JP2002523088A - 結腸癌において示差的に発現されるヒト遺伝子 - Google Patents

結腸癌において示差的に発現されるヒト遺伝子

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マーシャ イー. ルイス,
ゲイリー エイ. モリノ,
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、新規なヒト遺伝子に関し、この遺伝子に発現されるタンパク質に関し、そしてこのタンパク質の改変体に関する。本発明はまた、この遺伝子およびタンパク質に関連する診断アッセイおよび治療薬剤にも関連し、これらには、プローブ、アンチセンス構築物、および抗体が含まれる。本発明の核酸は、腫瘍細胞、特に結腸癌組織において、示差的に調節されることが見出されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本出願は、その全体が本明細書中で参考として援用されている、1999年1
月27日に出願された仮特許出願番号第60/117,393号および1998
年8月31日に出願された仮特許出願番号第60/098,639号に基づく。
【0002】 (発明の分野) 本発明は、核酸配列、およびそれによってコードされるタンパク質、ならびに
その核酸配列に由来するプローブ、コードされたタンパク質に対する抗体、およ
び癌性細胞(特に、結腸癌細胞)を検出するための診断方法を提供する。
【0003】 (発明の背景) 結腸直腸癌腫(colorectal carcinoma)は、悪性の新生
物形成性疾患である。西洋(特に、米国において)には結腸直腸癌腫の高い発病
率が存在する。この型の腫瘍は、しばしば、リンパ性のチャンネルおよび血管の
チャンネルを介して転移する。結腸直腸癌腫を有する多くの患者は、最終的には
この疾患によって死亡する。実際、米国だけでも62,000人が、毎年結腸直
腸癌腫で死亡していると推定される。
【0004】 しかし、早期に診断されれば、結腸癌は、癌性組織の外科手術による除去によ
って効果的に処置され得る。結腸直腸癌は、結腸直腸の上皮に起源し、そして代
表的には、発症の初期段階の間は、広範囲には血管化しない(従って、侵襲性で
はない)。結腸直腸癌は、結腸または直腸の上皮の管壁中での単一の変異細胞の
クローン性拡大から生じると考えられている。高度に血管化された、侵襲性の、
そして最終的に転移性の癌(これは、体全体に拡大する)に移行するには、一般
に、10年またはそれ以上を要する。癌が侵襲性になる前に検出された場合は、
癌性組織の外科手術による除去が、有効な治療である。しかし、結腸直腸癌はし
ばしば、臨床的な症状(例えば、痛みおよび黒いタール状の便)の発現の際にの
み、検出される。一般的には、このような症状は、疾患が十分に確立された場合
にのみ存在し、しばしば、転移が起こった後に存在し、そして癌性組織の外科手
術による切除の後でさえ、患者についての予後は、乏しい。従って、その検出が
その罹患率を有意に低下させ得るという点で、直腸結腸癌の初期の検出が、重要
である。
【0005】 侵襲性の診断方法(例えば、内視鏡による検査)は、ポリープのような潜在的
な癌性増殖の直接的な可視的な同定、除去、および生検を可能にする。内視鏡は
、高価であり、そして不快であり、そして本質的にリスクが高く、従って、結腸
直腸癌を有するものを同定するための集団のスクリーニングのためには実用的な
道具ではない。結腸直腸の癌または前癌の存在を示す特徴についての便のサンプ
ルの非侵襲的な分析は、初期の診断のための好ましい代替法であるが、この目的
を確かに達成する利用可能な診断方法は、知られていない。初期段階で結腸癌を
診断するための、確かな、侵襲的ではない、そして正確な技術は、多くの生命を
守る手助けとなる。
【0006】 (発明の要旨) 本発明は、核酸配列、およびそれによってコードされるタンパク質、ならびに
その核酸配列に由来するプローブ、コードされたタンパク質に対する抗体、およ
び癌性細胞(特に、結腸癌細胞)を検出するための診断方法を提供する。本明細
書中に開示された配列は、結腸癌細胞株および/または結腸癌組織から得られら
サンプルにおいて示差的に発現されることが見出された。得られた544の配列
を、公に利用可能なデータベースに対してこれら配列を「ブラスティング(bl
asting)」することにより分析した;Blastサーチ結果に基づいて、
配列番号1−35は、新規な配列を含み、配列番号36−168は、EST配列
を含み、そして配列番号169−544は、公知の配列を含むことが見出された
【0007】 1つの局面においては、本発明は、配列番号1−544の配列またはそれに相
補的である配列に対して、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌク
レオチド配列を含む、単離された核酸を提供する。関連する実施態様においては
、この核酸は、配列番号1−544のうちの1つまたはそれに相補的である配列
の、少なくとも約12個、少なくとも約15個、少なくとも約25個、または少
なくとも約40個の連続するヌクレオチドから全長まで、あるいはその配列がフ
ラグメントである遺伝子の全長まで、に対応する配列に対して、少なくとも約8
0%、または約100%同一である。特定の実施態様においては、本発明の核酸
は、表2に新規であるとして示される領域に由来する、少なくとも約5個、少な
くとも約10個、または少なくとも約20個の核酸を含む。特定の他の実施態様
においては、本発明の核酸は、その登録番号が表2に列挙される対応するクロー
ンには含まれない、少なくとも約5個、少なくとも約10個、または少なくとも
約20個のヌクレオチドを含む。
【0008】 別の局面においては、本発明は、配列番号1−168、好ましくは、配列番号
1−35の配列、またはそれに相補的である配列に対して、ストリンジェントな
条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む、単離された核酸を提供す
る。関連する実施態様においては、この核酸は、配列番号1−168、好ましく
は配列番号1−35のうちの1つ、またはそれに相補的である配列の、少なくと
も約12個、少なくとも約15個、少なくとも約25個、または少なくとも約4
0個の連続するヌクレオチドから全長まで、あるいはその配列がフラグメントで
ある遺伝子の全長まで、に対応する配列に対して、少なくとも約80%、または
約100%同一である。特定の実施態様においては、本発明の核酸は、表2に新
規であるとして示される領域に由来する、少なくとも約5個、少なくとも約10
個、または少なくとも約20個の核酸を含む。特定の他の実施態様においては、
本発明の核酸は、その登録番号が表2に列挙される対応するクローンには含まれ
ない、少なくとも約5個、少なくとも約10個、または少なくとも約20個のヌ
クレオチドを含む。
【0009】 1つの実施態様においては、本発明は、配列番号1−168、好ましくは配列
番号1−35の配列、またはそれに対して相補的である配列に対してストリンジ
ェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む核酸、およびこの
ヌクレオチド配列を発現ベクターとしての使用に適切にするようにこのヌクレオ
チド配列に作動可能に連結された転写調節配列を提供する。別の実施態様におい
ては、この核酸は、原核生物細胞または真核生物細胞中での複製が可能な発現ベ
クター中に含まれ得る。関連する実施態様においては、本発明は、この発現ベク
ターを用いてトランスフェクトされた宿主細胞を提供する。
【0010】 別の実施態様においては、本発明は、その細胞中に取り込まれた、配列番号1
−168、好ましくは配列番号1−35の配列またはそれに相補的である配列に
対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む
核酸のトランスジーンを有する、トランスジェニック動物を提供する。このトラ
ンスジーンは、この核酸の発現のレベル、この核酸のmRNA転写の安定性、ま
たはこの核酸のコードされる産物の活性を改変する。
【0011】 なお別の実施態様においては、本発明は、配列番号1−168、好ましくは配
列番号1−35のうちの1つまたはそれらに相補的である配列の、少なくとも約
12個、少なくとも約15個、少なくとも約25個、または少なくとも約40個
の連続するヌクレオチドから全長まで、あるいはその配列がフラグメントである
遺伝子の全長まで、に対応する核酸プローブに対して、ストリンジェントな条件
下でハイブリダイズする実質的に純粋な核酸を提供する。本発明はまた、配列番
号1−544のうちの1つの、少なくとも12個、少なくとも25個、もしくは
少なくとも50個の連続するヌクレオチドから、配列番号1−544のうちの1
つもしくはそれに相補的な配列の全長まで、またはその配列がフラグメントであ
る遺伝子の全長まで、に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、
そして、ヌクレアーゼ(好ましくは、内因性のエンドヌクレアーゼまたはエキソ
ヌクレアーゼ)による切断に対して耐性である、アンチセンスオリゴヌクレオチ
ドアナログを提供する。
【0012】 別の実施態様においては、本発明は、実質的に精製されたオリゴヌクレオチド
を含むプローブ/プライマーを提供する。上記のオリゴヌクレオチドは、配列番
号1−168から選択されるセンス配列またはアンチセンス配列の、少なくとも
約12個、少なくとも約15個、少なくとも約25個、もしくは少なくとも約4
0個の連続するヌクレオチドから配列番号1−168のうちの1つもしくはそれ
に相補的である配列の全長まで、またはその配列がフラグメントである遺伝子の
全長まで、に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチ
ド配列の領域を含む。好ましい実施態様においては、このプローブは、標的核酸
と選択的にハイブリダイズする。別の実施態様においては、このプローブは、こ
のプローブに付着され、そして検出され得る標識基を含み得る。この標識基は、
放射性同位元素、蛍光化合物、酵素、および酵素補因子から選択され得る。本発
明はさらに、固体支持体に付着された、上記に記載されるような少なくとも約1
0個、少なくとも約25個、少なくとも約50個、または少なくとも約100個
の異なるプローブの、アレイを提供する。
【0013】 なお別の実施態様においては、本発明は、細胞の表現型を決定する方法に関す
る。この方法は、正常な細胞と比較して、配列番号1−544の1つに対してス
トリンジェントな条件下でハイブリダイズする少なくとも1つの核酸の示差的な
発現を検出する工程であって、ここで、この核酸は、少なくとも2倍、少なくと
も5倍、少なくとも20倍、または少なくとも50倍示差的に発現される、工程
を包含する。
【0014】 別の局面においては、本発明は、本発明の核酸によってコードされるポリペプ
チドを提供する。1つの実施態様においては、本発明は、配列番号1−168の
配列、もしくはそれに対して相補的な配列に対してストリンジェントな条件下で
ハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む核酸によってコードされるアミノ酸
配列を含むポリペプチド、またはその少なくとも約25個、もしくは少なくとも
約40個のアミノ酸を含むフラグメントに関する。これらのポリペプチドに対し
て免疫反応性である抗体が、さらに提供される。
【0015】 なお別の局面においては、本発明は、診断方法を提供する。1つの実施態様に
おいては、本発明は、以下によって患者由来の細胞の表現型を決定するための方
法に関する:配列番号1−544の配列中に示される、少なくとも12個、少な
くとも約15個、少なくとも約25個、もしくは少なくとも約40個の連続する
ヌクレオチドから、配列番号1−544の1つまたはそれに相補的な配列の全長
まで、あるいはその配列がフラグメントである遺伝子の全長まで、を有するヌク
レオチド配列を含む核酸プローブを提供すること、患者から細胞のサンプルを得
ること、その実質的に全てが非癌性である第2の細胞のサンプルを提供すること
、上記の第1の細胞のサンプルおよび第2の細胞のサンプルのそれぞれのmRN
Aと、ストリンジェントな条件下でこの核酸プローブを接触させること、ならび
に(a)第1の細胞のサンプルのmRNAとのプローブのハイブリダイゼーショ
ンの量と、(b)第2の細胞のサンプルのmRNAとのプローブのハイブリダイ
ゼーションの量とを比較することであって、ここで、第2の細胞のサンプルのm
RNAとのハイブリダイゼーションの量と比較した場合の、第1の細胞のサンプ
ルのmRNAとのハイブリダイゼーションの量における、少なくとも2倍、少な
くとも5倍、少なくとも20倍、または少なくとも50倍の差異は、この第1の
細胞のサンプル中の細胞の表現型の指標であること。表現型を決定することは、
この用語が本明細書中で使用される場合は、その遺伝子型を決定することを含む
【0016】 別の実施態様においては、本発明は、形質転換された細胞を同定するための試
験キットを提供する。このキットは、患者から単離された細胞のサンプル中の、
配列番号1−544の核酸に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズ
する核酸のレベルを測定するための、上記のようなプローブ/プライマーを含む
。特定の実施態様においては、このキットは、このキットを使用するための説明
書、細胞を懸濁または固定するための溶液、検出可能なタグまたは標識、ハイブ
リダイゼーションに対して核酸を敏感にするための溶液、細胞を溶解するための
溶液、あるいは核酸の精製のための溶液をさらに含み得る。
【0017】 別の実施態様においては、本発明は、細胞の表現型を決定する方法を提供する
。この方法は、配列番号1−544のうちの1つに対してストリンジェントな条
件下でハイブリダイズする核酸によってコードされる少なくとも1つのタンパク
質の、正常な細胞と比較して示差的な発現を検出する工程を包含する。ここで、
このタンパク質は、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも20倍、また
は少なくとも50倍、示差的に発現される。1つの実施態様においては、タンパ
ク質のレベルは、イムノアッセイにおいて検出される。本発明はまた、細胞中の
配列番号1−168の1つに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズ
する核酸の存在または非存在を決定するための方法に関する。この方法は、上記
のようなプローブと、細胞とを接触させる工程を包含する。本発明はさらに、細
胞中の、配列番号1−168のうちの1つに対してストリンジェントな条件下で
ハイブリダイズする核酸によってコードされる本発明のポリペプチドの存在また
は非存在を決定するための方法を提供する。この方法は、上記のような抗体と、
細胞とを接触させる工程を包含する。なお別の実施態様においては、本発明は、
配列番号1−168の配列またはそれに対して相補的である配列にストリンジェ
ントな条件下でハイブリダイズする遺伝子中での異常な変異(例えば、核酸の欠
失、挿入、もしくは置換)または異常なメチル化の存在を決定するための方法を
提供する。この方法は、患者から細胞のサンプルを回収する工程、このサンプル
の細胞から核酸を単離する工程、この核酸のハイブリダイゼーションおよび増幅
が生じるような条件下で、配列番号1−544の核酸配列に特異的にハイブリダ
イズする1つ以上のプライマーとこの核酸サンプルとを接触させる工程、ならび
に増幅産物の存在、非存在、または大きさを正常な細胞の増幅産物に対して比較
する工程を包含する。
【0018】 1つの実施態様においては、本発明は、形質転換された細胞を同定するための
試験キットを提供する。このキットは、配列番号1−544のいずれか1つにス
トリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸によってコードされるタンパ
ク質に特異的な抗体を含む。特定の実施態様においては、このキットは、このキ
ットを使用するための説明書をさらに含む。特定の実施態様においては、このキ
ットは、このキットを使用するための説明書、細胞を懸濁または固定するための
溶液、検出可能なタグまたは標識、抗体の結合に対してポリぺプチドを敏感にす
るための溶液、細胞を溶解するための溶液、あるいはポリペプチドの精製のため
の溶液をさらに含み得る。
【0019】 なお別の局面においては、本発明は、本発明の核酸を含む薬学的組成物を提供
する。1つの実施態様においては、配列番号1−544のうちの1つまたはそれ
に相補的な配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸の
細胞中での発現のレベルを変化させる薬剤が以下によって同定される:細胞を提
供すること、試験薬剤でこの細胞を処理すること、配列番号1−544のうちの
1つまたはそれに相補的な配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダ
イズする核酸の細胞中での発現のレベルを決定すること、および処理していない
細胞中でのこの核酸の発現のレベルと処理した細胞中でのこの核酸の発現のレベ
ルとを比較することであって、ここで、処理していない細胞中の核酸の発現のレ
ベルと比較した、処理した細胞中での核酸の発現のレベルにおける変化は、細胞
中の核酸の発現のレベルを変化させる薬剤の指標であること。本発明はさらに、
この方法によって同定される薬剤を含有する、薬学的組成物を提供する。別の実
施態様においては、本発明は、配列番号1−544の1つまたはそれに相補的な
配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列
を有する核酸によってコードされるポリペプチドを含有する、薬学的組成物を提
供する。1つの実施態様においては、本発明は、配列番号1−544の1つまた
はそれに相補的な配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズする
配列を含む核酸を含有する薬学的組成物に関する。
【0020】 (発明の詳細な説明) 本発明は、開示されるヌクレオチド配列(配列番号1−544)を有する核酸
、ならびにこれらの配列に対応する全長cDNA、mRNA、および遺伝子、な
らびにこれらの核酸および遺伝子およびその一部によってコードされるポリペプ
チドおよびタンパク質に関する。
【0021】 配列番号1−544の核酸によってコードされるポリペプチドおよびタンパク
質をコードする核酸もまた、含まれる。これらのポリペプチドおよびタンパク質
をコードし得る種々の核酸は、ほとんどのアミノ酸が1つより多くの三重コドン
によってコードされるという遺伝コードの縮重に起因して異なる。このようなコ
ドンの同一性は当該分野においては周知であり、そしてこの情報は、本発明の範
囲内で核酸の構築のために使用され得る。
【0022】 核酸および関連するcDNAおよび遺伝子によってコードされるポリペプチド
およびタンパク質の改変体である、ポリペプチドおよびタンパク質をコードする
核酸もまた、本発明の範囲内である。改変体は、野生型タンパク質の生物学的活
性を増強する、付加する、または低下させるのいずれかである、1つ以上のアミ
ノ酸置換を有するという点で、野生型タンパク質とは異なる。一旦、アミノ酸変
化が選択されると、その改変体をコードする核酸が本発明に従って構築される。
【0023】 以下の詳細な説明は、核酸に対応する全長cDNAおよびヒト遺伝子を得るか
または作成するための方法、これらの核酸および遺伝子を発現するための方法、
遺伝子の構造的なモチーフを同定するための方法、核酸に対応する遺伝子によっ
てコードされるタンパク質の機能を同定するための方法、マッピングおよび組織
プロファイリングにおけるプローブとして核酸を使用する方法、抗体を惹起する
ために対応するポリペプチドおよびタンパク質を使用する方法、ならびに、治療
目的および診断目的のために核酸、ポリペプチド、およびタンパク質を使用する
方法を開示する。
【0024】 本明細書中で研究される配列は、結腸癌組織から得られるサンプル中で示差的
に発現されることが見出されている。しかし、これらの配列は、他の型の癌に関
する有用性をもまた有し得ると考えられている。関連出願のPCT/IB99/
01062(1999年6月9日出願)では、本発明者らは、正常組織(例えば
、正常結腸組織および/または正常非結腸組織)における発現レベルに比較した
結腸癌由来細胞株(例えばSW480)において示差的に発現された核酸配列を
開示した。本出願では、表3に、癌細胞株SW480ならびに種々の患者から得
られた結腸癌組織の両方において過剰発現される核酸配列を列挙する。
【0025】 従って、本発明の特定の局面は、腫瘍組織(特に、結腸癌細胞株)中で示差的
に発現される核酸、このような核酸によってコードされるポリペプチド、および
これらのポリペプチドと免疫反応性である抗体、およびこのような組成物の調製
物に関する。さらに、本発明は、例えば、本核酸の異常な発現に関連する障害を
検出および処置するための、診断および治療アッセイおよび試薬を提供する。
【0026】 (I.概要) 本発明は、ヒトの腫瘍(特に、固形腫瘍(例えば、乳癌または結腸癌のような
癌腫および肉腫)中に存在する癌性の細胞を同定および/または分類するための
新規の方法に、一部、関連する。この方法は、正常な結腸細胞のような、関連す
る正常な細胞と比較して、癌細胞株および/または癌組織中で示差的に発現され
る遺伝子を使用し、それによって特定の遺伝子の発現のアップレギュレーション
および/またはダウンレギュレーション、腫瘍形成に関連する事象により、腫瘍
細胞を同定または分類する。
【0027】 特定の遺伝子(例えば、オンコジーン)のアップレギュレーションまたは増大
した発現は、悪性腫瘍の増殖を促進するように作用する。腫瘍サプレッサー遺伝
子のような遺伝子のダウンレギュレーションまたは低下した発現もまた、悪性腫
瘍の増殖を促進する。従って、遺伝子のいずれかの型の発現における変更は、被
験体が癌(例えば、結腸癌)を発症する危険性があるか、または癌を有している
かどうかを決定するための可能性のある診断の指標である。
【0028】 従って、1つの局面においては、本発明はまた、ヒトの腫瘍細胞について(例
えば、結腸癌細胞について)の核酸マーカーのような生体マーカーを提供する。
本発明はまた、これらの核酸マーカーによってコードされるタンパク質を提供す
る。
【0029】 本発明はまた、このような癌細胞の処置のため、および癌性の状態(例えば、
結腸癌)の処置のために有用な薬物を同定するための方法を特徴とする。以前の
方法とは異なり、本発明は、発症の初期段階で癌細胞を同定するための手段を提
供し、その結果、前悪性腫瘍細胞は、ヒトの体全体にそれらが蔓延する前に同定
され得る。このことによって、可能性のある癌性の状態の初期の検出、および体
全体の癌性の細胞の蔓延の前または回復不可能な癌性の状態の発症の前のこのよ
うな癌性の状態の処置を可能にする。
【0030】 (II.定義) 便宜上、明細書、実施例、および添付の特許請求の範囲において使用される特
定の用語および句の意味を、以下に提供する。
【0031】 用語「異常な発現」は、本発明の核酸に対して適用される場合は、健常な組織
中のその核酸の発現のレベルとは異なるか、または健常な被験体中に存在するポ
リペプチドの活性とは異なる、核酸の発現のレベルをいう。ポリペプチドの活性
は、それがそのネイティブ対応物の活性より強いという理由で、異常であり得る
。あるいは、活性は、それがそのネイティブ対応物の活性と比較して弱いかまた
は欠失しているという理由で、異常であり得る。異常な活性はまた、活性におけ
る変化であり得る;例えば、異常なポリペプチドは、異なる標的ペプチドと相互
作用し得る。細胞は、遺伝子の過剰発現または過小発現に起因する、その遺伝子
の異常な発現レベルを有し得る。
【0032】 用語「アゴニスト」は、本明細書中で使用される場合は、タンパク質の生物活
性を模倣するかまたはアップレギュレートする(例えば、強化するかまたは補充
する)因子をいうように意味される。アゴニストは、野生型タンパク質であり得
るか、または野生型タンパク質の少なくとも1つの生物活性を有するその誘導体
であり得る。アゴニストはまた、遺伝子の発現をアップレギュレートするか、ま
たはタンパク質の少なくとも1つの生物活性を増大させる化合物であり得る。ア
ゴニストはまた、別の分子(例えば、標的ペプチドまたは核酸)とポリペプチド
との相互作用を増大させる化合物であり得る。
【0033】 用語「対立遺伝子」(これは、本明細書中で「対立遺伝子変異体」と互換的に
使用される)は、遺伝子またはその一部の別の形態をいう。対立遺伝子は、相同
染色体上の同じ遺伝子座または位置を占める。被験体が遺伝子の2つの同一の対
立遺伝子を有する場合は、その被験体は、その遺伝子または対立遺伝子に関して
ホモ接合性であると言われる。被験体が遺伝子の2つの異なる対立遺伝子を有す
る場合は、その被験体は、その遺伝子に関してヘテロ接合性であると言われる。
特定の遺伝子の対立遺伝子は、単一のヌクレオチド、またはいくつかのヌクレオ
チドで互いに異なり得、そしてヌクレオチドの置換、欠失、および/または挿入
を含み得る。遺伝子の対立遺伝子はまた、変異を含有する遺伝子の形態であり得
る。
【0034】 用語「遺伝子の多型性領域の対立遺伝子変異体」は、他の個体中の遺伝子のそ
の領域において見出されるいくつかのヌクレオチド配列の1つを有する遺伝子の
領域をいう。
【0035】 「アンタゴニスト」は、本明細書中で使用される場合は、タンパク質の少なく
とも1つの生物活性をダウンレギュレートする(例えば、抑制するかまたは阻害
する)因子をいうように意味される。アンタゴニストは、タンパク質と別の分子
(例えば、標的ペプチドまたは酵素基質)との間の相互作用を阻害するかまたは
低下させる化合物であり得る。アンタゴニストはまた、遺伝子の発現をダウンレ
ギュレートするか、または存在する発現されるタンパク質の量を減少させる化合
物でもあり得る。
【0036】 用語「抗体」は、本明細書中で使用される場合は、例えば、任意のイソ型(I
gG,IgA、IgM、IgEなど)の全抗体を含むことが意図され、そしてま
た、脊椎動物(例えば、哺乳動物)タンパク質と特異的に反応性であるそのフラ
グメントを含む。抗体は、従来技術を使用して断片化され得、そしてフラグメン
トは、全抗体について上記と同じ様式で有用性についてスクリーニングされ得る
。従って、この用語は、特定のタンパク質と選択的に反応し得る抗体分子の、タ
ンパク質分解的に切断された、または組換え的に調製された部分のセグメントを
含む。このようなタンパク質分解的および/または組換え的なフラグメントの限
定的ではない例として、Fab、F(ab’)2、Fab’、Fv、ならびにペ
プチドリンカーによって連結されたV[L]および/またはV[H]ドメインを
含有する単鎖抗体(scFv)が挙げられる。scFvは、2つ以上の結合部位
を有する抗体を形成するように、共有結合的に連結され得るかまたは非共有的に
連結され得る。本発明は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、または抗
体の他の精製された調製物、および組換え抗体を含む。
【0037】 「アポトーシス」の現象は周知であり、そしてプログラムされた細胞死として
記載され得る。公知のように、アポトーシスは、毒性の物質または他の外部の効
果によって殺傷させられた結果として細胞が死ぬ場合の現象である「壊死」と対
比される。アポトーシスは、染色体凝集(chromatic condens
ation)、膜の小水疱形成(blebbing)、およびDNAの断片化を
伴い、これらの全てが一般には、顕微鏡試験の際に可視である。
【0038】 核酸の異常な発現「に関連する」かまたはそれらに「よって特徴付けられる」
疾患、障害、または状態は、核酸の発現の異常なレベルによって生じるか、それ
に寄与されるか、またはそれが原因である、被験体中の疾患、障害、または状態
をいう。
【0039】 本明細書中で使用される場合は、用語「ポリペプチドの生物活性フラグメント
」は、全長ポリペプチドのフラグメントをいう。ここで、このフラグメントは、
野生型のポリペプチドの活性を特異的にアゴナイズ(模倣)するかまたはアンタ
ゴナイズ(阻害)する。生物活性フラグメントは、好ましくは、全長タンパク質
が結合し得る少なくとも1つの他の分子(例えば、タンパク質、低分子、または
DNA)と相互作用し得るフラグメントである。
【0040】 「生物学的活性」または「生物活性」または「活性」または「生物学的機能」
(これらは互換的に使用される)は、本明細書中では、ポリペプチド(そのネイ
ティブのコンフォメーションまたは変性されたコンフォメーションにはかかわら
ず)によってか、あるいはその任意の部分配列によって、直接的または間接的に
行われるエフェクターまたは抗原性の機能を意味する。生物学的活性は、ポリペ
プチドに対する結合、他のタンパク質または分子に対する結合、DNA結合タン
パク質として、転写調節因子としての活性、損傷したDNAを結合する能力など
を含む。生物活性は、対象のポリペプチドに直接影響を及ぼすことによって調節
され得る。あるいは、生物活性は、ポリペプチドのレベルを調節することによっ
て(例えば、対応する遺伝子の発現を調節することによって)変更され得る。
【0041】 用語「生体マーカー」は、その存在または濃度が検出され得、そして既知の状
態(例えば、疾患状態)と相関付けされ得る、生物学的な分子(例えば、核酸、
ペプチド、ホルモンなど)をいう。
【0042】 「細胞」、「宿主細胞」、または「組換え宿主細胞」は、本明細書中で互換的
に使用される用語である。このような用語が、特定の対象の細胞だけではなく、
そのような細胞の子孫または可能性のある子孫をも意味することが理解される。
特定の改変が、変異または環境的な影響のいずれかに起因して、続く世代におい
て生じ得るので、このような子孫は、実際には、親細胞と同一ではないかもしれ
ないが、本明細書中で使用される場合この用語の範囲になお含まれる。
【0043】 「キメラポリペプチド」または「融合ポリペプチド」は、対象のポリペプチド
の1つをコードする第1のアミノ酸配列と、対象のポリペプチドの任意のドメイ
ンに対して外来であり、そして実質的に相同ではないドメイン(例えば、ポリペ
プチド部分)を規定する第2のアミノ酸配列との融合体である。キメラポリペプ
チドは、生物(これもまた第1のポリペプチドを発現する)中に(異なるポリペ
プチド中であるにもかかわらず)見出される外来ドメインを提示し得るか、ある
いはこれは、生物の異なる種によって発現されるポリペプチド構造の「種間」、
「遺伝子間(intergenic)」などの融合体であり得る。一般には、融
合ポリペプチドは、一般式(X)n−(Y)m−(Z)nによって表され得る。こ
こで、Yは、対象のポリペプチドの一部を表し、そしてXおよびZは、それぞれ
独立して、存在しないか、あるいは生物中で見出されるネイティブの配列と非関
連であるかまたは対象の配列と連続するポリペプチド鎖としては見出されない、
アミノ酸配列を表す。ここで、mは、1以上の整数であり、そしてnのそれぞれ
の事象は、独立して、0または1以上の整数である(nおよびmは、5または1
0よりは大きくないことが好ましい)。
【0044】 「送達複合体」は、標的化手段(例えば、標的細胞表面に対する核酸、タンパ
ク質、ポリペプチド、もしくはペプチドのより高い親和性結合、および/または
標的細胞による増大した細胞取り込みもしくは核取り込みを生じる分子)を意味
する。標的化手段の例として以下が挙げられる:ステロール(例えば、コレステ
ロール)、脂質(例えば、カチオン性脂質、ウイロソーム(virosome)
、もしくはリポソーム)、ウイルス(例えば、アデノウイルス、アデノ随伴ウイ
ルス、およびレトロウイルス)、または標的細胞特異的結合因子(例えば、標的
細胞特異的レセプターによって認識されるリガンド)。好ましい複合体は、標的
細胞によってインターナライズされる前の有意なアンカップリング(uncou
pling)を妨げるために、十分にインビボで安定である。しかし、この複合
体は、核酸、タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドが機能的な形態で放出
されるように、細胞中での適切な条件下で切断可能である。
【0045】 周知であるように、遺伝子または特定のポリペプチドは、個体のゲノム中の単
一または複数のコピーで存在し得る。このような複製遺伝子は同一であり得るか
または特定の改変(ヌクレオチドの置換、付加、または欠失を含む)を有し得る
。これらの全ては、なお、実質的に同じ活性を有するポリペプチドをコードする
。従って、用語「ポリペプチドをコードするDNA配列」は、特定の個体中の1
つ以上の遺伝子に言及し得る。さらに、ヌクレオチド配列における特定の差異が
、個々の生物間で存在し得、これは、対立遺伝子と呼ばれる。このような対立遺
伝子の差異は、コードされるポリペプチドのアミノ酸配列における差異を生じて
もよいし、または生じなくてもよいが、同じ生物学的活性を有するポリペプチド
をなおコードする。
【0046】 用語「等価物」は、機能的な等価なポリペプチドをコードするヌクレオチド配
列を含むと理解される。等価なヌクレオチド配列は、1つ以上のヌクレオチドの
置換、付加、または欠失によって異なる配列(例えば、対立遺伝子変異体)を含
む;従って、遺伝コードの縮重に起因して、配列番号1〜544に示される核酸
のヌクレオチド配列とは異なる配列を含む。
【0047】 本明細書中で使用される場合は、用語「遺伝子」、「組換え遺伝子」、および
「遺伝子構築物」は、エキソン配列および(必要に応じて)イントロン配列の両
方を含む、オープンリーディングフレームを伴う本発明の核酸をいう。
【0048】 「組換え遺伝子」は、ポリペプチドをコードし、そしてエキソン配列を含む核
酸をいうが、これは、必要に応じて、例えば、関連するかまたは関連しない染色
体遺伝子に由来するイントロン配列を含み得る。用語「イントロン」は、タンパ
ク質には翻訳されない所定の遺伝子中に存在するDNA配列をいい、そして一般
には、エキソン間に見出される。
【0049】 用語、細胞の「増殖」または「増殖状態」は、細胞の増殖性の状態、ならびに
その分化の状態をいう。従って、この用語は、細胞がある細胞周期の期(例えば
、G0,G1、G2、前期、中期、または終期)、ならびにその分化の状態(例
えば、分化していない、部分的に分化している、または完全に分化している)を
いう。制限されることは望まないが、細胞の分化は、通常は、細胞の増殖速度に
おける低下によって達成される。
【0050】 「相同性」または「同一性」または「類似性」は、2つのペプチド間、または
2つの核酸分子間の配列類似性をいい、そして同一性がより厳密な比較である。
相同性および同一性はそれぞれ、比較の目的のためにアラインメントされ得る各
配列中の位置を比較することによって決定され得る。比較される配列中の位置が
同じ塩基またはアミノ酸によって占有されている場合は、分子はその位置で同一
である。核酸配列間の相同性または類似性または同一性の程度は、核酸配列によ
って共有される位置での同一またはマッチするヌクレオチドの数の関数である。
アミノ酸配列の同一性の程度は、アミノ酸配列によって共有される位置での同一
のアミノ酸の数の関数である。アミノ酸配列の相同性または類似性の程度は、ア
ミノ酸(すなわち、アミノ酸配列によって共有される位置での構造的に関連する
アミノ酸)の数の関数である。「非関連」または「非相同」配列は、本発明の配
列の1つと、40%未満の同一性を共有するが、好ましくは25%未満の同一性
を共有する。
【0051】 用語「パーセント同一」は、2つのアミノ酸配列間または2つのヌクレオチド
配列間の配列同一性をいう。同一性は、それぞれ、比較の目的のためにアライン
メントされ得るそれぞれの配列中の位置を比較することによって決定され得る。
比較される配列中の等価な位置が同じ塩基またはアミノ酸によって占有される場
合は、分子はその位置で同一である;等価な部位が同じまたは類似のアミノ酸残
基(例えば、立体的な性質および/または電気的性質において類似である)によ
って占有される場合は、分子はその位置で相同(類似)であるといわれ得る。相
同性、類似性、または同一性の割合としての表現は、比較される配列によって共
有される位置での、同一または類似のアミノ酸の数の関数をいう。種々のアライ
ンメントアルゴリズムおよび/またはプログラムが、使用され得る。これらは、
FASTA、BLAST、またはENTREZを含む。FASTAおよびBLA
STは、GCG配列分析パッケージ(University of Wisco
nsin,Madison,Wis)の一部として入手可能であり、そして例え
ば、デフォルトセッティングを用いて使用され得る。ENTREZは、Nati
onal Center for Biotechnology Inform
ation,National Library of Medicine,N
ational Institutes of Health,Bethesd
a,Mdを通じて利用可能である。1つの実施態様においては、2つの配列のパ
ーセント同一性は、1のギャップ重量を用いるGCGプログラムによって決定さ
れ得る。例えば、各アミノ酸ギャップは、それが2つの配列間での単一のアミノ
酸またはヌクレオチドのミスマッチであるように重み付けられる。
【0052】 アラインメントための他の技術は、Methods in Enzymolo
gy、第266巻:Computer Methods for Macrom
olecular Sequence Analysis(1996)、Doo
little編、Academic Press,Inc.,Harcourt
Brace & Co.の一部門,San Diego,Californi
a,USAに記載されている。好ましくは、配列中にギャップを可能にするアラ
インメントプログラムが、配列のアラインメントのために利用される。Smit
h−Watermanは、配列のアラインメント中のギャップを可能にする1つ
の型のアルゴリズムである。Meth.Mol.Biol.70:173−18
7(1997)を参照のこと。また、NeedlemanおよびWunschア
ラインメント方法を使用するGAPプログラムが、配列をアラインメントするた
めに利用され得る。別の検索ストラテジーは、MPSRCHソフトウェアを使用
する。これは、MASPARコンピューター上で実行される。MPSRCHは、
大規模な並列したコンピューター上で配列をスコア付けするためのSmith−
Watermanアルゴリズムを使用する。このアプローチは、距離を空けて関
連するマッチをピックアップする能力を改良し、そして特に、小さなギャップお
よびヌクレオチド配列の誤りに寛容である。核酸によってコードされるアミノ酸
配列は、タンパク質およびDNAデータベースの両方を検索するために使用され
得る。
【0053】 個々の配列を有するデータベースは、Methods in Enzymol
ogy、Doolittle編、前出に記載されている。データベースは、Ge
nbank、EMBL、およびDNA Database of Japan(
DDBJ)を含む。
【0054】 好ましい核酸は、配列番号1〜544の1つに示される配列の核酸配列に対し
て、少なくとも70%、そしてより好ましくは80%同一、そしてより好ましく
は90%、そしてなおより好ましくは少なくとも95%同一である配列を有する
。配列番号1〜544の1つに示される核酸配列に対して、少なくとも90%、
より好ましくは95%、そして最も好ましくは少なくとも約98〜99%同一で
ある核酸もまた、当然のことながら本発明の範囲内である。好ましい実施態様に
おいては、核酸は哺乳動物のものである。
【0055】 用語「相互作用する」は、本明細書中で使用される場合は、天然における、タ
ンパク質−タンパク質、タンパク質−核酸、核酸−核酸、およびタンパク質−低
分子、または核酸−低分子間での相互作用のような、分子間の検出可能な相互作
用(例えば、生化学的な相互作用)を含むように意図される。
【0056】 用語「単離された」は、DNAまたはRNAのような核酸に関して本明細書中
で使用される場合は、高分子の天然の供給源中に存在するそれぞれ他のDNAま
たはRNAから分離された分子をいう。用語単離されたはまた、本明細書中で使
用される場合は、組換えDNA技術によって産生される場合には、細胞性の物質
、ウイルス性の物質、または培養培地を実質的に含まない、あるいは、化学的に
合成される場合には、化学的な前駆体または他の化学物質を実質的に含まない、
核酸またはペプチドをいう。さらに、「単離された核酸」は、フラグメントとし
ては天然には存在せず、そして天然の状態においては見出されない核酸のフラグ
メントを含むことを意味する。用語「単離された」はまた、他の細胞性のタンパ
ク質から単離されたポリペプチドをいうように、本明細書中で使用され、そして
精製されたポリペプチドおよび組換えポリペプチドの両方を含むことを意味する
【0057】 用語「調節される」および「示差的に調節される」は、本明細書中で使用され
る場合は、アップレギュレーション(すなわち、活性化または刺激(例えば、ア
ゴナイズすることまたは強化することによる))およびダウンレギュレーション
(すなわち、阻害または抑制(例えば、アンタゴナイズすること、低下させるこ
と、もしくは阻害することによる))の両方をいう。
【0058】 用語「変異した遺伝子」は、変異した遺伝子を有さない被験体と比較して、変
異した遺伝子を有する被験体の表現型を変化させ得る、遺伝子の対立遺伝子の形
態をいう。被験体が、変化した表現型を有するために、この変異についてホモ接
合性でなければならない場合は、その変異は劣性であると言われる。変異した遺
伝子の1つのコピーが、被験体の遺伝子型を変更するために十分である場合は、
その変異は優性であるといわれる。被験体が、変異した遺伝子の1つのコピーを
有し、そして(その遺伝子について)ホモ接合性の被験体の表現型とヘテロ接合
性の被験体の表現型との間の中間である表現型を有する場合は、その変異は相互
優性であると言われる。
【0059】 文字「N」は、それが添付の配列表(Sequence Listing)に
現れる場合には、対応するヌクレオチドの同一性が未知であることを示す。従っ
て、「N」は、任意のヌクレオチド(例えば、A、T、C、またはG)での置換
を許容するとして必ずしも解釈されないが、そのアイデンティティが最終的には
決定されていないヌクレオチドの位置を保持するとして解釈されるべきである。
【0060】 本発明の「非ヒト動物」は、哺乳動物(例えば、げっ歯類、非ヒト霊長類、ヒ
ツジ、イヌ、ウシ)、ニワトリ、両生類、ハ虫類などを含む。好ましい非ヒト動
物は、ラットおよびマウスを含むげっ歯類のファミリーから選択される。最も好
ましくは、マウスである。しかし、トランスジェニック両生類(例えば、Xen
opus属のメンバー)およびトランスジェニックニワトリもまた、例えば、胚
形成および組織の形成に影響を与え得る因子を理解および同定するための重要な
ツールを提供し得る。用語「キメラ動物」は、本明細書中で使用されて、組換え
遺伝子がその中で見出される動物、または組換え遺伝子がその動物の全てではな
いがいくつかの細胞において発現される動物をいう。用語「組織特異的キメラ動
物」は、組換え遺伝子の1つが、いくらかの組織中に存在および/または発現も
しくは破壊されているが、他の組織ではそうではないことを示す。
【0061】 本明細書中で使用される場合は、用語「核酸」は、デオキシリボ核酸(DNA
)、そして適切である場合にはリボ核酸(RNA)のようなポリヌクレオチドを
いう。この用語はまた、等価物として、ヌクレオチドアナログから作製されたR
NAまたはDNAのいずれかのアナログ、そして記載されている実施態様に対し
て適用可能な場合には一本鎖(センスまたはアンチセンス)ポリヌクレオチドお
よび二本鎖ポリヌクレオチドを含むと理解されるべきである。EST、染色体、
cDNA、mRNA、およびrRNAは、核酸と呼ばれ得る分子の代表的な例で
ある。
【0062】 用語「配列番号xのヌクレオチド配列に対して相補的なヌクレオチド配列」は
、配列番号xを有する核酸の鎖の相補鎖のヌクレオチド配列をいう。用語「相補
鎖」は、用語「相補体」と互換的に本明細書中で使用される。核酸の鎖の相補体
は、コード鎖の相補体または非コード鎖の相補体であり得る。
【0063】 用語「多型」は、遺伝子またはその一部(例えば、対立遺伝子変異体)の1つ
より多い形態の同時の存在をいう。少なくとも2つの異なる形態(すなわち、2
つの異なるヌクレオチド配列)が存在する遺伝子の一部は、「遺伝子の多型性領
域」といわれる。多型性領域は、そのアイデンティティが種々の対立遺伝子にお
いて異なる単一のヌクレオチドであり得る。多型性領域はまた、いくつかのヌク
レオチド長であり得る。
【0064】 「多型性遺伝子」とは、少なくとも1つの多型性領域を有する遺伝子をいう。
【0065】 本明細書中で使用される場合、用語「プロモーター」は、このプロモーターに
対して作動可能に連結された選択されたDNA配列の発現を調節するDNA配列
を意味し、そしてこのプロモーターは、細胞中でのその選択されたDNA配列の
発現をもたらす。この用語は、「組織特異的」プロモーター(すなわち、特定の
細胞(例えば、特定の組織の細胞)中でのみその選択されたDNA配列の発現を
もたらすプロモーター)を含む。この用語はまた、いわゆる「漏出性(leak
y)」プロモーターを含む。これは、主に1つの組織中で選択されたDNAの発
現を調節するが、他の組織においても同様に発現を生じる。この用語はまた、組
織特異的ではないプロモーター、および構成的に発現されるかまたは誘導性であ
る(すなわち、発現レベルが制御され得る)プロモーターを含む。
【0066】 用語「タンパク質」、「ポリペプチド」、および「ペプチド」は、遺伝子産物
をいう場合には、本明細書中で互換的に使用される。
【0067】 用語「組換えタンパク質」とは、組換えDNA技術によって産生される本発明
のポリペプチドをいう。ここでは、一般には、ポリペプチドをコードするDNA
は、適切な発現ベクター中に挿入され、次いで、これは、異種タンパク質を産生
するように宿主細胞を形質転換するために使用される。さらに、句「に由来する
」は、組換え遺伝子に関しては、「組換えタンパク質」の意味の中に、ネイティ
ブなポリペプチドのアミノ酸配列、またはそのポリペプチドの天然に存在する形
態の置換および欠失(短縮(truncation)を含む)を含む変異によっ
て生成されるそれに類似のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むことが意味さ
れる。
【0068】 「低分子」は、本明細書中で使用される場合は、約5kD未満の分子量、およ
び最も好ましくは、約4kD未満の分子量を有する組成物をいうことが意味され
る。低分子は、核酸、ペプチド、ポリペプチド、ペプチド模倣物、炭水化物、脂
質、または他の有機分子(炭素を含有する)もしくは無機分子であり得る。多く
の製薬会社は、化学的および/または生物学的混合物、しばしば、真菌、細菌、
もしくは藻類の抽出物の広範囲のライブラリーを有する。これらは、生物活性を
調節する化合物を同定するために、本発明の任意のアッセイを用いてスクリーニ
ングされ得る。
【0069】 本明細書中で使用される場合は、用語「特異的にハイブリダイズする」または
「特異的に検出する」は、配列番号1〜544もしくはそれに相補的である配列
、またはその天然に存在する変異体のいずれかの1つに示される核酸の少なくと
も一部(例えば、およそ、6、12、15、20、30、50、100、150
、200、300、350、400、500、750、または1000の連続す
るヌクレオチド)にハイブリダイズする本発明の核酸分子の能力をいう。その結
果、これは、異なるタンパク質をコードする細胞の核酸(例えば、mRNAまた
はゲノムDNA)に対して、15%未満、好ましくは10%未満、そしてより好
ましくは5%未満のバックグラウンドのハイブリダイゼーションを有する。好ま
しい実施態様においては、オリゴヌクレオチドプローブは、特定の核酸のみを検
出する。例えば、これは、類似である核酸または関連する核酸、またはそれらの
相補体に対して実質的にハイブリダイズしない。
【0070】 「転写調節配列」は、開始シグナル、エンハンサー、およびプロモーターのよ
うなDNA配列をいうための、明細書を通じて使用される一般的な用語である。
「転写調節配列」は、それらが作動可能に連結されるタンパク質コード配列の転
写を誘導または制御する。好ましい実施態様においては、遺伝子の1つの転写は
、発現が意図される細胞型中での組換え遺伝子の発現を制御する、プロモーター
配列(または、他の転写調節配列)の制御下にある。組換え遺伝子が、ポリペプ
チドの天然に存在する形態の転写を制御する配列と同じであるかまたはそれとは
異なる、転写調節配列の制御下にあり得ることもまた、理解される。
【0071】 本明細書中で使用される場合、用語「トランスフェクション」は、核酸によっ
て媒介される遺伝子移入によるレシピエント細胞中への(例えば、発現ベクター
を介する)核酸の導入を意味する。「形質転換」は、本明細書中で使用される場
合、外因性のDNAまたはRNAの細胞取りこみの結果として細胞の遺伝子型が
変更されるプロセスをいう。そして例えば、形質転換された細胞は、ポリペプチ
ドの組換え形態を発現するか、または移入された遺伝子からのアンチセンスの発
現の場合には、標的遺伝子の発現が破壊される。
【0072】 本明細書中で使用される場合、用語「トランスジーン」は、細胞中に導入され
ている核酸配列(またはそれに対するアンチセンス転写物)を意味する。トラン
スジーンは、それが導入されるトランスジェニック動物または細胞に対して、部
分的にもしくは全体的に異種(すなわち、外来性)であり得るか、またはそれが
導入されるトランスジェニック動物もしくは細胞の内因性の遺伝子に対して、同
種である。しかし、これは、それが挿入される細胞のゲノムを変更するような様
式で動物のゲノム中に挿入されるように設計されるか、または挿入される(例え
ば、これは、天然の遺伝子のものとは異なる位置に挿入されるか、またはその挿
入はノックアウトを生じる)。トランスジーンはまた、エピソームの形態で細胞
中に存在し得る。トランスジーンは、1つ以上の転写調節配列、および選択され
た核酸の最適な発現のために必要であり得る任意の他の核酸(例えば、イントロ
ン)を含み得る。
【0073】 「トランスジェニック動物」は、任意の動物(好ましくは、非ヒト哺乳動物、
鳥類、または両生類)をいう。ここで、動物の1つ以上の細胞は、ヒトの介入に
よって、例えば、当該分野で周知のトランスジェニック技術によって導入された
異種核酸を含む。核酸は、細胞の前駆体中への導入によって、意図的な遺伝子操
作によって(例えば、マイクロインジェクションによって、または組換えウイル
スでの感染によって)、直接または間接的に細胞に導入される。用語遺伝子操作
は、古典的な交雑育種またはインビトロでの受精を含まないが、組換えDNA分
子の導入を指向する。この分子は、染色体中に組み込まれ得るか、またはこれは
、染色体外複製をするDNAであり得る。本明細書中で記載される代表的なトラ
ンスジェニック動物においては、トランスジーンは、細胞に、対象のポリペプチ
ドの1つの組換え形態(例えば、アゴニスト形態またはアンタゴニスト形態のい
ずれか)を発現させる。しかし、組換え遺伝子がサイレントであるトランスジェ
ニック動物もまた、意図される(例えば、以下に記載されるFLPまたはCRE
組換え酵素依存性構築物)。さらに、「トランスジェニック動物」はまた、1つ
以上の遺伝子の遺伝子破壊が、組換えおよびアンチセンス技術の両方を含むヒト
の介入によって引き起こされた組換え動物を含む。
【0074】 用語「処置する」は、本明細書中で使用される場合、状態または疾患の少なく
とも1つの症状を治癒させることおよび改良させることを含むように意図される
【0075】 用語「ベクター」は、それが連結されている別の核酸を輸送し得る核酸分子を
いう。好ましいベクターの1つの型は、エピソーム(すなわち、染色体外複製が
可能な核酸)である。好ましいベクターは、自律的複製および/またはそれが連
結されている核酸の発現が可能であるベクターである。それらが作動可能に連結
されている遺伝子の発現を指向し得るベクターは、本明細書中で「発現ベクター
」と呼ばれる。一般には、組換えDNA技術において有用な発現ベクターは、し
ばしば、「プラスミド」の形態である。これは、一般には、環状の二本鎖のDN
Aループをいい、それらのベクター形態においては、それは、染色体に結合して
いない。本明細書中では、「プラスミド」および「ベクター」は、プラスミドが
ベクターの最も一般に使用される形態である場合には、互換的に使用される。し
かし、本発明は、等価な機能を提供し、そして当該分野で後に公知になる、その
ような他の形態の発現ベクターを含むことが意図される。
【0076】 用語「野生型対立遺伝子」は、被験体中に2つのコピーで存在する場合に野生
型の表現型を生じる遺伝子の対立遺伝子をいう。特定の遺伝子のいくつかの異な
る野生型対立遺伝子が存在し得る。なぜなら、遺伝子における特定のヌクレオチ
ド変化は、そのヌクレオチド変化を有する遺伝子の2つのコピーを有する被験体
の表現型に影響を与えないかもしれないからである。
【0077】 (III.本発明の核酸) 以下に記載するように、本発明の1つの局面は、単離された核酸、変異体、お
よび/またはこのような核酸の等価物に関する。
【0078】 本発明の核酸(例えば、配列番号1−544、好ましくは、配列番号1−16
8、なおより好ましくは、配列番号1−35、またはそれらの配列相補物)は、
腫瘍細胞(例えば、結腸ガンに由来する細胞株)中で示差的に発現される(正常
な組織(例えば、正常な結腸組織および/または正常な結腸ではない組織)中で
の発現レベルと比較して)として同定されている。特定の実施態様においては、
本発明の核酸は、少なくとも2倍、好ましくは少なくとも5倍、なおより好まし
くは少なくとも20倍、さらにより好ましくは少なくとも50倍示差的に発現さ
れる。好ましい核酸として、結腸のガン細胞組織および結腸のガン細胞株の両方
において示差的に発現されるとして同定される配列が挙げられる。好ましい実施
態様においては、本発明の核酸は、腫瘍細胞(特に、結腸ガン組織および/また
は結腸ガンに由来する細胞株)中でアップレギュレートされる。別の実施態様に
おいては、本発明の核酸は、腫瘍細胞(特に、結腸ガンの組織および/または結
腸ガンに由来する細胞株)中でダウンレギュレートされる。
【0079】 表1は、正常な組織と比較して、結腸ガンに由来する細胞株中で過剰に発現さ
れるかまたは発現が不足する配列を示す。そしてさらに、また、結腸ガン組織中
で別々に調節される配列を示す。文字Oは、対応する配列が過剰発現されたこと
を示し、Mは、過剰発現される可能性があることを示し、Nは示差的に発現され
ないことを示し、そしてUは、発現が不足することを示す。
【0080】 異常に増殖している細胞中の、オンコジーンのようなアップレギュレートされ
る遺伝子、または腫瘍サプレッサーのようなダウンレギュレートされる遺伝子は
、診断技術または治療技術の標的であり得る。例えば、cdc2遺伝子のアップ
レギュレーションは、有糸分裂を誘導する。有糸分裂の不活性化因子であるmy
t1遺伝子の過剰発現は、cdc2の活性をネガティブに調節する。異常な増殖
は、このように、cdc2をアップレギュレートすること、またはmyt1をダ
ウンレギュレートすることのいずれかによって誘導され得る。同様に、腫瘍サプ
レッサー(例えば、p53およびRb)のダウンレギュレーションが、腫瘍形成
に関与している。
【0081】 特に好ましいポリペプチドは、配列番号1−544の核酸配列に対して、少な
くとも約70%、75%、80%、90%、95%、97%、または98%類似
である核酸配列によってコードされるものである。好ましくは、この核酸は、配
列番号1−168の核酸、好ましくは配列番号1−35の核酸、またはそれに相
補的である配列に対応する、ヌクレオチド配列の全てまたは一部(例えば、少な
くとも約12、少なくとも約15、少なくとも約25、または少なくとも約40
のヌクレオチド)を含む。
【0082】 本発明のなお他の好ましい核酸は、配列番号1−544のうちの1つによって
コードされるポリペプチドの少なくとも一部を含むポリペプチドをコードする。
例えば、プローブ/プライマー、またはアンチセンス分子(すなわち、非コード
核酸分子)としての使用に好ましい核酸分子は、約12、20、30、50、6
0、70、80、90、または100塩基対の長さから完全な遺伝子の長さまで
を含み得る。コード核酸分子は、例えば、約50、60、70、80、90、ま
たは100塩基対から完全な遺伝子の長さまでを含み得る。
【0083】 本発明の別の局面は、配列番号1−168(好ましくは、配列番号1−35)
またはそれに相補的な配列のうちの1つによって示される核酸配列に対して、低
い、中程度の、または高いストリンジェンシーの条件下でハイブリダイズする核
酸を提供する。DNAハイブリダイゼーションを促進する適切なストリンジェン
シーの条件(例えば、45℃での6.0×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム
(SSC)、続く50℃での2.0×SSCでの洗浄)は、当業者に公知である
か、またはCurrent Protocols in Molecular
Biology,John Wiley & Sons、N.Y.(1989)
、6.3.1−12.3.6に見出され得る。例えば、洗浄工程における塩濃度
は、50℃での約2.0×SSCの低いストリンジェンシーから50℃での約0
.2×SSCの高いストリンジェンシーまでから選択され得る。さらに、洗浄工
程での温度は、室温(約22℃)での低いストリンジェンシーの条件から、約6
5℃での高いストリンジェンシーの条件まで上昇され得る。温度および塩の両方
が変更され得るか、または温度もしくは塩濃度が一定に保持され得たままもう一
方の変数が変更される。好ましい実施態様においては、本発明の核酸は、配列番
号1−168(好ましくは、配列番号1−35)またはそれらに相補的な配列の
うちの1つに、中程度にストリンジェントな条件(例えば、約40℃での約2.
0×SSC)下で結合する。特に好ましい実施態様においては、本発明の核酸は
、配列番号1−168(好ましくは、配列番号1−35)またはそれらに相補的
な配列のうちの1つに、高いストリンジェンシーの条件下で結合する。
【0084】 1つの実施態様においては、本発明は、室温での6×SSC、続く室温での2
×SSCでの洗浄の低いストリンジェンシーの条件下でハイブリダイズする核酸
を提供する。
【0085】 別の実施態様においては、本発明は、65℃での2×SSC,続く65℃での
0.2×SSCでの洗浄の、高いストリンジェンシーの条件下でハイブリダイズ
する核酸を提供する。
【0086】 遺伝子コードの縮重に起因する、配列番号1−168(好ましくは、配列番号
1−35)またはそれらに相補的な配列の1つに示されるヌクレオチド配列とは
異なる配列を有する核酸もまた、本発明の範囲内である。このような核酸は、機
能的に等価であるペプチド(すなわち、等価または類似の生物学的活性を有する
ペプチド)をコードするが、遺伝子コードの縮重に起因して配列表に示される配
列とは配列が異なる。例えば、多数のアミノ酸は、1つ以上のトリプレットによ
って示される。同じアミノ酸を特定するコドン、または同義語(例えば、CAU
およびCACはそれぞれヒスチジンをコードする)は、ポリペプチドのアミノ酸
配列には影響を与えない「サイレントな」変異を生じ得る。しかし、本発明のポ
リペプチドのアミノ酸配列における変更をもたらすDNA配列の多型性が、哺乳
動物の間に存在することが予想される。ポリペプチドの活性を有するポリペプチ
ドをコードする核酸の1つ以上のヌクレオチド(例えば、そのヌクレオチドの約
3−5%まで)におけるこれらのバリエーションが、天然の対立遺伝子のバリエ
ーションに起因して、所定の種の個体間に存在し得ることが、当業者に明らかで
ある。
【0087】 配列番号1−544、好ましくは配列番号1−168、なおより好ましくは配
列番号1−35、またはそれらに相補的である配列の核酸によってコードされる
タンパク質のスプライシング変異体あるいはこのようなタンパク質の天然のホモ
ログをコードする核酸もまた、本発明の範囲内である。このようなホモログは、
本明細書中にさらに記載されるように、ハイブリダイゼーションまたはPCRに
よってクローン化され得る。
【0088】 ポリヌクレオチド配列はまた、対象ポリペプチドについての、リーダー配列(
例えば、天然のリーダー配列または異種リーダー配列)をコードし得る。例えば
、所望されるDNA配列は、宿主細胞からのポリペプチドの発現および分泌を補
助するDNA配列(例えば、細胞からのポリペプチドの輸送を制御するための分
泌配列として機能するリーダー配列)に対して同じリーディングフレームで融合
され得る。リーダー配列を有するタンパク質はプレタンパク質であり、そしてそ
のタンパク質の成熟形態を形成するように宿主細胞によって切断されるリーダー
配列を有し得る。
【0089】 本発明のポリヌクレオチドはまた、本明細書中で「Tagペプチド」をコード
する「Tag配列」とも呼ばれるマーカー配列に対してインフレームで融合され
得る。これは、本発明のポリペプチドの生成および/または精製を可能にする。
好ましい実施態様においては、そのマーカー配列は、ヘキサヒスチジンタグ(例
えば、PQE−9ベクターによって提供される)である。多数の他のTagペプ
チドが、商業的に入手可能である。他の頻繁に使用されるTagとして、myc
−エピトープ(例えば、Ellisonら(1991)J Biol Chem
266:21150−21157)(これは、c−mycに由来する10残基
の配列を含む)、pFLAGシステム(International Biot
echnologies,Inc.)、pEZZ−プロテインAシステム(Ph
armacia,NJ)、およびHaemophilus influenza
赤血球凝集素タンパク質の16アミノ酸部分が挙げられる。さらに、任意のポリ
ペプチドが、試薬(例えば、Tagポリペプチドと特異的に相互作用する抗体)
が入手可能であるかまたは調製もしくは同定され得る限りは、Tagとして使用
され得る。
【0090】 以下に示される実施例によって示されるように、核酸は、例えば、任意の多数
の真核生物中に存在するmRNAから得られ得、そして好ましくは、後生動物細
胞から、より好ましくは、脊椎動物細胞から、およびなおより好ましくは哺乳動
物細胞から得られる。成体および胚の両方に由来するゲノムDNAから本発明の
核酸を得ることもまた、可能であるはずである。例えば、遺伝子は、当業者に一
般的に公知であるプロトコールに従って、cDNAライブラリーまたはゲノムラ
イブラリーのいずれかからクローン化され得る。cDNAは、細胞(例えば、脊
椎動物細胞、哺乳動物細胞,またはヒト細胞(胚性細胞を含む))から全mRN
Aを単離することによって、得られ得る。次いで、二本鎖のcDNAが、全mR
NAから調製され得、続いて、多数の公知の技術のうちの任意の1つを使用して
適切なプラスミドベクターまたはバクテリオファージベクター中に挿入され得る
。遺伝子はまた、本発明によって提供されるヌクレオチド配列情報に従って、確
立されたポリメラーゼ連鎖反応技術を使用してクローン化され得る。
【0091】 特定の実施態様においては、本発明の核酸、プローブ、ベクター、または他の
構築物は、表2に新規として示される領域に由来する、少なくとも約5、少なく
とも約10、または少なくとも約20の核酸を含む。特定の他の実施態様におい
ては、本発明の核酸は、その登録番号が表2に列挙されるクローンには含まれな
い、少なくとも約5、少なくとも約10、または少なくとも約20の核酸を含む
【0092】 本発明は、この生物学的な材料から得られる核酸のヌクレオチド配列を有する
ポリヌクレオチドを、本発明の範囲に含む。ここで、この核酸は、配列番号1−
544の少なくとも1つの少なくとも15連続するヌクレオチドとストリンジェ
ントな条件(65℃での少なくとも約4×SSC、または42℃での少なくとも
約4×SSC;例えば、米国特許第5,707,829号(本明細書中で参考と
して援用されている)を参照のこと)下でハイブリダイズする。これによって、
配列番号1−544の1つの少なくとも15連続するヌクレオチドがプローブと
して使用される場合は、プローブは、相補的な配列を含む(生物学的な材料の)
遺伝子またはmRNAと優先的にハイブリダイズし、これによって、選択された
プローブに独特にハイブリダイズする生物学的材料の核酸の同定および検索を可
能にすることが意図される。配列番号1−544の1より多くに由来するプロー
ブは、それらが由来するcDNAが1つのmRNAに対応する場合に、同じ遺伝
子またはmRNAとハイブリダイズする。15より多いヌクレオチドのプローブ
が使用され得るが、特有の同定については15ヌクレオチドが十分な配列を表す
【0093】 本発明の核酸は部分的なmRNA転写物を示すので、本発明の2以上の核酸は
、同じmRNA転写物および同じ遺伝子の、異なる領域を提示し得る。従って、
配列番号1−544の2つ以上が同じクローンに属するとして同定されるならば
、いずれかの配列が、全長のmRNAまたは遺伝子を得るために使用され得る。
【0094】 核酸に関連するポリヌクレオチドはまた、cDNAライブラリーからも単離さ
れ得る。これらのライブラリーは、好ましくはヒトの結腸細胞(より好ましくは
ヒト結腸ガン特異的組織(添付の表においてDEクローンと命名)から調製され
る。別の実施態様において、核酸は、正常な結腸特異的組織(添付の表において
PAクローンと命名)から調製される。なお別の実施態様において、本発明は、
ヒト結腸腺ガン細胞株のSW480から調製されたライブラリー、ならびに正常
な結腸特異的組織または結腸ガン特異的組織のいずれかから調製されたライブラ
リーの両方から単離され得る。これらの配列は、表3に列挙される。上記に記載
されるような、配列番号1−544のアラインメントは、関連するタンパク質ま
たはポリペプチドの細胞株供給源または組織供給源もまた、核酸に関連するcD
NAの供給源として使用され得ることを示し得る。
【0095】 核酸配列のライブラリーを産生およびプローブするための技術は、例えば、S
ambrookら、「Molecular Cloning:A Labora
tory Manual」(New York,Cold Spring Ha
rbor Laboratory,1989)に記載されている。cDNAは、
配列番号1−544に由来する配列に基づくプライマーを使用して調製され得る
。1つの実施態様においては、cDNAライブラリーは、ポリアデニル化された
mRNAのみから作製され得る。従って、ポリTプライマーが、mRNAからc
DNAを調製するために使用され得る。配列番号1−544のアラインメントは
、関連するポリペプチドまたはポリヌクレオチドの同定を生じ得る。本明細書中
に開示されるポリヌクレオチドのいくつかは、検索手順の間にマスキングに供せ
られた反復領域を含む。反復領域についての情報は以下で議論される。
【0096】 配列番号1−544の配列を有するポリヌクレオチドの構築物は、合成によっ
て生成され得る。あるいは、多数のオリゴデオキシリボヌクレオチドからの遺伝
子および完全なプラスミドの単一の工程のアセンブリが、Stemmerら、G
ene(Amsterdam)(1995)164(1):49−53によって
記載されている。この方法においては、アセンブリPCR(多数のオリゴデオキ
シリボヌクレオチド(オリゴ)からの長いDNA配列の合成)が記載されている
。この方法は、DNAシャッフリング(Stemmer、Nature(199
4)370:389−391)に由来し、そしてDNAリガーゼにはよらず、そ
のかわりにDNAポリメラーゼに依存して、アセンブリプロセスの間に、漸増的
により長いDNAフラグメントを構築する。例えば、TEM−1β−ラクタマー
ゼをコードする遺伝子(bla)を含有する1.1kbのフラグメントが、全5
6オリゴから、それぞれ40ヌクレオチド(nt)の長さで単一の反応において
アセンブルされ得る。合成遺伝子は、PCR増幅され得、そして単一の選択マー
カーとしてテトラサイクリン耐性遺伝子(Tc−R)を含有するベクター中にク
ローン化され得る。アンピシリン(Ap)選択には頼ることなく、Tc−Rコロ
ニーの76%がAp−Rであった。このことは、このアプローチを、任意の遺伝
子の迅速かつコスト的に効率のよい合成のための一般的な方法にしている。
【0097】 (IV.当該分野で認識されている方法を使用する、新規の遺伝子の機能的お
よび構造的モチーフの同定) 核酸、cDNA、または全長の遺伝子のヌクレオチド配列の翻訳物は、個々の
既知の配列とともに整列され得る。個々の配列との類似性は、本発明のポリヌク
レオチドによってコードされるポリペプチドの活性を決定するために使用され得
る。例えば、ケモカイン配列と類似性を示す配列は、ケモカイン活性を示し得る
。また、1より多くの個々の配列と類似性を示す配列は、いずれかまたは両方の
個々の配列の特徴である活性を示し得る。
【0098】 最も密接に関連するもののポリヌクレオチド配列の全長の配列およびフラグメ
ントは、核酸の全長の配列を同定および単離するためのプローブおよびプライマ
ーとして使用され得る。最も密接に関連するものは、核酸の全長の配列について
のライブラリーを構築するために使用される、組織または細胞型を示し得る。
【0099】 代表的には、核酸は、個々の配列との最良のアラインメントを決定するために
、6つ全てのフレームで翻訳される。配列表において本明細書中に開示される配
列は、5’から3’方向であり、そして3個のフレームでの翻訳が十分であり得
る(実施例に記載されるようないくつかの特定の例外を有する)。一般的には、
これらのアミノ酸配列は問い合わせ配列と呼ばれ、これは、個々の配列と整列さ
れる。
【0100】 核酸配列は、上記に開示される任意の方法によって、既知の遺伝子と比較され
得る。個々の配列と問い合わせ配列とのアラインメントの結果は、以下の3つの
カテゴリーに分けられ得る:高い類似性、弱い類似性、および類似性なし。高い
類似性から弱い類似性までの範囲である個々のアラインメントは、ポリペプチド
の活性および/または構造を決定するための基準を提供する。
【0101】 個々の結果を分類するためのパラメーターとして、以下が挙げられる:最も強
いアラインメントが見出される場合のアラインメント領域の長さの割合、配列同
一性パーセント、およびp値。
【0102】 アラインメント領域の長さの割合は、最も強いアラインメントの領域において
見出される個々の配列の残基の数を計数することによって計算される。この数が
問い合わせ配列の全残基の長さによって割り算されて、割合が判明する。例を以
下に示す:
【0103】
【化1】 アラインメントの領域は、アミノ酸9で始まりそしてアミノ酸19で終わる。
問い合わせ配列の全長は、20アミノ酸である。アラインメントの領域の長さの
パーセントは、11/20、すなわち55%である。
【0104】 配列同一性パーセントは、問い合わせ配列と個々の配列との間で適合するアミ
ノ酸の数を計数し、そして最も強いアラインメントの領域中に見出される個々の
配列の残基の数で適合の総数を割り算することによって計算される。上記の例に
ついては、同一性パーセントは、(10の適合)÷(11アミノ酸)であり、す
なわち、およそ90.9%である。
【0105】 P値は、アラインメントが偶然に産生される可能性である。単一のアラインメ
ントについては、p値は、Karlinら、Proc.Natl.Acad.S
ci.87:2264(1990)およびKarlinら、Proc.Natl
.Acad.Sci.90:(1993)に従って計算され得る。同じ問い合わ
せ配列を使用する複数のアラインメントのp値は、Altschulら、Nat
.Genet.6:119(1994)に記載される帰納的アプローチを使用し
て計算され得る。BLASTプログラムのようなアラインメントプログラムが、
p値を計算し得る。
【0106】 配列が整列する領域の境界は、Doolittle、Methods in
Enzymology、前出;BLASTプログラムまたはFASTAプログラ
ムに従って決定され得るか;あるいは、配列同一性が最も高い領域を決定するこ
とによって、決定され得る。
【0107】 同一性または類似性を決定するために考慮する別の因子は、類似性または同一
性の位置である。強力な局所的アラインメントは、たとえアラインメントの長さ
が短い場合でも、類似性を示し得る。問い合わせ配列の長さを通じて散在する配
列同一性もまた、問い合わせ配列とプロフィール配列との間での類似性を示し得
る。
【0108】 (高い類似性) 高い類似性であると考えられるアラインメント結果については、代表的には、
アラインメント領域の長さのパーセントは、全長の問い合わせ配列の少なくとも
約55%;より代表的には少なくとも約58%;なおより代表的には問い合わせ
配列の全残基長の少なくとも約60%である。通常は、アラインメント領域の長
さのパーセントは、約62%程度;より通常は約64%程度;なおより通常は約
66%程度であり得る。
【0109】 さらに、高い類似性に関しては、アラインメントの領域は、代表的には、少な
くとも約75%の配列同一性;より代表的には少なくとも約78%;なおより代
表的には少なくとも約80%の配列同一性を示す。通常は、配列同一性パーセン
トは、約82%程度;より通常は約84%程度;なおより通常は約86%程度で
あり得る。
【0110】 p値は、これらの方法と組み合わせて使用される。高い類似性が見出される場
合は、問い合わせ配列は、p値が約10-2以下;より通常は約10-3以下;なお
より通常は約10-4以下である場合に、プロフィール配列と高い類似性を有する
と考えられる。より代表的には、p値は、高い類似性であると考えられる問い合
わせ配列について、約10-5以下;より代表的には約10-10以下;なおより代
表的には約10-15以下である。
【0111】 (弱い類似性) 弱い類似性であると考えられるアラインメント結果については、アラインメン
ト領域の最少のパーセントの長さは存在せず、また、アラインメントの最少の長
さも存在しない。弱い類似性をより良好に示すことは、アラインメントの領域が
、代表的には、少なくとも約15アミノ酸残基長;より代表的には少なくとも約
20;なおより代表的には少なくとも約25アミノ酸残基長である場合に、考え
られる。通常は、アラインメントの領域の長さは、約30アミノ酸残基程度;よ
り通常は約40アミノ酸残基程度;なおより通常は約60アミノ酸残基程度であ
り得る。
【0112】 さらに、弱い類似性については、アラインメントの領域は、代表的には、少な
くとも約35%の配列同一性;より代表的には少なくとも約40%;なおより代
表的には少なくとも約45%の配列同一性を示す。通常は、配列同一性パーセン
トは、約50%程度;より通常は約55%程度;なおより通常は約60%程度で
あり得る。
【0113】 低い類似性が見出される場合は、問い合わせ配列は、通常は、p値が約10-2 以下;より通常は約10-3以下;なおより通常は約10-4以下である場合に、プ
ロフィール配列と弱い類似性を有すると考えられる。より代表的には、p値は、
弱い類似性であると考えられる問い合わせ配列について、約10-5以下;より通
常は;約10-10以下;なおより通常は;約10-15以下である。
【0114】 (配列同一性によって決定される類似性) 配列同一性単独が、個々の配列に対する問い合わせ配列の類似性を決定するた
めに使用され得、そして配列の活性を示し得る。このようなアラインメントは、
好ましくは、配列を整列するためのギャップを許容する。代表的には、問い合わ
せ配列は、問い合わせ配列全体にわたるその配列同一性が少なくとも約15%;
より代表的には少なくとも約20%;なおより代表的には少なくとも約25%;
なおより代表的には少なくとも約50%である場合に、プロフィール配列に関連
する。類似性の尺度としての配列同一性は、単独で、問い合わせ配列が通常は、
少なくとも80残基長;より通常は90残基;なおより通常は少なくとも95ア
ミノ酸残基長である場合に、最も有用である。より代表的には、類似性は、問い
合わせ配列が好ましくは100残基長;より好ましくは120残基長;なおより
好ましくは150アミノ酸残基長である場合に、配列同一性のみに基づいて決定
され得る。
【0115】 (プロフィールおよび複数の整列された配列とのアラインメントから活性を決
定する) 核酸の翻訳物は、タンパク質ファミリーまたは共通のモチーフのいずれかを規
定するアミノ酸プロフィールと整列され得る。また、核酸の翻訳物は、タンパク
質ファミリーまたはモチーフのメンバーのポリペプチド配列を含む複数の配列の
アラインメント(MSA)に対して整列され得る。プロフィール配列またはMS
Aとの類似性または同一性は、核酸または対応するcDNAもしくは遺伝子によ
ってコードされるポリペプチドの活性を決定するために使用され得る。例えば、
ケモカインプロフィールまたはMSAと同一性または類似性を示す配列は、ケモ
カイン活性を示し得る。
【0116】 プロフィールは、(1)MSAを作成すること(これは、そのファミリーに属
するメンバーのアミノ酸配列のアラインメントである)および(2)アラインメ
ントの統計的表示を構築することによって手動で設計され得る。このような方法
は、例えば、Birneyら、Nucl.Acid Res.24(14):2
730−2739(1996)に記載される。
【0117】 いくつかのタンパク質ファミリーおよびモチーフのMSAは、公に入手可能で
ある。例えば、これらは、547個の異なるファミリーおよびモチーフのMSA
を含む。これらのMSAは、Sonnhammerら、Proteins 28
:405−420(1997)にもまた記載されている。他の供給源もまた、ワ
ールドワイドウェブにおいて入手可能である。これらのMSAの簡単な記載が、
Pascarellaら、Prot.Eng.9(3):249−251(19
96)に報告されている。
【0118】 MSAからプロフィールを構築するための技術が、Sonnhammerら、
前出;Birneyら、前出;およびMethods in Enzymolo
gy、第266巻:「Computer Methods for Macro
molecular Sequence Analysis」1996、Doo
little編、Academic Press,Inc.,Harcourt
Brace & Co.部門、San Diego,California,
USAに記載されている。
【0119】 問い合わせ配列とタンパク質ファミリーまたはモチーフとの間での類似性は、
(a)プロフィールに対して問い合わせ配列を比較すること、および/または(
b)ファミリーもしくはモチーフのメンバーと問い合わせ配列とを整列すること
によって、決定され得る。
【0120】 代表的には、Searchwiseのようなプログラムが使用されて、複数の
アラインメント(プロフィールとしてもまた、公知である)の統計的表示に対し
て問い合わせ配列を比較し得る。このプログラムは、Birneyら、前出に記
載されている。配列およびプロフィールを比較するための他の技術が、Sonn
hammerら、前出、およびDoolittle、前出に記載されている。
【0121】 次に、Fengら、J.Mol.Evol.25:351−360(1987
)およびHigginsら、CABIOS 5:151−153(1989)に
よって記載される方法は、(MSAとしてもまた知られている)ファミリーもし
くはモチーフのメンバーと問い合わせ配列とを整列するために使用され得る。P
ILEUPのようなコンピュータープログラムが、使用され得る。Fengら、
後出を参照のこと。
【0122】 以下の因子が、問い合わせ配列とプロフィールもしくはMSAとの間に類似性
が存在するかどうかを決定するために使用される:(1)問い合わせ配列中に見
出される保存された残基の数、(2)問い合わせ配列中に見出される保存された
残基の割合、(3)フレームシフトの数、および(4)保存された残基間の間隔
(spacing)。
【0123】 配列の平行移動(translate)および整列の両方を行ういくつかのア
ラインメントプログラムは、ヌクレオチド配列を平行移動する場合には、最良の
アラインメントを生じるように任意の数のフレームシフトを作成し得る。整列を
生じるために必要なフレームシフトが少ないほど、問い合わせ配列とプロフィー
ルまたはMSAとの間で類似性または同一性がより強い。例えば、フレームシフ
トを生じない弱い類似性は、2個のフレームシフトによって生じる強い類似性よ
りも、問い合わせ配列の活性または構造の良好な指標であり得る。好ましくは、
3個以下のフレームシフトが、アラインメントにおいて見出される;より好まし
くは、2個以下のフレームシフト;なおより好ましくは、1個以下のフレームシ
フト;なおより好ましくは、フレームシフトがないことが、問い合わせ配列およ
びプロフィールまたはMSAのアラインメント中に見出される。
【0124】 保存された残基は、全てまたはいくつかのファミリーまたはモチーフのメンバ
ー中の特定の位置で見出されるそのようなアミノ酸である。例えば、最も知られ
ているケモカインは、4個の保存されたシステインを含む。あるいは、位置は、
特定のクラスのアミノ酸のみがファミリーのメンバーの全てまたはいくつかの特
定の位置で見出される場合に、保存されていると考えられる。例えば、N末端位
置は、正に荷電したアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、またはヒスチジン
)を含み得る。
【0125】 代表的には、ポリペプチドの残基は、アミノ酸のクラスまたは単一のアミノ酸
が、全てのクラスのメンバーの少なくとも約40%;より代表的には、少なくと
も約50%;なおより代表的には、少なくとも約60%のメンバーにおいて特定
の位置で見出される場合に、保存されている。通常は、残基は、クラスまたは単
一のアミノ酸が、ファミリーまたはモチーフのメンバーの少なくとも約70%;
より通常は、少なくとも約80%;なおより通常は、少なくとも約90%;なお
より通常は、少なくとも約95%において見出される場合に、保存されている。
【0126】 残基は、3個の関連しないアミノ酸が;より通常は、2個の関連しないアミノ
酸が、いくつかまたは全てのメンバーにおいて特定の位置で見出される場合には
、保存されていると考えられる。これらの残基は、関連しないアミノ残が全ての
クラスのメンバーの少なくとも約40%において;より代表的には、少なくとも
約50%;なおより代表的には、少なくとも約60%のメンバーにおいて特定の
位置で見出される場合には、保存されている。通常は、残基は、クラスまたは単
一のアミノ酸が、ファミリーまたはモチーフのメンバーの少なくとも約70%;
より通常は、少なくとも約80%;なおより通常は、少なくとも約90%;なお
より通常は、少なくとも約95%において見出される場合に、保存されている。
【0127】 問い合わせ配列は、問い合わせ配列がプロフィールまたはMSAの保存された
残基の少なくとも約25%;より通常は、少なくとも約30%;なおより通常は
;少なくとも約40%を含む場合に、プロフィールまたはMSAに対して類似性
を有する。代表的には、問い合わせ配列は、問い合わせ配列がプロフィールまた
はMSAの保存された残基の少なくとも約45%;より代表的には、少なくとも
約50%;なおより代表的には;少なくとも約55%を含む場合に、プロフィー
ル配列またはMSAに対してより強い類似性を有する。
【0128】 (V.プローブおよびプライマー) 腫瘍細胞(特に、結腸癌細胞株および組織)由来の遺伝子のクローニングから
決定されるヌクレオチド配列は、さらに、他の細胞型中の(例えば、他の組織由
来の)ホモログおよび他の哺乳動物の器官に由来するホモログを同定ならびに/
またはクローニングするために設計されるプローブおよびプライマーの作製を可
能にする。プローブ/プライマーとして有用なヌクレオチド配列として、配列番
号1〜544に列挙された配列またはそれに相補的である配列、すなわち、配列
番号1〜544の全てまたは一部にストリンジェントな条件下でハイブリダイズ
する配列の全てまたは一部が挙げられ得る。例えば、本発明はまた、実質的に精
製されたオリゴヌクレオチドを含むプローブ/プライマーを提供する。このオリ
ゴヌクレオチドは、配列番号1〜544、好ましくは、配列番号1〜168、な
おより好ましくは、配列番号1〜35、もしくはそれらに相補的な配列、または
それらの天然に存在する変異体からなる群より選択される、センスまたはアンチ
センス配列の、少なくとも約12個の連続するヌクレオチド、好ましくは25個
の連続するヌクレオチド、より好ましくは、40個、50個、または75個の連
続するヌクレオチドから全長までに、ストリンジェントな条件下でハイブリダイ
ズするヌクレオチド配列を含む。例えば、配列番号1〜544、好ましくは、配
列番号1〜168、なおより好ましくは、配列番号1〜35、またはそれらに相
補的な配列中に示される核酸に基づくプライマーが、その配列のホモログをクロ
ーン化するためにPCR反応において使用され得る。
【0129】 なお別の実施態様においては、本発明は、配列番号1〜544、好ましくは、
配列番号1〜168、なおより好ましくは、配列番号1〜35、またはそれらの
天然に存在する変異体からなる群より選択されるセンスまたはアンチセンス配列
の、少なくとも約12個、16個、25個、40個、50個、または75個の連
続するヌクレオチドから全長までに対して、中程度にストリンジェントな条件下
でハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む、プローブ/プライマーを提供す
る。
【0130】 特に、これらのプローブは、それらが本発明の野生型遺伝子中の変異を検出す
るための方法を提供するので、有用である。本発明の野生型遺伝子に対して相補
的であり、そして変異遺伝子と不適合を形成し得る核酸プローブが提供され、こ
れによって、酵素的もしくは化学的な切断による、または電気的な移動度におけ
るシフトによる検出を可能にする。
【0131】 同様に、本発明の配列に基づくプローブが、例えば、予後または診断アッセイ
における使用のために、同じタンパク質かまたは相同なタンパク質をコードする
転写物またはゲノム配列を検出するために使用され得る。好ましい実施態様にお
いては、プローブはさらに、それに付着されられた標識基を含み、そして検出さ
れることが可能にされる。例えば、この標識基は、放射性同位元素、蛍光化合物
、化学発光化合物、酵素、および酵素補因子から選択される。
【0132】 開示される核酸を含む全長のcDNA分子が以下のように得られる。配列番号
1〜544、好ましくは、配列番号1〜168、なおより好ましくは、配列番号
1〜35に示される配列、またはそれらに相補的である配列の、少なくとも約1
2個、15個、18個、または20個のヌクレオチドから全長までを含む本発明
の核酸またはその一部が、プローブ設計方法、クローニング方法、および米国特
許第5,654,173号「Secreted Proteins and P
olynucleotides Encoding Them」(本明細書中で
参考として援用されている)に記載されるようなクローン選択技術を使用して、
cDNAライブラリーのハイブリダイズするメンバーを検出するためのハイブリ
ダイゼーションプローブとして使用され得る。cDNAのライブラリーは、選択
された組織(例えば、正常な組織または腫瘍組織)から、または例えば、医薬品
で処置された哺乳動物の組織から作製され得る。好ましくは、組織は、発現され
る遺伝子を提示する核酸およびcDNAの両方として核酸を作成するために使用
されるものと同じである。最も好ましくは、cDNAライブラリーは、実施例に
おいて本明細書中で記載される生物学的物質から作製される。あるいは、多くの
cDNAライブラリーが、市販されている。(Sambrookら、Molec
ular Cloning:A Laboratory Manual,第2版
(Cold Spring Harbor Press、Cold Sprin
g Harbor,NY 1989)。ライブラリーの構築のための細胞型の選
択は、核酸に関連する遺伝子によってコードされるタンパク質の同定の後に行わ
れ得ることが知られている。これは、どの組織および細胞型が、関連する遺伝子
を発現するようであるか、それによって、cDNAを生成するためのmRNAを
含有するかを示す。
【0133】 核酸よりも大きな、そして好ましくは、ネイティブのメッセージの全配列を含
むライブラリーのメンバーを得ることができる。完全なcDNAが得られている
ことを確認するために、RNA保護実験が以下のように行われ得る。mRNAに
対する全長のcDNAのハイブリダイゼーションは、RNase分解からRNA
を保護し得る。次いで、cDNAが全長ではない場合は、ハイブリダイズしてい
ないmRNAの部分は、RNase分解に供され得る。これは、ポリアクリルア
ミドゲル上での電気泳動での移動度における変化によって、または放出されたモ
ノリボヌクレオチドの検出によって、当該分野で公知のようにアッセイされ得る
。Sambrookら、Molecular Cloning:A Labor
atory Manual、第2版、(Cold Spring Harbor
Press,Cold Spring Harbor,NY、1989)。部
分的なcDNAの5’から末端までのさらなる配列を得るために、5’RACE
(PCRプロトコール:A Guide to Methods and Ap
pications(Academic Press,Inc.1990))が
、行われ得る。
【0134】 ゲノムDNAは、全長のcDNAの単離と類似の様式で、核酸を使用して単離
され得る。簡潔には、核酸またはその一部が、ゲノムDNAのライブラリーに対
するプローブとして使用され得る。好ましくは、ライブラリーは、核酸を作製す
るために使用された細胞型から得られる。最も好ましくは、ゲノムDNAは、実
施例において本明細書中に記載される生物学的材料から得られる。このようなラ
イブラリーは、Sambrookら、9.4−9.30に詳細に記載されるよう
に、ゲノムの大きなセグメントを保有するために適切なベクター(例えば、P1
またはYAC)中に存在し得る。さらに、ゲノム配列は、ヒトBACライブラリ
ーから単離され得る。これは、例えば、Research Genetics,
Inc.,Huntville,Alabama,USAから市販されている。
さらなる5’または3’配列を得るために、Sambrookらに記載されるよ
うに、染色体ウォーキングが行われ得る。その結果、ゲノムDNAに隣接しそし
て重複するフラグメントが単離される。これらは、制限消化酵素およびDNAリ
ガーゼを使用して、当該分野で公知のように、マップされ得そして互いに結合さ
せられ得る。
【0135】 本発明の核酸を使用して、cDNAライブラリーを構築しそしてプローブする
ために、対応する全長の遺伝子が、伝統的な方法およびPCR方法の両方を使用
して単離され得る。いずれかの方法を使用して、好ましくは、ノーザンブロット
が、最も早い速度でその細胞株が目的の遺伝子を発現することを決定するために
、多数の細胞株に対して行われ得る。
【0136】 cDNAライブラリーを構築するための伝統的な方法は、Sambrookら
、前出に教示されている。これらの方法を用いて、cDNAは、mRNAから産
生され得、そしてウイルスまたは発現ベクター中に挿入され得る。代表的には、
ポリAテイルを含むmRNAのライブラリーが、ポリ(T)プライマーを用いて
産生され得る。同様に、cDNAライブラリーが、プライマーとして本発明の配
列を使用して産生され得る。
【0137】 PCR方法が、所望される挿入物を含むcDNAライブラリーのメンバーを増
幅するために使用され得る。この場合においては、所望される挿入物は、本発明
の核酸に対応する全長のcDNAに由来する配列を含み得る。このようなPCR
方法は、遺伝子捕捉法およびRACE方法を含む。
【0138】 遺伝子の捕捉は、ベクター中へのcDNAライブラリーのメンバーの挿入を伴
い得る。次いで、ベクターは、一本鎖の分子を生じるように変性させられ得る。
次に、基質に結合したプローブ(例えば、ビオチン化されたオリゴ)が、目的の
cDNA挿入物を捕捉するために使用され得る。ビオチン化されたプローブは、
アビジンに結合させた固体基質に連結させられ得る。PCR方法が、捕捉された
cDNAを増幅するために使用され得る。全長の遺伝子に対応する配列を捕捉す
るために、標識されたプローブ配列は、本発明の核酸配列(例えば、配列番号1
〜168、好ましくは、配列番号1〜35、またはそれらに相補的な配列)に基
づき得る。ランダムプライマーまたはライブラリーベクターに特異的なプライマ
ーは、捕捉されたcDNAを増幅するために使用され得る。このような遺伝子捕
捉技術は、Gruberら、PCT WO95/04745およびGruber
ら、米国特許第5,500,356号に記載されている。キットは、例えば、L
ife Technologies,Gaithersburg,Maryla
nd,USAから、遺伝子捕捉実験を行うために市販されている。
【0139】 「cDNA末端の迅速な増幅」すなわちRACEは、多数の異なるRNAから
cDNAを増幅するPCR方法である。cDNAは、オリゴヌクレオチドリンカ
ーに連結させられ得、そして2個のプライマーを使用するPCRによって増幅さ
れ得る。一方のプライマーは、その全長の配列が所望される本発明の核酸に由来
する配列に基づき得る。そして第2のプライマーは、cDNAを増幅するための
オリゴヌクレオチドリンカーにハイブリダイズする配列を含み得る。この方法の
記載は、PCT公開番号第WO97/19110に報告されている。
【0140】 RACEの好ましい実施態様においては、共通のプライマーが、cDNA末端
に連結させられた任意のアダプター配列に対してアニーリングするように設計さ
れる(ApteおよびSiebert、Biotechniques 15:8
90−893、1993;Edwardsら、Nuc.Acids Res.1
9:5227−5232、1991)。単一の遺伝子特異的RACEプライマー
が共通のプライマーと対合させられる場合は、単一の遺伝子特異的プライマーと
共通のプライマーとの間での優先的な配列の増幅が生じる。RACEにおける使
用のために改変された市販のcDNAプールが利用可能である。
【0141】 別のPCRに基づく方法は、cDNA配列の特定の知識を必要とはせずに固定
された末端を有する全長のcDNAライブラリーを作製する。この方法は、ロッ
ク−ドッキング(lock−docking)プライマー(I−VI)を使用す
る。ここで、一方のプライマー(ポリTV(I−III))は、第1鎖の合成を
生じる真核生物mRNAのポリAテール上をロックし、そして第2のプライマー
(ポリGH(IV−VI))は、末端のデオキシヌクレオチジルトランスフェラ
ーゼ(TdT)によって付加されたポリCテール上をロックする。この方法は、
PCT公開番号第WO96/40998号に記載されている。
【0142】 遺伝子のプロモーター領域は、一般的には、RNAポリメラーゼIIの開始部
位に対して5’側に配置される。数百のプロモーター領域は、「TATA」ボッ
クス(TATTAまたはTATAAのような配列)を含む。これは、変異に対し
て敏感である。プロモーター領域は、遺伝子のコード領域に由来するプライマー
を使用して、5’RACEを実行することによって得ることができる。あるいは
、cDNAは、ゲノム配列についてのプローブとして使用され得、そしてコード
領域に対して5’側の領域が、「ウォーキングアップ」によって同定される。
【0143】 遺伝子が高度に発現されるかまたは示差的に発現される場合、遺伝子に由来す
るプロモーターは、異種遺伝子についての調節構築物において使用され得る。
【0144】 一旦、全長のcDNAまたは遺伝子が得られると、改変体をコードするDNA
が、Sambrookら、15.3−15.63に詳細に記載される部位特異的
変異誘発によって調製され得る。置き換えられるコドンまたはヌクレオチドの選
択は、変更されたタンパク質構造および/または機能を達成するために、アミノ
酸中での最適な変化に対する本明細書中での開示に基づき得る。
【0145】 生物学的材料からDNAまたはRNAを得るための別の方法として、本発明の
1つ以上の核酸の配列を有するヌクレオチドを含む核酸が合成され得る。従って
、本発明は、核酸分子の複製および発現を含む、1つ以上の生物学的な操作に適
切な、12個のヌクレオチド(配列番号1〜544、好ましくは、配列番号1〜
168、なおより好ましくは、配列番号1〜35のうちの1つによって示される
核酸、もしくはそれらに相補的である配列に対して、ストリンジェントな条件下
でハイブリダイズするかまたはそれに対して少なくとも80%同一である、少な
くとも12個の連続するヌクレオチドに対応する)から最大の長さまでの範囲の
長さの核酸分子を含む。本発明は、以下を含むが、これらに限定されない:(a
)全長の遺伝子の大きさを有し、そして配列番号1〜544、好ましくは、配列
番号1〜168、なおより好ましくは、配列番号1〜35、またはそれらに相補
的である配列の少なくとも1つを含む、核酸;(b)融合タンパク質の発現を可
能にするように作動可能に連結された、少なくとも1つのさらなる遺伝子をもま
た含む、(a)の核酸;(c)(a)または(b)を含む発現ベクター;(d)
(a)または(b)を含むプラスミド;および(e)(a)または(b)を含む
組換えウイルス粒子。(a)の構築は、以下のIV部に記載されるように達成さ
れ得る。
【0146】 本発明の核酸の配列は、A、T、G、および/またはC(DNAについて)、
ならびにA、U、G、および/またはC(RNAについて)、あるいはその改変
された塩基(イノシンおよびプソイドウリジンを含む)の任意の配列であり得る
が、これらに限定されない。配列の選択は、所望の機能に依存し、そして所望の
コード領域、所望のイントロン様領域、および所望の調節領域によって指示され
得る。
【0147】 (VI.本発明の核酸を保有するベクター) 本発明はさらに、宿主細胞中で遺伝子を発現させるために使用され得る、プラ
スミドおよびベクターを提供する。宿主細胞は、任意の原核生物細胞または真核
生物細胞であり得る。従って、配列番号1〜544、好ましくは、配列番号1〜
168、なおより好ましくは、配列番号1〜35、またはそれらに相補的である
配列のいずれか1つから誘導され、タンパク質の全部または選択された部分をコ
ードするヌクレオチド配列が、微生物または真核生物の細胞性のプロセスを介し
てポリペプチドの組換え形態を産生するために使用され得る。遺伝子構築物(例
えば、発現ベクター)中へポリヌクレオチド配列を連結させること、および宿主
(真核生物(酵母、鳥類、昆虫、または哺乳相物)または原核生物(細菌細胞)
のいずれかである宿主)中に形質転換またはトランスフェクトすることは、当該
分野で周知の標準的な手順である。
【0148】 細胞中での核酸の発現を可能にするベクターは、発現ベクターと呼ばれる。代
表的には、発現ベクターは、少なくとも1つの転写調節配列に作動可能に連結さ
れた核酸を含む。調節配列は、当該分野で認識されており、そして本発明の核酸
の発現を指向するように選択される。転写調節配列は、Goeddel;Gen
e Expression Technology:Methods in E
nzymology 185、Academic Press,San Die
go,CA(1990)に記載されている。1つの実施態様においては、発現ベ
クターは、本発明のポリペプチドのアゴニスト活性を有するペプチドをコードす
るか、あるいは、本発明のポリペプチドのアンタゴニスト形態であるペプチドを
コードする組換え遺伝子を含む。
【0149】 プラスミドの選択は、増殖が所望される細胞の型、および増殖の目的に依存す
る。特定のベクターが、大量の所望されるDNA配列を増幅および作製するため
に有用である。他のベクターが、培養物中での細胞の発現のために適切である。
なお他のベクターが、全動物またはヒト中への細胞の移入およびその中での発現
のために適切である。適切なベクターの選択は、十分に当業者の技術範囲内であ
る。多くのこのようなベクターは、市販されている。核酸または全長の遺伝子は
、代表的には、ベクター中の切断された制限酵素部位に対するDNAリガーゼ付
着によってベクター中に挿入され得る。あるいは、所望のヌクレオチド配列は、
インビボで相同組換えによって挿入され得る。代表的には、これは、所望のヌク
レオチド配列に隣接するベクターに対して相同である領域を付着させることによ
って、達成される。相同である領域は、オリゴヌクレオチドの連結によって、ま
たは相同の領域および所望のヌクレオチド配列の一部の両方を含むプライマーを
使用するポリメラーゼ連鎖反応によって、付加される。
【0150】 核酸または全長の遺伝子は、所望の発現特性を得るために適切である場合には
、調節配列に連結される。これらは、プロモーター(センス鎖の5’末端または
アンチセンス鎖の3’末端のいずれかに付着される)、エンハンサー、ターミネ
ーター、オペロン、リプレッサー、およびインデューサーを含み得る。プロモー
ターは、調節され得るかまたは構成的であり得る。いくつかの状況においては、
条件的に活性なプロモーター(例えば、組織特異的または発生段階特異的プロモ
ーター)を使用することが、所望され得る。これらは、ベクターへの連結につい
ての上記の技術を使用して、所望のヌクレオチド配列に連結される。当該分野で
公知の任意の技術が使用され得る。
【0151】 任意の上記の宿主細胞、または他の適切な宿主細胞もしくは生物体が、本発明
のポリヌクレオチドまたは核酸を複製および/または発現させるために使用され
る場合には、得られる複製された核酸、RNA、発現されたタンパク質、または
ポリペプチドは、宿主細胞または生物の産物として本発明の範囲内である。生成
物は、当該分野で公知の任意の適切な手段によって回収される。
【0152】 一旦、核酸に対応する遺伝子が同定されると、その発現は、その遺伝子が本来
あった細胞中で調節され得る。例えば、細胞の内因性の遺伝子は、米国特許第5
,641,670号、「Protein Production and Pr
otein Delivery」において開示されるように、外因性の調節配列
によって調節され得る。
【0153】 多数のベクターが、酵母中での組換えタンパク質の発現のために存在する(例
えば、Broachら(1983)、Experimental Manipu
lation of Gene Expression、M.Inouye編、
Academic Press,83頁(本明細書中で参考として援用されてい
る)を参照のこと)。さらに、薬剤耐性マーカー(例えば、アンピシリン)が、
使用され得る。例示的な実施態様においては、配列番号1〜544、好ましくは
、配列番号1〜168、なおより好ましくは、配列番号1〜35に示される核酸
、またはそれらに相補的である配列の1つに示される核酸の1つをサブクローニ
ングすることによって生成された発現ベクター利用して、ポリペプチドが組換え
的に産生される。
【0154】 好ましい哺乳動物発現ベクターは、細菌中でのベクターの増殖を容易にするた
めの原核生物配列、および真核生物細胞中で発現される1つ以上の真核生物転写
ユニットの両方を含む。プラスミドの調製および宿主生物体の形質転換において
使用される種々の方法は、当該分野で周知である。原核生物細胞および真核生物
細胞の両方についての他の適切な発現系、ならびに一般的な組換え手順について
は、Molecular Cloning:A Laboratory Man
ual、第2版、Sambrook、Fritsch およびManiatis
編(Cold Spring Harbor Laboratory Pres
s:1989)、第16章および第17章を参照のこと。遺伝子の一部のみ(例
えば、短型の変異体)を発現することが所望される場合は、発現される所望の配
列を含有するオリゴヌクレオチドフラグメントに対して開始コドン(ATG)を
付加することが必要であり得る。N末端位置のメチオニンが、酵素メチオニンア
ミノペプチダーゼ(MAP)の使用によって酵素的に切断され得ることは、当該
分野で周知である。MAPは、E.coliから(Ben−Bassatら(1
987)J.Bacteriol.169:751−757)、およびSalm
onella typhimuriumからクローン化されており、そしてイン
ビトロでのその活性が、組換えタンパク質について実証されている(Mille
rら(1987)PNAS 84:2718−1722)。従って、所望される
場合は、N末端メチオニンの除去は、MAPを産生する宿主(例えば、E.co
liまたはCM89、またはS.cerevisiae)中でポリペプチドを発
現させることによってインビボで、あるいは精製されたMAPの使用によってイ
ンビトロで(例えば、Millerら、前出の手順)のいずれかで達成され得る
【0155】 さらに、本発明の核酸構築物はまた、アンチセンス核酸のような核酸を送達す
るための、遺伝子治療プロトコールの一部として使用され得る。従って、本発明
の別の局面は、アンチセンスオリゴヌクレオチドでのインビボまたはインビトロ
でのトランスフェクションのための発現ベクターを特徴とする。
【0156】 ウイルス移入方法に加えて、非ウイルス方法がまた、本発明の核酸(例えば、
配列番号1−544、好ましくは、配列番号1−168、なおより好ましくは、
配列番号1−35の1つによって示される配列、またはそれに相補的である配列
)を動物の組織に導入するために使用され得る。ほとんどの非ウイルス性の遺伝
子の移入方法は、高分子の取り込みおよび細胞内輸送のための、哺乳動物細胞に
よって使用される正常な機構に依る。好ましい実施態様においては、本発明の非
ウイルス性の標的化手段は、標的化された細胞による本発明の核酸の取りこみの
ためのエンドサイトーシス経路による。この型の例示的な標的化手段として、リ
ポソーム送達系、ポリリジン結合体、および人工的なウイルスエンベロープが挙
げられる。
【0157】 配列番号1−544、好ましくは、配列番号1−168、なおより好ましくは
、配列番号1−35、またはそれらに相補的である配列、対応するcDNA、あ
るいは全長の遺伝子のいずれかの核酸が、部分的なまたは完全な遺伝子産物を発
現するために使用され得る。適切な核酸構築物は、例えば、Sambrookら
(1989)Molecular Cloning:A Laboratory
Manual、第2版(Cold Spring Harbor Press
,Cold Spring Harbor,New York)に記載されてい
るような標準的な組換えDNA技術を使用して、そしてUnited Stat
es Dept.HHS、National Institute of He
alth (NIH) Guideline for Recombinant
DNA Researchに記載される現行の規定の下で精製される。核酸に
よってコードされるポリペプチドは、例えば、細菌、酵母、昆虫、両生類、およ
び哺乳動物系を含む任意の発現系中で発現され得る。適切なベクターおよび宿主
細胞が、米国特許第5,654,173号に記載されている。
【0158】 細菌。細菌中での発現系として、以下に記載されているものが挙げられる:
【0159】
【数1】 酵母。酵母中での発現系として、以下に記載されているものが挙げられる:
【0160】
【数2】 昆虫細胞。昆虫の中での異種遺伝子の発現は、以下に記載されているように達
成される:
【0161】
【数3】 多数のバキュロウイルス株および変異体、ならびに宿主に由来する対応する許容
性の昆虫宿主細胞が、以下に記載されている:
【0162】
【数4】 哺乳動物細胞。哺乳動物での発現は、以下に記載されているように達成される
【0163】
【数5】 哺乳動物発現の他の特徴は、以下に記載されているように容易にされる:
【0164】
【数6】 (VII.治療用の核酸構築物) 本発明の1つの局面は、アンチセンス治療における単離された核酸(例えば、
配列番号1−544、好ましくは、配列番号1−168、なおより好ましくは、
配列番号1−35、またはそれらに相補的な配列)の使用に関する。本明細書中
で使用される場合は、アンチセンス治療は、細胞性のmRNAおよび/またはゲ
ノムDNAと細胞の条件下で特異的にハイブリダイズ(例えば、結合)する、オ
リゴヌクレオチド分子またはそれらの誘導体の投与またはインサイチュでの生成
をいい、それによって、その遺伝子の転写および/または翻訳が阻害される。結
合は、従来の塩基対の相補性により得るか、または例えば、DNA二本鎖への結
合の場合においては、二本鎖のヘリックスの主要な溝中での特異的な相互作用を
介し得る。一般的には、アンチセンス治療は、当該分野で一般的に使用される技
術の範囲をいい、そしてオリゴヌクレオチド配列に対する特異的な結合に依る任
意の治療を含む。
【0165】 本発明のアンチセンス構築物は、例えば、細胞中で転写される場合、細胞性m
RNAの少なくとも特有の一部に対して相補的であるRNAを生じる発現プラス
ミドとして送達され得る。あるいは、アンチセンス構築物はオリゴヌクレオチド
プローブであり、このオリゴヌクレオチドプローブは、エキソビボで生成され、
そして細胞に導入された場合には、本発明の核酸のmRNAおよび/またはゲノ
ム配列とのハイブリダイゼーションによる発現の阻害を生じる。このようなオリ
ゴヌクレオチドプローブは、好ましくは、内因性のヌクレアーゼ(例えば、エキ
ソヌクレアーゼおよび/またはエンドヌクレアーゼ)に対して耐性であり、従っ
てインビボで安定である、改変されたオリゴヌクレオチドである。アンチセンス
オリゴヌクレオチドとしての使用のための例示的な核酸分子は、DNAの、ホス
ホルアミダイトアナログ、ホスホロチオエートアナログ、およびメチルホスホネ
ートアナログである(米国特許第5,176,996号;同第5,264,56
4号;および同第5,256,775号をもまた参照のこと)。さらに、アンチ
センス治療において有用なオリゴマーを構築するための一般的なアプローチは、
例えば、Van der Krolら(1988)Bio Technique
s 6:958−976;およびSteinら(1988)Cancer Re
s 48:2659−2668によって概説されている。アンチセンスDNAに
関しては、転写開始部位(例えば、目的のヌクレオチド配列の−10領域と+1
0領域との間)から誘導されるオリゴデオキシリボヌクレオチドが、好ましい。
【0166】 アンチセンスアプローチは、mRNAに相補的であるオリゴヌクレオチド(D
NAまたはRNAのいずれか)の設計を含む。アンチセンスオリゴヌクレオチド
は、mRNA転写物に結合し、そして翻訳を妨げる。絶対的な相補性は、好まし
いが、必要ではない。従って、二本鎖のアンチセンス核酸の場合においては、二
本鎖のDNAの一本の鎖が試験され得るか、または三本鎖の形成がアッセイされ
得る。ハイブリダイズする能力は、相補性の程度およびアンチセンス核酸の長さ
の両方に依存する。一般的には、ハイブリダイズする核酸が長いほど、より多く
の塩基がRNAと不適合となるが、この核酸は、安定な二本鎖を含み得、そして
なお安定な二本鎖(または、三重鎖(そのような場合も存在し得る))を形成す
る。当業者は、ハイブリダイズした複合体の融解点を決定するための標準的な手
順の使用によって不適合の寛容性の程度を確認し得る。
【0167】 mRNAの5’末端(例えば、AUG開始コドンまでおよびそれを含む、5’
の非翻訳配列)に対して相補的であるオリゴヌクレオチドは、翻訳を阻害するこ
とについて最も効率よく作用するはずである。しかし、mRNAの3’非翻訳配
列に対して相補的である配列が、mRNAの翻訳を阻害することについて同様に
有効であることが最近示された。(Wagner,R.1994、Nature
372:333)。従って、遺伝子の5’または3’の非翻訳領域、非コード
領域のいずれかに対して相補的なオリゴヌクレオチドが、内因性のmRNAの翻
訳を阻害するためのアンチセンスアプローチにおいて使用され得る。mRNAの
5’非翻訳領域に対して相補的であるオリゴヌクレオチドは、AUG開始コドン
の相補物を含むはずである。mRNAコード領域に対して相補的であるアンチセ
ンスオリゴヌクレオチドは、代表的には、翻訳のあまり有効ではないインヒビタ
ーであるが、また、本発明に従って使用され得る。本発明のmRNAの5’、3
’、またはコード領域にハイブリダイズするように設計されたかどうかにはかか
わらず、アンチセンス核酸は、少なくとも6個のヌクレオチドの長さであるはず
であり、そして好ましくは、約100個未満、そしてより好ましくは、約50個
未満、25個未満、17個未満、または10個未満のヌクレオチドの長さである
【0168】 標的配列の選択にはかかわらず、インビトロでの研究を最初に行って、アンチ
センスオリゴヌクレオチドが遺伝子の発現を阻害する能力を定量することが好ま
しい。これらの研究は、アンチセンス遺伝子の阻害と、オリゴヌクレオチドの非
特異的な生物学的な効果との間を区別するコントロ−ルを利用することが、好ま
しい。これらの研究は、内部コントロールのRNAまたはタンパク質のレベルと
、標的RNAまたはタンパク質のレベルとを比較することもまた、好ましい。さ
らに、アンチセンスオリゴヌクレオチドを使用して得られる結果が、コントロー
ルオリゴヌクレオチドを使用して得られる結果と比較されることが想定される。
コントロールオリゴヌクレオチドが、試験オリゴヌクレオチドとほぼ同じ長さで
あり、そしてそのオリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列が、標的配列に対する
特異的なハイブリダイゼーションを妨げることを必要とするに過ぎないアンチセ
ンスとは異なることが、好ましい。
【0169】 オリゴヌクレオチドは、DNAもしくはRNA、またはそのキメラ混合物もし
くは誘導体もしくはその改変されたバージョン、一本鎖または二本鎖であり得る
。オリゴヌクレオチドは、塩基部分、糖部分、またはリン酸骨格で、例えば、分
子の安定性、ハイブリダイゼーションなどを改善するために、改変され得る。オ
リゴヌクレオチドは、ペプチド(例えば、宿主細胞レセプターを標的化するため
)または細胞膜を通過する輸送を容易にする薬剤(例えば、Letsinger
ら、1989、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.86:6
553−6556;Lemaitreら、1987、Proc.Natl.Ac
ad.Sci.84:648−652;1988年12月15日に公開されたP
CT公開番号第WO88/09810を参照のこと)、または血液−脳関門を通
過する輸送を容易にする薬剤(例えば、1988年4月25日に公開されたPC
T公開番号第WO89/10134を参照のこと)、ハイブリダイゼーションに
よって誘発される切断薬剤(例えば、Krolら、1988、BioTechn
iques 6:958−976を参照のこと)、または内部キレート薬剤(例
えば、Zon、1988、Pharm.Res.5:539−549を参照のこ
と)のような、他の追加された群を含み得る。この目的のために、オリゴヌクレ
オチドは、別の分子(例えば、ペプチド、ハイブリダイゼーションによって誘発
される架橋剤、輸送薬剤(transport agent)、ハイブリダイゼ
ーションによって誘発される切断剤など)に対して結合され得る。
【0170】 アンチセンスオリゴヌクレオチドは、以下を含むが、それらに限定されない群
から選択される、少なくとも1つの改変された塩基部分を含み得る:5−フルオ
ロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、
ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロ
キシトリエチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリ
ジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β−D
−ガラクトシルキューオシン、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−
メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチル
アデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N
6−アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メ
トキシアミノメチル−2−チオウラシル、β−D−マンノシルキューオシン、5
−メトキシカルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ
−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、ワイブト
キソシン、プソイドウラシル、キューオシン、2−チオシトシン、5−メチル−
2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル
、ウラシルー5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)
、5−メチル−2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシ
プロピル)ウラシル、(acp3)w、および2,6−ジアミノプリン。
【0171】 アンチセンスオリゴヌクレオチドはまた、アラビノース、2−フルオロアラビ
ノース、キシルロース、およびヘキソースを含むがこれらに限定されない群から
選択される、少なくとも1つの改変された糖部分を含み得る。
【0172】 アンチセンスオリゴヌクレオチドはまた、中性のペプチド様骨格を含み得る。
このような分子は、ペプチド核酸(PNA)−オリゴマーと呼ばれ、そして例え
ば、Perry−O’Keefeら(1996)Proc.Natl.Acad
.Sci.U.S.A.93:14670、およびEglomら(1993)N
ature 365:566に記載されている。PNAオリゴマーの1つの利点
は、DNAの中性の骨格に起因して、媒体のイオン強度とは本質的に独立して、
相補的なDNAに対して結合するそれらの能力である。なお別の実施態様におい
ては、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエート、ホスホロジチ
オエート、ホスホルアミドチオエート、ホスホルアミデート、ホスホルジアミデ
ート、メチルホスホネート、アルキルホスホトリエステル、およびホルムアセタ
ール、またはそれらのアナログからなる群より選択される、少なくとも1つの改
変されたリン酸骨格を含む。
【0173】 なおさらなる実施態様においては、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、α−
アノマーオリゴヌクレオチドである。α−アノマーオリゴヌクレオチドは、相補
的なRNAと特異的な二本鎖ハイブリッドを形成する。ここでは、通常のβ−ユ
ニットとは対照的に、鎖が互いに平行に伸びる(Gautierら、1987、
Nucl.Acids Res.15:6625−6641)。オリゴヌクレオ
チドは、2’−O−メチルリボヌクレオチドである(Inoueら、1987、
Nucl.Acids Res.15:6131−12148)か、またはキメ
ラRNA−DNAアナログ(Inoueら、1987、FEBS Lett.2
15:327−330)である。
【0174】 本発明のオリゴヌクレオチドは、例えば、自動DNA合成装置(例えば、Bi
osearch、Applied Biosystemsなどから市販される)
の使用によって、当該分野で公知の標準的な方法によって合成され得る。例とし
て、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドが、Steinら(1988、Nu
cl.Acids Res.16:3209)の方法によって合成され得、メチ
ルホスホネートオリゴヌクレオチドが、制御された孔ガラスポリマー支持体(S
arinら、1988、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.
85:7448−7451)などの使用によって調製され得る。
【0175】 コード領域の配列に相補的なアンチセンスヌクレオチドが使用され得るが、転
写される非翻訳領域および開始メチオニンを含む領域に対して相補的なアンチセ
ンスオリゴヌクレオチドが最も好ましい。
【0176】 アンチセンス分子は、インビボで標的核酸を発現する細胞に送達され得る。多
数の方法が、アンチセンスDNAまたはRNAを細胞に送達するために開発され
ている;例えば、アンチセンス分子は、組織部位に直接注射され得るか、または
、所望の細胞を標的化するように設計された改変されたアンチセンス分子(例え
ば、標的細胞の表面上で発現されるレセプターまたは抗原に特異的に結合するペ
プチドまたは抗体に連結したアンチセンス)が、全身的に投与され得る。
【0177】 しかし、内因性のmRNA上での翻訳を抑制するために十分なアンチセンスの
細胞内濃度を達成することは、しばしば困難である。従って、好ましいアプロー
チは、アンチセンスオリゴヌクレオチドが強力なpol IIIまたはpol
IIプロモーターの制御下に配置されている組換えDNA構築物を利用する。患
者中の標的細胞をトランスフェクトするためのこのような構築物の使用は、内因
性の転写物と相補的な塩基対を形成する一本鎖のRNAの十分な量の転写を生じ
、そしてこれによって、標的mRNAの翻訳を妨げる。例えば、ベクターは、イ
ンビボで導入され得、その結果、細胞によって取りこまれ、そしてアンチセンス
RNAの転写を指向する。このようなベクターは、それが所望のアンチセンスR
NAを産生するように転写され得る限りは、エピソームのままであり得るか、ま
たは染色体に組み込まれ得る。このようなベクターは、当該分野で標準的な組換
えDNA技術方法によって構築され得る。ベクターは、哺乳動物細胞中での複製
および発現のための当該分野で公知のプラスミド、ウイルス、または他のもので
あり得る。アンチセンスRNAをコードする配列の発現は、哺乳動物中(好まし
くは、ヒト細胞)で作用することが当該分野で公知の任意のプロモーターにより
得る。このようなプロモーターは、誘導性であり得るかまたは構成的であり得る
。このようなプロモーターとして、以下が挙げられるがこれらに限定されない:
SV40初期プロモーター領域(BernoistおよびChambon、19
81、Nature 290:304−310)、ラウス肉腫ウイルスの3’長
末端反復中に含まれるプロモーター(Yamamotoら、1980、Cell
22:787−797)、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagn
erら、1981、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.78
:1441−1445)、メタロチオネイン遺伝子の調節配列(Brinste
rら、1982、Nature、296:39−42)など。任意の型のプラス
ミド、コスミド、YAC,またはウイルスベクターが、組織部位(例えば、脈絡
叢または視床下部)に直接導入され得る組換えDNA構築物を調製するために使
用され得る。あるいは、所望の組織を選択的に感染させるウイルスベクターが使
用され得る(例えば、脳については、ヘルペスウイルスベクターが使用され得る
)。このような場合においては、投与は、別の経路(例えば、全身的に)によっ
て達成され得る。
【0178】 本発明の別の局面においては、標的mRNA転写物を触媒的に切断するように
設計されたリボザイム分子が、標的mRNAの翻訳および標的タンパク質の発現
を妨げるために使用され得る(例えば、1990年10月4日に公開されたPC
T国際公開番号第WO90/11364;Sarverら、1990、Scie
nce 247:1222−1225、および米国特許第5,093,246号
を参照のこと)。mRNAを部位特異的認識配列で切断するリボザイムが、標的
mRNAを崩壊させるために使用され得るが、ハンマーヘッド型リボザイムの使
用が好ましい。ハンマーヘッド型リボザイムは、標的mRNAとの相補性の塩基
対を形成する隣接領域によって指向される位置で、mRNAを切断する。唯一の
要件は、標的mRNAが、以下の2つの塩基の配列5’−UG−3’を有するこ
とである。ハンマーヘッド型リボザイムの構築および産生は、当該分野で周知で
あり、そしてHaseloffおよびGerlach、1988、Nature
、334:585−591に、より完全に記載されている。好ましくは、リボザ
イムは、切断認識部位が標的mRNAの5’末端の近くに配置されるように、操
作される。すなわち、効率を増大させ、そして機能的ではないmRNA転写物の
細胞内蓄積を最少にする。
【0179】 本発明のリボザイムはまた、以下のようなRNAエンドリボヌクレアーゼ(本
明細書中では以後、「Cech型リボザイム」)を含む:Tetrahymen
a thermophila中に天然に存在するもの(IVSまたはL−19
IVS RNAとして公知)、およびThomas Cechおよび共同研究者
によって広範囲に記載されているもの(Zaugら、1984、Science
、224:574−578;ZangおよびCech、1986、Scienc
e,231:470−475;Zaugら、1986、Nature、324:
429−433;University Patents Inc.による公開
された国際特許出願番号第WO88/04300;BeenおよびCech、1
986、Cell、47:207−216)。Cech型リボザイムは、それ以
後に標的RNAの切断が起こる標的RNA配列に対してハイブリダイズする8塩
基対の活性部位を有する。本発明は、標的遺伝子中に存在する8塩基対の活性部
位配列を標的化するこのようなCech型リボザイムを含む。
【0180】 アンチセンスアプローチにおけるように、リボザイムは、改変されたオリゴヌ
クレオチド(例えば、改善された安定性、標的化などについて)から構成され得
、そしてインビボで標的遺伝子を発現する細胞に送達されるはずである。好まし
い送達方法は、強力な構成的なpol IIIまたはpol IIプロモーター
の制御下でリボザイムを「コードする」DNA構築物を使用することを含み、そ
の結果、トランスフェクトされた細胞は、内因性のメッセージを破壊し、そして
翻訳を阻害するために十分な量のリボザイムを産生する。リボザイムが、アンチ
センス分子とは異なり、触媒的であるので、より低い細胞内濃度が効率性のため
に必要とされる。
【0181】 本発明のアンチセンスRNA、DNA、およびリボザイム分子は、DNAおよ
びRNA分子の合成のために、当該分野で公知の任意の方法によって調製され得
る。これらは、当該分野で周知のオリゴデオキシリボヌクレオチドおよびオリゴ
リボヌクレオチドを化学的に合成するための技術(例えば、固相ホスホルアミダ
イト化学合成のような)を含む。あるいは、RNA分子は、アンチセンスRNA
分子をコードするDNA配列のインビトロおよびインビボでの転写によって生成
され得る。このようなDNA配列は、T7またはSP6ポリメラーゼプロモータ
ーのような適切なRNAポリメラーゼプロモーターを組み込む広範な種々のベク
ター中に組み込まれ得る。あるいは、使用されるプロモーターに依存してアンチ
センスRNAを構成的または誘導的に合成するアンチセンスcDNA構築物が、
細胞株に安定に導入され得る。
【0182】 さらに、核酸分子に対する種々の周知の改変が、細胞内安定性および半減期を
増大させる手段として、導入され得る。可能性のある改変として、分子の5’お
よび/または3’末端に対するリボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチ
ドの隣接する配列の付加、あるいはオリゴデオキシリボヌクレオチド骨格内での
ホスホロジエステラーゼ結合ではなくホスホロジチオエートまたは2’O−メチ
ルの使用が挙げられるが、これらに限定されない。
【0183】 (VIII.本発明のポリペプチド) 本発明は、他の細胞タンパク質、特に他のシグナル伝達因子および/または転
写因子(通常、ポリペプチドと関連し得る)から単離されたか、またはさもなけ
れば実質的にそれらを含まない、有用な単離されたポリペプチドを作製する。本
発明のポリペプチドは、配列番号1〜544、好ましくは、配列番号1〜168
、なおさらに好ましくは配列番号1〜35、もしくはそれらに相補的な配列の核
酸によりコードされるポリペプチド、または配列番号1〜544、好ましくは配
列番号1〜168、なおよりさらに好ましくは配列番号1〜35、もしくはそれ
らに相補的な配列がフラグメントである遺伝子によりコードされるポリペプチド
を含む。本発明のポリペプチドは、腫瘍細胞、特に結腸癌誘導性細胞株において
(正常細胞(例えば、正常結腸組織および非結腸組織)に対して)示差的に調節
されるこれらのポリペプチドを含む。好ましい実施態様において、このポリペプ
チドは、腫瘍細胞、特に結腸癌誘導性細胞において上方制御される。他の実施態
様において、このポリペプチドは、腫瘍細胞、特に結腸癌誘導性細胞株において
下方制御される。異常に増殖する細胞において、オンコジーンのような上方制御
されるタンパク質、または腫瘍サプレッサーのような下方制御されるタンパク質
は、診断的または治療的技術のために標的化され得る。例えば、cdc2遺伝子
の上方制御は、有糸分裂を誘導する。myt1遺伝子(有糸分裂の非活性化因子
)の過剰発現は、cdc2の活性をネガティブに調節する。従って、異常増殖は
、cdc2を上方制御するか、またはmyt1を下方制御するかのいずれかによ
り誘導され得る。
【0184】 用語「他の細胞タンパク質を実質的に含まない」(本明細書においては、「混
入タンパク質」ともいう)または「実質的に純粋または精製された調製物」は、
約20%(乾燥重量で)未満の混入タンパク質を有する、そして好ましくは、約
5%未満の混入タンパク質を有するポリペプチドの調製物を含むと規定される。
本ポリペプチドの機能的形態は、本明細書に記載されるクローニングされた核酸
を用いることにより精製された調製物として初めて調製され得る。1つ以上の特
定のモチーフおよび/もしくはドメインに、または任意のサイズ(例えば、少な
くとも約5、10、25、50、75または100アミノ酸長)に対応する完全
長タンパク質またはフラグメントは、本発明の範囲内である。
【0185】 例えば、単離されたポリペプチドは、配列番号1〜544、好ましくは、配列
番号1〜168、なおより好ましくは配列番号1〜35のいずれかに示される核
酸配列またはそれらに相補的な配列の全てまたは一部によりコードされ得る。タ
ンパク質の単離されたペプチジル部分は、このようなペプチドをコードする核酸
の対応するフラグメントから組換えられて産生されたペプチドをスクリーニング
することにより獲得され得る。さらに、フラグメントは、当該分野で公知の技術
(例えば、従来のメリフィールド固相f−Mocまたはt−Boc化学)を用い
て化学的に合成され得る。例えば、本発明のポリペプチドは、フラグメントの重
複のない所望の長さのフラグメントに任意に分割され得るか、または好ましくは
、所望の長さの重複するフラグメントに分割され得る。このフラグメントは(組
換え的にかまたは化学合成により)生成され得、そして野生型(例えば、「標準
の(authentic)」)のタンパク質のアゴニストまたはアンタゴニスト
のいずれかとして機能し得るそれらのペプチジルフラグメントを同定するために
試験され得る。
【0186】 本発明の別の局面は、本発明のタンパク質の組換え形態に関する。上記の本発
明による好ましい組換えポリペプチドは、天然のタンパク質に加えて、配列番号
1〜544にコードされるアミノ酸配列に対して、少なくとも60%、より好ま
しくは少なくとも80%、そしてより好ましくは85%、そしてより好ましくは
90%、そしてより好ましくは95%同一である核酸によりコードされる。配列
番号1〜544の配列に少なくとも約98〜99%同一である核酸によりコード
されるポリペプチドはまた、本発明の範囲内である。このようなタンパク質の少
なくとも一部を含むペプチドフラグメントもまた本発明に含まれる。
【0187】 好ましい実施態様において、本発明のポリペプチドは、哺乳動物のポリペプチ
ドであり、そしてなおより好ましくはヒトのポリペプチドである。特に好ましい
実施態様では、このポリペプチドは、野生型の生物活性を保持する。特定の翻訳
後修飾、例えば、リン酸化などは、修飾されていないポリペプチド鎖に対してポ
リペプチドの見かけの分子量を増加し得ることが理解される。
【0188】 本発明はさらに、本発明のポリペプチドの1つの組換え形態に関する。このよ
うな組換えポリペプチドは、好ましくは、添付の配列表の野生型(「標準」)ポ
リペプチドの少なくとも1つの生物学的活性のアゴニストまたはアンタゴニスト
のいずれかの役割の1つを果たし得る。タンパク質のアミノ酸配列に関して、用
語「進化的に関連する」は、天然に生じたアミノ酸配列を有するポリペプチド、
および例えばコンビナトリアル変異誘発により誘導されるヒトポリペプチドの変
異改変体の両方をいう。
【0189】 一般に、本明細書においてタンパク質の活性を有する(例えば「生物活性」で
ある)というポリペプチドは、配列番号1〜544、好ましくは配列番号1〜1
68、なおより好ましくは、配列番号1〜35またはそれらに相補的な配列の1
つに示される核酸配列のすべてまたは一部によりコードされるアミノ酸配列を含
むポリペプチド、および天然に存在するタンパク質の生物学的活性/生化学活性
の全てもしくは一部を模倣またはアンタゴナイズするポリペプチドとして規定さ
れる。本発明に従って、ポリペプチドは、それがタンパク質の天然に存在する形
態の特異的なアゴニストまたはアンタゴニストである場合、生物学的活性を有す
る。
【0190】 化合物(例えば、タンパク質またはその改変体)が、上記の生物学的活性の1
つ以上を有するか否かを決定するためのアッセイは、当該分野で周知である。特
定の実施態様において、本発明のポリペプチドは、上記で概説されたような活性
を有する。
【0191】 別の実施態様において、このポリペプチドのコード配列は、異なるポリペプチ
ドをコードするヌクレオチド配列を含む融合遺伝子の一部として組み込まれ得る
。この型の発現系は、ポリペプチドの免疫原性フラグメントを生成するのに所望
される条件下で有用であり得る(例えば、EP公開番号:0259149;およ
びEvansら(1989)Nature 339:385;Huangら(1
998)J.Virol.62:3855;およびSchliengerら(1
992)J.Virol.66:2を参照のこと)。免疫原性を増強するために
融合タンパク質を利用することに加えて、融合タンパク質はまたタンパク質の発
現を促進し得、従って、本発明のポリペプチドの発現に用いられ得ることが広く
理解される(例えば、Current Protocols in Molec
ular Biology、Ausubelら編(N.Y.:John Wil
ey&Sons、1991)を参照のこと)。別の実施態様においては、精製リ
ーダー配列(例えば、組換えタンパク質の所望の部分のN末端のポリ−(His
)/エンテロキナーゼ切断部位配列)をコードする融合遺伝子が、Ni2+金属樹
脂を用いるアフィニティークロマトグラフィーにより発現された融合タンパク質
の精製を可能にする。次いで、この精製リーダー配列は、エンテロキナーゼ処置
により実質的に除去され、精製タンパク質を提供し得る(例えば、Hochul
iら(1987)J.Chromatography 411:117;および
Janknechtら、PNAS 88:8972を参照のこと)。
【0192】 融合遺伝子作製の技術は、当業者に公知である。本質的に、異なるポリペプチ
ド配列をコードする種々のDNAフラグメントの連結は、連結用の平滑末端化ま
たは付着末端化、適切な末端を提供するための制限酵素消化、所望されない連結
を回避するための適切なアルカリホスファターゼ処理としての粘着性末端の充填
、および酵素的連結を使用する、従来の技術に従って実施される。別の実施態様
において、融合遺伝子は、自動化DNA合成機を含む従来の技術により合成され
得る。あるいは、核酸フラグメントのPCR増幅は、キメラ核酸配列を生成する
ために引き続きアニーリングされ得る2つの連続的な核酸フラグメントの間で相
補的突出を生じるアンカープライマーを用いて実行され得る(例えば、Curr
ent Protocols in Molecular Biology、A
usubelら編、John Wiley&Sons:1992を参照のこと)
【0193】 本発明はさらに、本ポリペプチドを作成する方法に関する。例えば、本発明の
ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の発現を指向する核酸ベクターでト
ランスフェクトされた宿主細胞は、適切な条件下で培養され、ペプチドの発現が
生じることを可能にする。細胞培養に適切な培地は、当該分野で周知である。組
換えポリペプチドは、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフ
ィー、限外濾過、電気泳動および、このようなペプチドに特異的な抗体を用いる
免疫親和性精製を含む、タンパク質精製のための当該分野で公知の技術を用いて
、細胞培養培地、宿主細胞またはその両方から単離され得る。好ましい実施態様
において、組換えポリペプチドは、GST融合タンパク質のような、融合タンパ
ク質の精製を促進するドメインを含む融合タンパク質である。
【0194】 さらに、特定の環境下で、タンパク質の天然に存在する形態の生物学的活性の
サブセットのみを促進または阻害するために、アゴニスト(模倣的)またはアン
タゴニストのいずれか一方として、限定された能力で機能する本発明のポリペプ
チドの1つの相同体を提供することは利点があり得るということが一般に理解さ
れる。従って、特異的な生物学的効果は、限定された機能の相同体での処置によ
り誘発され得、そして本発明のタンパク質の天然に存在する形態の生物学的活性
の全てに対して指向されるアゴニストまたはアンタゴニストでの処置に関するわ
ずかな副作用を伴う。
【0195】 本発明のポリペプチドのそれぞれの相同体は、変異誘発、例えば、分散する点
変異または切断により生成され得る。例えば、変異は、誘導されるポリペプチド
の生物学的活性が実質的に同じままであるか、または単にそのサブセットである
相同体を生じ得る。あるいは、例えば、レセプターへの競合的結合により、タン
パク質の天然に存在する形態の機能を阻害し得る、ポリペプチドのアンタゴニス
ト的な形態が生成され得る。
【0196】 本発明の組換えポリペプチドはまた、野生型タンパク質の相同体、例えば、タ
ンパク質分解性切断に耐性である(例えば、タンパク質に関連するユビキチン結
合または他の酵素標的を変化する変異による)それらのタンパク質のバージョン
を含む。
【0197】 ポリペプチドはまた、他の化学部分(例えば、グリコシル基、脂質、リン酸、
アセチル基など)との共有結合または凝集結合の形成により誘導体を作製するた
めに化学的に修飾され得る。タンパク質の共有結合誘導体は、タンパク質のアミ
ノ酸側鎖上、またはポリペプチドのN末端もしくはC末端での官能基への化学部
分の連結により調製され得る。
【0198】 本発明のポリペプチドの構造の改変は、治療的効力または予防的効力、安定性
(例えば、エクスビボでの有効期間およびタンパク質分解への耐性)を増強する
ような目的のため、または翻訳後修飾(例えば、タンパク質のリン酸化パターン
を変化させる)であり得る。このような修飾ポリペプチドは、タンパク質の天然
に存在する形態の少なくとも1つの活性を保持するか、またはそれに対する特定
のアンタゴニストを生成するように設計された場合、本明細書において、より詳
細に記載される様に、ポリペプチドの機能的等価性が考慮される。このような改
変されたペプチドは、例えば、アミノ酸置換、欠失または付加により作製され得
る。置換的改変は、保存的アミノ酸により置換されてもよいし、また非保存的ア
ミノ酸に置換されてもよい。
【0199】 例えば、イソロイシンまたはバリンでのロイシン、グルタミン酸でのアスパラ
ギン酸、セリンでのスレオニンの独立した置換、または構造的に関連するアミノ
酸でのアミノ酸の類似の置換(すなわち、等配電子変換および/または等電変異
)は、得られる分子の生物学的活性への大きな影響を有さないと予期することが
合理的である。保存的置換は、その側鎖に関連するアミノ酸のファミリー内で生
じる置換である。遺伝子コードされるアミノ酸は、以下の4つのファミリーに分
割され得る:(1)酸性=アスパラギン酸、グルタミン酸;(2)塩基性=リジ
ン、アルギニン、ヒスチジン;(3)非極性=アラニン、バリン、ロイシン、イ
ソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;およ
び(4)非荷電極性=グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリ
ン、スレオニン、チロシン。同様の様式で、アミノ酸レパートリーは、以下のよ
うにグループ化され得る:(1)酸性=アスパラギン酸、グルタミン酸;(2)
塩基性=リジン、アルギニン、ヒスチジン;(3)脂肪性=グリシン、アラニン
、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン(脂肪族水酸基として
必要に応じて別にグループ化されるセリンおよびスレオニン);(4)芳香族=
フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン;(5)アミド=アスパラギン、
グルタミン;ならびに(6)イオウ含有=システインおよびメチオニン。(例え
ば、Biochemistry、第2版、L.Stryer編、WH Free
man and Co.:1981を参照のこと)。ペプチドのアミノ酸配列に
おける変化が機能的な(例えば、得られるポリペプチドが野生型形態を模倣する
かまたはアンタゴナイズするという意味で機能的な)相同体を生じるか否かは、
改変ペプチドが、野生型タンパク質と類似の様式で細胞における応答を生じるか
、またはこのような応答を競合的に阻害する能力を評価することにより容易に決
定され得る。
【0200】 1つより多い置換が生じるポリペプチドは、同じ様式で容易に試験され得る。
この改変体は、タンパク質の特定の領域の生物学的活性を保持するように設計さ
れ得る。非限定的例として、Osawaら、1994、Biochemistr
y and Molecular International 34:100
3〜1009は、いくつかの異なる種由来のタンパク質のアクチン結合領域を考
察している。これらの種のこのアクチン結合領域は、それが「相同体残基群」内
に含まれるアミノ酸を有するという事実に基いて相同であると考えられる。相同
な残基は、以下の群(単一アミノ酸記号を用いる)に従って、判定される:ST
AG;ILVMF;HRK;DEQN;およびFYW。例えば、1つのS、T、
AまたはGが、1つの位置に存在し得、そして機能(この場合、アクチン結合)
が保持される。
【0201】 アミノ酸置換のさらなるガイダンスが、タンパク質進化の研究から利用可能で
ある。Goら、1980、Int.J.Peptide Protein Re
s.15:211〜224は、その利用可能性に依存して内部または外部のアミ
ノ酸残基部位を分類した。外部部位でのより頻繁な置換は、その生物学的機能お
よび補欠分子族の存在または非存在にかかわらず、相同なタンパク質ファミリー
の8つのセットにおいて一般的であることが確認された。アミノ酸残基の実質的
に全ての型は、内部よりも外部により高い変異性を有した。内部および外部のそ
れぞれにおけるアミノ酸残基の変異性と極性との間の相関関係は観察されなかっ
た。アミノ酸残基は、その極性に基いて、以下の3つの群の1つに分類された:
極性(Arg、Lys、His、Gln、Asn、Asp、およびGlu);弱
い極性(Ala、Pro、Gly、ThrおよびSer)、ならびに非極性(C
ys、Val、Met、Ile、Leu、Phe、TyrおよびTrp)。タン
パク質進化の間のアミノ酸置換は、非常に保存的である:内部または外部におい
て、それぞれそれらの88%および76%が3つの同じ群内にある。群内での置
換は、弱い極性の残基が内部において、非極性の残基によって、より頻繁に置換
され、そして外部においては、極性残基によって、より頻繁に置換されるような
置換である。
【0202】 Querolら、1996、Prot.Eng.9:265〜271は、タン
パク質の熱安定性を増大するためのアミノ酸置換の一般的規則を提供する。新し
いグリコシル化部位は、OlsenおよびThomsen、1991、J.Ge
n.Microbiol.137:579〜585に考察されたように導入され
得る。さらなるジスルフィド結合が、以下によって考察されるように導入され得
る:PerryおよびWetzel、1984、Science 226:55
5〜557;Pantolianoら、1987、Biochemistry
26:2077〜2082;Matsumuraら、1989、Nature
342:291〜293;Nishikawaら、1990、Protein
Eng.3:443〜448;Takagiら、1990、J.Biol.Ch
em.265:6874〜6878;Clarkeら、1993、Bioche
mistry 32:4322〜4329;およびWakarchukら、19
94、Protein Eng.7:1379〜1386。
【0203】 さらなる金属結合部位が、Tomaら、1991、Biochemistry 30:97〜106、およびHaezerbrouckら、1993、Pro
tein Eng.6:643〜649に従って、導入され得る。ループにおけ
るプロリンでの置換は、Masulら、1994、Appl.Env.Micr
obiol.60:3579〜3584;およびHardyら、FEBS Le
tt.317:89〜92に従ってなされ得る。
【0204】 システイン枯渇ムテインは、本発明の範囲内にある改変体とみなされる。これ
らの改変体は、システインの他のアミノ酸での置換の方法、および置換の生物学
的活性および効果を決定する方法を開示する米国特許第4,959,314号に
開示された方法に従って構築され得る。このような方法は、例えば、ジスルフィ
ド結合形成を排除するため、このような置換に適切なシステイン残基を有する、
本発明によるタンパク質に適切である。
【0205】 核酸に関連する遺伝子の同一性および機能を研究するため、核酸または対応す
るアミノ酸配列は、タンパク質ファミリーのプロフィールに対してスクリーニン
グされ得る。このようなプロフィールは、それぞれのファミリーのタンパク質の
中の共通の構造的モチーフに集中している。公的に利用可能なプロフィールは上
記されている。さらなるプロフィールまたは代替のプロフィールは以下に記載さ
れる。
【0206】 新しい核酸を公知の配列と比較するにおいて、いくつかの整列ツールが利用可
能である。例としては、複数の配列整列を作製し、そしてFengら、J.Mo
l.Evol.(1987)25:351〜360に記載されるPileUpが
挙げられる。別の方法であるGAPは、Needlemanら、J.Mol.B
iol.(1970)48:443〜453の整列方法を用いる。GAPは、配
列の全体的整列について最もよく適合する。第3の方法であるBestFitは
、SmithおよびWaterman,Adv.Appl.Math.(198
1)2:481〜489の局所相同性アルゴリズムを用いて適合数を最大化する
ようなギャップの挿入により作動する。
【0207】 このようなプロフィールの例は以下に記載される。
【0208】 (ケモカイン) ケモカインは、リンパ球輸送、炎症性疾患、新脈管形成、造血およびウイルス
感染に関連するタンパク質のファミリーである。例えば、Rollins、Bl
ood(1997)90(3):909〜928、およびWellsら、J.L
euk.Biol.(1997)61:545〜550を参照のこと。米国特許
第5,605,817号は、胎児脾臓において発現されるケモカインをコードす
るDNAを開示する。米国特許第5,656,724号は、ケモカイン様タンパ
ク質および使用方法を開示する。米国特許第5,602,008号は、肝臓によ
り発現されるケモカインをコードするDNAを開示する。
【0209】 コードされるケモカインの変異体は、天然のケモカインに比べて、少なくとも
1つのアミノ酸置換、付加または欠失を保有するアミノ酸配列を有するペプチド
である。フラグメントは、天然のケモカインと同じアミノ酸配列を有する;変異
体は、アミノ末端配列および/またはカルボキシ末端配列を欠失し得る。融合は
、変異、フラグメントまたは天然のケモカインであり、それはまたアミノ末端お
よび/またはカルボキシ末端のアミノ酸伸長を含み得る。
【0210】 アミノ酸変化の数または型は重要でなく、またアミノ酸欠失の長さもしくは数
、または天然のケモカインのアミノ酸配列と比べてケモカインに組み込まれるア
ミノ酸伸長も重要でない。これらの改変ポリペプチドの1つをコードするポリヌ
クレオチドは、少なくとも1つの公知のケモカインと少なくとも約80%のアミ
ノ酸同一性を保持する。好ましくは、これらのポリペプチドは、少なくとも約8
5%のアミノ酸配列同一性、より好ましくは、少なくとも約90%、なおより好
ましくは、少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性を保持する。さらに、この
改変体は、天然のケモカインにより示される少なくとも1つの活性の、少なくと
も80%、好ましくは約90%、より好ましくは約95%を示す。ケモカイン活
性としては、天然のケモカインの免疫学的機能、生物学的機能、レセプター結合
機能およびシグナル伝達機能が挙げられる。
【0211】 (走化性)好中球に関する走化性のアッセイは以下に記載される:Walzら
、Biochem.Biophys.Res.Commun.(1987)14
9:755、Yoshimuraら、Proc.Natl.Acad.Sci.
(USA)(1987)84:9233、およびSchroderら、J.Im
munol.(1987)139:3474;リンパ球に関する走化性のアッセ
イは以下に記載される:Larsenら、Science(1989)243:
1464、Carrら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)(
1994)91:3652;腫瘍浸潤リンパ球に関する走化性のアッセイは以下
に記載される:Liaoら、J.Exp.Med.(1995).182:13
01;造血前駆体に関する走化性のアッセイは以下に記載される:Aiutiら
、J.Exp.Med.(1997)185:111;単核球に関する走化性の
アッセイは以下に記載される:Valenteら、Biochem.(1988
)27:4162;そしてナチュラルキラー細胞に関する走化性のアッセイは以
下に記載される:Loetscherら、J.Immunol.(1996)1
56:322およびAllavenaら、Eur.J.Immunol.(19
94)24:3233。
【0212】 好酸球を誘引する生物学的活性を決定するためのアッセイは、Dahinde
nら、J.Exp.Med.(1994)179:751、Weberら、J.
Immunol.(1995)154:4166およびNosoら、Bioch
em.Biophys.Res.Commun.(1994)200:1470
に記載される;樹状細胞の誘引については、Sozzaniら、J.Immun
ol.(1995)155:3292に記載される;好塩基球の誘引については
、Dahindenら、J.Exp.Med.(1994)179:751、A
lamら、J.Immunol.(1994)152:1298、Alamら、
J.Exp.Med.(1992)176:781に記載される;そして好中球
の活性化については、Maghazaciら、Eur.J.Immunol.(
1996)26:315およびTaubら、J.Immunol.(1995)
155:3877に記載される。天然のケモカインは、Mullenbachら
、J.Biol.Chem.(1986)261:719に記載のようにアッセ
イされた、線維芽細胞についての分裂促進因子として作用し得る。
【0213】 レセプター結合。天然のケモカインは、多数のレセプターと結合活性を示す。
このようなレセプターおよび結合を検出するためのアッセイの記載は、例えば、
以下に記載される:Murphyら、Science(1991)253:12
80;Combadiereら、J.Biol.Chem.(1995)270
:29671;Daughertyら、J.Exp.Med.(1996)18
3:2349;Samsonら、Biochem.(1996)35:3362
;Raportら、J.Biol.Chem.(1996)271:1761;
Combadiereら、J.Leukoc.Biol.(1996)60:1
47;Babaら、J.Biol.Chem.(1997)23:14893;
Yoshidaら、J.Biol.Chem.(1997)272:13803
;Arvannitakisら、Nature(1997)385:347。そ
して多数の他のアッセイが当該分野で公知である。
【0214】 キナーゼ活性化。キナーゼ活性化のためのアッセイは、Yenら、J.Leu
koc.Biol.(1997)61:529;Duboisら、J.Immu
nol.(1996)156:1356;Turnerら、J.Immunol
.(1995)155:2437により記載される。新脈管形成または細胞増殖
の阻害のためのアッセイは、Maioneら、Science(1990)24
7:77に記載される。グリコサミノグルカン産生は、天然のケモカインにより
誘導され得、Castorら、Proc.Natl.Acad.Sci.(US
A)(1983)80:765に記載のようにアッセイされる。好塩基球からの
ケモカイン媒介性ヒスタミン放出は、Dahindenら、J.Exp.Med
.(1989)170:1787;およびWhiteら、Immunol.Le
tt.(1989)22:151に記載されたようにアッセイされる。ヘパリン
結合は、Lusterら、J.Exp.Med.(1995)182:219に
記載される。
【0215】 (二量体化活性) ケモカインは、二量体化活性を有し得る。これは、Burrowsら、Bio
chem.(1994)33:12741;およびZhangら、Mol.Ce
ll.Biol.(1995)15:4851に従ってアッセイされ得る。天然
のケモカインは、ウイルスの炎症性応答において役割を果たし得る。この活性は
、Bleulら、Nature(1996)382:829;およびOberl
inら、Nature(1996)382:833に記載されるようにアッセイ
され得る。単球のエキソサイトーシスは、天然のケモカインによって促進され得
る。このような活性についてのアッセイは、Uguccioniら、Eur.J
.Immunol.(1995)25:64に記載される。天然のケモカインは
また、造血幹細胞の増殖を阻害し得る。このような活性を試験するための方法は
、Grahamら、Nature(1990)344:442に報告されている
【0216】 (細胞死誘導領域(death domain)タンパク質) いくつかのタンパク質ファミリーは、細胞死誘導領域モチーフを含む(Fei
nsteinおよびKimchi、TIBS Letters(1995)20
:242−244)。いくつかの細胞死誘導領域を含有するタンパク質は、細胞
傷害性の細胞内シグナル伝達に関与する(ClevelandおよびIhle、
Cell(1995)81:479−482、Panら、Science(19
97)276:111−113、DuanおよびDixit、Nature(1
997)385:86−89、ならびにChinnaiyanら、Scienc
e(1996)274:990−992)。米国特許第5,563,039号は
、TRADD(腫瘍壊死因子レセプター−1関連細胞死誘導領域含有タンパク質
)に対して相同であるタンパク質、およびそのタンパク質の機能的な特徴を保持
しているTRADDの活性なドメインの改変、ならびにこのような細胞死誘導領
域を含有するタンパク質の機能を試験するためのアポトーシスアッセイを記載し
ている。米国特許第5,658,883号は、生物学的に活性なTGF−B1ペ
プチドを開示している。米国特許第5,674,734号は、C末端の細胞死誘
導領域およびN末端のキナーゼドメインを含むタンパク質RIPを開示している
【0217】 (白血病阻害因子(LIF)) LIFプロフィールは、白血病阻害因子CT−1(カルジオトロピン−1)、
CNTF(毛様体神経栄養因子)、OSM(オンコスタチンM)、およびIL−
6(インターロイキン−6)の配列から構築される。このプロフィールは、肝細
胞、破骨細胞、ニューロン細胞、および心筋細胞を含む多くの細胞型に対して多
面発現性効果を有する、分泌されたサイトカインのファミリーを含み、そしてこ
のようなタンパク質をコードするさらなる遺伝子を検出するために使用され得る
。これらの分子は、全て構造的に関連し、そして細胞質性のチロシンキナーゼ(
例えばsrc)による細胞内シグナル伝達を媒介する共通のコレセプター(co
−receptor)gp130を共有する。
【0218】 このファミリーに関連する新規のタンパク質もまた、分泌され、gp130を
活性化し、そして種々の細胞型の発生において機能的であるようである。従って
、このファミリーの新規のメンバーは、これらが刺激する細胞型についての増殖
または生存の因子として発生する候補である。サイトカインのこのファミリーに
ついてのさらなる詳細については、Pennicaら、Cytokine an
d Growth Factor Reviews(1996)7:81−91
を参照のこと。米国特許第5,420,247号は、LIFレセプターおよび融
合タンパク質を開示している。米国特許第5,443,825号は、ヒトLIF
を開示している。
【0219】 (アンジオポエチン(angiopoietin)) アンジオポエチン−1は、TIE−2チロシンキナーゼの分泌リガンドである
;これは、正常な血管の発達に重要な血管新生因子として機能する。アンジオポ
エチン−2は、アンジオポエチン−1の天然のアンタゴニストであり、従って、
抗血管新生因子として機能する。これらの2つのタンパク質は構造的に類似して
おり、そして同じレセプターを活性化する。(FolkmanおよびD’Amo
re、Cell(1996)87:1153−1155、ならびにDavisら
、Cell(1996)87:1161−1169)。
【0220】 アンジオポエチン分子は、2つのドメイン(コイルド−コイル領域およびフィ
ブリノーゲンに関連する領域)から構成される。フィブリノーゲンドメインは、
フィコリンおよびテサスチンを含む多くの分子中に見出され、そして多くのメン
バーによって構造的に十分に規定されている。
【0221】 (レセプタータンパク質−チロシンキナーゼ) レセプタータンパク質−チロシンキナーゼまたはRPTKは、Lindber
g、Annu.Rev.Cell Biol.(1994)10:251−33
7に記載されている。
【0222】 (増殖因子:上皮増殖因子(EGF)および線維芽細胞増殖因子(FGF)) 増殖因子のスーパーファミリーの考察については、Growth Facto
rs:A Practical Approach、Appendix A1(
McKayおよびLeigh編、Oxford University Pre
ss、NY、1993)、237−243頁を参照のこと。
【0223】 EGFおよびFGFのアラインメント(プリティーボックス(pretty
box))は、それぞれ、図1および図2に示される。米国特許第4,444,
760号は、酸性の脳の線維芽細胞増殖因子を開示している。これは、細胞分裂
および創傷の治癒の促進において活性である。米国特許第5,439,818号
は、ヒトの組換え塩基性線維芽細胞増殖因子をコードするDNAを開示する。こ
れは、創傷の治癒において活性である。米国特許第5,604,293号は、組
換えヒト塩基性線維芽細胞増殖因子を開示している。これは、創傷の治癒におい
て有用である。米国特許第5,410,832号は、脳由来および組換えの酸性
の繊維芽細胞増殖因子を開示している。これは、培養物中で、中胚葉および神経
外胚葉に由来する細胞についてマイトジェンとして作用し、そして柔組織、軟骨
組織、および筋骨格組織中での創傷の治癒を促進する。米国特許第5,387,
673号は、活性を保持しているFGFの生物学的に活性なフラグメントを開示
している。
【0224】 (TNFファミリーのタンパク質) TNFファミリーに由来するプロフィールは、以下のTNFファミリーのメン
バーの配列をアラインメントすることによって作製される:神経成長因子(NG
F)、リンホトキシン、Fasリガンド、腫瘍壊死因子(TNF)、CD40リ
ガンド、TRAIL、ox40リガンド、4−1BBリガンド、CD27リガン
ド、およびCD30リガンド。プロフィールは、タンパク質のこのファミリーの
新規のメンバーまたはホモログを構成するタンパク質の配列を同定するように設
計される。
【0225】 米国特許第5,606,023号は、変異体TNFタンパク質を開示する;米
国特許第5,597,899号および米国特許第5,486,463号は、TN
F変異体を開示する;そして米国特許第5,652,353号は、TNFα変異
体をコードするDNAを開示する。
【0226】 タンパク質のTNFファミリーのメンバーは、Burrowsら、Bioch
em.(1994)33:12741およびZhangら、Mol.Cell.
Biol.(1995)154851に記載されるように、多量体化すること、
およびBrowningら、J.Immunol.(1994)147:123
0、Androlewiczら、J.Biol.Chem.(1992)267
:2542およびCroweら、Science(1994)264:707に
記載されるようにレセプターに結合することが、インビトロで示されている。
【0227】 インビボでは、TNFは、Kriegelら、Cell(1988)53:4
5およびMohlerら、Nature(1994)370:218に記載され
ているように標的タンパク質をタンパク質分解的に切断し、そして細胞の増殖お
よび分化活性を示す。T細胞または胸腺細胞の増殖は、Armitageら、E
ur.J.Immunol.(1992)22:447;Current Pr
otocols in Immunology、J.E.Coliganら編、
3.1−3.19;Takaiら、J.Immunol.(1986)137:
3494−3500、Bertagnoliら、J,Immunol.(199
0)145:1706−1712、Bertagnoliら、J.Immuno
l.(1991)133:327−340、Bertagnoliら、J.Im
munol.(1992)149:3778−3783、およびBowmanら
、J.Immunol.(1994)152:1756−1761に記載される
ようにアッセイされる。B細胞の増殖およびIgの分泌は、Maliszews
ki,J.Immunol.(1990)144:3028−3033、および
Assays for B Cell Function:In vitro
antibody production,MondおよびBrunswick
、Current Protocols in Immunol.,Colig
an編、第1巻、3.8.1−3.8.16頁、John Wiley and
Sons、Toronto 1994、Kehrlら、Science(19
87)238:1144ならびにBoussiotisら、PNAS USA(
1994)91:7007に記載されるようにアッセイされる。
【0228】 他のインビボでの活性として、Barrettら、J.Immunol.(1
991)146:1722;Bjorckら、Eur.J.Immunol.(
1993)23:1771;Clarkら、Annu Rev.Immunol
.(1991)9:97;Ranheimら、J.Exp.Med.(1994
)177:925;Yellin、J.Immunol.(1994)153:
666;およびGrussら、Blood(1994)84:2305に記載さ
れるような、細胞の表面抗原のアップレギュレーション、同時刺激分子のアップ
レギュレーション、および細胞性の凝集/接着が挙げられる。
【0229】 造血細胞およびリンパ球造成細胞の増殖および分化はまた、Johansso
nら、Cellular Biology(1995)15:141−151、
Kellerら、Mol.Cell.Biol.(1993)13:473−4
86、McClanahanら、Blood(1993)81:2903−29
15に記載されるような胚の分化および造血についてのアッセイを使用して、そ
してCulture of Hematopoietic Cells,Fre
shneyら編、1−21頁、23−29頁、139−162頁、163−17
9頁、および265−268頁、Wiley−Liss,Inc.,New Y
ork,NY,1994およびHirajamaら、PNAS USA(199
2)89:5907−5911に記載されているような幹細胞の生存および分化
を検出するためのアッセイを使用して、TNFについてインビボで示されている
【0230】 TNFのインビボでの活性としてまた、リンパ球の生存およびアポトーシスが
挙げられ、これらは、Darzynkewiczら、Cytometry(19
92)13:795−808;Gorczcaら、Leukemia(1993
)7:659−670;Itohら、Cell(1991)66:233−24
3;Zacharduk,J.Immunol.(1990)145:4037
−4045;Zamaiら、Cytometry(1993)14:891−8
97;およびGorczycaら、Int’l J.Oncol.(1992)
1:639−648に記載されるようにアッセイされる。
【0231】 TNFファミリーのいくつかのメンバーは、細胞表面から切除される;他のメ
ンバーは、膜に結合したままである。TNFの三次元構造は、Sprangおよ
びEck、Tumor Necrosis Factors;前出において議論
されている。
【0232】 TNFタンパク質は膜貫通ドメインを含む。タンパク質は、Kriegler
ら、Cell(1988)53:45−53、Perezら、Cell(199
0)63:251−258、およびShawら、Cell(1986)46:6
59−667に記載されているような、より短い可溶性のバージョンに切断され
る。ヒトのTNFαの形態については、膜貫通ドメインはアミノ酸46と77と
の間であり、そして細胞質ドメインは1位と45位の間である。TNFの三次元
モチーフは、2つのプリーツ状のβシートのサンドイッチを含む。それぞれのシ
ートは、逆平行なα鎖から構成される。Van Ostadeら、Protei
n Engineering(1994)7(1):5−22およびSpran
gら、Tumor Necrosis Factors;前出に記載されるよう
に、サンドイッチの反対側に対して互いに向かい合うα鎖は、短いポリペプチド
ループによって連結される。
【0233】 βシートの二次構造中に含まれるTNFファミリーのタンパク質の残基は、V
an Ostadeら、Protein Engineering(1994)
7(1):5−22、およびSprangら、Tumor Necrosis
Factors;前出に記載されるように同定されている。
【0234】 TNFレセプターは、米国特許第5,395,760号に開示されている。T
NFレセプターファミリーに由来するプロフィールは、Apo1/Fas、TN
FR IおよびII、細胞死レセプター(death receptor)3(
DR3)、CD40,ox40、CD27、およびCD30を含むTNFレセプ
ターファミリーの配列をアラインメントすることによって作製される。従って、
プロフィールは、本発明の核酸から、タンパク質のこのファミリーの新規のメン
バーまたはホモログを構成するタンパク質の配列を同定するように設計される。
【0235】 腫瘍壊死因子レセプターは、ヒトにおいては2つの形態で存在する:p55
TNFRおよびp75 TNFR(これらの両方ともが、リガンドとの結合の際
に細胞内シグナルを提供する)。これらのレセプタータンパク質の細胞外ドメイ
ンは、システインリッチである。これらのレセプターは、膜に結合したままであ
り得るが、いくつかの形態のレセプターは切断されて可溶性のレセプターを形成
する。可溶性のTNFレセプターの調節、診断、予後、および治療の価値は、A
derka、Cytokine and Growth Factor Rev
iews,(1996)7(3):231−240に議論されている。
【0236】 (PDGFファミリー) 米国特許第5,326,695号は、血小板に由来する増殖因子アゴニストを
開示している;PDGF−Bの生物活性部分が、アゴニストとして使用される。
米国特許第4,845,075号は、生物学的に活性なB鎖ホモ二量体を開示し
、そして、これは、またPDGF−B鎖の改変体および誘導体を含む。米国特許
第5,128,321号は、PDGFアナログおよびその使用方法を開示してい
る。PDGFと同じ生物活性を有するタンパク質(A鎖タンパク質およびB鎖タ
ンパク質を含む)が開示されている。
【0237】 (キナーゼ(MKKを含む)ファミリー) 米国特許第5,650,501号は、有糸分裂および減数分裂の細胞分裂に関
するセリン/トレオニンキナーゼを開示している;このタンパク質は、そのN末
端にキナーゼドメインを、そしてC末端に3 PEST領域を有する。米国特許
第5,605,825号は、セリンプロテインキナーゼである、ヒトのPAK6
5を開示する。
【0238】 上記の議論は、本発明の核酸と比較され得るタンパク質プロフィールのいくつ
かの例を提供する。当業者は、この核酸と相関する遺伝子を同定するために、こ
れらおよび他のタンパク質プロフィールを使用し得る。
【0239】 (IX.コードされる発現産物の機能の決定) リボザイム、アンチセンス構築物、優性ネガティブ変異体、および三重鎖の形
成が、核酸に関連する遺伝子の発現産物の機能を決定するために使用され得る。
【0240】 (A.リボザイム) トランス切断触媒性RNA(リボザイム)は、エンドリボヌクレアーゼ活性を
有するRNA分子である。リボザイムは、特定の標的に対して特異的に設計され
、そして標的メッセージは、特異的なヌクレオチド配列を含まなければならない
。これらは、細胞性RNAのバックグラウンドにおいて部位特異的に任意のRN
A種を切断するように操作される。切断事象は、mRNAを不安定にし、そして
タンパク質の発現を妨げる。重要なことに、リボザイムは、表現型に対する影響
を検出することによって、インビトロまたはインビボの状況においてその機能を
決定する目的のために、未知の機能の遺伝子の発現を阻害するために使用され得
る。
【0241】 1つの共通して使用されるリボザイムのモチーフは、ハンマーヘッド型である
。これについての基質配列の要求性は最小である。ハンマーヘッド型リボザイム
の設計は、Usmanら、Current Opin.Struct.Biol
.(1996)6:527−533に開示されている。Usmanらはまた、リ
ボザイムの治療的な使用も議論している。リボザイムはまた、Longら、FA
SEB J.(1993)7:25;Symons,Ann.Rev.Bioc
hem.(1992)61:641;Perrottaら、Biochem.(
1992)31:16−17;Ojwangら、Proc.Natl.Acad
.Sci.(USA)(1992)89:10802−10806;および米国
特許第5,254,678号に記載されるように調製されそして使用され得る。
HIV−I RNAのリボザイムの切断は、米国特許第5,144,019号に
記載される;リボザイムを使用してRNAを切断する方法は、米国特許第5,1
16,742号に記載される;ならびに、リボザイムの特異性を増大させるため
の方法は、米国特許第5,225,337号およびKoizumiら、Nucl
eic Acids Res.(1989)17:7059−7071に記載さ
れる。ハンマーヘッド型構造のリボザイムのフラグメントの調製および使用はま
た、Koizumiら、Nucleic Acids Res.(1989)1
7:7059−7071に記載される。ヘアピン構造のリボザイムフラグメント
の調製および使用は、ChowriraおよびBurke、Nucleic A
cids Res.(1992)20:2835によって記載される。リボザイ
ムはまた、DaubendiekおよびKool.Nat.Biotechno
l.(1997)15(3):273−277に記載されているようにローリン
グ型転写(rolling transcription)によって作製され得
る。
【0242】 リボザイムのハイブリダイズする領域は、HornおよびUrdea、Nuc
leic Acids Res.(1989)17:6959−67に記載され
るように、分岐状構造として改変され得るかまたは調製され得る。リボザイムの
基本構造もまた、当業者に精通した方法において化学的に変更され得、そして化
学的合成されたリボザイムは、単量体ユニットによって改変された合成オリゴヌ
クレオチド誘導体として投与され得る。治療の状況においては、リポソームに媒
介されるリボザイムの送達は、Birikhら、Eur.J.Biochem.
(1997)245:1〜16において記載されているように、細胞性の取り込
みを改善する。
【0243】 本発明の核酸配列および当該分野で公知の方法を使用して、リボザイムは、対
応するmRNA種に特異的に結合し、そしてそれを切断するように設計される。
従って、リボザイムは、開示される核酸またはそれらの全長の遺伝子によってコ
ードされる任意のタンパク質の発現を阻害するための手段を提供する。特異的な
阻害性リボザイムを設計および使用するために、全長の遺伝子が既知である必要
はない。未知の機能の核酸またはcDNAの場合においては、そのヌクレオチド
配列に対応するリボザイムは、標的転写物を切断することにおける効力について
インビトロで試験され得る。インビトロで切断をもたらすこれらのリボザイムは
、インビボでさらに試験される。リボザイムはまた、Birikhら、Eur.
J.Biochem.(1997)245:1〜16に記載されるように、疾患
の動物モデルを作製するためにも使用され得る。有効なリボザイムは、目的の遺
伝子の機能を、その転写をブロックし、そして細胞中での変化を検出することに
より決定するために使用される。遺伝子が疾患において媒介因子であることが見
出されている場合には、遺伝子の転写および発現をブロックするための遺伝子治
療において、有効なリボザイムが設計されそして送達される。
【0244】 リボザイムの治療的および機能的なゲノムの適用は、阻害されるべき遺伝子の
コード配列の一部の知見を用いて開始される。従って、多くの遺伝子について、
部分的な核酸配列は、有効なリボザイムを構築するための十分な配列を提供する
。標的切断部位は、標的配列中で選択され、そしてリボザイムは、切断部位に隣
接する5’および3’ヌクレオチド配列に基づいて構築される。レトロウイルス
ベクターは、標的コード配列のmRNAを標的化する単量体および多量体のハン
マーヘッド型リボザイムを発現するように操作される。これらの単量体および多
量体のリボザイムは、標的mRNAを切断する能力についてインビトロで試験さ
れる。細胞株は、リボザイムを発現するレトロウイルスベクターで安定に形質導
入される。そしてこの形質導入は、ノーザンブロット分析および逆転写ポリメラ
ーゼ連鎖反応(RT−PCR)によって確認される。細胞は、疾患マーカーの発
現の低下または標的mRNAの遺伝子産物の減少のような指標によって、標的m
RNAの不活化についてスクリーニングされる。
【0245】 (B.アンチセンス) アンチセンス核酸は、RNAに特異的に結合し、それによって、RNA−DN
AまたはRNA−RNAハイブリッドの形成を生じ、DNA複製、逆転写、また
はメッセンジャーRNAの翻訳を停止させるように設計される。選択された核酸
配列に基づくアンチセンスポリヌクレオチドは、対応する遺伝子の発現を妨害し
得る。アンチセンスポリヌクレオチドは、代表的には、転写された鎖としてアン
チセンス核酸鎖を含むアンチセンス構築物からの発現によって細胞中で生成され
る。アンチセンス核酸は、核酸に関連するmRNAに結合し、そして/またはそ
の翻訳を妨害する。コントロール細胞およびアンチセンス構築物で処理した細胞
の発現産物は、核酸に対応する遺伝子のタンパク質産物を検出するために比較さ
れる。タンパク質は、慣用的な生化学的方法を使用して単離されそして同定され
る。
【0246】 核酸に対応する遺伝子の機能を決定するためにアンチセンス方法を使用するた
めの1つの原理は、アンチセンス治療の生物学的活性である。種々の癌のための
アンチセンス治療が臨床段階にあり、そして文献において広範囲に議論されてい
る。Reedは、腫瘍中のBcl−2遺伝子に関するアンチセンス治療を概説し
た;腫瘍細胞株における遺伝子移入媒介性のBcl−2の過剰発現は、多くの型
の癌の薬物に対する耐性を付与した(Reed,J.C.,N.C.I.(19
97)89:988−990)。rasのアンチセンスインヒビターの臨床的な
開発の可能性が、Cowsert,L.M.,Anti−Cancer Dru
g Design(1997)12:359〜371によって議論されている。
さらに重要なアンチセンス標的としては、白血病(Geurtz,A.M.,A
nti−Cancer Drug Design(1997)12:341〜3
58);ヒトのC−refキナーゼ(Monia,B.P.,Anti−Can
cer Drug Design(1997)12:327〜339);および
プロテインキナーゼC(McGrawら、Anti−Cancer Drug
Design(1997)12:315〜326)が挙げられる。
【0247】 アンチセンス治療において広範な背景となる文献および臨床実験が提供される
ので、当業者は、本発明の選択された核酸をさらなる可能性のある治療薬として
使用し得る。核酸の選択は、癌性細胞のゲノムの「ホットスポット」領域に結合
することについてそれらを最初に試験することによって限定され得る。「ホット
スポット」に結合するとして核酸を同定すると、その核酸を、対応する癌細胞中
でアンチセンス化合物として試験することは明らかに保証される。
【0248】 Ogunbiyiら、Gastroenterology(1997)113
(3):761〜766は、結腸癌における対立遺伝子の欠失の予後的な使用を
記載する;Barksら、Genes,Chromosomes,and Ca
ncer(1997)19(4):278〜285は、悪性の黒色腫においてF
ISHによって検出される染色体コピー数の増大を記載する;Nisizake
ら、Genes,Chromosomes,and Cancer(1997)
19(4):267〜272は、原発性乳癌およびそれらの転移における遺伝的
な変化、ならびに改変された競合的ゲノムハイブリダイゼーションを使用する直
接的な比較を記載する;そしてEloら、Cancer Research(1
997)57(16):3356〜3359は、16z24.1−q24.2で
のヘテロ接合性の喪失が、前立腺癌の転移性および攻撃的挙動に有意に関連する
ことを開示する。
【0249】 (C.ドミナントネガティブ変異) 核酸関連遺伝子の機能を同定するための代替的な方法として、ドミナントネガ
ティブ変異体が、ホモ多量体として活性である対応するタンパク質について容易
に生成される。変異体ポリペプチドは、野生型ポリペプチド(他の対立遺伝子か
ら作製される)と相互作用し、そして機能的ではない多量体を形成する。従って
、変異は、基質結合ドメイン、触媒ドメイン、または細胞局在化ドメイン中であ
る。好ましくは、変異体ポリペプチドは、過剰産生される。このような影響を有
する点変異が作製される。さらに、種々の長さの種々のポリペプチドのタンパク
質末端への融合は、ドミナントネガティブ変異体を生じ得る。ドミナントネガテ
ィブ変異体を作製するための一般的なストラテジーが、利用可能である。Her
skowitz、Nature(1987)329:219〜222を参照のこ
と。このような技術は、機能を喪失する変異体を作製するために使用され得る。
これは、タンパク質の機能を決定するために有用である。
【0250】 (D.三重鎖の形成) 内因性遺伝子の発現はまた、標的化された相同組換えを使用して、遺伝子また
はそのプロモーターを不活化または「ノックアウト」することによって減少させ
られ得る。(例えば、Smithiesら、1985、Nature 317:
230〜234;ThomasおよびCapecchi、1987、Cell
51:503〜512;Thompsonら、1989 Cell 5:313
〜321を参照のこと;これらのそれぞれが本明細書中でその全体が参照として
援用されている)。例えば、内因性遺伝子(遺伝子のコード領域または調節領域
のいずれか)に相同なDNAによって隣接される機能的ではない遺伝子(または
完全に無関係なDNA配列)である変異体が、インビボでその遺伝子を発現する
細胞をトランスフェクトするために、選択マーカーおよび/または陰性選択マー
カーを伴ってまたはそれを伴わずに、使用され得る。標的化された相同組換えを
介するDNA構築物の挿入は、遺伝子の不活化を生じる。
【0251】 あるいは、内因性の遺伝子発現は、体内の標的細胞中の遺伝子の転写を妨げる
三重ヘリックス構造を形成するように、標的遺伝子の調節領域(すなわち、遺伝
子のプロモーターおよび/またはエンハンサー)に相補的であるデオキシリボヌ
クレオチド配列を標的化することによって低減させられ得る。(一般には、He
lene,C.1991、Anticancer Drug Des.,6(6
):569〜84;Helene,C.ら、1992、Ann.N.Y.Acc
ad.Sci.,660:27−36;およびMaher,L.J.,1992
,Bioassays 14(12):807〜15を参照のこと)。
【0252】 転写の阻害のための三重ヘリックスの形成において使用されべき核酸分子は、
好ましくは、一本鎖であり、そしてデオキシリボヌクレオチドから構成される。
これらのオリゴヌクレオチドの塩基組成は、Hoogsteen塩基対規則によ
って三重ヘリックス形成を促進するべきであり、これは一般的には、プリンまた
はピリミジンのいずれかのかなり大きなストレッチが二重鎖の一方の鎖上に存在
することを必要とする。ヌクレオチド配列は、ピリミジンベースであり得る。こ
れは、得られる三重ヘリックスの3個の会合された鎖にまたがるTATおよびC
GCトリプレットを生じる。ピリミジンリッチである分子は、その鎖に平行な方
向で二重鎖の中の一本鎖のプリンリッチな領域に相補的な塩基を提供する。さら
に、例えば、G残基のストレッチを含有するプリンリッチである核酸分子が、選
択され得る。これらの分子は、GC対に富むDNA二重鎖を有する三重ヘリック
スを形成する。ここでは、プリン残基の大部分が、標的化された二重鎖の中の一
本鎖上に位置し、これによって三重鎖の3本の鎖にまたがるCGCトリプレット
を生じる。
【0253】 あるいは、三重ヘリックス形成のために標的化され得る可能性のある配列は、
いわゆる「スイッチバック」核酸分子を作製することによって増大させられ得る
。スイッチバック分子は、5’−3’、3’−5’を変更する様式で合成され、
その結果、それらは二重鎖の第1鎖と塩基対合し、次いで他方は、プリンまたは
ピリミジンのいずれかのかなり大きなストレッチが二重鎖の一方の鎖上に存在す
ることの必要性を排除する。
【0254】 本発明のアンチセンスRNAおよびDNA、リボザイム、ならびに三重ヘリッ
クス分子は、DNA分子およびRNA分子の合成について当該分野で公知の任意
の方法によって調製され得る。これらには、例えば、固相ホスホルアミダイト化
学合成のような、当該分野で周知のオリゴデオキシリボヌクレオチドおよびオリ
ゴリボヌクレオチドを化学的に合成するための技術が含まれる。あるいは、RN
A分子は、アンチセンスRNA分子をコードするDNA配列のインビトロおよび
インビボでの転写によって生成され得る。このようなDNA配列は、T7ポリメ
ラーゼプロモーターまたはSP6ポリメラーゼプロモーターのような、適切なR
NAポリメラーゼプロモーターを取り込む広範な種々のベクター中に取り込まれ
得る。あるいは、使用されるプロモーターに依存してアンチセンスRNAを構成
的または誘導的に合成するアンチセンスcDNA構築物は、細胞株中に安定に導
入され得る。
【0255】 さらに、核酸分子に対する種々の周知の改変が、細胞内での安定性および半減
期を増大させるための手段として導入され得る。可能性のある改変として、分子
の5’末端および/または3’末端へのリボヌクレオチドまたはデオキシリボヌ
クレオチドの隣接配列の付加、あるいはオリゴレオキシリボヌクレオチド骨格内
での、ホスホジエステラーゼ結合ではなくホスホロチオエートまたは2’−Oメ
チルの使用が挙げられるが、これらに限定されない。
【0256】 (X.診断および予後アッセイ、ならびに薬物スクリーニング方法) 本発明は、被験体が、開示されている生体マーカー(すなわち、開示されてい
る核酸マーカー(配列番号1〜544)および/またはそれらによってコードさ
れる結腸癌のポリペプチドマーカー)を検出することによって、所望されない細
胞増殖によって特徴付けられる疾患または状態を発症する危険性があるかどうか
を決定するための方法を提供する。
【0257】 臨床的な適用においては、ヒトの組織サンプルが、本明細書中で同定された生
体マーカーの存在および/または非存在についてスクリーニングされ得る。この
ようなサンプルは、針での生検のコア、外科的な切除サンプル、リンパ節組織、
または血清からなり得る。例えば、これらの方法は、生検を得ることを包含し、
これは必要に応じて、全細胞の集団の約80%まで腫瘍細胞を富化するように区
分する低温槽によって分画される。特定の実施態様においては、これらのサンプ
ルから抽出された核酸は、当該分野で周知の技術を使用して増幅され得る。検出
される選択マーカーのレベルは、転移性、非転移性、悪性、良性、または正常な
結腸組織サンプルの統計的に有効な群と比較される。
【0258】 1つの実施態様においては、診断方法は、被験体が、開示されるマーカーの異
常なmRNAおよび/またはタンパク質レベルを有するかどうかを、例えば、ノ
ーザンブロット分析、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)、インサイ
チュハイブリダイゼーション、免疫沈降、ウェスタンブロットハイブリダイゼー
ション、または免疫組織化学によって決定することを包含する。この方法に従っ
て、細胞は被験体から得られ、そして開示される生体マーカーのレベル、タンパ
ク質、またはmRNAのレベルが、決定され、そして健常な被験体中のこれらの
マーカーのレベルと比較される。生体マーカーポリペプチドまたはmRNAレベ
ルの異常なレベルは、おそらく、結腸癌のような癌の指標である。
【0259】 従って、1つの局面においては、本発明は、本明細書中で開示される特有の核
酸マーカーに特異的であるプローブおよびプライマーを提供する。従って、核酸
プローブは、マーカー核酸配列(この核酸配列は、配列番号1〜544によって
示されるか、またはそれらに相補的である配列である)のコード配列の一部に対
して相補的である、コード配列の、少なくとも12個のヌクレオチドの長さ、好
ましくは、少なくとも15個のヌクレオチド、より好ましくは、25個のヌクレ
オチド、そして最も好ましくは、少なくとも40個のヌクレオチドから、全長ま
たはほぼ全長までであるヌクレオチド配列を含む。
【0260】 1つの実施態様においては、この方法は、患者に由来する組織中の癌性の細胞
の存在を決定するための核酸プローブを使用する工程を包含する。詳細には、こ
の方法は以下の工程を包含する: 1.コード配列(配列番号1〜544によって示される核酸配列またはそれら
に相補的である配列のコード配列の一部に対して相補的である)の、少なくとも
12個のヌクレオチドの長さ、好ましくは、少なくとも15個のヌクレオチド、
より好ましくは、25個のヌクレオチド、そして最も好ましくは、少なくとも4
0個のヌクレオチドから、全長またはほぼ全長までであるヌクレオチド配列を含
み、そして腫瘍細胞(例えば、結腸癌細胞)中で示差的に発現される、核酸プロ
ーブを提供する工程; 2.癌性の細胞を含有する可能性のある患者から組織サンプルを得る工程: 3.実質的にその全てが非癌性である細胞を含有する第2の組織サンプルを提
供する工程; 4.核酸プローブを、(例えば、ノーザンブロットまたはインサイチュハイブ
リダイゼーションアッセイにおいて)上記の第1および第2の組織サンプルのそ
れぞれのRNAとスリンジェントな条件下で接触させる工程;ならびに 5.(a)第1の組織サンプルのRNAとのプローブのハイブリダイゼーショ
ンの量を、(b)第2の組織サンプルのRNAとのプローブのハイブリダイゼー
ションの量と比較する工程; ここで、第2の組織サンプルのRNAとのハイブリダイゼーションの量と比較
した場合の、第1の組織サンプルのRNAとのハイブリダイゼーションの量にお
ける統計学的に有意な差異は、第1の組織サンプル中の癌性の細胞の存在を示す
【0261】 1つの局面においては、この方法は、所定のマーカー核酸配列から誘導される
プローブとのインサイチュハイブリダイゼーションを包含する。ここでは、核酸
配列は、配列番号1〜544によって示されるかまたはそれらに相補的な配列で
ある。この方法は、癌性の細胞または前癌性の細胞を含有する可能性がある所定
の型の組織のサンプル、および正常な細胞と、標識されたハイブリダイゼーショ
ンプローブとを接触させる工程、ならびに、プローブが、それが同じ組織型の他
の細胞を標識する程度とは(例えば、少なくとも2倍、または少なくとも5倍、
または少なくとも20倍、または少なくとも50倍)有意に異なる程度に所定の
組織型のいくつかの細胞を標識するかどうかを決定する工程を、包含する。
【0262】 所定のヒト組織に由来する試験細胞の表現型を決定する方法(例えば、細胞が
(a)正常であるか(b)または癌性もしくは前癌性であるかどうか)もまた、
本発明に含まれる。この方法は、配列番号1〜544によって示される核酸配列
のコード配列の一部、またはそれらに相補的である配列に対して相補的である配
列の、少なくとも12個のヌクレオチドの長さ、好ましくは、少なくとも15個
のヌクレオチド、より好ましくは、少なくとも25個のヌクレオチド、そして最
も好ましくは、少なくとも40個のヌクレオチドから、全長またはほぼ全長まで
であり、そして所定の組織型の正常な細胞と比較した場合に腫瘍細胞中で示差的
に発現される核酸プローブと、試験細胞のmRNAとを接触させる工程;ならび
に、試験細胞が癌性または前癌性であるという指標である、その組織型の正常な
細胞のmRNAを用いて見られるよりも多いかまたはそれよりも少ないかのいず
れかであるハイブリダイゼーションの量である、mRNAに対するプローブのハ
イブリダイゼーションのおおよその量を決定する工程による。
【0263】 あるいは、上記の診断アッセイは、マーカーの核酸配列(この核酸配列は、配
列番号1〜544によって示されるか,またはそれらに相補的な配列である)に
よってコードされるタンパク質産物を検出するために、抗体を使用して行われ得
る。従って、1つの実施態様においては、アッセイは、配列番号1〜544また
はそれらに相補的な配列によって示される核酸(マーカー核酸は、試験細胞と同
じ組織型の正常な細胞中での所定のコントロールレベルで発現されるものである
)の遺伝子産物に特異的である抗体と試験細胞のタンパク質とを接触させる工程
、ならびに、試験細胞の抗体およびタンパク質による免疫複合体の形成のおよそ
の量を決定する工程を包含する。ここで、同じ組織型の正常な細胞と比較して試
験細胞のタンパク質とともに形成される免疫複合体の量における統計的に有意な
差異が、試験細胞が癌性または前癌性であることの指標である。
【0264】 別のこのような方法は、以下の工程を包含する:配列番号1〜544によって
示されるマーカー核酸配列の遺伝子産物、所定の組織型(例えば、結腸組織)の
癌性の組織中に、同じ組織型の非癌性の組織中の遺伝子産物のレベルよりも高い
かまたはそれよりも低いレベルで存在する遺伝子残物に特異的な抗体を提供する
工程、所定の組織型の組織の第1のサンプル(このサンプルは、癌性の細胞を含
む可能性がある)を患者から得る工程;同じ組織型(これは、同じ患者に由来し
得るか、または正常なコントロール(例えば、別の個体または培養細胞)に由来
し得る)の組織の第2のサンプル(この第2のサンプルは、正常な細胞を含有し
本質的に癌性細胞を含有しない)を提供する工程;サンプル中に存在する抗体と
マーカー核酸配列の産物との間での免疫複合体の形成を可能にする条件下で第1
および第2のサンプルのタンパク質(これは、溶解されているが未分画の細胞に
おいてか、またはインサイチュでにおいて、部分的に精製され得る)と抗体とを
接触させる工程;ならびに、(a)第1のサンプル中での免疫複合体の形成の量
と、(b)第2のサンプル中での免疫複合体の形成の量とを比較する工程。ここ
で、第2のサンプル中での免疫複合体の形成の量と比較した場合の、より少ない
第1のサンプル中での免疫複合体の形成の量における統計学的に有意な差異は、
第1の組織サンプル中の癌性の細胞の存在を示す。
【0265】 本発明はさらに、被験体から得られた細胞サンプルが、異常な量のマーカーポ
リペプチドを有するかどうかを決定する方法を提供する。この方法は、以下の工
程を包含する:(a)被験体から細胞のサンプルを得る工程、(b)そのように
して得られたサンプル中のマーカーポリペプチドの量を定量的に決定する工程、
および(c)既知の標準でそのように決定されたマーカーポリペプチドの量と比
較し、その結果、それによって、被験体から得られた細胞のサンプルが異常な量
のマーカーポリペプチドを有するかどうかを決定する工程。このようなマーカー
ポリペプチドは、免疫組織化学アッセイ、ドットブロットアッセイ、ELISA
などによって検出され得る。
【0266】 イムノアッセイは、一般的には、細胞のサンプル中のタンパク質のレベルを定
量するために使用され、そして多くの他のイムノアッセイ技術が当該分野で公知
である。本発明は、特定のアッセイ手順には限定されず、従って、同種および異
種の手順の両方を含むように意図される。本発明に従って行われ得る例示的なイ
ムノアッセイとして、蛍光局在化イムノアッセイ(FPIA)、蛍光イムノアッ
セイ(FIA)、酵素イムノアッセイ(EIA)、比濁阻害イムノアッセイ(N
IA)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、およびラジオイムノアッセ
イ(RIA)が挙げられる。指標部分または標識基は、本発明の抗体に付着させ
られ得、そしてアッセイ等価物および匹敵するイムノアッセイ手順の利用可能性
によってしばしば示される方法の種々の使用の用件を満たすように選択される。
上記の種々のイムノアッセイを実行することにおいて使用される一般的な技術は
、当業者に公知である。
【0267】 別の実施態様においては、患者の生物学的な液体(例えば、血液または尿)中
のコードされる産物(すなわち、配列番号1〜544またはそれに相補的な配列
によってコードされる産物)のレベルは、その患者の細胞中のマーカー核酸配列
の発現のレベルをモニターする方法として決定され得る。このような方法は、患
者から生物学的な液体のサンプルを得る工程、コードされるマーカーポリペプチ
ドに特異的な抗体とサンプル(またはサンプルに由来するタンパク質)とを接触
させる工程、および抗体による免疫複合体の形成の量を決定する工程を包含する
。ここで、免疫複合体の形成の量は、サンプル中のマーカーによってコードされ
る産物のレベルの指標である。この決定は、正常な個体から採取されたコントロ
ールサンプル中、または同じヒトから以前にもしくは続いて得られた1つ以上の
サンプル中の同じ抗体による免疫複合体の形成の量と比較した場合に、特に有用
である。
【0268】 別の実施態様においては、この方法は、細胞中に存在するマーカーポリペプチ
ドの量を決定するために使用され得る。これは次いで、過剰増殖性の障害(例え
ば、結腸癌)の進行と相関し得る。マーカーポリペプチドのレベルは、細胞のサ
ンプルが、形質転換された細胞であるかまたは形質転換された細胞となる素因を
有する細胞を含有するかどうかを評価するために、予測的に使用され得る。さら
に、本発明の方法は、形質転換されることが既知である細胞の表現型を評価する
ために使用され得る。表現型の決定は、特定の治療レジメを計画することにおい
て有用である。例えば、サンプル細胞中の非常に高いレベルのマーカーポリペプ
チドは、結腸癌のような癌の強力な診断および予後のマーカーである。マーカー
ポリペプチドレベルの観察は、例えば、より積極的な治療の使用に関する決定に
利用され得る。
【0269】 上記に示すように、本発明の1つの局面は、患者から単離された細胞の状況に
おいては、マーカーポリプチドのレベルがサンプル細胞中で有意に減少させられ
ているかどうかを決定するための診断アッセイに関する。用語「有意に低下させ
られた」は、細胞が類似の組織起源の正常な細胞と比較してマーカーポリペプチ
ドの減少した細胞性の量を有する細胞の表現型をいう。例えば、細胞は、正常な
コントロール細胞のマーカーポリペプチドの、約50%、25%、10%、また
は5%未満を有し得る。詳細には、アッセイは、試験細胞中のマーカーポリペプ
チドのレベルを評価する、そして好ましくは、少なくとも1つのコントロール細
胞(例えば、正常な細胞および/または既知の表現型の形質転換された細胞)中
で検出されるマーカーポリペプチドを用いて測定されるレベルを比較する。
【0270】 本発明に特に重要なことは、正常または異常なマーカーポリペプチドのレベル
に関連する細胞の数によって決定されるような、マーカーポリペプチドのレベル
を定量する能力である。特定のマーカーポリペプチドの表現型を有する細胞の数
は、次いで、患者の予後に関連し得る。本発明の1つの実施態様においては、病
変のマーカーポリペプチドの表現型は、マーカーポリペプチドの異常に高い/低
いレベルを有することが見出される、生検中の細胞の割合として決定される。こ
のような発現は、免疫組織化学的アッセイ、ドットブロットアッセイ、ELIA
などによって検出され得る。
【0271】 組織サンプルが使用される場合は、免疫組織化学的染色は、マーカーポリペプ
チドの表現型を有する細胞の数を決定するために試用され得る。このような染色
のためには、組織の複数のブロックが、生検または他の組織サンプルから採取さ
れ、そしてプロテアーゼKまたはペプシンのような薬剤を使用するタンパク質分
解性の加水分解に供される。特定の実施態様においては、サンプル細胞から核の
画分を単離し、そして核の画分中のマーカーポリペプチドのレベルを検出するこ
とが所望され得る。
【0272】 組織サンプルは、ホルマリン、グルタルアルデヒド、メタノールなどの試薬で
の処理によって固定される。次いで、サンプルは、マーカーポリペプチドに対す
る結合特異性を有する抗体(好ましくは、モノクローナル抗体)とともにインキ
ュベートされる。この抗体は、続く結合の検出のための標識に結合体化させられ
得る。サンプルは、免疫複合体の形成に十分な時間インキュベートされる。次い
で、抗体の結合が、この抗体に結合体化させられた標識によって検出される。抗
体が標識されていない場合は、第2の標識された抗体(例えば、これは、抗−マ
ーカーポリペプチド抗体のイソ型に特異的である)が使用され得る。使用され得
る標識の例は、放射性核種、蛍光、化学発光、酵素などを含み得る。
【0273】 酵素が使用される場合は、酵素の基質は、発色または蛍光産物を提供するよう
に、サンプルに付加され得る。結合体中での使用に適切な酵素の例として、西洋
ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、マレイン酸デヒドロゲナー
ゼなどが挙げられる。市販されていない場合は、このような抗体−酵素結合体は
、当業者に公知の技術によって容易に産生される。
【0274】 1つの実施態様においては、アッセイは、ドットブロットアッセイとして行わ
れる。ドットブロットアッセイは、それが、細胞の予め決定された数から産生さ
れる細胞を含まない抽出物中のマーカーポリペプチドの量に相関することによっ
て単一の細胞に関連するマーカーポリペプチドの平均の量の決定が可能である場
合に、組織サンプルが使用される特定の適用を見出す。
【0275】 同じ型の腫瘍細胞(例えば、乳房腫瘍および/または結腸腫瘍細胞)が、個々
のオンコジーンの均一に増大させられた発現、または個々の腫瘍サプレッサー遺
伝子の均一の低下させられた発現を示し得ないが、癌の文献において十分に確立
されている。また、所定の型の癌の細胞間でもなお、所定のマーカー遺伝子の発
現のレベルが変化し得、さらに、単一の試験よりもむしろ一連の試験による必要
性を強調する。従って、1つの局面においては、本発明は、診断試験の信頼度お
よび/または正確性を改善するために、本発明の多数のプローブを利用する一連
の試験を提供する。
【0276】 1つの実施態様においては、本発明はまた、核酸プローブが組織化されたアレ
イでのDNAチップ上に固定される方法を提供する。オリゴヌクレオチドは、種
々のプロセス(リトグラフを含む)によって固体支持体に結合させられ得る。例
えば、チップは、250,000オリゴヌクレオチドまでを保持し得る(Gen
eChip,Affymetrix)。これらの核酸プローブは、配列番号1〜
544によって示されるマーカー核酸配列のコード配列の一部に対して相補的で
ある、少なくとも約12個のヌクレオチドの長さ、好ましくは、少なくとも約1
5個のヌクレオチド、より好ましくは、少なくとも約25個のヌクレオチド、そ
して最も好ましくは、少なくとも約40個のヌクレオチドから、全長またはほぼ
全長の配列までであるヌクレオチド配列を含み、そして腫瘍細胞(例えば、結腸
癌細胞)中で示差的に発現される。本発明は、種々の癌(例えば、結腸癌)の利
用可能な試験を超える有意な利点を提供する。なぜなら、これは、単一のチップ
上の核酸マーカーのアレイを提供することによって試験の確実性を増大させるか
らである。
【0277】 この方法は、生検を得る工程を包含し、これは、必要に応じて、腫瘍細胞に富
む細胞から全細胞の集団の約80%まで腫瘍細胞を富化するように区分する低温
槽によって分画される。次いで、DNAまたはRNAが、抽出され、増幅され、
そしてマーカー核酸配列の存在または非存在を決定するためにDNAチップを用
いて分析される。
【0278】 1つの実施態様においては、核酸プローブは、2次元マトリックスまたはアレ
イ中の基質に対してスポットされる。核酸のサンプルは標識され得、次いで、プ
ローブに対してハイブリダイズさせられ得る。二本鎖の核酸(プローブ核酸に結
合した標識されたサンプル核酸を含む)は、一旦サンプルの結合していない部分
が洗い流されて検出され得る。
【0279】 プローブ核酸は、ガラス、ニトロセルロースなどを含む基質上にスポットされ
得る。プローブは、疎水性相互作用のような共有結合または非特異的相互作用の
いずれかによって、基質に結合され得る。サンプル核酸は、放射活性標識、蛍光
団、発色団などを使用して標識され得る。
【0280】 アレイを構築するための技術およびこれらのアレイを使用する方法は、EP第
0 799 897号;PCT第WO 97/29212;PCT第WO 97
/27317;EP第0 785 280号;PCT第WO 97/02357
;米国特許第5,593,839号;米国特許第5,578,832号;EP第
0 728 520号;米国特許第5,599,695号;EP第0 721
016号;米国特許第5,556,752号;PCT第WO95/22058;
および米国特許第5,631,734号に記載されている。
【0281】 さらに、アレイは、遺伝子の異なった発現を試験するために使用され得、そし
て遺伝子機能を決定するために使用され得る。例えば、目的の核酸配列のアレイ
は、任意の核酸配列が、例えば、正常な細胞と癌細胞との間で示差的に発現され
るかどうかを決定するために使用され得る。癌細胞中での特定のメッセージの高
い発現(これは、対応する正常な細胞中では観察されない)は、癌の特異的なタ
ンパク質の指標であり得る。
【0282】 なお別の実施態様においては、本発明は、本発明のマーカーポリペプチドに対
して生成される抗体のパネルを使用することが意図される。ここで、ポリペプチ
ドは、配列番号1〜544によってコードされる。このような抗体のパネルは、
結腸癌の確実な診断プローブとして使用され得る。本発明のアッセイは、マーカ
ーポリペプチドの存在または非存在を決定するために、コードされる産物の1つ
以上に対する抗体のパネルと、生検サンプルを含む細胞(例えば、結腸細胞)と
を接触させる工程を包含する。
【0283】 本発明の診断方法はまた、処置の事後調査として使用され得る(例えば、マー
カーポリペプチドのレベルの定量は、現在もしくは以前に使用された癌治療の有
効性の指標、および患者の予後に対するこれらの治療の効果の指標であり得る)
【0284】 従って、本発明は、例えば、細胞の腫瘍原性の形質転換によって生じる増殖性
の障害の診断および表現型を決定することを補助するために、細胞に由来するマ
ーカーポリペプチドの獲得および/または欠失の検出のための利用可能な診断ア
ッセイおよび試薬を作製する。
【0285】 上記に記載される診断アッセイは、予後のアッセイとして使用されるように十
分に適合され得る。このような適合は、腫瘍の進行における特徴的な段階で行わ
れる事象に対して、本発明のアッセイの感受性の利点を利用する。例えば、所定
のマーカー遺伝子は、おそらく、細胞が悪性に進行することを可逆的に確約され
る前に、非常に初期の段階でアップレギュレートされるかまたはダウンレギュレ
ートされ得る。一方、別のマーカー遺伝子は、はるかに後期の段階でのみ、特徴
的にアップレギュレートまたはダウンレギュレートされ得る。このような方法は
、腫瘍の進行の異なる段階で癌性または前癌性の細胞中での種々の特徴的なレベ
ルで発現される所定のマーカー核酸に由来する核酸プローブと、試験細胞のmR
NAとを接触させる工程、および細胞のmRNAに対するプローブのハイブリダ
イゼーションのおおよその量を決定する工程(このような量は、細胞中での遺伝
子の発現のレベルの指標であり、従って、細胞の腫瘍の進行の段階の指標である
)を包含し得る;あるいは、アッセイは、試験細胞のタンパク質と接触させられ
た、所定のマーカー核酸の遺伝子産物について特異的である抗体を用いて行われ
得る。このような一連の試験は、腫瘍の存在および位置のみを開示するだけでは
なく、医師が腫瘍に最も適切な処置の態様を選択すること、および処置の成功の
可能性を示唆することを可能にする。
【0286】 本発明の方法はまた、腫瘍の臨床的な経過を追跡するためにも使用され得る。
例えば、本発明のアッセイは、患者に由来する組織サンプルに対して適用され得
る。癌についての患者の処置後、別の組織サンプルが採取され、試験が繰り返さ
れる。良好な処置は、癌性または前癌性の細胞の特徴的な示差的発現を実証する
全ての細胞の除去、またはこれらの細胞中の遺伝子の発現における実質的な増大
(おそらく、正常なレベルに近づくかまたはなお並外れて)のいずれかを生じる
【0287】 なお別の実施態様においては、本発明は、被験体が、配列番号1〜544の核
酸によってコードされるポリペプチドの任意の1つの異常な活性に関連する、癌
(例えば、結腸癌)の発症の素因のような、疾患を発症する危険性を有するかど
うかを決定するための方法を提供する。ここで、ポリペプチドの異常な活性は、
以下の少なくとも1つによって特徴付けられる遺伝的な病変の存在または非存在
を検出することによって特徴付けられる:(i)マーカーポリペプチドをコード
する遺伝子の完全性に影響を与える変化、または(ii)コードする核酸の誤っ
た発現。例示のために、このような遺伝的な病変は、以下の少なくとも1つの存
在を確認することによって検出され得る:(i)核酸配列からの1つ以上のヌク
レオチドの欠失、(ii)核酸配列への1つ以上のヌクレオチドの付加、(ii
i)核酸配列の1つ以上のヌクレオチドの置換、(iv)核酸配列の全体的な染
色体再配列、(v)核酸配列のメッセンジャーRNA転写物のレベルにおける全
体的な変化、(vii)核酸配列の(例えば、ゲノムDNAのメチル化パターン
の)異常な改変、(vii)遺伝子のメッセンジャーRNA転写物の非野生型の
スプライシングパターンの存在、(viii)マーカーポリペプチドの非野生型
のレベル、(ix)遺伝子の対立遺伝子の欠失、および/または(x)マーカー
ポリペプチドの不適切な翻訳後改変。
【0288】 本発明は、コードする核酸配列中の損傷を検出するためのアッセイ技術を提供
する。これらの方法は、配列分析を含む方法、サザンブロット分析、制限酵素部
位マッピング、および分析される核酸とプローブとの間で対合するヌクレオチド
の非存在の検出を含む方法を含むが、これらに限定されない。
【0289】 特異的な疾患または障害(例えば、遺伝的な疾患または障害)は、特定の遺伝
子の多型性の領域の特異的な対立遺伝子変異体に関連する。これは、必ずしも変
異したタンパク質をコードするわけではない。従って、被検体中での遺伝子の多
型性の領域の特異的な対立遺伝子変異体の存在は、被験体を特異的な疾患または
障害を発症する可能性を有するようにし得る。遺伝子中の多型性の領域は、個体
の集団中の遺伝子のヌクレオチド配列を決定することによって同定され得る。多
型性の領域が同定されると、特定の疾患との関係が、個体(例えば、特異的な疾
患(例えば、結腸癌)を発症した個体)の特異的な集団を研究することによって
決定され得る。多型性の領域は、遺伝子の任意の領域(例えば、エキソンのコー
ド領域または非コード領域、イントロン、およびプロモーター領域)中に配置さ
れ得る。
【0290】 例示的な実施態様においては、ヌクレオチド配列の領域を含む核酸プローブを
含む核酸組成物が提供される。ヌクロチド配列の領域は、遺伝子のセンスまたは
アンチセンス配列、あるいはその天然に存在する変異体、あるいは5’または3
’隣接配列、あるいは被験体遺伝子またはその天然に存在する変異体と天然に関
連するイントロン配列に対してハイブリダイズし得る。細胞の核酸は、ハイブリ
ダイゼーションのために利用可能にされ、プローブは、サンプルの核酸と接触さ
せられ、そしてサンプル核酸に対するプローブのハイブリダイゼーションが検出
される。このような技術は、ゲノムまたはmRNAレベルのいずれかで、損傷ま
たは対立遺伝子変異体(欠失、置換などを含む)を検出するために、およびmR
NAの転写レベルを決定するために使用され得る。
【0291】 好ましい検出方法は、変異または多型性部位を重複しており、そして変異また
は多型性の領域の周辺に約5個、10個、20個、25個、または30個のヌク
レオチドを有するプローブを使用する対立遺伝子に特異的なハイブリダイゼーシ
ョンである。本発明の好ましい実施態様においては、対立遺伝子変異体に特異的
にハイブリダイズし得るいくつかのプローブが、固相支持体(例えば、「チップ
」)に付着させられる。「DNAプローブアッセイ」とも呼ばれる、オリゴヌク
レオチドを含有するこれらのチップを使用する変異検出分析は、例えば、Cro
ninら、(1996)Human Mutation 7:244に記載され
ている。1つの実施態様においては、チップは、遺伝子の少なくとも1つの多型
性領域の対立遺伝子変異体の全てを含む。固相支持体は次いで、試験核酸と接触
させられ、そして特異的なプローブに対するハイブリダイゼーションが検出され
る。従って、1つ以上の遺伝子の多数の対立遺伝子変異体の実態は、単純なハイ
ブリダイゼーション実験において同定され得る。
【0292】 特定の実施態様においては、損傷の検出は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)
(例えば、米国特許第4,683,195号および同第4,683,202号を
参照のこと)(例えば、アンカーPCR,またはRACE PCR)、あるいは
、リガーゼ連鎖反応(LCR)(例えば、Landegranら、(1988)
Science 241:1077−1080;およびNakazawaら、(
1994)PNAS 91:360−364を参照のこと)において、プローブ
/プライマーを利用することを含む。後者は、遺伝子中の点変異を検出するため
に特に有用であり得る(Abravayaら、(1995)Nuc Acid
Res 23:675−682を参照のこと)。単なる例示的な実施態様におい
ては、この方法は、以下の工程を包含する:(i)患者から細胞のサンプルを回
収する工程、(ii)サンプルの細胞から核酸(例えば、ゲノム、mRNA、ま
たは両方)を単離する工程、(iii)核酸(存在するならば)のハイブリダイ
ゼーションおよび増幅が生じる条件下で、核酸配列に特異的にハイブリダイズす
る1つ以上のプライマーと核酸サンプルとを接触させる工程、ならびに(iv)
増幅産物の存在または非存在を検出する工程、あるいは増幅産物のサイズを検出
し、コントロールサンプルに対して長さを比較する工程。PCRおよび/または
LCRは、本明細書中で記載される変異を検出するために使用される任意の技術
と組み合せて、予備増幅工程として使用されることが所望され得ることが予想さ
れる。
【0293】 別の増幅方法は、以下を含む:自己維持配列複製(Guatelli,J.C
.ら、1990、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:18
74−1878)、転写増幅システム(Kwoh,D.Y.ら、1989.Pr
oc.Natl.Acad.Sci.USA 86:1173−1177)、Q
−βレプリカ−ゼ(Lizardi,P.M.ら、1988、Bio/Tech
nology 6:1197)または任意の他の核酸増幅方法、当該分野で周知
の技術を使用する、続く増幅された分子の検出。これらの検出スキームは、この
ような分子が非常に少ない数で存在する場合に、核酸分子の検出に特に有用であ
る。
【0294】 このアッセイの好ましい実施態様においては、サンプル細胞に由来する遺伝子
における変異、またはその対立遺伝子変異体は、制限酵素切断パターンにおける
変化によって同定される。例えば、サンプルおよびコントロールDNAは、単離
され、増幅され(必要に応じて)、1つ以上の制限エンドヌクレアーゼで消化さ
れ、そしてフラグメントの長さの大きさがゲル電気泳動によって決定される。さ
らに、配列特異的リボザイムの使用(例えば、米国特許第5,498,531号
を参照のこと)は、リボザイム切断部位の発生または欠失による特異的な変異の
存在についてスコア付けするために使用され得る。
【0295】 本発明の別の局面は、異常な増殖によって特徴付けられる細胞の分化および増
殖を調節し得る薬剤を同定することに関する。これに関しては、本発明は、マー
カー核酸(配列番号1〜544)の発現を調節し、そして/または例えば、コー
ドされるポリペプチドの生体活性を阻害するように変更する化合物を決定するた
めのアッセイを提供する。
【0296】 いくつかのインビボでの方法は、マーカー核酸(配列番号1〜544)の発現
を調節する、および/または例えば、コードされるポリペプチドの生体活性を変
更する(例えば、阻害する)化合物を同定するために使用され得る。
【0297】 薬物スクリーニングは、細胞のサンプルに対して試験化合物を添加し,そして
効果をモニターすることによって行われる。試験化合物を受容していない対応す
るサンプルもまた、コントロールとしてモニターされる。次いで、処理された細
胞および未処理の細胞が、以下を含むがこれらに限定されない任意の適切な表現
型の基準によって比較される:顕微鏡分析、生存性試験、複製能力、組織学的試
験、細胞に関連する特定のRNAまたはポリペプチドのレベル、細胞または細胞
溶解物によって発現される酵素活性のレベル、および他の細胞または化合物と相
互作用する細胞の能力。処理された細胞と未処理の細胞との間での差異は、試験
化合物に起因し得る効果を示す。
【0298】 試験化合物の所望される効果として、癌に関連するマーカー核酸配列によって
付与された任意の表現型に対する効果が挙げられる。例として、mRNAの過剰
な豊富さを制限する試験化合物、コードされるタンパク質の産生を制限する試験
化合物、または、タンパク質の機能的な効果を制限する試験化合物が挙げられる
。試験化合物の効果は、処理された細胞と未処理の細胞との間での結果を比較す
る場合に明らかである。
【0299】 従って、本発明はまた、インビトロで核酸マーカー(配列番号1−544)の
発現を阻害する薬剤をスクリーニングする方法を含む。この方法は、細胞または
組織(ここで、マーカー核酸mRNAは、培養された細胞中で検出可能である)
を、薬剤がmRNAの産生を阻害し得るかどうかを決定するために薬剤に対して
暴露する工程;および暴露された細胞または組織中のmRNAのレベルを決定す
る工程(ここで、薬剤に対する細胞株の暴露後のmRNAのレベルの低下は、マ
ーカー核酸のmRNAの産生の阻害の指標である)を包含する。
【0300】 あるいは、スクリーニング方法は、細胞または組織(ここで、マーカータンパ
ク質は、培養された細胞中で検出可能である)を、マーカータンパク質の産生を
阻害することが予想される薬剤に対してインビトロでスクリーニングする工程;
および細胞または組織中のマーカータンパク質のレベルを決定する工程(ここで
、薬剤に対する細胞または組織の暴露後のマーカータンパク質のレベルの低下は
、マーカータンパク質の産生の阻害の指標である)を包含する。
【0301】 本発明はまた、マーカー核酸の発現を阻害する薬剤をスクリーニングするイン
ビボでの方法を含む。この方法は、腫瘍細胞を有する哺乳動物(ここで、マーカ
ーmRNAまたはタンパク質は検出可能である)を、マーカーmRNAまたはタ
ンパク質の産生を阻害することが予想される薬剤に対して暴露する工程;および
暴露された哺乳動物の腫瘍細胞中のマーカーmRNAまたはタンパク質のレベル
を決定する工程を包含する。薬剤に対する哺乳動物の暴露後のマーカーmRNA
またはタンパク質のレベルにおける低下は、マーカー核酸の発現の阻害の指標で
ある。
【0302】 従って、本発明は、マーカー核酸(配列番号1−544)を発現する細胞を、
試験化合物とともにインキュベートする工程、およびmRNAまたはタンパク質
レベルを測定する工程を包含する方法を提供する。本発明はさらに、細胞の集団
中のマーカー核酸の発現のレベルを定量的に決定するための方法、および薬剤が
細胞の集団中のマーカー核酸の発現のレベルを増大または減少させ得るか否かを
決定するための方法を提供する。薬剤が細胞の集団中のマーカー核酸の発現のレ
ベルを増大または減少させ得るか否かを決定するための方法は、以下の工程を包
含する:(a)コントロールおよび薬剤で処理した細胞の集団から細胞の抽出物
を調製する工程、(b)細胞の抽出物からマーカーポリペプチドを単離する工程
、(c)上記のポリペプチドに特異的な抗体とマーカーポリペプチドとの間での
形成された免疫複合体の量を定量する(例えば、並行して)工程。本発明のマー
カーポリペプチドはまた、その生体活性についてアッセイすることによって定量
され得る。マーカー核酸の発現を増大させるように誘導する薬剤は、コントロー
ル細胞中で形成された免疫複合体の量と比較した場合に、処理された細胞中で形
成される免疫複合体の量を増大させるそれらの能力によって同定され得る。類似
の様式において、マーカー核酸の発現を低下させる薬剤は、コントロール細胞と
比較した場合に、処理された細胞抽出物中で形成される免疫複合体の量を減少さ
せるそれらの能力によって同定され得る。
【0303】 mRNAのレベルは、ノーザンブロットハイブリダイゼーションによって決定
され得る。mRNAレベルはまた、PCRを含む方法によって決定され得る。m
RNAを測定するための他の敏感な方法(これは、ハイスループットアッセイ(
例えば、DELFIA終点検出および定量方法を使用する方法)において使用さ
れ得る)、例えば、WebbおよびHurskainen(1996)Jour
nal of Biomolecular Screening 1:119に
記載されている。マーカータンパク質のレベルは、配列番号1−544によって
コードされるタンパク質産物を特異的に認識する抗体を使用して、免疫沈降また
は免疫組織化学によって決定され得る。
【0304】 薬物スクリーニングアッセイにおいて活性であるとして同定される薬剤は、細
胞の増殖活性をブロックするそれらの能力について試験される候補である。これ
らの薬剤は、細胞(特に、結腸細胞)の異常な増殖に関連する障害を処置するた
めに有用である。
【0305】 種々のアッセイ形式が十分であり、そして、本発明の開示に照らして、本明細
書中で明白には記載されていないものが、それにもかかわらず、当業者によって
理解される。例えば、アッセイは、多くの種々の形式で作製され得、そして細胞
を含まないシステムに基づくアッセイ(例えば、精製されたタンパク質または細
胞溶解物)、およびインタクトな細胞を利用する細胞に基づくアッセイを含む。
【0306】 多くの薬物スクリーニングプログラム(これは、化合物のライブラリーおよび
天然の抽出物を試験する)においては、ハイスループットアッセイが、所定の期
間に調査される化合物の数を最大にするために所望され得る。本発明のアッセイ
(これは、細胞を含まないシステム(例えば、精製されたかもしくは半精製され
たタンパク質を用いて、または溶解物を用いて誘導され得る)において行われる
)は、しばしば、「一次」スクリーニングに好ましい。ここでは、これらは、試
験化合物によって媒介される分子の標的における変化を迅速に生じることおよび
比較的容易に検出することを可能にするように生成され得る。さらに、試験化合
物の細胞性の毒性および/またはバイオアベイラビリティーの効果は、一般的に
は、インビトロのシステムにおいては無視され得る。このアッセイは、代わりに
分子標的に対する薬物の効果に対して主に焦点があてられており、この効果は、
他のタンパク質との結合親和性における変化、または分子標的の酵素的な特性に
おける変化において明らかにされ得る。
【0307】 (A.マッピングおよび組織プロファイリングプローブにおけるプローブとし
ての核酸の使用) (プローブ) 上記のようなポリヌクレオチドプローブ(例えば、配列番号1−544、好ま
しくは、配列番号1−168、なおより好ましくは、配列番号1−35に示され
るような核酸のヌクレオチド配列、またはそれらに相補的な配列から選択される
、少なくとも12個連続するヌクレオチドを含む)は、ヒトの染色体の同定およ
び転写レベルの決定を含む種々の目的のために使用される。核酸配列の好ましい
領域についてのさらなる開示は、添付の表において見出される。
【0308】 ヌクレオチドプローブは、例えば、放射性標識、蛍光標識、ビオチン化標識、
または化学発光標識で標識され、そして選択された特定の標識について適切な周
知の方法によって検出される。核分裂中期の染色体の調製物に対するヌクレオチ
ドプローブのハイブリダイゼーションのためのプロトコールもまた、当該分野で
周知である。ヌクレオチドプローブは、プローブのヌクレオチド配列に相補的で
ある染色体調製物中のヌクレオチド配列に対して特異的にハイブリダイズする。
核酸に特異的にハイブリダイズするプローブは、他の無関係な配列を用いて提供
されるバックグラウンドのハイブリダイゼーションよりも、少なくとも5倍、1
0倍、または20倍高い検出シグナルを提供するはずである。
【0309】 限定的ではない例においては、市販のプログラムが、疾患(例えば、癌)に一
般的に関連する染色体の領域を同定するために利用可能である。本発明の核酸は
、これらの領域をプローブするために使用され得る。例えば、プロフィールの検
索を通じて、核酸が、キナーゼをコードする遺伝子に対応するとして同定される
場合、癌に関連する染色体領域に結合するその能力は、腫瘍細胞の発生/増殖の
1つ以上の段階においてキナーゼとしてのその役割を示唆する。いくつかの実験
がその役割を明らかにするために必要とされるが、核酸は、癌の診断または治療
を開発する可能性を有する特定のタンパク質を単離するための新規の物質を構成
する。
【0310】 ヌクレオチドプローブは、核酸に対応する遺伝子の発現を検出するために使用
される。例えば、ノーザンブロットにおいては、mRNAは電気泳動で分離され
、そしてプローブと接触される。プローブは、特定の大きさのmRNA種に対し
てハイブリダイズする場合に検出される。ハイブリダイゼーションの量は、発現
の相対的な量を決定するために例えば、特定の条件下で定量される。プローブは
また、ポリメラーゼ連鎖反応による増幅の産物を検出するために使用される。反
応の産物はプローブとハイブリダイズされ、そしてハイブリッドが検出される。
プローブは、発現を検出するために細胞に対してインサイチュハイブリダイゼー
ションにおいて使用される。プローブはまた、ハイブリダイズしている配列の診
断的な検出のためにインビボで使用され得る。プローブは、代表的には、放射性
同位体で標識される。他の型の検出可能な標識(例えば、発色団、蛍光団、およ
び酵素)が、使用され得る。
【0311】 特異的なmRNAの発現は、種々の細胞型において変化し得、そして組織特異
的であり得る。種々の細胞型におけるこのmRNAレベルのバリエーションは、
組織型を決定するための核酸プローブアッセイを用いて説明され得る。例えば、
PCR、分岐したDNAプローブアッセイ、または配列番号1−544、好まし
くは、配列番号1−168、なおより好ましくは、配列番号1−35の核酸配列
、またはそれらに相補的な配列に対して実質的に同一であるかまたは相補的であ
る核酸プローブを利用するブロッティング技術は、標的cDNAまたはmRNA
の存在または非存在を決定し得る。
【0312】 ヌクレオチドハイブリダイゼーションアッセイの例は、Urdeaら、PCT WO92/02526、およびUrdeaら、米国特許第5,124,246
号に記載されており、これらの両方は本明細書中で参考として援用されている。
これらの参考文献は、サンドイッチヌクレオチドハイブリダイゼーションアッセ
イの例を記載する。
【0313】 あるいは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、Mullisら、Meth.
Enzymol.(1987)155:335−350;米国特許第4,683
,195号;および米国特許第4,683,202号(これらの全てが、本明細
書中で参考として援用されている)に記載されているように、少量の標的核酸を
検出するための別の手段である。2つのプライマーポリヌクレオチドヌクレオチ
ドが標的核酸とハイブリダイズし、そして反応をプライムするために使用される
。これらのプライマーは、配列表のポリヌクレオチドの内部または3’および5
’の配列から構成され得る。あるいは、プライマーがこれらのポリヌクレオチド
についての3’および5’である場合は、これらは、それらまたはそれらの相補
物に対してハイブリダイズする必要はない。熱安定性ポリメラーゼは、鋳型とし
てもともとの標的核酸を使用してプライマーから標的核酸のコピーを作製する。
大量の標的核酸がポリメラーゼによって生成されたあと、これは、サザンブロッ
トのような方法によって検出される。サザンブロット方法を使用する場合は、標
識されたプローブが、配列表のポリヌクレオチドまたはそれらの相補物にハイブ
リダイズする。
【0314】 さらに、mRNAまたはcDNAは、Sambrookら、「Molecul
ar Cloning:A Laboratory Manual」(New
York,Cold Spring Harbor Laboratory,1
989)に記載されている伝統的なブロッティング技術によって検出され得る。
ポリメラーゼ酵素を使用してmRNAから生成されたmRNAまたはcDNAは
精製され得、そしてゲル電気泳動を使用して分離され得る。次いで、ゲル上の核
酸は固体支持体(例えば、ニトロセルロース)上にブロットされる。固体支持体
は、標識されたプローブに曝され、次いで、任意のハイブリダイズしていないプ
ローブを除去するために洗浄される。次に、標識されたプローブを含有する二本
鎖が検出される。代表的には、このプローブは、放射能を用いて標識される。
【0315】 (マッピング) 本発明の核酸は、対応する遺伝子が位置する染色体を同定するために使用され
る。正常な分裂中期のスプレッド(spread)に対するインサイチュハイブ
リダイゼーションにおける蛍光(FISH)を使用して、比較ゲノムハイブリダ
イゼーションは、DNA配列の相対的なコピー数における変化の全ゲノムの評価
を可能にする。SchwartzおよびSamad、Current Opin
ions in Biotechnology(1994)8:70−74;K
allioniemiら、Seminars in Cancer Biolo
gy(1993)4:41−46;ValdesおよびTagle,Metho
ds in Molecular Biology(1997)68:1、Bo
ultwood編、Human Press,Totowa,NJを参照のこと
【0316】 ヒトの分裂中期染色体の調製物は、ヒトの初代組織または細胞株から標準的な
細胞遺伝子学的技術を使用して調製される。配列番号1−544、好ましくは、
配列番号1−168、なおより好ましくは、配列番号1−35のヌクレオチド配
列、またはそれらに相補的な配列から選択される少なくとも12個の連続するヌ
クレオチドを含有するヌクレオチドプローブが、対応する染色体を同定するため
に使用される。ヌクレオチドプローブは、例えば、放射性標識、蛍光標識、ビオ
チン標識、または化学発光標識で標識され、そして選択された特定の標識につい
て適切な周知の方法によって検出される。分裂中期の染色体の調製物にヌクレオ
チドプローブをハイブリダイズさせるためのプロトコールもまた、当該分野で周
知である。ヌクレオチドプローブは、プローブのヌクレオチド配列に相補的であ
る染色体調製物中のヌクレオチド配列に特異的にハイブリダイズする。標的遺伝
子に特異的にハイブリダイズするプローブは、無関係なコード配列を用いて提供
されるバックグラウンドのハイブリダイゼーションよりも少なくとも5倍、10
倍、または20倍高い検出シグナルを提供する。
【0317】 核酸は、例えば、照射ハイブリッド、または染色体特異的ハイブリッドパネル
を使用して、特定の染色体にマッピングされる。Leachら、Advance
s in Genetics(1995)33:63−99;Walterら、
Nature Genetics(1994)7:22−28;Walterお
よびGoodfellow,Trends in Genetics(1992
)9:352を参照のこと。照射ハイブリッドマッピングのためのパネルは、R
esearch Genentics,Inc.,Huntsville,Al
abama,USAから入手可能である。種々のパネルを使用するマーカーのデ
ータベースは、ワールドワイドウェブを通じてhttp:/F/shgc−ww
w.stanford.edu;および他のサイトから、入手可能である。統計
学的なプログラムである、RHMAPが、他に対して1ケタの相対的な見込みの
尺度を有する照射ハイブリゼーションによるデータに基づいてマップを構築する
ために使用され得る。RHMAPは、ワールドワイドウェブを通じて、http
://www.sph.umich.edu/group/statgen/s
oftwareで入手可能である。
【0318】 このようなマッピングは、既知の機能を有する他の遺伝子へのその接近によっ
て、標的遺伝子の機能を同定することにおいて有用であり得る。機能はまた、特
定の症候群または疾患が同じ染色体にマッピングされる場合に、標的遺伝子に割
り当てられ得る。
【0319】 (組織プロファイリング) 本発明の核酸は、所定のサンプルが由来する組織型を決定するために使用され
得る。例えば、転移性の病変が、その器官または組織の特定のマーカーの発現を
同定することによって、その発生の器官または組織の供給源によって同定される
。核酸が、特定の組織型においてのみ発現され、そして転移性の病変がその核酸
を発現することが見出される場合は、次いでその病変の発生の起源が同定される
。特定の核酸の発現は、対応するmRNAまたはタンパク質産物のいずれかの検
出によってアッセイされる。免疫学的な方法(例えば、抗体染色)は、特定のタ
ンパク質産物を検出するために使用される。ハイブリダイゼーション方法(イン
サイチュハイブリダイゼーションおよびノーザンブロッティングを含むがこれら
に限定されない)は、特定のmRNA種を検出するために使用され得る。
【0320】 (多型性の使用) 核酸は、遺伝子の対応する領域がヒトの集団において多型性である場合、法医
学、遺伝的分析、マッピング、および診断の適用において有用である。核酸の特
定の多型性形態は、疑わしい被験体に由来するサンプルを同定するか、または疑
わしい被験体に由来するサンプルの可能性を除外するかのいずれかのために使用
され得る。遺伝子中の多型性を検出するための任意の手段が使用され、これらは
、タンパク質の多型性変異体の電気泳動、制限酵素切断に対する異なる感受性、
および対立遺伝子特異的プローブに対するハイブリダイゼーションを含むが、こ
れらに限定されない。
【0321】 B.抗体を惹起するための核酸およびコードされるポリペプチドの使用 核酸、対応するmRNAもしくはcDNA、または対応する完全な遺伝子の発
現産物が調製され、そして実験的、診断的、および治療的目的のための抗体を惹
起するために使用される。それに対応する遺伝子が割り当てられていない核酸に
ついては、これは、対応する遺伝子を同定するさらなる方法を提供する。核酸ま
たは関連するcDNAは、上記のように発現され、そして抗体が調製される。こ
れらの抗体は、コードされるポリペプチド上のエピトープに対して特異的であり
、そして細胞もしくは組織調製物中、またはインビトロの発現システムの細胞を
含まない抽出物中の対応する天然のタンパク質を沈殿させるかまたはそれらに結
合し得る。
【0322】 抗体を惹起するための免疫原は、アジュバントと、本発明の核酸によってコー
ドされるポリペプチドとを混合することによって調製される。あるいは、ポリペ
プチドは、大きな免疫原性タンパク質に対して融合タンパク質として作製される
。ポリペプチドはまた、他の大きな免疫原性タンパク質(例えば、キーホールリ
ンペットヘモシアニン)に対して共有結合する。免疫原は、代表的には、経皮的
に、皮下的に、または筋肉内で投与される。免疫原は、抗体を作製するために、
ウサギ、ヒツジ、およびマウスのような実験動物に投与される。必要に応じて、
動物の脾臓細胞が単離され、そしてモノクローナル抗体を分泌するハイブリドー
マを形成するように、骨髄腫細胞と融合される。このような方法は当該分野で周
知である。当該分野で公知の別の方法に従うと、核酸は、直接(例えば、筋肉内
注射によって)投与され、そしてインビボで発現される。発現されたタンパク質
は、タンパク質の投与に匹敵する抗体の産生を含む種々のタンパク質特異的免疫
応答を生じる。
【0323】 核酸によってコードされるタンパク質およびポリペプチドについて特異的なポ
リクローナルおよびモノクローナル抗体の調製は、当該分野で公知の標準的な方
法を使用して行われる。抗体は、配列番号1〜544、好ましくは、配列番号1
〜168、なおより好ましくは、配列番号1〜35の核酸、またはそれらに相補
的な配列によってコードされるポリペプチド中に存在するエピトープに特異的に
結合する。別の実施態様においては、抗体は、配列番号1〜544によってコー
ドされるポリペプチド中に存在するエピトープに特異的に結合する。代表的には
、少なくとも約6個、8個、10個、または12個の連続するアミノ酸が、エピ
トープを形成するために必要とされる。しかし、連続的ではないアミノ酸を含む
エピトープは、例えば、少なくとも約15個、25個、または50個のアミノ酸
をさらに必要とし得る。次いで、核酸の短い配列は、対応する新規のタンパク質
を同定するために抗体を惹起するためのエピトープトしての使用には適切ではあ
り得ない。なぜなら、既知のタンパク質との交差反応性の可能性があるからであ
る。しかし、抗体は、他の目的について、特に、それらが既知のタンパク質およ
び本発明の核酸によってコードされる新規のポリペプチドの共通の構造的な特徴
を同定する場合に、有用であり得る。
【0324】 ヒトの核酸によってコードされるポリペプチドに特異的に結合する抗体は、ウ
ェスタンブロット、または他の免疫化学的アッセイにおいて使用される場合には
、他のタンパク質を用いて提供される検出シグナルよりも、少なくとも約5倍、
10倍、または20倍高い検出シグナルを提供するはずである。好ましくは、核
酸Tによってコードされるポリペプチドに特異的に結合する抗体は、免疫化学的
アッセイにおいては他のタンパク質を検出せず、そして溶液から核酸によってコ
ードされるタンパク質を免疫沈降させ得る。
【0325】 ヒトの集団中の核酸によってコードされるポリペプチドに対する血清抗体の存
在を試験するために、ヒト抗体が、当該分野で周知の方法によって精製される。
好ましくは、抗体は、核酸によってコードされるタンパク質、ポリペプチド、ま
たは融合タンパク質が結合したカラムに、抗血清を通過させることによってアフ
ィニティー精製される。次いで、結合した抗体は、例えば、高塩濃度の緩衝液を
使用して、カラムから溶出され得る。
【0326】 上記で議論される抗体に加えて、遺伝子操作された抗体の誘導体(例えば、単
鎖抗体)が、作製される。
【0327】 抗体は、当該分野で公知の標準的なプロトコールを使用して作製され得る(例
えば、Antibodies:A Laboratory Manual、Ha
rlowおよびLane編、(Cold Spring Harbor Pre
ss:1988)を参照のこと)。哺乳動物(例えば、マウス、ハムスター、ま
たはウサギ)は、ペプチドの免疫原性の形態(例えば、抗体応答を誘発し得る哺
乳動物のポリペプチドもしくは抗原性フラグメント、または上記のような融合タ
ンパク質)を用いて免疫化され得る。
【0328】 1つの局面においては、本発明は、対象ポリペプチドが結腸直腸組織または腫
瘍組織(特に、結腸癌組織または結腸癌に由来する細胞株)中で高度に発現され
ることを示す、モノクローナル抗体を含む。従って、1つの実施態様においては
、本発明は、一般的に、そして特に、結腸癌の診断薬として、対象ポリペプチド
の発現の分析のための診断ツールを提供する。
【0329】 タンパク質またはペプチドに対して免疫原性を付与するための技術としては、
当該分野で周知のキャリアまたは他の技術に対する結合が挙げられる。タンパク
質の免疫原性部分は、アジュバントの存在下で投与され得る。免疫化の進行は、
血漿または血清中の抗体力価の検出によってモニターされ得る。標準的なELI
SAまたは他のイムノアッセイが、抗体のレベルを評価するための抗原としての
免疫原を用いて使用され得る。好ましい実施態様においては、対象の抗体は、哺
乳動物のタンパク質の抗原性決定基(例えば、配列番号1〜544の1つによっ
てコードされるタンパク質、または密接に関連するホモログ(例えば、少なくと
も90%同一である、およびより好ましくは、少なくとも95%同一である)の
抗原性決定基)に対して免疫特異的である。
【0330】 ポリペプチドの抗原性調製物での動物の免疫化後、抗血清が得られ得、そして
所望される場合は、ポリクローナル抗体が血清から単離され得る。モノクローナ
ル抗体を産生するために、抗体を産生する細胞(リンパ球)が、免疫化された動
物から回収され得、そして骨髄腫細胞のような不死化細胞を用いる標準的な体細
胞融合手順によって、ハイブリドーマ細胞を生じるように融合させられる。この
ような技術は、当該分野で周知であり、そして例えば、ハイブリドーマ技術(K
ohlerおよびMilstein,(1975)Nature,256:49
5−497によって最初に開発された)、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Ko
zbarら、(1983)Immunology Today,4:72)、お
よびヒトのモノクローナル抗体を産生するためのEBV−ハイブリドーマ技術(
Coleら、(1985)Monoclonal Antibodies an
d Cancer Therapy,Alan R.Liss,Inc.77−
96頁)を含む。ハイブリドーマ細胞は、本発明のポリペプチドと特異的に反応
する抗体の産生のために免疫化学的にスクリニングされ得、そしてモノクローナ
ル抗体が、このようなハイブリドーマ細胞を含む培養物から単離され得る。
【0331】 用語、抗体は、本明細書中で使用される場合、対象ポリペプチドの1つともま
た特異的に反応するそのフラグメントを含むことが意図される。抗体は、従来技
術を使用して断片化され得、そしてフラグメントは、上記と同じ様式において、
全抗体について有用性についてスクリーニングされる。例えば、F(ab)2
ラグメントは、ペプシンで抗体を処理することによって生成され得る。得られた
F(ab)2フラグメントは、Fabフラグメントを産生するためのジスルフィ
ド結合を減少させるように処理され得る。本発明の抗体はさらに、抗体の少なく
とも1つのCDR領域によって付与されたポリペプチドに対する親和性を有する
、二重特異的、単鎖、およびキメラ、ならびにヒト化分子を含むことが意図され
る。好ましい実施態様においては、抗体は、さらに、それに付着させられた標識
を含み、そして検出されることが可能である(例えば、標識は、放射性同位元素
、蛍光化合物、化学発光化合物、酵素、または酵素補因子であり得る)。
【0332】 抗体は、例えば、被験体が異常なタンパク質レベルに関連する疾患または症状
(例えば、結腸癌)を有するかどうかを決定するために、またはこのような障害
を罹患している個体について所定の処置レジメの効力の決定を可能にするために
、個体中のタンパク質レベルをモニターするために使用され得る。ポリペプチド
のレベルは、体液(例えば、血液サンプル)中の細胞から測定され得る。
【0333】 本発明の抗体の別の適用は、発現ベクター(例えば、gt11、gt18−2
3、ZAP、およびORF8)中で構築されたcDNAライブラリーの免疫学的
なスクリーニングにおいてである。この型のメッセンジャーのライブラリー(正
確なリーディングフレームおよび方向で挿入されたコード配列を有する)は、融
合タンパク質を生成し得る。例えば、gt11は、そのアミノ末端がβ−ガラク
トシダーゼアミノ酸配列から構成され、そしてそのカルボキシ末端が外来ポリペ
プチドから構成される融合タンパク質を生成する。次いで、タンパク質の抗原性
エピトープ(例えば、特定のタンパク質の他のオルトログまたは同じ種に由来す
る他のパラログ)が、抗体を用いて、例えば、感染プレートから取り上げたニト
ロセルロースフィルターを抗体と反応させることによって、検出され得る。この
アッセイによって検出されたポジティブなファージは、次いで、感染プレートか
ら単離され得る。従って、ホモログの存在が検出され得、そして他の動物からク
ローン化され得、ヒトに由来する別の異性体(スプライシング変異体を含む)で
あり得る。
【0334】 別の実施態様においては、モノクローナル抗体のパネルが使用され得る。ここ
でエピトープに関連する機能の各々は、モノクローナル抗体によって提示される
。パネル中のモノクローナル抗体の結合の欠失または摂動は、タンパク質、従っ
て、対応する遺伝子の変異性の警告の指標である。
【0335】 C.異なる発現 本発明はまた、ヒトにおける異常な組織または疾患の組織を同定するための方
法を提供する。上記のようなタンパク質ファミリーのプロフィールに対応する核
酸については、組織の選択は、推定の生物学的機能によって示され得る。特異的
な核酸に対応する遺伝子の発現は、疾患が疑われる第1の組織と、ヒトの正常な
組織である第2の組織との間で比較される。正常な組織はヒトの任意の組織(特
に、脳、胸腺、精巣、心臓、前立腺、胎盤、脾臓、小腸、骨格筋、すい臓、およ
び結腸の粘膜の内層を含むがこれらに限定されない、標的遺伝子を発現する組織
)である。
【0336】 異常であるかまたは疾患であると疑われる組織は、ヒトの種々の組織型から誘
導され得るが、好ましくは、それは、同じ組織型から誘導される;例えば、小腸
のポリープまたは他の異常な増殖は、正常な腸組織と比較されるはずである。比
較される2つの組織中での標的遺伝子、mRNA、またはタンパク質の間の差異
(例えば、分子量、アミノ酸もしくはヌクレオチド配列、または相対的な量)は
、遺伝子もしくはそれを調節する遺伝子における変化、または疾患であると疑わ
れるヒトの組織における変化を示す。
【0337】 2つの組織における標的遺伝子が、当該分野で公知の任意の手段によって比較
される。例えば、2つの遺伝子が配列決定され、そして疾患であると疑われる組
織中の遺伝子の配列が、正常な組織中の遺伝子配列と比較される。2つの組織中
の標的遺伝子またはその一部が、例えば、配列表に示されるヌクレオチド配列に
基づくヌクレオチドプライマーを使用して、ポリメラーゼ連鎖反応を使用して増
幅される。増幅された遺伝子または遺伝子の一部は、配列番号1−544に示さ
れる対応するヌクレオチド配列から選択されたヌクレオチドプローブに対してハ
イブリダイズされる。正常なヌクレオチド配列と比較された、疾患であると疑わ
れる組織中の標的遺伝子のヌクレオチド配列における差異は、疾患における核酸
コードタンパク質の役割を示唆し、そして治療薬を調製するための指針を提供す
る。ヌクレオチドプローブは、種々の方法(例えば、放射性標識、ビオチン化、
または蛍光もしくは化学発光タグを用いた標識)によって標識され、そして当該
分野で公知の標準的な方法によって検出される。
【0338】 あるいは、2つの組織中の標的mRNAが比較される。ポリA+RNAは、当
該分野であるように公知の2つの組織から単離される。例えば、当業者は、2つ
の組織間での標的mRNA転写物の大きさまたは量における差異を、ノーザンブ
ロットおよび配列表に示されるヌクレオチド配列から選択されるヌクレオチドプ
ローブを使用して、容易に決定し得る。正常な組織中の同じ標的mRNAの発現
と比較して、疾患であると疑われる組織サンプル中の標的mRNAの増大または
低下した発現は、発現されるタンパク質が疾患において役割を有することを示唆
し、そしてまた、治療的な薬剤を調製するための指針を提供する。
【0339】 タンパク質を分析するための任意の方法は、適合したサンプルから2つの核酸
コードタンパク質を比較するために使用される。2つの組織中のタンパク質の大
きさが、例えば、2つの組織に由来するタンパク質抽出物のウェスタンブロット
において核酸をコードするタンパク質を検出するための本発明の抗体を使用して
、比較される。他の変化(例えば、発現レベルおよび細胞小器官の局在化)もま
た、対応するタンパク質に対する抗体を使用して免疫学的に検出され得る。正常
な組織中の同じ核酸コードタンパク質の発現レベルと比較される、疾患であると
疑われる組織中での核酸コードタンパク質の発現のより高いかまたはより低いレ
ベルは、発現されるタンパク質がその疾患において役割を有することの指標であ
り、そして治療薬を調製するための別の指針を提供する。
【0340】 同様に、遺伝子配列または遺伝子発現産物(例えば、mRNAおよびタンパク
質)の、疾患であると疑われるヒトの組織とヒトの正常な組織との間での比較は
、ヒトにおける疾患の進行または緩解を追跡するために使用される。遺伝子、m
RNA、またはタンパク質のこのような比較は、上記に記載されているように行
われる。
【0341】 例えば、新生物であると疑われる組織中の標的遺伝子の増大または減少した発
現は、組織中の新生物細胞の存在を示し得る。正常な組織中での遺伝子の発現と
比較した新生物組織中での標的遺伝子の増大した発現の程度、または長期にわた
る新生物組織中の標的遺伝子の増大した発現量の差異は、その組織中の新生物の
進行を評価するため、または経時的な治療プロトコールに対して新生物組織の応
答をモニターするために、使用される。
【0342】 任意の2つの細胞型(例えば、低いおよび高い転移性の腫瘍細胞株、または治
療薬に曝されているか、または曝されていない組織に由来する細胞)の発現パタ
ーンが比較され得る。ヒトにおける疾患に対する遺伝的な素因は、正常な標的遺
伝子、mRNA、またはタンパク質と、胎児の組織中の標的遺伝子、mRNA、
またはタンパク質を比較することによって検出される。この目的のために使用さ
れる胎児の組織として、羊水、絨網膜絨毛、血液、およびインビトロで受精させ
られた胚の割球が挙げられるが、これらに限定されない。比較可能な正常な標的
遺伝子は、任意の組織から得られる。mRNAまたはタンパク質は、標的遺伝子
が発現されるヒトの正常な組織から得られる。胎児の標的遺伝子またはmRNA
のヌクレオチド配列もしくは大きさにおける変化、または胎児の標的タンパク質
の分子量、アミノ酸配列、もしくは相対的な量における変化のような差異は、胎
児の標的遺伝子における生殖系の変異を示し得る。この変異は、疾患の遺伝的な
素因を示す。
【0343】 (D.ペプチドアナログおよびアンタゴニストをスクリーニングするための核
酸およびコードされるポリペプチドの使用) 本発明の核酸(例えば、配列番号1−544、好ましくは、配列番号1−16
8、なおより好ましくは、配列番号1−35、またはそれらに相補的な配列、お
よび対応する全長の遺伝子)によってコードされるポリペプチドは、ペプチドラ
イブラリーをスクリーニングして、コードされるポリペプチドの中から結合パー
トナー(例えば、レセプター)を同定するために使用され得る。
【0344】 ペプチドのライブラリーは、米国特許第5,010,175号およびPCT
WO91/17823に開示されている方法に従って合成され得る。以下に簡潔
に記載されるように、当業者は、ペプチドの混合物を調製し、次いでこれは、所
望のシグナル伝達およびレセプター結合活性を示すペプチドを同定するためにス
クリーニングされる。’175号特許の方法においては、適切なペプチド合成支
持体(例えば、樹脂)が、適切に保護され、活性化されたアミノ酸の混合物に結
合される。反応混合物中での各アミノ酸の濃度は、生成物が、出発樹脂に結合し
たアミノ酸の等モルの混合物であるように、その結合反応速度に対して反比例し
て平衡化または調節される。次いで、結合したアミノ酸は、脱保護され、そして
全ての可能性のあるジペプチドの等モルの混合物を形成するように、別の平衡化
されたアミノ酸の混合物と反応させられる。このプロセスは、所望の長さ(例え
ば、ヘキサマー)のペプチドの混合物が形成されるまで、繰り返される。当業者
は、各工程において全てのアミノ酸を含む必要がないに留意のこと:当業者は、
いくつかの工程においては、1つまたは2つのアミノ酸だけを含み得(例えば、
特定のアミノ酸が所定の位置で必須であることが既知である場合)、従って、混
合物の複雑さを軽減する。ペプチドライブラリーの合成が完了した後、ペプチド
の混合物は、選択されたポリペプチドに対する結合についてスクリーニングされ
る。次いで、ペプチドは、活性を阻害するかまたは増強するそれらの能力につい
て試験される。次いで、所望の活性を示すペプチドが単離され、そして配列決定
される。
【0345】 WO 91/17823に記載される方法は同様である。しかし、合成樹脂を
活性化アミノ酸の混合物と反応させる代わりに、樹脂は、20個の等しい部分に
(または、その工程で付加される異なるアミノ酸の数に対応する部分の数に)分
けられ、そして各アミノ酸は、樹脂のその部分に対して別々に結合される。次い
で、樹脂部分は、組み合わせられ、混合され、そして第2のアミノ酸との反応の
ために多数の等しい部分に再度分けられる。この様式においては、各反応は、完
了するように容易に駆動され得る。さらに、当業者は、各工程で全ての樹脂を混
合するよりもむしろ、同時に部分を処理することによって、別々の「サブプール
」を維持し得る。これによって、ペプチドが任意の観察されるレセプター結合ま
たはシグナル伝達活性について応答性であることを決定するプロセスを単純化す
る。
【0346】 このような場合は、それぞれ、例えば、1〜2,000個の候補を含有するサ
ブプールが、本発明の1つ以上のポリペプチドに曝される。次いで、ポジティブ
な結果を生じる各サブプールは、例えば、20〜100個の候補を含有するより
小さいサブプール(サブ−サブプール)の群として再合成され、そして再度アッ
セイされる。ポジティブなサブ−サブプールは、個々の化合物として再合成され
得、そして高い結合定数を示すペプチドを決定するために最終的にアッセイされ
る。これらのペプチドは、天然の活性を阻害または増強するそれらの能力につい
て試験され得る。WO 91/7823および米国特許第5,194,392号
(本明細書中で参考として援用される)に記載されている方法は、自動化された
技術によって同時にこのようなプールおよびサブプールを調製することが可能で
あり、その結果、全ての合成および再合成は、およそ数日で行われ得る。
【0347】 ペプチドアゴニストまたはアンタゴニストは、任意の利用可能な方法(例えば
、シグナル伝達、抗体結合、レセプター結合、有糸分裂促進アッセイ、走化性ア
ッセイなど)を使用してスクリーニングされる。本明細書中で記載される方法が
、現在、好ましい。アッセイ条件は、理想的には、天然の活性がインビボで示さ
れる条件下(すなわち、生理学的なpH、温度、およびイオン強度)に類似する
べきである。適切なアゴニストまたはアンタゴニストは、被験体中で毒性の副作
用を生じない濃度で、天然の活性の強力な阻害または増強を示す。天然のポリペ
プチドに対する結合について競合するアゴニストまたはアンタゴニストは、天然
の濃度に等しいかまたはそれよりも大きい濃度を必要とし得、一方、ポリペプチ
ドに不可逆的に結合し得るインヒビターは、天然の濃度の程度の濃度で添加され
得る。
【0348】 このようなスクリーニングおよび実験の最終的な結果は、本発明の核酸によっ
てコードされる少なくとも1つの新規のポリペプチドの結合パートナー(例えば
、レセプター)であり、そして新規の結合パートナーの少なくとも1つのペプチ
ドアゴニストもしくはアンタゴニストである。このようなアゴニストおよびアン
タゴニストは、それに対するレセプターが天然である細胞中の、または遺伝子操
作の結果としてのレセプターを保有する細胞中の、レセプター機能を調節、増強
、もしくは阻害するために使用され得る。さらに、新規のレセプターが既知のレ
セプターと生物学的に重要な特徴を共有する場合は、アゴニスト/アンタゴニス
トの結合についての情報は、既知のレセプターの改良されたアゴニスト/アンタ
ゴニストを開発することを補助し得る。
【0349】 (E.薬学的組成物および治療的使用) 薬学的組成物は、本願発明のポリペプチド、抗体、またはポリヌクレオチドを
含み得る。この薬学的組成物は、本願発明のポリペプチド、抗体、またはポリヌ
クレオチドのいずれかの、治療有効量を含む。
【0350】 本明細書中で使用される場合、用語「治療有効量」とは、所望の疾患または状
態を処置、回復、または予防するための治療剤の量、または検出可能な治療効果
または予防効果を示すための治療剤の量をいう。この効果は、例えば、化学的マ
ーカーレベルまたは抗原レベルによって検出され得る。治療効果はまた、物理的
症状の減少(例えば、体温の低下)を含む。被験体に対する正確な有効量は、そ
の被験体の大きさおよび体重、その状態の性質および程度、ならびに投与に選択
される治療剤または治療剤の組み合わせに依存する。従って、事前に正確な有効
量を特定することは有用でない。しかし、所定の状況に対する有効量は、慣用的
実験によって決定され得、臨床医の判断内である。
【0351】 本発明の目的のために、有効用量は、投与される被験体において、約0.01
mg/kg〜50mg/kgまたは0.05mg/kg〜約10mg/kgのD
NA構築物である。
【0352】 薬学的組成物はまた、薬学的に受容可能なキャリアを含み得る。用語「薬学的
に受容可能なキャリア」とは、治療剤(例えば、抗体またはポリペプチド、遺伝
子、ならびに他の治療剤)の投与のためのキャリアをいう。この用語は、この組
成物を受ける個体に対して有害な抗体の産生をそれ自体で誘導せず、そして過度
の毒性を伴わずに投与され得る任意の薬学的キャリアをいう。適切なキャリアは
、大きな、ゆっくりと代謝される高分子(例えば、タンパク質、ポリサッカリド
、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、重合体アミノ酸、アミノ酸コポリマー、および
不活性なウイルス粒子)であり得る。このようなキャリアは、当業者に周知であ
る。
【0353】 薬学的に受容可能な塩は、その中で使用され得、例えば、鉱酸塩(例えば、塩
酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩など);および有機酸塩(例えば、酢酸
塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩、安息香酸塩など)である。薬学的に受容可能
な賦形剤の詳細な議論は、Remington’s Pharmaceutic
al Sciences(Mack Pub.Co.,N.J.1991)にお
いて入手可能である。
【0354】 治療組成物における薬学的に受容可能なキャリアは、液体(例えば、水、生理
食塩水、グリセロールおよびエタノール)を含み得る。さらに、補助物質(例え
ば、湿潤剤、乳化剤、pH緩衝物質など)は、このようなビヒクル中に存在し得
る。代表的に、治療組成物は、液体溶液または液体懸濁液のいずれかとして、注
射可能物質として調製され;注射前に液体ビヒクルへの溶解または懸濁に適切な
固体形態もまた、調製され得る。リポソームは、薬学的に受容可能なキャリアの
定義内に含まれる。
【0355】 (送達方法) 一旦処方されると、本発明の核酸組成物は、(1)被験体に直接投与され得る
か;(2)被験体由来の細胞に、エキソビボで送達され得るか;または、(3)
組換えタンパク質の発現のためにインビトロで送達され得る。
【0356】 この組成物の直接送達は、一般的に、皮下、腹腔内、静脈内または筋肉内のい
ずれかでの注射によって達成されるか、組織の間質空間に送達される。この組成
物はまた、腫瘍または病変内に投与され得る。他の投与形態としては、経口投与
および肺投与、坐剤、および経皮適用、針、ならびに遺伝子銃またはハイポスプ
レーが挙げられる。投薬処置は、単回用量スケジュールまたは複数回用量スケジ
ュールであり得る。
【0357】 エキソビボ送達および形質転換細胞の被験体への再移植のための方法は、当該
分野で公知であり、そして例えば、国際公開番号WO93/14778に記載さ
れる。エキソビボ適用に有用な細胞の例としては、例えば、幹細胞(特に、造血
幹細胞)、リンパ球、マクロファージ、樹状細胞、または腫瘍細胞が挙げられる
【0358】 一般的に、エキソビボ適用およびインビトロ適用の両方のための核酸の送達は
、例えば、デキストラン媒介トランスフェクション、リン酸カルシウム沈殿、ポ
リブレン媒介トランスフェクション、プロトプラスト融合、エレクトロポレーシ
ョン、ポリヌクレオチドのリポソーム中へのカプセル化、およびDNAの核への
直接微量注入によって達成され得、これら全ては、当該分野で周知である。
【0359】 一旦、本発明の遺伝子が、増殖障害(例えば、新形成、形成異常、および過形
成)と相関することが見出されると、この障害は、その核酸または対応するポリ
ペプチドに基づく治療剤の投与による処置を受け入れ得る。
【0360】 アンチセンスポリペプチドの調製は、上記に議論される。このアンチセンス組
成物によって処置される新形成としては、頸部癌、メラノーマ、結腸直腸腺癌、
ウィルムス腫瘍、網膜芽細胞w腫、肉腫、筋肉腫、肺癌、白血病(例えば、慢性
骨髄性白血病、前骨髄球性白血病、単球性白血病、および骨髄性白血病)、およ
びリンパ種(例えば、細網肉腫)が挙げられるが、これらに限定されない。この
治療組成物によって処置される増殖性障害としては、無発汗性(anhydri
c)遺伝性外胚葉性形成異常、先天性肺胞性形成異常、頸部の上皮形成異常、骨
の線維性形成異常、および乳房形成異常のような障害が挙げられる。過形成(例
えば、子宮内膜、副腎、乳房、前立腺または甲状腺の過形成、あるいは皮膚の偽
上皮腫性増殖症)は、アンチセンス治療組成物によって処置される。対応する遺
伝子における変異が推定されない障害においてでさえ、核酸関連遺伝子発現のダ
ウンレギュレーションまたは阻害は、治療適用を有し得る。例えば、核酸関連遺
伝子発現の減少は、その遺伝子の発現の増強が推定される腫瘍の抑制を助け得る
【0361】 このアンチセンス組成物の用量および投与方法の両方は、その治療組成物の特
質、患者の状態、年齢および体重、疾患の進行、ならびに他の関連する因子に基
づいて決定される。本発明の治療アンチセンス薬剤の投与としては、注射、経口
投与、微粒子銃またはカテーテル投与を含む、局所的投与または全身性投与、な
らびに局部投与が挙げられる。好ましくは、この治療アンチセンス組成物は、プ
ロモーター、および核酸のアンチセンス鎖の少なくとも約12、22、25、3
0または35の連続するヌクレオチドのポリヌクレオチドセグメントを含む発現
構築物を含む。この発現構築物内では、このポリヌクレオチドセグメントは、プ
ロモーターの下流に配置され、そしてこのポリヌクレオチドセグメントの転写は
、このプロモーターで開始される。
【0362】 治療組成物を身体の特定の部位に直接投与するために、種々の方法が使用され
る。例えば、小さい転移性病変を位置づけて、そしてこの治療組成物を、腫瘍本
体内のいくつかの異なる位置に数回注射する。あるいは、腫瘍に供給する動脈を
同定し、そしてこの治療組成物を、このような動脈に注射して、この組成物をそ
の腫瘍内に直接的に送達する。壊死性中心を有する腫瘍を吸引し、そしてこの組
成物を、現時点で空になったその腫瘍の中心に直接的に注射する。このアンチセ
ンス組成物は、腫瘍の表面に、例えば、この組成物の局所適用によって直接的に
投与される。X線画像化を使用して、特定の上記の送達方法を補助する。
【0363】 特定の組織への、アンチセンスポリヌクレオチド、サブゲノム(subgen
omic)ポリヌクレオチド、または抗体を含む、治療組成物のレセプター媒介
性の標的化された送達もまた使用される。レセプター媒介DNA送達技術は、例
えば、以下のものに記載される:Findeisら、Trends in Bi
otechnol.(1993)11:202−205;Chiouら、(19
94)Gene Therapeutics:Methods And App
lications Of Direct Gene Transfer(J.
A.Wolff編);WuおよびWu,J.Biol.Chem.(1988)
263:621−24;Wuら、J.Biol.Chem.(1994)269
:542−46;Zenkeら、Proc.Natl.Acad.Sci.(U
SA)(1990)87:3655−59;Wuら、J.Biol.Chem.
(1991)266:338−42。好ましくは、本発明の抗体を含む治療組成
物の、レセプター媒介性の標的化された送達は、その抗体を特定の組織へ送達す
るために使用される。
【0364】 アンチセンスサブゲノムポリヌクレオチドを含む治療組成物は、遺伝子治療プ
ロトコルにおける局所投与について、約100ng〜約200mgの範囲のDN
Aで投与される。約500ng〜約50mg、約1mg〜約2mg、約5mg〜
約500mg、および約20mg〜約100mgの濃度範囲のDNAもまた、遺
伝子治療プロトコルの間に使用され得る。形質転換および発現の作用方法および
効力のような因子は、このアンチセンスサブゲノム核酸の最終的な効力に必要と
される投薬量に影響を及ぼす考慮すべき事柄である。より多い発現がより大きな
面積の組織にわたって所望される場合、より大量のアンチセンスサブゲノム核酸
、または投与の連続的プロトコルにおいて再投与される等量、または異なる隣接
または近隣の組織部分(例えば、腫瘍部位の)への数回の投与が、ポジティブな
治療結果をもたらすのに必要とされ得る。全ての場合において、臨床試験の慣用
的実験が、最適な治療効果のための特定の範囲を決定する。遺伝子治療ベクター
(特に、レトロウイルスベクター)のより完全な記載は、米国特許出願第08/
869,309号(本明細書中に明確に援用される)、および以下の第F節に含
まれる。
【0365】 抗炎症活性を有するポリペプチドまたはタンパク質をコードする遺伝子に関し
て、適切な使用、用量および投与は、米国特許第5,654,173号(本明細
書中に参考として援用される)に記載される。治療剤はまた、米国特許第5,6
54,173号に記載のように、本発明の核酸によってコードされるタンパク質
およびポリペプチドに対する抗体を含む。
【0366】 (F.遺伝子治療) 本発明の治療核酸は、遺伝子送達ビビクル中で利用され得る。この遺伝子送達
ビビクルは、ウイルス起源または非ウイルス起源であり得る(一般的に、Jol
ly,Cancer Gene Therapy(1994)1:51−64;
Kimura、Human Gene Therapy(1994)5:845
−852;Connelly,Human Gene Therapy(199
5)1:185−193;およびKaplitt、Nature Geneti
cs(1994)6:148−153を参照のこと)。本発明の治療剤のコード
配列を含む構築物の送達のための遺伝子治療ビヒクルは、局所的または全身的の
いずれかで投与され得る。これらの構築物は、ウイルスベクターアプローチまた
は非ウイルスベクターアプローチを利用し得る。このようなコード配列の発現は
、内因性の哺乳動物プロモーターまたは異種プロモーターを使用して、誘導され
得る。このコード配列の発現は、構成的または調節性のいずれかであり得る。
【0367】 本発明は、目的の選択された核酸分子を運搬または発現するために構築される
組換えレトロウイルスを使用し得る。使用され得るレトロウイルスベクターとし
ては、以下のものに記載されるベクターが挙げられる:EP 0415731;
WO90/07936;WO94/03622;WO93/25698;WO9
3/25234;米国特許第5,219,740号;WO93/11230;W
O93/10218;VileおよびHart,Cancer Res.(19
93)53:3860−3864;VileおよびHart,Cancer R
es.(1993)53:962−967;Ramら、Cancer Res(
1993)53:83−88;Takamiyaら、J.Neurosci.R
es.(1992)33:493−503;Babaら、J.Neurosur
g.(1993)79:729−735;米国特許第4,777,127号;G
B特許第2,200,651号;ならびにEP0345242.好ましい組換え
レトロウイルスとしては、WO91/02805に記載のレトロウイルスが挙げ
られる。
【0368】 上記のレトロウイルスベクター構築物を用いる使用に適切なパッケージング細
胞株は、容易に調製され得(PCT公開WO95/30763およびWO92/
05266を参照のこと)、そして組換えベクター粒子の産生のためのプロデュ
ーサー細胞株(ベクター細胞株とも呼ばれる)を作製するために使用され得る。
本発明の特に好ましい実施態様において、パッケージング細胞株は、ヒト親細胞
株(例えば、HT1080細胞)またはミンク親細胞株から作製され、これによ
って、ヒト血清における不活化を耐え得る組換えレトロウイルスの産生を可能に
する。
【0369】 本発明はまた、遺伝子送達ビビクルとして機能し得る、アルファウイルスベー
スのベクターを使用する。このようなベクターは、広範な種々のアルファウイル
スから構築され得、これらとしては、例えば、シンドビスウイルスベクター、セ
ムリキ森林ウイルス(ATCC VR−67;ATCC VR−1247)、ロ
ス川ウイルス(ATCC VR−373;ATCC VR−1246)およびベ
ネズエラウマ脳炎ウイルス(ATCC VR−923;ATCC VR−125
0;ATCC VR 1249;ATCC VR−532)が挙げられる。この
ようなベクター系の代表的な例としては、米国特許第5,091,309号;同
第5,217,879号;および同第5,185,440号;ならびにPCT公
開番号WO92/10578;WO94/21792;WO95/27069;
WO95/27044;およびWO95/07994に記載のベクターが挙げら
れる。
【0370】 本発明の遺伝子送達ビビクルはまた、アデノ関連ウイルス(AAV)ベクター
のようなパルボウイルスを使用し得る。代表的な例としては、Srivasta
va(WO93/09239)、Samulskiら、J.Vir.(1989
)63:3822−3828;Mendelsonら、Virol.(1988
)166:154−165;およびFlotteら、PNAS(1993)90
:10613−10617によって開示されるAAVベクターが挙げられる。
【0371】 アデノウイルスベクターの代表的な例としては、以下のものに記載されるアデ
ノウイルスベクターが挙げれられる:Berkner,Biotechniqu
es(1988)6:616−627;Rosenfeldら、Science
(1991)252:431−434;WO/93/19191;Kollsら
、PNAS(1994)91:215−219;Kass−Eislerら、P
NAS(1993)90:11498−11502;Guzmanら、Circ
ulation(1993)88:2838−2848;Guzmanら、Ci
r.Res(1993)73:1202−1207;Zabnerら、Cell
(1993)75:207−216;Liら、Hum.Gene Ther.(
1993)4:403−409;Cailaudら、Eur.J.Neuros
ci.(1993)5:1287−1291;Vincentら、Nat.Ge
net.(1993)5:130−134;Jaffeら、Nat.Genet
.(1992)1:372−378;およびLevreroら、Gene(19
91)101:195−202。本発明において使用可能な例示的なアデノウイ
ルス遺伝子治療ベクターとしてはまた、WO94/12649、WO93/03
769;WO93/19191;WO94/28938;WO95/11984
およびWO95/00655に記載のベクターが挙げられる。Curiel,H
um.Gene Ther.(1992)3:147−154に記載のような殺
傷したアデノウイルスに連結されたDNAの投与が、使用され得る。
【0372】 他の遺伝子送達のビヒクルおよび方法が使用され得、これらとしては、殺傷し
たアデノウイルス単独に連結されたか、または連結されていないポリカチオン性
縮合DNA(例えば、Curiel,Hum.Gene Ther.(1992
)3:147−154);リガンド連結DNA(例えば、Wu,J.Biol.
Chem.(1989)264:16985−16987を参照のこと);真核
生物細胞送達ビビクル細胞(例えば、米国特許出願第08/240,030号(
1994年5月9日出願)および米国特許出願第08/404,796号を参照
のこと);光重合化ヒドロゲル材料の沈着;米国特許第5,149,655号に
記載されるような、手持ち型遺伝子移入パーティクルガン;米国特許第5,20
6,152号およびWO92/11033に記載のような、電離放射線;核電荷
中和(nucleic charge neutralization)または
細胞膜との融合が挙げられる。さらなるアプローチは、Philip,Mol.
Cell Biol.(1994)14:2411−2418、およびWoff
endin,Proc.Natl.Acad.Sci.(1994)91:15
81−1585に記載される。
【0373】 裸のDNAもまた、使用され得る。例示的な裸のDNAの導入方法は、WO9
0/11092および米国特許第5,580,859号に記載される。取り込み
効率は、生分解性ラテックスビーズを使用して改善され得る。DNAをコートし
たラテックスビーズは、ビーズによるエンドサイトーシスの開始後に細胞内へ効
率的に輸送される。この方法は、疎水性を増加するようビーズを処理することに
よってさらに改善され得、そしてこれによって、エンドソームの破壊およびDN
Aの細胞質への放出を促進し得る。遺伝子送達ビビクルとして作用し得るリポソ
ームは、米国特許第5,422,120号、PCT番号WO95/13796、
WO94/23697およびWO91/14445、ならびにEP第05249
68号に記載される。
【0374】 使用に適切なさらなる非ウイルス性送達としては、Woffendinら,P
roc.Natl.Acad.Sci.USA(1994)91(24):11
581−11585に記載されるアプローチのような、機械的送達系が挙げられ
る。さらに、コード配列およびその発現産物は、光重合化ヒドロゲル材料の沈着
によって送達され得る。コード配列の送達に使用され得る、遺伝子送達のための
他の従来の方法としては、例えば、米国特許第5,149,655号に記載され
るような、手持ち型遺伝子パーティクルガンの使用;米国特許第5,206,1
52号およびPCT番号WO92/11033に記載のような、移入された遺伝
子を活性化するための電離放射線の使用が挙げられる。
【0375】 (G.トランスジェニック動物) 本発明の1つの局面は、生殖系列細胞および/または体細胞を有するトランス
ジェニック非ヒト動物に関し、ここで、1以上の遺伝子の生物学的活性は、染色
体に組込まれた導入遺伝子によって変更される。
【0376】 好ましい実施態様において、この導入遺伝子は、野生型タンパク質の生物学的
機能の少なくとも一部と拮抗するドミナントネガティブなタンパク質のような、
変異体タンパク質をコードする。
【0377】 なお別の好ましいトランスジェニック動物は、アンチセンス転写物をコードす
る導入遺伝子を含み、このアンチセンス転写物は、導入遺伝子から転写される場
合、ある遺伝子またはそのmRNA転写物にハイブリダイズし、そしてその遺伝
子の発現を阻害する。
【0378】 1つの実施態様において、本発明は、所望の非ヒト動物または動物(ヒトを含
む)細胞を提供し、これらは、この非ヒト動物または動物細胞を癌に罹りやすく
する、予め定義された、特定かつ所望の変更を含む。具体的には、本発明は、腫
瘍抑制遺伝子の2つの対立遺伝子の少なくとも1つを欠損する、遺伝的に変更さ
れた非ヒト動物(最も好ましくは、マウス)、または培養物中の細胞(非ヒト動
物またはヒトのいずれか)に関する。これらの腫瘍抑制対立遺伝子の少なくとも
1つの不活化は、腫瘍誘導、または他の増殖性もしくは分化性障害、あるいは異
常なシグナル伝達(例えば、サイトカインまたは増殖因子からの)によって特徴
付けられる障害に、より高い感受性を有する動物を生じる。この型の遺伝的に変
更されたマウスは、遺伝性の癌について有用なモデルおよび発癌物質研究のため
の試験動物として役立ち得る。本発明はさらに、研究および医薬における、この
ような非ヒト動物または動物細胞、およびこれらの子孫の使用に関する。
【0379】 さらに、本発明のトランスジェニック動物の細胞は、他の導入遺伝子(例えば
、第2の腫瘍抑制遺伝子または癌遺伝子の生物学的活性を変更する導入遺伝子)
を含み得ることが意図される。例えば、この第2の導入遺伝子は、第2の腫瘍抑
制遺伝子(例えば、p53、p73、DCC、p21cip1、p27kip1、Rb、
MadまたはE2F)の生物学的活性を機能的に破壊し得る。あるいは、この第
2の導入遺伝子は、以下のような癌遺伝子の過剰発現または調節の損失を引き起
こし得る:ras、myc、cdc25ホスファターゼ、Bcl−2、Bcl−
6、トランスフォーミング増殖因子、neu、int−3、ポリオーマウイルス
ミドルT抗原、SV40ラージT抗原、パピローマウイルスE6タンパク質、パ
ピローマウイルスE7タンパク質、CDK4、またはサイクリンD1。
【0380】 本発明の好ましいトランスジェニック非ヒト動物は、ある遺伝子の1以上の対
立遺伝子が、染色体に組込まれた導入遺伝子によって破壊される、生殖系列細胞
および/または体細胞を有する。ここで、この導入遺伝子は、このトランスジェ
ニック動物の細胞中のこの導入遺伝子の存在を同定するための、検出可能なシグ
ナルを提供するマーカー配列を含み、そしてその遺伝子の少なくとも一部を置換
するか、その遺伝子の中に挿入されるか、野生型タンパク質の発現を破壊する。
【0381】 本発明のなお別の局面は、機能的に破壊された内因性の遺伝子を有する、ヒト
以外の動物およびそれを有する幹細胞を作製するための方法に関する。好ましい
実施態様においては、この方法は以下の工程を包含する: (i)以下を含有するトランスジーン構築物を構築する工程:(a)遺伝子の
少なくとも一部を有する組換え領域(ここで、この組換え領域は、この遺伝子と
のトランスジーンの組換えを指向する)、および(b)マーカー配列(これは、
このトランスジーンの存在を細胞中で同定するための検出可能なシグナルを提供
する); (ii)このトランスジーンをヒト以外の動物の幹細胞に移入する工程; (iii)トランスジーンとこの遺伝子との間に正確に標的化された相同組換
えを有する幹細胞を選択する工程; (iv)ヒト以外の胚盤胞中に工程(iii)で同定した細胞を移入し、そし
て得られたキメラ胚盤胞をヒト以外の雌性に移植する工程;ならびに (v)正確に標的化された組換えを有する内因性遺伝子対立遺伝子を有する子
孫を回収する工程。
【0382】 本発明のなお別の局面は、以下によって、薬剤の発癌性の可能性を評価するた
めの方法を提供する:(i)本発明のトランスジェニック動物と試験薬剤とを接
触させる工程、および(ii)処置した動物由来のサンプル中の形質転換された
細胞の数を、未処置のトランスジェニック動物またはコントロール薬剤で処置し
たトランスジェニック動物に由来するサンプル中の形質転換された細胞の数と比
較する工程。コントロール薬剤での処置の非存在下で形質転換された細胞の数と
比較した、処置された動物中での形質転換された細胞の数における差異は、この
試験化合物が発癌性である可能性を示す。
【0383】 本発明の別の局面は、試験化合物の抗増殖性活性を評価する方法を提供する。
好ましい実施態様においては、この方法は、本発明のトランスジェニック動物ま
たはこのような動物に由来する細胞のサンプルを、試験薬剤と接触させる工程、
およびトランスジェニック動物に由来する標本中かまたは細胞のサンプル中の、
形質転換された細胞の数を決定する工程を包含する。試験薬剤の非存在下で形質
転換された細胞の数と比較した、形質転換された細胞の数における統計学的に有
意な減少は、試験化合物が抗増殖性の薬剤である可能性を示す。
【0384】 本発明の実施は、他に記載されない限りは、細胞生物学、細胞培養、分子生物
学、トランスジェニック生物学、微生物学、組換えDNA、および免疫学の従来
技術(これらは当該分野の技術範囲内である)を使用する。このような技術は、
文献において完全に説明されている。例えば、Molecular Cloni
ng A Laboratory Manual、第2版、Sambrook、
FritschおよびManiatis編(Cold Spring Harb
or Laboratory Press:1989);DNA Clonin
g、第I巻および第II巻(D.N.Glover編、1985);Oligo
nucleotide Synthesis(M.J.Gait編、1984)
;Mullisら、米国特許第4,683,195号;Nucleic Aci
d Hybridization(B.D.HamesおよびS.J.Higg
ins編、1984);Transcription And Transla
tion(B.D.HamesおよびS.J.Higgins編、1984);
Culture Of Animal Cells(R.I.Freshney
,Alan R.Liss,Inc.,1987);Immobilized
Cells And Enzymes(IRL Press、1986);B.
Perbal、A Practical Guide To Molecula
r Cloning(1984);the treatise、Methods
In Enzymology (Academic Press,Inc.,
N.Y.);Gene Transfer Vectors For Mamm
alian Cells(J.H.MillerおよびM.P.Calos編、
1987、Cold Spring Harbor Laboratory);
Methods In Enzymology,第154巻および第155巻(
Wuら編)、Immunochemical Methods In Cell
And Molecular Biology(MayerおよびWalke
r編、Academic Press、London、1987);Handb
ook Of Experimental Immunology、第I−IV
巻(D.M.WeirおよびC.C.Blackwell編、1986);Ma
nipulating the Mouse Embryo(Cold Spr
ing Harbor Laboratory Press、Cold Spr
ing Harbor、N.Y.、1986)を参照のこと。
【0385】 上記のように、本明細書中で記載されている配列は、結腸癌に関して特定の有
用性を有すると考えられる。しかし、これらはまた、他の型の癌および他の疾患
状態に関しても有用であり得る。
【0386】 本発明は、特定の有利な実施態様を示す以下の実施例を参照してここで説明さ
れる。しかし、これらの実施態様は、例示的であって、そして本発明をいかよう
にも制限するようには解釈されないことが留意されるべきである。
【0387】 (XI.実施例) (A.示差的に発現される配列の同定) (ライブラリーの説明) 配列番号1〜544を、以下に記載されるように、DEおよびPAと称される
ライブラリーから誘導した。DEライブラリーは、標準化された、結腸癌特異的
なサブトラクトされたcDNAライブラリーである。DEライブラリーは、結腸
癌[近位および遠位のデュークスB、マイクロサテライト不安定性陰性(MSI
−)]中で発現される配列について特異的であるが、正常な組織(正常な結腸組
織を含む)中では発現されない。PAライブラリーは、標準化された、結腸特異
的なサブトラクトされたcDNAライブラリーである。PAライブラリーは、正
常結腸組織において発現される配列に特異的であるが、他の正常組織において発
現されない。
【0388】 (結腸癌特異的なライブラリーの構築) サブトラクトされた結腸癌特異的なライブラリーを、結腸、末梢血白血球(P
BL)、肝臓、脾臓、肺、腎臓、心臓、小腸、骨格筋、および前立腺組織のcD
NAから作製された、プールしたドライバー正常cDNAの組み合わせに対して
、近位のB段階MSI-および遠位のB段階MSI-のプールした腫瘍組織のcD
NAをサブトラクトすることにより作製した。以下のRNAサンプルを、Ori
gene Technologies,Inc.,Rockville,Mar
ylandから入手し、そしてこれを使用してプールしたドライバーcDNAを
合成した:#HT−1015正常結腸総RNA、#HT−1005肝臓総RNA
、#HT−1004脾臓総RNA、#HT−1009肺総RNA、#HT−10
03腎臓総RNA、#HT−1006末梢血白血球総RNA、#HT−前立腺総
RNA、#HM−1002心筋ポリA+RNA、#HM−1007腸ポリA+R
NA、および#HM−1008骨格筋ポリA+RNA。第一鎖cDNAを、それ
ぞれ、1マイクログラムのRNAを使用して調製した。第一鎖cDNAの偏りの
あるプールを調製した。これは、50%の正常結腸の第一鎖cDNA反応および
各々5.56容量%の残りの組織の第一鎖cDNA反応を含んだ。8つの個々の
増幅反応(各々は、1マイクロリッターの偏りのある第一鎖cDNA反応プール
を含む)を、18サイクル行った。8つ全ての増幅反応からの二本鎖cDNA産
物を、後のサブトラクティブハイブリダイゼーションでの使用のためにプールし
そして精製した。結腸癌に特異的なサブトラクトされたライブラリーをDEと呼
び、そしてこのライブラリーに由来する個々のクローンをDEの後に番号を付け
て称した。
【0389】 標準化されサブトラクトされたDE結腸癌特異的cDNAライブラリーおよび
プールした正常ヒト組織特異的cDNAライブラリー(上記のドライバーcDN
Aの成分としては同じ)を、Clontech Laboratoreis,I
nc.,PCR−Select cDNAサブトラクションキット(PT111
7−1)を使用して、公表された手順(Daitchenkoら,1996 P
NAS 93:6025−6030、Gurskayaら,1996 Anal
ytical Biochemistry 240:90−97)に従って生成
した。各サブトラクション実験のために、45倍重量が過剰なドライバーcDN
A(450ナノグラム)を使用した。テスターcDNAのドライバーcDNAと
のサブトラクティブハイブリダイゼーションを2回行った(各時間は約8〜12
時間)。サブトラクトした癌特異的なDE cDNAを、pCR2.1−TOP
Oプラスミドベクター(Invitrogen Corporation,Ca
rlsbad CA)に連結し、そしてウルトラコンピテントEpicuria
n E.coli XL10−Gold細胞(Stratagene,La J
olla,CA)に化学的に形質転換した。逆ライブラリーもまた構築した(こ
こで、テスターサンプルとドライバーサンプルとを交換した);このライブラリ
ーをMDと称した。
【0390】 (正常結腸特異的ライブラリーの構築) この正常結腸組織特異的ライブラリーを、Clontech Laborat
ories Inc PCR−Selectキット(K1804−1)をユーザ
ーズマニュアル(PT1117−1)の指示に従って使用して作製した。
【0391】 各々の正常非癌性患者サンプルからの4つのSMART PCR cDNA増
幅反応(100μl)を行った。この反応は、それらのそれぞれの第一鎖cDN
A反応物からの1μlを用いて開始した。各サンプルを、以下のPCR条件を使
用して18サイクルのみ増幅した;95℃−10秒、68℃−5分、9600P
erkin Elmer装置を使用。以下は、増幅したcDNAサンプルのBa
yer Diagnosticサンプル識別番号である:NPB(−)2734
7、NPB(−)27859、NPB(−)28147、NPB(−)2816
2、NDB(−)28800、NDB(−)29243、NDB(−)2924
4、およびNDB(−)42472。これらは、近位のB段階MSI−および遠
位のB段階MSI−癌サンプルを提供する、同じ患者から得られた正常結腸組織
サンプルであり、これらは、上記したDEライブラリーを作製するために使用さ
れた。等容積の8つの正常結腸cDNAをプールした。サブトラクトした正常結
腸組織特異的ライブラリーを、末梢血白血球(PBL)、肝臓、脾臓、肺、腎臓
、心臓、小腸、骨格筋、および前立腺組織のcDNAから作製された、プールし
たドライバー正常cDNAの組み合わせに対して、正常結腸cDNAプールをサ
ブトラクトすることによって作製した。以下は、プールしたドライバーcDNA
を合成するために使用したRNAサンプルである:#HT−1005肝臓総RN
A、#HT−1004脾臓総RNA、#HT−1009肺総RNA、#HT−1
003腎臓総RNA、#HT−1006末梢血白血球総RNA、#HT−前立腺
総RNA、#HM−1002心筋ポリA+RNA、#HM−1007腸ポリA+
RNA、および#HM−1008骨格筋ポリA+RNA。第一鎖cDNAを、そ
れぞれ、1マイクログラムのRNAを使用して調製した。次いで、第一鎖cDN
A反応物のプールを作製し、これは、等容積の9つのドライバー組織第一鎖cD
NA反応物からなった。8つの個々の増幅反応(各々は、1マイクロリッターの
第一鎖cDNA反応プールを含む)を、18サイクル行った。8つ全ての増幅反
応からの二本鎖cDNA産物を、後のサブトラクティブハイブリダイゼーション
での使用のためにプールしそして精製した。正常結腸組織に特異的なサブトラク
トされたライブラリーをPAと呼び、そしてこのライブラリーに由来する個々の
クローンをPAの後に番号を付けて称した。
【0392】 標準化されサブトラクトされたPA正常結腸特異的cDNAライブラリーおよ
びサブトラクトされた正常ヒト組織特異的cDNAライブラリー(上記に列挙し
たヒト組織からなる)を、Clontech Laboratories,In
c.,PCR−Select cDNAサブトラクションキット(PT1117
−1)を使用して、公表された手順(Daitchenkoら,1996 PN
AS 93:6025−6030、Gurskayaら,1996 Analy
tical Biochemistry 240:90−97)に従って生成し
た。ライブラリー構築およびクローニングを、結腸癌特異的ライブラリーについ
て上記のように実行した。示差的発現について分析した1152クローンのうち
、約69%が示差的に発現した。
【0393】 サブトラクトライブラリーを作製するために使用したcDNAは、RsaI(
平均サイズ約600塩基対のフラグメントを生成する4つの塩基カッター制限エ
ンドヌクレアーゼ)で制限されていたので、上記のライブラリーの各々から単離
された各ESTは、部分的なmRNA転写物に由来する配列に相当する。
【0394】 (結腸癌中での示差的な発現の確認) このライブラリー中に見出された示差的に発現された配列が結腸癌に特異的で
あることを確認するために、結腸癌特異的ライブラリー(Delaware(D
E))および正常な組織特異的ライブラリー(Maryland(MD))から
調製したcDNAを用いて、クローンをスクリーニングした。
【0395】 cDNAクローンを、公表された方法(Jinら,1997,Biotech
niques 23:1083−1086)に従って合成したプローブを使用し
て、von Steinら、1997、Nucleic Acids Rese
arch 25(13):2598−2602によって開発された手順に従って
、示差発現について分析した。示差的発現について分析した1248クローンの
うち、約83%が示差的に発現した。
【0396】 (示差的に発現されるクローンの配列決定および分析) 示差的に発現されることが示されているクローンに由来する挿入物のヌクレオ
チド配列を、サンガー配列決定法により、蛍光標識したジデオキシヌクレオチド
を使用する、T7またはM13プロモーター部位のいずれかからの一通過(si
ngle−pass)の配列決定によって決定した。配列を、本文(XI.,実
施例;B.公のデータベース検索の結果)に記載される方法に従って分析した。
【0397】 各核酸は、少なくとも部分的なmRNA転写物に由来する配列に相当する。本
発明の核酸に、配列識別番号(添付物を参照のこと)を割り当てた。核酸配列は
、添付した配列表に提供される。
【0398】 示差的に発現されるクローンを同定するための実験の例を、図「示差的発現の
分析」に示す。サブトラクトしたクローンに由来する挿入物を、上記のように増
幅し、電気泳動し、そしてメンブレン上にブロットした。このゲルを、上記のよ
うに、RSA1で切断したDEおよびMDのcDNAプローブとハイブリダイズ
させた。
【0399】 図において、個々のクローンを各レーンの上部に番号で示す;ブロットを、同
じクローンが上部(「癌プローブ」)および下部(「正常なプローブ」)のブロ
ットの両方において同じ縦のレーンに示されるように配置する。「O」で表示さ
れたレーンは、過剰発現されるクローン(すなわち、同じレーン中で、下部のブ
ロット(「正常なプローブ」)において観察されるバンドと比較して、上部のブ
ロット(「癌プローブ」)においてより濃い、より顕著なバンドを示す)を示す
。「U」で表示されたレーンは、過少発現されるクローン(すなわち、同じレー
ン中で、上部のブロット(「癌プローブ」)において観察されるバンドと比較し
て、下部のブロット(「正常なプローブ」)においてより濃い、より顕著なバン
ドを示す)を示す。「M」で表示されたレーンは、癌細胞および正常細胞でわず
かに過剰発現されるクローンを示す。
【0400】 B.公のデータベース検索の結果 配列番号1〜544のヌクレオチド配列は、公に利用可能である個々の配列と
ともにアラインメントされた。GenbankおよびGenBankの部門(例
えば、dbEST、CGAP、およびUnigene)は、配列類似性検索を行
うために使用した主なデータベースであった。特許データベースGENESEQ
もまた利用した。
【0401】 全部で544個の配列を分析した。配列をベクターに由来する配列を同定する
ためにまずマスクし、続いてこれを除去した。残りの配列情報を、配列表(配列
番号1〜544)を作製するために使用した。これらの配列のそれぞれを、上記
に列挙したデータベースに対するBlast2検索を行うために、問い合わせ配
列として使用した。Blast2検索は、これが2つの配列の最適なアラインメ
ントを生じるためにギャップの導入することを可能にするという点で、伝統的な
Blast検索とは異なる。
【0402】 専有のアルゴリズムを開発してBlast2検索による出力を利用し、そして
高い類似性(e値<1e−40)またはGenbankデータベースおよびdb
ESTデータベース中に含まれるエントリーに対する同一性に基づいて、配列を
分類した。以下のような3つのカテゴリーを作製した:1)既知のヒト遺伝子に
一致するもの、2)ヒトのEST配列に一致するもの、および3)1または2の
いずれにも有意に一致せず、従って潜在的に新規のヒト配列であるもの。
【0403】 当業者は、本明細書中に記載される本発明の特定の実施態様に対する多くの等
価物を、せいぜい慣用的な実験を使用して認識するかまたは確認し得る。このよ
うな特定の実施態様および等価物は、上記の特許請求の範囲によって包含される
ことが意図される。
【0404】 本明細書中で引用される全ての特許、公開された特許出願、および刊行物は、
本明細書中で十分に示されるのと同様に、参考として援用される。
【0405】
【表1】 *1998年8月31日出願の仮出願(60/098,639)において、ク
ローンPA0293t7を誤ってクローンPA0023t7と表示した。その誤
りを正確なクローン名を反映するようにここにおいて訂正した。
【0406】
【表2】
【0407】
【表3】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、細胞中の遺伝子産物の示差的な発現を決定するための例示的なアッセ
イ結果を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 48/00 C07K 16/32 4B065 A61P 35/00 C12M 1/00 A 4C084 C07K 14/82 1/40 B 4H045 16/32 C12N 1/15 C12M 1/00 1/19 1/40 1/21 C12N 1/15 C12Q 1/02 1/19 1/68 A 1/21 G01N 33/15 Z 5/10 33/50 Z C12Q 1/02 33/574 A 1/68 C12P 21/08 G01N 33/15 C12N 15/00 ZNAA 33/50 5/00 A 33/574 F // C12P 21/08 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ,BA ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU, CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,G E,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS ,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK, LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM, TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU,Z A,ZW (71)出願人 100 Bayer Road, Pitt sburgh,Pennsylvania 15205,USA (72)発明者 スタインマン, キャサリーン イー. アメリカ合衆国 マサチューセッツ 01890, ウィンチェスター, ユニット 3ビー, ワシントン ストリート 115 (72)発明者 アストル, ジョン エイチ. アメリカ合衆国 マサチューセッツ 02780, タウントン, ショート スト リート 42 (72)発明者 バーゲス, クリストファー シー. アメリカ合衆国 マサチューセッツ 02090, ウエストウッド, カントン テラス 97 (72)発明者 キャロル, エディー ザ サード アメリカ合衆国 マサチューセッツ 02062, ノーウッド, ワシントン ス トリート 1175, アパートメント 3 (72)発明者 カティーノ, セオドア ジェイ. アメリカ合衆国 マサチューセッツ 02702, アトルボロ, ジョー ポール ドライブ 18 (72)発明者 ドウィベディ, プアーニマ アメリカ合衆国 マサチューセッツ 02052, メドフィールド, ヘイベン ロード 10 (72)発明者 フォード, ドナ エム. アメリカ合衆国 マサチューセッツ 02762, プレインビル, モーニングサ イド ロード 8 (72)発明者 ルイス, マーシャ イー. アメリカ合衆国 マサチューセッツ 02025, コハセット, ウィールライト ファーム 67 (72)発明者 モリノ, ゲイリー エイ. アメリカ合衆国 マサチューセッツ 02056, ノーフォーク, エセックス ストリート 3 (72)発明者 モナハン, ジョン イー. アメリカ合衆国 マサチューセッツ 02081, ウォルポール, ウエスト ス トリート 942 (72)発明者 シュルゲル, ロバート アメリカ合衆国 マサチューセッツ 02466, オウバーンデール, メルロー ズ ストリート 211 Fターム(参考) 2G045 AA26 AA40 FB02 FB03 4B024 AA01 AA11 AA19 BA41 BA80 CA04 CA09 CA12 DA02 DA05 DA12 EA04 FA01 GA11 HA12 HA13 HA15 HA17 4B029 AA07 AA23 BB20 CC03 FA15 4B063 QA01 QA18 QA19 QQ13 QQ18 QQ53 QR01 QR32 QR56 QR62 QR82 QS11 QS25 QS33 QS34 QX02 4B064 AG01 AG27 CA02 CA06 CA10 CA19 CA20 CC24 DA01 DA13 4B065 AA01X AA72X AA90X AA93Y AB01 AC14 BA02 CA24 CA25 CA44 CA46 4C084 AA02 AA07 AA13 AA17 CA18 CA25 CA53 NA14 ZB262 4H045 AA10 AA11 BA10 CA41 DA75 DA76 EA28 EA51 FA72 FA73 FA74

Claims (34)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号1〜35の配列またはそれらに相補的な配列に対し
    てストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む、単
    離された核酸。
  2. 【請求項2】 配列番号1〜35のうちの1つまたはそれに相補的な配列の
    少なくとも約15個の連続するヌクレオチドに対応する配列と少なくとも80%
    同一であるヌクレオチド配列を含む、単離された核酸。
  3. 【請求項3】 配列番号1〜35のヌクレオチド配列またはそれに相補的な
    配列を含む、単離された核酸。
  4. 【請求項4】 前記ヌクレオチド配列を発現ベクターとしての使用に適切に
    するために、該ヌクレオチド配列に作動可能に連結された転写調節配列をさらに
    含む、請求項1に記載の核酸。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の核酸を含む、原核生物細胞および真核生物
    細胞の少なくとも1つにおいて複製が可能である、発現ベクター。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の発現ベクターでトランスフェクトされた、
    宿主細胞。
  7. 【請求項7】 トランスジェニック動物であって、該動物の細胞中に取り込
    まれた請求項1に記載の核酸のトランスジーンを有し、ここで、該トランスジー
    ンが、該核酸の発現のレベル、該核酸のmRNA転写物の安定性、または該核酸
    のコードされる産物の活性を改変する、トランスジェニック動物。
  8. 【請求項8】 配列番号1〜168のうちの1つまたはそれに相補的な配列
    の少なくとも12個の連続するヌクレオチドに対応する核酸プローブに対してス
    トリンジェントな条件下でハイブリダイズする、実質的に純粋な核酸。
  9. 【請求項9】 請求項1に記載の核酸によってコードされるアミノ酸配列ま
    たはその少なくとも25個のアミノ酸を含むフラグメントを含む、ポリペプチド
  10. 【請求項10】 実質的に純粋なオリゴヌクレオチドを含有するプローブ/
    プライマーであって、該オリゴヌクレオチドは、配列番号1〜168から選択さ
    れるセンス配列またはアンチセンス配列の少なくとも12個の連続するヌクレオ
    チドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列
    の領域を含有する、プローブ/プライマー。
  11. 【請求項11】 固相支持体に付着された、請求項10に記載の少なくとも
    10個の異なるプローブを含むアレイ。
  12. 【請求項12】 請求項10に記載のプローブ/プライマーであって、該プ
    ローブ/プライマーに付着されており、そして検出され得る標識基をさらに含む
    、プローブ/プライマー。
  13. 【請求項13】 前記標識基が、放射性同位元素、蛍光化合物、酵素、およ
    び酵素補因子から選択される、請求項12に記載のプローブ/プライマー。
  14. 【請求項14】 請求項9に記載のポリペプチドと免疫反応性である、抗体
  15. 【請求項15】 配列番号1〜35のうちの1つまたはそれに相補的である
    配列の少なくとも12個の連続するヌクレオチドに対してストリンジェントな条
    件下でハイブリダイズし、そしてヌクレアーゼによる切断に対して耐性である、
    アンチセンスオリゴヌクレオチドアナログ。
  16. 【請求項16】 患者から単離された細胞のサンプル中の配列番号1〜54
    4の核酸に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸のレベル
    を測定するための、請求項12に記載のプローブ/プライマーを含有する、形質
    転換された細胞の表現型を決定するための試験キット。
  17. 【請求項17】 配列番号1〜544の核酸のいずれか1つに対してストリ
    ンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸によってコードされるタンパク質
    に対して特異的な抗体を含有する、形質転換された細胞の表現型を決定するため
    の、試験キット。
  18. 【請求項18】 細胞の表現型を検出する方法であって、以下:配列番号1
    〜544の1つに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズする少なく
    とも1つの核酸の、正常な細胞と比較して示差的な発現を検出する工程であって
    、ここで、該核酸が、少なくとも2倍示差的に発現される、工程を包含する、方
    法。
  19. 【請求項19】 患者由来の細胞のサンプル中の細胞の表現型を決定するた
    めの方法であって、以下: i.配列番号1〜544のいずれかの少なくとも12個の連続するヌクレオチ
    ドを有するヌクレオチド配列を含む核酸プローブを提供する工程; ii.患者から細胞のサンプルを得る工程; iii.実質的に全てが非癌性である、細胞の第2のサンプルを提供する工程
    ; iv.該核酸プローブを、該第1の細胞サンプルおよび第2の細胞サンプルの
    それぞれのmRNAとストリンジェントな条件下で接触させる工程;ならびに v.(a)該第1の細胞のサンプルのmRNAとの該プローブのハイブリダイ
    ゼーションの量と、(b)該第2の細胞のサンプルのmRNAとの該プローブの
    ハイブリダイゼーションの量とを比較する工程であって、ここで、該第2の細胞
    のサンプルのmRNAとのハイブリダイゼーションの量と比較した場合の、該第
    1の細胞のサンプルのmRNAとのハイブリダイゼーションの量における、少な
    くとも2倍の差異は、該第1の細胞のサンプル中の細胞の表現型の指標である、
    工程 を包含する、方法。
  20. 【請求項20】 細胞の表現型を検出する方法であって、以下:配列番号1
    〜544の1つに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸に
    よってコードされる少なくとも1つのタンパク質の、正常な細胞と比較して示差
    的な発現を検出する工程であって、ここで、該タンパク質が、少なくとも2倍示
    差的に発現される、工程を包含する、方法。
  21. 【請求項21】 前記タンパク質のレベルが、イムノアッセイにおいて検出
    される、請求項20に記載の方法。
  22. 【請求項22】 細胞中の配列番号1〜168の1つに対してストリンジェ
    ントな条件下でハイブリダイズする核酸の存在または非存在を決定するための方
    法であって、請求項10に記載のプローブと該細胞とを接触させる工程を包含す
    る、方法。
  23. 【請求項23】 細胞中の配列番号1〜35の1つに対してストリンジェン
    トな条件下でハイブリダイズする核酸によってコードされるポリペプチドの存在
    または非存在を決定するための方法であって、請求項14に記載の抗体と該細胞
    とを接触させる工程を包含する、方法。
  24. 【請求項24】 配列番号1〜544の核酸またはそれらに相補的な配列に
    対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズする試験核酸中の変異を検出
    するための方法であって、以下: i.患者から細胞のサンプルを回収する工程、 ii.該サンプルの該細胞から核酸を単離する工程、 iii.該核酸のハイブリダイゼーションおよび増幅が生じるような条件下で
    、配列番号1〜544の核酸配列に特異的にハイブリダイズする1つ以上のプラ
    イマーと、該核酸サンプルとを接触させる工程、ならびに iv.増幅産物の存在、非存在、または大きさを正常な細胞の増幅産物に対し
    て比較する工程 を包含する、方法。
  25. 【請求項25】 配列番号1〜544の1つまたはそれに相補的な配列に対
    してストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸の細胞中での発現のレ
    ベルを変化させる薬剤を同定するための方法であって、以下: i.細胞を提供する工程; ii.試験薬剤で該細胞を処理する工程; iii.配列番号1〜544の1つまたはそれに相補的な配列に対してストリ
    ンジェントな条件下ハイブリダイズする核酸の該細胞中での発現のレベルを決定
    する工程;ならびに iv.処理していない細胞中での該核酸の発現のレベルと該処理した細胞中で
    の該核酸の発現のレベルとを比較する工程であって、ここで、該処理していない
    細胞中の該核酸の発現のレベルと比較した、該処理した細胞中での該核酸の発現
    のレベルにおける変化は、細胞中の該核酸の発現のレベルを変化させる薬剤の指
    標である、工程 を包含する、方法。
  26. 【請求項26】 請求項25に記載の方法によって同定された薬剤を含有す
    る、薬学的組成物。
  27. 【請求項27】 請求項1〜544の1つまたはそれに相補的な配列に対し
    てストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む核酸
    を含有する、薬学的組成物。
  28. 【請求項28】 請求項1〜544の1つまたはそれに相補的な配列に対し
    てストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む核酸
    によってコードされるポリペプチドを含有する、薬学的組成物。
  29. 【請求項29】 配列番号36〜168のヌクレオチド配列またはそれに相
    補的な配列の一部を含む、単離された核酸。
  30. 【請求項30】 配列番号1〜35の1つに対してハイブリダイズする、遺
    伝子。
  31. 【請求項31】 配列番号1〜544の1つ以上がプローブとして使用され
    る、癌を検出するための方法であって、以下: i.患者から細胞のサンプルを回収する工程、 ii.該サンプルの該細胞から核酸を単離する工程、 iii.該核酸のハイブリダイゼーションおよび増幅が生じるような条件下で
    、配列番号1〜544の核酸配列に特異的にハイブリダイズする1つ以上のプラ
    イマーと、該核酸サンプルとを接触させる工程、ならびに iv.増幅産物の存在、非存在、または大きさを正常な細胞の増幅産物に対し
    て比較する工程 を包含する、方法。
  32. 【請求項32】 前記癌が結腸癌である、請求項31に記載の方法。
  33. 【請求項33】 患者のサンプル中の癌を検出するための方法であって、配
    列番号1〜544によってコードされるタンパク質に対する抗体を使用して該サ
    ンプル中のタンパク質と反応させる、方法。
  34. 【請求項34】 前記癌が結腸癌である、請求項33に記載の方法。
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