JP2002519000A - ヒト遺伝子および遺伝子発現産物ii - Google Patents

ヒト遺伝子および遺伝子発現産物ii

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JP2002519000A JP2000556580A JP2000556580A JP2002519000A JP 2002519000 A JP2002519000 A JP 2002519000A JP 2000556580 A JP2000556580 A JP 2000556580A JP 2000556580 A JP2000556580 A JP 2000556580A JP 2002519000 A JP2002519000 A JP 2002519000A
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ルイス ティー. ウイリアムズ,
ジェイム エスコベド,
マイケル エイ. イニス,
パブロ ドミンゲズ ガルシア,
ジュリー サデュス−クリンガー,
クリストフ レインハード,
クラウス ギース,
フィリッポ ランダッゾ,
ギリア シー. ケネディ,
デイビッド ポット,
アルタフ カッサム,
ジョージ ラムソン,
ラドージェ ドラマナク,
ラドマイア クルクベンジャコフ,
マーク ディクソン,
スネザーナ ドラマナク,
イバン ラバット,
デナ レシュコウィッツ,
デイビッド キタ,
ベロニカ ガルシア,
リー ウイリアム ジョーンズ,
バージット スターシェ−クライン,
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カイロン コーポレイション
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、新規のヒトのポリヌクレオチドおよびそれらの変異体、これらにコードされるポリペプチドおよびそれらの改変体、これらのポリヌクレオチドに対応する遺伝子およびこの遺伝子によって発現されるタンパク質に関する。本発明はまた、このような新規のヒトのポリヌクレオチド、これらに対応する遺伝子または遺伝子産物(例えば、これらの遺伝子およびタンパク質(プローブ、アンチセンス構築物および抗体を含む))を利用する診断および治療薬剤に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の分野) 本発明は、新規なポリヌクレオチド、特にヒト起源の新規なポリヌクレオチド
に関する。このヒト起源の新規なポリヌクレオチドは、選択された細胞型で発現
され、別の細胞型と比較して1つの細胞型で(例えば、癌性細胞、または特定の
組織起源の細胞で)示差的に発現され、そして/または同定された機能ドメイン
および/または活性を有する遺伝子産物をコードするポリヌクレオチドと相同性
を共有する。
【0002】 (発明の背景) 新規なポリヌクレオチド(特に発現された遺伝子産物をコードする新規なポリ
ヌクレオチド)の同定は、薬物発見の向上、診断技術の向上、および癌のような
複合疾患の進行および性質の理解に重要である。疾患状態または疾患段階、発生
段階、種々の環境因子に対する曝露、起源の組織、その組織が単離された種など
で異なる、供給源から単離された異なる細胞型において発現された遺伝子の同定
は、これらの種々の差異と関連する表現型の原因である遺伝的因子を同定するた
めの鍵である。
【0003】 本発明は、新規なヒトポリヌクレオチド、これらのポリヌクレオチドにコード
されるポリペプチド、ならびにこれらの新規なポリヌクレオチドに対応する遺伝
子およびタンパク質を提供する。
【0004】 (発明の要旨) 本発明は、新規なヒトポリヌクレオチドおよびその改変体、これらにコードさ
れるポリペプチドおよびその改変体、これらのポリヌクレオチドに対応する遺伝
子、そしてこれら遺伝子により発現されるタンパク質に関する。本発明はまた、
このような新規なヒトポリヌクレオチド、これらの対応する遺伝子または遺伝子
産物(例えば、プローブ、アンチセンス構築物、および抗体を含むこれらの遺伝
子およびタンパク質)を使用する診断剤および治療剤に関する。本発明のポリヌ
クレオチドは、配列番号1〜3544、3546〜4510、4512〜472
5、4727〜4748、および4750〜5252(便宜の目的のため、本明
細書中で「配列番号1〜5252」と呼ぶ)の少なくとも1つの配列情報を含む
ポリヌクレオチドに対応する。
【0005】 従って、1つの実施態様において、本発明は、「配列番号1〜5252」の少
なくとも1つの配列情報を含む、ポリヌクレオチドのライブラリーを特徴とする
。関連する局面において、本発明は、核酸アレイ上に提供されるライブラリー、
またはコンピューターに読み取り可能な形式で提供されるライブラリーの特徴と
する。
【0006】 1つの実施態様において、このライブラリーは、本明細書中で開示される示差
的に発現されたポリヌクレオチドの1つから選択される配列を含む、示差的に発
現されたポリヌクレオチドを含む。特定の関連する実施態様において、このライ
ブラリーは、以下を含む:1)ヒト乳癌細胞において示差的に発現されるポリヌ
クレオチドであって、このポリヌクレオチドが、配列番号15、36、44、4
5、89、146、154、159、165、172、174、183、203
、261、364、366、387、419、420、496、503、510
、512、529、552、560、564、570、590、606、644
、646、693、707、711、726、746、754、756、875
、902、921、942、990、1095、1104、1122、1131
、1142、1170、1184、1205、1286、1289、1354、
1387、1435、1535、1751、1764、1777、1795、1
860、1869、1882、1890、1915、1933、1934、19
79、1980、2007、2023、2040、2059、2223、224
5、2300、2325、2409、2462、2488、2486、および2
492からなる群から選択される配列を含む;2)ヒト結腸癌細胞において示差
的に発現されたポリヌクレオチドであって、このポリヌクレオチドが、配列番号
33,65、228、250、252、253、280、282、355、37
0、387、443、460、491、545、560、581、603、68
0、693、703、704、716、726、746、752、753、10
95、1104、1205、1241、1264、1354、1387、140
1、1442、1514、1734、1742、1780、1851、1899
、1915、1954、2024、2066、2262、および2325からな
る群から選択される配列を含む;3)ヒト肺癌細胞において示差的に発現される
ポリヌクレオチドであって、このポリヌクレオチドが、配列番号10、54、6
5、171、174、203、252、253、254、285、419、42
0、466、491、525、526、552、571、574、590、69
3、700、726、742、746、861、922、990、1088、1
288、1355、1417、1422、1444、1454、1570、15
97、1979、2007、2024、2034、2038、2126、および
2245からなる群から選択される配列を含む;4)未処置ヒト微小血管内細胞
(HMEC)に対して増殖因子で処置されたHMECにおいて示差的に発現され
たポリヌクレオチドであって、このポリヌクレオチドが、配列番号648、18
99、および648からなる群から選択される配列を含む;あるいは5)複数の
ライブラリーにわたって示差的に発現されたポリヌクレオチドであって、このポ
リヌクレオチドが、配列番号65、174、203、252、253、387、
419、420、491、552、560、581、590、648、693、
726、746、990、1095、1124、1205、1354、1387
、1780、1899、1915、1979、2007、2024、2245、
および2325からなる群から選択される配列を含む。
【0007】 別の局面において、本発明は、「配列番号1〜5252」の同定する配列また
はその縮重改変体に対して、少なくとも90%の配列同一性を有するヌクレオチ
ド配列を含む、単離されたポリヌクレオチドを特徴とする。関連する局面におい
て、本発明は、組換え宿主細胞、および本発明のポリヌクレオチドを含むベクタ
ー、ならびに本発明のポリヌクレオチドによりコードされる単離されたポリペプ
チドおよびこのようなポリペプチドに特異的に結合する抗体を特徴とする。
【0008】 1つの実施態様において、本発明は、4回膜貫通セグメント内在性膜タンパク
質、7回膜貫通レセプター(ロドプシンファミリーまたはセクレチンファミリー
)、真核生物のアスパルチルプロテアーゼ、種々の細胞活性に関連するATPa
se(AAA)、Bcl−2、サイクリン、DEADボックスタンパク質ファミ
リー、DEAD/Hヘリカーゼタンパク質ファミリー、MAPキナーゼキナーゼ
タンパク質ファミリー、新規な3’5’−環状ヌクレオチドホスホジエステラー
ゼ、プロテインキナーゼ、rasタンパク質ファミリー、Gプロテインαサブユ
ニット、ホルボールエステル/ジアシルグリセロール結合タンパク質、プロテイ
ンキナーゼ、トリプシン、プロテインチロシンホスファターゼ、発生シグナル伝
達タンパク質のwntファミリー、WW/rsp5/WWPドメイン含有タンパ
ク質、Ank反復、塩基性領域プラスロイシンジッパードメイン、ブロモドメイ
ン、真核生物チオール(システイン)プロテアーゼ活性部位、EF−ハンド、E
TSドメイン、II型フィブロネクチンコラーゲン結合ドメイン、チオレドキシ
ン、ホメオボックスドメイン、TNFR/NGFRファミリーシステインリッチ
領域、WDドメイン/G−β反復、ジンクフィンガー(C2H2型)、ジンクフ
ィンガー(CCHCクラス)、およびジンクフィンガー(C3HC4型)からな
る群から選択される、タンパク質ファミリーのポリペプチドをコードする配列を
含むか、または機能性ドメインを有する単離されたポリヌクレオチドを特徴とす
る。特定の関連する実施態様において、本発明は、表3または表20に列挙され
る配列番号の1つの配列を含むポリヌクレオチドを特徴とする。
【0009】 別の局面において、本発明は、哺乳動物細胞の癌性状態に関連した、示差的に
発現された遺伝子を検出する方法を特徴とし、ここでこの方法は、癌である疑い
のある細胞に由来する試験サンプルにおいて少なくとも1つの示差的に発現され
た遺伝子産物を検出する工程を含み、ここでこの遺伝子産物は、本明細書中で開
示される示差的に発現されたポリヌクレオチドの少なくとも1つの配列に対応す
る遺伝子によりコードされる。示差的に発現された遺伝子産物の検出は、その試
験サンプルが由来した細胞の癌性状態と関連する。1つの実施態様において、こ
の検出は、参照アレイに対する試験サンプルのハイブリダイゼーションによるも
のであり、ここでこの参照アレイは、本明細書中で開示される示差的に発現され
たポリヌクレオチドの少なくとも1つの同定する配列を含む。
【0010】 本発明の方法の1つの実施態様において、細胞は乳房組織由来細胞であり、そ
して示差的に発現された遺伝子産物は、配列番号15、36、44、45、89
、146、154、159、165、172、174、183、203、261
、364、366、387、419、420、496、503、510、512
、529、552、560、564、570、590、606、644、646
、693、707、711、726、746、754、756、875、902
、921、942、990、1095、1104、1122、1131、114
2、1170、1184、1205、1286、1289、1354、1387
、1435、1535、1751、1764、1777、1795、1860、
1869、1882、1890、1915、1933、1934、1979、1
980、2007、2023、2040、2059、2223、2245、23
00、2325、2409、2462、2486、2488、および2492の
少なくとも1つの配列に対応する遺伝子によりコードされる。
【0011】 本発明の方法の別の実施態様において、細胞は、結腸組織由来細胞であり、そ
して示差的に発現された遺伝子産物が、配列番号65、228、252、253
、280、355、491、581、603、680、693、716、726
、746、752、753、1241、1264、1401、1442、151
4、1851、1915、2024、2066、33、250、282、370
、387、443、460、545、560、703、704、1095、11
04、1205、1354、1387、1734、1742、1780、189
9、1954、2262、および2325の少なくとも1つの配列に対応する遺
伝子によりコードされる。
【0012】 本発明の方法のさらに別の実施態様において、細胞は、肺組織由来細胞であり
、そして示差的に発現された遺伝子産物は、配列番号10、54、65、171
、174、203、252、253、254、285、419、420、466
、491、525、526、552、571、574、590、693、700
、726、742、746、861、922、990、1088、1288、1
355、1417、1422、1444、1454、1570、1597、19
79、2007、2024、2034、2038、2126、および2245の
少なくとも1つの配列に対応する遺伝子によりコードされる。
【0013】 別の実施態様において、この細胞は、肺細胞、乳房細胞、または結腸細胞のい
ずれかであり、そしてこの示差的に発現された遺伝子産物は、配列番号648お
よび1899の少なくとも1つの配列に対応する遺伝子によりコードされる。
【0014】 なお別の実施態様において、この細胞は、肺細胞、乳房細胞、または結腸細胞
のいずれかであり、そしてこの示差的に発現された遺伝子産物は、配列番号65
、174、203、252、253、387、419、420、491、552
、560、581、590、648、693、726、746、990、109
5、1124、1205、1354、1387、1780、1899、1915
、1979、2007、2024、2245、および2325の少なくとも1つ
の配列に対応する遺伝子によりコードされる。
【0015】 本発明の他の局面および実施態様は、本明細書中に提供される記載を読むこと
により、当業者に容易に明らかである。
【0016】 (発明の詳細な説明) 本発明は、開示されたヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドに関し、これ
らの配列に対応する完全長cDNA、mRNAおよび遺伝子に関し、そしてこれ
らのポリヌクレオチドおよび遺伝子によりコードされるポリペプチドおよびタン
パク質に関する。
【0017】 配列表のポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドおよびタンパク質
をコードするポリヌクレオチドもまた含まれる。これらのポリペプチドおよびタ
ンパク質をコードし得る種々のポリヌクレオチドは異なる。なぜならば、ほとん
どのアミノ酸が1つより多くの三重コドンによりコードされるという点で、遺伝
コードが縮重しているからでる。このようなコドンの同一性は、当該分野で周知
であり、そしてこの情報は、本発明の範囲内でポリヌクレオチドの構築のために
使用され得る。
【0018】 このポリヌクレオチドならびに関連するcDNAおよび遺伝子によりコードさ
れるポリペプチドおよびタンパク質の改変体であるポリペプチドおよびタンパク
質をコードするポリヌクレオチドもまた、本発明の範囲内である。これらの改変
体は、その野生型タンパク質の生物学的活性を、増強、付加または減少のいずれ
かを行う1つ以上のアミノ酸置換を有するという点で野生型タンパク質と異なる
。一旦アミノ酸変化が選択されると、改変体をコードするポリヌクレオチドは、
本発明にしたがって構築される。
【0019】 以下の詳細な説明は、本発明により包含されるポリヌクレオチド組成物、完全
長遺伝子産物をコードするcDNAまたはゲノムDNAを得るための方法、これ
らのポリヌクレオチドおよび遺伝子の発現、このポリヌクレオチドおよび遺伝子
の構造的モチーフの同定、本発明のポリヌクレオチドに対応する遺伝子によりコ
ードされる遺伝子産物の機能の同定、提供されるポリヌクレオチドのプローブと
しての使用、およびマッピングにおける使用、および組織プロファイリングにお
ける使用、抗体を惹起するための対応するポリペプチドおよび他の遺伝子産物の
使用、ならびに治療目的および診断目的のためのこれらのポリヌクレオチドおよ
びこれらがコードする遺伝子産物の使用を記載する。
【0020】 (I.ポリヌクレオチド組成物) ポリヌクレオチド組成物に関する本発明の範囲は、以下を含むが、これらに必
ずしも限定されない:「配列番号1〜5252」のいずれか1つに示される配列
を有するポリヌクレオチド;ストリンジェントな条件下(特に高いストリンジェ
ンシーの条件)でのハイブリダイゼーションにより、本明細書中に記載される生
物学的物質または他の生物学的供給源(特にヒト供給源)から得られるポリヌク
レオチド;提供されたポリヌクレオチドに対応する遺伝子;提供されたポリヌク
レオチドおよびそれらの対応する遺伝子の改変体(特にコードされた遺伝子産物
の生物学的活性(例えば、遺伝子産物のタンパク質ファミリーに対する割り当て
および/または遺伝子産物に存在する機能的ドメインの同定の結果として、提供
されたポリヌクレオチドに対応する遺伝子産物に帰せられた生物学的活性)を保
持する改変体)。本発明の範囲により企図されかつ本発明の範囲内にある、他の
核酸組成物は、本明細書での開示により提供される場合、当業者に容易に明らか
である。
【0021】 本発明は、ヒト組織(特にヒト結腸組織、乳房組織、および/または肺組織)
の細胞において発現されるポリヌクレオチドを特徴とする。特に目的である本発
明の新規な核酸組成物は、「配列番号1〜5252」のいずれか1つに示される
配列またはその同定する配列を含む。「同定する配列」は、長さが少なくとも約
10ヌクレオチド〜約20ヌクレオチド(通常、長さが少なくとも約50ヌクレ
オチド〜約100ヌクレオチド)残基の連続配列であって、この配列は、ポリヌ
クレオチド配列を独自に同定する(例えば、約20ヌクレオチドを超える任意の
連続ヌクレオチド配列と90%未満、通常約80%〜約85%未満の配列同一性
を示す)。従って、かかる新規な核酸組成物は、「配列番号1〜5252」のい
ずれか1つ由来の連続ヌクレオチドの同定する配列を含む完全長cDNAまたは
mRNAを含む。
【0022】 本発明のポリヌクレオチドはまた、配列類似性または配列同一性を有するポリ
ヌクレオチドを含む。配列類似性を有する核酸は、低いストリンジェンシー条件
下(例えば、50℃および10×SSC(0.9M生理食塩水/0.09Mクエ
ン酸ナトリウム))のハイブリダイゼーションにより検出され、そして55℃で
1×SSC中での洗浄に供された場合に、結合されたままである。配列同一性は
、ストリンジェント条件下(例えば、50℃またはそれより高く、かつ0.1×
SSC(9mM生理食塩水/0.9mMクエン酸ナトリウム))のハイブリダイ
ゼーションにより決定され得る。ハイブリダイゼーションの方法および条件は、
当該分野で周知である(例えば、米国特許第5,707,829号を参照のこと
)。提供されたポリヌクレオチド配列と実質的に同一である核酸(例えば、対立
遺伝子の改変体、この遺伝子の遺伝的に変更されたバージョンなど)は、ストリ
ンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、提供されたポリヌクレオチド配
列(「配列番号1〜5252」)に結合する。プローブ(特にDNA配列の標識
プローブ)を使用することにより、相同遺伝子または関連遺伝子を単離し得る。
相同な遺伝子の供給源は、任意の種(例えば、霊長類種(特にヒト);齧歯類(
例えば、ラットおよびマウス)、イヌ、ネコ、ウシ、ヒツジ、ウマ、酵母、線虫
)などであり得る。
【0023】 好ましくは、ハイブリダイゼーションは、「配列番号1〜5252」の少なく
とも1つの、少なくとも15連続しているヌクレオチドを使用して実行される。
すなわち、開示された配列番号の1つの、少なくとも15連続しているヌクレオ
チドがプローブとして使用される場合、このプローブは、その相補的配列を含む
(生物学的物質の)遺伝子またはmRNAと優先的にハイブリダイズし、このこ
とが、選択されたプローブに独自にハイブリダイズする生物学的物質の核酸の同
定および検索を可能にする。1より多くの配列番号由来のプローブは、それらプ
ローブが由来するcDNAが1つのmRNAに対応する場合、同一の遺伝子また
は同一のmRNAにハイブリダイズする。15ヌクレオチドより大きなプローブ
を使用し得るが、15ヌクレオチドは、独自の同定のために十分な配列を表す。
【0024】 本発明のポリヌクレオチドはまた、このヌクレオチド配列の天然に存在する改
変体(例えば、縮重改変体、対立遺伝子改変体など)を含む。本発明のポリヌク
レオチドの改変体は、本明細書中に開示されるヌクレオチド配列との、推定改変
体のハイブリダイゼーションにより(好ましくはストリンジェント条件下のハイ
ブリダイゼーションにより)同定される。例えば、適切な洗浄条件を使用するこ
とにより、本発明のポリヌクレオチドの改変体は、対立遺伝子改変体が、選択さ
れたポリヌクレオチドプローブに対して高々約25〜30%の塩基対ミスマッチ
を示す場合、同定され得る。一般に、対立遺伝子改変体は、15〜25%の塩基
対ミスマッチを含み、そして5〜15%、または2〜5%、または1〜2%もの
少ない塩基対ミスマッチ、および単一塩基対ミスマッチを含み得る。
【0025】 本発明はまた、「配列番号1〜5252」のポリヌクレオチドに対応する相同
体を含み、ここで、相同な遺伝子の供給源は、任意の哺乳動物種(例えば、霊長
類種(特にヒト);齧歯類(例えば、ラット)、イヌ、ネコ、ウシ、ヒツジ、ウ
マ)、酵母、線虫などであり得る。哺乳動物種(例えば、ヒトとマウスと)の間
で、相同体は、実質的な配列類似性(例えば、ヌクレオチド配列間で少なくとも
75%配列同一性、通常少なくとも90%、より通常少なくとも95%)を有す
る。配列類似性は、参照配列に基づいて計算し、この参照配列はより大きな配列
の部分集合(例えば、保存されたモチーフ、コード領域、隣接する領域など)で
あり得る。参照配列は、通常、少なくとも約18連続ヌクレオチド長、より通常
少なくとも約30ヌクレオチド長であり、そして比較される完全な配列にまで広
がり得る。配列解析のためのアルゴリズムは、当該分野で公知であり(例えば、
BLAST)、Altschulら、J.Mol.Biol.(1990)21
5:403〜10に記載される。
【0026】 一般に、本発明の改変体は、少なくとも約65%、好ましくは少なくとも約7
5%、より好ましくは少なくとも約85%を越える配列同一性を有し、そしてM
PSRCHプログラム(Oxford Molecular)において実行され
るようなSmith−Waterman相同性検索アルゴリズムにより決定され
る場合、少なくとも約90%以上を越え得る。本発明の目的のために、同一性パ
ーセントを計算する好ましい方法は、以下を使用するSmith−Waterm
anアルゴリズムである。グローバルのDNA配列同一性は、以下の検索パラメ
ーター:ギャップオープンペナルティー12、およびギャップ伸長ペナルティー
1、を用いるアフィンギャップ検索を使用する、MPSRCHプログラム(Ox
ford Molecular)において実行されるようなSmith−Wat
erman相同性検索アルゴリズムにより決定される場合、65%よりも大きい
に違いない。
【0027】 本核酸は、cDNAまたはゲノムDNA、およびそのフラグメント(特に、生
物学的に活性な遺伝子産物をコードするフラグメントおよび/または本明細書中
に開示された方法において有用であるフラグメント(例えば、診断において、目
的の示差発現された遺伝子の唯一同定物として、など)であり得る。用語「cD
NA」は、本明細書中で使用する場合、ネイティブの成熟mRNA種において見
出される配列エレメントの配置を共有する全ての核酸を含むことを意図され、こ
こで配列エレメントは、エキソンならびに3’非コード領域および5’非コード
領域である。通常、mRNA種は、連続するエキソンを有し、介在するイントロ
ンを伴い、このイントロンが存在する場合、核RNAスプライシングにより除去
され、本発明のポリペプチドをコードする連続性のオープンリーディングフレー
ムを創造する。
【0028】 目的のゲノム配列は、天然の染色体に通常存在する全てのイントロンを含み、
列挙される配列において規定されるような、開始コドンと終止コドンとの間に存
在する核酸を含む。これは、成熟mRNAにおいて見い出される3’および5’
非翻訳領域をさらに含み得る。これは、約1kbを含む(しかしそれ以上の可能
性もある)転写される領域の5’および3’末端のいずれかの隣接ゲノムDNA
の特異的転写調節配列および翻訳調節配列(例えば、プロモーター、エンハンサ
ーなど)をさらに含み得る。ゲノムDNAは、100kbp以下のフラグメント
として単離され得る;そして実質的には隣接染色体配列がない。コード領域に隣
接するゲノムDNA(3’および5’、または時折イントロンに見い出されるよ
うな内部調節配列のいずれか)は、適当な組織、段階特異的発現、または疾患状
態特異的発現について必要とされる配列を含む。
【0029】 本発明の核酸組成物は、対象のポリペプチドの全てまたは一部分をコードし得
る。二本鎖または一本鎖のフラグメントは、従来の方法に従う化学合成オリゴヌ
クレオチド、制限酵素消化、PCR増幅などによって、DNA配列から得られ得
る。本発明の単離されるポリヌクレオチドおよびポリヌクレオチドフラグメント
は、配列番号1〜5252に示されるようなポリヌクレオチド配列から選択され
る少なくとも約10、約15、約20、約35、約50、約100、約150〜
約200、約250〜約300、または約350連続ヌクレオチドを含む。大部
分について、フラグメントは、少なくとも15nt、通常は少なくとも18nt
または25ntの長さであり、そして少なくとも約50連続ntまでまたはそれ
以上の長さである。好ましい実施態様において、ポリヌクレオチド分子は、配列
番号1〜5252に示されるポリヌクレオチドからなる群から選択される少なく
とも12ヌクレオチドの連続する配列を含む。
【0030】 本発明のポリヌクレオチドに対して特異的なプローブは、配列番号1〜525
2に開示されるポリヌクレオチド配列を使用して産生され得る。このプローブは
、好ましくは配列番号1〜5252の対応する連続する配列の、少なくとも約1
2、15、16、18、20、22、24、または25ヌクレオチドフラグメン
トであり、そして2、1、0.5、0.1、または0.05kb長未満であり得
る。このプローブは化学的に合成され得るか、または制限酵素を使用してより長
いポリヌクレオチドから産生され得る。このプローブは、例えば、放射性タグ、
ビオチニル化タグ、または蛍光性タグを用いて標識化され得る。好ましくは、プ
ローブは、配列番号1〜5252の1つのポリヌクレオチドの配列の同定に基づ
いて設計される。より好ましくは、プローブは、配列に対する低い複雑性をマス
キングするためのマスキングプログラム(例えば、XBLAST)の適用に続い
てマスキングされないままでいる、対象のポリヌクレオチドの1つの連続する配
列に基づいて設計される。すなわち、マスキングプログラムによって生成される
マスキングされた配列のポリ−nストレッチを外側のポリヌクレオチドによって
示されるような、マスキングされていない領域を選択する。
【0031】 本発明のポリヌクレオチドは、概してインタクトな染色体以外として、実質的
に純粋で単離され、そして得られる。通常、ポリヌクレオチド(DNAまたはR
NAのいずれかとして)は、概して少なくとも約50%、通常少なくとも約90
%純粋である、他の天然に生じる核酸配列が実質的になしで得られ、そして、代
表的には「組換え型」であり、例えば天然に生ずる染色体には普通付随しない1
つ以上のヌクレオチドに隣接される。
【0032】 本発明のポリヌクレオチドは、線状分子としてまたは環状分子内に提供され得
る。これらは、自己複製分子(ベクター)内または複製配列を有さない分子内に
提供され得る。これらは、当該分野で公知のように、それら自体または他の調節
配列によって調節され得る。本発明のポリヌクレオチドは当該分野において利用
可能な種々の技術(例えば、トランスフェリンポリカチオン媒介DNA移入、裸
の、またはカプセル化された核酸を用いるトランスフェクション、リポソーム媒
介DNA移入、DNAコートラテックスビーズの細胞内輸送、プロトプラスト融
合、ウイルス感染、エレクトロポレーション、遺伝子銃、リン酸カルシウム媒介
トランスフェクションなど)を使用して適切な宿主細胞に導入され得る。
【0033】 対象核酸組成物は、例えば、ポリヌクレオチドのさらなるコピーを生成するた
めに生物学的サンプル(例えば、ヒト細胞の抽出物)における本発明のmRNA
の検出のためのプローブとして、リボザイムまたはアンチセンスオリゴヌクレオ
チドを生成するために、および一本鎖DNAプローブとしてまたは三本鎖形成オ
リゴヌクレオチドとして、ポリペプチドを生成するために使用され得る。本明細
書中に記載されるこのプローブは、例えば、配列番号1〜5252に示されるよ
うなポリヌクレオチド配列または、サンプル中のそれらの変異体の有無を決定す
るために使用され得る。これらおよび他の使用法は、以下により詳細に記載され
る。
【0034】 (全長cDNAおよび全長ヒト遺伝子およびプロモーター領域を得るためのポ
リヌクレオチドの使用) 開示されるポリヌクレオチドを含む全長cDNA分子は、以下のように得られ
る。配列番号1〜5252の1つの配列、または少なくとも12、15、18ま
たは20ヌクレオチドを含むこれらの一部を有するポリヌクレオチドは、プロー
ブ設計方法、クローニング方法、およびクローン選択技術(例えば、米国特許第
5,654,173号に記載される方法)を使用して、cDNAライブラリーの
メンバーをハイブリダイズするのを検出するための、ハイブリダイゼーションプ
ローブとして使用される。cDNAのライブラリーは、選択された組織(例えば
、正常組織または腫瘍組織)または例えば医薬品で処置される哺乳動物の組織か
ら、作製される。好ましくは、この組織は、本明細書中に記載されるポリヌクレ
オチドおよびcDNAの両方が発現した遺伝子を表わすので、本発明のポリヌク
レオチドが単離された組織と同じものである。最も好ましくは、このcDNAラ
イブラリーは、本明細書中の実施例において記載される生物学的材料から、作製
される。あるいは、多くのcDNAライブラリーは、市販されている(Samb
rookら、Molecular Cloning:A Laboratory
Manual,第2版、(1989)Cold Spring Harbor
Press,Cold Spring Harbor,NY)。ライブラリー
構築のための細胞型の選択は、本発明のポリヌクレオチドに対応する遺伝子によ
りコードされるタンパク質の同一性を知られる後に、なされ得る。このことは、
どの組織型および細胞型が関連遺伝子を発現しそうかを示し、従って、cDNA
を生成するためのmRNAについて適する供給源を表す。提供されたポリヌクレ
オチドがcDNAライブラリーから単離される場合、このライブラリーは、ヒト
結腸細胞、より好ましくは、ヒト結腸癌細胞、さらにより好ましくは、高度に転
移性の結腸細胞であるKm12L4−AのmRNAから調製される。
【0035】 核酸配列ライブラリーの作製およびプローブ化についての技術は、例えば、S
ambrookら、Molecular Cloning: A Labora
tory Manual,第2版,(1989)Cold Spring Ha
rbor Press,Cold Spring Harbor,NYに記載さ
れる。配列番号1〜5252由来の配列に基づくプライマーの使用により、cD
NAが調製され得る。1つの実施態様において、このcDNAライブラリーは、
ポリアデニル化mRNAのみから作製され得る。従って、ポリTプライマーは、
mRNAからcDNAを調製するために使用され得る。
【0036】 提供されるポリヌクレオチドより大きいライブラリーのメンバー、および好ま
しくは天然のメッセージの完全コード配列を含むライブラリーのメンバーが得ら
れる。全体のcDNAが得られたことを確認するために、RNA保護実験が以下
のように実行される。mRNAに対する全長cDNAのハイブリダイゼーション
は、RNase分解からRNAを保護する。もしcDNAが全長でないならば、
次いでハイブリダイズされないmRNAの部分は、RNase分解される。これ
は、当該分野で公知であるように、ポリアクリルアミドゲル上の電気泳動の移動
度の変化、または放出されるモノリボヌクレオチドの検出によりアッセイされる
。Sambrookら、Molecular Cloning: A Labo
ratory Manual,第2版,(1989)Cold Spring
Harbor Press,Cold Spring Harbor,NY。部
分cDNAの末端に対して5’のさらなる配列を得るため、5’RACE(PC
R Protocols:A Guide to Methods and A
pplications,(1990)Academic Press,Inc
.)が実行される。
【0037】 全長cDNAの単離に類似の様式で提供されるポリヌクレオチドを用いて、ゲ
ノムDNAを単離する。手短には、提供されるポリヌクレオチド、またはその一
部分は、ゲノムDNAのライブラリーに対するプローブとして使用される。好ま
しくは、このライブラリーは、本発明のポリヌクレオチドを生成するために使用
された細胞型から得られる。しかし、これは必須ではない。最も好ましくは、こ
のゲノムDNAは、本明細書中の実施例に記載される生物学的材料から得られる
。このようなライブラリーは、ゲノムの大きなセグメント(例えば、Sambr
ookら、9.4−9.30に詳細に記載されるようなP1またはYAC)を運
ぶのに適するベクターに存在し得る。さらに、ゲノム配列は、ヒトBACライブ
ラリーから単離され得る。これは、例えば、Research Genetic
s,Inc.,Huntville,Alabama,USAより市販されてい
る。さらなる5’または3’配列を得るために、Sambrookらに記載され
るように、染色体歩行が実行され、その結果、ゲノムDNAの隣接および重複フ
ラグメントが単離される。これらは、当該分野で公知のように、制限消化酵素お
よびDNAリガーゼを使用して、マッピングおよび互いにつなぎ合わされる。
【0038】 本発明のポリヌクレオチド配列を使用して、対応する全長遺伝子が、cDNA
ライブラリーを構築およびプローブするための古典的な方法およびPCR法の両
方を使用して単離され得る。いずれかの方法、好ましくはノーザンブロットを使
用して、どの細胞株が最も高いレベルで目的の遺伝子を発現するのかを決定する
ために、多くの細胞型において実行される。cDNAライブラリーを構築する古
典的な方法は、Sambrookら(前出)に教示される。これらの方法を用い
て、cDNAは、mRNAから生成され得、そしてウイルスベクターまたは発現
ベクターに挿入され得る。代表的には、ポリ(A)尾部を含むmRNAのライブ
ラリーは、ポリ(T)プライマーを用いて生成され得る。同様に、cDNAライ
ブラリーは、プライマーとして本発明の配列を使用して、生成され得る。
【0039】 PCR法は、所望の挿入物を含むcDNAライブラリーのメンバーを増幅する
ために使用される。この場合において、所望される挿入物は、本発明のポリヌク
レオチドに対応する全長cDNA由来の配列を含む。このようなPCR法は、遺
伝子トラッピングおよびRACE法を含む。遺伝子トラッピングは、cDNAラ
イブラリーのメンバーをベクターに挿入することを必要とする。次いで、このベ
クターを変性させ、一本鎖分子を生成する。次に、基質結合プローブ(例えば、
ビオチン化オリゴ)は、目的のcDNA挿入物をトラップするために使用される
。ビオチン化プローブは、アビジン結合固体基質に連結され得る。PCR法は、
このトラップしたcDNAを増幅するために使用され得る。全長の遺伝子に対応
する配列をトラップするために、標識化プローブ配列は、本発明のポリヌクレオ
チド配列に基づく。ライブラリーベクターに対して特異的なランダムプライマー
(単数または複数)は、このトラップしたcDNAを増幅するために使用され得
る。このような遺伝子トラッピング技術は、Gruberら、WO 95/04
745およびGruberら、米国特許第5,500,356号に記載される。
遺伝子トラッピング実験を実施するためのキットは、市販されている(例えば、
Life Technologies,Gaithersburg,Maryl
and,USAより)。
【0040】 「cDNA末端の迅速な増幅」、またはRACEは、多数の異なるRNAから
cDNAを増幅するPCR法である。このcDNAを、オリゴヌクレオチドリン
カーに結合させ、そして2つのプライマーを用いてPCRによって増幅する。1
つのプライマーは、本発明のポリヌクレオチド由来の配列に基づき、これは全長
配列が所望される。そして2つめのプライマーは、cDNAを増幅するためのオ
リゴヌクレオチドリンカーとハイブリダイズする配列を含む。この方法の記載は
、WO 97/19110に示される。RACEの好ましい実施態様において、
共通のプライマーは、cDNA末端に連結される任意のアダプター配列とアニー
ルするために設計される(ApteおよびSiebert,Biotechni
ques(1993)15:890−893;Edwardsら、Nuc.Ac
ids Res.(1991):5227−5232)。単一の遺伝子特異的R
ACEプライマーが、共通のプライマーと対になる場合、単一の遺伝子特異的プ
ライマーと共通のプライマーとの間の配列の好ましい増幅が起こる。RACEに
おける使用のために改変された市販のcDNAプールは利用可能である。
【0041】 別のPCRに基づく方法は、cDNA配列の特定の情報を必要とせず、固定化
末端を有する全長のcDNAライブラリーを産生する。この方法は、WO96/
40998に記載される。
【0042】 遺伝子のプロモーター領域は、一般に、RNAポリメラーゼIIのための開始
部位に対して5’に位置する。何百ものプロモーター領域は、「TATA」ボッ
クス(例えば、TATTAまたはTATAAのような配列)を含み、これは、変
異に対して感受性である。プロモーター領域は、遺伝子のコード領域由来のプラ
イマーを使用する5’RACEの実施により得られ得る。あるいは、cDNAは
、ゲノム配列についてのプローブとして使用され得、そしてコード領域に対する
領域5’は「ウォーキングアップ」により同定される。遺伝子が高度に発現され
るか、または示差的に発現される場合、この遺伝子由来のプロモーターは、異種
遺伝子に対する調節構築物において有用であり得る。
【0043】 いったん全長のcDNAまたは遺伝子が得られたならば、改変体をコードする
DNAは、部位特異的変異誘発により調製され得る(Sambrookら、15
.3−15.63に詳細に記載される)。置換されるコドンまたはヌクレオチド
の選択は、タンパク質の構造および/または機能の変化を達成するために、アミ
ノ酸における必要に応じた変化についての本明細書中の開示に基づき得る。
【0044】 生物学的材料由来のDNAまたはRNAを得るための代替方法として、本発明
の1つ以上のポリヌクレオチドの配列を有するヌクレオチドを含む核酸が、合成
され得る。従って、本発明は、1つ以上の生物学的操作(核酸分子の複製および
発現を含む)に適する15ヌクレオチド長(配列番号1〜5252の1つの少な
くとも15連続するヌクレオチドに対応する)から最大長までの範囲である核酸
分子を含む。本発明は、(a)完全な遺伝子のサイズを有し、かつ配列番号1〜
5252の少なくとも1つを含む核酸;(b)少なくとも1つのさらなる遺伝子
をまた含み、融合タンパク質の発現を許容するために作動可能に連結される(a
)の核酸;(c)(a)または(b)を含む発現ベクター;(d)(a)または
(b)を含むプラスミド;および(e)(a)または(b)を含む組換え型ウイ
ルス粒子、を含むが、これらに限定されない。一度本明細書中に開示されるポリ
ヌクレオチドが提供されれば、(a)〜(e)の構築および調製は、当業者に周
知である。
【0045】 配列番号1〜5252の少なくともいずれか1つの、少なくとも15連続する
ヌクレオチドを含む核酸配列、好ましくは配列番号1〜5252の少なくともい
ずれか1つの全体配列を含む核酸配列は、これに限定されないが、A、T、G、
および/またはC(DNAに対し)ならびにA、U、G、および/またはC(R
NAに対し)のいずれかの配列、あるいはそれらの改変された塩基(イノシンお
よびプソイドウリジンを含む)であり得る。配列の選択は、所望される機能に依
存し、そして所望されるコード領域、所望されるイントロン様領域、および所望
される調節領域によって指示され得る。配列番号1〜5252のいずれか1つの
全体配列が核酸内に存在する場合、得られる核酸は、本明細書中において配列番
号1〜5252のいずれか1つの配列を含むポリヌクレオチドと呼ばれる。
【0046】 (II.全長cDNAまたは全長遺伝子によりコードされるポリペプチドの発
現) 提供されるポリヌクレオチド(例えば、「配列番号1〜5252」の1つの配
列を有するポリヌクレオチド)、対応するcDNA、または全長の遺伝子は、部
分的なまたは完全な遺伝子産物を発現するために使用される。「配列番号1〜5
252」の配列を有するポリヌクレオチドの構築物を、合成的に生成し得る。あ
るいは、オリゴデオキシリボヌクレオチドの多数のメンバーに由来する遺伝子お
よびプラスミド全体の単段階アセンブリは、例えば、Stemmerら、Gen
e(Amsterdam)(1995)164(1):49−53によって記載
される。本方法において、アセンブリPCR(オリゴデオキシリボヌクレオチド
(オリゴ)の多数のメンバーに由来する長いDNA配列の合成)が記載される。
この方法は、DNAシャッフリング(Stemmer,Nature(1994
)370:389−391)に由来し、そしてDNAリガーゼに頼らないが、代
わりにアッセンブリプロセスの間に、さらにより長いDNAフラグメントを構築
するためのDNAポリメラーゼに頼る。
【0047】 適切なポリヌクレオチド構築物は、例えばSambrookら、Molecu
lar Cloning:A Laboratory Manual,第2版、
(1989)Cold Spring Harbor Press,Cold
Spring Harbor,NYに記載される標準的組替えDNA技術を使用
して、そしてUnited States Dept.of HHS, Nat
ional Institute of Health(NIH)Guidel
ines for Recombinant DNA Researchに記載
されるような現行の規則の下で、精製される。本発明のポリヌクレオチドにより
コードされる遺伝子産物は、いずれかの発現系(例えば、細菌、酵母、昆虫、両
生類および哺乳動物系を含む)において発現される。適切なベクターおよび宿主
細胞は、米国特許第5,654,173号に記載される。
【0048】 (細菌)細菌における発現系は、Changら、Nature(1978)2
75:615;Goeddelら、Nature(1979)281:544;
Goeddelら、Nucleic Acids Res.(1980)8:4
057;EP0 036,776;米国特許第4,551,433号;DeBo
erら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)(1983)80
:21−25;およびSiebenlistら、Cell(1980)20:2
69に記載される発現系を含む。
【0049】 (酵母)酵母における発現系には、以下に記載の発現系が含まれる:Hinn
enら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)(1978)75
:1929;Itoら、J.Bacteriol.(1983)153:163
;Kurtzら、Mol.Cell.Biol.(1986)6:142;Ku
nzeら、J.Basic Microbiol.(1985)25:141;
Gleesonら、J.Gen.Microbiol.(1986)132:3
459;Roggenkampら、Mol.Gen.Genet.(1986)
202:302;Dasら、J.Bacteriol.(1984)158:1
165;De Louvencourtら、J.Bacteriol.(198
3)154:737;Van den Bergら、Bio/Technolo
gy(1990)8:135;Kunzeら、J.Basic Microbi
ol.(1985)25:141;Creggら、Mol.Cell.Biol
.(1985)5:3376;米国特許第4,837,148号および同第4,
929,555号;BeachおよびNurse、Nature(1981)3
00:706;Davidowら、Curr.Genet.(1985)10:
380;Gaillardinら、Curr.Genet.(1985)10:
49;Ballanceら、Biochem.Biophys.Res.Com
mun.(1983)112:284−289;Tilburnら、Gene(
1983)26:205−221;Yeltonら、Proc.Natl.Ac
ad.Sci.(USA)(1984)81:1470−1474;Kelly
およびHynes、EMBO J.(1985)4:475479:EP 0
244,234;およびWO91/00357号。
【0050】 (昆虫細胞)昆虫における異種遺伝子の発現は、以下に記載のように達成され
る:米国特許第4,745,051号;Friesenら、「The Regu
lation of Baculovirus Gene Expressio
n」 The Molecular Biology Of Baculovi
ruses(1986)(W.Doerfler編);EP0 127,839
;EP0 155,476;およびVlakら、J.Gen.Virol.(1
988)69:765−776;Millerら、Ann.Rev.Micro
biol.(1988)42:177;Carbonellら、Gene(19
88)73:409;Maedaら、Nature(1985)315:592
−594;Lebacq−Verheydenら、Mol.Cell Biol
.(1988)8:3129:Smithら、Proc.Natl.Acad.
Sci.(USA)(1985)82:8844;Miyajimaら、Gen
e(1987)58:273;およびMartinら、DNA(1988)7:
99。多数のバキュロウイルス株および改変株ならびに宿主からの対応する許容
性昆虫宿主細胞が、Luckowら、Bio/Technology(1988
)6:47−55、Millerら、Generic Engineering
(1986)8:277−279、およびMaedaら、Nature(198
5)315:592−594に記載される。
【0051】 哺乳動物細胞。哺乳動物発現は、Dijkemaら、EMBO J.(198
5)4:761、Gormanら、Proc.Natl.Acad.Sci.(
USA)(1982)79:6777、Boshartら、Cell(1985
)41:521および米国特許第4,399,216号に記載のように達成され
る。哺乳動物発現の他の特徴は、以下に記載のように容易にされる:Hamおよ
びWallace、Meth.Enz.(1979)58:44,Barnes
およびSato,Anal.Biochem.(1980)102:255、米
国特許第4,767,704号,同第4,657,866号、同第4,927,
762号、同第4,560,655号、WO90/103430、WO87/0
0195、およびU.S.RE 30,985。
【0052】 本明細書に提供されるポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子は、
ベクター中にこの分子を配置することによって増殖される。ウイルスおよび非ウ
イルスベクター(プラスミドを含む)が使用される。プラスミドの選択は、増殖
が所望される細胞の型および増殖の目的に依存する。特定のベクターが、大量の
所望のDNA配列を増幅および作製するために有用である。他のベクターは、培
養中の細胞における発現に適切である。さらなる他のベクターは、動物全体また
はヒトにおける細胞中での転移および発現のために適切である。適切なベクター
の選択は、十分に当該分野の技術の範囲内である。多くのこのようなベクターは
、市販されている。部分的または全長のポリヌクレオチドが、代表的にはベクタ
ー中の切断制限酵素部位へのDNAリガーゼ付着によって、ベクターに挿入され
る。あるいは、所望のヌクレオチド配列は、インビボで相同的組換えによって挿
入され得る。代表的には、これは、相同性の領域を、所望のヌクレオチド配列の
近傍でベクターに付着することによって、達成され得る。相同性の領域は、オリ
ゴヌクレオチドの連結によって、または例えば、相同性の領域と所望のヌクレオ
チド配列の一部との両方を含むプライマーを用いるポリメラーゼ連鎖反応によっ
て添加される。
【0053】 「配列番号1〜5252」に記載のポリヌクレオチドまたはそれらの対応する
全長ポリヌクレオチドは、所望の発現特性を得るのに適切なように、調節配列に
連結される。これらは、プロモーター(センス鎖の5’末端またはアンチセンス
鎖の3’末端のいずれかで付着される)、エンハンサー、ターミネーター、オペ
レーター、リプレッサー、およびインデューサーを含み得る。プロモーターは、
調節され得るか、または構成性であり得る。いくつかの状況では、条件的活性プ
ロモーター(例えば、組織特異的または発生ステージ特異的なプロモーター)を
使用することが望まれ得る。これらは、ベクターへの連結について上述した技術
を使用して、所望のヌクレオチド配列に連結される。当該分野で公知の任意の技
術が用いられ得る。
【0054】 上記の宿主細胞のいずれか、または他の適切な宿主細胞または生物が、本発明
のポリヌクレオチドまたは核酸を複製し、かつ/または発現させるために用いら
れる場合、得られた複製された核酸、RNA、発現されたタンパク質またはポリ
ペプチドは、宿主細胞または生物の産物として、本発明の範囲内にある。この産
物は、当該分野で公知の任意の適切な手段によって回収される。
【0055】 選択されたポリヌクレオチドに対応する遺伝子がいったん同定されると、その
発現は、その遺伝子がネイティブである細胞において調節され得る。例えば、細
胞の内因性遺伝子は、米国特許第5,641,670号に開示されるように外因
性調節配列によって調節され得る。
【0056】 (III.新規遺伝子の機能的および構造的なモチーフの同定) (A.公的に入手可能なデータベースに対するポリヌクレオチド配列およびア
ミノ酸配列のスクリーニング) 提供されたポリヌクレオチド、cDNA、または完全遺伝子のヌクレオチド配
列の翻訳が、個々の公知配列と整列され得る。個別配列との類似性が、本発明の
ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの活性を決定するために使
用され得る。例えば、ケモカイン配列と類似性を示す配列は、ケモカイン活性を
呈示し得る。また、1つより多い個別配列との類似性を呈示する配列は、個別配
列のいずれか、または両方に特徴的な活性を呈示し得る。
【0057】 最も近い隣接物のポリヌクレオチド配列の全長配列およびフラグメントは、提
供されたポリヌクレオチドに対応する全長配列を同定し、そして単離するための
プローブおよびプライマーとして使用され得る。最も近い隣接物は、提供された
ポリヌクレオチドに対応する全長配列のためのライブラリーを構築するために使
用され得る組織または細胞型を示し得る。
【0058】 代表的には、選択されたポリヌクレオチドは、個別配列との最良のアライメン
トを決定するために、6つ全てのフレームで翻訳される。配列表において本明細
書中に開示される配列は、5’から3’への方向であり、そして3つのフレーム
での翻訳は十分であり得る(実施例に記載のような少数の特定の例外はあるが)
。これらのアミノ酸配列を、一般に、問い合わせ配列と称し、これは、個別配列
と整列される。個別配列を有するデータベースは、「Computer Met
hods for Macromolecular Sequence Ana
lysis」 Methods in Enzymology(1996)26
6、Doolittle、Academic Press,Inc.a div
ision of Harcourt Brace & Co.,San Di
ego、California、USAに記載される。データベースは、Gen
bank、EMBL、およびDNA Database of Japan(D
DBJ)を含む。
【0059】 問い合わせ配列および個別配列は、上記の方法およびコンピュータープログラ
ムを用いて整列され得、そしてBLAST(http://ww.ncbi.n lm.nih.gov/BLAST /で世界的なウェブで利用可能)を含む。別
の整列アルゴリズムは、Fasta(Genetics Computing
Group(GCG)パッケージで利用可能、Madison、Wiscons
in、USA、Oxford Molecular Group、Inc.の完
全所有子会社)である。整列のための他の技術は、Doolittle、前出、
に記載される。好ましくは、配列中のギャップを可能にする整列プログラムが、
配列を整列させるために利用される。Smith−Watermanは、配列整
列中のギャップを可能にするアルゴリズムの1つのタイプである。Meth.M
ol.Biol.(1997)70:173−187を参照のこと。また、Ne
edlemanおよびWunschアライメント法を用いるGAPプログラムが
、配列を整列させるために利用され得る。代替の検索ストラテジーは、MASP
ARコンピューターで実行するMPSRCHソフトウェアを使用する。MPSR
CHは、大規模並行コンピューターにおいて配列をスコア付けするためにSmi
th−Watermanアルゴリズムを使用する。このアプローチは、遠いと関
連付けられた適合である配列を同定する能力を改善し、そして小さなギャップお
よびヌクレオチド配列誤差に特に寛容である。提供されたポリヌクレオチドによ
ってコードされるアミノ酸配列は、タンパク質データベースおよびDNAデータ
ベースの両方を検索するために使用され得る。
【0060】 個別アライメントおよび問い合わせ配列アライメントの結果は、高い類似性、
弱い類似性、および類似性なしの3つのカテゴリーに分けられ得る。高い類似性
から弱い類似性までの範囲の個々の整列結果は、ポリペプチド活性および/また
は構造を決定するための基本を提供する。個々の結果を分類するためのパラメー
ターは、以下を含む:最も強い整列が見出される整列領域長の百分率、配列同一
性パーセント、およびp値。
【0061】 アライメント領域長の百分率は、最も強いアライメント領域(例えば、整列し
た問い合わせ配列の対応する領域の残基と同一である残基の最も多くの数を含む
個別配列の連続的な領域)において見出された個別配列の残基の数を計数するこ
とによって算定される。この数を、問い合わせ配列の全残基長で割って、百分率
を算定する。例えば、20アミノ酸残基の問い合わせ配列を、個別配列の20ア
ミノ酸領域と整列し得る。個別配列は、問い合わせ配列のアミノ酸残基5、9〜
15、および17〜19に同一であったとする。従って、最も強いアライメント
領域は、残基9〜19に伸長する領域である11アミノ酸ストレッチである。ア
ライメント領域長の百分率は、以下の通りである:11(最も強い整列の領域の
長さ)を20(問い合わせ配列の長さ)で割ったもの、すなわち55%。
【0062】 配列同一性パーセントは、問い合わせ配列と個別配列との間のアミノ酸適合の
数を計数し、そして適合の総数を最も強いアライメント領域において見出された
個別配列の残基の数で割ることによって算定される。従って、上記の例における
同一性パーセントは、10適合を11アミノ酸で割ったもの、すなわち約90.
9%である。
【0063】 p値は、整列が偶然に生じた確率である。単整列については、p値は、Kar
linら、Proc.Natl.Acad.Sci.(1990)87:226
4およびKarlinら、Proc.Natl.Acad.Sci.(1993
)90に従って算定され得る。同じ問い合わせ配列を用いる多重アライメントの
p値は、Altschulら、Nat.Genet.(1994)6:119に
記載の発見的アプローチを用いて算定され得る。BLASTプログラムのような
アライメントプログラムがp値を算定し得る。
【0064】 同一性または類似性を決定することについて考慮する別の要因は、類似性また
は同一性の位置選定である。強い局地的なアライメントは、たとえアライメント
の長さが短かったとしても、類似であることを示し得る。問い合わせ配列の長さ
全体にわたって分散された配列の同一性もまた、問い合わせ配列とプロフィール
配列との間で類似であることを示し得る。配列が整列する領域の境界は、Doo
little、前出;BLASTもしくはFASTプログラムに従って;または
配列同一性が最も高い領域を決定することによって、決定され得る。
【0065】 (高類似性)一般に、高類似性であるとみなされるアライメントの結果では、
アライメント領域長のパーセントは、問い合わせ配列の全長の、代表的には、少
なくとも約55%;より代表的には、少なくとも約58%;さらにより代表的に
は、問い合わせ配列の全残基長の少なくとも約60%である。通常、アライメン
ト領域の長さのパーセントは、約62%程度の多さ;より通常には、約64%程
度の多さ;さらにより通常には、約66%程度の多さであり得る。さらに、高類
似性について、アライメント領域は、代表的には、少なくとも約75%の配列同
一性;より代表的には、少なくとも約78%;よりさらに代表的には、少なくと
も約80%の配列同一性を示し得る。通常、配列同一性パーセントは、約82%
程度の多さ;より通常には、約84%程度の多さ;ずっとより通常には、約86
%程度の多さであり得る。
【0066】 p値は、これらの方法と併用して使用される。高い類似性が見出された場合、
p値が約10-2以下であり;より通常には、約10-3以下であり;さらにより通
常には、約10-4以下である場合、問い合わせ配列は、プロフィール配列と高い
類似性を有するとみなされる。より代表的には、問い合わせ配列が類似性が高い
とみなされるには、p値は、約10-5を超えず;より代表的には、約10-10
下であり;さらにより代表的には、約10-15以下である。
【0067】 (弱類似性)一般に、アライメント結果が弱類似性であるとみなされる場合、
アライメント領域の長さの最少のパーセントも、アライメントの最少の長さも存
在しない。アライメント領域が、代表的には、少なくとも約15アミノ酸残基長
;より代表的には、少なくとも約20;さらにより代表的には、少なくとも約2
5アミノ酸残基長であるとき、弱い類似性をより良好に示すとみなされる。通常
、アライメント領域の長さは、約30アミノ酸残基程度の多さ;より通常には、
約40程度の多さ;さらにより通常には、約60アミノ酸残基程度の多さであり
得る。さらに、弱類似性について、アライメント領域は、代表的には、少なくと
も約35%の配列同一性;より代表的には、少なくとも約40%;よりさらに代
表的には、少なくとも約45%の配列同一性を示す。通常、配列同一性パーセン
トは、約50%程度の多さ;より通常には、約55%程度の多さ;さらにより通
常には、約60%程度の多さであり得る。
【0068】 低い類似性が見出される場合、p値が通常約10-2以下であり;より通常には
、約10-3以下であり;ずっとより通常には、約10-4以下であるとき、問い合
わせ配列は、プロフィール配列と弱類似性を有するとみなされる。より代表的に
は、問い合わせ配列が弱い類似性であるとみなされるには、p値は、約10-5
超えず;より通常には;約10-10以下であり;さらにより通常には、約10-15 以下である。
【0069】 (配列同一性のみにより決定された類似性)配列同一性は、単独で、個別配列
に対する問い合わせ配列の類似性を決定するために使用され得、そして配列の活
性を示し得る。このようなアライメントは、好ましくは、配列を整列するために
ギャップを許容する。代表的には、問い合わせ配列は、問い合わせ配列全体にわ
たる配列同一性が、少なくとも約15%;より代表的には、少なくとも約20%
;さらにより代表的には、少なくとも約25%;さらにより代表的には、少なく
とも約50%である場合、プロフィール配列に関連する。配列同一性は、単独で
、問い合わせ配列が、通常、少なくとも80残基長;より通常には90残基;よ
りさらに通常には、少なくとも95アミノ酸残基長であるとき、類似性の尺度と
して、最も有用である。より代表的には、問い合わせ配列が、好ましくは100
残基長;より好ましくは120残基長;よりさらに好ましくは、150アミノ酸
残基長であるとき、配列同一性のみに基づいて、類似性が決定され得る。
【0070】 (プロフィールおよび多重整列配列との整列からの活性の決定)提供されたポ
リヌクレオチドの翻訳は、タンパク質ファミリーまたは共通モチーフのいずれか
を規定するアミノ酸プロフィールと整列され得る。また、提供されたポリヌクレ
オチドの翻訳は、タンパク質ファミリーまたはモチーフのメンバーのポリペプチ
ド配列を含む多重配列整列(MSA)に対して整列され得る。プロフィール配列
またはMSAとの類似性または同一性は、提供されたポリヌクレオチドまたは対
応するcDNAもしくは遺伝子によりコードされた遺伝子産物(例えば、ポリペ
プチド)の活性を決定するために使用され得る。例えば、ケモカインプロフィー
ルまたはMSAとの同一性または類似性を示す配列は、ケモカイン活性を示し得
る。
【0071】 プロフィールは、(1)MSA(ファミリーに属するメンバーのアミノ酸配列
の整列である)を作製し、そして(2)整列の統計的表示を作成することによっ
て、手動で設計され得る。このような方法は、例えば、Birneyら、Nuc
l.Acid Res.(1996)24(14):2730−2739におい
て記載される。いくつかのタンパク質ファミリーおよびモチーフのMSAは、公
的に入手可能である。例えば、http://genome.wust1.ed
u/Pfam/は、547の異なるファミリーおよびモチーフのMSAを含む。
これらのMSAは、Sonnhammerら、Proteins(1997)2
8:405−420にも記載される。世界的ウェブにわたる他の供給源は、ht
tp://www.embl−heidelberg.de/argos/al
i/ali.htm1のサイトを含む;あるいは、メッセージを、報告のために
ALI@EMBL−HEIDELBERG.DEに発信し得る。これらのMSA
の簡単な説明は、Pascarellaら、Prot.Eng.(1996)9
(3):249−251に報告されている。MSAからのプロフィール構築のた
めの技術は、Sonnhammerら(前出);Birneyら(前出);およ
び「Computer Methods for Macromolecula
r Sequence Analysis」,Methods in Enzy
mology(1996)266、Doolittle、Academic P
ress,Inc.、a division of Harcourt Bra
ce & Co.,San Diego、California、USAに記載
されている。
【0072】 問い合わせ配列とタンパク質ファミリーまたはモチーフとの間の類似性は、(
a)プロフィールに対して問い合わせ配列を比較すること、および/または(b
)問い合わせ配列をファミリーもしくはモチーフのメンバーと整列することによ
って決定され得る。代表的には、Searchwiseのようなプログラムは、
問い合わせ配列を、プロフィールとしてもまた公知である、多重整列の統計的表
示に対して比較するために使用される。このプログラムは、Birneyら、前
出に記載される。配列およびプロフィールを比較するための他の技術は、Son
nhammerら(前出)およびDoolittle(前出)において記載され
る。
【0073】 次に、Fengら、J.Mol.Evol.(1987)25:351および
Higginsら、CABIOS(1989)5:151により記載される方法
が、問い合わせ配列を、MSAとしてもまた公知である、ファミリーもしくはモ
チーフのメンバーと整列させるために使用され得る。コンピュータープログラム
(例えば、PILEUP)が使用され得る。Fengら(後出)を参照のこと。
一般に、以下の要因が、問い合わせ配列とプロフィールまたはMSAとの間の類
似性が存在するか否かを決定するために使用される:(1)問い合わせ配列中に
見出される保存残基の数、(2)問い合わせ配列中に見出される保存残基のパー
センテージ、(3)フレームシフトの数、および(4)保存残基間の間隔。
【0074】 配列を翻訳しそして整列することの両方を行ういくつかの整列プログラムは、
最良の整列を作成するためにヌクレオチド配列を翻訳する場合、任意の数のフレ
ームシフトを作成し得る。整列を作成するために必要とされるフレームシフトが
少ないほど、問い合わせとプロフィールもしくはMSAとの間の類似性または同
一性は強くなる。例えば、フレームシフトなしから得られる弱い類似性は、2つ
のフレームシフトから得られる強い類似性よりもよい、問い合わせ配列の活性ま
たは構造の指標であり得る。好ましくは、3以下のフレームシフトが整列におい
て見出され;より好ましくは、2以下のフレームシフトが;なおより好ましくは
、1つ以下のフレームシフトが;なおより好ましくは、フレームシフトのないこ
とが、問い合わせおよびプロフィールまたはMSAの整列において見出される。
【0075】 保存された残基は、ファミリーまたはモチーフのメンバーの全てまたはいくつ
かにおいて、特定の位置で見出されるアミノ酸である。例えば、ほとんどのケモ
カインは、4つの保存されたシステインを含む。あるいは、特定のクラスのアミ
ノ酸だけが、ファミリーのメンバーの全てまたはいくつかにおいて、特定の位置
で見出される場合、位置は、保存されたと考えられる。例えば、N末端位置は、
リジン、アルギニン、またはヒスチジンのような正に荷電したアミノ酸を含み得
る。
【0076】 代表的には、ポリペプチドの残基は、あるクラスのアミノ酸または単一のアミ
ノ酸が、特定の位置において、全てのクラスのメンバーの少なくとも約40%;
より代表的には、少なくとも約50%;なおより代表的には、メンバーの少なく
とも約60%で見出される場合、保存されている。通常、あるクラスまたは単一
のアミノ酸が、ファミリーまたはモチーフのメンバーの少なくとも約70%;よ
り通常には、少なくとも約80%;なおより通常には、少なくとも約90%;さ
らにより通常には、少なくとも約95%で見出される場合、残基は、保存されて
いる。
【0077】 3つの関連していないアミノ酸;より通常には、2つの関連していないアミノ
酸が、メンバーのいくつかまたは全てにおける特定の位置で見出される場合、残
基は保存されていると考えられる。関連していないアミノ酸が、全てのクラスの
メンバーの少なくとも約40%;より代表的には、少なくとも約50%;なおよ
り代表的には、メンバーの少なくとも約60%における特定の位置で見出される
場合、これらの残基は、保存されている。通常、あるクラスまたは単一のアミノ
酸が、ファミリーまたはモチーフのメンバーの少なくとも約70%;より通常に
は、少なくとも約80%;なおより通常には、少なくとも約90%;なおより通
常には、少なくとも約95%で見出される場合、残基は、保存されている。
【0078】 問い合わせ配列が、プロフィールまたはMSAの保存された残基の少なくとも
約25%;より通常には、少なくとも約30%;なおより通常には、少なくとも
約40%を含む場合、問い合わせ配列は、プロフィールまたはMSAに対して類
似性を有する。代表的には、問い合わせ配列が、プロフィールまたはMSAの保
存された残基の少なくとも約45%;より代表的には、少なくとも約50%;な
おより代表的には、少なくとも約55%を含む場合、問い合わせ配列は、プロフ
ィール配列またはMSAに対して、より強い類似性を有する。
【0079】 (B.タンパク質プロフィールに対するポリヌクレオチドおよびアミノ酸配列
のスクリーニング) 本明細書に記載されたポリヌクレオチドと相関する遺伝子の同定および機能は
、タンパク質ファミリーのプロフィールに対して、そのポリヌクレオチドまたは
それらに対応するアミノ酸配列をスクリーニングすることにより決定され得る。
このようなプロフィールは、各ファミリーのタンパク質間の共通の構造モチーフ
に焦点を当てる。公に利用可能なプロフィールは、上記のセクションIVAに記
載されている。さらなるまたは代替のプロフィールは、以下に記載される。
【0080】 新規のポリヌクレオチドを公知の配列と比較することにおいて、いくつかの整
列ツールが利用可能である。例としては、多重配列整列を作成するPileUp
を含み、そしてFengら、J.Mol.Evol.(1987)25:351
に記載されている。別の方法であるGAPは、Needlemanら、J.Mo
l.Biol.(1970)48:443の整列方法を使用する。GAPは、配
列の全体的な整列に最も適している。第3の方法であるBestFitは、Sm
ithら、Adv.Appl.Math.(1981)2:482の局所相同性
アルゴリズムを用いて、一致する数を最大にするギャップを挿入することにより
機能する。例示的なタンパク質プロフィールは、以下および実施例に提供される
【0081】 (C.分泌型および膜結合型のポリペプチドの同定) 本発明の分泌型および膜結合型のポリペプチドの両方は、特に興味深いもので
ある。例えば、分泌型ポリペプチドのレベルは、都合よい体液(例えば、血液、
尿、前立腺液、および精液)中でアッセイされ得る。膜結合型ポリペプチドは、
ワクチン抗原を構築すること、または免疫応答を誘導することのために有用であ
る。このような抗原は、膜結合型ポリペプチドの細胞外領域の全てまたは一部を
含む。分泌型および膜結合型の両方のポリペプチドが、連続する疎水性アミノ酸
のフラグメントを含むので、疎水性予測アルゴリズムが、このようなポリペプチ
ドを同定するために使用され得る。
【0082】 シグナル配列は、通常、分泌型および膜結合型の両方のポリペプチド遺伝子に
よってコードされ、細胞の表面にポリペプチドを指向させる。シグナル配列は、
通常、疎水性残基のストレッチを含む。このようなシグナル配列は、ヘリックス
構造に折り畳まれ得る。膜結合型ポリペプチドは、代表的には、膜を横断し得る
疎水性アミノ酸のストレッチを有する、少なくとも1つの膜貫通領域を含む。い
くつかの膜貫通領域もまた、ヘリックス構造を示す。ポリペプチド内部の疎水性
フラグメントは、コンピューターアルゴリズムを使用することによって同定され
得る。このようなアルゴリズムは、HoppおよびWoods、Proc.Na
tl.Acad.Sci.USA(1981)78:3824−3828;Ky
teおよびDoolittle、J.Mol.Biol.(1982)157:
105−132;ならびにRAOARアルゴリズム、Degli Espost
iら、Eur.J.Biochem.(1990)190:207−219を含
む。
【0083】 分泌型ポリペプチドおよび膜結合型ポリペプチドを同定する別の方法は、本発
明のポリヌクレオチドを、6つ全てのフレームで翻訳し、そして少なくとも8つ
の連続する疎水性アミノ酸が存在するかどうかを決定することである。少なくと
も8;より代表的には10;さらにより代表的には12の連続する疎水性アミノ
酸を有する、これらの翻訳されたポリペプチドは、推定の分泌型ポリペプチドま
たは膜結合型ポリペプチドのいずれかであるとみなされる。疎水性アミノ酸は、
アラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニ
ン、フェニルアラニン、プロリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、お
よびバリンを含む。
【0084】 (IV.ポリヌクレオチドに対応する全長遺伝子の発現産物の機能の同定) リボザイム、アンチセンス構築物、およびドミナントネガティブ変異体は、本
明細書中で提供されるポリヌクレオチドに対応する遺伝子の発現産物の機能を決
定するために使用され得る。これらの方法および組成物は、提供される新規のポ
リヌクレオチドが、既知の機能の遺伝子をコードする配列に、有意なまたは実質
的な相同性を示さない場合に特に有用である。アンチセンス分子およびリボザイ
ムは、合成ポリヌクレオチドから構築され得る。代表的には、オリゴヌクレオチ
ド合成のホスホラミダイト法が使用される。Beaucageら、Tet.Le
tt.(1981)22:1859および米国特許第4,668,777号を参
照のこと。自動合成装置は、この化学的作用を使用してオリゴヌクレオチドを作
製するために利用可能である。このような装置の例は、Applied Bio
systems、a division of Perkin−Elmer C
orp.、Foster City、California、USAのBios
earch 8600、392型および394型;ならびにPerceptiv
e Biosystems、Framingham、Massachusett
s、USAのExpediteを含む。合成RNA、リン酸アナログオリゴヌク
レオチド、および化学的に誘導体化したオリゴヌクレオチドもまた産生され得、
そして他の分子に共有結合的に結合され得る。RNAオリゴヌクレオチドは、例
えば、RNAホスホラミダイトを使用して合成され得る。この方法は、自動合成
機(例えば、Applied Biosystems、392型および394型
、Foster City、California、USA)で行われ得る。A
pplied Biosystems User Bulletin 53およ
びOgilvieら、Pure & Applied Chem.(1987)
59:325を参照のこと。
【0085】 ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドもまた、アンチセンス構築のために合
成され得る。硫化試薬(例えば、アセトニトリル中のテトラエチルチウラム(t
etraethylthiruam)二硫化物(TETD))が、室温で15分
間以内にヌクレオチド間のシアノエチル亜リン酸エステルをホスホロチオエート
トリエステルへ転換するために使用され得る。TETDは、ヨード試薬を置き換
えるが、標準的なホスホラミダイト化学に使用される全ての他の試薬は、ヨード
試薬を残す。このような合成方法は、例えば、Applied Biosyst
emsの392型および394型を使用して自動化され得る。
【0086】 200ヌクレオチド、より代表的には100ヌクレオチド、より代表的には5
0ヌクレオチド;なおより代表的には30〜40ヌクレオチドまでのオリゴヌク
レオチドが合成され得る。これらの合成フラグメントは、より長いフラグメント
を構築するために、アニーリングされ、そして互いに連結され得る。例えば、S
ambrookら(前出)を参照のこと。
【0087】 (A.リボザイム) トランス切断触媒RNA(リボザイム)は、エンドリボヌクレアーゼ活性を有
するRNA分子である。リボザイムは、特定の標的について具体的に設計され、
そしてその標的メッセージは、特定のヌクレオチド配列を含まなければならない
。リボザイムは、細胞RNAのバックグラウンドにおいて、部位特異的に任意の
RNA種を切断するために操作される。その切断事象は、mRNAを不安定にし
、そしてタンパク質発現を妨害する。重要なことに、リボザイムは、その表現型
の効果を検出することによって、インビトロまたはインビボの状況における機能
が未知である遺伝子の機能を決定する目的のために、その未知の機能の遺伝子の
発現を阻害するために使用され得る。
【0088】 1つの一般的に使用されるリボザイムのモチーフは、ハンマーヘッドであり、
その基質配列の必要条件は最小限のものである。ハンマーヘッドリボザイムの設
計は、Usmanら、Current Opin.Struct.Biol.(
1996)6:527に開示されている。リボザイムはまた、Longら、FA
SEB J.(1993)7:25;Symons、Ann.Rev.Bioc
hem.(1992)61:641;Perrottaら、Biochem.(
1992)31:16;Ojwangら、Proc.Natl.Acad.Sc
i.(USA)(1992)89:10802;および米国特許第5,254,
678号に記載されるように調製および使用され得る。HIV−I RNAのリ
ボザイム切断は、米国特許第5,144,019号に記載される;リボザイムを
使用してRNAを切断する方法は、米国特許第5,116,742号に記載され
る;そして、リボザイムの特異性を増加させるための方法は、米国特許第5,2
25,337号、およびKoizumiら、Nucleic Acid Res
.(1989)17:7059に記載される。ハンマーヘッド構造のリボザイム
フラグメントの調製および使用もまた、Koizumiら、Nucleic A
cids Res.(1989)17:7059によって記載される。ヘアピン
構造のリボザイムフラグメントの調製および使用は、ChowriraおよびB
urke、Nucleic Acids Res.(1992)20:2835
によって記載される。リボザイムはまた、DaubendiekおよびKool
、Nat.Biotechnol.(1997)15(3):273に記載され
るような、ローリング転写によって作製され得る。
【0089】 リボザイムのハイブリダイズ領域は、改変され得るか、またはHornおよび
Urdea、Nucleic Acids Res.(1989)17:695
9に記載されるような分枝構造として調製され得る。リボザイムの基本構造はま
た、当業者によく知られた方法で化学的に変更され得、そして化学合成されたリ
ボザイムは、単量体単位で改変される合成オリゴヌクレオチド誘導体として投与
され得る。治療的な状況において、リボザイムのリポソーム媒介送達は、Bir
ikhら、Eur.J.Biochem.(1997)245:1に記載される
ように、細胞取り込みを改善する。
【0090】 本発明のポリヌクレオチド配列および当該分野で公知の方法を使用して、リボ
ザイムは、対応するmRNA種に特異的に結合し、そして切断するように設計さ
れる。従って、リボザイムは、開示されたポリヌクレオチドまたはそれらの全長
遺伝子によってコードされた、いずれかのタンパク質の発現を阻害する手段を提
供する。全長遺伝子は、特定の阻害性リボザイムを設計および使用するために公
知である必要はない。未知の機能のポリヌクレオチドまたは全長cDNAの場合
、そのヌクレオチド配列に対応するリボザイムは、その標的転写物を切断する効
力についてインビトロで試験され得る。インビトロでの切断をもたらすリボザイ
ムは、さらにインビボで試験される。リボザイムはまた、Birikhら(前出
)において記載されるように、疾患に対する動物モデルを生成するためにも使用
され得る。有効なリボザイムは、目的の遺伝子の転写をブロックすること、およ
び細胞内の変化を検出することによって、目的の遺伝子の機能を決定するために
使用される。その遺伝子が疾患における媒介因子であることが見い出される場合
、効果的なリボザイムが、その遺伝子の転写および発現をブロックするための遺
伝子治療において、設計および送達される。
【0091】 リボザイムの、治療的および機能的ゲノム適用は、阻害される遺伝子のコード
配列の一部がわかることから始まって、前進する。従って、多くの遺伝子につい
て、部分ポリヌクレオチド配列は、効果的なリボザイムを構築するために適切な
配列を提供する。標的切断部位が、標的配列において選択され、そしてリボザイ
ムは、切断部位に隣接する5’および3’ヌクレオチド配列に基づいて構築され
る。レトロウイルスベクターは、標的コード配列のmRNAを標的化する、単量
体および多量体ハンマーヘッドリボザイムを発現するために操作される。これら
の単量体および多量体リボザイムは、標的mRNAを切断する能力についてイン
ビトロで試験される。細胞株は、リボザイムを発現するレトロウイルスベクター
を用いて安定に形質導入され、そしてその形質導入は、ノーザンブロット分析お
よび逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)によって確認される。細胞は
、疾患マーカーの発現の減少、または標的mRNAの遺伝子産物の減少といった
指標によって、標的mRNAの不活化についてスクリーニングされる。
【0092】 (B.アンチセンス) アンチセンス核酸はRNAに特異的に結合するように設計され、これによって
DNA複製、逆転写、またはメッセンジャーRNA翻訳の阻止を伴う、RNA−
DNAハイブリッドまたはRNA−RNAハイブリッドの形成を生じる。選択さ
れたポリヌクレオチド配列に基づくアンチセンスポリヌクレオチドは、対応する
遺伝子の発現を妨害し得る。アンチセンスポリヌクレオチドは、代表的には、転
写された鎖としてのアンチセンス鎖を含むアンチセンス構築物からの発現によっ
て、細胞内で生成される。開示されたポリヌクレオチドに基づくアンチセンスポ
リヌクレオチドは、アンチセンスポリヌクレオチドに相補的な配列を含むmRN
Aに結合し、そして/またはそのmRNAの翻訳を妨害する。コントロール細胞
の発現産物およびアンチセンス構築物で処理した細胞は、アンチセンス構築物が
基づくところのポリヌクレオチドに対応する遺伝子のタンパク質産物を検出する
ために比較される。このタンパク質は、慣用的な生化学的方法を用いて、単離お
よび同定される。
【0093】 アンチセンス治療における広範な背景の文献および臨床的な経験を考えると、
当業者は、さらなる潜在的な治療剤として本発明の選択されたポリヌクレオチド
を使用し得る。ポリヌクレオチドの選択は、ガン性の細胞のゲノムの「ホットス
ポット」領域に結合することについてそれらを最初に試験することによって狭め
られ得る。ポリヌクレオチドが「ホットスポット」に結合すると同定される場合
、対応するガン細胞においてアンチセンス化合物としてポリヌクレオチドを試験
することは、明確に保証される。
【0094】 (C.優性ネガティブ変異) 本明細書中で開示されるポリヌクレオチドに対応する遺伝子の機能を同定する
ための代替方法として、ホモ多量体として活性な対応するタンパク質についての
優性ネガティブ変異が容易に生成される。変異ポリペプチドは、野生型ポリペプ
チド(他の対立遺伝子から作られる)と相互作用し、そして非機能的多量体を形
成する。従って、変異は、基質結合ドメイン、触媒ドメイン、または細胞局在ド
メイン中に存在する。好ましくは、変異ポリペプチドが過剰産生される。このよ
うな効果を有する点変異が作製される。さらに、タンパク質の末端への種々の長
さの異なるポリペプチドの融合が、優性ネガティブ変異体を産生し得る。一般的
なストラテジーが、優性ネガティブ変異体を作製するために利用可能である(例
えば、Herskowitz、Nature(1987)329:219を参照
のこと)。このような技術は、機能の損失の変異を作製するために使用され得、
この変異はタンパク質機能を決定するために有用である。
【0095】 (V.本発明のポリペプチドおよびそれらの改変体の構築) 本発明のポリペプチドは、開示されたポリヌクレオチドによってコードされる
ポリペプチドを含む。これらのポリペプチドはまた、遺伝コードの縮重によって
、開示されたポリヌクレオチドとは配列が同一でない核酸によってコードされ得
る。従って、本発明は、その範囲内に、配列番号1〜5252またはそれらの改
変体のいずれか1つの配列を有するポリヌクレオチドによってコードされるポリ
ペプチドを含む。
【0096】 一般的に、本明細書中で使用される場合、用語「ポリペプチド」は、述べられ
たポリヌクレオチドによってコードされる全長ポリペプチド、述べられたポリヌ
クレオチドによって示される遺伝子によってコードされるポリペプチドの両方、
ならびにそれらの一部またはフラグメントをいう。「ポリペプチド」はまた、天
然に存在するタンパク質の改変体を含み、ここでこのような改変体は、天然に存
在するタンパク質に相同であるか、または実質的に類似であり、そして天然に存
在するタンパク質(例えば、述べられたポリペプチドを天然に発現するヒト、マ
ウス、またはいくつかの他の種、通常は哺乳動物種)と同一の、または異なる種
の起源であり得る。一般的に、改変体のポリペプチドは、上記のパラメーターを
使用するBLASTによって測定されるように、本発明の差示的に発現されるポ
リペプチドと、少なくとも約80%、通常少なくとも約90%、およびより通常
には少なくとも約98%の配列同一性を有する配列を有する。この改変体ポリペ
プチドは、天然に、または非天然にグリコシル化され得、すなわち、そのポリペ
プチドは、対応する天然に存在するタンパク質において見い出されるグリコシル
化パターンと異なるグリコシル化パターンを有する。
【0097】 本発明はまた、開示されたポリペプチド(または、それらのフラグメント)の
相同体を含み、ここでその相同体は、他の種、すなわち、他の動物種または他の
植物種から単離され、そしてこのような相同体は、通常は哺乳動物種(例えば齧
歯類(例えば、マウス、ラット);家畜(例えば、ウマ、ウシ、イヌ、ネコ);
およびヒト)から単離される。相同体は、少なくとも約35%、通常少なくとも
約40%、およびより通常少なくとも約60%のアミノ酸配列同一性を有するポ
リペプチド(上記で定義したような、特に差示的に発現されたタンパク質)を意
味し、ここで配列同一性が、上記に記載されたパラメーターを用いてBLAST
アルゴリズムを使用して決定される。
【0098】 一般的に、本発明のポリペプチドは、天然に存在しない環境(例えば、それら
の天然に存在する環境から分離された環境)において提供される。特定の実施態
様において、本タンパク質は、コントロールと比較してそのタンパク質が富化さ
れた組成物中に存在する。そのような場合、精製されたポリペプチドは提供され
、ここで、精製されたとは、タンパク質が非差示的に発現されたポリペプチドを
実質的に含まない組成物中に存在することを意味し、ここで、実質的に含まない
とは、組成物の90%未満、通常60%未満、およびより通常には50%未満が
非差示的に発現されるポリペプチドから構成されることを意味する。
【0099】 改変体もまた本発明の範囲内にあり;ポリペプチドの改変体は変異体、フラグ
メントおよび融合体を含む。変異体は、アミノ酸置換、付加または欠失を含み得
る。アミノ酸置換は、グリコシル化部位、リン酸化部位もしくはアセチル化部位
を改変するか、または機能に必要ではない1つ以上のシステイン残基の置換もし
くは欠失により誤折り畳みを最小にするような保存的アミノ酸置換、あるいは非
必須アミノ酸を取り除くような置換であり得る。保存的アミノ酸置換は、全体荷
電、疎水性/親水性、および/または置換されたアミノ酸の立体的バルクを保存
する置換である。例えば、以下の群の間の置換は保存的である:Gly/Ala
、Val/Ile/Leu、Asp/Glu、Lys/Arg、Asn/Gln
、Ser/Cys、Thr、およびPhe/Trp/Tyr。
【0100】 改変体は、タンパク質の特定の領域(例えば、機能的ドメインおよび/または
、ポリペプチドがタンパク質ファミリーのメンバーである場合、コンセンサス配
列と関連する領域)の生物学的活性を保持するように設計され得る。非限定的な
例で、Osawaら、Biochem.Mol.Int.(1994)34:1
003は、いくつかの異なる種由来のタンパク質のアクチン結合領域を論議して
いる。これらの種のアクチン結合領域は、それらが「相同残基」内にあるアミノ
酸を有するという事実を基に相同であると考えられている。相同残基は、(一文
字アミノ酸表記を用いる)以下の群に従って判断される:STAG;ILVMF
;HRK;DEQN;およびFYW。例えば、そしてS、T、AまたはGが、あ
る1つの位置に存在し得、そして機能(この場合アクチン結合性)が保持される
【0101】 アミノ酸置換に関するさらなるガイダンスは、タンパク質進化の研究から入手
可能である。Goら、Int.J.Peptide Protein Res.
(1980)15:211は、アミノ酸残基部位を、それらの接近可能性に依存
して内部または外部として分類した。外部部位上のより頻繁な置換が、それらの
生物学的機能および補綴基の存在または非存在に関わらず、8セットの相同体タ
ンパク質ファミリーで一般的であることが確認された。実質的にすべてのタイプ
のアミノ酸残基が、外部上で、内部においてよりも高い変異性を有していた。内
部および外部のそれぞれにおけるアミノ酸残基の変異性と極性との間には相関関
係は観察されなかった。アミノ酸残基は、それらの極性に依存して3つの群のう
ちの1つに分類された:極性(Arg、Lys、His、Gln、Asn、As
p、およびGlu);弱い極性(Ala、Pro、Gly、Thr、およびSe
r)、および非極性(Cys、Val、Met、Ile、Leu、Phe、Ty
r、およびTrp)。タンパク質進化の間のアミノ酸置換は非常に保存的であっ
た:内部または外部において、それらの88%および76%は、それぞれ、これ
ら3つのうち同じ群にあった。群間置換は、弱い極性残基が、内部において非極
性残基によってよりしばしば置換され、そして外部では極性残基によってよりし
ばしば置換されるようである。
【0102】 ポリペプチド改変体の生成のためのさらなるガイダンスは、Querolら、
Prot.Eng.(1996)9:265において提供され、これは、タンパ
ク質の熱安定性を増大するためのアミノ酸置換に対する一般的規則を提供する。
新たなグリコシル化部位は、OlsenおよびThomsen、J.Gen.M
icrobiol.(1991)137:579で論議されるように導入され得
る。さらなるジスルフィド架橋は、PerryおよびWetzel、Scien
ce(1984)226:555;Pantolianoら、Biochemi
stry(1987)26:2077;Matsumuraら、Nature(
1989)342:291;Nishikawaら、Protein Eng.
(1990)3:443;Takagiら、J.Biol.Chem.(199
0)265:6874;Clarkeら、Biochemistry(1993
)32:4322;およびWakarchukら、Protein Eng.(
1994)7:1379によって論議されるように導入され得る。金属結合部位
は、Tomaら、Biochemistry(1991)30:97、およびH
aezerbrouckら、Protein Eng.(1993)6:643
に従って導入され得る。ループ中のプロリンでの置換は、Masulら、App
l.Env.Microbiol.(1994)60:3579;およびHar
dyら、FEBS Lett.317:89に従って作製され得る。
【0103】 システイン枯渇ムテインは、本発明の範囲内の改変体と考えられる。これらの
改変体は、米国特許第4,959,314号に開示の方法に従って構築され得、
これは、システインのその他のアミノ酸での置換、ならびに生物学的活性および
置換の効果をアッセイする方法を開示する。このような方法は、例えばジスルフ
ィド結合形成を排除するための、置換に適切であるシステイン残基を有する、本
発明によるタンパク質に適切である。
【0104】 改変体はまた、本明細書に開示のポリペプチドのフラグメント、特に生物学的
に活性なフラグメントおよび/または機能的ドメインに対応するフラグメントを
含む。代表的には、目的のフラグメントは、長さが少なくとも約10aa〜少な
くとも約15aa、通常長さが少なくとも約50aa、そして長さが300aa
程度またはより長くあり得るが、通常長さが約1000aaを超えず、ここでこ
のフラグメントは、配列番号1〜5252のいずかの配列を有するポリヌクレオ
チドによりコードされるポリペプチド、またはその相同体と同一であるアミノ酸
のストレッチを有する。
【0105】 本明細書に記載されるタンパク質改変体は、本発明の範囲内にあるポリヌクレ
オチドによりコードされる。遺伝子コードを用いて、適切なコドンを選択し、対
応する改変体を構築し得る。
【0106】 (VI.コンピューター関連実施態様) 一般に、ポリヌクレオチドのライブラリーは、配列情報のコレクションであり
、この情報は、生化学的形態(例えば、ポリヌクレオチド分子のコレクションと
して)、または電子形態(例えば、コンピューターシステム中および/またはコ
ンピュータープログラムの一部として、コンピューターで読み出し可能な形態で
格納されたポリヌクレオチド配列のコレクションとして)のいずれかで提供され
る。ポリヌクレオチドのこの配列情報は、種々の方法(例えば、遺伝子発見の供
給源として、選択された細胞型で発現される配列の代表として(例えば、細胞型
マーカー)、および/または所定の疾患または疾患状態のマーカーとして)で用
いられ得る。一般に、疾患マーカーは、疾患に羅患したすべての細胞に、正常細
胞(例えば、疾患により実質的に影響されていない同じかまたは類似の型の細胞
)と比較して増加したかまたは減少したかいずれかのレベルで存在する遺伝子産
物の代表である。例えば、ライブラリー中のポリヌクレオチド配列は、mRNA
、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドによりコードされるその他の遺伝子産
物を表すポリヌクレオチドであり得、これは、正常(すなわち、実質的に疾患し
ていない)胸部細胞と比較して癌に羅患した胸部腺管細胞中で過剰発現されるか
、または少なく発現されるかのいずれかである。
【0107】 ライブラリーのヌクレオチド配列情報は、任意の適切な形態、例えば、電子形
態または生化学的形態で具現化され得る。例えば、電子形態で具現化された配列
情報のライブラリーは、例えば、i)癌細胞と正常細胞;ii)癌細胞と形成異
常細胞;iii)癌細胞と癌以外の疾患または症状に羅患した細胞;iv)転移
癌細胞と正常細胞および/または非転移癌細胞;v)悪性癌細胞と非悪性癌細胞
(または正常細胞)および/またはvi)正常細胞と比較した形成異常細胞、と
の間のように、差示的に発現される(例えば、過剰発現または少なく発現される
)遺伝子の代表的なヌクレオチド配列を含むアクセス可能なコンピューターデー
タファイル(または生化学的形態での、核酸分子のコレクション)を含む。種々
の疾患または疾患の段階に羅患した細胞の、他の組み合わせおよび比較は、当業
者に容易に明らかである。ライブラリーの生化学的実施態様は、ライブラリー中
の遺伝子の配列を有する核酸のコレクションを含み、ここで、この核酸は、以下
でより詳細に記載されるように、ライブラリー中の全遺伝子またはそのフラグメ
ントに対応し得る。
【0108】 本発明のポリヌクレオチドライブラリーは、複数のポリヌクレオチド配列の配
列情報を含み、ここで、少なくとも1つのポリヌクレオチドは、「配列番号1〜
5252」の任意の配列を有する。複数とは、少なくとも2、通常少なくとも3
を意味し、そして「配列番号1〜5252」のすべてまでを含み得る。ライブラ
リー中のポリヌクレオチドの長さおよび数は、ライブラリーの性質(例えば、ラ
イブラリーがオリゴヌクレオチドアレイ、cDNAアレイ、配列情報のコンピュ
ーターデータベースなどである場合)とともに変化する。
【0109】 ライブラリーが電子ライブラリーである場合、核酸配列情報は、種々の媒体中
に存在し得る。「媒体」は、本発明の配列情報を含む、単離された核酸分子以外
の製造物をいう。このような製造物は、配列が核酸で存在する場合、配列に直接
適用可能ではない手段により調査され得る形態でゲノム配列またはそのサブセッ
トを提供する。例えば、本発明のヌクレオチド配列、例えば、配列番号1〜52
52の任意のポリヌクレオチドの核酸配列は、コンピュータ読み出し可能媒体、
例えば、コンピューターによって直接読みかつアクセスされ得る任意の媒体上に
記録され得る。このような媒体は:フロッピーディスク、ハードディスク格納媒
体、および磁気テープのような磁気格納媒体;CD−ROMのような光学的格納
媒体;RAMおよびROMのような電子的格納媒体;および磁気/光学的格納媒
体のようなこれらのカテゴリーのハイブリッドを含むがこれらに限定されない。
当業者は、現在知られたコンピューター読み出し可能な媒体のいずれもが、本発
明の配列情報の記録を含む製造物を作製するためにどのように使用され得るかを
容易に認識し得る。「記録された」とは、当該分野で公知の任意のこのような方
法を用いて、コンピューター読み出し可能な媒体上に情報を格納するためのプロ
セスをいう。任意の便利なデータ格納構造が、格納された情報にアクセスするた
めに用いられる手段を基に選択され得る。種々のデータプロセッサプログラムお
よびフォーマット(例えば、ワードプロセッシングテキストファイル、データベ
ースフォーマットなど)が、格納のために用いられ得る。配列情報に加えて、本
発明のライブラリーの電子バージョンが、その他のコンピューター読み出し可能
な情報および/またはその他の型のコンピューター読み出し可能なファイル(例
えば、サーチプログラムソフトウェアなどを含むがこれに限定されない、例えば
、サーチ可能なファイル、実行可能なファイルなど)と連結されるか、または組
み合わされて提供され得る。
【0110】 コンピューター読み出し可能な形態でヌクレオチド配列を提供することにより
、この情報は、種々の目的のためにアクセスされ得る。配列情報にアクセスする
ためのコンピューターソフトウェアは、公に利用可能である。例えば、Syba
seシステム上のBLAST(Altschulら、前述)およびBLAZE(
Brutlagら、Comp.Chem.(1993)17:203)サーチア
ルゴリズムを用いて、他の生物由来のオープンリーディングフレーム(ORF)
に対する相同性を含むゲノム内のORFを同定し得る。
【0111】 本明細書で用いられる場合、「コンピューターを基礎にしたシステム」とは、
本発明のヌクレオチド配列情報を分析するために用いられる、ハードウェア手段
、ソフトウェア手段、およびデータ格納手段をいう。本発明のコンピューターを
基礎にしたシステムの最小のハードウェアは、中央処理装置(CPU)、入力手
段、出力手段、およびデータ格納手段を備える。当業者は、現在利用可能なコン
ピューターを基礎にしたシステムの任意の1つが、本発明における使用に適切で
あることを容易に認識し得る。データ格納手段は、上記のように本発明の配列情
報の記録を含む任意の製造物、またはこのような製造物にアクセスし得るメモリ
ーアクセス手段を含み得る。
【0112】 「サーチ手段」は、コンピューターを基礎にしたシステム上で実行される1つ
以上のプログラムをいい、標的配列または標的構造モチーフを、格納された配列
情報と比較する。サーチ手段を用いて、特定の標的配列または標的モチーフに一
致するゲノムのフラグメントまたは領域を同定する。種々の既知のアルゴリズム
が公に知られ、そして市販されている(例えば、MacPattern(EMB
L)、BLASTNおよびBLASTX(NCBI))。「標的配列」は、6以
上のヌクレオチドであるか、または2以上のアミノ酸、好ましくは約10〜10
0アミノ酸であるか、または約30〜300ヌクレオチド残基の任意のDNAま
たはアミノ酸配列であり得る。
【0113】 「標的構造モチーフ」または「標的モチーフ」は、任意の合理的に選択された
配列または配列の組み合わせをいい、ここで配列(単数または複数)は、標的モ
チーフの折り畳みに際し形成される三次元立体配置を基に、または調節もしくは
活性部位のコンセンサス配列を基に選択される。当該分野で公知の種々の標的モ
チーフがある。タンパク質標的モチーフは、酵素活性部位およびシグナル配列を
含むがこれらに限定されない。核酸標的モチーフは、ヘアピン構造、プロモータ
ー配列および転写因子の結合部位のようなその他の発現エレメントを含むが、こ
れらに限定されない。
【0114】 入力および出力手段の種々の構造的フォーマットを用いて、本発明のコンピュ
ーターを基礎にしたシステムにおいて情報を入力および出力し得る。出力手段の
1つのフォーマットは、標的配列または標的モチーフに対する変化した程度の相
同性を所有するゲノムのフラグメントをランク付けする。そのような表示は、当
業者に、配列のランク付けを提供し、そして同定されたフラグメントに含まれる
配列類似性の程度を同定する。
【0115】 種々の比較手段を用いて、標的配列または標的モチーフを、データ格納手段と
比較し、ゲノムの配列フラグメントを同定し得る。当業者は、公に利用可能な相
同性検索プログラムの任意の1つを、本発明のコンピューターを基礎にしたシス
テムの検索手段として用い得ることを容易に認識し得る。
【0116】 上記で論議したように、本発明の「ライブラリー」はまた、「配列番号1−5
252」のポリヌクレオチドの生化学的ライブラリー、例えば、提供されたポリ
ヌクレオチドを表す核酸のコレクションを包含する。この生化学的ライブラリー
は、種々の形態、例えば、cDNAの溶液、固体支持体の表面と安定に結合した
プローブ核酸のパターン(すなわちアレイ)などをとり得る。特に目的とするの
は、「配列番号1−5252」の1つ以上がアレイ上に表されている核酸アレイ
である。アレイにより、基板の表面の1つに少なくとも2つの別個の核酸標的を
有する少なくとも基板を有する製造物の物品を意味し、ここで別個の核酸の数は
、かなり高く,代表的には、少なくとも10nt、通常少なくとも20ntおよ
びしばしば少なくとも25ntであり得る。種々の異なるアレイフォーマットが
開発され、そして当業者に公知であり、5,242,974;5,384,26
1;5,405,783;5,412,087;5,424,186;5,42
9,807;5,436,327;5,445,934;5,472,672;
5,527,681;5,529,756;5,545,531;5,554,
501;5,556,752;5,561,071;5,599,895;5,
624,711;5,639,603;5,658,734;WO93/171
26;WO95/11995;WO95/35505;EP742287;およ
びEP799897に記載されたものを含む。本発明のアレイは、種々の適用に
おける使用を見出し、上記に列挙した例示の特許書類に開示されるような、遺伝
子発現分析、薬物スクリーニング、変異分析などを含む。
【0117】 上記の核酸ライブラリーに加えて、ポリペプチドのアナログライブラリーもま
た提供され、ここでライブラリーのポリペプチドは、「配列番号1−5252」
によりコードされるポリペプチドの少なくとも一部分を表す。
【0118】 (VII.有用性) (A.マッピングにおける、および組織プロファイリングにおけるポリヌクレ
オチドプローブの使用) ポリヌクレオチドプローブは、一般に配列表に示されるようなポリヌクレオチ
ドの少なくとも12の連続ヌクレオチドを含み、ポリヌクレオチドの染色体マッ
ピングおよび転写レベルの検出のような種々の目的に用いられる。開示されたポ
リヌクレオチド配列の好適な領域についてのさらなる開示は、実施例に見出され
る。本明細書に開示されたポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズするプロ
ーブは、他の非関連配列で提供されるバックグラウンドハイブリダイゼーション
より、少なくとも5、10、または20倍高い検出シグナルを提供すべきである
【0119】 (発現レベルの検出におけるプローブ) ヌクレオチドプローブを用いて、提供されたポリヌクレオチドに対応する遺伝
子の発現を検出する。ノザンブロットでは、mRNAを電気泳動的に分離し、そ
してプローブと接触させる。プローブは、特定サイズのmRNA種にハイブリダ
イズするとして検出される。ハイブリダイゼーションの量が定量されて、例えば
、特定条件下で発現の相対量を決定する。プローブは、細胞に対するインサイチ
ュハイブリダイゼーションのために用いられ、発現を検出する。プローブは、ハ
イブリダイズする配列の診断的検出のためにインビボで用いられ得る。代表的に
は、プローブは放射性同位体で標識される。発色団、蛍光、および酵素のような
、他の型の検出可能な標識が用いられ得る。ヌクレオチドハイブリダイゼーショ
ンアッセイのその他の例は、WO92/02526および米国特許第5,124
,246号に記載される。
【0120】 ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、少量の標的核酸を検出する別の手段であ
る(例えば、Mullisら、Meth.Enzymol.(1987)155
:335;米国特許第4,683,195号;および米国特許第4,683,2
02号を参照のこと)。2つのプライマーポリヌクレオチドヌクレオチドは、標
的核酸とハイブリダイズし、そして反応をプライムするために用いられる。プラ
イマーは、配列表のポリヌクレオチドの3’および5’内の配列から構成され得
る。あるいは、プライマーがこれらのポリヌクレオチドの3’側および5’側に
ある場合、プライマーはそれらまたは相補物にハイブリダイズする必要はない。
熱安定性ポリメラーゼは、もとの標的核酸を鋳型として用い、プライマーから標
的核酸のコピーを生成する。ポリメラーゼにより大量の標的核酸が生成された後
、サザンブロットのような方法により検出される。サザンブロット法を用いる場
合、標識されたプローブは、配列表のポリヌクレオチドまたは相補物にハイブリ
ダイズする。
【0121】 さらに、mRNAまたはcDNAは、Sambrookら、「Molecul
ar Cloning:A Laboratory Manual」(New
York,Cold Spring Harbor Laboratory,1
989)に記載される古典的なブロッティング技術によって検出され得る。ポリ
メラーゼ酵素を使用して、mRNAから生成されたmRNAまたはcDNAは、
ゲル電気泳動を使用して精製および分離され得る。次いで、ゲル上の核酸は、固
体支持体(例えば、ニトロセルロース)上にブロットされる。この固体支持体は
、標識されたプローブに曝露され、次いで洗浄され、任意の非ハイブリダイズプ
ローブを除去する。次に、この標識されたプローブを含む二重鎖が検出される。
代表的には、このプローブは、放射能で標識される。
【0122】 (マッピング) 本発明のポリヌクレオチドは、対応する遺伝子が存在する染色体を同定するた
めに使用される。このようなマッピングは、公知の機能を有する他の遺伝子への
その近接によって、このポリペプチド関連遺伝子の機能を同定することにおいて
有用であり得る。機能はまた、特定の症候群または疾患が同じ染色体にマッピン
グされる場合、このポリヌクレオチド関連遺伝子とされ得る。例えば、核酸配列
異常の同定および定量におけるポリヌクレオチドプローブの使用は、米国特許第
5,783,387号に記載される。
【0123】 例えば、正常な中期スプレッド(metaphase spreads)に対
する蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)は、DNA配列の相
対的なコピー数の変化の全ゲノム評価を可能とする比較ゲノムハイブリダイゼー
ションを容易にする。SchwartzおよびSamad、Curr.Opin
.Biotechnol.(1994)8:70;Kallioniemiら、
Sem.Cancer Biol.(1993)4:41;Valdesら、M
ethods in Molecular Biology(1997)68:
1、Boultwood、編、Human Press、Totowa、NJ.
を参照のこと。
【0124】 ポリヌクレオチドは、例えば、放射線ハイブリッドまたは染色体特異的ハイブ
リッドパネルを使用して特定の染色体にマッピングされる。Leachら、Ad
vances in Genetics、(1995)33:63−99;Wa
lterら、Nature Genetics(1994) 7:22;Wal
terおよびGoodfellow、Trends in Genetics(
1992)9:352を参照のこと。放射線ハイブリッドマッピングのパネルは
、Research Genetics、Inc.、Huntsville、A
labama、USAから利用可能である。種々のパネルを使用したマーカーの
データベースは、http:/F/shgc−www.stanford.ed
u;およびhttp://www−genome.wi.mit.edu/cg
i−bin/contig/rhmapper.pl.でワールドワイブウェブ
を介して利用可能である。統計プログラムRHMAPが使用され、一つの序列対
別の序列の相対的尤度(relative likelihood)を測定して
、放射線ハイブリッドからのデータに基づいたマップを構築し得る。RHMAP
は、http://www.sph.umich.edu/group/sta
tgen/softwareでワールドワイドウェブを介して利用可能である。
【0125】 さらに、市販のプログラムは、疾患(例えば、癌)に共通に関連する染色体の
領域を同定するために利用可能である。本発明のポリヌクレオチドに基づいたポ
リヌクレオチドは、これらの領域をプローブするために使用され得る。例えば、
プロフィール探索を通して、提供されたポリヌクレオチドがキナーゼをコードす
る遺伝子に対応すると同定された場合、その癌関連染色体領域に結合する能力は
、腫瘍細胞発生/増殖の1以上のステージにおいてそのキナーゼとしての役割を
示唆する。いくつかの実験がその役割を明らかとするために必要とされるが、こ
のポリヌクレオチドは、癌診断または癌治療を開発するための能力を有する特異
的なタンパク質を単離するための新しい物質を構成する。
【0126】 (組織分類または組織の特徴付け(プロファイリング)) 提供されたポリヌクレオチドに対応する特異的mRNAの発現は、異なった細
胞型において変動し得、そして組織特異的であり得る。異なった細胞型における
mRNAレベルのこの変化は、組織型を決定するための核酸プローブアッセイを
用いて開発され得る。例えば、配列表に列挙されたポリヌクレオチドと本質的に
同一、または相補的な核酸プローブを利用したPCR、分岐DNAプローブアッ
セイまたはブロッティング技術は、対応するcDNAまたはmRNAの存在また
は非存在を決定し得る。
【0127】 例えば、転移性の病巣は、その器官または組織の特定のマーカーの発現を同定
することによるその発生器官または発生組織源によって同定される。ポリヌクレ
オチドが特定の組織型においてのみ発現され、そして転移性の病巣がそのポリヌ
クレオチドを発現することを見出されば、この病巣の発生源が同定される。特定
のポリヌクレオチドの発現は、対応するmRNAか、またはタンパク質産物のい
ずれかの検出によってアッセイされる。免疫学的方法(例えば、抗体染色)は、
特定のタンパク質産物を検出するために使用される。ハイブリダイゼーション法
は、特定のmRNA種を検出するために使用され得、インサイチューハイブリダ
イゼーションおよびノーザンブロッティングを含むが、これらに限定されない。
【0128】 (多型の使用) 本発明のポリヌクレオチドは、遺伝子の対応する領域がヒト集団において多型
である場合、法医学、遺伝分析、マッピングおよび診断適用に有用である。この
提供されたポリヌクレオチドの特定の多型形態は、罹患が疑われる者由来として
のサンプルを同定するか、またはサンプルが罹患が疑われる者由来である可能性
を除外するかのいずれかのために使用され得る。遺伝子中の多型を検出するため
の任意の手段が使用され、これらの手段は、タンパク質多型変異体の電気泳動、
制限酵素切断に対する示差的な感受性、および対立遺伝子特異的なプローブに対
するハイブリダイゼーションを含むが、これらに制限されない。
【0129】 (B.抗体産生) 本発明のポリヌクレオチドの発現産物、対応するmRNAまたはcDNA、あ
るいは対応する完全な遺伝子が調製され、そして実験、診断および治療目的に関
する抗体を惹起するために使用される。対応する遺伝子が割り当てられていない
ポリヌクレオチドに関して、このことは、対応する遺伝子を同定するさらなる方
法を提供する。このポリヌクレオチドまたは関連cDNAは、上記のように発現
され、そして抗体が調製される。これらの抗体は、このポリヌクレオチドによっ
てコードされるポリペプチド上のエピトープに対して特異的であり、そして細胞
もしくは組織調製物において、またはインビトロ発現系の無細胞抽出物において
対応する天然のタンパク質を沈殿あるいは結合し得る。
【0130】 抗体を惹起するための免疫原は、本発明のポリヌクレオチドによってコードさ
れるポリペプチドをアジュバントと混合することによって調製される。あるいは
、ポリペプチドは、より大きな免疫原タンパク質との融合タンパク質として作製
される。ポリペプチドはまた、他のより大きな免疫原タンパク質(例えば、キー
ホールリンペット(keyhole limpet)ヘモシアニン)と共有結合
される。免疫原は、代表的に、皮内に、皮下に、または筋肉中に投与される。免
疫原は、実験動物(例えば、ウサギ、ヒツジおよびマウス)に対して抗体を作製
するために投与される。必要に応じて、この動物脾臓細胞は、単離され、そして
ミエローマ細胞と融合され、モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを形
成する。このような方法は、当該分野で周知である。当該分野で公知の別の方法
に従って、この選択されたポリヌクレオチドは、直接(例えば、筋肉中注射によ
って)投与され、そしてインビボで発現される。この発現されたタンパク質は、
種々のタンパク質特異的免疫応答(このタンパク質の投与に匹敵する、抗体産生
を含む)を生じる。
【0131】 選択されたポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドに特異的なポ
リクローナル抗体およびモノクローナル抗体の調製は、当該分野で公知の標準方
法を使用して行われる。抗体は、配列表に開示されるポリヌクレオチドによって
コードされるポリペプチドに存在するエピトープに特異的に結合する。代表的に
は、少なくとも6、8、10または12個の連続したアミノ酸は、エピトープを
形成するために必要とされる。しかし、非連続なアミノ酸を含むエピトープは、
さらに、例えば少なくとも15、25または50アミノ酸を必要とし得る。次い
で、ポリヌクレオチドの短い配列は、公知のタンパク質との交差反応性の可能性
のために、対応する新規タンパク質を同定するために抗体を惹起するエピトープ
としての使用には適切でないかもしれない。しかし、この抗体は、他の目的につ
いて、特にそれらが公知のタンパク質および本発明のポリヌクレオチドによって
コードされる新規のポリペプチドの共通の構造的特徴を同定する場合、有用であ
り得る。
【0132】 この提供されたポリペプチドによってコードされるヒトポリペプチドと特異的
に結合する抗体は、ウエスタンブロットまたは他の免疫化学アッセイで使用され
る場合、他のタンパク質で提供される検出シグナルより少なくとも5、10また
は20倍高い検出シグナルを提供するはずである。好ましくは、本発明のポリペ
プチドと特異的に結合する抗体は、検出可能なレベルで免疫化学アッセイにおい
て他のタンパク質と結合せず、そして溶液からこの特異的なポリペプチドを免疫
沈降し得る。
【0133】 ヒト集団における本発明のポリペプチドに対する血清抗体の存在を試験するた
めに、ヒト抗体は、当該分野で周知の方法によって精製され得る。好ましくは、
この抗体は、対応する選択されたポリペプチドまたは融合タンパク質が結合され
るカラムに抗血清を通すことによりアフィニティー精製される。次いで、この結
合抗体は、例えば、高塩濃度を有する緩衝液を使用してカラムから溶出され得る
【0134】 上記で議論した抗体に加えて、遺伝的に操作された抗体誘導体(例えば、単鎖
抗体)が、当該分野で周知の方法に従って作製される。
【0135】 (C.診断のための構築物アレイに対するポリヌクレオチドの使用) ポリヌクレオチドアレイは、サンプル中の多数のポリヌクレオチド配列をアッ
セイし得る高処理能技術を提供する。この技術は、示差的な発現について試験す
るための診断およびツールとして使用され、コードされたタンパク質の機能を決
定し得る。アレイは、2次元マトリックスまたは結合プローブを有するアレイに
おいて基板(例えば、ガラス、ニトロセルロースなど)上にポリヌクレオチドプ
ローブをスポットすることによって作製され得る。このプローブは、共有結合に
よってか、または非特異的相互作用(例えば、疎水性相互作用)によってのいず
れかで基板に結合され得る。ポリヌクレオチドのサンプルは、検出可能に標識さ
れ得(例えば、放射性標識または蛍光標識を使用して)、次いでプローブとハイ
ブリダイズされ得る。プローブポリヌクレオチドに結合した標識化サンプルポリ
ヌクレオチドを含む、二本鎖ポリヌクレオチドは、一旦このサンプルの非結合部
分が洗浄されると、検出され得る。アレイを構築する技術およびこれらのアレイ
を使用する方法は、EP第0799897号;PCT第WO 97/29212
号;PCT第WO 97/27317号;EP第0785280号;PCT第W
O 97/02357号;米国特許第5,593,839号;米国特許第5,5
78,832号;EP第0728520号;米国特許第5,599,695号;
EP第0721016号;米国特許第5,556,752号;PCT第WO 9
5/22058号および米国特許第5,631,734号に記載される。
【0136】 上記で多少詳細に議論されるように、アレイは、遺伝子の示差的発現を試験す
るために使用され得、そして遺伝子機能を決定するために使用され得る。例えば
、即席のポリヌクレオチド配列のアレイが使用され、この提供された任意のポリ
ヌクレオチドが試験細胞とコントロール細胞(例えば、癌細胞および正常細胞)
との間で示差的に発現されるか否かを決定し得る。例えば、癌細胞中での特定の
メッセージの高発現(これは、対応する正常細胞中で観察されない)は、癌特異
的なタンパク質を示し得る。アレイの例示的な使用はさらに、例えば、Papp
alaradoら、Sem.Radiation Oncol.(1998)8
:217;およびRamsay、Nature Biotechnol.(19
98)16:40に記載される。
【0137】 (D.示差的発現) 本発明のポリヌクレオチドはまた、2つの細胞間の発現レベルにおける差異を
検出するために(例えば、ヒトにおける異常組織または疾患組織を同定するため
の方法として)使用され得る。タンパク質ファミリーのプロフィールに対応する
ポリヌクレオチドに関して、組織の選択は、推定の生物学的機能に従って選択さ
れ得る。一般に、特定のポリヌクレオチドに対応する遺伝子の発現は、疾患であ
ると疑われる第1の組織と第2のヒトの正常な組織の間で比較される。異常およ
び疾患であると疑われる組織は、ヒトの異なった組織型由来であり得るが、好ま
しくは、それは、同じ組織型由来である;例えば、腸管のポリープまたは他の異
常な増殖は、正常な腸管組織と比較されるべきである。この正常組織は、試験サ
ンプルの組織と同じ組織、または患者の任意の正常組織、特に目的のポリペプチ
ド関連遺伝子を発現する組織(例えば、脳、胸腺、精巣、心臓、前立腺、胎盤、
脾臓、小腸、骨格筋、膵臓および結腸の粘膜内層)であり得る。例えば、分子量
、アミノ酸もしくはヌクレオチド配列、または相対的な量で比較される、2つの
組織中のポリヌクレオチド関連遺伝子、mRNA、またはタンパク質間の差異は
、疾患であると疑われるヒトの組織で遺伝子、またはその遺伝子を調節する遺伝
子における変化を示す。示差的発現の検出および癌の診断におけるその使用の例
は、米国特許第5,688,641号および同第5,677,125号に記載さ
れる。
【0138】 この2つの組織中のポリヌクレオチド関連遺伝子は、当該分野で公知の任意の
手段によって比較される。例えば、この2つの遺伝子は、配列決定され得、そし
て疾患であると疑われる組織中の遺伝子配列は、正常組織における遺伝子配列と
比較され得る。この2つの組織における提供されたポリヌクレオチドに対応する
遺伝子またはその一部は、例えば、配列表で示されるヌクレオチド配列に基づい
たヌクレオチドプライマーを使用してポリメラーゼ連鎖反応を使用して増幅され
る。増幅された遺伝子または遺伝子の一部は、配列表で示されるヌクレオチド配
列から選択される検出可能に標識されたヌクレオチドプローブとハイブリダイズ
される。正常なヌクレオチド配列と比較して、疾患であると疑われる組織におい
て単離された遺伝子のヌクレオチド配列における差異は、この疾患における被験
体ポリヌクレオチドによってコードされる遺伝子産物の役割を示唆し、そして治
療剤を調製するための指針を提供する。
【0139】 あるいは、この2つの組織中の提供されたポリヌクレオチドに対応するmRN
Aが比較される。ポリA+RNAは、当該分野で公知であるように2つの組織か
ら単離される。例えば、当業者は、ノーザンブロットおよび配列表で示されるヌ
クレオチド配列から選択される検出可能に標識されるヌクレオチドプローブを使
用して、この2つの組織間のmRNA転写物のサイズまたは量における差異を容
易に決定し得る。正常組織中で同じmRNAの発現と比較して、罹患している疑
いのある組織サンプル中の所定のmRNAの発現の増加または減少は、発現され
たタンパク質がこの疾患において役割を有し、そしてまた治療剤を調製するため
の手がかりを提供することを示唆する。
【0140】 この比較はまた、適合したサンプル間でポリペプチドを分析することによって
達成され得る。この2つの組織中のタンパク質のサイズは、例えば、本発明の抗
体を使用して、この2つの組織由来のタンパク質抽出物のウエスタンブロットに
おけるポリペプチドを検出して比較される。他の変化(例えば、発現レベルおよ
び細胞内局在)はまた、対応するタンパク質に対する抗体を使用して免疫学的に
検出され得る。正常な組織における同じタンパク質の発現レベルと比較して、罹
患している疑いのある組織における所定のポリペプチドのより高いまたはより低
いレベルの発現は、この発現タンパク質がこの疾患において役割を有し、そして
治療剤を調製するための指針を提供することを示す。
【0141】 同様に、罹患している疑いのあるヒト組織とヒトの正常組織の間のポリヌクレ
オチド配列の比較または遺伝子発現産物の比較(例えば、mRNAおよびタンパ
ク質)が使用され、ヒトにおける疾患の進行または寛解を追跡する。このような
比較は、上記のようになされる。例えば、腫瘍性であると疑われる組織における
、本発明のポリヌクレオチドに対応する遺伝子発現の増加または減少は、組織中
の腫瘍性細胞の存在を示し得る。腫瘍性細胞における所定遺伝子の、正常組織中
の同じ遺伝子の発現と比較した、発現の増加の度合い、または腫瘍性細胞におけ
る所定遺伝子の発現の増加量における経時的な相違は、その組織における新形成
の進行を経時的に評価するため、または治療プロトコルに対する腫瘍性組織の応
答を経時的にモニターするために使用される。
【0142】 任意の2つの細胞型(例えば、低転移性腫瘍細胞株および高転移性腫瘍細胞株
、悪性細胞もしくは非悪性細胞、または治療剤に曝露されている組織からの細胞
および曝露されていない組織からの細胞)の発現パターンが比較され得る。ヒト
における疾患に対する遺伝的素因は、正常胎児組織に関連したレベルと、胎児組
織中の本発明のポリヌクレオチドに対応したmRNAまたはタンパク質の発現レ
ベルを比較することによって検出される。この目的について使用された胎児組織
は、羊水、絨毛膜絨毛、血液およびインビトロで受精した胚の卵割球を含むが、
これらに限定されない。この匹敵する正常ポリヌクレオチド関連遺伝子は、任意
の組織から得られる。このmRNAまたはタンパク質は、このポリヌクレオチド
関連遺伝子が発現されるヒトの正常組織から得られる。胎児ポリヌクレオチド関
連遺伝子またはmRNAの同じ産物のヌクレオチド配列またはサイズにおける変
化、あるいは胎児タンパク質の分子量、アミノ酸配列または相対的な量における
変化のような相違は、胎児のポリペプチド関連遺伝子における生殖系列変異を示
し得、これは、疾患に対する遺伝的素因を示す。開示されたポリヌクレオチドの
特定の診断使用および予後使用は、以下でより詳細に記載される。
【0143】 (E.差示的発現に基づく診断使用、予後使用、および他の使用) 一般に、本発明の診断方法は、疾患(例えば、乳癌、肺癌、結腸癌および/ま
たはそれらの転移形態)を有すると疑われるか、または疾患に罹患しやすいと疑
われる患者から入手した試験サンプルにおける、遺伝子産物、特に差示的に発現
される遺伝子産物のレベルまたは量を検出すること、ならびにその検出されるレ
ベルを、正常細胞(例えば、実質的に癌に罹患していない細胞)および/または
他のコントロール細胞(例えば、形成異常症に罹患している細胞から癌細胞を分
化させるための)で見出される遺伝子産物のレベルに対して比較することを含む
。さらに、その疾患の重篤度は、差示的に発現される遺伝子産物の検出レベルを
、異なった程度の重篤度の疾患に関連する差示的な遺伝子産物のレベルを表すサ
ンプルにおいて検出される、それらのレベルと比較することによって評価され得
る。
【0144】 用語「差示的に発現される遺伝子」は、例えば、遺伝子産物(例えば、ポリペ
プチド)をコードするオープンリーディングフレーム、および/またはこのよう
な遺伝子のイントロン、ならびに発現の調節に関与する、隣接5’および3’の
非コードヌクレオチド配列(コード領域を越える約20kbまでの、しかしいず
れの方向においてもさらに可能である)を含み得るポリヌクレオチドを含むこと
が意図される。この遺伝子は、染色体外維持のための、または宿主ゲノム内への
組込みのための適切なベクターに導入され得る。一般に、少なくとも約25%、
通常は、少なくとも約50%〜75%、より通常には、少なくとも約90%以上
の発現レベルでの減少に関連する発現レベルでの差異は、目的の、差示的に発現
される遺伝子、すなわち、コントロールサンプルと比較して、試験サンプルにお
いては発現不足であるか、またはダウンレギュレートされる遺伝子を示す。さら
に、コントロールサンプルと比較して、少なくとも約25%、通常は、少なくと
も約50%〜75%、より通常には、少なくとも約90%であり、そして少なく
とも約1 1/2倍、通常は、少なくとも約2倍〜約10倍であり得、そして約
100倍〜約1,000倍の増加であり得る、発現の上昇に関連する発現レベル
での差異は、目的の、差示的に発現される遺伝子、すなわち、過剰発現、または
アップレギュレートされる遺伝子を示す。
【0145】 本明細書において使用される「差示的に発現されるポリヌクレオチド」は、差
示的に発現される遺伝子を表す配列を有する核酸分子(RNAまたはDNA)を
意味し、例えば、その差示的に発現されるポリヌクレオチドは、サンプル中で差
示的に発現されるポリヌクレオチドの検出が、サンプル中の差示的に発現される
遺伝子の存在と相関するように、差示的に発現される遺伝子を独自に同定する配
列(例えば、遺伝子産物をコードするオープンリーディングフレーム)を含む。
「差示的に発現されるポリヌクレオチド」はまた、開示されたポリヌクレオチド
のフラグメント(例えば、生物学的活性を保持するフラグメント)、ならびにそ
の開示されたポリヌクレオチドに相同であるか、実質的に類似するか、または実
質的に同一である(例えば、約90%の配列同一性を有する)核酸を含むことが
意味される。
【0146】 診断または予後において有用な本発明の方法は、代表的に、目的のサンプル中
の選択された差示的に発現される遺伝子産物の存在度を、コントロールの遺伝子
産物の存在度と比較して、この遺伝子産物の発現における任意の相対的な差異を
決定することを含み、ここで、この差異は定性的におよび/または定量的に測定
され得る。定量は、例えば、このサンプル中に検出された発現産物のレベルを、
検量線に存在する産物の量と比較することにより達成され得る。比較は、以下に
より視覚的に行われ得る;コンピューター化された補助を用いるか、または用い
ない濃度測定のような技術を使用することによって;試験サンプルから単離され
たmRNAのcDNAクローンの代表的なライブラリーを調製し、同じ遺伝子産
物に対応するcDNAクローンの数を決定するためにライブラリーのクローンを
配列決定して、そしてその同じ遺伝子産物に対応するクローンの数を、コントロ
ールサンプルにおけるその同じ遺伝子産物のクローンの数と比較して分析するこ
とによって;または、選択された配列もしくは配列のセットに対するハイブリダ
イゼーションの相対的なレベルを検出するためのアレイを使用し、そしてコント
ロールのハイブリダイゼーションパターンに対してそのハイブリダイゼーション
パターンを比較することによって。次いで、発現における差異は、異常な発現パ
ターンの存在または非存在と関係づけられる。サンプル中の核酸の存在度を決定
するための種々の異なる方法は、当業者に公知であり、ここで、目的の特定の方
法は、以下に記載される方法を含む:Pietuら Genome Res.(
1996)6:492;Zhaoら、Gene(1995)156:207;S
oares、Curr.Opin.Biotechnol.(1977)8:5
42;Raval、J.Pharmacol Toxicol Methods
(1994)32:125;Chalifourら、Anal.Biochem
(1994)216:299;Stolzら、Mol.Biotechnol.
(1996)6:225;Hongら、Biosci.Reports(198
2)2:907;およびMcGraw、Anal.Biochem.(1984
)143:298。目的の方法はまた、WO97/27317において開示され
る方法であり、その開示は本明細書に参考として援用される。
【0147】 一般に、本発明の診断アッセイは、「配列番号1〜5252」の配列に対応す
る、ポリヌクレオチド配列の遺伝子産物(例えば、mRNAまたはポリペプチド
)の検出を含む。サンプルを入手した患者は、明らかに健康であり得るか、疾患
に罹患しやすくあり得るか(例えば、家族歴、もしくは特定の環境因子に対する
曝露により決定されるように)、または既に、本発明の遺伝子産物の変化した発
現が関係する状態を有すると同定され得る。
【0148】 本発明のアッセイにおいて、この診断は、「配列番号1〜5252」に示され
る配列を有する、少なくとも1つ、好ましくは、少なくとも2以上、少なくとも
3以上、または少なくとも4以上のポリヌクレオチドによってコードされる遺伝
子産物の、検出された遺伝子産物発現レベルに基づいて決定され得、そして「配
列番号1〜5252」の全て、および/またはさらなる診断マーカーとして作用
し得るさらなる配列、および/または参照配列に対応する遺伝子の発現の検出を
含み得る。この診断方法が、患者の癌の存在または癌に対する罹患性を検出する
ために設計される場合、このアッセイは、好ましくは、癌において差示的に発現
されるポリヌクレオチドに対応する遺伝子によってコードされる遺伝子産物の検
出を含む。例えば、正常サンプルに関連するレベルと比較した、配列番号202
4に対応するポリヌクレオチドの、より高い発現レベルは、このサンプルが由来
する患者における癌の存在を示し得る。別の例において、正常レベルと比較した
、より低いレベルでの配列番号590に対応するポリヌクレオチドの検出は、そ
の患者における癌の存在を示す。このような差示的に発現されるポリヌクレオチ
ドのさらなる例は、以下の実施例に記載される。本明細書中に提供されるポリヌ
クレオチドおよび提供されるそれらの相対的な発現レベルに関する情報が与えら
れる場合、診断および予後において、このようなポリヌクレオチドおよびそれら
の発現レベルの検出を使用するアッセイは、当業者にとって容易に明らかである
【0149】 任意の種々の検出可能な標識は、本発明の診断方法の種々の実施態様に関連し
て使用され得る。適切な検出可能な標識は、蛍光色素(例えば、フルオレセイン
イソチオシアネート(FITC)、ローダミン、テキサスレッド、フィコエリト
リン、アロフィコシアニン、6−カルボキシフルオレセイン(6−FAM)、2
’,7’−ジメトキシ−4’,5’−ジクロロ−6−カルボキシフルオレセイン
、6−カルボキシ−X−ローダミン(ROX)、6−カルボキシ−2’,4’,
7’,4,7−ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、5−カルボキシフルオ
レセイン(5−FAM)またはN,N,N’,N’−テトラメチル−6−カルボ
キシローダミン(TAMRA))、放射性標識(例えば、32P、35S、3Hなど
)などを含む。検出可能な標識は、2段階の系(例えば、ビオチン−アビジン、
ハプテン−抗ハプテン抗体など)を含み得る。
【0150】 抗体およびヌクレオチドプローブのような、本発明のポリヌクレオチドおよび
ポリペプチドに対して特異的な試薬は、生物学的サンプル中の発現産物の存在を
検出するためのキットの中で供給され得る。このキットはまた、緩衝液、または
標識成分、ならびに生物学的サンプル中の発現産物を検出および定量するための
試薬を使用するための説明書を含み得る。本発明の診断方法の例示的な実施態様
は、以下に、より詳細に記載される。
【0151】 (診断におけるポリペプチド検出) 1つの実施態様において、試験サンプルを、差示的に発現されるポリペプチド
のレベルについてアッセイする。診断は、試験サンプル中の差示的に発現される
ポリペプチドの非存在、もしくは存在、または変化した量を決定するために多く
の方法のいずれかを使用して達成され得る。例えば、検出は、従来の方法に従っ
て行われる、標識された抗体での細胞または組織学的切片の染色を利用し得る。
細胞は、細胞質分子を染色するために透過化処理され得る。一般に、本発明の差
示的に発現されるポリペプチドに特異的に結合する抗体を、サンプルに添加し、
そしてこのエピトープへの結合を可能にするに十分な時間(通常は少なくとも約
10分)インキュベートする。この抗体は、直接的な検出のために、検出可能に
標識され得るか(例えば、放射性同位元素、酵素、蛍光剤、化学発光剤などを使
用して)、または結合を検出するための第2段階の抗体(second sta
ge antibody)もしくは試薬(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ
結合化アビジンについてはビオチン、蛍光化合物(例えば、フルオレセイン,ロ
ーダミン、テキサスレッドなど)に結合体化した二次抗体)と共に使用され得る
。抗体結合の非存在または存在は、解離された細胞のフローサイトメトリー、顕
微鏡法、放射線写真法、シンチレーションカウンティングなどを含む種々の方法
によって決定され得る。差示的に発現されるポリペプチドのレベルまたは量の定
性的または定量的な検出の任意の適切な代替方法(例えば、ELISA、ウエス
タンブロット、免疫沈降、放射免疫アッセイなど)が、使用され得る。
【0152】 一般に、試験サンプル中の差示的に発現されるポリペプチドの検出レベルは、
参照サンプルまたはコントロールサンプル中の(例えば、正常細胞(ネガティブ
コントロール)中の、または公知の疾患状態を有する細胞(ポジティブコントロ
ール)中の)差示的に発現される遺伝子産物のレベルと比較される。
【0153】 (mRNA検出) 本発明の診断方法はまた、あるいは代わりに、本発明の差示的に発現されるポ
リヌクレオチドに対応する遺伝子によってコードされるmRNAの検出を含み得
る。特異的なmRNAを検出するための、当該分野で公知の、任意の適切な定性
的または定量的方法が使用され得る。mRNAは、例えば、組織切片におけるイ
ンサイチュハイブリダイゼーションによって、逆転写酵素PCRによって、また
はポリA+mRNAを含むノーザンブロットにおいて検出され得る。当業者は、
これらの方法を用いて、2つのサンプル間のmRNAの転写物の大きさまたは量
における差異を容易に決定し得る。例えば、癌性または形成異常であると疑われ
る組織サンプル中の本発明のmRNAのレベルを、参照サンプル(例えば、ポジ
ティブコントロールサンプルまたはネガティブコントロールサンプル(例えば、
正常細胞、癌性細胞など))におけるmRNAの発現と比較する。
【0154】 サンプル中のmRNA発現レベルを検出および比較するための、任意の適切な
方法は、本発明の診断方法に関して使用され得る(例えば、米国特許第5,80
4,382号を参照のこと)。例えば、サンプル中のmRNA発現レベルは、こ
のサンプル由来の発現配列タグ(EST)のライブラリーの生成によって決定さ
れ得、ここで、このESTライブラリーは、このサンプルに存在する配列の代表
である(Adamsら、(1991)Science 252:1651)。ラ
イブラリー内のESTの相対表示の列挙は、出発サンプル内の遺伝子転写物の相
対表示に近似するために使用され得る。次いで、試験サンプルのEST分析の結
果は、参照サンプルのEST分析と比較され、選択されたポリヌクレオチド、特
に本明細書に記載の差示的に発現される1以上の遺伝子に対応するポリヌクレオ
チドの相対的な発現レベルを決定し得る。
【0155】 あるいは、試験サンプル中の遺伝子発現は、遺伝子発現の連続分析(SAGE
)方法論(Velculescuら、Science(1995)270:48
4)を使用して実施され得る。要するに、SAGEは、各々の転写物内の特定の
位置から、短い独特の配列タグを単離することを含む。この配列タグは、連結さ
れ、クローン化され、そして配列決定される。出発サンプル内の特定の転写物の
頻度は、この関連する配列タグが、この配列集団に遭遇する回数により反映され
る。
【0156】 試験サンプルにおける遺伝子発現はまた、ディファレンシャルディスプレイ(
DD)方法論を使用して分析され得る。DDにおいて、特異的配列の区切文字(
例えば、制限酵素部位)により定義されるフラグメントを、遺伝子の独特の識別
子として使用し、発現される遺伝子内のフラグメントの長さまたはフラグメント
の位置についての情報と組合せられる。次いで、サンプルで発現される遺伝子の
相対表示を、全ての可能なフラグメントのプール内の、その遺伝子と関連するフ
ラグメントの相対表示に基づいて推測し得る。DDを実行するための方法および
組成物は、当該分野で周知である(例えば、米国特許第5,776,683号;
および米国特許第5,807,680号を参照のこと)。
【0157】 あるいは、ヌクレオチドの相互作用の特異性に基づく、ハイブリダイゼーショ
ン分析を使用するサンプル内の遺伝子発現。オリゴヌクレオチドまたはcDNA
を、特異的配列の組成のDNAまたはRNAを選択的に同定または捕獲するため
に使用して、および公知の捕獲配列にハイブリダイズするRNAまたはcDNA
の量を、定性的にまたは定量的に決定するために使用して、サンプル中の細胞性
メッセージのプール内の特定のメッセージの相対表示についての情報を提供し得
る。ハイブリダイゼーション分析は、例えば、高密度フォーマットを有するアレ
イに基づいた技術(フィルター、顕微鏡用スライド、もしくはマイクロチップを
含む)または分光学的分析(例えば、質量分析法)を使用する溶液に基づいた技
術を使用することによって、何百〜何千もの遺伝子の相対発現の同時スクリーニ
ングを可能にするために設計され得る。本発明の診断方法におけるアレイの1つ
の例示的な使用は、以下に、より詳細に記載される。
【0158】 (診断適用における単一遺伝子の使用) 本発明の診断方法は、単一の差示的に発現される遺伝子の発現に焦点を合わせ
得る。例えば、その診断方法は、差示的に発現される遺伝子、または疾患に関連
する、そのような遺伝子の多型(例えば、コード領域または制御領域における多
型)を検出することを含み得る。疾患に関連する多型は、遺伝子の欠失または切
断、発現レベルを変化させる変異、および/またはコードされるタンパク質の活
性に影響する変異などを含み得る。
【0159】 差示的な遺伝子の発現レベルに影響するプロモーターまたはエンハンサー配列
における変化を、当該分野で公知の種々の方法により正常な対立遺伝子の発現レ
ベルに対して比較し得る。プロモーターの強度またはエンハンサーの強度を決定
するための方法は、発現される天然のタンパク質の定量;簡便な定量を提供する
レポーター遺伝子(例えば、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、クロラム
フェニコールアセチルトランスフェラーゼなど)を有するベクター内への改変体
制御エレメントの挿入などを含む。
【0160】 多くの方法が、特異的配列の存在について核酸を解析するために利用可能であ
る(例えば、疾患に関連する多型)。多量のDNAが利用可能である場合、ゲノ
ムDNAを、直接的に使用する。あるいは、目的の領域を、適切なベクターにク
ローン化し、そして解析のために十分量に増殖する。差示的に発現される遺伝子
を発現する細胞を、mRNAの供給源として使用し得、そのmRNAは、解析の
ために直接的にアッセイされ得るか、またはcDNAに逆転写され得る。核酸は
、解析のために十分量を提供するための従来の技術(例えば、ポリメラーゼ連鎖
反応(PCR))により増幅され得る。そして検出可能な標識は、検出を容易に
するためにその増幅反応中に(例えば、検出可能に標識されたプライマーまたは
検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを使用して)含まれ得る。ポリメラー
ゼ連鎖反応の使用は、Saikiら、Science(1985)239:48
7に記載され、そして技術の概要は、Sambrookら、Molecular
Cloning:A Laboratory Manual、(1989)1
4.2.頁に見出され得る。あるいは、種々の方法が、多型を検出する手段とし
てオリゴヌクレオチド連結を利用する当該分野で公知である(例えば、Rile
yら、Nucl.Acids Res.(1990)18:2887;およびD
elahuntyら、Am.J.Hum.Genet.(1996)58:12
39を参照のこと)。
【0161】 サンプル核酸(例えば、増幅されたフラグメント、またはクローン化したフラ
グメント)を、当該分野で公知の多くの方法の1つにより解析する。核酸は、ジ
デオキシ法、または他の方法により配列決定され得、その塩基配列を、選択され
た配列に対して(例えば、野性型の配列に対して)比較し得る。多型の配列また
は変異型の配列を用いたハイブリダイゼーションはまた、サンプル中のその存在
を決定するために使用され得る(例えば、サザンブロット、ドットブロッドなど
によって)。米国特許第5,445,934号またはWO95/35505に記
載されるような、固体の支持体に固定化されたオリゴヌクレオチドプローブのア
レイに対する多型の配列または変異型の配列、およびコントロール配列のハイブ
リダイゼーションパターンはまた、疾患に関与する多型の配列または変異型の配
列を同定する手段として使用され得る。ゲルマトリックスにおける、一本鎖立体
配座多型(SSCP)解析、変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)、およびヘテロ
二重鎖解析は、電気泳動の移動度における変化として、DNA配列の変異により
生じた立体配座変化を検出するために使用される。あるいは、多型が、制限エン
ドヌクレアーゼのための認識サイトを作製または破壊する場合、そのサンプルを
、そのエンドヌクレアーゼで消化し、そしてその産物を、そのフラグメントが消
化されたか否かを決定するために大きさで分画する。分画を、ゲルまたはキャピ
ラリー電気泳動、特にアクリルアミドゲルもしくはアガロースゲルにより行う。
【0162】 差示的に発現される遺伝子における変異のスクリーニングは、そのタンパク質
の機能的特性または抗原性特性に基づき得る。タンパク質短縮化アッセイは、タ
ンパク質の生物学的活性に影響し得る欠失の検出において有用である。タンパク
質の多型性の検出のために設計された種々の免疫アッセイは、スクリーニングの
際に使用され得る。多様な遺伝子変異が特定の疾患の表現型をもたらす場合、機
能タンパク質アッセイは、有効なスクリーニング手段であることが示された。そ
のコードされるタンパク質の活性は、野生型タンパク質と比較することにより決
定され得る。
【0163】 (アレイを使用する診断におけるパターン整合) 別の実施態様において、本発明の診断方法および/または予後診断の方法は、
試験サンプル中の遺伝子の選択されたセットの発現の検出をして、試験発現パタ
ーン(TEP)を作製することを、含む。TEPを、参照サンプル(例えば、ポ
ジティブまたはネガティブコントロールサンプル)中の遺伝子の選択されたセッ
トの発現の検出によって生成される、参照発現パターン(REP)に対して比較
する。遺伝子の選択されたセットは、少なくとも1つの本発明の遺伝子(それら
の遺伝子は、配列番号1〜5252のポリヌクレオチド配列に対応する)を含む
。その試験サンプルがスクリーニングされるべき疾患において差示的に発現され
る遺伝子を含む選択された遺伝子のセットが、特に対象である。
【0164】 差示的遺伝子発現の解析および診断/予後の文脈において、本明細書で使用さ
れる場合、「参照配列」または「参照ポリヌクレオチド」とは、ポリヌクレオチ
ドの選択されたセットをいい、その選択されたセットは、少なくとも1以上の本
明細書に記載の差示的に発現されるポリヌクレオチドを含む。多数の参照配列(
好ましくはポジティブおよびネガティブコントロール配列を含む)が、参照配列
として含まれ得る。さらなる適切な参照配列は、Genbank、Unigen
e、および他のヌクレオチド配列データベース(例えば、発現配列タグ(EST
)、部分的および全長配列を含む)に見出される。
【0165】 「参照アレイ」とは、サンプルとのハイブリダイゼーションでの使用のための
参照配列を有するアレイを意味し、ここで、参照配列は、全ての、少なくとも1
つの、または任意の本明細書に記載される差示的に発現されるポリヌクレオチド
のサブセットを含む。通常、そのようなアレイは、少なくとも3つの異なる参照
配列を含み、そして任意の1つのまたは全ての提供される差示的に発現される配
列を含み得る。目的のアレイはさらに、多型性を含む、他の遺伝子配列(特に疾
患または障害(例えば、癌、形成異常、あるいは他の関係するまたは無関係の疾
患、障害、もしくは状態)についてのスクリーニングのための他の目的の配列)
の配列を含み得る。アレイ上のオリゴヌクレオチド配列は、通常少なくとも長さ
約12ntであり、そして提供される配列のおおよその長さであり得るか、また
は長さ100nt〜200nt以上のフラグメントを生成するように、隣接領域
にまで伸展し得る。
【0166】 本明細書で使用される場合、「参照発現パターン」または「REP」とは、選
択された細胞型(例えば、正常細胞、癌性細胞、環境性の刺激に曝露される細胞
など)に関連する遺伝子(特に差示的に発現される遺伝子)の選択されたセット
の発現の相対レベルをいう。「試験発現パターン」または「TEP」とは、試験
サンプル(例えば、mRNAが単離された、未知のまたは疑わしい疾患状態の細
胞)中の遺伝子(特に差示的に発現される遺伝子)の選択されたセットの発現の
相対レベルをいう。
【0167】 本明細書で使用される場合、「診断」とは一般に、被験体の疾患または障害に
対する感受性の決定、被験体が疾患または障害に現在罹患しているか否かの決定
、ならびに疾患または障害に罹患した被験体の予後に関する決定を含む(例えば
、未転移性または転移性癌の状態の同定、癌の段階、あるいは治療に対する癌の
応答性)。本発明は特に、以下の状況における、被験体の診断を含む;乳癌(例
えば、上皮内癌(例えば、腺管上皮内癌)、エストロゲンレセプター(ER)陽
性乳癌、ER陰性乳癌、または乳癌の他の形態および/または段階)、肺癌(例
えば、小細胞癌、非小細胞(non−small cell)癌、中皮腫、およ
び肺癌の他の形態および/または段階)、および結腸癌(例えば、腺腫様ポリー
プ、結腸直腸癌、および結腸癌の他の形態および/または段階)。
【0168】 本明細書を通して使用される場合、「サンプル」または「生物学的サンプル」
とは、一般に、生物学的体液または組織のサンプル、特に組織(特に診療適用が
設計された疾患(例えば腺管腺癌)に関する型の細胞)などから得られるサンプ
ルをいうことが意味される。「サンプル」はまた、そのようなサンプルの誘導体
およびフラクション(例えば、細胞溶解物)を含むことが意味される。そのサン
プルが固形組織である場合、その組織の細胞が解離され得るか、または組織切片
が分析され得る。
【0169】 REPは、当該分野で周知の方法に従って、種々の方法で生成され得る。例え
ば、REPはコントロールサンプルをポリヌクレオチドの選択されたセット(特
に、差示的に発現されたポリヌクレオチドの選択されたセット)を有するアレイ
にハイブリダイズさせる工程、アレイからハイブリダイゼーションのデータを獲
得する工程、およびREPのTEPとの容易な比較を可能にするフォーマットに
そのデータを保存する工程によって作製され得る。あるいは、コントロールサン
プル中の全ての発現される配列は、単離され得、そして配列決定され得る(例え
ば、コントロールサンプルからのmRNAの単離、mRNAのcDNAへの転換
、およびそのcDNAの配列決定によって)。生じた配列情報は、大まかにまた
は正確に、そのサンプル中の発現される配列の同一性および相対数を反映する。
その配列情報は次に、REPとTEPとの容易な比較を可能にするフォーマット
(例えば、コンピューターに読み込み可能なフォーマット)に保存され得る。R
EPは、データ保存前または保存後に正規化され得るか、および/あるいは関心
のより低いもの、または解析を複雑にし得る発現される遺伝子の配列を選択的に
除去するように処置され得る(例えば、ハウスキーピング遺伝子に関連するいく
つかのまたは全ての配列は、REPデータから除外され得る)。
【0170】 TEPは、例えば、試験サンプルをポリヌクレオチドの選択されたセット(特
に差示的に発現されるポリヌクレオチドの選択されたセット)を有するアレイに
ハイブリダイズさせる工程、アレイからハイブリダイゼーションのデータを獲得
する工程、およびREPとのTEPの容易な比較を可能にするフォーマットにそ
のデータを保存する工程によって、REPに類似の様式で作製され得る。比較に
使用されるREPおよびTEPは、同時に作製され得るか、またはTEPは、以
前に作製され、そして保存されたREPに対して比較され得る。
【0171】 本発明の1つの実施態様において、REPとTEPとの比較は、参照アレイと
試験サンプルをハイブリダイズする工程を含み、ここで、参照アレイは、サンプ
ルとのハイブリダイゼーションにおける使用のための、1以上の参照配列を有す
る。参照配列は、全ての、少なくとも1つの、または任意の本明細書に記載され
る差示的に発現されるポリヌクレオチドのサブセットを含む。その試験サンプル
のハイブリダイゼーションデータを獲得し、そのデータを正規化し、そして作製
されたTEPを、同一のまたは類似の差示的に発現されるポリヌクレオチドの選
択されたセットを有するアレイを使用して、作製されたREPと比較する。2つ
のサンプル間の差示的に発現される配列に対応するプローブは、他方と相対的に
一方のサンプルについて、減少または増加したハイブリダイゼーション効率を示
す。
【0172】 参照アレイは、当該分野で公知の任意の適切な方法に従って作製され得る。例
えば、オリゴヌクレオチドの大きいアレイを作製する方法は、光指向型合成技術
を用いる、米国特許第5,134,854号および米国特許5,445,934
号に記載される。コンピューター制御された系を使用して、モノマーの不均一な
アレイを、多くの反応部位での同時結合を経て、ポリマーの不均一なアレイへと
変換する。あるいは、マイクロアレイを、予備合成されたオリゴヌクレオチドの
固体基板上への沈着により作製する(例えば、PCT公開出願番号WO95/3
5505に記載されるように)。
【0173】 参照アレイを用いたサンプルのハイブリダイゼーションからのデータの収集の
方法はまた、当該分野で周知である。例えば、参照および試験サンプルのポリヌ
クレオチドは、検出可能な蛍光標識を使用して生成され得、そしてサンプル中の
ポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションは、その検出可能な標識の存在につ
いてマイクロアレイを走査することによって検出され得る。デバイス上の蛍光標
識された標的の検出のための方法およびデバイスは,当該分野で公知である。一
般に、そのような検出デバイスは、基板で、顕微鏡および光を指向するための光
源を含む。フォトンカウンターは、基板から蛍光を検出し、その間に、x−y平
進ステージは、基板の位置を変化する。本方法において使用され得る共焦点検出
デバイスは、米国特許第5,631,734号において記載される。走査レーザ
ー顕微鏡は、Shalonら、Genome Res.(1996)6:639
において記載される。適切な励起線を使用して、走査を、使用される各々の蛍光
団に対して行う。走査より生成されたデジタル画像を、次に引き続く解析と組み
合わせる。任意の特定のアレイエレメントについて、あるサンプル(例えば、試
験サンプル)からの蛍光シグナルの比を、別のサンプル(例えば、参照サンプル
)からの蛍光シグナルと比較し、そして相対的シグナル強度を決定する。
【0174】 アレイに対するハイブリダイゼーションから収集されたデータの解析の方法は
、当該分野で周知である。例えば、ハイブリダイゼーションの検出が蛍光標識を
含む場合、データ解析は、データが収集された基板の位置の関数として、蛍光強
度を決定する工程、アウトライアー(すなわち、予め決定された統計分布から逸
脱するデータ)を除去する工程、そして残存するデータから、その標的の相対的
な結合アフィニティーを計算する工程を含み得る。生じたデータを、標的とプロ
ーブとの間の結合アフィニティーに従って変化する各々の領域における強度を有
する画像として表示し得る。
【0175】 一般に、試験サンプルは、試験サンプルから生成されるTEPと、参照サンプ
ル(例えば、癌、または癌の特定の病期、形成異常に関連するサンプル、癌以外
の疾患に罹患したサンプル、正常サンプルなど)から生成される1以上のREP
と比較することによって、疾患または非疾患状態に関連するものに対応する遺伝
子発現プロフィールを有するとして分類される。TEPとREPとの間の整合ま
たは実質的な整合についての判断基準は、同じセットの参照遺伝子または実質的
に同じセットの参照遺伝子の発現、ならびにこれらの参照遺伝子の実質的に同じ
レベルでの発現を含む(例えば、サンプルの正規化後に選択された参照配列に関
連するシグナルについてサンプル間に有意な差異はないか、または、所定の参照
配列に対するシグナル強度において、少なくとも約25%〜約40%より大きな
差異はない)。一般に、TEPとREPとの間のパターン整合は、本発明の差示
的に発現される遺伝子の少なくとも1つの、全部の、または任意のサブセットの
発現における整合、好ましくは定性的または定量的な発現レベルにおける整合を
含む。
【0176】 パターン整合は、手動で行われ得るか、またはコンピュータープログラムを使
用して行われ得る。基板行列(例えば、アレイ)の調製、そのような行列をとも
なう使用のためのオリゴヌクレオチドの設計、プローブの標識、ハイブリダイゼ
ーションの条件、ハイブリダイズされた行列の走査、および比較解析を含む、生
成されたパターンの解析のための方法は、例えば、米国特許第5,800,99
2号に記載される。
【0177】 (F.癌における本発明のポリヌクレオチドの使用) 腫瘍形成は、細胞の自由な増殖、脱分化、および異常な移動を含む。癌性細胞
は、正常組織に対して圧縮する、侵入する、および破壊する能力を有し得る。癌
性細胞はまた、血流またはリンパ系を経て、体の他の部分に転移し得、そしてこ
れら他の領域においてコロニー形成し得る。異なる癌は、癌性細胞が由来する細
胞によって、そしてその細胞の形態学および/または分化の状態から分類される
【0178】 体細胞性の遺伝子的異常性は、癌のイニシエーションおよび進行を引き起こす
。癌は一般に、クローン的に形成される。すなわち、単一細胞中の癌遺伝子の機
能の獲得および腫瘍抑制遺伝子の機能の欠失は、その細胞を癌性に形質転換し、
そしてその単一細胞は増殖し、そして分裂して癌性病変を形成する。癌のイニシ
エーションおよび進行に関与することが公知の遺伝子は、発生的分化、細胞周期
の調節、細胞シグナル伝達、免疫学的応答、DNA複製、およびDNA修復を含
む、多数の細胞機能に関与する。
【0179】 発癌経路に沿った最初期の変化を検出し、そして種々の治療的および予防的介
入の有効性をモニターする、血液または組織における遺伝学的あるいは生化学的
マーカーの同定および特徴付けは、癌研究の主要な目標である。科学者は、結腸
癌の病期を示す便の標本における遺伝学的変化を同定し、そして遺伝子変異、ホ
ルモンレセプター、転移を阻害するタンパク質、および薬物を代謝する酵素のよ
うな他の生物マーカーは全て、重篤度を決定し、乳癌、前立腺癌、肺癌、および
他の癌の過程を予測するために使用される。
【0180】 特定の癌の病因論における最近の進歩は、患者の処置の決定において役立って
きた。特定のポリヌクレオチドの発現レベルは、より劣った予後を示し得、従っ
て、患者に対するより攻撃的な化学療法または放射療法を是認し得る。新規の代
替的な腫瘍特異的な特徴と、処置に対する応答および患者における結果との相関
関係は、その腫瘍の分子プロフィールに基づいて仕立てられる治療法を設計し得
る特定の予後の指標を規定した。これらの治療法は、抗体標的化および遺伝子治
療を含む。さらに、有望なレベルの1以上のマーカーポリヌクレオチドは、特定
の患者を攻撃的に処置しないことについての起動力を提供し得、従って攻撃的治
療の有害な副作用を患者に生じさせない。特定のポリヌクレオチドの発現の決定
、ならびに患者のプロフィールと正常組織における公知の発現および疾患の改変
体との比較は、処置の特異性という点および患者の快適さのレベルという点の両
方で、患者に対する最良の可能な処置の決定を可能にする。
【0181】 ポリヌクレオチド発現のような、代理の腫瘍マーカーはまた、癌の異なる形態
および疾患の状態をよりよく分類し、そして従って診察および処置するために使
用され得る。本発明のポリヌクレオチドの発現レベルの同定から利益を得ること
が可能である腫瘍学において広く使用される2つの分類は、癌性障害の病期分類
化、および癌性組織の性質の類別である。
【0182】 (病期分類化) 病期分類化は、患者において癌性状態がどのくらい進行しているのかを記載す
るために医師により使用されるプロセスである。病期分類化は、予後の決定、処
置の計画、およびそのような処置の結果の評価をする際に医師を補助する。異な
る病期分類化の系は、異なる型の癌に使用されるが、しかし各々は一般に、以下
の決定を含む:腫瘍の型(Tと示される);その癌がリンパ節近辺に転移したか
否か(Nと示される);およびその癌は、体のより離れた部分に転移したか否か
(Mと示される)。この病期分類化の系は、TNM系と呼ばれる。一般に、癌が
、任意のリンパ節へ広がることなく主要な病変の領域においてのみ検出可能であ
る場合、それを病期Iと呼ぶ。癌が、最も近いリンパ節に対してのみ広がった場
合、それを病期IIを呼ぶ。病期IIIにおいて、その癌は一般に、主要な病変
の部位にほぼ近位のリンパ節に広がった。体の離れた部分(例えば、肝臓、骨、
脳、または別の部位)に広がった癌は、病期IVと呼ばれ、最も進行した状態で
ある。
【0183】 現在、病期分類化の決定は、病理学的技術を使用して行われ、そして腫瘍型の
特徴よりむしろ悪性組織の存在または非存在に基づく。悪性組織の存在または非
存在は、主に生検された領域における細胞の全体の形態学に基づく。本発明のポ
リヌクレオチドは、癌の攻撃力(例えば、転移の可能性)、ならびに体の異なる
領域における存在についてのマーカーを同定することによって、病期分類化プロ
セスの細密な調整を容易にし得る。従って、高い転移の可能性の癌を示すポリヌ
クレオチドを有する病期IIの癌は、境界上の病期IIの腫瘍を、病期IIIの
腫瘍に変化するために使用され得、このことはより積極的な治療を正当化する。
逆に、より低い転移可能性を示すポリヌクレオチドの存在は、腫瘍のより現状を
維持する病期分類化を可能にする。
【0184】 (癌の類別) 類別とは、腫瘍がそれと同じ型の正常細胞とどれくらい近く類似するかを記載
するために使用される用語である。腫瘍の微視的な外見に基づいて、病理学者は
、細胞形態、細胞組織化、および他の分化のマーカーのようなパラメーターに基
づく腫瘍の程度を同定する。一般的な規則として、腫瘍の類別は、その増殖速度
または攻撃性に対応する。つまり、未分化のまたは高い程度の腫瘍は、十分に分
化したまたは低い程度の腫瘍より、より急速に増殖する。腫瘍の類別についての
情報は、処置を計画し、そして予後を予測する際に有用である。
【0185】 The American Joint Commission on Ca
ncerは、腫瘍の類別についての以下の指針を推奨した:1)GX 程度が評
価され得ない;2)G1 十分に分化されている;G2 中程度によく分化され
ている;3)G3 弱く分化されている;4)G4 未分化。類別は、ほとんど
の癌を記載するために病理学者により使用されるが、類別は、特定の型について
の処置計画において、他の型の処置計画より重要な役割を果す。1つの例は、前
立腺癌に特異的なグリーソン系であり、それは分化の度合いを記載するための度
数を使用する。より低いグリーソンスコアは、よく分化された細胞を示す。中間
のスコアは、中程度に分化された細胞を有する腫瘍を示す。より高いスコアは、
弱く分化された細胞を示す。類別はまた、脳腫瘍および軟部組織肉腫のいくつか
の型において重要である。
【0186】 本発明のポリヌクレオチドは、腫瘍の類別の決定において特に役立ち得る。な
ぜならば、それらは、腫瘍の細胞の分化状態の決定を援助し得るのみならず、そ
れらは、腫瘍の攻撃性(例えば、転移の可能性)を決定するのに役立つ分化以外
の要素も同定し得るからである。
【0187】 (家族性癌遺伝子)多くの癌症候群が、特定の癌を発生する素因のメンデル遺
伝に連鎖する。以下の表は、遺伝され得る癌の型のリストを含み、そしてこれに
は、原因である遺伝子が同定されている。列挙されるほとんどの癌の型は、いく
つかの異なる遺伝的状態の一部として生じ得、それぞれ異なる遺伝子の改変によ
り引き起こされる。
【0188】
【表25】 本発明のポリヌクレオチドは、任意の上記の症候群を有する患者をモニターす
るのに特に有用であり得、それらの症候群が全体の形態学的レベルで検出される
前に、分子レベルで潜在的な悪性の事象を検出し得る。表からわかり得るように
、多くの遺伝子が、複数の形態の癌に関与している。したがって、転移性結腸癌
に対して重要であるとして同定された本発明のポリヌクレオチドはまた、胃癌ま
たは子宮内膜癌と診断される患者に対して臨床的関与を有し得る。
【0189】 (肺癌)肺癌は、全ての癌症例の約15%、すなわち毎年170,000の新
症例の原因となる、米国で最も一般的な癌の一つである。現時点で、米国の半分
を超える肺癌の症例は、男性においてであるが、女性において見出される数も増
加しており、そしてすぐに男性と同じ数になるだろう。今日、乳癌で死ぬよりも
肺癌で死ぬ女性が多い。肺癌は、肺の大きな大きさゆえに特に診断および処置が
難しく、何年もの間発見されずに癌を発症させる。事実、肺癌は、何ら徴候を引
き起こすことなく、肺の外側に広がり得る。混乱を増すことに、肺癌の最も一般
的症例(咳の持続)は、しばしば風邪または気管支炎と間違えられ得る。
【0190】 1ダースを超える異なる種類の肺癌が存在するが、肺癌の二つの主要な型は、
小細胞および非小細胞であり、それは全ての肺癌の症例の約90%を包含する。
通常、より大きな気管支の一つで始まる小細胞癌腫(燕麦細胞癌腫とも呼ばれる
)は、かなり急速に増殖し、そして診断時には大きくなっているようである。非
小細胞肺癌(NSCLC)は、3つの一般的サブタイプの肺癌からなる。通常、
類表皮癌腫(扁平上皮細胞癌腫ともよばれる)は、より大きな気管支の一つで始
まり、そして比較的遅く増殖する。これらの腫瘍の大きさは、とても小さなもの
から、かなり大きなものまでにおよび得る。腺癌は、肺の外表面付近での増殖に
始まり、そして大きさおよび増殖速度の両方において変化し得る。いくつかの増
殖の遅い腺癌は、肺胞細胞癌として記載される。大きな細胞癌腫は、肺の表面付
近で始まり、急速に増殖し、そして診断時には、増殖は通常かなり速くなってい
る。他のあまり一般的ではない形態の肺癌は、カルチノイド、円柱腫、粘膜類表
皮性中皮腫、および悪性中皮腫である。
【0191】 現在、CTスキャン、MRI、X線、痰細胞学、および生検が、非小細胞肺癌
の診断に用いられている。肺癌の形態および細胞起源は、外科的生検または肺組
織の注射針吸引のいずれか由来の生検を通して主に診断され、そして通常、生検
は、X線で同定される異常性により促される。いくつかの症例において、痰細胞
学は、通常のX線を用いて患者において肺癌を示し得るか、または肺癌の型を決
定し得るが、正確な腫瘍の位置を特定し得ないので、陽性の痰細胞学的検査には
、通常さらなる検査が続けられる。これらの試験は、大部分を組織全体の形態学
に基づくので、特定の種類の腫瘍の診断は、主に主観的であり、そしてこの診断
は、臨床医の間で顕著に異なり得る。
【0192】 本発明のポリヌクレオチドは、肺癌の型の識別に用いられ得、ならびに特定の
患者の癌に特異的な形質を同定する。例えば、患者の生体組織検査が、低い転移
の可能性に関連するポリヌクレオチドを発現する場合、病巣を取り除くための手
術において、患者の肺の大部分を残すことを正当化し得る。あるいは、たとえ転
移が、病理学的検査により確認され得なかったとしても、高い転移の可能性に関
連するポリヌクレオチドの発現を有するより小さい病巣は、肺組織および/また
は周囲のリンパ節のより徹底的な除去を正当化し得る。
【0193】 同様に、本発明のポリヌクレオチドの発現は、結腸直腸癌の診断、予後、およ
び管理に用いられ得る。過形成におけるポリヌクレオチドの差示的発現は、転移
性の肺癌のための診断マーカーとして用いられ得る。この目的に特に有用である
本発明のポリヌクレオチドは、高い転移性の肺癌対低い転移性の肺癌の間での差
示的発現を示すポリヌクレオチド、すなわち、配列番号:174、254、46
6、571、574、590、922、1355、1422、2007、203
8、2245、10、54、65、171、203、252、253、285、
419、420、491、525、526、552、693、700、726、
742、746、861、990、1088、1288、1417、1444、
1454、1570、1597、1979、2024、2034、および212
6である。より高い転移の可能性を有する悪性の肺癌の検出は、任意のこれらの
配列単独の発現レベル、または他の公知の遺伝子の発現のレベルとの組み合わせ
た発現レベル、を用いて決定され得る。
【0194】 (乳癌)National Cancer Institute(NCI)は
、米国において約8人に1人の女性が、彼女の生涯の間に乳癌を発症すると見積
もっている。臨床的な乳房検査および乳房撮影は、乳癌スクリーニングのために
組み合わされる様式として推奨され、そして癌の性質は、しばしば腫瘍の位置お
よび腫瘍が由来する細胞型に依存する。乳癌の大部分が、腺癌のサブタイプであ
り、それは以下に要約され得る: 腺管癌インサイチュ(DCIS):腺管癌インサイチュは、非侵襲性の乳癌の
最も一般的な型である。DCISにおいて、悪性の細胞は、その管の壁を通して
乳房の脂肪組織へ転移していない。面皰癌腫は、他の型のDCISよりも、腫瘍
摘出後の同じ部位に復帰するようであるDCISの型である。それは、他の形態
のDCISよりも侵襲性の腺管癌の最終的な発症により密接に結びついている。
【0195】 浸潤(または侵襲性)腺管癌(IDC):この型の癌は、その管の壁を通じて
転移しており、そして乳房の脂肪組織を侵襲している。この点において、それは
、身体のより離れた部位への転移のために、リンパ系および血流を利用する可能
性を有する。浸潤性腺管癌は、乳癌の約80%の原因となる。
【0196】 上皮内小葉癌(LCIS):真性の癌ではないが、LCIS(小葉新生物とも
呼ばれる)は、非侵襲性の乳癌の型として時折分類される。それは、小葉の壁を
通じて浸透しない。それは、それ自体通常侵襲性の癌にならないが、この状態を
伴う女性は、同じ乳房において、または反対の乳房において侵襲性の乳癌を発生
するより高い危険性を有する。
【0197】 浸潤(または侵襲性の)小葉癌腫(ILC):ILCは、それが身体の他の場
所への転移の可能性を有する点でIDCに類似している。約10%〜15%の侵
襲性の乳癌が、侵襲性の小葉癌腫である。ILCは、IDCよりも乳房X線像に
よって検出することがより困難であり得る。
【0198】 炎症性の乳癌:この珍しい型の侵襲性の乳癌は、乳癌全体の約1%の原因であ
り、そして非常に攻撃的である。この癌に関連する複数の皮膚症状は、乳房を覆
う皮膚中のリンパ管またはリンパチャネルをブロックする癌細胞により引き起こ
される。
【0199】 髄様癌腫:この特別な型の浸潤性乳癌は、比較的良好に定義される、腫瘍組織
と正常組織との間の明確な境界を有する。これは乳癌の約5%の原因である。こ
の種類の乳癌についての予後は、他の型の侵襲性の乳癌よりも良い。
【0200】 粘液性癌腫:この珍しい型の侵襲性の乳癌は、粘液産生細胞から生じる。粘液
性癌腫についての予後は、より一般的な型の侵襲性の乳癌よりも良い。
【0201】 乳頭のパジェット病:この型の乳癌は、管の中で発症し、そして乳頭および乳
輪の皮膚へ広がる。それは、全症例の1%だけに起こる、珍しい型の乳癌である
。パジェット病は、インサイチュ癌腫、または浸潤性乳房癌腫と関連があり得る
。乳房組織に塊が感じられ得ず、そして生検がDCISを示すが、侵襲性の癌で
はない場合、予後はすばらしい。
【0202】 葉状腫瘍:このとても珍しい型の乳房腫瘍は、管または小葉において発症する
癌腫とは対照的に、乳房の支質から形成される。葉状(phylloidesと
も綴られる)腫瘍は、通常良性であるが、時折まれに悪性である。それにもかか
わらず、悪性の葉状腫瘍は、とても珍しく、そして一年あたりに米国においてこ
の疾患で死亡する女性は10人に満たない。良性葉状腫瘍は、正常乳房組織の塊
および狭い縁を取り除くことにより、首尾よく処置される。
【0203】 管状腺癌:全ての乳癌の約2%の原因となる、管状腺癌は、特殊な型の浸潤乳
癌である。それらは、通常の浸潤性腺管癌または小葉癌腫よりも良好な予後を有
する。
【0204】 臨床的乳房検査と組み合わされる高品質な乳房撮影は、乳癌の死亡率の減少に
明らかに結びついた唯一のスクリーニング方法として残っている。より低い用量
のX線、フィルムイメージよりもデジタル化したコンピューターイメージ、そし
て診断を補助するコンピュータープログラムの使用は、広範な普及についてほと
んど利用可能である。磁気共鳴映像法、超音波診断を含む、他の技術もまた開発
されている。さらに、非常に低い放射線照射の技術であるポジトロン射出断層撮
影法は、初期の乳癌の検出の可能性を有する。
【0205】 組織間の遺伝子発現の違いを分析することにより、非癌性乳房組織と悪性乳房
組織との間を区別することもまた可能である。さらに、種々の可能な型の乳癌を
もたらす、いくつかの可能な改変があり得る。異なる型の乳房腫瘍(例えば、侵
襲性対非侵襲性、管対腋窩リンパ節)は、異なる型の乳房腫瘍組織による遺伝子
発現における差異の同定によって相互に区別し得る(Porter−Jorda
nら、Hematol Oncol Clin North Am(1994)
8:73)。従って、乳癌は、乳房腫瘍と関連のある遺伝子の発現の検出により
、一般的に診断され得る。十分な情報が、種々の型の乳房腫瘍組織の間での異な
る遺伝子発現について利用可能である場合、特定の型の乳房腫瘍もまた診断され
得る。
【0206】 例えば、正常な乳房上皮(epithileum)における増加したエストロ
ゲンレセプター(ER)発現自体は、悪性組織の指標ではないが、乳癌の発症の
リスクマーカーとして公知である。Khan SAら、Cancer Res(
1994)54:993。悪性の乳癌は、組織のエストロゲンレセプターの状態
に基づく2つの群、ER−陽性およびER−陰性に、しばしば分類される。この
ER状態は、異なる、生存期間およびホルモン療法への応答を示し、1)疾患の
異なる病期の指標か、または2)2つの類似しているが異なる疾患の間の差異を
もたらす指標のいずれかを示すと考えられる。K.Zhuら、Med.Hypo
th.(1997)49:69。他の多くの遺伝子は、癌の異なる病期か、また
は類似の乳癌の異なる型のいずれかの間での発現を変化させることが公知である
【0207】 同様に、本発明のポリヌクレオチドの発現は、乳癌の診断および管理に用いら
れ得る。ヒト乳房腫瘍組織におけるポリヌクレオチドの示差的な発現は、ヒト乳
癌に対する診断マーカーとして用いられ得る。この目的に特に有用である本発明
のポリヌクレオチドは、高い転移の可能性を有する乳ガン組織と低い転移の可能
性を有する乳ガン組織との間で示差的な発現を示すポリヌクレオチドである。す
なわち、配列番号:15、36、44、89、172、203、261、419
、420、503、552、564、570、590、693、707、711
、726、746、756、990、1122、1142、1286、1289
、1435、1860、1933、1934、1979、1980、2007、
2023、2409、2486、45、146、154、159、165、17
4、183、364、366、387、496、510、512、529、56
0、606、644、646、754、875、902、921、942、10
95、1104、1131、1170、1184、1205、1354、138
7、1535、1751、1764、1777、1795、1869、1882
、1890、1915、2040、2059、2223、2245、2300、
2325、2462、2488、2492である。乳癌の検出は、任意のこれら
の配列の単独の、または組み合わせにおける発現レベルを用いて決定され得る。
乳癌の攻撃的な性質および/または転移の可能性の決定はまた、本発明の1つ以
上のポリヌクレオチドのレベルを比較すること、および癌性組織において変化す
ることが公知の別の配列のレベル(例えば、ER発現)を比較することにより決
定され得る。さらに、乳癌の発症は、ステロイドホルモン(例えば、テストステ
ロンもしくはエストロゲン)、または他のホルモン(例えば、成長ホルモン、イ
ンシュリン)のレベルに対する配列番号の割合を調べることにより検出され得る
。従って、特定のマーカーポリヌクレオチドの発現は、正常乳房組織と癌性乳房
組織との間の識別、起源の異なる細胞を有する乳癌の間での識別、異なる潜在的
な転移速度を有する乳癌の間での識別など、に用いられ得る。
【0208】 乳癌の診断はまた、疾患組織の1つ以上の形態の比較において、悪性ではない
乳房組織サンプルにおける他の配列の発現と、本発明のポリヌクレオチドの発現
とを比較する工程を包含し得る。このサンプル間における本発明の1つ以上のポ
リヌクレオチドの発現の比較は、これらのポリヌクレオチドの相対的レベルにつ
いての情報、ならびに正常と比較した目的の組織における他の配列の発現に対す
る、これらのポリヌクレオチドの割合についての情報を提供する。
【0209】 この乳癌の危険性は、BRCA−1またはBRCA−2における変異のような
、乳癌に対する遺伝的危険性の存在により有意に高められる。新しい診断の手段
が、より高い危険度の患者の要求に取り組むために開発されており、特に若い女
性の間で、乳癌の早期検出のための乳房X線撮影法および生理学的検査を補って
いる。片方の乳房または両方の乳房から収集された乳頭吸引液(NAF)サンプ
ルにおける抗原または発現マーカーの存在は、危険性の評価または癌の早期検出
に有用であり得る。無作為な細針吸引により得られる乳房の細胞学およびバイオ
マーカーは、異形型を有する過形成、ならびにp53およびEGFRの過剰発現
の同定に用いられている。本発明のポリヌクレオチドは、乳癌についての危険性
予測物および代わりの終了点バイオマーカーとして、p53およびEGFRのよ
うな遺伝子を用いる発現研究と共に多変量解析に用いられ得る。
【0210】 診断および危険性の評価に用いられると同様に、特定の遺伝子の発現はまた、
疾患状態の予後と相関関係にあり得る。特定の遺伝子の発現は、c−erbB−
2、pS2、ER、プロゲステロンレセプター、上皮増殖因子レセプター(EG
FR)、neu、myc、bcl−2、int2、細胞質のチロシンキナーゼ、
サイクリンE、prad−1、hst、uPA、PAI−1、PAI−2、カテ
プシンD、の増加した発現、ならびに多数の癌特異的抗原(例えば、CEA、C
AM26、CAM29およびCA15.3)の存在を含む乳癌に対する予後の指
標として用いられている。Davis、Br.J.Biomed Sci.(1
996)53:157。好ましくない予後はまた、p53、Rb、nm23のよ
うな、特定の遺伝子の発現の減少に関連している。本発明のポリヌクレオチド分
子は、高い転移の可能性の組織の腫瘍と、低い転移の可能性の組織の腫瘍との間
で示差的に発現されるので、本発明のポリヌクレオチドの発現は、悪性の乳癌の
転移の可能性を決定するための予後の値であり得る。悪性の乳癌を有する患者に
おけるこれらのポリヌクレオチドのレベルは、正常組織、公知の高い潜在的転移
レベルを有する悪性組織、および公知の、より低い潜在的転移レベルを有する悪
性組織と比較され得、特定の患者の予後を提供する。このような予後は、癌の程
度および性質を予測する。この決定した予後は、疾患の初期の処置、および同一
患者の長期間のモニタリングの両方について、乳癌を有する患者の予後を決定す
る際に有用である。サンプルが、ある時期にわたり同一個人から入手される場合
、その患者に特異的であるポリヌクレオチド発現における差異が同定され得、そ
して詳細に監視され得る。
【0211】 (結腸癌)結腸直腸癌は、ヒトにおいて最も一般的な新生物の1つであり、そ
しておそらく、遺伝性の新形成の最も頻繁な形態である。予防および早期検出は
、結腸直腸癌の制御および治癒における重要な要素である。実際に、結腸直腸癌
は、肺癌に次いで、2番目にもっとも予防できる癌である。結腸直腸癌は、小さ
く、結腸内の内層上に形成する細胞の良性増殖である、ポリープとして始まる。
数年の期間にわたり、これらのポリープのいくつかは、さらなる変異を蓄積し、
そして癌性になる。結腸癌の全症例の約20%が、遺伝と関連していると考えら
れる。現在、複数の家族性の結腸直腸癌障害が同定されており、それは以下に要
約される: 家族性腺腫様ポリープ症(FAP):この状態は、結腸および直腸で数百また
は数千ものポリープを有する個体で生じ、これは、通常、十代の間にまず現れる
。癌は、ほぼ常に、30代から50代の間にこれらのポリープのうち1つ以上で
発生する。
【0212】 ガードナー症候群:FAPのように、ガードナー症候群は、若年齢で発生する
ポリープおよび結腸直腸癌を生じる。これは、皮膚、軟結合組織および骨の良性
腫瘍もまた引き起こし得る。
【0213】 遺伝性非ポリープ性結腸癌(hereditary nonpolyposi
s colon cancer)(HNPCC):この状態を有する人々は、多
くのポリープを最初に有することなく、若年齢で結腸直腸癌を発生する傾向があ
る。HNPCCは、約90%であると推定される種々の、しかし高浸透度で常染
色体優性の遺伝パターンを有する。HNPCCは、結腸直腸癌の全ての症例のう
ち0.5〜10%にみられる。HNPCC発生の背後にある機構の理解は、明ら
かになりつつあり、そして症状が現れる前に遺伝的に試験され(genetic
presymptomatic testing)、今や研究背景において行
われており、まもなくこの疾患の危険性があることが認められた個体についての
広範な根拠に対して利用可能である。
【0214】 アシュケナージユダヤ人家系の家族性結腸直腸癌:最近の研究では、東ヨーロ
ッパのいくらかのユダヤ人家系の間で結腸直腸癌が発生する遺伝的傾向がみられ
た。FAP、ガードナー症候群およびHNPCCを有する人々のように、彼らの
危険性の増加は、アメリカユダヤ人の約6%に存在する遺伝的変異に起因する。
【0215】 現在では、いくつかの試験が、結腸直腸癌についてスクリーニングするために
使用されており、これらとしては、デジタル直腸試験(digital rec
tal examination)、糞便不顕性出血試験(fecal occ
ult blood test)、S状結腸鏡検査、結腸鏡検査、虚像結腸鏡検
査(virtual colonoscopy)およびMRIが挙げられる。こ
れらの試験の各々は、かなり全体的な形態学的レベルで、潜在的な結腸直腸癌病
変、またはこれらの病変が発生する危険性を同定する。
【0216】 多くの遺伝子の配列変化は、悪性腺癌に関連する(DCC、p53、ras、
およびFAPの遺伝子を含む)。総説については、例えば、Fearon ER
ら、Cell(1990)61(5):759;Hamilton SRら、C
ancer(1993)72:957;Bodmer Wら、Nat Gene
t.(1994)4(3):217;Fearon ER、Ann N Y A
cad Sci.(1995)768:101を参照のこと。従って、分子遺伝
的変化は、結腸直腸癌腫の潜在的な診断および予後指標ならびに結腸直腸癌腫の
分子遺伝学として有望である。なぜなら、分子マーカーを使用して結腸直腸新生
物の異なる型を区別することが可能であるからである。従って、結腸直腸癌は、
一般的に、結腸直腸腫瘍に関連する遺伝子の発現を検出することによって診断さ
れ得る。
【0217】 同様に、本発明のポリヌクレオチドの発現は、結腸直腸癌の診断、予後、およ
び管理において使用され得る。過形成におけるポリヌクレオチドの示差的な発現
は、結腸癌についての診断マーカーとして使用され得る。この目的のために特に
有用である本発明のポリヌクレオチドは、悪性転移性結腸癌と正常患者組織との
間で示差的な発現を示すポリヌクレオチドである(すなわち、配列番号228、
280、355、491、603、680、752、753、1241、126
4、1401、1442、1514、1851、1915、2024、2066
、33、250、282、370、387、443、460、545、560、
703、704、1095、1104、1205、1354、1387、173
4、1742、1954、2262、2325、1899、252、253、4
91、581、693、726、746、1780、1899、65、252、
253、581、693、716、726、746、1780、1899、およ
び1780)。悪性結腸癌の検出は、これらの配列のうちのいずれか単独の発現
レベルを使用するか、またはこの発現のレベルと組み合わせて決定され得る。
【0218】 結腸癌の凝集性質および/または転移可能性の決定はまた、本発明の1つ以上
のポリヌクレオチドのレベルを比較すること、および癌性組織で変化することが
公知である別の配列の全体的なレベル(例えば、p53発現)を比較することに
よって決定され得る。さらに、結腸癌の発生は、オンコジーン(例えば、ras
)または腫瘍サプレッサ遺伝子(例えば、FAPもしくはp53)のレベルに対
する、本発明のポリヌクレオチドのいずれかの割合を調べることによって検出さ
れ得る。従って、特定のマーカーポリヌクレオチドの発現は、正常乳房組織と癌
性乳房組織との間を識別し、起源の異なる細胞を有する乳癌を識別し、異なる潜
在的転移割合を有する乳癌を識別するなどのために用いられ得る。
【0219】 (G.ペプチドアナログおよびアンタゴニストについてスクリーニングする
ためのポリヌクレオチドの使用) 本発明のポリヌクレオチドおよび対応する全長遺伝子によってコードされるポ
リペプチドは、ペプチドライブラリーをスクリーニングして、結合パートナー(
例えば、レセプター)をコードされたポリペプチドの中から同定するために使用
され得る。
【0220】 ペプチドのライブラリーは、米国特許第5,010,175号(’175)お
よびWO91/17823において開示される方法に従って、合成され得る。以
下に簡潔に記載されるように、ペプチドの混合物を調製して、次いで、これをス
クリーニングして、所望のシグナル伝達およびレセプター結合活性を示すペプチ
ドを同定する。’175方法において、適切なペプチド合成支持体(例えば、樹
脂)は、適切に保護された、活性化されたアミノ酸の混合物にカップリングされ
る。反応混合物中の各アミノ酸の濃度は、この産物が、開始樹脂にカップリング
したアミノ酸の等モル混合物であるように、そのカップリング反応速度に対して
平衡化されるか、または逆比例で調節される。次いで、結合したアミノ酸は脱保
護され、そして別の平衡化されたアミノ酸混合物と反応して、全ての可能なジペ
プチドの等モル混合物を形成する。このプロセスは、所望の長さ(例えば、ヘキ
サマー)のペプチド混合物が形成されるまで、繰り返される。各工程において全
てのアミノ酸を含む必要はないことに注意のこと:いくつかの工程において1ま
たは2アミノ酸のみを含み得る(例えば、特定のアミノ酸が所定の位置で必須で
あることが公知の場合)ために混合物の複雑性を低減し得る。ペプチドライブラ
リーの合成が完了した後に、ペプチドの混合物は、選択したポリペプチドに対す
る結合についてスクリーニングされる。次いで、このペプチドは、活性を阻害ま
たは増強する能力について試験される。次いで、所望の活性を示すペプチドが単
離され、そして配列決定される。
【0221】 WO91/17823に記載される方法は、類似している。しかし、合成樹脂
と活性化されたアミノ酸の混合物とを反応させる代わりに、樹脂を20等分に(
または、その工程で付加される異なるアミノ酸の数に対応する多くの部分に)分
けて、そして各アミノ酸を樹脂のその部分に個々にカップリングさせる。次いで
、この樹脂部分を合わせ、混合し、そして再び第2のアミノ酸との反応のために
多くの等分に分ける。この様式で、各反応を容易に完了させ得る。さらに、並行
して部分を処理することによって、各工程で全ての樹脂を合わせるよりむしろ、
別個の「サブプール」を維持し得る。これは、どのペプチドが任意の観察された
レセプター結合活性またはシグナル伝達活性を担うかを決定するプロセスを簡単
にする。
【0222】 このような場合において、例えば、それぞれ1〜2,000の候補物の各々を
含むサブプールを、本発明の1つ以上のポリペプチドに曝す。次いで、陽性結果
を生じる各サブプールは、例えば、20〜100の候補物を含む、より小さなサ
ブプール(サブ−サブプール)の群として再合成され、そして再アッセイされる
。陽性サブ−サブプールは、個々の化合物として再合成され得、そして最終的に
はアッセイされて、高結合定数を示すペプチドを決定し得る。これらのペプチド
は、ネイティブな活性を阻害または増強する能力について試験され得る。WO9
1/7823および米国特許第5,194,392号(本明細書中に参考として
援用される)に記載される方法は、並行して自動化された技術によって、全ての
合成および再合成が約数日で行われ得るように、このようなプールおよびサブプ
ールの調製を可能にする。
【0223】 ペプチドアゴニストまたはアンタゴニストを、任意の利用可能な方法(例えば
、シグナル伝達、抗体結合、レセプター結合、マイトジェンアッセイ、走化性ア
ッセイなど)を使用してスクリーニングする。本明細書中で記載される方法が現
在好ましい。アッセイ条件は、理想的には、ネイティブな活性がインビボで示さ
れる条件(すなわち、生理的pH、温度、およびイオン強度の下で)に似ている
べきである。適切なアゴニストまたはアンタゴニストは、被験体で毒性の副作用
を引き起こさない濃度で、ネイティブな活性の強力な阻害または増強を示す。ネ
イティブなポリペプチドへの結合について競合するアゴニストまたはアンタゴニ
ストは、ネイティブな濃度以上の濃度を必要とし得るが、一方で、このポリペプ
チドに不可逆的に結合し得るインヒビターは、ネイティブな濃度の桁における濃
度で添加され得る。
【0224】 このようなスクリーニングおよび実験法の最終的な結果は、本発明のポリヌク
レオチドに対応する遺伝子またはcDNAによってコードされる、少なくとも1
つの新規のポリペプチド結合パートナー(例えば、レセプター)、および新規の
結合パートナーの少なくとも1つのペプチドアゴニストまたはアンタゴニストで
ある。このようなアゴニストおよびアンタゴニストは、レセプターがネイティブ
である細胞または遺伝子操作の結果としてレセプターを保有する細胞でのレセプ
ター機能を調節するか、増強するか、または阻害するために使用され得る。さら
に、新規なレセプターが公知のレセプターと生物学的に重要な特徴を共有する場
合、アゴニスト/アンタゴニスト結合についての情報は、公知のレセプターの改
善されたアゴニスト/アンタゴニストの開発を容易にし得る。
【0225】 (H.薬学的組成物および治療的用途) 薬学的組成物は、本願発明のポリペプチド、抗体、またはポリヌクレオチドを
含み得る。この薬学的組成物は、本願発明のポリペプチド、抗体、またはポリヌ
クレオチドのいずれかの治療的有効量を含む。
【0226】 本明細書中に使用される用語「治療的有効量」とは、所望の疾患もしくは状態
を処置、回復、または予防するか、あるいは検出可能な治療的効果または予防効
果を示す治療的薬剤の量をいう。この効果は、例えば、化学的マーカーまたは抗
原レベルによって検出され得る。治療的効果はまた、身体的な症状の低減(例え
ば、体温の低下)を含む。被験体のための正確な有効量は、被験体のサイズおよ
び健康状態、状態の性質および程度、ならびに投与のために選択された治療剤ま
たは治療剤の組み合わせに依存する。従って、予め正確な有効量を特定すること
は有益ではない。しかし、所定の状況についての有効量は、慣用的な実験法によ
って決定され、そしてこれは、臨床医の裁量内である。本発明の目的のために、
有効容量は、一般的に、投与される個体におけるDNA構築物について、約0.
01mg/kg〜50mg/kgであるか、または0.05mg/kg〜約10
mg/kgである。
【0227】 薬学的組成物はまた、薬学的に受容可能なキャリアを含み得る。用語「薬学的
に受容可能なキャリア」とは、治療的薬剤(例えば、抗体またはポリペプチド、
遺伝子、および他の治療的薬剤)の投与のためのキャリアをいう。この用語は、
任意の薬学的キャリアをいい、これは、それ自体が組成物を受ける個体に有害な
抗体の産生を誘導せず、そして過度の毒性なく投与され得る。適切なキャリアと
しては、大きく、ゆっくりと代謝される高分子(例えば、タンパク質、ポリサッ
カライド、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマーのアミノ酸、アミノ酸コポリ
マー、および不活化ウイルス粒子)であり得る。このようなキャリアは、当業者
に周知である。
【0228】 薬学的に受容可能な塩類が、薬学的組成物中で使用され得る(例えば、塩酸塩
、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩などのような無機酸の塩類;および酢酸塩、
プロピオン酸塩、マロン酸塩、安息香酸塩などのような有機酸の塩類)。薬学的
に受容可能な賦形剤の徹底的な議論は、Remington’s Pharma
ceutical Sciences(Mack Pub.Co.,N.J.1
991)で利用可能である。
【0229】 治療的組成物中の薬学的に受容可能なキャリアは、水、生理食塩水、グリセロ
ールおよびエタノールのような液体を含み得る。補助物質(例えば、湿潤剤また
は乳化剤、pH緩衝化物質など)もまた、このようなビヒクル中に存在し得る。
代表的には、治療的組成物は、注射可能物として(液体溶液もしくは懸濁物とし
て;注射可能物中の溶液もしくは懸濁液のために適切な固体形態のいずれかとし
て)調製され得、注射前に液体ビヒクルがまた調製され得る。リポソームは、薬
学的に受容可能なキャリアの定義内に含まれる。
【0230】 送達方法。一旦処方されると、本発明の組成物は、(1)被験体に直接投与
され得る(例えば、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドとして)か;(2)被
験体から得られた細胞にエキソビボで送達され得る(例えば、エキソビボ遺伝子
治療として)か;または(3)組換えタンパク質の発現のためにインビトロで送
達され得る(例えば、ポリヌクレオチド)。組成物の直接送達は、一般的に、皮
下、腹腔内、静脈内、もしくは筋肉内のいずれかで注射によって達成されるか、
または組織の間質腔(interstitial space)に送達される。
組成物はまた、腫瘍または病巣内に投与され得る。投与の他の様式としては、経
口および肺投与、坐剤、ならびに経皮的適用、針、および遺伝子銃(gene
gun)もしくはハイポスプレー(hypospray)が挙げられる。投薬処
置は、単回用量スケジュールまたは複数回用量スケジュールであり得る。
【0231】 エキソビボ送達および被験体への形質転換細胞の再移植のための方法は、当該
分野で公知であり、そして例えば、国際公開WO93/14778に記載される
。エキソビボ適用で有用な細胞の例としては、例えば、幹細胞、特に造血細胞、
リンパ球、マクロファージ、樹状細胞または腫瘍細胞が挙げられる。一般的に、
エキソビボおよびインビトロ適用の両方についての核酸の送達は、例えば、デキ
ストラン媒介トランスフェクション、リン酸カルシウム沈澱、ポリブレン媒介ト
ランスフェクション、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、リポソー
ムでのポリヌクレオチドの被包化、および核へのDNAの直接マイクロインジェ
クションによって達成され得、これらは全て、当該分野で周知である。
【0232】 一旦本発明のポリヌクレオチドに対応する遺伝子が、増殖性障害(例えば、新
生物、形成異常、および過形成)と相関することが見いだされると、この障害は
、提供されたポリヌクレオチドまたは対応するポリペプチドに基づいた治療的薬
剤を投与することによって処置に対して敏感に反応し得る。
【0233】 アンチセンスポリヌクレオチドの調製は、上記で議論される。アンチセンス組
成物で処置された新生物としては、子宮頚癌、黒色腫、結腸直腸腺癌、ウィルム
ス腫瘍、網膜芽腫、肉腫、筋肉腫、肺癌腫、白血病(例えば、慢性骨髄性白血病
、前骨髄性白血病(promyelocytic leukemia)、単球性
白血病、および骨髄性白血病)、ならびにリンパ腫(例えば、細網肉腫)が挙げ
られるが、これらに限定されない。治療的組成物で処置される増殖性障害として
は、遺伝性無発汗性外胚葉性形成異常(anhydric hereditar
y ectodermal dysplasia)、先天性の肺胞の形成異常(
alveolar dysplasia)、頸部の上皮形成異常、線維性骨形成
異常、および乳房形成異常のような障害が挙げられる。過形成、例えば、子宮内
膜、副腎、乳房、前立腺、もしくは甲状腺の過形成、または皮膚の偽上皮腫性過
形成は、本発明のポリヌクレオチドに基づくアンチセンス治療的組成物を用いて
処置される。対応する遺伝子中での変異が関連しない障害においてすら、本発明
のポリヌクレオチドに対応する遺伝子の発現のダウンレギュレーションまたは阻
害は、治療適用を有し得る。例えば、遺伝子発現を減少させることは、遺伝子の
増強した発現が関連する腫瘍を抑制することを助け得る。
【0234】 アンチセンス組成物の用量および投与手段の両方は、治療的組成物の特定の質
、患者の状態、年齢、および体重、疾患の進行、ならびに他の関連する因子に基
づいて決定される。本発明の治療的アンチセンス薬剤の投与としては、局所(l
ocal)または全身投与(注射、経口投与、パーティクルガンまたはカテーテ
ルでの投与を含む)、ならびに局所的(topical)投与が挙げられる。好
ましくは、治療的アンチセンス組成物は、発現構築物を含み、この発現構築物は
、プロモーターおよび本明細書中に開示されたポリヌクレオチドのアンチセンス
鎖の少なくとも12、22、25、30、または35の連続するヌクレオチドの
ポリヌクレオチドセグメントを含む。発現構築物内に、ポリヌクレオチドセグメ
ントがプロモーターの下流に配置され、そしてポリヌクレオチドセグメントの転
写をプロモーターで開始する。
【0235】 種々の方法を使用して、身体の特定の部位に治療的組成物を直接投与する。例
えば、小さな転移性病変に配置され、そして治療組成物が腫瘍体内部のいくつか
の異なる位置に数回注射される。あるいは、腫瘍に作用する動脈を同定し、そし
て腫瘍に組成物を直接送達するために、治療的組成物がそのような動脈に注入さ
れる。壊死性の中心を有する腫瘍が吸引され、そしてここで空になった腫瘍の中
心に組成物を直接注入する。アンチセンス組成物は、例えば、組成物の局所的適
用によって、腫瘍の表面に直接投与される。X線画像化を使用して、特定の上記
の送達方法を補助する。
【0236】 アンチセンスポリヌクレオチド、サブゲノムポリヌクレオチド、または特定の
組織に対する抗体を含む治療的組成物のレセプター媒介標的化送達もまた使用さ
れる。レセプター媒介DNA送達技術は、例えば、Findeisら、Tren
ds Biotechnol.(1993)11:202;Chiouら、Ge
ne Therapeutics:Methods And Applicat
ions Of Direct Gene Transfer(J.A.Wol
ff編)(1994);Wuら、J.Biol.Chem.(1988)263
:621;Wuら、J.Biol.Chem.(1994)269:542;Z
enkeら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)(1990)
87:3655;Wuら、J.Biol.Chem.(1991)266:33
8に記載される。好ましくは、本発明の抗体を含む治療的組成物のレセプター媒
介標的化送達を使用して、特定の組織に抗体を送達する。
【0237】 アンチセンスサブゲノムポリヌクレオチドを含む治療的組成物は、遺伝子治療
プロトコルの局所的投与について約100ng〜約200mgのDNAの範囲で
投与される。約500ng〜約50mg、約1μg〜約2mg、約5μg〜約5
00μg、および約20μg〜約100μgのDNAの濃度範囲もまた、遺伝子
治療プロトコルの間に使用され得る。作用方法および形質転換および発現の有効
性のような因子は、考慮すべき事項であり、これは、アンチセンスサブゲノムポ
リヌクレオチドの最終的な有効性に必要とされる投薬に影響を及ぼす。より多い
発現が組織のより大きな領域にわたって所望される場合、より多量のアンチセン
スサブゲノムポリヌクレオチドもしくは投与の連続プロトコルでの同量の再投与
、または例えば、腫瘍部位に隣接する異なる組織部分、もしくはそこに近接する
組織部分への数回の投与が陽性の治療結果をもたらすために必要であり得る。全
ての場合において、臨床試験での慣用的な実験法によって、最適な治療効果につ
いての特定の範囲が決定される。遺伝子治療ベクター(特に、レトロウイルスベ
クター)のより完全な記載は、米国特許出願第08/869,309号(これは
、明らかに、本明細書中に援用される)および以下のG節に含まれる。
【0238】 抗炎症活性を有するポリペプチドまたはタンパク質をコードするポリヌクレオ
チドに関連する遺伝子については、適切な使用、用量、および投与が米国特許第
5,654,173号に記載される。治療的薬剤はまた、本発明のポリヌクレオ
チドによってコードされるタンパク質およびポリペプチドに対する抗体、ならび
に米国特許第5,654,173号に記載される関連遺伝子が挙げられる。
【0239】 (I.遺伝子治療) 本発明の治療的ポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、遺伝子送達ビヒクル
において利用し得る。遺伝子送達ビヒクルは、ウイルスまたは非ウイルス起源で
あり得る(一般的には、Jolly、Cancer Gene Therapy
(1994)1:51;Kimura、Human Gene Therapy
(1994)5:845;Connelly、Human Gene Ther
apy(1995)1:185;および Kaplitt、Nature Ge
netics(1994)6:148を参照のこと)。本発明の治療的なコード
配列を含む構築物の送達のための遺伝子治療ビヒクルは、局所的にまたは全身的
にのいずれかで投与され得る。これらの構築物は、ウイルスまたは非ウイルスベ
クターのアプローチを利用し得る。そのようなコード配列の発現は、内因性の哺
乳類のプロモーターまたは異種のプロモーターの使用により誘導され得る。コー
ド配列の発現は、構成的であり得るか、または調節され得るかのいずれかである
【0240】 本発明は、目的の選択された核酸分子を、運搬または発現するために構築され
る組換えレトロウイルスを利用し得る。利用され得るレトロウイルスベクターは
、以下に記載されているものを含む:EP 0 415 731;WO 90/
07936;WO 94/03622;WO 93/25698;WO 93/
25234;米国特許第5,219,740号;WO 93/11230;WO
93/10218;VileおよびHart、Cancer Res.(19
93)53:3860;Vileら、Cancer Res.(1993)53
:962;Ramら、Cancer Res.(1993)53:83;Tak
amiyaら、J.Neurosci.Res.(1992)33:493;B
abaら、J.Neurosurg.(1993)79:729;米国特許第4
,777,127号;GB特許第2,200,651号;およびEP0 345
242。好ましい組換えレトロウイルスは、WO 91/02805に記載さ
れるものを含む。
【0241】 前述のレトロウイルスベクター構築物との使用に適したパッケージ細胞株は、
容易に調製され得(例えば、WO 95/30763およびWO 92/052
66を参照のこと)、そして組換えベクター粒子を産生するための生産細胞株(
ベクター細胞株とも呼ばれる)の作製のために用いられ得る。本発明の特に好ま
しい実施態様において、パッケージ細胞株は、ヒト(例えば、HT1080細胞
)またはミンク親細胞株から作られ、それによって、ヒト血清中で不活化状態で
生存し得る、組換えレトロウイルスの産生を可能にする。
【0242】 本発明はまた、遺伝子送達ビヒクルとして機能し得るアルファウイルスを基礎
としたベクターも用いる。そのようなベクターは、例えば、シンドビスウイルス
ベクター、セムリキ森林ウイルス(ATCC VR−67;ATCC VR−1
247)、ロス川ウイルス(ATCC VR−373;ATCC VR−124
6)およびベネズエラウマ脳炎ウイルス(ATCC VR−923;ATCC
VR−1250;ATCC VR−1249;ATCC VR−532)を含む
広範な種々のアルファウイルスから構築され得る。そのようなベクター系の代表
的な例としては、米国特許第5,091,309号、同第5,217,879号
および同第5,185,440号;WO 92/10578;WO 94/21
792;WO 95/27069;WO 95/27044;およびWO 95
/07994に記載されるものが挙げられる。本発明の遺伝子送達ビヒクルはま
た、アデノ関連ウイルス(AAV)ベクターのようなパルボウイルスを利用し得
る。代表的な例は、WO 93/09239のSrivastava、Samu
skiら、J.Virol.(1989)63:3822;Mendelson
ら、Virol.(1988)166:154;およびFlotteら、PNA
S(1993)90:10613により開示されたAAVベクターを含む。
【0243】 アデノウイルスベクターの代表的な例が、以下:Berkner、Biote
chniques(1988)6:616;Rosenfeldら、Scien
ce(1991)252:431;WO 93/19191;Kollsら、P
NAS(1994)91:215;Kass−Eislerら、PNAS(19
93)90:11498;Guzmanら、Circulation(1993
)88:2838;Guzmanら、Cir.Res.(1993)73:12
02;Zabnerら、Cell(1993)75:207;Liら、Hum.
Gene Ther.(1993)4:403;Cailaudら、Eur.J
.Neurosci.(1993)5:1287;Vincentら、Nat.
Genet.(1993)5:130;Jaffeら、Nat.Genet.(
1992)1:372;およびLevreroら、Gene(1991)101
:195に記載されたものが挙げられる。本発明に利用可能な例示的なアデノウ
イルス遺伝子治療ベクターはまた、以下の記載されたものも含む:WO 94/
12649、WO 93/03769;WO 93/19191;WO 94/
28938;WO 95/11984およびWO 95/00655。Curi
el、Hum.Gene Ther.(1992)3:147に記載されるよう
に殺したアデノウイルスに連結したDNAの投与が、利用され得る。
【0244】 他の遺伝子送達ビヒクルおよび方法が、利用され得る。これは、以下を含む:
殺した単独のアデノウイルスに連結した、または連結していないポリカチオンの
凝集DNA(例えば、Curiel、Hum.Gene Ther.(1992
)3:147);リガンド連結DNA(例えば、Wu、J.Biol.Chem
.(1989)264:16985を参照のこと);真核生物細胞送達ビヒクル
細胞(例えば、米国特許第5,814,482号;WO 95/07994;W
O 96/17072;WO 95/30763およびWO 97/42338
;を参照のこと);光重合したヒドロゲル物質の沈殿物;米国特許第5,149
,655号に記載される携帯型の遺伝子導入パーティクルガン;米国特許第5,
206,152号およびWO 92/11033に記載される、電離放射線;核
荷電中性化または細胞膜との融合。さらなるアプローチが、Philip、Mo
l.Cell.Biol.(1994)14:2411およびWoffendi
n、Proc.Natl.Acad.Sci.(1994)91:1581に記
載される。
【0245】 裸のDNAもまた、利用し得る。裸のDNAの例示的な導入方法が、WO 9
0/11092および米国特許第5,580,859号に記載される。遺伝子送
達ビヒクルとして働き得るリポソームは、米国特許第5,422,120号;W
O 95/13796;WO 94/23697;WO 91/14445;お
よびEP 0524968に記載される。
【0246】 使用に適したさらなる非ウイルス送達は、Woffendinら、Proc.
Natl.Acad.Sci.USA(1994)91(24):11581に
記載されるアプローチのような機械的送達系を含む。さらにコード配列およびそ
のような発現の産物は、光重合したヒドロゲル物質の沈殿物を通じて送達され得
る。コード配列の送達に用い得る遺伝子送達の従来の他の方法は、以下を含む:
例えば、米国特許第5,149,655号に記載される携帯型の遺伝子導入パー
ティクルガンの使用;米国特許第5,206,152号およびWO 92/11
033に記載される、導入された遺伝子の活性化のための電離放射線の使用。
【0247】 本発明は、ここで特に有利な実施態様を示す以下の実施例に対する参照によっ
て例証される。しかし、これらの実施態様は例証的であり、そしていかなる方法
においても本発明を制限することとして解釈されないことに注意するべきである
【0248】 (実施例) (実施例1: 生物学的な物質の供給源および生物学的な物質により発現され
る新規のポリヌクレオチドの概要) Km12L4−Aヒト結腸癌細胞株(Morika、W.A.K.ら、Can
cer Research(1988)48:6863)を、細胞から単離した
mRNA由来cDNAライブラリーの構築のために用いた。前述の概要に記載し
たように、Km12L4−A細胞株により発現された全てで4,693の配列を
、単離および分析した;最も多い配列は、約275〜300ヌクレオチド長のも
のであった。KM12L4−A細胞株は、KM12C細胞株由来である。転位性
に乏しい(低転位性の)KM12C細胞株を、Dukes’ stage B2
外科用検体由来の培養物において樹立した(Morikawaら、Cancer
Res.(1988)48:6863)。このKML4−Aは、KM12C由
来の高転位性のサブラインである(Yeatmanら、Nucl.Acids.
Res.(1995)23:4007;Bao−Lingら、Proc.Ann
u.Meet.Am.Assoc.Cancer.Res.(1995)21:
3269)。このKM12CおよびKM12C由来細胞株(例えば、KM12L
4、KM12L4−Aなど)は、結腸癌の研究のためのモデル細胞株として当該
分野において充分に認識されている(例えば、Moriakawaら、前出;R
adinskyら、Clin.Cancer Res.(1995)1:19;
Yeatmanら、(1995)前出;Yeatmanら、Clin.Exp.
Metastatis(1996)14:246を参照のこと)。
【0249】 この配列をまず、XBLASTマスキングプログラム(Claverie「E
ffective Large−Scale Sequence Simila
rity Searches」:Computer Methods for
Macromolecular Sequence Analysis、Doo
little編、Meth.Enzymol.266:212−227 Aca
demic Press、NY、NY(1996);特に、Claverie、
「Automated DNA Sequencing and Analys
is Techniques」Adamsら編、36章、267頁、Acade
mic Press、San Diego、1994およびClaverieら
、Comput.Chem.(1993)17:191を参照のこと)を用いて
、低複雑性配列を除去するためにマスクした。一般的に、マスクは、それらの低
い複雑性に起因する比較的関心の低い配列の排除、およびAlu反復のような複
数の配列に共通な反復領域への類似性に基づく複数の「hit」の除去を除いて
、最終の調査結果には影響しない。マスクにより、43の配列が排除された。次
いで残る配列を、BLASTN vs.Genbank調査に用いた。この調査
には、70%を超える重複、99%の同一性および1×10-40未満のp値の調
査パラメータを用い、この調査は、1,432の配列を破棄した。この調査から
の配列はまた、包括的なパラメータが適合するが、その配列が、リボソームまた
はベクター由来であった場合、破棄される。
【0250】 前述の調査により得られた配列は、3つのグループ(以下に示す、1、2およ
び3)に分類され、そしてBLASTX vs.NRP(非縮重タンパク質)デ
ータベース調査によって調査された:(1)不明(Genbank調査による該
当無し)、(2)弱い類似性(45%より大きい同一性、および1×10-5未満
のp値)、および(3)高い類似性(60%より大きい重複、80%より大きい
同一性、および1×10-5未満のp値)。この調査により、70%より大きい重
複、99%より大きい同一性、および1×10-40未満のp値を有する98の配
列が破棄された。
【0251】 残った配列は、不明(該当無し)、弱い類似性、および高い類似性(上述のパ
ラメータ)に分類された。2つの調査がこれらの配列において実行された。初め
に、BLAST vs.ESTデータベース調査は、1771の配列を破棄した
(99%より大きい重複、99%より大きい類似性、および1×10-40未満の
p値を有する配列;ヒト起源のデータベース配列と比較した場合、1×10-65
未満のp値を有する配列もまた除去された)。第2にBLASTN vs.Pa
tent GeneSeqデータベースは、15の配列を除去した(99%より
大きい同一性;1×10-40未満のp値;99%より大きい重複)。
【0252】 残っている配列は、他の方法およびデータセットにおける重複性を用いてスク
リーニングに共した。ヒト起源のデータベース配列との関係における1×10-1 11 未満のp値を有する配列が、特に排除された。最終的な結果として、添付した
配列表に挙げた2502配列が提供された。配列表は、調査したデータベース上
のいかなる配列とも類似性を有さない配列からはじめ、そして、最も高い類似性
を有する配列で終わるように配置した。同定されたそれぞれのポリヌクレオチド
は、少なくとも一部のmRNA転写産物からの配列を示した。新規であると決定
されたポリヌクレオチドは、配列番号を割り当てた。
【0253】 新しいポリヌクレオチドを、配列番号1〜2502に割り当てた。新しいポリ
ヌクレオチドに対応しているDNA配列を、配列表に提供する。配列の大多数は
、5’から3’方向に配列表に表わされる。少数の配列は、5’から3’の方向
に配列表に列挙されるが、書かれたこの配列は、実際は3’から5’である。こ
れらの配列は、表1(後で示される)に配列名で「AR」の名称で、容易に同定
される。配列表において、5’から3’方向へ正しく列挙された配列は、「AF
」と命名される。表1は、以下を提供する1)本明細書における使用のための各
配列に割り当てられた配列番号;2)配列が最初に提出された米国優先権出願の
出願データ;3)優先権出願における配列に対して割り当てられた配列番号;4
)配列の内部IDとして使用される配列名;5)配列が単離されたクローンに対
して割り当てられた名前;および6)配列が決定されるクラスターの数(クラス
ターID;クラスターIDが0である場合、配列は、いずれのクラスターに対し
ても割り当てられない)。
【0254】 提供されたポリヌクレオチドは、部分的なmRNA転写産物を示すため、本発
明の2つ以上のポリヌクレオチドは、同じmRNA転写産物および同じ遺伝子の
異なる領域を示し得る。従って、2つ以上の配列番号が、同じクローンに属する
と同定された場合、次いで、いずれの配列も、全長mRNAまたは遺伝子を獲得
するために用いられ得る。さらに、いくつかの配列は、これらの配列が1より多
いファイリングに存在するために、複数の配列番号で同定される。例えば、配列
番号87および配列番号1000は同じ配列を示す。
【0255】 配列番号1〜2502の配列を確認するために、これらのポリヌクレオチドに
対応したクローンのインサートが、再び配列決定された。これらの「確証(va
lidation)」配列は、配列番号2503〜5106に提供される。これ
らの確証配列のうち、配列番号3040、3545、3863、4511、47
26、および4749は本当の確証配列ではない。代わりに、配列番号3545
、4511、4726、および4749は「プレースホルダー(placeho
lder)」配列、すなわち配列表の作成の間に、続く配列の再ナンバリングを
防ぐためだけに配列表に挿入された配列を表す。従って、「配列番号1〜525
2」、「配列番号1〜5106」またはこれらのプレースホルダー配列を含む配
列番号の他の範囲は、配列番号3545、4511、4726、および4729
を排除するように読まれるべきである。
【0256】 これらの確証配列は、しばしば、それらが確認されるもとのポリヌクレオチド
配列よりも長かった。従って、しばしばさらなる配列情報を提供する。確証配列
は、表1を参照することによりそれらが確証されるもとの配列と相関関係であり
得る。例えば、配列番号2503〜3039、3041〜3544、3546〜
3862、3864〜4510、および4512〜4725の確証配列は、それ
らが確認される配列番号1〜2502の配列のクローン名を共有する。
【0257】 (実施例2:遺伝子産物の機能を同定するための公共データベース調査の結果
) 配列番号1〜2502ならびに確証配列の配列番号2503〜3039、30
41〜3544、3546〜3862、3864〜4510、および4512〜
4725 xx:clfは、個々の配列でベストの整列を決定するために3つ全
てのリーディングフレームにおいて、翻訳された。これらのアミノ酸配列および
ヌクレオチド配列は、一般的に個々の整列に対して配置された照会配列として参
照される。照会および個々の配列は、http://ww.ncbi.nlm.
nih.gov/BLAST/で世界中のウェブにわたって利用可能であるBL
ASTプログラムを用いて整列された。再度この配列を、上記の実施例1に記載
した、低複雑性をマスクするためのXBLASTプログラムを用いて、反復配列
またはポリA配列の調査を妨げる種々の範囲に対してマスクした。
【0258】 表2(後に示される)は、整列の結果を示す。表2は、その配列番号、:Ge
nbankおよび比縮重タンパク質の調査からの最も近縁物の受託番号および記
述、ならびにその調査結果のp値によりそれぞれの配列を言及する。
【0259】 「配列番号1〜5106」のそれぞれについて、タンパク質配列またはDNA
配列のベストな整列が、表2に含まれる。「配列番号1〜5106」にコードさ
れたポリペプチドの活性が、表2において報告された最も近縁であるものに同じ
かまたは類似している。最も近縁なものの受託番号が報告され、最も近縁なもの
により提示された活性に対する参照を提供する。調査プログラムおよびデータベ
ースが、整列のために用いられ、またp値の算出のために同様に示された。
【0260】 最も近縁なポリヌクレオチド配列の全長の配列またはフラグメントが、「配列
番号1〜5106」の全長配列の同定および単離のためにプローブおよびプライ
マーとして用いられ得る。最も近縁な配列が、「配列番号1〜5106」の全長
配列のためのライブラリー構築に用いるべき組織または細胞型を示し得る。
【0261】 「配列番号1〜5106」およびそれらの翻訳産物は、他の種の公知遺伝子の
ヒトホモログ、または公知のヒト遺伝子の新しい対立遺伝子変異体であり得る。
そのような場合において、これらの新規のヒト配列は、診断用または治療用とし
て適している。診断において、「配列番号1〜5106」のヒト配列は、他の種
のホモログよりもヒト細胞株および細胞型の検出および分化において、より特異
性を示す。「配列番号1〜5106」によってコードされるヒトポリペプチドは
、ヒトに投与した場合、他の種からのホモログよりも低免疫原性であるようであ
る。さらに、ヒトへの投与において、「配列番号1〜5106」でコードされる
ポリペプチドは、より特異性を示し得るか、または他の種からのホモログである
よりも他のヒトタンパク質によってよりよく調節され得る。
【0262】 (実施例3:タンパク質ファミリーのメンバー) 確証配列(「配列番号2503〜5106」)を使用して、上記の本明細書に
記載のプロフィール調査を行なった。本発明のポリヌクレオチドのいくつかが、
公知のタンパク質ファミリーの属するポリペプチドの特徴を有するポリペプチド
(従って、これらのタンパク質ファミリーの新しいメンバーを表す)および/ま
たは、公知の機能的ドメインを含有するポリペプチドをコードすることが見出さ
れた(表3、後に示される)。従って、本発明は、本明細書において同定された
タンパク質ファミリー、および/または機能的なドメインと関係した生物学的活
性を保持する、そのようなポリヌクレオチドのフラグメント、融合体、および改
変体を包含する。
【0263】 開始および停止は、示した配列番号を有する照会配列と整列した個々の配列内
の位置を示す。方向(Dir)は、個々の配列に関する照会配列の方向を示し、
ここで正方向(for)は、整列が、配列表に提供した配列と同じ方向(左から
右)であることを示し、そして逆方向(rev)は、整列が配列表に提供した配
列に相補的な配列によることを示す。
【0264】 いくつかのポリヌクレオチドは、複数のプロフィールヒットを示した。なぜな
ら、例えば、特定の配列は、重複するプロフィール領域を含み、そして/または
この配列は2つの異なる機能的ドメインを含むからである。これらのプロフィー
ルヒットは、以下でより詳細に記載される。表3で使用される略語は、それらが
参照するタンパク質ファミリーまたは機能的ドメインのフルネームに続いて、括
弧内に提供される。
【0265】 a)7回膜貫通内在性膜タンパク質−ロドプシンファミリー(7tm 1)。
いくつかの確証配列、従って配列番号1〜2502内のそれらの対応する配列は
、7回膜貫通レセプターロドプシンファミリーのメンバーであるポリペプチドを
コードする配列に対応する。7回膜貫通ロドプシンファミリーのGタンパク質共
役レセプター(R7Gとも呼ばれる)は、細胞外シグナルをグアニンヌクレオチ
ド結合(G)タンパク質との相互作用により情報伝達する、ホルモン、神経伝達
物質、および光レセプターの広範なグループである(Strosberg,A.
D.、Eur.J.Biochem.(1991)196:1;Kerlava
ge,A.R.、Curr.Opin.Struct.Biol.(1991)
1:394;およびProbstら、DNA Cell Biol.(1992
)11:1;Savareseら,Biochem.J.(1992)283:
1、http://www.gcrdb.uthscsa.edu/、Http
://swift.embl−heidelberg.de/7tm/)。この
ファミリーに属する現在公知のレセプターは、以下である:1)5−ヒドロキシ
トリプタミン(セロトニン)1A〜1F、2A〜2C、4、5A、5B、6およ
び7(Branchek T.、Curr.Biol.(1993)3:315
);2)アセチルコリン、ムスカリン型、M1〜M5;3)アデノシンA1、A
2A、A2B、およびA3(Stiles G.L.J.Biol.Chem.
(1992)267:6451);4)アドレナリンα−1A〜1C;α−2A
〜2D;β−1〜−3(Friell T.ら、Trends Neurosc
i.(1988)11:321);5)I型、およびII型アンジオテンシンI
I;6)ボンベシンサブタイプ3および4;7)ブラジキニンB1およびB2;
8)c3aおよびC5aアナフィラトキシン;9)カンナビノイドCB1および
CB2;10)ケモカインC−C CC−CKR−1〜CC−CKR−8;11
)ケモカインC−X−C CXC−CKR−1〜CXC−CKR−4;12)コ
レシストキニン−Aおよびコレシストキニン−B/ガストリンドーパミンD1〜
D5(Stevens C.F.、Curr.Biol.(1991)1:20
);13)エンドセリンET−aおよびET−b(Sakurai T.ら、T
rends Pharmacol.Sci.(1992)13:103−107
);14)fMet−Leu−Phe(fMLP)(Nホルミルペプチド);1
5)卵胞刺激ホルモン(FSH−R);16)Galanin;17)ガストリ
ン放出ペプチド(GRP−R);18)ゴナドトロピン放出ホルモン(GNRH
−R);19)ヒスタミンH1およびH2(ガストリンレセプターI);20)
ルトロピン−絨毛性ゴナドトロピンホルモン(LSH−R)(Salesse
R.ら、Biochimie(1991)73:109);21)メラノコルチ
ンMC1R〜MC5R;22)メラトニン;23)ニューロメディンB(NMB
−R);24)ニューロメディンK(NK−3R);25)1〜6型ニューロペ
プチドY;26)ニューロテンシン(NT−R);27)オクトパミン(チラミ
ン)、昆虫由来;28)臭気物質(Lancet D.ら、Curr.Biol
.(1993)3:668);29)δ型、κ型、およびμ型オピオイド(Uh
l G.R.ら、Trends Neurosci.(1994)17:89;
30)オキシトシン(OT−R);31)血小板活性化因子(PAF−R);3
2)プロスタサイクリン;33)プロスタグランジンD2;34)プロスタグラ
ンジンE2、EP1〜EP4サブタイプ;35)プロスタグランジンF2;36
)プリンレセプター(ATP)(Barnard E.A.ら、Trends
Pharmacol.Sci.(1994)15:67;37)1〜5型ソマト
スタチン;38)サブスタンスK(NK−2R);サブスタンス−P(NK−1
R);39)トロンビン;40)トロンボキサンA2;41)甲状腺刺激ホルモ
ン(TSH−R)(Salesse R.ら、Biochimie(1991)
73:109);42)甲状腺刺激ホルモン放出因子(TRH−R);42)バ
ソプレッシンV1a、V1bおよびV2;43)視覚色素(オプシンおよびロド
プシン)(Applebury M.L.ら、Vision Res.(198
6)26:1881;44)プロトオンコジーンmas;45)哺乳動物および
鳥類由来の多くのオーファンレセプター(そのリガンドは知られてない);46
)Caenorhabditis elegans推定レセプターC06G4.
5、C38C10.1、C43C3.2;47)T27D1.3およびZC84
.4;48)サイトメガロウイルスのゲノムにコードされる3つの推定レセプタ
ー:US27、US28およびUL33;および49)ECRF3、ヘルペスウ
イルスサイミリのゲノムにコードされる推定レセプター。
【0266】 これらのレセプターの構造は、同一であると考えられる。それらは、7つの疎
水領域を有し、その各領域はおそらく膜に広がっているはずである。N末端は、
膜の細胞外側に位置し、そしてしばしばグリコシル化される。一方、C末端は、
細胞質側に位置し、そして一般にリン酸化される。3つの細胞外ループは、7つ
の膜貫通領域を結合するために、3つの細胞内ループと交替する。これらの全て
ではないが大部分のレセプターは、シグナルペプチドを欠失している。これらの
タンパク質の保存された部分のほとんどは、膜貫通領域であり、かつ第1の2つ
の細胞質ループである。保存された酸性Arg芳香族性トリプレットは、第2の
細胞質ループのN末端の先端に存在し(Attwood T.K.,Eliop
oulos E.E.,Findlay J.B.C.Gene(1991)9
8:153−159)、そしてGタンパク質との相互作用において関係し得る。
【0267】 保存されたトリプレットを含み、そしてまた第3の膜貫通ヘリックスの主な部
分に広がるコンセンサスパターンを使用して、この幅広いタンパク質のファミリ
ーを検出する:[GSTALIVMFYWC]−[GSTANCPDE]−{E
DPKRH}−×(2)−[LIVMNQGA]−×(2)−[LIVMFT]
−[GSTANC]−[LIVMFYWSTAC]−[DENH]−R−[FY
WCSH]−×(2)−[LIVM]。
【0268】 b)7回膜貫通内在性膜タンパク質−−セクレチンファミリー(7tm 2)
。いくつかの確証配列(従って、それらの配列番号1〜2502の範囲内で対応
するする配列)は、7回膜貫通レセプターセレクチンファミリーのメンバーであ
るポリペプチドをコードする配列に対応する。G−タンパク質結合レセプターに
結合する多くのペプチドホルモン(一方では、大多数のG−タンパク質結合レセ
プター(R7G)に構造的に類似している(7回膜貫通レセプター(ロドプシン
ファミリー)についてのプロフィールを参照のこと))は、これらの配列レベル
で全く類似性を示さない。従って、新規のファミリーの現在公知のメンバーは以
下である(Jueppnerら、Science(1991)254:1024
;Hamannら、Genomics(1996)32:144):1)カルシ
トニンレセプター、2)カルシトニン遺伝子関連ペプチドレセプター;3)コル
チコトロピン放出因子レセプター1型および2型;4)胃抑制ポリペプチドレセ
プター;5)グルカゴンレセプター;6)グルカゴン様ペプチド1レセプター;
7)成長ホルモン放出ホルモンレセプター;7)副甲状腺ホルモン/副甲状腺ホ
ルモン関連ペプチド1型および2型;8)下垂体アデニル化シクラーゼ活性化ポ
リペプチドレセプター;9)セレクチンレセプター;10)血管作用性腸ペプチ
ドレセプター1型および2型;10)昆虫利尿ホルモンレセプター;11)Ca
enorhabditis elegansの推定レセプターC13B9.4;
12)Caenorhabditis elegansの推定レセプターZK6
43.3;13)ヒト白血球(leucocyte)CD97(これはそのN末
端切片中に3EGF様ドメインを含む);14)ヒト細胞表面糖タンパク質EM
R1(これはそのN末端切片中に6EGF様ドメインを含む);および15)マ
ウス細胞表面糖タンパク質F4/80(これはそのN末端切片中に7EGF様ド
メインを含む)。1)から10)の全ては、アデニリルシクラーゼおよびホスフ
ァチジルイノシトール−カルシウム経路の両方を活性化するGタンパク質に結合
される。
【0269】 7つの膜貫通タンパク質の古典的なR7G様セクレチンファミリーは、7つの
膜貫通領域を含む。これらのN末端は、膜の細胞外側に位置し、そして潜在的に
グリコシル化されているが、一方これらのC末端は、細胞質内にある。しかし、
これらの位相幾何学的類似性を除けば、それらは、いかなる配列類似性領域も共
有せず、それゆえおそらく進化的に関連しない。
【0270】 7つの膜貫通セクレチンファミリーにおける各レセプターは、複数のエキソン
上にコードされ、そしてこれらの機能的に異なる産物のいくつかである。これら
のレセプターのN末端細胞外ドメインは、5つの保存的システイン残基を含み、
最初の3つのシステインにわたる領域におけるコンセンサスパターンとのジスフ
ィルド結合に関連し得る。最も高度に保存された領域の1つは、最後の膜貫通領
域のC末端部分および隣接する細胞内領域の開始点にわたる。この第2の領域は
、第2の特徴パターンとして用いられる。この2つのコンセンサスパターンは、
以下である: 1)C−x(3)−[FYWLIV]−D−x(3,4)−C−[FW]−x(
2)[STAGV]−x(8,9)−C−[PF] 2)Q−G−[LMFCA]−[LIVMFT]−[LIV]−x−[LIVF
ST]−[LIF]−[VFYH]−C−[LFY]−x−N−x(2)−V。
【0271】 c)Ank反復(ANK)。配列番号2656、および従って、配列番号1〜
2502内の対応するその配列は、Ank反復含有タンパク質をコードするポリ
ヌクレオチドを示す。アンキリンモチーフは、24個のタンデムな33アミノ酸
モチーフを有するタンパク質アンキリンにちなんで名付けられた33アミノ酸配
列である。Ank反復は、もともと細胞周期制御タンパク質cdc10(Bre
edenら,Nature(1987)329:651)において同定された。
アンキリン反復を含有するタンパク質としては、アンキリン、ミオトロピン(m
yotropin)、I−κBタンパク質、細胞周期タンパク質cdc10、N
otchレセプター(Matsunoら,Development (1997
)124(21):4265);主要組織適合遺伝子複合体のクラスIII領域
のG9a(またはBAT8)(Biochem J.290:811−818,
1993)、FABP、GABP、53BP2、Lin12、glp−1、SW
14、およびSW16が挙げられる。アンキリン反復の機能は、タンパク質間相
互作用における役割と適合する(Bork,Proteins(1993)17
(4):363;LambertおよびBennet、Eur.J.Bioch
em.(1993)211:1;Kerrら,Current Op.Cell
Biol.(1992)4:496;Bennetら,J.Biol.Che
m.(1980)255:6424)。
【0272】 アンキリンの90kDのN末端ドメインは、一連の24個の33アミノ酸an
k反復を含む。(Luxら,Nature(1990)344:36−42,L
ambertら,PNAS USA(1990)87:1730)。24個のa
nk反復は、それぞれ6反復からなる4つの折り畳まれたサブドメインを形成す
る。これらの4つの反復サブドメインは、少なくとも7個の異なるファミリーの
膜タンパク質との相互作用を媒介する。アンキリンは、陰イオン交換体ダイマー
に対する2つの別個の結合部位を含有する。一方の部位は、反復サブドメイン2
(反復7〜12)を利用し、そして他方は両方の反復サブドメイン3および4(
反復13〜24)を必要とする。陰イオン交換体はダイマーで存在するので、ア
ンキリンは、4つの陰イオン交換体を同時に結合する(Michaelyおよび
Bennett、J.Biol.Chem.(1995)270(37):22
050)。反復モチーフは、チューブリン、スペクトリン、および他の膜タンパ
ク質とのアンキリン相互作用に関与する(Luxら,Nature(1990)
344:36)。
【0273】 Rel/NF−κB/Dorsalファミリーの転写因子は、I−κBと呼ば
れる阻害タンパク質に関連した細胞質における隔離により制御される活性を有す
る(Gilmore,Cell(1990)62:841;NolanおよびB
altimore,Curr Opin Genet Dev.(1992)2
:211;Baeuerle,Biochem Biophys Acta(1
991)1072:63;Schmitzら,Trends Cell Bio
l.(1991)1:130)。I−κBタンパク質は、5〜8コピーの33ア
ミノ酸アンキリン反復を含み、そして特定のNF−κB/relタンパク質はま
た、一連のアンキリン反復を含むp105NF−κBを含むシス作用性アンキリ
ン反復含有ドメインにより調節される(DiehlおよびHannink,J.
Virol.(1993)67(12):7161)。I−κBおよびCact
us(これもまたアンキリン反復を含む)は、Rel相同性ドメインとの差示的
な相互作用を介してアクチベーターを阻害する。この遺伝子ファミリーは、プロ
トオンコジーンを含み、従って、正常な遺伝子発現および細胞を癌性にする異常
な遺伝子発現の両方の制御におけるI−κBに広範に関連する(Nolanおよ
びBaltimore,Curr Opin Genet Dev.(1992
)2(2):211−220)。rel/NF−κBおよびpp40/I−κB
の場合、アンキリン反復およびカルボキシ末端ドメインの両方は、DNA結合活
性、およびpp40/I−κBのrel/NF−κBタンパク質との直接的な会
合を阻害するために必要とされる。pp40/I−κBのアンキリン反復および
カルボキシ末端は、rel相同ドメインと会合してDNA結合活性を阻害する構
造を形成する(Inoueら,PNAS USA(1992)89:4333)
【0274】 転写因子サブユニットGABPのアミノ末端における4個のアンキリン反復は
、GABPサブユニットと相互作用して機能的な高親和性DNA結合タンパク質
を形成するために必要とされる。これらの反復は、GABPがその標的配列に結
合される場合にDNAに架橋され得る(Thompsonら,Science(
1991)253:762;LaMarcoら,Science(1991)2
53:789)。心肥大の開始に重要な役割を有する12.5kDaタンパク質
であるミオトロフィン(myotrophin)は、アンキリン反復を含む。ア
ンキリン反復は、ヘアピン様突出チップ、それに続くヘリックスターンヘリック
スモチーフに特有である。反復のV型ヘリックスターンヘリックスは、順番に束
に積み重なり、そして緻密な疎水性コアにより安定化され、一方、突出チップは
それほど順番つけられていない。
【0275】 d)真核生物のアスパルチルプロテアーゼ(asp)。いくつかの確証配列、
および従って、配列番号1〜2502内の対応するそれらの配列は、新規な真核
生物のアスパルチルプロテアーゼをコードする配列に対応する。酸プロテアーゼ
として公知であるアスパルチルプロテアーゼ(EC3.4.23.−)は、脊椎
動物、真菌、植物、レトロウイルスおよびいくつかの植物ウイルスに存在するこ
とが公知である、広範に分布したタンパク質分解酵素のファミリーである(Fo
ltmann B.、Essays Biochem.(1981)17:52
;Davies D.R.、Annu.Rev.Biophys.Chem.(
1990)19:189;Rao J.K.M.ら、Biochemistry
(1991)30:4663)。真核生物のアスパルチル(aspartate
)プロテアーゼは、2つのドメインからなる単量体酵素である。各ドメインは、
触媒性アスパルチル残基の中心に活性部位を含む。この2つのドメインは、最も
おそらく、始原的なドメインをコードする祖先の遺伝子の複製から進化した。現
在公知である真核生物のアスパルチルプロテーゼは、以下を含む;1)脊椎動物
の胃のペプシンAおよびC(ガストリクシンとしても公知である);2)消化に
関与し、そしてチーズの製造に使用される、脊椎動物のキモシン(レンニン);
3)脊椎動物のリソソームのカテプシンD(EC3.4.23.5)およびE(
EC3.4.23.34);4)血漿中でアンギオテンシノゲンからアンギジオ
テンシンIを生成する機能である哺乳動物のレニン(EC3.4.23.15)
;5)アスペルギロペプシンA(EC3.4.23.18)、カンジダペプシン
(EC3.4.23.24)、ムコロペプシン(mucoropepsin)(
EC3.4.23.23)(mucorレンニン)、エンドチアペプシン(en
dothiapepsin)(EC3.4.23.22)、ポリポロペプシン(
poryporopepsin)(EC.3.4.23.29)、およびリゾプ
スペプシン(rhizopuspepsin)(EC.3.4.23.21)の
ような真菌のプロテアーゼ;ならびに6)酵母サッカロペプシン(saccha
ropepsin)(EC.3.4.23.25)(プロテイナーゼA)(遺伝
子PEP4)。PEP4は、液胞の加水分解酵素の翻訳後調節に関与する;7)
酵母バリアペプシン(EC.3.4.23.35)(遺伝子BAR1);α因子
を切断し、従って、交配フェロモンのアンタゴニストとして作用するプロテアー
ゼ;ならびに8)交配フェロモンを分解することかまたはプロセスすることに関
与する分裂酵母sxal。
【0276】 大部分のレトロウイルスおよびいくつかの植物ウイルス(例えば、badna
virus)は、約95〜125アミノ酸鎖のホモ二量体であるアスパルチルプ
ロテアーゼをコードする。大部分のレトロウイルスにおいて、このプロテアーゼ
は、ウイルスの成熟プロセスの際に切断される、ポリタンパク質のセグメントと
してコードされる。それは、一般に、polポリタンパク質の部分であり、そし
てさらに例外的には、gagポリタンパク質の部分である。真核生物のアスパル
チルプロテアーゼの2つのアスパラギン酸の周囲およびウイルスプロテアーゼの
単一活性部位の周囲の配列が、保存されているので、単一指示(signatu
re)パターンを使用し、プロテアーゼの両方の群のメンバーを同定し得る。こ
のコンセンサスパターンは、[LIVMFGAC]−[LIVMTADN]−[
LIVFSA]−D−[ST]−G−[STAV]−[STAPDENQ]−x
−[LIVMFSTNC]−x−[LIVMFGTA]であり、ここでDは、活
性部位残基である。
【0277】 e)種々の細胞活性と関連付けられるATPase(ATPase)。いくつ
かの確証配列、および従って、配列番号1〜2502内の対応するそれらの配列
は、「多様な細胞活性と関連付けられるATPase」(AAA)タンパク質フ
ァミリーの新規メンバーをコードする配列に対応する。AAAタンパク質ファミ
リーは、ATP結合部位を含む約220アミノ酸の保存された領域を共有する多
数のATPaseから構成される(Froehlichら,J.Cell Bi
ol.(1991)114:443;Erdmannら Cell(1991)
64:499;Petersら,EMBO J.(1990)9:1757;K
unauら,Biochimie(1993)75:209−224;Conf
alonieriら,BioEssays(1995)17:639;http
://yeamob.pci.chemie.uni−tuebingen.d
e/AAA/Description.html)。このファミリーに属するタ
ンパク質は、1個または2個のいずれかのAAAドメインを含む。
【0278】 2個のAAAドメインを含有するタンパク質は以下を含む:1)小胞体とゴル
ジとの間、ならびに異なるゴルジ嚢間の細胞内輸送に関与する哺乳動物およびキ
イロショウジョウバエ属(drosophila)NSF(N−エチルマレイミ
ド感受性融合タンパク質)および真菌ホモログであるSEC18。;2)小胞体
からゴルジ装置への膜移動に関与する、哺乳動物移行小胞体ATPase(以前
にp97またはVCPとして知られた)。このATPaseは、6個のサブユニ
ットから構成される環状ホモオリゴマーを形成する。酵母ホモログであるCDC
48は、紡錘極増殖に役割を果たす。;3)ペルオキシソームアセンブリに必須
の酵母タンパク質PAS1およびPichia pastoris由来の関連タ
ンパク質PAS1;4)酵母タンパク質AFG2;5)光を細胞分裂に連結する
情報伝達経路の一部であり得る、Sulfolobus acidocalda
riusタンパク質SAVおよびHalobacterium salinar
ium cdcH。
【0279】 単一のAAAドメインを含有するタンパク質は、以下を含む:1)Esche
richia coliおよび他の細菌のftsH(またはhflB)タンパク
質。FtsHは、熱ショックσ−32因子を分解するATP依存性ジンクメタロ
ペプチダーゼであり、そしてAAAドメインおよびプロテアーゼドメインの両方
を含む大きな細胞質C末端ドメインを有する内在性膜タンパク質である;2)ミ
トコンドリア区画の統合性を維持するために重要なタンパク質である酵母タンパ
ク質YME1。YME1もまた、ジンク依存性プロテアーゼである;3)酵母タ
ンパク質AFG3(またはYTA10)。このタンパク質もまた、AAAドメイ
ン、続いてジンク依存性プロテアーゼドメインを含む;4)ユビキチン化タンパ
ク質のATP依存性分解に関与する26Sプロテアソーム(Hiltら,Tre
nds Biochem.Sci.(1996)21:96)の調節複合体由来
のサブユニット(このサブユニットは、以下を含む:a)哺乳動物4、ならびに
他の高等真核生物のホモログ、酵母のホモログ(遺伝子YTA5)、および分裂
酵母のホモログ(遺伝子mts2);b)哺乳動物6(TBP7)、ならびに他
の高等真核生物のホモログおよび酵母のホモログ(遺伝子YTA2);c)哺乳
動物サブユニット7(MSS1)、ならびに他の高等真核生物のホモログおよび
酵母のホモログ(遺伝子CIM5またはYTA3);d)哺乳動物サブユニット
8(P45)、ならびに他の高等真核生物のホモログおよび酵母のホモログ(S
UG1またはCIM3またはTBY1)および分裂酵母のホモログ(遺伝子le
t1);e)他の有望なサブユニットとしては、ヒトTBP1(これは、ウイル
スのtatトランスアクチベータータンパク質と相互作用することによりHIV
遺伝子発現に影響を与える)、ならびに酵母YTA1およびYTA6が挙げられ
る);5)酵母タンパク質BCS1(Rieske鉄−硫黄タンパク質の発現に
必須のミトコンドリアタンパク質);6)タンパク質のミトコンドリア内局在に
関与するタンパク質である、酵母タンパク質MSP1;7)酵母タンパク質PA
S8ならびにPichia pastoris由来の対応するタンパク質PAS
5およびYarrowia lipolytica由来のPAY4;8)マウス
タンパク質SKD1およびその分裂酵母ホモログ(SpAC2G11.06);
9)線虫(Caenorhabditis elegans)減数分裂紡錘形成
タンパク質mei−1;10)酵母タンパク質SAP1;11)酵母タンパク質
YTA7;ならびに12)Mycobacterium leprae仮想タン
パク質(hypothetical protein)A2126A。
【0280】 一般に、これらのタンパク質におけるAAAドメインは、ATP依存性タンパ
ク質クランプとして作用する(Confalonieriら(1995)Bio
Essays 17:639)。このドメインのN末端側半分に位置するATP
結合「A」および「B」モチーフに加えて、非常に保存された領域が、特徴パタ
ーンの開発に用いられたドメインの中心部分に位置する。コンセンサスパターン
は、[LIVMT]−x−[LIVMT]−[LIVMF]−x−[GATMC
]−[ST]−[NS]−x(4)−[LIVM]−D−x−A−[LIFA]
−x−Rである。
【0281】 f)Bcl−2ファミリー(Bcl−2)。配列番号3404、および従って
、それと確認される対応する配列は、Bcl−2ファミリーのアポトーシス調節
タンパク質をコードするポリヌクレオチドを表す。活性な細胞自殺(アポトーシ
ス)は、増殖因子の撤退のような事象、および毒素により誘導される。それは、
調節因子により制御され、その調節因子は、プログラムされた細胞死に対する阻
害効果(抗アポトーシス性)を有するか、またはインヒビターの防御効果をブロ
ックする(プロアポトーシス性)かのいずれかである(Vaux,1993,C
urr.Biol.3:877−878、およびWhite、1996、Gen
es Dev.10:2859−2869)。多くのウイルスは、それら自身が
抗アポトーシス遺伝子をコードすることにより、防御的なアポトーシスを無効に
する方法を見出し、それらの標的細胞が早熟期に死ぬことを防いでいる。
【0282】 Bcl−2ファミリー(Reedら、1996、Adv.Exp.Med.B
iol.406:99−112)に属する全てのタンパク質は、BH1、BH2
、BH3、またはBH4ドメインのいずれかを有する。全ての抗アポトーシスタ
ンパク質は、BH1およびBH2ドメインを有し;それらのいくらかは、さらに
、Bcl−x(S)を除く、プロアポトーシスタンパク質に決して見られない、
N末端BH4ドメイン(Bcl−2、Bcl−x(L)、Bcl−w)を有する
。一方、全てのプロアポトーシスタンパク質は、Bcl−2ファミリーの他のタ
ンパク質のダイマー化に必要で、かつそれらの殺傷活性に重要なBH3ドメイン
(Badを除く)を有し;それらのいくつかはまた、BH1およびBH2ドメイ
ン(Bax、Bak)を有する。BH3ドメインはまた、Bcl−2またはBc
l−x(L)のような、いくつかの抗アポトーシスタンパク質に存在している。
これらのドメインを有することが公知のタンパク質を、以下に列挙する。
【0283】 1.脊椎動物タンパク質Bcl−2.Bcl−2は、アポトーシスをブロック
する;それは、必要とされる増殖因子の非存在下および細胞死を誘導する種々の
刺激の存在下でも、造血細胞の生存を引き延ばす。bcl−2の2つのアイソフ
ォーム(αおよびβ)は、選択的スプライシングにより生成される。Bcl−2
は、広範な組織において、発生中の種々の時期に発現される。それはBaxタン
パク質とヘテロダイマーを形成する。
【0284】 2.脊椎動物タンパク質Bcl−x。Bcl−xの2つのアイソフォーム(B
cl−x(L)およびBcl−x(S))は、選択的スプライシングにより生成
される。より長い産物は(Bcl−x(L))、増殖因子依存性の細胞株をアポ
トーシスから防御し得るが、より短い形態は、Bcl−2およびBcl−x(L
)の防御効果をブロックし、そして抗−抗アポトーシスタンパク質として作用す
る。
【0285】 3.哺乳動物タンパク質Bax。Baxは、それがヘテロダイマーを形成する
Bcl−2の抗アポトーシス能力をブロックする。BaxがBcl−2の非存在
下で任意の活性を有するという証拠は全くない。baxの3つのアイソフォーム
(α、β、およびγ)は、選択的スプライシングにより生成される。
【0286】 4.細胞死を促進し、そしてBcl−2により提供されるアポトーシスからの
防御を相殺する、哺乳動物タンパク質Bak。
【0287】 5.細胞生存を促進する、哺乳動物タンパク質Bcl−w。
【0288】 6.細胞死を促進し、そしてBcl−x(L)により提供されるアポトーシス
からの防御を相殺するが、Bcl−2のそれを相殺しない、哺乳動物タンパク質
bad。
【0289】 7.細胞死を促進するが、Bcl−2により提供されるアポトーシスからの防
御を相殺し得ない、ヒトタンパク質Bik。
【0290】 8.カスパーゼおよびアポトーシスを誘導し、そしてBcl−2により提供さ
れるアポトーシスからの防御を相殺する、マウスタンパク質Bid。
【0291】 9.ヒト誘導性骨髄性白血病細胞分化タンパク質MCL1。MCL1は、おそ
らく、分化をプログラムすること、および生存能力(増殖ではない)を同時に維
持することに関与する。その発現は、骨髄性白血病細胞株ML−1において、早
期のホルボールエステル誘導性分化を増加する。
【0292】 10.マウス造血特異的初期応答タンパク質A1。
【0293】 11.哺乳動物のアポトーシスの活性化因子ハラキリ(Harakiri)(
Inoharaら、1997、EMBO J.16:1686−1694)(ま
たニューロン死タンパク質Dp5としても公知である)。これは、アポトーシス
を活性化する92残基の小さいタンパク質である。これは、BH3ドメインを有
するが、BH1、BH2、またはBH4ドメインを有さない。
【0294】 以下のコンセンサスパターンは、4つのBHドメインについて発達した。
【0295】 1)[LVME]−[FT]−x−[GSD]−[GL]−x(1,2)−[
NS]−[YW]−G−R−[LIV]−[LIVC]−[GAT]−[LIV
MF](2)−x−F−[GSAE]−[GSARY] 2)W−[LIM]−x(3)−[GR]−G−[WQ]−[DENSAV]
−x−[FLGA]−[LIVFTC] 3)[LIVAT]−x(3)−L−[KARQ]−x−[IVAL]−G−
D−[DESG]−[LIMFV]−[DENSHQ]−[LVSHRQ]−[
NSR] 4)[DS]−[NT]−R−[AE]−[LI]−V−x−[KD]−[F
Y]−[LIV]−[GHS]−Y−K−L−[SR]−Q−[RK]−G−[
HY]−x−[CW]。
【0296】 g)ブロモドメイン(ブロモドメイン)。配列番号4036および4489、
ならびに従って、それらが確認される対応する配列は、以下のタンパク質に見出
される約70アミノ酸の保存された領域であるブロモドメイン領域(Hayne
sら,1992,Nucleic Acids Res.20:2693−26
03,Tamkunら,1992,Cell 68:561−572,およびT
amkun,1995,Curr.Opin.Genet.Dev.5:473
−477)を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを表す:1)高
等真核生物転写開始因子TFIID 250 Kdサブユニット(TBP関連因
子p250)(遺伝子CCG1);P250は、TFIID TATAボックス
結合タンパク質と会合し、そして細胞周期のG1期の進行に必須なようである。
2)MHCクラスII遺伝子座にコードされる機能不明のタンパク質である、ヒ
トRING3;3)リン酸化されたCREBタンパク質に特異的に結合すること
によりcAMP遺伝子調節を媒介する、哺乳動物CREB結合タンパク質(CB
P);4)brahmaの哺乳動物ホモログ(3つのbrahma様ヒト(SN
F2a(hBRM)、SNF2b、およびBRG1)を含む);5)アデノウイ
ルスE1Aに結合し、E1Aのトランス活性化を阻害するタンパク質、ヒトBS
69;6)ヒトperegrin(またはBr140)。
【0297】 ブロモドメインは、タンパク質間相互作用に関与すると考えられ、そして転写
活性化に関与する多成分複合体のアセンブリまたは活性に重要であり得る。ブロ
モドメインの主要部分にまたがるコンセンサスパターンは、[STANVF]−
x(2)−F−x(4)−[DNS]−x(5,7)−[DENQTF]−Y−
[HFY]−x(2)−[LIVMFY]−x(3)−[LIVM]−x(4)
−[LIVM]−x(6,8)−Y−x(12,13)−[LIVM]−x(2
)−N−[SACF]−x(2)−[FY]である。
【0298】 h)塩基性領域およびロイシンジッパー転写因子(BZIP)。配列番号34
08、2951、および4850、ならびにこれらの配列が確認されるその対応
する配列は、塩基性領域およびロイシンジッパー転写因子のファミリーの新規メ
ンバーをコードするポリヌクレオチドを表す。真核生物DNA結合転写因子のb
ZIPスーパーファミリー(Hurst,Protein Prof.(199
5)2:105;およびEllenberger,Curr.Opin.Str
uct.Biol.(1994)4:12)は、配列特異的DNA結合を媒介す
る塩基性領域、続いてダイマー化に必要とされるロイシンジッパーを含有するタ
ンパク質を包含する。このファミリーのメンバーは、SV40およびメタロチオ
ネインIIAのシス調節領域におけるエンハンサーエレメントに選択的に結合す
る転写因子AP−1を含む。c−junとしても公知のAP−1は、トリ肉腫ウ
イルス17(ASV17)オンコジーンv−junの細胞ホモログである。この
タンパク質ファミリーの他のメンバーは、jun−Bおよびjun−D(jun
/AP−1に非常に類似する有望な転写因子);fosタンパク質(c−jun
と非共有結合ダイマーを形成するプロトオンコジーン);fos関連タンパク質
fra−1、およびfosB;ならびに哺乳動物cAMP応答エレメント(CR
E)結合タンパク質CREB、CREM、ATF−1、ATF−3、ATF−4
、ATF−5、ATF−6、およびLRF−1を含む。このタンパク質ファミリ
ーについてのコンセンサスパターンは、[KR]−x(1,3)−[RKSAQ
]−N−x(2)−[SAQ](2)−x−[RKTAENQ]−x−R−x−
[RK]である。
【0299】 i)サイクリン(サイクリン)。配列番号3618、3895、および453
6、ならびにこれらの配列が確認されるその対応する配列は、サイクリン、なら
びにその対応する全長ヌクレオチドを示す、配列番号55および56をコードす
るポリヌクレオチドをそれぞれ表す。配列番号57および58は、配列番号55
および56の翻訳産物をそれぞれ示す。サイクリン(Nurse、1990、N
ature 344:503−508;Norburyら、1991、Curr
.Biol.1:23−24;およびLewら、1992、Trends Ce
ll Biol.2:77−81)は、核細胞分裂周期の制御において活性な役
割を果す真核生物タンパク質である。2つの主要なサイクリンのグループが存在
する。G2/Mサイクリンは、G2/M(有糸分裂)移行での細胞周期の制御に
必須である。G2/Mサイクリンは、G2期に安定的に蓄積され、有糸分裂から
の細胞が出現するとき(M期の最後に)急激に破壊される。G1/Sサイクリン
は、G1/S(開始)移行での細胞周期の制御に必須である。
【0300】 サイクリン配列の中心部分において最もよく保存されている領域は、「サイク
リンボックス」として知られ、そこから32残基のコンセンサスパターンが導き
出される:R−x(2)−[LIVMSA]−x(2)−[FYWS]−[LI
VM]−x(8)−[LIVMFC]−x(4)−[LIVMFYA]−x(2
)−[STAGC]−[LIVMFYQ]−x−[LIVMFYC]−[LIV
MFY]−D−[RKH]−[LIVMFYW]。
【0301】 j)真核生物チオール(システイン)プロテアーゼ活性部位(Cys−プロテ
アーゼ)。配列番号3344、3684、3688、および4801、ならびに
、従ってこれらが有効にする配列もまた、真核生物チオール(システイン)プロ
テアーゼ活性部位を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを示す。真
核生物チオールプロテアーゼ(Dufour E.,Biochimie(19
88)70:1335)は、活性部位のシステインを含むタンパク質分解酵素の
ファミリーである。触媒作用は、チオエステル中間体を通して進行し、そして隣
接するヒスチジン側鎖によって容易にされる;アスパラギンは、必須の触媒的3
要素を完全にする。このファミリーに属するプロテアーゼは、1)脊椎動物リソ
ソームカテプシンB(Kirschke H.ら、Protein Prof.
(1995)2:1587−1643);2)脊椎動物リソソームジペプチジル
ペプチダーゼI(カテプシンCとしても知られる)(Kirschke H.ら
、前出);3)脊椎動物カルパイン(カルパインは、N−末端触媒ドメインおよ
びC−末端カルシウム結合ドメインの両方を含む、細胞内カルシウム活性化チオ
ールプロテアーゼである);4)哺乳動物カテプシンK、これは、破骨の骨再吸
収に関与するらしい(Shi G.−P.ら、FEBS Lett.(1995
)357:129);5)ヒトカテプシンO([4]Velasco G.,F
errando A.A.,Puente X.S.,Sanchez L.M
.,Lopez−Otin C.J.Biol.Chem.(1994)269
:27136);6)ブレオマイシンヒドロラーゼ(抗腫瘍薬剤BLM(糖ペプ
チド)の不活性化を触媒する);7)植物酵素、例えば、オオムギアロイレイン
(aleurain)、EP−B1/B4;インゲンマメEP−C1、シマツル
アズキSH−EP;キーウィフルーツアクチニジン;パパイヤラテックスパパイ
ン(papin)、キモパパイン、カリカイン(caricain)、およびプ
ロテイナーゼIV;エンドウ膨圧反応性タンパク質15A;パイナップル茎ブロ
メライン(bromelain);セイヨウアブラナCOT44;イネオリザイ
ン(oryzain)α、β、およびγ;トマト低温誘導性、Arabidop
sis thaliana A494、RD19A、およびRD21A;8)ハ
ウスダストダニアレルゲンDerP1およびEurM1;9)虫Caenorh
abditis elegans(gcp−1遺伝子、cpr−3遺伝子、cp
r−4遺伝子、cpr−5遺伝子、およびcpr−6遺伝子)、Schisto
soma mansoni(SM31抗原)およびJaponica(SJ31
抗原)、Haemonchus contortus(AC−1遺伝子およびA
C−2遺伝子)、ならびにOstertagia ostertagi(CP−
1およびCP−3)由来のカテプシンB様プロテイナーゼ;10)粘菌システイ
ンプロテイナーゼCP1およびCP2;11)Trypanosoma cru
ziおよびbrucei由来のクルジパイン(cruzipain);12)種
々のPlasmodium種由来のthrophozoiteシステインプロテ
イナーゼ(TCP);13)Leishmania mexicana、The
ileria annulata およびTheileria parva由来
のプロテアーゼ;14)バキュロウイルスカテプシン様酵素(v−cath);
15)Drosophila小視葉タンパク質(sol遺伝子)、カルパイン様
ドメインを含む神経細胞タンパク質;16)酵母チオールプロテアーゼBLH1
/YCP1/LAP3;17)Caenorhabditis elegans
の仮定タンパク質C06G4.2(カルパイン様タンパク質)である。
【0302】 さらに、2つの細菌のペプチダーゼもまた、このファミリーの一部である:1
)Lactococcus lactis由来のアミノペプチダーゼC(pep
C遺伝子)(Chapot−Chartier M.P.ら、Appl.Env
iron.Microbiol.(1993)59:330);および2)Po
rphyromonas gingivalis由来のチオールプロテアーゼt
pr。3つの他のタンパク質が、構造的にこのファミリーに関連するが、それら
のタンパク質分解活性を失ったのかもしれない。これらには、1)ダイズ油ボデ
ィータンパク質P34(これは、その活性部位のシステインがグリシンに置換さ
れている);2)ラットテスチン(testin)(これは、カテプシンLに高
度に類似したセルトーリ細胞分泌タンパク質であるが、活性部位のシステインが
セリンに置換されている);および3)Plasmodium falcipa
rumセリン反復タンパク質(SERA)(これは、主要な血液段階の抗原であ
り、そしてC末端チオールプロテアーゼ様ドメイン(Higgins D.G.
ら、Nature(1989)340:604)を有し、活性部位のシステイン
がセリンで置換されている)が含まれる。
【0303】 3つの活性部位残基の周辺の配列はよく保存されており、そして特性パターン
として使用され得る: コンセンサスパターン#1:Q−x(3)−[GE]−x−C−[YW]−x
(2)−[STAGC]−[STAGCV](ここでCが活性部位残基である) コンセンサスパターン#2:[LIVMGSTAN]−x−H−[GSACE
]−[LIVM]−x−[LIVMAT](2)−G−x−[GSADNH](
ここでHが活性部位残基である); コンセンサスパターン#3:[FYCH]−[WI]−[LIVT]−x−[
KRQAG]−N−[ST]−W−x(3)−[FYW]−G−x(2)−G−
[LFYW]−[LIVMFYG]−x−[LIVMF](ここでNが活性部位
残基である)。
【0304】 k)ホルボールエステル/ジアシルグリセロール結合(DAG_PE_結合)
。配列番号4659、および、従ってこれらが有効にする配列は、ホルボールエ
ステル/ジアシルグリセロール結合タンパク質を含むファミリーに属するタンパ
ク質をコードするポリヌクレオチドを表す。ジアシルグリセロール(DAG)は
、重要なセカンドメッセンジャーである。ホルボールエスエル(PE)は、DA
Gのアナログであり、そして細胞および組織の両方に投与される場合、種々の生
理的な変化を生じる強力な腫瘍プロモーターである。DAGは、プロテインキナ
ーゼC(PKC)として集団的に公知である、セリン/トレオニンプロテインキ
ナーゼのファミリーを活性化する(Azziら,Eur.J.Biochem.
(1992)208:547)。ホルボールエステルは、直接的にPKCを刺激
し得る。C1として公知である、PKCのN末端領域は、リン脂質依存性および
亜鉛依存性の様式で、PEおよびDAGに結合することが示されている(Ono
ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1989)86:486
8)。このC1領域は、約50アミノ酸残基長のシステインに富んだドメインの
1つまたは2つのコピー(PKCのアイソザイムに依存する)を含み、そしてD
AG/PE結合に必須である。このようなドメインはまた、例えば、以下のタン
パク質に見出されている。
【0305】 (1)DAGをホスファチジン酸に変換する酵素であるジアシルグリセロール
キナーゼ(EC2.7.1.107)(DGK)(Sakaneら,Natur
e(1990)344:345)。これは、そのN末端節において2コピーのD
AG/PE結合ドメインを含む。少なくとも5つの異なる型のDGKが、哺乳動
物において公知である;ならびに (2)脳特異的タンパク質である、N−キマエリン(chimaerin)は
、そのC末端部分において、BCRタンパク質と配列類似性を示し、そしてその
N末端部分において単一コピーのDAG/PE結合ドメインを含む。それは、ホ
ルボールエステルに結合し得ることが示されている(Ahmedら、Bioch
em.J.(1990)272:767、およびAhmedら、Biochem
.J.(1991)280:233)。
【0306】 このDAG/PE結合ドメインは、2つの亜鉛イオンを結合する;これらの金
属イオンに対するリガンドは、おそらく、このドメインにおいて保存される6つ
のシステインおよび2つのヒスチジンである。この特性パターンは、このDAG
/PEドメインに完全にまたがっている。このコンセンサスパターンは、H−x
−[LIVMFYW]−x(8,11)−C−x(2)−C−x(3)−[LI
VMFC]−x(5,10)−C−x(2)−C−x(4)−[HD]−x(2
)−C−x(5,9)−Cである。全てのCおよびHは、結合亜鉛におそらく関
与する。
【0307】 l)DEADおよびDEAHボックスファミリーATP−依存性ヘリカーゼの
特性(Deadボックスヘリック)。配列番号4821および5083、ならび
に従ってこれらが有効にする配列は、DEADボックスファミリーの新規なメン
バーをコードするポリヌクレオチドを表す。多くの真核生物および原核生物タン
パク質が、それらの構造的な類似性に基づいて特徴付けられている(Schmi
d S.R.ら、Mol.Microbiol.(1992)6:283;Li
nder P.ら、Nature(1989)337:121;Wassarm
an D.A.ら、Nature(1991)349:463)。すべてがAT
P依存性に核酸をほどくことに関与している。このファミリーに属することが現
在知られているタンパク質は: 1)開始因子eIF−4A。真核生物に見い出され、このタンパク質は、5’
キャップ認識およびmRNAのリボソームへの結合に関与する、高分子量複合体
のサブユニットである。これは、ATP依存性RNAヘリカーゼである。
【0308】 2)PRP5およびPRP28。酵母のこれらのタンパク質は、プレmRNA
スプライシングプロセスの種々のATP要求性の段階に関与する。
【0309】 3)P110、精子形成の間に特異的に発現されるマウスのタンパク質。
【0310】 4)An3、P110に密接に関連するXenopusの推定RNAヘリカー
ゼ。
【0311】 5)SPP81/DED1およびDBP1、プレmRNAスプライシングに関
与し、かつP110に関連する2つの酵母タンパク質。
【0312】 6)Caenorhabditis elegansヘリカーゼglh−1。
【0313】 7)MSS116、ミトコンドリアスプライシングに必要な酵母タンパク質。
【0314】 8)SPB4、25SリボソームRNAの成熟に関与する酵母タンパク質。
【0315】 9)p68、ヒト核抗原。p68は、インビトロでATPase活性およびD
NAヘリカーゼ活性を有する。これは、細胞増殖および細胞分裂に関与する。
【0316】 10)Rm62(p62)、p68に関連するDrosophila推定RN
Aヘリカーゼ。
【0317】 11)DBP2、p68に関連する酵母タンパク質。
【0318】 12)DHH1、酵母タンパク質。
【0319】 13)DRS1、リボソームアセンブリに関与する酵母タンパク質。
【0320】 14)MAK5、dsRNAキラープラスミドの維持に関与する酵母タンパク
質。
【0321】 15)ROK1、酵母タンパク質。
【0322】 16)ste13、分裂酵母タンパク質。
【0323】 17)Vasa、卵母細胞形成および胚の尾側構造の特定化に重要なDros
ophilaタンパク質。
【0324】 18)Me31B、母性的に発現される機能が未知のDrosophilaタ
ンパク質。
【0325】 19)dbpA、Escherichia coli推定RNAヘリカーゼ。
【0326】 20)deaD、リボソームタンパク質S2についてのrpsB遺伝子におけ
る変異を抑制し得る、Escherichia coli推定RNAヘリカーゼ
【0327】 21)rhlB、Escherichia coli推定RNAヘリカーゼ。
【0328】 22)rhlE、Escherichia coli推定RNAヘリカーゼ。
【0329】 23)rrnB、23SリボソームRNAと相互作用する、RNA依存性AT
Pase活性を示すEscherichia coliタンパク質。
【0330】 24)Caenorhabditis elegans仮定タンパク質T26
G10.1、ZK512.2、およびZK686.2。
【0331】 25)酵母仮定タンパク質YHR065c。
【0332】 26)酵母仮定タンパク質YHR169w。
【0333】 27)分裂酵母仮定タンパク質SpAC31A2.07c。
【0334】 28)Bacillus subtilis仮定タンパク質yxiN。
【0335】 上記のタンパク質のすべては、多くの保存された配列モチーフを共有する。そ
れらのいくつかは、このファミリーに特異的であり、一方、他のモチーフは他の
ATP結合タンパク質によって共有されるか、またはヘリカーゼ「スーパーファ
ミリー」に属するタンパク質によって共有される(Hodgman T.C.、
Nature(1988)333:22およびNature(1988)333
:578(Errata);http://www.expasy.ch/ww
w/linder/HELACASES_TEXT.html)。これらのモチ
ーフの1つは、「D−E−A−D−ボックス」と呼ばれており、ATP結合タン
パク質のBモチーフの特別なバージョンを示す。いくつかの他のタンパク質は、
第2のAspの代わりにHisを有するサブファミリーに属し、従って「D−E
−A−H−ボックス」タンパク質といわれる(Wassarman D.A.ら
、Nature(1991)349:463;Harosh I.ら、Nucl
eic Acids Res.(1991)19:6331;Koonin E
.V.ら、J.Gen.Virol.(1992)73:989;http:/
/www.expasy.ch/www/linder/HELACASES_
TEXT.html)。このDEAHサブファミリーに属することが現在知られ
ているタンパク質は: 1)PRP2、PRP16、PRP22およびPRP43。これらの酵母タン
パク質は、すべてプレmRNAスプライシングプロセスの種々のATP要求性段
階に関与する。2)分裂酵母prh1、これはプレmRNAスプライシングに関
与し得る。3)Male−less(mle)、X染色体連鎖遺伝子の遺伝子量
補償のために、雄性に必要なDrosophilaタンパク質。4)酵母由来の
RAD3。RAD3は、UV光、かさばった付加物、または架橋剤によって損傷
を受けたDNAの除去修復に関与するDNAヘリカーゼである。分裂酵母rad
15(rhp3)および哺乳動物DNA除去修復タンパク質XPD(ERCC−
2)は、RAD3のホモログである。5)酵母CHL1(またはCTF1)、こ
れは、染色体伝達、およびG(2)/M期における正常な細胞周期の進行に重要
である。6)酵母TPS1。7)酵母仮定タンパク質YK078w。8)Cae
norhabditis elegans仮定タンパク質C06E1.10およ
びK03H1.2。9)ポックスウイルス初期転写因子70Kdサブユニット。
これは、初期遺伝子プロモーターからの転写を開始するためにRNAポリメラー
ゼと作用する。10)I8、推定ワクシニアウイルスヘリカーゼ。11)hrp
A、Escherichia coli推定RNAヘリカーゼ。
【0336】 以下の特性パターンを使用して、両方のサブファミリーのメンバーを同定する
: コンセンサスパターン:[LIVMF](2)−D−E−A−D−[RKEN
]−x−[LIVMFYGSTN] コンセンサスパターン:[GSAH]−x−[LIVMF](3)−D−E−
[ALIV]−H−[NECR]。
【0337】 m)EFハンド(EFハンド)。いくつかの有効な配列、従ってそれらが有効
にする配列は、EFハンドタンパク質のファミリーにおける新規タンパク質をコ
ードするポリヌクレオチドに対応する。多くのカルシウム結合タンパク質は、同
じ進化ファミリーに属し、そしてEFハンドとして公知の型のカルシウム結合ド
メインを共有する(Kawasakiら,Protein.Prof.(199
5)2:305−490)。この型のドメインは、両方の側に12残基のαヘリ
ックスドメインが隣接する12残基ループからなる。EFハンドループでは、カ
ルシウムイオンは、五角双角錐(pentagonal bipyramida
l)配置において配位結合する。結合に関与する6残基は、1位、3位、5位、
7位、9位、および12位に存在し;これらの残基はX、Y、Z、−Y、−X、
および−Zにより示される。12位の不変のGluまたはAsp(二座配位子)
は、Caを連結する2つの酸素を提供する。
【0338】 EFハンド領域を含むことが公知のタンパク質は以下を含む:カルモジュリン
(酵母においてCa=3であることを除いてCa=4)(「Ca=」は、EFハ
ンド領域のおよその数を示す);ジアシルグリセロールキナーゼ(EC2.7.
1.107)(DGK)(Ca=2);2)哺乳動物由来のFAD依存性グリセ
ロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(EC1.1.99.5)(Ca=1);
グアニル酸シクラーゼ活性化タンパク質(GCAP)(Ca=3);MIF関連
タンパク質8(MRP−8またはCFAG)およびMIF関連タンパク質14(
MRP−14)(Ca=2);ミオシン調節軽鎖(Ca=1);オンコモジュリ
ン(oncomodulin)(Ca=2);オステオネクチン(基底膜タンパ
ク質BM−40)(SPARC);ならびに「オステオネクチン」ドメインを含
有するタンパク質(QR1、マトリックス糖タンパク質SC1)。
【0339】 コンセンサスパターンは、完全なEFハンドループならびにループに続きかつ
常に疎水性であるようである最初の残基を含む:D−x−[DNS]−{ILV
FYW}−[DENSTG]−[DNQGHRK]−{GP}−[LIVMC]
−[DENQSTAGC]−x(2)−[DE]−[LIVMFYW]。
【0340】 n)Etsドメイン(Ets Nterm)。配列番号2849、従って、そ
れが有効にする配列は、ETSドメインにおけるN−末端相同性を有するポリペ
プチドをコードするポリヌクレオチドを示す。このファミリーのタンパク質は保
存性ドメインである「ETSドメイン」を含み、これはDNA結合に関与する。
このドメインは、プリンに富む配列を認識するらしい;それは約85〜90アミ
ノ酸長であり、そして芳香族および正に荷電した残基に富む(Wasylykら
、Eur.J.Biochem.(1993)211:718)。
【0341】 ets遺伝子ファミリーは、DNA結合タンパク質の新規なクラスをコードし
、それらの各々は特異的なDNA配列に結合する。これらのタンパク質は、共通
のコアである3つのヌクレオチド配列GGAを含む配列と特異的に相互作用する
etsドメインを含む。etsドメインに加えて、ネイティブなetsタンパク
質は、タンパク質の生物学的特異性を調節し得る他の配列を含む。ets遺伝子
およびタンパク質は、細胞増殖、分化、および発生を含む種々の本質的な生物学
的プロセスに関与する。そして3つのメンバーが発ガン性のプロセスに関係して
いる。
【0342】 o)II型フィブロネクチンコラーゲン結合ドメイン(FntypeII)。
少数の有効な配列、従ってそれらが有効にする配列は、II型フィブロネクチン
コラーゲン結合ドメインを有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを
示す。フィブロネクチンは、細胞表面および種々の化合物(コラーゲン、フィブ
リン、ヘパリン、DNA、およびアクチンを含む)に結合する血漿タンパク質で
ある。フィブロネクチンの配列の主要な部分は、I型、II型、およびIII型
と呼ばれる3つの型のドメインの繰り返しからなる(Skorstengaar
d K.ら、Eur.J.Biochem.(1986)161:441)。I
I型ドメインは、約40残基長であり、ジスルフィド結合に関与する4つの保存
されたシステインを含み、そしてフィブロネクチンのコラーゲン結合領域の一部
である。フィブロネクチンにおいて、II型ドメインは重復している。II型ド
メインはまた、以下のタンパク質において見い出されてきた:1)血液凝固因子
XII(ハーゲマン因子)(1コピー);2)ウシ精漿タンパク質PDC−10
9(BSP−A1/A2)およびBSP−A3(Seidah N.G.ら、B
iochem.J.(1987)243:195)(2回);3)カチオン非依
存性マンノース−6−リン酸レセプター(これは、インスリン様増殖因子IIレ
セプターでもある)Kornfeld S.、Annu.Rev.Bioche
m.(1992)61:307(1コピー);4)マクロファージのマンノース
レセプター(Taylor M.E.ら、J.Biol.Chem.(1990
)265:12156)(1コピー);5)180Kd分泌ホスホリパーゼA2
レセプター(1コピー)Lambeau G.ら、J.Biol.Chem.(
1994)269:1575;6)DEC−205レセプター(1コピー);6
)Jiang W.ら、Nature(1995)375:151);7)72
Kd IV型コラゲナーゼ(EC3.4.24.24)(MMP−2)(Col
lier I.E.ら、J.Biol.Chem.(1988)263:657
9)(3コピー);7)92Kd IV型コラゲナーゼ(EC3.4.24.2
4)(MMP−9)(3コピー);8)肝細胞増殖因子アクチベーター(Miy
azawa K.ら、J.Biol.Chem.(1993)268:1002
4)(1コピー)。
【0343】 不変の残基の位置の図的表現、およびフィブロネクチンII型ドメインにおけ
るジスルフィド結合のトポロジーを以下に示す: xxCxxPFx#xxxxxxxCxxxxxxxxWCxxxxx#x
xx#x#Cxx ここで「C」は、ジスルフィド結合に関与する保存性システインを示し、そして
「#」は、大きな疎水性残基を示す。このファミリーのメンバーを同定するため
のコンセンサスパターン(このパターンは、このドメイン全体にわたる)は、C
−x(2)−P−F−x−[FYWI]−x(7)−C−x(8,10)−W−
C−x(4)−[DNSR]−[FYW]−x(3,5)−[FYW]−x−[
FYWI]−Cである(ここで、4つのCは、ジスルフィド結合に関与する)。
【0344】 p)G−タンパク質αサブユニット(G−α)。いくつかの有効な配列、従っ
てそれらが有効にする配列は、G−タンパク質αサブユニットファミリーの新規
なポリペプチドをコードする遺伝子に対応する。グアニンヌクレオチド結合タン
パク質(Gタンパク質)は、細胞外活性化内在性膜レセプターを細胞内エフェク
ター(例えば、セカンドメッセンジャー分子の濃度を変動するイオンチャネルお
よび酵素)に共役させる膜会合タンパク質のファミリーである。Gタンパク質は
、静止状態では、形質膜の内面において三量体として会合する3つのサブユニッ
ト(α、βおよびγ)からなる。このαサブユニットは、それに結合するグアノ
シンジホスフェート(GDP)の分子を有する。活性化レセプターによるGタン
パク質の刺激は、GDPのGTP(グアノシントリホスフェート)との交換を生
じる。これは、二量体としていつも密接に会合したままである、βおよびγサブ
ユニットからのαサブユニットの分離を生じる。次いで、αサブユニットおよび
β−γサブユニットの両方は、個別的かまたは共同的な様式のいずれかで、エフ
ェクターと相互作用し得る。このαサブユニットの内因性GTPアーゼ活性は、
結合GTPをGDPに加水分解する。これは、αサブユニットをその不活性な立
体配座に戻し、そしてそれとβ−γサブユニットとの再会合を可能にし、従って
、この系をその静止状態に回復する。
【0345】 Gタンパク質αサブユニットは、350〜400アミノ酸長であり、そして4
0〜45kDaの範囲の分子量を有する。17個の異なる型のαサブユニットが
、哺乳動物において同定されている。これらは、配列類似性および機能の両方に
基づいて4つの主要な群に分類される:α−s、α−q、α−iおよびα−12
(Simonら,Science(1993)252:802)多数のαサブユ
ニットは、コレラまたは百日咳毒素によるADPリボシル化に対する基質である
。それらは、通常、ミリスチン酸および/またはパルミチン酸(palmyto
ylate)で、N末端がしばしばアシル化され、そしてこれらの脂肪酸修飾は
、おそらく、膜結合および他のタンパク質との高親和性相互作用のために重要で
ある。哺乳動物の視覚に関与するGタンパク質のαサブユニットであるトランス
デューシンの原子構造は、GTP結合形態およびGDB結合形態の両方において
解明されており、そしてヌクレオチド結合領域において、他のグアニンヌクレオ
チド結合タンパク質(例えば、p21−rasおよびEF−Tu)に対して、一
次構造および三次構造の両方において考慮すべき類似性を示す。
【0346】 q)C末端ドメインを保存されたヘリカーゼ(ヘリカーゼC)。配列番号25
03、4469、および5020(従って、それらが確証する配列)は、DEA
D/Hヘリカーゼファミリーの新規のメンバーをコードするポリヌクレオチドを
表す。このDEADおよびDEAHファミリーは、上記に記載される。
【0347】 r)ホメオボックスドメイン(ホメオボックス)。配列番号4241(従って
、それが確証する配列)は、ホメオボックスドメインを有するタンパク質をコー
ドするポリヌクレオチドを表す。「ホメオボックス」は、多数のDrosoph
ila ホメオティックタンパク質および分節(segmentation)タ
ンパク質において最初に同定された、60のアミノ酸のタンパク質ドメインであ
る(Gehring「Guidebook to the Homeobox
Genes」、Duboule D.編、第1〜10頁、Oxford Uni
versity Press、Oxford(1994);Buerglin「
Guidebook to the Homeobox Genes」、第25
〜72頁、Oxford University Press、Oxford(
1994);Gehring Trends Biochem.Sci.(19
92)17:277−280;Gehringら、Annu.Rev.Gene
t.(1986)20:147−173;Schofield Trends
Neurosci.(1987)10:3−6;http://copan.b
ioz.unibas.ch/homeo.html)。それは、脊椎動物を含
む、多くの他の動物において極めてよく保存されている。このドメインは、へリ
ックスターンへリックス型の構造を通して、DNAに結合する。ホメオボックス
ドメインを含むいくつかのタンパク質は、発生において重要な役割を果たす。こ
れらのタンパク質のほとんどは、配列特異的DNA結合転写因子である。ホメオ
ボックスドメインはまた、酵母接合型タンパク質の領域に非常に類似している。
これらは、細胞型特異的様式における遺伝子発現を制御することにより、酵母の
分化におけるマスタースイッチとして作用する、配列特異的DNA結合タンパク
質である。
【0348】 ホメオボックスドメインの略図は、以下に示される。へリックスターンへリッ
クス領域は記号「H」(ヘリックス)、および「t」(ターン)で示される。
【0349】
【化1】 このパターンは、24残基長のホメオボックス配列を検出し、そしてホメオボッ
クスドメインの位置34〜57にわたる。コンセンサス配列は以下の通りである
。:[LIVMFYG]−[ASLVR]−x(2)−[LIVMSTACN]
−x−[LIVM]−x(4)−[LIV]−[RKNQESTAIY]−[L
IVFSTNKH]−W−[FYVC]−x−[NDQTAH]−x(5)−[
RKNAIMW]。
【0350】 x)MAPキナーゼキナーゼ(mkk)。いくつかの確証配列(従って、それ
らが確証する配列)は、MAPキナーゼキナーゼファミリーの新規のメンバーを
表す。MAPキナーゼ(MAPK)はシグナル伝達に関与し、そして細胞周期お
よび細胞増殖制御において重要である。MAPキナーゼキナーゼ(MAPKK)
は、MAPキナーゼをリン酸化および活性化する両特異性(dual−spec
ificity)プロテインキナーゼである。MAPKKホモログは、酵母、無
脊椎動物、両生類、および哺乳動物において見出されている。さらに、MAPK
K/MAPKリン酸化スイッチは、酵母と脊椎動物において異なる経路において
活性化される基本モジュール(basic module)を構成する。MAP
KK調節研究は、高等生物における、少なくとも4つのMAPKK収束(con
vergent)経路の発見へと導いた。これらのうちの1つはste11プロ
テインキナーゼを含む酵母のフェロモン応答経路に類似する。他の2つの経路は
、セリン/トレオニンキナーゼをコードする癌遺伝子c−Raf−1およびc−
Mosの1つまたは両方のいずれかの活性化を必要とする。さらに、いくつかの
研究は、MAPKK活性に対する細胞周期制御レギュレーターサイクリン依存性
キナーゼ1(cdc2)の可能な効果を示唆する。結局、MAPKKは明らかに
、シグナルが核に到達する前に通過しなけらばならない必須のトランスデューサ
ーである。総説として、例えば、Biologique、Biol Cell(
1993)79:193−207;Nishidaら、Trends Bioc
hem Sci(1993)18:128−31;Ruderman、Curr
Opin Cell Biol(1993)5:207−13;Dhanas
ekaranら、Oncogene(1998)17:1447−55;Kie
ferら、Biochem Soc Trans(1997)25:491−8
;およびHill、Cell Signal(1996)8:533−44を参
照のこと。
【0351】 y)3’5’−環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼシグネチャー(PDE
ase)。配列番号4482(従って、それが確証する配列)は、新規の3’5
’−環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ(PDEase)をコードするポリ
ヌクレオチドを表す。PDEaseは、対応するヌクレオシド5’一リン酸への
cAMPまたはcGMPの加水分解を触媒する(Charbonneau H.
ら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.(1986)83:
9308)。PDEaseの少なくとも7つの異なるサブファミリーが存在する
(Beavo J.A.ら、Trends Pharmacol.Sci.(1
990)11:150;http://weber.u.washington
.edu/〜pde/: 1)1型、カルモジュリン/カルシウム依存性PDE
ase;2)2型、cGMP刺激PDEase;3)3型、cGMP阻害PDE
ase;4)4型、cAMP特異的PDEase;5)5型、cGMP特異的P
DEase;6)6型、ロドプシン感受性cGMP特異的PDEase;および
7)7型、高親和性cAMP特異的PDEase。
【0352】 全てのPDEase型は、約270残基の保存されたドメインを共有する。こ
のシグネチャーパターンは、2つの保存されたヒスチジンを含む12残基の伸長
から決定される:H−D−[LIVMFY]−x−H−x−[AG]−x(2)
−[NQ]−x−[LIVMFY]。
【0353】 z)プロテインキナーゼ(protkinase)。いくつかの確証配列(従
って、それらが確証する配列)は、プロテインキナーゼをコードするポリヌクレ
オチドを表す。プロテインキナーゼは、種々の経路においてタンパク質のリン酸
化を触媒し、そして癌に関係する。真核生物のプロテインキナーゼ(Hanks
S.K.ら、FASEB J.(1995)9:576;Hunter T.
、Meth.Enzymol.(1991)200:3;Hanks S.K.
ら、Meth.Enzymol.(1991)200:38;Hanks S.
K.、Curr.Opin.Struct.Biol.(1991)1:369
;Hanks S.K.ら、Science(1988)241:42)は、セ
リン/トレオニンプロテインキナーゼおよびチロシンプロテインキナーゼの両方
に共通の保存された触媒コアを共有する非常に広範なタンパク質のファミリーに
属する酵素である。プロテインキナーゼの触媒ドメインにおいて多数の保存され
た領域が存在する。2つの保存された領域は、プロテインキナーゼのプロフィー
ルにおけるシグネチャーパターンのための基礎である。触媒ドメインのN最末端
に位置する第1の領域は、リジン残基の近傍におけるグリシンに富んだ残基の伸
長であり、この領域は、ATP結合に関与することが示されている。触媒ドメイ
ンの中央部分に位置する第2の領域は、この酵素の触媒活性に重要である保存さ
れたアスパラギン酸残基を含む(Knighton D.R.ら、Scienc
e(1991)253:407)。このプロテインキナーゼプロフィールは、こ
の第2の領域に対して2つのシグネチャーパターンを含む:1つは、セリン/ト
レオニンキナーゼに対して特異的であり、他方は、チロシンキナーゼに対して特
異的である。第3のプロフィールは、(Hanks S.K.ら、FASEB
J.(1995)9:576)のアライメントに基づき、そして触媒ドメインの
全体をカバーする。このコンセンサスパターンは、以下である: 1)コンセンサスパターン:[LIV]−G−{P}−G−{P}−[FYW
MGSTNH]−[SGA]−{PW}−[LIVCAT]−{PD}−x−[
GSTACLIVMFY]−x(5,18)−[LIVMFYWCSTAR]−
[AIVP]−[LIVMFAGCKR]−K、ここでKは、ATPを結合する
。大多数の公知のプロテインキナーゼは、このパターンによって検出される。こ
のコンセンサスによって検出されないプロテインキナーゼは、この領域において
非常に異なっており、そしてこのパターンに完全に見逃される、ウイルス性キナ
ーゼを含む。
【0354】 2)コンセンサスパターン:[LIVMFYC]−x−[HY]−x−D−[
LIVMFY]−K−x(2)−N−[LIVMFYCT](3)、ここでDは
活性部位残基である。このコンセンサス配列は、大部分のセリン/トレオニン特
異的プロテインキナーゼを同定する。ただし10の例外がある。例外の半分は、
ウイルス性キナーゼであるが、他の例外は、保存されるLysの代わりにそれぞ
れSerおよびArgを有する、エプスタイン−バーウイルスBGLF4および
Drosophila ninaCを含む。これらの後者の2つのプロテインキ
ナーゼは、以下に記載されるチロシンキナーゼ特異的パターンによって検出され
る。
【0355】 3)コンセンサスパターン:[LIVMFYC]−x−[HY]−x−D−[
LIVMFY]−[RSTAC]−x(2)−N−[LIVMFYC]、ここで
Dは、活性部位残基である。全てのチロシン特異的プロテインキナーゼは、この
コンセンサスパターンによって検出される。ただしヒトERBB3およびマウス
blkの例外がある。このパターンはまた、プロテインキナーゼに構造的および
進化的に関係する、大部分の細菌性アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ
(Benner S.、Nature(1987)329:21;Kirby
R.、J.Mol.Evol.(1992)30:489)およびヘルペスウイ
ルスのガンシクロビルキナーゼ(Littler E.ら、Nature(19
92)358:160)を検出する。
【0356】 このプロテインキナーゼプロフィールはまた、レセプターグアニル酸シクラー
ゼおよび2−5A依存性リボヌクレアーゼを検出する。これらの2つのファミリ
ーとこの真核生物のプロテインキナーゼファミリーとの間の配列類似性は、以前
に注目されていた。このプロフィールはまた、その触媒活性を消失したようであ
るArabidopsis thalianaキナーゼ様タンパク質TMKL1
を検出する。
【0357】 分析されるタンパク質が、2つの上記のプロテインキナーゼのシグネチャーを
含む場合、それがプロテインキナーゼである確率は、100%に近い。真核生物
型のプロテインキナーゼはまた、Myxococcus xanthus(Mu
noz−Dorado J.ら、Cell(1991)67:995)およびY
ersinia pseudotuberculosisのような原核生物に見
出されている。上記に示されるこのパターンは、(Bairoch A.ら、N
ature(1988)331:22)中のそれらの出版物以来、最新のものに
されている。
【0358】 aa)Rasファミリータンパク質(ras)。配列番号3671(従って、
それが確証する配列)は、低分子GTP/GDP結合タンパク質のrasファミ
リーをコードするポリヌクレオチドを表す(Valenciaら、1991、B
iochemistry 30:4637−4648)。Rasファミリーメン
バーは、一般に、特定のグアニンヌクレオチド交換因子(GEF)およびGTP
ase活性全体の刺激因子として特定のGTPase活性化タンパク質(GAP
)を必要とする。ras関連タンパク質について、最も高い程度の配列保存が、
グアニンヌクレオチド結合に直接関与する4つの領域において見られる。初めの
2つが、ほとんどのリン酸およびMg2+結合部位(PM部位)を構成し、そし
てGドメインの前半に位置される。その他の2つの領域は、グアノシン結合に関
与し、そして分子のC末端側の半分に位置される。ras関連タンパク質のモチ
ーフおよび保存された構造特性は、Valenciaら、1991、Bioch
emistry 30:4637−4648に記載される。
【0359】 rasタンパク質の主要なコンセンサスパターンは、以下の通りである:D−
T−A−G−Q−E−K−[LF]−G−G−L−R−[DE]−G−Y−Y。
【0360】 bb)チオレドキシンファミリー活性部位(Thioredox)。配列番号
3936(従って、それが確証する配列)は、チオレドキシンファミリー活性部
位を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを表す。チオレドキシン(
Holmgren A.,Annu.Rev.Biochem.(1985)5
4:237;Gleason F.K.ら、FEMS Microbiol.R
ev.(1988)54:271;Holmgren A.J.Biol.Ch
em.(1989)264:13963;Eklund H.ら、Protei
ns(1991)11:13)は、活性中心のジスルフィド結合の可逆的な酸化
を通して種々のレドックス反応に関与する約100アミノ酸残基の低分子タンパ
ク質である。2つのシステイン残基が分子内ジスルフィド結合で結合される場合
、それらは、還元型または酸化型のいずれかで存在する。チオレドキシンは、原
核生物および真核生物に存在し、そしてレドックス活性ジスルフィド結合の周囲
の配列は、よく保存される。
【0361】 多くの真核生物のタンパク質は、チオレドキシンに進化的に関係したドメイン
を含み、そしてそれらの全てが、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ(PDI
)である。PDI(Freedman R.B.ら、Biochem.Soc.
Trans.(1988)16:96;Kivirikko K.I.ら、FA
SEB J.(1989)3:1609;Freedman R.B.ら、Tr
ends Biochem.Sci.(1994)19:331)は、種々のタ
ンパク質においてジスルフィド結合の再配置を触媒する小胞体酵素である。現在
公知である種々の形態のPDIは、以下である: 1)PDI主要アイソザイム
;プロリル4−ヒドロキシラーゼ(EC1.14.11.2)のβサブユニット
としても、オリゴサッカリルトランスフェラーゼ(EC2.4.1.119)の
成分としても、チロキシン脱ヨウ素酵素(deiodinase)としても、グ
ルタチオン−インスリントランスヒドロゲナーゼとしても、そして甲状腺ホルモ
ン結合タンパク質としてもまた機能する多機能性タンパク質;2)ERp60(
ER−60;58Kdミクロソームタンパク質)、これはプロテアーゼである;
3)ERp72;および4)P5。
【0362】 全てのPDIは、チオレドキシンドメインの2つまたは3つ(ERp72)の
コピーを含む。コンセンサスパターンは以下の通りである:[LIVMF]−[
LIVMSTA]−x−[LIVMFYC]−[FYWSTHE]−x(2)−
[FYWGTN]−C−[GATPLVE]−[PHYWSTA]−C−x(6
)−[LIVMFYWT](ここで、2つのCは、レドックス活性結合を形成す
る)。
【0363】 cc)TNFR/NGFRファミリーシステインリッチ領域(TNFR c6
)。配列番号3927(従って、それが確証する配列)は、TNFR/NGFR
ファミリーシステインリッチ領域を有するタンパク質をコードするポリヌクレオ
チドを表す。多くのタンパク質(これらのいくつかは、増殖因子についてのレセ
プターであることが公知である)が、6つの保存されたシステインを含む約40
残基の4つ(あるいは、いくつかの場合のおいては3つ)のモジュールに細分さ
れ得る、それらのN末端部分において約110〜160アミノ酸のシステインリ
ッチドメインを含むことを見出されている。このファミリー(Mallet S
.ら、Immunol.Today(1991)12:220;Sprang
S.R.,Trends Biochem.Sci.(1990)15:366
;Krammer P.H.ら、Curr.Biol.(1992)2:383
;Bazan J.F.,Curr.Biol.(1993)3:603)に属
する公知のタンパク質は以下である: 1)腫瘍壊死因子I型およびII型レセ
プター(TNFR)(両レセプターは、TNF−αおよびTNF−βに結合する
が、システインリッチ領域だけは類似している。);2)ショープ線維腫ウイル
ス可溶性TNFレセプター(タンパク質T2);3)リンホトキシンα/βレセ
プター;4)低親和性神経発育因子レセプター(LA−NGFR);5)CD4
0(Bp50)、CD40L(またはTRAP)サイトカインについてのレセプ
ター;6)CD27、CD27Lサイトカインについてのレセプター;8)CD
30、CD30Lサイトカインについてのレセプター;9)T細胞タンパク質4
−1BB、4−1BBL推定サイトカインについてのレセプター;10)FAS
抗原(またはAPO−1)、FASLについてのレセプター、アポトーシス(プ
ログラムされた細胞死)に関与するタンパク質;11)T細胞抗原OX40、O
X40Lサイトカインについてのレセプター;12)Wsl−1、アポトーシス
を媒介する(まだ定義されていないリガンドについての)レセプター;13)ワ
クシニアウイルスタンパク質A53(SalF19R)。
【0364】 6つのシステインは、全て鎖内ジスルフィド結合に関与した(Banner
D.W.ら、Cell(1993)73:431)。これらのレセプターの40
残基モジュールの構造の略図は、以下に示される。
【0365】
【化2】 ここで「C」は、ジスルフィド結合に関与した保存されたシステインを表す。シ
ステインリッチ領域についてのシグネチャーパターンは、それぞれの反復におけ
る6つの保存されたシステインの位置に主に基づく:コンセンサスパターンは以
下の通りである:C−x(4,6)−[FYH]−x(5,10)−C−x(0
,2)−C−x(2,3)−C−x(7,11)−C−x(4,6)−[DNE
QSKP]−x(2)−C(ここで、6つのCは、ジスルフィド結合に関与する
)。
【0366】 dd)4回膜貫通内在性膜タンパク質(膜貫通4)。いくつかの確証配列(従
って、それらが確証する配列)は、4回膜貫通セグメント内在性膜タンパク質フ
ァミリー(膜貫通4ファミリー)のメンバーであるポリペプチドをコードする配
列に対応する。膜貫通4ファミリーのタンパク質は、多数の進化的に関連した真
核生物細胞表面抗原を含む(Levyら,J.Biol.Chem.,(199
1)266:14597;Tomlinsonら,Eur.J.Immunol
.(1993)23:136;Barclayら The leucocyte
antigen factbooks.(1993)Academic Pr
ess,London/San Diego)。このファミリーに属するタンパ
ク質は、以下を含む:1)哺乳動物抗原CD9(MIC3)(これは、血小板活
性化および凝集に関与する);2)哺乳動物白血球抗原CD37(Bリンパ球上
に発現される);3)哺乳動物白血球抗原CD53(OX−44)(これは、造
血細胞における増殖調節に関与する);4)哺乳動物リソソーム膜タンパク質C
D63(黒色腫関連抗原ME491;抗原AD1);5)哺乳動物抗原CD81
(細胞表面タンパク質TAPA−1)(これはリンパ腫細胞増殖の調節に関与す
る);6)哺乳動物抗原CD82(タンパク質R2;抗原C33;Kangai
1(KAI1))(これは、CD4またはCD8に関連し、そしてTCR/C
D3経路についての同時刺激性シグナルを送達する);7)哺乳動物抗原CD1
51(SFA−1;血小板内皮4回貫通抗原3(platelet−endot
helial tetraspan antigen 3);PETA−3))
;8)哺乳動物細胞表面糖タンパク質A15(TALLA−1;MXS1);9
)哺乳動物新規抗原2(NAG−2);10)ヒト腫瘍関連抗原CO−029;
11)Schistosoma mansoniおよびSchistosoma
japonicum23Kd表面抗原(SM23/SJ23)。
【0367】 4回膜貫通ファミリーのメンバーは、いくつかの特徴を共有する。第1に、こ
れらは全て、明らかにIII型膜タンパク質であり、これは、生合成の間に切断
されず、かつトランスロケーションシグナルおよび膜アンカーの両方として機能
するN末端膜アンカードメインを含有する内在性膜タンパク質である。このファ
ミリーのメンバーはまた、3つのさらなる膜貫通領域、少なくとも7個の保存さ
れたシステイン残基を含み、そしてほぼ同じサイズである(218〜284残基
)。これらのタンパク質は、総称して、「膜貫通4スーパーファミリー」(TM
4)として公知である。なぜなら、これらは、原形質膜を4回貫通するからであ
る。 これらのタンパク質のドメイン構造の模式図は、以下の通りである:
【0368】
【化3】 ここで、Cytは、細胞質ドメインであり、TMaは膜貫通アンカーであり;T
M2〜TM4は膜貫通領域2〜4を表し、「C」は保存されたシステインであり
、そして「*」はコンセンサスパターンの位置を示す。コンセンサスパターンは
、2つの膜貫通ドメインの間の短い細胞質ループ内に位置する2つのシステイン
を含む保存された領域にまたがる。コンセンサスパターン:G−x(3)−[L
IVMF]−x(2)−[GSA]−[LIVMF](2)−G−C−x−[G
A]−[STA]−x(2)−[EG]−x(2)−[CWN]−[LIVM]
(2)。
【0369】 ee)トリプシン(トリプシン)。 配列番号3381、4684、および4
688、従ってそれらによって確証される配列は、トリプシンファミリーの新規
なセリンプロテアーゼに対応する。トリプシンファミリー由来のセリンプロテア
ーゼの触媒活性は、ヒスチジン(それ自体がセリンに水素結合されている)に対
して水素結合したアスパラギン酸残基を含む荷電リレーシステムにより提供され
る。活性部位のセリンおよびヒスチジン残基に近接する配列は、プロテアーゼの
このファミリーでよく保存されている(Brenner S.,Nature(
1988)334:528)。トリプシンファミリーに属することが公知のプロ
テアーゼとしては以下が挙げられる:1)アクロシン;2)血液凝固因子VII
、IX、X、XIおよびXII、トロンビン、プラスミノーゲンならびにプロテ
インC;3)カテプシンG;4)キモトリプシン;5)補体成分C1r、C1s
、C2および補体因子B,DおよびI;6)RA−反応性因子の補体活性化成分
;7)細胞傷害性細胞プロテアーゼ(グランザイムA〜H);8)デューデナー
ゼ(Duodenase)I;9)エラスターゼ1、2、3A、3B(プロテア
ーゼE)、白血球(medullasin);10)エンテロキナーゼ(EC3
.4.21.9)(エンテロペプチダーゼ);11)肝細胞成長因子アクティベ
ーター;12)ヘプシン(Hepsin);13)腺(組織)カリクレイン(A
型、B型、およびC型 EGF結合タンパク質、NGF−γ鎖、γ−レニン、前
立腺特異的抗原(PSA)およびトニンを含む);14)血漿カリクレイン;1
5)肥満細胞プロテアーゼ(MCP)1(キマーゼ)〜8;16)Myelob
lastin(プロテイナーゼ3)(Wegener’s自己抗原);17)プ
ラスミノーゲンアクチベータ(ウロキナーゼ型、および組織型);18)トリプ
シンI、II、IIIおよびIV;19)トリプターゼ;20)アンクロド、バ
トロキソビン(batroxobin)、セラストビン(cerastobin
)、フラボキソビン(flavoxobin)およびプロテインCアクチベータ
のようなヘビ毒プロテアーゼ;21)通常ウシバエ由来のコラゲナーゼおよびA
tlantic sand Fiddler crab(カニ)由来の膠原溶解
性のプロテアーゼ;22)アポリポプロテイン(a);23)吸血セルカリアプ
ロテアーゼ;24)Drosophilaトリプシン様プロテアーゼ:α、イー
スター(easter)、ヘビ遺伝子座(snake−locus);25)D
rosophila protease stubble(遺伝子sb);およ
び26)主なダニ糞便アレルゲンDer p III。上記のタンパク質の全て
は、ペプチダーゼの分類におけるS1ファミリー(Rawlings N.D.
ら,Meth.Enzymol.(1994)244:19;http://w
ww.expasy.ch/cgi−bin/lists?peptidas.
txt)に属し、そして真核生物の種に起源する。S2Aファミリーに属する細
菌のプロテアーゼが同じパターンでピックアップされ得る活性部位残基の領域に
十分に類似であることに注目するべきである。
【0370】 このトリプシンタンパク質ファミリーについてのコンセンサスパターンは、以
下である:1)[LIVM]−[ST]−A−[STAG]−H−C(ここでH
は、活性部位残基である)。このクラスに属することが公知のすべての配列は、
補体成分C1rおよびC1s、ブタプラスミノーゲン、ウシプロテインC、げっ
歯類のウロキナーゼ、アンクロド、ジャイロキシン(gyroxin)ならびに
2つの昆虫トリプシンを除き、このパターンにより検出した;2)[DNSTA
GC]−[GSTAPIMVQH]−x(2)−G−[DE]−S−G−[GS
]−[SAPHV]−[LIVMFYWH]−[LIVMFYSTANQH](
ここでSは、活性部位残基である)。このファミリーに属することが公知のすべ
ての配列は、最初の保存されたグリシンを損失した18個の異なるプロテアーゼ
を除き、上記の共通配列により検出される。タンパク質がセリンおよびヒスチジ
ン活性部位サインの両方を含む場合、それがトリプシンファミリーセリンプロテ
アーゼである可能性は、100%である。
【0371】 ff)WDドメイン、G−β反復(WDドメイン)。少数の確認配列およびそ
れらによって確認される配列は、WDドメイン/Gβ反復ファミリーの新規なメ
ンバーを示す。βトランスデューシン(Gβ)は、膜貫通レセプターによって産
生されたシグナルの伝達において媒介物として作用するグアニンヌクレオチド結
合タンパク質(Gタンパク質)の3つのサブユニット(α、βおよびγ)の1つ
である(Gliman、Annu.Rev.Biochem.(1987)56
:615)。このαサブユニットは、GTPに結合し、そして加水分解する;こ
のβおよびγサブユニットの機能は、十分に明白ではないが、それらはGDPの
GTPによる置換、ならびに膜付着およびレセプター認識を必要とするようであ
る。
【0372】 より高等な真核生物において、Gβは、約340アミノ酸残基の高度に保存さ
れたタンパク質の小さな複数遺伝子ファミリーとして存在する。構造的に、Gβ
は、それぞれ中央Trp−Aspモチーフを含む約40残基の8つの直列反復か
らなる(反復のこのタイプは、時々、WD−40反復と呼ばれる)。このような
反復性のセグメントは、以下を含む他の多数のタンパク質に存在することが示さ
れている:ヒトLIS1、脳回欠損1型に関連する神経細胞のタンパク質;およ
び哺乳動物コアトマー(coatomer)β’サブユニット(β’−COP)
、生合成タンパク質輸送を媒介する小胞を形成するゴルジ膜と可逆的に結合する
サイトゾルのタンパク質複合体の成分。
【0373】 WDドメイン/Gβ反復ファミリーについてのコンセンサスパターンは以下で
ある:[LIVMSTAC]−[LIVMFYWSTAGC]−[LIMSTA
G]−[LIVMSTAGC]−x(2)−[DN]−x(2)−[LIVMW
STAC]−x−[LIVMFSTAG]−W−[DEN]−[LIVMFST
AGCN]。
【0374】 gg)発生的シグナル伝達タンパク質のwntファミリー(wnt_dev_
sign)。いくつかの確認配列、従ってそれらによって確認される配列は、発
生的シグナル伝達タンパク質のwntファミリーの新規なメンバーに対応する。
Wnt−1(int−1としてすでに公知)つまりこのファミリーの精液のメン
バー(Nusse R.Trends Genet.(1988)4:291)
は、マウス乳腺癌ウイルスの組み込みにより導入された前癌遺伝子である。これ
は細胞内コミュニケーションにおいてある役割を果たすと考えられ、そして中枢
神経系(CNS)の発生において重要なシグナル伝達分子であるようである。w
nt−1の配列は、哺乳動物、魚類および両生類において高度に保存されている
。Wnt−1は、すべてが発生レギュレーターであると考えられる関連タンパク
質の大きなファミリーのメンバーであることが見出された(Nusse Rら、
Cell(1992)69:1073;McMahon A.P.Trends
Genet.(1992)8:1;Moon R.T.,BioEssays
(1993)15:91)。これらのタンパク質は、wnt−2(irpとして
も公知)、wnt−3、−3A、−4、−5A、−5B、−6、−7A、−7B
、−8、−8B、−9および−10として公知である。このファミリーの少なく
とも4つのメンバーがDrosophilaに存在する;これらの1つ、無翅(
wg)は、分節極性を意図する。
【0375】 これらのタンパク質の全ては分泌タンパク質の以下の特徴を共有する:シグナ
ルペプチド、いくつかの潜在的N−グリコシル化部位および22の保存されたシ
ステイン(これはおそらくジスルフィド結合に関連する)。このWntタンパク
質は、分泌細胞の原形質膜に接着するようであり、従って、わずかな細胞直径を
超えてしかシグナル伝達しないようである。3つのシステインを含む高度に保存
された領域に基づくこのコンセンサスパターンは、以下のようである:C−K−
C−H−G−[LIVMT]−S−G−x−C。このファミリーに属することが
公知であるすべての配列は、提供された共通のパターンにより検出される。
【0376】 hh)プロテインチロシンホスファターゼ(Y_ホスファターゼ)。いくつか
の確認配列、従ってそれによって確認される配列は、プロテインチロシンキナー
ゼをコードするポリヌクレオチドを表す。チロシン特異的プロテインホスファタ
ーゼ(EC3.1.3.48)(PTPアーゼ)(Fischerら、Scie
nce(1991)253:401;Charbonneauら、Annu.R
ev.Cell Biol.(1992)8:463;;Trowbrige、
J.Biol.Chem.(1991)266:23517;Tonksら、T
rends Biochem.Sci.(1989)14:497;およびHu
nter、Cell(1989)58:1013)は、チロシン残基に付着した
リン酸基の除去を触媒する。これらの酵素は、細胞成長、細胞増殖、細胞分化お
よび細胞形質転換の制御において非常に重要である。複数の型のPTPアーゼが
特徴付けられており、そして2つのカテゴリーに分類され得る:可溶性PTPア
ーゼおよびPTPアーゼドメインを含む膜貫通型レセプタータンパク質。
【0377】 可溶性PTPアーゼは、N末端バンド4.1様ドメインを含み、そしてこの膜
と細胞骨格との間の接合部において作用し得る酵素である、PTPN3(H1)
およびPTPN4(MEG);そのN最末端において2コピーのSH2ドメイン
を含む酵素である、PTPN6(PTP−1C;HCP;SHP)およびPTP
N11(PTP−2C;SH−PTP3;Syp)を含む。
【0378】 二重特異性PTPアーゼは、Thr−183およびTyr−185の両方にお
いてMAPキナーゼを脱リン酸化する、DUSP1(PTPN10;MAPキナ
ーゼホスファターゼ−1;MKP−1);ならびにThr残基およびTyr残基
の両方においてMAPキナーゼERK1およびERK2を脱リン酸化する核酵素
であるDUSP2(PAC−1)を含む。
【0379】 構造的に、公知であるレセプターPTPアーゼは全て、可変性の長さの細胞外
ドメイン、続く膜貫通領域およびC末端触媒細胞質ドメインで構成される。レセ
プターPTPアーゼのいくつかは、それらの細胞外領域において、III型フィ
ブロネクチン(FN−III)反復、免疫グロブリン様ドメイン、MAMドメイ
ンまたは炭酸脱水酵素様ドメインを含む。この細胞質領域は、一般に、2コピー
のPTPアーゼドメインを含む。この第1は、酵素活性を有するようであり、一
方、この第2は、不活性であるが、この第1の基質特異性に影響するようである
。これらのドメインにおいて、この触媒システインは、一般に、保存されるが、
いくつかの他の(おそらく重要である)残基は、保存されない。
【0380】 PTPアーゼドメインは、約300アミノ酸からなる。2つの保存されたシス
テインが存在し、そしてこの第2のシステインは、活性のために絶対的に必要と
されることが示されている。さらに、そのすぐ近傍における多数の保存された残
基もまた、重要であることが示されている。PTPアーゼに対するこのコンセン
サスパターンは、[LIVMF]−H−C−x(2)−G−x(3)−[STC
]−[STAGP]−x−[LIVMFY]であり、Cは活性部位残基である。
【0381】 ii)ジンクフィンガー、C2H2型(ジンクフィンガー C2H2)。確証
配列のいくつか、および従って、それらが確認する配列は、C2H2型ジンクフ
ィンガータンパク質ファミリーの新規なメンバーをコードするポリヌクレオチド
に対応する。ジンクフィンガードメイン(Klugら、Trends Bioc
hem.Sci.(1987)12:464;Evansら、Cell(198
8)52:1;Payreら、FEBS Lett.(1988)234:24
5;Millerら、EMBO J.(1985)4:1609;およびBer
g、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1988)85:99)
は、Xenopus転写因子TFIIIAにおいて最初に同定された核酸結合タ
ンパク質構造である。これらのドメインは、以来多くの核酸結合タンパク質で見
出されている。ジンクフィンガードメインは、25〜30アミノ酸残基で構成さ
れる。2つのシステインまたはヒスチジン残基が、亜鉛原子の4面体配位に関与
するドメインの両端に位置する。そのようなドメインは、約5つのヌクレオチド
と相互作用することが、提唱されている。
【0382】 ジンクフィンガーの多くのクラスは、亜鉛原子の配位に関与するヒスチジンお
よびシステイン残基の数および位置に従って特徴づけされる。C2H2と呼ばれ
る特徴付けられた第1のクラスにおいて、亜鉛配位残基の第1の対は、システイ
ンであり、第2の対は、ヒスチジンである。多くの実験報告書は、このクラスの
いくつかのメンバーの亜鉛依存DNAまたはRNA結合特性を実証している。
【0383】 C2H2ジッパーを有する哺乳動物タンパク質は、以下を含む(括弧内の数字
は、タンパク質内のジンクフィンガー領域の数を示す):バソヌクリン(bas
onuclin)(6)、BCL−6/LAZ−3(6)、赤血球クルッペル(
krueppel)様転写因子(3)、転写因子Sp1(3)、Sp2(3)、
Sp3(3)、およびSp4(3)、転写リプレッサーYY1(4)、ウィルム
ス腫瘍タンパク質(4)、EGR1/Krox24(3)、EGR2/Krox
20(3)、EGR3/Pilot(3)、EGR4/AT133(4)、Ev
i−1(10)、GLI1(5)、GLI2(4+)、GLI3(3+)、HI
V−EP1/ZNF40(4)、HIV−EP2(2)、KR1(9+)、KR
2(9)、KR3(15+)、KR4(14+)、KR5(11+)、HF.1
2(6+)、REX−1(4)、ZfX(13)、ZfY(13)、Zfp−3
5(18)、ZNF7(15)、ZNF8(7)、ZNF35(10)、ZNF
42/MZF−1(13)、ZNF43(22)、ZNF46/Kup(2)、
ZNF76(7)、ZNF91(36)、ZNF133(3)。
【0384】 保存された亜鉛リガンド残基に加えて、他の多くの位置もまたC2H2ジンク
フィンガーの構造の保存性に重要であることが示されている。(Rosenfe
ldら、J.Biomol.Struct.Dyn.(1993)11:557
)。最もよく保存されている位置は、第2のシステインの4残基後に見られ;一
般的にそれは芳香族または脂肪族の残基である。C2H2ジンクフィンガーのコ
ンセンサスパターンは、以下である:C−x(2,4)−C−x(3)−[LI
VMFYWC]−x(8)−H−x(3,5)−H。2つのCおよび2つのHが
亜鉛リガンドである。
【0385】 jj)ジンクフィンガー、C3H4型(RINGフィンガー)、特徴(ジンク
フィンガー C3H4)。配列番号3774および4477、ならびに従って、
それらが確認する配列は、C3H4型ジンクフィンガーの特徴を有するポリペプ
チドをコードするポリヌクレオチドを表示する。多くの真核生物およびウイルス
タンパク質はこの特徴を含み、これは主に40〜60残基の保存されたシステイ
ン−リッチドメインである(Borden K.L.B.ら、Curr.Opi
n.Struct.Biol.(1996)6:395)。システインリッチ−
ドメインは、亜鉛の2つの原子と結合し、そしてタンパク質−タンパク質相互作
用の媒介におそらく関与する。亜鉛結合システムの3次元構造は、RINGドメ
インに独特のものであり、そして「交叉−梁(cross−brace)」モチ
ーフとして言及される。そのようなドメインでのシステインのスペーシングは、
C−x(2)−C−x(9〜39)−C−x(1〜3)−H−x(2〜3)−C
−x(2)−C−x(4〜48)−C−x(2)−Cである。C3H4ドメイン
を含むタンパク質は、以下を含む: 1)哺乳類V(D)J組換え活性化タンパク質(RAG1)。RAG1は、免
疫グロブリンおよびT細胞レセプター遺伝子の再構成を活性化する。
【0386】 2)マウスrpt−1。rpt−1は、インターロイキン2レセプターα鎖の
プロモーター領域またはHIV−1のLTRプロモーター領域によって方向付け
られる遺伝子発現を調節するトランス作用因子である。
【0387】 3)ヒトrfp。rfpは、雄性胚細胞の発生において機能し得る発生的に調
節されたタンパク質である。rfpのN末端部分のタンパク質チロシンキナーゼ
との組換えは、ret形質転換タンパク質を産生する。
【0388】 4)ヒト52Kd Ro/SS−Aタンパク質。Ro/SS−Aリボヌクレオ
タンパク質複合体由来の機能が未知のタンパク質。全身性エリテマトーデスまた
は原発性シェーグレン症候群を有する患者からの血清は、しばしば、Roタンパ
ク質と反応する抗体を含む。
【0389】 5)ヒト組織適合性遺伝子座タンパク質RING1。
【0390】 6)ヒトPML、有望な転写因子。レチノインレセプターαとのPMLの染色
体転移は、急性前骨髄細胞白血病(APL)を引き起こす融合タンパク質を作出
する。
【0391】 7)哺乳動物乳癌1型感受性タンパク質(BRCA1)([E1]http:
//bioinformatics.weizmann.ac.il/hotm
olecbase/entries/brcal.htm)。
【0392】 8)哺乳動物cb1プロトオンコジーン。
【0393】 9)哺乳動物bmi−1プロトオンコジーン。
【0394】 10)脊椎動物CDK活性化キナーゼ(CAK)アセンブリ因子MAT1、こ
れは、CDK7キナーゼとサイクリンHとの間の複合体を安定化させるタンパク
質である(MAT1は、「三角関係」を表す)。
【0395】 11)哺乳動物mel−18タンパク質。種々の腫瘍細胞で発現されるmel
−18は、特異的なDNA配列を認識および結合する転写リプレッサーである。
【0396】 12)ペルオキシソームの生合成に何らかの関連を有する哺乳動物ペルオキシ
ソームアセンブリ因子−1(PAF−1)(PMP35)。ヒトにおいて、PA
F−1の欠損は、ペルオキシソームの欠損に関連した常染色体性の劣勢障害であ
るツェルヴェーガー症候群の形成の原因である。
【0397】 13)CDK7サイクリンH複合体と相互作用するヒトMAT1タンパク質。
【0398】 14)ヒトRING1タンパク質。
【0399】 15)Xenopus XNF7タンパク質(おそらく転写因子である)。
【0400】 16)トリパノソーマタンパク質ESAG−8(T−LR)。これは、VSG
発現部位における遺伝子の転写後調節に関与し得るかまたはその活性を調節する
ためにアデニル酸シクラーゼと相互作用し得る。
【0401】 17)Drosophilaタンパク質Posterior Sex Com
b(Psc)およびSuppressr two of zeste(Su(z
)2)。この2つのタンパク質は、ホメオティックセレクター遺伝子のセグメン
ト特異的抑制を維持するために必要とされる遺伝子のポリコウム群に属する。
【0402】 18)Drosophilaタンパク質雄性特異的msl−2は、X染色体投
薬量補強(男性一本鎖X染色体の転写の上昇)に関与するDNA結合タンパク質
である。
【0403】 19)光形態形成の調節に関与するArabidopsis thalian
aタンパク質COP1。
【0404】 20)真菌DNA修復タンパク質RAD5、RAD16、RAD18およびr
ad8。
【0405】 21)ヘルペスウイルストランス作用転写タンパク質ICP0/IE110。
多くの異なるヘルペスウイルスにおいて特徴付けられているこのタンパク質は、
多くのウイルスプロモーターおよび細胞プロモーターの発現のトランス活性化因
子および/またはトランスリプレッサー因子である。
【0406】 22)バキュロウイルスタンパク質CG30。
【0407】 23)バキュロウイルス主要前初期タンパク質(PE−38)。
【0408】 24)バキュロウイルス前初期調節タンパク質IE−N/IE−2。
【0409】 25)Caenorhabditis elegans仮想タンパク質F54
G8.4、R05D3.4およびT02C1.1。
【0410】 26)酵母仮想タンパク質YER116cおよびYKR017c。
【0411】 C3H4フィンガーに対するこの特徴パターンは、ドメインの中心領域に基づ
く: コンセンサスパターン:C−x−H−x−[LIVMFY]−C−x(2)−C
−[LIVMYA]。
【0412】 (実施例4:本発明のポリヌクレオチドの示差的発現:ライブラリーの記述お
よび示差的発現の検出) 本発明のポリヌクレオチドの相対的な発現レベルを、細胞株および患者組織サ
ンプルを含む種々の供給源から調製されたいくつかのライブラリーにおいて評価
した。表4は、これらのライブラリーの概要を提供する。これには、省略したラ
イブラリー名(本明細書において以後使用)、cDNAライブラリーを調製する
のに用いたmRNA供給源、以下の表で用いられるライブラリーの「ニックネー
ム」(引用符で囲んで)、およびライブラリーにおけるおよそのクローン数が挙
げられる。
【0413】
【表4】 KM12L4細胞株およびKM12C細胞株を、上記実施例1に記載する。M
DA−MB231細胞株は、もともと胸膜の浸出液から単離された(Caill
eau,J.Natl.Cancer.Inst.(1974)53:661)
。これは転移性能力が高く、そして乳癌に一致するヌードマウスにおける少し分
化された第二段階の腺癌を形成する。MCF7細胞株は、乳房腺癌の胸膜浸出液
に由来しており、そして非転移性である。MV−522細胞株は、ヒト肺癌腫に
由来し、そして転移能力が高い。UCP−3細胞株は、低い転移性のヒト肺癌腫
細胞株である;MV−522はUCP−3の高い転移性改変体である。これらの
細胞株は、ヒトの乳癌および肺癌の研究のためのモデルとして当該分野で広く認
知されている(例えば、以下を参照のこと:Chandrasekaranら、
Cancer Res.(1979)39:870(MDA−MB−231およ
びMCF−7);Gastparら、J Med Chem(1998)41:
4965(MDA−MB−231およびMCF−7);Ransonら、Br
J Cancer(1988)77:1586(MDA−MB−231およびM
CF−7);Kuangら、Nucleic Acids Res(1998)
26:1116(MDA−MB−231およびMCF−7);Varkiら,I
nt J Cancer(1987)40:46(UCP−3);Varkiら
、Tumour Biol.(1990)11:327;(MV−522および
UCP−3);Varkiら、Anticancer Res.(1990)1
0:637;(MV−522);Kelnerら、Anticancer Re
s(1995)15:867(MV−522);およびZhangら、Anti
cancer Drugs(1997)8:696(MV522))。ライブラ
リー15〜20のサンプルは、2人の異なる患者(UC#2およびUC#3)に
由来する。b−FGF処理HMECを、2時間10ng/mlのbFGFと共に
インキュベートすることにより調製した;VEGF処理HMECを、2時間20
ng/mlのBEGFと共にインキュベートすることにより調製した。それぞれ
の増殖因子とのインキュベーション後、細胞を洗浄し、そして溶菌緩衝液をRN
A調製のために添加した。
【0414】 各ライブラリーは、cDNAクローンのコレクションから構成され、このcD
NAクローンは、順に、示されたmRNA供給源中で発現されるmRNAの代表
である。各ライブラリーにおける何百万の配列の分析を容易にするために、この
配列をクラスターに割り当てた。「クローンのクラスター」の概念を概算で30
0個の7bpのオリゴヌクレオチドプローブのパネルに対するこれらのハイブリ
ダイゼーションパターンに基づいたcDNAクローンの識別/グループ化から導
き出す(Drmanacら、Genomics(1996)37(1):29を
参照のこと)。組織ライブラリーからのランダムなcDNAクローンを300個
の7bpオリゴヌクレオチドに対して中程度のストリージェンシーでハイブリダ
イズする。各オリゴヌクレオチドは、その特異的クローンに対する特異的なハイ
ブリダイゼーションのある測定を有する。300プローブのハイブリダイゼーシ
ョンの、300のこれらの測定の組み合わせは、特異的クローンの「ハイブリダ
イゼーションサイン」と等しい。同様の配列を有するクローンは、同様のハイブ
リダイゼーションサインを有する。これらのサインを分析するための識別/グル
ープ化アルゴリズムを開発することによって、ライブラリー中のクローン群を同
定し得、そして計算上、一緒にもたらされ得る。これらのクローン群は、「クラ
スター」と呼ばれる。アルゴリズムにおける選択したストリージェンシーに依存
して(古典的なライブラリーcDNAスクリーニングプロトコールにおけるハイ
ブリダイゼーションのストリージェンシーに類似)、各クラスターの「純度」を
制御し得る。例えば、クラスター化の人為的結果は、人為的結果が最も高いスト
リージェンシーでさえ、400bpのcDNAフラグメントを用いてcDNAラ
イブラリーの「湿潤実験(wet−lab)」スクリーニングでちょうど生じ得
るように、計算上のクラスターにおいて生じ得る。本明細書中においてクラスタ
ーの実行で使用されるストリージェンシーは、一般に、同じcDNAまたは密接
に関連したcDNA由来のクローン群を提供する。密接に関連したクローンは、
同じcDNAの異なった長さのクローン、高度に関連した遺伝子ファミリー由来
の密接に関連したクローン、または同じcDNAのスプライス改変体の結果であ
り得る。
【0415】 選択されたクラスターの差示的発現を、第一のライブラリー中の選択クラスタ
ーに対応するcDNAクローン(1stにおけるクローン)の数の最初の決定、
および第二のライブラリー中の選択クラスターに対応するcDNAクローン(2
ndにおけるクローン)の数の決定によって評価した。第二のライブラリーと比
較した第一のライブラリーの選択クラスターの差示的発現をこの2つのライブラ
リー間の発現百分率の「比」として表現する。一般に、この「比」を以下により
計算する:1)第一のライブラリーから分析された全クローン数で、第一のライ
ブラリー中での選択されたクラスターに対応するクローン数を除算することによ
って、第一のライブラリー中の選択クラスターの発現百分率を計算する工程;2
)第二のライブラリーから分析された全クローン数で、第二のライブラリー中の
選択クラスターに対応するクローン数を除算することによって、第二のライブラ
リー中の選択クラスターの発現百分率を計算する工程;3)第二のライブラリー
からの計算された発現百分率で、第一のライブラリーからの計算された発現百分
率を除算する工程。ライブラリー中の選択されたクラスターに対応する「クロー
ン数」がゼロである場合、この値は、計算における補助のため1に設定される。
この比の計算に使用される式は、比較されている各ライブラリーの「深さ」(す
なわち、各ライブラリーで分析される全クローン数)を考慮に入れる。
【0416】 一般に、ポリヌクレオチドは、この比値が少なくとも約2より大きい、好まし
くは少なくとも約3より大きい、より好ましくは少なくとも約5より大きい場合
、2つのサンプル間で有意に差示的発現されるといわれ、ここでこの比値を上記
の方法を使用して計算する。差示発現の重要性をZスコア試験を使用して、決定
する(Zar、Biostatistical Analysis、Prent
ice Hall,Inc.,USA、「Differences betwe
en Proportions」、296−298頁(1974))。
【0417】 (実施例5:低転移性の乳癌細胞に対して高転移能乳癌細胞において差示的に
発現されるポリヌクレオチド) 高転移能乳癌組織由来の細胞および低転移性の乳癌細胞間で差示的に発現され
る多くのポリヌクレオチド配列が同定されている。乳癌におけるこれらの配列の
発現は、診断上、予後上、および/または処置上の情報の決定において価値があ
り得る。例えば、高転移能細胞中で高度に発現される配列は、転移プロセスに関
与する遺伝子または調節配列の発現の増加を示し得る。従って、1以上のこれら
のポリペプチドのレベルの増加を示す患者のサンプルは、より積極的な処置を保
証し得る。別の実施例において、低転移能細胞中でより高い発現を示す配列は、
転移を阻害する遺伝子または調節配列と関連し得、従って、サンプル中のこれら
のポリペプチドの発現は、示唆されるひどい病状よりポジティブな予後を保証し
得る。
【0418】 これらのポリヌクレオチドの差示的発現は、診断マーカー、予後マーカーとし
て、リスク評価、患者の処置などのために使用され得る。これらのポリヌクレオ
チド配列はまた、別の公知の分子および/または生化学的マーカーと組み合わせ
て使用され得る。
【0419】 以下の表は、高転移能乳癌細胞と低転移能の乳癌細胞間で差示的に発現される
ポリヌクレオチドを要約する。
【0420】
【表5】
【0421】
【表6】 (実施例6:低転移性肺癌細胞に対して高転移能肺癌細胞で差示的に発現され
るポリヌクレオチド) 高転移能肺癌組織由来の細胞と低転移性肺癌細胞間で差示的に発現される多く
のポリヌクレオチド配列が同定されている。肺癌組織中でのこれらの配列の発現
は、診断、予後および/または処置の情報の決定において価値があり得る。例え
ば、関連する高転移能細胞中で高度に発現される配列は、転移プロセスに関与す
る遺伝子または調節配列の発現増加を示し得る。従って、1以上のこれらのポリ
ヌクレオチドの増加したレベルを示す患者のサンプルは、より積極的な処置を保
証し得る。別の実施例において、低転移能細胞中でのより高い発現を示す配列は
、転移を阻害する遺伝子または調節配列に関連し得、従って、サンプル中のこれ
らのポリヌクレオチドの発現は、示唆されるひどい病状よりさらにポジティブな
予後を保証し得る。
【0422】 これらのポリヌクレオチドの差示的発現は、診断マーカー、予後マーカーとし
て、リスク評価、患者の処置などのために使用され得る。これらのポリヌクレオ
チド配列もまた、他の公知の分子マーカーおよび/または生化学的マーカーと組
み合わせて使用され得る。
【0423】 以下の表は、高転移能肺癌細胞と低転移能肺細胞間で差示的に発現されるポリ
ヌクレオチドを要約する:
【0424】
【表7】
【0425】
【表8】 (実施例7:低転移性結腸癌細胞に対して高転移能結腸癌細胞において差示的
に発現されるポリヌクレオチド) 高転移能結腸癌組織由来の細胞と低転移性結腸癌細胞間で差示的に発現される
多くのポリヌクレオチド配列が同定されている。結腸癌組織中のこれらの配列の
発現は、診断、予後および/または処置の情報の決定において価値があり得る。
例えば、高転移能細胞中で高度に発現される配列は、転移プロセスに関与する遺
伝子または調節配列の発現増加を示し得る。従って、1以上のこれらのポリヌク
レオチドのレベル増加を示す患者のサンプルは、より積極的な処置を保証し得る
。別の実施例において、低転移能細胞中でより高い発現を示す配列は、転移を阻
害する遺伝子または調節配列と関連し得、従って、サンプル中のこれらのポリヌ
クレオチドの発現は、示唆されるひどい病状よりさらにポジティブな予後を保証
し得る。
【0426】 これらのポリヌクレオチドの差示的発現は、診断マーカー、予後マーカーとし
て、リスク評価、患者の処置などのために使用され得る。これらのポリヌクレオ
チド配列もまた、他の公知の分子マーカーおよび/または生化学的マーカーと組
み合わせて使用され得る。
【0427】 以下の表は、高転移能結腸癌細胞と低転移能結腸癌細胞間での差示的発現を有
する、同定されたポリヌクレオチドを要約する:
【0428】
【表9】
【0429】
【表10】 (実施例8:正常患者組織に対して高転移能結腸癌患者組織において差示的に
発現されるポリヌクレオチド) 高転移能結腸癌組織由来の細胞および正常組織由来の細胞間で差示的に発現さ
れる多くのポリヌクレオチド配列が同定されている。結腸癌組織中のこれらの配
列の発現は、診断、予後および/または処置の情報の決定において価値があり得
る。例えば、関連する高転移性の細胞中で高度に発現される配列は、新脈管形成
、脱分化、細胞複製および転移のようなプロセスを含む、進行型の疾患状態に関
与する遺伝子または調節配列の発現増加を示し得る。従って、1以上のこれらの
ポリヌクレオチドのレベルの増加を示す患者のサンプルは、より積極的な処置を
保証し得る。
【0430】 これらのポリヌクレオチドの差示的発現は、診断マーカー、予後マーカーとし
て、リスク評価、患者の処置などのために使用され得る。これらのポリヌクレオ
チド配列もまた、他の公知の分子マーカーおよび/または生化学的マーカーと組
み合わせて使用され得る。
【0431】 以下の表は、高転移能結腸癌細胞と正常な結腸細胞間で差示的に発現されるポ
リヌクレオチドを要約する:
【0432】
【表11】
【0433】
【表12】 (実施例9:転移した結腸癌患者組織に対して高結腸腫瘍能患者組織において
差示的に発現するポリヌクレオチド) 高腫瘍能結腸癌組織由来の細胞と高転移能結腸癌細胞由来の細胞間で差示的に
発現される多くのポリヌクレオチド配列が同定されている。結腸癌組織中でのこ
れらの配列の発現は、悪性組織への前癌組織の形質転換と関連する、診断、予後
および/または処置の情報の決定において価値があり得る。この情報は、これら
の組織における進行した悪性状態を達することを予防することにおいて有用であ
り得、そして患者のリスク評価において重要であり得る。
【0434】 以下の表は、高腫瘍能結腸癌組織と高転移能結腸癌細胞由来の細胞間の差示的
発現を有する、同定されたポリヌクレオチドを要約する:
【0435】
【表13】 (実施例10:正常患者組織に対して高腫瘍能結腸癌患者組織で差示的に発現
されるポリヌクレオチド) 高腫瘍能結腸癌組織由来の細胞と正常組織由来の細胞間で差示的に発現される
多くのポリヌクレオチド配列が同定されている。結腸癌組織中のこれらの配列の
発現は、これらの組織における悪性状態に達することの予防に関連する、診断、
予後および/または処置の情報の決定において価値があり得、そして、患者のリ
スク評価において重要であり得る。例えば、潜在性の結腸癌細胞中で高度に発現
される配列は、初期の腫瘍進行に関与する遺伝子または調節配列の発現増加に関
連するか、またはそれを示し得る。従って、1以上のこれらのポリヌクレオチド
のレベル増加を示す患者のサンプルは、できるだけ早く悪性状態を捕捉するため
のより周到な注意またはより頻度の高いスクリーニング手順を保証し得る。
【0436】 以下の表は、高転移能結腸癌細胞と正常結腸細胞間で差示的に発現されるポリ
ヌクレオチドを要約する:
【0437】
【表14】
【0438】
【表15】 (実施例11:未処理HMECと比較して増殖因子刺激ヒト微小血管内皮細胞
(HMEC)中で差示的に発現されるポリヌクレオチド) 未処理HMECと比較して増殖因子で処理されているヒト微小血管内皮細胞(
HMEC)間で差示的に発現される多くのポリヌクレオチド配列が同定されてい
る。
【0439】 増殖因子処理HMECと未処理HMEC間で差示的に発現される配列は、新脈
管形成、転移(細胞遊走)、ならびに他の発生および腫瘍形成のプロセスに関連
する遺伝子産物をコードする配列を示し得る。例えば、未処理HMECと比較し
て増殖因子(例えば、bFGFまたはVEGF)で処理されたHMEC中でより
高度に発現される配列は、より高度な転移性能の癌細胞のマーカーとして使用さ
れ得る。結腸癌組織におけるこれらの配列の発現検出は、これらの組織における
悪性状態に達することの予防に関連する、診断、予後および/または処置の情報
の決定において価値があり得、そして患者のリスク評価において重要であり得る
。従って、1以上のこれらのポリヌクレオチドのレベル増加を示す患者のサンプ
ルは、できるだけ早期の悪性状態を捕捉するためのより周到な注意またはより頻
度の高いスクリーニング手順を保証し得る。
【0440】 以下の表は、増殖因子処理HMECと未処理HMEC間での差示的発現を有す
る同定されたポリヌクレオチドを要約する。
【0441】
【表16】
【0442】
【表17】 (実施例12:複数のライブラリーにわたり示差的に発現されるポリヌクレ
オチド) 試験された全ての3つの組織型(すなわち、乳房、結腸、および肺)にわたり
癌性細胞と正常細胞との間で示差的に発現される、多くのポリヌクレオチド配列
が同定された。組織または任意の起源におけるこれらの配列の発現は、診断上、
予後上、および/または処置上の、これらの組織における悪性状態の達成の予防
に関連する情報を決定する際に役に立ち得、そして患者に対するリスク評価にお
いて重要であり得る。これらのポリヌクレオチドはまた、非組織特異的マーカー
(例えば、腫瘍転移のリスクについての非組織特異的マーカー)としても使用さ
れ得る。以下の表は、試験された乳房、結腸、および肺のライブラリーにおいて
組織型特異性を伴わずに示差的に発現される、同定されたポリヌクレオチドにつ
いて要約する。
【0443】
【表18】 (実施例12:結腸特異的発現を示すポリヌクレオチド) 本明細書に記載されるcDNAライブラリーはまた、結腸細胞または組織にお
いて特異的に発現されるそれらのポリヌクレオチド(すなわち、結腸細胞系また
は組織から調製されたライブラリーにおいて同定され、乳房または肺起源のライ
ブラリーにおいては同定されないポリヌクレオチド)を同定するために分析され
た。結腸細胞系および/または結腸組織において発現されるが、本明細書に記載
される乳房または肺のcDNAライブラリーにおいて存在するポリヌクレオチド
を、表19に示す(後に記載)。
【0444】 上記の表中の結腸特異的ポリヌクレオチドに対応するクローンは、ライブラリ
ー3、4、8、9、12、13、14または15のいずれにも全く存在しなかっ
た。上記に提供されるポリヌクレオチドは、上記されるように、結腸起源の細胞
のマーカーとして使用され得、そして参照整列(アレイ)における特定の使用を
見出され得る。
【0445】 (実施例13:本発明のポリヌクレオチドを有する隣接配列の同定) 新規のポリヌクレオチドを、配列番号1〜2502の任意のポリヌクレオチド
が隣接配列の同定を促進するか否か(例えば、このポリヌクレオチドが、提供さ
れるポリヌクレオチドおよび他のDNA配列から構成されるより長い隣接配列の
産生を生じる別のDNA配列の5’伸長を生じる配列を提供するか)を決定する
ため、公に入手可能なデータベースおよび特許されたデータベースをスクリーニ
ングするために使用した。コンティグを、Wisconsin.大学のGCGの
Gelmerge application(デフォルト設定)を用いて実施し
た。
【0446】 これらのパラメーターを使用して、146のコンティグ配列を作製した。これ
らのコンティグ配列は配列番号5107〜5252として提供される(表1を参
照のこと)。このコンティグ配列は配列番号1〜2502の配列と関連され得、
ここでコンティグ配列は、例えば、表1において同じクローン名を共有する配列
番号1〜2502のこれらの配列および配列番号5107〜5252のコンティ
グ配列を同定することにより根拠付けられる。
【0447】 従って、コンティグ配列(配列番号5107〜5252)は、本発明のポリヌ
クレオチド配列を含むより長い配列を表した。次いで、コンティグ配列を配列番
号1〜2502および配列番号「2503〜5106」の確証配列について上記
されたように、BLASTプログラムを使用して個々の配列との最適整列を決定
するために、3つの全ての読み取り枠において翻訳した。再度、この配列を、実
施例1において上記されるように、低複雑性をマスクする(mask)ためのX
BLASTプログラムを使用してマスクした(表2)。いくつかのコンティグ配
列は、公知のタンパク質ファミリーに属するポリペプチド(従って、これらのタ
ンパク質ファミリーの新しいメンバーを代表する)および/または公知の機能ド
メインを含むポリペプチドの特性を有するポリペプチドをコードすることが見出
された(表20)。従って、本発明は本明細書で同定されたタンパク質ファミリ
ーおよび/または機能ドメインに関連する生物学的活性を保持するようなポリヌ
クレオチドのフラグメント、融合体、および変異体を含む。
【0448】
【表20】 示されるタンパク質ファミリーおよび機能的ドメインについてのプロフィール
の詳細は、上記の実施例3に提供される。
【0449】 当業者らは、慣用的な実験以上のことを使用せずして、本明細書に記載される
本発明の特定の実施態様に対する多くの等価物を認識し、または確認し得る。そ
のような特定の実施態様および等価物は上記の請求の範囲により含まれることが
意図される。
【0450】 本明細書中で引用される全ての刊行物および特許出願は、それぞれの個々の刊
行物または特許出願が、参照により特異的および個々に組み込まれることが示さ
れるように、本明細書中で参考として援用される。任意の刊行物の引用は、出願
日以前の開示についてであり、そして本発明が先願の効力によりそのような刊行
物の日付を早めるために権利を付与されないという認可として構築されるべきで
はない。
【0451】 前述の本発明は、理解の明確化の目的のため、例証および実施例として幾分詳
細に記載されているが、本発明の教示を考慮すれば、添付された請求項の意図ま
たは範囲から逸脱することなく、それに対する特定の変化および改変がなされ得
ることは、当業者に容易に明らかである。
【0452】 (寄託情報) 以下の材料はアメリカンタイプカルチャーコレクション(American
Type Culture Collection)に寄託された:CMCC=
(カイロンマスター培養コレクション)
【0453】
【表26】 さらに、選択されたクローンのライブラリーを寄託した。これらの寄託物の詳
細は表21〜24に提供される。
【0454】 この寄託は、単に当業者への利便性として提供され、これは米国特許法第11
2条の下で必要とされる寄託の承認ではない。寄託された材料内に含まれるポリ
ヌクレオチドの配列、およびそれらにコードされるポリペプチドのアミノ酸配列
は、本明細書中で参考として援用され、そして本明細書における配列の明細とな
んらかのコンフリクトとなった場合に規制されている。寄託された材料を作製、
使用、または販売するためには認可が必要であり得、そしてそのような認可はこ
こで譲渡されない。
【0455】 (プールされたクローン寄託物由来の個々のクローンの回収) ATCC寄託物がcDNAクローンのプールから構成される場合、寄託物は、
まず各クローンを別の細菌細胞中にトランスフェクトすることにより調製された
。次いで、このクローンは、複合性の寄託物中に同じ割合の混合物のプールとし
て寄託された。特定のクローンは、当該分野において周知の方法を使用して、複
合性寄託物から得られ得る。例えば、特定のクローンを含有する細菌細胞は、シ
ングルコロニーを単離すること、およびそのクローン挿入物の配列に特異的にハ
イブリダイズするように設計されたオリゴヌクレオチドプローブ(例えば、指示
される配列番号を有する、コードするポリヌクレオチドのマスクされない(un
masked)配列に基づくプローブ)を使用する、標準的なコロニーハイブリ
ダイゼーション技術を通して特定のクローンを含むコロニーを同定することによ
り同定され得る。このプローブは約80℃(各AまたはTについて2℃、および
各GまたはCについて4℃を想定する)のTmを有するように設計されるべきで
ある。次いで、陽性コロニーは、選び出され得、培養で増殖され得、そして組み
替えクローンが単離され得る。あるいは、この様式において設計されたプローブ
は、当該分野で周知の方法(例えば、寄託された培養プールからcDNAを精製
すること、および所望のポリヌクレオチド配列の対応物を有する増幅された産物
を産生するために、PCR反応においてプローブを使用することによる)に従っ
てプールされたクローンから核酸分子を単離するために、PCRに使用され得る
【0456】
【表1】
【0457】
【表2】
【0458】
【表3】
【表19】
【表21】
【表22】
【表23】
【表24】
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/15 C12N 1/21 1/19 C12Q 1/68 1/21 C12N 15/00 ZNAA 5/10 5/00 A C12Q 1/68 F (31)優先権主張番号 60/080,114 (32)優先日 平成10年3月31日(1998.3.31) (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 60/080,515 (32)優先日 平成10年4月3日(1998.4.3) (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 60/080,666 (32)優先日 平成10年4月3日(1998.4.3) (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 60/105,234 (32)優先日 平成10年10月21日(1998.10.21) (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 60/105,877 (32)優先日 平成10年10月28日(1998.10.28) (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM ,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE, KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,L T,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX ,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE, SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,U A,UG,US,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 エスコベド, ジェイム アメリカ合衆国 カリフォルニア 94507, アラモ, ラボーナ ロード 1470 (72)発明者 イニス, マイケル エイ. アメリカ合衆国 カリフォルニア 94556, モラガ, コンスタンス プレイス 315 (72)発明者 ガルシア, パブロ ドミンゲズ アメリカ合衆国 カリフォルニア 94131, サン フランシスコ, チェネリー ス トリート 882 (72)発明者 サデュス−クリンガー, ジュリー アメリカ合衆国 カリフォルニア 94707, ケンジントン, レクシントン ロード 280 (72)発明者 レインハード, クリストフ アメリカ合衆国 カリフォルニア 94501, アラメダ, クリントン アベニュー 1633 (72)発明者 ギース, クラウス アメリカ合衆国 カリフォルニア 94107, サン フランシスコ, キャロライナ ストリート 1009 (72)発明者 ランダッゾ, フィリッポ アメリカ合衆国 カリフォルニア 94608, エミリービル, クリスティー アベニ ュー ナンバー2511 6363 (72)発明者 ケネディ, ギリア シー. アメリカ合衆国 カリフォルニア 94116, サン フランシスコ, カステナダ ア ベニュー 360 (72)発明者 ポット, デイビッド アメリカ合衆国 カリフォルニア 94112, サン フランシスコ, フィフス アベ ニュー ナンバー102 1565 (72)発明者 カッサム, アルタフ アメリカ合衆国 カリフォルニア 94602, オークランド, ハロルド ストリート 2659 (72)発明者 ラムソン, ジョージ アメリカ合衆国 カリフォルニア 94556, モラガ, サンドリンガム ドライブ 232 (72)発明者 ドラマナク, ラドージェ アメリカ合衆国 カリフォルニア 94303, パロ アルト, イースト グリニッチ プレイス 850 (72)発明者 クルクベンジャコフ, ラドマイア アメリカ合衆国 カリフォルニア 94068, サニーベール, ハバーヒル ドライブ 762 (72)発明者 ディクソン, マーク アメリカ合衆国 カリフォルニア 95025, ホリスター, ガビラン ドライブ ナ ンバービー 1411 (72)発明者 ドラマナク, スネザーナ アメリカ合衆国 カリフォルニア 94303, パロ アルト, イースト グリニッチ プレイス 850 (72)発明者 ラバット, イバン アメリカ合衆国 カリフォルニア 94086, サニーベール, アカラネス ドライブ 140 (72)発明者 レシュコウィッツ, デナ アメリカ合衆国 カリフォルニア 94087, サニーベール, ダーシャー ウェイ 678 (72)発明者 キタ, デイビッド アメリカ合衆国 カリフォルニア 94404, フォスター シティ, バウンティ ド ライブ 899 (72)発明者 ガルシア, ベロニカ アメリカ合衆国 カリフォルニア 94086, サニーベール, アパートメント 412, アノ ヌーボ 396 (72)発明者 ジョーンズ, リー ウイリアム アメリカ合衆国 カリフォルニア 94086, サニーベール, アパートメント 412, アノ ヌーボ 396 (72)発明者 スターシェ−クライン, バージット アメリカ合衆国 カリフォルニア 94086, サニーベール, サウス メアリー ア ベニュー 345 Fターム(参考) 4B024 AA11 BA80 CA04 DA01 DA02 DA05 DA11 EA04 GA11 4B063 QA01 QA13 QA18 QQ02 QQ42 QQ53 QR55 QS34 4B065 AA01X AA57X AA87X AA93Y AB01 AC14 BA02 CA24 CA44 CA46 4H045 AA10 AA11 BA10 CA40 DA76 EA20 EA50

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリヌクレオチドのライブラリーであって、配列番号1〜3
    544、3546〜4510、4512〜4725、4727〜4748、およ
    び4750〜5252の少なくとも1つの配列情報を含む、ライブラリー。
  2. 【請求項2】 前記ライブラリーが、核酸アレイ上に提供される、請求項1
    に記載のライブラリー。
  3. 【請求項3】 前記ライブラリーが、コンピューター読み出し可能フォーマ
    ットで提供される、請求項1に記載のライブラリー。
  4. 【請求項4】 前記ライブラリーが、配列番号65、174、203、25
    2、253、387、419、420、491、552、560、581、59
    0、648、693、726、746、990、1095、1124、1205
    、1354、1387、1780、1899、1915、1979、2007、
    2024、2245、および2325からなる群から選択される配列を含む示差
    発現されるポリヌクレオチドを含む、請求項1に記載のライブラリー。
  5. 【請求項5】 前記ライブラリーが、ヒト乳ガン細胞において示差発現され
    るポリヌクレオチドを含み、該ポリヌクレオチドは、配列番号15、36、44
    、45、89、146、154、159、165、174、172、183、2
    03、261、364、366、387、419、420、496、503、5
    10、512、529、552、560、564、570、590、606、6
    44、646、693、707、711、726、746、754、756、8
    75、902、921、942、990、1095、1104、1122、11
    31、1142、1170、1184、1205、1286、1289、135
    4、1387、1435、1535、1751、1764、1777、1795
    、1860、1869、1882、1890、1915、1933、1934、
    1979、1980、2007、2023、2040、2059、2223、2
    245、2300、2325、2409、2462、2486、2488、およ
    び2492からなる群から選択される配列を含む、請求項1に記載のライブラリ
    ー。
  6. 【請求項6】 前記ライブラリーが、ヒト結腸ガン細胞において示差発現さ
    れるポリヌクレオチドを含み、該ポリヌクレオチドは、配列番号33、65、2
    28、250、252、253、280、282、355、370、387、4
    43、460、491、545、560、581、603、680、693、7
    03、704、716、726、746、752、753、1095、1104
    、1205、1241、1264、1354、1387、1401、1442、
    1514、1734、1742、1780、1851、1899、1915、1
    954、2024、2066、2262、および2325からなる群から選択さ
    れる配列を含む、請求項1に記載のライブラリー。
  7. 【請求項7】 前記ライブラリーが、ヒト肺ガン細胞において示差発現され
    るポリヌクレオチドを含み、該ポリヌクレオチドは、配列番号10、54、65
    、171、174、203、252、253、254、285、419、420
    、466、491、525、526、552、571、574、590、693
    、700、726、742、746、861、990、922、1088、12
    88、1355、1417、1422、1444、1454、1570、159
    7、1979、2007、2024、2034、2038、2126、および2
    245からなる群から選択される配列を含む、請求項1に記載のライブラリー。
  8. 【請求項8】 前記ライブラリーが、ヒトガン細胞において示差発現される
    ポリヌクレオチドを含み、該ポリヌクレオチドは、配列番号648および189
    9からなる群より選択される配列を含む、請求項1に記載のライブラリー。
  9. 【請求項9】 配列番号1〜3544、3546〜4510、4512〜4
    725、4727〜4748、および4750〜5252またはそれらの縮重改
    変体もしくはフラグメントの同定する配列と、少なくとも90%の配列同一性を
    有するヌクレオチド配列を含む、単離されたポリヌクレオチド。
  10. 【請求項10】 前記ポリヌクレオチドが、配列番号2503、2504、
    2550、2555、2578、2656、2667、2712、2723、2
    728、2738、2734、2754、2758、2760、2832、28
    35、2842、2843、2849、2893、2933、2956、297
    1、2981、3009、3018、3019、3046、3084、3190
    、3129、3173、3226、3227、3274、3290、3356、
    3365、3377、3381、3390、3391、3404、3407、3
    408、3409、3418、3419、3451、3597、3600、36
    18、3632、3635、3646、3648、3657、3665、366
    9、3670、3671、3656、3680、3686、3695、3696
    、3700、3710、3736、3762、3763、3774、3775、
    3791、3804、3806、3836、3895、3905、3919、3
    920、3927、3936、3951、3974、3998、4036、40
    38、4044、4056、4072、4117、4119、4152、415
    3、4154、4172、4175、4159、4175、4205、4216
    、4223、4228、4238、4241、4243、4251、4253、
    4261、4263、4278、4288、4322、4330、4343、4
    359、4363、4364、4365、4373、4375、4384、43
    85、4406、4409、4431、4434、4441、4442、444
    4、4455、4469、4473、4477、4482、4489、4495
    、4496、4498、4525、4535、4536、4540、4560、
    4616、4562、4586、4605、4629、4653、4654、4
    658、4659、4660、4661、4664、4665、4668、46
    84、4682、4688、4689、4710、4718、4733、472
    4、4733、4746、4755、4760、4710、4777、4785
    、4792、4794、4801、4807、4821、4822、4847、
    4850、4854、4856、4866、4885、4900、4901、4
    905、4914、4925、4929、4931、4943、4944、49
    59、5111、5020、5041、5046、5059、5083、509
    0、5094、5102、5125、5174、5197、5208、5217
    、5237、5239、5241、5243、5248、および5252の1つ
    の配列を含む、請求項9に記載のポリヌクレオチド。
  11. 【請求項11】 請求項9に記載のポリヌクレオチドを含む、組換え宿主細
    胞。
  12. 【請求項12】 請求項9に記載のポリヌクレオチドによってコードされる
    、単離したポリペプチド。
  13. 【請求項13】 請求項12に記載のポリぺプチドに特異的に結合する、抗
    体。
  14. 【請求項14】 請求項9に記載のヌクレオチドを含む、ベクター。
  15. 【請求項15】 ATCC受託番号xx、xx、xx、xx、xx、xx、
    xx、xx、またはxxとして寄託されたクローンに含まれるヌクレオチドの挿
    入配列を含む、ポリヌクレオチド。
  16. 【請求項16】 哺乳動物細胞のガン性状態に関連して示差発現された遺
    伝子を検出する方法であって、該方法は以下の工程: ガン化していると推定される細胞に由来する試験サンプルにおいて示差発現さ
    れた遺伝子産物の少なくとも1つを検出する工程であって、ここで該遺伝子産物
    は、配列番号10、15、33、36、44、45、54、65、89、146
    、154、159、165、171、172、174、183、203、228
    、250、252、253、254、261、280、282、285、355
    、364、366、370、387、419、420、443、460、466
    、491、496、503、510、512、525、526、529、545
    、552、560、564、570、571、574、581、590、603
    、606、644、646、648、680、693、700、703、704
    、707、711、716、726、742、746、752、753、754
    、756、861、875、902、921、922、942、990、108
    8、1095、1104、1122、1131、1142、1170、1184
    、1205、1286、1288、1289、1354、1355、1387、
    1417、1435、1444、1454、1535、1570、1597、1
    734、1742、1751、1764、1777、1780、1795、18
    60、1869、1882、1890、1899、1915、1933、193
    4、1954、1979、1980、2007、2023、2024、2034
    、2040、2059、2126、2223、2245、2262、2300、
    2325、2409、2486、2462、2488、2492、1241、1
    264、1401、1422、1442、1514、1851、1915、20
    07、2024、2038、2066、および2245の少なくとも1つの配列
    に対応する遺伝子によってコードされ; ここで該示差発現された遺伝子産物の検出は、試験サンプルが由来する細胞の
    ガン性状態に関連される、工程、 を包含する、方法。
  17. 【請求項17】 前記検出工程は、参照アレイに対する試験サンプルのハイ
    ブリダイゼーションによっており、該参照アレイが、配列番号65、174、2
    03、252、253、387、419、420、491、552、560、5
    81、590、648、693、726、746、990、1095、1124
    、1205、1354、1387、1780、1899、1915、1979、
    2007、2024、2325、および2245の少なくとも1つの同定する配
    列を含む、請求項16に記載の方法。
  18. 【請求項18】 前記細胞が、胸部組織に由来する細胞であって、前記示差
    発現された遺伝子産物が、配列番号36、44、45、89、146、154、
    159、165、172、174、183、203、261、364、366、
    387、419、420、496、503、510、512、529、552、
    560、564、570、590、606、644、646、693、707、
    711、726、746、754、756、875、902、921、942、
    990、1095、1104、1122、1131、1142、1170、11
    84、1205、1286、1289、1354、1387、1435、153
    5、1751、1764、1777、1795、1860、1869、1882
    、1890、1915、1933、1934、1979、1980、2007、
    2023、2040、2059、2223、2245、2300、2325、2
    409、2462、2486、2488、および2492の少なくとも1つの配
    列に対応する遺伝子によってコードされる、請求項16に記載の方法。
  19. 【請求項19】 前記細胞が、結腸組織に由来する細胞であって、前記示差
    発現された遺伝子産物が、配列番号33、65、228、250、252、25
    3、280、282、355、370、387、443、460、491、54
    5、560、581、603、680、693、703、704、716、72
    6、746、752、753、1095、1104、1205、1241、12
    64、1354、1387、1401、1442、1514、1734、174
    2、1780、1851、1899、1915、1954、2024、2066
    、2262、および2325の少なくとも1つの配列に対応する遺伝子によって
    コードされる、請求項16に記載の方法。
  20. 【請求項20】 前記細胞が、胚組織に由来する細胞であって、前記示差発
    現された遺伝子産物が、配列番号10、54、65、171、174、203、
    252、253、254、285、419、420、466、491、525、
    526、552、571、574、590、693、700、726、742、
    746、861、922、990、1088、1288、1355、1417、
    1422、1444、1454、1570、1597、1979、2007、2
    024、2034、2038、2126、および2245の少なくとも1つの配
    列に対応する遺伝子によってコードされる、請求項16記載の方法。
  21. 【請求項21】 前記示差発現された遺伝子産物が、配列番号648および
    1899の少なくとも1つの配列に対応する遺伝子によってコードされる、請求
    項16に記載の方法。
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US60/080,666 1998-10-28
US60/075,954 1998-10-28
US60/072,910 1998-10-28
US60/080,114 1998-10-28
US60/105,234 1998-12-21
US60/105,877 1998-12-21
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