JP2012223919A - ガスバリア性フィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れたガスバリア性を長期間に亘って維持できるガスバリアフィルム及びその製造方法を提供する。
【解決手段】2個以上のアルコキシ基と1個以上のラジカル重合性基とを有するアルコキシシラン(A)と水とを混合することにより加水分解物を得、この加水分解物に、ポリイソシアネート化合物(B)、及び1個以上のイソシアネート反応性基と1個以上のラジカル重合性基とを有するラジカル重合性単量体(C)を添加して、上記ポリイソシアネート化合物(B)と上記ラジカル重合性単量体(C)とを反応させてなる反応生成物及び上記加水分解物を含む塗工用組成物を得、この塗工用組成物に活性エネルギー線を照射することにより、上記反応生成物と上記加水分解物とのラジカル重合を行った後又は行いながら、上記加水分解物の脱水縮合反応を行うことにより形成されてなるガスバリア性樹脂層を有するガスバリア性フィルム。
【選択図】図1

Description

本発明は、酸素や水蒸気などに対するガスバリア性に優れたガスバリア性フィルム、及びその製造方法に関する。
ガスバリア性フィルムは、内容物の品質を変化させる原因となる酸素や水蒸気などの影響を防止するために、食品や医薬品の包装袋に用いられている。また、ガスバリア性フィルムは、太陽電池モジュール、液晶表示パネル、有機EL(エレクトロルミネッセンス )表示パネルなどに使用される素子が、酸素や水蒸気に触れて性能劣化するのを防止するために、製品構成体の一部として或いはそれら素子のパッケージ材料としても用いられている。
このようなガスバリア性フィルムとして、ポリビニルアルコールフィルムやエチレンビニルアルコール共重合体フィルムも用いられているが、これらは水蒸気バリア性が不充分であり、高湿度条件下においては酸素バリア性が低下するといった問題点を有している。
そこで、プラスチックシート上に、酸化ケイ素や酸化アルミニウムなどの金属酸化物の蒸着層と、シランカップリング剤及び合成樹脂若しくは合成樹脂のモノマーを含む組成物を硬化させてなるガスバリア性樹脂層とが積層一体化されたガスバリア性フィルムが提案されている(例えば、特許文献1及び2)。
特許第3403882号公報 特許第3974219号公報
しかしながら、特許文献1及び2で開示されるガスバリア性フィルムでは、ガスバリア性樹脂層を用いて多層化することによりガスバリア性の向上を図っているのみであり、またガスバリア性樹脂層に用いられるシランカップリング剤はガスバリア性樹脂層とこれと隣接する他の層との接着性の向上を図ったにすぎない。このため、特許文献1及び2のガスバリア性フィルムでは依然として酸素や水蒸気などのガスバリア性が不充分であるといった問題点を有している。また、特許文献1及び2のガスバリア性フィルムでは、ガスバリア性樹脂層の接着性も不十分であり、ガスバリア性フィルムを長期間に亘って使用するとガスバリア性樹脂層の剥離が生じ、ガスバリア性フィルムのガスバリア性が低下する問題もあった。
したがって、本発明の目的は、酸素や水蒸気などに対するガスバリア性に優れると共に、優れたガスバリア性を長期間に亘って維持することが可能なガスバリアフィルム及びその製造方法を提供することである。
本発明のガスバリア性フィルムは、分子中に2個以上のアルコキシ基と1個以上のラジカル重合性基とを有するアルコキシシラン(A)100重量部と水5〜50重量部とを混合することにより、上記アルコキシ基を加水分解反応させてシラノール基が形成されてなる上記アルコキシシラン(A)の加水分解物を得、このアルコキシシラン(A)の加水分解物に、ポリイソシアネート化合物(B)1〜300重量部、及び分子中に1個以上のイソシアネート反応性基と1個以上のラジカル重合性基とを有するラジカル重合性単量体(C)1〜400重量部を添加して、上記ポリイソシアネート化合物(B)が有するイソシアネート基と上記ラジカル重合性単量体(C)が有するイソシアネート反応性基とを反応させてなる反応生成物及び上記アルコキシシラン(A)の加水分解物を含む塗工用組成物を得、この塗工用組成物に活性エネルギー線を照射することにより、上記反応生成物が有するラジカル重合性基と上記アルコキシシラン(A)の加水分解物が有するラジカル重合性基とのラジカル重合を行った後又は行いながら、上記アルコキシシラン(A)の加水分解物が有しているシラノール基の脱水縮合反応を行うことにより形成されてなるガスバリア性樹脂層が、合成樹脂フィルム上に積層一体化されてなることを特徴とする。
さらに、本発明のガスバリア性フィルムの製造方法は、分子中に2個以上のアルコキシ基と1個以上のラジカル重合性基とを有するアルコキシシラン(A)100重量部と水5〜50重量部とを混合することにより、上記アルコキシ基を加水分解反応させてシラノール基が形成されてなる上記アルコキシシラン(A)の加水分解物を得、このアルコキシシラン(A)の加水分解物に、ポリイソシアネート化合物(B)1〜300重量部、及び分子中に1個以上のイソシアネート反応性基と1個以上のラジカル重合性基とを有するラジカル重合性単量体(C)1〜400重量部を添加して、上記ポリイソシアネート化合物(B)が有するイソシアネート基と上記ラジカル重合性単量体(C)が有するイソシアネート反応性基とを反応させてなる反応生成物及び上記アルコキシシラン(A)の加水分解物を含む塗工用組成物を得、この塗工用組成物を合成樹脂フィルム上に塗工した後、上記塗工用組成物に活性エネルギー線を照射することにより、上記反応生成物が有するラジカル重合性基と上記アルコキシシラン(A)の加水分解物が有するラジカル重合性基とのラジカル重合を行った後又は行いながら、上記アルコキシシラン(A)の加水分解物が有しているシラノール基の脱水縮合反応を行うことにより、ガスバリア性樹脂層を形成する工程を有することを特徴とする。
本発明のガスバリア性フィルムに用いられるガスバリア性樹脂層は、酸素や水蒸気などのガスの透過を高く防止することができ、且つ優れた強度及び接着性を有する。したがって、上記ガスバリア性樹脂層を含むガスバリア性フィルムは、優れたガスバリア性を長期間に亘って維持することができる。
本発明の一実施形態であるガスバリア性フィルムの模式断面図を示す。 本発明の他の一実施形態であるガスバリア性フィルムの模式断面図を示す。
本発明のガスバリア性フィルムは、合成樹脂フィルムと、この合成樹脂フィルム上に積層一体化されてなるガスバリア性樹脂層とを有する。
[合成樹脂フィルム]
本発明のガスバリア性フィルムに用いられる合成樹脂フィルムの材料は、ガスバリア性フィルムが用いられる用途に応じて決定すればよいが、透明な熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。透明な熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンテレナフタレートなどのポリエステル系樹脂;ポリオキシメチレンなどのポリエーテル系樹脂;ナイロン−6、ナイロン−6,6などのポリアミド系樹脂;ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物などのビニル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリイミド;ポリエーテルイミド;ポリエーテルスルフォン;ポリスルフォン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリエーテルケトンケトンなどが使用できる。これらの熱可塑性樹脂は、単独重合体であっても共重合体であってもよい。また、これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いられてもよく、二種以上を併用することもできる。
合成樹脂フィルムには、必要に応じて、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤などの公知の添加剤が含有されていてもよい。また、合成樹脂フィルムの表面に、コロナ処理、オゾン処理、プラズマ処理などの表面改質処理を施してガスバリア性樹脂層や後述する無機化合物膜との密着性を向上させてもよい。合成樹脂フィルムの厚みは、3〜300μmが好ましく、12〜300μmがより好ましく、50〜200μmが特に好ましい。
[ガスバリア性樹脂層]
本発明のガスバリア性フィルムに用いられるガスバリア性樹脂層は次の方法によって製造することができる。すなわち、分子中に2個以上のアルコキシ基と1個以上のラジカル重合性基とを有するアルコキシシラン(A)100重量部と水5〜50重量部とを混合することにより、上記アルコキシ基を加水分解反応させてシラノール基が形成されてなる上記アルコキシシラン(A)の加水分解物を得、このアルコキシシラン(A)の加水分解物に、ポリイソシアネート化合物(B)1〜300重量部、及び分子中に1個以上のイソシアネート反応性基と1個以上のラジカル重合性基とを有するラジカル重合性単量体(C)1〜400重量部を添加して、上記ポリイソシアネート化合物(B)が有するイソシアネート基と上記ラジカル重合性単量体(C)が有するイソシアネート反応性基とを反応させてなる反応生成物及び上記アルコキシシラン(A)の加水分解物を含む塗工用組成物を得、この塗工用組成物を合成樹脂フィルム上に塗工した後、上記塗工用組成物に活性エネルギー線を照射することにより、上記反応生成物が有するラジカル重合性基と上記アルコキシシラン(A)の加水分解物が有するラジカル重合性基とのラジカル重合を行った後又は行いながら、上記アルコキシシラン(A)の加水分解物が有しているシラノール基の脱水縮合反応を行うことにより、ガスバリア性樹脂層を形成することができる。このガスバリア性樹脂層の製造方法を以下に順を追って説明する。
ガスバリア性樹脂層の製造では、初めに、分子中に2個以上のアルコキシ基と1個以上のラジカル重合性基とを有するアルコキシシラン(A)100重量部と水5〜50重量部とを混合することにより、上記アルコキシ基を加水分解させてシラノール基(≡Si−OH)が形成されてなる上記アルコキシシラン(A)の加水分解物を得る。
(アルコキシシラン(A))
アルコキシシラン(A)は、分子中に2個以上のアルコキシ基と1個以上のラジカル重合性基とを有する。
本発明において、ラジカル重合性基は、ラジカルによって付加重合することが可能な基を意味する。アルコキシシラン(A)のラジカル重合性基としては、不飽和二重結合を有している基が挙げられ、具体的には、アリル基、イソプロペニル基、マレオイル基、スチリル基、ビニルベンジル基、(メタ)アクリロキシ基、(メタ)アクリロキシアルキル基及びビニル基などが挙げられる。なお、(メタ)アクリロキシとは、アクリロキシ又はメタクリロキシを意味する。
アルコキシシラン(A)が有するラジカル重合性基としては、(メタ)アクリロキシ基、(メタ)アクリロキシアルキル基、及びビニル基が好ましく挙げられる。(メタ)アクリロキシアルキル基としては、(メタ)アクリロキシメチル基、2−(メタ)アクリロキシエチル基、及び3−(メタ)アクリロキシプロピル基などの炭素数4〜9の(メタ)アクリロキシアルキル基が好ましく挙げられる。(メタ)アクリロキシ基、(メタ)アクリロキシアルキル基、又はビニル基を有するアルコキシシラン(A)は、ラジカル重合反応性に優れ高度に重合することができ、緻密な網目構造を有する高分子鎖を形成してガスバリア性に優れたガスバリア性樹脂層を形成することができる。
アルコキシシラン(A)としては、下記一般式(1)で示されるアルコキシシランが好ましく挙げられる。
Figure 2012223919

(式中、R1は炭素数4〜9の(メタ)アクリロキシアルキル基を表し、R2は炭素数1〜8のアルキル基を表し、R3は炭素数1〜4のアルキル基を表し、且つnは0又は1である。)
上記一般式(1)のR1において、炭素数4〜9の(メタ)アクリロキシアルキル基としては、(メタ)アクリロキシメチル基、2−(メタ)アクリロキシエチル基、及び3−(メタ)アクリロキシプロピル基などが好ましく挙げられる。
また、上記一般式(1)のR2は炭素数1〜8のアルキル基であり、このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などが挙げられる。
一般式(1)で示されるアルコキシシランとして具体的には、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、及び3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシランが挙げられる。これらのアルコキシシラン(A)は一種単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。なかでも、ラジカル重合反応性に優れることから、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシランが好ましく挙げられる。
(水)
アルコキシシラン(A)を水と混合することにより、アルコキシシラン(A)が有するアルコキシ基の加水分解反応を進めることができる。
アルコキシシラン(A)と混合する水の量は、アルコキシシラン(A)100重量部に対して、5〜50重量部に限定されるが、10〜40重量部が好ましい。アルコキシシラン(A)に対する水の混合比が少な過ぎる場合、アルコキシシラン(A)が有するアルコキシ基の加水分解反応を十分に行うことができない虞れがある。また、アルコキシシラン(A)に対する水の混合比が多過ぎる場合、アルコキシシラン(A)が有するアルコキシ基の加水分解反応後に反応に寄与しなかった過剰量の水が存在することとなり、この水が後工程におけるポリイソシアネート化合物(B)が有するイソシアネート基とラジカル重合性単量体(B)が有するイソシアネート反応性基との反応を阻害する虞れがある。
また、アルコキシシラン(A)と混合する水の量は、アルコキシシラン(A)が有しているアルコキシ基1モルに対して、1〜4モルが好ましく、2〜3モルがより好ましい。
(酸触媒)
また、アルコキシシラン(A)が有するアルコキシ基の加水分解反応を促進させるために、アルコキシシラン(A)に、水の他、さらに酸触媒を混合してもよい。酸触媒としては、塩酸、硫酸、及び硝酸などの無機酸、並びにギ酸、及び酢酸などの有機酸が挙げられる。なかでも、上記アルコキシ基の加水分解反応を適度に促進させることができることから、硝酸を用いるのが好ましい。
酸触媒を用いることにより、アルコキシシラン(A)が有するアルコキシ基の加水分解反応をより促進させることができるが、本発明では、初めに、アルコキシシラン(A)が有するアルコキシ基を加水分解反応させてシラノール基を優先的に形成し、次に、ポリイソシアネート化合物(B)が有するイソシアネート基とラジカル重合性単量体(C)が有するイソシアネート反応性基との反応、及び上記反応による反応生成物が有するラジカル重合性基とアルコキシシラン(A)の加水分解物が有するラジカル重合性基とのラジカル重合を行った後に、シラノール基の脱水縮合反応を行うことが好ましい。したがって、シラノール基の脱水縮合反応が早期に生じるのを抑制するために、酸触媒の量は少ない方が望ましい。
アルコキシシラン(A)と混合する酸触媒の量は、アルコキシシラン(A)100重量部に対して、0.0001〜0.1重量部が好ましく、0.0005〜0.01重量部がより好ましい。アルコキシシラン(A)に対する酸触媒の混合比が多過ぎると、アルコキシシラン(A)が有するアルコキシ基の加水分解反応後に、所望しないシラノール基の脱水縮合反応が早期に生じ、得られるガスバリア性樹脂層に十分なガスバリア性を付与できない虞れがある。
アルコキシシラン(A)が有するアルコキシ基の加水分解反応は、好ましくは、アルコキシシラン(A)及び水、並びに必要に応じて酸触媒を混合して混合物(I)を得、この混合物(I)を十分に撹拌することにより行われる。アルコキシシラン(A)が有するアルコキシ基のうち少なくとも1個のアルコキシ基の加水分解反応が行われればよいが、アルコキシシラン(A)が有する全てのアルコキシ基の加水分解反応が行われるのが好ましい。
アルコキシシラン(A)が有するアルコキシ基の加水分解反応を十分に行うために、混合物(I)の撹拌時間は、1〜24時間が好ましく、3〜10時間がより好ましい。また、上記混合物(I)を撹拌する際に、混合物(I)の温度は、室温であるのが好ましく、15〜35℃がより好ましく、20〜30℃が特に好ましい。混合物(I)の温度が35℃を超えると、混合物(I)中に含まれている水が蒸発してアルコキシシラン(A)の加水分解を十分に行えなくなったり、アルコキシシラン(A)が有するアルコキシ基の加水分解反応により生じたシラノール基が脱水縮合反応する虞れがある。
アルコキシシラン(A)及び水、並びに必要に応じて酸触媒を混合することにより、アルコキシシラン(A)が有するアルコキシ基の加水分解反応させてシラノール基が形成される。シラノール基の形成を確認するには、アルコキシシラン(A)及び水を含む混合物(I)について赤外吸収スペクトルを測定することにより行うことができる。赤外吸収スペクトルでは、波数812cm-1、1088cm-1、2840cm-1の付近に、アルコキシシラン(A)のSi−O−C部分に由来する吸収ピークが現れる。したがって、アルコキシシラン(A)が有しているアルコキシ基の加水分解反応前後で混合物(I)の赤外吸収スペクトルを測定し、アルコキシシラン(A)のSi−O−C部分に由来する吸収ピークが減少していれば、アルコキシシラン(A)が有しているアルコキシ基は加水分解反応によって減少し、これによってシラノール基が形成されていると判定することができる。
ガスバリア性樹脂層の製造では、上述の通りにして得られたアルコキシシラン(A)の加水分解物に、ポリイソシアネート化合物(B)1〜300重量部、及び分子中に1個以上のイソシアネート反応性基と1個以上のラジカル重合性基とを有するラジカル重合性単量体(C)1〜400重量部を添加して、上記ポリイソシアネート化合物が有するイソシアネート基と上記ラジカル重合性単量体が有するイソシアネート反応性基とを反応させて、上記反応により形成されてなる反応生成物及び上記アルコキシシラン(A)の加水分解物を含む塗工用組成物を調製する。
(ポリイソシアネート化合物(B))
ポリイソシアネート化合物(B)は、分子中に2個以上のイソシアネート基、好ましくは3個のイソシアネート基を有する。
ポリイソシアネート化合物(B)としては、芳香族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、及び脂肪族ポリイソシアネートなどのポリイソシアネートが挙げられる。具体的には、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、4,4−ジフエニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,3−フェニレンジイソシアネート、オルトトルイジンジイソシアネート(TODI)、1,4−フェニレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、1,4−フェニレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、トルエンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、メタ−テトラメチルキシレンジイソシアネート、及びパラ−テトラメチルキシレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、及びノルボルナンジイソシアネートメチルなどの脂環式ジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、及び2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート等のジイソシアネートが挙げられる。
また、ポリイソシアネート化合物(B)としては、上述したポリイソシアネートのイソシアヌレート体、ビューレット体、さらには上述したポリイソシアネートとポリオールとのアダクト体(付加体)などを挙げることもできる。
イソシアヌレート体は、例えば、3molのジイソシアネートを自己縮合させることにより得られるものである。ビューレット体は、例えば、2molのジイソシアネートを反応させてウレア結合を形成してなるジイソシアネートウレアを得、このジイソシアネートウレアと1molのジイソシアネートとを反応させて、ジイソシアネートウレアが有するウレア結合にジイソシアネートが有するイソシアネート基が付加することにより得られる。
ポリイソシアネートとポリオールとのアダクト体におけるポリオールは、分子中に2個以上のヒドロキシル基を有する。ポリオールとして、具体的には、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−ヒドロキシエチル−1,6−ヘキサンジオール、1,2,4−ブタントリオール、エリスリトール、ソルビトール、ペンタエリスリトール、及びジペンタエリスリトールなどが挙げられる。
ポリイソシアネートとポリオールとのアダクト体としては、例えば、ジイソシアネートとトリメチロールプロパンとのアダクト体、ジイソシアネートとペンタエリスリトールとのアダクト体が挙げられる。
なかでも、ポリイソシアネート化合物(B)としては、ジイソシアネートとポリオールとのアダクト体が好ましく、ジイソシアネートとトリメチロールプロパンとのアダクト体がより好ましく、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとのアダクト体が特に好ましく挙げられる。これらのアダクト体は、ラジカル重合性単量体(C)に対して優れた反応性を有しているため好ましい。
ポリイソシアネート化合物(B)におけるイソシアネート基の含有量は、5〜30重量%が好ましく、10〜20重量%がより好ましい。イソシアネート基の含有量が少な過ぎると、ラジカル重合性単量体(C)と十分に反応することができず、得られるガスバリア性樹脂層のガスバリア性を十分に向上できない虞れがある。また、イソシアネート基の含有量が多過ぎると、得られるガスバリア性樹脂層に部分的に肉厚部(ブツ)が発生して、外観不良を招く虞れがある。
アルコキシシラン(A)の加水分解物に添加するポリイソシアネート化合物(B)の量は、上記加水分解物の原料に用いたアルコキシシラン(A)100重量部に対して、1〜300重量部に限定されるが、5〜280重量部が好ましく、8〜270重量部がより好ましい。アルコキシシラン(A)の加水分解物に対するポリイソシアネート化合物(B)の添加量が、少な過ぎると、得られるガスバリア性樹脂層に十分なガスバリア性を付与できない虞れがあり、多過ぎると、得られるガスバリア性樹脂層の接着耐久性が低くなる虞れがある。
(ラジカル重合性単量体(C))
アルコキシシラン(A)の加水分解物には、上述したポリイソシアネート化合物(B)の他に、分子中に1個以上のイソシアネート反応性基と1個以上のラジカル重合性基とを有するラジカル重合性単量体(C)を添加する。
ラジカル重合性単量体(C)が有しているイソシアネート反応性基とは、イソシアネート基(−NCO)に対して反応性を有する官能基を意味する。イソシアネート反応性基としては、カルボキシル基及び酸無水物基が好ましく挙げられる。酸無水物基とは、後述するイタコン酸無水物などの酸無水物に由来する基(−CO−O−CO−)である。また、ラジカル重合性単量体(C)のラジカル重合性基としては、不飽和二重結合を有している基が挙げられ、ビニル基、ビニレン基、及びビニリデン基などが好ましく挙げられる。
イソシアネート反応性基としてカルボキシル基を有するラジカル重合性単量体(C)としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸などが挙げられる。また、イソシアネート反応性基として酸無水物基を有するラジカル重合性単量体(C)としては、マレイン酸無水物、及びイタコン酸無水物などが挙げられる。なお、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸又はメタクリル酸を意味する。なかでも、ポリイソシアネート化合物(B)との反応性に優れることから、(メタ)アクリル酸が好ましく挙げられる。
アルコキシシラン(A)の加水分解物に添加するラジカル重合性単量体(C)の量は、上記加水分解物の原料に用いたアルコキシシラン(A)100重量部に対して、1〜400重量部に限定されるが、10〜350重量部が好ましく、15〜320重量部がより好ましい。アルコキシシラン(A)の加水分解物に対するラジカル重合性単量体(C)の添加量が、少な過ぎると、得られるガスバリア性樹脂層に十分なガスバリア性を付与できない虞れがあり、多過ぎると、得られるガスバリア性樹脂層の接着耐久性が低くなる虞れがある。
上述したポリイソシアネート化合物(B)及びラジカル重合性単量体(C)を、アルコキシシラン(A)の加水分解物に添加して、上記ポリイソシアネート化合物(B)が有するイソシアネート基と上記ラジカル重合性単量体(C)が有するイソシアネート反応性基とを反応させて、上記反応により形成されてなる反応生成物及び上記アルコキシシラン(A)の加水分解物を含む塗工用組成物を得る。
上記反応生成物の生成は、アルコキシシラン(A)の加水分解物に、上述したポリイソシアネート化合物(B)及びラジカル重合性単量体(C)を添加して、得られた混合物(II)を十分に撹拌することによって行うことができる。
このとき、ポリイソシアネート化合物(B)が有するイソシアネート基とラジカル重合性単量体(C)が有するイソシアネート反応性基との反応をより確実に行うために、アルコキシシラン(A)の加水分解物に、ラジカル重合性単量体(C)を添加した後に、ポリイソシアネート化合物(B)を添加するのが好ましい。また、混合物(II)の撹拌時間は、10〜360分が好ましく、30〜120分がより好ましい。
ポリイソシアネート化合物(B)が有するイソシアネート基とラジカル重合性単量体(C)が有するイソシアネート反応性基とを反応させて反応生成物を得る際に、ラジカル重合性単量体(C)がイソシアネート反応性基としてカルボキシル基を有する場合には、ポリイソシアネート化合物(B)が有するイソシアネート基と、ラジカル重合性単量体(C)が有するカルボキシル基とが反応してウレタン結合が形成されてなるウレタン反応生成物が得られる。
また、ポリイソシアネート化合物(B)が有するイソシアネート基とラジカル重合性単量体(C)が有するイソシアネート反応性基とを反応させて反応生成物を得る際に、ラジカル重合性単量体(C)がイソシアネート反応性基として酸無水物基を有する場合には、ポリイソシアネート化合物(B)が有するイソシアネート基と、ラジカル重合性単量体(C)が有する酸無水物基とが反応してイミド結合が形成されてなるイミド反応生成物が得られる。ポリイソシアネート化合物(B)が有するイソシアネート基と、ラジカル重合性単量体(C)が有する酸無水物基との反応では、イソシアネート基と酸無水物基とが反応して七員環中間体を形成し、この七員環中間体からの脱二酸化炭素によりイミド結合が形成されてなるイミド反応生成物が得られる。
なお、ポリイソシアネート化合物(B)が有するイソシアネート基と、ラジカル重合性単量体(C)が有する酸無水物基との反応において、ラジカル重合性単量体(C)が有している酸無水物基の一部が加水分解することによりカルボキシル基を形成し、このカルボキシル基と、ポリイソシアネート化合物(B)が有するイソシアネート基とが反応してウレタン結合が形成されてなるウレタン反応生成物が形成されていてもよい。
ポリイソシアネート化合物(B)が有するイソシアネート基とラジカル重合性単量体(C)が有するイソシアネート反応性基との反応が生じる際に、副反応として、アルコキシシラン(A)の加水分解物が有するシラノール基とポリイソシアネート化合物(B)が有するイソシアネート基との反応、水を構成するヒドロキシル基とポリイソシアネート化合物(B)が有するイソシアネート基との反応、及びラジカル重合性単量体(C)が有するカルボキシル基とアルコキシシラン(A)の加水分解物が有するシラノール基とのエステル化反応が生じていてもよい。
しかしながら、ポリイソシアネート化合物(B)が有するイソシアネート基は、アルコキシシラン(A)の加水分解物が有するシラノール基及び水を構成するヒドロキシル基よりも、ラジカル重合性単量体(C)が有するイソシアネート反応性基、特にカルボキシル基に対する反応性が高い。また、ポリイソシアネート化合物(B)が有するイソシアネート基とラジカル重合性単量体(C)が有するイソシアネート反応性基、特にカルボキシル基との反応速度の方が、ラジカル重合性単量体(C)が有するイソシアネート反応性基とアルコキシシラン(A)の加水分解物が有するシラノール基とのエステル化反応の反応速度よりも速い。したがって、アルコキシシラン(A)の加水分解物、ポリイソシアネート化合物(B)及びラジカル重合性単量体(C)を含む混合物(II)中で生じる反応のうち、上述した副反応はほとんど生じる虞れはなく無視することができる。
上述の通りにして、ポリイソシアネート化合物(B)及びラジカル重合性単量体(C)の反応生成物とアルコキシシラン(A)の加水分解物とを含む塗工用組成物を得た後は、この塗工用組成物を合成樹脂フィルム上に塗工し、上記塗工用組成物に活性エネルギー線を照射することにより、上記反応生成物が有するラジカル重合性基と上記アルコキシシラン(A)の加水分解物が有するラジカル重合性基とのラジカル重合を行う。
合成樹脂フィルム上に塗工用組成物を塗工するには、ロールコーター法、スピンコーター法、ディッピング法、バーコーター法、フローティングナイフコーター法、ダイコーター法、グラビアコーター法、カーテンコーター法、ブレードコーター法、及びスプレー法など公知の方法を用いて行えばよい。
合成樹脂フィルム上に塗工した塗工用組成物に照射する活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、α線、β線、及びγ線などが挙げられる。なかでもラジカル重合を行うのに十分なエネルギーを有することから、電子線が好ましく挙げられる。
塗工用組成物に電子線を照射する場合、電子線の加速電圧は、100〜300kVが好ましく、150〜200kVがより好ましい。また、電子線の照射量は、50〜200kGyが好ましく、100〜175kGyがより好ましい。
そして、合成樹脂フィルム上に塗工した塗工用組成物に活性エネルギー線を照射した後に、上記塗工用組成物に含まれているアルコキシシラン(A)の加水分解物が有しているシラノール基の脱水縮合反応を行う。
このアルコキシシラン(A)の加水分解物が有しているシラノール基の脱水縮合反応を行うには、合成樹脂フィルム上に塗工した塗工用組成物に活性エネルギー線を照射した後に、活性エネルギー線を照射した塗工用組成物を、好ましくは40〜150℃、より好ましくは40〜100℃に加熱するのが好ましい。このように加熱することにより、アルコキシシラン(A)の加水分解物が有しているシラノール基の脱水縮合反応を生じさせることができる。加熱時間は、0.1〜10時間が好ましく、0.5〜3時間がより好ましい。
ガスバリア性樹脂層の製造では、上述した通り、初めに、アルコキシシラン(A)が有するアルコキシ基を加水分解反応させてシラノール基を形成し、ポリイソシアネート化合物(B)が有するイソシアネート基とラジカル重合性単量体(C)が有するイソシアネート反応性基との反応、及びこの反応により形成されてなる反応生成物が有するラジカル重合性基とアルコキシシラン(A)の加水分解物が有するラジカル重合性基とのラジカル重合を行った後又は行いながら、シラノール基の脱水縮合反応を行う。シラノール基の形成後、上述したポリイソシアネート化合物(B)が有するイソシアネート基とラジカル重合性単量体(C)が有するイソシアネート反応性基との反応、及び上記反応生成物が有するラジカル重合性基とアルコキシシラン(A)の加水分解物が有するラジカル重合性基とのラジカル重合を行っている間にも、シラノール基の一部が脱水縮合反応を生じている可能性もある。しかしながら、アルコキシシラン(A)の加水分解物が有しているシラノール基の脱水縮合の反応速度は非常に遅い。このため、アルコキシシラン(A)の加水分解物が有しているシラノール基の脱水縮合反応よりも、ポリイソシアネート化合物(B)が有するイソシアネート基とラジカル重合性単量体(C)が有するイソシアネート反応性基との反応、及び上記反応生成物が有するラジカル重合性基とアルコキシシラン(A)の加水分解物が有するラジカル重合性基とのラジカル重合が優先的に生じる。したがって、ポリイソシアネート化合物(B)が有するイソシアネート基とラジカル重合性単量体(C)が有するイソシアネート反応性基との反応、及び上記反応生成物が有するラジカル重合性基とアルコキシシラン(A)の加水分解物が有するラジカル重合性基とのラジカル重合を行っている間に生じるシラノール基の脱水縮合反応はほとんど生じておらず無視することができ、上記反応生成物が有するラジカル重合性基とアルコキシシラン(A)の加水分解物が有するラジカル重合性基とのラジカル重合を行った後に、アルコキシシラン(A)の加水分解物が有しているシラノール基の大部分が脱水縮合することとなる。
上述の通りに、アルコキシシラン(A)の加水分解物が有しているシラノール基の脱水縮合を行うことにより、ガスバリア性樹脂層を得ることができる。このようなガスバリア性樹脂層では、ポリイソシアネート化合物(B)及びラジカル重合性単量体(C)の反応生成物が有するラジカル重合性基とアルコキシシラン(A)の加水分解物が有するラジカル重合性基とのラジカル重合によって得られたラジカル重合体の主鎖間を架橋するようにして、ラジカル重合体が有しているアルコキシシラン(A)の加水分解物に由来するシラノール基の脱水縮合反応によるシロキサン結合(−Si−O−Si−)が形成されており、最終的に得られる重合体が複雑な網目構造を形成している。
また、反応生成物が有するラジカル重合性基とアルコキシシラン(A)の加水分解物が有するラジカル重合性基とのラジカル重合体を優先的に高分子量化することによって、相互に隣接するラジカル重合体の主鎖同士を近接させた状態とすることができ、このようにラジカル重合体の主鎖同士を近接させた状態で、このラジカル重合体が有するシラノール基の脱水縮合反応を行うことができ、ラジカル重合体の主鎖間をシロキサン結合が架橋した緻密な網目構造を形成することができる。
このように本発明の方法により形成されるガスバリア性樹脂層は、複雑且つ緻密な網目構造を有している重合体によって形成されてなることから、酸素や水蒸気などのガスの透過を高く防止することができる。また、ガスバリア性樹脂層を構成している重合体がウレタン結合、イミド結合やラジカル重合により形成されていることによって、ガスバリア性樹脂層の強度を向上させると共にガスバリア性樹脂層と合成樹脂フィルムや後述する無機化合物膜などに対する接着性を向上させることもでき、これによりガスバリア性樹脂層の接着耐久性を向上させることが可能となる。したがって、上記ガスバリア性樹脂層によれば、優れたガスバリア性を長期間に亘って維持することが可能なガスバリア性フィルムを提供することができる。
ガスバリア性樹脂層の厚みは、0.01〜100μmが好ましく、0.1〜50μmがより好ましく、1〜10μmが特に好ましい。厚みが0.01μm未満であるガスバリア性樹脂層では十分なガスバリア性を有していない虞れがある。また、厚みが100μmを超えるガスバリア性樹脂層では、剛性が高くなり過ぎてガスバリア性フィルムの取扱性を低下させる虞れがある。
[無機化合物膜]
本発明のガスバリア性フィルムは、合成樹脂フィルムとガスバリア性樹脂層とを有しているが、無機化合物膜をさらに有しているのが好ましい。無機化合物膜を用いることにより、ガスバリア性フィルムのガスバリア性を向上させることができる。
無機化合物膜を構成している材料としては、金属酸化物又は金属窒化物が挙げられる。具体的には、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、及び酸化チタンなどの金属酸化物、並びに窒化ケイ素、及び窒化チタンなどの金属窒化物が挙げられる。なかでも、優れたガスバリア性を有する無機化合物膜を形成できることから、金属酸化物が好ましく、酸化ケイ素、酸化アルミニウムがより好ましく、酸化ケイ素が特に好ましい。
酸化ケイ素を含む無機化合物膜は、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、ナトリウム、チタン、ジルコニウム、イットリウムなどの他の金属原子や、炭素、ホウ素、窒素、フッ素などの非金属原子を含んでいてもよい。
無機化合物膜は、単一層であっても、ガスバリア性を向上させるために複数層を積層一体化させたものであってもよい。無機化合物膜が複数層を積層一体化させてなるものである場合、各層を構成している材料は、同種類であっても異種類であってもよい。
無機化合物膜の厚みが薄過ぎると、酸素や水蒸気に対して十分なガスバリア性を有するガスバリア性フィルムを提供できない虞れがある。また、無機化合物膜の厚みが厚過ぎると無機化合物膜を形成する際に合成樹脂フィルムやガスバリア性樹脂層などの隣接する層との間における収縮率の差に起因してクラックが生じ易くなり、ガスバリア性フィルムの酸素や水蒸気に対するバリア性が低下する虞れがある。したがって、無機化合物膜の厚みは、5nm〜10μmが好ましく、10nm〜5μmがより好ましい。
本発明のガスバリア性フィルムにおいて、合成樹脂フィルム上での無機化合物膜及びガスバリア性樹脂層の積層順序は特に制限されない。例えば、図1に示すように、合成樹脂フィルム10上に無機化合物膜20及びガスバリア性樹脂層30がこの順で積層一体化されていてもよく、図2に示すように合成樹脂フィルム10上にガスバリア性樹脂層30及び無機化合物膜20がこの順で積層一体化されていてもよい。
合成樹脂フィルム上に無機化合物膜及びガスバリア性樹脂層を形成する順序も特に制限されない。例えば、合成樹脂フィルム上に無機化合物膜を形成した後、この無機化合物膜上に上記の通りにしてガスバリア性樹脂層を形成してもよく、合成樹脂フィルム上に上記の通りにしてガスバリア性樹脂層を形成した後、このガスバリア性樹脂層上に無機化合物膜を形成してもよい。
合成樹脂フィルム又はガスバリア性樹脂層上に無機化合物膜を形成する方法としては、例えば、スパッタリング法、蒸着法、イオンプレーティング法などの物理的気相成長法(PVD)や、化学的気相成長法(CVD)などが挙げられる。
無機化合物膜は、合成樹脂フィルム又はガスバリア性樹脂層上で直接作製されてもよい。また、無機化合物膜を合成樹脂フィルム及びガスバリア性樹脂層とは別に作製した後、この無機化合物膜を合成樹脂フィルム又はガスバリア性樹脂層にラミネート用接着剤などを用いて貼着することによって合成樹脂フィルム又はガスバリア性樹脂層上に無機化合物膜を積層一体化してもよい。ラミネート用接着剤としては、公知の接着剤を用いることができ、例えば、2液硬化型ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤、及びポリエーテル系接着剤などを用いることができる。
本発明のガスバリア性フィルムが用いられる用途としては、水蒸気や酸素等の各種ガスの遮断を必要とする物品の包装、食品や工業用品及び医薬品等の変質を防止するための包装などの用途が挙げられる。また、このような包装用用途の他にも、本発明のガスバリア性フィルムは、太陽電池モジュール、液晶表示パネル、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示パネルなどに使用される素子が、酸素や水蒸気に触れて性能劣化するのを防止するために、製品構成体の一部として或いはそれら素子のパッケージ材料として用いることができる。なかでも、本発明のガスバリア性フィルムは、太陽電池モジュールの裏面側保護シート又は受光面側保護シートとして用いられるのが好ましい。裏面側保護シート及び受光面側保護シートは、太陽電池モジュールにおいて発電素子とエチレン−酢酸ビニル共重合体などの封止樹脂とを保護するために用いられる。
以下に、本発明を実施例を用いてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
(実施例1)
[酸化ケイ素膜の作製]
合成樹脂フィルムとして透明のポリエチレンテレナフタレートフィルム(厚み75μm)を用意し、RFマグネトロンスパッタにより、上記ポリエチレンテレナフタレートフィルムの温度を60℃に維持した状態でケイ素酸化物からなるターゲットを用いて、上記ポリエチレンテレナフタレートフィルムの一面に酸化ケイ素からなる膜(厚み20nm)を直接形成した。
[ガスバリア性樹脂層の作製]
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A)100重量部に、硝酸水溶液(硝酸0.0045重量%含有)22重量部を添加して混合物(I)を得、この混合物(I)を25℃で3時間撹拌することにより、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A)が有しているメトキシ基を加水分解反応させてシラノール基を形成させることにより、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A)の加水分解物を含む混合物(I')を得た。
次に、混合物(I')の全量に、アクリル酸(C)78重量部を添加した後、速やかにトリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとのアダクト体(B)(トリレンジイソシアネート:トリメチロールプロパン(モル比)=3:1、イソシアネート基含有量 13.5重量%)75重量部を添加して混合物(II)を得、この混合物(II)を60分間撹拌することにより、アクリル酸(C)が有しているカルボキシル基とアダクト体(B)が有しているイソシアネート基とを反応させて、ウレタン結合が形成されてなるウレタン反応生成物及び上記3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A)の加水分解物を含む塗工用組成物を得た。
次に、塗工用組成物を、グラビアコーターにより、ポリエチレンテレナフタレートフィルムの一面に形成された酸化ケイ素膜上に直接塗工し、塗工した塗工用組成物に電子線照射装置(ESI社製 製品名EC300/165/800)を用いて、加速電圧175kV、照射線量150kGyの条件で電子線を照射することによって、ウレタン反応生成物が有するアクリル酸に由来するビニル基と、上記3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A)の加水分解物が有している3−メタクリロキシプロピル基とのラジカル重合を行うことによりラジカル重合体を得た。
その後、ポリエチレンテレナフタレートフィルム上の電子線が照射された塗工用組成物を、オーブン中、60℃の温度で1時間加熱することにより、電子線が照射された塗工用組成物に含まれているラジカル重合体が有している3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A)の加水分解物に由来するシラノール基同士を脱水縮合反応させて、ラジカル重合体間を架橋するシロキサン結合を形成し、ガスバリア性樹脂層(厚み5μm)を作製した。これによりポリエチレンテレナフタレートフィルムの一面に酸化ケイ素膜及びガスバリア性樹脂層がこの順で積層一体化されてなるガスバリア性フィルムを得た。
(実施例2〜4)
ガスバリア性樹脂層の作製に用いた硝酸水溶液、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとのアダクト体(B)、及びアクリル酸(C)の配合量をそれぞれ表1に示す通りに変更した以外は実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを作製した。
(比較例1)
[酸化ケイ素膜の作製]
合成樹脂フィルムとして透明のポリエチレンテレナフタレートフィルム(厚み75μm)を用意し、RFマグネトロンスパッタにより、上記ポリエチレンテレナフタレートフィルムの温度を60℃に維持した状態でケイ素酸化物からなるターゲットを用いて、上記ポリエチレンテレナフタレートフィルムの一面に酸化ケイ素からなる膜(厚み20nm)を直接形成した。
[ガスバリア性樹脂層の作製]
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A)100重量部に、硝酸水溶液(硝酸0.0045重量%含有)22重量部を添加して混合物(I)を得、この混合物(I)を25℃で3時間撹拌することにより、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A)が有しているメトキシ基を加水分解反応させてシラノール基を形成させることにより、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A)の加水分解物を含む混合物(I')を得た。
次に、混合物(I')の全量に、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとのアダクト体(B)(トリレンジイソシアネート:トリメチロールプロパン(モル比)=1:3、イソシアネート基含有量 13.5重量%)75重量部を添加して混合物(II)を得、この混合物(II)を60分間撹拌することにより、アダクト体(B)及び3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A)の加水分解物を含む塗工用組成物を得た。
次に、塗工用組成物を、グラビアコーターにより、ポリエチレンテレナフタレートフィルムの一面に形成された酸化ケイ素膜上に直接塗工し、塗工した塗工用組成物に電子線照射装置(ESI社製 製品名EC300/165/800)を用いて、加速電圧175kV、照射線量150kGyの条件で電子線を照射することによって、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A)の加水分解物が有している3−メタクリロキシプロピル基のラジカル重合を行うことによりラジカル重合体を得た。
その後、ポリエチレンテレナフタレートフィルム上の電子線が照射された塗工用組成物を、オーブン中、60℃の温度で1時間加熱することにより、電子線が照射された塗工用組成物に含まれているラジカル重合体が有している3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A)の加水分解物に由来するシラノール基同士を脱水縮合反応させて、ガスバリア性樹脂層(厚み5μm)を作製した。これによりポリエチレンテレナフタレートフィルムの一面に酸化ケイ素膜及びガスバリア性樹脂層がこの順で積層一体化されてなるガスバリア性フィルムを得た。
(比較例2)
[酸化ケイ素膜の作製]
合成樹脂フィルムとして透明のポリエチレンテレナフタレートフィルム(厚み75μm)を用意し、RFマグネトロンスパッタにより、上記ポリエチレンテレナフタレートフィルムの温度を60℃に維持した状態でケイ素酸化物からなるターゲットを用いて、上記ポリエチレンテレナフタレートフィルムの一面に酸化ケイ素からなる膜(厚み20nm)を直接形成した。
[ガスバリア性樹脂層の作製]
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A)100重量部に、硝酸水溶液(硝酸0.0045重量%含有)11重量部を添加して混合物(I)を得、この混合物(I)を25℃で3時間撹拌することにより、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A)が有しているメトキシ基を加水分解反応させてシラノール基を形成させることにより、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A)の加水分解物を含む混合物(I')を得た。
次に、混合物(I')の全量に、アクリル酸(C)60重量部を添加して混合物(II)を得、この混合物(II)を60分間撹拌することにより、アクリル酸(C)及び上記3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A)の加水分解物を含む塗工用組成物を得た。
次に、塗工用組成物を、グラビアコーターにより、ポリエチレンテレナフタレートフィルムの一面に形成された酸化ケイ素膜上に直接塗工し、塗工した塗工用組成物に電子線照射装置(ESI社製 製品名EC300/165/800)を用いて、加速電圧175kV、照射線量150kGyの条件で電子線を照射することによって、アクリル酸が有しているビニル基と、上記3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A)の加水分解物が有している3−メタクリロキシプロピル基とのラジカル重合を行うことによりラジカル重合体を得た。
その後、ポリエチレンテレナフタレートフィルム上の電子線が照射された塗工用組成物を、オーブン中、60℃の温度で1時間加熱することにより、電子線が照射された塗工用組成物に含まれているラジカル重合体が有している3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A)の加水分解物に由来するシラノール基同士を脱水縮合反応させて、ラジカル重合体間を架橋するシロキサン結合を形成し、ガスバリア性樹脂層(厚み5μm)を作製した。これによりポリエチレンテレナフタレートフィルムの一面に酸化ケイ素膜及びガスバリア性樹脂層がこの順で積層一体化されてなるガスバリア性フィルムを得た。
(比較例3)
[酸化ケイ素膜の作製]
合成樹脂フィルムとして透明のポリエチレンテレナフタレートフィルム(厚み75μm)を用意し、RFマグネトロンスパッタにより、上記ポリエチレンテレナフタレートフィルムの温度を60℃に維持した状態でケイ素酸化物からなるターゲットを用いて、上記ポリエチレンテレナフタレートフィルムの一面に酸化ケイ素からなる膜(厚み20nm)を直接形成した。
[ガスバリア性樹脂層の作製]
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A)100重量部を3時間撹拌し、上記3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A)の全量に、アクリル酸(C)310重量部を添加した後、速やかにトリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとのアダクト体(B)(トリレンジイソシアネート:トリメチロールプロパン(モル比)=3:1、イソシアネート基含有量 13.5重量%)188重量部を添加して混合物(II)を得、この混合物(II)を25℃で60分間撹拌することにより、アクリル酸(C)が有しているカルボキシル基とアダクト体(B)が有しているイソシアネート基とを反応させて、ウレタン結合が形成されてなるウレタン反応生成物及び3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A)を含む塗工用組成物を得た。
次に、塗工用組成物を、グラビアコーターにより、ポリエチレンテレナフタレートフィルムの一面に形成された酸化ケイ素膜上に直接塗工し、塗工した塗工用組成物に電子線照射装置(ESI社製 製品名EC300/165/800)を用いて、加速電圧175kV、照射線量150kGyの条件で電子線を照射することによって、ウレタン反応生成物が有するアクリル酸に由来するビニル基と、上記3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A)が有している3−メタクリロキシプロピル基とのラジカル重合を行うことによりラジカル重合体を得た。
その後、ポリエチレンテレナフタレートフィルム上の電子線が照射された塗工用組成物を、オーブン中、60℃の温度で1時間加熱することにより、ガスバリア性樹脂層(厚み5μm)を作製した。これによりポリエチレンテレナフタレートフィルムの一面に酸化ケイ素膜及びガスバリア性樹脂層がこの順で積層一体化されてなるガスバリア性フィルムを得た。
(比較例4)
[酸化ケイ素膜の作製]
合成樹脂フィルムとして透明のポリエチレンテレナフタレートフィルム(厚み75μm)を用意し、RFマグネトロンスパッタにより、上記ポリエチレンテレナフタレートフィルムの温度を60℃に維持した状態でケイ素酸化物からなるターゲットを用いて、上記ポリエチレンテレナフタレートフィルムの一面に酸化ケイ素からなる膜(厚み20nm)を直接形成した。これによりポリエチレンテレナフタレートフィルムの一面に酸化ケイ素膜が積層一体化されてなるガスバリア性フィルムを得た。
(評価)
上記で得られたガスバリア性フィルムの水蒸気透過率を下記手順に従って測定した。結果を表1に示す。
(水蒸気透過率)
ガスバリア性フィルムの水蒸気透過率(g/m2・day)を、JIS K7126(差圧法)に準拠した差圧式のガスクロマトグラフ法によって、ガス・蒸気透過率測定装置(GTRテック社製 装置名GTR−300XASC)を用いて、測定時間1時間、温度40℃、相対湿度90%の条件下で測定した。
さらに、ガスバリア性フィルムの水蒸気透過率の測定を上記と同じ要領で30回繰り返して行い、30回の測定を行った後のガスバリア性フィルムの水蒸気透過率を表1に示す。
Figure 2012223919
表1から、本発明のガスバリア性フィルムはガスバリア性樹脂層によって優れた水蒸気透過率が付与されていると共に、ガスバリア性樹脂層の接着耐久性が向上されていることにより上記ガスバリア性フィルムの優れた水蒸気透過率を長期間に亘って維持できていることが分かる。
10 合成樹脂フィルム
20 無機化合物膜
30 ガスバリア性樹脂層

Claims (8)

  1. 分子中に2個以上のアルコキシ基と1個以上のラジカル重合性基とを有するアルコキシシラン(A)100重量部と水5〜50重量部とを混合することにより、上記アルコキシ基を加水分解反応させてシラノール基が形成されてなる上記アルコキシシラン(A)の加水分解物を得、このアルコキシシラン(A)の加水分解物に、ポリイソシアネート化合物(B)1〜300重量部、及び分子中に1個以上のイソシアネート反応性基と1個以上のラジカル重合性基とを有するラジカル重合性単量体(C)1〜400重量部を添加して、上記ポリイソシアネート化合物(B)が有するイソシアネート基と上記ラジカル重合性単量体(C)が有するイソシアネート反応性基とを反応させてなる反応生成物及び上記アルコキシシラン(A)の加水分解物を含む塗工用組成物を得、この塗工用組成物に活性エネルギー線を照射することにより、上記反応生成物が有するラジカル重合性基と上記アルコキシシラン(A)の加水分解物が有するラジカル重合性基とのラジカル重合を行った後又は行いながら、上記アルコキシシラン(A)の加水分解物が有しているシラノール基の脱水縮合反応を行うことにより形成されてなるガスバリア性樹脂層が、合成樹脂フィルム上に積層一体化されてなることを特徴とするガスバリア性フィルム。
  2. アルコキシシラン(A)が、下記一般式(1)で示されることを特徴とする請求項1に記載のガスバリア性フィルム。
    Figure 2012223919

    (式中、R1は炭素数4〜9の(メタ)アクリロキシアルキル基を表し、R2は炭素数1〜8のアルキル基を表し、R3は炭素数1〜4のアルキル基を表し、且つnは0又は1である。)
  3. ポリイソシアネート化合物(B)が、ジイソシアネートとトリメチロールプロパンとのアダクト体であることを特徴とする請求項1又は2に記載のガスバリア性フィルム。
  4. ラジカル重合性単量体(C)が、(メタ)アクリル酸であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルム。
  5. 分子中に2個以上のアルコキシ基と1個以上のラジカル重合性基とを有するアルコキシシラン(A)100重量部と水5〜50重量部とを混合することにより、上記アルコキシ基を加水分解反応させてシラノール基が形成されてなる上記アルコキシシラン(A)の加水分解物を得、このアルコキシシラン(A)の加水分解物に、ポリイソシアネート化合物(B)1〜300重量部、及び分子中に1個以上のイソシアネート反応性基と1個以上のラジカル重合性基とを有するラジカル重合性単量体(C)1〜400重量部を添加して、上記ポリイソシアネート化合物(B)が有するイソシアネート基と上記ラジカル重合性単量体(C)が有するイソシアネート反応性基とを反応させてなる反応生成物及び上記アルコキシシラン(A)の加水分解物を含む塗工用組成物を得、この塗工用組成物を合成樹脂フィルム上に塗工した後、上記塗工用組成物に活性エネルギー線を照射することにより、上記反応生成物が有するラジカル重合性基と上記アルコキシシラン(A)の加水分解物が有するラジカル重合性基とのラジカル重合を行った後又は行いながら、上記アルコキシシラン(A)の加水分解物が有しているシラノール基の脱水縮合反応を行うことにより、ガスバリア性樹脂層を形成する工程を有することを特徴とするガスバリア性フィルムの製造方法。
  6. アルコキシシラン(A)が、下記一般式(1)で示されることを特徴とする請求項5に記載のガスバリア性フィルムの製造方法。
    Figure 2012223919

    (式中、R1は炭素数4〜9の(メタ)アクリロキシアルキル基を表し、R2は炭素数1〜8のアルキル基を表し、R3は炭素数1〜4のアルキル基を表し、且つnは0又は1である。)
  7. ポリイソシアネート化合物(B)が、ジイソシアネートとトリメチロールプロパンとのアダクト体であることを特徴とする請求項5又は6に記載のガスバリア性フィルムの製造方法。
  8. ラジカル重合性単量体(C)が、(メタ)アクリル酸であることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルムの製造方法。
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