JP2007001081A - 樹脂フィルム被覆金属板及び樹脂フィルム被覆金属缶 - Google Patents

樹脂フィルム被覆金属板及び樹脂フィルム被覆金属缶 Download PDF

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Abstract

【課題】泡立ち性、泡持ち性に優れた樹脂フィルム被覆金属板及び樹脂フィルム被覆金属缶を提供する。
【解決手段】単層もしくは2層以上の層構造を有する熱可塑性ポリエステルを主成分とする樹脂フィルムを少なくとも金属板の片面に被覆した樹脂フィルム被覆金属板であって、
樹脂フィルムの最表層の樹脂中に、(I)平均粒径が0.5〜5μmの粒子を0.01〜0.5重量%、かつ、(II)ポリオレフィン系樹脂を0.01〜2重量%含有するフィルム(フィルムA)、もしくは(I)平均粒径が0.5〜5μmの粒子を0.01〜0.5重量%、かつ、(III)表面自由エネルギーが35mN/m以下の樹脂を0.1〜2重量%含有するフィルム(フィルムB)を少なくとも片面に有することを特徴とする樹脂フィルム被覆金属板。上記の樹脂フィルム被覆金属板を、樹脂フィルム被覆面が缶内面側になるように成形してなることを特徴とする樹脂フィルム被覆金属缶。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂フィルム被覆金属板及び樹脂フィルム被覆金属缶に関するものであり、詳しくは良好な加工性、耐衝撃性を示し、特に炭酸飲料、中でもビールや発泡酒のように味や香りのような微量成分に関する品質要求の厳しい内容物を充填する容器として十分な耐食性、フレーバー性を持つとともに、品質に大きな影響を及ぼす泡立ち性、泡持ち性のような泡発生特性に非常に優れた樹脂フィルム被覆金属板及び樹脂フィルム被覆金属缶に関するものである。
薄肉化深絞り缶や絞りしごき缶(DI缶)のような過酷な成形を強いられる金属缶には、金属板からの金属溶出による味やフレーバーの低下、さらには内容物の変質などを防止するために、缶内面側に樹脂層を設けた樹脂被覆金属板が一般に使用されている。そのような樹脂被覆金属板としては、環境ホルモンの危険性を指摘されているエポキシ系塗膜層の代替として、最近では、熱可塑性ポリエステル系樹脂フィルムを被覆した金属板が用いられている。
ところで、前記樹脂フィルム被覆金属缶は、ジュースやビール等の炭酸飲料にも多く使用されている。しかし、炭酸飲料を充填して密封した樹脂フィルム被覆金属缶を開缶すると内容物が開口から泡となって吹出すとともに内容物が気抜けするという問題が従来からあった。これに対し、特許文献1や特許文献2では、粒径の小さい粒子を樹脂フィルム中に含有させることにより表面の突起を減少させ、缶成形後にフィルム表面の凹凸を減少させる方法が記載されている。
一方では、泡を積極的に発生させて炭酸飲料の味を高めようとする考えもあり、例えば、特許文献3では、樹脂中に含まれる粒子の形状度を規定したポリエステルフィルムが記載されており、特許文献4では、内面に断面が略V字状をなす凹部を形成した発泡性液体容器が提案され、さらに、特許文献5では、樹脂中の粒子の大きさ、密度を制御するとともにベースとなるポリエステル樹脂の組成を規定したポリエステルフィルムが記載されている。
特開平6−238818号公報 特開平11−10724号公報 特開平11−254625号公報 特開平5−97419号公報 特開2005−41217号公報
ビールや発泡酒のように発酵を利用した炭酸飲料では、液面に泡が発生することが、内容物中の炭酸や香味成分が抜けることを抑制し、空気酸化により内容物が劣化することを防ぎ、変質しやすい飲料の味や香りを長く保持するという大きな効果を持っている。また、泡部分にはビールの苦味成分が多く含まれるため、泡以外の部分の味がまろやかになるという効果もある。
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載の技術は泡の発生を抑える効果があるため上記のような泡発生による風味の向上を期待できず、ビンや樽に充填されたものに比べて味や香りが劣るという問題があった。
特許文献3では、異なる形状度(偏平率)を持つ粒子をフィルムに添加することにより泡立ち性と接着性の両立を目指しているが、粒子を添加するだけでは泡の発生ポイントとなる窪みは生成せず味や香りの保持に十分な泡が発生せず、泡立ち性が不充分である。さらに、粒子を含有する部分は泡の発生起点になる一方で内容物成分の吸着点となるため、フレーバー成分の容器表面への吸着による内容物フレーバーの低下が起こる。さらに、またフィルム割れの起点となり、下地金属の腐食による金属溶出を招き、味、香りが変化するという問題がある。
特許文献4では、内面に断面が略V字状をなす凹部を形成した発泡性液体容器が提案されているが、V字状の孔だけでは泡の発生は非常に緩慢で、また樹脂の欠陥となるという点で容器としての耐食性やフレーバー吸着という問題も生じる可能性がある。
特許文献5では、樹脂中の粒子の大きさ、密度を制御するとともにポリエステル樹脂組成を規定することにより、泡の発生に適当な窪みを生成することができ泡立ちを促進するとともに耐食性、フレーバー性も保持したものであるが、粒子を含有する部分の中でわずかではあるが缶成形中に欠陥となるものがあり、厳しい耐食性やフレーバー性の要求には不満であった。
本発明は、かかる事情を鑑みてなされたものであり、ビール、発泡酒のように発酵を利用した炭酸飲料において、開缶時に適度な泡立ちを発生させるとともに、容器表面へのフレーバー吸着を抑制し、さらに下地腐食による金属溶出を抑制することにより、味や香りのような微量成分に関する品質要求の厳しい内容物を充填する容器として十分なフレーバー性および耐食性を持つとともに、泡立ち性、泡持ち性に優れた樹脂フィルム被覆金属板及び樹脂フィルム被覆金属缶を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討した結果、以下のことを知見した。
泡立ち性、泡持ち性は、金属板に被覆される樹脂フィルムの中に含まれる粒子の形態、そして缶成形時にその粒子により生じる窪みまたは空孔に起因することがわかっている。しかし、一方でそのような空孔は缶内容物の香り成分の吸着点となり、さらに、金属板との密着性低下、缶への衝撃によるフィルムクラックの発生、剥離、また各種内容物に接した時の腐食や剥離の原因となる。このように、泡の発生を促進するためには粒子の添加量を増す必要があるが、一方で、添加量を増すと香り成分の吸着によるフレーバー性の低下および耐食性の劣化が起きやすくなるという問題があった。
上記のように相反する性能を共に高めるためには、従来の考えにとらわれず、新たな泡発生メカニズムが必要となる。そこで、さらに検討を行った。その結果、粒子と共にポリエチレンやポリプロピレン樹脂のようなポリオレフィン系樹脂を添加することにより、粒子の添加量を低く抑えても十分な泡立ち性が得られることを見出した。そして、粒子の添加量を大きく低減することが可能となるため、フレーバー性や耐食性に及ぼす悪影響は最低限に抑えられることがわかった。
ポリオレフィンの添加効果については、金属板に被覆する樹脂の表面自由エネルギーを低減することにあると考えられる。平滑な表面上で気泡が発生する場合、一般的には接触角が大きい、すなわち表面自由エネルギーが小さくて内容物が濡れにくい表面からほど気泡が生成しやすい傾向にある。表面上に発生する気泡にかかる表面圧は2γ/r(γは表面張力、rは気泡径)で示されることから、表面自由エネルギーが小さくなるほど気泡を押し縮めようとする圧力が低下し気泡は安定に成長しやすくなるため、気泡径が大きく成長し表面から脱離するのに十分な泡の大きさに成長する可能性が高まる。
しかし、炭酸飲料のように水中に溶存するガスからの気泡発生の場合、ガスの凝集のためのエネルギーが非常に大きいので、通常のプラスチック等の固体表面では、均一な気泡核生成は起こりにくいと言われている。そのため、炭酸飲料について容器表面で気泡が生成するのは表面自由エネルギーを低減する効果だけでは十分でなく、気泡核生成のエネルギーを低減する機構が必要となる。簡単な例としては、グラスにビールを注ぐ時に泡が大量に発生するように、空気の巻き込みにより空気泡を導入することにより泡発生が可能となる。しかし、空気を巻き込むにはビールを注ぐというような機械的エネルギーの付与が必要となり、泡発生のコントロールが難しい。
そこで、泡の発生をコントロールするための方法として、ポリオレフィンの添加により表面自由エネルギーを低減した容器表面に、細孔を付与することを検討した。種々の表面自由エネルギーの表面に空孔を付与してビールの泡立ち性を調査したところ、表面自由エネルギーの低い容器において泡立ち性が数段向上していることが確認された。メカニズムについては現在調査中であるが、空孔内での気泡の生成しやすさは、容器表面の表面自由エネルギーが十分に小さい場合、気泡が孔の中に生成した時に気泡面が凹んだ形状をとり、この場合は気泡を押し縮めようとする方向の表面圧が逆に2γ/r分だけ低下し、気泡が平面に比べて極めて発生しやすくなる。
さらに、通常泡の発生した後に残る気泡核が次の泡発生の起点となり泡が連続的に発生することが多いが、表面自由エネルギーが大きく、内容物で濡れやすい表面では、容器表面に吸着した気泡核が消失しやすく泡の発生が連続的に起こらず泡発生が減少するのに対し、内容物で濡れにくいものは逆に空気が吸着しやすいた泡発生が持続的に起こり、泡の保持性(泡持ち性)が良い容器となる。このように炭酸飲料の泡は、容器の表面自由エネルギーを低減しただけのものよりも、空孔の存在する表面で表面自由エネルギーを低減することにより圧倒的に増加する。
以上から、本発明では、缶内面の樹脂フィルムの表面自由エネルギーと空孔生成をコントロールすることにより、泡の発生と香味成分吸着およびフィルムクラック発生の抑制を両立させることが特徴であり、重要な要件である。そして、相反する両性能が非常に高いレベルで両立するために、表面自由エネルギーと空孔の形状、量、さらには樹脂フィルム状態をコントロールすることで本発明を完成するに至った。そして、金属板との密着性に優れ、缶への衝撃によってフィルムにクラックが発生したり、剥離したりせず、各種内容物に接した時に腐食や剥離が生じない樹脂フィルム被覆金属缶が得られ、また缶の内容物の香味成分がフィルムに吸着したり、フィルムの溶出成分や臭いによって内容物の風味が損なわれないことも確認した。
さらに、樹脂フィルム表面の空孔を缶成形時に十分生成させるためには、金属板上に被覆した樹脂フィルムに対して缶成形前に熱処理を行うことが有効であることも見出した。
本発明は、以上の知見に基づきなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
[1]単層もしくは2層以上の層構造を有する熱可塑性ポリエステルを主成分とする樹脂フィルムを少なくとも金属板の片面に被覆した樹脂フィルム被覆金属板であって、樹脂フィルムの最表層の樹脂中に、(I)平均粒径が0.5〜5μmの粒子を0.01〜0.5重量%、かつ、(II)ポリオレフィン系樹脂を0.01〜2重量%含有するフィルム(フィルムA)を少なくとも片面に有することを特徴とする樹脂フィルム被覆金属板。
[2]単層もしくは2層以上の層構造を有する熱可塑性ポリエステルを主成分とする樹脂フィルムを少なくとも金属板の片面に被覆した樹脂フィルム被覆金属板であって、樹脂フィルムの最表層の樹脂中に、(I)平均粒径が0.5〜5μmの粒子を0.01〜0.5重量%、かつ、(III)表面自由エネルギーが35mN/m以下の樹脂を0.1〜2重量%含有するフィルム(フィルムB)を少なくとも片面に有することを特徴とする樹脂フィルム被覆金属板。
[3]前記[1]または[2]において、前記樹脂フィルムAおよび又はBの表面には、平均粒径が0.5〜5μmの粒子が、面積1mm当り5〜5000個露出していることを特徴とする樹脂フィルム被覆金属板。
[4]前記[1]〜[3]のいずれかにおいて、前記樹脂フィルムAおよび又はBの最表層の水接触角が80度以上であることを特徴とする樹脂フィルム被覆金属板。
[5]前記[1]〜[4]のいずれかにおいて、前記樹脂フィルムAおよび又はBの最表層の表面自由エネルギーが35mN/m以下であることを特徴とする樹脂フィルム被覆金属板。
[6]前記[1]〜[5]のいずれかにおいて、前記樹脂フィルムAおよび又はBの最表層の表面自由エネルギーの極性成分が5mN/m以下であることを特徴とする樹脂フィルム被覆金属板。
[7]前記[1]〜[6]のいずれかにおいて、前記樹脂フィルムAおよび又はBの最表層の樹脂膜厚は2〜10μmであり、かつ、該最表層樹脂に含有されるポリエステル樹脂における酸成分は、イソフタル酸5〜18重量部と残部がテレフタル酸からなることを特徴とする樹脂フィルム被覆金属板。
[8]前記[1]〜[7]のいずれかにおいて、金属板に接する前記樹脂フィルムAおよび又はB最下層の樹脂中には、カルボン酸誘導体変性ポリオレフィン粒状樹脂を5〜30重量%含有することを特徴とする樹脂フィルム被覆金属板。
[9]前記[1]〜[8]のいずれかにおいて、 前記樹脂フィルムAおよび又はBにおける最表層の樹脂膜厚と、最表層以外の樹脂膜厚の比率が、1:15〜1:2であることを特徴とする樹脂フィルム被覆金属板。
[10]前記[1]〜[9]のいずれかに記載の樹脂フィルム被覆金属板であり、該樹脂フィルム被覆金属板は、樹脂フィルムを被覆した後に、80℃以上200℃以下の高温雰囲気中で熱処理を施されることを特徴とする樹脂フィルム被覆金属板。
[11]前記[10]において、前記樹脂フィルムの結晶化度が15%以上であることを特徴とする樹脂フィルム被覆金属板。
[12]前記[1]〜[11]のいずれかに記載の樹脂フィルム被覆金属板を、樹脂フィルム被覆面が缶内面側になるように成形してなることを特徴とする樹脂フィルム被覆金属缶。
[13]前記[12]において、樹脂フィルム表面には、粒径が0.5〜5μmの粒子が、面積1mm当り最大で10〜10000個露出していることを特徴とする樹脂フィルム被覆金属缶。
[14]前記[12]または[13]において、樹脂フィルム表面には、孔径0.5〜5μmの空孔が、面積1mm当り最大で1〜1000個存在していることを特徴とする樹脂フィルム被覆金属缶。
[15]前記[12]〜[14]のいずれかにおいて、樹脂フィルム表面には、粒径が0.5〜5μmの粒子により形成される空孔が、面積1mm当り最大で2〜500個存在していることを特徴とする樹脂フィルム被覆金属缶。
[16]前記[12]〜[15]のいずれかに記載の樹脂フィルム被覆金属缶を熱処理することにより、樹脂フィルムの結晶化度を30%以上とすることを特徴とする樹脂フィルム被覆金属缶。
[17]前記[12]〜[16]のいずれかにおいて、樹脂フィルム被覆金属缶の缶内面側の樹脂フィルム表面の水接触角が80度以上であることを特徴とする樹脂フィルム被覆金属缶。
[18]前記[12]〜[17]のいずれかにおいて、樹脂フィルム被覆金属缶の缶内面側の樹脂フィルム表面の表面自由エネルギーが35mN/m以下であることを特徴とする樹脂フィルム被覆金属缶。
[19]前記[12]〜[18]のいずれかにおいて、樹脂フィルム被覆金属缶の缶内面側の樹脂フィルム表面の表面自由エネルギーの極性成分が5mN/m以下であることを特徴とする樹脂フィルム被覆金属缶。
本発明によれば、良好な加工性、耐衝撃性を持ちながら、泡立ち性、泡持ち性に優れた樹脂フィルム被覆金属板及び樹脂フィルム被覆金属缶が得られる。そして、本発明により得られた樹脂フィルム被覆金属缶は、開缶時に適度な泡立ちが発生することにより、従来得られなかった味や香りを保持できるので、ビール、発泡酒のように発酵を利用した炭酸飲料用缶として最適である。
以下に、本発明の樹脂フィルム被覆金属板及び樹脂フィルム被覆金属缶を詳細に説明する。
本発明の樹脂フィルム被覆金属缶は、適切な樹脂組成のフィルムを被覆した金属板に缶成形を施すことにより得られる。そして、成形後の缶内面の表面自由エネルギーがコントロールされ、さらに樹脂フィルム表面に適当な形状、量の空孔が生成して、内容物に適度な泡立ちを発生させるとともに、空孔の量は最小限に抑えられることにより、空孔に起因するフレーバー吸着、衝撃割れ、腐食、樹脂剥離、溶解等を抑制することができる。
また、本発明の樹脂フィルム被覆金属板は、単層もしくは2層以上の層構造を有する熱可塑性ポリエステルを主成分とする樹脂フィルムを少なくとも金属板の片面に被覆した樹脂フィルム被覆金属板であって、前記樹脂フィルムは、以下の1)または2)の少なくとも一つ以上の条件を満たすことが必須となる。すなわち、1)樹脂フィルムの最表層の樹脂中に(I)平均粒径が0.5〜5μmの粒子を0.01〜0.5重量%、かつ、(II)ポリオレフィン系樹脂を0.01〜2重量%含有する、もしくは2)樹脂フィルムの最表層の樹脂中に(I)平均粒径が0.5〜5μmの粒子を0.01〜0.5重量%、かつ、(III)表面自由エネルギーが35mN/m以下の樹脂を0.1〜2重量%含有する、である。
また、本発明では、樹脂フィルムは単層であっても2層以上の複数の層構造を有するものであってもよいため、本発明において最表層とは、単層の場合はその樹脂に、2層以上の複数の層構造を有する場合は樹脂層のうちの最表層の樹脂に、それぞれ、上述した本発明の粒子および規定の樹脂を含有することが重要である。このように、最表層を制御することにより、缶生成時に粒子による空孔が生成しやすくなり泡立ち性、泡持ち性に対して好ましい。
以上のように、粒子の形態等を適切な範囲とした樹脂フィルムを被覆した樹脂フィルム被覆金属板を用いることにより、缶成形時、樹脂フィルム表面の粒子周囲に微細な空孔が生成し、その部分に気泡核が生成することにより気泡の発生ポイントになり、安定な微細な泡が得られ開缶時に適度な泡立ちが発生することになる。このように安定なサイズの泡を得るために、空孔のサイズと形状および量が適切なものである必要があり、それは本発明の範囲でのみ得られるものである。
特に、ビールの泡は、他の炭酸飲料の泡とは異なり、気泡のサイズと量が泡の安定性に大きな影響を及ぼし、泡が多く発生しても気泡のサイズが大きかったり不ぞろいであったり、また量が少なかったりすると泡持ち性が劣る。ビールにおいて、適当な量の泡が長時間保持されるためには、気泡のサイズや気泡中のガス成分等が重要である。この点でも本発明は効果があるといえる。また、空孔のサイズ、形状を最適にすることにより、フレーバー吸着、衝撃割れ、腐食、樹脂剥離、溶解等の問題も解消される。
以下に詳細な限定理由について説明する。
本発明の樹脂フィルム被覆金属板に使用する樹脂フィルムの基本構成の一つめの形態は、樹脂フィルムの最表層の樹脂中に、平均粒径が0.5〜5μmの粒子を0.01〜0.5重量%、かつ、ポリオレフィン系樹脂を0.01〜2重量%含有するである。前述の通り、粒径の小さい微粒子と表面自由エネルギーの低いポリオレフィン系樹脂を組み合わせることにより非常にきめ細かい泡立ち性が、フィルムの欠陥無しに得られるが、その粒子サイズ、量、およびオレフィン樹脂の量には最適な範囲が存在する。
添加する粒子の大きさ、量は、樹脂フィルム表面に発生する空孔のサイズ、形状に影響を及ぼし、それらは内容物の泡立ちのみならず、フレーバー吸着、衝撃割れ、溶解等にも影響を与える。以上を考慮すると、粒子の平均粒径は0.5〜5μmとする。平均粒径が0.5μm未満の粒子では気泡を生成するために必要なサイズの空孔が得られない。一方、平均粒径が5μmを超える粒子については空孔サイズが大きすぎて安定なサイズの気泡が得られない上、フィルムの加工性や耐衝撃性等の機械的性能を劣化させる。さらに、泡立ちの発生を非常に促進させる点から、好ましくは1μm以上、さらに好ましくは2μm以上である。また、4μm以上の粒子も欠陥になる可能性が高いため、平均粒径は4μm以下が好ましい。
なお、ここでいう平均粒径は、数平均粒径で代表した値を用いることとする。そのため、本発明の範囲を損なわない範囲であれば、粒径0.5μm未満および5μmを超える粒子を含んでいても構わない。しかし、フィルムの機械的性能を劣化させるほかフィルムコストを上昇させるため、なるべくそれらの比率が少ないものが好ましく、粒径分布は鋭く、標準偏差0.5以下が好ましい。さらに、粒子の形状は真球に近いものが望ましく、好ましくは長径/短径の比が1.0〜1.2である。なお、粒子の粒径は、楕円体形状のものについては長径と短径の平均を粒径とする。
また、安定なサイズの気泡を得るという効果は平均粒径0.5〜5μmの粒子を0.01重量%以上含有する時に発現し、より好ましくは0.02重量%以上である。一方、機械的性能の劣化、それに伴う耐食性やフレーバー性の劣化が起こらないように、粒子量は0.5重量%以下が好ましい。さらに好ましくは0.1重量%以下である。
また、樹脂フィルム中に含まれる粒子としては、粒子形状のコントロールをしやすいため泡立ち性に加え他の耐食性等の性能が得やすいこと、内容物に対する安定性、環境適合性が高くフレーバー性に優れること、そしてコスト等の点から酸化ケイ素が最適である。
このように、本発明では、樹脂フィルムの表面自由エネルギーを低下させることにより、空孔からの泡立ちが飛躍的に向上する。表面自由エネルギーを低下させる方法としては、ポリオレフィン系樹脂のような表面自由エネルギーの低い樹脂を添加する方法の他にも、樹脂フィルムの表面を化学処理や物理的な蒸着等でフッ素化したり、ワックスや低表面自由エネルギー塗料等をフィルム表面に塗布する方法も考えられるが、製造の容易さ、コスト、均一性等の点から、ポリオレフィン系樹脂のような表面自由エネルギーの低い樹脂を添加する方法が最も優れる。
表面自由エネルギーの低い樹脂としては、ポリエステルへの添加の容易さ、コスト、安全性の点から、ポリオレフィン系樹脂が最適である。ポリオレフィン系樹脂とは、エチレン、プロピレン、ブテン、メチルペンテン、アクリル酸およびそのエステル、フッ化エチレン等、分子内に炭素炭素2重結合を含む分子をビニル重合させて高分子化して得られる樹脂で、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、ポリスチレン等がある。特にポリエステル樹脂中へ適度に分散することからポリエチレン樹脂が好ましく、高密度〜低密度いずれのもの、または直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLPDE)が好ましく、またそれらを複数混合したものでも好適である。
一方、表面自由エネルギーを低減するという目的からは、安全性、樹脂フィルムの主成分であるポリエステル樹脂への分散性に問題なければ、ポリオレフィン系樹脂以外の低表面自由エネルギー樹脂も適用可能である。その場合、樹脂の表面自由エネルギーは35mN/m以下とする。すなわち、本発明の樹脂フィルム被覆金属板に使用する樹脂フィルムの基本構成の二つめの形態は、樹脂フィルムの最表層の樹脂中に、平均粒径が0.5〜5μmの粒子を0.01〜0.5重量%、かつ、表面自由エネルギーが35mN/m以下の樹脂を0.1〜2重量%含有するである。表面自由エネルギーが35mN/m以下の樹脂の例としては、例えば、脂肪酸エステル系ワックスや油脂、パラフィン等である。
ポリオレフィン系樹脂、または表面自由エネルギーが35mN/m以下の樹脂を樹脂フィルムに添加させることにより、フィルム最表層の表面自由エネルギーが35N/m以下になると、前述したように添加した粒子による缶成形時の空孔発生と相まって非常に顕著な泡立ち性が生じることになる。表面自由エネルギー35mN/mよりも高くなると、表面自由エネルギー低減による気泡核の安定性が低くなり泡立ち性が低減する。
ここで、表面自由エネルギーの測定方法について説明する。ラミネート金属板の表面自由エネルギーγsは、以下のように2つの成分に分けられる。
γs=γsd+γsh
γsdは表面自由エネルギーのうち、ファンデルワールス力やロンドン力に起因する分散成分で、γshは極性基の水素結合や酸・塩基相互作用等の力に関係する極性成分である。ラミネート金属板の表面に液体を滴下したときの接触角をθ、液体の表面自由エネルギーをγl、その分散成分をγld、その極性成分をγlhとすると、それらは次の関係を満足する。
(γsh)1/2= −(γld/γlh)1/2*(γsd)1/2 + γl/(γlh)1/2*(1+cosθ)/2
そこで、表面自由エネルギーが既知(γl、γlh、γldが既知)の5つの液体(純水、グリセロール、ホルムアミド、エチエングリコール、ジメチルグリコロール)を測定物(ラミネート金属板)の表面に滴下し、各々の液体について接触角θを測定して求める(湿度:60±5%、温度20℃)。そして、上記式に前記5液の各々について測定した接触角θと各々の液体のγl、γlh、γldの値を代入して、最小二乗法フィッティングで、γsd、およびγshを求める。ラミネート金属板の表面自由エネルギーγsは、γsdとγshの和で示される。
表面自由エネルギーが35mN/m以下の樹脂フィルム表面を得るためには、ポリエステル樹脂の表面自由エネルギーが約43mN/mと高いため、少なくとも35mN/mよりも小さい樹脂を添加する必要がある。添加する樹脂によりポリエステル樹脂中への分散が異なり、表面を均一に覆うもの、固まりになって一部表面しか覆わないもの等があり、添加樹脂の表面自由エネルギーのみから樹脂フィルムの表面自由エネルギーを予測することは困難であるが、ポリオレフィン系樹脂であれば0.01重量部以上添加すれば表面自由エネルギーが所望の値まで低減し、さらに望ましくは0.1重量部以上の添加である。0.01重量部より少なければ表面自由エネルギーは十分に下がらない。一方、ポリオレフィン樹脂の上限は2重量部であり、それを超えても表面自由エネルギーの低減効果は飽和しほとんど変化しない上、ポリエステル樹脂に十分分散しきれず表面欠陥や色調ムラの原因となるため不適であり、またさらにポリオレフィン樹脂によるフレーバー成分の吸着が無視できなくなり風味の劣化が起こったり、さらに多量のポリオレフィン樹脂を添加すると泡が生じやすくなりすぎて、きめ細かな泡ではない大粒の不安定な泡が発生しやすくなり、ビールの風味を返って損なう可能性がある。好ましくは、1重量部以下である。以上より、ポリオレフィン系樹脂の含有量は0.01重量%以上2重量%以下とする。
同様に、表面自由エネルギーが35mN/m以下の樹脂の場合の含有量も0.1重量%以上2重量%以下である。その範囲を外れると性能を損なうのは、ポリオレフィン系樹脂の場合と同じ理由である。
さらに、表面自由エネルギーの大小は、樹脂フィルム表面におけるビールの濡れ性に関係するため、ビールで濡れにくい表面自由エネルギーの低い表面が必要である。この点から、表面自由エネルギー35mN/m以下の泡立ちに最適な樹脂フィルムにおけるビールの濡れ性を水の接触角で示すと80度以上になり、80度以上であれば泡立ち性を促進するが、80度未満であれば効果は小さい。よって、樹脂フィルムの最表層の水接触角が80度以上であることが好ましい。
また、ビール液体の成分については分散成分よりも極性成分の割合が大きいことから、ビールの濡れを減少させるには表面自由エネルギーの極性成分を低くすることが最も効果的で、全体の表面自由エネルギーγsが35mN/mより高くても極性成分γshが5mN/m以下であればビールの濡れが十分低減でき、泡立ち性が高まる。よって、樹脂フィルムの最表層の表面自由エネルギーの極性成分は5mN/m以下が好ましい。
また、前述に規定する粒子を樹脂フィルムの最表層の樹脂中に含有する樹脂フィルムにおいては、その表面に粒子が面積1mm当り5〜5000個露出していることが好ましい。そして、上記のように表面に粒子が露出することにより、その露出した粒子の周囲で缶成形時に空孔が生じ、泡発生の起点となる。ここで粒子露出とはフィルム表面にその粒子の一部でも表面より上に出ている状態で必ずしも粒子の外面が露出していている必要はなく、粒子表面が樹脂で覆われていてもフィルム面よりも上に粒子が飛び出ていれば露出しているとする。露出した粒子数が5個未満では、安定なサイズの気泡を得るという効果が不充分である。一方、5000個を超えるものは、内容物によっては泡の発生が過剰となり泡の安定性が低下する可能性があるため、それらの上限は面積1mmあたり5000個を超えないものが好ましく、より好ましくは1000個を超えないものである。
なお、本発明の樹脂フィルムは、フィルム物性の向上、製造効率の向上、またはフィルム製造コストの低減のために、泡立ち性に関与する粒子およびポリオレフィン系樹脂を、内容物に直接接触する樹脂フィルムの最表層のみに添加することも可能である。2層以上の複数の層構造を取る場合に、少なくとも最表層を前述の構成とし、それ以外の層は粒子およびポリオレフィン系樹脂を含有させてもさせなくても構わない。これらは、フィルム性能、製造コスト等の面から判断すればよい。
また、本発明における樹脂フィルムの最表層の樹脂膜厚は2〜10μmで、かつ、該最表層樹脂に含有されるポリエステル樹脂における酸成分は、イソフタル酸5〜18重量部と残部がテレフタル酸からなることが性能向上の点から好ましい。なお、ポリエステル樹脂における酸成分についての詳細は後述する。ポリエステル樹脂フィルムの各層において粒子を含有する層は、本質的にフレーバー吸着、衝撃割れ、溶解等の原因になりやすいためできるだけ少ない方が好ましい。そこで、泡立ちにおよぼす粒子含有層の厚さの影響を調査したところ、内容物に接する側の最表層の樹脂が粒子含有層であり、その厚さが2μm以上あれば、フィルム表層に空孔が生じ、泡立ちに効果があることがわかった。また、その最表層の樹脂膜厚は、2μm以上あれば効果が現れ、厚いほど効果が高まる傾向にあるが、10μm以上では効果は飽和し、それ以上厚くすることはフレーバー吸着、衝撃割れ、溶解等の性能を劣化させる。さらに好ましくは、7μm以下である。
さらに、樹脂フィルムの最表層の樹脂膜厚と、最表層以外の樹脂膜厚の比率が、1:15〜1:2であることが好ましい。膜厚比が1:15より小さくなると表面空孔の生成が十分でなく、泡立ち性が低下し、一方1:2を超えると耐衝撃性、加工性が低下する。
なお、本発明の樹脂フィルムは、無延伸で製造されたものでも、二軸延伸されたフィルムにおいても本発明に規定する空孔が生成すれば本発明の効果を発現する。特に、延伸時に粒子周辺に空孔が生成することもあり、その場合は泡立ちが無延伸フィルムよりも促進されることになる。
また、本発明では、樹脂フィルムを金属板に被覆した後、熱処理を行い結晶化させることにより、缶成形時にフィルム表面に適当な空孔が生成しやすくなり泡立ち性が発現する。すなわち、熱処理を行うことによりフィルム樹脂の脆性が高まり、缶成形時に粒子周囲に生成する空孔が増加する。その結果、開缶時の泡立ちが促進されることになる。
熱処理は、80℃から200℃の温度領域で行うこととする。熱処理によりフィルム樹脂の結晶化が進行し、フィルムの脆性が高まる結果、加工によりフィルムに空孔が発生しやすくなる。そのような効果の発生する熱処理温度は、ポリエステル樹脂のガラス転移温度より高く、融点より低い必要があり、その温度範囲は80℃から200℃である。さらに結晶化速度の点から、結晶化しやすい温度:80℃から180℃の範囲で処理を行い、短時間で終了するのが好ましい。
脆性が十分に高まる結晶化度としては、15%以上を目安とする。それより低いと脆性は十分でない可能性がある。さらに、好ましくは20%以上であり、脆性は十分高いものとなる。結晶化度の計算方法は、例えば対象フィルムの密度から以下の式で計算される。
Xc=dc×(d−da)/d/(dc−da)×100
Xc:結晶化度(%)、d:対象フィルムの密度、dc:フィルム樹脂が100%結晶化した時の密度、da:フィルム樹脂が100%非晶状態の時の密度
樹脂フィルムがポリエチレンテレフタレート樹脂単相からなる場合、dc=1.46、da=1.34であるから、結晶化度15%となるフィルムの密度は、1.36である。
また、熱処理は、乾燥雰囲気、水蒸気雰囲気等の雰囲気でなされる。乾燥雰囲気での熱処理は、例えば空気中で高温乾燥空気を吹きつけたり、誘導加熱により鋼板の温度を高めることで達成される。一方、水蒸気雰囲気での熱処理は、例えば高温高圧の水蒸気を数秒間フィルム表面に吹きつけることで達成されるが、レトルト殺菌処理のような既存の方法を使用しても良い。水蒸気雰囲気の場合は、熱処理の時に微小な空孔が生じ、缶成形の時にそれを起点として大きな空孔に成長することがあるため効果が乾燥雰囲気に比べ大きい。乾燥雰囲気、水蒸気雰囲気いずれの場合も、熱処理温度は80℃程度でも十分である。水蒸気雰囲気で熱処理を行う場合の温度は、150℃以下の処理で良好な泡立ち性を示すため、80℃以上150℃以下が好ましい。
乾燥雰囲気、水蒸気雰囲気いずれの処理においても、その処理時間は結晶化度が上で述べた範囲に入るように上がるまでの時間で十分であり、例えば10秒間から10分間の間等で、プロセスの仕様で温度、時間の条件が決定される。その処理は、コイルで連続的に行われても、切り板の小サンプルで行なわれても良い。また、処理後の冷却は、空冷、水冷による急冷、または徐冷のいずれでも構わない。
次に、樹脂フィルムの主成分となる熱可塑性ポリエステルについて説明する。
炭酸飲料用缶などの用途で使用されるポリエステル系樹脂フィルムには、金属板との密着性に優れ、製缶時の成形加工によるフィルムの伸びや圧縮等の変形、および摩擦によるフィルムの劣化や密着性の低下が無いこと、製缶後の乾燥、印刷焼付け、レトルト殺菌処理等の加熱によって被覆されたフィルムが結晶化または劣化し、フィルムの剥離、収縮、クラック、ピンホール等を生じないこと、缶への衝撃によってフィルムにクラックが発生したり、剥離したりしないこと、各種内容物に接した時に腐食や剥離が生じないこと、フィルムが白濁しないこと等の性能が要求される。さらに、缶の内容物の香り成分がフィルムに吸着したり、フィルムの溶出成分や臭いによって内容物の風味が損なわれないことも求められる。
上記要求を満足し、本発明で用いられる熱可塑性ポリエステルとしては、酸成分としては各種の芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸が、グリコール成分としては各種の脂肪族ジオール、芳香族ジオールが任意に重合または共重合されたものが用いられ、また2種類以上の組成の異なる共重合ポリエステル樹脂を混合したものが用いられる。
さらに、泡立ち性と他のフレーバー性、耐衝撃性等の観点から缶成形後のフィルム表面の空孔のサイズ、形状が重要であり、樹脂フィルムの組成もそのような空孔発生に影響するので、樹脂フィルムは、適度な加工性と強度を保持していることが必要であり、そのようなポリエステル樹脂の組成としては、酸成分がイソフタル酸5〜18重量部と残部がテレフタル酸からなるものが最適である。イソフタル酸を適量テレフタル酸に共重合させることにより、テレフタル酸単独や低共重合組成のものよりも結晶化が抑制され加工性が向上し、大きなクラックが発生しにくくなり、機械的性能の劣化が抑制される。イソフタル酸5重量部未満ではそのような効果が不十分で機械的性能が劣る場合がある。一方、イソフタル酸成分が18重量部超えでは融点が低く缶加工の時の熱劣化が起こるため大きなクラック発生、衝撃劣化等が起こる場合がある。なお、ここで、残部がテレフタル酸からなるとは、少なくとも残りの成分中95%以上がテレフタル酸からなり、下記に示すその他の酸成分量は5%未満である。また、2層以上の複数の層構造を有する場合には、最表層をこの組成とすることが適当である。
テレフタル酸、イソフタル酸以外に使用可能な酸成分としては、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,4´−ビフェニルジカルボン酸、ジフェン酸、ジフェニルエーテルカルボン酸、5−スルホイソフタル酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、アジピン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸、グルタル酸、ダイマー酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セパシン酸、ドデカジオン酸、trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などが用いられる。
一方、グリコール成分としては各種の脂肪族ジオール、芳香族ジオールが任意に重合または共重合されたものが用いられ、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、trans−1,4−シクロヘキサンジメタノール、cis−1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノール類、p−キシレングリコール、ハイドロキノン、2,2−ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、水添ビスフェノールAなどが用いられる。特にエチレングリコールおよび/または1,4−ブタンジオールおよび/または1,4−シクロヘキサンジメタノールを主成分としたものが、機械的物性とフレーバー性等のバランスの点から好適である。
よって、テレフタル酸とエチレングリコールが主成分のもの、および/またはテレフタル酸およびイソフタル酸とエチレングリコールが主成分のもの、および/またはテレフタル酸とエチレングリコールおよび1、4−ブタンジオール、および/またはテレフタル酸とエチレングリコールおよび1、4−シクロヘキサンジメタノールを主成分とするものが、混合樹脂状態での機械的物性、フレーバー性のバランスの点からフィルム成分としては適する。
さらに、発明の目的を損なわない範囲で、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールメタン、ペンタエリスリトールなどの多官能化合物から誘導される構成単位を少量、たとえば2重量%以下の量で含んでいてもよい。
ここで、樹脂フィルムにおいて熱可塑性ポリエステル樹脂を主成分とするとは、フィルム中の樹脂成分中でポリエステルが70重量%以上を占めている場合である。それ以外の樹脂成分として変性ポリオレフィンやエラストマー等の衝撃緩和成分を樹脂中で3〜30重量部の範囲で含有させて耐衝撃性を向上させた樹脂も使用可能であり、特に炭酸飲料や乳酸飲料のような厳しい耐衝撃性を要求される用途には、ポリエステル樹脂中にカルボン酸誘導体変性ポリオレフィン粒状樹脂を5〜30重量%含有することにより必要な耐衝撃性を確保することが可能である。
さらに複層構造で最表層中に粒子およびポリオレフィン系樹脂が含まれるフィルムでは、金属板に接するフィルム最下層の樹脂中には、カルボン酸誘導体変性ポリオレフィン粒状樹脂を5〜30重量%含有することが好ましい。カルボン酸誘導体変性ポリオレフィン粒状樹脂が添加されることにより、樹脂フィルム金属缶の衝撃割れや加工割れ、密着性低下による腐食発生をさらに抑制させることが可能となる。
ポリエステル樹脂中に混合されるカルボン酸から誘導される官能基を有する変性ポリオレフィン樹脂は、耐衝撃性を向上するとともに、加工性、耐熱性等その他の諸特性には悪影響を与えないようにするため、粒子径が等価球換算計で0.1〜5μmの粒子の状態で主に存在することが好ましい。また、その変性ポリオレフィン樹脂の全樹脂中の重量比率は5〜30重量%の範囲にあることが必要である。5重量%未満では耐衝撃性の向上に不十分であり、30重量%を超えると加工性や耐熱性等の性能を低下させる。
変性ポリオレフィン樹脂のガラス転移温度はポリエステル樹脂と同じ測定方法で0℃以下が望ましい。好ましくは、−30℃以下である。ガラス転移温度が0℃を超えるものは、耐衝撃性がやや劣り、特に低温の耐衝撃性に劣る。また、さらに室温でのヤング率が250MPa以下、及び破断伸びが200%以上、より望ましくはヤング率が100MPa以下、及び破断伸びが500%以上であることがより好ましい。分子量は特に限定するものではないが、数平均分子量で2×10以上1×10以下が好ましい。2×10未満や1×10超になると、機械的性能に劣り耐衝撃性が低下する場合がある他、成型加工しにくくなる可能性がある。
カルボン酸から誘導される官能基はカルボン酸換算の重量比率で2〜20重量%、より好ましくは3〜12重量%含有される。この組成範囲においてポリエステル樹脂との親和性、分散性が最大に高まるからで、変性ポリオレフィン樹脂がマトリックスのポリエステル樹脂と強い親和性を持つほど衝撃時において異樹脂間の相間破壊の緩和効果が高まり、その結果耐衝撃性が高くなるとともに、さらに成型加工時の変性ポリオレフィン粒同士の凝集が抑制される結果成形条件による性能のばらつきが減少する。そのような効果は、官能基のカルボン酸換算の重量比率が2重量%以上で得られ、一方20重量%を超えるとポリエステル樹脂との親和性が逆に低下する結果、耐衝撃性が劣る。
以下に変性ポリオレフィン樹脂の製造方法を述べる。カルボン酸から誘導される官能基としては、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、カルボン酸イオンの金属塩等があり、これらの官能基を含むモノマーをポリオレフィン樹脂中に共重合、グラフト重合、またはブロック重合することにより、カルボン酸変性ポリオレフィンが得られる。
カルボン酸から誘導される官能基を含むモノマーを具体的に挙げると、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチルエステル等の炭素数3〜8の不飽和カルボン酸、およびそれらの酸の全体または一部がナトリウム、カリウム、リチウム、亜鉛、マグネシウム、カルシウム等の1〜2価の金属陽イオンで中和された金属塩が挙げられる。この中和度は、好ましくは20〜80%、さらに好ましくは30〜70%であり、このような中和度の変性ポリオレフィン樹脂から形成される組成物は、溶融押出性に優れている。
また、カルボン酸エステルとしては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、マレイン酸モノメチルエステル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、酢酸ビニル、さらにアクリルアミン、アクリルアミド等が挙げられる。
これらのカルボン酸誘導官能基含有モノマーを、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、イソブテン、イソブチレン、ブタジエン、スチレン、アクリロニトリル等のカルボン酸誘導官能基非含有オレフィンモノマーと共重合させるか、ブロック重合またはグラフト重合させることにより、カルボン酸誘導官能基含有変性ポリオレフィン樹脂が得られる。この中でも特に、カルボン酸基がポリオレフィン樹脂中にグラフト重合または共重合されたものが高い性能を示す。このような変性ポリオレフィン樹脂としては、市販の樹脂も使用可能である。たとえば、モディパーA(日本油脂(株)社製)、ニュクレル(三井デュポンポリケミカル(株)社製)、ボンダイン(住友化学工業(株)社製)、アドマー(三井化学(株)社製)、タフテック(旭化成(株)社製)等が挙げられる。
また、それらのカルボン酸が一部金属塩で中和されたものも使用可能である。このような樹脂は加工性がやや低下するものの耐衝撃性はより高いものが得られる。市販の樹脂としては、ハイミラン(三井デュポンポリケミカル(株)社製)等が挙げられる。さらに、カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂をポリエステル樹脂中に溶融分散させる時に酸化亜鉛や水酸化カルシウム等を添加すると、変性ポリオレフィン樹脂中のカルボキシル基がそれらの金属イオンで中和され、結果的にカルボン酸が一部金属塩で中和されたカルボン酸変性ポリオレフィン樹脂がポリエステル樹脂中に分散する構造をとるものが得られる。
変性ポリオレフィン樹脂をポリエステル樹脂中に分散させることにより原料となる混合樹脂が得られる。分散の方法としては、たとえば2つの樹脂を溶融して混合し、1相になる温度に保った後に2相に分離する温度まで冷却して相分離を利用してポリエステル樹脂相中に変性ポリオレフィン樹脂相を分散させる方法や、2つの樹脂を共通の溶媒に溶解させた後溶媒を蒸発させる方法、あらかじめ1次粒径を1μm以下に微細化した変性ポリオレフィン樹脂をポリエステル樹脂中で凝集しない温度で溶融させて分散させる方法、あらかじめ1次粒径を1μm以下に微細化した変性ポリオレフィン樹脂とポリエステル樹脂構成モノマーを含む溶液中においてモノマーを重合させポリエステル樹脂を製造するとともに変性ポリオレフィン樹脂がポリエステル中に分散した状態にする方法、さらに2つの樹脂を溶融混合して機械的なせん断力で変性ポリオレフィン樹脂を微細化する方法等があり、いずれの方法も可能である。
混合、溶融する装置としては、タンブラーブレンダー、ヘンシェルミキサー、V形ブレンダーなどの混合装置や、1軸または2軸の押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどの溶融混合装置が使用でき、その際、混合装置の温度管理や温度変化等の温度制御を通常の混合方法に比べ厳しくしたり、混合時間を通常の混合時間に比べて例えば3倍〜10倍程度長くしたり、混合時の機械的なせん断速度を通常の速度に比べて、例えば2倍〜5倍程度速くしたりなどすることで、あるいはそれらを組み合わせて、たとえばタンブラーブレンダーで機械的に混合した後に押出機で溶融混合することにより、熱可塑性ポリエステル樹脂中に粒子径が0.1〜5μmの粒状の変性ポリオレフィン樹脂をあらかじめ分散させた分散性の高い混合樹脂が得られる。押出機で溶融混合することで得た分散性の高い混合樹脂をフィルム成形することで、より変性ポリオレフィン樹脂の粒径が揃った樹脂フィルムが得られ、その結果耐衝撃性等の性能も高まる。このような粒径が揃い、分散性の高い混合樹脂を押出し機に挿入で溶融してフィルム成形することで、フィルム成形しながら変性ポリオレフィン樹脂を分散させるよりも、はるかに粒状樹脂の粒径分布が狭まり、その結果各種性能において優れた性能を発揮できるフィルムが得られる。
一方、ポリエステル樹脂のフレーバー性の点から樹脂中のアセトアルデヒド含有量を10ppm以下とすることが好ましく、より好ましくは7ppm以下である。アセトアルデヒド含有量がかかる範囲、特に10ppmを越えるとフレーバー性に劣る場合がある。アセトアルデヒド含有量を10ppm以下とする方法は特に限定されるものではない。例えばポリエステル樹脂を重縮合反応等で製造する際の熱分解によって生じるアセトアルデヒドを除去するため、樹脂を減圧下あるいは不活性ガス雰囲気下において、ポリエステルの融点以下の温度で熱処理する方法等によって得られたポリエステル樹脂をフィルムに成形する方法等を挙げることができ、好ましくは樹脂を減圧下あるいは不活性ガス雰囲気下において150℃以上、融点以下の温度で固相重合したポリエステル樹脂を用いる方法がよい。
また、本発明のポリエステル樹脂はフレーバー性の点から樹脂中の環状三量体等からなるオリゴマーはより少ない方が好ましい。特に環状三量体の含有量を0.9重量%以下とすることが好ましく、特には0.7重量%以下とすることがより好ましい。樹脂中のオリゴマー含有量がかかる範囲、特に0.9重量%を越えるとフレーバー性に劣る場合がある。オリゴマー含有量を0.9重量%以下とする方法は特に限定されるものではないが、上述のアセトアルデヒド含有量を減少させる方法と同様の方法等を採用することで達成できる。
本発明に用いられるポリエステル樹脂の固有粘度は、0.3〜2.0dl/g、より好ましくは0.3〜1.5dl/g、さらに好ましくは0.5〜1.0dl/gである。2.0dl/gを越える場合は、粘度が非常に高いため本発明に使用される粒径が0.5〜5μmの粒子との混合が著しく困難となり、粒子が均一に分散しない結果、本発明の効果が不充分となる可能性があり、一方、固有粘度が0.3dl/g未満の場合には粘性が低いために成形性が不良となり、均一なフィルムを製造することが困難となる可能性がある。上記固有粘度は、JIS K7367−5に示される方法で測定され、25℃のo−クロロフェノール中で0.005g/mlの濃度で測定されたもので、固有粘度=(T−T)/(T*c)という式によって求められる。式中、cは溶液100ml当たりの樹脂濃度をグラム数で表わした濃度を、T、およびTは、溶媒、および樹脂溶液の毛細管形粘度計内の流下時間をそれぞれ表す。
さらに、本発明に使用するポリエステル樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が50〜100℃、より好ましくは60〜80℃であることが望ましい。ガラス転移温度が50℃未満の場合は、ポリエステル樹脂の耐熱性が劣るため成形時の温度上昇で傷等が入りやすくなり、一方、ガラス転移温度が100℃を超える場合には逆に加工性に劣ることがある。また、低温結晶化温度(Tc)については、通常120〜210℃、好ましくは140〜200℃であり、融点(Tm)は、通常210〜265℃、好ましくは220〜260℃であることが望ましい。低温結晶化温度が120℃未満では結晶化が起こりやすいためレトルト殺菌処理(120℃程度の高温高湿処理)時等に結晶化が起こりフィルムにクラックが入ったり剥離が生じやすくなる。一方、低温結晶化温度が210℃を超えるものはポリエステルの加工性、耐衝撃性等の機械的強度に劣ることがある。融点が210℃未満では成形加工時の熱で樹脂が劣化し、クラックやピンホールの発生が起こりやすくなる。一方、融点が265℃を超えるものは成形加工時の乾燥、印刷焼付等の加熱処理によって結晶化が進行し、やはりクラックやピンホールの発生が起こりやすくなる。上記ガラス転移温度、低温結晶化温度、結晶融解温度は、示差走査熱量計(DSC)を用いて昇温時の吸熱ピーク温度を測定したもので、サンプル量10mg、昇温速度10℃/分の条件で測定した値である。
樹脂フィルム中には、滑り性、成形加工性、耐衝撃性等の向上を目的として無機粒子、有機粒子、有機高分子粒子をさらに含有することができる。なお、この無機粒子、有機粒子、有機高分子粒子は、本発明で規定した粒子としての機能を兼ね備えたものであっても良い。無機粒子としては、乾式法および湿式法で製造されたシリカ、多孔質シリカ、コロイド状シリカ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、スピネル、酸化鉄、リン酸カルシウム等が挙げられ、また有機粒子あるいは有機高分子粒子としてはポリスチレン粒子、架橋ポリスチレン粒子、スチレン−アクリル系架橋粒子、アクリル系架橋粒子、スチレン−メタクリル酸系樹脂架橋粒子、メタクリル酸樹脂系架橋粒子などのビニル樹脂系粒子や、シリコーン、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニルエステル、フェノール樹脂等を構成成分とする有機高分子粒子を挙げることができる。これら粒子の粒子径、含有量は特に限定されるものではないが、性能を最大限に発揮するためには粒子径は0.01〜5.0μmの範囲が好ましく、さらには0.1〜2.5μmの範囲が好ましい。また、それらの粒径分布は鋭く、標準偏差0.5以下が好ましい。さらに、粒子の形状は真球に近いものが望ましく、好ましくは長径/短径の比が1.0〜1.2である。
さらに、樹脂フィルム中には、本発明の効果を妨げない限り、光安定剤、耐衝撃性改良剤、相溶化剤、滑剤、可塑剤、帯電防止剤、反応触媒、着色防止剤、ラジカル禁止剤、可塑剤、酸化防止剤、末端封鎖剤、熱安定剤、離型剤、難燃剤、抗菌剤、抗黴剤等の添加剤がさらに添加されていても良い。これらの添加剤の含有量としては、本発明では、樹脂100重量部に対して、0.005重量部以上15重量部以下が好ましい。さらに望ましくは0.01重量部以上2重量部以下、特に望ましくは0.05重量部以上0.5重量部以下である。0.005重量部未満では効果が不十分で、一方15重量部を超えると添加剤が過剰となり樹脂層の機械的性能を低下させる。また、樹脂成形中に劣化しないような200℃以上の耐熱性が必要である。
反応触媒としては例えばアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、亜鉛化合物、鉛化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物等が、着色防止剤としては例えばリン化合物等を挙げることができる。
ラジカル禁止剤としては、フェノール系ラジカル禁止剤、リン系ラジカル禁止剤、スルフィド系ラジカル禁止剤、及び窒素系ラジカル禁止剤から選ばれる1種または2種以上が挙げられる。
可塑剤としては、炭素数2〜20の脂肪酸多塩基酸またはそのエステル誘導体に対する炭素数8〜20の芳香族多塩基酸またはそのエステル誘導体のモル比が0〜2.0である多塩基酸成分と、炭素数2〜20の脂肪族アルコールとを縮重合したものを、炭素数2〜20の一塩基酸又はそのエステル誘導体及および/または炭素数1〜18の一価アルコールで末端エステル化したポリエステルからなる可塑剤を挙げることができる。
帯電防止剤としては、成膜工程におけるフィルムのロールへの巻き付きや、フィルム表面への汚れ付着等の静電気障害を防止することを目的として、特開平5−222357号公報に開示される帯電防止剤等の樹脂組成物中に練り込む方法や、フィルム表面に特開平5−1164号公報に記載されている帯電防止剤を塗布する方法などを必要に応じて適用することができる。
抗菌剤としては、特開平11−48431号公報及び特開平11−138702号公報等に開示されている従来公知の抗菌剤を必要に応じて使用することができる。
樹脂中にはポリエステル樹脂の重合触媒を添加することも可能である。重合触媒としては、ゲルマニウム、アンチモン、チタンから選ばれる少なくとも一種以上の元素を1ppm以上500ppm以下含有することが好ましい。より好ましくは3ppm以上、さらに好ましくは10ppm以上である。ゲルマニウム、アンチモン、チタンから選ばれる少なくとも一種以上の元素量が1ppmに満たないとフレーバー性向上の効果が十分でない場合があり、500ppmを越えるとポリエステルに異物が発生し結晶核剤となり結晶化しやすくなるため、耐衝撃性が悪化したり、耐熱性が低下したりする場合がある。また、これらの元素の中ではフレーバー性の点からゲルマニウム元素が特に好ましい。
ゲルマニウム化合物としては、例えば二酸化ゲルマニウム、結晶水含有水酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム酸化物、水酸化物、あるいはゲルマニウムテトラメトキシド、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトラブトキシド、ゲルマニウムエチレングリコキシド等のゲルマニウムアルコキシド化合物、ゲルマニウムフェノレート、ゲルマニウムβ−ナフトレート等のゲルマニウムフェノキシド化合物、リン酸ゲルマニウム、亜リン酸ゲルマニウム等のリン含有ゲルマニウム化合物、酢酸ゲルマニウム等を挙げることができる。
一方、アンチモン化合物としては、三酸化二アンチモン、三弗化アンチモン、酢酸アンチモン、硼酸アンチモン、ギ酸アンチモン、亜アンチモン酸等を挙げることができ、またチタン化合物としては、二酸化チタン等の酸化物、水酸化チタニウム等の水酸化物、テトラメトキシチタネート、テトラエトキシチタネート、テトラプロポキシチタネート、テトライソプロポキシチタネート、テトラブトキシチタネート等のアルコキシド化合物、テトラヒドロキシエチルチタネート等のグリコキシド化合物、フェノキシド化合物、酢酸塩等の化合物を挙げることができる。
以上、上記組成の樹脂フィルムを被覆した金属板を、対象樹脂フィルムが缶内面側になるように缶成形することにより、表面自由エネルギーがコントロールされたフィルム表面に適切なサイズ、形状の空孔が得られ、内容物の泡立ち性が優れるとともに、金属板との密着性に優れ、製缶時の成形加工によるフィルムの伸びや圧縮等の変形、および摩擦によるフィルムの劣化や密着性の低下が無い缶が得られる。また、製缶後の乾燥、印刷焼付け、レトルト殺菌処理等の加熱によって被覆されたフィルムが結晶化または劣化しそれによりフィルムの剥離、収縮、クラック、ピンホール等を生じたりするのを防止し、また缶への衝撃によってフィルムにクラックが発生したり、剥離したりせず、さらに各種内容物に接した時に腐食や剥離が生じず、フィルムが白濁しない缶が得られる。さらに、缶の内容物の香り成分がフィルムに吸着したり、フィルムの溶出成分や臭いによって内容物の風味が損なわれない。
一方、缶外面側となる金属板の面については、外面側にもフィルムを被覆して両面ラミネート金属板として缶に使用することも可能であるし、外面面にはフィルムを用いない片面ラミネート金属板として缶成形を行い、その後必要に応じて塗装、印刷等を行って、缶として使用することも可能である。
外面側のフィルムとしては、内面側と同じフィルムを用いることも可能であるが、フィルムコスト等を考えて、粒子やポリオレフィン系樹脂等の添加剤を含まないか、添加量を減らしたフィルムを被覆することが好ましい。樹脂種類についても、内面側と同一のポリエステル樹脂組成を用いることも可能であるし、異なる組成の樹脂を用いても良いが、内面側のフィルムが無延伸フィルムの場合は外面側にも無延伸フィルムを用い、内面側のフィルムが二軸延伸フィルムの場合は外面側にも二軸延伸フィルムを用いる方が、両面のフィルム物性が同等で、缶成形時の欠陥等が生じにくいため好ましい。また、外面側フィルムの膜厚は、内面側と同じかやや薄いものが一般には用いられる。
次いで、樹脂フィルムを被覆する金属板について説明する。本発明の金属板は特に限定されないが、成形性の点で鉄及びアルミニウムを素材とする金属板が好ましい。鉄を素材とする金属板の場合、その表面に樹脂密着性や耐食性を改善するため、無機酸化物皮膜層、例えばクロム酸処理、リン酸処理、クロム酸/リン酸処理、電解クロム酸処理、クロムクロメート処理などで代表される化成処理被覆層を設けてもよい。また、展延性金属メッキ層、例えばニッケル、スズ、亜鉛、アルミニウム、砲金、真ちゅうなどのメッキ層を設けてもよい。また、スズメッキの場合は、0.5〜15g/m、ニッケルまたはアルミニウムの場合1.8〜20g/mのメッキ量を有するものが加工性および樹脂密着性の点から特に好ましい。このような金属板は、厚さが、通常0.01〜5mm、好ましくは0.1〜2mmである。そして、金属板片面または両面上に、本発明の樹脂組成物層を被覆した樹脂被覆層が形成される。
鉄を素材とする金属板の場合、電解クロメート処理鋼板が、本発明の樹脂フィルムとの密着性、耐食性、製造コストの観点から特に好ましい。金属クロム層の金属クロム量は50〜200mg/mが適当であり、50mg/m未満では耐食性、加工後密着性が不十分な場合があり、200mg/mを超えると耐食性、加工後密着性の向上効果が飽和し、逆に製造コスト上昇するからである。また、クロム酸化物中のクロム量の金属クロム換算量は3〜30mg/mが適当で、3mg/m未満になると密着性が劣る場合があり、30mg/mを超えると色調が悪化する他、密着性も劣るからである。
また、本発明においては、本発明の効果を妨げない限り、プライマー層を金属板と樹脂フィルムとの間に密着層として設けても良い。本発明の樹脂フィルム被覆金属板は、樹脂層と金属板の一次密着性、加工後密着性とも優れたものであるが、より厳しい腐食環境、あるいはより優れた密着性が要求される環境下では、プライマー層を設けて、要求に応じた特性を付与できる。例えば、金属缶として使用する場合、より腐食性の強い内容物を充填すると、樹脂層を通して、内容物が金属板との界面に侵入し、金属板を腐食させ、フィルムとの密着性が劣化する可能性がある。このような場合、適切なプライマー層を設けることにより樹脂層の剥離を防ぐことが可能となる。
プライマーの種類は特に限定されるものではないが、公知のプライマー層を用いることも可能である。例えば、特公昭60−12233号公報に開示されるポリエステル樹脂系の水系分散剤、特公昭63−13829号公報に開示されるエポキシ系プライマー、特開昭61−149341号公報に開示される各種官能基を有する重合体等が挙げられる。また、プライマー層の形成方法は特に限定されるものではないが、金属板にプライマー塗料を塗布−乾燥、あるいは、本発明のフィルムにプライマー塗料を塗布−乾燥してもよく、あるいは金属板にプライマーフィルムを被覆しても良いし、さらには、本発明のフィルムとプライマー層を貼り合わせたフィルムを被覆しても良い。
樹脂フィルム被覆金属板を製造する方法については公知の方法が使用できるが、特にポリエステル樹脂の融点−70℃〜融点+30℃の範囲に加熱した金属板に、回転するロールによって樹脂フィルムを押し付けて被覆する方法が好ましい。
次いで、本発明の樹脂フィルム被覆金属缶について説明する。本発明の樹脂フィルム被覆金属缶は、前述した本発明の樹脂フィルム被覆金属板を、樹脂フィルム被覆面が缶内面側になるように成形してなるものである。また、本発明において、「缶」とは、缶胴、缶蓋、缶底のいずれか一部位以上を使用した場合(全部使用した場合も含む)である。
そして、本発明の樹脂フィルム被覆金属缶は、適度な泡立ち性の発現という点から缶内面側の樹脂フィルム表面には、粒径が0.5〜5μmの粒子が、面積1mm当り最大で10〜10000個露出しているものが好適である。その露出した粒子の周囲には多くの場合缶成形時に生じた空孔が存在し、泡発生の起点となる。空孔の密度については、孔径0.5〜5μmの空孔が、面積1mm当り最大で1〜1000個存在しているものが特に好適である。
ここで粒子露出とはフィルム表面にその粒子の一部でも表面より上に出ている状態で必ずしも粒子の外面が露出していている必要はなく、粒子表面が樹脂で覆われていてもフィルム面よりも上に粒子が飛び出ていれば露出しているとする。露出した粒子数が10個未満では、安定なサイズの気泡を得るという効果が不充分である。一方、10000個を超えるものは、内容物によっては泡の発生が過剰となり泡の安定性が低下する可能性があるため、露出した粒子数の上限は面積1mmあたり10000個を超えないものが好ましく、より好ましくは1000個を超えないものである。
また、孔径0.5〜5μmの空孔が1個未満では、安定なサイズの気泡を得るという効果が不充分である。好ましくは1mmあたり2個以上である。一方、1000個を超えるものは、内容物によっては泡の発生が過剰となり泡の安定性が低下する可能性があるため、露出した粒子数の上限は面積1mmあたり1000個を超えないものが好ましく、より好ましくは100個を超えないものである。
特に空孔については、添加した粒子の周囲で生成する以外にも、熱処理による表面形状変化による凹凸生成やフィルムの微細な破れ、缶成形時の金型のあたりによる凹凸生成などにより生じる。しかし、泡発生の起点としては添加粒子による空孔が最も効果的で、なるべく前者の粒子以外に起因する割合が低く、粒子によるものの割合が高いものが好ましい。よって、缶内面側の樹脂フィルム表面には、粒径が0.5〜5μmの粒子により形成される空孔が、面積1mm当り最大で2〜500個存在しているものが好適である。2個未満では泡立ち性の効果が不十分で、一方500個を超えるものは、内容物によっては泡の発生が過剰となり泡の安定性が低下する可能性がある。
なお、ここで規定する空孔とは缶内面の内容物に接触する側のフィルム表面に生じた空孔であり、フィルムを貫通するものやフィルム内部や金属側に生成したものは含まない。またその孔径とは、フィルム表面に生じた空孔の長径と短径の平均値とする。このような空孔には大きいものや小さいものがあるが、本発明においては、規定される0.5〜5μmの孔径の空孔数が規定量のものが好ましく、その場合はそれ以外の直径の空孔は空孔数には数えない。
また、樹脂フィルム被覆金属缶にはその成形手段により、空孔の多い場所と少ない場所が生じ、ツーピース缶の場合一般には缶の底よりも缶の胴のより上部に近い部分で多いことが一般的である。その場合、本発明での空孔の数については缶胴の最も空孔数の多い部分で規定するものとする。
空孔や粒子の数は、光学顕微鏡や電子顕微鏡等の既存の観察機器でフィルム表面を観察し、規定面積中の数を数えることやコンピューターによる画像処理により自動的に数える方法が使用できる。また、面積1mm中の空孔や粒子の数は、1mm×1mmの範囲の全数を数える他に、100μm×100μmの範囲の数を100倍したもので計算しても良い。
さらに、上記において、樹脂フィルムを2層以上の樹脂層とすることも可能である。ただし、この場合は、樹脂層のうち最上層は粒子を含有し上記で規定した樹脂フィルムとする。このように、金属板に接しない側の最表面層を制御することにより、粒子による空孔が生成しやすくなり泡立ち性、泡持ち性に対して好ましい。
樹脂フィルム被覆金属缶の缶内面側の施された樹脂フィルム表面の表面自由エネルギーについても、缶成形前の低表面自由エネルギー状態が保たれることが必要である。フィルム表面の表面自由エネルギーとしては35N/m以下で、添加した粒子による缶成形時の空孔発生と相まって非常に顕著な泡立ち性が生じることになる。表面自由エネルギー35mN/mよりも高くなると、表面自由エネルギー低減による気泡核の安定性が低くなり泡立ち性が低減する。また、水の接触角では80度以上で、80度以上であれば泡立ち性を促進するが、80度未満であれば効果は小さい。また、極性成分が5mN/m以下であればビールの濡れが十分低減でき、泡立ち性が高まる。
さらに、樹脂フィルム被覆金属缶に対して熱処理を行うとさらに性能が向上する。熱処理は、80℃から250℃の温度領域で行うことが好ましい。熱処理によりフィルム樹脂の結晶化が進行し、缶成形時に生成した空孔が大きくなるとともに安定化して衝撃や割れに対し耐久性を持つようになるからである。そのような効果は、ポリエステル樹脂のガラス転移温度より高く、融点より低い必要があり、その温度範囲は80℃から250℃である。さらに結晶化速度の点から、100℃から220℃の範囲では結晶化しやすいため処理が短時間で終了するので好ましい。性能が十分に高まる結晶化度としては、30%以上を目安とする。それより低いと安定性が不十分となる可能性がある。さらに、好ましくは40%以上であり、安定性は十分高いものとなる。結晶化度の計算方法は、前記の通りである。
熱処理は、乾燥雰囲気、水蒸気雰囲気のいずれでなされても構わない。乾燥雰囲気での熱処理は、例えば空気中で高温乾燥空気を吹きつけたり、誘導加熱により鋼板の温度を高めることで達成される。一方、水蒸気雰囲気での熱処理は、例えば高温高圧の水蒸気を数秒間フィルム表面に吹きつけることで達成されるが、レトルト殺菌処理のような既存の方法を使用しても良い。乾燥雰囲気、水蒸気雰囲気いずれの処理においても、その処理時間は結晶化度が上で述べた範囲に入るように上がるまでの時間で十分である。
樹脂フィルム被覆金属缶の製造については、公知の方法を使用できる。側面継ぎ目を有するスリーピース缶としての適用も可能であるが、より好ましくはシームレスタイプのツーピース缶であり、絞り・再絞り加工、絞り・再絞りによる曲げ伸ばし加工(ストレッチ加工)、絞り・再絞りによる曲げ伸ばし・しごき加工、絞り・しごき加工等を用いて成型することが可能である。また、再絞りにより曲げ伸ばし加工、および/またはしごき加工を行って缶胴を薄肉化する薄肉化深絞り缶や絞りしごき缶(DI缶)のような成形においては、缶胴の最も薄い部分の板厚がもとの金属板の30〜80%、さらには40〜60%にまで薄肉化されたものが好ましい。
以上、得られた樹脂フィルム被覆金属缶の用途としては、充填した飲料が開缶した時に泡立つという特徴を最大限に生かせるように、炭酸飲料、特にビール、発泡酒等の発酵を利用した飲料を充填して飲用に供することが好ましい。しかし、このような用途では、前記樹脂フィルム被覆金属缶に飲料を充填する時に、泡が発生して充填した飲料が缶より溢れる可能性があり、その場合は充填不可となり問題となる場合がある。そのため、この樹脂フィルム被覆金属缶においては、缶または炭酸飲料を8℃以下に冷却して充填することにより、泡が発生しにくくなり充填時の泡立ちを抑制することができる。望ましくは、缶、飲料ともに冷却するほうが良い。また、好ましくはさらに低温であれば泡立ちをさらに抑制でき、5℃、さらには2℃以下の充填が好ましい。
また、前記樹脂フィルム被覆金属缶に炭酸飲料を充填する時に、缶の内面を液体で濡らしてから充填することにより、さらに泡立ちが抑制できる。液体としては、炭酸飲料に含まれる成分である水、またはアルコール飲料であればエタノール、またはその飲料そのもので濡らしておくことが好ましい。
表1に示す配合で、球状シリカまたは炭酸カルシウム、硫酸バリウムと、テレフタル酸とイソフタル酸比率が90:10のエチレンフタレート−エチレンイソフタレート共重合樹脂(固有粘度0.6dl/g、Tg70℃、Tc170℃、Tm230℃、Ge含有量10ppm)を押出し機に供給し、1軸押出し機でTダイより押出し、冷却ドラムを使用して25μmの厚みの無延伸樹脂フィルムを作製した。
実施例7については、無延伸フィルム作成後に縦に3倍横方向に3倍延伸して、2軸延伸した後170℃で熱処理して2軸延伸フィルムを作製した。実施例17、18については、1軸押出し機2台を使用し、一方には球状シリカと、テレフタル酸とイソフタル酸比率が90:10のエチレンフタレート−エチレンイソフタレート共重合樹脂を、もう1台にはテレフタル酸とイソフタル酸比率が90:10のエチレンフタレート−エチレンイソフタレート共重合樹脂85重量部と亜鉛中和カルボン酸変性オレフィン(三井デュポンポリケミカル社製ハイミラン1705)15重量部の混合物を供給し、フィードブロック型Tダイを用いて共押出して上層のみにシリカを含む2層無延伸フィルムを作製した。実施例19、20については、1軸押出し機2または3台を使用し、1台には球状シリカと、テレフタル酸とイソフタル酸比率が90:10のエチレンフタレート−エチレンイソフタレート共重合樹脂を、残りの1〜2台にはテレフタル酸とイソフタル酸比率が90:10のエチレンフタレート−エチレンイソフタレート共重合樹脂のみを供給し、フィードブロック型Tダイを用いて共押出して上層のみにシリカを含む2または3層無延伸フィルムを作成した後に縦に3倍横方向に3倍延伸して、2軸延伸した後170℃で熱処理して2軸延伸フィルムを作製した。
また、外面用フィルムとして、実施例1〜6、8〜18、および比較例1〜8には、厚さ15μmの無延伸フィルム(テレフタル酸とイソフタル酸比率が90:10のエチレンフタレート−エチレンイソフタレート共重合樹脂)を使用し、実施例7、19、20には、厚さ15μmの二軸延伸フィルム(テレフタル酸とイソフタル酸比率が90:10のエチレンフタレート−エチレンイソフタレート共重合樹脂)を使用した。
以上により得られた樹脂フィルムを金属板の両面に被覆することにより、樹脂フィルム被覆金属板を作製した。金属板としては、薄肉化深絞り缶用として厚さ0.18mm、テンパー度DR9、金属クロム層80mg/m、クロム酸化物層15mg/m(金属クロム換算)のティン・フリー・スチール(以下TFSと略す)を用い、前記のようにして得られた樹脂フィルムを誘導加熱方式で加熱した前記各金属板の両面に熱圧着した後、水中急冷する熱接着法で樹脂フィルム被覆金属板を得た。
ここで、内面側の樹脂フィルム中に分散する粒子の粒径は、単層フィルムについてはフィルムを700℃で約5時間加熱し、PETを燃焼させ、残渣の粒子についてSEMを用い、その長径および短径を一つ一つ測定して、粒径を算出した。2、3層フィルムについては、最表層のみを切削装置で削りだして、最表層中の粒子のみを上記方法で測定した。
空孔や粒子の数は、SEMでフィルム表面を観察し、任意のフィルム表面の少なくとも10ヶ所において100μm×100μmの範囲の該当する数を数え、その平均値を100倍したものを面積1mm中の空孔や粒子の数とした。また、空孔数や露出粒子数は、表面からその大きさが0.5〜5μmであることが確認できるもののみを数えた。
また、樹脂フィルムおよび缶内面フィルムの表面自由エネルギーについては、本文中に記載した方法で表面自由エネルギーγsおよびその極性成分γshを測定した。
以上から得られた樹脂被覆金属板について、以下のようにして薄肉化深絞り缶を製造し、薄肉化深絞り缶の適正を評価した。
1.製缶加工
樹脂被覆金属板について、以下の条件で第一段絞り、再絞りを行い薄肉化深絞り缶を得た。
・第一段絞り
ブランク径…150〜160mm
1段絞り …絞り比1.65
・再絞り
第1次再絞り…絞り比:1.25
第2次再絞り…絞り比:1.25
再絞り工程のダイスコーナー部の曲率半径:0.4mm
再絞り時のしわ押さえ加重…39227N(4000kg)
・缶胴部の平均薄肉化率
成形前の樹脂被覆金属板の厚さに対し45〜60%
2.歪取り熱処理
製缶加工に伴い導入されたフィルムの加工歪をフィルム融点230℃の熱環境下で30秒間加熱保持した後に急冷した。
ここで、得られた薄肉化深絞り缶の缶内面フィルムの空孔や粒子の数については、最も空孔や粒子の数が多い部分を缶胴においてSEMで観察して探し出し、その部分についてSEMでフィルム表面を観察し、任意のフィルム表面の少なくとも10ヶ所において100μm×100μmの範囲の該当する数を数え、その平均値を100倍したものを面積1mm中の空孔や粒子の数とした。また、空孔数や露出粒子数は、表面からその大きさが0.5〜5μmであることが確認できるもののみを数えた。
3.薄肉化深絞り缶適性の評価
・加工性
フィルムの損傷を伴うことなく製缶加工できる限界によって、下記のごとく評価した。なお、合格は○以上の評価のものである。
限界加工度(薄肉化率) :評価
薄肉化率45%の成形不可 :××(劣)
薄肉化率45%まで成形可 :× ↑
薄肉化率50%まで成形可 :△
薄肉化率55%まで成形可 :○ ↓
薄肉化率60%まで成形可 :◎ (優)
・耐衝撃性評価
歪取り熱処理を施した缶体(薄肉化率55%)にネック加工を施し、缶体中に、蒸留水を充填して蓋を取りつけ巻き締めた後、缶底において、30cmの高さから0.5kgの鉄球を落下させて衝撃を与えた。次に蓋をあけ、缶内部に、被衝撃部が浸るように、1%食塩水を充填し、5分浸漬後、液中に浸した白金電極と缶金属部に6Vの負荷をかけ、電流値を読み取り、以下のように評価した。なお、合格は○以上の評価のものである。
試験結果 :評価
電流値が0.3mA以上 :×× (劣)
電流値が0.1mA以上〜0.3mA未満 :× ↑
電流値が0.05mA以上〜0.1mA未満 :△
電流値が0.01mA以上〜0.05mA未満:○ ↓
電流値が0.01mA未満 :◎ (優)
・耐食性
歪取り熱処理を施した缶体(薄肉化率50%)にネック加工を施し、缶体中に、ビール(サッポロ黒ラベル)を充填して蓋を取りつけ巻き締めた後、5℃に冷却した後、缶底を下にして30cmの高さから落下させて衝撃を与えた。その後40℃の雰囲気で30日間保持した後に、缶内のビール中の鉄溶出量を測定してその溶出量により耐食性を評価した。なお、合格は○以上の評価のものである。
試験結果 :評価
鉄溶出量が1.0ppm以上 :×× (劣)
鉄溶出量が0.5ppm以上〜1.0ppm未 :× ↑
鉄溶出量が0.2ppm以上〜0.5ppm未満 :△
鉄溶出量が0.1ppm以上〜0.2ppm未満 :○ ↓
鉄溶出量が0.1ppm未満 :◎ (優)
・フレーバー性
歪取り熱処理を施した缶体(薄肉化率50%)の内面を洗浄した後、香料水溶液(d−リモネン20ppm水溶液)を入れ、密封後35℃で20日間放置し、その後開封して缶内部を水で洗浄した後にエーテル浸漬で抽出されるリモネン量をガスクロマトグラフィーにより1缶当りのd−リモネンの吸着量とし、味特性を評価した。合格は○以上の評価のものである。
試験結果 :評価
吸着量200μg/缶を超えるもの :× (劣)
吸着量100μg/缶を超えて200μg/缶以下 :△ ↑
吸着量30μg/缶を超えて100μg/缶以下 :○
吸着量10μg/缶を超えて30μg/缶以下 :◎ ↓
吸着量10μg/缶以下 :◎◎ (優)

・泡立ち性
歪取り熱処理を施した缶体の内面を洗浄し、ビール(サッポロ黒ラベル)を充填後、炭酸ガスを内圧1kg/cmになるように充填し、5℃で120時間冷却した後、20℃の室内で開缶し5秒後のビール表面の泡立ち性を以下の基準で評価した。
試験結果 :評価
泡が液面を完全に覆わない :× (劣)
厚さ2mm未満の泡が液面をほぼ完全に覆う :△ ↑
厚さ2mm以上5mm未満の泡が液面を完全に覆う :○
厚さ5mm以上10mm未満の泡が液面を完全に覆う :◎ ↓
厚さ10mm以上の泡が液面を完全に覆う :◎◎ (優)
・泡持ち性
歪取り熱処理を施した缶体の内面を洗浄し、ビール(サッポロ黒ラベル)を充填後、炭酸ガスを内圧1kg/cmになるように充填し、5℃で120時間冷却した後、20℃の室内で開缶し、ビール表面の泡立ちが液面の中で切れ目を生じ完全に覆わなくなるまでの時間を測定し以下の基準で評価した。
試験結果 :評価
1分以内 :× (劣)
1分超〜10分 :△ ↑
10分超〜20分 :○
20分超〜30分 :◎ ↓
30分超 :◎◎ (優)
得られた結果を条件と併せて表1に示す。
Figure 2007001081
表1によれば、本発明例では、加工性、耐衝撃性、耐食性、フレーバー性、泡立ち性、泡持ち性、全てに優れた樹脂フィルム被覆金属缶を得ることができる。一方、比較例では、耐食性、フレーバー性、泡立ち性、泡持ち性のいずれか一つ以上が劣っている。
表2に示す配合で、球状シリカと、テレフタル酸とイソフタル酸比率が90:10のエチレンフタレート−エチレンイソフタレート共重合樹脂(固有粘度0.6dl/g、Tg70℃、Tc170℃、Tm230℃、Ge含有量10ppm)を押出し機に供給し、1軸押出し機でTダイより押出し、冷却ドラムを使用して25μmの厚みの無延伸樹脂フィルムを作製した。
実施例11については、無延伸フィルム作成後に縦に3倍横方向に3倍延伸して、2軸延伸した後170℃で熱処理して2軸延伸フィルムを作製した。実施例12については、1軸押出し機2台を使用し、一方には球状シリカと、テレフタル酸とイソフタル酸比率が90:10のエチレンフタレート−エチレンイソフタレート共重合樹脂を、もう1台にはテレフタル酸とイソフタル酸比率が90:10のエチレンフタレート−エチレンイソフタレート共重合樹脂85重量部とカルボン酸変性オレフィン(三井デュポンポリケミカル社製ニュクレルN1108C)15重量部の混合物を供給し、フィードブロック型Tダイを用いて共押出して上層のみにシリカを含む2層無延伸フィルムを作製した。実施例13については、1軸押出し機3台を使用し、1台には球状シリカと、テレフタル酸とイソフタル酸比率が90:10のエチレンフタレート−エチレンイソフタレート共重合樹脂を、残りの2台にはテレフタル酸とイソフタル酸比率が90:10のエチレンフタレート−エチレンイソフタレート共重合樹脂のみを供給し、フィードブロック型Tダイを用いて共押出して上層のみにシリカを含む3層無延伸フィルムを作成した後に縦に3倍横方向に3倍延伸して2軸延伸した後、170℃で熱処理して2軸延伸フィルムを作製した。
また、外面用フィルムとして、実施例1〜10、12には、厚さ15μmの無延伸フィルム(テレフタル酸とイソフタル酸比率が90:10のエチレンフタレート−エチレンイソフタレート共重合樹脂)を使用し、実施例11、13には、厚さ15μmの二軸延伸フィルム(テレフタル酸とイソフタル酸比率が90:10のエチレンフタレート−エチレンイソフタレート共重合樹脂)を使用した。
以上により得られた樹脂フィルムを金属板の両面に被覆することにより、樹脂フィルム被覆金属板を作製した。金属板としては、薄肉化深絞り缶用として厚さ0.18mm、テンパー度DR9、金属クロム層80mg/m、クロム酸化物層15mg/m(金属クロム換算)のティン・フリー・スチール(以下TFSと略す)を用い、前記のようにして得られた樹脂フィルムを誘導加熱方式で加熱した前記各金属板の両面に熱圧着した後、水中急冷する熱接着法で樹脂フィルム被覆金属板を得た。
ここで、内面側の樹脂フィルム中に分散する粒子の粒径は、単層フィルムについてはフィルムを700℃で約5時間加熱し、PETを燃焼させ、残渣の粒子についてSEMを用い、その長径および短径を一つ一つ測定して、粒径を算出した。2、3層フィルムについては、最表層のみを切削装置で削りだして、最表層中の粒子のみを上記方法で測定した。
実施例2〜13の樹脂フィルム被覆金属板については、樹脂フィルム被覆金属板作製後に熱処理を行なった。乾燥雰囲気のものは、所定の温度に保った焼付炉中に樹脂被覆金属板を所定時間入れた後、室温雰囲気で冷却して行なった。一方、水蒸気雰囲気のものは、レトルト殺菌処理設備を使用し、所定の温度に保ったレトルト設備中に樹脂被覆金属板を所定時間入れた後、室温雰囲気で冷却して行なった。
熱処理後の結晶化度は、密度法によって測定した。フィルム被覆金属板を10%塩酸浸漬に浸漬することによりフィルムを金属板より剥離し、フィルム密度を密度勾配管を使用して測定した。フィルム密度から結晶化度を算出する方法は前記の方法を用いた。
空孔や粒子の数は、SEMでフィルム表面を観察し、任意のフィルム表面の少なくとも10ヶ所において100μm×100μmの範囲の該当する数を数え、その平均値を100倍したものを面積1mm中の空孔や粒子の数とした。また、空孔数や露出粒子数は、表面からその大きさが0.5〜5μmであることが確認できるもののみを数えた。また、樹脂フィルムおよび缶内面フィルムの表面自由エネルギーについては、本文中に記載した方法で表面自由エネルギーγsおよびその極性成分γshを測定した。
以上から得られた熱処理後の樹脂フィルム被覆金属板について、実施例1と同様の方法で薄肉化深絞り缶を製造し、薄肉化深絞り缶としての適性を実施例1と同様の方法で評価した。得られた結果を条件と併せて表2に示す。
Figure 2007001081
表2によれば、本発明例では、各熱処理により特に泡立ち性、泡持ち性に優れた樹脂フィルム被覆金属缶を得ることができる。
次いで、表2のNo.11の缶について、歪取り熱処理を施した後(薄肉化率55%)内面を洗浄し、表3で示す条件下で、ビール(サッポロ黒ラベル)を缶壁を沿わせながら注いだ。ビールを注いだ後5秒後の液面におけるビール泡立ち量を以下の基準で評価した。
試験結果 :評価
厚さ30mm以上の泡が発生 :× (劣)
厚さ5mm以上30mm未満の泡が発生 :△ ↑
厚さ1mm以上5mm未満の泡が発生 :○
厚さ1mm未満の泡が発生 :◎ ↓
泡が全く発生しない :◎◎ (優)
得られた結果を条件と併せて表3に示す。
Figure 2007001081
表3によれば、缶またはビールを8℃以下に冷却して充填することにより、泡が発生しにくくなり充填時の泡立ちを抑制することができる。望ましくは、缶、ビールともに冷却するほうが良い。また、好ましくはさらに低温であれば泡立ちをさらに抑制でき、5℃、さらには2℃以下の充填が良好である。また、ビールを充填する時に、缶の内面を水またはビールで濡らしてから充填することにより、さらに泡立ちが抑制できることがわかる。
本発明の樹脂フィルム被覆金属缶は、全てに優れているため、ビールや発泡酒などの炭酸飲料を充填する容器として以外にも、優れた加工性、耐衝撃性、耐食性、フレーバー性、泡立ち性、泡持ち性等が要求される分野でも非常に有用である。

Claims (19)

  1. 単層もしくは2層以上の層構造を有する熱可塑性ポリエステルを主成分とする樹脂フィルムを少なくとも金属板の片面に被覆した樹脂フィルム被覆金属板であって、
    樹脂フィルムの最表層の樹脂中に、(I)平均粒径が0.5〜5μmの粒子を0.01〜0.5重量%、かつ、(II)ポリオレフィン系樹脂を0.01〜2重量%含有するフィルム(フィルムA)を少なくとも片面に有することを特徴とする樹脂フィルム被覆金属板。
  2. 単層もしくは2層以上の層構造を有する熱可塑性ポリエステルを主成分とする樹脂フィルムを少なくとも金属板の片面に被覆した樹脂フィルム被覆金属板であって、
    樹脂フィルムの最表層の樹脂中に、(I)平均粒径が0.5〜5μmの粒子を0.01〜0.5重量%、かつ、(III)表面自由エネルギーが35mN/m以下の樹脂を0.1〜2重量%含有するフィルム(フィルムB)を少なくとも片面に有することを特徴とする樹脂フィルム被覆金属板。
  3. 前記樹脂フィルムAおよび又はBの表面には、平均粒径が0.5〜5μmの粒子が、面積1mm当り5〜5000個露出していることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂フィルム被覆金属板。
  4. 前記樹脂フィルムAおよび又はBの最表層の水接触角が80度以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂フィルム被覆金属板。
  5. 前記樹脂フィルムAおよび又はBの最表層の表面自由エネルギーが35mN/m以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂フィルム被覆金属板。
  6. 前記樹脂フィルムAおよび又はBの最表層の表面自由エネルギーの極性成分が5mN/m以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂フィルム被覆金属板。
  7. 前記樹脂フィルムAおよび又はBの最表層の樹脂膜厚は2〜10μmであり、かつ、該最表層樹脂に含有されるポリエステル樹脂における酸成分は、イソフタル酸5〜18重量部と残部がテレフタル酸からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂フィルム被覆金属板。
  8. 金属板に接する前記樹脂フィルムAおよび又はB最下層の樹脂中には、カルボン酸誘導体変性ポリオレフィン粒状樹脂を5〜30重量%含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂フィルム被覆金属板。
  9. 前記樹脂フィルムAおよび又はBにおける最表層の樹脂膜厚と、最表層以外の樹脂膜厚の比率が、1:15〜1:2であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂フィルム被覆金属板。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の樹脂フィルム被覆金属板であり、該樹脂フィルム被覆金属板は、樹脂フィルムを被覆した後に、80℃以上200℃以下の高温雰囲気中で熱処理を施されることを特徴とする樹脂フィルム被覆金属板。
  11. 前記樹脂フィルムの結晶化度が15%以上であることを特徴とする請求項10に記載の樹脂フィルム被覆金属板。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の樹脂フィルム被覆金属板を、樹脂フィルム被覆面が缶内面側になるように成形してなることを特徴とする樹脂フィルム被覆金属缶。
  13. 樹脂フィルム表面には、粒径が0.5〜5μmの粒子が、面積1mm当り最大で10〜10000個露出していることを特徴とする請求項12に記載の樹脂フィルム被覆金属缶。
  14. 樹脂フィルム表面には、孔径0.5〜5μmの空孔が、面積1mm当り最大で1〜1000個存在していることを特徴とする請求項12または13に記載の樹脂フィルム被覆金属缶。
  15. 樹脂フィルム表面には、粒径が0.5〜5μmの粒子により形成される空孔が、面積1mm当り最大で2〜500個存在していることを特徴とする請求項12〜14のいずれかに記載の樹脂フィルム被覆金属缶。
  16. 請求項12〜15のいずれかに記載の樹脂フィルム被覆金属缶を熱処理することにより、樹脂フィルムの結晶化度を30%以上とすることを特徴とする樹脂フィルム被覆金属缶。
  17. 樹脂フィルム被覆金属缶の缶内面側の樹脂フィルム表面の水接触角が80度以上であることを特徴とする請求項12〜16に記載の樹脂フィルム被覆金属缶。
  18. 樹脂フィルム被覆金属缶の缶内面側の樹脂フィルム表面の表面自由エネルギーが35mN/m以下であることを特徴とする請求項12〜17に記載の樹脂フィルム被覆金属缶。
  19. 樹脂フィルム被覆金属缶の缶内面側の樹脂フィルム表面の表面自由エネルギーの極性成分が5mN/m以下であることを特徴とする請求項12〜18に記載の樹脂フィルム被覆金属缶。
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