以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
(感光性樹脂組成物)
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)カルボキシル基を有するバインダーポリマー、(B)光重合性化合物、及び(C)光重合開始剤を含有する。以下、各成分について説明する。
本発明における(A)成分は、カルボキシル基を有するバインダーポリマーである。
(A)カルボキシル基を有するバインダーポリマーとしては、例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリカーボネート、メラミン樹脂、ポリフェニレンスルフィド、及びポリオキシベンゾイル等の公知の樹脂やその酸変性樹脂であって、分子内にカルボキシル基を有するものが挙げられる。バインダーポリマーは、上記のなかでもエチレン性不飽和二重結合を有した単量体(重合性単量体)を重合(ラジカル重合等)して得られたものであることが好ましい。
このようなエチレン性不飽和二重結合を有した単量体としては、例えば、ジアセトンアクリルアミド等のアクリルアミド、アクリロニトリル及びビニル−n−ブチルエーテル等のビニルアルコールのエステル類、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、α−ブロモ(メタ)アクリル酸、α−クロル(メタ)アクリル酸、β−フリル(メタ)アクリル酸、及びβ−スチリル(メタ)アクリル酸等の(メタ)アクリル酸系単量体、マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、及びマレイン酸モノイソプロピル等のマレイン酸系単量体、フマル酸、ケイ皮酸、α−シアノケイ皮酸、イタコン酸、クロトン酸、及びプロピオール酸などが挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
本実施形態で用いるバインダーポリマーとしては、アルカリ現像性及び解像度の観点から、アクリル樹脂が好ましい。アクリル樹脂は、例えば、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル等を共重合成分としてラジカル重合させることにより得られる。特に、メタクリル酸及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルを共重合成分として含むビニル系共重合体が好ましい。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、下記一般式(I)で表される化合物等が挙げられる。
(式中、R
1は水素原子又はメチル基を示す。また、R
2は炭素数1〜12の直鎖状又は分岐状アルキル基を示し、水素原子が水酸基、エポキシ基、ハロゲン原子等に置換されていてもよい。)
上記一般式(I)で表される(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸プロピルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸ペンチルエステル、(メタ)アクリル酸ヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸ヘプチルエステル、(メタ)アクリル酸オクチルエステル、及び(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
上記ビニル系共重合体化合物としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルや(メタ)アクリル酸とともに、これらと共重合し得るビニルモノマーを共重合させて得られるものを使用してもよい。このようなビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、メタクリル酸グリシジルエステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレートアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、スチレン、及びビニルトルエン等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
(A)成分の重量平均分子量は、感光性樹脂組成物の塗膜性、フィルム形成性及び現像性をバランスよく向上させる観点から、20,000〜300,000であることが好ましく、30000〜150000であることがより好ましく、40000〜120000であることがさらに好ましく、50000〜100000であることが特に好ましい。
本発明の(A)成分の酸価は、50〜160mgKOH/gであり、アルカリ現像性、解像性及び耐めっき性をバランスよく向上させる観点から、60〜150mgKOH/gであることが好ましく、70〜140mgKOH/gであることがより好ましく、80〜130mgKOH/gであることがさらに好ましい。
本発明における(B)成分は、(B1)エチレン性不飽和基及び2つ以上の水酸基を有するエポキシアクリレート化合物と、ジイソシアネート化合物と、カルボキシル基を有するジオール化合物と、を反応させて得られた化合物、及び、(B2)ポリカーボネート化合物及び/又はポリエステル化合物の末端のヒドロキシル基とジイソシアネート化合物のイソシアネート基との反応に由来するウレタン結合を有し且つ複数の末端にイソシアナート基を有するウレタン化合物と、ヒドロキシル基及びエチレン性不飽和基を有する化合物と、を反応させて得られた化合物を含む光重合性化合物である。以下、各成分について説明する。
(B1)成分は、エチレン性不飽和基及び2つ以上の水酸基を有するエポキシアクリレート化合物と、ジイソシアネート化合物と、カルボキシル基を有するジオール化合物と、を反応させて得られたポリウレタン化合物である。
ポリウレタン化合物は、上記のように、エチレン性不飽和基及び2つ以上の水酸基を有するエポキシアクリレート化合物(以下、「原料エポキシアクリレート」という)、ジイソシアネート化合物(以下、「原料ジイソシアネート」という)、並びにカルボキシル基を有するジオール化合物(以下、「原料ジオール」という)を原料成分として得られる化合物である。まず、これらの原料成分について説明する。
原料エポキシアクリレートとしては、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ノボラック型エポキシ化合物、及びフルオレン骨格を有するエポキシ化合物等に(メタ)アクリル酸を反応させて得られる化合物等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
原料ジイソシアネートとしては、イソシアナート基を2つ有する化合物であれば特に制限なく適用できる。例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリデンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、アリレンスルホンエーテルジイソシアネート、アリルシアンジイソシアネート、N−アシルジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、及びノルボルナン−ジイソシアネートメチル等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
原料ジオールは、分子内に、アルコール性水酸基及び/又はフェノール性水酸基等の水酸基を2つ有するとともに、カルボキシル基を有する化合物である。水酸基としては、感光性樹脂組成物のアルカリ水溶液による現像性を良好にする観点から、アルコール性水酸基を有していることが好ましい。このようなジオール化合物としては、ジメチロールプロピオン酸及びジメチロールブタン酸等が例示できる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
次に、上述した原料成分を用いてポリウレタン化合物を製造する工程の例について説明する。
ポリウレタン化合物の製造工程では、まず、原料エポキシアクリレート及び原料ジオールを、原料ジイソシアネートと反応させる。かかる反応においては、主に、原料エポキシアクリレートにおける水酸基と原料ジイソシアネートにおけるイソシアナト基との間、及び、原料ジオールにおける水酸基と原料ジイソシアネートにおけるイソシアナト基との間で、いわゆるウレタン化反応が生じる。この反応により、例えば、原料エポキシアクリレートに由来する構造単位と、原料ジオールに由来する構造単位とが、原料ジイソシアネートに由来する構造単位を介して交互に又はブロック的に重合されたポリウレタン化合物が生じる。
このようなポリウレタン化合物としては、例えば、下記一般式(II)で表される構造を有する化合物が例示できる。
ここで、一般式(II)中、R
3はエポキシアクリレートの残基、R
4はジイソシアネートの残基、R
5は炭素数1〜5のアルキル基、R
6は水素原子又はメチル基を示す。なお、残基とは、原料成分から結合に供された官能基を除いた部分の構造をいう。また、式中に複数ある基は、それぞれ同一でも異なってもいてもよい。また、上記ポリウレタン化合物が有する末端の水酸基は、飽和若しくは不飽和多塩基酸無水物で処理されていてもよい。
上述したポリウレタン化合物の製造工程では、原料エポキシアクリレート、原料ジオール及び原料ジイソシアネート以外に、これらとは異なるジオール化合物を更に添加してもよい。これにより、得られるポリウレタン化合物の主鎖構造を変えることが可能となり、後述する酸価等の特性を所望の範囲に調整できる。また、上述した各工程では、適宜、触媒等を用いてもよい。
また、上述したポリウレタン化合物と原料エポキシとを更に反応させてもよい。この反応では、主に上記ポリウレタン化合物におけるジオール化合物に由来するカルボキシル基と、原料エポキシの有するエポキシ基との間でいわゆるエポキシカルボキシレート化反応が生じる。このようにして得られる化合物は、例えば、上述したポリウレタン化合物から形成される主鎖と、原料エポキシアクリレートや原料エポキシに由来するエチレン性不飽和基を含む側鎖とを備えるものとなる。
本実施形態のポリウレタン化合物としては、ポリウレタンの主骨格の一つとなる原料エポキシアクリレートのハードセグメント部、すなわち一般式(II)中におけるR3が、ビスフェノールA型構造のものが好ましい。このようなポリウレタン化合物は、UXE−3011、UXE−3012、UXE−3024(以上、日本化薬株式会社製、商品名)等として商業的に入手可能である。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
また、(B1)成分であるポリウレタン化合物の酸価は、アルカリ現像性の観点から20mgKOH/g以上であることが好ましく、アルカリ現像液耐性及び密着性の観点から130mgKOH/g以下であることが好ましく、30〜110mgKOH/gであることがより好ましく、40〜100mgKOH/gであることがさらに好ましく、50〜80mgKOH/gであることが特に好ましい。
ここで、酸価は、次のようにして測定することができる。すなわち、まず、酸価を測定すべき樹脂の溶液約1gを精秤した後、この樹脂溶液にアセトンを30g添加し、これを均一に溶解する。次いで、指示薬であるフェノールフタレインをその溶液に適量添加して、0.1NのKOH水溶液を用いて滴定を行う。そして、次式により酸価を算出する。
式中、Aは酸価(mgKOH/g)を示し、Vfは0.1NのKOH水溶液の滴定量(mL)を示し、Wpは測定した樹脂溶液の重量(g)を示し、Iは測定した樹脂溶液中の不揮発分の割合(質量%)を示す。
また、ポリウレタン化合物の重量平均分子量は、感光性樹脂組成物の塗膜性の観点から3000以上であることが好ましく、硬化膜の耐クラック性及びHAST耐性(高度加速寿命試験、Highly Accelerated temperature and humidity Stress Test)を良好に得る観点から200000以下であることが好ましく、5000〜100000であることがより好ましく、6000〜50000であることがさらに好ましく、7000〜30000であることが特に好ましい。なお、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる(標準ポリスチレンによる換算)。
(B2)成分は、ポリカーボネート化合物及び/又はポリエステル化合物の末端のヒドロキシル基とジイソシアネート化合物のイソシアネート基との反応に由来するウレタン結合を有し、且つ複数の末端にイソシアナート基を有するウレタン化合物と、ヒドロキシル基及びエチレン性不飽和基を有する化合物と、を反応させて得られた化合物である。
(B2)化合物の合成に用いる上記ウレタン化合物は、両末端にヒドロキシル基を有するポリカーボネート化合物及び/又はポリエステル化合物(以下、場合によりポリカーボネート化合物及びポリエステル化合物をそれぞれ、「(1)ポリカーボネート化合物」及び「(2)ポリエステル化合物」と表記する。)とジイソシアネート化合物(以下、場合により「(3)ジイソシアネート化合物」と表記する。)とを反応させて得ることができる。特に、耐めっき性を良好にする観点から、(1)ポリカーボネート化合物と(3)ジイソシアネート化合物とを反応させて得られるウレタン化合物を用いることが好ましい。
(1)ポリカーボネート化合物は、アルキレン基がカーボネート結合を介して主鎖に並んだ構造を有し、公知の方法により得ることができ、例えば、ホスゲン法によりポリカーボネート化合物を得る場合は、ジオール化合物とホスゲンとを反応させる。ジオール化合物としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチルペンタンジオール、3−メチルペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、3,3,5−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、2,3,5−トリメチル−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール等が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。また、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ヘキサントリオール、ヘプタントリオール、ペンタエリスリトール等のポリオール化合物が含まれてもよい。
上記ポリカーボネート化合物のなかでも、繰り返し単位として、1,6−ヘキサンジオール及び1,5−ペンタンジオールに由来する下記式(a)で表されるヘキサメチレンカーボネート及び下記式(b)で表されるペンタメチレンカーボネートを含むものが好ましい。
また、上記ポリカーボネート化合物に含まれる(a)/(b)モル比は、9/1〜1/9であることが好ましく、7.5/2.5〜1.5/8.5であることがより好ましい。この含有比が上記範囲外であると、光硬化物の伸び及び強度が低下する傾向がある。
(2)ポリエステル化合物は、多塩基酸と多価アルコールとの重縮合による公知の方法により得ることができる。多塩基酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸などの芳香族や脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールのようなグリコール類が挙げられる。
上記ポリカーボネート化合物及びポリエステル化合物の数平均分子量(例えば、GPC測定し、ポリスチレン換算したもの)は600〜1,000であるものが好ましい。この数平均分子量が600未満では、可とう性が低下する傾向があり、1,000を超えると、現像性及び感度が低下する傾向がある。
(3)ジイソシアネート化合物としては、例えば、アルキレン基等の2価の脂肪族基を有する脂肪族ジイソシアネート化合物、シクロアルキレン等の2価の脂環式基を有する脂環式ジイソシアネート化合物、及び芳香族ジイソシアネート化合物、並びに、これらのイソシアヌレート化変性物、カルボジイミド化変性物、及びビウレット化変性物が挙げられる。
脂肪族ジイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートが挙げられる。脂環式ジイソシアネート化合物としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシル)ジイソシアネート、1,3−もしくは1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンが挙げられる。芳香族ジイソシアネート化合物としては、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トリエンジイソシアネート又は2,6−トリエンジイソシアネートの2量化重合体、(o,p又はm)−キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネートが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。また、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェイト等の2以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物が含まれていてもよい。これらのなかでも光硬化物の可とう性及び強靭性をより高水準に達成する観点から脂環式ジイソシアネート化合物が好ましく、イソホロンジイソシアネートがより好ましい。
複数の末端にイソシアネート基を有するウレタン化合物(以下、場合により「(4)ウレタン化合物」と表記する。)は、(1)ポリカーボネート化合物及び/又は(2)ポリエステル化合物と(3)ジイソシアネート化合物とを反応させることで得られる。(4)ウレタン化合物は、両末端にイソシアナート基を有することが好ましく、この場合、上記の反応において(1)ポリカーボネート化合物及び(2)ポリエステル化合物の総量1モルに対して(3)ジイソシアネート化合物の配合量を1.01〜2.0モルとすることが好ましく、1.1〜2.0とすることがより好ましい。(3)ジイソシアネート化合物の配合量が1.01モル未満又は2.0モルを超えると、両末端にイソシアネート基を有するウレタン化合物を安定的に得られない傾向がある。なお、(4)ウレタン化合物を合成する反応では、触媒として、ジブチルチンジラウレートを加えることが好ましい。反応温度は60〜120℃とすることが好ましい。60℃未満であると、反応が充分に進まない傾向があり、120℃を超えると、急激な発熱により、操作が困難となる傾向がある。
上記ウレタン化合物と反応させて(B2)化合物を得る反応において用いることのできる、分子中にヒドロキシル基及びエチレン性不飽和基を有する化合物(以下、場合により「(5)ヒドロキシル基含有エチレン性不飽和化合物」という。)としては、例えば、分子中にヒドロキシル基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物が挙げることできる。かかる化合物としては、例えば、ヒドロキシ(メタ)アクリレート、これのカプロラクトン付加物又は酸化アルキレン付加物、グリセリン等の多価のアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物、及びグリシジル(メタ)アリレートアクリル酸付加物が挙げられる。
ヒドロキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらのカプロラクトン付加物としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート・カプロラクトン付加物、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート・カプロラクトン付加物、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート・カプロラクトン付加物が挙げられ、酸化アルキレン付加物としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート・酸化アルキレン付加物、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート・酸化プロピレン付加物、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート・酸化ブチレン付加物が挙げられる。エステル化合物としては、例えば、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンの酸化エチレン付加物のジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンの酸化プロピレン付加物のジ(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
(B2)化合物は、(4)ウレタン化合物に(5)ヒドロキシル基含有エチレン性不飽和化合物を付加反応させることにより得られる。かかる付加反応においては、(4)ウレタン化合物1モルに対して(5)ヒドロキシル基含有エチレン性不飽和化合物の配合量を2.0〜2.4モルとすることが好ましい。(5)ヒドロキシル基含有エチレン性不飽和化合物の配合量が2.0モル未満であると、光重合性が不充分となる傾向があり、2.4モルを超えると、光硬化物の伸び及び強度が低下する傾向がある。上記付加反応は、例えば、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−ヒドロキシ−トルエン等の存在下で行うことが好ましく、その他に、触媒として、ジブチルチンジラウレートを加えることが好ましい。反応温度としては、60〜90℃とすることが好ましい。60℃未満であると、反応が充分に進まない傾向があり、90℃を超えると、急激な発熱により、ゲル化する傾向がある。なお、反応の終点は、例えば、赤外線吸収スペクトルでイソシアネート基が消失する時点とすればよい。
上記(4)ウレタン化合物の数平均分子量は、1,000〜10,000であることが好ましく、この数平均分子量が1,000未満では可とう性及び耐めっき性が低下する傾向があり、10,000を超えると現像性が低下する傾向がある。
このような(B2)化合物としては、例えば、下記一般式(III)
(一般式(III)中、R
7=R
8−は、ヒドロキシル基含有エチレン性不飽和化合物に由来する不飽和有機基を示す。R
11は両末端からヒドロキシル基が脱離した形で表示されるポリカーボネート化合物及び/又はポリエステル化合物の2価の残基を示し、R
12はジイソシアネート化合物がイソシアネート基を脱離させた形で表示される2価の残基を示し、nは正の整数である。)
で表わされる化合物等が挙げられる。
上記一般式(III)中のnは繰り返し単位数であり、可とう性及び耐めっき性から1〜100であることが好ましく、1〜10であることがより好ましい。
R7=R8−は、(5)ヒドロキシル基含有エチレン性不飽和化合物に由来する不飽和有機基であり、二重結合をはさむ2つのR7及びR8の基本骨格は互いに同一でもよく、異なってもよい。
このような不飽和有機基としては、例えば、ヒドロキシエチルアクリレートが反応したジメチレンアクリレート基(−C2H4OCOCH=CH2)、ヒドロキシプロピルアクリレートが反応したトリメチレンアクリレート基、ヒドロキシブチルアクリレートが反応したテトラメチレンアクリレート基、ヒドロキシエチルアクリレート・カプロラクトン付加物が反応したペンタメチレンカルボニルオキシジメチレン−アクリレート(−(CH2)5COOC2H4OCOCH=CH2)、ヒドロキシプロピルアクリレート・カプロラクトン付加物が反応したペンタメチレンカルボニルオキシトリメチレン− アクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート・カプロラクトン付加物が反応したペンタメチレンカルボニルオキシテトラメチレン−アクリレート基等のカプロラクトン付加物又は酸化アルキレン付加物が反応した基、ヒドロキシエチルアクリレート・酸化エチレン付加物が反応したジメチレンオキシジメチレン−アクリレート基(−C2H4OC2H4OCOCH=CH2)、ヒドロキシエチルアクリレート・酸化プロピレン付加物が反応したメチルジメチレンオキシジメチレン−アクリレート基(−C2H3(CH3)OC2H4OCOCH=CH2)、ヒドロキシエチルアクリレート・酸化ブチレン付加物が反応したエチルジメチレンオキシジメチレン−アクリレート基(−C2H3(C2H5)OC2H4OCOCH=CH2)等が挙げられる。
R11は、両末端からヒドロキシル基が脱離した形で表示される(1)ポリカーボネート化合物及び/又は(2)ポリエステル化合物の2価の残基である。R11が2以上の繰り返し単位を含む場合、隣接する繰り返し単位は互いに同一でもよく、異なっていてもよく、繰り返しは規則的でもよく、不規則でもよい。
R11は、例えば、一般式(IV)
(一般式(IV)中、r及びsは正の整数である。)
で表される構造等が挙げられる。
R11は、ポリカーボネート残基及び/又はポリエステル残基のみで構成されてもよいが、共重合体中の繰り返し単位として、ポリオールの両端のヒドロキシル基を脱離した残基が含まれていることが好ましい。
ポリオールの両端のヒドロキシル基を脱離した残基としては、例えば、1,4−ブタンジオール残基(−(CH2)4−)、トリメチロールプロパン残基(−CH2C(CH2OH)(C2H5)CH2−)、トリメチロールエタン残基(−CH2C(CH2OH)(CH3)CH2−)、ヘキサントリオール残基(例えば、(−(CH2)4CH(OH)CH2−)等)、ヘプタントリオール残基(例えば、(−(CH2)5CH(OH)CH2−)等)、ペンタエリスリトール残基(−CH2C(CH2OH)2CH2−)等の多官能ポリオール残基が挙げられる。
オリゴマーのゲル化を有効に防止する観点から、含有するポリオール残基の割合は、ポリカーボネート残基及び/又はポリエステル残基との総量に対し、1,4−ブタンジオール残基の場合は、20モル%以下であることが好ましく、15モル%以下であることがより好ましい。また、1,4−ブタンジオール以外の上記のポリオールの残基の場合には、10モル%以下であることが好ましい。
上記のR11とR12とはウレタン結合を介して(4)ウレタン化合物を形成している。主鎖中には、本発明の効果を損なわない範囲で、水、低分子ポリオール、ポリアミンなどの残基が、さらにエーテル結合又はイミノ結合して含まれていると、主鎖の長さが適宜長くなって好ましい。
このような鎖延長基としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール等の残基で、それぞれヒドロキシル基中の水素を脱離させた形で表示されるものが挙げられる。
(B2)成分の数平均分子量は、1,000〜10,000であることが好ましく、2,000〜8,000であることがより好ましく、3,000〜4,500であることがさらに好ましい。この数平均分子量が1,000未満では、可とう性が低下する傾向があり、10,000を超えると、現像性が低下する傾向がある。
(B2)成分の酸価は、10mgKOH/g以下であり、5mgKOH/g以下であることが好ましく、1mgKOH/gであることがより好ましい。この酸価が10mgKOH/gを超えると、耐めっき性が低下し、めっきもぐりを生じる傾向がある。
(B2)成分である上述の化合物の市販品としては、例えば、UF−8001、UF−8001G−20M、UF−8002、UF−8003、UF−8003M(いずれも共栄社化学株式会社製、商品名)が挙げられる。
(B)成分は、上記(B1)及び(B2)成分以外に、他の光重合性化合物を含有するものであってもよい。他の光重合性化合物としては、例えば、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物、多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物等のウレタンモノマー等が挙げられる。また、これら以外にも、ノニルフェノキシポリオキシエチレンアクリレート、γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシアルキル−β’−(メタ)アクリロイルオキシアルキル−o−フタレート等のフタル酸系化合物、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、及びEO変性ノニルフェニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
(B)成分は、解像性及び無電解ニッケル/金めっき耐性を良好にする観点から、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物を含むことが好ましい。ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリブトキシ)フェニル)プロパン、及び2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。
(B)成分は、中でも2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパンを含むことがより好ましい。2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘプタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシオクタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシノナエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシデカエトキシ)フェニル)、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシウンデカエトキシ)フェニル)、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシドデカエトキシ)フェニル)、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリデカエトキシ)フェニル)、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラデカエトキシ)フェニル)、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)、及び2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサデカエトキシ)フェニル)等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
上記化合物のうち、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパンは、FA−321M(日立化成工業株式会社製、商品名)又はBPE−500(新中村化学工業株式会社製、商品名)として商業的に入手可能であり、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)は、BPE−1300(新中村化学工業株式会社製、商品名)として商業的に入手可能である。
また、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘプタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシオクタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシノナプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシデカプロポキシ)フェニル)、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシウンデカプロポキシ)フェニル)、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシドデカプロポキシ)フェニル)、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリデカプロポキシ)フェニル)、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラデカプロポキシ)フェニル)、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタデカプロポキシ)フェニル)、及び2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサデカプロポキシ)フェニル)等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジエトキシオクタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラエトキシテトラプロポキシ)フェニル)プロパン、及び2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサエトキシヘキサプロポキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物としては、例えば、エチレン基の数が2〜14であるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2〜14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレン基の数が2〜14でありプロピレン基の数が2〜14であるポリエチレン・ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO・PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
なお、「EO」とは「エチレンオキシド」のことをいい、「PO」とは「プロピレンオキシド」のことをいう。また、「EO変性」とはエチレンオキシドユニット(−CH2−CH2−O−)のブロック構造を有することを意味し、「PO変性」とはプロピレンオキシドユニット(−CH2−CH2−CH2−O−、−CH(CH3)CH2−O−又は−CH2CH(CH3)−O−)のブロック構造を有することを意味する。
上記多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物としては、例えば、エチレン基の数が2〜14であるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2〜14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンテトラエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンペンタエトキシトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2〜14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート及び2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)フェニル等が挙げられる。なお、上述したような化合物を得るためのα,β−不飽和カルボン酸としては、例えば(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
上記ウレタンモノマーとしては、例えば、β位にOH基を有する(メタ)アクリルモノマーと、イソホロンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、及び1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物との付加反応物や、トリス((メタ)アクリロキシテトラエチレングリコールイソシアネート)ヘキサメチレンイソシアヌレート、EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、及びEO又はPO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本発明における(C)成分である光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−メトキシ−4'−ジメチルアミノベンゾフェノン、等の芳香族ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(モルホリノフェノン)−ブタノン−1、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン等のα−アミノアルキルフェノン類、2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、アルキルアントラキノン等のキノン類、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9'−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体、N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(C)成分は、感光性樹脂組成物の感度及びはんだ耐熱性を向上させる観点から、α−アミノアルキルフェノン類を含有することが好ましく、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(モルホリノフェノン)−ブタノン−1であることが好ましい。2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(モルホリノフェノン)−ブタノン−1は、Irgacure369(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製、商品名)として商業的に入手可能である。
本発明における(A)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の固形分総量に対して、アルカリ現像性やフィルム形成性の観点から20質量%以上であることが好ましく、熱圧着時のジグ貼り付きを防止する観点から60質量%以下であることが好ましく、25〜55質量%であることがより好ましく、30〜50質量%であることがさらに好ましい。
本発明における(B1)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の固形分総量に対して、熱圧着時のジグ貼り付きを防止する観点から3質量%以上であることが好ましく、可とう性及び耐めっき性の観点から30質量%以下であることが好ましく、4〜25質量%であることがより好ましく、5〜20質量%であることがさらに好ましい。
本発明における(B2)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の固形分総量に対して、可とう性及び耐めっき性の観点から10質量%以上であることが好ましく、フィルム形成性の観点から50質量%以下であることが好ましく、15〜45質量%であることがより好ましく、20〜40質量%であることがさらに好ましい。
本発明における(B)成分が、(B1)及び(B2)成分以外の他の光重合性化合物を含む場合、その含有量は、(A)成分及び(B)成分の固形分総量に対して、感度を向上させる観点から5質量%以上であることが好ましく、フィルム形成性の観点から30質量%以下であることが好ましく、10〜25質量%であることがより好ましく、15〜20質量%であることがさらに好ましい。
本発明における、(C)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の固形分総量に対して、感度を向上させる観点から0.01質量%以上であることが好ましく、はんだリフロー時に光重合開始剤成分が昇華することを防ぐ観点から20質量%以下であることが好ましく、0.1〜10質量%であることがより好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。
また、本発明の感光性樹脂組成物は、さらに熱硬化剤を含むことが好ましい。熱硬化剤の具体例としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性の化合物などが挙げられる。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型三級脂肪酸変性ポリオールエポキシ樹脂、フタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等のジグリシジルエステル類、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジン等のジグリシジルアミン類等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、潜在性の熱硬化剤であるブロックイソシアネート化合物を用いることもできる。ブロックイソシアネート化合物としては、例えば、アルコール化合物、フェノール化合物、ε−カプロラクタム、オキシム化合物、活性メチレン化合物等のブロック剤によりブロック化されたポリイソシアネート化合物が挙げられる。ブロック化されるポリイソシアネート化合物としては、4,4−ジフェニルメタンジシソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ナフタレン1,5−ジイソシアネート、o−キシレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、2,4−トリレンダイマー等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネートが挙げられ、耐熱性の観点からは芳香族ポリイソシアネートが、着色防止の観点からは脂肪族ポリイソシアネート又は脂環式ポリイソシアネートが好ましい。
保存安定性及びHAST耐性の観点より、スミジュールBL−3175(住友バイエルウレタン社製、商品名)を熱硬化剤として用いることが好ましい。
また、本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じて、マラカイトグリーン等の染料、ロイコクリスタルバイオレット等の光発色剤、熱発色防止剤若しくはp−トルエンスルホンアミド等の可塑剤、フタロシアニンブルー等のフタロシアニン系、アゾ系等の有機顔料若しくは二酸化チタン等の無機顔料、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム若しくは硫酸バリウム等の無機顔料からなる充填剤、及び、上述した充填剤や有機顔料、無機顔料等の湿潤分散剤、消泡剤、安定剤、密着性付与剤、レベリング剤、酸化防止剤、香料或いはイメージング剤などを含有させることができる。これらの成分は、感光性樹脂組成物の(A)成分及び(B)成分の固形分総量に対して、各々0.01〜70質量%程度含有させることが好ましい。また上記の成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
さらに、本発明の感光性樹脂組成物は、必要に応じて、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の溶剤又はこれらの混合溶剤に溶解し、不揮発分30〜70質量%程度の溶液として塗布することができる。
以上説明したような本発明の感光性樹脂組成物は、銅、銅系合金、鉄、鉄系合金等の金属面上に、液状レジストとして塗布してから乾燥後、必要に応じて保護フィルムを被覆して用いるか、後述する感光性フィルムの形態で用いることができる。
(感光性フィルム)
図1は、本発明の感光性フィルムの好適な一実施形態を示す模式断面図である。図1に示した感光性フィルム1は、支持体10と、支持体10上に設けられた感光性樹脂組成物層20と、で構成される。感光性樹脂組成物層20は、上述した本発明の感光性樹脂組成物からなる層である。また、本発明の感光性フィルム1は、感光性樹脂組成物層20上の支持体10とは反対側の面を保護フィルム30で被覆してもよい。
感光性樹脂組成物層20は、本発明の感光性樹脂組成物を上記溶剤又は混合溶剤に溶解して固形分30〜70質量%程度の溶液とした後に、かかる溶液を支持体10上に塗布して形成することが好ましい。
感光性樹脂組成物層20の厚みは、用途により異なるが、加熱及び/又は熱風吹き付けにより溶剤を除去した乾燥後の厚みで、10〜100μmであることが好ましく、20〜60μmであることがより好ましい。感光性樹脂組成物層20の厚みを10μm以上にすることで、工業的な塗工がより容易になる傾向があり、100μm以下にすることで本発明により奏される上述の効果が大きくなるとともに可とう性及び解像度がより良好となる傾向がある。
感光性フィルム1が備える支持体10としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムなどが挙げられる。また、これらの重合体フィルムは多層構造を有していても良く、さらに片面にエンボスなどの処理を施してあっても良い。
支持体10の厚みは、5〜100μmであることが好ましく、10〜30μmであることがより好ましい。この厚みが5μm以上とすることで現像前に支持体を剥離する際に当該支持体が破れにくくなる傾向があり、また、100μm以下とすることで感光性フィルムの解像度及び可とう性がより良好となる傾向がある。
上述したような支持体10と感光性樹脂組成物層20との2層からなる感光性フィルム1又は支持体10と感光性樹脂組成物層20と保護フィルム30との3層からなる感光性フィルムは、例えば、そのまま貯蔵してもよく、又は保護フィルム30を介在させた上で巻芯にロール状に巻き取って保管することができる。
本発明の感光性フィルムを用いてレジストパターンを製造する方法としては、前記保護フィルムが存在している場合には、保護フィルムを除去後、必要に応じて感光性樹脂組成物層を加熱しながら回路形成用基板に圧着することにより積層することができる。かかる積層の際の雰囲気は特に制限されないが、密着性及び追従性等の見地から減圧下で積層することが好ましい。
また、感光性樹脂組成物層の加熱温度は50〜130℃とすることが好ましく90〜130℃とすることがより好ましく、圧着圧力は0.1〜1.0MPa程度とすることが好ましく、2.94×105Pa(3kgf/cm2)とすることがより好ましく、周囲の気圧は4000Pa(30mmHg)以下とすることがより好ましいが、これらの条件には特に制限はない。また、感光性樹脂組成物層を上記のように50〜130℃に加熱すれば、予め回路形成用基板を予熱処理することは必要ではないが、積層性をさらに向上させるために、回路形成用基板の予熱処理を行うこともできる。
積層される表面は、通常、回路形成用基板の導電体層の面であるが、当該導電体層以外の面であってもよく、回路形成用基板は予め導体層に回路が形成されていてもよい。回路形成用基板としては、本発明の効果をより効率よく得る観点から、フレキシブルプリント配線板(FPC)用の基板であることが好ましい。
このようにして積層が完了した後、感光性樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射して光硬化部を形成せしめる。光硬化部の形成方法としては、アートワークと呼ばれるネガ又はポジマスクパターンを通して活性光線を画像状に照射する方法が挙げられる。また、LDI方式、DLP(Digital Light Processing)露光法等のマスクパターンを用いずにレーザー等の光源により直接パターンを描画する直接描画露光法による露光も可能である。この際、感光性樹脂組成物層上に存在する支持体が透明の場合には、そのまま活性光線を照射することができるが、不透明の場合には、支持体を除去した後に感光性樹脂組成物層に活性光線を照射することが好ましい。感光性樹脂組成物層の保護という点から、透明な支持体を残存させたまま、それを通して露光することが好ましい。
活性光線の光源としては、公知の光源、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ、YAGレーザー、半導体レーザー等の紫外線を有効に放射するものを用いることができる。また、写真用フラッド電球、太陽ランプ等の可視光を有効に放射するものを用いることもできる。
次いで、露光後、感光性樹脂組成物層上に支持体が存在している場合には、支持体を除去した後、現像工程において、ウエット現像、ドライ現像等で光硬化部以外の感光性樹脂組成物層を除去して現像し、レジストパターンを形成させる。
ウエット現像の場合は、アルカリ性水溶液等の現像液を用いて、例えば、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング等の公知の方法により現像する。現像液としては、安全かつ安定であり、操作性が良好なものが用いられ、例えば、20〜50℃の炭酸ナトリウムの希薄溶液(1〜5質量%水溶液)等が用いられる。
アルカリ性水溶液の塩基としては、例えば、リチウム、ナトリウム又はカリウムの水酸化物等の水酸化アルカリ、リチウム、ナトリウム又はカリウムの炭酸塩又は重炭酸塩等の炭酸アルカリ、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等のアルカリ金属リン酸塩、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム等のアルカリ金属ピロリン酸塩などが挙げられ、それぞれ1〜5質量%の水溶液として用いることができる。中でも、1〜5質量%炭酸ナトリウム水溶液が好ましい。現像に用いるアルカリ水溶液のpHとしては、9〜11とすることが好ましい。また、現像温度としては、感光性樹脂組成物層の現像性に合わせて適宜調整することが好ましい。
また、前記アルカリ水溶液中には、表面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤等を混入させることができる。
上述の形成方法により得られたレジストパターンは、さらに、現像後、プリント配線板の永久マスクレジストとしてのはんだ耐熱性、耐薬品性及び耐めっき性等を向上させる目的で、高圧水銀ランプによる紫外線照射やオーブンによる加熱を行うことが好ましい。
紫外線を照射させる場合は必要に応じてその照射量を調整することができ、例えば0.2〜10J/cm2程度の照射量で照射を行うこともできる。また加熱する場合は、100〜170℃程度の範囲で15〜90分間程行われることが好ましい。さらに紫外線照射と加熱とを両方実施してもよく、いずれか一方を実施した後、他方を実施することもできる。同時に行う場合の加熱温度は60〜150℃とすることが好ましい。
このようにして形成されたレジストパターンは、プリント配線板の永久マスクレジストとして使用されると好ましい。本発明の感光性樹脂組成物から形成される硬化膜は、優れた可とう性及び耐めっき性を有するため、基板にはんだ付けを施した後の配線の保護膜を兼ねるプリント配線板、特にフレキシブルプリント配線板の永久マスクレジストとして有効である。