JP4872800B2 - 複合半透膜の処理方法及び塩処理済み複合半透膜の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、液状混合物の選択分離に有用な複合半透膜を製造するための処理方法に関する。特に、海水やかん水からホウ素を除去する際に好適に用いることができるホウ素除去性能を付与するために、微多孔性支持膜上にポリアミド分離機能層を形成されてなる複合半透膜を処理する方法に関する。
近年、複合半透膜を用いた海水の淡水化が、世界中の水処理プラントで実用化されてきている。複合半透膜は、一般に微多孔性支持膜の表面上を被覆するように分離機能層を形成することにより製造されてなる。その分離機能層を架橋芳香族ポリアミドから形成した場合には、ベンゼン環を含むことによって剛直性に富むという利点や、芳香族多官能アミンと芳香族多官能酸ハロゲン化物との界面重縮合により容易に製膜できるという利点があり、さらに高塩除去率、高透過流束であることが知られている(特許文献1、特許文献2参照)。
しかしながら、得られる淡水の水質基準はますます厳しくなっており、特に海水中に微量含まれるホウ素については、通常の処理では飲料水に適用できる濃度にまで低減することが困難であり、これを解決するための複合半透膜がいくつか提案されている(特許文献3、特許文献4)。これらの膜でも、25℃、pH6.5、ホウ素濃度5ppm、TDS濃度3.5重量%の海水を5.5MPaの操作圧力で透過させたときに、膜透過流束が0.5m/m・日以下、ホウ素除去率はせいぜい91〜92%程度であり、さらに高いホウ素阻止性能を有する複合半透膜の開発が望まれていた。
特開平1−180208号公報 特開平2−115027号公報 特開平11−19493号公報 特開2001−259388号公報
本発明は、高い塩除去率とともに、ホウ酸のような中性領域では非解離の物質にも高い阻止性能を示す複合半透膜を製造するための処理方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明は、微多孔性支持膜上に多官能アミン水溶液を接触させた後、多官能酸ハロゲン化物を含む、水と非混和性の有機溶媒溶液を接触させ、界面重縮合を生じさせることによって微多孔性支持膜上に架橋ポリアミドを含む分離機能層を形成する方法によって製造された複合半透膜を、ナトリウム塩から選ばれる中性無機塩を含有し、かつ30℃以上の水溶液に20時間以上浸漬することを特徴とする複合半透膜の処理方法である。
本発明法の処理を行うことにより、脱塩性能が高く、かつ、従来の逆浸透膜では高度に阻止することが難しかった中性領域で非解離の物質も高い除去率で阻止することができる複合半透膜を製造することができる。したがって、この複合半透膜によれば、特に、海水の脱塩において、高度に阻止することが難しかったホウ素を高い除去率で阻止することができるため、逆浸透処理による飲料水製造において好適に用いることができる。
本発明法の処理を行う複合半透膜は、微多孔性支持膜上に多官能アミン水溶液を接触させた後、多官能酸ハロゲン化物を含む、水と非混和性の有機溶媒溶液を接触させ、界面重縮合を生じさせることによって微多孔性支持膜上に架橋ポリアミドを含む分離機能層を形成する方法によって製造された複合半透膜である。この複合半透膜を、ナトリウム塩から選ばれる中性無機塩を含有し、かつ30℃以上の水溶液に20時間以上浸漬させて、性能向上を図る。
複合半透膜における、架橋ポリアミドを含む分離機能層は、微多孔性支持膜の少なくとも片面に設けられていることが好ましい。分離機能層は微多孔性支持膜の両面に設けられても良く、複数の分離機能層を設けても良いが、通常、片面に1層の分離機能層があれば十分である。
分離機能層の厚みは、十分な分離性能および透過水量を得るために、通常0.01〜1μmの範囲内、好ましくは0.1〜0.5μmの範囲内である。
ここで、多官能アミンとは、一分子中に少なくとも2個の一級および/または二級アミノ基を有するアミンをいい、例えば、2個のアミノ基がオルト位やメタ位、パラ位のいずれかの位置関係でベンゼンに結合したフェニレンジアミン、キシリレンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼン、1,2,4−トリアミノベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸などの芳香族多官能アミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミンなどの脂肪族アミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ピペラジン、1,3−ビスピペリジルプロパン、4−アミノメチルピペラジンなどの脂環式多官能アミン等を挙げることができる。中でも、膜の選択分離性や透過性、耐熱性を考慮すると一分子中に2〜4個の一級および/または二級アミノ基を有する芳香族多官能アミンであることが好ましく、このような多官能芳香族アミンとしては、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼンが好適に用いられる。中でも、入手の容易性や取り扱いのしやすさから、m−フェニレンジアミンを用いることがより好ましい。これらの多官能アミンは、単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。
また、多官能酸ハロゲン化物とは、一分子中に少なくとも2個のハロゲン化カルボニル基を有する酸ハロゲン化物をいう。例えば、3官能酸ハロゲン化物では、トリメシン酸クロリド、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸トリクロリド、1,2,4−シクロブタントリカルボン酸トリクロリドなどを挙げることができ、2官能酸ハロゲン化物では、ビフェニルジカルボン酸ジクロリド、アゾベンゼンジカルボン酸ジクロリド、テレフタル酸クロリド、イソフタル酸クロリド、ナフタレンジカルボン酸クロリドなどの芳香族2官能酸ハロゲン化物、アジポイルクロリド、セバコイルクロリドなどの脂肪族2官能酸ハロゲン化物、シクロペンタンジカルボン酸ジクロリド、シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリド、テトラヒドロフランジカルボン酸ジクロリドなどの脂環式2官能酸ハロゲン化物を挙げることができる。多官能アミンとの反応性を考慮すると、多官能酸ハロゲン化物は多官能酸塩化物であることが好ましく、また、膜の選択分離性、耐熱性を考慮すると、一分子中に2〜4個の塩化カルボニル基を有する多官能芳香族酸塩化物であることが好ましい。中でも、入手の容易性や取り扱いのしやすさの観点から、トリメシン酸クロリドを用いるとより好ましい。これらの多官能酸ハロゲン化物は、単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。
本発明法における処理に用いる中性無機塩とは、水に0.5重量%以上溶解し、pHが5〜9の範囲となる無機塩であり、ナトリウム塩から選ばれる少なくとも1種である。このような中性無機塩としては、入手の容易性や試薬のコスト、取扱い性の面から、塩化ナトリウムを用いることが好ましい。これらの中性無機塩は、単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。
本発明法により処理して得られる複合半透膜は、海水やかん水の脱塩に好適に用いられるものである。海水脱塩用途に用いる場合には、処理後の複合半透膜が、25℃、pH6.5、TDS濃度3.5重量%、ホウ素濃度約5.0ppmの海水を5.5MPaの操作圧力で透過させたときの性能として、透過流束が0.5m/m・日以上1.2m/m・日以下、脱塩率99.7%以上、TDS透過係数が2.0×10−8m/s以下、ホウ素透過係数が0.5×10−6m/s以下を有することが好ましい。
なお、溶質の透過係数は以下の方法により求めることができる。
非平衡熱力学に基づいた逆浸透法の輸送方程式として、以下の式が知られている。
Jv=Lp(ΔP−σ・Δπ) (1)
Js=P(Cm−Cp)+(1−σ)C・Jv (2)
ここで、Jvは膜透過体積流束(m/m/s)、Lpは純水透過係数(m/m/s/Pa)、ΔPは膜両側の圧力差(Pa)、σは溶質反射係数、Δπは膜両側の浸透圧差(Pa)、Jsは溶質の膜透過流束(mol/m/s)、Pは溶質の透過係数(m/s)、Cmは溶質の膜面濃度(mol/m)、Cpは透過液濃度(mol/m)、Cは膜両側の濃度(mol/m)、である。膜両側の平均濃度Cは、逆浸透膜のように両側の濃度差が非常に大きな場合には実質的な意味を持たない。そこで(2)式を膜厚について積分した次式がよく用いられる。
R=σ(1−F)/(1−σF) (3)
ただし、
F=exp{−(1−σ)Jv/P} (4)
であり、Rは真の阻止率で、
R=1−Cp/Cm (5)
で定義される。
ΔPを種々変化させることにより(1)式からLpを算出でき、またJvを種々変化させてRを測定し、Rと1/Jvをプロットしたものに対して(3)、(4)式をカーブフィッティングすることにより、Pとσを同時に求めることができる。
本発明において微多孔性支持膜は、実質的にイオン等の分離性能を有さず、実質的に分離性能を有する分離機能層に強度を与えるために使用されるものである。微多孔性支持膜における孔のサイズや分布は特に限定されないが、例えば、均一で微細な孔、あるいは分離機能層が形成される側の表面からもう一方の面まで徐々に大きな微細孔をもち、かつ、分離機能層が形成される側の表面で微細孔の大きさが0.1nm以上100nm以下であるような支持膜が好ましい。
微多孔性支持膜に使用する材料やその形状は特に限定されないが、例えばポリエステルまたは芳香族ポリアミドから選ばれる少なくとも一種を主成分とする布帛により強化されたポリスルホンや酢酸セルロースやポリ塩化ビニル、あるいはそれらを混合したものが好ましく使用される。使用される素材としては、化学的、機械的、熱的に安定性の高いポリスルホンを使用するのが特に好ましい。
具体的には、次の化学式に示す繰り返し単位からなるポリスルホンを用いると、孔径が制御しやすく、寸法安定性が高いため好ましい。
Figure 0004872800
例えば、上記ポリスルホンのN,N−ジメチルホルムアミド溶液を、密に織ったポリエステル布あるいは不織布(基布)の上に一定の厚さに注型し、それを水中で湿式凝固させることによって、表面のポリスルホン多孔質層の大部分に直径が数10nm以下の微細な孔が形成された微多孔性支持膜を挙げることができる。
上記の微多孔性支持膜の厚みおよび基布の厚みは、複合半透膜の強度およびそれをエレメントにしたときの充填密度に影響を与える。十分な機械的強度および充填密度を得るためには、微多孔性支持膜の厚みは50〜300μmの範囲内にあることが好ましく、より好ましくは100〜250μmの範囲内である。また、ポリスルホン多孔質層の厚みは、10〜200μmの範囲内にあることが好ましく、より好ましくは30〜100μmの範囲内である。
微多孔性支持膜の表面の形態は、走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡、原子間顕微鏡により観察できる。例えば走査型電子顕微鏡で観察するのであれば、微多孔性支持膜における基材から多孔質層を剥がして分離させ、この多孔質層部分を凍結割断法で切断して断面観察のサンプルとする。このサンプルに白金または白金−パラジウムまたは四塩化ルテニウム、好ましくは四塩化ルテニウムを薄くコーティングして3〜6kVの加速電圧で高分解能電界放射型走査電子顕微鏡(UHR−FE−SEM)で観察する。高分解能電界放射型走査電子顕微鏡は、日立製S−900型電子顕微鏡などが使用できる。得られた電子顕微鏡写真から微多孔性支持膜の膜厚や表面孔径を決定する。なお、本発明における厚みや孔径は平均値を意味するものである。
次に、本発明法での処理を行う複合半透膜を製造する方法について説明する。
複合半透膜を構成する分離機能層は、多官能アミン水溶液と、多官能酸ハロゲン化物とを微多孔性支持膜の表面で界面重縮合させることによりその骨格を形成させてなるものであり、即ち、微多孔性支持膜上に多官能アミン水溶液を接触させた後、多官能酸ハロゲン化物を含む、水と非混和性の有機溶媒溶液を接触させ、界面重縮合を生じさせることによって形成される。多孔質アミンや多官能酸ハロゲン化物としては、前述したものが使用される。
ここで、多官能アミン水溶液における多官能アミンの濃度は2.5〜10重量%の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは3〜5重量%の範囲内である。この範囲であると十分な塩除去性能および透水性を得ることができ、TDS透過係数を2.0×10−8m/s以下とすることができる。多官能アミン水溶液には、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との反応を妨害しないものであれば、界面活性剤や有機溶媒、アルカリ性化合物、酸化防止剤などが含まれていてもよい。界面活性剤は、微多孔性支持膜表面の濡れ性を向上させ、アミン水溶液と非極性溶媒との間の界面張力を減少させる効果があり、有機溶媒は界面重縮合反応の触媒として働くことがあり、添加することにより界面重宿合反応を効率よく行える場合がある。
界面重縮合を微多孔性支持膜上で行うために、まず、上述の多官能アミン水溶液を多孔性支持膜に接触させる。接触は、多孔性支持膜面上に均一にかつ連続的に行うことが好ましい。具体的には、たとえば、多官能アミン水溶液を微多孔性支持膜にコーティングする方法や微多孔性支持膜を多官能アミン水溶液に浸漬する方法を挙げることができる。微多孔性支持膜と多官能アミン水溶液との接触時間は、1〜10分間の範囲内であることが好ましく、1〜3分間の範囲内であるとさらに好ましい。
多官能アミン水溶液を微多孔性支持膜に接触させたあとは、膜上に液滴が残らないように十分に液切りする。十分に液切りすることで、膜形成後に液滴残存部分が膜欠点となって膜性能が低下することを防ぐことができる。液切りの方法としては、たとえば、特開平2−78428号公報に記載されているように、多官能アミン水溶液接触後の微多孔性支持膜を垂直方向に把持して過剰の水溶液を自然流下させる方法や、エアーノズルから窒素などの風を吹き付け、強制的に液切りする方法などを用いることができる。また、液切り後、膜面を乾燥させ、水溶液の水の一部を除去することもできる。
次いで、多官能アミン水溶液接触後の支持膜に、多官能酸ハライドを含む有機溶媒溶液を接触させ、界面重縮合により架橋ポリアミド分離機能層の骨格を形成させる。
有機溶媒溶液中の多官能酸ハライドの濃度は、0.01〜10重量%の範囲内であると好ましく、0.02〜2.0重量%の範囲内であるとさらに好ましい。この範囲であると、十分な反応速度が得られ、また副反応の発生を抑制することができる。さらに、この有機溶媒溶液にN,N−ジメチルホルムアミドのようなアシル化触媒を含有させると、界面重縮合が促進され、さらに好ましい。
有機溶媒としては、水と非混和性の有機溶媒を用いる。水と非混和性の有機溶媒の中でも、酸ハロゲン化物を溶解し微多孔性支持膜を破壊しない有機溶媒が望ましく、アミノ化合物および酸ハロゲン化物に対して不活性であるものであればよい。好ましい例としては、たとえば、n−ヘキサン、n−オクタン、n−デカンなどの炭化水素化合物が挙げられる。
多官能酸ハロゲン化物の有機溶媒溶液のアミノ化合物水溶液相への接触の方法は、多官能アミン水溶液の微多孔性支持膜への被覆方法と同様に行えばよい。
上述したように、酸ハロゲン化物の有機溶媒溶液を接触させて界面重縮合を行い、微多孔性支持膜上に架橋ポリアミドを含む分離機能層を形成したあとは、余剰の溶媒を液切りするとよい。液切りの方法は、たとえば、膜を垂直方向に把持して過剰の有機溶媒を自然流下して除去する方法を用いることができる。この場合、垂直方向に把持する時間としては、1〜5分間の間にあることが好ましく、1〜3分間であるとより好ましい。短すぎると分離機能層が完全に形成せず、長すぎると有機溶媒が過乾燥となり欠点が発生しやすく、性能低下を起こしやすい。
上述の方法により得られた複合半透膜は、50〜150℃の範囲内、好ましくは70〜130℃の範囲内で1〜10分間、より好ましくは2〜8分間、熱水処理する工程などを経ることにより、複合半透膜の排除性能や透水性をより一層向上させてもよい。
このようにして製造された複合半透膜は、中性無機塩水溶液で処理される。この処理は、複合半透膜を、ナトリウム塩から選ばれる中性無機塩を含有し、かつ30℃以上の水溶液に20時間以上浸漬することにより行う。中性無機塩の濃度は0.01重量%〜10重量%の範囲が好ましく、さらに好ましくは0.5重量%〜5重量%の範囲である。この範囲であると分離機能膜の性能を損なうことなく、本発明の効果であるホウ素除去性能向上を発揮することができる。
また、複合半透膜を浸漬処理する際、ナトリウム塩から選ばれる中性無機塩を含有する水溶液の温度は30℃以上、好ましくは30℃〜50℃の範囲とする。30℃未満の低温ではホウ素透過係数を0.5×10−6m/s以下にすることが難しい。50℃を超える高温では透過流束の低下が懸念される。複合半透膜を、ナトリウム塩から選ばれる中性無機塩を含有する水溶液に浸漬させる処理は、例えば、複合半透膜を、ナトリウム塩から選ばれる中性無機塩を含有する水溶液が貯留された槽内に浸漬する方法で行ってもよいし、また、複合半透膜を、プラスチックネットなどの原水流路材とトリコットなどの透過水流路材と、必要に応じて耐圧性を高めるためのフィルムと共に、多数の孔を穿設した筒状の集水管の周りに巻回した、スパイラル型の複合半透膜エレメントとした状態で、ナトリウム塩から選ばれる中性無機塩を含有する水溶液が貯留された槽内に浸漬する方法で行ってもよい。浸漬時間は、ナトリウム塩から選ばれる中性無機塩の濃度や温度により異なるが、20〜1000時間、好ましくは100〜500時間の範囲である。20時間未満ではホウ素透過係数を0.5×10−6m/s以下にすることが難しく、1000時間以上ではホウ素透過係数が平衡値に達してしまい、必要以上に時間を費やすことになる。
このように中性無機塩水溶液で処理することにより得られる複合半透膜は、スパイラル型の複合半透膜エレメントとして好適に用いられる。さらに、このエレメントを直列または並列に接続して圧力容器に収納した複合半透膜モジュールとすることもできる。
また、上記の複合半透膜やそのエレメント、モジュールは、それらに原水を供給するポンプや、その原水を前処理する装置などと組み合わせて、流体分離装置を構成することができる。この分離装置を用いることにより、原水から飲料水などの透過水と、膜を透過しなかった濃縮水を分離して、目的にあった水を得ることができる。
流体分離装置の操作圧力は高い方が脱塩率は向上するが、運転に必要なエネルギーも上昇すること、また、複合半透膜の耐久性を考慮すると、複合半透膜に被処理水を供給する際の操作圧力は、海水脱塩条件では1MPa以上、10MPa以下が好ましい。供給水温度は、高くなると脱塩率が低下するが、低くなるにしたがい透水性能も減少するので、5℃以上、45℃以下が好ましい。また、供給水pHは、高くなると、海水などの高塩濃度の供給水の場合、マグネシウムなどのスケールが発生する恐れがあり、低くなると膜の劣化が懸念されるため、中性領域での運転が好ましい。
実施例および比較例における測定は次のとおり行った。
脱塩率:
複合半透膜に、温度25℃、pH6.5に調整した海水(TDS濃度約3.5%、ホウ素濃度約5.0ppm)を操作圧力5.5MPaで供給して得られた透過水の塩濃度を測定することにより、次の式から求めた。
脱塩率=100×{1−(透過水中の塩濃度/供給水中の塩濃度)}
膜透過流束:
供給水として上記と同じ海水を使用し、膜面1平方メートル当たり、1日の透水量(立方メートル)から膜透過流束(m/m・日)を求めた。
(実施例1〜4)
ポリエステル繊維からなるタフタ(縦糸、横糸とも166デシテックスのマルチフィラメント糸を用いた。織密度は縦90本/インチ、横67本/インチ、厚さ160μm)上に、ポリスルホンの15.7重量%ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を200μmの厚みで室温(25℃)でキャストし、ただちに純水中に浸漬して5分間放置することによって繊維補強ポリスルホン支持膜(以下FR−PS支持膜と略す)を作製し、これを微多孔性支持膜として用いた。このようにして得られた微多孔性支持膜(厚さ210〜215μm)を、m−フェニレンジアミン(以下mPDAという)3.4重量%水溶液中に2分間浸漬した。次に該支持膜を垂直方向にゆっくりと引き上げ、エアーノズルから窒素を吹き付け支持膜表面から余分な水溶液を取り除いた後、トリメシン酸クロリド0.12重量%、テレフタル酸クロリド0.18重量%を含むn−デカン溶液を表面が完全に濡れるように塗布して1分間静置した。次に膜から余分な溶液を除去するために、膜を2分間垂直に把持して液切りした後、90℃の熱水で2分間洗浄した。
得られた複合半透膜を、さらに、表1に示す各種濃度の塩化ナトリウム水溶液中に所定時間浸漬した。塩化ナトリウム水溶液で処理した得られた複合半透膜を評価したところ、膜透過流束、脱塩率、TDS透過係数、ホウ素透過係数はそれぞれ表1に示す値となり、海水脱塩用途として使用できる性能をもちホウ素阻止性能が向上した複合半透膜が得られた。
(比較例1〜5)
実施例2において無機塩含有水溶液の処理条件を表1に示すとおりに変更して処理を行った。中性無機塩を含有していない40℃の純水で処理を行なったもの、中性無機塩濃度の低過ぎたもの、浸漬時間の短過ぎたもの、中性無機塩含有水溶液の温度の低過ぎたもの、中性無機塩以外の塩を使用したものを、それぞれ比較例1〜5とした(表1)。処理して得られた複合半透膜の膜性能評価を行ったところ、ホウ素透過係数が実施例1〜4と比較して高く、海水脱塩用途としては性能未達であった。
Figure 0004872800
本発明法により処理して得られる複合半透膜は、高塩除去率、高透過流束を達成できるとともに、ホウ素のような中性領域では非解離の物質に対して高い阻止性能を示すので、原子力発電所の冷却水やメッキ廃水の処理、高濃度かん水や海水の淡水化による飲料水製造等に好適に用いることができる。

Claims (4)

  1. 微多孔性支持膜上に多官能アミン水溶液を接触させた後、多官能酸ハロゲン化物を含む、水と非混和性の有機溶媒溶液を接触させ、界面重縮合を生じさせることによって微多孔性支持膜上に架橋ポリアミドを含む分離機能層を形成する方法によって製造された複合半透膜を、0.5重量%以上の塩化ナトリウムを含有する40℃以上50℃以下の水溶液に20時間以上浸漬することを特徴とする複合半透膜の処理方法。
  2. 塩化ナトリウムを含有する前記水溶液に浸漬処理した後の複合半透膜が、25℃、pH6.5、TDS濃度3.5重量%の海水を5.5MPaの操作圧力で透過させたときの性能として、透過流束が0.5m/m・日以上1.2m/m・日以下、脱塩率99.7%以上、溶質透過係数が2.0×10−8m/s以下、ホウ素透過係数が0.5×10−6m/s以下を有することを特徴とする請求項1に記載の複合半透膜の処理方法。
  3. 微多孔性支持膜上に多官能アミン水溶液を接触させた後、多官能酸ハロゲン化物を含む、水と非混和性の有機溶媒溶液を接触させ、界面重縮合を生じさせることによって微多孔性支持膜上に架橋ポリアミドを含む分離機能層を形成する方法によって製造された複合半透膜を、0.5重量%以上の塩化ナトリウムを含有する40℃以上50℃以下の水溶液に20時間以上浸漬することを特徴とする塩処理済み複合半透膜の製造方法
  4. 塩化ナトリウムを含有する前記水溶液に浸漬処理した後の複合半透膜が、25℃、pH6.5、TDS濃度3.5重量%の海水を5.5MPaの操作圧力で透過させたときの性能として、透過流束が0.5m /m ・日以上1.2m /m ・日以下、脱塩率99.7%以上、溶質透過係数が2.0×10 −8 m/s以下、ホウ素透過係数が0.5×10 −6 m/s以下を有することを特徴とする請求項3に記載の塩処理済み複合半透膜の製造方法。
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