JP2007016139A - 活性エネルギー線硬化型組成物およびそれを用いた化粧シート - Google Patents

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Abstract

【課題】セロハンテープ剥離性、耐溶剤性、耐薬品性等の建材物性および意匠性に優れた化粧紙の提供。
【解決手段】
活性エネルギー線硬化性オリゴマー(A)(但し、シリコーン(メタ)アクリレートを除く)およびまたはモノマー(B)、シリコーン(メタ)アクリレート(C)、表面未処理シリカ(D)からなる活性エネルギー線硬化型組成物において、更に特定のモノマー(B)を用い、分散剤(E)を添加した活性エネルギー線硬化型組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、家具、建具等の建築物内装材に用いられるセロハンテープ剥離性、耐溶剤性、耐汚染性、耐薬品性を有する建材用化粧シートに関する。
従来より、上記の様な用途に用いる化粧シートとして、紙基材上にインキ層、活性エネルギー線硬化性表面保護層を順次積層したものが提案されている。表面保護層は化粧シートに耐溶剤性や耐汚染性、耐薬品性を付与する役割を持つものである。一般的にそれらの要求物性を得ようとした場合、最表面に設ける表面保護層を厚くする方法が取られている。しかしながら、表面保護層を厚くした場合、その表面保護層の硬化収縮により塗工物の反りがきつくなり、塗工物の取り扱いが困難になったり、また塗工時に基材破断が起こりやすい等の問題がある。
一方、化粧シートには耐セロハンテープ剥離性といった要求物性があり、その解決方法として、シリコーンアクレートを表面保護層を形成する組成物中に加え、粘度を有る一定の数値以下に制御することで、シリコーンアクリレートを表面に移動しやすくさせ、該セロハンテープ剥離性を付与する方法が提案されている(特許文献1)。
しかしながら、粘度によって、シリコーンアクリレートの移動しやすさを制御する場合、塗工速度での移動割合のバラツキや、より物性を高める際に用いるオリゴマー等の使用できる量が制限を受ける等の問題がある。また、表面保護層の艶調整を行う際、マット化剤を加えることで増粘する事があるため、そのマット化剤の添加量が制限されるため、粘度と艶の調整が難しいという問題もある。
特開平4−117466
この様な状況から、特に粘度を制御することなく、印刷適性が良好で耐セロハンテープ剥離性等の建材物性が優れた化粧シートが望まれていた。
そこで、鋭意検討した結果、化粧シートの表面保護層に用いる活性エネルギー線硬化型組成物として、特定のシリカとシリコーン(メタ)アクリレートを併用することにより、優れた耐セロハンテープ剥離性を有する表面保護層を形成することができる活性エネルギー線硬化型組成物を見出した。
即ち本発明は、活性エネルギー線硬化性オリゴマー(A)(但し、シリコーン(メタ)アクリレートを除く)および/または活性エネルギー線硬化性モノマー(B)と、シリコーン(メタ)アクリレート(C)と、表面未処理シリカ(D)とを含有してなる活性エネルギー線硬化型組成物に関する。
また本発明は、活性エネルギー線硬化型組成物中のモノマー(B)がエチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレートであり、組成物中の固形分の全量を基準として、10〜95重量%含まれることを特徴とする第1の発明記載の活性エネルギー線硬化型組成物に関する。
また、本発明は、活性エネルギー線硬化型組成物中の表面未処理シリカ(D)の吸油量が95〜250ml/100gであることを特徴とする第1、第2の発明記載の活性エネルギー線硬化型組成物に関する。
また、本発明は活性エネルギー線硬化型組成物に更にアミノ基を有する分散剤(E)を添加してなる第1乃至第3記載の活性エネルギー線硬化型組成物に関する。また、本発明は上記の発明いずれか記載の活性エネルギー線硬化型組成物を表面保護層として積層してなる化粧シートに関する。
本発明によれば、活性エネルギー線硬化性オリゴマー、モノマー、表面未処理シリカとシリコーン(メタ)アクリレート、更に必要に応じて特定のモノマー、アミノ基含有分散剤、からなる活性エネルギー線硬化型組成物を用いて基材上に必要に応じてシーラー層、インキ層、必要に応じてプライマー層、表面保護層を順次積層する事で、耐セロハンテープ剥離性、耐溶剤性、耐薬品性、耐汚染性に優れた化粧シートを得ることが可能となった。また、上記所作により、高価なシリコーン(メタ)アクリレートの使用量が低減され、より安価で高物性の化粧シートを得ることが可能となった。
以下、本発明の構成について述べる。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は化粧シート上に表面保護層を形成するものであり、化粧シート表面に耐セロハンテープ剥離性、耐摩耗性、耐汚染性、耐薬品性等の耐性および意匠性を付与するものであり、紫外線や電子線等のエネルギー線によりラジカル重合し硬化するエチレン性不飽和二重結合を有するものである。
まず、活性エネルギー線硬化性オリゴマー(A)は、表面保護層に耐性、柔軟性を付与するものであり、数平均分子量(ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した。以下、同じとする。)1000以上のものが好適に用いられる。 例えば、(メタ)アクリレート基を有するウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、アクリルアクリレート、エポキシアクリレート等が挙げられる。これらのうち、下地への密着性の付与と共に柔軟性の付与が期待される点で、ウレタンアクリレートが好ましい。また、組成物中の固形分の全量を基準として、0〜50重量%が好ましい。
活性エネルギー線硬化性モノマー(B)は表面保護層の物性の向上、活性エネルギー線硬化型組成物の粘度調整の目的で添加されるものであり、(メタ)アクリレート基を有する単官能,二官能,多官能モノマー等が挙げられる。
単官能モノマーとしては、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、ステアリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、インデシルアクリレート、イソクチルアクリレート、トリデシルアクリレート、カプロラクトンアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、エトキシ化ノニフェノールアクリレート、プロポキシ化ノニルフェノールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシジエチレンアクリレート、エチレンオキサイド変性ノニルフェニルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、エチレンオキサイド2−エチルヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ジプロピレングリコールアクリレート等やこれらのメタクリレートモノマーが挙げられる。
二官能モノマーとしては、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、(水素化)ビスフェノールAジアクリレート、(水素化)エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、(水素化)プロピレングリコール変性ビスフェノールAジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、2−エチル,2−ブチル−プロパンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート等やこれらのメタクリレートモノマーが挙げられる。
多官能モノマーとしては、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、プロピレンオキサイド変性グリセリルトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパンアクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパンアクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパンアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタアクリレートエステル、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等やこれらのメタクリレートモノマーが挙げられる。
活性エネルギー線硬化性モノマー(B)の添加量は、組成物中の固形分の全量を基準として、1〜98重量%が好ましい。
更にこれらのモノマーの内、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレートが耐セロハンテープ剥離性、コストの面から特に好ましく、組成物中の固形分の全量を基準として、10〜95重量%含まれることがより好ましい。
また、エチレンオキサイド変性トリメチロールアクリレートはそのエチレンオキサイドくり返し単位数(モル変性と表現される)が1〜20モルのもの等が挙げられるが、そのうち3モル変性のものが架橋した皮膜の物性に優れ、好ましい。
シリコーン(メタ)アクリレート(C)は、表面保護層に耐セロハンテープ剥離性を付与するものであり、公知の化合物、例えば、ポリオルガノシロキサンの末端(片末端或いは両末端)や側鎖に、(メタ)アクリロイル基等を導入した化合物が使用できる。側鎖の場合にはその樹脂骨格として、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂などのものが挙げられる。分子量としては、250〜50000程度のものが用いられるが、相溶性の点から、分子量250〜2000のものが好ましい。分子量が2000よりも大きいと、硬化した表面保護層が濁りやすく、平滑な面が得られにくい。またオイル状に表面に浮き、ヌメリの原因となる。シリコーン(メタ)アクリレート(C)の添加量は、組成物中の固形分の全量を基準として0.05〜3重量%、好ましくは、0.3〜1.5重量%である。0.05重量%よりも少ないと、耐セロハンテープ剥離性が劣り、3重量%よりも多いと表面にヌメリを生じる。
表面未処理シリカ(D)は、シリコーン(メタ)アクリレートの表面への配向を促進させ、より優れた耐セロハンテープ剥離性を付与するために用いられる。表面未処理シリカの場合、その表面がSi-O- となっているため、シリコーン(メタ)アクリレートが吸着し、シリコーン(メタ)アクリレートが少量でも、より局在化した形で表面に存在する様になるため、テープ剥離性が良化したと推測される。
一般にシリカは、天然に採取されるものや合成シリカ等がある。合成シリカでは、製造方法から、湿式法シリカ(沈降法、ゲル法)、乾式法シリカ(燃焼法、アーク法)があり、更にその粒子表面をシランカップリング剤やマイクロクリスタリン、アルミナ等の有機物、無機物で表面処理したもの等がある。本発明における表面未処理シリカは、前記にあげた表面処理を施していないものを指し、特に製造方法の違いに制限はされない。
更に、表面未処理シリカの粒径は1〜20μmが好ましいが、膜厚や必要な光沢に応じて適宜選択されるため、特に制限はされない。
また、表面未処理シリカは吸油量150〜250ml/100gのものが好ましい。95ml/100gより小さいと、塗液にした際、シリカの沈降が著しく、250ml/100gより大きいと、塗液の粘度が高くなり過ぎて印刷が困難となる。
またBET比表面積が250〜750m/gのものがより好ましい。250m/gより小さいと、シリコーン(メタ)アクリレートのシリカ表面への配向が少なくなり、また750m/gよりも大きいと、シリカ表面に配向しているシリコーン(メタ)アクリレートの分布が全体的に疎になるため、より多くのシリコーン(メタ)アクリレートの添加が必要となり、コスト的に不利である。表面未処理シリカ(D)の添加量は組成物中の固形分の全量を基準として0.5〜30重量%、好ましくは1〜15重量%である。0.5重量%よりも少ないと、耐セロハンテープ性が劣り、30重量%以上では、塗液の粘度が高くなりすぎて、塗工が困難となる。
アミノ基を有する分散剤(E)は、表面処理シリカによる塗液粘度の上昇を抑えるために用いられる。分散剤(E)の樹脂骨格はアミノ基を有していれば、特に制限されないが、ポリエステル側鎖に有しているものが好ましい。アミノ基の量を表すアミン価としては10〜60KOHmg/gが好ましく、また同時にカルボキシル基を有していても構わない。
分散剤(E)の添加量としては、組成物中の固形分の全量を基準として0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜7重量%である。0.1重量%よりも少ないと、粘度の低減効果が低く、10重量%以上では、皮膜の架橋度が下がり、皮膜物性が低下する。
本発明における組成物は更に必要に応じて、他のテープリリース剤、有機/無機フィラー、消泡剤,レベリング剤等の添加剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、防菌防かび剤、顔料もしくは染料等を硬化皮膜の最終物性に影響しない範囲で加えた活性エネルギー線硬化性組成物から形成されるものである。
テープリリース剤としては、シリコーン系材料(シリコーン(メタ)アクリレート以外)、フッ素系材料が挙げられる。
有機/無機フィラーは表面保護層の艶調整や摩耗性を付与するものとして添加されるものであり、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等の樹脂を使用する溶剤に不溶となるまで高分子化し微粒子化した有機フィラー類、アルミナ、タルク、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、天然マイカ、合成マイカ、水酸化アルミニウム、沈降性硫酸バリウム、沈降性炭酸バリウム、チタン酸バリウム、硫酸バリウム等の無機フィラー類が挙げられる。上記フィラーは1種又は2種以上を混合して使用しても構わない。上記フィラーの平均粒径は0.5〜30μm程度が好ましい。平均粒径が小さすぎると、艶消し効果が乏しく、また大きすぎると塗工表面がざらつき、意匠性が劣る。
紫外線吸収剤としては、サリチル酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤等の有機系紫外線吸収剤、或いは酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウムの微粒子からなる無機系紫外線吸収剤が挙げられる。
光安定剤としては、HALS(ヒンダードアミン系光安定剤)が挙げられる。ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、1−(メチル)−8−(1,2,2,66−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−[[3,5−ビス1,1−ジメチルエチル]−4−ヒドロキシフェニル]メチル−ブチルマロネート、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物等が挙げられる。
これらの紫外線吸収剤とヒンダードアミン系光安定剤(HALS)は、組成物中に任意の量で添加されても良いが、コスト面から組成物の全量を基準として0.5〜5重量%の範囲で添加されることが好ましい。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤が挙げられる。
消泡剤、レベリング剤、としてはシリコ−ン系、アクリルポリマー系など公知のものが使用でき、特に限定はされないが、エチレン性不飽和二重結合を有するものが特に好ましい。
防菌防かび剤としては、銀系無機化合物、バイナジン、プリベントール、チエベンダドール、ベンズイミダゾール、チアゾリルスルファミド化合物等が挙げられる。
顔料としては一般的に用いられているものを利用でき、なかでも耐光性、耐候性の高いものが望ましい。耐光性、耐候性の高い顔料としては、例えばキナクリドン系、アンスラキノン系、ペリレン系、ペリノン系、ジケトピロロピロール系、イソインドリノン系、縮合アゾ系、ベンズイミダゾロン系、モノアゾ系、不溶性アゾ系、ナフトール系、フラバンスロン系、アンスラピリミジン系、キノフタロン系、ピランスロン系、ピラゾロン系、チオインジゴ系、アンスアンスロン系、ジオキサジン系、フタロシアニン系、インダンスロン系等の有機顔料や、ニッケルジオキシンイエロー、銅アゾメチンイエロー等の金属錯体、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛等の金属酸化物、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の金属塩、カーボンブラック、アルミニウム、雲母等の無機顔料が挙げられる。
染料としては、アゾ系、キノリン系、スチルベン系、チアゾール系、インジゴイド系、アントラキノン系、オキサジン系等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化型組成物の塗工量は0.5〜35g/m、好ましくは2〜10g/mである。0.5gより少ないと、物性が得られず、35gを超えると、化粧シートのカールがきつくなり取り扱いが困難となる。
次に本発明の化粧シートについて説明する。本発明の化粧シートの代表的な構成は以下のものが挙げられる。1)基材/インキ層/表面保護層、2)基材/インキ層/プライマー層/表面保護層、3)基材/シーラー層/インキ層/表面保護層、4)基材/シーラー層/インキ層/表面保護層 等である。
この時、インキ層はベタ層、絵柄層、ベタ層/絵柄層 等必要に応じていずれかのパターンで構成されるが、特に制限はなく、必要な意匠性に応じて選択される。また、絵柄層にハジキ機能を持たせたものを用い、表面保護層をはじかせて意匠性を付与しても良い。
本発明の化粧シートの基材としてはポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、トリアセチルアセテート等からなるフィルム状のもの、薄葉紙、クラフト紙、チタン紙、上質紙、リンター紙、バライタ紙、硫酸紙、和紙や、アクリル樹脂,ポリエステル樹脂,ポリブタジエン樹脂等を含浸せしめた含浸紙等の紙基材が用いられるが、坪量20〜200g/mの薄葉紙の化粧紙原紙が好ましく用いられる。さらには坪量30〜50g/mのものが好ましく用いられる。
本発明のインキ層は化粧シート基材の上面に印刷模様層を形成するものである。インキ層に用いられるインキ組成物は、油性、水性のいずれのものでも構わない。
インキ組成物は基本的に 樹脂成分、顔料や染料等の着色剤および適宜加えられる消泡剤、レベリング剤等の添加剤、体質顔料、溶媒から構成される。
樹脂成分として使用されるものとしては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ニトロセルロースなどのセルロース系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セラック、スチレン化セラック、カゼイン、スチレン−マレイン酸樹脂、ロジン−マレイン酸樹脂等が挙げられる。着色剤、添加剤、体質顔料、溶媒は公知公用のものを用いることができる。
プライマー層はインキ層上に設けられ、活性エネルギー線硬化性組成物の基材への浸み込みを抑制、およびまたはインキ層との密着性を付与するものである。
プライマー層にはインキ層と同様の樹脂及び添加剤、体質顔料、溶媒等の公知公用のものを用いることが出来る。
シーラー層は紙基材の様な浸透性基材の浸透防止を目的として設けられるが、フィルム基材とインキ層の密着性を付与する目的で設けても良い。シーラー層にはインキ層と同様の樹脂及び添加剤、体質顔料、溶媒等の公知公用のものを用いることが出来る。
更に、インキ層、プライマー層、シーラー層に硬化剤を加えて、2液硬化型としても良い。この場合、いずれか1層もしくは2層または全層に加えても良く、
必要な物性によって適宜選択される。この硬化剤としては、各組成物中の樹脂が
水酸基を有するならば、イソシアネート基を有するものが好ましく、カルボキシル基を有するもので有れば、エポキシ基を有するものが好ましい。
また、活性エネルギー線硬化性組成物との密着性を向上する目的で、上記に挙げたエチレン性不飽和二重結合を有するものを加え、活性エネルギー線硬化性を有するものとしても良い。
つぎに本発明の化粧シートの製造方法について説明する。
塗工方式としては、グラビアコート方式、グラビアオフセット方式、リバースコート方式、ダイコート方式、リップコート方式、コンマコート方式、ブレードコート方式、ロールコート方式、ナイフコート方式、カーテンコート方式、スロットオリフィス方式、スプレーコート方式等が挙げられる。この場合、数回に分けて塗布しても良いし、1回で塗布しても良く、また異なる方式を複数組み合わせても良い。この時、表面保護層まで連続で塗工しても良いが、インキ層またはプライマー層塗工終了後、一旦終了し、20℃で24時間以上熟成した後、再度塗工を行っても良い。熟成後に塗工を行うと出来上がった塗工物の建材物性が更に良化する。
活性エネルギー線硬化型組成物の硬化方法は、電子線硬化、紫外線硬化等が挙げられる。いずれの方法を用いても良いが、紫外線硬化を行う場合には、硬化に光開始剤が必要であり、シーラー層、インキ層、プライマー層、表面保護層に添加される。一般に使用される光開始剤としてジアセトキシアセトフェノンや2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のアセトフェノン系、イソブチルベンゾインエーテルやイソプロピルベンゾインエーテル等のベンゾインエーテル系、ベンジルジメチルケタールやヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のベンジルケタール系、ベンゾフェノンや2−クロロチオキサントン等のケトン系等が挙げられる。電子線硬化型の場合、必ずしも光開始剤は必要ない。
電子線により硬化する場合には、従来既知の硬化装置を使用することができ、照射線量は10kGy〜200kGyが好ましく、さらに30kGy〜100kGyがより好ましい。10kGy未満だと完全硬化ができず、200kGyを越えると電子線照射管の寿命は著しく短くなり、経済的に好ましくない。また、加速電圧は基材上に設ける塗膜厚みおよび密度により設定されるが、50kvから250kv、好ましく75〜125kvがより好ましい。
本発明で得られた化粧シートをベニヤ板やパーチクルボード等の基板に貼り付けて得られる化粧材は、住宅及びオフィスビルの内外装材、並びに家具等に用いられる。本発明の化粧板はJAS建築材の耐性を充分に有する。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、実施例中、%とは重量%、部とは重量部を示す。
[印刷物 Aの作成]
基材 : 坪量 30g/mの薄葉紙
シーラー層 : アクリルエマルジョン(東洋インキ製造(株)製 固形分 30%、酸価 100mgKOH/g)50部、水25部、エポキシ樹脂 5部を含有する水性シーラー組成物。
インキ層 : アクリルエマルジョン(東洋インキ製造(株)製、固形分25%、酸価150mgKOH/g)50部、顔料(酸化チタンなど)5部、水44部を含有する水性インキ組成物
プライマー層 :アクリルエマルジョン(東洋インキ製造(株)製 固形分 30%、酸価 80mgKOH/g)50部、水25部、を含有する水性プライマー組成物。
上記各層を基材上に順次積層、乾燥することにより、印刷物 Aを得た。 尚各層の塗布量はそれぞれ 1.5g/m、5g/m、1.5g/m であった。
次に表1に示す組成物〔実施例1〜11, 比較例1〜4〕をバーコーターを用いて、印刷物 Aに塗布量 7g/mになる様に塗工し、電子線照射(照射条件:150kV、30kGy)を行い、表面保護層を硬化させて薄紙化粧シートを得た。
表中の各成分は以下の通りである。
ウレタンアクリレート : 6官能ウレタンアクリレート (ダイセルUCB社製 EB220)
TMPTA : トリメチロールプロパントリアクリレート(ダイセルUCB社製 TMPTA−N)
TMPEOTA : エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(エチレンオキサイド付加量 3モル,ダイセルUCB社製 TMPEOTA)
シリコーン(メタ)アクリレート : 片末端シリコーンメタアクリレート
(数平均分子量 1000)
表面未処理シリカ A : 粒径 6μm 吸油量 200ml/100g
表面未処理シリカ B : 粒径 6μm 吸油量 350ml/100g
表面未処理シリカ C : 粒径 4μm 吸油量 90ml/100g
表面処理シリカ D : 粒径 6μm 吸油量 200ml/100g マイクロクリスタリン処理
分散剤 A : ポリエステル系アミノ基含有樹脂(アミン価 45KOHmg/g)
得られた化粧シートを酢酸ビニル系接着剤を用いてパーティクルボードにラミネートし、化粧板を作成し、以下の評価を行い、結果を表2,3に示した。
(耐汚染性)
1.耐酸性
化粧板上に10%クエン酸水溶液を十分含浸させた脱脂綿を置き、時計皿で覆い、18時間静置した。経時後その表面を脱脂綿で拭き取った後の表面状態を観察し、未処理のものと比較した。
2.耐アルカリ性
試験溶液として10%アンモニア水溶液を用い、1.耐酸性の試験と同様に行った。
3.耐溶剤性
1)試験溶液としてアセトンを用い、1.耐酸性の試験と同様に行った。
2)試験溶液としてメチルエチルケトンを用い、その溶液を十分含浸させた脱脂綿で化粧板表面を1kg加重で100往復擦り、インキ層が剥がれ始める回数を測定した。
4.耐染着性
化粧板上に紫色染料インキ(アルコール溶剤系)を十分含浸させた脱脂綿を置き時計皿で覆い、24時間静置した。経時後その表面を脱脂綿で拭き取った後の表面状態を観察し、未処理のものと比較した。試験の詳細は1.耐酸性の試験と同様である。
5.セロハンテープ性
24mm セロハンテープを化粧板の同一箇所に貼り、素早く引きはがす所作をくり返し行い(最高10回まで)、化粧板表面に貼り合わせた化粧紙が破壊する回数を観察。
6.密着性
化粧板表面にカッターでクロスカットを入れ、その箇所に24mmセロハンテープを貼り、素早く引きはがして、密着性を確認した。
7.意匠性
表面保護層硬化後の塗工面の均一性を目視評価し、更に光沢値(60°)を
測定した。
この表1,2,3の結果より、実施例の活性エネルギー線硬化性オリゴマー、活性エネルギー線硬化性モノマー、表面未処理シリカ、シリコーン(メタ)アクリレートからなる組成物を表面保護層に設けた化粧シートを用いた化粧板は、比較例に比べ、セロハンテープ剥離性に優れ、またモノマーとしてエチレンオキサイド変性トリアクリレートを用いたものは更に優れる。また、アミノ基を有する分散剤を加えると塗液粘度が下がり、ピンホールの無い意匠性に優れた印刷物を得ることが出来る。
Figure 2007016139

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本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、活性エネルギー線硬化性オリゴマーおよび/または活性エネルギー線硬化性モノマーと、表面未処理シリカと、シリコーン(メタ)アクリレートとを含有することで、セロハンテープ剥離性に優れ、かつ、意匠性に優れた化粧シートおよびそれを用いた化粧版を提供できるため、化粧版を必要とする建築、インテリアデザイン、グラフィックデザインなどの分野、その他の家庭用および工業用の種々の分野に適用できる。


















Claims (5)

  1. 活性エネルギー線硬化性オリゴマー(A)(但し、シリコーン(メタ)アクリレートを除く)および/または活性エネルギー線硬化性モノマー(B)と、シリコーン(メタ)アクリレート(C)と、表面未処理シリカ(D)とを含有してなる活性エネルギー線硬化型組成物
  2. モノマー(B)がエチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレートであり、組成物中の固形分の全量を基準として、10〜95重量%含まれることを特徴とする請求項1記載の活性エネルギー線硬化型組成物
  3. 表面未処理シリカ(D)の吸油量が95〜250ml/100gであることを特徴とする請求項1または2記載の活性エネルギー線硬化型組成物
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型組成物に更にアミノ基を有する化合物(E)を添加してなる活性エネルギー線硬化型組成物
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型組成物を表面保護層として積層してなる化粧シート













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