JP2005034723A - 逆浸透膜の改質方法及び再生分離膜 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】逆浸透膜モジュール8の塩類阻止率が基準値を下回っていると判定した時、改質水用タンク28から改質水22を逆浸透膜モジュール8に送水して、逆浸透膜のスキン層の一部または全部を改質水22によって破壊し、逆浸透膜モジュール8のろ過精度を所定のレベルにまで引き下げる。その後に逆浸透膜モジュール8を取り外し、得られたろ過精度に合致した分離膜として再利用する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種の造水設備に用いられる逆浸透膜の改質方法に係り、特に、ろ過能力が低下した逆浸透膜を再利用することができるように改質する逆浸透膜の改質方法及びこの方法を用いて再生した再生分離膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、脱塩用逆浸透膜を利用した造水設備は増加傾向にあり、海水淡水化設備、超純水製造設備、電力用の用水設備など様々な分野で普及している。中でも、海水淡水化設備は無尽蔵の海水を淡水化して飲料水を造る設備であり、季節的な水不足や緊急時の飲料水確保に対応する観点からも、飲料水供給の安定化を図るプラントとして注目を集めている。また、地球規模で環境保全が問題となっている今日、河川水・地下水の処理や、下水・廃水の再利用に対する意識は高まっており、水処理の分野では活発な研究、開発が行われている。
【0003】
ここで、海水淡水化設備の従来例について、図5〜図7を参照して説明する。なお、図5は従来から用いられている海水淡水化設備のシステムフロー図、図6はこの設備に組み込まれた逆浸透膜モジュールの斜視図、図7は逆浸透膜の構成を示す断面図である。
【0004】
(全体構成)
図5に示すように、従来の海水淡水化設備1には、海水3を汲み上げる給水ポンプ2が配置されており、これに二層ろ過器4、50ミクロンの安全フィルタ5、及び5ミクロンの安全フィルタ6が順次接続されている。また、安全フィルタ6からは2系統のラインが引き出され、それぞれに高圧ポンプ7を介して逆浸透膜モジュール8が取り付けられている。そして、逆浸透膜モジュール8からは透過水である清水20と、濃縮水21が取り出されるようになっており、清水20は清水置換槽9に送られ、濃縮水21は海水淡水化設備1の外部に排出されるようになっている。また、清水置換槽9に貯えられた清水20は、ミネラル槽10を介して、真水(飲料水)として取り出されるようになっている。
【0005】
このような構成を有する海水淡水化設備1では、以下に述べるような取水・前処理工程、造水工程、後処理・送水工程というプロセスが実施される。まず取水・前処理工程では、給水ポンプ2が海水3を汲み上げ、塩素などを添加しつつ二層ろ過器4、50ミクロンの安全フィルタ5、5ミクロンの安全フィルタ6にて海水中の懸濁物質を取り除く。
【0006】
続いて、造水工程では、高圧ポンプ7で昇圧した海水を逆浸透膜モジュール8に供給し、逆浸透膜モジュール8が塩分などのイオンを始めとして、有機物、コロイド細菌、雑菌を取り除いて、清水置換槽9に送水する。また、後処理・送水工程では、清水置換槽9から清水20をミネラル槽10に送ってミネラル分を加え、さらに次亜塩素酸ソーダを加えて真水(飲料水)とする。
【0007】
(逆浸透膜モジュール)
上記のような海水淡水化設備1等の造水設備において、最も重要な役割を果たすのが逆浸透膜モジュール8である。この逆浸透膜モジュール8は、図6に示すようにスパイラル型のエレメントからなり、流路材11を逆浸透膜12で包み、この逆浸透膜12の間にメッシュスペーサ13を挟みながら中心パイプ14に複数枚巻いて円筒状に構成したものである。なお、逆浸透膜モジュール8の両端部にはプラインシールが設置され、一方が給水口15、他方が排水口16となっている。
【0008】
以上のような逆浸透膜モジュール8において、給水口15側から上記のような前処理を施した海水を高圧で供給すると、逆浸透膜12によってコロイド物質やイオン等が分離され、逆浸透膜12を透過した海水は、流路材11を介して中心パイプ14に向かって流れつつ、排水口16に向かって流れて行き、清水20として取り出される。一方、逆浸透膜12によって分離されたコロイド物質やイオン等を高濃度に含む濃縮水21は、排水口16から排水される。
【0009】
(逆浸透膜)
ここで、逆浸透膜12の構成について図7を参照して説明する。逆浸透膜12は支持層17の上にスキン層18と呼ばれる機能膜を生成した合成複合膜から構成されている。この支持層17は、スキン層18を支える密な高分子構造体であり、透水性、物理的安定性、科学的安定性がいずれも良好なものである。しかも、懸濁物質やコロイド物質を分離する程度のフィルタ機能を持っている。
【0010】
一方、スキン層18は塩分などのイオンや低分子までも分離する高い分離機能を有している。つまり、スキン層18が逆浸透膜12に海水を淡水化させる脱塩機能をもたらしている。ただし、スキン層18は、酸化物質に弱いという性質があるため、逆浸透膜12には酸化物質が接触しないような構成がとられている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記スキン層18の分離機能が劣化すると、塩類阻止率が低下する。例えば、海水淡水化においては、この塩類阻止率が、飲料水の塩素イオン濃度、溶解性蒸発残留物の基準を守れなくなるようなレベルよりも低くなると、海水淡水化用の逆浸透膜12としては使用不能となる。このように逆浸透膜12のろ過精度が一旦低下すると、その回復はきわめて困難である。ろ過精度維持のために、膜の殺菌や洗浄といった処理が行われているが、高い分離機能を持つ逆浸透膜にあっては、かえって機能低下を招く要因となるので最低限にとどめることが望ましい。
【0012】
従って現状では、海水淡水化設備1に使用される逆浸透膜モジュール8は、逆浸透膜12が所定の塩類阻止率を下回った時点で廃棄処分となり、新品と交換されるのが一般的である。従来の海水淡水化設備1からは逆浸透膜モジュール8の20%程度が廃棄処理されている。これらの逆浸透膜モジュール8は産業廃棄物として処理されているので、当然ながら廃棄費用が発生する。
【0013】
すなわち、従来の海水淡水化設備1においては、新しいモジュールの購入費用に加えて使用済みモジュールの廃棄費用もかかることになり、ランニングコストが高いことが問題となっていた。このようなコスト高は海水淡水化設備に限らず、逆浸透膜を用いた造水設備に共通の問題点であり、コストの低減が強く求められていた。
【0014】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであり、その目的は、ろ過精度が低下した逆浸透膜を再利用することができるように改質する逆浸透膜の改質方法及び再生分離膜を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、フィルタ構造体からなる支持層の上に、脱塩機能を有するスキン層を形成してなる逆浸透膜の改質方法であって、前記逆浸透膜の脱塩能力が所定の基準以下になった場合に、前記逆浸透膜を酸化処理して、スキン層の一部もしくは全部を除去し、前記支持層のフィルタ構造体を主体とする分離膜に再生することを特徴とするものである。
【0016】
上記の構成を有する請求項1の発明によれば、改質した逆浸透膜を、改質後のろ過性能に合致した造水設備に組み込むことで、逆浸透膜の再利用が可能となる。その結果、脱塩用の膜として使用できなくなった逆浸透膜を廃棄処分にする必要がなくなり、廃棄コストを削減することができる。しかも、再生した分離膜をリサイクル品として確保することもできる。
【0017】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の逆浸透膜の改質方法において、前記逆浸透膜が、カセット状のモジュールに組み込まれていることを特徴とするものである。
上記の構成を有する請求項2の発明によれば、カセット状のモジュールに組み込まれた逆浸透膜においても、請求項1と同様の作用・効果が得られる。
【0018】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の逆浸透膜の改質方法において、前記逆浸透膜を組み込んだモジュールが、脱塩造水設備に組み込まれた状態において、前記モジュールによる塩類阻止率を測定し、この測定値と予め設定された基準値とを比較して、前記逆浸透膜のろ過精度が基準値を満たしているか否かを判定し、基準値を満たしていないと判定した場合には、前記脱塩造水設備による脱塩造水処理を停止し、脱塩造水設備に組み込んだ状態のモジュールに対して酸化剤を供給して酸化処理することを特徴とするものである。
【0019】
上記の構成を有する請求項3の発明によれば、逆浸透膜を組み込んだモジュールが脱塩造水設備に組み込まれた状態で改質処理を行うことができるので、逆浸透膜を改質するための設備を特段必要としない。
【0020】
請求項4に記載の発明は、請求項1、請求項2または請求項3に記載の逆浸透膜の改質方法において、前記酸化処理が、酸化剤の濃度と、酸化剤と逆浸透膜との接触時間に基づいて実施されることを特徴とするものである。
上記の構成を有する請求項4の発明によれば、酸化剤の濃度と、酸化剤と逆浸透膜との接触時間を適宜調整することにより、所望のろ過精度を有する分離膜を再生することができる。
【0021】
請求項5に記載の再生分離膜は、フィルタ構造体からなる支持層の上に脱塩機能を有するスキン層を形成してなる使用済みの脱塩用逆浸透膜を、そのスキン層の一部もしくは全部を除去して、前記支持層のフィルタ構造体を主体とする分離膜としたことを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の再生分離膜において、前記スキン層が、酸化処理によって除去されたものであることを特徴とするものである。
【0022】
上記の構成を有する請求項5又は請求項6の発明によれば、脱塩用の膜としては使用不能となった逆浸透膜を、そのスキン層の一部もしくは全部を除去することにより、分離膜として再生することができる。
【0023】
請求項7に記載の発明は、請求項5または請求項6に記載の再生分離膜において、前記再生分離膜が、脱塩造水設備に組み込むモジュールに組み込まれた脱塩用逆浸透膜のスキン層の一部または全部を除去してなるものであることを特徴とする。
上記の構成を有する請求項7の発明によれば、モジュールに組み込まれた脱塩用逆浸透膜を、そのモジュールが脱塩造水設備に組み込まれた状態で再生処理を施すことができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して具体的に説明する。
(1)第1実施形態
本実施形態は、本発明に係る逆浸透膜の改質方法の基本的な構成を示すものである。
上述したように、逆浸透膜に脱塩機能をもたらしているのは、支持層の上に生成されているスキン層であり、その劣化が逆浸透膜の交換原因となっている。しかし、スキン層が劣化した場合でも、支持層側はフィルタとしての機能を保持しており、支持層だけでも懸濁物質及びコロイド物質を分離することができる。つまり、スキン層の一部が機能しなくなった逆浸透膜は、ろ過精度を引き下げれば、支持層を主体とした分離膜として十分使用することができる。
【0025】
具体的には、海水淡水化を目的とした脱塩用の逆浸透膜の場合、たとえろ過精度が低下したにせよ、ろ過精度の高い順から、分子量数千〜数百までの分子を分離可能な低圧逆浸透膜(NF膜)や、分子量数万〜数千までの分子や固形物を分離可能な限外ろ過膜(UF膜)、直径数ミリまでの固形物を分離可能な精密ろ過膜(MF膜)として十分に利用可能である。ただし、これらの分離膜として用いる場合に、劣化したにせよスキン層を残したままだと、残存したスキン層が目詰まりを起こす原因となり、十分な透過水量を確保することが難しい。
【0026】
そこで、本実施形態の改質方法では、各種の造水設備に用いられている逆浸透膜を監視下に置き、ろ過精度が低下して膜の交換が必要であると判断した時点で逆浸透膜を取り出し、所定の濃度の酸化剤(例えば、塩素、次亜塩素酸、オゾン、第4級アンモニウム塩等)に浸漬する等の方法により、スキン層の一部または全部を破壊する。このような逆浸透膜の改質処理により、逆浸透膜のろ過精度を所望のレベルにまで引き下げつつ、十分な透過水量を確保することができるNF膜、UF膜あるいはMF膜を得ることができる。
【0027】
上述したように、本実施形態によれば、改質した逆浸透膜をそのろ過性能に合致した造水設備に組み込むことで、ろ過精度の高い膜から低い膜へと逆浸透膜の再利用が可能となる。その結果、脱塩用の膜として使用できなくなった逆浸透膜を廃棄処分にする必要がなくなり、廃棄コストを削減することができる。しかも、MF膜などの分離膜をリサイクル品として確保できるため、経済的に有利である。
【0028】
なお、逆浸透膜のろ過精度は、酸化剤の濃度と接触時間、あるいは鉄やマンガンといった触媒の有無によって決めることができる。すなわち、十分に酸化処理を行えば行うほどろ過精度は低くなり、酸化処理を途中の段階でやめれば、高いろ過精度を維持することができる。また、膜のろ過精度は、透水時の膜間差圧や伝導度によって確認することができる。
【0029】
(2)第2実施形態
(2−1)構成
本実施形態は、図5に示した従来の海水淡水化設備1に本発明に係る逆浸透膜の改質方法を適用したものであり、オンサイトで膜の改質を可能としたものである。なお、図1は本実施形態のシステムフロー図、図2は本実施形態のフローチャート、図3は逆浸透膜の改質条件を説明するためのグラフ、図4は分離膜と分離される微粒子との関係を示した説明図であり、従来型として示した図5と同一の構成部材に関しては、同一符号を付して説明は省略する。
【0030】
図1に示すように、各逆浸透膜モジュール8には、その塩類阻止率及びろ過精度を求めることができる測定装置24が取り付けられており、この測定装置24には、判定装置25及び後述するバルブ27の開閉を制御する制御装置26が接続されている。この判定装置25は、測定した塩類阻止率が予め決められた基準値を満たしているか否かを判定するためのものである。なお、この基準値は、逆浸透膜モジュール8が脱塩用の膜として使用できないと判定する塩類阻止率を定めたものである。
【0031】
また、本実施形態においては、塩素や次亜塩素酸ソーダ等の酸化剤を含む改質水22を満たした改質水用タンク28が配設され、バルブ27を介して、前記高圧ポンプ7の上流側に接続されている。そして、判定装置25による判定結果に基づいて、制御装置26によってバルブ27の開度が調節されるように構成されている。すなわち、逆浸透膜を精密ろ過膜(MF膜)として機能させるか、限外ろ過膜(UF膜)として機能させるかによって、バルブ27の開放時間を変更できるようになっている。
【0032】
(2−2)作用
次に、本実施形態における逆浸透膜の改質処理について、図2のフローチャートに従って説明する。まず、測定装置24が、逆浸透膜モジュール8の塩類阻止率を求め、その測定結果を判定装置25に送出する(S11)。次に、判定装置25が、測定された塩類阻止率と予め決められた基準値とを比較して、逆浸透膜モジュール8の塩類阻止率がこの基準値を超えているかどうかを判定する(S12)。
【0033】
ここで、逆浸透膜モジュール8の塩類阻止率が基準値を下回っていると判定した場合には、制御装置26が改質水用タンク28のバルブ27を開き、改質水用タンク28から改質水22を逆浸透膜モジュール8に供給し、逆浸透膜12のスキン層18の一部または全部を改質水22によって破壊する(S13)。そして、逆浸透膜モジュール8のろ過精度が所定のレベルにまで引き下げられたと確認された場合には(S14)、改質処理を終了し、そのモジュール8を取り外し、新たな用途に供する(S15)。また、この海水淡水化設備には、新たな逆浸透膜モジュール8を設置して、通常の海水淡水化処理を実施する。
【0034】
なお、逆浸透膜モジュール8のろ過精度の調整は、改質水22の供給時間や供給量、改質水中の酸化剤の濃度、鉄やマンガンといった触媒の有無によってコントロール可能である。例えば、図3は、東レ製の海水淡水化用逆浸透膜SU−820(スパイラル型)から、NF膜及びUF膜に改質する条件を示したものである。この図3のグラフでは、酸化剤として塩素を用い、この酸化剤を含む改質水22(酸化剤濃度1%、2%及び4%の)の供給時間を横軸にとり、圧力約0.6MPaで膜に原水を供給した場合の透過水量を縦軸にとっている。
【0035】
このグラフから明らかなように、酸化剤濃度と透過水量を適宜選択することにより、NF膜やUF膜を適宜製造できるものであって、たとえば、酸化剤濃度が2%の改質水22を約8時間連続供給することにより、逆浸透膜をNF膜に改質することができる。さらに、22時間程度、改質水22を供給し続けると、UF膜に改質することができる。さらに、供給時間を長くすれば、MF膜にまで改質することが可能である。なお、NF膜は逆浸透膜の一種ではあるが、海水淡水化用以外の産業用逆浸透膜として利用されている。具体的にはボイラー用水の造水設備や、清涼飲料用原料水の造水設備などへ組み込み、鹹水の脱塩や飲料製造における硬度除去処理などを主として行っている。
【0036】
ここで、図4に分離膜と分離される微粒子との関係を示す。すなわち、逆浸透膜12が海水淡水化用の場合、まずNF膜に改質でき、それからUF膜へ、さらにMF膜へといった改質が可能である。
【0037】
(2−3)効果
以上述べたように、本実施形態によれば、スキン層18の一部または全部を、改質水22によって酸化して破壊し、逆浸透膜モジュール8のろ過精度を引き下げて、NF膜、UF膜あるいはMF膜に改質することができる。すなわち、性能は変わるにせよ、1つの逆浸透膜12を長期にわたって使用することができ、優れた経済性を得ることができる。しかも、塩類阻止率が低下して海水淡水化用として使用できなくなった場合でも、これを廃棄処分とする必要がなくなり、廃棄コストは不要となる。
【0038】
たとえば、一般に使用されている逆浸透膜の支持層は、0.01ミクロン以下のフィルタ層によって構成されているので、スキン層を除去した支持層は高機能なフィルタとして再利用が可能である。しかも、支持層はスキン層に比較して、耐久性や耐薬品性が高いことから、たとえば、食品廃水の浄化用として使用した場合、1時間に1回、20秒程度フラッシングすることにより、数年にわたって使用が可能であり、海水淡水化用逆浸透膜としての使用期間よりもはるかに長期にわたって使用できる利点がある。
【0039】
また、塩類阻止率が低下した逆浸透膜12は、従来廃棄物として扱われてきたものなので、買い取りは低価格で成立可能である。つまり、NF膜、UF膜あるいはMF膜の原材料を非常に安く仕入れることができるため、経済的なメリットは大きい。さらに、NF膜、UF膜あるいはMF膜を必要とする側から見ても、リサイクル品なので新品よりも安く調達することが容易である。このように、逆浸透膜モジュール8の逆浸透膜12を再利用することで、海水淡水化設備1の所有者だけではなく、他の造水設備を含めた水処理分野全体にわたって、経済性を向上させることが可能である。
【0040】
また、本実施形態では、逆浸透膜モジュール8を海水淡水化設備1に組み込んだままの状態でスキン層18の破壊処理を実施できるため、オンサイトで効率よく改質処理が可能である。しかも、逆浸透膜12を改質するための設備を特段必要としないので、設備面から見てコストの増大は最小限に抑えることができる。
【0041】
なお、通常、造水設備には殺菌などを行うために酸化剤が多用されている。例えば、耐塩素性のあるUF膜やMF膜を組み込んだ造水設備でも、有機物や微生物で目詰まりを起こした膜の洗浄剤として酸化剤が使われている。つまり、酸化剤は造水設備内に豊富にあり、これをスキン層の破壊用に利用するようラインを構成することは非常に容易である。
【0042】
(3)他の実施形態
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、次のような変形例も可能である。例えば、複数の逆浸透膜モジュールの測定データを集中的に管理し、ろ過精度が低下した逆浸透膜モジュールの中から、他の造水設備に転用可能なものを見つけ出し、その逆浸透膜モジュールのみに改質処理を施すように構成することもできる。このシステムによれば、逆浸透膜モジュールを効率良く再利用することができ、改質によるろ過精度の引き下げ幅も縮小できる。そのため、改質にかかる時間や費用を縮小化することができる。このようなシステムを国際的な規模で活用すれば、造水市場はさらに拡大することになり、経済的なメリットが増大するだけではなく、環境の保全にも大きく貢献することができる。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ろ過精度が低下した逆浸透膜を再利用することができるように改質する逆浸透膜の改質方法及び再生分離膜を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る逆浸透膜の改質方法を造水設備に適用した場合の構成の一例を示すシステムフロー図。
【図2】第2実施形態における改質処理の流れを示すフローチャート。
【図3】逆浸透膜の改質条件を示すグラフ。
【図4】各種の分離膜とその分離膜によって分離される微粒子との関係を示した図。
【図5】従来の海水淡水化設備のシステムフロー図。
【図6】図5の設備に組み込まれた逆浸透膜モジュールの斜視図。
【図7】逆浸透膜の構成を示す断面図。
【符号の説明】
1…海水淡水化設備
2…給水ポンプ
3…海水
4…二層ろ過器
5,6…安全フィルタ
7…高圧ポンプ
8…逆浸透膜モジュール
9…清水置換槽
10…ミネラル槽
11…流路材
12…逆浸透膜
13…メッシュスペーサ
14…中心パイプ
15…給水口
16…排水口
17…支持層
18…スキン層
20…清水
21…濃縮水
22…改質水
24…測定装置
25…判定装置
26…制御装置
27…バルブ
28…改質水用タンク
Claims (7)
- フィルタ構造体からなる支持層の上に、脱塩機能を有するスキン層を形成してなる逆浸透膜の改質方法であって、
前記逆浸透膜の脱塩能力が所定の基準以下になった場合に、前記逆浸透膜を酸化処理して、スキン層の一部もしくは全部を除去し、前記支持層のフィルタ構造体を主体とする分離膜に再生することを特徴とする逆浸透膜の改質方法。 - 前記逆浸透膜が、カセット状のモジュールに組み込まれていることを特徴とする請求項1に記載の逆浸透膜の改質方法。
- 前記逆浸透膜を組み込んだモジュールが、脱塩造水設備に組み込まれた状態において、前記モジュールによる塩類阻止率を測定し、
この測定値と予め設定された基準値とを比較して、前記逆浸透膜のろ過精度が基準値を満たしているか否かを判定し、
基準値を満たしていないと判定した場合には、前記脱塩造水設備による脱塩造水処理を停止し、脱塩造水設備に組み込んだ状態のモジュールに対して酸化剤を供給して酸化処理することを特徴とする請求項2に記載の逆浸透膜の改質方法。 - 前記酸化処理が、酸化剤の濃度と、酸化剤と逆浸透膜との接触時間に基づいて実施されることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3に記載の逆浸透膜の改質方法。
- フィルタ構造体からなる支持層の上に脱塩機能を有するスキン層を形成してなる使用済みの脱塩用逆浸透膜を、そのスキン層の一部もしくは全部を除去して、前記支持層のフィルタ構造体を主体とする分離膜としたことを特徴とする再生分離膜。
- 前記スキン層が、酸化処理によって除去されたものであることを特徴とする請求項5に記載の再生分離膜。
- 前記再生分離膜が、脱塩造水設備に組み込むモジュールに組み込まれた脱塩用逆浸透膜のスキン層の一部または全部を除去してなるものであることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の再生分離膜。
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2003
- 2003-07-18 JP JP2003199453A patent/JP2005034723A/ja active Pending
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