの酸化珪素の蒸着膜を形成した直後に、その酸化珪素の蒸着膜面に、グロー放電プラズマ発生装置を使用し、パワー9kW、酸素ガス(O2 ):アルゴンガス(Ar)=7Z0:2.5(単位:Slm)からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧6×10-2mbar、処理速度150m/minで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、酸化珪素の蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上向上させてたプラズマ処理面を形成した。
(4).他方、下記の表1に示す組成に従って、組成a.EVOH(エチレン共重合比率29%)をイソプロピルアルコールおよびイオン交換水の混合溶媒にて溶解したEVOH溶液に、予め調製した組成b.のエチルシリケート40、イソプロピルアルコール、アセチルアセトンアルミニウム、イオン交換水からなる加水分解液を加えて攪拌、更に予め調製した組成c.のポリビニルアルコール水溶液、シランカップリング剤(エポキシシリカSH6040) 、酢酸、イソプロピルアルコール及びイオン交換水からなる混合液を加えて攪拌し、無色透明のバリアー塗工液を得た。
(表1)
a EVOH(エチレン共重合率29%) 0.610(wt%)
イソプロピルアルコール 3.294
H2 O 2.196
b エチルシリケート40 11.460
イソプロピルアルコール 17.662
アルミニウムアセチルアセトン 0.020
H2 O 13.752
c ポリビニルアルコール 1.520
シランカップリング剤 0.050
イソプロピルアルコール 13.844
H2 O 35.462
酢酸 0.130
合 計 100.000(wt%)
次に、上記の(2)、(3)で形成した酸素ガスによる両面のプラズマ処理面の面に、上記で製造したガスバリア性組成物を使用し、これをグラビアロールコート法によりコーティングして、次いで、100℃で30秒間、加熱処理して、厚さ0.4μm(乾操状態)のガスバリア性塗布膜を両面に形成して、本発明に係るバリア性フィルムを製造した。 (5).次に、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムのコロナ処理面に、通常のグラビアインキ組成物を使用し、グラビア印刷方式により、文字、図形、絵柄、その他等からなる所定の印刷模様を印刷して印刷模様層を形成した。
次に、上記で形成した印刷模様層を含む全面に、2液硬化型ポリウレタン系接着剤(主剤:ポリエステルポリオール、硬化剤:脂肪族シソシアネート)を使用し、これをグラビアロールコ−ト法を用いて、厚さ5.0g/m2 (乾燥状態)にコーティングしてラミネート用接着剤層を形成し、次いで、該ラミネート用接着剤層面に、上記(4)で製造したバリア性フィルムを、そのガスバリア性塗布膜の一方の面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネ−ト積層した。
更に、上記でドライラミネ−ト積層したバリア性フィルムのガスバリア性塗布膜の他方の面に、2液硬化型ウレタン系接着剤(主剤:ポリエステルポリオール、硬化剤:脂肪族シソシアネート)を使用し、これをグラビアロールコ−ト法を用いて、厚さ5.0g/m2 (乾燥状態)にコーティングしてラミネート用接着剤層を形成し、次いで、該ラミネート用接着剤層面に、厚さ60μmの無延伸ポリプロピレンフィルムをドライラミネ−トして積層して、本発明に係る積層材を製造した。
(6).次に、上記で製造した積層材の2枚を用意し、その無延伸ポリプロピレンフィルムの面を対向して重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒ−トシ−ルしてシ−ル部を形成すると共に上方に開口部を有する三方シ−ル型の軟包装用袋を製造した。 上記で製造した三方シ−ル型の軟包装用袋内に、その開口部から菓子を充填包装し、しかる後、その開口部をヒ−トシ−ルして上方シ−ル部を形成して本発明に係る包装製品を製造した。
上記で製造した包装製品は、その包装用袋が、耐熱性、耐圧性、耐水性、バリア性、ヒ−トシ−ル性、耐ピンホ−ル性、突き刺し性、透明性等に優れ、更に、酸素ガス、水蒸気等に対するバリア性に優れ、破袋ないし内容物の漏れ等も認められず、食品容器としての機能、例えば、内容物の充填包装適性、流通適正、保存適性等に優れていた。
他方、下記に示す組成に従って、各組成成分を十分に攪拌し、混合して塗工液を得た。 (塗工液組成)
水溶性アクリル樹脂(日本純薬株式会社製、商品名
「ジュリマ−FC−60」) 75(wt%)
水溶性ポリウレタン樹脂(楠本化成株式会社製 商品名
「NeoRez R−9637) 25
水溶性エポキシ硬化剤 5
合 計 105(wt%)
次に、上記のエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの表裏両面のコロナ処理面の面に、上記で製造した塗工液を使用し、これをグラビアロールコート法によりコーティングして、次いで、巻取り速度100m/min、乾燥温度100℃で処理して、厚さ0.1μm(乾操状態)の保護層を両面に形成した。
(2).次に、上記の(1)で両面に保護層を形成した二軸延伸エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムを使用し、これを巻き取り式真空蒸着装置の送り出しロールに装着し、次いで、これをコ−ティングドラムの上に繰り出し、しかる後、上記の二軸延伸エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの一方の保護層の面に、アルミニウムを蒸着源に用いて、酸素ガスを供給しながら、エレクトロンビーム(EB)加熱方式による真空蒸着法により、下記の蒸着条件により、膜厚20nmの酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
蒸着源;アルミニウム
蒸着チヤンバー内の真空度;2×10-4mbar
巻き取りチヤンバー内の真空度;2×10-2mbar
電子ビーム電力;40kW
フィルムの搬送速度;480m/min
次に、上記で厚さ20nmの酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した直後に、その酸化アルミニウムの蒸着膜面に、グロー放電プラズマ発生装置を使用し、パワー9kW、酸素ガス(O2 ):アルゴンガス(Ar)=7.0:2.5(単位:Slm)からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧6×10-2mbar、処理速度480m/minで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、酸化アルミニウムの蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上向上させてたプラズマ処理面を形成した。
(3).次に、上記で二軸延伸エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの一方の保護層の面に、厚さ20nmの酸化アルミニウムの蒸着膜およびプラズマ処理面を形成した後、更に、その二軸延伸エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムを使用し、上記と同様に、これを巻き取り式真空蒸着装置の送り出しロールに装着し、次いで、これをコ−ティングドラムの上に繰り出し、しかる後、上記の二軸延伸エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの他方の保護層の面に、アルミニウムを蒸着源に用いて、酸素ガスを供給しながら、エレクトロンビーム(EB)加熱方式による真空蒸着法により、下記の蒸着条件により、膜厚20nmの酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
蒸着源;アルミニウム
蒸着チヤンバー内の真空度;2×10-4mbar
巻き取りチヤンバー内の真空度;2×10-2mbar
電子ビーム電力;40kW
フィルムの搬送速度;480m/min
次に、上記で厚さ20nmの酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した直後に、その酸化アルミニウムの蒸着膜面に、グロー放電プラズマ発生装置を使用し、パワー9kW、酸素ガス(O2 ):アルゴンガス(Ar)=7.0:2.5(単位:Slm)からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧6×10-2mbar、処理速度480m/minで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、酸化アルミニウムの蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上向上させてたプラズマ処理面を形成した。
(4).他方、下記の表1に示す組成に従って、組成a.EVOH(エチレン共重合比率29%)をイソプロピルアルコールおよびイオン交換水の混合溶媒にて溶解したEVOH溶液に、予め調製した組成b.のエチルシリケート40、イソプロピルアルコール、アセチルアセトンアルミニウム、イオン交換水からなる加水分解液を加えて攪拌、更に予め調製した組成c.のポリビニルアルコール水溶液、シランカップリング剤(エポキシシリカSH6040) 、酢酸、イソプロピルアルコール及びイオン交換水からなる混合液を加えて攪拌し、無色透明のバリアー塗工液を得た。
(表1)
a EVOH(エチレン共重合率29%) 0.610(wt%)
イソプロピルアルコール 3.294
H2 O 2.196
b エチルシリケート40 11.460
イソプロピルアルコール 17.662
アルミニウムアセチルアセトン 0.020
H2 O 13.752
c ポリビニルアルコール 1.520
シランカップリング剤 0.050
イソプロピルアルコール 13.844
H2 O 35.462
酢酸 0.130
合 計 100.000(wt%)
次に、上記の(2)、(3)で形成した酸素ガスによる両面のプラズマ処理面の面に、上記で製造したガスバリア性組成物を使用し、これをグラビアロールコート法によりコーティングして、次いで、100℃で30秒間、加熱処理して、厚さ0.4μm(乾操状態)のガスバリア性塗布膜を両面に形成して、本発明に係るバリア性フィルムを製造した。 (5).次に、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムのコロナ処理面に、通常のグラビアインキ組成物を使用し、グラビア印刷方式により、文字、図形、絵柄、その他等からなる所定の印刷模様を印刷して印刷模様層を形成した。
次に、上記で形成した印刷模様層を含む全面に、2液硬化型ポリウレタン系接着剤(主剤:ポリエステルポリオール、硬化剤:脂肪族シソシアネート)を使用し、これをグラビアロールコ−ト法を用いて、厚さ5.0g/m2 (乾燥状態)にコーティングしてラミネート用接着剤層を形成し、次いで、該ラミネート用接着剤層面に、上記(4)で製造したバリア性フィルムを、そのガスバリア性塗布膜の一方の面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネ−ト積層した。
更に、上記でドライラミネ−ト積層したバリア性フィルムのガスバリア性塗布膜の他方の面に、2液硬化型ウレタン系接着剤(主剤:ポリエステルポリオール、硬化剤:脂肪族シソシアネート)を使用し、これをグラビアロールコ−ト法を用いて、厚さ5.0g/m2 (乾燥状態)にコーティングしてラミネート用接着剤層を形成し、次いで、該ラミネート用接着剤層面に、厚さ60μmの無延伸ポリプロピレンフィルムをドライラミネ−トして積層して、本発明に係る積層材を製造した。
(6).次に、上記で製造した積層材の2枚を用意し、その無延伸ポリプロピレンフィルムの面を対向して重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒ−トシ−ルしてシ−ル部を形成すると共に上方に開口部を有する三方シ−ル型の軟包装用袋を製造した。 上記で製造した三方シ−ル型の軟包装用袋内に、その開口部から菓子を充填包装し、しかる後、その開口部をヒ−トシ−ルして上方シ−ル部を形成して本発明に係る包装製品を製造した。
上記で製造した包装製品は、その包装用袋が、耐熱性、耐圧性、耐水性、バリア性、ヒ−トシ−ル性、耐ピンホ−ル性、突き刺し性、透明性等に優れ、更に、酸素ガス、水蒸気等に対するバリア性に優れ、破袋ないし内容物の漏れ等も認められず、食品容器としての機能、例えば、内容物の充填包装適性、流通適正、保存適性等に優れていた。
(塗工液組成)
水溶性アクリル樹脂(実施例1と同じ) 80(wt%)
水溶性ポリウレタン樹脂(実施例1と同じ) 20
水溶性エポキシ硬化剤 5
合 計 105(wt%)
(塗工液組成)
水溶性アクリル樹脂(実施例1と同じ) 50(wt%)
水溶性ポリウレタン樹脂(実施例1と同じ) 50
水溶性エポキシ硬化剤 5
合 計 105(wt%)
他方、下記に示す組成に従って、各組成成分を十分に攪拌し、混合して塗工液を得た。 (塗工液組成)
水溶性アクリル樹脂(日本純薬株式会社製、商品名
「ジュリマ−FC−60」) 75(wt%)
水溶性ポリウレタン樹脂(楠本化成株式会社製 商品名
「NeoRez R−9637) 25
水溶性エポキシ硬化剤 5
合 計 105(wt%)
次に、上記のエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの表裏両面のコロナ処理面の面に、上記で製造した塗工液を使用し、これをグラビアロールコート法によりコーティングして、次いで、巻取り速度100m/min、乾燥温度100℃で処理して、厚さ0.1μm(乾操状態)の保護層を両面に形成した。
(2).次に、上記の(1)で両面に保護層を形成した二軸延伸エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムを使用し、これをプラズマ化学気相成長装置の巻き出しロールに装着し、次いで、これをコ−ティングドラムの上に繰り出し、しかる後、上記の二軸延伸エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの一方の保護層の面に、下記に示す蒸着条件により、厚さ20nmの酸化珪素の蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
反応ガス混合比;へキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1.2:5.0:2.5(単位:Slm)
到達圧力;5.0×10-5mbar
製膜圧力;7.0×10-2mbar
ライン速度;150m/min
パワー;35kW
次に、上記で厚さ20nmの酸化珪素の蒸着膜を形成した直後に、その酸化珪素の蒸着膜面に、グロー放電プラズマ発生装置を使用し、パワー9kW、酸素ガス(O2 ):アルゴンガス(Ar)=7.0:2.5(単位:Slm)からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧6×10-2mbar、処理速度150m/minで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、酸化珪素の蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上向上させてたプラズマ処理面を形成した。
(3).次に、上記で二軸延伸エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの一方の保護層の面に、厚さ20nmの酸化珪素の蒸着膜およびプラズマ処理面を形成した後、更に、その二軸延伸エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムを使用し、上記と同様に、これをプラズマ化学気相成長装置の巻き出しロールに装着し、次いで、これをコ−ティングドラムの上に繰り出し、しかる後、上記の二軸延伸エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの他方の保護層の面に、下記に示す蒸着条件により、厚さ20nmの酸化珪素の蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
反応ガス混合比;へキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1.2:5.0:2.5(単位:Slm)
到達圧力;5.0×10-5mbar
製膜圧力;7.0×10-2mbar
ライン速度;150m/min
パワー;35kW
次に、上記で厚さ20nmの酸化珪素の蒸着膜を形成した直後に、その酸化珪素の蒸着膜面に、グロー放電プラズマ発生装置を使用し、パワー9kW、酸素ガス(O2 ):アルゴンガス(Ar)=7Z0:2.5(単位:Slm)からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧6×10-2mbar、処理速度150m/minで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、酸化珪素の蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上向上させてたプラズマ処理面を形成した。
(4).他方、エチルシリケ−ト25g、エタノ−ル25g、2N塩酸1.86gおよび水1.51gを混合し、80℃で2時間攪拌し、次いで、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(エポキシシラン、東レダウコ−ニング株式会社製、商品名、SH6040)2.5gを加えて攪拌し、これにポリビニルアルコ−ル樹脂(クラレ株式会社製、重合度、2000)を10%含む水溶液17.4gを加え、2時間攪拌して透明となった時点で、N、N−ジメチルベンジルアミン32重量%エタノ−ル溶液0.1gを加えて、更に攪拌して塗工液としてのガスバリア性組成物を調製した。
次に、上記の(2)、(3)で形成した酸素ガスによる両面のプラズマ処理面に、上記で製造したガスバリア性組成物を使用し、これをグラビアロールコート法によりコーティングして、次いで、150℃で1分間、加熱処理して、厚さ0.4μm(乾操状態)のガスバリア性塗布膜を両面に形成して、本発明に係るバリア性フィルムを製造した。
(5).次に、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムのコロナ処理面に、通常のグラビアインキ組成物を使用し、グラビア印刷方式により、文字、図形、絵柄、その他等からなる所定の印刷模様を印刷して印刷模様層を形成した。
次に、上記で形成した印刷模様層を含む全面に、2液硬化型ポリウレタン系接着剤(主剤:ポリエステルポリオール、硬化剤:脂肪族シソシアネート)を使用し、これをグラビアロールコ−ト法を用いて、厚さ5.0g/m2 (乾燥状態)にコーティングしてラミネート用接着剤層を形成し、次いで、該ラミネート用接着剤層面に、上記(4)で製造したバリア性フィルムを、そのガスバリア性塗布膜の一方の面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネ−ト積層した。
更に、上記でドライラミネ−ト積層したバリア性フィルムのガスバリア性塗布膜の他方の面に、2液硬化型ウレタン系接着剤(主剤:ポリエステルポリオール、硬化剤:脂肪族シソシアネート)を使用し、これをグラビアロールコ−ト法を用いて、厚さ5.0g/m2 (乾燥状態)にコーティングしてラミネート用接着剤層を形成し、次いで、該ラミネート用接着剤層面に、厚さ60μmの無延伸ポリプロピレンフィルムをドライラミネ−トして積層して、本発明に係る積層材を製造した。
(6).次に、上記で製造した積層材の2枚を用意し、その無延伸ポリプロピレンフィルムの面を対向して重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒ−トシ−ルしてシ−ル部を形成すると共に上方に開口部を有する三方シ−ル型の軟包装用袋を製造した。 上記で製造した三方シ−ル型の軟包装用袋内に、その開口部から菓子を充填包装し、しかる後、その開口部をヒ−トシ−ルして上方シ−ル部を形成して本発明に係る包装製品を製造した。
上記で製造した包装製品は、その包装用袋が、耐熱性、耐圧性、耐水性、バリア性、ヒ−トシ−ル性、耐ピンホ−ル性、突き刺し性、透明性等に優れ、更に、酸素ガス、水蒸気等に対するバリア性に優れ、破袋ないし内容物の漏れ等も認められず、食品容器としての機能、例えば、内容物の充填包装適性、流通適正、保存適性等に優れていた。
他方、下記に示す組成に従って、各組成成分を十分に攪拌し、混合して塗工液を得た。 (塗工液組成)
水溶性アクリル樹脂(日本純薬株式会社製、商品名
「ジュリマ−FC−60」) 75(wt%)
水溶性ポリウレタン樹脂(楠本化成株式会社製 商品名
「NeoRez R−9637) 25
水溶性エポキシ硬化剤 5
合 計 105(wt%)
次に、上記のエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの表裏両面のコロナ処理面の面に、上記で製造した塗工液を使用し、これをグラビアロールコート法によりコーティングして、次いで、巻取り速度100m/min、乾燥温度100℃で処理して、厚さ0.1μm(乾操状態)の保護層を両面に形成した。
(2).次に、上記の(1)で両面に保護層を形成した二軸延伸エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムを使用し、これを巻き取り式真空蒸着装置の送り出しロールに装着し、次いで、これをコ−ティングドラムの上に繰り出し、しかる後、上記の二軸延伸エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの一方の保護層の面に、アルミニウムを蒸着源に用いて、酸素ガスを供給しながら、エレクトロンビーム(EB)加熱方式による真空蒸着法により、下記の蒸着条件により、膜厚20nmの酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
蒸着源;アルミニウム
蒸着チヤンバー内の真空度;2×10-4mbar
巻き取りチヤンバー内の真空度;2×10-2mbar
電子ビーム電力;40kW
フィルムの搬送速度;480m/min
次に、上記で厚さ20nmの酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した直後に、その酸化アルミニウムの蒸着膜面に、グロー放電プラズマ発生装置を使用し、パワー9kW、酸素ガス(O2 ):アルゴンガス(Ar)=7.0:2.5(単位:Slm)からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧6×10-2mbar、処理速度480m/minで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、酸化アルミニウムの蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上向上させてたプラズマ処理面を形成した。
(3).次に、上記で二軸延伸エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの一方の保護層の面に、厚さ20nmの酸化アルミニウムの蒸着膜およびプラズマ処理面を形成した後、更に、その二軸延伸エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムを使用し、上記と同様に、これを巻き取り式真空蒸着装置の送り出しロールに装着し、次いで、これをコ−ティングドラムの上に繰り出し、しかる後、上記の二軸延伸エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの他方の保護層の面に、アルミニウムを蒸着源に用いて、酸素ガスを供給しながら、エレクトロンビーム(EB)加熱方式による真空蒸着法により、下記の蒸着条件により、膜厚20nmの酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
蒸着源;アルミニウム
蒸着チヤンバー内の真空度;2×10-4mbar
巻き取りチヤンバー内の真空度;2×10-2mbar
電子ビーム電力;40kW
フィルムの搬送速度;480m/min
次に、上記で厚さ20nmの酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した直後に、その酸化アルミニウムの蒸着膜面に、グロー放電プラズマ発生装置を使用し、パワー9kW、酸素ガス(O2 ):アルゴンガス(Ar)=7.0:2.5(単位:Slm)からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧6×10-2mbar、処理速度480m/minで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、酸化アルミニウムの蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上向上させてたプラズマ処理面を形成した。
(4).他方、エチルシリケ−ト25g、エタノ−ル25g、2N塩酸1.86gおよび水1.51gを混合し、80℃で2時間攪拌し、次いで、これにポリビニルアルコ−ル樹脂(クラレ株式会社製、重合度、2000)を10%含む水溶液17.4gを加え、2時間攪拌して透明となった時点で、N、N−ジメチルベンジルアミン32重量%エタノ−ル溶液0.1gを加えて、更に攪拌して塗工液としてのガスバリア性組成物を調製した。
次に、上記の(2)、(3)で形成した酸素ガスによる両面のプラズマ処理面に、上記で製造したガスバリア性組成物を使用し、これをグラビアロールコート法によりコーティングして、次いで、150℃で1分間、加熱処理して、厚さ0.4μm(乾操状態)のガスバリア性塗布膜を両面に形成して、本発明に係るバリア性フィルムを製造した。
(5).次に、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムのコロナ処理面に、通常のグラビアインキ組成物を使用し、グラビア印刷方式により、文字、図形、絵柄、その他等からなる所定の印刷模様を印刷して印刷模様層を形成した。
次に、上記で形成した印刷模様層を含む全面に、2液硬化型ポリウレタン系接着剤(主剤:ポリエステルポリオール、硬化剤:脂肪族シソシアネート)を使用し、これをグラビアロールコ−ト法を用いて、厚さ5.0g/m2 (乾燥状態)にコーティングしてラミネート用接着剤層を形成し、次いで、該ラミネート用接着剤層面に、厚さ15μmの二軸延伸ナイロン6フィルムを、そのコロナ処理面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネ−ト積層した。
更に、上記でドライラミネ−ト積層した二軸延伸ナイロン6フィルムのコロナ処理面に、上記と同様にして、2液硬化型ポリウレタン系接着剤(主剤:ポリエステルポリオール、硬化剤:脂肪族シソシアネート)を使用し、これをグラビアロールコ−ト法を用いて、厚さ5.0g/m2 (乾燥状態)にコーティングしてラミネート用接着剤層を形成し、次いで、該ラミネート用接着剤層面に、上記(4)で製造したバリア性フィルムを、そのガスバリア性塗布膜の一方の面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネ−ト積層した。
次に、上記でドライラミネ−ト積層したバリア性フィルムのガスバリア性塗布膜の他方の面に、2液硬化型ウレタン系接着剤(主剤:ポリエステルポリオール、硬化剤:脂肪族シソシアネート)を使用し、これをグラビアロールコ−ト法を用いて、厚さ5.0g/m2 (乾燥状態)にコーティングしてラミネート用接着剤層を形成し、次いで、該ラミネート用接着剤層面に、厚さ60μmの無延伸ポリプロピレンフィルムをドライラミネ−トして積層して、本発明に係る積層材を製造した。
(6).次に、上記で製造した積層材の2枚を用意し、その無延伸ポリプロピレンフィルムの面を対向して重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒ−トシ−ルしてシ−ル部を形成すると共に上方に開口部を有する三方シ−ル型の軟包装用袋を製造した。 上記で製造した三方シ−ル型の軟包装用袋内に、その開口部から菓子を充填包装し、しかる後、その開口部をヒ−トシ−ルして上方シ−ル部を形成して本発明に係る包装製品を製造した。
上記で製造した包装製品は、その包装用袋が、耐熱性、耐圧性、耐水性、バリア性、ヒ−トシ−ル性、耐ピンホ−ル性、突き刺し性、透明性等に優れ、更に、酸素ガス、水蒸気等に対するバリア性に優れ、破袋ないし内容物の漏れ等も認められず、食品容器としての機能、例えば、内容物の充填包装適性、流通適正、保存適性等に優れていた。
(1).厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを使用し、これを巻き取り式真空蒸着装置の送り出しロールに装着し、次いで、これをコ−ティングドラムの上に繰り出し、しかる後、上記の二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムの一方の面に、アルミニウムを蒸着源に用いて、酸素ガスを供給しながら、エレクトロンビーム(EB)加熱方式による真空蒸着法により、下記の蒸着条件により、膜厚20nmの酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
蒸着源;アルミニウム
蒸着チヤンバー内の真空度;2×10-4mbar
巻き取りチヤンバー内の真空度;2×10-2mbar
電子ビーム電力;40kW
フィルムの搬送速度;480m/min
次に、上記で厚さ20nmの酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した直後に、その酸化アルミニウムの蒸着膜面に、グロー放電プラズマ発生装置を使用し、パワー9kW、酸素ガス(O2 ):アルゴンガス(Ar)=7.0:2.5(単位:Slm)からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧6×10-2mbar、処理速度○○○m/minで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、酸化アルミニウムの蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上向上させてたプラズマ処理面を形成した。
更に、上記で形成したプラズマ処理面の面に、ポリウレタン系樹脂の初期縮合物に、エポキシ系のシランカップリング剤(8.0重量%)とブロッキング防止剤(1.0重量%)を添加し、十分に混練してなるプライマ−樹脂組成物を使用し、これをグラビアロ−ルコ−ト法により、膜厚0.5g/m2 (乾燥状態)になるようにコ−ティングしてプライマ−剤層を形成して、バリア性フィルムを製造した。
(2).次に、上記の(1)で製造したバリア性フィルムのプライマ−剤層の面に、所望の印刷模様を形成した後、その印刷模様を含む全面に、2液硬化型のポリウレタン系ラミネ−ト用接着剤をグラビアロ−ルコ−ト法を用いて厚さ4.0g/m2 (乾燥状態)にコ−ティングしてラミネ−ト用接着剤層を形成し、次いで、該ラミネ−ト用接着剤層の面に、厚さ15μmの2軸延伸ナイロン6フィルムを、そのコロナ処理面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネ−トして積層した。
次に、上記で積層した2軸延伸ナイロン6フィルムの面に、コロナ放電処理を施した後、そのコロナ処理面に、上記と同様にして、ラミネ−ト用接着剤層を形成し、しかる後、上記のラミネ−ト用接着剤層面に、厚さ60μmの無延伸ポリプロピレンフィルムをドライラミネ−トして積層して、積層材を製造した。
(3).次に、上記で製造した積層材の2枚を用意し、その無延伸ポリプロピレンフィルムの面を対向して重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒ−トシ−ルしてシ−ル部を形成すると共に上方に開口部を有する三方シ−ル型の軟包装用袋を製造した。 上記で製造した三方シ−ル型の軟包装用袋内に、その開口部から菓子を充填包装し、しかる後、その開口部をヒ−トシ−ルして上方シ−ル部を形成して、包装製品を製造した。
(1).厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを使用し、該二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムをプラズマ化学気相成長装置の巻き出しロールに装着し、次いで、これをコ−ティングドラムの上に繰り出し、しかる後、上記の二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムの一方の面に、下記に示す蒸着条件により、厚さ20nmの酸化珪素の蒸着膜を形成した。 (蒸着条件)
反応ガス混合比;へキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1.2:5.0:2.5(単位:Slm)
到達圧力;5.0×10-5mbar
製膜圧力;7.0×10-2mbar
ライン速度;150m/min
パワー;35kW
次に、上記で厚さ20nmの酸化珪素の蒸着膜を形成した直後に、その酸化珪素の蒸着膜面に、グロー放電プラズマ発生装置を使用し、パワー9kW、酸素ガス(O2 ):アルゴンガス(Ar)=7Z0:2.5(単位:Slm)からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧6×10-2mbar、処理速度150m/minで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、酸化珪素の蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上向上させてたプラズマ処理面を形成した。
更に、上記で形成したプラズマ処理面の面に、ポリエステル系樹脂の初期縮合物に、エポキシ系のシランカップリング剤(8.0重量%)とブロッキング防止剤(1.0重量%)を添加し、十分に混練してなるプライマ−樹脂組成物を使用し、これをグラビアロ−ルコ−ト法により、膜厚0.2g/m2 (乾燥状態)になるようにコ−ティングしてプライマ−剤層を形成して、バリア性フィルムを製造した。
(2).次に、上記の(1)で製造したバリア性フィルムのプライマ−剤層の面に、所望の印刷模様を形成した後、その印刷模様を含む全面に、2液硬化型のポリウレタン系ラミネ−ト用接着剤をグラビアロ−ルコ−ト法を用いて厚さ4.0g/m2 (乾燥状態)にコ−ティングしてラミネ−ト用接着剤層を形成し、次いで、該ラミネ−ト用接着剤層の面に、厚さ15μmの2軸延伸ナイロン6フィルムを、そのコロナ処理面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネ−トして積層した。
次に、上記で積層した2軸延伸ナイロン6フィルムの面に、コロナ放電処理を施した後、そのコロナ処理面に、上記と同様にして、ラミネ−ト用接着剤層を形成し、しかる後、上記のラミネ−ト用接着剤層面に、厚さ60μmの無延伸ポリプロピレンフィルムをドライラミネ−トして積層して、積層材を製造した。
(3).次に、上記で製造した積層材の2枚を用意し、その無延伸ポリプロピレンフィルムの面を対向して重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒ−トシ−ルしてシ−ル部を形成すると共に上方に開口部を有する三方シ−ル型の軟包装用袋を製造した。 上記で製造した三方シ−ル型の軟包装用袋内に、その開口部から菓子を充填包装し、しかる後、その開口部をヒ−トシ−ルして上方シ−ル部を形成して、包装製品を製造した。
上記の実施例1〜6、および、比較例1〜2において製造したバリア性フィルム、および、積層材について、酸素透過度、および、水蒸気透過度を測定した。
また、上記の実施例1〜4、および、比較例1〜2において製造した積層材について、ゲルボテストを行った。
(1).酸素透過度の測定
これは、温度23℃、湿度60%RHおよび温度23℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、オクストラン(OX−TRAN)〕にて測定した。
(2).水蒸気透過度の測定
これは、温度40℃、湿度100%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、パ−マトラン(PERMATRAN)〕にて測定した。
(3).ゲルボテストの測定
これは、積層材をゲルボフレックステスタ−により50回屈曲処理を実施後に、温度23℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、オクストラン(OX−TRAN)〕にて酸素透過度を測定して評価した。
上記の測定結果について、下記の表1に示す。
┌────┬────────────────────────────┐ │ │ バリア性フィルム │ │ ├───────────────────┬────────┤ │ │ 酸素透過度 │ 水蒸気透過度 │ │ ├─────────┬─────────┤ │ │ │23℃、60%RH│23℃、90%RH│ │ ├────┼─────────┼─────────┼────────┤ │実施例1│ 0.02 │ 0.05 │ 0.7 │ ├────┼─────────┼─────────┼────────┤ │実施例2│ 0.03 │ 0.07 │ 0.8 │ ├────┼─────────┼─────────┼────────┤ │実施例3│ 0.02 │ 0.05 │ 0.7 │ ├────┼─────────┼─────────┼────────┤ │実施例4│ 0.03 │ 0.06 │ 0.8 │ ├────┼─────────┼─────────┼────────┤ │実施例5│ 0.06 │ 0.08 │ 0.8 │ ├────┼─────────┼─────────┼────────┤ │実施例6│ 0.06 │ 0.08 │ 0.8 │ ├────┼─────────┼─────────┼────────┤ │比較例1│ 1.7 │ 1.6 │ 2.1 │ ├────┼─────────┼─────────┼────────┤ │比較例2│ 1.3 │ 1.4 │ 2.3 │ └────┴─────────┴─────────┴────────┘
┌────┬────────────────────────────┐ │ │ 積層材 │ │ ├───────────────────┬────────┤ │ │ 酸素透過度 │ 水蒸気透過度 │ │ ├─────────┬─────────┤ │ │ │23℃、60%RH│23℃、90%RH│ │ ├────┼─────────┼─────────┼────────┤ │実施例1│ 0.02 │ 0.03 │ 0.5 │ ├────┼─────────┼─────────┼────────┤ │実施例2│ 0.03 │ 0.04 │ 0.4 │ ├────┼─────────┼─────────┼────────┤ │実施例3│ 0.02 │ 0.04 │ 0.4 │ ├────┼─────────┼─────────┼────────┤ │実施例4│ 0.02 │ 0.04 │ 0.4 │ ├────┼─────────┼─────────┼────────┤ │実施例5│ 0.04 │ 0.05 │ 0.5 │ ├────┼─────────┼─────────┼────────┤ │実施例6│ 0.04 │ 0.05 │ 0.5 │ ├────┼─────────┼─────────┼────────┤ │比較例1│ 1.2 │ 1.3 │ 1.8 │ ├────┼─────────┼─────────┼────────┤ │比較例2│ 1.3 │ 1.4 │ 1.5 │ └────┴─────────┴─────────┴────────┘
┌────┬───────────┐ │ │ 積層材 │ │ ├─────┬─────┤ │ │ 0回 │ 50回 │ ├────┼─────┼─────┤ │実施例1│0.03 │0.10 │ ├────┼─────┼─────┤ │実施例2│0.04 │0.30 │ ├────┼─────┼─────┤ │実施例3│0.04 │0.10 │ ├────┼─────┼─────┤ │実施例4│0.04 │0.15 │ ├────┼─────┼─────┤ │実施例5│0.05 │0.15 │ ├────┼─────┼─────┤ │実施例6│0.05 │0.13 │ ├────┼─────┼─────┤ │比較例1│1.2 │3.4 │ ├────┼─────┼─────┤ │比較例2│1.3 │1.5 │ └────┴─────┴─────┘ 上記の表1において、酸素透過度の単位は、〔cc/m2 /day/atm・23℃・90%RH〕であり、水蒸気透過度の単位は、〔g/m2 /day・40℃・90%RH〕である。
B、B1 積層材
C 包装用袋
D 包装製品
1 基材フィルム
2 保護層
3 無機酸化物からなるバリア性薄膜層
4 ガスバリア性塗布膜
11 基材シ−ト
12 ヒ−トシ−ル性樹脂層
13 ヒ−トシ−ル部
14 開口部
15 内容物
16 上方のシ−ル部
Claims (11)
- エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの両方の面に、無機酸化物からなるバリア性薄膜層を設け、更に、該無機酸化物からなるバリア性薄膜層の両方の面に、ガスバリア性塗布膜を設けることを特徴とするバリア性フィルム。
- エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムが、エチレン含有量20〜65モル%、ビニルエステル成分のケン化度90モル%以上のエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムからなることを特徴とする上記の請求項1に記載するバリア性フィルム。
- エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムが、その両方の面に、アクリル系樹脂とポリウレタン系樹脂とを含み、かつ、固形分含有率で、前者が、50〜80重量%、後者が、20〜50重量%の割合で含む混合樹脂組成物による保護層を設けることを特徴とする上記の請求項1〜2のいずれか1項に記載するバリア性フィルム。
- 無機酸化物からなるバリア性薄膜層が、物理気相成長法または化学気相成長法による無機酸化物の蒸着膜からなることを特徴とする上記の請求項1〜3のいずれか1項に記載するバリア性フィルム。
- 無機酸化物からなるバリア性薄膜層が、物理気相成長法による酸化アルミニウムの蒸着膜からなることを特徴とする上記の請求項1〜4のいずれか1項に記載するバリア性フィルム。
- 無機酸化物からなるバリア性薄膜層が、一酸化珪素と珪素との混合物を原料とした物理気相成長法による酸化珪素の蒸着膜からなることを特徴とする上記の請求項1〜4のいずれか1項に記載するバリア性フィルム。
- 無機酸化物からなるバリア性薄膜層が、化学気相成長法による酸化珪素の蒸着膜からなることを特徴とする上記の請求項1〜4のいずれか1項に記載するバリア性フィルム。
- ガスバリア性塗布膜が、アルコキシシランおよび水溶性樹脂を含有し、あるいは、アルコキシシラン、シランカップリング剤および水溶性樹脂を含有し、更に、ゾルゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性組成物によるガスバリア性塗布膜からなることを特徴とする上記の請求項1〜7のいずれか1項に記載するバリア性フィルム。
- ガスバリア性塗布膜が、一般式R1 n M(OR2 )m (ただし、式中、R1 、R2 は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコ−ル系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコ−ル共重合体とを含有し、更に、ゾルゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性組成物によるガスバリア性塗布膜からなることを特徴とする上記の請求項1〜7のいずれか1項に記載するバリア性フィルム。
- エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムの両方の面に、無機酸化物からなるバリア性薄膜層を設け、更に、該無機酸化物からなるバリア性薄膜層の両方の面に、ガスバリア性塗布膜を設けた構成からなるバリア性フィルムの一方の面に、基材シ−トを積層し、更に、上記のバリア性フィルムの他方の面に、ヒ−トシ−ル性樹脂層を積層することを特徴とする積層材。
- エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物フィルムが、その両方の面に、アクリル系樹脂とポリウレタン系樹脂とを含み、かつ、固形分含有率で、前者が、50〜80重量%、後者が、20〜50重量%の割合で含む混合樹脂組成物による保護層を設けることを特徴とする上記の請求項10に記載する積層材。
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