JP2006187719A - 淡水製造装置の運転方法および淡水製造装置 - Google Patents
淡水製造装置の運転方法および淡水製造装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】半透膜を用いてホウ素を効率的に除去し、高い水質の淡水を得ることができる実用的な淡水製造方法および淡水製造装置を提供する。
【解決手段】
原水を第一の半透膜ユニットで処理し、その第一の半透膜ユニットの透過水を第二の半透膜ユニットで処理して特定成分を除去した淡水を得るに際し、淡水中の特定成分濃度がしきい値を上回った場合、第一の半透膜ユニットの回収率を上げて、第二の半透膜ユニットの回収率を下げ、透過水流量を一定に維持するとともに淡水中の特定成分濃度を下げる。
【選択図】図1
【解決手段】
原水を第一の半透膜ユニットで処理し、その第一の半透膜ユニットの透過水を第二の半透膜ユニットで処理して特定成分を除去した淡水を得るに際し、淡水中の特定成分濃度がしきい値を上回った場合、第一の半透膜ユニットの回収率を上げて、第二の半透膜ユニットの回収率を下げ、透過水流量を一定に維持するとともに淡水中の特定成分濃度を下げる。
【選択図】図1
Description
本発明は、逆浸透膜(半透膜)を用いて原水から高い水質の淡水を効率的に得ることができる淡水製造装置の運転方法および淡水製造装置、詳しくは海水中に含有され除去が容易でないホウ素を除去するにあたり好適な淡水製造装置の運転方法および淡水製造装置に関するものである。
近年、水資源の枯渇が深刻になりつつあり、これまで利用されてこなかった水資源の活用が検討されつつある。とくに、もっとも身近でそのままでは利用できなかった海水から飲料水を製造する技術、いわゆる“海水淡水化”が注目されてきている。海水淡水化は、従来、水資源が極端に少なく、かつ、石油による熱資源が非常に豊富である中東地域で蒸発法を中心に実用化されてきているが、熱源が豊富でない中東以外の地域ではエネルギー効率の高い逆浸透法が採用され、カリブ諸島や地中海エリアなどで多数のプラントが建設され実用運転されている。最近では、逆浸透法の技術進歩による信頼性の向上やコストダウンが進み、中東においても多くの逆浸透法海水淡水化プラントが建設され始めている。
しかしながら、蒸発法が水分の蒸発と凝縮から構成されるため理論的には得られる水に固形成分が含有されない一方で、逆浸透法は膜の分子間隙によるふるいによる分離であるため、100%の溶質阻止は困難である。すなわち、逆浸透法は、本質的に、蒸発法に対して水質で優位に立つことは困難であり、最近の改良された逆浸透膜の脱塩性能をもってしても、運転条件や水質基準によってはすべての成分に対して十分な除去性能を満足しているわけではない。
とくに、海水中に約4.5mg含有されるホウ素については、植物の生育へ悪影響を及ぼしたり、不妊症などの問題が指摘されており、WHOが0.5mg/l以下の飲料水ガイドラインを設けているのをはじめ、日本国内でも平成15年に1.0mg/l以下の水質基準値が設定されているが、通常の海水中では、非解離状態ホウ酸として存在するために膜表面の電気的反発力がなく、ほかの塩類に比べて阻止性能が低く、ホウ素の除去は、現在の逆浸透膜による海水淡水化で最大の問題とされている。
そこで、ホウ素除去率を高めるために、透過水を再度低圧逆浸透膜で処理する透過水二段法(特許文献1)や、ホウ素吸着剤を通過させるという後処理を複合させたと多段プロセス(非特許文献1)が採用されている。また、逆浸透膜でホウ素濃度をさらに低減させる方法としては、二段目の原水をpH9.5以上に上げることによってホウ素をホウ酸イオンに解離させて除去率を上げるアルカリ添加法が提唱され(特許文献2)、実用化されている。
ところが、このアルカリ添加法は、使用される逆浸透膜の耐アルカリ性、薬品量の増加による運転コストの増大の問題からそのpH調整運転には制約がある。たとえば、ポリアミド系半透膜の場合は、最近では高pH耐久性に優れたものも開発されてきているが、一般にはpH10以上での連続運転に難がある。さらに、pHが高くなりすぎるとホウ素除去率が上がる一方で急激に総塩濃度の除去性能が低下し、水質低下を招くことも問題である。また、中東のように溶質を高濃度に含み(総塩濃度4〜5重量%、ホウ素濃度5〜7mg/l)かつ夏期の高温期(30〜40℃)のような過酷な環境ではpH10としても十分にホウ素を除去することができない。
そのため、特殊な4段法(特許文献3)のようなホウ素の高度除去プロセスが提案されているが、プロセスが複雑という問題があり、季節変動などの運転条件の変動に対する制御も容易ではないという問題がある。
また、逆浸透膜の一段目にアルカリを添加する方法も考えられるが、1段目は2段目に比べて回収率が低いため、投入した薬品の大半が排水となり、その中和にも膨大なコストがかかることになる。
しかしながら、これまで、高温期にホウ素除去性能が低下した場合には、たとえ総塩濃度が上昇し、かつ、半透膜が劣化する危険があっても2段目にアルカリを添加するか、膨大なコストを犠牲にして1段目にアルカリを添加して、ホウ素除去率を高める必要があった。
特開2001−269543号公報([0038]〜[0039]段落)
特許第3319321号公報([0006]〜[0013]段落)
国際公開第02/068338号パンフレット(第1頁アブストラクト)
J.レドンド(J.Redondo)ら、デサリネーション(Desalination),第156巻,2003年,p229−238
しかしながら、これまで、高温期にホウ素除去性能が低下した場合には、たとえ総塩濃度が上昇し、かつ、半透膜が劣化する危険があっても2段目にアルカリを添加するか、膨大なコストを犠牲にして1段目にアルカリを添加して、ホウ素除去率を高める必要があった。
本発明の目的は、上記のような問題点を解決し、季節変動による高温時にも、半透膜を用いた二段処理によってホウ素を効率的に除去し、高い水質の淡水を得ることができる実用的な淡水製造装置の運転方法および淡水製造装置を提供することにある。
前記課題を解決するための本発明は、次の(1)〜(9)を特徴とするものである。
(1)原水を第一の半透膜ユニットで前処理し、その第一の半透膜ユニットによる透過水を第二の半透膜ユニットで処理して淡水を得る淡水製造装置の運転方法において、第一もしくは第二の半透膜ユニットの原水,透過水,濃縮水のうち少なくとも一つの温度,または第二の半透膜ユニットの透過水の特定成分濃度の少なくとも一方が予め定められた値を上回った場合に前記第一の半透膜ユニットの回収率を上げて、第二の半透膜ユニットの回収率を下げることを特徴とする淡水製造装置の運転方法。
(2)前記原水の流量に対する第二の半透膜ユニットの透過水の流量の割合を実質的に一定に維持することを特徴とする(1)に記載の淡水製造装置の運転方法。
(3)pHによって除去率が変化する成分を含有する水を第一の半透膜ユニットで処理し、その第一の半透膜ユニットによる透過水を第二の半透膜ユニットで処理して淡水を得る淡水製造装置の運転方法において、第二の半透膜ユニットの処理水濃度が予め定められた値以下になるように第二の半透膜ユニットpHを制御するとともに、第二の半透膜ユニットpHが予め定められた範囲の限界に達した場合に前記第一の半透膜ユニットの回収率を上げて、第二の半透膜ユニットの回収率を下げることを特徴とする淡水製造装置の運転方法。
(4)前記特定成分がホウ素,炭酸,硝酸のいずれかであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の淡水製造装置の運転方法。
(5)前記第二の半透膜ユニットの濃縮水の少なくとも一部を第一の半透膜ユニットの原水に混合させることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の淡水製造装置の運転方法。
(6)前記原水のTDS濃度が3重量%以上であって、前記原水の量に対する第二の半透膜ユニットの透過水の量の割合が30〜45%の範囲内である、(1)〜(5)のいずれかに記載の淡水製造方法。
(7)前記第一の半透膜ユニットの回収率を上げるに際し、前記第一の半透膜ユニットの膜面積あたりの透過水量が予め定められた値を超えないように第一の半透膜ユニットの運転系列数を増やすことを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の淡水製造装置の運転方法。
(8)前記第一の半透膜ユニットの回収率を上げるに際し、前記第二の半透膜ユニットの原水流量が予め定められた値を超えないように第二の半透膜ユニットの運転系列数を増やすことを特徴とする請求項(1)〜(7)のいずれかに記載の淡水製造装置の運転方法。
(9)第一の半透膜ユニットを構成するモジュール中の半透膜は、総塩濃度3.5重量%、pH7.0、温度25℃の模擬海水を圧力5.5MPaで透過させた場合の純水透過係数が3.0×10−12m3/m2・Pa・s以上で、かつホウ素透過係数が400×10−9m/s以下である、(4)に記載の淡水製造装置。
本発明により、原水から高い水質の透過水、とくに、海水からホウ素濃度を低減させた飲用に適した淡水を効率的に得ることができる。
本発明を適用可能な淡水製造装置の一例を図1に示す。図1に示す淡水製造装置は、原水(海水)1に前処理を施すフィルターなどの前処理2と、前処理水を処理する第一の半透膜ユニット5と、第一の半透膜ユニット5の透過水(一次透過水6)を一旦貯留する中間水タンク7と、中間水タンク7に貯留されていた一次透過水6を処理する第二の半透膜ユニット12とを有している。第一の半透膜ユニット5および第二の半透膜ユニット12の前段には、それぞれの供給水の圧力を高めるための高圧ポンプ4、昇圧ポンプ11が設けられている。また、第一の半透膜ユニット5の前段には、その第一の半透膜ユニット5への供給水のpHを高くするための第一のアルカリ添加手段3が設けられており、第二の半透膜ユニット12の前段には、一次透過水6について、第二の半透膜ユニット12へ供給する前にさらにpHを高くする第二のアルカリ添加手段10が、さらに、第二の半透膜ユニット12の後段には、第二の半透膜ユニット12の透過水(二次透過水13)のpHを下げるための酸添加手段14が設けられている。
また、第一の半透膜ユニット5の濃縮水(一次濃縮水8)側には、一次濃縮水8が保有するエネルギーを回収するためのエネルギー回収手段9が設けられている。このような淡水製造装置において、海水1は、その濁度などに応じて、そのまま、もしくは前処理手段2により前処理が施された後、場合によっては、アルカリ添加手段3によってpHが高められて、高圧ポンプ4を通して第一の半透膜ユニット5に供給される。第一の半透膜ユニット5では、海水中のほとんどの溶質を除去することができ、溶質が除去された一次透過水6は、中間水タンク7に一旦溜められる。一方、第一の半透膜ユニット5の濃縮水(一次濃縮水8)は、エネルギー回収手段9によって圧力エネルギーを回収した後に海に放流される。ここで、第一の半透膜ユニット5の透過水流量を制御は、例えば図1に示される様に高圧ポンプの出力を調節するとともに濃縮水流量調節バルブ19によって実施することができる。
続いて、中間タンク7に溜められた一次透過水6は、場合によっては第二のアルカリ添加手段10によって再度pHをが高められ、第一の半透膜ユニット5への供給水のpHよりも高くされた後に昇圧ポンプ11で昇圧され、第二の半透膜ユニット12へ供給される。第二の半透膜ユニット12では、さらに溶質が除去されて高度に水質が高い二次透過水13を得ることができるが、一次透過水の水質が良好な場合は、一次透過水バイパスバルブ20を開いて、一次透過水6の一部を第二の半透膜ユニットで処理することも可能である。この二次透過水13は単独もしくは一次透過水と混合された上で、酸添加手段14によって、pHを下げられた後に生産水15として得られる。
一方、第二の半透膜ユニット12の濃縮水(二次濃縮水16)は、海に放流することができるが、第二の半透膜ユニットでは一次透過水を原水(被処理水)としているため、濁質などは十分に除去されており清澄なので、濃縮水16を放流する場合は、アルカリ添加によるpHが高くなっている場合が多いことに注意し、pH調整をした上で放流するのが好ましい。半透膜ユニットの除去性能や運転条件によって、海水よりも総溶質濃度が十分に低い場合には、第一の半透膜ユニット5への供給水としてアルカリ添加手段3の前に還流させることができる。これによって、第一の半透膜ユニット5への供給水の総溶質濃度を低減させ、かつ、pHを上げることもできるため、第一の半透膜ユニット5における浸透圧の負荷を低減させることができるとともに、アルカリ添加手段3におけるアルカリ添加量を低減させることができる。バルブ18は、通常閉止されているが、万一還流に適さない高濃度の濃縮水が流れてきた場合は、バルブ18を開放かつバルブ17を閉止して生産水の水質低下を防止する。
本発明において、半透膜の除去性能は1段目,2段目ともに温度が上昇するほど低下する。一般的に、運転条件変更によって透過水質を向上させるためには、原水の濃縮率を下げる(=回収率を下げる)、原水流量を上げる、膜面積あたりの透過水流量を上げる、といった方法をとることができるが、いずれも課題がある。回収率を下げることは透過水流量を減少させることになる。原水流量を上げることは高流量による圧力損失が増大し、エネルギー損失が大きくなるとともに、半透膜エレメントにダメージを与える可能性が高くなる。膜面積あたりの透過水流量を大きくすると、膜面へ汚れが堆積しやすくなり、膜の寿命に悪影響を及ぼしやすい。
これらを考慮に入れた上で、本発明にかかる半透膜による二段処理において、高温時など水質が悪化した場合においても、目的とする第二の半透膜ユニットにおける透過水の特定成分濃度をあらかじめ定められた目標水質(例えば、水質基準)以下に維持する方法として、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、第一の半透膜ユニットの回収率(原水流量に対する透過水流量の比率)を上げて第一の半透膜ユニットの透過水を多く得る、すなわち、第二の半透膜ユニットの原水流量を多くして、第二の半透膜ユニットの透過水流量が変化しないように回収率を低減することによって、第一の半透膜ユニットの原水量を一定のまま、すなわち、取水や前処理プロセスの処理流量を変化させずに運転条件変更前と同量の第二の半透膜ユニットにおける透過水流量を得ることが可能となり、透過水流量を低下させることなく、透過水質を効率的に向上させられることが判明した。第一の半透膜ユニットで回収率を上げるためには、第一の半透膜ユニットの高圧ポンプ4の出力を上げたり濃縮水バルブ19を絞ったりして運転圧力を上げてより多くの透過水を得ればよく、反対に、第二の半透膜ユニットで回収率を下げるためには、第二の半透膜ユニットの昇圧ポンプ11の出力を下げるか濃縮水の流量が制御できるバルブ17やバルブ18を開いて運転圧力を下げればよい。ただし、これによって第一の半透膜ユニット5における透過流束(膜面積あたりの透過水流量)が大きくなる方向になるため、半透膜面への汚れの堆積が相対的に増大する危険性が高くなるため、一般に膜エレメントで推奨される最大造水量を上回らない様に注意が必要である。この課題を解決するには、膜面を汚れが付着しにくいようにする,原水水質を良くする,透過流束を大きくしない,といった方法が挙げられる。一つ目の膜面の改質技術としては、膜の表面を親水化したり(特開2000―362381号公報)、平滑化する(E.ブリエンホーク(E.Brijenhoek)ら、ジャーナル・オブ・メンブレン・サイエンス(Journal of Membrane Science),第188巻,2001年,p115−128)といった方法が挙げられる。二つ目の原水水質をよくする方法は、前処理の強化によって実施可能である。
これらを考慮に入れた上で、本発明にかかる半透膜による二段処理において、高温時など水質が悪化した場合においても、目的とする第二の半透膜ユニットにおける透過水の特定成分濃度をあらかじめ定められた目標水質(例えば、水質基準)以下に維持する方法として、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、第一の半透膜ユニットの回収率(原水流量に対する透過水流量の比率)を上げて第一の半透膜ユニットの透過水を多く得る、すなわち、第二の半透膜ユニットの原水流量を多くして、第二の半透膜ユニットの透過水流量が変化しないように回収率を低減することによって、第一の半透膜ユニットの原水量を一定のまま、すなわち、取水や前処理プロセスの処理流量を変化させずに運転条件変更前と同量の第二の半透膜ユニットにおける透過水流量を得ることが可能となり、透過水流量を低下させることなく、透過水質を効率的に向上させられることが判明した。第一の半透膜ユニットで回収率を上げるためには、第一の半透膜ユニットの高圧ポンプ4の出力を上げたり濃縮水バルブ19を絞ったりして運転圧力を上げてより多くの透過水を得ればよく、反対に、第二の半透膜ユニットで回収率を下げるためには、第二の半透膜ユニットの昇圧ポンプ11の出力を下げるか濃縮水の流量が制御できるバルブ17やバルブ18を開いて運転圧力を下げればよい。ただし、これによって第一の半透膜ユニット5における透過流束(膜面積あたりの透過水流量)が大きくなる方向になるため、半透膜面への汚れの堆積が相対的に増大する危険性が高くなるため、一般に膜エレメントで推奨される最大造水量を上回らない様に注意が必要である。この課題を解決するには、膜面を汚れが付着しにくいようにする,原水水質を良くする,透過流束を大きくしない,といった方法が挙げられる。一つ目の膜面の改質技術としては、膜の表面を親水化したり(特開2000―362381号公報)、平滑化する(E.ブリエンホーク(E.Brijenhoek)ら、ジャーナル・オブ・メンブレン・サイエンス(Journal of Membrane Science),第188巻,2001年,p115−128)といった方法が挙げられる。二つ目の原水水質をよくする方法は、前処理の強化によって実施可能である。
三つ目の透過流束を大きくしない方法については、半透膜の面積を増やす、すなわち、膜エレメント数を増やすことによって解決することができるが、本発明者らが鋭意検討を実施した結果、最も効率的な方法として、故障時や洗浄などのために第一の半透膜ユニットの少なくとも半透膜部分を複数系列に並列に分割構成するとともに予備系列を保有する、例えば、第一の半透膜ユニットを10の系列から構成し、予備系列を1系列用意し、高温時などの水質悪化時に前述の様に第一の半透膜ユニット5の回収率を上げるとともに第一の半透膜ユニットの予備系列を稼働させることによって、系列あたりの透過水流量の増加を抑えることが可能となり、本発明の課題であるところの半透膜ユニットに悪影響を与えずに透過水流量および透過水質を維持することが可能となる。
ここで、回収率の上げ方としては、最も透過水流量の大きな第一の半透膜ユニット5の先頭エレメントの透過水流量があらかじめ定められた値を超えない様に第一の半透膜ユニットの運転系列数を増やすことが好ましい。
そのために、予備系列数は、段階的に稼働できる複数系列にしておくと好ましいが、設備や制御が煩雑になるため、状況に応じて最適に設定することが出好ましい。
さらに、一般に半透膜ユニットは多数の半透膜エレメントを直列接続して構成されることが多いが、この場合、半透膜エレメントそれぞれにおいて膜面積あたりの透過水流量に違いがある。膜面積あたりの透過水流量は、半透膜への圧力差が大きいほど大きく、また、原水の濃度が低いほど大きくなるが、一般的には、先頭の半透膜エレメントで透過水流量が最も大きくなる。そのため、先頭の半透膜エレメントの透過水流量を推奨される最大造水量以下にすることが好ましい。
さらに、一般に半透膜ユニットは多数の半透膜エレメントを直列接続して構成されることが多いが、この場合、半透膜エレメントそれぞれにおいて膜面積あたりの透過水流量に違いがある。膜面積あたりの透過水流量は、半透膜への圧力差が大きいほど大きく、また、原水の濃度が低いほど大きくなるが、一般的には、先頭の半透膜エレメントで透過水流量が最も大きくなる。そのため、先頭の半透膜エレメントの透過水流量を推奨される最大造水量以下にすることが好ましい。
なお、先頭エレメントの透過水流量は、同じ原水で同じ運転条件で、エレメント本数を1本にして透過水流量を測定するのが最も直接的で好ましいが、参考文献1(M. タニグチ(M.Taniguchi)らによるジャーナル・オブ・メンブレン・サイエンス,第183巻,2000年,p249−258)に示される方法でシミュレーションによって推定することも設計にあたってはより好ましい方法である。
また、第一の半透膜ユニットの回収率を上げた場合、第二の半透膜ユニットへ送られる透過水流量、すなわち、第二の半透膜ユニットの原水流量が大きくなることになるが、原水流量が大きくなると圧力損失が大きくなったり、膜エレメントにダメージを与える危険性が生じるため、原水流量が予め定められた値を超えないように第二の半透膜ユニットの第一の半透膜ユニットと同様に予備系列を用意した上で、運転系列数を増やすことが好ましい。
本発明において、第一の半透膜ユニットの原水水質は、清澄で半透膜面への汚れの堆積が少ないことが好ましい。この方法としては、まず、取水水質が良好であることが好ましいが、表層水が汚染されている場合は、地下などの浸透水を得ることも好ましい。また、本発明においては、第一の半透膜ユニットに供給される海水の水質によって必要に応じて、濁質成分の除去や殺菌などの前処理を施しておくことが好ましい。これらの処理により半透膜ユニット5、12や後段プロセスの性能低下を防ぐことができ、処理装置の長期に渡る安定運転を可能にする。具体的な処理は、海水の性状により適宜選択すればよい。
濁質を除去する必要がある場合は、砂濾過や精密濾過膜、限外濾過膜の適用が効果的である。このときバクテリアや藻類などの微生物が多い場合は、殺菌剤を添加することが好ましい。殺菌には塩素を用いることが好ましく、たとえば塩素ガスや次亜塩素酸ナトリウムを遊離塩素として1〜5mg/lの範囲内となるように原水に添加するとよい。この場合、なるべく供給水の流れる方向に関して上流側で添加することが好ましく、塩素濃度が高いと半透膜を劣化させるため、第一の半透膜ユニット5の原水入口側近傍にて残留塩素濃度を測定し、この測定値に基づいて塩素ガスや次亜塩素酸ナトリウムの添加量を制御したり、亜硫酸水素ナトリウムなどの還元剤を添加したりするとよい。また、濁質以外にバクテリアやタンパク質、天然有機成分などを含有する場合は、ポリ塩化アルミニウム、硫酸バンド、塩化鉄(III)などの凝集剤を加えることも効果的である。凝集させた供給水は、その後に斜向板などで沈降させた上で砂ろ過を行ったり、複数本の中空糸膜を束ねた精密ろ過膜や限外ろ過膜によるろ過を行うことによって後段の半透膜を通過させるのに適した供給水とすることができる。とくに、凝集剤の添加にあたっては、凝集しやすいようにpHを調整することが好ましく、一般的にはpH5以上8未満、好ましくは、pH7以下である。なお、本発明においては、凝集剤添加においてpHを下げた場合は、第一の半透膜の前にpHを上げないとホウ素除去率が低下するため、第一の半透膜ユニット5の前でアルカリを添加し、pHを確実に8以上にすることが非常に重要となる。
一方、海水に溶解性の有機物が多く含まれている場合は、塩素ガスや次亜塩素酸ナトリウムの添加によってもそれら有機物を分解することはできるが活性炭ろ過を行うことによっても除去が可能である。また、溶解性の無機物が多く含まれている場合は、有機系高分子電解質やヘキサメタ燐酸ソーダなどのキレート剤を添加したり、イオン交換樹脂などを用いて溶解性イオンと交換したりするとよい。また、鉄やマンガンが可溶な状態で存在しているときは、ばっ気酸化ろ過法や接触酸化ろ過法などを用いることが好ましい。
ところで、溶質によっては半透膜ユニットにおける除去性能をpH変化によって制御するものがある。例えば、ホウ素,炭酸,硝酸は、pHを上げることによってその除去率(=100×(1−透過水濃度)/原水濃度,%)が上がるため、透過水濃度を水質基準などの目標濃度以下に維持するために、必要に応じてアルカリを添加している。そのため、透過水質があらかじめ定められた濃度を超えたときの対処方法としては、アルカリ添加と本発明の適用を選択もしくは併せて適用することが可能であり、運転コストなどを考慮した上で、適宜選択することができる。ただし、両方を併せて適用することによってより広範囲の制御が可能となり、例えば、アルカリ添加が許容範囲に達した場合は、本発明の回収率変更を適用することが好ましい運転方法の一例としてあげることができる。
具体的例としては、水質目標濃度を達成する様に第二の半透膜ユニットのpHを制御し、半透膜の耐久性や薬品コストなどを考慮した上で、あらかじめ設定しておいたpHに達した場合に、第一の半透膜ユニットの回収率を上げて、第二の半透膜ユニットの回収率を下げることが実用的で好ましい。
具体的例としては、水質目標濃度を達成する様に第二の半透膜ユニットのpHを制御し、半透膜の耐久性や薬品コストなどを考慮した上で、あらかじめ設定しておいたpHに達した場合に、第一の半透膜ユニットの回収率を上げて、第二の半透膜ユニットの回収率を下げることが実用的で好ましい。
ここでいうアルカリ添加は、第一の半透膜ユニットと第二の半透膜ユニットにおけるいずれの原水に適用することも可能であり、いずれも効果的であるが、運転コストの面からは、第一の半透膜ユニットの方が原水流量が多いためにアルカリ添加量も多くなり、さらに、回収率が一般的に第二の半透膜ユニットの回収率よりも低い、すなわち、排水となる濃縮水流量が多いため、廃水処理コストも大きくなることから第二の半透膜の原水にアルカリを添加する方が好ましい。なお、ここでいうアルカリ添加の許容範囲は、半透膜の耐アルカリ性、アルカリ添加によるスケール発生危険性に対する許容範囲、アルカリ添加やスケール発生防止剤の添加コストに応じて適宜設定されるものである。ここで、第一のアルカリ添加手段3、第二のアルカリ添加手段10としては、特に限定されるものではなく、一般的な薬注ポンプを使用することができる。添加するアルカリも水酸化ナトリウムが一般的に用いられるが、水酸化カリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化アンモニウムなどを使用することもできる。なお、図示しないが、アルカリ添加手段3の直後にインラインミキサーを設けたり、アルカリ添加口を海水の流れに直接接触するようにするなどして添加口へのスケール析出を防止することも好ましい。もちろん、前述のように、アルカリ添加前に、海水にスケール防止剤を添加しておくことも好ましい。
スケール防止剤とは、溶液中の金属、金属イオンなどと錯体を形成し、金属あるいは金属塩を可溶化させるもので、有機や無機のイオン性ポリマーあるいはモノマーが使用できる。有機系のポリマーとしてはポリアクリル酸、スルホン化ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリアリルアミンなどの合成ポリマーやカルボキシメチルセルロース、キトサン、アルギン酸などの天然高分子が、モノマーとしてはエチレンジアミン四酢酸などが使用できる。また、無機系のスケール防止剤としてはポリリン酸塩などが使用できる。
これらのスケール防止剤の中では入手のしやすさ、溶解性など操作のしやすさ、価格の点から特にポリリン酸塩、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)が好適に用いられる。ポリリン酸塩とはヘキサメタリン酸ナトリウムを代表とする分子内に2個以上のリン原子を有し、アルカリ金属、アルカリ土類金属とリン酸原子などにより結合した重合無機リン酸系物質をいう。代表的なポリリン酸塩としては、ピロリン酸4ナトリウム、ピロリン酸2ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸ナトリウム、ヘプタポリリン酸ナトリウム、デカポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、およびこれらのカリウム塩などがあげられる。
また、本発明に適した原水としては、海水、かん水、河川水、地下水、排水やその処理水など特に制限されるものではないが、海水や海水の処理水など高濃度の塩分を含有する原水への適用が好ましい。
本発明では、それぞれの半透膜ユニットにおける回収率(供給水量に対する透過水量の割合)をできるだけ高めることが望ましい。しかしながら、一方で、回収率を高くするほど供給水は高度に濃縮され、膜面浸透圧が高くなるため、エネルギーロスが大きくなるとともに、濃縮限界による溶質の析出が生じてしまう。したがって、 第一の半透膜ユニットにおいては、TDS濃度3〜5重量%の海水の場合、回収率の限界は70%程度であり、エネルギー効率などを考えると、原水濃度が4.5重量%以上の場合は50%以上にすることは好ましくないが、回収率を低くすると濃縮水の排水がふえるため、これも好ましくない。そこで、本発明においては、第一の半透膜ユニット5における回収率は、35%以上50%以下にすることが好ましい。中でも海水温度が25℃以上の場合は50%の回収率でも問題ないが、温度が低い場合は、膜の経時劣化やファウリングによる膜透水性の変化に応じて回収率を35%近傍まで下げることが好ましい場合があり、状況に応じて変化させることができる。続いて、第二の半透膜ユニット12においては、総塩濃度はかなり低下しているので濃縮による浸透圧の問題は第一の半透膜ユニット5に比べて小さいが、第一の半透膜ユニット5で処理されている、すなわち、コストがかかっているため、できるだけ多く回収することが好ましい。したがって、結局、高度に濃縮されることによるスケールの析出が問題となる。これは、第一の半透膜ユニットの透過水の水質と第二の半透膜ユニットの前でのアルカリ添加によるpHに大きく影響されるが、回収率を上げると供給水流量が減少し、濃度分極も増大するためスケールが析出しやすくなり好ましくない。よって、これらを鑑みるに、第二の半透膜ユニットでは、第一の半透膜の回収率が高く、その結果として第二の半透膜へのTDS濃度が高い場合は、第二の半透膜の回収率を低く抑えることが好ましい。結局、最終的に、原水のTDS濃度が3重量%以上の場合は、原水の量に対する第二の半透膜ユニットの透過水の量の割合が30〜45%の範囲内にすることが好ましい。
本発明では、それぞれの半透膜ユニットにおける回収率(供給水量に対する透過水量の割合)をできるだけ高めることが望ましい。しかしながら、一方で、回収率を高くするほど供給水は高度に濃縮され、膜面浸透圧が高くなるため、エネルギーロスが大きくなるとともに、濃縮限界による溶質の析出が生じてしまう。したがって、 第一の半透膜ユニットにおいては、TDS濃度3〜5重量%の海水の場合、回収率の限界は70%程度であり、エネルギー効率などを考えると、原水濃度が4.5重量%以上の場合は50%以上にすることは好ましくないが、回収率を低くすると濃縮水の排水がふえるため、これも好ましくない。そこで、本発明においては、第一の半透膜ユニット5における回収率は、35%以上50%以下にすることが好ましい。中でも海水温度が25℃以上の場合は50%の回収率でも問題ないが、温度が低い場合は、膜の経時劣化やファウリングによる膜透水性の変化に応じて回収率を35%近傍まで下げることが好ましい場合があり、状況に応じて変化させることができる。続いて、第二の半透膜ユニット12においては、総塩濃度はかなり低下しているので濃縮による浸透圧の問題は第一の半透膜ユニット5に比べて小さいが、第一の半透膜ユニット5で処理されている、すなわち、コストがかかっているため、できるだけ多く回収することが好ましい。したがって、結局、高度に濃縮されることによるスケールの析出が問題となる。これは、第一の半透膜ユニットの透過水の水質と第二の半透膜ユニットの前でのアルカリ添加によるpHに大きく影響されるが、回収率を上げると供給水流量が減少し、濃度分極も増大するためスケールが析出しやすくなり好ましくない。よって、これらを鑑みるに、第二の半透膜ユニットでは、第一の半透膜の回収率が高く、その結果として第二の半透膜へのTDS濃度が高い場合は、第二の半透膜の回収率を低く抑えることが好ましい。結局、最終的に、原水のTDS濃度が3重量%以上の場合は、原水の量に対する第二の半透膜ユニットの透過水の量の割合が30〜45%の範囲内にすることが好ましい。
高圧ポンプ4は、特に限定されるものではなく、必要とする出力に応じて適宜、選定、使用することができるが、本発明においては、浸透圧以上の圧力を供給水に与える必要があるので、最低でも3MPaの圧力が必須であり、実質的には、5MPa以上の圧力を必要流量において出力する必要がある。昇圧ポンプ11についても、とくに限定されるものではないが、第一の半透膜ユニットの透過水を供給するためのものであり、浸透圧もほとんど考慮する必要がないため、高圧ポンプ4に対して、低圧かつ低流量のものでよい。具体的圧力としては、最大2MPaの圧力がかけられるものが好ましい。
しかし、供給される原水1の浸透圧よりも著しく高い圧力を付与すると、第一の半透膜の入口部分での透過流束が大きすぎ、原水中に微量に存在する有機物などが膜面に堆積、吸着し、膜性能を低下させることになるため好ましくない。したがって、具体的には第一の半透膜ユニット5の入口部分の局所透過流束が1.0m3/m2・日以下、好ましくは0.5m3/m2・日以下となるように圧力を付与することが好ましい。
ところで、本発明にかかる特定成分とは、ホウ素,臭素,カルシウム,マグネシウムなどを例示することができるが特に制限されるものではない。この中で、海水から飲料水を得る場合にもっとも大きな問題となっているホウ素に対して本発明を適用すると、効果が大きく好ましい。
第一の半透膜ユニット5および第二の半透膜ユニット12は、取扱いを容易にするため中空糸膜や平膜を筐体に納めて流体分離素子(エレメント)としたものを用いる。この流体分離素子は、平膜で形成する場合、例えば図5に示すように、多数の孔を穿設した筒状の中心パイプ29の周りに、半透膜30と、トリコットなどの透過水流路材32と、プラスチックネットなどの供給水流路材31とを含む膜ユニットを巻回し、これらを円筒状の筐体に納めた構造とするのが好ましい。複数の流体分離素子を直列あるいは並列に接続して分離膜モジュールとすることも好ましい。この流体分離素子において、供給水25は、一方の端部からユニット内に供給され、他方の端部に到達するまでの間に半透膜30を透過した透過水27が、中心パイプ30へと流れ、他方の端部において中心パイプ29から取り出される。一方、半透膜30を透過しなかった供給水25は、他方の端部において濃縮水26として取り出される。
第一の半透膜ユニット5および第二の半透膜ユニット12は、取扱いを容易にするため中空糸膜や平膜を筐体に納めて流体分離素子(エレメント)としたものを用いる。この流体分離素子は、平膜で形成する場合、例えば図5に示すように、多数の孔を穿設した筒状の中心パイプ29の周りに、半透膜30と、トリコットなどの透過水流路材32と、プラスチックネットなどの供給水流路材31とを含む膜ユニットを巻回し、これらを円筒状の筐体に納めた構造とするのが好ましい。複数の流体分離素子を直列あるいは並列に接続して分離膜モジュールとすることも好ましい。この流体分離素子において、供給水25は、一方の端部からユニット内に供給され、他方の端部に到達するまでの間に半透膜30を透過した透過水27が、中心パイプ30へと流れ、他方の端部において中心パイプ29から取り出される。一方、半透膜30を透過しなかった供給水25は、他方の端部において濃縮水26として取り出される。
半透膜30の素材には酢酸セルロース系ポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ビニルポリマーなどの高分子素材を使用することができる。またその膜構造は、膜の少なくとも片面に緻密層を持ち、緻密層から膜内部あるいはもう片方の面に向けて徐々に大きな孔径の微細孔を有する非対称膜や、非対称膜の緻密層の上に別の素材で形成された非常に薄い機能層を有する複合膜のどちらでもよい。
しかしながら、中でも高耐圧性と高透水性、高溶質除去性能を兼ね備え、優れたポテンシャルを有する、ポリアミドを機能層とした複合膜が好ましい。特に、第一の半透膜ユニットの場合、海水から淡水を得るために、浸透圧以上の圧力をかける必要があり、実質的には少なくとも5MPaの操作圧力が必要となる。この圧力に対して、高い透水性と阻止性能を維持できるためにはポリアミドを機能層とし、それを多孔質膜や不織布からなる支持体で保持する構造のものが適している。また、ポリアミド半透膜としては、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との重縮合反応により得られる架橋ポリアミドの機能層を支持体に有してなる複合半透膜が適している。
分離機能層は、酸やアルカリに対して化学的安定性が高い架橋ポリアミドからなるもの、もしくは架橋ポリアミドを主成分とするものからなることが好ましい。架橋ポリアミドは、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との界面重縮合により形成され、多官能アミンまたは多官能酸ハロゲン化物成分の少なくとも一方が3官能以上の化合物を含んでいることが好ましい。
ここで、多官能アミンとは、一分子中に少なくとも2個の一級および/または二級アミノ基を有するアミンをいい、たとえば、2個のアミノ基がオルト位やメタ位、パラ位のいずれかの位置関係でベンゼンに結合したフェニレンジアミン、キシリレンジアミン、1,3,5ートリアミノベンゼン、1,2,4−トリアミノベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸などの芳香族多官能アミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミンなどの脂肪族アミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ピペラジン、1,3−ビスピペリジルプロパン、4−アミノメチルピペラジンなどの脂環式多官能アミン等を挙げることができる。中でも、膜の選択分離性や透過性、耐熱性を考慮すると芳香族多官能アミンであることが好ましく、このような多官能芳香族アミンとしては、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼンが好適に用いられる。さらには、入手の容易性や取り扱いのしやすさから、m−フェニレンジアミン(以下、m−PDAと記す)を用いることがより好ましい。これらの多官能アミンは、単独で用いたり、混合して用いてもよい。
多官能酸ハロゲン化物とは、一分子中に少なくとも2個のハロゲン化カルボニル基を有する酸ハロゲン化物をいう。たとえば、3官能酸ハロゲン化物では、トリメシン酸クロリド、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸トリクロリド、1,2,4−シクロブタントリカルボン酸トリクロリドなどを挙げることができ、2官能酸ハロゲン化物では、ビフェニルジカルボン酸ジクロリド、ビフェニレンカルボン酸ジクロリド、アゾベンゼンジカルボン酸ジクロリド、テレフタル酸クロリド、イソフタル酸クロリド、ナフタレンジカルボン酸クロリドなどの芳香族2官能酸ハロゲン化物、アジポイルクロリド、セバコイルクロリドなどの脂肪族2官能酸ハロゲン化物、シクロペンタンジカルボン酸ジクロリド、シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリド、テトラヒドロフランジカルボン酸ジクロリドなどの脂環式2官能酸ハロゲン化物を挙げることができる。多官能アミンとの反応性を考慮すると、多官能酸ハロゲン化物は多官能酸塩化物であることが好ましく、また、膜の選択分離性、耐熱性を考慮すると、多官能芳香族酸塩化物であることが好ましい。中でも、入手の容易性や取り扱いのしやすさの観点から、トリメシン酸クロリドを用いるとより好ましい。これらの多官能酸ハロゲン化物は、単独で用いたり、混合して用いてもよい。
そして、本発明において、第一の半透膜ユニット5に用いる半透膜は、海水中のイオンなどをはじめとする溶質を高度に除去することができることが望ましい。とくに、他の成分に比べて阻止率が低いホウ素については、高い阻止性能を有することが好ましい。具体的には、第一の半透膜ユニット5の半透膜として、総塩濃度3.5重量%、pH7.0、温度25℃の模擬海水を操作圧力5.5MPaで供給したときの純水透過係数が3×10−12m3/m2・Pa・s以上で、ホウ素の透過係数が400×10−9m/s以下という性能を発現することができるものを適用することによって本発明の運転制御を実現しながら、高い水質の淡水を得ることができる。
ここで、全塩濃度3.5重量%の模擬海水とは、NaCl=23.926g/l,Na2SO4=4.006g/l,KCl=0.738g/l,NaHCO3=0.196g/l,MgCl2=5.072g/l,CaCl2=1.147g/l,H3BO3=0.0286g/lの組成で調合したものをいう。
また、純水透過係数Lpとホウ素透過係数Pbは、膜面で生じる濃度分極現象を考慮した以下の方法で得ることができる。たとえば、平膜で測定する場合は、参考文献2(M. タニグチ(M.Taniguchi)らによるジャーナル・オブ・メンブレン・サイエンス,第183巻,2000年,p259−267)などに示される平膜セルによって模擬海水の透過流束と阻止性能を測定し、以下の式によってLp,Pbを算出する。
Jv=Lp(ΔP−Δπ)
Js=P(Cm−Cp)
Jsb=Pb(Cmb−Cpb)
Δπ=π(Cm)−π(Cp)
(Cm−Cp)/(Cf−Cp)=exp(Jv/k)
(Cmb−Cp)/(Cfb−Cpb)=exp(Jv/kb)
Jv :純水透過流束[m3/m2・s]
Js :TDS透過流束[kg/m2・s]
Jsb :ホウ素透過流束[kg/m2・s]
Lp :純水透過係数[m3/m2・Pa・s]
P :TDS透過係数[m/s]
Pb :ホウ素透過係数[m/s]
π( ):TDS浸透圧[Pa]
Δπ :浸透圧差[Pa]
ΔP :操作圧力差[Pa]
Cm :TDS原水膜面濃度[kg/m3]
Cf :TDS原水バルク濃度[kg/m3]
Cp :TDS透過水濃度「kg/m3」
Cmb :ホウ素原水膜面濃度[kg/m3]
Cfb :ホウ素原水バルク濃度[kg/m3]
Cpb :ホウ素透過水濃度「kg/m3]
k :TDS物質移動係数[m/s]
kb :ホウ素物質移動係数[m/s]。
Js=P(Cm−Cp)
Jsb=Pb(Cmb−Cpb)
Δπ=π(Cm)−π(Cp)
(Cm−Cp)/(Cf−Cp)=exp(Jv/k)
(Cmb−Cp)/(Cfb−Cpb)=exp(Jv/kb)
Jv :純水透過流束[m3/m2・s]
Js :TDS透過流束[kg/m2・s]
Jsb :ホウ素透過流束[kg/m2・s]
Lp :純水透過係数[m3/m2・Pa・s]
P :TDS透過係数[m/s]
Pb :ホウ素透過係数[m/s]
π( ):TDS浸透圧[Pa]
Δπ :浸透圧差[Pa]
ΔP :操作圧力差[Pa]
Cm :TDS原水膜面濃度[kg/m3]
Cf :TDS原水バルク濃度[kg/m3]
Cp :TDS透過水濃度「kg/m3」
Cmb :ホウ素原水膜面濃度[kg/m3]
Cfb :ホウ素原水バルク濃度[kg/m3]
Cpb :ホウ素透過水濃度「kg/m3]
k :TDS物質移動係数[m/s]
kb :ホウ素物質移動係数[m/s]。
ここで、浸透圧πは、参考文献(M. タニグチ(M.Taniguchi)らによるAIChE ジャーナル,第46巻,2000年,p1967−1973)に示されるいわゆる「三宅の式」によって知ることができる。TDS物質移動係数kは、評価セルによって決められる値であるが、参考文献2に示されている浸透圧法もしくは流速変化法によって膜面流量Q[m3/s]もしくは膜面流速u[m/s]の関数として得ることができる。
参考文献2に示されている平膜セルの場合、
k=1.63×10−3・Q0.4053
である。つづいて、ホウ素の物質移動係数kbであるが、これも同文献に示されるように、
k/kb=(D/Db)0.75
D :TDS拡散係数[m2/s]
Db:ホウ素拡散係数[m2/s]
から算出することができる。
k=1.63×10−3・Q0.4053
である。つづいて、ホウ素の物質移動係数kbであるが、これも同文献に示されるように、
k/kb=(D/Db)0.75
D :TDS拡散係数[m2/s]
Db:ホウ素拡散係数[m2/s]
から算出することができる。
したがって、上記の式から未知数Lp,P,Pb,Cm,Cmbを算出することができる。膜エレメントの場合は、参考文献3に示されているように、膜エレメントの長さ方向に積分しながらLp,Pをフィッティングによって算出することができる。
本発明における第一の半透膜として適したこのような高いホウ素阻止性能を得られる複合半透膜を得るためには、たとえば、内部や表面に脂肪族アシル基を存在させる方法を挙げることができ、たとえば実質的に分離性能を有さない微多孔性支持膜上に実質的にイオン等の分離性能を有する分離機能層を設け、その分離機能層の内部および/または表面に脂肪族アシル基を存在せしめる。脂肪族アシル基は結合によって分離機能層中もしくは分離機能層表面に存在していればよい。
脂肪族アシル基を分離機能層に存在させる方法は特に限定されるものではなく、たとえば、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との界面重縮合により形成された分離機能層の表面に脂肪族酸ハロゲン化物溶液を接触させたり、多官能アミンと多官能芳香族酸ハロゲン化物との界面重縮合の際に脂肪族酸ハロゲン化物を共存させることで、分離機能層中に共有結合によって存在せしめればよい。
すなわち、微多孔性支持膜上にポリアミド分離機能層を形成するにあたり、そのポリアミド分離機能層を、多官能アミン水溶液と、多官能酸ハロゲン化物の有機溶媒溶液と、これとは異なる炭素数が1〜4の範囲内の脂肪族酸ハロゲン化物の有機溶媒溶液とを微多孔性支持膜上で接触させ界面重縮合させることでなるものとしたり、ポリアミド分離機能層を、多官能アミン水溶液と、多官能酸ハロゲン化物およびこれとは異なる炭素数が1〜4の範囲内の脂肪族酸ハロゲン化物を含有する有機溶媒溶液とを微多孔性支持膜上で接触させ界面重縮合させてなるものとすればよい。
その場合、本発明において用いられる脂肪族酸ハロゲン化物は、通常炭素数1〜4を有するが、好ましくは炭素数2〜4である。炭素数が多くなるに従って、立体障害によって脂肪族酸ハロゲン化物の反応性が低下したり、多官能酸ハロゲン化物の反応点への接近が困難になり円滑な膜形成が妨げられたりするため、膜の性能が低下する。
かかる脂肪族酸ハロゲン化物としては、メタンスルホニルクロリド、アセチルクロリド、プロピオニルクロリド、ブチリルクロリド、オキサリルクロリド、マロン酸ジクロリド、コハク酸ジクロリド、マレイン酸ジクロリド、フマル酸ジクロリド、クロロスルホニルアセチルクロリド、N,N−ジメチルアミノカルボニルクロリドなどが挙げられる。これらは単独でも2種以上を同時に使用しても良いが、膜を緻密構造にでき、かつ、透水性をあまり低下させないバランスのとれたものとしてオキサリルクロリドを主成分とすることが好ましい。
そして、微多孔性支持膜を含む支持体は、実質的には分離性能を有さない層であり、実質的に分離性能を有する架橋ポリアミドの分離機能層に機械的強度を与えるために設けられるもので、布帛や不織布などの基材上に微多孔性支持膜を形成したものなどが用いられる。
また、半透膜に使用される支持体としては、布帛により強化されたポリスルホン微多孔性支持膜を例示することができる。微多孔性支持膜は、実質的には分離性能を有さない層で、実質的に分離性能を有する機能層に機械的強度を与えるために用いられるものであり、均一で微細な孔あるいは片面からもう一方の面まで徐々に大きな微細な孔をもっていて、その微細孔の大きさはその片面の表面が100nm以下であるような構造の支持膜が好ましい。上記の微多孔性支持膜は、ミリポア社製”ミリポアフィルターVSWP”(商品名)や、東洋濾紙社製”ウルトラフィルターUK10”(商品名)のような各種市販材料から選択することもできるが、通常は、”オフィス・オブ・セイリーン・ウォーター・リサーチ・アンド・ディベロップメント・プログレス・レポート”No.359(1968)に記載された方法に従って製造できる。その素材にはポリスルホン、ポリアミド、ポリエステル、酢酸セルロース、硝酸セルロースやポリ塩化ビニル等のホモポリマーあるいはブレンドしたものが通常使用されるが、化学的、機械的、熱的に安定性の高い、ポリスルホンを使用するのが好ましい。例えば、上記ポリスルホンのジメチルホルムアミド(DMF)溶液を密に織ったポリエステル布あるいは不織布の上に一定の厚さに注型し、それをドデシル硫酸ソーダ0.5重量%およびDMF2重量%を含む水溶液中で湿式凝固させることによって、表面の大部分が直径数10nm以下の微細な孔を有した微多孔性支持膜が得られる。微多孔性支持膜の素材としては、ポリスルホン以外にポリアミドやポリエステルも好ましく用いられる。
本発明はさらに図2〜図4に示すような装置で変更実施することができる。ただし、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
図2は、エネルギー回収手段9によって回収されるエネルギーを供給水の昇圧ポンプのエネルギーに活用した装置の例を示すもので、図1におけるエネルギー回収手段9と昇圧ポンプ11とが一体化している。この構成により、第一の半透膜ユニット5の透過水を無動力で昇圧して第二の半透膜ユニット12に供給することが可能となり、回収エネルギーを余らせることなく活用できる。なお、その他のフローについては、図1の装置と同じである。また、図示していないが、本発明においては最終段の半透膜ユニットの濃縮水の圧力エネルギーも大きいため、このエネルギーも回収して再使用することが好ましい。
図3は、第二の半透膜ユニットを2バンク構成にして第二の半透膜ユニット第一バンク12の後段にその濃縮水(第一バンク濃縮水16)を処理する第二の半透膜ユニット第二バンク21を設けたものである。ここでは、第一バンクの半透膜と第二バンクの構成を変えることで、より高濃度になった第二バンクでの処理を効率的に実施することが可能となる。しかし、このような構成であっても、第二の半透膜ユニットへの供給水のpHが9.5以上で回収率90%(すなわち、濃縮倍率は約10倍)以上であると、局所的なスケール析出が生じやすくなるため、第二の半透膜ユニットでは回収率を90%以下にすることが好ましい。さらに確実にスケール析出を防止する観点からは、第二の半透膜ユニットの回収率を85%以下にすることが好ましい。これによって、本装置の全体の回収率は、30〜40%とすることができる。なお、図3のその他のフローについては、図1の装置と同じである。
図4は、第一の半透膜ユニット5の透過水6に背圧バルブ24を設けたものである。回収率は、基本的には濃縮水バルブやポンプ圧力の制御により調整することが一般的であるが、このように構成することで、高圧ポンプ4の出力を変えずに第一の半透膜5に作用する圧力を調節することができる。さらに、第二半透膜ユニットや第三の半透膜ユニットの透過水に背圧をかけることも好ましい。なお、図4のその他のフローについては、図1の装置と同じである。
透過水及び供給水中の総塩濃度は、各液の電気伝導度を電気伝導度計(横川電機製SC82)によって測定し、あらかじめ模擬海水で測定した模擬海水濃度と電気伝導度との関係式から求めた。また、供給水や透過水中のホウ素濃度および陽イオン(Na+,K+,Ca2+,Mg2+)濃度の測定はICP発光分析装置(日立製作所製P−4010)で行い、陰イオン(Cl−,SO4 2−)の濃度はイオンクロマトグラフ(日本ダイオネクス製DX−210)で測定した。またpH測定は横川電機製PH82を用いて測定した。
実施例において使用した繊維補強ポリスルホン支持体(限外濾過膜)は、以下の手法により製造した。
タテ30cmヨコ20cmの大きさのポリエステル繊維からなる湿式不織布(単繊維度0.5および1.5デシテックスの混繊、通気度0.7cm3/cm2・s、平均孔径7μm以下)をガラス板上に固定し、その上にポリスルホン(ユニオン・カーバイト社製のUdel(登録商標)−P3500)の15重量%ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を200μmの厚みで室温(20℃)でキャストし、ただちに純水中に室温で浸漬して5分間放置することによって繊維補強ポリスルホン支持体(以下FR−PS支持体と略す)を作製した。得られたFR−PS支持体(厚さ210〜215μm)の透過流束は、圧力0.1MPa、温度25℃で測定して1.7m3/m2・日であった。
このようにして得られたFR−PS支持体を、m−フェニレンジアミン3.4重量%水溶液中に2分間浸漬し、該支持体を垂直方向にゆっくりと引き上げ、エアーノズルから窒素を吹き付け支持膜表面から余分な水溶液を取り除いた。その後、トリメシン酸クロリド0.15重量%とオキサリルクロリド0.030重量%の組成で調製した多官能芳香族酸ハロゲン化物および脂肪族酸ハロゲン化物のn−デカン混合溶液を、表面が完全に濡れるように塗布して1分間静置してから、膜を垂直に1分間保持して液切りした。続いて風乾にてデカン溶媒を蒸発させ、水道水で膜中の残存薬液を流水洗浄した。その後、90℃の熱水で2分間洗浄し、pH7に調整した200mg/l次亜塩素酸ナトリウム水溶液中に2分間浸漬してから、1,000mg/l亜硫酸水素ナトリウム水溶液中に浸漬した。さらに、この膜を95℃の熱水で2分間再洗浄した。
この複合半透膜を、M. タニグチ(M.Taniguchi)らによるジャーナル・オブ・メンブレン・サイエンス(Journal of Membrane Science),第183巻,2000年,p259−267に示される平膜セルを用いて、供給圧力5.5MPa、25℃、pH7.0、全溶質濃度3.5重量%の模擬海水(ホウ素濃度5.0mg/l)を用いて流量3.5l/分で評価したところ、膜透過流束は0.67m3/m2・日、透過水TDS濃度は63ppm、透過水ホウ素濃度は0.28mg/lであった。この複合半透膜の純水透過係数Lp=3.7×10−12m3/m2・Pa・s、ホウ素透過係数Pb=3.7×10−7m/sであり、純水透過係数が大きく、ホウ素透過係数が小さい海水淡水化に適した半透膜となった(この膜をUTC−Aという)。
また、東レ(株)製TM−810膜エレメントに使用されている平膜を同様に評価したところ、膜透過流束は0.71m3/m2・日、透過水TDS濃度は58ppm、透過水ホウ素濃度は0.38mg/lであった。この複合半透膜の純水透過係数Lp=4.0×10−12m3/m2・Pa・s、ホウ素透過係数Pb=5.5×10−7m/sとなり、UTC−Aに比べて、純水透過係数、ホウ素透過係数ともに大きな値を得た。
続いて、得られた膜(UTC−A)を用いて図5に示す膜エレメント(直径10cm、全長1m)を作製した(以下、この膜エレメントをTM−Aという)。
つづいて、図6に示すフローの評価装置(以下、装置Aという)を構成した。
装置Aは、原水タンク33、高圧ポンプ4、第一の半透膜ユニット5、昇圧ポンプ11、第二の半透膜ユニット12、第二の半透膜ユニット(第二バンク)21などから構成され、高圧ポンプ4はインバーターで出力制御され、昇圧ポンプ11の出力は無調節だが、実質的には圧力調節バルブ40で制御される。第一の半透膜ユニット5の透過水6の流量は第一の半透膜ユニット濃縮水バルブ19によって調節することができ、第二の半透膜ユニットの透過水流量は、圧力調節バルブ40と背圧バルブ42によって調節することができるものである。なお、第二の半透膜ユニット21の濃縮水は、バルブ17,18によって還流量を調節できるが、本実施例においては、バルブ17を全開、バルブ18を全閉し、全量を還流した。また、第一の半透膜ユニット5としては、図7に示すように、直径10cm、全長1mの膜エレメントを6本直列に接続したもの2並列、第二の半透膜ユニット(第一バンク)12としては、直径10cm、全長1mの膜エレメントを2本直列に接続したもの2並列、第二の半透膜ユニット(第二バンク)21としては、直径10cm、全長1mの膜エレメントを2本直列に接続したもの1列という構成になっている。
装置Aは、原水タンク33、高圧ポンプ4、第一の半透膜ユニット5、昇圧ポンプ11、第二の半透膜ユニット12、第二の半透膜ユニット(第二バンク)21などから構成され、高圧ポンプ4はインバーターで出力制御され、昇圧ポンプ11の出力は無調節だが、実質的には圧力調節バルブ40で制御される。第一の半透膜ユニット5の透過水6の流量は第一の半透膜ユニット濃縮水バルブ19によって調節することができ、第二の半透膜ユニットの透過水流量は、圧力調節バルブ40と背圧バルブ42によって調節することができるものである。なお、第二の半透膜ユニット21の濃縮水は、バルブ17,18によって還流量を調節できるが、本実施例においては、バルブ17を全開、バルブ18を全閉し、全量を還流した。また、第一の半透膜ユニット5としては、図7に示すように、直径10cm、全長1mの膜エレメントを6本直列に接続したもの2並列、第二の半透膜ユニット(第一バンク)12としては、直径10cm、全長1mの膜エレメントを2本直列に接続したもの2並列、第二の半透膜ユニット(第二バンク)21としては、直径10cm、全長1mの膜エレメントを2本直列に接続したもの1列という構成になっている。
<比較例1>
装置Aを用いて、東レ(株)愛媛工場の近傍の海水を砂ろ過で前処理して濁質分を除去した上で、東レ(株)製SU−820を6本直列接続したユニットを通して濃縮し、37℃に加温、pH8.0に調整した、全溶質濃度4.5重量%の塩水(ホウ素濃度5.4mg/l)を、流量60m3/日、第一の半透膜ユニット用膜エレメントとして東レ(株)製TM−A、第二の半透膜ユニット用膜エレメントとして東レ(株)製SU−710を用い、第一の半透膜ユニットの回収率40%、第二の半透膜ユニットの回収率85%、システム全体の回収率36.2%、第二のアルカリ添加手段10によってNaOH水溶液を添加して第二の半透膜ユニットの供給水のpHを9.0、透過水22の流量21.7m3/日で運転させた。このときの、透過水22のホウ素濃度を測定したところ、0.91mg/lであった。つづいて、塩水温度を37℃から40℃に昇温し、同じ条件で運転したところ、透過水22のホウ素濃度は、1.08mg/lになり、日本国内の飲料水質基準である目標水質1.0mg/lを超過した。その後、図8に示す様に第一の半透膜エレメントと第二の半透膜エレメントの間を栓つきジョイントにして先頭膜エレメントの栓43を取り外すことによって、先頭膜エレメント47の透過水を独立して取り出したところ、先頭膜エレメント47の透過水流量は4.50m3/日であり、前処理が砂ろ過である場合の最大透過水流量のガイドラインである4.7m3/日以下の範囲内であった。
装置Aを用いて、東レ(株)愛媛工場の近傍の海水を砂ろ過で前処理して濁質分を除去した上で、東レ(株)製SU−820を6本直列接続したユニットを通して濃縮し、37℃に加温、pH8.0に調整した、全溶質濃度4.5重量%の塩水(ホウ素濃度5.4mg/l)を、流量60m3/日、第一の半透膜ユニット用膜エレメントとして東レ(株)製TM−A、第二の半透膜ユニット用膜エレメントとして東レ(株)製SU−710を用い、第一の半透膜ユニットの回収率40%、第二の半透膜ユニットの回収率85%、システム全体の回収率36.2%、第二のアルカリ添加手段10によってNaOH水溶液を添加して第二の半透膜ユニットの供給水のpHを9.0、透過水22の流量21.7m3/日で運転させた。このときの、透過水22のホウ素濃度を測定したところ、0.91mg/lであった。つづいて、塩水温度を37℃から40℃に昇温し、同じ条件で運転したところ、透過水22のホウ素濃度は、1.08mg/lになり、日本国内の飲料水質基準である目標水質1.0mg/lを超過した。その後、図8に示す様に第一の半透膜エレメントと第二の半透膜エレメントの間を栓つきジョイントにして先頭膜エレメントの栓43を取り外すことによって、先頭膜エレメント47の透過水を独立して取り出したところ、先頭膜エレメント47の透過水流量は4.50m3/日であり、前処理が砂ろ過である場合の最大透過水流量のガイドラインである4.7m3/日以下の範囲内であった。
<実施例1>
第一の半透膜ユニットの回収率40%、第二の半透膜ユニットの回収率85%、システム全体の回収率36.2%、塩水温度37℃、透過水22の流量21.7m3/日の比較例1と同じ構成、同じ条件で運転させた後、塩水温度を40℃に昇温すると同時に、第一の半透膜ユニットの回収率を41%に上げるとともに、第二の半透膜ユニットの回収率を下げて、システム全体の回収率が変化しないようにした結果、透過水22のホウ素濃度は0.97mg/lになり、目標水質1.0mg/l以下を満足した。つづいて、比較例1と同じように先頭膜エレメント47の透過水流量を測定したところ、4.66m3/日であり、前処理が砂ろ過である場合の最大透過水流量のガイドラインの範囲内であった。
第一の半透膜ユニットの回収率40%、第二の半透膜ユニットの回収率85%、システム全体の回収率36.2%、塩水温度37℃、透過水22の流量21.7m3/日の比較例1と同じ構成、同じ条件で運転させた後、塩水温度を40℃に昇温すると同時に、第一の半透膜ユニットの回収率を41%に上げるとともに、第二の半透膜ユニットの回収率を下げて、システム全体の回収率が変化しないようにした結果、透過水22のホウ素濃度は0.97mg/lになり、目標水質1.0mg/l以下を満足した。つづいて、比較例1と同じように先頭膜エレメント47の透過水流量を測定したところ、4.66m3/日であり、前処理が砂ろ過である場合の最大透過水流量のガイドラインの範囲内であった。
<実施例2>
第一の半透膜ユニットの回収率40%、第二の半透膜ユニットの回収率85%、システム全体の回収率36.2%、塩水温度37℃、透過水22の流量21.7m3/日の比較例1と同じ構成、同じ条件で運転させた後、塩水温度を40℃に昇温すると同時に、第一の半透膜ユニットの回収率を42%に上げるとともに、第二の半透膜ユニットの回収率を下げて、システム全体の回収率が変化しないようにした結果、透過水22のホウ素濃度は0.91mg/lになり、目標水質1.0mg/l以下を満足した。つづいて、比較例1と同じように先頭膜エレメント47の透過水流量を測定したところ、4.84m3/日であり、前処理が砂ろ過である場合の最大透過水流量のガイドラインの範囲はやや越えたが、前処理が膜ろ過である場合の最大透過水流量のガイドライン5.2m3/日以下の範囲内であったため、前処理を砂ろ過から膜ろ過に変更すればシステムを安定運転できることが示された。
第一の半透膜ユニットの回収率40%、第二の半透膜ユニットの回収率85%、システム全体の回収率36.2%、塩水温度37℃、透過水22の流量21.7m3/日の比較例1と同じ構成、同じ条件で運転させた後、塩水温度を40℃に昇温すると同時に、第一の半透膜ユニットの回収率を42%に上げるとともに、第二の半透膜ユニットの回収率を下げて、システム全体の回収率が変化しないようにした結果、透過水22のホウ素濃度は0.91mg/lになり、目標水質1.0mg/l以下を満足した。つづいて、比較例1と同じように先頭膜エレメント47の透過水流量を測定したところ、4.84m3/日であり、前処理が砂ろ過である場合の最大透過水流量のガイドラインの範囲はやや越えたが、前処理が膜ろ過である場合の最大透過水流量のガイドライン5.2m3/日以下の範囲内であったため、前処理を砂ろ過から膜ろ過に変更すればシステムを安定運転できることが示された。
<実施例3>
実施例2と同じ構成で、回収率を42%に上げるとともに第二の半透膜ユニットの回収率を下げて、システム全体の回収率が変化しないようにすると同時に、全体の流量を5%減らしたところ、透過水22のホウ素濃度は0.92mg/lになり、目標水質1.0mg/l以下を満足した。また、このときの先頭膜エレメント47の透過水流量は4.60m3/日であり、前処理が砂ろ過である場合の最大透過水流量のガイドライン4.7m3/日以下の範囲内であった。この結果から、大型のシステムで少なくとも第一の半透膜ユニットで、より好ましくは第二の半透膜ユニットでも5%の予備系列を有して高温時に予備系列を稼働させることによってホウ素濃度の目標値を満足させながら、システムを安定に運転できることが示された。
実施例2と同じ構成で、回収率を42%に上げるとともに第二の半透膜ユニットの回収率を下げて、システム全体の回収率が変化しないようにすると同時に、全体の流量を5%減らしたところ、透過水22のホウ素濃度は0.92mg/lになり、目標水質1.0mg/l以下を満足した。また、このときの先頭膜エレメント47の透過水流量は4.60m3/日であり、前処理が砂ろ過である場合の最大透過水流量のガイドライン4.7m3/日以下の範囲内であった。この結果から、大型のシステムで少なくとも第一の半透膜ユニットで、より好ましくは第二の半透膜ユニットでも5%の予備系列を有して高温時に予備系列を稼働させることによってホウ素濃度の目標値を満足させながら、システムを安定に運転できることが示された。
<比較例2>
第一の半透膜ユニットをTM810エレメントで構成した他は、比較例1と同じ構成で、第一の半透膜ユニットの回収率40%、第二の半透膜ユニットの回収率85%、システム全体の回収率36.2%、塩水温度32℃、透過水22の流量21.7m3/日の条件で運転させたところ、透過水22のホウ素濃度は0.96mg/lで
あったが、塩水温度を35℃に昇温したところ、透過水22のホウ素濃度は1.06mg/lに上昇し、目標水質1.0mg/lを超過した。なお、このときの先頭膜エレメントの透過水流量は、4.3m3/日であった。
第一の半透膜ユニットをTM810エレメントで構成した他は、比較例1と同じ構成で、第一の半透膜ユニットの回収率40%、第二の半透膜ユニットの回収率85%、システム全体の回収率36.2%、塩水温度32℃、透過水22の流量21.7m3/日の条件で運転させたところ、透過水22のホウ素濃度は0.96mg/lで
あったが、塩水温度を35℃に昇温したところ、透過水22のホウ素濃度は1.06mg/lに上昇し、目標水質1.0mg/lを超過した。なお、このときの先頭膜エレメントの透過水流量は、4.3m3/日であった。
<実施例4>
塩水温度35℃において、第一の半透膜ユニットの回収率42%、システム全体の回収率が比較例2と同じになるように第二の半透膜ユニットの回収率を下げた他は比較例2と同じ構成、同じ条件で運転させた結果、透過水22のホウ素濃度は、0.91mg/lとなり、目標水質1.0mg/l以下を満足した。このときの先頭膜エレメントの透過水流量は、4.62m3/日であり、前処理が砂ろ過である場合の最大透過水流量のガイドライン4.7m3/日以下の範囲内であった。
塩水温度35℃において、第一の半透膜ユニットの回収率42%、システム全体の回収率が比較例2と同じになるように第二の半透膜ユニットの回収率を下げた他は比較例2と同じ構成、同じ条件で運転させた結果、透過水22のホウ素濃度は、0.91mg/lとなり、目標水質1.0mg/l以下を満足した。このときの先頭膜エレメントの透過水流量は、4.62m3/日であり、前処理が砂ろ過である場合の最大透過水流量のガイドライン4.7m3/日以下の範囲内であった。
<比較例3>
比較例2と同じ構成で、塩水温度32℃、第二の半透膜ユニットのpH9.8とした他は、比較例2と同じ条件で運転させたところ、透過水22のホウ素濃度は、0.46mg/lとなり、WHO水質基準をターゲットにした目標水質0.5mg/l以下であった。つづいて、塩水温度を38℃に上げたところ、透過水22のホウ素濃度は0.73mg/lとなり、WHO目標水質を超過した。そこで、SU−710の連続使用可能上限pH10まで上げて第二の半透膜ユニットのホウ素除去性能を上げたが、透過水22のホウ素濃度は0.55mg/lまでしか下がらず、WHO水質基準をターゲットにした目標水質0.5mg/lを超過した。なお、このときの先頭膜エレメントの透過水流量は、4.51m3/日であった。
比較例2と同じ構成で、塩水温度32℃、第二の半透膜ユニットのpH9.8とした他は、比較例2と同じ条件で運転させたところ、透過水22のホウ素濃度は、0.46mg/lとなり、WHO水質基準をターゲットにした目標水質0.5mg/l以下であった。つづいて、塩水温度を38℃に上げたところ、透過水22のホウ素濃度は0.73mg/lとなり、WHO目標水質を超過した。そこで、SU−710の連続使用可能上限pH10まで上げて第二の半透膜ユニットのホウ素除去性能を上げたが、透過水22のホウ素濃度は0.55mg/lまでしか下がらず、WHO水質基準をターゲットにした目標水質0.5mg/lを超過した。なお、このときの先頭膜エレメントの透過水流量は、4.51m3/日であった。
<実施例5>
塩水温度38℃において、第一の半透膜ユニットの回収率41%、システム全体の回収率が比較例3と同じになるように第二の半透膜ユニットの回収率を下げた他は比較例3と同じ構成、同じ条件で運転させた結果、透過水22のホウ素濃度は、0.48mg/lとなり、WHO目標水質0.5mg/l以下を満足した。このときの先頭膜エレメントの透過水流量は、4.68m3/日であり、前処理が砂ろ過である場合の最大透過水流量のガイドライン4.7m3/日以下の範囲内であった。
塩水温度38℃において、第一の半透膜ユニットの回収率41%、システム全体の回収率が比較例3と同じになるように第二の半透膜ユニットの回収率を下げた他は比較例3と同じ構成、同じ条件で運転させた結果、透過水22のホウ素濃度は、0.48mg/lとなり、WHO目標水質0.5mg/l以下を満足した。このときの先頭膜エレメントの透過水流量は、4.68m3/日であり、前処理が砂ろ過である場合の最大透過水流量のガイドライン4.7m3/日以下の範囲内であった。
1:原水
2:前処理
3:第一のアルカリ添加手段
4:高圧ポンプ
5:第一の半透膜ユニット
6:第二の半透膜ユニット原水
7:中間水タンク
8:第一の半透膜ユニット濃縮水
9:エネルギー回収手段
10:第二のアルカリ添加手段
11:昇圧ポンプ
12:第二の半透膜ユニット
13:第二の半透膜ユニット透過水
14:酸添加手段
15:生産水タンク
16:第二の半透膜ユニット濃縮水
17:第二の半透膜ユニット濃縮水還流バルブ
18:第二の半透膜ユニット濃縮水排水バルブ
19:第一の半透膜ユニット濃縮水バルブ
20:第一の半透膜ユニット透過水バイパスバルブ
21:第二の半透膜ユニット(第二バンク)
22:第二の半透膜ユニット透過水(第二バンク)
23:第二の半透膜ユニット濃縮水(第二バンク)
24:背圧バルブ
25:原水
26:濃縮水
27:透過水
28:シール材
29:中心パイプ
30:半透膜
31:原水流路材
32:透過水流路材
33:原水タンク
34:原水圧力計
35:濃縮水圧力計
36:第一透過水圧力計
37:第二供給水圧力計
38:第二透過水圧力計
39:第二濃縮水圧力計
40:圧力調整バルブ
41:バイパスバルブ
42:透過水背圧バルブ
43:栓
44:耐圧容器
45:膜エレメント
46:栓ジョイント
47:先頭膜エレメント
48:パイプジョイント
49:Oリング
2:前処理
3:第一のアルカリ添加手段
4:高圧ポンプ
5:第一の半透膜ユニット
6:第二の半透膜ユニット原水
7:中間水タンク
8:第一の半透膜ユニット濃縮水
9:エネルギー回収手段
10:第二のアルカリ添加手段
11:昇圧ポンプ
12:第二の半透膜ユニット
13:第二の半透膜ユニット透過水
14:酸添加手段
15:生産水タンク
16:第二の半透膜ユニット濃縮水
17:第二の半透膜ユニット濃縮水還流バルブ
18:第二の半透膜ユニット濃縮水排水バルブ
19:第一の半透膜ユニット濃縮水バルブ
20:第一の半透膜ユニット透過水バイパスバルブ
21:第二の半透膜ユニット(第二バンク)
22:第二の半透膜ユニット透過水(第二バンク)
23:第二の半透膜ユニット濃縮水(第二バンク)
24:背圧バルブ
25:原水
26:濃縮水
27:透過水
28:シール材
29:中心パイプ
30:半透膜
31:原水流路材
32:透過水流路材
33:原水タンク
34:原水圧力計
35:濃縮水圧力計
36:第一透過水圧力計
37:第二供給水圧力計
38:第二透過水圧力計
39:第二濃縮水圧力計
40:圧力調整バルブ
41:バイパスバルブ
42:透過水背圧バルブ
43:栓
44:耐圧容器
45:膜エレメント
46:栓ジョイント
47:先頭膜エレメント
48:パイプジョイント
49:Oリング
本発明の淡水製造装置の運転方法は、膜エレメントの性能を十分に引き出し、高い水質、とくに高度にホウ素を除去した淡水の製造を可能にする。
Claims (9)
- 原水を第一の半透膜ユニットで前処理し、その第一の半透膜ユニットによる透過水を第二の半透膜ユニットで処理して淡水を得る淡水製造装置の運転方法において、第一もしくは第二の半透膜ユニットの原水,透過水,濃縮水のうち少なくとも一つの温度,または第二の半透膜ユニットの透過水の特定成分濃度の少なくとも一方が予め定められた値を上回った場合に前記第一の半透膜ユニットの回収率を上げて、第二の半透膜ユニットの回収率を下げることを特徴とする淡水製造装置の運転方法。
- 前記原水の流量に対する第二の半透膜ユニットの透過水の流量の割合を実質的に一定に維持することを特徴とする請求項1に記載の淡水製造装置の運転方法。
- pHによって除去率が変化する成分を含有する水を第一の半透膜ユニットで処理し、その第一の半透膜ユニットによる透過水を第二の半透膜ユニットで処理して淡水を得る淡水製造装置の運転方法において、第二の半透膜ユニットの処理水濃度が予め定められた値以下になるように第二の半透膜ユニットpHを制御するとともに、第二の半透膜ユニットpHが予め定められた範囲の限界に達した場合に前記第一の半透膜ユニットの回収率を上げて、第二の半透膜ユニットの回収率を下げることを特徴とする淡水製造装置の運転方法。
- 前記特定成分がホウ素,炭酸,硝酸のいずれかであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の淡水製造装置の運転方法。
- 前記第二の半透膜ユニットの濃縮水の少なくとも一部を第一の半透膜ユニットの原水に混合させることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の淡水製造装置の運転方法。
- 前記原水のTDS濃度が3重量%以上であって、前記原水の量に対する第二の半透膜ユニットの透過水の量の割合が30〜45%の範囲内である、請求項1〜5のいずれかに記載の淡水製造方法。
- 前記第一の半透膜ユニットの回収率を上げるに際し、前記第一の半透膜ユニットの膜面積あたりの透過水量が予め定められた値を超えないように第一の半透膜ユニットの運転系列数を増やすことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の淡水製造装置の運転方法。
- 前記第一の半透膜ユニットの回収率を上げるに際し、前記第二の半透膜ユニットの原水流量が予め定められた値を超えないように第二の半透膜ユニットの運転系列数を増やすことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の淡水製造装置の運転方法。
- 第一の半透膜ユニットを構成するモジュール中の半透膜は、総塩濃度3.5重量%、pH7.0、温度25℃の模擬海水を圧力5.5MPaで透過させた場合の純水透過係数が3.0×10−12m3/m2・Pa・s以上で、かつホウ素透過係数が400×10−9m/s以下である、請求項4に記載の淡水製造装置。
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