JP2004083736A - キャストフィルム、樹脂被覆金属板、缶及び缶蓋 - Google Patents

キャストフィルム、樹脂被覆金属板、缶及び缶蓋 Download PDF

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大橋 和彰
Kazuhiro Sato
佐藤 一弘
Kentaro Ichikawa
市川 健太郎
Hiroshi Kurisu
栗栖 洋
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Abstract

【課題】耐衝撃性(耐デント性)、耐腐食性、フレーバー性、優れた加工性及び密着性を有すると共に、プライマーを用いなくても接着性を有することにより、コストダウンを図ることが可能であると共に環境性にも優れたオレフィン系重合体ブレンド熱可塑性ポリエステルから成るキャストフィルム及びかかるキャストフィルムを被覆層とする樹脂被覆金属板を提供することである。
【解決手段】オレフィン系重合体ブレンド熱可塑性ポリエステルから成るキャストフィルムにおいて、フィルム中のオレフィン系重合体のアスペクト比が1以上で500以下の分散粒子として存在していることを特徴とするキャストフィルム。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オレフィン系重合体ブレンド熱可塑性ポリエステルから成るキャストフィルムに関し、より詳細には、耐衝撃性(耐デント性)、耐食性、製膜性に優れたキャストフィルム、及びこのキャストフィルムを備えて成る樹脂被覆金属板、並びにこの樹脂被覆金属板から成る缶及び缶蓋に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、アルミニウム板、ブリキ板或いはティン・フリー・スチール板等の金属板に予め有機被覆を施した樹脂被覆金属板を、絞り加工、曲げ伸ばし加工(ストレッチ加工)及び/又はしごき加工に付して成形された側面無継目缶(シームレス缶)が知られている。
また、側面無継目缶の有機被覆法としては、成形後の缶に有機塗料を施す方法の他に、成形前の金属板に予め熱可塑性ポリエステル等の樹脂フィルムをラミネートし、このラミネート金属板を用いることが知られている。
【0003】
熱可塑性ポリエステルに代表される熱可塑性樹脂フィルムの金属板に対する被覆方法についても多くの提案がされており、例えば二軸延伸フィルムを直接或いは接着用プライマーを介して金属板に熱接着により貼り合わせる方法(例えば特開平3−101930号公報、特開平5−4229号公報、特開平6−172556号公報)や、溶融樹脂を金属板に押し出しコートする方法(例えば特開平10−86308号公報)等が提案されている。
さらに、耐衝撃性、密着性、フレーバー性といった缶性能の向上とコストダウンを図るため、アイオノマーブレンド熱可塑性ポリエステル樹脂を用いることも提案されている(例えば特開2001−353814号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これらの熱可塑性樹脂被覆金属板は、絞り加工、曲げ伸ばし加工(ストレッチ加工)及び/又はしごき加工に付されてシームレス缶とされるが、素材コストを節減して製造するためにその加工程度が益々厳しくなっている。
また、成形後のシームレス缶の上端部には、イージーオープン蓋等の蓋材節減のためのネックイン加工(縮径)や上記イージーオープン蓋を巻き締めるためのフランジ加工を行うが、イージーオープン蓋のコスト低減を可能とする縮径に対する要求も多く、加工性に対する対応が望まれている。
【0005】
しかしながら、従来から一般に実施されている二軸延伸フィルムを金属板に熱接着させた熱可塑性樹脂被覆金属板では、このような苛酷な加工に追随することが難しく、シームレス缶における蓋との巻き締め部にフィルムの割れが発生し易いといった問題がある。
そして、接着プライマーを用いた樹脂被覆金属板は、レトルト殺菌やその後の保存時における耐腐食性及び金属溶出が防止されている共に、加工性や密着性にも優れたものであるが、金属板と樹脂被覆とを密着させるためにエポキシ系樹脂から成るプライマーを用いているため、コストの問題があり、プライマーを用いることなく、金属板に樹脂被覆を設けることが望まれている。
【0006】
一方、金属板に溶融樹脂を押し出しコートした熱可塑性樹脂被覆金属板では、その樹脂層が未配向状態に維持されるため、上述した加工に対する許容度は大きいものの、これらの加工によって樹脂層中に一軸配向が生じ、同様にシームレス缶における蓋との巻き締め部にフィルムの割れが発生し易いといった問題がある。
また、上記熱可塑性樹脂被覆金属板において、金属板への樹脂被覆の密着性等の特性を向上させるために、熱可塑性ポリエステル樹脂にアイオノマー樹脂を含有させることも行われているが、アイオノマー樹脂の凝集によりブツが発生するという新たな技術的課題が生じている。
【0007】
さらに、樹脂被覆層の金属板への密着性の一層の向上、高速製缶に対応できる加工性の一層の向上が求められていると共に、内容物が酸性の腐食性の強いものでも、レトルト殺菌やその後の経時に耐える耐高湿熱性の向上や、レトルト殺菌後の耐衝撃性の向上、レトルト殺菌や衝撃を受けた後での耐食性の向上も重要な技術的課題となっている。
【0008】
また、シームレス缶に飲料等の内容物を充填密封した実際の缶詰製品に要求される実用的な耐衝撃性として、耐デント性と呼ばれるものがある。これは、缶詰製品を落下して、或いは缶詰製品同士が相互に衝突して、缶詰製品に打痕と呼ばれる凹みが生じた場合にもなお、被覆の密着性やカバレージが完全に保たれることが要求されるという特性である。即ち、デント試験で被覆が剥離し或いは被覆にピンホールやクラックが入る場合には、この部分から金属溶出や孔食による漏洩等を生じて、内容物の保存性を失うという問題を生じるのである。
一般に、耐内容物性に優れたポリエステルの場合、一般にデント試験の際の衝撃を吸収し或いは緩和させるという特性に欠けており、これらの特性の付与が重要な課題となる。
【0009】
従って、本発明の目的は、耐衝撃性(耐デント性)、耐腐食性、フレーバー性、優れた加工性及び密着性を有すると共に、プライマーを用いなくても接着性を有することにより、コストダウンを図ることが可能であると共に環境性にも優れたオレフィン系重合体ブレンド熱可塑性ポリエステルから成るキャストフィルム及びかかるキャストフィルムを被覆層とする樹脂被覆金属板を提供することである。
また、アイオノマー樹脂の凝集によるブツの発生を抑制し、上述したシームレス缶或いは缶蓋の成形性を向上させたオレフィン系重合体ブレンド熱可塑性ポリエステルから成るキャストフィルム及びかかるキャストフィルムを被覆層とする樹脂被覆金属板を提供することである。
また、本発明の他の目的はこれらの特性を備えた金属缶及び缶蓋を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、オレフィン系重合体ブレンド熱可塑性ポリエステルから成るキャストフィルムにおいて、フィルム中のオレフィン系重合体のアスペクト比が1以上で500以下の分散粒子として存在していることを特徴とするキャストフィルムが提供される。
本発明のキャストフィルムにおいては、
1.オレフィン系重合体が極性基を含む重合体であること、
2.Tダイ直下膜のオレフィン重合体の分散粒子の平均粒径が1μm以下であること、
3.キャストフィルム中におけるオレフィン重合体の分散粒子の長径が60μm以下である請求項1乃至3の何れかに記載のキャストフィルム。
4.オレフィン系重合体がフィルム中に1乃至25重量%の量で含有されていること、
5.フィルム中にトコフェロールが0.05乃至5重量%で含有されていること、が好ましい。
【0011】
また本発明によれば、上記キャストフィルムを被覆層として備えていることを特徴とする樹脂被覆金属板が提供される。
更にまた本発明によれば、上記樹脂被覆金属板から成る缶及び缶蓋が提供される。
【0012】
【発明の実施形態】
本発明では、オレフィン系重合体ブレンド熱可塑性ポリエステルから成るキャストフィルムにおいて、フィルム中のオレフィン系重合体のアスペクト比が1以上で500以下の分散粒子として存在していることが重要な特徴である。
【0013】
オレフィン系重合体は熱可塑性ポリエステル樹脂と相溶性がないため、これらをブレンド物の形で使用するといわゆる海−島構造を呈し、オレフィン系重合体がポリエステル樹脂中で分散相として存在する。このため、オレフィン系重合体が有する強靱性、耐摩耗性という優れた特徴が損なわれることなくブレンド樹脂に発現されるのである。
このようなオレフィン系重合体ブレンド熱可塑性ポリエステル樹脂を溶融押出しすることにより成形されるキャストフィルムでは、後述する図2に示すように、オレフィン系重合体の分散粒子(図2(A))は、押出し方向に引き伸ばされて紡錘形状(楕円状)の分散粒子に変形されるのである(図2(B))。
本発明者等は、この分散粒子の伸びがフィルムの性能に関与することを見出し、キャストフィルム中のオレフィン系重合体分散粒子の変形(伸びの程度)をできる限り小さくすること、すなわちキャストフィルム中のオレフィン系重合体分散粒子のアスペクト比が1以上で500以下とすることにより、フィルムに優れた耐衝撃性(耐デント性)を付与することが可能になったのである。
【0014】
本発明において、キャストフィルム中のオレフィン系重合体のアスペクト比が耐デント性に関与することは、本発明者等が実験等により見出したものであり、その理由は明らかでないが、オレフィン系重合体分散粒子のアスペクト比が大きくなる(粒子が細長くなる)と粒子の解裂が生じやすくなるため、その結果耐衝撃性に劣るようになると考えられる。このことは後述する実施例の結果からも明らかである。
すなわち、キャストフィルム中のオレフィン系重合体のアスペクト比と、かかるキャストフィルムを被覆層として成る樹脂被覆金属板についての耐デント性を示す平板デントによる平均電流値とをプロットした図1から明らかなように、オレフィン系重合体粒子のアスペクト比が1に近いほど電流値が小さく耐デント性に優れ、アスペクト比が大きくなるほど電流値が大きくなり耐デント性に劣るようになることがわかる。そして、缶及び缶蓋として実用上要求される耐デント性を得るには、フィルム中のオレフィン系重合体のアスペクト比は、500以下であることが必要になるのである。
【0015】
図2は、本発明のキャストフィルムにおけるオレフィン系重合体分散粒子の分散状態の模式図であり、(A)はオレフィン系重合体ブレンド熱可塑性ポリエステル樹脂を押出機のTダイから溶融押出したTダイ直下膜中のオレフィン系重合体の分散状態、(B)はフィルムとして成形された時のオレフィン系重合体の分散状態を、それぞれ示すものである。
本発明において、キャストフィルム中のオレフィン系重合体のアスペクト比は、ブレンド物中のオレフィン系重合体粒子の粒径(r)、フィルム中の粒子の短径(b)及びフィルム中の粒子の長径(a)から以下のように求めることができる。
【0016】
すなわち、図2(A)に示した状態におけるオレフィン系重合体の球状分散粒子の体積Vは、V=4/3・πrであり、一方図2(B)に示した状態におけるオレフィン系重合体の紡錘形状分散粒子の体積Vは、V=4/3・π(a/2)(b/2)で表される。変形前後でオレフィン系重合体分散粒子の体積の変化はないのでこれらは等しく、V=Vであることから、a=r/bで表される。
ここで、r及びbは実測可能であることからフィルム中の粒子の長径aが求められ、アスペクト比A=a/bを求めることが可能となる。
【0017】
キャストフィルム中のオレフィン系重合体のアスペクト比を上記範囲にするためには、オレフィン系重合体ブレンド熱可塑性ポリエステル樹脂(以下単にブレンド物という)におけるオレフィン系重合体粒子が微細に分散されていることが必要である。すなわち、ブレンド物の混練が不十分で分散粒子の粒径が大きいと、分散粒子の押出し方向への伸びが大きく、アスペクト比が大きくなる傾向がある。従って、分散粒子は1μm以下の平均粒径を有するように充分に混練されていることが好ましい。
また、オレフィン系重合体分散粒子の変形は、ブレンド物のフィルム成形時に付与される配向によって伸びを生じるため、アスペクト比をできる限り小さくするには、フィルムの配向を抑制することが好ましい。このため本発明のフィルムでは、未延伸のキャストフィルムであることが望ましい。
そして、前記オレフィン重合体の長径は60μm以下であることが、オレフィン系重合体ブレンド熱可塑性ポリエステルから成るキャストフィルムとした際に、優れた耐衝撃性(耐デント性)を付与する点から好ましい。
【0018】
(熱可塑性ポリエステル樹脂)
本発明に用いるポリエステル樹脂としては、従来公知のエチレン系ポリエステルを使用することができる。具体的には、ジカルボン酸成分の50%以上、特に80%以上がテレフタル酸で、ジオール成分の50%以上、特に80%以上がエチレングリコールであるエチレンテレフタレート系ポリエステルであることが好ましい。
このポリエステルはホモポリエステルでも、共重合ポリエステルでも、或いはこれらの2種以上のブレンド物であってもよい。
【0019】
テレフタル酸以外のカルボン酸成分としては、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、p−β−オキシエトキシ安息香酸、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等を挙げることができる。
【0020】
エチレングリコール以外のジオール成分としては、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−へキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビタン等を挙げることができる。
【0021】
この熱可塑性ポリエステル樹脂は、そのペレット状態において、フェノール/テトラクロロエタン混合溶媒を用いて測定した固有粘度が、0.7〜1.5の範囲、特に0.8〜1.2の範囲にあることが好ましい。更に、ガラス転移点は、50℃以上、特に60℃〜90℃の範囲であることが内容物へのオリゴマー成分の溶出を防止する上で好ましい。
【0022】
(オレフィン系重合体)
本発明に用いるオレフィン系重合体としては、低−、中−、高−密度のポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、アイソタクティックポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、などのオレフィンのホモポリマー又はコポリマーの他に、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー)或いはこれらのブレンド物などのオレフィン系重合体を挙げることができる。
本発明においては、これらのオレフィン系重合体の中でも特に、極性基を有する樹脂を含むものが好ましく、イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー)を最も好適に用いることができる。
【0023】
アイオノマー樹脂は、エチレンとα,β−不飽和カルボン酸との共重合体中のカルボキシル基の一部又は全部が金属陽イオンで中和されたイオン性塩であり、中和の程度、すなわちイオン濃度がその物理的性質に影響を及ぼしている。一般に、アイオノマー樹脂のメルトフローレート(以下、単にMFRという)はイオン濃度に左右され、イオン濃度が大きいとMFRが小さく、また融点はカルボキシル基濃度に左右され、カルボキシル基濃度が大きいほど融点も低くなる。
従って、本発明に用いるアイオノマー樹脂としては、勿論これに限定されるものではないが、MFRが15g/10min以下、特に5g/10min乃至0.5g/10minの範囲にあり、且つ融点が100℃以下、特に97℃乃至80℃の範囲にあるものであることが望ましい。
【0024】
アイオノマー樹脂を構成するα,β−不飽和カルボン酸としては、炭素数3〜8の不飽和カルボン酸、具体的にはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノメチルエステル等を挙げることができる。
特に、好適なベースポリマーとしては、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体やエチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体を挙げることができる。
また、このようなエチレンとα,β−不飽和カルボン酸との共重合体中のカルボキシル基を中和する金属イオンとしては、Na,K,Li,Zn,Z2+,Mg2+,Ca2+,Co2+,Ni2+,Mn2+,Pb2+,Cu2+等を挙げることができるが、本発明においては、特に亜鉛により中和されているものが、架橋の程度が大きく、湿度敏感性が少ないことから、好適に用いることができる。また、金属イオンで中和されていない残余のカルボキシル基の一部は低級アルコールでエステル化されていてもよい。
またアイオノマー樹脂は、エチレンから誘導される構成単位を80〜99モル%、好ましくは85〜96モル%、不飽和カルボン酸から誘導される構成単位を1〜20モル%、好ましくは4〜15モル%の量で含有されていることが好ましい。
【0025】
オレフィン系重合体(B)は、熱可塑性ポリエステル(A)と、
A:B=99:1乃至75:25
の重量比でブレンドされていることが好ましい。上記範囲よりもオレフィン系重合体が少ないと、耐衝撃性(耐デント性)、耐腐食性、密着性の充分な向上を図ることができず、また上記範囲よりオレフィン系重合体が多いと、被覆層としたときにフィルムに穴が開き、製膜性に劣るようになる。また、ポリエステル樹脂が有する加工性、耐腐食性等の優れた特性が、上記範囲にある場合に比して劣るようになる。
【0026】
(トコフェロール乃至その誘導体)
本発明においてはトコフェノール乃至その誘導体がフィルム中に配合されていることが特に好ましい。トコフェロール乃至その誘導体がポリエステル樹脂の改質剤として、過酷な機械的加工や熱処理を受けた後でも、優れたフィルムの密着性と耐食性を維持し、またレトルト殺菌後の高温高湿での経時に耐える耐高温湿熱性にも優れるのである。すなわちポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルがレトルト後の高温湿熱処理により劣化する原因は、この条件下でポリエステルの加水分解による減成反応が生じること、及び分子量の減少により熱結晶化も促進されることによるが、ポリエステル中に少量のトコフェロールを配合することにより、ポリエステルの加水分解による減成を抑制して、樹脂被覆層の劣化傾向が顕著に抑制されるのである。
【0027】
本発明に用いるトコフェロール(ビタミンE)は、下記一般式(1)
【化1】
Figure 2004083736
で表され、上記式(1)において、R=R=R=CHのα−トコフェロール、R=R=CH,R=Hのβ−トコフェロール、R=R=CH,R=Hのγ−トコフェロール、R=CH,R=R=Hのδ−トコフェロール等を挙げることができる。
【0028】
本発明においては、トコフェロール乃至その誘導体は、ポリエステル100重量%当たり0.05乃至5重量%、特に好ましくは0.1乃至2重量%の割合で含有させることが必要である。
上記範囲よりも少ないと、トコフェロール乃至その誘導体により得られる密着性、耐食性、耐高温湿熱性等の優れた効果を充分に発現することができず、また上記範囲よりも多いとポリエステルのゲル化を生じて被膜の平滑性が失われ、缶或いは缶蓋への成形が困難になる傾向がある。
【0029】
また本発明のフィルム中には、それ自体公知のフィルム用配合剤、例えば非晶質シリカ等のアンチブロッキング剤、二酸化チタン等の顔料、各種帯電防止剤、滑剤、酸化防止剤等を公知の処方によって配合することができる。
【0030】
ポリエステル樹脂とオレフィン系重合体、或いは更にトコフェロール等の改質剤成分とのブレンドは、オレフィン系重合体等の性状に応じて、ドライブレンドやメルトブレンドで行うことができ、前者の場合、樹脂をブレンダー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等で混合し、直接押出機のホッパーに供給すればよく、また後者の場合、一軸或いは二軸の押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等で混練すればよい。これら何れの場合でもポリエステルとオレフィン系重合体等とは、最終的にはポリエステルの溶融温度以上の温度でブレンドが行われることになる。またオレフィン系重合体等を比較的高濃度で含有するマスターバッチを製造し、このマスターバッチをポリエステルにブレンドすることもできる。
【0031】
ポリエステル樹脂とオレフィン系重合体等は一般に、260℃及び剪断速度122sec−1における溶融粘度が2000〜10000ポイズの範囲となるように、上記方法で混練されることが好ましい。
熱可塑性ポリエステル樹脂においては、混練するほど、熱分解によって粘度低下が著しくなるため、オレフィン系重合体を微細な粒径でしかもマトリックスたる熱可塑性ポリエステル樹脂中に均一に分散させるためには、溶融粘度が上記範囲になるようにブレンドすることが好ましい。
【0032】
(フィルムの成形)
本発明のキャストフィルムは、T−ダイ法や、インフレーション製膜法等の押出し成形により成形する。本発明のキャストフィルムでは、熱可塑性ポリエステル樹脂中におけるオレフィン系重合体の分散粒子の変形を抑制することが好ましいことから、特に押出したフィルムを急冷したキャスト成形法による未延伸フィルムであることが好ましい。
フィルムの厚みは、用いる用途によっても相違するが、一般に1乃至500μm、特に3乃至100μmの範囲にあることが好ましい。尚、製缶用の樹脂被覆金属板の被覆には、後述するように3乃至40μm、特に5乃至35μmの厚みとすることが好ましい。
【0033】
(樹脂被覆金属板)
本発明の樹脂被覆金属板に用いる金属板としては、各種表面処理鋼板やアルミニウム等の軽金属板が使用される。表面処理鋼板としては、冷圧延鋼板を焼鈍した後二次冷間圧延し、亜鉛メッキ、錫メッキ、ニッケルメッキ、電解クロム酸処理、クロム酸処理等の表面処理の一種または二種以上行ったものを用いることができる。またアルミニウムメッキ、アルミニウム圧延等を施したアルミニウム被覆鋼板が用いられる。
また軽金属板としては、いわゆる純アルミニウム板の他にアルミニウム合金板が使用される。
金属板の元板厚は、金属の種類、容器の用途或いはサイズによっても相違するが、一般に0.10乃至0.50mmの厚みを有するのがよく、この中でも表面処理鋼板の場合には0.10乃至0.30mmの厚み、軽金属板の場合は0.15乃至0.40mmの厚みを有するのがよい。
【0034】
本発明の樹脂被覆金属板においては、上記キャストフィルムを金属板に熱接着することにより製造することができるが、押出しコート法により直接金属板上に押出しフィルムを形成することにより、本発明のキャストフィルムの被覆を行うこともできる。
押出コート法の場合、樹脂の層の種類に対応する押出機を使用し、ダイを通してポリエステルを押出すると共に、これを溶融状態で金属基体に押出コートして、熱接着させる。金属基体に対するポリエステル組成物の熱接着は、溶融ポリエステル層が有する熱量と、金属板が有する熱量とにより行われる。金属板の加熱温度は、一般に90乃至290℃、特に100乃至280℃の温度が適当である。
【0035】
本発明の樹脂被覆金属板においては、ポリエステルフィルムと金属素材との間にプライマー層を設けることなく、ポリエステルフィルムを金属素材に接着させることが可能であるが、勿論プライマー層を設けることを除外するものではなく、所望によりプライマー層を設けることも可能である。
【0036】
本発明の樹脂被覆金属板は、金属板表面、特に容器内面側となる金属表面に上述したキャストフィルムから成る被覆層が設けられていることが好ましく、この被覆層の厚みは、3乃至40μm、特に5乃至35μmの厚みで金属表面上に形成されていることが好ましい。
【0037】
本発明の樹脂被覆金属板は、前述した通り、金属板の容器としたとき内面側となる側に本発明のキャストフィルムからなる被覆層が少なくとも1層設けられていればよいが、勿論必要に応じて他の被覆層を設けることができる。例えば、金属基体の容器外面側にも被覆層を形成でき、この被覆層は本発明のキャストフィルムから成っていてもよいし、それ以外のポリエステル樹脂から成っていてもよい。また、上記内面側の被覆層の上面に更にポリエステル表面層を設けてもよい。
【0038】
(缶及び缶蓋)
本発明の缶は、上述した樹脂被覆金属板をキャストフィルムから成る被覆層が缶内面側となるように、従来公知の成形法により製缶することができるが、特に側面継ぎ目のないシームレス缶であることが好ましいことから、絞り加工、絞り・深絞り加工、絞り・しごき加工、絞り・曲げ伸ばし加工・しごき加工等の手段により製造される。その側壁部は、樹脂被覆金属板の絞り−再絞り加工による曲げ伸ばし或いは更にしごき加工により、樹脂被覆金属板の元厚の20乃至95%、特に30乃至85%の厚みとなるように薄肉化されていることが好ましい。
【0039】
また本発明の缶蓋も、上述した樹脂被覆金属板をキャストフィルムから成る被覆層が缶蓋内面側となるように成形する以外は従来公知の缶蓋の製法により成形することができる。
また缶蓋の形状も、内容物注出用開口を形成するためのスコア及び開封用のタブが設けられたイージーオープンエンド等の従来公知の形状を採用することができる。
【0040】
【実施例】
本発明を以下の実施例で説明する。
各実施例及び比較例で用いた成分1の熱可塑性ポリエステル樹脂を表1、成分2のオレフィン系重合体を表2に示し、成分3としてはトコフェロールを用いた。
【0041】
[Tダイ直下膜のオレフィン系重合体の分散粒径]
表3に示した組成で溶融混練され、Tダイから押出され所定の厚みに引き取られていない状態のTダイ直下厚膜を用い、この厚膜をウルトラミクロトームにより切削し、電子顕微鏡によりオレフィン系重合体の分散粒子の粒径を観察し、Tダイ直下膜平均分散粒径とした。
その結果を表3に示す。
【0042】
[キャストフィルム中のオレフィン系重合体の分散粒子長径・アスペクト比]
表3に示した組成で溶融混練され、Tダイから押し出された所定の厚みに引き取られたキャストフィルムを用い、このフィルムをウルトラミクロトームにより切削し、電子顕微鏡により観察を行い、キャストフィルム中のオレフィン系重合体の分散粒子長径、アスペクト比を算出した。
その結果を表3に示す。
【0043】
【表1】
Figure 2004083736
【0044】
【表2】
Figure 2004083736
【0045】
【表3】
Figure 2004083736
【0046】
(実施例1〜2)
成分1の熱可塑性ポリエステル樹脂を表1中のA(81.5重量%)、成分2のオレフィン系重合体を表2中のa(18重量%)、また、成分3をトコフェロール(0.5重量%)とした上記成分1乃至3から成る樹脂成分を二軸押出機に投入して溶融混練条件を変化させ、Tダイによりフィルム厚さ30μmとなるように押し出し、冷却ロールにて冷却して得られたフィルムを巻取り、表3に示すキャストフィルムを得た。
次いで、このキャストフィルムを、TFS鋼板(板厚0.18mm、金属クロム量120mg/m、クロム水和酸化物量15mg/m)の内面側に、一方、外面側に顔料として二酸化チタンを20重量%配合したポリエステル樹脂から成るキャストフィルムを同時に熱ラミネートし、直ちに水冷を行って樹脂被覆金属板を得た。
この時のラミネート条件は、ラミネート時のTFS鋼板の温度を熱可塑性ポリエステル樹脂の融点よりも15℃高く、また、ラミネートロールの温度は90℃、通板速度は40m/minとした。
さらに、この樹脂被覆金属板にワックス系潤滑剤を塗布し、上記直径166mmの円盤を打ち抜き、上記成分1乃至3から成る樹脂被覆面が内面側となるように絞り加工を行って絞りカップとし、絞りカップを二度の薄肉化再絞り(ストレッチ)・しごき化工を行い、シームレスカップを得た。
このシームレスカップの諸特性は以下の通りであった。
シームレスカップ径:66mm
シームレスカップ高さ:128mm
素板厚に対する側壁部の厚み:50%
そして、このシームレスカップを常法に従って底成形を行い、220℃で熱処理(ヒートセット)を行った後、開口端縁部のトリミング、外面印刷、焼き付け乾燥、ネックイン加工、フランジ加工を順次行って缶胴径66mm、缶高さ122mm、内容量350mlのシームレス缶とした。
【0047】
(実施例3)
2台の押出機及び2層Tダイを用いて、下層に実施例1で用いた成分1乃至3から成る樹脂成分を、表層に下層に用いた表1中のAのポリエステル樹脂を用い、下層25μm、表層5μmとなるように押し出し、下層が表3に示すキャストフィルムである2層のキャストフィルムとして内面側に用いた以外は、実施例1と同様に樹脂被覆金属板、シームレス缶を得た。
【0048】
(実施例4)
成分1の熱可塑性ポリエステル樹脂の含有量を79.5重量%、成分2のオレフィン系重合体を表2中のa及びbの2種類、上記aの含有量を16重量%、bの含有量を4重量%とし、表3に示すキャストフィルムとして内面側に用いた以外は、実施例1と同様に樹脂被覆金属板、シームレス缶を得た。
【0049】
(実施例5)
板厚0.28mmのアルミニウム合金板(A3004材)の外面側に、表1中に示した樹脂Bを、一方、上記アルミニウム合金板の内面側に、成分1の熱可塑性ポリエステル樹脂を表1中のB(81.5重量%)、成分2のオレフィン系重合体を表2中のa(18重量%)、また、成分3をトコフェロール(0.5重量%)とした上記成分1乃至3から成る樹脂成分を用いた。
そして、板温を上記樹脂の融点よりも30℃低い温度に加熱して、押出しコート設備を備えた押出機によって、内外面側の樹脂を同時に溶融混練して押出しを行ってラミネートし、それぞれの樹脂の厚さが20μmの樹脂被覆金属板を得た。
この時のラミネート条件は、ラミネート時のアルミニウム合金板の温度を熱可塑性ポリエステル樹脂の融点よりも30℃低く、また、ラミネートロールの温度は90℃、通板速度は40m/minとした。
この樹脂被覆金属板にワックス系潤滑剤を塗布し、直径154mmの円盤を打ち抜き、上記成分1乃至成分3から成る樹脂被覆面が内面側となるように絞り加工を行い絞りカップを得た。次いでこの絞りカップに二度の薄肉化再絞り(ストレッチ)・しごき加工を行い、シームレスカップを得た。
このシームレスカップの諸特性は以下の通りであった。
シームレスカップ径:66mm
シームレスカップ高さ:127mm
素板厚に対する側壁部の厚み45%
このシームレスカップを、常法に従い底成形を行い、220℃にて熱処理(ヒートセット)を行った後、開口端縁部のトリミング加工、印刷及び焼き付け乾煥、ネックイン加工、フランジ加工を順次行って、缶胴径66mm、缶高さ122mm、内容量350ml用のシームレス缶を得た。
【0050】
(実施例6)
成分1の熱可塑性ポリエステル樹脂を表1中のAとし、表3に示すキャストフィルムとして内面側に用いた以外は、実施例5と同様に樹脂被覆金属板、シームレス缶を得た。
【0051】
(実施例7)
板厚0.235mmのアルミニウム合金(A5182材)を用い、片面に成分1の熱可塑性ポリエステル樹脂を表1中のA(81.5重量%)、成分2のオレフィン系重合体を表2中のa(18重量%)、また、成分3をトコフェロール(0.5重量%)とした上記成分1乃至3から成る樹脂成分を用いた。
そして、板温を上記樹脂の融点よりも30℃低い温度に加熱して、押出しコート設備を備えた押出機によって、上記樹脂を溶融混練して押出しを行ってラミネートし、樹脂の厚さが20μmの樹脂被覆金属板を得た。
この時のラミネート条件は、ラミネート時のアルミニウム合金板の温度を熱可塑性ポリエステル樹脂の融点よりも30℃低く、また、ラミネートロールの温度は90℃、通板速度は40m/minとした。
次いで、この樹脂被覆金属板を、樹脂被覆面が蓋の内面側となるように直径68.7mmの蓋を打ち抜き、次いで蓋の外面側にパーシャル(部分)開口型のスコア加工(幅22mm、スコア残厚110μm、スコア幅20μm)、リベット加工ならびに開封用タブの取り付けを行い、SOT蓋の作製を行った。
【0052】
(比較例1)
キャストフィルム中におけるオレフィン系重合体の分散粒子の長軸を61μm、アスペクト比を518とした以外は、実施例1と同様にキャストフィルム、樹脂被覆金属板及びシームレス缶を得た。
【0053】
(比較例2)
キャストフィルム中におけるオレフィン系重合体の分散粒子の長軸を72μm、アスペクト比を560とした以外は、実施例1と同様のキャストフィルムを得た。
【0054】
(比較例3)
オレフィン系重合体の分散粒子の長軸を84μm、アスペクト比を610とした以外は、実施例5と同様に溶融混練して押出しを行ってラミネートした。
【0055】
[平板デントERV試験]
樹脂被覆金属板を125℃30分のレトルト処理を行い、その樹脂被覆金属板を37℃に保持された水中に1ヶ月間経時させた。その後、5℃、湿潤下にて、厚み3mm、硬度50゜のシリコンゴムに評価すべき被覆面を接触させて、金属板をはさんだ反対側に直径5/8インチの鋼球を置き、1kgのおもりを40mmから落下させて衝撃張り出し加工を行った。
その後衝撃加工部の樹脂被覆の割れ程度を加工部に6.30Vの電圧をかけたときの電流値で評価した。
評価結果は、
○:平均電流値<0.5mA
×:平均電流値>0.5mA
で示した。
【0056】
[缶デント試験]
レトルト耐食性試験と同様な手順でレトルト処理を行った後37℃の保温庫内にて1ヶ月間経時した缶に対して、5℃雰囲気下において、15°の斜面にむけて、缶を高さ50cmから垂直に落下させて、缶底に衝撃を与える。加工後蒸留水を抜き取り、缶底の衝撃加工部における樹脂被覆の割れ程度を加工部に6.30Vの電圧をかけたときの電流値で評価した。
評価結果は、
○:平均電流値<2mA
×:平均電流値>2mA
で示した。
【0057】
[レトルト耐食性]
95℃で蒸留水を充填後、125℃30分のレトルト処理を行い、室温に戻し蒸留水を抜き取り、評価が金属缶である場合は缶内面、蓋である場合は蓋内面の腐食状態を観察した。
評価結果は、
○:腐食が全く認められない。
×:腐食等の異常が認められる。
で示した。
以上、評価結果を表4に示す。
【0058】
【表4】
Figure 2004083736
【0059】
表4に示す様に、実施例1〜7におけるキャストフィルムは、このキャストフィルムをラミネートした樹脂被覆金属板は平板デントERV試験における耐デント性に優れ、さらに、この樹脂被覆金属板から製造したシームレス缶、缶蓋は耐食性、耐デント性に優れていることが明らかである。
一方、比較例1乃至3のキャストフィルムは、樹脂被覆金属板及びシームレス缶の耐デント性、耐食性にそれぞれ劣ることが明らかである。
【0060】
表4に示す様に、実施例1〜10におけるキャストフィルムは膜外観上問題なく、また、このキャストフィルムをラミネートした樹脂被覆金属板は平板デントERV試験における耐デント性に優れ、さらに、この樹脂被覆金属板から製造したシームレス缶、缶蓋は耐食性、耐デント性に優れていることが明らかである。一方、比較例1は、樹脂被覆金属板及びシームレス缶の耐デント性、耐食性、比較例2は製膜性、比較例3はシームレス缶の耐デント性、耐食性、比較例4は製膜性、比較例5は耐食性にそれぞれ劣ることが明らかである。
【0061】
【発明の効果】
本発明によれば、オレフィン系重合体ブレンド熱可塑性ポリエステルから成るキャストフィルムにおいて、フィルム中のオレフィン系重合体のアスペクト比が1以上で500以下の分散粒子として存在していることにより、耐衝撃性(耐デント性)、耐腐食性、フレーバー性、優れた加工性及び密着性有すると共に、プライマー層を用いなくても接着性を有することにより、コストダウンを図ることが可能であると共に環境性にも優れたキャストフィルム及びかかるキャストフィルムを被覆層とする樹脂被覆金属板並びにこの樹脂被覆金属板から成る缶及び缶蓋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】オレフィン系重合体分散粒子のアスペクト比と耐デント性の関係を示す図である。
【図2】本発明のキャストフィルムにおけるオレフィン系重合体の分散状態を示す図である。

Claims (9)

  1. オレフィン系重合体ブレンド熱可塑性ポリエステルから成るキャストフィルムにおいて、フィルム中のオレフィン系重合体のアスペクト比が1以上で500以下の分散粒子として存在していることを特徴とするキャストフィルム。
  2. 前記オレフィン系重合体が極性基を含む重合体である請求項1記載のキャストフィルム。
  3. Tダイ直下膜のオレフィン重合体の分散粒子の平均粒径が1μm以下である請求項1又は2に記載のキャストフィルム。
  4. 前記キャストフィルム中におけるオレフィン重合体の分散粒子の長径が60μm以下である請求項1乃至3の何れかに記載のキャストフィルム。
  5. 前記オレフィン系重合体がフィルム中に1乃至25重量%の量で含有されている請求項1乃至4の何れかに記載のキャストフィルム。
  6. フィルム中にトコフェロールが0.05乃至5重量%で含有されている請求項1乃至5の何れかに記載のキャストフィルム。
  7. 請求項1乃至6の何れかに記載のキャストフィルムを被覆層として備えていることを特徴とする樹脂被覆金属板。
  8. 請求項7に記載の樹脂被覆金属板から成ることを特徴とする缶。
  9. 請求項7に記載の樹脂被覆金属板から成ることを特徴とする缶蓋。
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