JP2007010794A - 感光性樹脂組成物及び感光性エレメント - Google Patents
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Abstract
【課題】 FPCに要求されている各種特性を十分に満足するものであり、特に難燃性、可撓性及び耐熱プレス性が十分に優れたレジストパターンを形成でき、しかもそのレジストパターンを形成する際の感度及び解像度を十分に高くできる感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 本発明の感光性樹脂組成物は、(A)成分;バインダポリマー、(B)成分;光重合性化合物、(C)成分;光重合開始剤、(D)成分;ブロックイソシアネート化合物、及び(E)成分;分子内にリン原子を有するリン含有化合物を含有する感光性樹脂組成物であって、(B)成分として、(B1)成分;ハロゲン化芳香環と重合可能なエチレン性不飽和結合とを分子内に有する光重合性化合物、を含むものである。
【選択図】 なし
【解決手段】 本発明の感光性樹脂組成物は、(A)成分;バインダポリマー、(B)成分;光重合性化合物、(C)成分;光重合開始剤、(D)成分;ブロックイソシアネート化合物、及び(E)成分;分子内にリン原子を有するリン含有化合物を含有する感光性樹脂組成物であって、(B)成分として、(B1)成分;ハロゲン化芳香環と重合可能なエチレン性不飽和結合とを分子内に有する光重合性化合物、を含むものである。
【選択図】 なし
Description
本発明は、感光性樹脂組成物及び感光性エレメントに関するものである。
従来、液状の感光性樹脂組成物又はそれをフィルム状にした感光性フィルムが、プリント配線板の製造に用いられている。これらの感光性材料は、例えば、銅張積層板の銅箔をエッチングする際のエッチングレジスト、あるいはプリント配線板のはんだ付け位置を限定又は保護のためのソルダーレジスト等を形成するために用いられる。
かかるプリント配線板の一種として、フレキシブルプリント配線板(FlexiblePrinted Circuit;以下、「FPC」という。)と呼ばれるフィルム状のプリント配線板が、特にカメラ、磁気ヘッド、携帯電話などの小型機器に用いられている。これは、FPCがそれ自体を折り曲げてもその機能を維持することができることから、上述のような小型機器に収容するプリント配線板として最適であることによる。特に近年においては、各種電子機器の更なる小型化及び軽量化の要請が増えてきており、このような機器の配線用にFPCを採用することで、該小型機器の寸法及び重量減少、製品コストの低減並びに設計の単純化等が実現されてきている。
このFPCに用いられるソルダーレジストは、通常のプリント配線板に用いられるソルダーレジストと同様に、耐有機溶剤性、高解像度、絶縁性及びはんだ耐熱性等が要求されるが、それに加えて、FPCを折り曲げた際に破壊されないような可撓性も要求される。さらには、FPCを部分的に厚くしたり硬くしたりするために補強板をFPCに貼り付ける場合があり、その補強板は熱プレスにより貼り付けられるため、ソルダーレジストに耐熱プレス性も要求される。そしてFPCは大部分が電子機器に用いられるため、ソルダーレジストには難燃性も求められる。
現在のところ、FPCに備えられるソルダーレジストとしては、上記各種特性を比較的満足させることから接着剤付きのポリイミドフィルムを打ち抜いて形成されるカバーレイが最も多く採用されている。しかしながら、このカバーレイは、型抜きに用いられる金型が非常に高価なものであること、並びに該カバーレイを積層する際には人手によって位置合わせ及び貼り合わせを行うことから製造コストが高くなってしまうという問題点がある。更には、FPCが電子機器の小型化の要請に応えるべく採用されているにも関わらず、そのFPCにカバーレイを用いたソルダーレジストを備えようとすると、微細パターンの形成が困難になってしまうという問題点もある。
これらの問題点を解決するために、特定のエポキシ樹脂と不飽和モノカルボン酸との付加生成物を無水コハク酸等と反応させることによって得られる不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂を含有する液状のFPC用インキ組成物が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
また、可撓性のあるソルダーレジストの形成を意図して、ノボラックエポキシ樹脂及びゴム変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂との混合物をエチレン性不飽和カルボン酸と反応させて得られる生成物と、多塩基酸等との反応生成物を含有することを特徴とする液状の感光性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
一方、難燃性の付与を意図したフィルムタイプの感光性材料としては、特許文献4に記載のものが挙げられる。特許文献4では、特定のブロム置換単量体及び特定粒径以下の三酸化アンチモンを含有する感光性樹脂組成物からなるフィルムが開示されている。
特開平7−207211号公報
特開平8−134390号公報
特開平9−5997号公報
特開平5−27433号公報
しかしながら、本発明者らは、特許文献1〜3に記載されているものを始めとした従来の液状のFPC用インキ組成物及び感光性樹脂組成物であっても、現在FPCに要求される可撓性を十分に満足できるものではないことを見出した。また本発明者らは、これらの従来の液状のFPC用インキ組成物及び感光性樹脂組成物が、FPCに要求される耐熱プレス性及び難燃性を十分に満足できるものではないことを明らかにした。
さらに本発明者らは、特許文献4に記載されているフィルム状の感光性材料が、十分な可撓性及び耐熱プレス性を有しておらず、これを用いた微細パターンの形成が困難である、すなわち感度及び解像度が不十分であることを見出した。これは、主に難燃性付与のために三酸化アンチモンをその感光性材料中に配合したことに起因すると考えられる。
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、FPCに要求されている各種特性を十分に満足するものであり、特に難燃性、可撓性及び耐熱プレス性が十分に優れたレジストパターンを形成でき、しかもそのレジストパターンを形成する際の感度及び解像度を十分に高くできる感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、そのような感光性樹脂組成物からなる感光層を備えた感光性エレメントを提供することを目的とする。
本発明は、(A)成分;バインダポリマー、(B)成分;光重合性化合物、(C)成分;光重合開始剤、(D)成分;ブロックイソシアネート化合物、及び(E)成分;分子内にリン原子を有するリン含有化合物を含有する感光性樹脂組成物であって、(B)成分として、(B1)成分;ハロゲン化芳香環と重合可能なエチレン性不飽和結合とを分子内に有する光重合性化合物を含む感光性樹脂組成物を提供する。
また、上述の組成を備える本発明の感光性樹脂組成物は、耐現像液性、絶縁性及びはんだ耐熱性にも十分優れており、FPC用のレジスト用途に極めて有用な組成物である。
特許文献1〜3に記載されているものを始めとした従来の液状のFPC用インキ組成物及び感光性樹脂組成物は、塗膜性が不十分であり、これらの組成物の塗膜をFPC等に形成すると塗膜がべとついてしまうため、作業性が低下するという問題があった。一方、本発明の感光性樹脂組成物は、そのような塗膜のべとつきの発生は十分に抑制されているため、良好な作業性が与えられる。
本発明の感光性樹脂組成物において、(B1)成分は、ブロモフェニル基と、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基とを分子内に有する光重合性化合物を含むと、本発明による効果を更に有効に奏することができるので好ましい。また(B1)成分は、炭素数1〜5のオキシアルキレン基を分子内に有する光重合性化合物を含むと、可撓性を一層優れたものとすることができ、しかも塗膜性及び作業性が向上するので好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、(D)成分は、分子内に下記式(1);
−NHCO− (1)
で表される基を有するブロックイソシアネート化合物を含むと、本発明の効果をより有効に奏することができるので好ましい。
−NHCO− (1)
で表される基を有するブロックイソシアネート化合物を含むと、本発明の効果をより有効に奏することができるので好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物において、(B1)成分は、分子内における上記エチレン性不飽和結合の数が異なる少なくとも2種の光重合性化合物を含むと好ましい。この感光性樹脂組成物より作製したレジストパターンは、耐熱プレス性がより向上し、難燃性、耐電食性、可撓性、はんだ耐熱性及び耐現像液性も一層優れたものとなる。これらに加えて、レジストパターンを形成する際には塗膜性、感度及び解像度が一段と良好になるので、更に微細なパターンの形成が可能となる。
(B1)成分の光重合性化合物は、分子内に1つのエチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物と、分子内に2つのエチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物とを含むことが更に好ましい。分子内に1つのエチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物のみでは塗膜性が低下する傾向にあり、分子内に2つのエチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物のみでは耐折性が低下する傾向にある。
本発明の感光性樹脂組成物は、(E)成分が、下記一般式(2);
[式(2)中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に、ハロゲン原子以外の置換基を示す。]
で表されるリン含有化合物を含むと好ましい。これにより、本発明の感光性樹脂組成物から形成されるレジストパターンの難燃性が更に向上する
[式(2)中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に、ハロゲン原子以外の置換基を示す。]
で表されるリン含有化合物を含むと好ましい。これにより、本発明の感光性樹脂組成物から形成されるレジストパターンの難燃性が更に向上する
本発明の感光性樹脂組成物において、(B1)成分が、分子内における上記エチレン性不飽和結合の数が異なる少なくとも2種の光重合性化合物を含み、(E)成分が上記一般式(2)で表されるリン含有化合物を含むと、特に好ましい。(B1)成分と(E)成分とを組み合わせることで、難燃性が更に向上し、塗膜性、耐電食性及び耐熱性も更に良好となる。その要因は(B1)成分中のハロゲン原子及び(E)成分中のリン原子が難燃性の向上に寄与しているためと推測される。ハロゲン原子を含む(B1)成分又はリン原子を含む(E)成分をそれぞれ単独で用いても難燃性向上の効果は得られる。しかしながら、(B1)成分又は(E)成分を単独で用いる場合、十分な難燃性を付与するために(B1)成分又は(E)成分を多量に感光性樹脂組成物中に含有させる必要がある。ところが、十分な難燃性が得られる程度に(B1)成分を多量に含有した感光性樹脂組成物は、塗膜性が不十分となる傾向にある。また、十分な難燃性が得られる程度に(E)成分を多量に含有した感光性樹脂組成物は、耐熱プレス性が不十分となる傾向にある。難燃性を十分に得ると共に耐熱プレス性及び塗膜性をも十分なものとするためには、感光性樹脂組成物が(B1)成分と(E)成分とを両方含む必要がある。
(B1)成分及び(E)成分の含有量は、感光性樹脂組成物中の全不揮発成分の全量中、ハロゲン原子の含有割合が5質量%〜20質量%、リン原子の含有割合が0.5質量%〜2質量%になるような含有量であると、難燃性、耐熱プレス性及び塗膜性をよりバランスよく優れたものにする観点から好ましい。特にリン原子の含有割合が0.5質量%〜0.8質量%である場合は、ハロゲン原子の含有割合が12質量%〜20質量%であると好ましく、リン原子の含有割合が0.8質量%〜1.0質量%である場合は、ハロゲン原子の含有割合が10質量%〜18質量%であると好ましく、リン原子の含有割合が1.0質量%〜1.3質量%である場合は、ハロゲン原子の含有割合が8質量%〜16質量%であると好ましく、リン原子の含有割合が1.3質量%〜1.6質量%である場合は、ハロゲン原子の含有割合が6質量%〜14質量%であると好ましく、リン原子の含有割合が1.6質量%〜2.0質量%である場合は、ハロゲン原子の含有割合が5質量%〜10質量%であると好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、(B1)成分が、分子内に1つの重合可能なエチレン性不飽和結合を有する前記光重合性化合物を含んでも、本発明の目的を達成することができる。
本発明は、支持体と、該支持体上に設けられ上記本発明の感光性樹脂組成物からなる感光層とを備える感光性エレメントを提供する。この感光性エレメントは、FPCに要求されている各種特性を十分に満足するものであり、特に難燃性、可撓性及び耐熱プレス性が十分に優れたレジストパターンを形成でき、しかもそのレジストパターンを形成する際の感度及び解像度を十分に高くできるので、微細なパターンのソルダーレジストを備えたFPCの製造等に好適に用いることができる。
本発明は、基板上に感光性樹脂組成物からなる感光層を形成する感光層形成工程と、感光層の所定部分を露光する露光工程と、露光した感光層を現像してレジストパターンを形成する現像工程とを備えるレジストパターンの形成方法に適用でき、その場合は、本発明の感光性樹脂組成物を用いる。また、本発明は、上記工程に加えて、形成されたレジストパターンに基づいて上記基板上に導体パターンを形成する導体パターン形成工程を備えるプリント配線板の製造方法に適用することもできる。
上記レジストパターンの形成方法及びプリント配線板の製造方法によれば、本発明の感光性樹脂組成物を用いているため、FPCに要求されている各種特性を十分に満足するレジストパターン及びFPCを得ることができる。特に難燃性、可撓性及び耐熱プレス性に十分に優れたレジストパターンが形成され、しかもそのレジストパターンを形成する際の感度及び解像度を十分に高くできるので、微細なパターンのソルダーレジストを備えたFPCを得ることができる。
本発明によれば、FPCに要求されている各種特性を十分に満足するものであり、特に難燃性、可撓性及び耐熱プレス性が十分に優れたレジストパターンを形成でき、しかもそのレジストパターンを形成する際の感度及び解像度を十分に高くできる感光性樹脂組成物を提供できる。また、本発明は、そのような感光性樹脂組成物からなる感光層を備えた感光性エレメントを提供できる。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。また、本明細書における「(メタ)アクリル酸」とは「アクリル酸」及びそれに対応する「メタクリル酸」を意味し、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」及びそれに対応する「メタクリレート」を意味し、「(メタ)アクリロキシ基」とは「アクリロキシ基」及びそれに対応する「メタクリロキシ基」を意味し、「(メタ)アクリロイル基」とは「アクリロイル基」及びそれに対応する「メタクリロイル基」を意味する。
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)成分;バインダポリマー、(B)成分;光重合性化合物、(C)成分;光重合開始剤、(D)成分;ブロックイソシアネート化合物、及び(E)成分;分子内にリン原子を有するリン含有化合物を含有するものであって、(B)成分として、(B1)成分;ハロゲン化芳香環と重合可能なエチレン性不飽和結合とを分子内に有する光重合性化合物を含むものである。
(A)成分であるバインダポリマーは、樹脂組成物中の他の成分を均一に溶解又は分散可能な高分子であれば特に制限はなく、例えば、アクリル系重合体、ポリアミド、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上組み合わせて(A)成分として用いることができる。これらは常法により合成可能であり、市販のものを入手することもできる。これらの中では、アルカリ現像性に優れる点から、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸エステルをモノマー単位として有するアクリル系重合体が好ましい。
ここで上述した(メタ)アクリル酸の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸が挙げられる。また、(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルやアクリル酸フェニル、メタクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸フェニルエステル等が挙げられる。この(メタ)アクリル酸エステルの中でもアクリル酸アルキルエステルを用いることが好ましい。なお、上記エステルのアルキル基は、当該アルキル基の水素原子が、水酸基、エポキシ基、ハロゲン基等に置換されたものであってもよい。
(A)成分がアクリル系重合体である場合、その(A)成文に含まれる構成単位は、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸エステルのモノマー単位であれば、1種類のモノマーを単独で有していてもよく、2種類以上のモノマーを複数有していてもよい。
また、バインダポリマーには、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルの両方をモノマー単位として有するポリマーを含有させることが好ましい。このようなポリマーは、分子内にカルボキシル基及びエステル基が混在することとなり、このポリマーから得られる感光性フィルムは、基板と感光性フィルムとの密着性をさらに向上させることができる。さらには後述するアルカリ成分が低濃度であっても現像性に優れるものとすることができる。
バインダポリマーには、モノマー単位として、上記(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステル以外の、重合可能なエチレン性不飽和基を有する化合物を更に有してもよい。本実施形態の感光性樹脂組成物にこの共重合体を含有させることによって、基板と感光性フィルムとの密着性をさらに向上させることができる。
上記エチレン性不飽和基を有する化合物としては、ビニル基を有する化合物(以下、「ビニルモノマー」という。)が挙げられ、その具体例としては、アクリルアミド、アクリロニトリル、ジアセトンアクリルアミド、スチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。このビニルモノマーと、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸エステルとから、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸エステルをモノマー単位として有するポリマーを製造する過程において、当該ビニルモノマーの1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
上記バインダポリマーは、上述した(メタ)アクリル酸モノマー、(メタ)アクリル酸エステルモノマー、又はビニルモノマー等を所望の配合量や組合せで用いて合成することができる。なお、上記アクリル系重合体は、(A)成分のバインダポリマーに1種類のみが含まれていてもよく、互いに異なる2種類以上が含まれていてもよい。
アクリル系重合体を合成するに際し、用いるモノマーの配合量は、(メタ)アクリル酸に対する(メタ)アクリル酸エステルの質量比((メタ)アクリル酸エステル/(メタ)アクリル酸)で(60/40)〜(95/5)であると好ましい。この質量比が60/40未満であると現像性が劣る傾向にあり、95/5を超えると、感光性エレメントの耐水性が劣る傾向にある。
(A)成分の重量平均分子量は、感光性樹脂組成物を用いて基板表面に感光層を形成した場合の塗膜性及び塗膜強度、並びに現像性の観点から10000〜300000であることが好ましく、15000〜200000であることがより好ましく、20000〜100000であることが特に好ましい。(A)成分にアクリル系重合体が含まれる場合、そのアクリル系重合体の重量平均分子量も上記範囲であることがより好ましい。
(A)成分に含まれるアクリル系重合体の含有量は、当該(A)成分及び(B)成分の光重合性化合物の総量100質量部に対して、15質量部〜80質量部とすることが好ましく、20質量部〜60質量部とすることがより好ましい。この含有量が15質量部未満では光硬化物が脆くなり易く、感光性エレメントとして用いた場合に、塗膜性が劣る傾向にあり、80質量部を超えると光感度が不十分となる傾向にある。
(B)成分である光重合性化合物は、(B1)成分;ハロゲン化芳香環と重合可能なエチレン性不飽和結合とを分子内に有する光重合性化合物を含むものであれば特に限定されない。
ハロゲン化芳香環としては、例えば、ジブロモフェニレン基、トリブロモフェニル基及びペンタブロモフェニル基等の臭素原子を1〜5つ有するブロモベンゼン環が挙げられる。また、同一分子内のハロゲン化芳香環は1つであってもよく、2つ以上であってもよく、2つ以上の場合は複数のハロゲン化芳香環が互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
重合可能なエチレン性不飽和結合を有する置換基としては、例えば(メタ)アクリロイル基が挙げられる。また同一分子内のエチレン性不飽和結合は1つであってもよく、2つ以上であってもよく、2つ以上の場合は複数のエチレン性不飽和結合が互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
(B1)成分の光重合性化合物は、1種を単独で又は2種を組み合わせて含んでもよいが、分子内における重合可能なエチレン性不飽和結合の数が異なる少なくとも2種の前記光重合性化合物を含むと好ましい。そのような光重合性化合物の組合せとしては、例えば、分子内にエチレン性不飽和結合を1つ有する光重合性化合物と分子内にエチレン性不飽和結合を2つ有する光重合性化合物との組合せが挙げられる。感光性樹脂組成物において(B1)成分がかかる複数種の光重合性化合物を含むことにより、その感光性樹脂組成物から得られるレジストパターンは、より高い耐熱プレス性、難燃性、耐電食性、可撓性、はんだ耐熱性及び耐現像液性を有するようになる。また、レジストパターンを形成する際には、塗膜性が更に良好になり、感度及び解像度が向上するので、更に微細なパターンの形成が可能となる。
(B1)成分の光重合性化合物は、分子内に1つのエチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物(B1−1)と、分子内に2つのエチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物(B1−2)とを含むとより好ましい。(B1−1)成分のみでは塗膜性が不十分となる傾向にあり、(B1−2)成分のみでは耐折性が不十分となる傾向にある。
また、(B1)成分は、−CH2O−、−CH2CH2O−、−CH2CH(CH3)O−等の炭素数1〜5のオキシアルキレン基を分子内に有する光重合性化合物を含むと、可撓性がより良好になると共に、塗膜性及び作業性が向上するので好ましい。これらの中でもオキシアルキレン基がオキシエチレン基であると特に好ましい。また、オキシアルキレン基の繰り返し単位(n)は、1〜10であることが好ましく、1〜5であることがより好ましく、1〜3であることが特に好ましい。
(B1)成分の光重合性化合物の具体例としては、例えば、テトラブロモビスフェノールAのビス−(3−メタクリロイル−2−ヒドロキシプロピル)エーテル、テトラブロモビスフェノールAのビス−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)エーテル、テトラブロモビスフェノールAのビス−(2−メタクリルメタクリロイルオキシエチル)エーテル、テトラブロモビスフェノールAのビス−(2−アクリルメタクリロイルオキシエチル)エーテル、2−トリブロモ−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−トリブロモフェノキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニルアクリレート及びペンタブロモベンジル(メタ)アクリレートが挙げられる。
(B1)成分の光重合性化合物は常法により合成可能であり、また市販のものを入手することもできる。市販のものとしては、例えば、BR−31、GX−6094(以上、第一工業製薬社製、商品名)が挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物は、光感度、解像度、可撓性、塗膜性を向上させる観点から、(B1)成分以外の(B)成分である光重合性化合物を含有することが好ましい。その具体例としては、トリブロモネオペンチル(メタ)アクリレート、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物;多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物;グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物;ウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物等のウレタンモノマー又はウレタンオリゴマーが挙げられ、これら以外にも、ノニルフェノキシポリオキシエチレンアクリレート;γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシアルキル−β’−(メタ)アクリロイルオキシアルキル−o−フタレート等のフタル酸系化合物;(メタ)アクリル酸アルキルエステル、EO変性ノニルフェニル(メタ)アクリレート等が例示可能である。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリブトキシ)フェニル)プロパン及び2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。
2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(
4−((メタ)アクリロキシヘプタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシオクタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシノナエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシウンデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシドデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパン及び2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサデカエトキシ)フェニル)プロパン等が挙げられ、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパンは、BPE−500(新中村化学工業製、商品名)として商業的に入手可能であり、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパンは、BPE−1300(新中村化学工業製、商品名)として商業的に入手可能である。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
4−((メタ)アクリロキシヘプタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシオクタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシノナエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシウンデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシドデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパン及び2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサデカエトキシ)フェニル)プロパン等が挙げられ、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパンは、BPE−500(新中村化学工業製、商品名)として商業的に入手可能であり、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパンは、BPE−1300(新中村化学工業製、商品名)として商業的に入手可能である。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘプタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシオクタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシノナプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシウンデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシドデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタデカプロポキシ)フェニル)プロパン及び2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサデカプロポキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジエトキシオクタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラエトキシテトラプロポキシ)フェニル)プロパン及び2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサエトキシヘキサプロポキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物としては、例えば、エチレン基の数が2〜14であるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2〜14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレン基の数が2〜14でありプロピレン基の数が2〜14であるポリエチレン・ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO・PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)ア
クリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
クリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、「EO」とは「エチレンオキシド」のことをいい、「PO」とは「プロピレンオキシド」のことをいう。また、「EO変性」とはエチレンオキシドユニット(−CH2CH2O−)のブロック構造を有することを意味し、「PO変性」とはプロピレンオキシドユニット(−CH2CH(CH3)O−)のブロック構造を有することを意味する。
グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート及び2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)フェニル等が挙げられる。上記のα,β−不飽和カルボン酸としては、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ウレタンモノマー又はウレタンオリゴマーとしては、例えば、β位にOH基を有する(メタ)アクリルモノマーとイソホロンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物との付加反応物、トリス((メタ)アクリロキシテトラエチレングリコールイソシアネート)ヘキサメチレンイソシアヌレート、EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、EO又はPO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、カルボキシル基含有ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
さらに、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル及び(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(C)成分である光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−モルホリノフェノン)−ブタノン−1,2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン等の芳香族ケトン、アルキルアントラキノン等のキノン類、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体、N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体;クマリン系化合物等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(D)成分であるブロックイソシアネート化合物は、イソシアネート化合物(R4−(N=C=O)k)とブロック剤(R5)との下記一般式(3);
R4−(N=C=O)k + kR5 → R4−(NHCOR5)k (3)
で表されるような反応により生成する。
R4−(N=C=O)k + kR5 → R4−(NHCOR5)k (3)
で表されるような反応により生成する。
ブロック剤と反応し得るイソシアネート化合物としては、イソシアヌレート型、ビウレット型、アダクト型等が挙げられるが、硬化体とその下地層との密着性の観点から、イソシアヌレート型が好ましい。イソシアネート化合物の具体例としては、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、o−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート及び2,4−トリレンダイマー並びにそれらの重合体等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)及びイソホロンジイソシアネート並びにそれら重合体等の脂肪族ポリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート及びその重合体等の脂環式ポリイソシアネートが挙げられる。イソシアネート化合物は上述のもののうち1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
ブロック剤としては、R5として活性水素を有しているものが好ましく、活性メチレン化合物、ジケトン化合物、オキシム化合物、フェノール化合物、アルカノール化合物及びカプロラクタム化合物などが挙げられる。具体的には、メチルエチルケトンオキシム、ε−カプロラクタムなどを用いることができる。ブロック剤は上述のもののうち1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
また、ブロックイソシアネート化合物は、その機能をより有効に発揮するために、kが2以上の整数であると好ましく、R5が活性水素である2個以上の上記式(1)で表される2価の基を有するとより好ましい。
ブロックイソシアネート化合物は市販のものであってもよく、例えば、スミジュールBL−3175、BL−4165、BL−1100,BL−1265、デスモジュールTPLS−2957、TPLS−2062、TPLS−2078、TPLS−2117、デスモサーム2170、デスモサーム2265(以上、住友バイエルウレタン社製、商品名)、コロネート2512、コロネート2513、コロネート2520(以上、日本ポリウレタン工業社製、商品名)、B−830、B−815、B−846、B−870、B−874、B−882(三井武田ケミカル社製、商品名)等が挙げられる。なお、スミジュールBL−3175、BL−4265はブロック剤としてメチルエチルオキシムを用いて得られるものである。
上記解離温度は感光性樹脂組成物を用いる電子部品の構成材料への影響、製造環境、工程条件、材料保管温度などの観点から、120〜200℃であると好ましく、その温度範囲でブロック剤由来の基が解離するイソシアネート化合物及びブロック剤の組合せが好ましい。
感光性樹脂組成物の硬化体に可撓性を付与したい場合、ブロックイソシアネート化合物が、そのイソシアネート部位に柔軟なソフトセグメントを有するものであると好ましい。そのようなブロックイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)をポリエチレングリコール及び/又はポリプロピレングリコールと共重合して得られるジイソシアネートのブロックイソシアネート化合物が挙げられる。イソシアネート部位に柔軟なソフトセグメントを有するブロックイソシアネート化合物の市販品としては、例えば、B−830、B−815、B−846、B−870(以上、三井武田ケミカル社製、商品名)が挙げられる。
(E)成分である分子内にリン原子を有するリン含有化合物は、感光性樹脂組成物から感光層を形成した場合に、その感光層に難燃性を持たせることを主要な機能とするものである。(E)成分としては、例えば、リン酸エステル、縮合リン酸エステルの他、上記一般式(2)で表されるリン含有化合物が挙げられる。これらの中では、難燃性に加え、耐熱プレス性を更に優れたものとする観点から、上記一般式(2)で表されるリン含有化合物が好ましい。上記一般式(2)で表される化合物が耐熱プレス性を更に優れたものとすることができる理由は、常温(25℃)で固体、すなわち高融点のものであるためと推測される。また、この化合物は加水分解し難いので耐電食性を向上することもできる。
リン酸エステル及び縮合リン酸エステルとしては、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、1,3−ジヒドロキシベンゼン・トリクロロホスフィン重縮合物のフェノール縮合物、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン・トリクロロホスフィンオキシド重縮合物のフェノール縮合物等が挙げられる。これらは市販のものを入手可能であり、例えば、TPP、TCP、TXP、CDP、XDP、CR−733S、CR−735及びCR−747(以上、大八化学社製、商品名)、PFR、FP−500、FP−600及びFP−700(以上、旭電化工業社製、商品名)等が挙げられる。
上記一般式(2)で表されるリン含有化合物は、R1、R2及びR3が、それぞれ独立に、ハロゲン原子以外の置換基を示すものである。R1、R2としては、例えば水素原子が挙げられる。R3としては、例えば、下記式(4)、(5)、(6)及び(7)で表される基が挙げられる。
上記一般式(2)で表されるリン含有化合物は、市販のものとして、SANKO−220(三光社製、商品名)、BCA(日華化学社製、商品名)などが入手可能である。
上述の(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)成分の中で、(B)成分中の(B1)成分が、分子内における重合可能なエチレン性不飽和結合の数が異なる少なくとも2種の光重合性化合物を含み、(E)成分が、上記一般式(2)で表されるリン含有化合物を含むと好ましい。かかる(B1)成分及び(E)成分を含有することにより、本発明の感光性樹脂組成物は、難燃性に加え、耐電食性及び耐熱プレス性をも更に良好にできる。
本発明の感光性樹脂組成物は、上述の(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)成分を全て含有することにより、FPCに備えられるレジスト材料に用いた場合に、要求される各種特性を十分に満足するものである。特に難燃性、可撓性及び耐熱プレス性が十分に優れたレジストパターンを形成でき、しかもそのレジストパターンを形成する際の感度及び解像度を十分に高くできるため、ソルダーレジストの原料として好適に用いられる。また、従来の感光性樹脂組成物に比して、耐現像液性、絶縁性及びはんだ耐熱性にも十分優れたものである。
本発明の感光性樹脂組成物において、(A)成分の含有量は、その感光性樹脂組成物からなる感光層を備える感光性エレメントの端面からのしみ出しを防止する観点、並びに、より優れたはんだ耐熱性及び光感度を得る観点から、(A)成分と(B)成分との総量100質量部に対して、20〜90質量部であることが好ましく、25〜70質量部であることがより好ましく、30〜50質量部であることが特に好ましい。
(B)成分の含有量は、(A)成分と(B)成分との総量100質量部に対して、10〜80質量部であることが好ましく、30〜75質量部であることがより好ましく、50〜70質量部であることが特に好ましい。この含有量が10質量部未満では、光感度及び解像度が不十分となる傾向があり、80質量部を超えると、得られる硬化体が脆くなる傾向がある。
(B1)成分の含有量は、(A)成分と(B)成分との総量100質量部に対して、5〜60質量部であると好ましく、15〜50質量部であるとより好ましく、25〜45質量部であると特に好ましい。5質量部未満では、難燃性が不十分となる傾向にあり、60質量部を超えると塗膜性が不十分となる傾向にある。
また、(B1)成分が(B1−1)成分と(B1−2)成分とを含む場合、(B1−1)成分と(B1−2)成分との含有割合は、(B1−1)/(B1−2)=1/4〜4/1であることが好ましく、1/2〜2/1であることがより好ましい。
(C)成分の含有量は、より優れた光感度及びはんだ耐熱性を得る観点から、(A)成分と(B)成分との総量100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、0.2〜10質量部であることがより好ましく、0.5〜5質量部であることが特に好ましい。
(D)成分の含有量は、一層良好な耐溶液性、耐アルカリ性、耐金めっき性及びはんだ耐熱性の観点から、(A)成分と(B)成分との総量100質量部に対して、3〜60質量部であることが好ましく、5〜40質量部であることがより好ましく、10〜30質量部であることが特に好ましい。
(E)成分の含有量は、更に高い難燃性、耐熱プレス性及び耐電食性を得る観点から、(A)成分と(B)成分との総量100質量部に対して、5〜50質量部であると好ましく、8〜40質量部であるとより好ましく、10〜30質量部であると特に好ましい。5質量部未満では難燃性が不十分となる傾向にあり、50質量部を超えると耐熱プレス性が不十分となる傾向にある。
また、感光性樹脂組成物には、必要に応じて、メラミン樹脂若しくはイソシアネートのブロック体等の熱硬化成分、マラカイトグリーン等の染料、トリブロモフェニルスルホン若しくはロイコクリスタルバイオレット等の光発色剤、熱発色防止剤、p−トルエンスルホンアミド等の可塑剤、フタロシアニングリーン若しくはフタロシアニンブルー等のフタロシアニン系、アゾ系等の有機顔料若しくは二酸化チタン等の無機顔料、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム若しくは硫酸バリウム等の無機顔料からなる充填剤、消泡剤、難燃剤、安定剤、密着性付与剤、レベリング剤、酸化防止剤、香料あるいはイメージング剤などを、(A)成分と(B)成分との総量100質量部に対して各々0.01〜20質量部程度含有することができる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、アクリル系共重合体、酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂等の、(A)成分以外のポリマー成分を併用してもよい。
さらに、本発明の感光性樹脂組成物は、必要に応じて、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の溶剤又はこれらの混合溶剤に溶解し、固形分30〜70質量%程度の溶液として塗布することができる。
以上説明したような感光性樹脂組成物は、銅、銅系合金、鉄、鉄系合金等の金属面上に、液状レジストとして塗布してから乾燥後、必要に応じて保護フィルムを被覆して用いるか、下記のような感光性エレメントの形態で用いられる。
図1は、本発明の感光性エレメントの好適な一実施形態を示す模式断面図である。図1に示した感光性エレメント1は、支持体10と、支持体10上に設けられた感光層14と、で構成される。感光層14は、上述した本発明の感光性樹脂組成物からなる。本発明の感光性エレメントは、感光層14上の支持体10の反対側の面F1を保護フィルムで被覆してもよい。
感光層14は、本発明の感光性樹脂組成物を上記溶剤又は混合溶剤に溶解して固形分30〜70質量%程度の溶液とした後に、かかる溶液を支持体10上に塗布して形成することが好ましい。感光層14の厚みは、用途により異なるが、加熱及び/又は熱風吹き付けにより溶剤を除去した乾燥後の厚みで、10〜100μmであることが好ましく、20〜60μmであることがより好ましい。この厚みが10μm未満では工業的に塗工困難な傾向があり、100μmを超えると本発明により奏される上述の効果が小さくなりやすく、特に、可撓性及び解像度が低下する傾向にある。
感光性エレメント1が備える支持体10としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムなどが挙げられる。
支持体10の厚みは、5〜100μmであることが好ましく、10〜30μmであることがより好ましい。この厚みが5μm未満では現像前に支持体10を剥離する際に当該支持体が破れやすくなる傾向があり、また、100μmを超えると解像度及び可撓性が低下する傾向がある。
上述したような支持体10と感光層14との2層からなる感光性エレメント1又は支持体10と感光層14と保護フィルムとの3層からなる感光性エレメントは、例えば、そのまま貯蔵してもよく、又は保護フィルムを介在させた上で巻芯にロール状に巻き取って保管することができる。
本発明の感光性エレメントを用いたレジストパターンの形成方法は、必要に応じて上述した感光性エレメントから保護フィルムを除去する除去工程と、感光性エレメントを感光層、支持体の順に回路形成用基板等の基板上に積層する積層工程と、活性光線を、必要に応じて支持体を通して、感光層の所定部分に照射して、感光層に光硬化部を形成させる露光工程と、光硬化部以外の感光層を除去する現像を行う現像工程とを含むものである。なお、回路形成用基板とは、絶縁層と、絶縁層上に形成された導電体層(銅、銅系合金、ニッケル、クロム、鉄、ステンレス等の鉄系合金、好ましくは銅、銅系合金、鉄系合金からなる)とを備えた基板をいう。
必要に応じて保護フィルムを除去する除去工程後の積層工程における積層工程としては、感光層を加熱しながら基板に圧着することにより積層する方法等が挙げられる。かかる積層の際の雰囲気は特に制限されないが、密着性及び追従性等の見地から減圧下で積層することが好ましい。基板が回路形成用基板の場合、積層される表面は、通常、回路形成用基板の導電体層の面であるが、当該導電体層以外の面であってもよい。感光層の加熱温度は70〜130℃とすることが好ましく、圧着圧力は0.1〜1.0MPa程度とすることが好ましく、周囲の気圧は4000Pa以下とすることが好ましいが、これらの条件には特に制限はない。また、感光層を上述のように70〜130℃に加熱すれば、予め基板を予熱処理することは必要ではないが、積層性を更に向上させるために、基板の予熱処理を行うこともできる。
このようにして積層が完了した後、露光工程において感光層の所定部分に活性光線を照射して光硬化部を形成せしめる。光硬化部の形成方法としては、アートワークと呼ばれるネガ又はポジマスクパターンを通して活性光線を画像状に照射する方法が挙げられる。この際、感光層上に存在する支持体が透明の場合には、そのまま活性光線を照射することができるが、不透明の場合には、支持体を除去した後に感光層に活性光線を照射する。
活性光線の光源としては、公知の光源、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等の紫外線を有効に放射するものを用いることができる。また、写真用フラッド電球、太陽ランプ等の可視光を有効に放射するものを用いることもできる。
次いで、露光後、感光層上に支持体が存在している場合には、支持体を除去した後、現像工程において、ウエット現像、ドライ現像等で光硬化部以外の感光層を除去して現像し、レジストパターンを形成させる。ウエット現像の場合は、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤等の、感光性樹脂組成物に対応した現像液を用いて、例えば、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング等の公知の方法により現像する。現像液としては、安全かつ安定であり、操作性が良好なものが用いられ、例えば、20〜50℃の炭酸ナトリウムの希薄溶液(1〜5質量%水溶液)等が用いられる。
上述の形成方法により得られたレジストパターンは、フィルム状の基材上に可撓性の硬化樹脂を形成するために用いられると好ましく、フィルム状の基材上に形成される永久マスクとして使用されるとより好ましい。例えば、FPCのカバーレイとして用いる場合は、上記現像工程終了後、FPCのカバーレイとしてのはんだ耐熱性、耐薬品性等を向上させる目的で、高圧水銀ランプによる紫外線照射や加熱を行うことが好ましい。紫外線を照射させる場合は必要に応じてその照射量を調整することができ、例えば0.2〜10J/cm2程度の照射量で照射を行うこともできる。また、レジストパターンを加熱する場合は、100〜170℃程度の範囲で、15〜90分間程度の範囲で行われることが好ましい。更に紫外線照射と加熱とを同時に行うこともでき、いずれか一方を実施した後、他方を実施することもできる。紫外線照射と加熱とを同時に行う場合、はんだ耐熱性、耐薬品性等を効果的に付与する観点から、60〜150℃に加熱することがより好ましい。
このカバーレイは、基板にはんだ付けを施した後の配線の保護膜を兼ね、優れた可撓性及び絶縁性等を有するので、FPCの永久マスクとして有効である。
このようにしてレジストパターン(カバーレイ)を備えられた基板は、その後、LSIなどの部品実装(例えば、はんだ付け)がなされ、そして、カメラ等の電子機器へ装着される。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜4、比較例1〜3)
まず、表1に示す各成分をそこに示す固形分の配合比(質量基準)で混合することにより、感光性樹脂組成物溶液を得た。なお、表1中、(A)成分は、メタクリル酸/アクリル酸エチル/メタクリル酸メチル/スチレン(質量比:26/20/34/20)の共重合体のトルエン/メチルセロソルブ(質量比=2/3)溶液(重量平均分子量:67000、固形分酸価:170mgKOH/g)であり常法により重合して得られたものである。また、(B1)成分における「BR31」は、下記式(8)で表されるエチレン性不飽和結合を1つ有するブロム含有アクリレート(第一工業製薬社製、商品名「ニューフロンティアBR−31」)であり、「GX6094」は、下記式(9)で表されるエチレン性不飽和結合を2つ有するブロム含有アクリレート(第一工業製薬社製、商品名「GX−6094」)である。また光重合性化合物(1)及び(2)は(B1)成分以外の光重合性化合物であり、光重合性化合物(1)は、ビスフェノールAポリオキシエチレンジメタクリレート(新中村化学工業社製、商品名「BPE−10」)であり、光重合性化合物(2)は、カルボキシル基含有ウレタンアクリレート(共栄社化学株式会社、商品名「UF−TCB−50」)である。(C)成分のうち、「I369」は2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフェリノフェニル)−ブタノン−1(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名「I−369」)であり、「EAB」はジエチルアミノベンゾフェノンである。(D)成分は、ヘキサメチレンジイソシアネートをベースイソシアネートとするイソシアヌレート体のメチルエチルケトンオキシムブロック体の75質量%メチルエチルケトン溶液(住化バイエルウレタン社製、商品名「BL3175」)である。(E)成分のうち、「BCA」は下記式(10)で表されるリン含有化合物(日華化学社製、商品名「BCA」)であり、「CR747」は縮合リン酸エステル(大八化学社製、商品名「CR−747」)である。
まず、表1に示す各成分をそこに示す固形分の配合比(質量基準)で混合することにより、感光性樹脂組成物溶液を得た。なお、表1中、(A)成分は、メタクリル酸/アクリル酸エチル/メタクリル酸メチル/スチレン(質量比:26/20/34/20)の共重合体のトルエン/メチルセロソルブ(質量比=2/3)溶液(重量平均分子量:67000、固形分酸価:170mgKOH/g)であり常法により重合して得られたものである。また、(B1)成分における「BR31」は、下記式(8)で表されるエチレン性不飽和結合を1つ有するブロム含有アクリレート(第一工業製薬社製、商品名「ニューフロンティアBR−31」)であり、「GX6094」は、下記式(9)で表されるエチレン性不飽和結合を2つ有するブロム含有アクリレート(第一工業製薬社製、商品名「GX−6094」)である。また光重合性化合物(1)及び(2)は(B1)成分以外の光重合性化合物であり、光重合性化合物(1)は、ビスフェノールAポリオキシエチレンジメタクリレート(新中村化学工業社製、商品名「BPE−10」)であり、光重合性化合物(2)は、カルボキシル基含有ウレタンアクリレート(共栄社化学株式会社、商品名「UF−TCB−50」)である。(C)成分のうち、「I369」は2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフェリノフェニル)−ブタノン−1(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名「I−369」)であり、「EAB」はジエチルアミノベンゾフェノンである。(D)成分は、ヘキサメチレンジイソシアネートをベースイソシアネートとするイソシアヌレート体のメチルエチルケトンオキシムブロック体の75質量%メチルエチルケトン溶液(住化バイエルウレタン社製、商品名「BL3175」)である。(E)成分のうち、「BCA」は下記式(10)で表されるリン含有化合物(日華化学社製、商品名「BCA」)であり、「CR747」は縮合リン酸エステル(大八化学社製、商品名「CR−747」)である。
[感光性エレメントの作製]
次いで、これらの感光性樹脂組成物溶液を支持層である16μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人社製、商品名「G2−16」)上にそれぞれ別に、均一に塗布することにより感光性樹脂組成物層を形成し、それを熱風対流式乾燥機を用いて100℃で約10分間乾燥した。感光性樹脂組成物層の乾燥後の膜厚は、38μmであった。
次いで、これらの感光性樹脂組成物溶液を支持層である16μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人社製、商品名「G2−16」)上にそれぞれ別に、均一に塗布することにより感光性樹脂組成物層を形成し、それを熱風対流式乾燥機を用いて100℃で約10分間乾燥した。感光性樹脂組成物層の乾燥後の膜厚は、38μmであった。
続いて、感光性樹脂組成物層の支持層と接している側とは反対側の表面上に、ポリエチレンフィルム(タマポリ社製、商品名「NF−13」)を保護フィルムとして貼り合わせ、感光性エレメントを得た。
[評価用積層体の作製]
そして、18μm厚の銅箔をポリイミド基材に積層したフレキシブルプリント配線板用基板(ニッカン工業社製、商品名「F30VC1」)の銅表面を砥粒ブラシで研磨し、水洗後、乾燥した。このフレキシブルプリント配線板用基板上に連続式真空ラミネータ(日立化成工業社製、商品名「HLM−V570」)を用いて、ヒートシュー温度100℃、ラミネート速度0.5m/分、気圧4000Pa以下、圧着圧力0.3MPaの条件の下、得られた感光性エレメントを、ポリエチレンフィルムを剥離しつつ積層し、評価用積層体を得た。
そして、18μm厚の銅箔をポリイミド基材に積層したフレキシブルプリント配線板用基板(ニッカン工業社製、商品名「F30VC1」)の銅表面を砥粒ブラシで研磨し、水洗後、乾燥した。このフレキシブルプリント配線板用基板上に連続式真空ラミネータ(日立化成工業社製、商品名「HLM−V570」)を用いて、ヒートシュー温度100℃、ラミネート速度0.5m/分、気圧4000Pa以下、圧着圧力0.3MPaの条件の下、得られた感光性エレメントを、ポリエチレンフィルムを剥離しつつ積層し、評価用積層体を得た。
[感度(光感度)の評価]
得られた上記評価用積層体上に、ネガとしてストーファー21段ステップタブレットを有するフォトツールを密着させ、オーク製作所社製HMW−201GX型露光機を使用して、該ストーファー21段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が8.0となるエネルギー量で露光を行った。続いて、常温で一時間静置して、PETフィルムを剥離した後、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液を40秒間スプレーして現像を行い、80℃で10分間加熱(乾燥)した。光感度を評価する数値として、上記エネルギー量を用いた。この数値が低いほど、光感度が高いことを示す。結果を表2に示す。
得られた上記評価用積層体上に、ネガとしてストーファー21段ステップタブレットを有するフォトツールを密着させ、オーク製作所社製HMW−201GX型露光機を使用して、該ストーファー21段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が8.0となるエネルギー量で露光を行った。続いて、常温で一時間静置して、PETフィルムを剥離した後、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液を40秒間スプレーして現像を行い、80℃で10分間加熱(乾燥)した。光感度を評価する数値として、上記エネルギー量を用いた。この数値が低いほど、光感度が高いことを示す。結果を表2に示す。
[解像度の評価]
ストーファー21段ステップタブレットを有するフォトツールと、解像度評価用ネガとしてライン幅/スペース幅が30/30〜200/200(単位:μm)の配線パターンを有するフォトツールとを評価用積層体上に密着させ、上述した露光機を用いて、ストーファー21段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が8.0となるエネルギー量で露光を行った。続いて、常温で一時間静置して、PETフィルムを剥離した後、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液を40秒間スプレーして現像を行い、80℃で10分間加熱(乾燥)した。ここで、解像度は、現像処理によって矩形のレジスト形状が得られたライン幅間のスペース幅の最も小さい値(単位:μm)により評価した。この値が小さいほど、解像度に優れていることを示す。結果を表2に示す。
ストーファー21段ステップタブレットを有するフォトツールと、解像度評価用ネガとしてライン幅/スペース幅が30/30〜200/200(単位:μm)の配線パターンを有するフォトツールとを評価用積層体上に密着させ、上述した露光機を用いて、ストーファー21段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が8.0となるエネルギー量で露光を行った。続いて、常温で一時間静置して、PETフィルムを剥離した後、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液を40秒間スプレーして現像を行い、80℃で10分間加熱(乾燥)した。ここで、解像度は、現像処理によって矩形のレジスト形状が得られたライン幅間のスペース幅の最も小さい値(単位:μm)により評価した。この値が小さいほど、解像度に優れていることを示す。結果を表2に示す。
[塗膜性の評価]
得られた評価用積層体に対し、露光を行わずに、該積層体上のポリエチレンテレフタレートを剥離し、その塗膜表面に指を軽く押し付け、指に対する張り付き程度を以下の基準で評価した。すなわち、指に対する張り付きが認められない、又は、ほとんど認められないものは「A」とし、指に対する張り付きが認められるものは「B」とした。結果を表2に示す。
得られた評価用積層体に対し、露光を行わずに、該積層体上のポリエチレンテレフタレートを剥離し、その塗膜表面に指を軽く押し付け、指に対する張り付き程度を以下の基準で評価した。すなわち、指に対する張り付きが認められない、又は、ほとんど認められないものは「A」とし、指に対する張り付きが認められるものは「B」とした。結果を表2に示す。
[評価用FPCの作製]
さらに、得られた評価用積層体上に、ストーファー21段ステップタブレットを有するフォトツールと、カバーレイの信頼性評価用ネガとして配線パターンを有するフォトツールとを密着させ、上述した露光機を使用して、該ストーファー21段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が8.0となるエネルギー量で露光を行った。次いで、常温で1時間静置した後、該積層体上のポリエチレンテレフタレートを剥離し、光感度評価の場合と同様の現像液及び現像条件でスプレー現像を行い、80℃で10分間加熱(乾燥)した。続いて、オーク製作所社製紫外線照射装置を使用して1J/cm2のエネルギー量で紫外線照射を行い、更に160℃で60分間加熱処理を行うことにより、カバーレイを形成した評価用FPCを得た。
さらに、得られた評価用積層体上に、ストーファー21段ステップタブレットを有するフォトツールと、カバーレイの信頼性評価用ネガとして配線パターンを有するフォトツールとを密着させ、上述した露光機を使用して、該ストーファー21段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が8.0となるエネルギー量で露光を行った。次いで、常温で1時間静置した後、該積層体上のポリエチレンテレフタレートを剥離し、光感度評価の場合と同様の現像液及び現像条件でスプレー現像を行い、80℃で10分間加熱(乾燥)した。続いて、オーク製作所社製紫外線照射装置を使用して1J/cm2のエネルギー量で紫外線照射を行い、更に160℃で60分間加熱処理を行うことにより、カバーレイを形成した評価用FPCを得た。
[はんだ耐熱性の評価]
上述のようにして得られた評価用FPCに、ロジン系フラックス(タムラ化研社製、商品名「MH−820V」)を塗布した後、260℃のはんだ浴中に30秒間浸漬してはんだ処理を行った。このようにしてはんだめっきを施されたFPC上のカバーレイのクラック発生状況並びに基板からのカバーレイの浮き程度及び剥離程度を目視により観察し、次の基準で評価した。すなわち、カバーレイのクラックの発生が認められず、カバーレイの浮き及び剥離も認められないものは「A」とし、それらのいずれかが認められるものは「B」とした。結果を表2に示す。
上述のようにして得られた評価用FPCに、ロジン系フラックス(タムラ化研社製、商品名「MH−820V」)を塗布した後、260℃のはんだ浴中に30秒間浸漬してはんだ処理を行った。このようにしてはんだめっきを施されたFPC上のカバーレイのクラック発生状況並びに基板からのカバーレイの浮き程度及び剥離程度を目視により観察し、次の基準で評価した。すなわち、カバーレイのクラックの発生が認められず、カバーレイの浮き及び剥離も認められないものは「A」とし、それらのいずれかが認められるものは「B」とした。結果を表2に示す。
[可撓性(耐折性)の評価]
上述のようにして得られた評価用FPCを、ハゼ折りにより180°折り曲げを5回繰り返して行い、その際のカバーレイにおけるクラック発生状況を目視により観察し、次の基準で評価した。すなわち、カバーレイにクラックが認められないものは「A」とし、クラックが認められるものは「B」とした。結果を表2に示す。
上述のようにして得られた評価用FPCを、ハゼ折りにより180°折り曲げを5回繰り返して行い、その際のカバーレイにおけるクラック発生状況を目視により観察し、次の基準で評価した。すなわち、カバーレイにクラックが認められないものは「A」とし、クラックが認められるものは「B」とした。結果を表2に示す。
[耐熱プレス性の評価]
上述のようにして得られた評価用FPCを、30tハンドプレス機(東洋精機製作所(株)製)を用いて、プレス温度175℃、プレス圧力150kgfの条件により30分間厚さ方向にプレスした。その際のカバーレイからの感光性樹脂組成物成分のしみ出しの有無を目視により観察し、次の基準で評価した。カバーレイから感光性樹脂組成物成分のしみ出しが認められないものは「A」とし、樹脂のしみ出しが認められるものは「B」とした。結果を表2に示す。
上述のようにして得られた評価用FPCを、30tハンドプレス機(東洋精機製作所(株)製)を用いて、プレス温度175℃、プレス圧力150kgfの条件により30分間厚さ方向にプレスした。その際のカバーレイからの感光性樹脂組成物成分のしみ出しの有無を目視により観察し、次の基準で評価した。カバーレイから感光性樹脂組成物成分のしみ出しが認められないものは「A」とし、樹脂のしみ出しが認められるものは「B」とした。結果を表2に示す。
[難燃性の評価]
銅箔張積層板(新日鐵化学製、商品名「エスパネックスMB」のシリーズ)の銅箔をエッチングにより除去して厚さ25μmのPIフィルムを得た。次いで、そのPIフィルムの両面に、連続式真空ラミネータ(日立化成工業社製、商品名「HLM−V570」)を用いて、ヒートシュー温度100℃、ラミネート速度0.5m/分、気圧4000Pa以下、圧着圧力0.3MPaの条件の下、上述の感光性エレメントを、ポリエチレンフィルムを剥離しつつ積層して積層体を得た。次に、オーク製作所社製HMW−201GX型露光機を使用して、上記感光性エレメントの感光層の露光を、ストーファー21段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が8.0となる上記エネルギー量で行った。続いて、常温で一時間静置して、ポリエチレンテレフタレートフィルムを積層体から剥離した後、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液を積層体に40秒間スプレーして現像を行い、80℃で10分間加熱(乾燥)した。次いで、積層体の感光層にオーク製作所社製紫外線照射装置を使用して1J/cm2のエネルギー量で紫外線照射を行い、更に160℃で60分間加熱処理を行うことにより、カバーレイを形成した難燃性評価用サンプルを得た。この難燃性評価用サンプルついて、UL94規格に準拠した薄材垂直燃焼試験を行った。評価はUL94規格に基づいて、VTM−0又はVTM−1と表した。結果を表2に示す。なお、表2中「NOT」とは、燃焼試験において難燃性評価用サンプルがVTM−0、VTM−1、VTM−2に該当せず全焼したことを示す。
銅箔張積層板(新日鐵化学製、商品名「エスパネックスMB」のシリーズ)の銅箔をエッチングにより除去して厚さ25μmのPIフィルムを得た。次いで、そのPIフィルムの両面に、連続式真空ラミネータ(日立化成工業社製、商品名「HLM−V570」)を用いて、ヒートシュー温度100℃、ラミネート速度0.5m/分、気圧4000Pa以下、圧着圧力0.3MPaの条件の下、上述の感光性エレメントを、ポリエチレンフィルムを剥離しつつ積層して積層体を得た。次に、オーク製作所社製HMW−201GX型露光機を使用して、上記感光性エレメントの感光層の露光を、ストーファー21段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が8.0となる上記エネルギー量で行った。続いて、常温で一時間静置して、ポリエチレンテレフタレートフィルムを積層体から剥離した後、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液を積層体に40秒間スプレーして現像を行い、80℃で10分間加熱(乾燥)した。次いで、積層体の感光層にオーク製作所社製紫外線照射装置を使用して1J/cm2のエネルギー量で紫外線照射を行い、更に160℃で60分間加熱処理を行うことにより、カバーレイを形成した難燃性評価用サンプルを得た。この難燃性評価用サンプルついて、UL94規格に準拠した薄材垂直燃焼試験を行った。評価はUL94規格に基づいて、VTM−0又はVTM−1と表した。結果を表2に示す。なお、表2中「NOT」とは、燃焼試験において難燃性評価用サンプルがVTM−0、VTM−1、VTM−2に該当せず全焼したことを示す。
[伸び率、引張弾性率及び引張強度の評価]
ポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人社製、商品名「G2−16」)上に上記感光性エレメントを上記連続式真空ラミネータによりポリエチレンフィルムを剥離しつつ積層し、その全面に、露光量200mJ/cm2の紫外線を照射して露光を行った。更に、1J/cm2の紫外線を照射後、160℃で1時間の後加熱を行った。これにより得られる硬化膜を上記ポリエチレンテレフタレートフィルムから剥離し、更に長さ70mm、幅10mmの大きさに切り出して、評価用硬化膜を得た。
ポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人社製、商品名「G2−16」)上に上記感光性エレメントを上記連続式真空ラミネータによりポリエチレンフィルムを剥離しつつ積層し、その全面に、露光量200mJ/cm2の紫外線を照射して露光を行った。更に、1J/cm2の紫外線を照射後、160℃で1時間の後加熱を行った。これにより得られる硬化膜を上記ポリエチレンテレフタレートフィルムから剥離し、更に長さ70mm、幅10mmの大きさに切り出して、評価用硬化膜を得た。
次いで、得られた評価用硬化膜の伸び率、引張弾性率及び引張強度をJIS K7120に準拠して導出した。すなわち、チャック幅50mmでレオメーター(FUDOH社製、商品名「RT−3010D−CW」)に上記評価用硬化膜をセットし、室温で延伸して、破断点までの変位を求めることにより導出した。
[耐溶剤性の評価]
[はんだ耐熱性の評価]におけるものと同様にして得られた評価用FPCに形成したカバーレイを、アセトン、メチルエチルケトン及びイソプロピルアルコール中に室温で30分間浸漬した。洗浄後、カバーレイの基板からの剥離又は膨潤が認められず、しかもカバーレイの溶解が認められなかったものを「A」、それらのいずれかが認められたものを「B」とした。結果を表2に示す。
[はんだ耐熱性の評価]におけるものと同様にして得られた評価用FPCに形成したカバーレイを、アセトン、メチルエチルケトン及びイソプロピルアルコール中に室温で30分間浸漬した。洗浄後、カバーレイの基板からの剥離又は膨潤が認められず、しかもカバーレイの溶解が認められなかったものを「A」、それらのいずれかが認められたものを「B」とした。結果を表2に示す。
1…感光性エレメント、10…支持体、14…感光層。
Claims (10)
- (A)成分;バインダポリマー、
(B)成分;光重合性化合物、
(C)成分;光重合開始剤、
(D)成分;ブロックイソシアネート化合物、及び
(E)成分;分子内にリン原子を有するリン含有化合物、
を含有する感光性樹脂組成物であって、
前記(B)成分として、(B1)成分;ハロゲン化芳香環と重合可能なエチレン性不飽和結合とを分子内に有する光重合性化合物、を含む感光性樹脂組成物。 - 前記(B1)成分は、ブロモフェニル基と、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基と、を分子内に有する前記光重合性化合物を含む、請求項1記載の感光性樹脂組成物。
- 前記(B1)成分は、炭素数1〜5のオキシアルキレン基を分子内に有する前記光重合性化合物を含む、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記(D)成分は、分子内に下記式(1);
−NHCO− (1)
で表される基を有するブロックイソシアネート化合物を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。 - 前記(B1)成分は、分子内における前記エチレン性不飽和結合の数が異なる少なくとも2種の前記光重合性化合物を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記(B1)成分は、分子内に1つの前記エチレン性不飽和結合を有する前記光重合性化合物を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記(B1)成分は、分子内に1つの前記エチレン性不飽和結合を有する前記光重合性化合物と、分子内に2つの前記エチレン性不飽和結合を有する前記光重合性化合物とを含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
- 支持体と、該支持体上に設けられ請求項1〜9のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物からなる感光層と、を備える感光性エレメント。
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JP2005188886A JP2007010794A (ja) | 2005-06-28 | 2005-06-28 | 感光性樹脂組成物及び感光性エレメント |
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