JP2006510889A - 結腸直腸癌に対するマーカーとしてのニコチンアミドn−メチルトランスフェラーゼの使用 - Google Patents
結腸直腸癌に対するマーカーとしてのニコチンアミドn−メチルトランスフェラーゼの使用 Download PDFInfo
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Abstract
本発明は、結腸直腸癌の診断に関する。本発明は、結腸直腸癌の診断におけるタンパク質ニコチンアミドN-メチルトランスフェラーゼ(NNMT)の使用を開示する。本発明は、個体由来の液体試料からの、該試料中のNNMTを測定することによる結腸直腸癌の診断方法に関する。NNMTの測定は、例えば結腸直腸癌の早期検出または診断に用いられ得る。
Description
ABTS 2,2'-アジノ-ジ-[3-エチルベンズチアゾリンスルホン酸(6)]二アンモニウム塩
BSA ウシ血清アルブミン
cDNA 相補DNA
CHAPS (3-[(3-コールアミドプロピル)-ジメチルアンモニオ]-1-プロパン-スルホン酸)
DMSO ジメチルスルホキシド
DTT ジチオスレイトール
EDTA エチレンジアミン四酢酸
ELISA 酵素結合免疫吸着定量法
HRP ホースラディッシュペルオキシダーゼ
IAA ヨードアセタミド
IgG 免疫グロブリンG
IEF 等電点電気泳動法
IPG 固定化pH勾配
LDS 硫酸ドデシルリチウム
MALDI-TOF マトリックス支援レーザ脱離イオン化-飛行時間型質量分析
MES メシチル、2,4,6-トリメチルフェニル
OD 光学密度
PAGE ポリアクリルアミドゲル電気泳動
PBS リン酸緩衝生理食塩水
PI 等電点
RTS 迅速翻訳装置
SDS ドデシル硫酸ナトリウム
潜在的な結腸直腸癌マーカーとしてのNNMTの同定
組織の供給源
結腸直腸癌の潜在的な診断用マーカーとして腫瘍特異的タンパク質を同定するために、プロテオミクス法を用いて3つの異なる種類の組織の分析を行った。
0.8〜1.2gの凍結組織をモルタルに入れ、液体窒素により完全に凍結させた。組織をモルタル中で粉砕し、10倍容積(w/w)の溶解バッファー(40mMクエン酸Na、5mM MgCl2、1%Genapol X-080、0.02%アジドNa、Complete(登録商標)EDTAフリー[Roche Diagnositc GmbH, Mannheim, Germany, カタログ番号.1 873 580])中で溶解させ、続いてWheaton(登録商標)グラスホモジナイザー(20xルーズフィッティング、20xタイトフィッティング)でホモジナイズした。3mlのホモジェネートを1時間4500x gでスクロース密度遠心分離(10〜60%スクロース)に供した。この遠心分離工程後、3つの画分を得た。グラジエントの上部の画分は、可溶性タンパク質を含み、さらなる精製のために使用した。
IEFのために、3mlの懸濁物を12mlの試料バッファー(7M尿素、2Mチオ尿素、2% CHAPS、0.4% IPGバッファーpH4〜7、0.5% DTT)と混合し、1時間インキュベートした。試料をAmicon(登録商標)Ultra-15デバイス(Millipore GmbH, Schwalbach, Germany)で濃縮し、Bio-Rad(登録商標)タンパク質アッセイ(カタログ番号.500-0006; Bio-Rad Laboratories GmbH, Muenchen, Germany)を用いて製造業者のマニュアルの指示に従ってタンパク質濃度を測定した。1.5mgのタンパク質に対応する容積に最終容積350μlまで試料バッファーを添加した。この溶液を用いてIPG条片pH4〜7(Amersham Biosciences, Freiburg, Germany)を一晩再水和させた。以下の勾配プロトコルを用いてIEFを行った:1.)500Vまで1分間;2.)3500Vまで2時間;3.)一定の3500Vで22時間、82kVhに増加させた。IEF後、条片を-80℃で保存するか、またはSDS-PAGEで直接使用した。
各患者を、ProteomeWeaver(登録商標)ソフトウェア(Definiens AG, Germany, Muenchen)を用いてイメージ分析により別々に分析した。さらに、ゲルの全てのスポットを、ピッキングロボットにより切り出し、スポットに存在するタンパク質をMALDI-TOFマススペクトロメトリー(UltraflexTMTof/Tof, Bruker Daltonik GmbH, Bremen, Germany)により同定した。各患者について、腫瘍試料由来の4つのゲルを、隣接する正常な組織および細片化した粘膜組織由来の4つのゲルと比較し、差次的に発現したタンパク質に対応する独自のスポットについて分析した。この手段により、タンパク質NNMTが腫瘍組織中で特異的に発現するか、強く過剰発現するが、健康な対照組織では検出され得ないことが見出された。それ故、多くのタンパク質の中でもとりわけ、結腸直腸癌の診断に使用するための候補マーカーとして適切であった。
結腸直腸癌マーカータンパク質NNMTに対する抗体の産生
結腸直腸癌マーカーたんぱく質NNMTに対するポリクローナル抗体を、免疫検出アッセイ、例えば、ウェスタンブロッティングおよびELISAによりNNMTの血清および血漿および血液レベルの測定における抗体のさらなる使用のために産生した。
NNMTに対する抗体を産生するために、免疫原を得るために上記タンパク質の組換え発現を行った。発現は、RTS100発現系および大腸菌の組み合わせを適用することにより行った。第1の工程において、DNA配列を分析し、高収率cDNAサイレント変異バリアントおよび個々のPCRプライマー配列の推奨を「ProteoExper RTS E.coli HY」システムを用いて得た。これは、商用のウェブベースサービスである(www.proteoexpert.com)。推奨されたプライマー対を用いて、cDNAから直鎖PCRテンプレートを作製するため、ならびにNNMTタンパク質をコードするヌクレオチド配列のインビトロ転写および発現のために「RTS 100 E.coli Linear Template Generation Set, His-tag」(Roche Diagnostics GmbH, Mannheim, Germany カタログ番号.3186237)システムを使用した。ウェスタンブロット検出および後の精製のために、発現タンパク質はHis-タグを含んでいた。最良の発現バリアントを同定した。PCRから発現および検出までの全ての工程を製造業者の指示に従って行った。全ての必要なT7調節領域(プロモーター、リボソーム結合部位およびT7ターミネーター)を含む各々のPCR産物を、製造業者の指示に従ってpBAD TOPO(登録商標)ベクター(Invitrogen, Karlsruhe, Germany, カタログ番号. K 4300/01)にクローニングした。T7調節配列を用いる発現のために、構築物を大腸菌BL 21(DE3)(Studier, F.W.,ら、Methods Enzymol. 185 (1990)60-89)に形質転換し、形質転換細菌をタンパク質発現のために1lバッチ中で培養した。
a)マウスの免疫化
12週齡のA/Jマウスを100μgのNNMTで腹腔内に初回免疫した。6週間後、一月間隔で2回のさらなる腹腔内免疫を行った。このプロセスにおいて、各マウスに、水酸化アルミニウムに吸着した100μgのNNMTおよび109個の細菌のBordetella pertussisを投与した。続いて、最後の2回の免疫を、各々PBSバッファー中の100μgのNNMTを用いて融合の3日前および2日前に静脈内に行った。
a)に従って免疫したマウスの脾臓細胞をGalfre, GおよびMilstein, C., Methods in Enzymology 73 (1981)3-46に従ってミエローマ細胞と融合する。このプロセスにおいて、免疫化マウスの1*108個の脾臓細胞を2x107個のミエローマ細胞(P3X63-Ag8-653, ATCC CRL1580)と混合し、遠心分離(300gおよび4℃で10分間)した。次いで、細胞を、ウシ胎仔血清(FCS)を含まないRPMI 1640培地で一回洗浄し、50mlコニカルチューブ中にて400gで再び遠心分離する。上清を廃棄し、細胞沈殿物をタッピングにより穏やかに解し、1mlのPEG(分子量4000, Merck, Darmstadt)を添加し、パイペッティングにより混合する。37℃の水浴中で1分間の後、4〜5分以内に室温でFCSを含まない5mlのRPMI 1640を滴下した。その後、10%FCSを含む5mlのRPMI1640を約1分以内に添加し、十分に混合し、培地(RPMI 1640+10% FCS)で50mlにし、続いて400gおよび4℃で10分間遠心分離する。沈殿した細胞を、10% FCSを含むRPMI1640培地中に溶かし、ヒドロキサンチン-アザセリン選択培地(RPMI 1640+10% FCS)中に100mmol/lヒポキサンチン、1μg/mlアザセリン)に播種する。100U/mlのインターロイキン6を成長因子として培地に添加する。
得られたハイブリドーマ細胞を、RPMI 1640培地において1x105個の細胞の密度で播種し、発酵槽中で7日間増殖させる(Thermodux Co., Wertheim/Main, Model MCS-104XL, 注文番号144-050)。1ml当たり100μgの平均濃度のモノクローナル抗体が培養上清中に得られる。培養上清からのこの抗体の精製を、タンパク質化学における従来の方法(例えば、Bruck, C.ら、Methods in Enzymology 121 (1986) 587-695による)により行う。
a)免疫
免疫のために、1:1の比のタンパク質溶液(100μg/mlのタンパク質NNMT)およびフロイント完全アジュバントの新鮮なエマルジョンを調製した。各ウサギを1mlのエマルジョンで1、7、14および30、60および90日目に免疫した。血液を抜き取り、得られた抗NNMT血清を実施例3および4に記載されるようなさらなる実験のために使用した。
1容積のウサギ血清を4容積の酢酸バッファー(60mM, pH4.0)で希釈した。pHを2M Tris-塩基で4.5に調整した。カプリル酸(25μl/mlの希釈試料)を激しい攪拌下で滴下した。30分後、試料を遠心分離(13000xg、30分間、4℃)し、ペレットを廃棄し、上清を収集した。上清のpHを2M Tris-塩基の添加により7.5に調整し、濾過した(0.2μm)。
ポリクローナルウサギIgGを、10mM NaH2PO4/NaOH、pH7.5、30mM NaCl中に10mg/mlにした。1mlのIgG溶液当たり、50μlのビオチン-N-ヒドロキシスクシニミド(DMSO中に3.6mg/ml)を添加した。室温で30分後、試料をSuperdex200(10mM NaH2PO4/NaOH、pH7.5、30mM NaCl)においてクロマトグラフを行った。ビオチン化IgGを含有する画分を収集した。モノクローナル抗体を同じ手順に従ってビオチン化した。
ポリクローナルウサギIgGを10mM NaH2PO4/NaOH、30mM NaCl、pH7.5中に10mg/mlにした。IgG溶液1ml当たり50μlのジゴキシゲニン-3-O-メチルカルボニル-ε-アミノカプロン酸-N-ヒドロキシスクシニミドエステル(Roche Diagnostics, Mannheim, Germany, カタログ番号.1 333 054)(DMSO中に3.8mg/ml)を添加した。室温で30分後、試料をSuperdex(登録商標)200(10mM NaH2PO4/NaOH、pH7.5、30mM NaCl)においてクロマトグラフを行った。ジゴキシゲニン化IgGを含む画分を収集した。モノクローナル抗体を同じ手順にしたがってジゴキシゲニンで標識した。
実施例2で産生したポリクローナル抗体を使用したヒト結腸直腸癌組織におけるNNMTの検出のためのウェスタンブロッティング
腫瘍試料に由来する組織溶解物および健康な対照試料を実施例1「組織調製」に記載されたように調製した。
ヒト血清および血漿試料中のNNMTの測定のためのElISA
ヒト血清または血漿中のNNMTの検出のために、サンドウィッチELISAを開発した。抗原の捕捉および検出のために、抗NNMTポリクローナル抗体(実施例2参照)のアリコートをビオチンおよびジゴキシゲニンそれぞれとコンジュゲートした。
診断の正確度の点から臨床的有用性を評価するためのROC分析
正確度を、十分に特徴付けられた患者集団、すなわち結腸内視術を受け、腺腫またはCRCを有さないことが見出された50名の患者、診断され、CRCのT1-3、N0、M0のステージである50名の患者、および少なくとも1つの近位リンパ節における少なくとも腫瘍浸潤またはより重篤な形態の転移を有する進行したCRCを有すると診断された50名の患者それぞれから得られた個々の液体試料を分析することにより評価した。市販のアッセイ(Elecsys(登録商標)Systemsイムノアッセイアナライザ用のRoche Diagnostics, CEA-アッセイ(カタログ番号.1 173 1629))により測定されるCEAおよび上記のように測定したNNMTは、これらの個体の各々から得られた血清中で定量した。ROC-分析を、Zweig, M.H、およびCampbell、前出に従って行った。濃度曲線下面積により測定されるように、群T1-3、N0、M0の患者と健康な個体とを区別するための判別能力は、確立されたマーカーCEAと比べて少なくともNNMTについて良好であることが見出された。
Claims (10)
- a) 個体から得られた液体試料を提供する工程、
b) 該試料と、ニコチンアミドN-メチルトランスフェラーゼ(NNMT)に対して特異的な結合剤とを、該結合剤とNNMTとの間での複合体の形成に適切な条件下で接触させる工程、および
c) (b)で形成された複合体の量を、結腸直腸癌の診断と相関させる工程
を含む、結腸直腸癌の診断方法。 - 前記試料が血清であることをさらに特徴とする、請求項1記載の方法。
- 前記試料が血漿であることをさらに特徴とする、請求項1記載の方法。
- 前記試料が全血であることをさらに特徴とする、請求項1記載の方法。
- 個体から得られた液体試料からの結腸直腸癌の診断における、マーカー分子としてのタンパク質NNMTの使用。
- 個体から得られた液体試料からの結腸直腸癌の早期診断における、マーカー分子としてのタンパク質NNMTの使用。
- 腺腫期のCRC患者由来の試料で早期診断が行われる、請求項6記載の使用。
- Tis-3; N0; M0期のCRC患者由来の試料で早期診断が行われる、請求項6記載の使用。
- 個体から得られた液体試料からの結腸直腸癌の診断における、結腸直腸癌に対するマーカー分子としてのタンパク質NNMTの、結腸直腸癌に対する別のマーカー分子と組み合わせた使用。
- NNMTに対する少なくとも1つの特異的な結合剤およびNNMTの測定のための補助試薬を含む免疫学的キット。
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