JP2007090212A - バラスト水製造装置、これを搭載する船舶及びバラスト水の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】海水を濾過膜に長時間通水した後、実質的に薬品を使用せずに、濾過膜の閉塞を回復して、次ぎの濾過に備えることができるバラスト水製造装置、これを搭載した船舶及びバラスト水の製造方法を提供すること。
【解決手段】海水を濾過装置1で濾過して、濾過水をバラスト水とする船舶搭載用バラスト水製造装置10において、濾過装置1は、濾過膜12により原水側の一次室11と処理水側の二次室に区画されるハウジング13と、ハウジング13の一次室11に接続される水供給配管3と、一次室11の温水又は海水を系外へ排出する排水流出配管6と、ハウジング13の二次室に接続される濾過水流出配管4と、ハウジング13の一次室11又は一次室11と二次室を温水で満たす手段3、31、32、33とを備える。
【選択図】 図1
【解決手段】海水を濾過装置1で濾過して、濾過水をバラスト水とする船舶搭載用バラスト水製造装置10において、濾過装置1は、濾過膜12により原水側の一次室11と処理水側の二次室に区画されるハウジング13と、ハウジング13の一次室11に接続される水供給配管3と、一次室11の温水又は海水を系外へ排出する排水流出配管6と、ハウジング13の二次室に接続される濾過水流出配管4と、ハウジング13の一次室11又は一次室11と二次室を温水で満たす手段3、31、32、33とを備える。
【選択図】 図1
Description
本発明は、船舶の航行時における重心安定のために積載するバラスト水の製造装置、これを搭載する船舶及びバラスト水の製造方法に関する。
原油タンカー、鉱石運搬船、自動車運搬船などは空荷や積載貨物量が少ない状態で航行する場合がある。このときの船舶は船体の浮力を調節するためバラスト水を積載して航行する。例えば、原油タンカーは産油国と消費国を往復している。原油タンカーは消費国から産油国への航行では積荷が無く、消費国や寄港地の海水をバラスト水として積載し、産油国の近海や港湾でバラスト水を排出して原油を積載する。
近年、船舶にて移動、排出されるバラスト水により、本来その海域には生息しないプランクトンや細菌類を含む生物が持ち込まれ、これにより海洋生態系の破壊が生じ、当該海域の住民生活に重大な被害を与え、さらには全世界的な海洋環境の破壊が生じており、深刻な国際問題となっている。このため、バラスト水中の微生物除去を目的として、国際的な規模で各種の方法が検討されている。
バラスト水として汲み込まれる海水中の微生物を除去する方法として、例えば、特開2005−152799号公報には、バラスト水を濾過するフィルタ濾過装置と、該フィルタ濾過装置のフィルタを高温水により加熱しながら逆洗浄する加熱逆洗装置とを備えた船舶用バラスト水の処理装置が開示されている。これにより、微生物を除去すると共に、逆洗浄時に加熱し、微生物を周密に集めた状態で死滅させることができる。また、海水の微生物を死滅以外の方法で除去する方法として、特開2003−154360号公報には、海水を濾過膜に通すことで海水中の微生物を除去する方法が開示されている。
特開2005−152799号公報(特許請求の範囲)
特開2003−154360号公報(特許請求の範囲)
しかしながら、特開2005−152799号公報の船舶用バラスト水の処理装置で使用されるフィルタ濾過装置は、40μm程度の微生物除去に好適なアンスラサイト式濾過方式のフィルタであるため、大きさが1μm以下の大腸菌群、コレラ菌、腸球菌、大きさが数μmのミジンコの幼生、北太平洋ヒトデの幼生、アジア昆布の幼生、ゼブラ貝の幼生及び毒性藻類等は除去できないという問題がある。
また、特開2003−154360号公報の方法で得られる膜濾過水は魚介類の洗浄等に使用されるものであって、船舶のバラスト水に使用するものではない。また、例え海水を濾過膜を通してバラスト水を製造したとしても、海水中の固形物を濾過膜で濾し取り、処理水を得るため、長時間使用していると海水中の不純物が濾過膜の表面に付着したり細孔に詰まっていき、処理水を得ることができなくなる。また、海水中の不純物は多種多様であり、長時間使用後の濾過膜に対して、通常行われるようなバブリングや逆洗では閉塞物を除去できないという問題がある。
また、閉塞した濾過膜は、薬品洗浄によって回復することは可能であるが、バラスト水の製造装置においては、船舶に薬品を積載する種々の問題、及び使用薬品や残留薬品の廃棄や処理が外部環境へ悪影響を与える懸念などがある。
従って、本発明の目的は、1μm以下の微生物の除去が可能であり、海水を濾過膜に長時間通水した後、実質的に薬品を使用せずに、濾過膜の閉塞を回復して、次ぎの濾過に備えることができるバラスト水製造装置、これを搭載した船舶及びバラスト水の製造方法を提供することにある。
かかる実状において、本発明者らは鋭意検討を行った結果、(1)海水を微生物濾過膜に長時間通水すると、微生物が除去された大量のバラスト水が得られるものの、濾過膜自体が閉塞して使えなくなり、回生処理が必要となること、(2)回生処理として、濾過膜の二次室から一次室へ濾過膜の透過水などの清澄水を圧送して閉塞物を押し出す洗浄(逆洗)や、濾過膜の一次室から気泡を供給して濾過膜面をバブルするバブリング方法を行っても閉塞物は完全には除去できないこと、(3)除去できない閉塞物は、一次側の濾過膜面に付着した蛋白質や多糖類等の有機物であること、(4)該濾過膜の閉塞物は、濾過膜の一次室に満たされた温水で濾過膜を所定時間加温すれば、閉塞物が膨潤し、一部が溶解し、流動性が向上して、濾過膜から剥離し易くなること等を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、船舶が停泊する港湾域の海水を濾過装置で濾過して、該濾過水をバラスト水とする船舶搭載用バラスト水製造装置において、該濾過装置は、濾過膜により原水側の一次室と処理水側の二次室に区画されるハウジングと、該ハウジングの一次室に接続される水供給配管と、該ハウジングの一次室に接続される該一次室の温水又は海水を系外へ排出する排水流出配管と、該ハウジングの二次室に接続される濾過水流出配管と、該ハウジングの一次室又は一次室と二次室を温水で満たす手段と、を備えること特徴とするバラスト水製造装置を提供するものである。
また、本発明は、前記バラスト水製造装置を搭載する船舶を提供するものである。
また、本発明は、船舶が停泊する港湾域の海水を、濾過膜により原水側の一次室と処理水側の二次室に区画されるハウジングを備える濾過装置で濾過して、該濾過水をバラスト水とするバラスト水製造工程と、該濾過膜の閉塞物を除去する回生工程とを有し、該回生工程はハウジングの一次室又は一次室と二次室に満たされた温水で濾過膜を加温する加温工程と、該閉塞物を加温水又は海水と共に一次側に接続される排水流出配管から排出する排出工程を有すること特徴とするバラスト水の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、該濾過膜の閉塞物は、濾過面に付着した蛋白質等の有機物等であるため、二次室から一次室へ濾過水を供給する逆洗や一次室から濾過膜面に気泡を供給するバブリングでは完全に除去できないものの、一次室又は一次室と二次室に満たされた温水で濾過膜を加温すれば、閉塞物が膨潤し、一部が溶解し、流動性が向上し、濾過膜から容易に剥離できる。また、バラスト水の製造は、出港前の船舶が停泊中に行われ、航海中はバラスト水製造装置は停止していることが多いことから、この比較的長い航海中の停止期間を利用して、濾過膜の閉塞物を除去して次ぎのバラスト水の製造に備えることができ効率的である。また、加温工程前にバブリング工程又は逆洗工程を行えば、加温工程での閉塞物の除去が一層容易となる。また、排出工程後にバブリング工程又は逆洗工程を行えば、例え閉塞物の除去残部があったとしても容易に除去できる。また、一次室又は一次室と二次室の温水を外部循環させれば、濾過膜面の近傍に温水の流れが生じ閉塞物の剥離を促進する。また、船舶が原油タンカーであれば、ふんだんにある原油の固化防止用の蒸気又は排熱あるいはエンジンの排熱などを利用することができ、別途の熱源を設けることなく、閉塞物の除去が可能となる。また、濾過膜として微生物濾過膜を使用すれば、微生物が除去されたバラスト水が得られ、積荷港の海域の環境を汚染することがない。また、逆洗によりでる排水や排水工程からでる温排水を、更に加温して排出すれば、微生物を死滅させて放流でき、航行途中の海域の環境を汚染することがない。
本発明のバラスト水製造装置の一例を図1を参照して説明する。図1のバラスト水製造装置10は、濾過膜12により原水側の一次室11と処理水側の二次室(不図示)に区画されるハウジング13を備える濾過装置1と、空気貯槽2と、一端がハウジング13の一次室11に接続される海水取水配管(水供給配管)3と、一端がハウジング13の二次室に接続される濾過水流出配管4と、一端がハウジング13の一次室11の上部に接続されるガス抜き配管5と、一端がハウジング13の一次室11の底部に接続される排水流出配管6と、排水流出配管6と空気貯槽2を接続するバブリング用配管7と、濾過水流出配管4と空気貯槽2を接続する逆洗用配管8を備える。バブリング用配管7と逆洗用配管8は、空気貯槽2側の共有配管78と共有配管78から分岐する分岐配管からそれぞれ形成されている。また、海水取水配管3には、濾過装置1側から順にバルブ33、熱交換器(加温器)32及びポンプ31が付設され、濾過水流出配管4にはバルブ41が付設され、ガス抜き配管5にはバルブ51が付設され、バブリング用配管7にはバルブ71が付設され、逆洗用配管8にはバルブ81が付設されている。海水取水配管3の他端は装置10の稼動時、海水中に位置し、濾過水流出配管4の他端はバラスト水製造装置10を搭載する船舶のバラスト室に接続されている。なお、海水取水配管(水供給配管)3は不図示の切替バルブにより、淡水、温淡水、温海水の各供給配管となるものである。
また、バラスト水製造装置10において、ハウジングの一次室11又は一次室11と二次室を温水で満たす手段Aは、本例ではポンプ31、熱交換器32、バルブ33及び海水取水配管3から構成される。また、排水流出配管6は、一次室11の温水又は海水を系外へ排出する配管であり、その一部はバブリング用配管を兼ねるものである。バブリング手段Bは、本例では、空気貯槽2、バルブ71及びバブリング用配管7から構成される。また、逆洗手段Cは、本例では空気貯槽2、バルブ81及び逆洗用配管8から構成される。熱交換器32は、海水を35℃以上、例えば35〜85℃に加温する能力があればよい。
バラスト水製造装置10において、濾過装置1のハウジング13の一次室11周りに一次室11内の流体を加温する手段を付設してもよい。このような加温手段としては、一次室11周りにジャケットを形成し、このジャケットに例えば35℃以上の加温流体を流通させる方法などが挙げられる。これにより、常温の海水又は淡水を一次室11に満たした後、所定の温度に加温できる。ジャケットに流される加温流体としては、蒸気や温水等が挙げられる。また、一次室11に満たされた加温水の温度低下があったとしても、そのままの状態で更に加温することが可能となる。一次室11周りに一次室11内の流体を加温する手段を付設した場合、熱交換器32の設置は省略することもできる。なお、熱交換器32や一次室11内の流体を加温する手段には、通常、公知の温度制御装置が付設される。これにより、熱交換器32から出た加温水や一次室11内に満たされた加温水を一定の温度に制御、維持することができる。
逆洗手段Cは、図1記載の空気貯槽2を使用する形態に限定されず、例えば、濾過水貯留槽と濾過水貯留槽の濾過水を二次室から一次室へ流す加圧ポンプを備える形態のものであってもよい。また、ハウジング13の一次室11の温水を循環させる手段(不図示)として、一次室11とポンプ31の下流側にある取水配管34を接続する戻り配管を設け循環系を形成してもよい。また、海水取水配管3とは別に、新たな循環系を形成してもよい。
バラスト水製造装置10において、海水取水配管3とは別に、ハウジング13の一次室11を温水の淡水で満たす手段を設けてもよい。このような手段としては、淡水貯留槽、ポンプ、必要に応じて設置される熱交換器及び淡水供給配管からなる淡水供給手段などが挙げられる。当該熱交換器を設置しない場合、ハウジング13の一次室11周りに付設される一次室11内の流体を加温する加温手段を使用することで、淡水を一次室11に供給した後、加温により温淡水を得ることができる。ハウジング13の一次室11内に加温された海水と加温された淡水の混合温水を使用する場合、海水取水配管3を利用した加温手段と淡水供給配管を利用した加温手段を併用することもできる。
また、ハウジング13の一次室11の濾過膜面に薬液を供給する薬液供給手段を設けてもよい。薬液供給手段としては、薬液貯留槽、薬液供給ポンプ及び薬液貯留槽とハウジング13の一次室11を接続する薬液供給配管からなるものが挙げられる。また、薬液供給手段は、淡水供給手段を利用して薬液を一次室11の濾過膜面に供給するようなものであってもよい。
次に、本発明のバラスト水製造装置の他の例を図2を参照して説明する。図2のバラスト水製造装置10aにおいて、図1のバラスト水製造装置10と同一構成要素には同一符号を付して、その説明を省略し、異なる点について主に説明する。すなわち、図2のバラスト水製造装置10aにおいて、図1のバラスト水製造装置10と異なる点は、一次室11の温水を外部循環する一次室経由の循環系9aと一次室11及び二次室の温水を外部循環する一次室及び二次室経由の循環系9bを形成した点にある。
バラスト水製造装置10aにおいて、一次室経由の循環系9aは、一次室11の排水流出配管6と海水取水配管3を循環配管91で接続して形成される。海水取水配管3における循環配管91の接続点は、バルブ33の上流側で、バルブ33aの下流側であり、排水流出配管6における循環配管91の接続点は、バルブ61aの上流側で、バルブ61の下流側である。熱交換器32は海水取水管3ではなく、循環配管91のハウジング寄りに配置されている。熱交換器32の設置位置を循環配管91のハウジング寄りにすることで、温められた温水をその温度を維持しつつ一次室に供給することができる。また、循環配管91には不図示の循環ポンプが付設されている。
バラスト水製造装置10aにおいて、一次室と二次室経由の循環系9bは、ハウジング1の濾過水流出配管4と循環配管91を循環配管92で接続して形成される。濾過水流出配管4における循環配管92の接続点は、バルブ41aの上流側で、バルブ41の下流側である。熱交換器32は海水取水管3ではなく、循環配管91のハウジング寄りに配置されている。一次室経由の循環系9a又は一次室及び二次室経由の循環系9bに設置される熱交換器32は、海水取水配管3に設置される熱交換器32に比べて、小型のものが設置できる。また、循環系9a、9bに設置される循環ポンプは、循環される水が少量且つ低速流であるため、海水取水用のポンプ31と比べて遥かに小型化できる。
本発明のバラスト水製造装置は、船舶が停泊する港湾域の海水を濾過装置で濾過して、該濾過水をバラスト水とする船舶に搭載される装置であって、該濾過装置は、濾過膜により原水側の一次室と処理水側の二次室に区画されるハウジングを備えるものである。
濾過膜としては、精密濾過膜、限外濾過膜及び逆浸透膜など液体処理に用いられる、様々な微生物濾過膜が適用可能であり、分画分子量数千程度から分離孔径数μmの濾過膜が好適であり、特に孔径1.0μm以下の濾過膜が好適である。濾過膜への通水方式は内圧型、外圧型などあらゆる通水方式が適用可能であり、クロスフロー濾過やデッドエンド濾過などあらゆる濾過方法が適用可能である。また、濾過膜の形状としては、中空糸膜、平膜、管状膜、スパイラル膜が挙げられる。このうち、中空糸膜が、単位容量当りの濾過面積を最も大とすることができる点で好ましい。
中空糸膜は、中空構造を有し、更に該中空構造を形成する孔に連通して、膜面の該孔に連通する細孔を多数形成したものであり、外圧式と内圧式とがある。本発明において、濾過膜として精密濾過膜を用いる場合、中空糸膜の細孔の径としては、0.01〜0.4μm、好ましくは0.01〜0.3μmである。また、限外濾過膜を用いる場合は、中空糸膜の細孔の径としては、0.002〜0.01μmである。海水中に生息する細菌や幼生等の微生物の大きさは通常数μm、最小のものでも0.3〜0.5μm程度であり、従って、上記細孔径の中空糸膜を使用すれば、海水中のこれらの細菌、幼生等の微生物をほぼ完全に除去することができる。また、膜面に付着した微生物を除去して、その濾過能力を回復するために逆洗を行うこともあるが、本逆洗とは別に、濾過中に膜面の外側から気泡でバブリングして膜面に付着した微生物を剥離除去する操作ができる点で外圧式中空糸膜を使用することが好ましい。
精密濾過膜の素材としては、ポリアクリロニトリル、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリフッ化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、酢酸セルロース、セラミック、各種金属など濾過膜に用いられているあらゆる素材が適用可能である。
海水を濾過装置に通す方法としては、特に制限されないが、濾過膜を組み込んだ濾過装置の2基以上を並列配置するようにしてもよい。この場合、一の濾過装置が逆洗工程であっても、他の濾過装置はバラスト水製造工程を実施することができ、多量の膜濾過水を連続して得ることができる。膜濾過によりバラスト水を得る際の制御方法としては、特に制限されず、例えば濾過水流量計と原水ポンプとの回転数を制御をする方法、定流量弁を用いる定流量制御及び濾過膜への海水の供給圧力を一定にする定圧制御など、あらゆる制御方法を適用することができる。
また、バラスト水製造装置の前処理装置として、流木やごみ、海洋生物を除去するための粗濾過装置を設置することも可能であり、スクリーンやオートストレーナ、金属フィルタなどが適用可能である。
本発明の船舶は、上記バラスト水製造装置を搭載したものである。バラスト水製造装置の船舶の種類としては、特に制限されず、貨物船、原油タンカー等が挙げられる。船舶が原油タンカーである場合、加温水を得る熱源として、ふんだんにある原油の固化防止用の蒸気又は排熱あるいはエンジンの排熱を利用することができ、別途の熱源を設ける必要がなく、エネルギーコストを低減できる。
次に、本発明のバラスト水製造方法は、船舶が停泊する港湾域の海水を、濾過膜により原水側の一次室と処理水側の二次室に区画されるハウジングを備える濾過装置で濾過して、該濾過水をバラスト水とするバラスト水製造工程と、該濾過膜の閉塞物を除去する回生工程とを有し、該回生工程はハウジングの一次室又は一次室と二次室に満たされた温水で濾過膜を加温する加温工程と、該閉塞物を加温水又は海水と共に一次側に接続される排水流出配管から排出する排出工程を有する。バラスト水製造工程は、海水中の固形物を濾過膜で濾し取り、処理水を得るため、長時間使用していると海水中の不純物が濾過膜の細孔に詰まっていき、処理水を得ることができなくなる。該濾過膜の閉塞物は、濾過面に付着した蛋白質等の有機物であるため、逆洗やバブリングでは完全に除去できないものの、濾過膜の一次室又は一次室と二次室に満たされた温水で濾過膜を加温すれば、閉塞物が膨潤し、一部が溶解し、流動性が向上し、濾過膜から容易に剥離でき、ハウジングの一次室から系外へ容易に排出できる。
バラスト水製造工程は、通常港湾に停泊中に行われる。回生工程はバラスト水が全て製造された後に行ってもよく、バラスト水の製造途中に濾過を停止して行ってもよい。この中、バラスト水が全て製造された後に回生工程を行えば、航海中の長い期間を利用して実施することができ、次回のバラスト水の製造に備えることができる。バラスト水の製造途中に濾過を停止して行う場合、回生工程後、再度バラスト水の製造を行う。
本発明のバラスト水製造方法において、船舶が停泊する港湾域の海水としては、特に制限されないが、魚類、プランクトン類、細菌類、その他の海洋性生物のほか、通常、濁度が1〜100度の海水である。細菌類とは、大腸菌、コレラ菌、腸球菌などの1μm以下の微小生物を指し、最も小さいもので0.3〜0.5μm程度である。
本発明のバラスト水製造方法において、バラスト水製造工程後、前記加温工程前に、一次室から気泡を供給して濾過膜面をバブルするバブリング工程又は二次室から濾過水を供給して濾過膜を逆洗する逆洗工程を行うこともできる。このような前処理を行うことにより、微生物等の汚染物を膜面から除去でき、更にその後実施される加温工程における濾過膜の閉塞物の除去が一層容易となる。バブリング工程及び逆洗工程を行う順序は特に制限されず、バブリング工程の後に逆洗工程を行ってもよく、逆洗工程の後にバブリング工程を行ってもよく、またバブリング工程と逆洗工程を同時に行ってもよい。また、バラスト水製造工程、バブリング工程及び逆洗工程を1サイクルとして、これを複数サイクル繰り返すことで、濾過効率は一層向上する。
加温工程において、ハウジングの一次室又は一次室と二次室に温水を満たす方法としては、特に制限されず、海水、淡水又はこの混合水をハウジングの一次室又は一次室と二次室に供給し、その後、一次室に供給された水を加温する方法、温海水、温淡水又はこの混合温水をハウジングの一次室又は一次室と二次室に供給する方法などが挙げられる。温海水又は温淡水は、予め常温の海水又は淡水をハウジング外に設置される熱交換器等の加温器で加温されたものである。海水の使用は、バラスト水を製造する際に使用する海水取水配管(水供給配管)をそのまま使用することができ、淡水供給手段を別途設置する必要がない点で有利である。ハウジングの一次室に満たされた温水の温度としては、35〜80℃、好ましくは40〜80℃である。温水の温度が35℃未満では、濾過膜面の閉塞物を膨潤、一部溶解あるいは流動化などさせ難く、閉塞物除去効果が低下する。一方、温水の温度が80℃を超えると、濾過膜などが熱損傷を受けるようになる。
加温工程の加温時間(浸漬時間)は、バラスト水の製造に支障を与えず、濾過膜の汚れを回復できる時間であれば制限はないが、浸漬状態(静置状態)であっても、濾過膜の一次室の温水又は一次室と二次室の温水を外部循環する状態であっても共に、0.7時間〜14日間、好ましくは1時間〜14日間の範囲であることが、バラスト水製造時間や寄港地間の航行期間の観点から好ましい。
加温工程を循環系を利用して行う場合を図2を参照して説明する。図2において、濾過膜12の一次室11に満たされた海水又は淡水をハウジング1の外の循環配管91に抜き出し循環して加温することもできる。すなわち、バルブ33a、61a及び51を閉、バルブ33、51、61を開とし、熱交換器32を稼動させて、循環水を循環系9aにおいて所定の温度まで加温しつつ循環させる。これにより熱交換器32を小型化することができる。加温工程は、所定時間の循環後、温水を所定時間、静置の状態においてもよい。また、図2において、一次室11と二次室に満たされた海水又は淡水をハウジング1の外の循環配管92及び91に抜き出し濾過膜12を通して循環して加温することもできる。すなわち、バルブ33a、61、81、41a及び61aを閉、バルブ33、41を開とし、熱交換器32を稼動させて、循環水を循環系9bにおいて所定の温度まで加温しつつ循環させる。これにより一次室11の水を循環させる場合と同様に熱交換器32を小型化することができる。加温工程は、所定時間の循環後、静置時間を有していてもよい。加温工程後、バルブ61、61aを開とし、一次室11の温水を排水流出配管6から系外Yへ排出してもよく、また、ハウジング13内の温水を常温の海水と置換し、置換後、逆洗により、一次室11の海水を排水流出配管6から系外Yへ排出させてもよい。このように、循環水を加温させながら、一次室11又は一次室11と二次室を通す循環を行えば、濾過膜面の近傍又は濾過膜面を通して温水の流れが生じ閉塞物の剥離を促進することができる。
また、加温水を系外へ排出する排出工程後、バブリング工程又は逆洗工程を行ってもよい。このような後処理は、加温工程で残った濾過膜面の閉塞物を完全に除去することができる。バブリング工程及び逆洗工程を行う順序は特に制限されず、バブリング工程の後に逆洗工程を行っても、逆洗工程の後にバブリング工程を行っても、またバブリング工程と逆洗工程を同時に行ってもよい。また、加温水を系外へ排出する排出工程後、あるいはその後のバブリング工程や逆洗工程の後、薬品洗浄を行ってもよい。この薬品洗浄は閉塞物がほとんど除去された濾過膜面に行われるため極少量であり、環境を汚染するようなことはなく、濾過膜面は一層浄化される。薬品としては、例えば苛性ソーダ、次亜塩素酸ソーダが挙げられる。
次に、本発明のバラスト水製造方法の一例を図1を参照して説明する。先ず、バラスト水製造工程を実施する。バラスト水製造工程では、熱交換器32へは熱源は供給されておらず、バルブ33、バルブ41が開となり、バルブ51、61、71、81は閉となっている。当該工程においては、海水Xはポンプ31で取水され、海水取水配管3を通り、濾過装置1のハウジング13の一次室11に供給される。次いで、濾過膜12を透過した濾過海水はバルブ41を通り、船舶内のバラスト水貯留槽(不図示)に供給される。
必要なバラスト水量を得るまで前記バラスト水製造工程は継続するが、濾過膜は一定時間毎に、バブリング工程及び逆洗工程で洗浄される。バブリング工程は、ポンプ32を停止し、バルブ33、41、61、81を閉、バルブ51、71を開とする。空気貯層2からハウジング13の一次室11へ圧縮空気が送り込まれ、濾過膜12を空気揺動させ、濾過膜面の汚れを剥離する。
バブリング工程に続いて、逆洗工程を実施する。逆洗工程では、ポンプ31は停止のままで、バルブ33、41、71は閉とし、バルブ51、61、81は開とする。逆洗工程では濾過膜12の濾過側である二次室から圧縮空気を供給し、ハウジング13の二次室に貯留する濾過膜の濾過水によって、濾過膜12を逆洗する。これにより、一次室側の濾過膜面に付着した汚れ物質等を除去することができる。バブリング工程及び逆洗工程の実施により、濾過膜12より剥離した汚れ物質は、排水流出配管(温水配管)6をとおって排水Yとして系外へ排出される。
バラスト水製造工程、バブリング工程及び逆洗工程を1サイクルとした工程を繰返し、必要とするバラスト水量を得た後、加温水による加温工程を実施する。これにより、バブリング工程や逆洗工程によっても排除できなかった濾過膜の閉塞物質を除去することができる。なお、濾過膜の閉塞物質は、主にプランクトン由来の蛋白質や多糖類などの有機物である。これは公知の分析方法により確認することができる。加温工程では、バルブ33、51を開として、バルブ41、61、71、81は閉とし、熱交換器32へ例えば蒸気等の熱源を供給する。ポンプ31で取水された海水Xは、熱交換器32を経て例えば35〜80℃の温度に昇温され、ハウジング13の一次室11へ送られ、一次室11内を温海水で満たす。これにより、濾過膜12の一次室側の膜面はハウジング13内で温海水に浸漬された状態となる。この時点でポンプ31と熱交換器32への熱源供給を停止する。
また、加温工程は、図2のバラスト水製造装置20aの循環系9aを利用することもできる。この場合、先ずポンプ31で取水された海水Xは、ハウジング13の一次室11へ送られ、一次室11内を海水で満たす。次いでバルブ33、51、61を開として、バルブ33a、41、61a、71、81は閉とし、熱交換器32へ例えば蒸気等の熱源を供給し、循環ポンプを作動させ、海水を加温しつつ循環させる。これにより、濾過膜12の一次室側の膜面はハウジング13内で温海水に浸漬された状態となる。この時点で循環ポンプと熱交換器32への熱源供給を停止する。
所定時間、循環した後、あるいは所定時間、静置した後、濾過膜12の閉塞物は膨潤し、一部が溶解し、流動性が向上する。このため、濾過膜12から閉塞物を容易に剥離できる。所定時間内において、温海水の温度が、例えば35℃を下回るようであれば、適宜一次室11内の温度が所定温度となるよう温度調整する。このような温度調整方法としては、例えば、図1において、バルブ61を開として、温海水の一部を系外へ排出し、ポンプ31を稼動し新たなより高温の温海水を補充する方法などが挙げられる。所定の時間経過後、バルブ61を開として、温海水又は温海水を置換して満たされた海水を排水流出配管6から排出し、次回のバラスト水の製造へ備える。
バラスト水製造工程、バブリング工程及び逆洗工程の各工程時間は、許容時間内に必要なバラスト水量が得られる条件であれば、特に制限はないが、バラスト水製造装置の稼働時間や回収率を考えると、バラスト水製造工程は1〜24時間、バブリング工程は30〜600秒、逆洗工程は5〜60秒の値が好適である。
また、本発明のバラスト水製造方法の排出工程において、加温水を更に加熱して微生物を死滅後、排出することが、通常排出する場所が航海中の海であることから、海洋環境を保護する点で好ましい。加熱温度は、通常60〜90℃である。また、逆洗工程において、逆洗済み排水を加熱して微生物を死滅後、排出することが、海洋環境を保護する点で好ましい。なお、バラスト水製造工程後、加温工程前に行われる逆洗工程においては、加温水をそのまま排出してもよく、この場合、取水した海水と同じ領域への排出となるため、海洋の生態系を変えることはない。
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
図1のバラスト水製造装置を用い、下記仕様及び実験条件の下、模擬実験を行った。この実施例1〜3及び比較例1及び2は、運転時間と共に変化する膜間差圧を測定することで、濾過膜の閉塞に与える温海水の温度の影響を見たものである。なお、バラスト水製造工程に該当する濾過工程、バブリング工程及び逆洗工程はこれを1サイクルとして、8サイクル繰り返した後、加温工程を実施した。なお、加温工程における一次室の温水は静置状態とした。その結果を図3に示す。なお、図3中、横軸の運転時間は、加温工程の加温時間を省略した時間である。図3から、実施例1は運転時間70時間経過しても、膜間差圧の異常上昇は認められず、安定した運転ができた。
原水;伊勢湾海水(濁度1.5度)
濾過膜;外圧中空糸精密濾過膜ステラポア(三菱レイヨン社製)
濾過工程;濾過流速2.4m/日、濾過時間3時間
バブリング工程;バブリング時間80秒
逆洗工程;逆洗時間10秒
加温工程(温海水による浸漬);温海水の温度40℃、浸漬時間48時間
濾過膜;外圧中空糸精密濾過膜ステラポア(三菱レイヨン社製)
濾過工程;濾過流速2.4m/日、濾過時間3時間
バブリング工程;バブリング時間80秒
逆洗工程;逆洗時間10秒
加温工程(温海水による浸漬);温海水の温度40℃、浸漬時間48時間
実施例2及び実施例3
温海水の温度40℃に代えて、温海水の温度60℃(実施例2)又は80℃(実施例3)とした以外は、実施例1と同様の条件及び方法で行った。その結果を図3に示す。図3から、実施例2、実施例3はそれぞれ運転時間72時間経過しても、膜間差圧の異常上昇は認められず、実用上、安定した運転ができた。
温海水の温度40℃に代えて、温海水の温度60℃(実施例2)又は80℃(実施例3)とした以外は、実施例1と同様の条件及び方法で行った。その結果を図3に示す。図3から、実施例2、実施例3はそれぞれ運転時間72時間経過しても、膜間差圧の異常上昇は認められず、実用上、安定した運転ができた。
比較例1及び比較例2
温海水の温度40℃に代えて、温海水の温度、常温の20℃(比較例1)又は30℃(比較例2)とした以外は、実施例1と同様の条件及び方法で行った。その結果を図3に示す。図3から、比較例1及び比較例2は、最初の加温工程を実施しても、濾過膜の目詰まりは解消せず、運転時間50時間経過後、膜間差圧の異常上昇のため実験を中止した。
温海水の温度40℃に代えて、温海水の温度、常温の20℃(比較例1)又は30℃(比較例2)とした以外は、実施例1と同様の条件及び方法で行った。その結果を図3に示す。図3から、比較例1及び比較例2は、最初の加温工程を実施しても、濾過膜の目詰まりは解消せず、運転時間50時間経過後、膜間差圧の異常上昇のため実験を中止した。
図3から明らかなように、加温工程における浸漬時間48時間の下、浸漬温度を40℃以上とすれば、濾過によって上昇した膜間差圧は、加温工程でほぼ初期値へ回復し、安定した連続運転が継続できることを確認した。また、加温工程における浸漬温度が30℃では、膜間差圧は回復しなったことから、浸漬温度(温海水の温度)の臨界温度は35℃前後にあるものと推察できる。
実施例4
加温工程における浸漬時間48時間に代えて、浸漬時間1時間とした以外は、実施例2と同様の条件及び方法で行った。すなわち、実施例4〜8及び比較例3は、運転時間と共に変化する膜間差圧を測定することで、濾過膜の閉塞に与える温海水の浸漬時間の影響を見たものである。その結果を図4に示す。図4から、実施例4は運転時間70時間経過しても、膜間差圧の異常上昇は認められず、実用上、安定した運転ができた。
加温工程における浸漬時間48時間に代えて、浸漬時間1時間とした以外は、実施例2と同様の条件及び方法で行った。すなわち、実施例4〜8及び比較例3は、運転時間と共に変化する膜間差圧を測定することで、濾過膜の閉塞に与える温海水の浸漬時間の影響を見たものである。その結果を図4に示す。図4から、実施例4は運転時間70時間経過しても、膜間差圧の異常上昇は認められず、実用上、安定した運転ができた。
実施例5〜8
加温工程における浸漬時間1時間に代えて、浸漬時間5時間(実施例5)、24時間(実施例6)、120時間(実施例7)、336時間(実施例8)とした以外は、実施例4と同様の条件及び方法で行った。その結果を図4に示す。図4から、実施例5〜8は運転時間70時間経過しても、膜間差圧の異常上昇は認められず、実用上、安定した運転ができた。
加温工程における浸漬時間1時間に代えて、浸漬時間5時間(実施例5)、24時間(実施例6)、120時間(実施例7)、336時間(実施例8)とした以外は、実施例4と同様の条件及び方法で行った。その結果を図4に示す。図4から、実施例5〜8は運転時間70時間経過しても、膜間差圧の異常上昇は認められず、実用上、安定した運転ができた。
比較例3
加温工程における浸漬時間1時間に代えて、浸漬時間0.5時間とした以外は、実施例4と同様の条件及び方法で行った。その結果を図4に示す。図4から、比較例3は、最初の加温工程を実施しても、濾過膜の目詰まりは解消せず、運転時間72時間経過後、膜間差圧の異常上昇のため実験を中止した。
加温工程における浸漬時間1時間に代えて、浸漬時間0.5時間とした以外は、実施例4と同様の条件及び方法で行った。その結果を図4に示す。図4から、比較例3は、最初の加温工程を実施しても、濾過膜の目詰まりは解消せず、運転時間72時間経過後、膜間差圧の異常上昇のため実験を中止した。
図4から明らかなように、加温工程における浸漬温度60℃の下、浸漬時間を1時間以上とすれば、濾過によって上昇した膜間差圧は、加温工程でほぼ初期値へ回復し、安定した連続運転が継続できることを確認した。また、加温工程における浸漬時間が0.5時間では、膜間差圧は回復しなったことから、浸漬温度60℃下、浸漬時間の臨界点は0.75時間前後にあるものと推察できる。
比較例4
加温工程を省略した以外は、実施例1と同様の条件及び方法で行った。その結果、図での記載は省略するが、図1中の比較例1の挙動と同様に、濾過膜の目詰まりは解消せず、運転時間50時間経過後、膜間差圧の異常上昇のため実験を中止した。実験中止後、濾過膜面上を観察したところ、濾過膜の一次室側の膜面にスライム状の閉塞物が付着していることを確認した。また、この閉塞物をFT-IRで分析したところ、蛋白質ならびに多糖類特有の吸収ピークを確認した。
加温工程を省略した以外は、実施例1と同様の条件及び方法で行った。その結果、図での記載は省略するが、図1中の比較例1の挙動と同様に、濾過膜の目詰まりは解消せず、運転時間50時間経過後、膜間差圧の異常上昇のため実験を中止した。実験中止後、濾過膜面上を観察したところ、濾過膜の一次室側の膜面にスライム状の閉塞物が付着していることを確認した。また、この閉塞物をFT-IRで分析したところ、蛋白質ならびに多糖類特有の吸収ピークを確認した。
船舶の分野においては、海洋環境を汚染することがないバラスト水を積載しており、環境基準を遵守した安全な航海を行うことができる。海洋環境の分野においては、例えば産油国の近海や港湾でバラスト水が排出されても、本来その海域には生息しないプランクトンや細菌類を含む生物が持ち込まれることはなく、海洋生態系の破壊が生じることはなく安全である。濾過メーカーにとっては、海洋環境を汚染することがないバラスト水を製造可能な濾過装置を提供できる。
1 濾過装置
2 空気貯槽
3 海水取水配管(水供給配管)
4 濾過水流出配管
5 ガス抜き配管
6 排水流出配管
7 バブリング用配管
8 逆洗用配管
9a 一次室経由の循環系
9b 一次室及び二次室経由の循環系
10、10a バラスト水製造装置
11 一次室
12 濾過膜
13 ハウジング
31 ポンプ
32 熱交換器
33、41、51、61、71、81 バルブ
91、92 循環配管
2 空気貯槽
3 海水取水配管(水供給配管)
4 濾過水流出配管
5 ガス抜き配管
6 排水流出配管
7 バブリング用配管
8 逆洗用配管
9a 一次室経由の循環系
9b 一次室及び二次室経由の循環系
10、10a バラスト水製造装置
11 一次室
12 濾過膜
13 ハウジング
31 ポンプ
32 熱交換器
33、41、51、61、71、81 バルブ
91、92 循環配管
Claims (20)
- 船舶が停泊する港湾域の海水を濾過装置で濾過して、該濾過水をバラスト水とする船舶搭載用バラスト水製造装置において、
該濾過装置は、濾過膜により原水側の一次室と処理水側の二次室に区画されるハウジングと、該ハウジングの一次室に接続される水供給配管と、該ハウジングの一次室に接続される該一次室の温水又は海水を系外へ排出する排水流出配管と、該ハウジングの二次室に接続される濾過水流出配管と、該ハウジングの一次室又は一次室と二次室を温水で満たす手段と、を備えること特徴とするバラスト水製造装置。 - 前記ハウジングの一次室又は一次室と二次室を温水で満たす手段が、加温器で加温された温水を当該室に供給するものであるか、又は水を一次室又は一次室と二次室に供給し、その後、当該室に満たされた水を加温するものであること特徴とする請求項1記載のバラスト水製造装置。
- 前記ハウジングの一次室内を温水で満たす手段が、前記水供給管と前記排水流出配管とを接続し、加温器を配置して形成される一次室経由の循環系における、温水の循環によるものであることを特徴とする請求項1記載のバラスト水製造装置。
- 前記ハウジングの一次室と二次室を温水で満たす手段が、前記水供給管と前記濾過水流出配管とを接続し、加温器を配置して形成される一次室及び二次室経由の循環系における、温水の循環によるものであることを特徴とする請求項1記載のバラスト水製造装置。
- 前記温水が、加温された淡水、加温された海水又はその混合温水であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のバラスト水製造装置。
- 前記温水は、35〜80℃の温水であることを特徴とする請求項5記載のバラスト水製造装置。
- 前記ハウジングの一次室から気泡を供給して濾過膜面をバブルするバブリング手段を更に備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のバラスト水製造装置。
- 前記ハウジングの二次室から一次室へ該濾過膜の濾過水を供給して該濾過膜を逆洗する逆洗手段を更に備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のバラスト水製造装置。
- 前記濾過膜が微生物濾過膜であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のバラスト水製造装置。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載のバラスト水製造装置を搭載することを特徴とする船舶。
- 前記船舶は、原油タンカーであることを特徴とする請求項10記載の船舶。
- 船舶が停泊する港湾域の海水を、濾過膜により原水側の一次室と処理水側の二次室に区画されるハウジングを備える濾過装置で濾過して、該濾過水をバラスト水とするバラスト水製造工程と、該濾過膜の閉塞物を除去する回生工程とを有し、該回生工程はハウジングの一次室又は一次室と二次室に満たされた温水で濾過膜を加温する加温工程と、該閉塞物を加温水又は海水と共に一次側に接続される排水流出配管から排出する排出工程を有すること特徴とするバラスト水の製造方法。
- 前記排水流出配管から排出される海水は、前記加温工程後の温水を海水で置換した後のものであることを特徴とする請求項12記載のバラスト水の製造方法。
- 前記加温工程において、温水の温度が35〜80℃であることを特徴とする請求項12又は13記載のバラスト水の製造方法。
- 前記バラスト水製造工程後、前記加温工程前に、一次室から気泡を供給して濾過膜面をバブルするバブリング工程又は二次室から濾過水を供給して濾過膜を逆洗する逆洗工程を行うこと特徴とする請求項12〜14のいずれか1項記載のバラスト水の製造方法。
- 前記排出工程後、一次室から気泡を供給して濾過膜面をバブルするバブリング工程又は二次室から濾過水を供給して濾過膜を逆洗する逆洗工程を行うこと特徴とする請求項12〜15のいずれか1項に記載のバラスト水の製造方法。
- 前記排出工程において、加温水を更に加熱して微生物を死滅後、排出することを特徴とする請求項12〜16のいずれか1項に記載のバラスト水の製造方法。
- 前記逆洗工程において、逆洗済み排水を更に加熱して微生物を死滅後、排出することを特徴とする請求項15又は16に記載のバラスト水の製造方法。
- 前記加温工程において、1時間〜14日間、浸漬により濾過膜を加温することを特徴とする請求項12〜18のいずれか1項に記載のバラスト水の製造方法。
- 前記加温工程において、1時間〜14日間、濾過膜の一次室の温水を外部経由で循環するか、あるいはハウジング内の温水を濾過膜を通して外部経由で循環し、濾過膜を加温することを特徴とする請求項12〜18のいずれか1項に記載のバラスト水の製造方法。
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