JP2003200026A - 複合半透膜およびその製造方法 - Google Patents

複合半透膜およびその製造方法

Info

Publication number
JP2003200026A
JP2003200026A JP2002001150A JP2002001150A JP2003200026A JP 2003200026 A JP2003200026 A JP 2003200026A JP 2002001150 A JP2002001150 A JP 2002001150A JP 2002001150 A JP2002001150 A JP 2002001150A JP 2003200026 A JP2003200026 A JP 2003200026A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
composite semipermeable
semipermeable membrane
membrane
functional layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002001150A
Other languages
English (en)
Inventor
Gakuji Inoue
岳治 井上
Hiroaki Isaka
弘明 井坂
Kazuya Sugita
和弥 杉田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2002001150A priority Critical patent/JP2003200026A/ja
Publication of JP2003200026A publication Critical patent/JP2003200026A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】透過流量が経時的に安定で、かつ透過流量の大
きい下廃水処理用の複合半透膜およびそれを用いた処理
方法を提供すること。 【解決手段】多孔性支持膜上に架橋ポリアミド分離機能
層を形成してなり、その表面を架橋重合体が被覆してな
る複合半透膜において、該架橋重合体が、架橋ポリアミ
ド分離機能層表面と共有結合を形成していることを特徴
とする複合半透膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たとえば、半導体
の製造などに用いられる超純水の製造やかん水の脱塩
化、し尿や家庭用排水等の下水の高度処理、また、染色
排水や電着塗料排水などの排水処理に用いる複合半透膜
およびその製造方法、水処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から工業的に利用されている複合半
透膜には、微多孔性支持膜上に選択分離性を有する薄膜
を形成した複合半透膜が提案されている。これには、た
とえば、多官能芳香族アミンと多官能芳香族酸ハロゲン
化物からなる薄膜が支持膜上に形成されたもの(特開昭
55-147106号公報、特開昭62-121603号
公報など)や、多官能芳香族アミンと多官能脂環式酸ハ
ロゲン化物との界面重合によって得られるポリアミドか
らなる薄膜が支持膜上に形成されたもの(特開昭62-
121603号公報など)がある。
【0003】これらの複合膜の表面は、通常、荷電を持
っており、使用が長期にわたったり、逆符号の荷電物質
が処理水中に存在する場合には膜が汚れ、透過水量や脱
塩率の低下が発生することがある。特に、下水や排水を
処理原水とする場合、処理原水には洗剤として使用され
た界面活性剤が混入していることが多く、この界面活性
剤が複合半透膜の膜面に吸着され、膜の分離性能を低下
させることがある。このため、上記の複合半透膜による
処理を行うと、時間の経過とともに透過流量が著しく低
下して安定な処理が困難であるという問題がある。
【0004】そこで、膜の汚れ(ファウリング)といっ
た問題点を解決する手段として、選択分離性を有する薄
膜上に有機重合体層を被覆する方法が提案されている
(たとえば、特許3212129号公報、特開2000
−176263号公報など)。しかしながら、これらの
方法は、単に層を積層しただけであり、複合半透膜の長
期耐久性に劣る問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
した従来の問題を解決し、高い脱塩率や造水量を有し、
造水量の低下率の低い、耐久性に優れた複合半透膜を提
供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するた
め、本発明は以下の構成をとる。すなわち本発明は、多
孔性支持膜上に架橋ポリアミド分離機能層を形成してな
り、その表面を架橋重合体が被覆してなる複合半透膜に
おいて、該架橋重合体が架橋ポリアミド分離機能層表面
と共有結合を形成していることを特徴とする複合半透膜
をその骨子とする。
【0007】また、本発明の複合半透膜の製造方法は、
多官能アミン化合物と多官能酸ハロゲン化物とを重縮合
させて多孔性支持膜上に架橋ポリアミド分離機能層を設
けた後に、酸ハライド基と反応する反応性基aを少なく
とも1個有する水溶性ポリマーの水溶液を架橋ポリアミ
ド分離機能層の表面に被覆して、分離機能層の表面に残
存する酸ハライド基と該反応性基aとの間で共有結合を
形成させ、さらに、該水溶性ポリマーを架橋剤と反応さ
せ架橋重合体層を形成することを特徴とする複合半透膜
の製造方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明において、多孔性支持膜と
は、実質的には分離性能を有さない層であり、実質的に
分離性能を有する架橋ポリアミド分離機能層に強度を与
えるために用いられるものである。
【0009】多孔性支持膜の構造は特に限定されない
が、膜の表面から裏面にわたって孔径が均一な微細な孔
を有する構造であるか、または、片面に緻密で微細な孔
を有し、その面からもう一方の面まで徐々に孔径が大き
くなるような孔を有する非対称構造であり、その微細孔
の大きさが100nm以下であることが好ましい。 ま
た、多孔性支持膜の厚みは、1μm〜数mmであるのが
好ましく、膜強度の観点から10μm以上、扱いやす
さ、モジュール加工のしやすさの点で数100μm以下
がより好ましい。
【0010】多孔性支持膜に使用する素材は特に限定さ
れず、例えば、ポリスルホン、酢酸セルロース、硝酸セ
ルロース、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポ
リフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドス
ルホン等のホモポリマーまたはコポリマーを単独あるい
はブレンドして使用することができる。これらの素材の
中では化学的、機械的、熱的に安定性が高く、成型が容
易であることから、ポリスルホンが好ましく使用され
る。
【0011】本発明で使用される架橋ポリアミドは、例
えば、多官能アミン化合物と多官能酸ハロゲン化物とを
重縮合させて製造することができる。
【0012】多官能アミン化合物は、2個以上のアミノ
基を有する脂肪族、芳香族の化合物であればいずれでも
よい。例えば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレ
ンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼン、パラキ
シリレンジアミン、ジアミノピリジンなどの芳香族アミ
ン類、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジメチ
ルエチレンジアミン、ピペラジン、アミノメチルピペリ
ジンなどの脂肪族アミン類が用いられる。これらの中で
は、反応性、得られた膜の性能の面から芳香族アミン
類、特にm−フェニレンジアミン、p−フェニレンジア
ミン、1,3,5−トリアミノベンゼンが好ましく使用
される。これらの多官能アミン化合物は単独で、あるい
は混合して用いることができる。
【0013】また、多官能酸ハロゲン化物としては、た
とえば、トリメシン酸ハライド、ベンゾフェノンテトラ
カルボン酸ハライド、トリメリット酸ハライド、ピロメ
リット酸ハライド、イソフタル酸ハライド、テレフタル
酸ハライド、ナフタレンジカルボン酸ハライド、ジフェ
ニルジカルボン酸ハライド、ピリジンジカルボン酸ハラ
イド、ベンゼンジスルホン酸ハライド、クロルスルホニ
ルイソフタル酸ハライドなどの芳香族酸ハライドを用い
ることができる。また、シクロヘキサントリカルボン酸
ハライド、シクロヘキサンジカルボン酸ハライドなどの
脂肪族酸ハライドも用いることができる。なかでも、製
膜溶媒に対する溶解性や得られる複合半透膜の特性を考
慮すると、イソフタル酸クロライド、テレフタル酸クロ
ライド、トリメシン酸クロライドおよびこれらの混合物
を用いることが好ましい。
【0014】本発明において、酸ハライド基と反応する
反応性基aを少なくとも1個有する水溶性ポリマーと
は、実質的に水に可溶であり、酸ハライド基と反応し共
有結合を形成するポリマーであればいずれでもよく、反
応性基aとしては、例えば、水酸基、アミノ基、エポキ
シ基などが挙げられる。具体的なポリマーの例として
は、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニルの部分ケン
化物、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリエ
ピアミノヒドリン、アミン変性ポリエピクロルヒドリ
ン、ポリオキシエチレンジプロピルアミン、アミノ基ま
たは水酸基を含むモノマーを用いた共重合体、酢酸ビニ
ルとメタクリル酸エステル共重合体の部分ケン化物、酢
酸ビニルと2−メタクリロイルオキシエチルホスホリル
コリン共重合体の部分ケン化物などが挙げられる。これ
らは、単独で用いてもよいし、混合して用いても良い。
これらの中では、反応性、得られた膜の性能の点から、
1級または2級アミノ化合物または水酸基を有するポリ
マーが好ましく用いられる。アミノ基と酸ハライド基が
反応した場合は、架橋ポリアミド分離機能層と水溶性ポ
リマーとの間でアミド結合が形成され、水酸基と酸ハラ
イド基が反応した場合は、架橋ポリアミド分離機能層と
水溶性ポリマーとの間でエステル結合が形成される。
【0015】また、酸ハライド基と反応する反応性基a
を少なくとも1個有する水溶性ポリマーが、さらに酸ハ
ライド基と反応しない親水性基を有していることも好ま
しい態様である。親水性基としては、例えば、エーテル
基、アミド基、エステル基、3級アミノ基、4級アンモ
ニウム基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、カルボ
キシル基、カルボニル基、ケト基、アルコキシカルボニ
ル基、アミド基、シアノ基、ホルミル基、メルカプト
基、イミノ基、アルキルチオ基、スルフィニル基、スル
ホニル基、スルホ基、ニトロソ基、リン酸基、ホスホリ
ルコリン基などが挙げられる。特に、エーテル基、アミ
ド基、エステル基などの電気的に中性の親水性基が好ま
しい。また正荷電基と負荷電基を同量含むホスコリルコ
リン基のような両性荷電基も好ましい。
【0016】このような酸ハライド基と反応する反応性
基aを少なくとも1個有する水溶性ポリマーを、架橋性
ポリアミド分離機能層表面に残存する未反応の酸ハライ
ド基と反応させ共有結合を形成して膜表面に固定するこ
とにより、膜表面の親水性を向上させることができる。
また、架橋性ポリアミド分離機能層と共有結合を形成し
ていることから、吸着しているだけの場合に比べ、耐久
性にも優れている。
【0017】さらに、水溶性ポリマーは、架橋すること
が好ましい。架橋する方法は、公知のいずれの方法でも
良く、例えば、酸またはアルカリ触媒存在下で熱架橋
し、水不溶性の架橋重合体を得る方法を用いることがで
きる。酸としては、無機酸でも有機酸でもよく、たとえ
ば、塩酸を使用する場合、その濃度は0.1〜1.0モ
ル/リットルの範囲内にあることが好ましく、0.01
〜0.5モル/リットルの範囲内にあるとより好まし
く、0.01〜0.3モル/リットルの範囲内にあると
さらに好ましい。濃度が0.01モル/リットルを下回
ると、触媒としての機能が発現しにくくなり、1.0モ
ル/リットルを超えると、架橋反応を阻害する傾向がみ
られる。
【0018】上記の架橋反応は、たとえば、ポリビニル
アルコールを用いた場合、触媒に硫酸を用いるとポリビ
ニルアルコール分子内脱水反応が起こりエーテル結合に
より架橋する。ケン化度の高いポリビニルアルコール
は、酸、アルカリ触媒のもとで熱を加えると、ポリビニ
ルアルコール鎖が相互の水素結合により水不溶性とな
る。また、ジルコニウムやホウ素等の金属による架橋
も、好ましく用いられる。
【0019】水溶性ポリマーを架橋するものとして、多
官能アルデヒドも用いることができる。たとえば、グル
タルアルデヒドで架橋後、熱処理を行うと、水不溶性の
架橋重合体となる。
【0020】架橋を行わない場合は分離機能層表面の極
薄くしか水溶性重合体を保持することが出来ないが、こ
のような架橋を行うことにより、膜表面の重合体層を厚
くすることができ、より膜面が汚れにくくなる。
【0021】本発明に用いる架橋重合体層の厚みは、全
反射赤外吸収スペクトル法(以下、ATR−IR法とい
う)から求めることができる。架橋重合体層の厚みは、
本発明の複合半透膜の架橋重合体側からATR−IR法
により測定した3,300〜3,400cm-1の範囲内
にある吸収ピークの最大値をRSMAXとし、1,655
〜1,670cm-1の範囲内にある吸収ピークの最大値
をRAMAXとしたとき、RSMAX/RAMAXの値が0.4
〜5の範囲内にあることが好ましい。
【0022】また、上記と同様に、架橋重合体側からA
TR−IR法により測定した3,300〜3,400c
-1の範囲内にある吸収ピークの最大値をRSMAX
し、1,480〜1,495cm-1の範囲内にある吸収
ピークの最大値をRBMAXとしたとき、RSMAX/RB
MAXの値が0.4〜5の範囲内にあることも好ましい。
【0023】通常、多孔性支持膜上にポリアミドを含む
分離機能層を設けただけでは、アミド基のC=O伸縮振
動に由来する1,655〜1,670cm-1の範囲内に
ある吸収ピークや、ベンゼン環のC=C伸縮振動に由来
する1,480〜1,495cm-1の範囲内にある吸収
ピークにくらべて、3,300〜3,400cm-1の範
囲内にある吸収ピークが相対的に小さく、上記のRS
MAX/RAMAXやRSMAX/RBMAXの値が0.4を下回
る。これは、3,300〜3,400cm-1の範囲内に
ある吸収ピークは親水性基のO−H伸縮振動やN−H伸
縮振動に由来するのであるが、上記の分離機能を設けた
だけでは、特にこの範囲内に強い吸収を発現させる水酸
基が存在しないことによっている。
【0024】本発明においては、分離機能層上に架橋重
合体層が設けられ、好ましくは、上記RSMAX/RAMAX
またはRSMAX/RBMAXの値を所定の範囲内にすること
で、透水性が高く、かつ、脱塩率も高い複合膜とするこ
とができる。
【0025】上記RSMAX/RAMAXの値は、0.4〜5
の範囲内が好ましく、より好ましくは0.4〜2.5の
範囲内、さらに好ましくは0.5〜1.5の範囲内がよ
い。また、上記RSMAX/RBMAXの値は、0.095〜
1の範囲内が好ましく、より好ましくは0.095〜
0.5の範囲内、さらに好ましくは0.13〜0.32
の範囲内がよい。このRSMAX/RAMAXの値が0.4を
下回ったり、RSMAX/RBMAXの値が0.095を下回
ると、親水性が低下傾向となり、また、疎水性基を有す
るファウリング物質の膜面吸着が発生しやすくなり、透
水性が低下する傾向がある。また、RSMAX/RAMAX
値が5を超えたり、RSMAX/RBMAXの値が1を超えた
りすると、溶質の透過性が高まって脱塩率が低下する傾
向がある。
【0026】なお、ATR−IR法により得られる上記
の吸収ピークは、得られるスペクトルをベースライン補
正し、上記各波数域における最大の吸収ピークと、スペ
クトル全体のベースラインの吸光度との差を所定の波数
範囲内における最大の吸収ピークとする。この際、高波
数側のピークを強調する、いわゆるATR補正は行わな
い。
【0027】次に本発明の複合半透膜の好ましい製造方
法について述べる。
【0028】本発明の複合半透膜は、例えば、多官能ア
ミン化合物と多官能酸ハロゲン化物とを重縮合させて微
多孔性支持膜上にポリアミド分離機能層を設けた後に、
酸ハライド基と反応する反応性基aを少なくとも1個有
する水溶性ポリマーの水溶液をポリアミド分離機能層の
表面に被覆して、ポリアミド分離機能層の表面に残存す
る酸ハロゲン基と該反応性基aとの間で共有結合を形成
させ、さらに、該水溶性ポリマーを架橋剤と反応させ架
橋重合体層を形成することにより得られる。
【0029】以下、さらに詳しく記載する。まず、密に
織ったポリエステル布や不織布などの支持体の上に、例
えば、ポリスルホン溶液を一定の厚さに注型し、それを
水中で湿式凝固させて、表面の大部分が直径数十nm以
下の微細な孔を有した多孔性支持膜を得る。得られた多
孔性支持膜上に、1分子中に少なくとも2個のアミノ基
を有する多官能アミン化合物の水溶液、多官能酸ハロゲ
ン化物の溶液を順に塗布してin−situ界面重縮合
反応をさせ、実質的に分離性能を有するポリアミド分離
機能層を形成させる。
【0030】多官能アミン化合物水溶液の濃度は、0.
1〜20重量%の範囲内にあることが好ましく、0.5
〜15重量%の範囲内にあることがより好ましい。多官
能アミン化合物濃度が0.1重量%を下回ると、界面重
縮合反応の進行が遅くなり、20重量%を超えると分離
機能層の膜厚が大きくなり透水性が低下する傾向にあ
る。
【0031】多官能酸ハロゲン化物を溶解する溶媒は、
水と非混和性であり、かつ、多官能酸ハロゲン化物を溶
解するとともに、多孔性支持膜の構造を破壊せず、界面
重縮合により架橋ポリマを形成し得るものであればよ
い。例えば、炭化水素化合物、シクロヘキサン、1,
1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン
などが挙げられるが、反応速度、溶媒の揮発性から、好
ましくは、n−ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナ
ン、デカン、ウンデカン、ドデカン、1,1,2−トリ
クロロ−1,2,2トリフルオロエタンなどである。
【0032】上記溶媒中の多官能酸ハロゲン化物の濃度
は、0.01〜1重量%の範囲内であると好ましい。
0.01重量%を下回ると、活性層である分離機能層の
形成が不十分となりやすく、1重量%を超えると分離機
能層表面のカルボキシル基濃度が高くなり、処理原水中
にカチオン性有機物(たとえばカチオン界面活性剤な
ど)が含まれる場合に透水性が低下し、また、コスト高
となる傾向がある。
【0033】多官能アミン化合物水溶液および多官能酸
ハロゲン化物溶液には、多官能アミン化合物と多官能酸
ハロゲン化物との反応を妨害しないものであれば、必要
に応じて、アシル化触媒や極性溶媒、酸補足剤、界面活
性剤、酸化防止剤などを含有させることもできる。
【0034】次いで、ポリアミド分離機能層を形成した
直後に、酸ハライド基と反応する反応性基aを少なくと
も1個有する化合物の水溶液をポリアミド分離機能層表
面に塗布し、該分離機能層表面に残存する酸ハライド基
と該反応性基aとの間で共有結合を形成させ、ポリアミ
ド分離機能層の表面特性を変化させる。
【0035】ここで言う直後とは、水または他の水溶液
をポリアミド分離機能層に接触させるより前のことを言
う。通常、分離機能層を形成した後、水または他の水溶
液により、界面重縮合反応を停止させたり、膜中に残存
するモノマーの洗浄を行うが、酸ハライド基と反応する
反応性基aを有する化合物の水溶液よりも先に、水また
は他の水溶液が膜表面に被覆されると、多官能酸ハロゲ
ン化物の未反応酸ハロゲン基が、加水分解し、カルボン
酸などの酸を生じ、酸ハライド基と反応する反応性基a
を有する化合物と反応できなくなる。このため、ポリア
ミド分離機能層を設けた直後に、酸ハライド基と反応す
る反応性基aを少なくとも1個有する化合物の水溶液
を、その表面に被覆することが必要である。また、空気
中の水分によっても酸ハロゲン基の加水分解は進行する
ので、水に触れない場合でもポリアミド分離機能層形成
後1時間以内に、酸ハライド基と反応する反応性基aを
有する化合物の水溶液を塗布することが好ましい。
【0036】酸ハライド基と反応する反応性基aを少な
くとも1個有する水溶性ポリマーは単独であっても数種
混合して用いてもよい。水溶性ポリマーは、重量濃度で
0.01%〜20%の水溶液として使用するのが好まし
い。0.01%を下回ると、分離機能層に存在する多官
能酸ハロゲン化物の官能基が一部未反応のまま残ること
があり、表面の改質が不十分となりやすく、20%を超
えると効果は飽和しコスト面から不利となる傾向があ
る。水溶液には必要に応じて他の化合物を混合してもか
まわない。たとえば、反応を促進するため、炭酸ナトリ
ウム、水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウムなどのアル
カリ性金属化合物を添加してもよいし、残存する水と非
混和性の溶媒や、遊離多官能酸ハロゲン化物とアミン化
合物との反応生成物を除去するため、ドデシル硫酸ソー
ダ、ベンゼンスルホン酸ソーダなどの界面活性剤を添加
することも好ましい。
【0037】水溶性ポリマーの架橋方法は特に限定され
ないが、好ましくは熱架橋を行う。熱架橋を行う際の加
熱方法としては、たとえば、熱風を吹き付ける方法を用
いることができる。その場合の加熱温度は、30〜15
0℃の範囲内にあることが好ましく、30〜130℃の
範囲内にあるとより好ましく、60〜100℃の範囲内
にあるとさらに好ましい。加熱温度が30℃を下回る
と、十分な加熱が行われず架橋反応速度が低下する傾向
にあり、150℃を超えると副反応が進行しやすくな
る。また、100℃以上で熱架橋を行うと、複合半透膜
の熱収縮が大きくなることがあり、透過水量が低くなる
傾向にある。
【0038】水溶性ポリマーの架橋には、架橋剤を用い
ることが好ましい。架橋剤としては例えば前述した、酸
またはアルカリや、グリオキサールやグルタルアルデヒ
ドなど、1分子中に少なくとも2個の官能基を有するア
ルデヒドなどを挙げることができる。特に、架橋重合体
の原料がポリビニルアルコール、架橋剤がグルタルアル
デヒドであり、架橋重合体がポリビニルアルコールとグ
ルタルアルデヒドの反応物を含むことが好ましい。
【0039】架橋剤の添加濃度としては、0.01〜
5.0重量%の範囲内にあることが好ましく、0.01
〜1.0重量%の範囲内にあるとより好ましく、0.0
1〜0.5重量%の範囲内にあるとさらに好ましい。濃
度が0.01重量%を下回ると、架橋密度が低くなり架
橋重合体の水不溶性が不十分となりやすく、5.0重量
%を上回ると、架橋密度が高くなり造水量が低くなる傾
向がみられ、さらに、架橋反応速度が速くなりゲル化が
起こりやすく、均一塗布が難しくなる傾向がある。架橋
反応の反応時間は10秒〜10分が好ましい。10秒未
満だと反応が十分に進行しないことがあり、10分を越
えると生産効率が低下する。
【0040】このようにして得られた複合半透膜は、こ
のままでも使用できるが、使用する前に水洗などによっ
て未反応残存物を取り除くことが好ましい。30〜10
0℃の範囲内にある水で膜を洗浄し、残存するアミノ化
合物などを除去することが好ましい。また、洗浄は、上
記温度範囲内にある水中に支持膜を浸漬したり、水を吹
き付けたりして行うことができる。用いる水の温度が3
0℃を下回ると、複合半透膜中にアミノ化合物が残存し
透過水量が低くなる傾向にある。また、オートクレーブ
やスチームなどで100℃を超える温度で洗浄を行う
と、膜が熱収縮を起こすことがあり、やはり透過水量が
低くなる傾向にある。
【0041】また、このあと、たとえばpHが6〜13
の範囲内の塩素含有水溶液に常圧で接触させ、膜の排除
率、透水性を高めることも好ましい。
【0042】水溶性ポリマーを熱架橋により架橋重合体
とした場合は、該架橋重合体に界面活性剤を接触させ、
表面の親水性を増すことが好ましい。界面活性剤として
は、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライドな
どのカチオン性界面活性剤や、ポリオキシエチレンオク
チルフェニルエーテルなどの中性界面活性剤や、両性界
面活性剤などを用いることが好ましい。また、ノルマル
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアニオン
性界面活性剤も用いることができる。これらの界面活性
剤を溶液の状態で用いる場合、その濃度は0.1〜1,
000ppmの範囲内にあることが好ましく、1〜10
0ppmの範囲内にあるとより好ましい。
【0043】また、表面張力が17〜27dyn/cm
の範囲内にある化合物や水溶液を接触させて本発明の複
合半透膜の親水性を増すこともできる。この化合物とし
ては、たとえば、アルコール類や炭化水素類、エステル
類、エーテル類、ケトン類などを用いることができる。
具体的には、アルコール類としては、メチルアルコール
やエチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプ
ロピルアルコール、イソブチルアルコールを用いること
ができ、炭化水素類としては、ヘキサンやオクタン、ノ
ナン、デカンを用いることができる。また、エステル類
としては、酢酸エチルやギ酸エチル、プロピオン酸エチ
ル、カプロン酸メチルを用いることができ、ケトン類と
してはジエチルケトンを用いることができる。これら
は、それぞれ単独で用いてもよく、混合して用いてもよ
い。また、上記の中では、アルコール類を用いることが
好ましく、特に、メチルアルコールやエチルアルコー
ル、イソプロピルアルコールを用いると好ましく、イソ
プロピルアルコールを用いるとさらに好ましい。用いる
濃度としては、0.1〜50重量%の範囲内にあると好
ましく、0.5〜15重量%の範囲内にあるとより好ま
しい。濃度が50重量%を上回ると、コスト高につなが
り、また、0.1重量%を下回ると、水透過性を向上さ
せる効果を得にくくなる。
【0044】上記界面活性剤や、表面張力が17〜27
dyn/cmの範囲内にある化合物を接触させる時間
は、10秒以上であると好ましく、1分以上であればよ
り好ましい。
【0045】本発明の複合半透膜の形態は特に限定され
ず、例えば、平膜でも中空糸膜、管状膜でも構わない。
【0046】本発明の複合半透膜を使用することによ
り、たとえば、操作圧力が0.1〜3MPaの範囲内、
より好ましくは0.1〜1.5MPaの範囲内といった
低圧領域で、高い透過水量を維持しつつ、複合半透膜や
流体分離素子を使用することができる。操作圧力を低く
することができるため、用いるポンプなどの容量を小さ
くすることができ、消費電力を抑え、造水のコストダウ
ンを図ることができる。操作圧力が0.1MPaを下回
ると、透過水量が少なくなる傾向があり、3MPaを超
えるとポンプなどの消費電力が増加するとともに、ファ
ウリングによる膜の目詰まりを起こしやすくなる。
【0047】本発明の複合半透膜は、pH6.5、濃度
が1,500mg/lの塩化ナトリウム水溶液を用い、
25℃において、操作圧力1.0MPaで1時間ろ過し
たときの透過水量が0.5〜3m3/m2dであることが
好ましい。このような複合半透膜は、例えば、前述した
製造方法を適宜選択することで、製造することができ
る。水の透過量を0.5〜3m3/m2dの範囲とするこ
とにより、ファウリングの発生を適度に抑え、造水を安
定的に行うことができる。
【0048】本発明の複合半透膜で処理する下水中に
は、界面活性剤などの難生分解性有機物が、生物処理で
完全には分解されず含まれていることがある。従来の複
合半透膜で処理を行うと界面活性剤が膜表面に吸着し、
透過水量が低下してしまう。しかし、本発明の複合半透
膜は、表面処理を行っているため、界面活性剤が吸着し
にくく透過水量の低下が抑えられる。
【0049】ここで、透過水量低下率を以下のように定
義する。すなわち、25℃にてpH6.5、濃度が1,
500mg/lの塩化ナトリウム水溶液を用い操作圧力
1.0MPaにて複合半透膜を透過させてろ過した時の
透過水量を前透過水量(F1)とし、続いて、この塩化
ナトリウム水溶液にノニオン界面活性剤(ポリオキシエ
チレン(10)オクチルフェニルエーテル)を濃度が1
00mg/lのになるように添加してから1時間経過後
の透過水量を後透過水量(F2)としたときに、次式で
定義される。
【0050】透過水量低下率=1−(F2/F1) 本発明の複合半透膜は、透過水量低下率が0.35以下
であることが好ましい。さらに好ましくは0.2以下で
ある。このような複合半透膜を用いることにより、界面
活性剤に接しても膜面への界面活性剤の吸着がほとんど
観られずに、透過流量の低下が僅かであり、充分な透過
流量を保持できる。従って、下水の高度処理に用いて
も、高水質の透過水を安定して得ることができる。
【0051】本発明の複合半透膜は、取り扱いを容易に
するため筐体に納めて流体分離素子とすることができ
る。この流体分離素子は、たとえば、多数の孔を穿設し
た筒状の集液管の周りに、複合半透膜の平膜と、トリコ
ットなどの分離液流路材と、プラスチックネットなどの
供給液流路材とを含む膜ユニットを巻回し、これらを円
筒状の筐体に納めた構造とすると好ましい。複数の流体
分離素子を直列あるいは並列に接続して分離膜モジュー
ルとすることもできる。このような分離膜モジュールは
下水処理装置に好適に用いることができる。
【0052】以下、上記複合半透膜を用いた下水処理装
置および下水処理方法の好ましいプロセスフローについ
て図1を用いて説明する。
【0053】まず、原水である下水を、スクリーン、沈
砂、予備曝気槽、最初沈殿槽などに導入して物理的処理
を施し、浮遊物や油脂を除去する。このとき、除去効率
を上げるために凝集剤等による凝集処理を行うことも好
ましい。次に、原水を活性汚泥槽などに導入して生物的
処理を施し、原水中の有機物を分解する。その後、最終
沈殿槽(図中、記載無し)で懸濁物質を除去し、下水二
次処理水を得る。続いて、好ましくは、この下水二次処
理水を、砂濾過装置、精密ろ過膜、限外ろ過膜などに供
給して、水中の懸濁物質をさらに除去する。ここで、微
生物を好適に除去するためには、精密濾過膜や限外濾過
膜などを用いることがより好ましく、原水中の高分子除
去および後段の膜汚染の軽減のためには、限外濾過膜が
さらに好ましい。このような処理を施した水を、本発明
の複合半透膜を用いたモジュールに供給し、原水中の塩
や有機物を除去する。原水中の塩や有機物が除去された
透過水は、親水用水等の用水として再利用することがで
きる。
【0054】主な処理対象とする下水は、石鹸や洗浄排
液のために多量の界面活性剤を含むことがあり、従来の
ポリアミド系複合半透膜などを用いると早期に透過水量
が低下するので安定な処理が困難であったが、本発明で
は、架橋ポリアミド分離機能層表面と架橋重合体を共有
結合させ、表面を改質した複合半透膜を用いるため、界
面活性剤に接しても膜面への界面活性剤の吸着がほとん
ど観られずに透過水量の低下が僅かであり、高水質の透
過水を安定して得ることができる。
【0055】また、原水を本発明の複合半透膜に供給す
る前に精密濾過膜または限外濾過膜で透水処理すること
が好ましい。このことで、前段で生物学的処理を施した
場合にも微生物を好適に除去できるので、後段の複合半
透膜モジュールを懸濁物質から保護することができる。
【0056】
【実施例】実施例および比較例においては、pH6.
5、濃度が1,500mg/lの塩化ナトリウム水溶液
を用い操作圧力1.5MPaの条件で評価を行った。
【0057】脱塩率は次式により求めた。 脱塩率(%)=(1−透過液中の塩濃度/供給液中の塩
濃度)×100 また、透過水量は、単位時間(日)に単位面積(m2
当たりの膜を透過する水量で求めた。
【0058】(実施例1)ポリエステル繊維からなる、
縦30cm横20cmの大きさのタフタ(縦糸、横糸と
も166デシテックスのマルチフィラメント糸、織密度
は縦90本/インチ、横67本/インチ、厚さ160μ
m)をガラス板上に固定し、その上にポリスルホンの1
5重量%ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を、20
0μmの厚みで、25℃にてキャストし、ただちに純水
中に浸漬して5分間放置し、次いで、90℃2分間熱水
中で処理して微多孔性支持膜(以下、FT−PS支持膜
という)を得た。このFT−PS支持膜の厚さは200
〜210μmであり、純水透過係数は圧力0.1MP
a、液温25℃、雰囲気温度25℃で測定したとき0.
01〜0.03g/cm2・sec・atmであった。
【0059】また、ATR−IR法による測定は、ま
ず、測定する膜を50℃で24時間真空乾燥させて水分
除去を行い試料調製を行った。測定機械には、Nico
let(株)製Avatar360 FT−IR測定機
を用い、全反射測定用のアクセサリーとして同社製の一
回反射型水平状ATR測定装置(OMNI−Sampl
er)およびゲルマニウム製のATRクリスタルを用い
て、試料表面を測定した。測定条件として、分解能を4
cm-1、スキャン回数を256回に設定した。また、得
られるスペクトルは吸光度で表し、オートベースライン
補正を行った(ATR補正は行わなかった)。
【0060】このFT−PS支持膜を、m−フェニレン
ジアミン1重量%と、ε−カプロラクタム1重量%とを
含む水溶液中に1分間浸漬した。ついで、この支持膜を
垂直方向にゆっくりと引上げ、支持膜表面から余分な水
溶液を取除いた後、トリメシン酸クロライド0.06重
量%を含むデカン溶液を、表面が完全に濡れるように塗
布した。次に、膜を垂直にして余分な溶液を液切りして
除去した後、膜面に残った溶媒を蒸発させるために、膜
表面での風速が8m/sとなるように、温度30℃の空
気を1分間吹き付けた。
【0061】次いで、この膜をポリビニルアルコール
(重量平均分子量2,000)0.5重量%と、グルタ
ルアルデヒド0.2重量%とを含む水溶液に、酸触媒と
して塩酸を0.1モル/リットルとなるように添加した
水溶液に2分間浸漬した。垂直で1分間保持し余分な液
を切ったのち、熱風乾燥機で80℃で2分間乾燥し架橋
した。その後、未架橋物や酸触媒を除去するため、90
℃の熱水に2分間浸漬後、膜性能向上のため、pH7に
調整した次亜塩素酸ナトリウム500ppmを含む溶液
中に2分間浸漬し、亜硫酸水素ナトリウム1,000p
pm水溶液に浸漬し、残存する次亜塩素酸ナトリウムを
消滅させ複合半透膜を得た。複合半透膜は、評価前に1
0%イソプロパノール水溶液に10分間浸漬し親水化処
理を行った。
【0062】得られた複合半透膜を上記条件で評価し、
塩排除率、透過水量、透過水量低下率を測定した。評価
結果を表1に示す。
【0063】(実施例2)実施例1においてポリビニル
アルコール(重量平均分子量2,000)1.0重量%
と、グルタルアルデヒド0.4重量%とを含む水溶液を
用いた以外は実施例1と同様に製膜、評価を行った。評
価結果を表1に示す。
【0064】(実施例3)実施例1において触媒に0.
005mol/lの硫酸を用いた以外は実施例1と同様
に製膜、評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0065】(実施例4)実施例1においてポリビニル
アルコール1.0重量%、ZrCl4 0.5%水溶液
を塗布後、pH13のアルカリ水溶液に浸漬し架橋を行
った。実施例1と同様に製膜、評価を行った。評価結果
を表1に示す。
【0066】(比較例1)実施例1に記載したFT−P
S支持膜を、m−フェニレンジアミン1重量%と、ε−
カプロラクタム1重量%とを含む水溶液中に1分間浸漬
した。ついで、この支持膜を垂直方向にゆっくりと引上
げ、支持膜表面から余分な水溶液を取除いた後、トリメ
シン酸クロライド0.06重量%を含むデカン溶液を、
表面が完全に濡れるように塗布した。次に、膜を垂直に
して余分な溶液を液切りして除去した後、膜面に残った
溶媒を蒸発させるために、膜表面での風速が8m/sと
なるように、温度30℃の空気を1分間吹き付けた後、
1%Na2CO3水溶液で残存している酸ハライド基を加
水分解させた。
【0067】その後、未架橋物や酸触媒を除去するた
め、90℃の熱水に2分間浸漬後、膜性能向上のため、
pH7に調整した次亜塩素酸ナトリウム500ppmを
含む溶液中に2分間浸漬し、亜硫酸水素ナトリウム1,
000ppm水溶液に浸漬し、残存する次亜塩素酸ナト
リウムを消滅させ複合半透膜を得た。実施例1と同様に
製膜、評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0068】(比較例2)実施例1に記載したFT−P
S支持膜を、m−フェニレンジアミン1重量%と、ε−
カプロラクタム1重量%とを含む水溶液中に1分間浸漬
した。ついで、この支持膜を垂直方向にゆっくりと引上
げ、支持膜表面から余分な水溶液を取除いた後、トリメ
シン酸クロライド0.06重量%を含むデカン溶液を、
表面が完全に濡れるように塗布した。次に、膜を垂直に
して余分な溶液を液切りして除去した後、膜面に残った
溶媒を蒸発させるために、膜表面での風速が8m/sと
なるように、温度30℃の空気を1分間吹き付けた。
【0069】次いで、この膜をポリビニルアルコール
(重量平均分子量2,000)1.0重量%水溶液に2
分間浸漬した。垂直で1分間保持し余分な液を切った。
その後、未架橋物や酸触媒を除去するため、90℃の熱
水に2分間浸漬後、膜性能向上のため、pH7に調整し
た次亜塩素酸ナトリウム500ppmを含む溶液中に2
分間浸漬し、亜硫酸水素ナトリウム1,000ppm水
溶液に浸漬し、残存する次亜塩素酸ナトリウムを消滅さ
せ複合半透膜を得た。実施例1と同様に製膜、評価を行
った。評価結果を表1に示す。
【0070】
【表1】
【0071】表1から、次のことが明らかである。すな
わち、実施例1〜4は、脱塩率、透過水量低下率に優れ
ており、透過水量も実用レベルであった。一方、架橋重
合体を用いなかった比較例1、水溶性ポリマーを架橋さ
せなかった比較例2は、透過水量低下率が低く、実用上
問題があった。
【0072】
【発明の効果】本発明により、透過流量の低下が僅かで
あり、充分な透過流量を保持できる複合半透膜が提供で
きる。従って、下水の高度処理に用いても、高水質の透
過水を安定して得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合半透膜を用いた下水処理装置およ
び下水処理方法の好ましいプロセスフローである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C02F 1/44 ZAB C02F 1/44 ZABD C08J 5/18 CFG C08J 5/18 CFG // C08L 77:06 C08L 77:06 Fターム(参考) 4D006 GA06 GA07 KA01 KB13 KB14 KB15 KB21 KB30 MA01 MA02 MA03 MA10 MA31 MB02 MB06 MB09 MB18 MC18 MC27 MC48X MC56X MC62X MC85 NA41 NA44 NA46 NA54 NA60 PB03 PB08 PB34 PC02 PC21 PC61 4F071 AA55X AA56X AF07 AF09 BA02 BB02 BB12 BC01 BC02

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多孔性支持膜上に架橋ポリアミド分離機能
    層を形成してなり、その表面を架橋重合体が被覆してな
    る複合半透膜において、該架橋重合体が、架橋ポリアミ
    ド分離機能層表面と共有結合を形成していることを特徴
    とする複合半透膜。
  2. 【請求項2】該架橋重合体が水溶性ポリマーの架橋体で
    あることを特徴とする請求項1に記載の複合半透膜。
  3. 【請求項3】架橋重合体側から全反射赤外吸収スペクト
    ル法により測定した3,300〜3,400cm-1の範
    囲内にある吸収ピークの最大値をRSMAXとし、1,6
    55〜1,670cm-1の範囲内にある吸収ピークの最
    大値をRAMAXとしたとき、RSMAX/RAMAXの値が
    0.4〜5の範囲内にあることを特徴とする請求項1ま
    たは2に記載の複合半透膜。
  4. 【請求項4】架橋重合体と架橋ポリアミド分離機能層表
    面とがアミド結合またはエステル結合で結合しているこ
    とを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の複合半
    透膜。
  5. 【請求項5】架橋重合体がポリビニルアルコールとグル
    タルアルデヒドの反応物を含むことを特徴とする請求項
    1〜4のいずれかに記載の複合半透膜。
  6. 【請求項6】25℃において、pH6.5、NaCl濃
    度が1,500mg/lである水溶液を1.0MPaの
    圧力で1時間ろ過したときの透過水量をF1とし、続い
    てポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテ
    ルを100mg/lの濃度となるように前記水溶液に加
    えて1時間ろ過したときの透過水量をF2としたとき、
    1−(F2/F1)の値が0.35以下であることを特
    徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の複合半透膜。
  7. 【請求項7】pH6.5、NaCl濃度が1,500m
    g/lである水溶液を、25℃において、1.0MPa
    の圧力を加えて1時間ろ過したときの透過水量が0.5
    〜3m3/m2dであることを特徴とする請求項1〜6の
    いずれかに記載の複合半透膜。
  8. 【請求項8】多官能アミン化合物と多官能酸ハロゲン化
    物とを重縮合させて多孔性支持膜上に架橋ポリアミド分
    離機能層を設けた後に、酸ハライド基と反応する反応性
    基aを少なくとも1個有する水溶性ポリマーの水溶液を
    架橋ポリアミド分離機能層の表面に被覆して、分離機能
    層の表面に残存する酸ハライド基と該反応性基aとの間
    で共有結合を形成させ、さらに、該水溶性ポリマーを架
    橋させ架橋重合体層を形成することを特徴とする複合半
    透膜の製造方法。
  9. 【請求項9】請求項1〜7のいずれかの複合半透膜また
    は請求項8記載の方法で製造された複合半透膜を用いて
    水を透水処理することを特徴とする水処理方法。
  10. 【請求項10】水を精密ろ過膜または限外ろ過膜で透水
    処理した後、複合半透膜に供給することを特徴とする請
    求項9記載の水処理方法。
JP2002001150A 2002-01-08 2002-01-08 複合半透膜およびその製造方法 Pending JP2003200026A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002001150A JP2003200026A (ja) 2002-01-08 2002-01-08 複合半透膜およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002001150A JP2003200026A (ja) 2002-01-08 2002-01-08 複合半透膜およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003200026A true JP2003200026A (ja) 2003-07-15

Family

ID=27641350

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002001150A Pending JP2003200026A (ja) 2002-01-08 2002-01-08 複合半透膜およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003200026A (ja)

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006136768A (ja) * 2004-11-10 2006-06-01 Mitsubishi Rayon Eng Co Ltd 疎水性多孔質膜用親水化剤、これを用いた疎水性多孔質膜の親水化方法及び検査方法
JP2006239636A (ja) * 2005-03-04 2006-09-14 Kazuhiko Ishihara ファウリング防止材及び該ファウリング防止材で表面処理された分離膜
WO2008120641A1 (ja) * 2007-04-03 2008-10-09 Nitto Denko Corporation 乾燥複合半透膜
JP2009034673A (ja) * 2007-07-12 2009-02-19 Nitto Denko Corp 複合半透膜
EP2172257A1 (en) * 2007-07-19 2010-04-07 Kurita Water Industries Ltd. Method for improving blocking rate of permeable membrane, blocking rate improved permeable membrane, and permebale membrane treatment method and apparatus
US8151701B2 (en) 2006-02-11 2012-04-10 Tsukuba Food Science, Inc. Apparatus and process for producing surface-treated granular product and surface-treated granular product
JP2014512279A (ja) * 2010-12-22 2014-05-22 フレゼニウス メディカル ケアー ドイチュラント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 層間剥離が生じない膜
WO2014133132A1 (ja) * 2013-02-28 2014-09-04 東レ株式会社 複合半透膜
WO2015046582A1 (ja) * 2013-09-30 2015-04-02 東レ株式会社 複合半透膜およびその製造方法
JP2016101582A (ja) * 2014-11-29 2016-06-02 ライプニッツ−インスティチュート フュア ポリマーフォルシュング ドレスデン エーファウLeibniz−Institut fuer Polymerforschung Dresden e.V. 逆浸透膜又はナノフィルトレーション膜及びそれらの製造方法
WO2016104781A1 (ja) * 2014-12-26 2016-06-30 東レ株式会社 複合半透膜
EP3787783A4 (en) * 2018-04-30 2022-01-19 Entegris, Inc. POLYAMIDE COATED FILTER MEMBRANE, FILTERS AND PROCESS

Cited By (30)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006136768A (ja) * 2004-11-10 2006-06-01 Mitsubishi Rayon Eng Co Ltd 疎水性多孔質膜用親水化剤、これを用いた疎水性多孔質膜の親水化方法及び検査方法
JP2006239636A (ja) * 2005-03-04 2006-09-14 Kazuhiko Ishihara ファウリング防止材及び該ファウリング防止材で表面処理された分離膜
US8151701B2 (en) 2006-02-11 2012-04-10 Tsukuba Food Science, Inc. Apparatus and process for producing surface-treated granular product and surface-treated granular product
WO2008120641A1 (ja) * 2007-04-03 2008-10-09 Nitto Denko Corporation 乾燥複合半透膜
JP2009034673A (ja) * 2007-07-12 2009-02-19 Nitto Denko Corp 複合半透膜
US8672142B2 (en) 2007-07-12 2014-03-18 Nitto Denko Corporation Composite semipermeable membrane
EP2172257A1 (en) * 2007-07-19 2010-04-07 Kurita Water Industries Ltd. Method for improving blocking rate of permeable membrane, blocking rate improved permeable membrane, and permebale membrane treatment method and apparatus
EP2172257A4 (en) * 2007-07-19 2011-11-23 Kurita Water Ind Ltd METHOD FOR INCREASING THE BLOCKING RATE OF A PERMANENT MEMBRANE, PERMEABLE MEMBRANE WITH INCREASED BLOCKING RATE, AND METHOD AND DEVICE FOR TREATING A PERMANENT MEMBRANE
JP2014512279A (ja) * 2010-12-22 2014-05-22 フレゼニウス メディカル ケアー ドイチュラント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 層間剥離が生じない膜
US9421501B2 (en) 2010-12-22 2016-08-23 Fresenius Medical Care Deutschland Gmbh Delamination free membrane
WO2014133132A1 (ja) * 2013-02-28 2014-09-04 東レ株式会社 複合半透膜
KR102172598B1 (ko) 2013-02-28 2020-11-02 도레이 카부시키가이샤 복합 반투막
CN105008031A (zh) * 2013-02-28 2015-10-28 东丽株式会社 复合半透膜
KR20150124952A (ko) * 2013-02-28 2015-11-06 도레이 카부시키가이샤 복합 반투막
JPWO2014133132A1 (ja) * 2013-02-28 2017-02-02 東レ株式会社 複合半透膜
CN112870995A (zh) * 2013-02-28 2021-06-01 东丽株式会社 复合半透膜
WO2015046582A1 (ja) * 2013-09-30 2015-04-02 東レ株式会社 複合半透膜およびその製造方法
KR102236713B1 (ko) * 2013-09-30 2021-04-06 도레이 카부시키가이샤 복합 반투막 및 그의 제조 방법
KR20160063337A (ko) * 2013-09-30 2016-06-03 도레이 카부시키가이샤 복합 반투막 및 그의 제조 방법
CN105611994A (zh) * 2013-09-30 2016-05-25 东丽株式会社 复合半透膜及其制造方法
JPWO2015046582A1 (ja) * 2013-09-30 2017-03-09 東レ株式会社 複合半透膜およびその製造方法
CN105611994B (zh) * 2013-09-30 2019-06-21 东丽株式会社 复合半透膜及其制造方法
JP2016101582A (ja) * 2014-11-29 2016-06-02 ライプニッツ−インスティチュート フュア ポリマーフォルシュング ドレスデン エーファウLeibniz−Institut fuer Polymerforschung Dresden e.V. 逆浸透膜又はナノフィルトレーション膜及びそれらの製造方法
KR102002917B1 (ko) * 2014-11-29 2019-07-23 라이브니츠-인스티튜트 퓌어 폴리머포르슝 드레스덴 에.파우. 역삼투 멤브레인 또는 나노필터 멤브레인 및 이의 제조 방법
KR20160065756A (ko) * 2014-11-29 2016-06-09 라이브니츠-인스티튜트 퓌어 폴리머포르슝 드레스덴 에.파우. 역삼투 멤브레인 또는 나노필터 멤브레인 및 이의 제조 방법
US10143976B2 (en) 2014-12-26 2018-12-04 Toray Industries, Inc. Composite semipermeable membrane
JPWO2016104781A1 (ja) * 2014-12-26 2017-11-30 東レ株式会社 複合半透膜
WO2016104781A1 (ja) * 2014-12-26 2016-06-30 東レ株式会社 複合半透膜
EP3787783A4 (en) * 2018-04-30 2022-01-19 Entegris, Inc. POLYAMIDE COATED FILTER MEMBRANE, FILTERS AND PROCESS
US11413586B2 (en) 2018-04-30 2022-08-16 Entegris, Inc. Polyamide coated filter membrane, filters, and methods

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6032011B2 (ja) 複合半透膜
JP4539341B2 (ja) 複合逆浸透膜およびその製造方法
TW567089B (en) Porous hollow fiber membranes and method of making the same
CN106215717B (zh) 一种复合pvdf超滤膜的制备方法
US11045771B2 (en) Composite semipermeable membrane and method for producing same
JP2003200026A (ja) 複合半透膜およびその製造方法
JP6642860B2 (ja) 水処理分離膜およびその製造方法
WO2016002819A1 (ja) 複合半透膜
JP2001286741A (ja) 逆浸透複合膜およびその製造方法
CN110354682B (zh) 一种抗生物污染反渗透膜及其制备方法和应用
JP2002224546A (ja) 下水処理用複合半透膜およびその製造方法
WO2017111140A1 (ja) 複合半透膜
JP2008246419A (ja) 複合半透膜の製造方法
JP2001327840A (ja) 複合半透膜およびその製造方法
WO2021085600A1 (ja) 複合半透膜およびその製造方法
JP4284767B2 (ja) 複合半透膜およびそれを用いた造水方法、流体分離素子
JP2006102594A (ja) 複合半透膜の製造方法
JP2013223861A (ja) 複合半透膜
JP2006021094A (ja) 複合半透膜及びその製造方法
JP3975933B2 (ja) 複合半透膜および下水処理方法
JP2009078218A (ja) 複合半透膜の製造方法
JP6791142B2 (ja) 膜カートリッジの再生方法
JP5130967B2 (ja) 複合半透膜の製造方法
JP2004050144A (ja) 排水処理用分離膜およびその製造方法
JP2012143750A (ja) 複合半透膜の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040707

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20051213

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20051220

A02 Decision of refusal

Effective date: 20060516

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02