JPWO2017110898A1 - 複合半透膜 - Google Patents

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Abstract

本発明の複合半透膜は、支持膜と分離機能層とを備え、分離機能層が、芳香族ポリアミドを含有し、芳香族ポリアミドは芳香族環に結合した官能基としてニトロ基を有し、分離機能層は、芳香族ポリアミドにおけるニトロ基由来の窒素原子数の合計をA、芳香族ポリアミド中の全窒素原子数をBとし、X線光電子分光法によりAとBを分析すると、分離機能層の一方の面からX線を照射した際のA/BをC、他方の面からX線を照射した際のA/BをDとしたとき、C−D≧0.010を満たし、前記分離機能層の前記他方の面が前記支持膜に接している。

Description

本発明は、液状混合物の選択的分離に有用な複合半透膜に関し、高い耐酸化性、耐酸性および耐アルカリ性を有する複合半透膜に関する。
混合物の分離に関して、溶媒(例えば水)に溶解した物質(例えば塩類)を除くための技術には様々なものがあるが、近年、省エネルギーおよび省資源のためのプロセスとして膜分離法の利用が拡大している。膜分離法に使用される膜には、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜などがあり、これらの膜は、例えば海水、かん水、有害物を含んだ水などから飲料水を得る場合や、工業用超純水の製造、廃水処理、有価物の回収などに用いられている。
現在市販されている逆浸透膜およびナノろ過膜の大部分は複合半透膜であり、微多孔性支持膜上にゲル層とポリマーを架橋した活性層を有するものと、微多孔性支持膜上でモノマーを重縮合した活性層を有するものとの2種類がある。なかでも、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との重縮合反応によって得られる架橋ポリアミドからなる分離機能層を微多孔性支持膜上に被覆して得られる複合半透膜(特許文献1〜4)は、透過性や選択分離性の高い分離膜として広く用いられている。
しかし、複合半透膜を使用し続けると、被処理水中に含まれる遊離塩素のような酸化性物質との接触により、膜の分離性能が低下する問題がある。また使用経過時間とともに膜表面に汚れが付着し、膜の膜透過流束が低下する。そのため、ある期間運転後に酸、アルカリなどによる薬液洗浄が必要となるが、それにより膜の分離性能が低下する問題がある。
したがって、長期間にわたって安定な運転を継続するために、耐酸化性が高く、かつ酸、アルカリなどの薬液洗浄前後での膜性能変化の少ない、すなわち耐酸性が高い複合半透膜の開発が望まれている。
耐酸化性の向上のための手段として、特許文献5、6には複合半透膜に過硫酸塩を接触させる方法が開示されている。
日本国特開昭55−147106号公報 日本国特開昭62−121603号公報 日本国特開昭63−218208号公報 日本国特開2001−79372号公報 日本国特開2008−100214号公報 日本国特開2010−234284号公報
特許文献5、6に開示された膜は、耐酸化性に優れるものであるが、さらにアルカリ薬液に対しても耐久性を備えた膜が望まれている。
そこで、本発明は耐酸化性に加え、薬液洗浄によっても膜性能変化が少ない、耐酸性、耐アルカリ性にも優れる複合半透膜の提供を目的とする。
上記目的を達成するための本発明の複合半透膜は、以下の[1]〜[6]の構成をとる。
[1]支持膜と、前記支持膜上に設けられた分離機能層とを備えた複合半透膜であって、前記分離機能層が、多官能性芳香族アミンと多官能性芳香族カルボン酸誘導体との重合物である芳香族ポリアミドを含有し、前記芳香族ポリアミドは、芳香族環に結合した官能基としてニトロ基を有し、前記分離機能層は、前記芳香族ポリアミドにおけるニトロ基由来の窒素原子数をA、前記芳香族ポリアミド中の全窒素原子数をBとし、X線光電子分光法(XPS)によりAとBを分析すると、前記分離機能層の一方の面からX線を照射した際のA/BをC、前記分離機能層の他方の面からX線を照射した際のA/BをDとしたとき、C−Dが0.010以上であり、前記分離機能層の前記他方の面が前記支持膜に接している複合半透膜。
[2]前記X線光電子分光法(XPS)により前記分離機能層の前記一方の面からX線を照射して分析した際、前記ポリアミド中の全酸素原子数をEとしたとき、1.00≦E/B≦1.20を満たす、前記[1]に記載の複合半透膜。
[3]前記C−Dが0.20以下である、前記[1]又は[2]に記載の複合半透膜。
[4]前記C−Dが0.030以上である、前記[1]〜[3]のいずれか1つに記載の複合半透膜。
[5]TDS(Total Dissolved Solids)が500mg/L〜100g/Lの液状混合物を処理するために用いられる、前記[1]〜[4]のいずれか1つに記載の複合半透膜。
[6]前記[1]〜[5]のいずれか1つに記載の複合半透膜を備えた複合半透膜エレメント。
本発明によれば、高い耐酸化性および耐酸性、耐アルカリ性を有する複合半透膜、すなわち分離膜、を得ることができる。本発明の複合半透膜は、特に、海水の脱塩に好適に用いることができる。
I.複合半透膜
(1)支持膜
本実施形態では、支持膜は、基材および多孔性支持層を備える。ただし、本発明はこの構成に限定されるものではない。
(1−1)基材
基材としては、ポリエステル系重合体、ポリアミド系重合体、ポリオレフィン系重合体、あるいはこれらの混合物や共重合体等が挙げられる。中でも、機械的、熱的に安定性の高いポリエステル系重合体の布帛が特に好ましい。
布帛の形態としては、長繊維不織布や短繊維不織布、さらには織編物を好ましく用いることができる。ここで、長繊維不織布とは、平均繊維長300mm以上、かつ平均繊維径3〜30μmの不織布のことを指す。
基材は、通気量が0.5cc/cm/sec以上5.0cc/cm/sec以下であることが好ましい。基材の通気量が上記範囲内にあることにより、多孔性支持層を形成する高分子溶液が基材に含浸しやすくなるため、基材と多孔性支持層との接着性が向上し、得られる多孔性支持膜の物理的安定性を高めることができる。
基材の厚みは10〜200μmの範囲内にあることが好ましく、より好ましくは30〜120μmの範囲内である。なお、本書において、特に付記しない限り、厚みとは、平均値を意味する。ここで平均値とは相加平均値を表す。具体的には、厚みは、断面観察で厚み方向に直交する方向(膜の面方向)に20μm間隔で測定した20点の厚みの平均値を算出することで求められる。
(1−2)多孔性支持層
多孔性支持層は、実質的にイオン等の分離性能を有さず、実質的に分離性能を有する分離機能層に強度を与えるためのものである。多孔性支持層の孔のサイズや分布は特に限定されないが、例えば、均一で微細な孔、あるいは分離機能層が形成される側の表面からもう一方の面まで徐々に大きな微細孔をもち、かつ、分離機能層が形成される側の表面で微細孔の大きさが0.1nm以上100nm以下であるような多孔性支持層が好ましいが、使用する材料やその形状は特に限定されない。
多孔性支持層の素材には、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリエステル、セルロース系ポリマー、ビニルポリマー、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリフェニレンオキシドなどのホモポリマーあるいはコポリマーを単独であるいはブレンドして使用することができる。ここでセルロース系ポリマーとしては酢酸セルロース、硝酸セルロースなど、ビニルポリマーとしてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリルなどが使用できる。中でもポリスルホン、ポリアミド、ポリエステル、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホンなどのホモポリマーまたはコポリマーが好ましい。より好ましくは酢酸セルロース、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィドスルホン、またはポリフェニレンスルホンが挙げられ、さらに、これらの素材の中では化学的、機械的、熱的に安定性が高く、成型が容易であることからポリスルホンが一般的に使用できる。
具体的には、次の化学式に示す繰り返し単位からなるポリスルホンを用いると、多孔性支持層の孔径が制御しやすく、寸法安定性が高いため好ましい。
Figure 2017110898
上記式中、nは繰り返し単位の繰り返し数を示す。
ポリスルホンは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)でN−メチルピロリドンを溶媒に、ポリスチレンを標準物質として測定した場合の重量平均分子量(Mw)が、10000以上200000以下であることが好ましく、より好ましくは15000以上100000以下である。Mwが10000以上であることで、多孔性支持層として好ましい機械的強度および耐熱性を得ることができる。また、Mwが200000以下であることで、溶液の粘度が適切な範囲となり、良好な成形性を実現することができる。
例えば、上記ポリスルホンのN,N−ジメチルホルムアミド(以降、DMFと記載する。)溶液を、基材としての密に織ったポリエステル布あるいは不織布の上に一定の厚さに注型し、それを水中で湿式凝固させることによって、表面の大部分が直径10nm以下の微細な孔を有する多孔性支持層を得ることができる。多孔性支持層は、基材の2つの表面のうちの少なくとも一方の表面に形成されればよく、複合半透膜の所望の膜厚や用途により任意に選ぶことができる。
基材と多孔性支持層の厚みは、複合半透膜の強度およびそれをエレメントにしたときの充填密度に影響を与える。十分な機械的強度および充填密度を得るためには、基材と多孔性支持層の厚みの合計が、30μm以上300μm以下であることが好ましく、100μm以上220μm以下であるとより好ましい。また、多孔性支持層の厚みは、20μm以上100μm以下であることが好ましい。
(2)分離機能層
分離機能層は、芳香族ポリアミドを含有する。本書において、特に断らない限り、「ポリアミド」とは「芳香族ポリアミド」を意味する。分離機能層におけるポリアミドの含有率は80重量%以上であることが好ましく、90重量%以上であることがより好ましい。なお、分離機能層は実質的にポリアミドのみで形成されていてもよい。
ポリアミドは多官能性芳香族アミンと多官能性芳香族カルボン酸誘導体の重合物であり、多官能性芳香族アミンと多官能性芳香族カルボン酸誘導体との界面重縮合により形成することができる。ここで、多官能性芳香族アミンまたは多官能性芳香族カルボン酸誘導体の少なくとも一方が3官能以上の化合物を含んでいることが好ましい。
多官能性芳香族アミンとは、一分子中に少なくとも2個の一級および/または二級アミノ基を有するアミンをいう。多官能性芳香族アミンとして、例えば、2個のアミノ基がオルト位やメタ位、パラ位のいずれかの位置関係でベンゼン環に結合したフェニレンジアミン、キシリレンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼン、1,2,4−トリアミノベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸などの芳香族多官能アミンを挙げることができる。中でも、膜の選択分離性や透過性、耐熱性を考慮すると、一分子中に2〜4個の一級および/または二級アミノ基を有する多官能性芳香族アミンであることが好ましく、このような多官能性芳香族アミンとしては、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼンが好適に用いられる。中でも、入手の容易性や取り扱いのしやすさから、m−フェニレンジアミン(以下、m−PDAと記す。)を用いることがより好ましい。これらの多官能性芳香族アミンは、単独で用いても、2種以上を同時に用いてもよい。
多官能性芳香族カルボン酸誘導体とは、一分子中に少なくとも2個のハロゲン化カルボニル基を有する芳香族酸ハロゲン化物をいう。多官能性芳香族カルボン酸誘導体として、例えば、3官能酸ハロゲン化物では、トリメシン酸クロリド、2官能酸ハロゲン化物では、ビフェニルジカルボン酸ジクロリド、アゾベンゼンジカルボン酸ジクロリド、テレフタル酸クロリド、イソフタル酸クロリド、ナフタレンジカルボン酸クロリドなどの芳香族2官能酸ハロゲン化物を挙げることができる。多官能アミンとの反応性を考慮すると、多官能性芳香族カルボン酸誘導体は多官能性カルボン酸塩化物であることが好ましく、また、膜の選択分離性、耐熱性を考慮すると、一分子中に2〜4個の塩化カルボニル基を有する多官能芳香族酸塩化物であることが好ましい。中でも、入手の容易性や取り扱いのしやすさの観点から、トリメシン酸クロリドを用いるとより好ましい。これらの多官能性芳香族カルボン酸誘導体は、単独で用いても、2種以上を同時に用いてもよい。
芳香族ポリアミドは、芳香族環に結合した官能基としてニトロ基を少なくとも1つ有する。芳香族ポリアミドが有するニトロ基は、多官能性芳香族アミン由来の芳香環末端基であることが好ましい。芳香族ポリアミドがニトロ基を少なくとも1つ有することで、芳香族ポリアミドの耐酸化性および耐酸性が向上する。
芳香族ポリアミドにニトロ基を与える方法は、芳香族ポリアミドを構成するモノマーの多官能性芳香族アミンあるいは多官能性芳香族カルボン酸自体がニトロ基を有していても、芳香族ポリアミドに後から化学的作用を加える方法でもよいが、モノマーの入手のしやすさや取扱の簡便さから芳香族ポリアミドに後から化学的作用を加える方法が好ましい。化学的作用を加える方法としては、例えば、芳香族ポリアミドが有する末端アミノ基の酸化処理が挙げられる。具体的には、水溶性の酸化剤を複合半透膜に接触させることが好ましく、水溶性の酸化剤としては、過酸化水素、過酢酸、過ホウ酸ナトリウム、ペルオキシ一硫酸カリウムなどが挙げられる。
芳香族ポリアミド中のニトロ基由来の窒素原子数をA、芳香族ポリアミド中の全窒素原子数をBとしたとき、X線光電子分光法(XPS)によりA、Bの測定を行うと、分離機能層の一方の面からと他方の面から測定したA/Bの値が異なる。一方の面のA/Bが大きいほど耐酸化性および耐酸性が向上し、他方の面のA/Bが小さいほどポリアミドがもともと有する高次構造が保たれるため、耐アルカリ性が向上する。
本発明者らは分離機能層の一方の面と他方の面のA/Bの差が0.010以上であることにより、耐酸化性、耐酸性、耐アルカリ性すべてにおいて優れた膜が実現できることを見出した。すなわち、分離機能層の一方の面からX線を照射した際のA/BをC、分離機能層の他方の面からX線を照射した際のA/BをDとしたとき、C−D≧0.010の関係を満たすことが好ましい。また、差(C−D)は、0.030以上であることがより好ましい。また、差(C−D)は、0.20以下であることが好ましい。
ここで、一方の面とは、複合半透膜の表面を成す側であって、分離機能層の原水を供給する側であり、他方の面とは、支持膜と接している面であって、「表面」と対象に「裏面」ともいう。
なお、上記ニトロ基由来の窒素原子数Aと上記全窒素原子数Bの比率(A/B)は、ポリアミドをX線光電子分光法(XPS)分析することで求めることができる。具体的には、「Journal of Polymer Science」,Vol.26,559−572(1988)および「日本接着学会誌」,Vol.27,No.4(1991)で例示されているX線光電子分光法(XPS)を用いることにより求めることができる。分離機能層の一方の面(表面)のAおよびBは、分離機能層の原水を供給する側からX線を照射することによって測定ができる。分離機能層の他方の面(裏面)のAおよびBは、複合半透膜から基材を剥がし、エタノールなどのアルコールで湿らせた基板上に分離機能層の表面が接するようにして載せ、ジクロロメタンなどの有機溶媒で多孔性支持層を除去し、分離機能層の裏面が上側になる状態でX線を照射することにより、測定することができる。このとき用いる基板は特に限定されないが、シリコーン樹脂、シリコンウエハなどを挙げることができる。
さらに、分離機能層の一方の面、すなわち表面からX線を照射して全窒素原子数Bと酸素原子数Eを測定したとき、1.00≦E/B≦1.20を満たすことで、より耐酸化性、耐酸性、耐アルカリ性のバランスに優れた膜を得ることができる。
分離機能層の厚みは、十分な分離性能および透過水量を得るために、通常0.01〜1μmの範囲内であり、好ましくは0.1〜0.5μmの範囲内である。
II.製造方法
次に、複合半透膜の製造方法について、具体例を挙げつつ説明する。
複合半透膜における分離機能層の骨格であるポリアミドは、例えば、前述の多官能性芳香族アミンを含有する水溶液と、多官能性芳香族カルボン酸誘導体を含有する、水と非混和性の有機溶媒溶液とを用い、支持膜の表面上で(支持膜が基材と多孔性支持層とを備えるのであれば多孔性支持層の表面上で)、界面重縮合を行うことにより形成される。
多官能性芳香族アミン水溶液における多官能性芳香族アミンの濃度は0.1〜20重量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.5〜15重量%の範囲内である。この範囲であると十分な塩除去性能および透水性を得ることができる。多官能性芳香族アミン水溶液には、多官能性芳香族アミンと多官能性芳香族カルボン酸誘導体との反応を妨害しないものであれば、界面活性剤や有機溶媒、アルカリ性化合物、酸化防止剤などが含まれていてもよい。界面活性剤は、支持膜表面の濡れ性を向上させ、アミン水溶液と非極性溶媒との間の界面張力を減少させる効果がある。有機溶媒は界面重縮合反応の触媒として働くことがあり、添加することにより界面重縮合反応を効率よく行える場合がある。
有機溶媒溶液中の多官能性芳香族カルボン酸誘導体の濃度は、0.01〜10重量%の範囲内であると好ましく、0.02〜2.0重量%の範囲内であるとさらに好ましい。多官能性芳香族カルボン酸誘導体の濃度を0.01重量%以上とすることで十分な反応速度が得られ、また、10重量%以下とすることで副反応の発生を抑制することができるためである。さらに、この有機溶媒溶液にDMFのようなアシル化触媒を含有させると、界面重縮合が促進され、さらに好ましい。
有機溶媒は、水と非混和性であり、かつ多官能性芳香族カルボン酸誘導体を溶解し、多孔性支持膜を破壊しないものが望ましく、多官能性芳香族アミン化合物および多官能性芳香族カルボン酸誘導体に対して不活性であるものであればよい。好ましい例として、n−ヘキサン、n−オクタン、イソオクタン、n−デカンなどの炭化水素化合物が挙げられる。
界面重縮合を多孔性支持膜上で行うために、まず、上述の多官能性芳香族アミン水溶液を支持膜に接触させる。接触は、支持膜面上に均一にかつ連続的に行うことが好ましい。具体的には、例えば、多官能性芳香族アミン水溶液を支持膜にコーティングする方法や支持膜を多官能性芳香族アミン水溶液に浸漬する方法を挙げることができる。支持膜と多官能性芳香族アミン水溶液との接触時間は、1〜10分間の範囲内であることが好ましく、1〜3分間の範囲内であるとさらに好ましい。
多官能性芳香族アミン水溶液を支持膜に接触させた後は、膜上に液滴が残らないように十分に液切りする。十分に液切りすることで、膜形成後に液滴残存部分が膜欠点となって膜性能が低下することを防ぐことができる。液切りの方法としては、例えば、日本国特開平2−78428号公報に記載されているように、多官能性芳香族アミン水溶液接触後の支持膜を垂直方向に把持して過剰の水溶液を自然流下させる方法や、エアーノズルから窒素などの気流を吹き付け、強制的に液切りする方法などを用いることができる。また、液切り後、膜面を乾燥させて水溶液の水分を一部除去することもできる。
このようにして得られた多官能性芳香族アミン水溶液相に多官能性芳香族カルボン酸誘導体を含む有機溶媒溶液を接触させ、界面重縮合により架橋ポリアミド分離機能層の骨格を形成させる。
多官能性芳香族カルボン酸誘導体を含む有機溶媒溶液の多官能性芳香族アミン水溶液相への接触の方法は、多官能性芳香族アミン水溶液の支持膜への被覆方法と同様に行えばよい。
このとき、多官能芳香族酸ハロゲン化物の有機溶媒溶液を接触させた支持膜を加熱してもよい。加熱処理する温度としては50℃以上180℃以下、好ましくは60℃以上160℃以下である。50℃以上で加熱することで、界面重合反応でのモノマー消費に伴う反応性の低下を熱による反応の促進効果で補うことができる。180℃以下で加熱することで溶媒が完全に揮発して反応効率が著しく低下するのを防ぐことができる。また、加熱処理時間は、5秒以上180秒以下であることが好ましい。5秒以上とすることで反応の促進効果を得ることができ、180秒以下とすることで溶媒が完全に揮発することを防ぐことができる。
上述したように、多官能性芳香族カルボン酸誘導体を含む有機溶媒溶液を接触させて界面重縮合を行い、支持膜上に架橋ポリアミドを含む分離機能層を形成したあとは、余剰の溶媒を液切りするとよい。液切りの方法は、例えば、膜を垂直方向に把持して過剰の有機溶媒を自然流下して除去する方法を用いることができる。この場合、垂直方向に把持する時間としては、1〜5分の間にあることが好ましく、1〜3分の間であるとより好ましい。短すぎると分離機能層が完全に形成せず、長すぎると有機溶媒が過乾燥となり欠点が発生しやすく、性能低下を起こしやすい。
上述の方法により得られた複合半透膜は、40〜100℃の範囲内、好ましくは60〜100℃の範囲内で1〜10分間、より好ましくは2〜8分間熱水処理する工程などを付加することで、複合半透膜の溶質阻止性能や透水性をより一層向上させることができる。
次に芳香族ポリアミドに後から化学的作用を加え、官能性芳香族アミン由来の芳香環上にニトロ基を与える方法について説明する。
ポリアミドの末端基としてニトロ基を与える方法は二通りあり、一つは末端アミノ基を変換する方法で、もう一つは無置換の芳香族環上に置換する方法であるが、変換や置換位置制御の容易さの点から、末端アミノ基を変換する方法が好ましい。
末端アミノ基のニトロ基への変換方法としては酸化反応を利用する。酸化反応には水溶性過酸化物のような一般的な酸化剤を用いることができるが、酸化剤は芳香族ポリアミドとの反応性や取扱の容易さの点から過硫酸化合物であることが好ましく、ペルオキシ一硫酸カリウムであることがより好ましい。
酸化剤とポリアミドの反応手段は分離機能層の表面へのニトロ基の導入率が高く、深さ方向で分布を持たせるために、例えば、酸化剤の水溶液をポリアミドの複合半透膜に塗布し、ここにフィルムをかぶせて静置する方法や、スプレーで酸化剤の水溶液を塗布する方法などが好ましい。
酸化剤の濃度は0.1〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜3重量%である。
酸化剤水溶液のpHは酸化剤の酸化力を十分発揮できる範囲であれば特に限定されないが、1.5〜7.0の範囲であることが好ましい。
酸化剤水溶液とポリアミドの接触時間は表面のニトロ基を多くし、支持膜と接する裏面にはニトロ基が少ない状態を保つために30秒〜20分が好ましく、1分〜10分がより好ましい。
酸化剤水溶液とポリアミドとの接触温度は10℃〜90℃が好ましく、より好ましくは40℃〜60℃である。この温度で処理を行うことで、短時間で表面に多くのニトロ基を持たせ、内部および裏面にはニトロ基が少ない状態にすることができ、耐酸化剤や耐酸性、耐アルカリ性に優れた膜を得ることが可能となる。
酸化剤との接触後は酸化反応を停止させるため、ポリアミド複合膜を還元剤と接触させる。ここで還元剤とは使用する酸化剤と酸化還元反応を起こすものであれば特に限定されないが、入手、取扱の容易さから亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム及びチオ硫酸ナトリウムのいずれかを用いるのが好ましい。また、それらは0.01〜1重量%水溶液として用いるのが好ましい。
還元剤との接触時間は、酸化反応を停止させ、ポリアミドの構造を変化させない程度であればよく、通常30秒〜20分の浸漬時間が好ましい。
還元剤との接触後は、ポリアミド複合膜に残存する還元剤を洗い流すために水でリンスすることが好ましい。
このように形成される本発明の複合半透膜は、プラスチックネットなどの原水流路材と、トリコットなどの透過水流路材と、必要に応じて耐圧性を高めるためのフィルムと共に、多数の孔を穿設した筒状の集水管の周りに巻回され、スパイラル型の複合半透膜エレメントとして好適に用いられる。さらに、このエレメントを直列または並列に接続して圧力容器に収納した複合半透膜モジュールとすることもできる。
また、上記の複合半透膜やそのエレメント、モジュールは、それらに原水を供給するポンプや、その原水を前処理する装置などと組み合わせて、流体分離装置を構成することができる。この分離装置を用いることにより、原水を飲料水などの透過水と膜を透過しなかった濃縮水とに分離して、目的にあった水を得ることができる。
流体分離装置の操作圧力は高い方が塩除去率は向上するが、運転に必要なエネルギーも増加することや複合半透膜の耐久性を考慮すると、複合半透膜に被処理水を透過する際の操作圧力は、1.0MPa以上、10MPa以下が好ましい。供給水温度は、高くなると塩除去率が低下するが、低くなるにしたがい膜透過流束も減少するので、5℃以上、45℃以下が好ましい。供給水pHは、海水などの高塩濃度の供給水の場合、高くなるとマグネシウムなどのスケールが発生する恐れがあり、高pH運転による膜の劣化が懸念されるため、中性領域での運転が好ましい。
本発明に係る複合半透膜によって処理される原水としては、海水、かん水、廃水等の500mg/L〜100g/LのTDS(Total Dissolved Solids)を含有する液状混合物が挙げられる。TDSとは総溶解固形分量で、「体積あたりの重量」あるいは「重量比」で表される。定義によれば、0.45ミクロンのフィルターで濾過した溶液を39.5〜40.5℃の温度で蒸発させ残留物の重さから算出できるが、より簡便には実用塩分(S)から換算する。
本発明の複合半透膜は、高い耐酸化性および耐酸性を有することを特徴とするが、耐酸化性の指標については、例えばpHを中性付近、より具体的にはpH6.0〜8.0に調整した次亜塩素酸ナトリウム水溶液への耐性を指標とするのが適当である。次亜塩素酸から発生する遊離塩素は前述した原水に含まれる代表的な酸化性物質であるためである。
耐酸性、耐アルカリ性の指標については、それぞれpH1の硫酸水溶液、pH13の水酸化ナトリウム水溶液への耐性を指標とするのが適当である。pH1、pH13の条件は、膜ろ過運転における酸洗浄、アルカリ洗浄時のpHよりも強い条件であるため、pH1の硫酸水溶液、pH13の水酸化ナトリウム水溶液に耐性を示せば、酸洗浄、アルカリ洗浄を複数回行っても膜が劣化しにくいことが担保されるためである。
以下に実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。
(1)芳香族ポリアミドにおけるニトロ基由来の窒素原子数と全窒素原子数の比A/B
比較例、実施例における複合半透膜の分離機能層の一方の面(表面)および他方の面(裏面)のニトロ基由来の窒素原子数(A)と全窒素原子数(B)を、X線光電子分光法(XPS)による測定結果から算出した。
測定装置:Quantera SXM(PHI社製)
励起X線:monochromatic Al Kα1,2線(1486.6eV)
X線径:0.2mm
XPSにより得られるN1sピークは、窒素原子の内殻電子に起因する。以下の例では、N1sピークは、N−C由来の成分およびNOx(x≧2)由来の成分から構成されると考えられたのでN1sピークを2つの成分でピーク分割を行った。N−C由来の成分は400eV、NOx(x≧2)由来の成分は406eV付近に現れる。この各成分のピーク面積比を、小数点第2位を四捨五入し、算出した。A/Bは、NOx(x≧2)基由来のピーク面積比をN−C由来のピーク面積比で割ることで求めた。なお、ピーク分割の結果、0.1%以下であれば、検出限界以下とした。表面のAおよびBは、複合半透膜の原水を供給する側からX線を照射することによって分析した。得られた結果から表面のA/Bを求めた。
裏面のAおよびBは、以下のようにして分析した。複合半透膜から基材を剥がし、分離機能層の表面が接するようにして、エタノールを1滴載せた2cm四方のシリコンウエハ上に載せ、ここにジクロロメタンを流し、ジクロロメタン溶液中に多孔性支持層を形成するポリマーの溶出が、薄層クロマトグラフィーで検出できなくなるまで繰り返した。このようにして得られた試料の上側からX線を照射することにより、分離機能層の裏面のAとBを算出した。得られた結果から裏面のA/Bを求めた。
そして、表面のA/BをC、裏面のA/BをDとしたとき、各面のA/Bの差、すなわちC−Dを算出した。
(2)芳香族ポリアミドにおける全窒素原子数Bと全酸素原子数Eの比E/B
比較例、実施例における複合半透膜の分離機能層の一方の面(表面)から(1)に記載したのと同様の条件でX線を照射し、X線光電子分光法(XPS)による測定結果から全窒素原子数Bと全酸素原子数Eを算出した。XPSにより得られるN1sピークとO1sピークの強度比をもとに、E/Bを算出した。
以下、比較例、実施例における複合半透膜の各種特性は、複合半透膜に、温度25℃、pH6.5に調整した海水(TDS濃度約3.5%)を操作圧力5.5MPaで供給して膜ろ過処理を行ない、透過水、供給水の水質を測定することにより求めた。
(3)膜透過流束
供給水(海水)の膜透過水量を、膜面1平方メートルあたり、1日あたりの透水量(立方メートル)に換算して膜透過流束(m/m/日)を表した。
(4)ホウ素除去率
供給水と透過水中のホウ素濃度をICP発光分析装置(株式会社日立製作所製「P−4010」(商品名))で分析し、次の式から求めた。
ホウ素除去率(%)=100×{1−(透過水中のホウ素濃度/供給水中のホウ素濃度)}
(5)耐酸化性試験
複合半透膜を、pH6.5に調整した100mg/L次亜塩素酸ナトリウム水溶液に25℃雰囲気下、20時間浸漬した。その後、100mg/L亜硫酸水素ナトリウム水溶液に10分間浸漬し、水で十分に洗浄し、複合半透膜のホウ素除去率を評価することにより求めた。
(6)耐酸性試験
複合半透膜を、pH1に調整した硫酸水溶液に25℃雰囲気下、20時間浸漬した。その後水で十分に洗浄し、複合半透膜のホウ素除去率を評価することにより求めた。
(7)耐アルカリ性試験
複合半透膜をpH13に調整した水酸化ナトリウム水溶液に25℃雰囲気下、20時間浸漬した。その後水で十分に洗浄し、複合半透膜のホウ素除去率を評価することにより求めた。
(参考例1)
ポリエステル不織布(通気量2.0cc/cm/sec)上にポリスルホン(PSf)の16.0重量%DMF溶液を25℃の条件下で200μmの厚みでキャストし、ただちに純水中に浸漬して5分間放置することによって多孔性支持膜を作製した。
(実施例1、2)
参考例1によって得られた多孔性支持膜をm−フェニレンジアミン(m−PDA)の3重量%水溶液中に2分間浸漬し、該支持膜を垂直方向にゆっくりと引き上げ、エアーノズルから窒素を吹き付け支持膜表面から余分な水溶液を取り除いた後、トリメシン酸クロリド(TMC)0.165重量%を含む25℃のIsoper M(エクソンモービル社製)を表面が完全に濡れるように塗布して1分間静置したのち、膜を垂直にして余分な溶液を液切りして除去することで複合半透膜を得た。
得られた複合半透膜の膜面に、所定のpH(実施例1:pH3、実施例2:pH2)の3重量%ペルオキシ一硫酸カリウム水溶液を60℃で0.33L/m塗布し、フィルムをかぶせて60℃のオーブン所定時間(実施例1:10分、実施例2:2分)静置した(表1参照)。その後0.1重量%亜硫酸水素ナトリウム水溶液に10分浸漬させた後、水で洗い流し複合半透膜を得た。
得られた複合半透膜について、上記(1)の方法に従って分離機能層の表面と裏面のA/Bの差(C−D)を算出し、上記(2)の方法に従って分離機能層の全窒素原子数Bと全酸素原子数Eの比E/Bを算出した。また、上記(3)、(4)の方法に従い、得られた複合半透膜の膜透過流束とホウ素除去率を測定し、さらに、上記(5)〜(7)の方法に従い、複合半透膜の耐酸化性、耐酸性、耐アルカリ性試験を実施し、ホウ素除去率を測定した。結果を表2に示す。
(実施例3〜5)
参考例1によって得られた多孔性支持膜をm−フェニレンジアミン(m−PDA)の3重量%水溶液中に2分間浸漬し、該支持膜を垂直方向にゆっくりと引き上げ、エアーノズルから窒素を吹き付け支持膜表面から余分な水溶液を取り除いた後、トリメシン酸クロリド(TMC)0.165重量%を含む25℃のイソオクタンを表面が完全に濡れるように塗布して10秒間静置したのち、120℃のオーブンで15秒間静置することで複合半透膜を得た。 得られた複合半透膜の膜面に、pH3の所定の濃度(実施例3:3重量%、実施例4および5:1重量%)のペルオキシ一硫酸カリウム水溶液を所定の温度(実施例3:90℃、実施例4および実施例5:60℃)で0.33L/mの割合で塗布し、フィルムをかぶせて塗布時と同じ温度のオーブンで所定時間(実施例3および実施例4:5分、実施例5:2分)静置した(表1参照)。その後0.1重量%亜硫酸水素ナトリウム水溶液に10分浸漬させた後、水で洗い流し複合半透膜を得た。
得られた複合半透膜について、分離機能層のC−DとE/Bを算出し、また、得られた複合半透膜の膜透過流束とホウ素除去率を測定し、さらに複合半透膜の耐酸化性、耐酸性、耐アルカリ性試験を実施し、ホウ素除去率を測定した。結果を表2に示す。
(実施例6〜8)
参考例1によって得られた多孔性支持膜をm−フェニレンジアミン(m−PDA)の3重量%水溶液中に2分間浸漬し、該支持膜を垂直方向にゆっくりと引き上げ、エアーノズルから窒素を吹き付け支持膜表面から余分な水溶液を取り除いた後、トリメシン酸クロリド(TMC)0.165重量%を含む25℃のデカンを表面が完全に濡れるように塗布して10秒間静置したのち、120℃のオーブンで15秒間静置することで複合半透膜を得た。
得られた複合半透膜を所定のpH(実施例6:pH6、実施例7および実施例8:pH2)の1重量%ペルオキシ一硫酸カリウム水溶液を所定の温度(実施例6および実施例7:60℃、実施例8:40℃)で膜面に0.33L/mの割合で塗布し、フィルムをかぶせて塗布時と同じ温度のオーブンに所定時間(実施例6および7:2分間、実施例8:5分)静置した(表1参照)。その後0.1重量%亜硫酸水素ナトリウム水溶液に10分浸漬させた後、水で洗い流し複合半透膜を得た。
得られた複合半透膜について、分離機能層のC−DとE/Bを算出し、また、得られた複合半透膜の膜透過流束とホウ素除去率を測定し、さらに複合半透膜の耐酸化性、耐酸性、耐アルカリ性試験を実施し、ホウ素除去率を測定した。結果を表2に示す。
(比較例1、2)
国際公開第2011/105278号に記載の方法にならい、参考例1によって得られた多孔性支持膜をm−フェニレンジアミン(m−PDA)の3重量%水溶液中に2分間浸漬し、該支持膜を垂直方向にゆっくりと引き上げ、エアーノズルから窒素を吹き付け支持膜表面から余分な水溶液を取り除いた後、トリメシン酸クロリド(TMC)0.165重量%を含む25℃のIsoper M(エクソンモービル社製)を表面が完全に濡れるように塗布して1分間静置したのち、膜を垂直にして余分な溶液を液切りして除去することで複合半透膜を得た。
得られた複合半透膜を所定のpH(比較例1:pH6、比較例2:pH2)の1重量%ペルオキシ一硫酸カリウム水溶液中に25℃で30分間浸漬した(表1参照)。その後、0.1重量%亜硫酸水素ナトリウム水溶液に10分浸漬させた後、水で洗い流し複合半透膜を得た。
得られた複合半透膜について、分離機能層のC−DとE/Bを算出し、また、得られた複合半透膜の膜透過流束、ホウ素除去率を測定するとともに、耐酸化性、耐酸性、耐アルカリ性試験を実施し、ホウ素除去率を測定した。結果を表2に示す。
(比較例3)
参考例1によって得られた多孔性支持膜をm−フェニレンジアミン(m−PDA)の3重量%水溶液中に2分間浸漬し、該支持膜を垂直方向にゆっくりと引き上げ、エアーノズルから窒素を吹き付け支持膜表面から余分な水溶液を取り除いた後、トリメシン酸クロリド(TMC)0.165重量%を含む25℃のIsoper M(エクソンモービル社製)を表面が完全に濡れるように塗布して10秒間静置したのち、25℃のオーブンで1分間静置することで複合半透膜を得た。
得られた複合半透膜に1重量%の過酢酸水溶液を25℃で膜の表面に0.33L/mの割合で塗布し、フィルムをかぶせて25℃のオーブンに60分間静置した。その後0.1重量%亜硫酸水素ナトリウム水溶液に10分浸漬させた後、水で洗い流し複合半透膜を得た。
得られた複合半透膜について、分離機能層のC−DとE/Bを算出し、また、得られた複合半透膜の膜透過流束とホウ素除去率を測定し、さらに複合半透膜の耐酸化性、耐酸性、耐アルカリ性試験を実施し、ホウ素除去率を測定した。結果を表2に示す。
(比較例4、5)
参考例1によって得られた多孔性支持膜をm−フェニレンジアミン(m−PDA)の3重量%水溶液中に2分間浸漬し、該支持膜を垂直方向にゆっくりと引き上げ、エアーノズルから窒素を吹き付け支持膜表面から余分な水溶液を取り除いた後、トリメシン酸クロリド(TMC)0.165重量%を含む40℃のイソオクタンを表面が完全に濡れるように塗布して10秒間静置したのち、120℃のオーブンで1分間静置することで複合半透膜を得た。
得られた複合半透膜を所定のpH(実施例4:pH8、実施例5:pH6)の1重量%ペルオキシ一硫酸カリウム水溶液に25℃で所定時間(比較例4:30分、比較例5:2分)浸漬した(表1参照)。その後、0.1重量%亜硫酸水素ナトリウム水溶液に10分浸漬させた後、水で洗い流し複合半透膜を得た。
得られた複合半透膜について、分離機能層のC−DとE/Bを算出し、また、得られた複合半透膜の膜透過流束、ホウ素除去率を測定するとともに、耐酸化性、耐酸性、耐アルカリ性試験を実施し、ホウ素除去率を測定した。結果を表2に示す。
(比較例6)
参考例1によって得られた多孔性支持膜をm−フェニレンジアミン(m−PDA)の3重量%水溶液中に2分間浸漬し、該支持膜を垂直方向にゆっくりと引き上げ、エアーノズルから窒素を吹き付け支持膜表面から余分な水溶液を取り除いた後、トリメシン酸クロリド(TMC)0.165重量%を含む40℃のデカンを表面が完全に濡れるように塗布して10秒間静置したのち、120℃のオーブンで15秒間静置することで複合半透膜を得た。
得られた複合半透膜をpH3の1重量%ペルオキシ一硫酸カリウム水溶液に60℃で2分間浸漬した(表1参照)。その後0.1重量%亜硫酸水素ナトリウム水溶液に10分浸漬させた後、水で洗い流し複合半透膜を得た。
得られた複合半透膜について、分離機能層のC−DとE/Bを算出し、また、得られた複合半透膜の膜透過流束とホウ素除去率を測定し、さらに複合半透膜の耐酸化性、耐酸性、耐アルカリ性試験を実施し、ホウ素除去率を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2017110898
Figure 2017110898
表2の結果からわかるとおり、実施例1〜8は、C−Dが0.010以上であった。これらの複合半透膜は塩素による強制劣化試験後のホウ素除去率が85%以上を、かつ酸、アルカリによる強制劣化試験後のホウ素除去率がいずれも90%以上を維持しており、実用に適した高い耐薬品性を有することがわかった。
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。本出願は、2015年12月25日出願の日本特許出願(特願2015−254749)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本発明の複合半透膜は、特に、海水の脱塩に好適に用いることができる。

Claims (6)

  1. 支持膜と、前記支持膜上に設けられた分離機能層とを備えた複合半透膜であって、
    前記分離機能層が、多官能性芳香族アミンと多官能性芳香族カルボン酸誘導体との重合物である芳香族ポリアミドを含有し、前記芳香族ポリアミドは、芳香族環に結合した官能基としてニトロ基を有し、
    前記分離機能層は、前記芳香族ポリアミドにおけるニトロ基由来の窒素原子数をA、前記芳香族ポリアミド中の全窒素原子数をBとし、X線光電子分光法(XPS)によりAとBを分析すると、前記分離機能層の一方の面からX線を照射した際のA/BをC、前記分離機能層の他方の面からX線を照射した際のA/BをDとしたとき、C−Dが0.010以上であり、
    前記分離機能層の前記他方の面が前記支持膜に接している複合半透膜。
  2. 前記X線光電子分光法(XPS)により前記分離機能層の前記一方の面からX線を照射して分析した際、前記ポリアミド中の全酸素原子数をEとしたとき、1.00≦E/B≦1.20を満たす、請求項1に記載の複合半透膜。
  3. 前記C−Dが0.20以下である、請求項1又は2に記載の複合半透膜。
  4. 前記C−Dが0.030以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合半透膜。
  5. TDS(Total Dissolved Solids)が500mg/L〜100g/Lの液状混合物を処理するために用いられる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合半透膜。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合半透膜を備えた複合半透膜エレメント。
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