JP2004512023A - 結腸癌の治療および診断のための組成物および方法 - Google Patents

結腸癌の治療および診断のための組成物および方法 Download PDF

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クラッパー, ジョナサン ディー.
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セクリスト, ヘザー
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コリクサ コーポレイション
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Abstract

癌(例えば、結腸癌)の治療および診断のための組成物および方法が開示される。組成物は、1つ以上の結腸腫瘍タンパク質、その免疫原性部分、またはこのような部分をコードするポリヌクレオチドを含み得る。あるいは、治療組成物は、結腸腫瘍タンパク質を発現する抗原提示細胞、またはこのようなタンパク質を発現する細胞に特異的なT細胞を含み得る。このような組成物は、例えば、結腸癌のような疾患の予防および処置に用いられ得る。結腸腫瘍タンパク質、またはこのようなタンパク質をコードするmRNAをサンプル中で検出することに基づく診断方法もまた提供される。

Description

【0001】
(発明の技術分野)
本発明は概して、癌(例えば、結腸癌)の治療および診断に関する。本発明は、より詳細には、結腸腫瘍タンパク質の少なくとも一部を含むポリペプチド、およびこのようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに関する。このようなポリペプチドおよびポリヌクレオチドは、結腸悪性腫瘍の予防および処置のための、ならびにこのような癌の診断およびモニタリングのためのワクチンおよび薬学的組成物において用いられ得る。
【0002】
(発明の背景)
癌は、世界中で、重大な健康問題である。癌の検出および治療において、進歩が成されてきたが、現在利用可能な、予防または処置のためのワクチンも他の普遍的に首尾よい方法もない。一般的に化学療法または手術および放射線療法の組み合わせに基づく現在の治療法は、多くの患者において不十分であることが証明され続けている。
【0003】
結腸癌は、米国において二番目に高頻度に診断される悪性疾患であり、そして癌死の二番目に一般的な原因である。早期局在段階で検出された結腸直腸癌を有する患者での5年生存率は、92%である;不幸にも、この段階で診断されるのは、結腸直腸癌の37%に過ぎない。癌が隣接する器官またはリンパ節に伝播される場合、生存率は64%に低下し、そして遠隔転移を有する患者では7%に低下する。
【0004】
結腸癌の診断は、腸壁を通じた腫瘍の浸透の程度、および結節関与の存在または非存在に直接関し、結果として早期検出および処置が特に重要である。現在、診断は、便潜血検査、S状結腸鏡検査、結腸内視鏡検査、およびバリウム浣腸二重造影に関するスクリーニングアッセイの使用によって補助される。処置レジメンは、癌のタイプおよび段階によって決定され、そして手術、放射線療法、および/または化学療法を含む。手術(治療の最も一般的な形態)後の再発は、主な問題であり、そしてしばしば死亡の最終原因である。
【0005】
これらの癌および他の癌のための治療におけるかなりの探索にもかかわらず、結腸癌は、効果的に診断および処置することが困難なままである。従って、このような癌を検出および処置するための改善された方法の必要性が当該分野において存在する。本発明は、これらの必要性を満たし、さらに他の関係する利点を提供する。
【0006】
(発明の要旨)
1つの局面において、本発明はポリヌクレオチド組成物を提供し、このポリヌクレオチド組成物は、以下:
(a)配列番号1〜234、236、および244に提供される配列;
(b)配列番号1〜234、236、および244に提供される配列の相補体;
(c)配列番号1〜234、236、および244に提供される配列の少なくとも20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、75個および100個連続する残基からなる配列;
(d)配列番号1〜234、236、および244に提供される配列に中程度にストリンジェントな条件または高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列;
(e)配列番号1〜234、236、および244の配列に少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する配列;ならびに
(f)配列番号1〜234、236、および244に提供される配列の縮重改変体、
からなる群より選択される配列を含む。
【0007】
1つの好ましい実施形態において、本発明のポリヌクレオチド組成物は、試験された結腸癌サンプルの少なくとも約20%において、より好ましくは少なくとも約30%において、そして最も好ましくは少なくとも約50%において、正常組織のレベルの少なくとも約2倍、好ましくは少なくとも約5倍、そして最も好ましくは少なくとも約10倍の高いレベルで、発現される。
【0008】
本発明は、別の局面において、上記のポリヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド組成物を提供する。
【0009】
本発明はさらに、配列番号235、237、および245に示される配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチド組成物を提供する。
【0010】
特定の好ましい実施形態において、本発明のポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドは、本明細書中にさらに記載されるように、免疫原性である。すなわち、これらは、免疫応答(特に、体液性および/または細胞性免疫応答)を誘発し得る。
【0011】
本発明はさらに、開示されたポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチド配列のフラグメント、改変体および/または誘導体を提供し、ここで、フラグメント、改変体および/または誘導体は、好ましくは、配列番号235、237、および245に示されるポリペプチド配列、または配列番号1〜234、236、および244に示されるポリヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド配列の少なくとも約50%免疫原性活性のレベル、好ましくは少なくとも約70%そしてより好ましくは少なくとも約90%の免疫原性活性のレベルを有する。
【0012】
本発明はさらに、上記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、このようなポリヌクレオチドを含む発現ベクター、およびこのような発現ベクターで形質転換されたかまたはトランスフェクトされた宿主細胞を提供する。
【0013】
他の局面において、本発明は、上記のようなポリペプチドまたはポリヌクレオチドおよび生理学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物を提供する。
【0014】
本発明の関連した局面において、薬学的組成物(例えば、ワクチン組成物)が、予防適用または治療適用のために提供される。このような組成物は、一般に、本発明の免疫原性ポリペプチドまたはポリヌクレオチドおよび免疫刺激剤(例えば、アジュバント)を含む。
【0015】
本発明はさらに、以下を含む薬学的組成物を提供する:(a)本発明のポリペプチドまたはそれらのフラグメントに特異的に結合する抗体もしくはその抗原結合フラグメント;および(b)生理学的に受容可能なキャリア。
【0016】
さらなる局面において、本発明は、以下を含む薬学的組成物を提供する:(a)上記のようなポリペプチドを発現する抗原提示細胞および(b)薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤。例示的な抗原提示細胞としては、樹状細胞、マクロファージ、単球、線維芽細胞およびB細胞が挙げられる。
【0017】
関連した局面において、以下を含む薬学的組成物が提供される:(a)上記のようなポリペプチドを発現する抗原提示細胞および(b)免疫刺激剤。
【0018】
本発明はさらに、他の局面において、代表的に、生理学的に受容可能なキャリアおよび/または免疫刺激剤を含む薬学的組成物(例えば、ワクチン組成物)の形態で、上記のような少なくとも1つのポリペプチドを含む融合タンパク質、ならびにこのような融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを提供する。この融合タンパク質は、本明細書に記載される、複数の免疫原性ポリペプチドまたはその部分/改変体を含み得、そしてポリペプチドの発現、精製および/または免疫原性を促進する1つ以上のポリペプチドセグメントをさらに含み得る。
【0019】
さらなる局面において、本発明は、患者における免疫応答(好ましくは、ヒト患者におけるT細胞応答)を刺激するための方法を提供し、この方法は、本明細書中に記載された薬学的組成物を投与する工程を包含する。患者が、結腸癌に冒され得る場合、この方法が疾患の処置を提供するか、またはこのような疾患についての危険性が考えられる患者は、予防的に処置され得る。
【0020】
さらなる局面において、本発明は、患者における癌の発生を阻害するための方法を提供し、この方法は、上記のような薬学的組成物を患者に投与する工程を包含する。患者が、結腸癌に冒され得る場合、この方法が疾患の処置を提供するか、またはこのような疾患についての危険性が考えられる患者は、予防的に処置され得る。
【0021】
本発明は、他の局面において、生物学的サンプルから腫瘍細胞を除去する方法をさらに提供する。この方法は、生物学的サンプルと、本発明のポリペプチドと特異的に反応するT細胞とを接触させる工程を包含し、ここで、この接触させる工程は、このサンプルからのこのタンパク質を発現する細胞の除去を可能にするための条件下および十分な時間で実施される。
【0022】
関連する局面において、患者における癌の発達を阻害するための方法が提供される。この方法は、上記のように処理された生物学的サンプルを患者に投与する工程を包含する。
【0023】
他の局面において、本発明のポリペプチドに特異的なT細胞を刺激するか、そして/または、これらを増大する方法がさらに提供される。これらの方法は、T細胞の刺激および/または増大を可能にするための条件下および十分な時間で、以下の1つ以上とT細胞とを接触させる工程を包含する:(i)上記のようなポリペプチド;(ii)このようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;および/または(iii)このようなポリペプチドを発現する抗原提示細胞。上記のように調製されたT細胞を含む単離されたT細胞集団がまた、提供される。
【0024】
さらなる局面において、本発明は、患者における癌の発達を阻害する方法を提供する。この方法は、上記のように有効量のT細胞集団を患者に投与する工程を包含する。
【0025】
本発明はさらに、患者における癌の発生(発達)を阻害する方法を提供する。この方法は、以下の工程を包含する:(a)以下の1つ以上と、患者から単離したCD4T細胞および/またはCD8T細胞とをインキュベートする工程:(i)本明細書中で開示されたポリペプチドの少なくとも1つの免疫原性部位を含むポリペプチド;(ii)このようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;および(iii)このようなポリペプチドを発現した抗原提示細胞;ならびに(b)有効量の増殖したT細胞を患者に投与し、それによって、患者における癌の発生を阻害する工程。増殖した細胞は、患者への投与前にクローン化され得るが、必ずしもクローン化するに及ばない。
【0026】
さらなる局面において、本発明は、患者において癌(好ましくは結腸癌)の存在または非存在を決定するための方法を提供する。この方法は、以下を包含する:(a)患者から得た生物学的サンプルと、上に列挙したポリペプチドに結合する結合因子とを接触させる工程;(b)サンプル中で、この結合因子に結合するポリペプチドの量を検出する工程;および(c)このポリペプチドの量と事前に決定していたカットオフ値とを比較し、それによって患者における癌の存在または非存在を決定する工程。好ましい実施形態において、この結合因子は、抗体であり、より好ましくはモノクロナール抗体である。
【0027】
他の局面において、本発明はまた、患者における癌の進行をモニタリングする方法を提供する。このような方法は、以下の工程を包含する:(a)最初の時点で患者から得た生物学的サンプルと上に列挙したポリペプチドプチドに結合する結合因子とを接触させる工程;(b)サンプルにおいて、この結合因子に結合するポリペプチドの量を検出する工程;(c)次の時点において、患者から得られた生物学的サンプルを使用し、工程(a)および工程(b)を反復する工程;ならびに(d)工程(c)において検出されたポリペプチドの量を工程(b)において検出された量と比較し、それらによって、患者における癌の進行をモニタリングする工程。
【0028】
他の局面において、本発明は、患者における癌の存在または非存在を決定するための方法をさらに提供する。この方法は以下の工程を包含する:(a)患者から得られた生物学的サンプル(例えば、腫瘍サンプル、血清サンプル)と、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズするオリゴヌクレオチドとを接触させる工程;(b)そのサンプルにおいて、そのオリゴヌクレオチドとハイブリダイズするポリヌクレオチド、好ましくはmRNAのレベルを検出する工程;ならびに(c)そのオリゴヌクレオチドとハイブリダイズするポリヌクレオチドのレベルと事前に決定されたカットオフ値とを比較して、それによって患者の癌の存在または非存在を検出する工程。特定の実施形態において、mRNAの量は、例えば、上記に列挙されるようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチドまたはそのようなポリヌクレオチドの相補体とハイブリダイズする、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーを使用するポリメラーゼ連鎖反応によって検出される。他の実施形態において、mRNAの量は、上記に列挙されるようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチドまたはそのようなポリヌクレオチドの相補体とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブを使用する、ハイブリダイゼーション技術を使用して検出される。
【0029】
関連する局面において、患者における癌の進行をモニタリングする方法が、提供され、その方法は以下の工程を包含する:(a)患者から得られた生物学的サンプルと、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズするオリゴヌクレオチドとを接触させる工程;(b)そのサンプルにおいて、そのオリゴヌクレオチドとハイブリダイズするポリヌクレオチドの量を検出する工程;(c)次の時点において、患者から得られた生物学的サンプルを使用し、工程(a)および工程(b)を反復する工程;ならびに(d)(c)において検出されたポリヌクレオチドの量を工程(b)において検出された量と比較し、それらによって、患者における癌の進行ををモニタリングする工程。
【0030】
さらなる局面において、本発明は、上記のようなポリペプチドに結合する抗体(例えば、モノクロナール抗体)ならびにこのような抗体を含む診断キットを提供する。上記のような1つ以上のオリゴヌレクオチドプローブまたはオリゴヌレクオチドプライマーを含む診断キットがまた、提供される。
【0031】
本発明のこれらの局面および他の局面は、以下の詳細な説明を参照することによって明らかになる。本明細書中で開示される全ての参考文献は、各々が個々に援用されるがごとく参考としてその全体が本明細書によって援用される。
【0032】
(配列識別子の簡単な説明)
配列番号1は、54172.1について決定されたcDNA配列である。
【0033】
配列番号2は、Xq21.1染色体上のPAC 75N13と相同性を共有する54104.1について決定されたcDNA配列である。
【0034】
配列番号3は、グルタミン:フルクトース−6リン酸アミドトランスフェラーゼと相同性を共有する53978.1について決定されたcDNA配列である。
【0035】
配列番号4は、とColon Kruppel様因子と相同性を共有する54184.1について決定されたcDNA配列である。
【0036】
配列番号5は、cDNA FLJ10461 fis、クローンNT2RP1001482と相同性を共有する54149.1について決定されたcDNA配列である。
【0037】
配列番号6は、54034.1について決定されたcDNA配列である。
【0038】
配列番号7は、ヒトβ2遺伝子と相同性を共有する54085.1について決定されたcDNA配列である。
【0039】
配列番号8は、BAC RPCl11−267J23と相同性を共有する53948.1について決定されたcDNA配列である。
【0040】
配列番号9は、X2q21.33−23上のクローン164F3と相同性を共有する54026.1について決定されたcDNA配列である。
【0041】
配列番号10は、Lysylヒドロキシラーゼアイソフォーム2と相同性を共有する53907.1について決定されたcDNA配列である。
【0042】
配列番号11は、Mucin11と相同性を共有する54066.1について決定されたcDNA配列である。
【0043】
配列番号12は、Mucin11と相同性を共有する54017.1について決定されたcDNA配列である。
【0044】
配列番号13は、Mucin11と相同性を共有する54006.1について決定されたcDNA配列である。
【0045】
配列番号14は、Epiregulin(EGFファミリー)と相同性を共有する53962.1について決定されたcDNA配列である。
【0046】
配列番号15は、Mucin12と相同性を共有する54028.1について決定されたcDNA配列である。
【0047】
配列番号16は、E1Aエンハンサー結合タンパク質と相同性を共有する54166.1について決定されたcDNA配列である。
【0048】
配列番号17は、7p15−p21由来のPACクローンRP1−170O19と相同性を共有する54174.1について決定されたcDNA配列である。
【0049】
配列番号18は、53949.1について決定されたcDNA配列である。
【0050】
配列番号19は、53898.1について決定されたcDNA配列である。
【0051】
配列番号20は、54069.1について決定されたcDNA配列である。
【0052】
配列番号21は、cDNA FLJ20676 fis、クローンKAlA4294と相同性を共有する54048.1について決定されたcDNA配列である。
【0053】
配列番号22は、第17染色体、クローンhRPC.1171_l_10と相同性を共有する54031.1について決定されたcDNA配列である。
【0054】
配列番号23は、αトポイソメラーゼ短縮型と相同性を共有する54154.1について決定されたcDNA配列である。
【0055】
配列番号24は、サイトケラチン(Cytokeratin)20と相同性を共有する54009.1について決定されたcDNA配列である。
【0056】
配列番号25は、赤芽球症(Erythroblastosis)ウイルス癌遺伝子ホモログ2と相同性を共有する54070.1について決定されたcDNA配列である。
【0057】
配列番号26は、ポリアデニル結合タンパク質IIと相同性を共有する53998.1について決定されたcDNA配列である。
【0058】
配列番号27は、54089.1について決定されたcDNA配列である。
【0059】
配列番号28は、トランスフォーミング成長因子β誘導性遺伝子産物と相同性を共有する54182.1について決定されたcDNA配列である。
【0060】
配列番号29は、GDP−マンノース4,6−デヒドラターゼと相同性を共有する53989.1について決定されたcDNA配列である。
【0061】
配列番号30は、54181.1について決定されたcDNA配列である。
【0062】
配列番号31は、Xq21.1染色体上のPAC75N13と相同性を共有する54079.1について決定されたcDNA配列である。
【0063】
配列番号32は、Musフォークヘッド(fork head)転写因子遺伝子と相同性を共有する54114.1について決定されたcDNA配列である。
【0064】
配列番号33は、Xq22染色体上のクローン146H21と相同性を共有する54160.1について決定されたcDNA配列である。
【0065】
配列番号34は、グルタミン:フルクトース−6−リン酸アミドトランフフェラーゼと相同性を共有する54168.1について決定されたcDNA配列である。
【0066】
配列番号35は、染色体Xq21.1上のPAC 75N13と相同性を共有する54078.1について決定されたcDNA配列である。
【0067】
配列番号36は、腸ペプチド関連トランスポーターHPT−1と相同性を共有する53900.1について決定されたcDNA配列である。
【0068】
配列番号37は、54147.1について決定されたcDNA配列である。
【0069】
配列番号38は、ヒトプロテイナーゼ活性化レセプター2と相同性を共有する54033.1について決定されたcDNA配列である。
【0070】
配列番号39は、GalNAc−T3と相同性を共有する53908.1について決定されたcDNA配列である。
【0071】
配列番号40は、54022.1について決定されたcDNA配列である。
【0072】
配列番号41は、Constitutive fragile(構成性脆弱)配列と相同性を共有する54039.1について決定されたcDNA配列である。
【0073】
配列番号42は、CD24シグナルトランスデューサ遺伝子と相同性を共有する54037.1について決定されたcDNA配列である。
【0074】
配列番号43は、ヒトc−myb遺伝子と相同性を共有する54129.1について決定されたcDNA配列である。
【0075】
配列番号44は、ピロリン−t−カルボキシラーゼシンターゼ長型と相同性を共有する54054.1について決定されたcDNA配列である。
【0076】
配列番号45は、ヒトジンクフィンガータンパク質ZNF−139と相同性を共有する54055.1について決定されたcDNA配列である。
【0077】
配列番号46は、膜補因子タンパク質の遺伝子と相同性を共有する54046.1について決定されたcDNA配列である。
【0078】
配列番号47は、Colon(結腸)Kruppel様因子と相同性を共有する54047.1について決定されたcDNA配列である。
【0079】
配列番号48は、ヒトキャッピングタンパク質αサブユニットアイソフォーム1と相同性を共有する54040.1について決定されたcDNA配列である。
【0080】
配列番号49は、Igλ鎖と相同性を共有する54035.1について決定されたcDNA配列である。
【0081】
配列番号50は、タンパク質チロシンキナーゼと相同性を共有する54130.1について決定されたcDNA配列である。
【0082】
配列番号51は、cDNA FLJ10610fis、クローンNT2RP2005293と相同性を共有する54045.1について決定されたcDNA配列である。
【0083】
配列番号52は、ヒト微小管関連タンパク質7と相同性を共有する54052.1について決定されたcDNA配列である。
【0084】
配列番号53は、ヒト網膜芽細胞腫感受性タンパク質と相同性を共有する54050.1について決定されたcDNA配列である。
【0085】
配列番号54は、ヒト細網カルビン(reticulocalbin)と相同性を共有する54051.1について決定されたcDNA配列である。
【0086】
配列番号55は、翻訳開始因子e1F3 p36サブユニットと相同性を共有する54178.1について決定されたcDNA配列である。
【0087】
配列番号56は、ヒトアプリンエンドヌクレアーゼ/アピリミジンエンドヌクレアーゼと相同性を共有する54148.1について決定されたcDNA配列である。
【0088】
配列番号57は、54058.1について決定されたcDNA配列である。
【0089】
配列番号58は、ヒト内在性膜貫通タンパク質1(Human integral transmembrane protein 1)と相同性を共有する54059.1について決定されたcDNA配列である。
【0090】
配列番号59は、ヒトセリンキナーゼと相同性を共有する54126.1について決定されたcDNA配列である。
【0091】
配列番号60は、ヒトCG1−44タンパク質と相同性を共有する54127.1について決定されたcDNA配列である。
【0092】
配列番号61は、HADH/NADPH甲状腺オキシダーゼp138−toxタンパク質と相同性を共有する54049.1について決定されたcDNA配列である。
【0093】
配列番号62は、ヒトペプチドトランスポーター(TAP1)タンパク質と相同性を共有する54056.1について決定されたcDNA配列である。
【0094】
配列番号63は、1p32.1−34.3染色体上のクローンRP1−39G22と相同性を共有する54064.1について決定されたcDNA配列である。
【0095】
配列番号64は、クローントランスフォーミング成長因子β誘導性遺伝子産物と相同性を共有する54124.1について決定されたcDNA配列である。
【0096】
配列番号65は、54063.1について決定されたcDNA配列である。
【0097】
配列番号66は、サイトケラチン8と相同性を共有する54141.1について決定されたcDNA配列である。
【0098】
配列番号67は、ヒトコートタンパク質γ−copと相同性を共有する54119.1について決定されたcDNA配列である。
【0099】
配列番号68は、Bumetanide−sensitive(ブメタニド感受性)Na−K−Clコトランスポーターと相同性を共有する54111.1について決定されたcDNA配列である。
【0100】
配列番号69は、cDNA FLJ10969 fis、クローンPLACE1000909と相同性を共有する54121.1について決定されたcDNA配列である。
【0101】
配列番号70は、BACクローン215O12と相同性を共有する54065.1について決定されたcDNA配列である。
【0102】
配列番号71は、Autoantigen(自己抗原)カルレティキュリンと相同性を共有する54060.1について決定されたcDNA配列である。
【0103】
配列番号72は、ヒトスクアレンシンテターゼと相同性を共有する54125.1について決定されたcDNA配列である。
【0104】
配列番号73は、ヒトRAD21ホモログと相同性を共有する54143.1について決定されたcDNA配列である。
【0105】
配列番号74は、ヒトMHCクラスII HLA−DR−αと相同性を共有する54139.1について決定されたcDNA配列である。
【0106】
配列番号75は、ヒトClaudin(クラウディン)−7と相同性を共有する54137.1について決定されたcDNA配列である。
【0107】
配列番号76は、リボソームタンパク質S6キナーゼ1と相同性を共有する54044.1について決定されたcDNA配列である。
【0108】
配列番号77は、CO−029腫瘍関連抗原と相同性を共有する54042.1について決定されたcDNA配列である。
【0109】
配列番号78は、KIAA1077タンパク質と相同性を共有する54043.1について決定されたcDNA配列である。
【0110】
配列番号79は、ヒトリポコルチンIIと相同性を共有する54136.1について決定されたcDNA配列である。
【0111】
配列番号80は、1q24染色体上のPAC 454G6と相同性を共有する54157.1について決定されたcDNA配列である。
【0112】
配列番号81は、54140.1について決定されたcDNA配列である。
【0113】
配列番号82は、54120.1について決定されたcDNA配列である。
【0114】
配列番号83は、KIAA0152と相同性を共有する54145.1について決定されたcDNA配列である。
【0115】
配列番号84は、腫瘍抗原L6と相同性を共有する54117.1について決定されたcDNA配列である。
【0116】
配列番号85は、UDP−N−アセチルグルコサミントランスポーターと相同性を共有する54116.1について決定されたcDNA配列である。
【0117】
配列番号86は、54151.1について決定されたcDNA配列である。
【0118】
配列番号87は、システイン/グルタミン酸トランスポーターと相同性を共有する54152.1について決定されたcDNA配列である。
【0119】
配列番号88は、54115.1について決定されたcDNA配列である。
【0120】
配列番号89は、GAPDHと相同性を共有する54146.1について決定されたcDNA配列である。
【0121】
配列番号90は、cDNA DKFZp586O0118と相同性を共有する54155.1について決定されたcDNA配列である。
【0122】
配列番号91は、54159.1について決定されたcDNA配列である。
【0123】
配列番号92は、ニュートロフィルリポカリン(Neutrophil lipocalin)と相同性を共有する54020.1について決定されたcDNA配列である。
【0124】
配列番号93は、核マトリックス(Nuclear matrix)タンパク質NRP/Bと相同性を共有する54169.1について決定されたcDNA配列である。
【0125】
配列番号94は、CG1−151/KIAA0992タンパク質と相同性を共有する54167.1について決定されたcDNA配列である。
【0126】
配列番号95は、54030.1について決定されたcDNA配列である。
【0127】
配列番号96は、54161.1について決定されたcDNA配列である。
【0128】
配列番号97は、ポリA結合タンパク質と相同性を共有する54162.1について決定されたcDNA配列である。
【0129】
配列番号98は、リボソームタンパク質L13と相同性を共有する54163.1について決定されたcDNA配列である。
【0130】
配列番号99は、ヒトαエノラーゼと相同性を共有する54164.1について決定されたcDNA配列である。
【0131】
配列番号100は、ヒトE−1酵素と相同性を共有する54132.1について決定されたcDNA配列である。
【0132】
配列番号101は、cDNA DKFZp58612022と相同性を共有する54112.1について決定されたcDNA配列である。
【0133】
配列番号102は、ヒトZW10インタラクター(interactor)Zwintと相同性を共有する54133.1について決定されたcDNA配列である。
【0134】
配列番号103は、ブメタニド感受性(Bumetanide−sensitive)Na−K−Clコトランスポーターと相同性を共有する54165.1について決定されたcDNA配列である。
【0135】
配列番号104は、cDNA FLJ10549 fis、クローンNT2RP2001976と相同性を共有する54158.1について決定されたcDNA配列である。
【0136】
配列番号105は、cDNA DKFZp434C0523と相同性を共有する54131.1について決定されたcDNA配列である。
【0137】
配列番号106は、54122.1について決定されたcDNA配列である。
【0138】
配列番号107は、54098.1について決定されたcDNA配列である。
【0139】
配列番号108は、NADH−ユビキノンオキシドレダクターゼNDUFS2サブユニットと相同性を共有する54173.1について決定されたcDNA配列である。
【0140】
配列番号109は、ホスホリパーゼA2と相同性を共有する54108.1について決定されたcDNA配列である。
【0141】
配列番号110は、cDNA FLJ10610 fis,クローンNT2RP2005293と相同性を共有する54175.1について決定されたcDNA配列である。
【0142】
配列番号111は、Ig重鎖可変領域と相同性を共有する54179.1について決定されたcDNA配列である。
【0143】
配列番号112は、プロテインホスファターゼ2Cγと相同性を共有する54177.1について決定されたcDNA配列である。
【0144】
配列番号113は、サイクリンタンパク質と相同性を共有する54170.1について決定されたcDNA配列である。
【0145】
配列番号114は、トランスゲリン2(推定)と相同性を共有する54176.1について決定されたcDNA配列である。
【0146】
配列番号115は、ヒトGalNAc−T3遺伝子と相同性を共有する54180.1について決定されたcDNA配列である。
【0147】
配列番号116は、cDNA FLJ10884 fis、クローン NT2RP4001950と相同性を共有する53897.1について決定されたcDNA配列である。
【0148】
配列番号117は、54027.1について決定されたcDNA配列である。
【0149】
配列番号118は、αトポイソメラーゼ短縮型と相同性を共有する54183.1について決定されたcDNA配列である。
【0150】
配列番号119は、KIAA 1289と相同性を共有する54107.1について決定されたcDNA配列である。
【0151】
配列番号120は、AD022タンパク質と相同性を共有する54106.1について決定されたcDNA配列である。
【0152】
配列番号121は、53902.1について決定されたcDNA配列である。
【0153】
配列番号122は、第17染色体、クローンhRPK.692_E_18と相同性を共有する53918.1について決定されたcDNA配列である。
【0154】
配列番号123は、53904.1について決定されたcDNA配列である。
【0155】
配列番号124は、cDNA FLJ10823 fis、クローンNT2RP4001080と相同性を共有する53910.1について決定されたcDNA配列である。
【0156】
配列番号125は、ベクター(Vector)と相同性を共有する53903.1について決定されたcDNA配列である。
【0157】
配列番号126は、54103.1について決定されたcDNA配列である。
【0158】
配列番号127は、チトクロムP450 IIIA4と相同性を共有する53917.1について決定されたcDNA配列である。
【0159】
配列番号128は、CEAと相同性を共有する54004.1について決定されたcDNA配列である。
【0160】
配列番号129は、プロテインホスファターゼ(KAP1)と相同性を共有する53913.1について決定されたcDNA配列である。
【0161】
配列番号130は、54134.1について決定されたcDNA配列である。
【0162】
配列番号131は、αエノラーゼと相同性を共有する53999.1について決定されたcDNA配列である。
【0163】
配列番号132は、ヒストンデアセチラーゼHD1と相同性を共有する53938.1について決定されたcDNA配列である。
【0164】
配列番号133は、citb_338_f_24、完全配列と相同性を共有する53939.1について決定されたcDNA配列である。
【0165】
配列番号134は、ヒトスクアレンエポキシダーゼと相同性を共有する53928.1について決定されたcDNA配列である。
【0166】
配列番号135は、ヒトアスパルチル−tRNA−シンテターゼα−2サブユニットと相同性を共有する53914.1について決定されたcDNA配列である。
【0167】
配列番号136は、γ−アクチンと相同性を共有する53915.1について決定されたcDNA配列である。
【0168】
配列番号137は、ヒトAP−μ鎖ファミリーメンバーμ1Bと相同性を共有する54101.1について決定されたcDNA配列である。
【0169】
配列番号138は、シャペロニンのヒトCctg mRNAと相同性を共有する53922.1について決定されたcDNA配列である。
【0170】
配列番号139は、第19染色体と相同性を共有する54023.1について決定されたcDNA配列である。
【0171】
配列番号140は、ヒトMEGF7と相同性を共有する53930.1について決定されたcDNA配列である。
【0172】
配列番号141は、コネキシン26と相同性を共有する53921.1について決定されたcDNA配列である。
【0173】
配列番号142は、ヒトジペプチダーゼIVと相同性を共有する54002.1について決定されたcDNA配列である。
【0174】
配列番号143は、第5染色体クローンCTC−436P18と相同性を共有する54003.1について決定されたcDNA配列である。
【0175】
配列番号144は、ヒト2−オキソグルタラートデヒドロゲナーゼと相同性を共有する54005.1について決定されたcDNA配列である。
【0176】
配列番号145は、RHOグアニンヌクレオチド−交換因子と相同性を共有する53925.1について決定されたcDNA配列である。
【0177】
配列番号146は、12q24PAC RPCl1−261P5と相同性を共有する53927.1について決定されたcDNA配列である。
【0178】
配列番号147は、ヒト結腸粘膜関連mRNAと相同性を共有する54083.1について決定されたcDNA配列である。
【0179】
配列番号148は、53937.1について決定されたcDNA配列である。
【0180】
配列番号149は、1p11.4−21.3染色体上のクローンRP4−621F18と相同性を共有する54074.1について決定されたcDNA配列である。
【0181】
配列番号150は、54105.1について決定されたcDNA配列である。
【0182】
配列番号151は、ヒト胚の肺タンパク質と相同性を共有する53961.1について決定されたcDNA配列である。
【0183】
配列番号152は、53919.1について決定されたcDNA配列である。
【0184】
配列番号153は、ヒト白血球表面タンパク質CD31と相同性を共有する53933.1について決定されたcDNA配列である。
【0185】
配列番号154は、cDNA FLJ10679 fis、クローンNT2RP2006565と相同性を共有する53972.1について決定されたcDNA配列である。
【0186】
配列番号155は、53906.1について決定されたcDNA配列である。
【0187】
配列番号156は、ポリA結合タンパク質と相同性を共有する53924.1について決定されたcDNA配列である。
【0188】
配列番号157は、54144.1について決定されたcDNA配列である。
【0189】
配列番号158は、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子と相同性を共有する54068.1について決定されたcDNA配列である。
【0190】
配列番号159は、53929.1について決定されたcDNA配列である。
【0191】
配列番号160は、KIAA1050と相同性を共有する53959.1について決定されたcDNA配列である。
【0192】
配列番号161は、53942.1について決定されたcDNA配列である。
【0193】
配列番号162は、cDNA FLJ11127 fis,クローンPLACE 1006225と相同性を共有する53931.1について決定されたcDNA配列である。
【0194】
配列番号163は、ヒトセット(set)遺伝子と相同性を共有する53935.1について決定されたcDNA配列である。
【0195】
配列番号164は、ヒトプレックストリン(pleckstrin)2と相同性を共有する54099.1について決定されたcDNA配列である。
【0196】
配列番号165は、KIAA0965と相同性を共有する53943.1について決定されたcDNA配列である。
【0197】
配列番号166は、Tis 11dと相同性を共有する54000.1について決定されたcDNA配列である。
【0198】
配列番号167は、Cyhtokine(サイホトカイン)(GRO−γ)と相同性を共有する54100.1について決定されたcDNA配列である。
【0199】
配列番号168は、ヒトp85Mcm mRNAと相同性を共有する53940.1について決定されたcDNA配列である。
【0200】
配列番号169は、cDNA DKFZp586H0519と相同性を共有する53941.1について決定されたcDNA配列である。
【0201】
配列番号170は、SOX9と相同性を共有する53953.1について決定されたcDNA配列である。
【0202】
配列番号171は、VAV様タンパク質と相同性を共有する54007.1について決定されたcDNA配列である。
【0203】
配列番号172は、NF−E2関連因子3と相同性を共有する53950.1について決定されたcDNA配列である。
【0204】
配列番号173は、cDNA FLJ20127 fis、クローン COL06176と相同性を共有する53968.1について決定されたcDNA配列である。
【0205】
配列番号174は、53945.1について決定されたcDNA配列である。
【0206】
配列番号175は、54091.1について決定されたcDNA配列である。
【0207】
配列番号176は、ヒトアルギニノコハク酸シンテターゼと相同性を共有する54013.1について決定されたcDNA配列である。
【0208】
配列番号177は、ヒトセリンキナーゼと相同性を共有する54092.1について決定されたcDNA配列である。
【0209】
配列番号178は、第20染色体上のクローンRP1−155G6と相同性を共有する54095.1について決定されたcDNA配列である。
【0210】
配列番号179は、ヒトホスホリパーゼCベータ4と相同性を共有する53987.1について決定されたcDNA配列である。
【0211】
配列番号180は、53967.1について決定されたcDNA配列である。
【0212】
配列番号181は、VAV−3タンパク質と相同性を共有する53963.1について決定されたcDNA配列である。
【0213】
配列番号182は、54032.1について決定されたcDNA配列である。
【0214】
配列番号183は、PAC RPCI−1 133G21 map 21q11.1領域D21S190と相同性を共有する54067.1について決定されたcDNA配列である。
【0215】
配列番号184は、カルシウム結合タンパク質S100Pと相同性を共有する54057.1について決定されたcDNA配列である。
【0216】
配列番号185は、ヒトロイパキシン(leupaxin)と相同性を共有する54135.1について決定されたcDNA配列である。
【0217】
配列番号186は、VAV−3タンパク質と相同性を共有する53969.1について決定されたcDNA配列である。
【0218】
配列番号187は、53970.1について決定されたcDNA配列である。
【0219】
配列番号188は、hnRNP型A/Bタンパク質と相同性を共有する53966.1について決定されたcDNA配列である。
【0220】
配列番号189は、ヒト細胞周期制御遺伝子CDC2と相同性を共有する53995.1について決定されたcDNA配列である。
【0221】
配列番号190は、54075.1について決定されたcDNA配列である。
【0222】
配列番号191は、54094.1について決定されたcDNA配列である。
【0223】
配列番号192は、53977.1について決定されたcDNA配列である。
【0224】
配列番号193は、7q21−7q22由来のBACクローンRG083M05と相同性を共有する54123.1について決定されたcDNA配列である。
【0225】
配列番号194は、ヒトSTS WI−14644と相同性を共有する53960.1について決定されたcDNA配列である。
【0226】
配列番号195は、ヒトグルタミニル−tRNAシンテターゼと相同性を共有する53976.1について決定されたcDNA配列である。
【0227】
配列番号196は、ヒト26Sプロテアソーム関連pad 1ホモログと相同性を共有する54096.1について決定されたcDNA配列である。
【0228】
配列番号197は、ヒトスクアレンエポキシダーゼと相同性を共有する54110.1について決定されたcDNA配列である。
【0229】
配列番号198は、ヒト核塩素イオンチャネルタンパク質と相同性を共有する53920.1について決定されたcDNA配列である。
【0230】
配列番号199は、PAC RPCI−1 133G21 map 21q11.1領域D21S190と相同性を共有する53979.1について決定されたcDNA配列である。
【0231】
配列番号200は、7q11.23−q21由来のPACクローンRP5−1185I7と相同性を共有する54081.1について決定されたcDNA配列である。
【0232】
配列番号201は、ヒトエフェリン(Human ephrin)と相同性を共有する54082.1について決定されたcDNA配列である。
【0233】
配列番号202は、cDNA FLJ20673 fis、クローンKAIA4464と相同性を共有する53986.1について決定されたcDNA配列である。
【0234】
配列番号203は、53992.1について決定されたcDNA配列である。
【0235】
配列番号204は、54016.1について決定されたcDNA配列である。
【0236】
配列番号205は、CD9抗原と相同性を共有する54018.1について決定されたcDNA配列である。
【0237】
配列番号206は、KIAA0715と相同性を共有する53985.1について決定されたcDNA配列である。
【0238】
配列番号207は、サイクリンBと相同性を共有する53973.1について決定されたcDNA配列である。
【0239】
配列番号208は、KIAA1225と相同性を共有する54012.1について決定されたcDNA配列である。
【0240】
配列番号209は、53982.1について決定されたcDNA配列である。
【0241】
配列番号210は、結腸粘膜関連mRNAと相同性を共有する53988.1について決定されたcDNA配列である。
【0242】
配列番号211は、cDNA FLJ20171 fis、クローンCOL09761と相同性を共有する53990.1について決定されたcDNA配列である。
【0243】
配列番号212は、53991.1について決定されたcDNA配列である。
【0244】
配列番号213は、CEAと相同性を共有する51519.1について決定されたcDNA配列である。
【0245】
配列番号214は、腺癌関連抗原と相同性を共有する51507.1について決定されたcDNA配列である。
【0246】
配列番号215は、分泌タンパク質XAGと相同性を共有する51435.1について決定されたcDNA配列である。
【0247】
配列番号216は、腺癌関連抗原と相同性を共有する51425.1について決定されたcDNA配列である。
【0248】
配列番号217は、51548.1について決定されたcDNA配列である。
【0249】
配列番号218は、CEAと相同性を共有する51430.1について決定されたcDNA配列である。
【0250】
配列番号219は、CEAと相同性を共有する51549.1について決定されたcDNA配列である。
【0251】
配列番号220は、非特異的交差反応抗原と相同性を共有する51439.1について決定されたcDNA配列である。
【0252】
配列番号221は、好中球ゲラチナーゼ関連リポカリンと相同性を共有する51535.1について決定されたcDNA配列である。
【0253】
配列番号222は、トランスフォーミング増殖因子(Transformation growth factor)β誘導性遺伝子産物と相同性を共有する51486.1について決定されたcDNA配列である。
【0254】
配列番号223は、NCA mRNAの5’側で見出された未確認起点と相同性を共有する51479.1について決定されたcDNA配列である。
【0255】
配列番号224は、ガレクチン−4と相同性を共有する51469.1について決定されたcDNA配列である。
【0256】
配列番号225は、非特異的交差反応抗原と相同性を共有する51470.1について決定されたcDNA配列である。
【0257】
配列番号226は、分泌タンパク質XAGと相同性を共有する51536.1について決定されたcDNA配列である。
【0258】
配列番号227は、Xq22染色体上のクローン146H21と相同性を共有する51483.1について決定されたcDNA配列である。
【0259】
配列番号228は、GAPDHと相同性を共有する51522.1について決定されたcDNA配列である。
【0260】
配列番号229は、Mucin(ムチン)11と相同性を共有する51485.1について決定されたcDNA配列である。
【0261】
配列番号230は、非特異的交差反応抗原と相同性を共有する51460.1について決定されたcDNA配列である。
【0262】
配列番号231は、KIAA0517タンパク質と相同性を共有する51458.1について決定されたcDNA配列である。
【0263】
配列番号232は、表面糖タンパク質CD44と相同性を共有する51506.1について決定されたcDNA配列である。
【0264】
配列番号233は、21q22.1,D21S226−AML領域と相同性を共有する51440.1について決定されたcDNA配列である。
【0265】
配列番号234は、C907Pについて決定されたcDNA配列である。
【0266】
配列番号235は、C907Pのアミノ酸配列である。
【0267】
配列番号236は、Ral2−C915P−f3について決定されたcDNA配列である。
【0268】
配列番号237は、Ral2−C915P−f3のアミノ酸配列である。
【0269】
配列番号238は、AW154プライマーのヌクレオチド配列である。
【0270】
配列番号239は、AW155プライマーのヌクレオチド配列である。
【0271】
配列番号240は、AW156プライマーのヌクレオチド配列である。
【0272】
配列番号241は、AW157プライマーのヌクレオチド配列である。
【0273】
配列番号242は、AW158プライマーのヌクレオチド配列である。
【0274】
配列番号243は、AW159プライマーのヌクレオチド配列である。
【0275】
配列番号244は、C915Pについて決定された全長cDNA配列である。
【0276】
配列番号245は、配列番号244に示されたcDNA配列によってコードされたアミノ酸配列である。
【0277】
(発明の詳細な説明)
本発明は、一般に、癌(特に、結腸癌)の治療および診断における、組成物、ならびにその使用に関する。以下でさらに記載するように、本発明の例示的な組成物としては、以下を含むがこれらに限定されない:ポリペプチド、特に免疫原性ポリペプチド、このようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、抗体および他の結合因子、抗原提示細胞(APC)ならびに免疫系細胞(例えば、T細胞)。
【0278】
本発明の実施は、特にそれと逆であることを示さなければ、ウイルス学、免疫学、細菌学、分子生物学、および当業者の範囲である組換えDNA技術の従来の方法(これらの多くは、例示目的で以下に記載される)を使用する。このような技術は、文献によって完全に説明されている。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版、1989);Maniatisら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(1982);DNA Cloning:A Practical Approach、第I巻および第II巻(D.Glover編);Oligonucleotide Synthesis(N.Gait編、1984);Nucleic Acid Hybridization(B.HamesおよびS.Higgins編、1985);Transcription and Translation(B.HamesおよびS.Higgins編、1984);Animal Cell Culture(R.Freshney編、1986);Perbal、A Practical Guide to Molecular Cloning(1984)を参照のこと。
【0279】
本明細書中で引用される、全ての刊行物、特許および特許出願は、上記または下記にかかわらず、全体が参考して本明細書によって援用される。
【0280】
本明細書中および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形、「1つの(a、an)」、および「この、その(the)」は、文脈によって明らかに他の方法で示されていない限り、複数の参照を含む。
【0281】
(ポリペプチド組成物)
本明細書中で使用される場合、用語「ポリペプチド」は、その従来の意味、すなわちアミノ酸の配列として使用される。これらのポリペプチドは、特定の長さの生成物に限定されず;従って、ペプチド、オリゴペプチド、およびタンパク質は、このポリペプチドの定義に含まれ、そしてこのような用語は、別段示さない限り、本明細書中で交換可能に使用され得る。この用語はまた、このポリペプチドの発現後修飾(例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化など)ならびに天然および非天然の両方の、当該分野で公知の他の改変を称さない。すなわち、この用語は、これらを排除する。ポリペプチドは、タンパク質全体でもあり、または部分配列でもあり得る。本発明の状況において特定の目的のポリペプチドは、エピトープ、すなわち、ポリペプチドの免疫原特性の実質的に原因となり、かつ免疫応答を誘起し得る抗原決定基を含むアミノ酸部分配列である。
【0282】
本発明の特に例示的なポリペプチドとしては、配列番号1〜234、236、および244のいずれか1つに示されたポリヌクレオチド配列、あるいは中度のストリンジェントな条件下または高度にストリンジェントな条件下で、配列番号1〜234、236、および244のいずれか1つに示されるポリヌクレオチド配列に対してハイブリダイズする配列によってコードされるポリペプチドを含む。特定の他の例示的な本発明のポリペプチドとしては、配列番号235、237、および245のいずれか1つに示されるアミノ酸配列が挙げられる。
【0283】
本発明のポリペプチドは、これらの同定が結腸腫瘍サンプルにおけるこれらの発現の増大したレベルに少なくとも部分的に基づくことの現れとして、本明細書中で時々、結腸腫瘍タンパク質または結腸腫瘍ポリペプチドとして参照される。従って、「結腸腫瘍ポリペプチド」または「結腸腫瘍タンパク質」は、一般に本発明のポリペプチド配列、またはこのようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を示し、これらは、例えば、本明細書中で提供された代表的なアッセイを使用して決定されるように、正常組織での発現レベルより、少なくとも2倍の高いレベル、および好ましくは5倍高いレベルで、試験された結腸腫瘍サンプルの、好ましくは約20%を超える、より好ましくは約30%を超える、そして最も好ましくは約50%以上を超える、結腸腫瘍サンプルの実質的な部分において発現される。本発明の結腸腫瘍ポリペプチド配列は、その腫瘍細胞での増大した発現レベルに基づき、以下にさらに記載されるように、診断マーカーならびに治療標的の両方として特定の有用性を有する。
【0284】
特定の好ましい実施形態において、本発明のポリペプチドは免疫原性であり、すなわちこれらは、結腸癌を有する患者からの抗血清および/またはT細胞を用いる免疫アッセイ(例えば、ELISAまたはT細胞刺激アッセイ)で検出可能に反応する。免疫原性活性についてのスクリーニングは、当業者に周知の技術を使用して実施され得る。例えば、このようなスクリーニングは、例えば、HarlowおよびLane、Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,1988に記載されるスクリーニングのような方法を使用して実施され得る。1つの例示的な例において、ポリペプチドは固体支持体に固定され得、そして患者の血清と接触され得、血清中の抗体の固定されたポリペプチドへの結合を可能にする。次いで、非結合血清は除去され、そして結合した抗体は、例えば、125I標識プロテインAを用いて検出され得る。
【0285】
当業者に認識されるように、本明細書中で開示されるポリペプチドの免疫原性部分もまた、本発明により包含される。本明細書中で用いられる場合、「免疫原性部分」は、それ自体が、本発明の免疫原性ポリペプチドを認識するB細胞および/またはT細胞表面抗原レセプターと免疫学的に反応性である(すなわち、特異的に結合する)、本発明の免疫原性ポリペプチドのフラグメントである。免疫原性部分は、一般に、周知の技術(例えば、Paul、Fundamental Immunology,第3版、243−247(Raven Press,1993)およびこの文献で引用される参考文献に要約されている技術)を用いて同定され得る。このような技術は、抗原特異的抗体、抗血清、および/またはT細胞株もしくはクローンと反応する能力について、ポリペプチドをスクリーニングすることを包含する。本明細書中で用いられる場合、抗血清および抗体は、これらが、抗原に特異的に結合する(すなわち、これらが、ELISAまたは他の免疫アッセイにおいてこのタンパク質と反応し、そして無関係のタンパク質とは検出可能に反応しない)場合に、「抗原特異的」である。このような抗血清および抗体は、本明細書中に記載されるように、そして周知技術を用いて、調製され得る。
【0286】
1つの好ましい実施形態において、本発明のポリペプチドの免疫原性部分は、(例えば、ELISAおよび/またはT細胞反応性アッセイにおいて)全長ポリペプチドの反応性よりも実質的に低くないレベルで、抗血清および/またはT細胞と反応する部分である。好ましくは、免疫原性部分の免疫原性活性のレベルは、全長ポリペプチドの免疫原性の少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約70%、そして最も好ましくは90%より高い。いくつかの例において、対応する全長ポリペプチドよりも大きい免疫原性活性のレベルを有する(例えば、約100%または150%もしくはそれより大きい免疫原性活性を有する)好ましい免疫原性部分が同定される。
【0287】
特定の他の実施形態において、例示的な免疫原性部分は、N末端リーダー配列および/または膜貫通ドメインが欠失されたペプチドを含み得る。他の例示的な免疫原性部分は、成熟タンパク質に対して小さなN末端および/またはC末端の欠失(例えば、1〜30アミノ酸、好ましくは5〜15アミノ酸)を含む。
【0288】
別の実施形態において、本発明のポリペプチド組成物また、T細胞および/または本発明のポリペプチド(特に、本明細書中に開示されたアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはそれらの免疫原性フラグメントもしくは改変体)に対して生成された抗体と免疫学的に反応性である1つ以上のポリペプチドを含み得る。
【0289】
本発明の別の実施形態において、本明細書中に記載される1つ以上のポリペプチドによりコードされる1つ以上のポリペプチドと免疫学的に反応性であるT細胞および/または抗体を惹起し得る、1つ以上のポリペプチドを含むポリペプチド、または本明細書中で開示されるポリヌクレオチド配列に含まれる連続的な核酸配列、またはそれらの免疫原性フラグメントもしくは改変体、あるいは中程度から高度のストリンジェンシーの条件下で1つ以上のこれらの配列にハイブリダイズする1つ以上に核酸配列が提供される。
【0290】
別の局面において、本発明は、本明細書中に示されるポリペプチド組成物(例えば、配列番号235、237、および245に示されるポリペプチド、または配列番号1〜234、236、および244の配列に示されるポリヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチド)の少なくとも約5、10、15、20、25、50、または100連続するアミノ酸またはそれ以上(全ての中間の長さを含む)を含むポリペプチドフラグメントを提供する。
【0291】
別の局面において、本発明は、本明細書中に記載されるポリペプチド組成物の改変体を提供する。一般的に本発明により包含されるポリペプチド改変体は、代表的に、本明細書中に示されるポリペプチド配列に対して、その長さに沿って、少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%またはそれ以上の同一性(以下に記載するように決定された)を示す。
【0292】
1つの好ましい実施形態において、本発明により提供されるポリペプチドフラグメントおよび改変体は、本明細書中に詳細に示される全長ポリペプチドと反応する抗体および/またはT細胞と免疫学的に反応性である。
【0293】
別の好ましい実施形態において、本発明により提供されるポリペプチドフラグメントおよび改変体は、本明細書中に詳細に示される全長ポリペプチド配列により示される免疫原性活性のレベルの少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約70%、そして最も好ましくは少なくとも約90%またはそれ以上の免疫原性活性のレベルを示す。
【0294】
ポリペプチド「改変体」は、本明細書中でこの用語が使用される場合、代表的に、本明細書中で詳細に開示されるポリペプチドと1つ以上の置換、欠失、付加、および/または挿入において異なるポリペプチドである。このような改変体は、天然に生じるか、または例えば、本発明の1つ以上の上記のポリペプチド配列を改変し、そして本明細書中に記載されるようなそれらの免疫学的活性を評価することにより、ならびに/または当該分野で周知の多くの技術のいずれかを用いて、合成的に作製され得る。
【0295】
例えば、本発明のポリペプチドの特定の例示的な改変体として、1つ以上の部分(例えば、N末端リーダー配列または膜貫通ドメイン)が除去された改変体が挙げられる。他の例示的な改変体として、小さな部分(例えば、1〜30アミノ酸、好ましくは5〜15アミノ酸)が成熟タンパク質のN末端および/またはC末端から除去された改変体が挙げられる。
【0296】
多くの例において、改変体は、保存的置換を含む。「保存的置換」は、アミノ酸が類似の特性を有する別のアミノ酸で置換され、その結果、ペプチド化学の当業者がポリペプチドの二次構造および疎水的性質が実質的に変化していないことを期待するような置換である。上記のように、改変は、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドの構造においてなされ得、そしてなお所望の特性(例えば、免疫原性特性)を有する改変体または誘導体ポリペプチドをコードする機能的分子を獲得し得る。本発明のポリペプチドの等価物を(または本発明のポリペプチドの改善された免疫原性の改変体もしくは部分さえも)作製するようポリペプチドのアミノ酸配列が変更されることが所望される場合、当業者は、代表的に、表1に基づくコードDNA配列の1つ以上のコドンを変更する。
【0297】
例えば、特定のアミノ酸は、例えば、抗体の抗原結合領域または基質分子上のの結合部位のような構造を有するタンパク質構造中の他のアミノ酸に、感知可能な相互作用的結合能の損失なしで、置換され得る。タンパク質の相互作用的な能力および性質がタンパク質の生物学的機能的活性を規定するので、特定のアミノ酸配列置換は、タンパク質配列、および当然ながら、その根底にあるDNAコード配列においてなされ得、そしてそれにも関わらず、同様の特性を有するタンパク質が入手される。従って、種々の変化が、ペプチドの生物学的有用性または活性の感知可能な損失を伴わずに、開示された組成物のペプチド配列またはそのペプチドをコードする対応するDNA配列においてなされ得ることが意図される。
【0298】
【表1】
Figure 2004512023
このような変化を作製する際に、アミノ酸の疎水性親水性指標が考慮され得る。タンパク質に相互作用的な生物学的機能を付与する際の疎水性親水性アミノ酸指標の重要性は、一般的に当該分野において理解されている(KyteおよびDoolittle、1982、本明細書中に参考として援用される)。アミノ酸の相対的な疎水性親水性的性質は、得られるタンパク質の二次構造に寄与し、これが次に、他の分子(例えば、酵素、基質、レセプター、DNA、抗体、抗原など)とのそのタンパク質の相互作用を規定することが受け入れられている。各アミノ酸は、その疎水性および電荷特性に基づいて疎水性親水性指標を割り当てられている(KyteおよびDoolittle、1982)。これらの値は以下である:イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(−0.4);スレオニン(−0.7);セリン(−0.8);トリプトファン(−0.9);チロシン(−1.3);プロリン(−1.6);ヒスチジン(−3.2);グルタミン酸(−3.5);グルタミン(−3.5);アスパラギン酸(−3.5);アスパラギン(−3.5);リジン(−3.9);およびアルギニン(−4.5)。
【0299】
特定のアミノ酸が類似の疎水性親水性指標またはスコアを有する他のアミノ酸によって置換され得、そしてなお類似の生物学的活性を有するタンパク質を生じる(すなわち、生物学的に機能的に等価なタンパク質をなお入手する)ことが、当該分野において公知である。このような変化を作製する際に、その疎水性親水性指標が±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、その疎水性親水性指標が±1以内であるアミノ酸の置換が特に好ましく、そしてその疎水性親水性指標が±0.5以内であるアミノ酸の置換がなおより特に好ましい。同様なアミノ酸の置換が、親水性に基づいて有効になされ得ることもまた、当該分野で理解されている。米国特許第4,554,101号(その全体が本明細書中に参考として詳細に援用される)は、そのタンパク質の最大局所的平均親水性が、その隣接するアミノ酸の親水性によって支配されるので、そのタンパク質の生物学的特性と相関することを言及している。
【0300】
米国特許第4,554,101号に詳述されるように、以下の親水性値がアミノ酸残基に割り当てられた:アルギニン(+3.0);リジン(+3.0);アスパラギン酸(+3.0±1);グルタミン酸(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);スレオニン(−0.4);プロリン(−0.5±1);アラニン(−0.5);ヒスチジン(−0.5);システイン(−1.0);メチオニン(−1.3);バリン(−1.5);ロイシン(−1.8);イソロイシン(−1.8);チロシン(−2.3);フェニルアラニン(−2.5);トリプトファン(−3.4)。アミノ酸は、類似の親水性の値を有する別のアミノ酸に置換され得、そしてなお、生物学的な等価物(特に、免疫学的に等価なタンパク質)を得ることが理解される。このような変化において、その親水性値が±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、その親水性値が±1以内であるアミノ酸の置換が特に好ましく、そしてその親水性値が±0.5以内であるアミノ酸の置換がなおより特に好ましい。
【0301】
上記で概説したように、従って、アミノ酸置換は、一般的にアミノ酸側鎖置換基の相対的な類似性(例えば、その疎水性、親水性、電荷、大きさ、など)に基づく。前述の種々の特徴を考慮する典型的な置換は当業者に周知であり、そして以下を含む:アルギニンおよびリジン;グルタミン酸およびアスパラギン酸;セリンおよびスレオニン;グルタミンおよびアスパラギン;ならびにバリン、ロイシン、およびイソロイシン。
【0302】
さらに、任意のポリヌクレオチドが、インビボでの安定性を増加させるためにさらに改変され得る。可能性のある改変として以下が挙げられるがこれらに限定されない:5’末端および/または3’末端での隣接配列の付加;骨格におけるホスホジエステラーゼ結合ではなくホスホロチオエートまたは2’O−メチルの使用;ならびに/あるいは従来とは異なる塩基(例えば、イノシン、キューオシン、およびワイブトシン、ならびにアデニン、シチジン、グアニン、チミン、およびウリジンのアセチル、メチル、チオ、および他の修飾形態)の含有。
【0303】
アミノ酸置換はさらに、残基の極性、電荷、溶解性、疎水性、親水性および/または両親媒性特性の類似性に基づいて作製され得る。例えば、負に荷電したアミノ酸としては、アスパラギン酸およびグルタミン酸;正に荷電したアミノ酸としては、リジンおよびアルギニン;そして類似の親水性値を有する非荷電性の極性頭部を有するアミノ酸としては、ロイシン、イソロイシンおよびバリン;グリシンおよびアラニン;アスパラギンおよびグルタミン;ならびにセリン、トレオニン(スレオニン)、フェニルアラニンおよびチロシンが挙げられる。保存的変化を示し得るアミノ酸の他のグループとしては、(1)ala、pro、gly、glu、asp、gln、asn、ser、thr;(2)cys、ser、tyr、thr;(3)val、ile、leu、met、ala、phe;(4)lys、arg、his;および(5)phe、tyr、trp、hisが挙げられる。改変体はまた、またはあるいは、非保存的変化を含み得る。好ましい実施形態において、改変体ポリペプチドは、5アミノ酸またはそれより少ないアミノ酸の置換、欠失または付加によって、ネイティブの配列とは異なる。改変体はまた(またはあるいは)、例えば、ポリペプチドの免疫原性、二次構造および疎水性親水性特性に対する最小の影響を有するアミノ酸の欠失または付加によって、改変され得る。
【0304】
上記のように、ポリペプチドは、タンパク質のN末端にシグナル(または、リーダー)配列を含み得、これは、翻訳と同時に、または翻訳後に、そのタンパク質の転移を指向する。このポリペプチドはまた、このポリペプチドの合成、精製または同定を容易にするために、またはこのポリペプチドの固体支持体への結合を増強するために、リンカー配列または他の配列(例えば、ポリHis)に結合体化され得る。例えば、ポリペプチドは、免疫グロブリンFc領域に結合体化され得る。
【0305】
ポリペプチド配列が比較される場合、以下に記載されるように最大の一致で整列するときに2つの配列中のアミノ酸の配列が同じである場合、2つの配列は、「同一」であるといわれる。2つの配列間の比較は、代表的には、比較ウインドウによって配列を比較して、配列類似性の局所的領域を同定および比較することによって行われる。本明細書中で使用される「比較ウインドウ」とは、少なくとも約20、通常は30〜約75、40〜約50の連続する位置のセグメントをいう。ここで、配列は、2つの配列が最適に整列された後、同じ数の連続する位置の参照配列と比較され得る。
【0306】
比較のための配列の最適な整列は、生命情報科学ソフトウエアのLasergeneスート(suite)におけるMegalignプログラム(DNASTAR,Inc.,Madison,WI)を使用して、デフォルトパラメータを用いて行われ得る。このプログラムは、以下の参考文献に記載のいくつかの整列スキームを統合する:Dayhoff,M.O.(編)Atlas of Protein Sequence and Structure,National Biomedical Research Foundation,Washington DC 第5巻,補遺3,345〜358頁におけるDayhoff,M.O.(1978)A model of evolutionary change in proteins−Matrices for detecting distant relationships.;Hein J.(1990)Unified Approach to Alignment and Phylogenes 626〜645頁 Methods in Enzymology 第183巻,Academic Press,Inc.,San Diego,CA;Higgins,D.G.およびSharp,P.M.(1989)CABIOS 5:151−153;Myers,E.W.およびMuller W.(1988)CABIOS 4:11−17;Robinson,E.D.(1971)Comb.Theor 11:105;Saitou,N.Nei,M.(1987)Mol.Biol.Evol.4:406−425;Sneath,P.H.A.およびSokal,R.R.(1973)Numerical Taxonomy−the Principles and Practice of Numerical Taxonomy,Freeman Press,San Francisco,CA;Wilbur,W.J.およびLipman,D.J.(1983)Proc.Natl.Acad.,Sci.USA 80:726−730。
【0307】
あるいは、比較のための配列の最適な整列は、SmithおよびWaterman(1981)Add.APL.Math 2:482の部分的同一性アルゴリズムによって、NeedlemanおよびWunsch(1970)J.Mol.Biol.48:443の同一性整列アルゴリズムによって、PearsonおよびLipman(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444の類似性検索方法によって、これらのアルゴリズムのコンピュータ化した実行(Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group(GCG),575 Science Dr.,Madison,WIにおけるGAP、BESTFIT、BLAST、FASTA、およびTFASTA)によって、または検査によって行われ得る。
【0308】
配列同一性および配列類似性の割合を決定するために適切なアルゴリズムの1つの好ましい例は、BLASTおよびBLAST2.0アルゴリズムであり、これらはそれぞれAltschulら(1977)Nucl.Acids Res.25:3389−3402およびAltschulら(1990)J.Mol.Biol.215:403−410に記載される。BLASTおよびBLAST2.0は、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドについての配列同一性の割合を決定するために、例えば、本明細書中に記載のパラメータを使用して使用され得る。BLAST分析を行うためのソフトウエアは、National Center for Biotechnology Infomationを通して公に利用可能である。アミノ酸配列について、スコアリングマトリクスは、累積スコアを算出するために使用され得る。各指示におけるワードヒットの拡大は、以下の場合に停止する:累積整列スコアが、その最大到達値から量Xだけ低下した場合;累積スコアが、1以上の負のスコアリングの残基整列の累積に起因してゼロ以下になった場合;またはいずれかの配列の末端に到達した場合。このBLASTアルゴリズムパラメーターW、TおよびXは、整列の感度および速度を決定する。
【0309】
好ましい1つのアプローチにおいて、「配列同一性のパーセンテージ」は、少なくとも20位置の比較ウインドウにわたる2つの最適に整列した配列を比較することによって決定され、ここで比較ウインドウ中のポリペプチド配列の部分は、参照配列(これは、付加または欠失を含まない)と比較して、2つの配列の最適な整列について20パーセント以下、通常は5〜15パーセント、または10〜12パーセントの付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。このパーセンテージは、両方の配列で同一のアミノ酸残基が生じる位置の数を決定して一致する位置の数を得、この一致する位置の数を参照配列における位置の総数(すなわち、ウインドウサイズ)で除算し、そしてこの結果に100を掛けて配列同一性のパーセンテージを得ることによって算出される。
【0310】
他の例示的実施形態において、ポリペプチドは、参照ポリペプチドとして働くヒトポリペプチド(自己抗原とも名付けられる)に対して、上記のように、実質的な配列同一性を有するポリペプチドを含む異種ポリペプチドであり得るが、その異種ポリペプチドが、異なる非ヒト種から誘導される。当業者は、「自己」抗原が、しばしば、CD8+およびCD4+Tリンパ球応答の劣った刺激因子であり、従って腫瘍ポリペプチドに対する効果的な免疫治療ストラテジーには、特定の自己腫瘍ポリペプチドに対する免疫寛容に打ち勝つための方法の開発が必要であることを認識する。例えば、異種(非ヒト)起源のプロスターゼ(prostase)タンパク質で免疫されたヒトは、ヒトタンパク質対応物(例えば、ヒト腫瘍細胞に存在するヒトプロスターゼ腫瘍タンパク質)に対する免疫応答をマウントし(高め)得る。従って、本発明は、本明細書に示される腫瘍タンパク質(例えば、配列番号235、237、および245に示されるポリペプチド、または配列番号1〜234、236、および244に示されるポリヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチド)の異種形態を精製するための方法を提供する。
【0311】
従って、本発明の1つの局面は、本明細書に記載されるポリペプチド組成物の異種改変体を提供する。本発明によって一般に包含されるこのような異種改変体は、代表的に、本明細書中に示されるポリペプチド配列に対して、その長さに沿って、少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%またはそれ以上の同一性を示す。
【0312】
さらに詳細には、本発明は、本発明の腫瘍ポリペプチドに対する免疫応答を誘導するための、本明細書に示されたヒトポリペプチドの異種形態として用いられ得るマウス、ラット、サル、ブタ、および他の非ヒトのポリペプチドに関する。
【0313】
他の例示的実施形態において、ポリペプチドは、本明細書中に記載の複数のポリペプチドを含むか、または本明細書に記載の少なくとも1つのポリペプチドおよび関連しない配列(例えば、公知の腫瘍タンパク質)を含む融合ポリペプチドであり得る。例えば、融合パートナーは、Tヘルパーエピトープ、好ましくはヒトによって認識されるTヘルパーエピトープを提供する際に補助し得るか(免疫学的融合パートナー)、またはネイティブの組換えタンパク質より高い収量でタンパク質を発現する際に補助し得る(発現エンハンサー)。特定の好ましい融合パートナーは、免疫学的融合パートナーおよび発現増強融合パートナーの両方である。他の融合パートナーは、ポリペプチドの溶解性を増加するように、またはポリペプチドが所望の細胞内コンパートメントに標的化されることを可能にするように選択され得る。なおさらなる融合パートナーとしては、親和性タグ(これは、ポリペプチドの精製を容易にする)が挙げられる。
【0314】
融合ポリペプチドは、一般に、標準的な技術(化学的結合体化を含む)を使用して調製され得る。好ましくは、融合ポリペプチドは、発現系において、組換えポリペプチドとして発現され、非融合ポリペプチドと比較して、増加したレベルの産生を可能にする。手短に言うと、このポリペプチド成分をコードするDNA配列を、別々に組立て得、そして適切な発現ベクターに連結し得る。1つのポリペプチド成分をコードするDNA配列の3’末端は、ペプチドリンカーを用いてまたは用いずに、第2のポリペプチド成分をコードするDNA配列の5’末端に、これらの配列のリーディングフレームが同位相にあるように連結される。このことが、両方の成分ポリペプチドの生物学的活性を保持する単一の融合ポリペプチドへの翻訳を可能にする。
【0315】
ペプチドリンカー配列は、各ポリペプチドがその二次構造および三次構造へと折り畳まれるのを保証するために十分な距離で第一および第二のポリペプチド成分を隔てるために用いられ得る。このようなペプチドリンカー配列は、当該分野で周知の標準的な技術を用いて融合タンパク質中に組み込まれる。適切なペプチドリンカー配列は、以下の因子に基づいて選択され得る:(1)伸長した可変コンホメーションを取る能力;(2)第一および第二のポリペプチド上の機能的なエピトープと相互作用し得る二次構造を取ることができないこと;ならびに(3)ポリペプチドの機能的なエピトープと反応し得る疎水性または荷電した残基の無いこと。好ましいペプチドリンカー配列は、Gly、AsnおよびSer残基を含む。ThrおよびAlaのような中性に近い他のアミノ酸もまた、リンカー配列に用いられ得る。リンカーとして有用に用いられ得るアミノ酸配列としては、Marateaら、Gene 40:39−46、1985;Murphyら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:8258−8262、1986;米国特許第4,935,233号および米国特許第4,751,180号に開示されるアミノ酸配列が挙げられる。リンカー配列は、一般的に1から約50アミノ酸長であり得る。リンカー配列は、第一および第二のポリペプチドが、機能的ドメインを分離するため、および立体的な干渉を防ぐために用いられ得る非必須N末端アミノ酸領域を有する場合、必要とされない。
【0316】
連結されたDNA配列は、適切な転写または翻訳調節エレメントに作動可能に連結される。DNAの発現を担う調節エレメントは、第一のポリペプチドをコードするDNA配列の5’側にのみ位置する。同様に、翻訳および転写終結シグナルを終了するために必要とされる終止コドンは、第二のポリペプチドをコードするDNA配列の3’側にのみ存在する。
【0317】
融合ポリペプチドは、関連しない免疫原性タンパク質(例えば、リコール(recall)応答を惹起し得る免疫原性タンパク質)と共に、本明細書中に記載されるようなポリペプチドを含み得る。このようなタンパク質の例としては、破傷風タンパク質、結核タンパク質および肝炎タンパク質が挙げられる(例えば、Stouteら、New Engl.J.Med.、336:86−91(1997)を参照のこと)。
【0318】
1つの好ましい実施形態において、免疫学的融合パートナーは、Mycobacterium tuberculosis由来のRa12フラグメントのようにMycobacterium sp.由来である。Ra12組成物、ならびに異種ポリヌクレオチド/ポリペプチド配列の発現および/または免疫原性を増強する際にRa12を使用するための方法は、米国特許出願60/158,585(この開示は、本明細書中でその全体が参考として援用される)に記載されている。簡単には、Ra12は、Mycobacterium tuberculosis MTB32A核酸のサブ配列であるポリヌクレオチド領域をいう。MTB32Aは、M.tuberculosisの毒性菌株および無毒性菌株の遺伝子によってコードされる分子量32KDのセリンプロテアーゼである。MTB32Aのヌクレオチド配列およびアミノ酸配列が、記載されている(例えば、米国特許出願60/158,585;また、Skeikyら、Infection and Immun.(1999)67:3998〜4007も参照のこと。これらは、本明細書中で参考として援用される)。MTB32Aコード配列のC末端フラグメントは高いレベルで発現し、精製プロセス全体にわたって可溶性ポリペプチドとして残存する。さらに、Ra12は、これが融合される、異種免疫原性ポリペプチドの免疫原性を増強し得る。1つの好ましいRa12融合ポリペプチドは、MTB32Aのアミノ酸残基192〜323に対応する14KDのC末端フラグメントを含む。他の好ましいRa12ポリヌクレオチドは、一般的に、Ra12ポリペプチドの一部をコードする少なくとも約15個の連続するヌクレオチド、少なくとも約30個のヌクレオチド、少なくとも60個のヌクレオチド、少なくとも約100個のヌクレオチド、少なくとも約200個のヌクレオチド、または少なくとも約300個のヌクレオチドを含む。Ra12ポリヌクレオチドは、ネイティブな配列(すなわち、Ra12ポリペプチドまたはその一部をコードする内因性配列)を含んでもよいし、このような配列の改変体を含んでもよい。Ra12ポリヌクレオチド改変体は、1以上の置換、付加、欠失および/または挿入を含み得、その結果、コードされた融合ポリペプチドの生物学的活性が、ネイティブなRa12ポリペプチドを含む融合ポリペプチドと比較して、実質的に減少していない。好ましくは、改変体は、ネイティブなRa12ポリペプチドまたはその一部をコードするポリヌクレオチド配列に、少なくとも約70%の同一性、より好ましくは少なくとも約80%の同一性、そして最も好ましくは少なくとも約90%の同一性を示す。
【0319】
好ましい他の実施形態において、免疫学的融合パートナーは、グラム陰性の細菌Haemophilus influenza Bの表面タンパク質である、プロテインD(WO 91/18926)に由来する。好ましくは、プロテインD誘導体は、ほぼこのタンパク質の3分の1(例えば、最初のN末端100〜110アミノ酸)を含み、そしてプロテインD誘導体は、脂質化(lipidated)され得る。特定の好ましい実施形態において、リポプロテインD融合パートナーの最初の109残基は、さらなる外因性T細胞エピトープを有するポリペプチドを提供するように、そしてE.coli中の発現レベルを増加するように、N末端に含まれる(従って、発現エンハンサーとして機能する)。脂質テールは、抗原提示細胞への抗原の最適な提示を保証する。他の融合パートナーは、インフルエンザウイルス由来の非構造的タンパク質、NS1(血球凝集素)を含む。代表的に、N末端の81アミノ酸が用いられるが、Tヘルパーエピトープを含む異なるフラグメントが使用され得る。
【0320】
別の実施形態において、免疫学的融合パートナーは、LYTAとして公知のタンパク質、またはその部分(好ましくはC末端部分)である。LYTAは、アミダーゼLYTA(LytA遺伝子によりコードされる;Gene 43:265〜292,1986)として公知のN−アセチル−L−アラニンアミダーゼを合成するStreptococcus pneumoniae由来である。LYTAは、ペプチドグリカン骨格中の特定の結合を特異的に分解する自己溶解素である。LYTAタンパク質のC末端ドメインは、コリンまたはいくつかのコリンアナログ(例えば、DEAE)に対する親和性を担う。この性質は、融合タンパク質の発現のために有用なE.coli C−LYTA発現プラスミドの開発のために利用されてきた。アミノ末端でC−LYTAフラグメントを含むハイブリッドタンパク質の精製が、記載されている(Biotechnology 10:795〜798,1992を参照のこと)。好ましい実施形態において、LYTAの反復部分は、融合ポリペプチドに組み込まれ得る。反復部分は、残基178で開始するC末端領域中に見出される。特に好ましい反復部分は、残基188〜305を組み込む。
【0321】
なお別の例示的な実施形態は、融合ポリペプチド、およびそれらをコードするポリヌクレオチドを含み、ここでこの融合パートナーは、米国特許第5,633,234号に記載のようにポリペプチドをエンドソーム/リソソームコンパートメントへ指向させ得る標的シグナルを含む。本発明の免疫原性ポリペプチドは、この標的シグナルと融合する場合、より効率的にMHCクラスII分子と結合し、これによってこのポリペプチドに特異的なCD4T細胞のインビボでの増強された刺激が提供される。
【0322】
本発明のポリペプチドは、周知の種々の合成技術および/または組換え技術のいずれかを使用して調製される。これらの技術の後者を以下でさらに記載する。一般的に、約150アミノ酸よりも少ないポリペプチド、部分および他の改変体は、一般的に当業者に周知の技術を使用して、合成手段により作製され得る。例示的な1つの実施例において、このようなポリペプチドは、市販の固相技術のいずれか(例えば、Merrifield固相合成方法)を使用して合成され、ここでアミノ酸は、成長しているアミノ酸鎖に連続的に付加される。Merrifield、J.Am.Chem.Soc.85:2149−2146、1963を参照のこと。ポリペプチドの自動化された合成のための機器が、Perkin Elmer/Applied BioSystems Division(Foster City,CA)などの供給業者から市販されており、そして製造者の指示に従って操作され得る。
【0323】
一般に、本発明のポリペプチド組成物(融合ポリペプチドを含む)が単離される。「単離された」ポリペプチドは、その元来の環境から取り出されたものである。例えば、天然に存在するタンパク質またはポリペプチドは、それが天然の系中で共存する物質のいくつかまたは全てから分離されている場合、単離されている。好ましくは、このようなポリペプチドはまた、精製され、例えば、少なくとも約90%純粋、より好ましくは少なくとも約95%純粋、そして最も好ましくは少なくとも約99%純粋である。
【0324】
(ポリヌクレオチド組成物)
他の局面において、本発明は、ポリヌクレオチド組成物を提供する。用語「DNA」および「ポリヌクレオチド」は、本明細書中で実質的に交換可能に使用され、特定の種の全ゲノムDNAを含まない単離されたDNA分子をいう。本明細書中で使用される場合、「単離された」は、ポリヌクレオチドが、他のコード配列から実質的に分離されており、そしてDNA分子が、無関係のコードDNAの大部分(例えば、大きな染色体フラグメントまたは他の機能的遺伝子またはポリペプチドコード領域)を含まないことを意味する。当然のことながら、これは、もともと単離されたDNA分子をいい、後で人工的にセグメントに付加された遺伝子またはコード領域を除外しない。
【0325】
当業者に理解されるように、本発明のポリヌクレオチド組成物は、タンパク質、ポリペプチド、ペプチドなどを発現するか、または発現し得るように適応されたゲノム配列、ゲノム外配列およびプラスミドにコードされる配列、ならびにより小さな操作された遺伝子セグメントを含み得る。このようなセグメントは、自然に単離され得るか、または人の手によって合成的に改変され得る。
【0326】
当業者に認識されるように、本発明のポリヌクレオチドは、一本鎖(コードもしくはアンチセンス)または二本鎖であり得、そしてDNA分子(ゲノム、cDNAもしくは合成)またはRNA分子であり得る。RNA分子は、HnRNA分子(これはイントロンを含み、そしてDNA分子に1対1の様式で対応する)、およびmRNA分子(これは、イントロンを含まない)を含み得る。さらなるコード配列または非コード配列は、本発明のポリヌクレオチド内に存在し得るがその必要はなく、そしてポリヌクレオチドは、他の分子および/または支持材料に連結され得るがその必要はない。
【0327】
ポリヌクレオチドは、ネイティブの配列(すなわち、本発明のポリペプチド/タンパク質、またはその部分をコードする内因性配列)を含み得るか、あるいはこのような配列の改変体または誘導体、そして好ましくは免疫原性改変体または誘導体をコードする配列を含み得る。
【0328】
従って、本発明の別の局面に従い、配列番号1〜234、236、および244のいずれか1つに示されるポリヌクレオチド配列、配列番号1〜234、236、および244のいずれか1つに示されるポリヌクレオチド配列の相補体、ならびに配列番号1〜234、236、および244のいずれか1つに示されるポリヌクレオチド配列の縮重改変体のうちいくつかまたは全てを含むポリヌクレオチド組成物が提供される。特定の好ましい実施形態において、本明細書中に示されるポリヌクレオチド配列は、上記のような免疫原性ポリペプチドをコードする。
【0329】
他の関連する実施形態において、本発明は、本明細書中で配列番号1〜234、236、および244に開示される配列に実質的な同一性を有するポリヌクレオチド改変体を提供する。例えば、これらは、本明細書中で記載の方法(例えば、以下に記載のような標準的なパラメーターを使用するBLAST分析)を使用して本発明のポリヌクレオチド配列と比較して、少なくとも70%の配列同一性、好ましくは少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%より高い配列同一性を含む。当業者は、これらの値が、コドンの縮重、アミノ酸類似性、リーディングフレームの位置付けなどを考慮することによって、2つのヌクレオチド配列にコードされるタンパク質の対応する同一性を決定するように、適切に調整され得ることを理解する。
【0330】
代表的には、ポリヌクレオチド改変体は、1つ以上の置換、付加、欠失および/または挿入を含み、好ましくは、その結果、改変体ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの免疫原性が、本明細書中に具体的に示されるポリヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドに対して実質的に減少されない。用語「改変体」はまた、異種起源の相同遺伝子を包含することが理解されるべきである。
【0331】
さらなる実施形態において、本発明は、本明細書中に開示される配列の1つ以上に同一であるかまたは相補的な配列の種々の長さの連続したストレッチを含むかまたはこれからなるポリヌクレオチドフラグメントを提供する。例えば、本明細書中に開示される配列の1つ以上の、少なくとも約10、15、20、30、40、50、75、100、150、200、300、400、500または1000以上連続したヌクレオチド、ならびにその間の全ての中間の長さの連続したヌクレオチドを含むかまたはこれからなるポリヌクレオチドが、本発明によって提供される。この状況において、「中間の長さ」が、示された値の間の任意の長さ(例えば、16、17、18、19など;21、22、23など;30、31、32など;50、51、52、53など;100、101、102、103など;150、151、152、153など;200〜500;500〜1,000などの間の全ての整数を含む)を意味することが容易に理解される。本明細書に記載されるようなポリヌクレオチド配列は、天然の配列には見出されないさらなるヌクレオチドによって一端または両端で伸展され得る。さらなる配列は、開示された配列のいずれかの末端、または開示された配列の両端で、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20ヌクレオチドから構成され得る。
【0332】
本発明の別の実施形態において、本明細書において提供されるポリヌクレオチド配列もしくはそのフラグメントまたはその相補的な配列に対して、中程度〜高いストリンジェンシー条件下でハイブリダイズし得るポリヌクレオチド組成物が提供される。ハイブリダイゼーション技術は、分子生物学の当該分野において周知である。例示の目的であるが、他のポリヌクレオチドと本発明のポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーションを試験するために適切な中程度にストリンジェントな条件は、5×SSC、0.5% SDS、1.0mM EDTA(pH8.0)の溶液中の事前洗浄;50℃〜60℃、5×SSCでの、一晩のハイブリダイゼーション;続いて、0.1%SDSを含有する2×、0.5×および0.2×SSCのそれぞれを用いた、65℃で20分間の2回の洗浄を含む。当業者は、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーが、例えば、ハイブリダイゼーション溶液の塩含量および/またはハイブリダイゼーションが実施される温度を変更することによって、容易に操作され得ることを理解する。例えば、別の実施形態において、適切な高いストリンジェントのハイブリダイゼーション条件としては、ハイブリダイゼーションの温度が、例えば、60〜65℃または65〜70℃に増大される点を除いて、上記の条件が挙げられる。
【0333】
特定の好ましい実施形態において、上記のポリヌクレオチド(例えば、ポリヌクレオチド改変体、フラグメント、およびハイブリダイズする配列)は、本明細書中に具体的に示されるポリペプチド配列と免疫学的に交差反応するポリペプチドをコードする。他の好ましい実施形態において、このようなポリヌクレオチドは、本明細書中に具体的に示されるポリペプチド配列の免疫原性活性の、少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約70%、そしてより好ましくは少なくとも約90%の免疫原性活性レベルを有するポリペプチドをコードする。
【0334】
本発明のポリヌクレオチド、またはそのフラグメントは、そのコード配列自体の長さに関わらず、他のDNA配列(例えば、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、さらなる制限酵素部位、マルチクローニング部位、他のコードセグメントなど)と組合わされ得、その結果、その全体の長さは、相当変化し得る。従って、ほとんどいずれの長さの核酸フラグメントをも使用し得ることが意図され、その全長は、好ましくは意図した組換えDNAプロトコルにおける調製および使用の容易さによって制限される。例えば、約10,000、約5000、約3000、約2,000、約1,000、約500、約200、約100、約50塩基対長など(全ての中間の長さを含む)の全長を有する例示的なポリヌクレオチドセグメントが、本発明の多くの実行において有用であることが意図される。
【0335】
ポリヌクレオチド配列を比較する場合、2つの配列におけるヌクレオチドの配列が、以下に記載されるように最大一致について整列されるのと同じ場合に、2つの配列が「同一」であるといわれる。2つの配列の間の比較は、代表的には、配列類似性の局部領域を同定および比較するために、比較ウインドウにわたって配列を比較することによって行われる。本明細書中で使用される場合、「比較ウインドウ」は、少なくとも約20、通常は30〜約75、40〜約50連続した位置のセグメントをいい、ここで、2つの配列が最適に整列された後に、配列は、連続した位置の同じ数の参照配列と比較され得る。
【0336】
比較のための配列の最適な整列は、バイオインフォマティクス(生命情報科学)ソフトウエアのLasergene suiteにおけるMegalignプログラム(DNASTAR,Inc.,Madison,WI)を使用して、デフォルトパラメーターを用いて行われ得る。このプログラムは、以下の参考文献に記載のいくつかの整列スキームを統合する:Dayhoff,M.O.(編)Atlas of Protein Sequence and Structure,National Biomedical Research Foundation,Washington DC Vol.5,補遺3,345−358頁におけるDayhoff,M.O.(1978)A model of evolutionary change in proteins−Matrices for detecting distant relationships.;Hein J.(1990)Unified Approach to Alignment and Phylogenes 626−645頁 Methods in Enzymology vol.183,Academic Press,Inc.,San Diego,CA;Higgins,D.G.およびSharp,P.M.(1989)CABIOS 5:151−153;Myers,E.W.およびMuller W.(1988)CABIOS 4:11−17;Robinson,E.D.(1971)Comb.Theor 11:105;Santou,N.Nes,M.(1987)Mol.Biol.Evol.4:406−425;Sneath,P.H.A.およびSokal,R.R.(1973)Numerical Taxonomy−the Principles and Practice of Numerical Taxonomy,Freeman Press,San Francisco,CA;Wilbur,W.J.およびLipman,D.J.(1983)Proc.Natl.Acad.,Sci.USA 80:726−730。
【0337】
あるいは、比較のための配列の最適な整列は、SmithおよびWaterman(1981)Add.APL.Math 2:482の局部同定アルゴリズムによって、NeedlemanおよびWunsch(1970)J.Mol.Biol.48:443の同一性整列アルゴリズムによって、PearsonおよびLipman(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444の類似性検索方法によって、これらのアルゴリズムのコンピュータ化した実行(Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group(GCG),575 Science Dr.,Madison,WIにおけるGAP、BESTFIT、BLAST、FASTA、およびTFASTA)によって、または検査によって行われ得る。
【0338】
配列同一性および配列類似性の割合を決定するために適切なアルゴリズムの1つの好ましい例は、BLASTおよびBLAST2.0アルゴリズムであり、これらはそれぞれ、Altschulら(1977)Nucl.Acids Res.25:3389−3402およびAltschulら(1990)J.Mol.Biol.215:403−410に記載される。BLASTおよびBLAST2.0は、本発明のポリヌクレオチドについての配列同一性の割合を決定するために、例えば、本明細書中に記載のパラメータを用いて使用され得る。BLAST分析を行うためのソフトウエアは、National Center for Biotechnology Infomationを通して公に利用可能である。1つの例示的な例において、累積スコアは、ヌクレオチド配列について、パラメーターM(一致する残基の対についての報酬スコア(reward scored);常に>0)およびN(ミスマッチ残基についてのペナルティスコア;常に<0)を使用して算出され得る。各指示におけるワードヒットの拡大は、以下の場合に停止する:累積整列スコアが、その最大到達値から量Xだけ低下した場合;累積スコアが、1以上の負のスコアの残基整列の累積に起因してゼロ以下になった場合;またはいずれかの配列の末端に到達した場合。このBLASTアルゴリズムパラメーターW、TおよびXは、整列の感度および速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列について)は、ワード長さ(W)11、および期待値(E)10をデフォルトとして、そしてBLOSUM62スコアリングマトリックス(HenikoffおよびHenikoff(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915を参照のこと)アラインメントは、(B)50、期待値(E)10、M=5、N=−4、および両方の鎖の比較を使用する。
【0339】
好ましくは、「配列同一性のパーセンテージ」は、少なくとも20の位置の比較ウインドウにわたる2つの最適に整列した配列を比較することによって決定され、ここで比較ウインドウ中のポリヌクレオチド配列の一部は、参照配列(これは、付加または欠失を含まない)と比較して、2つの配列の最適な整列について20パーセント以下、通常は5〜15パーセント、または10〜12パーセントの付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。このパーセンテージは、両方の配列で同一の核酸塩基が生じる位置の数を決定して一致する位置の数を得、この一致する位置の数を参照配列中の位置の総数(すなわち、ウインドウサイズ)で除算し、そしてこの結果に100を掛けて配列同一性のパーセンテージを得ることによって算出される。
【0340】
遺伝コードの縮重の結果として、本明細書中に記載されるようなポリペプチドをコードする多くのヌクレオチド配列が存在することが、当業者に理解される。これらのポリヌクレオチドのうちいくつかは、任意のネイティブな遺伝子のヌクレオチド配列に対して最小の相同性を有する。それにもかかわらず、コドンの用法における差異に起因して変化するポリヌクレオチドは、本発明によって具体的に意図される。さらに、本明細書中に提供されるポリヌクレオチド配列を含む遺伝子の対立遺伝子は、本発明の範囲内である。対立遺伝子は、1以上の変異(例えば、ヌクレオチドの欠失、付加および/または置換)の結果として変化する内因性遺伝子である。得られたmRNAおよびタンパク質は、変化した構造または機能を有し得るが、有する必要はない。対立遺伝子は、標準的な技術(例えば、ハイブリダイゼーション、増幅および/またはデータベース配列比較)を用いて、同定され得る。
【0341】
従って、本発明の別の実施形態において、変異誘発アプローチ(例えば、部位特異的変異誘発)は、本明細書中に記載のポリペプチドの免疫原性改変体および/または誘導体の調製のために使用される。このアプローチによって、ポリペプチド配列における特定の改変が、これらをコードする、基礎となるポリヌクレオチドの変異誘発を介してなされ得る。これらの技術は、例えば、ポリヌクレオチド中に1つ以上のヌクレオチド配列変化を導入することによって先の考慮の1つ以上を組み込む、配列改変体を調製および試験するための直接的なアプローチを提供する。
【0342】
部位特異的変異誘発は、所望の変異のDNA配列をコードする特定のオリゴヌクレオチド配列ならびに十分な数の隣接ヌクレオチドの使用を介して変異体の生成を可能にし、相対する欠失連結部の両側に安定な二重鎖を形成するために、十分なサイズおよび配列複雑性のプライマー配列を提供する。変異は、ポリヌクレオチド自体の特性を改善するか、変更するか、減少させるか、改変するか、さもなくば変化させるため、そして/またはコードされたポリペプチドの特性、活性、組成、安定性または一次配列を変更するために、選択されたポリヌクレオチド配列において使用され得る。
【0343】
本発明の特定の実施形態において、本発明者らは、コードされたポリペプチドの1つ以上の特性(例えば、ポリペプチドワクチンの免疫原性)を変更するために、開示されたポリヌクレオチド配列の変異誘発を意図する。部位特異的変異誘発の技術は、当該分野に周知であり、ポリペプチドおよびポリヌクレオチドの両方の改変体を作製するために広範に使用される。例えば、部位特異的変異誘発は、しばしば、DNA分子の特定部分を変更するために使用される。このような実施形態において、代表的に約14ヌクレオチド長〜約25ヌクレオチド長程度の長さを含むプライマーが使用され、配列の連結部の両側にある、約5残基〜約10残基が変更される。
【0344】
当業者によって理解されるように、部位特異的変異誘発技術は、しばしば、一本鎖形態および二本鎖形態の両方で存在するファージベクターを使用してきた。部位特異的変異誘発において有用である代表的なベクターとしては、M13ファージのようなベクターが挙げられる。これらのファージは、容易に商業的に入手可能であり、そしてそれらの使用は、一般的に当業者に周知である。二本鎖プラスミドもまた、目的の遺伝子をプラスミドからファージに転移する工程を除去する部位特異的変異誘発において慣用的に使用される。
【0345】
一般的に、本明細書に従う部位特異的変異誘発は、所望のペプチドをコードするDNA配列をその配列中に含む一本鎖ベクターを最初に入手する工程、またはこの配列を含む二本鎖ベクターの2本の鎖を融解して分ける工程によって実行される。所望の変異配列を保有するオリゴヌクレオチドプライマーは、一般的に、合成的に調製される。次いで、このプライマーは、一本鎖ベクターとともにアニーリングされ、そして変異を保有する鎖の合成を完了するために、DNA重合酵素(例えば、E.coliポリメラーゼI Klenowフラグメント)に供される。このようにヘテロ二重鎖が形成され、ここで一方の鎖が変異を有さないもともとの配列をコードし、そして2つめの鎖は所望の変異を保有する。次いで、このヘテロ二重鎖ベクターは、適切な細胞(例えば、E.coli細胞)を形質転換するために使用され、そして、変異した配列配置を保有する組換えベクターを含むクローンが選択される。
【0346】
部位特異的変異誘発を使用する、選択されたペプチドコードDNAセグメントの配列改変体の調製は、潜在的に有用な種を産生する手段を提供し、そしてこれは、限定を意味するものではない。なぜなら、ペプチドの配列改変体およびそれらをコードするDNA配列を入手し得る他の方法が存在するからである。例えば、所望のペプチド配列をコードする組換えベクターは、変異誘発剤(例えば、ヒドロキシルアミン)で処理されて、配列改変体を入手し得る。これらの方法およびプロトコルに関する具体的な詳細は、Maloyら、1994;Segal、1976;ProkopおよびBajpai、1991;Kuby、1994;およびManiatisら、1982(各々がその目的のために本明細書中に参考として援用される)の教示において見出され得る。
【0347】
本明細書中で使用される場合、用語「オリゴヌクレオチド特異的変異誘発手順」とは、テンプレート(鋳型)依存的プロセスおよびベクター媒介性増殖をいい、これは、その初期の濃度と比較して、特定の核酸分子の濃度の増加を生じるか、または検出可能なシグナルの濃度の増加(例えば、増幅)を生じる。本明細書中で使用される場合、用語「オリゴヌクレオチド特異的変異誘発手順」は、プライマー分子の鋳型依存的な伸長を含むプロセスをいうことが意図される。用語、鋳型依存的プロセスとは、新規に合成された核酸の鎖の配列は、相補的塩基対形成の周知の規則によって指示されるRNA分子またはDNA分子の核酸合成をいう(例えば、Watson、1987を参照のこと)。代表的には、ベクター媒介性の方法論は、DNAまたはRNAベクターへの核酸フラグメントの導入、ベクターのクローン性増幅、および増幅した核酸フラグメントの回収を包含する。このような方法論の例は、その全体が具体的に参考として本明細書中に援用される、米国特許第4,237,224号によって提供される。
【0348】
本発明のポリペプチド改変体の生成のための別のアプローチにおいて、米国特許第5,837,458号に記載のような、再帰的な配列組換えが使用され得る。このアプローチにおいて、組換えおよびスクリーニングまたは選択の反復性のサイクルが実施されて、例えば、増強された免疫原性活性を有する本発明の個々のポリヌクレオチド改変体を「展開させる」。
【0349】
本発明の他の実施形態において、本明細書中に提供されるポリヌクレオチド配列は、核酸ハイブリダイゼーションのためのプローブまたはプライマーとして、有利に使用され得る。このように、本明細書中に開示される15ヌクレオチド長の連続配列と同じ配列か、またはこれに相補的な配列を有する、少なくとも約15ヌクレオチド長の連続配列の配列領域を含むかあるいはこれらからなる核酸セグメントが特定の有用性を見出すことが、意図される。例えば、約20、30、40、50、100、200、500、1000(全ての中間的な長さのものを含む)およびまさに全長配列までの、より長い連続した同一配列または相補的な配列がまた、特定の実施形態において使用される。
【0350】
このような核酸プローブが目的の配列に特異的にハイブリダイズする能力は、所定のサンプル中の相補的配列の存在を検出する際にこれらが使用されることを可能にする。しかし、他の用途(例えば、変異種プライマーまたは他の遺伝的構築物の調製の際の使用のためのプライマーを調製するための配列情報の使用)がまた意図される。
【0351】
10〜14、15〜20、30、50、または100〜200ヌクレオチド程度(同様に中間的な長さを含む)の連続したヌクレオチドストレッチからなる配列領域を有し、本明細書中に開示されるポリヌクレオチド配列に同一または相補的なポリヌクレオチド分子は、例えばサザンブロッティングまたはノーザンブロッティングにおける使用のためのハイブリダイゼーションプローブとして特に意図される。これは、遺伝子産物またはそのフラグメントの、多様な細胞型およびまた種々の細菌細胞の両方における分析を可能とする。フラグメントの全サイズ、ならびに相補的ストレッチのサイズは、究極的には、特定の核酸セグメントの意図される用途または適用に依存する。より小さなフラグメントは、一般にハイブリダイゼーション実施形態における用途を見出し、ここで連続した相補領域の長さが変化され得る(例えば、約15ヌクレオチドと約100ヌクレオチドとの間)が、検出を望む相補配列の長さに従って、より長い連続した相補ストレッチが使用され得る。
【0352】
約15〜25ヌクレオチド長のハイブリダイゼーションプローブの使用は、安定かつ選択的な二重鎖分子の形成を可能にする。しかし、15塩基長より長いストレッチの連続した相補配列を有する分子が、ハイブリッドの安定性および選択性を増加するために一般に好ましく、それによって、得られる特異的ハイブリッド分子の質および程度が改善される。15〜25の連続したヌクレオチド、または望まれる場合にはより長い遺伝子相補的ストレッチを有する核酸分子を設計するのが一般には好ましい。
【0353】
ハイブリダイゼーションプローブは、本明細書中に開示される配列のいずれかの、任意の部分から選択され得る。必要とされることの全ては、本明細書中に記載の配列、あるいはプローブまたはプライマーとしての利用を望む場合は、約15〜25ヌクレオチド長から全長配列まで、および全長配列を含む配列の任意の連続した部分までを再検討することである。プローブおよびプライマー配列の選択は、種々の要因によって支配され得る。例えば、全配列の末端に向かってプライマーを使用することが望まれ得る。
【0354】
小さなポリヌクレオチドセグメントまたはフラグメントは、通常は自動オリゴヌクレオチド合成機を使用して行われるので、例えば化学的手段によってフラグメントを直接合成することによって、容易に調製され得る。また、フラグメントは、核酸複製技術(例えば、米国特許第4,683,202号(本明細書中に参考として援用される)のPCRTM技術)の適用によって、組換え産生のために選択配列を組換えベクターに導入することによって、および一般に分子生物学の分野の当業者に公知の他の組換えDNA技術によって、得られ得る。
【0355】
本発明のヌクレオチド配列は、目的の完全遺伝子または遺伝子フラグメントの相補的ストレッチを有する、二重鎖分子を選択的に形成するその能力のために使用され得る。想定される適用に依存して、代表的には、標的配列に対するプローブの選択性の種々の程度を達成するために、ハイブリダイゼーションの種々の条件を使用することが望ましい。高い選択性を必要とする適用について、代表的には、ハイブリッドを形成するための比較的ストリンジェントな条件(例えば、比較的低濃度の塩、および/または高温の条件(例えば、約50℃〜約70℃の温度で、約0.02M〜約0.15Mの塩の塩濃度によって提供されるような)を使用することが望ましい。このような選択条件は、存在する場合、プローブとテンプレートまたは標的鎖との間のミスマッチにわずかに許容性であり、そして関連する配列の単離のために特に適切である。
【0356】
当然のことながら、いくつかの適用(例えば、潜在的なテンプレートにハイブリダイズする変異体プライマー鎖を使用する、変異体の調製が望ましい場合)について、低ストリンジェント(減少したストリンジェンシー)のハイブリダイゼーション条件は、ヘテロ二重鎖を形成するために代表的に必要とされる。これらの状況において、約20℃〜約55℃の温度範囲で約0.15M〜約0.9Mの塩の条件のような塩条件を使用することが望ましくあり得る。これによって、交差ハイブリダイズ種は、コントロールハイブリダイゼーションに関して、陽性ハイブリダイズシグナルとして容易に同定され得る。任意の場合において、ホルムアミド(これは、増加した温度と同じ様式で、ハイブリッド二重鎖を不安定化するように作用する)の増加した量の添加によって、条件がよりストリンジェントになり得ることが一般に理解される。従って、ハイブリダイゼーション条件は、容易に操作され得、従って、一般に、所望の結果に依存する最良の方法である。
【0357】
本発明の別の実施形態に従って、アンチセンスオリゴヌクレオチドを含むポリヌクレオチド組成物が、提供される。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、タンパク質合成の効果的かつ標識化インヒビターであることが実証され、疾患が、疾患に寄与するタンパク質の合成を阻害することによって処置され得る治療的なアプローチを結果的に提供する。タンパク質合成を阻害するためのアンチセンスオリゴヌクレオチドの効力は、よく確立されている。例えば、ポリガラクタウロナーゼ(polygalactauronase)の合成およびムスカリン2型アセチルコリンレセプターは、そのそれぞれのmRNA配列に特異的なアンチセンスオリゴヌクレオチドによって阻害される(米国特許第5,739,119号および米国特許第5,759,829号)。さらに、アンチセンス阻害の例が、核タンパク質サイクリン、多剤耐性遺伝子(MDG1)、ICAM−1、E−セレクチン、STK−1、線条体GABAレセプターおよびヒトEGFを用いて示されている(Jaskulskiら、Science 1988 Jun 10;240(4858):1544−6;VasanthakumarおよびAhmed、Cancer Commun.1989;1(4):225−32;Perisら、Brain Res Mol Brain Res.1998 Jun 15;57(2)310−20;米国特許第5,801,154号;同第5,789,573号;同第5,718,709号および同第5,610,288号)。種々の異常な細胞増殖(例えば、癌)を阻害しそして処置するために使用され得る、アンチセンス構築物もまた、記載されている(米国特許第5,747,470号;同第5,591,317号および同第5,783,683号)。
【0358】
従って、特定の実施形態において、本発明は、本明細書中に記載されるポリヌクレオチド配列に特異的に結合し得る任意の配列もしくはその相補体のすべてまたは一部を含む、オリゴヌクレオチド配列を提供する。1つの実施形態において、そのアンチセンスオリゴヌクレオチドは、DNAまたはその誘導体を含む。別の実施形態において、そのオリゴヌクレオチドは、RNAまたはその誘導体を含む。第3の実施形態において、そのオリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエート改変骨格を含む、改変DNAである。第4の実施形態において、そのオリゴヌクレオチド配列は、ペプチド核酸またはその誘導体を含む。各場合において、好ましい組成物は、本明細書中に開示されるポリヌクレオチドのうちの1つ以上の部分に相補的な、より好ましくは実質的に相補的な、そしてさらにより好ましくは完全に相補的な、配列領域を含む。所定の遺伝子配列に特異的なアンチセンス組成物の選択は、選択された標的配列の分析に基き、そして二次構造、T、結合エネルギー、および相対的安定性の決定に基く。アンチセンス組成物は、二量体、ヘアピン、または宿主細胞において標的mRNAへの特異的結合を減少または妨げる他の二次構造をそれらが形成できない相対的能力に基づいて選択され得る。mRNAの非常に好ましい標的領域は、AUG翻訳開始コドンの領域またはその付近の領域、およびmRNAの5’領域と実質的に相補的な配列である。これらの二次構造分析および標的部位選択の考慮は、例えば、OLIGOプライマー分析ソフトウェアのv.4および/またはBLASTN 2.0.5アルゴリズムソフトウェア(Altschulら、Nucleic Acids Res.1997,25(17):3389−402)を使用して実施され得る。
【0359】
短いペプチドベクター(MPG(27残基)と称する)を使用するアンチセンス送達法の使用もまた意図される。このMPGペプチドは、HIV gp41の融合配列由来の疎水性ドメインと、SV40 T抗原の核局在化配列由来の親水性ドメインとを含む(Morrisら、Nucleic Acids Res.1997 Jul 15;25(14):2730−6)。このMPGペプチドのいくつかの分子がアンチセンスオリゴヌクレオチドをコートし、そして比較的高効率(90%)で1時間未満で培養哺乳動物細胞へと送達され得ることが示された。さらに、MPGとの相互作用は、ヌクレアーゼに対するそのオリゴヌクレオチドの安定性および形質膜を横切る能力の両方を強力に増加させる。
【0360】
本発明の別の実施形態に従って、本明細書中に記載されるポリヌクレオチド組成物は、腫瘍細胞における腫瘍ポリヌクレオチドおよび本発明のタンパク質の発現を阻害するためのリボンザイム分子の設計および調製に使用される。リボザイムは、部位特異的様式で核酸を切断するRNA−タンパク質複合体である。リボザイムは、エンドヌクレアーゼ活性を保有する特定の触媒ドメインを有する(KimおよびCech、Proc Natl Acad Sci U S A.1987 Dec;84(24):8788−92;ForsterおよびSymons、Cell.1987 Apr 24;49(2)211−20)。例えば、多数のリボザイムが、高い程度の特異性でホスホエステル転移反応を促進し、しばしば、オリゴヌクレオチド基質中の数個のホスホエステルのうちの1つだけを切断する(Cechら、Cell.1981 Dec;27(3 Pt 2):487−96;MichelおよびWesthof、J Mol Biol.1990 Dec 5;216(3):585−610;Reinhold−HurekおよびShub、Nature.1992 May 14;357(6374):173−6)。この特異性は、この基質が、化学反応の前にリボザイムの内部ガイド配列(「IGS」)との特異的塩基対形成相互作用を介して結合するという要件に帰せられている。
【0361】
天然に存在する酵素的RNAの6つの基本的変種が、現在公知である。各々が、生理学的条件下で、トランスで、RNAホスホジエステル結合の加水分解を触媒し得る(従って、他のRNA分子を切断し得る)。一般に、酵素的核酸は、まず、標的RNAへの結合によって作用する。このような結合は、標的RNAを切断するように作用する分子の酵素的部分に近接して保持される、酵素的核酸の標的結合部分を介して生じる。従って、その酵素的核酸はまず、標的RNAを認識し、次いで相補的塩基対形成を介してその標的RNAに結合し、そして一旦正確な部位に結合すると、その標的RNAを酵素的に切断するように作用する。このような標的RNAの戦略的切断は、コードされるタンパク質を直接合成する標的RNAの能力を破壊する。酵素的核酸がそのRNA標的に結合しそして切断した後、その酵素的核酸は、別の標的を探索するためにそのRNAから離れ、そして繰り返し、新しい標的に結合しそして切断し得る。
【0362】
リボザイムの酵素特性は、多くの技術(例えば、アンチセンス技術(ここで、核酸分子は、翻訳を阻害するために核酸標的に簡単に結合する))に対して有利である。なぜなら、治療的処置に影響を与えるのに必要であるリボザイムの濃度は、アンチセンスオリゴヌクレオチの濃度よりも低いからである。この利点は、酵素学的に作用するリボザイムの能力を反映する。従って、単一のリボザイム分子は、標的RNAの多くの分子を切断し得る。さらに、このリボザイムは、高度に選択的なインヒビターであり、この阻害の特異性は、標的RNAに結合する塩基対形成の機構に依存するだけでなく、標的RNAの切断の機構にも依存する。切断部位付近の1個のミスマッチまたは塩基置換により、リボザイムの触媒活性が完全になくなり得る。アンチセンス分子内の同様のミスマッチでは、それらの作用は妨げられない(Woolfら、Proc Natl Acad Sci U S A.1992 Aug 15;89(16):7305−9)。従って、リボザイムの作用の特異性は、同じRNA部位に結合するアンチセンスオリゴヌクレオチドの作用の特異性よりも高い。
【0363】
この酵素学的核酸分子は、ハンマーヘッド(hammerhead)モチーフ、ヘアピンモチーフ、δ型肝炎ウイルスモチーフ、I群イントロンモチーフまたはRNaseP RNAモチーフ(RNA誘導配列に関連する)あるいはNeurospora VS RNAモチーフに形成され得る。ハンマーヘッドモチーフの例は、Rossiら,Nucleic Acids Res.1992 Sep 11;20(17):4559−65に記載される。ヘアピンモチーフの例は、Hampelら(欧州特許出願公開番号EP 0360257)、HampelおよびTritz(Biochemistry 1989 Jun 13;28(12):4929−33)、Hampelら,Nucleic Acids Res.1990 Jan 25;18(2):299−304および米国特許第5,631,359号に記載される。δ型肝炎ウイルスモチーフの例は、PerrottaおよびBeen,Biochemistry.1992 Dec 1;31(47):11843−52に記載される;RNasePモチーフの例は、Guerrier−Takadaら,Cell.1983 Dec;35(3 Pt 2):849−57に記載される;Neurospora VS RNAリボザイムモチーフは、Collins(SavilleおよびCollins,Cell.1990 May 18;61(4):685−96;SavilleおよびCollins,Proc Natl Acad Sci U S A.1991 Oct 1;88(19):8826−30;CollinsおよびOlive,Biochemistry.1993 Mar 23;32(11):2795−9)に記載される;そしてI群イントロンの例は、米国特許第4,987,071号に記載される。本発明の酵素学的核酸分子において重要であることは、1以上の標的遺伝子RNA領域に相補的である特定の基質結合部位を有すること、およびこの分子にRNA切断活性を付与する、基質結合部位内のヌクレオチド配列またはこの基質結合部位の周囲のヌクレオチド配列を有することだけである。従って、リボザイム構築物は、本明細書中に記載される特定のモチーフに限定する必要はない。
【0364】
リボザイムは、国際特許出願公開番号WO 93/23569および国際特許出願公開番号WO 94/02595(各々は、本明細書中で参考として詳細に援用される)に記載されるように設計され得、そして記載されるようにインビトロおよびインビボにおいて試験するために合成され得る。このようなリボザイムはまた、送達するために最適化され得る。特定の例が提供されるが、当業者は、他の種において等価なRNA標的が、必要な場合に利用され得ることを理解する。
【0365】
リボザイムの活性は、リボザイムの結合アームの長さを変更することにより、または血清リボヌクレアーゼによる分解を防ぐ改変(例えば、国際特許出願番号WO 92/07065;国際特許公開番号WO 93/15187;国際特許出願公開番号WO 91/03162;欧州特許出願公開番号92110298.4;米国特許第5,334,711号、および国際特許出願公開番号WO 94/13688(これには、酵素学的RNA分子の糖部分に対して成され得る、種々の化学的修飾が記載される)を参照のこと)、細胞中でのリボザイムの有効性を増強する改変、ならびにRNAの合成時間を短縮および化学的必要性を低下させるための幹(stem)II塩基を除去して、リボザイムを化学的に合成することによって最適化され得る。
【0366】
Sullivanら(国際特許出願公開番号WO 94/02595)は、酵素学的RNA分子の送達のための一般的な方法を記載する。リボザイムは、当業者に公知の種々の方法によって細胞に投与され得、これらには、リポソームへのカプセル化、イオン泳動法、あるいは、ヒドロゲル、シクロデキストリン、生分解性ナノカプセルおよび生体接着性ミクロスフィアのような他のビヒクルへの取り込みによるもの、が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの指針(指標)のために、リボザイムは、エキソビボで細胞または組織に、上記のビヒクルを使用してか、または使用せずに直接送達され得る。あるいは、RNA/ビヒクルの組合せは、直接的な吸入、直接的な注射、またはカテーテル、注入ポンプまたはステントの使用により、局所的に送達され得る。他の送達経路としては、血管内注射、筋内注射、皮下注射または関節注射、エアロゾル吸入、経口送達(錠形態または丸薬形態)、局所送達、全身送達、眼送達、腹腔内送達および/またはくも膜下腔内送達が挙げられるが、これらに限定されない。リボザイム送達および投与のより詳細な記載は、国際特許出願公開番号WO 94/02595および国際特許出願公開番号WO 93/23569(各々は、本明細書中で参考として詳細に援用される)に提供される。
【0367】
高濃度のリボザイムを細胞内に蓄積する別の手段は、リボザイムコード配列をDNA発現ベクターに組み込むことである。リボザイム配列の転写は、真核生物RNAポリメラーゼI(pol I)、RNAポリメラーゼII(pol II)、またはRNAポリメラーゼIII(pol III)のためのプロモーターにより駆動される。pol IIプロモーターまたはpol IIIプロモーターからの転写物は、全ての細胞内で高レベルで発現される;所定の細胞型における所定のpol IIプロモーターのレベルは、近くに存在する遺伝子調節配列(エンハンサー、サイレンサーなど)の性質に依存する。原核生物のRNAポリメラーゼプロモーターもまた使用され得るが、但し、原核生物RNAポリメラーゼ酵素は、適切な細胞において発現される。このようなプロモーターから発現するリボザイムは、哺乳動物細胞において機能することが示されている。このような転写ユニットは、哺乳動物細胞内への導入のための種々のベクター(プラスミドDNAベクター、ウイルスDNAベクター(例えば、アデノウイルスベクターまたはアデノ随伴ベクター)、またはウイルスRNAベクター(例えば、レトロウイルスベクター、セムリキ森林ウイルスベクター、シンドビスウイルスベクター)が挙げられるがこれらに限定されない)に組み込まれ得る。
【0368】
本発明の別の実施形態において、ペプチド核酸(PNA)組成物が提供される。PNAは、DNA模倣物であり、核酸塩基は、偽ペプチド骨格に結合される(GoodおよびNielsen、Antisense Nucleic Acid Drug Dev.1997 7(4)431〜37)。PNAは、RNAまたはDNAを伝統的に使用した多くの方法において利用され得る。しばしば、PNA配列は、対応するRNA配列またはDNA配列よりも技術的により良く機能し、そしてRNAにもDNAにも固有でない有用性を有する。産生方法、特徴、および使用方法を含むPNAの総説は、Corey(Trends Biotechnol 1997 6月;15(6):224〜9)によって提供される。このように、特定の実施形態において、ACE mRNA配列の1以上の部分に相補的であるPNA配列を調製し得、そしてこのようなPNA組成物は、ACE−特異的mRNAの翻訳を調節、変更、減少、または低下させるために使用され得、これにより、このようなPNA組成物が投与された宿主細胞におけるACE活性のレベルを変更する。
【0369】
PNAは、DNAの正常なホスホジエステル骨格を置換する2−アミノエチル−グリシン連結を有する(Nielsenら、Science 1991 12月6;254(5037):1497〜500;Hanveyら、Science.1992 11月 27;258(5087):1481〜5;HyrupおよびNielsen,Bioorg Med Chem.1996 1月;4(1):5〜23)。この化学は、3つの重要な結果を有する。第1に、DNAまたはホスホロチオエートオリゴヌクレオチドとは対照的に、PNAは、中性の分子であり;第2に、PNAは、アキラル(立体選択的な合成を開発する必要を避ける)であり;そして第3に、PNA合成は、標準的なBocプロトコルまたはFmocプロトコルを、固相ペプチド合成に使用する。一方、改良型Merrifield法を含む他の方法が使用されている。
【0370】
PNAモノマーまたは既製のオリゴマーは、PerSeptive Biosystems(Framingham,MA)から市販されている。BocプロトコルまたはFmocプロトコルのいずれかによるPNAの合成は、手動プロトコルまたは自動プロトコルを使用して簡単に実施される(Nortonら、Bioorg Med Chem.1995 4月;3(4):437〜45)。この手動(マニュアル)プロトコルは、それ自体で、化学的に修飾されたPNAの産生または密接に関係するPNAのファミリーの同時合成を導く。
【0371】
ペプチドの合成に関して、特定のPNA合成の成功は、選択した配列の特性に依存する。例えば、理論上、PNAは、ヌクレオチド塩基の任意の組合せを取り込み得るが、隣接するプリンの存在は、産物中に1以上の残基の欠失を導き得る。この困難性の見込みにおいて、隣接するプリンを有するPNAを産生する際に、付加されているようである残基の連結を非効率的に繰り返すべきであることが示唆される。この後、ペプチド合成の間に観測されるのと類似する産物の収率および純度を提供する逆相高圧液体クロマトグラフィーによってPNAを精製するべきである。
【0372】
所与の適用のためのPNAの修飾が、固相合成の間にアミノ酸を連結することによって、または露出されたN末端アミンにカルボン酸基を含む化合物を付加することによって達成され得る。あるいは、PNAは、導入されたリジンまたはシステインに連結することによって合成した後に修飾され得る。PNAが修飾され得る簡便さにより、より良い溶解度または特定の機能的必要条件の最適化を容易にする。一旦合成されると、PNAおよびそれらの誘導体の同定は、質量分析法によって確認され得る。いくつかの研究が、PNAの修飾物を作製および利用した(例えば、Nortonら、Bioorg Med Chem.1995 4月;3(4):437〜45;Petersenら、J Pept Sci.1995 5〜6月;1(3)175〜83;Orumら、Biotechniques.1995 9月;19(3):472〜80;Footerら、Biochemistry.1996 8月 20;35(33):10673〜9;Griffithら、Nucleic Acid Res.1995 8月 11;23(15):3003〜8;Pardridgeら、Proc Natl Acad Sci USA 1995 6月 6;92(12):5592〜6;Boffaら、Proc Natl Acad Sci USA 1995 3月 14;92(6):1901〜5;Gambacorti−Passeriniら、Blood、1996 8月 15;88(4):1411〜7;Armitageら、Proc Natl Acad Sci USA、1997 11月 11;94(23):12320〜5;Seegerら、Biotechniques、1997 9月;23(3):512〜7)。米国特許第5,700,922号は、PNA−DNA−PNAキメラ分子および診断におけるその分子の使用、生物体におけるタンパク質の調節、ならびに治療に対して影響を受け易い状態の処置について議論する。
【0373】
PNAのアンチセンス結合特性を特徴づけする方法は、Rose(Anal Chem、1993 12月 15;65(24):3545〜9)およびJensenら(Biochemistry、1997 4月 22;36(16):5072〜7)において議論される。Roseは、キャピラリーゲル電気泳動を使用して、相対的な結合速度論および化学量論を測定することで、PNAのそれらの相補的オリゴヌクレオチドに対する結合を決定する。同様のタイプの測定が、BIAcoreTM 技術を使用してJensenらによって成された。
【0374】
記載され、そして当業者に明らかであるPNAの他の適用には、DNA鎖の侵入、アンチセンス阻害、変異分析、転写のエンハンサー、核酸の精製、転写活性遺伝子の単離、転写因子結合の阻害、ゲノムの切断、バイオセンサー、インサイチュハイブリダイゼーションなどにおける使用が挙げられる。
【0375】
(ポリヌクレオチドの同定、特徴づけおよび発現)
本発明のポリヌクレオチド組成物は、種々の十分に確立された技術のいずれかを使用して、同定、調製および/または操作され得る(一般に、Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratories,Cold Spring Harbor,NY,1989、および他の類似の参考文献を参照のこと)。例えば、ポリヌクレオチドは、cDNAのマイクロアレイを腫瘍に関連する発現(すなわち、本明細書中で提供される代表的なアッセイを使用して決定する場合、正常な組織における発現よりも、少なくとも2倍高い腫瘍での発現)についてスクリーニングすることによって、以下にさらに詳細に記載されるように、同定され得る。このようなスクリーニングは、例えば、製造者の指示に従って、Affymetrix,Inc.(Santa Clara、CA)のマイクロアレイ技術を使用して、(そして本質的にSchenaら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:10614〜10619,1996およびHellerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:2150〜2155,1997に記載されるように)、行われ得る。あるいは、ポリヌクレオチドは、本明細書中に記載されるタンパク質を発現する細胞(例えば、腫瘍細胞)から調製されるcDNAから増幅され得る。
【0376】
多数の鋳型(テンプレート)依存性プロセスが、サンプル中に存在する目的の標的配列を増幅するために利用可能である。最もよく知られた増幅方法の1つは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCRTM)であり、これは、米国特許第4,683,195号、同第4,683,202号、および同第4,800,159号に詳細に記載され、これらの各々はその全体が本明細書中に参考として援用される。手短に言えば、PCRTMにおいては、標的配列の向かい合った相補鎖上の領域に対して相補的な2つのプライマー配列が調製される。過剰のデオキシヌクレオシド三リン酸を、DNAポリメラーゼ(例えば、Taqポリメラーゼ)とともに反応混合液に添加する。標的配列がサンプル中に存在する場合、プライマーはその標的に結合し、そしてポリメラーゼは、ヌクレオチドを付加することによって標的配列に沿ってプライマーを伸長させる。反応混合液の温度を上昇および下降させることによって、伸長したプライマーは、標的から解離して反応生成物を形成し、過剰のプライマーは標的および反応生成物に結合し、そしてこのプロセスが反復される。好ましくは、逆転写およびPCRTM増幅手順が、増幅されたmRNAの量を定量するために実行され得る。ポリメラーゼ連鎖反応方法論は、当該分野で周知である。
【0377】
多くの他の鋳型依存性プロセスのいずれか(この多くは、PCRTM増幅技術のバリエーションである)は、当該分野で容易に知られており、利用可能である。例示として、いくつかのこのような方法としては、リガーゼ連鎖反応(LCRともいわれる)(例えば、欧州特許出願公開番号320,308号、米国特許第4,883,750号において記載される);Qβレプリカーゼ(PCT国際特許出願公開番号PCT/US87/00880に記載される);鎖置換増幅(Strand Displacement Amplification)(SDA)および修復鎖反応(Repair Chain Reaction)(RCR)が挙げられる。なお他の増幅法は、英国特許出願番号2 202 328号およびPCT国際特許出願公開番号PCT/US89/01025において記載される。他の核酸増幅手順には、転写に基づく増幅系(TAS)(PCT国際特許出願公開番号WO 88/10315)が挙げられ、これには、核酸配列に基づく増幅(NASBA)および3SRが含まれる。欧州特許出願公開番号329,822は、一本鎖RNA(「ssRNA」)、ssDNA、および二本鎖DNA(dsDNA)をサイクル的に合成する工程を包含する核酸増殖プロセスを記載する。PCT国際特許出願公開番号WO 89/06700は、プロモーター/プライマー配列の標的一本鎖DNA(「ssDNA」)へのハイブリダイゼーションに基づく核酸配列増幅スキーム、引き続くこの配列の多くのRNAコピーの転写を記載する。「RACE」(Frohman、1990)および「片側(one−sided)PCR」(Ohara、1989)のような他の増幅方法がまた、当業者に周知である。
【0378】
本発明のポリヌクレオチドの増幅した部分を使用して、適切なライブラリー(例えば、腫瘍cDNAライブラリー)から周知の技術を使用して全長遺伝子を単離し得る。このような技術において、増幅に適した1以上のポリヌクレオチドプローブまたはプライマーを使用して、ライブラリー(cDNAライブラリーまたはゲノムライブラリー)をスクリーニングする。好ましくは、ライブラリーはより大きな分子を含むようにサイズが選択される。ランダプライムしたライブラリー(random primed library)もまた、遺伝子の5’領域および上流領域の同定ために好ましくあり得る。ゲノムライブラリーは、イントロンを入手することおよび5’配列を伸長させることについて好ましい。
【0379】
ハイブリダイゼーション技術に関して、部分配列は、周知の技術を使用して標識(例えば、ニックトランスレーションまたは32Pでの末端標識)され得る。次いで、細菌ライブラリーまたはバクテリオファージライブラリーは、一般に、標識プローブと、変性した細菌コロニー(またはファージプラークを含む菌叢)を含むフィルターとをハイブリダイズすることによってスクリーニングされる(Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratories,Cold Spring Harbor,NY,1989を参照のこと)。ハイブリダイズするコロニーまたはプラークを選択し、そして増殖させる。そしてそのDNAをさらなる分析のために単離する。cDNAクローンを、付加配列の量を決定するために、例えば、部分配列由来のプライマーおよびそのベクター由来のプライマーを使用するPCRによって分析し得る。制限酵素地図および部分配列を作成して、1以上の重複クローンを同定し得る。次いで、標準的な技術(これは、一連の欠失クローンを作製することを包含し得る)を使用して完全配列を決定し得る。次いで、得られた重複配列を1つの連続配列中に構築し得る。周知の技術を使用して、適切なフラグメントを連結することにより全長cDNA分子を生成し得る。
【0380】
あるいは、上記のような増幅技術は、部分的なcDNA配列から全長コード配列を得るために有用であり得る。このような増幅技術の1つは、逆(インバース)PCRである(Trigliaら,Nucl.Acids Res.16:8186,1988を参照のこと)。この技術は、制限酵素を使用して、その遺伝子の既知の領域内にフラグメントを生成する。次いで、このフラグメントを分子内連結により環化し、そして既知の領域に由来する多岐したプライマーを用いたPCRのためのテンプレート(鋳型)として使用する。代替のアプローチにおいて、部分配列に隣接した配列を、リンカー配列に対するプライマーおよび既知の領域に特異的なプライマーを使用する増幅により取り出し得る。この増幅した配列を、代表的に、同じリンカープライマーおよび既知の領域に特異的な第2のプライマーを使用する2回目の増幅に供する。既知の配列から反対方向に伸長を開始する2つのプライマーを使用するこの手順についての改変は、WO 96/38591に記載される。そのような別の技術は、「迅速なcDNA末端の増幅」またはRACEとして公知である。この技術は、公知配列の5’および3’である配列を同定するために、内部プライマーおよび外部プライマー(これらは、ポリA領域またはベクター配列にハイブリダイズする)の使用を含む。さらなる技術としては、キャプチャーPCR(Langerstromら,PCR Methods Applic.1:111−19,1991)およびウォーキングPCR(Parkerら、Nucl.Acids.Res.19:3055−60,1991)が挙げられる。増幅を利用する他の方法もまた使用して、全長cDNA配列を入手し得る。
【0381】
特定の場合において、発現配列タグ(EST)データベース(例えば、GenBankより利用可能のもの)に提供される配列の分析により、全長cDNA配列を入手することが可能である。重複ESTの検索は、一般に、周知のプログラム(例えば、NCBI BLAST検索)を使用して行われ得、そしてこのようなESTを使用して連続した全長配列を生成し得る。全長DNA配列はまた、ゲノムフラグメントの分析により入手され得る。
【0382】
本発明の他の実施形態において、本発明のポリペプチドまたはその融合タンパク質もしくは機能的等価物をコードするポリヌクレオチド配列またはそのフラグメントは、適切な宿主細胞におけるポリペプチドの発現を指向するように組換えDNA分子において使用され得る。遺伝コードの固有の縮重に起因して、実質的に同じか、または機能的に等価なアミノ酸配列をコードする他のDNA配列が産生され得、そしてこれらの配列を使用して所定のポリペプチドをクローン化し、そして発現させ得る。
【0383】
当業者によって理解されるように、いくつかの場合において、天然に存在しないコドンを所有するポリペプチドコードヌクレオチド配列を作製することが有利であり得る。例えば、特定の原核生物宿主または真核生物宿主に好まれるコドンは、タンパク質発現の速度を増加させるためか、または所望の特性(例えば、天然に存在する配列から生成される転写物の半減期よりも長い半減期)を有する組換えRNA転写物を産生するように選択され得る。
【0384】
さらに、本発明のポリヌクレオチド配列は、種々の理由(遺伝子産物のクローニング、プロセシング、および/または発現を変更する改変が挙げられるが、それらに限定されない)のためにポリペプチドコード配列を変更するために、当該分野において一般的に公知の方法を使用して操作され得る。例えば、無作為断片化によるDNAシャッフリングならびに遺伝子フラグメントおよび合成オリゴヌクレオチドのPCR再アセンブリを使用して、ヌクレオチド配列を操作し得る。さらに、部位特異的変異誘発(site−directed mutagenesis)を使用して、新たな制限部位を挿入し得るか、グリコシル化パターンを改変し得るか、コドンの優先度(preference)を変化させ得るか、スプライス改変体を作製し得るか、または変異の導入などを行い得る。
【0385】
本発明の別の実施形態において、天然の核酸配列、改変された核酸配列、または組換え核酸配列は、融合タンパク質をコードする異種配列に連結され得る。例えば、ポリペプチド活性のインヒビターについてペプチドライブラリーをスクリーニングするために、市販の抗体により認識され得るキメラタンパク質をコードすることが有用であり得る。融合タンパク質はまた、ポリペプチドコード配列と異種タンパク質配列との間に位置する切断部位を含むように操作され得、その結果そのポリペプチドは、切断されて、そして異種部分から精製されて取り出され得る。
【0386】
所望のポリペプチドをコードする配列が、当該分野において周知の化学的方法を使用して、全体または部分的に合成され得る(Caruthers,M.H.ら、(1980)Nucl.Acids Res.Symp.Ser.215〜223、Horn,T.ら、(1980)Nucl.Acids Res.Symp.Ser.225〜232を参照のこと)。あるいは、タンパク質自体は、ポリペプチドのアミノ酸配列またはその一部を合成するための化学的方法を使用して産生され得る。例えば、ペプチド合成は、種々の固相技術を使用して実施され得(Roberge,J.Y.ら、(1995)Science 269:202〜204)、そして自動化合成は、例えば、ABI 431A Peptide Synthesizer(Perkin Elmer,Palo Alto,CA)を使用して達成され得る。
【0387】
新たに合成されたペプチドは、分取用高速液体クロマトグラフィー(例えば、Creighton,T.(1983)Proteins,Structures and Molcular Principles,WH Freeman and Co.,New York,N.Y.)または当該分野において利用可能な他の同等技術により実質的に精製され得る。合成ペプチドの組成は、アミノ酸分析または配列決定(例えば、エドマン分解手順)により確認され得る。さらに、ポリペプチドのアミノ酸配列またはその任意の部分は、直接合成の間改変されて、そして/または化学的方法を使用して、他のタンパク質もしくはその任意の部分に由来する配列と組み合わせられて、改変体ポリペプチドを産生し得る。
【0388】
所望のポリペプチドを発現させるために、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列または機能的等価物は、適切な発現ベクター(すなわち、挿入されたコード配列の転写および翻訳のために必要なエレメントを含むベクター)内に挿入され得る。当業者に周知である方法を使用して、目的のポリペプチドをコードする配列および適切な転写制御エレメントおよび翻訳制御エレメントを含む発現ベクターを構築し得る。これらの方法としては、インビトロ組換えDNA技術、合成技術、およびインビボ遺伝子組換えが挙げられる。そのような技術は、例えば、Sambrook,J.ら、(1989)Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press,Plainview,N.Y.,およびAusubel,F.M.ら、(1989)Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,New York.N.Y.に記載される。
【0389】
種々の発現ベクター/宿主系が、ポリヌクレオチド配列を含み、そして発現させるように利用され得る。これらとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:微生物(例えば、組換えバクテリオファージ、プラスミド、またはコスミドDNA発現ベクターで形質転換した細菌);酵母発現ベクターで形質転換した酵母;ウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)で感染させた昆虫細胞系;ウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)または細菌発現ベクター(例えば、TiもしくはpBR322プラスミド)で形質転換した植物細胞系;あるいは動物細胞系。
【0390】
発現ベクター内に存在する「制御エレメント」または「調節配列」は、転写および翻訳を実行するように宿主細胞タンパク質と相互作用する、それらのベクターの非翻訳領域(エンハンサー、プロモーター、5’および3’非翻訳領域)である。そのようなエレメントは、その長さおよび特異性を変更し得る。利用されるベクター系および宿主に依存して、多数の適切な転写エレメントおよび翻訳エレメント(構成的プロモーターおよび誘導性プロモーターを含む)が使用され得る。例えば、細菌系においてクローニングする場合、誘導性プロモーター(例えば、pBLUESCRIPTファージミド(Stratagene,La Jolla,Calif.)またはpSPORT1プラスミド(Gibco BRL,Gaithersburg,MD)などのハイブリッドlacZプロモーター)が使用され得る。哺乳動物細胞系において、哺乳動物遺伝子または哺乳動物ウイルスに由来するプロモーターが、一般的に好ましい。ポリペプチドをコードする配列の複数のコピーを含む細胞株を生成することが必要とされる場合、SV40またはEBVベースのベクターが、適切な選択マーカーと共に有利に使用され得る。
【0391】
細菌系において、多数の発現ベクターのいずれかが、発現されるポリペプチドに対して意図される使用に依存して選択され得る。例えば、大量に必要とされる場合(例えば、抗体の誘導のために)、容易に精製される融合タンパク質の高レベルの発現を指向するベクターが使用され得る。そのようなベクターとしては、以下が挙げられるがそれらに限定されない:多機能性E.coliクローニングベクターおよび発現ベクター(例えば、pBLUESCRIPT(Stratagene)、ここでは目的のポリペプチドをコードする配列が、β−ガラクトシダーゼのアミノ末端Metおよびそれに引続く7残基についての配列とインフレームでベクター内に連結され得、その結果、ハイブリッドタンパク質が産生される);pINベクター(Van Heeke,G.およびS.M.Schuster(1989)J.Biol.Chem.264:5503−5509)など。pGEXベクター(Promega,Madison,Wis.)もまた、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として外来ポリペプチドを発現させるために使用され得る。一般的に、そのような融合タンパク質は、可溶性であり、そしてグルタチオン−アガロースビーズに吸着させ、次に遊離のグルタチオンの存在下において溶出させることによって、溶解した細胞から容易に精製され得る。そのような系において作製されたタンパク質は、ヘパリン、トロンビン、または第XA因子プロテアーゼ切断部位を含むように設計され得、その結果、クローニングされた目的のポリペプチドが、随意にGST部分から放出され得る。
【0392】
酵母(Saccharomyces cerevisiae)において、構成的プロモーターまたは誘導性プロモーター(例えば、α因子、アルコールオキシダーゼおよびPGH)を含む多数のベクターが使用され得る。概説については、Ausubelら、(前出)およびGrantら、(1987)Methods Enzymol.153:516−544を参照のこと。
【0393】
植物発現ベクターを使用する場合において、ポリペプチドをコードする配列の発現は、任意の多数のプロモーターにより駆動され得る。例えば、ウイルスプロモーター(例えば、CaMVの35Sプロモーターおよび19Sプロモーター)は、単独でか、またはTMVに由来するωリーダー配列と組み合わせて使用され得る(Takamatsu,N.(1987)EMBO J.6:307−311)。あるいは、植物プロモーター(例えば、RUBISCOの小サブユニットまたは熱ショックプロモーター)を使用し得る(Coruzzi,G.ら、(1984)EMBO J.3:1671−1680;Broglie,R.ら、(1984)Science 224:838−843;およびWinter,Jら、(1991)Results Probl.Cell Differ.17:85−105)。これらの構築物は、直接的DNA形質転換または病原体媒介性トランスフェクションによって植物細胞内に導入され得る。そのような技術は、多数の一般的に入手可能な概説に記載されている(例えば、Hobbs,S.またはMurry,L.E.,McGraw Hill Yearbook of Science and Technology(1992)McGraw Hill,New York,N.Y.;191−196頁を参照のこと)。
【0394】
昆虫系はまた、目的のポリペプチドを発現させるために使用され得る。例えば、そのような1つの系において、オートグラファカリフォルニア核発汗病ウイルス(Autographa californica nuclear polyhedrosis virus)(AcNPV)は、Spodoptera frugiperda細胞またはTrichoplusia larvaeにおいて外来遺伝子を発現させるベクターとして使用される。ポリペプチドをコードする配列は、ウイルスの非必須領域内(例えば、ポリへドリン(polyhedrin)遺伝子)にクローニングされ得て、ポリへドリンプロモーターの制御下に置かれ得る。ポリペプチドコード配列の首尾良い挿入は、ポリへドリン遺伝子を不活性化し、そしてコートタンパク質を欠損している組換えウイルスを産生する。次いで、この組換えウイルスを使用して、例えば、目的のポリペプチドが発現され得る、S.frugiperda細胞またはTrichoplusia larvaeに感染させ得る(Engelhard,E.K.ら、(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.91:3224−3227)。
【0395】
哺乳動物宿主細胞において、多数のウイルスベースの発現系が一般的に利用可能である。例えば、アデノウイルスが発現ベクターとして使用される場合において、目的のポリペプチドをコードする配列は、後期プロモーターおよび3部からなるリーダー配列から構成されるアデノウイルス転写/翻訳複合体内に連結され得る。ウイルスゲノムの非必須E1またはE3領域における挿入を使用して、感染した宿主細胞においてポリペプチドを発現し得る、生存可能ウイルスを入手し得る(Logan,J.およびShenk,T.(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.81:3655−3659)。さらに、転写エンハンサー(例えば、ラウス肉腫ウイルス(RSV)エンハンサー)を使用して、哺乳動物宿主細胞における発現を増加させ得る。
【0396】
特定の開始シグナルはまた、目的のポリペプチドをコードする配列のより効率的な翻訳を達成するために使用され得る。そのようなシグナルとしては、ATG開始コドンおよび隣接配列が挙げられる。ポリペプチドをコードする配列、その開始コドンおよび上流配列が適切な発現ベクター内に挿入される場合において、さらなる転写制御シグナルまたは翻訳制御シグナルは必要とされなくとも良い。しかし、コード配列のみ、またはその一部のみが挿入される場合、ATG開始コドンを含む外因性翻訳制御シグナルが提供されるべきである。さらに、開始コドンは、インサート全体の翻訳を確実にするために、正確なリーディングフレーム内にあるべきである。外因性翻訳エレメントおよび開始コドンは、種々の起源(天然および合成の両方)に由来し得る。発現の効率は、使用される特定の細胞系に適切なエンハンサー(例えば、文献(Scharf,D.ら、(1994)Results Probl.Cell Differ.20:125−162)に記載されるエンハンサー)の封入によって増大され得る。
【0397】
さらに、宿主細胞株は、挿入された配列の発現を調節するか、または所望の様式において発現されたタンパク質をプロセシングするその能力について選択され得る。ポリペプチドのそのような改変としては、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、リピデーション(lipidation)およびアシル化が挙げられるが、これらに限定されない。タンパク質の「プレプロ」形態を切断する翻訳後プロセシングはまた、正確な挿入、折り畳みおよび/または機能を促進させるために使用され得る。異なる宿主細胞(例えば、CHO、COS、HeLa、MDCK、HEK293およびWI38)(これらは、そのような翻訳後活性についての特定の細胞機構(machinery)および特徴的機構(mechanisms)を有する)は、正確な改変および外来タンパク質のプロセシングを確実にするように選択され得る。
【0398】
長期間の組換えタンパク質の高収率の産生のために、安定な発現が一般的に好ましい。例えば、目的のポリヌクレオチドを安定に発現する細胞株が、ウイルス複製起点および/または内因性発現エレメントならびに同じかもしくは別個のベクター上の選択マーカー遺伝子を含み得る、発現ベクターを使用して形質転換され得る。そのベクターの導入後、細胞は、それらが選択培地に切換えられる前に、富化(enriched)培地において1〜2日間の増殖が可能とされ得る。選択マーカーの目的は、選択に対する耐性を与えることであり、そしてその存在は、導入された配列を首尾良く発現する細胞の増殖および回収を可能とする。安定に形質転換された細胞の耐性クローンは、その細胞型に適切な組織培養技術を使用して、増殖され得る。
【0399】
多数の選択系を使用して、形質転換細胞株を回収し得る。これらの選択系としては、それぞれ、tk.sup.−細胞またはaprt.sup−細胞において使用され得る、単純疱疹ウイルスチミジンキナーゼ(Wigler,M.ら、(1977)Cell 11:223−32)およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowy,I.ら、(1990)Cell 22:817−23)遺伝子が挙げられるが、これらに限定されない。また、代謝拮抗剤耐性、抗生物質耐性または除草剤耐性は、選択のための基礎として使用され得る;例えば、dhfr(これは、メトトレキセートに対する耐性を与える(Wigler,M.ら、(1980)Proc.Natl.Acad.Sci.77:3567−70));npt(これは、アミノグリコシド、ネオマイシンおよびG−418に対する耐性を与える(Colbere−Garapin,F.ら、(1981)J.Mol.Biol.150:1−14));ならびにalsまたはpat(これらは、それぞれ、クロルスルフロンおよびホスフィノスリシンアセチルトランスフェラーゼに対する耐性を与える(Murry、前出))。さらなる選択遺伝子が記載されている。例えば、trpB(これは、細胞がトリプトファンの代わりにインドールを利用することを可能にする)またはhisD(これは、細胞がヒスチジンの代わりにヒスチノールを利用することを可能にする)(Hartman,S.C.およびR.C.Mulligan(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.85:8047−51)。アントシアニン、β−グルクロニダーゼおよびその基質のGUS、ならびにルシフェラーゼおよびその基質のルシフェリンのようなマーカーを用いる、可視マーカーの使用の人気が高くなっており、形質転換体を同定するためのみならず、特定のベクター系に起因し得る一過性のタンパク質発現または安定なタンパク質発現の量を定量するためにもまた広範に使用されている(Rhodes,C.A.ら、(1995)Methods Mol.Biol.55:121−131)。
【0400】
マーカー遺伝子発現の存在/非存在は、目的の遺伝子もまた存在するということを示唆しているが、その存在および発現は、確認されることを必要とし得る。例えば、ポリペプチドをコードする配列が、マーカー遺伝子配列内に挿入される場合、配列を含む組換え細胞は、マーカー遺伝子機能の非存在により同定され得る。あるいは、マーカー遺伝子は、1つのプロモーターの制御下にポリペプチドコード配列と直列に配置され得る。誘導または選択に応じてのマーカー遺伝子の発現は、通常、その直列遺伝子の発現も同様に示す。
【0401】
あるいは、所望のポリヌクレオチド配列を含み、かつ発現する宿主細胞は、当業者に公知の種々の手順によって同定され得る。これらの手順としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:核酸またはタンパク質の検出および/または定量化のための、例えば、膜ベースの技術、溶液ベースの技術、またはチップベースの技術を含む、DNA−DNAハイブリダイゼーション技術もしくはDNA−RNAハイブリダイゼーション技術およびタンパク質バイオアッセイ技術またはイムノアッセイ技術。
【0402】
ポリヌクレオチドコード化産物に特異的なポリクローナル抗体もしくはモノクローナル抗体のいずれかを使用して、ポリヌクレオチドコード化産物の発現を検出および測定するための種々のプロトコルは、当該分野において公知である。例としては、酵素結合免疫測定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)および蛍光活性化セルソーティング(FACS)が挙げられる。所定のポリペプチド上の2つの非干渉性エピトープに対して反応性であるモノクローナル抗体を利用する2つの部位の、モノクローナルベースのイムノアッセイが、いくつかの適用のために好まれ得るが、競合的結合アッセイもまた、利用され得る。これらのアッセイおよび他のアッセイは、とりわけHampton,R.ら、(1990;Serological Methods,a Laboratory Manual,APS Press,St Paul.Minn.)およびMaddox,D.E.ら、(1983;J.Exp.Med.158:1211−1216)に記載される。
【0403】
広範に種々の標識技術および結合技術は、当業者に公知であり、そして種々の核酸アッセイおよびアミノ酸アッセイにおいて使用され得る。ポリヌクレオチドに関連する配列を検出するための標識されたハイブリダイゼーションまたはPCRプローブを作製するための手段としては、オリゴ標識(oligolabeling)、ニックトランスレーション、末端標識または標識されたヌクレオチドを使用するPCR増幅が挙げられる。あるいは、mRNAプローブの産生のために、配列またはその任意の部分が、ベクター内にクローニングされ得る。そのようなベクターは、当該分野において公知であり、市販されており、そして適切なRNAポリメラーゼ(例えば、T7、T3、またはSP6)および標識されたヌクレオチドを添加することにより、RNAプローブをインビトロで合成するために使用され得る。これらの手順は、種々の市販キットを使用して実施され得る。使用され得る適切なレポーター分子または標識としては、放射性核種、酵素、蛍光、化学発光、または色素形成剤ならびに基質、コファクター(補助因子)、インヒビター、磁気粒子などが挙げられる。
【0404】
目的のポリヌクレオチド配列で形質転換された宿主細胞は、タンパク質の発現および細胞培養物からの回収に適した条件下において培養され得る。組換え細胞により産生されたタンパク質は、使用された配列および/またはベクターに依存して、細胞内に分泌され得るかまたは含まれ得る。当業者によって理解されるように、本発明のポリヌクレオチドを含む発現ベクターは、原核細胞膜または真核細胞膜を介して、コードされたポリペプチドの分泌を指向するシグナル配列を含むように設計され得る。他の組換え構築物を使用して、目的のポリペプチドをコードする配列を、可溶性タンパク質の精製を促進するポリペプチドドメインをコードするヌクレオチド配列に結合させ得る。そのような精製促進ドメインとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:固定された金属上での精製を可能にする金属キレート化ペプチド(例えば、ヒスチジン−トリプトファンモジュール)、固定された免疫グロブリン上での精製を可能にするプロテインAドメイン、およびFLAGS伸長/アフィニティー精製システム(Immunex Corp.,Seattle,Wash.)において利用されるドメイン。精製ドメインとコードされるポリペプチドとの間への、切断可能なリンカー配列(例えば、第XA因子またはエンテロキナーゼに対して特異的な配列(Invitrogen.San Diego,Calif.))の封入を使用して、精製を促進させ得る。そのような発現ベクターの1つは、目的のポリペプチドを含む融合タンパク質およびチオレドキシンまたはエンテロキナーゼ切断部位の前に6つのヒスチジン残基をコードする核酸の発現を提供する。ヒスチジン残基は、Porath,J.ら、(1992、Prot.Exp.Purif.3:263−281)に記載されるように、IMIAC(固定化金属イオンアフィニティークロマトグラフィー)上での精製を促進する一方で、エンテロキナーゼ切断部位は、融合タンパク質から所望のポリペプチドを精製するための手段を提供する。融合タンパク質を含むベクターの考察は、Kroll,D.J.ら、(1993;DNA Cell Boil.12:441−453)において提供される。
【0405】
組換え産生方法に加えて、本発明のポリペプチドおよびそのフラグメントは、固相技術(Merrifield J.(1963)J.Am.Chem.Soc.85:2149−2154)を使用する、直接的ペプチド合成によって産生され得る。タンパク質合成は、手動技術を使用してか、または自動化によって実施され得る。自動化合成は、例えば、Applied Biosystems 431Aペプチド合成装置(Perkin Elmer)を使用して、達成され得る。あるいは、種々のフラグメントは、別々に化学的に合成されて、そして全長分子を産生するために化学的方法を使用して組み合わせられ得る。
【0406】
(抗体組成物、そのフラグメントおよび他の結合因子)
別の局面によると、本発明はさらに、本明細書中で開示される腫瘍ポリペプチドに対して、またはその一部の改変体または誘導体に対して免疫学的結合を示す結合因子(例えば、抗体およびその抗原結合フラグメント)を提供する。抗体、またはその抗原結合フラグメントとは、本発明のポリペプチドに対して、「特異的に結合する」こと、「免疫学的に結合する」ことを言い、そして/または、それが(例えば、ELISAアッセイにおいて)検出可能なレベルでそのポリペプチドと反応し、かつ類似の条件下で非関連ポリペプチドと検出可能に反応しない場合、「免疫学的に反応性」であると言う。
【0407】
この文脈で使用される場合、免疫学的結合は、一般に、免疫グロブリン分子と、この免疫グロブリンが特異的な抗原との間で起こるタイプの非共有結合的な相互作用をいう。免疫学的結合相互作用のの強度または親和性は、相互作用の解離定数(K)の観点から表現され得、ここで、より小さいKは、より大きな親和性を示す。選択されたポリペプチドの免疫学的結合特性は、当該分野で周知の方法を使用して、定量され得る。1つのこのような方法は、抗原結合部位/抗原複合体形成および解離の速度を測定する工程を必要とし、ここで、これらの速度は、複合体パートナーの濃度、相互作用の親和性、および両方の方向における速度に等しく影響を与える幾何学的パラメータに依存する。従って、両方の「会合速度定数(on rate constant)」(Kon)および「解離速度定数(off rate constant)」(Koff)の両方が、濃度ならびに会合および解離の実際の速度を計算することによって決定され得る。Koff/Konの比は、親和性に関係しない全てのパラメータの排除を可能にし、そして従って、解離定数Kに等しい。一般的には、Daviesら(1990) Annual Rev.Biochem.59:439−473を参照のこと。
【0408】
抗体の「抗原結合部位」または「結合部分」は、抗原結合に関係する免疫グロブリン分子の部分をいう。この抗原結合部位は、重鎖(「H」)および軽鎖(「L」)のN末端可変(「V」)領域のアミノ酸残基によって形成される。重鎖および軽鎖のV領域内の3つの高度に分岐したストレッチが、「超可変領域」といわれ、これは、「フレームワーク領域」または「FR」として公知のより保存された隣接ストレッチの間に挿入される。従って、用語「FR」は、免疫グロブリンの超可変領域の間で、それに隣接して天然に見出されるアミノ酸配列をいう。抗体分子において、軽鎖の3つの超可変領域および重鎖の3つの超可変領域が、3次元空間において互いに相対的に配置されて、抗原結合表面を形成する。この抗原結合表面は、結合した抗原の3次元表面に相補的であり、そして重鎖および軽鎖の各々の3つの超可変領域は、「相補性決定領域」またたは「CDR」といわれる。
【0409】
結合剤は、本明細書中に提供される代表的なアッセイを使用して、癌(例えば、結腸癌)を有する患者と有さない患者との間をさらに区別し得る。例えば、腫瘍タンパク質に結合する抗体または他の結合剤は、好ましくは、この疾患を有する患者の少なくとも約20%、より好ましくは患者の少なくとも約30%において、癌の存在を示すシグナルを生成する。あるいは、または加えて、この抗体は、癌を有さない個体の少なくとも約90%において、この疾患の非存在を示す陰性シグナルを生成する。結合剤が、この要求を満たすか否かを決定するために、癌(標準的な臨床試験によって決定されるような)を有する患者および有さない患者からの生物学的サンプル(例えば、血液、血清、痰、尿および/または腫瘍生検)が、この結合剤に結合するポリペプチドの存在について、本明細書に記載されるようにアッセイされ得る。好ましくは、疾患を有するサンプルおよび有さないサンプルの統計的に有意な数が、アッセイされる。各結合剤は、上記の基準を満足すべきである;しかし、当業者は、結合剤が、組合せて使用されて、感度を改善し得ることを認識する。
【0410】
上記の要求を満足する任意の薬剤は、結合剤であり得る。例えば、結合剤は、ペプチド成分を含むか含まないリボソーム、RNA分子またはポリペプチドであり得る。好ましい実施形態において、結合剤は、抗体またはその抗原結合フラグメントである。抗体は、当業者に公知の種々の技術のいずれかによって、調製され得る。例えば、HarlowおよびLane、Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,1988を参照のこと。一般に、抗体は、細胞培養技術(本明細書に記載されるようなモノクローナル抗体の生成を含む)によって、または組換え抗体の生成を可能にするために、適切な細菌細胞宿主または哺乳動物細胞宿主への抗体遺伝子のトランスフェクションを介して、生成され得る。1つの技術において、このポリペプチドを含む免疫原が、最初に、広範な種々の哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジまたはヤギ)のいずれかに注射される。この工程において、本発明のポリペプチドは、改変を有さない免疫原として機能し得る。あるいは、特に、比較的短いポリペプチドについて、優れた免疫応答が、このポリペプチドがキャリアタンパク質(例えば、ウシ血清アルブミンまたはキーホールリンペットヘモシアニン)に結合される場合に、惹起され得る。この免疫原は、好ましくは、1回以上のブースト免疫を組み込む所定のスケジュールに従って、動物宿主に注射され、そしてこれらの動物が、定期的に採血される。このポリペプチドに特異的なポリクローナル抗体は、次いで、例えば、適切な固体支持体に結合されたポリペプチドを使用するアフィニティークロマトグラフィーによって、このような抗血清から精製され得る。
【0411】
目的の抗原性ポリペプチドに特異的なモノクローナル抗体が、例えば、KohlerおよびMilstein,Eur.J.Immunol.6:511−519,1976の技術およびその改善物を使用して、調製され得る。簡潔には、これらの方法は、所望の特異性(すなわち、目的のポリペプチドとの反応性)を有する抗体を生成し得る不死細胞株の調製を含む。このような細胞株は、例えば、上記のように免疫された動物から得られる脾臓細胞から生成され得る。次いで、この脾臓細胞が、例えば、骨髄腫細胞融合パートナー、好ましくは、免疫された動物と同系であるものとの融合によって不死化される。種々の融合技術が使用され得る。例えば、脾臓細胞および骨髄腫細胞は、数分間、非イオン性界面活性剤と組合され、次いで、ハイブリッド細胞の増殖は支持するが、骨髄腫細胞の増殖は支持しない選択培地に低密度でプレートされ得る。好ましい選択技術は、HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)選択を使用する。十分な時間の後、通常、約1〜2週間の後、ハイブリッドのコロニーが観察される。単一コロニーを選択し、そしてそれらの培養上清を、このポリペプチドに対する結合活性について試験する。高い反応性および特異性を有するハイブリドーマが好ましい。
【0412】
モノクローナル抗体は、増殖ハイブリドーマコロニーの上清から単離され得る。さらに、種々の技術が、収量を増加させるために使用され得、この技術は、例えば、適切な脊椎動物宿主(例えば、マウス)の腹腔へのハイブリドーマ細胞株の注入である。次いで、モノクローナル抗体が、腹水または血液から回収され得る。混入物が、従来の技術(例えば、クロマトグラフィー、ゲル濾過、沈澱、および抽出)によって抗体から除去され得る。本発明のポリペプチドは、例えば、アフィニティートクロマトグラフィー工程における精製プロセスにおいて使用され得る。
【0413】
抗体分子の免疫学的結合特性を示し得る抗原結合部位を含む多くの治療的に有効な分子が、当該分野で公知である。このタンパク質分解性酵素パパインは、優先的に、IgG分子を切断して、いくつかのフラグメントを生じさせ、これら(「F(ab)フラグメント」)のうちの2つの各々は、インタクトな抗原結合部位を含む共有結合ヘテロダイマーを含む。酵素ペプシンは、IgG分子を切断して、いくつかのフラグメント(両方の抗原結合部位を含む「F(ab’)」フラグメントを含む)を提供し得る。「Fv」フラグメントは、IgM、および稀有な場合にはIgGまたはIgA免疫グロブリン分子の優先的なタンパク質分解的切断によって生成され得る。しかし、Fvフラグメントは、当該分野で公知の組換え技術を使用して、より一般的に誘導される。Fvフラグメントは、非共有結合的なV::Vヘテロダイマーを含み、このへテロダイマーは、ネイティブな抗体分子の抗原認識および結合能力のほとんどを保持する抗原結合部位を含む。Inbarら(1972)Proc.Nat.Acad.Sci.USA 69:2659−2662;Hochmanら(1976)Biochem 15:2706−2710;およびEhrlichら(1980)Biochem 19:4091−4096。
【0414】
単鎖Fv(「sFv」)ポリペプチドは、共有結合されたV::Vヘテロダイマーであり、このヘテロダイマーは、ペプチドをコードするリンカーによって連結されたVをコードする遺伝子およびVをコードする遺伝子を含む遺伝子融合物から発現される。Hustonら(1988)Proc.Nat.Acad.Sci.USA 85(16):5879−5883。抗体V領域からの自然に凝集する(化学的には分離された)ポリペプチド軽鎖および重鎖を、sFv分子に転換するための化学構造を識別するための多くの方法が記述され、このsFvは、抗原結合部位の構造に実質的に類似する3次元構造に折り畳まれる。例えば、米国特許第5,091,513号および同第5,132,405号(Hustonら);ならびに米国特許第4,946,778号(Ladnerら)を参照のこと。
【0415】
上記分子の各々は、重鎖および軽鎖CDRセットを含み、各々は、CDRSへの支持を提供し、そして互いに対してCDRの空間的関係を規定する重鎖および軽鎖FRセットの間に挿入される。本明細書中で使用される場合、用語「CDRセット」は、重鎖または軽鎖V領域の3つの超可変領域をいう。重鎖または軽鎖のN末端から進んで、これらの領域は、各々、「CDR1」、「CDR2」および「CDR3」と表記される。従って、抗原結合部位は、6つのCDRを含み、この6つのCDRは、重鎖および軽鎖V領域の各々からのCDRセットを含む。単一CDR(例えば、CDR1、CDR2、またはCDR3)を含むポリペプチドは、本明細書中で「分子認識ユニット」といわれる。多くの抗原−抗体複合体の結晶学的分析により、CDRのアミノ酸残基は、結合した抗原との広範な接触を形成することが立証され、ここで、最も広範な抗原接触は、重鎖CDR3とである。従って、分子認識ユニットは、主に、抗原結合部位の特異性の原因である。
【0416】
本明細書中で使用される場合、用語「FRセット」は、重鎖または軽鎖のV領域のCDRセットのCDRを構成する、4つの隣接アミノ酸配列をいう。いくつかのFR残基は、結合抗原と接触し得る;しかし、FRは、主に、V領域を抗原結合部位、特にCDRSに直接隣接するFR残基に折り畳む原因である。FRにおいて、特定のアミノ酸残基および特定の構造特徴が、非常に高度に保存される。この点において、全てのV領域配列は、約90アミノ酸残基の内部ジスルフィドループを含む。V領域が、結合部位に折り畳まれる場合、このCDRは、抗原結合表面を形成する突出したループモチーフとして表示される。正確なCDRアミノ酸配列に関わらず、特定の「正準」構造に折り畳まれたCDRループの形状に影響するFRの保存された構造領域が存在することが一般的に認識される。さらに、特定のFR残基は、抗体重鎖および軽鎖の相互作用を安定化する非共有結合的なドメイン間接触に関係することが知られている。
【0417】
非ヒト免疫ブログリン由来の抗原結合部位を含む、多くの「ヒト化」抗体分子が記載され、この抗体分子には、げっ歯類V領域およびヒト定常領域に融合されたそれらの会合CDR(Winterら(1991)Nature 349:293−299;Lobuglioら(1989)Proc.Nat.Acad.Sci.USA 86:4220−4224;Shawら(1987)J Immunol.138:4534−4538;およびBrownら(1987)Cancer Res.47:3577−3583)、適切なヒト抗体定常ドメインとの融合の前に、ヒト支持FRにグラフトされたげっ歯類CDR(Riechmannら(1988)Nature 332:323−327;Verhoeyenら(1988)Science 239:1534−1536;およびJonesら(1986)Nature 321:522−525)、ならびに組換えベニアリングされた(recombinantly veneered)げっ歯類FRによって支持されるげっ歯類CDR(欧州特許公開番号519,596(1992年12月23日公開)を含むキメラ抗体が挙げられる。これらの「ヒト化」分子は、ヒトレシピエントにおけるこれらの部分の治療的適用の持続期間および有効性を制限するげっ歯類抗ヒト抗体分子に対する所望されない免疫学的応答を最小化するように設計される。
【0418】
本明細書中で使用される場合、用語「ベニアリングされたFR」および「組換えベニアリングされたFR」は、ネイティブのFRポリペプチド折り畳み構造の実質的に全てを保持する抗原結合部位を含む異種分子を提供するために、例えば、げっ歯類重鎖または軽鎖のV領域からのFR残基のヒトFR残基での選択的置換をいう。ベニアリング技術は、抗原結合部位のリガンド結合特徴が、主に抗原結合表面内の重鎖および軽鎖のCDRセットの構造および相対的な配置によって決定されるという理解に基づく。Daviesら(1990)Ann.Rev.Biochem.59:439−473。従って、抗原結合特異性は、CDR構造、互いとのそれらの相互作用、およびV領域ドメインの残りとのそれらの相互作用が注意深く維持されるヒト化抗体のみにおいて保存され得る。ベニアリング技術を使用することによって、外部(例えば、溶媒がアクセス可能な)FR残基(これは、免疫系に容易に遭遇する)は、ヒト残基と選択的に置換されて、弱い免疫原性ベニアリング表面または実質的に非免疫原性のベニアリング表面のいずれかを含むハイブリッド分子を提供する。
【0419】
ベニアリングのプロセスは、Sequences of Proteins of Immunological Interest,第4版(U.S.Dept.of Health and Human Services,U.S.Government Printing Office,1987)において、Kabatらによって編集されたヒト抗体可変ドメインについての利用可能な配列データを使用し、Kabatデータベースに更新され、そして他の米国および海外のアクセス可能なデータベース(核酸およびタンパク質の両方)を使用する。V領域アミノ酸の溶媒アクセス可能性は、ヒトおよびマウス抗体フラグメントについての既知の3次元構造から推定され得る。マウス抗原結合部位をベニアリングする際に2つの一般的な工程が存在する。最初に、目的の抗体分子の可変ドメインのFRが、上記の供給源から得られたヒト可変ドメインの対応するFR配列と比較される。次いで、最も相同的なヒトV領域が、対応するマウスアミノ酸と、残基ごとに比較される。ヒト対応物とは異なるマウスFRにおける残基は、当該分野において周知の組換え技術を使用して、ヒト部分に存在する残基によって置換される。残基スイッチングは、少なくとも部分的に露出した(溶媒アクセス可能である)部分を用いて実施されるのみであり、そしてV領域ドメインの三次構造に対する有意な効果を有し得るアミノ酸残基(例えば、プロリン、グリシンおよび荷電したアミノ酸)の置換において、注意がなされる。
【0420】
この様式において、得られた「ベニアリングされた」マウス抗原結合部位は、従って、マウスCDR残基、CDRに実質的に隣接する残基、埋没したかほとんど埋没した(溶媒のアクセスが不可能)として同定された残基、重鎖ドメインと軽鎖ドメインとの間の非共有結合的な(例えば、静電的および疎水的)接触に関係すると考えられる残基、およびCDRループの「正準」三次構造に影響を与えると考えられるFRの保存された構造領域からの残基を保持するように設計される。次いで、これらの設計基準は、ヒト様FRへのマウス抗原結合部位の軽鎖および重鎖の両方のCDRを組合せる組換えヌクレオチド配列を調製するために使用され、このヒト様FRは、マウス抗体分子の抗原特異性を示す組換えヒト抗体の発現のために哺乳動物細胞をトランスフェクトするために使用され得る。
【0421】
本発明の別の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体は、1つ以上の治療剤に結合され得る。この点に関して、適切な薬剤としては、放射性核種、分化インデューサー、薬物、毒素、およびそれの誘導体が挙げられる。好ましい放射性核種としては、90Y、123I、125I、131I、186Re、188Re、211Atおよび212Biが挙げられる。好ましい薬物としては、メトトレキサート、ならびにピリミジンおよびプリンアナログが挙げられる。好ましい分化インデューサーとしては、ホルボールエステルおよび酪酸が挙げられる。好ましい毒素としては、リシン、アブリン、ジフテリア毒素、コレラ毒素、ゲロニン、Pseudomonas体外毒素、Shigella毒素、およびアメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質が挙げられる。
【0422】
治療剤は、適切なモノクローナル抗体に直接的または間接的に(例えば、リンカー基を介して)のいずれかで結合(例えば、共有結合)され得る。薬剤と抗体との間の直接的な反応は、各々が他のものと反応し得る置換基を有する場合に可能である。例えば、一方の上の求核基(例えば、アミノ基またはスルフヒドリル基)は、他方のカルボニル含有基(例えば、酸無水物または酸ハロゲン化物)または良好な脱離基(例えば、ハロゲン化物)を含むアルキル基と反応し得る。
【0423】
あるいは、リンカー基を介して治療剤と抗体とを結合させることが所望され得る。リンカー基は、結合の可能性を妨げることを回避するために、抗体を薬剤から隔てるためのスペーサーとして機能し得る。リンカー基はまた、薬剤または抗体上の置換基の化学的反応性を増加させるためにはたらき得、従って結合効率を増大させる。化学的反応性の増大はまた、薬剤または薬剤上の官能基の使用を促進し得る(さもなければ、可能ではない)。
【0424】
種々の二官能性または多官能性試薬、ホモ官能性とヘテロ官能性との両方(例えば、Pierce Chemical Co.,Rockford,ILのカタログ中に記載されるもの)が、リンカー基として使用され得ることが当業者には明らかである。結合は、例えば、アミノ基、カルボキシル基、スルフヒドリル基、または酸化された炭水化物残基を介してもたらされ得る。このような方法論を記載する多数の参考文献(例えば、Rodwellらに対する米国特許第4,671,958号)が存在する。
【0425】
本発明の免疫結合体の抗体部分がないときに治療剤がより強力である場合、細胞中へのインターナリゼーションの間に、またはその際に切断可能なリンカー基を使用することが望ましくあり得る。多数の異なる切断可能なリンカー基が記載されている。これらのリンカー基からの薬剤の細胞内放出についての機構は、ジスルフィド結合の還元(例えば、Spitlerへの米国特許第4,489,710号)、感光性結合の照射(例えば、Senterらへの米国特許第4,625,014号)、誘導体化されたアミノ酸側鎖の加水分解(例えば、Kohnらへの米国特許第4,638,045号)、血清補体媒介性加水分解(例えば、Rodwellらへの米国特許第4,671,958号)、および酸触媒加水分解(例えば、Blattlerらへの米国特許第4,569,789号)による切断を含む。
【0426】
1つより多い薬剤を抗体に結合させることが望ましくあり得る。1つの実施形態において、薬剤の複数の分子が1つの抗体分子に結合される。別の実施形態において、1つより多い型の薬剤が1つの抗体に結合され得る。特定の実施形態に関わらず、1つより多い薬剤を有する免疫結合体は、種々の方法で調製され得る。例えば、1つより多い薬剤が、抗体分子に直接的に結合され得るか、または付着のための複数の部位を提供するリンカーが使用され得る。あるいは、キャリアが使用され得る。
【0427】
キャリアは、種々の方法(直接的にかまたはリンカー基を介するかのいずれかの共有結合を含む)で薬剤を保有し得る。適切なキャリアとしては、アルブミンのようなタンパク質(例えば、Katoらへの米国特許第4,507,234号)、ペプチド、およびアミノデキストランのような多糖類(例えば、Shihらへの米国特許第4,699,784号)が挙げられる。キャリアはまた、例えばリポソーム小胞内に、非共有結合によってかまたはカプセル化によって、薬剤を保有し得る(例えば、米国特許第4,429,008号および同第4,873、088号)。放射性核種薬剤に特異的なキャリアは、放射性ハロゲン化低分子およびキレート化合物を含む。例えば、米国特許第4,735,792号は、代表的な放射性ハロゲン化低分子およびそれらの合成を開示する。放射性核種キレートは、金属、または金属酸化物、放射性核種を結合するためのドナー原子として窒素原子および硫黄原子を含むものを含む、キレート化合物から形成され得る。例えば、Davisonらへの米国特許第4,673,562号は、代表的なキレート化合物およびそれらの合成を開示する。
【0428】
(T細胞組成物)
別の局面において、本発明は、本明細書中に開示される腫瘍ポリペプチドに特異的なT細胞、または本明細書中に開示される腫瘍ポリペプチドの改変体もしくは誘導体に特異的なT細胞を提供する。このような細胞は、一般的に標準的手順を使用して、インビトロまたはエキソビボで調製され得る。例えば、T細胞は、市販の細胞分離システム(例えば、IsolexTMシステム(Nexell Therapeutics,Inc.(Irvine,CA;米国特許第5,240,856号;米国特許第5,215,926号;WO89/06280;WO91/16116およびWO92/07243もまた参照のこと)から入手可能)を使用して、患者の骨髄、末梢血あるいは骨髄または末梢血の画分中から単離され得る。あるいは、T細胞は、関連または無関連のヒト、非ヒト動物、細胞株または培養物から誘導され得る。
【0429】
T細胞は、ポリペプチド、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドおよび/またはそのようなポリペプチドを発現する抗原提示細胞(APC)を用いて刺激され得る。このような刺激は、目的のポリペプチドに特異的であるT細胞の生成を可能にする条件下および十分な時間、行われる。好ましくは、本発明の腫瘍ポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、送達ビヒクル(例えば、ミクロスフェア)中に存在して、特定のT細胞の生成を容易にする。
【0430】
T細胞は、このT細胞が、特異的に増殖するか、サイトカインを分泌するか、または本発明のポリペプチドで被覆されるか、もしくはこのポリペプチドをコードする遺伝子を発現する標的細胞を殺傷する場合に、本発明のポリペプチドに特異的であるとみなされる。T細胞特異性は、種々の標準的技術のいずれかを使用して評価され得る。例えば、クロム放出アッセイまたは増殖アッセイにおいて、ネガティブコントロールと比較して、溶解および/または増殖における2倍を超える増加の刺激指標は、T細胞特異性を示す。このようなアッセイは、例えば、Chenら、Cancer Res.54:1065−1070,1994に記載されるように、実行され得る。あるいは、T細胞の増殖の検出は、種々の公知の技術によって達成され得る。例えば、T細胞増殖は、DNA合成の速度の増加を測定することによって検出され得る(例えば、トリチウム化チミジンでT細胞の培養物をパルス標識し、そしてDNAに取り込まれたトリチウム化チミジンの量を測定することによって)。3〜7日間の腫瘍ポリペプチド(100ng/ml〜100μg/ml、好ましくは、200ng/ml〜25μg/ml)との接触は、代表的に、T細胞の増殖において少なくとも2倍の増加を生じる。2〜3時間の上記のような接触は、標準的なサイトカインアッセイを使用して測定されるように(ここで、サイトカイン(例えば、TNFまたはIFN−γ)放出のレベルの2倍の増加が、T細胞の活性化を示す)、T細胞の活性化を生じるはずである(Coliganら、Current Protocols in Immunology,第1巻、Wiley Interscience(Greene 1998)を参照のこと)。腫瘍ポリペプチド、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド発現APCに応答して活性化されたT細胞は、CD4および/またはCD8であり得る。腫瘍ポリペプチド特異的T細胞は、標準的な技術を使用して拡大され得る。好ましい実施形態において、T細胞は、患者、関連するドナーまたは無関連のドナーに由来し、そして刺激および拡大後にその患者に投与される。
【0431】
治療目的で、腫瘍ポリペプチド、ポリヌクレオチドまたはAPCに応答して増殖するCD4T細胞またはCD8T細胞は、インビトロまたはインビボのいずれかで大量に拡大され得る。このようなT細胞のインビトロでの増殖は、種々の方法で達成され得る。例えば、T細胞は、T細胞増殖因子(例えば、インターロイキン−2)の添加を伴うか、または伴わずに、腫瘍ポリペプチド、またはこのようなポリペプチドの免疫原性部分に対応する短いペプチドに対して再曝露され得、そして/または腫瘍ポリペプチドを合成する刺激細胞に対して再曝露され得る。あるいは、腫瘍ポリペプチドの存在下で増殖する1つ以上のT細胞は、クローニングによって数の上で拡大され得る。細胞をクローニングするための方法は、当該分野で周知であり、そしてこれらとしては、限界希釈が挙げられる。
【0432】
(T細胞レセプター組成物)
T細胞レセプター(TCR)は、ジスルフィド結合によって連結されている、2つの異なる、非常に可変性のポリペプチド鎖(T細胞レセプターのα鎖およびβ鎖と呼ばれる)からなる(Janeway,Travers、Walport.Immunobiology.第4版、148〜159.Elsevier Science Ltd/Garland Publishing.1999)。このα/βヘテロダイマー(異種二量体)は、細胞膜で不変のCD3鎖と複合体化する。この複合体は、MHC分子に結合した特定の抗原性ペプチドを認識する。TCR特異性の膨大な多様性は、体細胞遺伝子再配列により、まるで免疫グロブリンの多様性のように生成される。このβ鎖遺伝子は、50を超える可変性領域(V)、2つの多様性領域(D)、10を超える連結セグメント(J)、および2つの定常領域セグメント(C)を含む。α鎖遺伝子は、70を超えるVセグメント、および60を超えるJセグメントを含むが、Dセグメントを含まず、そして1つのCセグメントを含む。胸腺におけるT細胞発達の間、β鎖のD〜J遺伝子再配列が生じ、続いて、V遺伝子セグメントのDJへの再配列が生じる。この機能的VDJβエキソンは、転写され、そしてスプライシングされてCβに連結される。α鎖に関しては、Vα遺伝子セグメントは、Jα遺伝子セグメントに再配列して、機能的エキソンを形成し、これが次に転写され、Cαにスプライシングされてる。多様性は、さらにβ鎖のVセグメントと、Dセグメントと、Jセグメントとの間、そしてα鎖のVセグメントと、Jセグメントとの間のPおよびN−ヌクレオチドの無作為な付加によって、組み換えプロセスの間にさらに増大する(Janeway,Travers,Walport.Immunobiology.第4版、98および150.Elsevier Science Ltd/Garland Publishing.1999)。
【0433】
本発明は、別の局面において、本明細書に開示の結腸腫瘍ポリペプチド、またはその改変体もしくは誘導体に特異的なTCRを提供する。本発明に従って、本明細書に記載の腫瘍ポリペプチドを認識する、T細胞レセプターのα鎖およびβ鎖について、V−JもしくはV−D−J接合領域、またはその部分について、ポリヌクレオチドおよびアミノ酸の配列が提供される。一般に、本発明のこの局面は、MHCの文脈において提示される腫瘍ポリペプチドを認識するか、またはそれに結合するT細胞レセプターに関する。好ましい実施形態において、T細胞レセプターによって認識される腫瘍抗原は、本発明のポリペプチドを含む。例えば、結腸腫瘍ペプチドに特異的なTCRをコードするcDNAは、標準的な分子生物学技術および組み換えDNA技術を用いて、腫瘍ポリペプチドに特異的なT細胞から単離され得る。
【0434】
本発明はさらに、腫瘍ポリペプチドを認識するか、またはそれに結合する、本発明のT細胞レセプターと実質的に同じ機能または活性を有する、T細胞レセプターまたはそのアナログを包含する。このようなレセプターとしては、本明細書に提供されるT細胞レセプターの、レセプターフラグメント、または本明細書に提供されるT細胞レセプターの、置換、付加、もしくは欠失の変異体が挙げられるがこれらに限定されない。本発明はまた、本明細書に提供されるT細胞レセプターに実質的に相同であるか、または実質的に同じ活性を保持する、ポリペプチドまたはペプチドを包含する。用語「アナログ」とは、本明細書に提供されるT細胞レセプターと実質的に同一のアミノ酸残基配列(ここで、1つ以上の残基、好ましくは5残基以下、より好ましくは、25残基以下が、機能的に類似の残基で保存的に置換されている)を有し、そして本明細書に記載のようなT細胞レセプターの機能的局面を示す、任意のタンパク質またはポリペプチドを含む。
【0435】
本発明はさらに、適切な哺乳動物宿主細胞であって、本明細書に記載のポリペプチドに特異的なTCRをコードするポリヌクレオチドでトランスフェクトされている(これによって、この宿主細胞はこのポリペプチドに特異的にされる)、適切な哺乳動物宿主細胞、例えば、非特異的T細胞を提供する。TCRのα鎖およびβ鎖は、別々の発現ベクターに含まれ得るか、または単一の発現ベクター(これはまた、リボソーム内侵入部位(IRES)の下流の遺伝子のcap依存性翻訳のためのIRESを含む)に含まれ得る。このポリペプチドに特異的なTCRを発現するこの宿主細胞は、例えば、以下にさらに考察されるような結腸癌の養子免疫療法のために、用いられ得る。
【0436】
本発明のさらなる局面において、本明細書に挙げたポリペプチドに特異的なクローニングされたTCRは、結腸癌の診断のためのキットに用いられ得る。例えば、結腸腫瘍特異的TCRの核酸配列またはその一部は、生物学的サンプル中で、特定のTCRをコードする再配列された遺伝子の発現を検出するためのプローブまたはプライマーとして用いられ得る。従って、本発明はさらに、ポリペプチドに特異的なTCRをコードするメッセンジャーRNAまたはDNAを検出するためのアッセイを提供する。
【0437】
(薬学的組成物)
さらなる実施形態において、本発明は、細胞または動物への投与のための、単独でかまたは治療の1つ以上の他の様相と組合わせてかのいずれかでの、薬学的に受容可能なキャリア中の本明細書中に開示される1つ以上のポリヌクレオチド、ポリペプチド、T細胞TCRおよび/または抗体組成物の処方物に関する。
【0438】
所望される場合、本明細書中に開示される組成物が、他の薬剤(例えば、他のタンパク質もしくはポリペプチドまたは種々の薬学的に活性な薬剤など)と組合わせても同様に投与され得ることが、理解される。事実、さらなる薬剤が標的細胞または宿主細胞と接触した際に有意な有害な影響をもたらさないとすれば、さらに含まれ得る他の成分に実質的に制限はない。従って、この組成物は、特定の例において必要とされる種々の他の薬剤と共に送達され得る。このような組成物は、宿主細胞または他の生物学的供給源から精製され得るか、あるいは、本明細書中に記載されるように化学的合成され得る。同様に、このような組成物はさらに、置換または誘導体化されたRNA組成物またはDNA組成物を含み得る。
【0439】
従って、本発明の別の局面において、生理学的に受容可能なキャリアと組合わせた、本明細書中に記載される1つ以上のポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体TCR、および/またはT細胞組成物を含む薬学的組成物が、提供される。特定の好ましい実施形態において、本発明の薬学的組成物は、予防ワクチン適用および治療ワクチン適用における使用のための、本発明の免疫原性ポリヌクレオチド組成物および/または免疫原性ポリペプチド組成物を含む。ワクチン調製物は、一般的に、例えば、M.F.PowellおよびM.J.Newman編、「Vaccine Design(the subunit and adjuvant approach)」、Plenum Press(NY,1995)に記載される。一般的にこのような組成物は、1つ以上の免疫刺激剤と組合わせた、本発明のポリヌクレオチド組成物および/またはポリペプチド組成物の1つ以上を含む。
【0440】
本明細書中に記載される任意の薬学的組成物が、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドの薬学的に受容可能な塩を含み得ることは、明らかである。このような塩は、例えば、薬学的に受容可能な非毒性の塩基(有機塩基(例えば、一級アミン、二級アミンおよび三級アミンならびに塩基性アミノ酸の塩)および無機塩基(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩およびマグネシウム塩)を含む)から調製され得る。
【0441】
別の実施形態において、本発明の例示的な免疫原性組成物(例えば、ワクチン組成物)は、上記のようなポリペプチドの1つ以上をコードするDNAを含み、その結果このポリペプチドは、インサイチュで生成される。上記のように、ポリヌクレオチドは、当業者に公知の種々の送達系の内のいずれかで投与され得る。実際、多数の遺伝子送達技術(例えば、Rolland,Crit.Rev.Therap.Drug Carrier Systems 15:143−198,1998およびこの中に引用される参考文献に記載される遺伝子送達技術)が、当該分野で周知である。当然、適切なポリヌクレオチド発現系は、患者における発現のための必要な調節性のDNA調節配列(例えば、適切なプロモーターおよび終結シグナル)を含む。あるいは、細菌送達系は、その細胞表面上にポリペプチドの免疫原性部分を発現するか、またはエピトープなどを分泌する細菌(例えば、Bacillus−Calmette−Guerrin)の投与を含み得る。
【0442】
従って、特定の実施形態において、本明細書中に記載される免疫原性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、多数の公知のウイルスに基づく系のうちのいずれかを用いて、発現のための適切な哺乳動物宿主細胞に導入される。1つの例示的な実施形態において、レトロウイルスが、遺伝子送達系のための簡便かつ有効な基盤を提供する。本発明のポリペプチドをコードする選択されたヌクレオチド配列は、当該分野で公知の技術を用いて、ベクターに挿入され得、そしてレトロウイルス粒子にパッケージングされ得る。次いで、組換えウイルスが、単離され、そして被験体に送達され得る。多数の例示的なレトロウイルス系が、記載されている(例えば、米国特許第5,219,740号;MillerおよびRosman(1989)BioTechniques 7:980−990;Miller,A.D.(1990)Human Gene Therapy 1:5−14;Scarpaら(1991)Virology 180:849−852;Burnsら(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:8033−8037;ならびにBoris−LawrieおよびTemin(1993)Cur.Opin.Genet.Develop.3:102−109)。
【0443】
さらに、多数の例示的なアデノウイルスに基づく系もまた、記載されている。宿主ゲノムに組込むレトロウイルスとは異なり、アデノウイルスは、染色体外に残り、このようにして、挿入変異誘発に関連する危険性を最小化する(Haj−AhmadおよびGraham(1986)J.Virol.57:267−274;Bettら(1993)J.Virol.67:5911−5921;Mitterederら(1994)Human Gene Therapy 5:717−729;Sethら(1994)J.Virol.68:933−940;Barrら(1994)Gene Therapy 1:51−58;Berkner,K.L.(1988)BioTechniques 6:616−629;ならびにRichら(1993)Human Gene Therapy 4:461−476)。
【0444】
種々のアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター系もまた、ポリヌクレオチド送達に関して開発されている。AAVベクターは、当該分野で周知の技術を用いて容易に構築され得る。例えば、米国特許第5,173,414号および同第5,139,941号;国際公開番号WO 92/01070およびWO 93/03769;Lebkowskiら(1988)Molec.Cell.Biol.8:3988−3996;Vincentら(1990)Vaccines 90(Cold Spring Harbor Laboratory Press);Carter,B.J.(1992)Current Opinion in Biotechnology 3:533−539;Muzyczka,N.(1992)Current Topics in Microbiol.and Immunol.158:97−129;Kotin,R.M.(1994)Human Gene Therapy 5:793−801;ShellingおよびSmith(1994)Gene Therapy 1:165−169;ならびにZhouら(1994)J.Exp.Med.179:1867−1875を参照のこと。
【0445】
遺伝子移入による、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを送達するのに有用なさらなるウイルスベクターとしては、ポックスウイルスのファミリー(例えば、ワクシニアウイルスおよび鳥類ポックスウイルス)から誘導されるものが挙げられる。例として、新規分子を発現するワクシニアウイルスの組換え体は、以下のように構築され得る。ポリペプチドをコードするDNAを最初に、ワクシニアプロモーターおよび隣接ワクシニアDNA配列(例えば、チミジンキナーゼ(TK)をコードする配列)に隣接するように、適切なベクターに挿入する。次いで、このベクターを使用して、ワクシニアで同時に感染させる細胞にトランスフェクトする。相同組換えによって、ワクシニアプロモーターおよび目的のポリペプチドをコードする遺伝子を、ウイルスゲノムに挿入する。生じるTK.sup.(−)組換え体を、5−ブロモデオキシウリジンの存在下でこの細胞を培養し、そして5−ブロモデオキシウリジンに耐性のウイルスプラークをピックアップすることによって、選択し得る。
【0446】
ワクシニアに基づく感染/トランスフェクション系は、生物の宿主細胞における、本明細書中に記載される1つ以上のポリペプチドの誘導可能な一過性発現または同時発現を提供するために、好都合に使用され得る。この特定の系において、細胞を最初に、インビトロで、バクテリオファージT7 RNAポリメラーゼをコードするワクシニアウイルスの組換え体で感染させる。このポリメラーゼは、それがT7プロモーターを保有する鋳型のみを転写する点で、鋭敏な特異性を示す。感染後、細胞を、T7プロモーターによって駆動される目的のポリヌクレオチドでトランスフェクトさせる。ワクシニアウイルスの組換え体から細胞質中で発現されるポリメラーゼは、トランスフェクトされたDNAをRNAに転写し、このRNAは次いで、宿主翻訳機構によってポリペプチドに翻訳される。この方法は、大量のRNAおよびその翻訳産物の、高レベルで一過性の細胞質産生を提供する。例えば、Elroy−SteinおよびMoss,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1990)87:6743−6747;Fuerstら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1986)83:8122−8126を参照のこと。
【0447】
あるいは、アビポックスウイルス(avipoxvirus)(例えば、鶏痘ウイルスおよびカナリア痘ウイルス)もまた使用されて、目的のコード配列を送達し得る。哺乳動物病原体由来の免疫原を発現する組換えアビポックスウイルスは、非鳥類種に投与された場合に、防御免疫を与えることが公知である。アビポックスベクターの使用は、ヒトおよび他の哺乳動物種において特に望ましい。なぜなら、アビポックス属のメンバーは、感受性の鳥類種においてのみ生産的に複製し得、故に、哺乳動物細胞において感染性ではないからである。組換えアビポックスウイルスを産生するための方法は、当該分野で公知であり、そしてワクシニアウイルスの産生に関して上記に記載されるように、遺伝子組換えを使用する。例えば、WO 91/12882;WO 89/03429;およびWO 92/03545を参照のこと。
【0448】
任意の多数のアルファウイルスベクターもまた、本発明のポリヌクレオチド組成物の送達のために使用され得、これらとしては、米国特許第5,843,723号;同第6,015,686号;同第6,008,035号および同第6,015,694号に記載されるベクターが挙げられる。ベネズエラウマ脳脊髄炎(VEE)に基づく特定のベクターもまた、使用され得、この例示的な例は、米国特許第5,505,947号および同第5,643,576号に見出され得る。
【0449】
さらに、分子結合体化ベクター(例えば、Michaelら、J.Biol.Chem.(1993)268:6866〜6869およびWagnerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1992)89:6099〜6103に記載のアデノウイルスキメラベクター)がまた、本発明における遺伝子送達に用いられ得る。
【0450】
これらおよび他の公知のウイルスベースの送達系に対するさらなる例示的情報は、例えば、以下に見出され得る:Fisher−Hochら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:317〜321、1989;Flexnerら、Ann.N.Y.Acad.Sci.569:86〜103、1989;Flexnerら、Vaccine 8:17〜21、1990;米国特許第4,603,112号、同第4,769,330号および同第5,017,487号;WO89/01973;米国特許第4,777,127号;GB 2,200,651:EP 0,345,242号;WO 91/02805;Berkner、Biotechniques 6:616〜627、1988;Rosenfeldら、Science 252:431〜434、1991;Kollsら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:215〜219、1994;Kass−Eislerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:11498〜11502、1993;Guzmanら、Circulation 88:2838〜2848、1993;ならびにGuzmanら、Cir.Res.73:1202〜1207、1993。
【0451】
特定の実施形態において、ポリヌクレオチドを標的細胞のゲノムに組み込み得る。この組み込みは、相同組み換え(遺伝子置換)を介して特定の位置および方向であり得るか、または無作為な非特異的位置に組み込まれ得る(遺伝子増大)。なおさらなる実施形態において、ポリヌクレオチドはDNAの別のエピソームセグメントとして細胞において安定に維持され得る。このようなポリヌクレオチドセグメントすなわち「エピソーム」は、宿主細胞の周期に独立してまたは同調して維持および複製を可能にするのに十分な配列をコードする。発現構築物が細胞に送達され、そしてこの細胞中にこのポリヌクレオチドが残る様式は、使用される発現構築物のタイプに依存する。
【0452】
本発明の別の実施形態において、例えば、Ulmerら、Science 259:1745〜1749、1993に記載され、そしてCohen、Science 259:1691〜1692、1993によって概説されるように、ポリヌクレオチドは、「裸の」DNAとして投与/送達される。裸のDNAの取り込みは、生分解性ビーズ(これは、細胞に効率的に輸送される)上にそのDNAをコーティングすることによって増加され得る。
【0453】
なお別の実施形態において、本発明の組成物は、微粒子銃アプローチ(その多くが記載されている)を介して送達され得る。1つの代表的な例において、ガス駆動粒子加速(gas−driven acceleration)は、Powderject Pharmaceuticals PLC(Oxford,UK)およびPowderject Vaccines Inc.(Madison,WI)によって製造されたデバイスのようなデバイスで達成され得る。そのいくつかの例は、米国特許第5,846,796号;同第6,010,478号;同第5,865,796号;同第5,584,807号;および欧州特許番号第0500799号に記載されている。このアプローチは、注射針のない(無注射針)(ニードルフリー)送達アプローチを提供する。ここでは、微視的な粒子(例えば、ポリヌクレオチド粒子、またはポリペプチド粒子)の乾燥粉末処方物を、手持ちデバイスによって生成されたヘリウムガスジェット内で高速に加速し、目的の標的組織内へ粒子を噴射する。
【0454】
関連の実施形態において、本発明の組成物のガス駆動注射針なし注入に有用であり得る他のデバイスおよび方法は、Bioject,Inc.(Portland,OR)によって提供されるものが挙げられ、そのいくつかの例は、米国特許第4,790,824号;同第5,064,413号;同第5,312,335号;同第5,383,851号;同第5,399,163号;同第5,520,639号;および同第5,993,412号に記載されている。
【0455】
別の実施形態に従って、本明細書に記載される薬学的組成物は、本発明の免疫原性ポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体、T細胞および/またはAPC組成物に加えて、1つ以上の免疫賦活剤(免疫刺激因子)を含む。免疫賦活剤とは、本質的に、外因性抗原に対する免疫応答(抗原および/または細胞媒介)を増大または増強する任意の物質をいう。免疫賦活剤の1つの好ましい型は、アジュバントを含む。多くのアジュバントは、迅速な異化作用から抗原を保護するように設計された物質(例えば、水酸化アルミニウムまたは鉱油)および免疫応答の刺激物質(例えば、脂質A、Bortadella pertussisまたはMycobacterium tuberculosis誘導化タンパク質)を含む。特定のアジュバント、例えば、フロイント不完全アジュバントおよびフロイント完全アジュバント(Difco Laboratories,Detroit,MI);Merck Adjuvant 65(Merck and Company,Inc.,Rahway,NJ);AS−2(SmithKline Beecham,Philadelphia,PA);アルミニウム塩(例えば、水酸化アルミニウムゲル(ミョウバン)またはリン酸アルミニウム);カルシウム,鉄または亜鉛の塩;アシル化チロシンの不溶性懸濁液;アセチル化糖;カチオンの誘導化多糖またはアニオンの誘導化多糖;ポリフォスファーゼン(polyphosphazene);生分解性ミクロスフェア:モノホスホリル脂質Aおよびモノホスホリルクイル(quil)Aとして、市販されている。サイトカイン(例えば、GM−CSF、インターロイキン−2、インターロイキン−7、インターロイキン−12および成長因子のような他のもの)はまた、アジュバントとして使用され得る。
【0456】
本発明の特定の実施形態において、アジュバント組成物は、Th1型の免疫応答を優勢に誘導するものが好ましい。高レベルのTh1型サイトカイン(例えば、IFN−γ、TNFα、IL−2およびIL−12)は、投与される抗原に対する細胞媒介性応答の誘導を支持する傾向がある。対照的に、高レベルのTh2型サイトカイン(例えば、IL−4、IL−5、IL−6およびIL−10)は、体液性免疫応答の誘導を支持する傾向がある。本明細書中に提供されるようなワクチンの適用の後、患者は、Th1型応答およびTh2型応答を含む免疫応答を支持する。応答が優勢にTh1型である好ましい実施形態において、Th1型サイトカインのレベルは、Th2型サイトカインのレベルより高い程度まで増加する。これらのサイトカインのレベルは、標準的アッセイを使用して容易に評価され得る。サイトカインのファミリーの概説については、MosmannおよびCoffman、Ann.Rev.Immunol.7:145〜173、1989を参照のこと。
【0457】
Th1型優勢の応答を誘発するための特定の好ましいアジュバントは、例えば、モノホスホリルリピドA、好ましくは3−de−O−アシル化モノホスホリルリピドAとアルミニウム塩との組み合わせを含む。MPL(登録商標)アジュバントは、Corixa Corporation(Seattle,WA;例えば、米国特許第4,436,727号;同第4,877,611号;同第4,866,034号および同第4,912,094号を参照のこと)から入手可能である。CpG含有オリゴヌクレオチド(ここで、CpGジヌクレオチドはメチル化されていない)はまた、Th1優勢の応答を誘導する。このようなオリゴヌクレオチドは周知であり、そして例えばWO96/02555、WO99/33488ならびに米国特許第6,008,200号および同第5,856,462号に記載される。免疫賦活剤DNA配列がまた、例えば、Satoら、Science 273:352,1996によって記載される。別の好ましいアジュバントは、サポニン(例えば、Quil A)、またはその誘導体(QS21およびQS7(Aquila Biopharmaceuticals Inc.,Framingham,MA)を含む);Escin;Digitonin(ジキトニン);またはGypsophilaもしくはChenopodium quinoaサポニンを含む。他の好ましい処方物としては、本発明のアジュバントの組み合わせ、例えば、QS21、QS7、Quil A、β−エスシン、またはジギトニンを含む以下の群のうち少なくとも2つの組み合わせ、において1つより多いサポニンを含む。
【0458】
あるいは、このサポニン処方物は、キトサン、または他のポリカチオン性ポリマーからなるワクチンビヒクル、ポリラクチドおよびポリラクチド−co−グリコリド粒子、ポリ−N−アセチルグルコサミンベースのポリマーマトリックス、ポリサッカライドまたは化学的に改変されたポリサッカライドからなる粒子、リポソームおよび脂質ベースの粒子、グリセロールモノエステルからなる粒子、などと組み合わせられ得る。サポニンはまた、コレステロールの存在下で処方されて、リポソームまたはISCOMのような粒子構造を形成し得る。さらに、サポニンは、非粒子的溶液もしくは懸濁液で、または小数層リポソームもしくはISCOMのような粒子状構造で、ポリオキシエチレンエーテルまたはエステルと一緒に処方され得る。サポニンはまた、Carbopol(登録商標)のような賦形剤と一緒に処方されて、粘度を増大され得るか、またはラクトースのような粉末賦形剤とともに乾燥粉末形態に処方され得る。
【0459】
1つの好ましい実施形態において、アジュバント系は、モノホスホリルリピドAとサポニン誘導体との組み合わせ(例えば、WO94/00153に記載されるような、QS21と3D−MPL(登録商標)アジュバントとの組み合わせ、またはWO96/33739に記載されるような、QS21がコレステロールでクエンチ(quench)される、あまり反応発生的(reactogenic)でない組成物)を含む。他の好ましい処方物は、水中油型エマルジョンおよびトコフェロールを含む。水中油型エマルジョン中のQS21、3D−MPL(登録商標)アジュバントおよびトコフェロールを使用する、別の特に好ましいアジュバント処方物は、WO95/17210に記載されている。
【0460】
別の強化されたアジュバント系は、CpG含有オリゴヌクレオチドとサポニン誘導体の組み合わせを含み、特にCpGとQS21の組み合わせがWO00/09159に開示されている。好ましくは、この処方物は、さらに、水中油型エマルジョンおよびトコフェノールを含む。
【0461】
本発明の薬学的組成物における使用のためのさらなる代表的アジュバントとしては、Montanide ISA 720(Seppic,France)、SAF(Chiron,California,United States)、ISCOMS(CSL)、MF−59(Chiron)、アジュバントのSBASシリーズ(例えば、SBAS−2またはSBAS−4(SmithKline Beecham、Rixensart、Belgiumから入手可能)、Detox(Enhanzyn(登録商標))(Corixa,Hamilton,MT)、RC−529(Corixa,Hamilton,MT)および他のアミノアルキルグルコサミニド4−ホスフェート(AGP)(例えば、係属中の米国出願登録番号08/853,826および09/074,720(これらの開示は、その全体が本明細書中に参考として援用される)に記載されるアジュバント)、ならびにWO 99/52549A1に記載のポリオキシエチレンエーテルアジュバントのようなアジュバントが挙げられる。
【0462】
他の好ましいアジュバントは、一般式(I):HO(CHCHO)−A−Rのアジュバント分子を含み、
ここで、nは、1〜50であり、Aは、結合または−C(O)−であり、Rは、C1〜50アルキルまたはフェニルC1〜50アルキルである。
【0463】
本発明の1つの実施形態は、一般式(I)のポリオキシエチレンエーテルを含むワクチン処方物からなり、ここで、nは、1と50との間、好ましくは4〜24、最も好もしくは9であり、このR成分は、C1〜50、好ましくはC〜C20アルキル、そして最も好ましくはC12アルキルであり、そしてAは、結合である。ポリオキシエチレンエーテルの濃度は、0.1〜20%の範囲、好ましくは0.1〜10%、そして最も好ましくは0.1〜1%の範囲にあるべきである。好ましいポリオキシエチレンエーテルは、以下の群から選択される:ポリオキシエチレン−9−ラウロイルエーテル、ポリオキシエチレン−9−ステアリル(steoryl)エーテル、ポリオキシエチレン−8−ステアリル(steoryl)エーテル、ポリオキシエチレン−4−ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−35−ラウロイルエーテルおよびポリオキシエチレン−23−ラウリルエーテル。ポリオキシエチレンラウリルエーテルのようなポリオキシエチレンエーテルは、Merckインデックス(第12版、7717項目)に記載される。これらのアジュバント分子は、WO99/52549に記載される。
【0464】
上記の一般式(I)に従うポリオキシエチレンエーテルは、所望の場合、別のアジュバントと組み合わせられ得る。例えば、好ましいアジュバントの組み合わせは、好ましくは、係属中の英国特許出願第GB9820956.2号に記載されるようなCpGとの組み合わせである。
【0465】
本発明の別の実施形態に従って、本明細書に記載される免疫原性組成物は、抗原提示細胞(APC)(例えば、樹状細胞、マクロファージ、B細胞、単球、および有効なAPCであるように操作され得る他の細胞)を介して宿主に送達される。このような細胞は、抗原を提示する能力を増大するように、T細胞応答の活性化および/または維持を改良するように、それ自体で抗腫瘍効果を有するように、そして/あるいは受け手と免疫学的に適合性(すなわち、一致するHLAハプロタイプ)であるように遺伝学的に改変されてもよいが、改変される必要はない。APCは、一般に、種々の生物学的な流体および器官(腫瘍および腫瘍周辺組織を含む)のいずれかから単離されてもよいし、そして自己細胞、同種異系細胞、同系細胞、または異種細胞であってもよい。
【0466】
本発明の特定の好ましい実施形態は、抗原提示細胞として、樹状細胞またはその前駆細胞を使用する。樹状細胞は、高度に強力なAPCであり(BanchereauおよびSteinman、Nature 392:245−251、1998)、そして予防的または治療的な抗腫瘍免疫性を誘発するための生理学的アジュバントとして有効であることが示されてきた(TimmermanおよびLevy、Ann.Rev.Med.50:507−529、1999を参照のこと)。一般に、樹状細胞は、それらの代表的な形状(インサイチュでは星状、インビトロでは目に見える顕著な細胞質プロセス(樹状突起)を有する)、高い効率で抗原を取り込み、プロセシングし、そして提示するそれらの能力、およびナイーブな(naive)T細胞応答を活性化するそれらの能力に基づいて同定され得る。もちろん樹状細胞は、インビボまたはエキソビボで樹状細胞上に通常見出されない特定の細胞表面レセプターまたはリガンドを発現するように操作され得、このような改変樹状細胞は本発明によって意図される。樹状細胞の代替として、分泌小胞抗原装荷樹状細胞(secreted vesicles antigen−loaded dendritic cell)(エキソソーム(exosome)と呼ばれる)がワクチン内で使用され得る(Zitvogelら、Nature Med.4:594−600,1998を参照のこと)。
【0467】
樹状細胞および前駆細胞は、末梢血、骨髄、腫瘍浸潤細胞、腫瘍周辺組織浸潤細胞、リンパ節、脾臓、皮膚、臍帯血、または任意の他の適切な組織もしくは流体から得られ得る。例えば、樹状細胞は、末梢血から収集された単球の培養物に、GM−CSF、IL−4、IL−13および/またはTNFαのようなサイトカインの組み合わせを添加することによってエキソビボで分化され得る。あるいは、末梢血、臍帯血または骨髄から収集されたCD34陽性細胞は、培養培地にGM−CSF、IL−3、TNFα、CD40リガンド、LPS、flt3リガンドおよび/または樹状細胞の分化、成熟、および増殖を誘導する他の化合物の組み合わせを添加することによって、樹状細胞に分化され得る。
【0468】
樹状細胞は、「未熟」細胞および「成熟」細胞として都合良く分類され、このことは、2つの充分に特徴付けられた表現型の間を単純な方法で区別することを可能にする。しかしこの命名は、あらゆる可能な分化の中間段階を排除すると解釈されるべきではない。未熟な樹状細胞は、抗原の取り込みおよびプロセシングの高い能力を有するAPCとして特徴付けられ、この能力は、Fcγレセプターおよびマンノースレセプターの高度な発現と相関する。成熟表現型は、代表的に、クラスIおよびクラスII MHC、接着分子(例えば、CD54およびCD11)ならびに同時刺激性分子(例えば、CD40、CD80、CD86および4−1BB)のようなT細胞活性化を担う細胞表面分子の高度な発現ではなく、これらのマーカーのより低い発現によって特徴付けられる。
【0469】
APCは、一般に、本発明のポリヌクレオチド(またはその部分もしくは他の改変体)を用いてトランスフェクトされ得、その結果、このコードされたポリペプチドまたはその免疫原性部分が細胞表面上に発現される。このようなトランスフェクションはエキソビボで生じ得、次いでこのようなトランスフェクトされた細胞を含む薬学的組成物は、本明細書中に記載されるように、治療目的のために使用され得る。あるいは、樹状細胞または他の抗原提示細胞を標的とする遺伝子送達ビヒクルが、患者に投与され得、インビボで起こるトランスフェクションを生じる。樹状細胞のインビボおよびエキソビボでのトランスフェクションは、例えば、WO97/24447に記載される方法、またはMahviら、Immunology and cell Biology 75:456−460、1997によって記載される遺伝子銃アプローチのような当該分野で公知の任意の方法を使用して一般に実施され得る。樹状細胞の抗原ローディングは、樹状細胞または前駆細胞を、腫瘍ポリペプチド、DNA(裸のもしくはプラスミドベクター中の)またはRNA;あるいは抗原発現性組換え細菌またはウイルス(例えば、牛痘、鶏痘、アデノウイルスまたはレンチウイルスのベクター)とインキュベートすることによって達成され得る。ローディングの前に、ポリペプチドは、T細胞補助を提供する免疫学的パートナー(例えば、キャリア分子)に共有結合され得る。あるいは、樹状細胞は、別々にまたはポリペプチドの存在下で、結合していない免疫学的パートナーでパルスされ得る。
【0470】
当業者に公知の任意の適切なキャリアが、本発明の薬学的組成物において使用され得るが、このタイプのキャリアは、代表的に投与の様式に依存して変化する。本発明の組成物は、投与の任意の適切な様式、例えば、局所投与、経口投与、経鼻投与、粘膜投与、静脈投与、頭蓋内投与、腹腔内投与、皮下投与、および筋肉内投与を含む様式のために処方され得る。
【0471】
このような薬学的組成物内での使用のためのキャリアは、生体適合性であり、そしてまた生分解性であり得る。特定の実施形態において、好ましくは、この処方物は比較的一定レベルの活性成分の放出を提供する。しかし、他の実施形態において、投与直後のより迅速な放出速度が所望され得る。このような組成物の処方は十分に、公知の技術を使用する当業者のレベル内である。この点に関して有用な例示的なキャリアとしては、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリアクリレート、ラテックス、デンプン、セルロース、デキストランなどの微粒子が挙げられる。他の例示的な徐放性キャリアとしては、非液性(non−liquid)親水性コア(例えば、架橋ポリサッカリドまたはオリゴサッカリド)を含む超分子バイオベクター、ならびに必要に応じて、両親媒性化合物を含む外部層(例えば、リン脂質)(例えば、米国特許第5,151,254号およびPCT出願WO94/20078、WO/94/23701およびWO96/06638を参照のこと)を含む超分子バイオベクターが挙げられる。徐放性処方物内に含まれる活性な化合物の量は、移植の部位、放出の速度および予期される持続期間、ならびに処置または予防されるべき状態の性質に依存する。
【0472】
別の例示的な実施形態において、生分解性ミクロスフェア(例えば、ポリ乳酸ポリグリコレート)は、本発明の組成物のためのキャリアとして使用される。適切な生分解性ミクロスフェアは、例えば、米国特許第4,897,268号;同第5,075,109号;同第5,928,647号;同第5,811,128号;同第5,820,883号;同第5,853,763号;同第5,814,344号;同第5,407,609号および同第5,942,252号に開示される。改変B型肝炎コアタンパク質キャリア系(例えば、WO/99 40934およびそこで引用される参考文献に記載されるような系)もまた、多くの用途に有用である。別の例示的なキャリア送達系(システム)は、キャリア含有粒子−タンパク質複合体(例えば、米国特許第5,928,647号に記載される複合体)を使用し、これは、宿主においてクラスI拘束細胞傷害性Tリンパ球応答を誘導し得る。
【0473】
別の例示的実施形態において、リン酸カルシウムコア粒子が、キャリア、ワクチンアジュバントとして、または本発明の組成物のための徐放性マトリクスとして使用される。例示的なリン酸カルシウム粒子は、例えば、公開特許出願WO/0046147に開示されている。
【0474】
本発明の薬学的組成物はしばしば、1つ以上の、緩衝剤(例えば、中性の緩衝化生理食塩水またはリン酸緩衝化生理食塩水);糖質(例えば、グルコース、マンノース、スクロースまたはデキストラン);マンニトール;タンパク質;ポリペプチドまたはアミノ酸(例えば、グリシン);抗酸化剤;静菌剤;キレート剤(例えば、EDTAまたはグルタチオン);アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム);処方物をレシピエントの血液に対して等張性、低張性または弱く高張性にする溶質;懸濁剤;濃化剤および/または保存剤をさらに含む。あるいは、本発明の組成物は、凍結乾燥物として処方され得る。
【0475】
本明細書中に記載される薬学的組成物は、単回用量容器または多用量容器(例えば、密閉アンプルまたはバイアル)中に存在し得る。このような容器は、代表的に、使用まで処方物の無菌性および安定性を維持するような様式で、密封される。一般に、処方物は、油性ビヒクルまたは水性ビヒクル中の、懸濁液、溶液またはエマルジョンとして保存され得る。あるいは、薬学的組成物は、使用の直前に無菌水性キャリアの添加のみを必要とする、凍結乾燥状態で保存され得る。
【0476】
様々な処置レジメンにおいて本明細書中で記載される特定の組成物を使用するための適切な投薬レジメンおよび処置レジメン(例えば、経口、非経口、静脈内、鼻腔内、および筋肉内の投与および処方を含む)の開発は、当該分野で周知であり、これらのいくつかは、一般的な例示目的のために以下で簡単に考察される。
【0477】
特定の用途において、本明細書中で開示される薬学的組成物は、経口投与によって動物に送達され得る。このように、これらの組成物は、不活性希釈剤と共にかまたは同化可能食用キャリアと共に処方され得るか、あるいはこれらの組成物は、硬質または軟質殻ゼラチンカプセルに入れられ得るか、あるいはこれらの組成物は錠剤に圧縮され得るか、あるいはこれらの組成物は食餌の食品に直接組み込まれ得る。
【0478】
活性化合物は、さらに賦形剤と共に組み込まれ得、そして経口摂取錠剤、経頬粘膜錠剤、トローチ、カプセル剤、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウェハ剤などの形態で使用される(例えば、Mathiowitzら、Nature 1997 Mar 27;386(6623):410−4;Hwangら、Crit Rev Ther Drug Carrier Syst 1998;15(3):243−84;米国特許第5,641,515号;米国特許第5,580,579号および米国特許第5,792,451号を参照のこと)。錠剤、トローチ、丸剤、カプセル剤などはまた、任意の種々のさらなる成分を含み得、例えば、結合剤(例えば、トラガカントゴム、アラビアゴム、コーンスターチまたはゼラチン);賦形剤(例えば、リン酸二カルシウム);崩壊剤(例えば、コーンスターチ、ポテトデンプン、アルギン酸など);潤沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム);および甘味料(例えば、スクロース、ラクトースまたはサッカリン)または香料(例えば、ペパーミント、ウインターグリーン油、またはチェリー香料)が添加され得る。投薬量単位形態がカプセル剤である場合、これは上記のタイプの材料に加えて液体キャリアを含み得る。様々な他の材料が、コーティングとして存在し得るか、またはそうでなければ投薬単位の物理的形態を改変し得る。例えば、錠剤、丸剤またはカプセル剤は、セラック、糖またはその両方でコーティングされ得る。もちろん、任意の投薬単位形態を調製する際に使用される任意の材料は、薬学的に純粋でありかつ用いられる量で実質的に非毒性でなければならない。さらに、活性化合物が、持続性放出調製物および処方物に組み込まれ得る。
【0479】
代表的に、これらの処方物は、少なくとも約0.1%またはそれよりも多い活性化合物を含み得るが、活性成分の割合は、もちろん、変化し得、そして好都合に、全処方物の重量または体積の約1または2%と、約60%または70%以上のとの間であり得る。当然、治療的に有用な組成物の各々の中の活性化合物の量は、適切な投薬量が、化合物の任意の所定の単位用量において得られるような様式で、調製され得る。溶解度、バイオアベイラビリティー、生物学的半減期、投与の経路、製品の有効期限のような因子、および他の薬理学的考慮が、このような薬学的処方物を調製する分野の当業者によって意図され、そして、種々の投薬量および処置レジメンはそれ自体が、所望され得る。
【0480】
あるいは、経口投与について、本発明の組成物は、うがい薬、歯みがき剤、バッカル錠、経口スプレー、または舌下経口投与処方物の形態で、1つ以上の賦形剤と混合され得る。あるいは、活性成分は、経口溶液(例えば、ホウ酸ナトリウム、グリセリンおよび炭酸水素カリウムを含む溶液)に組み込まれ得るか、または歯みがき剤に分散され得るか、または治療的有効量で、水、結合剤、研磨剤、香料、発泡剤、および湿潤剤を含み得る組成物に添加され得る。あるいは、これらの組成物は、舌下に置かれ得るか、そうでなければ口の中で溶解され得る錠剤形態または溶液形態に成形され得る。
【0481】
特定の状況において、本明細書中で開示される薬学的組成物を、非経口送達、静脈内送達、筋肉内送達またはさらに腹腔内送達することが所望される。このようなアプローチは、当業者に周知であり、これらのいくつかは例えば、例えば、米国特許第5,543,158号;米国特許第5,641,515号および米国特許第5,399,363号にさらに記載される。特定の実施形態において、遊離塩基または薬学的に受容可能な塩としての活性化合物の溶液は、界面活性剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース)と適切に混合された水中で調製され得る。分散物もまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物中で、ならびにオイル中で調製され得る。保存および使用の通常の条件下で、これらの調製物は一般に、微生物の増殖を防止するために、防腐剤を含む。
【0482】
注入用途のために適切な例示的な薬学的形態として、滅菌水性液剤または分散物および滅菌注射用液剤または分散物の即時調製のための滅菌散剤が挙げられる(例えば、米国特許第5,466,468号を参照のこと)。全ての場合において、その形態は、滅菌でなけらばならず、そして容易に注射することができる程度に、流動性でなければならない。それは、製造および保存の条件下で安定でなければならず、そして微生物(例えば、細菌および真菌)の汚染作用に対して保存されなければならない。キャリアは、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、それらの適切な混合物、および/もしくは植物油を含む溶媒または分散媒体であり得る。適切な流動性は、例えば、コーティング(例えば、レシチン)の使用によって、分散物の場合には必要とされる粒子サイズの維持によって、そして/または界面活性剤の使用によって、維持され得る。微生物の作用の防止は、種々の抗菌剤および抗真菌剤(例えば、パラベン(paraben)、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなど)によって促進され得る。多くの場合において、等張剤(例えば、糖または塩化ナトリウム)を含めることが、望ましい。注射可能な組成物の長期にわたる吸収は、組成物中での吸収を遅延させる薬剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン)の使用によって、もたらされ得る。
【0483】
一実施形態において、水溶液の非経口投与のために、必要ならばその溶液は、適切に緩衝化されるべきであり、そして液体希釈剤が、最初に、十分な生理食塩水またはグルコースで等張にされる。これらの特定の水溶液は、特に、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、および腹腔内投与に適切である。これに関連して、使用され得る滅菌水性媒体は、本開示の観点から当業者に公知である。例えば、一投与量は、1mlの等張性NaCl溶液に溶解され得、そして1000mlの皮下注入流体に添加され得るか、または注入予定部位で注入され得るかのいずれかである(例えば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、第15版、1035〜1038頁および1570〜1580頁を参照のこと)。投薬量におけるいくらかの変化が、処置される被験体の状態に依存して必然的に生じる。さらに、ヒト投与について、調製物は、もちろん、FDA Office of Biologics standardsによって要求されるような、無菌性、発熱性、ならびに一般的な安全性標準および純度標準を好ましく満たす。
【0484】
本発明の別の実施形態において、本明細書中で開示される組成物は、中性形態または塩形態で処方され得る。例示的な薬学的に受容可能な塩としては、酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基とともに形成される)が挙げられ、そしてこれらの塩は、無機酸(例えば、塩酸またはリン酸)、または酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などの有機酸とともに形成される。遊離カルボキシル基とともに形成される塩もまた、無機塩基(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、または水酸化鉄)、およびイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカインなどの有機塩基から誘導され得る。処方の際に、溶液は、投薬処方物と適合する様式でかつ治療的に有効な量で投与される。
【0485】
キャリアは、任意および全ての溶媒、分散媒体、ビヒクル、コーティング、希釈剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収を遅延させる薬剤、緩衝液、キャリア溶液、懸濁液、コロイドなどをさらに含み得る。薬学的活性物質のためのこのような媒体および薬剤の使用は、当該分野で周知である。任意の従来の媒体または薬剤が、活性成分と不適合である場合を除いては、治療組成物におけるその使用が、企図される。補助的活性成分もまた、これらの組成物に組み込まれ得る。句「薬学的に受容可能な」とは、ヒトに投与される場合に、アレルギー反応または類似の厄介な反応を生じない分子実体および組成物をいう。
【0486】
特定の実施形態において、薬学的組成物は、鼻腔内スプレー、吸入、および/または他のエアロゾル送達ビヒクルによって送達され得る。遺伝子、核酸およびペプチド組成物を、経鼻エアロゾルスプレーを介して肺に直接送達するための方法は、例えば、米国特許第5,756,353号および米国特許第5,804,212号に記載されている。同様に、鼻腔内微粒子樹脂(Takenagaら、J Controlled Release 1998 Mar 2;52(1−2):81−7)およびリゾホスファチジル−グリセロール化合物(米国特許第5,725,871号)を使用する薬物の送達はまた、薬学分野で周知である。同様に、ポリテトラフルオロエチレン支持マトリックスの形態での例示的な経粘膜薬物送達は、米国特許第5,780,045号に記載される。
【0487】
特定の実施形態において、リポソーム、ナノカプセル、微粒子、脂質粒子、小胞などを、適切な宿主細胞/生物への本発明の組成物の導入のために使用する。特に、本発明の組成物は、脂質粒子、リポソーム、小胞、ナノスフィア、またはナノ粒子などのいずれかにカプセル化して送達するために処方され得る。あるいは、本発明の組成物は、このようなキャリアビヒクルの表面に、共有結合的または非共有結合的のいずれかで結合され得る。
【0488】
潜在的な薬物キャリアとしてのリポソームおよびリポソーム様調製物の形成および使用は一般に、当業者に公知である(例えば、Lasic,Trends Biotechnol 1998 Jul;16(7):307−21;Takakura,Nippon Rinsho 1998 Mar;56(3):691−5;Chandranら、Indian J Exp Biol.1997 Aug;35(8):801−9;Margalit,Crit Rev Ther Drug Carrier Syst.1995;12(2−3):233−61;米国特許第5,567,434号;米国特許第5,552,157号;米国特許第5,565,213号;米国特許第5,738,868号および米国特許第5,795,587号(これらの各々は、その全体が本明細書中で参考として詳細に援用される)を参照のこと)。
【0489】
リポソームは、T細胞懸濁液、初代肝細胞培養物およびPC12細胞を含む他の手順によるトランスフェクションが通常困難である多くの細胞型とともに、首尾よく使用されている(Renneisenら、J Biol Chem.1990 Sep 25;265(27):16337−42;Mullerら、DNA Cell Biol.1990 Apr;9(3):221−9)。さらに、リポソームは、ウイルスベースの送達系に典型的なDNA長の制限がない。リポソームは、遺伝子、種々の薬物、放射線治療剤、酵素、ウイルス、転写因子およびアロステリックエフェクターなどを、種々の培養細胞株および動物に導入するために効果的に使用されている。さらに、リポソームの使用は、全身送達後の、自己免疫応答にも受容不可能な毒性にも関連しないようである。
【0490】
特定の実施形態において、リポソームは、水性媒体中に分散したリン脂質から形成され、そして多層同心性二重層小胞(多層小胞(MLV)とも呼ばれる)を自発的に形成する。
【0491】
あるいは、他の実施形態において、本発明は、本発明の組成物の薬学的に受容可能なナノカプセル処方物を提供する。ナノカプセルは一般に、化合物を安定かつ再現可能な様式で捕獲し得る(例えば、Quintanar−Guerreroら、Drug Dev Ind Pharm.1998 Dec;24(12):1113−28を参照のこと)。細胞内ポリマー過負荷に起因する副作用を回避するために、このような超微粒子(約0.1μmのサイズ)は、インビボで分解され得るポリマーを使用して設計され得る。このような粒子は、例えば、Couvreurら、Crit Rev Ther Drug Carrier Syst.1988;5(1):1−20;zur Muhlenら、Eur J Pharm Biopharm.1998 Mar;45(2):149−55;Zambauxら、J Controlled Release.1998 Jan 2;50(1−3):31−40;および米国特許第5,145,684号に記載されるようにして作製され得る。
【0492】
(癌治療法)
癌治療への免疫学的アプローチは、癌細胞が、異常な細胞および分子または外来の細胞および分子に対する人体の防御をしばしば回避し得、そしてこれらの防御が、失った基盤(ground)を取り戻すために免疫的に刺激され得るという認識に基づく(例えば、Klein、Immunology(Wiley−Interscience、New York、1982)、623〜648頁)。種々の免疫エフェクターが腫瘍の増殖を直接的または間接的に阻害し得るという多数の最近の知見は、癌治療に対するアプローチにおける更新された関心を導いた(例えば、Jagerら、Oncology 2001;60(1):1−7;Rennerら、Ann Hematol 2000 Dec;79(12):651−9)。
【0493】
抗腫瘍細胞の免疫および人体からの腫瘍細胞の除去に関連する機能を有する4つの基本的な細胞型は、以下の通りである:i)非自己侵入細胞を認識および標識するために免疫グロブリンを血漿に分泌するB−リンパ球;ii)免疫グロブリンでコーティングされた標的侵入細胞の溶解および処理を担う補体タンパク質を分泌する単球;iii)腫瘍細胞の破壊、抗体依存性細胞傷害およびナチュラルキリング(natural killing)のための2種類の機構を有するナチュラルキラーリンパ球;ならびにiv)抗原特異的レセプターを保持し、そして相補的マーカー分子を保有する腫瘍細胞を認識する能力を有するT−リンパ球(Schreiber,H.、1989、Fundamental Immunology(編)、W.E.Paul、923〜955頁)。
【0494】
癌の免疫治療は、一般に、体液性免疫応答、細胞性免疫応答、またはそれらの両方を誘導することに焦点が当てられている。さらに、CD4Tヘルパー細胞の誘導は、抗体または細胞傷害性CD8T細胞のいずれかを二次的に誘導するために必要であることが十分に確立されている。癌細胞、特に、結腸癌細胞に対して選択的であるか、または理想的には特異的であるポリペプチド抗原は、結腸癌に対する免疫応答を誘導するための強力なアプローチを提供し、そして本発明の重要な局面である。
【0495】
従って、本発明のさらなる局面において、本明細書に記載される薬学的組成物は、癌に対する免疫応答を刺激するため、特に、結腸癌の免疫治療のために使用され得る。このような方法において、本明細書中に記載される薬学的組成物は、患者、代表的には、温血動物、好ましくはヒトに投与される。患者は、癌に罹患していてもしていなくてもよい。薬学的組成物およびワクチンは、原発性腫瘍の外科的除去および/または放射線治療剤もしくは従来の化学療法剤の投与のような処置の前、あるいはその後のいずれかに投与され得る。上記のように、薬学的組成物の投与は、任意の適切な方法(静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、鼻腔内、皮内、肛門、膣、局所的および経口経路による投与を含む)によってであり得る。
【0496】
特定の実施形態において、免疫療法は、能動的免疫療法であり得、この療法にける処置は、免疫応答改変剤(例えば、本明細書中で提供されるポリペプチドおよびポリヌクレオチド)の投与を用いる、腫瘍に対して反応する内因性宿主免疫系のインビボ刺激に依存する。
【0497】
他の実施形態において、免疫療法は、受動的免疫療法であり得、この療法における処置は、確立された腫瘍免疫反応性を有する因子(例えば、エフェクター細胞または抗体)(これらは、抗腫瘍効果を直接的または間接的に媒介し得、そして必ずしもインタクトな宿主免疫系に依存しない)の送達を含む。エフェクター細胞の例としては、上記のようなT細胞、本明細書中に提供されるポリペプチドを発現するTリンパ球(例えば、CD8細胞傷害性Tリンパ球およびCD4Tヘルパー腫瘍浸潤性リンパ球)、キラー細胞(例えば、ナチュラルキラー細胞およびリンホカイン活性化キラー細胞)、B細胞および抗原提示細胞(例えば、樹状細胞およびマクロファージ)が挙げられる。本明細書中に列挙されるポリペプチドに特異的なT細胞レセプターおよび抗体レセプターは、養子免疫療法のために他のベクターまたはエフェクター細胞中にクローニングされ、発現され、そして移入され得る。本明細書に提供されるポリペプチドはまた、受動免疫療法のための抗体または抗イディオタイプ抗体(上記および米国特許第4,918,164号に記載される)を生成するために用いられ得る。
【0498】
モノクローナル抗体は、検出、診断アッセイまたは治療適用において、所望される選択的な利用のために、任意の種々の標識で標識され得る(米国特許第6,090,365号;同第6,015,542号;同第5,843,398号;同第5,595,721号;および同第4,708,930号(各々が個々に援用されるかのように、本明細書中でこれらの全体が参考として援用されている)に記載されている)。各々の場合において、抗原の決定部位への標識されたモノクローナル抗体の結合は、特定の治療剤の検出または異常な細胞上の抗原決定部位への特定の治療剤の送達を示す。本発明のさらなる目的は、このようなモノクローナル抗体の所望される選択的な利用を達成するために適切に標識される、特定のモノクローナル抗体を提供することである。
【0499】
エフェクター細胞は、一般に、本明細書中に記載されるように、インビトロでの増殖により養子免疫治療のために十分な量で得られ得る。単一の抗原特異的エフェクター細胞を、インビボでの抗原認識を保持しながら数十億まで増殖させるための培養条件は当該分野で周知である。このようなインビトロの培養条件は代表的に、しばしばサイトカイン(例えば、IL−2)および分裂しない支持細胞の存在下で、抗原での間欠刺激を用いる。上で述べたように、本明細書中で提供される免疫反応性ポリペプチドは、抗原特異的T細胞培養物を急速に増殖するために用いられ、免疫治療に十分な数の細胞を生成し得る。詳細には、抗原提示細胞(例えば、樹状細胞、マクロファージ、単球、繊維芽細胞、および/またはB細胞)は、当該分野で周知の標準的技術を用いて、免疫反応性ポリペプチドでパルスされ得るか、または1つ以上のポリヌクレオチドでトランスフェクトされ得る。例えば、抗原提示細胞は、組換えウイルスまたは他の発現系における発現を増大するのに適切なプロモーターを有するポリヌクレオチドでトランスフェクトされ得る。治療において使用するための培養されたエフェクター細胞は、インビボで増殖されかつ広範に分散され得、そして長期間生存し得なければならない。培養されたエフェクター細胞が、インビボで増殖し、そしてIL−2を補充された抗原での反復刺激によって、長期間、多数生存するように誘導され得ることが研究で示されている(例えば、Cheeverら、Immunological Reviews 157:177、1997を参照のこと)。
【0500】
あるいは、本明細書において列挙されるポリペプチドを発現するベクターは、患者から得られた抗原提示細胞に導入され得、そして同じ患者に戻す移植のためにエキソビボでクローン的に増殖され得る。トランスフェクトされた細胞は、当該分野で公知の任意の手段(好ましくは、静脈投与、腔内投与、腹腔内投与、または腫瘍内投与による滅菌形態)を用いて患者に再導入され得る。
【0501】
本明細書中に記載される治療的組成物の投与の経路および頻度、ならびに投薬量は、個々人で異なり、そして標準的技術を用いて容易に確立され得る。概して、薬学的組成物およびワクチンは、注射(例えば、皮内、筋肉内、静脈内、または皮下)により、経鼻的に(例えば、吸引により)または経口的に、投与され得る。好ましくは、52週間にわたって1〜10用量の間が投与され得る。好ましくは、1ヶ月の間隔で6用量が投与され、そしてブースター(追加)ワクチン接種がその後定期的に与えられ得る。交互のプロトコールが個々の患者に適切であり得る。適切な用量は、上記のように投与された場合、抗腫瘍免疫応答を促進し得、そして基底(すなわち、未処置)レベルより少なくとも10〜50%上である、化合物の量である。このような応答は、患者内の抗腫瘍抗体を測定することによってか、または患者の腫瘍細胞をインビトロで殺傷し得る細胞溶解性エフェクター細胞のワクチン依存性の生成によってモニターされ得る。このようなワクチンはまた、ワクチン接種されていない患者と比較すると、ワクチン接種された患者において、改善された臨床的結果(例えば、より頻繁な寛解、完全もしくは部分的に疾患を有さないか、またはより長く疾患を有さない生存)を導く免疫応答を生じ得るはずである。一般に、1つ以上のポリペプチドを含む薬学的組成物およびワクチンについて、用量中に存在する各ポリペプチドの量は、宿主の体重(kg)あたり、約25μg〜5mgの範囲である。適切な用量サイズは、患者の大きさで変化するが、代表的には約0.1mL〜約5mLの範囲である。
【0502】
一般に、適切な投薬量および処置レジメンは、治療的および/または予防的利点を提供するのに十分な量の活性化合物を提供する。このような応答は、処置されていない患者と比較して、処置された患者において、改善された臨床的結果(例えば、より頻繁な寛解、完全なまたは部分的な、あるいはより長い疾患なしでの生存)を確立することによってモニターされ得る。腫瘍タンパク質に対する既存の免疫応答における増加は、一般的に、改善された臨床的結果と関連する。このような免疫応答は、一般的に、標準的な増殖アッセイ、細胞障害性アッセイまたはサイトカインアッセイを使用して評価され得、これは、処置の前または後に患者から得られるサンプルを使用して行われ得る。
【0503】
(癌の検出および診断組成物、方法およびキット)
一般的に、癌は、患者から得られた生物学的サンプル(例えば、血液、血清、痰、尿、および/または腫瘍生検)における1つ以上の結腸腫瘍タンパク質および/またはこのようなタンパク質をコードするポリヌクレオチドの存在に基づいて患者において検出され得る。言い換えると、このようなタンパク質は、結腸癌のような癌の存在または非存在を示すためのマーカーとして使用され得る。さらに、このようなタンパク質は、他の癌の検出のために有用であり得る。本明細書中で提供される結合剤は、一般に、生物学的サンプル中で、この薬剤に結合する抗原のレベルの検出を可能にする。
【0504】
ポリヌクレオチドプライマーおよびプローブは、癌の存在または非存在もまた示す、腫瘍タンパク質をコードするmRNAのレベルを検出するために使用され得る。一般に、腫瘍の配列は、腫瘍が発生するのと同一の型の正常な組織よりも、腫瘍組織において、少なくとも2倍、好ましくは3倍、そしてより好ましくは5倍以上のレベルで存在するはずである。この腫瘍が発生するのとは異なる細胞型の特定の腫瘍配列の発現レベルは、特定の診断実施形態において不適切である。なぜならば、この腫瘍細胞の存在は、同一の型の正常組織における発現レベルに対する、腫瘍組織において予め決定された異なる発現レベル(例えば、2倍、5倍など)の観測により確認され得るからである。
【0505】
他の異なる発現パターンは、診断目的のために有利に利用され得る。例えば、本発明の1つの局面において、同一の型だが他の正常組織の型ではない、腫瘍組織および正常組織(例えば、PBMC)における腫瘍配列の過剰発現は、診断的に開発され得る。この場合において、例えば、循環組織部位または腫瘍が発生する組織部位とは異なるいくつかの組織部位から採取されたサンプル中における転移性腫瘍細胞の存在は、例えば、PT−PCR分析を使用して、このサンプル中の腫瘍配列の発現を検出することによって同定および/または確認され得る。多くの場合において、目的のサンプル中の腫瘍細胞(例えば、PBMC)を、細胞捕獲(cell capture)技術または他の類似の技術を使用して、富化することが所望される。
【0506】
サンプル中のポリペプチドマーカーを検出するために結合剤を使用するための、当業者に公知の種々のアッセイ型式が存在する。例えば、HarlowおよびLane、Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,1988を参照のこと。一般的に、患者における癌の存在または非存在は、(a)患者から得られた生物学的サンプルを結合剤と接触させる工程;(b)結合剤に結合するポリペプチドのレベルをサンプルにおいて検出する工程;および(c)ポリペプチドのレベルと所定のカットオフ値とを比較する工程によって決定され得る。
【0507】
好ましい実施形態において、このアッセイは、ポリペプチドに結合するためおよびサンプルの残りからポリペプチドを除くために固体支持体上に固定された結合剤の使用を含む。次いで、結合されたポリペプチドは、レポーター基を含み、結合剤/ポリペプチド複合体に特異的に結合する検出試薬を使用して検出され得る。このような検出試薬は、例えば、ポリペプチドまたは抗体に特異的に結合する結合剤あるいは結合剤に特異的に結合する他の薬剤(例えば、抗免疫グロブリン、プロテインG、プロテインAまたはレクチン)を含み得る。あるいは、競合アッセイが、使用され得、ここで、ポリペプチドは、レポーター基で標識され、そしてサンプルと結合剤のインキュベーション後にその固定された結合剤に結合される。サンプルの成分が、標識ポリペプチドの結合剤への結合を阻害する程度は、サンプルの固定された結合剤との反応性を示す。このようなアッセイにおける使用に適切なポリペプチドは、上記のような、全長結腸腫瘍タンパク質および結合剤が結合するそのポリペプチド部分を含む。
【0508】
固体支持体は、腫瘍タンパク質が付着され得る当業者に公知の任意の材料であり得る。例えば、固体支持体は、マイクロタイタープレートにおける試験ウェルあるいはニトロセルロースまたは他の適切な膜であり得る。あるいは、その支持体は、ビーズまたはディスク(例えば、ガラス)、ファイバーグラス、ラテックス、またはプラスチック物質(例えば、ポリスチレン、またはポリ塩化ビニル)であり得る。その支持体はまた、磁気粒子または光ファイバーセンサー(例えば、米国特許第5,359,681号に記載のような)であり得る。この結合剤は、当業者に公知の種々の技術を使用して固体支持体上に固定され得、これらは特許および科学文献に十分に記載されている。本発明の状況において、用語「固定化」とは、非共有結合的な会合(例えば、吸着)および共有結合的な付着(これは、薬剤と支持体上の官能基との間で直接結合され得るかまたは架橋剤を用いる結合であり得る)の両方をいう。マイクロタイタープレートのウェル、または膜への吸着による固定化は好ましい。このような場合、吸着は、適切な緩衝液中で固体支持体を用いて適切な時間量で結合剤に接触させることによって達成され得る。接触時間は、温度によって変化するが、代表的には、約1時間から約1日の間である。一般的には、約10ng〜約10μg、そして好ましくは約100ng〜約1μgの範囲の量の結合剤とプラスチックマイクロタイタープレート(例えば、ポリスチレンまたはポリ塩化ビニル)のウェルを接触させることは、適切な量の結合剤を固定化するのに十分である。
【0509】
固体支持体への結合剤の共有結合的付着は、一般に、支持体および結合剤上の官能基(例えば、水酸基またはアミノ基)の両方と反応する二官能性試薬と支持体を最初に反応させることによって達成され得る。例えば、この結合剤は、ベンゾキノンを用いるかまたは結合パートナー上のアミンおよび活性水素と支持体上のアルデヒド基との縮合によって、適切なポリマーコーティングを有する支持体に、共有結合的に付着され得る(例えば、Pierce Immunotechnology Catalog and Handbook、1991、A12−A13を参照のこと)。
【0510】
特定の実施形態において、このアッセイは、2抗体サンドイッチアッセイである。本アッセイは、最初に、固体支持体(一般に、マイクロタイタープレートのウェル)上で固定されている抗体をサンプルに接触させて、その結果、サンプル内のポリペプチドを固定された抗体に結合させることによって実施され得る。次いで、非結合サンプルは固定されたポリペプチド−抗体複合体から除去され、そして検出試薬(好ましくは、そのポリペプチド上の異なる部位に結合し得る第2の抗体(レポーター基を含む))が添加される。次いで、固体支持体に結合したままである検出試薬の量が、特定のレポーター基に関して適切な方法を用いて決定される。
【0511】
より詳細には、一旦抗体が上記のように支持体上に固定化されると、支持体上の残りのタンパク質結合部位は、典型的にはブロックされる。任意の適切なブロック剤(例えば、ウシ血清アルブミンまたはTween20TM(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO))は、当業者に公知である。固定された抗体は次いで、サンプルとインキュベートされ、そしてポリペプチドをこの抗体に結合させる。インキュベーションの前に、このサンプルは適切な希釈液(例えば、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS))で希釈され得る。概して、適切な接触時間(すなわち、インキュベーション時間)は、結合ポリペプチドと非結合ポリペプチドとの間の平衡で達成されるものの少なくとも約95%で、結腸癌を有する個体から得られたサンプル内のポリペプチドの存在を検出するのに十分な時間である。当業者は、ある時間にわたって起こる結合レベルをアッセイすることによって、平衡に達するまでに必要な時間が容易に決定され得ることを認識する。室温では、一般に、約30分間のインキュベーション時間で十分である。
【0512】
次いで、非結合サンプルが、適切な緩衝液(例えば、0.1%Tween20TMを含むPBS)を用いて固体支持体を洗浄することによって除去される。レポーター基を含む第2の抗体が次いで、固体支持体に添加され得る。好ましいレポーター基は、上記の基を含む。
【0513】
次いで、検出試薬が、結合されたポリペプチドを検出するのに十分な量の時間、固定された抗体−ポリペプチド複合体とインキュベートされる。適切な量の時間は、一般に、ある時間にわたって起こる結合のレベルをアッセイすることによって決定され得る。次いで、非結合の検出試薬は除去され、そして結合した検出試薬は、レポーター基を用いて検出される。レポーター基を検出するために使用される方法は、レポーター基の性質に依存する。放射性基について、一般的には、シンチレーション計数法またはオートラジオグラフィー法が適切である。分光法は、色素、発光基および蛍光基を検出するために使用され得る。ビチオンは、異なるレポーター基(一般に、放射性もしくは蛍光基または酵素)に結合されたアビジンを使用して検出され得る。酵素レポーター基は、一般に、基質の添加(一般には、特定の時間の間)、続いて反応産物の分光分析または他の分析により検出され得る。
【0514】
癌(例えば、結腸癌)の存在または非存在を決定するために、固体支持体に結合したままのレポーター基から検出されるシグナルが、一般に、所定のカットオフ値と対応するシグナルと比較される。1つの好ましい実施形態において、癌の検出のためのカットオフ値は、固定された抗体を、癌を有さない患者由来のサンプルとインキュベートした際に得られる平均シグナル値である。概して、所定のカットオフ値を3標準偏差上回るシグナルを生じるサンプルが、癌に対して陽性とみなされる。代替の好ましい実施形態において、このカットオフ値は、Sackettら、Clinical Epidemiology:A Basic Science for Clinical Medicine,Little Brown and Co.,1985,106〜7頁の方法に従って、レシーバーオペレーターカーブ(Receiver Operator Carve)を使用して決定される。簡単に言うと、本実施形態において、このカットオフ値は、診断試験結果についての各可能なカットオフ値に対応する真の陽性割合(すなわち、感度)および偽陽性割合(100%−特異性)の対のプロットから決定され得る。プロット上の上方左手角に最も近いカットオフ値(すなわち、最大領域を囲む値)が、最も正確なカットオフ値であり、そして本方法によって決定されたカットオフ値より高いシグナルを生ずるサンプルが陽性と見なされ得る。あるいは、カットオフ値は、偽陽性割合を最小にするためにプロットに沿って左へシフトされ得るか、または偽陰性割合を最小にするために右へシフトされ得る。概して、本方法によって決定されたカットオフ値より高いシグナルを生ずるサンプルが、癌に対して陽性と見なされる。
【0515】
関連の実施形態において、このアッセイは、フロースルー試験形式またはストリップ試験形式で実行される(ここで、結合剤は、ニトロセルロースのような膜上で固定化される)。フロースルー試験では、サンプル内のポリペプチドは、サンプルが膜を通過するにつれて固定された結合剤に結合する。次いで、第2の標識化された結合剤が、この第2の結合剤を含む溶液がその膜を介して流れるにつれて、結合剤−ポリペプチド複合体と結合する。次いで、結合した第2の結合剤の検出は、上記のように実行され得る。ストリップ試験形式では、結合剤が結合される膜の一端を、サンプルを含む溶液中に浸す。このサンプルは、膜に沿って、第2の結合剤を含む領域を通って、そして固定された結合剤の領域まで移動する。固定された抗体の領域での第2の結合剤の濃度が、癌の存在を示す。代表的には、その部位での第2の結合剤の濃度は、視覚的に読みとられ得るパターン(例えば、線)を生成する。このようなパターンを示さないことは陰性の結果を示す。概して、この膜上に固定化される結合剤の量は、生物学的サンプルが、上記の形式において、2抗体サンドイッチアッセイにおいて陽性シグナルを生じるのに十分であるレベルのポリペプチドを含む場合、視覚的に識別可能なパターンを生じるように選択される。このようなアッセイにおける使用に好ましい結合剤は、抗体およびその抗原結合フラグメントである。好ましくは、膜上に固定化される抗体の量は、約25ng〜約1μgの範囲であり、そしてより好ましくは、約50ng〜約500ngの範囲である。このような試験は、代表的には、非常に少ない量の生物学的サンプルを用いて実行され得る。
【0516】
もちろん、本発明の腫瘍タンパク質または結合剤との使用に適する多数の他のアッセイプロトコールが存在する。上記の記載は、例示であることを意図するにすぎない。例えば、上記プロトコールが、腫瘍ポリペプチドを使用するために容易に改変され得て、生物学的サンプル内でこのようなポリペプチドに結合する抗体を検出し得ることが当業者に明かである。このような腫瘍タンパク質特異的抗体の検出は、癌の存在と相関し得る。
【0517】
癌もまた、あるいは癌が、生物学的サンプル中の腫瘍タンパク質と特異的に反応するT細胞の存在に基づいて検出され得る。特定の方法では、患者から単離されたCD4T細胞および/またはCD8T細胞を含む生物学的サンプルは、腫瘍ポリペプチド、このようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチドおよび/またはこのようなポリペプチドの少なくとも免疫原性部分を発現するAPCとともにインキュベートされ、そしてT細胞の特異的活性化の存在または非存在が検出される。適切な生物学的サンプルとしては、単離されたT細胞が挙げられるがこれらに限定されない。例えば、T細胞は、慣用技術によって(例えば、末梢血リンパ球のFicoll/Hypaque密度勾配遠心分離法によって)患者から単離され得る。T細胞は、2〜9日間(代表的に4日間)、37℃にてポリペプチド(例えば、5〜25μg/ml)とともにインビトロでインキュベートされ得る。T細胞サンプルの別のアリコートを、コントロールとして役立てるために、腫瘍ポリペプチドの非存在下でインキュベートすることが所望され得る。CD4T細胞に関して、活性化は好ましくは、T細胞の増殖を評価することによって検出される。CD8T細胞に関しては、活性化は好ましくは、細胞溶解活性を評価することによって検出される。疾患のない患者におけるよりも少なくとも2倍高い増殖レベルおよび/または少なくとも20%高い細胞溶解活性レベルは、患者における癌の存在を示す。
【0518】
上記のように、癌もまた、あるいは癌が、生物学的サンプル中の腫瘍タンパク質をコードするmRNAレベルに基づいて検出され得る。例えば、少なくとも2つのオリゴヌクレオチドプライマーをポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に基づくアッセイにおいて用いて、生物学的サンプルに由来する腫瘍cDNAの一部を増幅し得、ここで、オリゴヌクレオチドプライマーのうちの少なくとも1つは、腫瘍タンパク質をコードするポリヌクレオチドに特異的である(すなわち、ハイブリダイズする)。次いで、増幅されたcDNAが、当該分野で周知の技術(例えば、ゲル電気泳動)を用いて分離され、そして検出される。
【0519】
同様に、腫瘍タンパク質をコードするポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブをハイブリダイゼーションアッセイにおいて用いて、生物学的サンプル中でこの腫瘍タンパク質をコードするポリヌクレオチドの存在を検出し得る。
【0520】
アッセイ条件下でのハイブリダイゼーションを可能にするために、オリゴヌクレオチドのプライマーおよびプローブは、少なくとも10ヌクレオチド、そして好ましくは少なくとも20ヌクレオチドの長さの、本発明の腫瘍タンパク質をコードするポリヌクレオチドの一部に対して少なくとも約60%、好ましくは少なくとも約75%、そしてより好ましくは少なくとも約90%の同一性を有するオリゴヌクレオチド配列を含むべきである。好ましくは、オリゴヌクレオチドプライマーおよび/またはプローブは、上記に規定されるような、中程度にストリンジェントな条件下で、本明細書中に記載されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズする。本明細書中に記載される診断方法において有用に用いられ得るオリゴヌクレオチドのプライマーおよび/またはプローブは、好ましくは、少なくとも10〜40ヌクレオチドの長さである。好ましい実施形態において、オリゴヌクレオチドプライマーは、本明細書中に開示される配列を有するDNA分子の少なくとも10の連続するヌクレオチド、より好ましくは少なくとも15の連続するヌクレオチドを含む。PCRに基づくアッセイおよびハイブリダイゼーションアッセイの両方についての技術は、当該分野で周知である(例えば、Mullisら,Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.,51:263,1987;Erlich編,PCR Technology,Stockton Press,NY,1989を参照のこと)。
【0521】
1つの好ましいアッセイは、RT−PCRを用い、RT−PCRでは、PCRは、逆転写と組み合わせて適用される。代表的に、RNAは生物学的サンプル(例えば、生検組織)から抽出され、そして逆転写されてcDNA分子を生成する。少なくとも1つの特異的プライマーを用いるPCR増幅は、cDNA分子を生成し、このcDNA分子は、例えば、ゲル電気泳動を用いて分離および可視化され得る。増幅は、試験患者および癌に罹患していない個体から採取された生物学的サンプルについて行われ得る。増幅反応は、2桁の大きさに及ぶいくつかのcDNA希釈物について行われ得る。試験患者サンプルのいくつかの希釈物における発現の増加が、癌のないサンプルの同一希釈の物と比較して2倍以上である場合、これは、代表的に、陽性とみなされる。
【0522】
本発明の別の局面において、細胞捕獲技術は、例えば、リアルタイムPCRと組み合わせて使用されて、結腸腫瘍抗原を発現する転移細胞の検出のためのより感度の高いツールを提供し得る。生物学的サンプル(例えば、骨髄サンプル、末梢血、および小針吸引サンプル)における結腸癌細胞の検出は、結腸癌患者の診断および予後判定に望ましい。
【0523】
細胞表面マーカーに対する特異的モノクローナル抗体または4量体抗体複合体でコーティングされた免疫磁性ビーズを用いて、サンプル中の癌細胞を最初に富化し得るか、またはサンプル中の癌細胞をポジティブに選択し得る。種々の市販のキットが用いられ得る。これらのキットとしては、Dynabeads(登録商標)Epithelial Enrich(Dynal Biotech,Oslo、Norway)、StemSepTM(StemCell Technologies,Inc.,Vancouver,BC)、およびRosetteSep(StemCell Technologies)が挙げられる。当業者は、他の方法論およびキットが用いられて、所望の細胞集団が富化またはポジティブに選択され得ることを認識する。Dynabeads(登録商標)Epithelial Enrichは、正常上皮組織および新生物上皮組織上で発現された2つの糖タンパク質膜抗原に特異的なmAbでコーティングされた磁性ビーズを含む。このコーティングされたビーズをサンプルに添加し得、次いで、このサンプルを磁石に接触させ得、それによりこのビーズに結合した細胞を捕獲し得る。所望でない細胞は洗い流され、磁石により単離された細胞は、ビーズから溶出され、さらなる分析において用いられる。
【0524】
RosetteSepは、血液サンプルから直接細胞を富化するために用いられ得、そして種々の所望でない細胞を標的とし、サンプル中に存在する赤血球(RBC)上のグリコホリンAにそれらを架橋して、ロゼットを形成する4量体の抗体のカクテルからなる。Ficoll上で遠心分離すると、標的とした細胞は、遊離のRBCとともにペレットを形成する。枯渇カクテルにおける抗体の組み合わせは、どの細胞が除去され、そして結果的にどの細胞が回収されるかを決定する。利用可能な抗体としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:CD2、CD3、CD4、CD5、CD8、CD10、CD11b、CD14、CD15、CD16、CD19、CD20、CD24、CD25、CD29、CD33、CD34、CD36、CD38、CD41、CD45、CD45RA、CD45RO、CD56、CD66B、CD66e、HLA−DR、IgE、およびTCRαβ。
【0525】
さらに、本発明において、結腸腫瘍抗原に特異的なmAbが生成され得、そして同様な様式で用いられ得ることが意図される。例えば、腫瘍特異的細胞表面抗原に結合するmAbは、磁性ビーズに結合体化され得るか、または4量体抗体複合体に処方され得、そしてサンプルから転移性の結腸腫瘍細胞を富化するか、またはポジティブに選択するために用いられ得る。一旦サンプルが富化されるか、またはポジティブに選択されると、細胞は溶解され得、そしてRNAが単離され得る。次いで、RNAは、本明細書中に記載のようにリアルタイムPCRアッセイにおいて結腸腫瘍特異的プライマーを用いてRT−PCR分析に供され得る。当業者は、富化されたかまたは選択された集団の細胞が他の方法(例えば、インサイチュハイブリダイゼーションまたはフローサイトメトリー)によって分析され得ることを認識する。
【0526】
別の実施形態において、本明細書中に記載された組成物は、癌の進行についてのマーカーとして使用され得る。この実施形態において、癌の診断について上記に記載されるようなアッセイは、経時的に実行され得、そして反応性ポリペプチドまたはポリヌクレオチドのレベルの変化を評価し得る。例えば、このアッセイは、6ケ月〜1年の期間、24〜72時間毎に実行され得、そしてその後、必要に応じて実行され得る。一般に、癌は、検出されるこのポリペプチドまたはポリヌクレオチドのレベルが経時的に増大する患者において進行している。対照的に、癌は、反応性ポリペプチドまたはポリヌクレオチドのレベルが一定のままであるか、または時間とともに減少するかのいずれかである場合、進行していない。
【0527】
特定のインビボ診断アッセイは、腫瘍上で直接実施され得る。1つのこのようなアッセイは、腫瘍細胞を結合剤と接触させる工程を包含する。次いで、結合された結合剤は、レポーター基によって直接的または間接的に検出され得る。このような結合剤はまた、組織学的な用途において使用され得る。あるいは、ポリヌクレオチドプローブは、このような用途において使用され得る。
【0528】
上記のように、感度を改善するために、複数の腫瘍タンパク質マーカーは、所定のサンプル内でアッセイされ得る。本明細書中に提供される異なるタンパク質に特異的な結合剤が単一のアッセイにおいて組み合わせられ得ることは明かである。さらに、複数のプライマーまたはプローブが同時に用いられ得る。腫瘍タンパク質マーカーの選択は、最適な感度をもたらす組み合わせを決定する慣用実験に基づき得る。さらに、または代替として、本明細書中に提供される腫瘍タンパク質のアッセイは、他の公知の腫瘍抗原に対するアッセイと組み合わせられ得る。
【0529】
本発明はさらに、上記の診断方法のうちのいずれかにおいて使用するためのキットを提供する。このようなキットは代表的に、診断アッセイを行うのに必要な2以上の構成要素を備える。構成要素は、化合物、試薬、容器および/または器具であり得る。例えば、キット内の1つの容器は、腫瘍タンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体またはそのフラグメントを含み得る。このような抗体またはフラグメントは、上記のように支持体材料に付着されて提供され得る。1以上のさらなる容器は、アッセイにおいて使用される要素(例えば、試薬または緩衝液)を封入し得る。このようなキットもまた、あるいはこのようなキットは、抗体結合の直接的または間接的な検出に適切なレポーター基を含む上記のような検出試薬を備え得る。
【0530】
あるいは、キットは、生物学的サンプル中の腫瘍タンパク質をコードするmRNAレベルを検出するように設計され得る。このようなキットは一般に、腫瘍タンパク質をコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズする、上記のような、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドのプローブまたはプライマーを備える。このようなオリゴヌクレオチドは、例えば、PCRまたはハイブリダイゼーションアッセイにおいて用いられ得る。このようなキット内に存在し得るさらなる構成要素としては、腫瘍タンパク質をコードするポリヌクレオチドの検出を容易にする、第2のオリゴヌクレオチドおよび/または診断試薬もしくは容器が挙げられる。
【0531】
以下の実施例は、例示のために提供され、そして限定のためではない。
【0532】
(実施例1)
(結腸腫瘍タンパク質cDNAの同定)
本実施例は、PCRに基づくcDNAサブトラクション方法を用いた、結腸腫瘍タンパク質をコードするcDNA分子の同定を例示する。
【0533】
Clontech(Palo Alto,CA)PCR−SelectTMcDNAサブトラクション方法の改変を使用して、結腸腫瘍サンプルにおいて示差的に発現された転写物由来のcDNA中で富化されているcDNA集団を得た。この方法論によって、mRNA集団を結腸腫瘍および転移性腫瘍のサンプル(「テスター」mRNA)から、そして正常組織(例えば、脳、膵臓、骨髄、肝臓、心臓、肺、胃、および小腸)(「ドライバー」mRNA)から単離した。テスターmRNAおよびドライバーmRNAの集団から、標準的方法によってcDNAを合成した。例えば、Ausubel、F.M.ら、Short Protocols in Molecular Biology(第4版、John Wiley and Sons,Inc.,1999)を参照のこと。
【0534】
サブトラクション工程は、Clontechの方法によって誘導されるよりも大きいフラグメントを生成するように改変した、PCRに基づくプロトコールを用いて実施した。この改変プロトコールによって、このテスターcDNAおよびドライバーcDNAを、それぞれが特有の6塩基対ヌクレオチド配列を認識する5つの制限エンドヌクレアーゼ(Mlu I、Msc I、Pvu II、Sal IおよびStu I)を用いて別々に消化した。この消化によって、Clontechの方法に従うRsa Iでの消化から生じる平均サイズ300bpではなく、600bpの平均cDNAサイズを得た。この改変は、最終的なサブトラクション効率に影響しなかった。
【0535】
制限消化後、特有のヌクレオチド配列を有するアダプターオリゴヌクレオチドを、テスターcDNAの5’末端上に連結した;アダプターオリゴヌクレオチドをドライバーcDNA上に連結しなかった。このテスターcDNAおよびドライバーcDNAを、引き続き、過剰のドライバーcDNAを用いて互いにハイブリダイズさせた。このハイブリダイゼーション工程によって、(a)ハイブリダイズしてないテスターcDNA、(b)他のテスターcDNAに対してハイブリダイズしたテスターcDNA、(c)ドライバーcDNAに対してハイブリダイズしたテスターcDNA、(d)ハイブリダイズしていないドライバーcDNA、および(e)ドライバーcDNAにハイブリダイズしたドライバーcDNAの集団を得た。
【0536】
他のテスターcDNAにハイブリダイズしたテスターcDNAを、連結したアダプターに相補的なプライマーを使用して、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって選択的に増幅した。テスターcDNAのみがアダプター配列に連結され、ハイブリダイズしていないテスターcDNAにもドライバーcDNAにも連結されなかったので、ドライバーcDNAにハイブリダイズしたテスターcDNAも、ドライバーcDNAにハイブリダイズしたドライバーcDNAも、アダプター特異的オリゴヌクレオチドを用いて増幅されなかった。PCR増幅したテスターcDNAを、pCR2.1プラスミドベクター(Invitrogen;Carlsbad,CA)中でクローニングして、示差的に発現された結腸腫瘍抗原および結腸転移性腫瘍抗原に特異的cDNAに富んだライブラリーを作成した。
【0537】
pCR2.1腫瘍抗原cDNAライブラリー由来の3000クローンを、無作為に選択して、マイクロアレイ分析(Rosetta;Seattle,WAによって実施)およびヌクレオチド配列決定のためのクローンを得るために用いた。各pCR2.1クローンからのcDNAインサートを以下のようにPCR増幅した。要するに、0.5μlのグリセロールストック溶液を、99.5μlのPCR混合液に添加した。このPCR混合液は、80μl H2O、10μl 10×PCR緩衝液、6μl MgCl、1μl 10mM dNTP、1μl 100mM M13フォワードプライマー(CACGACGTTGTAAAACGACGG)、1μl 100mM M13 リバースプライマー(CACAGGAAACAGCTATGACC)、および0.5μl 5u/ml Taq DNAポリメラーゼを含有する。本明細書において用いられるM13のフォワードプライマー、およびリバースプライマーは、Operon Technologies(Alameda,CA)から入手した。以下の条件下でPCR増幅を30サイクル実施した:95℃5分間、92℃30秒間、57℃40秒間、75℃2分間、および75℃5分間。
【0538】
結腸腫瘍組織(n=25)、正常結腸組織(n=6)、腎臓、肺、肝臓、脳、心臓、食道、小腸、胃、膵臓、副腎、唾液腺、休止PBMC、活性化PBMC、骨髄、樹状細胞、脊髄、血管、骨格筋、皮膚、胸部(乳房)および胎児組織において、マイクロアレイ技術を用いて、代表的なクローンのためのmRNA発現レベルを決定した。マイクロアレイ分析を実施するための例示的方法は、Schenaら、Science 270:467〜470に記載されている。それぞれの場合において試験した組織サンプルの数は、上記で特に注記したところを除けば1つ(n=1)であった;さらに、上述の組織の全てはヒト由来であった。
【0539】
PCR増幅産物をアレイフォーマット中のスライド上にドットしているが、この各産物は、アレイ中で特有の位置を占める。mRNAを、試験されるべき組織サンプルから抽出し、そして蛍光ヌクレオチドであるΨ5およびΨ3の存在下で、標準的方法を用いて、逆転写によって、蛍光標識したcDNAプローブを生成した。例えば、逆転写反応を実施するための例示的反応条件については、Ausubelら、前出を参照のこと;Ψ5およびΨ3蛍光標識されたヌクレオチドは、例えば、Amersham Pharmacia(Uppsala,Sweden)、またはNEN(登録商標)Life Science Products,Inc.(Boston,MA)から入手可能である。マイクロアレイを、蛍光標識したcDNAでプローブし、スライドをスキャン(走査)し、そして蛍光強度を測定した。cDNAマイクロアレイを調製するための、および蛍光強度を測定するためのGenetic MicroSystems計測器が、Affymetrix(Santa Clara,CA)から入手可能である。
【0540】
正常組織から得たcDNAプローブでプローブした同じセクターにおける蛍光強度と比べた、結腸腫瘍または結腸転移性腫瘍組織から得たcDNAプローブでプローブしたマイクロアレイセクターにおける蛍光強度の上昇によって、結腸腫瘍または結腸転移性腫瘍組織において示差的に発現される腫瘍抗原遺伝子が示される。
【0541】
マイクロアレイベースの方法によって、PCRサブトラクトした、示差的な結腸腫瘍および結腸転移性腫瘍cDNAライブラリーから、配列番号1〜234として本明細書に開示されたクローン、および表2〜4に記載されたクローンを同定した。これらの234のクローンのうち、配列番号1、6、18〜20、27、30、37、40、57、65、81、82、86、88、91、95、96、106、107、117、121、123、126、130、148、150、152、155、157、159、161、174、175、180、182、187、190、191、192、203、204、および209に対応するクローンは、Genbankにおける公知の配列に対して有意な類似性を示さなかった。
【0542】
表2
Genbank中の配列に対して有意な類似性を示さないcDNA配列
【0543】
【表2】
Figure 2004512023
Figure 2004512023

【0544】
表3
公知の機能を有さない、Genbank中の配列に対して同程度の類似性を有する配列
【0545】
【表3】
Figure 2004512023
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【0546】
表4
Genbank中の公知の配列に対して同程度の類似性を有するcDNA配列
【0547】
【表4】
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【0548】
(実施例2)
C907Pは、結腸腫瘍において過剰発現される
上記で考察したサブトラクトしたcDNAライブラリーおよびcDNAマイクロアレイから発見されたC907P cDNA配列を用いて、Genbankデータベースを検索した。C907Pは、Epiregulin(Genbank登録番号D30783)と名付けられた公知の遺伝子とマッチする。2つの遺伝子特異的プライマーを合成して、PCR増幅に用い、結腸cDNAからこの遺伝子をクローニングした。増幅したPCR産物を配列決定して、その同一性を確認した。このように、C907P−Epiregulinは、結腸癌で上方制御された遺伝子である。94℃で1分間でcDNAを変性させ、次いで、94℃30秒間、60℃30秒間、72℃2分間の35サイクルの条件下で、PCRを実施した。プルーフリーディングポリメラーゼを増幅に用いた。PCRに用いたcDNAテンプレートを、結腸腫瘍mRNAから合成した。増幅した産物をTAクローニングベクター中でクローニングし、そして配列を決定した。C907P DNA配列は、配列番号234中で示しており、そしてこのアミノ酸配列を配列番号235に示す。
【0549】
(実施例3)
(C915P結腸腫瘍抗原の全長PCR増幅およびcDNAクローニング)
サブトラクトしたcDNAライブラリーおよびcDNAマイクロアレイ(実施例1に考察)から発見したC915P cDNA配列(配列番号33;クローン識別番号54160とも呼ばれる)を用いて、Genbankデータベースを検索した。C915Pは、スーパーオキシド生成オキシダーゼMox1と名付けられた公知の遺伝子(Genbank登録番号AF127763)に対して同程度の類似性を有することが見出された。全長cDNAを増幅するために、Genbankに寄託された配列に従って、2つの遺伝子特異的プライマーを設計した。94℃で1分間でcDNAを変性させ、次いで、94℃30秒間、60℃30秒間、72℃2分間の35サイクルの条件下で、PCRを実施した。プルーフリーディングポリメラーゼを増幅に用いた。PCRに用いたcDNAテンプレートを、結腸腫瘍mRNAから合成した。増幅した産物をTAクローニングベクター(Invitrogen,Carlsbad,CA)中でクローニングし、そして自動DNA配列決定によってランダムクローンを配列決定して、同一性を確認した。C915Pの全長cDNAおよびアミノ酸配列を、それぞれ、配列番号244および245に示す。
【0550】
C915P cDNAの発現レベルをリアルタイム(実時間)PCRによってさらに分析した。この分析を用いて、C915Pが、正常組織のパネルに比べて結腸腫瘍において過剰発現されることを確認した。正常な結腸組織において、中度のレベルの発現が観察された。リアルタイムPCR(Gibsonら、Genome Research 6:995〜1001,1996;Heidら、Genome Research 6:986〜994,1996を参照のこと)は、増幅の間のPCR産物の蓄積のレベルを評価する技術である。この技術によって、複数のサンプルにおけるmRNAレベルの定量的評価が可能になる。手短に言うと、mRNAを結腸腫瘍組織および正常組織から抽出し、そして標準的技術を使用してcDNAを調製した。リアルタイムPCRを、Perkin Elmer/Applied Biosystems(Foster City,CA)7700 Prism機器を使用して実施した。一致するプライマーおよび蛍光プローブを、Perkin Elmer/Applied Biosystems(Foster City,CA)によって提供されたプライマー発現プログラムを用いてC915Pのために設計した。プライマーおよびプローブの至適濃度を最初に決定し、そしてコントロール(例えば、βアクチン)プライマーおよびプローブは市販されていた。サンプル中の特定のRNAの量を定量するために、C915P cDNAを含有するプラスミドを用いて標準曲線を作成した。アッセイ中で用いた最初のcDNA濃度に関係する、リアルタイムPCRで決定したCt値を用いて標準曲線を作成した。10〜10コピーのC915Pの範囲にわたる標準希釈が一般に十分であった。さらに、標準曲線をコントロール配列について作成した。これによって、比較の目的のため、コントロールの量に対する組織サンプルの初期RNA含量の標準化が可能になった。
【0551】
(実施例4)
(E.coliにおけるRa12−C915P−f3組み換えタンパク質の産生)
C915P(これはまた、クローン識別子54160と呼ばれ、そして配列番号33および244(cDNA)、および配列番号245(アミノ酸)に示される)は、3つの細胞外ループ(ED1、ED2、およびED3)を有する6つの膜貫通ドメイン(TM)を有する。欠失組み換えタンパク質である、Ra12−C915P−f3(配列番号236(cDNA)および配列番号237(アミノ酸)に示す)は、pCRX1ベクター(EcoRI、Xho I)中の組み換えの改変されたC915PのN末端Ra12融合物である。
【0552】
(Ra12−C915P−f3のクローニングストラテジー)
3セットのプライマーを設計し、引き続いて、これを用いて、2つの内部膜貫通ドメインを欠失し、そしてC915Pの組み換えられた内部領域(EcoRIおよびXhoIで切断され、そしてpCRX1ベクター中のRa12とインフレームで連結された)を増幅させた。
【0553】
1回目のPCRでは、構築物全体(TM4−ID3−TM5を欠く)を増幅するために、プライマーAW157およびプライマーAW156(それぞれ、配列番号241および240)を用いた。PCR産物(C915P(マイナスTM4−ID3−TM5)PCR Blunt II TOPOバックボーン)を、アガロースゲルから精製し、T4 DNAリガーゼで連結し、以下の標準的プロトコールでNovaBlue E.coli細胞に形質転換した:コンピテントなE.coli細胞を氷上で解凍し、DNA(または連結混合液)を添加し、この反応物を混合して氷上で5分間インキュベートした。E.coli細胞を42℃で30秒間熱ショックし、そして2分間氷上においた。富化した増殖培地をE.coliに添加し、そして37℃で1時間増殖させた。培養物をLB(適切な抗生物質添加)上にプレートし、そして37℃で一晩増殖させた。翌日、いくつかのコロニーをミニプレップ(Promega,Madison,WI)用に無作為に選択し、そして正確に欠失した領域についてDNA配列決定によって確認した。次いで、下記のように、C915Pの第二領域においてこの工程を繰り返した。
【0554】
2回目のPCRでは、テンプレートとして、1回目のPCR由来の確認したクローンを用いて、TM2を欠失させるために、プライマーAW155およびプライマーAW154(それぞれ、配列番号239、および238)を用いた。PCR産物(C915P(マイナスTM2/TM4−ID3−TM5)PCR Blunt II TOPOバックボーン)を精製し、連結して、NovaBlue細胞中に、標準的なプロトコールを用いて形質転換して、クローンを得、これを正確な欠失についての配列決定によって確認した。
【0555】
3回目のPCRでは、テンプレートとして、確認した2回目のPCRのクローンを用いて、C915Pの欠失した、組み換えた3部分融合タンパク質である、ED1−ID2−TM3−ED2−ED3を増幅するために、プライマーAW158およびプライマーAW159(それぞれ、配列番号242および243)を用いた。3回目のPCR由来のPCR産物を精製し、pCRX1ベクターへの連結のためにRcoR IおよびXho I(EcoR I、XhoI)を用いて消化した。連結混合液を、標準的プロトコールによってNovaBlue細胞に形質転換し、そして、いくつかのコロニーをミニプレップおよび配列決定用に選択した。DNA配列決定によってUI#70526が、正確なpCRX1 Ra12−C915P−f3構築物であることを確認した。
【0556】
クローニング プライマー:
C915P−AW154(配列番号238):TM2,5’P−プライマーId9682:5’P−TTTTCTTGTGTAGTAGTATTTGTCGを欠失するためのアンチセンスクローニングプライマー。
【0557】
C915P−AW155(配列番号239):TM2,5’P−Id9683:5’P−TGTCGCAATCTGCTGTCCTTCCを欠失するためのセンスクローニングプライマー。
【0558】
C915P−AW156(配列番号240):TM4−TM5領域,5’−P,−−プライマーId9684:5’P−GCTGGTGAATGTCACATACTCCを欠失するためのアンチセンスクローニングプライマー。
【0559】
C915P−AW157(配列番号241):TM4−TM5領域,5’−P−Id9685:5’P−CGGGGTCAAACAGAGGAGAGを欠失するためのセンスクローニングプライマー。
【0560】
Ra12−C915P−F3−AW158(配列番号242):EcoR I部位プライマーId9686:5’gtcgaattcGATGCCTTCCTGAAATATGAGAAGとの融合タンパク質のためのセンスクローニングプライマー。
【0561】
Ra12−C915P−F3−AW159(配列番号243):終止部位およびXho I部位−プライマーId9687:5’cacctcgagttaAGACTCAGGGGGATGCCCTTCとの融合タンパク質のためのアンチセンスクローニングプライマー。
【0562】
(Ra12−C915P−f3についてのタンパク質情報:)
分子量32429.45ダルトン
297アミノ酸
28の強塩基性(+)アミノ酸(K、R)
27の強酸性(−)アミノ酸(D、E)
93の疎水性アミノ酸(A,I、L、F、W、V)
86の極性アミノ酸(N、C、Q,S、T、Y)
等電点7.776
電荷3.711(pH7.0)。
【0563】
(タンパク質発現:)
ミニ発現スクリーニングを実施して、Ra12−C915P−f3についての最適誘導条件を決定した。異なる宿主へ発現構築物を形質転換すること、次いで誘導因子IPTGを対数増殖中期の培養物に添加した後の温度、培養培地、および/またはIPTG濃度を変化することによって最高のE.coli株/培養条件をスクリーニングした。次いで、組み換えタンパク質発現をSDS−PAGEおよび/またはウエスタンブロットによって分析した。E.coli発現宿主BLR(DE3)およびHMS(DE3)(Novagen,Madison,WI)を種々の培養条件で試験し、これにはわずかな全長Ra12−C915P−f3発現の検出、および予期せぬ分子量のいくつかのバンドを示すウエスタンブロットを伴った。次いで、Tuner(DE3)細胞(Novagen,Madison,WI)を、種々のIPTG濃度でヘルパープラスミドを用いて試験した。クマシー染色したSDS−PAGEでは、バンドの誘導は示されなかったが、ウエスタンブロットによって、抗6xhisタグ抗体を用いた32kDプローブ化で強力なRa12−C915P−f3シグナルが確認された。pCRX1 Ra12−C915P−f3の最適の発現は、37℃で3時間1.0mM IPTGで誘導した、37℃のSoy Terrific Broth培地中で増殖したヘルパープラスミドを有する宿主株Tuner(DE3)中であることが見出された。
【0564】
(実施例5)
E.coliからのRa12−C915P−f3組み換え融合タンパク質の精製
クローンC915Pは、結腸癌組織のほとんどにおいて過剰発現されることが見出された。E.coliでの発現のために、構築物Ra12−C915P−f3(配列番号236)を、実施例4に記載のように作製した。この構築物は、N末端の6×ヒスチジンタグ、続いてRa12および改変C915P(6つの膜貫通ドメインのうち5つを除く)(配列番号237)からなる融合タンパク質をコードする。1LのSoy Terrific Broth培地を含有する複数の大型バッフル付シェーカー(振盪器)中で、32.4kDタンパク質を発現した。この培養物をスピンし、そして細胞ペレットを洗浄して、再スピンして、精製用に凍結した。細胞溶解後、組み換えタンパク質を、可溶性の封入体画分において見出した。この封入体を緩衝化した界面活性剤で何度も徹底的に洗浄し、次いでこのタンパク質ペレットを変性させ、還元し、そして緩衝化した8M尿素中に可溶化し、そしてRa12−C915P−f3タンパク質をNi−NTAアフィニティークロマトグラフィーマトリックスに結合させた。このマトリックスを洗浄し、混入しているE.coliタンパク質をリンスしてとり、そしてRa12−C915P−f3を高濃度イミダゾールを用いて引き続き溶出した。Ra12−C915P−f3を含有する画分をプールして、ゆっくり透析し、タンパク質を再生させた。次いで精製したRa12−C915P−f3を濾過して定量した。SDS−PAGE分析によって、約32kDの予想分子量で泳動する主なバンドを有するニッケルカラムの溶出パターンが示された。抗6X Hisタグ抗体を用いたウエスタンブロットによって、これをさらに確認した。ウエスタンブロットによって、また組み換えの二量体および四量体の証拠が明らかになった。N末端配列決定によって、約90%の純度が確認された。精製収率は約2.5mg/L誘導であった。
【0565】
以下は、精製したRa12−C915P−f3の生成の詳細なプロトコールである。
【0566】
(凍結した細菌細胞ペレットについて:)
1.氷上で1Lの誘導物から細菌細胞ペレットを解凍する
2.誘導培養物の1Lあたり25mlの超音波処理緩衝液(20mM Tris,500mM NaCl)を添加する
3.超音波緩衝液/ペレット混合物に対して1の完全プロテアーゼインヒビター錠剤および2mM PMSF(Phenylmethylsulfonyl fluoride)を添加する
4.ピペットを用いてペレットを完全に再懸濁する
5.0.5mg/mlのリゾチーム(−20℃で保管した凍結乾燥リゾチームから新鮮に作製した)を添加する
6.ガラスビーカー+攪拌バー中にデカントし、4℃で30分穏やかに攪拌する7.2×1100psiでフレンチプレスし、氷上で保持する
8.一旦、溶解溶液**が低粘性になれば、11000RPMで、30分間4℃でスピンする
9.上清**およびペレットをとっておく
(上記工程9由来のペレットについて:)
1.ペレットを25ml 0.5% CHAPS(3−([3−クロラミドプロピル]ジメチルアンモニオ)−1−プロパンスルホネート)洗浄液(20mM Tris(8.0),500mM NaCl)**を用いて、2×15秒、15ワットでの超音波処理によって、ペレットを洗浄する
2.11000RPMで25分間スピンし、5×**繰り返す
3.0.5%DOC(デオキシコール酸)洗浄液(20mM Tris(8.0),500mM NaCl)を用いて、上記工程を3回繰り返す
4.超音波処理を用いて、ペレット結合緩衝液(20mM Tris(8.0),500mM NaCl,8M 尿素、20mM イミダゾール、10mM β−メルカプトエタノール)中でペレットを再懸濁する
5.ペレット結合緩衝液を用いてNi++NTA(ニトリロ三酢酸)樹脂(Qiagen,Valencia,CA)を平衡化し、スピンダウンして、洗浄液をデカントする(4ml樹脂を使用する)
6.再懸濁したペレットに樹脂を添加し、室温で45分間攪拌する
7.カラムおよび緩衝液を準備し、ペレット結合緩衝液でカラムをリンスする
8.カラム中にペレット/Ni樹脂を注ぎ、(FT)**を通してフローを収集する
9.30mlのペレット結合緩衝液**でカラムを洗浄する。
10.0.5%DOC(デオキシコール酸)**を含む30mlのペレット結合緩衝でカラムを洗浄する
11.30mlのペレット結合緩衝液でカラムを洗浄する
12.5×5ml画分のペレット結合緩衝液#1(結合緩衝液+300mMイミダゾール)**で溶出する
13.2×5ml画分のペレット溶出緩衝液#2(結合緩衝液+300mMイミダゾール,pH4.5)**で溶出する
14.精製工程(ウエスタンおよびクマシー染色)を選別するためにSDS−PAGEにかける
**SDS−PAGEでチェックするために各精製工程について4℃でアリコートを保存する。
【0567】
(実施例6)
結腸腫瘍候補遺伝子のリアルタイムPCR分析
Superscript Reverse Transcriptase(RT)(Gibco BRL Life Technology,Gaitherburg,MD)を用いて、DNaseI(Amplification Grade,Gibco BRL Life Technology,Gaitherburg,MD)で処理した20μgの総RNAから、定量的リアルタイムPCRにおいて用いるべき第一鎖cDNAを合成した。GeneAmpTM5700配列決定システム(PE Biosystems,Foster City,CA)を用いてリアルタイムPCRを実施した。5700システムは、SYBRTMグリーン(二本鎖DNA中にのみインターカレートする蛍光色素)、ならびに1セットの遺伝子特異的フォワードプライマーおよびリバースプライマーを使用する。蛍光の増大を増幅プロセス全体の間モニターする。プライマーの至適濃度をチェッカーボードアプローチを用いて決定し、そして乳房腫瘍由来のcDNAのプールをこのプロセスで用いた。2.5μlのSYBRグリーン緩衝液、2μlのcDNAテンプレート、および各々2.5μlのフォワードプライマーおよびリバースプライマー(目的の遺伝子用)を含む、25μlの容積中でPCR反応を実施した。RT反応に用いたcDNAは、目的の各遺伝子について1:10に、そしてβアクチンコントロールについて1:100に希釈した。サンプル中の特定のcDNA(従って最初のmRNA)の量を定量するために、目的の遺伝子を含有するプラスミドDNAを用いて各実行について標準曲線を作成する。このアッセイ中で用いた最初のcDNA濃度に関連した、リアルタイムPCRで決定したCt値を用いて標準曲線を作成した。目的の遺伝子の20〜2×10コピーの範囲の標準希釈液をこの目的に用いた。さらに、200fg〜2000fgの範囲のβアクチンについて標準曲線を作成する。これによって、比較目的のためのβアクチンの量に対する組織サンプルの初期RNA含量の標準化が可能になった。試験した組織の各群に対する平均コピー数を、一定量のβアクチンに対して正規化し、これによって各々の遺伝子でみられる過剰発現レベルの評価が可能になった。
【0568】
結腸腫瘍候補遺伝子である、C906P(配列番号5)、C907P(配列番号234(cDNA)および配列番号235(アミノ酸)、C911P(配列番号21)、C915P(配列番号244(cDNA)および配列番号245(アミノ酸))、C943P(配列番号140)、およびC961P(配列番号200)を、短い結腸パネルおよび伸長した結腸パネルを用いて、上記のように、リアルタイムPCRによって分析した。これらの遺伝子、結腸腫瘍の30〜50%においてmRNA発現を増大させたことが見出された。C906Pについて、正常気管、心臓および正常結腸において、わずかな発現の上昇がまた観察された。C907Pについては、活性化PBMCにおいて発現の上昇がまた観察され、そして心臓および正常結腸においてわずかな発現の上昇が観察された。C911Pについては、わずかな発現の上昇が膵臓において観察された。C915Pについては、正常結腸以外の正常組織においては発現が観察されなかった。C943Pについては、正常結腸以外の正常組織においては発現は観察されなかった。C961Pについては、気管および正常結腸においてある程度の発現が観察された。まとめると、このデータは、これらの結腸腫瘍候補物遺伝子が、免疫療法および癌診断についての潜在的な標的であり得ることを示す。
【0569】
(実施例7)
(Tヘルパー株のペプチドプライミング)
CD4Tヘルパー株の生成、およびHLAクラスII分子の状況でCD4T細胞によって認識され得る腫瘍特異的抗原由来のペプチドエピトープの同定を、以下のように実施する:
10アミノ酸ずつ重複する15マーのペプチド(腫瘍特異的抗原由来)を、標準的な手順を用いて生成する。樹状細胞(DC)は、標準的プロトコールによってGM−CSFおよびIL−4を用いて正常ドナーのPBMCから誘導される。MACSビーズ(Miltenyi Biotec,Auburn,CA)およびデガティブ選択を用いて、DCとして同じドナーからCD4T細胞を生成する。15マーペプチドのプールを用いてDCを一晩パルスする(ここで各ペプチドは0.25μg/mlの最終濃度)。パルスしたDCを洗浄し、そして96ウェルV底プレートで1×10細胞/ウェルにプレートし、そして精製したCD4T細胞を1×10/ウェルで添加した。培養物に60ng/ml IL−6および10ng/ml IL−12を補充し、そして37℃でインキュベートする。培養物を、抗原提示細胞として上記のように生成してパルスしたDCを用いて週に1回の頻度で、上記のように再刺激し、5ng/ml IL−7および10 U/ml IL−2を補充する。4回のインビトロ刺激サイクル後、得られたCD4T細胞株(各株は1つのウェルに対応する)を、特定の増殖について試験し、そしてペプチドの無関係のプールを用いたペプチドの、プール刺激に応答するサイトカインの産生をコントロールとして用いる。
【0570】
(実施例8)
(インビトロ全遺伝子プライミングを用いる腫瘍特異的CTL株の生成)
腫瘍抗原−ワクシニア感染DCを用いたインビトロの全遺伝子プライミング(例えば、Yeeら、The Journal of Immunology、157(9):4079〜86,1996を参照のこと)を用いて、インターフェロンγ ELISPOT分析で決定されるように、特定の腫瘍抗原で形質導入された自系の線維芽細胞を特異的に認識するヒトCTL株を誘導する。詳細には、樹状細胞(DC)は、10%ヒト血清、50ng/mlヒトGM−CSFおよび30ng/mlヒトIL−4を含有するRPMI培地中での5日間の増殖によって、正常ヒトドナーのPBMCに由来する単球培養物から分化する。培養後、5の感染効率(M.O.I.)で腫瘍抗原組換えワクシニアウイルスを用いてDCを一晩感染させ、そして3μg/mlのCD40リガンドの添加によって一晩成熟させる。次いで、ウイルスをUV照射によって不活化する。磁気ビーズ系を用いてCD8+T細胞を単離し、そして標準的培養技術を用いてプライミング培養を開始する。以前に同定した腫瘍抗原でレトロウイルスで形質導入した自系初代線維芽細胞を用いて、培養物を7〜10日ごとに再刺激する。4回の刺激サイクル後、腫瘍抗原を形質導入された自系線維芽細胞で刺激した場合、インターフェロンγを特異的に生成するCD8+T細胞株を同定する。腫瘍抗原を発現するベクターを形質導入したHLA不適合B−LCL株のパネルを用い、そしてELISPOTアッセイにおいてCTL株によるインターフェロンγ生成を測定して、CTL株のHLA拘束を決定する。
【0571】
(実施例9)
(抗腫瘍抗原モノクローナル抗体の生成および特徴づけ)
マウスモノクローナル抗体を以下のように、E.coli由来腫瘍抗原タンパク質に対して惹起させた:50μgの組換え腫瘍タンパク質を含有する完全フロイントアジュバント(CFA)、続いて10μgの組換えタンパク質を含有する不完全フロイントアジュバント(IFA)での引き続く腹腔内ブーストによってマウスを免疫する。脾臓の摘出の3日前、約50μgの可溶性組換えタンパク質を用いてマウスを静脈内免疫する。腫瘍抗原に対して正の力価を有するマウスの脾臓を取り出し、そして単一細胞懸濁液を作成して、SP2/Oミエローマ細胞への融合に用いてB細胞ハイブリドーマを生成する。ハイブリッドクローンからの上清を、組換え腫瘍タンパク質に対する特異性についてELISAによって試験し、そして腫瘍タンパク質配列全体にまたがるペプチドを用いてエピトープをマッピングした。腫瘍タンパク質をコードするcDNAで安定にトランスフェクトした細胞の表面上で、mAbが腫瘍タンパク質を検出する能力について、mAbをまたフローサイトメトリーによって試験する。
【0572】
前述の内容から、本発明の特定の実施形態が例示の目的で本明細書に記載されているが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、種々の改変がなされ得ることが理解される。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲による以外には限定されない。

Claims (17)

  1. 患者における免疫応答を刺激するための薬学的組成物であって、第一の成分および第二の成分を含み、該第一の成分は、生理学的に受容可能なキャリアおよび免疫刺激剤からなる群より選択され、そして該第二の成分は、以下:
    (a)配列番号244および234のいずれか1つに記載されるポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド;
    (b)配列番号245および235のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含むポリペプチド;ならびに
    (c)配列番号245および235のいずれか1つに記載される配列に少なくとも90%同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド
    からなる群より選択されるポリペプチドを含む、薬学的組成物。
  2. 患者における癌の処置のための薬学的組成物であって、第一の成分および第二の成分を含み、該第一の成分は、生理学的に受容可能なキャリアおよび免疫刺激剤からなる群より選択され、そして該第二の成分は、以下:
    (a)配列番号244および234のいずれか1つに記載されるポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド;
    (b)配列番号245および235のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含むポリペプチド;ならびに
    (c)配列番号245および235のいずれか1つに記載される配列に少なくとも90%同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド
    からなる群より選択されるポリペプチドを含む、薬学的組成物。
  3. 単離されたポリヌクレオチドであって、該ポリヌクレオチドは、以下:
    (a)配列番号244および234のいずれか1つに提供される配列;
    (b)配列番号244および234のいずれか1つに提供される配列の相補体;
    (c)配列番号244および234のいずれか1つに提供される配列の少なくとも20連続する残基からなる配列;
    (d)配列番号244および234のいずれか1つに提供される配列に、中度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列;
    (e)配列番号244および234のいずれか1つの配列に、少なくとも75%の同一性を有する配列;
    (f)配列番号244および234のいずれか1つの配列に、少なくとも90%の同一性を有する配列;ならびに
    (g)配列番号244および234のいずれか1つに提供される配列の縮重改変体;
    からなる群より選択される配列を含む、単離されたポリヌクレオチド。
  4. 単離されたポリペプチドであって、以下:
    (a)請求項3のポリヌクレオチドによってコードされる配列;
    (b)請求項3に記載のポリヌクレオチドによってコードされる配列に少なくとも70%の同一性を有する配列;
    (c)請求項3に記載のポリヌクレオチドによってコードされる配列に少なくとも90%の同一性を有する配列;ならびに
    (d)配列番号245および235のいずれか1つに提供されるアミノ酸配列;
    からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチド。
  5. 発現制御配列に作動可能に連結された請求項3に記載のポリヌクレオチドを含む、発現ベクター。
  6. 請求項5に記載の発現べクターで形質転換またはトランスフェクトされた、宿主細胞。
  7. 請求項4に記載のポリペプチドに特異的に結合する、単離された抗体またはその抗原結合フラグメント。
  8. 患者における癌の存在を検出するためのキットであって、該キットは、以下:
    (a)請求項4に記載のポリペプチドに結合する結合因子;
    (b)該結合因子に結合するポリペプチドの量を生物学的サンプル中で検出するための説明書;および
    (c)該ポリペプチドの量を、所定のカットオフ値と比較し、そして、それから、該患者における癌の存在を決定するための説明書、
    を備える、キット。
  9. 請求項4に記載の少なくとも1つのポリペプチドを含む、融合タンパク質。
  10. 配列番号244、および234のいずれか1つに記載される配列に中程度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、オリゴヌクレオチド。
  11. 腫瘍タンパク質に特異的なT細胞とを刺激および/または拡大するための方法であって、該方法は、以下:
    (a)請求項4に記載のポリペプチド;
    (b)請求項3に記載のポリヌクレオチド;および
    (c)請求項3に記載のポリペプチドを発現する抗原提示細胞、
    からなる群より選択される少なくとも1つの成分と、T細胞を、T細胞の刺激および/または拡大を可能にするのに十分な条件下および時間で接触させる工程、を包含する、方法。
  12. 請求項11に記載の方法に従って調製されたT細胞を含む、単離されたT細胞集団。
  13. 第1の成分および第2の成分を含む組成物であって、該第1の成分は、生理学的に受容可能なキャリアおよび免疫刺激剤からなる群より選択され、そして該第2の成分は、以下:
    (a)請求項4に記載のポリペプチド;
    (b)請求項3に記載のポリヌクレオチド;
    (c)請求項7に記載の抗体;
    (d)請求項9に記載の融合タンパク質;
    (e)請求項12に記載のT細胞集団;および
    (f)請求項4に記載のポリペプチドを発現する抗原提示細胞、
    からなる群より選択される、組成物。
  14. 患者における癌の存在を決定するためのキットであって、該キットは、以下:
    (a)請求項10に記載のオリゴヌクレオチド;
    (b)該オリゴヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドの量を生物学的サンプル中で検出するための説明書;および
    (c)該オリゴヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドの量を、所定のカットオフ値と比較し、そして、それから、該患者における癌の存在を決定するための説明書、
    を備える、キット。
  15. 請求項10に記載の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを備える、診断キット。
  16. 請求項7に記載の少なくとも1つの抗体および検出試薬を備える診断キットであって、該検出試薬がレポーター基を含む、診断キット。
  17. 患者における癌の発生を阻害するためのキットであって、該キットは、以下:
    (a)以下:
    (i)請求項4に記載のポリペプチド;
    (ii)請求項3に記載のポリヌクレオチド;および
    (iii)請求項4に記載のポリペプチドを発現する抗原提示細胞、
    からなる群より選択される、少なくとも1つの成分;
    (b)T細胞が増殖するように、該成分とCD4+T細胞および/またはCD8+T細胞をインキュベートするための説明書;
    (c)有効量の該増殖したT細胞を該患者に投与するための説明書、
    を備える、キット。
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