JP2007020562A - スープ原料用焼成鶏ガラ及びそのスープ - Google Patents

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Abstract

【課題】鶏ガラに含まれる各種アミノ酸の流出をなくし、余分な脂肪分と水分を除去して旨味成分を向上させることによって鶏ガラ自体の付加価値を高め、しかも煩瑣な前処理を施すことなく従来の鶏ガラにない新規な特徴を有するスープ原料用焼成鶏ガラ及びそのスープを得ることを目的とする。
【解決手段】解体された生の鶏ガラを焼成処理して得たスープ原料用焼成鶏ガラ、及び解体された生の鶏ガラの一定量を焼網上に並べ、焼網ごと焼成機に入れて焼成処理して得たスープ原料用焼成鶏ガラを提供する。焼成温度200℃〜350℃,焼成時間10分〜20分で焼成処理し、焼成処理により、鶏ガラ中の水分・脂肪分を除去して重量を生の鶏ガラから20%〜35%減少させ、生の鶏ガラのアクや臭みを除去するとともに、その旨味成分を保持する。これらのスープ原料用焼成鶏ガラを水で所定時間煮込んで得た焼成鶏ガラスープを提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は生の鶏ガラを一定条件で焼成することにより、生の鶏ガラが持つ旨味成分を保持したまま、その臭みやアクを除去し、更にはそのにおいを改質することにより、鶏ガラとしての付加価値を向上させ、スープ用材料として従来にない特徴を有するスープ原料用焼成鶏ガラ及びそのスープに関するものである。
従来から鶏を解体して食肉を得た後に残る鶏ガラは、廃棄物として鶏肉処理工場で廃棄されたり、或いはスープ用原料として安価な価格で生のまま冷蔵又は冷凍された状態で流通・販売されている。
生の鶏ガラは鶏肉処理工場から、問屋卸や肉専門店,量販店を経て、ホテル,レストラン,学校給食,一般消費者等に流通して、業務用又は一般用の各種スープ原材料として利用されている。その他にも大手のラーメンメーカや食品メーカ等における加工食品としてのスープの副原料として幅広く利用されている。
また、鶏ガラから製造されるチキンエキスは汎用性の高い調味ベースであり、コンソメ,スープ,シチュー,ソースなどの原料として使用されている。従来のチキンエキスはブロイラーの鶏肉や鶏ガラなどの原料を熱水で加熱抽出して得られるエキス分をそのまま使用するか、該エキス分と抽出残渣を更に熱水加熱抽出処理等により二次加工を施して得られるエキス分とを適宜混合して利用する。また、前記原料を他の畜肉類の肉又は骨とともに加圧熱水加熱抽出処理して得られるエキスを必要により濃縮したものを利用するケースもある。
特許文献1には、地鶏の鶏ガラエキス製品を提供することを目的として、地鶏の鶏ガラを水に浸し、加熱して100℃以上で所定時間沸騰させた後、90℃前後の一定の温度に所定時間保って常圧下に熱水加熱抽出処理を施して鶏ガラエキスを得た後、不純物の除去処理を施し、次いで該鶏ガラエキスを加圧加熱処理する二次加熱処理を施すようにした地鶏の鶏ガラエキス製品及びその製造方法が記載されている。かかる手段によれば、地鶏の鶏ガラを原料として旨味成分の含有量が高く、熱に弱いイノシン酸、アミノ酸、ペプチド等の旨味成分とゼラチン等の味に影響するエキス成分を高いレベルに含有させ、しかも高い保存性を有する業務用及び家庭用の各種畜魚介肉類二次加工食品の調味素材を提供することができる。
特開平8−242806号公報
鶏を解体した際に残る生の鶏ガラ自体は廃棄物であり、廃棄処分をする場合には廃棄費用の発生を来たし、鶏肉処理工場の製造原価の増加を招いてしまう。一方、この鶏ガラからよいスープ(出汁)が取れるため、前記したように生の鶏ガラが業務用又は一般用のスープ原材料として流通・販売されている。
しかしながら、現在流通している鶏ガラは、冷蔵又は冷凍したのみであるため、輸送時や保管時にドリップが発生したり、臭みが発生して衛生上の問題や取り扱いが困難である等の問題がある。更に生の鶏ガラをそのままスープの原料としたのではスープにもアク,臭み(特に生臭さ臭)が発生するため、そのまま使用することができない。使用に際しては10〜20分程度蒸し器で蒸したり、5〜10分程度煮沸したりする等の前処理を施す必要がある(以下、この前処理を施した鶏ガラを総称して蒸し鶏ガラという)。この前処理はいずれの方法でも煩瑣であり、多くの場合前処理全体で2時間程度の時間を要し、手間もかかる。また、これらの前処理によっても生臭さ臭の除去は十分ではない。なお、生の鶏ガラを煮沸する等の前処理をした液は廃棄処分されている。
何より、これらの前処理工程によって、アクや臭みとともに生の鶏ガラが本来持つ貴重な旨味成分である各種アミノ酸等も鶏ガラから流出しており、せっかくの旨味や栄養分が減少してしまうという問題がある。従来鶏ガラ自体の処理には格別の関心が払われることがなく、需要者側は生の鶏ガラを使用するためにはアク抜きや臭み取りのため等の前処理が必要であるという固定した観念に支配されており、前処理によってせっかくの旨味成分が流出することも知られておらず、鶏ガラが持つ旨味成分を最大限に活かす発想はなかった。また、供給者側にも単に解体後の鶏ガラを廃棄処分に替えて、そのまま冷蔵又は冷凍して流通・販売すればよいという固定観念があり、鶏ガラを更に加工して付加価値を高めるという発想自体が両者に存在しないのが実情である。前記特許文献1でも同様に鶏ガラを加工するという工夫はされていない。
即ち、従来は生の鶏ガラの持つ豊富な旨味成分は認識されておらず、生の鶏ガラではアクや臭みのためにスープ原料としては使用できず、使用するためには前処理して使用可能な程度まで臭みを除去するために蒸し鶏ガラとしなければならず、蒸し鶏ガラから旨味成分が流出していることは何ら知られていなかったのである。また、これらの前処理によっても生臭さ臭の除去は十分ではなく、鶏ガラ独特の臭みとして敬遠されることも多かった。更に、近時は健康ブームと相俟って地鶏ブームであり、各地の地鶏の肉や卵は高値で流通しているが、その鶏ガラはいかに良質であっても、前記した課題をそのまま有していることに他ならない。
そこで本発明は従来の鶏ガラ処理手段を改良して、スープ用原材料としての鶏ガラに含まれる各種アミノ酸等の豊富な旨味成分の流出をなくし、余分な脂肪分と水分を除去して旨味成分を向上させるとともに、そのにおいを改質することによって鶏ガラ自体の付加価値を高め、しかも煩瑣な前処理を施すことなく従来の鶏ガラにない新規な特徴を有する焼成鶏ガラ及びそのスープを得ることを目的とするものである。
本発明は上記目的を達成するために、解体された生の鶏ガラを焼成処理して得たスープ原料用焼成鶏ガラ、及び解体された生の鶏ガラの一定量を焼網上に並べ、焼網ごと焼成機に入れて焼成処理して得たスープ原料用焼成鶏ガラを提供する。焼成温度200℃〜350℃,焼成時間10分〜20分で焼成処理し、焼成処理により、鶏ガラ中の水分・脂肪分を除去して生の鶏ガラの重量から20%〜35%減少させる。
焼成処理により、生の鶏ガラのアクや臭みを除去するとともに、その旨味成分を保持し、又焼成処理により、生の鶏ガラのアクや生臭さ系統臭を除去して、発酵系統臭のにおいに改質するとともに、生の鶏ガラの旨味成分を保持する。更に焼成処理により、生の鶏ガラのアクやアミン系臭を除去して、有機酸系のにおいに改質するとともに、生の鶏ガラの旨味成分を保持する。そして、焼成鶏ガラ中のアスパラギン酸とグルタミン酸の配合割合を略1:4とする。
また、これらのスープ原料用焼成鶏ガラを水で所定時間煮込んで得た焼成鶏ガラスープ、及びこれらのスープ原料用焼成鶏ガラを水と、ネギ,生姜等の野菜その他の一種又は複数の材料とともに所定時間煮込んで得た焼成鶏ガラスープを提供する。
本発明によって得られたスープ原料用焼成鶏ガラによれば、鶏を解体した際に残る廃棄物としての鶏ガラを焼成処理することにより、生の鶏ガラのドリップ,臭み(特に生臭さ臭)やアク、保管の困難性を解消することにより、使用に際しての前処理を不要とすることができる。更に生の鶏ガラに豊富に含まれている旨味成分をそのまま保持することができるとともに、余分な水分や脂肪分を除去して濃縮され、旨み成分であるアミノ酸,特にアスパラギン酸とグルタミン酸の流出を防止して、濃厚でこくのあるスープ用材料としての焼成鶏ガラを得ることができる。特に本発明は鶏ガラ中の特定のアミノ酸、特にアスパラギン酸とグルタミン酸の配合割合を略1:4にすることにより旨み成分が高くなる。また、においの質として生の鶏ガラの生臭さ系統臭であるアミン系臭を除去し、発酵系統臭である有機酸系のにおいに改質することができる。
また、スープ原料用焼成鶏ガラを用いてスープを作成した際には、従来の生の鶏ガラ及び蒸し鶏ガラを用いたスープに較べて濁りが少なく、短時間の煮込みでこくのあるスープができるとともに、スープのにおいの質として生の鶏ガラの生臭さ系統臭であるアミン系臭を除去し、発酵系統臭である有機酸系のにおいに改質することができる。作成した翌日にも臭みがなく、二日目もスープとして使用可能である。更に旨みと甘味を持つグリシン,アラニン,スレオニン,プロリン,セリン等のアミノ酸のすべての項目で焼成鶏ガラスープの方が蒸し鶏ガラスープよりも高濃度に含有させることができる。
従って本発明によれば、蒸す等の煩瑣な前処理を施すことなく、スープ用原材料としての鶏ガラに含まれる各種アミノ酸の流出をなくし、余分な水分と脂肪分を除去して旨味成分を向上させるとともに、そのにおいを改質することによって鶏ガラ自体の付加価値を高め、従来の鶏ガラにない新規な特徴を有するスープ原料用焼成鶏ガラ及びそのスープを提供することができる。
以下本発明にかかるスープ原料用焼成鶏ガラ及びそのスープの最良の実施形態を説明する。先ず解体処理場で解体されて食肉を得た後に残る生の鶏ガラを仕入・搬入して、その一定量を焼網上に並べ、焼網ごと焼成機に入れて高温で焼成処理する。焼成処理時の温度と時間は特に限定されないが、焼成温度は200℃〜350℃,焼成時間は10分〜20分程度、好ましくは270℃〜300℃で12分から13分が適当である。焼成時には鶏ガラに焦げ目を付けてもよい。
生の鶏ガラを焼成処理する際の熱源は、ガス,電気,炭火等の何れでもよく、焼成機としてガス又は電力利用の焼成炉,オーブンを利用することもできる。また、焼成処理後に温風乾燥機,真空乾燥機を利用して乾燥させてもよい。
本発明では生の鶏ガラを焼成することで鶏ガラ中の余分な水分と脂肪分を除去することにより、生の鶏ガラのドリップ,アクや臭みを除去することができる。即ち、においの質として生の鶏ガラの生臭さ系統臭であるアミン系臭を除去し、発酵系統臭である有機酸系のにおいに改質することができる。更に、旨み成分であるアミノ酸,特にアスパラギン酸とグルタミン酸の流出をなくすことによって濃厚でこくのあるスープ用材料としての焼成鶏ガラを得ることができる。また、焼成時に鶏ガラに焦げ目を付けることでアミノ酸とブドウ糖を100℃〜180℃で加熱した際に発生するクッキングフレーバと呼ばれる香気成分が付与され、スープにした際に発生する香気により鶏の臭みが消えるという作用が得られる。
焼成処理が終了した状態とは、鶏を解体処理した際に骨に残っている肉質部分が焼けて、肉質部分・骨部分が収縮し、これらに含まれている水分・脂肪分が高温により蒸発して除去され、焦げ目ができた状態を指している。焼成処理によって鶏ガラ全体の重量は生の鶏ガラから20%〜35%程度目減りする。また、加熱によって柔らかい骨の部分が崩れ、硬い部分の骨は手で圧迫すると崩れる状態の部分と崩れない部分とになる。
上記したように生の鶏ガラの焼成処理が終了した後、焼成機から焼網ごと焼成鶏ガラを取り出し、冷却のため30分程度放熱する。次に放熱された焼成鶏ガラの所定量を計量してから袋詰めして密閉し、箱詰めを行う。更に箱詰めした後に金属探知機を用いて異物の存在を検知し、安全性を確認した後に−18℃以下の冷凍庫に入れて冷凍保存する。冷凍後はユーザの注文に応じて随時出荷に供する。
そして、これらの焼成鶏ガラを水と、ネギ,生姜等の野菜その他の一種又は複数の材料とともに沸騰させ、更に所定時間煮込んで焼成鶏ガラスープを得る。焼成鶏ガラとともに煮込む材料はスープ材料として使用し得るものであれば、どのようなものであってもよく、代表的なものとしてはネギ,生姜,タマネギ等の野菜、リンゴ等の果物、酒、昆布やイリコ、鰹節、或いは漢方薬の材料等が考えられる。
本発明では上記の焼成処理を施すことによって、生の鶏ガラに豊富に含有されていた旨味成分を保持した状態で、生の鶏ガラのドリップ,アクや臭み(特に生臭さ臭)を除去することができる。即ち、においの質として生の鶏ガラの生臭さ系統臭であるアミン系臭を除去し、発酵系統臭である有機酸系のにおいに改質することができる。そして焼成鶏ガラ中のアスパラギン酸とグルタミン酸の配合割合を略1:4にすることにより旨み成分が高くなり、焼成処理によって余分な水分と脂肪分が除去されて濃縮されるので、スープ用材料として濃厚でこくのある焼成鶏ガラを得ることができる。上記アスパラギン酸とグルタミン酸の配合割合が略1:4であることは、完熟トマト中の同配合割合とほぼ一致している。
以下に本発明にかかるスープ原料用焼成鶏ガラとともに従来の生の鶏ガラ及び蒸し鶏ガラを用いて3種類のスープを試作し、高知県工業技術センターでアミノ酸の含有量を分析した結果を説明する。本発明にかかるスープの試作条件は、スープ原料用焼成鶏ガラ1.6kg,水道水2.4リットルを用いて、沸騰するまで強火で、その後弱火で煮込んでスープを作成した。従来例としてはスープ原料用焼成鶏ガラに代えて蒸し鶏ガラを、比較例としてスープ原料用焼成鶏ガラに代えて生の鶏ガラを1.6kg使用した以外は本発明にかかるスープの試作条件と同一条件とした。表1に分析結果の報告書内容を示す。
Figure 2007020562
表1によれば、旨み成分であるアスパラギン酸とグルタミン酸は、焼成鶏ガラスープと生の鶏ガラスープとの間で大差がなく、焼成処理によっても生の鶏ガラの持つ旨味成分が流出していないことがわかる。一方、蒸し鶏ガラスープとの比較では本発明を適用したスープの方が含有量が高くなっていることがわかる。その他のアミノ酸のすべての項目でも生の鶏ガラスープと焼成鶏ガラスープ間では大差がなく、焼成鶏ガラスープと蒸し鶏ガラスープ間では、上記アスパラギン酸とグルタミン酸の外に、旨みと甘味を持つアミノ酸として、グリシン,アラニン,スレオニン,プロリン,セリンが焼成鶏ガラスープに高濃度に含まれていることが確認された。これは蒸し鶏ガラスープでは生の鶏ガラを蒸し器で蒸したり鍋で煮沸したりしてアクや臭みを除去するための前処理を施した際に旨味成分としての各種アミノ酸が流出していることを示している。
スープ原料用焼成鶏ガラを用いたスープは、生の鶏ガラ及び蒸し鶏ガラを用いたスープに較べて濁りが少なく、短時間の煮込みでこくのあるスープができる。更に作成した翌日には、生の鶏ガラ及び蒸し鶏ガラを用いたスープは鶏の臭みが強くなってスープとして使用できない状態となったが、本発明にかかる焼成鶏ガラを用いたスープは翌日になっても臭みがなく、二日目もスープとして使用可能であった。
グルタミン酸は昆布の旨み成分として知られているが、味覚に香りや四原味,即ち「辛味・甘味・苦味・酸味」にはほとんど働きかけず、こく,まろやかさ,重厚感等を増大させる作用がある。アスパラギン酸も同様な旨み成分であるが、図1により本発明にかかる焼成鶏ガラを利用したスープと、蒸し鶏ガラと生の鶏ガラを用いた従来例のスープ中のグルタミン酸とアスパラギン酸の含有量(μg/ml)を棒グラフ化して示す。図中のAはアスパラギン酸の含有量を、Bはグルタミン酸の含有量を示している。
図1によれば、本発明を適用したスープは生の鶏ガラスープに較べてグルタミン酸及びアスパラギン酸の両アミノ酸の含有量がやや増加しており、蒸し鶏ガラスープに較べてグルタミン酸及びアスパラギン酸の両アミノ酸の含有量とも約2倍であることが判明した。
図2により本発明にかかる焼成鶏ガラを利用したスープと、蒸し鶏ガラと生の鶏ガラを用いた従来例のスープ中の旨みと甘味を持つアミノ酸として、アラニン,アスパラギン酸,グルタミン酸,グリシン,セリンの各含有量(μg/ml)を棒グラフ化して示す。図中のCはアラニン、Dはグリシン、Eはセリンの含有量を示している。
図2によれば、本発明を適用した焼成鶏ガラスープは、生の鶏ガラスープに較べてアラニン,グリシン,セリンの含有量がやや増加しており、蒸し鶏ガラスープに較べてアラニン,グリシン,セリンの各アミノ酸の含有量は約2倍もしくは2倍以上に増加していることが判明した。
次に本発明にかかるスープ原料用焼成鶏ガラと、従来の生の鶏ガラを用いて作成したスープのにおいについて臭気質の分析をした結果を説明する。本発明にかかるスープの試作条件は、スープ原料用焼成鶏ガラ1kg,水道水1.5リットルを用いて、中火で1.5時間加熱して本発明にかかるスープAを作成した。比較例としてスープ原料用焼成鶏ガラに代えて生の鶏ガラを1kg使用した以外は本発明にかかるスープAの試作条件と同一条件で比較例にかかるスープBを作成した。なお、分析は民間の専門業者であるジェネティックアイディー株式会社(神奈川県横浜市都筑区茅ヶ崎東4−5−17)に依頼をした。図3ににおい質の分析データを、図4ににおいの強さの寄与度をそれぞれレーダーグラフで示し、表2にそれぞれの分析結果の数値を示す。
分析方法は、臭気補足バッグ内にスープA及びスープBをそれぞれ200ml封入後、窒素ガスにより内部空気を置換し、その後酸化半導体センサー内に導入して、9種類の臭気質及び臭気指数相当値(総合臭気強度)を分析した。スープA及びスープBについてそれぞれ並列分析後、平均値を分析データとした。9種類のセンサーに対応する臭気質系統の概要は次の通りである。
硫化水素 →硫化水素(温泉・腐卵臭)
アンモニア →アンモニア
硫黄系 →メチルメルカプタン(タマネギの腐敗臭)
アミン系 →トリメチルアミン(海水魚の生臭さ)
有機酸系 →プロピオン酸(チーズの発酵臭)
アルデヒド系 →ブチルアルデヒド(酸敗臭)
エステル系 →酢酸ブチル
芳香族系 →トルエン
炭化水素系 →ヘプタン
Figure 2007020562
図3によれば、本発明にかかるスープAは、においの質として有機酸系のにおいに近いにおいである。この有機酸系のにおいは、チーズの発酵臭のような発酵系統臭のにおいであり、食欲をそそるにおいといえる。一方、生の鶏ガラを原料とするスープBは有機酸系のにおいからは遠く、アミン系のにおいに近いにおいである。このアミン系のにおいは畜肉・魚の生臭さを示すにおいの系統であり、スープBが生臭さ臭を生じることが裏付けられている。本発明にかかるスープAは、スープBに比較してアミン系のにおいから離れたにおいの質を有しており、スープAが生臭さ臭がしないことが裏付けられている。
また、図4はにおいの系統に対する強さ(寄与度)を示したものであり、スープAはスープBよりも、有機酸(発酵臭)、アルデヒド(酸味臭)、エステル臭、硫化水素臭等の系統のにおいの構成が大きくなり、スープBのようなアミン系のにおいの寄与が大きい状態と異なっていることが判る。よって、これらのデータによればスープAは、総合的なにおいの強さにおいては、スープBより強いが、生臭さ臭が弱く、より柔らかい食欲をそそる発酵臭系のにおいの構成となっていることが判る。
よって、本発明にかかるスープAは、焼成鶏ガラを原料とすることにより、生の鶏ガラを原料とするスープBのアクや生臭さ系統臭を除去して、発酵系統臭のにおいに改質することができるとともに、生の鶏ガラを原料とするスープBが有している旨味成分も保持しているのである。
次にスープ原料用焼成鶏ガラを用いた本発明にかかる鶏スープと、従来の生の鶏ガラを使用した鶏スープを作成して官能試験に供した結果を説明する。先ず生の鶏ガラを280℃で歩留まり69.2%になるように加熱焼成して焼成鶏ガラ(A)を作り、対照として従来から使用されている生の鶏ガラ(B)を用意する。そして夫々の鶏ガラ1600gに対して水道水2.4リットル,京ネギ各1本,生姜1/2個,酒160ccを加えて4時間加熱し、スープを作ってから密閉式保存容器に入れて冷凍庫で10日間保存した。次にコンロで50℃に温め、キッチンペーパで漉したものについてスープを作成して、色,味,香り,総合的なおいしさについて2点嗜好試験法にて評価を行った。評価は社内外のモニター15名で行い、各モニターに上記により得た2種類のスープを与えてどちらがよいかを選択する方法で実施した。その結果を表3に示す。
Figure 2007020562
2点嗜好試験法検定表のn=15の場合、***0.1%の危険率で、また、**1%の危険率で有意に含まれていると判定できる。表2によれば、本発明にかかるスープ原料用焼成鶏ガラ(A)を使用したスープは、味,総合的なおいしさの両面で有意であるものと判定することができる。
以上説明したように、本発明によれば焼成処理により、煩瑣な前処理を施すことなく、生の鶏ガラのアクや臭みを除去し、輸送時,保管時や使用時におけるドリップの発生もないとともに、スープ用原材料としての生の鶏ガラに含まれる各種アミノ酸の流出を防止するとともに余分な脂肪分と水分を除去して旨味成分を向上させることができる。また、焼成処理により、生の鶏ガラのアクや生臭さ系統臭を除去して、発酵系統臭のにおいに改質することができ、鶏ガラ自体の付加価値を高めて、従来の鶏ガラにない新規な特徴を有するスープ原料用焼成鶏ガラ及びそのスープを提供することができる。従ってホテル,レストラン,学校給食等の業務用や一般消費者の外にも大手のラーメンメーカや食品メーカ等における加工食品としてのスープの副原料として幅広く利用することができる。
本発明にかかるスープと、従来例のスープ中のグルタミン酸とアスパラギン酸の含有量(μg/ml)を示す棒グラフ。 本発明にかかるスープと、従来例のスープ中の他のアミノ酸の各含有量(μg/ml)を示す棒グラフ。 本発明にかかるスープと生の鶏ガラを原料とするスープのにおい質の分析データを示すレーダーグラフ。 本発明にかかるスープと生の鶏ガラを原料とするスープのにおいの強さの寄与度を示すレーダーグラフ。

Claims (11)

  1. 解体された生の鶏ガラを焼成処理して得たことを特徴とするスープ原料用焼成鶏ガラ。
  2. 解体された生の鶏ガラの一定量を焼網上に並べ、焼網ごと焼成機に入れて焼成処理して得たことを特徴とするスープ原料用焼成鶏ガラ。
  3. 焼成温度200℃〜350℃,焼成時間10分〜20分で焼成処理してなる請求項1又は2に記載のスープ原料用焼成鶏ガラ。
  4. 焼成処理により、鶏ガラ中の水分・脂肪分を除去して、重量を生の鶏ガラから20%〜35%減少させた請求項1,2又は3に記載のスープ原料用焼成鶏ガラ。
  5. 焼成処理により、生の鶏ガラのアクや臭みを除去するとともに、その旨味成分を保持した請求項1,2,3又は4に記載のスープ原料用焼成鶏ガラ。
  6. 焼成処理により、生の鶏ガラの生臭さ系統臭を除去するとともに、発酵系統臭のにおいに改質した請求項1,2,3又は4に記載のスープ原料用焼成鶏ガラ。
  7. 焼成処理により、生の鶏ガラのアミン系臭を除去するとともに、有機酸系のにおいに改質した請求項1,2,3又は4に記載のスープ原料用焼成鶏ガラ。
  8. 焼成処理により、生の鶏ガラの旨味成分を保持した請求項6又は7に記載のスープ原料用焼成鶏ガラ。
  9. 焼成処理により、焼成鶏ガラ中のアスパラギン酸とグルタミン酸の配合割合を略1:4とした請求項1,2,3,4,5,6,7又は8に記載のスープ原料用焼成鶏ガラ。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載のスープ原料用焼成鶏ガラを水で所定時間煮込んで得たことを特徴とする焼成鶏ガラスープ。
  11. 請求項1〜9のいずれかに記載のスープ原料用焼成鶏ガラを水と、ネギ,生姜等の野菜その他の一種又は複数の材料とともに所定時間煮込んで得たことを特徴とする焼成鶏ガラスープ。
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