JP2007016163A - 光学フィルム - Google Patents

光学フィルム Download PDF

Info

Publication number
JP2007016163A
JP2007016163A JP2005200303A JP2005200303A JP2007016163A JP 2007016163 A JP2007016163 A JP 2007016163A JP 2005200303 A JP2005200303 A JP 2005200303A JP 2005200303 A JP2005200303 A JP 2005200303A JP 2007016163 A JP2007016163 A JP 2007016163A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
residue unit
optical film
film
maleimide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2005200303A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4918759B2 (ja
Inventor
Toru Doi
亨 土井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tosoh Corp
Original Assignee
Tosoh Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tosoh Corp filed Critical Tosoh Corp
Priority to JP2005200303A priority Critical patent/JP4918759B2/ja
Publication of JP2007016163A publication Critical patent/JP2007016163A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4918759B2 publication Critical patent/JP4918759B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Polarising Elements (AREA)
  • Liquid Crystal (AREA)

Abstract

【課題】 本発明は、光学特性、耐熱性に優れた光学フィルム、特にディスプレイ用光学フィルムを提供する。
【解決手段】 特定のN−置換マレイミド系樹脂残基単位を含むマレイミド系樹脂よりなり、厚みが10〜400μmである光学フィルム。
【選択図】 選択図なし。

Description

本発明は、光学特性、耐熱性に優れた光学フィルム、特にディスプレイ用光学フィルムに関するものである。
液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイパネル、電子ペーパーなどに代表されるフラットパネルディスプレイには、透明樹脂からなる光学フィルムが使用されている。光学フィルムの使用によりディスプレイの薄型化、軽量化、携帯化が可能となり、薄型テレビ、コンピューターモニター、ノートブックパソコン、携帯電話、カーナビゲーション等への応用が急速に展開されている。しかしながら、現在使用されている光学フィルムは必ずしも市場のニーズを満たしたものではない。例えば偏光子保護フィルムとしてはトリアセチルセルロースフィルム(以下、TACフィルム)が用いられているが、耐熱性に課題がある。また、位相差フィルムとしてはポリカーボネートフィルム(以下、PCフィルム)を延伸、配向させたものが広く使用されている。しかし、PCフィルムは光弾性係数が大きいため、複屈折が大きく、外部からの応力によって複屈折が変化しやすいなどの課題がある。
透明導電性基板フィルムは、透明フィルム上に透明導電膜が積層された構成になっている。この透明フィルムは耐熱性、光学特性に優れていることが求められており、ポリエーテルサルフォン(以下、PES)やポリアリレート(以下、PAR)が用いられている。しかし、PESからなるフィルムは透明性に劣り、PARからなるフィルムも光学特性に不満足な点が多いという課題がある。
さらに、ディスプレイ基板用フィルムの場合、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイの製造工程において、薄膜トランジスタ(以下、TFT)形成工程、パネルの張り合わせ工程、配向膜形成工程、透明電極形成工程などで、150℃から200℃以上の高いプロセス温度が必要となり、ディスプレイ基板用フィルムには高い耐熱性が要求される。また、ディスプレイの表示特性に対する要求も年々厳しくなっていることから、ディスプレイ基板用フィルムに対しても優れた光学特性が求められている。この用途で検討が進められているPESは薄黄色から茶色に着色していること、光弾性定数が大きく、わずかな応力や歪により複屈折(光学的な異方性)を生じる、屈折率の波長依存性が大きいなど光学的な特性にも課題があり、基板用フィルムとしての特性を十分満足していない。
アルキルマレイミド類とオレフィン類からなる光学フィルムが報告されている(例えば、特許文献1,2参照)が、更なる耐熱性向上、柔軟性向上が求められている。
特開2000−080240号公報 特開平09−328523号公報
本発明の目的は、特定のN−置換マレイミド残基単位を含むマレイミド系樹脂からなる光学特性、耐熱性に優れた光学フィルムを提供することにある。さらに詳細には、光学特性、耐熱性に優れた偏光子保護フィルム、位相差フィルム、透明導電性基板フィルム、フラットパネルディスプレイ基板用フィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定のN−置換マレイミド残基単位からなる光学フィルムが、光学特性および耐熱性に優れることを見出し本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表されるN−置換マレイミド残基単位を含むマレイミド系樹脂よりなり、厚みが10〜400μmであることを特徴とする光学フィルムに関するものである。
Figure 2007016163
(1)
(ここで、Rはヒドロキシ基、カルボキシル基、炭素数1から4のヒドロキシアルキル基、炭素数1から4のアミノアルキル基、炭素数2から5のカルボキシルアルキル基を示す。)
以下、本発明の光学フィルムについて詳細に説明する。
本発明は、上記一般式(1)で表されるN−置換マレイミド残基単位を含むマレイミド系樹脂よりなり、厚みが10〜400μmであることを特徴とする光学フィルムに関するものである。ここで、一般式(1)で表されるN−置換マレイミド残基単位中のRはヒドロキシ基、カルボキシル基、炭素数1から4のヒドロキシアルキル基、炭素数1から4のアミノアルキル基、炭素数2から5のカルボキシルアルキル基を示す。なお、ヒドロキシアルキル基、カルボキシルアルキル基、アミノアルキル基は、分岐状アルキル基であってもよい。さらに、アミノアルキル基の窒素上にアルキル置換基が置換したものであってもよい。
そして、炭素数1から4のヒドロキシアルキル基としては、例えばヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基等が挙げられ、炭素数1から4のアミノアルキル基としては、例えばアミノメチル基、アミノエチル基、アミノプロピル基、アミノブチル基、(N,N−ジメチルアミノ)メチル基、(N,N−ジメチルアミノ)エチル基、(N,N−ジメチルアミノ)プロピル基、(N,N−ジメチルアミノ)ブチル基、(N,N−ジエチルアミノ)メチル基、(N,N−ジエチルアミノ)エチル基、(N,N−ジエチルアミノ)プロピル基、(N,N−ジエチルアミノ)ブチル基等が挙げられ、炭素数2から5のカルボキシルアルキル基としては、例えばカルボキシルメチル基、2−カルボキシルエチル基、3−カルボキシルプロピル基、4−カルボキシルブチル基等が挙げられる。これらの中でも耐熱性に優れる光学フィルムが得られることから、Rとしては、ヒドロキシ基、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、カルボキシル基、2−カルボキシルエチル基、(N,N−ジメチルアミノ)メチル基、(N,N−ジメチルアミノ)エチル基、(N,N−ジメチルアミノ)プロピル基、(N,N−ジメチルアミノ)ブチル基、(N,N−ジエチルアミノ)メチル基、(N,N−ジエチルアミノ)エチル基、(N,N−ジエチルアミノ)プロピル基、(N,N−ジエチルアミノ)ブチル基等が好ましく、特にヒドロキシ基、2−ヒドロキシエチル基、2−カルボキシルエチル基、(N,N−ジメチルアミノ)プロピル基等が好ましい。
具体的な一般式(1)で表されるN−置換マレイミド残基単位としては、例えば、N−ヒドロキシマレイミド残基単位、N−ヒドロキシメチルマレイミド残基単位、N−(2−ヒドロキシエチル)マレイミド残基単位、N−(3−ヒドロキシプロピル)マレイミド残基単位、N−(4−ヒドロキシブチル)マレイミド残基単位、N−アミノメチルマレイミド残基単位、N−(2−アミノエチル)マレイミド残基単位、N−(3−アミノプロピル)マレイミド残基単位、N−(4−アミノブチル)マレイミド残基単位、N−(N,N−ジメチルアミノ)メチルマレイミド残基単位、N−(2−(N,N−ジメチルアミノ))エチルマレイミド残基単位、N−(3−(N,N−ジメチルアミノ))プロピルマレイミド残基単位、N−(4−(N,N−ジメチルアミノ))ブチルマレイミド残基単位、N−(N,N−ジエチルアミノ)メチルマレイミド残基単位、N−(2−(N,N−ジエチルアミノ))エチルマレイミド残基単位、N−(3−(N,N−ジエチルアミノ))プロピルマレイミド残基単位、N−(4−(N,N−ジエチルアミノ))ブチルマレイミド残基単位、N−カルボキシルマレイミド残基単位、N−カルボキシルメチルマレイミド残基単位、N−(2−カルボキシルエチル)マレイミド残基単位、N−(3−カルボキシルプロピル)マレイミド残基単位、N−(4−カルボキシルブチル)マレイミド残基単位等が挙げられる。これらの中でも耐熱性に優れる光学フィルムが得られることから、N−ヒドロキシマレイミド残基単位、N−ヒドロキシメチルマレイミド残基単位、N−(2−ヒドロキシエチル)マレイミド残基単位、N−(N,N−ジメチルアミノ)メチルマレイミド残基単位、N−(2−(N,N−ジメチルアミノ))エチルマレイミド残基単位、N−(3−(N,N−ジメチルアミノ))プロピルマレイミド残基単位、N−(4−(N,N−ジメチルアミノ))ブチルマレイミド残基単位、N−(N,N−ジエチルアミノ)メチルマレイミド残基単位、N−(2−(N,N−ジエチルアミノ))エチルマレイミド残基単位、N−(3−(N,N−ジエチルアミノ))プロピルマレイミド残基単位、N−(4−(N,N−ジエチルアミノ))ブチルマレイミド残基単位、N−カルボキシルマレイミド残基単位、N−(2−カルボキシルエチル)マレイミド残基単位等が好ましく、特にN−ヒドロキシマレイミド残基単位、N−(2−ヒドロキシエチル)マレイミド残基単位、N−(2−カルボキシルエチル)マレイミド残基単位、N−(3−(N,N−ジメチルアミノ))プロピルマレイミド残基単位等が好ましい。
本発明の光学フィルムは、一般式(1)で表されるN−置換マレイミド残基単位を含むマレイミド系樹脂よりなり、その中でも耐熱性に優れる光学フィルムが得られることから、マレイミド系樹脂中のN−置換マレイミド残基単位が40モル%以上であることが好ましい。その際のマレイミド系樹脂を構成する他の単量体残基単位としては、例えば下記一般式(2)で表されるオレフィン残基単位;アクリル酸メチル残基単位、アクリル酸エチル残基単位、アクリル酸ブチル残基単位等のアクリル酸アルキルエステル類残基単位;メタクリル酸メチル残基単位、メタクリル酸エチル残基単位、メタクリル酸ブチル残基単位等のメタクリル酸アルキルエステル類残基単位;スチレン残基単位、α−メチルスチレン残基単位等のビニル芳香族炭化水素類残基単位;酢酸ビニル残基単位、プロピオン酸ビニル残基単位、ピバル酸ビニル残基単位等のカルボン酸ビニルエステル類残基単位;メチルビニルエーテル残基単位、エチルビニルエーテル残基単位、ブチルビニルエーテル残基単位等のビニルエーテル類残基単位;N−メチルマレイミド残基単位、N−シクロヘキシルマレイミド残基単位、N−フェニルマレイミド残基単位等のN−置換マレイミド類残基単位;アクリロニトリル残基単位;メタクリロニトリル残基単位等が挙げられる。これらのマレイミド系樹脂を構成する他の単量体残基単位の中でも、特に光学特性、耐熱性、機械強度に優れる光学フィルムが得られることから、下記一般式(2)で表されるオレフィン残基単位が好ましい。
Figure 2007016163
(2)
(ここで、R、Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1から6の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基、環状アルキル基を示す。)
ここで、一般式(2)で表されるオレフィン残基単位中のR、Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1から6の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基、環状アルキル基を示す。そして、炭素数1から6の直鎖状アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基等が挙げられ、炭素数1から6の分岐状アルキル基としては、例えばイソプロピル基が挙げられ、炭素数1から6の環状アルキル基としては、例えばシクロヘキシル基が挙げられる。これらの中でもR、Rとしては、耐熱性に優れる光学フィルムが得られることから、メチル基が好ましい。
具体的な一般式(2)で表されるオレフィン残基単位としては、例えばエチレン残基単位、プロピレン残基単位、2−メチルプロペン残基単位、1−ブテン残基単位、2−メチル−1−ブテン残基単位、2−エチル−1−ブテン残基単位、1−ヘキサン残基単位、2−メチル−1−ヘキサン残基単位、2−エチル−1−ヘキサン残基単位、2−プロピル−1−ヘキサン残基単位、2−イソプロピル−1−ヘキサン残基単位、2−シクロプロピル−1−ヘキサン残基単位等が挙げられる。これらの中でも耐熱性に優れる光学フィルムが得られることから、2−メチルプロペン残基単位が好ましい。
本発明の光学フィルムを構成するマレイミド樹脂に用いることが可能な一般式(1)で表されるN−置換マレイミド残基単位と一般式(2)で表されるオレフィン残基単位の配合割合は、特に制限はなく、その中でも耐熱性に優れる光学フィルムが得られることから、一般式(1)で表されるN−置換マレイミド残基単位40〜90モル%、一般式(2)で表されるオレフィン残基単位60〜10モル%であることが好ましい。
本発明の光学フィルムに用いるマレイミド系樹脂のゲルパーミエイションクロマトグラフィーで測定されるポリスチレン換算による数平均分子量は、10,000〜500,000が好ましく、特に好ましくは30,000〜100,000である。
本発明の光学フィルムに用いるマレイミド系樹脂の製造方法としては、一般式(1)で表されるN−置換マレイミド残基単位よりなるマレイミド系樹脂が得られる限り如何なる製造方法をも用いることができ、例えば下記一般式(3)で表されるN−置換マレイミド類をラジカル重合することにより、マレイミド系樹脂を得ることができる。
Figure 2007016163
(3)
(ここで、Rはヒドロキシ基、カルボキシル基、炭素数1から4のヒドロキシアルキル基、炭素数2から5のカルボキシルアルキル基を示す。)
ここで、一般式(3)で表されるN−置換マレイミド類中のRはヒドロキシ基、カルボキシル基、炭素数1から4のヒドロキシアルキル基、炭素数1から4のアミノアルキル基、炭素数2から5のカルボキシルアルキル基を示す。なお、ヒドロキシアルキル基、カルボキシルアルキル基、アミノアルキル基は、分岐状アルキル基であってもよい。さらに、アミノアルキル基の窒素上にアルキル置換基が置換したものであってもよい。
そして、炭素数1から4のヒドロキシアルキル基としては、例えばヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基等が挙げられ、炭素数1から4のアミノアルキル基としては、例えばアミノメチル基、アミノエチル基、アミノプロピル基、アミノブチル基、(N,N−ジメチルアミノ)メチル基、(N,N−ジメチルアミノ)エチル基、(N,N−ジメチルアミノ)プロピル基、(N,N−ジメチルアミノ)ブチル基、(N,N−ジエチルアミノ)メチル基、(N,N−ジエチルアミノ)エチル基、(N,N−ジエチルアミノ)プロピル基、(N,N−ジエチルアミノ)ブチル基等が挙げられ、炭素数2から5のカルボキシルアルキル基としては、例えばカルボキシルメチル基、2−カルボキシルエチル基、3−カルボキシルプロピル基、4−カルボキシルブチル基等が挙げられる。これらの中でも耐熱性に優れる光学フィルムが得られることから、Rとしては、ヒドロキシ基、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、カルボキシル基、2−カルボキシルエチル基、(N,N−ジメチルアミノ)メチル基、(N,N−ジメチルアミノ)エチル基、(N,N−ジメチルアミノ)プロピル基、(N,N−ジメチルアミノ)ブチル基、(N,N−ジエチルアミノ)メチル基、(N,N−ジエチルアミノ)エチル基、(N,N−ジエチルアミノ)プロピル基、(N,N−ジエチルアミノ)ブチル基等が好ましく、特にヒドロキシ基、2−ヒドロキシエチル基、2−カルボキシルエチル基、(N,N−ジメチルアミノ)プロピル基等が好ましい。
具体的な一般式(3)で表されるN−置換マレイミド類としては、例えばN−ヒドロキシマレイミド、N−ヒドロキシメチルマレイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)マレイミド、N−(3−ヒドロキシプロピル)マレイミド、N−(4−ヒドロキシブチル)マレイミド、N−アミノメチルマレイミド、N−(2−アミノエチル)マレイミド、N−(3−アミノプロピル)マレイミド、N−(4−アミノブチル)マレイミド、N−(N,N−ジメチルアミノ)メチルマレイミド、N−(2−(N,N−ジメチルアミノ))エチルマレイミド、N−(3−(N,N−ジメチルアミノ))プロピルマレイミド、N−(4−(N,N−ジメチルアミノ))ブチルマレイミド、N−(N,N−ジエチルアミノ)メチルマレイミド、N−(2−(N,N−ジエチルアミノ))エチルマレイミド、N−(3−(N,N−ジエチルアミノ))プロピルマレイミド、N−(4−(N,N−ジエチルアミノ))ブチルマレイミド、N−カルボキシルマレイミド、N−カルボキシルメチルマレイミド、N−(2−カルボキシルエチル)マレイミド、N−(3−カルボキシルプロピル)マレイミド、N−(4−カルボキシルブチル)マレイミド等が挙げられる。これらの中でも耐熱性に優れる光学フィルムが得られることから、N−ヒドロキシマレイミド、N−ヒドロキシメチルマレイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)マレイミド、N−(N,N−ジメチルアミノ)メチルマレイミド、N−(2−(N,N−ジメチルアミノ))エチルマレイミド、N−(3−(N,N−ジメチルアミノ))プロピルマレイミド、N−(4−(N,N−ジメチルアミノ))ブチルマレイミド、N−(N,N−ジエチルアミノ)メチルマレイミド、N−(2−(N,N−ジエチルアミノ))エチルマレイミド、N−(3−(N,N−ジエチルアミノ))プロピルマレイミド、N−(4−(N,N−ジエチルアミノ))ブチルマレイミド、N−カルボキシルマレイミド、N−(2−カルボキシルエチル)マレイミド等が好ましく、特にN−ヒドロキシマレイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)マレイミド、N−(2−カルボキシルエチル)マレイミド、N−(3−(N,N−ジメチルアミノ))プロピルマレイミド等が好ましい。
一般式(3)で表されるN−置換マレイミド類のラジカル重合方法としては、特に制限はなく、公知のラジカル重合方法を用いることが可能であり、例えば水性媒体中で懸濁剤を用いた懸濁重合方法、乳化重合方法、トルエン等の有機溶剤を用いた溶液重合方法、溶媒を使用しない塊状重合方法等が挙げられる。
ラジカル重合を行う際の重合開始剤としては、例えばベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーブチルピバレート等の有機過酸化物;2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系開始剤が挙げられる。
ラジカル重合を行う際に使用可能な溶媒としては、特に制限はなく、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;シクロヘキサン;ジオキサン;テトラヒドロフラン;アセトン;メチルエチルケトン;ジメチルホルムアミド;酢酸イソプロピル;1,2−ジクロロエタン等が挙げられ、これらの混合溶媒も用いることが可能である。
ラジカル重合を行う際の重合温度は、重合開始剤の分解温度に応じて適宜設定することができ、一般的には30〜150℃の範囲で行うことが好ましい。
また、本発明の光学フィルムに好ましく用いることが可能な一般式(1)で表されるN−置換マレイミド残基単位と一般式(2)で表されるオレフィン残基単位よりなるマレイミド系樹脂の製造方法は、特に制限は無く、例えば[1]一般式(3)で表されるN−置換マレイミド類と、下記一般式(4)で表されるオレフィン類をラジカル重合する方法(以下、合成方法(1)とする);[2]下記一般式(5)で表される無水マレイン酸残基単位と前記一般式(2)で表されるオレフィン残基単位よりなる無水マレイン酸重合体と下記一般式(6)で表されるアミン類との反応により製造する方法(以下、合成方法(2)とする)等が好ましく用いられる。
Figure 2007016163
(4)
(ここで、R、Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1から6の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基、環状アルキル基を示す。)
Figure 2007016163
(5)
Figure 2007016163
(6)
(ここで、Rはヒドロキシ基、カルボキシル基、炭素数1から4のヒドロキシアルキル基、炭素数1から4のアミノアルキル基、炭素数2から5のカルボキシルアルキル基を示す。)
本発明の光学フィルムに好ましく用いられる一般式(1)で表されるN−置換マレイミド残基単位と一般式(2)で表されるオレフィン残基単位よりなるマレイミド系樹脂の合成方法(1)に用いられる一般式(4)で表されるオレフィン残基中のR、Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1から6の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基、環状アルキル基を示し、炭素数1から6の直鎖状アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基等が挙げられ、炭素数1から6の分岐状アルキル基としては、例えばイソプロピル基が挙げられ、炭素数1から6の環状アルキル基としては、例えばシクロヘキシル基が挙げられる。これらの中でもR、Rとしては、耐熱性に優れる光学フィルムが得られることから、メチル基が好ましい。
具体的な一般式(4)で表されるオレフィン類としては、例えばエチレン、プロピレン、2−メチルプロペン、1−ブテン、2−メチル−1−ブテン、2−エチル−1−ブテン、1−ヘキサン、2−メチル−1−ヘキサン、2−エチル−1−ヘキサン、2−プロピル−1−ヘキサン、2−イソプロピル−1−ヘキサン、2−シクロプロピル−1−ヘキサン等が挙げられる。これらの中でも耐熱性に優れる光学フィルムが得られることから、2−メチルプロペンが好ましい。
合成方法(1)における一般式(3)で表されるN−置換マレイミド類と一般式(4)で表されるオレフィン類をラジカル重合する方法としては、特に制限はなく、前記一般式(3)で表されるN−置換マレイミド類の重合方法と同じ重合方法を用いることが好ましい。
本発明の光学フィルムに好ましく用いられる一般式(1)で表されるN−置換マレイミド残基単位と一般式(2)で表されるオレフィン残基単位よりなるマレイミド系樹脂の合成方法(2)に用いられる一般式(6)で表されるアミン類中のRはヒドロキシ基、カルボキシル基、炭素数1から4のヒドロキシアルキル基、炭素数1から4のアミノアルキル基、炭素数2から5のカルボキシルアルキル基を示す。なお、ヒドロキシアルキル基、カルボキシルアルキル基、アミノアルキル基は、分岐状アルキル基であってもよい。さらに、アミノアルキル基の窒素上にアルキル置換基が置換したものであってもよい。
そして、炭素数1から4のヒドロキシアルキル基としては、例えばヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基等が挙げられ、炭素数1から4のアミノアルキル基としては、例えばアミノメチル基、アミノエチル基、アミノプロピル基、アミノブチル基、(N,N−ジメチルアミノ)メチル基、(N,N−ジメチルアミノ)エチル基、(N,N−ジメチルアミノ)プロピル基、(N,N−ジメチルアミノ)ブチル基、(N,N−ジエチルアミノ)メチル基、(N,N−ジエチルアミノ)エチル基、(N,N−ジエチルアミノ)プロピル基、(N,N−ジエチルアミノ)ブチル基等が挙げられ、炭素数2から5のカルボキシルアルキル基としては、例えばカルボキシルメチル基、2−カルボキシルエチル基、3−カルボキシルプロピル基、4−カルボキシルブチル基等が挙げられる。これらの中でも耐熱性に優れる光学フィルムが得られることから、Rとしては、ヒドロキシ基、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、カルボキシル基、2−カルボキシルエチル基、(N,N−ジメチルアミノ)メチル基、(N,N−ジメチルアミノ)エチル基、(N,N−ジメチルアミノ)プロピル基、(N,N−ジメチルアミノ)ブチル基、(N,N−ジエチルアミノ)メチル基、(N,N−ジエチルアミノ)エチル基、(N,N−ジエチルアミノ)プロピル基、(N,N−ジエチルアミノ)ブチル基等が好ましく、特に、ヒドロキシ基、2−ヒドロキシエチル基、2−カルボキシルエチル基、(N,N−ジメチルアミノ)プロピル基等が好ましい。
具体的な一般式(6)で表されるアミン類としては、例えばヒドロキシアミン、ヒドロキシメチルアミン、(2−ヒドロキシエチル)アミン、(3−ヒドロキシプロピル)アミン、(4−ヒドロキシブチル)アミン、アミノメチルアミン、(2−アミノエチル)アミン、(3−アミノプロピル)アミン、(4−アミノブチル)アミン、(N,N−ジメチルアミノ)メチルアミン、(2−(N,N−ジメチルアミノ))エチルアミン、(3−(N,N−ジメチルアミノ))プロピルアミン、(4−(N,N−ジメチルアミノ))ブチルアミン、(N,N−ジエチルアミノ)メチルアミン、(2−(N,N−ジエチルアミノ))エチルアミン、(3−(N,N−ジエチルアミノ))プロピルアミン、(4−(N,N−ジエチルアミノ))ブチルアミン、カルボキシルアミン、カルボキシルメチルアミン、(2−カルボキシルエチル)アミン、(3−カルボキシルプロピル)アミン、(4−カルボキシルブチル)アミン等が挙げられる。これらの中でも耐熱性に優れる光学フィルムが得られることから、ヒドロキシアミン、ヒドロキシメチルアミン、(2−ヒドロキシエチル)アミン、(N,N−ジメチルアミノ)メチルアミン、(2−(N,N−ジメチルアミノ))エチルアミン、(3−(N,N−ジメチルアミノ))プロピルアミン、N−(4−(N,N−ジメチルアミノ))ブチルアミン、(N,N−ジエチルアミノ)メチルアミン、(2−(N,N−ジエチルアミノ))エチルアミン、(3−(N,N−ジエチルアミノ))プロピルアミン、(4−(N,N−ジエチルアミノ))ブチルアミン、カルボキシルアミン、(2−カルボキシルエチル)アミン等が好ましく、特にヒドロキシアミン、(2−ヒドロキシエチル)アミン、(2−カルボキシルエチル)アミン、(3−(N,N−ジメチルアミノ))プロピルアミン等が好ましい。
合成方法(2)における一般式(5)で表される無水マレイン酸残基単位と、一般式(2)で表されるオレフィン残基単位よりなる無水マレイン酸重合体と一般式(6)で表されるアミン類との反応方法としては、特に制限が無く、例えば無水マレイン酸残基単位とオレフィン残基単位を反応させ無水マレイン酸重合体を得た後、該無水マレイン酸重合体とアミン類を溶媒に分散あるいは溶解させアミド酸とした後、加熱により脱水閉環する方法が挙げられる。
無水マレイン酸残基単位とオレフィン残基単位の反応より得られる無水マレイン酸重合体の製造方法としては、特に制限は無く、その中でも、一般式(1)で表されるN−置換マレイミド残基単位と一般式(2)で表されるオレフィ残基単位を反応させて得られる本発明で用いるマレイミド系樹脂の製造方法と同じ製造方法であることが好ましい。
そして、得られた無水マレイン酸重合体と一般式(6)で表されるアミン類を溶媒に分散あるいは溶解させアミド酸とした後、加熱により脱水閉環することにより、本発明の光学フィルムで用いられるマレイミド系樹脂が得られるものであり、その際のアミン類を分散あるいは溶解させる溶媒としては、特に制限はなく、例えばメタノール、エタノール、プロパノ−ル等のアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族溶剤;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類が挙げられる。また、加熱により脱水閉環する方法としては、例えば上記で得られたアミド酸を更に溶剤中で脱水閉環する方法、押出し機中で脱水閉環する方法等が挙げられる。その際の脱水閉環の温度は120℃以上が好ましく、特に好ましくは150℃以上である。
本発明の光学フィルムに用いるマレイミド系樹脂には、より熱安定性に優れる光学フィルムが得られることから、酸化防止剤を含んでなるものであることが好ましい。該酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ヒドロキシルアミン系酸化防止剤、ビタミンE系酸化防止剤、その他酸化防止剤が挙げられ、これら酸化防止剤はそれぞれ単独で用いてもよく、それぞれを併用して用いても良い。そして、特に熱安定性に優れる光学フィルムが得られることから、フェノール系酸化防止剤が好ましく、更には熱安定性に加えて熱着色性にも優れる光学フィルムが得られることから、ヒンダードフェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤を併用して用いることが好ましい。ヒンダードフェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤を併用する際の配合量は、例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤100重量部に対して、リン系酸化防止剤を0〜1000重量部が好ましく、特に好ましくは100〜500重量部である。
また、該酸化防止剤の添加量としては、高温暴露時の熱安定性、耐熱着色に優れ、ブリード、ヘーズ悪化等が無い光学フィルムが得られることからマレイミド系樹脂100重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましく、特に好ましくは0.5〜3.0重量部である。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えばペンタエリスリトール−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、チオジエチレン−ビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナミド)等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、例えばトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、ビス(2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル)エチルエステル亜りん酸、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)(1,1−ビフェニル)−4,4’−ジイルビスホスフォナイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトール−ジホスファイト等が挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、例えばジドデシル3,3’−チオジプロピオネート、ジオクタデシル3,3’−チオジプロピオネート等が挙げられる。
ラクトン系酸化防止剤としては、例えば3−ヒドロキシ−5,7−ジ−t−ブチル−フラン−2−オンとo−キシレンの反応生成物が挙げられる。
また、本発明の光学フィルムに用いるマレイミド系樹脂には、ヒンダードアミン系光安定剤を含んでいてもよく、該ヒンダードアミン系光安定剤としては、熱着色抑制効果に優れる光学フィルムが得られることから、分子量が1000以上が好ましく、特に好ましくは1500以上である。さらに、ヒンダードアミン系光安定剤の添加量としては、熱着色防止効果および光安定化効果に優れる光学フィルムが得られることからマレイミド系樹脂100重量部に対して、0.01〜1.5重量部が好ましく、特に好ましくは0.05〜1重量部、さらに好ましくは0.1〜0.5重量部である。
さらに、マレイミド系樹脂には、紫外線吸収剤を含んでいてもよく、該紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、トリアジン、ベンゾエート等の紫外線吸収剤を必要に応じて添加することもできる。これら添加剤は一種類以上組み合わせて用いることもできる。
マレイミド系樹脂には、発明の主旨を越えない範囲で、その他ポリマー、界面活性剤、高分子電解質、導電性錯体、無機フィラー、顔料、染料、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤等が加えられていてもよい。
本発明の光学フィルムは、厚みが10〜400μmであり、好ましくは20〜300μm、さらに好ましくは80〜130μmである。ここで、フィルム厚みが10μm未満の場合、光学フィルムの機械特性および支持性が低下する。一方、フィルム厚みが400μmを超える場合、フィルムの重量が増加すると共に、フィルムからの溶媒の除去に長時間を要するなど生産性が低下するため好ましくない。なお、フィルムの厚さは用途に応じて適宜決めることができる。
本発明の光学フィルムの製造方法としては、本発明の光学フィルムの製造が可能であれば如何なる方法を用いてもよく、例えば溶融押出し法、溶液キャスト法、プレス成形法等の一般的な成形加工法により成形可能であり、その中でも特に光学特性、耐熱性、表面特性などに優れる光学フィルムが得られることから、溶液キャスト法により製造することが好ましい。
ここで、溶液キャスト法とは、樹脂溶液(一般にはドープと称する。)を支持基板上に流延した後、加熱することにより溶媒を蒸発させてフィルムを得る方法である。樹脂溶液とする際の溶媒は、マレイミド系樹脂が溶解可能であれば如何なる溶媒でも使用可能であり、該溶媒としては、例えばクロロホルム、ジクロロメタンなどの塩素系溶媒;トルエン、キシレン、ベンゼン及びこれらの混合溶媒などの芳香族系溶媒;ジメチルホルムアミド;ジメチルスルフォキシド;ジオキサン;シクロヘキサノン;テトラハイドロフラン;アセトン;酢酸エチル;酢酸メチル;シエチルエーテル等を挙げることができる。また、流延する方法としては、例えばTダイ法、ドクターブレード法、バーコーター法、ロールコーター法、リップコーター法、アプリケーター法等が用いられ、工業的には、ダイからドープをベルト状又はドラム状の支持基板に連続的に押し出す方法が最も一般的に用いられている。また、用いられる支持基板としては、例えばガラス基板、ステンレスやフェロタイプ等の金属基板、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチック基板などが挙げられる。
本発明の光学フィルムの厚みは均一であることが望ましく、厚みむらは10μm以下が好ましく、特に好ましくは5μm以下、さらに好ましくは3μm以下である。
本発明の光学フィルムの位相差は液晶ディスプレイの表示品位に大きな影響を与えるため、偏光子保護フィルム、透明導電性基板フィルム、フラットパネルディスプレイ基板用フィルム、液晶ディスプレイ基板用フィルムに用いる場合には、位相差が小さいことが重要であり、位相差が10nm以下が好ましく、特に好ましくは5nm以下である。本発明の光学フィルムは、光弾性定数が小さいため位相差の小さな光学フィルムとして用いることができる。
一方、位相差フィルムとして用いる場合にはフィルムの位相差を所定の位相差値に設定する必要がある。一般的には樹脂のガラス転移温度近傍での延伸により数十〜数百nm程度の位相差を付与する。位相差フィルムの場合でも一旦設定した位相差が使用環境下、あるいはディスプレイの製造工程で変化しないことが重要である。本発明の特定のマレイミド系樹脂よりなる光学フィルムはガラス領域での光弾性定数が小さく位相差の安定したフィルムを得ることができる。位相差機能を偏光子保護フィルム、プラスチックディスプレイ基板フィルムに付与した機能複合フィルムとしても使用できる。
本発明の光学フィルムは、延伸し光学フィルムとすることもでき、該フィルムの延伸方法としては、1軸延伸法あるいは2軸延伸法を用いることが可能であり、該1軸延伸法としては、例えばテンターにより延伸する方法、カレンダーにより圧延して延伸する方法、ロール間で延伸する方法、自由幅1軸延伸法、定幅1軸延伸法などを挙げることができ、該2軸延伸方法としては、例えばテンターにより延伸する方法、遂次2軸延伸法、同時2軸延伸法などが挙げられる。
本発明の光学フィルムは、大気雰囲気下における湿気や酸化によるディスプレイの劣化を保護するために、少なくとも一層以上のガスバリア層を積層してなる積層体であることが好ましい。該ガスバリア層としては、例えば酸化ケイ素、窒化ケイ素、窒化酸化ケイ素、酸化アルミ、酸化タンタル、アルミ膜などの無機層;ポリビニルアルコール、ポリオレフィンなどの有機層が挙げられ、特に、光学特性、ガスバリア性能、高精細なディスプレイに重要である寸法安定性に優れる光学フィルムが得られることから酸化ケイ素、窒化ケイ素、窒化酸化ケイ素を主体とするものが好ましい。ガスバリア層の厚みは無機層の場合は1〜1000nmが好ましく、特に好ましくは10〜300nmであり、有機層の場合には0.1〜100μmが好ましく、特に好ましくは1〜50μmである。これらガスバリア層は有機層と無機層を積層化、多層化することもできる。ガスバリア層は、蒸着、スパッタ、PECVD、CatCVD、コーティングやラミネーティングなど公知の手法により形成することができる。
本発明の光学フィルムは、フィルムの表面性、耐傷付き性、TFT形成時の耐薬品性を向上させるために、少なくとも一層以上のハードコート層を有する積層体とすることが好ましい。該ハードコート層としては、例えばシリコン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルシリコン系樹脂、紫外線硬化型樹脂、ウレタン系ハードコート剤などならなる層が挙げられ、これらは、一種類以上で用いることができる。その中でも透明性、耐傷付き性、耐薬品性に優れる光学フィルムが得られることから、紫外線硬化型樹脂が好ましい。該紫外線硬化型樹脂としては、例えば紫外線硬化型アクリルウレタン、紫外線硬化型エポキシアクリレート、紫外線硬化型(ポリ)エステルアクリレート、紫外線硬化型オキセタンなどから選ばれる一種類以上の紫外線硬化型樹脂が挙げられる。ハードコート層の厚みは、0.1〜100μmが好ましく、特に好ましくは1〜50μm、さらに好ましくは2〜20μmである。
また、該光学フィルムとガスバリア層及び/又はハードコート層の間にプライマー処理をすることもできる。
本発明の光学フィルムは、光学特性、耐熱性に優れ偏光子保護フィルム、位相差フィルム、透明導電性基板フィルム、フラットパネルディスプレイ基板用フィルムとして使用できる。
本発明で使用できる偏光子保護フィルムは、例えばポリビニルアルコール・ヨウ素系からなる偏光板に対して、その表面を保護するために両面あるいは片面に貼り合わせて使用することも可能である。
本発明の光学フィルムは耐熱性に優れることから、フラットパネルディスプレイ基板用フィルム、特に液晶ディスプレイ基板用フィルムとしても使用できる。該フィルム上へのカラーフィルターの形成は、例えばフォトリソグラフィー法、印刷法、電着法など公知の方法が用いられる。該フィルム上へのTFTの形成は、公知の技術、例えばS.I.D.O. 3 Digest p−992(2003年)に記載の方法で実施することができる。
本発明の光学フィルムは、透明性、低複屈折などの光学特性に優れ、かつ耐熱性に優れるものであり、偏光子保護フィルム、位相差フィルム、透明導電性基板フィルム、フラットパネルディスプレイ基板用フィルム、特に液晶ディスプレイ基板用フィルムなど各種光学フィルム用途に適したものである。
以下に、実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。特に断りのない限り、用いた溶媒・試薬は市販品を用いた。
なお、実施例により用いた分析・評価方法を以下に示す。
〜光学フィルムに用いるマレイミド系樹脂の組成〜
元素分析(ジェイサイエンス製、CHN元素分析装置MT5型)および核磁気共鳴測定装置(日本電子製、商品名JNM−A400)を用い、プロトン核磁気共鳴分光(H−NMR)スペクトル分析より求めた。
〜数平均分子量〜
ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)装置(東ソー製、CCDP RE−8000)を用い、40℃で測定し、標準ポリスチレン換算から求めた。
〜透明性の評価方法〜
全光線透過率およびヘーズは、ヘーズメーター(日本電色工業製、商品名NDH2000)を使用して測定した。
〜位相差量の測定〜
高分子素材の偏光顕微鏡入門(粟屋裕著、アグネ技術センター版、第5章、pp78〜82(2001))に記載のセナルモン・コンペンセーターを用いた偏光顕微鏡(Senarmont干渉法)により位相差の測定を行った。
〜位相差むらの測定〜
位相差むらは、1cm間隔で位相差を測定したときの位相差の値のばらつきで評価した。すなわち、平均の位相差に対してのバラツキを位相差むらとした。
〜光弾性定数の測定〜
光弾性定数は、光レオメーター(HRS−100、オーク製作所製)を用い引張り速度1%/sで測定した。
〜耐熱性の評価方法〜
ガラス転移温度(Tg)は、(株)セイコ−電子製DSC6200を用い窒素雰囲気下、昇温速度10℃/minで行った。
合成例1(N−(2−ヒドロキシエチル)マレイミド単独重合体の合成)
無水マレイン酸390g(4mol)、モノエタノールアミン244g(4mol)をそれぞれ1000mlのアセトンに溶かし、これらを氷浴中の800mlのアセトンへ同時に2時間かけて滴下した。続けて氷浴中で4時間撹拌した。冷凍庫で一晩放置し、N−(2−ヒドロキシエチル)マレアミン酸の粗結晶を得た。濾液を濃縮、冷却を繰り返しさらに粗結晶を回収した。得られた粗結晶はアセトンで再結晶し精製した。N−(2−ヒドロキシエチル)マレアミン酸の収率は83%であった。
N−(2−ヒドロキシエチル)マレアミン酸85g(0.6mol)をメタノール1000mlに溶解し、硫酸を少量加えて還流を行った。途中無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、さらに還流を行い、計20時間反応させた。その後メタノールをロータリーエバポレーターで除き、得られた粘性液をクロロホルムで希釈した。クロロホルム溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液、蒸留水、および食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;クロロホルム)によりN−(2−ヒドロキシエチル)マレイミドの粗結晶を単離した。得られた粗結晶はクロロホルム−ヘキサン混合溶媒で再結晶し精製した。収率は35.0%であった。
N−(2−ヒドロキシエチル)マレイミド: 粉末状; 融点 73−74℃; H−NMR (400MHz,CDCl) δ 6.75(s,CH=CH, 2H), 3.79(m,J=5.2Hz,CH OH,2H), 3.74(m,J=5.2Hz,C CHOH,2H), 2.17(t,J=5.8Hz,OH); 13C−NMR (100MHz,CDCl) δ 171.19(C=O), 134.24(CH=CH), 60.70(CH OH), 40.60(CHOH)
得られたN−(2−ヒドロキシエチル)マレイミドの1,2−ジクロロエタン溶液(1M)を500mlの3つ口フラスコに入れ後、開始剤(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル:和光純薬製)を投入し、重合を60℃で15時間行った。反応後の溶液を大量の沈殿剤(ジエチルエーテル)に注ぎ、N−(2−ヒドロキシエチル)マレイミド単独重合体を得た。反応率は72%であった。
合成例2(N−(2−ヒドロキシエチル)マレイミド共重合体の合成)
合成例1で合成したN−(2−ヒドロキシエチル)マレイミドの1,2−ジクロロエタン溶液(1M)をキャピラリーを設置した50mlの3つ口フラスコに入れ、2−メチルプロペンをバブリングにより飽和状態にした後、開始剤(2,2’−アゾビス(4−メトキシ2,4−ジメチルバレロニトリル):和光純薬製)を投入し、重合を30℃で5時間行った。反応後の溶液を大量の沈殿剤(イソプロパノール)に注ぎ、ポリマーを沈殿させた。N−(2−ヒドロキシエチル)マレイミドをベースとした反応率は100%であった。元素分析より生成ポリマーは52モル%のN−(2−ヒドロキシエチル)マレイミド残基単位および48モル%の2−メチルプロペン残基単位よりなるN−(2−ヒドロキシエチル)マレイミド共重合体であることが確認できた。
合成例3(N−(2−カルボキシルエチル)マレイミド単独重合体の合成)
無水マレイン酸49g(0.5mol)、β−アラニン45g(0.5mol)を酢酸600mlとトルエン100mlの混合溶媒に加え、Dean−Stark water trapを取り付けて還流を行った。溶液が透明になった後に、濃硫酸を数滴加え、5時間かけて200mlの水と酢酸の混合物を取り除いた。減圧蒸留で酢酸を取り除いた後、エーテル可溶部を再結晶しN−(2−カルボキシルエチル)マレイミドの粗結晶を得た。得られた粗結晶はエーテルでさらに再結晶し精製した。収率は18%であった。
N−(2−カルボキシルエチル)マレイミド: 粉末状; 融点 106−107℃; H−NMR (400MHz,CDCl) δ 6.73(s,CH=CH,2H), 3.84(t,J=5.2Hz,C CHC=O,2H), 2.71(t,J=5.6Hz,CH C=O,2H); 13C−NMR (100MHz,CDCl) δ 176.35(COOH), 170.30(NC=O), 134.24(CH=CH), 33.20(CHC=O), 32.43(CH C=O)
得られたN−(2−カルボキシルエチル)マレイミドの1,2−ジクロロエタン溶液(1M)を500mlの3つ口フラスコに入れ後、開始剤(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル:和光純薬製)を投入し、重合を60℃で15時間行った。反応後の溶液を大量の沈殿剤(ジエチルエーテル)に注ぎ、N−(2−カルボキシルエチル)マレイミド単独重合体を得た。反応率は65%であった。
合成例4(N−(2−カルボキシルエチル)マレイミド共重合体の合成)
合成例3で合成したN−(2−カルボキシルエチル)マレイミドの1,2−ジクロロエタン溶液(1M)をキャピラリーを設置した500mlの3つ口フラスコに入れ、2−メチルプロペンをバブリングにより飽和状態にした後、開始剤(2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル):和光純薬製)を投入し、重合を30℃で15時間行った。反応後の溶液を大量の沈殿剤(ジエチルエーテル)に注ぎ、ポリマーを沈殿させた。N−(2−カルボキシルエチル)マレイミドをベースとした反応率は100%であった。元素分析より生成ポリマーは50.6モル%のN−(2−カルボキシルエチル)マレイミド残基単位および49.4モル%の2−メチルプロペン残基単位よりなるN−(2−カルボキシルエチル)マレイミド共重合体であることが確認できた。
合成例5(N−ヒドロキシマレイミド共重合体の合成)
N−ヒドロキシマレイミド(アルドリッチ製)の1,2−ジクロロエタン溶液(1M)をキャピラリーを設置した500mlの3つ口フラスコに入れ、2−メチルプロペンをバブリングにより飽和状態にした後、開始剤(2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル):和光純薬製)を投入し、重合を30℃で15時間行った。反応後の溶液を大量の沈殿剤(ジエチルエーテル)に注ぎ、ポリマーを得た。N−ヒドロキシマレイミドをベースとした反応率は85%であった。元素分析より生成ポリマーは50.4モル%のN−ヒドロキシマレイミド残基単位および49.6モル%の2−メチルプロペン残基単位よりなるN−ヒドロキシマレイミド共重合体であることが確認できた。
合成例6(N−(3−(N,N−ジメチルアミノ))プロピルマレイミド共重合体の合成)
無水マレイン酸390g(4mol)、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアミン408g(4mol)をそれぞれ1000mlのアセトンに溶かし、合成例1と同様に反応を行った。N−(3−(N,N−ジメチルアミノ))プロピルマレアミン酸の収率は90%であった。N−(3−(N,N−ジメチルアミノ))プロピルマレアミン酸120g(0.6mol)をメタノール1000mlに溶解し合成例1と同様を行った。N−(3−(N,N−ジメチルアミノ))プロピルマレイミドの収率は43%であった。
得られたN−(3−(N,N−ジメチルアミノ))プロピルマレイミドの1,2−ジクロロエタン溶液(1M)をキャピラリーを設置した1000mlの3つ口フラスコに入れ、2−メチルプロペンをバブリングにより飽和状態にした後、開始剤(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル:和光純薬製)を投入し、重合を60℃で15時間行った。反応後の溶液を大量の沈殿剤(ジエチルエーテル)に注ぎ、ポリマーを沈殿させた。N−(3−(N,N−ジメチルアミノ))プロピルマレイミドをベースとした反応率は95%であった。元素分析より生成ポリマーは51.5モル%のN−(3−(N,N−ジメチルアミノ))プロピルマレイミド残基単位および48.5モル%の2−メチルプロペン残基単位よりなるN−(3−(N,N−ジメチルアミノ))プロピルマレイミド共重合体であることが確認できた。
実施例1
合成例1で得られたN−(2−ヒドロキシエチル)マレイミド単独重合体100重量部を400重量部のジメチルホルムアミドに溶解し20重量%溶液とし、前記マレイミド系樹脂100重量部に対して、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジーt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]0.1重量部とビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト0.2重量部を添加し、バーコーターを用いた溶液キャスト法により厚み120μm、厚みむらが2μmのフィルムを作製した。得られたフィルムについて評価した。その結果を表1に示す。
実施例2
合成例2で得られたN−(2−ヒドロキシエチル)マレイミド共重合体100重量部を400重量部のジメチルホルムアミドに溶解し20重量%溶液とし、前記マレイミド系樹脂100重量部に対して、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジーt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]0.1重量部とビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト0.3重量部を添加し、アプリケーターにより溶液流延装置のポリエチレンテレフタレート(PET)支持体に流延し、80℃、100℃および140℃で各々1時間乾燥した後、幅300mm、厚み90μm、厚みむらが1μmのフィルムを得た。得られたフィルムをPETから剥離し更に140℃で2時間乾燥した。得られたフィルムについて評価した。その結果を表1に示す。
実施例3
合成例3で得られたN−(2−カルボキシルエチル)マレイミド単独重合体100重量部を400重量部のアセトンに溶解し20重量%溶液とし、前記マレイミド系樹脂100重量部に対して、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジーt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]0.1重量部とビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト0.3重量部を添加し、バーコーターを用いた溶液キャストにより厚み90μmのフィルムを得た。得られたフィルムについて評価した。その結果を表1に示す。
実施例4
合成例4で得られたN−(2−カルボキシルエチル)マレイミド共重合体100重量部を400重量部のアセトンに溶解し20重量%溶液とし、前記マレイミド系樹脂100重量部に対して、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジーt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]0.1重量部とビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト0.3重量部を添加し、アプリケーターにより溶液流延装置のPET支持体に流延し、40℃、60℃および120℃で各々1時間乾燥した後、幅300mm、厚み90μm、厚みむらが1μmのフィルムを得た。得られたフィルムをPETから剥離し更に140℃で10分間乾燥した。得られたフィルムについて評価した。その結果を表1に示す。
実施例5
合成例5で合成したN−ヒドロキシマレイミド共重合体100重量部を400重量部のジメチルホルムアミドに溶解し20重量%溶液とし、前記マレイミド系樹脂100重量部に対して、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジーt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]0.1重量部とビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト0.3重量部を添加し、バーコーターを用いた溶液キャスト法により厚み100μm、厚みむらが2μmのフィルムを作製した。得られたフィルムについて、評価した。その結果を表1に示す。
実施例6
合成例6で合成したN−(3−(N,N−ジメチルアミノプロピル)マレイミド共重合体100重量部を400重量部のジメチルホルムアミドに溶解し20重量%溶液とし、前記マレイミド系樹脂100重量部に対して、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]0.1重量部とビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト0.3重量部を添加し、バーコーターを用いた溶液キャスト法により厚み105μm、厚みむらが1μmのフィルムを作製した。得られたフィルムについて評価した。その結果を表1に示す。
実施例7
実施例2で得られたフィルムを5cm角に切断後、二軸延伸機(井本製作所製)を用い、140℃の条件下にて1軸延伸し、フィルムを作製した。得られたフィルムの位相差は137nmであった。得られたフィルムに5MPaの応力を掛け、応力前後の位相差の変化を評価したところ位相差変化は2nm以下であり位相差の安定性に優れ、位相差フィルムに好適であった。さらに、該フィルムは、液晶ディスプレイ基板用フィルムにも好適であった。
実施例8
実施例1で得られたフィルム両面にアクリル系UVコート剤(日本合成製)を塗布し高圧水銀灯を用いて300mJ/cmにて空気硬化させた。得られたフィルム上に、下記の方法で透明導電膜(ITO膜)を形成した。
透明導電膜の製膜条件:製膜温度:180℃、バックグランド圧:1x10−7torr、スパッタガス圧0.6Pa(Ar:80SCCM、O:20SCCM)、印加電圧:RFマグネトロン500w。
その結果、スパッタによる変形が認められなかったことから透明導電性基板フィルムに好適であった。さらに、該フィルムは、液晶ディスプレイ基板用フィルムにも好適であった。
実施例9
実施例1で得られたフィルムの両面に、400nmの酸化ケイ素膜を形成後、アクリル系UVコート剤(日本合成製)塗布し、実施例8と同様に透明導電膜(ITO膜)を形成した。さらにITO膜にポリイミド配向膜(デュポン製)をスピンコートにより塗布し、180℃で1時間ベーク後、ラビング処理を行った。このようにして作製したフィルム基板にスペーサー(ミクロパール:積水ファインケミカル製)を散布し、2枚を上下ラビング方向が垂直となるようにシール剤(ストラクトボンド:三井化学製)で固定した。シール剤を硬化後真空注入により液晶を注入し封止剤(ファトレック:積水ファインケミカル製)で封止し液晶セルを作成した。セル上下に偏光版(日東電工NPF)を張り付け、表示特性を評価した。白色表示および黒色表示とも均一でむらのない表示が可能であることから、プラスチック基板フィルムに好適であった。さらに、該フィルムは、液晶ディスプレイ基板用フィルムにも好適であった。
実施例10
沃素染色したPVA延伸フィルムの両面を実施例2で得られたフィルムをポリエステル系接着剤(東洋モートン社製,商品名「TM−593」)を用いて張り合わせた。60℃および80℃で各々1時間乾燥を行った。その結果、膨れ、気泡などの不良は見られず良好な外観を有する偏光板を作成することができた。さらに、得られた偏光板を2枚吸収軸が直行する形で組み合わせ全光線透過率を測定したところ0.08%であった。
これらのことから、本発明の光学フィルムは偏光版の偏光子保護フィルムに好適であった。さらに、該フィルムは、液晶ディスプレイ基板用フィルムにも好適であった。
比較例1
ポリカーボネート樹脂(帝人製パンライト)100重量部を400重量部のトルエンに溶解し20重量%溶液とし、前記ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジーt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]0.1重量部とビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト0.3重量部を添加し、アプリケーターにより溶液流延装置のPET支持体に流延し、80℃、100℃および120℃で各々1時間乾燥した後、幅300mm、厚み100μm、厚みむらが5μmのフィルムを得た。得られたフィルムをPETから剥離し更に120℃で2時間乾燥した。得られたフィルムについて評価した。その結果を表1に示す。
得られたフィルムは、ヘーズ及び光弾性定数が大きく透明性に劣り、そのうえ位相差が大きくかつ位相差むらも大きいことから、光学フィルムに適したものではなかった。
比較例2
比較例1で作成したポリカーボネートフィルムを5cm角に切断後、二軸延伸機(井本製作所製)を用い、150℃の条件下にて1軸延伸し、フィルムを作製した。得られたフィルムの位相差は137nmであった。得られたフィルムに5MPaの応力を掛け、応力前後の位相差の変化を評価したところ位相差変化は28nmと大きく、位相差の安定性が悪く位相差フィルムに適したものではなかった。
比較例3
比較例1で作成したポリカーボネートフィルムを用いて実施例8と同様の実験を行ったが、スパッタによるITO膜製膜時にフィルムが変形し、透明導電性基板フィルムを得ることはできなかった。
比較例4
比較例1のフィルムを用いて、実施例10と同様に偏光板を作成したが水分の抜けが悪く乾燥時に発泡や膨れが見られ、良好な外観の偏光板を得ることはできなかった。さらに、得られた偏光板を2枚吸収軸が直行する形で組み合わせ全光線透過率を測定したところ2.8%であった。
Figure 2007016163

Claims (10)

  1. 下記一般式(1)で表されるN−置換マレイミド残基単位を含むマレイミド系樹脂よりなり、厚みが10〜400μmであることを特徴とする光学フィルム。
    Figure 2007016163
    (1)
    (ここで、Rはヒドロキシ基、カルボキシル基、炭素数1から4のヒドロキシアルキル基、炭素数1から4のアミノアルキル基、炭素数2から5のカルボキシルアルキル基を示す。)
  2. 上記一般式(1)で表されるN−置換マレイミド残基単位が40モル%以上であるマレイミド系樹脂よりなることを特徴とする請求項1記載の光学フィルム。
  3. 上記一般式(1)で表されるN−置換マレイミド残基単位が40〜90モル%、下記一般式(2)で表されるオレフィン残基単位が60〜10モル%であるマレイミド系樹脂よりなることを特徴とする請求項1又は2記載の光学フィルム。
    Figure 2007016163
    (2)
    (ここで、R、Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1から6の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基、環状アルキル基を示す。)
  4. N−置換マレイミド残基単位が、N−(2−ヒドロキシエチル)マレイミド残基単位であることを特徴とする請求項1〜3記載の光学フィルム。
  5. N−置換マレイミド残基単位が、N−ヒドロキシマレイミド残基単位であることを特徴とする請求項1〜3記載の光学フィルム。
  6. N−置換マレイミド残基単位が、N−(2−カルボキシルエチル)マレイミド残基単位であることを特徴とする請求項1〜3記載の光学フィルム。
  7. N−置換マレイミド残基単位が、N−(3−(N,N−ジメチルアミノ))プロピルマレイミド残基単位であることを特徴とする請求項1〜3記載の光学フィルム。
  8. オレフィン残基単位が、2−メチルプロペン残基単位であることを特徴とする請求項3〜7記載の光学フィルム。
  9. 偏光子保護フィルム、位相差フィルム、透明導電性基板フィルム、フラットパネルディスプレイ基板用フィルムより選ばれるフィルムであることを特徴とする請求項1〜8記載の光学フィルム。
  10. 液晶ディスプレイ基板用フィルムであることを特徴とする請求項1〜9記載の光学フィルム。
JP2005200303A 2005-07-08 2005-07-08 光学フィルム Expired - Fee Related JP4918759B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005200303A JP4918759B2 (ja) 2005-07-08 2005-07-08 光学フィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005200303A JP4918759B2 (ja) 2005-07-08 2005-07-08 光学フィルム

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011065974A Division JP5170275B2 (ja) 2011-03-24 2011-03-24 光学フィルム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007016163A true JP2007016163A (ja) 2007-01-25
JP4918759B2 JP4918759B2 (ja) 2012-04-18

Family

ID=37753606

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005200303A Expired - Fee Related JP4918759B2 (ja) 2005-07-08 2005-07-08 光学フィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4918759B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007063196A (ja) * 2005-08-31 2007-03-15 Sanyo Chem Ind Ltd 変性ポリオレフィンの製造法
WO2008130014A1 (ja) * 2007-04-18 2008-10-30 Tosoh Corporation 光学補償膜、光学補償フィルム及びそれらの製造方法
DE102014210214A1 (de) 2014-05-28 2015-12-03 Fraunhofer-Gesellschaft zur Förderung der angewandten Forschung e.V. Verwendung von Oxyimid-enthaltenden Copolymeren oder Polymeren als Flammschutzmittel, Stabilisatoren, Rheologiemodifikatoren für Kunststoffe, Initiatoren für Polymerisations- und Pfropfprozesse, Vernetzungs- oder Kopplungsmittel sowie solche Copolymere oder Polymere enthaltende Kunststoffformmassen
US10214631B2 (en) 2012-11-19 2019-02-26 Fraunhofer-Gesellschaft zur Förderung der angewandten Forschung e.V. Polymer composition with improved long-term stability, moulded parts produced herefrom and also purposes of use
WO2019053187A1 (en) * 2017-09-18 2019-03-21 Basf Se MIXTURE OF ADDITIVES
US10323136B2 (en) 2014-06-12 2019-06-18 Fraunhofer-Gesellschaft zur Förderung der angewandten Forschung e.V. Use of hydroxybenzotriazole derivatives and/or hydroxy indazole derivatives as flame retardants for plastics and flameproof plastic moulded bodies
US10913743B2 (en) 2013-03-25 2021-02-09 Fraunhofer-Gesellschaft zur Förderung der angewandten Forschung e.V. Use of organic oxyimides as flame retardant for plastic materials and also flame-retardant plastic material composition and moulded parts produced therefrom

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05194660A (ja) * 1992-01-20 1993-08-03 Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd マレイミド系共重合体
JPH09328523A (ja) * 1996-06-10 1997-12-22 Tosoh Corp 耐熱性フィルム
JPH11171935A (ja) * 1997-11-01 1999-06-29 Hyundai Electron Ind Co Ltd 共重合体樹脂とその製造方法、前記共重合体樹脂を含むフォトレジストとその製造方法、および半導体素子
JP2002323771A (ja) * 2001-02-22 2002-11-08 Nissan Chem Ind Ltd リソグラフィー用反射防止膜形成組成物
JP2004269842A (ja) * 2002-09-30 2004-09-30 Tosoh Corp 透明耐熱樹脂光学材料及びフィルム
JP2004287409A (ja) * 2003-03-06 2004-10-14 Jsr Corp カラーフィルタ用感放射線性組成物
JP2005077860A (ja) * 2003-09-01 2005-03-24 Fuji Photo Film Co Ltd 反射防止フィルム、偏光板、及びそれを用いた画像表示装置

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05194660A (ja) * 1992-01-20 1993-08-03 Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd マレイミド系共重合体
JPH09328523A (ja) * 1996-06-10 1997-12-22 Tosoh Corp 耐熱性フィルム
JPH11171935A (ja) * 1997-11-01 1999-06-29 Hyundai Electron Ind Co Ltd 共重合体樹脂とその製造方法、前記共重合体樹脂を含むフォトレジストとその製造方法、および半導体素子
JP2002323771A (ja) * 2001-02-22 2002-11-08 Nissan Chem Ind Ltd リソグラフィー用反射防止膜形成組成物
JP2004269842A (ja) * 2002-09-30 2004-09-30 Tosoh Corp 透明耐熱樹脂光学材料及びフィルム
JP2004287409A (ja) * 2003-03-06 2004-10-14 Jsr Corp カラーフィルタ用感放射線性組成物
JP2005077860A (ja) * 2003-09-01 2005-03-24 Fuji Photo Film Co Ltd 反射防止フィルム、偏光板、及びそれを用いた画像表示装置

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007063196A (ja) * 2005-08-31 2007-03-15 Sanyo Chem Ind Ltd 変性ポリオレフィンの製造法
WO2008130014A1 (ja) * 2007-04-18 2008-10-30 Tosoh Corporation 光学補償膜、光学補償フィルム及びそれらの製造方法
US20100110353A1 (en) * 2007-04-18 2010-05-06 Tosoh Corporation Optical compensation layer, optical compensation film, and processes for producing these
US9268076B2 (en) 2007-04-18 2016-02-23 Tosoh Corporation Optical compensation layer, optical compensation film, and processes for producing these
US10214631B2 (en) 2012-11-19 2019-02-26 Fraunhofer-Gesellschaft zur Förderung der angewandten Forschung e.V. Polymer composition with improved long-term stability, moulded parts produced herefrom and also purposes of use
US10913743B2 (en) 2013-03-25 2021-02-09 Fraunhofer-Gesellschaft zur Förderung der angewandten Forschung e.V. Use of organic oxyimides as flame retardant for plastic materials and also flame-retardant plastic material composition and moulded parts produced therefrom
DE102014210214A1 (de) 2014-05-28 2015-12-03 Fraunhofer-Gesellschaft zur Förderung der angewandten Forschung e.V. Verwendung von Oxyimid-enthaltenden Copolymeren oder Polymeren als Flammschutzmittel, Stabilisatoren, Rheologiemodifikatoren für Kunststoffe, Initiatoren für Polymerisations- und Pfropfprozesse, Vernetzungs- oder Kopplungsmittel sowie solche Copolymere oder Polymere enthaltende Kunststoffformmassen
US10370537B2 (en) 2014-05-28 2019-08-06 Fraunhofer-Gesellschaft zur Förderung der angewandten Forschung e.V. Use of oxyimide-comprising copolymers or polymers as flame retardants, stabilisers, rheology modifiers for plastic materials, initiators for polymerisation- and grafting processes, crosslinking- or coupling agents and also plastic moulding compounds comprising such copolymers or polymers
US10323136B2 (en) 2014-06-12 2019-06-18 Fraunhofer-Gesellschaft zur Förderung der angewandten Forschung e.V. Use of hydroxybenzotriazole derivatives and/or hydroxy indazole derivatives as flame retardants for plastics and flameproof plastic moulded bodies
WO2019053187A1 (en) * 2017-09-18 2019-03-21 Basf Se MIXTURE OF ADDITIVES
CN111051418A (zh) * 2017-09-18 2020-04-21 巴斯夫欧洲公司 添加剂混合物
CN111051418B (zh) * 2017-09-18 2023-08-15 巴斯夫欧洲公司 添加剂混合物

Also Published As

Publication number Publication date
JP4918759B2 (ja) 2012-04-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5245109B2 (ja) 光学フィルム
JP4918759B2 (ja) 光学フィルム
TWI781930B (zh) 液晶組成物及其製造方法、與由該液晶組成物所構成之相位差薄膜
TWI573810B (zh) Diisopropyl fumarate-cinnamic acid derivative and a retardation film using the same
JP5028961B2 (ja) 共重合体及び該共重合体よりなる光学フィルム
JP2012032784A (ja) 位相差フィルム用フマル酸ジエステル系樹脂及びそれよりなる位相差フィルム
JP6498711B2 (ja) 液晶組成物
JP2006249318A (ja) ディスプレイ用光学フィルム
WO2006073102A1 (ja) 熱可塑性樹脂組成物、光学フィルムおよびフィルム製造方法
JP4696542B2 (ja) 偏光子保護フィルムおよび偏光板
JP2009251011A (ja) 積層光学フィルムの製造方法、積層光学フィルムおよびその用途
JP2009156908A (ja) 光学補償膜
JP5343360B2 (ja) 光学補償フィルム
JP5170275B2 (ja) 光学フィルム
JP7192933B2 (ja) 重合体及びその製造方法並びにそれを用いた光学フィルム
WO2018096873A1 (ja) 重合性液晶化合物、位相差フィルム、並びに該位相差フィルムを含む偏光板及び光学ディスプレイ
JP6372319B2 (ja) trans−スチルベン−N−置換マレイミド−ケイ皮酸エステル共重合体及びそれを用いた位相差フィルム
WO2020116174A1 (ja) 光学積層体および偏光板
JP2013114074A (ja) 位相差フィルム用フマル酸ジエステル系樹脂及びそれよりなる位相差フィルム
JP7293650B2 (ja) 重合体及びそれを用いた光学フィルム
JP5982828B2 (ja) 光学補償用積層フィルム
JP2018095848A (ja) 共重合体及びそれを用いた位相差フィルム
JP5463848B2 (ja) 光学補償膜及びその製造方法
TW202248013A (zh) 光學薄膜及其製造方法,以及偏光薄膜
JP6500472B2 (ja) アルコキシケイ皮酸エステル−アクリレート共重合体及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080610

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110119

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110125

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120104

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120117

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4918759

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150210

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees