JP2008178413A - 肺癌の治療および診断のための組成物および方法 - Google Patents

肺癌の治療および診断のための組成物および方法 Download PDF

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パトリシア ディー. マクネイル,
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マーク ダブリュー. レター,
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Abstract

【課題】癌(特に肺癌)の治療および診断のための組成物および方法を提供する。
【解決手段】1つ以上の肺腫瘍ポリペプチド、その免疫原性部分、このようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、このようなポリペプチドを発現する抗原提示細胞、そしてこのようなポリペプチドを発現する細胞に特異的なT細胞を含む組成物、及び該組成物を用いた疾患(特に肺癌)の診断、予防および/または処置方法を提供する。
【選択図】なし

Description

(発明の技術分野)
本発明は、一般に、肺癌のような癌の治療および診断に関する。本発明は、より具体的には、肺腫瘍タンパク質の少なくとも一部を含むポリペプチド、およびこのようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに関する。このようなポリペプチドおよびポリヌクレオチドは、薬学的組成物(例えば、ワクチン)および肺癌の診断および処置のための他の組成物において有用である。
(発明の背景)
(発明の分野)
癌は、世界中で顕著な健康の問題である。癌の検出および治療において進展が見られているが、予防および/または処置のためのワクチンまたは他の普遍的に首尾よい方法は、現在利用可能ではない。現在の治療は一般に、化学療法または手術および照射の組合せに基づいているが、これは依然として、大部分の患者において不十分であることが判明している。
(関連技術の記載)
肺癌は、米国における男性および女性の両方における癌での死亡の主な原因であり、1994年には172,000件の新しい症例が報告されたと見積もられた。全ての肺癌患者における5年間の生存率は、診断時における疾患の病期に関わらず、わずかに13%のみである。これは、検出されるがなおこの疾患が局在化されている症例における46%の5年間生存率と対照的である。しかし、肺癌のわずかに16%のみが、この疾患が広がる前に発見される。
これらおよび他の癌の治療のためのかなりの研究にもかかわらず、肺癌は、有効に診断および処置するのが困難なままである。従って、このような癌を検出および処置するための改善された方法についての必要性が、当該分野に存在する。本発明は、これらの必要性を満たし、そしてさらに、他の関連する利点を提供する。
(発明の要旨)
1つの局面において、本発明は、以下からなる群より選択される配列を含むポリヌクレオチド組成物を提供する:
(a)配列番号(SEQ ID NO)1〜3、6〜8、10〜13、15〜27、29、30、32、34〜49、51、52、54、55、57〜59、61〜69、71、73、74、77、78、80〜82、84、86〜96、107〜109、111、113、125、127、128、129、131〜133、142、144、148〜151、153、154、157、158、160、167、168、171、179、182、184〜186、188〜191、193、194、198〜207、209、210、213、214、217、220〜224、253〜337、345、347、349、358、362、364、365、368、370〜375、420、424、428、431、434、442、447、450および467に提供される配列;
(b)配列番号1〜3、6〜8、10〜13、15〜27、29、30、32、34〜49、51、52、54、55、57〜59、61〜69、71、73、74、77、78、80〜82、84、86〜96、107〜109、111、113、125、127、128、129、131〜133、142、144、148〜151、153、154、157、158、160、167、168、171、179、182、184〜186、188〜191、193、194、198〜207、209、210、213、214、217、220〜224、253〜337、345、347、349、358、362、364、365、368、370〜375、420、424、428、431、434、442、447、450および467に提供される配列の相補体;
(c)配列番号1〜3、6〜8、10〜13、15〜27、29、30、32、34〜49、51、52、54、55、57〜59、61〜69、71、73、74、77、78、80〜82、84、86〜96、107〜109、111、113、125、127、128、129、131〜133、142、144、148〜151、153、154、157、158、160、167、168、171、179、182、184〜186、188〜191、193、194、198〜207、209、210、213、214、217、220〜224、253〜337、345、347、349、358、362、364、365、368、370〜375、420、424、428、431、434、442、447、450および467に提供される配列の、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、75および100連続する残基からなる配列;
(d)配列番号1〜3、6〜8、10〜13、15〜27、29、30、32、34〜49、51、52、54、55、57〜59、61〜69、71、73、74、77、78、80〜82、84、86〜96、107〜109、111、113、125、127、128、129、131〜133、142、144、148〜151、153、154、157、158、160、167、168、171、179、182、184〜186、188〜191、193、194、198〜207、209、210、213、214、217、220〜224、253〜337、345、347、349、358、362、364、365、368、370〜375、420、424、428、431、434、442、447、450および467に提供される配列に、中程度または高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列;
(e)配列番号1〜3、6〜8、10〜13、15〜27、29、30、32、34〜49、51、52、54、55、57〜59、61〜69、71、73、74、77、78、80〜82、84、86〜96、107〜109、111、113、125、127、128、129、131〜133、142、144、148〜151、153、154、157、158、160、167、168、171、179、182、184〜186、188〜191、193、194、198〜207、209、210、213、214、217、220〜224、253〜337、345、347、349、358、362、364、365、368、370〜375、420、424、428、431、434、442、447、450および467の配列に対して、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する配列;ならびに
(f)配列番号1〜3、6〜8、10〜13、15〜27、29、30、32、34〜49、51、52、54、55、57〜59、61〜69、71、73、74、77、78、80〜82、84、86〜96、107〜109、111、113、125、127、128、129、131〜133、142、144、148〜151、153、154、157、158、160、167、168、171、179、182、184〜186、188〜191、193、194、198〜207、209、210、213、214、217、220〜224、253〜337、345、347、349、358、362、364、365、368、370〜375、420、424、428、431、434、442、447、450および467に提供される配列の縮重改変体。
1つの好ましい実施形態において、本発明のポリヌクレオチド組成物は、試験した肺腫瘍サンプルの少なくとも約20%、より好ましくは少なくとも約30%、そして最も好ましくは少なくとも約50%において、正常組織よりも少なくとも約2倍、好ましくは少なくとも約5倍、そして最も好ましくは少なくとも約10倍高いレベルで発現される。
別の局面において、本発明は、上記ポリヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド組成物を提供する。
本発明はさらに、配列番号152、155、156、165、166、169、170、172、174、176、226〜252、338〜344、346、350、357、361、363、365、367、369、376〜382、387〜419、423、427、430、433、441、443、446、449、451〜466および468〜469に列挙される配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチド組成物を提供する。
特定の好ましい実施形態において、本発明のポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドは、免疫原性である。すなわち、これらは、本明細書中でさらに記載されるように、免疫応答、特に体液性免疫応答および/または細胞性免疫応答を誘発し得る。
本発明は、さらに、開示されたポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチド配列のフラグメント、改変体および/または誘導体を提供し、ここで、このフラグメント、改変体および/または誘導体は、好ましくは、配列番号152、155、156、165、166、169、170、172、174、176、226〜252、338〜344、346、350、357、361、363、365、367、369、376〜382、387〜419、423、427、430、433、441、443、446、449および451〜466に示されるポリペプチド配列、または配列番号1〜3、6〜8、10〜13、15〜27、29、30、32、34〜49、51、52、54、55、57〜59、61〜69、71、73、74、77、78、80〜82、84、86〜96、107〜109、111、113、125、127、128、129、131〜133、142、144、148〜151、153、154、157、158、160、167、168、171、179、182、184〜186、188〜191、193、194、198〜207、209、210、213、214、217、220〜224、253〜337、345、347、349、358、362、364、365、368、370〜375、420、424、428、431、434、442、447、450および467に示されるポリヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド配列の免疫原性活性のレベルの、少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約70%、そして最も好ましくは少なくとも約90%の免疫原性活性レベルを有する。
本発明は、さらに、上記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、このようなポリヌクレオチドを含む発現ベクター、およびこのような発現ベクターで形質転換またはトランスフェクトされた宿主細胞を提供する。
他の局面において、本発明は、上記のポリペプチドまたはポリヌクレオチド、および生理学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物を提供する。
本発明の関連の局面において、予防適用または治療適用のための薬学的組成物(例えば、ワクチン組成物)が提供される。このような組成物は、一般に、本発明の免疫原性ポリペプチドまたはポリヌクレオチドとアジュバントのような免疫刺激剤とを含む。
本発明はさらに、以下を含む薬学的組成物を提供する:(a)本発明のポリペプチドまたはそのフラグメントに対して特異的に結合する、抗体またはその抗原結合フラグメント;ならびに(b)生理学的に受容可能なキャリア。
さらなる局面において、本発明は、以下を含む薬学的組成物を提供する:(a)上記ポリペプチドを発現する抗原提示細胞、および(b)薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤。例示的な抗原提示細胞としては、樹状細胞、マクロファージ、単球、線維芽細胞およびB細胞が挙げられる。
関連の局面において、以下を含む薬学的組成物が提供される:(a)上記のポリペプチドを発現する抗原提示細胞および(b)免疫刺激剤。
他の局面において、本発明は、さらに、少なくとも1つの上記ポリペプチドを含む融合タンパク質、ならびにこのような融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを、代表的には薬学的組成物(例えば、生理学的に受容可能なキャリアおよび/または免疫刺激剤を含むワクチン組成物)の形態で、提供する。この融合タンパク質は、本明細書に記載される複数の免疫原性ポリペプチドまたはその部分/改変体を含み得、そしてそのポリペプチドの発現、精製および/または免疫原性を促進するための1以上のポリペプチドセグメントをさらに含み得る。
さらなる局面において、本発明は、患者における免疫応答、好ましくはヒト患者におけるT細胞応答を刺激するための方法を提供し、この方法は、本明細書中に記載される薬学的組成物を投与する工程を包含する。この患者は、肺癌に罹患し得(この場合、この方法は、その疾患の処置を提供する)か、またはこのような疾患の危険性があるとみなされる患者は、予防的に処置され得る。
さらなる局面において、本発明は、患者における癌の発達を阻害するための方法を提供し、この方法は、上に列挙されるような薬学的組成物を患者に投与する工程を包含する。この患者は、肺癌に罹患し得(この場合、この方法は、その疾患の処置を提供する)か、またはこのような疾患の危険性があるとみなされる患者は、予防的に処置され得る。
他の局面において、本発明は、さらに、生物学的サンプルから腫瘍細胞を除去するための方法を提供し、この方法は、生物学的サンプルを、本発明のポリペプチドと特異的に反応するT細胞と接触させる工程を包含し、ここで、この接触させる工程は、このサンプルから、このタンパク質を発現する細胞を除去するに十分な条件および時間で実施される。
関連の局面において、患者における癌の発達を阻害するための方法が提供され、この方法は、上記のように処理された生物学的サンプルを患者に投与する工程を包含する。
他の局面において、本発明のポリペプチドに特異的なT細胞を刺激および/または増殖させるための方法がさらに提供され、この方法は、T細胞を、1以上の以下:(i)上記ポリペプチド;(ii)このようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;および/または(iii)このようなポリペプチドを発現する抗原提示細胞と、T細胞の刺激および/または増殖を可能にするに十分な条件下および時間で、接触させる工程を包含する。上記のように調製されたT細胞を含む単離されたT細胞集団もまた、提供される。
さらなる局面において、本発明は、患者において癌の発達を阻害するための方法を提供し、この方法は、有効量の上記T細胞集団を患者に投与する工程を包含する。
本発明はさらに、患者における癌の発達を阻害するための方法を提供し、この方法は、(a)患者から単離されたCD4および/またはCD8T細胞を、1つ以上の以下:(i)本明細書中に開示されるポリペプチドの少なくとも免疫原性部分を含むポリペプチド;(ii)このようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;および(iii)このようなポリペプチドを発現した抗原提示細胞、とインキュベートする工程;ならびに(b)患者に有効量の増殖したT細胞を投与し、それによって患者における癌の発達を阻害する工程、を包含する。増殖された細胞は、患者への投与の前にクローン化されていてもよいし、そうでなくてもよい。
さらなる局面において、本発明は、患者における癌(好ましくは、肺癌)の存在または非存在を決定するための方法を提供し、この方法は:(a)患者から得られた生物学的サンプルを上記のようなポリペプチドに結合する結合剤と接触させる工程;(b)サンプル中の、この結合剤に結合するポリペプチドの量を検出する工程;および(c)ポリペプチドの量を予備決定したカットオフ値と比較し、それにより患者における癌の存在または非存在を決定する工程、を包含する。好ましい実施形態において、この結合剤は抗体であり、より好ましくはモノクローナル抗体である。
他の局面において、本発明はまた、患者における癌の進行をモニタリングするための方法を提供する。このような方法は:(a)第一の時点で患者から得られた生物学的サンプルを上記のようなポリペプチドに結合する結合剤と接触させる工程;(b)サンプル中の、この結合剤に結合するポリペプチドの量を検出する工程;(c)以後の時点でこの患者から得られた生物学的サンプルを使用して工程(a)および(b)を反復する工程;ならびに(d)工程(c)で検出されたポリペプチドの量を、工程(b)で検出された量と比較し、それによりこの患者における癌の進行をモニタリングする工程、を包含する。
他の局面において、本発明はさらに、患者における癌の存在または非存在を決定するための方法を提供し、この方法は:(a)患者から得られた生物学的サンプルを、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズするオリゴヌクレオチドと接触させる工程;(b)サンプル中の、このオリゴヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチド(好ましくは、mRNA)のレベルを検出する工程;および(c)このオリゴヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドのレベルを、予備決定したカットオフ値と比較し、それにより患者における癌の存在または非存在を決定する工程、を包含する。特定の実施形態において、mRNAの量は、例えば、上記のようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチドまたはこのようなポリヌクレオチドの相補鎖にハイブリダイズする少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いるポリメラーゼ連鎖反応を介して検出される。他の実施形態において、mRNAの量は、上記のようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチドまたはこのようなポリヌクレオチドの相補鎖にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブを使用するハイブリダイゼーション技術を用いて検出される。
関連する局面において、患者における癌の進行をモニタリングするための方法が提供され、この方法は(a)患者から得られた生物学的サンプルを、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズするオリゴヌクレオチドと接触させる工程;(b)サンプル中の、このオリゴヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドの量を検出する工程;(c)以後の時点でこの患者から得られた生物学的サンプルを使用して工程(a)および(b)を反復する工程;ならびに(d)工程(c)で検出されたポリヌクレオチドの量を、工程(b)で検出された量と比較し、それによりこの患者における癌の進行をモニタリングする工程を包含する。
さらなる局面において、本発明は、上記のようなポリペプチドに結合する抗体(例えば、モノクローナル抗体)、ならびにこのような抗体を含む診断キットを提供する。上記のような1つ以上のオリゴヌクレオチドプローブまたはプライマーを含む診断キットもまた、提供される。
本発明のこれらおよび他の局面は、以下の詳細な説明を参照することによって明らかになる。本明細書中に開示される全ての参考文献は、あたかも各々が個々に援用されるように、その全体が参考として本明細書中に援用される。
(配列識別子(SEQUENCE IDENTIFIER))
配列番号1は、LST−S1−2に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号2は、LST−S1−28に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号3は、LST−S1−90に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号4は、LST−S1−144に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号5は、LST−S1−133に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号6は、LST−S1−169に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号7は、LST−S2−6に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号8は、LST−S2−11に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号9は、LST−S2−17に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号10は、LST−S2−25に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号11は、LST−S2−39に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号12は、LST−S2−43に対して決定された第一のcDNA配列である。
配列番号13は、LST−S2−43に対して決定された第二のcDNA配列である。
配列番号14は、LST−S2−65に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号15は、LST−S2−68に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号16は、LST−S2−72に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号17は、LST−S2−74に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号18は、LST−S2−103に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号19は、LST−S2−N1−1Fに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号20は、LST−S2−N1−2Aに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号21は、LST−S2−N1−4Hに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号22は、LST−S2−N1−5Aに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号23は、LST−S2−N1−6Bに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号24は、LST−S2−N1−7Bに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号25は、LST−S2−N1−7Hに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号26は、LST−S2−N1−8Aに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号27は、LST−S2−N1−8Dに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号28は、LST−S2−N1−9Aに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号29は、LST−S2−N1−9Eに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号30は、LST−S2−N1−10Aに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号31は、LST−S2−N1−10Gに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号32は、LST−S2−N1−11Aに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号33は、LST−S2−N1−12Cに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号34は、LST−S2−N1−12Eに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号35は、LST−S2−B1−3Dに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号36は、LST−S2−B1−6Cに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号37は、LST−S2−B1−5Dに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号38は、LST−S2−B1−5Fに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号39は、LST−S2−B1−6Gに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号40は、LST−S2−B1−8Aに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号41は、LST−S2−B1−8Dに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号42は、LST−S2−B1−10Aに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号43は、LST−S2−B1−9Bに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号44は、LST−S2−B1−9Fに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号45は、LST−S2−B1−12Dに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号46は、LST−S2−I2−2Bに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号47は、LST−S2−I2−5Fに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号48は、LST−S2−I2−6Bに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号49は、LST−S2−I2−7Fに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号50は、LST−S2−I2−8Gに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号51は、LST−S2−I2−9Eに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号52は、LST−S2−I2−12Bに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号53は、LST−S2−H2−2Cに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号54は、LST−S2−H2−1Gに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号55は、LST−S2−H2−4Gに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号56は、LST−S2−H2−3Hに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号57は、LST−S2−H2−5Gに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号58は、LST−S2−H2−9Bに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号59は、LST−S2−H2−10Hに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号60は、LST−S2−H2−12Dに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号61は、LST−S3−2に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号62は、LST−S3−4に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号63は、LST−S3−7に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号64は、LST−S3−8に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号65は、LST−S3−12に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号66は、LST−S3−13に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号67は、LST−S3−14に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号68は、LST−S3−16に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号69は、LST−S3−21に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号70は、LST−S3−22に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号71は、LST−S1−7に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号72は、LST−S1−A−1Eに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号73は、LST−S1−A−1Gに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号74は、LST−S1−A−3Eに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号75は、LST−S1−A−4Eに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号76は、LST−S1−A−6Dに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号77は、LST−S1−A−8Dに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号78は、LST−S1−A−10Aに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号79は、LST−S1−A−10Cに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号80は、LST−S1−A−9Dに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号81は、LST−S1−A−10Dに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号82は、LST−S1−A−9Hに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号83は、LST−S1−A−11Dに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号84は、LST−S1−A−12Dに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号85は、LST−S1−A−11Eに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号86は、LST−S1−A−12Eに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号87は、L513S(T3)に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号88は、L513Sコンティグ1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号89は、L514Sに対して決定された第一のcDNA配列である。
配列番号90は、L514Sに対して決定された第二のcDNA配列である。
配列番号91は、L516Sに対して決定された第一のcDNA配列である。
配列番号92は、L516Sに対して決定された第二のcDNA配列である。
配列番号93は、L517Sに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号94は、LST−S1−169(L519Sとしてもまた公知)についての伸長cDNA配列である。
配列番号95は、L520Sに対して決定された第一のcDNA配列である。
配列番号96は、L520Sに対して決定された第二のcDNA配列である。
配列番号97は、L521Sに対して決定された第一のcDNA配列である。
配列番号98は、L521Sに対して決定された第二のcDNA配列である。
配列番号99は、L522Sに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号100は、L523Sに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号101は、L524Sに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号102は、L525Sに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号103は、L526Sに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号104は、L527Sに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号105は、L528Sに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号106は、L529Sに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号107は、L530Sに対して決定された第一のcDNA配列である。
配列番号108は、L530Sに対して決定された第二のcDNA配列である。
配列番号109は、L531S短形態に対して決定された全長cDNA配列である。
配列番号110は、配列番号109によってコードされるアミノ酸配列である。
配列番号111は、L531S長形態に対して決定された全長cDNA配列である。
配列番号112は、配列番号111によってコードされるアミノ酸配列である。
配列番号113は、L520Sに対して決定された全長cDNA配列である。
配列番号114は、配列番号113によってコードされるアミノ酸配列である。
配列番号115は、コンティグ1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号116は、コンティグ3に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号117は、コンティグ4に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号118は、コンティグ5に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号119は、コンティグ7に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号120は、コンティグ8に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号121は、コンティグ9に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号122は、コンティグ10に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号123は、コンティグ12に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号124は、コンティグ11に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号125は、コンティグ13(L761Pとしても公知)に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号126は、コンティグ15に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号127は、コンティグ16に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号128は、コンティグ17に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号129は、コンティグ19に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号130は、コンティグ20に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号131は、コンティグ22に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号132は、コンティグ24に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号133は、コンティグ29に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号134は、コンティグ31に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号135は、コンティグ33に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号136は、コンティグ38に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号137は、コンティグ39に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号138は、コンティグ41に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号139は、コンティグ43に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号140は、コンティグ44に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号141は、コンティグ45に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号142は、コンティグ47に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号143は、コンティグ48に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号144は、コンティグ49に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号145は、コンティグ50に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号146は、コンティグ53に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号147は、コンティグ54に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号148は、コンティグ56に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号149は、コンティグ57に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号150は、コンティグ58に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号151は、L530Sに対する全長cDNA配列である。
配列番号152は、配列番号151によってコードされるアミノ酸配列である。
配列番号153は、L514Sの第一改変体の全長cDNA配列である。
配列番号154は、L514Sの第二改変体の全長cDNA配列である。
配列番号155は、配列番号153によってコードされるアミノ酸配列である。
配列番号156は、配列番号154によってコードされるアミノ酸配列である。
配列番号157は、コンティグ59に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号158は、L763P(コンティグ22ともまたいわれる)に対する全長cDNA配列である。
配列番号159は、配列番号158によってコードされるアミノ酸配列である。
配列番号160は、L762P(コンティグ17ともまたいわれる)に対する全長cDNA配列である。
配列番号161は、配列番号160によってコードされるアミノ酸配列である。
配列番号162は、L515Sに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号163は、L524Sの第一改変体の全長cDNA配列である。
配列番号164は、L524Sの第二改変体の全長cDNA配列である。
配列番号165は、配列番号163によってコードされるアミノ酸配列である。
配列番号166は、配列番号164によってコードされるアミノ酸配列である。
配列番号167は、L762Pの第一改変体の全長cDNA配列である。
配列番号168は、L762Pの第二改変体の全長cDNA配列である。
配列番号169は、配列番号167によってコードされるアミノ酸配列である。
配列番号170は、配列番号168によってコードされるアミノ酸配列である。
配列番号171は、L773P(コンティグ56ともまたいわれる)に対する全長cDNA配列である。
配列番号172は、配列番号171によってコードされるアミノ酸配列である。
配列番号173は、L519Sの伸長cDNA配列である。
配列番号174は、配列番号174によってコードされるアミノ酸配列である。
配列番号175は、L523Sに対する全長cDNA配列である。
配列番号176は、配列番号175によってコードされるアミノ酸配列である。
配列番号177は、LST−sub5−7Aに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号178は、LST−sub5−8Gに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号179は、LST−sub5−8Hに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号180は、LST−sub5−10Bに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号181は、LST−sub5−10Hに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号182は、LST−sub5−12Bに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号183は、LST−sub5−11Cに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号184は、LST−sub6−1cに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号185は、LST−sub6−2fに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号186は、LST−sub6−2Gに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号187は、LST−sub6−4dに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号188は、LST−sub6−4eに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号189は、LST−sub6−4fに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号190は、LST−sub6−3hに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号191は、LST−sub6−5dに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号192は、LST−sub6−5hに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号193は、LST−sub6−6hに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号194は、LST−sub6−7aに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号195は、LST−sub6−8aに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号196は、LST−sub6−7dに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号197は、LST−sub6−7eに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号198は、LST−sub6−8eに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号199は、LST−sub6−7gに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号200は、LST−sub6−9fに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号201は、LST−sub6−9hに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号202は、LST−sub6−11bに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号203は、LST−sub6−11cに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号204は、LST−sub6−12cに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号205は、LST−sub6−12eに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号206は、LST−sub6−12fに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号207は、LST−sub6−11gに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号208は、LST−sub6−12gに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号209は、LST−sub6−12hに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号210は、LST−sub6−II−1aに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号211は、LST−sub6−II−2bに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号212は、LST−sub6−II−2gに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号213は、LST−sub6−II−1hに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号214は、LST−sub6−II−4aに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号215は、LST−sub6−II−4bに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号216は、LST−sub6−II−3eに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号217は、LST−sub6−II−4fに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号218は、LST−sub6−II−4gに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号219は、LST−sub6−II−4hに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号220は、LST−sub6−II−5cに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号221は、LST−sub6−II−5eに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号222は、LST−sub6−II−6fに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号223は、LST−sub6−II−5gに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号224は、LST−sub6−II−6gに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号225は、L528Sに対するアミノ酸配列である。
配列番号226〜251は、L762P由来の合成ペプチドである。
配列番号252は、L514Sの発現されたアミノ酸配列である。
配列番号253は、配列番号252に対応するDNA配列である。
配列番号254は、L762P発現構築物のDNA配列である。
配列番号255は、クローン23785に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号256は、クローン23786に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号257は、クローン23788に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号258は、クローン23790に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号259は、クローン23793に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号260は、クローン23794に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号261は、クローン23795に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号262は、クローン23796に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号263は、クローン23797に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号264は、クローン23798に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号265は、クローン23799に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号266は、クローン23800に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号267は、クローン23802に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号268は、クローン23803に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号269は、クローン23804に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号270は、クローン23805に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号271は、クローン23806に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号272は、クローン23807に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号273は、クローン23808に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号274は、クローン23809に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号275は、クローン23810に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号276は、クローン23811に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号277は、クローン23812に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号278は、クローン23813に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号279は、クローン23815に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号280は、クローン25298に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号281は、クローン25299に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号282は、クローン25300に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号283は、クローン25301に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号284は、クローン25304に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号285は、クローン25309に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号286は、クローン25312に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号287は、クローン25317に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号288は、クローン25321に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号289は、クローン25323に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号290は、クローン25327に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号291は、クローン25328に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号292は、クローン25332に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号293は、クローン25333に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号294は、クローン25336に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号295は、クローン25340に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号296は、クローン25342に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号297は、クローン25356に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号298は、クローン25357に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号299は、クローン25361に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号300は、クローン25363に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号301は、クローン25397に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号302は、クローン25402に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号303は、クローン25403に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号304は、クローン25405に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号305は、クローン25407に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号306は、クローン25409に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号307は、クローン25396に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号308は、クローン25414に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号309は、クローン25410に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号310は、クローン25406に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号311は、クローン25306に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号312は、クローン25362に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号313は、クローン25360に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号314は、クローン25398に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号315は、クローン25355に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号316は、クローン25351に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号317は、クローン25331に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号318は、クローン25338に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号319は、クローン25335に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号320は、クローン25329に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号321は、クローン25324に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号322は、クローン25322に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号323は、クローン25319に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号324は、クローン25316に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号325は、クローン25311に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号326は、クローン25310に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号327は、クローン25302に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号328は、クローン25315に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号329は、クローン25308に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号330は、クローン25303に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号331〜337は、p53癌抑制因子ホモログ、p63(L530Sともまたいわれる)のアイソフォームのcDNA配列である。
配列番号338〜344は、それぞれ配列番号331〜337によってコードされるアミノ酸配列である。
配列番号345は、抗原L763Pに対する第二のcDNA配列である。
配列番号346は、配列番号345の配列によってコードされるアミノ酸配列である。
配列番号347は、L523Sに対して決定された全長cDNA配列である。
配列番号348は、配列番号347によってコードされるアミノ酸配列である。
配列番号349は、L773PのN末端部分をコードするcDNA配列である。
配列番号350は、L773PのN末端部分のアミノ酸配列である。
配列番号351は、Ral2とL763PのN末端部分との融合物のDNA配列である。
配列番号352は、Ral2とL763PのN末端部分との融合物のアミノ酸配列である。
配列番号353は、Ral2とL763PのC末端部分との融合物のDNA配列である。
配列番号354は、Ral2とL763PのC末端部分との融合物のアミノ酸配列である。
配列番号355は、プライマーである。
配列番号356は、プライマーである。
配列番号357は、発現された組換えL762Pのタンパク質配列である。
配列番号358は、発現された組換えL762PのDNA配列である。
配列番号359は、プライマーである。
配列番号360は、プライマーである。
配列番号361は、発現された組換えL773P Aのタンパク質配列である。
配列番号362は、発現された組換えL773P AのDNA配列である。
配列番号363は、クローンL773Pポリペプチド由来のエピトープである。
配列番号364は、配列番号363のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである。
配列番号365は、クローンL773Pポリペプチド由来のエピトープである。
配列番号366は、配列番号365のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである。
配列番号367は、配列番号161、クローンL762Pのアミノ酸571〜590からなるエピトープである。
配列番号368は、コンティグ13(配列番号125)(L761Pとも称される)の全長DNA配列である。
配列番号369は、配列番号368のDNA配列によってコードされるタンパク質配列である。
配列番号370は、ヌクレオチド2071〜2130由来のL762P DNA配列である。
配列番号371は、ヌクレオチド1441〜1500由来のL762P DNA配列である。
配列番号372は、ヌクレオチド1936〜1955由来のL762P DNA配列である。
配列番号373は、ヌクレオチド2620〜2679由来のL762P DNA配列である。
配列番号374は、ヌクレオチド1801〜1860由来のL762P DNA配列である。
配列番号375は、ヌクレオチド1531〜1591由来のL762P DNA配列である。
配列番号376は、配列番号373によってコードされるL762Pペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号377は、配列番号370によってコードされるL762Pペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号378は、配列番号372によってコードされるL762Pペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号379は、配列番号374によってコードされるL762Pペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号380は、配列番号371によってコードされるL762Pペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号381は、配列番号375によってコードされるL762Pペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号382は、L762Pのエピトープのアミノ酸配列である。
配列番号383〜386は、PCRプライマーである。
配列番号387〜395は、L773Pペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号396〜419は、L523Sペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号420は、クローン番号19014の決定されたcDNA配列である。
配列番号421は、L514S−13160コード領域の順方向プライマーPDM−278である。
配列番号422は、L514S−13160コード領域の逆方向プライマーPDM−278である。
配列番号423は、発現された組換えL514Sのアミノ酸配列である。
配列番号424は、組換えL514SのDNAコード配列である。
配列番号425は、L523Sコード領域の順方向プライマーPDM−414である。
配列番号426は、L523Sコード領域の逆方向プライマーPDM−414である。
配列番号427は、発現された組換えL523Sのアミノ酸配列である。
配列番号428は、組換えL523SのDNAコード配列である。
配列番号429は、L762PAコード領域の逆方向プライマーPDM−279である。
配列番号430は、発現された組換えL762PAのアミノ酸配列である。
配列番号431は、組換えL762PAのDNAコード配列である。
配列番号432は、L773Pコード領域の逆方向プライマーPDM−300である。
配列番号433は、発現された組換えL773Pのアミノ酸配列である。
配列番号434は、組換えL773PのDNAコード配列である。
配列番号435は、TCR Vα8の順方向プライマーである。
配列番号436は、TCR Vα8の逆方向プライマーである。
配列番号437は、TCR Vβ8の順方向プライマーである。
配列番号438は、TCR Vβ8の逆方向プライマーである。
配列番号439は、肺抗原L762Pに特異的なTCRクローンのTCR VαDNA配列である。
配列番号440は、肺抗原L762Pに特異的なTCRクローンのTCR VαDNA配列である。
配列番号441は、L763ペプチド番号2684のアミノ酸配列である。
配列番号442は、クローンL529S(配列番号106)のクローニングされた部分的配列の、予測された全長cDNAである。
配列番号443は、配列番号442によってコードされる推定アミノ酸配列である。
配列番号444は、クローンL523Sのコード領域の順方向プライマーPDM−734である。
配列番号445は、クローンL523Sのコード領域の逆方向プライマーPDM−735である。
配列番号446は、発現された組換えL523Sのアミノ酸配列である。
配列番号447は、組換えL523SのDNAコード配列である。
配列番号448は、クローンL523Sのコード領域の別の順方向プライマーPDM−733である。
配列番号449は、第二の発現された組換えL523Sのアミノ酸配列である。
配列番号450は、第二の組換えL523SのDNAコード配列である。
配列番号451は、抗体の生成におけるL514S特異的エピトープであるアミノ酸86〜110に対応する。
配列番号452は、抗体の生成におけるL514S特異的エピトープであるアミノ酸21〜45に対応する。
配列番号453は、抗体の生成におけるL514S特異的エピトープであるアミノ酸121〜135に対応する。
配列番号454は、抗体の生成におけるL523S特異的エピトープであるアミノ酸440〜460に対応する。
配列番号455は、抗体の生成におけるL523S特異的エピトープであるアミノ酸156〜175に対応する。
配列番号456は、抗体の生成におけるL523S特異的エピトープであるアミノ酸326〜345に対応する。
配列番号457は、抗体の生成におけるL523S特異的エピトープであるアミノ酸40〜59に対応する。
配列番号458は、抗体の生成におけるL523S特異的エピトープであるアミノ酸80〜99に対応する。
配列番号459は、抗体の生成におけるL523S特異的エピトープであるアミノ酸160〜179に対応する。
配列番号460は、抗体の生成におけるL523S特異的エピトープであるアミノ酸180〜199に対応する。
配列番号461は、抗体の生成におけるL523S特異的エピトープであるアミノ酸320〜339に対応する。
配列番号462は、抗体の生成におけるL523S特異的エピトープであるアミノ酸340〜359に対応する。
配列番号463は、抗体の生成におけるL523S特異的エピトープであるアミノ酸370〜389に対応する。
配列番号464は、抗体の生成におけるL523S特異的エピトープであるアミノ酸380〜399に対応する。
配列番号465は、L523S特異的CTL株6B1によって認識されるL523Sのエピトープであるアミノ酸37〜55に対応する。
配列番号466は、L523S特異的CTL株6B1によって認識されるL523Sの、マッピングされた抗原性エピトープであるアミノ酸41〜51に対応する。
配列番号467は、配列番号466をコードするDNA配列に対応する。
配列番号468は、hL523Sのペプチド16、17のアミノ酸に対応する。
配列番号469は、mL523Sのペプチド16、17のアミノ酸に対応する。
(発明の詳細な説明)
本発明は、一般的に、癌(特に肺癌)の治療および診断における組成物およびこれらの使用に関する。以下にさらに記載されるように、本発明の例示的な組成物としては、ポリペプチド、特に免疫原性ポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、抗体および他の結合因子、抗原提示細胞(APC)および免疫系細胞(例えば、T細胞)が挙げられるが、これらに制限されない。
本発明の実施は、特にそれと逆であることを示さない限り、当該分野の技術範囲であるウイルス学、免疫学、微生物学、分子生物学、および組換えDNA技術の従来の方法(これらの多くは、例示目的で以下に記載される)を使用する。このような技術は、文献中に完全に説明されている。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版、1989);Maniatisら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(1982);DNA Cloning:A Practical Approach、第I巻および第II巻(D.Glover編);Oligonucleotide Synthesis(N.Gait編、1984);Nucleic Acid Hybridization(B.HamesおよびS.Higgins編、1985);Transcription and Translation(B.HamesおよびS.Higgins編、1984);Animal Cell Culture(R.Freshney編、1986);Perbal、A Practical Guide to Molecular Cloning(1984)を参照のこと。
上記または下記にかかわらず、本明細書中で引用される、全ての刊行物、特許および特許出願は、それらの全体が参考として本明細書によって援用される。
本明細書中および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかに他を示さない限り、複数の参照を含む。
(ポリペプチド組成物)
本明細書中で使用される場合、用語「ポリペプチド」は、その従来の意味、すなわちアミノ酸の配列として使用される。これらのポリペプチドは、特定の長さの生成物に限定されず;従って、ペプチド、オリゴペプチド、およびタンパク質は、このポリペプチドの定義に含まれ、そしてこのような用語は、別段に示さない限り、本明細書中で交換可能に使用され得る。この用語はまた、このポリペプチドの発現後修飾(例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化など、ならびに天然および非天然の両方の、当該分野で公知の他の改変)を言及しないかまたは除外する。ポリペプチドは、タンパク質全体でもあり、またはその部分配列でもあり得る。本発明の状況において特定の目的のポリペプチドは、エピトープ、すなわち、ポリペプチドの免疫原特性の実質的な原因となり、かつ免疫応答を誘起し得る抗原決定基を含むアミノ酸部分配列である。
特に、本発明の例示的なポリペプチドは、以下:配列番号1〜3、6〜8、10〜13、15〜27、29、30、32、34〜49、51、52、54、55、57〜59、61〜69、71、73、74、77、78、80〜82、84、86〜96、107〜109、111、113、125、127、128、129、131〜133、142、144、148〜151、153、154、157、158、160、167、168、171、179、182、184〜186、188〜191、193、194、198〜207、209、210、213、214、217、220〜224、253〜337、345、347、349、358、362、364、365、368、370〜375、420、424、428、431、434、442、447、450および467のいずれか1つに示されるポリヌクレオチド配列;または中程度にストリンジェントな条件下、あるいは、高度にストリンジェントな条件下で、配列番号1〜3、6〜8、10〜13、15〜27、29、30、32、34〜49、51、52、54、55、57〜59、61〜69、71、73、74、77、78、80〜82、84、86〜96、107〜109、111、113、125、127、128、129、131〜133、142、144、148〜151、153、154、157、158、160、167、168、171、179、182、184〜186、188〜191、193、194、198〜207、209、210、213、214、217、220〜224、253〜337、345、347、349、358、362、364、365、368、370〜375、420、424、428、431、434、442、447、450および467のいずれか1つに示されるポリヌクレオチド配列にハイブリダイズする配列によりコードされるポリペプチドを含む。本発明の特定の例示的なポリペプチドは、配列番号152、155、156、165、166、169、170、172、174、176、226〜252、338〜344、346、350、357、361、363、365、367、369、376〜382、387〜419、423、427、430、433、441、443、446、449、451〜466および468〜469のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む。
本発明のポリペプチドは、時々、それらの同定が、肺腫瘍サンプルにおけるそれらの増大した発現レベルに少なくとも部分的に基づいていたことの指示として、肺腫瘍タンパク質または肺腫瘍ポリペプチドといわれる。従って、「肺腫瘍ポリペプチド」または「肺腫瘍タンパク質」とは、一般的に、本発明のポリペプチド配列、またはそのようなポリペプチド配列をコードするポリヌクレオチド配列をいい、このポリペプチド配列は、肺腫瘍サンプルの実質的な割合(例えば、試験される肺腫瘍サンプルのうち、好ましくは20%より多く、より好ましくは約30%より多く、最も好ましくは約50%以上)において、本明細書中に提供される代表的なアッセイを用いて測定される場合に、正常な組織における発現のレベルより少なくとも2倍高く、好ましくは少なくとも5倍高いレベルで発現される。本発明の肺腫瘍ポリペプチド配列は、腫瘍細胞における増大した発現レベルに基づいて、以下にさらに記載される診断マーカーおよび治療の標的の両方として、特定の有用性を有する。
特定の好ましい実施形態において、本発明のポリペプチドは、免疫原性(すなわち、これらは、肺癌を有する患者由来の抗血清および/またはT細胞との免疫アッセイ(ELISAまたはT細胞刺激アッセイのような)において検出可能に反応する)である。免疫原性活性についてのスクリーニングは、当業者に周知の技術を用いて行われ得る。例えば、そのようなスクリーニングは、HarlowおよびLane,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,1988に記載されるような方法を用いて行われ得る。1つの例示的な例において、ポリペプチドは、固体支持体に固定され得、そして患者の血清と接触され、その血清中の抗体をその固定されたポリペプチドに結合させ得る。次いで、結合されなかった血清は、除去され得、結合された抗体が、例えば、125I標識化プロテインAを使用して検出され得る。
当業者に認識されているように、本明細書中に開示されるポリペプチドの免疫原性部分もまた、本発明により包含される。本明細書中に使用される場合、「免疫原性部分」とは、本発明の免疫原性ポリペプチドのフラグメントであって、それ自体が、このポリペプチドを認識するB細胞および/またはT細胞の表面の抗原レセプターと免疫学的に反応する(すなわち、特異的に結合する)、ポリペプチドのフラグメントである。免疫原性部分は、一般的にPaul,Fundamental Immunology,第3版、243−247(Raven Press,1993)およびそこに引用される参考文献に要約されるような周知技術を使用して、同定され得る。このような技術は、抗原特異的な抗体、抗血清および/あるいはT細胞株またはT細胞クローンと反応する能力についてポリペプチドをスクリーニングする工程を含む。本明細書中で使用される場合、抗血清および抗体は、それらが抗原に特異的に結合する(すなわち、これらが、ELISAまたは他の免疫アッセイにおいてそのタンパク質と反応し、無関係なタンパク質とは検出可能に反応しない)場合、「抗原特異的」である。このような抗血清および抗体は、本明細書中に記載されるように、そして周知技術を使用して調製され得る。
1つの好ましい実施形態において、本発明のポリペプチドの免疫原性部分は、実質的に、全長ポリペプチドの反応性に勝るとも劣らないレベルで(例えば、ELISAおよび/またはT細胞反応性アッセイにおいて)、抗血清および/またはT細胞と反応する部分である。好ましくは、この免疫原性部分の免疫原性活性のレベルは、全長ポリペプチドについての免疫原性の、少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約70%、最も好ましくは約90%より高い。いくつかの例において、対応する全長ポリペプチドの免疫原性活性レベルより高い免疫原性活性レベルを有する(例えば、約100%または150%より高いかあるいはそれ以上の免疫原性活性を有する)好ましい免疫原性部分が、同定される。
特定の他の実施形態において、例示的な免疫原性部分は、N末端リーダー配列および/または膜貫通ドメインが欠失されたペプチドを含み得る。他の例示的な免疫原性部分は、成熟タンパク質と比較して、少ないN末端欠失および/またはC末端欠失(例えば、1〜30アミノ酸、好ましくは5〜15アミノ酸)を含む。
別の実施形態において、本発明のポリペプチド組成物はまた、T細胞および/または本発明のポリペプチドに対して作製された抗体と免疫学的に反応する1つ以上のポリペプチド(特に、本明細書中に開示されるアミノ酸配列を有するポリペプチド、またはそれらの免疫原性フラグメントもしくは改変体)も含む。
本発明の別の実施形態において、本明細書中に記載される1以上のポリペプチド、あるいは本明細書中に開示されるポリヌクレオチド配列に含まれる連続する核酸配列またはそれらの免疫原性フラグメントもしくは改変体、あるいは中程度〜高いストリンジェンシーの条件下でこれらの配列の1つ以上とハイブリダイズする1つ以上の核酸配列によりコードされる1つ以上のポリペプチドと免疫学的に反応性であるT細胞および/または抗体を誘発し得る、1つ以上のポリペプチドを含むポリペプチドが、提供される。
別の局面において、本発明は、例えば、配列番号152、155、156、165、166、169、170、172、174、176、226〜252、338〜344、346、350、357、361、363、365、367、369、376〜382、ならびに387〜419、441、443、446、449、451〜466および468〜469で示されるポリペプチド組成物または配列番号1〜3、6〜8、10〜13、15〜27、29、30、32、34〜49、51、52、54、55、57〜59、61〜69、71、73、74、77、78、80〜82、84、86〜96、107〜109、111、113、125、127、128、129、131〜133、142、144、148〜151、153、154、157、158、160、167、168、171、179、182、184〜186、188〜191、193、194、198〜207、209、210、213、214、217、220〜224、253〜337、345、347、349、358、362、364、365、368、370〜375、420、424、428、431、434、442、447、450および467の配列で示されるポリヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチド組成物のような、本明細書中に示されるポリペプチド組成物の少なくとも約5、10、15、20、25、50、もしくは100、またはそれより多い、連続するアミノ酸(全ての中間の長さを含む)含むポリペプチドフラグメントを提供する。
別の局面において、本発明は、本明細書中に記載されるポリペプチド組成物の改変体を提供する。本発明により一般的に包含されるポリペプチド改変体は、代表的に、その長さに沿って、本明細書中に示されるポリペプチド配列に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性(以下に記載されるように決定される)を示す。
1つの好ましい実施形態において、本発明により提供されるポリペプチドフラグメントおよび改変体は、本明細書中に詳細に示される全長ポリペプチドと反応する抗体および/またはT細胞と免疫学的に反応する。
別の好ましい実施形態において、本発明により提供されるポリペプチドフラグメントおよび改変体は、本明細書中に詳細に示される全長ポリペプチド配列により示される免疫原性活性の少なくとも約50%、好ましくは少なくとも70%、最も好ましくは少なくとも約90%またはそれより高いレベルの免疫原的活性を示す。
ポリペプチド「改変体」とは、その用語が本明細書中に使用される場合、代表的に、1つ以上の置換、欠失、付加、および/または挿入が、本明細書中に詳細に開示されるポリペプチドと異なるポリペプチドである。そのような改変体は天然に存在し得るか、または例えば、上記の本発明のポリペプチド配列の1つ以上を改変し、そして本明細書中に記載されるようにそれらの免疫原性活性を評価し、そして/もしくは当該分野における多くの周知技術のいずれかを用いることにより合成的に作製され得る。
例えば、本発明のポリペプチドの特定の例示的な改変体は、1つ以上の部分(例えば、N末端リーダー配列または膜貫通ドメイン)が除去されたポリペプチド改変体を含む。他の例示的な改変体は、成熟タンパク質のN末端および/またはC末端から小さな部分(例えば、1〜30アミノ酸、好ましくは5〜15アミノ酸)が除去された改変体を含む。
多くの例において、改変体は、保存的置換を含む。「保存的置換」とは、あるアミノ酸が、類似の特性を有する別のアミノ酸と置換されている置換であり、その結果、ペプチド化学の当業者は、そのポリペプチドの二次構造および疎水性親水性(hydropathic)性質が、実質的に変化されないことを予測する。上記のように、改変は、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドの構造中に作製され得、そしてなお所望の特徴(例えば、免疫原性の特徴)を有する改変体ポリペプチドまたは誘導体ポリペプチドをコードする機能性分子を得る。ポリペプチドのアミノ酸配列を変化させて、本発明のポリペプチドの等価またはさらには改善された免疫原性改変体または免疫原性部分を作製することが所望される場合、当業者は、代表的に、表1に従って、DNA配列をコードする1つ以上のコドンを変化させる。
例えば、特定のアミノ酸は、例えば、抗体の抗原結合領域または基質分子の結合部位のような構造との相互作用的な結合能力の測定可能な損失を伴うことなく、タンパク質構造中の他のアミノ酸と置換され得る。タンパク質の生物学的な機能的活性を規定するのは、そのタンパク質の相互作用の能力および性質であるので、特定のアミノ酸配列置換が、タンパク質配列中および、当然、その根底にあるDNAコード配列に作製され得るが、それにもかかわらず同様の特性を有するタンパク質を得ることが可能である。従って、これらの生物学的な有用性または活性の測定可能な損失を伴うことなく、開示される組成物のペプチド配列、またはこのペプチドをコードする対応するDNA配列に種々の変化がなされ得ることが企図される。
Figure 2008178413
そのような変化を作製するために、アミノ酸の疎水性親水性インデックスが、考慮され得る。タンパク質への相互作用的な生物学的機能の付与における、疎水性親水性アミノ酸インデックスの重要性は、一般的に、当該分野において理解されている(KyteおよびDoolittle、1982(本明細書中に参考として援用される))。アミノ酸の相対的な疎水性親水性の特徴が、生じるタンパク質の二次構造に寄与し、次いで、この特徴が、タンパク質と他の分子(例えば、酵素、基質、レセプター、DNA、抗体、抗原など)の相互作用を規定することが認められている。各々のアミノ酸は、その疎水性および電荷の特徴に基づき疎水性親水性インデックスを与えられている(KyteおよびDoolittle、1982)。これらの値は以下:イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(−0.4);トレオニン(−0.7);セリン(−0.8);トリプトファン(−0.9);チロシン(−1.3);プロリン(−1.6);ヒスチジン(−3.2);グルタミン酸(−3.5);グルタミン(−3.5);アスパラギン酸(−3.5);アスパラギン(−3.5);リジン(−3.9);およびアルギニン(−4.5)である。
特定のアミノ酸が、類似する疎水性親水性インデックスまたはスコアを有する他のアミノ酸により置換され得、そしてなお類似する生物学的活性を有すタンパク質を生じ得ること(すなわち、なお生物学的な機能が等価なタンパク質を得ること)は、当該分野において公知である。そのような変化の作製において、それらの疎水性親水性インデックスが±2以内であるアミノ酸の置換が、好ましく、±1以内である置換が特に好ましく、そして±0.5以内である置換がさらにより特に好ましい。類似のアミノ酸の置換が、親水性に基づき効果的に作製され得ることもまた、当該分野において理解されている。米国特許第4,554,101号(その全体が、本明細書中に参考として詳細に援用される)は、隣接するアミノ酸の親水性により決定されるような、タンパク質の最も高い局所的な平均親水性が、このタンパク質の生物学的特性に関連することを示す。
米国特許第4,554,101号に詳述されるように、以下の親水性値が、アミノ酸残基に与えられている:アルギニン(+3.0);リジン(+3.0);アスパラギン酸(+3.0±1);グルタミン酸(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);トレオニン(−0.4);プロリン(−0.5±1);アラニン(−0.5);ヒスチジン(−0.5);システイン(−1.0);メチオニン(−1.3);バリン(−1.5);ロイシン(−1.8);イソロイシン(−1.8);チロシン(−2.3);フェニルアラニン(−2.5);トリプトファン(−3.4)。アミノ酸が類似の親水性値を有する別のアミノ酸の代わりに置換され得、そしてなお生物学的に等価であり、そして特に免疫学的に等価なタンパク質を生じ得ることは理解される。そのような変化において、それらの親水性値が±2以内であるアミノ酸の置換が、好ましく、±1以内である置換が特に好ましく、そして±0.5以内である置換がさらにより特に好ましい。
従って、上で概説されるように、アミノ酸置換は、一般的に、アミノ酸側鎖置換基の相対的な類似性(例えば、それらの疎水性、親水性、電荷、大きさなど)に基づく。種々の前述の特徴を考慮した例示的な置換は、当業者に周知であり、そして以下を含む:アルギニンおよびリジン;グルタミン酸およびアスパラギン酸;セリンおよびトレオニン;グルタミンおよびアスパラギン;ならびにバリン、ロイシン、およびイソロイシン。
さらに、任意のポリヌクレオチドは、インビボでの安定性を増加させるためにさらに改変され得る。可能な改変はとしては、5’末端および/または3’末端での隣接する配列の付加;骨格におけるホスホジエステラーゼ結合以外のホスホロチオエートもしくは2’O−メチルの使用;および/または従来のものでない塩基(例えば、イノシン、キューオシン、およびワイブトシンならびにアデニン、シチジン、グアニン、チミン、およびウリジンのアセチル形態、メチル形態、チオ形態、および他の改変形態)の含有が挙げられるが、これらに限定されない。
アミノ酸置換は、その残基の極性、電荷、溶解性、疎水性、親水性および/または両親媒性特性における類似性に基づいて、さらに作製され得る。例えば、ネガティブに荷電されたアミノ酸としては、アスパラギン酸およびグルタミン酸が挙げられ;ポジティブに荷電されたアミノ酸としては、リジンおよびアルギニンが挙げられ;そして類似の親水性値を有する荷電されていない極性ヘッド基を有するアミノ酸としては、ロイシン、イソロイシン、およびバリン;グリシンおよびアラニン;アスパラギンおよびグルタミン;ならびにセリン、トレオニン、フェニルアラニンおよびチロシンが挙げられる。保存的変化を表し得るアミノ酸の他の群としては、以下:(1)ala、pro、gly、glu、asp、gln、asn、ser、thr;(2)cys、ser、tyr、thr;(3)val、ile、leu、met、ala、phe;(4)lys、arg、his;および(5)phe、tyr、trp、hisが挙げられる。改変体はまた、またはあるいは、非保存的変化を含み得る。好ましい実施形態において、改変体ポリペプチドは、5以下のアミノ酸の置換、欠失または付加によって、ネイティブの配列とは異なる。改変体はまた(またはあるいは)、例えば、ポリペプチドの免疫原性、二次構造および疎水性親水性性質に最小限の影響しか有さないアミノ酸の欠失または付加によって、改変され得る。
上記のように、ポリペプチドは、タンパク質のN末端にシグナル(または、リーダー)配列を含み得、これは、翻訳と同時に、または翻訳後に、そのタンパク質の転移を指向する。このポリペプチドはまた、このポリペプチドの合成、精製または同定を容易にするために(例えば、ポリHis)、またはこのポリペプチドの固体支持体への結合を増強するために、リンカー配列または他の配列に結合体化され得る。例えば、ポリペプチドは、免疫グロブリンFc領域に結合体化され得る。
ポリペプチド配列を比較する場合、2つの配列は、以下に記載のように最大の対応でアラインするときに2つの配列中のアミノ酸の配列が同じである場合、「同一」であるといわれる。2つの配列間の比較は、代表的には、比較ウインドウにわたって配列を比較して、配列類似性の局所的領域を同定および比較することによって行われる。本明細書中で使用される「比較ウインドウ」とは、少なくとも約20の連続する位置、通常は30〜約75、40〜約50の連続する位置のセグメントをいう。ここで、配列は、2つの配列が最適にアラインされた後、連続する位置の同じ番号の参照配列に対して比較され得る。
比較のための配列の最適なアラインメントは、Lasergene suite of bioinformatics software(DNASTAR,Inc.,Madison,WI)のMegalignプログラムを用い、デフォルトパラメーターを使用して行われ得る。このプログラムは、以下の参考文献に記載されるいくつかのアラインメントスキームを含む:
Figure 2008178413
あるいは、比較のための配列の最適なアラインメントは、SmithおよびWaterman(1981)Add.APL.Math 2:482の局所同一性アルゴリズムによってか、NeedlemanおよびWunsch(1970)J.Mol.Biol.48:443の同一性アラインメントアルゴリズムによってか、PearsonおよびLipman(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444の類似性についての検索方法によってか、これらのアルゴリズムのコンピューター化された実行によってか(Wisconsin Genetics Software Package、Genetics Computer Group(GCG)、575 Science Dr.、Madison、WIのGAP、BESTFIT、BLAST、FASTA、およびTFASTA)または検査によって実施され得る。
配列同一性%、および配列類似性の決定に適するアルゴリズムの1つの好ましい例は、BLASTおよびBLAST 2.0アルゴリズム(これらは、各々、Altschulら(1977)Nucl.Acids Res.25:3389〜3402およびAltschulら(1990)J.Mol.Biol.215:403〜410に記載される)である。BLASTおよびBLAST 2.0は、例えば、本明細書中に記載されるパラメーターを用いて使用され得、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドについての配列同一性%を決定し得る。BLAST解析を行うためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Informationを通して公的に入手可能である。アミノ酸配列に関して、スコアリングマトリクスは、蓄積スコアを算出するために用いられ得る。各々の方向のワードヒット(word hit)の拡張は、以下の場合に、停止される:この蓄積アラインメントスコアが、その最大達成値より量Xだけ落ちる場合;1つ以上のネガティブにスコアリングする残基のアラインメントの蓄積に起因して、この蓄積スコアが、0以下になる場合;または各々の配列の末端に達する場合。このBLASTアルゴリズムパラメーターW、TおよびXは、このアラインメントの感度および速度を決定する。
1つの好ましいアプローチにおいて、「配列同一性のパーセンテージ」は、少なくとも20の位置の比較ウインドウにわたり、2つの最適にアラインされた配列を比較することによって決定される。ここで、比較ウインドウ中のポリペプチド配列の一部は、2つの配列の最適なアラインメントについて参照配列(これは、付加または欠失を含まない)と比較して、20%以下、通常は5〜15%、または10〜12%の付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。このパーセンテージは、同一のアミノ酸残基が両方の配列で生じて、マッチした位置の数を得る位置の数を決定し、参照配列中の位置の総数(すなわち、ウインドウサイズ)でそのマッチした位置の数を割り、そして結果に100をかけて配列同一性のパーセンテージを得ることによって計算される。
他の例示的な実施形態において、ポリペプチドは、本明細書中に記載の複数のポリペプチドを含むか、または本明細書に記載の少なくとも1つのポリペプチドおよび関連しない配列(例えば、公知の腫瘍タンパク質)を含む融合ポリペプチドであり得る。例えば、融合パートナーは、Tヘルパーエピトープ(免疫学的融合パートナー)、好ましくはヒトによって認識されるTヘルパーエピトープを提供する際に補助し得るか、またはネイティブの組換えタンパク質より高い収量でタンパク質を発現する際に補助し得る(発現エンハンサー)。特定の好ましい融合パートナーは、免疫学的融合パートナーおよび発現増強融合パートナーの両方である。他の融合パートナーは、ポリペプチドの溶解性を増加するようにか、またはポリペプチドが所望の細胞内コンパートメントに標的化されることを可能にするように選択され得る。なおさらなる融合パートナーには、親和性タグ(これは、ポリペプチドの精製を容易にする)が挙げられる。
融合ポリペプチドは、一般に、標準的な技術(化学的結合体化を含む)を使用して調製され得る。好ましくは、融合ポリペプチドは、発現系において、組換えポリペプチドとして発現され、非融合ポリペプチドと比較して、増加したレベルの産生を可能にする。手短に言うと、このポリペプチド成分をコードするDNA配列は、別々にアセンブルされ得、そして適切な発現ベクターに連結され得る。1つのポリペプチド成分をコードするDNA配列の3’末端は、ペプチドリンカーを用いてまたは用いずに、第2のポリペプチド成分をコードするDNA配列の5’末端に、これらの配列のリーディングフレームが同じ相にあるように連結される。このことが、両方の成分ポリペプチドの生物学的活性を保持する単一の融合ポリペプチドへの翻訳を可能にする。
ペプチドリンカー配列は、各ポリペプチドがその二次構造および三次構造へと折り畳まれるのを保証するために十分な距離で第一および第二のポリペプチド構成要素を隔てるために用いられ得る。このようなペプチドリンカー配列は、当該分野で周知の標準的な技術を用いて融合ポリペプチド中に組み込まれる。適切なペプチドリンカー配列は、以下の因子に基づいて選択され得る:(1)フレキシブルな伸長したコンホメーションを採る能力;(2)第一および第二のポリペプチド上の機能的なエピトープと相互作用し得る二次構造を採ることができないこと;および(3)ポリペプチドの機能的なエピトープと反応し得る疎水性または荷電した残基の無いこと。好ましいペプチドリンカー配列は、Gly、AsnおよびSer残基を含む。ThrおよびAlaのような中性に近い他のアミノ酸もまた、リンカー配列に用いられ得る。リンカーとして有用に用いられ得るアミノ酸配列は、Marateaら、Gene 40:39−46、1985;Murphyら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:8258−8262、1986;米国特許第4,935,233号および米国特許第4,751,180号に開示されるアミノ酸配列を含む。リンカー配列は、一般的に1から約50アミノ酸長であり得る。リンカー配列は、第一および第二のポリペプチドが、機能的ドメインを分離するため、および立体的な干渉を防ぐために用いられ得る非必須N末端アミノ酸領域を有する場合、必要とされない。
連結されたDNA配列は、適切な転写または翻訳調節エレメントに作動可能に連結される。DNAの発現を担う調節エレメントは、第一のポリペプチドをコードするDNA配列の5’側にのみ位置する。同様に、翻訳および転写終結シグナルを終了するために必要とされる終止コドンは、第二のポリペプチドをコードするDNA配列の3’側にのみ存在する。
融合タンパク質は、本発明に記載されるポリペプチドを関係のない免疫原性タンパク質(例えば、リコール(recall)応答を惹起し得る免疫原性タンパク質)をともに含み得る。このようなタンパク質の例としては、破傷風タンパク質、結核タンパク質および肝炎タンパク質が挙げられる(例えば、Stouteら、New Engl.J.Med.、336:86−91(1997)を参照のこと)。
1つの好ましい実施形態において、この免疫学的融合パートナーは、Mycobacterium sp.に由来する(例えば、Mycobacterium tuberculosis由来Ra12フラグメント)。Ra12組成物および異種ポリヌクレオチド/ポリペプチド配列の発現および/または免疫原性の増強におけるこれらの使用のための方法は、米国特許出願第60/158,585号(この開示は、その全体が、本明細書中に参考として援用される)に記載される。簡単には、Ra12は、Mycobacterium tuberculosis MTB32A核酸の部分配列であるポリヌクレオチド領域を指す。MTB32Aは、有毒性および無毒性のM.tuberculosis株における遺伝子によりコードされる32KDの分子量のセリンプロテアーゼである。MTB32Aのヌクレオチド配列およびアミノ酸配列は、記載されている(例えば、米国特許出願第60/158,585号;Skeikyら、Infection and Immun.(1999)67:3998〜4007(本明細書中に参考として援用される)も参照のこと)。MTB32Aコード配列のC末端フラグメントは、高いレベルで発現しそして精製プロセスを通して可溶性ポリペプチドのままである。さらに、Ra12は、それが融合される異種免疫原性ポリペプチドの免疫原性を増強させ得る。1つの好ましいRa12融合ポリペプチドは、MTB32Aのアミノ酸残基192〜323に対応する14KDのC末端フラグメントを含む。
他の好ましいRa12ポリヌクレオチドは、一般的に、Ra12ポリペプチドの1部をコードする、少なくとも約15の連続的ヌクレオチド、少なくとも約30ヌクレオチド、少なくとも約60ヌクレオチド、少なくとも約100ヌクレオチド、少なくとも約200ヌクレオチド、または少なくとも約300ヌクレオチドを含む。
Ra12ポリヌクレオチドは、ネイティブの配列(すなわち、Ra12ポリペプチドをコードする内因性の配列またはその一部)を含み得るか、または、そのような配列の改変体を含み得る。Ra12ポリヌクレオチド改変体は、コードされる融合ポリペプチドの生物学的活性が、ネイティブなRa12ポリペプチドを含む融合ポリペプチドと比較して、実質的に減少しないような1つ以上の置換、付加、欠失、および/または挿入を含み得る。改変体は、ネイティブなRa12ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドおよびその一部に対して、好ましくは少なくとも約70%の同一性、より好ましくは少なくとも約80%の同一性、最も好ましくは少なくとも約90%の同一性を示す。
他の好ましい実施形態において、免疫学的融合パートナーは、グラム陰性の細菌Haemophilus influenza Bの表面タンパク質である、プロテインD(WO 91/18926)に由来する。好ましくは、プロテインD誘導体は、ほぼ3分の1の最初のタンパク質(例えば、最初のN末端100〜110アミノ酸)を含み、そしてプロテインD誘導体は、脂質化(lipidated)され得る。特定の好ましい実施形態において、リポタンパク質D融合パートナーの最初の109残基は、さらなる外因性T細胞エピトープを有するポリペプチドを提供するように、そしてE.coli中の発現レベルを増加する(従って、発現エンハンサーとして機能する)ように、N末端に含まれる。脂質テールは、抗原提示細胞への抗原の最適な提示を保証する。他の融合パートナーは、インフルエンザウイルス由来の非構造タンパク質、NS1(血球凝集素)を含む。代表的に、N末端の81アミノ酸が用いられるが、Tヘルパーエピトープを含む異なるフラグメントが用いられてもよい。
別の実施形態において、免疫学的融合パートナーは、LYTAとして公知のタンパク質、またはその部分(好ましくはC末端部分)である。LYTAは、アミダーゼLYTA(LytA遺伝子によりコードされる;Gene 43:265〜292,1986)として公知のN−アセチル−L−アラニンアミダーゼを合成するStreptococcus pneumoniae由来である。LYTAは、ペプチドグリカン骨格中の特定の結合を特異的に分解する自己溶解素である。LYTAタンパク質のC末端ドメインは、コリンまたはいくつかのコリンアナログ(例えば、DEAE)に対する親和性を担う。この性質は、融合タンパク質の発現のために有用なE.coli C−LYTA発現プラスミドの開発のために利用されてきた。アミノ末端にC−LYTAフラグメントを含むハイブリッドタンパク質の精製が、記載されている(Biotechnology 10:795〜798,1992を参照のこと)。好ましい実施形態において、LYTAの反復部分は、融合ポリペプチドに組み込まれ得る。反復部分は、残基178で開始するC末端領域中に見出される。特に好ましい反復部分は、残基188〜305を組み込む。
なお別の例示的な実施形態は、融合ポリペプチド、およびそれらをコードするポリヌクレオチドを含み、ここでこの融合パートナーは、米国特許第5,633,234号に記載のようにポリペプチドをエンドソーム/リソソームコンパートメントへ指向させ得る標的化シグナルを含む。本発明の免疫原性ポリペプチドは、この標的化シグナルと融合する場合、より効率的にMHCクラスII分子と結合し、これによってこのポリペプチドに特異的なCD4T細胞のインビボでの増強された刺激が提供される。
本発明のポリペプチドは、周知の種々の合成技術および/または組換え技術のいずれかを使用して調製される。これらの技術の後者を以下でさらに記載する。約150アミノ酸未満のポリペプチド、部分および他の改変体は、一般的に、当業者に周知の技術を使用して、合成手段により作製され得る。例示的な1つの実施例において、このようなポリペプチドは、市販される固相技術のいずれか(例えば、Merrifield固相合成方法)を使用して合成され、ここでアミノ酸は、成長しているアミノ酸鎖に連続的に付加される。Merrifield、J.Am.Chem.Soc.85:2149−2146、1963を参照のこと。ポリペプチドの自動化された合成のための機器が、Perkin Elmer/Applied BioSystems Division(Foster City,CA)などの供給業者から市販され、そして製造者の指示に従って操作され得る。
一般に、本発明のポリペプチド組成物(融合ポリペプチドを含む)が単離される。「単離された」ポリペプチドは、その元来の環境から取り出されたものである。例えば、天然に存在するタンパク質またはポリペプチドは、それが天然の系において共存する物質のいくつかまたは全てから分離されている場合、単離されている。好ましくは、このようなポリペプチドはまた、精製され、例えば、少なくとも約90%純粋、より好ましくは少なくとも約95%純粋、そして最も好ましくは少なくとも約99%純粋である。
(ポリヌクレオチド組成物)
他の局面において、本発明は、ポリヌクレオチド組成物を提供する。用語「DNA」および「ポリヌクレオチド」は、本明細書中で実質的に交換可能に使用され、特定の種の全ゲノムDNAを含まない単離されたDNA分子をいう。本明細書中で使用される場合、「単離された」は、ポリヌクレオチドが、他のコード配列から実質的に分離されており、そしてDNA分子が、無関係のコードDNAの大部分(例えば、大きな染色体フラグメントまたは他の機能的遺伝子またはポリペプチドコード領域)を含まないことを意味する。当然のことながら、これは、もともと単離されたDNA分子をいい、後で人為的にセグメントを付加された遺伝子またはコード領域を除外しない。
当業者に理解されるように、本発明のポリヌクレオチド組成物は、タンパク質、ポリペプチド、ペプチドなどを発現するか、または発現し得るように適応されたゲノム配列、ゲノム外配列およびプラスミドにコードされる配列、ならびにより小さな操作された遺伝子セグメントを含み得る。このようなセグメントは、自然に単離され得るか、または人の手によって合成的に改変され得る。
当業者に認識されるように、本発明のポリヌクレオチドは、一本鎖(コードもしくはアンチセンス)または二本鎖であり得、そしてDNA分子(ゲノム、cDNAもしくは合成)またはRNA分子であり得る。RNA分子は、HnRNA分子(これはイントロンを含み、そしてDNA分子に1対1の様式で対応する)、およびmRNA分子(これは、イントロンを含まない)を含み得る。さらなるコード配列または非コード配列は、本発明のポリヌクレオチド内に存在し得るがその必要はなく、そしてポリヌクレオチドは、他の分子および/または支持体材料に連結され得るがその必要はない。
ポリヌクレオチドは、ネイティブの配列(すなわち、本発明のポリペプチド/タンパク質、またはその部分をコードする内因性配列)を含み得るか、あるいはこのような配列の改変体または誘導体、そして好ましくは免疫原性改変体または誘導体をコードする配列を含み得る。
従って、本発明の別の局面に従い、配列番号1〜3、6〜8、10〜13、15〜27、29、30、32、34〜49、51、52、54、55、57〜59、61〜69、71、73、74、77、78、80〜82、84、86〜96、107〜109、111、113、125、127、128、129、131〜133、142、144、148〜151、153、154、157、158、160、167、168、171、179、182、184〜186、188〜191、193、194、198〜207、209、210、213、214、217、220〜224、253〜337、345、347、349、358、362、364、365、368、370〜375、420、424、428、431、434、442、447、450および467のいずれか1つに示されるポリヌクレオチド配列、配列番号1〜3、6〜8、10〜13、15〜27、29、30、32、34〜49、51、52、54、55、57〜59、61〜69、71、73、74、77、78、80〜82、84、86〜96、107〜109、111、113、125、127、128、129、131〜133、142、144、148〜151、153、154、157、158、160、167、168、171、179、182、184〜186、188〜191、193、194、198〜207、209、210、213、214、217、220〜224、253〜337、345、347、349、358、362、364、365、368、370〜375、420、424、428、431、434、442、447、450および467のいずれか1つに示されるポリヌクレオチド配列の相補体、ならびに配列番号1〜3、6〜8、10〜13、15〜27、29、30、32、34〜49、51、52、54、55、57〜59、61〜69、71、73、74、77、78、80〜82、84、86〜96、107〜109、111、113、125、127、128、129、131〜133、142、144、148〜151、153、154、157、158、160、167、168、171、179、182、184〜186、188〜191、193、194、198〜207、209、210、213、214、217、220〜224、253〜337、345、347、349、358、362、364、365、368、370〜375、420、424、428、431、434、442、447、450および467のいずれか1つに示されるポリヌクレオチド配列の縮重改変体のいくつかまたは全てを含むポリヌクレオチド組成物が提供される。特定の好ましい実施形態において、本明細書中に示されるポリヌクレオチド配列は、上記のような免疫原性ポリペプチドをコードする。
他の関連する実施形態において、本発明は、本明細書中で配列番号1〜3、6〜8、10〜13、15〜27、29、30、32、34〜49、51、52、54、55、57〜59、61〜69、71、73、74、77、78、80〜82、84、86〜96、107〜109、111、113、125、127、128、129、131〜133、142、144、148〜151、153、154、157、158、160、167、168、171、179、182、184〜186、188〜191、193、194、198〜207、209、210、213、214、217、220〜224、253〜337、345、347、349、358、362、364、365、368、370〜375、420、424、428、431、434、442、447、450および467に開示される配列に対して実質的な同一性を有するポリヌクレオチド改変体を提供する。例えば、これらは、本明細書中で記載の方法(例えば、以下に記載のような標準的なパラメータを使用するBLAST分析)を使用して、本発明のポリヌクレオチド配列と比較して、少なくとも70%の配列同一性、好ましくは少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%より高い配列同一性を含む。当業者は、これらの値が、コドンの縮重、アミノ酸類似性、リーディングフレームの位置などを考慮することによって、2つのヌクレオチド配列によってコードされるタンパク質の対応する同一性を決定するために、適切に調整され得ることを認識する。
代表的には、ポリヌクレオチド改変体は、1つ以上の置換、付加、欠失および/または挿入を含み、好ましくは、その結果、改変体ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの免疫原性が、本明細書中に具体的に示されるポリヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドに対して実質的に減少されない。用語「改変体」はまた、異種起源の相同遺伝子を包含することが理解されるべきである。
さらなる実施形態において、本発明は、本明細書中に開示された配列の1つ以上に同一であるかまたは相補的な配列の、種々の長さの連続したストレッチを含むポリヌクレオチドフラグメントを提供する。例えば、本明細書中に開示される配列の1つ以上の、少なくとも約10、15、20、30、40、50、75、100、150、200、300、400、500または1000以上連続したヌクレオチド、ならびにその間の全ての中間の長さの連続したヌクレオチドを含むポリヌクレオチドが、本発明によって提供される。この状況において、「中間の長さ」が、示された値の間の任意の長さ(例えば、16、17、18、19など;21、22、23など;30、31、32など;50、51、52、53など;100、101、102、103など;150、151、152、153など;200〜500;500〜1,000などの間の全ての整数を含む)を意味することが容易に理解される。
本発明の別の実施形態において、本明細書において提供されるポリヌクレオチド配列もしくはそのフラグメントまたはその相補的な配列に対して、中程度〜高いストリンジェンシー条件下でハイブリダイズし得るポリヌクレオチド組成物が提供される。ハイブリダイゼーション技術は、分子生物学の当該分野において周知である。例示の目的であるが、他のポリヌクレオチドと本発明のポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーションを試験するために適切な中程度にストリンジェントな条件は、5×SSC、0.5% SDS、1.0mM EDTA(pH8.0)の溶液中の事前洗浄;50℃〜60℃、5×SSCでの、一晩のハイブリダイゼーション;続いて、0.1%SDSを含有する2×、0.5×および0.2×SSCのそれぞれを用いた、65℃で20分間の2回の洗浄を含む。当業者は、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーが、例えば、ハイブリダイゼーション溶液の塩含量および/またはハイブリダイゼーションが実施される温度を変更することによって、容易に操作され得ることを理解する。例えば、別の実施形態において、適切な高いストリンジェントのハイブリダイゼーション条件としては、ハイブリダイゼーションの温度が、例えば、60〜65℃または65〜70℃に増大される点を除いて、上記の条件が挙げられる。
特定の好ましい実施形態において、上記のポリヌクレオチド(例えば、ポリヌクレオチド改変体、フラグメント、およびハイブリダイズする配列)は、本明細書中に具体的に示されるポリペプチド配列と免疫学的に交差反応するポリペプチドをコードする。他の好ましい実施形態において、このようなポリヌクレオチドは、本明細書中に具体的に示されるポリペプチド配列の免疫原性活性の、少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約70%、そしてより好ましくは少なくとも約90%の免疫原性活性レベルを有するポリペプチドをコードする。
本発明のポリヌクレオチド、またはそのフラグメントは、そのコード配列自体の長さに関わらず、他のDNA配列(例えば、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、さらなる制限酵素部位、マルチクローニング部位、他のコードセグメントなど)と組合わされ得、その結果、その全体の長さは、相当変化し得る。従って、ほとんどいずれの長さの核酸フラグメントも使用され得ることが意図され、その全長は、好ましくは意図した組換えDNAプロトコルにおける調製および使用の容易さによって制限される。例えば、約10,000、約5000、約3000、約2,000、約1,000、約500、約200、約100、約50塩基対長など(全ての中間の長さを含む)の全長を有する例示的なポリヌクレオチドセグメントが、本発明の多くの実行において有用であることが意図される。
ポリヌクレオチド配列を比較する場合、2つの配列におけるヌクレオチドの配列が、以下に記載されるように最大一致について整列された場合に同じである場合、2つの配列が「同一」であるといわれる。2つの配列の間の比較は、代表的には、配列類似性の局部領域を同定および比較するために、比較ウインドウにわたって配列を比較することによって行われる。本明細書中で使用される場合、「比較ウインドウ」は、少なくとも約20、通常は30〜約75、40〜約50連続した位置のセグメントをいい、ここで、2つの配列が最適に整列された後に、配列は、連続した位置の同じ番号の参照配列と比較され得る。
比較のための配列の最適な整列は、バイオインフォマティクスソフトウエアのLasergene suiteにおけるMegalignプログラム(DNASTAR,Inc.,Madison,WI)を使用して、デフォルトパラメーターを用いて行われ得る。このプログラムは、以下の参考文献に記載のいくつかの整列スキームを統合する:Dayhoff,M.O.(1978)A model of evolutionary change in proteins−Matrices for detecting distant relationships.Dayhoff,M.O.(編)Atlas of Protein Sequence and Structure,National Biomedical Research Foundation,Washington DC 第5巻、補遺3、345〜358頁;Hein J.(1990)Unified Approach to Alignment and Phylogenes 626〜645頁 Methods in Enzymology 第183巻、Academic Press,Inc.,San Diego,CA;Higgins,D.G.およびSharp,P.M.(1989)CABIOS 5:151−153;Myers,E.W.およびMuller W.(1988)CABIOS 4:11−17;Robinson,E.D.(1971)Comb.Theor 11:105;Santou,N.Nes,M.(1987)Mol.Biol.Evol.4:406−425;Sneath,P.H.A.およびSokal,R.R.(1973)Numerical Taxonomy−the Principles and Practice of Numerical Taxonomy,Freeman Press,San Francisco,CA;Wilbur,W.J.およびLipman,D.J.(1983)Proc.Natl.Acad.,Sci.USA 80:726−730。
あるいは、比較のための配列の最適な整列は、SmithおよびWaterman(1981)Add.APL.Math 2:482の局部同定アルゴリズムによって、NeedlemanおよびWunsch(1970)J.Mol.Biol.48:443の同定整列アルゴリズムによって、PearsonおよびLipman(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444の類似性検索方法によって、これらのアルゴリズムのコンピュータによる実行(Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group(GCG),575 Science Dr.,Madison,WIにおけるGAP、BESTFIT、BLAST、FASTA、およびTFASTA)によって、または検査によって行われ得る。
配列同一性および配列類似性の割合を決定するために適切なアルゴリズムの1つの好ましい例は、BLASTおよびBLAST2.0アルゴリズムであり、これらはそれぞれ、Altschulら(1977)Nucl.Acids Res.25:3389−3402およびAltschulら(1990)J.Mol.Biol.215:403−410に記載される。BLASTおよびBLAST2.0は、本発明のポリヌクレオチドについての配列同一性の割合を決定するために、例えば、本明細書中に記載のパラメータを用いて使用され得る。BLAST分析を行うためのソフトウエアは、National Center for Biotechnology Infomationを通して公に利用可能である。1つの例示的な例において、累積スコアは、ヌクレオチド配列について、パラメータM(一致する残基の対についての報酬スコア(reward score);常に>0)およびN(ミスマッチ残基についてのペナルティスコア;常に<0)を使用して算出され得る。各指示におけるワードヒットの拡大は、以下の場合に停止する:累積整列スコアが、その最大到達値から量Xだけ低下した場合;累積スコアが、1以上の負のスコアの残基整列の累積に起因してゼロ以下になった場合;またはいずれかの配列の末端に到達した場合。このBLASTアルゴリズムパラメーターW、TおよびXは、整列の感度および速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列について)は、ワード長(W)11、および期待値(E)10をデフォルトとして使用し、そしてBLOSUM62スコアリングマトリックス(HenikoffおよびHenikoff(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915を参照のこと)アラインメントは、(B)50、期待値(E)10、M=5、N=−4、および両方の鎖の比較を使用する。
好ましくは、「配列同一性のパーセンテージ」は、少なくとも20の位置の比較ウインドウにわたって2つの最適に整列した配列を比較することによって決定され、ここで比較ウインドウ中のポリヌクレオチド配列の一部は、参照配列(これは、付加または欠失を含まない)と比較して、2つの配列の最適な整列について20パーセント以下、通常は5〜15パーセント、または10〜12パーセントの付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。このパーセンテージは、両方の配列で同一の核酸塩基が生じる位置の数を決定して一致する位置の数を得、この一致する位置の数を参照配列中の位置の総数(すなわち、ウインドウサイズ)で除算し、そしてこの結果に100を掛けて配列同一性のパーセンテージを得ることによって算出される。
遺伝コードの縮重の結果として、本明細書中に記載されるようなポリペプチドをコードする多くのヌクレオチド配列が存在することが、当業者に理解される。これらのポリヌクレオチドのうちいくつかは、任意のネイティブな遺伝子のヌクレオチド配列に対して最小の相同性を有する。それにもかかわらず、コドンの用法における差異に起因して変化するポリヌクレオチドは、本発明によって具体的に意図される。さらに、本明細書中に提供されるポリヌクレオチド配列を含む遺伝子の対立遺伝子は、本発明の範囲内である。対立遺伝子は、1以上の変異(例えば、ヌクレオチドの欠失、付加および/または置換)の結果として変化する内因性遺伝子である。得られたmRNAおよびタンパク質は、変化した構造または機能を有し得るが、有さなくてもよい。対立遺伝子は、標準的な技術(例えば、ハイブリダイゼーション、増幅および/またはデータベース配列比較)を用いて、同定され得る。
従って、本発明の別の実施形態において、変異誘発アプローチ(例えば、部位特異的変異誘発)は、本明細書中に記載のポリペプチドの免疫原性改変体および/または誘導体の調製のために使用される。このアプローチによって、ポリペプチド配列における特定の改変が、これらをコードする、基礎となるポリヌクレオチドの変異誘発を介してなされ得る。これらの技術は、例えば、ポリヌクレオチド中に1つ以上のヌクレオチド配列変化を導入することによって先の考慮の1つ以上を具体化する、配列改変体を調製および試験するための直接的なアプローチを提供する。
部位特異的変異誘発は、所望の変異のDNA配列をコードする特定のオリゴヌクレオチド配列ならびに十分な数の隣接ヌクレオチドの使用を介して変異体の生成を可能にし、相対する欠失連結部の両側に安定な二重鎖を形成するために、十分なサイズおよび配列複雑性を有するプライマー配列を提供する。変異は、ポリヌクレオチド自体の特性を改善するか、変更するか、減少させるか、改変するか、さもなければ変化させるため、そして/またはコードされたポリペプチドの特性、活性、組成、安定性または一次配列を変更するために、選択されたポリヌクレオチド配列において使用され得る。
本発明の特定の実施形態において、本発明者らは、コードされたポリペプチドの1つ以上の特性(例えば、ポリペプチドワクチンの免疫原性)を変更するための、開示されたポリヌクレオチド配列の変異誘発を意図する。部位特異的変異誘発の技術は、当該分野に周知であり、ポリペプチドおよびポリヌクレオチドの両方の改変体を作製するために広範に使用される。例えば、部位特異的変異誘発は、しばしば、DNA分子の特定部分を変更するために使用される。このような実施形態において、代表的に約14ヌクレオチド長〜約25ヌクレオチド長程度の長さを含むプライマーが使用され、配列の連結部の両側にある、約5残基〜約10残基が変更される。
当業者によって理解されるように、部位特異的変異誘発技術は、しばしば、一本鎖形態および二本鎖形態の両方で存在するファージベクターを使用してきた。部位特異的変異誘発において有用である代表的なベクターとしては、例えば、M13ファージのようなベクターが挙げられる。これらのファージは、容易に商業的に入手可能であり、そしてそれらの使用は、一般的に当業者に周知である。二本鎖プラスミドもまた、目的の遺伝子をプラスミドからファージに転移する工程を除去する部位特異的変異誘発において慣用的に使用される。
一般的に、本明細書に従う部位特異的変異誘発は、所望のペプチドをコードするDNA配列をその配列中に含む一本鎖ベクターを最初に入手する工程、または二本鎖ベクターの2本の鎖を融解して分ける工程によって実行される。所望の変異配列を保有するオリゴヌクレオチドプライマーは、一般的に、合成的に調製される。次いで、このプライマーは、一本鎖ベクターとアニーリングされ、そして変異を保有する鎖の合成を完了するために、DNA重合酵素(例えば、E.coliポリメラーゼI Klenowフラグメント)に供される。それによって、ヘテロ二重鎖が形成され、ここで一方の鎖が変異を有さない元々の鎖をコードし、そして2つ目の鎖は所望の変異を保有する。次いで、このヘテロ二重鎖ベクターは、適切な細胞(例えば、E.coli細胞)を形質転換するために使用され、そして、変異した配列配置を保有する組換えベクターを含むクローンが選択される。
部位特異的変異誘発を使用する、選択されたペプチドコードDNAセグメントの配列改変体の調製は、潜在的に有用な種を産生する手段を提供し、そしてこれは、限定を意味するものではない。なぜなら、ペプチドの配列改変体およびそれらをコードするDNA配列を入手し得る他の方法が存在するからである。例えば、所望のペプチド配列をコードする組換えベクターは、変異誘発剤(例えば、ヒドロキシルアミン)で処理されて、配列改変体を入手し得る。これらの方法およびプロトコルに関する具体的な詳細は、Maloyら、1994;Segal、1976;ProkopおよびBajpai、1991;Kuby、1994;およびManiatisら、1982(各々がその目的のために本明細書中に参考として援用される)の教示において見出され得る。
本明細書中で使用される場合、用語「オリゴヌクレオチド特異的変異誘発手順」とは、鋳型依存的プロセスおよびベクター媒介性増殖をいい、これは、その初期の濃度と比較して、特定の核酸分子の濃度の増加を生じるか、または検出可能なシグナルの濃度の増加(例えば、増幅)を生じる。本明細書中で使用される場合、用語「オリゴヌクレオチド特異的変異誘発手順」は、プライマー分子の鋳型依存的な伸長を含むプロセスをいうことが意図される。用語、鋳型依存的プロセスとは、RNA分子またはDNA分子の核酸合成をいい、ここで新規に合成された核酸の鎖の配列は、相補的塩基対形成の周知の規則によって指示される(例えば、Watson、1987を参照のこと)。代表的には、ベクター媒介性の方法論は、DNAまたはRNAベクターへの核酸フラグメントの導入、ベクターのクローン増幅、および増幅した核酸フラグメントの回収を包含する。これらの方法論の例は、その全体が具体的に参考として本明細書中に援用される、米国特許第4,237,224号によって提供される。
本発明のポリペプチド改変体の生成のための別のアプローチにおいて、米国特許第5,837,458号に記載のような、再帰的な配列組換えが使用され得る。このアプローチにおいて、組換えおよびスクリーニングまたは選択の反復性のサイクルが実施されて、例えば、増強された免疫原性活性を有する本発明の個々のポリヌクレオチド改変体を「展開させる」。
本発明の他の実施形態において、本明細書中に提供されるポリヌクレオチド配列は、核酸ハイブリダイゼーションのためのプローブまたはプライマーとして、有利に使用され得る。このように、本明細書中に開示される15ヌクレオチド長の連続配列と同じ配列か、またはこれに相補的な配列を有する、少なくとも約15ヌクレオチド長の連続配列の配列領域を含むか、またはその領域からなる核酸セグメントが特定の有用性を見出すことが、意図される。例えば、約20、30、40、50、100、200、500、1000(全ての中間の長さを含む)およびまさに全長配列までの、より長い連続した同一配列または相補的な配列がまた、特定の実施形態において使用される。
このような核酸プローブが目的の配列に特異的にハイブリダイズする能力は、所定のサンプル中の相補的配列の存在を検出する際にこれらが使用されることを可能にする。しかし、他の用途(例えば、変異種プライマーまたは他の遺伝的構築物の調製の際の使用のためのプライマーを調製するための配列情報の使用)がまた意図される。
10〜14、15〜20、30、50、または100〜200ヌクレオチド程度(同様に中間の長さを含む)の連続したヌクレオチドストレッチからなる配列領域を有し、本明細書中に開示されるポリヌクレオチド配列と同一または相補的なポリヌクレオチド分子は、例えばサザンブロッティングまたはノーザンブロッティングにおける使用のためのハイブリダイゼーションプローブとして特に意図される。これは、遺伝子産物またはそのフラグメントの、多様な細胞型およびまた種々の細菌細胞の両方における分析を可能とする。フラグメントの全サイズ、ならびに相補的ストレッチのサイズは、究極的には、特定の核酸セグメントの意図される用途または適用に依存する。より小さなフラグメントは、一般にハイブリダイゼーション実施形態における用途を見出し、ここで連続した相補領域の長さが変化され得る(例えば、約15ヌクレオチドと約100ヌクレオチドとの間)が、検出を望む相補配列の長さに従って、より長い連続した相補ストレッチが使用され得る。
約15〜25ヌクレオチド長のハイブリダイゼーションプローブの使用は、安定で選択的な二重鎖分子の形成を可能にする。しかし、15塩基長より長いストレッチの連続した相補配列を有する分子が、ハイブリッドの安定性および選択性を増加するために一般に好ましく、それによって、得られる特異的ハイブリッド分子の質および程度が改善される。15〜25の連続したヌクレオチド、または望まれる場合にはより長い遺伝子相補的ストレッチを有する核酸分子を設計するのが一般には好ましい。
ハイブリダイゼーションプローブは、本明細書中に開示される配列のいずれかの、任意の部分から選択され得る。必要とされることの全ては、本明細書中に記載の配列、あるいはプローブまたはプライマーとしての利用を望む場合は、約15〜25ヌクレオチド長から全長配列まで、および全長配列を含む配列の任意の連続した部分までを再検討することである。プローブおよびプライマー配列の選択は、種々の要因によって支配され得る。例えば、全配列の末端に向かってプライマーを使用することが望まれ得る。
小さなポリヌクレオチドセグメントまたはフラグメントは、通常は自動オリゴヌクレオチド合成機を使用して行われるので、例えば化学的手段によってフラグメントを直接合成することによって、容易に調製され得る。また、フラグメントは、核酸複製技術(例えば、米国特許第4,683,202号(本明細書中に参考として援用される)のPCRTM技術)の適用によって、組換え産物のために選択配列を組換えベクターに導入することによって、および一般に分子生物学の分野の当業者に公知の他の組換えDNA技術によって、得られ得る。
本発明のヌクレオチド配列は、目的の完全遺伝子または遺伝子フラグメントのいずれかの相補的ストレッチと、二重鎖分子を選択的に形成するその能力のために使用され得る。想定される適用に依存して、代表的には、標的配列に対するプローブの選択性の種々の程度に達するために、ハイブリダイゼーションの種々の条件を使用することが望ましい。高い選択性を必要とする適用について、代表的には、ハイブリッドを形成するための比較的ストリンジェントな条件(例えば、比較的低濃度の塩、および/または高温の条件(例えば、約50℃〜約70℃の温度で、約0.02M〜約0.15Mの塩の塩濃度によって提供されるような)を使用することが望ましい。このような選択条件は、プローブとテンプレートまたは標的鎖との間のミスマッチに、存在するとしても、ほとんど許容性がなく、そして関連する配列の単離のために特に適切である。
当然のことながら、いくつかの適用(例えば、潜在的なテンプレートにハイブリダイズする変異体プライマー鎖を使用する、変異体の調製が望ましい場合)について、低ストリンジェント(減少したストリンジェンシー)のハイブリダイゼーション条件は、ヘテロ二重鎖を形成するために代表的に必要とされる。これらの状況において、約20℃〜約55℃の温度範囲で約0.15M〜約0.9Mの塩の条件のような塩条件を使用することが望ましくあり得る。これによって、交差ハイブリダイズ種は、コントロールハイブリダイゼーションに関して、陽性ハイブリダイズシグナルとして容易に同定され得る。任意の場合において、ホルムアミド(これは、増加した温度と同じ様式で、ハイブリッド二重鎖を不安定化するように作用する)の増加した量の添加によって、条件がよりストリンジェントになり得ることが一般に理解される。従って、ハイブリダイゼーション条件は、容易に操作され得、従って、一般に、所望の結果に依存する最良の方法である。
本発明の別の実施形態に従って、アンチセンスオリゴヌクレオチドを含むポリヌクレオチド組成物が、提供される。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、タンパク質合成の効果的かつ標識化インヒビターであることが実証され、そして治療的なアプローチを結果的に提供し、そのアプローチにより、疾患は、その疾患に起因するタンパク質の合成を阻害することによって処置され得る。タンパク質合成を阻害するためのアンチセンスオリゴヌクレオチドの効力は、十分に確立されている。例えば、ポリガラクタウロナーゼ(polygalactauronase)の合成およびムスカリン2型アセチルコリンレセプターは、そのそれぞれのmRNA配列に特異的なアンチセンスオリゴヌクレオチドによって阻害される(米国特許第5,739,119号および米国特許第5,759,829号)。さらに、アンチセンス阻害の例が、核タンパク質サイクリン、多剤耐性遺伝子(MDG1)、ICAM−1、E−セレクチン、STK−1、線条体GABAレセプターおよびヒトEGFを用いて示されている(Jaskulskiら、Science 1988 Jun 10;240(4858):1544−6;VasanthakumarおよびAhmed、Cancer Commun.1989;1(4):225−32;Perisら、Brain Res Mol Brain Res.1998 Jun 15;57(2)310−20;米国特許第5,801,154号;同第5,789,573号;同第5,718,709号および同第5,610,288号)。種々の異常な細胞増殖(例えば、癌)を阻害しそして処置するために使用され得る、アンチセンス構築物もまた、記載されている(米国特許第5,747,470号;同第5,591,317号および同第5,783,683号)。
従って、特定の実施形態において、本発明は、本明細書中に記載されるポリヌクレオチド配列に特異的に結合し得る任意の配列もしくはその相補体の全てまたは一部を含む、オリゴヌクレオチド配列を提供する。1つの実施形態において、そのアンチセンスオリゴヌクレオチドは、DNAまたはその誘導体を含む。別の実施形態において、そのオリゴヌクレオチドは、RNAまたはその誘導体を含む。第3の実施形態において、そのオリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエート改変骨格を含む、改変DNAである。第4の実施形態において、そのオリゴヌクレオチド配列は、ペプチド核酸またはその誘導体を含む。各場合において、好ましい組成物は、本明細書中に開示されるポリヌクレオチドのうちの1つ以上の部分に相補的な、より好ましくは実質的に相補的な、そしてさらにより好ましくは完全に相補的な、配列領域を含む。所定の遺伝子配列に特異的なアンチセンス組成物の選択は、選択された標的配列の分析に基づき、そして二次構造、T、結合エネルギー、および相対的安定性の決定に基づく。アンチセンス組成物は、二量体、ヘアピン、または宿主細胞において標的mRNAへの特異的結合を減少または妨げる他の二次構造をそれらが形成できない相対的能力に基づいて選択され得る。mRNAの非常に好ましい標的領域は、AUG翻訳開始コドンの領域またはその付近の領域、およびmRNAの5’領域と実質的に相補的な配列である。これらの二次構造分析および標的部位選択の考慮は、例えば、OLIGOプライマー分析ソフトウエアのv.4およびBLASTN 2.0.5アルゴリズムソフトウェア(Altschulら、Nucleic Acids Res.1997,25(17):3389−402)を使用して実施され得る。
短いペプチドベクター(MPG(27残基)と称する)を使用するアンチセンス送達法の使用もまた意図される。このMPGペプチドは、HIV gp41の融合配列由来の疎水性ドメインと、SV40 T抗原の核局在化配列由来の親水性ドメインとを含む(Morrisら、Nucleic Acids Res.1997 Jul 15;25(14):2730−6)。このMPGペプチドのいくつかの分子がアンチセンスオリゴヌクレオチドをコートし、そして比較的高効率(90%)で1時間未満で培養哺乳動物細胞へと送達され得ることが示された。さらに、MPGとの相互作用は、ヌクレアーゼに対するそのオリゴヌクレオチドの安定性および形質膜を横切る能力の両方を強力に増加させる。
本発明の別の実施形態に従って、本明細書中に記載されるポリヌクレオチド組成物は、腫瘍ポリヌクレオチドおよび腫瘍細胞における本発明のタンパク質の発現を阻害するためのリボンザイム分子の設計および調製に使用される。リボザイムは、部位特異的様式で核酸を切断するRNA−タンパク質複合体である。リボザイムは、エンドヌクレアーゼ活性を保有する特異的触媒ドメインを有する(KimおよびCech、Proc Natl Acad Sci U S A.1987 Dec;84(24):8788−92;ForsterおよびSymons、Cell.1987 Apr 24;49(2)211−20)。例えば、多数のリボザイムが、高い程度の特異性でホスホエステル転移反応を促進し、しばしば、オリゴヌクレオチド基質中の数個のホスホエステルのうちの1つだけを切断する(Cechら、Cell.1981 Dec;27(3 Pt 2):487−96;MichelおよびWesthof、J Mol Biol.1990 Dec 5;216(3):585−610;Reinhold−HurekおよびShub、Nature.1992 May 14;357(6374):173−6)。この特異性は、この基質が、化学反応の前にリボザイムの内部ガイド配列(「IGS」)との特異的塩基対形成相互作用を介して結合するという要件に帰する。
天然に存在する酵素的RNAの6つの基本的変種が、現在公知である。各々が、生理学的条件下で、イントランスで、RNAホスホジエステル結合の加水分解を触媒し得る(従って、他のRNA分子を切断し得る)。一般に、酵素的核酸は、まず、標的RNAへの結合によって作用する。このような結合は、標的RNAを切断するように作用する分子の酵素的部分に近接して保持される、酵素的核酸の標的結合部分を介して生じる。従って、その酵素的核酸はまず、標的RNAを認識し、次いで相補的塩基対形成を介してその標的RNAに結合し、そして一旦正確な部位に結合すると、その標的RNAを酵素的に切断するように作用する。このような標的RNAの戦略的切断は、コードされるタンパク質を直接合成する標的RNAの能力を破壊する。酵素的核酸がそのRNA標的に結合しそして切断した後、その酵素的核酸は、別の標的を探索するためにそのRNAから離れ、そして繰り返し、新しい標的に結合しそして切断し得る。
リボザイムの酵素特性は、多くの技術(例えば、アンチセンス技術(ここで、核酸分子は、翻訳を阻害するために核酸標的に簡単に結合する))に対して有利である。なぜなら、治療的処置に影響を与えるのに必要であるリボザイムの濃度は、アンチセンスオリゴヌクレオチの濃度よりも低いからである。この利点は、酵素学的に作用するリボザイムの能力を反映する。従って、単一のリボザイム分子は、標的RNAの多くの分子を切断し得る。さらに、このリボザイムは、高度に特異的なインヒビターであり、この阻害の特異性は、標的RNAに結合する塩基対形成の機構に依存するだけでなく、標的RNAの切断の機構にも依存する。切断部位付近の1個のミスマッチまたは塩基置換により、リボザイムの触媒活性が完全になくなり得る。アンチセンス分子内の同様のミスマッチでは、それらの作用は妨げられない(Woolfら、Proc Natl Acad Sci U S A.1992 Aug 15;89(16):7305−9)。従って、リボザイムの作用の特異性は、同じRNA部位に結合するアンチセンスオリゴヌクレオチドの作用の特異性よりも高い。
この酵素学的核酸分子は、ハンマーヘッド(hammerhead)モチーフ、ヘアピンモチーフ、δ型肝炎ウイルスモチーフ、I群イントロンモチーフまたはRNaseP RNAモチーフ(RNA誘導配列に関連する)あるいはNeurospora VS RNAモチーフに形成され得る。ハンマーヘッドモチーフの例は、Rossiら,Nucleic Acids Res.1992 Sep 11;20(17):4559−65に記載される。ヘアピンモチーフの例は、Hampelら(欧州特許出願公開番号EP 0360257)、HampelおよびTritz(Biochemistry 1989 Jun 13;28(12):4929−33)、Hampelら,Nucleic Acids Res.1990 Jan 25;18(2):299−304および米国特許第5,631,359号に記載される。δ型肝炎ウイルスモチーフの例は、PerrottaおよびBeen,Biochemistry.1992 Dec 1;31(47):11843−52に記載される;RNasePモチーフの例は、Guerrier−Takadaら,Cell.1983 Dec;35(3 Pt 2):849−57に記載される;Neurospora VS RNAリボザイムモチーフは、Collins(SavilleおよびCollins,Cell.1990 May 18;61(4):685−96;SavilleおよびCollins,Proc Natl Acad Sci U S A.1991 Oct 1;88(19):8826−30;CollinsおよびOlive,Biochemistry.1993 Mar 23;32(11):2795−9)に記載される;そしてI群イントロンの例は、米国特許第4,987,071号に記載される。本発明の酵素学的核酸分子において重要であることは、1以上の標的遺伝子RNA領域に相補的である特定の基質結合部位を有すること、およびこの分子にRNA切断活性を付与する、基質結合部位内のヌクレオチド配列またはこの基質結合部位の周囲のヌクレオチド配列を有することだけである。従って、リボザイム構築物は、本明細書中に記載される特定のモチーフに限定する必要はない。
リボザイムは、国際特許出願公開番号WO 93/23569および国際特許出願公開番号WO 94/02595(各々は、本明細書中で参考として詳細に援用される)に記載されるように設計され得、そして記載されるようにインビトロおよびインビボにおいて試験するために合成され得る。このようなリボザイムはまた、送達するために最適化され得る。特定の例が提供されるが、当業者は、他の種において等価なRNA標的が、必要な場合に利用され得ることを理解する。
リボザイムの活性は、リボザイムの結合アームの長さを変更することにより、または血清リボヌクレアーゼによる分解を防ぐ改変(例えば、国際特許出願公開番号WO 92/07065;国際特許出願公開番号WO 93/15187;国際特許出願公開番号WO 91/03162;欧州特許出願公開番号92110298.4;米国特許第5,334,711号、および国際特許出願公開番号WO 94/13688(これには、酵素学的RNA分子の糖部分に対して成され得る、種々の化学的修飾が記載される)を参照のこと)、細胞中でのリボザイムの有効性を増強する改変、ならびにRNAの合成時間を短縮および化学的必要性を低下させるための幹(stem)II塩基を除去して、リボザイムを化学的に合成することによって最適化され得る。
Sullivanら(国際特許出願公開番号WO 94/02595)は、酵素学的RNA分子の送達のための一般的な方法を記載する。リボザイムは、当業者に公知の種々の方法によって細胞に投与され得、これらには、リポソームへのカプセル化、イオン泳動法、あるいは、他のビヒクル(例えば、ヒドロゲル、シクロデキストリン、生分解性ナノカプセルおよび生体接着性ミクロスフィア)への取り込みによるもの、が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの徴候のために、リボザイムは、エキソビボで細胞または組織に、上記のビヒクルを使用してか、または使用せずに直接送達され得る。あるいは、RNA/ビヒクルの組合せは、直接的な吸入、直接的な注射、またはカテーテル、注入ポンプまたはステントの使用により、局所的に送達され得る。他の送達経路としては、血管内注射、筋内注射、皮下注射または関節注射、エアロゾル吸入、経口送達(錠形態または丸薬形態)、局所送達、全身送達、眼送達、腹腔内送達および/またはくも膜下腔内送達が挙げられるが、これらに限定されない。リボザイム送達および投与のより詳細な記載は、国際特許出願公開番号WO 94/02595および国際特許出願公開番号WO 93/23569(各々は、本明細書中で参考として詳細に援用される)に提供される。
高濃度のリボザイムを細胞内に蓄積する別の手段は、リボザイムコード配列をDNA発現ベクターに組み込むことである。リボザイム配列の転写は、真核生物RNAポリメラーゼI(pol I)、RNAポリメラーゼII(pol II)、またはRNAポリメラーゼIII(pol III)のためのプロモーターにより駆動される。pol IIプロモーターまたはpol IIIプロモーターからの転写物は、全ての細胞内で高レベルで発現される;所定の細胞型における所定のpol IIプロモーターのレベルは、近くに存在する遺伝子調節配列(エンハンサー、サイレンサーなど)の性質に依存する。原核生物のRNAポリメラーゼプロモーターもまた使用され得るが、但し、原核生物RNAポリメラーゼ酵素は、適切な細胞において発現される。このようなプロモーターから発現するリボザイムは、哺乳動物細胞において機能することが示された。このような転写ユニットは、哺乳動物細胞内への導入のための種々のベクター(プラスミドDNAベクター、ウイルスDNAベクター(例えば、アデノウイルスベクターまたはアデノ随伴ベクター)、またはウイルスRNAベクター(例えば、レトロウイルスベクター、セムリキ森林ウイルスベクター、シンドビスウイルスベクター)が挙げられるがこれらに限定されない)に組み込まれ得る。
本発明の別の実施形態において、ペプチド核酸(PNA)組成物が提供される。PNAは、DNA模倣物であり、核酸塩基は、偽ペプチド骨格に結合される(GoodおよびNielsen、Antisense Nucleic Acid Drug Dev.1997 7(4)431〜37)。PNAは、RNAまたはDNAを伝統的に使用した多くの方法において利用され得る。しばしば、PNA配列は、対応するRNA配列またはDNA配列よりも技術的により良く実施され、そしてRNAにもDNAにも固有でない有用性を有する。産生方法、特徴、および使用方法を含むPNAの総説は、Corey(Trends Biotechnol 1997 6月;15(6):224〜9)によって提供される。このように、特定の実施形態において、ACE mRNA配列の1以上の部分に相補的であるPNA配列を調製し得、そしてこのようなPNA組成物は、ACE−特異的mRNAの翻訳を調節、変更、減少、または低下させるために使用され得、これにより、このようなPNA組成物が投与された宿主細胞におけるACE活性のレベルを変更する。
PNAは、DNAの正常なホスホジエステル骨格を置換する2−アミノエチル−グリシン連結を有する(Nielsenら、Science 1991 12月 6;254(5037):1497〜500;Hanveyら、Science.1992 11月 27;258(5087):1481〜5;HyrupおよびNielsen,Bioorg Med Chem.1996 1月;4(1):5〜23)。この化学は、3つの重要な結果を有する。第1に、DNAまたはホスホロチオエートオリゴヌクレオチドと比較して、PNAは、中性の分子であり;第2に、PNAは、アキラル(立体選択的な合成を開発する必要を避ける)であり;そして第3に、PNA合成は、標準的なBocプロトコルまたはFmocプロトコルを、固相ペプチド合成に使用する。一方、改良型Merrifield法を含む他の方法が使用されている。
PNAモノマーまたは既製のオリゴマーは、PerSeptive Biosystems(Framingham,MA)から市販されている。BocプロトコルまたはFmocプロトコルのいずれかによるPNAの合成は、手動プロトコルまたは自動プロトコルを使用して簡単に実施される(Nortonら、Bioorg Med Chem.1995 4月;3(4):437〜45)。このマニュアルプロトコルは、それ自体で、化学的に修飾されたPNAの産生または密接に関係するPNAのファミリーの同時合成を導く。
ペプチドの合成に関して、特定のPNA合成の成功は、選択した配列の特性に依存する。例えば、理論上、PNAは、ヌクレオチド塩基の任意の組合せを取り込み得るが、隣接するプリンの存在は、産物中に1以上の残基の欠失を導き得る。この困難性の見込みにおいて、隣接するプリンを有するPNAを産生する際に、非効率的に加えられているようである残基の連結を繰り返すべきであることを提案する。この後、ペプチド合成の間に観測されるのと類似する産物の収率および純度を提供する逆相高圧液体クロマトグラフィーによってPNAを精製するべきである。
所与の適用のためのPNAの修飾が、固相合成の間にアミノ酸を連結することによって、または露出されたN末端アミンにカルボン酸基を含む化合物を付加することによって達成され得る。あるいは、PNAは、導入されたリジンまたはシステインに連結することによって合成した後に修飾され得る。PNAが修飾され得る簡便さにより、より良い溶解度または特定の機能的必要条件の最適化を容易にする。一旦合成されると、PNAおよびそれらの誘導体の同定は、質量分析法によって確認され得る。いくつかの研究が、PNAの修飾物を作製および利用した(例えば、Nortonら、Bioorg Med Chem.1995 4月;3(4):437〜45;Petersenら、J Pept Sci.1995 5〜6月;1(3)175〜83;Orumら、Biotechniques.1995 9月;19(3):472〜80;Footerら、Biochemistry.1996 8月 20;35(33):10673〜9;Griffithら、Nucleic Acid Res.1995 8月 11;23(15):3003〜8;Pardridgeら、Proc Natl Acad Sci USA 1995 6月 6;92(12):5592〜6;Boffaら、Proc Natl Acad Sci USA 1995 3月 14;92(6):1901〜5;Gambacorti−Passeriniら、Blood、1996 8月 15;88(4):1411〜7;Armitageら、Proc Natl Acad Sci USA、1997 11月 11;94(23):12320〜5;Seegerら、Biotechniques、1997 9月;23(3):512〜7)。米国特許第5,700,922号は、PNA−DNA−PNAキメラ分子および診断におけるその分子の使用、生物におけるタンパク質の調節、ならびに治療に対して影響を受け易い状態の処置について議論する。
PNAのアンチセンス結合特性を特徴づけする方法は、Rose(Anal Chem、1993 12月 15;65(24):3545〜9)およびJensenら(Biochemistry、1997 4月 22;36(16):5072〜7)において議論される。Roseは、キャピラリーゲル電気泳動を使用して、相対的な結合速度論および化学量論を測定することで、PNAのそれらの相補的オリゴヌクレオチドに対する結合を決定する。同様のタイプの測定が、BIAcoreTM 技術を使用してJensenらによって成された。
記載され、そして当業者に明らかであるPNAの他の適用には、DNA鎖の侵入、アンチセンス阻害、変異分析、転写のエンハンサー、核酸の精製、転写活性遺伝子の単離、転写因子結合の阻害、ゲノムの切断、バイオセンサー、インサイチュハイブリダイゼーションなどにおける使用が挙げられる。
(ポリヌクレオチドの同定、特徴づけおよび発現)
本発明のポリヌクレオチド組成物は、種々の十分に確立された技術のいずれかを使用して、同定、調製および/または操作され得る(一般に、Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratories,Cold Spring Harbor,NY,1989、および他の類似の参考文献を参照のこと)。例えば、ポリヌクレオチドは、腫瘍に関連する発現(すなわち、本明細書中で提供される代表的なアッセイを使用して決定する場合、正常な組織における発現よりも、腫瘍における少なくとも2倍高い発現)についてcDNAのマイクロアレイをスクリーニングすることによって、下でさらに詳細に記載されるように。同定され得る。このようなスクリーニングは、例えば、製造者の指示に従って、Affymetrix,Inc.(Santa Clara、CA)のマイクロアレイ技術を使用して、(そして本質的にSchenaら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:10614〜10619,1996およびHellerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:2150〜2155,1997に記載されるように)、行われ得る。あるいは、ポリヌクレオチドは、本明細書中に記載されるタンパク質を発現する細胞(例えば、腫瘍細胞)から調製されるcDNAから増幅され得る。
多数の鋳型依存性プロセスが、サンプル中に存在する目的の標的配列を増幅するために利用可能である。最もよく知られた増幅方法の1つは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCRTM)であり、これは、米国特許第4,683,195号、同第4,683,202号、および同第4,800,159号に詳細に記載され、これらの各々はその全体が本明細書中に参考として援用される。手短に言えば、PCRTMにおいては、標的配列の向かい合った相補鎖上の領域に対して相補的な2つのプライマー配列が調製される。過剰のデオキシヌクレオシド三リン酸を、DNAポリメラーゼ(例えば、Taqポリメラーゼ)とともに反応混合液に添加する。標的配列がサンプル中に存在する場合、プライマーはその標的に結合し、そしてポリメラーゼは、ヌクレオチドを付加することによって標的配列に沿ってプライマーを伸長させる。反応混合液の温度を上昇および下降させることによって、伸長したプライマーは、標的から解離して反応生成物を形成し、過剰のプライマーは標的および反応生成物に結合し、そしてこのプロセスが反復される。好ましくは、逆転写およびPCRTM増幅手順が、増幅されたmRNAの量を定量するために実行され得る。ポリメラーゼ連鎖反応方法論は、当該分野で周知である。
多くの他の鋳型依存性プロセスのいずれか(この多くは、PCRTM増幅技術のバリエーションである)は、当該分野で容易に知られており、利用可能である。例示として、いくつかのこのような方法としては、リガーゼ連鎖反応(LCRともいわれる)(欧州特許出願公開番号320,308号、米国特許第4,883,750号において記載される);Qβレプリカーゼ(PCT国際特許出願公開番号PCT/US87/00880に記載される);鎖置換増幅(Strand Displacement Amplification)(SDA)および修復鎖反応(Repair Chain Reaction)(RCR)が挙げられる。なお他の増幅法は、英国特許出願番号2 202 328号およびPCT国際特許出願公開番号PCT/US89/01025において記載される。他の核酸増幅手順には、転写に基づく増幅系(TAS)(PCT国際特許出願公開番号WO 88/10315)が挙げられ、これには、核酸配列に基づく増幅(NASBA)および3SRが含まれる。欧州特許出願公開番号329,822は、一本鎖RNA(「ssRNA」)、ssDNA、および二本鎖DNA(dsDNA)をサイクル的に合成する工程を包含する核酸増殖プロセスを記載する。PCT国際特許出願公開番号WO 89/06700は、プロモーター/プライマー配列の標的一本鎖DNA(「ssDNA」)へのハイブリダイゼーションに基づく核酸配列増幅スキーム、引き続くこの配列の多くのRNAコピーの転写を記載する。「RACE」(Frohman、1990)および「片側(one−sided)PCR」(Ohara、1989)のような他の増幅方法はまた、当業者に周知である。
本発明のポリヌクレオチドの増幅した部分を使用して、適切なライブラリー(例えば、腫瘍cDNAライブラリー)から周知の技術を使用して全長遺伝子を単離し得る。このような技術において、増幅に適した1以上のポリヌクレオチドプローブまたはプライマーを使用して、ライブラリー(cDNAライブラリーまたはゲノムライブラリー)をスクリーニングする。好ましくは、ライブラリーはより大きな分子を含むようにサイズが選択される。無作為に準備されたライブラリー(random primed library)もまた、遺伝子の5’領域および上流領域の同定ために好ましくあり得る。ゲノムライブラリーは、イントロンを入手することおよび5’配列を伸長させることについて好ましい。
ハイブリダイゼーション技術に関して、部分配列は、周知の技術を使用して標識(例えば、ニックトランスレーションまたは32Pでの末端標識)され得る。次いで、細菌ライブラリーまたはバクテリオファージライブラリーは、一般に、標識プローブと、変性した細菌コロニー(またはファージプラークを含む菌叢)を含むフィルターとをハイブリダイズすることによってスクリーニングされる(Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratories,Cold Spring Harbor,NY,1989を参照のこと)。ハイブリダイズするコロニーまたはプラークを選択し、そして増殖させる。そしてそのDNAをさらなる分析のために単離する。cDNAクローンを、付加配列の量を決定するために、例えば、部分配列由来のプライマーおよびそのベクター由来のプライマーを使用するPCRによって分析し得る。制限地図および部分配列を作製して、1以上の重複クローンを同定し得る。次いで、標準的な技術(これは、一連の欠失クローンを作製することを包含し得る)を使用して完全配列を決定し得る。次いで、得られた重複配列を1つの連続配列中に構築し得る。周知の技術を使用して、適切なフラグメントに連結することにより全長cDNA分子を生成し得る。
あるいは、上記のような増幅技術は、部分的なcDNA配列から全長コード配列を得るために有用であり得る。このような増幅技術の1つは、インバースPCRである(Trigliaら,Nucl.Acids Res.16:8186,1988を参照のこと)。この技術は、制限酵素を使用して、その遺伝子の既知の領域内のフラグメントを生成する。次いで、このフラグメントを分子内連結により環状化し、そして既知の領域に由来する多岐したプライマーを用いたPCRのための鋳型として使用する。代替のアプローチにおいて、部分配列に隣接した配列を、リンカー配列に対するプライマーおよび既知の領域に特異的なプライマーを使用する増幅により取り出し得る。この増幅した配列を、代表的に、同じリンカープライマーおよび既知の領域に特異的な第2のプライマーを使用する2回目の増幅に供する。既知の配列から反対方向に伸長を開始する2つのプライマーを使用するこの手順についての改変は、WO 96/38591に記載される。そのような別の技術は、「迅速なcDNA末端の増幅」またはRACEとして公知である。この技術は、公知配列の5’および3’である配列を同定するために、内側プライマーおよび外側プライマー(これらは、ポリA領域またはベクター配列にハイブリダイズする)の使用を含む。さらなる技術としては、キャプチャーPCR(Langerstromら,PCR Methods Applic.1:111−19,1991)およびウォーキングPCR(Parkerら、Nucl.Acids.Res.19:3055−60,1991)が挙げられる。増幅を利用する他の方法もまた使用して、全長cDNA配列を入手し得る。
特定の場合において、発現配列タグ(EST)データベース(例えば、GenBankより入手可能のもの)に提供される配列の分析により、全長cDNA配列を入手することが可能である。重複ESTの検索は、一般に、周知のプログラム(例えば、NCBI BLAST検索)を使用して行われ得、そしてこのようなESTを使用して連続した全長配列を生成し得る。全長DNA配列はまた、ゲノムフラグメントの分析により入手され得る。
本発明の他の実施形態において、本発明のポリペプチドまたはその融合タンパク質もしくは機能的等価物をコードするポリヌクレオチド配列またはそのフラグメントは、適切な宿主細胞におけるポリペプチドの発現に方向付けるように組換えDNA分子において使用され得る。遺伝コードの固有の縮重に起因して、実質的に同じか、または機能的に等価なアミノ酸配列をコードする他のDNA配列が産生され得、そしてこれらの配列を使用して所定のポリペプチドをクローン化し、そして発現させ得る。
当業者によって理解されるように、いくつかの場合において、天然に存在しないコドンを所有するポリペプチドコードヌクレオチド配列を作製することが有利であり得る。例えば、特定の原核生物宿主または真核生物宿主に好まれるコドンは、タンパク質発現の速度を増加させるためか、または所望の特性(例えば、天然に存在する配列から生成される転写物の半減期よりも長い半減期)を有する組換えRNA転写物を産生するように選択され得る。
さらに、本発明のポリヌクレオチド配列は、種々の理由(遺伝子産物のクローニング、プロセシング、および/または発現を変更する改変が挙げられるが、それらに限定されない)のためにポリペプチドコード配列を変更するために、当該分野において一般的に公知の方法を使用して操作され得る。例えば、無作為切断によるDNAシャッフリングならびに遺伝子フラグメントおよび合成オリゴヌクレオチドのPCR再アセンブリを使用して、ヌクレオチド配列を操作し得る。さらに、部位指向性変異誘発(site−directed mutagenesis)を使用して、新たな制限部位を挿入し得るか、グリコシル化パターンを改変し得るか、コドン優先(preference)を変化させ得るか、スプライス改変体を作製し得るか、または変異を導入したりなどし得る。
本発明の別の実施形態において、天然の核酸配列、改変された核酸配列、または組換え核酸配列は、異種配列に連結されて融合タンパク質をコードし得る。例えば、ポリペプチド活性のインヒビターについてペプチドライブラリーをスクリーニングするために、市販の抗体により認識され得るキメラタンパク質をコードすることが有用であり得る。融合タンパク質はまた、ポリペプチドコード配列と異種タンパク質配列との間に位置する切断部位を含むように操作され得、その結果そのポリペプチドは、切断されて、そして異種部分から切り出されて精製され得る。
所望のポリペプチドをコードする配列が、当該分野において周知の化学的方法を使用して、全体または部分的に合成され得る(Caruthers,M.H.ら、(1980)Nucl.Acids Res.Symp.Ser.215〜223、Horn,T.ら、(1980)Nucl.Acids Res.Symp.Ser.225〜232を参照のこと)。あるいは、タンパク質自体は、ポリペプチドまたはその一部のアミノ酸配列を合成するための化学的方法を使用して産生され得る。例えば、ペプチド合成は、種々の固相技術を使用して実施され得(Roberge,J.Y.ら、(1995)Science 269:202〜204)、そして自動化合成は、例えば、ABI 431A Peptide Synthesizer(Perkin Elmer,Palo Alto,CA)を使用して達成され得る。
新たに合成されたペプチドは、分取用高速液体クロマトグラフィー(例えば、Creighton,T.(1983)Proteins,Structures and Molcular Principles,WH Freeman and Co.,New York,N.Y.)または当該分野において利用可能な他の同等技術により実質的に精製され得る。合成ペプチドの組成は、アミノ酸分析または配列決定(例えば、エドマン分解手順)により確認され得る。さらに、ポリペプチドまたはその任意の部分のアミノ酸配列は、直接合成の間改変されて、そして/または化学的方法を使用して、他のタンパク質もしくはその任意の部分に由来する配列と組み合わせられて、改変体ポリペプチドを産生し得る。
所望のポリペプチドを発現させるために、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列または機能的等価物は、適切な発現ベクター(すなわち、挿入されたコード配列の転写および翻訳のために必要なエレメントを含むベクター)内に挿入され得る。当業者に周知である方法を使用して、目的のポリペプチドをコードする配列および適切な転写制御エレメントおよび翻訳制御エレメントを含む発現ベクターを構築し得る。これらの方法としては、インビトロ組換えDNA技術、合成技術、およびインビボ遺伝子組換えが挙げられる。そのような技術は、例えば、Sambrook,J.ら、(1989)Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press,Plainview,N.Y.,およびAusubel,F.M.ら、(1989)Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,New York.N.Y.に記載される。
種々の発現ベクター/宿主系が、ポリヌクレオチド配列を含み、そして発現させるように利用され得る。これらとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:微生物(例えば、組換えバクテリオファージ、プラスミド、またはコスミドDNA発現ベクターで形質転換した細菌);酵母発現ベクターで形質転換した酵母;ウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)で感染させた昆虫細胞系;ウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)または細菌発現ベクター(例えば、TiもしくはpBR322プラスミド)で形質転換した植物細胞系;あるいは動物細胞系。
発現ベクター内に存在する「制御エレメント」または「調節配列」は、転写および翻訳を実行するように宿主細胞タンパク質と相互作用する、それらのベクターの非翻訳領域(エンハンサー、プロモーター、5’および3’非翻訳領域)である。そのようなエレメントは、その強さおよび特異性を変更し得る。利用されるベクター系および宿主に依存して、多数の適切な転写エレメントおよび翻訳エレメント(構成的プロモーターおよび誘導性プロモーターを含む)が使用され得る。例えば、細菌系においてクローニングする場合、誘導性プロモーター(例えば、PBLUESCRIPTファージミド(Stratagene,La Jolla,Calif.)またはPSPORT1プラスミド(Gibco BRL,Gaithersburg,MD)などのハイブリッドlacZプロモーターが使用され得る。哺乳動物細胞系において、哺乳動物遺伝子または哺乳動物ウイルスに由来するプロモーターが、一般的に好ましい。ポリペプチドをコードする配列の複数のコピーを含む細胞株を生成することが必要とされる場合、SV40またはEBVベースのベクターが、適切な選択マーカーと共に有利に使用され得る。
細菌系において、多数の発現ベクターのいずれかが、発現されるポリペプチドに対して意図される使用に依存して選択され得る。例えば、大量に必要とされる場合(例えば、抗体の誘導のために)、容易に精製される融合タンパク質の高レベルの発現を指向するベクターが使用され得る。そのようなベクターとしては、以下が挙げられるがそれらに限定されない:多機能性E.coliクローニングベクターおよび発現ベクター(例えば、BLUESCRIPT(Stratagene)、ここでは目的のポリペプチドをコードする配列が、β−ガラクトシダーゼのアミノ末端Metおよびそれに引続く7残基についての配列とインフレームでベクター内に連結され得、その結果、ハイブリッドタンパク質が産生される);pINベクター(Van Heeke,G.およびS.M.Schuster(1989)J.Biol.Chem.264:5503−5509)など。pGEXベクター(Promega,Madison,Wis.)もまた、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として外来ポリペプチドを発現させるために使用され得る。一般的に、そのような融合タンパク質は、可溶性であり、そしてグルタチオン−アガロースビーズに吸着させ、次に遊離のグルタチオンの存在下において溶出させることによって、溶解した細胞から容易に精製され得る。そのような系において作製されたタンパク質は、ヘパリン、トロンビン、または第XA因子プロテアーゼ切断部位を含むように設計され得、その結果、クローニングされた目的のポリペプチドが、随意にGST部分から放出され得る。
酵母(Saccharomyces cerevisiae)において、構成的プロモーターまたは誘導性プロモーター(例えば、α因子、アルコールオキシダーゼおよびPGH)を含む多数のベクターが使用され得る。概説については、Ausubelら、(前出)およびGrantら、(1987)Methods Enzymol.153:516−544を参照のこと。
植物発現ベクターを使用する場合において、ポリペプチドをコードする配列の発現は、多数のプロモーターのいずれかにより駆動され得る。例えば、ウイルスプロモーター(例えば、CaMVの35Sプロモーターおよび19Sプロモーター)は、単独でか、またはTMVに由来するωリーダー配列と組み合わせて使用され得る(Takamatsu,N.(1987)EMBO J.6:307−311)。あるいは、植物プロモーター(例えば、RUBISCOの小サブユニットまたは熱ショックプロモーター)を使用し得る(Coruzzi,G.ら、(1984)EMBO J.3:1671−1680;Broglie,R.ら、(1984)Science 224:838−843;およびWinter,Jら、(1991)Results Probl.Cell Differ.17:85−105)。これらの構築物は、直接的DNA形質転換または病原体媒介性トランスフェクションによって植物細胞内に導入され得る。そのような技術は、多数の一般的に入手可能な概説に記載されている(例えば、Hobbs,S.またはMurry,L.E.,McGraw Hill Yearbook of Science and Technology(1992)McGraw Hill,New York,N.Y.;191−196頁を参照のこと)。
昆虫系はまた、目的のポリペプチドを発現させるために使用され得る。例えば、そのような1つの系において、オートグラファカリフォルニア核発汗病ウイルス(Autographa californica nuclear polyhedrosis virus)(AcNPV)は、Spodoptera frugiperda細胞またはTrichoplusia larvaeにおいて外来遺伝子を発現させるベクターとして使用される。ポリペプチドをコードする配列は、ウイルスの非必須領域内(例えば、ポリへドリン(polyhedrin)遺伝子)にクローニングされ得て、ポリへドリンプロモーターの制御下に置かれ得る。ポリペプチドコード配列の首尾良い挿入は、ポリへドリン遺伝子を不活性化し、そしてコートタンパク質を欠損している組換えウイルスを産生する。次いで、この組換えウイルスを使用して、例えば、目的のポリペプチドが発現され得る、S.frugiperda細胞またはTrichoplusia larvaeに感染させ得る(Engelhard,E.K.ら、(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.91:3224−3227)。
哺乳動物宿主細胞において、多数のウイルスベースの発現系が一般的に利用可能である。例えば、アデノウイルスが、発現ベクターとして使用される場合において、目的のポリペプチドをコードする配列は、後期プロモーターおよび3部からなるリーダー配列から構成されるアデノウイルス転写/翻訳複合体内に連結され得る。ウイルスゲノムの非必須E1またはE3領域における挿入を使用して、感染した宿主細胞においてポリペプチドを発現し得る、生存可能ウイルスを入手し得る(Logan,J.およびShenk,T.(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.81:3655−3659)。さらに、転写エンハンサー(例えば、ラウス肉腫ウイルス(RSV)エンハンサー)を使用して、哺乳動物宿主細胞における発現を増加させ得る。
特定の開始シグナルはまた、目的のポリペプチドをコードする配列のより効率的な翻訳を達成するために使用され得る。そのようなシグナルとしては、ATG開始コドンおよび隣接配列が挙げられる。ポリペプチドをコードする配列、その開始コドンおよび上流配列が適切な発現ベクター内に挿入される場合において、さらなる転写制御シグナルまたは翻訳制御シグナルは必要とされなくとも良い。しかし、コード配列のみ、またはその一部のみが挿入される場合、ATG開始コドンを含む外因性翻訳制御シグナルが提供されるべきである。さらに、開始コドンは、インサート全体の翻訳を確実にするために正確なリーディングフレーム内にあるべきである。外因性翻訳エレメントおよび開始コドンは、種々の起源(天然および合成の両方)に由来し得る。発現の効率は、使用される特定の細胞系に適切なエンハンサー(例えば、文献(Scharf,D.ら、(1994)Results Probl.Cell Differ.20:125−162)に記載されるエンハンサー)の封入によって増大され得る。
さらに、宿主細胞株は、挿入された配列の発現を調節するか、または所望の様式において発現されたタンパク質をプロセシングするその能力について選択され得る。ポリペプチドのそのような改変としては、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、リピデーション(lipidation)およびアシル化が挙げられるが、これらに限定されない。タンパク質の「プレプロ」形態を切断する翻訳後プロセシングはまた、正確な挿入、折り畳みおよび/または機能を促進させるために使用され得る。異なる宿主細胞(例えば、CHO、COS、HeLa、MDCK、HEK293およびWI38)(これらは、そのような翻訳後活性についての特定の細胞機構(machinery)および特徴的機構(mechanisms)を有する)は、正確な改変および外来タンパク質のプロセシングを確実にするように選択され得る。
長期間の組換えタンパク質の高収率の産生のために、安定な発現が一般的に好ましい。例えば、目的のポリヌクレオチドを安定に発現する細胞株が、ウイルス複製起点および/または内因性発現エレメントならびに同じかもしくは別個のベクター上の選択マーカー遺伝子を含み得る、発現ベクターを使用して形質転換され得る。そのベクターの導入後、細胞は、それらが選択培地に切換えられる前に、富化(enriched)培地において1〜2日間増殖され得る。選択マーカーの目的は、選択に対する耐性を与えることであり、そしてその存在は、導入された配列を首尾良く発現する細胞の増殖および回収を可能とする。安定に形質転換された細胞の耐性クローンは、その細胞型に適切な組織培養技術を使用して、増殖され得る。
多数の選択系を使用して、形質転換細胞株を回収し得る。これらの選択系としては、それぞれ、tk細胞またはaprt細胞において使用され得る、単純疱疹ウイルスチミジンキナーゼ(Wigler,M.ら、(1977)Cell 11:223−32)およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowy,I.ら、(1990)Cell 22:817−23)遺伝子が挙げられるが、これらに限定されない。また、代謝拮抗剤耐性、抗生物質耐性または除草剤耐性は、選択のための基礎として使用され得る;例えば、dhfr(これは、メトトレキセートに対する耐性を与える(Wigler,M.ら、(1980)Proc.Natl.Acad.Sci.77:3567−70));npt(これは、アミノグリコシド、ネオマイシンおよびG−418に対する耐性を与える(Colbere−Garapin,F.ら、(1981)J.Mol.Biol.150:1−14));ならびにalsまたはpat(これらは、それぞれ、クロルスルフロンおよびホスフィノスリシンアセチルトランスフェラーゼに対する耐性を与える(Murry、前出))。さらなる選択遺伝子が記載されている。例えば、trpB(これは、細胞がトリプトファンの代わりにインドールを利用することを可能にする)またはhisD(これは、細胞がヒスチジンの代わりにヒスチノールを利用することを可能にする)(Hartman,S.C.およびR.C.Mulligan(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.85:8047−51)。可視マーカーの使用の人気が高くなっており、アントシアニン、β−グルクロニダーゼおよびその基質のGUS、ならびにルシフェラーゼおよびその基質のルシフェリンのようなマーカーが、形質転換体を同定するためのみならず、特定のベクター系に起因し得る一過性のタンパク質発現または安定なタンパク質発現の量を定量するためにもまた広範に使用されている(Rhodes,C.A.ら、(1995)Methods Mol.Biol.55:121−131)。
マーカー遺伝子発現の存在/非存在は、目的の遺伝子もまた存在するということを示唆しているが、その存在および発現は、確認されることを必要とし得る。例えば、ポリペプチドをコードする配列が、マーカー遺伝子配列内に挿入される場合、配列を含む組換え細胞は、マーカー遺伝子機能の非存在により同定され得る。あるいは、マーカー遺伝子は、1つのプロモーターの制御下でポリペプチドコード配列と直列に配置され得る。誘導または選択に応じてのマーカー遺伝子の発現は、通常、その直列遺伝子の発現も同様に示す。
あるいは、所望のポリヌクレオチド配列を含み、かつ発現する宿主細胞は、当業者に公知の種々の手順によって同定され得る。これらの手順としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:核酸またはタンパク質の検出および/または定量のための、例えば、膜ベースの技術、溶液ベースの技術、またはチップベースの技術を含む、DNA−DNAハイブリダイゼーションもしくはDNA−RNAハイブリダイゼーションおよびタンパク質バイオアッセイ技術またはイムノアッセイ技術。
ポリヌクレオチドにコードされた産物に特異的なポリクローナル抗体もしくはモノクローナル抗体のいずれかを使用して、ポリヌクレオチドコード化産物の発現を検出および測定するための種々のプロトコルは、当該分野において公知である。例としては、酵素結合免疫測定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)および蛍光活性化セルソーティング(FACS)が挙げられる。所定のポリペプチド上の2つの非干渉性エピトープに対して反応性であるモノクローナル抗体を利用する2つの部位の、モノクローナルベースのイムノアッセイが、いくつかの適用のために好まれ得るが、競合的結合アッセイもまた、利用され得る。これらのアッセイおよび他のアッセイは、とりわけHampton,R.ら、(1990;Serological Methods,a Laboratory Manual,APS Press,St Paul.Minn.)およびMaddox,D.E.ら、(1983;J.Exp.Med.158:1211−1216)に記載される。
広範な種々の標識技術および結合技術は、当業者に公知であり、そして種々の核酸アッセイおよびアミノ酸アッセイにおいて使用され得る。ポリヌクレオチドに関連する配列を検出するための標識されたハイブリダイゼーションまたはPCRプローブを作製するための手段としては、オリゴ標識(oligolabeling)、ニックトランスレーション、末端標識または標識されたヌクレオチドを使用するPCR増幅が挙げられる。あるいは、mRNAプローブの産生のために、配列またはその任意の部分が、ベクター内にクローニングされ得る。そのようなベクターは、当該分野において公知であり、市販されており、そして適切なRNAポリメラーゼ(例えば、T7、T3、またはSP6)および標識されたヌクレオチドを添加することにより、RNAプローブをインビトロで合成するために使用され得る。これらの手順は、種々の市販キットを使用して実施され得る。使用され得る適切なレポーター分子または標識としては、放射性核種、酵素、蛍光剤、化学発光剤、または色素形成剤ならびに基質、コファクター(補因子)、インヒビター、磁気粒子などが挙げられる。
目的のポリヌクレオチド配列で形質転換された宿主細胞は、発現および細胞培養からタンパク質を回収するのに適した条件下で培養され得る。組換え細胞により産生されたタンパク質は、使用された配列および/またはベクターに依存して、細胞内に分泌または含まれ得る。当業者によって理解されるように、本発明のポリヌクレオチドを含む発現ベクターは、原核細胞膜または真核細胞膜を介して、コードされたポリペプチドの分泌を指向するシグナル配列を含むように設計され得る。他の組換え構築物を使用して、目的のポリペプチドをコードする配列を、可溶性タンパク質の精製を促進するポリペプチドドメインをコードするヌクレオチド配列に結合させ得る。そのような精製促進ドメインとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:固定された金属上での精製を可能にする金属キレート化ペプチド(例えば、ヒスチジン−トリプトファンモジュール)、固定された免疫グロブリン上での精製を可能にするプロテインAドメイン、およびFLAGS伸長/アフィニティー精製システム(Immunex Corp.,Seattle,Wash.)において利用されるドメイン。精製ドメインとコードされるポリペプチドとの間に切断可能なリンカー配列(例えば、第XA因子またはエンテロキナーゼに対して特異的な配列(Invitrogen.San Diego,Calif.))を含めることを使用して、精製を促進させ得る。そのような発現ベクターの1つは、目的のポリペプチドおよびチオレドキシンまたはエンテロキナーゼ切断部位の前に6つのヒスチジン残基をコードする核酸を含む融合タンパク質の発現を提供する。ヒスチジン残基は、Porath,J.ら、(1992、Prot.Exp.Purif.3:263−281)に記載されるように、IMIAC(固定化金属イオンアフィニティークロマトグラフィー)上での精製を促進する一方で、エンテロキナーゼ切断部位は、融合タンパク質から所望のポリペプチドを精製するための手段を提供する。融合タンパク質を含むベクターの考察は、Kroll,D.J.ら、(1993;DNA Cell Boil,12:441−453)に提供される。
組換え産生方法に加えて、本発明のポリペプチドおよびそのフラグメントは、固相技術(Merrifield J.(1963)J.Am.Chem.Soc.85:2149−2154)を使用する、直接的ペプチド合成によって産生され得る。タンパク質合成は、手動技術を使用してか、または自動化によって実施され得る。自動化合成は、例えば、Applied Biosystems 431Aペプチド合成装置(Perkin Elmer)を使用して、達成され得る。あるいは、種々のフラグメントは、別々に化学的に合成されて、そして全長分子を産生するために化学的方法を使用して合わせられ得る。
(抗体組成物、そのフラグメントおよび他の結合因子)
別の局面に従って、本発明はさらに、本明細書中に開示される腫瘍ポリペプチド、またはその一部、改変体もしくは誘導体への免疫学的結合を示す、結合因子(例えば、抗体およびその抗原結合フラグメント)を提供する。抗体またはその抗原結合フラグメントは、それが本発明のポリペプチドと検出可能なレベルで(例えば、ELISAアッセイにおいて)反応し、そして類似の条件下で無関係のポリペプチドと検出可能に反応しない場合、本発明のポリペプチドに「特異的に結合する」、「免疫学的に結合する」および/または「免疫学的に反応性である」と言われる。
この文脈で使用される場合、免疫学的結合は、一般に、免疫グロブリン分子と、この免疫グロブリンが特異的な抗原との間で起こるタイプの非共有結合的な相互作用をいう。免疫学的結合相互作用の強度または親和性は、相互作用の解離定数(K)の観点から表現され得、ここで、より小さいKは、より大きな親和性を示す。選択されたポリペプチドの免疫学的結合特性は、当該分野で周知の方法を使用して、定量され得る。1つのこのような方法は、抗原結合部位/抗原複合体の形成および解離の速度を測定する工程を必要とし、ここで、これらの速度は、複合体パートナーの濃度、相互作用の親和性、および両方向の速度に等しく影響を与える幾何学的パラメータに依存する。従って、「会合速度定数(on rate constant)」(Kon)および「解離速度定数(off rate constant)」(Koff)の両方が、濃度ならびに会合および解離の実際の速度を計算することによって決定され得る。Koff/Konの比は、親和性に関係しない全てのパラメータの排除を可能にし、そして従って、解離定数Kに等しい。一般的には、Daviesら(1990) Annual Rev.Biochem.59:439−473を参照のこと。
抗体の「抗原結合部位」または「結合部分」は、抗原結合に関係する免疫グロブリン分子の一部分をいう。この抗原結合部位は、重鎖(「H」)および軽鎖(「L」)のN末端可変(「V」)領域のアミノ酸残基によって形成される。重鎖および軽鎖のV領域内の3つの高度に分岐したストレッチが、「超可変領域」といわれ、これは、「フレームワーク領域」または「FR」として公知のより保存された隣接ストレッチの間に挿入される。従って、用語「FR」は、免疫グロブリンの超可変領域の間であり、かつそれに隣接して天然に見出されるアミノ酸配列をいう。抗体分子において、軽鎖の3つの超可変領域および重鎖の3つの超可変領域が、3次元空間において互いに相対的に配置されて、抗原結合表面を形成する。この抗原結合表面は、結合した抗原の3次元表面に相補的であり、そして重鎖および軽鎖の各々の3つの超可変領域は、「相補性決定領域」または「CDR」といわれる。
結合因子は、本明細書中に提供される代表的なアッセイを使用して、癌(例えば、肺癌)を有する患者と有さない患者との間をさらに区別し得る。例えば、腫瘍タンパク質に結合する抗体または他の結合因子は、好ましくは、この疾患を有する患者の少なくとも約20%、より好ましくは患者の少なくとも約30%において、癌の存在を示すシグナルを生成する。あるいは、または加えて、この抗体は、癌を有さない個体の少なくとも約90%において、この疾患の非存在を示す陰性シグナルを生成する。結合因子が、この要求を満たすか否かを決定するために、癌(標準的な臨床試験によって決定されるような)を有する患者および有さない患者からの生物学的サンプル(例えば、血液、血清、痰、尿および/または腫瘍生検)が、この結合因子に結合するポリペプチドの存在について、本明細書に記載されるようにアッセイされ得る。好ましくは、疾患を有するサンプルおよび有さないサンプルの統計的に有意な数が、アッセイされる。各結合因子は、上記の基準を満足すべきである;しかし、当業者は、結合因子が、組合せて使用されて、感度を改善し得ることを認識する。
上記の要求を満足する任意の薬剤が、結合因子であり得る。例えば、結合因子は、ペプチド成分を含むか含まないリボソーム、RNA分子またはポリペプチドであり得る。好ましい実施形態において、結合因子は、抗体またはその抗原結合フラグメントである。抗体は、当業者に公知の種々の技術のいずれかによって、調製され得る。例えば、HarlowおよびLane、Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,1988を参照のこと。一般に、抗体は、細胞培養技術(本明細書に記載されるようなモノクローナル抗体の生成を含む)によって、または組換え抗体の生成を可能にするために、適切な細菌細胞宿主または哺乳動物細胞宿主への抗体遺伝子のトランスフェクションを介して、生成され得る。1つの技術において、このポリペプチドを含む免疫原が、最初に、広範な種々の哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジまたはヤギ)のいずれかに注射される。この工程において、本発明のポリペプチドは、改変を有さない免疫原として機能し得る。あるいは、特に、比較的短いポリペプチドについて、優れた免疫応答が、このポリペプチドがキャリアタンパク質(例えば、ウシ血清アルブミンまたはキーホールリンペットヘモシアニン)に結合される場合に、惹起され得る。この免疫原は、好ましくは、1回以上のブースト免疫を組み込む所定のスケジュールに従って、動物宿主に注射され、そしてこれらの動物が、定期的に採血される。このポリペプチドに特異的なポリクローナル抗体は、次いで、例えば、適切な固体支持体に結合されたポリペプチドを使用するアフィニティークロマトグラフィーによって、このような抗血清から精製され得る。
目的の抗原性ポリペプチドに特定なモノクローナル抗体が、例えば、KohlerおよびMilstein,Eur.J.Immunol.6:511−519,1976の技術およびその改良型を使用して、調製され得る。簡潔には、これらの方法は、所望の特異性(すなわち、目的のポリペプチドとの反応性)を有する抗体を生成し得る不死細胞株の調製を含む。このような細胞株は、例えば、上記のように免疫された動物から得られる脾臓細胞から生成され得る。次いで、この脾臓細胞が、例えば、骨髄腫細胞融合パートナー(好ましくは、免疫された動物と同系であるもの)との融合によって不死化される。種々の融合技術が使用され得る。例えば、脾臓細胞および骨髄腫細胞は、数分間、非イオン性界面活性剤とあわされ、次いで、ハイブリッド細胞の増殖は支持するが、骨髄腫細胞の増殖は支持しない選択培地に低密度でプレートされ得る。好ましい選択技術は、HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)選択を使用する。十分な時間の後、通常、約1〜2週間の後、ハイブリッドのコロニーが観察される。単一コロニーを選択し、そしてそれらの培養上清を、このポリペプチドに対する結合活性について試験する。高い反応性および特異性を有するハイブリドーマが好ましい。
モノクローナル抗体は、増殖ハイブリドーマコロニーの上清から単離され得る。さらに、種々の技術が、収量を増加させるために使用され得、この技術は、例えば、適切な脊椎動物宿主(例えば、マウス)の腹腔へのハイブリドーマ細胞株の注入である。次いで、モノクローナル抗体が、腹水または血液から回収され得る。夾雑物が、従来の技術(例えば、クロマトグラフィー、ゲル濾過、沈澱、および抽出)によって抗体から除去され得る。本発明のポリペプチドは、例えば、アフィニティートクロマトグラフィー工程における精製プロセスにおいて使用され得る。
抗体分子の免疫学的結合特性を示し得る抗原結合部位を含む多くの治療的に有効な分子が、当該分野で公知である。このタンパク質分解性酵素パパインは、優先的に、IgG分子を切断して、いくつかのフラグメントを生じさせ、これら(「F(ab)」フラグメント)のうちの2つの各々は、インタクトな抗原結合部位を含む共有結合ヘテロダイマーを含む。酵素ペプシンは、IgG分子を切断して、いくつかのフラグメント(両方の抗原結合部位を含む「F(ab’)」フラグメントを含む)を提供し得る。「Fv」フラグメントは、IgM、および稀有な場合にはIgGまたはIgA免疫グロブリン分子の優先的なタンパク質分解的切断によって生成され得る。しかし、Fvフラグメントは、当該分野で公知の組換え技術を使用して、より一般的に誘導される。Fvフラグメントは、非共有結合的なV::Vヘテロダイマーを含み、このへテロダイマーは、ネイティブな抗体分子の抗原認識能力および抗原結合能力のほとんどを保持する抗原結合部位を含む。Inbarら(1972)Proc.Nat.Acad.Sci.USA 69:2659−2662;Hochmanら(1976)Biochem 15:2706−2710;およびEhrlichら(1980)Biochem 19:4091−4096。
単鎖Fv(「sFv」)ポリペプチドは、共有結合されたV::Vヘテロダイマーであり、このヘテロダイマーは、ペプチドをコードするリンカーによって連結されたVをコードする遺伝子およびVをコードする遺伝子を含む遺伝子融合物から発現される。Hustonら(1988)Proc.Nat.Acad.Sci.USA 85(16):5879−5883。抗体V領域からの天然に凝集する(しかし、化学的には分離された)軽鎖ポリペプチドおよび重鎖ポリペプチドを、sFv分子に転換するための化学構造を識別するための多くの方法が記述され、このsFvは、抗原結合部位の構造に実質的に類似する3次元構造に折り畳まれる。例えば、米国特許第5,091,513号および同第5,132,405号(Hustonら);ならびに米国特許第4,946,778号(Ladnerら)を参照のこと。
上記分子の各々は、重鎖および軽鎖CDRセットを含み、各々は、CDRSへの支持を提供し、そして互い対してCDRの空間的関係を規定する重鎖および軽鎖FRセットの間に挿入される。本明細書中で使用される場合、用語「CDRセット」は、重鎖または軽鎖V領域の3つの超可変領域をいう。重鎖または軽鎖のN末端から進んで、これらの領域は、各々、「CDR1」、「CDR2」および「CDR3」と表記される。従って、抗原結合部位は、6つのCDRを含み、この6つのCDRは、重鎖および軽鎖V領域の各々からのCDRセットを含む。単一CDR(例えば、CDR1、CDR2、またはCDR3)を含むポリペプチドは、本明細書中で「分子認識ユニット」といわれる。多くの抗原−抗体複合体の結晶学的分析により、CDRのアミノ酸残基は、結合した抗原との広範な接触を形成することが立証され、ここで、最も広範な抗原接触は、重鎖CDR3とである。従って、分子認識ユニットは、主に、抗原結合部位の特異性の原因である。
本明細書中で使用される場合、用語「FRセット」は、重鎖または軽鎖のV領域のCDRセットのCDRを構成する、4つの隣接アミノ酸配列をいう。いくつかのFR残基は、結合抗原と接触し得る;しかし、FRは、主に、V領域を抗原結合部位、特にCDRSに直接隣接するFR残基に折り畳む原因となる。FRにおいて、特定のアミノ酸残基および特定の構造特徴が、非常に高度に保存される。この点において、全てのV領域配列は、約90アミノ酸残基の内部ジスルフィドループを含む。V領域が、結合部位に折り畳まれる場合、このCDRは、抗原結合表面を形成する突出したループモチーフとして表示される。正確なCDRアミノ酸配列に関わらず、特定の「正準」構造に折り畳まれるCDRループの形状に影響を与えるFRの保存された構造領域が存在することが一般的に認識される。さらに、特定のFR残基は、抗体重鎖および軽鎖の相互作用を安定化する非共有結合的なドメイン間接触に関与することが知られている。
非ヒト免疫ブログリン由来の抗原結合部位を含む、多くの「ヒト化」抗体分子が記載され、この抗体分子には、げっ歯類V領域およびヒト定常ドメインに融合されたそれらの会合CDR(Winterら(1991)Nature 349:293−299;Lobuglioら(1989)Proc.Nat.Acad.Sci.USA 86:4220−4224;Shawら(1987)J Immunol.138:4534−4538;およびBrownら(1987)Cancer Res.47:3577−3583)、適切なヒト抗体定常ドメインとの融合の前に、ヒト支持FRに移植されたげっ歯類CDR(Riechmannら(1988)Nature 332:323−327;Verhoeyenら(1988)Science 239:1534−1536;およびJonesら(1986)Nature 321:522−525)、ならびに組換えベニアリングされた(recombinantly veneered)げっ歯類FRによって支持されるげっ歯類CDR(欧州特許公開番号519,596(1992年12月23日公開)を有するキメラ抗体が挙げられる。これらの「ヒト化」分子は、ヒトレシピエントにおけるこれらの部分の治療的適用の持続期間および有効性を制限するげっ歯類抗ヒト抗体分子に対する所望されない免疫学的応答を最小化するように設計される。
本明細書中で使用される場合、用語「ベニアリングされたFR」および「組換えベニアリングされたFR」は、ネイティブのFRポリペプチド折り畳み構造の実質的に全てを保持する抗原結合部位を含む異種分子を提供するために、ヒトFR残基で、例えば、げっ歯類重鎖または軽鎖のV領域に由来するFR残基の選択的置換をいう。ベニアリング技術は、抗原結合部位のリガンド結合特徴が、主に、抗原結合表面内の重鎖および軽鎖のCDRセットの構造および相対的な配置によって決定されるという理解に基づく。Daviesら(1990)Ann.Rev.Biochem.59:439−473。従って、抗原結合特異性は、CDR構造、互いとのそれらの相互作用、およびV領域ドメインの残りとのそれらの相互作用が注意深く維持されるヒト化抗体のみにおいて保存され得る。ベニアリング技術を使用することによって、外部(例えば、溶媒が接触可能な)FR残基(これは、免疫系に容易に遭遇する)は、ヒト残基と選択的に置換されて、弱い免疫原性ベニアリング表面または実質的に非免疫原性のベニアリング表面のいずれかを含むハイブリッド分子を提供する。
ベニアリングのプロセスは、Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第4版(U.S.Dept.of Health and Human Services,U.S.Government Printing Office,1987)において、Kabatらによって編集(compile)されたヒト抗体可変ドメインについての利用可能な配列データを使用し、Kabatデータベースに更新され、そして他の米国および海外のアクセス可能なデータベース(核酸およびタンパク質の両方)を使用する。V領域アミノ酸の溶媒接触可能性は、ヒトおよびマウス抗体フラグメントについての既知の3次元構造から推定され得る。マウス抗原結合部位をベニアリングする際に2つの一般的な工程が存在する。最初に、目的の抗体分子の可変ドメインのFRが、上記の供給源から得られたヒト可変ドメインの対応するFR配列と比較される。次いで、最も相同的なヒトV領域が、対応するマウスアミノ酸と、残基ごとに比較される。ヒト対応物とは異なるマウスFRにおける残基は、当該分野において周知の組換え技術を使用して、ヒト部分に存在する残基によって置換される。残基スイッチングは、少なくとも部分的に露出した(溶媒接触可能である)部分を用いて実施されるのみであり、そしてV領域ドメインの三次構造に対する有意な効果を有し得るアミノ酸残基(例えば、プロリン、グリシンおよび荷電したアミノ酸)の置換において、注意がなされる。
この様式において、従って、得られた「ベニヤ化された(veneered)」マウス抗原結合部位は、以下を保持するように設計される:マウスCDR残基、CDRに実質的に隣接する残基、埋もれたかまたはほとんど埋もれた(溶媒接触不能)であるとして同定された残基、重鎖ドメインと軽鎖ドメインとの間の非共有結合(例えば、静電気的および疎水的)接触に関与すると考えられる残基、ならびにCDRループの「カノニカル(canonical)」三次構造に影響すると考えられる、FRの保存された構造的領域由来の残基。次いで、これらの設計基準を用いて、マウス抗原結合部位の重鎖および軽鎖の両方のCDRをヒト様FR(マウス抗体分子の抗原特異性を示す組み換えヒト抗体の発現のために、哺乳動物細胞をトランスフェクトするために用いられ得る)に結合した組み換えヌクレオチド配列を調製する。
本発明の別の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体は、1つ以上の治療薬剤に結合され得る。この点に関して適切な薬剤としては、放射性核種、分化誘導剤、薬物、毒素、およびその誘導体が挙げられる。好ましい放射性核種としては、90Y、123I、125I、131I、186Re、188Re、211At、および212Biが挙げられる。好ましい薬物としては、メトトレキセート、ならびにピリミジンアナログおよびプリンアナログが挙げられる。好ましい分化誘導剤としては、ホルボールエステルおよび酪酸が挙げられる。好ましい毒素としては、リシン、アブリン、ジフテリア毒素、コレラ毒素、ゲロニン(gelonin)、Pseudomonas体外毒素、Shigella毒素、およびアメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質が挙げられる。
治療剤は、直接的にかまたは間接的にか(例えば、リンカー基を介して)のいずれかで、適切なモノクローナル抗体にカップリング(例えば、共有結合によって)され得る。薬剤と抗体との間の直接的な反応は、各々が互いに反応し得る置換基を有する場合に可能である。例えば、一方の求核基(例えば、アミノ基またはスルフヒドリル基)は、他方のカルボニル含有基(例えば、無水物もしくは酸ハロゲン化物)または良好な遊離基(例えば、ハロゲン化物)を含むアルキル基などと反応し得る。
あるいは、リンカー基を介して治療剤と抗体とをカップリングさせることが所望され得る。リンカー基は、抗体を薬剤から隔てるためのスペーサーとして機能して、結合の可能性を妨げることを回避し得る。リンカー基はまた、薬剤または抗体上の置換基の化学的反応性を増加させるために働き得、従ってカップリング効率を増大させる。化学的反応性の増大はまた、薬剤または薬剤上の官能基の使用を容易にし得、これは他の方法では可能ではない。
種々の二官能性または多官能性試薬、ホモ官能性とヘテロ官能性との両方(例えば、Pierce Chemical Co.,Rockford,ILのカタログ中に記載されるもの)が、リンカー基として使用され得ることが当業者には明らかである。カップリングは、例えば、アミノ基、カルボキシル基、スルフヒドリル基、または酸化された炭水化物残基を介してもたらされ得る。このような方法論を記載する多数の参考文献(例えば、Rodwellの米国特許第4,671,958号)が存在する。
本発明の免疫結合体の抗体部分がないときに治療剤がより強力である場合、細胞中へのインターナリゼーションの間に、またはその際に切断可能なリンカー基を使用することが望ましくあり得る。多数の異なる切断可能なリンカー基が記載されてきた。これらのリンカー基からの薬剤の細胞内放出についての機構としては、ジスルフィド結合の還元(例えば、Spitlerへの米国特許第4,489,710号)、感光性(Photolabile)結合の照射(例えば、Senterらへの米国特許第4,625,014号)、誘導体化されたアミノ酸側鎖の加水分解(例えば、Kohnらへの米国特許第4,638,045号)、血清補体媒介性加水分解(例えば、Rodwellらへの米国特許第4,671,958号)、および酸触媒加水分解(例えば、Blattlerらへの米国特許第4,569,789号)による切断が挙げられる。
1つより多い薬剤を抗体にカップリングさせることが望ましくあり得る。1つの実施形態において、薬剤の複数の分子が1つの抗体分子にカップリングされる。別の実施形態において、1つより多い型の薬剤が1つの抗体にカップリングされ得る。特定の実施形態に関わらず、1つより多い薬剤を有する免疫結合体は、種々の方法で調製され得る。例えば、1つより多い薬剤が、抗体分子に直接的に結合され得るか、または付着のための複数の部位を提供するリンカーが使用され得る。あるいは、キャリアが使用され得る。
キャリアは、種々の方法(直接的にかまたはリンカー基を介するかのいずれかでの共有結合を含む)で薬剤を保有し得る。適切なキャリアとして、アルブミンのようなタンパク質(例えば、Katoらへの米国特許第4,507,234号)、ペプチド、およびアミノデキストランのような多糖類(例えば、Shihらへの米国特許第4,699,784号)が挙げられる。キャリアはまた、非共有結合によってかまたは例えばリポソームベシクル内に、カプセル化することによって、薬剤を保有し得る(例えば、米国特許第4,429,008号および同第4,873,088号)。放射性核種薬剤に特異的なキャリアは、放射性ハロゲン化低分子およびキレート化合物を含む。例えば、米国特許第4,735,792号は、代表的な放射性ハロゲン化低分子およびそれらの合成を開示する。放射性核種キレートは、金属、または金属酸化物、放射性核種を結合するためのドナー原子として窒素原子および硫黄原子を含むキレート化合物から形成され得る。例えば、Davisonらへの米国特許第4,673,562号は、代表的なキレート化合物およびそれらの合成を開示する。
(T細胞組成物)
本発明は、別の局面において、本明細書に開示される腫瘍ポリペプチド、またはその改変体もしくは誘導体に特異的なT細胞を提供する。このような細胞は、一般的に標準的手順を使用して、インビトロまたはエキソビボで調製され得る。例えば、T細胞は、市販の細胞分離システム(例えば、IsolexTMシステム(Nexell Therapeutics,Inc.(Irvine,CA;米国特許第5,240,856号;米国特許第5,215,926号;WO89/06280;WO91/16116およびWO92/07243もまた参照のこと)から入手可能)を使用して、患者の骨髄、末梢血あるいは骨髄または末梢血の画分中から単離され得る。あるいは、T細胞は、関連または無関連のヒト、非ヒト哺乳動物、細胞株または培養物から誘導され得る。
T細胞は、ポリペプチド、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、および/またはそのようなポリペプチドを発現する抗原提示細胞(APC)を用いて刺激され得る。このような刺激は、目的のポリペプチドに特異的であるT細胞の生成を可能にする条件下および十分な時間、行われる。好ましくは、本発明の腫瘍ポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、送達ビヒクル(例えば、ミクロスフェア)中に存在して、特異的T細胞の生成を容易にする。
T細胞は、このT細胞が、特異的に増殖するか、サイトカインを分泌するか、またはこのポリペプチドで被覆されるかもしくはこのポリペプチドをコードする遺伝子を発現する標的細胞を殺傷する場合に、本発明のポリペプチドに特異的であるとみなされる。T細胞特異性は、種々の標準的技術のいずれかを使用して評価され得る。例えば、クロム放出アッセイまたは増殖アッセイにおいて、ネガティブコントロールと比較した、溶解および/または増殖における2倍を超える増加の刺激指標が、T細胞特異性を示す。このようなアッセイは、例えば、Chenら、Cancer Res.54:1065−1070,1994に記載されるように、実行され得る。あるいは、T細胞の増殖の検出は、種々の公知の技術によって達成され得る。例えば、T細胞増殖は、DNA合成増加率を測定することによって検出され得る(これは、例えば、トリチウム化チミジンでT細胞の培養物をパルス標識し、そしてDNAに取り込まれたトリチウム化チミジンの量を測定することによる)。3〜7日間の腫瘍ポリペプチド(100ng/ml〜100μg/ml、好ましくは、200ng/ml〜25μg/ml)との接触によって、代表的には、T細胞の増殖において少なくとも2倍の増加が生じる。2〜3時間の上記のような接触によって、標準的なサイトカインアッセイを使用して測定されるように、T細胞の活性化を生じるはずである。このアッセイにおいては、サイトカイン(例えば、TNFまたはIFN−γ)放出のレベルの2倍の増加が、T細胞の活性化を示す(Coliganら、Current Protocols in Immunology,第1巻、Wiley Interscience(Greene 1998)を参照のこと)。腫瘍ポリペプチド、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド発現APCに応答して活性化されたT細胞は、CD4および/またはCD8であり得る。腫瘍ポリペプチド特異的T細胞は、標準的な技術を使用して増殖され得る。好ましい実施形態において、T細胞は、患者、関連するドナーまたは無関連のドナーに由来し、そして刺激および増殖後にその患者に投与される。
治療目的で、腫瘍のポリペプチド、ポリヌクレオチドまたはAPCに応答して増殖するCD4T細胞またはCD8T細胞は、インビトロまたはインビボのいずれかで大量に増殖され得る。このようなT細胞のインビトロでの増殖は、種々の方法で達成され得る。例えば、T細胞は、T細胞増殖因子(例えば、インターロイキン−2)の添加を伴うか、または伴わずに、腫瘍ポリペプチド、またはこのようなポリペプチドの免疫原性部分に対応する短いペプチド、および/または腫瘍ポリペプチドを合成する刺激細胞に対して再曝露され得る。あるいは、腫瘍ポリペプチドの存在下で増殖する1つ以上のT細胞は、クローニングによって大量に増殖され得る。細胞をクローニングするための方法は、当該分野で周知であり、そしてこれらとしては、限界希釈が挙げられる。
(T細胞レセプター組成物)
T細胞レセプター(TCR)は、ジスルフィド結合によって連結されている、2つの異なる、非常に可変性のポリペプチド鎖(T細胞レセプターのα鎖およびβ鎖と呼ばれる)からなる(Janeway,Travers、Walport.Immunobiology.第4版、148〜159.Elsevier Science Ltd/Garland Publishing.1999)。このα/βヘテロダイマーは、細胞膜で不変のCD3鎖と複合体化する。この複合体は、MHC分子に結合した特定の抗原性ペプチドを認識する。TCR特異性の膨大な多様性は、体細胞遺伝子再配列により、まるで免疫グロブリンの多様性のように生成される。このβ鎖遺伝子は、50を超える可変性領域(V)、2つの多様性領域(D)、10を超える連結セグメント(J)、および2つの定常領域セグメント(C)を含む。α鎖遺伝子は、70を超えるVセグメント、および60を超えるJセグメントを含むが、Dセグメントを含まず、そして1つのCセグメントを含む。胸腺におけるT細胞発達の間、β鎖のD〜J遺伝子再配列が生じ、続いて、V遺伝子セグメントのDJへの再配列が生じる。この機能的VDJβエキソンは、転写され、そしてスプライシングされてCβに連結される。α鎖に関しては、Vα遺伝子セグメントは、Jα遺伝子セグメントに再配列して、機能的エキソンを形成し、これが次に転写され、Cαにスプライシングされてる。多様性は、さらにβ鎖のVセグメントと、Dセグメントと、Jセグメントとの間、そしてα鎖のVセグメントと、Jセグメントとの間のPおよびN−ヌクレオチドの無作為な付加によって、組み換えプロセスの間にさらに増大する(Janeway,Travers,Walport.Immunobiology.第4版、98および150.Elsevier Science Ltd/Garland Publishing.1999)。
本発明は、別の局面において、本明細書に開示のポリペプチド、またはその改変体もしくは誘導体に特異的なTCRを提供する。本発明に従って、本明細書に記載の腫瘍ポリペプチドを認識する、T細胞レセプターのα鎖およびβ鎖について、V−JもしくはV−D−J接合領域、またはその部分について、ポリヌクレオチドおよびアミノ酸の配列が提供される。一般に、本発明のこの局面は、MHCとの関連で提示される腫瘍ポリペプチドを認識するか、またはそれに結合するT細胞レセプターに関する。好ましい実施形態において、T細胞レセプターによって認識される腫瘍抗原は、本発明のポリペプチドを含む。例えば、腫瘍ペプチドに特異的なTCRをコードするcDNAは、標準的な分子生物学技術および組み換えDNA技術を用いて、腫瘍ポリペプチドに特異的なT細胞から単離され得る。
本発明はさらに、腫瘍ポリペプチドを認識するか、またはそれに結合する、本発明のT細胞レセプターと実質的に同じ機能または活性を有する、T細胞レセプターまたはそのアナログを包含する。このようなレセプターとしては、本明細書に提供されるT細胞レセプターの、レセプターフラグメント、または本明細書に提供されるT細胞レセプターの、置換、付加、もしくは欠失の変異体が挙げられるがこれらに限定されない。本発明はまた、本明細書に提供されるT細胞レセプターに実質的に相同であるか、または実質的に同じ活性を保持する、ポリペプチドまたはペプチドを包含する。用語「アナログ」とは、本明細書に提供されるT細胞レセプターと実質的に同一のアミノ酸残基配列(ここで、1つ以上の残基、好ましくは5残基以下、より好ましくは、25残基以下が、機能的に類似の残基で保存的に置換されている)を有し、そして本明細書に記載のようなT細胞レセプターの機能的局面を示す、任意のタンパク質またはポリペプチドを含む。
本発明はさらに、適切な哺乳動物宿主細胞であって、本明細書に記載のポリペプチドに特異的なTCRをコードするポリヌクレオチドでトランスフェクトされている(これによって、この宿主細胞はこのポリペプチドに特異的にされる)、適切な哺乳動物宿主細胞、例えば、非特異的T細胞を提供する。TCRのα鎖およびβ鎖は、別々の発現ベクターに含まれ得るか、または単一の発現ベクター(これはまた、リボソーム内侵入部位(IRES)の下流の遺伝子のcap依存性翻訳のためにIRESを含む)に含まれ得る。このポリペプチドに特異的なTCRを発現するこの宿主細胞は、例えば、以下にさらに考察されるような卵巣癌の養子免疫療法のために、用いられ得る。
本発明のさらなる局面において、本明細書に挙げたポリペプチドに特異的なクローニングされたTCRは、卵巣癌の診断のためのキットに用いられ得る。例えば、腫瘍特異的TCRの核酸配列またはその一部は、生物学的サンプル中で、特定のTCRをコードする再配列された遺伝子の発現を検出するためのプローブまたはプライマーとして用いられ得る。従って、本発明はさらに、ポリペプチドに特異的なTCRをコードするメッセンジャーRNAまたはDNAを検出するためのアッセイを提供する。
(薬学的組成物)
さらなる実施形態において、本発明は、細胞または動物に投与するための薬学的に受容可能なキャリアにおける、本明細書中に開示される1つ以上のポリヌクレオチド、ポリペプチド、T細胞および/または抗体組成物の処方物単独、または1つ以上の他の治療との組み合わせのいずれかに関する。
所望される場合、本明細書中に開示されるような組成物は、その上他の因子(例えば、他のタンパク質またはポリペプチド、あるいは種々の薬学的に活性な因子)と組み合わせて処方され得ることが理解される。実際に、このさらなる因子が、標的細胞または宿主組織と接触する際に重大な悪影響を引き起こさない場合、また含まれ得る他の成分に対して、実質的に制限はない。従って、この組成物は、特定の事例で必要とされる場合、種々の他の因子と一緒に送達され得る。このような組成物は、宿主細胞または他の生物学的供給源から精製され得るか、あるいは本明細書中に記載されるように化学的に合成され得る。同様に、このような組成物はさらに、置換されたRNA組成物もしくはDNA組成物または誘導体化されたRNA組成物もしくはDNA組成物を含み得る。
従って、本発明の別の局面において、生理学的に受容可能なキャリアと組み合わせて、本明細書中に記載される1つ以上のポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体および/またはT細胞組成物を含む薬学的組成物が、提供される。特定の好ましい実施形態において、本発明の薬学的組成物は、予防的ワクチン適用および治療的ワクチン適用における使用のための本発明の免疫原性ポリヌクレオチド組成物および/または本発明のポリペプチド組成物を含む。ワクチン調製物は、一般的に、例えば、M.F.PowellおよびM.J.Newman編、「Vaccine Design(the subunit and adjuvant approach)」、Plenum Press(NY、1995)に記載される。一般的に、このような組成物は、本発明の1つ以上のポリヌクレオチド組成物および/またはポリペプチド組成物を1つ以上の免疫興奮薬(immunostimulant)と組み合わせて含む。
本明細書中に記載される任意の薬学的組成物が、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドの薬学的に受容可能な塩を含み得ることは、明らかである。このような塩は、例えば、薬学的に受容可能な非毒性塩基から調製され得、この非毒性塩基としては、有機塩基(例えば、一級アミンの塩、二級アミンの塩、もしくは三級アミンの塩および塩基性アミノ酸)ならびに無機塩基(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、およびマグネシウム塩)が挙げられる。
別の実施形態において、例示的な本発明の免疫原性組成物(例えば、ワクチン組成物)は、上記の1つ以上のポリペプチドをコードするDNAを含み、その結果、そのポリペプチドはインサイチュで生成される。上記の場合、ポリヌクレオチドは、当業者に公知の種々の任意の送達系の範囲内で投与され得る。実際に、多くの遺伝子送達技術(例えば、Rolland,Crit.Rev.Therap.Drug Carrier Systems 15:143−198,1998、およびそこに引用される参考文献によって記載される技術)が当該分野において周知である。勿論、適切なポリヌクレオチド発現系は、患者における発現のために必要な調節DNA調節配列を含む(例えば、適切なプロモーターおよび終止シグナル)。あるいは、細菌性送達系は、その細胞表面上でポリペプチドの免疫原性部分を発現するか、またはこのようなエピトープを分泌する細菌(例えば、Bacillus−Calmette−Guerrin)の投与を含み得る。
従って、特定の実施形態において、本明細書中に記載される免疫原性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、多くの公知のウイルスベースの系のいずれかを用いる発現のために、適切な哺乳動物の宿主細胞中に組み込まれる。1つの例示的な実施形態において、レトロウイルスは、遺伝子送達系のための簡便かつ効果的なプラットホーム(platform)を提供する。本発明のポリペプチドをコードする、選択されたヌクレオチド配列は、ベクター内に挿入され得、そして当該分野で公知の技術を用いてレトロウイルス粒子中にパッケージングされ得る。次いで、組み換えウイルスは単離され得、そして被験体に送達され得る。多くの例示的なレトロウイルス系が、記載されている(例えば、米国特許第5,219,740号;MillerおよびRoseman(1989)BioTechniques 7:980−990;Miller,A.D.(1990)Human Gene Therapy 1:5−14;Scapaら(1991)Virology 180:849−852;Burnsら(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:8033−8037;ならびにBoris−LawrieおよびTemin(1993)Cur.Opin.Genet.Develop.3:102−109)。
さらに、多くの例示的なアデノウイルスベースの系もまた、記載されている。宿主ゲノム内に組み込むレトロウイルスとは異なり、アデノウイルスは、染色体外に存続し、従って、挿入突然変異に関連する危険性を最小化する(Haj−AhmadおよびGraham(1986)J.Virol.57:267−274;Bettら(1993)J.Virol.67:5911−5921;Mitterederら(1994)Human Gene Therapy 5:717−729;Sethら(1994)J.Virol.68:933−940;Barrら(1994)Gene Therapy 1:51−58;Berkner,K.L.(1988)BioTechniques 6:616−629;ならびにRichら(1993)Human Gene Therapy 4:461−476)。
種々のアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター系はまた、ポリヌクレオチド送達のために開発された。AAVベクターは、当該分野で周知の技術を使用して容易に構築され得る。例えば、米国特許第5,173,414号、および同第5,139,941号;国際公開番号WO92/01070およびWO93/03769;Lebkowskiら(1988)Molec.Cell.Biol.8:3988−3996;Vincentら(1990)Vaccines 90(Cold Spring Harbor Laboratory Press);Carter,B.J.(1992)Current Opinion in Biotechnology 3:533−539;Muzyczka,N(1992)Current Topics in Microbiol.and Immunol.158:97−129;Kotin,R.M.(1994)Human Gene Therapy 5:793−801;ShellingおよびSmith(1994)Gene Therapy 1:165−169;ならびにZhouら(1994)J.Exp.Med.179:1867−1875を参照のこと。
本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの遺伝子導入による送達に有用な、さらなるウイルスベクターとしては、ポックスファミリーのウイルス(例えば、ワクシニアウイルスおよび鳥類のポックスウイルス)由来のものが挙げられる。例示の目的で、新規の分子を発現するワクシニアウイルス組換え体は、以下のように構築され得る。ポリペプチドをコードするDNAは、最初に、ワクシニアプロモーターおよび側方の(flanking)ワクシニアDNA配列(例えば、チミジンキナーゼ(TK)をコードする配列)に隣接するように、適切なベクター内に挿入される。次いで,このベクターは、ワクシニアとともに同時感染される細胞をトランスフェクトするために使用される。相同組換えは、ワクシニアプロモーターおよび目的のポリペプチドをコードする遺伝子をウイルスゲノム内に挿入するように働く。生じるTK.sup.(−)組換え体は、5−ブロモデオキシウリジンの存在下で細胞を培養し、そしてそれに耐性のあるウイルスプラークを採集することにより選択され得る。
ワクシニアベースの感染/トランスフェクション系は、生物の宿主細胞において、誘導性の、本明細書中に記載される1つ以上のポリペプチドの、一過性の発現または同時発現を提供するために、簡便に使用され得る。この特定の系において、細胞は、最初に、バクテリオファージT7RNAポリメラーゼをコードするワクシニアウイルス組換え体を用いて、インビトロで最初に感染される。このポリメラーゼは、T7プロモーターを保持するテンプレートのみを転写する、優れた特異性を示す。感染後、目的のポリヌクレオチドを用いてトランスフェクトされて、T7プロモーターによって駆動される。細胞質中で発現される、ワクシニアウイルス組換え体由来のポリメラーゼは、トランスフェクトされたDNAをRNAに転写し、次いでそのRNAは、宿主の翻訳機構によりポリペプチドに翻訳される。この方法は、大量のRNAおよびその翻訳産物の、高レベルの、一過性の、細胞質産生を提供する。例えば、Elroy−SteinおよびMoss、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1990)87:6743−6747;Fuerstら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1986)83:8122−8126を参照のこと。
あるいは、アビポックスウイルス(avipoxvirus)(例えば、鶏痘ウイルスおよびカナリア痘ウイルス)はまた、目的のコード配列を送達するために使用され得る。哺乳動物の病原体由来の免疫原を発現する組換え体アビポックスウイルスが、非鳥類種に投与された場合、保護免疫を授与することは公知である。アビポックスベクターの使用は、ヒトおよび他の哺乳動物種において特に望ましい。なぜなら、アビポックス属のメンバーが、感受性を有する鳥類の種においてのみ増殖的に複製し得、従って、哺乳動物細胞において感染性ではないからである。組換え体アビポックスウイルスを産生するための方法は、ワクシニアウイルスの産生に関して上記されるように、当該分野において公知であり、そして遺伝的組換えを使用する。例えば、WO91/12882;WO89/03429;およびWO92/03545を参照のこと。
任意の多数のアルファウイルスベクターもまた、本発明のポリヌクレオチド組成物の送達のために使用され得る。例えば、これらのベクターは、米国特許第5,843,723号;同第6,015,686号;同第6,008,035号および同第6,015,694において記載される。ベネズエラウマ脳脊髄炎(VEE)に基づく特定のベクター(米国特許第5,505,947号および同第5,643,576号において見出され得る例示的な実施例)もまた、使用され得る。
さらに、分子結合体化結合ベクター(例えば、アデノウイルスキメラベクター(Michaelら、J.Biol.Chem.(1993)268:6866−6869およびWagnerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1992)89:6099−6103に記載される)もまた、本発明の下で、遺伝子送達のために使用され得る。
これらおよび他の公知のウィルスベースの送達系に対する、さらなる例示的な情報は、例えば、以下において見出され得る:Fisher−Hochら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:317−321,1989;Flexnerら、Ann.N.Y.Acad.Sci.569:86−103,1989;Flexnerら、Vaccine 8:17−21,1990;米国特許第4,603,112号、同第4,769,330号および同第5,017,487号;WO89/01973;米国特許第4,777,127号;GB2,200,651;EP0,345,242;WO91/02805;Berkner,Biotechniques 6:616−627,1988;Rosenfeldら、Science 252:431−434,1991;Kollsら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:215−219,1994;Kass−Eislerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:11498−11502,1993;Guzmanら、Circulation 88:2838−2848,1993;およびGuzmanら、Cir.Res.73:1202−1207,1993。
特定の実施形態において、ポリヌクレオチドは、標的細胞のゲノム内に組み込まれ得る。この組み込みは、相同組換えを介して特定の位置および配位に存在し得る(遺伝子置換)か、またはランダムに、非特定の位置において組み込まれ得る(遺伝子増加)。なおさらなる実施形態において、ポリヌクレオチドは、別々の、DNAのエピソームセグメントとして細胞中に安定的に維持され得る。このようなポリヌクレオチドセグメントまたは「エピソーム」は、宿主細胞周期と独立してか、または宿主細胞周期と同調して維持または複製を可能にするに十分な配列をコードする。発現構築物が細胞に送達され、そして細胞中にポリヌクレオチドが残存する様式は、使用される発現構築物の型に依存する。
本発明の別の実施形態において、ポリヌクレオチドは、「裸の」DNAとして(例えば、Ulmerら、Science 259:1745−1749,1993に記載されるように、そしてCohen,Science 259:1691−1692,1993によって総説されるように)投与/送達される。裸のDNAの取り込みは、細胞中に効果的に輸送される生分解性ビーズ上にそのDNAをコーティングすることによって増加され得る。
なお別の実施形態において、本発明の組成物は、粒子ボンバードメント(bombardment)アプローチを介して送達され得、この多くは記載されている。1つの例示的な例において、ガス駆動性粒子加速は、デバイス(例えば、Powderject Pharmaceuticals PLC(Oxford,UK)およびPowderject Vaccines Inc.(Madison,WI)によって製造されるデバイス)を用いて達成され得、このいくつかの例は、米国特許第5,846,796号;同第6,010,478号;同第5,865,796号;同第5,584,807号;ならびにEP特許第0500 799に記載される。このアプローチは、針のない送達アプローチを提供し、ここで、微細粒子(例えば、ポリヌクレオチド粒子またはポリペプチド粒子)の乾燥粉末処方物は、手持ち(hand held)デバイスによって生じるヘリウムガス噴出内で高速に加速され、その粒子を目的の標的組織中に推進される。
関連の実施形態において、本発明のガス駆動性の、針の要らない、組成物の注入に有用であり得る他のデバイスおよび方法としては、Bioject,Inc.(Portland,OR)によって提供されるデバイスおよび方法が挙げられ、そのいくつかの例は、米国特許第4,790,824号;同第5,064,413号;同第5,312,335号;同第5,383,851号;同第5,399,163号;同第5,520,639号および同第5,993,412号に記載される。
別の実施形態に従って、本明細書中に記載される薬学的組成物は、本発明の、免疫原性のポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体、T細胞および/またはAPC組成物に加えて、1つ以上の免疫興奮薬を含む。免疫興奮薬とは、本質的に、外因性の抗原に対する免疫応答(抗体および/または細胞媒介性)を促進または増強させる任意の物質をいう。1つの好ましい型の免疫興奮薬は、アジュバンドを含む。多くのアジュバンドが、抗原を迅速な異化から防御するように設計された物質(例えば、水酸化アルミニウムまたは鉱油)および免疫応答の刺激因子(例えば、リピドA、Bortadella pertussisまたはMycobacterium tuberculosis由来のタンパク質)を含む。特定のアジュバントは、例えば、フロイント不完全アジュバントおよびフロイント完全アジュバント(Difco Laboratories,Detroit,MI);Merck Adjuvant 65(Merck and Company,Inc.,Rahway,NJ);AS−2(SmithKline Beecham,Philadelphia,PA);アルミニウム塩(例えば、水酸化アルミニウムゲル(ミョウバン)またはリン酸アルミニウム);カルシウム、鉄、または亜鉛の塩;アシル化チロシンの不溶性懸濁液;アシル化した糖;カチオン性またはアニオン性に誘導体化された多糖;ポリフォスファーゼン;生分解性ミクロスフェア、モノホスホリルリピドAおよびquil Aとして市販されている。サイトカイン(例えば、GM−CSFまたはインターロイキン−2、インターロイキン−7もしくはインターロイキン−12、および他の類似増殖因子)もまた、アジュバントとして使用され得る。
本発明の特定の実施形態において、アジュバンド組成物は、好ましくは、Th1型の免疫応答を優勢に誘導する組成物である。高レベルのTh1型サイトカイン(例えば、IFN−γ、TNFα、IL−2およびIL−12)は、投与された抗原に対する細胞媒介性免疫応答の誘導を好む傾向にある。対照的に、高レベルのTh2型サイトカイン(例えば、IL−4、IL−5、IL−6およびIL−10)は、体液性免疫応答の誘導を好む傾向にある。本明細書中に提供されるワクチンの適用に従って、患者は、Th1型応答およびTh2型応答を誘導する免疫応答を支持する。応答が優勢にTh1型である好ましい実施形態において、Th1型サイトカインのレベルは、Th2型サイトカインのレベルよりもはるかに高い程度まで増加する。これらのサイトカインのレベルは、標準的アッセイを使用して容易に評価され得る。サイトカインのファミリーの総説については、MosmannおよびCoffman、Ann.Rev.Immunol.7:145−173、1989を参照のこと。
Th1型応答を優勢に誘発するための、特定の好ましいアジュバンドは、例えば、モノホスホリルリピドA、好ましくは3−de−O−アシル化モノホスホリルリピドAとアルミニウム塩との組み合わせを含む。MPL(登録商標)アジュバンドは、Corixa Corporation(Seattle,WA;例えば、米国特許第4,436,727号;同第4,877,611号;同第4,866,034号および同第4,912,094号を参照のこと)から入手可能である。CpG含有オリゴヌクレオチド(ここで、CpGジヌクレオチドはメチル化されていない)はまた、Th1応答を優勢に誘導する。このようなオリゴヌクレオチドは周知であり、そして例えばWO96/02555、WO99/33488ならびに米国特許第6,008,200号および同第5,856,462号に記載される。免疫興奮性のDNA配列はまた、例えば、Satoら、Science 273:352,1996によって記載される。別の好ましいアジュバンドは、以下を含むサポニン(例えば、Quil A)、またはその誘導体を含む:QS21およびQS7(Aquila Biopharmaceuticals Inc.,Framingham,MA);エスシン(Escin);ジギトニン;あるいはGypsophilaまたはChenopodium quinoaのサポニン。他の好ましい処方物としては、本発明のアジュバンドとの組み合わせ(例えば、QS21、QS7、Quil A、β−エスシン、またはジギトニンを含む群の少なくとも2つの組み合わせにおいて、1つより多いサポニンを含む。
あるいは、サポニン処方物は、以下から構成されるワクチンビヒクルと組み合わされ得る:キトサンまたは他のポリカチオン性ポリマー、ポリラクチドおよびポリラクチド−コ−グリコリド粒子、ポリ−N−アセチルグルコサミンベースのポリマーマトリクス、ポリサッカリドまたは化学的に修飾されたポリサッカリドから構成される粒子、リポソームおよび脂質ベースの粒子、グリセロールモノエステルから構成される粒子など。サポニンはまた、粒状構造物(例えば、リポソームまたはISCOM)を形成するために、コレステロールの存在下で処方され得る。さらに、サポニンは、非粒状溶液中または非粒状懸濁液中のいずれか、あるいは粒状構造物(例えば、わずかな薄膜の(paucilamelar)リポソームまたはISCOM)中で、ポリオキシエチレンエーテルまたはポリオキシエチレンエステルと一緒に処方され得る。サポニンはまた、粘性を増加させるために、賦形剤(例えば、Carbopol)とともに処方され得るか、または粉末賦形剤(例えば、ラクトース)とともに乾燥粉末形態で処方され得る。
1つの好ましい実施形態において、アジュバンド系としては、モノホスホリルリピドAとサポニン誘導体との組み合わせ(例えば、WO94/00153に記載されるような、QS21と3D−MPL(登録商標)アジュバンドとの組み合わせ、またはWO96/33739に記載されるような、Q21がコレステロールでクエンチされる、あまり反応発生的(reactogenic)でない組成物)が挙げられる。他の好ましい処方物は、水中油乳濁液およびトコフェロールを含む。水中油乳濁液中にQS21、3D−MPL(登録商標)アジュバンドおよびトコフェロールを使用する、別の特に好ましいアジュバンド処方物は、WO95/17210に記載される。
別の、促進されたアジュバンド系としては、CpG含有オリゴヌクレオチドとサポニン誘導体との組み合わせ(特に、WO00/09159に記載される、CpGとQS21との組み合わせ)が挙げられる。好ましくは、処方物はさらに、水中油乳濁液およびトコフェロールを含む。
本発明の薬学的組成物における使用のための、さらなる例示的なアジュバンドとしては、Montanide ISA 720(Seppic,France)、SAF(Chiron,California,United States)、ISCOMS(CSL)、MF−59(Chiron)、アジュバンドのSBASシリーズ(例えば、SBAS−2またはSBAS−4(SmithKline Beecham、Rixensart、Belgiumから入手可能))、Detox(Enhanzyn(登録商標))(Corixa,Hamilton,MT)、RC−529(Corixa,Hamilton,MT)および他のアミノアルキルグルコサミニド4−ホスフェート(AGP)(例えば、係属中の米国特許出願番号第08/853,826号および同第09/074,720号(それらの開示は、その全体が本明細書中で参考として援用される)に記載されるもの)、ならびにポリオキシエチレンエーテルアジュバンド(例えば、WO99/52549 A1に記載されるもの)が挙げられる。
他の好ましいアジュバンドとしては、以下の一般式のアジュバンド分子:
(I)HO(CHCHO)−A−R
が挙げられ、
ここで、nは、1〜50であり、Aは、結合または−C(O)−であり、Rは、C1〜50アルキルまたはフェニルC1〜50アルキルである。
本発明の1つの実施形態は、一般式(I)のポリオキシエチレンエーテルを含むワクチン処方物からなり、ここで、nは、1と50との間であり、好ましくは4〜24であり、最も好ましくは9であり;R成分は、C1〜50であり、好ましくはC〜C20アルキルであり、そして最も好ましくはC12アルキルであり、そしてAは、結合である。ポリオキシエチレンエーテルの濃度は、0.1〜20%で範囲であるべきであり、好ましくは0.1〜10%、そして最も好ましくは、0.1〜1%の範囲である。好ましいポリオキシエチレンエーテルは、以下からなる群より選択される:ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−9−ステオリルエーテル、ポリオキシエチレン−8−ステオリルエーテル、ポリオキシエチレン−4−ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−35−ラウリルエーテル、およびポリオキシエチレン−23−ラウリルエーテル。ポリオキシエチレンエーテル(例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル)は、Merck index(第12版:エントリー 7717)に記載される。これらのアジュバンド分子は、WO99/52549に記載される。
上記の一般式(I)に従うポリオキシエチレンエーテルは、所望される場合、別のアジュバンドと組み合わされ得る。例えば、好ましいアジュバンドの組み合わせは、好ましくは、係属中のUK特許出願GB 9820956.2に記載されるようなCpGとの組み合わせである。
本発明の別の実施形態に従って、本明細書中に記載される免疫原性組成物は、抗原提示細胞(APC)(例えば、樹状細胞、マクロファージ、B細胞、単球、およびAPCを有効であるように操作され得る他の細胞)を介して、宿主に送達される。このような細胞は、抗原を提示する能力を増大するように、T細胞応答の活性化および/または維持を改善するように、それ自体で抗腫瘍効果を有するように、そして/あるいはレシーバー(すなわち、一致するHLAハプロタイプ)と免疫学的に適合性であるように遺伝学的に改変され得るが、改変される必要はない。APCは、一般に、種々の生物学的な流体および器官(腫瘍および腫瘍周辺組織を含む)のいずれかから単離され得、そして自己細胞、同種異系細胞、同系細胞、または異種細胞であり得る。
本発明の特定の好ましい実施形態は、抗原提示細胞として、樹状細胞またはその前駆細胞を使用する。樹状細胞は、高度に強力なAPCであり(BanchereauおよびSteinman、Nature 392:245−251、1998)、そして予防的または治療的な抗腫瘍免疫を誘発するための生理学的アジュバンドとして効果的であることが示されてきた(TimmermanおよびLevy、Ann.Rev.Med.50:507−529、1999を参照のこと)。一般に、樹状細胞は、それらの代表的な形状(インサイチュでは星状、インビトロでは目に見える顕著な細胞質プロセス(樹枝状結晶)を有する)、高い効率で抗原を取り込み、処理し、そして提示するそれらの能力、および未処置の(naive)T細胞応答を活性化するそれらの能力に基づいて同定され得る。勿論、樹状細胞は、インビボまたはエキソビボで樹状細胞上に正常には見出されない特定の細胞表面レセプターまたはリガンドを発現するように操作され得、このように改変された樹状細胞は本発明によって意図される。樹状細胞の代替として、分泌小胞抗原負荷樹状細胞(secreted vesicles antigen−loaded dendritic cell)(エキソソーム(exosome)と呼ばれる)が、ワクチンにおいて使用され得る(Zitvogelら、Nature Med.4:594−600,1998を参照のこと)。
樹状細胞および前駆細胞は、末梢血、骨髄、腫瘍浸潤細胞、腫瘍周辺組織浸潤細胞、リンパ節、脾臓、皮膚、臍帯血、または他の任意の適切な組織もしくは流体から得られ得る。例えば、樹状細胞は、末梢血から収集された単球の培養物に、GM−CSF、IL−4、IL−13および/またはTNFαのようなサイトカインの組み合わせを添加することによってエキソビボで分化され得る。あるいは、末梢血、臍帯血または骨髄から収集されたCD34陽性細胞は、培養培地にGM−CSF、IL−3、TNFα、CD40リガンド、LPS、flt3リガンドならびに/または樹状細胞の分化、成熟、および増殖を誘導する他の成分の組み合わせを添加することによって、樹状細胞に分化され得る。
樹状細胞は、「未成熟」細胞および「成熟」細胞として都合良く分類され、このことは、十分に特徴付けられた2つの表現型の間を区別するための方法を可能にする。しかし、この学名は、あらゆる可能な分化の中間段階を排除するように解釈されるべきではない。未成熟な樹状細胞は、抗原の取り込みおよび処理について高い能力を有するAPCとして特徴付けられ、この能力は、Fcγレセプターおよびマンノースレセプターの高発現と相関する。成熟表現型は、代表的に、これらのマーカーのより低い発現、しかし、クラスI MHCおよびクラスII MHC、接着分子(例えば、CD54およびCD11)ならびに同時刺激性分子(例えば、CD40、CD80、CD86および4−1BB)のようなT細胞活性化の原因である細胞表面分子の高度な発現によって特徴付けられる。
APCは、一般に、本発明のポリヌクレオチド(またはその一部もしくは他の改変体)を用いてトランスフェクトされ得、その結果、そのコードされたポリペプチドまたはその免疫原性部分が、細胞表面上に発現される。このようなトランスフェクションは、エキソビボで生じ得、次いでこのようにトランスフェクトされた細胞を含む薬学的組成物は、本明細書中に記載されるように、治療目的のために使用され得る。あるいは、樹状細胞または他の抗原提示細胞を標的化する遺伝子送達ビヒクルが、患者に投与され得、インビボで起こるトランスフェクションを生じる。インビボおよびエキソビボでの樹状細胞のトランスフェクションは、例えば、当該分野で公知の任意の方法(例えば、WO97/274447に記載される方法)、またはMahviら、Immunology and cell Biology 75:456−460、1997によって記載される遺伝子銃アプローチを使用して一般に実施され得る。樹状細胞の抗原負荷は、樹状細胞または前駆細胞を、腫瘍ポリペプチド、DNA(裸のもしくはプラスミドベクター中の)またはRNAとともに;あるいは抗原を発現する組換え体の細菌またはウイルス(例えば、ワクシニア、鶏痘、アデノウイルスまたはレンチウイルスのベクター)とともにインキュベートすることによって達成され得る。負荷の前に、ポリペプチドは、T細胞補助(例えば、キャリア分子)を提供する免疫学的パートナーに共有結合的に結合体化され得る。あるいは、樹状細胞は、別々にかまたはポリペプチドの存在下で、結合体化していない免疫学的パートナーでパルスされ得る。
当業者に公知の任意の適切なキャリアが、本発明の薬学的組成物において使用され得るが、キャリアの型は、典型的に投与の様式に依存して変化する。本発明の組成物は、任意の適切な投与の様式(例えば、局所的投与、経口投与、経鼻投与、粘膜投与、静脈内投与、頭蓋内投与、腹腔内投与、皮下投与、または筋内投与を含む)のために処方され得る。
このような薬学的組成物中での使用のためのキャリアは、生体適合性であり、そしてまた生分解性であり得る。特定の実施形態において、この処方物は、好ましくは、比較的一定レベルの活性成分の放出を提供する。しかし、他の実施形態において、投与直後すぐに、より迅速な放出速度が、所望され得る。このような組成物の処方は、既知の技術を使用する当業者のレベルの十分に範囲内である。この点で有用な例示的なキャリアとしては、ポリ(ラクチド−コ−グルコリド)、ポリアクリレート、ラテックス、澱粉、セルロース、デキストランなどの微粒子が挙げられる。他の例示的な徐放性キャリアとしては、非液性(non−liquid)親水性コア(例えば、架橋ポリサッカリドまたはオリゴサッカリド)を含む超分子バイオベクター、ならびに、必要に応じて、両親媒性化合物を含む外部層(例えば、リン脂質)(例えば、米国特許第5,151,254号およびPCT出願WO94/20078、WO/94/23701およびWO96/06638を参照のこと)が挙げられる。徐放性処方物内に含まれる活性な化合物の量は、移植の部位、放出の速度および放出の予期される期間、ならびに処置または予防されるべき状態の性質に依存する。
別の例示的な実施形態において、生分解性ミクロスフェア(例えば、ポリラクテートポリグリコレート)は、本発明の組成物のためのキャリアとして使用される。適切な生分解性ミクロスフェアは、例えば、米国特許第4,897,268号;同第5,075,109号;同第5,928,647号;同第5,811,128号;同第5,820,883号;同第5,853,763号;同第5,814,344号;同第5,407,609および同第5,942,252号に開示される。改変されたB型肝炎コアタンパク質キャリア系(例えば、WO/99 40934およびそこに引用される参考文献に記載される)はまた、多くの適用に有用である。別の例示的なキャリア/送達系は、宿主内でのクラスI限定細胞傷害性Tリンパ球応答を誘導し得る、粒子状(particulate)タンパク質複合体(例えば、米国特許第5,928,647号に記載されるもの)を含むキャリアを使用する。
しばしば、本発明の薬学的組成物はさらに、1つ以上の緩衝液(例えば、中性の緩衝化生理食塩水またはリン酸緩衝化生理食塩水)、炭水化物(例えば、グルコース、マンノース、スクロースまたはデキストラン)、マンニトール、タンパク質、ポリペプチドまたはアミノ酸(例えば、グリシン)、抗酸化剤、静菌剤、キレート剤(例えば、EDTAまたはグルタチオン)、アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム)、レシピエントの血液を用いて処方物を等張性、低張性または弱い高張性にする溶質、懸濁剤、濃厚剤(thickening agent)および/または保存剤を含む。あるいは、本発明の組成物は、凍結乾燥物として処方され得る。
本明細書中に記載される薬学的組成物は、単回用量容器または複数用量容器(例えば、シールされたアンプルまたはバイアル)中に存在され得る。このような容器は、代表的に、使用するまで、処方物の無菌性および安定性を保護するような方法でシールされる。一般に、処方物は、油性ビヒクルまたは水性ビヒクル中で、懸濁液、溶液または乳濁液として保存され得る。あるいは、薬学的組成物は、使用の直前に、滅菌液体キャリアの添加のみを必要とする、凍結乾燥状態で保存され得る。
種々の処置レジメン(例えば、経口投与および処方、非経口投与および処方、静脈内投与および処方、鼻孔間投与および処方ならびに筋肉内投与および処方を含む)における、本明細書中に記載される特定の組成物の使用のための適切な投薬および処置レジメンの開発は、当該分野で周知であり、そのいくつかは、一般的な例示の目的のために以下で簡単に考察される。
特定の適用において、本明細書中に開示される薬学的組成物は、経口投与を介して動物に送達され得る。このような場合、これらの組成物は、不活性な希釈剤または同化可能な食用に適するキャリアとともに処方され得るか、またはそれらは、殻の固いゼラチンカプセルまたは殻の軟らかいゼラチンカプセル中に封入され得るか、またはそれらは、錠剤中に加圧され得るか、またはそれらは、食事の食物とともに直接取り込まれ得る。
活性な化合物はさらに、賦形剤とともに取り込まれ得、そして接種可能な錠剤、バッカル錠、トローチ剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、カシェ剤などの形態で使用され得る(例えば、Mathiowitzら、Nature 1997年3月27日;386(6623):410−4;Hwangら、Crit Rev Ther Drug Carrier Syst 1998;15(3):243−84;米国特許第5,641,515号;米国特許第5,580,579号および米国特許第5,792,451号を参照のこと)。錠剤、トローチ剤、丸剤、カプセル剤などもまた、任意の種々のさらなる成分(例えば、結合剤(例えば、ゴムトラガカント、アカシア、コーンスターチ、またはゼラチン);賦形剤(例えば、リン酸二カルシウム);崩壊剤(例えば、コーンスターチ、ジャガイモ澱粉、アルギン酸など);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム);および甘味剤(例えば、スクロース、ラクトースまたはサッカリンが添加され得る)、あるいは香味剤(例えば、ペパーミント、ウインターグリーン油またはチェリー香味剤))を含み得る。投薬用量形態がカプセル剤である場合、上記の型の材料に加え、液体キャリアを含み得る。種々の他の材料は、コーティングとして存在し得るか、またはそうでなければ、投薬用量の物理的形態を変更するように存在し得る。例えば、錠剤、丸剤、またはカプセル剤は、シェラック、糖、またはそれら両方によりコートされ得る。勿論、任意の投薬形態の調製において使用される任意の材料は、薬学的に純粋であり、使用される量において実質的に非毒性であるべきである。さらに、この活性化合物は、徐放性調製物および徐放性処方物中に組み込まれ得る。
代表的に、これらの処方物は、少なくとも約0.1%以上の活性化合物を含むが、勿論、活性成分のパーセントは変化され得、そして、都合良く総処方物の重量または容量の約1%または2%と約60%または70%以上との間であり得る。本来、治療上有効な化合物の各々における活性化合物の量は、適切な投薬量が、任意の所定の単位用量の化合物中で得られるような方法で調製され得る。因子(例えば、溶解性、バイオアベイラビリティー、生物学的半減期、投与経路、産物の貯蔵寿命、ならびに他の薬理学的考察)は、このような薬学的処方物を調製する分野の当業者によって企図され、そしてこのような場合、種々の投薬量および処置レジメンが所望され得る。
経口投与に関して、本発明の組成物は、選択的に1つ以上の賦形剤とともに、うがい薬、歯みがき剤、バッカル錠、経口スプレー、または舌下で経口的に投与される処方物の形態内に組み込まれ得る。あるいは、活性成分は、経口溶液(例えば、ホウ酸ナトリウム、グリセリンおよび炭酸水素カリウムを含むもの)中に組み込まれ得るか、または歯みがき剤中に分散され得るか、または治療有効量で水、結合剤、研磨剤、甘味剤、発泡剤、および湿潤剤を含み得る組成物に加えられ得る。あるいは、組成物は、舌下に配置され得る錠剤形態または溶液形態中に形成され得るか、またはさもなくば口内において溶解される
特定の環境において、本明細書中に開示される薬学的組成物を非経口的に、静脈内に、筋肉内に、またはさらに腹腔内に送達することが所望される。このようなアプローチは、当業者に周知であり、そのいくつかはさらに、例えば以下に記載されている:例えば、米国特許第5,543,158号;米国特許第5,641,515号および米国特許第5,399,363号。特定の実施形態において、活性化合物の溶液は、遊離塩基または薬学的に受容可能な塩として、水中で、界面活性剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース)と適切に混合して調製され得る。分散剤はまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、およびこれらの混合物、ならびに油中で調製され得る。保存および使用の通常の条件下で、これらの調製物は、一般に、微生物の増殖を防止するために保存剤を含み得る。
注射可能な使用に適切な、例示的な薬学的形態としては、無菌の注射可能な溶液または分散剤の即時調製のための無菌水溶液または無菌分散剤、および無菌粉末が挙げられる(例えば、米国特許第5,466,468号を参照のこと)。あらゆる場合において、形態は、無菌でなければならず、そして容易な注射可能性(syringability)で存在する範囲で流動性でなければならない。形態は、製造および保存の条件下で安定でなければならず、微生物(例えば、細菌および真菌)の汚染作用に対し保護されねばならない。キャリアは、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコールなど)を含む溶媒または分散媒、それらの適切な混合物、および/または植物油であり得る。適切な流動性は、例えばコーティング(例えば、レシチン)の使用により、分散の場合に必要とされる粒子サイズの維持により、そして/または界面活性剤の使用により、維持され得る。微生物の作用の予防は、種々の抗菌剤および抗真菌剤(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなど)によって容易になされ得る。多くの場合、等張剤(例えば、糖または塩化ナトリウム)を含むことが好ましい。注射可能な組成物の長期にわたる吸収は、吸収を遅延させる薬剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン)の組成物中での使用によってもたらされ得る。
1つの実施形態において、水溶液中での非経口投与のために、必要ならばその溶液は、適切に緩衝化されるべきであり、そして液体希釈剤は、最初に、十分な生理食塩水またはグルコースで等張にされる。これらの特定の水溶液は、特に、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、および腹腔内投与に適切である。これに関連して、使用され得る滅菌水性媒体は、本発明の開示を考慮して、当業者に公知である。例えば、一投与量は、1mlの等張のNaCl溶液に溶解され得、そして1000mlの皮下注入流体に添加され得るか、または注入予定部位で注入され得るかのいずれかである(例えば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、第15版、1035〜1038頁および1570〜1580頁を参照のこと)。投薬量におけるいくらかの変化が、処置される患者の状態に依存して、必ず生じる。さらに、ヒト投与に対して、調製物は、もちろん、好ましくは、FDA Office of Biologics standardsによって要求されるような、無菌性、発熱性、および一般的な安全性標準および純度標準を満たすべきである。
本発明の別の実施形態において、本明細書中に開示される組成物は、中性形態または塩形態で処方され得る。例示的な薬学的に受容可能な塩としては、酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基とともに形成される)が挙げられ、そしてこれらの塩は、無機酸(例えば、塩酸、もしくはリン酸)、または有機酸(酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸など)とともに形成される。遊離カルボキシル基とともに形成された塩もまた、無機塩基(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、または水酸化鉄)、および有機塩基(イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカインなど)から誘導され得る。処方の際に、溶液は、投薬処方物と適合する様式でかつ治療的に有効な量で投与される。
キャリアは、さらに、任意および全ての溶媒、分散媒体、ビヒクル、コーティング、希釈剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収を遅延させる薬剤、緩衝液、キャリア溶液、懸濁液、コロイドなどが挙げられる。薬学的活性物質のためのこのような媒体および薬剤の使用は、当該分野で周知である。任意の従来の媒体または薬剤が、活性成分と不適合である場合を除いては、治療組成物におけるその使用が、企図される。補助的活性成分もまた、これらの組成物に組み込まれ得る。句「薬学的に受容可能な」とは、ヒトに投与される場合に、アレルギー反応または類似の厄介な反応を生成しない分子実体および組成物をいう。
特定の実施形態において、薬学的組成物は、鼻腔内スプレー、吸入、および/または他のエアロゾル送達ビヒクルによって送達され得る。遺伝子、核酸、およびペプチド組成物を、鼻腔エアロゾルスプレーを介して肺へ送達する方法は、例えば、以下に記載される:米国特許第5,756,353号および同第5,804,212号中に記載される。同様に、鼻空微粒子樹脂を使用する薬物送達(Takenagaら、J Controlled Release 1998 Mar 2;52(1〜2):81〜7)およびリゾフォスファチジル−グリセロール化合物(米国特許第5,725,871号)もまた、薬学分野で周知である。同様に、ポリテトラフルオロエチレン支持マトリクスの形態での例示的な経粘膜の薬物送達は、米国特許第5,780,045号中に記載される。
特定の実施形態において、リポソーム、ナノカプセル、微粒子、脂質粒子、小胞などは、本発明の組成物を適切な宿主細胞/生物へ導入するために使用される。特に、本発明の組成物は、液体粒子、リポソーム、小胞、ナノスフェア−またはナノ粒子など中に包括されたいずれかの送達のために処方され得る。あるいは、本発明の組成物は、このようなキャリアビヒクルの表面に共有結合または非共有結合のいずれかをされ得る。
潜在的な薬物キャリアとしての、リポソームおよびリポソーム様調製物の処方および使用は、一般に、当業者に周知である(例えば、Lasic Trends Biotechnol 1998 Jul;16(7):307〜21;Takakura,Nippon Rinsho 1998 Mar;56(3):691〜5;Chandranら,Indian J Exp Biol.1997 Aug;35(8):801〜9;Margalit,Crit Rev Ther Drug Carrier Syst.1995;12(2〜3):233〜61;米国特許第5,567,434号;同第5,552,157号;同第5,565,213号;同第5,738,868号および同第5,795,587号(各々、その全体が、参考として本明細書中で特に援用される))。
リポソームは、T細胞懸濁液、初代肝細胞培養物およびPC12細胞を含む他の手順によって、通常トランスフェクトし難い多くの細胞型とともに、首尾よく使用されている(Renneisenら、J Biol Chem.1990 Sep 25;265(27):16337〜42;Mullerら、DNA Cell Biol.1990 Apr;9(3):221〜9)。さらに、リポソームは、ウイルスベースの送達系に典型的なDNA長制限がない。リポソームは、遺伝子、種々の薬物、放射線治療剤、酵素、ウイルス、転写因子およびアロステリックエフェクターなどを、種々の培養された細胞株および動物に導入するために効果的に使用されている。さらに、リポソームの使用が、全身送達後の自己免疫応答、または受任できない毒性に関連しなさそうである。
特定の実施形態において、リポソームは、水性媒体中に分散されるリン脂質から形成され、そして多層の同心性二重層小胞(多層小胞(MLV)とも呼ばれる)を自発的に形成する。
あるいは、他の実施形態において、本発明は、本発明の組成物の薬学的に受容可能なナノカプセル処方物を提供する。ナノカプセルは、一般に、安定な、そして再現性のある方法で化合物を包括し得る(例えば、Quintanar−Guerreroら、Drug Dev Ind Pharm.1998 Dec;24(12):1113〜28を参照のこと)。細胞内高分子過負荷に起因する副作用を避けるために、このような超微細粒子(約0.1μmの大きさ)は、インビボで分解され得る高分子を使用して設計され得る。このような粒子は、例えば、Couvreurら、Crit Rev Ther Drug Carrier Syst.1988;5(1):1〜20;zur Muhlenら、Eur J Pharm Biopharm.1998 Mar;45(2):149〜55;Zambauxら、J Controlled Release.1998 Jan 2;50(1〜3):31−40;および米国特許第5,145,684号によって記載されるように生成され得る。
(癌治療法)
癌治療に対する免疫学的アプローチは、癌細胞が、異常なまたは異種の細胞および分子に対するしばしば身体防御を逃れ得、そして、これらの防御が失った領域を回復するように治療学的に刺激され得るという認識に基づく(623〜648頁、Klein、Immunology、Wiley−Interscience,New York、1982)。種々の免疫エフェクターが、腫瘍の増殖を直接的にかまたは間接的に阻害し得るという、最近の多数の知見は、癌治療に対するこのアプローチにおいて、新たな興味を引き出す(例えば、Jagerら、Oncology 2001;60(1):1〜7;Rennerら、Ann Hematol 2000 Dec;79(12):651〜9)。
4つの基本的な細胞型(その機能は、抗腫瘍細胞免疫および体由来の腫瘍細胞の排除に関する)は、以下である:i)異物侵入細胞を同定し、そして標識するために、血液血漿へ免疫グロブリンを分泌する、Bリンパ球;ii)免疫グロブリンコート化標的侵入細胞の溶解およびプロセッシングを引き起こす補体タンパク質を分泌する、単球;iii)腫瘍細胞の破壊、抗体依存細胞毒性および自然死滅に関して2つの機構を有するナチュラルキラーリンパ球;およびiv)抗原特異的レセプターおよび相補的マーカー分子を有する腫瘍細胞を認識する能力がある、T−リンパ球(Schreiber,H.1989、Fundamental Immunology(編)W.E.Paul、923頁〜955頁)。
癌免疫治療は、一般に、体液免疫応答、細胞免疫応答、またはその両方を誘導することに重点を置く。さらに、CD4Tヘルパー細胞の誘導が、抗体または細胞障害性のCD8T細胞のいずれかを二次的に誘導するために必要である、ということが十分確立される。癌細胞(特に肺癌細胞)に選択的に、または理想的に特異的であるポリペプチド抗原は、肺癌に対する免疫応答を誘導するための強力なアプローチを提供し、そして、本発明の重要な局面である。
ゆえに、本発明のさらなる局面において、本明細書中で記載される薬学的組成物は、癌の治療(特に、肺癌の免疫治療)のために使用され得る。このような方法において、本明細書中で記載される薬学的組成物は、患者、代表的には温血動物、好ましくはヒトに投与される。患者は、癌に罹患され得るかまたはされない。従って、上記の薬学的組成物は、癌の進行を予防するため、または癌に罹患した患者を処置するために使用され得る。薬学的組成物およびワクチンは、原発腫瘍の外科的な除去および/または処置(例えば、放射線治療薬、または従来の化学療法薬の投与)の前または後のいずれかに、投与され得る。上記で議論したように、薬学的組成物の投与は、任意の適切な方法(静脈内投与、腹腔内投与、筋内投与、皮下投与、鼻腔内投与、皮内投与、肛門投与、膣投与、局所投与および経口投与を含む)によるものであり得る。
特定の実施形態において、免疫療法は、能動的免疫療法であり得、この療法において処置は、免疫応答改変剤(例えば、本明細書中で提供されるポリペプチドおよびポリヌクレオチド)の投与で腫瘍に対して反応する内因性宿主免疫系のインビボ刺激に依存する。
他の実施形態において、免疫療法は、受動的免疫療法であり得、この療法において処置は、確立された腫瘍免疫反応性を有する因子(例えば、効果細胞または抗体)の送達(抗腫瘍効果を直接的または間接的に媒介し得、そしてインタクトな宿主免疫系に依存する必要はない)に関する。効果細胞の例としては、上記のようなT細胞、本明細書中に提供されるポリペプチドを発現するTリンパ球(例えば、CD8細胞傷害性Tリンパ球およびCD4Tヘルパー腫瘍浸潤性リンパ球)、キラー細胞(例えば、ナチュラルキラー細胞およびリンホカイン活性化キラー細胞)、B細胞および抗原提示細胞(例えば、樹状細胞およびマクロファージ)が挙げられる。本明細書中に列挙されるポリペプチドに特異的なT細胞レセプターおよび抗体レセプターは、養子免疫療法のために他のベクターまたは効果細胞中にクローニングされ、発現され、そして移入され得る。本明細書に提供されるポリペプチドはまた、受動免疫療法のための抗体または抗イディオタイプ抗体(上記および米国特許第4,918,164号に記載される)を生成するために用いられ得る。
モノクローナル抗体は、検出、診断アッセイまたは治療適用における所望された選択的用法のために、種々の標識のいずれかで標識され得る(米国特許第6,090,365号;同第6,015,542号;同第5,843,398号;同第5,595,721号;および同第4,708,930号(各々が個々に援用されるように、その全体が本明細書中で参考として援用される))。各場合において、標識化モノクローナル抗体の、抗原の決定部位への結合は、非正常細胞上の抗原決定部位への特定の治療薬の検出または送達をシグナルする。本発明のさらなる目的は、それらのこのような所望された選択的用法を達成するために適切に標識された、特定のモノクローナル抗体を提供することである。
効果細胞は、一般に、本明細書中に記載されるように、インビトロでの増殖により養子免疫治療のために十分な量で得られ得る。単一の抗原特異的効果細胞を、インビボでの抗原認識を保持しながら数十億まで増殖させるための培養条件は、当該分野で周知である。このようなインビトロの培養条件は代表的に、しばしばサイトカイン(例えば、IL−2)および分裂しない支持細胞の存在下で、抗原との間欠刺激を用いる。上で述べたように、本明細書中で提供される免疫反応性ポリペプチドは、抗原特異的T細胞培養を急速に増殖するために用いられ、免疫治療に十分な数の細胞を生成し得る。詳細には、抗原提示細胞(例えば、樹状細胞、マクロファージ、単球、繊維芽細胞、またはB細胞)は、当該分野で周知の標準的技術を用いて、免疫反応性ポリペプチドでパルスされ得るか、または1つ以上のポリヌクレオチドでトランスフェクトされ得る。例えば、抗原提示細胞は、組換えウイルスまたは他の発現系における発現を増大するのに適切なプロモーターを有するポリヌクレオチドでトランスフェクトされ得る。治療において使用するための培養された効果細胞は、増殖されかつ広範に分配され得、そしてインビボで長期間生存され得なければならない。培養された効果細胞が、インビボで増殖し、そしてIL−2を補充された抗原での反復刺激によって、長期間、多数生存しするように誘導され得ることが研究で示されている(例えば、Cheeverら、Immunological Reviews 157:177、1997を参照のこと)。
あるいは、本明細書において列挙されるポリペプチドを発現するベクターは、患者から得られた抗原提示細胞に導入され得、そして同じ患者に戻す移植のためにエキソビボでクローン的に増殖され得る。トランスフェクトされた細胞は、当該分野で公知の任意の手段(好ましくは、静脈投与、腔内投与、腹腔内投与、または腫瘍内投与による滅菌形態)を用いて患者に再導入され得る。
本明細書中に開示される治療的組成物の投与の経路および頻度、ならびに投薬量は、個々人で異なり、そして標準的技術を用いて容易に確立され得る。概して、薬学的組成物およびワクチンは、注射(例えば、皮内、筋肉内、静脈内、または皮下)により、経鼻的に(例えば、吸引により)または経口的に、投与され得る。好ましくは、52週間にわたって1〜10用量が投与され得る。好ましくは、1ヶ月の間隔で6用量が投与され、そしてブースター(追加)ワクチン接種がその後定期的に与えられ得る。交替のプロトコールが個々の患者に適切であり得る。適切な用量は、上記のように投与された場合、抗腫瘍免疫応答を促進し得、そして基底(すなわち、未処置)レベルより少なくとも10〜50%上である、化合物の量である。このような応答は、患者内の抗腫瘍抗体を測定することによってか、または患者の腫瘍細胞を殺傷し得る細胞溶解性効果細胞のワクチン依存性のインビトロでの生成によってモニターされ得る。このようなワクチンはまた、ワクチン処理されていない患者と比較すると、ワクチン処理された患者において、改善された臨床的結果(例えば、より頻繁な症状の軽減、完全もしくは部分的に疾患を有さないか、またはより長く疾患を有さない生存)を導く免疫応答を生じ得るはずである。一般に、1つ以上のポリペプチドを含む薬学的組成物およびワクチンについて、用量中に存在する各ポリペプチドの量は、宿主の体重(kg)あたり、約25μg〜5mgにわたる。適切な用量サイズは、患者の大きさで変化するが、代表的には約0.1mL〜約5mLの範囲である。
一般に、適切な投薬量および処置レジメンは、治療的および/または予防的利点を提供するのに十分な量の活性化合物を提供する。このような応答は、処置されていない患者に比較して、処置された患者において、改善された臨床的結果(例えば、より頻繁な寛解、完全なまたは部分的な、あるいはより長い疾患なしでの生存)を確立することによってモニターされ得る。腫瘍タンパク質に対する既存の免疫応答における増加は、一般的に、改善された臨床的結果と関連する。このような免疫応答は、一般的に、標準的な増殖アッセイ、細胞障害性アッセイまたはサイトカインアッセイを使用して評価され得、これは、処置の前または後に患者から得られるサンプルを使用して行われ得る。
(癌の検出および診断の組成物、方法およびキット)
一般的に、癌は、患者から得られた生物学的サンプル(例えば、血液、血清、痰、尿、および/または腫瘍生検)における1つ以上の肺腫瘍タンパク質および/またはこのようなタンパク質をコードするポリヌクレオチドの存在に基づいて患者において検出され得る。言い換えると、このようなタンパク質は、肺癌のような癌の存在または非存在を示すためのマーカーとして使用され得る。さらに、このようなタンパク質は、他の癌の検出に有用であり得る。本明細書に提供される結合剤が、一般的に、生物学的サンプル中の薬剤に結合する抗原のレベルの検出を可能にする。
ポリヌクレオチドプライマーおよびプローブは、腫瘍タンパク質をコードするmRNAのレベルを検出するために使用され得、これもまた、癌の存在または非存在を示す。一般に、腫瘍配列は、腫瘍細胞が生じた同一の細胞型の正常組織においてよりも、腫瘍細胞において、少なくとも2倍、好ましくは3倍およびより好ましくは5倍以上のレベルで存在し得る。腫瘍が生じた組織とは異なる組織型での特定の腫瘍配列の発現レベルは、腫瘍細胞の存在が、同一の型の正常組織における発現レベルに対する腫瘍組織における予め決定された差示的な発現レベル(例えば、2倍、5倍など)の観察によって確認され得るので、特定の診断的実施形態において適当でない。
他の差示的な発現パターンは、診断の目的で有利に利用され得る。例えば、本発明の1局面において、同一型の腫瘍組織および正常組織(他の正常な組織ではない)(例えば、PBMC)における腫瘍配列の過剰発現は、治療的に開発される。この場合、転移性腫瘍細胞の存在(例えば、腫瘍が発生した組織とは異なる循環組織、またはいくつかの他の組織部位)から選抜されたサンプルにおいて)は、サンプル中の腫瘍配列の発現を検出することによって同定され得、そして/または確認され得る(例えば、RT−PCRを使用して)。多くの場合、細胞捕獲または他の同様の技術を使用して、目的のサンプル中の腫瘍細胞(例えばPBMC)を濃縮することが所望される。
サンプル中のポリペプチドマーカーを検出するために結合剤を使用するための、当業者に公知の種々のアッセイ型式が存在する。例えば、HarlowおよびLane、Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,1988を参照のこと。一般的に、患者における癌の存在または非存在は、(a)患者から得られた生物学的サンプルを結合剤と接触させる工程;(b)結合剤に結合するポリペプチドのレベルをサンプルにおいて検出する工程;および(c)ポリペプチドのレベルと所定のカットオフ値とを比較する工程によって決定され得る。
好ましい実施形態において、このアッセイは、結合するためおよびサンプルの残りからポリペプチドを除くために固体支持体上に固定化された結合剤の使用を含む。次いで、結合されたポリペプチドは、レポーター基を含み、結合剤/ポリペプチド複合体に特異的に結合する検出試薬を使用して検出され得る。このような検出試薬は、例えば、ポリペプチドまたは抗体に特異的に結合する結合剤、あるいは結合剤に特異的に結合する他の薬剤(例えば、抗免疫グロブリン、プロテインG、プロテインAまたはレクチン)を含み得る。あるいは、競合アッセイが、使用され得、ここで、ポリペプチドは、レポーター基で標識され、そしてサンプルと結合剤のインキュベーション後にその固定化結合剤に結合し得る。サンプルの成分が、標識ポリペプチドの結合剤への結合を阻害する程度は、サンプルの固定化結合剤との反応性を示す。このようなアッセイにおける使用に適切なポリペプチドは、上記のような、結合剤が結合する全長肺腫瘍タンパク質およびそのポリペプチド部分を含む。
固体支持体は、腫瘍タンパク質が付着され得る当業者に公知の任意の物質であり得る。例えば、固体支持体は、マイクロタイタープレートにおける試験ウェルあるいはニトロセルロースまたは他の適切な膜であり得る。あるいは、その支持体は、ビーズまたはディスク(例えば、ガラス、ファイバーグラス、ラテックス、またはプラスチック物質(例えば、ポリスチレン、またはポリ塩化ビニル))であり得る。その支持体はまた、磁気粒子または光ファイバーセンサー(例えば、米国特許第5,359,681号に記載のような)であり得る。結合剤は、当業者に公知の種々の技術を使用して固体支持体上に固定化され得、これは特許および科学文献に十分に記載されている。本発明の状況において、用語「固定化」とは、非共有結合的な会合(例えば、吸着)および共有結合的な付着(これは、薬剤と支持体上の官能基との間で直接連結され得るかまたは架橋剤を用いる連結であり得る)の両方をいう。マイクロタイタープレートのウェル、または膜への吸着による固定化は好ましい。このような場合、吸着は、適切な緩衝液中で固体支持体に適切な時間で結合剤を接触させることによって達成され得る。接触時間は、温度によって変化するが、代表的には、約1時間から約1日の間である。一般的には、約10ng〜約10μg、そして好ましくは約100ng〜約1μgの範囲の量の結合剤とプラスチックマイクロタイタープレート(例えば、ポリスチレンまたはポリ塩化ビニル)のウェルを接触させることは、適切な量の結合剤を固定化するのに十分である。
固体支持体への結合剤の共有結合的付着は、一般に、支持体および結合剤上の官能基(例えば、水酸基またはアミノ基)の両方と反応する二官能性試薬と支持体を最初に反応させることによって達成され得る。例えば、この結合剤は、ベンゾキノンを用いるかまたは結合パートナー上のアミンおよび活性水素と支持体上のアルデヒド基との縮合によって、適切なポリマーコーティングを有する支持体に、共有結合的に付着され得る(例えば、Pierce Immunotechnology Catalog and Handbook、1991、A12−A13を参照のこと)。
特定の実施形態において、このアッセイは、2抗体サンドイッチアッセイである。本アッセイは、最初に、固体支持体(通常、マイクロタイタープレートのウェル)上で固定化されている抗体をサンプルと接触させて、サンプル内のポリペプチドを固定化抗体に結合させることによって実施され得る。次いで、非結合サンプルは固定化ポリペプチド−抗体複合体から除去され、そして検出試薬(好ましくは、そのポリペプチド上の異なる部位に結合し得る第2の抗体)(レポーター基を含む)が添加される。次いで、固体支持体に結合したままである検出試薬の量が、特定のレポーター基に関して適切な方法を用いて決定される。
より詳細には、一旦抗体が上記のように支持体上に固定化されると、支持体上の残りのタンパク質結合部位は、代表的にはブロックされる。任意の適切なブロック剤(例えば、ウシ血清アルブミンまたはTween20TM(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO))は、当業者に公知である。固定化抗体は次いで、サンプルとインキュベートされ、そしてポリペプチドをこの抗体に結合させる。インキュベーションの前に、このサンプルは適切な希釈液(例えば、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS))で希釈され得る。概して、適切な接触時間(すなわち、インキュベーション時間)は、肺癌を有する個体から得られたサンプル内のポリペプチドの存在を検出するのに十分な時間である。好ましくは、この接触時間は、結合ポリペプチドと非結合ポリペプチドとの間の平衡で達成されたレベルの少なくとも約95%である結合レベルを達成するのに十分な時間である。当業者は、ある時間にわたって起こる結合レベルをアッセイすることによって、平衡に達するまでに必要な時間が容易に決定され得ることを認識する。室温では、一般に、約30分間のインキュベーション時間で十分である。
次いで、非結合サンプルが、適切な緩衝液(例えば、0.1%Tween20TMを含むPBS)を用いて固体支持体を洗浄することによって除去され得る。レポーター基を含む第2の抗体が次いで、固体支持体に添加され得る。好ましいレポーター基は、上記の基を含む。
次いで、検出試薬が、結合されたポリペプチドを検出するのに十分な量の時間、固定化抗体−ポリペプチド複合体とインキュベートされる。適切な量の時間は、一般に、ある時間にわたって起こる結合のレベルをアッセイすることによって決定され得る。次いで、非結合の検出試薬は除去され、そして結合した検出試薬は、レポーター基を用いて検出される。レポーター基を検出するために使用される方法は、レポーター基の性質に依存する。放射性基について、一般的には、シンチレーション計数法またはオートラジオグラフィー法が適切である。分光法は、色素、発光基および蛍光基を検出するために使用され得る。ビチオンは、異なるレポーター基(一般に、放射性もしくは蛍光基または酵素)に結合されたアビジンを使用して検出され得る。酵素レポーター基は、一般に、基質の添加(一般には、特定の時間の間)、続いて反応産物の分光分析または他の分析により検出され得る。
癌(例えば、肺癌)の存在または非存在を決定するために、固体支持体に結合したままのレポーター基から検出されるシグナルが、一般に、所定のカットオフ値と対応するシグナルと比較される。1つの好ましい実施形態において、癌の検出のためのカットオフ値は、固定化抗体を、癌を有さない患者由来のサンプルとインキュベートした際に得られた平均シグナル値である。概して、所定のカットオフ値を3標準偏差上回るシグナルを生じるサンプルが、癌に対して陽性とみなされる。代わりの好ましい実施形態において、このカットオフ値は、Sackettら、Clinical Epidemiology:A Basic Science for Clinical Medicine,Little Brown and Co.,1985,106〜7頁の方法に従って、レシーバーオペレーターカーブ(Receiver Operator Curve)を使用して決定される。簡単に言うと、本実施形態において、このカットオフ値は、診断試験結果について各可能なカットオフ値に対応する真の陽性割合(すなわち、感度)および偽陽性割合(100%−特異性)の対のプロットから決定され得る。プロット上の上方左手角に最も近いカットオフ値(すなわち、最大領域を囲む値)が、最も正確なカットオフ値であり、そして本方法によって決定されたカットオフ値より高いシグナルを生ずるサンプルが陽性と見なされ得る。あるいは、カットオフ値は、偽陽性割合を最小にするためにプロットに沿って左へシフトされ得るか、または偽陰性割合を最小にするために右へシフトされ得る。概して、本方法によって決定されたカットオフ値より高いシグナルを生じるサンプルが、癌に対して陽性と見なされる。
関連の実施形態において、このアッセイは、フロースルー試験形式またはストリップ試験形式で実行される(ここで、結合剤は、ニトロセルロースのような膜上で固定化される)。フロースルー試験では、サンプル内のポリペプチドは、サンプルが膜を通過するにつれて固定化抗体に結合する。次いで、第2の標識化された結合剤が、この第2の結合剤を含む溶液がその膜を介して流れるにつれて、結合剤−ポリペプチド複合体と結合する。次いで、結合した第2の結合剤の検出は、上記のように実行され得る。ストリップ試験形式では、結合剤が結合される膜の一端をサンプルを含む溶液中に浸す。このサンプルは、膜に沿って、第2の結合剤を含む領域を通って、そして固定化結合剤の領域まで移動する。固定化抗体の領域での第2の結合剤の濃度が、癌の存在を示す。代表的には、その部位での第2の結合剤の濃度は、視覚的に読みとられ得るパターン(例えば、線)を生成する。このようなパターンを示さないことは陰性の結果を示す。概して、この膜上に固定化される結合剤の量は、生物学的サンプルが、上記の形式において、2抗体サンドイッチアッセイにおいて陽性シグナルを生じるのに十分であるレベルのポリペプチドを含む場合、視覚的に識別可能なパターンを生じるように選択される。このようなアッセイにおける使用に好ましい結合剤は、抗体およびその抗原結合フラグメントである。好ましくは、膜上に固定化される抗体の量は、約25ng〜約1μgの範囲であり、そしてより好ましくは、約50ng〜約500ngの範囲である。このような試験は、代表的には、非常に少ない量の生物学的サンプルを用いて実行され得る。
もちろん、本発明の腫瘍タンパク質または結合剤との使用に適する多数の他のアッセイ手順が存在する。上記の記載は、例示のみを意図する。例えば、上記手順が、腫瘍ポリペプチドを使用するために容易に改変され得て、生物学的サンプル内でこのようなポリペプチドに結合する抗体を検出し得ることが当業者に明かである。このような腫瘍タンパク質特異的抗体の検出は、癌の存在と相関し得る。
あるいは、癌はまた、生物学的サンプル中の腫瘍タンパク質と特異的に反応するT細胞の存在に基づいて検出され得る。特定の方法では、患者から単離されたCD4T細胞および/またはCD8T細胞を含む生物学的サンプルは、腫瘍ポリペプチド、このようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチドおよび/またはこのようなポリペプチドの少なくとも免疫原性部分を発現するAPCとともにインキュベートされ、そしてT細胞の特異的活性化の存在または非存在が検出される。適切な生物学的サンプルとしては、単離されたT細胞が挙げられるがこれらに限定されない。例えば、T細胞は、慣用技術によって(例えば、末梢血リンパ球のFicoll/Hypaque密度勾配遠心分離法によって)患者から単離され得る。T細胞は、2〜9日間(代表的に4日間)、37℃にてポリペプチド(例えば、5〜25μg/ml)とともにインビトロでインキュベートされ得る。別のアリコートのT細胞サンプルを、コントロールとして役立てるために、腫瘍ポリペプチドの非存在下でインキュベートすることが所望され得る。CD4T細胞に関して、活性化は好ましくは、T細胞の増殖を評価することによって検出される。CD8T細胞に関しては、活性化は好ましくは、細胞溶解活性を評価することによって検出される。疾患のない患者におけるよりも少なくとも2倍高い増殖レベルおよび/または少なくとも20%高い細胞溶解活性レベルは、患者における癌の存在を示す。
上記のように、癌はまた、あるいは、生物学的サンプル中の腫瘍タンパク質をコードするmRNAレベルに基づいて検出され得る。例えば、少なくとも2つのオリゴヌクレオチドプライマーをポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に基づくアッセイにおいて用いて、生物学的サンプルに由来する腫瘍cDNAの一部を増幅し得、ここで、オリゴヌクレオチドプライマーのうちの少なくとも1つは、腫瘍タンパク質をコードするポリヌクレオチドに特異的である(すなわち、ハイブリダイズする)。次いで、増幅されたcDNAが、当該分野で周知の技術(例えば、ゲル電気泳動)を用いて分離され、そして検出される。
同様に、腫瘍タンパク質をコードするヌクレオチドに特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブは、生物学的サンプル中の腫瘍たんぱく質をコードするポリヌクレオチドの存在を検出するハイブリダイゼーションアッセイにおいて使用され得る。
アッセイ条件下でのハイブリダイゼーションを可能にするために、オリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブは、少なくとも10ヌクレオチド、そして好ましくは少なくとも20ヌクレオチドの長さである本発明の腫瘍タンパク質をコードするポリヌクレオチドの一部に少なくとも約60%、好ましくは少なくとも約75%、そしてより好ましくは少なくとも約90%同一であるオリゴヌクレオチド配列を含むべきである。好ましくは、オリゴヌクレオチドプライマーおよび/またはプローブは、上記で定義されるような中程度にストリンジェントな条件下で本明細書中に記載されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズする。本明細書中に開示される診断方法において有効に用いられ得るオリゴヌクレオチドプライマーおよび/またはプローブは、好ましくは、少なくとも10〜40ヌクレオチドの長さである。好ましい実施形態において、このオリゴヌクレオチドプライマーは、本明細書中に記載される配列を有するDNA分子の少なくとも10の連続するヌクレオチド、より好ましくは少なくとも15の連続するヌクレオチドを含む。PCRベースのアッセイおよびハイブリダイゼーションアッセイの両方についての技術は、当該分野において周知である(例えば、Mullisら,Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.,51:263,1987;Erlich編,PCR Technology,Stockton Press,NY,1989を参照のこと)。
1つの好ましいアッセイは、RT−PCRを用い、ここでPCRが、逆転写と組み合わせて適用される。代表的に、RNAは、生物学的サンプル(例えば、生体検査組織)から抽出され、そして逆転写されてcDNA分子を生成する。少なくとも1つの特異的プライマーを用いるPCR増幅は、cDNA分子を生成し、これは例えば、ゲル電気泳動を用いて分離され得、そして可視化され得る。増幅は、試験患者および癌に羅患されていない個体から得られた生物学的サンプルにおいて実行され得る。増幅反応は、2桁の大きさに及ぶ様々なcDNA希釈物について行われ得る。同じ希釈の癌でないサンプルと比較して、様々な希釈の試験患者のサンプルにおける発現の2倍以上の増加は、代表的に陽性であると考えられる。
本発明の別の局面において、細胞捕捉技術は、例えば、肺腫瘍抗原を発現する転移細胞の検出のためのより感度が高い手段を提供するリアルタイム PCRと組み合わせて使用され得る。生物学的サンプル(例えば、骨髄サンプル、末梢血、および小型針吸収サンプル)における肺癌細胞の検出は、肺癌患者における診断および予後について所望される。
表面細胞マーカーに対する特異的モノクローナル抗体でコートされる免疫磁気ビーズは、または四量体の抗体複合体、サンプル中の癌細胞の最初の富化または陽性を選択するために使用され得る。Dynabeads(登録商標)Epithelial Enrich(Dynal Biotech,Oslo,Norway)、StemSepTM(StemCell Technologies,Inc.,Vancouver,BC)およびRosetteSep(StemCell Technologies)を含む、種々の市販のキットが使用され得る。当業者は、他の方法論およびキットもまた、所望される細胞集団を富化するためか、または陽性を選択するために使用され得ることを認識する。Dynabeads(登録商標)Epithelial Enrichは、正常な上皮組織上および新生物上皮組織上で発現される2つの糖タンパク質膜抗原に特異的なmAbでコートされる磁気ビーズを含む。コートされたビーズは、サンプルに添加され得、次いでサンプルは、磁石に適用され、これによってビーズに結合された細胞を捕獲する。目的でない細胞は、洗い流され、そして磁気的に単離された細胞がビーズから溶出され、そしてさらなる分析に使用される。
RosetteSepは、血液サンプルから直接細胞を富化するために使用され得、そして種々の目的でない細胞を標的にする四量体の抗体の反応混液を構成し、そしてサンプル中に存在する赤血球細胞(RBC)上のグリコホリンAと架橋し、ロゼットを形成する。Ficollで遠心分離する場合、標的化細胞は、遊離RBCと共にペレット化する。欠乏した反応混液中の抗体の組合せは、どの細胞が除去され、そしてその結果どの細胞が回収されるかを決定する。利用可能な抗体としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:CD2、CD3、CD4、CD5、CD8、CD10、CD11b、CD14、CD15、CD16、CD19、CD20、CD24、CD25、CD29、CD33、CD34、CD36、CD38、CD41、CD45、CD45RA、CD45RO、CD56、CD66B、CD66e、HLA−DR、IgE、およびTCRαβ。
さらに、肺腫瘍抗原に特異的なmAbが、同様の様式で生成され得、そして使用され得ることが、本発明において企図される。例えば、腫瘍特異的細胞表面抗原に結合するmAbは、磁気ビーズに結合され得るか、または四量体抗体複合体において処方され得、そしてサンプルから転移肺腫瘍細胞を富化するか、またはサンプルから転移肺腫瘍細胞の陽性を選択するために使用される。一旦サンプルが、富化または陽性を選択されると、細胞は溶解され得、そしてRNAが単離され得る。次いで、RNAは、本明細書中に記載されるリアルタイムPCRアッセイにおいて肺腫瘍特異的プライマーを用いてRT−PCR分析に供され得る。当業者は、富化または選択された細胞集団が、他の方法によって分析され得ることを認識する(例えば、インサイチュハイブリダイゼーション、またはフローサイトメトリー)。
別の実施形態において、本明細書中に記載される組成物は、癌の進行についてのマーカーとして使用され得る。この実施形態において、癌の診断について上記に記載されるようなアッセイが、経時的に実行され得、そして反応性ポリペプチドまたはポリヌクレオチドのレベルにおける変化が評価され得る。例えば、このアッセイは、6ヶ月〜1年間の期間24〜72時間毎に実行され得、そしてその後、必要に応じて実行され得る。一般に、癌は、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの検出されたレベルが、経時的に増加する患者において進行する。反対に、反応性のポリペプチドまたはポリヌクレオチドのレベルが、一定のままであるか、または時間とともに減少するかのいずれかの場合、癌は進行していない。
特定のインビボ診断アッセイが、腫瘍について直接実行され得る。このようなアッセイの1つは、腫瘍細胞を、結合剤と接触させる工程を含む。次いで、結合した結合剤が、レポーター基を介して直接的または間接的に検出され得る。このような結合剤はまた、組織学的適用において使用され得る。あるいは、ポリヌクレオチドプローブは、このような適用において使用され得る。
上記のように、感度を向上するために、複数の腫瘍タンパク質マーカーが、所定のサンプルに内でアッセイされ得る。本明細書中で提供される異なるタンパク質について特異的な結合剤が、単独のアッセイにおいて組合せられ得ることは、明らかである。さらに、複数のプライマーまたはプローブが、同時に使用され得る。腫瘍タンパク質マーカーの選択は、最適の感度を生じる組合せを決定する所定の実験に基づき得る。さらに、またはあるいは、本明細書中で提供される腫瘍タンパク質についてのアッセイは、他の公知の腫瘍抗原についてのアッセイと組み合わされ得る。
本発明は、任意の上記の診断方法における使用のためのキットをさらに提供する。このようなキットは、代表的に、診断アッセイを実行するために必要な2つ以上の構成要素を含む。構成要素は、化合物、試薬、容器および/または装置であり得る。例えば、キット内の1つの容器は、腫瘍タンパク質に特異的に結合するそのモノクローナル抗体またはそのフラグメントを含み得る。このような抗体またはフラグメントは、上記のような支持材料に付着されて提供され得る。1つ以上のさらなる容器は、アッセイにおいて使用されるべきエレメント(例えば、試薬または緩衝液)を含み得る。このようなキットはまた、あるいは、抗体結合の直接的検出または間接的検出に適切なレポーター基を含む上記の検出試薬を含み得る。
あるいは、キットは、生物学的サンプル中の腫瘍タンパク質をコードするmRNAのレベルを検出するように設計され得る。このようなキットは、一般に、腫瘍タンパク質をコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズする、上記のような少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプローブまたはプライマーを含む。このようなオリゴヌクレオチドは、例えば、PCRアッセイまたはハイブリダイゼーションアッセイにおいて使用され得る。このようなキット内に存在し得るさらなる構成要素としては、第2のオリゴヌクレオチドおよび/または診断薬、または容器を含み、腫瘍タンパク質をコードするポリヌクレオチドの検出を容易にする。
以下の実施例は、例示として提供され、限定としてではない。
(実施例1)
(肺腫瘍ポリペプチドをコードするcDNA配列の単離および特徴づけ)
本実施例は、肺腫瘍cDNAライブラリーからの、肺腫瘍特異的ポリペプチドをコードするcDNA分子の単離を例示する。
(A.肺扁平上皮細胞癌ライブラリーからのcDNA配列の単離)
ヒト肺扁平上皮細胞癌cDNA発現ライブラリーを、製造業者のプロトコルに従ってSuperscript Plasmid System for cDNA Synthesis and Plasmid Cloning kit(BRL Life Technologies、Gaithersburg、MD)を使用して、2人の患者の組織のプール由来のポリA RNAから構築した。詳細には、肺癌組織をポリトロン(Kinematica、Switzerland)でホモジナイズし、そして総RNAを、製造業者により指示されるようにTrizol試薬(BRL Life Technologies)を使用して抽出した。次いで、ポリA RNAを、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratories、Cold Spring Harbor、NY、1989に記載されるように、オリゴdTセルロースカラムを使用して精製した。第1鎖cDNAを、NotI/Oligo−dT18プライマーを使用して合成した。二本鎖cDNAを合成し、BstXI/EcoRIアダプター(Invitrogen、San Diego、CA)と連結し、そしてNotIで消化した。cDNAサイズ分画カラム(BRL Life Technologies)でのサイズ分画の後、そのcDNAを、pcDNA3.1(Invitrogen)のBstXI/NotI部位に連結し、そしてエレクトロポレーションによって、ElectroMax E.coli DH10B細胞(BRL Life Technologies)に形質転換した。
同じ手順を使用して、正常ヒト肺cDNA発現ライブラリーを、4つの組織標本のプールから調製した。cDNAライブラリーを、独立コロニー数、インサートを保有するクローンの割合、平均インサートサイズを決定すること、および配列分析によって、特徴付けた。この肺扁平上皮細胞癌ライブラリーは、2.7×10個の独立コロニーを含み、100%のクローンが、インサートを有し、そして平均インサートサイズは2100塩基対であった。正常肺cDNAライブラリーは、1.4×10個の独立コロニーを含み、90%のクローンが、インサートを有し、そして平均インサートサイズは1800塩基対であった。両方のライブラリーについて、配列分析は、大多数のクローンが全長cDNA配列を有し、mRNAから合成されたことを示した。
cDNAライブラリー減算(subtraction)を、いくらかの改変とともにHaraら(Blood、84:189〜199、1994)により記載されるように、上記の肺扁平上皮細胞癌cDNAライブラリーおよび正常肺cDNAライブラリーを使用して実施した。詳細には、肺扁平上皮細胞癌特異的減算cDNAライブラリーを、以下のように作製した。正常組織cDNAライブラリー(80μg)をBamHIおよびXhoIで消化し、続いてDNAポリメラーゼKlenowフラグメントでの充填反応を行った。フェノール−クロロホルム抽出およびエタノール沈殿の後、DNAを133μlのHOに溶解し、熱変性し、そして133μl(133μg)のPhotoprobeビオチン(Vector Laboratories、Burlingame、CA)と混合した。製造業者により推薦されるように、生じた混合物を、270Wの太陽燈を用いて、氷上で20分間照射した。さらなるPhotoprobeビオチン(67μl)を添加し、そしてビオチン化反応を反復した。ブタノールで5回抽出した後、そのDNAをエタノール沈殿し、そして23μlのHOに溶解して、ドライバーDNAを形成した。
トレーサーDNAを形成するために、10μgの肺扁平上皮細胞癌cDNAライブラリーを、NotIおよびSpeIで消化し、フェノールクロロホルム抽出し、そしてChroma spin−400カラム(Clontech、Palo Alto、CA)を通した。代表的には、5μgのcDNAをサイズ分別カラムの後に回収した。エタノール沈殿の後、トレーサーDNAを5μlのHOに溶解した。トレーサーDNAを15μlのドライバーDNAおよび20μlの2×ハイブリダイゼーション緩衝液(1.5M NaCl/10mM EDTA/50mM HEPES pH7.5/0.2%ドデシル硫酸ナトリウム)と混合し、ミネラルオイルを重層し、そして完全に熱変性した。このサンプルをすぐに68℃水浴中に移し、そして20時間インキュベートした(ロングハイブリダイゼーション[LH])。次いで、この反応混合物をストレプトアビジン処理に供し、続いてフェノール/クロロホルム抽出した。このプロセスを3回以上反復した。減算されたDNAを沈殿し、12μlのHOに溶解し、8μlのドライバーDNAおよび20μlの2×ハイブリダイゼーション緩衝液と混合し、そして68℃にて2時間のハイブリダイゼーションに供した(ショートハイブリダイゼーション[SH])。ビオチン化二本鎖DNAの除去の後、減算されたcDNAを、クロラムフェニコール耐性pBCSK(Stratagene,La Jolla,CA)のNotI/SpeI部位に連結し、そしてエレクトロポレーションによってElectroMax E.coli DH10B細胞に形質転換して、肺扁平上皮細胞癌特異的減算cDNAライブラリー(本明細書中で以後、「肺差引きI」と呼ぶ)を作製した。
第2の肺扁平上皮細胞癌特異的差引きcDNAライブラリー(「肺差引きII」と呼ぶ)を、肺差引きライブラリーIと類似する様式にて作製したが、但し例外として、肺差引きIから頻繁に回収される8つの遺伝子がドライバーDNAに含まれ、そして24,000個の独立クローンを回収した。
これらの差引きcDNAライブラリーを分析するために、プラスミドDNAを、これら差引き肺扁平上皮細胞癌特異的ライブラリーから無作為に拾った320個の独立クローンから調製した。代表的なcDNAクローンを、Perkin Elmer/Applied Biosystems Division Automated Sequencer Model 373Aおよび/またはModel 377(Foster City、CA)を用いるDNA配列決定によって、さらに特徴付けた。単離した60個のクローンについてのcDNA配列を、配列番号1〜60にて提供する。これらの配列を、EMBLデータベースおよびGenBankデータベース(公開96)を使用して、遺伝子バンク中の公知の配列と比較した。何の有意な相同性も、配列番号2、3、19、38および46にて提供される配列に対して見出されなかった。配列番号1、配列番号6〜8、配列番号10〜13、配列番号15、配列番号17、配列番号18、配列番号20〜27、配列番号29、配列番号30、配列番号32、配列番号34〜37、配列番号39〜45、配列番号47〜49、配列番号51、配列番号52、配列番号54、配列番号55および配列番号57〜59の配列が、以前に同定された発現配列タグ(EST)に対していくらかの相同性を示すことを見出した。配列番号9、配列番号28、配列番号31および配列番号33の配列が、以前に同定された非ヒト遺伝子配列に対していくらかの相同性を示すことを見出し、そして配列番号4、配列番号5、配列番号14、配列番号50、配列番号53、配列番号56および配列番号60の配列が、ヒトにおいて以前に同定された遺伝子配列に対していくらかの相同性を示すことを見出した。
上記の差引き手順を、トレーサーDNAとして、上記の肺扁平上皮細胞癌cDNAライブラリーを使用して反復し、そしてドライバーDNAとして、上記正常肺組織cDNAライブラリーならびに正常肝臓および心臓由来のcDNAライブラリー(上記のように各組織の1つのサンプルのプールから構築した)ならびに肺差引きIおよびIIにて頻繁に回収された他の20個のcDNAクローンを使用して反復した(肺差引きIII)。正常肝臓および心臓のcDNAライブラリーは、1.76×10個の独立コロニーを含み、100%のクローンがインサートを有し、そして平均インサートサイズが1600塩基対であった。さらなる10個のクローンを単離した(配列番号61〜70)。上記のような遺伝子バンク中の配列とのこれらのcDNA配列の比較は、配列番号62および配列番号67にて提供される配列に対して、何の有意な相同性も明らかにしなかった。配列番号61、配列番号63〜66、配列番号68および配列番号69の配列が、以前に単離されたESTに対していくらかの相同性を示すことを見出し、そして配列番号70にて提供される配列が、以前に同定されたラット遺伝子に対していくらかの相同性を示すことを見出した。
さらなる研究において、上記の差引き手順を、トレーサーDNAとして、上記の肺扁平上皮細胞癌cDNAライブラリーを使用して反復し、そしてドライバーDNAとして、正常な肺、腎臓、結腸、膵臓、脳、休止PBMC、心臓、皮膚および食道のプール由来のcDNAライブラリーを使用して反復した。食道cDNAが、このドライバー物質の1/3を構成した。食道は正常上皮細胞(分化した扁平上皮細胞を含む)が豊富なので、この手順は、組織特異的であるより腫瘍特異的である遺伝子を富化するようである。この差引きにて決定した48個のクローンのcDNA配列を、配列番号177〜224にて提供する。配列番号177、配列番号178、配列番号180、配列番号181、配列番号183、配列番号187、配列番号192、配列番号195〜197、配列番号208、配列番号211、配列番号212、配列番号215、配列番号216、配列番号218、および配列番号219の配列は、以前に同定された遺伝子に対して、いくらかの相同性を示した。配列番号179、配列番号182、配列番号184〜186、配列番号188〜191、配列番号193、配列番号194、配列番号198〜207、配列番号209、配列番号210、配列番号213、配列番号214、配列番号217、配列番号220および配列番号224の配列は、以前に決定されたESTに対していくらかの相同性を示した。配列番号221〜223の配列は、以前に決定されたいずれの配列に対しても、何の相同性も示さなかった。
(B.肺腺癌ライブラリーからのcDNA配列の単離)
ヒト肺腺癌cDNA発現ライブラリーを、上記のように構築した。このライブラリーは、3.2×10個の独立コロニーを含み、100%のクローンがインサートを有し、そして平均インサートサイズが1500塩基対であった。ライブラリー差引きを上記のように実施し、ドライバーDNAとして、上記の正常肺cDNA発現ライブラリーならびに正常肝臓および心臓のcDNA発現ライブラリーを使用した。2,600個の独立クローンを回収した。
100個の独立クローンからの最初のcDNA配列分析によって、多くのリボソームタンパク質遺伝子が明らかになった。この差引きにて単離した15個のクローンについてのcDNA配列を、配列番号71〜86にて提供する。上記のような遺伝子バンク中の配列とのこれらの配列の比較によって、配列番号84にて提供される配列に対して何の有意な相同性も明らかにならなかった。配列番号71、配列番号73、配列番号74、配列番号77、配列番号78および配列番号80〜82の配列が、以前に単離されたESTに対していくらかの相同性を示すことを見出し、そして配列番号72、配列番号75、配列番号76、配列番号79、配列番号83、および配列番号85の配列が、以前に同定されたヒト遺伝子に対していくらかの相同性を示すことを見出した。
さらなる研究において、cDNAライブラリー(mets3616Aと呼ぶ)を転移性肺腺癌から構築した。このライブラリーから無作為に配列決定した25個のクローンの決定したcDNA配列を、配列番号255〜279にて提供する。mets3616A cDNAライブラリーを、正常肺、肝臓、膵臓、皮膚、腎臓、脳および休止PBMCのプールから調製したcDNAライブラリーと対照して差引きした。この差引きの特異性を増加するために、mets3616A cDNAライブラリーにて最も豊富であると決定した遺伝子(例えば、EF1−α、インテグリン−βおよび抗凝固剤タンパク質PP4)ならびに差引き肺腺癌cDNAライブラリーにて示差的に発現されることが以前に見出されたcDNAを、ドライバーに加えた。この差引きライブラリー(mets3616A−S1と呼ぶ)から単離した51個のクローンの決定されたcDNA配列を、配列番号280〜330にて提供する。
公のデータベース中の配列との配列番号255〜330の配列の比較により、配列番号255〜258、配列番号260、配列番号262〜264、配列番号270、配列番号272、配列番号275、配列番号276、配列番号279、配列番号281、配列番号287、配列番号291、配列番号296、配列番号300および配列番号310の配列に対して、何の有意な相同性も明らかにならなかった。配列番号259、配列番号261、配列番号265〜269、配列番号271、配列番号273、配列番号274、配列番号277、配列番号278、配列番号282〜285、配列番号288〜290、配列番号292、配列番号294、配列番号297〜299、配列番号301、配列番号303〜309、配列番号313、配列番号314、配列番号316、配列番号320〜324、および配列番号326〜330の配列は、以前に同定された遺伝子配列に対して多少相同性を示したが、配列番号280、配列番号286、配列番号293、配列番号302、配列番号310、配列番号312、配列番号315、配列番号317〜319および配列番号325の配列は、以前に単離した発現された配列タグ(EST)に対して相同性を示した。
(実施例2)
(肺腫瘍ポリペプチドの組織特異性の決定)
遺伝子特異的プライマーを使用して、実施例1に記載される7つの代表的な肺腫瘍ポリペプチドについてのmRNA発現レベルを、RT−PCRを使用して、種々の正常組織および腫瘍組織にて試験した。
手短かには、総RNAを、上記のようなTrizol試薬を使用して、種々の正常組織および腫瘍組織から抽出した。第1鎖合成を、SuperScriptII逆転写酵素(BRL Life Technologies)とともに42℃で1時間2μgの総RNAを使用して、実行した。次いで、そのcDNAを、遺伝子特異的プライマーを用いてPCRにより増幅した。RT−PCRの半定量的性質を確実にするために、β−アクチンを、試験した組織の各々についての内部コントロールとして使用した。cDNAの1:30希釈物1μlを使用して、β−アクチンテンプレートの線形範囲増幅を可能した。そしてこのcDNAの1:30希釈物は、最初のコピー数での差異を反映するに十分感度が良かった。これらの条件を使用して、このβ−アクチンレベルを、各組織からの各逆転写反応について決定した。DNA夾雑物を、DNase処理により、そして逆転写酵素を添加することなく調製した第1鎖cDNAを使用する場合には、ネガティブなPCRの結果を確実にすることによって、最小にした。
mRNA発現レベルを、5つの異なる型の腫瘍組織(3人の患者由来の肺扁平上皮細胞癌、肺腺癌、2人の患者由来の結腸腫瘍、乳房腫瘍および前立腺腫瘍)にて、ならびに13個の異なる正常組織(4人のドナー由来の肺、前立腺、脳、腎臓、肝臓、卵巣、骨格筋、皮膚、小腸、胃、心筋層、網膜および精巣)にて試験した。10倍量のcDNAを使用して、抗原LST−S1−90(配列番号3)が、肺扁平上皮癌および乳房腫瘍において高レベルで発現され、そして試験した他の組織で低レベル〜検出不可能なレベルで発現されることを見出した。
抗原LST−S2−68(配列番号15)は、肺および乳房腫瘍に特異的であるようだが、発現を正常腎臓においてもまた検出した。抗原LST−S1−169(配列番号6)およびLST−S1−133(配列番号5)は、肺組織(正常および腫瘍の両方)において非常に豊富であるようであり、これら2つの遺伝子の発現は、試験した正常組織のほとんどにおいて減少している。LST−S1−169およびLST−S1−133の両方はまた、乳房腫瘍および結腸腫瘍において発現した。抗原LST−S1−6(配列番号7)およびLST−S2−I2−5F(配列番号47)は、腫瘍特異的発現または組織特異的発現を示さず、LSTーS1−28の発現はまれであり、そして少数の組織でしか検出可能でなかった。抗原LST−S3−7(配列番号63)は肺および乳房腫瘍特異的発現を示し、そのメッセージを、PCRを30サイクル実施した場合に正常な精巣においてのみ検出した。より低レベルの発現を、サイクル数を35回まで増加した場合にいくつかの正常組織にて検出した。抗原LST−S3−13(配列番号66)が、4つの肺腫瘍のうちの3つ、1つの乳房腫瘍および両結腸腫瘍サンプルにて発現されることを見出した。正常組織におけるその発現は、腫瘍と比較して低く、4つの正常肺組織のうちの1つ、ならびに腎臓、卵巣および網膜由来の正常組織でしか検出されなかった。抗原LST−S3−4(配列番号62)およびLST−S3−14(配列番号67)の発現はまれであり、そしていかなる組織特異性または腫瘍特異性も示さなかった。ノーザンブロット分析と一致して、抗原LAT−S1−A−10A(配列番号78)に対するRT−PCRの結果は、その発現が、肺組織、結腸組織、胃組織および小腸組織(肺腫瘍および結腸腫瘍を含む)において高いが、その発現は他の組織において低いかまたは検出不能であることを示唆した。
上記の肺減算I、IIおよびIIIにて単離した合計2002個のcDNAフラグメントを、コロニーPCR増幅し、そして肺腫瘍、正常肺、ならびに他の種々の正常組織および腫瘍組織におけるそれらのmRNA発現レベルを、マイクロアレイ技術(Synteni、Palo Alto、CA)を使用して決定した。手短かには、PCR増幅産物をアレイの様式でスライド上に点で打ち、各産物がそのアレイ中で独自の位置を占めた。試験する組織サンプルからmRNAを抽出し、逆転写し、そして蛍光標識cDNAプローブを作製した。このマイクロアレイをこの標識cDNAプローブを用いてプローブし、スライドをスキャンし、そして蛍光強度を測定した。この強度は、ハイブリダイゼーション強度と相関する。17個の非重複cDNAクローンが肺扁平上皮細胞腫瘍での過剰発現を示し、試験した正常組織(肺、皮膚、リンパ節、結腸、肝臓、膵臓、乳房、心臓、骨髄、大腸、腎臓、胃、脳、小腸、膀胱および唾液腺)での発現は、検出不可能かまたは肺扁平上皮腫瘍と比較して1/10のいずれかであった。クローンL513Sについて決定したcDNA配列を、配列番号87および配列番号88にて提供し;L514Sについて決定したcDNA配列を、配列番号89および配列番号90にて提供し;L516Sについて決定したcDNA配列を、配列番号91および配列番号92にて提供し;L517Sについて決定したcDNA配列を、配列番号93にて提供し;L519Sについて決定したcDNA配列を、配列番号94にて提供し;L520Sについて決定したcDNA配列を、配列番号95および配列番号96にて提供し;L521Sについて決定したcDNA配列を、配列番号97および配列番号98にて提供し;L522Sについて決定したcDNA配列を、配列番号99にて提供し;L523Sについて決定したcDNA配列を、配列番号100にて提供し;L524Sについて決定したcDNA配列を、配列番号101にて提供し;L525Sについて決定したcDNA配列を、配列番号102にて提供し;L526Sについて決定したcDNA配列を、配列番号103にて提供し;L527Sについて決定したcDNA配列を、配列番号104にて提供し;L528Sについて決定したcDNA配列を、配列番号105にて提供し;L529Sについて決定したcDNA配列を、配列番号106にて提供し;そしてL530Sについて決定したcDNA配列を、配列番号107および配列番号108にて提供する。さらに、L530Sについての全長cDNA配列を配列番号151にて提供し、対応するアミノ酸配列を配列番号152にて提供する。L530Sは、p53腫瘍サプレッサーホモログp63のスプライス改変体に対して相同性を示す。p63の既知の7つのアイソフォームのcDNA配列を、配列番号331〜337にて提供し、対応するアミノ酸配列を、それぞれ、配列番号338〜344にて提供する。
多型に起因して、クローンL531Sは、2つの形態を有するようである。L531Sについて決定した第1の全長cDNA配列を配列番号109にて提供し、対応するアミノ酸配列を配列番号110にて提供する。L531Sについて決定した第2の全長cDNA配列を配列番号111にて提供し、対応するアミノ酸配列を配列番号112にて提供する。配列番号111の配列は、配列番号109の配列と同一であるが、例外として27bpの挿入を含む。同様に、L514Sは、2つの交互にスプライスされた形態を有し;第1の改変体cDNAを配列番号153として列挙し、対応するアミノ酸配列を配列番号155にて提供する。L514S全長cDNAの第2の改変体形態を配列番号154にて提供し、その対応するアミノ酸配列を配列番号156にて提供する。
L524S(配列番号101)についての全長クローニングは、それぞれ、配列番号165および配列番号166の対応するアミノ酸配列を伴った、2つの改変体(配列番号163および配列番号164)を生じた。両方の改変体は、甲状腺ホルモン関連ペプチドをコードすることが、示されている。
L519Sについての全長cDNAを単離する試みは、配列番号173にて提供する伸長したcDNA配列(1つの潜在的オープンリーディングフレームを含む)の単離を生じた。配列番号173の配列によりコードされるアミノ酸配列を、配列番号174にて提供する。さらに、配列番号100のクローン(L523Sと呼ぶ)(既知の遺伝子)についての全長cDNA配列を、配列番号175にて提供し、対応するアミノ酸配列を配列番号176にて提供する。さらなる研究において、L523Sについての全長cDNA配列を、配列番号175の配列から設計した遺伝子特異的プライマーを使用するPCR増幅によって、L523S陽性腫瘍cDNAライブラリーから単離した。決定した全長cDNA配列を、配列番号347にて提供する。この配列によりコードされるアミノ酸配列を、配列番号348にて提供する。このタンパク質配列は、2つのアミノ酸位置(すなわち、158位および410位)にて、以前に公開されたタンパク質配列と異なる。
上記のような、遺伝子バンク中の配列とのL514SおよびL531Sの配列(それぞれ、配列番号87および配列番号88、および配列番号109)の比較により、既知の配列に対して何の有意な相同性も明らかにならなかった。L513S、L516S、L517S、L519S、L520SおよびL530Sの配列(それぞれ、配列番号87および配列番号88、配列番号91および配列番号92、配列番号93、配列番号94、配列番号95および配列番号96、配列番号107および配列番号108)が、以前に同定されたESTに対していくらかの相同性を示すことを見出した。L521S、L522S、L523S、L524S、L525S、L526S、L527S、L528SおよびL529Sの配列(それぞれ、配列番号97および配列番号98、配列番号99、配列番号99、配列番号101、配列番号102、配列番号103、配列番号104、配列番号105、および配列番号106)が、既知の遺伝子を示すことを見出した。L520Sについて決定した全長cDNA配列を配列番号113にて提供し、対応するアミノ酸配列を、配列番号114にて提供する。引き続くマイクロアレイ分析により、L520Sが、肺扁平上皮細胞腫瘍に加えて、乳房腫瘍においても過剰発現されることが示された。
さらなる分析は、L529S(配列番号106および115)、L525S(配列番号102および120)ならびにL527S(配列番号104)は、細胞骨格成分であり、そして潜在的に扁平上皮細胞特異的タンパク質であることを示した。L529Sは、コネキシン26(ギャップ結合タンパク質)である。これは、肺扁平上皮腫瘍(9688Tとよぶ)において高度に発現し、そして他の2つにおいては中程度に過剰発現することを見出した。しかし、コネキシン26のより低いレベルの発現はまた、正常な皮膚、結腸、肝臓および胃において検出可能である。いくつかの乳房腫瘍におけるコネキシン26の過剰発現が報告されており、そしてL529Sの変異形態は、肺腫瘍において過剰発現を生じ得る。L525Sは、プラコフィリン(plakophilin)1、(皮膚の斑保有付着結合において見出されるデスモソームタンパク質)である。L525S mRNAの発現レベルは、試験した4つの肺扁平上皮腫瘍のうち3つ、および正常な皮膚において非常に増大した。L527Sは、ケラチン6アイソフォーム、II型58Kdケラチンおよびサイトケラチン13と同定され、そして扁平上皮腫瘍において過剰発現を示し、そして正常な皮膚組織、乳房組織および結腸組織において低い発現を示す。特に、ケラチンおよびケラチン関連遺伝子は、CYFRA2.1を含む肺癌の潜在的なマーカーとして広範に実証されてきた(Pastor,A.ら、Eur.Respir.J.,10:603−609,1997)。L513S(配列番号87および88)は、試験されたいくつかの腫瘍組織において中程度の過剰発現を示し、そして尋常天然疱瘡抗原として最初に単離されたタンパク質をコードする。
L520S(配列番号95および96)およびL521S(配列番号97および98)は、肺扁平上皮腫瘍において高度に発現され、そしてL520Sは、正常な唾液腺において上方制御され、そしてL521Sは、正常な皮膚において過剰発現される。両方とも、プロリンリッチな小さいタンパク質のファミリーに属し、そして十分に分化した扁平上皮細胞に対してマーカーを示す。L521Sは、肺扁平上皮腫瘍に特異的なマーカーとして記載されている(Hu,R.ら、Lung Cancer,20:25−30,1998)。L515S(配列番号162)は、IGF−β2をコードし、そしてL516Sは、アルドースレダクターゼホモログである。両方とも肺扁平上皮腫瘍および正常な結腸において中程度に発現される。特に、L516S(配列番号91および92)は、転移性の腫瘍において上方制御されるが、原発性肺腺癌においては上方制御されず、これは転移(metatasis)および潜在的な予後マーカーにおけるその潜在的な役割の指標である。L522S(配列番号99)は、肺扁平上皮腫瘍において中程度に過剰発現されるが、正常な組織においては最小限の発現である。L522Sは、クラスIVアルコールデヒドロゲナーゼ、ADH7に属することが示されており、そしてその発現プロフィールはそれが扁平上皮細胞特異的抗原であることを示唆する。L523S(配列番号100)は、肺扁平上皮腫瘍、ヒト膵臓癌細胞株および膵臓癌組織において中程度に過剰発現され、この遺伝子が膵臓癌と肺扁平上皮細胞癌との間の共通抗原であり得ることを示唆する。
L524S(配列番号101)は、試験した多くの扁平上皮腫瘍において過剰発現され、そして副甲状腺ホルモン関連ペプチド(PTHrP)と相同であり、これは悪性腫瘍(例えば、白血病、前立腺癌および乳癌)に関連する体液性高カルシウム血症を引き起こすことが最も良く知られている。PTHrPは、肺の扁平上皮癌に最も一般的に関連し、そしてまれに肺腺癌に関連することもまた考えられる(Davidson,L.A.ら、J.Pathol.,178:398−401,1996)。L528S(配列番号105)は、2つの肺扁平上皮腫瘍において高度に過剰発現されるが、他の2つの扁平上皮腫瘍、1つの肺腺癌およびいくつかの正常な組織(皮膚、リンパ節、心臓、胃および肺を含む)において中程度に発現される。L528Sは、メラノサイト特異的遺伝子Pmel17の前駆体に似ているNMB遺伝子をコードし、これは、転移可能性の低い黒色腫細胞株において優先的に発現されることが報告されている。このことは、L528Sが、黒色腫および肺扁平上皮細胞癌の両方における共通抗原であり得ることを示唆する。L526S(配列番号103)は、試験されたすべての肺扁平上皮細胞腫瘍組織において過剰発現され、そして変異が、他の症状の中でも血管拡張性失調症(癌の素因を生じるヒトの遺伝的障害)を引き起こす遺伝子(ATM)と相同性を共有することが示されてきた。ATMは、直接的な結合およびp53分子のリン酸化を介してp53媒介細胞周期チェックポイントを活性化するタンパク質をコードする。約40%の肺癌が、p53変異に関連し、そしてATMの過剰発現は、p53機能の損失の補填の結果であることが推測されるが、過剰発現が、肺扁平上皮細胞癌の結果の原因であるかどうかは知られていない。さらに、L526S(ATM)の発現はまた、転移において検出されるが、肺腺癌においては検出されず、転移における役割を示唆する。
L523S(配列番号175)の発現を、上記のようにリアルタイムRT−PCRによって試験した。肺扁平上皮腫瘍のパネルを用いる第1の研究において、L523Sが、4/7の肺扁平上皮腫瘍、2/3の頭部および頸部扁平上皮腫瘍ならびに2/2の肺腺癌において発現され、骨格筋、軟口蓋および扁桃においては低レベルの発現が観察されることが見出された。肺腺癌パネルを用いる第2の研究において、L523Sの発現を、4/9の原発性腺癌、2/2の肺胸水、1/1の転移性肺腺癌および2/2の肺扁平上皮腫瘍において観察し、正常な組織においてはほとんど発現を観察しなかった。
肺腫瘍および種々の正常な組織におけるL523Sの発現もまた、ノーザンブロット分析によって標準的な技術を用いて試験した。第1の研究において、L523Sは、多くの肺腺癌および扁平上皮細胞癌腫、ならびに正常な扁桃において発現されることが見出された。正常な肺においては、発現が観察されなかった。Clontechからの正常な組織ブロット(HB−12と称する)を用いる第2の研究においては、脳、骨格筋、結腸、胸腺、脾臓、腎臓、肝臓、小腸、肺またはPBMCにおいて発現が観察されなかったが、胎盤において強力な発現が存在した。
(実施例3)
(PCRに基づくサブトラクションによる肺腫瘍ポリペプチドの単離および特徴付け)
cDNAサブトラクションライブラリー由来の857個のクローン(8つの正常なヒト組織cDNA(肺、PBMC、脳、心臓、腎臓、肝臓、膵臓および皮膚を含む)に対してサブトラクトされた2つのヒト肺扁平上皮腫瘍のプール由来のcDNAを含む)(Clontech,Palo Alto,CA)を誘導し、第1回目のPCR増幅に供した。このライブラリーを、製造者のプロトコルに従って、第2回目のPCR増幅に供した。得られたcDNAフラグメントを、P7−Advベクター(Clontech,Palo Alto,CA)にサブクローン化し、そしてDH5α E.coli(Gibco,BRL)に形質転換した。DNAをそれぞれのクローンから単離し、そしてPerkin Elmer/Applied Biosystems Division Automated Sequencer Model 373Aを用いて配列決定した。
162個のポジティブクローンを配列決定した。上記のように、これらのクローンのDNA配列と、EMBLおよびGenBankデータベースにおけるDNA配列との比較は、これらのクローンのうちの13に対して有意な相同性は示さず、この13個のクローンを本明細書中以下、コンティグ13、16、17、19、22、24、29、47、49、56〜59という。これらのクローンについての決定されたcDNA配列は、配列番号125、127〜129、131〜133、142、144、148〜150および157においてそれぞれ提供される。コンティグ1、3〜5、7〜10、12、11、15、20、31、33、38、39、41、43、44、45、48、50、53、54(それぞれ配列番号115〜124、126、130、134〜141、143、145〜147)は、先に同定されたDNA配列とある程度の相同性を示すことが見出された。コンティグ57(配列番号149)は、米国特許出願第09/123,912号(1998年7月27日出願)において開示されるクローンL519S(配列番号94)を示すことが見出された。本発明者らの知る限りにおいて、これらの配列が肺腫瘍において差次的に過剰発現されることは、以前に示されていなかった。
肺腫瘍組織、正常な肺組織(n=4)、休止PBMC、唾液腺、心臓、胃、リンパ節、骨格筋、軟口蓋、小腸、大腸、気管支、膀胱、扁桃、腎臓、食道、骨髄、結腸、副腎、膵臓および皮膚(すべてヒト由来)における代表的なクローンについてのmRNA発現レベルは、上記のようにRT−PCRによって決定した。マイクロアレイ技術を用いる発現レベルは、上記のように、他に示されない限り、各組織型の1つのサンプルにおいて試験した。
コンティグ3(配列番号116)は、試験したすべての頭部および頸部扁平上皮細胞腫瘍(17/17)で高度に発現され、そして多くの(8/12)肺扁平上皮腫瘍において発現される(7/12で高い発現、2/12で中程度、そして2/12において低い)が、2/4の正常な肺組織についてはネガティブの発現を示し、そして残る2つのサンプルにおいては低い発現を示すことが見出された。コンティグ3は、皮膚および軟口蓋において中程度の発現を示し、そして休止PBMC、大腸、唾液腺、扁桃、膵臓、食道、および結腸においては低下した発現レベルを示した。コンティグ11(配列番号124)は、試験したすべての頭部および頸部扁平上皮細胞腫瘍(17/17)において発現され:14/17の腫瘍で高レベルで発現され、そして3/17の腫瘍で中程度のレベルに発現されることが見出された。さらに、肺扁平上皮腫瘍における発現は、3/12で高い発現および4/12で中程度の発現を示した。コンティグ11は、3/4の正常な肺サンプルについてはネガティブであり、残りのサンプルは、わずかに低い発現を有した。コンティグ11は、唾液腺、軟口蓋、膀胱、扁桃、皮膚、食道および大腸に対して、低〜中程度の反応性を示した。コンティグ13(配列番号125)は、試験したすべての頭部および頸部扁平上皮細胞腫瘍(17/17)において発現され:12/17で高度に発現され、そして5/17で中程度に発現されることが見出された。コンティグ13は、7/12の肺扁平上皮腫瘍において発現され、4/12で高度な発現、および3つのサンプル中で中程度の発現であった。正常な肺サンプルの分析は、2/4についてネガティブの発現を示し、そして残りの2つのサンプルにおいては、低〜中程度の発現を示した。コンティグ13は、休止PBMC、唾液腺、膀胱、膵臓、扁桃、皮膚、食道および大腸に対して低〜中程度の反応性を、そして軟口蓋において高い発現を示した。その後に全長クローニングの努力によって、hSec10p遺伝子の3’非翻訳領域に対するコンティング13(L761Pとしても公知)マップが明らかになった。この遺伝子の全長配列を配列番号368に示し、そしてこの全長配列は、配列番号369に示すタンパク質をコードする。
コンティグ16(配列番号127)は、いくつかの頭部および頸部扁平上皮細胞腫瘍(6/17)および1つの肺扁平上皮腫瘍において中程度に発現されることが見出されたが;試験されたどの正常な肺サンプルにおいても発現を示さなかった。コンティグ16は、休止PBMC、大腸、皮膚、唾液腺、および軟口蓋に対して低い反応性を示した。コンティグ17(配列番号128)は、試験したすべての頭部および頸部扁平上皮細胞腫瘍(17/17)において発現される(5/17で高度に発現され、そして12/17で中程度に発現される)ことが示された。肺扁平上皮腫瘍における発現レベルの決定は、高い発現を有する1つの腫瘍サンプルおよび中程度のレベルを有する3/12のサンプルを示した。コンティグ17は、2/4の正常な肺サンプルについてネガティブであり、残りのサンプルは、ごく低い発現のみを有した。さらに、低いレベルの発現が、食道および軟口蓋において見出された。コンティグ19(配列番号129)は、試験したほとんどの頭部および頸部扁平上皮細胞腫瘍(11/17)において発現されることが見出され;2つのサンプルは高いレベルを有し、6/17は、中程度の発現を示し、3/17で低い発現が見出された。肺扁平上皮腫瘍における試験は、3/12のサンプルにおける中程度の発現のみを示した。2/4の正常な肺サンプルにおける発現レベルはネガティブであり、他の2つのサンプルは、ごく低い発現を有した。コンティグ19は、食道、休止PBMC、唾液腺、膀胱、軟口蓋および膵臓において低い発現レベルを示した。
コンティグ22(配列番号131)は、試験されたほとんどの頭部および頸部の扁平上皮細胞腫瘍(13/17)において発現されることが示された(これらのサンプルの4つにおいて高い発現、6/17において中程度の発現、および3/17において低い発現を伴なう)。肺の扁平上皮腫瘍における発現レベルは、試験された3/12組織について中程度〜高いレベルであることが見出された(2つの正常な肺サンプルにおいてネガティブな発現および2つの他のサンプルにおける低い発現を伴なう)(n=4)。コンティグ22は、皮膚、唾液腺および軟口蓋において低い発現を示した。同様に、コンティグ24(配列番号132)は、試験されたほとんどの頭部および頸部の扁平上皮細胞腫瘍(13/17)において発現されることが見出された(これらのサンプルのうちの3つにおいて高い発現、6/17において中低度の発現、および4/17において低い発現を伴なう)。肺の扁平上皮腫瘍における発現レベルは、試験された3/12組織について中程度〜高いレベルであることが見出された(3つの正常な肺サンプルについてネガティブな発現および1つのサンプルにおける低い発現を伴なう)(n=4)。コンティグ24は、皮膚、唾液腺および軟口蓋において低い発現を示した。コンティグ29(配列番号133)は、試験されたほとんど全ての頭部および頸部の扁平上皮細胞腫瘍(16/17)において発現され、4/17において高く発現され、11/17において中程度に発現され、1つのサンプルにおいて低い発現を伴なった。また、それは3/12の肺の扁平上皮腫瘍において中程度に発現されたが、2/4の正常な肺サンプルについてはネガティブであった。コンティグ29は、大腸、皮膚、唾液腺、膵臓、扁桃、心臓および軟口蓋において低い発現〜中程度の発現を示した。コンティグ47(配列番号142)は、試験されたほとんどの頭部および頸部の扁平上皮腫瘍(12/17)において発現された(10/17において中低度の発現、および2つのサンプルにおいて低い発現)。肺の扁平上皮腫瘍において、それは、1つのサンプルにおいて高く発現され、そして2の他のサンプルにおいて中程度に発現された(n=13)。コンティグ47は、2/4の正常な肺サンプルについてネガティブであり、2つのサンプルが中程度の発現を有したままであった。また、コンティグ47は、大腸および膵臓において中程度の発現を示し、そして皮膚、唾液腺、軟口蓋、胃、膀胱、休止PBMCおよび扁桃において低い発現を示した。
コンティグ48(配列番号143)は、試験された全ての頭部および頸部の扁平上皮細胞腫瘍(17/17)において発現され、8/17において高く発現され、7/17において中程度に発現され、2つのサンプルにおいて低い発現を有した。肺の扁平上皮腫瘍における発現レベルは、3つのサンプルにおいて高〜中程度であった(n=13)。コンティグ48は、4つの正常な肺サンプルのうちの1つについてネガティブであり、残りは、低いかまたは中程度の発現を示した。コンティグ48は、軟口蓋、大腸、膵臓および膀胱において中程度の発現を示し、そして食道、唾液腺、休止PBMCおよび心臓において低い発現を示した。コンティグ49(配列番号144)は、試験された6/17の頭部および頸部の扁平上皮細胞腫瘍において、低いレベル〜中低度のレベルにて発現された。肺の扁平上皮腫瘍における発現レベルは、3つのサンプルにおいて中程度であった(n=13)。コンティグ49は、2/4の正常な肺サンプルに対してネガティブであり、残りのサンプルは低い発現を示した。皮膚、唾液腺、大腸、膵臓、膀胱および休止PBMCにおける中程度の発現レベルが示され、ならびに軟口蓋、リンパ節および扁桃において低い発現が示された。コンティグ56(配列番号148)は、3/17の試験された頭部および頸部の扁平上皮細胞腫瘍において低いレベル〜中低度のレベルで発現され、そして肺の扁平上皮腫瘍において、13のサンプルのうちの3つが、低いレベル〜中程度のレベルを示した。特に、低い発現レベルが、1つの腺癌肺腫瘍サンプル(n=2)において検出された。コンティグ56は、3/4の正常な肺サンプルについてネガティブであり、そして大腸においてのみ中程度の発現レベルを示し、そして唾液腺、軟口蓋、膵臓、膀胱および休止PBMCにおいて低い発現を示した。コンティグ58(L769Pとしても公知(配列番号150))は、試験された11/17の頭部および頸部の扁平上皮細胞腫瘍において中程度のレベルにて発現され、そして1つのさらなるサンプルにおいて低い発現が示された。肺の扁平上皮腫瘍における発現は、13のサンプルのうち3つのサンプルにおいて低いレベル〜中程度のレベルを示した。コンティグ58は、3/4の正常な肺サンプルについてネガティブであった(1つのサンプルは、低い発現を有した)。皮膚、大腸および休止PBMCにおける中程度の発現レベルを実証し、ならびに唾液腺、軟口蓋、膵臓および膀胱における低い発現を実証した。コンティグ59(配列番号157)は、いくつかの頭部、頸部および肺の扁平上皮腫瘍において発現された。コンティグ59の低いレベルの発現がまた、唾液腺および大腸において検出された。
L763Pとしても言及されるコンティグ22についての全長cDNA配列を、配列番号158において提供する(対応するアミノ酸配列を配列番号159において提供する)。L763PのリアルタイムRT−PCR分析は、これが3/4の肺扁平上皮腫瘍ならびに4/4の頭部および頸部扁平上皮腫瘍において高く発現され、正常の脳、皮膚、軟口蓋および気管において低いレベルの発現が観察されることを明らかにした。引き続くデータベース検索は、配列番号158の配列が変異を含み、対応するタンパク質配列においてフレームシフトを生じていることを明らかにした。L763Pについての第2のcDNA配列が配列番号345において提供され、対応するアミノ酸配列は、配列番号346において提供される。配列番号159および346の配列は、配列番号159のC末端の33個のアミノ酸以外は、同一である。
L762Pとして言及されるコンティグ17、19および24を組込んだ全長cDNA配列を、配列番号160において提供し、対応するアミノ酸配列を配列番号161に提供する。L762Pのさらなる分析は、これがI型膜タンパク質であることを決定し、そして2つのさらなる改変体を配列決定した。改変体1(配列番号167、配列番号169における対応するアミノ酸配列を有する)は、配列番号160の選択的スプライシングされた形態であり、503個のヌクレオチドの欠失、ならびに発現されるタンパク質の短いセグメントの欠失を生じる。改変体2(配列番号168、配列番号170における対応するアミノ酸配列を有する)は、配列番号160と比較して3’コード領域における2個のヌクレオチド欠失を有し、発現されるタンパク質の分泌形態を生じる。L762PのリアルタイムRT−PCR分析は、3/4の肺扁平上皮腫瘍および4/4の頭部および頸部の腫瘍において過剰発現され、低いレベルの発現が、正常な皮膚、軟口蓋および気管において観察されるということを明らかにした。
L762Pのエピトープを、配列KPGHWTYTLNNTHHSLQALK(配列番号382)(これは、配列番号161のアミノ酸571〜590に対応する)を有するとして同定された。
L773Pとしても言及されるコンティグ56(配列番号148)についての全長cDNA配列が、配列番号171において提供され、配列番号172のアミノ酸配列を伴う。L773Pは、ジヒドロキシルデヒドロゲナーゼとその遺伝子の3’部分において同一であることが見出された(互いに異なる5’配列を有する)。結果として、その69個のN末端アミノ酸は独特である。その69個のN末端アミノ酸をコードするcDNA配列が、配列番号349において提供され、N末端アミノ酸配列が配列番号350において提供される。リアルタイムPCRは、L773Pが、正常な組織において検出可能な発現を伴わずに、肺扁平上皮腫瘍および肺の腺癌において高度に発現されるということを明らかにした。引き続くL773Pのノーザンブロット分析は、この転写物が、扁平上皮腫瘍において示差的に過剰発現されるということ、そして原発性の肺腫瘍組織においておよそ1.6Kbおよび原発性の頭部および頸部腫瘍組織においておよそ1.3Kbにて検出されることを実証した。
引き続くマイクロアレイ分析は、L769S(配列番号150)としても言及されるコンティグ58が、肺の扁平上皮腫瘍に加えて乳房腫瘍において過剰発現されることを示した。
(実施例4)
(PCRに基づくサブトラクションによる肺腫瘍ポリペプチドの単離および特徴付け)
cDNAサブトラクションライブラリー由来の760のクローン(9つの正常なヒト組織cDNA(皮膚、結腸、肺、食道、脳、腎臓、脾臓、膵臓、および肝臓を含む)のプールに対してサブトラクトされた2つのヒト肺原発性腺腫のプール由来のcDNAを含む)(Clontech,Palo Alto,CA)を誘導し、第1回目のPCR増幅に供した。このライブラリー(ALT−1と称する)を、製造者のプロトコルに従って、第2回目のPCR増幅に供した。肺腫瘍、正常肺、ならびに種々の他の正常な組織および腫瘍組織におけるこれら760個のcDNAクローンの発現レベルを、マイクロアレイ技術(Incyte,Palo Alto,CA)を用いて調べた。簡単に言うと、PCR増幅産物を、アレイフォーマットにてスライドガラス上にドットし、各生成物がそのアレイにおいて特有の位置を占める。mRNAを試験される組織サンプルから抽出し、逆転写させ、そして蛍光標識したcDNAプローブを生成する。マイクロアレイを、標識cDNAプローブを用いてプローブし、そのスライドガラスをスキャンし、そして蛍光強度を測定した。この強度は、ハイブリダイゼーション強度と相関する。総数118個のクローンのうち55個が特有であり、肺腫瘍組織において過剰発現することが見出され、試験した正常組織(肺、皮膚、リンパ節、結腸、肝臓、膵臓、胸部、心臓、骨髄、大腸、腎臓、胃、脳、小腸、膀胱および唾液腺)における検出は、いずれも検出不可能であるか、または非常に低いレベルであるかのいずれかであった。これらのクローンのうちの1つ(配列番号420に提供される配列を有する(クローン番号19014))が、以前に同定されたクローンのL773Pと相同性を示す。クローンL773Pは、配列番号171に提供される全長cDNA配列および配列番号172に提供されるアミノ酸配列を有する。クローン番号19014の単離もまた、同時係属中の米国特許出願09/285,479(1999年4月2日出願)に記載される。
(実施例5)
(ポリペプチドの合成)
ポリペプチドは、HPTU(O−ベンゾトリアゾール−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)活性化を伴うFMOC化学反応を使用するPerkin Elmer/Applied Biosystems Division 430Aペプチドシンセサイザー上で合成され得る。Gly−Cys−Gly配列は、結合体化、固定された表面への結合、またはペプチドの標識化の方法を提供するためにそのペプチドのアミノ末端に付着され得る。固体支持体からのそのペプチドの切断は、以下の切断混合物を使用して実施され得る:トリフルオロ酢酸:エタンジチオール:チオアニソール:水:フェノール(40:1:2:2:3)。2時間の切断の後、そのペプチドを、冷却メチル−t−ブチル−エーテル中で沈殿させる。次いで、そのペプチドペレットを0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)を含有する水の中に溶解し、そしてC18逆相HPLCによる精製の前に凍結乾燥する。水中(0.1%TFA含有)0%〜60%のアセトニトリル(0.1%TFA含有)の勾配を使用して、ペプチドを溶出させ得る。純粋な画分の凍結乾燥後、そのペプチドを、エレクトロスプレーもしくは他の型の質量分析法を使用し、そしてアミノ酸分析によって特徴付ける。
(実施例6)
(肺癌抗原に対する抗体の調製)
肺癌抗原L514S、L528SおよびL531S、L523およびL773P(それぞれ、配列番号155、225、112、176および171)に対するポリクローナル抗体を以下のように調製した。
下記のようなE.coliにおいて発現されて、そして精製された組換えタンパク質を用いて、ウサギを免疫した。初期の免疫のために、ムラミルジペプチド(MDP)と結合された400μgの抗原を皮下注射した(S.C.)。4週後、動物を、不完全フロイントアジュバント(IFA)と共に混合された200μgの抗原を用いてS.C.でブーストした。高い抗体力価応答を誘導するために必要であるように、IFAと混合された100μgの抗原の引き続くブーストをS.C.で注射した。免疫されたウサギからの血清出血物を、精製されたタンパク質を用いるELISAアッセイを使用して、抗原特異的反応性について試験した。L514S、L528S、L531S、L523SおよびL773Pに対するポリクローナル抗体を、固体支持体に付着した精製されたタンパク質を使用して、高力価ポリクローナル血清からアフィニティー精製した。
L514Sに対するポリクローナルを使用する免疫組織化学的分析を、5つの肺腫瘍サンプル、5つの正常肺組織サンプルおよび正常結腸、腎臓、肝臓、脳および骨髄のパネル上で実施した。詳細には、組織サンプルをホルマリン溶液中で24時間固定し、そしてパラフィン中に包理し、次いで10ミクロンの切片にスライスした。組織切片を透過化処理し、そして抗体と共に1時間インキュベートした。HRP標識した抗マウスを次にDAB色素原とともにインキュベーションし、L514S免疫反応性を可視化するために使用した。L514Sは、肺腫瘍組織において高く発現されることが見出された(正常な肺、脳または骨髄においては発現がほとんど観察されないか、または全く観察されない)。光染色を、結腸(上皮陰窩細胞陽性)および腎臓(細管陽性)において観察した。染色は正常な肝臓において観察されたが、この組織においてmRNAは検出されなかったので、この結果は疑わしい。
同じ手順を用いて、L528Sに対するポリクローナル抗体を用いた免疫組織学的分析は、肺腫瘍サンプルおよび正常肺サンプルにおける染色、結腸および腎臓における光染色を実証し、そして肝臓および心臓に染色がなかった。
L531Sに対するポリクローナル抗体を用いた免疫組織学的分析は、肺腫瘍サンプルにおける染色、ほとんどの正常肺サンプルにおける光膜染色、結腸における上皮染色、腎臓における細管染色、肝臓における導管上皮染色を実証し、そして心臓に染色がなかった。
L523Sに対するポリクローナル抗体を用いた免疫組織学的分析は、試験した全ての肺腫瘍サンプルにおける染色を実証したが、正常な肺、腎臓、肝臓、結腸、骨髄または小脳に染色はなかった。
L762P(配列番号169および170)に対するポリクローナル抗血清の生成を以下のように実行した。400μgの肺抗原を100μgのムラミルペプチド(MDP)とあわせた。等量の不完全フロイントアジュバント(IFA)を添加し、次いで乳濁液が形成されるまで混合した。ウサギを、皮下注射した(S.C.)。4週間後、その動物を、等量のIFAと混合した200μgの抗原でS.C.注射した。4週間毎にその動物を、100μgの抗原を用いてブーストした。各ブーストの7日後に、その動物から採血した。血清を、その血液を4℃で12〜24時間インキュベートし、続いて、遠心分離することによって生成した。
ポリクローナル抗血清の特徴づけを、以下のように実行した。96ウェルプレートを、抗原50μl(代表的に、1μg)を4℃で20時間インキュベートすることによってコーティングした。250μlのBSAブロッキング緩衝液をこのウェルに添加し、室温で2時間インキュベートした。プレートを、PBS/0.01% Tweenを用いて6回洗浄した。ウサギ血清をPBSを用いて希釈し、そして50μlの希釈血清を各ウェルに添加し、そして室温で30分間インキュベートした。プレートを、上記のように洗浄し、その後、50μlの1:10000希釈のヤギ抗ウサギ西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)を添加し、そして室温で30分間インキュベートした。プレートを、上記のように洗浄し、そして100μlのTMB Microwell Peroxidase Substrateを各ウェルに添加した。暗闇で室温にて15分間インキュベートした後、比色反応を100μlの1N HSOを用いて停止し、450nmにて直に読み取った。抗血清は、抗原L762Pに対する強力な反応性を示した。
L762Pに対するポリクローナル抗体を用いた免疫組織化学分析は、試験した全ての肺癌サンプルにおける染色、正常な肺の気管支上皮におけるいくつかの光染色、腎臓における細管染色、結腸における光上皮染色を実証し、そして心臓または肝臓には染色がなかった。
種々の組織におけるL773Pタンパク質発現を評価するために、免疫組織化学(IHC)分析を、アフィニティー精製したL773Pポリクローナル抗体を用いて実行した。簡単に言うと、組織サンプルをホルマリン溶液で12〜24時間固定し、そしてパラフィン中に包理し、次いで8ミクロンの切片にスライスした。クエン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)中での蒸気加熱誘導性エピトープ修復(steam heat induced epitope retrieval)(SHIER)を、最適染色条件のために使用した。切片を10% 血清/PBSを用いて5分間インキュベートした。一次抗体を各切片に25分間示された濃度にて添加し、続いて、抗ウサギビオチン化抗体または抗マウスビオチン化抗体のいずれかを用いて25分間インキュベートした。内因性ペルオキシダーゼ活性を、過酸化水素と共に3回1.5分間インキュベートすることによってブロックした。アビジンビオチン複合体/西洋ワサビペルオキシダーゼ(ABC/HRP)系をDAB色素原と共に使用して、L773P発現を可視化した。スライドガラスを、ヘマトキシリンを用いて対比染色し、細胞核を可視化した。このアプローチを用いて、L773Pタンパク質を、6/8肺腫瘍サンプル、4/6正常肺サンプル(いくつかの場合、高い光染色)、1/1腎臓サンプル(高い光染色)、0/1心臓サンプル、1/1結腸サンプル(高い光染色)および0/1肝臓サンプルにおいて検出した。
(実施例7:マウスを初回抗原刺激するペプチドおよびCTL株の増殖)
HLA−A2/K拘束されたCD8+T細胞に対する肺癌抗原L762P(配列番号161)からの免疫原性ペプチドを以下のように同定した。
肺癌抗原L762P(配列番号161)内のHLA−A2結合ペプチドの位置を、おそらくHLA−A0201に対するペプチド配列を予測するコンピュータプログラムを用いて、HLA−A0201についての公知のペプチド結合モチーフに対して適合させることによって予測した(Rupertら(1993)Cell 74:929;Rammenseeら(1995)Immunogenetics 41:178−228)。推定されたHLA−A0201結合ペプチドの選択されたサブセットに対応する一連の19個の合成ペプチドを上記のように調製した。
ヒトHLA A2/Kについての導入遺伝子を発現するマウス(Dr L.Sherman,The Scripps Research Institute,La Jolla,CAにより提供された)を、Theobaldら,Proc.Natl Acad Sci.USA 92:11993−11997,1995に記載されるように、以下の改変を伴って、合成ペプチドで免疫した。マウスを、不完全フロイントアジュバント中に乳化した、50μgのL726Pペプチドおよび120μgの、B型肝炎ウイルスタンパク質由来のI−A結合ペプチドで免疫した。3週間後、これらのマウスを屠殺し、そして単一の細胞懸濁物を調製した。次いで、細胞を、7×10細胞/mlで完全培地(以下を含むRPMI−1640;Gibco BRL,Gaithersburg,MD:10% FCS、2mM グルタミン(Gibco BRL)、ピルビン酸ナトリウム(Gibco BRL)、非必須アミノ酸(Gibco BRL)、2×10−5M 2−メルカプトエタノール、50U/ml ペニシリンおよびストレプトマイシン)中に再懸濁し、そして以下の存在下で培養した:照射(3000ラド)L762Pペプチド−(5μg/ml)および10mg/ml B−ミクログロブリン−(3μg/ml)LPS ブラスト(blast)(7μg/mL 硫酸デキストランおよび25μg/ml LPSの存在下で3日間培養したA2トランスジェニック脾臓細胞)。6日後、細胞(5×10/ml)を、以下を用いて、再度刺激した:2.5×10/mlペプチドパルス刺激した(20,000ラド)EL4A2Kb細胞(Shermanら、Science 258:815−818,1992)および5×10/ml照射した(3000ラド)A2/Kトランスジェニック脾臓フィーダー細胞。細胞を、10U/ml IL−2の存在下で培養した。細胞を、その株をクローニングするための調製において記載されるように1週間ごとに再刺激した。
ペプチド特異的な細胞株を、照射された(20,000ラド)L762PペプチドパルスしたEL4A2Kb腫瘍細胞(1×10細胞/ウェル)を刺激因子として、および10U/ml IL−2存在下で増殖した照射された(3000ラド)A2Kトランスジェニック脾臓細胞をフィーダー(5×10細胞/ウェル)として用いて、限界希釈分析によってクローニングした。7日目に、細胞を参照のこと前回のように再刺激した。14日目に、増殖しつつあるクローンを単離し、そして培養物中で維持した。
ペプチドL762P−87(配列番号226、配列番号161のアミノ酸87〜95に対応する)、L726P−145(配列番号227;配列番号161のアミノ酸145〜153に対応する)、L726P−585(配列番号228;配列番号161のアミノ酸585〜593に対応する)、L762P−425(配列番号229、配列番号161のアミノ酸425〜433に対応する)、L762P(10)−424(配列番号230;配列番号161のアミノ酸424〜433に対応する)およびL762P(10)−458(配列番号231;配列番号161のアミノ酸458〜467に対応する)に対して特異的な細胞株は、L762PペプチドパルスされたEL4−A2/K腫瘍標的細胞に対して、コントロールペプチドパルスしたEL4−A2/K腫瘍標的細胞よりも有意により高い反応性を示した(特異的溶解のパーセントで測定される場合)。
(実施例8:肺癌抗原L762Pに由来するCD4免疫原性T細胞エピトープの同定)
抗原L762P(配列番号161)について特異的なCD4 T細胞株を以下のように生成した。
一連の28の重複するペプチドを合成し、これらのペプチドは、L762P配列のおよそ50%にわたる。初回抗原刺激のために、ペプチドを、4〜5のペプチドのプールと併せ、20μg/mlで樹状細胞を24時間にわたって刺激した。次いで、この樹状細胞を洗浄し、そして96ウェルのU底プレート中のポジティブで選択されたCD4+T細胞と混合した。40の培養物を、各ペプチドプールについて生成した。培養物を、ペプチドプールが負荷された新鮮な樹状細胞を用いて1週間おきに再刺激した。合計3回の刺激サイクルの後、細胞を、さらに1週間にわたって静止させ、そしてインターフェロンγELISAおよび増殖アッセイを用いて、ペプチドプールでパルス刺激された抗原提示細胞(APC)に対する特異性について試験した。これらのアッセイについて、関連するペプチドプールまたは無関連のペプチドのいずれかが負荷された接着性単球をAPCとして用いた。サイトカイン放出および増殖の両方によって、L762Pペプチドプールを特異的に認識するようであるT細胞株を、各プールについて同定した。強調を、増殖応答を有するT細胞を同定する際に配置した。L762P特異的サイトカイン分泌および増殖の両方、または強力な増殖のみのいずれかを示したT細胞株を、さらに拡張して、そのプールからの個々のペプチドの認識について試験し、そして、組換えL762Pの認識について試験した。組換えL762Pの供給源はE.coliであり、そしてその材料を、部分的に精製し、そしてそれはエンドトキシンポジティブであった。これらの研究は、10μgの個々のペプチド、10または2μgの無関連のペプチド、およびL762Pタンパク質または無関連の等価に不純であるE.coliが産生した組換えタンパク質のいずれかを2μgもしくは0.5μgで用いた。顕著なインターフェロンγ産生およびCD4 T細胞増殖が、各プールにおいて、多数のL762P由来ペプチドによって誘導された。これらのペプチドについてのアミノ酸配列を、配列番号232から251に提供する。これらのペプチドは、それぞれ、配列番号161の以下のアミノ酸に対応する:661〜680、676〜696、526〜545、874〜893、811〜830、871〜891、856〜875、826〜845、795〜815、736〜755、706〜725、706〜725、691〜710、601〜620、571〜590、556〜575、616〜635、646〜665、631〜650、541〜560および586〜605。
L762Pに由来する個々のペプチドに対する特異性を示したCD4 T細胞株を、10μg/mlの関連ペプチドでの刺激によってさらに拡張した。刺激後2週間で、T細胞株を、増殖アッセイおよびIFN−γELISAアッセイの両方を用いて、特異的ペプチドの認識について試験した。多数のこれまでに同定されたT細胞は、L762Pペプチド比活性を継続して示した。これらの株の各々を、関連ペプチドにおいてさらに拡張し、そして拡張後2週間で、滴定実験におけるL762Pペプチドの特異的認識について、および組換えE.coli由来L762Pタンパク質の認識について試験した。これらの実験について、自己接着性単球を、関連L762P由来ペプチド、ガンマグロビン(mammaglobin)由来ペプチド、組換えE.coli由来L762P(およそ50%純粋)、または無関連のE.coli由来タンパク質のいずれかを用いてパルス刺激した。T細胞株の殆どは、関連ペプチドについて低親和性を示すことが見出された。なぜなら、特異的増殖およびIFNγの比が、L762Pペプチドが希釈されるにつれ劇的に減少したからである。しかし、4つの株が0.1μg/mlペプチドでさえ有意な活性を示すことが同定された。これらの株の各々(A/D5、D/F5、E/A7 および E/B6と称する)はまた、E.coli由来のL762Pタンパク質調製物に応答して特異的に増殖するようであったが、無関連のタンパク質調製物に応答しては増殖しないようであった。これらの株によって認識されるL762P由来ペプチドのアミノ酸配列を、配列番号234、249、236および245にそれぞれ提供する。IFN−γ特異的なタンパク質は、どの株についても検出されなかった。A/D5、E/A7およびE/B6の株を、0.1μg/ml(A/D5およびE/A7)または1μg/ml(D/F5)の関連ペプチドでパルス刺激した自己接着性単球においてクローニングした。増殖後、クローンを、関連ペプチドに対する特異性について試験した。関連ペプチドに対して特異的な多数のクローンを、株A/D5およびE/A7について同定した。
(実施例9)
(肺腫瘍特異的抗原のタンパク質発現)
(a)E.coliでのL514Sの発現)
肺腫瘍抗原L514S(配列番号89)を、発現ベクターpE32bのNcoI部位およびNotI部位にサブクローン化し、そして標準的な技術を使用してE.coliの中に形質転換した。タンパク質を、配列番号89の残基3〜153について発現した。発現されたアミノ酸配列および対応するDNA配列を、それぞれ配列番号252および253に与える。
(b)L762Pの発現)
6×ヒスタグ(His Tag)を有する、肺腫瘍抗原L762P(配列番号161)のアミノ酸32〜944を、カナマイシン耐性を用いて、改変されたpET28発現ベクターにサブクローンし、そして標準的な技術を用いてBL21 CodonPlus中に形質転換した。低いレベルから中レベルの発現を、観察した。L762P発現構築物の決定されたDNA配列を、配列番号254に与える。
(実施例10)
(L762Pペプチド特異的応答に対するMHCクラスII制限対立遺伝子の同定)
HLA不適合抗原提示細胞(APC)のパネルを使用して、L762PペプチドおよびL762P組換えタンパク質を認識した株に由来するCD4 T細胞クローンのL762ペプチド特異的応答に対するMHCクラスII制限対立遺伝子を同定した。AD−5およびEA−7の2つの株由来のクローンを、以下に記載するように試験した。AD−5由来クローンが、HLA−DRB−1101対立遺伝子によって制限されることを見出し、そして、EA−7由来クローンが、HLA DRB−0701対立遺伝子またはDQB1−0202対立遺伝子によって制限されることを見出した。制限対立遺伝子の同定は、関連するクラスII対立遺伝子を発現する個体に対する、規定されたペプチドを使用するワクチン治療のターゲッティングを可能にする。関連する制限対立遺伝子についての知識はまた、関連する対立遺伝子を発現する個体のみを、モニタするので、規定されたペプチドに対する応答についての臨床上のモニタリングを可能とする。
AD−5およびEA−7株由来のCD4 T細胞クローンを、10μg/mlの特定のペプチドをパルスした自己APC上で刺激し、そして自己APC(ドナーD72由来)の認識ならびにクラスII対立遺伝子のD72と部分的にマッチしたAPCのパネルに対して試験した。表2は、試験したAPCのHLAクラスの分類を示す。D45、D187、D208およびD326と呼ばれる、4つの異なるドナーに由来する接着単球(2時間の接着により生じた)を、これらの実験においてAPCとして使用した。自己由来のAPCは、実験には含めなかった。APCの各々に、10μg/mlの関連するペプチドを(AD−5に対して5aおよび3A−7に対して3e)、または無関係なマモグロビン(mammoglobin)ペプチドでパルスし、そして培養を、1ウェル当たり10,000個のT細胞および約20,000個のAPCについて樹立した。表3に示されるように、部分的にマッチしたドナー細胞をAPCとして使用した場合にのみ、特定の増殖およびサイトカインの産生を検出し得た。MHC分類分析に基づいて、これらの結果は、AD−5由来クローンのL762特異的応答についての制限対立遺伝子が、HLA−DRB−1101であり、そしてEA−7由来クローンについての制限対立遺伝子が、HLA DRB−0701またはDQB1−0202であることを、強く示唆する。
Figure 2008178413
Figure 2008178413
(実施例11)
(L763PのN−末端部分およびC−末端部分の融合タンパク質)
別の実施形態において、Ra12と呼ばれる、Mycobacterium tuberculosis由来のポリヌクレオチドを、本発明のポリヌクレオチドの少なくとも免疫原性部分に連結する。Ra12組成物およびこれらを異種のポリヌクレオチド配列の発現増強に使用するための方法は、米国特許出願60/158,585に記載され、その開示は、その全体が本明細書中に参考として援用される。簡単に言うと、Ra12とは、Mycobacterium tuberculousis MTB32A核酸の部分列であるポリヌクレオチド領域のことをいう。MTB32Aは、M.tuberculosisの毒性株および非毒性株の遺伝子によってコードされる32KDの分子量のセリンプロテアーゼである。MTB32Aのヌクレオチド配列およびアミノ酸配列は、記載されている(例えば、米国特許出願60/158,585;Skwikyら、Infection and Immun.(1999)67:3998−4007もまた参考のこと、これらは本明細書中に参考として援用される)。驚くべきことに、MTB32Aコード配列の14KDのC末端フラグメントは、そのままで高レベル発現し、そして、精製過程全体を通して、タンパク質は可溶性のままであることが発見された。さらに、このフラグメントは、それが融合されることにより異種抗原ポリペプチドの免疫原性を増強し得る。このMTB32Aの14KD C末端フラグメントは、本明細書中でRa12とよばれ、そしてMTB32Aのアミノ酸残基192〜323のいくつかまたは全てを含むフラグメントを表す。
Ra12ポリペプチドおよび目的の異種肺腫瘍ポリペプチドを含む融合ポリペプチドをコードする組換え核酸は、従来の遺伝子工学技術によって、容易に構築され得る。組換え核酸を、好ましくはRa12ポリヌクレオチド配列が、選択された異種肺腫瘍ポリヌクレオチド配列の5’側に位置するように構築する。Ra12ポリヌクレオチド配列を、選択された異種ポリヌクレオチド配列の3’側に配置することまたは異種ポリヌクレオチド配列をRa12ポリヌクレオチド配列の範囲内の部位に挿入することもまた適切であり得る。
さらに、Ra12またはその一部あるいはその他の改変体をコードする適切な任意のポリヌクレオチドは、本明細書中に開示されるRa12および1つ以上の肺腫瘍ポリヌクレオチドを含む、組換え融合ポリヌクレオチドの構築において使用し得され得る。好ましいRa12ポリヌクレオチドは一般に、Ra12ポリペプチドの一部をコードする、少なくとも約15の連続するヌクレオチド、少なくとも約30ヌクレオチド、少なくとも約60ヌクレオチド、少なくとも約100ヌクレオチド、少なくとも約200ヌクレオチド、または少なくとも約300ヌクレオチドを含む。
Ra12ポリヌクレオチドは、ネイティブ配列すなわち、Ra12ポリペプチドまたはその一部をコードする内在性配列)を含み得るか(またはこのような配列の改変体を含み得る。Ra12ポリヌクレオチド改変体は、ネイティブRa12ポリペプチドを含む融合ポリペプチドと比較して、コードされる融合ポリペプチドの生物学的活性が実質的に低下しないような、1つ以上の置換、付加、欠失および/または挿入を含み得る。改変体は、ネイティブRa12ポリペプチドまたはその一部をコードするポリヌクレオチド配列に対し、好ましくは少なくとも約70%の同一性を、より好ましくは少なくとも約80%の同一性を、そして最も好ましくは少なくとも約90%の同一性を示す。
Ra12と本発明の抗原との間の融合の2つの特定の実施形態が、この実施例に記載される。
(A.L763PのN末端部分)
全長Ra12とL763PのN末端部分(L763P−Nとよばれる;配列番号159のアミノ酸残基1〜130)との融合タンパク質を、E.coliで単一の組換えタンパク質として発現した。N末端部分についてのcDNAを、全長L763PについてのcDNAおよびプライマーL763F3 (5’
Figure 2008178413
;配列番号383)および1763RV3 (5’
Figure 2008178413
;配列番号384)を用いるPCRによって得た。予想されるサイズを有するPCR産物を、アガロースゲルから回収し、制限酵素EcoRIおよびXhoIを用いて消化し、そして発現ベクターpCRX1の対応する部位にクローン化した。Ra12およびL763P−Nの全長の融合物についての配列を、DNA配列決定により確認した。決定されたcDNA配列を、配列番号351に与える(対応するアミノ酸配列を配列番号352に与える)。
(B.L763PのC末端部分)
全長Ra12とL763PのC末端部分との融合タンパク質(L763P−Cとよばれる;配列番号159のアミノ酸残基100〜262)を、E.coli中で単一の組換えタンパク質として発現させた。L763PのC末端部分のcDNAを、L763Pの全長に対するcDNA、およびプライマーL763F4(
Figure 2008178413
;配列番号385)、およびL763RV4(
Figure 2008178413
;配列番号386)を用いるPCRによって得た。予想されるサイズのPCR産物を、アガロースゲルから回収し、制限酵素EcoRIおよびXhoIを用いて消化し、そして発現ベクターpCRX1の対応する部位にクローン化した。全長Ra12およびL763P−Cの融合物についての配列を、DNA配列決定により確認した。決定されたDNA配列を、配列番号353に与える(対応するアミノ酸配列を配列番号354に与える)。
この実施例に記載した組換えタンパク質は、ワクチンの調製、抗体治療、および肺腫瘍の診断のために有用である。
(実施例12)
(L762Pヒスタグ融合タンパク質のE.Coli中での発現)
PCRを、L762Pコード領域について、以下のプライマーを用いて実施した:
順方向プライマーは、アミノ酸32で開始する。
PDM−278
Figure 2008178413
(配列番号355)Tm57℃。
逆方向プライマーは、アミノ酸920の後に天然の終止コドンを含み、EcoRI部位を作成する。
PDM−280
Figure 2008178413
(配列番号356)TM55℃。
PCR産物を、EcoRI制限酵素を用いて消化し、ゲル精製し、次いでpPDM His(これは、Eco72I制限酵素およびEcoRI制限酵素を用いて消化されている、インフレームでヒスタグを有する改変されたpET28ベクターである)中にクローン化した。構築物が正確であることを、DNA配列分析によって確認し、そして次いで、BL21(DE3)pLys S発現宿主およびBL21(DE3)CodonPlus RIL発現宿主に形質転換した。
発現された組換えL762Pのタンパク質配列を、配列番号357に示し、そしてDNA配列を、配列番号358に示す。
(実施例13)
(ヒスタグ融合タンパク質L773PAのE.Coliにおける発現)
L773PAコード領域(配列番号172のアミノ酸2〜71をコードする)を、以下のプライマーを使用してPCR増幅した:
L773PAについての順方向プライマーはアミノ酸2で開始する:
PDM−299
Figure 2008178413
(配列番号359)Tm63℃。
L773PAについての逆方向プライマーは、人工の終止コドンをアミノ酸70の後に作製する。
PDM−355
Figure 2008178413
(配列番号360)Tm62℃。
得られたPCR産物を、EcoRI制限酵素を用いて消化し、ゲル精製し、次いでpPDM His(これは、Eco72I制限酵素およびEcoRI制限酵素を用いて消化されている、インフレームでのヒスタグを有する改変されたpET28ベクターである)中にクローン化した。構築物が正確であることを、DNA配列分析によって確認し、そしてBL21(DE3)pLys S発現宿主およびBL21(DE3)CodonPlus RIL発現宿主に形質転換した。
発現した組換えL773PAのタンパク質配列を、配列番号361に示し、そしてDNA配列を、配列番号362に示す。
(実施例14)
(肺腫瘍特異的ポリペプチド由来のエピトープの同定)
L773Pアミノ酸配列(配列番号172)に由来する一連のペプチドを、合成し、そしてペプチド特異的CD4 T細胞を生成するためのインビトロプライミング実験において使用した。これらのペプチドは、15アミノ酸までがオーバーラップする20マーであり、そしてL773Pタンパク質のアミノ酸1〜69に対応する。この領域を、腫瘍特異性について実証した。3つのインビトロ刺激に続き、刺激ペプチドに応答してINFγを産生するが、コントロールペプチドには応答しない、CD4 T細胞株を同定した。これらのT細胞株のいくつかは、組換えL773P(腫瘍特異的領域)タンパク質および組換えL773PA(腫瘍特異的領域)タンパク質の認識を実証した。
実験を行うために、全部で11個の20マーのペプチド(配列番号363、365および387〜395)(15アミノ酸までオーバーラップし、そしてL773P(配列番号172のアミノ酸1〜69に対応する)のN末端腫瘍特異的領域に由来する)を標準的な手順により作製した。GMCSFおよびIL−4を使用する標準的なプロトコルによって、樹状細胞を、正常なドナーのPBMCから誘導した。精製したCD4 T細胞を、MACSビーズおよびPBMCのネガティブ選択を使用して、樹状細胞と同一のドナーから生成した。樹状細胞に、個別の20マーのペプチドを、10μg/mlの濃度で一晩パルスした。パルスした樹状細胞を、洗浄し、そして96ウェルU底プレートに、1×10/ウェルでプレートし、そして精製したCD4細胞を1×10ウェルで加えた。培養物に、10ng/mlのIL−6および5ng/mlのIL−12を補充し、37℃でインキュベートした。上記のように産生され、そしてパルスされたAPC樹状細胞を使用して、培養物を、週に1回の頻度で、上記のように再刺激し、5ng/mlのIL−7および10μg/ml IL−2を補充した。3つのインビトロ刺激サイクルに続き、細胞株(各々は、1つのウェルに対応する)を、刺激ペプチド対無関係なペプチドに応答するサイトカイン産生について試験した。
少数の個別のCD4 T細胞株(9/528)は、刺激ペプチドに応答する、サイトカインの放出(IFNγ)を実証したが、コントロールペプチドでは実証されなかった。特異的な活性を実証したCD4 T細胞株を、適切なL773Pペプチドによって再刺激し、そして10μg/mlの適切なL773Pペプチド、無関係なコントロールペプチド、組換えL773Pタンパク質(アミノ酸2〜364、E.coli中で産生した)、組換えL773PA(アミノ酸2〜71、E.coli中で産生した)または適切なコントロールタンパク質(L3E、E.coli中で産生した)でパルスした自己の樹状細胞を使用して再アッセイした。試験された9つの株のうちの3つ(1−3C、1−6Gおよび4−12B)は、適切なL773Pペプチド、ならびに組換えL773PおよびL773PAを認識した。試験した株のうち4つ(4−8A、4−8E、4−12Dおよび4−12E)は、適切なL773Pペプチドのみを認識した。試験した株のうち2つ(5−6Fおよび9−3B)は、非特異的な活性を実証した。
これらの結果は、これらのペプチド配列
Figure 2008178413
(配列番号172のアミノ酸1〜20;配列番号363)および
Figure 2008178413
(配列番号172のアミノ酸16〜35;配列番号365)は、ヒトクラスII MHC限定的CD4 T細胞応答を刺激し得る、天然において処理されるL773Pのエピトープを表し得る。
続く研究において、上記のエピトープマッピング実験を、異なるドナーを使用して繰り返した。再び、得られたT細胞株のいくつかは、ペプチドおよび組換えタンパク質に対する応答がみられた。さらなるペプチドが、自然に処理されることが見出された。具体的には、精製されたCD4細胞を、15アミノ酸までがオーバーラップする全部で11個の20マーペプチド(それぞれ、配列番号は、363、387、388、365および389〜395)で刺激した。使用したペプチドの濃度が、10ug/mLではなくて0.5ug/mLであることを除いて、プライミングを、上記のように実施した。はじめのスクリーニングにおいて、528細胞株のうち9細胞株が、刺激ペプチド対制御ペプチドにおいて、少なくとも3倍より大きなレベルのIFN−γを、放出した。これらの9つの株を、適切なペプチドを用いて再刺激し、次いで、適切なペプチド(10μg/mL、1μg/mLおよび0.1μg/mL)および10ug/mLの制御ペプチドの滴定を用いてパルスされた樹状細胞で試験した。9つのうち6つの株は、組換えL773Pならびにペプチドを認識した。このL773PAおよび適切なペプチドを認識した6つの株を、1−1E、1−2E、1−4H、1−6A、1−6Gおよび2−12Bと呼んだ。これらの結果は、配列番号363および387のペプチドが、L773Pの天然で処理されたエピトープを示すことを実証する。
上記の手順を使用して、L523Sポリペプチド配列(配列番号176)にわたりオーバーラップする20マーのペプチド(配列番号396〜419)を用いてパルスした、樹状細胞を使用して、CD4+ T細胞応答を、正常ドナーのPBMCから起こした。多数のCD4+ T細胞は、プライミングペプチドならびにL523S組換えタンパク質との反応性を実証した。これらの株の有意な反応性は、ペプチド4、7および21(配列番号399、402および416;それぞれ配列番号176のアミノ酸30〜39、60〜79および200〜219に対応する)にある
本発明の範囲内のエピトープは、他のクラスII MHC分子によって制限されるエピトープを含む。さらに、ペプチドの改変体を産生し得、ここで1つ以上のアミノ酸は、ペプチドのMHC分子に結合する能力に影響せず、ペプチドのT細胞応答を惹起する能力に影響せず、そして惹起されたT細胞の組換えタンパク質を認識する能力に影響しないように変更される。
(実施例15)
(L762Pおよびその抗体エピトープの表面発現)
ウサギを、E.coli中で産生された全長ヒスチジンタグ化L762Pタンパク質で免疫した。血清を、ウサギから単離し、そしてELISAアッセイにおいてL762Pの特異的な認識についてスクリーニングした。組換えL762タンパク質を特異的に認識した、2692Lと呼ばれる1つのポリクローナル血清を、同定した。2692L抗L762Pポリクローナル抗体を、L762Pアフィニティーカラムを使用するアフィニティー精製によって、血清から精製した。L762Pは、原発性肺腫瘍サンプルのサブセットにおいて発現されるが、樹立した肺腫瘍細胞株においては、発現は、失われるようである。従って、L762Pの表面発現を特徴づけるために、L762Pを発現するレトロウイルス構築物を使用して、原発性ヒト繊維芽細胞ならびに3つの肺腫瘍細胞株(522−23、HTBおよび343T)を形質転換した。形質転換された株を、選択し、そしてFACS分析によりL762Pの表面発現を試験するために増殖させた。この分析のために、形質転換されていない細胞および形質転換された細胞を、細胞分離培地を使用して回収し、そして10〜50μg/mlのアフィニティー精製した抗L762Pまたは無関係な抗血清のいずれかを用いてインキュベートした。氷上での30分のインキュベートに続き、細胞を、洗浄し、上記のようにFITCを複合した抗ウサギIgG2次抗体と共にインキュベートした。細胞を、洗浄し、ヨウ化プロピジウム(PI)を含む緩衝液中に再懸濁し、そしてExcalibur蛍光活性化細胞選別機を使用するFACSにより試験した。FACS分析のために、PI陽性(すなわち、死んだ/透過した細胞)を除外した。ポリクローナル抗L762P血清は、L762P形質転換細胞の表面を、特異的に認識しそしてこれに結合したが、非形質転換対応物は、認識も結合もしなかった。これらの結果は、L762Pが、繊維芽細胞ならびに肺腫瘍細胞の両方の細胞表面に局在化することを実証する。
2692Lによって認識されるペプチドエピトープを同定するために、エピトープマッピングアプローチを行った。L762PのC末端部分(配列番号161のアミノ酸481〜894)にわたる一連のオーバーラップする19〜21マー(5アミノ酸オーバーラップ)を合成した。始めの実験において、ペプチドを、プールして試験した。L762P抗血清をとの特異的な反応性を、プールA、B、CおよびEについて観察した。抗血清により認識される特異的なペプチドを同定するために、平底96ウェルマイクロタイタープレートを、個別のペプチド10μg/mlを用いて、37℃で2時間被覆した。次いで、ウェルを、吸引しそして5%(w/v)ミルクを含むリン酸緩衝化生理食塩水で、37℃2時間で遮断し、次いで、0.1%のTween20(PBST)を含むPBS中で洗浄した。精製した、ウサギ抗L762P血清2692Lを、3連にしたPBSTを含むウェルに200ng/ウェルまたは20ng/ウェルで加え、一晩、室温でインキュベートした。この後に、PBSTを用いて6回洗浄し、次いで、1:2,000のHRP結合体化ロバ抗ウサギIgG(H+L)Affinipure F(ab’)フラグメントと共に、60分間インキュベートする。次いで、プレートを、洗浄し、そしてテトラメチルベンジジン基質中でインキュベートした。1Nの硫酸の添加により反応を、停止し、そして、プレートを、ELISAプレートリーダーを使用して450/570nmで、読んだ。
以下の表4に示される、得られたデータは、L762P抗血清が、少なくとも6つの別個のペプチドエピトープを、L762Pの3’の半分から識別したことを実証する。
Figure 2008178413
個別のペプチドを、プールの各々から同定し、そしてさらなる弱い反応性を、プールFからペプチドBBを用いて同定した。適切なペプチドエピトープを、以下の表5に要約する。ペプチドBB、O、L、I、AおよびCについてのアミノ酸配列は、対応するcDNA配列(それぞれ、配列番号373、370、372、374、371および375に提供される)とともに、配列番号376〜381に、それぞれ提供される。
Figure 2008178413
(実施例16)
(患者の血清中の肺腫瘍抗原に対する抗体の検出)
肺腫瘍抗原L773PA(配列番号361)、L514S(配列番号155および156)、L523S(配列番号176)、L726P(配列番号161)およびL763P(配列番号159)に特異的な抗体は、肺癌患者の滲出液または血清中に存在するが、正常なドナー中には存在しないことを示した。さらに具体的には、肺癌患者から得られた滲出液および正常なドナー由来の血清におけるL773PA、L514S、L523S、L762PおよびL763Pに対する抗体の存在を、組換えタンパク質およびHRP結合体抗ヒトIgを使用するELISAによって検出した。簡単に言うと、タンパク質の各々(100ng)を、pH9.5で96ウェルプレート中に被覆した。並行して、BSA(ウシ血清アルブミン)もまた、コントロールタンパク質として被覆した。BSA([N])に対するシグナル([S],405nmで観測される吸光度)を、決定した。これらの研究の結果を、表6に示し、ここで−は、[S]/[N]<2を表し;+/−は、[S]/[N]>2を表し;++は、[S]/[N]>3を表し;そして+++は、[S]/[N]>5を表す。
Figure 2008178413
ウエスタンブロット分析を使用して、L523Sに対する抗体を、肺癌患者に由来する滲出液の4サンプルのうち3つに存在することを見い出したが、試験した正常な血清の3つのサンプル中においてはL523S抗体は検出されなかった。
(実施例17)
(L514Sヒスタグ融合タンパク質のE.Coliにおける発現)
PCRを、以下のプライマーを使用して、L514S−13160コード領域について実施した。
順方向プライマーPDM−278
Figure 2008178413
(配列番号421)Tm67℃。
逆方向プライマーPDM−280
Figure 2008178413
(配列番号422)TM66℃。
PCR条件は、以下の通り:
10μl 10× Pfu緩衝液
1.0μl 10mM dNTP
2.0μl 10μM 各プライマー
83μl 滅菌水
1.5μl Pfu DNAポリメラーゼ(Stratagene、La Jolla、CA)
50ηg DNA
96℃で2分間、96℃で20秒間、66℃で15秒間、72℃で1分間を40サイクル、次いで72℃で4分間。
PCR産物を、EcoRI制限酵素を用いて消化し、ゲル精製し、次いでpPDM His(これは、Eco72I制限酵素およびEcoRI制限酵素を用いて消化されている、インフレームでヒスタグを有する改変されたpET28ベクターである)中にクローン化した。構築物が正確であることを、DNA配列分析によって確認し、次いで発現のためにBL21 CodonPlus(Stratagene、La Jolla、CA)細胞中に形質転換した。
発現された組換え体L514Sのアミノ酸配列を、配列番号423に示し、DNAコード領域の配列を、配列番号424に示す。
(実施例18)
(L523S HISタグ融合タンパク質のE.coliでの発現)
PCRを、以下のプライマーを使用して、L523Sコード領域で行った:
順方向プライマー、PDM−414
Figure 2008178413
Tm62℃。
逆方向プライマー、PDM−415
Figure 2008178413
Tm62℃。
PCR条件は、以下のとおりであった。
10μlの10×Pfu緩衝液
1.0μlの10mM dNTP
2.0μlの10μM 各プライマー
83μl滅菌水
1.5μlのPfu DNAポリメラーゼ(Stratagene,La Jolla,CA)
50ngのDNA
96℃で2分間、96℃で20秒間、62℃で15秒間、72℃で4分間の40サイクル、次いで72℃で4分間。
PCR産物を、EcoRI制限酵素で消化し、ゲル精製をし、次いで、Eco72IおよびEcoRI制限酵素で消化された、Hisタグを有する改変pET28ベクターであるpPDM Hisにインフレームでクローニングした。正しい構築物を、DNA配列分析で確認し、次いで、発現のために、その構築物で、BL21 CodonPlus(Stratagene,La Jolla, CA)を形質転換した。
発現される組換えL523Sのアミノ酸配列は、配列番号427に示され、DNAコード領域配列は、配列番号428に示される。
(実施例19)
(L762PA HISタグ融合タンパク質のE.coliでの発現)
PCRを、以下のプライマーを使用して、L762PAコード領域(L762PAは、シグナル配列、C末端膜貫通ドメインおよび細胞質テイルを欠失する)で行った:
順方向プライマー PDM−278
Figure 2008178413
Tm57℃。
逆方向プライマー PDM−279
Figure 2008178413
TM56℃。
PCR条件は、以下のとおりであった。
10μlの10×Pfu緩衝液
1.0μlのl0mM dNTP
2.0μlのl0μM 各プライマー
83μl滅菌水
1.5μlのPfu DNAポリメラーゼ(Stratagene,La Jolla,CA)
50ngのDNA
96℃で2分間、96℃で20秒間、55℃で15秒間、72℃で5分間の40サイクル、次いで、72℃で4分間。
PCR産物を、EcoRI制限酵素で消化し、ゲル精製をし、次いで、Eco72IおよびEcoRI制限酵素で消化された、Hisタグを有する改変pET28ベクターであるpPDM Hisにインフレームでクローニングした。正しい構築物を、DNA配列分析で確認し、次いで、発現のために、その構築物で、BL21 pLys S(Novagen,Madison,WI)を形質転換した。
発現される組換えL762PAのアミノ酸配列は、配列番号430に示され、DNAコード領域配列は、配列番号431に示される。
(実施例20)
(L773P HISタグ融合タンパク質のE.coliでの発現)
PCRを、以下のプライマーを使用して、L773Pコード領域で行った:
順方向プライマー、PDM−299
Figure 2008178413
Tm63℃。
逆方向プライマー、PDM−300
Figure 2008178413
Tm63℃。
PCR条件は、以下のとおりであった。
10μlの10×Pfu緩衝液
1.0μlの10mM dNTP
2.0μlの10μM 各プライマー
83μl滅菌水
1.5μlのPfu DNAポリメラーゼ(Stratagene,La Jolla,CA)
50ngのDNA
96℃で2分間、96℃で20秒間、63℃で15秒間、72℃で2分15秒間の40サイクル、次いで72℃で4分間。
PCR産物を、EcoRI制限酵素で消化し、ゲル精製をし、次いで、Eco72IおよびEcoRI制限酵素で消化された、Hisタグを有する改変pET28ベクターであるpPDM Hisにインフレームでクローニングした。正しい構築物を、DNA配列分析で確認し、次いで、その構築物で、発現のために、BL21 pLysS(Novagen,Madison,WI)およびBL21 CodonPlus(Stratagene,La Jolla, CA)を形質転換した。
発現される組換えL773Pのアミノ酸配列は、配列番号433に示され、DNAコード領域配列は、配列番号434に示される。
(実施例21)
(肺特異性抗原L762Pに対するT細胞レセプタークローンのクローニングおよび配列決定)
肺特異性抗原L762Pに対して特異的なCD4 T細胞クローン由来のT細胞レセプター(TCR)α鎖およびT細胞レセプターβ鎖を、クローニングし、配列決定した。基本的に、CTLクローン4H6由来の2×10細胞由来の全mRNAを、Trizol試薬を使用して単離し、cDNAを、Ready−to−goキット(Pharmacia)を使用して合成した。このクローンのVα配列およびVβ配列を決定するために、Vαサブタイプ特異的プライマーおよびVβサブタイプ特異的プライマーのパネルを合成し、これを各クローンから産出されたcDNAを用いたRT−PCR反応で使用した。RT−PCR反応は、各クローンが、Vβ8サブファミリーに対応した共通のVβ配列、およびVα8サブファミリーに対応した共通のVα配列を発現したことを示した。クローン4H6から全長α鎖および全長β鎖クローニングするために、イニシエーターをコードするTCRヌクレオチドおよびターミネーターをコードするTCRヌクレオチドにまたがるプライマーを、設計した。プライマーは、以下のとおりであった:
TCR Vα8に対する順方向プライマー
Figure 2008178413
TCR Vα8に対するKozak逆方向プライマー(アンチセンス)
Figure 2008178413
TCR Vβ8に対する順方向プライマー(センス)
Figure 2008178413
および
TCR Vβ8に対するKozak逆方向プライマー
Figure 2008178413
標準的な35サイクルのRT−PCR反応を、プルーフリーディング熱安定性ポリメラーゼ、PWO(Roche)を利用して、CTLクローンから合成されたcDNAおよび上記プライマーを使用して確立した。結果として得られるPCRバンド(Vαに対して約850bpおよびVβに対して約950bp)を、PCRブラントベクター(Invitrogen)中にライゲーションし、このベクターで、E.coliを形質転換した。全長α鎖および全長β鎖を有するプラスミドで形質転換されたE.coliを同定した。対応するプラスミドの大スケール調製物を作製し、これらのプラスミドを配列決定した。Vα配列(配列番号439)は、ヌクレオチド配列アライメントによって、Vα8.1に相同であることが示され、一方で、Vβ配列(配列番号440)は、ヌクレオチド配列アライメントによって、Vβ8.2に相同であることが示された。
(実施例22)
(哺乳動物細胞での全長L762Pの組換え発現)
全長L762P cDNAを、哺乳動物発現ベクター、VR1012およびpCEP4(Invitrogen)中にサブクローニングした。両発現ベクターを、あらかじめ、FLAGタグを含むように改変した。これらの構築物を、Lipofectamine 2000試薬(Gibco)を使用して、HEK293細胞およびCHL−1細胞(ATCC)にトランスフェクトした。簡単には、HEK細胞およびCHL−1細胞の両方を、10% FBS(Hyclone)を含むDMEM(Gibco)中に100,000細胞/mlの密度でプレートし、一晩増殖した。翌日、4μlのLipofectamine 2000をFBSを含まない100μlのDMEMに加え、室温で5分間インキュベートした。次いで、このLipofectamine/DMEM混合物を、100μlのDMEMに再懸濁された、1μgのL762P Flag/pCEP4またはL762P Flag/VR1012プラスミドDNAに加え、室温で15分間インキュベートした。次いで、このLipofectamine/DMEM混合物を、HEK293細胞およびCHL−1細胞に加え、7% COと共に、37℃で48〜72時間インキュベートした。細胞をPBSでリンスし、次いで回収し、そして遠心分離によってペレット化した。L672P発現を、ウエスタンブロット分析によって、トランスフェクトされたHEK293細胞溶解物およびCHL−1細胞溶解物中に検出し、フローサイトメトリー分析によって、トランスフェクトされたHEK細胞の表面上で検出した。
ウエスタンブロット分析について、全細胞溶解物を、溶解緩衝液を含むTriton−X100中で細胞を、氷上で30分間、インキュベーションすることによって生成した。次いで、溶解物を4℃で5分間、10,000rpmで遠心分離することによって、澄ませた。サンプルをβメルカプトエタノールを含むSDS−PAGE負荷緩衝液で希釈し、次いで、SDS−PAGEゲルに負荷する前に、10分間煮沸した。このタンパク質をニトロセルロースに転写し、1μg/mlの精製された抗L762Pウサギポリクローナル血清(ロット、カタログ番号;690/73)または希釈しない抗L762P mAb 153.20.1上清を使用して探査した。ブロットを、HRPに結合したヤギ抗ウサギIgかHRPに結合したヤギ抗マウスIgのいずれかを使用して明らかにされ、続いて、ECL基質でインキュベーションした。
フローサイトメトリー分析に対して、細胞をさらに氷冷染色緩衝液(PBS+1% BSA+アジド)で洗浄した。次に、細胞を、10μg/mlの精製された抗L762Pポリクローナル血清(ロット、カタログ番号;690/73)または抗L762P mAb 153.20.1上清の1:2希釈物と共に、氷上で30分間インキュベートした。細胞を染色緩衝液で3回洗浄し、次いで、ヤギ抗ウサギIg(H+L)FITCまたはヤギ抗マウスIg(H+L)−FITC試薬(Southern Biotechnology)と共に、氷上で30分間インキュベートした。3回の洗浄後、細胞をヨウ化プロピジウム(PI)、浸透性の細胞の排除を可能にする生体染色を含む染色緩衝液中に再懸濁し、そしてフローサイトメトリーによって分析した。
(実施例23)
(肺腫瘍抗原に対するポリクローナル抗体の産生)
3つの肺抗原(L523S(配列番号176)、L763P(配列番号159)およびL763ペプチド番号2684(配列番号441))を、発現し、抗体産生での使用のために精製した。
L523SおよびL763Pを、E.coli組換え体発現系中で発現し、適切な抗生物質を有するLBブロス中で、振盪培養器中で一晩増殖した。翌朝、10mlの一晩培養物を、2Lのバフル付きエルレンマイアーフラスコ中の適切な抗生物質を含む500mlの2×YTに加えた。560nmでの培養物の光学濃度が、0.4〜0.6に達したとき、細胞をIPTG(1mM)で誘導した。IPTGでの誘導の4時間後、細胞を遠心分離で回収した。
次いで、細胞をリン酸緩衝化生理食塩水で洗浄し、再度遠心分離した。上清を捨て、細胞を後の使用のために凍らせるか即座に処理するかのいずれかを行った。20mlの溶解物緩衝液を、細胞ペレットに加え、ボルテックスした。E.coli細胞を破砕するために、次いで、この混合物を、16,000psiの圧力で、フレンチプレスを通した。次いで、細胞を再度遠心分離し、上清およびペレットを、組換えタンパク質の分配について、SDS−PAGEによってチェックした。
細胞ペレットに局在化するタンパク質に対して、ペレットを、10mM Tris(pH8.0)、1% CHAPS中に再懸濁し、および封入体ペレットを、洗浄し、再度遠心分離した。この手順を2回以上繰り返した。洗浄された封入体ペレットを、10mM Tris(pH8.0)および10mM イミダゾールを含む8M尿素または6M塩酸グアニジンを用いて可溶化した。この可溶化したタンパク質を、5mlのニッケルキレートレジン(Qiagen)に加え、連続的に振盪しながら、室温で45分〜1時間インキュベーションした。
インキュベーションの後、レジンおよびタンパク質混合物を、使い捨てカラムに注ぎ、そのフロースルーを回収した。次いで、カラムを10〜20カラム容量の可溶化緩衝液で洗浄した。次いで、抗原を、8M尿素、10mM Tris(pH8.0)および300mMイミダゾールを使用して、カラムから溶出し、3ml分画で回収した。どの画分を、さらなる精製のためにプールするべきかを決定するために、SDS−PAGEゲルを電気泳動した。
最終精製工程として、強力なアニオン交換樹脂(この場合はHi−Prep Q(Biorad))を、適切な緩衝液で平衡化し、上記からのプールされた画分を、カラムに充填した。各抗原を、増加する塩勾配で、カラムから溶出した。画分を、カラムを作動しながら回収し、別のSDS−PAGEゲルを、カラムからのどの分画をプールするかどうかを決定するために電気泳動した。
プールされた画分を、10mM Tris(pH8.0)に対して透析した。遊離の基準は、SDS−PAGEまたはHPLCによって決定される純度、ローリーアッセイまたはアミノ酸分析によって決定される濃度、アミノ末端タンパク質配列によって決定される同一性、およびLimilus(LAL)アッセイによって決定されるエンドトキシンのレベルであった。次いで、タンパク質を0.22ミクロンフィルターを通して濾過した後、バイアル中に置き、抗原を免疫に必要になるまで凍結した。
L763ペプチド#2684を合成し、それをKLHに結合し、免疫に必要になるまで凍結した。
ポリクローナル抗血清を、100μgのムラミルジペプチド(MDP)と合わせた400μgの各肺抗原を使用して作製した。等量のIncomplete Freund’s Adjuvant(IFA)を加え、次いで、混合し、ウサギに皮下的に(S.C.)注射した。4週間後、ウサギを等量のIFAと混合された200μgの抗原で、皮下的に追加抗原投与をした。その後、ウサギを、100μgの抗原で、追加抗原投与をした。各追加抗原投与の7日後に、動物を採血した。次いで、その血液を、4℃で12〜24時間インキュベートし、次いで血清を生成するために遠心分離した。
ポリクローナル抗血清を、抗原でコーティングされた96ウェルプレートを使用して特徴付け、4℃で20時間、50μl(代表的には、1μg/1μl)のポリクローナル抗血清と共にインキュベーションした。基本的には、250μlのBSAブロック緩衝液をウェルに加え、室温で2時間インキュベーションした。プレートを、PBS/0.1% Tweenで6回洗浄した。ウサギ血清を、PBS/0.1% Tween/0.1% BSAで希釈した。50μlの希釈された血清を各ウェルに加え、室温で30分間インキュベートした。プレートを上に記載されるように洗浄し、次いで、50μlのヤギ抗ウサギ西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)1:10000希釈物を加え、室温で30分間インキュベートした。
プレートを上に記載されるように洗浄し、100μlのTMB Microwell Peroxidase Substrateを各ウェルに加えた。室温で暗闇中での、15分間のインキュベーションに続いて、比色反応を100μlの1N HSOを用いて停止し、即座に450nmで読み取った。全てのポリクローナル抗体は、適切な抗原に対する免疫反応性を示した。表7〜9は、3つの肺抗原(L523S、L763PおよびL763ペプチド#2684)についての連続希釈溶液中での、ウサギ抗血清の抗体反応性を示す。第1列は、抗体希釈物を示す。列「前免疫血清」は、前免疫血清を使用した2つの実験に対するELISAデータを示す。これらの結果は、第4のカラムで平均化される。列「抗L523S、L763Pまたは#2684」は、表において、L523S、L763Pまたは#2684のいずれかといわれるそれぞれの抗原を使用して、この実施例に記載されるように免疫されたウサギ由来の血清を使用する、2つの実験に対するELISAデータを示す。
Figure 2008178413
Figure 2008178413
Figure 2008178413
表10〜12は、3つの肺抗原(L523S、L763PおよびL763ペプチド#2684)に対するそれぞれの抗体の親和性精製を示す。
Figure 2008178413
Figure 2008178413
Figure 2008178413
(実施例24)
(L529Sをコードする全長cDNA配列)
肺抗原L529Sに対する部分配列(配列番号106)の単離は、前に実施例2において提供された。この部分配列は、公に利用可能なデータベースに対して検索することによって、潜在的な全長cDNA配列およびタンパク質配列を同定するために問い合わせとして使用された。配列番号106の単離されたクローン化された配列に対して予想された全長cDNA配列は、配列番号442に提供される。配列番号442によりコードされる抗原の推定アミノ酸配列は、配列番号443に提供される。L529Sがコネキシン26(ギャップ結合タンパク質)に類似性を示すことは、前に実施例2において開示された。
(実施例25)
(ヒスチジンタグを含まないL523S融合タンパク質のメガテリウム(megaterium)中での発現)
PCRを、以下のプライマーを使用して、L523Sコード領域で行った:
順方向プライマー PDM−734
Figure 2008178413
Tm63℃。
逆方向プライマー PDM−735
Figure 2008178413
TM60℃。
PCR条件は、以下のとおりであった。
10μlの10×Pfu緩衝液
1.0μlのl0mM dNTP
2.0μlのl0μM 各プライマー
83μl滅菌水
1.5μlのPfu DNAポリメラーゼ(Stratagene,La Jolla,CA)
50ngのDNA
96℃で2分間、96℃で20秒間、62℃で15秒間、72℃で4分間の40サイクル、次いで、72℃で4分間。
PCR産物を、SphIおよびBglII制限酵素で消化し、ゲル精製をし、次いで、SphIおよびBglII制限酵素で消化された、pMEG−3にクローニングした。正しい構築物を、DNA配列分析で確認し、次いで、発現のために、その構築物で、Megaterium細胞を形質転換した。
発現される組換えL523Sのアミノ酸配列は、配列番号446に示され、DNAコード領域配列は、配列番号447に示される。
(実施例26)
(ヒスチジンタグを含まないL523S融合タンパク質のE.coli中での発現)
PCRを、以下のプライマーを使用して、L552Sコード領域で行った:
順方向プライマー PDM−733
Figure 2008178413
Tm64℃。
逆方向プライマー PDM−415
Figure 2008178413
TM62℃。
PCR条件は、以下のとおりであった。
10μlの10×Pfu緩衝液
1.0μlのl0mM dNTP
2.0μlのl0μM 各プライマー
83μl滅菌水
1.5μlのPfu DNAポリメラーゼ(Stratagene,La Jolla,CA)
50ngのDNA
96℃で2分間、96℃で20秒間、62℃で15秒間、72℃で4分間の40サイクル、次いで、72℃で4分間。
PCR産物を、NdeIおよびEcoRI制限酵素で消化し、ゲル精製をし、次いで、NdeIおよびEcoRI制限酵素で消化された、改変されたpET28ベクターであるpPDMにクローニングした。正しい構築物を、DNA配列分析で確認し、次いで、発現のために、その構築物で、BLR pLysS細胞およびHMS174 pLysS細胞を形質転換した。
発現される組換えL523Sのアミノ酸配列は、配列番号449に示され、DNAコード領域配列は、配列番号450に示される。
(実施例27)
(L514S特異的抗体およびL523S特異的抗体のエピトープ分析)
候補抗原のペプチドは、前臨床的研究および臨床的研究の両方での抗体応答の評価のために使用され得る。これらのデータによって、特定の候補抗原に対する抗体応答をさらに確認することが可能になる。競合ペプチドを用いるタンパク質ベースのELISAおよびそれを用いないタンパク質ベースのELISAならびにペプチドベースのELISAを、これらの抗体応答を評価するために使用し得る。ペプチドELISAは、特に有用である。なぜなら、ペプチドELISAは、タンパク質ベースのELISAで観測される抗体力価の偽陽性をさらに排除し得、候補抗原に対する抗体応答を試験するために、最も単純なアッセイ系を提供するからである。この実施例において、データを、個々の癌患者がL514S特異的抗体およびL523S特異的抗体を産出することを示すL514S特異的ペプチドおよびL523S特異的ペプチドの両方を使用して得た。このL514S特異的抗体は、L514Sの以下のエピトープを主として認識する:
Figure 2008178413
このエピトープは、ヒトにおいて共通のエピトープである。L514Sに特異的なウサギ抗体は、L514Sのさらなる2つのエピトープを認識する。
Figure 2008178413
配列番号452が、L514S−13160およびL514S−13166の両L514Sアイソフォームに共通であることがさらに見出され、ここで、他のエピトープ(配列番号451および配列番号453)は、おそらくアイソフォームL514S−13160に対して特異的である。
このL523S特異的抗体は、L523Sの以下のエピトープを主として認識する:
Figure 2008178413
このエピトープは、ヒトにおいて共通のエピトープである。L523Sに特異的なウサギ抗体は、他の2つのエピトープを認識する:
Figure 2008178413
さらなる研究において、8つのさらなるL523Sのエピトープが、L523S特異的抗体によって認識されたことは、ペプチドベースのELISAによって決定された:
Figure 2008178413
これらのうち、6つのエピトープは、肺複数滲出液サンプルおよび肺患者の血清の両方で共通である。これら6つのうち、配列番号459および配列番号463は、IGF−II mRNA結合タンパク質1および2のような、他のL523Sファミリータンパク質に相同性を有さない。従って、このことは、これら2つのペプチドが、L523Sに対する抗体応答を決定するためにアッセイ系として使用され得ることを示す。
(実施例28 インビトロ全遺伝子プライミングを用いるL523S特異的CTL株の生成)
L523Sが、CD8T細胞免疫応答を生成し得るか否かを決定するために、CTLを、腫瘍抗原−ワクシニア感染DCを用いるインビトロ全遺伝子プライミング法を使用して生成し(Yeeら、The Journal of Immunlolgy、157(9):4079−86、1996)、インターフェロンγELISPOT分析により決定されるように、L552S腫瘍抗原で形質導入された自己線維芽細胞を特異的に認識するヒトCTL株を誘導した。詳細には、樹状細胞(DC)を、正常ヒトドナーのPBMCに由来するパーコール精製単球から、プラスチック接着、およびRPMI培地(10%ヒト血清、50ng/mlヒトGM−CSFおよび30ng/mlヒトIL−4を含む)中で5日間培養することによって、分化させた。培養の5日後、DCを感染多重度(M.O.I.)33、66および100で、L523Sを発現する組換アデノウイルスで一晩感染し、そして2μg/mlのCD40リガンドの添加により一晩成熟させた。次いで、このウイルスを、UV照射により不活性化した。CTL株を生成するために、自己PBMCを単離し、そしてCD8+T細胞を、CD4+細胞、CD14+細胞、CD16+細胞、CD19+細胞、CD34+細胞およびCD56+細胞に結合した磁気ビーズを用いるネガティブ選択により富化した。L523Sに特異的なCD8+T細胞を、10%ヒト血清、10ng/mlのIL−6および5ng/mlのIL−12を補填したRPMI中でウェルあたり10,000個のL523S発現DCおよび100,000個のCD8+T細胞を用い、丸底96ウェルプレート中に樹立した。これら培養を、レトロウイルスによりL523Sで形質導入した自己由来初代線維芽細胞および同時刺激分子CD80をIL−2の存在下で用いて、7−10日毎に再刺激した。細胞はまた、IFNγで刺激され、MHCクラスIをアップレギュレートした。培地に、刺激のとき、および刺激後2日目および5日目にIL−2の10U/mlを補填した。3回の刺激サイクルの後、L523S腫瘍抗原形質導入自己線維芽細胞で刺激したときインターフェロンγを特異的に産生するがコントロール抗原で刺激したときインターフェロンγを産生しない、10個のL523S特異的CD8+T細胞株を、インターフェロンγELISPOT分析を用いて同定した。
1つの株6B1を、抗CD3細胞およびフィーダー細胞を用いてクローン化した。このクローンを、L523S形質導入線維芽細胞に対する特異性について試験した。さらに、L523Sを発現するベクターで形質導入された一群のHLAミスマッチ株を用い、そしてELISPOTアッセイにおいてこのCTL株によるインターフェロンγ産生を測定することにより、このクローン6B1.4B8は、HLA−A0201により拘束されていることを決定した。
また、トランスフェクトされたCos細胞を用い、クローン6B1.4B8が、HLA拘束および抗原特異的様式で、pcDNA3 HLA A0201/L523SでトランスフェクトされたCos細胞を認識することが示された。
エピトープマッピング研究は、クローン6B1.4B8が、ペプチドプール3(L523Sのアミノ酸位置33−59に対応するポリペプチド)を負荷したHLA−A201 LCLを認識することを示した。
ペプチドプール分解研究は、クローン6B1.4B8が、L523Sのアミノ酸位置37−55の15マーペプチドTGYAFVCPDESWALKAIE(配列番号465)を負荷した自己B−LCLを認識することを示した。さらなるペプチド分解研究は、クローン6B1.4B8が、同じ15マーペプチドを負荷したT2細胞を認識することを示した.
ペプチド認識研究は、クローン6B1.4B8が、L523Sの位置41−51におけるアミノ酸配列に対応しかつ配列番号467のDNA配列によりコードされる、ペプチドFVDCPESWAL(配列番号466)で負荷されたT2細胞を好むことを示した。
(実施例29 他のヒト癌におけるL523S発現)
L523Sが、扁平上皮癌、腺癌および小細胞癌腫を含む肺癌中で発現されることを実施例2において先に開示した。この抗原の発現プロフィールをさらに評価するために、電子的発現プロフィール作成を実施した。これは、L523S特異的配列を、公開ESTデータベースに対してサーチすることにより行った。このプロフィール形成は、L523Sが、結腸腺癌、前立腺腺癌、CML、AML、バーキットリンパ腫、脳腫瘍、網膜芽細胞腫、卵巣腫瘍、奇形癌、子宮筋肉種、生殖細胞腫瘍、ならびに膵腫瘍細胞株および頚部腫瘍細胞株にもまた存在し得ることを示す。
(実施例30 L523Sの免疫組織化学的分析)
どの組織が肺腫瘍抗原L523Sを発現するか否かを決定するために、免疫組織化学的(IHC)分析を多様な範囲の組織型について実施した。L523S(配列番号176)に特異的なポリクローナル抗体を、実施例23に記載のように生成した。IHCは、本質的に実施例6に記載のように実施した。簡単に述べると、組織サンプルをホルマリン溶液中で12−24時間固定し、そして8ミクロン切片にスライスする前にパラフィン中に包埋した。0.1クエン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)中の蒸気加熱誘導エピトープ検索(retrieval)(SHIER)を、最適染色条件のために用いた。切片を、PBS中の10%血清と5分間インキュベートした。一次L523S抗体を、各切片に25分間添加し、次いで、抗ウサギビオチン化抗体と25分間インキュベートした。内因性ペルオキシダーゼ活性を、水素ペルオキシダーゼとの3回の1.5分のインキュベーションによりブロックした。アビジンビオチン複合体/西洋ワサビペルオキシダーゼ(ABC/HRP)系をDAB色原体とともに用い、抗原発現を可視化した。スライドをヘマトキシリンで対比染色し、細胞核を可視化した。
L523S発現のIHC分析は、試験された肺癌組織のうち、組織サンプルの90%以上が、肺腫瘍抗原の高過剰発現を示したことを示した(11個中10個の腺癌および9個中8個の扁平上皮癌)。試験された正常組織のうち、正常気管支、精巣、肝臓および気管における弱い染色の例外を除き、すべてがL523Sの発現についてネガティブであった。
(実施例31 L762ヒトモノクローナル抗体の生成および特徴付け)
トランスジェニックマウスのXenomouse株からのハイブリドーマ融合物由来の細胞上清液を、L762Pに結合する能力についてスクリーニングした。すべての結果を表13に示す。一次スクリーニングは、組換え細菌発現されたタンパク質を用いるELISA分析によりL762Pに対する反応性についてモノクローナル上清液を試験することであった。本発明者らは、次いで、ヒト上清液を、蛍光定量分析を用い、全細胞ELISAにより表面発現されたL762Pに対する反応性について試験した。humab上清液の特異的反応性を、関係のないプラスミドまたはL762Pを発現するプラスミドのいずれかでトランスフェクトされた細胞についてFACS分析を実施することにより確認した。FI/CFIは、関係のないヒト一次抗体に対する抗L762P humab一次抗体の蛍光強度(FI)における相対的倍数の増加である。FI/CFI/A20は、抗L762Pマウスモノクローナル抗体153A20.1の蛍光強度(FI)に対する、関係のないヒト一次抗体に対する抗L762P humab一次抗体の蛍光強度(FI)における相対的倍数の増加である。FI/CFI/R690は、抗L762Pウサギポリクローナル抗体のFIを超える、関係のないヒト一次抗体に対する抗L762P humab一次抗体の蛍光強度(FI)における相対的倍数の増加である。FACS VRL762は、示されたモノクローナル抗体での染色後ポジティブであった、L762Pを発現するプラスミドでトランスフェクトされた細胞の百分率である。FACS VR(−)は、示されたモノクローナル抗体での染色後ポジティブであった、関係のないプラスミドでトランスフェクトされた細胞の百分率である。ELISAは、組換えL762Pタンパク質に対する示されたモノクローナル抗体のO.D.値である。表13中、影のある行は、さらにクローン化され、そして特徴付けられる抗体を示す。
Figure 2008178413
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Figure 2008178413
Figure 2008178413
Figure 2008178413
Figure 2008178413
Figure 2008178413
(実施例32 HL523S特異的抗体のエピトープマッピングおよび精製)
この実施例は、ヒトL523SホモログとマウスL523Sホモログとの間を識別し得、そして同様にhL523SファミリーメンバーとhL523Sファミリーメンバーとの間(例えば、hIMP−1とhIMP−2との間)を区別する、L523S抗体の精製を記載する。
L523S(配列番号347および348にそれぞれ提示される、完全長cDNAおよびアミノ酸配列)は、hIMP−1およびhIMP−2を含むタンパク質のファミリーの1つである。タンパク質のこのファミリーのメンバーは、互いに高い程度の類似性を有し、そしてまた種間で高度に類似している。従って、ヒトL523S(hL523S)を特異的に認識しかつヒトにおけるこのタンパク質ファミリーの他のメンバーもマウスホモログも認識しない、抗体を生成することは、問題があった。しかし、L523Sのタンパク質発現を検出することによって臨床前L523S DNA/アデノウイルスワクチンおよび臨床L523S DNA/アデノウイルスワクチンを評価するために、ヒトL523S特異的抗体は重要である。
hL523Sに特異的なポリクローナル抗体は、実施例23に記載のように生成された。これらの抗体を、エピトープをマッピングするために用いた。このエピトープ分析は、認識されたhL523Sの2つの特定のペプチド(ペプチド16/17およびペプチド32)を示した。
次いで、hL523SおよびマウスL523S(mL523S)ペプチド16/17およびペプチド32の両方のアミノ酸配列を比較した。ペプチド32/33は、hL523SおよびmL523S間で同一である。しかし、以下のアラインメントが示すように、ペプチド16/17は、ヒトおよびマウスホモログ間で5つのアミノ酸の相違を有する(下線を引いた)。
hL523S(16/17)(配列番号468):
IPDEAAQQNPLQRGRRGGQR
mL523S(16/17)(配列番号469):
IPDEAAQQNPSPRGRRGGQR
さらに、ペプチドを基礎にしたELISAは、ペプチド17が、肺癌患者血清#197により特異的に認識され、もそしてヒトIMP(hIMP)ファミリーメンバー間のペプチド17の相同性サーチは、ファミリーメンバー間でこの領域に類似性がほとんどないことを示す。hL523ペプチド17(および16/17)は、hIMP−1およびhIMP−2のようなhL523Sファミリーメンバーに対し、50%未満の類似性を有している。
次いで、L523S特異的抗体のエピトープマッピングおよび相同性サーチからのデータに基づき、hL523S結合リガンドまたはmL523Sペプチド16/17結合リガンドを、実施例23に記載されたように、hL523Sタンパク質に対して生成されたウサギポリクローナル抗体からヒト特異的抗体またはマウスL523S特異的抗体を精製するために用いた。hL523S−ペプチド16/17またはmL523S−ペプチド16/17のいずれかと結合したリガンドを用いる親和性クロマトグラフィーにより精製された抗体からのデータは、hL523S−ペプチド16/17に特異的な抗体の親和性が、mL523S−ペプチド16/17に対する抗体の親和性よりかなり高いことを示唆した。なぜなら、それらは、mL523S−ペプチド16/17に対してより、hL523S−ペプチド16/17に対して強く結合するからである。ヒトL523S−ペプチド16/17およびマウスL523S−ペプチド16/17に対する精製された抗体間の親和性の差異は、ペプチドを基礎にしたELISAにより確認された。hL523S−ペプチド16/17により精製された抗体は、ヒトL523S−ペプチド16/17に選択的に結合したが、mL523S−ペプチド16/17にかなりより少なくにしか結合しなかったかまたは全く結合しなかった。
当初のポリクローナル抗体およびhL523S−ペプチド16/17により精製された抗体をさらに特徴付けるために、hL523Sタンパク質の供給源としてヒト肺癌腺癌株、およびmL523Sタンパク質の供給源としてマウスの全体胎児(妊娠17日目)の両方を用いてイムノブロット分析を行った。この分析は、hL523Sに特異的なポリクローナル抗体が、腫瘍細胞株で発現されたhL523Sタンパク質および妊娠17日目の全体胎児で発現されたmL523Sタンパク質を認識することを示した。しかし、hL523Sペプチド32/33の添加は、ヒトおよびマウスL523Sタンパク質に対する抗体の結合をブロックする。従って、mL523Sタンパク質に対するポリクローナル抗体の交差反応性は、hL523Sペプチド32/33に特異的な抗体の存在に起因する。これとは著しく対照的に、hL523Sペプチド16/17に特異的な精製された抗体は、マウス胎児中で発現されたmL523Sタンパク質を結合しないが、ヒト肺腺癌細胞中で発現されたhL523Sタンパク質を認識する。これらのデータは、上記のhL523S−ペプチド16/17およびmL523S−ペプチド16/17を用いるELISAデータを確認する。
抗体を精製するために用いたhL523Sペプチド16/17のアミノ酸配列は、ウェスタンブロット分析およびペプチドを基礎にしたELISAにより、hL523S特異的抗体によって認識されないmL523S−ペプチド16/17のアミノ酸配列と、約60−70%類似である。hL523Sペプチド16/17は、hIMP−1およびhIMP−2のようなhL523Sファミリーのメンバーと50%未満の類似性を有している。ともに考慮すると、これらのデータは、本明細書に記載のhL523ペプチド16/17により精製された抗体はまた、他のhL523SファミリーのメンバーからhL523Sタンパク質を区別するという高い蓋然性があることを示唆する。
要約すれば、hL523Sペプチド16/17で精製された抗体は、マウスL523Sホモログを認識しない。hL523Sファミリーのメンバー間のペプチド16/17のアミノ酸配列は、ヒトL523SとマウスL523Sとの間より類似性が少ない。従って、上記に記載のhL523S特異的抗体を、ヒトおよびマウスL523Sの間、およびhL523Sファミリーのタンパク質のメンバーの間を区別するために使用し得、そしてそれ故、動物およびヒトにおけるhL523Sタンパク質発現の正確な検出のために用い得る。
(実施例33 肺腫瘍抗原L523のインビボ免疫原性)
この実施例33は、L523を含むアデノウイルスまたはL523の裸のDNAいずれかを用いるマウスのワクチン接種、次いで、L523を含むアデノウイルスを用いる第2のワクチン接種を評価するための、2つのインビボ免疫原性研究を記載する。
第1番目の研究は、L523アデノウイルスを用いるマウスの2つの系統の免疫化を含めた。マウスのC57B16系統は、HLA型についてホモ接合型H−2であり、その一方、B6D2(F1)系統は、HLA型についてヘテロ接合型H−2b/dである。表14は、採用された初期免疫化戦略を記載する。
Figure 2008178413
マウスを、10PFUのL523−アデノウイルスまたは10PFUの関係のないアデノウイルス(hrGFP)のいずれかで皮内免疫した。免疫化の3週間後、L523に対するIgG1抗体応答およびIgG2a抗体応答をマウスのすべての群で調べた。簡単に述べると、組換え完全長L523(rL523)を、ELISAプレート上にコートし、そして血清を、複数希釈でウェルに添加した。60分のインキュベーションの後、血清をウェルから洗浄し、そしてIgG1またはIgG2のいずれかに特異的な二次抗体をプレートに添加した。両方の抗体は、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)に直接結合させた。IgG1またはIgG2aいずれかのL523抗体のレベルをすべての群で測定した。C57BL6マウスでは、免疫化の後、L523特異的抗体はほとんどないかまったく検出されなかった。しかし、L523アデノウイルスで免疫化したマウスのB6D2(F1)系統では、IgG1 L523特異的抗体およびIgG2a L523特異的抗体の両方が、1/1000程度の血清希釈で検出された。
血清中のL523特異的抗体を検出することに加えて、インターフェロンγ(IFN−γ)応答を、rL523タンパク質を用いたインビトロ刺激の後、免疫脾臓細胞からアッセイした。簡単に述べれば、脾臓細胞を、すべてのマウス群から採集し、そして96ウェルプレート中で3日間培養した。培養条件は、培地単独、1μg/mlのrL523タンパク質または10μg/mlのrL523タンパク質、または5μg/mlのコンカナバリンA(ConA)を含めた。3日後、上清液を採集し、そしてこの上清液中のIFN−γレベルをアッセイした。
関係のないアデノウイルスではなくL523−アデノウイルスを用いた免疫化は、rL523で刺激された脾臓細胞から強いIFN−γ応答を惹起した。一般に、応答は、IFN−γ産生のより高いレベル、およびより低い抗原濃度(1μg/ml)での刺激がより高い抗原濃度(10μg/ml)で観察されるような等しく強い応答を惹起したという事実の両方により証明されるように、B6D2(F1)マウス系統でより強かった。
最後に、T細胞増殖応答を、rL523タンパク質でのインビトロ刺激により免疫脾臓細胞からアッセイした。簡単に述べると、脾臓細胞を、4日間、96ウェルプレート中で、培地単独、1μg/mlのrL523タンパク質または10μg/mlのrL523タンパク質、またはConAを用いて培養した。次いで、培養を、培養の最後の8時間の間、3H−チミジンでパルス化した。結果を、培地単独での刺激に対する、抗原の存在下での刺激指標(SI)として表している。結果は、IFN−γアッセイで得た結果と一致した。関係のないアデノウイルスではなくL523−アデノウイルスでの免疫化は、rL523で刺激した脾臓細胞における増殖応答を惹起した。強いSI(平均>20)が、B6D2(F1)マウス系統から採集された脾臓細胞で観察され、類似のレベルの増殖が両方のタンパク質濃度で観察された。C57BL6マウス系統では、T細胞増殖は、ほとんどないかまたは観察されなかった。
第2の研究は、最初、L523の裸のDNAを用いた2つの系統のマウスの免疫化、次いで、2週間後、L523アデノウイルスを用いた第2の免疫化を含めた。追加免疫の3週間後マウスを回収した。表15は、第2の研究の免疫化レジメンを記載する。
Figure 2008178413
第1の研究で記載されたように、L523−アデノウイルスを用いた免疫化の後、強いIgG1抗体応答およびIgG2a抗体応答が、B6D2(F1)マウスにおいて観察された。L523DNAを用いた免疫化は、L523−アデノウイルス単独での免疫化で達成された応答と比較して、全体のL523特異的抗体応答を増加するように見えた。C57BL6マウスは、L523−アデノウイルスを用いた免疫化の後、L523特異的抗体応答をほとんどまたはまったく惹起しなかったが、L523 DNAで免疫化し、次いでL523−アデノウイルスで第2の免疫化をしたマウスでは、ある程度のわずかにポジティブな応答が検出された。
IFN−γ応答を、rL523タンパク質を用いたインビトロの刺激による免疫脾臓細胞からアッセイした。これらの結果は、動物におけるL523の免疫原性を示す初期研究で観察された結果を確認する。この結果はまた、L523−アデノウイルスを用いた免疫化の前に、L523 DNAで動物を最初免疫化することは、CD4応答を有意に増加しないことを示唆する。初期研究でのように、応答は、マウスのC57BL6系統よりもB6D2(F1)系統中で強いようである。
初期研究でのように、T細胞増殖応答を、rL523タンパク質を用いたインビトロ刺激による脾臓細胞からアッセイした。2つのラウンドの免疫化を用いた結果は、第1の研究から得た結果と一致している。L523−アデノウイルスを用いた第2のラウンドの免疫化の前のL523 DNAを用いた免疫化は、マウスで生成される増殖応答を有意に増加しなかった。第1の研究でのように、応答は、マウスのC57BL6系統よりもB6D2(F1)系統中で強かった。
マウスの2つの系統間のHLA型の差異は、検出された免疫応答の程度における変動を説明し得る。上記のように、C57BL6系統は、H−2についてホモ接合型であり、その一方、B6D2(F1)は、H−2b/dについてヘテロ接合型である。このB6D2(F1)系統HLA型の増加した多様性は、提示されるべきL523タンパク質由来のより多くのエピトープを許容する。この系統では、H−2およびH−2両者に特異的なエピトープが提示され得、その一方、H−2エピトープのみが、C57BL6系統により提示され得る。
先行する記載から、本発明の特定の実施形態が例示の目的で本明細書中に記載されているが、本発明の思想および範囲を逸脱することなく種々の改変がなされ得ることが、認識されるべきである。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲以外によっては、制限されるものではない。

Claims (25)

  1. 動物において免疫応答を誘導する方法であって、以下の工程:
    a)肺癌腫ポリヌクレオチドの免疫原性部分を少なくともコードするポリヌクレオチドを含む組成物を提供する工程であって、該ポリヌクレオチドは、配列番号347と少なくとも90%の同一性を有する、工程;
    b)該ポリヌクレオチドを投与する、工程;および
    c)それによって動物において免疫応答を誘導する工程、
    を包含する、方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、前記組成物は、生理学的に受容可能なキャリアまたはアジュバンドからなる群から選択される成分をさらに含む、方法。
  3. 前記肺癌腫ポリヌクレオチドが、ウイルスベースの送達系によって送達される、請求項1に記載の方法。
  4. 前記ウイルスベースの送達系が、アデノウイルスである、請求項3に記載の方法。
  5. 前記誘導される免疫応答が、CD4+Tヘルパー応答である、請求項1に記載の方法。
  6. 前記誘導される免疫応答が、CD8+細胞傷害性Tリンパ球応答である、請求項1に記載の方法。
  7. 前記誘導される免疫応答が、CD4+Tヘルパー免疫応答およびCD8+細胞傷害性Tリンパ球免疫応答の両方である、請求項1に記載の方法。
  8. 単離されたポリヌクレオチドであって、以下:
    (a)配列番号351、353、358、362、364、366、368、370〜375、420、424、428、431、434、442、447、450および467で提供される配列;
    (b)配列番号351、353、358、362、364、366、368、370〜375、420、424、428、431、434、442、447、450および467で提供される配列の相補体;
    (c)配列番号351、353、358、362、364、366、368、370〜375、420、424、428、431、434、442、447、450および467で提供される配列の少なくとも10個連続した残基からなる配列。
    (d)高度にストリンジェントな条件下において配列番号351、353、358、362、364、366、368、370〜375、420、424、428、431、434、442、447、450および467で提供される配列にハイブリダイズする配列;
    (e)配列番号351、353、358、362、364、366、368、370〜375、420、424、428、431、434、442、447、450および467の配列と少なくとも75%の同一性を有する配列;
    (f)配列番号351、353、358、362、364、366、368、370〜375、420、424、428、431、434、442、447、450および467の配列と少なくとも90%の同一性を有する配列;
    (g)配列番号351、353、358、362、364、366、368、370〜375、420、424、428、431、434、442、447、450および467で提供される配列の変性改変体、
    からなる群から選択される配列を含む、単離されたポリヌクレオチド。
  9. 単離されたポリペプチドであって、以下:
    (a)配列番号352、354、357、361、363、365、367、369、376〜382、387〜419、423、427、430、433、441、443、446、449、451〜466および469で提供される配列のいずれか1つのアミノ酸配列を有するポリペプチドと少なくとも90%の同一性を有する配列;
    (b)請求項8に記載のポリヌクレオチドによってコードされる配列;
    (c)請求項8に記載のポリヌクレオチドによってコードされる配列と少なくとも70%の同一性を有する配列;および
    (d)請求項8に記載のポリヌクレオチドによってコードされる配列と少なくとも90%の同一性を有する配列、
    からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチド。
  10. 発現制御配列に作動可能に連結される請求項8に記載のポリヌクレオチドを含む、発現ベクター。
  11. 請求項10に記載の発現ベクターで形質転換またはトランスフェクトされる、宿主細胞。
  12. 請求項9に記載のポリペプチドに特異的に結合する、単離された抗体またはその抗原結合フラグメント。
  13. 患者における癌の存在を検出する方法であって、以下の工程:
    (a)該患者から生物学的サンプルを得る工程;
    (b)該生物学的サンプルと請求項9に記載のポリペプチドに結合する結合因子とを接触させる工程;
    (c)該結合因子に結合するポリペプチドの量をサンプル中で検出する工程;および
    (d)予想されるカットオフ値とポリペプチドの量を比較し、それによって患者における癌の存在を決定する工程、
    を包含する、方法。
  14. 請求項9に記載の少なくとも1つのポリペプチドを含む、融合タンパク質。
  15. 前記融合タンパク質が、配列番号352、354、423、427、430および433で提供される配列からなる群から選択される、請求項14に記載の融合タンパク質。
  16. 高度にストリンジェントな条件下において配列番号351、353、358、362、364、366、368、370〜375、420、424、428、431、434、442、447、450および467で示される配列にハイブリダイズする、オリゴヌクレオチド。
  17. 腫瘍タンパク質に特異的なT細胞を刺激し、そして/または増殖する方法であって、該方法は、T細胞の刺激および/または増殖を可能にするのに十分な条件および時間において、以下:
    (a)請求項9に記載のポリペプチド;
    (b)請求項8に記載のポリヌクレオチド;および
    (c)請求項8に記載のポリヌクレオチドを発現する抗原提示細胞
    からなる群から選択される、少なくとも1つの成分とT細胞とを接触させる工程を包含する、方法。
  18. 請求項17に記載の方法に従って調製されるT細胞を含む、単離されたT細胞集団。
  19. 生理学的に受容可能なキャリアおよび免疫賦活薬からなる群から選択される第1の成分および以下:
    (a)請求項9に記載のポリペプチド;
    (b)請求項8に記載のポリヌクレオチド;
    (c)請求項12に記載の抗体;
    (d)請求項14に記載の融合タンパク質;
    (e)請求項18に記載のT細胞集団;および
    (f)請求項9に記載のポリペプチドを発現する抗原提示細胞
    からなる群から選択される第2の要素を含む、組成物。
  20. 請求項19に記載の組成物を患者に投与する工程を包含する、患者において免疫応答を刺激する、方法。
  21. 請求項19に記載の組成物を患者に投与する工程を包含する、患者において肺癌を処置する方法。
  22. 患者における癌の存在を決定する方法であって、以下の工程:
    (a)該患者から生物学的サンプルを得る工程;
    (b)該生物学的サンプルと請求項9に記載のオリゴヌクレオチドとを接触させる工程;
    (c)オリゴヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドの量を、該サンプル中で検出する工程;および
    (d)オリゴヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドの量を、予想されるカットオフ値と比較し、それによって患者における癌の存在を検出する工程、
    を包含する、方法。
  23. 請求項16に記載の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む、診断キット。
  24. 請求項12に記載の少なくとも1つの抗体および検出試薬を含む診断キットであって、該検出試薬は、レセプター群を含む、キット。
  25. 患者において肺癌を処置する方法であって、該方法は以下の工程:
    (a)以下:(i)請求項9に記載のポリペプチド;(ii)請求項8に記載のポリヌクレオチド;および(iii)T細胞が増殖するような、請求項9に記載のポリペプチドを発現する抗原提示細胞、からなる群から選択される少なくとも1つの成分とともに患者から単離されるCD4+T細胞および/またはCD8+T細胞をインキュベートする工程;
    (b)有効量の増殖されたT細胞を患者に投与し、それによって患者における癌の発達を阻害する工程、
    を包含する、方法。
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