JP2011170197A - 感光性樹脂組成物、感光性エレメント及び永久マスクレジスト - Google Patents

感光性樹脂組成物、感光性エレメント及び永久マスクレジスト Download PDF

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Kyoko Ozawa
恭子 小澤
Takeshi Ohashi
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Abstract

【課題】感度に優れる感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)バインダーポリマーと、(B)光重合性モノマーと、(C)光重合開始剤と、を含有し、(A)バインダーポリマーとして、(A1)エチレン性不飽和基及び2つ以上の水酸基を有するエポキシアクリレート化合物と、ジイソシアネート化合物とカルボキシル基を有するジオール化合物と、を反応させて得られるポリウレタン化合物及び(A2)(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルに基づく構成単位を有するポリマーを含有し、(C)光重合開始剤として、(C1)アセトフェノン化合物及び(C2)ベンジルケタール化合物を含有する感光性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、感光性樹脂組成物、感光性エレメント及び永久マスクレジストに関する。
プリント配線板として、近年、カメラや携帯電話等の小型機器に折り曲げて組込むことが可能なフィルム状のフレキシブルプリント配線板(以下、「FPC」という)が多用されている。このFPCにも、一般的なプリント配線板と同様に、はんだ付け位置の限定及び配線の保護の為の永久マスクレジストが必要である。この永久マスクレジストは、カバーレイ又はカバーコートと呼ばれている。
永久マスクレジスト(以下、場合により「カバーレイ」という)の形成方法としては、高解像度のレジストパターンが形成可能であり、作業性が良好であることから、感光性樹脂組成物を用いた写真現像法(イメージ露光後、現像により画像を形成する方法)が注目されている。
永久マスクレジスト形成用の感光性樹脂組成物としては、例えば、アクリル系ポリマー及び光重合性モノマーを主成分とする難燃性の感光性樹脂組成物(例えば、特許文献1及び2を参照)、エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂硬化剤を主成分とする耐熱性の感光性樹脂組成物(例えば、特許文献3を参照)、主鎖にカルコン基を有する感光性エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂硬化剤を主成分とする高安定性の感光性樹脂組成物(例えば、特許文献4を参照)、エポキシ基を有するノボラック型エポキシアクリレート及び光重合性開始剤を主成分とし、硬化性、耐溶剤性、耐めっき性等に優れる感光性樹脂組成物(例えば、特許文献5を参照)、カルボキシル基含有ポリマー、単量体、光重合性開始剤及び熱硬化性樹脂を主成分とする感光性樹脂組成物(例えば、特許文献6〜9を参照)等が提案されている。
特開昭53−56018号公報 特開昭54−1018号公報 特開昭54−82073号公報 特開昭58−62636号公報 特開昭61−272号公報 特開48−73148昭号公報 特開57−178237昭号公報 特開昭58−42040号公報 特開昭59−151152号公報
最近、配線パターンの設計情報を保護する目的や、カメラモジュール等にFPCが内蔵される場合に、レジスト表面で光が乱反射することによる画像ノイズ等を防ぐ目的で、可視光を吸収する黒色の永久マスクレジスト(以下、場合により「ブラックカバーレイ」という。)が要求されている。
しかしながら、本発明者らが、永久マスクレジストの黒色化について検討を行ったところ、従来の感光性樹脂組成物に黒色顔料を配合すると、感度の低下に伴い、レジストの密着性が低下したり、レジスト底部に欠けが生じたりする場合のあることが判明した。
これらの問題を解決するために、紫外線照射量を上げる方法が考えられるが、このような方法は、照射量の増大に伴ってハレーションが大きくなり、解像性が悪化するため、限界がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、感度に優れる感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。本発明はまた、当該感光性樹脂組成物を用いた感光性エレメント及び永久マスクレジストを提供することを目的とする。
本発明は、(A)バインダーポリマーと、(B)光重合性モノマーと、(C)光重合開始剤と、を含有し、(A)バインダーポリマーとして、(A1)エチレン性不飽和基及び2つ以上の水酸基を有するエポキシアクリレート化合物と、ジイソシアネート化合物と、カルボキシル基を有するジオール化合物と、を反応させて得られるポリウレタン化合物及び(A2)(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルに基づく構成単位を有するポリマーを含有し、(C)光重合開始剤として、(C1)下記式(1)で表される化合物及び(C2)下記式(2)で表される化合物を含有する、感光性樹脂組成物を提供する。
Figure 2011170197
式(1)中、R及びRはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、アミノ基又はカルボキシル基を示し、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示し、kは0〜4の整数を示し、lは0〜5の整数を示す。複数存在するR及びRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
Figure 2011170197
式(2)中、R及びRはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、アミノ基又はカルボキシル基を示し、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示し、m及びnはそれぞれ独立に、0〜5の整数を示す。複数存在するR及びRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
本発明の感光性樹脂組成物は、上記構成を有することにより、感度に優れる。また、本発明の感光性樹脂組成物は、感度に優れることにより、可視光を吸収する黒色の永久マスクレジストの形成にも好適に使用できる。
ところで、一般的に、永久マスクレジスト形成用の感光性樹脂組成物には、感度に加え、現像性、解像性に優れることが要求される。また、永久マスクレジストには、通常、密着性、可とう性、耐薬品性、耐めっき性、難燃性、耐熱性等の特性が要求される。また、カバーレイとして厚膜のドライフィルムタイプを使用する場合には、基板表面の配線による凹凸に対する追従性も要求される。本発明の感光性樹脂組成物は、感度、現像性、解像性に優れ、かつ、密着性、可とう性、耐薬品性、耐めっき性、難燃性、耐熱性及び追従性に優れる永久マスクレジストを形成可能である。
本発明の感光性樹脂組成物は、(D)分子内にウレタン結合及びエチレン性不飽和基を有するオリゴマーを更に含有することが好ましい。
感光性樹脂組成物がこのような成分を含有すると、形成される永久マスクレジストの可とう性、解像性及び耐めっき性が向上する。
本発明の感光性樹脂組成物は、(E)熱硬化剤を更に含有することが好ましい。
感光性樹脂組成物がこのような成分を含有すると、形成される永久マスクレジストの密着性、可とう性、耐薬品性、耐めっき性、難燃性、耐熱性及び追従性がより向上する。
本発明の感光性樹脂組成物は、(F)黒色顔料を更に含有することができる。
本発明の感光性樹脂組成物は感度に優れ、(F)黒色顔料を含有する場合であっても、好適な永久マスクレジストを形成可能である。
また、本発明は、支持体と、該支持体上に形成された上記感光性樹脂組成物からなる感光層と、を備える感光性エレメントを提供する。
このような感光性エレメントは、上記感光性樹脂組成物からなる感光層を備えるため、感度、現像性、解像性により優れ、かつ、密着性、可とう性、耐薬品性、耐めっき性、難燃性、耐熱性及び追従性に優れる永久マスクレジストを形成可能である。
また、本発明は、上記感光性樹脂組成物を光照射により硬化させてなる永久マスクレジストを提供する。
このような永久マスクレジストは、上記感光性樹脂組成物を硬化させてなるため、密着性、可とう性、耐薬品性、耐めっき性、難燃性、耐熱性及び追従性に優れたものとなる。
本発明によれば、感度に優れる感光性樹脂組成物並びに当該感光性樹脂組成物を用いた感光性エレメント及び永久マスクレジストを提供することができる。
本発明の感光性エレメントの好適な一実施形態を示す模式断面図である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
[感光性樹脂組成物]
本実施形態の感光性樹脂組成物は、(A)バインダーポリマーと、(B)光重合性モノマーと、(C)光重合開始剤とを含有する。また、当該感光性樹脂組成物は、(A)バインダーポリマーとして、(A1)エチレン性不飽和基及び2つ以上の水酸基を有するエポキシアクリレート化合物と、ジイソシアネート化合物と、カルボキシル基を有するジオール化合物と、を反応させて得られるポリウレタン化合物及び(A2)(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルに基づく構成単位を有するポリマーを含有し、(C)光重合開始剤として、(C1)下記式(1)で表される化合物及び(C2)下記式(2)で表される化合物を含有する。このような感光性樹脂組成物は、感度に優れ、可視光を吸収する黒色の永久マスクレジストの形成にも好適に使用できる。また、このような感光性樹脂組成物は、感度、現像性、解像性に優れ、かつ、密着性、可とう性、耐薬品性、耐めっき性、難燃性、耐熱性及び追従性に優れる永久マスクレジストを形成可能である。
Figure 2011170197
式(1)中、R及びRはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、アミノ基又はカルボキシル基を示し、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示し、kは0〜4の整数を示し、lは0〜5の整数を示す。複数存在するR及びRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
Figure 2011170197
式(2)中、R及びRはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、アミノ基又はカルボキシル基を示し、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示し、m及びnはそれぞれ独立に、0〜5の整数を示す。複数存在するR及びRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
以下、各成分について、より詳細に説明する。
[(A)バインダーポリマー]
上述のとおり、本実施形態の感光性樹脂組成物は、(A)バインダーポリマー(以下、場合により「A成分」という)として、(A1)エチレン性不飽和基及び2つ以上の水酸基を有するエポキシアクリレート化合物と、ジイソシアネート化合物と、カルボキシル基を有するジオール化合物と、を反応させて得られるポリウレタン化合物(以下、場合により「A1成分」という)及び(A2)(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルに基づく構成単位を有するポリマー(以下、場合により「A2成分」という)を含有する。
[A1成分]
A1成分は、上述のとおり、エチレン性不飽和基及び2つ以上の水酸基を有するエポキシアクリレート化合物(以下、「原料エポキシアクリレート」という)と、ジイソシアネート化合物(以下、「原料ジイソシアネート」という)と、カルボキシル基を有するジオール化合物(以下、「原料ジオール」という)と、を反応させて得られるポリウレタン化合物である。
上記原料エポキシアクリレートとしては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ノボラック型エポキシ化合物、フルオレン骨格を有するエポキシ化合物等のエポキシ化合物に(メタ)アクリル酸を反応させて得られる化合物が挙げられる。
上記原料ジイソシアネートとしては、イソシアネート基を2つ有する化合物であれば特に制限なく適用できる。このような化合物としては、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリデンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、アリレンスルホンエーテルジイソシアネート、アリルシアンジイソシアネート、N−アシルジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、ノルボルナン−ジイソシアネートメチルが挙げられる。これらは一種を単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
上記原料ジオールは、分子内に水酸基を2つ有するとともに、カルボキシル基を有する化合物である。上記水酸基としては、例えば、アルコール性水酸基、フェノール性水酸基が挙げられる。感光性樹脂組成物のアルカリ水溶液による現像性を良好にする観点からは、上記水酸基はアルコール性水酸基であることが好ましい。このような原料ジオールとしては、例えば、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸が挙げられる。
次に、上述の原料成分を用いてA1成分(ポリウレタン化合物)を製造する工程の例について説明する。
A1成分の製造工程では、まず、上記原料エポキシアクリレート、上記原料ジオール及び上記原料ジイソシアネートを反応させる。当該反応においては、主に、原料エポキシアクリレートにおける水酸基と原料ジイソシアネートにおけるイソシアネート基との間、及び、原料ジオールにおける水酸基と原料ジイソシアネートにおけるイソシアネート基との間で、いわゆるウレタン化反応が生じる。この反応により、例えば、原料エポキシアクリレートに由来する構造単位と、原料ジオールに由来する構造単位とが、原料ジイソシアネートに由来する構造単位を介して交互に又はブロック的に重合されたポリウレタン化合物が生じる。
このようなポリウレタン化合物としては、例えば、下記式(3)で表される構造単位を有する化合物が挙げられる。
Figure 2011170197
ここで、式(3)中、R10は水素原子又はメチル基を示し、R17は原料エポキシアクリレートの残基を示し、R18は原料ジイソシアネートの残基を示し、R19は炭素数1〜5のアルキル基を示す。なお、残基とは、原料成分から結合に供された官能基を除いた部分の構造をいう。具体的には、R17としては、例えば、ビス(4−オキシフェニル)−メタン、2,2−ビス(4−オキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス(4−オキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等のビスフェノールA型及びビスフェノールF型骨格,ノボラック骨格、フルオレン骨格が挙げられ、R18としては、例えば、フェニレン、トリレン、キシリレン、テトラメチルキシリレン、ジフェニルメチレン、ヘキサメチレン、トリメチルヘキサメチレン、ジシクロヘキシルメチレン、イソホロンが挙げられる。また、炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、アミル基等が挙げられる。
なお、式(3)中に複数ある基は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。また、上記ポリウレタン化合物の末端が水酸基である場合、当該水酸基は、飽和若しくは不飽和多塩基酸無水物で処理されていてもよい。
また、式(3)においては、原料エポキシアクリレートに由来する構造単位と、原料ジオールに由来する構造単位とが、原料ジイソシアネートに由来する構造単位を介して交互に重合された構造となっているが、原料エポキシアクリレートに由来する構造単位と、原料ジオールに由来する構造単位とが、原料ジイソシアネートに由来する構造単位を介してブロック的に重合された構造であってもよい。
A1成分の製造工程においては、上記原料エポキシアクリレート、上記原料ジオール及び上記原料ジイソシアネート以外に、これらとは異なるジオール化合物を更に添加してもよい。これにより、得られるポリウレタン化合物の主鎖構造を変えることが可能となり、後述する酸価等の特性を、所望の範囲に調整できる。また、上述の工程においては、適宜、触媒等を用いることもできる。
また、上述のようにして得られたポリウレタン化合物に対して、原料エポキシアクリレートを更に反応させたものをA1成分としてもよい。この反応では、主に上記ポリウレタン化合物における原料ジオール化合物に由来するカルボキシル基と、原料エポキシアクリレートの有するエポキシ基との間で、いわゆるエポキシカルボキシレート化反応が生じる。このようにして得られる化合物は、例えば、上記ポリウレタン化合物から形成される主鎖と、原料エポキシアクリレートに由来するエチレン性不飽和基を含む側鎖とを備えるものとなる。
A1成分としては、式(3)で表される化合物の中でも、ポリウレタンの主骨格の一つとなる原料エポキシアクリレートのハードセグメント部、すなわちR17が、ビスフェノールA型構造のものが好ましい。このような化合物は、UXE−3011、UXE−3012、UXE−3024(日本化薬株式会社製)等として商業的に入手可能である。これらは単独で、又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
A1成分は、その酸価が、20〜180mgKOH/gであることが好ましく、30〜150mgKOH/gであることがより好ましく、40〜120mgKOH/gであることが更に好ましい。当該酸価をこのような範囲とすることにより、アルカリ水溶液による感光性樹脂組成物の現像性を向上させ、解像度を向上させることができる。
ここで、酸価は以下の方法により測定することができる。まず、測定樹脂溶液約1gを精秤した後、その樹脂溶液にアセトンを30g添加し、樹脂溶液を均一に溶解する。次いで、指示薬であるフェノールフタレインをその溶液に適量添加して、0.1NのKOH水溶液を用いて滴定を行う。そして、下記式(α)により酸価を算出する。
A=10×Vf×56.1/(Wp×I) …(α)
式(α)中、Aは酸価(mgKOH/g)を示し、VfはKOHの滴定量(mL)を示し、Wpは測定樹脂溶液質量(g)を示し、Iは測定樹脂溶液の不揮発分の割合(質量%)を示す。
また、A1成分の重量平均分子量は、塗膜性の観点から、3000〜30000であることが好ましく、5000〜20000であることがより好ましく、7000〜15000であることが更に好ましい。これらは単独で又は分子量の異なる樹脂を二種以上組み合わせて使用してもよい。
なお、本明細書において、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算値から求めた値をいう。なお、GPCにおける測定の条件は以下のとおりである。
カラム:Gelpack GL−R440+GL−R450+GL−R400M
流量:2.05mL/min
濃度:120mg/5mL
注入量:200μL
溶離液:THF
[A2成分]
A2成分は、上述のとおり、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルに基づく構成単位を有するポリマーである。アルカリ現像性の観点からは、A2成分は、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルに基づく構成単位を有するポリマーであることが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルが挙げられる。
A2成分は、例えば、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルとその他の重合性単量体とをラジカル重合させることにより製造することができる。なお、上述のその他の重合性単量体は、必要に応じて含有させればよい。
A2成分において、(メタ)アクリル酸に基づく構成単位の含有量(使用する全重合性単量体に対する(メタ)アクリル酸の割合)は、アルカリ現像性に優れる点では、12質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましい。この含有量は、現像液耐性に優れる点では、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましく、25質量%以下が特に好ましい。
また、A2成分における(メタ)アクリル酸アルキルエステルに基づく構成単位の含有量(使用する全重合性単量体に対する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの割合)は、剥離特性に優れる点では、50質量%以上が好ましく、55質量%以上がより好ましく、60質量%以上が更に好ましい。この含有量は、アルカリ現像後に充分な解像性及び密着性を得るためには、88質量%以下が好ましく、86質量%以下がより好ましく、84質量%以下が更に好ましい。
また、密着性及び剥離特性の観点から、A2成分は、スチレン又はスチレン誘導体に基づく構成単位を更に含むことが好ましい。
A2成分が、分子内にスチレン又はその誘導体に基づく構成単位を有する場合、A2成分におけるスチレン又はその誘導体に基づく構成単位の含有量(使用する全重合性単量体に対するスチレン又はスチレン誘導体の割合)は、密着性に優れる点では、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、1.5質量%以上が更に好ましい。剥離性に優れる点では、この含有量は、30質量%以下が好ましく、28質量%以下がより好ましく、27質量%以下が更に好ましい。
また、A2成分の重量平均分子量は、アルカリ現像性及びタック性を良好にする観点から、5000〜200000であることが好ましく、10000〜170000であることがより好ましく、20000〜150000であることが更に好ましい。これらは単独で又は分子量の異なる樹脂を二種以上組み合わせて使用してもよい。
A成分は、上述のA1成分及びA2成分以外の成分を含有することができる。このような成分に特に制限はないが、感光性樹脂組成物にフィルム性を付与できるものが好ましい。このような成分としては、例えば、A1成分及びA2成分以外の、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、アミド系樹脂、アミドエポキシ系樹脂、アルキド系樹脂及びフェノール系樹脂が挙げられる。中でも、アルカリ現像性の見地からは、アクリル系樹脂が好ましい。これらは単独で、又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、これらの樹脂は、例えば、任意の重合性単量体をラジカル重合させることにより製造することができる。上記重合性単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、及びα−メチルスチレン等の、α−位又は芳香族環において任意の置換基により置換された重合可能なスチレン誘導体;ジアセトンアクリルアミド等のアクリルアミド;アクリロニトリル及びビニル−n−ブチルエーテル等のビニルアルコールのエーテル類;(メタ)アクリル酸ベンジルエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニルエステル、(メタ)アクリル酸アダマンチルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、α−ブロモ(メタ)アクリル酸、α−クロル(メタ)アクリル酸、β−フリル(メタ)アクリル酸、β−スチリル(メタ)アクリル酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル等のマレイン酸モノエステル、フマール酸、ケイ皮酸、α−シアノケイ皮酸、イタコン酸、クロトン酸、プロピオール酸等の有機酸などが挙げられる。これらは単独で、又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
[(B)光重合性モノマー]
上述のとおり、本実施形態の感光性樹脂組成物は、(B)光重合性モノマー(以下、場合により「B成分」という)を含有する。
B成分としては、光架橋が可能なモノマーであれば特に制限はないが、例えば、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物;多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物;グリシジル基含有化合物にα、β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物;ウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物等のウレタンモノマー;ノニルフェノキシテトラエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシオクタエチレンオキシ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシエチル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、及びβ−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート等の分子内にエチレン性不飽和結合を一つ有する化合物;などが挙げられる。これらは単独で、又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
中でも、感度、解像性及び密着性にバランス良く優れる点では、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物が好ましい。このような化合物としては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン、及び2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。解像性をさらに向上させる観点から、中でも2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパンがより好ましい。
上記2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘプタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシオクタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシノナエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシウンデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシドデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサデカエトキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパンは、FA−321M(日立化成工業(株)製、商品名)又はBPE−500(新中村化学工業株式会社製、製品名)として商業的に入手可能であり、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパンは、BPE−1300(新中村化学工業株式会社製、製品名)として商業的に入手可能である。これらは単独で、又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
[(C)光重合開始剤]
上述のとおり、本実施形態の感光性樹脂組成物は、(C)光重合開始剤(以下、場合により「C成分」という)として、(C1)下記式(1)で表される化合物(以下、場合により「C1成分」という)及び(C2)下記式(2)で表される化合物(以下、場合により「C2成分」という)を含有する。
Figure 2011170197
Figure 2011170197
ここで、式(1)中、R及びRはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、アミノ基又はカルボキシル基を示し、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示し、kは0〜4の整数を示し、lは0〜5の整数を示す。複数存在するR及びRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
また、式(2)中、R及びRはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、アミノ基又はカルボキシル基を示し、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示し、m及びnはそれぞれ独立に、0〜5の整数を示す。複数存在するR及びRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、炭素数1〜6のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられる。
ここで、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましい。k及びlは0〜2の整数であることが好ましく、0であることがより好ましい。また、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましい。m及びnは0〜2の整数であることが好ましく、0であることがより好ましい。
C1成分としては、R及びRがメチル基であり、k及びlが0であり、Rがエチル基である、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1を含むことが好ましい。2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1としては、IRGACURE−369(チバスペシャルティケミカルズ株式会社製、商品名)等の市販品を入手できる。
C1成分の含有割合は、C成分全体を基準として、固形分(不揮発分)の割合で10〜80質量%であることが好ましく、20〜70質量%であることがより好ましく、30〜60質量%であることがさらに好ましい。この割合が10質量%未満であると光感度が不十分となる傾向があり、80質量%を超えると組成物表面での硬化性が高くなり内部の光硬化が不十分となる傾向がある。
C2成分としては、m及びnが0であり、R及びRがメチル基である、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンを含むことが好ましい。2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンとしては、IRGACURE−651(チバスペシャルティケミカルズ株式会社製、商品名)等の市販品を入手できる。
C2成分の含有割合は、C成分全体を基準として、固形分の割合で10〜90質量%であることが好ましく、20〜80質量%であることがより好ましく、30〜70質量%であることがさらに好ましい。この割合が10質量%未満であると光感度が不十分となる傾向があり、90質量%を超えると、レジストからの本成分の昇華により加熱時に基板の反りが生じる傾向がある。
C成分は、上述のC1成分及びC2成分以外の成分を含有することができる。このような成分としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等の芳香族ケトン;アルキルアントラキノン等のキノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル;メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体;N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物が挙げられる。
[その他の成分]
本実施形態の感光性樹脂組成物は、上記A〜C成分に加え、他の成分を含有することもできる。以下に、上記A〜C成分以外の成分について説明する。
[(D)分子内にウレタン結合及びエチレン性不飽和基を有するオリゴマー]
本実施形態の感光性樹脂組成物は、(D)分子内にウレタン結合及びエチレン性不飽和基を有するオリゴマー(以下、場合により「D成分」という)を更に含有することが好ましい。感光性樹脂組成物が、このような成分を含有すると、形成される永久マスクレジストの、可とう性、解像性及び耐めっき性が向上する。
D成分は、例えば、(d4)ポリカーボネート化合物及び/又はポリエステル化合物の末端のヒドロキシル基とジイソシアネート化合物のイソシアネート基との反応に由来するウレタン結合を有し且つ複数の末端にイソシアネート基を有するウレタン化合物(以下、場合により「d4成分」という)と、(d5)ヒドロキシル基及びエチレン性不飽和基を有する化合物(以下、場合により「d5成分」という)と、を縮合反応させることで得ることができる。
d4成分は、(d1)両末端にヒドロキシル基を有するポリカーボネート化合物(以下、場合により「d1成分」という)及び/又は(d2)ポリエステル化合物(以下、場合により「d2成分」という)と、(d3)ジイソシアネート化合物(以下、場合により「d3成分」という)と、を反応させて得ることができる。特に、光硬化物の外観を良好にする観点からは、d4成分として、d1成分(両末端にヒドロキシル基を有するポリカーボネート化合物)と、d3成分(ジイソシアネート化合物)と、を反応させて得られるウレタン化合物を用いることが好ましい。
d1成分(両末端にヒドロキシル基を有するポリカーボネート化合物)は、アルキレン基がカーボネート結合を介して主鎖に並んだ構造を有することが好ましい。d1成分は、公知の方法により得ることができ、例えば、ホスゲン法によりポリカーボネート化合物を得る場合は、ジオール化合物とホスゲンとを反応させる。当該ジオール化合物としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エリレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチルペンタンジオール、3−メチルペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、3,3,5−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、2,3,5−トリメチル−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、及び1,5−ペンタンジオール等が挙げられ、これらは単独で、又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。また、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ヘキサントリオール、ヘプタントリオール、及びペンタエリスリトール等のポリオール化合物が含まれてもよい。
上記ポリカーボネート化合物の中でも、1,6−ヘキサンジオール及び1,5−ペンタンジオールに由来する、下記式(4)で表されるヘキサメチレンカーボネート及び下記式(5)で表されるペンタメチレンカーボネートを含むものが好ましい。
−(CH−O−CO−O− (4)
−(CH−O−CO−O− (5)
また、ポリカーボネート化合物が含有する、ヘキサメチレンカーボネート及びペンタメチレンカーボネートのモル比率は、ヘキサメチレンカーボネート/ペンタメチレンカーボネート=1/9〜9/1であるものが好ましい。この含有比率が上記範囲外であると、光硬化物の伸び及び強度が低下する傾向がある。
d2成分(ポリエステル化合物)は、例えば、多塩基酸と多価アルコールとの重縮合による公知の方法により得ることができる。多塩基酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸などの芳香族や脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、及びトリエチレングリコールのようなグリコール類が挙げられる。
d1成分及びd2成分の重量平均分子量(例えば、GPC測定し、ポリスチレン換算したもの)は600〜1000であるものが好ましい。この重量平均分子量が上記範囲外であると、光硬化物の伸び及び強度が低下する傾向がある。
d3成分(ジイソシアネート化合物)としては、例えば、アルキレン基等の2価の脂肪族基を有する脂肪族ジイソシアネート化合物、シクロアルキレン等の2価の脂環式基を有する脂環式ジイソシアネート化合物、及び芳香族ジイソシアネート化合物、並びに、これらのイソシアヌレート化変性物、カルボジイミド化変性物、及びビウレット化変性物が挙げられる。
脂肪族ジイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート及びトリメチルヘキサメチレンジイソシアネートが挙げられる。脂環式ジイソシアネート化合物としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシル)ジイソシアネート、及び1,3−又は1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンが挙げられる。芳香族ジイソシアネート化合物としては、例えば、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トリエンジイソシアネート又は2,6−トリエンジイソシアネートの2量化重合体、(o,p又はm)−キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、及び1,5−ナフタレンジイソシアネートが挙げられる。これらは単独で、又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。また、トリフェニルメタントリイソシアネート及びトリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェイト等の2以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物が含まれていてもよい。これらのなかでも、光硬化物の可とう性及び強靭性をより高水準に達成する観点から、脂環式ジイソシアネート化合物が好ましく、イソホロンジイソシアネートがより好ましい。
上述のとおり、d4成分(ポリカーボネート化合物及び/又はポリエステル化合物の末端のヒドロキシル基とジイソシアネート化合物のイソシアネート基との反応に由来するウレタン結合を有し且つ複数の末端にイソシアネート基を有するウレタン化合物)は、d1成分(両末端にヒドロキシル基を有するポリカーボネート化合物)及び/又はd2成分(ポリエステル化合物)と、d3成分(ジイソシアネート化合物)と、を反応させて得ることができる。d4成分は、両末端にイソシアナート基を有することが好ましく、この場合、当該反応においてd1成分及びd2成分の総量1モルに対してd3成分の配合量を1.01〜2.0モルとすることが好ましく、1.1〜2.0モルとすることがより好ましい。d3成分の配合量が1.01モル未満又は2.0モルを超えると、両末端にイソシアネート基を有するウレタン化合物を安定的に得られない傾向がある。
なお、d4成分を合成する反応では、触媒として、ジブチルチンジラウレートを加えることが好ましい。反応温度は60〜120℃とすることが好ましい。60℃未満であると、反応が充分に進まない傾向があり、120℃を超えると、急激な発熱により、操作が危険となる傾向がある。
d5成分(分子中にヒドロキシル基及びエチレン性不飽和基を有する化合物)としては、例えば、分子中にヒドロキシル基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物が挙げられる。このような化合物としては、例えば、ヒドロキシ(メタ)アクリレート、これのカプロラクトン付加物又は酸化アルキレン付加物、グリセリン等の多価のアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物、及びグリシジル(メタ)アリレートアクリル酸付加物が挙げられる。
ヒドロキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、及びヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのカプロラクトン付加物としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート・カプロラクトン付加物、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート・カプロラクトン付加物、及びヒドロキシブチル(メタ)アクリレート・カプロラクトン付加物等が挙げられ、酸化アルキレン付加物としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート・酸化アルキレン付加物、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート・酸化プロピレン付加物、及びヒドロキシエチル(メタ)アクリレート・酸化ブチレン付加物等が挙げられる。グリセリン等の多価のアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物としては、例えば、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンの酸化エチレン付加物のジ(メタ)アクリレート、及びトリメチロールプロパンの酸化プロピレン付加物のジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で、又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
上述のとおり、D成分は、例えば、d4成分(ポリカーボネート化合物及び/又はポリエステル化合物の末端のヒドロキシル基とジイソシアネート化合物のイソシアネート基との反応に由来するウレタン結合を有し且つ複数の末端にイソシアネート基を有するウレタン化合物)にd5成分(ヒドロキシル基含有エチレン性不飽和化合物)を付加反応させることにより得ることができる。当該付加反応においては、d4成分1モルに対してd5成分の配合量を2.0〜2.4モルとすることが好ましい。d5成分の配合量が2.0モル未満であると、光重合性が低下する傾向があり、2.4モルを超えると、光硬化物の伸び及び強度が低下する傾向がある。上記付加反応は、例えば、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−ヒドロキシ−トルエン等の存在下で行うことが好ましく、その他に、触媒として、ジブチルチンジラウレートを加えることが好ましい。反応温度としては、60〜90℃とすることが好ましい。60℃未満であると、反応が充分に進まない傾向があり、90℃を超えると、急激な発熱により、ゲル化する傾向がある。なお、反応の終点は、例えば、赤外線吸収スペクトルでイソシアネート基が消失する時点とすればよい。
本実施形態の感光性樹脂組成物においては、D成分の重量平均分子量は1000〜20000であることが好ましく、3000〜20000であることがより好ましく、3500〜10000であることが更に好ましく、4000〜8000であることがより更に好ましく、4000〜6000であることが特に好ましい。この重量平均分子量が1000未満であると、光硬化物の耐めっき性が低下する傾向があることに加え、光硬化物の伸び及び強度が低下することに起因して可とう性が低下する傾向があり、20000を超えると、上述のA成分との相溶性が低下する傾向がある。
D成分は、常法によって合成してもよく、市販のものを入手してもよい。入手可能なD成分としては、例えば、UF−8001G、UF−8003M、UF−TCB−50、UF−TC4−55(以上、共栄社化学株式会社製、商品名)、及びヒタロイド9082−95(日立化成工業株式会社製、商品名)等が挙げられる。
[(E)熱硬化剤]
本実施形態の感光性樹脂組成物は、(E)熱硬化剤(以下、場合により「E成分」という)を更に含有することが好ましい。感光性樹脂組成物がE成分を含有すると、形成される永久マスクレジストの密着性、可とう性、耐薬品性、耐めっき性、難燃性、耐熱性及び追従性がより優れたものとなる。E成分としては、例えば、ブロックイソシアネート化合物、メラミン樹脂が挙げられる。永久マスクレジストの信頼性向上の観点からは、メラミン樹脂を含有することが好ましい。
E成分として、ブロックイソシアネート化合物を含有する場合、分子内に下記式(6)で表される2価の基を2個以上有するものを含有することが更に好ましい。分子内に下記式(6)で表される2価の基を2個以上有するブロックイソシアネート化合物を含有することによって、可とう性、耐めっき性、耐熱性及び耐薬品性に一層優れる永久マスクレジストを形成できる感光性樹脂組成物を得ることができる。
Figure 2011170197
また、ブロックイソシアネート化合物は、永久マスクレジストの電気絶縁性を向上する観点から、分子内に、芳香環及び下記式(7)で表される3価の基の一方又は双方を含むことが好ましい。
Figure 2011170197
[(F)黒色顔料]
本実施形態の感光性樹脂組成物は、(F)黒色顔料(以下、場合により「F成分」という)を含有させて、黒色の感光性樹脂組成物、特に黒色永久マスクレジストとして使用することができる。
F成分は、形成される永久マスクレジストに所望の可視光吸収性を付与する成分である。F成分としては、例えば、カーボンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、鉄黒、銅クロム系ブラック、銅鉄マンガン系ブラック、チタン系ブラック、コバルト鉄クロム系ブラック、酸化ルテニウムが挙げられる。このうち、カーボンブラックは、分散液としてMHIブラック#220(御国色素株式会社製、商品名)等の市販品を入手できる。
F成分の含有割合は、感光性樹脂組成物全体を基準として、固形分の割合で0.01〜5質量%であることが好ましく、0.1〜3質量%であることがより好ましく、0.5〜1.5質量%であることが更に好ましい。この割合が0.01質量%未満であると必要な色相が得られない傾向があり、5質量%を超えると感光性樹脂組成物の光硬化性が低下する傾向がある。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物には、染料、顔料、可塑剤、安定剤等を必要に応じて添加することができる。
また、本実施形態の感光性樹脂組成物は、必要に応じて、例えば、メタノール及びエタノールなどのアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、メチルセロソルブ、及びエチルセロソルブ等のエーテル系溶剤、ジクロロメタン及びクロロホルム等の塩素化炭化水素系溶剤、トルエン、及びN,N−ジメチルホルムアミド等の溶剤、又はこれらの混合溶剤に溶解して固形分30〜60質量%程度の溶液として塗布することができる。
[感光性エレメント]
次に、本発明に係る感光性エレメントについて説明する。図1は、本発明の感光性エレメントの好適な一実施形態を示す模式断面図である。図1に示す感光性エレメント1は、支持体10と、支持体10上に設けられた感光層20と、感光層20上の支持体10とは反対側の面上に設けられた保護フィルム30と、を備える。感光層20は、本実施形態の感光性樹脂組成物からなる層である。感光性エレメント1は、本実施形態の感光性樹脂組成物からなる感光層20を備えるため、感度、現像性、解像性により優れ、かつ、密着性、可とう性、耐薬品性、耐めっき性、難燃性、耐熱性及び追従性に優れる永久マスクレジストを形成可能である。
感光層20は、本実施形態の感光性樹脂組成物を、メタノール及びエタノールなどのアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、メチルセロソルブ、及びエチルセロソルブ等のエーテル系溶剤、ジクロロメタン及びクロロホルム等の塩素化炭化水素系溶剤、トルエン、及びN,N−ジメチルホルムアミド等の溶剤、又はこれらの混合溶剤に溶解して固形分30〜60質量%程度の溶液とした後に、当該溶液を支持体10上に塗布して形成することが好ましい。
感光層20の厚みは、通常、配線パターンの厚みにより設定されるが、加熱及び/又は熱風吹き付けにより溶剤を除去した乾燥後の厚みで、10〜100μmであることが好ましく、20〜60μmであることがより好ましく、25〜50μmであることが更に好ましい。この厚みが10μm未満では硬化膜が破れ易くなる、又は基板表面の凹凸への追従性が悪化する傾向があり、100μmを超えると光硬化物の可とう性が低下する傾向がある。
支持体10としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等からなる重合体フィルムが挙げられる。これらのなかでもポリエチレンテレフタレートからなる重合体フィルムが好ましい。
支持体10の厚みは、5〜100μmであることが好ましく、10〜30μmであることがより好ましい。この厚みが5μm未満であると被覆性が低下する傾向があり、100μmを超えると解像度が低下する傾向がある。
保護フィルム3としては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートが挙げられる。
保護フィルム30の厚みは、5〜30μmであることが好ましく、10〜28μmであることがより好ましく、15〜25μmであることが更に好ましい。この厚みが5μm未満であるとラミネートの際、保護フィルム30が破れやすくなる傾向にあり、30μmを超えると廉価性に劣る傾向にある。
感光性エレメント1は、例えば、そのままの平板状の形態で、又は、円筒状などの巻芯に巻きとり、ロール状の形態で貯蔵することができる。なお、感光性エレメント1は、必ずしも上述した保護フィルム30を有していなくてもよく、支持体10と感光層20との2層構造であってもよい。
また、支持体10及び保護フィルム30は、後に感光層20から除去可能でなくてはならないため、除去が不可能となるような表面処理が施されていないものが好ましい。このような表面処理以外の処理としては、特に制限はなく、例えば、支持体10、保護フィルム30は必要に応じて帯電防止処理が施されていてもよい。
感光性エレメント1は、回路形成用基板等の基板上にレジストパターンを形成するために好適に用いられる。この場合、レジストパターンは、例えば、感光性エレメント1から保護フィルム30を除去する除去工程と、回路形成用基板上に感光性エレメント1を感光層20が回路形成用基板と隣接するように積層する積層工程と、活性光線を感光層20の所定部分に照射して、感光層20に光硬化部を形成させる露光工程と、光硬化部以外の感光層20を除去する現像工程とを備える方法によって、形成される。
ここで、上記回路形成用基板は、絶縁層と、絶縁層上に形成された導電体層(銅、銅系合金、ニッケル、クロム、鉄、及びステンレス等の鉄系合金からなる)とを備えた基板をいう。
積層工程においては、例えば、感光層20を、加熱しながら回路形成用基板に圧着する方法により積層する。積層の際の雰囲気は特に制限されないが、密着性及び追従性等の見地から、減圧下で積層することが好ましい。積層される表面は、通常、回路形成用基板の導電体層の面であるが、導電体層以外の面であってもよい。感光層20の加熱温度は90〜130℃とすることが好ましく、圧着圧力は0.2〜1.0MPaとすることが好ましく、周囲の気圧は4000Pa(30mmHg)以下とすることがより好ましい。また、感光層20を上述のように90〜130℃に加熱すれば、予め回路形成用基板を予熱処理することは必要ではないが、積層性を更に向上させるために、回路形成用基板の予熱処理を行うこともできる。
露光工程においては、感光層20の所定部分に活性光線を照射して光硬化部を形成せしめる。光硬化部の形成方法としては、アートワークと呼ばれるネガ又はポジマスクパターンを通して活性光線を画像状に照射する方法が挙げられる。この際、支持体10が透明の場合には、支持体10を積層したまま活性光線を照射してもよい。支持体10が不透明の場合には、これを除去した後に感光層20に活性光線を照射する。
活性光線の光源としては、公知の光源、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等の紫外線を有効に放射するものを用いることができる。また、写真用フラッド電球、太陽ランプ等の可視光を有効に放射するものを用いることもできる。
露光後、感光層20上に支持体10が存在している場合には支持体10を除去した後、アルカリ性水溶液を用いて光硬化部以外の感光層20を除去することにより現像して、レジストパターンを形成させる(現像工程)。現像工程においては、感光性樹脂組成物に対応したアルカリ性水溶液を用いて、例えば、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング等の公知の方法により現像する。現像液としてアルカリ性水溶液を使用すると、安全かつ安定であり、操作性が良好である。
上記アルカリ水溶液の塩基としては、例えば、リチウム、ナトリウム及びカリウムの水酸化物等の水酸化アルカリ、リチウム、ナトリウム及びカリウムの炭酸塩又は重炭酸塩等の炭酸アルカリ、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等のアルカリ金属リン酸塩、並びにピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム等のアルカリ金属ピロリン酸塩などが挙げられる。このうち、炭酸ナトリウムの水溶液が好ましい。
また、上記アルカリ性水溶液のpHは、9〜11とすることが好ましい。また、現像温度は、感光層の現像性に合わせて調整すればよい。なお、アルカリ性水溶液中には、表面活性剤、消泡剤、現像を促進させるために少量の有機溶剤等を添加することができる。
上述の形成方法により得られたレジストパターンは、フィルム状の基材上に可とう性を有する樹脂層を形成するために用いられると好ましく、フィルム状の基材上に形成される永久マスクレジストとして使用されるとより好ましい。このような永久マスクレジストは、上記感光性樹脂組成物を硬化させてなるため、密着性、可とう性、耐薬品性、耐めっき性、難燃性、耐熱性及び追従性に優れる。
例えば、FPCのカバーレイ(永久マスクレジスト)として用いる場合は、上記現像工程終了後、FPCのカバーレイとしてのはんだ耐熱性、耐薬品性等を向上させる目的で、高圧水銀ランプによる紫外線照射や加熱を行うことが好ましい。紫外線を照射させる場合は、その照射量を、例えば0.2〜10J/cm程度の照射量に調整する。レジストパターンを加熱する場合は、100〜170℃程度の範囲で15〜90分程加熱することが好ましい。紫外線照射と加熱とをともに施してもよい。この場合、紫外線照射と加熱を同時に行ってもよいし、いずれか一方を行った後、他方を行ってもよい。紫外線の照射と加熱とを同時に行う場合、はんだ耐熱性、耐薬品性等を効果的に付与する観点から、60〜150℃に加熱することがより好ましい。
このようにして所望の性能を有するカバーレイが形成されたフレキシブルプリント配線板は、LSI等の部品が実装(はんだ付け)された後、カメラ等機器へ装着される。
また、本発明の感光性樹脂組成物は、永久マスクレジストの他、プラズマディスプレイパネル(PDP)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、液晶表示装置(LCD)、蛍光表示装置、画像伝達装置、混成集積回路等における、例えば5〜200μm程度の厚みを有する構造支持体(スペーサー、リブあるいは隔壁など)等を形成するための感光性樹脂組成物として応用可能である。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1〜3及び比較例1〜6]
[感光性樹脂組成物の調製]
以下の表1に示す各成分を、同表中に示す固形分の配合比(質量基準)で混合することにより、感光性樹脂組成物の溶液を得た。なお、下記表1に示す各成分の詳細については、以下のとおりである。また、これらの感光性樹脂組成物には、希釈剤としてメチルエチルケトン及びトルエンを加えた。
[A成分:バインダーポリマー]
(A1成分)
UXE−3024:ウレタン変性エポキシアクリレート(日本化薬株式会社製、商品名、重量平均分子量:10000、酸価:60mgKOH/g)
(A2成分)
PM−2000:メタクリル酸/メタクリル酸メチル/アクリル酸ブチルの共重合体(17質量%/62質量%/21質量%)(日立化成工業株式会社製、商品名、重量平均分子量100000、酸価110mgKOH/g)
(A1成分及びA2成分以外のA成分)
CCR−1171H:酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、商品名、重量平均分子量:7000、酸価:99mgKOH/g)
[B成分:光重合性モノマー]
FA−321M:ビスフェノールAポリオキシエチレンジメタクリレート(日立化成工業株式会社製、商品名)
[C成分:光重合開始剤]
(C1成分)
I−369:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(チバスペシャルティケミカルズ株式会社製、商品名「IRGACURE−369」)
(C2成分)
I−651:2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(チバスペシャルティケミカルズ株式会社製、商品名「IRGACURE−651」)
(C1成分及びC2成分以外のC成分)
I−184:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバスペシャルティケミカルズ株式会社製、商品名「IRGACURE−184」)
I−907:2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(チバスペシャルティケミカルズ株式会社製、商品名「IRGACURE−907」)
[D成分:分子内にウレタン結合及びエチレン性不飽和基を有するオリゴマー]
UF−8001G−20M:ウレタンオリゴマー(共栄社化学株式会社製、商品名、重量平均分子量:4500)
[E成分:熱硬化剤]
メラミン誘導体:ヘキサメトキシメチルメラミン(商品名「サイメル300」)
[F成分:黒色顔料]
MHIブラック#220:カーボンブラックの分散液(御国色素株式会社製、商品名)
Figure 2011170197
[感光性エレメントの作製]
上述のように調製した感光性樹脂組成物の溶液を、支持体としてのポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:25μm)の上に均一に塗布し、100℃の熱風循環式乾燥器を用いて5分間乾燥して溶剤を除去し、感光性樹脂組成物からなる感光層を形成した。乾燥後における感光層の厚さは、40μmであった。
次に、感光層の主面(支持体と接している側とは反対側の面)上に、保護フィルムとしてポリエチレンフィルム(厚さ:20μm)を貼り合わせ、感光層が支持体と保護フィルムとの間に挟まれた構造の感光性エレメントを得た。
[永久マスクレジストの作製]
35μm厚銅箔をポリイミド基材に積層したFPC用基板(ニッカン工業株式会社製、商品名:F30VC125RC11)の銅表面を砥粒ブラシで研磨し、水洗して乾燥した。
次いで、真空加圧式ラミネータ(株式会社名機製作所製、型式MVLP−500)を用いて、上記FPC用基板の銅表面上に上記感光性エレメントを、当該感光性エレメントから保護フィルムであるポリエチレンフィルムを剥離した後、感光層を基板側に向けてラミネートした。ラミネートの条件は、成形温度60℃、成形圧力0.4MPa(4kgf/cm)、真空時間及び加圧時間をそれぞれ20秒とした。
感光性エレメントがラミネートされた積層試料を、23℃まで冷却して1時間以上放置した後、積層試料の感光層側にストーファーの21段ステップタブレットを密着させ、露光機(株式会社オーク製作所製、HMW−201GX型)を用いて400mJ/cmのエネルギー量で露光した。
露光した積層試料を常温で30分間放置した後、1質量%炭酸ナトリウム水溶液を用いて、30℃で90秒間スプレー現像することにより、未露光部分を除去した。次いで、160℃で1時間加熱処理を行い、FPC用基板上に永久マスクレジスト(カバーレイ)を形成させた評価用積層体を得た。
上記積層試料及び評価用積層体を用いて、以下の評価を行った。評価結果はまとめて表2に示す。
[感度の評価]
得られた積層試料にストーファーの41段ステップタブレットを使用して、株式会社オーク製作所製、HMW−201GX型露光機で、現像後の残存ステップ段数が29となるエネルギー量で露光を行った。それぞれの評価用積層体に照射したエネルギー量は表2中に記載した。なおエネルギー量が少ないほど、高感度な感光性樹脂組成物であることを意味する。
[密着性の評価]
上述の方法により得られた積層試料上にストーファーの21段ステップタブレット及び密着性評価用ネガとしてライン幅/スペース幅が30/400〜200/400(単位:μm)の配線パターンを有するフォトツールを密着させ、露光機(株式会社オーク製作所製のHMW−201GX型)で、400mJ/cmのエネルギー量で露光した。
露光した積層試料を、常温で30分間放置した後、1質量%炭酸ナトリウム水溶液を用いて30℃で90秒間スプレー現像することにより、未露光部分を除去して密着性の評価を行った。密着性の値は、現像処理によって剥離せずに残ったライン幅(μm)のうち最も小さい値である。密着性の値は小さい程、密着性が高いことを示す。
[可とう性の評価]
上記評価用積層体を260℃のはんだ浴中に10秒間浸漬してはんだ処理を行った後、ハゼ折りで180°折り曲げた際の永久マスクレジスト層のクラックの発生状況を目視で観察することで、可とう性の評価を行った。クラックの発生が確認されなかったものを「良好」、クラックの発生が確認されたものを「不良」と評価した。
[耐薬品性の評価]
永久マスクレジストが形成されたFPC用基板を常温の薬品、すなわち2N−HCl又は2N−NaOH水溶液にそれぞれ15分間浸漬した後、永久マスクレジストパターンの開口部におけるFPC基板と永久マスクレジストとの界面への薬品の染み込み及びレジストの浮きの発生状況を目視で観察し、耐薬品性の評価を行った。界面に染み込み及び浮きの発生が無いものを「良好」、界面に染み込み及び浮きが発生したものを「不良」と評価した。
[耐めっき性(金めっき耐性)の評価]
上記評価用積層体を用い、FPC用基板の永久マスクレジストを形成された面に、以下の通りの無電解ニッケル/金めっきを施した。無電解ニッケル/金めっきは、脱脂工程(5分間浸漬)、水洗工程、ソフトエッチング工程(2分間浸漬)、水洗工程、酸洗工程(3分間浸漬)、水洗工程、プレディップ工程(90秒間浸漬)、無電解ニッケルめっき工程(23分間処理)、水洗工程、無電解金めっき工程(15分間処理)、水洗工程、乾燥工程の順番で行った。なお、無電解ニッケル/金めっきの各工程に用いた材料は以下の通りである。
脱脂工程:PC−455(メルテックス社製、商品名)25質量%の水溶液;
ソフトエッチング工程:過硫酸アンモニウム150g/Lの水溶液;
酸洗工程:5体積%硫酸水溶液;
無電解ニッケルめっき工程:ニムデンNPF−2(上村工業株式会社製、商品名);
無電解金めっき工程:ゴブライトTIG−10(上村工業株式会社製、商品名)
乾燥工程後、直ちに、無電解ニッケル/金めっきを施したFPC用基板の面にセロテープ(登録商標)を貼り、これを垂直方向に引き剥がして(90°ピールオフ試験)、永久マスクレジストの剥れの有無を目視で観察することで、耐めっき性(剥れ)を評価した。
永久マスクレジストの剥れのないものを「良好」、永久マスクレジストの剥れの有るものを「不良」と評価した。
[解像性の評価]
上記積層試料を用い、積層試料上にストーファーの21段ステップタブレット及び解像性評価用ネガとしてライン幅/スペース幅が30/30〜200/200(単位:μm)の配線パターンを有するフォトツールを密着させ、露光機(株式会社オーク製作所製のHMW−201GX型)で、400mJ/cmのエネルギー量で露光した。
次いで、露光した積層試料を常温で30分間放置した後、1質量%炭酸ナトリウム水溶液を用いて30℃で90秒間スプレー現像し、未露光部を除去して解像性を評価した。解像性の値は、現像処理によって未露光部を完全に除去できたスペース幅(μm)のうち最も小さい値である。解像性の値は小さい程、解像性が良好であることを示す。
Figure 2011170197
表2より、実施例1〜3の感光性樹脂組成物は、比較例1〜6の感光性樹脂組成物と比べて高感度であり、かつ、密着性、解像性に優れることを確認した。また、実施例1〜3の感光性樹脂組成物によれば、可とう性、耐薬品性及び金めっき耐性も良好であることを確認した。
1…感光性エレメント、10…支持体、20…感光層、30…保護フィルム。

Claims (6)

  1. (A)バインダーポリマーと、
    (B)光重合性モノマーと、
    (C)光重合開始剤と、を含有し、
    前記(A)バインダーポリマーとして、
    (A1)エチレン性不飽和基及び2つ以上の水酸基を有するエポキシアクリレート化合物と、ジイソシアネート化合物と、カルボキシル基を有するジオール化合物と、を反応させて得られるポリウレタン化合物及び
    (A2)(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルに基づく構成単位を有するポリマーを含有し、
    前記(C)光重合開始剤として、下記式(1)で表される化合物及び下記式(2)で表される化合物を含有する、感光性樹脂組成物。
    Figure 2011170197

    [式(1)中、R及びRはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、アミノ基又はカルボキシル基を示し、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示し、kは0〜4の整数を示し、lは0〜5の整数を示す。複数存在するR及びRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。]
    Figure 2011170197

    [式(2)中、R及びRはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、アミノ基又はカルボキシル基を示し、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示し、m及びnはそれぞれ独立に、0〜5の整数を示す。複数存在するR及びRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。]
  2. (D)分子内にウレタン結合及びエチレン性不飽和基を有するオリゴマーを更に含有する、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  3. (E)熱硬化剤を更に含有する、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
  4. (F)黒色顔料を更に含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
  5. 支持体と、該支持体上に形成された請求項1〜4のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物からなる感光層と、を備える感光性エレメント。
  6. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を光照射により硬化させてなる永久マスクレジスト。
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