JP2007014833A - 複合半透膜の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】下水の高度処理などの用途において、透過流量が経時的に安定で、かつ透過流量の大きい複合半透膜の簡便な製造方法を提供する。
【解決手段】界面活性剤に接しても膜面への界面活性剤の吸着が殆ど観られず、透過流量の低下が僅かであり、充分な透過流量を保持する複合半透膜を得るため、微多孔性支持膜上に多官能アミン化合物と多官能酸ハロゲン化物との反応物からなる分離機能層を形成して複合半透膜とした後に、湿潤状態または、水溶性ポリマーを含む水溶液中で該複合半透膜に放射線を照射することにより、膜表面を改質する。
【選択図】なし

Description

本発明は、半導体の製造などに用いられる超純水の製造やかん水の脱塩化といった用途だけでなく、し尿や家庭用排水等の下水の高度処理、また、染色排水や電着塗料排水などの排水処理に用いる複合半透膜の製造方法に関するものである。
近年、水の需要が増大してきているにもかかわらず、一方で新たな水源の確保が一層困難になりつつある。そのため、環境意識の高まりや環境保全の観点から、し尿や家庭用排水等の下水も、水資源の有効利用のために、下水処理水を放流せずに、例えば、公園等の公共施設の親水用水として再利用することが検討されている。従来から、下水の再利用を行う際には、濾膜を用いた下水の高度処理が行われているが、処理目標水質が非常に高い場合などには、ポリアミド系逆浸透膜等の高阻止率の逆浸透膜が用いられている。
このような逆浸透膜を用いて処理を行う際には、下水をスクリーン、沈砂、予備曝気槽、最初沈殿槽などによる物理的浄化の後、活性汚泥法などによる生物学的処理で前処理し、逆浸透膜に供給し、有機化合物、窒素化合物、塩類などを含まない透過水を取り出している。
しかしながら、下水を原水とする場合、原水には洗剤として使用された界面活性剤が混入しており、界面活性剤は生物処理では十分に処理することが出来ず、この界面活性剤が逆浸透膜の膜面に吸着され逆浸透膜の分離性能を低下させるといった問題がある。このため、上記の逆浸透膜による処理を行うと、時間の経過とともに透過流量が著しく低下して安定な処理が困難であるという問題がある。
これまで、ポリアミド膜表面にポリマーをコーティングすることで、ファウリングによるフラックス低下を抑える方法が知られている(特許文献1,2参照)。しかし、これらの方法ではポリマーコーティングを行うことでファウリング前のフラックスまで低下したり、製造工程が複雑になるという問題が存在していた。
また、膜面に残存する酸塩化物やアミノ基と反応する化合物で表面処理を行うことで透過流量の低下を抑制する方法も提唱されているが(特許文献3,4参照)、この場合も、反応に用いた化合物を洗浄する必要があるなど、製膜工程が複雑になるという問題が存在していた。
国際公開第97/34686号パンフレット 特開2000−176263号公報 特開2002−224546号公報 特開2004−243198号公報
すなわち、本発明の目的は、透過流量が経時的に安定で、かつ透過流量の大きい複合半透膜の簡便な製造方法を提供することである。
かかる課題を解決するため、本発明は、以下の構成からなる。
(1)微多孔性支持膜上に多官能アミン化合物と多官能酸ハロゲン化物との反応物からなる分離機能層を形成して複合半透膜とした後に、該複合半透膜に放射線を照射することを特徴とする複合半透膜の製造方法。
(2)水溶性ポリマーを含む水溶液中で、前記分離機能層を形成した後の複合半透膜に放射線を照射することを特徴とする(1)に記載の複合半透膜の製造方法。
(3)水中で、前記分離機能層を形成した後の複合半透膜に放射線を照射することを特徴とする(1)に記載の複合半透膜の製造方法。
(4)放射線がγ線であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の複合半透膜の製造方法。
本発明の複合半透膜は、放射線照射により膜表面を改質しているため、界面活性剤に接しても膜面への界面活性剤の吸着が殆ど観られず透過流量の低下が僅かであり、充分な透過流量を保持できる。従って、下水の高度処理に用いても、高水質の透過水を安定して得ることが可能となる。
本発明は、微多孔性支持膜上に多官能アミン化合物と多官能酸ハロゲン化物との反応物からなる分離機能層を形成して複合半透膜とした後に、該複合半透膜に放射線を照射することを特徴とする。
本発明において、微多孔性支持膜とは実質的には分離性能を有さない層であり、実質的に分離性能を有する分離機能層に強度を与えるために用いられるものである。
微多孔性支持膜は、膜の表面から裏面にわたって孔径が均一な微細な孔を有する構造であるか、または、片面に緻密で微細な孔を有し、その面からもう一方の面まで徐々に孔径が大きくなるような孔を有する非対称構造であり、その微細孔の大きさが100nm以下であることが好ましい。また、微多孔性支持膜の厚みは1μm〜数mmであり、膜強度の観点から10μm以上、扱いやすさ、モジュール加工のしやすさの面で数百μm以下が好ましい。さらに、微多孔性支持膜の素材には、ポリスルホン、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン等のホモポリマーまたはコポリマーを単独であるいはこれらのポリマーをブレンドしたものを使用することができる。これらの素材の中では化学的、機械的、熱的に安定性が高く、成型が容易であることからポリスルホンが好ましい。
本発明に用いる多官能アミン化合物は、2個以上のアミノ基を有する脂肪族、芳香族の化合物であればいずれでもよい。一般的には、例えば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼン、パラキシリレンジアミン、ジアミノピリジンなどの芳香族アミン類、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジメチルエチレンジアミン、ピペラジン、アミノメチルピペリジンなどの脂肪族アミン類が用いられる。これらの中では反応性、得られた膜の性能の面から芳香族アミン類、特に、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼンが好ましい。これらの多官能アミン化合物は、単独であるいは混合して用いることができる。
また、多官能酸ハロゲン化物としては、たとえば、トリメシン酸ハライド、ベンゾフェノンテトラカルボン酸ハライド、トリメリット酸ハライド、ピロメリット酸ハライド、イソフタル酸ハライド、テレフタル酸ハライド、ナフタレンジカルボン酸ハライド、ジフェニルジカルボン酸ハライド、ピリジンジカルボン酸ハライド、ベンゼンジスルホン酸ハライド、クロルスルホニルイソフタル酸ハライドなどの芳香族酸ハライドを用いることができる。また、シクロヘキサントリカルボン酸ハライド、シクロヘキサンジカルボン酸ハライド、オキサリルハライドなどの脂肪族酸ハライドも用いることができる。なかでも、製膜溶媒に対する溶解性や得られる複合半透膜の特性を考慮すると、イソフタル酸クロライド、テレフタル酸クロライド、トリメシン酸クロライドおよびこれらの混合物を用いることが好ましい。
次に、本発明の複合半透膜の製造方法について述べる。
上述の複合半透膜は、微多孔性支持膜上に、多官能アミン化合物と、多官能酸ハロゲン化物との重縮合物であるポリアミド分離機能層を設けた後、放射線を照射することにより得られる。
すなわち、例えば、密に織ったポリエステル布や不織布などの支持体の上に、ポリスルホン溶液を一定の厚さに注型し、それを水中で湿式凝固させて、表面の大部分が直径数十nm以下の微細な孔を有した微多孔性支持膜を得る。
このようにして得られた微多孔性支持膜上に、1分子中に少なくとも2個のアミノ基を有する多官能アミン化合物の水溶液、多官能酸ハロゲン化物の溶液を順に塗布してin−situ界面重縮合反応をさせて、実質的に分離性能を有するポリアミド分離機能層を形成させる。
多官能アミン化合物水溶液中の多官能アミン化合物の濃度は、0.1〜20重量%の範囲内にあることが好ましく、0.5〜15重量%の範囲内にあることがより好ましい。多官能アミン化合物濃度が0.1重量%を下回ると、界面重縮合反応の進行が遅くなり、20重量%を超えると分離機能層の膜厚が大きくなり透水性が低下する傾向にある。
多官能酸ハロゲン化物を溶解する溶媒は、水と非混和性であり、かつ、多官能酸ハロゲン化物を溶解するとともに、微多孔性支持膜を破壊せず、界面重縮合により架橋ポリマーを形成し得るものであればよい。例えば、炭化水素化合物、シクロヘキサン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2トリフルオロエタンなどが挙げられるが、反応速度、溶媒の揮発性から、好ましくはn−ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2トリフルオロエタンなどである。
上記有機溶媒中の多官能酸ハロゲン化物の濃度は、0.01〜1.0重量%の範囲内であると好ましい。0.01重量%を下回ると、活性層である分離機能層の形成が不十分となりやすく、1.0重量%を超えると透水性が低下し、また、コスト高となる。
多官能アミン化合物水溶液、および多官能酸ハロゲン化物溶液には、多官能アミン化合物と多官能酸ハロゲン化物との反応を妨害しないものであれば、必要に応じて、アシル化触媒や極性溶媒、酸補足剤、界面活性剤、酸化防止剤などを含有させることもできる。
このようにして得られた複合半透膜に放射線を照射して、本発明の複合半透膜を製造するに際し、分離機能層を形成した後の複合半透膜をこのまま用いても良いが、放射線を照射する前に水洗などによって未反応残存物を取り除くことが好ましく、かかる水洗に用いられる水の温度については、30〜100℃の範囲内にあることがより好ましい。また、未反応残存物の除去としては、上記温度範囲内にある水中に支持膜を浸漬したり、そのような水を吹き付けたりして行うことができる。なお、30〜100℃の範囲内の水が好ましく用いられるのは、用いられる水の温度が30℃を下回ると、複合半透膜中にアミン化合物が残存し、最終的に得られる複合半透膜の透過水量が低くなる傾向にある。また、オートクレーブやスチームなどで100℃を超える温度で洗浄を行うと、複合半透膜が熱収縮を起こし、やはり最終的に得られる複合半透膜の透過水量が低くなる傾向にあるからである。
また、上記水洗の後、たとえばpHが6〜13の範囲内の塩素含有水溶液に常圧で接触させ、最終的に得られる複合半透膜の塩排除率、透水性を高めることも好ましい。ここで、かかる塩素含有水溶液として、以下のものが例示される。すなわち、塩素発生試薬としては、塩素ガス、サラシ粉、次亜塩素酸ナトリウム、二酸化塩素、クロラミンB、クロラミンT、ハラゾーン、ジクロロジメチルヒダントイン、塩素化イソシアヌル酸およびその塩などを代表例として挙げることができ、酸化力の強さによって濃度を決定することが好ましい。上記の塩素発生試薬の中で、次亜塩素酸ナトリウム水溶液が、取り扱い性の点から好ましい。また、塩素処理剤として、次亜塩素酸ナトリウムを使用する場合、遊離塩素の濃度は10〜2000ppm、膜性能のバランスを考えると、100〜1000ppmの範囲が好ましい。塩素処理時間は2分〜20時間、遊離塩素濃度が低く、処理pHが高い場合、処理時間は長時間が好ましく、逆に遊離塩素濃度が高く、処理pHが低い場合、処理時間は短時間が好ましい。
このようにして得られたポリアミド複合半透膜、または、後述するポリアミド複合半透膜を用いてなる流体分離素子に放射線を照射する。放射線とは、放射性崩壊により放出される粒子の作るビーム、および同程度以上のエネルギーを持つビームのことを言い、α線、β線、γ線、X線などが挙げられる。透過力が強く、多量に一括処理できるという観点からは、特にγ線が好ましく用いられる。
放射線処理としては、ポリアミド複合半透膜を湿潤状態でγ線などの放射線を照射すればよい。ここでいう湿潤状態とは、ポリアミド複合半透膜に水が含まれる状態、すなわち、水溶液中、水中、またはポリアミド複合半透膜を浸漬していた水溶液を乾燥、除去させない状態のことを言う。湿潤状態の程度については特に限定されるものではなく、ポリアミド複合半透膜が水溶液中または水中に浸漬された状態でもよい。
放射線の吸収線量は、湿潤状態で10〜50kGy程度が好ましく、20kGyを超える線量を照射した場合は、複合半透膜の表面の改質だけでなく滅菌処理を同時に行うことも可能である。この際、吸収線量は線量測定ラベルを、複合半透膜、または、該複合半透膜を用いてなる流体分離素子の表面に貼り付けるなどして測定することができる。放射線線量が10kGy未満では効果が十分ではない。また、50kGyより照射量が多くなると支持体であるポリスルホンや流体分離素子部材などの他の素材への劣化の影響が大きくなることがある。
また、この時、水溶性ポリマーを含む水溶液中で、前記ポリアミド複合半透膜に放射線を照射することも好ましい。放射線を用いて処理することにより、通常不溶化が困難であるような水溶性ポリマーでも容易に架橋し、複合半透膜の表面に固定することが可能となる。かかる水溶性ポリマーとして、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリN−イソプロピルアクリルアミド、ポリアリルアミンポリメチルビニルエーテル、ポリアクリロイルモルホリン、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート−コ−アクリルアミド、ポリアルキレングリコール、ポリエチレンイミン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピラゾール、ポリスチレンスルホン酸などの合成高分子及びその共重合体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体、ゼラチン、フタル化ゼラチン、カゼイン、卵白アルブミン等の蛋白質、デキストリン、エーテル化デンプン等のデンプン類、などが挙げられる。水溶性ポリマーを含む水溶液中の該ポリマーの濃度は、0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上であることが、ファウリング防止効果を上げる点で好ましい。
水溶液には必要に応じて他の化合物を混合してもかまわない。たとえば、過度の架橋反応を抑制するためにエタノールなどの架橋抑制剤を用いても良いし、ドデシル硫酸ソーダ、ベンゼンスルホン酸ソーダなどの界面活性剤を添加しても良い。
さらに、本発明は、実質的に前記水溶性ポリマーを含まない水中で、前記ポリアミド複合半透膜に放射線を照射することも好ましい。かかる場合、膜表面にポリマーを固定しなくでも、ポリアミド分離機能層表面にラジカルを発生させ、複合半透膜の表面を親水化させる効果があり、透過水量を低下させることなくファウリング防止効果を向上させることが可能である。
なお、本発明で使用する放射線処理の機序は明確ではないが、ポリアミド分離機能層表面にラジカルを発生させ、複合半透膜の表面を親水化させる効果があると考えられる。
本発明により得られる複合半透膜は、平膜でも中空糸膜、管状膜でも構わない。
本発明により得られる複合半透膜や、該複合半透膜を用いてなる流体分離素子を使用することにより、たとえば、操作圧力が0.1〜3.0MPaの範囲内、より好ましくは0.1〜1.5MPaの範囲内といった低い領域で、高い透過水量を維持することができる。操作圧力を低くすることができるため、用いるポンプなどの容量を小さくすることができ、消費電力を抑え、造水のコストダウンを図ることができる。操作圧力が0.1MPaを下回ると、透過水量が少なくなりすぎる傾向があり、3.0MPaを超えるとポンプなどの消費電力が増加するとともに、ファウリングによる膜の目詰まりを起こしやすくなる。
本発明により得られる複合半透膜にあっては、25℃において、pH6.5の、NaCl濃度が1,500mg/1である水溶液を1.0MPaの圧力で加えて1時間ろ過したときの透過水量が0.5〜3.0m/mdであることが好ましい。水の透過量を0.5〜3.0m/mdの範囲とすることにより、ファウリングの発生を適度に抑え、造水を安定的に行うことができる。
本発明により得られる複合半透膜を用いて処理される下水中には、界面活性剤などの難生分解性有機物が、生物処理で完全には分解されず含まれている。このため、通常の複合半透膜で処理を行うと、界面活性剤が複合半透膜の表面に吸着し、透過水量が低下してしまう。しかし、本発明により得られる複合半透膜は、放射線による表面処理を行っているため、界面活性剤が吸着しにくく透過水量の低下が抑えられる。
ここで、透過水量低下率は以下のようにして求める。25℃にてpH6.5、1,500mg/l塩化ナトリウム水溶液を用い操作圧力1.0MPaにて膜に透過させて1時間ろ過した時の透過水量を前透過水量(F1)とし、続いて、この評価液にノニオン界面活性剤(ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル)を100mg/lになるように添加してから1時間経過後の透過水量を後透過水量(F2)としたときに、次式で定義される。
・透過水量低下率=1−(F2/F1)。
本発明により得られる複合半透膜は、透過水量低下率が0.35以下であることが好ましい。さらに好ましくは0.20以下である。このような膜を用いることにより、界面活性剤に接しても膜面への界面活性剤の吸着が殆ど観られずに透過流量の低下が僅かであり、充分な透過流量を保持できる。従って、下水の高度処理に用いても、高水質の透過水を安定して得ることができる。
上記により得られる複合半透膜は、取り扱いを容易にするため筐体に納めて流体分離素子とすることができる。この流体分離素子は、たとえば、多数の孔を穿設した筒状の集液管の周りに、複合半透膜の平膜と、トリコットなどの分離液流路材と、プラスチックネットなどの供給液流路材とを含む膜ユニットを巻回し、これらを円筒状の筐体に納めた構造とすると好ましい。これにより、複数の流体分離素子を直列あるいは並列に接続して分離膜モジュ−ルとすることもできる。
本発明においては、対象とする原水中に界面活性剤などのファウリング物質を含む場合に、従来のポリアミド系複合半透膜などを用いると早期に透過水量が低下するので安定な処理が困難であったが、放射線照射により表面を改質した複合半透膜を用いるため、界面活性剤に接しても膜面への界面活性剤の吸着が殆ど観られずに透過水量の低下が僅かであり、高水質の透過水を安定して得ることができる。
実施例、および比較例においては、pH6.5の1,500mg/l塩化ナトリウム水溶液を用い、操作圧力1.0MPaの条件で評価を行った。
塩排除率は次式により求めた。
・塩排除率(%)=(1−透過液中の塩濃度/供給液中の塩濃度)×100。
また、透過水量は、単位時間(日)に単位面積(m)に当たりの膜を透過する水量で求めた。
(実施例1)
ポリエステル繊維からなる、縦30cm横20cmの大きさのタフタ(縦糸、横糸とも166デシテックスのマルチフィラメント糸、織密度は縦90本/インチ、横67本/インチ、厚さ160μm)をガラス板上に固定し、その上にポリスルホンの15.7重量%ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を、200μmの厚みで、25℃にてキャストし、ただちに純水中に浸漬して5分間放置し、次いで、90℃2分間熱水中で処理して微多孔性支持膜(以下、FT−PS支持膜という)を得た。このFT−PS支持膜の厚さは200〜210μmであり、純水透過係数は圧力0.1MPa、液温25℃、雰囲気温度25℃で測定したとき0.01〜0.03g/cm・sec・atmであった。
このFT−PS支持膜を、m−フェニレンジアミン1.5重量%と、ε−カプロラクタム1.5重量%とを含む水溶液中に1分間浸漬した。ついで、この支持膜を垂直方向にゆっくりと引上げ、支持膜表面から窒素を吹き付けることで余分な水溶液を取り除いた後、トリメシン酸クロライド0.06重量%を含むデカン溶液を、表面が完全に濡れるように塗布した。次に、膜を垂直にして余分な溶液を液切りして除去した後、膜面に残った溶媒を蒸発させるために、膜表面での風速が8m/sとなるように、温度30℃の空気を1分間吹き付けた。
その後90℃の熱水に2分間浸漬後、膜性能向上のため、pH7に調整した次亜塩素酸ナトリウム500ppmを含む溶液中に2分間浸漬し、亜硫酸水素ナトリウム1,000ppm水溶液に浸漬し、残存する次亜塩素酸ナトリウムを消滅させ複合半透膜を得た。得られた複合半透膜を蒸留水中でγ線照射した。γ線吸収線量は28kGyであった。
得られた複合半透膜を上記条件で評価し、塩排除率、透過水量、透過水量低下率を測定した。評価結果を表1に示す。
(実施例2)
N−イソプロピルアクリルアミド1重量%に過硫酸アンモニウム400mg/l、テトラメチルエチレンジアミン2.4ml/l加え室温で2日間重合を行い、N−イソプロピルアクリルアミド1重量%水溶液を作成した。実施例1において蒸留水の代わりに、N−イソプロピルアクリルアミド1重量%水溶液を用いた以外は、実施例1と同様に製膜、評価を行った。評価結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1においてポリエチレンイミン(分子量10,000) 1000ppm水溶液を用いた以外は、実施例1と同様に製膜、評価を行った。評価結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1において放射線照射を行わなかった以外は、実施例1と同様に製膜、評価を行った。評価結果を表1に示す。
(比較例2)
比較例1の膜をポリビニルアルコール(重量平均分子量2,000)0.5重量%と、グルタルアルデヒド0.2重量%とを含む水溶液に、酸触媒として塩酸を0.1モル/リットルとなるように添加した水溶液に2分間浸漬した。垂直で1分間保持し余分な液を切ったのち、熱風乾燥機で80℃で2分間乾燥し架橋した。その後、未架橋物や酸触媒を除去するため、90℃の熱水に2分間浸漬させ複合半透膜を得た。評価前に10%イソプロパノール水溶液に10分間浸漬し親水化処理を行った。評価結果を表1に示す。
Figure 2007014833

Claims (4)

  1. 微多孔性支持膜上に多官能アミン化合物と多官能酸ハロゲン化物との反応物からなる分離機能層を形成して複合半透膜とした後に、該複合半透膜に放射線を照射することを特徴とする複合半透膜の製造方法。
  2. 水溶性ポリマーを含む水溶液中で、前記分離機能層を形成した後の複合半透膜に放射線を照射することを特徴とする請求項1に記載の複合半透膜の製造方法。
  3. 水中で、前記分離機能層を形成した後の複合半透膜に放射線を照射することを特徴とする請求項1に記載の複合半透膜の製造方法。
  4. 放射線がγ線であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の複合半透膜の製造方法。
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