JP2005270710A - 液体処理装置および液体処理方法 - Google Patents

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雅英 谷口
Wataru Sugiura
亘 杉浦
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Abstract

【課題】安全かつ効率的に運転できる半透膜を用いた液体処理装置および液体処理方法を提供する。
【解決手段】
供給液を半透膜で処理することによって溶質濃度を低減した透過液と溶質濃度が増加した濃縮液を得る際に、半透膜と、該半透膜の上流側に設けられた供給液流量制御手段と、該半透膜の透過液側に設けられた透過液圧力制御手段と、該半透膜の濃縮液側に設けられた濃縮液流量制御手段とを有する液体処理装置を用い、半透膜の上流側において供給液の流量を制御し、その結果、供給液の圧力が一定の範囲を超えた場合もしくは下回った場合には、半透膜の下流側において透過液側の背圧を制御するとともに供給液の圧力が一定の範囲内となるように供給液の流量を制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、半透膜によって液体から溶質を除去するため、とくに、海水から高い水質の淡水を効率的に得るための液体処理装置および液体処理方法に関するものである。
近年、水資源の枯渇が深刻になりつつあり、これまで利用されてこなかった水資源の活用が検討されつつある。とくに、もっとも身近でそのままでは利用できなかった海水から飲料水を製造する技術、いわゆる"海水淡水化"が注目されてきている。海水淡水化は、従来、水資源が極端に少なく、かつ、石油による熱資源が非常に豊富である中東地域で蒸発法を中心に実用化されてきているが、中東のように熱源が豊富でないその他の地域ではエネルギー効率の高い逆浸透法が採用され、カリブ諸島や地中海エリアなどで多数のプラントが建設され実用運転されている。最近では、逆浸透法の技術進歩による信頼性の向上やコストダウンが進み、中東においても多くの逆浸透法海水淡水化プラントが建設され始めている。とくに、より低いエネルギーコストで効率的に淡水を得るために、濃縮水昇圧二段法と呼ばれる多段逆浸透法プロセス(特許文献1)やナノ濾過膜による前処理を併用したインテグレーテッドシステム(特許文献2)が提案されてきている。また、周辺技術においても、供給液の昇圧ポンプの効率向上や濃縮水圧力エネルギー回収などエネルギー効率の向上が進められてきている。この中で、濃縮圧力エネルギーの回収に対しては、一般的には、エネルギー回収タービンを用いて圧力エネルギーを電気エネルギーに変換・回収する方法が用いられるが、前述の濃縮水昇圧二段法で適用されるように濃縮水の圧力エネルギーを他の液体の昇圧に使用する方法も採ることができる。
一方、圧力エネルギーを発生させる供給液昇圧ポンプの出力は、運転する環境、すなわち、必要処理液量や温度によって制御する必要があり、そのためには、インバーターによって昇圧ポンプの回転数を制御する方法を採ることができる。この方法は、フレキシブルで確実な流量制御ができるメリットがある反面、インバーターの変換ロスがあったり、装置コストアップ、電波障害対策を要するといった問題点を有しており、とくに、淡水化プラントのような大規模設備に対してはあまり実用的ではない。
かわって、昇圧ポンプによる供給液の流量を制御するもっとも簡便な方法として、昇圧ポンプの吐出部分に流量制御バルブを設け出力を抑える方法があげられる。この方法は、エネルギーロスをさけられない代わりに装置コストを低く抑えられるというメリットを有している。しかし、運転状況によって、たとえば、夏季と冬季では、液の粘度変化や半透膜の透過性変化によって半透膜の透過性能が大きく変化するため、夏季では、流量を抑えるために、流量制御バルブを大きく絞る必要があり、その結果、半透膜への供給液の圧力が低下する。すなわち、供給液のエネルギーロスが増大することを意味している。そして、半透膜への供給液の圧力が低下するということは、濃縮水圧力が低下し、濃縮水の圧力エネルギー回収も低下することを意味している。
そこで、この問題を低減させる方法として透過水の圧力を高める、すなわち背圧をかける方法(特許文献3)を採用することができる。これによって半透膜への供給液の圧力は変えずに供給液の流量を低減させることができる。この方法は、濃縮液の圧力エネルギー回収率を高めることができるため原理的には優れた方法といえるが、透過液のラインで流量制御をする必要があるため、連続的に運転・制御を続けていると長期にわたる制御のトラブル・ばらつきなどから瞬間的に過剰に流量を絞ってしまい、透過液ラインの圧力が急上昇する危険性がある。しかしながら、透過液ラインは、半透膜部分からすべてにわたって耐圧性を持たせていない場合が多く、このような場合、最悪のケースとして配管の損傷につながってしまう。透過液ラインにある程度の耐圧性を持たせることも対策としては可能であるが、万一、透過液側のバルブが全閉になってしまった場合、透過液側には供給液と同じ圧力がかかることになるため、やはり損傷の危険がある。結局、供給液と同じ耐圧性を持たせることが必要となるが、コストを考えると現実的ではなく、制御のトラブルに対する十分でかつ実用的な対策とはいえない。
特開平6−246184号公報 特開2000−051663号公報 特開平8−206460号公報
本発明の目的は、上記のような問題点を解決し、安全かつ効率的に運転できる半透膜を用いた液体処理装置および液体処理方法を提供することを目的とするものである。
前記課題を解決するための本発明は、次の(1)〜(10)を特徴とするものである。
(1)供給液を半透膜で処理することによって溶質濃度を低減した透過液と溶質濃度が増加した濃縮液を得るための液体処理装置であって、半透膜と、該半透膜の上流側に設けられた供給液流量制御手段と、該半透膜の透過液側に設けられた透過液圧力制御手段と、該半透膜の濃縮液側に設けられた濃縮液流量制御手段とを有することを特徴とする液体処理装置。
(2)前記供給液流量制御手段が遠心式ポンプを含むものである、上記(1)に記載の液体処理装置。
(3)濃縮液の圧力エネルギー回収手段を有する、上記(1)または(2)に記載の液体処理装置。
(4)前記透過液圧力制御手段に対してバイパス流路が設けられている、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の液体処理装置。
(5)供給液を半透膜で処理することによって溶質濃度を低減した透過液と溶質濃度が増加した濃縮液を得る際に、半透膜の上流側において供給液の流量を制御し、その結果、供給液の圧力が一定の範囲を超えた場合もしくは下回った場合には、半透膜の下流側において透過液側の背圧を制御するとともに供給液の圧力が一定の範囲内となるように供給液の流量を制御することを特徴とする液体処理方法。
(6)供給液の圧力が流量制御前の供給液圧力の30%以下となるように供給液の流量を制御する、上記(5)に記載の液体処理方法。
(7)透過液側の背圧を段階的に制御する、上記(5)または(6)に記載の液体処理方法。
(8)流量制御前の供給液圧力の50%以下の範囲で透過液側に背圧を負荷する、請求項5〜7のいずれかに記載の液体処理方法。
(9)供給液流量に対する透過液流量の比率を60%以下とする、上記(5)〜(8)のいずれかに記載の液体処理方法。
(10)供給液の流量を自動制御するとともに、透過液側の背圧を手動制御する、上記(5)〜(9)のいずれかに記載の液体処理装置の運転方法。
本発明により、流量制御トラブルによる装置の損傷を防止し、装置コストおよび運転エネルギーコストを低く抑え、低コストに処理液を得ることができる。
本発明の液体処理装置は、たとえば図1に示すように、半透膜を備えた半透膜ユニット6と、半透膜の上流側に設けられた供給液バルブ5などの供給液流量制御手段と、半透膜の透過液側に設けられた透過液バルブ7などの透過液圧力制御手段と、半透膜の濃縮液側に設けられた濃縮液バルブ11などの濃縮液流量制御手段とを有している。
供給液流量制御手段は、供給液流量計3と、供給液流量コントローラー4と、供給液バルブ5などによって構成され、供給液流量計3の測定値をもとに供給液流量コントローラー4によって供給液バルブ5の開度を調整し、半透膜ユニット6への供給液の流量を連続的に自動で制御し、その結果供給液の圧力が制御されるように構成されている。
透過液圧力制御手段は、基本的に透過液バルブ7によって構成され、半透膜ユニット6からの透過液の流量を制御し、その結果圧力を制御するように構成されている。コントローラーによってその開度を制御することもできるが、本発明においては連続的に制御する必要がないので、実質的に手動でその開度を制御することが好ましい。
濃縮液流量制御手段は、透過液流量計8と、濃縮液バルブ11と、濃縮液流量コントローラ13などによって構成され、透過液流量計8の測定値に基づいて濃縮液流量コントローラー13によって濃縮液バルブ11の開度を調整し、半透膜ユニット6からの濃縮液の流量を制御し、その結果、濃縮液の圧力が調整されるように構成されている。
なお、濃縮液流量は、供給液流量から透過液流量を引いた差であるので、供給液流量を供給液バルブ5で制御している状況では、濃縮液と透過液のどちらの流量を測定して濃縮液バルブ11の開度を調整しても差し支えない。
濃縮液流量を直接測定する場合は、図2に示すように、濃縮液流量制御手段を濃縮液ライン10側に設けた濃縮液流量計15と、濃縮液流量コントローラー13と、濃縮液バルブ11などから構成すればよい。この場合、濃縮液流量計15を濃縮液バルブ11やエネルギー回収ユニット12よりも上流側に設けると、濃縮液流量計15に対して透過液流量計8よりも高い耐圧性が要求されるため、濃縮水流量計15は、図2に示すように、濃縮液バルブ11やエネルギー回収ユニット12よりも下流側に設けることが好ましい。
また、濃縮液バルブ11については、実質的にエネルギー回収装置12が抵抗となり、流量をある程度制御することもできるので、エネルギー回収装置の効率を変更させることによって濃縮液バルブ11の代わりとすることもできる。この場合、濃縮液流量コントローラー13によってエネルギー回収ユニット12を制御する図3のような装置とすることができる。
ここで、流量、圧力制御に使用する各バルブは、特に限定されるものではなく、様々なバルブを使用することができる。ただし、半透膜ユニット6の上流側に設けられた供給液バルブ5および濃縮液側に設けられた濃縮液バルブ11は、流量制御を細かく連続的に行う必要があるため、バタフライバルブ、グローブバルブ、ニードルバルブのように流量制御性に優れたバルブを使用することが好ましい。この中でも、大流量で圧力損失が低く抑えられるバタフライバルブが本発明の適用に好ましい。
一方、透過液バルブ7は、バルブを絞ることによって圧力損失を生じさせ、半透膜ユニット6の透過側に背圧をかけることを目的とする。ここに適用されるバルブの種類としても、特に制約されるものではないが、透過液流路14ができるだけ全閉状態にならないようにするために、確実に圧力を制御できるバタフライバルブやグローブバルブが好ましい。透過液流路14が全閉全閉状態になることを防止するために、図4に示すように透過液ライン14に対してバイパスライン17を設けることも可能である。これによって万一の場合にも全閉状態になることを防止することができる。
昇圧ポンプ2は、特に限定されるものではなく、必要とする出力に応じて適宜、選定、使用することができ、遠心式,斜流式,軸流式,ピストン式,プランジャ式,スクリュー式のどれを使用することも差し支えないが、本発明においては、供給液の流量を制御するため、制御の精度の問題などから流量が小さくなったり、万一、締め切り状態になった場合のことを考えると、遠心式がもっとも好ましい。
エネルギー回収ユニット12としては、ペルトンタービン、フランシスタービン,カプランタービンの3種類に分類されるが、半透膜ユニットの運転に供されるような高い圧力で幅広い圧力・流量範囲で高いエネルギー回収効率を維持できるペルトンタービンがもっとも適している。
半透膜ユニット6に用いる半透膜は、海水中のイオンなどをはじめとする溶質を高度に除去できたり、ある特定の粒子・イオンなどを選択的に除去できることができることが望ましく、膜素材としては、酢酸セルロース系ポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ビニルポリマーなどの高分子素材がよく使用されている。またその膜構造は膜の少なくとも片面に緻密層を持ち、緻密層から膜内部あるいはもう片方の面に向けて徐々に大きな孔径の微細孔を有する非対称膜、非対称膜の緻密層の上に別の素材で形成された非常に薄い活性層を有する複合膜がある。この中でもポリアミドを機能層とした複合半透膜は耐圧性と高い透水性、高い溶質除去性能を兼ね備え、優れたポテンシャルを有する半透膜であるので本発明の適用に好ましい。特に、海水から淡水を得るためには半透膜ユニット6に浸透圧以上の圧力をかける必要があり、実質的には少なくとも5MPaの操作圧力が必要となる。この圧力に対して高い透水性と阻止性能を維持するためには、ポリアミドを機能層とし、それを多孔質膜や不織布からなる支持体で保持する構造のものが適している。
ポリアミド機能層は、たとえば、支持体上で、多官能アミンを含有する水溶液と、多官能酸ハロゲン化物を含有する水と非混和性の有機溶媒溶液とを重縮合反応させて架橋させて形成される。
多官能アミンとしては、一分子中に2個以上のアミノ基を有するアミンを主成分とすることが好ましく、さらに芳香族アミンとしてはメタ位(m−)に2個のアミノ基を有するm−芳香族ジアミン、パラ位(p−)に2個のアミノ基を有するp−芳香族ジアミンならびに脂肪族系アミンおよびその誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種を含んでいることも好ましい。m−芳香族ジアミンとしては、m−フェニレンジアミンが好ましいが、3,5−ジアミノ安息香酸や2,6−ジアミノピリジン等を用いることもできる。p−芳香族ジアミンとしてはp−フェニレンジアミンが好ましいが、2,5−ジアミノベンゼンスルホン酸やp−キシリレンジアミン等を用いることもできる。脂肪族アミンとしては、ピペラジン系アミン及びその誘導体が好ましく、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、2−メチルピペラジン、2,6−ジメチルピペラジン、2,3,5−トリメチルピペラジン、2,5−ジエチルピペラジン、2,3,5−トリエチルピペラジン、2−n−プロピルピペラジン、2,5−ジ−n−ブチルピペラジンなどが例示される。
一方、多官能酸ハロゲン化物としては、一分子中に2個以上のハロゲン化カルボニル基を有する酸ハロゲン化物や多官能酸無水物ハロゲン化物で、上記多官能アミンとの反応により架橋ポリアミドの分離機能層を形成するものであれば特に限定されるものではない。例えば1,3,5-シクロヘキサントリカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3,5-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,3-ベンゼンジカルボン酸、1,4-ベンゼンジカルボン酸の酸ハロゲン化物の混合物などである。中でも、製膜性が良好で、全溶質阻止性能が均質で欠陥やばらつきの少ない膜を得やすい、ジカルボン酸やトリカルボン酸が好ましく、とくに、経済性、取り扱い易さ、反応の容易さ等の点から、1,3,5-ベンゼントリカルボン酸の酸ハロゲン化物であるトリメシン酸クロライドが好ましい。
また、支持体としては、布帛により強化されたポリスルホン微多孔性支持膜を例示することができる。微多孔性支持膜は、実質的には分離性能を有さない層で、実質的に分離性能を有する超薄膜層に機械的強度を与えるために用いられるものであり、均一で微細な孔あるいは片面からもう一方の面まで徐々に大きな微細な孔をもっていて、その微細孔の大きさはその片面の表面が100nm以下であるような構造の支持膜が好ましい。上記の微多孔性支持膜は、ミリポア社製”ミリポアフィルターVSWP”(商品名)や、東洋濾紙社製”ウルトラフィルターUK10”(商品名)のような各種市販材料から選択することもできるが、通常は、”オフィス・オブ・セイリーン・ウォーター・リサーチ・アンド・ディベロップメント・プログレス・レポート”No.359(1968)に記載された方法に従って製造できる。その素材にはポリスルホン、ポリアミド、ポリエステル、酢酸セルロース、硝酸セルロースやポリ塩化ビニル等のホモポリマーあるいはブレンドしたものが通常使用されるが、化学的、機械的、熱的に安定性の高い、ポリスルホンを使用するのが好ましい。例えば、上記ポリスルホンのジメチルホルムアミド(DMF)溶液を密に織ったポリエステル布あるいは不織布の上に一定の厚さに注型し、それをドデシル硫酸ソーダ0.5重量%およびDMF2重量%を含む水溶液中で湿式凝固させることによって、表面の大部分が直径数10nm以下の微細な孔を有した微多孔性支持膜が得られる。微多孔性支持膜の素材としては、ポリスルホン以外にポリアミドやポリエステルも好ましく用いられる。
膜形態は中空糸でも平膜でもよく、取扱いを容易にするため筐体に納めて流体分離素子(エレメント)とすることが出来る。この流体分離素子は、例えば多数の孔を穿設した筒状の集液管の周りに、複合半透膜の平膜とトリコットなどの分離液流路材と、プラスチックネットなどの供給液流路材とを含む膜ユニットを巻回し、これらを円筒状の筐体に納めた構造とするのが好ましい。複数の流体分離素子を直列あるいは並列に接続して分離膜モジュールとすることも好ましい。
次に、本発明の液体処理装置の運転方法を図1に基づいて説明する。
図1に示す液体処理装置において、供給液は、その濁度などに応じてそのままもしくは、フィルターなどで前処理を施した後に供給液ライン1、昇圧ポンプ2を通て半透膜ユニット6に供給される。半透膜ユニット6では溶質が除去され、溶質濃度を低減された透過液が透過液ライン14を通って透過液タンク9に溜められる。一方、溶質濃度が増加した濃縮液は濃縮液ライン10を通って系外に排出されるが、圧力エネルギーを有しているためエネルギー回収ユニット12によってエネルギーを回収することが好ましい。また、半透膜ユニット6に供給される供給液の流量は、供給液流量計3の測定値をもとに供給液流量コントローラー4によって供給液バルブ5の開閉で制御される。透過液側の圧力は、透過液バルブ7によって背圧を制御することができる。濃縮液流量は、透過液流量計8の測定値に基づいて濃縮液流量コントローラー13によって濃縮液バルブ11を開閉することで制御される。
そして、本発明における液体処理装置は、半透膜に一定の圧力を付与して透過液を得る「定圧運転」、もしくは、一定の透過液流量を得る「定流量運転」で運転されることが可能である。定圧運転の場合は、ポンプに対する負荷変動をさけることができるため制御しやすいが、液温や濃度などの条件変化に対して、半透膜における透過流束が変化するため、一定の透過液を得続けることは困難である。とくに、固液分離の場合には、全量ろ過が可能であるが、本発明で用いられる半透膜の場合は、溶液を処理するものであるために濃縮限界が存在し、全量ろ過ができない。すなわち、本発明にかかる図1〜4に示すように濃縮液を系外に排出する必要がある。従って、定圧運転した場合、透過流束が大きいと、濃縮液流量が減少し、過剰に濃縮されてしまう。これは、半透膜からの溶質の透過を促進させ、半透膜の分離性が低下するとともに、膜面への溶質の析出を生じることにもなる。従って、本発明における液体処理装置の運転は、「定流量運転」が好ましい。
「定流量運転」は、理論上たとえば供給液流量を制御することで達成できるが、現実には、供給液および透過液のいずれか一方の流量制御では、本発明の課題が顕在化する。すなわち、たとえば供給液の流量を制御し透過液の流量を制御しない場合は、とくに、夏季に流量を抑えるため流量制御バルブを大きく絞る必要があり、供給液のエネルギーロスが増大し、また、濃縮水の圧力エネルギー回収も低下する。また、透過液側にかかる背圧を高めて透過液流量を制御し供給液の流量を制御しない場合には、透過ラインに高い耐圧性が必要となるとともに、長期連続制御のトラブル・ばらつきなどから瞬間的に過剰に流量を絞ってしまい、透過液ラインの圧力が急上昇する危険性がある。
そこで、本発明では、供給液の流量を制御するとともに透過液側の圧力、背圧を制御することによって、エネルギー回収効率を維持しつつ、透過液の流量を的確に制御・維持する。しかしながら、その場合にも、制御のばらつき・エラーによって完全閉塞すると配管破裂という致命的なトラブルを引き起こしかねない観点から、供給液バルブ5と透過液バルブ7の開度をともに連続的に制御することは、制御の不安定を招く。すなわち、万一、供給液バルブ5の制御に何らかのトラブルが生じた場合に、その影響が透過液バルブ7の制御に影響を及ぼしてしまう。また、透過液バルブ7の制御において、流量によってその開度を連続的に制御することはそれ自体の制御トラブルが生じる危険性をはらむため、好ましくない。
そこで、本発明では、たとえば温度をはじめとする運転状況の変化によって半透膜の透過性が変化した場合、半透膜ユニット6の上流側に設けた供給液流量計3、供給液流量コントローラー4、供給液バルブ5によって供給液の流量を制御し、その結果、供給液の圧力が一定の範囲を超えた場合もしくは下回った場合には、半透膜ユニット6の下流側に設けた透過液バルブ7によって透過液側の背圧を制御するとともに供給液の圧力が一定の範囲内となるように供給液の流量を制御する。これによって、供給液の圧力低下や透過液バルブ7の絞りをできるだけ抑えることができ、本発明の課題であるエネルギーロスを改善し、透過液側の破損のトラブルを防ぐことができる。
そして、本発明の効果より効果的に発揮するためには、透過液バルブ7の開度制御を頻繁に行わず、ある一定圧力間隔で段階的に行うことが好ましい。具体的には、供給液の温度が夏期と冬季で20℃程度変動することを考えると、夏期では冬期に比べて半透膜の透過流束は2倍程度に増加する。すなわち、定流量運転させるためには半透膜にかかる有効圧力を半減させることになる。この有効圧力は、供給液側と透過液側の浸透圧差を操作圧力を差し引いたものであるが、一般には、操作圧力の30〜70%程度が有効圧力となるように運転される。すなわち、夏期の操作圧力は冬期に対して、約10〜30%の変動が生じる。これに鑑み、供給液の圧力は、流量制御前の供給液圧力の30%以下となるように供給液の流量を制御することが好ましい。より好ましくは5〜30%、さらには5〜10%の範囲内が好ましい。こうすることで、1年間の季節変動に対して、2〜12回の設定変更にすることができ、好ましい制御方法である。また、透過液バルブ7による透過側への背圧付与については、高い背圧は配管などの耐圧性を高める必要が生じコストアップとなるため、流量制御前の供給液圧力の50%を上限とすることが好ましい。
そして、エネルギーのかかる半透膜透過液を効率的に得るためには、合わせて濃縮液流量を絞ることが好ましい。濃縮液流量は、たとえば透過液流量計8の測定値に基づいて濃縮液流量コントローラー13によって濃縮液バルブ11を開閉することで制御できる。
本発明によって処理される供給液は、河川水,湖水,地下水,海水など特に制限されるものではなく、また、供給液の水質によって必要に応じて、濁質成分の除去や殺菌などの前処理を施しておくことが好ましい。これらの処理により半透膜の汚染や劣化などによる性能低下を防ぐことができ、処理装置の長期に渡る安定運転を可能にする。具体的な前処理の手法としては、原水の性状により適宜選択すればよい。
濁質を除去する必要がある場合は、砂濾過や精密濾過膜、限外濾過膜の適用が効果的である。このときバクテリアや藻類などの微生物が多い場合は、殺菌剤を添加することが好ましい。殺菌には塩素を用いることが好ましく、たとえば塩素ガスや次亜塩素酸ナトリウムを遊離塩素として1〜5mg/lの範囲内となるように供給液に添加するとよい。この場合、なるべく供給水の流れる方向に関して上流側で添加することが好ましく、塩素濃度が高いと半透膜を劣化させるため、半透膜ユニット6の供給液入口側近傍にて残留塩素濃度を測定し、この測定値に基づいて塩素ガスや次亜塩素酸ナトリウムの添加量を制御したり、亜硫酸水素ナトリウムなどの還元剤を添加したりするとよい。
また、濁質以外にバクテリアやタンパク質、天然有機成分などを含有する場合は、ポリ塩化アルミニウム、硫酸バンド、塩化鉄(III)などの凝集剤を加えることも効果的である。凝集させた供給水は、その後に斜向板などで沈降させた上で砂ろ過を行ったり、複数本の中空糸膜を束ねた精密ろ過膜や限外ろ過膜によるろ過を行うことによって後段の半透膜を通過させるのに適した供給水とすることができる。とくに、凝集剤の添加にあたっては、凝集しやすいようにpHを調整することが好ましく、一般的にはpH5以上8未満、好ましくは、pH7以下である。
一方、海水に溶解性の有機物が多く含まれている場合は、塩素ガスや次亜塩素酸ナトリウムの添加によってもそれら有機物を分解することはできるが活性炭ろ過を行うことによっても除去が可能である。また、溶解性の無機物が多く含まれている場合は、有機系高分子電解質やヘキサメタ燐酸ソーダなどのキレート剤を添加したり、イオン交換樹脂などを用いて溶解性イオンと交換したりするとよい。また、鉄やマンガンが可溶な状態で存在しているときは、ばっ気酸化ろ過法や接触酸化ろ過法などを用いることが好ましい。
また、半透膜による液体分離においては、回収率(供給液量に対する透過液量の割合)をできるだけ高めることが望ましいが、回収率を高くするほど供給液は高度に濃縮され、膜面浸透圧が高くなるため、エネルギーロスが大きくなるとともに、濃縮限界による溶質の析出が生じてしまう。たとえば、海水の場合、回収率は海水の温度や濃度にもよるが、一般的に30〜60%程度であり、エネルギー効率などを考えると、40%程度が好んで適用されている。すなわち、この場合、濃縮水は60%がエネルギー回収の対象になる。
一方、河川水のように濃度が低い場合は、浸透圧が小さいこともあり、操作圧力が小さく、また、回収率が高いため、エネルギー回収の対象となる濃縮水が少ない。従って、本発明の適用にあたっては、河川水よりも海水、さらには、中東,地中海のような高濃度海水を供給液とする場合に対して特に効果が大きく、適用に好ましい。
(実施例1)
東レ(株)製半透膜エレメントTM−810(直径10cm、全長1m)を6本直列にした半透膜ユニット6を含む図5に示す構成の液体処理装置を用い、全溶質濃度3.5重量%の海水を砂ろ過処理した供給液を、供給液流量50m3/日、回収率40%で処理した。なお、図5の装置は、エネルギー回収ユニット12を設けなかった以外は上述の図2の装置と同様の構成のものである。
運転初期の供給液温度は8℃であり、そのときの昇圧ポンプ2による供給液圧力は、8.2MPaであった。そして、徐々に供給液温度を上げつつも、同時に供給液バルブ5で半透膜ユニット6に供給される供給液流量を一定に保ちながら定流量運転を行い、供給液圧力が0.5MPa低下する度に透過液バルブ7を絞ることによって透過液側の背圧を上げるという制御を行った。このときの温度変化に対する供給液と透過液の圧力変化を図6に示す。
温度27℃での圧力は、供給液が7.9MPa、透過液が2.0MPaであり、このときの濃縮液の回収エネルギーを、回収効率90%として濃縮液バルブ11の圧力損失から見積もると、2.46kWであった。
(比較例1)
透過液バルブ7を設けず、流量制御を供給液バルブ5のみで行うようにした以外は、実施例1と同様の運転を実施した。このときの供給液の圧力変化を図6に示す。温度27℃での圧力は、供給液が5.9MPa、透過液が0.0MPaであり、このときの濃縮液の回収エネルギーを、回収効率90%として濃縮液バルブ11の圧力損失から見積もると、1.84kWであった。
本発明に係る液体処理装置の一実施形態を示す概略フロー図である。 本発明に係る液体処理装置の一実施形態を示す概略フロー図である。。 本発明に係る液体処理装置の一実施形態を示す概略フロー図である。 本発明に係る液体処理装置の一実施形態を示す概略フロー図である。 実施例で使用した本発明に係る液体処理装置の概略フロー図である。 実施例と比較例における圧力変化の温度依存性を示すグラフである。
符号の説明
1:供給液ライン
2:昇圧ポンプ
3:供給液流量計
4:供給液流量コントローラー
5:供給液バルブ
6:半透膜ユニット
7:透過液バルブ
8:透過液流量計
9:透過液タンク
10:濃縮液ライン
11:濃縮液バルブ
12:エネルギー回収ユニット
13:濃縮液流量コントローラー
14:透過液ライン
15:透過液バイパスライン
16:透過液流量コントローラー
本発明の液体処理装置は、季節変動に対しても精度良く、低いエネルギーコストで淡水製造することが可能である。

Claims (10)

  1. 供給液を半透膜で処理することによって溶質濃度を低減した透過液と溶質濃度が増加した濃縮液を得るための液体処理装置であって、半透膜と、該半透膜の上流側に設けられた供給液流量制御手段と、該半透膜の透過液側に設けられた透過液圧力制御手段と、該半透膜の濃縮液側に設けられた濃縮液流量制御手段とを有することを特徴とする液体処理装置。
  2. 前記供給液流量制御手段が遠心式ポンプを含むものである、請求項1に記載の液体処理装置。
  3. 濃縮液の圧力エネルギー回収手段を有する、請求項1または2に記載の液体処理装置。
  4. 前記透過液圧力制御手段に対してバイパス流路が設けられている、請求項1〜3のいずれかに記載の液体処理装置。
  5. 供給液を半透膜で処理することによって溶質濃度を低減した透過液と溶質濃度が増加した濃縮液を得る際に、半透膜の上流側において供給液の流量を制御し、その結果、供給液の圧力が一定の範囲を超えた場合もしくは下回った場合には、半透膜の下流側において透過液側の背圧を制御するとともに供給液の圧力が一定の範囲内となるように供給液の流量を制御することを特徴とする液体処理方法。
  6. 供給液の圧力が流量制御前の供給液圧力の30%以下となるように供給液の流量を制御する、請求項5に記載の液体処理方法。
  7. 透過液側の背圧を段階的に制御する、請求項5または6に記載の液体処理方法。
  8. 流量制御前の供給液圧力の50%以下の範囲で透過液側に背圧を負荷する、請求項5〜7のいずれかに記載の液体処理方法。
  9. 供給液流量に対する透過液流量の比率を60%以下とする、請求項5〜8のいずれかに記載の液体処理方法。
  10. 供給液の流量を自動制御するとともに、透過液側の背圧を手動制御する、請求項5〜9のいずれかに記載の液体処理装置の運転方法。
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