JP2006521905A - 調節可能な支持システムを備えたシート - Google Patents
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Abstract
【課題】調節可能な特定安定化支持体および使用者の仙骨および仙骨−骨盤の解剖学的構造に対する輪郭フィットを行うことができる改善されたシートを提供することにある。
【解決手段】シートに使用する仙骨支持組立体を提供する。シートはシートフレームを有し、該シートフレームには調節可能な仙骨支持組立体が連結されている。仙骨支持組立体は、座った使用者の仙骨を支持できる仙骨支持部材を有している。使用者の仙骨および仙骨−骨盤の解剖学的構造を調節可能にかつ安定して支持し、疲労を低減し、かつ快適性、安定性および使用者の姿勢を向上させる方法、および仙骨の解剖学的構造から、使用者の仙骨に隣接する解剖学的構造、例えば骨盤および腰椎領域への荷重分散を調節しかつ制御するシステムも提供される。
【解決手段】シートに使用する仙骨支持組立体を提供する。シートはシートフレームを有し、該シートフレームには調節可能な仙骨支持組立体が連結されている。仙骨支持組立体は、座った使用者の仙骨を支持できる仙骨支持部材を有している。使用者の仙骨および仙骨−骨盤の解剖学的構造を調節可能にかつ安定して支持し、疲労を低減し、かつ快適性、安定性および使用者の姿勢を向上させる方法、および仙骨の解剖学的構造から、使用者の仙骨に隣接する解剖学的構造、例えば骨盤および腰椎領域への荷重分散を調節しかつ制御するシステムも提供される。
Description
本願は、2003年4月3日付米国仮特許出願第60/460,811号、2003年5月1日付米国仮特許出願第60/467,356号、2003年5月21日付米国仮特許出願第60/472,649号、2003年7月25日付米国仮特許出願第60/490,319号、2003年10月21日付米国仮特許出願第60/514,535号(これらの全出願の発明の名称は、「調節可能な支持システムを備えた乗り物用シート(Vehicle Seat With Adjustable Support System)」である)の利益を主張する。
本発明は、広くは調節可能な仙骨支持部材を備えたシート(座席)に関し、より詳しくは、使用者の疲労を低減させかつ快適性、安定性および姿勢を向上させるため、使用者の仙骨および仙骨−骨盤の解剖学的構造(アナトミー)に調節可能な安定支持を与えるシートおよび方法、および使用者の仙骨の解剖学的構造から、仙骨例えば骨盤および腰椎領域に隣接する解剖学的構造への荷重分散を調節しかつ制御するシステムに関する。また本発明は、適正な解剖学的バランス、構造的補償および姿勢制御を創出する方法に関する。更に本発明は、あらゆる座り形態での種々の姿勢位置における人の動作を管理しかつ制御する方法およびプロセスに関する。
一般に、現代社会での多くの人は、仕事、学校、家庭および/または旅行中に、座った状態を長時間費やす。特に、多くの人は、オフィス環境で長時間連続的に座る仕事に従事している。また、多くの人は、例えば仕事から仕事へと移動するとき、1回の移動でしばしば長距離を走行し、乗り物内で長時間を費やす。また、多くの人は乗り物を職業として運転し、従ってかなりの長時間に亘って乗り物内に座っていなければならない。
一般に、シートは幾つかの共通要素を有している。シートは、使用者の大部分の体重を受ける底部すなわち座部(seat pan)と、使用者がもたれ掛かる背部とを有している。また、種々のプロポーションおよびサイズの使用者に適合できるように、多くのシートは、座部および背部を独立的または同時的に調節する機構を有している。例えば、自動車用シートは、しばしばこのような機構を有している。
しかしながら、一般にシートは、背中の支持、特に脊椎の最下領域に関する支持が不充分である。脊椎は、概略的に4つの領域、すなわち頚部(ネック)領域、胸部(上背部)領域、腰椎(下背部)領域および仙骨(尾骨)領域を有している。より詳しくは、仙骨は、脊椎の基部を形成している。仙骨は、骨盤の骨間にクサビ止めされた5つの椎骨の大きい三角形融合である。骨盤の骨は、左右の腸骨を有している。各腸骨は、後上腸骨脊椎(posterior superior iliac spine:PSIS)として知られている後境界部分を有している。仙骨の支持体が存在しないことおよびPSISの適正な重なり(nesting)形態がないことから、しばしば、悪い姿勢になってしまい、従って、使用者の背領域すなわち脊椎領域に種々の不快感および問題が引起こされる。特に、使用者が真直に座らない場合には、腰椎と仙骨との接合部に背中の問題が生じ易い。
シートの使用者にとって、真直に座ることは困難である。特に、多くのシートでは、シートの背部と使用者の仙骨との間に空隙が形成される。この空隙は、使用者に前かがみ姿勢を引起こす。この前かがみ姿勢により、多くの直接的な問題、例えば疲労が増大し、腰椎円板に大きい圧力が作用し、または筋肉が痙攣することがある。更に、前かがみ姿勢の結果として、種々の長時間問題が生じることがある。これらの問題として、下背筋痛、肩甲骨間の不快感、頚筋の締付け、筋肉痛および頭痛がある。
座っている間の前かがみ姿勢に付随する問題を回避するため、より良い背中支持を得るための試みが、これまでにもなされてきた。しかしながら、これらの試みは、調節可能な特定仙骨の支持を行うことができず、かつ骨盤の全体的安定性を高めるための仙骨、骨盤および神経、筋肉および骨格支持系を適正に位置決めする輪郭フィット(contoured fit)を得ることができない。これまで、仙骨とシートの背部との間に存在する空隙は、仙骨およびこれに隣接する組織の好ましい支持を行うことを不能にしかつシートの製造業者により殆ど無視されてきた。また、従来のシート製造業者は、仙骨を支持することの重要性およびPSIS領域に発生する過剰圧力を回避することの重要性を無視してきた。
幾分最近になって、仙骨に直接的な集中力を加えて使用者の骨盤および脊椎の適正位置決めを行う脊椎支持装置を構成することが認識されている。下記特許文献1には、使用者の仙骨の支持を補助して、脊椎が正常な直立姿勢に見られる好ましい形状をとることを誘起させる脊椎支持装置が開示されている。この特許文献1は、シートにより仙骨領域の周囲に形成される空隙に対処するものであるが、住宅用背もたれ(シートバック)、作業用椅子、商業用背もたれおよび/または乗り物用背もたれ等の背もたれと一体の適正な仙骨支持を実施するための緊急の必要性が依然として存在する。また、骨盤の周囲領域、特にPSISに関して適正な荷重分散を与える必要がある。また、適正な腰椎支持と組合される適正な仙骨支持を行う必要がある。
本発明は、調節可能な特定安定化支持体および使用者の仙骨および仙骨−骨盤の解剖学的構造に対する輪郭フィットを行うことができる改善されたシートに関する。本発明は、このような支持体を背もたれ内の下部に設ける。改善されたシートは、使用者の仙骨の解剖学的構造に変化を与え、使用者効率、強度および筋肉コントロールを高める。すなわち、改善されたシートは、仙骨の特定部分を能動的に標的としかつ制御することにより、使用者の快適性、忍耐および安定性を向上させる。また、改善されたシートは、背もたれが例えばもたれ掛かり位置または直立位置等の種々の位置にあるときでも、仙骨の特定部分を能動的に標的としかつ制御する。これは、プロポーションおよびサイズが互いに異なる使用者にとって便利かつ調節可能な態様で達成される。また、本発明は、使用者の解剖学的構造の輪郭と座面の輪郭との間の表面一致性を与えることにより、自動的な輪郭フィットが得られる。
本発明の第一態様によれば、シートに使用する仙骨支持組立体が提供される。シートはシートフレームを有し、該シートフレームには調節可能な仙骨支持組立体が連結される。仙骨支持組立体は、座った使用者の仙骨を支持できる仙骨支持部材を有している。
本発明の第二態様によれば、乗り物のシートに使用する仙骨支持組立体が提供される。乗り物用シートはシートフレームを有し、該シートフレームには調節可能な仙骨支持組立体が連結される。仙骨支持組立体は、座った使用者の仙骨を支持できる仙骨支持部材を有している。
本発明の第二態様によれば、乗り物のシートに使用する仙骨支持組立体が提供される。乗り物用シートはシートフレームを有し、該シートフレームには調節可能な仙骨支持組立体が連結される。仙骨支持組立体は、座った使用者の仙骨を支持できる仙骨支持部材を有している。
本発明の他の態様によれば、背もたれを備えた乗り物用シートの仙骨支持要素が提供される。仙骨支持要素は、支持部材と、カムと、仙骨支持部材とを有している。支持部材は、シートの内部フレームに連結される。カムは支持部材に連結される。仙骨支持部材は前面および後面を有し、前面は背もたれの前部と係合し、かつ後面はカムと係合する。
本発明の更に別の態様によれば、背もたれを備えた乗り物用シートの仙骨支持要素が提供される。仙骨支持要素は、支持部材と、可撓性延長部材と、仙骨支持部材とを有している。支持部材は自動車用シートの内部フレームに連結される。可撓性延長部材は、支持部材に連結されかつ支持部材に対して移動できる。仙骨支持部材は延長部材に連結されかつ背もたれの前部に近付く方向および離れる方向に移動できる。荷重分散表面も設けられ、該荷重分散表面は、使用者の仙骨に隣接する解剖学的構造、例えば骨盤領域および腰椎領域への荷重分散を制御する。
本明細書で使用するとき、用語「連結され(connected to)」とは、直接的連結および間接的連結の両方を含むものと広義に解釈すべきである。
本明細書で使用するとき、用語「乗り物(vehicle)」とは、例えば、自動車、航空機、ボート、列車、車椅子等の輸送関連用途を含む広義に解釈すべきである。
本明細書で使用するとき、用語「乗り物(vehicle)」とは、例えば、自動車、航空機、ボート、列車、車椅子等の輸送関連用途を含む広義に解釈すべきである。
本発明の上記および他の特徴および長所は、以下の説明、特許請求の範囲の記載および添付図面を参照することにより、より良く理解されよう。
以下、添付図面(該図面において同じ構成要素は同じ参照番号で示されている)を参照して本発明を説明する。本発明種々の要素の関係および機能は、以下の詳細な説明により良く理解されよう。しかしながら、後述するように、本発明の実施形態は単なる例示であり、本発明は図示の実施形態に限定されるものではない。また、添付図面は縮尺通りに画かれてはおらず、かつ或る場合には、例えば製造および組立の従来の細部等の、本発明を理解する上で必要ではない細部は省略されている。また、本明細書において説明する本発明は、例えばオフィス用、住宅用、商業用シートを含む広範囲の用途を有する方法論を含むものであることを理解すべきである。
図面を参照すると、図1〜図3には、本発明の好ましい第一実施形態、特に調節可能な仙骨支持要素10が示されている。図2に示す調節可能な仙骨支持要素10は、概略的に、仙骨支持部材14、ヒンジ30、カム42、ヒンジ46、取付けブラケット54、レバーアーム50、アクチュエータケーブル80および角度リミッタ68を有している。一般に、仙骨支持部材14は、ヒンジ30を介してカム42の外表面に取付けられる。次にカム42は、ヒンジ46を介して、背もたれフレームに固定された取付けブラケット54に取付けられている。レバーアーム50は、取付けブラケット54に枢着されている。レバーアーム15は、アクチュエータケーブル80により付勢される。
図1には本発明の第一実施形態が示されており、この実施形態では、仙骨支持部材14は、使用者の仙骨および仙骨−骨盤の解剖学的構造を支持するように設計された支持表面を形成している。仙骨支持部材14は、背もたれフレーム4の下方中央部に配置されている。仙骨支持部材14の位置は、座った人の仙骨領域に一致する。仙骨支持部材14は、スチール、プラスチックまたはカーボンファイバ等の実質的な剛性材料で形成するのが好ましいが、同様な支持レベルが得られる他の材料を使用することもできる。仙骨支持部材14は、全体として平らな西洋梨(pear)状の形状を有し、かつ大きい方の幅が上になり、小さい方の幅が下になるように配向される。この形状および方向は、使用者の仙骨の形状および方向に一致する。より詳しくは、仙骨支持部材14の上部は約3.25インチの水平幅を有し、下部は約2.6インチの水平幅を有している。仙骨支持部材14の垂直長さは約5.25インチであるのが好ましい。
仙骨支持部材14の頂部の幅は、使用者の仙骨基部のレベルでの使用者の仙骨の幅の3倍から、使用者の仙骨基部での使用者の仙骨の幅にほぼ等しい大きさまで変えることができる。仙骨支持部材14の幅は、仙骨支持部材14の頂部から底部に向かって徐々に減少する。仙骨支持部材14の底部の幅は、仙骨支持部材の底部に一致するレベルでの使用者の仙骨の幅に等しいか、これより僅かに大きい。しかしながら、後述のように、仙骨支持部材14の寸法は、種々のファクタに基いて変えることができる。
仙骨支持部材14は剛性で、主として仙骨を支持するのが好ましいが、図4〜図7に示すように、仙骨支持部材14と使用者の仙骨との間には荷重分散材料を設けるのが好ましい。例えば図4では、荷重分散材料98は、使用者の仙骨および仙骨−骨盤領域の輪郭に順応する表面を形成する。また、図4に示す好ましい実施形態では、荷重分散材料98は、腸骨のPSISの重なり領域(nesting area)および腸骨の輪郭を形成する。図5〜図7には、荷重分散材料の好ましい構成および設計が示されている。例えば図5には、荷重分散材料の一部が蝶の羽根状になっている実施形態が示されている。図6には、2つの荷重分散材料104、106が設けられた実施形態が示されている。また図7には、仙骨−骨盤領域の解剖学的表面を全体的に覆うと同時に、腸骨のPSISは回避するように設計された荷重分散材料109が示されている。
実際に、仙骨支持部材14が係合位置にあるとき、荷重分散材料は、好ましくは、使用者の仙骨領域の軟組織を横切る荷重分散を改善しかつ腸骨のPSISに集中圧力が作用することを回避する。従って、好ましい第一実施形態では、仙骨の1次支持体(例えば仙骨支持部材14)は、仙骨およびこの周囲組織の2次支持体(例えば荷重分散材料)と組合せることができる。
例えば圧縮発泡体、プラスチックまたは軽金属、例えばアルミニウムのストリップ等の従来の支持材料を用いて荷重分散を行うのが好ましい。荷重分散材料のサイズおよび形状は使用者の特定の解剖学的輪郭に適合するように変えることができ、かつシートのトリムに基いて更に改善された支持およびフィットを得ることができる。例えば、仙骨支持部材14の外側部分に付加荷重分散材料を設けることが望ましいこともある。
また、使用者と、背もたれの前部と、荷重分散材料との間にクッション性を付与するのが好ましい。クッションは、例えば発泡体のような従来のクッション材料で形成できる。従って、好ましい実施形態では、背もたれの前部にクッションを配置し、次に荷重分散材料を配置し、更に仙骨支持部材14を配置する。
荷重分散材料およびクッションの量と仙骨支持部材のサイズとは関連しており、所望レベルの仙骨支持および輪郭フィットを達成すべく変えることができることは理解されよう。例えば、仙骨支持部材と使用者との間に比較的大きい荷重分散材料またはクッションが設けられる場合には、一定限度内で、上記よりも小さい寸法をもつ仙骨支持部材を使用することができる。逆に、仙骨支持部材と使用者との間に比較的小さいクッションおよび荷重分散材料が設けられる場合には、上記よりも大きい仙骨支持部材を使用できる。また、仙骨支持部材、荷重分散材料およびクッションを一体構造で形成し、仙骨支持および輪郭フィットの好ましい結果を達成することもできる。
図1に示すように、仙骨支持部材14はヒンジ30を介してカム42に連結されており、ヒンジ30は、仙骨支持部材14を、約40〜85°の角度で傾動させることができる。この好ましい第一実施形態では、仙骨支持部材14およびカム42に対するヒンジ30の位置は、仙骨支持部材14を、使用者の仙骨に対して適正位置で枢動すなわち傾動することを可能にし、従って使用者の仙骨の自然の傾動に適合できるようにすることを理解すべきである。また、図1に示すこの好ましい実施形態では、仙骨支持部材14の横方向位置は、使用者が背もたれに対して傾動するときに自動的に順応することも留意すべきである。すなわち、仙骨支持部材14は、使用者の仙骨−骨盤領域または仙骨−骨盤領域の横方向位置に適合すべく部分的に順応する。カム42は、レバーアーム50の端部50Aを受入れるように湾曲すなわち曲がっている。カム42は、使用者の体重により加えられる内向き荷重に耐えかつ打勝つことができるスチールまたは他の剛性材料で作られる。カム42は、ヒンジ46を介して取付けブラケット54に連結されている。
図1に示すように、取付けブラケット54は、背もたれフレームのサイズおよび形状、仙骨支持部材14との間のパッドの量およびサイズ、およびシートエクステリアとして使用されるトリムパッケージの形式に基いて変えることができる位置で、内部シートフレームの剛性部分に固定(例えば溶接)される。また、図2に示すように、取付けブラケット54の上部は、レバーアーム50の端部50Aを受入れる。取付けブラケット54の中間下部は、ブラケット84が取付けられる後面54Aを有している。ブラケット84はフィン型形状を有しかつスチールまたは他の任意の剛性材料で作られていて、非保持型連結部88の取付け箇所を形成する。取付けブラケット54の下部には上向きのコイル状端部54Bが形成されており、該コイル状端部54Bにはレバーアーム50が枢着される。
レバーアーム50は、第一端部50Aおよび第二端部50Bを有している。第一端部50Aは湾曲しており、かつ第二端部50Bは真直である。レバーアーム50は、該レバーアーム50が保持ピン64の回りで枢動できる態様で、取付けブラケット54に枢着される。レバーアーム50と取付けブラケット54との間の枢着部には、戻しスプリング60が設けられている。戻しスプリング60は、レバーアーム50を非係合位置に向けて押圧する。仙骨支持部材14およびレバーアーム50の後面には、角度リミッタ68が連結されている。角度リミッタ68は、容易に曲がることができかつ仙骨支持部材14、カム42およびレバーアーム50の移動を制限するのに充分な引張り強度を有する細いチェーンまたは他の任意の制限具で作ることができる。
アクチュエータケーブル80は、その第一端部が、レバーアーム50の真直端部50Bに連結されている。アクチュエータケーブル80はフック104により真直端部50Bに連結されているが、クランプ等の他のコネクタを用いて真直端部60Bに連結することもできる。アクチュエータケーブル80の第二端部は、手動調節機構またはモータ駆動調節機構のいずれかに連結される。この調節機構は使用者が容易にアクセスでき、かつアクチュエータケーブル80を作動する簡単な機構を形成する。アクチュエータケーブル80の中央部はケーブルハウジング92に通されている。ケーブルハウジング92は、緩い非保持型連結部を介してブラケット84に取付けられている。
作動に際し、使用者は、所望の仙骨支持量を決定し、次に仙骨支持要素10を作動させて仙骨支持量を与える。非係合位置では、仙骨支持部材14は、使用者の仙骨または仙骨領域に最小の支持を与えるか、これらを全く支持しない。所望ならば、使用者は、使用者の仙骨方向への仙骨支持部材14の位置を調節して大きい支持を与えることができる。図3に示すように、使用者は、仙骨支持部材14の位置を、最大支持を与える最大係合位置すなわち完全係合位置に調節することができる。かくして使用者は、荷重分散を直接制御すなわち管理して、支持、フィットおよび快適性を与えることができる。
好ましい実施形態では、係合位置において、仙骨支持部材14は、使用者の背中により形成される平面に対して約1.5〜3インチ前方に伸びる。仙骨支持部材14を、使用者の背中により形成される平面の約3インチ前方より大きい距離を移動させることは不要であることが判明している。従って、図1〜図3に示す仙骨支持要素10の好ましい実施形態は、仙骨支持部材14を、使用者の背中により形成される平面の3インチ前方まで最適に移動させるように設計されている。これにもかかわらず、本発明の他の実施形態では、仙骨支持部材14を、使用者の背中により形成される平面の3インチ前方より大きい最大距離を移動させるか、使用者により形成される平面の3インチ前方より小さい最大距離を移動させることができる。
使用者に向かう仙骨支持部材14の全移動距離は、種々のファクタに基いて定められる。例えば、仙骨支持部材14の全移動距離は、シートフレーム内での取付けブラケット54の位置、シートフレームのサイズ、シートを覆うのに使用される材料の種類、任意のクッションの厚さ、およびシートカバーと仙骨支持部材14との間に配置される荷重分散材料に基いて変えることができる。
係合位置と非係合位置との間の調節はアクチュエータケーブル80を付勢する手動機構またはモータ機構を制御することにより達成される。アクチュエータケーブルが付勢されると、レバーアーム50が枢動される。より詳しくは、真直端部50Bは上方および使用者から離れる方向(反時計回り方向)に枢動し、湾曲端部50Aは、下方にかつ使用者に向かって枢動する。湾曲端部50Aが下方にかつ使用者に向かって枢動すると、湾曲端部50Aがカム42、より詳しくはカム42の湾曲面42Aと係合する。この係合により、カム42が、ヒンジ46の回りで使用者に向かってかつ上方(時計回り方向)に枢動する。この結果、仙骨支持部材14が、同時的に、使用者に向かって僅かに上方に移動する。湾曲部分50Aが係合位置においてカム42に噛んでしまうことを防止するため、角度リミッタ68が設けられている。角度リミッタ68は、湾曲端部50Aがカム42の下端部を越えて移動することを防止する。
また好ましい実施形態では、仙骨支持要素10が、完全な剛性を有する非撓み支持体を構成することはない。すなわち、好ましい実施形態では、仙骨支持要素10は、衝突または振動等の種々の道路条件からの衝撃を吸収すべく一定限度内で曲がることすなわち「撓む」ことができる。すなわち、仙骨支持部材10は、幾分かの弾性を有している。
調節可能な仙骨支持要素10はまた、脊椎の腰椎領域の付加支持を行う腰椎支持体74との協働に使用できる。後述のように、仙骨支持部材14は、使用者の腰椎および仙骨領域の両方の支持レベルを変えるべく、腰椎支持体74とは独立的にまたは同時的に使用できる。例えば、完全係合位置で仙骨支持部材14および腰椎支持体74の両方を使用して、使用者の腰椎および仙骨領域の実質的な支持を行うことができる。同様に、調節可能な仙骨支持部材14を、骨盤支持体と協働するように使用することもできる。
図8〜図11を参照すると、ここには、本発明の好ましい第二実施形態、より詳しくは、調節可能な仙骨/腰椎支持要素210が示されている。図8に示す調節可能な仙骨/腰椎支持要素210は、概略的に、背もたれフレーム204と、仙骨支持部材214と、腰椎支持部材205と、クッションを備えた荷重分散材料(図示せず)と、ヒンジ216と、レバーアーム250と、レバー固定ピン264とを有している。一般に、仙骨支持部材214は、ヒンジ216を介して、腰椎支持部材205に取付けられる。腰椎支持部材205の下部は、シートフレーム204に取付けられる。また、レバーアーム250は、シートフレーム204の下部に枢着される。レバーアーム250は、アクチュエータケーブル280(図8には示されていない)により付勢される。本発明のこの好ましい第二実施形態では、従来の腰椎支持体205が、取付けブラケット254を介して、例えばロウ付により背もたれフレーム204に連結されている。種々の腰椎支持具を広範囲に入手でき、例えば、Leggett & Platt, Inc.の子会社であるSchukraから入手できかつ「Model L」の商標で市販されている2ウェイ電源金属腰椎支持体がある。このような腰椎支持部材は、一般に、使用者が制御機器を操作することにより制御されるモータ駆動型調節機構により制御される。或いは、このような腰椎支持部材は、手動調節機構により制御することができる。腰椎支持体205は、ヒンジ216を介して仙骨支持部材214を取付けるための表面を有している。より詳しくは、図8に示すように、仙骨支持部材214は、ヒンジ216を介して腰椎支持体205の中央部または下部に取付けられる。
図9〜図11に示すように、仙骨支持部材214は、使用者の仙骨および仙骨−骨盤の解剖学的構造に一致しかつこれらを支持するように設計された支持面を有している。仙骨支持部材214は、背もたれフレーム204の下方中央部に配置される。第一実施形態におけるように、仙骨支持部材214の位置は、座った人の仙骨領域に一致する。仙骨支持部材214は、スチール、プラスチックまたはカーボンファイバ等の実質的な剛性材料で形成するのが好ましいが、同様な支持レベルが得られる材料を使用することもできる。また、使用者と、上記原理による仙骨支持部材との間には、第一実施形態に関連して説明したような荷重分散材料およびクッションを設けるのが好ましい。
仙骨支持部材214は、全体として平らな西洋梨状の形状を有し、かつ大きい方の幅が上になり、小さい方の幅が下になるように配向される。この形状および方向は、使用者の仙骨の形状および方向に一致する。より詳しくは、仙骨支持部材214の上部は約3.25インチの水平幅を有し、下部は約2.6インチの水平幅を有している。仙骨支持部材214の垂直長さは約5.25インチであるのが好ましいが、座部への近接に基いて、より長くまたは短くすることができる。また、仙骨支持部材214は、使用者の方向に僅かに湾曲させることもできる。
仙骨支持部材214の頂部の幅は、使用者の仙骨基部のレベルでの使用者の仙骨の幅の3倍から、使用者の仙骨基部での使用者の仙骨の幅にほぼ等しい大きさまで変えることができる。仙骨支持部材214の幅は、仙骨支持部材214の頂部から底部に向かって徐々に減少する。仙骨支持部材214の底部の幅は、仙骨支持部材の底部に一致するレベルでの使用者の仙骨の幅に等しいか、これより僅かに大きい。しかしながら、仙骨支持部材214の寸法は、仙骨支持部材と、荷重分散材料と、クッションとの間の関係に関連して上述した原理に従って変えることができる。
仙骨支持部材214は更に、前面および後面を有している。仙骨支持部材214の前面は使用者の仙骨に対面するように構成され、一方、後面はレバーアーム250を受入れるように構成されている。前述のように、仙骨支持部材214の上部は、ヒンジ216を介して腰椎支持部材205に取付けられている。ヒンジ216は、腰椎支持部材205にロウ付された従来のヒンジである。
この好ましい第二実施形態では、仙骨支持部材は、該仙骨支持部材の後ろに配置されたレバーアームにより完全係合位置へと移動され、仙骨支持部材の後面には、レバーアームの移動を容易にする潤滑剤または潤滑性表面を設けることができる。例えば図11に示すように、レバーアーム250は、仙骨支持部材214を完全係合位置へと移動させるのに使用される。レバーアーム250は、好ましくは、前縁部と、後縁部を形成する後方リップとを備えた平部材として形成される。レバーアーム250は、スチール、プラスチックまたはカーボンファイバ等の剛性材料で形成される。図8に示すように、レバーアーム250は、ピン264を介して、仙骨支持部材214の後方に配置された取付けブラケット254に枢着されている。次に、取付けブラケット254は背もたれフレーム204に取付けられている。また、ピン264の回りには、レバーアーム250を非係合位置に戻すための戻しスプリングが設けられている。
図9〜図11に示すように、アクチュエータケーブル280は、その第一端部が、レバーアーム250の後方リップに連結されている。アクチュエータケーブル280の第二端部は、従来のモータ駆動調節機構207または手動調節機構に連結される。この調節機構は使用者が容易にアクセスでき、かつアクチュエータケーブル280を作動する簡単な機構を形成する。アクチュエータケーブル280はケーブルハウジング292の中央部に通されている。ケーブルハウジング292は、好ましくは、緩い非保持型連結部を介して取付けブラケット254に取付けられている。好ましい実施形態では、使用者は、アクチュエータケーブル280を駆動するアクチュエータモータ207を付勢することにより仙骨支持部材の位置を変化させる。この付勢により、レバーアーム250の後縁部が上方に枢動され、レバーアーム250の前縁部が使用者の仙骨に向かって下方に移動される。レバーアーム250の前縁部が使用者の仙骨に向かって下方に移動されると、前縁部が仙骨支持部材214の後面と係合し、これにより、仙骨支持部材の前面を使用者の仙骨に向かって徐々に押圧する。仙骨支持部材を離脱させるには、使用者は、モータを作動させてアクチュエータケーブル280を有効に長くする。これにより戻しスプリング260が、レバーアーム250を非係合位置へと後方に枢動させる。従って、使用者は、仙骨支持部材214を所望の支持位置に移動させることができる。
図9〜図11に示すように、本発明の第二実施形態では、腰椎支持部材および仙骨支持部材は、4つの異なる支持位置を有する範囲に亘って調節できる。図9に示す第一支持位置では、腰椎支持部材205および仙骨支持部材214が離脱され、腰椎支持または仙骨支持は全く行われないか、殆ど行われない。図10に示す第二位置では、腰椎支持部材205が係合されて最大支持を行う。一方、仙骨支持部材214は離脱されて殆ど支持は行わないが、腰椎支持部材205が非係合位置にあるときよりも大きい支持が行われる。第三位置(図示せず)では、腰椎支持部材が離脱され最小の腰椎支持を行う一方、仙骨支持部材は完全に係合されて、最大の仙骨支持を行う。図11に示す第四位置では、腰椎支持部材および仙骨支持部材の両方が完全係合して、最大量の仙骨および腰椎支持を行う。従って、好ましい実施形態では、腰椎支持部材および仙骨支持部材の両方が互いに完全に独立しており、別々の調節機構により独立的に作動されることに留意すべきである。これにもかかわらず、腰椎支持部材および仙骨支持部材は相互依存的に作動するようにも構成されている。すなわち、腰椎支持部材および仙骨支持部材の両方を、単一の調節機構および/または制御装置により作動することもできる。
作動に際し、使用者は、腰椎および仙骨の所望支持量を決定し、次に、所望の支持量が得られるようにそれぞれの調節機構を操作する。例えば、腰椎支持部材205は、腰椎支持部材調節機構を付勢することにより所望位置に調節される。仙骨支持部材は、仙骨支持部材調節機構を付勢することにより所望位置に調節される。或いは、仙骨支持部材を最初に調節し、次に腰椎支持部材を調節することができる。
図12および図13を参照すると、ここには、第三の好ましい実施形態が示されている。図12および図13に示す調節可能な仙骨支持要素310は、概略的に、ヒンジ342、343を介して延長プレート318、319に取付けられた仙骨支持部材314を有している。延長プレート318、319には、該延長プレートがスライドワイヤ326、327上で摺動できるようにする溝が設けられている。アクチュエータケーブル354が両延長プレート318、319を一緒に引張り、仙骨支持部材314を、使用者の仙骨領域に向かって係合位置に同時的に移動させる。延長プレート318にはテンションスプリング322の一端が取付けられており、該スプリング322の他端は背もたれフレーム34に取付けられている。延長プレート319にはテンションスプリング322の一端が取付けられており、該スプリング322の他端は背もたれフレーム34に取付けられている。
図12は本発明の好ましい第三実施形態を示し、この実施形態では、仙骨支持部材314が、使用者の仙骨および仙骨−骨盤の解剖学的構造を支持するように設計された支持面を形成している。仙骨支持部材314は、背もたれフレーム34の下方中央部に配置されている。仙骨支持部材314の位置は、座った人の仙骨領域に一致する。仙骨支持部材314は、スチール、プラスチックまたはカーボンファイバ等の実質的な剛性材料で形成されるのが好ましいが、同等の支持レベルが得られる材料を使用することもできる。仙骨支持部材314は、全体として平らな西洋梨状の形状を有し、かつ大きい方の幅が上になり、小さい方の幅が下になるように配向される。この形状および方向は、使用者の仙骨の形状および方向に一致する。より詳しくは、仙骨支持部材314の上部は約3.25インチの水平幅を有し、下部は約2.6インチの水平幅を有している。仙骨支持部材314の垂直長さは約5.25インチであるのが好ましい。
図12は本発明の好ましい第三実施形態を示し、この実施形態では、仙骨支持部材314が、使用者の仙骨および仙骨−骨盤の解剖学的構造を支持するように設計された支持面を形成している。仙骨支持部材314は、背もたれフレーム34の下方中央部に配置されている。仙骨支持部材314の位置は、座った人の仙骨領域に一致する。仙骨支持部材314は、スチール、プラスチックまたはカーボンファイバ等の実質的な剛性材料で形成されるのが好ましいが、同等の支持レベルが得られる材料を使用することもできる。仙骨支持部材314は、全体として平らな西洋梨状の形状を有し、かつ大きい方の幅が上になり、小さい方の幅が下になるように配向される。この形状および方向は、使用者の仙骨の形状および方向に一致する。より詳しくは、仙骨支持部材314の上部は約3.25インチの水平幅を有し、下部は約2.6インチの水平幅を有している。仙骨支持部材314の垂直長さは約5.25インチであるのが好ましい。
仙骨支持部材314の頂部の幅は、使用者の仙骨基部のレベルでの使用者の仙骨の幅の3倍から、使用者の仙骨基部での使用者の仙骨の幅にほぼ等しい大きさまで変えることができる。仙骨支持部材314の幅は、仙骨支持部材314の頂部から底部に向かって徐々に減少する。仙骨支持部材314の底部の幅は、仙骨支持部材の底部に一致するレベルでの使用者の仙骨の幅に等しいか、これより僅かに大きい。しかしながら、後述のように、仙骨支持部材314の寸法は種々のファクタに基いて変えることができる。
前述のように、仙骨支持部材314は剛性であるので、仙骨支持部材314と使用者の仙骨との間に、荷重分散材料および/またはクッションを配置するのが好ましい。荷重分散材料およびクッションは、詳細に上述した荷重分散原理および/またはクッション原理に従って形成される。詳細に上述したように、荷重分散材料およびクッションは、使用者の仙骨領域の軟組織を横切る荷重分散を改善する。これにより、高い骨盤安定性、支持性および輪郭フィットが得られる。また、これにより、2つの骨盤腸骨の自然で制御された重なりが得られる。好ましくは、圧縮発泡体のような従来のクッション形式を使用する。より良い支持およびフィットを得るため、およびシートのトリムに基いて、クッションのサイズおよび形状を変えることができる。例えば、仙骨支持部材314の外側部分にはより大きいクッション性を付与する必要がある。
図12に示すように、仙骨支持部材314は、ボルト346、347により取付けプレート362(図13に示す)に取付けられている。仙骨支持部材314は、取付けプレート362と一体に形成することもできる。取付けプレート362は、スチール、プラスチックまたはカーボンファイバ等の実質的な剛性材料で形成される。取付けプレート362の寸法は、約2.75インチ×0.5インチである。取付けプレート362の第一端部362aは、ヒンジ342を介して、延長プレート318の第一端部318aに枢着されている。このダブルヒンジ構造は、仙骨支持部材314がほぼ垂直中心軸線の回りで枢動することを可能にする。延長プレート318、319(これらは、本発明のこの実施形態でも実質的な剛性材料同様に形成されている)の各々は、スライドワイヤ326、327に摺動可能に取付けられた第二縁部(それぞれ318b、319b)を有している。可撓性が変化する延長プレートを使用できることも留意すべきである。例えば、より可撓性の高い延長プレートの使用により、仙骨支持要素310のばね特性を変えることができる。延長プレート318、319は、約2.75インチの長さおよび約2.75インチの幅を有している。第二端部318b、319bは、背もたれの後方に向かって曲げられかつスライドワイヤ326、327を摺動可能に受入れることができる溝を有している。より詳しくは、溝には、スライドワイヤ326、327上での摺動を容易にする非摩擦性Оリングが設けられる。
スライドワイヤ326、327は、背もたれフレーム34の下部に直接固定されている。本発明の好ましい実施形態では、スライドワイヤ326、327は、フレーム34の下部に平行形態で水平に取付けられる。スライドワイヤ326、327は、使用者が仙骨支持部材314に対してもたれ掛かることにより生じる後向きの力に部分的に耐えることができるが、一定限度内で撓むこともできる材料(好ましくはスチール)で作られる。使用者が仙骨支持部材314にもたれ掛かると、使用者の仙骨によって、仙骨支持部材314上に後向きの力が発生される。この後向きの力はスライドワイヤ326、327に分散され、この力によって、スライドワイヤ326、327が撓まされる。スライドワイヤ326、327が撓むと、仙骨支持部材314は、使用者の仙骨の傾斜と実質的に同じ角度で後方に傾動する。これにより、仙骨支持部材314は、使用者の仙骨の自然の傾斜に自動的に順応すると同時に、調節可能な支持力を与える。
図13に示すように、アクチュエータケーブル354は、仙骨支持部材314を係合位置と非係合位置との間で移動させるように設けられている。アクチュエータケーブル354は、ケーブルハウジング334内に収容されている。ケーブルハウジング334の一端は、延長プレート318の第二端部318bを通って該端部318bに連結された非保持型コネクタ358に終端している。アクチュエータケーブル354は、延長プレート318の孔366を通っている。アクチュエータケーブル354の終端部354aにはフック370が設けられており、該フック370は、延長プレート319の第二縁部319bに連結されている。モータ338は、使用者により、アクチュエータケーブル354を繰出しかつ引張るように制御される。
図13に示すように、アクチュエータケーブル354は、仙骨支持部材314を係合位置と非係合位置との間で移動させるように設けられている。アクチュエータケーブル354は、ケーブルハウジング334内に収容されている。ケーブルハウジング334の一端は、延長プレート318の第二端部318bを通って該端部318bに連結された非保持型コネクタ358に終端している。アクチュエータケーブル354は、延長プレート318の孔366を通っている。アクチュエータケーブル354の終端部354aにはフック370が設けられており、該フック370は、延長プレート319の第二縁部319bに連結されている。モータ338は、使用者により、アクチュエータケーブル354を繰出しかつ引張るように制御される。
図12に示すように、延長プレート318はテンションスプリング322の第一端部に連結され、延長プレート319はテンションスプリング323の第一端部に連結されている。テンションスプリング322の第二端部は、背もたれフレーム34の下部に連結される。同様に、テンションスプリング323の第二端部が背もたれフレーム34の下部に連結される。テンションスプリング322、323は、延長プレート318、319を、スライドワイヤ上で摺動可能に取付けられた状態に維持する。また、テンションスプリング322、323は、仙骨支持部材314を、背もたれの両側部間の中央に維持する。更にテンションスプリング322、323は、図12に示すように、延長プレート318、319を非係合位置に押圧する戻し力を発生する。
作動に際し、使用者は、仙骨支持部材の所望支持量を決定し、次に、この所望支持量が得られるように仙骨支持要素310を操作する。非係合位置において、仙骨支持部材314は、使用者の仙骨および仙骨領域に対して全く支持力を付与しないか、最小の支持力を付与する。所望ならば、使用者は、使用者の仙骨領域に大きい支持力を付与すべく、仙骨領域方向への仙骨支持部材314の位置を調節できる。図12に示すように、使用者は、仙骨支持部材314の位置を、最大支持力が得られる最大係合位置すなわち完全係合位置に調節できる。係合位置では、仙骨支持部材314は、スライドワイヤ326、327から約1.5〜3インチ離れる。仙骨支持部材314を係合位置に移動させるため、使用者は、アクチュエータケーブル354を駆動するモータ338を付勢する。この付勢により、延長プレート318、319の両端部318b、319が一緒に引張られ、これにより、これらの両端部が、スライドワイヤ326、327の中央部に向かって同時に内方に摺動される。アクチュエータケーブル354の付勢と同時に、仙骨支持部材314が使用者の仙骨領域に押される。
前述のように、仙骨支持部材314を、座った使用者の背中により形成される平面を越えて約3インチより大きい距離を移動させる必要がないことが判明している。従って、図12に示す仙骨支持要素310は、仙骨支持部材314を、座った使用者の背中による平面の前方に3インチまで最適移動させるように設計される。これにもかかわらず、本発明の他の実施形態は、仙骨支持部材314を、座った使用者の背中により形成される平面を越えて約3インチより大きい距離を移動させることができる。また、使用者に向かう仙骨支持部材314の全移動距離は、種々のファクタに基いて定まることに留意すべきである。例えば、例えば、仙骨支持部材314の全移動距離は、シートフレーム内でのスライドワイヤ326、327の位置、シートフレームのサイズ、シートを覆うのに使用される材料の種類、およびシートカバーと仙骨支持部材314との間に配置される任意のパッドの厚さに基いて変えることができる。これらの要素およびこれらの要素の組合せは、使用者の仙骨または仙骨−骨盤領域に作用する支持荷重の分散に付加的な影響を与える。
調節可能な仙骨支持部材314はまた、脊椎の腰椎領域の付加支持を行う腰椎支持体374と協働して使用することができる。詳細に前述したように、仙骨支持部材は、腰椎支持体374とは独立的にまたは腰椎支持体374と同時的に使用して、使用者の腰椎および腰椎領域の両方に種々のレベルの支持力を付与できる。同様に、骨盤支持体と協働するように、調節可能な仙骨支持部材314を使用することもできる。
図14〜図24には、本発明の第四の好ましい実施形態、より詳しくは調節可能な仙骨支持要素410が示されている。図14に示す調節可能な仙骨支持要素410は、概略的に、仙骨支持部材414と、終端部421、423を備えた弓状部材417と、スライドワイヤ429、431と、アクチュエータケーブル433とを有している。仙骨支持部材414は、弓状部材417に連結されている。弓状部材は、スライドワイヤを横切って、横方向に摺動するように構成された終端部を有している。アクチュエータケーブル433は、スライドブラケットをロッド上で摺動させる。より詳しくは、アクチュエータケーブルが引張られると、弓状部材の終端部が一緒に引張られる。これにより、弓状部材が使用者の方向に撓み、仙骨支持部材(および幾分かは弓状部材)を、使用者の仙骨−骨盤領域と係合させる。
図14は本発明の第四の好ましい実施形態を示し、この実施形態では、仙骨支持部材414が、使用者の仙骨および仙骨−骨盤の解剖学的構造を支持するように設計された支持面を形成している。仙骨支持部材414は、背もたれフレーム404の下方中央部に配置される。仙骨支持部材414は、ブラケットを介して弓状部材417に取付けられている。仙骨支持部材414は前述の実施形態に関連して述べた詳細な説明に従って形成されることに留意すべきである。仙骨支持部材414は好ましくは剛性でありかつ主として仙骨を支持するものであるため、仙骨支持部材414と使用者の仙骨領域との間に荷重分散材料を設けるのが好ましい。荷重分散材料は、前述の実施形態について行った詳細な説明に従って形成される。同様に、荷重分散材料は、前述の実施形態について行った詳細な説明で述べたように背もたれ内に配置される。
図14および図16に示すように、弓状部材417は真直スプリングを形成している。弓状部材417の両端部はロッド429、431上で一緒に摺動するとき、すなわち真直スプリングが圧縮されるとき、弓状部材の中央部は使用者の方向に撓む。弓状部材417が使用者の方向に撓むと、仙骨支持部材414は使用者の仙骨に対して大きい量の支持を与える。弓状部材417は、可撓性を有するが、使用者の仙骨により加えられる後向きの力に実質的に耐え得る材料で形成される。好ましい実施形態では、弓状部材417は、アルミニウムまたはプラスチック等の半剛性材料で形成される。図14に示すように、弓状部材が容易に撓み得るようにするため、切欠部分が設けられる。しかしながら、切欠の必要性の有無は、弓状部材の形成に使用される材料により決定される。剛性の大きい材料は切欠を必要とするが、剛性の小さい材料は切欠を省略できる。弓状部材の設計は、以下に詳述する支持力分散に関する原理の観点でも決定される。
使用者の仙骨−骨盤の解剖学的構造に付与される支持力分散は幾つかの態様で制御される。第一に、支持力の分散は、仙骨支持部材と弓状部材との間の距離を変えることにより制御できる。すなわち、全体的な仙骨−骨盤支持を行うには、仙骨支持部材414は弓状部材417上に直接取付けられる。この形態では、仙骨支持部材および弓状部材が、仙骨および腸骨に対して全体的支持を与える。これに対し、使用者の仙骨および腸骨に対して局部的支持を与えるには、図15に示すように、仙骨支持部材414が、1インチスペーサ418により弓状部材417から間隔を隔てられる。この形態では、仙骨支持部材は使用者の仙骨に対して局部的かつ比較的隔絶された支持を行い、一方、弓状部材は使用者の腸骨に対して比較的隔絶した支持を行う。一般に、仙骨支持部材と弓状部材との間の距離を変えることにより、仙骨、腸骨およびこれらの周囲組織に付与される支持のクオリティを変えることができる。
第二に、使用者の仙骨−骨盤の解剖学的構造に付与される支持力の分散は、弓状部材の設計を変えることにより制御できる。例えば、弓状部材は、全体的支持を行うため、図16に示すように、一体構造として形成できる。或いは、弓状部材は、仙骨−骨盤の解剖学的構造の輪郭に合わせることができる。他の例では、弓状部材は、使用者の腸骨を受入れることができる凹部を備えた形状にすることができる。
第三に、使用者の仙骨−骨盤の解剖学的構造に付与される支持力の分散は、荷重分散材料の設計、材料および配置により制御できる。例えば荷重分散材料は、図19に示すように、弓状部材に直接取付けられる中実材料415で形成できる。この形態は、使用者の仙骨−骨盤領域を横切る全体的な支持力分散を行う。或いは、より局部的な支持力分散を行うため、図17、図18および図20〜図23に示すように、荷重分散材料の輪郭を、使用者の仙骨−骨盤の解剖学的構造に合わせることができる。荷重分散材料は、図18、図20および図21に示すように、使用者の荷重を、腸骨を横切って分散させる形状にすることができる。或いは、荷重分散材料は、図17に示すように、使用者の荷重を、選択された骨盤領域を横切って分散させる形状にすることができる。図23に示すように、荷重分散材料は必ずしも必要ではない。それどころか、荷重分散材料は、使用者の骨盤の解剖学的構造に合わせて丸くすることもできる。
前述のように、背もたれの表面と使用者の解剖学的構造との間に適正な荷重分散およびダイナミックな表面一致性を得るのに、材料従来の支持材料を使用できる。このような支持材料として、圧縮発泡体、プラスチック、アルミニウム等の軽金属のストリップまたはこれらの組合せがある。図24には、仙骨−腸骨領域並びに隣接筋肉および組織を目標とする多次元支持を得るのに発泡体を使用する本発明の一実施形態が示されている。例えば図24に示すように、多次元支持は、第一密度をもつ発泡体470を、第二密度をもつ発泡体472に隣接して設けることにより達成できる。第三密度および第四密度をもつ付加発泡体474、476を設けることもできる。荷重分散材料は、背もたれカバー内に直接組込むか、背もたれカバーと仙骨支持部材との間に配置することができることに留意すべきである。また、発泡体の密度は、種々の乗り物シートを適正に支持できるように変えることができることにも留意すべきである。例えば、高密度発泡体すなわちより堅固な荷重分散材料は使用者が大きい重力を受ける乗り物用に使用でき、一方、より低密度(complacent)発泡体すなわち荷重分散材料は従来の乗り物に使用できる。
図14に示すように、弓状部材417は、スライドワイヤ429、431に摺動可能に取付けられた終端部421、423を有している。スライドワイヤ429、431は、背もたれフレーム404の下部に直接固定される。スライドワイヤ429、431は、仙骨支持部材414に対してもたれ掛かる使用者により加えられる後向きの力に部分的に耐えることができるが、一定限度で撓むこともできる材料(好ましくはスチール)で作られる。使用者が仙骨支持部材414に対してもたれ掛かると、使用者の仙骨が仙骨支持部材414に後向きの力を加える。この後向きの力は、弓状部材417によりスライドワイヤ429、431に分散される。この後向きの力により、スライドワイヤ429、431が撓まされる。スライドワイヤ429、431が撓むと、仙骨支持部材414が、使用者の仙骨の傾斜に実質的に等しい角度で後方に傾動する。この結果、仙骨支持部材414は、使用者の仙骨の自然の傾斜に自動的に順応すると同時に、調節可能な支持力を付与する。
図14に示すように、弓状部材417の終端部421、423は曲がって、鈍角を形成する。弓状部材417が非係合位置にあるとき、終端部は移動リミッタ445、447に当接する。弓状部材417が完全係合位置にあるときは、終端部421、423が移動リミッタ449、451に当接して、弓状部材417の撓みが制限される。従って、移動リミッタ449、451は、仙骨支持部材414が使用者の仙骨の方向に移動できる距離を制限できる。テンションスプリング457、461は、シートフレーム404に連結されかつ弓状部材417を、背もたれに対して適正に中心合わせされた状態に維持する。
図14に示すように、弓状部材417の終端部421、423は曲がって、鈍角を形成する。弓状部材417が非係合位置にあるとき、終端部は移動リミッタ445、447に当接する。弓状部材417が完全係合位置にあるときは、終端部421、423が移動リミッタ449、451に当接して、弓状部材417の撓みが制限される。従って、移動リミッタ449、451は、仙骨支持部材414が使用者の仙骨の方向に移動できる距離を制限できる。テンションスプリング457、461は、シートフレーム404に連結されかつ弓状部材417を、背もたれに対して適正に中心合わせされた状態に維持する。
前述のように、仙骨支持部材414を、使用者の背中により形成される平面を越えて約3インチより大きい距離を移動させる必要がないことが判明している。従って、仙骨支持要素410は、仙骨支持部材414を、座った使用者の背中による平面の前方に3インチまで最適移動させるように設計される。しかしながら、本発明の他の実施形態は、仙骨支持部材414を、使用者の背中により形成される平面を越えて約3インチより大きい距離を移動させることができる。また、使用者に向かう仙骨支持部材414の全移動距離は、幾つかのファクタに基いて定まることに留意すべきである。例えば、例えば、仙骨支持部材414の全移動距離は、シートフレーム内でのスライドワイヤ429、431の位置、シートフレームのサイズ、シートを覆うのに使用される材料の種類、およびシートカバーと仙骨支持部材414との間に配置される任意のパッドの厚さに基いて変えることができる。これらの要素およびこれらの要素の組合せは、使用者の仙骨または仙骨−骨盤領域に作用する支持荷重の分散に付加的な影響を与える。
図14に示すように、アクチュエータケーブル354は、仙骨支持部材314を係合位置と非係合位置との間で移動させるように設けられている。アクチュエータケーブル433は、ケーブルハウジング466内に収容されている。ケーブルハウジング466の一端は、終端部423を通って該終端部423に連結されている。アクチュエータケーブル433は、終端部423の孔を通って、クランプ434により終端部421に固定されている。ケーブルハウジング466は、ルーズフィットコネクタ455を介して終端部423に連結されている。アクチュエータケーブルを引張るのに、従来のモータ457が使用される。或いは、従来の手動調節機構を使用してアクチュエータケーブルを制御することができる。
作動に際し、使用者は、仙骨支持部材の所望支持量を決定し、次に、この所望支持量が得られるように仙骨支持要素410を操作する。非係合位置において、仙骨支持部材414は、使用者の仙骨および仙骨領域に対して全く支持力を付与しないか、最小の支持力を付与する。所望ならば、使用者は、使用者の仙骨領域に大きい支持力を付与すべく、仙骨領域方向への仙骨支持部材414の位置を調節できる。図16および図23に示すように、使用者は、仙骨支持部材414の位置を、最大支持力が得られる最大係合位置すなわち完全係合位置に調節できる。係合位置では、仙骨支持部材414は、スライドワイヤ429、431から約1.5〜3インチ離れる。仙骨支持部材414を係合位置に移動させるため、使用者は、アクチュエータケーブル433を駆動する巻上げモータ457を付勢する。この付勢により、弓状部材417の終端部421、423が一緒に引張られ、これにより、これらの終端部が、スライドワイヤ429、431の中央部に向かって内方に摺動される。従って、アクチュエータケーブル433の付勢により、仙骨支持部材414が使用者の仙骨領域に向かって押される。仙骨支持部材414を離脱させるには、使用者は、巻上げモータを作動させて、アクチュエータケーブル433を解放する。アクチュエータケーブルが解放されると、弓状部材および仙骨支持部材が非係合位置に戻される。
調節可能な仙骨支持要素410はまた、脊椎の腰椎領域の付加支持を行う腰椎支持体と協働するようにして使用することもできる。本発明の前述の実施形態に関連して説明したように、仙骨支持要素410は腰椎支持体とは独立的にまたは同時的に使用して、使用者の腰椎および仙骨領域の両方に対する支持レベルを変えることができる。同様に、調節可能な仙骨支持部材414は、骨盤支持体と協働するようにして使用することもできる。
図25〜図29には、本発明の第五の好ましい実施形態、より詳しくは調節可能な仙骨/腰椎支持要素510が示されている。この第五の好ましい実施形態は、少なくとも3つの異なる形態で構成できる。図25〜図27に示す第一形態は、使用者が、単一スイッチを用いて仙骨支持部材および腰椎支持部材を同期的に作動することを可能にする。図28に示す第二形態は、使用者が、第一スイッチを用いて仙骨支持部材および腰椎支持部材を同期的に作動すること、および第二スイッチを用いて仙骨支持部材を微調整することを可能にする。図29に示す第三形態は、使用者が、一方のスイッチを用いて仙骨支持部材を、かつ他のスイッチを用いて腰椎支持部材を独立的に制御することを可能にする。
図25に示す調節可能な仙骨/腰椎支持要素510は、概略的に、背もたれフレーム504と、仙骨支持部材514と、腰椎支持部材505と、トグルプレート520と、荷重分散材料(図示せず)とを有している。概略的に、仙骨支持部材514は、ヒンジ516を介して腰椎支持部材505に取付けられている。腰椎支持部材505の下部並びに仙骨支持部材514の作動機構は、シートフレーム504に取付けられる。トグルプレート520は、腰椎支持部材505および仙骨支持部材514の両方の作動を同期的に制御する。従って、作動に際し、使用者は、単一スイッチを使用して、腰椎支持部材および仙骨支持部材を同時的に作動させることができる。図25および図26に示すように、仙骨支持部材514は、使用者の仙骨および仙骨−骨盤の解剖学的構造を使用する。前述の実施形態におけるように、仙骨支持部材514は、使用者の仙骨にほぼ一致する。仙骨支持部材514は、該仙骨支持部材514の前面が、座った人の仙骨領域に一致するようにして、背もたれ内に配置される。すなわち、仙骨支持部材514は、背もたれフレーム504の下方中央部に配置される。図26に最も良く示すように、仙骨支持部材514の上部はヒンジ516を介して、腰椎支持部材505に取付けられている。ヒンジ516は、腰椎支持部材505にロウ付される従来のヒンジである。仙骨支持部材514は、スチール、プラスチックまたはカーボンファイバ等の実質的な剛性材料で形成するのが好ましいが、同等の支持レベルが得られる材料を使用することもできる。また、上記実施形態に関連して上述した原理に従って、使用者と仙骨支持部材との間には荷重分散材料およびクッションを設けるのが好ましい。
仙骨支持部材514は、該仙骨支持部材の後ろに配置されたレバーアームにより、完全係合位置に移動される。図26に示すように、レバーアーム550は、仙骨支持部材514を完全係合位置に駆動するのに使用される。レバーアーム550は、前縁部と、後縁部を形成する後方リップとを備えたフラット部材として形成される。レバーアームの摺動を容易にするため、仙骨支持部材514の後面には潤滑剤または潤滑性表面を設けることができる。レバーアーム550は、スチール、プラスチックまたはカーボンファイバ等の剛性材料で形成される。図26に示すように、レバーアーム550は、背もたれフレーム204に取付けられた取付けブラケット554に、ピン564を介して枢着されている。また、ピン564の回りには、レバーアーム550を非係合位置に戻すための戻しスプリングが設けられている。
腰椎支持体505は、使用者の解剖学的構造の腰椎領域に対する調節可能な支持を行う。図26に示すように、腰椎支持部材505の下部は、取付けブラケット554を介して、背もたれフレーム504に固定されている。腰椎支持部材505の下部は、例えばロウ付により背もたれフレーム504に連結できる。腰椎支持部材505の上部は、ガイドロッド509に摺動可能に連結されている。この構成により、腰椎支持部材が下方に摺動するときに、腰椎支持部材の中央部が使用者の方向に弓なりになる。
図27に示すように、仙骨/腰椎支持要素510は、仙骨支持部材および腰椎支持部材の両方を、単一スイッチにより同期的に操作できる。より詳しくは、単一スイッチにより巻上げモータ507を付勢すると、該モータ507がアクチュエータワイヤ580を引張る。アクチュエータワイヤ580は、ケーブルハウジング581に通されている。ケーブルハウジングは、ルーズフィットコネクタを介して、腰椎支持部材505の上部に固定されている。この形態では、アクチュエータワイヤ580の終端部がトグルプレート520に直接連結され、かつ該トグルプレート520の移動を制御する。次に、トグルプレート520がロッド532およびスプリング524の移動を制御する。ロッド532およびスプリング524は、それぞれ、仙骨支持部材514および腰椎支持部材505を制御する。図27に最も良く示すように、ロッド532の第一端部はトグルプレート520に連結され、第二端部はレバー550に連結されている。作動に際し、使用者は、巻上げモータを制御する単一スイッチを付勢することにより、仙骨支持部材および腰椎支持部材の両方を制御できる。これにより、仙骨支持部材および腰椎支持部材は、単一スイッチにより同期的に作動される。
図33〜図36には、単一スイッチが、腰椎支持部材705により仙骨支持部材714を同期的に駆動させるべく作動できる単一スイッチ形態の変更例が示されている。図33には、ベルクランクの作用により作動される仙骨支持部材714が示されている。ベルクランク機構は、概略的に、ベルクランク769と、ストラップ773と、戻しスプリング779と、アクチュエータワイヤ732と、巻上げモータ711とを有している。図33はまた、腰椎支持部材705を示している。概略的に、腰椎支持部材705は、アクチュエータケーブル780および巻上げモータ707により作動される。両巻上げモータ711、707は、単一制御機構またはスイッチにより作動される。
図34に示すように、仙骨支持部材714はベルクランク機構により作動される。ベルクランク機構は、第一端部を備えた細長い剛性ストラップ773を有している。ストラップ773の第一端部は、仙骨支持部材714の下部に枢着されている。図35に最も良く示すように、ストラップ773の第二端部には複数の孔が設けられており、仙骨支持部材714が作動される最大距離および角度を調節できるようにしている。ストラップ773の第二端部は、ベルクランク769に連結されている。
図34に最も良く示すように、ベルクランク769は、ほぼ半円形の比較的平らなスチールピースである。枢着ピン785は、例えば溶接により、ベルクランク769の上面に位置する中心回転位置に固定されている。枢着ピン785はスリーブ783内に配置され、かつナット767によりスリーブ783内に配置される。スリーブ783は、例えば溶接により、背もたれフレーム704に固定されている。従って、ベルクランクは中心軸線の回りで回転できる。またベルクランク769には、ストラップ773の第二端部を受入れることができる切欠部分が設けられている。また、ベルクランク769はタブ795を有し、該タブ795には、図36に最も良く示すように、アクチュエータケーブル732が連結されている。図33、図35および図36に示すように、アクチュエータケーブル732は、スプリング771によりフレーム704に固定されたケーブルハウジング781を通って配置されている。
アクチュエータケーブル732は、モータ711により駆動すなわち巻上げられ、これによりベルクランク769を第一方向に回転させる。ベルクランク769の第一方向への回転により、ストラップ773が使用者の方向に移動され、最終的には仙骨支持部材714が使用者の方向に移動される。図36には、仙骨支持部材714が完全係合位置にあるところ、すなわちアクチュエータケーブル732がモータ711により巻上げられて、ストラップ773が使用者の方向に完全に押出されたところが示されている。
これとは逆に、図35には、仙骨支持部材714が完全後退位置にあるところが示されている。完全押出位置(図36)から完全後退位置(図35)に戻すには、モータ711によりアクチュエータケーブル732を繰出す。アクチュエータケーブル732がモータ711により繰出されると、テンションスプリングすなわち戻しスプリング779がベルクランク769を第二方向に回転させる。より詳しくは、戻しスプリング779の第一端部が、タブ795に隣接して、フックまたはロウ付によりベルクランク769に連結されている。戻しスプリング779の第二端部は、同じ態様で背もたれフレーム704に連結されている。戻しスプリング779が発生する戻し力は、該戻しスプリングがベルクランク769に連結される位置を変えることにより適度に調節できることに留意すべきである。例えば、戻しスプリングとベルクランクとの間の連結位置が幾分半径方向内方(ピン785に向かう方向)に移動されると、仙骨支持部材が使用者の方向に押出されるときの戻し力が小さくなる。逆に、戻しスプリングとベルクランクとの間の連結位置が幾分半径方向外方(ピン785から離れる方向)に移動されると、仙骨支持部材が使用者の方向に押出されるときの戻し力が大きくなる。
図33に示すように、腰椎支持部材705は、1対のロッド709上で摺動可能に配置されている。ロッド109の上端部はクロスメンバ777に連結され、下端部はクロスメンバ704に連結されている。ロッド109の位置および剛性、クロスメンバ777およびクロスメンバ704は、仙骨/腰椎支持要素710に後ろ向きの力が加えられたときに該要素710により移動される距離を制御すべく変えることができる。例えば、剛性ロッドが使用される場合に、仙骨/腰椎支持要素710は、これに後ろ向きの力が加えられるときに比較的小さい距離を移動する。或いは、可撓性ロッドが使用される場合には、仙骨/腰椎支持要素710は、これに後ろ向きの力が加えられるときに比較的大きい距離を移動する。従って、当業者ならば理解されようが、所与の乗り物での意図した使用が、選択されるロッドまたはクロスメンバの形式に影響を与える。例えば、車椅子用途には比較的可撓性の大きいロッドおよびクロスメンバが使用され、これに対し、スポーツカー用途には比較的可撓性の大きいロッドおよびクロスメンバが使用される。
更に図33に示すように、腰椎支持機構は、概略的に、腰椎支持部材705と、アクチュエータケーブル780と、テンションスプリング724と、ケーブルハウジング781と、モータ707とを有している。ケーブルハウジング781の第一端部は、スプリング724を介して、腰椎支持部材705のの頂部に連結されている。アクチュエータケーブル780は、ケーブルハウジング781に通されて、一端が腰椎支持部材705の底部に連結されている。これにより、モータ707を使用してアクチュエータケーブル780を巻上げ、腰椎支持部材705を使用者の方向に傾斜させて腰椎支持を行うことができる。
図33に示すように、腰椎支持部材705の下部は、ヒンジ716を介して仙骨支持部材714に連結されている。これにより、腰椎支持部材705および仙骨支持部材714の両者の同期作動が可能になる。また、ヒンジ716は、仙骨支持部材714の下部が、上部よりも使用者に一層近付けることを可能にする。従って、仙骨支持部材714は、使用者の仙骨領域の自然角度に有益に一致する角度で作動される。
図33に示すように、腰椎支持部材705の下部は、ヒンジ716を介して仙骨支持部材714に連結されている。これにより、腰椎支持部材705および仙骨支持部材714の両者の同期作動が可能になる。また、ヒンジ716は、仙骨支持部材714の下部が、上部よりも使用者に一層近付けることを可能にする。従って、仙骨支持部材714は、使用者の仙骨領域の自然角度に有益に一致する角度で作動される。
仙骨支持部材714および腰椎支持部材705を同期的に作動させるため、両モータ707、711は同じスイッチまたは制御装置により制御される。制御装置は、両モータにより両アクチュエータケーブルを同時に巻上げさせて、両支持体を使用者の背中の方向に移動させる巻上げ位置を有している。また制御装置は、両モータにより両アクチュエータケーブルを繰出させて、両支持体を使用者の背中から後退させる繰出位置を有している。また、制御装置は、両モータがスイッチ・オフの状態にあるスタンバイ位置を有している。制御装置は、使用者が片手で容易に操作できるように配置するのが好ましい。或いは、当業者には明らかなように、この実施形態はモータを用いないで手動操作されるように構成できる。
前述のように、仙骨支持部材は、使用者の仙骨の自然傾斜に自動的に順応すると同時に、調節可能な支持力を付与する。仙骨支持部材はまた、背もたれの前面に対して傾斜した方向に自動的順応できる。例えば、仙骨支持部材は、使用者が向いている方向に対して自動的に順応する。このような調節は、例えば後方からの衝撃が加えられたときまたは追突されたときに優れた力分散を行う。
また、本発明の仙骨/腰椎支持要素は、背もたれが種々のもたれ掛り位置または直立位置に亘って移動されるときでも支持を行うことができる。従って、部分的にもたれ掛かった位置でも、使用者は調節可能な仙骨/腰椎支持を受けることができる。実際に、仙骨/腰椎支持要素は、広範囲の背もたれ形態および座部形態に亘って調節可能な支持が行えるように構成できる。
図28に示すように、仙骨/腰椎支持要素510の第二形態は、巻上げモータ507を作動させる第一スイッチまたは制御装置を用いて、仙骨支持部材および腰椎支持部材の両方を同期的に作動させることができる。この点に関し、この実施形態は、第五実施形態の第一形態に関連して説明したように構成されている。しかしながら、この第二形態には、第二巻上げモータ511を作動させることにより、腰椎支持部材とは独立して仙骨支持部材514の位置を微調整する能力が付加されている。これは、トグルプレート520の位置をオーバーライドする機構を設けることにより達成される。より詳しくは、第二モータ511は、ケーブルハウジング583を通るアクチュエータワイヤ582を制御する。ケーブルハウジング583はルーズフィットコネクタを介してトグルプレート520に固定される。アクチュエータワイヤ582の終端部はレバーアーム550に直接連結されている。これにより、作動に際し、使用者は、第一巻上げモータ507を作動させる第一スイッチを付勢することにより、仙骨支持部材および腰椎支持部材の両方を作動させることができる。仙骨支持部材の位置を更に調節すなわち微調整するため、使用者は、第二巻上げモータ511を作動させる第二スイッチまたは制御装置を付勢できる。
図29に示すように、仙骨支持部材510の第三形態は、仙骨支持部材および腰椎支持部材の両方の完全独立作動を行うものである。第一スイッチは腰椎支持部材のみを作動させ、第二スイッチは仙骨支持部材のみを作動させる。この形態では、ケーブルハウジング583は、ルーズフィットコネクタを介して、トグルプレート520ではなく取付けブラケット554に固定される。これにより、仙骨支持部材および腰椎支持部材の両方を別々に作動させることができる。かくして、作動に際し、使用者は、所望量の仙骨支持または腰椎支持を、特別にかつ独立的に選択しかつ設定することができる。
図30〜図32には、本発明の第六実施形態、より詳しくは調節可能な仙骨支持要素610が示されている。この第六実施形態は、概略的に、背もたれフレーム604に取付けられた膨張可能なブラダー(袋)664と、ブラダー664を膨張させるためのポンプ632と、ブラダー664の前面に取付けられた仙骨支持部材614とを有している。作動に際し、使用者はスイッチを操作して、ポンプによりブラダーを膨張させる。ブラダーは、膨張されると拡大する。ブラダーが拡大すると、ブラダーは、仙骨支持部材を使用者の方向に押しやる。
図30および図31に示すように、仙骨支持部材614は、使用者の仙骨および仙骨−骨盤の解剖学的構造を支持する。前述の実施形態におけるように、仙骨支持部材の設計は、使用者の仙骨にほぼ一致する。仙骨支持部材614は、該仙骨支持部材614の前面が、座った人の仙骨領域に一致するようにして背もたれ内に配置される。すなわち、仙骨支持部材614は、背もたれフレーム604の下方中央部に配置される。図31に最も良く示すように、仙骨支持部材614の後面部分はブラダー664に取付けられている。仙骨支持部材514は、スチール、プラスチックまたはカーボンファイバ等の実質的な剛性材料で形成するのが好ましいが、同等の支持レベルをもつ材料を使用することもできる。仙骨支持部材614の後面は、例えば、仙骨支持部材およびブラダーに使用される特定材料に適した従来の接着剤によりブラダーに連結できる。また、前述の実施形態に関連して説明した原理に従って、使用者と仙骨支持部材との間に荷重分散材料およびクッションを設けるのが好ましい。
仙骨支持部材614は、ブラダー664により完全係合位置に移動される。図31に示すように、ブラダー664は、流体ブラダーとして使用するのに適した耐久性プラスチック材料で形成される。ブラダー664は、ブラダーのチャンバ型アコーディオン状部分に連通しているチャンバ型ピロー状部分を有している。図32に示すように、ブラダーの形状は、変化する支持レベル、フィット性、骨盤コントロール、快適性および良い姿勢を得るため変えることができる。また、ブラダーの形状は、図32に示すように、仙骨支持および仙骨/骨盤支持、および前後方向の姿勢の安定性を与えるチャンバを備えた構造になっている。更に図32に示すように、チャンバ型ブラダーは、PSISの重なりを与えるように構成できる。
ブラダーの後面は、背もたれフレームに固定される取付けブラケットに連結される。図30および図31に示すように、ブラダー664は、更に膨張ポート665を有している。標準空気ホースが、側方膨張ポート665と空気ポンプ632とを連結する。図30に示すように、本発明では従来のエアポンプ632を使用して、ブラダー664の膨張または収縮を行なうことができる。エアポンプ632は、膨張位置および収縮位置を備えた標準スイッチにより操作できる。作動に際し、使用者は、ブラダーへの空気の供給を制御することにより、仙骨支持または仙骨−骨盤支持のレベルを制御する。より詳しくは、使用者は、スイッチを膨張位置に移動させることにより、空気をブラダーに入れかつ仙骨支持部材と係合させることができる。或いは、使用者は、スイッチを収縮位置に移動させることにより、ブラダーから空気を除去し、これにより仙骨支持部材を離脱させることができる。ブラダーの形態、形状および作動構造は、例えば、仙骨支持部材が使用される乗り物の形式に基いて変更することができる。
図38〜図40には、本発明の好ましい第八実施形態、より詳しくは調節可能な仙骨支持要素810が示されている。図38に示す調節可能な仙骨支持要素810は、概略的に、仙骨支持部材814と、仙骨支持部材ベース804と、レバー820、830と、平行バー840と、プルケーブル組立体とを有している。概略的に、プルケーブル組立体854は、レバー820、830を枢着ピンの回りで回転させる。レバーが回転すると、仙骨支持部材814が、使用者の仙骨領域に向かって押圧される。
図38に示すように、仙骨支持部材814は、仙骨支持部材ベース804に取付けられている。前述のように、仙骨支持部材814の頂部の幅は、使用者の仙骨ベースのレベルでの使用者の仙骨の幅の3倍の大きさから、使用者の仙骨ベースのレベルでの使用者の仙骨の幅にほぼ等しい大きさまで変えることができる。仙骨支持部材814の幅は、仙骨支持部材814の頂部から底部まで徐々に減少する。仙骨支持部材の底部の幅は、該底部に一致するレベルでの使用者の仙骨の幅に等しいか、これより僅かに大きい。しかしながら、前述のように、仙骨支持部材814の寸法は、種々のファクタに基いて変えることができる。
図39に最も良く示すように、仙骨支持部材814はベース部材804に取付けられている。仙骨支持部材814は、ベース部材804と一体に形成することもできる。ベース部材804は、スチール、プラスチックまたはカーボンファイバ等の剛性材料で形成される。ベース部材804には、スロット812、813が設けられている。図39に示すように、スロット812、813は、それぞれ、枢着ロッド834およびピン864用のチャネルまたはトラックを形成する。枢着ロッド834およびピン864は、図39および図40に示すように圧嵌めされる。これらのスロットは、仙骨支持部材が操作される限界移動経路および方向に相関関係を有している。図38および図40には、仙骨支持部材814が、取付けブラケット802に対して垂直な真直経路に沿って移動する構成の本発明の一実施形態が示されている。スロットの寸法を変えることにより、仙骨支持部材の移動経路および方向を変えることができる。例えば、スロット812は、非真直、例えばC型またはS型として、仙骨支持部材814に異なる移動経路を与えることができる。
図39および図40に更に示すように、レバー820、830は、それぞれ、ロッド842、834により取付けブラケット802に固定される。より詳しくは、レバー820は、取付けブラケット802内に枢着される。平行バー840は、両レバー820、830を相互連結するのに使用される。より詳しくは、平行バー840は、両レバー820、830の同期移動を生じさせ、従って、仙骨支持部材814の円滑かつ直接的作動を生じさせる。
また、図38〜図40には、仙骨支持部材を作動させるのに使用される駆動システムが示されている。図示の駆動システムは、ケーブル組立体と、ケーブルガイドと、クロスプレートと、圧縮スプリングと、スプリングキャップとを有している。ケーブル組立体854は、スプリング850およびクロスプレート865に設けられた中央孔に軸線方向に挿通される。図40に示すように、スプリングキャップ853は、ケーブル組立体854をスプリング850に固定する。このような構成で、ケーブル組立体854がケーブルガイド860を通して引張られると、スプリング850とクロスプレート865との間に圧力が発生する。スプリング850に貯えられる力が、背もたれにより加えられる外力を超えると、平行バー840がケーブルガイド860に向かって移動する。
前記実施形態に関連して上述したように、ケーブル組立体はモータによりまたは手動により付勢できることに留意すべきである。他の1つの駆動システムとして、仙骨支持部材の動力駆動ではなく、手動駆動が行える従来のロータリカムドライブがある。他の駆動システムとして、ウォームドライブおよびチェーンドライブがある。実際に、平行バーを移動させることができる多くの他の駆動システムを、図38〜図40の実施形態と組合せて使用することができる。また、仙骨支持部材は、本発明の前述の実施形態に関連して詳細に説明したように、仙骨支持部材は、腰椎支持部材と同期的または独立的に機能するように構成できることに留意すべきである。
作動に際し、使用者は、仙骨の所望支持量を決定し、次に、仙骨支持要素810を作動して、前記所望の仙骨支持量を与える。非係合位置では、仙骨支持部材814は、使用者の仙骨または仙骨領域を全く支持しないか、最小の支持を与える。所望ならば、使用者は、使用者の仙骨領域方向への仙骨支持部材814の位置を調節して、仙骨領域に対する支持を増大させることができる。図39に示すように、使用者は、仙骨支持部材814の位置を、最大支持を与える最大位置すなわち完全係合位置に調節することができる。仙骨支持部材814を係合位置に移動させるには、使用者は、ケーブル組立体854を付勢するモータを作動させる。この付勢により平行バー840が後退され、これにより、レバー820、830が、それぞれ、枢着ピン822、832の回りで反時計回り方向に回転される。ベース部材804は、取付けブラケット802の方向に移動する。アクチュエータケーブル854を付勢すると、同時的に、仙骨支持部材314が使用者の仙骨領域に向かって押される。
使用者が仙骨支持部材814にもたれ掛かると、使用者の仙骨が、仙骨支持部材814に後ろ向きの力を加える。この後ろ向きの力は、レバー820、830に分散される。この力は、レバー820、830を時計回り方向に回転させる。レバー820、830が時計回り方向に回転すると、仙骨支持部材314が、使用者の仙骨の傾斜に実質的に等しい角度で後方に傾動する。この結果、仙骨支持部材314は、使用者の仙骨の自然の傾斜に自動的に順応し、同時に、調節可能な支持力を付与する。実際に、調節可能な支持力は、使用者に対する衝撃吸収も行う。特に、調節可能な支持力は、種々の座り環境の要求に応じて、圧縮スプリングのサイズまたは剛さを変えることにより適合させることができる。
前述のように、仙骨支持部材を、座った使用者の背中により形成される平面を越えて約3インチより大きい距離を移動させることは不要であることが判明している。従って、図38に示す仙骨支持要素810は、仙骨支持部材814を、座った使用者の背中により形成される平面の3インチ前方まで最適移動させるように設計される。それにもかかわらず、本発明のこの変更形態は、仙骨支持部材814を、使用者の背中により形成される平面を越えて3インチより大きい距離を移動させることができる。また、使用者の方向への仙骨支持部材814の全移動距離は種々のファクタに基いて定まることに留意すべきである。例えば、仙骨支持部材814の全移動距離は、シートフレームのサイズ、シートを覆うのに使用される材料の種類、およびシートカバーと仙骨支持部材814との間に配置される任意のパッドの厚さに基いて変えることができる。これらの要素および要素の組合せは更に、使用者の仙骨または仙骨−骨盤領域上の支持荷重の分散に影響を与える。
前述のように、仙骨支持部材を、座った使用者の背中により形成される平面を越えて約3インチより大きい距離を移動させることは不要であることが判明している。従って、図38に示す仙骨支持要素810は、仙骨支持部材814を、座った使用者の背中により形成される平面の3インチ前方まで最適移動させるように設計される。それにもかかわらず、本発明のこの変更形態は、仙骨支持部材814を、使用者の背中により形成される平面を越えて3インチより大きい距離を移動させることができる。また、使用者の方向への仙骨支持部材814の全移動距離は種々のファクタに基いて定まることに留意すべきである。例えば、仙骨支持部材814の全移動距離は、シートフレームのサイズ、シートを覆うのに使用される材料の種類、およびシートカバーと仙骨支持部材814との間に配置される任意のパッドの厚さに基いて変えることができる。これらの要素および要素の組合せは更に、使用者の仙骨または仙骨−骨盤領域上の支持荷重の分散に影響を与える。
図41〜図43には、本発明の好ましい第九実施形態、より詳しくは調節可能な仙骨支持要素910が示されている。図41に示す調節可能な仙骨支持要素910は、概略的に、仙骨支持部材914と、仙骨支持部材ベース904と、ピッチポール920、930と、平行バー940と、プルケーブル組立体954とを有している。概略的に、プルケーブル組立体954は、レバーを枢着ピンの回りで回転させる。レバーが回転すると、仙骨支持部材814が、使用者の仙骨領域に向かって押圧される。
図41〜図43に示す仙骨支持部材914は、本発明の前述の実施形態に関連して説明した仙骨支持部材と同様なサイズ、形状および構造である。仙骨支持部材914は、図38に示したベース部材904と同様なベース部材に取付けられる。より詳しくは、ロッド964は、仙骨支持部材914およびベース部材904を回転可能に固定する。或いは、仙骨支持部材914およびベース部材904は単一の一体ピースとして形成できる。ベース部材904は、スチール、プラスチックまたはカーボンファイバ等の剛性材料で形成され、かつピッチポール920、930を回転可能に受入れる。
ピッチポール920、930は、取付けブラケット902の壁内に摺動可能に配置される。概略的に、ピッチポールは、該ピッチポールの一端が取付けブラケットから離れる方向に摺動するように構成されている。この構成を達成するため、図42に示すように、ロッド934が、ピッチポール920、930内に圧嵌めされる。次にロッド934は、図42に示すように、それぞれのスロット92内に配置される。また、平行バー940がピッチポール920、930を相互連結する。平行バー940は、ピン962によりピッチポール920、930に回転可能に固定される。図42に示すように、ピン962の端部は、それぞれのスロット913内に摺動可能に配置される。従って、ピッチポールは、取付けブラケットに対して同時に摺動しかつ同期的に作動する。ロッド934、962はそれぞれスロット913、912に追従し、ピッチポールの自由端は、取付けブラケットから離れる方向のほぼ真直な経路内に配置される。
図41および図42には、仙骨支持部材を作動させるのに使用される駆動システムが示されている。図示の駆動システムは、ケーブル組立体と、ケーブルガイドと、クロスプレートと、圧縮スプリングと、スプリングキャップとを有している。ケーブル組立体954は、スプリング950およびクロスプレート965に設けられた中央孔に軸線方向に挿通される。図42に示すように、スプリングキャップ953は、ケーブル組立体954をスプリング950に固定する。このような構成で、ケーブル組立体954がケーブルガイド960(図40に示す)を通して引張られると、スプリング950とクロスプレート965との間に圧力が発生する。スプリング950に貯えられる力が、背もたれにより加えられる外力を超えると、平行バー940がケーブルガイド960に向かって移動する。
前記実施形態に関連して上述したように、ケーブル組立体はモータによりまたは手動により付勢できることに留意すべきである。他の1つの駆動システムとして、仙骨支持部材の動力駆動ではなく、手動駆動が行える従来のロータリカムドライブがある。他の駆動システムとして、ウォームドライブおよびチェーンドライブがある。実際に、平行バーを移動させることができる多くの他の駆動システムを、図41〜図43の実施形態と組合せて使用することができる。また、仙骨支持部材は、本発明の前述の実施形態に関連して詳細に説明したように、仙骨支持部材は、腰椎支持部材と同期的または独立的に機能するように構成できることに留意すべきである。
作動に際し、使用者は、仙骨の所望支持量を決定し、次に、仙骨支持要素910を作動して、前記所望の仙骨支持量を与える。非係合位置では、仙骨支持部材914は、使用者の仙骨または仙骨領域を全く支持しないか、最小の支持を与える。所望ならば、使用者は、使用者の仙骨領域方向への仙骨支持部材914の位置を調節して、仙骨領域に対する支持を増大させることができる。図41に示すように、使用者は、仙骨支持部材914の位置を、最大支持を与える最大位置すなわち完全係合位置に調節することができる。仙骨支持部材914を係合位置に移動させるには、使用者は、ケーブル組立体954を付勢するモータを作動させる。この付勢により平行バー940が後退され、これにより、ピッチポール920、930の自由端が取付けブラケット902から引離される。
使用者が仙骨支持部材914にもたれ掛かると、使用者の仙骨が、仙骨支持部材914に後ろ向きの力を加える。この後ろ向きの力は、ピッチポール920、930に分散される。この力は、ピッチポール920、930を時計回り方向に回転させる。ピッチポール920、930が時計回り方向に回転すると、仙骨支持部材914が、使用者の仙骨の傾斜に実質的に等しい角度で後方に傾動する。この結果、仙骨支持部材314は、使用者の仙骨の自然の傾斜に自動的に順応し、同時に、調節可能な支持力を付与する。実際に、調節可能な支持力は、使用者に対する衝撃吸収も行う。特に、調節可能な支持力は、種々の座り環境の要求に応じて、圧縮スプリングのサイズまたは剛さを変えることにより適合させることができる。
前述のように、仙骨支持部材を、座った使用者の背中により形成される平面を越えて約3インチより大きい距離を移動させることは不要であることが判明している。従って、図42および図43に示す仙骨支持要素910は、仙骨支持部材814を、座った使用者の背中により形成される平面の3インチ前方まで最適移動させるように設計される。それにもかかわらず、本発明のこの変更形態は、仙骨支持部材914を、使用者の背中により形成される平面を越えて3インチより大きい距離を移動させることができる。また、使用者の方向への仙骨支持部材914の全移動距離は種々のファクタに基いて定まることに留意すべきである。例えば、仙骨支持部材914の全移動距離は、シートフレームのサイズ、シートを覆うのに使用される材料の種類、およびシートカバーと仙骨支持部材914との間に配置される任意のパッドの厚さに基いて変えることができる。これらの要素および要素の組合せは更に、使用者の仙骨または仙骨−骨盤領域上の支持荷重の分散に影響を与える。
図36を参照して詳細に上述したように、使用者の仙骨の解剖学的構造は、シートのトリムパッケージ、背もたれクッションおよび/または仙骨支持力付与装置を変更することにより特別に支持することができる。究極的には、特別な仙骨支持により、使用者の快適性、効率、強度、筋肉コントロールおよび耐久力が得られる。
以上図示しかつ説明した実施形態は例示であって、限定するものではない。本発明の範囲は、個々の実施形態についての図示および上記説明によって定められのではなく、特許請求の範囲の記載により定められる。本発明は、本発明の精神から逸脱することなく、他の特別な形態に具現できる。例えば、他の調節機構を本発明に使用できる。また、荷重分散材料およびこの関連構造の形状および構造は、変更することができると同時に、好ましい機能性を達成できる。例えば、別々のクッション、荷重分散材料および仙骨支持部材の代わりに、一体構造を使用することもできる。本発明の原理に従って、仙骨支持部材と使用者との間に、付加クッションおよび荷重分散材料を配置することができる。他の変更形態では、クッションまたは荷重分散材料には、例えば仙骨支持部材または腸骨のPSISを受入れることができる切欠部分を設けることができる。更に別の形態では、荷重分散材料は、荷重分散材料が、腸骨のPSISの一部を支持するか、覆うように構成できる。更に別の実施形態では、荷重分散材料および/またはクッションを完全に省略することができる。他の実施形態では、腸骨のPSISに対応する1対の支持体を後ろ向き方向に選択的に調節して、中央の仙骨支持領域を形成することもできる。従って、特許請求の範囲に包含されるこれらの変更および他の変更も本発明に含まれるものである。
以上図示しかつ説明した実施形態は例示であって、限定するものではない。本発明の範囲は、個々の実施形態についての図示および上記説明によって定められのではなく、特許請求の範囲の記載により定められる。本発明は、本発明の精神から逸脱することなく、他の特別な形態に具現できる。例えば、他の調節機構を本発明に使用できる。また、荷重分散材料およびこの関連構造の形状および構造は、変更することができると同時に、好ましい機能性を達成できる。例えば、別々のクッション、荷重分散材料および仙骨支持部材の代わりに、一体構造を使用することもできる。本発明の原理に従って、仙骨支持部材と使用者との間に、付加クッションおよび荷重分散材料を配置することができる。他の変更形態では、クッションまたは荷重分散材料には、例えば仙骨支持部材または腸骨のPSISを受入れることができる切欠部分を設けることができる。更に別の形態では、荷重分散材料は、荷重分散材料が、腸骨のPSISの一部を支持するか、覆うように構成できる。更に別の実施形態では、荷重分散材料および/またはクッションを完全に省略することができる。他の実施形態では、腸骨のPSISに対応する1対の支持体を後ろ向き方向に選択的に調節して、中央の仙骨支持領域を形成することもできる。従って、特許請求の範囲に包含されるこれらの変更および他の変更も本発明に含まれるものである。
10 仙骨支持要素
14 仙骨支持部材
50 レバーアーム
54 取付けブラケット
74 腰椎支持部材
92 ケーブルハウジング
98 荷重分散材料
204 背もたれフレーム
210 仙骨/腰椎支持要素
280 アクチュエータケーブル
14 仙骨支持部材
50 レバーアーム
54 取付けブラケット
74 腰椎支持部材
92 ケーブルハウジング
98 荷重分散材料
204 背もたれフレーム
210 仙骨/腰椎支持要素
280 アクチュエータケーブル
Claims (11)
- 前部と、後部と、内部フレームとをもつ背もたれを備えたシートを有し、前部は、この後ろに支持クッションを備え、
内部フレームに対して作動可能に連結された支持部材を有し、該支持部材は、この表面の回りに配置された複数の凹部を備え、
支持部材に連結された調節可能な仙骨支持部材を更に有し、仙骨支持部材は、背もたれの前部の後面に近付く方向および離れる方向に移動するように作動できることを特徴とする仙骨支持要素。 - 前記仙骨支持部材は剛性材料で作られることを特徴とする請求項1記載の仙骨支持要素。
- 前記仙骨支持部材は使用者の仙骨を支持できる寸法を有することを特徴とする請求項1記載の仙骨支持要素。
- 前記仙骨支持部材は、底部の幅寸法よりも大きい水平幅寸法をもつ頂部を有することを特徴とする請求項1記載の仙骨支持要素。
- 前記頂部は約3.25インチの水平幅寸法を有し、底部は約2.6インチの幅寸法を有することを特徴とする請求項5記載の仙骨支持要素。
- 前記仙骨支持部材は、40〜85°の垂直傾斜を有することを特徴とする請求項1記載の仙骨支持要素。
- 前記仙骨支持部材は、背もたれの前面を越えて、使用者の仙骨の方向に約3インチ移動することを特徴とする請求項1記載の仙骨支持要素。
- 前記背もたれ内に配置された荷重分散材料を更に有することを特徴とする請求項1記載の仙骨支持要素。
- シートに座る人に良い姿勢および解剖学的バランスを創出する方法において、シートに座る人の腸骨を受入れるように構成された少なくとも1つの凹部が形成されたシートを設ける段階と、少なくとも1つの凹部内に腸骨を受入れる段階と、これにより少なくとも1つの凹部内に腸骨を重ねる段階とを有することを特徴とする方法。
- 前記少なくとも1つの凹部が、調節可能な容積を形成することを特徴とする請求項9記載の方法。
- 座った人の脊椎の仙骨領域を支持する方法において、
(A)シートを設ける段階を有し、シートが、
前部と、後部と、内部フレームとをもつ背もたれを有し、前部は、この後ろに支持クッションを備え、
内部フレームに対して作動可能に連結された支持部材を有し、該支持部材は、この表面の回りに配置された複数の凹部を備え、
支持部材に連結された調節可能な仙骨支持部材を更に有し、仙骨支持部材は、背もたれの前部の後面に近付く方向および離れる方向に移動するように作動でき、
(B)仙骨支持部材を、背もたれの前部の後面に向けて移動させ、これにより、座った使用者の脊椎の仙骨領域を移動させる段階を更に有することを特徴とする方法。
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