JP2002500010A - ヒト遺伝子および遺伝子発現産物i - Google Patents

ヒト遺伝子および遺伝子発現産物i

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JP2002500010A JP2000526638A JP2000526638A JP2002500010A JP 2002500010 A JP2002500010 A JP 2002500010A JP 2000526638 A JP2000526638 A JP 2000526638A JP 2000526638 A JP2000526638 A JP 2000526638A JP 2002500010 A JP2002500010 A JP 2002500010A
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ジェイム エスコベド,
マイケル エイ. イニス,
パブロ ドミンゲズ ガーシア,
ジュリー サダス−クリンガー
クリストフ レインハード,
クラウス ギーズ,
ランダッゾ,フィリッポ
ギウリア シー. ケネディー,
デイビッド ポット,
アルタフ カッサム,
ジョージ ラムソン,
ラドジェ ダーマナック,
ラドマー カークベンジャコブ,
マーク ディクソン,
スネザナ ダーマナック,
イバン ラバット,
デナ レスコウィッツ,
デイビッド キタ,
ベロニカ ガーシア,
リー ウイリアム ジョーンズ,
バーギット スターチェ−クライン,
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カイロン コーポレイション
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    • C12Q2600/00Oligonucleotides characterized by their use
    • C12Q2600/118Prognosis of disease development

Abstract

(57)【要約】 本発明は、新規のヒトのポリヌクレオチドおよびそれらの変異体、これらにコードされるポリペプチドおよびそれらの改変体、これらのポリヌクレオチドに対応する遺伝子およびこの遺伝子によって発現されるタンパク質に関する。本発明はまた、このような新規のヒトのポリヌクレオチド、これらに対応する遺伝子または遺伝子産物(例えば、これらの遺伝子およびタンパク質(プローブ、アンチセンス構築物および抗体を含む))を利用する診断および治療薬剤に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (関連出願の相互参照) 本出願は、米国特許仮出願番号第60/068,755号(1997年12月
23日出願)、および米国特許仮出願番号第60/080,664号(1998
年4月3日出願)、および米国特許仮出願番号第60/105,234号(19
98年10月21日出願)の一部継続であり、これら出願の各々は本明細書中で
参考として引用される。
【0002】 (発明の分野) 本発明は、新規なポリヌクレオチドに関し、特に選択された細胞型において発
現され、別の細胞型と比較して1つの細胞型において(例えば、癌性細胞、また
は特定の組織起源の細胞において)示差発現され、そして/または同定された機
能ドメインおよび/または活性を有する遺伝子産物をコードするポリヌクレオチ
ドと相同性を共有する、ヒト起源の新規なポリヌクレオチドに関する。
【0003】 (発明の背景) 新規なポリヌクレオチド(特に発現された遺伝子産物をコードする新規なポリ
ヌクレオチド)の同定は、薬物発見、診断技術の向上、および癌のような複合疾
患の進行および性質の理解において、重要である。疾患状態または疾患段階、発
生段階、種々の環境因子に対する曝露、起源の組織、その組織が単離された種な
どにおいて異なる、供給源から単離された異なる細胞型において発現された遺伝
子の同定は、これらの種々の相違と関連する表現型の原因である遺伝的因子を同
定することに対するキーポイントである。
【0004】 本発明は、新規なヒトポリヌクレオチド、これらのポリヌクレオチドにコード
されるポリペプチド、およびこれらの新規なポリヌクレオチドに対応する遺伝子
およびタンパク質を提供する。
【0005】 (発明の要旨) 本発明は、新規なヒトポリヌクレオチドおよびその改変体、これらにコードさ
れるポリペプチドおよびその改変体に関し、これらのポリヌクレオチドに対応す
る遺伝子に関し、そしてこれら遺伝子により発現されるタンパク質に関する。本
発明はまた、このような新規なヒトポリヌクレオチド、これらの対応する遺伝子
または遺伝子産物(例えば、プローブ、アンチセンス構築物、および抗体を含む
これらの遺伝子およびタンパク質)を使用する診断物質および治療物質に関する
【0006】 従って、1つの実施態様において、本発明は、ポリヌクレオチドのライブラリ
ーの特徴を持ち、このライブラリーは、配列番号1〜844の少なくとも1つの
配列情報を含む。関連する局面において、本発明は、核酸アレイ上に提供される
ライブラリー、またはコンピューターに読み取り可能な形式で提供されるライブ
ラリーの特徴を持つ。
【0007】 1つの実施態様において、このライブラリーは、配列番号9、39、42、5
2、62、74、119、172、317、および379からなる群から選択さ
れる配列を含む、示差発現されるポリヌクレオチドを含む。関連する特定の実施
態様において、このライブラリーは、以下を含む:1)ヒト乳癌細胞において示
差発現されるポリヌクレオチドであって、ここでこのポリヌクレオチドは、配列
番号4、9、39、42、52、62、65、66、68、74、81、114
、123、144、130、157、162、172、178、183、202
、214、219、223、258、298、317、338、379、384
、386、および388からなる群から選択される配列を含む;2)ヒト結腸癌
細胞において示差発現されたポリヌクレオチドであって、ここでこのポリヌクレ
オチドは、配列番号1、39、52、97、119、134、172、176、
241、288、317、357、362、および374からなる群から選択さ
れる配列を含む;または3)ヒト肺癌細胞において示差発現されるポリヌクレオ
チドであって、ここでこのポリヌクレオチドは、配列番号9、34、42、62
、74、106、119、135、154、160、260、308、323、
349、361、369、371、379、395、381、および400から
なる群から選択される配列を含む。
【0008】 別の局面において、本発明は、配列番号1〜844の同定する配列またはその
縮重改変体に対して、少なくとも90%の配列同一性を有するヌクレオチド配列
を含む、単離されたポリヌクレオチドの特徴を持つ。関連する局面において、本
発明は、組換え宿主細胞、および本発明のポリヌクレオチドを含むベクター、な
らびに本発明のポリヌクレオチドによりコードされる単離されたポリペプチドお
よびこのようなポリペプチドに特異的に結合する抗体を特徴として持つ。
【0009】 1つの実施態様において、本発明は、4回膜貫通セグメント内在性膜タンパク
質、7回膜貫通レセプター、種々の細胞活性に関連するATPase(AAA)
、真核生物のアスパルチルプロテアーゼ、転写因子のGATAファミリー、Gタ
ンパク質αサブユニット、ホルボールエステル/ジアシルグリセロール結合タン
パク質、プロテインキナーゼ、プロテインホスファターゼ2C、プロテインチロ
シンホスファターゼ、トリプシン、発生シグナル伝達タンパク質のwntファミ
リー、およびWW/rsp5/WWPドメイン含有タンパク質、からなる群から
選択される、タンパク質ファミリーのポリペプチドをコードする配列を含む単離
されたポリヌクレオチドの特徴を持つ。関連する特定の実施態様において、本発
明は、配列番号24、41、101、157、291、305、315、341
、63、116、134、136、151、384、404、308、213、
367、188、251、202、315、367、397、256、382、
169、23、291、324、330、341、353、188、379、お
よび395の1つの配列を含むポリヌクレオチドの特徴を持つ。
【0010】 別の実施態様において、本発明は、以下:Ank反復、塩基性領域およびロイ
シンジッパー転写因子、ブロモドメイン、EFハンド、SH3ドメイン、WDド
メイン/G−β反復、亜鉛フィンガー(C2H2型)、亜鉛フィンガー(CCH
Cクラス)、および亜鉛結合メタロプロテアーゼドメインからなる群から選択さ
れる機能的ドメインを有するポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオ
チドの特徴を持つ。関連する特定の実施態様において、本発明は、配列番号11
6、251、374、97、136、242、379、306、386、18、
335、61、306、386、322、306および395の1つの配列を含
むポリヌクレオチドの特徴を持つ。
【0011】 別の局面において、本発明は、哺乳動物細胞の癌性状態に関連した、示差発現
された遺伝子を検出する方法の特徴を持ち、ここでこの方法は、癌である疑いの
ある細胞に由来する試験サンプルにおいて少なくとも1つの差示的に発現された
遺伝子産物を検出する工程を包含し、ここでこの遺伝子産物は、配列番号:4、
9、39、42、52、62、65、66、68、74、81、114、123
、144、130、157、162、172、178、183、202、214
、219、223、258、298、317、338、379、384、386
、388、1、39、52、97、119、134、172、176、241、
288、317、357、362、374、9、34、42、62、74、10
6、119、135、154、160、260、308、323、349、36
1、369、371、379、395、381、および400の少なくとも1つ
の配列に対応する遺伝子によりコードされる。示差発現された遺伝子産物の検出
は、その試験サンプルが由来する細胞の癌性状態と関連する。1つの実施態様に
おいて、この検出は、参照アレイに対する試験サンプルのハイブリダイゼーショ
ンによるものであり、ここでこの参照アレイは、配列番号1〜844の少なくと
も1つの同定する配列を含む。
【0012】 本発明の方法の1つの実施態様において、細胞は、乳房組織由来細胞であり、
そして示差発現された遺伝子産物は、配列番号4、9、39、42、52、62
、65、66、68、74、81、114、123、144、130、157、
162、172、178、183、202、214、219、223、258、
298、317、338、379、384、386、および388の少なくとも
1つの配列に対応する遺伝子によりコードされる。
【0013】 本発明の方法の別の実施態様において、細胞は、結腸組織由来細胞であり、そ
して示差発現された遺伝子産物は、配列番号1、39、52、97、119、1
34、172、176、241、288、317、357、362、および37
4の少なくとも1つの配列に対応する遺伝子によりコードされる。
【0014】 本発明の方法のさらに別の実施態様において、細胞は、肺組織由来細胞であり
、そして示差発現された遺伝子産物は、配列番号9、34、42、62、74、
106、119、135、154、160、260、308、323、349、
361、369、371、379、395、381、および400の少なくとも
1つの配列に対応する遺伝子によりコードされる。
【0015】 本発明の他の局面および実施態様は、本明細書中に提供される記載を読むこと
により、当業者に容易に明らかである。
【0016】 (発明の詳細な説明) 本発明は、開示されたヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドに関し、これ
ら配列に対応する完全長cDNA、mRNAおよび遺伝子に関し、そしてこれら
のポリヌクレオチドおよび遺伝子によりコードされるポリペプチドおよびタンパ
ク質に関する。
【0017】 配列表のポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドおよびタンパク質
をコードするポリヌクレオチドもまた含まれる。これらのポリペプチドおよびタ
ンパク質をコードし得る種々のポリヌクレオチドは異なる。なぜならば、ほとん
どのアミノ酸が1つより多くのトリプレットコドンによりコードされるという点
で、遺伝コードが縮重しているからでる。このようなコドンの同一性は、当該分
野で周知であり、そしてこの情報は、本発明の範囲内でポリヌクレオチドの構築
のために使用され得る。
【0018】 このポリヌクレオチドならびに関連するcDNAおよび遺伝子によりコードさ
れるポリペプチドおよびタンパク質の改変体であるポリペプチドおよびタンパク
質をコードするポリヌクレオチドもまた、本発明の範囲内である。これらの改変
体は、その野生型タンパク質の生物学的活性を、増強、付加または減少のいずれ
かを行う1つ以上のアミノ酸置換を有するという点で野生型タンパク質と異なる
。一旦アミノ酸変化が選択されると、改変体をコードするポリヌクレオチドは、
本発明にしたがって構築される。
【0019】 以下の詳細な説明は、本発明により包含されるポリヌクレオチド組成物、完全
長遺伝子産物をコードするcDNAまたはゲノムDNAを得るための方法、これ
らのポリヌクレオチドおよび遺伝子の発現、このポリヌクレオチドおよび遺伝子
の構造的モチーフの同定、本発明のポリヌクレオチドに対応する遺伝子によりコ
ードされる遺伝子産物の機能の同定、提供されるポリヌクレオチドのプローブと
しての使用、およびマッピングにおける使用、および組織プロファイリングにお
ける使用、抗体を惹起するための対応するポリペプチドおよび他の遺伝子産物の
使用、および治療目的および診断目的のためのこれらポリヌクレオチドおよびこ
れらがコードする遺伝子産物の使用を記載する。
【0020】 (I.ポリヌクレオチド組成物) ポリヌクレオチド組成物に関する本発明の範囲は、以下を含むが、これらに必
ずしも限定されない:配列番号1〜844のいずれか1つに示される配列を有す
るポリヌクレオチド;ストリンジェントな条件下(特に高いストリンジェンシー
の条件)でのハイブリダイゼーションにより、本明細書中に記載される生物学的
物質または他の生物学的供給源(特にヒト供給源)から得られるポリヌクレオチ
ド;提供されたポリヌクレオチドに対応する遺伝子;提供されたポリヌクレオチ
ドおよびそれらの対応する遺伝子の改変体(特にコードされた遺伝子産物の生物
学的活性(例えば、遺伝子産物のタンパク質ファミリーに対する割り当ておよび
/または遺伝子産物に存在する機能的ドメインの同定の結果として、提供された
ポリヌクレオチドに対応する遺伝子産物に帰せられた生物学的活性)を保持する
改変体)。本発明の範囲により企図されかつ本発明の範囲内にある、他の核酸組
成物は、本明細書での開示により提供される場合、当業者に容易に明らかである
【0021】 本発明は、ヒト組織(特にヒト大腸組織、乳房組織、および/または肺組織)
の細胞において発現されるポリヌクレオチドの特徴を持つ。特に目的である本発
明の新規な核酸組成物は、配列番号1〜844のいずれか1つに示される配列ま
たはその同定する配列を含む。「同定する配列」は、長さが少なくとも約10n
t〜約20nt(通常、長さが少なくとも約50nt〜約100nt)残基の連
続配列であって、この配列は、ポリヌクレオチド配列を比類なく同定する(例え
ば、約20nt以上の任意の連続ヌクレオチド配列と90%未満、通常約80%
〜約85%未満の配列同一性を示す)。従って、かかる新規な核酸組成物は、配
列番号1〜844のいずれか1つ由来の連続ヌクレオチドの同定する配列を含む
完全長cDNAまたはmRNAを含む。
【0022】 本発明のポリヌクレオチドはまた、配列類似性または配列同一性を有するポリ
ヌクレオチドを含む。配列類似性を有する核酸は、低いストリンジェンシー条件
下(例えば、50℃および10×SSC(0.9M生理食塩水/0.09Mクエ
ン酸ナトリウム))のハイブリダイゼーションにより検出され、そして55℃で
1×SSC中での洗浄に供された場合に、結合されたままである。配列同一性は
、ストリンジェント条件下(例えば、50℃またはそれより高く、かつ0.1×
SSC(9mM生理食塩水/0.9mMクエン酸ナトリウム))のハイブリダイ
ゼーションにより決定し得る。ハイブリダイゼーションの方法および条件は、当
該分野で周知である(例えば、米国特許第5,707,829号を参照のこと) 。提供されたポリヌクレオチド配列と実質的に同一である核酸(例えば、対立遺
伝子の改変体、この遺伝子の遺伝的に変更されたバージョンなど)は、ストリン
ジェントなハイブリダイゼーション条件下で、提供されたポリヌクレオチド配列
(配列番号1〜844)に結合する。プローブ(特にDNA配列の標識プローブ
)を使用することにより、相同体または関連遺伝子を単離し得る。相同な遺伝子
の供給源は、任意の種(例えば、霊長類種(特にヒト);齧歯類(例えば、ラッ
トおよびマウス)、イヌ、ネコ、ウシ、ヒツジ、ウマ、酵母、線虫)などであり
得る。
【0023】 好ましくは、ハイブリダイゼーションは、配列番号1〜844の少なくとも1
つの、少なくとも15連続しているヌクレオチドを使用して実行する。すなわち
、開示された配列番号の1つの、少なくとも15連続しているヌクレオチドがプ
ローブとして使用される場合、このプローブは、その相補的配列を含む(生物学
的物質の)遺伝子またはmRNAと優先的にハイブリダイズし、このことが、選
択されたプローブに比類なくハイブリダイズする生物学的物質の核酸の同定およ
び検索を可能にする。1より多くの配列番号由来のプローブは、それらプローブ
が由来するcDNAが1つのmRNAに対応する場合、同一の遺伝子または同一
のmRNAにハイブリダイズする。15ヌクレオチドより大きなプローブを使用
し得るが、15ヌクレオチドは、唯一の同定のために十分な配列を表す。
【0024】 本発明のポリヌクレオチドはまた、このヌクレオチド配列の天然に存在する改
変体(例えば、縮重改変体、対立遺伝子改変体など)を含む。本発明のポリヌク
レオチドの改変体は、本明細書中に開示されるヌクレオチド配列との、推定改変
体のハイブリダイゼーションにより(好ましくはストリンジェント条件下のハイ
ブリダイゼーションにより)同定される。例えば、適切な洗浄条件を使用するこ
とにより、本発明のポリヌクレオチドの改変体は、対立遺伝子改変体が、選択さ
れたポリヌクレオチドプローブに対して高々約25〜30%の塩基対ミスマッチ
を示す場合、同定され得る。一般に、対立遺伝子改変体は、15〜25%の塩基
対ミスマッチを含み、そして5〜15%、または2〜5%、または1〜2%もの
少ない塩基対ミスマッチ、および単一塩基対ミスマッチを含み得る。
【0025】 本発明はまた、配列番号1〜844のポリヌクレオチドに対応する相同体を含
み、ここで、相同な遺伝子の供給源は、任意の哺乳類種(例えば、霊長類種(特
にヒト);齧歯類(例えば、ラット)、イヌ、ネコ、ウシ、ヒツジ、ウマ)、酵
母、線虫などであり得る。哺乳類種(例えば、ヒトとマウスと)の間で、相同体
は、実質的な配列類似性(例えば、ヌクレオチド配列間で少なくとも75%配列
同一性、通常少なくとも90%、より通常95%)を有する。配列類似性は、参
照配列に基づいて計算し、この参照配列はより大きな配列の部分集合(例えば、
保存されたモチーフ、コード領域、隣接する領域など)であり得る。参照配列は
、通常、少なくとも約18連続nt長、より通常少なくとも約30nt長であり
、そして比較される完全な配列にまで広がり得る。配列解析のためのアルゴリズ
ムは、当該分野で公知であり(例えば、BLAST)、Altschulら、J
.Mol.Biol.(1990)215:403〜10に記載される。
【0026】 一般に、本発明の改変体は、少なくとも約65%、好ましくは少なくとも約7
5%、より好ましくは少なくとも約85%を越える配列同一性を有し、そしてM
PSRCHプログラム(Oxford Molecular)において実行され
るようなSmith−Waterman相同性検索アルゴリズムにより決定され
る場合、少なくとも約90%以上を越え得る。本発明の目的のために、同一性パ
ーセントを計算する好ましい方法は、以下を使用するSmith−Waterm
anアルゴリズムである。グローバルのDNA配列同一性は、以下の検索パラメ
ーター:ギャップオープンペナルティー12、およびギャップ伸長ペナルティー
1、を用いるアフィンギャップ検索を使用する、MPSRCHプログラム(Ox
ford Molecular)において実行されるようなSmith−Wat
erman相同性検索アルゴリズムにより決定される場合、65%よりも大きい
に違いない。
【0027】 本核酸は、cDNAまたはゲノムDNA、およびそのフラグメント(特に、生
物学的に活性な遺伝子産物をコードするフラグメントおよび/または本明細書中
に開示された方法において有用であるフラグメント(例えば、診断において、目
的の示差発現された遺伝子の唯一同定物として、など)であり得る。用語「cD
NA」は、本明細書中で使用する場合、ネイティブの成熟mRNA種において見
出される配列エレメントの配置を共有する全ての核酸を含むことを意図され、こ
こで配列エレメントは、エキソンならびに3非コード領域および5非コード領域
である。通常、mRNA種は、連続するエキソンを有し、介在するイントロンを
伴い、このイントロンが存在する場合、核RNAスプライシングにより除去され
、本発明のポリペプチドをコードする連続性のオープンリーディングフレームを
創造する。
【0028】 目的のゲノム配列は、天然の染色体に通常存在する全てのイントロンを含み、
列挙される配列において規定されるような、開始コドンと終止コドンとの間に存
在する核酸を含む。これは、成熟mRNAにおいて見い出される3および5非翻
訳領域をさらに含み得る。これは、約1kbを含む(しかしそれ以上の可能性も
ある)転写される領域の5および3末端のいずれかの隣接ゲノムDNAの特異的
転写調節配列および翻訳調節配列(例えば、プロモーター、エンハンサーなど)
をさらに含み得る。ゲノムDNAは、100kbp以下のフラグメントとして単
離され得る;そして実質的には隣接染色体配列がない。コード領域に隣接するゲ
ノムDNA(3および5、または時折イントロンに見い出されるような内部調節
配列のいずれか)は、適当な組織、段階特異的発現、または疾患状態特異的発現
について必要とされる配列を含む。
【0029】 本発明の核酸組成物は、対象のディファレンシャルに発現するポリペプチドの
全てまたは一部分をコードし得る。二本鎖または一本鎖のフラグメントは、従来
の方法に従う化学合成オリゴヌクレオチド、制限酵素消化、PCR増幅などによ
って、DNA配列から得られ得る。本発明の単離されるポリヌクレオチドおよび
ポリヌクレオチドフラグメントは、配列番号1〜844に示されるようなポリヌ
クレオチド配列から選択される少なくとも約10、約15、約20、約35、約
50、約100、約150〜約200、約250〜約300、または約350連
続ヌクレオチドを含む。大部分について、フラグメントは、少なくとも15nt
、通常は少なくとも18ntまたは25ntの長さであり、そして少なくとも約
50連続ntまでまたはそれ以上の長さである。好ましい実施態様において、ポ
リヌクレオチド分子は、配列番号1〜844に示されるポリヌクレオチドからな
る群から選択される少なくとも12ヌクレオチドの連続する配列を含む。
【0030】 本発明のポリヌクレオチドに対して特異的なプローブは、配列番号1〜844
に開示されるポリヌクレオチド配列を使用して産生され得る。このプローブは、
好ましくは配列番号1〜844の対応する連続する配列の、少なくとも約12、
15、16、18、20、22、24、または25ヌクレオチドフラグメントで
あり、そして2、1、0.5、0.1、または0.05kb長未満であり得る。
このプローブは化学的に合成され得るか、または制限酵素を使用してより長いポ
リヌクレオチドから産生され得る。このプローブは、例えば、放射性タグ、ビオ
チニル化タグ、または蛍光性タグを用いて標識化され得る。好ましくは、プロー
ブは、配列番号1〜844の1つのポリヌクレオチドの配列の同定に基づいて設
計される。より好ましくは、プローブは、配列に対する低い複雑性をマスキング
するためのマスキングプログラム(例えば、XBLAST)の適用に続いてマス
キングされないままでいる、対象のポリヌクレオチドの1つの連続する配列に基
づいて設計される。すなわち、マスキングプログラムによって生成されるマスキ
ングされた配列のポリ−nストレッチを外側のポリヌクレオチドによって示され
るような、マスキングされていない領域を選択する。
【0031】 本発明のポリヌクレオチドは、概してインタクトな染色体以外として、実質的
に純粋で単離され、そして得られる。通常、ポリヌクレオチド(DNAまたはR
NAのいずれかとして)は、概して少なくとも約50%、通常少なくとも約90
%純粋である、他の天然に生じる核酸配列が実質的になしで得られ、そして、代 表的には「組換え型」であり、例えば天然に生ずる染色体には普通付随しない1
つ以上のヌクレオチドに隣接される。
【0032】 本発明のポリヌクレオチドは、線状分子としてまたは環状分子内に提供され得
る。これらは、自己複製分子(ベクター)内または複製配列を有さない分子内に
提供され得る。これらは、当該分野で公知のように、それら自体または他の調節
配列によって調節され得る。本発明のポリヌクレオチドは当該分野において利用
可能な種々の技術(例えば、トランスフェリンポリカチオン媒介DNA移入、裸
の、またはカプセル化された核酸を用いるトランスフェクション、リポソーム媒
介DNA移入、DNAコートラテックスビーズの細胞内輸送、プロトプラスト融
合、ウイルス感染、エレクトロポレーション、遺伝子銃、リン酸カルシウム媒介
トランスフェクションなど)を使用して適切な宿主細胞に導入され得る。
【0033】 対象核酸組成物は、例えば、ポリヌクレオチドのさらなるコピーを生成するた
めに生物学的サンプル(例えば、ヒト細胞の抽出物)における本発明のmRNA
の検出のためのプローブとして、リボザイムまたはアンチセンスオリゴヌクレオ
チドを生成するために、および一本鎖DNAプローブとしてまたは三本鎖形成オ
リゴヌクレオチドとして、ポリペプチドを生成するために使用され得る。 本明細書中に記載されるこのプローブは、例えば、配列番号1〜844に示され
るようなポリヌクレオチド配列または、サンプル中のそれらの変異体の有無を決
定するために使用され得る。これらおよび他の使用法は、以下により詳細に記載
される。
【0034】 (全長cDNAおよび全長ヒト遺伝子およびプロモーター領域を得るためのポ
リヌクレオチドの使用) 開示されるポリヌクレオチドを含む全長cDNA分子は、以下のように得られ
る。配列番号1〜844の1つの配列、または少なくとも12、15、18また
は20ヌクレオチドを含むこれらの一部を有するポリヌクレオチドは、プローブ
設計方法、クローニング方法、およびクローン選択技術(例えば、米国特許第5
,654,173号に記載される方法)を使用して、cDNAライブラリーのメ
ンバーをハイブリダイズするのを検出するための、ハイブリダイゼーションプロ
ーブとして使用される。cDNAのライブラリーは、選択された組織(例えば、
正常組織または腫瘍組織)または例えば医薬品で処置される哺乳動物の組織から
、作製される。好ましくは、この組織は、本明細書中に記載されるポリヌクレオ
チドおよびcDNAの両方が発現した遺伝子を表わすような、本発明のポリヌク
レオチドが単離された組織と同じものである。最も好ましくは、このcDNAラ
イブラリーは、本明細書中の実施例において記載される生物学的材料から、作製
される。あるいは、多くのcDNAライブラリーは、市販されている(Samb
rookら、Molecular Cloning:A Laboratory
Manual,第2版、(1989)Cold Spring Harbor
Press,Cold Spring Harbor,NY)。ライブラリー
構築のための細胞型の選択は、本発明のポリヌクレオチドに対応する遺伝子によ
りコードされるタンパク質の同一性を知られる後に、なされ得る。このことは、
どの組織型および細胞型が関連遺伝子を発現しそうかを示し、従って、cDNA
を生成するためのmRNAについて適する供給源を表す。提供されたポリヌクレ
オチドがcDNAライブラリーから単離される場合、このライブラリーは、ヒト
結腸細胞、より好ましくは、ヒト結腸癌細胞、さらにより好ましくは、高度に転
移性の結腸細胞であるKm12L4−AのmRNAから調製される。
【0035】 核酸配列ライブラリーの作製およびプローブ化についての技術は、例えば、S
ambrookら、Molecular Cloning: A Labora
tory Manual,第2版,(1989)Cold Spring Ha
rbor Press,Cold Spring Harbor,NYに記載さ
れる。配列番号1〜844由来の配列に基づくプライマーの使用により、cDN
Aが調製され得る。1つの実施態様において、このcDNAライブラリーは、ポ
リアデニル化mRNAのみから作製され得る。従って、ポリTポリマーは、mR
NAからcDNAを調製するために使用され得る。
【0036】 提供されるポリヌクレオチドより大きいライブラリーのメンバー、および好ま
しくは天然のメッセージの完全コード配列を含むライブラリーのメンバーが得ら
れる。全体のcDNAが得られたことを確認するために、RNA保護実験が以下
のように実行される。mRNAに対する全長cDNAのハイブリダイゼーション
は、RNase分解からRNAを保護する。もしcDNAが全長でないならば、
ハイブリダイズされないmRNAの部分は、RNase分解される。これは、当
該分野で公知であるように、ポリアクリルアミド上の電気泳動の移動度の変化、
または放出されるモノリボヌクレオチドの検出によりアッセイされる。Samb
rookら、Molecular Cloning: A Laborator
y Manual,第2版,(1989)Cold Spring Harbo
r Press,Cold Spring Harbor,NY。5’〜部分的
cDNAの末端までのさらなる配列を得るため、5’RACE(PCR Pro
tocols:A Guide to Methods and Applic
ations,(1990)Academic Press,Inc.)が実行
される。
【0037】 全長cDNAの単離に類似の様式で提供されるポリヌクレオチドを用いて、ゲ
ノムDNAを単離する。手短には、提供されるポリヌクレオチド、またはその一
部分は、ゲノムDNAのライブラリーに対するプローブとして使用される。好ま
しくは、このライブラリーは、本発明のポリヌクレオチドを生成するために使用
された細胞型から得られる。しかし、これは必須ではない。最も好ましくは、こ
のゲノムDNAは、本明細書中の実施例に記載される生物学的材料から得られる
。このようなライブラリーは、ゲノムのより大きなセグメント(例えば、Sam
brookら、9.4−9.30に詳細に記載されるようなP1またはYAC)
を運ぶのに適するベクターに存在し得る。さらに、ゲノム配列は、ヒトBACラ
イブラリーから単離され得る。これは、例えば、Research Genet
ics,Inc.,Huntville,Alabama,USAより市販され
ている。さらなる5’または3’配列を得るために、Sambrookらに記載
されるように、染色体ウォーキングが実行され、その結果、ゲノムDNAの隣接
および重複フラグメントが単離される。これらは、当該分野で公知のように、制
限消化酵素およびDNAリガーゼを使用して、マッピングおよびつなぎ合わされ
る。
【0038】 本発明のポリヌクレオチド配列を使用して、対応する全長遺伝子が、cDNA
ライブラリーを構築およびプローブするための古典的な方法およびPCR法の両
方、ならびにプローブを使用して単離され得る。いずれかの方法、好ましくはノ
ーザンブロットを使用して、どの細胞株が最も高いレベルで目的の遺伝子を発現
するのかを決定するために、多くの細胞型において実行される。cDNAライブ
ラリーを構築する古典的な方法は、Sambrookら(前出)に教示される。
これらの方法を用いて、cDNAは、mRNAから生成され得、そしてウイルス
ベクターまたは発現ベクターに挿入され得る。代表的には、ポリ(A)テールを
含むmRNAのライブラリーは、ポリ(T)プライマーを用いて生成され得る。
同様に、cDNAライブラリーは、プライマーとしてインスタント配列を使用し
て、生成され得る。
【0039】 PCR法は、所望の挿入物を含むcDNAライブラリーのメンバーを増幅する
ために使用される。この場合において、所望される挿入物は、インスタントポリ
ヌクレオチドに対応する全長cDNA由来の配列を含む。このようなPCR法は
、遺伝子トラッピングおよびRACE法を含む。遺伝子トラッピングは、cDN
Aライブラリーのメンバーをベクターに挿入することを必要とする。次いで、こ
のベクターを変性させ、一本鎖分子を生成する。次に、基質結合プローブ(例え
ば、ビオチン化オリゴ)は、目的のcDNA挿入物をトラップするために使用さ
れる。ビオチン化プローブは、アビジン結合固体基質に連結され得る。PCR法
は、このトラップしたcDNAを増幅するために使用され得る。全長の遺伝子に
対応する配列をトラップするために、標識化プローブ配列は、本発明のポリヌク
レオチド配列に基づく。ライブラリーベクターに対して特異的なランダムプライ
マー(単数または複数)は、このトラップしたcDNAを増幅するために使用さ
れ得る。このような遺伝子トラッピング技術は、Gruberら、WO 95/
04745およびGruberら、米国特許第5,500,356号に記載され
る。遺伝子トラッピング実験を実施するためのキットは、市販されている(例え
ば、Life Technologies,Gaithersburg,Mar
yland,USAより)。
【0040】 「cDNA末端の迅速な増幅」、またはRACEは、多数の異なるRNAから
cDNAを増幅するPCR法である。このcDNAを、オリゴヌクレオチドリン
カーに結合させ、そして2つのプライマーを用いてPCRによって増幅する。1
つのプライマーは、インスタントポリヌクレオチド由来の配列に基づき、これは
全長配列が所望される。そして2つめのプライマーは、cDNAを増幅するため
のオリゴヌクレオチドリンカーとハイブリダイズする配列を含む。この方法の記
載は、WO 97/19110に示される。RACEの好ましい実施態様におい
て、一般のプライマーは、cDNA末端に連結される任意のアダプター配列とア
ニールするために設計される(ApteおよびSiebert,Biotech
niques(1993)15:890−893;Edwardsら、Nuc.
Acids Res.(1991):5227−5232)。単一の遺伝子特異
的RACEプライマーが、一般のプライマーと対になる場合、単一の遺伝子特異
的プライマーと一般のプライマーとの間の配列の好ましい増幅が起こる。RAC
Eにおける使用のために改変された市販のcDNAプールは利用可能である。
【0041】 別のPCRに基づく方法は、cDNA配列の特定の情報を必要とせず、固定化
末端を有する全長のcDNAライブラリーを産生する。この方法は、ロック−ド
ッキングプライマー(I−VI)(1つのプライマーであるポリTV(I−II
I)は、第1の鎖の合成を産生する真核生物のmRNAのポリAテールにわたっ
て固定し、そして第2のプライマーであるポリGH(IV−VI)は、末端デオ
キシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)により付加されるポリCテー
ル上に固定する)を使用する。この方法は、WO96/40998に記載される
【0042】 遺伝子のプロモーター領域は、一般に、RNAポリメラーゼIIのための開始
部位に対して5’に位置する。何百ものプロモーター領域は、「TATAボック
ス」(例えば、TATTAまたはTATAAのような配列)を含み、これは、変
異体に対して感受性である。プロモーター領域は、遺伝子のコード領域由来のプ
ライマーを使用する5’RACEの実施により得られ得る。あるいは、cDNA
は、ゲノム配列についてのプローブとして使用され得、そしてコード領域に対す
る領域5’は「ウォーキングアップ」により同定される。遺伝子が高度に発現さ
れるか、またはディファレンシャルに発現される場合、この遺伝子由来のプロモ
ーターは、異種遺伝子に対する調節構築物において有用であり得る。
【0043】 いったん全長のcDNAまたは遺伝子が得られたならば、改変体をコードする
DNAは、部位特異的変異誘発により調製され得る(Sambrookら、15
.3−15.63に詳細に記載される)。置換されるコドンまたはヌクレオチド
の選択は、タンパク質の構造および/または機能の変化を達成するために、アミ
ノ酸における必要に応じた変化についての本明細書中の開示に基づき得る。
【0044】 生物学的材料由来のDNAまたはRNAを得るための代替方法として、本発明
の1つ以上のポリヌクレオチドの配列を有するヌクレオチドを含む核酸が、合成
され得る。従って、本発明は、1つ以上の生物学的操作(核酸分子の複製および
発現を含む)に適する15ヌクレオチド長(配列番号1〜844の1つの少なく
とも15連続するヌクレオチドに対応する)から最大長までの範囲である核酸分
子を含む。本発明は、(a)完全な遺伝子のサイズを有し、かつ配列番号1〜8
44の少なくとも1つを含む核酸;(b)少なくとも1つのさらなる遺伝子をま
た含み、融合タンパク質の発現を許容するために作動可能に連結される(a)の
核酸;(c)(a)または(b)を含む発現ベクター;(d)(a)または(b
)を含むプラスミド;および(e)(a)または(b)を含む組換え型ウイルス
粒子、を含むが、これらに限定されない。一度本明細書中に開示されるポリヌク
レオチドが提供されれば、(a)〜(e)の構築および調製は、当業者に周知で
ある。
【0045】 配列番号1〜844の少なくともいずれか1つの、少なくとも15連続する配
列を含む核酸配列、好ましくは配列番号1〜844の少なくともいずれか1つの
全体配列を含む核酸配列は、これに限定されないが、A、T、G、および/また
はC(DNAに対し)ならびにA、U、G、および/またはC(RNAに対し)
のいずれかの配列、あるいはそれらの改変された塩基(イノシンおよびプソイド
ウリジンを含む)であり得る。配列の選択は、所望される機能に基づき、そして
所望されるコード領域、所望されるイントロン様領域、および所望される調節領
域によって指示され得る。配列番号1〜844のいずれか1つの全体配列が核酸
内に存在する場合、得られる核酸は、本明細書中において配列番号1〜844の
いずれか1つの配列を含むポリヌクレオチドと呼ばれる。
【0046】 (II.全長cDNAまたは全長遺伝子によりコードされるポリペプチドの発
現) 提供されるポリヌクレオチド(例えば、配列番号1〜844の1つの配列を有
するポリヌクレオチド)、対応するcDNA、または全長の遺伝子は、部分的な
または完全な遺伝子産物を発現するために使用される。
【0047】 配列番号1〜844の配列を有するポリヌクレオチドの構築物は、合成されて
生じ得る。あるいは、オリゴデオキシリボヌクレオチドの多数のメンバー由来の
遺伝子およびプラスミド全体の単段階アセンブリは、例えば、Stemmerら
、Gene(Amsterdam)(1995)164(1):49−53によ
って記載される。本方法において、アセンブリPCR(オリゴデオキシリボヌク
レオチド(オリゴ)の多数のメンバー由来の長いDNA配列の合成)が記載され
る。この方法は、DNAシャッフリング(Stemmer,Nature(19
94)370:389−391)に由来し、そしてDNAリガーゼに頼らないが
、代わりにアッセンブリプロセスの間により長いDNAフラグメントをますます
構築するためのDNAポリメラーゼに頼る。例えば、TEM−1 β−ラクタマ
ーゼコード遺伝子(bla)を含む1.1kbフラグメントを、総計56オリゴ
、各40ヌクレオチド(nt)長からの単回反応においてアセンブリし得る。合
成遺伝子は、PCR増幅され得、そしてテトラサクリン耐性遺伝子(Tc−R)
を唯一の選択マーカーとして含むベクターにおいてクローン化され得る。アンピ
シリン(Ap)選択に頼ることなく、76%のTc−Rコロニーは、Ap−Rで
あった。このことは、このアプローチを、いずれかの遺伝子の迅速かつ対費用効
果の高い合成の一般的方法にする。
【0048】 適切なポリヌクレオチド構築物は、例えばSambrookら、Molecu
lar Cloning:A Laboratory Manual,第2版、
(1989)Cold Spring Harbor Press,Cold
Spring Harbor,NYに記載される標準的組替えDNA技術、およ
び United States Dept.of HHS, Nationa
l Institute of Health(NIH)Guidelines
for Recombinant DNA Researchに記載されるよ
うな現行の規則の下で、精製される。本発明のポリヌクレオチドによりコードさ
れる遺伝子産物は、いずれかの発現系(例えば、細菌、酵母、昆虫、両生類およ
び哺乳動物系を含む)において発現される。適切なベクターおよび宿主細胞は、
米国特許第5,654,173号に記載される。
【0049】 細菌。細菌における発現系は、Changら、Nature(1978)27
5:615;Goeddelら、Nature(1979)281:544;G
oeddelら、Nucleic Acids Res.(1980)8:40
57;欧州特許第0 036,776号;米国特許第4,551,433号;D
eBoerら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)(1983
)80:21−25;およびSiebenlistら、Cell(1980)2
0:269に記載される発現系を含む。
【0050】 酵母。酵母における発現系には、以下に記載の発現系が含まれる:Hinne
nら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)(1978)75:
1929;Itoら、J.Bacteriol.(1983)153:163;
Kurtzら、Mol.Cell.Biol.(1986)6:142;Kun
zeら、J.Basic Microbiol.(1985)25:141;G
leesonら、J.Gen.Microbiol.(1986)132:34
59;Roggenkampら、Mol.Gen.Genet.(1986)2
02:302;Dasら、J.Bacteriol.(1984)158:11
65;De Louvencourtら、J.Bacteriol.(1983
)154:737;Van den Bergら、Bio/Technolog
y(1990)8:135;Kunzeら、J.Basic Microbio
l.(1985)25:141;Creggら、Mol.Cell.Biol.
(1985)5:3376;米国特許第4,837,148号および同第4,9
29,555号;BeachおよびNurse、Nature(1981)30
0:706;Davidowら、Curr.Genet.(1985)10:3
80;Gaillardinら、Curr.Genet.(1985)10:4
9;Ballanceら、Biochem.Biophys.Res.Comm
un.(1983)112:284−289;Tilburnら、Gene(1
983)26:205−221;Yeltonら、Proc.Natl.Aca
d.Sci.(USA)(1984)81:1470−1474;Kellyお
よびHynes、EMBO J.(1985)4:475479:EP 0 2
44,234;およびWO91/00357号。
【0051】 昆虫細胞。昆虫における異種遺伝子の発現は、以下に記載のように達成される
:米国特許第4,745,051号;Friesenら、「The Regul
ation of Baculovirus Gene Expression
」 The Molecular Biology Of Baculovir
uses(1986)(W.Doerfler編);EP 0 127,839
;EP 0 155,476;およびVlakら、J.Gen.Virol.(
1988)69:765−776;Millerら、Ann.Rev.Micr
obiol.(1988)42:177;Carbonellら、Gene(1
988)73:409;Maedaら、Nature(1985)315:59
2−594;Lebacq−Verheydenら、Mol.Cell Bio
l.(1988)8:3129:Smithら、Proc.Natl.Acad
.Sci.(USA)(1985)82:8844;Miyajimaら、Ge
ne(1987)58:273;およびMartinら、DNA(1988)7
:99。多数のバキュロウイルス株および改変株ならびに宿主からの対応する許
容性昆虫宿主細胞が、Luckowら、Bio/Technology(198
8)6:47−55、Millerら、Generic Engineerin
g(1986)8:277−279、およびMaedaら、Nature(19
85)315:592−594に記載される。
【0052】 哺乳動物細胞。哺乳動物発現は、Dijkemaら、EMBO J.(198
5)4:761、Gormanら、Proc.Natl.Acad.Sci.(
USA)(1982)79:6777、Boshartら、Cell(1985
)41:521および米国特許第4,399,216号に記載のように達成され
る。哺乳動物発現の他の特徴は、以下に記載のように容易にされる:Hamおよ
びWallace、Meth.Enz.(1979)58:44,Barnes
およびSato,Anal.Biochem.(1980)102:255、米
国特許第4,767,704号,同第4,657,866号、同第4,927,
762号、同第4,560,655号、WO90/103430、WO87/0
0195、およびU.S.RE 30,985。
【0053】 本明細書に提供されるポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子は、
ベクター中にこの分子を配置することによって増殖される。ウイルスおよび非ウ
イルスベクター(プラスミドを含む)が使用される。プラスミドの選択は、増殖
が所望される細胞のタイプおよび増殖の目的に依存する。特定のベクターが、大
量の所望のDNA配列を増幅および作製するために有用である。他のベクターは
、培養中の細胞における発現に適切である。さらなる他のベクターは、動物全体
またはヒトにおける細胞における転移および発現のために適切である。適切なベ
クターの選択は、十分に当該分野の技術の範囲内である。多くのこのようなベク
ターは、市販されている。部分的または全長ポリヌクレオチドが、代表的にはベ
クター中の切断制限酵素部位へのDNAリガーゼ付着によって、ベクターに挿入
される。あるいは、所望のヌクレオチド配列は、インビボで相同的組換えによっ
て挿入され得る。代表的には、これは、相同性の領域を、所望のヌクレオチド配
列の両側でベクターに付着させることによって、達成され得る。相同性の領域は
、オリゴヌクレオチドの連結によって、または例えば、相同性の領域と所望のヌ
クレオチド配列の一部との両方を含むプライマーを用いるポリメラーゼ連鎖反応
によって添加される。
【0054】 配列番号1〜844に記載のポリヌクレオチドまたはそれらの対応する全長ポ
リヌクレオチドは、所望の発現特性を得るために適切なように、調節配列に連結
される。これらは、プロモーター(センス鎖の5’末端またはアンチセンス鎖の
3’末端のいずれかで付着される)、エンハンサー、ターミネーター、オペレー
ター、リプレッサー、およびインデューサーを含み得る。プロモーターは、調節
され得るか、または構成性であり得る。いくつかの状況では、条件的活性プロモ
ーター(例えば、組織特異的または発生期特異的プロモーター)を使用すること
が望ましいとされ得る。これらは、ベクターへの連結のために上述した技術を使
用して、所望のヌクレオチド配列に連結される。当該分野で公知の任意の技術が
用いられ得る。
【0055】 上記の宿主細胞のいずれか、または他の適切な宿主細胞または生物が、本発明
のポリヌクレオチドまたは核酸を複製し、かつ/または発現させるために用いら
れる場合、得られた複製された核酸、RNA、発現されたタンパク質またはポリ
ペプチドは、宿主細胞または生物の産物として、本発明の範囲内にある。この産
物は、当該分野で公知の任意の適切な手段によって回収される。
【0056】 選択されたポリヌクレオチドに対応する遺伝子がいったん同定されると、その
発現は、その遺伝子がネイティブである細胞において調節され得る。例えば、細
胞の内因性遺伝子は、米国特許第5,641,670号に開示されるように外因
性調節配列によって調節され得る。
【0057】 (III.新規遺伝子の機能的および構造的モチーフの同定) (A.公的に入手可能なデータベースに対するポリヌクレオチド配列およびア
ミノ酸配列のスクリーニング) 提供されたポリヌクレオチド、cDNA、または完全遺伝子のヌクレオチド配
列の翻訳が、個々の公知配列と整列され得る。個別配列との類似性が、本発明の
ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの活性を決定するために使
用され得る。例えば、ケモカイン配列と類似性を示す配列は、ケモカイン活性を
呈示し得る。また、1つより多い個別配列との類似性を呈示する配列は、個別配
列のいずれか、または両方に特徴的な活性を呈示し得る。
【0058】 最も近い隣接物のポリヌクレオチド配列の全長配列およびフラグメントは、提
供されたポリヌクレオチドに対応する全長配列を同定し、そして単離するための
プローブおよびプライマーとして使用され得る。最も近い隣接物は、提供された
ポリヌクレオチドに対応する全長配列のためのライブラリーを構築するために使
用され得る組織または細胞タイプを示し得る。
【0059】 代表的には、選択されたポリヌクレオチドは、個別配列との最良の整列を決定
するために、6つ全てのフレームで翻訳される。配列表において本明細書中に開
示された配列は、5’から3’への方向であり、そして3つのフレームでの翻訳
で十分であり得る(実施例に記載のような少数の特定の例外はあるが)。これら
のアミノ酸配列を、一般に、「問い合わせ配列」と称し、これは、個別配列と整
列される。個別配列を有するデータベースは、「Computer Metho
ds for Macromolecular Sequence Analy
sis」 Methods in Enzymology(1996)266、
Doolittle、Academic Press,Inc.a divis
ion of Harcourt Brace & Co.,San Dieg
o、California、USAに記載されている。データベースは、Gen
bank、EMBL、およびDNA Database of Japan(D
DBJ)を包含する。
【0060】 問い合わせ配列および個別配列は、上記の方法およびコンピュータープログラ
ムを用いて整列され得、そしてBLAST(http://ww.ncbi.n
lm.nih.gov/BLAST/で世界的なウェブで利用可能)を含む。別
の整列アルゴリズムは、Fasta(Genetics Computing
Group(GCG)パッケージで利用可能、Madison、Wiscons
in、USA、Oxford Molecular Group、Inc.の完
全所有子会社)である。整列のための他の技術は、Doolittle、前出に
記載される。好ましくは、配列中のギャップを可能にする整列プログラムが、配
列を整列させるために利用される。Smith−Watermanは、配列整列
中のギャップを可能にするアルゴリズムの1つのタイプである。Meth.Mo
l.Biol.(1997)70:173−187を参照のこと。また、Nee
dlemanおよびWunsch整列法を用いるGAPプログラムが、配列を整
列させるために利用され得る。オルタナティブ検索ストラテジーは、MPSRC
Hソフトウェアを使用する。これは、MASPARコンピューターで実行する。
MPSRCHは、大規模並行コンピューターにおいて配列をスコア付けするため
にSmith−Watermanアルゴリズムを使用する。このアプローチは、
遠いと関連付けられた適合である配列を同定する能力を改善し、そして小さなギ
ャップおよびヌクレオチド配列誤差に特に寛容である。提供されたポリヌクレオ
チドによってコードされるアミノ酸配列は、タンパク質データベースおよびDN
Aデータベースの両方を検索するために使用され得る。
【0061】 個別配列および問い合わせ配列の整列の結果は、高類似性、弱類似性、および
類似性なしの3つのカテゴリーに分けられ得る。高類似性から弱類似性までの範
囲の個々の整列結果は、ポリペプチド活性および/または構造を決定するための
基本を提供する。個々の結果をカテゴライズするためのパラメーターは、以下を
含む:最も強い整列が見出される整列領域長の百分率、配列同一性パーセント、
およびp値。
【0062】 整列領域長の百分率は、最も強い整列の領域(例えば、整列した問い合わせ配
列の対応する領域の残基と同一である残基の最も多くの数を含む個別配列の連続
的な領域)において見出された個別配列の残基の数を計数することによって算定
される。この数を、問い合わせ配列の全残基長で割って、百分率を算定する。例
えば、20アミノ酸残基の問い合わせ配列を、個別配列の20アミノ酸領域と整
列し得る。個別配列は、問い合わせ配列のアミノ酸残基5、9〜15、および1
7〜19に同一であったとする。従って、最も強い整列の領域は、残基9〜19
に伸長する領域である11アミノ酸ストレッチである。整列領域長の百分率は、
以下の通りである:11(最も強い整列の領域の長さ)を20(問い合わせ配列
の長さ)で割ったもの、すなわち55%。
【0063】 配列同一性パーセントは、問い合わせ配列と個別配列との間のアミノ酸適合の
数を計数し、そして適合の総数を最も強い整列の領域において見出された個別配
列の残基の数で割ることによって算定される。従って、上記の例における同一性
パーセントは、10適合を11アミノ酸で割ったもの、すなわち約90.9%で
ある。
【0064】 p値は、整列が偶然に生じた確率である。単整列については、p値は、Kar
linら、Proc.Natl.Acad.Sci.(1990)87:226
4およびKarlinら、Proc.Natl.Acad.Sci.(1993
)90に従って算定され得る。同じ問い合わせ配列を用いる多重整列のp値は、
Altschulら、Nat.Genet.(1994)6:119に記載の発
見的アプローチを用いて算定され得る。BLASTプログラムのような整列プロ
グラムがp値を算定し得る。
【0065】 同一性または類似性を決定することについて考慮する別の要因は、類似性また
は同一性の位置選定である。強い局地的な整列は、たとえ整列の長さが短かった
としても、類似であることを示し得る。問い合わせ配列の長さ全体にわたって分
散された配列の同一性もまた、問い合わせ配列とプロフィール配列との間で類似
であることを示し得る。配列が整列する領域の境界は、Doolittle、前
出;BLASTもしくはFASTプログラムに従って;または配列同一性が最も
高い領域を決定することによって、決定され得る。
【0066】 高類似性。一般に、高類似性であるとみなされる整列結果では、整列領域長の
パーセントは、問い合わせ配列の全長の、代表的には、少なくとも約55%;よ
り代表的には、少なくとも約58%;ずっとより代表的には、問い合わせ配列の
全残基長の少なくとも約60%である。通常、整列領域の長さのパーセントは、
約62%程度の多さ;より通常には、約64%程度の多さ;ずっとより通常には
、約66%程度の多さであり得る。さらに、高類似性について、整列の領域は、
代表的には、少なくとも約75%の配列同一性;より代表的には、少なくとも約
78%;よりずっと代表的には、少なくとも約80%の配列同一性を示し得る。
通常、配列同一性パーセントは、約82%程度の多さ;より通常には、約84%
程度の多さ;ずっとより通常には、約86%程度の多さであり得る。
【0067】 p値は、これらの方法と併用して使用される。高類似性が見出された場合、p
値が約10-2以下であり;より通常には、約10-3以下であり;ずっとより通常
には、約10-4以下であるとき、問い合わせ配列は、プロフィール配列と高い類
似性を有するとみなされる。より代表的には、問い合わせ配列が類似性が高いと
みなされるには、p値は、約10-5を超えず;より代表的には、約10-10以下 であり;ずっとより代表的には、約10-15以下である。
【0068】 弱類似性。一般に、整列結果が弱類似性であるとみなされる場合、整列領域の
長さの最少のパーセントも、整列の最少の長さも存在しない。整列の領域が、代
表的には、少なくとも約15アミノ酸残基長;より代表的には、少なくとも約2
0;ずっとより代表的には、少なくとも約25アミノ酸残基長であるとき、弱類
似性をより良好に示すとみなされる。通常、整列領域の長さは、約30アミノ酸
残基程度の多さ;より通常には、約40程度の多さ;ずっとより通常には、約6
0アミノ酸残基程度の多さであり得る。さらに、弱類似性について、整列の領域
は、代表的には、少なくとも約35%の配列同一性;より代表的には、少なくと
も約40%;よりずっと代表的には、少なくとも約45%の配列同一性を示す。
通常、配列同一性パーセントは、約50%程度の多さ;より通常には、約55%
程度の多さ;ずっとより通常には、約60%程度の多さであり得る。
【0069】 低類似性が見出された場合、p値が通常約10-2以下であり;より通常には、
約10-3以下であり;ずっとより通常には、約10-4以下であるとき、問い合わ
せ配列は、プロフィール配列と弱類似性を有するとみなされる。より代表的には
、問い合わせ配列が弱類似性であるとみなされるには、p値は、約10-5を超え
ず;より代表的には、約10-10以下であり;ずっとより代表的には、約10-15 以下である。
【0070】 配列同一性のみにより決定された類似性。配列同一性は、単独で、個別配列に
対する問い合わせ配列の類似性を決定するために使用され得、そして配列の活性
を示し得る。このような整列は、好ましくは、配列を整列するためにギャップを
許容する。代表的には、問い合わせ配列は、問い合わせ配列全体にわたる配列同
一性が、少なくとも約15%;より代表的には、少なくとも約20%;ずっとよ
り代表的には、少なくとも約25%;ずっとより代表的には、少なくとも約50
%である場合、プロフィール配列に関連がある。配列同一性は、単独で、類似性
の尺度として、問い合わせ配列が、通常、少なくとも80残基長;より通常には
90残基;よりずっと通常には、95アミノ酸残基長であるとき、最も有用であ
る。より代表的には、問い合わせ配列が、好ましくは100残基長;より好まし
くは120残基長;よりずっと好ましくは、150アミノ酸残基長であるとき、
配列同一性のみに基づいて、類似性が決定され得る。
【0071】 プロフィールおよび多重整列配列との整列からの活性の決定。提供されたポリ
ヌクレオチドの翻訳は、タンパク質ファミリーまたは共通モチーフのいずれかを
規定するアミノ酸プロフィールと整列され得る。また、提供されたポリヌクレオ
チドの翻訳は、タンパク質ファミリーまたはモチーフのメンバーのポリペプチド
配列を含む多重配列整列(MSA)に対して整列され得る。プロフィール配列ま
たはMSAとの類似性または同一性は、提供されたポリヌクレオチドまたは対応
するcDNAもしくは遺伝子によりコードされた遺伝子産物(例えば、ポリペプ
チド)の活性を決定するために使用され得る。例えば、ケモカインプロフィール
またはMSAとの同一性または類似性を示す配列は、ケモカイン活性を呈示し得
る。
【0072】 プロフィールは、(1)MSA(ファミリーに属するメンバーのアミノ酸配列
の整列である)を作製し、そして(2)整列の統計的表示を作成することによっ
て、手動で設計され得る。このような方法は、例えば、Birneyら、Nuc
l.Acid Res.(1996)24(14):2730−2739におい
て記載される。いくつかのタンパク質ファミリーおよびモチーフのMSAは、公
的に入手可能である。例えば、http://genome.wust1.ed
u/Pfam/は、547の異なるファミリーおよびモチーフのMSAを含む。
これらのMSAは、Sonnhammerら、Proteins(1997)2
8:405−420にも記載される。世界的ウェブにわたる他の供給源は、ht
tp://www.embl−heidelberg.de/argos/al
i/ali.htm1のサイトを含む;あるいは、メッセージが、情報のために
ALI@EMBL−HEIDELBERG.DEに送られ得る。これらのMSA
の簡単な説明は、Pascarellaら、Prot.Eng.(1996)9
(3):249−251に報告されている。MSAからのプロフィール構築のた
めの技術は、Sonnhammerら、前出;Birneyら、前出;および「
Computer Methods for Macromolecular
Sequence Analysis」Methods in Enzymol
ogy(1996)266、Doolittle、Academic Pres
s,Inc.、a division of Harcourt Brace
& Co.,San Diego、California、USAに記載されて
いる。
【0073】 問い合わせ配列とタンパク質ファミリーまたはモチーフとの間の類似性は、(
a)プロフィールに対して問い合わせ配列を比較することおよび/または(b)
問い合わせ配列をファミリーもしくはモチーフのメンバーと整列することによっ
て決定され得る。代表的には、Searchwiseのようなプログラムは、問
い合わせ配列を、多重整列(プロフィールとしてもまた公知である)の統計的表
示に対して比較するために使用される。このプログラムは、Birneyら、前
出に記載される。配列およびプロフィールを比較するための他の技術は、Son
nhammerら(前出)およびDoolittle(前出)において記載され
る。
【0074】 次に、Fengら、J.Mol.Evol.(1987)25:351および
Higginsら、CABIOS(1989)5:151により記載された方法
が、問い合わせ配列をファミリーもしくはモチーフのメンバー(MSAとしても
また公知である)と整列させるために使用され得る。コンピュータープログラム
(例えば、PILEUP)が使用され得る。Fengら、(後出)を参照のこと
。一般に、以下の要因が、問い合わせ配列とプロフィールまたはMSAの類似性
が存在するか否かを決定するために使用される:(1)問い合わせ配列中に見出
された保存残基の数、(2)問い合わせ配列中に見出された保存残基のパーセン
ト、(3)フレームシフトの数、および(4)保存残基間の間隔。
【0075】 配列を翻訳しそしてアラインすることの両方を行ういくつかのアライメントプ
ログラムは、最良のアライメントを作成するためのヌクレオチド配列を翻訳する
場合、任意の数のフレームシフトを作成し得る。アライメントを作成するために
必要とされるフレームシフトが少ないほど、照会とプロフィールまたはMSAと
の間の類似性または同一性はより強くなる。例えば、フレームシフトなしから得
られる弱い類似性は、2つのフレームシフトから得られる強い類似性より照会配
列の活性または構造のより良い指標であり得る。好ましくは、3以下のフレーム
がアライメントにおいて見出され;より好ましくは、2以下のフレームシフトが
;さらにより好ましくは、1つ以下のフレームシフトが;なお好ましくは、フレ
ームシフトのないことが、照会およびプロフィールまたはMSAのアライメント
において見出される。
【0076】 保存された残基は、ファミリーまたはモチーフメンバーの全てまたはいくつか
において、特定の位置で見出されたようなアミノ酸である。例えば、ほとんどの
ケモカインは、4つの保存されたシステインを含む。あるいは、特定のクラスの
アミノ酸だけが、ファミリーのメンバーの全てまたはいくつかにおいて、特定の
位置で見出される場合、位置は、保存されたと考えられる。例えば、N末端位は
、リジン、アルギニン、またはヒスチジンのような正に荷電したアミノ酸を含み
得る。
【0077】 代表的には、ポリペプチドの残基は、アミノ酸のクラスまたは単一のアミノ酸
が、特定の位置において、全てのクラスのメンバーの少なくとも約40%;より
代表的には、少なくとも約50%;なおより代表的には、メンバーの少なくとも
約60%で見出される場合、保存されている。通常、クラスまたは単一のアミノ
酸が、ファミリーまたはモチーフのメンバーの少なくとも約70%;より通常に
は、少なくとも約80%;なおより通常には、少なくとも約90%;さらにより
通常には、少なくとも約95%で見出される場合、残基は、保存されている。
【0078】 3つの関連していないアミノ酸;より通常には、2つの関連していないアミノ
酸が、メンバーのいくつかまたは全てにおける、特定の位置で見出される場合、
残基は保存されていると考えられる。関連していないアミノ酸が、クラスの全て
のメンバーの少なくとも約40%;より代表的には、少なくとも約50%;なお
より代表的には、メンバーの少なくとも約60%中の、特定の位置で見出される
場合、これらの残基は、保存されている。通常、クラスまたは単一のアミノ酸が
、ファミリーまたはモチーフのメンバーの少なくとも約70%;より通常には、
少なくとも約80%;なおより通常には、少なくとも約90%;なおより通常に
は、少なくとも約95%で見出される場合、残基は、保存されている。
【0079】 照会配列が、プロフィールまたはMSAの保存された残基の少なくとも約25
%;より通常には、少なくとも約30%;なおより通常には、少なくとも約40
%を含む場合、照会配列は、プロフィールまたはMSAと類似性を有する。代表
的には、照会配列が、プロフィールまたはMSAの保存された残基の少なくとも
約45%;より代表的には、少なくとも約50%;なおより代表的には、少なく
とも約55%を含む場合、照会配列は、プロフィール配列またはMSAにより強
い類似性を有する。
【0080】 (B.タンパク質プロフィールに対するポリヌクレオチドおよびアミノ酸配列
のスクリーニング) 本明細書に記載されたポリヌクレオチドと相関する遺伝子の同定および機能は
、タンパク質ファミリーのプロフィールに対して、ポリヌクレオチドまたはそれ
らに対応するアミノ酸配列をスクリーニングすることにより決定され得る。この
ようなプロフィールは、各ファミリーのタンパク質間の共通の構造モチーフに焦
点を当てる。公に利用可能なプロフィールは、上記のセクションIVAに記載さ
れている。さらなるまたは代替のプロフィールは、以下に記載される。
【0081】 新規のポリヌクレオチドを公知の配列と比較することにおいて、いくつかのア
ライメントツールが利用可能である。例としては、多重配列アライメントを作成
するPileUpを含み、そしてFengら、J.Mol.Evol.(198
7)25:351に記載されている。別の方法であるGAPは、Needlem
anら、J.Mol.Biol.(1970)48:443のアライメント方法
を使用する。GAPは、配列の全体的なアライメントに最高に適している。第3
の方法であるBestFitは、Smithら、Adv.Appl.Math.
(1981)2:482の局所ホモロジーアルゴリズムを用いて、一致する数を
最大にするギャップを挿入することにより機能する。例示的なタンパク質プロフ
ィールは、以下および実施例に提供される。
【0082】 ケモカイン。ケモカインは、リンパ球輸送、炎症性疾患、新脈管形成、造血お
よびウイルス感染に関係するタンパク質のファミリーである。例えば、Roll
ins、Blood(1997)90(3):909−928、およびWell
sら、J.Leuk.Biol.(1997)61:545−550を参照のこ
と。米国特許第5,605,817号は、胎児脾臓において発現されたケモカイ
ンをコードするDNAを開示する。米国特許第5,656,724号は、ケモカ
イン様タンパク質、および使用の方法を開示する。米国特許第5,602,00
8号は、肝臓により発現されたケモカインをコードするDNAを開示する。
【0083】 ケモカイン変異体は、天然のケモカインと比較した場合、少なくとも1つのア
ミノ酸の置換、付加、または欠損を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドで
ある。フラグメントは、天然のケモカインの同じアミノ酸配列を有し;変異体は
、アミノ末端配列および/またはカルボキシ末端配列を欠損し得る。融合体は、
アミノ末端アミノ酸伸長および/またはカルボキシ末端アミノ酸伸長をまた含む
変異体、フラグメント、または天然のケモカインである。
【0084】 天然のケモカインアミノ酸配列と比較した場合、アミノ酸変化の数またはタイ
プ、ケモカインに取り込まれるアミノ酸欠損の長さまたは数、あるいはアミノ酸
伸長はいずれも重要ではない。これらの改変体ポリペプチドの1つをコードする
ポリヌクレオチドは、少なくとも1つの公知のケモカインと少なくとも約80%
のアミノ酸同一性を保持する。好ましくは、これらのポリペプチドは、少なくと
も約85%のアミノ酸配列同一性、より好ましくは、少なくとも約90%;なお
より好ましくは、少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性を保持する。さらに
、改変体は、免疫学的、生物学的、レセプター結合、およびシグナル伝達機能を
含む天然のケモカインにより示された少なくとも1つの活性の少なくとも80%
;好ましくは、約90%;より好ましくは、約95%の活性を示す。
【0085】 好中球に関連する走化性についてのアッセイは、Walzら、Biochem
.Biophys.Res.Commun.(1987)149:755、Yo
shimuraら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)(19
87)84:9233、およびSchroderら、J.Immunol(19
87)139:3474;リンパ球に対して、Larsenら、Science
(1989)243:1464、Carrら、Proc.Natl.Acad.
Sci(USA)(1994)91:3652;腫瘍浸潤リンパ球に対して、L
iaoら、J.Exp.Med(1995)182:1301;造血前駆体に対
して、Aiutiら、J.Exp.Med.(1997)185:111;単球
に対して、Valenteら、Biochem.(1988)27:4162;
ならびにナチュラルキラー細胞に対して、Loetscherら、J.Immu
nol.(1996)156:322、およびAllavenaら、Eur.J
.Immunol.(1994)24:3233に記載される。
【0086】 抗酸球を誘引するための生物学的活性を決定するためのアッセイは、Dahi
ndenら、J.Exp.Med.(1994)179:751、Weberら
、J.Immunol.(1995)154:4166、およびNosoら、B
iochem.Biophys.Res.Commun.(1994)200:
1470;樹状細胞を誘引することについて、Sozzaniら、J.Immu
nol.(1995)155:3292;好塩基球を誘引することについて、D
ahindenら、J.Exp.Med.(1994)179:751、Ala
mら、J.Immunol.(1994)152:1298、Alamら、J.
Exp.Med.(1992)176:781;ならびに好中球を活性化するこ
とについて、Maghazaciら、Eur.J.Immunol.(1996
)26:315、およびTaubら、J.Immunol.(1995)155
:3877に記載される。天然のケモカインは、Mullenbachら、J.
Biol.Chem.(1986)261:719に記載されるようにアッセイ
される線維芽細胞に対するマイトジェンとして作用し得る。
【0087】 天然のケモカインは、多数のレセプターとの結合活性を示す。結合を検出する
ためのこのようなレセプターおよびアッセイの解説は、例えば、Murphyら
、Science(1991)253:1280;Combadiereら、J
.Biol.Chem.(1995)270:29671;Daugherty
ら、J.Exp.Med.(1996)183:2349;Samsonら、B
iochem.(1996)35:3362;Raportら、J.Biol.
Chem.(1996)271:17161;Combadiereら、J.L
eukoc.Biol.(1996)60:147;Babaら、J.Biol
.Chem.(1997)23:14893;Yosidaら、J.Biol.
Chem.(1997)272:13803;Arvannitakisら、N
ature(1997)385:347に記載され、そして他のアッセイは当該
分野で公知である。
【0088】 ケモカインのキナーゼ活性化についてのアッセイは、Yenら、J.Leuk
oc.Biol.(1997)61:529;Duboisら、J.Immun
ol.(1996)156:1356;Turnerら、J.Immunol.
(1995)155:2437に記載されている。新脈管形成または細胞増殖の
阻害についてのアッセイは、Maioneら、Science(1990)24
7:77に記載されている。グリコサミノグリカン生成は、Castorら、P
roc.Natl.Acad.Sci.(USA)(1983)80:765に
記載されたようにアッセイされた天然のケモカインにより誘導され得る。好塩基
球からのケモカイン媒介ヒスタミン放出は、Dahindenら、J.Exp.
Med.(1989)170:1787;およびWhiteら、Immunol
.Lett.(1989)22:151に記載されるようにアッセイされる。ヘ
パリン結合は、Lusterら、J.Exp.Med.(1995)182:2
19に記載されている。
【0089】 ケモカインは、Burrowsら、Biochem.(1994)33:12
741;およびZhangら、Mol.Cell.Biol.(1995)15
:4851に従ってアッセイされ得る二量体化活性を有し得る。天然のケモカイ
ンは、ウイルスの炎症性応答における役割を演じ得る。この活性は、Bleul
ら、Nature(1996)382:829;およびOberlinら、Na
ture(1996)382:833に記載されたようにアッセイされ得る。単
球のエキソサイトーシスは、天然のケモカインにより促進され得る。このような
活性についてのアッセイは、Uguccioniら、Eur.J.Immuno
l.(1995)25:64に記載されている。天然のケモカインはまた、造血
幹細胞増殖を阻害し得る。このような活性について試験するための方法は、Gr
ahamら、Nature(1990)344:442に報告されている。
【0090】 死ドメインタンパク質。いくつかのタンパク質ファミリーは、死ドメインモチ
ーフを含む(FeinsteinおよびKimchi、TIBS Letter
s(1995)20:242)。いくつかの死ドメイン含有タンパク質は、細胞
傷害性細胞内シグナル伝達に関与している(Clevelandら、Cell(
1995)81:479、Panら、Science(1997)276:11
1;Duanら、Nature(1997)385:86−89、およびChi
nnaiyanら、Science(1996)274:990)。米国特許第
5,563,039号は、TRADD(腫瘍壊死因子レセプター1関連死ドメイ
ン含有タンパク質)に相同なタンパク質、およびこのタンパク質の機能的特徴を
維持するTRADDの活性ドメインの改変、ならびにこのような死ドメイン含有
タンパク質の機能を試験するためのアポトーシスアッセイを記載する。米国特許
第5,658,883号は、生物学的に活性なTGF−B1ペプチドを開示する
。米国特許第5,674,734号は、C末端死ドメインおよびN末端キナーゼ
ドメインを含むRIPを開示する。
【0091】 白血病阻害因子(LIF)。LIFプロフィールは、白血病阻害因子、CT−
1(カルジオトロフィン−1)、CNTF(毛様体神経栄養因子)、OSM(オ
ンコスタチンM)、およびIL−6(インターロイキン−6)の配列から構築さ
れる。このプロフィールは、肝細胞、破骨細胞、神経細胞および心筋細胞を含む
多くの細胞型に対して多面的な効果を有する、分泌されたサイトカインのファミ
リーを包含し、そしてこのようなタンパク質をコードするさらなる遺伝子を検出
するために使用され得る。これらの分子は全て構造的に関連し、そしてsrcの
ような細胞質チロシンキナーゼによる細胞内シグナル伝達を媒介する共通の共レ
セプター(co−receptor)gp130を共有する。
【0092】 このファミリーに関連する新規のタンパク質もまた、gp130を活性化する
ため、および細胞型の種類の発達に機能するために分泌されるようである。従っ
て、このファミリーの新規のメンバーは、それらが刺激する細胞型についての増
殖因子または生存因子として開発される候補である。サイトカインのこのファミ
リーに関するさらなる詳細は、Pennicaら、Cytokine and
Growth Factor Reviews(1996)7:81−91を参
照のこと。米国特許第5,420,247号は、LIFレセプターおよび融合タ
ンパク質を開示する。米国特許第5,443,825号は、ヒトLIFを開示す
る。
【0093】 アンジオポイエチン。アンジオポイエチン−1は、TIE−2チロシンキナー
ゼの分泌リガンドであり;それは、正常な脈管発達に重要な脈管形成因子として
機能する。アンジオポイエチン−2は、アンジオポイエチン−1の天然のアンタ
ゴニストであり、従って、抗脈管形成因子として機能する。これらの2つのタン
パク質は、構造的に類似であり、そして同じレセプターを活性化する(Folk
manら、Cell(1996)87:1153、およびDavisら、Cel
l(1996)87:1161)。アンジオポイエチン分子は、2つのドメイン
(コイルド−コイル領域およびフィブリノーゲンに関連する領域)から構成され
る。フィブリノーゲンドメインは、フィコリンおよびテサシンを含む多くの分子
において見出され、そして多くのメンバーと共に構造的によく規定されている。
【0094】 レセプタータンパク質−チロシンキナーゼ。レセプタータンパク質−チロシン
キナーゼまたはRPTKは、Lindberg、Annu.Rev.Cell
Biol.(1994)10:251−337に記載されている。
【0095】 増殖因子:(上皮増殖因子)EGFおよび(線維芽細胞増殖因子)FGF。増
殖因子スーパーファミリーの議論については、Growth Factors:
A Practical Approach、(付録A1)(1993)McK
ayおよびLeigh、Oxford University Press、N
Y、237−243を参照のこと。米国特許第4,444,760号は、細胞分
裂および創傷治癒の促進において活性である酸性脳線維芽細胞増殖因子を開示す
る。米国特許第5,439,818号は、創傷治癒において活性であるヒト組換
え塩基性線維芽細胞増殖因子をコードするDNAを開示する。米国特許第5,6
04,293号は、創傷治癒に有用である組換えヒト塩基性線維芽細胞増殖因子
を開示する。米国特許第5,410,832号は、培養中の中胚葉細胞および神
経外胚葉由来細胞のマイトジェンとして作用し、そして柔組織、軟骨組織、およ
び筋−骨格組織において創傷治癒を促進する脳由来および組換え酸性線維芽細胞
増殖因子を開示する。米国特許第5,387,673号は、FGFの生物学的に
活性なフラグメントを開示する。
【0096】 TNFファミリーのタンパク質。TNFファミリー由来のプロフィールは、以
下のTNFファミリーメンバーの配列をアラインすることにより作成される:神
経増殖因子(NGF)、リンホトキシン、Fasリガンド、腫瘍壊死因子(TN
Fα)、CD40リガンド、TRAIL、ox40リガンド、4−1BBリガン
ド、CD27リガンド、およびCD30リガンド。このプロフィールは、タンパ
ク質のこのファミリーの新規のメンバーまたはホモログを構成するタンパク質の
配列を同定するために設計される。米国特許第5,606,023号は、変異体
TNFタンパク質を開示し;米国特許第5,597,899号および米国特許第
5,486,463号は、TNFムテインを開示し;そして米国特許第5,65
2,353号は、TNFαムテインをコードするDNAを開示する。
【0097】 タンパク質のTNFファミリーのメンバーは、Burrowsら、Bioch
em.(1994)33:12741およびZhangら、Mol.Cell.
Biol.(1995)15:4851に記載されたように、インビトロで多量
体化し、そしてBrowningら、J.Immunol.(1994)147
:1230、Androlewiczら、J.Biol.Chem.(1992
)267:2542、およびCroweら、Science(1994)264
:707に記載されたように、レセプターに結合することが示されている。
【0098】 インビボにおいて、TNFは、Kriegelら、Cell(1988)53
:45およびMohlerら、Nature(1994)370:218に記載
されたように標的タンパク質をタンパク質分解的に切断し、そして細胞増殖およ
び分化活性を示す。T細胞または胸腺細胞増殖は、Armitageら、Eur
.J.Immunol.(1992)22:447;Current Prot
ocols in Immunology、J.E.Coliganら編、3.
1−3.19;Takaiら、J.Immunol.(1986)137:34
94−3500、Bertagnoliら、J.Immunol.(1990)
145:1706、Bertagnoliら、J.Immunol.(1991
)133:327、Bertagnoliら、J.Immunol.(1992
)149:3778、およびBowmanら、J.Immunol.(1994
)152:1756に記載されたようにアッセイされる。B細胞増殖およびIg
分泌は、Maliszewski、J.Immunol.(1990)144:
3028、ならびにAssays for B Cell Function:
In Vitro Antibody Production、Mondおよび
Brunswick、Current Protocols in Immun
ol.、Coligan編、第1巻、3.8.1−3.8.16頁、John
WileyおよびSons、Toronto 1994、Kehrlら、Sci
ence(1987)238:1144ならびにBoussiotisら、PN
AS USA(1994)91:7007に記載されたようにアッセイされる。
他のインビボでの活性は、Barrettら、J.Immunol.(1991
)146:1722;Bjorckら、Eur.J.Immunol.(199
3)23:1771;Clarkら、Annu Rev.Immunol.(1
991)9:97;Ranheimら、J.Exp.Med.(1994)17
7:925;Yellin、J.Immunol.(1994)153:666
;およびGrussら、Blood(1994)84:2305に記載されたよ
うに、細胞表面抗原のアップレギュレーション、同時刺激分子のアップレギュレ
ーション、および細胞凝集/接着を含む。造血細胞および造リンパ細胞の増殖お
よび分化はまた、Johanssonら、Cellular Biology(
1995)15:141、Kellerら、Mol.Cell.Biol.(1
993)13:473、McClanahanら、Blood(1993)81
:2903に記載されたように、胚の分化および造血に対するアッセイを用いて
、およびCulture of Hematopoietic Cells、F
reshneyら編、1−21、23−29、139−162、163−179
および265−268頁、Wiley−Liss,Inc.、New York
、NY、1994、ならびにHirajamaら、PNAS USA(1992
)89:5907に記載されたように、幹細胞の生存および分化を検出するため
のアッセイを用いてインビボでTNFについて示された。
【0099】 TNFのインビボでの活性はまた、Darzynkewiczら、Cytom
etry(1992)13:795;Gorczcaら、Leukemia(1
993)7:659;Itohら、Cell(1991)66:233;Zac
harduk、J.Immunol.(1990)145:4037;Zama
iら、Cytometry(1993)14:891;およびGorczyca
ら、Int’l J.Oncol.(1992)1:639に記載されたように
アッセイされた、リンパ球の生存およびアポトーシスを含む。TNFファミリー
のいくつかのメンバーは、細胞表面から切断され;その他は、膜に結合したまま
である。TNFの3次構造は、SprangおよびEck、Tumor Nec
rosis Factor;前出で論議されている。
【0100】 TNFタンパク質は、膜貫通ドメインを含む。このタンパク質は、Krieg
lerら、Cell(1988)53:45、Perezら、Cell(199
0)63:251、およびShawら、Cell(1986)46:659に記
載されたように、より短い可溶性バージョンに切断される。ヒト形態のTNFα
上で、膜貫通ドメインは、アミノ酸46と77との間にあり、そして細胞質ドメ
インは、1位と45位との間にある。TNFの3次元モチーフは、2つのひだ状
のβシートのサンドイッチを含む。各シートは、逆平行β鎖から構成される。サ
ンドイッチの対向する部位上で互いに向かい合うβ鎖は、Van Ostade
ら、Protein Engineering(1994)7(1):5、およ
びSprangら、Tumor Necrosis Factors;前出、に
記載されたように短いポリペプチドループにより連結される。βシート2次構造
に含まれるTNFファミリータンパク質の残基は、Van Ostadeら、P
rotein Eng.(1994)7(1):5、およびSprangら、前
出、に記載されたように同定された。
【0101】 TNFレセプターは、米国特許第5,395,760号に開示される。TNF
レセプターファミリーに由来するプロフィールは、Apo1/Fas、TNFR
IおよびII、デスレセプター3(DR3)、CD40、ox40、CD27
、ならびにCD30を含むTNFレセプターファミリーの配列を整列させること
によって作成される。従って、このプロフィールは、本発明のポリヌクレオチド
から、このタンパク質のファミリーの新規なメンバーまたはホモログを構成する
タンパク質の配列を同定するために設計される。
【0102】 腫瘍壊死因子レセプターは、ヒトにおいて2つの形態(p55 TNFRおよ
びp75 TNFR)で存在し、その両方がリガンドとの結合に際して細胞内シ
グナルを供給する。これらのレセプタータンパク質の細胞外ドメインは、システ
インが豊富である。これらのレセプターは、膜結合型のままであり得るが、これ
らのレセプターのいくつかの型は、切断されて可溶性のレセプターを形成する。
可溶性TNFレセプターの調節、診断的、予後的、および治療的価値は、Ade
rka、Cytokine and Growth Factor Revie
ws、(1996)7(3):231で議論されている。
【0103】 PDGFファミリー。米国特許第5,326,695号は、血小板由来増殖因
子アゴニストを開示し;PDGF−Bの生物活性部分がアゴニストとして使用さ
れる。米国特許第4,845,075号は、生物学的に活性なB−鎖ホモダイマ
ーを開示し、そしてまた、PDGF−B鎖の変異体及び誘導体を含む。米国特許
第5,128,321号は、PDGFアナログおよび使用方法を開示する。A鎖
およびB鎖タンパク質を含む、PDGFと同様の生物活性を有するタンパク質が
開示される。
【0104】 キナーゼ(MKKを含む)ファミリー。米国特許第5,650,501号は、
有糸分裂および減数分裂の細胞分裂と関連する、セリン/スレオニンキナーゼを
開示する;そのタンパク質は、そのN末端にキナーゼドメインを、そしてそのC
末端に3つのPEST領域を有する。米国特許第5,605,825号は、ヒト
PAK65(セリンプロテインキナーゼ)を開示する。
【0105】 前述の議論は、本発明のポリヌクレオチドと比較し得るタンパク質プロフィー
ルの2、3の例を提供する。当業者はこれらおよび他のタンパク質プロフィール
を使用して、提供されたポリヌクレオチドと相関する遺伝子を同定し得る。
【0106】 (C.分泌型および膜結合型ポリペプチドの同定) 本発明の分泌型および膜結合型ポリペプチドの両方は、特に興味深いものであ
る。例えば、分泌ポリペプチドのレベルは、都合よい体液(例えば、血液、尿、
前立腺液、および精液)中でアッセイされ得る。膜結合型ポリペプチドは、ワク
チン抗原を構築すること、または免疫応答を誘導することのために有用である。
このような抗原は、膜結合型ポリペプチドの細胞外領域のすべてまたは一部を含
む。分泌型および膜結合型の両方のポリペプチドが、連続する疎水性アミノ酸の
フラグメントを含むので、疎水性予測アルゴリズムが、このようなポリペプチド
を同定するために使用され得る。
【0107】 シグナル配列は、通常、分泌型および膜結合型ポリペプチド遺伝子の両方によ
ってコードされ、細胞の表面にポリペプチドを指向させる。シグナル配列は、通
常、疎水性残基のストレッチを含む。このようなシグナル配列は、ヘリックス構
造に折り畳まれ得る。膜結合ポリペプチドは、代表的には、膜を横断し得る疎水
性アミノ酸のストレッチを有する、少なくとも1つの膜貫通領域を含む。いくつ
かの膜貫通領域もまた、ヘリックス構造を示す。ポリペプチド内部の疎水性フラ
グメントは、コンピューターアルゴリズムを使用することによって同定され得る
。このようなアルゴリズムは、HoppおよびWoods、Proc.Natl
.Acad.Sci.USA(1981)78:3824−3828;Kyte
およびDoolittle、J.Mol.Biol.(1982)157:10
5〜132;ならびにRAOARアルゴリズム、Degli Espostiら
、Eur.J.Biochem.(1990)190:207−219を含む。
【0108】 分泌型ポリペプチドおよび膜結合型ポリペプチドを同定する別の方法は、本発
明のポリヌクレオチドを、6つ全てのフレームで翻訳すること、および少なくと
も8つの連続する疎水性アミノ酸が存在するかどうかを決定することである。少
なくとも8;より代表的には10;さらにより代表的には12の連続する疎水性
アミノ酸を有する、これらの翻訳されたポリペプチドは、推定の分泌型ポリペプ
チド、または膜結合型ポリペプチドのいずれかであるとみなされる。疎水性アミ
ノ酸は、アラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、
メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、スレオニン、トリプトファン、チロ
シン、およびバリンを含む。
【0109】 (IV.ポリヌクレオチドに対応する全長遺伝子の発現産物の機能の同定) リボザイム、アンチセンス構築物、およびドミナントネガティブ変異体は、本
明細書中で提供されるポリヌクレオチドに対応する遺伝子の発現産物の機能を決
定するために使用され得る。これらの方法および組成物は、提供される新規のポ
リヌクレオチドが、既知の機能の遺伝子をコードする配列に、有意なまたは実質
的な相同性を示さない場合に特に有用である。アンチセンス分子およびリボザイ
ムは、合成ポリヌクレオチドから構築され得る。代表的には、オリゴヌクレオチ
ド合成のホスホラミダイト法が使用される。Beaucageら、Tet.Le
tt.(1981)22:1859および米国特許第4,668,777号を参
照のこと。自動合成装置は、この化学を使用してオリゴヌクレオチドを作製する
ために利用可能である。このような装置の例は、Applied Biosys
tems、a division of Perkin−Elmer Corp
.、Foster City、California、USAのBiosear
ch 8600、392型および394型;ならびにPerceptive B
iosystems、Framingham、Massachusetts、U
SAのExpediteを含む。合成RNA、リン酸アナログオリゴヌクレオチ
ド、および化学的に誘導体化したオリゴヌクレオチドもまた産生され得、そして
他の分子に共有結合的に結合され得る。RNAオリゴヌクレオチドは、例えば、
RNAホスホラミダイトを使用して合成され得る。この方法は、自動合成機(例
えば、Applied Biosystems、392型および394型、Fo
ster City、California、USA)で行われ得る。Appl
ied Biosystems User Bulletin 53およびOg
ilvieら、Pure & Applied Chem.(1987)59:
325を参照のこと。
【0110】 ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドもまた、アンチセンス構築のために合
成され得る。硫化試薬(例えば、アセトニトリル中のテトラエチルチウラム(t
etraethylthiruam)二硫化物(TETD))が、室温で15分
間以内にヌクレオチド間のシアノエチルホスファイトをホスホロチオエートトリ
エステルへ転換するために使用され得る。TETDは、ヨード試薬を置き換える
が、標準的なホスホラミダイト化学に使用される全ての他の試薬は、ヨード試薬
を残す。このような合成方法は、例えば、Applied Biosystem
sの392型および394型を使用して自動化され得る。
【0111】 200ヌクレオチド、より代表的には100ヌクレオチド、より代表的には5
0ヌクレオチド;なおより代表的には30〜40ヌクレオチドまでのオリゴヌク
レオチドが合成され得る。これらの合成フラグメントは、より長いフラグメント
を構築するために、アニーリングされ、そして互いに連結され得る。例えば、S
ambrookら、前出を参照のこと。
【0112】 (A.リボザイム) トランス切断触媒RNA(リボザイム)は、エンドリボヌクレアーゼ活性を有
するRNA分子である。リボザイムは、特定の標的について具体的に設計され、
そしてその標的メッセージは、特定のヌクレオチド配列を含まなければならない
。リボザイムは、細胞RNAのバックグラウンドにおいて、部位特異的に任意の
RNA種を切断するために操作される。その切断事象は、mRNAを不安定にし
、そしてタンパク質発現を妨害する。重要なことに、リボザイムは、その表現型
の効果を検出することによってインビトロまたはインビボの状況における機能が
未知である遺伝子の機能を決定する目的のために、その未知の機能の遺伝子の発
現を阻害するために使用され得る。
【0113】 1つの一般的に使用されるリボザイムのモチーフは、ハンマーヘッドであり、
これは、その基質配列の必要条件は最小限のものである。ハンマーヘッドリボザ
イムの設計は、Usmanら、Current Opin.Struct.Bi
ol.(1996)6:527に開示されている。Usmanはまた、リボザイ
ムの治療的使用を議論する。リボザイムはまた、Longら、FASEB J.
(1993)7:25;Symons、Ann.Rev.Biochem.(1
992)61:641;Perrottaら、Biochem.(1992)3
1:16;Ojwangら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA
)(1992)89:10802;および米国特許第5,254,678号に記
載されるように調製および使用され得る。HIV−I RNAのリボザイム切断
は、米国特許第5,144,019号に記載される;リボザイムを使用してRN
Aを切断する方法は、米国特許第5,116,742号に記載される;そして、
リボザイムの特異性を増加させるための方法は、米国特許第5,225,337
号、およびKoizumiら、Nucleic Acid Res.(1989
)17:7059に記載される。ハンマーヘッド構造におけるリボザイムフラグ
メントの調製および使用もまた、Koizumiら、Nucleic Acid
s Res.(1989)17:7059によって記載される。ヘアピン構造に
おけるリボザイムフラグメントの調製および使用は、ChowriraおよびB
urke、Nucleic Acids Res.(1992)20:2835
によって記載される。リボザイムはまた、DaubendiekおよびKool
、Nat.Biotechnol.(1997)15(3):273に記載され
るような、ローリング転写によって作製され得る。
【0114】 リボザイムのハイブリダイズ領域は、改変され得るか、またはHornおよび
Urdea、Nucleic Acids Res.(1989)17:695
9に記載されるような分枝構造として調製され得る。リボザイムの基本構造はま
た、当業者によく知られた方法で化学的に変更され得、そして化学合成されたリ
ボザイムは、単量体単位で改変される合成オリゴヌクレオチド誘導体として投与
され得る。治療的な状況において、リボザイムの、リポソーム媒介送達は、Bi
rikhら、Eur.J.Biochem.(1997)245:1に記載され
るように、細胞の取り込みを改善する。
【0115】 本発明のポリヌクレオチド配列および当該分野で公知の方法を使用して、リボ
ザイムは、対応するmRNA種に特異的に結合し、そして切断するように設計さ
れる。従って、リボザイムは、開示されたポリヌクレオチドまたはそれらの全長
遺伝子によってコードされた、いずれかのタンパク質の発現を阻害する手段を提
供する。全長遺伝子は、特定の阻害性リボザイムを設計および使用するために公
知である必要はない。未知の機能のポリヌクレオチドまたは全長cDNAの場合
、そのヌクレオチド配列に対応するリボザイムは、その標的転写物を切断する効
力についてインビトロで試験され得る。インビトロで切断をもたらすこれらのリ
ボザイムは、さらにインビボで試験される。リボザイムはまた、Birikhら
、前出において記載されるように、疾患に対する動物モデルを生成するためにも
使用され得る。有効なリボザイムは、目的の遺伝子の転写をブロックすること、
および細胞内の変化を検出することによって、目的の遺伝子の機能を決定するた
めに使用される。その遺伝子が疾患における媒介物であることが見い出される場
合、効果的なリボザイムが、その遺伝子の転写および発現をブロックするための
遺伝子治療において、設計および送達される。
【0116】 リボザイムの、治療的および機能的ゲノム適用は、阻害される遺伝子のコード
配列の一部がわかることから始まって、前進する。従って、多くの遺伝子につい
て、部分ポリヌクレオチド配列は、効果的なリボザイムを構築するために十分な
配列を提供する。標的切断部位が、標的配列において選択され、そしてリボザイ
ムは、切断部位に隣接する5’および3’ヌクレオチド配列に基づいて構築され
る。レトロウイルスベクターは、標的コード配列のmRNAを標的化する、単量
体および多量体ハンマーヘッドリボザイムを発現するために操作される。これら
の単量体および多量体リボザイムは、標的mRNAを切断する能力についてイン
ビトロで試験される。細胞株は、リボザイムを発現するレトロウイルスベクター
を用いて安定に形質導入され、そしてその形質導入は、ノーザンブロット分析お
よび逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)によって確認される。細胞は
、疾患マーカーの発現の減少、または標的mRNAの遺伝子産物の減少といった
指標によって、標的mRNAの不活化についてスクリーニングされる。
【0117】 (B.アンチセンス) アンチセンス核酸はRNAに特異的に結合するように設計され、これによって
DNA複製、逆転写、またはメッセンジャーRNA翻訳の阻止を伴う、RNA−
DNAハイブリッドまたはRNA−RNAハイブリッドの形成を生じる。選択さ
れたポリヌクレオチド配列に基づくアンチセンスポリヌクレオチドは、対応する
遺伝子の発現を妨害し得る。アンチセンスポリヌクレオチドは、代表的には、転
写された鎖としてのアンチセンス鎖を含むアンチセンス構築物からの発現によっ
て、細胞内で生成される。開示されたポリヌクレオチドに基づくアンチセンスポ
リヌクレオチドは、アンチセンスポリヌクレオチドに相補的な配列を含むmRN
Aに結合し、そして/またはそのmRNAの翻訳を妨害する。コントロール細胞
の発現産物およびアンチセンス構築物で処理した細胞は、アンチセンス構築物が
基づくところのポリヌクレオチドに対応する遺伝子のタンパク質産物を検出する
ために比較される。このタンパク質は、慣用的な生化学的方法を用いて、単離お
よび同定される。
【0118】 開示されたポリヌクレオチドに対応する遺伝子の機能を決定するためにアンチ
センス手法を使用する1つの理論的根拠は、アンチセンス治療剤の生物学的活性
である。種々のガンに対するアンチセンス治療は、臨床フェーズにあり、そして
文献で広範に議論されている。Reedは、腫瘍におけるBcl−2遺伝子を指
向するアンチセンス治療を概説した;腫瘍細胞株におけるBcl−2の遺伝子移
入媒介性の過剰発現は、多くのタイプの抗ガン剤に対する耐性を与えた(Ree
d,J.C.、N.C.I.(1997)89:988)。rasのアンチセン
スインヒビターの臨床的な開発についての可能性は、Cowsert,L.M.
、Anti−Cancer Drug Design(1997)12:359
によって議論されている。さらなる重要なアンチセンス標的は、白血病(Geu
rtz,A.M.、Anti−Cancer Drug Design(199
7)12:341);ヒトC−refキナーゼ(Monia,B.P.、Ant
i−Cancer Drug Design(1997)12:327);およ
びプロテインキナーゼC(McGrawら、Anti−Cancer Drug
Design(1997)12:315)を含む。
【0119】 アンチセンス治療における広範な背景の文献および臨床的な経験を考えると、
当業者は、さらなる潜在的な治療剤として本発明の選択されたポリヌクレオチド
を使用し得る。ポリヌクレオチドの選択は、ガン性の細胞のゲノムの「ホットス
ポット」領域に結合することについてそれらを最初に試験することによって狭め
られ得る。ポリヌクレオチドが「ホットスポット」に結合すると同定される場合
、対応するガン細胞においてアンチセンス化合物としてポリヌクレオチドを試験
することは、明確に保証される。
【0120】 Ogunbiyiら、Gastroenterology(1997)113
(3):761は、結腸ガンにおける対立遺伝子の損失の予後の使用を記載する
;Barksら、Genes Chromosomes,and Cancer
(1997)19(4):278は、悪性メラノーマにおける、FISHによっ
て検出される染色体コピー数の増加を記載し;Nishizakeら、Gene
s,Chromosomes,and Cancer(1997)19(4):
267は、原発性乳ガンおよびそれらの転移における遺伝的変化、ならびに改変
した比較ゲノムハイブリダイゼーションを使用する直接的比較を記載し;そして
Eloら、Cancer Research(1997)57(16):335
6は、16z24.1−q24.2におけるヘテロ接合性の損失は、前立腺ガン
の転移性かつ攻撃的なふるまいと有意に関連があることを開示する。
【0121】 (C.ドミナントネガティブ変異) 本明細書中で開示されるポリヌクレオチドに対応する遺伝子の機能を同定する
ための代替方法として、ホモ多量体として活性な対応するタンパク質についての
ドミナントネガティブ変異が容易に生成される。変異ポリペプチドは、野生型ポ
リペプチド(他の対立遺伝子から作られる)と相互作用し、そして非機能的多量
体を形成する。従って、変異は、基質結合ドメイン、触媒ドメイン、または細胞
局在ドメイン中にある。好ましくは、変異ポリペプチドが過剰発現される。この
ような効果を有する点変異が作られる。さらに、タンパク質の末端への種々の長
さの異なるポリペプチドの融合が、ドミナントネガティブ変異を産生し得る。一
般的なストラテジーが、ドミナントネガティブ変異体を作製するために利用可能
である(例えば、Herskowitz、Nature(1987)329:2
19を参照のこと)。このような技術は、機能の損失の変異を作製するために使
用され得、この変異はタンパク質機能を決定するために有用である。
【0122】 (V.本発明のポリペプチドおよびそれらの改変体の構築) 本発明のポリペプチドは、開示されたポリヌクレオチドによってコードされる
ポリペプチドを含む。これらのポリペプチドはまた、遺伝コードの縮重によって
、開示されたポリヌクレオチドとは配列が同一でない核酸によってコードされ得
る。従って、本発明は、その範囲内に、配列番号1〜844またはそれらの改変
体のいずれか1つの配列を有するポリヌクレオチドによってコードされるポリペ
プチドを含む。
【0123】 一般的に、本明細書中で使用される場合、用語「ポリペプチド」は、述べられ
たポリヌクレオチドによってコードされる全長ポリペプチド、述べられたポリヌ
クレオチドによって示される遺伝子によってコードされるポリペプチドの両方、
ならびにそれらの一部またはフラグメントをいう。「ポリペプチド」はまた、天
然に存在するタンパク質の改変体を含み、ここでこのような改変体は、天然に存
在するタンパク質に相同であるか、または実質的に類似であり、そして天然に存
在するタンパク質(例えば、述べられたポリペプチドを天然に発現するヒト、マ
ウス、またはいくつかの他の種、通常は哺乳動物種)と同一の、または異なる種
の起源のものであり得る。一般的に、改変体のポリペプチドは、上記のパラメー
ターを使用するBLASTによって測定されるように、本発明のディファレンシ
ャルに発現されるポリペプチドと、少なくとも約80%、通常少なくとも約90
%、およびより通常には少なくとも約98%の配列同一性を有する配列を有する
。この改変体ポリペプチドは、天然に、または非天然にグリコシル化され得、す
なわち、そのポリペプチドは、対応する天然に存在するタンパク質において見い
出されるグリコシル化パターンと異なるグリコシル化パターンを有する。
【0124】 本発明はまた、開示されたポリペプチド(または、それらのフラグメント)の
ホモログを含み、ここでそのホモログは、他の種、すなわち、他の動物種または
他の植物種から単離され、そしてこれらのホモログは、通常は哺乳動物種、例え
ば齧歯類(例えば、マウス、ラット);家畜(例えば、ウマ、ウシ、イヌ、ネコ
);およびヒトから単離される。ホモログは、少なくとも約35%、通常少なく
とも約40%、およびより通常少なくとも約60%のアミノ酸配列同一性を有す
るポリペプチド(上記で定義したような、特にディファレンシャルに発現された
タンパク質)を意味し、ここで配列同一性が、上記に記載されたパラメーターを
用いてBLASTアルゴリズムを使用して決定される。
【0125】 一般的に、本発明のポリペプチドは、天然に存在しない環境、例えば、それら
の天然に存在する環境から分離された環境において提供される。特定の実施態様
において、本タンパク質は、コントロールと比較してそのタンパク質が豊富な組
成物中に存在する。そういうものとして、精製されたポリペプチドは提供され、
ここで、精製された、によってタンパク質はディファレンシャルに発現されない
ポリペプチドを実質的に含まない組成物中に存在することを意味し、そして、実
質的に含まない、によって組成物の90%未満、通常60%未満、およびより通
常には50%未満がディファレンシャルに発現されないポリペプチドからできる
ことを意味する。
【0126】 本発明の範囲内にはまた改変体があり;ポリペプチドの改変体は変異体、フラ
グメントおよび融合体を含む。変異体は、アミノ酸置換、付加または欠失を含み
得る。アミノ酸置換は、保存的アミノ酸置換、または(グリコシル化部位、リン
酸化部位またはアセチル化部位を改変するか、または機能に必要ではない1つ以
上のシステイン残基の置換または欠失により誤折り畳みを最小にするような)非
必須アミノ酸を取り除くような置換であり得る。保存的アミノ酸置換は、全体荷
電、疎水性/親水性、および/または置換されたアミノ酸の立体的バルクを保存
する置換である。例えば、以下の群の間の置換は保存的である:Gly/Ala
、Val/Ile/Leu、Asp/Glu、Lys/Arg、Asn/Gln
、Ser/Cys、Thr、およびPhe/Trp/Tyr。
【0127】 改変体は、タンパク質の特定の領域(例えば、機能的ドメインおよび/または
、ポリペプチドがタンパク質ファミリーのメンバーである場合、コンセンサス配
列と関連する領域)の生物学的活性を保持するように設計され得る。非限定的な
例で、Osawaら、Biochem.Mol.Int.(1994)34:1
003は、いくつかの異なる種由来のタンパク質のアクチン結合領域を論議して
いる。これらの種のアクチン結合領域は、それらが「相同残基」内にあるアミノ
酸をもつという事実を基に相同であると考えられている。相同残基は、(一文字
アミノ酸表記を用いる)以下の群に従って判断される:STAG;ILVMF;
HRK;DEQN;およびFYW。例えば、そしてS、T、AまたはGが、ある
1つの位置にあり得、そして機能(この場合アクチン結合性)が保持される。
【0128】 アミノ酸置換に関するさらなるガイダンスは、タンパク質進化の研究から入手
可能である。Goら、Int.J.Peptide Protein Res.
(1980)15:211は、アミノ酸残基部位を、それらの接近可能性に依存
して内部または外部として分類した。外部部位上のより頻繁な置換が、それらの
生物学的機能および補綴基の存在または非存在に関わらず、8セットの相同タン
パク質ファミリーで一般的であることが確認された。実質的にすべてのタイプの
アミノ酸残基が、内部においてより外部上でより高い変異性を有していた。内部
および外部のそれぞれにおけるアミノ酸残基の変異性と極性との間には相関関係
は観察されなかった。アミノ酸残基は、それらの極性に依存して3つの群の1つ
に分類された:極性(Arg、Lys、His、Gln、Asn、Asp、およ
びGlu);弱い極性(Ala、Pro、Gly、Thr、およびSer)、お
よび非極性(Cys、Val、Met、Ile、Leu、Phe、Tyr、およ
びTrp)。タンパク質進化の間のアミノ酸置換は非常に保存的であった:内部
または外部において、それらの88%および76%は、それぞれ、これら3つの
うち同じ群にあった。群間置換は、弱い極性残基が、内部において非極性残基に
よってよりしばしば置換され、そして外部では極性残基によってよりしばしば置
換されるようである。
【0129】 ポリペプチド改変体の生成のためのさらなるガイダンスは、Querolら、
Prot.Eng.(1996)9:265に提供され、これは、タンパク質の
熱安定性を増大するためのアミノ酸置換に対する一般的規則を提供する。新たな
グリコシル化部位は、OlsenおよびThomsen、J.Gen.Micr
obiol.(1991)137:579で論議されるように導入され得る。さ
らなるジスルフィド架橋は、PerryおよびWetzel、Science(
1984)226:555;Pantolianoら、Biochemistr
y(1987)26:2077;Matsumuraら、Nature(198
9)342:291;Nishikawaら、Protein Eng.(19
90)3:443;Takagiら、J.Biol.Chem.(1990)2
65:6874;Clarkeら、Biochemistry(1993)32
:4322;およびWakarchukら、Protein Eng.(199
4)7:1379によって論議されるように導入され得る。金属結合部位は、T
omaら、Biochemistry(1991)30:97、およびHaez
erbrouckら、Protein Eng.(1993)6:643に従っ
て導入され得る。ループ中のプロリンでの置換は、Masulら、Appl.E
nv.Microbiol.(1994)60:3579;およびHardyら
、FEBS Lett.317:89に従って作製され得る。
【0130】 システイン枯渇ムテインは、本発明の範囲内の改変体と考えられる。これらの
改変体は、米国特許第4,959,314号に開示の方法に従って構築され得、
これは、システインのその他のアミノ酸での置換、および生物学的活性および置
換の影響をアッセイする方法を開示する。このような方法は、例えばジスルフィ
ド結合形成を排除するためのような置換に適切であるシステイン残基をもつ、本
発明によるタンパク質に適切である。
【0131】 改変体はまた、本明細書に開示のポリペプチドのフラグメント、特に生物学的
に活性なフラグメントおよび/または機能的ドメインに対応するフラグメントを
含む。代表的には、目的のフラグメントは、長さが少なくとも約10aa〜少な
くとも約15aa、通常長さが少なくとも約50aa、そして長さが300aa
程度またはより長くあり得るが、通常長さが約1000aaを超えず、ここでこ
のフラグメントは、配列番号1−844のいずかの配列をもつポリヌクレオチド
によりコードされるポリペプチド、またはそのホモログに同一であるアミノ酸の
ストレッチを有する。
【0132】 本明細書に記載されるタンパク質改変体は、本発明の範囲内にあるポリヌクレ
オチドによりコードされる。遺伝子コードを用いて、適切なコドンを選択し、対
応する改変体を構築し得る。
【0133】 (VI.コンピューター関連実施態様) 一般に、ポリヌクレオチドのライブラリーは、配列情報のコレクションであり
、この情報は、生化学的形態(例えば、ポリヌクレオチド分子のコレクションと
して)、または電子形態(例えば、コンピューターシステム中および/またはコ
ンピュータープログラムの一部として、コンピューターで読み出し可能な形態で
格納されたポリヌクレオチド配列のコレクションとして)のいずれかで提供され
る。ポリヌクレオチドのこの配列情報は、種々の方法で用いられ得る。例えば、
遺伝子発見の資源として、選択された細胞型で発現される配列の代表として(例
えば、細胞型マーカー)、および/または所定の疾患または疾患状態のマーカー
としてである。一般に、疾患マーカーは、疾患により影響されたすべてに、通常
細胞(例えば、疾患により実質的に影響されていない同じかまたは類似の型の細
胞)に対して増加したかまたは減少したかいずれかのレベルで存在する遺伝子産
物の代表である。例えば、ライブラリー中のポリヌクレオチド配列は、mRNA
、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドによりコードされるその他の遺伝子産
物を代表するポリヌクレオチドであり得、それは、通常(すなわち、実質的に疾
患がない)胸部細胞に対して癌によって影響された胸部腺管細胞中で過剰発現さ
れるか、または少なく発現されるかのいずれかである。
【0134】 ライブラリーのヌクレオチド配列情報は、任意の適切な形態、例えば、電子形
態または生化学的形態で具現化され得る。例えば、電子形態で具現化された配列
情報のライブラリーは、例えば、i)癌細胞と通常細胞;ii)癌細胞と形成異
常細胞;iii)癌細胞と癌以外の疾患または症状により影響された細胞;iv
)転移癌細胞と通常細胞および/または非転移癌細胞;v)悪性癌細胞と非悪性
癌細胞(または通常細胞)および/またはvi)通常細胞に対する形成異常細胞
、との間のように、異なって発現される(例えば、過剰発現または少なく発現さ
れる)遺伝子の代表的なヌクレオチド配列を含むアクセス可能なコンピューター
データファイル(または、核酸分子のコレクションである、生化学的形態で)を
含む。その他の組み合わせ、および種々の疾患または疾患の段階により影響され
た細胞の比較は、当業者に容易に明らかである。ライブラリーの生化学的実施態
様は、ライブラリー中の遺伝子の配列を有する核酸のコレクションを含み、ここ
では、これらの核酸は、以下でより詳細に記載されるように、ライブラリー中の
全遺伝子またはそのフラグメントに対応し得る。
【0135】 本発明のポリヌクレオチドライブラリーは、複数のポリヌクレオチド配列の配
列情報を含み、ここで、少なくとも1つのポリヌクレオチドは、配列番号1−8
44の任意の配列を有する。複数は、少なくとも2、通常少なくとも3を意味し
、そして配列番号1−844のすべてまでを含み得る。ライブラリー中のポリヌ
クレオチドの長さおよび数は、ライブラリーの性質、例えば、ライブラリーがオ
リゴヌクレオチドアレイである場合、cDNAアレイ、配列情報のコンピュータ
ーデータベースなどとともに変化する。
【0136】 ライブラリーが電子ライブラリーである場合、核酸配列情報は、種々の媒体中
に存在し得る。「媒体」は、本発明の配列情報を含む、単離された核酸分子以外
の製造物をいう。このような製造物は、配列が核酸で存在するとき、配列に直接
適用可能ではない手段により調査され得る形態にあるゲノム配列またはそのサブ
セットを提供する。例えば、本発明のヌクレオチド配列、例えば、配列番号1−
844の任意のポリヌクレオチドの核酸配列は、コンピュータ読み出し可能媒体
、例えば、コンピューターによって直接読みかつアクセスされ得る任意の媒体上
に記録され得る。このような媒体は:フロッピーディスク、ハードディスク格納
媒体、および磁気テープのような磁気格納媒体;CD−ROMのような光学的格
納媒体;RAMおよびROMのような電子的格納媒体;および磁気/光学的格納
媒体のようなこれらのカテゴリーのハイブリッドを含むがこれらに限定されない
。当業者は、現在知られたコンピューター読み出し可能な媒体のいずれもが、本
発明の配列情報の記録を含む製造物を作成するためにどのように用いられ得るか
を容易に認識し得る。「記録された」は、当該分野で公知の任意のこのような方
法を用いて、コンピューター読み出し可能な媒体上に情報を格納するためのプロ
セスをいう。任意の便利なデータ格納構造が、格納された情報にアクセスするた
めに用いられる手段を基に選択され得る。種々のデータプロセッサプログラムお
よびフォーマット、例えばワードプロセッシングテキストファイル、データベー
スフォーマットなどが、格納のために用いられ得る。配列情報に加えて、本発明
のライブラリーの電子バージョンが、その他のコンピューター読み出し可能な情
報および/またはその他の型のコンピューター読み出し可能なファイル(例えば
、サーチプログラムソフトウェアなどを含むがこれに限定されない、例えば、サ
ーチ可能なファイル、実行可能なファイルなど)と連結されるか、または組み合
わされて提供され得る。
【0137】 コンピューター読み出し可能な形態でヌクレオチド配列を提供することにより
、この情報は、種々の目的のためにアクセスされ得る。配列情報にアクセスする
ためのコンピューターソフトウェアは、公に利用可能である。例えば、Syba
seシステム上のBLAST(Altschulら、前述)およびBLAZE(
Brutlagら、Comp.Chem.(1993)17:203)サーチア
ルゴリズムを用いて、他の生物由来のオープンリーディングフレーム(ORF)
に対する相同性を含むゲノム内のORFを同定し得る。
【0138】 本明細書で用いられるように、「コンピューターを基礎にしたシステム」は、
本発明のヌクレオチド配列情報を分析するために用いられる、ハードウェア手段
、ソフトウェア手段、およびデータ格納手段をいう。本発明のコンピューターを
基礎にしたシステムの最小のハードウェアは、中央処理装置(CPU)、入力手
段、出力手段、およびデータ格納手段を備える。当業者は、現在利用可能なコン
ピューターを基礎にしたシステムの任意の1つが、本発明における使用に適切で
あることを容易に認識し得る。データ格納手段は、上記のように本発明の配列情
報の記録を含む任意の製造物、またはこのような製造物にアクセスし得るメモリ
ーアクセス手段を含み得る。
【0139】 「サーチ手段」は、コンピューターを基礎にしたシステム上で履行される1つ
以上のプログラムをいい、標的配列または標的構造モチーフを、格納された配列
情報と比較する。サーチ手段を用いて、特定の標的配列または標的モチーフに一
致するゲノムのフラグメントまたは領域を同定する。種々の既知のアルゴリズム
が公に知られ、そして市販されている。例えば、MacPattern(EMB
L)、BLASTNおよびBLASTX(NCBI)。「標的配列」は、6以上
のヌクレオチドであるか、または2以上のアミノ酸、好ましくは約10〜100
アミノ酸であるか、または約30〜300ヌクレオチド残基の任意のDNAまた
はアミノ酸配列であり得る。
【0140】 「標的構造モチーフ」または「標的モチーフ」は、任意の合理的に選択された
配列または配列の組み合わせをいい、ここで配列(単数または複数)は、標的モ
チーフの折り畳みに際し形成される三次元形態を基に、または調節または活性部
位のコンセンサス配列を基に選択される。当該分野で公知の種々の標的モチーフ
がある。タンパク質標的モチーフは、酵素活性部位およびシグナル配列を含むが
これらに限定されない。核酸標的モチーフは、ヘアピン構造、プロモーター配列
および転写因子の結合部位のようなその他の発現要素を含むが、これらに限定さ
れない。
【0141】 入力および出力手段の種々の構造的フォーマットを用いて、本発明のコンピュ
ーターを基礎にしたシステムにおいて情報を入力および出力し得る。出力手段の
1つのフォーマットは、標的配列または標的モチーフに対する変化した程度の相
同性を所有するゲノムのフラグメントをランク付けする。そのような表示は、当
業者に、配列のランク付けを提供し、そして同定されたフラグメントに含まれる
配列類似性の程度を同定する。
【0142】 種々の比較手段を用いて、標的配列または標的モチーフを、データ格納手段と
比較し、ゲノムの配列フラグメントを同定し得る。当業者は、公に利用可能な相
同性サーチプログラムの任意の1つを、本発明のコンピューターを基礎にしたシ
ステムのサーチ手段として用い得ることを容易に認識し得る。
【0143】 上記で論議したように、本発明の「ライブラリー」はまた、配列番号1−84
4のポリヌクレオチドの生化学的ライブラリー、例えば、提供されたポリヌクレ
オチドを表す核酸のコレクションを包含する。この生化学的ライブラリーは、種
々の形態、例えば、cDNAの溶液、固体支持体の表面と安定に結合したプロー
ブ核酸のパターン(すなわちアレイ)などをとり得る。特に目的とするのは、配
列番号1−844の1つ以上がアレイ上に表されている核酸アレイである。アレ
イにより、基板の表面の1つに少なくとも2つの別個の核酸標的をもつ少なくと
も基板を有する製造物の物品を意味し、ここで別個の核酸の数は、かなり高く,
代表的には、少なくとも10nt、通常少なくとも20ntおよびしばしば少な
くとも25ntであり得る。種々の異なるアレイフォーマットが開発され、そし
て当業者に公知であり、5,242,974;5,384,261;5,405
,783;5,412,087;5,424,186;5,429,807;5
,436,327;5,445,934;5,472,672;5,527,6
81;5,529,756;5,545,531;5,554,501;5,5
56,752;5,561,071;5,599,895;5,624,711
;5,639,603;5,658,734;WO93/17126;WO95
/11995;WO95/35505;EP742287;およびEP7998
97に記載されたものを含む。本発明のアレイは、種々の適用における使用を見
出し、上記に列挙した例示の特許書類に開示されるような、遺伝子発現分析、薬
物スクリーニング、変異分析などを含む。
【0144】 上記の核酸ライブラリーに加えて、ポリペプチドのアナログライブラリーもま
た提供され、ここでライブラリーのポリペプチドは、配列番号1−844により
コードされるポリペプチドの少なくとも一部分を表す。
【0145】 (VII.有用性) (A.マッピングにおける、そして組織プロファイリングにおけるポリヌクレ
オチドプローブの使用) ポリヌクレオチドプローブは、一般に配列表に示されるようなポリヌクレオチ
ドの少なくとも12の連続ヌクレオチドを含み、ポリヌクレオチドの染色体マッ
ピングおよび転写レベルの検出のような種々の目的に用いられる。開示されたポ
リヌクレオチド配列の好適な領域についてのさらなる開示は、実施例に見出され
る。本明細書に開示されたポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズするプロ
ーブは、他の非関連配列で提供されるバックグラウンドハイブリダイゼーション
より、少なくとも5、10、または20倍高い検出シグナルを提供すべきである
【0146】 (発現レベルの検出におけるプローブ) ヌクレオチドプローブを用いて、提供されたポリヌクレオチドに対応する遺伝
子の発現を検出する。参考文献は、サンドイッチヌクレオチドハイブリダイゼー
ションアッセイの例を記載する。例えば、ノザンブロットでは、mRNAを電気
泳動的に分離し、そしてプローブと接触させる。プローブは、特定サイズのmR
NA種にハイブリダイズするとして検出される。ハイブリダイゼーションの量が
定量されて、例えば、特定条件下で発現の相対量を決定する。プローブはまた、
ポリメラーゼ連鎖反応による増幅の産物を検出するために用いられる。反応の産
物がプローブにハイブリダイズし、そしてハイブリッドが検出される。プローブ
は、細胞に対するインサイチュハイブリダイゼーションのために用いられ、発現
を検出する。プローブはまた、ハイブリダイズする配列の診断的検出のためにイ
ンビボで用いられ得る。代表的には、プローブは放射活性アイソトープで標識さ
れる。発色団、蛍光、および酵素のような、他の型の検出可能な標識が用いられ
得る。ヌクレオチドハイブリダイゼーションアッセイのその他の例は、WO92
/02526および米国特許第5,124,246号に記載される。
【0147】 あるいは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、少量の標的核酸を検出する別
の手段である(例えば、Mullisら、Meth.Enzymol.(198
7)155:335;米国特許第4,683,195号;および米国特許第4,
683,202号を参照のこと)。2つのプライマーポリヌクレオチドヌクレオ
チドは、標的核酸とハイブリダイズし、そして反応をプライムするために用いら
れる。プライマーは、配列表のポリヌクレオチドの3’および5’内の配列から
構成された。あるいは、プライマーがこれらのポリヌクレオチドの3’側および
5’側にある場合、プライマーはそれらまたは相補物にハイブリダイズする必要
はない。熱安定性ポリメラーゼは、もとの標的核酸を鋳型として用い、プライマ
ーから標的核酸のコピーを生成する。ポリメラーゼにより大量の標的核酸が生成
された後、サザンブロットのような方法により検出される。サザンブロット法を
用いる場合、標識されたプローブは、配列表のポリヌクレオチドまたは相補物に
ハイブリダイズする。
【0148】 さらに、mRNAまたはcDNAは、Sambrookら、「Molecul
ar Cloning:A Laboratory Manual」(New
York,Cold Spring Harbor Laboratory,1
989)に記載される古典的なブロッティング技術によって検出され得る。ポリ
メラーゼ酵素を使用して、mRNAから生成されたmRNAまたはcDNAは、
ゲル電気泳動を使用して精製および分離され得る。次いで、ゲル上の核酸は、固
体支持体(例えば、ニトロセルロース)上にブロットされる。この固体支持体は
、標識されたプローブに曝露され、次いで洗浄され、任意の非ハイブリダイズプ
ローブを除去する。次に、この標識されたプローブを含む二重鎖が検出される。
代表的には、このプローブは、放射能で標識される。
【0149】 マッピング。本発明のポリヌクレオチドは、対応する遺伝子が存在する染色体
を同定するために使用される。このようなマッピングは、公知の機能を有する他
の遺伝子へのその近接によって、このポリペプチド関連遺伝子の機能を同定する
ことにおいて有用であり得る。機能はまた、特定の症候群または疾患が同じ染色
体にマッピングされる場合、このポリペプチド関連遺伝子とされ得る。例えば、
核酸配列異常の同定および定量におけるポリヌクレオチドプローブの使用は、米
国特許第5,783,387号に記載される。
【0150】 例えば、正常な中期伝播(metaphase spreads)に対する蛍
光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)は、DNA配列の相対的な
コピー数の変化の全ゲノム評価を可能とする比較ゲノムハイブリダイゼーション
を容易にする。SchwartzおよびSamad、Curr.Opin.Bi
otechnol.(1994)8:70;Kallioniemiら、Sem
.Cancer Biol.(1993)4:41;Valdesら、Meth
ods in Molecular Biology(1997)68:1、B
oultwoodら、Human Press、Totowa、NJ.を参照の
こと。ヒト中期染色体の調製物は、ヒト初代組織または細胞株由来の標準の細胞
発生技術を使用して調製される。この配列表に示されるヌクレオチド配列から選
択される少なくとも12個の連続ヌクレオチドを含むヌクレオチドプローブは、
対応する染色体を同定するために使用される。このヌクレオチドプローブは、例
えば、放射性、蛍光、ビオチン化または化学発光標識で標識され、そして選択さ
れた特定の標識について適切な周知の方法によって検出される。中期染色体の調
製に対するヌクレオチドプローブをハイブリダイズするためのプロトコールはま
た、当該分野で周知である。ヌクレオチドプローブは、このプローブのヌクレオ
チド配列と相補的な染色体調製中のヌクレオチド配列と特異的にハイブリダイズ
する。
【0151】 ポリヌクレオチドは、例えば、放射線ハイブリッドまたは染色体特異的ハイブ
リッドパネルを使用して特定の染色体にマッピングされる。Leachら、Ad
vances in Genetics、(1995)33:63−99;Wa
lterら、Nature Genetics(1994) 7:22;Wal
terおよびGoodfellow、Trends in Genetics(
1992)9:352を参照のこと。放射線ハイブリッドマッピングのパネルは
、Research Genetics、Inc.、Huntsville、A
labama、USAから利用可能である。種々のパネルを使用したマーカーの
データベースは、http:/F/shgc−www.stanford.ed
u;およびhttp://www−genome.wi.mit.edu/cg
i−bin/contig/rhmapper.pl.でワールドワイブウェブ
を介して利用可能である。統計プログラムRHMAPが使用され、一つの序列対
別の序列の相対的尤度(relative likelihood)を測定して
、放射線ハイブリッドからのデータに基づいたマップを構築し得る。RHMAP
は、http://www.sph.umich.edu/group/sta
tgen/softwareでワールドワイドウェブを介して利用可能である。
【0152】 さらに、市販のプログラムは、疾患(例えば、癌)に共通に関連する染色体の
領域を同定するために利用可能である。本発明のポリヌクレオチドに基づいたポ
リヌクレオチドは、これらの領域をプローブするために使用され得る。例えば、
プロフィール探索を通して、提供されたポリヌクレオチドがキナーゼをコードす
る遺伝子に対応すると同定された場合、その癌関連染色体領域に結合する能力は
、腫瘍細胞発生/増殖の1以上のステージにおいてそのキナーゼとしての役割を
示唆する。いくつかの実験がその役割を明らかとするために必要とされるが、こ
のポリヌクレオチドは、癌診断または癌治療を開発するための能力を有する特異
的なタンパク質を単離するための新しい物質を構成する。
【0153】 組織分類または組織の特徴付け(プロファイリング)。提供されたポリヌクレ
オチドに対応する特異的mRNAの発現は、異なった細胞型において異なり得、
そして組織特異的であり得る。異なった細胞型におけるmRNAレベルのこの変
化は、組織型を決定するための核酸プローブアッセイを用いて開発され得る。例
えば、配列表に列挙されたポリヌクレオチドと本質的に同一、または相補的な核
酸プローブを利用したPCR、分岐DNAプローブアッセイまたはブロッティン
グング技術は、対応するcDNAまたはmRNAの存在または非存在を決定し得
る。
【0154】 例えば、転移性の病巣は、その器官または組織の特定のマーカーの発現を同定
することによるその発生器官または発生組織源によって同定される。ポリヌクレ
オチドが特定の組織型においてのみ発現され、そして転移性の病巣は、そのポリ
ヌクレオチドを発現することが見出されれば、この病巣の発生源が同定される。
特定のポリヌクレオチドの発現は、対応するmRNAか、またはタンパク質産物
のいずれかの検出によってアッセイされる。免疫学的方法(例えば、抗体染色)
は、特定のタンパク質産物を検出するために使用される。ハイブリダイゼーショ
ン法は、特定のmRNA種を検出するために使用され得、インサイチューハイブ
リダイゼーションおよびノーザンブロッティングを含むが、これらに限定されな
い。
【0155】 多型の使用。本発明のポリヌクレオチドは、遺伝子の対応する領域がヒト集団
において多型である場合、法医学、遺伝分析、マッピングおよび診断適用に有用
である。この提供されたポリヌクレオチドの特定の多型形態は、罹患が疑われる
者由来としてのサンプルを同定するか、またはサンプルが罹患が疑われる者由来
である可能性を除外するかのいずれかのために使用され得る。遺伝子中の多型を
検出する任意の手段が使用され、タンパク質多型変異体の電気泳動、制限酵素切
断の示差的な感受性および対立遺伝子特異的なプローブに対するハイブリダイゼ
ーションが含まれるが、これらに制限されない。
【0156】 (B.抗体産生) 本発明のポリヌクレオチドの発現産物、対応するmRNAまたはcDNA、あ
るいは対応する完全な遺伝子が調製され、そして実験、診断および治療目的に関
する抗体を惹起するために使用される。対応する遺伝子が割り当てられていない
ポリヌクレオチドに関して、このことは、対応する遺伝子を同定するさらなる方
法を提供する。このポリヌクレオチドまたは関連cDNAは、上記のように発現
され、そして抗体が調製される。これらの抗体は、このポリヌクレオチドによっ
てコードされるポリペプチド上のエピトープに対して特異的であり、そして細胞
もしくは組織調製物において、またはインビトロ発現系の無細胞抽出物において
対応する天然のタンパク質を沈殿あるいは結合し得る。
【0157】 抗体を惹起するための免疫原は、本発明のポリヌクレオチドによってコードさ
れるポリペプチドとアジュバントを混合することによって調製される。あるいは
、ポリペプチドは、より大きな免疫原タンパク質との融合タンパク質として作製
される。ポリヌクレオチドはまた、他のより大きな免疫原タンパク質(例えば、
キーホールリンペットヘモシアニン)と共有結合される。免疫原は、代表的に、
皮内に、皮下にまたは筋肉中に投与される。免疫原は、実験動物(例えば、ウサ
ギ、ヒツジおよびマウス)に抗体を作製するために投与される。必要に応じて、
この動物脾臓細胞は、単離され、そしてミエローマ細胞と融合され、モノクロー
ナル抗体を分泌するハイブリドーマを形成する。このような方法は、当該分野で
周知である。当該分野で公知の別の方法に従って、この選択されたポリヌクレオ
チドは直接(例えば、筋肉中注射によって)投与され、そしてインビボで発現さ
れる。この発現されたタンパク質は、種々のタンパク質特異的免疫応答(このタ
ンパク質の投与に匹敵する、抗体産生を含む)を生じる。
【0158】 分泌ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドに特異的なポリクロ
ーナル抗体およびモノクローナル抗体の調製は、当該分野で公知の標準方法を使
用して行われる。抗体は、配列表に開示されるポリヌクレオチドによってコード
されるポリペプチドに存在するエピトープに特異的に結合する。代表的には、少
なくとも6、8、10または12個の連続したアミノ酸は、エピトープを形成す
るために必要とされる。しかし、非連続なアミノ酸を含むエピトープは、さらに
、例えば少なくとも15、25または50アミノ酸を必要とし得る。次いで、ポ
リヌクレオチドの短い配列は、公知のタンパク質との交差反応性の可能性ゆえ、
対応する新規タンパク質を同定するために抗体を惹起するエピトープとしての使
用には適切でないかもしれない。しかし、この抗体は、他の目的について、特に
それらが公知のタンパク質および本発明のポリヌクレオチドによってコードされ
る新規のポリペプチドの共通の構造的特徴を同定する場合、有用であり得る。
【0159】 この提供されたポリペプチドによってコードされるヒトポリペプチドと特異的
に結合する抗体は、ウエスタンブロットまたは他の免疫化学アッセイで使用され
る場合、他のタンパク質で提供される検出シグナルより少なくとも5、10また
は20倍高い検出シグナルを提供するはずである。好ましくは、本発明のポリペ
プチドと特異的に結合する抗体は、検出可能なレベルで免疫化学アッセイにおい
て他のタンパク質と結合せず、そして溶液からこの特異的なポリペプチドを免疫
沈降し得る。
【0160】 ヒト集団における本発明のポリペプチドに対する血清抗体の存在を試験するた
めに、ヒト抗体は、当該分野で周知の方法によって精製され得る。好ましくは、
この抗体は、対応する選択されたポリペプチドまたは融合タンパク質が結合され
るカラムに抗血清を通すことによりアフィニティー精製される。次いで、この結
合抗体は、カラムから、例えば、高塩濃度を有する緩衝液を使用して溶出され得
る。
【0161】 上記で議論した抗体に加えて、遺伝的に操作された抗体誘導体(例えば、単鎖
抗体)が、当該分野で周知の方法に従って作製される。
【0162】 (C.診断のための構築物アレイに対するポリヌクレオチドの使用) ポリヌクレオチドアレイは、サンプル中の多数のポリヌクレオチド配列をアッ
セイし得る高処理能技術を提供する。この技術は、示差的な発現について試験し
、コードタンパク質の機能を決定する診断およびツールとして使用され得る。ア
レイは、2次元マトリックスまたは結合プローブを有するアレイにおいて基体(
例えば、ガラス、ニトロセルロースなど)上でポリヌクレオチドプローブをスポ
ットすることによって作製され得る。このプローブは、共有結合によってか、ま
たは非特異的相互作用(例えば、疎水性相互作用)によってのいずれかで基体に
結合され得る。ポリヌクレオチドのサンプルは、検出可能に標識され得(例えば
、放射性標識または蛍光標識を使用して)、次いでプローブとハイブリダイズさ
れ得る。プローブポリヌクレオチドと結合した標識サンプルポリヌクレオチドを
含む、二本鎖ポリヌクレオチドは、一旦このサンプルの非結合部分が洗浄される
と、検出され得る。アレイを構築する技術およびこれらのアレイを使用する方法
は、EP第0799897号;PCT第WO 97/29212号;PCT第W
O 97/27317号;EP第0785280号;PCT第WO 97/02
357号;米国特許第5,593,839号;米国特許第5,578,832号
;EP第0728520号;米国特許第5,599,695号;EP第0721
016号;米国特許第5,556,752号;PCT第WO 95/22058
号および米国特許第5,631,734号に記載される。
【0163】 上記で多少詳細に議論されるように、アレイは、遺伝子の示差的発現を試験す
るために使用され得、そして遺伝子機能を決定するために使用され得る。例えば
、本発明のポリヌクレオチド配列のアレイが使用され、この提供されたポリヌク
レオチドのいずれかが試験細胞とコントロール細胞(例えば、癌細胞と正常細胞
)の間で示差的に発現されるか否かを決定し得る。例えば、癌細胞中での特定の
メッセージの高発現(これは、対応する正常細胞中で観察されない)は、癌特異
的なタンパク質を示し得る。アレイの例示的な使用はさらに、例えば、Papp
alaradoら、Sem.Radiation Oncol.(1998)8
:217;およびRamsay、Nature Biotechnol.(19
98)16:40に記載される。
【0164】 (D.示差的発現) 本発明のポリヌクレオチドはまた、2つの細胞間の発現レベルにおける差異を
検出するために(例えば、ヒトにおける異常組織または疾患組織を同定するため
の方法として)使用され得る。上記のようにタンパク質ファミリーの性質に対応
するポリヌクレオチドに関して、組織の選択は、推定の生物学的機能に従って選
択され得る。一般に、特定のポリヌクレオチドに対応する遺伝子の発現は、疾患
であると考えられる第1の組織と第2のヒトの正常な組織の間で比較される。異
常および疾患であると考えられる組織は、ヒトの異なった組織型由来であり得る
が、好ましくは、それは、同じ組織型由来である。;例えば、腸管のポリープま
たは他の異常な増殖は、正常な腸管組織と比較されるべきである。この正常組織
は、試験サンプルの組織と同じ組織、または患者の任意の正常組織、特に目的の
ポリペプチド関連遺伝子を発現する組織(例えば、脳、胸腺、精巣、心臓、前立
腺、胎盤、脾臓、小腸、骨格筋、膵臓および結腸の粘膜内層)であり得る。例え
ば、分子量、アミノ酸もしくはヌクレオチド配列または相対的な量で比較される
、2つの組織中のポリペプチド関連遺伝子、mRNA、またはタンパク質間の差
異は、疾患であると考えられるヒトの組織で遺伝子、またはその遺伝子を調節す
る遺伝子における変化を示す。示差的発現の検出および癌の診断におけるその利
用の例は、米国特許第5,688,641号および同5,677,125号に記
載される。
【0165】 この2つの組織中のポリヌクレオチド関連遺伝子は、当該分野で公知の任意の
手段によって比較される。例えば、この2つの遺伝子は、配列決定され得、そし
て疾患であると考えられる組織中の遺伝子配列は、正常組織における遺伝子配列
と比較され得る。この2つの組織における提供されたポリヌクレオチドに対応す
る遺伝子またはその一部は、例えば、配列表で示されるヌクレオチド配列に基づ
いたヌクレオチドプライマーを使用して増幅され、これらは、ホリメラーゼ連鎖
反応を使用する。増幅された遺伝子または遺伝子の一部は、配列表で示されるヌ
クレオチド配列から選択される検出可能に標識されたヌクレオチドプローブとハ
イブリダイズされる。正常なヌクレオチド配列と比較して、疾患であると考えら
れる組織における単離された遺伝子のヌクレオチド配列中の相違は、この疾患に
おける被験体ポリヌクレオチドによってコードされる遺伝子産物の役割を示唆し
、そして治療剤調製の指針を提供する。
【0166】 あるいは、この2つの組織中の提供されたポリヌクレオチドに対応するmRN
Aが比較される。ポリA+RNAは、当該分野で公知であるように2つの組織か ら単離される。例えば、当業者は、ノーザンブロットおよび配列表で示されるヌ
クレオチド配列から選択された検出可能に標識されるヌクレオチドプローブを使
用して、この2つの組織間のmRNA転写物のサイズおよび量における相違を容
易に決定し得る。正常組織中で同じmRNAの発現と比較して、疾患であると考
えられる組織サンプル中の所定のmRNAの発現の増加または減少は、発現され
たタンパク質がこの疾患において役割を有し、そしてまた治療剤を調製するため
のリードを提供することを示唆する。
【0167】 この比較はまた、適合したサンプル間でポリペプチドを分析することによって
達成され得る。この2つの組織中のタンパク質のサイズは、例えば、本発明の抗
体を使用して、この2つの組織由来のタンパク質抽出物のウエスタンブロットに
おけるポリペプチドを検出して比較される。他の変化(例えば、発現レベルおよ
び細胞局在化)はまた、対応するタンパク質に対する抗体を使用して免疫学的に
検出され得る。正常な組織における同じタンパク質の発現レベルと比較して、疾
患であると思われる組織における所定のポリペプチドのより高いまたはより低い
レベルの発現は、この発現タンパク質がこの疾患における役割を有し、そして治
療剤を調製するための指針を提供することを示す。
【0168】 同様に、疾患であると考えられるヒト組織とヒトの正常組織の間のポリヌクレ
オチド配列の比較または遺伝子発現産物の比較(例えば、mRNAおよびタンパ
ク質)が使用され、ヒトにおける疾患の進行または寛解を追跡する。このような
比較は、上記のようになされる。例えば、腫瘍性であると考えられる組織におけ
る本発明のポリヌクレオチドに対応する遺伝子発現の増加または減少は、組織中
の腫瘍性細胞の存在を示し得る。腫瘍性細胞における所定遺伝子の、正常組織中
の同じ遺伝子の発現と比較した、発現の増加の度合い、または経時的な腫瘍性細
胞における所定遺伝子の発現の増加量における相違は、その組織における新形成
の進行を評価するため、または経時的な治療プロトコールに対する腫瘍性組織の
応答をモニターするために使用される。
【0169】 任意の2つの細胞型(例えば、低転移性および高転移性腫瘍細胞株、悪性また
は非悪性細胞、あるいは治療剤に曝露されている組織および曝露されていない組
織からの細胞)の発現パターンが比較され得る。ヒトにおける疾患に対する遺伝
的素因は、正常胎児組織に関連したレベルと、胎児組織中で本発明のポリペプチ
ドに対応したmRNAまたはタンパク質の発現レベルを比較することによって検
出される。この目的について使用された胎児組織は、羊水、絨毛膜絨毛、血液お
よびインビトロで受精した胚の卵割球を含むが、それらに限定されない。この匹
敵する正常ポリヌクレオチド関連遺伝子は、任意の組織から得られる。このmR
NAまたはタンパク質は、このポリヌクレオチド関連遺伝子が発現されるヒトの
正常組織から得られる。ヌクレオチド配列または胎児ポリヌクレオチド関連遺伝
子もしくはmRNAの同じ産物のサイズにおける変化、あるいは胎児タンパク質
の分子量、アミノ酸配列または相対的な量における変化のような相違は、胎児の
ポリペプチド関連遺伝子における生殖系列変異を示し得、これは、疾患に対する
遺伝的素因を示す。開示されたポリヌクレオチドの特定の診断使用および予後使
用は、以下により詳細に記載される。
【0170】 (E.差示的発現に基づく診断利用、予後利用、および他の利用) 一般に、本発明の診断方法は、疾患(例えば、乳癌、肺癌、結腸癌および/ま
たはそれらの転移形態)を有するか、または疾患に罹患しやすいと疑われる患者
から入手した試験サンプルにおける、遺伝子産物、特に差示的に発現される遺伝
子産物のレベルまたは量の検出、ならびにその検出されるレベルを、正常細胞(
例えば、実質的に癌に罹患していない細胞)および/または他のコントロール細
胞(例えば、形成異常症に罹患している細胞から癌細胞を分化させるための)で
見出される遺伝子産物のレベルに対して比較することを含む。さらに、その疾患
の重篤度は、差示的に発現される遺伝子産物の検出レベルを、異なった程度の重
篤度の疾患に差示的に関与する遺伝子産物のレベルを表すサンプルにおいて検出
されるそれらのレベルと比較することにより評価され得る。
【0171】 用語「差示的に発現される遺伝子」は、例えば、遺伝子産物(例えば、ポリペ
プチド)をコードするオープンリーディングフレーム、および/またはそのよう
な遺伝子のイントロン、ならびに発現の調節に関与する、隣接5’および3’の
非コードヌクレオチド配列(コード領域を越える約20kbまでの、しかしいず
れの方向においてもさらに可能である)を含み得るポリヌクレオチドを含むこと
が意図される。この遺伝子は、染色体外維持のための、または宿主ゲノム内への
組込みのための適切なベクターに導入され得る。一般に、少なくとも約25%、
通常は、少なくとも約50%〜75%、より通常は、少なくとも約90%以上の
発現レベルでの減少に関与する発現レベルでの差異は、目的の差示的に発現され
る遺伝子、すなわち、コントロールサンプルと比較して、試験サンプルにおいて
は発現不足であるか、またはダウンレギュレートされる遺伝子を示す。さらに、
少なくとも約25%、通常は、少なくとも約50%〜75%、より通常は、少な
くとも約90%であり、そしてコントロールサンプルと比較して少なくとも約1
1/2倍、通常は、少なくとも約2倍〜約10倍であり得、そして約100倍
〜約1,000倍の増加であり得る、発現の上昇に関与する発現レベルでの差異
は、目的の差示的に発現される遺伝子、すなわち、過剰発現、またはアップレギ
ュレートされる遺伝子を示す。
【0172】 本明細書において使用される「差示的に発現されるポリヌクレオチド」は、差
示的に発現される遺伝子を表す配列を有する核酸分子(RNAまたはDNA)を
意味し、例えば、その差示的に発現されるポリヌクレオチドは、サンプル中で差
示的に発現されるポリヌクレオチドの検出が、サンプル中の差示的に発現される
遺伝子の存在と相関するように、差示的に発現される遺伝子を独自に同定する配
列(例えば、遺伝子産物をコードするオープンリーディングフレーム)を含む。
「差示的に発現されるポリヌクレオチド」はまた、公開されたポリヌクレオチド
のフラグメント(例えば、生物学的活性を有するフラグメント)、ならびにその
公開されたポリヌクレオチドに相同性があるか、実質的に類似するか、または実
質的に同一である(例えば、約90%の配列同一性を有する)核酸を含むことが
意味される。
【0173】 診断または予後において有用な本発明の方法は、代表的に、目的のサンプル中
の選択された差示的に発現される遺伝子産物の存在度を、コントロールのそれと
比較して、その遺伝子産物の発現における任意の相対的な差異を決定することを
含み、ここで、その差異は定性的におよび/または定量的に測定され得る。定量
化は、例えば、そのサンプル中に検出された発現産物のレベルを、検量線に存在
する産物の量と比較することにより達成され得る。比較は、以下により視覚的に
行われ得る;コンピューター化された補助を用いるか、または用いない濃度測定
のような技術を使用することによって;試験サンプルから単離されたmRNAの
cDNAクローンの代表的なライブラリーを調製し、同じ遺伝子産物に対応する
cDNAクローンの数を決定するためにライブラリーのクローンを配列決定して
、そしてその同じ遺伝子産物に対応するクローンの数を、コントロールサンプル
におけるその同じ遺伝子産物のクローンの数と比較して解析することによって;
または、選択された配列もしくは配列のセットに対するハイブリダイゼーション
の相対的なレベルを検出するためのアレイを使用し、そしてコントロールのそれ
に対するハイブリダイゼーションのパターンを比較することによって。次いで、
発現における差異は、異常な発現パターンの存在または非存在と関係づけられる
。サンプル中の核酸の存在度を決定するための種々の異なる方法は、当業者に公
知であり、ここで、目的の特定の方法は、以下に記載される方法を含む:Pie
tuら Genome Res.(1996)6:492;Zhaoら、Gen
e(1995)156:207;Soares、Curr.Opin.Biot
echnol.(1977)8:542;Raval、J.Pharmacol
Toxicol Methods(1994)32:125;Chalifo
urら、Anal.Biochem(1994)216:299;Stolzら
、Mol.Biotechnol.(1996)6:225;Hongら、Bi
osci.Reports(1982)2:907;およびMcGraw、An
al.Biochem.(1984)143:298。目的の方法はまた、WO
97/27317において開示され、その開示は本明細書に参考として援用され
る。
【0174】 一般に、本発明の診断アッセイは、配列番号1〜844の配列に対応する、ポ
リヌクレオチド配列の遺伝子産物(例えば、mRNAまたはポリペプチド)の検
出を含む。サンプルを入手された患者は、明らかに健康で、疾患に罹患しやすく
あり得るか(例えば、家族暦、もしくは特定の環境因子に対する曝露により決定
されるように)、または既に、本発明の遺伝子産物の変化した発現が関係する状
態を有すると同定され得る。
【0175】 本発明のアッセイにおいて、その診断は、配列番号1〜844に示される配列
を有する、少なくとも1つ、好ましくは、少なくとも2以上、少なくとも3以上
、または少なくとも4以上のポリヌクレオチドによりコードされる遺伝子産物の
、検出された遺伝子産物発現レベルに基づいて決定され得、そして配列番号1〜
844の全て、および/またはさらなる診断マーカーとして作用し得るさらなる
配列、および/または参照配列に対応する遺伝子の発現の検出を含み得る。その
診断方法が、患者の癌の存在または癌に対する罹患性を検出するために設計され
る場合、そのアッセイは、好ましくは、癌において差示的に発現されるポリヌク
レオチドに対応する遺伝子によりコードされる遺伝子産物の検出を含む。例えば
、正常サンプルに関連するレベルと比較した、配列番号52に対応するポリヌク
レオチドの、より高い発現レベルは、そのサンプルが由来する患者における癌の
存在を示し得る。別の例において、正常レベルと比較した、より低いレベルでの
配列番号39に対応するポリヌクレオチドの検出は、その患者における癌の存在
を示す。そのような差示的に発現されるポリヌクレオチドのさらなる例は、以下
の実施例に記載される。本明細書中に提供されるポリヌクレオチドおよび提供さ
れるそれらの相対的な発現レベルに関する情報が与えられる場合、診断および予
後において、そのようなポリヌクレオチドおよびそれらの発現レベルの検出を使
用するアッセイは、当業者にとって容易に明らかとなる。
【0176】 任意の種々の検出可能な標識は、本発明の診断方法の種々の実施態様に関連し
て使用され得る。適切な検出可能な標識は、蛍光色素(例えば、フルオレセイン
イソチオシアネート(FITC)、ローダミン、テキサスレッド、フィコエリト
リン、アロフィコシアニン、6−カルボキシフルオレセイン(6−FAM)、2
’,7’−ジメトキシ−4’,5’−ジクロロ−6−カルボキシフルオレセイン
(JOE)、6−カルボキシ−X−ローダミン(ROX)、6−カルボキシ−2
’,4’,7’,4,7−ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、5−カルボ
キシフルオレセイン(5−FAM)またはN,N,N’,N’−テトラメチル−
6−カルボキシローダミン(TAMRA))、放射性標識(例えば、32P、35
3Hなど)などを含む。検出可能な標識は、2段階の系(例えば、ビオチン− アビジン、ハプテン−抗ハプテン抗体など)を含み得る。
【0177】 抗体およびヌクレオチドプローブのような、本発明のポリヌクレオチドおよび
ポリペプチドに対して特異的な試薬は、生物学的サンプル中の発現産物の存在を
検出するためのキットの中で供給され得る。そのキットはまた、緩衝液、または
標識成分、ならびに生物学的サンプル中の発現産物を検出および定量するための
試薬を使用するための説明書を含み得る。本発明の診断方法の例示的な実施態様
は、以下に、より詳細に記載される。
【0178】 (診断におけるポリペプチド検出) 1つの実施態様において、試験サンプルを、差示的に発現されるポリペプチド
のレベルについてアッセイする。診断は、試験サンプル中の差示的に発現される
ポリペプチドの非存在、もしくは存在、または変化した量を決定するために任意
の数の方法を使用して達成され得る。例えば、検出は、従来の方法に従って行わ
れる標識抗体での細胞または組織学的切片の染色を利用し得る。細胞は、細胞質
分子を染色するために透過化処理され得る。一般に、本発明の差示的に発現され
るポリペプチドに特異的に結合する抗体を、サンプルに添加し、そしてそのエピ
トープへの結合を可能にするに十分な時間(通常は少なくとも約10分)インキ
ュベートする。その抗体は、直接的な検出のために、検出可能に標識され得るか
(例えば、放射性同位元素、酵素、蛍光剤、化学発光剤などを使用して)、ある
いは結合を検出するための第2段階の抗体(second stage ant
ibody)または試薬(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ結合化アビジン
を用いたビオチン、蛍光化合物(例えば、フルオレセイン,ローダミン、テキサ
スレッドなど)に結合体化した二次抗体)と共に使用され得る。抗体結合の非存
在または存在は、種々の方法により決定され得、解離された細胞のフローサイト
メトリー、顕微鏡法、放射線写真法、シンチレーションカウンティングなどを含
む。差示的に発現されるポリペプチドのレベルもしくは量の定性的または定量的
な検出の任意の適切な別の方法(例えば、ELISA、ウエスタンブロット、免
疫沈降、放射免疫アッセイなど)が、使用され得る。
【0179】 一般に、試験サンプル中の差示的に発現されるポリペプチドの検出レベルは、
参照サンプルまたはコントロールサンプル中の(例えば、正常細胞(ネガティブ
コントロール)中の、または公知の疾患状態を有する細胞(ポジティブコントロ
ール)中の)差示的に発現される遺伝子産物のレベルと比較される。例えば、正
常サンプルに関連するレベルと比較した、配列番号52にコードされる、より高
い発現レベルのポリペプチドは、そのサンプルが由来する患者における癌の存在
を示し得る。別の例において、正常レベルと比較した、配列番号39にコードさ
れる、より低いレベルのポリペプチドの検出は、その患者における癌の存在を示
す。
【0180】 (mRNA検出) 本発明の診断方法はまた、あるいは代わりに本発明の差示的に発現されるポリ
ヌクレオチドに対応する遺伝子によりコードされるmRNAの検出を含み得る。
特異的なmRNAの検出について、当該分野で公知の、任意の適切な定性的また
は定量的方法が使用され得る。mRNAは、例えば、組織切片におけるインサイ
チュハイブリダイゼーションによって、逆転写酵素PCRによって、またはポリ
A+mRNAを含むノーザンブロッドにおいて検出され得る。当業者は、これら
の方法を用いて、2つのサンプル間のmRNAの転写物の大きさまたは量におけ
る差異を容易に決定し得る。例えば、癌性または形成異常であると疑われる組織
サンプル中の本発明のmRNAのレベルを、参照サンプルにおけるmRNAの発
現と比較する(例えば、ポジティブまたはネガティブコントロールサンプル(例
えば、正常細胞、癌性細胞など))。特定の制限されない例において、正常サン
プルに関連するレベルと比較した、配列番号52に対応するより高いレベルのm
RNAは、そのサンプルが由来する患者における癌の存在を示し得る。別の例に
おいて、正常レベルと比較した、配列番号39に対応するより低いレベルのmR
NAの検出は、その患者における癌の存在を示す。
【0181】 サンプル中のmRNA発現レベルを検出および比較するための、任意の適切な
方法は、本発明の診断方法に関して使用され得る(例えば、米国特許第5,80
4,382号を参照のこと)。例えば、サンプル中のmRNA発現レベルは、そ
のサンプル由来の発現配列タグ(EST)のライブラリーの生成により決定され
得、ここで、そのESTライブラリーは、そのサンプルに存在する配列の代表で
ある(Adamsら、(1991)Science 252:1651)。ライ
ブラリー内のESTの相対表示の列挙は、開始サンプル内の遺伝子転写物の相対
表示に近似するために使用され得る。次いで、試験サンプルのEST解析の結果
は、参照サンプルのEST解析と比較され、選択されたポリヌクレオチド、特に
本明細書に記載の差示的に発現される1以上の遺伝子に対応するポリヌクレオチ
ドの相対的な発現レベルを決定し得る。
【0182】 あるいは、試験サンプル中の遺伝子発現は、遺伝子発現の連続解析(SAGE
)方法論(Velculescuら、Science(1995)270:48
4)を使用して実施され得る。要するに、SAGEは、各々の転写物(例えば、
配列番号1〜6の任意の1つの配列)内の特定の位置から、短い固有の配列タグ
を単離することを含む。その配列タグは、連結され、クローン化され、そして配
列決定される。開始サンプル内の特定の転写物の頻度は、その関連する配列タグ
が、その配列集団に遭遇する回数により反映される。
【0183】 試験サンプルにおける遺伝子発現はまた、ディファレンシャルディスプレイ(
DD)方法論を使用して解析され得る。DDにおいて、特異的配列の区切文字(
例えば、制限酵素部位)により定義されるフラグメントを、遺伝子の固有の識別
子として使用し、発現される遺伝子内のフラグメントの長さまたはフラグメント
の位置についての情報と組合せられる。次いで、サンプル内の発現される遺伝子
の相対表示を、全ての可能なフラグメントのプール内の、その遺伝子と関連する
フラグメントの相対表示に基づいて推測し得る。DDを実行するための方法およ
び組成物は、当該分野で周知である(例えば、米国特許第5,776,683号
;および米国特許第5,807,680号を参照のこと)。
【0184】 あるいは、ヌクレオチドの相互作用の特異性に基づく、ハイブリダイゼーショ
ン解析を使用するサンプル内の遺伝子発現。オリゴヌクレオチドまたはcDNA
を、特異的配列の組成物のDNAまたはRNAを選択的に同定あるいは捕獲する
ために使用し得、そして公知の捕獲配列にハイブリダイズするRNAまたはcD
NAの量を、定性的にまたは定量的に決定して、サンプル中の細胞性メッセージ
のプール内の特定のメッセージの相対表示についての情報を提供する。ハイブリ
ダイゼーション解析は、例えば、高密度フォーマットを有するアレイに基づいた
技術(フィルター、顕微鏡用スライド、またはマイクロチップを含む)または分
光学的解析(例えば、質量分析法)を使用する溶液に基づいた技術を使用するこ
とにより、何百〜何千もの遺伝子の相対発現の同時スクリーニングを可能にする
ために設計され得る。本発明の診断方法におけるアレイの1つの例示的な使用は
、以下により詳細に記載される。
【0185】 (診断適用における単一遺伝子の使用) 本発明の診断方法は、単一の差示的に発現される遺伝子の発現に焦点を合わせ
得る。例えば、その診断方法は、差示的に発現される遺伝子、または疾患に関連
する、そのような遺伝子の多型(例えば、コード領域または制御領域における多
型)を検出することを含み得る。疾患に関連する多型は、遺伝子の欠失または切
断、発現レベルを変化させる変異、および/またはコードされるタンパク質の活
性に影響する変異などを含み得る。
【0186】 差示的な遺伝子の発現レベルに影響するプロモーターまたはエンハンサー配列
における変化を、当業者に公知の種々の方法により正常な対立遺伝子の発現レベ
ルに対して比較し得る。プロモーターの強度またはエンハンサーの強度を決定す
るための方法は、発現される天然のタンパク質の定量;簡便な定量を提供するレ
ポーター遺伝子(例えば、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、クロラムフ
ェニコールアセチルトランスフェラーゼなど)を有するベクター内への変異制御
エレメントの挿入などを含む。
【0187】 多くの方法が、特異的配列の存在について核酸を解析するために利用可能であ
る(例えば、疾患に関連する多型)。多量のDNAが利用可能である場合、ゲノ
ムDNAを、直接的に使用する。あるいは、目的の領域を、適切なベクターにク
ローン化し、そして解析のために十分量に増殖する。差示的に発現される遺伝子
を発現する細胞を、mRNAの供給源として使用し得、そのmRNAは、解析の
ために直接的にアッセイされ得るか、またはcDNAに逆転写され得る。核酸は
、解析のために十分量を供給するための従来の技術(例えば、ポリメラーゼ連鎖
反応(PCR))により増幅され得る。そして検出可能な標識は、検出を容易に
するためにその増幅反応中に(例えば、検出可能に標識されたプライマーまたは
検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを使用して)含まれ得る。ポリメラー
ゼ連鎖反応の使用は、Saikiら、Science(1985)239:48
7に記載され、そして技術の概要は、Sambrookら、Molecular
Cloning:A Laboratory Manual、(1989)1
42頁に見出され得る。あるいは、種々の方法が、多型を検出する手段としてオ
リゴヌクレオチド連結を利用する当該分野で公知である(例えば、Rileyら
、Nucl.Acids Res.(1990)18:2887;およびDel
ahuntyら、Am.J.Hum.Genet.(1996)58:1239
を参照のこと)。
【0188】 サンプル核酸(例えば、増幅されたフラグメント、またはクローン化したフラ
グメント)を、当該分野で公知の多くの方法の1つにより解析する。核酸は、ジ
デオキシ法、または他の方法により配列決定され得、その塩基配列を選択された
配列に対して(例えば、野性型の配列に対して)比較し得る。多型の配列または
変異型の配列を用いたハイブリダイゼーションはまた、サンプル中のその存在を
決定するために使用され得る(例えば、サザンブロット、ドットブロッドなどに
よって)。米国特許第5,445,934号またはWO95/35505に記載
されるような、固体の支持体に固定化されたオリゴヌクレオチドプローブのアレ
イに対する多型の配列または変異型の配列、およびコントロール配列のハイブリ
ダイゼーションパターンはまた、疾患に関与する多型の配列または変異型の配列
を同定する手段として使用され得る。ゲルマトリックスにおける、一本鎖立体配
座多型(SSCP)解析、変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)、およびヘテロ二
本鎖解析は、電気泳動の移動度における変化として、DNA配列の変異により生
じた立体配座変化を検出するために使用される。あるいは、多型が、制限エンド
ヌクレアーゼのための認識サイトを作製または破壊する場合、そのサンプルを、
エンドヌクレアーゼで消化し、そしてその産物を、そのフラグメントが消化され
たか否かを決定するために大きさで分画する。分画を、ゲルまたはキャピラリー
電気泳動、特にアクリルアミドゲルまたはアガロースゲルにより行う。
【0189】 差示的に発現される遺伝子における変異のスクリーニングは、そのタンパク質
の機能的特性または抗原性特性に基づき得る。タンパク質短縮化アッセイは、タ
ンパク質の生物学的活性に影響し得る欠失の検出において有用である。タンパク
質の多型性の検出のために設計された種々の免疫アッセイは、スクリーニングに
使用され得る。多様な遺伝子変異が特定の疾患の表現型をもたらす場合、機能タ
ンパク質アッセイは、有効なスクリーニング手段であることが示された。そのコ
ードされるタンパク質の活性は、野生型タンパク質と比較することにより決定さ
れ得る。
【0190】 (アレイを使用する診断におけるパターン整合) 別の実施態様において、本発明の診断方法および/または予後診断の方法は、
試験発現パターン(TEP)を作成するための、試験サンプル中の遺伝子の選択
されたセットの発現の検出を含む。TEPを、参照サンプル(例えば、ポジティ
ブまたはネガティブコントロールサンプル)中の遺伝子の選択されたセットの発
現の検出によって生成される、参照発現パターン(REP)に対して比較する。
遺伝子の選択されたセットは、少なくとも1つの本発明の遺伝子(それらの遺伝
子は、配列番号1〜844のポリヌクレオチド配列に対応する)を含む。その試
験サンプルがスクリーニングされる疾患において差示的に発現される遺伝子を含
む選択された遺伝子のセットが、特に対象である。
【0191】 差示的遺伝子発現の解析および診断/予後の文脈において、本明細書で使用さ
れる場合、「参照配列」または「参照ポリヌクレオチド」とは、ポリヌクレオチ
ドの選択されたセットをいい、その選択されたセットは、少なくとも1以上の本
明細書に記載の差示的に発現されるポリヌクレオチドを含む。多数の参照配列(
好ましくはポジティブおよびネガティブコントロール配列を含む)は、参照配列
として含まれ得る。さらなる適切な参照配列は、Genbank、Unigen
e、および他のヌクレオチド配列データベース(例えば、発現配列タグ(EST
)、部分的および全長配列を含む)に見出される。
【0192】 「参照アレイ」とは、サンプルを用いたハイブリダイゼーションでの使用のた
めの参照配列を有するアレイを意味し、ここで、参照配列は、全ての、少なくと
も1つの、または任意の本明細書に記載される差示的に発現されるポリヌクレオ
チドのサブセットを含む。通常、そのようなアレイは、少なくとも3つの異なる
参照配列を含み、そして任意の1つのまたは全ての提供される差示的に発現され
る配列を含み得る。目的のアレイはさらに、多型性を含む、他の遺伝子配列(特
に疾患または障害(例えば、癌、形成異常、あるいは他の関係するまたは無関係
の疾患、障害、もしくは状態)についてのスクリーニングのための他の目的の配
列)の配列を含み得る。アレイ上のオリゴヌクレオチド配列は、通常少なくとも
長さ約12ntであり、そして提供される配列のおおよその長さであり得るか、
または長さ100nt〜200nt以上のフラグメントを生成するように、隣接
領域にまで伸展し得る。
【0193】 本明細書で使用される場合、「参照発現パターン」または「REP」とは、選
択された細胞型(例えば、正常細胞、癌細胞、環境性の刺激に曝露される細胞な
ど)に関する遺伝子(特に差示的に発現される遺伝子)の選択されたセットの発
現の相対レベルをいう。「試験発現パターン」または「TEP」とは、試験サン
プル(例えば、mRNAが単離された、未知のまたは疑わしい疾患状態の細胞)
中の選択された遺伝子(特に差示的に発現される遺伝子)のセットの発現の相対
レベルをいう。
【0194】 本明細書で使用される場合、「診断」とは一般に、被験体の疾患または障害に
対する感受性の決定、被験体が疾患または障害に現在罹患しているか否かの決定
、ならびに疾患または障害に罹患した被験体の予後に関する決定を含む(例えば
、未転移性または転移性癌の状態の同定、癌の段階、あるいは治療に対する癌の
応答性)。本発明は特に、以下の状況における、被験体の診断を含む;乳ガン(
例えば、上皮内癌(例えば、腺管上皮内癌)、エストロゲンレセプター(ER)
陽性乳癌、ER陰性乳ガン、または乳ガンの他の形態および/または状態)、肺
癌(例えば、小細胞癌、非小細胞(non−small cell)癌、中皮腫
、および肺癌の他の形態および/または状態)、および大腸癌(例えば、腺腫様
ポリープ、結腸直腸癌、および結腸癌の他の形態および/または病期)。
【0195】 本明細書を通して使用される場合、「サンプル」または「生物学的サンプル」
とは、一般に、生物学的液体または組織のサンプル、特に組織(特に診療適用が
設計された疾患(例えば腺管癌)に関する型の細胞)などから得られるサンプル
をいうことが意味される。「サンプル」はまた、そのようなサンプルの誘導体お
よびフラクション(例えば、細胞溶解物)を含むことが意図される。そのサンプ
ルが固形組織である場合、その組織の細胞が解離され得るか、または組織切片が
分析され得る。
【0196】 REPは、当該分野で周知の方法に従って、種々の方法で生成され得る。例え
ば、REPはコントロールサンプルをポリヌクレオチドの選択されたセット(特
に、差示的に発現されたポリヌクレオチドの選択されたセット)を有するアレイ
にハイブリダイズさせる工程、アレイからハイブリダイゼーションのデータを獲
得する工程、およびREPのTEPでの容易な比較を可能にするフォーマットに
そのデータを保存する工程によって作成され得る。あるいは、コントロールサン
プル中の全ての発現される配列は、単離され得、そして配列決定され得る(例え
ば、コントロールサンプルからのRNAの単離、mRNAのcDNAへの転換、
およびそのcDNAの配列決定によって)。生じた配列情報は、大まかにまたは
正確に、そのサンプル中の発現される配列の同一性および相対数を反映する。そ
の配列情報は次に、REPとTEPとの容易な比較を可能にするフォーマット(
例えば、コンピューターに読み込み可能なフォーマット)に保存され得る。RE
Pは、データ保存前または保存後に正規化され得るか、および/あるいは関心の
より低いものであるか、または解析を複雑にし得る発現される遺伝子の配列を選
択的に除去するように処置され得る(例えば、ハウスキーピング遺伝子に関連す
るいくつかのまたは全ての配列は、REPデータから除外され得る)。
【0197】 TEPは、例えば、試験サンプルをポリヌクレオチドの選択されたセット(特
に差示的に発現されるポリヌクレオチドの選択されたセット)を有するアレイに
ハイブリダイズさせる工程、アレイからハイブリダイゼーションのデータを獲得
する工程、およびREPとTEPの容易な比較を可能にするフォーマットにその
データを保存する工程によって、REPに類似の様式で作成され得る。比較に使
用されるREPおよびTEPは、同時に作成され得るか、またはTEPは以前に
作成され、そして保存されたREPに対して比較され得る。
【0198】 本発明の1つの実施態様において、REPとTEPとの比較は、参照アレイを
用いて試験サンプルをハイブリダイズする工程を含み、ここで、参照アレイは、
サンプルとのハイブリダイゼーションにおける使用のための、1以上の参照配列
を有する。参照配列は、全ての、少なくとも1つの、または任意の本明細書に記
載される差示的に発現されるポリヌクレオチドのサブセットを含む。その試験サ
ンプルのハイブリダイゼーションデータを獲得し、そのデータを正規化し、そし
て作成されたTEPを、同一のまたは類似の差示的に発現されるポリヌクレオチ
ドの選択されたセットを有するアレイを使用して作成されたREPと比較する。
2つのサンプル間の差示的に発現される配列に対応するプローブは、一方のサン
プルについての、もう一方のサンプルと比較した、減少したまたは増加したハイ
ブリダイゼーション効率を示す。
【0199】 参照アレイは、当該分野で公知の任意の適切な方法に従って作成され得る。例
えば、オリゴヌクレオチドの大きいアレイを作成する方法は、光指向型合成技術
を用いる、米国特許第5,134,854号および米国特許5,445,934
号に記載される。コンピューター制御された系を使用して、モノマーの不均一な
アレイを、多くの反応部位で同時結合を経て、ポリマーの不均一なアレイへと変
換する。あるいは、マイクロアレイを、予備合成されたオリゴヌクレオチドの固
体基板上への蒸着により作成する(例えば、PCT公開番号WO95/3550
5に記載されるように)。
【0200】 参照アレイを用いたサンプルのハイブリダイゼーションからのデータの収集の
方法はまた、当該分野で周知である。例えば、参照および試験サンプルのポリヌ
クレオチドは、検出可能な蛍光標識を使用して生成され得、そしてサンプル中の
ポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションは、その検出可能な標識の存在につ
いてマイクロアレイを走査することによって検出され得る。デバイス上の蛍光標
識された標的の検出のための方法およびデバイスは,当該分野で公知である。一
般に、そのような検出デバイスは、基盤で、顕微鏡および光を指向するための光
源を含む。フォトンカウンターは、基盤から蛍光を検出し、その間に、x−y平
進ステージで、基盤の位置を変化する。本方法において使用され得る共焦点検出
デバイスは、米国特許第5,631,734号において記載される。走査レーザ
ー顕微鏡は、Shalonら、Genome Res.(1996)6:639
において記載される。適切な励起線を使用して、走査を、使用される各々の蛍光
団に対して行う。走査より生成されたデジタル画像を、次に引き続く解析と組み
合わせる。任意の特定のアレイエレメントについて、あるサンプル(例えば、試
験サンプル)からの蛍光シグナルの比を、別のサンプル(例えば、参照サンプル
)からの蛍光シグナルと比較し、そして相対的シグナル強度を決定する。
【0201】 アレイに対するハイブリダイゼーションから収集されたデータの解析の方法は
、当該分野で周知である。例えば、ハイブリダイゼーションの検出が蛍光標識を
含む場合、データ解析は、データが収集された基盤の位置の関数として、蛍光強
度を決定する工程、アウトライアー(例えば、所定の統計分布から逸脱するデー
タ)を除去する工程、そして残存するデータから、その標的の相対的な結合アフ
ィニティーを計算する工程を含み得る。生じたデータを、標的とプローブとの間
の結合アフィニティーに従って変化する各々の領域における強度を有する画像と
して表示し得る。
【0202】 一般に、試験サンプルは、試験サンプルから生成されるTEPと、参照サンプ
ル(例えば、癌、または癌、形成異常の特定の状態に関連するサンプル、癌以外
の疾患に罹患したサンプル、正常サンプルなど)から生成される1以上のREP
と比較することによって、疾患または非疾患状態に関連するものに対応する遺伝
子発現プロフィールを有するとして分類される。TEPとREPとの間の整合ま
たは実質的な整合についての判断基準は、同じセットの参照遺伝子または実質的
に同じセットの参照遺伝子の発現、ならびにこれらの参照遺伝子の実質的に同じ
レベルでの発現を含む(例えば、サンプルの正規化後に選択された参照配列に関
連するシグナルについてサンプル間に有意な差異はないか、または、所定の参照
配列に対するシグナル強度において、少なくとも約25%〜約40%より大きな
差異はない)。一般に、TEPとREPとの間のパターン整合は、本発明の差示
的に発現される遺伝子の少なくとも1つの、全部の、または任意のサブセットの
発現における整合、好ましくは定性的または定量的な発現レベルにおける整合を
含む。
【0203】 パターン整合は、手動で行われ得るか、またはコンピュータープログラムを使
用して行われ得る。基盤行列(例えば、アレイ)の作製、そのような行列をとも
なう使用のためのオリゴヌクレオチドの設計、プローブの標識、ハイブリダイゼ
ーションの条件、ハイブリダイズされた行列の走査、および比較解析を含む、生
成されたパターンの解析のための方法は、例えば、米国特許第5,800,99
2号に記載される。
【0204】 (F.癌における本発明のポリヌクレオチドの使用) 腫瘍形成は、細胞の自由な増殖、脱分化、および異常な移動を含む。癌性細胞
は、正常組織に対して圧縮する、侵入する、および破壊する能力を有し得る。癌
性細胞はまた、血流またはリンパ系を経て、体の他の部分に転移し得、そしてこ
れら他の領域においてコロニー形成し得る。異なる癌は、癌性細胞が由来する細
胞によって、そしてその細胞の形態学および/または分化の状態から分類される
【0205】 体細胞性の遺伝子的異常性は、癌のイニシエーションおよび進行を引き起こす
。癌は一般に、クローン的に形成される。すなわち、単一細胞中の癌遺伝子の機
能の獲得および腫瘍抑制遺伝子の機能の欠失は、その細胞を癌性に形質転換し、
そしてその単一細胞は増殖し、そして分裂して癌性病変を形成する。癌のイニシ
エーションおよび進行に関与することが公知の遺伝子は、発生的分化、細胞周期
の調節、細胞シグナル伝達、免疫学的応答、DNA複製、およびDNA修復を含
む、多数の細胞機能に関与する。
【0206】 発癌経路に沿った最初期の変化を検出し、そして種々の治療的および予防的介
入の有効性をモニターする、血液または組織における遺伝学的あるいは生化学的
マーカーの同定および特徴付けは、癌研究の主要な目標である。科学者は、大腸
癌の病期を示す便の標本における遺伝学的変化を同定し、そして遺伝子変異、ホ
ルモンレセプター、転移を阻害するタンパク質、および薬物を代謝する酵素のよ
うな他の生物マーカーは全て、重篤度を決定し、乳癌、前立腺癌、肺癌、および
他の癌の過程を予測するために使用される。
【0207】 特定の癌の病因論における最近の進歩は、患者の処置の決定において役立って
きた。特定のポリヌクレオチドの発現レベルは、より劣った予後を示し得、従っ
て、患者に対するより積極的な化学療法または放射療法を是認し得る。新規の代
替的な腫瘍特異的な特徴と、処置に対する応答および患者における結果との相関
関係は、その腫瘍の分子プロフィールに基づいて仕立てられる治療法を設計し得
る特定の予後の指標を規定した。これらの治療法は、抗体標的化および遺伝子治
療を含む。さらに、有望なレベルの1以上のマーカーポリヌクレオチドは、特定
の患者を積極的に処置しないことについて、従って、積極的治療の有害な副作用
を患者に生じさせないための起動力を提供し得る。特定のポリヌクレオチドの発
現の決定、ならびに患者のプロフィールと正常組織における公知の発現および疾
患の変形との比較は、処置の特異性という点および患者の快適さのレベルという
点の両方で、患者に対する最良の可能な処置の決定を可能にする。
【0208】 ポリヌクレオチド発現のような、代理の腫瘍マーカーはまた、癌の異なる形態
および疾患の状態をよりよく分類し、そして従って診察および処置するために使
用され得る。本発明のポリヌクレオチドの発現レベルの同定から利益を得ること
が可能である腫瘍学において広く使用される2つの分類は、癌性障害の病期分類
化、および癌性組織の性質の類別である。
【0209】 (病期分類化) 病期分類化は、患者において癌性状態がどのくらい進行しているのかを記載す
るために医師により使用されるプロセスである。病期分類化は、予後の決定、処
置の計画、およびそのような処置の結果の評価をする際に医師を補助する。異な
る病期分類化の系は、異なる型の癌に使用されるが、しかし各々は一般に、以下
の決定を含む:腫瘍の型(Tと示される);その癌がリンパ節近辺に転移したか
否か(Nと示される);およびその癌は、体のより離れた部分に転移したか否か
(Mと示される)。この病期分類化の系は、TNM系と呼ばれる。一般に、癌が
、任意のリンパ節へ広がることなく主要な病変の領域においてのみ検出可能であ
る場合、それを病期Iと呼ぶ。癌が、最も近いリンパ節に対してのみ広がった場
合、それを病期IIを呼ぶ。病期IIIにおいて、その癌は一般に、主要な病変
の部位にほぼ近位のリンパ節に広がった。体の離れた部分(例えば、肝臓、骨、
脳、または別の部位)に広がった癌は、病期IVと呼ばれ、最も進行した状態で
ある。
【0210】 現在、病期分類化の決定は、病理学的技術を使用して行われ、そして腫瘍型の
特徴よりむしろ悪性組織の存在または非存在に基づく。悪性組織の存在または非
存在は、主に生検された領域における細胞の全体の形態学に基づく。本発明のポ
リヌクレオチドは、癌の攻撃力(例えば、転移の可能性)、ならびに体の異なる
領域における存在についてのマーカーを同定することによって、病期分類化プロ
セスの細密な調整を容易にし得る。従って、高い転移の可能性の癌を示すポリヌ
クレオチドを有する病期IIの癌は、境界上の病期IIの腫瘍を、病期IIIの
腫瘍に変化するために使用され得、このことはより積極的な治療を正当化する。
逆に、より低い転移可能性を示すポリヌクレオチドの存在は、腫瘍のより現状を
維持する病期分類化を可能にする。
【0211】 (癌の類別) 類別とは、腫瘍がそれと同じ型の正常細胞とどれくらい近く類似するかを記載
するために使用される用語である。腫瘍の微視的な外見に基づいて、病理学者は
、細胞形態、細胞組織化、および他の分化のマーカーのようなパラメーターに基
づく腫瘍の程度を同定する。一般的な規則として、腫瘍の程度は、その増殖速度
または攻撃性に対応する。つまり、未分化のまたは高い程度の腫瘍は、十分に分
化したまたは低い程度の腫瘍より、より急速に増殖する。腫瘍の程度についての
情報は、処置を計画し、そして予後を予測する際に有用である。
【0212】 The American Joint Commission on Ca
ncerは、腫瘍の類別についての以下の指針を推奨した:1)GX 程度が評
価され得ない;2)G1 十分に分化されている;3)G2 中程度によく分化
されている;3)G3 弱く分化されている;4)G4 未分化。類別は、ほと
んどの癌を記載するために病理学者により使用されるが、類別は、特定の型につ
いての処置計画において、他の型の処置計画より重要な役割を果す。1つの例は
、前立腺癌に特異的なグリーソン系であり、それは分化の度合いを記載するため
の度数を使用する。より低いグリーソンスコアは、よく分化された細胞を示す。
中間のスコアは、中程度に分化された細胞を有する腫瘍を示す。より高いスコア
は、弱く分化された細胞を示す。程度はまたは、脳腫瘍および軟部組織肉腫のい
くつかの型において重要である。
【0213】 本発明のポリヌクレオチドは、腫瘍の悪性度分類の決定において特に役立ち得
る。なぜならば、それらは、腫瘍の細胞の分化状態の決定を援助し得るのみなら
ず、それらは、腫瘍の攻撃性(例えば、転移の可能性)を決定するのに役立つ分
化以外の要素も同定し得るからである。
【0214】 (家族性癌遺伝子)多くの癌症候群が、特定の癌を発生する素因のメンデル遺
伝に連鎖する。以下の表は、遺伝され得る癌の型のリストを含み、そしてこれに
は、原因である遺伝子が同定されている。列挙されるほとんどの癌の型は、いく
つかの異なる遺伝的状態の一部として生じ得、それぞれ異なる遺伝子の改変によ
り引き起こされる。
【0215】
【化1】
【0216】 本発明のポリヌクレオチドは、任意の上記の症候群を有する患者をモニターす
るのに特に有用であり得、それらの症候群が全体の形態学的レベルで検出され得
る前に、分子レベルで潜在的な悪性の事象を検出する。表からわかり得るように
、多くの遺伝子が、複数の形態の癌に関与している。したがって、転移性結腸癌
に対して重要であるとして同定された本発明のポリヌクレオチドはまた、胃癌ま
たは子宮内膜癌と診断される患者に対して臨床的関与を有し得る。
【0217】 (肺癌)肺癌は、全ての癌症例の約15%、すなわち毎年170,000の新
症例の原因となる、米国で最も一般的な癌の一つである。現時点で、米国の半分
を超える肺癌の症例は、男性においてであるが、女性において見出される数も増
加しており、そしてすぐに男性と同じ数になるだろう。今日、乳癌で死ぬよりも
肺癌で死ぬ女性が多い。肺癌は、肺の大きな大きさゆえに特に診断および処置が
難しく、何年もの間発見されずに癌を発症させる。事実、肺癌は、何ら徴候を引
き起こすことなく、肺の外側に広がり得る。混乱を増すことに、肺癌の最も一般
的症例(咳の持続)は、しばし風邪または気管支炎と間違えられ得る。
【0218】 1ダースを超える異なる種類の肺癌が存在するが、肺癌の二つの主要な型は、
小細胞および非小細胞であり、それは全ての肺癌の症例の約90%を包含する。
通常、より大きな気管支の一つで始まる小細胞癌腫(燕麦細胞癌腫とも呼ばれる
)は、かなり急速に増殖し、そして診断時には大きくなっているようである。非
小細胞肺癌(NSCLC)は、3つの一般的サブタイプの肺癌からなる。通常、
類表皮癌腫(扁平上皮細胞癌腫ともよばれる)は、より大きな気管支の一つで始
まり、そして比較的遅く増殖する。これらの腫瘍の大きさは、とても小さなもの
から、かなり大きなものまでにおよび得る。腺癌は、肺の外表面付近での増殖に
始まり、そして大きさおよび増殖速度の両方において変化し得る。いくつかの増
殖の遅い腺癌は、肺胞細胞癌として記載される。大きな細胞癌腫は、肺の表面付
近で始まり、急速に増殖し、そして診断時には、増殖は通常かなり速くなってい
る。他のあまり一般的ではない形態の肺癌は、カルチノイド、円柱腫、粘膜類表
皮性中皮腫、および悪性中皮腫である。
【0219】 現在、CTスキャン、MRI、X線、痰細胞診断学、および生検が、非小細胞
肺癌の診断に用いられている。肺癌の形態および細胞起源は、外科的生検または
肺組織の注射針吸引いずれか由来の生検を通して主に診断され、そして通常、生
検は、X線で同定される異常性により促される。いくつかの症例において、痰細
胞診断学は、正常なX線を用いて患者において肺癌を示し得るか、または肺癌の
型を決定し得るが、正確な腫瘍の位置を特定し得ないので、陽性の痰細胞診断学
的検査には、通常さらなる検査が続けられる。これらの試験は、大部分を組織全
体の形態学に基づくので、特定の種類の腫瘍の診断は、主に主観的であり、そし
てこの診断は、臨床医の間で顕著に異なり得る。
【0220】 本発明のポリヌクレオチドは、肺癌の型の識別に用いられ得、ならびに特定の
患者の癌に特異的な形質を同定する。例えば、患者の生体組織検査が、低い転移
の可能性に関連するポリヌクレオチドを発現する場合、病巣を取り除くための手
術において、患者の肺の大部分を残すことを正当化し得る。あるいは、たとえ転
移が、病理学的検査により確認され得なかったとしても、高い転移の可能性に関
連するポリヌクレオチドの発現を有するより小さい病巣は、肺組織および/また
は周囲のリンパ節のより徹底的な除去を正当化し得る。
【0221】 同様に、本発明のポリヌクレオチドの発現は、結腸直腸癌の診断、予後、およ
び管理に用いられ得る。過形成におけるポリヌクレオチドの差示的発現は、転移
性の肺癌のための診断マーカーとして用いられ得る。この目的に特に有用である
本発明のポリヌクレオチドは、高い転移性の肺癌対低い転移性の肺癌の間での差
示的発現を示すポリヌクレオチド、すなわち、配列番号:9、34、42、62
、74、106、119、135、154、160、260、308、323、
349、361、369、371、381、395、および400である。より
高い転移の可能性を有する悪性の肺癌の検出は、任意のこれらの配列単独の発現
レベル、または他の公知の遺伝子の発現のレベルとの組み合わせた発現レベル、
を用いて決定され得る。
【0222】 (乳癌)National Cancer Institute(NCI)は
、米国において約8人に1人の女性が、彼女の生涯の間に乳癌を発症すると見積
もっている。臨床的な乳房検査および乳房撮影は、乳癌スクリーニングのために
組み合わされる様式として推奨され、そして癌の性質は、しばしば腫瘍の位置お
よび腫瘍が由来する細胞型に依存する。乳癌の大部分が、腺癌のサブタイプであ
り、それは以下に要約され得る: 腺管癌インサイチュ(DCIS):腺管癌インサイチュは、非襲撃性の乳癌の
最も一般的な型である。DCISにおいて、悪性の細胞は、その管の壁を通して
乳房の脂肪組織へ転移していない。面皰癌腫は、他の型のDCISよりも、乳腫
瘍摘出後の同じ部位に復帰するようであるDCISの型である。それは、他の形
態のDCISよりも侵襲性の腺管癌の最終的な発症により密接に結びついている
【0223】 浸潤(または侵襲性)腺管癌(IDC):この型の癌は、その管の壁を通じて
転移しており、そして乳房の脂肪組織に浸潤している。この点において、それは
、身体のより離れた部位への転移のために、リンパ系および血流を利用する可能
性を有する。浸潤性腺管癌は、乳癌の約80%の原因となる。
【0224】 上皮内小葉癌(LCIS):真性の癌ではないが、LCIS(小葉新生物とも
呼ばれる)は、非侵襲性の乳癌の型として時折分類される。それは、小葉の壁を
通じて浸透しない。それは、それ自体通常侵襲性の癌にならないが、この状態を
伴う女性は、同じ乳房において、または反対の乳房において侵襲性の乳癌を発生
するより高い危険性を有する。
【0225】 浸潤(または侵襲性の)小葉癌腫(ILC):ILCは、それが身体の他の場
所への転移の可能性を有する点でIDCに類似している。約10%〜15%の侵
襲性の乳癌が、侵襲性の小葉癌腫である。ILCは、IDCよりも乳房X線像に
よって検出することがより困難であり得る。
【0226】 炎症性の乳癌:この珍しい型の侵襲性の乳癌は、乳癌全体の約1%の原因であ
り、そして非常に攻撃的である。この癌に関連する複数の皮膚症状は、乳房を覆
う皮膚中のリンパ管またはリンパチャネルをブロックする癌細胞により引き起こ
される。
【0227】 髄様癌腫:この特別な型の浸潤性乳癌は、比較的良好に定義される、腫瘍組織
と正常組織との間の明確な境界を有する。これは乳癌の約5%の原因である。こ
の種類の乳癌についての予後は、他の型の侵襲性の乳癌よりも良い。
【0228】 粘液性癌腫:この珍しい型の侵襲性の乳癌は、粘液産生細胞で生じる。粘液性
癌腫についての予後は、より一般的な型の侵襲性の乳癌よりも良い。
【0229】 乳頭のパジェット病:この型の乳癌は、管の中で発症し、そして乳頭および乳
輪の皮膚へ広がる。それは、全症例の1%だけに起こる、珍しい型の乳癌である
。パジェット病は、インサイチュウ癌腫、または浸潤性乳房癌腫と関連があり得
る。乳房組織に塊が感じられず、そして生検がDCISを示すが、侵襲性の癌で
はない場合、予後はすばらしい。
【0230】 葉状腫瘍:このとても珍しい型の乳房腫瘍は、管または小葉において発症する
癌腫とは対照的に、乳房の支質から形成される。葉状(phylloidesと
も綴られる)腫瘍は、通常良性であるが、時折まれに悪性である。それにもかか
わらず、悪性の葉状腫瘍は、とても珍しく、そして一年あたりに米国においてこ
の疾患で死亡する女性は10人に満たない。良性葉状腫瘍は、正常乳房組織の塊
および狭い縁を取り除くことにより、首尾よく処置される。
【0231】 管状腺癌:全ての乳癌の約2%の原因となる、管状腺癌は、特殊な型の浸潤乳
癌である。それらは、通常の浸潤性腺管癌または小葉癌腫よりも良好な予後を有
する。
【0232】 臨床的乳房検査と組み合わされる高品質な乳房X線撮影は、乳癌の死亡率の減
少に明らかに結びついた唯一のスクリーニング方法として残っている。低用量X
線、フィルムイメージよりもデジタル化したコンピューターイメージ、そして診
断を補助するコンピュータープログラムの使用は、広範な普及についてほとんど
利用可能である。磁気共鳴映像法、超音波診断を含む、他の技術もまた開発され
ている。さらに、非常に低い放射線照射の技術であるポジトロン射出断層撮影法
は、初期の乳癌の検出の可能性を有する。
【0233】 組織間の遺伝子発現の違いを分析することにより、非癌性乳房組織と悪性乳房
組織との間を区別することもまた可能である。さらに、種々の可能な型の乳癌を
もたらす、いくつかの可能な改変があり得る。異なる型の乳房腫瘍(例えば、侵
襲性対非侵襲性、管対腋窩リンパ節)は、別の型の乳房腫瘍組織による遺伝子発
現における差異の同定によって相互に区別し得る(Porter−Jordan
ら、Hematol Oncol Clin North Am(1994)8
:73)。従って、乳癌は、乳房腫瘍と関連のある遺伝子の発現の検出により、
一般的に診断され得る。十分な情報が、種々の型の乳房腫瘍組織の間での異なる
遺伝子発現について利用可能である場合、特定の型の乳房腫瘍もまた診断され得
る。
【0234】 例えば、正常な乳房上皮(epithileum)における増加したエストロ
ゲンレセプター(ER)自体は、悪性組織の指標ではないが、乳癌の発症のリス
クマーカーとして公知である。Khan SAら、Cancer Res(19
94)54:993。悪性の乳癌は、組織のエストロゲンレセプターの状態に基
づく2つの群、ER−陽性およびER−陰性に、しばしば分類される。このER
状態は、異なる、生存期間およびホルモン療法への応答を示し、1)疾患の異な
る病期の指標か、または2)2つの類似しているが異なる疾患の間の差異をもた
らす指標のいずれかを示すと考えられる。K.Zhuら、Med.Hypoth
.(1997)49:69。他の多くの遺伝は、癌の異なる病期か、または類似
の乳癌の異なる型のいずれかの間での発現を変化させることが公知である。
【0235】 同様に、本発明のポリヌクレオチドの発現は、乳癌の診断および管理に用いら
れ得る。ヒト乳房腫瘍組織におけるポリヌクレオチドの発現の差異は、ヒト乳癌
に対する診断マーカーとして用いられ得る。この目的に特に有用である本発明の
ポリヌクレオチドは、高い転移の可能性を有する乳ガン組織と低い転移の可能性
を有する乳ガン組織との間で異なる発現を示す。すなわち、配列番号:9、42
、52、62、65、66、68、114、123、144、172、178、
214、219、223、258、317、および379、である。乳癌の検出
は、任意のこれらの配列の単独の、または組み合わせにおける発現レベルを用い
て決定し得る。乳癌の攻撃的な性質および/または転移の可能性の決定はまた、
本発明の1つ以上のポリヌクレオチドのレベルを比較すること、ならびにER発
現のような、癌性組織において変化することが公知の他の配列のレベルを比較す
ることにより決定され得る。さらに、乳癌の発症は、ステロイドホルモン(例え
ば、テストステロンまたはエストロゲン)、または他のホルモン(例えば、成長
ホルモン、インシュリン)レベルに対する配列番号、の割合を調べることにより
決定され得る。従って、特定のマーカーポリヌクレオチドの発現は、正常乳房組
織と癌性乳房組織との間の識別、起源の異なる細胞を有する乳癌の間での識別、
異なる潜在的な転移速度を有する乳癌の間での識別など、に用いら得る。
【0236】 乳癌の診断はまた、疾患組織の1つ以上の形態の比較において、悪性ではない
乳房組織サンプルにおける他の配列の発現と、本発明のポリヌクレオチドの発現
とを比較する工程を包含し得る。このサンプル間における本発明の1つ以上のポ
リヌクレオチドの発現の比較は、これらのポリヌクレオチドの相対的レベルにつ
いての情報、および正常と比較した目的の組織における他の配列の発現に対する
、これらのポリヌクレオチドの割合に関する情報を提供する。
【0237】 この乳癌の危険性は、BRCA−1およびBRCA−2における変異のような
、乳癌に対する遺伝的危険性の存在により有意に高められる。新しい診断の手段
が、より高い危険度の患者の要求に取り組むために開発されており、特に若い女
性の間で、乳癌の早期検出のための乳房X線撮影法、および生理学的検査を補っ
ている。片方の乳房または両方の乳房から収集された乳頭吸引液(NAF)サン
プルにおける抗原または発現マーカーの存在は、リスクの評価または癌の早期発
見に有用であり得る。無作為な細針吸引により得られる乳房の細胞学およびバイ
オマーカーは、異形型を有する過形成、ならびにp53およびEGFRの過剰発
現の同定に用いられている。本発明のポリヌクレオチドは、乳癌についてのリス
ク予測物および代わりの終了点バイオマーカーとして、p53およびEGFRの
ような遺伝子の発現研究と共に多変量解析に用いられ得る。
【0238】 診断および危険度の評価に用いられると同様に、特定の遺伝子の発現はまた、
疾患状態の予後と相関関係にあり得る。特定の遺伝子の発現は、c−erbB−
2、pS2、ER、プロゲステロンレセプター、上皮増殖因子レセプター(EG
FR)、neu、myc、bcl−2、int2、細胞質のチロシンキナーゼ、
サイクリンE、prad−1、hst、uPA、PAI−1、PAI−2、カテ
プシンD、の増加した発現、ならびに多数の癌特異的抗原(例えば、CEA、C
AM26、CAM29およびCA15.3)の存在を含む乳癌に対する予後の指
標として用いられている。Davis、Br.J.Biomed Sci.(1
996)53:157。好ましくない予後はまた、p53、Rb、nm23のよ
うな、特定の遺伝子の発現の増加に関連している。本発明のポリヌクレオチド分
子は、高い転移の可能性と、低い転移の可能性の組織の腫瘍との間で異なって発
現されるので、本発明のポリヌクレオチドの発現は、悪性の乳癌の転移の可能性
を決定するための予後の値であり得る。悪性の乳癌を有する患者におけるこれら
のポリヌクレオチドのレベルは、正常組織、公知の高い潜在的転移レベルを有す
る悪性組織、および公知のより低い潜在的転移レベルを有する悪性組織、と比較
され得、特定の患者の予後を提供する。このような予後は、癌の程度と性質を予
測する。この決定した予後は、疾患の初期の処置、および同一患者の長期間のモ
ニタリングの両方について、乳癌を有する患者の予後を決定する際に有意である
。サンプルが、ある時期にわたり同一個人から入手される場合、その患者に特異
的であるポリヌクレオチド発現における差異が同定され得、そして詳細に監視さ
れ得る。
【0239】 (結腸癌)結腸直腸の癌は、ヒトにおいて最も一般的な新生物の1つであり、
そしておそらく、遺伝性の新形成の最も頻繁な形態である。予防と早期検出は、
結腸直腸癌の制御および治療における重要な要素である。実際に、結腸直腸癌は
、肺癌に次いで、2番目にもっとも予防できる癌である。結腸直腸癌は、小さく
、結腸内の内層上に形成する細胞の良性増殖である、ポリープとして始まる。数
年の期間にわたり、これらのポリープのいくつかは、さらなる変異を蓄積し、そ
して癌性になる。結腸癌の全症例の約20%が、遺伝と関連していると考えられ
る。現在、複数の家族性の結腸直腸癌障害が同定されており、それは以下に要約
される: 家族性腺腫様ポリープ症(FAP):この状態は、結腸および直腸で数百また
は数千ものポリープを有する個体で生じ、これは、通常、十代の間にまず現れる
。癌は、ほぼ常に、30代から50代の間にこれらのポリープのうち1つ以上で
発生する。
【0240】 ガードナー症候群:FAPのように、ガードナー症候群は、若年齢で発生する
ポリープおよび結腸直腸癌を生じる。これは、皮膚、軟結合組織および骨の良性
腫瘍もまた引き起こし得る。
【0241】 遺伝性非ポリープ性結腸癌(hereditary nonpolyposi
s colon cancer)(HNPCC):この状態を有する人々は、多
くのポリープを最初に有することなく、若年齢で結腸直腸癌を発生する傾向があ
る。HNPCCは、約90%であると推定される種々の、しかし高浸透度で常染
色体優性の遺伝パターンを有する。HNPCCは、結腸直腸癌の全ての症例のう
ち0.5〜10%にみられる。HNPCC発生の背後にある機構の理解は、明ら
かになりつつあり、そして症状が現れる前に遺伝的に試験され(genetic
presymptomatic testing)、今や研究背景において行
われており、まもなくこの疾患の危険性があることが認められた個体についての
広範な根拠に対して利用可能である。
【0242】 アシュケナージユダヤ人家系の家族性結腸直腸癌:最近の研究では、東ヨーロ
ッパのいくらかのユダヤ人家系で結腸直腸癌が発生する遺伝的傾向がみられた。
FAP、ガードナー症候群およびHNPCCを有する人々のように、彼らの危険
性の増加は、アメリカユダヤ人の約6%に存在する遺伝的変異に起因する。
【0243】 現在では、いくつかの試験が、結腸直腸癌についてスクリーニングするために
使用されており、これらとしては、デジタル直腸試験(digital rec
tal examination)、糞便不顕性出血試験(fecal occ
ult blood test)、S状結腸検査、結腸鏡検査、虚像結腸鏡検査
(virtual colonoscopy)およびMRIが挙げられる。これ
らの試験の各々は、かなり全体的な形態学的レベルで、潜在的な結腸直腸癌病変
またはこれらの病変が発生する危険性を同定する。
【0244】 多くの遺伝子の配列変化は、悪性腺癌に関連する(DCC、p53、ras、
およびFAPの遺伝子を含む)。総説については、例えば、Fearon ER
ら、Cell(1990)61(5):759;Hamilton SRら、C
ancer(1993)72:957;Bodmer Wら、Nat Gene
t.(1994)4(3):217;Fearon ER、Ann N Y A
cad Sci.(1995)768:101を参照のこと。従って、分子遺伝
的変化は、結腸直腸癌腫の潜在的な診断および予後指標および結腸直腸癌腫の分
子遺伝学として有望である。なぜなら、分子マーカーを使用して結腸直腸新生物
の異なる型を区別することが可能であるからである。従って、結腸直腸癌は、一
般的に、結腸直腸腫瘍に関連する遺伝子の発現を検出することによって診断され
得る。
【0245】 同様に、本発明のポリヌクレオチドの発現は、結腸直腸癌の診断、予後、およ
び管理において使用され得る。過形成におけるポリヌクレオチドの示差的な発現
は、結腸癌についての診断マーカーとして使用され得る。このために特に有用で
ある本発明のポリヌクレオチドは、悪性転移性結腸癌と正常患者組織との間で示
差的な発現を示すポリヌクレオチドである(すなわち、配列番号52、119、
172、288)。悪性結腸癌の検出は、これらの配列のうちのいずれか単独の
発現レベルを使用するか、またはこの発現のレベルと組み合わせて決定され得る
【0246】 結腸癌の凝集性質および/または転移可能性の決定はまた、本発明の1つ以上
のポリヌクレオチドのレベルを比較し、そして癌組織で変化することが公知であ
る別の配列の全体的なレベル(例えば、p53発現)を比較することによって決
定され得る。さらに、結腸癌の発生は、オンコジーン(例えば、ras)または
腫瘍サプレッサ遺伝子(例えば、FAPもしくはp53)のレベルに対する、本
発明のポリヌクレオチドのいずれかの割合を調べることによって検出され得る。
従って、特異的なマーカーポリヌクレオチドの発現は、正常乳房組織と癌乳房組
織とを識別し、起源の異なる細胞を有する乳癌を区別し、異なる潜在的転移割合
を有する乳癌を区別するなどのために用いられ得る。
【0247】 (G.ペプチドアナログおよびアンタゴニストについてスクリーニングする
ためのポリヌクレオチドの使用) 本発明のポリヌクレオチドおよび対応する全長遺伝子によってコードされるポ
リペプチドは、ペプチドライブラリーをスクリーニングして、結合パートナー(
例えば、レセプター)をコードされたポリペプチドの中から同定するために使用
され得る。
【0248】 ペプチドのライブラリーは、米国特許第5,010,175号(’175)お
よびWO91/17823において開示される方法に従って、合成され得る。以
下に簡潔に記載されるように、ペプチドの混合物を調製して、次いで、これをス
クリーニングして、所望のシグナル伝達およびレセプター結合活性を示すペプチ
ドを同定する。’175方法において、適切なペプチド合成支持体(例えば、樹
脂)は、適切に保護され、活性化されたアミノ酸の混合物にカップリングされる
。反応混合物中の各アミノ酸の濃度は平衡化されるか、または産物が、開始樹脂
にカップリングしたアミノ酸の等モル混合物であるように、そのカップリング反
応速度に対して逆比例で調節される。次いで、結合したアミノ酸は脱保護され、
そして別の平衡化されたアミノ酸混合物と反応して、全ての可能なジペプチドの
等モル混合物を形成する。このプロセスは、所望の長さ(例えば、ヘキサマー)
のペプチド混合物が形成されるまで、繰り返される。各工程で全てのアミノ酸を
含む必要はないことに注意のこと:いくつかの工程で1または2アミノ酸を含み
得る(例えば、特定のアミノ酸が所定の位置で必須であることが公知の場合)た
めに混合物の複雑性を低減し得る。ペプチドライブラリー合成が完了した後に、
ペプチドの混合物は、選択したポリペプチドに対する結合についてスクリーニン
グされる。次いで、このペプチドは、活性を阻害または増強する能力について試
験される。次いで、所望の活性を示すペプチドが単離され、そして配列決定され
る。
【0249】 WO91/17823に記載される方法は、類似している。しかし、合成樹脂
と活性化されたアミノ酸の混合物とを反応させる代わりに、樹脂を20等分に(
または、その工程で添加される異なるアミノ酸の数に対応する多くの部分に)分
けて、そして各アミノ酸を樹脂のその部分に個々にカップリングさせる。次いで
、この樹脂部分を合わせ、混合し、そして再び第2のアミノ酸との反応のために
多くの等分に分ける。この様式で、各反応を容易に完了させ得る。さらに、並行
して部分を処理することによって、各工程で全ての樹脂を合わせるよりむしろ、
別個の「サブプール」を維持し得る。これは、どのペプチドが任意の観察された
レセプター結合活性またはシグナル伝達活性を担うかを決定するプロセスを簡単
にする。
【0250】 このような場合において、例えば、それぞれ1〜2,000の候補物を含むサ
ブプールを本発明の1つ以上のポリペプチドに曝す。次いで、陽性結果を生じる
各サブプールは、例えば、20〜100の候補物を含む、より小さなサブプール
(サブ−サブプール)の群として再合成され、そして再アッセイされる。陽性サ
ブ−サブプールは、個々の化合物として再合成され得、そして最終的にはアッセ
イされて、高結合定数を示すペプチドを決定し得る。これらのペプチドは、ネイ
ティブな活性を阻害または増強する能力について試験され得る。WO91/78
23および米国特許第5,194,392号(本明細書中に参考として援用され
る)に記載される方法は、並行して自動化された技術によって、全ての合成およ
び再合成が約数日で行われ得るように、このようなプールおよびサブプールの調
製を可能にする。
【0251】 ペプチドアゴニストまたはアンタゴニストを、任意の利用可能な方法(例えば
、シグナル伝達、抗体結合、レセプター結合、マイトジェンアッセイ、走化性ア
ッセイなど)を使用してスクリーニングする。本明細書中で記載される方法が現
在好ましい。アッセイ条件は、理想的には、ネイティブな活性がインビボで示さ
れる条件(すなわち、生理的pH、温度、およびイオン強度の下で)に似ている
べきである。適切なアゴニストまたはアンタゴニストは、被験体で毒性の副作用
を引き起こさない濃度でネイティブな活性の強力な阻害または増強を示す。ネイ
ティブなポリペプチドへの結合について競合するアゴニストまたはアンタゴニス
トは、ネイティブな濃度以上の濃度を必要とし得るが、一方で、ポリペプチドに
不可逆的に結合し得るインヒビターは、ネイティブな濃度の桁における濃度で添
加され得る。
【0252】 このようなスクリーニングおよび実験法の最終的な結果は、本発明のポリヌク
レオチドに対応する遺伝子またはcDNAによってコードされる、少なくとも1
つの新規のポリペプチド結合パートナー(例えば、レセプター)、および新規の
結合パートナーの少なくとも1つのペプチドアゴニストまたはアンタゴニストで
ある。このようなアゴニストおよびアンタゴニストは、レセプターがネイティブ
である細胞または遺伝子操作の結果としてレセプターを保有する細胞でのレセプ
ター機能を調節するか、増強するか、または阻害するために使用され得る。さら
に、新規なレセプターが公知のレセプターと生物学的に重要な特徴を共有する場
合、アゴニスト/アンタゴニスト結合についての情報は、公知のレセプターの改
善されたアゴニスト/アンタゴニストの開発を容易にし得る。
【0253】 (H.薬学的組成物および治療的用途) 薬学的組成物は、本願発明のポリペプチド、抗体、またはポリヌクレオチドを
含み得る。この薬学的組成物は、本願発明のポリペプチド、抗体、またはポリヌ
クレオチドのいずれかの治療的有効量を含む。
【0254】 本明細書中に使用される用語「治療的有効量」とは、所望の疾患もしくは状態
を処置、回復、または予防するか、あるいは検出可能な治療的効果または予防効
果を示す治療的薬剤の量をいう。この効果は、例えば、化学的マーカーまたは抗
原レベルによって検出され得る。治療的効果はまた、身体的な症状の低減(例え
ば、体温の低下)を含む。被験体のための正確な有効量は、被験体のサイズおよ
び健康状態、状態の性質および程度、ならびに投与のために選択された治療剤ま
たは治療剤の組み合わせに依存する。従って、予め正確な有効量を特定すること
は有益ではない。しかし、所定の状況についての有効量は、慣用的な実験法によ
って決定され、そしてこれは、臨床医の裁量内である。本発明の目的のために、
有効容量は、一般的に、投与される個体におけるDNA構築物について、約0.
01mg/kg〜50mg/kgであるか、または0.05mg/kg〜約10
mg/kgである。
【0255】 薬学的組成物はまた、薬学的に受容可能なキャリアを含み得る。用語「薬学的
に受容可能なキャリア」とは、治療的薬剤(例えば、抗体またはポリペプチド、
遺伝子、および他の治療的薬剤)の投与のためのキャリアをいう。この用語は、
任意の薬学的キャリアをいい、これは、それ自体が組成物を受ける個体に有害な
抗体の産生を誘導せず、そして過度の毒性なく投与され得る。適切なキャリアと
しては、大きく、ゆっくりと代謝される巨大分子(例えば、タンパク質、ポリサ
ッカライド、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマーのアミノ酸、アミノ酸コポ
リマー、および不活化ウイルス粒子)であり得る。このようなキャリアは、当業
者に周知である。
【0256】 薬学的に受容可能な塩類が、薬学的組成物中で使用され得る(例えば、塩酸塩
、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩などのような無機酸の塩類;および酢酸塩、
プロピオン酸塩、マロン酸塩、安息香酸塩などのような有機酸の塩類)。薬学的
に受容可能な賦形剤の徹底的な議論は、Remington’s Pharma
ceutical Sciences(Mack Pub.Co.,N.J.1
991)で利用可能である。
【0257】 治療的組成物中の薬学的に受容可能なキャリアは、水、生理食塩水、グリセロ
ールおよびエタノールのような液体を含み得る。補助物質(例えば、湿潤剤また
は乳化剤、pH緩衝化物質など)もまた、このようなビヒクル中に存在し得る。
代表的には、治療的組成物は、注射可能物として(例えば、液体溶液もしくは懸
濁物;注射可能物中の溶液もしくは懸濁液のために適切な固体形態のいずれかと
して)調製され得、注射前に液体ビヒクルがまた調製され得る。リポソームは、
薬学的に受容可能なキャリアの規定内に含まれる。
【0258】 送達方法。一旦処方されると、本発明の組成物は、(1)被験体に直接投与
され得る(例えば、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドとして)か;(2)被
験体から得られた細胞にエキソビボで送達され得る(例えば、エキソビボ遺伝子
治療として)か;または(3)組換えタンパク質の発現のためにインビトロで送
達され得る(例えば、ポリヌクレオチド)。組成物の直接送達は、一般的に、皮
下、腹腔内、静脈内、もしくは筋肉内のいずれかで注射によって達成されるか、
または組織の間質腔(interstitial space)に送達される。
組成物はまた、腫瘍または病変内に投与され得る。投与の他の様式としては、経
口および肺投与、坐剤、ならびに経皮的適用、針、および遺伝子銃(gene
gun)もしくはハイポスプレー(hypospray)が挙げられる。投薬処
置は、単回用量スケジュールまたは複数回用量スケジュールであり得る。
【0259】 エキソビボ送達および被験体への形質転換細胞の再移植のための方法は、当該
分野で公知であり、そして例えば、国際公開WO93/14778に記載される
。エキソビボ適用で有用な細胞の例としては、例えば、幹細胞、特に造血細胞、
リンパ球、マクロファージ、樹状細胞または腫瘍細胞が挙げられる。一般的に、
エキソビボおよびインビトロ適用の両方についての核酸の送達は、例えば、デキ
ストラン媒介トランスフェクション、リン酸カルシウム沈澱、ポリブレン媒介ト
ランスフェクション、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、リポソー
ムでのポリヌクレオチドの被包化、および核へのDNAの直接マイクロインジェ
クションによって達成され得、これらは全て、当該分野で周知である。
【0260】 一旦本発明のポリヌクレオチドに対応する遺伝子が、増殖性障害(例えば、新
生物、形成異常、および過形成)と相関することが見いだされると、この障害は
、提供されたポリヌクレオチドまたは対応するポリペプチドに基づいた治療的薬
剤を投与することによって処置に対して敏感に反応し得る。
【0261】 アンチセンスポリヌクレオチドの調製は、上記で議論される。アンチセンス組
成物で処置された新生物としては、子宮頚癌、黒色腫、結腸直腸腺癌、ウィルム
ス腫瘍、網膜芽腫、肉腫、筋肉腫、肺癌腫、白血病(例えば、慢性骨髄性白血病
、前骨髄細胞性白血病(promyelocytic leukemia)、単
球性白血病、および骨髄性白血病)、ならびにリンパ腫(例えば、細網肉腫)が
挙げられるが、これらに限定されない。治療的組成物で処置される増殖性障害と
しては、皮質の遺伝性無発汗性外胚葉性形成異常(anhydric here
ditary ectodermal dysplasia)、先天性の肺胞の
形成異常(alveolar dysplasia)、頸部の上皮形成異常、繊
維性骨形成異常、および乳房形成異常のような障害が挙げられる。過形成、例え
ば、子宮内膜、副腎、乳房、前立腺、もしくは甲状腺の過形成または皮膚の偽上
皮腫性増殖は、本発明のポリヌクレオチドに基づくアンチセンス治療的組成物を
用いて処置される。対応する遺伝子中での変異が関連しない障害においてすら、
本発明のポリヌクレオチドに対応する遺伝子の発現のダウンレギュレーションま
たは阻害は、治療適用を有し得る。例えば、遺伝子発現を減少させることは、遺
伝子の増強した発現が関連する腫瘍を抑制することを助け得る。
【0262】 アンチセンス組成物の用量および投与手段の両方は、治療的組成物の特定の質
、患者の状態、年齢、および体重、疾患の進行、ならびに他の関連する因子に基
づいて決定される。本発明の治療的アンチセンス薬剤の投与としては、局所(l
ocal)または全身投与(注射、経口投与、パーティクルガンまたはカテーテ
ルでの投与を含む)、ならびに局所的(topical)投与が挙げられる。好
ましくは、治療的アンチセンス組成物は、発現構築物を含み、この発現構築物は
、プロモーターおよび本明細書中に開示されたポリヌクレオチドのアンチセンス
鎖の少なくとも12、22、25、30、または35の連続するヌクレオチドの
ポリヌクレオチドセグメントを含む。発現構築物内に、ポリヌクレオチドセグメ
ントがプロモーターの下流に配置され、そしてポリヌクレオチドセグメントの転
写をプロモーターで開始する。
【0263】 種々の方法を使用して、身体の特定の部位に治療的組成物を直接投与する。例
えば、小さな転移性病変に配置され、そして治療組成物が腫瘍体内部のいくつか
の異なる位置に数回注射される。あるいは、腫瘍に作用する動脈を同定し、そし
て腫瘍に組成物を直接送達するために、治療的組成物がそのような動脈に注入さ
れる。壊死性の中心を有する腫瘍が吸引され、そしてここで空になった腫瘍の中
心に組成物を直接注入する。アンチセンス組成物は、例えば、組成物の局所的適
用によって、腫瘍の表面に直接投与される。X線画像化を使用して、特定の上記
の送達方法を補助する。
【0264】 アンチセンスポリヌクレオチド、サブゲノムポリヌクレオチド、または特定の
組織に対する抗体を含む治療的組成物のレセプター媒介標的化送達もまた使用さ
れる。レセプター媒介DNA送達技術は、例えば、Findeisら、Tren
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enkeら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)(1990)
87:3655;Wuら、J.Biol.Chem.(1991)266:33
8に記載される。好ましくは、本発明の抗体を含む治療的組成物のレセプター媒
介標的化送達を使用して、特定の組織に抗体を送達する。
【0265】 アンチセンスサブゲノムポリヌクレオチドを含む治療的組成物は、遺伝子治療
プロトコルの局所的投与について約100ng〜約200mgのDNAの範囲で
投与される。約500ng〜約50mg、約1μg〜約2mg、約5μg〜約5
00μg、および約20μg〜約100μgのDNAの濃度範囲もまた、遺伝子
治療プロトコルの間に使用され得る。作用方法および形質転換および発現の有効
性のような因子は、考慮すべき事項であり、これは、アンチセンスサブゲノムポ
リヌクレオチドの最終的な有効性に必要とされる投薬に影響を及ぼす。より多い
発現が組織のより大きな領域にわたって所望される場合、より多量のアンチセン
スサブゲノムポリヌクレオチドもしくは投与の連続プロトコルでの同量の再投与
、または例えば、腫瘍部位に隣接する異なる組織、もしくはそこに近接する組織
部分への数回の投与が陽性の治療結果をもたらすために必要であり得る。全ての
場合において、臨床治験での慣用的な実験法によって、最適な治療効果について
の特定の範囲が決定される。遺伝子治療ベクター(特に、レトロウイルスベクタ
ー)のより完全な記載は、米国特許出願第08/869,309号(これは、明
らかに、本明細書中に参考として援用される)および以下のG節に含まれる。
【0266】 抗炎症活性を有するポリペプチドまたはタンパク質をコードするポリヌクレオ
チドに関連する遺伝子、適切な使用、用量、および投与については、米国特許第
5,654,173号に記載される。治療的薬剤はまた、本発明のポリヌクレオ
チドによってコードされるタンパク質およびポリペプチドに対する抗体、ならび
に米国特許第5,654,173号に記載される関連遺伝子が挙げられる。
【0267】 (I.遺伝子治療) 本発明の治療的ポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、遺伝子送達ビヒクル
において利用し得る。遺伝子送達ビヒクルは、ウイルスまたは非ウイルス起源で
あり得る(一般的には、Jolly、Cancer Gene Therapy
(1994)1:51;Kimura、Human Gene Therapy
(1994)5:845;Connelly、Human Gene Ther
apy(1995)1:185;および Kaplitt、Nature Ge
netics(1994)6:148を参照のこと)。本発明の治療的なコード
配列を含む構築物の送達のための遺伝子治療ビヒクルは、局所的にまたは全身的
にのいずれかで投与され得る。これらの構築物は、ウイルスまたは非ウイルスベ
クターのアプローチを利用し得る。そのようなコード配列の発現は、内因性の哺
乳類のプロモーターまたは異種のプロモーターの使用により誘導され得る。コー
ド配列の発現は、構成的であり得るか、または調節され得る。
【0268】 本発明は、目的の選択された核酸分子を、運搬または発現するために構築され
る組換えレトロウイルスを利用し得る。利用され得るレトロウイルスベクターは
、以下に記載されているものを含む:EP 0 415 731;WO 90/
07936;WO 94/03622;WO 93/25698;WO 93/
25234;米国特許第5,219,740号;WO 93/11230;WO
93/10218;VileおよびHart、Cancer Res.(19
93)53:3860;Vileら、Cancer Res.(1993)53
:962;Ramら、Cancer Res.(1993)53:83;Tak
amiyaら、J.Neurosci.Res.(1992)33:493;B
abaら、J.Neurosurg.(1993)79:729;米国特許第4
,777,127号;GB特許第2,200,651号;およびEP0 345
242。好ましい組換えレトロウイルスは、WO 91/02805に記載さ
れるものを含む。
【0269】 前述のレトロウイルスベクター構築物との使用に適したパッケージ細胞株は、
容易に調製され得(例えば、WO 95/30763およびWO 92/052
66を参照のこと)、そして組換えベクター粒子を産生するための生産細胞株(
ベクター細胞株とも呼ばれる)の作製のために用いられ得る。本発明の特に好ま
しい実施態様において、パッケージ細胞株は、ヒト(例えば、HT1080細胞
)またはミンク親細胞株から作られ、それによって、ヒト血清中で不活化状態で
生存し得る、組換えレトロウイルスの産生を可能にする。
【0270】 本発明はまた、遺伝子送達ビヒクルとして機能し得るアルファウイルスを基礎
としたベクターも用いる。そのようなベクターは、例えば、シンドビスウイルス
ベクター、セムリキ森林ウイルス(ATCC VR−67;ATCC VR−1
247)、ロス川ウイルス(ATCC VR−373;ATCC VR−124
6)およびベネズエラウマ脳炎ウイルス(ATCC VR−923;ATCC
VR−1250;ATCC VR−1249;ATCC VR−532)を含む
広範な種々のアルファウイルスから構築され得る。これらを含むそのようなベク
ター系の代表的な例としては、米国特許第5,091,309号、同第5,21
7,879号および同第5,185,440号;WO 92/10578;WO
94/21792;WO 95/27069;WO 95/27044;およ
びWO 95/07994に記載されるものが挙げられる。本発明の遺伝子送達
ビヒクルはまた、アデノ関連ウイルス(AAV)ベクターのようなパルボウイル
スを利用し得る。AAVベクターを含む代表的な例は、WO 93/09239
のSrivastava、Samuskiら、J.Virol.(1989)6
3:3822;Mendelsonら、Virol.(1988)166:15
4;およびFlotteら、PNAS(1993)90:10613により開示
された。
【0271】 それらを含むアデノウイルスベクターの代表的な例が、以下に記載された:B
erkner、Biotechniques(1988)6:616;Rose
nfeldら、Science(1991)252:431;WO 93/19
191;Kollsら、PNAS(1994)91:215;Kass−Eis
lerら、PNAS(1993)90:11498;Guzmanら、Circ
ulation(1993)88:2838;Guzmanら、Cir.Res
.(1993)73:1202;Zabnerら、Cell(1993)75:
207;Liら、Hum.Gene Ther.(1993)4:403;Ca
ilaudら、Eur.J.Neurosci.(1993)5:1287;V
incentら、Nat.Genet.(1993)5:130;Jaffeら
、Nat.Genet.(1992)1:372;およびLevreroら、G
ene(1991)101:195に記載されたものが挙げられる。本発明に利
用可能な例示的なアデノウイルス遺伝子治療ベクターはまた、以下の記載にも含
まれる:WO 94/12649、WO 93/03769;WO 93/19
191;WO 94/28938;WO 95/11984およびWO 95/
00655。Curiel、Hum.Gene Ther.(1992)3:1
47に記載されるように殺したアデノウイルスに連結したDNAの投与が、利用
され得る。
【0272】 他の遺伝子送達ビヒクルおよび方法が、利用され得る。これには、以下を含む
:殺した単独のアデノウイルスに連結した、または連結していないポリカチオン
の凝集DNA(例えば、Curiel、Hum.Gene Ther.(199
2)3:147);リガンド連結DNA(例えば、Wu、J.Biol.Che
m.(1989)264:16985を参照のこと);真核生物細胞送達ビヒク
ル細胞(例えば、米国特許第5,814,482号;WO 95/07994;
WO 96/17072;WO 95/30763およびWO 97/4233
8;を参照のこと);光重合したヒドロゲル物質の沈殿物;米国特許第5,14
9,655号に記載されるハンド保有遺伝子転移パーティクルガン;米国特許第
5,206,152号およびWO 92/11033に記載される、電離放射線
;核荷電中性化または細胞膜との融合。さらなるアプローチが、Philip、
Mol.Cell.Biol.(1994)14:2411およびWoffen
din、Proc.Natl.Acad.Sci.(1994)91:1581
に記載される。
【0273】 裸のDNAもまた、利用し得る。裸のDNAの例示的な導入方法が、WO 9
0/11092および米国特許第5,580,859号に記載される。取り込み
効率が、生物分解性ラテックスビーズの使用により改良され得る。ラテックスビ
ーズにコートされたDNAは、このビーズによるエンドサイトーシスの開始後、
細胞内へ効率的に輸送された。本方法は、疎水性を増すためのビーズの処置によ
り、さらに改良され得、そしてそれにより、エンドソームの破壊を容易にし得、
そして細胞質内へのDNAの放出を容易にし得る。遺伝子送達ビヒクルとして働
き得るリポソームが、米国特許第5,422,120号;WO 95/1379
6;WO 94/23697;WO 91/14445;およびEP 0524
968に記載される。
【0274】 使用に適したさらなる非ウイルス送達は、Woffendinら、Proc.
Natl.Acad.Sci.USA(1994)91(24):11581に
記載されるアプローチのような機械的送達系を含む。さらにコード配列およびそ
のような発現の産物は、光重合したヒドロゲル物質の沈殿物を通じて送達され得
る。コード配列の送達に用い得る遺伝子送達の従来の他の方法は、以下を含む:
例えば、米国特許第5,149,655号に記載されるハンド保有遺伝子転移パ
ーティクルガンの使用;米国特許第5,206,152号およびWO 92/1
1033に記載される、転移された遺伝子の活性化のための電離放射線の使用。
【0275】 本発明は、特に有利な実施態様に示す以下の実施例に参考として例証される。
しかし、これらの実施態様は例証的であり、そしていかなる方法においても本発
明を制限しないことを意図することに注意するべきである。
【0276】 (実施例) 本発明は、ここで特に有利な実施態様を示す以下の実施例に参考として例証さ
れる。しかし、これらの実施態様は例証的であり、そしていかなる方法において
も本発明を制限しないことを意図する。
【0277】 (実施例1: 生物学的な物質の供給源および生物学的な物質により発現され
る新規のポリヌクレオチドの概要) KM12L4−Aヒト結腸癌細胞株(Morika、W.A.K.ら、Can
cer Research(1988)48:6863)を、細胞から単離した
mRNA由来cDNAライブラリーの構築のために用いた。前述の概要に記載し
たように、Km12L4−A細胞株により発現された全てで4,693の配列を
、単離および分析した;最も多い配列は、約275〜300ヌクレオチド長のも
のであった。Km12L4−A細胞株は、KM12C細胞株由来である。転位性
に乏しい(低転位性の)KM12C細胞株を、Dukes’ stage B2 外科用検体由来の培養物において樹立した(Morikawaら、Cancer
Res.(1988)48:6863)。このKML4−Aは、KM12C由
来の高転位性のサブラインである(Yeatmanら、Nucl.Acids.
Res.(1995)23:4007;Bao−Lingら、Proc.Ann
u.Meet.Am.Assoc.Cancer.Res.(1995)21:
3269)。このKM12CおよびKM12C由来細胞株(例えば、KM12L
4、KM12L4−Aなど)は、結腸癌の研究のためのモデル細胞株として当該
分野において充分に認識されている(例えば、Moriakawaら、前出;R
adinskyら、Clin.Cancer Res.(1995)1:19;
Yeatmanら、(1995)前出;Yeatmanら、Clin.Exp.
Metastatis(1996)14:246を参照のこと)。
【0278】 この配列をまず、XBLASTマスキングプログラム(Claverie「E
ffective Large−Scale Sequence Simila
rity Searches」:Computer Methods for
Macromolecular Sequence Analysis、Doo
little編、Meth.Enzymol.266:212−227 Aca
demic Press、NY、NY(1996);特にClaverie、「
Automated DNA Sequencing and Analysi
s Techniques」Adamsら編、Chap.36、p.267 A
cademic Press、San Diego、1994およびClave
rieら、Comput.Chem.(1993)17:191)を用いて、低
複雑性配列を除去するためにマスクした。一般的に、マスクは、それらのlox
複雑性のために関連する小さな目的の排除、およびAluリピートのような複数
の配列に共通な反復領域への類似性に基づく複数の「hit」の除去を除いて、
最終の調査結果には影響しない。マスクにより、43の配列が排除された。次い
で残る配列を、BLASTN vs.Genbank調査に用いた。この調査に
は、70%を超える重複、99%の同一性および1×10-40未満のp値の調査 パラメータを用い、この調査は、1,432の配列を破棄した。この調査からの
配列はまた、包括的なパラメータが適合するその配列は、リボソームまたはベク
ター由来であった場合、破棄される。
【0279】 前述の調査により得られた配列は、3つのグループ(以下に示す、1、2およ
び3)に分類され、そしてBLASTX vs.NRP(非縮重タンパク質)デ
ータベース調査によって調査された:(1)不明(Genbank調査による該
当無し)、(2)弱い類似性(同一性は、45%より大きく、そしてp値は、1
×10-5未満である)、および(3)高い類似性(60%より大きい重複、80
%より大きい同一性、および1×10-5未満のp値)。この調査により、70%
より大きい重複、99%より大きい同一性、および1×10-40未満のp値を有 する98の配列が破棄された。
【0280】 残った配列は、不明(該当無し)、弱い類似性、および高い類似性(上述のパ
ラメータ)に分類された。2つの調査がこれらの配列において実行された。初め
に、BLAST vs.ESTデータベース調査は、1771の配列を破棄した
(99%より大きい重複、99%より大きい類似性、および1×10-40未満の p値を有する配列;ヒト起源のデータベース配列と比較した場合、1×10-65 未満のp値を示す配列もまた除去された)。第2にBLASTN vs.Pat
ent GeneSeqデータベースは、15の配列を除去した(99%より大
きい同一性;1×10-40未満のp値;99%より大きい重複)。
【0281】 残っている配列は、他の方法およびデータセットにおける重複性を用いてスク
リーニングに共した。ヒト起源のデータベース配列との関係における1×10-1 11 未満のp値を有する配列が、特に排除された。最終的に、添付した配列表に挙
げた404配列を得た。配列表は、調査したデータベース上のいかなる配列とも
類似性を有さない配列からはじめ、そして、最も高い類似性を有する配列で終わ
るように配置した。同定されたそれぞれのポリヌクレオチドは、少なくとも一部
のmRNA転写産物からの配列を示した。新規であると同定されたポリヌクレオ
チドは、配列番号を決定した。
【0282】 新しいポリヌクレオチドは、配列番号1〜404と決定した。新しいポリヌク
レオチドに対応しているDNA配列を、配列表に表す。配列の大多数は、5’か
ら3’方向に配列表に列挙される。25の少ない数だけが、5’から3’の方向
に配列表に表記されるが、この配列は、実際3’から5’へと書かれる。これら
の配列は、容易に、表1(特許請求の範囲の前に挿入)に配列名で「AR」の名
称となっている。配列表において、5’から3’方向へ正しく列挙された配列は
、「AF」と命名される。従って、ここに提出した配列表は、逆の順に列挙され
た25の配列を含み、それは配列番号47、97、137、171、173,1
79、182、194、200、202、213、227、258、264、2
75、302、313、324、329、330、331、338、358、3
79、および404と名づけられている。
【0283】 提供されたポリヌクレオチドは、部分的なmRNA転写産物を示すため、本発
明の2つ以上のポリヌクレオチドは、同じmRNA転写産物および同じ遺伝子の
異なる領域を示し得る。従って、2つ以上の配列番号が、同じクローンに属する
と同定された場合、次いで、いずれの配列も、全長mRNAまたは遺伝子を獲得
するために用いられ得る。
【0284】 配列番号1〜404の配列を確認するために、これらのポリヌクレオチドに対
応したクローンのインサートが、再び配列決定された。これらの「確証(val
idation)」配列は、配列番号405〜800に提供される。これらの確
証配列は、しばしばもとのポリヌクレオチド配列よりも長かった。これらを確認
し、従って、しばしばさらなる配列情報を提供する。確証配列は、もとの配列と
相関関係であり得、それらは、表1で同じクローン名を共有する配列番号1〜4
04、および配列番号405〜800の確証配列の配列の同定により確認され得
る。
【0285】 (実施例2: 遺伝子産物の機能を同定するための公共データベース調査の結
果) 配列番号1〜404および確証配列配列番号405〜800は、個々の配列で
ベストの整列を決定するために3つ全てのリーディングフレームにおいて、翻訳
された。これらのアミノ酸配列およびヌクレオチド配列は、一般的に個々の配列
に対して配置された照会配列として参照される。照会および個々の配列は、ht
tp://ww.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/で世界中の
ウェブにわたって利用可能であるBLASTプログラムを用いて整列された。再
度この配列を、上記の実施例1に記載した、低複雑性をマスクするためのXBL
ASTプログラムを用いて、反復性配列またはポリA配列の調査を妨げる種々の
範囲に対してマスクした。
【0286】 表2(特許請求の範囲の前に挿入)は、整列の結果を示す。表2は、その配列
番号、:GenbankおよびNon−Redundant Protein調
査からの最も近縁物の受託番号および記述、ならびにその調査結果のp値により
それぞれの配列を言及する。表1で、配列名、クローン番号、およびクラスタに
よりそれぞれの配列番号を同定した。上述のように、1つのクラスタは、同じ遺
伝子または遺伝子ファミリーを示すポリヌクレオチド、および一般的に同じ遺伝
子産物をコードしている配列を示すポリヌクレオチドを含む。
【0287】 配列番号1〜800のそれぞれについて、タンパク質配列またはDNA配列の
ベストな配置が、表2に含まれる。配列番号1〜800にコードされたポリペプ
チドの活性が、表2において報告された最も近縁であるものに同じかまたは類似
している。最も近縁なものの受託番号が報告され、最も近縁なものにより提示さ
れた活性に対する参照を提供する。調査プログラムおよびデータベースが、整列
のために用いられ、またp値の算出のために同様に示された。
【0288】 最も近縁なポリヌクレオチド配列の全長の配列またはフラグメントが、配列番
号1〜800の全長配列の同定および単離のためにプローブおよびプライマーと
して用いられ得る。最も近縁な配列が、配列番号1〜800の全長配列のための
ライブラリー構築に用いるための組織または細胞型を示し得る。
【0289】 配列番号1〜800およびそれらの翻訳産物は、他の種の公知遺伝子のヒトホ
モログ、または公知のヒト遺伝子の新しい対立遺伝子変異体であり得る。そのよ
うな場合において、これらの新規のヒト配列は、診断薬または治療薬として適し
ている。診断において、配列番号1〜800のヒト配列は、他の種のホモログよ
りもヒト細胞株および型の検出および分化において、より特異性を示す。配列番
号1〜800によってコードされるヒトポリペプチドは、ヒトに投与した場合、
他の種からのホモログよりも低免疫原性であるようである。さらに、ヒトへの投
与において、配列番号1〜800でコードされるポリペプチドは、より特異性を
示し得るか、または他の種からのホモログであるよりも他のヒトタンパク質によ
ってよりよく調節され得る。
【0290】 (実施例3: タンパク質ファミリーのメンバー) 上記の本明細書記載のプロフィール調査を行なった後、本発明のポリヌクレオ
チドのいくつかが、公知のタンパク質ファミリーの属するポリペプチドの特徴を
有するポリペプチド(従って、これらのタンパク質ファミリーの新しいメンバー
を意図する)および/または、公知の機能的ドメインを含有するポリペプチドを
コードすることが見出された(表3)。従って、本発明は、本明細書において同
定されたタンパク質ファミリー、および/または機能的なドメインと関係した生
物学的活性を保持する、そのようなポリヌクレオチドのフラグメント、融合体、
および改変体を包含する。
【0291】
【表3】
【0292】 開始および停止は、示した配列番号を有する問合せ配列とアラインメントした
個々の配列内の位置を示す。方向(Dir)は、個々の配列に関する問合せ配列
の方向を示し、ここで正方向(for)は、アラインメントが、配列表に提供し
た配列と同じ方向(左から右)であることを示し、そして逆方向(rev)は、
アラインメントが配列表に提供した配列に相補的な配列とであることを示す。
【0293】 いくつかのポリヌクレオチドは、複数のプロフィールヒットを示した。なぜな
ら、例えば、特定の配列は、重複するプロフィール領域を含み、そして/または
この配列は2つの異なる機能的ドメインを含むからである。これらのプロフィー
ルヒットは、以下でより詳細に記載される。
【0294】 a)4回膜貫通内在性膜タンパク質。配列番号24、41、101,157、
341、および395は、4回膜貫通セグメント内在性膜タンパク質ファミリー
(膜貫通4ファミリー)のメンバーであるポリペプチドをコードする配列に対応
する。膜貫通4ファミリーのタンパク質は、多数の進化的に関連した真核生物細
胞表面抗原を含む(Levyら,J.Biol.Chem.,(1991)26
6:14597;Tomlinsonら,Eur.J.Immunol.(19
93)23:136;Barclayら The leucocyte ant
igen factbooks.(1993)Academic Press,
London/San Diego)。このファミリーに属するタンパク質は、
以下を含む:1)哺乳動物抗原CD9(MIC3)(これは、血小板活性化およ
び凝集に関与する);2)哺乳動物白血球抗原CD37(Bリンパ球上に発現さ
れる);3)哺乳動物白血球抗原CD53(OX−44)(これは、造血細胞に
おける増殖調節に関与する);4)哺乳動物リソソーム膜タンパク質CD63(
黒色腫関連抗原ME491;抗原AD1);5)哺乳動物抗原CD81(細胞表
面タンパク質TAPA−1)(これはリンパ腫細胞増殖の調節に関与する);6
)哺乳動物抗原CD82(タンパク質R2;抗原C33;Kangai 1(K
AI1))(これは、CD4またはCD8に関連し、そしてTCR/CD3経路
についての補助的刺激シグナルを送達する);7)哺乳動物抗原CD151(S
FA−1;血小板内皮4回貫通抗原3(platelet−endotheli
al tetraspan antigen 3;PETA−3));8)哺乳
動物細胞表面糖タンパク質A15(TALLA−1;MXS1);9)哺乳動物
新規抗原2(NAG−2);10)ヒト腫瘍関連抗原CO−029;11)マン
ソン住血吸虫および日本住血吸虫23Kd表面抗原(SM23/SJ23)。
【0295】 4回貫通ファミリーのメンバーは、いくつかの特徴を共有する。第1に、これ
らは全て、明らかにIII型膜タンパク質であり、これは、生合成の間に切断さ
れず、かつトランスロケーションシグナルおよび膜アンカーの両方として機能す
るN末端膜固定ドメインを含有する内在性膜タンパク質である。このファミリー
のメンバーはまた、3つのさらなる膜貫通領域、少なくとも7個の保存されたシ
ステイン残基を含み、そしてほぼ同じサイズである(218〜284残基)。こ
れらのタンパク質は、総称して、「膜貫通4スーパーファミリー」(TM4)と
して公知である。なぜなら、これらは、原形質膜を4回貫通するからである。こ
れらのタンパク質のドメイン構造の模式図は、以下の通りである:
【0296】
【化2】
【0297】 ここで、Cytは、細胞質ドメインであり、TMaは膜貫通アンカーであり;T
M2〜TM4は膜貫通領域2〜4を表し、「C」は保存されたシステインであり
、そして「*」はコンセンサスパターンの位置を示す。コンセンサスパターンは 、2つの膜貫通ドメインの間の短い細胞質ループ内に位置する2つのシステイン
を含む保存された領域にまたがる。コンセンサスパターン:G−x(3)−[L
IVMF]−x(2)−[GSA]−[LIVMF](2)−G−C−x−[G
A]−[STA]−x(2)−[EG]−x(2)−[CWN]−[LIVM]
(2)。
【0298】 b)7回膜貫通内在性膜タンパク質。配列番号24、41、101、157、
291、305、315、および341は、7回膜貫通レセプターファミリーの
メンバーであるポリペプチドをコードする配列に対応する。Gタンパク質共役レ
セプター(Strosberg,Eur.J.Biochem.(1991)1
96:1;Kerlavage,Curr.Opin.Struct.Biol
.(1991)1:394;およびProbstら,DNA Cell Bio
l.(1992)11:1;およびSavareseら,Biochem.J.
(1992)293:1)(R7Gとも呼ばれる)は、細胞外シグナルをグアニ
ンヌクレオチド結合(G)タンパク質との相互作用により情報伝達する、ホルモ
ン、神経伝達物質、臭気物質および光レセプターの広範なグループである。これ
らのレセプターの三次構造は、非常に類似すると考えられる。これらは、7個の
疎水性領域を有し、その各々は、膜を貫通する可能性が最も高い。N末端は、膜
の細胞の外側に位置し、そしてしばしばグリコシル化され、一方、C末端は細胞
質であり、そして一般にリン酸化される。3個の細胞外ループは、3個の細胞内
ループと互い違いになり、7個の膜貫通領域を連結する。ほとんどだが全てでは
ないこれらのレセプターは、シグナルペプチドを欠く。これらのタンパク質の最
も保存された領域は、膜貫通領域および最初の2個の細胞質ループである。保存
された酸性−Arg−芳香族トリプレットは、2番目の細胞質ループのN末端の
末端に存在し(Attwoodら,Gene(1991)98:153)、そし
てGタンパク質との相互作用に関与し得る。
【0299】 この広く行き渡ったファミリーのタンパク質を検出するために、保存されたト
リプレットを含み、そしてまた第3の膜貫通へリックスの主要部分にまたがるパ
ターンを用いる。7回膜貫通レセプターファミリー、ならびにそれらの同定およ
び使用のための方法についてのさらなる情報は、米国特許第5,759,804
号に見出される。部分的には、細胞表面上でのそれらの発現および他の魅力的な
特徴によって、7回膜貫通タンパク質ファミリーのメンバーは、薬物の標的とし
て、表面抗原マーカーとして、および薬物送達標的(例えば、独立して治療剤と
して抗7回膜貫通タンパク質抗体の抗体−薬物複合体および/または使用を用い
て)として特に興味深い。
【0300】 c)Ank反復。配列番号116および251は、Ank反復含有タンパク質
をコードするポリヌクレオチドを示す。アンキリンモチーフは、24個のタンデ
ムな33アミノ酸モチーフを有するタンパク質アンキリンにちなんで名付けられ
た33アミノ酸配列である。Ank反復は、もともと細胞周期制御タンパク質c
dc10(Breedenら,Nature(1987)329:651)とし
て同定された。アンキリン反復を含有するタンパク質としては、アンキリン、ミ
オトロピン(myotropin)、I−κBタンパク質、細胞周期タンパク質
cdc10、Notchレセプター(Matsunoら,Developmen
t (1997)124(21):4265);主要組織適合遺伝子複合体のク
ラスIII領域のG9a(またはBAT8)(Biochem J.290:8
11−818,1993)、FABP、GABP、53BP2、Lin12、g
lp−1、SW14、およびSW16が挙げられる。アンキリン反復の機能は、
タンパク質間相互作用における役割と適合する(Bork,Proteins(
1993)17(4):363;LambertおよびBennet、Eur.
J.Biochem.(1993)211:1;Kerrら,Current
Op.Cell Biol.(1992)4:496;Bennetら,J.B
iol.Chem.(1980)255:6424)。
【0301】 アンキリンの90kDのN末端ドメインは、一連の24個の33アミノ酸an
kl反復を含む。(Luxら,Nature(1990)344:36−42,
Lambertら,PNAS USA(1990)87:1730)。24個の
ank反復は、それぞれ6反復からなる4つの折り畳まれたサブドメインを形成
する。これらの4つの反復サブドメインは、少なくとも7個の異なるファミリー
の膜タンパク質との相互作用を媒介する。アンキリンは、陰イオン交換体ダイマ
ーに対する2つの別個の結合部位を含有する。一方の部位は、反復サブドメイン
2(反復7〜12)を利用し、そして他方は両方の反復サブドメイン3および4
(反復13〜24)を必要とする。陰イオン交換体はダイマーで存在するので、
アンキリンは、4つの陰イオン交換体を同時に結合する(Michaelyおよ
びBennett、J.Biol.Chem.(1995)270(37):2
2050)。反復モチーフは、チューブリン、スペクトリン、および他の膜タン
パク質とのアンキリン相互作用に関与する(Luxら,Nature(1990
)344:36)。
【0302】 Rel/NF−κB/Dorsalファミリーの転写因子は、I−κBと呼ば
れる阻害タンパク質に関連した細胞質における隔離により制御される活性を有す
る(Gilmore,Cell(1990)62:841;NolanおよびB
altimore,Curr Opin Genet Dev.(1992)2
:211;Baeuerle,Biochem Biophys Acta(1
991)1072:63;Schmitzら,Trends Cell Bio
l.(1991)1:130)。I−κBタンパク質は、5〜8コピーの33ア
ミノ酸アンキリン反復を含み、そして特定のNF−κB/relタンパク質はま
た、一連のアンキリン反復を含むp105NF−κBを含むシス作用性アンキリ
ン反復含有ドメインにより調節される(DiehlおよびHannink,J.
Virol.(1993)67(12):7161)。I−κBおよびCact
us(これもまたアンキリン反復を含む)は、Rel相同性ドメインとの差示的
な相互作用を介してアクチベーターを阻害する。この遺伝子ファミリーは、プロ
トオンコジーンを含み、従って、I−κBは正常な遺伝子発現および細胞を癌性
にする異常な遺伝子発現の両方に広範に関連する(NolanおよびBalti
more,Curr Opin Genet Dev.(1992)2(2):
211−220)。rel/NF−κBおよびpp40/I−κBβの場合、ア
ンキリン反復およびカルボキシ末端ドメインの両方は、DNA結合活性およびp
p40/I−κBβタンパク質のrel/NF−κBタンパク質との直接的な会
合を阻害するために必要とされる。pp40/I−κBβのアンキリン反復およ
びカルボキシ末端は、rel相同ドメインと会合してDNA結合活性を阻害する
構造を形成する(Inoueら,PNAS USA(1992)89:4333
)。
【0303】 転写因子サブユニットGABPβのアミノ末端における4個のアンキリン反復
は、GABPαサブユニットと相互作用して機能的な高親和性DNA結合タンパ
ク質を形成するために必要とされる。これらの反復は、GABPがその標的配列
に結合される場合にDNAに架橋され得る(Thompsonら,Scienc
e(1991)253:762;LaMarcoら,Science(1991
)253:789)。
【0304】 心肥大の開始に重要な役割を有する12.5kDaタンパク質であるミオトロ
フィン(myotrophin)は、アンキリン反復を含む。アンキリン反復は
、ヘアピン様突出チップ、それに続くヘリックスターンヘリックスモチーフに特
有である。反復のV型ヘリックスターンヘリックスは、順番に束に積み重なり、
そして緻密な疎水性コアにより安定化され、それゆえ、突出チップはそれほど順
番つけられていない d)種々の細胞活性と関連付けられるATPase(AAA)。「多様な細胞
活性と関連付けられるATPase」(AAA)タンパク質ファミリーの新規メ
ンバーをコードする配列番号63、116、134、136、151、384、
および404ポリヌクレオチド。AAAタンパク質ファミリーは、ATP結合部
位を含む約220アミノ酸の保存された領域を共有する多数のATPaseから
構成される(Froehlichら,J.Cell Biol.(1991)1
14:443;Erdmannら Cell(1991)64:499;Pet
ersら,EMBO J.(1990)9:1757;Kunauら,Bioc
himie(1993)75:209−224;Confalonieriら,
BioEssays(1995)17:639;http://yeamob.
pci.chemie.uni−tuebingen.de/AAA/Desc
ription.html)。このファミリーに属するタンパク質は、1個また
は2個のいずれかのAAAドメインを含む。
【0305】 2個のAAAドメインを含有するタンパク質は以下を含む:1)小胞体とゴル
ジとの間、ならびに異なるゴルジ嚢間の細胞内輸送に関与する哺乳動物およびキ
イロショウジョウバエ属(drosophila)NSF(N−エチルマレイミ
ド感受性融合タンパク質)および真菌ホモログであるSEC18。;2)小胞体
からゴルジ装置への膜移動に関与する、哺乳動物移行小胞体ATPase(以前
にp97またはVCPとして知られた)。このATPaseは、6個のサブユニ
ットから構成される環状ホモオリゴマーを形成する。酵母ホモログであるCDC
48は、紡錘極増殖に役割を果たす。;3)ペルオキシソームアセンブリに必須
の酵母タンパク質PAS1およびPichia pastoris由来の関連タ
ンパク質PAS1;4)酵母タンパク質AFG2;5)光を細胞分裂に連結する
情報伝達経路の一部であり得る、Sulfolobus acidocalda
riusタンパク質SAVおよびHalobacterium salinar
ium cdcH。
【0306】 単一のAAAドメインを含有するタンパク質は、以下を含む:Escheri
chia coliおよび他の細菌のftsH(またはhflB)タンパク質。
FtsHは、熱ショックσ−32因子を分解するATP依存性ジンクメタロペプ
チダーゼであり、そしてAAAドメインおよびプロテアーゼドメインの両方を含
む大きな細胞質C末端ドメインを有する内在性膜タンパク質である;2)ミトコ
ンドリア区画の統合性を維持するために重要なタンパク質である酵母タンパク質
YME1。YME1はまた、ジンク依存性プロテアーゼである;3)酵母タンパ
ク質AFG3(またはYTA10)。このタンパク質はまた、AAAドメイン、
続いてジンク依存性プロテアーゼドメインを含む;4)ユビキチン化タンパク質
のATP依存性分解に関与する26Sプロテアソーム(Hiltら,Trend
s Biochem.Sci.(1996)21:96)の調節複合体由来のサ
ブユニット(このサブユニットは、以下を含む:a)哺乳動物4、ならびに他の
高等真核生物のホモログ、酵母のホモログ(遺伝子YTA5)、および分裂酵母
のホモログ(遺伝子mts2);b)哺乳動物6(TBP7)、ならびに他の高
等真核生物のホモログおよび酵母のホモログ(遺伝子YTA2);c)哺乳動物
サブユニット7(MSS1)、ならびに他の高等真核生物のホモログおよび酵母
のホモログ(遺伝子CIM5またはYTA3);d)哺乳動物サブユニット8(
P45)、ならびに他の高等真核生物のホモログおよび酵母のホモログ(SUG
1またはCIM3またはTBY1)および分裂酵母のホモログ(遺伝子let1
);e)他の有望なサブユニットとしては、ヒトTBP1(これは、ウイルスの
tatトランスアクチベータータンパク質と相互作用することによりHIV遺伝
子発現に影響を与える)、ならびに酵母YTA1およびYTA6が挙げられる;
5)酵母タンパク質BCS1(Rieske鉄−硫黄タンパク質の発現に必須の
ミトコンドリアタンパク質);6)タンパク質のミトコンドリア内局在に関与す
る、酵母タンパク質MSP1;7)酵母タンパク質PAS8ならびにPichi
a pastoris由来の対応するタンパク質PAS5およびYarrowi
a lipolytica由来のPAY4;8)マウスタンパク質SKD1およ
びその分裂酵母ホモログ(SpAC2G11.06);9)線虫(Caenor
habditis elegans)減数分裂紡錘形成タンパク質mei−1;
10)酵母タンパク質SAP1;11)酵母タンパク質YTA7;ならびに12
)Mycobacterium leprae仮想タンパク質(hypothe
tical protein)A2126A)。
【0307】 一般に、これらのタンパク質におけるAAAドメインは、ATP依存性タンパ
ク質クランプとして作用する(Confalonieriら(1995)Bio
Essays 17:639)。このドメインのN末端側半分に存在するATP
結合「A」および「B」モチーフに加えて、非常に保存された領域が、特徴パタ
ーンの開発に用いられたドメインの中心部分に存在する。コンセンサスパターン
は、[LIVMT]−x−[LIVMT]−[LIVMF]−x−[GATMC
]−[ST]−[NS]−x(4)−[LIVM]−D−x−A−[LIFA]
−x−Rである。
【0308】 e)塩基性領域およびロイシンジッパー転写因子。配列番号374は、塩基性
領域およびロイシンジッパー転写因子のファミリーの新規メンバーをコードする
ポリヌクレオチドに対応する。真核生物DNA結合転写因子のbZIPスーパー
ファミリー(Hurst,Protein Prof.(1995)2:105
;およびEllenberger,Curr.Opin.Struct.Bio
l.(1994)4:12)は、配列特異的DNA結合を媒介する塩基性領域、
続いてダイマー化に必要とされるロイシンジッパーを含有するタンパク質を包含
する。このファミリーのメンバーは、SV40およびメタロチオネインIIAの
シス調節領域におけるエンハンサーエレメントに選択的に結合する転写因子AP
−1を含む。c−junとしても公知のAP−1は、トリ肉腫ウイルス17(A
SV17)オンコジーンv−junの細胞ホモログである。
【0309】 このタンパク質ファミリーの他のメンバーは、jun−Bおよびjun−D(
jun/AP−1に非常に類似する有望な転写因子);fosタンパク質(c−
junと非共有結合ダイマーを形成するプロトオンコジーン);fos関連タン
パク質fra−1、およびfosB;ならびに哺乳動物cAMP応答エレメント
(CRE)結合タンパク質CREB、CREM、ATF−1、ATF−3、AT
F−4、ATF−5、ATF−6、およびLRF−1を含む。このタンパク質フ
ァミリーについてのコンセンサスパターンは、[KR]−x(1,3)−[RK
SAQ]−N−x(2)−[SAQ](2)−x−[RKTAENQ]−x−R
−x−[RK]である。
【0310】 f)ブロモドメイン。配列番号97は、以下のタンパク質に見出される約70
アミノ酸の保存された領域であるブロモドメイン領域(Haynesら,199
2,Nucleic Acids Res.20:2693−2603,Tam
kunら,1992,Cell 68:561−572,およびTamkun,
1995,Curr.Opin.Genet.Dev.5:473−477)を
有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに対応する:1)高等真核生
物転写開始因子TFIID 250 Kdサブユニット(TBP関連因子p25
0)(遺伝子CCG1);P250は、TFIID TATAボックス結合タン
パク質と会合し、そして細胞周期のG1期の進行に必須なようである。2)MH
CクラスII遺伝子座にコードされる機能不明のタンパク質である、ヒトRIN
G3;3)リン酸化されたCREBタンパク質に特異的に結合することによりc
AMP遺伝子調節を媒介する、哺乳動物CREB結合タンパク質(CBP);4
)brahmaの哺乳動物ホモログ(3つのbrahma様ヒト(SNF2a(
hBRM)、SNF2b、およびBRG1)を含む);5)アデノウイルスE1
Aに結合し、E1Aのトランス活性化を阻害するタンパク質、ヒトBS69;6
)ヒトperegrin(またはBr140)。
【0311】 ブロモドメインは、タンパク質間相互作用に関与すると考えられ、そして転写
活性化に関与する多成分複合体のアセンブリまたは活性に重要であり得る。ブロ
モドメインの主要部分にまたがるコンセンサスパターンは、[STANVF]−
x(2)−F−x(4)−[DNS]−x(5,7)−[DENQTF]−Y−
[HFY]−x(2)−[LIVMFY]−x(3)−[LIVM]−x(4)
−[LIVM]−x(6,8)−Y−x(12,13)−[LIVM]−x(2
)−N−[SACF]−x(2)−[FY]である。
【0312】 g)EFハンド。配列番号136、242、および379は、EFハンドタン
パク質のファミリーにおける新規タンパク質をコードするポリヌクレオチドに対
応する。多くのカルシウム結合タンパク質は、同じ進化ファミリーに属し、そし
てEFハンドとして公知の型のカルシウム結合ドメインを共有する(Kawas
akiら,Protein.Prof.(1995)2:305−490)。こ
の型のドメインは、両方の側に12残基のαヘリックスドメインが隣接する12
残基ループからなる。EFハンドループでは、カルシウムイオンは、五角双角錐
(pentagonal bipyramidal)配置において配位結合する
。結合に関与する6残基は、1位、3位、5位、7位、9位、および12位に存
在し;これらの残基はX、Y、Z、−Y、−X、および−Zにより示される。1
2位の不変のGluまたはAsp(二座配位子)は、Caを連結する2つの酸素
を提供する。
【0313】 EFハンド領域を含むことが公知のタンパク質は以下を含む:カルモジュリン
(酵母においてCa=3であることを除いてCa=4)(「Ca=」は、EFハ
ンド領域のおよその数を示す);ジアシルグリセロールキナーゼ(EC2.7.
1.107)(DGK)(Ca=2);2)哺乳動物由来のFAD依存性グリセ
ロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(EC1.1.99.5)(Ca=1);
グアニル酸シクラーゼ活性化タンパク質(GCAP)(Ca=3);MIF関連
タンパク質8(MRP−8またはCFAG)およびMIF関連タンパク質14(
MRP−14)(Ca=2);ミオシン調節軽鎖(Ca=1);オンコモジュリ
ン(oncomodulin)(Ca=2);オステオネクチン(基底膜タンパ
ク質BM−40)(SPARC);ならびに「オステオネクチン」ドメインを含
有するタンパク質(QR1、マトリックス糖タンパク質SC1)。
【0314】 コンセンサスパターンは、完全なEFハンドループならびにループに続きかつ
常に疎水性であるようである最初の残基を含む。
【0315】 コンセンサスパターン:D−x−[DNS]−{ILVFYW}−[DENS
TG]−[DNQGHRK]−{GP}−[LIVMC]−[DENQSTAG
C]−x(2)−[DE]−[LIVMFYW]。
【0316】 h)真核生物のアスパルチルプロテアーゼ。配列番号308は、新規な真核生
物のアスパルチルプロテアーゼをコードする遺伝子に対応する。酸プロテアーゼ
として公知であるアスパルチルプロテアーゼ(EC3.4.23.−)は、脊椎
動物、真菌、植物、レトロウイルスおよびいくつかの植物ウイルスに存在するこ
とが公知である、広範に分布したタンパク質分解酵素のファミリーである(Fo
ltmann B.、Essays Biochem.(1981)17:52
;Davies D.R.、Annu.Rev.Biophys.Chem.(
1990)19:189;Rao J.K.M.ら、Biochemistry
(1991)30:4663)。真核生物のアスパルチル(aspartate
)プロテーゼは、2つのドメインからなる単量体酵素である。各ドメインは、触
媒性アスパルチル残基の中心に活性部位を含む。この2つのドメインは、最もお
そらく、始原的なドメインをコードする祖先の遺伝子の複製から進化した。現在
公知である真核生物のアスパルチルプロテーゼは、以下を含む;1)脊椎動物の
胃のペプシンAおよびC(ガストリクシンとしても公知である);2)消化に関
与し、そしてチーズの製造に使用される、脊椎動物のキモシン(レンニン);3
)脊椎動物のリソソームのカテプシンD(EC3.4.23.5)およびE(E
C3.4.23.34);4)血漿中でアンジオテンシノゲンからアンジオテン
シンIを生成する機能である哺乳動物のレニン(EC3.4.23.15);5
)アスペルギロペプシンA(EC3.4.23.18)、カンジダペプシン(E
C3.4.23.24)、ムコロペプシン(mucoropepsin)(EC
3.4.23.23)(mucorレンニン)、エンドチアペプシン(endo
thiapepsin)(EC3.4.23.22)、ポリポロペプシン(po
ryporopepsin)(EC.3.4.23.29)、およびリゾプスペ
プシン(rhizopuspepsin)(EC.3.4.23.21)のよう
な真菌のプロテアーゼ;ならびに6)酵母サッカロペプシン(saccharo
pepsin)(EC.3.4.23.25)(プロテイナーゼA)(遺伝子P
EP4)。PEP4は、液胞の加水分解酵素の翻訳後調節に関与する;7)酵母
バリアペプシン(EC.3.4.23.35)(遺伝子BAR1);α因子を切
断し、従って、交配フェロモンのアンタゴニストとして作用するプロテアーゼ;
ならびに8)交配フェロモンを分解することかまたはプロセスすることに関与す
る分裂酵母sxal。
【0317】 大部分のレトロウイルスおよびいくつかの植物ウイルス(例えば、Badna
virus)は、約95〜125アミノ酸鎖のホモ二量体であるアスパルチルプ
ロテーゼをコードする。大部分のレトロウイルスにおいて、このプロテアーゼは
、ウイルスの成熟プロセスの際に、切断されるポリタンパク質のセグメントとし
てコードされる。それは、一般に、polポリタンパク質の部分であり、そして
さらに例外的には、gagポリタンパク質の部分である。真核生物のアスパルチ
ルプロテーゼの2つのアスパラギン酸の周囲およびウイルスプロテアーゼの単一
活性部位の周囲の配列が、保存されているので、単一指示(signature
)パターンを使用し、プロテアーゼの両方の群のメンバーを同定し得る。このコ
ンセンサスパターンは、[LIVMFGAC]−[LIVMTADN]−[LI
VFSA]−D−[ST]−G−[STAV]−[STAPDENQ]−x−[
LIVMFSTNC]−x−[LIVMFGTA]であり、ここでDは、活性部
位残基である。
【0318】 i)転写因子のGATAファミリー。配列番号213は、転写因子GATAフ
ァミリーの新規なメンバーに対応する。転写因子GATAファミリーは、多数の
遺伝子の調節領域内に見出されるコンセンサス配列(A/T)GATA(A/G
)を有するDNA部位に結合するタンパク質である。このファミリーに属する現
在公知のタンパク質は、以下である:1)グロビン遺伝子および赤血球系細胞に
発現される他の遺伝子のGATA領域に結合する、GATA−1(Traino
r,C.D.ら,Nature(1990)343:92)(Eryf1、GF
−1またはNF−E1としても公知である)。これは、おそらく赤血球系の発達
に対し一般的な「スイッチ」因子として働く転写アクチベーターである;2)内
皮細胞におけるエンドセリン−1遺伝子発現を調節する転写アクチベーターであ
る、GATA−2(Lee,M.E.ら、J.Biol.Chem.(1991
)266:16188);3)T細胞レセプターαおよびδ遺伝子のエンハンサ
ーに結合する転写アクチベーターである、GATA−3(Ho,I.−C.ら,
EMBO J.(1991)10:1187);4)内胚葉由来組織および心臓
に発現される転写アクチベターである、GATA−4(Spieth,J.ら、
Mol.Cell.Biol.(1991)11:4651);5)achae
te−scute複合体(as−c)のリプレッサーとして作用するDroso
philaタンパク質パニエ(pannier)(またはDGATAa)(遺伝
子pnr);6)絨毛膜遺伝子の発現を調節する、Bombyx mori B
CF1(Drevet,J.R.ら、J.Biol.Chem.(1994)2
69:10660);7)ビテロゲニン遺伝子(Hawkins,M.G.ら、
J.Biol.Chem.(1995)270:14666)を含む、GATA
領域を含む遺伝子の転写アクチベーターである、Caenorhabditis
elegansのelt−1およびelt−2;8)ヘモジデリン貪食細胞の
生合成の抑制に関与するタンパク質である、Ustilago maydis
urbsl(Voisard,C.P.O.ら、Mol.Cell.Biol.
(1993)13:7091);9)分裂酵母タンパク質GAF2。
【0319】 全てのこれらの転写因子は、コンセンサス配列C−x2−C−x17−C−x
2−Cを有する高い類似性の「ジンクフィンガー」型ドメインの対を含む。いく
つかの他のタンパク質は、GATA転写因子のジンクフィンガーに高度に関する
単一のジンクフィンガーモチーフを含む。これらのタンパク質は、以下である:
1)転写アクチベータータンパク質として機能し得、そして脂肪体の器官形成に
おいて重要な役割を果たし得るDrosophila box A−bindi
ng因子(ABF)(タンパク質serpent(遺伝子srp)としても公知
である);2)Emericella nidulans(Arst,H.N.
,Jr.ら,Trends Genet.(1989)5:291)は、窒素代
謝産物抑制を媒介する転写アクチベーターである;3)窒素制限条件下の間、種
々の第2級窒素供給源の使用に必要とされる酵素をコードする遺伝子の発現を生
じる転写アクチベーターである、Neurospora crassa nit
−2(Fu,Y.−H.ら、Mol.Cell.Biol.(1990)10:
1056);4)光調節遺伝子の発現を制御する、Neurospora cr
assa白色タンパク質1および2(WC−1およびWC−2);5)陰性窒素
調節タンパク質である、Saccharomyces cerevisiae
DAL81(またはUGA43);6)陽性窒素調節タンパク質である、Sac
charomyces cerevisiaeのGLN3;7)Sacchar
omyces cerevisiae GAT1;8)Saccharomyc
es cerevisiaeのGZF3。
【0320】 GATAファミリーについてのコンセンサスパターンは、C−x−[DN]−
C−x(4,5)−[ST]−x(2)−W−[HR]−[RK]−x(3)−
[GN]−x(3,4)−C−N−[AS]−Cであり、ここで4つのCは亜鉛
リガンドである。
【0321】 j)G−タンパク質αサブユニット。配列番号367は、Gタンパク質αサブ
ユニットファミリーの新規なポリペプチドをコードする遺伝子に対応する。グア
ニンヌクレオチド結合タンパク質(Gタンパク質)は、細胞外活性化内在性膜レ
セプターを細胞内エフェクター(例えば、セカンドメッセンジャー分子の濃度を
変動するイオンチャネルおよび酵素)に共役させる膜会合タンパク質のファミリ
ーである。Gタンパク質は、静止状態では、形質膜の内面において三量体として
会合する3つのサブユニット(α、βおよびγ)からなる。このαサブユニット
は、それに結合するグアノシンジホスフェート(GDP)の分子を有する。活性
化レセプターによるGタンパク質の刺激は、そのGTP(グアノシントリホスフ
ェート)に対する交換を生じる。これは、二量体としていつも密接に会合したま
まである、βおよびγサブユニットからのαサブユニットの分離を生じる。次い
で、αサブユニットおよびβ−γサブユニットの両方は、個別的かまたは共同的
な様式のいずれかで、エフェクターと相互作用し得る。このαサブユニットの内
因性GTPアーゼ活性は、結合GTPをGDPに加水分解する。これは、αサブ
ユニットをその不活性な立体配座に戻し、そしてそれとβ−γサブユニットとの
再会合を可能にし、従って、この系をその静止状態に回復する。
【0322】 Gタンパク質αサブユニットは、350〜400アミノ酸長であり、そして4
0〜45kDaの範囲の分子量を有する。17個の異なる型のαサブユニットが
、哺乳動物において同定されている。これらは、配列類似性および機能の両方に
基づいて4つの主要な群に分類される:α−s、α−q、α−iおよびα−12
(Simonら,Science(1993)252:802)。多数のαサブ
ユニットは、コレラまたは百日咳毒素によるADPリボシル化に対する基質であ
る。それらは、通常、ミリスチンおよび/またはパルミチンを伴って、N末端が
しばしばアシル化され、そしてこれらの脂肪酸修飾は、おそらく、膜会合および
他のタンパク質との高親和性相互作用のために重要である。哺乳動物の視覚に関
与する、Gタンパク質のαサブユニットであるトランスデューシンの原子構造は
、GTP結合型およびGDB結合型の両方において解明されており、そしてヌク
レオチド結合領域において、他のグアニンヌクレオチド結合タンパク質(例えば
、p21−rasおよびEF−Tu)に対して、一次構造および三次構造の両方
において考慮すべき類似性を示す。
【0323】 k)ホルボールエステル/ジアシルグリセロール結合。配列番号188および
配列番号251は、ホルボールエステル/ジアシルグリセロール結合タンパク質
を含むファミリーに属するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを表す。ジ
アシルグリセロール(DAG)は、重要なセカンドメッセンジャーである。ホル
ボールエスエル(PE)は、DAGのアナログであり、そして細胞および組織の
両方に投与される場合、種々の生理的な変化を生じる強力な腫瘍プロモーターで
ある。DAGは、プロテインキナーゼC(PKC)として集団的に公知である、
セリン/トレオニンプロテインキナーゼのファミリーを活性化する(Azziら
,Eur.J.Biochem.(1992)208:547)。ホルボールエ
ステルは、直接的にPKCを刺激し得る。C1として公知である、このPKCの
N末端領域は、リン脂質依存性および亜鉛依存性の様式で、PEおよびDAGに
結合することが示されている(Onoら、Proc.Natl.Acad.Sc
i.USA(1989)86:4868)。このC1領域は、約50アミノ酸残
基長のシステインに富んだドメインの1つまたは2つのコピー(PKCのアイソ
ザイムに依存する)を含み、そしてDAG/PE結合に必須である。このような
ドメインはまた、例えば、以下のタンパク質に見出されている。
【0324】 (1)DAGをホスファチジン酸に変換する酵素であるジアシルグリセロール
キナーゼ(EC2.7.1.107)(DGK)(Sakaneら,Natur
e(1990)344:345)。これは、そのN末端節において2コピーのD
AG/PE結合ドメインを含む。少なくとも5つの異なる型のDGKが、哺乳動
物において公知である;ならびに (2)脳特異的タンパク質である、N−キマエリン(chimaerin)は
、そのC末端部分において、BCRタンパク質と配列類似性を示し、そしてその
N末端部分において単一コピーのDAG/PE結合ドメインを含む。それは、ホ
ルボールエステルに結合し得ることが示されている(Ahmedら、Bioch
em.J.(1990)272:767、およびAhmedら、Biochem
.J.(1991)280:233)。
【0325】 このDAG/PE結合ドメインは、2つの亜鉛イオンを結合する;これらの金
属イオンに対するリガンドは、おそらく、このドメインにおいて保存される6つ
のシステインおよび2つのヒスチジンである。この指示パターンは、このDAG
/PEドメインに完全にまたがっている。このコンセンサスパターンは、H−x
−[LIVMFYW]−x(8,11)−C−x(2)−C−x(3)−[LI
VMFC]−x(5,10)−C−x(2)−C−x(4)−[HD]−x(2
)−C−x(5,9)−Cである。全てのCおよびHは、結合亜鉛におそらく関
与する。
【0326】 I)プロテインキナーゼ。配列番号202、配列番号315、配列番号367
、および配列番号397は、プロテインキナーゼをコードするポリヌクレオチド
を表す。プロテインキナーゼは、種々の経路においてタンパク質のリン酸化を触
媒し、そして癌に関係する。真核生物のプロテインキナーゼ(Hanks S.
K.ら、FASEB J.(1995)9:576;Hunter T.、Me
th.Enzymol.(1991)200:3;Hanks S.K.ら、M
eth.Enzymol.(1991)200:38;Hanks S.K.、
Curr.Opin.Struct.Biol.(1991)1:369;Ha
nks S.K.ら、Science(1988)241:42)は、セリン/
トレオニンプロテインキナーゼおよびチロシンプロテインキナーゼの両方に共通
の保存された触媒コアを共有する非常に広範なタンパク質のファミリーに属する
酵素である。プロテインキナーゼの触媒ドメインにおいて多数の保存された領域
が存在する。2つの保存された領域は、プロテインキナーゼのプロフィールにお
ける指示パターンのための基礎である。触媒ドメインのN最末端に位置する第1
の領域は、リジン残基の近傍におけるグリシンに富んだ残基の伸展であり、この
領域は、ATP結合に関与することが示されている。触媒ドメインの中央部分に
位置する第2の領域は、この酵素の触媒活性に重要である保存されたアスパラギ
ン酸残基を含む(Knighton D.R.ら、Science(1991)
253:407)。このプロテインキナーゼプロフィールは、この第2領域に対
して2つの指示パターンを含む:1つは、セリン/トレオニンキナーゼに対して
特異的であり、他方は、チロシンキナーゼに対して特異的である。第3のプロフ
ィールは、(Hanks S.K.ら、FASEB J.(1995)9:57
6)の整列に基づき、そして触媒ドメインの全体をカバーする。このコンセンサ
スパターンは、以下である: 1)コンセンサスパターン:[LIV]−G−{P}−G−{P}−[FYW
MGSTNH]−[SGA]−{PW}−[LIVCAT]−{PD}−x−[
GSTACLIVMFY]−x(5,18)−[LIVMFYWCSTAR]−
[AIVP]−[LIVMFAGCKR]−K、ここでKは、ATPを結合する
。大多数の公知のプロテインキナーゼは、このパターンによって検出される。こ
のコンセンサスによって検出されないプロテインキナーゼは、この領域において
非常に多岐しており、そしてこのパターンによって完全に失敗される、ウイルス
性キナーゼを含む。
【0327】 2)コンセンサスパターン:[LIVMFYC]−x−[HY]−x−D−[
LIVMFY]−K−x(2)−N−[LIVMFYCT](3)、ここでDは
活性部位残基である。このコンセンサス配列は、大部分のセリン/トレオニン特
異的プロテインキナーゼを同定する、ただし10の例外がある。例外の半分は、
ウイルス性キナーゼであるが、他の例外は、保存されるLysの代わりにそれぞ
れSerおよびArgを有する、エプスタイン−バーウイルスBGLF4および
Drosophila ninaCを含む。これらの後者の2つのプロテインキ
ナーゼは、以下に記載されるチロシンキナーゼ特異的パターンによって検出され
る。
【0328】 3)コンセンサスパターン:[LIVMFYC]−x−[HY]−x−D−[
LIVMFY]−[RSTAC]−x(2)−N−[LIVMFYC]、ここで
Dは、活性部位残基である。全てのチロシン特異的プロテインキナーゼは、この
コンセンサスパターンによって検出される、ただしヒトERBB3およびマウス
blkの例外がある。このパターンはまた、プロテインキナーゼに構造的および
進化的に関する、大部分の細菌性アミノ配糖体ホスホトランスフェラーゼ(Be
nner S.、Nature(1987)329:21;Kirby R.、
J.Mol.Evol.(1992)30:489)およびヘルペスウイルスの
ガンシクロビルキナーゼ(Littler E.ら、Nature(1992)
358:160)を検出する。
【0329】 このプロテインキナーゼプロフィールはまた、レセプターグアニル酸シクラー
ゼおよび2−5A−依存性リボヌクレアーゼを検出する。これらの2つのファミ
リーとこの真核生物のプロテインキナーゼファミリーとの間の配列類似性は、以
前に注目されていた。このプロフィールはまた、その触媒活性を消失したようで
あるArabidopsis thalianaキナーゼ様タンパク質TMKL
1を検出する。
【0330】 分析されるタンパク質が、2つの上記のプロテインキナーゼのサインを含む場
合、それがプロテインキナーゼである確率は、100%に近い。真核生物型のプ
ロテインキナーゼはまた、Myxococcus xanthus(Munoz
−Dorado J.ら、Cell(1991)67:995)およびYers
inia pseudotuberculosisのような原核生物に見出され
ている。上記に示されるこのパターンはまた、(Bairoch A.ら、Na
ture(1988)331:22)中のそれらの出版物以来、最新のものにさ
れている。
【0331】 m)プロテインホスファターゼ2C。配列番号256は、哺乳動物セリン/ト
レオニン特異的プロテインホスファターゼの4つの主要なクラスのうちの1つで
ある、新規なプロテインホスファターゼ2C(PP2C)をコードするポリヌク
レオチドに対応する。PP2C(Wenkら、FEBS Lett.(1992
)297:135)は、広範な基質特異性を示す約42Kdの単量体酵素であり
、そしてその活性のために2価の陽イオン(主にマンガンおよびマグネシウム)
に依存する。これらのアイゾザイムは、哺乳動物において現在公知である:PP
2C−α、PP2C−βおよびPP2C−γ。
【0332】 n)プロテインチロシンホスファターゼ。配列番号382は、プロテインチロ
シンキナーゼをコードするポリヌクレオチドを表す。チロシン特異的プロテイン
ホスファターゼ(EC3.1.3.48)(PTPアーゼ)(Fischerら
、Science(1991)253:401;Charbonneauら、A
nnu.Rev.Cell Biol.(1992)8:463;;Trowb
rige、J.Biol.Chem.(1991)266:23517;Ton
ksら、Trends Biochem.Sci.(1989)14:497;
およびHunter、Cell(1989)58:1013)は、チロシン残基
に付着したリン酸基の除去を触媒する。これらの酵素は、細胞成長、細胞増殖、
細胞分化および細胞形質転換の制御において非常に重要である。複数の型のPT
Pアーゼは、特徴付けられており、そして2つのカテゴリーに分類され得る:可
溶性PTPアーゼおよびPTPアーゼドメインを含む膜貫通型レセプタータンパ
ク質。
【0333】 可溶性PTPアーゼは、N末端バンド4.1様ドメインを含み、そしてこの膜
と細胞骨格との間の接合部において作用し得る酵素である、PTPN3(H1)
およびPTPN4(MEG);そのN最末端において2コピーのSH2ドメイン
を含む酵素である、PTPN6(PTP−1C;HCP;SHP)およびPTP
N11(PTP−2C;SH−PTP3;Syp)を含む。
【0334】 二重特異性PTPアーゼは、Thr−183およびTyr−185の両方にお
いてMAPキナーゼを脱リン酸化する、DUSP1(PTPN10;MAPキナ
ーゼホスファターゼ−1;MKP−1);ならびにThr残基およびTyr残基
の両方においてMAPキナーゼERK1およびERK2を脱リン酸化する核酵素
であるDUSP2(PAC−1)を含む。
【0335】 構造的に、公知であるレセプターPTPアーゼは全て、可変性の長さの細胞外
ドメイン、続く膜貫通領域およびC末端触媒細胞質ドメインからなる。レセプタ
ーPTPアーゼのいくつかは、それらの細胞外領域において、III型フィブロ
ネクチン(FN−III)反復、免疫グロブリン様ドメイン、MAMドメインま
たは炭酸脱水酵素様ドメインを含む。この細胞質領域は、一般に、2コピーのP
TPアーゼドメインを含む。この第1は、酵素活性を有するようであり、一方、
この第2は、不活性であるが、この第1の基質特異性に影響するようである。こ
れらのドメインにおいて、この触媒システインは、一般に、保存されるが、いく
つかの他の(おそらく重要である)残基は、保存されない。
【0336】 PTPアーゼドメインは、約300アミノ酸からなる。2つの保存されたシス
テインが存在し、そしてこの第2のシステインは、活性のために絶対的に必要と
されることが示されている。さらに、そのすぐ近傍における多数の保存された残
基はまた、重要であることが示されている。PTPアーゼに対するこのコンセン
サスパターンは、[LIVMF]−H−C−x(2)−G−x(3)−[STC
]−[STAGP]−x−[LIVMFY]であり、Cは活性部位残基である。
【0337】 o)SH3ドメイン。配列番号306および配列番号386は、SH3ドメイ
ンタンパク質をコードするポリヌクレオチドを表す。このSrcホモロジー3(
SH3)ドメインは、いくつかの細胞質プロテインチロシンキナーゼ(例えば、
Src、Abl、Lck)の非触媒部分における保存された配列として最初に同
定された約60アミノ酸残基の小さなタンパク質ドメインである(Mayerら
、Nature(1988)332:272)。このドメインはまた、種々の細
胞内タンパク質または膜会合タンパク質に見出されている(Musacchio
ら、FEBS Lett.(1992)307:55;Pawsonら、Cur
r.Biol.(1993)3:434;Mayerら、Trends Cel
l Biol.(1993)3:8;およびPawsonら、Nature(1
995)373:573)。
【0338】 このSH3ドメインは、2つの密接にパックされたアンチパラレルβシートと
して配列された5つまたは6つのβ鎖からなる特徴的な折り畳み(fold)を
有する。このリンカー領域は、短いヘリックスを含み得る(Kuriyanら、
Curr.Opin.Struct.Biol.(1993)3:828)。S
H3ドメイン含有タンパク質が、プロリンに富んだペプチドへの結合を介する特
異的タンパク質複合体のアセンブリを媒介することが考えられる(Morton
ら、Curr.Biol.(1994)4:615)。一般に、SH3ドメイン
は、所定のタンパク質において単一コピーとして見出されるが、2つのSH3ド
メインを有する有意な数のタンパク質、および3コピーまたは4コピーを有する
少数が存在する。
【0339】 SH3ドメインは、例えば、プロテインチロシンキナーゼにおいて同定されて
いる(例えば、キナーゼのSrc、Abl、Bkt、CskおよびZAP70フ
ァミリー);哺乳動物ホスファチジルイノシトール特異的ホスホリパーゼC−γ
−1および−2;哺乳動物ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ調節性p8
5サブユニット;哺乳動物Ras GTPアーゼ−活性化タンパク質(GAP)
;CDC24ファミリーのグアニンヌクレオチド交換因子である、哺乳動物Va
v腫瘍タンパク質;Drosophila致死性(1)discs large
−1腫瘍抑制タンパク質(遺伝子Dlg1);哺乳動物の密着結合タンパク質Z
O−1;脊椎動物の赤血球膜タンパク質p55;Caenorhabditis
elegansのタンパク質lin−2;ラットタンパク質CASK;ならび
に哺乳動物のシナプスタンパク質SAP90/PSD−95、CHAPSYN−
110/PSD−93、SAP97/DLG1およびSAP102。ポリペプチ
ドを含む新規なSH−3ドメインは、ras活性化のような重要な生物学的経路
において、このようなタンパク質の役割の解明を容易にする。
【0340】 p)トリプシン。 配列番号169 はトリプシンファミリーの新規なセリン
プロテアーゼに対応する。トリプシンファミリー由来のセリンプロテアーゼの酵
素活性は、ヒスチジン(それ自体がセリンに水素結合されている)に対して水素
結合したアスパラギン酸残基を含む荷電リレーシステムにより提供される。セリ
ンおよびヒスチジン活性部位に近接する配列はプロテアーゼのこのファミリーで
よく保存されている(Brenner S.,Nature(1988)334
:528)。トリプシンファミリーに属することが公知のプロテアーゼとしては
以下が挙げられる:1)アクロシン;2)血液凝固因子VII、IX、X、XI
およびXII、トロンビン、プラスミノーゲンならびにプロテインC;3)カテ
プシンG;4)キモトリプシン;5)補体成分C1r、C1s、C2および補体
因子B,DおよびI;6)RA−反応性因子の補体活性化成分;7)細胞傷害性
細胞プロテアーゼ(グランザイムA〜H);8)Duodenase I;9) エラスターゼ1、2、3A、3B(プロテアーゼE)、白血球(medulla
sin);10)エンテロキナーゼ(EC3.4.21.9)(エンテロペプチ
ダーゼ);11)肝細胞成長因子アクティベーター;12)Hepsin;13
)腺(組織)カリクレイン(A型、B型、およびC型 EGF結合タンパク質、
NGF−γ鎖、γ−レニン、前立腺特異的抗原(PSA)およびトニンを含む)
;14)血漿カリクレイン;15)肥満細胞プロテアーゼ(MCP)1(キマー
ゼ)〜8;16)Myeloblastin(プロテイナーゼ3)(Wegen
er’s自己抗原);17)プラスミノーゲンアクチベータ(ウロキナーゼ型、
および組織型);18)トリプシンI、II、IIIおよびIV;19)トリプ
ターゼ;20)アンクロド、バトロキソビン(batroxobin)、セラス
トビン(cerastobin)、フラボキソビン(flavoxobin)お
よびプロテインCアクチベータのようなヘビ毒素プロテアーゼ;21)通常ウシ
蛆由来のコラゲナーゼおよびAtlantic sand Fiddler c
rab(カニ)由来の膠原溶解性のプロテアーゼ;22)アポリポプロテイン(
a);23)吸血セルカリアプロテアーゼ;24)Drosophilaトリプ
シン様プロテアーゼ:α、エステル、ヘビ遺伝子座(snake−locus)
;25)Drosophila protease stubble(遺伝子s
b);および26)主なダニ糞便アレルゲンDer p III。上記のタンパ
ク質の全ては、ペプチダーゼの分類におけるS1ファミリー(Rawlings
N.D.ら,Meth.Enzymol.(1994)244:19;htt
p://www.expasy.ch/cgi−bin/lists?pept
idas.txt)に属し、そして真核生物の種に起源する。S2Aファミリー
に属する細菌のプロテアーゼが同じパターンでピックアップされ得る活性部位残
基の領域に十分に類似であることに注目するべきである。
【0341】 このトリプシンタンパク質ファミリーについての一致パターンは、以下である
:1)〔LIVM〕−〔ST〕−A−〔STAG〕−H−C(ここでHは、活性
部位残基である)。このクラスに属することが公知のすべての配列は、補体成分
C1rおよびC1s、ブタプラスミノーゲン、ウシプロテインC、げっ歯類のウ
ロキナーゼ、アンクロド、gyroxinならびに2つの昆虫トリプシンを除き
、このパターンにより検出した;2)〔DNSTAGC〕−〔GSTAPIMV
QH〕−x(2)−G−〔DE〕−S−G−〔GS〕−〔SAPHV〕−〔LI
VMFYWH〕−〔LIVMFYSTANQH〕(ここでSは、活性部位残基で
ある)。このファミリーに属することが公知のすべての配列は、最初の保存され
たグリシンを損失した18個の異なるプロテアーゼを除き、上記の共通配列によ
り検出される。タンパク質がセリンおよびヒスチジン活性部位サインの両方を含
む場合、それがトリプシンファミリーセリンプロテアーゼである可能性は、10
0%である。
【0342】 q)WDドメイン、G−β反復。配列番号188および335は、WDドメイ
ン/Gβ反復ファミリーの新規なメンバーを示す。βトランスデューシン(Gβ
)は、膜貫通レセプターによって産生されたシグナルの伝達において媒介物とし
て作用するグアニンヌクレオチド結合タンパク質(Gタンパク質)の3つのサブ
ユニット(α、βおよびγ)の1つである(Gliman、Annu.Rev.
Biochem.(1987)56:615)。このαサブユニットは、GTP
に結合し、そして加水分解する;このβおよびγサブユニットの機能は、十分に
明白ではないが、それらはGDPのGTPによる置換、ならびに膜付着およびレ
セプター認識を必要とするようである。
【0343】 より高等な真核生物において、Gβは、約340アミノ酸残基の高度に保存さ
れたタンパク質の小さい複数遺伝子ファミリーとして存在する。構造的に、Gβ
は、それぞれ中央Trp−Aspモチーフを含む約40残基の8つの直列反復か
らなる(反復のこのタイプは、時々、WD−40反復と呼ばれる)。このような
反復性のセグメントは、以下を含む他の多数のタンパク質に存在することが示さ
れている:ヒトLIS1、脳回欠損1型に関連する神経細胞のタンパク質;およ
び哺乳動物コアトマー(coatomer)β’サブユニット(β’−COP)
、生合成タンパク質輸送を媒介する小胞を形成するゴルジ膜と可逆的に結合する
サイトゾルのタンパク質複合体の成分。
【0344】 WDドメイン/Gβ反復ファミリーについての共通パターンは以下である:〔
LIVMSTAC〕−〔LIVMFYWSTAGC〕−〔LIMSTAG〕−〔
LIVMSTAGC〕−x(2)−〔DN〕−x(2)−〔LIVMWSTAC
〕−x−〔LIVMFSTAG〕−W−〔DEN〕−〔LIVMFSTAGCN
〕。
【0345】 r)発生的シグナル伝達タンパク質のwntファミリー。配列番号23、29
1、324、330、341および353は、発生的シグナル伝達タンパク質の
wntファミリーの新規なメンバーに対応する。Wnt−1(int−1として
すでに公知)つまりこのファミリーの精液のメンバー(Nusse R.Tre
nds Genet(1988)4:291)は、マウス乳房腫瘍ウイルスの組 み込みにより導入された前癌遺伝子である。これは細胞内コミュニケーションに
おいてある役割を果たすと考えられ、そして中枢神経系(CNS)の発生におい
て重要なシグナル伝達分子であるようである。wnt−1の配列は、哺乳動物、
魚類および両生類において高度に保存されている。Wnt−1は、すべてが発生
レギュレーターであると考えられる関連タンパク質の大きなファミリーのメンバ
ーであることが見出された(Nusse Rら、Cell(1992)69:1
073;McMahon A.P.Trends Genet.(1992)8 :1;Moon R.T.,BioEssays(1993)15:91)。こ
れらのタンパク質は、wnt−2(irpとしても公知)、wnt−3、−3A
、−4、−5A、−5B、−6、−7A、−7B、−8、−8B、−9および−
10として公知である。このファミリーの少なくとも4つのメンバーがDros
ophilaに示される;これらの1つ、無翅(wg)は、分節方向性を意図す
る。これらのタンパク質の全ては分泌タンパク質の以下の特徴を共有する:シグ
ナルペプチド、いくつかの潜在的N−グリコシル化部位および22の保存された
システイン(これはおそらくジスルフィド結合に関連する)。このWntタンパ
ク質は、分泌細胞の原形質膜に接着するようであり、従って、わずかな細胞直径
を超えてしかシグナル伝達しないようである。3つのシステインを含む高度に保
存された領域に基づくこの共通パターンは、以下のようである:C−K−C−H
−G−〔LIVMT〕−S−G−x−C。このファミリーに属することが公知で
あるすべての配列は、提供された共通のパターンにより検出される。
【0346】 s)Ww/rsp5/WWPドメイン含有タンパク質。配列番号188、37
9および395は、Ww/rsp5/WWPドメイン含有タンパク質のファミリ
ーにおけるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを示す。このWWドメイ
ン(Borkら、Trends Biochem.Sci.(1994)19:
531;Andreら,Biochem.Biophys.Res.Commu
n.(1994)205:1201;Hofmannら、FEBS Lett.
(1995)358:153;および Sudolら、FEBS Lett.(
1995)369:67)、rsp5またはWWPとしても公知)は、元々、多
数の関連しないタンパク質の短い保存領域として発見された。それらのジストロ
フィンのうち、この遺伝子は、デュシェーヌ筋ジストロフィーの原因である。約
35残基の範囲であるこのドメインは、いくつかのタンパク質において4回まで
繰り返される。タンパク質が特定のプロリン部分である〔AP〕−P−P−〔A
P〕−Yと結合し、従ってSH3ドメインにいくらか似ていることが示された(
Chenら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1995)92
:7819)。4つの保存された芳香族の位置(一般にTrp)の周囲に集めら
れたβ鎖を含むようである。WWまたはWWPの名称は、これらのTrpの存在
および保存されたProの存在に由来する。これは、頻繁にシグナル伝達プロセ
スにおけるタンパク質に典型的なの他のドメインに結合する。
【0347】 WWドメインを含有するタンパク質としては以下が挙げられる: 1.ジストロフィン:複数ドメインの細胞骨格タンパク質。その最長の代替的
にスプライスされた形態は、N−末端アクチン結合ドメイン、次いで24−スペ
クトリン様反復、システインリッチなカルシウム結合ドメインおよびC末端球形
ドメインからなる。ジストロフィンは、テトラマーを形成し、そして膜安定性へ
の関与、細胞外環境への収縮力の伝達および膜特定化の組織化を含む複数の機能
を有すると考えられる。ジストロフィン遺伝子の変異体は、デュシェーヌ型また
はベッカー型の筋ジストロフィーをもたらす。ジストロフィンは、スペクトリン
反復の1つのWWドメインC−末端を含む。
【0348】 2.脊椎動物YAPタンパク質:未知のセリンキナーゼの基質である。これは
、プロリンリッチな領域を介してYes腫瘍性タンパク質のSH3ドメインに結
合する。このタンパク質は、1つまたは2つのいずれかのWWドメインを含む代
替的にスプライスされたイソフォームに現れる。
【0349】 3.IQGAP:rasで作用するヒトGTPase活性化タンパク質。これ
は、fly筋mp20タンパク質と同じN末端ドメインおよびrasGTPas
eアクティベータードメインのC末端を含む。
【0350】 WWドメインの鋭敏な検出のために、この特性は、全相同性領域およびパター
ンにわたる。このファミリーについて共通なのは以下である:W−x(9,11
)−〔VFY〕−〔FYW〕−x(6,7)−〔GSTNE〕−〔GSTQCR
〕−〔FYW〕−x−(2)−P。
【0351】 t)C2H2型Znフィンガー。配列番号61、306および386は、C2
H2型のZn フィンガータンパク質ファミリーの新規なメンバーをコードする
ポリヌクレオチドに対応する。Zn フィンガードメイン(Klugら、Tre
nds Biochem.Sci.(1987)12:464;Evansら,
Cell(1988)52:1;Payreら,FEBS Lett(1998
)234:245;Millerら,EMBO J.(1985)4:1609
;およびBerg,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1988
)85:99)は、最初にゼノプス(Xenopus)の転写因子TFIIIA
において同定された核酸結合タンパク質構造である。これらのドメインは、その
後多くの核酸結合ドメインにおいて見出されている。Znフィンガードメインは
、25〜30アミノ酸残基から構成される。2つのシステインまたはヒスチジン
残基は、ドメインの両端に位置し、これは亜鉛原子の4面体配位に関与する。こ
れらのドメインは約5つのヌクレオチドと相互作用することが提唱されている。
【0352】 Znフィンガーの多くのクラスは、亜鉛原子配位に関連するヒスチジンおよび
システインの数および位置に従って特徴付けられる。特徴付けられる第1のクラ
ス(C2H2と呼ばれる)では、亜鉛配位残基の第1のペアーはシステインであ
るが、第2のペアーはヒスチジンである。多くの実験報告は、このクラスのいく
つかのメンバーの亜鉛依存性のDNAまたはRNA結合特性を実証している。
【0353】 C2H2ジッパーを有する哺乳動物のタンパク質としては以下が挙げられる(
括弧内の数は、タンパク質中のZnフィンガー領域の数を示す):basonu
clin(6)、BCL−6/LAZ−3(6)、赤血球krueppel様転
写因子(3)、転写因子Sp1(3)、Sp2(3)、Sp3(3)およびSp
(4)3、転写性リプレッサーYY1(4)、ウィルムス腫瘍タンパク質(4)
、EGR1/Krox24(3)、EGR2/Krox20(3)、EGR3/
Pilot(3)、EGR4/AT133(4)、Evi−1(10)、GLI
1(5)、GLI2(4+)、GLI3(3+)、HIV−EP1/ZNF40
(4)、HIV−EP2(2)、KR1(9+)、KR2(9)、KR3(15
+)、KR4(14+)、KR5(11+)、HF.12(6+)、REX−1
(4)、ZfX(13)、ZfY(13)、Zfp−35(18)、ZNF7(
15)、ZNF8(7)、ZNF35(10)、ZNF42/MZF−1(13
)、ZNF43(22)、ZNF46/Kup(2)、ZNF76(7)、ZN
F91(36)、ZNF133(3)。
【0354】 保存された亜鉛リガンド残基に加えて、他の位置の多くがまたC2H2 Zn
フィンガーの構造的統合性のために重要であることが判明している。(Rose
nfeldら、J.Biomol.Struct.Dyn.(1993)11:
557)最も保存された位置は、第二のシステインの後に4つの残基がみられる
;これは一般に芳香族または脂肪族の残基である。
【0355】 C2H2 Znフィンガーについての共通パターンは以下である:C−x(2
,4)−C−x(3)−〔LIVMFYWC〕−x(8)−H−x(3,5)−
H。2つのCおよび2つのHは亜鉛リガンドである。
【0356】 u)CCHCクラスZnフィンガー。配列番号322は、ZnフィンガーCC
HCファミリーの新規なメンバーをコードするポリヌクレオチドに対応する。現
在までにCCHC Znフィンガータンパク質ファミリーは、ほとんどレトロウ
イルスgagタンパク質(ヌクレオキャプシド)から構成されている。このファ
ミリーの原形の構造はHIV由来である。このファミリーはまた、C.eleg
ans GLH−1のような真核生物遺伝子レギュレーションに関連するメンバ
ーを含む。このファミリーの共通配列は、18残基のZnフィンガーの共通構造
に基づく。
【0357】 v)亜鉛結合メタロプロテアーゼドメイン。配列番号306および395は、
亜鉛結合メタロプロテアーゼドメインタンパク質ファミリーの新規なメンバーを
コードするポリヌクレオチドを示す。亜鉛依存性メタロペプチダーゼの大多数(
カルボキシペプチダーゼの著名な例を除き)は、亜鉛の結合に関与する配列の部
分における一次構造の共通パターン(Jongeneelら、FEBS Let
t.(1989)242:211;Murphyら、FEBS Lett.(1
991)289:4;およびBodeら、Zoology(1996)99:2
37)を共有し、そしてこの配列類似性に基づいて、metzincinとして
公知の、スーパーファミリーとして一緒に分類され得る。これらのタンパク質の
例としては以下を含む:1)アンギオテンシン転換酵素(EC3.4.15.1
)(ジペプチジルカルボキシペプチダーゼI)(ACE)、この酵素はアンギオ
テンシンIをアンギオテンシンIIに加水分解するのに働く。2)哺乳動物細胞
外マトリックスメタロプロテイナーゼ(matrixinとして公知)(Woe
ssner,FASEB J.(1991)5:2145):MMP−1(EC
3.3.24.7)(介在性コラゲナーゼ)、MMP−2(EC3.4.24.
24)(72Kdゼラチナーゼ)、MMP−9(EC3.4.24.35)(9
2Kdゼラチナーゼ)、MMP−7(EC3.4.24.23)(matryl
isin)、MMP−8(EC3.4.24.34)(好中球コラゲナーゼ)、
MMP−3(EC3.4.24.17)(ストロメライシン−1)、MMP−1
0(EC3.4.24.22)(ストロメライシン−2)、およびMMP−11
(ストロメライシン−3)、MMP−12(EC3.4.24.65)(マクロ
ファージメタロエラスターゼ)。3)エンドセリン転換酵素1(EC3.4.2
4.71)(ECE−1)、これはエンドセリンの前駆体をプロセスし、活性な
ペプチドを遊離する。
【0358】 2つのヒスチジンおよびグルタミン酸残基を含むサインパターンは、以下の共
通パターンを有するタンパク質のこのスーパーファミリーを検出するのに十分で
ある:〔GSTALIVN〕−x(2)−H−E−〔LIVMFYW〕−{DE
HRKP}−H−x−〔LIVMFYWGSPQ〕。この2つのHは亜鉛リガン
ドであり、そしてEは、活性部位の残基である。
【0359】 (実施例4:本発明のポリヌクレオチドの示差的発現:ライブラリーの記述お
よび示差的発現の検出) 本発明のポリヌクレオチドの相対的な発現レベルを、細胞株および患者組織サ
ンプルを含む種々の供給源から調製されたいくつかのライブラリーにおいて評価
した。表4は、これらのライブラリーの概要を提供する。これには、省略したラ
イブラリー名(本明細書において以後使用)、cDNAライブラリーを調製する
のに用いたmRNA供給源、以下の表で用いられるライブラリーの「ニックネー
ム」(引用符で囲んで)、およびライブラリーにおけるおよそのクローン数が挙
げられる。
【0360】
【表4】
【0361】 KM12L4細胞株およびKM12C細胞株を、上記実施例1に記載する。こ
のMDA−MB231細胞株は、最初は胸膜の浸出液から単離した(Caill
eau,J.Natl.Cancer.Inst.(1974)53:661)
。これは転移性能力が高く、そして乳癌に一致するヌードマウスにおける分化し
た第二段階の腺癌をわずかに形成する。このMCF7細胞株は、乳房腺癌の胸膜
浸出液に由来しており、そして非転移性である。このMV−522細胞株は、ヒ
ト肺癌腫に由来し、そして転移能力が高い。このUCP−3細胞株は、低い転移
性のヒト肺癌腫細胞株である;MV−522はUCP−3の高い転移性改変体で
ある。これらの細胞株は、ヒトの乳癌および肺癌の研究のためのモデルとして当
該分野で広く認知されている(例えば、以下を参照のこと:Chandrase
karanら、Cancer Res.(1979)39:870(MDA−M
B−231およびMCF−7);Gastparら、J Med Chem(1
998)41:4965(MDA−MB−231およびMCF−7);Rans
onら、Br J Cancer(1988)77:1586(MDA−MB−
231およびMCF−7);Kuangら、Nucleic Acids Re
s(1998)26:1116(MDA−MB−231およびMCF−7);V
arkiら,Int J Cancer(1987)40:46(UCP−3)
;Varkiら、Tumour Biol.(1990)11:327;(MV
−522およびUCP−3);Varkiら、Anticancer Res.
(1990)10:637;(MV−522);Kelnerら、Antica
ncer Res(1995)15:867(MV−522);およびZhan
gら、Anticancer Drugs(1997)8:696(MV522
))。ライブラリー15〜20のサンプルは、2人の異なる患者(UC#2およ
びUC#3)に由来する。
【0362】 このライブラリーのそれぞれは、順に示されたmRNA供給源において発現さ
れたmRNAの代表であるcDNAクローンの収集物から構成される。それぞれ
のライブラリーにおける何百万もの配列の分析を容易にするために、この配列を
クラスター(cluster)に割り当てた。「クローンのクラスター」の概念と
は、およそ300個の7bpのオリゴヌクレオチドプローブのパネルへのそのハ
イブリダイゼーションパターンに基づいたcDNAクローンの仕分け/グループ
化に由来する(Drmanacら,Genomics(1996)37(1):
29を参照のこと)。組織ライブラリー由来のランダムなcDNAクローンを3
00個の7bpオリゴヌクレオチドへの中等度ストリンジェンシーでハイブリダ
イズさせた。それぞれのオリゴヌクレオチドは、その特異的クローンへの特異的
なハイブリダイゼーションのある測定を有する。300個のプローブについての
ハイブリダイゼーションのこれらの300の測定の組み合わせを、特異的なクロ
ーンについての「ハイブリダイゼーションサイン」とみなす。類似の配列を有す
るクローンは、同様のハイブリダイゼーションサインを有する。これらのサイン
を分析するための仕分け/グループ化アルゴリズムの開発により、ライブラリー
におけるクローンの群は、同定され得、そして計算的に一緒にもたらされ得る。
クローンのこれらの群を「クラスター」と名付ける。このアルゴリズムにおける
選択のストリンジェンシーに依存して(伝統的なcDNAライブラリーのスクリ
ーニングプロトコールにおけるハイブリダイゼーションのストリンジェンシーと
同様)、それぞれのクラスターの「純度」をコントロールし得る。例えば、クラ
スター化の人為的結果は、計算上クラスター化を生じ得る。なぜなら、人為的結
果は、最も高いストリンジェンシーでさえ、400bpのcDNAフラグメント
を有するcDNAライブラリーの「湿潤実験(wet−lab)」スクリーニン
グを生じ得るからである。本明細書におけるクラスターの実施において用いられ
たストリンジェンシーは、一般に同じcDNAまたは緊密に関連するcDNAに
由来するクローンの群を提供する。緊密に関連するクローンは、同じcDNAの
異なる長さのクローン、高度に関連する遺伝子ファミリーに由来する緊密に関連
したクローン、または同じcDNAのスプライス改変体の結果であり得る。
【0363】 選択されたクラスターについての示差的発現を、最初のライブラリーの選択さ
れたクラスターに対応するcDNAクローン(1stのクローン)の数の最初の
決定および、第2のライブラリーにおける選択されたクラスターに対応するcD
NAクローン(2ndのクローン)の数の決定により評価した。第2のライブラ
リーに比較した第1のライブラリーにおける選択されたクラスターの示差的表現
を、2つのライブラリーの間の発現パーセントの「比(ratio)」として表
現した。一般的に、「比」は以下により計算される:1)第1のライブラリーに
おける選択されたクラスターに対応するクローンの数を第1のライブラリーから
分析されたクローンの総数で割ることにより第1のライブラリーにおける選択さ
れたクラスターの発現パーセントを計算すること;2)第2のライブラリーにお
ける選択されたクラスターに対応するクローンの数を第2のライブラリーから分
析されたクローンの総数で割ることにより第2のライブラリーにおける選択され
たクラスターの発現パーセントを計算すること;3)第1のライブラリーからの
計算された発現パーセントを第2のライブラリーからの計算された発現パーセン
トで割ること。ライブラリーにおいて選択されたクラスターに対応する「クロー
ンの数」がゼロの場合、この値は、計算の補助のために1と設定する。この比の
計算に用いた式は、比較されるそれぞれのライブラリーの「深度(depth)
」を考慮している(すなわち、それぞれのライブラリーにおいて分析したクロー
ンの総数)。
【0364】 一般に、比の値が少なくとも約2より大きい、好ましくは少なくとも約3より
大きい、より好ましくは少なくとも約5より大きい場合、ポリヌクレオチドは2
つのサンプルの間で有意に示差的に発現されると言われる(ここでこの比の値は
上記の方法を用いて計算される)。示差的発現の意義は、zスコア試験を用いて
決定される(Zar,Biostastical Analysis,Pren
tice Hall,Inc.,USA,「Differences betw
een Proportions」296〜298頁(1974)。
【0365】 表5〜7(最後に挿入している)は、示差的発現について分析されたそれぞれ
の上記のライブラリーにおけるクローンの数を示す。特定の目的の示差的に発現
されたポリヌクレオチドの例を以下に、より詳細に記載する。
【0366】 (実施例5:低転移性乳癌細胞に対して高転移潜在性乳癌細胞において示差
的に発現されるポリヌクレオチド) 高転移潜在性乳癌組織由来の細胞と低転移性乳癌細胞との間で示差的に発現さ
れる、多くのポリヌクレオチド配列が同定されている。乳癌におけるこれらの配
列の発現は、診断上、予後上、および/または処置上の情報を決定する際に役に
立ち得る。例えば、高転移潜在性細胞において高度に発現される配列は、転移プ
ロセスに関与する遺伝子または調節配列の発現増加の指標となり得る。従って、
1つ以上のこれらのポリヌクレオチドに関して増加したレベルを示す患者サンプ
ルは、さらに積極的な処置を保証し得る。別の実施例において、低転移潜在性細
胞においてより高度な発現を示す配列は、転移を阻害する遺伝子または調節配列
に関連し得、従ってサンプルにおけるこれらのポリヌクレオチドの発現は、示唆
されるひどい症状よりも、より肯定的な予後を保証し得る。
【0367】 これらのポリヌクレオチドの示差的な発現は、リスク評価、患者処置などのた
めの診断用マーカー、予後用マーカーとして使用され得る。これらのポリヌクレ
オチド配列はまた、他の公知の分子および/または生化学的マーカーと組み合わ
せて使用され得る。
【0368】 以下の表は、高転移潜在性乳癌細胞と低転移潜在性乳癌細胞との間で示差的な
発現を伴う、同定されたポリヌクレオチドについて要約する。
【0369】
【表8】
【0370】 (実施例6:低転移性肺癌細胞に対して高転移潜在性肺癌細胞において示差
的に発現されるポリヌクレオチド) 高転移潜在性肺癌組織由来の細胞と低転移性肺癌細胞との間で示差的に発現さ
れる、多くのポリヌクレオチド配列が同定されている。肺癌組織におけるこれら
の配列の発現は、診断上、予後上、および/または処置上の情報を決定する際に
役に立ち得る。例えば、高転移潜在性細胞において高度に発現される配列は、転
移プロセスに関与する遺伝子または調節配列の発現増加の指標であり得る。従っ
て、1つ以上のこれらのポリヌクレオチドに関して増加したレベルを示す患者サ
ンプルは、さらに積極的な処置を保証し得る。別の実施例において、低転移潜在
性細胞においてより高度な発現を示す配列は、転移を阻害する遺伝子または調節
配列に関連し得、従ってサンプルにおけるこれらのポリヌクレオチドの発現は、
示唆されるひどい症状よりも、より肯定的な予後を保証し得る。
【0371】 これらのポリヌクレオチドの示差的な発現は、リスク評価、患者処置などのた
めの診断用マーカー、予後用マーカーとして使用され得る。これらのポリヌクレ
オチド配列はまた、他の公知の分子および/または生化学的マーカーと組み合わ
せても使用され得る。
【0372】 以下の表は、高転移潜在性肺癌細胞と低転移潜在性肺癌細胞との間で示差的な
発現を伴う、同定されたポリヌクレオチドについて要約する:
【0373】
【表9】
【0374】 (実施例7:低転移性結腸癌細胞に対して高転移潜在性結腸癌細胞において
示差的に発現されるポリヌクレオチド) 高転移潜在性結腸癌組織由来の細胞と低転移性結腸癌細胞との間で示差的に発
現される、多くのポリヌクレオチド配列が同定されている。結腸癌組織における
これらの配列の発現は、診断上、予後上、および/または処置上の情報を決定す
る際に役に立ち得る。例えば、高転移潜在性細胞において高度に発現される配列
は、転移プロセスに関与する遺伝子または調節配列の発現増加の指標であり得る
。従って、1つ以上のこれらのポリヌクレオチドに関して増加したレベルを示す
患者サンプルは、さらに積極的な処置を保証し得る。別の実施例において、低転
移潜在性細胞においてより高度な発現を示す配列は、転移を阻害する遺伝子また
は調節配列に関連し得、従ってサンプルにおけるこれらのポリヌクレオチドの発
現は、示唆されるひどい症状よりも、より肯定的な予後を保証し得る。
【0375】 これらのポリヌクレオチドの示差的な発現は、リスク評価、患者処置などのた
めの診断用マーカー、予後用マーカーとして使用され得る。これらのポリヌクレ
オチド配列はまた、他の公知の分子および/または生化学的マーカーと組み合わ
せて使用され得る。
【0376】 以下の表は、高転移潜在性結腸癌細胞と低転移潜在性結腸癌細胞との間で示差
的な発現を伴う、同定されたポリヌクレオチドについて要約する:
【0377】
【表10】
【0378】 (実施例8:正常な患者組織に対して高転移潜在性結腸癌患者組織において
より高いレベルで示差的に発現されるポリヌクレオチド) 高転移潜在性結腸癌組織由来の細胞と正常な組織由来の細胞との間で示差的に
発現される、多くのポリヌクレオチド配列が同定された。結腸癌組織におけるこ
れらの配列の発現は、診断上、予後上、および/または処置上の情報を決定する
際に役に立ち得る。例えば、高転移潜在性細胞において高度に発現される配列は
、新脈管形成、脱分化、細胞複製、および転移のようなプロセスを含む進行した
疾患状態に関与する遺伝子または調節配列の発現増加の指標であり得る。従って
、1つ以上のこれらのポリヌクレオチドに関して増加したレベルを示す患者サン
プルは、さらに積極的な処置を保証し得る。
【0379】 これらのポリヌクレオチドの示差的な発現は、リスク評価、患者処置などのた
めの診断用マーカー、予後用マーカーとして使用され得る。これらのポリヌクレ
オチド配列はまた、他の公知の分子および/または生化学的マーカーと組み合わ
せて使用され得る。
【0380】 以下の表は、高転移潜在性結腸癌細胞と正常結腸細胞との間に示差的な発現を
伴う、同定されたポリヌクレオチドについて要約する:
【0381】
【表11】
【0382】 (実施例9:転移した結腸癌患者組織に対して高い結腸腫瘍潜在性患者組織
においてより高いレベルで示差的に発現されるポリヌクレオチド) 高い腫瘍潜在性結腸癌組織由来の細胞と高い転移潜在性結腸癌細胞由来の細胞
との間で示差的に発現される、多くのポリヌクレオチド配列が同定された。結腸
癌組織におけるこれらの配列の発現は、診断上、予後上、および/または処置上
の、前癌性組織の悪性組織への転換に関連する情報を決定する際に役に立ち得る
。この情報は、これらの組織における進行した悪性状態の達成の予防において有
用であり得、そして患者のリスク評価において重要であり得る。
【0383】 以下の表は、高腫瘍潜在性結腸癌組織と高転移潜在性結腸癌細胞由来の細胞と
の間に示差的な発現を伴う、同定されたポリヌクレオチドについて要約する:
【0384】
【表12】
【0385】 (実施例10:正常な患者組織に対して高い腫瘍潜在性結腸癌患者組織にお
いてより高いレベルで示差的に発現されるポリヌクレオチド) 高い腫瘍潜在性結腸癌組織由来の細胞と正常な組織由来の細胞との間で示差的
に発現される、多くのポリヌクレオチド配列が同定された。結腸癌組織における
これらの配列の発現は、診断上、予後上、および/または処置上の、これらの組
織における悪性状態の達成の予防に関連する情報を決定する際に役に立ち得、そ
して患者に対するリスク評価において重要であり得る。例えば、潜在性結腸癌細
胞において高度に発現される配列は初期癌進行に関連するか、または初期癌進行
に関与する遺伝子または調節配列の発現増加の指標であり得る。従って、1つ以
上のこれらのポリヌクレオチドに関して増加したレベルを示す患者サンプルは、
できるだけ早く悪性状態を捕獲するためのより細心の注意、またはさらに頻繁な
スクリーニング手順を保証し得る。
【0386】 以下の表は、高い転移潜在性結腸癌細胞と正常結腸細胞との間での示差的な発
現を伴う、同定されたポリヌクレオチドについて要約する:
【0387】
【表13】
【0388】 (実施例11:複数のライブラリーにわたり示差的に発現されるポリヌクレ
オチド) 試験された全ての3つの組織型(すなわち、乳房、結腸、および肺)にわたり
癌性細胞と正常細胞との間で示差的に発現される、多くのポリヌクレオチド配列
が同定された。組織または任意の起源におけるこれらの配列の発現は、診断上、
予後上、および/または処置上の、これらの組織における悪性状態の達成の予防
に関連する情報を決定する際に役に立ち得、そして患者に対するリスク評価にお
いて重要であり得る。これらのポリヌクレオチドはまた、非組織特異的マーカー
(例えば、腫瘍転移のリスクについての非組織特異的マーカー)としても使用さ
れ得る。以下の表は、試験された乳房、結腸、および肺のライブラリーにおいて
組織型特異性を伴わずに示差的に発現される、同定されたポリヌクレオチドにつ
いて要約する。
【0389】
【表14】
【0390】 (実施例12:結腸特異的発現を示すポリヌクレオチド) 本明細書に記載されるcDNAライブラリーはまた、結腸細胞または組織にお
いて特異的に発現されるそれらのポリヌクレオチド(すなわち、結腸細胞系また
は組織から調製されたライブラリーにおいて同定され、乳房または肺起源のライ
ブラリーにおいては同定されないポリヌクレオチド)を同定するために分析され
た。結腸細胞系および/または結腸組織において発現されるが、本明細書に記載
される乳房または肺のcDNAライブラリーにおいて存在するポリヌクレオチド
を、表15に示す。
【0391】
【表15】
【0392】 上記に加えて、配列番号159および161はそれぞれ、各Lib 16(正
常結腸腫瘍組織)において1つのクローン中に存在し、そして配列番号344お
よび345はそれぞれ、Lib 17(高結腸転移性組織)において1つのクロ
ーンに存在した。上記の表中の結腸特異的ポリヌクレオチドに対応するクローン
は、ライブラリー3、4、8または9のいずれにも全く存在しなかった。上記に
提供されるポリヌクレオチドは、上記されるように、結腸起源の細胞のマーカー
として使用され得、そして参照配列における特定の使用を見出され得る。
【0393】 (実施例13:本発明のポリヌクレオチドを有する隣接配列の同定) 新規のポリヌクレオチドを、配列番号1〜404の任意のポリヌクレオチドが
隣接配列の同定を促進するか否か(例えば、このポリヌクレオチドが、提供され
るポリヌクレオチドおよび他のDNA配列から構成されるより長い隣接配列の産
生を生じる別のDNA配列の5’伸長を生じる配列を提供するか)を決定するた
め、公に入手可能なデータベースおよび特許されたデータベースをスクリーニン
グするために使用した。コンティグを、以下のパラメーターを用いるAssem
blyLignプログラムを用いて実施した:1)重複:最小重複長:30;%
ストリンジェンシー:50;最少反復長:30;整列:ギャップ作成ペナルティ
ー:1.00、ギャップ延長ペナルティー:1.00;2)一致:%基準指示閾
値(% Base designation threshold:80。
【0394】 これらのパラメーターを使用して、44のポリヌクレオチドがコンティグ配列
を提供した。これらのコンティグ配列は配列番号801〜844として提供され
る。このコンティグ配列は配列番号1〜404の配列と関連され得、ここでコン
ティグ配列は、表1において同じクローン名を共有する配列番号1〜404のこ
れらの配列および配列番号801〜844のコンティグ配列を同定することによ
り根拠付けられる。コンティグ配列を提供したこれらの44の配列のうち、44
の群の以下のメンバーは括弧(ストリンジェンシー/重複)内に示される重複設
定を使用するとコンティグではなかったことは注目されるべきである:配列番号
804(30%/10);配列番号810(20%/20);配列番号812(
30%/10);配列番号814(40%/20);配列番号816(30%/
10);配列番号832(30%/10);配列番号840(20%/20);
配列番号841(40%/20)。一般化すると、示されたポリヌクレオチドは
最低20%ストリンジェンシー、10重複を使用するとコンティグではなかった
。これらの配列における多くの縮重コドンにおいて、対応する増加が存在した。
【0395】 従って、コンティグ配列(配列番号801〜840)は、本発明のポリヌクレ
オチド配列を含むより長い配列を表した。次いで、コンティグ配列を配列番号1
〜404および配列番号405〜800の確証配列について上記されたように、
BLASTプログラムを使用して個々の配列との最適整列を決定するために、3
つの全ての読み取り枠において翻訳した。再度、配列を、実施例1において上記
されるように、低複雑性をマスクする(mask)ためのXBLASTプログラ
ムを使用してマスクした(表2)。いくつかのコンティグ配列は公知のタンパク
質ファミリーに属するポリペプチド(従って、これらのタンパク質ファミリーの
新しいメンバーを代表する)および/または公知の機能ドメインを含むポリペプ
チドの特性を有するポリペプチドをコードすることが見出された(表16)。従
って、本発明は本明細書で同定されたタンパク質ファミリーおよび/または機能
ドメインに関連する生物学的活性を保持するようなポリヌクレオチドのフラグメ
ント、融合体、および変異体を含む。
【0396】
【表16】
【0397】 ATPアーゼ(AAA)ファミリーおよびプロテインキナーゼファミリーにつ
いてのプロフィールは、実施例2において上記される。ホメオボックスファミリ
ーおよびMAPキナーゼキナーゼタンパク質ファミリーはさらに、以下に記載さ
れる。
【0398】 (ホメオボックスドメイン) 「ホメオボックス」は、多数のDrosophila ホメオティックタンパ
ク質および分節(segmentation)タンパク質において最初に同定さ
れた、60のアミノ酸のタンパク質ドメインである(Gehring「Guid
ebook to the Homeobox Genes」、Duboule
D.編、第1〜10頁、Oxford University Press、
Oxford(1994);Buerglin「Guidebook to t
he Homeobox Genes」、第25〜72頁、Oxford Un
iversity Press、Oxford(1994);Gehring
Trends Biochem.Sci.(1992)17:277−280;
Gehringら、Annu.Rev.Genet.(1986)20:147
−173;Schofield Trends Neurosci.(1987
)10:3−6;http://copan.bioz.unibas.ch/
homeo.html)。それは、脊椎動物を含む、多くの他の動物において極
めてよく保存されている。このドメインは、へリックスターンへリックス型の構
造を通して、DNAに結合する。ホメオボックスドメインを含むいくつかのタン
パク質は、発生において重要な役割を果たす。これらのタンパク質のほとんどは
、配列特異的DNA結合転写因子である。ホメオボックスドメインはまた、酵母
接合型タンパク質の領域に非常に類似している。これらは、細胞型特異的様式に
おける遺伝子発現を制御することにより、酵母の分化におけるマスタースイッチ
として作用する、配列特異的DNA結合タンパク質である。
【0399】 ホメオボックスドメインの略図は、以下に示される。へリックスターンへリッ
クス領域は記号「H」(ヘリックス)、および「t」(ターン)で示される。
【0400】
【化3】
【0401】 このパターンは、24残基長のホメオボックス配列を検出し、そしてホメオボッ
クスドメインの位置34〜57にわたる。コンセンサス配列は以下の通りである
。:
【0402】
【化4】
【0403】 (MAPキナーゼキナーゼ(MAPKK)) MAPキナーゼ(MAPK)はシグナル転移に関与し、そして細胞周期および
細胞増殖制御において重要である。MAPキナーゼキナーゼ(MAPKK)は、
MAPキナーゼをリン酸化および活性化する両特異性(dual−specif
icity)プロテインキナーゼである。MAPKK相同体は、酵母、無脊椎動
物、両生類、および哺乳動物において見出されている。さらに、MAPKK/M
APKリン酸化スイッチは、酵母と脊椎動物において異なる経路において活性化
される基本モジュール(basic module)を構成する。MAPKK調
節研究は、高等器官における、少なくとも4つのMAPKK収束(conver
gent)経路の発見へと導いた。これらのうちの1つはste11プロテイン
キナーゼを含む酵母のフェロモン応答経路に類似する。他の2つの経路は、セリ
ン/トレオニンキナーゼをコードする発癌遺伝子c−Raf−1およびc−Mo
sの1つまたは両方のいずれかの活性化を必要とする。さらに、いくつかの研究
は、MAPKK活性における細胞周期制御レギュレーターのサイクリン依存性キ
ナーゼ1(cdc2)の可能な効果を示唆した。結局、MAPKKは明らかに、
シグナルが核に到達する前に通過しなけらばならない必須トランスデューサーで
ある。総説として、例えば、Biologique、Biol Cell(19
93)79:193−207;Nishidaら、Trends Bioche
m Sci(1993)18:128−31;Ruderman、Curr O
pin Cell Biol(1993)5:207−13;Dhanasek
aranら、Oncogene(1998)17:1447−55;Kiefe
rら、Biochem Soc Trans(1997)25:491−8;お
よびHill、Cell Signal(1996)8:533−44を参照の
こと。
【0404】 当業者らは、慣用的な実験以上のことを使用せずして、本明細書に記載される
本発明の特定の実施態様に対する多くの等価物を認識し、または確認し得る。そ
のような特定の実施態様および等価物は上記される請求の範囲により含まれるこ
とが意図される。
【0405】 本明細書中で引用される全ての刊行物および特許出願は、各個々の刊行物また
は特許出願が、参照により特異的および個々に組み込まれることが示されるよう
に、本明細書中で参考として援用される。任意の刊行物の引用は、出願日以前の
開示についてであり、そして本発明が先願の効力によりそのような刊行物の日付
を早めるために権利を付与されないという認可として構築されるべきではない。
【0406】 前述の本発明は、理解の明確化の目的のため、例証および実施例として幾分詳
細に記載されているが、本発明の教示を考慮すれば、添付された請求項の意図ま
たは範囲から逸脱することなく、それに対する特定の変化および改変がなされ得
ることは、当業者に容易に明らかである。
【0407】 (寄託情報) 以下の材料はAmerican Type Culture Collect
ionに寄託された:CMCC=(カイロンマスター培養コレクション)
【0408】
【化5】
【0409】
【化6】
【0410】 上記の材料は、示される登録番号の下で、American Type Cu
lture Collection、Rockville、Marylandに
寄託された。この寄託物は、特許手続上の目的のための微生物の寄託の国際的承
認に関するブダペスト条約の条件の下で維持される。この寄託物は、この特許の
発行の後30年の期間、または特許の実施可能期間のいずれかより長い方の間、
維持される。特許の発行と同時に、寄託物はATCCから公的に制限なく入手さ
れ得る。
【0411】 この寄託は、単に当業者への利便性として提供され、これは米国特許法第11
2条の下で必要とされる寄託の承認ではない。寄託された材料内に含まれるポリ
ヌクレオチドの配列、およびそれらにコードされるポリペプチドのアミノ酸配列
は、本明細書中で参考として援用され、そして本明細書における配列の明細とな
んらかのコンフリクトとなった場合に規制されている。寄託された材料を作製、
使用、または販売するためには認可が必要であり、そしてそのような認可はここ
で譲渡されない。
【0412】 (プールされたクローン寄託物由来の個々のクローンの回収) ATCC寄託物がcDNAクローンのプールから構成される場合、寄託物は、
まず各クローンを個々の細菌細胞中にトランスフェクトすることにより調製され
る。次いでこのクローンは、複合性の寄託物中に同じ割合の混合物のプールとし
て寄託される。特定のクローンは、当該分野において周知の方法を使用して、複
合性寄託物から得られ得る。例えば、特定のクローンを含有する細菌細胞は、シ
ングルコロニーを単離すること、およびそのクローン挿入物の配列に特異的にハ
イブリダイズするように設計されたオリゴヌクレオチドプローブ(例えば、指示
される配列番号を有する、コードするポリヌクレオチドのマスクされない(un
masked)配列に基づくプローブ)を使用する、標準的なコロニーハイブリ
ダイゼーション技術を通して特定のクローンを含むコロニーを同定することによ
り同定され得る。このプローブは約80℃(各AまたはTについて2℃、および
各GまたはCについて4℃を想定する)のTmを有するように設計されるべきで ある。次いで、陽性コロニーは、選び出され得、培養で増殖され得、そして組み
替えクローンが単離され得る。あるいは、この様式において設計されたプローブ
は、当該分野で周知の方法(例えば、寄託された培養プールからcDNAを精製
すること、および所望のポリヌクレオチド配列の対応物を有する増幅された産物
を産生するために、PCR反応においてプローブを使用することによる)に従っ
てプールされたクローンから核酸分子を単離するために、PCRに使用され得る
【0413】
【表1】
【0414】
【表2】
【0415】
【表5】
【0416】
【表6】
【0417】
【表7】
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/19 C12N 9/10 1/21 9/12 5/10 9/50 9/10 9/76 9/12 C07K 16/18 9/50 C12Q 1/68 9/76 C12N 15/00 ZNAA // C07K 16/18 5/00 A C12Q 1/68 F (31)優先権主張番号 60/105,234 (32)優先日 平成10年10月21日(1998.10.21) (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 60/105,877 (32)優先日 平成10年10月27日(1998.10.27) (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 09/217,471 (32)優先日 平成10年12月21日(1998.12.21) (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM ,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE, KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,L T,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX ,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE, SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,U A,UG,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 エスコベド, ジェイム アメリカ合衆国 カリフォルニア 94507, アラモ, ラボーナ ロード 1470 (72)発明者 イニス, マイケル エイ. アメリカ合衆国 カリフォルニア 94556, モラガ, コンスタンス プレイス 315 (72)発明者 ガーシア, パブロ ドミンゲズ アメリカ合衆国 カリフォルニア 94131, サン フランシスコ, チェネリー ス トリート 882 (72)発明者 サダス−クリンガー ジュリー アメリカ合衆国 カリフォルニア 94707, ケンジントン, レキシントン ロード 280 (72)発明者 レインハード, クリストフ アメリカ合衆国 カリフォルニア 94501, アラメダ, クリントン アベニュー 1633 (72)発明者 ギーズ, クラウス ドイツ国 デー−10115 ベルリン, チ ャウセートラーベ 92 (72)発明者 ランダッゾ,フィリッポ アメリカ合衆国 カリフォルニア 94133, サン フランシスコ, チェスナット ストリート 690 アパートメント 403 (72)発明者 ケネディー, ギウリア シー. アメリカ合衆国 カリフォルニア 94116, サン フランシスコ, カステナダ ア ベニュー 360 (72)発明者 ポット, デイビッド アメリカ合衆国 カリフォルニア 94112, サン フランシスコ, 5ティーエイチ アベニュー ナンバー102 1565 (72)発明者 カッサム, アルタフ アメリカ合衆国 カリフォルニア 94602, オークランド, ハロルド ストリート 2659 (72)発明者 ラムソン, ジョージ アメリカ合衆国 カリフォルニア 94556, モラガ, サンドリンガム ドライブ 232 (72)発明者 ダーマナック, ラドジェ アメリカ合衆国 カリフォルニア 94303, パロ アルト, イースト グリニッチ プレイス 850 (72)発明者 カークベンジャコブ, ラドマー アメリカ合衆国 カリフォルニア 94068, サニーベール, ハーバーヒル ドライ ブ 762 (72)発明者 ディクソン, マーク アメリカ合衆国 カリフォルニア 95025, ホリスター, ガビラン ドライブ ナ ンバービー 1411 (72)発明者 ダーマナック, スネザナ アメリカ合衆国 カリフォルニア 94303, パロ アルト, イースト グリニッチ プレイス 850 (72)発明者 ラバット, イバン アメリカ合衆国 カリフォルニア 94086, サニーベール, アカラネス ドライブ 140 (72)発明者 レスコウィッツ, デナ アメリカ合衆国 カリフォルニア 94087, サニーベール, ダーシャー ウェイ 678 (72)発明者 キタ, デイビッド アメリカ合衆国 カリフォルニア 94404, フォスター シティ, バウンティ ド ライブ 899 (72)発明者 ガーシア, ベロニカ アメリカ合衆国 カリフォルニア 94086, サニーベール, アノ ヌーボ 396, アパートメント 412 (72)発明者 ジョーンズ, リー ウイリアム アメリカ合衆国 カリフォルニア 94086, サニーベール, アノ ヌーボ ナンバ ー412 396 (72)発明者 スターチェ−クライン, バーギット アメリカ合衆国 カリフォルニア 94086, サニーベール, サウス メリー アベ ニュー 345

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリヌクレオチドのライブラリーであって、配列番号1〜8
    44の少なくとも1つの配列情報を含む、ライブラリー。
  2. 【請求項2】 前記ライブラリーが、核酸アレイ上に提供される、請求項1
    に記載のライブラリー。
  3. 【請求項3】 前記ライブラリーが、コンピューター読み出し可能フォーマ
    ットで提供される、請求項1に記載のライブラリー。
  4. 【請求項4】 前記ライブラリーが、配列番号9、39、42、52、62
    、74、119、172、317、および379からなる群から選択される配列
    を含む、示差発現されるポリヌクレオチドを含む、請求項1に記載のライブラリ
    ー。
  5. 【請求項5】 前記ライブラリーが、ヒト乳ガン細胞において示差発現され
    るポリヌクレオチドを含み、該ポリヌクレオチドは、配列番号4、9、39、4
    2、52、62、65、66、68、74、81、114、123、144、1
    30、157、162、172、178、183、202、214、219、2
    23、258、298、317、338、379、384、386、および38
    8からなる群から選択される配列を含む、請求項1に記載のライブラリー。
  6. 【請求項6】 前記ライブラリーが、ヒト結腸ガン細胞において示差発現さ
    れるポリヌクレオチドを含み、該ポリヌクレオチドは、配列番号1、39、52
    、97、119、134、172、176、241、288、317、357、
    362、および374からなる群から選択される配列を含む、請求項1に記載の
    ライブラリー。
  7. 【請求項7】 前記ライブラリーが、ヒト肺ガン細胞において示差発現され
    るポリヌクレオチドを含み、該ポリヌクレオチドは、配列番号9、34、42、
    62、74、106、119、135、154、160、260、308、32
    3、349、361、369、371、379、395、381、および400
    からなる群から選択される配列を含む、請求項1に記載のライブラリー。
  8. 【請求項8】 配列番号1〜844またはそれらの縮重変異体の同定する配
    列と、少なくとも90%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む、単離さ
    れたポリヌクレオチド。
  9. 【請求項9】 前記ポリヌクレオチドが、以下からなる群から選択されるタ
    ンパク質ファミリーのポリペプチド:4回膜貫通セグメント内在性膜タンパク質
    、7回膜貫通レセプター、細胞の種々の活性に関連するATPase(AAA)
    、真核生物のアスパルチル酸プロテアーゼ、転写因子のGATAファミリー、G
    タンパク質αサブユニット、ホルボールエステル/ジアシルグリセロール結合タ
    ンパク質、プロテインキナーゼ、プロテインホスファターゼ 2C、タンパク質
    チロシンホスファターゼ、トリプシン、発生シグナルタンパク質のwntファミ
    リー、およびWW/rsp5/WWPドメイン含有タンパク質をコードする配列
    を含む、請求項8に記載の単離されたポリヌクレオチド。
  10. 【請求項10】 前記ポリヌクレオチドが、配列番号24、41、101、
    157、291、305、315、341、63、116、134、136、1
    51、384、404、308、213、367、188、251、202、3
    15、367、397、256、382、169、23、291、324、33
    0、341、353、188、379、および395の1つの配列を含む、請求
    項9に記載のポリヌクレオチド。
  11. 【請求項11】 前記ポリヌクレオチドが、以下からなる群から選択される
    機能的ドメインを有するポリぺプチド:Ankリピート、塩基領域プラスロイシ
    ンジッパー転写因子、ブロモドメイン、EF−ハンド、SH3ドメイン、WDド
    メイン/G−βリピート、ジンクフィンガー(C2H2タイプ)、ジンクフィン
    ガー(CCHCクラス)、および亜鉛結合メタロプロテアーゼドメインをコード
    する配列を含む、請求項8に記載のポリヌクレオチド。
  12. 【請求項12】 前記ポリヌクレオチドが、配列番号116、251、37
    4、97、136、242、379、306、386、18、335、61、3
    06、386、322、306、および395の1つの配列を含む、請求項11
    に記載のポリヌクレオチド。
  13. 【請求項13】 請求項8に記載のポリヌクレオチドを含む、組換え宿主細
    胞。
  14. 【請求項14】 請求項8に記載のポリヌクレオチドによってコードされる
    、単離したポリペプチド。
  15. 【請求項15】 請求項14に記載のポリぺプチドに特異的に結合する、抗
    体。
  16. 【請求項16】 請求項8に記載のヌクレオチドを含む、ベクター。
  17. 【請求項17】 ATCC受託番号xx、xx、xx、xx、xx、xx、
    xx、xx、またはxxとして保管されるクローンに含まれるヌクレオチドの挿
    入配列を含む、ポリヌクレオチド。
  18. 【請求項18】 哺乳動物細胞のガン性状態に関連して示差発現された遺伝
    子を検出する方法であって、該方法は以下の工程: ガン化していると推定される細胞に由来する試験サンプルにおいて示差発現さ
    れた遺伝子産物の少なくとも1つを検出する工程、ここで該遺伝子産物は、配列
    番号4、9、39、42、52、62、65、66、68、74、81、114
    、123、144、130、157、162、172、178、183、202
    、214、219、223、258、298、317、338、379、384
    、386、388、1、39、52、97、119、134、172、176、
    241、288、317、357、362、374、9、34、42、62、7
    4、106、119、135、154、160、260、308、323、34
    9、361、369、371、379、395、381、および400の少なく
    とも1つの配列に一致する遺伝子によってコードされ; ここで該示差発現された遺伝子産物の検出は、試験サンプルに由来する細胞の
    ガン性状態に関連される。
  19. 【請求項19】 前記検出工程は、参照アレイに対する試験サンプルのハイ
    ブリダイゼーションによっており、該参照アレイが、配列番号1〜844の少な
    くとも1つの同定する配列を含む、請求項18に記載の方法。
  20. 【請求項20】 前記細胞が、胸部組織に由来する細胞であって、前記示差
    発現された遺伝子産物が、配列番号4、9、39、42、52、62、65、6
    6、68、74、81、114、123、144、130、157、162、1
    72、178、183、202、214、219、223、258、298、3
    17、338、379、384、386、および388の少なくとも1つの配列
    に一致する遺伝子によってコードされる、請求項18に記載の方法。
  21. 【請求項21】 前記細胞が、結腸組織に由来する細胞であって、前記示差
    発現された遺伝子産物が、配列番号1、39、52、97、119、134、1
    72、176、241、288、317、357、362、および374の少な
    くとも1つの配列に一致する遺伝子によってコードされる、請求項18に記載の
    方法。
  22. 【請求項22】 前記細胞が、胚組織に由来する細胞であって、前記示差発
    現された遺伝子産物が、配列番号9、34、42、62、74、106、119
    、135、154、160、260、308、323、349、361、369
    、371、379、395、381、および400の少なくとも1つの配列に一
    致する遺伝子によってコードされる、請求項18に記載の方法。
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