JP2004513615A - 肺癌の治療および診断のための組成物および方法 - Google Patents
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Abstract
Description
(発明の技術分野)
本発明は概して、癌(例えば、肺癌)の治療および診断に関する。本発明は、より詳細には、肺腫瘍タンパク質の少なくとも一部を含むポリペプチド、およびこのようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに関する。このようなポリペプチドおよびポリヌクレオチドは、肺癌の診断および処置のための薬学的組成物(例えば、ワクチン)、および他の組成物において用いられ得る。
【0002】
(発明の背景)
癌は、世界中の重大な健康の問題である。癌の検出および治療において進歩はあったが、予防および/または処置のためのワクチンまたは他の普遍的に首尾良い方法は、現在利用可能でない。化学療法または手術および放射の組合わせに一般的に基づく、現在の治療は、多くの患者において不適切であることが示され続けている。
【0003】
肺癌は、米国における男性および女性の両方における癌での死亡の主な原因であり、1994年には172,000件の新しい症例が報告されたと見積もられた。全ての肺癌患者における5年間の生存率は、診断時における疾患の病期に関わらず、13%に過ぎない。これは、検出された症例における46%の5年間生存率と対照的であるが、この疾患は、なお局在される。しかし、肺癌が広がる前に発見されるのは、この疾患の16%に過ぎない。
【0004】
これらの癌および他の癌のための治療におけるかなりの研究にも関わらず、肺癌は、診断および効果的に処置することが困難なままである。従って、当該分野において、このような癌を検出および処置するための改良された方法への必要性が残っている。本発明は、これらの必要性を満たし、そしてさらに他の関連する利点を提供する。
【0005】
(発明の要旨)
1つの局面において、本発明はポリヌクレオチド組成物を提供し、このポリヌクレオチド組成物は、以下:
(a)配列番号1〜3、6〜8、10〜13、15〜27、29、30、32、34〜49、51、52、54、55、57〜59、61〜69、71、73、74、77、78、80〜82、84、86〜96、107〜109、111、113、125、127、128、129、131〜133、142、144、148〜151、153、154、157、158、160、167、168、171、179、182、184〜186、188〜191、193、194、198〜207、209、210、213、214、217、220〜224、253〜337、345、347、349、358、362、364、365、368、370〜375、420、424、428、431、434、442、447、450、および467に提供される配列;
(b)配列番号1〜3、6〜8、10〜13、15〜27、29、30、32、34〜49、51、52、54、55、57〜59、61〜69、71、73、74、77、78、80〜82、84、86〜96、107〜109、111、113、125、127、128、129、131〜133、142、144、148〜151、153、154、157、158、160、167、168、171、179、182、184〜186、188〜191、193、194、198〜207、209、210、213、214、217、220〜224、253〜337、345、347、349、358、362、364、365、368、370〜375、420、424、428、431、434、442、447、450、および467に提供される配列の相補体;
(c)配列番号1〜3、6〜8、10〜13、15〜27、29、30、32、34〜49、51、52、54、55、57〜59、61〜69、71、73、74、77、78、80〜82、84、86〜96、107〜109、111、113、125、127、128、129、131〜133、142、144、148〜151、153、154、157、158、160、167、168、171、179、182、184〜186、188〜191、193、194、198〜207、209、210、213、214、217、220〜224、253〜337、345、347、349、358、362、364、365、368、370〜375、420、424、428、431、434、442、447、450、および467に提供される配列の少なくとも10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、75個および100個連続する残基からなる配列;
(d)配列番号1〜3、6〜8、10〜13、15〜27、29、30、32、34〜49、51、52、54、55、57〜59、61〜69、71、73、74、77、78、80〜82、84、86〜96、107〜109、111、113、125、127、128、129、131〜133、142、144、148〜151、153、154、157、158、160、167、168、171、179、182、184〜186、188〜191、193、194、198〜207、209、210、213、214、217、220〜224、253〜337、345、347、349、358、362、364、365、368、370〜375、420、424、428、431、434、442、447、450、および467に提供される配列に中程度にストリンジェントな条件または高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列;
(e)配列番号1〜3、6〜8、10〜13、15〜27、29、30、32、34〜49、51、52、54、55、57〜59、61〜69、71、73、74、77、78、80〜82、84、86〜96、107〜109、111、113、125、127、128、129、131〜133、142、144、148〜151、153、154、157、158、160、167、168、171、179、182、184〜186、188〜191、193、194、198〜207、209、210、213、214、217、220〜224、253〜337、345、347、349、358、362、364、365、368、370〜375、420、424、428、431、434、442、447、450、および467の配列に少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する配列;ならびに
(f)配列番号1〜3、6〜8、10〜13、15〜27、29、30、32、34〜49、51、52、54、55、57〜59、61〜69、71、73、74、77、78、80〜82、84、86〜96、107〜109、111、113、125、127、128、129、131〜133、142、144、148〜151、153、154、157、158、160、167、168、171、179、182、184〜186、188〜191、193、194、198〜207、209、210、213、214、217、220〜224、253〜337、345、347、349、358、362、364、365、368、370〜375、420、424、428、431、434、442、447、450、および467に提供される配列の縮重改変体、
からなる群より選択される配列を含む。
【0006】
1つの好ましい実施形態において、本発明のポリヌクレオチド組成物は、試験された肺腫瘍サンプルの少なくとも約20%において、より好ましくは少なくとも約30%において、そして最も好ましくは少なくとも約50%において、正常組織のレベルの少なくとも約2倍、好ましくは少なくとも約5倍、そして最も好ましくは少なくとも約10倍のレベルで、発現される。
【0007】
本発明は、別の局面において、上記のポリヌクレオチド配列によってコードされたアミノ酸配列を含むポリペプチド組成物を提供する。
【0008】
本発明はさらに、配列番号152、155、156、165、166、169、170、172、174、176、226〜252、338〜344、346、350、357、361、363、365、367、369、376〜382、387〜419、423、427、430、433、441、443、446、449、および451〜466に示される配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチド組成物を提供する。
【0009】
特定の好ましい実施形態において、本発明のポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドは、本明細書中にさらに記載されるように、免疫原性である。すなわち、これらは、免疫応答(特に、体液性および/または細胞性免疫応答)を誘発し得る。
【0010】
本発明はさらに、開示されたポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチド配列のフラグメント、改変体および/または誘導体を提供し、ここで、フラグメント、改変体および/または誘導体は、好ましくは、配列番号152、155、156、165、166、169、170、172、174、176、226〜252、338〜344、346、350、357、361、363、365、367、369、376〜382、387〜419、423、427、430、433、441、443、446、449、および451〜466に示されるポリペプチド配列、または配列番号1〜3、6〜8、10〜13、15〜27、29、30、32、34〜49、51、52、54、55、57〜59、61〜69、71、73、74、77、78、80〜82、84、86〜96、107〜109、111、113、125、127、128、129、131〜133、142、144、148〜151、153、154、157、158、160、167、168、171、179、182、184〜186、188〜191、193、194、198〜207、209、210、213、214、217、220〜224、253〜337、345、347、349、358、362、364、365、368、370〜375、420、424、428、431、434、442、447、450、および467に示されるポリヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド配列の少なくとも約50%免疫原性活性のレベル、好ましくは少なくとも約70%そしてより好ましくは少なくとも約90%の免疫原性活性のレベルを有する。
【0011】
本発明はさらに、上記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、このようなポリヌクレオチドを含む発現ベクター、およびこのような発現ベクターで形質転換されたかまたはトランスフェクトされた宿主細胞を提供する。
【0012】
他の局面において、本発明は、上記のようなポリペプチドまたはポリヌクレオチドを含む薬学的組成物および生理学的に受容可能なキャリアを提供する。
【0013】
本発明の関連した局面において、薬学的組成物(例えば、ワクチン組成物)が、予防適用または治療適用のために提供される。このような組成物は、一般に、本発明の免疫原性ポリペプチドまたはポリヌクレオチドおよび免疫刺激剤(例えば、アジュバント)を含む。
【0014】
本発明はさらに、以下を含む薬学的組成物を提供する:(a)本発明のポリペプチドに特異的に結合する抗体もしくはそれらの抗原結合フラグメント、またはそれらのフラグメント;および(b)生理学的に受容可能なキャリア。
【0015】
さらなる局面において、本発明は、以下を含む薬学的組成物を提供する:(a)上記のようなポリペプチドを発現する抗原提示細胞および(b)薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤。例示的な抗原提示細胞としては、樹状細胞、マクロファージ、単球、線維芽細胞およびB細胞が挙げられる。
【0016】
関連した局面において、以下を含む薬学的組成物が提供される:(a)上記のようなポリペプチドを発現する抗原提示細胞および(b)免疫刺激剤。
【0017】
本発明はさらに、他の局面において、代表的に、生理学的に受容可能なキャリアおよび/または免疫刺激剤を含む薬学的組成物(例えば、ワクチン組成物)の形態で、上記のような少なくとも1つのポリペプチドを含む融合タンパク質、ならびにこのような融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを提供する。この融合タンパク質は、上記のように、複数の免疫原性ポリペプチドまたはその部分/改変体を含み得、そしてポリペプチドの発現、精製および/または免疫原性を容易にする1つ以上のポリペプチドセグメントをさらに含み得る。
【0018】
さらなる局面において、本発明は、患者における免疫応答(好ましくは、ヒト患者におけるT細胞応答)を刺激するための方法を提供し、この方法は、本明細書中に記載された薬学的組成物を投与する工程を包含する。患者は、肺癌に冒され得るか(この場合、この方法が疾患の処置を提供する)、またはこのような疾患についての危険性が考えられる患者は、予防的に処置され得る。
【0019】
さらなる局面において、本発明は、患者における癌の発生を阻害するための方法を提供し、この方法は、上記のような薬学的組成物を患者に投与する工程を包含する。患者は、肺癌に冒され得るか(この場合、この方法が疾患の処置を提供する)、またはこのような疾患についての危険性が考えられる患者は、予防的に処置され得る。
【0020】
本発明は、他の局面において、生物学的サンプルから腫瘍細胞を除去する方法をさらに提供する。この方法は、生物学的サンプルと、本発明のポリペプチドと特異的に反応するT細胞とを接触させる工程を包含し、ここで、この接触させる工程は、このサンプルからのこのタンパク質を発現する細胞の除去を可能にするための条件下および十分な時間で実施される。
【0021】
関連する局面において、患者における癌の発達を阻害するための方法が提供される。この方法は、上記のように処理された生物学的サンプルを患者に投与する工程を包含する。
【0022】
他の局面において、本発明のポリペプチドに特異的なT細胞を刺激するか、そして/または、これらを増大する方法がさらに提供される。これらの方法は、T細胞の刺激および/または増大を可能にするための条件下および十分な時間で、以下の1つ以上とT細胞とを接触させる工程を包含する:(i)上記のようなポリペプチド;(ii)このようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;および/または(iii)このようなポリペプチドを発現する抗原提示細胞。上記のように調製されたT細胞を含む単離されたT細胞集団がまた、提供される。
【0023】
さらなる局面において、本発明は、患者における癌の発達を阻害する方法を提供する。この方法は、上記のように有効量のT細胞集団を患者に投与する工程を包含する。
【0024】
本発明はさらに、患者における癌の発達を阻害する方法を提供する。この方法は、以下の工程を包含する:(a)以下の1つ以上を有する患者から単離したCD4+T細胞および/またはCD8+T細胞をインキュベートする工程:(i)本明細書中で開示されたポリペプチドの少なくとも1つの免疫原性部位を含むポリペプチド;(ii)このようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;および(iii)このようなポリペプチドを発現した抗原提示細胞;ならびに(b)有効量の増殖したT細胞を患者に投与し、それによって、患者における癌の発達を阻害する工程。増殖した細胞は、患者への投与前にクローン化され得るが、必ずしもクローン化するに及ばない。
【0025】
さらなる局面において、本発明は、患者において癌(好ましくは肺癌)の存在または非存在を決定するための方法を提供する。この方法は、以下を包含する:(a)患者から得た生物学的サンプルと、上に列挙したポリペプチドに結合する結合因子とを接触させる工程;(b)サンプル中で、この結合因子に結合するポリペプチドの量を検出する工程;および(c)このポリペプチドの量と事前に決定していたカットオフ値とを比較し、それによって患者における癌の存在または非存在を決定する工程。好ましい実施形態において、この結合因子は、抗体であり、より好ましくはモノクロナール抗体である。
【0026】
他の局面において、本発明はまた、患者における癌の進行をモニタリングする方法を提供する。このような方法は、以下の工程を包含する:(a)最初の時点で患者から得た生物学的サンプルと上に列挙したポリペプチドプチドに結合する結合因子とを接触させる工程;(b)サンプルにおいて、この結合因子に結合するポリペプチドの量を検出する工程;(c)次の時点において、患者から得られた生物学的サンプルを使用し、工程(a)および工程(b)を反復する工程;ならびに(d)工程(c)において検出されたポリペプチドの量を工程(b)において検出された量と比較し、それらによって、患者における癌の進行をモニタリングする工程。
【0027】
他の局面において、本発明は、患者の癌の存在または非存在を決定するための方法をさらに提供する。この方法は以下の工程を包含する:(a)患者から得られた生物学的サンプルと、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズするオリゴヌクレオチドとを接触させる工程;(b)そのサンプルにおいて、そのオリゴヌクレオチドとハイブリダイズするポリヌクレオチド、好ましくはmRNAのレベルを検出する工程;ならびに(c)そのオリゴヌクレオチドとハイブリダイズするポリヌクレオチドのレベルと事前に決定されたカットオフ値とを比較して、それによって患者の癌の存在または非存在を検出する工程。特定の実施形態において、mRNAの量は、例えば、上記に列挙されるようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチドまたはそのようなポリヌクレオチドの相補体とハイブリダイズする、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーを使用するポリメラーゼ連鎖反応によって検出される。他の実施形態において、mRNAの量は、上記に列挙されるようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチドまたはそのようなポリヌクレオチドの相補体とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブを使用する、ハイブリダイゼーション技術を使用して検出される。
【0028】
関連する局面において、患者の癌の進行をモニタリングする方法が、提供され、その方法は以下の工程を包含する:(a)患者から得られた生物学的サンプルと、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズするオリゴヌクレオチドとを接触させる工程;(b)そのサンプルにおいて、そのオリゴヌクレオチドとハイブリダイズするポリヌクレオチドの量を検出する工程;ならびに(c)次の時点において、患者から得られた生物学的サンプルを使用し、工程(a)および工程(b)を反復する工程;ならびに(d)(c)において検出されたポリヌクレオチドの量を工程(b)において検出された量と比較し、それらによって、患者における癌の進行ををモニタリングする工程。
【0029】
さらなる局面において、本発明は、上記のようなポリペプチドに結合する抗体(例えば、モノクロナール抗体)ならびにこのような抗体を含む診断キットを提供する。上記のような1つ以上のオリゴヌレクオチドプローブまたはオリゴヌレクオチドプライマーを含む診断キットがまた、提供される。
【0030】
本発明のこれらの局面および他の局面は、以下の詳細な説明および添付の図面を参照することによって明らかになる。本明細書中で開示される全ての参考文献は、各々が個々に援用されるがごとく参考としてその全体が本明細書によって援用される。
【0031】
(配列識別子)
配列番号1は、LST−S1−2について決定されたcDNA配列である。
配列番号2は、LST−S1−28について決定されたcDNA配列である。
配列番号3は、LST−S1−90について決定されたcDNA配列である。
配列番号4は、LST−S1−144について決定されたcDNA配列である。
配列番号5は、LST−S1−133について決定されたcDNA配列である。
配列番号6は、LST−S1−169について決定されたcDNA配列である。
配列番号7は、LST−S2−6について決定されたcDNA配列である。
配列番号8は、LST−S2−11について決定されたcDNA配列である。
配列番号9は、LST−S2−17について決定されたcDNA配列である。
配列番号10は、LST−S2−25について決定されたcDNA配列である。
配列番号11は、LST−S2−39について決定されたcDNA配列である。
配列番号12は、LST−S2−43について決定された第一のcDNA配列である。
配列番号13は、LST−S2−43について決定された第二のcDNA配列である。
配列番号14は、LST−S2−65について決定されたcDNA配列である。
配列番号15は、LST−S2−68について決定されたcDNA配列である。
配列番号16は、LST−S2−72について決定されたcDNA配列である。
配列番号17は、LST−S2−74について決定されたcDNA配列である。
配列番号18は、LST−S2−103について決定されたcDNA配列である。
配列番号19は、LST−S2−N1−1Fについて決定されたcDNA配列である。
配列番号20は、LST−S2−N1−2Aについて決定されたcDNA配列である。
配列番号21は、LST−S2−N1−4Hについて決定されたcDNA配列である。
配列番号22は、LST−S2−N1−5Aについて決定されたcDNA配列である。
配列番号23は、LST−S2−N1−6Bについて決定されたcDNA配列である。
配列番号24は、LST−S2−N1−7Bについて決定されたcDNA配列である。
配列番号25は、LST−S2−N1−7Hについて決定されたcDNA配列である。
配列番号26は、LST−S2−N1−8Aについて決定されたcDNA配列である。
配列番号27は、LST−S2−N1−8Dについて決定されたcDNA配列である。
配列番号28は、LST−S2−N1−9Aについて決定されたcDNA配列である。
配列番号29は、LST−S2−N1−9Eについて決定されたcDNA配列である。
配列番号30は、LST−S2−N1−10Aについて決定されたcDNA配列である。
配列番号31は、LST−S2−N1−10Gについて決定されたcDNA配列である。
配列番号32は、LST−S2−N1−11Aについて決定されたcDNA配列である。
配列番号33は、LST−S2−N1−12Cについて決定されたcDNA配列である。
配列番号34は、LST−S2−N1−12Eについて決定されたcDNA配列である。
配列番号35は、LST−S2−B1−3Dについて決定されたcDNA配列である。
配列番号36は、LST−S2−B1−6Cについて決定されたcDNA配列である。
配列番号37は、LST−S2−B1−5Dについて決定されたcDNA配列である。
配列番号38は、LST−S2−B1−5Fについて決定されたcDNA配列である。
配列番号39は、LST−S2−B1−6Gについて決定されたcDNA配列である。
配列番号40は、LST−S2−B1−8Aについて決定されたcDNA配列である。
配列番号41は、LST−S2−B1−8Dについて決定されたcDNA配列である。
配列番号42は、LST−S2−B1−10Aについて決定されたcDNA配列である。
配列番号43は、LST−S2−B1−9Bについて決定されたcDNA配列である。
配列番号44は、LST−S2−B1−9Fについて決定されたcDNA配列である。
配列番号45は、LST−S2−B1−12Dについて決定されたcDNA配列である。
配列番号46は、LST−S2−I2−2Bについて決定されたcDNA配列である。
配列番号47は、LST−S2−I2−5Fについて決定されたcDNA配列である。
配列番号48は、LST−S2−I2−6Bについて決定されたcDNA配列である。
配列番号49は、LST−S2−I2−7Fについて決定されたcDNA配列である。
配列番号50は、LST−S2−I2−8Gについて決定されたcDNA配列である。
配列番号51は、LST−S2−I2−9Eについて決定されたcDNA配列である。
配列番号52は、LST−S2−I2−12Bについて決定されたcDNA配列である。
配列番号53は、LST−S2−H2−2Cについて決定されたcDNA配列である。
配列番号54は、LST−S2−H2−1Gについて決定されたcDNA配列である。
配列番号55は、LST−S2−H2−4Gについて決定されたcDNA配列である。
配列番号56は、LST−S2−H2−3Hについて決定されたcDNA配列である。
配列番号57は、LST−S2−H2−5Gについて決定されたcDNA配列である。
配列番号58は、LST−S2−H2−9Bについて決定されたcDNA配列である。
配列番号59は、LST−S2−H2−10Hについて決定されたcDNA配列である。
配列番号60は、LST−S2−H2−12Dについて決定されたcDNA配列である。
配列番号61は、LST−S3−2について決定されたcDNA配列である。
配列番号62は、LST−S3−4について決定されたcDNA配列である。
配列番号63は、LST−S3−7について決定されたcDNA配列である。
配列番号64は、LST−S3−8について決定されたcDNA配列である。
配列番号65は、LST−S3−12について決定されたcDNA配列である。
配列番号66は、LST−S3−13について決定されたcDNA配列である。
配列番号67は、LST−S3−14について決定されたcDNA配列である。
配列番号68は、LST−S3−16について決定されたcDNA配列である。
配列番号69は、LST−S3−21について決定されたcDNA配列である。
配列番号70は、LST−S3−22について決定されたcDNA配列である。
配列番号71は、LST−S1−7について決定されたcDNA配列である。
配列番号72は、LST−S1−A−1Eについて決定されたcDNA配列である。
配列番号73は、LST−S1−A−1Gについて決定されたcDNA配列である。
配列番号74は、LST−S1−A−3Eについて決定されたcDNA配列である。
配列番号75は、LST−S1−A−4Eについて決定されたcDNA配列である。
配列番号76は、LST−S1−A−6Dについて決定されたcDNA配列である。
配列番号77は、LST−S1−A−8Dについて決定されたcDNA配列である。
配列番号78は、LST−S1−A−10Aについて決定されたcDNA配列である。
配列番号79は、LST−S1−A−10Cについて決定されたcDNA配列である。
配列番号80は、LST−S1−A−9Dについて決定されたcDNA配列である。
配列番号81は、LST−S1−A−10Dについて決定されたcDNA配列である。
配列番号82は、LST−S1−A−9Hについて決定されたcDNA配列である。
配列番号83は、LST−S1−A−11Dについて決定されたcDNA配列である。
配列番号84は、LST−S1−A−12Dについて決定されたcDNA配列である。
配列番号85は、LST−S1−A−11Eについて決定されたcDNA配列である。
配列番号86は、LST−S1−A−12Eについて決定されたcDNA配列である。
配列番号87は、L513S(T3)について決定されたcDNA配列である。
配列番号88は、L513Sコンティグ1について決定されたcDNA配列である。
配列番号89は、L514Sについて決定された第一のcDNA配列である。
配列番号90は、L514Sについて決定された第二のcDNA配列である。
配列番号91は、L516Sについて決定された第一のcDNA配列である。
配列番号92は、L516Sについて決定された第二のcDNA配列である。
配列番号93は、L517Sについて決定されたcDNA配列である。
配列番号94は、LST−S1−169(L519Sとしても公知)について伸長されたcDNA配列である。
配列番号95は、L520Sについて決定された第一のcDNA配列である。
配列番号96は、L520Sについて決定された第二のcDNA配列である。
配列番号97は、L521Sについて決定された第一のcDNA配列である。
配列番号98は、L521Sについて決定された第二のcDNA配列である。
配列番号99は、L522Sについて決定されたcDNA配列である。
配列番号100は、L523Sについて決定されたcDNA配列である。
配列番号101は、L524Sについて決定されたcDNA配列である。
配列番号102は、L525Sについて決定されたcDNA配列である。
配列番号103は、L526Sについて決定されたcDNA配列である。
配列番号104は、L527Sについて決定されたcDNA配列である。
配列番号105は、L528Sについて決定されたcDNA配列である。
配列番号106は、L529Sについて決定されたcDNA配列である。
配列番号107は、L530Sについて決定された第一のcDNA配列である。
配列番号108は、L530Sについて決定された第二のcDNA配列である。
配列番号109は、L531S短型について決定された全長cDNA配列である。
配列番号110は、配列番号109によってコードされたアミノ酸配列である。
配列番号111は、L531S長型について決定された全長cDNA配列である。
配列番号112は、配列番号111によってコードされたアミノ酸配列である。
配列番号113は、L520Sについて決定された全長cDNA配列である。
配列番号114は、配列番号113によってコードされたアミノ酸配列である。
配列番号115は、コンティグ1について決定されたcDNA配列である。
配列番号116は、コンティグ3について決定されたcDNA配列である。
配列番号117は、コンティグ4について決定されたcDNA配列である。
配列番号118は、コンティグ5について決定されたcDNA配列である。
配列番号119は、コンティグ7について決定されたcDNA配列である。
配列番号120は、コンティグ8について決定されたcDNA配列である。
配列番号121は、コンティグ9について決定されたcDNA配列である。
配列番号122は、コンティグ10について決定されたcDNA配列である。
配列番号123は、コンティグ12について決定されたcDNA配列である。
配列番号124は、コンティグ11について決定されたcDNA配列である。
配列番号125は、コンティグ13(L761Pとしても公知)について決定されたcDNA配列である。
配列番号126は、コンティグ15について決定されたcDNA配列である。
配列番号127は、コンティグ16について決定されたcDNA配列である。
配列番号128は、コンティグ17について決定されたcDNA配列である。
配列番号129は、コンティグ19について決定されたcDNA配列である。
配列番号130は、コンティグ20について決定されたcDNA配列である。
配列番号131は、コンティグ22について決定されたcDNA配列である。
配列番号132は、コンティグ24について決定されたcDNA配列である。
配列番号133は、コンティグ29について決定されたcDNA配列である。
配列番号134は、コンティグ31について決定されたcDNA配列である。
配列番号135は、コンティグ33について決定されたcDNA配列である。
配列番号136は、コンティグ38について決定されたcDNA配列である。
配列番号137は、コンティグ39について決定されたcDNA配列である。
配列番号138は、コンティグ41について決定されたcDNA配列である。
配列番号139は、コンティグ43について決定されたcDNA配列である。
配列番号140は、コンティグ44について決定されたcDNA配列である。
配列番号141は、コンティグ45について決定されたcDNA配列である。
配列番号142は、コンティグ47について決定されたcDNA配列である。
配列番号143は、コンティグ48について決定されたcDNA配列である。
配列番号144は、コンティグ49について決定されたcDNA配列である。
配列番号145は、コンティグ50について決定されたcDNA配列である。
配列番号146は、コンティグ53について決定されたcDNA配列である。
配列番号147は、コンティグ54について決定されたcDNA配列である。
配列番号148は、コンティグ56について決定されたcDNA配列である。
配列番号149は、コンティグ57について決定されたcDNA配列である。
配列番号150は、コンティグ58について決定されたcDNA配列である。
配列番号151は、L530Sの全長cDNA配列である。
配列番号152は、配列番号151によってコードされたアミノ酸配列である。
配列番号153は、L514Sの第一の改変体の全長cDNA配列である。
配列番号154は、L514Sの第二の改変体の全長cDNA配列である。
配列番号155は、配列番号153によってコードされたアミノ酸配列である。
配列番号156は、配列番号154によってコードされたアミノ酸配列である。
配列番号157は、コンティグ59について決定されたcDNA配列である。
配列番号158は、L763P(コンティグ22とも呼ばれる)の全長cDNA配列である。
配列番号159は、配列番号158によってコードされたアミノ酸配列である。
配列番号160は、L762P(コンティグ17とも呼ばれる)の全長cDNA配列である。
配列番号161は、配列番号160によってコードされたアミノ酸配列である。
配列番号162は、L515Sについて決定されたcDNA配列である。
配列番号163は、L524Sの第一の改変体の全長cDNA配列である。
配列番号164は、L524Sの第二の改変体の全長cDNA配列である。
配列番号165は、配列番号163によってコードされたアミノ酸配列である。
配列番号166は、配列番号164によってコードされたアミノ酸配列である。
配列番号167は、L762Pの第一の改変体の全長cDNA配列である。
配列番号168は、L762Pの第二の改変体の全長cDNA配列である。
配列番号169は、配列番号167によってコードされたアミノ酸配列である。
配列番号170は、配列番号168によってコードされたアミノ酸配列である。
配列番号171は、L773P(コンティグ56とも呼ばれる)の全長cDNA配列である。
配列番号172は、配列番号171によってコードされたアミノ酸配列である。
配列番号173は、L519Sについて伸長されたcDNA配列である。
配列番号174は、配列番号174によってコードされたアミノ酸配列である。
配列番号175は、L523Sの全長cDNA配列である。
配列番号176は、配列番号175によってコードされるアミノ酸配列である。
配列番号177は、LST−sub5−7Aについて決定されたcDNA配列である。
配列番号178は、LST−sub5−8Gについて決定されたcDNA配列である。
配列番号179は、LST−sub5−8Hについて決定されたcDNA配列である。
配列番号180は、LST−sub5−10Bについて決定されたcDNA配列である。
配列番号181は、LST−sub5−10Hについて決定されたcDNA配列である。
配列番号182は、LST−sub5−12Bについて決定されたcDNA配列である。
配列番号183は、LST−sub5−11Cについて決定されたcDNA配列である。
配列番号184は、LST−sub6−1cについて決定されたcDNA配列である。
配列番号185は、LST−sub6−2fについて決定されたcDNA配列である。
配列番号186は、LST−sub6−2Gについて決定されたcDNA配列である。
配列番号187は、LST−sub6−4dについて決定されたcDNA配列である。
配列番号188は、LST−sub6−4eについて決定されたcDNA配列である。
配列番号189は、LST−sub6−4fについて決定されたcDNA配列である。
配列番号190は、LST−sub6−3hについて決定されたcDNA配列である。
配列番号191は、LST−sub6−5dについて決定されたcDNA配列である。
配列番号192は、LST−sub6−5hについて決定されたcDNA配列である。
配列番号193は、LST−sub6−6hについて決定されたcDNA配列である。
配列番号194は、LST−sub6−7aについて決定されたcDNA配列である。
配列番号195は、LST−sub6−8aについて決定されたcDNA配列である。
配列番号196は、LST−sub6−7dについて決定されたcDNA配列である。
配列番号197は、LST−sub6−7eについて決定されたcDNA配列である。
配列番号198は、LST−sub6−8eについて決定されたcDNA配列である。
配列番号199は、LST−sub6−7gについて決定されたcDNA配列である。
配列番号200は、LST−sub6−9fについて決定されたcDNA配列である。
配列番号201は、LST−sub6−9hについて決定されたcDNA配列である。
配列番号202は、LST−sub6−11bについて決定されたcDNA配列である。
配列番号203は、LST−sub6−11cについて決定されたcDNA配列である。
配列番号204は、LST−sub6−12cについて決定されたcDNA配列である。
配列番号205は、LST−sub6−12eについて決定されたcDNA配列である。
配列番号206は、LST−sub6−12fについて決定されたcDNA配列である。
配列番号207は、LST−sub6−11gについて決定されたcDNA配列である。
配列番号208は、LST−sub6−12gについて決定されたcDNA配列である。
配列番号209は、LST−sub6−12hについて決定されたcDNA配列である。
配列番号210は、LST−sub6−II−1aについて決定されたcDNA配列である。
配列番号211は、LST−sub6−II−2bについて決定されたcDNA配列である。
配列番号212は、LST−sub6−II−2gについて決定されたcDNA配列である。
配列番号213は、LST−sub6−II−1hについて決定されたcDNA配列である。
配列番号214は、LST−sub6−II−4aについて決定されたcDNA配列である。
配列番号215は、LST−sub6−II−4bについて決定されたcDNA配列である。
配列番号216は、LST−sub6−II−3eについて決定されたcDNA配列である。
配列番号217は、LST−sub6−II−4fについて決定されたcDNA配列である。
配列番号218は、LST−sub6−II−4gについて決定されたcDNA配列である。
配列番号219は、LST−sub6−II−4hについて決定されたcDNA配列である。
配列番号220は、LST−sub6−II−5cについて決定されたcDNA配列である。
配列番号221は、LST−sub6−II−5eについて決定されたcDNA配列である。
配列番号222は、LST−sub6−II−6fについて決定されたcDNA配列である。
配列番号223は、LST−sub6−II−5gについて決定されたcDNA配列である。
配列番号224は、LST−sub6−II−6gについて決定されたcDNA配列である。
配列番号225は、L528Sのアミノ酸配列である。
配列番号226〜251は、L762P由来の合成ペプチドである。
配列番号252は、L514Sの発現されたアミノ酸配列である。
配列番号253は、配列番号252に対応するDNA配列である。
配列番号254は、L762P発現構築物のDNA配列である。
配列番号255は、クローン23785について決定されたcDNA配列である。
配列番号256は、クローン23786について決定されたcDNA配列である。
配列番号257は、クローン23788について決定されたcDNA配列である。
配列番号258は、クローン23790について決定されたcDNA配列である。
配列番号259は、クローン23793について決定されたcDNA配列である。
配列番号260は、クローン23794について決定されたcDNA配列である。
配列番号261は、クローン23795について決定されたcDNA配列である。
配列番号262は、クローン23796について決定されたcDNA配列である。
配列番号263は、クローン23797について決定されたcDNA配列である。
配列番号264は、クローン23798について決定されたcDNA配列である。
配列番号265は、クローン23799について決定されたcDNA配列である。
配列番号266は、クローン23800について決定されたcDNA配列である。
配列番号267は、クローン23802について決定されたcDNA配列である。
配列番号268は、クローン23803について決定されたcDNA配列である。
配列番号269は、クローン23804について決定されたcDNA配列である。
配列番号270は、クローン23805について決定されたcDNA配列である。
配列番号271は、クローン23806について決定されたcDNA配列である。
配列番号272は、クローン23807について決定されたcDNA配列である。
配列番号273は、クローン23808について決定されたcDNA配列である。
配列番号274は、クローン23809について決定されたcDNA配列である。
配列番号275は、クローン23810について決定されたcDNA配列である。
配列番号276は、クローン23811について決定されたcDNA配列である。
配列番号277は、クローン23812について決定されたcDNA配列である。
配列番号278は、クローン23813について決定されたcDNA配列である。
配列番号279は、クローン23815について決定されたcDNA配列である。
配列番号280は、クローン25298について決定されたcDNA配列である。
配列番号281は、クローン25299について決定されたcDNA配列である。
配列番号282は、クローン25300について決定されたcDNA配列である。
配列番号283は、クローン25301について決定されたcDNA配列である。
配列番号284は、クローン25304について決定されたcDNA配列である。
配列番号285は、クローン25309について決定されたcDNA配列である。
配列番号286は、クローン25312について決定されたcDNA配列である。
配列番号287は、クローン25317について決定されたcDNA配列である。
配列番号288は、クローン25321について決定されたcDNA配列である。
配列番号289は、クローン25323について決定されたcDNA配列である。
配列番号290は、クローン25327について決定されたcDNA配列である。
配列番号291は、クローン25328について決定されたcDNA配列である。
配列番号292は、クローン25332について決定されたcDNA配列である。
配列番号293は、クローン25333について決定されたcDNA配列である。
配列番号294は、クローン25336について決定されたcDNA配列である。
配列番号295は、クローン25340について決定されたcDNA配列である。
配列番号296は、クローン25342について決定されたcDNA配列である。
配列番号297は、クローン25356について決定されたcDNA配列である。
配列番号298は、クローン25357について決定されたcDNA配列である。
配列番号299は、クローン25361について決定されたcDNA配列である。
配列番号300は、クローン25363について決定されたcDNA配列である。
配列番号301は、クローン25397について決定されたcDNA配列である。
配列番号302は、クローン25402について決定されたcDNA配列である。
配列番号303は、クローン25403について決定されたcDNA配列である。
配列番号304は、クローン25405について決定されたcDNA配列である。
配列番号305は、クローン25407について決定されたcDNA配列である。
配列番号306は、クローン25409について決定されたcDNA配列である。
配列番号307は、クローン25396について決定されたcDNA配列である。
配列番号308は、クローン25414について決定されたcDNA配列である。
配列番号309は、クローン25410について決定されたcDNA配列である。
配列番号310は、クローン25406について決定されたcDNA配列である。
配列番号311は、クローン25306について決定されたcDNA配列である。
配列番号312は、クローン25362について決定されたcDNA配列である。
配列番号313は、クローン25360について決定されたcDNA配列である。
配列番号314は、クローン25398について決定されたcDNA配列である。
配列番号315は、クローン25355について決定されたcDNA配列である。
配列番号316は、クローン25351について決定されたcDNA配列である。
配列番号317は、クローン25331について決定されたcDNA配列である。
配列番号318は、クローン25338について決定されたcDNA配列である。
配列番号319は、クローン25335について決定されたcDNA配列である。
配列番号320は、クローン25329について決定されたcDNA配列である。
配列番号321は、クローン25324について決定されたcDNA配列である。
配列番号322は、クローン25322について決定されたcDNA配列である。
配列番号323は、クローン25319について決定されたcDNA配列である。
配列番号324は、クローン25316について決定されたcDNA配列である。
配列番号325は、クローン25311について決定されたcDNA配列である。
配列番号326は、クローン25310について決定されたcDNA配列である。
配列番号327は、クローン25302について決定されたcDNA配列である。
配列番号328は、クローン25315について決定されたcDNA配列である。
配列番号329は、クローン25308について決定されたcDNA配列である。
配列番号330は、クローン25303について決定されたcDNA配列である。
配列番号331〜337は、p53腫瘍サプレッサーホモログ(相同体)のアイソフォームであるp63(L530Sとも呼ばれる)のcDNA配列である。
配列番号338〜344は、それぞれ、配列番号331〜337によってコードされたアミノ酸配列である。
配列番号345は、抗原L763Pの第二のcDNA配列である。
配列番号346は、配列番号345の配列によってコードされるアミノ酸配列である。
配列番号347は、L523Sについて決定された全長cDNA配列である。
配列番号348は、配列番号347によってコードされたアミノ酸配列である。
配列番号349は、L773PのN末端部分をコードするcDNA配列である。
配列番号350は、L773PのN末端部分のアミノ酸配列である。
配列番号351は、Ra12およびL763PのN末端部分の融合物のDNA配列である。
配列番号352は、Ra12およびL763PのN末端部分の融合物のアミノ酸配列である。
配列番号353は、Ra12およびL763PのC末端部分の融合物のDNA配列である。
配列番号354は、Ra12およびL763PのC末端部分の融合物のアミノ酸配列である。
配列番号355は、プライマーである。
配列番号356は、プライマーである。
配列番号357は、発現された組み換えL762Pのタンパク質配列である。
配列番号358は、発現された組み換えL762PのDNA配列である。
配列番号359は、プライマーである。
配列番号360は、プライマーである。
配列番号361は、発現された組み換えL773P Aのタンパク質配列である。
配列番号362は、発現された組み換えL773P AのDNA配列である。
配列番号363は、クローンL773Pポリペプチド由来のエピトープである。
配列番号364は、配列番号363のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである。
配列番号365は、クローンL773Pポリペプチド由来のエピトープである。
配列番号366は、配列番号365のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである。
配列番号367は、配列番号161(クローンL762P)のアミノ酸571〜590からなるエピトープである。
配列番号368は、コンティグ13(配列番号125)(L761Pとも呼ばれる)の全長DNA配列である。
配列番号369は、配列番号368のDNA配列によってコードされるタンパク質配列である。
配列番号370は、L762PのDNA配列のヌクレオチド2071〜2130である。
配列番号371は、L762PのDNA配列のヌクレオチド1441〜1500である。
配列番号372は、L762PのDNA配列のヌクレオチド1936〜1955である。
配列番号373は、L762PのDNA配列のヌクレオチド2620〜2679である。
配列番号374は、L762PのDNA配列のヌクレオチド1801〜1860である。
配列番号375は、L762PのDNA配列のヌクレオチド1531〜1591である。
配列番号376は、配列番号373によってコードされるL762Pペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号377は、配列番号370によってコードされるL762Pペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号378は、配列番号372によってコードされるL762Pペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号379は、配列番号374によってコードされるL762Pペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号380は、配列番号371によってコードされるL762Pペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号381は、配列番号375によってコードされるL762Pペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号382は、L762Pのエピトープのアミノ酸配列である。
配列番号383〜386はPCRプライマーである。
配列番号387〜395は、L773Pペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号396〜419は、L523Sペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号420は、クローン番号19014について決定されたcDNA配列である。
配列番号421は、L514S−13160コーディング領域のフォワードプライマーPDM−278である。
配列番号422は、L514S−13160コーディング領域のリバースプライマーPDM−278である。
配列番号423は、発現された組み換えL514Sのアミノ酸配列である。
配列番号424は、組み換えL514SのDNAコード配列である。
配列番号425は、L523Sコーディング領域のフォワードプライマーPDM−414である。
配列番号426は、L523Sコーディング領域のリバースプライマーPDM−414である。
配列番号427は、発現された組み換えL523Sのアミノ酸配列である。
配列番号428は、組み換えL523SのDNAコード配列である。
配列番号429は、L762PAコーディング領域のリバースプライマーPDM−279である。
配列番号430は、発現された組み換えL762PAのアミノ酸配列である。
配列番号431は、組み換えL762PAのDNAコード配列である。
配列番号432は、L773Pコーディング領域のリバースプライマーPDM−300である。
配列番号433は、発現された組み換えL773Pのアミノ酸配列である。
配列番号434は、組み換えL773PのDNAコード配列である。
配列番号435は、TCR Vα8のフォワードプライマーである。
配列番号436は、TCR Vα8のリバースプライマーである。
配列番号437は、TCR Vβ8のフォワードプライマーである。
配列番号438は、TCR Vβ8のリバースプライマーである。
配列番号439は、肺抗原L762Pに特異的なTCRクローンのTCR Vα DAN配列である。
配列番号440は、肺抗原L762Pに特異的なTCRクローンのTCR Vβ DAN配列である。
配列番号441は、L763ペプチド番号2648のアミノ酸配列である。
配列番号442は、クローンL529S(配列番号106)のクローニングされた部分的配列の予想全長cDNAである。
配列番号443は、配列番号442によってコードされた推定アミノ酸配列である。
配列番号444は、クローンL523Sのコード領域のフォワードプライマーPDM−734である。
配列番号445は、クローンL523Sのコード領域のリバースプライマーPDM−735である。
配列番号446は、発現された組み換えL523Sのアミノ酸配列である。
配列番号447は、組み換えL523SのDNAコード配列である。
配列番号448は、クローンL523Sのコード領域の別のフォワードプライマーPDM−733である。
配列番号449は、第二の、発現された組み換え体L523Sのアミノ酸配列である。
配列番号450は、第二の組み換え体K523SのDNAコード配列である。
配列番号451は、抗体の生成においてL514S特異的なエピトープであるアミノ酸86〜110に相当する。
配列番号452は、抗体の生成においてL514S特異的なエピトープであるアミノ酸21〜45に相当する。
配列番号453は、抗体の生成においてL514S特異的なエピトープであるアミノ酸121〜135に相当する。
配列番号454は、抗体の生成においてL523S特異的なエピトープであるアミノ酸440〜460に相当する。
配列番号455は、抗体の生成においてL523S特異的なエピトープであるアミノ酸156〜175に相当する。
配列番号456は、抗体の生成においてL523S特異的なエピトープであるアミノ酸326〜345に相当する。
配列番号457は、抗体の生成においてL523S特異的なエピトープであるアミノ酸40〜59に相当する。
配列番号458は、抗体の生成においてL523S特異的なエピトープであるアミノ酸80〜99に相当する。
配列番号459は、抗体の生成においてL523S特異的なエピトープであるアミノ酸160〜179に相当する。
配列番号460は、抗体の生成においてL523S特異的なエピトープであるアミノ酸180〜199に相当する。
配列番号461は、抗体の生成においてL523S特異的なエピトープであるアミノ酸320〜339に相当する。
配列番号462は、抗体の生成においてL523S特異的なエピトープであるアミノ酸340〜359に相当する。
配列番号463は、抗体の生成においてL523S特異的なエピトープであるアミノ酸370〜389に相当する。
配列番号464は、抗体の生成においてL523S特異的なエピトープであるアミノ酸380〜399に相当する。
配列番号465は、L523S特異的なCTL株6B1によって認識されたL523Sのエピトープであるアミノ酸37〜55に相当する。
配列番号466は、L523S特異的なCTL株6B1によって認識されたL523Sのマッピングされた抗原性エピトープであるアミノ酸41〜51に相当する。
配列番号467は、配列番号466をコードするDNA配列に相当する。
【0032】
(発明の詳細な説明)
本発明は、一般に、癌(特に、肺癌)の治療および診断における、組成物、ならびにその使用に関する。以下でさらに記載するように、本発明の例示的な組成物としては、以下を含むがこれらに限定されない:ポリペプチド、特に免疫原性ポリペプチド、このようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、抗体および他の結合因子、抗原提示細胞(APC)ならびに免疫系細胞(例えば、T細胞)。
【0033】
本発明の実施は、特にそれと逆であることを示さない限り、ウイルス学、免疫学、細菌学、分子生物学、および当業者の範囲である組換えDNA技術の従来の方法(これらの多くは、例示目的で以下に記載される)を使用する。このような技術は、文献によって完全に説明されている。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版、1989);Maniatisら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(1982);DNA Cloning:A Practical Approach、第I巻および第II巻(D.Glover編);Oligonucleotide Synthesis(N.Gait編、1984);Nucleic Acid Hybridization(B.HamesおよびS.Higgins編、1985);Transcription and Translation(B.HamesおよびS.Higgins編、1984);Animal Cell Culture(R.Freshney編、1986);Perbal、A Practical Guide to Molecular Cloning(1984)を参照のこと。
【0034】
本明細書中で引用される、全ての刊行物、特許および特許出願は、上記または下記にかかわらず、全体が参考して本明細書によって援用される。
【0035】
本明細書中および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形、「1つの(a、an)」、および「この、その(the)」は、文脈によって明らかに他の方法で示されていない限り、複数の参照を含む。
【0036】
(ポリペプチド組成物)
本明細書中で使用される場合、用語「ポリペプチド」は、その従来の意味、すなわちアミノ酸の配列として使用される。これらのポリペプチドは、特定の長さの生成物に限定されず;従って、ペプチド、オリゴペプチド、およびタンパク質は、このポリペプチドの定義に含まれ、そしてこのような用語は、別段示さない限り、本明細書中で交換可能に使用され得る。この用語はまた、このポリペプチドの発現後修飾(例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化など)ならびに天然および非天然の両方の、当該分野で公知の他の改変を称さないか、またはこれらを除外する。ポリペプチドは、タンパク質全体でもあり、または部分配列でもあり得る。本発明の状況において特定の目的のポリペプチドは、エピトープ、すなわち、ポリペプチドの免疫原特性の実質的に原因となり、かつ免疫応答を誘起し得る抗原決定基を含むアミノ酸部分配列である。
【0037】
本発明の特に例示的なポリペプチドとしては、配列番号1〜3、6〜8、10〜13、15〜27、29、30、32、34〜49、51、52、54、55、57〜59、61〜69、71、73、74、77、78、80〜82、84、86〜96、107〜109、111、113、125、127、128、129、131〜133、142、144、148〜151、153、154、157、158、160、167、168、171、179、182、184〜186、188〜191、193、194、198〜207、209、210、213、214、217、220〜224、253〜337、345、347、349、358、362、364、365、368、370〜375、420、424、428、431、434、442、447、450、および467のいずれか1つに示されたポリヌクレオチド配列、あるいは中度のストリンジェントな条件下または高度にストリンジェントな条件下で、配列番号1〜3、6〜8、10〜13、15〜27、29、30、32、34〜49、51、52、54、55、57〜59、61〜69、71、73、74、77、78、80〜82、84、86〜96、107〜109、111、113、125、127、128、129、131〜133、142、144、148〜151、153、154、157、158、160、167、168、171、179、182、184〜186、188〜191、193、194、198〜207、209、210、213、214、217、220〜224、253〜337、345、347、349、358、362、364、365、368、370〜375、420、424、428、431、434、442、447、450、および467のいずれか1つに示されるポリヌクレオチド配列に対してハイブリダイズする配列によってコードされるポリペプチドを含む。特定の例示的な本発明のポリペプチドとしては、配列番号152、155、156、165、166、169、170、172、174、176、226〜252、338〜344、346、350、357、361、363、365、367、369、376〜382、387〜419、423、427、430、433、441、443、446、449、および451〜466のいずれか1つに示されるアミノ酸配列が挙げられる。
【0038】
本発明のポリペプチドは、これらの同定が肺腫瘍サンプルにおけるこれらの発現の増大したレベルに少なくとも部分的に基づくことの現れとして、本明細書中で時々、肺腫瘍タンパク質または肺腫瘍ポリペプチドとして参照される。従って、「肺腫瘍ポリペプチド」または「肺腫瘍タンパク質」は、一般に本発明のポリペプチド配列、またはこのようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を示し、これらは、例えば、本明細書中で提供された代表的なアッセイを使用して決定されるように、正常組織での発現レベルより、少なくとも2倍高いレベル、および好ましくは5倍高いレベルで、試験された肺腫瘍サンプルの、好ましくは約20%を超える、より好ましくは約30%を超える、そして最も好ましくは約50%以上を超える、肺腫瘍サンプルの実質的な部分において発現される。本発明の肺腫瘍ポリペプチド配列は、その腫瘍細胞での増大した発現レベルに基づき、以下にさらに記載されるように、診断マーカーならびに治療標的の両方として特定の有用性を有する。
【0039】
特定の好ましい実施形態において、本発明のポリペプチドは免疫原性であり、すなわちこれらは、肺癌を有する患者からの抗血清および/またはT細胞を用いる免疫アッセイ(例えば、ELISAまたはT細胞刺激アッセイ)で検出可能に反応する。免疫原性活性についてのスクリーニングは、当業者に周知の技術を使用して実施され得る。例えば、このようなスクリーニングは、例えば、HarlowおよびLane、Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,1988に記載されるスクリーニングのような方法を使用して実施され得る。1つの例示的な例において、ポリペプチドは固体支持体に固定され得、そして患者の血清と接触され得、血清中の抗体の固定されたポリペプチドへの結合を可能にする。次いで、非結合血清は除去され、そして結合した抗体は、例えば、125I標識プロテインAを用いて検出され得る。
【0040】
当業者に認識されるように、本明細書中で開示されるポリペプチドの免疫原性部分もまた、本発明により包含される。本明細書中で用いられる場合、「免疫原性部分」は、それ自体が、本発明の免疫原性ポリペプチドを認識するB細胞および/またはT細胞表面抗原レセプターと免疫学的に反応性である(すなわち、特異的に結合する)、本発明の免疫原性ポリペプチドのフラグメントである。免疫原性部分は、一般に、周知の技術(例えば、Paul、Fundamental Immunology,第3版、243−247(Raven Press,1993)およびこの文献で引用される参考文献に要約されている技術)を用いて同定され得る。このような技術は、抗原特異的抗体、抗血清、および/またはT細胞株もしくはクローンと反応する能力について、ポリペプチドをスクリーニングすることを包含する。本明細書中で用いられる場合、抗血清および抗体は、これらが、抗原に特異的に結合する(すなわち、これらが、ELISAまたは他の免疫アッセイにおいてこのタンパク質と反応し、そして無関係のタンパク質とは検出可能に反応しない)場合に、「抗原特異的」である。このような抗血清および抗体は、本明細書中に記載されるように、そして周知技術を用いて、調製され得る。
【0041】
1つの好ましい実施形態において、本発明のポリペプチドの免疫原性部分は、(例えば、ELISAおよび/またはT細胞反応性アッセイにおいて)全長ポリペプチドの反応性よりも実質的に低くないレベルで、抗血清および/またはT細胞と反応する部分である。好ましくは、免疫原性部分の免疫原性活性のレベルは、全長ポリペプチドの免疫原性の少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約70%、そして最も好ましくは90%より高い。いくつかの例において、対応する全長ポリペプチドよりも大きい免疫原性活性のレベルを有する(例えば、約100%または150%もしくはそれより大きい免疫原性活性を有する)好ましい免疫原性部分が同定される。
【0042】
特定の他の実施形態において、例示的な免疫原性部分は、N末端リーダー配列および/または膜貫通ドメインが欠失されたペプチドを含み得る。他の例示的な免疫原性部分は、成熟タンパク質に対して小さなN末端および/またはC末端の欠失(例えば、1〜30アミノ酸、好ましくは5〜15アミノ酸)を含む。
【0043】
別の実施形態において、本発明のポリペプチド組成物また、T細胞および/または本発明のポリペプチド(特に、本明細書中に開示されたアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはそれらの免疫原性フラグメントもしくは改変体)に対して生成された抗体と免疫学的に反応性である1つ以上のポリペプチドを含み得る。
【0044】
本発明の別の実施形態において、本明細書中に記載される1つ以上のポリペプチドと免疫学的に反応性であるT細胞および/もしくは抗体を惹起し得る1つ以上のポリペプチド、または本明細書中に開示されるポリヌクレオチド配列に含まれる連続した核酸配列によってコードされる1つ以上のポリペプチド、またはそれらの免疫学的フラグメントもしくは改変体、あるいは中程度〜高度なストリンジェンシーの条件下でこれらの配列の1つ以上ににハイブリダイズする1つ以上に核酸配列、を含むポリペプチドが提供される。
【0045】
別の局面において、本発明は、本明細書中に示されるポリペプチド組成物(例えば、配列番号152、155、156、165、166、169、170、172、174、176、226〜252、338〜344、346、350、357、361、363、365、367、369、376〜382、387〜419、441、443、446、449、および451〜466に示されるポリペプチド、または配列番号1〜3、6〜8、10〜13、15〜27、29、30、32、34〜49、51、52、54、55、57〜59、61〜69、71、73、74、77、78、80〜82、84、86〜96、107〜109、111、113、125、127、128、129、131〜133、142、144、148〜151、153、154、157、158、160、167、168、171、179、182、184〜186、188〜191、193、194、198〜207、209、210、213、214、217、220〜224、253〜337、345、347、349、358、362、364、365、368、370〜375、420、424、428、431、434、442、447、450、および467の配列に示されるポリヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチド)の少なくとも約5、10、15、20、25、50、または100連続するアミノ酸またはそれ以上(全ての中間の長さを含む)を含むポリペプチドフラグメントを提供する。
【0046】
別の局面において、本発明は、本明細書中に記載されるポリペプチド組成物の改変体を提供する。一般的に本発明により包含されるポリペプチド改変体は、代表的に、本明細書中に示されるポリペプチド配列に対して、その長さに沿って、少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%またはそれ以上の同一性(以下に記載するように決定された)を示す。
【0047】
1つの好ましい実施形態において、本発明により提供されるポリペプチドフラグメントおよび改変体は、本明細書中に詳細に示される全長ポリペプチドと反応する抗体および/またはT細胞と免疫学的に反応性である。
【0048】
別の好ましい実施形態において、本発明により提供されるポリペプチドフラグメントおよび改変体は、本明細書中に詳細に示される全長ポリペプチド配列により示される免疫原性活性のレベルの少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約70%、そして最も好ましくは少なくとも約90%またはそれ以上の免疫原性活性のレベルを示す。
【0049】
ポリペプチド「改変体」は、本明細書中でこの用語が使用される場合、代表的に、本明細書中で詳細に開示されるポリペプチドと1つ以上の置換、欠失、付加、および/または挿入において異なるポリペプチドである。このような改変体は、天然に生じるか、または例えば、本発明の1つ以上の上記のポリペプチド配列を改変し、そして本明細書中に記載されるようなそれらの免疫学的活性を評価することにより、ならびに/または当該分野で周知の多くの技術のいずれかを用いて、合成的に作製され得る。
【0050】
例えば、本発明のポリペプチドの特定の例示的な改変体として、1つ以上の部分(例えば、N末端リーダー配列または膜貫通ドメイン)が除去された改変体が挙げられる。他の例示的な改変体として、小さな部分(例えば、1〜30アミノ酸、好ましくは5〜15アミノ酸)が成熟タンパク質のN末端および/またはC末端から除去された改変体が挙げられる。
【0051】
多くの例において、改変体は、保存的置換を含む。「保存的置換」は、アミノ酸が類似の特性を有する別のアミノ酸で置換され、その結果、ペプチド化学の当業者がポリペプチドの二次構造および疎水的性質が実質的に変化していないことを期待するような置換である。上記のように、改変は、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドの構造においてなされ得、そしてなお所望の特性(例えば、免疫原性特性)を有する改変体ポリペプチドまたは誘導体ポリペプチドをコードする機能的分子を獲得し得る。本発明のポリペプチドの等価物を(または本発明のポリペプチドの改善された免疫原性の改変体もしくは部分さえも)作製するようポリペプチドのアミノ酸配列が変更されることが所望される場合、当業者は、代表的に、表1に基づくコードDNA配列の1つ以上のコドンを変更する。
【0052】
例えば、特定のアミノ酸は、例えば、抗体の抗原結合領域または基質分子上のの結合部位のような構造を有するタンパク質構造中の他のアミノ酸に、感知可能な相互作用的結合能の損失なしで、置換され得る。タンパク質の相互作用的な能力および性質がタンパク質の生物学的機能的活性を規定するので、特定のアミノ酸配列置換は、タンパク質配列、および当然ながら、その根底にあるDNAコード配列においてなされ得、そしてそれにも関わらず、同様の特性を有するタンパク質が入手される。従って、種々の変化が、ペプチドの生物学的有用性または活性の感知可能な損失を伴わずに、開示された組成物のペプチド配列またはそのペプチドをコードする対応するDNA配列においてなされ得ることが意図される。
【0053】
【表1】
このような変化を作製する際に、アミノ酸の疎水性親水性指標が考慮され得る。タンパク質に相互作用的な生物学的機能を付与する際の疎水性親水性アミノ酸指標の重要性は、一般的に当該分野において理解されている(KyteおよびDoolittle、1982、本明細書中に参考として援用される)。アミノ酸の相対的な疎水性親水性的性質は、得られるタンパク質の二次構造に寄与し、これが次に、他の分子(例えば、酵素、基質、レセプター、DNA、抗体、抗原など)とのそのタンパク質の相互作用を規定することが受け入れられている。各アミノ酸は、その疎水性および電荷特性に基づいて疎水性親水性指標を割り当てられている(KyteおよびDoolittle、1982)。これらの値は以下である:イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(−0.4);スレオニン(−0.7);セリン(−0.8);トリプトファン(−0.9);チロシン(−1.3);プロリン(−1.6);ヒスチジン(−3.2);グルタミン酸(−3.5);グルタミン(−3.5);アスパラギン酸(−3.5);アスパラギン(−3.5);リジン(−3.9);およびアルギニン(−4.5)。
【0054】
特定のアミノ酸が類似の疎水性親水性指標またはスコアを有する他のアミノ酸によって置換され得、そしてなお類似の生物学的活性を有するタンパク質を生じる(すなわち、生物学的に機能的に等価なタンパク質をなお入手する)ことが、当該分野において公知である。このような変化を作製する際に、その疎水性親水性指標が±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、その疎水性親水性指標が±1以内であるアミノ酸の置換が特に好ましく、そしてその疎水性親水性指標が±0.5以内であるアミノ酸の置換がなおより特に好ましい。同様なアミノ酸の置換が、親水性に基づいて有効になされ得ることもまた、当該分野で理解されている。米国特許第4,554,101号(その全体が本明細書中に参考として詳細に援用される)は、そのタンパク質の最大局所的平均親水性が、その隣接するアミノ酸の親水性によって支配されるので、そのタンパク質の生物学的特性と相関することを言及している。
【0055】
米国特許第4,554,101号に詳述されるように、以下の親水性値がアミノ酸残基に割り当てられた:アルギニン(+3.0);リジン(+3.0);アスパラギン酸(+3.0±1);グルタミン酸(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);スレオニン(−0.4);プロリン(−0.5±1);アラニン(−0.5);ヒスチジン(−0.5);システイン(−1.0);メチオニン(−1.3);バリン(−1.5);ロイシン(−1.8);イソロイシン(−1.8);チロシン(−2.3);フェニルアラニン(−2.5);トリプトファン(−3.4)。アミノ酸は、類似の親水性の値を有する別のアミノ酸に置換され得、そしてなお、生物学的な等価物(特に、免疫学的に等価なタンパク質)を得ることが理解される。このような変化において、その親水性値が±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、その親水性値が±1以内であるアミノ酸の置換が特に好ましく、そしてその親水性値が±0.5以内であるアミノ酸の置換がなおより特に好ましい。
【0056】
上記で概説したように、従って、アミノ酸置換は、一般的にアミノ酸側鎖置換基の相対的な類似性(例えば、その疎水性、親水性、電荷、大きさ、など)に基づく。前述の種々の特徴を考慮する典型的な置換は当業者に周知であり、そして以下を含む:アルギニンおよびリジン;グルタミン酸およびアスパラギン酸;セリンおよびスレオニン;グルタミンおよびアスパラギン;ならびにバリン、ロイシン、およびイソロイシン。
【0057】
さらに、任意のポリヌクレオチドが、インビボでの安定性を増加させるためにさらに改変され得る。可能性のある改変として以下が挙げられるがこれらに限定されない:5’末端および/または3’末端での隣接配列の付加;骨格におけるホスホジエステラーゼ結合ではなくホスホロチオエートまたは2’O−メチルの使用;ならびに/あるいは従来とは異なる塩基(例えば、イノシン、キューオシン、およびワイブトシン、ならびにアデニン、シチジン、グアニン、チミン、およびウリジンのアセチル、メチル、チオ、および他の修飾形態)の含有。
【0058】
アミノ酸置換はさらに、残基の極性、電荷、溶解性、疎水性、親水性および/または両親媒性特性の類似性に基づいて作製され得る。例えば、負に荷電したアミノ酸としては、アスパラギン酸およびグルタミン酸;正に荷電したアミノ酸としては、リジンおよびアルギニン;そして類似の親水性値を有する非荷電性の極性ヘッド基を有するアミノ酸としては、ロイシン、イソロイシンおよびバリン;グリシンおよびアラニン;アスパラギンおよびグルタミン;ならびにセリン、トレオニン(スレオニン)、フェニルアラニンおよびチロシンが挙げられる。保存的変化を示し得るアミノ酸の他のグループとしては、(1)ala、pro、gly、glu、asp、gln、asn、ser、thr;(2)cys、ser、tyr、thr;(3)val、ile、leu、met、ala、phe;(4)lys、arg、his;および(5)phe、tyr、trp、hisが挙げられる。改変体はまた、またはあるいは、非保存的変化を含み得る。好ましい実施形態において、改変体ポリペプチドは、5アミノ酸またはそれより少ないアミノ酸の置換、欠失または付加によって、ネイティブの配列とは異なる。改変体はまた(またはあるいは)、例えば、ポリペプチドの免疫原性、二次構造および疎水性親水性特性に対する最小の影響を有するアミノ酸の欠失または付加によって、改変され得る。
【0059】
上記のように、ポリペプチドは、タンパク質のN末端にシグナル(または、リーダー)配列を含み得、これは、翻訳と同時に、または翻訳後に、そのタンパク質の転移を指向する。このポリペプチドはまた、このポリペプチドの合成、精製または同定を容易にするために、またはこのポリペプチドの固体支持体への結合を増強するために、リンカー配列または他の配列(例えば、ポリHis)に結合体化され得る。例えば、ポリペプチドは、免疫グロブリンFc領域に結合体化され得る。
【0060】
ポリペプチド配列が比較される場合、以下に記載されるように最大の一致で整列するときに2つの配列中のアミノ酸の配列が同じである場合、2つの配列は、「同一」であるといわれる。2つの配列間の比較は、代表的には、比較ウインドウによって配列を比較して、配列類似性の局所的領域を同定および比較することによって行われる。本明細書中で使用される「比較ウインドウ」とは、少なくとも約20、通常は30〜約75、40〜約50の連続する位置のセグメントをいう。ここで、配列は、2つの配列が最適に整列された後、同じ数の連続する位置の参照配列と比較され得る。
【0061】
比較のための配列の最適な整列は、生命情報科学ソフトウエアのLasergeneスート(suite)におけるMegalignプログラム(DNASTAR,Inc.,Madison,WI)を使用して、デフォルトパラメータを用いて行われ得る。このプログラムは、以下の参考文献に記載のいくつかの整列スキームを統合する:Dayhoff,M.O.(編)Atlas of Protein Sequence and Structure,National Biomedical Research Foundation,Washington DC 第5巻,補遺3,345〜358頁におけるDayhoff,M.O.(1978)A model of evolutionary change in proteins−Matrices for detecting distant relationships.;Hein J.(1990)Unified Approach to Alignment and Phylogenes 626〜645頁 Methods in Enzymology 第183巻,Academic Press,Inc.,San Diego,CA;Higgins,D.G.およびSharp,P.M.(1989)CABIOS 5:151−153;Myers,E.W.およびMuller W.(1988)CABIOS 4:11−17;Robinson,E.D.(1971)Comb.Theor 11:105;Santou,N.Nes,M.(1987)Mol.Biol.Evol.4:406−425;Sneath,P.H.A.およびSokal,R.R.(1973)Numerical Taxonomy−the Principles and Practice of Numerical Taxonomy,Freeman Press,San Francisco,CA;Wilbur,W.J.およびLipman,D.J.(1983)Proc.Natl.Acad.,Sci.USA 80:726−730。
【0062】
あるいは、比較のための配列の最適な整列は、SmithおよびWaterman(1981)Add.APL.Math 2:482の部分的同一性アルゴリズムによって、NeedlemanおよびWunsch(1970)J.Mol.Biol.48:443の同一性整列アルゴリズムによって、PearsonおよびLipman(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444の類似性検索方法によって、これらのアルゴリズムのコンピュータ化した実行(Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group(GCG),575 Science Dr.,Madison,WIにおけるGAP、BESTFIT、BLAST、FASTA、およびTFASTA)によって、または検査によって行われ得る。
【0063】
配列同一性および配列類似性の割合を決定するために適切なアルゴリズムの1つの好ましい例は、BLASTおよびBLAST2.0アルゴリズムであり、これらはそれぞれAltschulら(1977)Nucl.Acids Res.25:3389−3402およびAltschulら(1990)J.Mol.Biol.215:403−410に記載される。BLASTおよびBLAST2.0は、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドについての配列同一性の割合を決定するために、例えば、本明細書中に記載のパラメータを使用して使用され得る。BLAST分析を行うためのソフトウエアは、National Center for Biotechnology Infomationを通して公に利用可能である。アミノ酸配列について、スコアリングマトリクスは、累積スコアを算出するために使用され得る。各指示におけるワードヒットの拡大は、以下の場合に停止する:累積整列スコアが、その最大到達値から量Xだけ低下した場合;累積スコアが、1以上の負のスコアリングの残基整列の累積に起因してゼロ以下になった場合;またはいずれかの配列の末端に到達した場合。このBLASTアルゴリズムパラメーターW、TおよびXは、整列の感度および速度を決定する。
【0064】
好ましい1つのアプローチにおいて、「配列同一性のパーセンテージ」は、少なくとも20位置の比較ウインドウにわたる2つの最適に整列した配列を比較することによって決定され、ここで比較ウインドウ中のポリペプチド配列の部分は、参照配列(これは、付加または欠失を含まない)と比較して、2つの配列の最適な整列について20パーセント以下、通常は5〜15パーセント、または10〜12パーセントの付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。このパーセンテージは、両方の配列で同一のアミノ酸残基が生じる位置の数を決定して一致する位置の数を得、この一致する位置の数を参照配列における位置の総数(すなわち、ウインドウサイズ)で除算し、そしてこの結果に100を掛けて配列同一性のパーセンテージを得ることによって算出される。
【0065】
他の例示的実施形態において、ポリペプチドは、本明細書中に記載の複数のポリペプチドを含むか、または本明細書に記載の少なくとも1つのポリペプチドおよび関連しない配列(例えば、公知の腫瘍タンパク質)を含む融合ポリペプチドであり得る。例えば、融合パートナーは、Tヘルパーエピトープ、好ましくはヒトによって認識されるTヘルパーエピトープを提供する際に補助し得るか(免疫学的融合パートナー)、またはネイティブの組換えタンパク質より高い収量でタンパク質を発現する際に補助し得る(発現エンハンサー)。特定の好ましい融合パートナーは、免疫学的融合パートナーおよび発現増強融合パートナーの両方である。他の融合パートナーは、ポリペプチドの溶解性を増加するように、またはポリペプチドが所望の細胞内コンパートメントに標的化されることを可能にするように選択され得る。なおさらなる融合パートナーとしては、親和性タグ(これは、ポリペプチドの精製を容易にする)が挙げられる。
【0066】
融合ポリペプチドは、一般に、標準的な技術(化学的結合体化を含む)を使用して調製され得る。好ましくは、融合ポリペプチドは、発現系において、組換えポリペプチドとして発現され、非融合ポリペプチドと比較して、増加したレベルの産生を可能にする。手短に言うと、このポリペプチド成分をコードするDNA配列を、別々に組立て得、そして適切な発現ベクターに連結し得る。1つのポリペプチド成分をコードするDNA配列の3’末端は、ペプチドリンカーを用いてまたは用いずに、第2のポリペプチド成分をコードするDNA配列の5’末端に、これらの配列のリーディングフレームが同位相にあるように連結される。このことが、両方の成分ポリペプチドの生物学的活性を保持する単一の融合ポリペプチドへの翻訳を可能にする。
【0067】
ペプチドリンカー配列は、各ポリペプチドがその二次構造および三次構造へと折り畳まれるのを保証するために十分な距離で第一および第二のポリペプチド成分を隔てるために用いられ得る。このようなペプチドリンカー配列は、当該分野で周知の標準的な技術を用いて融合ポリペプチド中に組み込まれる。適切なペプチドリンカー配列は、以下の因子に基づいて選択され得る:(1)伸長した可変コンホメーションを取る能力;(2)第一および第二のポリペプチド上の機能的なエピトープと相互作用し得る二次構造を取ることができないこと;ならびに(3)ポリペプチドの機能的なエピトープと反応し得る疎水性または荷電した残基の無いこと。好ましいペプチドリンカー配列は、Gly、AsnおよびSer残基を含む。ThrおよびAlaのような中性に近い他のアミノ酸もまた、リンカー配列に用いられ得る。リンカーとして有用に用いられ得るアミノ酸配列としては、Marateaら、Gene 40:39−46、1985;Murphyら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:8258−8262、1986;米国特許第4,935,233号および米国特許第4,751,180号に開示されるアミノ酸配列が挙げられる。リンカー配列は、一般的に1から約50アミノ酸長であり得る。リンカー配列は、第一および第二のポリペプチドが、機能的ドメインを分離するため、および立体的な干渉を防ぐために用いられ得る非必須N末端アミノ酸領域を有する場合、必要とされない。
【0068】
連結されたDNA配列は、適切な転写または翻訳調節エレメントに作動可能に連結される。DNAの発現を担う調節エレメントは、第一のポリペプチドをコードするDNA配列の5’側にのみ位置する。同様に、翻訳および転写終結シグナルを終了するために必要とされる終止コドンは、第二のポリペプチドをコードするDNA配列の3’側にのみ存在する。
【0069】
融合ポリペプチドは、関連しない免疫原性タンパク質(例えば、リコール(recall)応答を惹起し得る免疫原性タンパク質)と共に、本明細書中に記載されるようなポリペプチドを含み得る。このようなタンパク質の例としては、破傷風タンパク質、結核タンパク質および肝炎タンパク質が挙げられる(例えば、Stouteら、New Engl.J.Med.、336:86−91(1997)を参照のこと)。
【0070】
1つの好ましい実施形態において、免疫学的融合パートナーは、Mycobacterium tuberculosis由来のRa12フラグメントのようにMycobacterium sp.由来である。Ra12組成物、ならびに異種ポリヌクレオチド/ポリペプチド配列の発現および/または免疫原性を増強する際にRa12を使用するための方法は、米国特許出願60/158,585(この開示は、本明細書中でその全体が参考として援用される)に記載されている。簡単には、Ra12は、Mycobacterium tuberculosis MTB32A核酸のサブ配列であるポリヌクレオチド領域をいう。MTB32Aは、M.tuberculosisの毒性菌株および無毒性菌株の遺伝子によってコードされる分子量32KDのセリンプロテアーゼである。MTB32Aのヌクレオチド配列およびアミノ酸配列が、記載されている(例えば、米国特許出願60/158,585;また、Skeikyら、Infection and Immun.(1999)67:3998〜4007も参照のこと。これらは、本明細書中で参考として援用される)。MTB32Aコード配列のC末端フラグメントは高いレベルで発現し、精製プロセス全体にわたって可溶性ポリペプチドとして残存する。さらに、Ra12は、これが融合される、異種免疫原性ポリペプチドの免疫原性を増強し得る。1つの好ましいRa12融合ポリペプチドは、MTB32Aのアミノ酸残基192〜323に対応する14KDのC末端フラグメントを含む。
【0071】
他の好ましいRa12ポリヌクレオチドは、一般的に、Ra12ポリペプチドの一部をコードする少なくとも約15個の連続するヌクレオチド、少なくとも約30個のヌクレオチド、少なくとも60個のヌクレオチド、少なくとも約100個のヌクレオチド、少なくとも約200個のヌクレオチド、または少なくとも約300個のヌクレオチドを含む。
【0072】
Ra12ポリヌクレオチドは、ネイティブな配列(すなわち、Ra12ポリペプチドまたはその一部をコードする内因性配列)を含んでもよいし、このような配列の改変体を含んでもよい。Ra12ポリヌクレオチド改変体は、1以上の置換、付加、欠失および/または挿入を含み得、その結果、コードされた融合ポリペプチドの生物学的活性が、ネイティブなRa12ポリペプチドを含む融合ポリペプチドと比較して、実質的に減少していない。好ましくは、改変体は、ネイティブなRa12ポリペプチドまたはその一部をコードするポリヌクレオチド配列に、少なくとも約70%の同一性、より好ましくは少なくとも約80%の同一性、そして最も好ましくは少なくとも約90%の同一性を示す。
【0073】
好ましい他の実施形態において、免疫学的融合パートナーは、グラム陰性の細菌Haemophilus influenza Bの表面タンパク質である、プロテインD(WO 91/18926)に由来する。好ましくは、プロテインD誘導体は、このタンパク質のほぼ3分の1(例えば、最初のN末端100〜110アミノ酸)を含み、そしてプロテインD誘導体は、脂質化(lipidated)され得る。特定の好ましい実施形態において、リポプロテインD融合パートナーの最初の109残基は、さらなる外因性T細胞エピトープを有するポリペプチドを提供するように、そしてE.coli中の発現レベルを増加するように、N末端に含まれる(従って、発現エンハンサーとして機能する)。脂質テールは、抗原提示細胞への抗原の最適な提示を保証する。他の融合パートナーは、インフルエンザウイルス由来の非構造的タンパク質、NS1(血球凝集素)を含む。代表的に、N末端の81アミノ酸が用いられるが、Tヘルパーエピトープを含む異なるフラグメントが使用され得る。
【0074】
別の実施形態において、免疫学的融合パートナーは、LYTAとして公知のタンパク質、またはその部分(好ましくはC末端部分)である。LYTAは、アミダーゼLYTA(LytA遺伝子によりコードされる;Gene 43:265〜292,1986)として公知のN−アセチル−L−アラニンアミダーゼを合成するStreptococcus pneumoniae由来である。LYTAは、ペプチドグリカン骨格中の特定の結合を特異的に分解する自己溶解素である。LYTAタンパク質のC末端ドメインは、コリンまたはいくつかのコリンアナログ(例えば、DEAE)に対する親和性を担う。この性質は、融合タンパク質の発現のために有用なE.coli C−LYTA発現プラスミドの開発のために利用されてきた。アミノ末端でC−LYTAフラグメントを含むハイブリッドタンパク質の精製が、記載されている(Biotechnology 10:795〜798,1992を参照のこと)。好ましい実施形態において、LYTAの反復部分は、融合ポリペプチドに組み込まれ得る。反復部分は、残基178で開始するC末端領域中に見出される。特に好ましい反復部分は、残基188〜305を組み込む。
【0075】
なお別の例示的な実施形態は、融合ポリペプチド、およびそれらをコードするポリヌクレオチドを含み、ここでこの融合パートナーは、米国特許第5,633,234号に記載のようにポリペプチドをエンドソーム/リソソームコンパートメントへ指向させ得る標的シグナルを含む。本発明の免疫原性ポリペプチドは、この標的シグナルと融合する場合、より効率的にMHCクラスII分子と結合し、これによってこのポリペプチドに特異的なCD4+T細胞のインビボでの増強された刺激が提供される。
【0076】
本発明のポリペプチドは、周知の種々の合成技術および/または組換え技術のいずれかを使用して調製される。これらの技術の後者を以下でさらに記載する。一般的に約150アミノ酸よりも少ないポリペプチド、部分および他の改変体は、当業者に周知の技術を使用して、合成手段により作製され得る。例示的な1つの例において、このようなポリペプチドは、市販の固相技術のいずれか(例えば、Merrifield固相合成方法)を使用して合成され、ここでアミノ酸は、成長しているアミノ酸鎖に連続的に付加される。Merrifield、J.Am.Chem.Soc.85:2149−2146、1963を参照のこと。ポリペプチドの自動化された合成のための機器が、Perkin Elmer/Applied BioSystems Division(Foster City,CA)などの供給業者から市販されており、そして製造者の指示に従って操作され得る。
【0077】
一般に、本発明のポリペプチド組成物(融合ポリペプチドを含む)が単離される。「単離された」ポリペプチドは、その元来の環境から取り出されたものである。例えば、天然に存在するタンパク質またはポリペプチドは、それが天然の系中で共存する物質のいくつかまたは全てから分離されている場合、単離されている。好ましくは、このようなポリペプチドはまた、精製され、例えば、少なくとも約90%純粋、より好ましくは少なくとも約95%純粋、そして最も好ましくは少なくとも約99%純粋である。
【0078】
(ポリヌクレオチド組成物)
他の局面において、本発明は、ポリヌクレオチド組成物を提供する。用語「DNA」および「ポリヌクレオチド」は、本明細書中で実質的に交換可能に使用され、特定の種の全ゲノムDNAを含まない単離されたDNA分子をいう。本明細書中で使用される場合、「単離された」は、ポリヌクレオチドが、他のコード配列から実質的に分離されており、そしてDNA分子が、無関係のコードDNAの大部分(例えば、大きな染色体フラグメントまたは他の機能的遺伝子またはポリペプチドコード領域)を含まないことを意味する。当然のことながら、これは、もともと単離されたDNA分子をいい、後で人工的にセグメントに付加された遺伝子またはコード領域を除外しない。
【0079】
当業者に理解されるように、本発明のポリヌクレオチド組成物は、タンパク質、ポリペプチド、ペプチドなどを発現するか、または発現し得るように適応されたゲノム配列、ゲノム外配列およびプラスミドにコードされる配列、ならびにより小さな操作された遺伝子セグメントを含み得る。このようなセグメントは、自然に単離され得るか、または人の手によって合成的に改変され得る。
【0080】
当業者に認識されるように、本発明のポリヌクレオチドは、一本鎖(コードもしくはアンチセンス)または二本鎖であり得、そしてDNA分子(ゲノム、cDNAもしくは合成)またはRNA分子であり得る。RNA分子は、HnRNA分子(これはイントロンを含み、そしてDNA分子に1対1の様式で対応する)、およびmRNA分子(これは、イントロンを含まない)を含み得る。さらなるコード配列または非コード配列は、本発明のポリヌクレオチド内に存在し得るがその必要はなく、そしてポリヌクレオチドは、他の分子および/または支持材料に連結され得るがその必要はない。
【0081】
ポリヌクレオチドは、ネイティブの配列(すなわち、本発明のポリペプチド/タンパク質、またはその部分をコードする内因性配列)を含み得るか、あるいはこのような配列の改変体または誘導体、そして好ましくは免疫原性改変体または誘導体をコードする配列を含み得る。
【0082】
従って、本発明の別の局面に従い、配列番号1〜3、6〜8、10〜13、15〜27、29、30、32、34〜49、51、52、54、55、57〜59、61〜69、71、73、74、77、78、80〜82、84、86〜96、107〜109、111、113、125、127、128、129、131〜133、142、144、148〜151、153、154、157、158、160、167、168、171、179、182、184〜186、188〜191、193、194、198〜207、209、210、213、214、217、220〜224、253〜337、345、347、349、358、362、364、365、368、370〜375、420、424、428、431、434、442、447、450、および467のいずれか1つに示されるポリヌクレオチド配列、配列番号1〜3、6〜8、10〜13、15〜27、29、30、32、34〜49、51、52、54、55、57〜59、61〜69、71、73、74、77、78、80〜82、84、86〜96、107〜109、111、113、125、127、128、129、131〜133、142、144、148〜151、153、154、157、158、160、167、168、171、179、182、184〜186、188〜191、193、194、198〜207、209、210、213、214、217、220〜224、253〜337、345、347、349、358、362、364、365、368、370〜375、420、424、428、431、434、442、447、450、および467のいずれか1つに示されるポリヌクレオチド配列の相補体、ならびに配列番号1〜3、6〜8、10〜13、15〜27、29、30、32、34〜49、51、52、54、55、57〜59、61〜69、71、73、74、77、78、80〜82、84、86〜96、107〜109、111、113、125、127、128、129、131〜133、142、144、148〜151、153、154、157、158、160、167、168、171、179、182、184〜186、188〜191、193、194、198〜207、209、210、213、214、217、220〜224、253〜337、345、347、349、358、362、364、365、368、370〜375、420、424、428、431、434、442、447、450、および467のいずれか1つに示されるポリヌクレオチド配列の縮重改変体のうちいくつかまたは全てを含むポリヌクレオチド組成物が提供される。特定の好ましい実施形態において、本明細書中に示されるポリヌクレオチド配列は、上記のような免疫原性ポリペプチドをコードする。
【0083】
他の関連する実施形態において、本発明は、本明細書中で配列番号1〜3、6〜8、10〜13、15〜27、29、30、32、34〜49、51、52、54、55、57〜59、61〜69、71、73、74、77、78、80〜82、84、86〜96、107〜109、111、113、125、127、128、129、131〜133、142、144、148〜151、153、154、157、158、160、167、168、171、179、182、184〜186、188〜191、193、194、198〜207、209、210、213、214、217、220〜224、253〜337、345、347、349、358、362、364、365、368、370〜375、420、424、428、431、434、442、447、450、および467に開示される配列に実質的な同一性を有するポリヌクレオチド改変体を提供する。例えば、これらは、本明細書中で記載の方法(例えば、以下に記載のような標準的なパラメーターを使用するBLAST分析)を使用して本発明のポリヌクレオチド配列と比較して、少なくとも70%の配列同一性、好ましくは少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%より高い配列同一性を含む。当業者は、これらの値が、コドンの縮重、アミノ酸類似性、リーディングフレームの位置付けなどを考慮することによって、2つのヌクレオチド配列にコードされるタンパク質の対応する同一性を決定するように、適切に調整され得ることを理解する。
【0084】
代表的には、ポリヌクレオチド改変体は、1つ以上の置換、付加、欠失および/または挿入を含み、好ましくは、その結果、改変体ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの免疫原性が、本明細書中に具体的に示されるポリヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドに対して実質的に減少されない。用語「改変体」はまた、異種起源の相同遺伝子を包含することが理解されるべきである。
【0085】
さらなる実施形態において、本発明は、本明細書中に開示される配列の1つ以上に同一であるかまたは相補的な配列の種々の長さの連続したストレッチを含むポリヌクレオチドフラグメントを提供する。例えば、本明細書中に開示される配列の1つ以上の、少なくとも約10、15、20、30、40、50、75、100、150、200、300、400、500または1000以上連続したヌクレオチド、ならびにその間の全ての中間の長さの連続したヌクレオチドを含むポリヌクレオチドが、本発明によって提供される。この状況において、「中間の長さ」が、示された値の間の任意の長さ(例えば、16、17、18、19など;21、22、23など;30、31、32など;50、51、52、53など;100、101、102、103など;150、151、152、153など;200〜500;500〜1,000などの間の全ての整数を含む)を意味することが容易に理解される。
【0086】
本発明の別の実施形態において、本明細書において提供されるポリヌクレオチド配列もしくはそのフラグメントまたはその相補的な配列に対して、中程度〜高いストリンジェンシー条件下でハイブリダイズし得るポリヌクレオチド組成物が提供される。ハイブリダイゼーション技術は、分子生物学の当該分野において周知である。例示の目的であるが、他のポリヌクレオチドと本発明のポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーションを試験するために適切な中程度にストリンジェントな条件は、5×SSC、0.5% SDS、1.0mM EDTA(pH8.0)の溶液中の事前洗浄;50℃〜60℃、5×SSCでの、一晩のハイブリダイゼーション;続いて、0.1%SDSを含有する2×、0.5×および0.2×SSCのそれぞれを用いた、65℃で20分間の2回の洗浄を含む。当業者は、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーが、例えば、ハイブリダイゼーション溶液の塩含量および/またはハイブリダイゼーションが実施される温度を変更することによって、容易に操作され得ることを理解する。例えば、別の実施形態において、適切な高いストリンジェントのハイブリダイゼーション条件としては、ハイブリダイゼーションの温度が、例えば、60〜65℃または65〜70℃に増大される点を除いて、上記の条件が挙げられる。
【0087】
特定の好ましい実施形態において、上記のポリヌクレオチド(例えば、ポリヌクレオチド改変体、フラグメント、およびハイブリダイズする配列)は、本明細書中に具体的に示されるポリペプチド配列と免疫学的に交差反応するポリペプチドをコードする。他の好ましい実施形態において、このようなポリヌクレオチドは、本明細書中に具体的に示されるポリペプチド配列の免疫原性活性の、少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約70%、そしてより好ましくは少なくとも約90%の免疫原性活性レベルを有するポリペプチドをコードする。
【0088】
本発明のポリヌクレオチド、またはそのフラグメントは、そのコード配列自体の長さに関わらず、他のDNA配列(例えば、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、さらなる制限酵素部位、マルチクローニング部位、他のコードセグメントなど)と組合わされ得、その結果、その全体の長さは、相当変化し得る。従って、ほとんどいずれの長さの核酸フラグメントをも使用し得ることが意図され、その全長は、好ましくは意図した組換えDNAプロトコルにおける調製および使用の容易さによって制限される。例えば、約10,000、約5000、約3000、約2,000、約1,000、約500、約200、約100、約50塩基対長など(全ての中間の長さを含む)の全長を有する例示的なポリヌクレオチドセグメントが、本発明の多くの実行において有用であることが意図される。
【0089】
ポリヌクレオチド配列を比較する場合、2つの配列におけるヌクレオチドの配列が、以下に記載されるように最大一致について整列されるのと同じ場合に、2つの配列が「同一」であるといわれる。2つの配列の間の比較は、代表的には、配列類似性の局部領域を同定および比較するために、比較ウインドウにわたって配列を比較することによって行われる。本明細書中で使用される場合、「比較ウインドウ」は、少なくとも約20、通常は30〜約75、40〜約50連続した位置のセグメントをいい、ここで、2つの配列が最適に整列された後に、配列は、連続した位置の同じ数の参照配列と比較され得る。
【0090】
比較のための配列の最適な整列は、バイオインフォマティクス(生命情報科学)ソフトウエアのLasergene suiteにおけるMegalignプログラム(DNASTAR,Inc.,Madison,WI)を使用して、デフォルトパラメーターを用いて行われ得る。このプログラムは、以下の参考文献に記載のいくつかの整列スキームを統合する:Dayhoff,M.O.(編)Atlas of Protein Sequence and Structure,National Biomedical Research Foundation,Washington DC Vol.5,補遺3,345−358頁におけるDayhoff,M.O.(1978)A model of evolutionary change in proteins−Matrices for detecting distant relationships.;Hein J.(1990)Unified Approach to Alignment and Phylogenes 626−645頁 Methods in Enzymology vol.183,Academic Press,Inc.,San Diego,CA;Higgins,D.G.およびSharp,P.M.(1989)CABIOS 5:151−153;Myers,E.W.およびMuller W.(1988)CABIOS 4:11−17;Robinson,E.D.(1971)Comb.Theor 11:105;Santou,N.Nes,M.(1987)Mol.Biol.Evol.4:406−425;Sneath,P.H.A.およびSokal,R.R.(1973)Numerical Taxonomy−the Principles and Practice of Numerical Taxonomy,Freeman Press,San Francisco,CA;Wilbur,W.J.およびLipman,D.J.(1983)Proc.Natl.Acad.,Sci.USA 80:726−730。
【0091】
あるいは、比較のための配列の最適な整列は、SmithおよびWaterman(1981)Add.APL.Math 2:482の局部同定アルゴリズムによって、NeedlemanおよびWunsch(1970)J.Mol.Biol.48:443の同一性整列アルゴリズムによって、PearsonおよびLipman(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444の類似性検索方法によって、これらのアルゴリズムのコンピュータ化した実行(Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group(GCG),575 Science Dr.,Madison,WIにおけるGAP、BESTFIT、BLAST、FASTA、およびTFASTA)によって、または検査によって行われ得る。
【0092】
配列同一性および配列類似性の割合を決定するために適切なアルゴリズムの1つの好ましい例は、BLASTおよびBLAST2.0アルゴリズムであり、これらはそれぞれ、Altschulら(1977)Nucl.Acids Res.25:3389−3402およびAltschulら(1990)J.Mol.Biol.215:403−410に記載される。BLASTおよびBLAST2.0は、本発明のポリヌクレオチドについての配列同一性の割合を決定するために、例えば、本明細書中に記載のパラメータを用いて使用され得る。BLAST分析を行うためのソフトウエアは、National Center for Biotechnology Infomationを通して公に利用可能である。1つの例示的な例において、累積スコアは、ヌクレオチド配列について、パラメーターM(一致する残基の対についての報酬スコア(reward scored);常に>0)およびN(ミスマッチ残基についてのペナルティスコア;常に<0)を使用して算出され得る。各指示におけるワードヒットの拡大は、以下の場合に停止する:累積整列スコアが、その最大到達値から量Xだけ低下した場合;累積スコアが、1以上の負のスコアの残基整列の累積に起因してゼロ以下になった場合;またはいずれかの配列の末端に到達した場合。このBLASTアルゴリズムパラメーターW、TおよびXは、整列の感度および速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列について)は、ワード長さ(W)11、および期待値(E)10をデフォルトとして、そしてBLOSUM62スコアリングマトリックス(HenikoffおよびHenikoff(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915を参照のこと)アラインメントは、(B)50、期待値(E)10、M=5、N=−4、および両方の鎖の比較を使用する。
【0093】
好ましくは、「配列同一性のパーセンテージ」は、少なくとも20の位置の比較ウインドウにわたる2つの最適に整列した配列を比較することによって決定され、ここで比較ウインドウ中のポリヌクレオチド配列の一部は、参照配列(これは、付加または欠失を含まない)と比較して、2つの配列の最適な整列について20パーセント以下、通常は5〜15パーセント、または10〜12パーセントの付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。このパーセンテージは、両方の配列で同一の核酸塩基が生じる位置の数を決定して一致する位置の数を得、この一致する位置の数を参照配列中の位置の総数(すなわち、ウインドウサイズ)で除算し、そしてこの結果に100を掛けて配列同一性のパーセンテージを得ることによって算出される。
【0094】
遺伝コードの縮重の結果として、本明細書中に記載されるようなポリペプチドをコードする多くのヌクレオチド配列が存在することが、当業者に理解される。これらのポリヌクレオチドのうちいくつかは、任意のネイティブな遺伝子のヌクレオチド配列に対して最小の相同性を有する。それにもかかわらず、コドンの用法における差異に起因して変化するポリヌクレオチドは、本発明によって具体的に意図される。さらに、本明細書中に提供されるポリヌクレオチド配列を含む遺伝子の対立遺伝子は、本発明の範囲内である。対立遺伝子は、1以上の変異(例えば、ヌクレオチドの欠失、付加および/または置換)の結果として変化する内因性遺伝子である。得られたmRNAおよびタンパク質は、変化した構造または機能を有し得るが、有する必要はない。対立遺伝子は、標準的な技術(例えば、ハイブリダイゼーション、増幅および/またはデータベース配列比較)を用いて、同定され得る。
【0095】
従って、本発明の別の実施形態において、変異誘発アプローチ(例えば、部位特異的変異誘発)は、本明細書中に記載のポリペプチドの免疫原性改変体および/または誘導体の調製のために使用される。このアプローチによって、ポリペプチド配列における特定の改変が、これらをコードする、基礎となるポリヌクレオチドの変異誘発を介してなされ得る。これらの技術は、例えば、ポリヌクレオチド中に1つ以上のヌクレオチド配列変化を導入することによって先の考慮の1つ以上を組み込む、配列改変体を調製および試験するための直接的なアプローチを提供する。
【0096】
部位特異的変異誘発は、所望の変異のDNA配列をコードする特定のオリゴヌクレオチド配列ならびに十分な数の隣接ヌクレオチドの使用を介して変異体の生成を可能にし、相対する欠失連結部の両側に安定な二重鎖を形成するために、十分なサイズおよび配列複雑性のプライマー配列を提供する。変異は、ポリヌクレオチド自体の特性を改善するか、変更するか、減少させるか、改変するか、さもなくば変化させるため、そして/またはコードされたポリペプチドの特性、活性、組成、安定性または一次配列を変更するために、選択されたポリヌクレオチド配列において使用され得る。
【0097】
本発明の特定の実施形態において、本発明者らは、コードされたポリペプチドの1つ以上の特性(例えば、ポリペプチドワクチンの免疫原性)を変更するために、開示されたポリヌクレオチド配列の変異誘発を意図する。部位特異的変異誘発の技術は、当該分野に周知であり、ポリペプチドおよびポリヌクレオチドの両方の改変体を作製するために広範に使用される。例えば、部位特異的変異誘発は、しばしば、DNA分子の特定部分を変更するために使用される。このような実施形態において、代表的に約14ヌクレオチド長〜約25ヌクレオチド長程度の長さを含むプライマーが使用され、配列の連結部の両側にある、約5残基〜約10残基が変更される。
【0098】
当業者によって理解されるように、部位特異的変異誘発技術は、しばしば、一本鎖形態および二本鎖形態の両方で存在するファージベクターを使用してきた。部位特異的変異誘発において有用である代表的なベクターとしては、M13ファージのようなベクターが挙げられる。これらのファージは、容易に商業的に入手可能であり、そしてそれらの使用は、一般的に当業者に周知である。二本鎖プラスミドもまた、目的の遺伝子をプラスミドからファージに転移する工程を除去する部位特異的変異誘発において慣用的に使用される。
【0099】
一般的に、本明細書に従う部位特異的変異誘発は、所望のペプチドをコードするDNA配列をその配列中に含む一本鎖ベクターを最初に入手する工程、またはこの配列を含む二本鎖ベクターの2本の鎖を融解して分ける工程によって実行される。所望の変異配列を保有するオリゴヌクレオチドプライマーは、一般的に、合成的に調製される。次いで、このプライマーは、一本鎖ベクターとともにアニーリングされ、そして変異を保有する鎖の合成を完了するために、DNA重合酵素(例えば、E.coliポリメラーゼI Klenowフラグメント)に供される。このようにヘテロ二重鎖が形成され、ここで一方の鎖が変異を有さないもともとの配列をコードし、そして2つめの鎖は所望の変異を保有する。次いで、このヘテロ二重鎖ベクターは、適切な細胞(例えば、E.coli細胞)を形質転換するために使用され、そして、変異した配列配置を保有する組換えベクターを含むクローンが選択される。
【0100】
部位特異的変異誘発を使用する、選択されたペプチドコードDNAセグメントの配列改変体の調製は、潜在的に有用な種を産生する手段を提供し、そしてこれは、限定を意味するものではない。なぜなら、ペプチドの配列改変体およびそれらをコードするDNA配列を入手し得る他の方法が存在するからである。例えば、所望のペプチド配列をコードする組換えベクターは、変異誘発剤(例えば、ヒドロキシルアミン)で処理されて、配列改変体を入手し得る。これらの方法およびプロトコルに関する具体的な詳細は、Maloyら、1994;Segal、1976;ProkopおよびBajpai、1991;Kuby、1994;およびManiatisら、1982(各々がその目的のために本明細書中に参考として援用される)の教示において見出され得る。
【0101】
本明細書中で使用される場合、用語「オリゴヌクレオチド特異的変異誘発手順」とは、テンプレート(鋳型)依存的プロセスおよびベクター媒介性増殖をいい、これは、その初期の濃度と比較して、特定の核酸分子の濃度の増加を生じるか、または検出可能なシグナルの濃度の増加(例えば、増幅)を生じる。本明細書中で使用される場合、用語「オリゴヌクレオチド特異的変異誘発手順」は、プライマー分子の鋳型依存的な伸長を含むプロセスをいうことが意図される。用語、鋳型依存的プロセスとは、新規に合成された核酸の鎖の配列が、相補的塩基対形成の周知の規則によって指示されるRNA分子またはDNA分子の核酸合成をいう(例えば、Watson、1987を参照のこと)。代表的には、ベクター媒介性の方法論は、DNAまたはRNAベクターへの核酸フラグメントの導入、ベクターのクローン性増幅、および増幅した核酸フラグメントの回収を包含する。このような方法論の例は、その全体が具体的に参考として本明細書中に援用される、米国特許第4,237,224号によって提供される。
【0102】
本発明のポリペプチド改変体の生成のための別のアプローチにおいて、米国特許第5,837,458号に記載のような、再帰的な配列組換えが使用され得る。このアプローチにおいて、組換えおよびスクリーニングまたは選択の反復性のサイクルが実施されて、例えば、増強された免疫原性活性を有する本発明の個々のポリヌクレオチド改変体を「展開させる(evolve)」。
【0103】
本発明の他の実施形態において、本明細書中に提供されるポリヌクレオチド配列は、核酸ハイブリダイゼーションのためのプローブまたはプライマーとして、有利に使用され得る。このように、本明細書中に開示される15ヌクレオチド長の連続配列と同じ配列か、またはこれに相補的な配列を有する、少なくとも約15ヌクレオチド長の連続配列の配列領域を含む核酸セグメントが特定の有用性を見出すことが、意図される。例えば、約20、30、40、50、100、200、500、1000(全ての中間的な長さのものを含む)およびまさに全長配列までの、より長い連続した同一配列または相補的な配列がまた、特定の実施形態において使用される。
【0104】
このような核酸プローブが目的の配列に特異的にハイブリダイズする能力は、所定のサンプル中の相補的配列の存在を検出する際にこれらが使用されることを可能にする。しかし、他の用途(例えば、変異種プライマーまたは他の遺伝的構築物の調製の際の使用のためのプライマーを調製するための配列情報の使用)もまた意図される。
【0105】
10〜14、15〜20、30、50、または100〜200ヌクレオチド程度(同様に中間的な長さを含む)の連続したヌクレオチドストレッチからなる配列領域を有し、本明細書中に開示されるポリヌクレオチド配列に同一または相補的なポリヌクレオチド分子は、例えばサザンブロッティングまたはノーザンブロッティングにおける使用のためのハイブリダイゼーションプローブとして特に意図される。これは、遺伝子産物またはそのフラグメントの、多様な細胞型およびまた種々の細菌細胞の両方における分析を可能とする。フラグメントの全サイズ、ならびに相補的ストレッチのサイズは、究極的には、特定の核酸セグメントの意図される用途または適用に依存する。より小さなフラグメントは、一般にハイブリダイゼーション実施形態における用途を見出し、ここで連続した相補領域の長さが変化され得る(例えば、約15ヌクレオチドと約100ヌクレオチドとの間)が、検出を望む相補配列の長さに従って、より長い連続した相補ストレッチが使用され得る。
【0106】
約15〜25ヌクレオチド長のハイブリダイゼーションプローブの使用は、安定かつ選択的な二重鎖分子の形成を可能にする。しかし、15塩基長より長いストレッチの連続した相補配列を有する分子が、ハイブリッドの安定性および選択性を増加するために一般に好ましく、それによって、得られる特異的ハイブリッド分子の質および程度が改善される。15〜25の連続したヌクレオチド、または望まれる場合にはより長い遺伝子相補的ストレッチを有する核酸分子を設計するのが一般には好ましい。
【0107】
ハイブリダイゼーションプローブは、本明細書中に開示される配列のいずれかの、任意の部分から選択され得る。必要とされることの全ては、本明細書中に記載の配列、あるいはプローブまたはプライマーとしての利用を望む場合は、約15〜25ヌクレオチド長から全長配列まで、および全長配列を含む配列の任意の連続した部分までを再検討することである。プローブおよびプライマー配列の選択は、種々の要因によって支配され得る。例えば、全配列の末端に向かってプライマーを使用することが望まれ得る。
【0108】
小さなポリヌクレオチドセグメントまたはフラグメントは、通常は自動オリゴヌクレオチド合成機を使用して行われるので、例えば化学的手段によってフラグメントを直接合成することによって、容易に調製され得る。また、フラグメントは、核酸複製技術(例えば、米国特許第4,683,202号(本明細書中に参考として援用される)のPCRTM技術)の適用によって、組換え産生のために選択配列を組換えベクターに導入することによって、および一般に分子生物学の分野の当業者に公知の他の組換えDNA技術によって、得られ得る。
【0109】
本発明のヌクレオチド配列は、目的の完全遺伝子または遺伝子フラグメントのいずれかの相補的ストレッチと、二重鎖分子を選択的に形成するその能力のために使用され得る。想定される適用に依存して、代表的には、標的配列に対するプローブの選択性の種々の程度を達成するために、ハイブリダイゼーションの種々の条件を使用することが望ましい。高い選択性を必要とする適用について、代表的には、ハイブリッドを形成するための比較的ストリンジェントな条件(例えば、比較的低濃度の塩、および/または高温の条件(例えば、約50℃〜約70℃の温度で、約0.02M〜約0.15Mの塩の塩濃度によって提供されるような)を使用することが望ましい。このような選択条件は、存在する場合、プローブとテンプレートまたは標的鎖との間のミスマッチにわずかに許容性であり、そして関連する配列の単離のために特に適切である。
【0110】
当然のことながら、いくつかの適用(例えば、潜在的なテンプレートにハイブリダイズする変異体プライマー鎖を使用する、変異体の調製が望ましい場合)について、低ストリンジェント(減少したストリンジェンシー)のハイブリダイゼーション条件は、ヘテロ二重鎖を形成するために代表的に必要とされる。これらの状況において、約20℃〜約55℃の温度範囲で約0.15M〜約0.9Mの塩の条件のような塩条件を使用することが望ましくあり得る。これによって、交差ハイブリダイズ種は、コントロールハイブリダイゼーションに関して、陽性ハイブリダイズシグナルとして容易に同定され得る。任意の場合において、ホルムアミド(これは、増加した温度と同じ様式で、ハイブリッド二重鎖を不安定化するように作用する)の増加した量の添加によって、条件がよりストリンジェントになり得ることが一般に理解される。従って、ハイブリダイゼーション条件は、容易に操作され得、従って、一般に、所望の結果に依存する最良の方法である。
【0111】
本発明の別の実施形態に従って、アンチセンスオリゴヌクレオチドを含むポリヌクレオチド組成物が、提供される。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、タンパク質合成の効果的かつ標識化インヒビターであることが実証され、疾患が、疾患に寄与するタンパク質の合成を阻害することによって処置され得る治療的なアプローチを結果的に提供する。タンパク質合成を阻害するためのアンチセンスオリゴヌクレオチドの効力は、よく確立されている。例えば、ポリガラクタウロナーゼ(polygalactauronase)の合成およびムスカリン2型アセチルコリンレセプターは、そのそれぞれのmRNA配列に特異的なアンチセンスオリゴヌクレオチドによって阻害される(米国特許第5,739,119号および米国特許第5,759,829号)。さらに、アンチセンス阻害の例が、核タンパク質サイクリン、多剤耐性遺伝子(MDG1)、ICAM−1、E−セレクチン、STK−1、線条体GABAAレセプターおよびヒトEGFを用いて示されている(Jaskulskiら、Science 1988 Jun 10;240(4858):1544−6;VasanthakumarおよびAhmed、Cancer Commun.1989;1(4):225−32;Perisら、Brain Res Mol Brain Res.1998 Jun 15;57(2)310−20;米国特許第5,801,154号;同第5,789,573号;同第5,718,709号および同第5,610,288号)。種々の異常な細胞増殖(例えば、癌)を阻害しそして処置するために使用され得る、アンチセンス構築物もまた、記載されている(米国特許第5,747,470号;同第5,591,317号および同第5,783,683号)。
【0112】
従って、特定の実施形態において、本発明は、本明細書中に記載されるポリヌクレオチド配列に特異的に結合し得る任意の配列もしくはその相補体のすべてまたは一部を含む、オリゴヌクレオチド配列を提供する。1つの実施形態において、そのアンチセンスオリゴヌクレオチドは、DNAまたはその誘導体を含む。別の実施形態において、そのオリゴヌクレオチドは、RNAまたはその誘導体を含む。第3の実施形態において、そのオリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエート改変骨格を含む、改変DNAである。第4の実施形態において、そのオリゴヌクレオチド配列は、ペプチド核酸またはその誘導体を含む。各場合において、好ましい組成物は、本明細書中に開示されるポリヌクレオチドのうちの1つ以上の部分に相補的な、より好ましくは実質的に相補的な、そしてさらにより好ましくは完全に相補的な、配列領域を含む。所定の遺伝子配列に特異的なアンチセンス組成物の選択は、選択された標的配列の分析に基き、そして二次構造、Tm、結合エネルギー、および相対的安定性の決定に基く。アンチセンス組成物は、二量体、ヘアピン、または宿主細胞において標的mRNAへの特異的結合を減少または妨げる他の二次構造をそれらが形成できない相対的能力に基づいて選択され得る。mRNAの非常に好ましい標的領域は、AUG翻訳開始コドンの領域またはその付近の領域、およびmRNAの5’領域と実質的に相補的な配列である。これらの二次構造分析および標的部位選択の考慮は、例えば、OLIGOプライマー分析ソフトウェアのv.4および/またはBLASTN 2.0.5アルゴリズムソフトウェア(Altschulら、Nucleic Acids Res.1997,25(17):3389−402)を使用して実施され得る。
【0113】
短いペプチドベクター(MPG(27残基)と称する)を使用するアンチセンス送達法の使用もまた意図される。このMPGペプチドは、HIV gp41の融合配列由来の疎水性ドメインと、SV40 T抗原の核局在化配列由来の親水性ドメインとを含む(Morrisら、Nucleic Acids Res.1997 Jul 15;25(14):2730−6)。このMPGペプチドのいくつかの分子がアンチセンスオリゴヌクレオチドをコートし、そして比較的高効率(90%)で1時間未満で培養哺乳動物細胞へと送達され得ることが示された。さらに、MPGとの相互作用は、ヌクレアーゼに対するそのオリゴヌクレオチドの安定性および形質膜を横切る能力の両方を強力に増加させる。
【0114】
本発明の別の実施形態に従って、本明細書中に記載されるポリヌクレオチド組成物は、腫瘍細胞における腫瘍ポリペプチドおよび本発明のタンパク質の発現を阻害するためのリボザイム分子の設計および調製に使用される。リボザイムは、部位特異的様式で核酸を切断するRNA−タンパク質複合体である。リボザイムは、エンドヌクレアーゼ活性を保有する特定の触媒ドメインを有する(KimおよびCech、Proc Natl Acad Sci U S A.1987 Dec;84(24):8788−92;ForsterおよびSymons、Cell.1987 Apr 24;49(2)211−20)。例えば、多数のリボザイムが、高い程度の特異性でホスホエステル転移反応を促進し、しばしば、オリゴヌクレオチド基質中の数個のホスホエステルのうちの1つだけを切断する(Cechら、Cell.1981 Dec;27(3 Pt 2):487−96;MichelおよびWesthof、J Mol Biol.1990 Dec 5;216(3):585−610;Reinhold−HurekおよびShub、Nature.1992 May 14;357(6374):173−6)。この特異性は、この基質が、化学反応の前にリボザイムの内部ガイド配列(「IGS」)との特異的塩基対形成相互作用を介して結合するという要件に帰せられている。
【0115】
天然に存在する酵素的RNAの6つの基本的変種が、現在公知である。各々が、生理学的条件下で、トランスで、RNAホスホジエステル結合の加水分解を触媒し得る(従って、他のRNA分子を切断し得る)。一般に、酵素的核酸は、まず、標的RNAへの結合によって作用する。このような結合は、標的RNAを切断するように作用する分子の酵素的部分に近接して保持される、酵素的核酸の標的結合部分を介して生じる。従って、その酵素的核酸はまず、標的RNAを認識し、次いで相補的塩基対形成を介してその標的RNAに結合し、そして一旦正確な部位に結合すると、その標的RNAを酵素的に切断するように作用する。このような標的RNAの戦略的切断は、コードされるタンパク質を直接合成する標的RNAの能力を破壊する。酵素的核酸がそのRNA標的に結合しそして切断した後、その酵素的核酸は、別の標的を探索するためにそのRNAから離れ、そして繰り返し、新しい標的に結合しそして切断し得る。
【0116】
リボザイムの酵素特性は、多くの技術(例えば、アンチセンス技術(ここで、核酸分子は、翻訳を阻害するために核酸標的に簡単に結合する))に対して有利である。なぜなら、治療的処置に影響を与えるのに必要であるリボザイムの濃度は、アンチセンスオリゴヌクレオチの濃度よりも低いからである。この利点は、酵素学的に作用するリボザイムの能力を反映する。従って、単一のリボザイム分子は、標的RNAの多くの分子を切断し得る。さらに、このリボザイムは、高度に選択的なインヒビターであり、この阻害の特異性は、標的RNAに結合する塩基対形成の機構に依存するだけでなく、標的RNAの切断の機構にも依存する。切断部位付近の1個のミスマッチまたは塩基置換により、リボザイムの触媒活性が完全になくなり得る。アンチセンス分子内の同様のミスマッチでは、それらの作用は妨げられない(Woolfら、Proc Natl Acad Sci U S A.1992 Aug 15;89(16):7305−9)。従って、リボザイムの作用の特異性は、同じRNA部位に結合するアンチセンスオリゴヌクレオチドの作用の特異性よりも高い。
【0117】
この酵素学的核酸分子は、ハンマーヘッド(hammerhead)モチーフ、ヘアピンモチーフ、δ型肝炎ウイルスモチーフ、I群イントロンモチーフまたはRNaseP RNAモチーフ(RNA誘導配列に関連する)あるいはNeurospora VS RNAモチーフに形成され得る。ハンマーヘッドモチーフの例は、Rossiら,Nucleic Acids Res.1992 Sep 11;20(17):4559−65に記載される。ヘアピンモチーフの例は、Hampelら(欧州特許出願公開番号EP 0360257)、HampelおよびTritz(Biochemistry 1989 Jun 13;28(12):4929−33)、Hampelら,Nucleic Acids Res.1990 Jan 25;18(2):299−304および米国特許第5,631,359号に記載される。δ型肝炎ウイルスモチーフの例は、PerrottaおよびBeen,Biochemistry.1992 Dec 1;31(47):11843−52に記載される;RNasePモチーフの例は、Guerrier−Takadaら,Cell.1983 Dec;35(3 Pt 2):849−57に記載される;Neurospora VS RNAリボザイムモチーフは、Collins(SavilleおよびCollins,Cell.1990 May 18;61(4):685−96;SavilleおよびCollins,Proc Natl Acad Sci U S A.1991 Oct 1;88(19):8826−30;CollinsおよびOlive,Biochemistry.1993 Mar 23;32(11):2795−9)に記載される;そしてI群イントロンの例は、米国特許第4,987,071号に記載される。本発明の酵素学的核酸分子において重要であることは、1以上の標的遺伝子RNA領域に相補的である特定の基質結合部位を有すること、およびこの分子にRNA切断活性を付与する、基質結合部位内のヌクレオチド配列またはこの基質結合部位の周囲のヌクレオチド配列を有することだけである。従って、リボザイム構築物は、本明細書中に記載される特定のモチーフに限定する必要はない。
【0118】
リボザイムは、国際特許出願公開番号WO 93/23569および国際特許出願公開番号WO 94/02595(各々は、本明細書中で参考として詳細に援用される)に記載されるように設計され得、そして記載されるようにインビトロおよびインビボにおいて試験するために合成され得る。このようなリボザイムはまた、送達するために最適化され得る。特定の例が提供されるが、当業者は、他の種において等価なRNA標的が、必要な場合に利用され得ることを理解する。
【0119】
リボザイムの活性は、リボザイムの結合アームの長さを変更することにより、または血清リボヌクレアーゼによる分解を防ぐ改変(例えば、国際特許出願番号WO 92/07065;国際特許公開番号WO 93/15187;国際特許出願公開番号WO 91/03162;欧州特許出願公開番号92110298.4;米国特許第5,334,711号、および国際特許出願公開番号WO 94/13688(これには、酵素学的RNA分子の糖部分に対して成され得る、種々の化学的修飾が記載される)を参照のこと)、細胞中でのリボザイムの有効性を増強する改変、ならびにRNAの合成時間を短縮および化学的必要性を低下させるための幹(stem)II塩基を除去して、リボザイムを化学的に合成することによって最適化され得る。
【0120】
Sullivanら(国際特許出願公開番号WO 94/02595)は、酵素学的RNA分子の送達のための一般的な方法を記載する。リボザイムは、当業者に公知の種々の方法によって細胞に投与され得、これらには、リポソームへのカプセル化、イオン泳動法、あるいは、ヒドロゲル、シクロデキストリン、生分解性ナノカプセルおよび生体接着性ミクロスフィアのような他のビヒクルへの取り込みによるもの、が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの指針(指標)のために、リボザイムは、エキソビボで細胞または組織に、上記のビヒクルを使用してか、または使用せずに直接送達され得る。あるいは、RNA/ビヒクルの組合せは、直接的な吸入、直接的な注射、またはカテーテル、注入ポンプまたはステントの使用により、局所的に送達され得る。他の送達経路としては、血管内注射、筋内注射、皮下注射または関節注射、エアロゾル吸入、経口送達(錠形態または丸薬形態)、局所送達、全身送達、眼送達、腹腔内送達および/またはくも膜下腔内送達が挙げられるが、これらに限定されない。リボザイム送達および投与のより詳細な記載は、国際特許出願公開番号WO 94/02595および国際特許出願公開番号WO 93/23569(各々は、本明細書中で参考として詳細に援用される)に提供される。
【0121】
高濃度のリボザイムを細胞内に蓄積する別の手段は、リボザイムコード配列をDNA発現ベクターに組み込むことである。リボザイム配列の転写は、真核生物RNAポリメラーゼI(pol I)、RNAポリメラーゼII(pol II)、またはRNAポリメラーゼIII(pol III)のためのプロモーターにより駆動される。pol IIプロモーターまたはpol IIIプロモーターからの転写物は、全ての細胞内で高レベルで発現される;所定の細胞型における所定のpol IIプロモーターのレベルは、近くに存在する遺伝子調節配列(エンハンサー、サイレンサーなど)の性質に依存する。原核生物のRNAポリメラーゼプロモーターもまた使用され得るが、但し、原核生物RNAポリメラーゼ酵素は、適切な細胞において発現される。このようなプロモーターから発現するリボザイムは、哺乳動物細胞において機能することが示されている。このような転写ユニットは、哺乳動物細胞内への導入のための種々のベクター(プラスミドDNAベクター、ウイルスDNAベクター(例えば、アデノウイルスベクターまたはアデノ随伴ベクター)、またはウイルスRNAベクター(例えば、レトロウイルスベクター、セムリキ森林ウイルスベクター、シンドビスウイルスベクター)が挙げられるがこれらに限定されない)に組み込まれ得る。
【0122】
本発明の別の実施形態において、ペプチド核酸(PNA)組成物が提供される。PNAは、DNA模倣物であり、核酸塩基は、偽ペプチド骨格に結合される(GoodおよびNielsen、Antisense Nucleic Acid Drug Dev.1997 7(4)431〜37)。PNAは、RNAまたはDNAを伝統的に使用した多くの方法において利用され得る。しばしば、PNA配列は、対応するRNA配列またはDNA配列よりも技術的により良く機能し、そしてRNAにもDNAにも固有でない有用性を有する。産生方法、特徴、および使用方法を含むPNAの総説は、Corey(Trends Biotechnol 1997 6月;15(6):224〜9)によって提供される。このように、特定の実施形態において、ACE mRNA配列の1以上の部分に相補的であるPNA配列を調製し得、そしてこのようなPNA組成物は、ACE−特異的mRNAの翻訳を調節、変更、減少、または低下させるために使用され得、これにより、このようなPNA組成物が投与された宿主細胞におけるACE活性のレベルを変更する。
【0123】
PNAは、DNAの正常なホスホジエステル骨格を置換する2−アミノエチル−グリシン連結を有する(Nielsenら、Science 1991 12月6;254(5037):1497〜500;Hanveyら、Science.1992 11月 27;258(5087):1481〜5;HyrupおよびNielsen,Bioorg Med Chem.1996 1月;4(1):5〜23)。この化学は、3つの重要な結果を有する。第1に、DNAまたはホスホロチオエートオリゴヌクレオチドとは対照的に、PNAは、中性の分子であり;第2に、PNAは、アキラル(立体選択的な合成を開発する必要を避ける)であり;そして第3に、PNA合成は、標準的なBocプロトコルまたはFmocプロトコルを、固相ペプチド合成に使用する。一方、改良型Merrifield法を含む他の方法が使用されている。
【0124】
PNAモノマーまたは既製のオリゴマーは、PerSeptive Biosystems(Framingham,MA)から市販されている。BocプロトコルまたはFmocプロトコルのいずれかによるPNAの合成は、手動プロトコルまたは自動プロトコルを使用して簡単に実施される(Nortonら、Bioorg Med Chem.1995 4月;3(4):437〜45)。この手動(マニュアル)プロトコルは、それ自体で、化学的に修飾されたPNAの産生または密接に関係するPNAのファミリーの同時合成を導く。
【0125】
ペプチドの合成に関して、特定のPNA合成の成功は、選択した配列の特性に依存する。例えば、理論上、PNAは、ヌクレオチド塩基の任意の組合せを取り込み得るが、隣接するプリンの存在は、産物中に1以上の残基の欠失を導き得る。この困難性の見込みにおいて、隣接するプリンを有するPNAを産生する際に、付加されているようである残基の連結を非効率的に繰り返すべきであることが示唆される。この後、ペプチド合成の間に観測されるのと類似する産物の収率および純度を提供する逆相高圧液体クロマトグラフィーによってPNAを精製するべきである。
【0126】
所与の適用のためのPNAの修飾が、固相合成の間にアミノ酸を連結することによって、または露出されたN末端アミンにカルボン酸基を含む化合物を付加することによって達成され得る。あるいは、PNAは、導入されたリジンまたはシステインに連結することによって合成した後に修飾され得る。PNAが修飾され得る簡便さにより、より良い溶解度または特定の機能的必要条件の最適化を容易にする。一旦合成されると、PNAおよびそれらの誘導体の同定は、質量分析法によって確認され得る。いくつかの研究が、PNAの修飾物を作製および利用した(例えば、Nortonら、Bioorg Med Chem.1995 4月;3(4):437〜45;Petersenら、J Pept Sci.1995 5〜6月;1(3)175〜83;Orumら、Biotechniques.1995 9月;19(3):472〜80;Footerら、Biochemistry.1996 8月 20;35(33):10673〜9;Griffithら、Nucleic Acid Res.1995 8月 11;23(15):3003〜8;Pardridgeら、Proc Natl Acad Sci USA 1995 6月 6;92(12):5592〜6;Boffaら、Proc Natl Acad Sci USA 1995 3月 14;92(6):1901〜5;Gambacorti−Passeriniら、Blood、1996 8月 15;88(4):1411〜7;Armitageら、Proc Natl Acad Sci USA、1997 11月 11;94(23):12320〜5;Seegerら、Biotechniques、1997 9月;23(3):512〜7)。米国特許第5,700,922号は、PNA−DNA−PNAキメラ分子および診断におけるその分子の使用、生物体におけるタンパク質の調節、ならびに治療に対して影響を受け易い状態の処置について議論する。
【0127】
PNAのアンチセンス結合特性を特徴付けする方法は、Rose(Anal Chem、1993 12月 15;65(24):3545〜9)およびJensenら(Biochemistry、1997 4月 22;36(16):5072〜7)において議論される。Roseは、キャピラリーゲル電気泳動を使用して、相対的な結合速度論および化学量論を測定することで、PNAのそれらの相補的オリゴヌクレオチドに対する結合を決定する。同様のタイプの測定が、BIAcoreTM 技術を使用してJensenらによって成された。
【0128】
記載され、そして当業者に明らかであるPNAの他の適用には、DNA鎖の侵入、アンチセンス阻害、変異分析、転写のエンハンサー、核酸の精製、転写活性遺伝子の単離、転写因子結合の阻害、ゲノムの切断、バイオセンサー、インサイチュハイブリダイゼーションなどにおける使用が挙げられる。
【0129】
(ポリヌクレオチドの同定、特徴づけおよび発現)
本発明のポリヌクレオチド組成物は、種々の十分に確立された技術のいずれかを使用して、同定、調製および/または操作され得る(一般に、Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratories,Cold Spring Harbor,NY,1989、および他の類似の参考文献を参照のこと)。例えば、ポリヌクレオチドは、cDNAのマイクロアレイを腫瘍に関連する発現(すなわち、本明細書中で提供される代表的なアッセイを使用して決定する場合、正常な組織における発現よりも、腫瘍での少なくとも2倍高い発現)についてスクリーニングすることによって、以下にさらに詳細に記載されるように、同定され得る。このようなスクリーニングは、例えば、製造者の指示に従って、Affymetrix,Inc.(Santa Clara、CA)のマイクロアレイ技術を使用して、(そして本質的にSchenaら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:10614〜10619,1996およびHellerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:2150〜2155,1997に記載されるように)、行われ得る。あるいは、ポリヌクレオチドは、本明細書中に記載されるタンパク質を発現する細胞(例えば、腫瘍細胞)から調製されるcDNAから増幅され得る。
【0130】
多数の鋳型(テンプレート)依存性プロセスが、サンプル中に存在する目的の標的配列を増幅するために利用可能である。最もよく知られた増幅方法の1つは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCRTM)であり、これは、米国特許第4,683,195号、同第4,683,202号、および同第4,800,159号に詳細に記載され、これらの各々はその全体が本明細書中に参考として援用される。手短に言えば、PCRTMにおいては、標的配列の向かい合った相補鎖上の領域に対して相補的な2つのプライマー配列が調製される。過剰のデオキシヌクレオシド三リン酸を、DNAポリメラーゼ(例えば、Taqポリメラーゼ)とともに反応混合液に添加する。標的配列がサンプル中に存在する場合、プライマーはその標的に結合し、そしてポリメラーゼは、ヌクレオチドを付加することによって標的配列に沿ってプライマーを伸長させる。反応混合液の温度を上昇および下降させることによって、伸長したプライマーは、標的から解離して反応生成物を形成し、過剰のプライマーは標的および反応生成物に結合し、そしてこのプロセスが反復される。好ましくは、逆転写およびPCRTM増幅手順が、増幅されたmRNAの量を定量するために実行され得る。ポリメラーゼ連鎖反応方法論は、当該分野で周知である。
【0131】
多くの他のテンプレート依存性プロセスのいずれか(この多くは、PCRTM増幅技術のバリエーションである)は、当該分野で容易に知られており、利用可能である。例示として、いくつかのこのような方法としては、リガーゼ連鎖反応(LCRともいわれる)(例えば、欧州特許出願公開番号320,308号、米国特許第4,883,750号において記載される);Qβレプリカーゼ(PCT国際特許出願公開番号PCT/US87/00880に記載される);鎖置換増幅(Strand Displacement Amplification)(SDA)および修復鎖反応(Repair Chain Reaction)(RCR)が挙げられる。なお他の増幅法は、英国特許出願番号2 202 328号およびPCT国際特許出願公開番号PCT/US89/01025において記載される。他の核酸増幅手順には、転写に基づく増幅系(TAS)(PCT国際特許出願公開番号WO 88/10315)が挙げられ、これには、核酸配列に基づく増幅(NASBA)および3SRが含まれる。欧州特許出願公開番号329,822は、一本鎖RNA(「ssRNA」)、ssDNA、および二本鎖DNA(dsDNA)をサイクル的に合成する工程を包含する核酸増殖プロセスを記載する。PCT国際特許出願公開番号WO 89/06700は、プロモーター/プライマー配列の標的一本鎖DNA(「ssDNA」)へのハイブリダイゼーションに基づく核酸配列増幅スキーム、引き続くこの配列の多くのRNAコピーの転写を記載する。「RACE」(Frohman、1990)および「片側(one−sided)PCR」(Ohara、1989)のような他の増幅方法がまた、当業者に周知である。
【0132】
本発明のポリヌクレオチドの増幅した部分を使用して、適切なライブラリー(例えば、腫瘍cDNAライブラリー)から周知の技術を使用して全長遺伝子を単離し得る。このような技術において、増幅に適した1以上のポリヌクレオチドプローブまたはプライマーを使用して、ライブラリー(cDNAライブラリーまたはゲノムライブラリー)をスクリーニングする。好ましくは、ライブラリーはより大きな分子を含むようにサイズが選択される。ランダムプライムしたライブラリー(random primed library)もまた、遺伝子の5’領域および上流領域の同定ために好ましくあり得る。ゲノムライブラリーは、イントロンを入手することおよび5’配列を伸長させることについて好ましい。
【0133】
ハイブリダイゼーション技術に関して、部分配列は、周知の技術を使用して標識(例えば、ニックトランスレーションまたは32Pでの末端標識)され得る。次いで、細菌ライブラリーまたはバクテリオファージライブラリーは、一般に、標識プローブと、変性した細菌コロニー(またはファージプラークを含む菌叢)を含むフィルターとをハイブリダイズすることによってスクリーニングされる(Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratories,Cold Spring Harbor,NY,1989を参照のこと)。ハイブリダイズするコロニーまたはプラークを選択し、そして増殖させる。そしてそのDNAをさらなる分析のために単離する。cDNAクローンを、付加配列の量を決定するために、例えば、部分配列由来のプライマーおよびそのベクター由来のプライマーを使用するPCRによって分析し得る。制限酵素地図および部分配列を作成して、1以上の重複クローンを同定し得る。次いで、標準的な技術(これは、一連の欠失クローンを作製することを包含し得る)を使用して完全配列を決定し得る。次いで、得られた重複配列を1つの連続配列中に構築し得る。周知の技術を使用して、適切なフラグメントを連結することにより全長cDNA分子を生成し得る。
【0134】
あるいは、上記のような増幅技術は、部分的なcDNA配列から全長コード配列を得るために有用であり得る。このような増幅技術の1つは、逆(インバース)PCRである(Trigliaら,Nucl.Acids Res.16:8186,1988を参照のこと)。この技術は、制限酵素を使用して、その遺伝子の既知の領域内にフラグメントを生成する。次いで、このフラグメントを分子内連結により環化し、そして既知の領域に由来する多岐したプライマーを用いたPCRのためのテンプレート(鋳型)として使用する。代替のアプローチにおいて、部分配列に隣接した配列を、リンカー配列に対するプライマーおよび既知の領域に特異的なプライマーを使用する増幅により取り出し得る。この増幅した配列を、代表的に、同じリンカープライマーおよび既知の領域に特異的な第2のプライマーを使用する2回目の増幅に供する。既知の配列から反対方向に伸長を開始する2つのプライマーを使用するこの手順についての改変は、WO 96/38591に記載される。そのような別の技術は、「迅速なcDNA末端の増幅」またはRACEとして公知である。この技術は、公知配列の5’および3’である配列を同定するために、内部プライマーおよび外部プライマー(これらは、ポリA領域またはベクター配列にハイブリダイズする)の使用を含む。さらなる技術としては、キャプチャーPCR(Langerstromら,PCR Methods Applic.1:111−19,1991)およびウォーキングPCR(Parkerら、Nucl.Acids.Res.19:3055−60,1991)が挙げられる。増幅を利用する他の方法もまた使用して、全長cDNA配列を入手し得る。
【0135】
特定の場合において、発現配列タグ(EST)データベース(例えば、GenBankより利用可能のもの)に提供される配列の分析により、全長cDNA配列を入手することが可能である。重複ESTの検索は、一般に、周知のプログラム(例えば、NCBI BLAST検索)を使用して行われ得、そしてこのようなESTを使用して連続した全長配列を生成し得る。全長DNA配列はまた、ゲノムフラグメントの分析により入手され得る。
【0136】
本発明の他の実施形態において、本発明のポリペプチドまたはその融合タンパク質もしくは機能的等価物をコードするポリヌクレオチド配列またはそのフラグメントは、適切な宿主細胞におけるポリペプチドの発現を指向するように組換えDNA分子において使用され得る。遺伝コードの固有の縮重に起因して、実質的に同じか、または機能的に等価なアミノ酸配列をコードする他のDNA配列が産生され得、そしてこれらの配列を使用して所定のポリペプチドをクローン化し、そして発現させ得る。
【0137】
当業者によって理解されるように、いくつかの場合において、天然に存在しないコドンを所有するポリペプチドコードヌクレオチド配列を作製することが有利であり得る。例えば、特定の原核生物宿主または真核生物宿主に好まれるコドンは、タンパク質発現の速度を増加させるためか、または所望の特性(例えば、天然に存在する配列から生成される転写物の半減期よりも長い半減期)を有する組換えRNA転写物を産生するように選択され得る。
【0138】
さらに、本発明のポリヌクレオチド配列は、種々の理由(遺伝子産物のクローニング、プロセシング、および/または発現を変更する改変が挙げられるが、それらに限定されない)のためにポリペプチドコード配列を変更するために、当該分野において一般的に公知の方法を使用して操作され得る。例えば、無作為断片化によるDNAシャッフリングならびに遺伝子フラグメントおよび合成オリゴヌクレオチドのPCR再アセンブリを使用して、ヌクレオチド配列を操作し得る。さらに、部位特異的変異誘発を使用して、新たな制限部位を挿入し得るか、グリコシル化パターンを改変し得るか、コドンの優先度(preference)を変化させ得るか、スプライス改変体を作製し得るか、または変異の導入などを行い得る。
【0139】
本発明の別の実施形態において、天然の核酸配列、改変された核酸配列、または組換え核酸配列は、融合タンパク質をコードする異種配列に連結され得る。例えば、ポリペプチド活性のインヒビターについてペプチドライブラリーをスクリーニングするために、市販の抗体により認識され得るキメラタンパク質をコードすることが有用であり得る。融合タンパク質はまた、ポリペプチドコード配列と異種タンパク質配列との間に位置する切断部位を含むように操作され得、その結果そのポリペプチドは、切断されて、そして異種部分から精製されて取り出され得る。
【0140】
所望のポリペプチドをコードする配列が、当該分野において周知の化学的方法を使用して、全体または部分的に合成され得る(Caruthers,M.H.ら、(1980)Nucl.Acids Res.Symp.Ser.215〜223、Horn,T.ら、(1980)Nucl.Acids Res.Symp.Ser.225〜232を参照のこと)。あるいは、タンパク質自体は、ポリペプチドのアミノ酸配列またはその一部を合成するための化学的方法を使用して産生され得る。例えば、ペプチド合成は、種々の固相技術を使用して実施され得(Roberge,J.Y.ら、(1995)Science 269:202〜204)、そして自動化合成は、例えば、ABI 431A Peptide Synthesizer(Perkin Elmer,Palo Alto,CA)を使用して達成され得る。
【0141】
新たに合成されたペプチドは、分取高速液体クロマトグラフィー(例えば、Creighton,T.(1983)Proteins,Structures and Molcular Principles,WH Freeman and Co.,New York,N.Y.)または当該分野において利用可能な他の同等技術により実質的に精製され得る。合成ペプチドの組成は、アミノ酸分析または配列決定(例えば、エドマン分解手順)により確認され得る。さらに、ポリペプチドのアミノ酸配列またはその任意の部分は、直接合成の間改変されて、そして/または化学的方法を使用して、他のタンパク質もしくはその任意の部分に由来する配列と組み合わせられて、改変体ポリペプチドを産生し得る。
【0142】
所望のポリペプチドを発現させるために、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列または機能的等価物は、適切な発現ベクター(すなわち、挿入されたコード配列の転写および翻訳のために必要なエレメントを含むベクター)内に挿入され得る。当業者に周知である方法を使用して、目的のポリペプチドをコードする配列ならびに適切な転写制御エレメントおよび翻訳制御エレメントを含む発現ベクターを構築し得る。これらの方法としては、インビトロ組換えDNA技術、合成技術、およびインビボ遺伝子組換えが挙げられる。そのような技術は、例えば、Sambrook,J.ら、(1989)Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press,Plainview,N.Y.,およびAusubel,F.M.ら、(1989)Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,New York.N.Y.に記載される。
【0143】
種々の発現ベクター/宿主系が、ポリヌクレオチド配列を含み、そして発現させるように利用され得る。これらとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:微生物(例えば、組換えバクテリオファージ、プラスミド、またはコスミドDNA発現ベクターで形質転換した細菌);酵母発現ベクターで形質転換した酵母;ウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)で感染させた昆虫細胞系;ウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)または細菌発現ベクター(例えば、TiもしくはpBR322プラスミド)で形質転換した植物細胞系;あるいは動物細胞系。
【0144】
発現ベクター内に存在する「制御エレメント」または「調節配列」は、転写および翻訳を実行するように宿主細胞タンパク質と相互作用する、それらのベクターの非翻訳領域(エンハンサー、プロモーター、5’および3’非翻訳領域)である。そのようなエレメントは、その長さおよび特異性を変更し得る。利用されるベクター系および宿主に依存して、多数の適切な転写エレメントおよび翻訳エレメント(構成的プロモーターおよび誘導性プロモーターを含む)が使用され得る。例えば、細菌系においてクローニングする場合、誘導性プロモーター(例えば、PBLUESCRIPTファージミド(Stratagene,La Jolla,Calif.)またはPSPORT1プラスミド(Gibco BRL,Gaithersburg,MD)などのハイブリッドlacZプロモーター)が使用され得る。哺乳動物細胞系において、哺乳動物遺伝子または哺乳動物ウイルスに由来するプロモーターが、一般的に好ましい。ポリペプチドをコードする配列の複数のコピーを含む細胞株を生成することが必要とされる場合、SV40またはEBVベースのベクターが、適切な選択マーカーと共に有利に使用され得る。
【0145】
細菌系において、多数の発現ベクターのいずれかが、発現されるポリペプチドに対して意図される使用に依存して選択され得る。例えば、大量に必要とされる場合(例えば、抗体の誘導のために)、容易に精製される融合タンパク質の高レベルの発現を指向するベクターが使用され得る。そのようなベクターとしては、以下が挙げられるがそれらに限定されない:多機能性E.coliクローニングベクターおよび発現ベクター(例えば、BLUESCRIPT(Stratagene)、ここでは目的のポリペプチドをコードする配列が、β−ガラクトシダーゼのアミノ末端Metおよびそれに引続く7残基についての配列とインフレームでベクター内に連結され得、その結果、ハイブリッドタンパク質が産生される);pINベクター(Van Heeke,G.およびS.M.Schuster(1989)J.Biol.Chem.264:5503−5509)など。pGEXベクター(Promega,Madison,Wis.)もまた、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として外来ポリペプチドを発現させるために使用され得る。一般的に、そのような融合タンパク質は、可溶性であり、そしてグルタチオン−アガロースビーズに吸着させ、次に遊離のグルタチオンの存在下において溶出させることによって、溶解した細胞から容易に精製され得る。そのような系において作製されたタンパク質は、ヘパリン、トロンビン、または第XA因子プロテアーゼ切断部位を含むように設計され得、その結果、クローニングされた目的のポリペプチドが、随意にGST部分から放出され得る。
【0146】
酵母(Saccharomyces cerevisiae)において、構成的プロモーターまたは誘導性プロモーター(例えば、α因子、アルコールオキシダーゼおよびPGH)を含む多数のベクターが使用され得る。概説については、Ausubelら、(前出)およびGrantら、(1987)Methods Enzymol.153:516−544を参照のこと。
【0147】
植物発現ベクターを使用する場合において、ポリペプチドをコードする配列の発現は、任意の多数のプロモーターにより駆動され得る。例えば、ウイルスプロモーター(例えば、CaMVの35Sプロモーターおよび19Sプロモーター)は、単独でか、またはTMVに由来するωリーダー配列と組み合わせて使用され得る(Takamatsu,N.(1987)EMBO J.6:307−311)。あるいは、植物プロモーター(例えば、RUBISCOの小サブユニットまたは熱ショックプロモーター)を使用し得る(Coruzzi,G.ら、(1984)EMBO J.3:1671−1680;Broglie,R.ら、(1984)Science 224:838−843;およびWinter,Jら、(1991)Results Probl.Cell Differ.17:85−105)。これらの構築物は、直接的DNA形質転換または病原体媒介性トランスフェクションによって植物細胞内に導入され得る。そのような技術は、多数の一般的に入手可能な概説に記載されている(例えば、Hobbs,S.またはMurry,L.E.,McGraw Hill Yearbook of Science and Technology(1992)McGraw Hill,New York,N.Y.;191−196頁を参照のこと)。
【0148】
昆虫系はまた、目的のポリペプチドを発現させるために使用され得る。例えば、そのような1つの系において、オートグラファカリフォルニア核発汗病ウイルス(Autographa californica nuclear polyhedrosis virus)(AcNPV)は、Spodoptera frugiperda細胞またはTrichoplusia larvaeにおいて外来遺伝子を発現させるベクターとして使用される。ポリペプチドをコードする配列は、ウイルスの非必須領域内(例えば、ポリへドリン(polyhedrin)遺伝子)にクローニングされ得て、ポリへドリンプロモーターの制御下に置かれ得る。ポリペプチドコード配列の首尾良い挿入は、ポリへドリン遺伝子を不活性化し、そしてコートタンパク質を欠損している組換えウイルスを産生する。次いで、この組換えウイルスを使用して、例えば、目的のポリペプチドが発現され得る、S.frugiperda細胞またはTrichoplusia larvaeに感染させ得る(Engelhard,E.K.ら、(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.91:3224−3227)。
【0149】
哺乳動物宿主細胞において、多数のウイルスベースの発現系が一般的に利用可能である。例えば、アデノウイルスが発現ベクターとして使用される場合において、目的のポリペプチドをコードする配列は、後期プロモーターおよび3部からなるリーダー配列から構成されるアデノウイルス転写/翻訳複合体内に連結され得る。ウイルスゲノムの非必須E1またはE3領域における挿入を使用して、感染した宿主細胞においてポリペプチドを発現し得る、生存可能ウイルスを入手し得る(Logan,J.およびShenk,T.(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.81:3655−3659)。さらに、転写エンハンサー(例えば、ラウス肉腫ウイルス(RSV)エンハンサー)を使用して、哺乳動物宿主細胞における発現を増加させ得る。
【0150】
特定の開始シグナルはまた、目的のポリペプチドをコードする配列のより効率的な翻訳を達成するために使用され得る。そのようなシグナルとしては、ATG開始コドンおよび隣接配列が挙げられる。ポリペプチドをコードする配列、その開始コドンおよび上流配列が適切な発現ベクター内に挿入される場合において、さらなる転写制御シグナルまたは翻訳制御シグナルは必要とされなくとも良い。しかし、コード配列のみ、またはその一部のみが挿入される場合、ATG開始コドンを含む外因性翻訳制御シグナルが提供されるべきである。さらに、開始コドンは、インサート全体の翻訳を確実にするために、正確なリーディングフレーム内にあるべきである。外因性翻訳エレメントおよび開始コドンは、種々の起源(天然および合成の両方)に由来し得る。発現の効率は、使用される特定の細胞系に適切なエンハンサー(例えば、文献(Scharf,D.ら、(1994)Results Probl.Cell Differ.20:125−162)に記載されるエンハンサー)の封入によって増大され得る。
【0151】
さらに、宿主細胞株は、挿入された配列の発現を調節するか、または所望の様式において発現されたタンパク質をプロセシングするその能力について選択され得る。ポリペプチドのそのような改変としては、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、リピデーション(lipidation)およびアシル化が挙げられるが、これらに限定されない。タンパク質の「プレプロ」形態を切断する翻訳後プロセシングはまた、正確な挿入、折り畳みおよび/または機能を促進させるために使用され得る。異なる宿主細胞(例えば、CHO、COS、HeLa、MDCK、HEK293およびWI38)(これらは、そのような翻訳後活性についての特定の細胞機構(machinery)および特徴的機構(mechanisms)を有する)は、正確な改変および外来タンパク質のプロセシングを確実にするように選択され得る。
【0152】
長期間の組換えタンパク質の高収率の産生のために、安定な発現が一般的に好ましい。例えば、目的のポリヌクレオチドを安定に発現する細胞株が、ウイルス複製起点および/または内因性発現エレメントならびに同じかもしくは別個のベクター上の選択マーカー遺伝子を含み得る、発現ベクターを使用して形質転換され得る。そのベクターの導入後、細胞は、それらが選択培地に切換えられる前に、富化(enriched)培地において1〜2日間の増殖が可能とされ得る。選択マーカーの目的は、選択に対する耐性を与えることであり、そしてその存在は、導入された配列を首尾良く発現する細胞の増殖および回収を可能とする。安定に形質転換された細胞の耐性クローンは、その細胞型に適切な組織培養技術を使用して、増殖され得る。
【0153】
多数の選択系を使用して、形質転換細胞株を回収し得る。これらの選択系としては、それぞれ、tk.sup.−細胞またはaprt.sup−細胞において使用され得る、単純疱疹ウイルスチミジンキナーゼ(Wigler,M.ら、(1977)Cell 11:223−32)およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowy,I.ら、(1990)Cell 22:817−23)遺伝子が挙げられるが、これらに限定されない。また、代謝拮抗剤耐性、抗生物質耐性または除草剤耐性は、選択のための基礎として使用され得る;例えば、dhfr(これは、メトトレキセートに対する耐性を与える(Wigler,M.ら、(1980)Proc.Natl.Acad.Sci.77:3567−70));npt(これは、アミノグリコシド、ネオマイシンおよびG−418に対する耐性を与える(Colbere−Garapin,F.ら、(1981)J.Mol.Biol.150:1−14));ならびにalsまたはpat(これらは、それぞれ、クロルスルフロンおよびホスフィノスリシンアセチルトランスフェラーゼに対する耐性を与える(Murry、前出))。さらなる選択遺伝子が記載されている。例えば、trpB(これは、細胞がトリプトファンの代わりにインドールを利用することを可能にする)またはhisD(これは、細胞がヒスチジンの代わりにヒスチノールを利用することを可能にする)(Hartman,S.C.およびR.C.Mulligan(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.85:8047−51)。アントシアニン、β−グルクロニダーゼおよびその基質のGUS、ならびにルシフェラーゼおよびその基質のルシフェリンのようなマーカーを用いる、可視マーカーの使用の人気が高くなっており、形質転換体を同定するためのみならず、特定のベクター系に起因し得る一過性のタンパク質発現または安定なタンパク質発現の量を定量するためにもまた広範に使用されている(Rhodes,C.A.ら、(1995)Methods Mol.Biol.55:121−131)。
【0154】
マーカー遺伝子発現の存在/非存在は、目的の遺伝子もまた存在するということを示唆しているが、その存在および発現は、確認されることを必要とし得る。例えば、ポリペプチドをコードする配列が、マーカー遺伝子配列内に挿入される場合、配列を含む組換え細胞は、マーカー遺伝子機能の非存在により同定され得る。あるいは、マーカー遺伝子は、1つのプロモーターの制御下にポリペプチドコード配列と直列に配置され得る。誘導または選択に応じてのマーカー遺伝子の発現は、通常、その直列遺伝子の発現も同様に示す。
【0155】
あるいは、所望のポリヌクレオチド配列を含み、かつ発現する宿主細胞は、当業者に公知の種々の手順によって同定され得る。これらの手順としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:核酸またはタンパク質の検出および/または定量化のための、例えば、膜ベースの技術、溶液ベースの技術、またはチップベースの技術を含む、DNA−DNAハイブリダイゼーション技術もしくはDNA−RNAハイブリダイゼーション技術およびタンパク質バイオアッセイ技術またはイムノアッセイ技術。
【0156】
ポリヌクレオチドコード化産物に特異的なポリクローナル抗体もしくはモノクローナル抗体のいずれかを使用して、ポリヌクレオチドコード化産物の発現を検出および測定するための種々のプロトコルは、当該分野において公知である。例としては、酵素結合免疫測定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)および蛍光活性化セルソーティング(FACS)が挙げられる。所定のポリペプチド上の2つの非干渉性エピトープに対して反応性であるモノクローナル抗体を利用する2つの部位の、モノクローナルベースのイムノアッセイが、いくつかの適用のために好まれ得るが、競合的結合アッセイもまた、利用され得る。これらのアッセイおよび他のアッセイは、とりわけHampton,R.ら、(1990;Serological Methods,a Laboratory Manual,APS Press,St Paul.Minn.)およびMaddox,D.E.ら、(1983;J.Exp.Med.158:1211−1216)に記載される。
【0157】
広範に種々の標識技術および結合技術は、当業者に公知であり、そして種々の核酸アッセイおよびアミノ酸アッセイにおいて使用され得る。ポリヌクレオチドに関連する配列を検出するための標識されたハイブリダイゼーションまたはPCRプローブを作製するための手段としては、オリゴ標識(oligolabeling)、ニックトランスレーション、末端標識または標識されたヌクレオチドを使用するPCR増幅が挙げられる。あるいは、mRNAプローブの産生のために、配列またはその任意の部分が、ベクター内にクローニングされ得る。そのようなベクターは、当該分野において公知であり、市販されており、そして適切なRNAポリメラーゼ(例えば、T7、T3、またはSP6)および標識されたヌクレオチドを添加することにより、RNAプローブをインビトロで合成するために使用され得る。これらの手順は、種々の市販キットを使用して実施され得る。使用され得る適切なレポーター分子または標識としては、放射性核種、酵素、蛍光、化学発光、または色素形成剤ならびに基質、コファクター(補因子)、インヒビター、磁気粒子などが挙げられる。
【0158】
目的のポリヌクレオチド配列で形質転換された宿主細胞は、タンパク質の発現および細胞培養物からの回収に適した条件下において培養され得る。組換え細胞により産生されたタンパク質は、使用された配列および/またはベクターに依存して、細胞内に分泌され得るかまたは含まれ得る。当業者によって理解されるように、本発明のポリヌクレオチドを含む発現ベクターは、原核細胞膜または真核細胞膜を介して、コードされたポリペプチドの分泌を指向するシグナル配列を含むように設計され得る。他の組換え構築物を使用して、目的のポリペプチドをコードする配列を、可溶性タンパク質の精製を促進するポリペプチドドメインをコードするヌクレオチド配列に結合させ得る。そのような精製促進ドメインとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:固定された金属上での精製を可能にする金属キレート化ペプチド(例えば、ヒスチジン−トリプトファンモジュール)、固定された免疫グロブリン上での精製を可能にするプロテインAドメイン、およびFLAGS伸長/アフィニティー精製システム(Immunex Corp.,Seattle,Wash.)において利用されるドメイン。精製ドメインとコードされるポリペプチドとの間への、切断可能なリンカー配列(例えば、第XA因子またはエンテロキナーゼに対して特異的な配列(Invitrogen.San Diego,Calif.))の封入を使用して、精製を促進させ得る。そのような発現ベクターの1つは、目的のポリペプチドを含む融合タンパク質およびチオレドキシンまたはエンテロキナーゼ切断部位の前に6つのヒスチジン残基をコードする核酸の発現を提供する。ヒスチジン残基は、Porath,J.ら、(1992、Prot.Exp.Purif.3:263−281)に記載されるように、IMIAC(固定化金属イオンアフィニティークロマトグラフィー)上での精製を促進する一方で、エンテロキナーゼ切断部位は、融合タンパク質から所望のポリペプチドを精製するための手段を提供する。融合タンパク質を含むベクターの考察は、Kroll,D.J.ら、(1993;DNA Cell Boil.12:441−453)において提供される。
【0159】
組換え産生方法に加えて、本発明のポリペプチドおよびそのフラグメントは、固相技術(Merrifield J.(1963)J.Am.Chem.Soc.85:2149−2154)を使用する、直接的ペプチド合成によって産生され得る。タンパク質合成は、手動技術を使用してか、または自動化によって実施され得る。自動化合成は、例えば、Applied Biosystems 431Aペプチド合成装置(Perkin Elmer)を使用して、達成され得る。あるいは、種々のフラグメントは、別々に化学的に合成されて、そして全長分子を産生するために化学的方法を使用して組み合わせられ得る。
【0160】
(抗体組成物、そのフラグメントおよび他の結合因子)
別の局面によると、本発明はさらに、本明細書中で開示される腫瘍ポリペプチドに対して、またはその一部の改変体もしくは誘導体に対して免疫学的結合を示す結合因子(例えば、抗体およびその抗原結合フラグメント)を提供する。抗体、またはその抗原結合フラグメントとは、本発明のポリペプチドに対して、「特異的に結合する」こと、「免疫学的に結合する」ことを言い、そして/または、それが(例えば、ELISAアッセイにおいて)検出可能なレベルでそのポリペプチドと反応し、かつ類似の条件下で非関連ポリペプチドと検出可能に反応しない場合、「免疫学的に反応性」であると言う。
【0161】
この文脈で使用される場合、免疫学的結合は、一般に、免疫グロブリン分子と、この免疫グロブリンが特異的な抗原との間で起こるタイプの非共有結合的な相互作用をいう。免疫学的結合相互作用のの強度または親和性は、相互作用の解離定数(Kd)の観点から表現され得、ここで、より小さいKdは、より大きな親和性を示す。選択されたポリペプチドの免疫学的結合特性は、当該分野で周知の方法を使用して、定量され得る。1つのこのような方法は、抗原結合部位/抗原複合体形成および解離の速度を測定する工程を必要とし、ここで、これらの速度は、複合体パートナーの濃度、相互作用の親和性、および両方の方向における速度に等しく影響を与える幾何学的パラメータに依存する。従って、両方の「会合速度定数(on rate constant)」(Kon)および「解離速度定数(off rate constant)」(Koff)の両方が、濃度ならびに会合および解離の実際の速度を計算することによって決定され得る。Koff/Konの比は、親和性に関係しない全てのパラメータの排除を可能にし、そして従って、解離定数Kdに等しい。一般的には、Daviesら(1990) Annual Rev.Biochem.59:439−473を参照のこと。
【0162】
抗体の「抗原結合部位」または「結合部分」は、抗原結合に関係する免疫グロブリン分子の部分をいう。この抗原結合部位は、重鎖(「H」)および軽鎖(「L」)のN末端可変(「V」)領域のアミノ酸残基によって形成される。重鎖および軽鎖のV領域内の3つの高度に分岐したストレッチが、「超可変領域」といわれ、これは、「フレームワーク領域」または「FR」として公知のより保存された隣接ストレッチの間に挿入される。従って、用語「FR」は、免疫グロブリンの超可変領域の間で、それに隣接して天然に見出されるアミノ酸配列をいう。抗体分子において、軽鎖の3つの超可変領域および重鎖の3つの超可変領域が、3次元空間において互いに相対的に配置されて、抗原結合表面を形成する。この抗原結合表面は、結合した抗原の3次元表面に相補的であり、そして重鎖および軽鎖の各々の3つの超可変領域は、「相補性決定領域」またたは「CDR」といわれる。
【0163】
結合因子は、本明細書中に提供される代表的なアッセイを使用して、癌(例えば、肺癌)を有する患者と有さない患者との間をさらに区別し得る。例えば、腫瘍タンパク質に結合する抗体または他の結合因子は、好ましくは、この疾患を有する患者の少なくとも約20%、より好ましくは患者の少なくとも約30%において、癌の存在を示すシグナルを生成する。あるいは、または加えて、この抗体は、癌を有さない個体の少なくとも約90%において、この疾患の非存在を示す陰性シグナルを生成する。結合因子が、この要求を満たすか否かを決定するために、癌(標準的な臨床試験によって決定されるような)を有する患者および有さない患者からの生物学的サンプル(例えば、血液、血清、痰、尿および/または腫瘍生検)が、この結合因子に結合するポリペプチドの存在について、本明細書に記載されるようにアッセイされ得る。好ましくは、疾患を有するサンプルおよび有さないサンプルの統計的に有意な数が、アッセイされる。各結合因子は、上記の基準を満足すべきである;しかし、当業者は、結合因子が、組合せて使用されて、感度を改善し得ることを認識する。
【0164】
上記の要求を満足する任意の薬剤は、結合因子であり得る。例えば、結合因子は、ペプチド成分を含むか含まないリボソーム、RNA分子またはポリペプチドであり得る。好ましい実施形態において、結合因子は、抗体またはその抗原結合フラグメントである。抗体は、当業者に公知の種々の技術のいずれかによって、調製され得る。例えば、HarlowおよびLane、Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,1988を参照のこと。一般に、抗体は、細胞培養技術(本明細書に記載されるようなモノクローナル抗体の生成を含む)によって、または組換え抗体の生成を可能にするために、適切な細菌細胞宿主または哺乳動物細胞宿主への抗体遺伝子のトランスフェクションを介して、生成され得る。1つの技術において、このポリペプチドを含む免疫原が、最初に、広範な種々の哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジまたはヤギ)のいずれかに注射される。この工程において、本発明のポリペプチドは、改変を有さない免疫原として機能し得る。あるいは、特に、比較的短いポリペプチドについて、優れた免疫応答が、このポリペプチドがキャリアタンパク質(例えば、ウシ血清アルブミンまたはキーホールリンペットヘモシアニン)に結合される場合に、惹起され得る。この免疫原は、好ましくは、1回以上のブースト免疫を組み込む所定のスケジュールに従って、動物宿主に注射され、そしてこれらの動物が、定期的に採血される。このポリペプチドに特異的なポリクローナル抗体は、次いで、例えば、適切な固体支持体に結合されたポリペプチドを使用するアフィニティークロマトグラフィーによって、このような抗血清から精製され得る。
【0165】
目的の抗原性ポリペプチドに特異的なモノクローナル抗体が、例えば、KohlerおよびMilstein,Eur.J.Immunol.6:511−519,1976の技術およびその改善物を使用して、調製され得る。簡潔には、これらの方法は、所望の特異性(すなわち、目的のポリペプチドとの反応性)を有する抗体を生成し得る不死細胞株の調製を含む。このような細胞株は、例えば、上記のように免疫された動物から得られる脾臓細胞から生成され得る。次いで、この脾臓細胞が、例えば、骨髄腫細胞融合パートナー、好ましくは、免疫された動物と同系であるものとの融合によって不死化される。種々の融合技術が使用され得る。例えば、脾臓細胞および骨髄腫細胞は、数分間、非イオン性界面活性剤と組合され、次いで、ハイブリッド細胞の増殖は支持するが、骨髄腫細胞の増殖は支持しない選択培地に低密度でプレートされ得る。好ましい選択技術は、HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)選択を使用する。十分な時間の後、通常、約1〜2週間の後、ハイブリッドのコロニーが観察される。単一コロニーを選択し、そしてそれらの培養上清を、このポリペプチドに対する結合活性について試験する。高い反応性および特異性を有するハイブリドーマが好ましい。
【0166】
モノクローナル抗体は、増殖ハイブリドーマコロニーの上清から単離され得る。さらに、種々の技術が、収量を増加させるために使用され得、この技術は、例えば、適切な脊椎動物宿主(例えば、マウス)の腹腔へのハイブリドーマ細胞株の注入である。次いで、モノクローナル抗体が、腹水または血液から回収され得る。混入物が、従来の技術(例えば、クロマトグラフィー、ゲル濾過、沈澱、および抽出)によって抗体から除去され得る。本発明のポリペプチドは、例えば、アフィニティートクロマトグラフィー工程における精製プロセスにおいて使用され得る。
【0167】
抗体分子の免疫学的結合特性を示し得る抗原結合部位を含む多くの治療的に有効な分子が、当該分野で公知である。このタンパク質分解性酵素パパインは、優先的に、IgG分子を切断して、いくつかのフラグメントを生じさせ、これら(「F(ab)フラグメント」)のうちの2つの各々は、インタクトな抗原結合部位を含む共有結合ヘテロダイマーを含む。酵素ペプシンは、IgG分子を切断して、いくつかのフラグメント(両方の抗原結合部位を含む「F(ab’)2」フラグメントを含む)を提供し得る。「Fv」フラグメントは、IgM、および稀有な場合にはIgGまたはIgA免疫グロブリン分子の優先的なタンパク質分解的切断によって生成され得る。しかし、Fvフラグメントは、当該分野で公知の組換え技術を使用して、より一般的に誘導される。Fvフラグメントは、非共有結合的なVH::VLヘテロダイマーを含み、このへテロダイマーは、ネイティブな抗体分子の抗原認識および結合能力のほとんどを保持する抗原結合部位を含む。Inbarら(1972)Proc.Nat.Acad.Sci.USA 69:2659−2662;Hochmanら(1976)Biochem 15:2706−2710;およびEhrlichら(1980)Biochem 19:4091−4096。
【0168】
単鎖Fv(「sFv」)ポリペプチドは、共有結合されたVH::VLヘテロダイマーであり、このヘテロダイマーは、ペプチドをコードするリンカーによって連結されたVHをコードする遺伝子およびVLをコードする遺伝子を含む遺伝子融合物から発現される。Hustonら(1988)Proc.Nat.Acad.Sci.USA 85(16):5879−5883。抗体V領域からの自然に凝集する(化学的には分離された)ポリペプチド軽鎖および重鎖を、sFv分子に転換するための化学構造を識別するための多くの方法が記述され、このsFvは、抗原結合部位の構造に実質的に類似する3次元構造に折り畳まれる。例えば、米国特許第5,091,513号および同第5,132,405号(Hustonら);ならびに米国特許第4,946,778号(Ladnerら)を参照のこと。
【0169】
上記分子の各々は、重鎖および軽鎖CDRセットを含み、各々は、CDRSへの支持を提供し、そして互いに対してCDRの空間的関係を規定する重鎖および軽鎖FRセットの間に挿入される。本明細書中で使用される場合、用語「CDRセット」は、重鎖または軽鎖V領域の3つの超可変領域をいう。重鎖または軽鎖のN末端から進んで、これらの領域は、各々、「CDR1」、「CDR2」および「CDR3」と表記される。従って、抗原結合部位は、6つのCDRを含み、この6つのCDRは、重鎖および軽鎖V領域の各々からのCDRセットを含む。単一CDR(例えば、CDR1、CDR2、またはCDR3)を含むポリペプチドは、本明細書中で「分子認識ユニット」といわれる。多くの抗原−抗体複合体の結晶学的分析により、CDRのアミノ酸残基は、結合した抗原との広範な接触を形成することが立証され、ここで、最も広範な抗原接触は、重鎖CDR3とである。従って、分子認識ユニットは、主に、抗原結合部位の特異性の原因である。
【0170】
本明細書中で使用される場合、用語「FRセット」は、重鎖または軽鎖のV領域のCDRセットのCDRを構成する、4つの隣接アミノ酸配列をいう。いくつかのFR残基は、結合抗原と接触し得る;しかし、FRは、主に、V領域を抗原結合部位、特にCDRSに直接隣接するFR残基に折り畳む原因である。FRにおいて、特定のアミノ酸残基および特定の構造特徴が、非常に高度に保存される。この点において、全てのV領域配列は、約90アミノ酸残基の内部ジスルフィドループを含む。V領域が、結合部位に折り畳まれる場合、このCDRは、抗原結合表面を形成する突出したループモチーフとして表示される。正確なCDRアミノ酸配列に関わらず、特定の「正準」構造に折り畳まれたCDRループの形状に影響するFRの保存された構造領域が存在することが一般的に認識される。さらに、特定のFR残基は、抗体重鎖および軽鎖の相互作用を安定化する非共有結合的なドメイン間接触に関係することが知られている。
【0171】
非ヒト免疫ブログリン由来の抗原結合部位を含む、多くの「ヒト化」抗体分子が記載され、この抗体分子には、げっ歯類V領域およびヒト定常領域に融合されたそれらの会合CDR(Winterら(1991)Nature 349:293−299;Lobuglioら(1989)Proc.Nat.Acad.Sci.USA 86:4220−4224;Shawら(1987)J Immunol.138:4534−4538;およびBrownら(1987)Cancer Res.47:3577−3583)、適切なヒト抗体定常ドメインとの融合の前に、ヒト支持FRにグラフトされたげっ歯類CDR(Riechmannら(1988)Nature 332:323−327;Verhoeyenら(1988)Science 239:1534−1536;およびJonesら(1986)Nature 321:522−525)、ならびに組換えベニアリングされた(recombinantly veneered)げっ歯類FRによって支持されるげっ歯類CDR(欧州特許公開番号519,596(1992年12月23日公開)を含むキメラ抗体が挙げられる。これらの「ヒト化」分子は、ヒトレシピエントにおけるこれらの部分の治療的適用の持続期間および有効性を制限するげっ歯類抗ヒト抗体分子に対する所望されない免疫学的応答を最小化するように設計される。
【0172】
本明細書中で使用される場合、用語「ベニアリングされたFR」および「組換えベニアリングされたFR」は、ネイティブのFRポリペプチド折り畳み構造の実質的に全てを保持する抗原結合部位を含む異種分子を提供するために、例えば、げっ歯類重鎖または軽鎖のV領域からのFR残基のヒトFR残基での選択的置換をいう。ベニアリング技術は、抗原結合部位のリガンド結合特徴が、主に抗原結合表面内の重鎖および軽鎖のCDRセットの構造および相対的な配置によって決定されるという理解に基づく。Daviesら(1990)Ann.Rev.Biochem.59:439−473。従って、抗原結合特異性は、CDR構造、互いとのそれらの相互作用、およびV領域ドメインの残りとのそれらの相互作用が注意深く維持されるヒト化抗体のみにおいて保存され得る。ベニアリング技術を使用することによって、外部(例えば、溶媒がアクセス可能な)FR残基(これは、免疫系に容易に遭遇する)は、ヒト残基と選択的に置換されて、弱い免疫原性ベニアリング表面または実質的に非免疫原性のベニアリング表面のいずれかを含むハイブリッド分子を提供する。
【0173】
ベニアリングのプロセスは、Sequences of Proteins of Immunological Interest,第4版(U.S.Dept.of Health and Human Services,U.S.Government Printing Office,1987)において、Kabatらによって編集されたヒト抗体可変ドメインについての利用可能な配列データを使用し、Kabatデータベースに更新され、そして他の米国および海外のアクセス可能なデータベース(核酸およびタンパク質の両方)を使用する。V領域アミノ酸の溶媒アクセス可能性は、ヒトおよびマウス抗体フラグメントについての既知の3次元構造から推定され得る。マウス抗原結合部位をベニアリングする際に2つの一般的な工程が存在する。最初に、目的の抗体分子の可変ドメインのFRが、上記の供給源から得られたヒト可変ドメインの対応するFR配列と比較される。次いで、最も相同的なヒトV領域が、対応するマウスアミノ酸と、残基ごとに比較される。ヒト対応物とは異なるマウスFRにおける残基は、当該分野において周知の組換え技術を使用して、ヒト部分に存在する残基によって置換される。残基スイッチングは、少なくとも部分的に露出した(溶媒アクセス可能である)部分を用いて実施されるのみであり、そしてV領域ドメインの三次構造に対する有意な効果を有し得るアミノ酸残基(例えば、プロリン、グリシンおよび荷電したアミノ酸)の置換において、注意がなされる。
【0174】
この様式において、得られた「ベニアリングされた」マウス抗原結合部位は、従って、マウスCDR残基、CDRに実質的に隣接する残基、埋没したかほとんど埋没した(溶媒のアクセスが不可能)として同定された残基、重鎖ドメインと軽鎖ドメインとの間の非共有結合的な(例えば、静電的および疎水的)接触に関係すると考えられる残基、およびCDRループの「正準」三次構造に影響を与えると考えられるFRの保存された構造領域からの残基を保持するように設計される。次いで、これらの設計基準は、ヒト様FRへのマウス抗原結合部位の軽鎖および重鎖の両方のCDRを組合せる組換えヌクレオチド配列を調製するために使用され、このヒト様FRは、マウス抗体分子の抗原特異性を示す組換えヒト抗体の発現のために哺乳動物細胞をトランスフェクトするために使用され得る。
【0175】
本発明の別の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体は、1つ以上の治療剤に結合され得る。この点に関して、適切な薬剤としては、放射性核種、分化インデューサー、薬物、毒素、およびそれの誘導体が挙げられる。好ましい放射性核種としては、90Y、123I、125I、131I、186Re、188Re、211Atおよび212Biが挙げられる。好ましい薬物としては、メトトレキサート、ならびにピリミジンおよびプリンアナログが挙げられる。好ましい分化インデューサーとしては、ホルボールエステルおよび酪酸が挙げられる。好ましい毒素としては、リシン、アブリン、ジフテリア毒素、コレラ毒素、ゲロニン、Pseudomonas体外毒素、Shigella毒素、およびアメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質が挙げられる。
【0176】
治療剤は、適切なモノクローナル抗体に直接的または間接的に(例えば、リンカー基を介して)のいずれかで結合(例えば、共有結合)され得る。薬剤と抗体との間の直接的な反応は、各々が他のものと反応し得る置換基を有する場合に可能である。例えば、一方の上の求核基(例えば、アミノ基またはスルフヒドリル基)は、他方のカルボニル含有基(例えば、酸無水物または酸ハロゲン化物)または良好な脱離基(例えば、ハロゲン化物)を含むアルキル基と反応し得る。
【0177】
あるいは、リンカー基を介して治療剤と抗体とを結合させることが所望され得る。リンカー基は、結合の可能性を妨げることを回避するために、抗体を薬剤から隔てるためのスペーサーとして機能し得る。リンカー基はまた、薬剤または抗体上の置換基の化学的反応性を増加させるように働き得、従って結合効率を増大させる。化学的反応性の増大はまた、薬剤または薬剤上の官能基の使用を促進し得る(さもなければ、可能ではない)。
【0178】
種々の二官能性または多官能性試薬、ホモ官能性とヘテロ官能性との両方(例えば、Pierce Chemical Co.,Rockford,ILのカタログ中に記載されるもの)が、リンカー基として使用され得ることが当業者には明らかである。結合は、例えば、アミノ基、カルボキシル基、スルフヒドリル基、または酸化された炭水化物残基を介してもたらされ得る。このような方法論を記載する多数の参考文献(例えば、Rodwellらに対する米国特許第4,671,958号)が存在する。
【0179】
本発明の免疫結合体の抗体部分がないときに治療剤がより強力である場合、細胞中へのインターナリゼーションの間に、またはその際に切断可能なリンカー基を使用することが望ましくあり得る。多数の異なる切断可能なリンカー基が記載されている。これらのリンカー基からの薬剤の細胞内放出についての機構は、ジスルフィド結合の還元(例えば、Spitlerへの米国特許第4,489,710号)、感光性結合の照射(例えば、Senterらへの米国特許第4,625,014号)、誘導体化されたアミノ酸側鎖の加水分解(例えば、Kohnらへの米国特許第4,638,045号)、血清補体媒介性加水分解(例えば、Rodwellらへの米国特許第4,671,958号)、および酸触媒加水分解(例えば、Blattlerらへの米国特許第4,569,789号)による切断を含む。
【0180】
1つより多い薬剤を抗体に結合させることが望ましくあり得る。1つの実施形態において、薬剤の複数の分子が1つの抗体分子に結合される。別の実施形態において、1つより多い型の薬剤が1つの抗体に結合され得る。特定の実施形態に関わらず、1つより多い薬剤を有する免疫結合体は、種々の方法で調製され得る。例えば、1つより多い薬剤が、抗体分子に直接的に結合され得るか、または付着のための複数の部位を提供するリンカーが使用され得る。あるいは、キャリアが使用され得る。
【0181】
キャリアは、種々の方法(直接的にかまたはリンカー基を介するかのいずれかの共有結合を含む)で薬剤を保有し得る。適切なキャリアとしては、アルブミンのようなタンパク質(例えば、Katoらへの米国特許第4,507,234号)、ペプチド、およびアミノデキストランのような多糖類(例えば、Shihらへの米国特許第4,699,784号)が挙げられる。キャリアはまた、例えばリポソーム小胞内に、非共有結合によってかまたはカプセル化によって、薬剤を保有し得る(例えば、米国特許第4,429,008号および同第4,873、088号)。放射性核種薬剤に特異的なキャリアは、放射性ハロゲン化低分子およびキレート化合物を含む。例えば、米国特許第4,735,792号は、代表的な放射性ハロゲン化低分子およびそれらの合成を開示する。放射性核種キレートは、金属、または金属酸化物、放射性核種を結合するためのドナー原子として窒素原子および硫黄原子を含むものを含む、キレート化合物から形成され得る。例えば、Davisonらへの米国特許第4,673,562号は、代表的なキレート化合物およびそれらの合成を開示する。
【0182】
(T細胞組成物)
別の局面において、本発明は、本明細書中に開示される腫瘍ポリペプチドに特異的なT細胞、または本明細書中に開示される腫瘍ポリペプチドの改変体もしくは誘導体に特異的なT細胞を提供する。このような細胞は、一般的に標準的手順を使用して、インビトロまたはエキソビボで調製され得る。例えば、T細胞は、市販の細胞分離システム(例えば、IsolexTMシステム(Nexell Therapeutics,Inc.(Irvine,CA;米国特許第5,240,856号;米国特許第5,215,926号;WO89/06280;WO91/16116およびWO92/07243もまた参照のこと)から入手可能)を使用して、患者の骨髄、末梢血あるいは骨髄または末梢血の画分中から単離され得る。あるいは、T細胞は、関連または無関連のヒト、非ヒト動物、細胞株または培養物から誘導され得る。
【0183】
T細胞は、ポリペプチド、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドおよび/またはそのようなポリペプチドを発現する抗原提示細胞(APC)を用いて刺激され得る。このような刺激は、目的のポリペプチドに特異的であるT細胞の生成を可能にする条件下および十分な時間、行われる。好ましくは、本発明の腫瘍ポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、送達ビヒクル(例えば、ミクロスフェア)中に存在して、特定のT細胞の生成を容易にする。
【0184】
T細胞は、このT細胞が、特異的に増殖するか、サイトカインを分泌するか、または本発明のポリペプチドで被覆されるか、もしくはこのポリペプチドをコードする遺伝子を発現する標的細胞を殺傷する場合に、本発明のポリペプチドに特異的であるとみなされる。T細胞特異性は、種々の標準的技術のいずれかを使用して評価され得る。例えば、クロム放出アッセイまたは増殖アッセイにおいて、ネガティブコントロールと比較して、溶解および/または増殖における2倍を超える増加の刺激指標は、T細胞特異性を示す。このようなアッセイは、例えば、Chenら、Cancer Res.54:1065−1070,1994に記載されるように、実行され得る。あるいは、T細胞の増殖の検出は、種々の公知の技術によって達成され得る。例えば、T細胞増殖は、DNA合成の速度の増加を測定することによって検出され得る(例えば、トリチウム化チミジンでT細胞の培養物をパルス標識し、そしてDNAに取り込まれたトリチウム化チミジンの量を測定することによって)。3〜7日間の腫瘍ポリペプチド(100ng/ml〜100μg/ml、好ましくは、200ng/ml〜25μg/ml)との接触は、代表的に、T細胞の増殖において少なくとも2倍の増加を生じる。2〜3時間の上記のような接触は、標準的なサイトカインアッセイを使用して測定されるように(ここで、サイトカイン(例えば、TNFまたはIFN−γ)放出のレベルの2倍の増加が、T細胞の活性化を示す)、T細胞の活性化を生じるはずである(Coliganら、Current Protocols in Immunology,第1巻、Wiley Interscience(Greene 1998)を参照のこと)。腫瘍ポリペプチド、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド発現APCに応答して活性化されたT細胞は、CD4+および/またはCD8+であり得る。腫瘍ポリペプチド特異的T細胞は、標準的な技術を使用して拡大され得る。好ましい実施形態において、T細胞は、患者、関連するドナーまたは無関連のドナーに由来し、そして刺激および拡大後にその患者に投与される。
【0185】
治療目的で、腫瘍ポリペプチド、ポリヌクレオチドまたはAPCに応答して増殖するCD4+T細胞またはCD8+T細胞は、インビトロまたはインビボのいずれかで大量に拡大され得る。このようなT細胞のインビトロでの増殖は、種々の方法で達成され得る。例えば、T細胞は、T細胞増殖因子(例えば、インターロイキン−2)の添加を伴うか、または伴わずに、腫瘍ポリペプチド、またはこのようなポリペプチドの免疫原性部分に対応する短いペプチドに対して再曝露され得、そして/または腫瘍ポリペプチドを合成する刺激細胞に対して再曝露され得る。あるいは、腫瘍ポリペプチドの存在下で増殖する1つ以上のT細胞は、クローニングによって数の上で拡大され得る。細胞をクローニングするための方法は、当該分野で周知であり、そしてこれらとしては、限界希釈が挙げられる。
【0186】
(T細胞レセプター組成物)
T細胞レセプター(TCR)は、ジスルフィド結合によって連結されている、2つの異なる、非常に可変性のポリペプチド鎖(T細胞レセプターのα鎖およびβ鎖と呼ばれる)からなる(Janeway,Travers、Walport.Immunobiology.第4版、148〜159.Elsevier Science Ltd/Garland Publishing.1999)。このα/βヘテロダイマー(異種二量体)は、細胞膜で不変のCD3鎖と複合体化する。この複合体は、MHC分子に結合した特定の抗原性ペプチドを認識する。TCR特異性の膨大な多様性は、体細胞遺伝子再配列により、まるで免疫グロブリンの多様性のように生成される。このβ鎖遺伝子は、50を超える可変性領域(V)、2つの多様性領域(D)、10を超える連結セグメント(J)、および2つの定常領域セグメント(C)を含む。α鎖遺伝子は、70を超えるVセグメント、および60を超えるJセグメントを含むが、Dセグメントを含まず、そして1つのCセグメントを含む。胸腺におけるT細胞発達の間、β鎖のD〜J遺伝子再配列が生じ、続いて、V遺伝子セグメントのDJへの再配列が生じる。この機能的VDJβエキソンは、転写され、そしてスプライシングされてCβに連結される。α鎖に関しては、Vα遺伝子セグメントは、Jα遺伝子セグメントに再配列して、機能的エキソンを形成し、これが次に転写され、Cαにスプライシングされてる。多様性は、さらにβ鎖のVセグメントと、Dセグメントと、Jセグメントとの間、そしてα鎖のVセグメントと、Jセグメントとの間のPおよびN−ヌクレオチドの無作為な付加によって、組み換えプロセスの間にさらに増大する(Janeway,Travers,Walport.Immunobiology.第4版、98および150.Elsevier Science Ltd/Garland Publishing.1999)。
【0187】
本発明は、別の局面において、本明細書に開示のポリペプチド、またはその改変体もしくは誘導体に特異的なTCRを提供する。本発明に従って、本明細書に記載の腫瘍ポリペプチドを認識する、T細胞レセプターのα鎖およびβ鎖について、V−JもしくはV−D−J接合領域、またはその部分について、ポリヌクレオチドおよびアミノ酸の配列が提供される。一般に、本発明のこの局面は、MHCの文脈において提示される腫瘍ポリペプチドを認識するか、またはそれに結合するT細胞レセプターに関する。好ましい実施形態において、T細胞レセプターによって認識される腫瘍抗原は、本発明のポリペプチドを含む。例えば、腫瘍ペプチドに特異的なTCRをコードするcDNAは、標準的な分子生物学技術および組み換えDNA技術を用いて、腫瘍ポリペプチドに特異的なT細胞から単離され得る。
【0188】
本発明はさらに、腫瘍ポリペプチドを認識するか、またはそれに結合する、本発明のT細胞レセプターと実質的に同じ機能または活性を有する、T細胞レセプターまたはそのアナログを包含する。このようなレセプターとしては、本明細書に提供されるT細胞レセプターの、レセプターフラグメント、または本明細書に提供されるT細胞レセプターの、置換、付加、もしくは欠失の変異体が挙げられるがこれらに限定されない。本発明はまた、本明細書に提供されるT細胞レセプターに実質的に相同であるか、または実質的に同じ活性を保持する、ポリペプチドまたはペプチドを包含する。用語「アナログ」とは、本明細書に提供されるT細胞レセプターと実質的に同一のアミノ酸残基配列(ここで、1つ以上の残基、好ましくは5残基以下、より好ましくは、25残基以下が、機能的に類似の残基で保存的に置換されている)を有し、そして本明細書に記載のようなT細胞レセプターの機能的局面を示す、任意のタンパク質またはポリペプチドを含む。
【0189】
本発明はさらに、適切な哺乳動物宿主細胞であって、本明細書に記載のポリペプチドに特異的なTCRをコードするポリヌクレオチドでトランスフェクトされている(これによって、この宿主細胞はこのポリペプチドに特異的にされる)、適切な哺乳動物宿主細胞、例えば、非特異的T細胞を提供する。TCRのα鎖およびβ鎖は、別々の発現ベクターに含まれ得るか、または単一の発現ベクター(これはまた、リボソーム内侵入部位(IRES)の下流の遺伝子のcap依存性翻訳のためのIRESを含む)に含まれ得る。このポリペプチドに特異的なTCRを発現するこの宿主細胞は、例えば、以下にさらに考察されるような肺癌の養子免疫療法のために、用いられ得る。
【0190】
本発明のさらなる局面において、本明細書に挙げたポリペプチドに特異的なクローニングされたTCRは、肺癌の診断のためのキットに用いられ得る。例えば、腫瘍特異的TCRの核酸配列またはその一部は、生物学的サンプル中で、特定のTCRをコードする再配列された遺伝子の発現を検出するためのプローブまたはプライマーとして用いられ得る。従って、本発明はさらに、ポリペプチドに特異的なTCRをコードするメッセンジャーRNAまたはDNAを検出するためのアッセイを提供する。
【0191】
(薬学的組成物)
さらなる実施形態において、本発明は、細胞または動物への投与のための、単独でかまたは治療の1つ以上の他の様相と組合わせてかのいずれかでの、薬学的に受容可能なキャリア中の本明細書中に開示される1つ以上のポリヌクレオチド、ポリペプチド、T細胞および/または抗体組成物の処方物に関する。
【0192】
所望される場合、本明細書中に開示される組成物が、他の薬剤(例えば、他のタンパク質もしくはポリペプチドまたは種々の薬学的に活性な薬剤など)と組合わせても同様に投与され得ることが、理解される。事実、さらなる薬剤が標的細胞または宿主細胞と接触した際に有意な有害な影響をもたらさないとすれば、さらに含まれ得る他の成分に実質的に制限はない。従って、この組成物は、特定の例において必要とされる種々の他の薬剤と共に送達され得る。このような組成物は、宿主細胞または他の生物学的供給源から精製され得るか、あるいは、本明細書中に記載されるように化学的合成され得る。同様に、このような組成物はさらに、置換または誘導体化されたRNA組成物またはDNA組成物を含み得る。
【0193】
従って、本発明の別の局面において、生理学的に受容可能なキャリアと組合わせた、本明細書中に記載される1つ以上のポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体、および/またはT細胞組成物を含む薬学的組成物が、提供される。特定の好ましい実施形態において、本発明の薬学的組成物は、予防ワクチン適用および治療ワクチン適用における使用のための、本発明の免疫原性ポリヌクレオチド組成物および/または免疫原性ポリペプチド組成物を含む。ワクチン調製物は、一般的に、例えば、M.F.PowellおよびM.J.Newman編、「Vaccine Design(the subunit and adjuvant approach)」、Plenum Press(NY,1995)に記載される。一般的にこのような組成物は、1つ以上の免疫刺激剤と組合わせた、本発明のポリヌクレオチド組成物および/またはポリペプチド組成物の1つ以上を含む。
【0194】
本明細書中に記載される任意の薬学的組成物が、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドの薬学的に受容可能な塩を含み得ることは、明らかである。このような塩は、例えば、薬学的に受容可能な非毒性の塩基(有機塩基(例えば、一級アミン、二級アミンおよび三級アミンならびに塩基性アミノ酸の塩)および無機塩基(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩およびマグネシウム塩)を含む)から調製され得る。
【0195】
別の実施形態において、本発明の例示的な免疫原性組成物(例えば、ワクチン組成物)は、上記のようなポリペプチドの1つ以上をコードするDNAを含み、その結果このポリペプチドは、インサイチュで生成される。上記のように、ポリヌクレオチドは、当業者に公知の種々の送達系の内のいずれかで投与され得る。実際、多数の遺伝子送達技術(例えば、Rolland,Crit.Rev.Therap.Drug Carrier Systems 15:143−198,1998およびこの中に引用される参考文献に記載される遺伝子送達技術)が、当該分野で周知である。当然、適切なポリヌクレオチド発現系は、患者における発現のための必要な調節性のDNA調節配列(例えば、適切なプロモーターおよび終結シグナル)を含む。あるいは、細菌送達系は、その細胞表面上にポリペプチドの免疫原性部分を発現するか、またはエピトープなどを分泌する細菌(例えば、Bacillus−Calmette−Guerrin)の投与を含み得る。
【0196】
従って、特定の実施形態において、本明細書中に記載される免疫原性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、多数の公知のウイルスに基づく系のうちのいずれかを用いて、発現のための適切な哺乳動物宿主細胞に導入される。1つの例示的な実施形態において、レトロウイルスが、遺伝子送達系のための簡便かつ有効な基盤を提供する。本発明のポリペプチドをコードする選択されたヌクレオチド配列は、当該分野で公知の技術を用いて、ベクターに挿入され得、そしてレトロウイルス粒子にパッケージングされ得る。次いで、組換えウイルスが、単離され、そして被験体に送達され得る。多数の例示的なレトロウイルス系が、記載されている(例えば、米国特許第5,219,740号;MillerおよびRosman(1989)BioTechniques 7:980−990;Miller,A.D.(1990)Human Gene Therapy 1:5−14;Scarpaら(1991)Virology 180:849−852;Burnsら(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:8033−8037;ならびにBoris−LawrieおよびTemin(1993)Cur.Opin.Genet.Develop.3:102−109)。
【0197】
さらに、多数の例示的なアデノウイルスに基づく系もまた、記載されている。宿主ゲノムに組込むレトロウイルスとは異なり、アデノウイルスは、染色体外に残り、このようにして、挿入変異誘発に関連する危険性を最小化する(Haj−AhmadおよびGraham(1986)J.Virol.57:267−274;Bettら(1993)J.Virol.67:5911−5921;Mitterederら(1994)Human Gene Therapy 5:717−729;Sethら(1994)J.Virol.68:933−940;Barrら(1994)Gene Therapy 1:51−58;Berkner,K.L.(1988)BioTechniques 6:616−629;ならびにRichら(1993)Human Gene Therapy 4:461−476)。
【0198】
種々のアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター系もまた、ポリヌクレオチド送達に関して開発されている。AAVベクターは、当該分野で周知の技術を用いて容易に構築され得る。例えば、米国特許第5,173,414号および同第5,139,941号;国際公開番号WO 92/01070およびWO 93/03769;Lebkowskiら(1988)Molec.Cell.Biol.8:3988−3996;Vincentら(1990)Vaccines 90(Cold Spring Harbor Laboratory Press);Carter,B.J.(1992)Current Opinion in Biotechnology 3:533−539;Muzyczka,N.(1992)Current Topics in Microbiol.and Immunol.158:97−129;Kotin,R.M.(1994)Human Gene Therapy 5:793−801;ShellingおよびSmith(1994)Gene Therapy 1:165−169;ならびにZhouら(1994)J.Exp.Med.179:1867−1875を参照のこと。
【0199】
遺伝子移入による、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを送達するのに有用なさらなるウイルスベクターとしては、ポックスウイルスのファミリー(例えば、ワクシニアウイルスおよび鳥類ポックスウイルス)から誘導されるものが挙げられる。例として、新規分子を発現するワクシニアウイルスの組換え体は、以下のように構築され得る。ポリペプチドをコードするDNAを最初に、ワクシニアプロモーターおよび隣接ワクシニアDNA配列(例えば、チミジンキナーゼ(TK)をコードする配列)に隣接するように、適切なベクターに挿入する。次いで、このベクターを使用して、ワクシニアで同時に感染させる細胞にトランスフェクトする。相同組換えによって、ワクシニアプロモーターおよび目的のポリペプチドをコードする遺伝子を、ウイルスゲノムに挿入する。生じるTK.sup.(−)組換え体を、5−ブロモデオキシウリジンの存在下でこの細胞を培養し、そして5−ブロモデオキシウリジンに耐性のウイルスプラークをピックアップすることによって、選択し得る。
【0200】
ワクシニアに基づく感染/トランスフェクション系は、生物の宿主細胞における、本明細書中に記載される1つ以上のポリペプチドの誘導可能な一過性発現または同時発現を提供するために、好都合に使用され得る。この特定の系において、細胞を最初に、インビトロで、バクテリオファージT7 RNAポリメラーゼをコードするワクシニアウイルスの組換え体で感染させる。このポリメラーゼは、それがT7プロモーターを保有する鋳型のみを転写する点で、鋭敏な特異性を示す。感染後、細胞を、T7プロモーターによって駆動される目的のポリヌクレオチドでトランスフェクトさせる。ワクシニアウイルスの組換え体から細胞質中で発現されるポリメラーゼは、トランスフェクトされたDNAをRNAに転写し、このRNAは次いで、宿主翻訳機構によってポリペプチドに翻訳される。この方法は、大量のRNAおよびその翻訳産物の、高レベルで一過性の細胞質産生を提供する。例えば、Elroy−SteinおよびMoss,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1990)87:6743−6747;Fuerstら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1986)83:8122−8126を参照のこと。
【0201】
あるいは、アビポックスウイルス(avipoxvirus)(例えば、鶏痘ウイルスおよびカナリア痘ウイルス)もまた使用されて、目的のコード配列を送達し得る。哺乳動物病原体由来の免疫原を発現する組換えアビポックスウイルスは、非鳥類種に投与された場合に、防御免疫を与えることが公知である。アビポックスベクターの使用は、ヒトおよび他の哺乳動物種において特に望ましい。なぜなら、アビポックス属のメンバーは、感受性の鳥類種においてのみ生産的に複製し得、故に、哺乳動物細胞において感染性ではないからである。組換えアビポックスウイルスを産生するための方法は、当該分野で公知であり、そしてワクシニアウイルスの産生に関して上記に記載されるように、遺伝子組換えを使用する。例えば、WO 91/12882;WO 89/03429;およびWO 92/03545を参照のこと。
【0202】
多数のアルファウイルスベクターのいずれかもまた、本発明のポリヌクレオチド組成物の送達のために使用され得、これらとしては、米国特許第5,843,723号;同第6,015,686号;同第6,008,035号および同第6,015,694号に記載されるベクターが挙げられる。ベネズエラウマ脳脊髄炎(VEE)に基づく特定のベクターもまた、使用され得、この例示的な例は、米国特許第5,505,947号および同第5,643,576号に見出され得る。
【0203】
さらに、分子結合体化ベクター(例えば、Michaelら、J.Biol.Chem.(1993)268:6866〜6869およびWagnerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1992)89:6099〜6103に記載のアデノウイルスキメラベクター)がまた、本発明における遺伝子送達に用いられ得る。
【0204】
これらおよび他の公知のウイルスベースの送達系に対するさらなる例示的情報は、例えば、以下に見出され得る:Fisher−Hochら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:317〜321、1989;Flexnerら、Ann.N.Y.Acad.Sci.569:86〜103、1989;Flexnerら、Vaccine 8:17〜21、1990;米国特許第4,603,112号、同第4,769,330号および同第5,017,487号;WO89/01973;米国特許第4,777,127号;GB 2,200,651:EP 0,345,242号;WO 91/02805;Berkner、Biotechniques 6:616〜627、1988;Rosenfeldら、Science 252:431〜434、1991;Kollsら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:215〜219、1994;Kass−Eislerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:11498〜11502、1993;Guzmanら、Circulation 88:2838〜2848、1993;ならびにGuzmanら、Cir.Res.73:1202〜1207、1993。
【0205】
特定の実施形態において、ポリヌクレオチドを標的細胞のゲノムに組み込み得る。この組み込みは、相同組み換え(遺伝子置換)を介して特定の位置および方向であり得るか、または無作為な非特異的位置に組み込まれ得る(遺伝子増大)。なおさらなる実施形態において、ポリヌクレオチドはDNAの別のエピソームセグメントとして細胞において安定に維持され得る。このようなポリヌクレオチドセグメントすなわち「エピソーム」は、宿主細胞の周期に独立してまたは同調して維持および複製を可能にするのに十分な配列をコードする。発現構築物が細胞に送達され、そしてこの細胞中にこのポリヌクレオチドが残る様式は、使用される発現構築物のタイプに依存する。
【0206】
本発明の別の実施形態において、例えば、Ulmerら、Science 259:1745〜1749、1993に記載され、そしてCohen、Science 259:1691〜1692、1993によって概説されるように、ポリヌクレオチドは、「裸の」DNAとして投与/送達される。裸のDNAの取り込みは、生分解性ビーズ(これは、細胞に効率的に輸送される)上にそのDNAをコーティングすることによって増加され得る。
【0207】
なお別の実施形態において、本発明の組成物は、微粒子銃アプローチ(その多くが記載されている)を介して送達され得る。1つの代表的な例において、ガス駆動粒子加速(gas−driven acceleration)は、Powderject Pharmaceuticals PLC(Oxford,UK)およびPowderject Vaccines Inc.(Madison,WI)によって製造されたデバイスのようなデバイスで達成され得る。そのいくつかの例は、米国特許第5,846,796号;同第6,010,478号;同第5,865,796号;同第5,584,807号;および欧州特許番号第0500799号に記載されている。このアプローチは、注射針のない(無注射針)(ニードルフリー)送達アプローチを提供する。ここでは、微視的な粒子(例えば、ポリヌクレオチド粒子、またはポリペプチド粒子)の乾燥粉末処方物を、手持ちデバイスによって生成されたヘリウムガスジェット内で高速に加速し、目的の標的組織内へ粒子を噴射する。
【0208】
関連の実施形態において、本発明の組成物のガス駆動注射針なし注入に有用であり得る他のデバイスおよび方法は、Bioject,Inc.(Portland,OR)によって提供されるものが挙げられ、そのいくつかの例は、米国特許第4,790,824号;同第5,064,413号;同第5,312,335号;同第5,383,851号;同第5,399,163号;同第5,520,639号;および同第5,993,412号に記載されている。
【0209】
別の実施形態に従って、本明細書に記載される薬学的組成物は、本発明の免疫原性ポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体、T細胞および/またはAPC組成物に加えて、1つ以上の免疫賦活剤(免疫刺激因子)を含む。免疫賦活剤とは、本質的に、外因性抗原に対する免疫応答(抗原および/または細胞媒介)を増大または増強する任意の物質をいう。免疫賦活剤の1つの好ましい型は、アジュバントを含む。多くのアジュバントは、迅速な異化作用から抗原を保護するように設計された物質(例えば、水酸化アルミニウムまたは鉱油)および免疫応答の刺激物質(例えば、脂質A、Bortadella pertussisまたはMycobacterium tuberculosis誘導化タンパク質)を含む。特定のアジュバント、例えば、フロイント不完全アジュバントおよびフロイント完全アジュバント(Difco Laboratories,Detroit,MI);Merck Adjuvant 65(Merck and Company,Inc.,Rahway,NJ);AS−2(SmithKline Beecham,Philadelphia,PA);アルミニウム塩(例えば、水酸化アルミニウムゲル(ミョウバン)またはリン酸アルミニウム);カルシウム,鉄または亜鉛の塩;アシル化チロシンの不溶性懸濁液;アセチル化糖;カチオンの誘導化多糖またはアニオンの誘導化多糖;ポリフォスファーゼン(polyphosphazene);生分解性ミクロスフェア:モノホスホリル脂質Aおよびモノホスホリルクイル(quil)Aとして、市販されている。サイトカイン(例えば、GM−CSF、インターロイキン−2、インターロイキン−7、インターロイキン−12および成長因子のような他のもの)はまた、アジュバントとして使用され得る。
【0210】
本発明の特定の実施形態において、アジュバント組成物は、Th1型の免疫応答を優勢に誘導するものが好ましい。高レベルのTh1型サイトカイン(例えば、IFN−γ、TNFα、IL−2およびIL−12)は、投与される抗原に対する細胞媒介性応答の誘導を支持する傾向がある。対照的に、高レベルのTh2型サイトカイン(例えば、IL−4、IL−5、IL−6およびIL−10)は、体液性免疫応答の誘導を支持する傾向がある。本明細書中に提供されるようなワクチンの適用の後、患者は、Th1型応答およびTh2型応答を含む免疫応答を支持する。応答が優勢にTh1型である好ましい実施形態において、Th1型サイトカインのレベルは、Th2型サイトカインのレベルより高い程度まで増加する。これらのサイトカインのレベルは、標準的アッセイを使用して容易に評価され得る。サイトカインのファミリーの概説については、MosmannおよびCoffman、Ann.Rev.Immunol.7:145〜173、1989を参照のこと。
【0211】
Th1型優勢の応答を誘発するための特定の好ましいアジュバントは、例えば、モノホスホリルリピドA、好ましくは3−de−O−アシル化モノホスホリルリピドAとアルミニウム塩との組み合わせを含む。MPL(登録商標)アジュバントは、Corixa Corporation(Seattle,WA;例えば、米国特許第4,436,727号;同第4,877,611号;同第4,866,034号および同第4,912,094号を参照のこと)から入手可能である。CpG含有オリゴヌクレオチド(ここで、CpGジヌクレオチドはメチル化されていない)はまた、Th1優勢の応答を誘導する。このようなオリゴヌクレオチドは周知であり、そして例えばWO96/02555、WO99/33488ならびに米国特許第6,008,200号および同第5,856,462号に記載される。免疫賦活剤DNA配列がまた、例えば、Satoら、Science 273:352,1996によって記載される。別の好ましいアジュバントは、サポニン(例えば、Quil A)、またはその誘導体(QS21およびQS7(Aquila Biopharmaceuticals Inc.,Framingham,MA)を含む);Escin;Digitonin(ジキトニン);またはGypsophilaもしくはChenopodium quinoaサポニンを含む。他の好ましい処方物としては、本発明のアジュバントの組み合わせ、例えば、QS21、QS7、Quil A、β−エスシン、またはジギトニンを含む以下の群のうち少なくとも2つの組み合わせ、において1つより多いサポニンを含む。
【0212】
あるいは、このサポニン処方物は、キトサン、または他のポリカチオン性ポリマーからなるワクチンビヒクル、ポリラクチドおよびポリラクチド−co−グリコリド粒子、ポリ−N−アセチルグルコサミンベースのポリマーマトリックス、ポリサッカライドまたは化学的に改変されたポリサッカライドからなる粒子、リポソームおよび脂質ベースの粒子、グリセロールモノエステルからなる粒子、などと組み合わせられ得る。サポニンはまた、コレステロールの存在下で処方されて、リポソームまたはISCOMのような粒子構造を形成し得る。さらに、サポニンは、非粒子的溶液もしくは懸濁液で、または小数層リポソームもしくはISCOMのような粒子状構造で、ポリオキシエチレンエーテルまたはエステルと一緒に処方され得る。サポニンはまた、Carbopol(登録商標)のような賦形剤と一緒に処方されて、粘度を増大され得るか、またはラクトースのような粉末賦形剤とともに乾燥粉末形態に処方され得る。
【0213】
1つの好ましい実施形態において、アジュバント系は、モノホスホリルリピドAとサポニン誘導体との組み合わせ(例えば、WO94/00153に記載されるような、QS21と3D−MPL(登録商標)アジュバントとの組み合わせ、またはWO96/33739に記載されるような、QS21がコレステロールでクエンチ(quench)される、あまり反応発生的(reactogenic)でない組成物)を含む。他の好ましい処方物は、水中油型エマルジョンおよびトコフェロールを含む。水中油型エマルジョン中のQS21、3D−MPL(登録商標)アジュバントおよびトコフェロールを使用する、別の特に好ましいアジュバント処方物は、WO95/17210に記載されている。
【0214】
別の強化されたアジュバント系は、CpG含有オリゴヌクレオチドとサポニン誘導体の組み合わせを含み、特にCpGとQS21の組み合わせがWO00/09159に開示されている。好ましくは、この処方物は、さらに、水中油型エマルジョンおよびトコフェノールを含む。
【0215】
本発明の薬学的組成物における使用のためのさらなる代表的アジュバントとしては、Montanide ISA 720(Seppic,France)、SAF(Chiron,California,United States)、ISCOMS(CSL)、MF−59(Chiron)、アジュバントのSBASシリーズ(例えば、SBAS−2またはSBAS−4(SmithKline Beecham、Rixensart、Belgiumから入手可能)、Detox(Enhanzyn(登録商標))(Corixa,Hamilton,MT)、RC−529(Corixa,Hamilton,MT)および他のアミノアルキルグルコサミニド4−ホスフェート(AGP)(例えば、係属中の米国出願登録番号08/853,826および09/074,720(これらの開示は、その全体が本明細書中に参考として援用される)に記載されるアジュバント)、ならびにWO 99/52549A1に記載のポリオキシエチレンエーテルアジュバントのようなアジュバントが挙げられる。
【0216】
他の好ましいアジュバントは、一般式(I):HO(CH2CH2O)n−A−Rのアジュバント分子を含み、
ここで、nは、1〜50であり、Aは、結合または−C(O)−であり、Rは、C1〜50アルキルまたはフェニルC1〜50アルキルである。
【0217】
本発明の1つの実施形態は、一般式(I)のポリオキシエチレンエーテルを含むワクチン処方物からなり、ここで、nは、1と50との間、好ましくは4〜24、最も好もしくは9であり、このR成分は、C1〜50、好ましくはC4〜C20アルキル、そして最も好ましくはC12アルキルであり、そしてAは、結合である。ポリオキシエチレンエーテルの濃度は、0.1〜20%の範囲、好ましくは0.1〜10%、そして最も好ましくは0.1〜1%の範囲にあるべきである。好ましいポリオキシエチレンエーテルは、以下の群から選択される:ポリオキシエチレン−9−ラウロイルエーテル、ポリオキシエチレン−9−ステアリル(steoryl)エーテル、ポリオキシエチレン−8−ステアリル(steoryl)エーテル、ポリオキシエチレン−4−ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−35−ラウリルエーテルおよびポリオキシエチレン−23−ラウリルエーテル。ポリオキシエチレンラウリルエーテルのようなポリオキシエチレンエーテルは、Merckインデックス(第12版、7717項目)に記載される。これらのアジュバント分子は、WO99/52549に記載される。
【0218】
上記の一般式(I)に従うポリオキシエチレンエーテルは、所望の場合、別のアジュバントと組み合わせられ得る。例えば、好ましいアジュバントの組み合わせは、好ましくは、係属中の英国特許出願第GB9820956.2号に記載されるようなCpGとの組み合わせである。
【0219】
本発明の別の実施形態に従って、本明細書に記載される免疫原性組成物は、抗原提示細胞(APC)(例えば、樹状細胞、マクロファージ、B細胞、単球、および有効なAPCであるように操作され得る他の細胞)を介して宿主に送達される。このような細胞は、抗原を提示する能力を増大するように、T細胞応答の活性化および/または維持を改良するように、それ自体で抗腫瘍効果を有するように、そして/あるいは受け手と免疫学的に適合性(すなわち、一致するHLAハプロタイプ)であるように遺伝学的に改変されてもよいが、改変される必要はない。APCは、一般に、種々の生物学的な流体および器官(腫瘍および腫瘍周辺組織を含む)のいずれかから単離されてもよいし、そして自己細胞、同種異系細胞、同系細胞、または異種細胞であってもよい。
【0220】
本発明の特定の好ましい実施形態は、抗原提示細胞として、樹状細胞またはその前駆細胞を使用する。樹状細胞は、高度に強力なAPCであり(BanchereauおよびSteinman、Nature 392:245−251、1998)、そして予防的または治療的な抗腫瘍免疫性を誘発するための生理学的アジュバントとして有効であることが示されてきた(TimmermanおよびLevy、Ann.Rev.Med.50:507−529、1999を参照のこと)。一般に、樹状細胞は、それらの代表的な形状(インサイチュでは星状、インビトロでは目に見える顕著な細胞質プロセス(樹状突起)を有する)、高い効率で抗原を取り込み、プロセシングし、そして提示するそれらの能力、および未処理のT細胞応答を活性化するそれらの能力に基づいて同定され得る。もちろん樹状細胞は、インビボまたはエキソビボで樹状細胞上に通常見出されない特定の細胞表面レセプターまたはリガンドを発現するように操作され得、このような改変樹状細胞は本発明によって意図される。樹状細胞の代替として、分泌小胞抗原装荷樹状細胞(secreted vesicles antigen−loaded dendritic cell)(エキソソーム(exosome)と呼ばれる)がワクチン内で使用され得る(Zitvogelら、Nature Med.4:594−600,1998を参照のこと)。
【0221】
樹状細胞および前駆細胞は、末梢血、骨髄、腫瘍浸潤細胞、腫瘍周辺組織浸潤細胞、リンパ節、脾臓、皮膚、臍帯血、または任意の他の適切な組織もしくは流体から得られ得る。例えば、樹状細胞は、末梢血から収集された単球の培養物に、GM−CSF、IL−4、IL−13および/またはTNFαのようなサイトカインの組み合わせを添加することによってエキソビボで分化され得る。あるいは、末梢血、臍帯血または骨髄から収集されたCD34陽性細胞は、培養培地にGM−CSF、IL−3、TNFα、CD40リガンド、LPS、flt3リガンドおよび/または樹状細胞の分化、成熟、および増殖を誘導する他の化合物の組み合わせを添加することによって、樹状細胞に分化され得る。
【0222】
樹状細胞は、「未熟」細胞および「成熟」細胞として都合良く分類され、このことは、2つの充分に特徴付けられた表現型の間を単純な方法で区別することを可能にする。しかしこの命名は、あらゆる可能な分化の中間段階を排除すると解釈されるべきではない。未熟な樹状細胞は、抗原の取り込みおよびプロセシングの高い能力を有するAPCとして特徴付けられ、この能力は、Fcγレセプターおよびマンノースレセプターの高度な発現と相関する。成熟表現型は、代表的に、クラスIおよびクラスII MHC、接着分子(例えば、CD54およびCD11)ならびに同時刺激性分子(例えば、CD40、CD80、CD86および4−1BB)のようなT細胞活性化を担う細胞表面分子の高度な発現ではなく、これらのマーカーのより低い発現によって特徴付けられる。
【0223】
APCは、一般に、本発明のポリヌクレオチド(またはその部分もしくは他の改変体)を用いてトランスフェクトされ得、その結果、このコードされたポリペプチドまたはその免疫原性部分が細胞表面上に発現される。このようなトランスフェクションはエキソビボで生じ得、次いでこのようなトランスフェクトされた細胞を含む薬学的組成物は、本明細書中に記載されるように、治療目的のために使用され得る。あるいは、樹状細胞または他の抗原提示細胞を標的とする遺伝子送達ビヒクルが、患者に投与され得、インビボで起こるトランスフェクションを生じる。樹状細胞のインビボおよびエキソビボでのトランスフェクションは、例えば、WO97/24447に記載される方法、またはMahviら、Immunology and cell Biology 75:456−460、1997によって記載される遺伝子銃アプローチのような当該分野で公知の任意の方法を使用して一般に実施され得る。樹状細胞の抗原ローディングは、樹状細胞または前駆細胞を、腫瘍ポリペプチド、DNA(裸のもしくはプラスミドベクター中の)またはRNA;あるいは抗原発現性組換え細菌またはウイルス(例えば、牛痘、鶏痘、アデノウイルスまたはレンチウイルスのベクター)とインキュベートすることによって達成され得る。ローディングの前に、ポリペプチドは、T細胞補助を提供する免疫学的パートナー(例えば、キャリア分子)に共有結合され得る。あるいは、樹状細胞は、別々にまたはポリペプチドの存在下で、結合していない免疫学的パートナーでパルスされ得る。
【0224】
当業者に公知の任意の適切なキャリアが、本発明の薬学的組成物において使用され得るが、このタイプのキャリアは、代表的に投与の様式に依存して変化する。本発明の組成物は、投与の任意の適切な様式、例えば、局所投与、経口投与、経鼻投与、粘膜投与、静脈投与、頭蓋内投与、腹腔内投与、皮下投与、および筋肉内投与を含む様式のために処方され得る。
【0225】
このような薬学的組成物内での使用のためのキャリアは、生体適合性であり、そしてまた生分解性であり得る。特定の実施形態において、好ましくは、この処方物は比較的一定レベルの活性成分の放出を提供する。しかし、他の実施形態において、投与直後のより迅速な放出速度が所望され得る。このような組成物の処方は十分に、公知の技術を使用する当業者のレベル内である。この点に関して有用な例示的なキャリアとしては、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリアクリレート、ラテックス、デンプン、セルロース、デキストランなどの微粒子が挙げられる。他の例示的な徐放性キャリアとしては、非液性(non−liquid)親水性コア(例えば、架橋ポリサッカリドまたはオリゴサッカリド)を含む超分子バイオベクター、ならびに必要に応じて、両親媒性化合物を含む外部層(例えば、リン脂質)(例えば、米国特許第5,151,254号およびPCT出願WO94/20078、WO/94/23701およびWO96/06638を参照のこと)を含む超分子バイオベクターが挙げられる。徐放性処方物内に含まれる活性な化合物の量は、移植の部位、放出の速度および予期される持続期間、ならびに処置または予防されるべき状態の性質に依存する。
【0226】
別の例示的な実施形態において、生分解性ミクロスフェア(例えば、ポリ乳酸ポリグリコレート)は、本発明の組成物のためのキャリアとして使用される。適切な生分解性ミクロスフェアは、例えば、米国特許第4,897,268号;同第5,075,109号;同第5,928,647号;同第5,811,128号;同第5,820,883号;同第5,853,763号;同第5,814,344号;同第5,407,609号および同第5,942,252号に開示される。改変B型肝炎コアタンパク質キャリア系(例えば、WO/99 40934およびそこで引用される参考文献に記載されるような系)もまた、多くの用途に有用である。別の例示的なキャリア送達系(システム)は、キャリア含有粒子−タンパク質複合体(例えば、米国特許第5,928,647号に記載される複合体)を使用し、これは、宿主においてクラスI拘束細胞傷害性Tリンパ球応答を誘導し得る。
【0227】
本発明の薬学的組成物はしばしば、1つ以上の、緩衝剤(例えば、中性の緩衝化生理食塩水またはリン酸緩衝化生理食塩水);糖質(例えば、グルコース、マンノース、スクロースまたはデキストラン);マンニトール;タンパク質;ポリペプチドまたはアミノ酸(例えば、グリシン);抗酸化剤;静菌剤;キレート剤(例えば、EDTAまたはグルタチオン);アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム);処方物をレシピエントの血液に対して等張性、低張性または弱く高張性にする溶質;懸濁剤;濃化剤および/または保存剤をさらに含む。あるいは、本発明の組成物は、凍結乾燥物として処方され得る。
【0228】
本明細書中に記載される薬学的組成物は、単回用量容器または多用量容器(例えば、密閉アンプルまたはバイアル)中に存在し得る。このような容器は、代表的に、使用まで処方物の無菌性および安定性を維持するような様式で、密封される。一般に、処方物は、油性ビヒクルまたは水性ビヒクル中の、懸濁液、溶液またはエマルジョンとして保存され得る。あるいは、薬学的組成物は、使用の直前に無菌水性キャリアの添加のみを必要とする、凍結乾燥状態で保存され得る。
【0229】
様々な処置レジメンにおいて本明細書中で記載される特定の組成物を使用するための適切な投薬レジメンおよび処置レジメン(例えば、経口、非経口、静脈内、鼻腔内、および筋肉内の投与および処方を含む)の開発は、当該分野で周知であり、これらのいくつかは、一般的な例示目的のために以下で簡単に考察される。
【0230】
特定の用途において、本明細書中で開示される薬学的組成物は、経口投与によって動物に送達され得る。このように、これらの組成物は、不活性希釈剤と共にかまたは同化可能食用キャリアと共に処方され得るか、あるいはこれらの組成物は、硬質または軟質殻ゼラチンカプセルに入れられ得るか、あるいはこれらの組成物は錠剤に圧縮され得るか、あるいはこれらの組成物は食餌の食品に直接組み込まれ得る。
【0231】
活性化合物は、さらに賦形剤と共に組み込まれ得、そして経口摂取錠剤、経頬粘膜錠剤、トローチ、カプセル剤、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウェハ剤などの形態で使用される(例えば、Mathiowitzら、Nature 1997 Mar 27;386(6623):410−4;Hwangら、Crit Rev Ther Drug Carrier Syst 1998;15(3):243−84;米国特許第5,641,515号;米国特許第5,580,579号および米国特許第5,792,451号を参照のこと)。錠剤、トローチ、丸剤、カプセル剤などはまた、任意の種々のさらなる成分を含み得、例えば、結合因子(例えば、トラガカントゴム、アラビアゴム、コーンスターチまたはゼラチン);賦形剤(例えば、リン酸二カルシウム);崩壊剤(例えば、コーンスターチ、ポテトデンプン、アルギン酸など);潤沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム);および甘味料(例えば、スクロース、ラクトースまたはサッカリン)または香料(例えば、ペパーミント、ウインターグリーン油、またはチェリー香料)が添加され得る。投薬量単位形態がカプセル剤である場合、これは上記のタイプの材料に加えて液体キャリアを含み得る。様々な他の材料が、コーティングとして存在し得るか、またはそうでなければ投薬単位の物理的形態を改変し得る。例えば、錠剤、丸剤またはカプセル剤は、セラック、糖またはその両方でコーティングされ得る。もちろん、任意の投薬単位形態を調製する際に使用される任意の材料は、薬学的に純粋でありかつ用いられる量で実質的に非毒性でなければならない。さらに、活性化合物が、持続性放出調製物および処方物に組み込まれ得る。
【0232】
代表的に、これらの処方物は、少なくとも約0.1%またはそれよりも多い活性化合物を含み得るが、活性成分の割合は、もちろん、変化し得、そして好都合には、全処方物の重量または体積の約1または2%と、約60%または70%以上のとの間であり得る。当然、治療的に有用な組成物の各々の中の活性化合物の量は、適切な投薬量が、化合物の任意の所定の単位用量において得られるような様式で、調製され得る。溶解度、バイオアベイラビリティー、生物学的半減期、投与の経路、製品の有効期限のような因子、および他の薬理学的考慮が、このような薬学的処方物を調製する分野の当業者によって意図され、そしてそのようなものとして、種々の投薬量および処置レジメンが、所望され得る。
【0233】
あるいは、経口投与について、本発明の組成物は、うがい薬、歯みがき剤、バッカル錠、経口スプレー、または舌下経口投与処方物の形態で、1つ以上の賦形剤と混合され得る。あるいは、活性成分は、経口溶液(例えば、ホウ酸ナトリウム、グリセリンおよび炭酸水素カリウムを含む溶液)に組み込まれ得るか、または歯みがき剤に分散され得るか、または治療的有効量で、水、結合因子、研磨剤、香料、発泡剤、および湿潤剤を含み得る組成物に添加され得る。あるいは、これらの組成物は、舌下に置かれ得るか、そうでなければ口の中で溶解され得る錠剤形態または溶液形態に成形され得る。
【0234】
特定の状況において、本明細書中で開示される薬学的組成物を、非経口送達、静脈内送達、筋肉内送達またはさらに腹腔内送達することが所望される。このようなアプローチは、当業者に周知であり、これらのいくつかは例えば、例えば、米国特許第5,543,158号;米国特許第5,641,515号および米国特許第5,399,363号にさらに記載される。特定の実施形態において、遊離塩基または薬学的に受容可能な塩としての活性化合物の溶液は、界面活性剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース)と適切に混合された水中で調製され得る。分散物もまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物中で、ならびにオイル中で調製され得る。保存および使用の通常の条件下で、これらの調製物は一般に、微生物の増殖を防止するために、防腐剤を含む。
【0235】
注入用途のために適切な例示的な薬学的形態として、滅菌水性液剤または分散物および滅菌注射用液剤または分散物の即時調製のための滅菌散剤が挙げられる(例えば、米国特許第5,466,468号を参照のこと)。全ての場合において、その形態は、滅菌でなけらばならず、そして容易に注射することができる程度に、流動性でなければならない。それは、製造および保存の条件下で安定でなければならず、そして微生物(例えば、細菌および真菌)の汚染作用に対して保存されなければならない。キャリアは、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、それらの適切な混合物、および/もしくは植物油を含む溶媒または分散媒体であり得る。適切な流動性は、例えば、コーティング(例えば、レシチン)の使用によって、分散物の場合には必要とされる粒子サイズの維持によって、そして/または界面活性剤の使用によって、維持され得る。微生物の作用の防止は、種々の抗菌剤および抗真菌剤(例えば、パラベン(paraben)、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなど)によって促進され得る。多くの場合において、等張剤(例えば、糖または塩化ナトリウム)を含めることが、望ましい。注射可能な組成物の長期にわたる吸収は、組成物中での吸収を遅延させる薬剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン)の使用によって、もたらされ得る。
【0236】
一実施形態において、水溶液の非経口投与のために、必要ならばその溶液は、適切に緩衝化されるべきであり、そして液体希釈剤が、最初に、十分な生理食塩水またはグルコースで等張にされる。これらの特定の水溶液は、特に、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、および腹腔内投与に適切である。これに関連して、使用され得る滅菌水性媒体は、本開示の観点から当業者に公知である。例えば、一投与量は、1mlの等張性NaCl溶液に溶解され得、そして1000mlの皮下注入流体に添加され得るか、または注入予定部位で注入され得るかのいずれかである(例えば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、第15版、1035〜1038頁および1570〜1580頁を参照のこと)。投薬量におけるいくらかの変化が、処置される被験体の状態に依存して必然的に生じる。さらに、ヒト投与について、調製物は、もちろん、FDA Office of Biologics standardsによって要求されるような、無菌性、発熱性、ならびに一般的な安全性標準および純度標準を好ましく満たす。
【0237】
本発明の別の実施形態において、本明細書中で開示される組成物は、中性形態または塩形態で処方され得る。例示的な薬学的に受容可能な塩としては、酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基とともに形成される)が挙げられ、そしてこれらの塩は、無機酸(例えば、塩酸またはリン酸)、または酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などの有機酸とともに形成される。遊離カルボキシル基とともに形成される塩もまた、無機塩基(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、または水酸化鉄)、およびイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカインなどの有機塩基から誘導され得る。処方の際に、溶液は、投薬処方物と適合する様式でかつ治療的に有効な量で投与される。
【0238】
キャリアは、任意および全ての溶媒、分散媒体、ビヒクル、コーティング、希釈剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収を遅延させる薬剤、緩衝液、キャリア溶液、懸濁液、コロイドなどをさらに含み得る。薬学的活性物質のためのこのような媒体および薬剤の使用は、当該分野で周知である。任意の従来の媒体または薬剤が、活性成分と不適合である場合を除いては、治療組成物におけるその使用が、企図される。補助的活性成分もまた、これらの組成物に組み込まれ得る。句「薬学的に受容可能な」とは、ヒトに投与される場合に、アレルギー反応または類似の厄介な反応を生じない分子実体および組成物をいう。
【0239】
特定の実施形態において、薬学的組成物は、鼻腔内スプレー、吸入、および/または他のエアロゾル送達ビヒクルによって送達され得る。遺伝子、核酸およびペプチド組成物を、経鼻エアロゾルスプレーを介して肺に直接送達するための方法は、例えば、米国特許第5,756,353号および米国特許第5,804,212号に記載されている。同様に、鼻腔内微粒子樹脂(Takenagaら、J Controlled Release 1998 Mar 2;52(1−2):81−7)およびリゾホスファチジル−グリセロール化合物(米国特許第5,725,871号)を使用する薬物の送達はまた、薬学分野で周知である。同様に、ポリテトラフルオロエチレン支持マトリックスの形態での例示的な経粘膜薬物送達は、米国特許第5,780,045号に記載される。
【0240】
特定の実施形態において、リポソーム、ナノカプセル、微粒子、脂質粒子、小胞などを、適切な宿主細胞/生物への本発明の組成物の導入のために使用する。特に、本発明の組成物は、脂質粒子、リポソーム、小胞、ナノスフィア、またはナノ粒子などのいずれかにカプセル化して送達するために処方され得る。あるいは、本発明の組成物は、このようなキャリアビヒクルの表面に、共有結合的または非共有結合的のいずれかで結合され得る。
【0241】
潜在的な薬物キャリアとしてのリポソームおよびリポソーム様調製物の形成および使用は一般に、当業者に公知である(例えば、Lasic,Trends Biotechnol 1998 Jul;16(7):307−21;Takakura,Nippon Rinsho 1998 Mar;56(3):691−5;Chandranら、Indian J Exp Biol.1997 Aug;35(8):801−9;Margalit,Crit Rev Ther Drug Carrier Syst.1995;12(2−3):233−61;米国特許第5,567,434号;米国特許第5,552,157号;米国特許第5,565,213号;米国特許第5,738,868号および米国特許第5,795,587号(これらの各々は、その全体が本明細書中で参考として詳細に援用される)を参照のこと)。
【0242】
リポソームは、T細胞懸濁液、初代肝細胞培養物およびPC12細胞を含む他の手順によるトランスフェクションが通常困難である多くの細胞型とともに、首尾よく使用されている(Renneisenら、J Biol Chem.1990 Sep 25;265(27):16337−42;Mullerら、DNA Cell Biol.1990 Apr;9(3):221−9)。さらに、リポソームは、ウイルスベースの送達系に典型的なDNA長の制限がない。リポソームは、遺伝子、種々の薬物、放射線治療剤、酵素、ウイルス、転写因子およびアロステリックエフェクターなどを、種々の培養細胞株および動物に導入するために効果的に使用されている。さらに、リポソームの使用は、全身送達後の、自己免疫応答にも受容不可能な毒性にも関連しないようである。
【0243】
特定の実施形態において、リポソームは、水性媒体中に分散したリン脂質から形成され、そして多層同心性二重層小胞(多層小胞(MLV)とも呼ばれる)を自発的に形成する。
【0244】
あるいは、他の実施形態において、本発明は、本発明の組成物の薬学的に受容可能なナノカプセル処方物を提供する。ナノカプセルは一般に、化合物を安定かつ再現可能な様式で捕獲し得る(例えば、Quintanar−Guerreroら、Drug Dev Ind Pharm.1998 Dec;24(12):1113−28を参照のこと)。細胞内ポリマー過負荷に起因する副作用を回避するために、このような超微粒子(約0.1μmのサイズ)は、インビボで分解され得るポリマーを使用して設計され得る。このような粒子は、例えば、Couvreurら、Crit Rev Ther Drug Carrier Syst.1988;5(1):1−20;zur Muhlenら、Eur J Pharm Biopharm.1998 Mar;45(2):149−55;Zambauxら、J Controlled Release.1998 Jan 2;50(1−3):31−40;および米国特許第5,145,684号に記載されるようにして作製され得る。
【0245】
(癌治療法)
癌治療への免疫学的アプローチは、癌細胞が、異常な細胞および分子または外来の細胞および分子に対する人体の防御をしばしば回避し得、そしてこれらの防御が、失った基盤(ground)を取り戻すために免疫的に刺激され得るという認識に基づく(例えば、Klein、Immunology(Wiley−Interscience、New York、1982)、623〜648頁)。種々の免疫エフェクターが腫瘍の増殖を直接的または間接的に阻害し得るという多数の最近の知見は、癌治療に対するアプローチにおける更新された関心を導いた(例えば、Jagerら、Oncology 2001;60(1):1−7;Rennerら、Ann Hematol 2000 Dec;79(12):651−9)。
【0246】
抗腫瘍細胞の免疫および人体からの腫瘍細胞の除去に関連する機能を有する4つの基本的な細胞型は、以下の通りである:i)非自己侵入細胞を認識および標識するために免疫グロブリンを血漿に分泌するB−リンパ球;ii)免疫グロブリンでコーティングされた標的侵入細胞の溶解および処理を担う補体タンパク質を分泌する単球;iii)腫瘍細胞の破壊、抗体依存性細胞傷害およびナチュラルキリング(natural killing)のための2種類の機構を有するナチュラルキラーリンパ球;ならびにiv)抗原特異的レセプターを保持し、そして相補的マーカー分子を保有する腫瘍細胞を認識する能力を有するT−リンパ球(Schreiber,H.、1989、Fundamental Immunology(編)、W.E.Paul、923〜955頁)。
【0247】
癌の免疫治療は、一般に、体液性免疫応答、細胞性免疫応答、またはそれらの両方を誘導することに焦点が当てられている。さらに、CD4+Tヘルパー細胞の誘導は、抗体または細胞傷害性CD8+T細胞のいずれかを二次的に誘導するために必要であることが十分に確立されている。癌細胞、特に、肺癌細胞に対して選択的であるか、または理想的には特異的であるポリペプチド抗原は、肺癌に対する免疫応答を誘導するための強力なアプローチを提供し、そして本発明の重要な局面である。
【0248】
従って、本発明のさらなる局面において、本明細書に記載される薬学的組成物は、癌の処置のため、特に、肺癌の免疫治療のために使用され得る。このような方法において、本明細書中に記載される薬学的組成物は、患者、代表的には、温血動物、好ましくはヒトに投与される。患者は、癌に罹患していてもしていなくてもよい。従って、上記薬学的組成物は、癌の発症を予防するため、または癌に罹患した患者を処置するために使用され得る。薬学的組成物およびワクチンは、原発性腫瘍の外科的除去および/または放射線治療剤もしくは従来の化学療法剤の投与のような処置の前、あるいはその後のいずれかに投与され得る。上記のように、薬学的組成物の投与は、任意の適切な方法(静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、鼻腔内、皮内、肛門、膣、局所的および経口経路による投与を含む)によってであり得る。
【0249】
特定の実施形態において、免疫療法は、能動的免疫療法であり得、この療法にける処置は、免疫応答改変剤(例えば、本明細書中で提供されるポリペプチドおよびポリヌクレオチド)の投与を用いる、腫瘍に対して反応する内因性宿主免疫系のインビボ刺激に依存する。
【0250】
他の実施形態において、免疫療法は、受動的免疫療法であり得、この療法における処置は、確立された腫瘍免疫反応性を有する因子(例えば、エフェクター細胞または抗体)(これらは、抗腫瘍効果を直接的または間接的に媒介し得、そして必ずしもインタクトな宿主免疫系に依存しない)の送達を含む。エフェクター細胞の例としては、上記のようなT細胞、本明細書中に提供されるポリペプチドを発現するTリンパ球(例えば、CD8+細胞傷害性Tリンパ球およびCD4+Tヘルパー腫瘍浸潤性リンパ球)、キラー細胞(例えば、ナチュラルキラー細胞およびリンホカイン活性化キラー細胞)、B細胞および抗原提示細胞(例えば、樹状細胞およびマクロファージ)が挙げられる。本明細書中に列挙されるポリペプチドに特異的なT細胞レセプターおよび抗体レセプターは、養子免疫療法のために他のベクターまたはエフェクター細胞中にクローニングされ、発現され、そして移入され得る。本明細書に提供されるポリペプチドはまた、受動免疫療法のための抗体または抗イディオタイプ抗体(上記および米国特許第4,918,164号に記載される)を生成するために用いられ得る。
【0251】
モノクローナル抗体は、検出、診断アッセイまたは治療適用において、所望される選択的な利用のために、任意の種々の標識で標識され得る(米国特許第6,090,365号;同第6,015,542号;同第5,843,398号;同第5,595,721号;および同第4,708,930号(各々が個々に援用されるかのように、本明細書中でこれらの全体が参考として援用されている)に記載されている)。各々の場合において、抗原の決定部位への標識されたモノクローナル抗体の結合は、特定の治療剤の検出または異常な細胞上の抗原決定部位への特定の治療剤の送達を示す。本発明のさらなる目的は、このようなモノクローナル抗体の所望される選択的な利用を達成するために適切に標識される、特定のモノクローナル抗体を提供することである。
【0252】
エフェクター細胞は、一般に、本明細書中に記載されるように、インビトロでの増殖により養子免疫治療のために十分な量で得られ得る。単一の抗原特異的エフェクター細胞を、インビボでの抗原認識を保持しながら数十億まで増殖させるための培養条件は当該分野で周知である。このようなインビトロの培養条件は代表的に、しばしばサイトカイン(例えば、IL−2)および分裂しない支持細胞の存在下で、抗原での間欠刺激を用いる。上で述べたように、本明細書中で提供される免疫反応性ポリペプチドは、抗原特異的T細胞培養物を急速に増殖するために用いられ、免疫治療に十分な数の細胞を生成し得る。詳細には、抗原提示細胞(例えば、樹状細胞、マクロファージ、単球、繊維芽細胞、および/またはB細胞)は、当該分野で周知の標準的技術を用いて、免疫反応性ポリペプチドでパルスされ得るか、または1つ以上のポリヌクレオチドでトランスフェクトされ得る。例えば、抗原提示細胞は、組換えウイルスまたは他の発現系における発現を増大するのに適切なプロモーターを有するポリヌクレオチドでトランスフェクトされ得る。治療において使用するための培養されたエフェクター細胞は、インビボで増殖されかつ広範に分散され得、そして長期間生存し得なければならない。培養されたエフェクター細胞が、インビボで増殖し、そしてIL−2を補充された抗原での反復刺激によって、長期間、多数生存するように誘導され得ることが研究で示されている(例えば、Cheeverら、Immunological Reviews 157:177、1997を参照のこと)。
【0253】
あるいは、本明細書において列挙されるポリペプチドを発現するベクターは、患者から得られた抗原提示細胞に導入され得、そして同じ患者に戻す移植のためにエキソビボでクローン的に増殖され得る。トランスフェクトされた細胞は、当該分野で公知の任意の手段(好ましくは、静脈投与、腔内投与、腹腔内投与、または腫瘍内投与による滅菌形態)を用いて患者に再導入され得る。
【0254】
本明細書中に記載される治療的組成物の投与の経路および頻度、ならびに投薬量は、個々人で異なり、そして標準的技術を用いて容易に確立され得る。概して、薬学的組成物およびワクチンは、注射(例えば、皮内、筋肉内、静脈内、または皮下)により、経鼻的に(例えば、吸引により)または経口的に、投与され得る。好ましくは、52週間にわたって1〜10用量の間が投与され得る。好ましくは、1ヶ月の間隔で6用量が投与され、そしてブースター(追加)ワクチン接種がその後定期的に与えられ得る。交互のプロトコールが個々の患者に適切であり得る。適切な用量は、上記のように投与された場合、抗腫瘍免疫応答を促進し得、そして基底(すなわち、未処置)レベルより少なくとも10〜50%上である、化合物の量である。このような応答は、患者内の抗腫瘍抗体を測定することによってか、または患者の腫瘍細胞をインビトロで殺傷し得る細胞溶解性エフェクター細胞のワクチン依存性の生成によってモニターされ得る。このようなワクチンはまた、ワクチン接種されていない患者と比較すると、ワクチン接種された患者において、改善された臨床的結果(例えば、より頻繁な寛解、完全もしくは部分的に疾患を有さないか、またはより長く疾患を有さない生存)を導く免疫応答を生じ得るはずである。一般に、1つ以上のポリペプチドを含む薬学的組成物およびワクチンについて、用量中に存在する各ポリペプチドの量は、宿主の体重(kg)あたり、約25μg〜5mgの範囲である。適切な用量サイズは、患者の大きさで変化するが、代表的には約0.1mL〜約5mLの範囲である。
【0255】
一般に、適切な投薬量および処置レジメンは、治療的および/または予防的利点を提供するのに十分な量の活性化合物を提供する。このような応答は、処置されていない患者と比較して、処置された患者において、改善された臨床的結果(例えば、より頻繁な寛解、完全なまたは部分的な、あるいはより長い疾患なしでの生存)を確立することによってモニターされ得る。腫瘍タンパク質に対する既存の免疫応答における増加は、一般的に、改善された臨床的結果と関連する。このような免疫応答は、一般的に、標準的な増殖アッセイ、細胞障害性アッセイまたはサイトカインアッセイを使用して評価され得、これは、処置の前または後に患者から得られるサンプルを使用して行われ得る。
【0256】
(癌の検出および診断組成物、方法およびキット)
一般的に、癌は、患者から得られた生物学的サンプル(例えば、血液、血清、痰、尿、および/または腫瘍生検)における1つ以上の肺腫瘍タンパク質および/またはこのようなタンパク質をコードするポリヌクレオチドの存在に基づいて患者において検出され得る。言い換えると、このようなタンパク質は、肺癌のような癌の存在または非存在を示すためのマーカーとして使用され得る。さらに、このようなタンパク質は、他の癌の検出のために有用であり得る。本明細書中で提供される結合因子は、一般に、生物学的サンプル中で、この薬剤に結合する抗原のレベルの検出を可能にする。
【0257】
ポリヌクレオチドプライマーおよびプローブは、癌の存在または非存在もまた示す、腫瘍タンパク質をコードするmRNAのレベルを検出するために使用され得る。一般に、腫瘍の配列は、腫瘍が発生するのと同一の型の正常な組織よりも、腫瘍組織において、少なくとも2倍、好ましくは3倍、そしてより好ましくは5倍以上のレベルで存在するはずである。この腫瘍が発生するのとは異なる細胞型の特定の腫瘍配列の発現レベルは、特定の診断実施形態において不適切である。なぜならば、この腫瘍細胞の存在は、同一の型の正常組織における発現レベルに対する、腫瘍組織において予め決定された異なる発現レベル(例えば、2倍、5倍など)の観測により確認され得るからである。
【0258】
他の異なる発現パターンは、診断目的のために有利に利用され得る。例えば、本発明の1つの局面において、同一の型だが他の正常組織の型ではない、腫瘍組織および正常組織(例えば、PBMC)における腫瘍配列の過剰発現は、診断的に開発され得る。この場合において、例えば、循環組織部位または腫瘍が発生する組織部位とは異なるいくつかの組織部位から採取されたサンプル中における転移性腫瘍細胞の存在は、例えば、RT−PCR分析を使用して、このサンプル中の腫瘍配列の発現を検出することによって同定および/または確認され得る。多くの場合において、目的のサンプル中の腫瘍細胞(例えば、PBMC)を、細胞捕獲(cell capture)技術または他の類似の技術を使用して、富化することが所望される。
【0259】
サンプル中のポリペプチドマーカーを検出するために結合因子を使用するための、当業者に公知の種々のアッセイ型式が存在する。例えば、HarlowおよびLane、Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,1988を参照のこと。一般的に、患者における癌の存在または非存在は、(a)患者から得られた生物学的サンプルを結合因子と接触させる工程;(b)結合因子に結合するポリペプチドのレベルをサンプルにおいて検出する工程;および(c)ポリペプチドのレベルと所定のカットオフ値とを比較する工程によって決定され得る。
【0260】
好ましい実施形態において、このアッセイは、ポリペプチドに結合するためおよびサンプルの残りからポリペプチドを除くために固体支持体上に固定された結合因子の使用を含む。次いで、結合されたポリペプチドは、レポーター基を含み、結合因子/ポリペプチド複合体に特異的に結合する検出試薬を使用して検出され得る。このような検出試薬は、例えば、ポリペプチドまたは抗体に特異的に結合する結合因子あるいは結合因子に特異的に結合する他の薬剤(例えば、抗免疫グロブリン、プロテインG、プロテインAまたはレクチン)を含み得る。あるいは、競合アッセイが、使用され得、ここで、ポリペプチドは、レポーター基で標識され、そしてサンプルと結合因子のインキュベーション後にその固定された結合因子に結合される。サンプルの成分が、標識ポリペプチドの結合因子への結合を阻害する程度は、サンプルの固定された結合因子との反応性を示す。このようなアッセイにおける使用に適切なポリペプチドは、上記のような、全長肺腫瘍タンパク質および結合因子が結合するそのポリペプチド部分を含む。
【0261】
固体支持体は、腫瘍タンパク質が付着され得る当業者に公知の任意の材料であり得る。例えば、固体支持体は、マイクロタイタープレートにおける試験ウェルあるいはニトロセルロースまたは他の適切な膜であり得る。あるいは、その支持体は、ビーズまたはディスク(例えば、ガラス)、ファイバーグラス、ラテックス、またはプラスチック物質(例えば、ポリスチレン、またはポリ塩化ビニル)であり得る。その支持体はまた、磁気粒子または光ファイバーセンサー(例えば、米国特許第5,359,681号に記載のような)であり得る。この結合因子は、当業者に公知の種々の技術を使用して固体支持体上に固定され得、これらは特許および科学文献に十分に記載されている。本発明の状況において、用語「固定化」とは、非共有結合的な会合(例えば、吸着)および共有結合的な付着(これは、薬剤と支持体上の官能基との間で直接結合され得るかまたは架橋剤を用いる結合であり得る)の両方をいう。マイクロタイタープレートのウェル、または膜への吸着による固定化は好ましい。このような場合、吸着は、適切な緩衝液中で固体支持体を用いて適切な時間量で結合因子に接触させることによって達成され得る。接触時間は、温度によって変化するが、代表的には、約1時間から約1日の間である。一般的には、約10ng〜約10μg、そして好ましくは約100ng〜約1μgの範囲の量の結合因子とプラスチックマイクロタイタープレート(例えば、ポリスチレンまたはポリ塩化ビニル)のウェルを接触させることは、適切な量の結合因子を固定化するのに十分である。
【0262】
固体支持体への結合因子の共有結合的付着は、一般に、支持体および結合因子上の官能基(例えば、水酸基またはアミノ基)の両方と反応する二官能性試薬と支持体を最初に反応させることによって達成され得る。例えば、この結合因子は、ベンゾキノンを用いるかまたは結合パートナー上のアミンおよび活性水素と支持体上のアルデヒド基との縮合によって、適切なポリマーコーティングを有する支持体に、共有結合的に付着され得る(例えば、Pierce Immunotechnology Catalog and Handbook、1991、A12−A13を参照のこと)。
【0263】
特定の実施形態において、このアッセイは、2抗体サンドイッチアッセイである。本アッセイは、最初に、固体支持体(一般に、マイクロタイタープレートのウェル)上で固定されている抗体をサンプルに接触させて、その結果、サンプル内のポリペプチドを固定された抗体に結合させることによって実施され得る。次いで、非結合サンプルは固定されたポリペプチド−抗体複合体から除去され、そして検出試薬(好ましくは、そのポリペプチド上の異なる部位に結合し得る第2の抗体(レポーター基を含む))が添加される。次いで、固体支持体に結合したままである検出試薬の量が、特定のレポーター基に関して適切な方法を用いて決定される。
【0264】
より詳細には、一旦抗体が上記のように支持体上に固定化されると、支持体上の残りのタンパク質結合部位は、典型的にはブロックされる。任意の適切なブロック剤(例えば、ウシ血清アルブミンまたはTween20TM(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO))は、当業者に公知である。固定された抗体は次いで、サンプルとインキュベートされ、そしてポリペプチドをこの抗体に結合させる。インキュベーションの前に、このサンプルは適切な希釈液(例えば、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS))で希釈され得る。概して、適切な接触時間(すなわち、インキュベーション時間)は、肺癌を有する個体から得られたサンプル内のポリペプチドの存在を検出するのに十分な時間である。好ましくは、この接触時間は、結合ポリペプチドと非結合ポリペプチドとの間の平衡で達成される結合レベルの少なくとも約95%である結合レベルを達成するのに十分な時間である。当業者は、ある時間にわたって起こる結合レベルをアッセイすることによって、平衡に達するまでに必要な時間が容易に決定され得ることを認識する。室温では、一般に、約30分間のインキュベーション時間で十分である。
【0265】
次いで、非結合サンプルが、適切な緩衝液(例えば、0.1%Tween20TMを含むPBS)を用いて固体支持体を洗浄することによって除去される。次いで、レポーター基を含む第2の抗体が、固体支持体に添加され得る。好ましいレポーター基は、上記の基を含む。
【0266】
次いで、検出試薬が、結合されたポリペプチドを検出するのに十分な量の時間、固定された抗体−ポリペプチド複合体とインキュベートされる。適切な量の時間は、一般に、ある時間にわたって起こる結合のレベルをアッセイすることによって決定され得る。次いで、非結合の検出試薬は除去され、そして結合した検出試薬は、レポーター基を用いて検出される。レポーター基を検出するために使用される方法は、レポーター基の性質に依存する。放射性基について、一般的には、シンチレーション計数法またはオートラジオグラフィー法が適切である。分光法は、色素、発光基および蛍光基を検出するために使用され得る。ビチオンは、異なるレポーター基(一般に、放射性もしくは蛍光基または酵素)に結合されたアビジンを使用して検出され得る。酵素レポーター基は、一般に、基質の添加(一般には、特定の時間の間)、続いて反応産物の分光分析または他の分析により検出され得る。
【0267】
癌(例えば、肺癌)の存在または非存在を決定するために、固体支持体に結合したままのレポーター基から検出されるシグナルが、一般に、所定のカットオフ値と対応するシグナルと比較される。1つの好ましい実施形態において、癌の検出のためのカットオフ値は、固定された抗体を、癌を有さない患者由来のサンプルとインキュベートした際に得られる平均シグナル値である。概して、所定のカットオフ値を3標準偏差上回るシグナルを生じるサンプルが、癌に対して陽性とみなされる。代替の好ましい実施形態において、このカットオフ値は、Sackettら、Clinical Epidemiology:A Basic Science for Clinical Medicine,Little Brown and Co.,1985,106〜7頁の方法に従って、レシーバーオペレーターカーブ(Receiver Operator Carve)を使用して決定される。簡単に言うと、本実施形態において、このカットオフ値は、診断試験結果についての各可能なカットオフ値に対応する真の陽性割合(すなわち、感度)および偽陽性割合(100%−特異性)の対のプロットから決定され得る。プロット上の上方左手角に最も近いカットオフ値(すなわち、最大領域を囲む値)が、最も正確なカットオフ値であり、そして本方法によって決定されたカットオフ値より高いシグナルを生ずるサンプルが陽性と見なされ得る。あるいは、カットオフ値は、偽陽性割合を最小にするためにプロットに沿って左へシフトされ得るか、または偽陰性割合を最小にするために右へシフトされ得る。概して、本方法によって決定されたカットオフ値より高いシグナルを生ずるサンプルが、癌に対して陽性と見なされる。
【0268】
関連の実施形態において、このアッセイは、フロースルー試験形式またはストリップ試験形式で実行される(ここで、結合因子は、ニトロセルロースのような膜上で固定化される)。フロースルー試験では、サンプル内のポリペプチドは、サンプルが膜を通過するにつれて固定された結合因子に結合する。次いで、第2の標識化された結合因子が、この第2の結合因子を含む溶液がその膜を介して流れるにつれて、結合因子−ポリペプチド複合体と結合する。次いで、結合した第2の結合因子の検出は、上記のように実行され得る。ストリップ試験形式では、結合因子が結合される膜の一端を、サンプルを含む溶液中に浸す。このサンプルは、膜に沿って、第2の結合因子を含む領域を通って、そして固定された結合因子の領域まで移動する。固定された抗体の領域での第2の結合因子の濃度が、癌の存在を示す。代表的には、その部位での第2の結合因子の濃度は、視覚的に読みとられ得るパターン(例えば、線)を生成する。このようなパターンを示さないことは陰性の結果を示す。概して、この膜上に固定化される結合因子の量は、生物学的サンプルが、上記の形式において、2抗体サンドイッチアッセイにおいて陽性シグナルを生じるのに十分であるレベルのポリペプチドを含む場合、視覚的に識別可能なパターンを生じるように選択される。このようなアッセイにおける使用に好ましい結合因子は、抗体およびその抗原結合フラグメントである。好ましくは、膜上に固定化される抗体の量は、約25ng〜約1μgの範囲であり、そしてより好ましくは、約50ng〜約500ngの範囲である。このような試験は、代表的には、非常に少ない量の生物学的サンプルを用いて実行され得る。
【0269】
もちろん、本発明の腫瘍タンパク質または結合因子との使用に適する多数の他のアッセイプロトコールが存在する。上記の記載は、例示であることを意図するにすぎない。例えば、上記プロトコールが、腫瘍ポリペプチドを使用するために容易に改変され得て、生物学的サンプル内でこのようなポリペプチドに結合する抗体を検出し得ることが当業者に明かである。このような腫瘍タンパク質特異的抗体の検出は、癌の存在と相関し得る。
【0270】
癌もまた、あるいは癌は、生物学的サンプル中の腫瘍タンパク質と特異的に反応するT細胞の存在に基づいて検出され得る。特定の方法では、患者から単離されたCD4+T細胞および/またはCD8+T細胞を含む生物学的サンプルは、腫瘍ポリペプチド、このようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチドおよび/またはこのようなポリペプチドの少なくとも免疫原性部分を発現するAPCとともにインキュベートされ、そしてT細胞の特異的活性化の存在または非存在が検出される。適切な生物学的サンプルとしては、単離されたT細胞が挙げられるがこれらに限定されない。例えば、T細胞は、慣用技術によって(例えば、末梢血リンパ球のFicoll/Hypaque密度勾配遠心分離法によって)患者から単離され得る。T細胞は、2〜9日間(代表的に4日間)、37℃にてポリペプチド(例えば、5〜25μg/ml)とともにインビトロでインキュベートされ得る。T細胞サンプルの別のアリコートを、コントロールとして役立てるために、腫瘍ポリペプチドの非存在下でインキュベートすることが所望され得る。CD4+T細胞に関して、活性化は好ましくは、T細胞の増殖を評価することによって検出される。CD8+T細胞に関しては、活性化は好ましくは、細胞溶解活性を評価することによって検出される。疾患のない患者におけるよりも少なくとも2倍高い増殖レベルおよび/または少なくとも20%高い細胞溶解活性レベルは、患者における癌の存在を示す。
【0271】
上記のように、癌もまた、あるいは癌は、生物学的サンプル中の腫瘍タンパク質をコードするmRNAレベルに基づいて検出され得る。例えば、少なくとも2つのオリゴヌクレオチドプライマーをポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に基づくアッセイにおいて用いて、生物学的サンプルに由来する腫瘍cDNAの一部を増幅し得、ここで、オリゴヌクレオチドプライマーのうちの少なくとも1つは、腫瘍タンパク質をコードするポリヌクレオチドに特異的である(すなわち、ハイブリダイズする)。次いで、増幅されたcDNAが、当該分野で周知の技術(例えば、ゲル電気泳動)を用いて分離され、そして検出される。
【0272】
同様に、腫瘍タンパク質をコードするポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブをハイブリダイゼーションアッセイにおいて用いて、生物学的サンプル中でこの腫瘍タンパク質をコードするポリヌクレオチドの存在を検出し得る。
【0273】
アッセイ条件下でのハイブリダイゼーションを可能にするために、オリゴヌクレオチドのプライマーおよびプローブは、少なくとも10ヌクレオチド、そして好ましくは少なくとも20ヌクレオチドの長さの、本発明の腫瘍タンパク質をコードするポリヌクレオチドの一部に対して少なくとも約60%、好ましくは少なくとも約75%、そしてより好ましくは少なくとも約90%の同一性を有するオリゴヌクレオチド配列を含むべきである。好ましくは、オリゴヌクレオチドプライマーおよび/またはプローブは、上記に規定されるような、中程度にストリンジェントな条件下で、本明細書中に記載されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズする。本明細書中に記載される診断方法において有用に用いられ得るオリゴヌクレオチドのプライマーおよび/またはプローブは、好ましくは、少なくとも10〜40ヌクレオチドの長さである。好ましい実施形態において、オリゴヌクレオチドプライマーは、本明細書中に開示される配列を有するDNA分子の少なくとも10の連続するヌクレオチド、より好ましくは少なくとも15の連続するヌクレオチドを含む。PCRに基づくアッセイおよびハイブリダイゼーションアッセイの両方についての技術は、当該分野で周知である(例えば、Mullisら,Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.,51:263,1987;Erlich編,PCR Technology,Stockton Press,NY,1989を参照のこと)。
【0274】
1つの好ましいアッセイは、RT−PCRを用い、RT−PCRでは、PCRは、逆転写と組み合わせて適用される。代表的に、RNAは生物学的サンプル(例えば、生検組織)から抽出され、そして逆転写されてcDNA分子を生成する。少なくとも1つの特異的プライマーを用いるPCR増幅は、cDNA分子を生成し、このcDNA分子は、例えば、ゲル電気泳動を用いて分離および可視化され得る。増幅は、試験患者および癌に罹患していない個体から採取された生物学的サンプルについて行われ得る。増幅反応は、2桁の大きさに及ぶいくつかのcDNA希釈物について行われ得る。試験患者サンプルのいくつかの希釈物における発現の増加が、癌のないサンプルの同一希釈の物と比較して2倍以上である場合、これは、代表的に、陽性とみなされる。
【0275】
本発明の別の局面において、細胞捕獲技術は、例えば、リアルタイムPCRと組み合わせて使用されて、肺腫瘍抗原を発現する転移細胞の検出のためのより感度の高いツールを提供し得る。生物学的サンプル(例えば、骨髄サンプル、末梢血、および小針吸引サンプル)における肺癌細胞の検出は、肺癌患者の診断および予後判定に望ましい。
【0276】
細胞表面マーカーに対する特異的モノクローナル抗体または4量体抗体複合体でコーティングされた免疫磁性ビーズを用いて、サンプル中の癌細胞を最初に富化し得るか、またはサンプル中の癌細胞をポジティブに選択し得る。種々の市販のキットが用いられ得る。これらのキットとしては、Dynabeads(登録商標)Epithelial Enrich(Dynal Biotech,Oslo、Norway)、StemSepTM(StemCell Technologies,Inc.,Vancouver,BC)、およびRosetteSep(StemCell Technologies)が挙げられる。当業者は、他の方法論およびキットが用いられて、所望の細胞集団が富化またはポジティブに選択され得ることを認識する。Dynabeads(登録商標)Epithelial Enrichは、正常上皮組織および新生物上皮組織上で発現された2つの糖タンパク質膜抗原に特異的なmAbでコーティングされた磁性ビーズを含む。このコーティングされたビーズをサンプルに添加し得、次いで、このサンプルを磁石に接触させ得、それによりこのビーズに結合した細胞を捕獲し得る。所望でない細胞は洗い流され、磁石により単離された細胞は、ビーズから溶出され、さらなる分析において用いられる。
【0277】
RosetteSepは、血液サンプルから直接細胞を富化するために用いられ得、そして種々の所望でない細胞を標的とし、サンプル中に存在する赤血球(RBC)上のグリコホリンAにそれらを架橋して、ロゼットを形成する4量体の抗体のカクテルからなる。Ficoll上で遠心分離すると、標的とした細胞は、遊離のRBCとともにペレットを形成する。枯渇カクテルにおける抗体の組み合わせは、どの細胞が除去され、そして結果的にどの細胞が回収されるかを決定する。利用可能な抗体としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:CD2、CD3、CD4、CD5、CD8、CD10、CD11b、CD14、CD15、CD16、CD19、CD20、CD24、CD25、CD29、CD33、CD34、CD36、CD38、CD41、CD45、CD45RA、CD45RO、CD56、CD66B、CD66e、HLA−DR、IgE、およびTCRαβ。
【0278】
さらに、本発明において、肺腫瘍抗原に特異的なmAbが生成され得、そして同様な様式で用いられ得ることが意図される。例えば、腫瘍特異的細胞表面抗原に結合するmAbは、磁性ビーズに結合体化され得るか、または4量体抗体複合体に処方され得、そしてサンプルから転移性の肺腫瘍細胞を富化するか、またはポジティブに選択するために用いられ得る。一旦サンプルが富化されるか、またはポジティブに選択されると、細胞は溶解され得、そしてRNAが単離され得る。次いで、RNAは、本明細書中に記載のようにリアルタイムPCRアッセイにおいて肺腫瘍特異的プライマーを用いてRT−PCR分析に供され得る。当業者は、富化されたかまたは選択された集団の細胞が他の方法(例えば、インサイチュハイブリダイゼーションまたはフローサイトメトリー)によって分析され得ることを認識する。
【0279】
別の実施形態において、本明細書中に記載された組成物は、癌の進行についてのマーカーとして使用され得る。この実施形態において、癌の診断について上記に記載されるようなアッセイは、経時的に実行され得、そして反応性ポリペプチドまたはポリヌクレオチドのレベルの変化を評価し得る。例えば、このアッセイは、6ケ月〜1年の期間、24〜72時間毎に実行され得、そしてその後、必要に応じて実行され得る。一般に、癌は、検出されるこのポリペプチドまたはポリヌクレオチドのレベルが経時的に増大する患者において進行している。対照的に、癌は、反応性ポリペプチドまたはポリヌクレオチドのレベルが一定のままであるか、または時間とともに減少するかのいずれかである場合、進行していない。
【0280】
特定のインビボ診断アッセイは、腫瘍上で直接実施され得る。1つのこのようなアッセイは、腫瘍細胞を結合因子と接触させる工程を包含する。次いで、結合された結合因子は、レポーター基によって直接的または間接的に検出され得る。このような結合因子はまた、組織学的な用途において使用され得る。あるいは、ポリヌクレオチドプローブは、このような用途において使用され得る。
【0281】
上記のように、感度を改善するために、複数の腫瘍タンパク質マーカーは、所定のサンプル内でアッセイされ得る。本明細書中に提供される異なるタンパク質に特異的な結合因子が単一のアッセイにおいて組み合わせられ得ることは明かである。さらに、複数のプライマーまたはプローブが同時に用いられ得る。腫瘍タンパク質マーカーの選択は、最適な感度をもたらす組み合わせを決定する慣用実験に基づき得る。さらに、または代替として、本明細書中に提供される腫瘍タンパク質のアッセイは、他の公知の腫瘍抗原に対するアッセイと組み合わせられ得る。
【0282】
本発明はさらに、上記の診断方法のうちのいずれかにおいて使用するためのキットを提供する。このようなキットは代表的に、診断アッセイを行うのに必要な2以上の構成要素を備える。構成要素は、化合物、試薬、容器および/または器具であり得る。例えば、キット内の1つの容器は、腫瘍タンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体またはそのフラグメントを含み得る。このような抗体またはフラグメントは、上記のように支持体材料に付着されて提供され得る。1以上のさらなる容器は、アッセイにおいて使用される要素(例えば、試薬または緩衝液)を封入し得る。このようなキットもまた、あるいはこのようなキットは、抗体結合の直接的または間接的な検出に適切なレポーター基を含む上記のような検出試薬を備え得る。
【0283】
あるいは、キットは、生物学的サンプル中の腫瘍タンパク質をコードするmRNAレベルを検出するように設計され得る。このようなキットは一般に、腫瘍タンパク質をコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズする、上記のような、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドのプローブまたはプライマーを備える。このようなオリゴヌクレオチドは、例えば、PCRまたはハイブリダイゼーションアッセイにおいて用いられ得る。このようなキット内に存在し得るさらなる構成要素としては、腫瘍タンパク質をコードするポリヌクレオチドの検出を容易にする、第2のオリゴヌクレオチドおよび/または診断試薬もしくは容器が挙げられる。
【0284】
以下の実施例は、例示のために提供され、そして限定のためではない。
【0285】
(実施例1)
(肺腫瘍ポリペプチドをコードするcDNA配列の単離および特徴付け)
本実施例は、肺腫瘍cDNAライブラリーからの、肺腫瘍特異的ポリペプチドをコードするcDNA分子の単離を説明する。
【0286】
(A.肺扁平上皮細胞癌ライブラリーからのcDNA配列の単離)
ヒト肺扁平上皮細胞癌cDNA発現ライブラリーを、Superscript Plasmid System for cDNA Synthesis and Plasmid Cloningキット(BRL Life Technologies、Gaithersburg、MD)を用いて、製造会社のプロトコールに従って、2つの患者組織のプール由来のポリA+RNAから構築した。具体的には、肺癌組織をポリトロン(Kinematica、Switzerland)でホモジナイズし、そして全RNAをTrizol試薬(BRL Life Technologies)を用いて製造会社の指示に従って抽出した。次いでポリA+RNAを、Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratories、Cold Spring Harbor、NY、1989において指示されたように、オリゴdTセルロースカラムを用いて精製した。第1鎖cDNAを、NotI/Oligo−dT18プライマーを用いて合成した。二本鎖cDNAを合成し、BstXI/EcoRIアダプター(Invitrogen、San Diego、CA)とライゲーションし、そしてNotIで消化した。cDNAサイズ分画カラム(BRL Life Technologies)によるサイズ分画の後、cDNAをpcDNA3.1(Invitrogen)のBstXI/NotI部位へライゲーションし、そしてエレクトロポレーションによってElectroMax E.coli DH10B細胞(BRL Life Technologies)へ形質転換した。
【0287】
同じ手順を用いて、正常ヒト肺cDNA発現ライブラリーを、4つの組織標本のプールから調製した。cDNAライブラリーを、独立したコロニーの数、挿入(インサート)を有するクローンの割合、平均挿入サイズを決定することによって、および配列分析によって特徴付けした。肺扁平上皮細胞癌ライブラリーは、2.7×106の独立コロニーを含んでおり、100%のクローンが挿入を有しており、そして平均挿入サイズは2100塩基対であった。正常肺cDNAライブラリーは、1.4×106の独立コロニーを含んでおり、90%のクローンが挿入を有しており、そして平均挿入サイズは1800塩基対であった。両方のライブラリ−に関して、配列分析によって、クローンの大部分は全長cDNA配列を有し、そしてmRNAから合成されたことが示された。
【0288】
上記の肺扁平上皮細胞癌および正常肺cDNAライブラリーを用いて、Haraら(Blood、84:189〜199、1994)によって記載されたように、いくらか修飾して、cDNAライブラリーサブトラクションを行なった。具体的には、肺扁平上皮細胞癌特異的サブトラクトcDNAライブラリーを、以下のように産生した。正常組織cDNAライブラリー(80μg)をBamHIおよびXhoIで消化し、続いてDNAポリメラーゼクレノウ断片を用いて充填反応を行なった。フェノール−クロロホルム抽出およびエタノール沈殿の後、DNAを133μlのH2Oに溶解し、熱変性し、そして133μl(133μg)のPhotoprobeビオチン(Vector Laboratories、Burlingame、CA)と混合した。製造会社によって推奨されるように、得られた混合物を270Wの太陽灯で、氷上で20分間照射した。さらなるPhotoprobeビオチン(67μl)を加えて、そしてビオチン化反応を繰り返した。ブタノールで5回抽出した後、DNAをエタノール沈殿し、そして23μlのH2Oに溶解して、ドライバーDNAを形成した。
【0289】
トレーサー(tracer)DNAを形成するために、10μgの肺扁平上皮細胞癌cDNAライブラリーをNotIおよびSpeIで消化し、フェノール クロロホルム抽出し、そしてChroma spin−400カラム(Clontech、Palo Alto、CA)を通した。典型的には、サイズ分画カラムの後5μgのcDNAが回収された。エタノール沈殿の後、トレーサーDNAを5μlのH2Oに溶解した。トレーサーDNAを15μlのドライバーDNAおよび20μlの2×ハイブリダイゼーション緩衝液(1.5MのNaCl/10mMのEDTA/50mMのHEPES pH7.5/0.2%のドデシル硫酸ナトリウム)と混合し、鉱油で重層し、そして完全に熱変性した。試料をすぐに68℃の水浴へ移し、そして20時間インキュベートした(長いハイブリダイゼーション[LH])。次いで反応混合物をストレプトアビジン処理し、続いてフェノール/クロロホルム抽出した。この過程をあと3回繰り返した。サブトラクトDNAを沈殿し、12μlのH2Oに溶解し、8μlのドライバーDNAおよび20μlの2×ハイブリダイゼーション緩衝液と混合し、そして68℃で2時間ハイブリダイズさせた(短いハイブリダイゼーション[SH])。ビオチン化二本鎖DNAを除去した後、サブトラクトcDNAを、クロラムフェニコール抵抗性pBCSK+(Stratagene、La Jolla、CA)のNotI/SpeI部位にライゲーションし、そしてエレクトロポレーションによってElectroMax E.coli DH10B細胞に形質転換して、肺扁平上皮細胞癌特異的サブトラクトcDNAライブラリー(本明細書中でこの後「肺サブトラクションI(lung subtraction I)」と呼ばれる)を産生した。
【0290】
2つめの肺扁平上皮細胞癌特異的サブトラクトcDNAライブラリー(「肺サブトラクションII」と呼ばれる)を、肺サブトラクションIからしばしば回収される8個の遺伝子をドライバーDNAに含む以外は、肺サブトラクションライブラリーIと同様の方法で産生し、そして24,000個の独立したクローンを回収した。
【0291】
サブトラクトcDNAライブラリーを分析するために、サブトラクト肺扁平上皮細胞癌特異的ライブラリーから無作為に取った320個の独立したクローンからプラスミドDNAを調製した。代表的なcDNAクローンを、Perkin Elmer/Applied Biosystems Division Automated Sequencer Model 373A および/またはModel377(Foster City、CA)によるDNA配列決定によって、さらに特徴付けした。60個の単離クローンのcDNA配列を、配列番号1〜60で提供する。これらの配列を、EMBLおよびGenBankデータベース(公開(release)96)を用いて、ジーンバンク中の公知配列と比較した。配列番号2、3、19、38および46で提供された配列には有意な相同性は見出されなかった。配列番号1、6〜8、10〜13、15、17、18、20〜27、29、30、32、34〜37、39〜45、47〜49、51、52、54、55および57〜59の配列は、以前に同定された発現配列タグ(EST)といくらか相同性を示すことが見出された。配列番号9、28、31および33の配列は、以前に同定された非ヒト遺伝子配列といくらか相同性を示すことが見出され、そして配列番号4、5、14、50、53、56および60は、ヒトで以前に同定された遺伝子配列といくらか相同性を示すことが見出された。
【0292】
上記で記載したサブトラクション手順を、上記の肺扁平上皮細胞癌cDNAライブラリーをトレーサーDNAとして、そして上記の正常肺組織cDNAライブラリーおよび正常肝臓および心臓由来のcDNAライブラリー(上記で記載したように各組織の1試料のプールから構築した)、プラス肺サブトラクションIおよびIIで頻繁に回収される20個の他のcDNAクローンをドライバーDNAとして繰り返した(肺サブトラクションIII)。正常肝臓および心臓cDNAライブラリーは、1.76×106の独立したコロニーを含んでおり、100%のクローンが挿入を有しており、そして平均挿入サイズは1600塩基対であった。10個のさらなるクローンを単離した(配列番号61〜70)。これらのcDNA配列とジーンバンク中の配列を、上記で記載したように比較すると、配列番号62および67で提供される配列には有意な相同性が見出されなかった。配列番号61、63〜66、68および69の配列は、以前に単離されたESTといくらか相同性を示すことが見出され、そして配列番号70で提供される配列は、以前に同定されたラット遺伝子といくらか相同性を示すことが見出された。
【0293】
さらなる研究において、上記で記載したサブトラクション手順を、上記の肺扁平上皮細胞癌cDNAライブラリーをトレーサーDNAとして、そして正常肺、腎臓、結腸、膵臓、脳、休止PBMC、心臓、皮膚および食道のプール由来のcDNAライブラリーをドライバーDNAとして繰り返した。食道cDNAがドライバー材料の3分の1を占めていた。食道は分化した扁平上皮細胞を含む正常上皮細胞を豊富に含むので、この手順は組織特異的ではなく腫瘍特異的な遺伝子を濃縮するであろう。このサブトラクションで決定された48クローンのcDNA配列を、配列番号177〜224で提供する。配列番号177、178、180、181、183、187、192、195〜197、208、211、212、215、216、218および219の配列は、以前に同定された遺伝子といくらか相同性を示した。配列番号179、182、184〜186、188〜191、193、194、198〜207、209、210、213、214、217、220および224の配列は、以前に決定されたESTといくらか相同性を示した。配列番号221〜223の配列は、以前に決定された配列のいずれとも相同性を示さなかった。
【0294】
(B.肺腺癌ライブラリーからのcDNA配列の単離)
ヒト肺腺癌cDNA発現ライブラリーを、上記で記載したように構築した。ライブラリーは、3.2×106の独立したコロニーを含んでおり、100%のクローンが挿入を有しており、そして平均挿入サイズは1500塩基対であった。上記で記載したように、上記で記載した正常肺および正常肝臓および心臓cDNA発現ライブラリーをドライバーDNAとして、ライブラリーサブトラクションを行なった。2600個の独立したクローンを回収した。
【0295】
100個の独立したクローンからの最初のcDNA配列分析によって、多くのリボソームタンパク質遺伝子が示された。このサブトラクションで単離された15クローンのcDNA配列を、配列番号71〜86で提供する。これらの配列とジーンバンク中の配列を上記で記載したように比較すると、配列番号84で提供される配列とは有意な相同性を示さなかった。配列番号71、73、74、77、78および80〜82の配列は、以前に単離されたESTといくらか相同性を示すことが見出され、そして配列番号72、75、76、79、83および85の配列は、以前に同定されたヒト遺伝子といくらか相同性を示すことが見出された。
【0296】
さらなる研究において、cDNAライブラリー(mets3616Aと呼ばれる)を、転移肺腺癌から構築した。このライブラリーから無作為に配列決定した25クローンのうち決定したcDNA配列を、配列番号255〜279で提供する。mets3616A cDNAライブラリーを、正常な肺、肝臓、膵臓、皮膚、腎臓、脳および休止PBMCのプールから調製したcDNAライブラリーに対してサブトラクトした。サブトラクションの特異性を高めるために、EF1−アルファ、インテグリン−ベータ、および抗凝固タンパク質PP4のようなmets3616A cDNAライブラリーで最も豊富であると決定された遺伝子、およびサブトラクト肺腺癌cDNAライブラリーで異なって発現していることが以前に見出されたcDNAでドライバーをスパイクした。サブトラクトライブライリー(mets3616A−S1と呼ばれる)から単離された51クローンのうち決定したcDNA配列を、配列番号280〜330で提供する。
【0297】
配列番号255〜330の配列と公的なデータベース中の配列を比較すると、配列番号255〜258、260、262〜264、270、272、275、276、279、281、287、291、296、300および310の配列は、有意な相同性を示さなかった。配列番号259,261,265〜269、271、273、274、277、278、282〜285、288〜290、292、294、297〜299、301、303〜309、313、314、316、320〜324および326〜330の配列は、以前に同定された遺伝子配列といくらか相同性を示し、一方配列番号280、286、293、302、310、312、315、317〜319および325の配列は、以前に単離された発現配列タグ(EST)といくらか相同性を示した。
【0298】
(実施例2)
(肺腫瘍ポリペプチドの組織特異性の決定)
遺伝子特異的プライマーを用いて、実施例1で記載した7つの代表的な肺腫瘍ポリペプチドのmRNA発現レベルを、RT−PCRを用いて様々な正常および腫瘍組織で試験した。
【0299】
簡単には、上記で記載したように、Trizol試薬を用いて、様々な正常および腫瘍組織から全RNAを抽出した。2μgの全RNAを用いて、SuperScript II逆転写酵素(BRL Life Technologies)で、42℃で1時間、第1鎖合成を行なった。次いでcDNAを、遺伝子特異的プライマーを用いたPCRによって増幅した。RT−PCRの半定量的性質を保証するために、試験した各組織に関してβ−アクチンを内部コントロールとして使用した。β−アクチンテンプレートの直線範囲増幅を可能にするために1μlの1:30希釈cDNAを採用し、そしてそれは最初のコピー数の違いを反映するのに十分敏感であった。これらの条件を使用して、各組織由来の各逆転写反応に関してβ−アクチンレベルを決定した。逆転写酵素を加えることなく調製した第1鎖cDNAを用いる場合、DNase処理によって、およびネガティブなPCR結果を保証することによって、DNAの混入を最小限にした。
【0300】
5つの異なる型の腫瘍組織(3人の患者由来の肺扁平上皮細胞癌、肺腺癌、2人の患者由来の結腸腫瘍、乳房腫瘍、および前立腺腫瘍)、および13の異なる正常な組織(4人のドナー由来の肺、前立腺、脳、腎臓、肝臓、卵巣、骨格筋、皮膚、小腸、胃、心筋、網膜、および精巣)で、mRNA発現レベルを試験した。10倍量のcDNAを用いて、抗原LST−S1−90(配列番号3)は、肺扁平上皮細胞癌および乳房腫瘍において高レベルで、そして他の試験した組織において低レベルから検出不可能なレベルで発現していることが見出された。
【0301】
抗原LST−S2−68(配列番号15)は、肺および乳房腫瘍に特異的であるようであるが、発現は正常な腎臓においても検出された。抗原LST−S1−169(配列番号6)およびLST−S1−133(配列番号5)は、肺組織(正常および腫瘍どちらも)において非常に豊富であるようであり、これら2つの遺伝子の発現は試験したほとんどの正常組織において減少している。LST−S1−169およびLST−S1−133はどちらも、乳房および結腸腫瘍において発現していた。抗原LST−S1−6(配列番号7)およびLST−S2−I2−5F(配列番号47)は、腫瘍または組織特異的発現を示さず、LST−S1−28の発現はまれであり、そして少数の組織で検出可能であるのみであった。抗原LST−S3−7(配列番号63)は、肺および乳房腫瘍特異的発現を示し、そのメッセンジャー(メッセージ)は正常精巣においてPCRを30サイクル行なった場合のみ検出された。いくつかの正常組織においてサイクル数を35まで増加させた場合、低レベルの発現が検出された。抗原LST−S3−13(配列番号66)は、4つの肺腫瘍のうち3つ、1つの乳房腫瘍、および両方の結腸腫瘍試料において発現していることが見出された。正常組織におけるその発現は、腫瘍と比較して低く、そして4つの正常肺組織のうち1つ、および腎臓、卵巣および網膜由来の正常組織においてのみ検出された。抗原LST−S3−4(配列番号62)およびLST−S3−14(配列番号67)の発現はまれであり、そして組織特異性も腫瘍特異性も示さなかった。ノーザンブロット分析と一致して、抗原LAT−S1−A−10A(配列番号78)のRT−PCR結果によって、その発現は肺および結腸腫瘍を含む肺、結腸、胃および小腸組織において高く、一方その発現は他の組織において低いかまたは検出不可能であることが示唆された。
【0302】
上記で記載した、肺サブトラクションI、IIおよびIIIにおいて単離された全部で2002のcDNA断片を、コロニーPCR増幅して、そして肺腫瘍、正常肺、および様々な他の正常および腫瘍組織におけるそのmRNA発現レベルを、マイクロアレイ技術(Synteni、Palo Alto、CA)を用いて決定した。簡単には、PCR増幅産物をアレイ形式でスライドに点在させた。各産物はアレイで独自の位置を占める。mRNAを、試験する組織サンプルから抽出し、逆転写し、そして蛍光標識cDNAプローブを産生した。マイクロアレイを標識cDNAプローブでプローブし、スライドを走査して、そして蛍光強度を測定した。この強度は、ハイブリダイゼーション強度と相関する。17の重複しないcDNAクローンが、肺扁平上皮腫瘍で過剰発現を示し、試験した正常組織(肺、皮膚、リンパ節、結腸、肝臓、膵臓、乳房、心臓、骨髄、大腸、腎臓、胃、脳、小腸、膀胱および唾液腺)においてその発現は検出不可能かまたは肺扁平上皮腫瘍に比べて10倍低かった。クローンL513Sの決定したcDNA配列を、配列番号87および88で提供する;L514Sの配列を配列番号89および90で提供する;L516Sの配列を配列番号91および92で;L517Sの配列を配列番号93で;L519Sの配列を配列番号94で;L520Sの配列を配列番号95および96で;L521Sの配列を配列番号97および98で;L522Sの配列を配列番号99で;L523Sの配列を配列番号100で;L524Sの配列を配列番号101で;L525Sの配列を配列番号102で;L526Sの配列を配列番号103で;L527Sの配列を配列番号104で;L528Sの配列を配列番号105で;L529Sの配列を配列番号106で;そしてL530Sの配列を配列番号107および108で提供する。さらに、L530Sの全長cDNA配列を、配列番号151で提供し、対応するアミノ酸配列を配列番号152で提供する。L530Sは、p53腫瘍サプレッサーホモログ、p63のスプライシング改変体と相同性を示す。p63の7つの公知のアイソフォームのcDNA配列を、配列番号331〜337で提供し、対応するアミノ酸配列をそれぞれ配列番号338〜344で提供する。
【0303】
多型性のために、クローンL531Sは、2つの形式を有するようである。L531Sの最初に決定された全長cDNA配列を、配列番号109で提供し、対応するアミノ酸配列を配列番号110で提供する。L531Sの2番目に決定された全長cDNA配列を、配列番号111で提供し、対応するアミノ酸配列を配列番号112で提供する。配列番号111の配列は、27bpの挿入を含む以外は配列番号109のものと同一である。同様に、L514Sは、2つのオルタネイティブスプライシング型を有する。最初の改変体cDNAは配列番号153として挙げ、対応するアミノ酸配列を配列番号155で提供する。L514Sの2目の改変体の全長cDNAを、配列番号154で提供し、対応するアミノ酸配列を配列番号156で提供する。
【0304】
L524S(配列番号101)の全長クローニングは、2つの改変体(配列番号163および164)を産生した。それぞれ対応するアミノ酸配列は配列番号165および166である。両方の改変体は、上皮小体ホルモン関連ペプチドをコードすることが示された。
【0305】
L519Sの全長cDNAを単離する試みによって、潜在的なオープンリーディングフレームを含む、配列番号173で提供される延長cDNA配列の単離が引き起こされた。配列番号173の配列によってコードされるアミノ酸配列を、配列番号174で提供する。さらに、公知の遺伝子である、配列番号100のクローン(L523Sとして知られる)の全長cDNA配列を、配列番号175で提供し、対応するアミノ酸配列を配列番号176で提供する。さらなる研究において、L523Sの全長cDNA配列を、L523S陽性腫瘍cDNAライブラリーから、配列番号175の配列から設計した遺伝子特異的プライマーを用いたPCR増幅によって単離した。決定した全長cDNA配列を、配列番号347で提供する。この配列によってコードされるアミノ酸配列を、配列番号348で提供する。このタンパク質配列は、以前に公開されたタンパク質配列と2つのアミノ酸位置、すなわち位置158および410で異なる。
【0306】
L514SおよびL531S(それぞれ配列番号87および88、および109)の配列を、上記で記載したようにジーンバンクの配列と比較すると、公知の配列と有意な相同性は示されなかった。L513S、L516S、L517S、L519S、L520SおよびL530S(それぞれ配列番号87および88、91および92、93、94、95および96、107および108)の配列は、以前に同定されたESTといくらか相同性を示すことが見出された。L521S、L522S、L523S、L524S、L525S、L526S、L527S、L528SおよびL529S(それぞれ配列番号97および98、99、99、101、102、103、104、105および106)の配列は、公知の遺伝子を示すことが見出された。L520Sの決定した全長cDNA配列を、配列番号113で提供し、対応するアミノ酸配列を配列番号114で提供する。続くマイクロアレイ分析によって、L520Sは肺扁平上皮腫瘍に加えて乳房腫瘍で過剰発現していることが示された。
【0307】
さらなる分析によって、L529S(配列番号106および115)、L525S(配列番号102および120)およびL527S(配列番号104)は、細胞骨格構成成分であり、そして潜在的な扁平上皮細胞特異的タンパク質であることが示された。L529Sはコネキシン26、ギャップ接合(ジャンクション)タンパク質である。それは、9688Tと呼ばれる1つの肺扁平上皮腫瘍で高度に発現しており、そして他の2つで中程度に過剰発現していることが見出された。しかし、コネキシン26のより低レベルの発現は、正常な皮膚、結腸、肝臓および胃でも検出可能である。いくつかの乳房腫瘍におけるコネキシン26の過剰発現が報告されており、そして変異型のL529Sが、肺腫瘍における過剰発現を引き起こし得る。L525Sは、プラコフィリン(plakophilin)1という皮膚のプラークを有する接着結合で見出されるデスモソームタンパク質である。L525S mRNAの発現レベルは、試験した4つの肺扁平上皮腫瘍のうち3つにおいて、および正常皮膚において高度に上昇していた。L527Sは、ケラチン6アイソフォーム、II型58Kdケラチンおよびサイトケラチン13として同定され、そして扁平上皮腫瘍で過剰発現を示し、そして正常皮膚、乳房、および結腸組織で低い発現を示す。ケラチンおよびケラチン関連遺伝子は、CYFRA2.1を含む肺癌の潜在的なマーカーとして、広く文献で記録されている(Pastor A.ら、Eur.Respir.J.、10:603〜609、1997)。L513S(配列番号87および88)は、試験したいくつかの腫瘍組織において中程度の過剰発現を示し、そして尋常性天疱瘡抗原として最初に単離されたタンパク質をコードする。
【0308】
L520S(配列番号95および96)およびL521S(配列番号97および98)は、肺扁平上皮腫瘍において高度に発現されており、L520Sは正常唾液腺でアップレギュレートされており、そしてL521Sは正常皮膚で過剰発現されている。どちらも小さいプロリンリッチタンパク質のファミリーに属し、そして完全に分化した扁平上皮細胞のマーカーを示す。L521Sは、肺扁平上皮腫瘍の特異的マーカーとして記載された(Hu,R.ら、Lung Cancer、20:25−30、1998)。L515S(配列番号162)は、IGF−β2をコードし、そしてL516Sはアルドース還元酵素ホモログである。どちらも肺扁平上皮腫瘍および正常結腸において中程度に発現されている。特に、L516S(配列番号91および92)は、原発性肺腺癌ではなく転移性腫瘍においてアップレギュレートされており、転移における潜在的な役割および潜在的な予後マーカーを示す。L522S(配列番号99)は、肺扁平上皮腫瘍において中程度に過剰発現されており、正常組織において最低限に発現されている。L522Sは、クラスIVアルコールデヒドロゲナーゼ、ADH7に属することが示され、そしてその発現プロファイルは、それが扁平上皮細胞特異的抗原であることを示唆する。L523S(配列番号100)は、肺扁平上皮腫瘍、ヒト膵癌細胞株および膵癌組織において中程度に過剰発現しており、この遺伝子が膵臓と肺の扁平上皮細胞癌との間で共通の抗原であり得ることを示唆する。
【0309】
L524S(配列番号101)は、試験した大部分の扁平上皮腫瘍で過剰発現しており、そして白血病、前立腺癌および乳癌のような悪性腫瘍に関連する体液性高カルシウム血症を引き起こすことがよく知られている、上皮小体ホルモン関連ペプチド(PTHrP)と相同である。PTHrPはまた、肺の扁平上皮癌と最も一般に関連しており、そして肺腺癌との関連はまれであると考えられている(Davidson,L.A.ら、J.Pathol.、178:398−401、1996)。L528S(配列番号105)は、2つの肺扁平上皮腫瘍において高度に過剰発現しており、他の2つの扁平上皮腫瘍、1つの肺腺癌、および皮膚、リンパ節、心臓、胃および肺を含むいくつかの正常組織において中程度に発現している。これは、メラニン細胞特異的遺伝子Pmel17の前駆体と類似のNMB遺伝子をコードする。Pmel17は、低転移性の潜在的黒色腫細胞株で選択的に発現することが報告されている。これは、L528Sが、黒色腫および肺扁平上皮細胞癌の両方において共通の抗原であり得ることを示唆する。L526S(配列番号103)は、試験した全ての肺扁平上皮細胞腫瘍組織において過剰発現しており、そしてある遺伝子(ATM)と相同性を共有することが示された。ここで突然変異は、他の症状の中でも癌への素因を生じるヒトの遺伝的疾患である、毛細血管拡張性運動失調を引き起こす。ATMは、p53分子の直接結合およびリン酸化によって、p53媒介性の細胞周期チェックポイントを活性化するタンパク質をコードする。約40%の肺癌が、p53の突然変異と関連しており、そしてATMの過剰発現はp53機能損失の代償の結果であると推察される。しかし、過剰発現が肺扁平上皮細胞癌の結果の原因であるかどうかは未知である。さらに、L526S(ATM)の発現はまた、転移性腺癌で検出されるが肺腺癌では検出されず、転移における役割を示唆する。
【0310】
L523S(配列番号175)の発現を、上記で記載したようにリアルタイムRT−PCRによって試験した。肺扁平上皮腫瘍のパネルを用いた最初の研究では、L523Sは、4/7の肺扁平上皮腫瘍、2/3の頭部および頸部の扁平上皮腫瘍および2/2の肺腺癌において発現していることが見出され、骨格筋、軟口蓋および扁桃において低レベルの発現が観察された。肺腺癌パネルを用いた2番目の研究では、L523Sの発現は、4/9の原発性腺癌、2/2の肺胸水、1/1の転移性肺腺癌、および2/2の肺扁平上皮腫瘍において観察され、正常組織においてはほとんど発現が観察されなかった。
【0311】
肺腫瘍および様々な正常組織におけるL523Sの発現を、標準的な技術を用いてノーザンブロット分析によっても試験した。最初の研究では、L523Sは、多くの肺腺癌および扁平上皮細胞癌ならびに正常扁桃において発現していることが見出された。正常肺においては、発現は観察されなかった。Clontechからの正常組織ブロット(HB−12と呼ばれる)を用いた2番目の研究では、脳、骨格筋、結腸、胸腺、脾臓、腎臓、肝臓、小腸、肺またはPBMCにおいて発現は観察されなかったが、胎盤においては強い発現が存在した。
【0312】
(実施例3)
(PCRに基づくサブトラクションによる肺腫瘍ポリペプチドの単離および特徴付け)
肺、PBMC、脳、心臓、腎臓、肝臓、膵臓および皮膚を含む8つの正常ヒト組織cDNA(Clontech、Palo Alto、CA)に対してサブトラクトした、2つのヒト肺扁平上皮腫瘍のプール由来のcDNAを含む、cDNAサブトラクションライブラリーから、857個のクローンを誘導し、そして初回のPCR増幅にかけた。製造業者のプロトコールに従って、このライブラリーでを2回目のPCR増幅に供した。得られたcDNAフラグメントを、P7−Advベクター(Clontech、Palo Alto、CA)にサブクローニングして、そしてDH5α E.coli(Gibco、BRL)へ形質転換した。DNAを独立したクローンから単離し、そしてPerkin Elmer/Applied Biosystems Division Automated Sequencer Model 373Aを用いて配列決定した。
【0313】
162個の陽性クローンを配列決定した。これらのクローンのDNA配列とEMBLおよびGenBankデータベース中のDNA配列を上記で記載したような比較は、本明細書中以降コンティグ13、16、17、19、22、24、29、47、49、56〜59と呼ばれる、これらのクローンのうち13個に対する有意な相同性を示さなかった。これらクローンの決定されたcDNA配列を、それぞれ配列番号125、127〜129、131〜133、142、144、148〜150、および157に提供する。コンティグ1、3〜5、7〜10、12、11、15、20、31、33、38、39、41、43、44、45、48、50、53、54(それぞれ配列番号115〜124、126、130、134〜141、143、145〜147)は、以前に同定されたDNA配列とある程度相同性を示すことが見出された。コンティグ57(配列番号149)は、1998年7月27日に出願された米国特許出願第09/123,912号において開示されたクローンL519S(配列番号94)を示すことが見出された。本発明者らの知る限り、これらの配列が肺腫瘍において差示的に過剰発現していることは以前に示されていない。
【0314】
肺腫瘍組織、正常肺組織(n=4)、休止PBMC、唾液腺、心臓、胃、リンパ節、骨格筋、軟口蓋、小腸、大腸、気管支、膀胱、扁桃、腎臓、食道、骨髄、結腸、副腎、膵臓、および皮膚(全てヒト由来)における、代表的なクローンのmRNA発現レベルを、上記で記載したようにRT−PCRによって決定した。上記で記載したようなマイクロアレイ技術を用いて、他に示さなければ各組織型の1つのサンプルにおいて発現レベルを試験した。
【0315】
コンティグ3(配列番号116)は、試験した全ての頭部および頸部の扁平上皮細胞腫瘍(17/17)において高度に発現しており、そして肺扁平上皮腫瘍の大部分で(8/12)発現しており(7/12で高度の発現、2/12で中程度、そして2/12で低度)、一方2/4の正常肺組織で陰性の発現、そして残りの2サンプルで低い発現であることが見出された。コンティグ3は、皮膚および軟口蓋で中程度の発現を示し、そして休止PBMC、大腸、唾液腺、扁桃、膵臓、食道、および結腸で低い発現レベルを示した。コンティグ11(配列番号124)は、試験した全ての頭部および頸部の扁平上皮細胞腫瘍(17/17)において発現していることが見出され、14/17の腫瘍で高レベルの発現が見られ、3/17の腫瘍で中程度レベルの発現が見られた。さらに、3/12の肺扁平上皮腫瘍において高度の発現が見られ、そして4/12の肺扁平上皮腫瘍において中程度の発現が見られた。コンティグ11は、3/4の正常肺サンプルにおいて陰性であり、残りのサンプルは低度の発現しかなかった。コンティグ11は、唾液腺、軟口蓋、膀胱、扁桃、皮膚、食道、および大腸で低度から中程度の反応性を示した。コンティグ13(配列番号125)は、試験した全ての頭部および頸部の扁平上皮細胞腫瘍(17/17)において発現していることが見出され、12/17では高度の発現、そして5/17では中程度の発現であった。コンティグ13は、7/12の肺扁平上皮腫瘍において発現しており、4/12で高度の発現、そして3つのサンプルで中程度の発現であった。正常肺サンプルの分析は、2/4で陰性の発現、そして残りの2つのサンプルで低度から中程度の発現を示した。コンティグ13は、休止PBMC、唾液腺、膀胱、膵臓、扁桃、皮膚、食道および大腸で低度から中程度の反応性を示し、そして軟口蓋で高度の発現を示した。続く全長クローニングの試みは、コンティグ13(L761Pとしても知られる)が、hSec10p遺伝子の3’非翻訳領域にマップされることを示した。この遺伝子の全長配列は、配列番号368に示され、そしてこれは、配列番号369に示されるタンパク質をコードする。
【0316】
コンティグ16(配列番号127)は、いくつかの頭部および頸部の扁平上皮細胞腫瘍(6/17)および1つの肺扁平上皮腫瘍において中程度に発現していることが見出されたが、試験した正常肺サンプルのいずれにおいても発現を示さなかった。コンティグ16は、休止PBMC、大腸、皮膚、唾液腺、および軟口蓋に対して低い反応性を示した。コンティグ17(配列番号128)は、試験した全ての頭部および頸部の扁平上皮細胞腫瘍(17/17)において発現していることが示された(5/17で高度に発現、そして12/17で中程度に発現)。肺扁平上皮腫瘍における発現レベルの決定は、1つの腫瘍サンプルで高度の発現、そして3/12で中程度レベルの発現を示した。コンティグ17は、2/4の正常肺サンプルで陰性であり、残りのサンプルは低い発現しか有さなかった。さらに、食道および軟口蓋において低レベルの発現が見出された。コンティグ19(配列番号129)は、試験したほとんどの頭部および頸部の扁平上皮細胞腫瘍において(11/17)発現していることが見出された;2つのサンプルは高レベルの発現、6/17は中程度の発現を示し、そして3/17で低い発現が見出された。肺扁平上皮腫瘍における試験は、3/12のサンプルにおいて中程度の発現のみを示した。2/4の正常肺サンプルにおける発現レベルは陰性であり、他の2つのサンプルは低い発現しか有さなかった。コンティグ19は、食道、休止PBMC、唾液腺、膀胱、軟口蓋、および膵臓において低い発現レベルを示した。
【0317】
コンティグ22(配列番号131)は、試験したほとんどの頭部および頸部の扁平上皮細胞腫瘍において(13/17)発現していることが示され、これらサンプルのうち4つにおいて高度の発現、6/17で中程度の発現、そして3/17で低度の発現を示した。肺扁平上皮腫瘍における発現レベルは、試験した3/12の組織で中程度から高度であることが見出され、2つの正常肺サンプルにおいては陰性の発現、そして他の2つのサンプルにおいては低度の発現であった(n=4)。コンティグ22は、皮膚、唾液腺、および軟口蓋において低度の発現を示した。同様に、コンティグ24(配列番号132)は、試験したほとんどの頭部および頸部の扁平上皮細胞腫瘍において(13/17)発現していることが示され、これらサンプルのうち3つにおいて高度の発現、6/17で中程度の発現、そして4/17で低度の発現を示した。肺扁平上皮腫瘍における発現レベルは、試験した3/12の組織で中程度から高度であることが見出され、3つの正常肺サンプルにおいては発現が陰性、そして1つのサンプルにおいては低度の発現であった(n=4)。コンティグ24は、皮膚、唾液腺、および軟口蓋において低度の発現を示した。コンティグ29(配列番号133)は、試験したほとんど全ての頭部および頸部の扁平上皮細胞腫瘍において(16/17)発現していた:4/17で高度に発現、11/17で中程度に発現、1つのサンプルで低度に発現していた。また、これは、3/12の肺扁平上皮腫瘍において中程度に発現していたが、2/4の正常肺サンプルにおいて陰性であった。コンティグ29は、大腸、皮膚、唾液腺、膵臓、扁桃、心臓および軟口蓋において低度から中程度の発現を示した。コンティグ47(配列番号142)は、試験したほとんどの頭部および頸部の扁平上皮細胞腫瘍において(12/17)発現していた:10/17で中程度の発現、そして2つのサンプルにおいて低度の発現であった。肺扁平上皮腫瘍において、これは、1つのサンプルにおいて高度に発現しており、そして他の2つにおいて中程度に発現していた(n=13)。コンティグ47は、2/4の正常肺サンプルにおいて陰性であり、他の2つのサンプルは中程度の発現を有した。また、コンティグ47は、大腸および膵臓で中程度の発現を示し、そして皮膚、唾液腺、軟口蓋、胃、膀胱、休止PBMC、および扁桃において低度の発現を示した。
【0318】
コンティグ48(配列番号143)は、試験した全ての頭部および頸部の扁平上皮細胞腫瘍において(17/17)発現していた:8/17で高度の発現、そして7/17で中程度の発現、2つのサンプルにおいて低度の発現であった。肺扁平上皮腫瘍における発現レベルは、3つのサンプルにおいて高度から中程度であった(n=13)。コンティグ48は、4つの正常肺サンプルのうち1つで陰性であり、残りは低度または中程度の発現を示した。コンティグ48は、軟口蓋、大腸、膵臓、および膀胱で中程度の発現を示し、そして食道、唾液腺、休止PBMC、および心臓において低度の発現を示した。コンティグ49(配列番号144)は、試験した6/17の頭部および頸部の扁平上皮細胞腫瘍において低度から中程度レベルで発現していた。肺扁平上皮腫瘍における発現レベルは、3つのサンプルにおいて中程度であった(n=13)。コンティグ49は、2/4の正常肺サンプルにおいて陰性であり、残りのサンプルは低度の発現を示した。皮膚、唾液腺、大腸、膵臓、膀胱および休止PBMCにおいて中程度の発現を示し、そして軟口蓋、リンパ節、および扁桃において低度の発現を示した。コンティグ56(配列番号148)は、試験した3/17の頭部および頸部の扁平上皮細胞腫瘍において低度から中程度で発現しており、そして肺扁平上皮腫瘍において13サンプルのうち3つにおいて低度から中程度レベルを示した。特に、1つの腺癌肺腫瘍サンプルにおいて低度の発現レベルが検出された(n=2)。コンティグ56は、3/4の正常肺サンプルにおいて陰性であり、そして大腸においてのみ中程度の発現レベルを示し、そして唾液腺、軟口蓋、膵臓、膀胱および休止PBMCにおいて低度の発現を示した。L769Pとしても知られるコンティグ58(配列番号150)は、試験した11/17の頭部および頸部の扁平上皮細胞腫瘍において中程度レベルで発現しており、そして1つのさらなるサンプルにおいて低度の発現であった。肺扁平上皮腫瘍における発現は、13サンプルのうち3つにおいて低度から中程度レベルを示した。コンティグ58は、3/4の正常肺サンプルにおいて陰性であり、1つのサンプルは低度の発現を有していた。皮膚、大腸、および休止PBMCにおける中程度の発現レベル、そして唾液腺、軟口蓋、膵臓および膀胱において低度の発現が実証された。コンティグ59(配列番号157)は、いくつかの頭部、頸部、および肺の扁平上皮腫瘍において発現していた。コンティグ59の低レベルの発現は、唾液腺および大腸においても検出された。
【0319】
L763Pとも呼ばれるコンティグ22の全長cDNA配列を、配列番号158で提供し、対応するアミノ酸配列を配列番号159で提供する。L763PのリアルタイムRT−PCR分析は、3/4の肺扁平上皮腫瘍および4/4の頭部および頸部の扁平上皮腫瘍において高度に発現していることを示し、正常な脳、皮膚、軟口蓋および気管において低レベルの発現が観察された。続くデータベース探索は、配列番号158の配列が突然変異を含み、対応するタンパク質配列にフレームシフトを起こしていることを示した。L763Pについての2番目のcDNA配列を、配列番号345で提供し、対応するアミノ酸配列を配列番号346で提供する。配列番号159および346は、配列番号159のC末端33アミノ酸を除いて同一である。
【0320】
L762Pと呼ばれる、コンティグ17、19、および24を含む全長cDNA配列を配列番号160で提供し、対応するアミノ酸配列を配列番号161で提供する。L762Pのさらなる分析は、それがI型膜タンパク質であることを決定し、そして2つのさらなる改変体を配列決定した。改変体1(配列番号167、対応するアミノ酸配列は配列番号169)は、配列番号160の選択的スプライシング形態であり、503ヌクレオチドの欠失、および発現されたタンパク質の短いセグメントの欠失を生ずる。改変体2(配列番号168、対応するアミノ酸は配列番号170)は、配列番号160と比較して3’コード領域に2ヌクレオチドの欠失を有し、発現タンパク質の分泌形態が生ずる。L762PのリアルタイムRT−PCR分析は、3/4の肺扁平上皮腫瘍および4/4の頭部および頸部の腫瘍において過剰発現していることが示され、正常な皮膚、軟口蓋および気管において低レベルの発現が観察された。
【0321】
L762Pのエピトープは、配列KPGHWTYTLNNTHHSLQALK(配列番号382)を有するものとして同定され、これは配列番号161のアミノ酸571〜590に対応する。
【0322】
L733Pとも呼ばれる、コンティグ56(配列番号148)の全長cDNA配列を配列番号171で、アミノ酸配列を配列番号172で提供する。L733Pは、遺伝子の3’部分でジヒドロキシルデヒドロゲナーゼと同一であり、異なる5’配列を有することが見出された。結果として、N末端の69アミノ酸が独特である。N末端の69アミノ酸をコードするcDNA配列を、配列番号349で提供し、N末端アミノ酸配列を配列番号350で提供する。リアルタイムPCRは、L773Pが肺扁平上皮腫瘍および肺腺癌において高度に発現し、正常組織において検出可能な発現がないことを示した。続くL773Pのノーザンブロット分析は、この転写物が扁平上皮腫瘍において差示的に過剰発現しており、そして原発性肺腫瘍組織において約1.6Kb、ならびに原発性の頭部および頸部の腫瘍組織において約1.3Kbで検出されることを示した。
【0323】
続くマイクロアレイ分析は、L769S(配列番号150)とも呼ばれるコンティグ58が、肺扁平上皮腫瘍に加えて乳房腫瘍において過剰発現していることを示した。
【0324】
(実施例4)
(PCRに基づくサブトラクションによる肺腫瘍ポリペプチドの単離および特徴付け)
皮膚、結腸、肺、食道、脳、腎臓、脾臓、膵臓、および肝臓を含む9つの正常ヒト組織cDNAのプール(Clontech、Palo Alto、CA)に対してサブトラクトした、2つのヒト肺原発性腺癌のプール由来のcDNAを含む、cDNAサブトラクションライブラリーから、760個のクローンを誘導し、そして初回のPCR増幅にかけた。このライブラリー(ALT−1と呼ばれる)を、製造業者のプロトコールに従って2回目のPCR増幅に供した。肺腫瘍、正常肺、および種々の他の正常組織および腫瘍組織におけるこれら760個のcDNAクローンの発現レベルを、マイクロアレイ技術(Incyte、Palo Alto、CA)を用いて試験した。簡単には、PCR増幅産物を、アレイ形式でスライドに点在させ、各産物はアレイにおいて独自の位置を占めた。試験される組織サンプルからmRNAを抽出し、逆転写し、そして蛍光標識cDNAプローブを産生した。このマイクロアレイを標識cDNAプローブでプローブし、スライドを走査してそして蛍光強度を測定した。この強度は、ハイブリダイゼーション強度と相関する。全部で118個のクローンのうち55個が独特であり、これらは、肺腫瘍組織において過剰発現していることが見出され、試験した正常組織(肺、皮膚、リンパ節、結腸、肝臓、膵臓、乳房、心臓、骨髄、大腸、腎臓、胃、脳、小腸、膀胱および唾液腺)における発現は検出不可能であるか、または有意に低レベルであるかのいずれかであった。配列番号420(クローン#19014)で提供される配列を有する、これらクローンのうちの1つは、以前に同定されたクローン、L773Pとの相同性を示す。クローンL733Pは、配列番号171で提供される全長cDNA配列および配列番号172で提供されるアミノ酸配列を有する。クローン#19014の単離は、1999年4月2日に出願された、同時継続中の米国特許出願第09/285,479号においても記載されている。
【0325】
(実施例5)
(ポリペプチドの合成)
ポリペプチドを、Perkin Elmer/Applied Biosystems Division 430Aペプチド合成機で、HPTU(O−ベンゾトリアゾール−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸(O−Benzotriazole−N,N,N’,N’−tetramethyluronium hexafluorophosphate))活性化を用いるFMOC化学を用いて合成し得る。Gly−Cys−Gly配列を、ペプチドのアミノ末端に結合して、結合体化、固定化表面への結合、またはペプチドを標識する方法を提供し得る。固体支持体からのペプチドの切断を、以下の切断混合物を用いて行なう:トリフルオロ酢酸:エタンジチオール:チオアニソール:水:フェノール(40:1:2:2:3)。2時間切断した後、ペプチドを冷却メチル−t−ブチルエーテル中で沈殿させる。次いで、ペプチドペレットを、0.1%のトリフルオロ酢酸(TFA)を含む水中に溶解させ、そしてC18逆相HPLCによる精製の前に凍結乾燥させる。水(0.1%のTFAを含む)中の0%〜60%のアセトニトリル(0.1%のTFAを含む)の勾配を使用して、ペプチドを溶出し得る。純粋画分の凍結乾燥後、ペプチドをエレクトロスプレーまたは他の型の質量分析を用いて、そしてアミノ酸分析によって特徴づけする。
【0326】
(実施例6)
(肺ガン抗原に対する抗体の調製)
肺ガン抗原L514S、L528S、L531S、L523S、およびL773P(それぞれ、配列番号155、225、112、176、および171)に対するポリクローナル抗体を、以下のように調製した。
【0327】
ウサギを、以下に記載するようにE.coli中で発現させそして精製した組換えタンパク質で免疫した。初回免疫のために、ムラミルジペプチド(MDP)と混合した400μgの抗原を皮下(S.C.)注射した。動物を、不完全なフロイトのアジュバント(IFA)と混合した200μgの抗原を用いて、4週間後にS.C.で追加免疫した。高抗体力価の応答を導くために必要である場合には、続くIFAと混合した100μgの抗原の追加免疫をS.C.で注射した。免疫したウサギから採血した血清を、精製したタンパク質を用いるELISAアッセイを使用して抗原特異的反応性について試験した。L514S、L528S、L531S、L523S、およびL773Pに対するポリクローナル抗体を、固体支持体に付着させた精製したタンパク質を使用して、高力価のポリクローナル血清から親和性精製した。
【0328】
L514Sに対するポリクローナル抗体を使用する免疫組織化学的分析を、5個の肺腫瘍のサンプル、5個の正常な肺組織のサンプル、および正常な結腸、腎臓、肝臓、脳、および骨髄のパネルについて行った。詳細には、組織サンプルを24時間の間ホルマリン溶液中で固定し、そしてパラフィン中に包埋し、その後10ミクロンの切片に薄切りにした。組織切片を浸透性にし、そして抗体とともに1時間インキュベートした。HRP標識抗マウス、続いてDAB色素原とのインキュベーションを、L514S免疫反応性を視覚化するために使用した。L514Sは、肺腫瘍組織中で高く発現され、正常な肺、脳、または骨髄中ではわずかな発現が観察されるかまたは発現が観察されないことを見出した。明るい染色を、結腸(上皮クリプト細胞陽性)および腎臓(細管陽性)中で観察した。染色は、正常な肝臓中で見られたが、mRNAはこの組織中では検出されていないので、この結果は疑わしい。
【0329】
同じ手順を使用して、L528Sに対するポリクローナル抗体を使用した免疫組織化学的分析によって、肺腫瘍および正常な肺サンプル中の染色、結腸および腎臓中の明るい染色、そして肝臓および心臓中は染色されないことを実証した。
【0330】
L531Sに対するポリクローナル抗体を使用する免疫組織化学的分析によって、肺腫瘍サンプル中の染色、ほとんどの正常な肺サンプル中の明るい膜染色、結腸中の上皮染色、腎臓の小管染色、肝臓中の管上皮染色を、そして心臓中は染色されないことを実証した。
【0331】
L523Sに対するポリクローナル抗体を使用する免疫組織化学的分析によって、試験した全ての肺ガン(癌)サンプル中の染色を実証したが、正常な肺、腎臓、肝臓、結腸、骨髄、または小脳中は染色されなかった。
【0332】
L762P(配列番号169および170)に対するポリクローナル抗血清の作成を、以下のように行った。400μgの肺抗原を、100μgのムラミルジペプチド(MDP)と混合した。等量の不完全なフロイトのアジュバント(IFA)を添加し、次いで乳濁物が形成されるまで混合した。ウサギに皮下(S.C.)注射した。4週間後、動物に、等量のIFAと混合した200μgの抗原をS.C.注射した。4週間ごとに、動物を100μgの抗原で追加免疫した。それぞれの追加免疫の7日後に、動物を放血させた。血液を4℃で12〜24時間の間インキュベートし、その後遠心分離することによって、血清を作成した。
【0333】
ポリクローナル抗血清の特徴付けを、以下のように行った。96ウェルプレートを、50μl(典型的には、1μg)の抗原を用いて、4℃で20時間の間インキュベートすることによってコートした。250μlのBSAブロッキング緩衝液をウェルに添加し、そして室温で2時間インキュベートした。プレートを、PBS/0.01% Tweenで6回洗浄した。ウサギ血清をPBS中に稀釈し、そして50μlの稀釈した血清をそれぞれのウェルに添加し、そして室温で30分間インキュベートした。プレートを上記のように洗浄し、その後、1:10000希釈の50μlのヤギ抗ウサギ西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)の添加、および室温で30分間のインキュベーションを行った。プレートを上記のように洗浄し、そして100μlのTMBマイクロウェルペルオキシダーゼ基質(TMB Microwell Peroxidase Substrate)をそれぞれのウェルに添加した。室温で暗所での15分のインキュベーション後、比色定量反応を、100μlの1NのH2SO4を用いて停止させ、そして直ちに450nmで読み取った。抗血清は、抗原L762Pに対して強い反応性を示した。
【0334】
L762Pに対するポリクローナル抗体を使用する免疫組織化学的分析によって、試験した全ての肺ガンサンプル中の染色、正常な肺の細気管支上皮中のいくらか明るい染色、腎臓中の細管染色、結腸中の明るい上皮染色を、そして心臓または肝臓中は染色されないことを実証した。
【0335】
種々の組織中でのL773Pタンパク質の発現を評価するために、免疫組織化学的(IHC)分析を、親和性精製したL773Pポリクローナル抗体を使用して行った。簡潔には、組織サンプルを12〜24時間の間ホルマリン溶液中で固定し、そしてパラフィン中に包埋し、その後8ミクロンの切片へと薄切りにした。0.1Mのクエン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)中の蒸気熱で誘導したエピトープ読み出し(steam heat induced epitope retrieval(SHIER))を、最適な染色条件に使用した。切片を10%の血清/PBSとともに5分間インキュベートした。一次抗体を、示した濃度で25分間それぞれの切片に対して添加し、その後、抗ウサギまたは抗マウスビオチニル化抗体のいずれかとともに25分間インキュベートした。内因性のペルオキシダーゼ活性を、過酸化水素との3回の1.5分間のインキュベーションによってブロックした。アビジンビオチン複合体/西洋ワサビペルオキシダーゼ(ABC/HRP)システムを、L773Pの発現を視覚化するために、DAB色素原とともに使用した。スライドを、細胞核を視覚化するためにヘマトキシリンで対比染色した。このアプローチを使用して、L773Pタンパク質を、8個の肺腫瘍のうちの6個、6個の正常な肺サンプルのうちの4個(いくつかの場合には非常に明るい染色)、1個の腎臓サンプルのうちの1個(非常に明るい染色)、1個の心臓サンプルのうちの0個、1個の結腸サンプルのうちの1個(非常に明るい染色)、および1個の肝臓サンプルのうちの0個において検出した。
【0336】
(実施例7)
(マウスのペプチドプライミングおよびCTL株の増殖)
HLA−A2/Kb拘束CD8+T細胞についての肺ガン抗原L762P(配列番号161)に由来する免疫原性ペプチドを、以下のように同定した。
【0337】
肺がん抗原L762P(配列番号161)中のHLA−A2結合ペプチドの位置を、HLA−A*0201についての既知のペプチド結合モチーフ(Rupertら(1993)Cell 74:929;Rammenseeら(1995)Immunogenetics 41:178−228)に対して合わせることによって、おそらくHLA−A*0201に対してであるペプチド配列を推定するコンピュータープログラムを使用して推定した。推定のHLA−A*0201結合ペプチドの選択したサブセットに対応している一連の19個の合成ペプチドを、上記のように調製した。
【0338】
ヒトHLA A2/Kbについてのトランスジーン(導入遺伝子)を発現しているマウス(L.Sherman博士、The Scripps Research Institute,La Jolla,CAによって提供された)を、以下の改変を伴って、Theobaldら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:11993−11997、1995に記載されているように、合成ペプチドで免疫した。マウスを、不完全なフロイトのアジュバント中に乳濁化したB型肝炎ウイルスタンパク質に由来する50μgのL762Pペプチドおよび120μgのI−Ab結合ペプチドで免疫した。3週間後、これらのマウスを屠殺し、そして単細胞懸濁物を調製した。次いで、細胞を、10%のFCS、2mMのグルタミン(Gibco BRL)、ピルビン酸ナトリウム(Gibco BRL)、非必須アミノ酸(Gibco BRL)、2×10−5Mの2−メルカプトエタノール、50U/mlのペニシリンおよびストレプトマイシンを含有している完全培地(RPMI−1640;Gibco BRL、Gaithersburg,MD)中に7×106細胞/mlで再懸濁し、そして放射線照射した(3000rad)L762Pペプチド−(5μg/ml)および10mg/mlのB2−ミクログロブリン−(3μg/ml)LPSブラスト(blasts)(7μg/mlの硫酸デキストランおよび25μg/mlのLPSの存在下で3日間培養したA2トランスジェニック脾臓細胞)の存在下で培養した。6日後、細胞(5×105/ml)を2.5×106/mlのペプチドでパルスした(pulsed)放射線照射した(20,000rad)EL4A2Kb細胞(Shermanら、Science 258:815−818、1992)および5×106/mlの放射線照射した(3000rad)A2/Kb−トランスジェニック脾臓フィーダー(feeder)細胞で再刺激した。細胞を、10U/mlのIL−2の存在下で培養した。細胞を、株のクローニングのための調製において、記載するように1週間の基準で再刺激した。
【0339】
ペプチド特異的細胞株を、刺激因子として放射線照射した(20,000ras)L762PペプチドでパルスしたEL4 A2Kb腫瘍細胞(1×104細胞/ウェル)を、そして10U/mlのIL−2の存在下で増殖させたフィーダー(5×105細胞/ウェル)として放射線照射した(3000rad)A2/Kbトランスジェニック脾臓細胞を用いて、限界稀釈分析によってクローニングした。7日目に、細胞を使用前に再刺激した。14日目に、増殖しているクローンを単離し、そして培養物中で維持した。
【0340】
ペプチドL762P−87(配列番号226;配列番号161のアミノ酸87〜95に対応している)、L762−145(配列番号227;配列番号161のアミノ酸145−153に対応している)、L762P−585(配列番号228;配列番号161のアミノ酸583−593に対応している)、L762P−425(配列番号229;配列番号161のアミノ酸425−433に対応している)、L762P(10)−424(配列番号230;配列番号161のアミノ酸424−433に対応している)、およびL652P(10)−458(配列番号231;配列番号161のアミノ酸458−467に対応している)について特異的な細胞株は、対照のペプチドでパルスしたEL4−A2/Kb腫瘍標的細胞よりも、L762PペプチドでパルスしたEL4−A2/Kb腫瘍標的細胞に対して有意に高い反応性(特異的溶解の割合によって測定した場合)を実証した。
【0341】
(実施例8)
(肺ガン抗原L762Pに由来するCD4免疫原性細胞エピトープの同定)
抗原L762P(配列番号161)に特異的なCD4 T細胞株を、以下のように作成した。
【0342】
L762P配列の約50%にまたがる、一連の28個の重複しているペプチドを合成した。準備刺激のために、ペプチドを4〜5個のペプチドのプールに組み合わせ、24時間の間、樹状細胞へと20μg/mlでパルスした。次いで、樹状細胞を洗浄し、そして96ウェルU底プレート中で陽性選択したCD4+ T細胞と混合した。40個の培養物を、それぞれのペプチドプールについて作成した。培養物を、ペプチドプールで充填した新しい樹状細胞を用いて毎週再刺激した。全部で3回の再刺激サイクルの後、細胞をさらに1週間休ませ、そしてインターフェロン−γ ELISAおよび増殖アッセイを使用して、ペプチドプールでパルスした抗原提示細胞(APC)に対する特異性について試験した。これらのアッセイのために、関連ペプチドプールまたは無関係なペプチドのいずれかとともに充填した接着性の単球を、APCとして使用した。サイトカインの放出および増殖の両方によってL762Pペプチドプールを特異的に認識するようであるT細胞株を、それぞれのプールについて同定した。増殖応答を有するT細胞を同定することに重点を置いた。L762P特異的サイトカインの分泌および増殖の両方、または強力な増殖のみのいずれかを示したT細胞株をプールからの個々のペプチドの認識について、ならびに組換えL762Pの認識について試験するために、さらに拡大させた。組換えL762Pの供給源は、E.coliであり、そして材料を部分的に精製し、そしてこれらは内毒素陽性であった。これらの研究は、10μgの個々のペプチド、10または2μgの無関係なペプチド、および2または0.5μgのL762Pタンパク質または無関係な同等の不純物のいずれか、E.coliから生成させた組換えタンパク質を使用した。有意なインターフェロン−γの産生およびCD4 T細胞の増殖が、それぞれのプール中の多数のL762P由来ペプチドによって誘導された。これらのペプチドのアミノ酸配列を、配列番号232〜251に提供する。これらのペプチドは、それぞれ、配列番号161の、アミノ酸661〜680、676〜696、526〜545、874〜893、811〜830、871〜891、856〜875、826〜845、795〜815、736〜755、706〜725、706〜725、691〜710、601〜620、571〜590、556〜575、616〜635、646〜665、631〜650、541〜560、および586〜605に対応した。
【0343】
個々のL762P由来ペプチドに特異性を示したCD4 T細胞株をさらに、10μg/mlの関連ペプチドでの刺激によって拡大させた。刺激の2週間後、T細胞株を、増殖および特異的ペプチドの認識についてのIFNγ ELISAアッセイの両方を使用して試験した。多数の以前に同定されたT細胞は、L762Pペプチド特異的活性を示し続けた。これらの株のそれぞれをさらに、関連ペプチドについて拡大し、そして拡大の2週間後に、滴定実験においてL762Pペプチドの特異的認識について、ならびに組換えE.coli由来L762Pタンパク質の認識について試験した。これらの実験のために、自己由来の接着性の単球を、関連するL762P由来ペプチド、無関係なマンマグロビン(mammaglobin)由来ペプチド、組換えE.coli由来L762P(約50%純度)、または無関係なE.coli由来タンパク質のいずれかで、パルスした。T細胞株の大部分が関連ペプチドについて低い親和性を示すことを見出した。なぜなら、特異的増殖およびIFNγ比は、L762ペプチドが稀釈されるにつれて劇的に減少したからである。しかし、0.1μg/mlのペプチドでもなお有意な活性を示した4個の株を同定した。これらの株のそれぞれ(A/D5、D/F5、E/A7、およびE/B6と呼ぶ)はまた、E.coli由来L762Pタンパク質調製物に応答して(しかし、無関係なタンパク質調製物には応答しない)特異的に増殖するようであった。これらの株によって認識されるL762P由来ペプチドのアミノ酸配列を、それぞれ、配列番号234、249、236、および245に提供する。非タンパク質特異的IFNγを、いずれかの株について検出した。株A/D5、E/A7、およびE/B6を、0.1μg/ml(A/D5およびE/A7)または1(D/F5)μg/mlの関連ペプチドでパルスした自己由来の接着性の単球についてクローニングした。増殖後、クローンを、関連ペプチドに対する特異性について試験した。関連ペプチドに特異的な多数のクローンを、株A/D5およびE/A7について同定した。
【0344】
(実施例9)
(肺腫瘍特異的抗原のタンパク質発現)
a)E.coli中でのL514Sの発現
肺腫瘍抗原L514S(配列番号89)を、発現ベクターpE32b中のNcoIおよびNotI部位にサブクローニングし、そして標準的な技術を使用してE.coliに形質転換した。配列番号89の残基3〜153までのタンパク質を発現させた。発現させたアミノ酸配列および対応するDNA配列を、それぞれ、配列番号252および253に提供する。
【0345】
b)L762Pの発現
6×His Tagを有する、肺腫瘍抗原L762P(配列番号161)のアミノ酸32〜944を、カナマイシン耐性を使用して改変型pET28発現ベクターにサブクローニングし、そして標準的な技術を使用してBL21 CodonPlus中に形質転換した。低程度〜中程度の発現レベルを観察した。L762P発現構築物の決定したDNA配列を、配列番号254に提供する。
【0346】
(実施例10)
(L762Pペプチド特異的応答についてのMHCクラスII拘束対立遺伝子の同定)
HLA不適合抗原提示細胞(APC)のパネルを、L762Pペプチドおよび組換えタンパク質を認識した株に由来するCD4 T細胞クローンのL762ペプチド特異的応答についての、MHCクラスII拘束対立遺伝子を同定するために使用した。2つの株AD−5およびEA−7に由来するクローンを、以下に記載するように試験した。AD−5に由来するクローンが、HLA−DRB−1101対立遺伝子によって拘束されることを見出し、そしてEA−7に由来するクローンが、HLA−DRB−0701またはDQB1−0202対立遺伝子によって拘束されることを見出した。拘束対立遺伝子の同定は、関連するクラスII対立遺伝子を発現する個体に対する、定義されたペプチドを使用するワクチン治療の標的化を可能にする。関連する拘束対立遺伝子の知見はまた、関連対立遺伝子を発現する個体のみがモニターされるので、定義されたペプチドに対する応答についての臨床的なモニタリングを可能にする。
【0347】
株AD−5およびEA−7に由来するCD4 T細胞クローンを、10μg/mlの特異的ペプチドでパルスした自己由来APCについて刺激し、そして自己由来APC(ドナーD72に由来する)の認識について、ならびにクラスII対立遺伝子でD72と部分的に適合するAPCのパネルに対して試験した。表2は、試験したPACのHLAクラス型を示す。4個の異なるドナーに由来する接着性の単球(2時間の接着によって作成した)(D45、D187、D208、およびD326と呼ぶ)を、これらの実験においてAPCとして使用した。自己由来のAPCはこの実験には含まなかった。APCのそれぞれを、関連ペプチド(AD−5については5a、そして3A−7については3e)で、または10μg/mlの無関係なマンモグロビンペプチドでパルスし、そして培養物を10,000 T細胞について、そして約20,000 APC/ウェルで確立した。表3に示すように、特異的増殖およびサイトカインの産生は、部分的に適合したドナー細胞をAPCとして使用した場合にのみ検出され得た。MHC型分析に基づくと、これらの結果は、AD−5に由来するクローンのL762特異的応答についての拘束対立遺伝子がHLA−DRB−1101であり、そしてEA−7に由来するクローンについては拘束対立遺伝子は、HLA DRB−0701またはDQB1−0202であることを強く示唆する。
【0348】
【表2】
【0349】
【表3】
(実施例11)
(L763PのN末端およびC末端部分の融合タンパク質)
別の実施形態においては、Mycobacterium tuberculosisに由来するポリヌクレオチド(Ra12と呼ばれる)を、本発明のポリヌクレオチドの少なくとも免疫原性部分に連結する。Ra12組成物および異種ポリヌクレオチド配列の発現を増強することにおけるそれらの使用のための方法は、米国特許出願番号第60/158,585号に記載されている。その開示は、その全体において本明細書中で参考として援用される。簡潔には、Ra12は、Mycobacterium tuberculosis MTB32A核酸の配列であるポリヌクレオチド領域をいう。MTB32Aは、M.tubercuiosisの毒性株および無毒性株中の遺伝子によってコードされる32KDの分子量のセリンプロテアーゼである。MTB32Aのヌクレオチド配列およびアミノ酸配列は、記載されている(例えば、米国特許出願番号第60/158,585号;本明細書中で参考として援用されている、Skeikyら、Infection and Immun.(1999)67:3998−4007をもまた参照のこと)。驚くべきことに、MTB32Aをコードする配列の14kDのC末端フラグメントが、それ自身を高レベルで発現させ、そして精製工程を通じて可溶性のタンパク質として残ることを発見した。さらに、このフラグメントは、それとともに融合されると、異種抗原性ポリペプチドの免疫原性を増強し得る。MTB32Aのこの14KDのC末端フラグメントは、本明細書中でRa12と呼ばれ、そしてMTB32Aのアミノ酸残基192〜323のいくつかまたは全てを含有しているフラグメントを提示する。
【0350】
Ra12ポリペプチドおよび目的の異種肺腫瘍ポリペプチドを含有している融合ポリペプチドをコードする組換え核酸は、従来の遺伝子操作技術によって容易に構築され得る。組換え核酸は、好ましくは、Ra12ポリペプチド配列が、選択される異種肺腫瘍ポリヌクレオチド配列に対して5’の位置になるように構築される。選択される異種ポリヌクレオチド配列に対して3’にRa12ポリヌクレオチド配列を配置するか、またはRa12ポリヌクレオチド配列内の部位に異種ポリヌクレオチド配列を挿入することもまた、適切であり得る。
【0351】
さらに、Ra12またはその一部またはその他の変異体をコードする任意の適切なポリヌクレオチドが、Ra12、および本明細書中で開示する1つ以上の肺腫瘍ポリヌクレオチドを含有している組換え融合ポリヌクレオチドを構築することにおいて使用され得る。好ましいRa12ポリヌクレオチドは、一般的には、Ra12ポリペプチドの一部をコードする、少なくとも約15個の連続するヌクレオチド、少なくとも約30個のヌクレオチド、少なくとも約60個のヌクレオチド、少なくとも約100個のヌクレオチド、少なくとも約200個のヌクレオチド、または少なくとも約300個のヌクレオチドを含む。
【0352】
Ra12ポリヌクレオチドは、天然の配列(すなわち、Ra12ポリペプチドまたはその一部をコードする内因性配列)を含み得るか、またはそのような配列の変異体を含み得る。Ra12ポリヌクレオチド変異体は、コードされる融合ポリペプチドの生物学的活性が、天然のRa12ポリペプチドを含有している融合ポリペプチドと比較して実質的に減少させられないような、1つ以上の置換、付加、欠失、および/または挿入を含み得る。変異体は好ましくは、天然のRa12ポリペプチドまたはその一部をコードするポリヌクレオチド配列に対して、少なくとも約70%の同一性、より好ましくは、少なくとも約80%の同一性、そして最も好ましくは、少なくとも約90%の同一性を示す。
【0353】
Ra12と本発明の抗原との間での融合の2つの特異的な実施形態を、本実施例で記載する。
【0354】
(A.L763PのN末端部分)
全長のRa12とL763PのN末端部分(L763P−Nと呼ぶ;配列番号159のアミノ酸残基1〜130)との融合タンパク質を、E.coli中で単一の組換えタンパク質として発現させた。N末端部分のcDNAを、全長のL763PのcDNA、ならびにプライマーL763F3(5’CGGCGAATTCATGGATTGGGGGACGCTGC;配列番号383)および1763RV3(5’CGGCCTCGAGTCACCCCTCTATCCGAACCTTCTGC;配列番号384)を用いて、PCRによって得た。予想された大きさを有するPCR産物をアガロースゲルから回収し、制限酵素EcoRIおよびXhoIで消化し、そして発現ベクターpCRX1中の対応する部位にクローン化した。Ra12の全長とL763P−Nとの融合体の配列を、DNA配列決定によって確認した。決定したcDNA配列を配列番号351に、配列番号352に提供する対応するアミノ酸配列とともに提供する。
【0355】
(B.L763PのC末端部分)
全長のRa12とL673PのC末端部分(L763P−Cと呼ぶ;配列番号159のアミノ酸残基100〜262)との融合タンパク質を、E.coli中で単一の組換えタンパク質として発現させた。L763PのC末端部分のcDNAを、L763Pの全長のcDNA、ならびにプライマーL763F4(5’CGGCGAATTCCACGAACCACTCGCAAGTTCAG;配列番号385)およびL763RV4(5’CGGCTCGAG−TTAGCTTGGGCCTGTGATTGC;配列番号386)を用いて、PCRによって得た。予想された大きさを有するPCR産物をアガロースゲルから回収し、制限酵素EcoRIおよびXhoIで消化し、そして発現ベクターpCRX1中の対応する部位にクローン化した。全長のRa12とL763P−Cとの融合体の配列を、DNA配列決定によって確認した。決定したDNA配列を配列番号353に、配列番号354に提供する対応するアミノ酸配列とともに提供する。
【0356】
本実施例に記載する組換えタンパク質は、ワクチンの調製、抗体治療、および肺腫瘍の診断に有用である。
【0357】
(実施例12)
(L762P Hisタグ融合タンパク質のE.coli中での発現)
PCRを、以下のプライマーを用いてL762Pコード領域について行った:
アミノ酸32で始まる正方向プライマー:
PDM−278 5’ggagtacagcttcaagacaatggg 3’(配列番号355)Tm 57℃。
【0358】
アミノ酸920の後にEcoRI部位を作成する天然の終結コドンを含有している逆方向プライマー:
PDM−280 5’ccatgggaattcattataataattttgttcc 3’(配列番号356)TM 55℃。
【0359】
PCR産物を、EcoRI制限酵素で消化し、ゲル精製し、次いでインフレームでHisタグを有する改変型pET28ベクターであるpPDM His中(Eco72IおよびEcoRI制限酵素で消化した)にクローン化した。正確な構築物を、DNA配列分析によって確認し、次いでBL21(DE3)pLys SおよびBL21(DE3)CodonPlus RIL発現宿主中に形質転換した。
【0360】
発現された組換えL762Pのタンパク質配列を、配列番号357に示し、そしてDNA配列を配列番号358に示す。
【0361】
(実施例13)
(L773PA Hisタグ融合タンパク質のE.coli中での発現)
L773PAコード領域(配列番号172のアミノ酸2〜71をコードする)を、以下のプライマーを使用して増幅した:
アミノ酸2で始まるL773PAについての正方向プライマー:
PDM−299 5’tggcagcccctcttcttcaagtggc 3’(配列番号359)Tm 63℃。
【0362】
アミノ酸70の後に人工的な終結コドンを作成する、L773PAについての逆方向プライマー:
PDM−355 5’cgccagaattcatcaaacaaatctgttagcacc 3’(配列番号360)Tm62℃。
【0363】
得られたPCR産物を、EcoRI制限酵素で消化し、ゲル精製し、次いでインフレームでHisタグを有する改変型pET28ベクターであるpPDM His中(Eco72IおよびEcoRI制限酵素で消化した)にクローン化した。正確な構築物をDNA配列分析によって確認し、そしてBL21(DE3)pLys SおよびBL21(DE3)CodonPlus RIL発現宿主中に形質転換した。
【0364】
発現された組換えL773PAのタンパク質配列を、配列番号361に示し、そしてDNA配列を配列番号362に示す。
【0365】
(実施例14)
(肺腫瘍特異的ポリペプチドに由来するエピトープの同定)
L773Pアミノ酸配列(配列番号172)に由来するペプチドの系列を合成し、そしてペプチド特異的CD4 T細胞を作成するためのインビトロでの感作実験に使用した。15個のアミノ酸によって重複し、そしてL773Pタンパク質のアミノ酸1〜69に対応するこれらのペプチドは、20マーであった。この領域が腫瘍特異的であることは実証されている。3回のインビトロでの刺激後に、刺激ペプチドに応答してIFNγを産生したが対照ペプチドに対してはそうではないCD4 T細胞株を同定した。これらのT細胞株のいくつかは、組換えL773PおよびL773PA(腫瘍特異的領域)タンパク質の認識を示した。
【0366】
実験を行うために、15個のアミノ酸によって重複しておりそしてL773PのN末端腫瘍特異的領域(配列番号172のアミノ酸1〜69に対応している)に由来する11個の20マーのペプチド(配列番号363、365、および387〜395)の全てを、標準的な手順によって作成した。樹状細胞を、GMCSFおよびIL−4を使用して標準的なプロトコールによって正常なドナーのPBMCから誘導した。精製したCD4 T細胞を、MACSビーズおよびPBMCの陰性選択を使用して、樹状細胞としての同じドナーから作成した。樹状細胞を、10μg/mlの濃度で個々の20マーのペプチドで一晩パルスした。パルスした樹状細胞を洗浄し、96ウェルU底プレートに1×104/ウェルでプレートし、そして精製したCD4細胞を1×105ウェルで添加した。培養物に、10ng/mlのIL−6および5ng/mlのIL−12を補充し、そして37℃でインキュベートした。培養物を、生成したAPC樹状細胞を使用して、1週間の基準で上記のように再刺激し、そして上記のようにパルスし、5ng/mlのIL−7および10μg/mlのIL−2を補った。3回のインビトロでの刺激サイクル後に、細胞株(それぞれ、1つのウェルに対応している)を、無関係なペプチドに対して、刺激ペプチドに応答するサイトカインの産生について試験した。
【0367】
少数の個々のCD4 T細胞株(9/528)が、刺激ペプチドに応答して(しかし、対照ペプチドに対してはそうではない)サイトカインの放出(IFNγ)を示した。特異的活性を示したCD4 T細胞株を、適切なL773Pペプチドについて再刺激し、そして10μg/mlの適切なL773Pペプチド、無関係な対照ペプチド、組換えL773Pタンパク質(アミノ酸2〜364、E.coli中で作成した)、組換えL773PA(アミノ酸2〜71、E.coli中で作成した)、または適切な対照タンパク質(L3E、E.coli中で作成した)でパルスした自己由来樹状細胞を使用して再アッセイした。試験した9個の株のうちの3個(1−3C、1−6G、および4−12B)が、組換えL773PおよびL773PAと同様に適切なL773Pペプチドを認識した。試験した株のうちの4個(4−8A、4−8E、4−12D、および4−12E)は、適切なL773Pペプチドのみを認識した。試験した株のうちの2個(5−6Fおよび9−3B)は、特異的活性を示さなかった。
【0368】
これらの結果は、ペプチド配列MWQPLFFKWLLSCCPGSSQI(配列番号172のアミノ酸1〜20;配列番号363)およびGSSQIAAAASTQPEDDINTQ(配列番号172のアミノ酸16〜35;配列番号365)が、L773Pの本来保有しているエピトープを提示し得ることを実証する。このエピトープは、ヒトクラスII MHC拘束CD4 T細胞応答を刺激し得る。
【0369】
続く研究において、上記のエピトープマッピング実験を、異なるドナーを使用して繰り返した。再び、得られたT細胞株のいくつかが、ペプチドおよび組換えタンパク質に対して応答することを見出した。さらなるペプチドが、本来保有されることを見出した。詳細には、精製されたCD4細胞を、15個のアミノ酸によって重複している11個の20マーのペプチド(それぞれ、配列番号363、387、388、365、および389〜395)の全てに対して刺激した。感作を、10μg/mLよりもむしろ0.5μg/mLのペプチド濃度を使用したことを除いて、上記のように行った。528個のうちの9個の細胞株の最初のスクリーニングにおいて、これらの株は、対照ペプチドに対して、刺激ペプチドを用いるとIFNγを少なくとも3倍大きいレベルで放出した。これらの9個の株を適切なペプチドで再刺激し、次いで適切なペプチドの滴定物(10μg/mL、1μg/mL、および0.1μg/mL)、ならびに10μg/mLの対照ペプチドでパルスした樹状細胞について試験した。9個の株のうちの6個が、ペプチドと同様に組換えL773Pを認識した。1−1E、1−2E、1−4H、1−6A,1−6G、および2−12Bと呼ばれる6個の株がL773PAおよび適切なペプチドを認識した。これらの結果は、配列番号363および387のペプチドが、L773Pの本来保有しているエピトープを提示することを示す。
【0370】
上記の手順を使用して、CD4+T細胞応答を、L523Sポリペプチド配列(配列番号176)にまたがる重複している20マーのペプチド(配列番号396〜419)でパルスした樹状細胞を使用して、正常なドナーのPBMCから生成した。多数のCD4+T細胞が、L523S組換えタンパク質と同様に感作ペプチドとの反応性を示し、これらの株の優性反応性は、ペプチド4、7、および21(配列番号399、402、および416;それぞれ、配列番号176のアミノ酸30〜39、60〜79、および200〜219に対応している)中にあった。
【0371】
本発明の範囲内のエピトープは、他のクラスII MHC分子によって拘束されるエピトープを含む。さらに、ペプチドの変異体が産生され得る。ここでは、1つ以上のアミノ酸が、MHC分子に結合するペプチドの能力に影響を与えないように、T細胞応答を誘発するそれらの能力に影響を与えないように、そして組換えタンパク質を認識する誘発されたT細胞の能力に影響を与えないように、変更される。
【0372】
(実施例15)
(L762Pの表面発現およびその抗体エピトープ)
ウサギを、E.coli中で生成した全長のヒスチジンタグ化L762Pタンパク質で免疫した。血清をウサギから単離し、そしてELISAアッセイにおいてL762Pの特異的認識についてスクリーニングした。2692Lと呼ばれる1つのポリクローナル血清を、特異的に認識される組換えL762Pタンパク質であるとして同定した。2692L抗L762Pポリクローナル抗体を、L762Pアフィニティーカラムを使用して親和性精製によって血清から精製した。L762Pは、初代肺腫瘍サンプルのサブセット中で発現され、発現は確立された肺腫瘍細胞株中で失われるようである。従って、L762Pの表面発現を特徴付けるために、L762Pを発現するレトロウイルス構築物を、初代ヒト繊維芽細胞および3個の肺腫瘍細胞株(522−23、HTB、および343T)を形質導入するために使用した。形質導入した株を選択し、そしてFACS分析によるL762Pの表面発現を試験するために拡大した。この分析のために、非形質導入細胞および形質導入細胞を、細胞分離培地を使用して回収し、そして10〜50μg/mlの、親和性精製した抗L762Pまたは無関係な抗血清のいずれかとともにインキュベートした。氷上で30分間のインキュベーション後、細胞を洗浄し、そして上記のように、2次FITC結合抗ウサギIgG抗体とともにインキュベートした。細胞を洗浄し、ヨウ化プロピジウム(PI)を含む緩衝液中に再懸濁し、そしてExcalibur蛍光活性化細胞分離装置を使用してFACSによって試験した。FACS分析のために、PI陽性(すなわち、死滅した/浸透性になった細胞)を排除した。ポリクローナル抗L762P血清は、L762P形質導入細胞の表面を特異的に認識しそしてそれに結合したが、非形質導入対象物についてはそうでなかった。これらの結果は、L762Pが繊維芽細胞および肺腫瘍細胞の両方の細胞表面に局在化されることを示す。
【0373】
2692Lによって認識されるペプチドエピトープを同定するために、エピトープマッピングアプローチを続けた。L762PのC末端(配列番号161のアミノ酸481〜894)にまたがる重複している19〜21マー(5アミノ酸の重複)の系列を合成した。最初の実験においては、ペプチドをプール中で試験した。L762P抗血清との特異的反応性を、プールA、B、C、およびEで観察した。抗血清によって認識される特異的ペプチドを同定するために、平底96ウェルマイクロタイタープレートを、個々のペプチド(10μg/mlで)で37℃で2時間コートした。次いで、ウェルを吸引し、そして5%(w/v)のミルクを含有しているリン酸緩衝化生理食塩水を用いて37℃で2時間ブロックし、続いて0.1%のTween 20を含有しているPBS(PBST)中で洗浄した。精製したウサギ抗L762P血清2692Lを、PBST中の3連のウェルに対して200または20ng/ウェルで添加し、そして室温で一晩インキュベートした。その後、PBSTでの6回の洗浄が続き、続いて、HRP結合ロバ抗ウサギIgG(H+L)Affinipure F(ab’)フラグメント(1:2,000)とともに60分間インキュベートした。次いで、プレートを洗浄し、そしてテトラメチルベンジジン基質中でインキュベートした。反応を、1Nの硫酸の添加によって停止させ、そしてプレートをELISAプレート読取装置を使用して450/570nmで読み取った。
【0374】
以下の表4に示す得られたデータは、L762P抗血清が、L762Pの3’側の半分に由来する少なくとも6個の異なるペプチドエピトープを認識したことを示す。
【0375】
【表4】
個々のペプチドを、それぞれのプールから同定し、そしてさらに弱い反応性を、プールFに由来するペプチドBBを用いて同定した。関連ペプチドエピトープを、以下の表5にまとめる。ペプチドBB、O、L、I、A,およびCについてのアミノ酸配列を、それぞれ、配列番号376〜381に提供し、対応するcDNA配列を、それぞれ、配列番号373、370、372、374、371、および375に提供する。
【0376】
【表5】
(実施例16)
(患者の血清中の肺腫瘍抗原に対する抗体の検出)
肺腫瘍抗原L773PA(配列番号361)、L541S(配列番号155、および156)、L523S(配列番号176)、L762P(配列番号161)、およびL763P(配列番号159)に特異的な抗体が、肺ガン患者の滲出液または血清中に存在する(しかし、正常なドナーにおいてはそうではない)ことを示した。より詳細には、肺ガン患者から得た滲出液、および正常なドナーに由来する血清中のL773PA、L514S、L523S、L762P、およびL763Pに対する抗体の存在を、組換えタンパク質およびHRP結合抗ヒトIgを使用してELISAによって検出した。簡潔には、それぞれのタンパク質(100ng)を、pH9.5で96ウェルプレート中にコーティングした。平行して、BSA(ウシ血清アルブミン)をもまた対照タンパク質としてコーティングした。BSA([N])に対するシグナル([S]、405nmで測定した吸光度)を決定した。これらの実験の結果を、表6に示す。ここでは、−は[S]/[N]<2を示し;+/−は[S]/[N]>2を示し;++は[S]/[N]>3を示し;そして+++は[S]/[N]>5を示す。
【0377】
【表6】
ウェスタンブロット分析を使用して、L523Sに対する抗体が、肺ガン患者に由来する滲出液の4個のサンプルのうちの3個に存在し、L523S抗体は、試験した正常な血清の3個のサンプル中では検出されなかったことを見出した。
【0378】
(実施例17)
(L514S HISタグ融合タンパク質のE.coliにおける発現)
PCRを、以下のプライマーを用いて、L514S−13160コード領域に対して行った:
フォワードプライマーPDM−278 5’cacactagtgtccgcgtggcggcctac3’(配列番号421)、Tm67℃。
【0379】
リバースプライマーPDM−280 5’catgagaattcatcacatgcccttgaaggctccc3’(配列番号422)、TM66℃。
【0380】
このPCR条件は、以下の通りであった:
10μl 10×Pfu緩衝液
1.0μl 10mM dNTP
2.0μl 10μM 各プライマー
83μl 滅菌水
1.5μl Pfu DNAポリメラーゼ(Stratagene、La Jolla、CA)
50ng DNA
96℃で2分間、96℃で20秒間、66℃で15秒間、72℃で1分間を40サイクル、次いで72℃で4分間。
【0381】
このPCR産物を、EcoRI制限酵素で消化し、ゲル精製し、次いで、pPDM His(インフレームでHisタグを有する改変pET28ベクター)にクローニングし、pPDM Hisは、Eco72IおよびEcoRI制限酵素で消化されていた。正確な構築物を、DNA配列分析によって確認し、次いで、発現について、BL21 CodonPlus(Stratagene、La Jolla、CA)細胞に形質転換した。
【0382】
発現された組換えL514Sのアミノ酸配列を、配列番号423に示し、そしてこのDNAコード領域配列を、配列番号424に示す。
【0383】
(実施例18)
(L523S HISタグ融合タンパク質のE.coliにおける発現)
PCRを、以下のプライマーを用いて、L523Sコード領域に対して行った:
フォワードプライマーPDM−414 5’aacaaactgtatatcggaaacctcagcgagaa3’(配列番号425)、Tm62℃。
【0384】
リバースプライマーPDM−415 5’ccatagaattcattacttccgtcttgactgagg3’(配列番号426)、TM62℃。
【0385】
このPCR条件は、以下の通りであった:
10μl 10×Pfu緩衝液
1.0μl 10mM dNTP
2.0μl 10μM 各プライマー
83μl 滅菌水
1.5μl Pfu DNAポリメラーゼ(Stratagene、La Jolla、CA)
50ng DNA
96℃で2分間、96℃で20秒間、62℃で15秒間、72℃で4分間を40サイクル、次いで72℃で4分間。
【0386】
このPCR産物を、EcoRI制限酵素で消化し、ゲル精製し、次いで、pPDM His(インフレームでHisタグを有する改変pET28ベクター)にクローニングし、pPDM Hisは、Eco72IおよびEcoRI制限酵素で消化されていた。正確な構築物を、DNA配列分析によって確認し、次いで、発現について、BL21 CodonPlus(Stratagene、La Jolla、CA)細胞に形質転換した。
【0387】
発現された組換えL523Sのアミノ酸配列を、配列番号427に示し、そしてこのDNAコード領域配列を、配列番号428に示す。
【0388】
(実施例19)
(L762PA HISタグ融合タンパク質のE.coliにおける発現)
PCRを、以下のプライマーを用いて、L762PAコード領域(L762PAは、シグナル配列、C末端膜貫通ドメインおよび細胞質テイルを欠失する)に対して行った:
フォワードプライマーPDM−278 5’ggagtacagcttcaagacaatggg3’(配列番号355)、Tm57℃。
【0389】
リバースプライマーPDM−279 5’ccatggaattcattatttcaatataagataatctc3’(配列番号429)、TM56℃。
【0390】
このPCR条件は、以下の通りであった:
10μl 10×Pfu緩衝液
1.0μl 10mM dNTP
2.0μl 10μM 各プライマー
83μl 滅菌水
1.5μl Pfu DNAポリメラーゼ(Stratagene、La Jolla、CA)
50ng DNA
96℃で2分間、96℃で20秒間、55℃で15秒間、72℃で5分間を40サイクル、次いで72℃で4分間。
【0391】
このPCR産物を、EcoRI制限酵素で消化し、ゲル精製し、次いで、pPDM His(インフレームでHisタグを有する改変pET28ベクター)にクローニングし、pPDM Hisは、Eco72IおよびEcoRI制限酵素で消化されていた。正確な構築物を、DNA配列分析によって確認し、次いで、発現について、BL21 pLys S(Novagen、Madison、WI)細胞に形質転換した。
【0392】
発現された組換えL762PAのアミノ酸配列を、配列番号430に示し、そしてこのDNAコード領域配列を、配列番号431に示す。
【0393】
(実施例20)
(L773P HISタグ融合タンパク質のE.coliにおける発現)
PCRを、以下のプライマーを用いて、L773Pコード領域に対して行った:
フォワードプライマーPDM−299 5’tggcagcccctcttcttcaagtggc3’(配列番号359)、Tm63℃。
【0394】
リバースプライマーPDM−300 5’cgcctgctcgagtcattaatattcatcagaaaatgg3’(配列番号432)、TM63℃。
【0395】
このPCR条件は、以下の通りであった:
10μl 10×Pfu緩衝液
1.0μl 10mM dNTP
2.0μl 10μM 各プライマー
83μl 滅菌水
1.5μl Pfu DNAポリメラーゼ(Stratagene、La Jolla、CA)
50ng DNA
96℃で2分間、96℃で20秒間、63℃で15秒間、72℃で2分15秒間を40サイクル、次いで72℃で4分間。
【0396】
このPCR産物を、EcoRI制限酵素で消化し、ゲル精製し、次いで、pPDM His(インフレームでHisタグを有する改変pET28ベクター)にクローニングし、pPDM Hisは、Eco72IおよびEcoRI制限酵素で消化されていた。正確な構築物を、DNA配列分析によって確認し、次いで、発現について、BL21 pLys S(Novagen、Madison、WI)細胞およびBL21 CodonPlus(Stratagene、La Jolla、CA)細胞に形質転換した。
【0397】
発現された組換えL773Pのアミノ酸配列を、配列番号433に示し、そしてこのDNAコード領域配列を、配列番号434に示す。
【0398】
(実施例21)
(肺特異的抗原L762Pに対するT細胞レセプタークローンのクローニングおよび配列決定)
肺特異的抗原L762Pに特異的なCD4 T細胞クローン由来のT細胞レセプター(TCR)α鎖およびβ鎖を、クローニングし、そして配列決定した。基本的に、CTLクローン4H6由来の2×106細胞からのすべてのmRNAを、Trizol試薬を用いて単離し、そしてcDNAを、Ready−to goキット(Pharmacia)を用いて合成した。このクローンのVα配列およびVβ配列を決定するために、VαおよびVβのサブタイプ特異的プライマーのパネルを合成し、そしてRT−PCR反応において使用し、cDNAを、各々のクローンから作製した。このRT−PCR反応は、各々のクローンが、Vβ8サブファミリーに対応する共通のVβ配列およびVα8サブファミリーに対応する共通のVα配列を発現したことを実証した。クローン4H6から完全なTCRα鎖およびTCRβ鎖をクローニングするために、イニシエーター−コードTCRヌクレオチドおよびターミネーター−コードTCRヌクレオチドをつなぐプライマーを設計した。このプライマーは、以下の通りであった:
TCR Vα8に対するフォワードプライマー 5’ggatccgccgccaccatgacatccattcgagctgta3’(配列番号435;挿入されたBamHI部位を有する);
TCR Vα8に対するKozakリバースプライマー(アンチセンス) 5’gtcgactcagctggaccacagccgcag3’(配列番号436;挿入されたSalI部位およびTCRα定常配列を有する);
TCR Vβ8に対するフォワードプライマー(センス) 5’ggatccgccgccaccatggactcctggaccttctgct3’(配列番号437;挿入されたBamHI部位を有する);および
TCR Vβに対するKozakリバースプライマー 5’gtcgactcagaaatcctttctcttgac3’(配列番号438;挿入されたSalI部位およびTCRβ定常配列を有する)。
標準的な35サイクルのRT−PCR反応を、CTLクローンから合成されたcDNAおよび上記のプライマーを用いて、プルーフリーディング熱安定ポリメラーゼ、PWO(Roche)を利用して確立した。得られたPCRバンド(Vαについては約850bp、およびVβについては約950bp)を、PCR平滑ベクター(Invitrogen)に連結し、そしてE.coliに形質転換した。全長のα鎖およびβ鎖を有するプラスミドを用いて形質転換されたE.coliを同定した。対応するプラスミドの大規模調製を作製し、そしてこれらのプラスミドを配列決定した。このVα配列(配列番号439)は、ヌクレオチド配列の整列によって、Vα8.1に相同であることが示され、一方Vβ配列(配列番号440)は、ヌクレオチド配列の整列によって、Vβ8.2に相同であることが示された。
【0399】
(実施例22)
(哺乳動物細胞における全長L762Pの組換え発現)
全長L762P cDNAを、哺乳動物発現ベクターVR1012およびpCEP4(Invitrogen)にサブクローニングした。両方の発現ベクターは、以前に、FLAGエピトープタグを含むように改変されていた。これらの構築物を、Lipofectamine 2000試薬(Gibco)を用いて、HEK293細胞およびCHL−1細胞(ATCC)にトランスフェクトした。手短に言えば、HEK細胞およびCHL−1細胞の両方を、10% FBS(Hyclone)を含むDMEM(Gibco)において、1ml当たり100,000細胞の密度でプレーティングし、そして一晩増殖させた。翌日、4μlのLipofectamine 2000を、FBSを含まない100μlのDMEMに添加し、そして室温で5分間インキュベートした。次いで、このLipofectamine/DMEM混合物を、100μlのDMEMにおいて再懸濁された、1μgのL762P Flag/pCEP4プラスミドDNAまたはL762P Flag/VR1012プラスミドDNAに添加し、そして室温で15分間インキュベートした。次いで、このLipofectamine/DNA混合物を、HEK293細胞およびCHL−1細胞に添加し、そして37℃で7% CO2とともに48〜72時間インキュベートした。細胞を、PBSですすぎ、次いで遠心分離によって収集およびペレット化した。L762P発現を、ウェスタンブロット分析によって、トランスフェクトされたHEK293細胞溶解物およびCHL−1細胞溶解物中で検出し、そしてフローサイトメトリー分析によって、トランスフェクトされたHEK細胞の表面上を検出した。
【0400】
ウェスタンブロット分析について、全細胞溶解物を、溶解緩衝液を含むTriton−X100において、細胞を30分間氷上でインキュベートすることによって作製した。次いで、溶解物を、4℃で5分間、10,000rpmでの遠心分離によって浄化した。サンプルを、βメルカプトエタノールを含むSDS−PAGEローディング緩衝液で希釈し、次いで、SDS−PAGEゲルのローディングの前に10分間沸騰させた。このタンパク質を、ニトロセルロースに移し、そして1μg/mlの精製抗L762Pウサギポリクローナル血清(ロット番号690/73)、または非希釈抗L762P mAb 153.20.1上清を用いてプローブ化した。ブロットを、HRPに結合したヤギ抗ウサギIgまたはHRPに結合したヤギ抗マウスIgのいずれかを用いて明らかにし、その後、ECL基質中でインキュベートした。
【0401】
フローサイトメトリー分析について、細胞を、氷冷染色緩衝液(PBS+1% BSA+アジ化物)でさらに洗浄した。次に、この細胞を、10μg/mlの精製抗L762Pポリクローナル血清(ロット番号690/73)、または1:2希釈の抗L762P mAb 153.20.1上清とともに、氷上で30分間インキュベートした。この細胞を、染色緩衝液で3回洗浄し、次いで、1:100希釈のヤギ抗ウサギIg(H+L)−FITCまたはヤギ抗マウスIg(H+L)−FITC試薬(Southern Biotechnology)とともに、氷上で30分間インキュベートした。3回の洗浄後、この細胞を、ヨウ化プロピジウム(propidium)(PI)(透過性細胞の排除を可能にする生体染色)を含む染色緩衝液中に再懸濁し、そしてフローサイトメトリーによって分析した。
【0402】
(実施例23)
(肺腫瘍抗原に対するポリクローナル抗体の作製)
3つの肺抗原、L523S(配列番号176)、L763P(配列番号159)およびL763ペプチド番号2684(配列番号441)を、抗体作製における使用のために発現させ、そして精製した。
【0403】
L523SおよびL763Pを、E.coli組換え発現系において発現させ、そして振盪インキュベータにおいて、37℃で適切な抗生物質を含むLB Brothにおいて一晩増殖させた。翌朝、10mlの一晩の培養物を、2LのバッフルErlenmeyerフラスコにおいて、適切な抗生物質を含む500mlの2×YTに添加した。培養物の光学濃度が、560ナノメートルで0.4〜0.6に達したときに、細胞を、IPTG(1mM)で誘導した。IPTGでの誘導から4時間後、細胞を、遠心分離によって回収した。
【0404】
次いで、この細胞を、リン酸緩衝化生理食塩水で洗浄し、そして再び遠心分離した。この上清を捨て、そして細胞を、今後の使用について凍結するか、または直ちに処理するかのいずれかにした。20ミリリットルの溶解緩衝液を、細胞ペレットに添加し、そしてボルテックス(vortex)した。E.coli細胞を破壊して開くために、次いでこの混合物を、16,000psiの圧力で、フレンチプレスに通した。次いで、この細胞を、再び遠心分離して、そして上清およびペレットを、組換えタンパク質の分割について、SDS−PAGEによって確認した。
【0405】
細胞ペレットに局在したタンパク質について、このペレットを、10mM Tris pH8.0、1% CHAPS中に再懸濁し、そして封入体ペレットを洗浄し、そして再び遠心分離した。この手順を、2回以上繰り返した。洗浄した封入体ペレットを、10mM Tris pH8.0および10mM イミダゾールを含む8M 尿素または10mM Tris pH8.0および10mM イミダゾールを含む6M グアニジンHClのいずれかで可溶化した。可溶化したタンパク質を、5mlのニッケルキレート樹脂(Qiagen)に添加し、そして継続的に撹拌しながら、室温で45分〜1時間インキュベートした。
【0406】
インキュベーション後、この樹脂およびタンパク質の混合物を、使い捨てカラムに注ぎ、そしてフロースルー(flow through)を回収した。次いで、このカラムを、10〜20カラム容量の可溶化緩衝液で洗浄した。次いで、抗原を、8M 尿素、10mM Tris pH8.0および300mM イミダゾールを用いてカラムから溶出し、そして3ml画分で回収した。SDS−PAGEゲルを泳動させて、どの画分をさらなる精製についてプールするかを決定した。
【0407】
最終精製工程として、強力な陰イオン交換樹脂(この場合においては、Hi−Prep Q(Biorad))を、適切な緩衝液で平衡化し、そして上記からのプールされた画分を、このカラムに充填した。各々の抗原を、漸増塩勾配を用いてカラムから溶出した。カラムを走らせながら画分を回収し、そして別のSDS−PAGEゲルを泳動させて、カラム由来のどの画分をプールするかを決定した。
【0408】
このプールされた画分を、10mM Tris pH8.0に対して透析した。この解放基準は、SDS−PAGEまたはHPLCによって決定されるような純度、Lowryアッセイまたはアミノ酸分析によって決定されるような濃度、アミノ末端タンパク質配列によって決定されるような同一性であり、そしてエンドトキシンレベルを、Limulus(LAL)アッセイによって決定した。次いで、このタンパク質を、0.22ミクロンのフィルターを通した濾過後にバイアルに入れ、そして抗原を、免疫化について必要とされるまで凍結した。
【0409】
L763ペプチド番号2684を合成し、そしてKLHと結合体化し、そして免疫化について必要とされるまで凍結した。
【0410】
ポリクローナル抗血清を、100マイクログラムのムラミルジペプチド(MDP)と組み合わせた400マイクログラムの各々の肺抗原を用いて作製した。等量の不完全フロイントアジュバント(IFA)を添加し、次いで混合し、そしてウサギに皮下(S.C.)注射した。4週間後、このウサギを、等量のIFAと混合した200マイクログラムの抗原でS.C.ブーストした。その後、ウサギを、100マイクログラムの抗原でI.V.ブーストした。この動物を、各ブーストから7日後に血液を抜き取った。次いで、血液を、4℃で12〜24時間インキュベートし、その後、遠心分離して、血清を作製した。
【0411】
このポリクローナル抗血清を、抗原でコーティングされた96ウェルプレートを用いて特徴付けし、そして4℃で20時間、50マイクロリットル(代表的には、1マイクログラム/マイクロリットル)のポリクローナル抗血清とインキュベートした。基本的に、250マイクロリットルのBSAブロッキング緩衝液を、ウェルに添加し、そして室温で2時間インキュベートした。プレートを、PBS/0.1% Tweenで6回洗浄した。このウサギ血清を、PBS/0.1% Tween/0.1% BSA中で希釈した。50マイクロリットルの希釈血清を、各々のウェルに添加し、そして室温で30分間インキュベートした。このプレートを、上記のように洗浄し、次いで、1:10000希釈での50マイクロリットルのヤギ抗ウサギ西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)を添加し、そして室温で30分間インキュベートした。
【0412】
このプレートを、上記のように洗浄し、そして100マイクロリットルのTMB Microwell Peroxidase Substrateを、各々のウェルに添加した。暗所で室温での15分間のインキュベーション後、比色反応を、100マイクロリットルの1N H2SO4で停止し、そして直ちに450nmで読みとった。すべてのポリクローナル抗体は、適切な抗原に対して免疫反応性を示した。表7〜9は、3つの肺抗原、L523S、L763PおよびL763ペプチド番号2684に対する系列希釈におけるウサギ抗血清の抗体反応性を示す。第一の縦列は、抗体希釈を示す。縦列「免疫前血清」は、免疫前血清を用いた2つの実験についてのELISAデータを示す。これらの結果を、第4の縦列に平均化する。縦列「抗L523S、抗L763Pまたは抗番号2684」は、それぞれの抗原(この表において、L523S、L763Pまたは番号2684のいずれかといわれる)を用いて、本実施例において記載されるように免疫したウサギ由来の血清を用いた2つの実験についてのELISAデータを示す。
【0413】
【表7】
【0414】
【表8】
【0415】
【表9】
表10〜12は、3つの肺抗原、L523S、L763PおよびL763ペプチド番号2684に対するそれぞれの抗体のアフィニティー精製を示す。
【0416】
【表10】
【0417】
【表11】
【0418】
【表12】
(実施例24)
(L529Sをコードする全長cDNA配列)
肺抗原L529Sについての部分配列(配列番号106)の単離を、以前に実施例2において提供した。この部分配列を、問い合わせとして用いて、公に入手可能なデータベースに対する検索によって、潜在的な全長cDNAおよびタンパク質配列を同定した。配列番号106の単離されてクローニングされた配列についての推定全長cDNA配列を、配列番号442に提供する。配列番号442によってコードされる抗原の推定アミノ酸配列を、配列番号443に提供する。L529Sが、コネキシン26(ギャップ結合タンパク質)との類似性を示すことが、実施例2において以前に開示された。
【0419】
(実施例25)
(ヒスチジンタグを含まないL523S融合タンパク質のMegateriumにおける発現)
PCRを、以下のプライマーを用いて、L523Sコード領域に対して行った:
フォワードプライマーPDM−734 5’ caatcaggcatgcacaacaaactgtatatcggaaac 3’(配列番号444)、Tm63℃。
【0420】
リバースプライマーPDM−735 5’ cgtcaagatcttcattacttccgtcttgac 3’(配列番号445)、TM60℃。
【0421】
このPCR条件は、以下の通りであった:
10μl 10×Pfu緩衝液
1.0μl 10mM dNTP
2.0μl 10μM 各プライマー
83μl 滅菌水
1.5μl Pfu DNAポリメラーゼ(Stratagene、La Jolla、CA)
50ng DNA
96℃で2分間、96℃で20秒間、62℃で15秒間、72℃で4分間を40サイクル、次いで72℃で4分間。
【0422】
このPCR産物を、SphIおよびBglII制限酵素で消化し、ゲル精製し、次いで、pMEG−3にクローニングし、pMEG−3は、SphIおよびBglII制限酵素で消化されていた。正確な構築物を、DNA配列分析によって確認し、次いで、発現のために、Megaterium細胞に形質転換した。
【0423】
発現された組換えL523Sのアミノ酸配列を、配列番号446に示し、そしてこのDNAコード領域配列を、配列番号447に示す。
【0424】
(実施例26)
(ヒスチジンタグを含まないL523S融合タンパク質のE.coliにおける発現)
PCRを、以下のプライマーを用いて、L552Sコード領域に対して行った:
フォワードプライマーPDM−733 5’ cgtactagcatatgaacaaactgtatatcggaaac 3’(配列番号448)、Tm64℃。
【0425】
リバースプライマーPDM−415 5’ ccatagaattcattacttccgtcttgactgagg 3’(配列番号426)、TM62℃。
【0426】
このPCR条件は、以下の通りであった:
10μl 10×Pfu緩衝液
1.0μl 10mM dNTP
2.0μl 10μM 各プライマー
83μl 滅菌水
1.5μl Pfu DNAポリメラーゼ(Stratagene、La Jolla、CA)
50ng DNA
96℃で2分間、96℃で20秒間、62℃で15秒間、72℃で4分間を40サイクル、次いで72℃で4分間。
【0427】
このPCR産物を、NdeIおよびEcoRI制限酵素で消化し、ゲル精製し、次いで、pPDM(改変pET28ベクター)にクローニングし、pPDMは、NdeIおよびEcoRI制限酵素で消化されていた。正確な構築物を、DNA配列分析によって確認し、次いで、発現のために、BLR pLys S細胞およびHMS 174 pLys S細胞に形質転換した。
【0428】
発現された組換えL523Sのアミノ酸配列を、配列番号449に示し、そしてこのDNAコード領域配列を、配列番号450に示す。
【0429】
(実施例27)
(L514S特異的抗体およびL523S特異的抗体のエピトープ分析)
候補抗原のペプチドを、前臨床試験および臨床試験の両方において、抗体応答の評価について使用し得る。これらのデータは、特定の候補抗原に対する抗体応答のさらなる確認を可能にする。競合ペプチドを用いるタンパク質ベースのELISAおよび競合ペプチドを用いないタンパク質ベースのELISA、ならびにペプチドベースのELISAを用いて、これらの抗体応答を評価し得る。ペプチドELISAは、タンパク質ベースのELISAにおいて観察される抗体力価の偽陽性をさらに排除し得、ならびに候補抗原に対する抗体応答を試験する最も簡単なアッセイ系を提供し得るので、特に有用である。本実施例において、データを、L514SペプチドおよびL523Sペプチドの両方を用いて獲得し、このペプチドの両方は、個々の癌患者が、L514S特異的抗体およびL523S特異的抗体を産生することを示す。L514S特異的抗体は、以下のL514Sのエピトープを第一に認識する:
aa86〜110:LGKEVRDAKITPEAFEKLGFPAAKE(配列番号451)
このエピトープは、ヒトにおいて共通のエピトープである。L514Sに特異的なウサギ抗体は、L514Sの2つのさらなるエピトープを認識する:
(1)aa21〜45:KASDGDYYTLAVPMGDVPMDGISVA(配列番号452)
(2)aa121〜135:PDRDVNLTHQLNPKVK(配列番号453)
配列番号452が、L514SアイソフォームであるL514S−13160およびL514S−13166の両方に共通であることがさらに見出されたが、一方、他のエピトープである配列番号451および配列番号453は、アイソフォームL514S−13160におそらく特異的である。
【0430】
L523S特異的抗体は、以下のL523Sのエピトープを第一に認識する:
aa440〜460:KIAPAEAPDAKVRMVIITGP(配列番号454)
このエピトープは、ヒトにおいて共通のエピトープである。L523Sに特異的なウサギ抗体は、2つの他のエピトープを認識する:
(1)aa156〜175 PDGAAQQNNNPLQQPRG(配列番号455)
(2)aa326〜345:RTITVKGNVETCAKAEEEIM(配列番号456)
さらなる研究において、ペプチドベースのELISAによって、L523Sの8つのさらなるエピトープが、L523S特異的抗体によって認識されたことが決定された:
(1)aa40〜59 AFVDCPDESWALKAIEALS(配列番号457)
(2)aa80〜99:IRKLQIRNIPPHLQWEVLDS(配列番号458)
(3)aa160〜179:AQQNPLQQPRGRRGLGQRGS(配列番号459)
(4)aa180〜199:DVHRKENAGAAEKSITILST(配列番号460)
(5)aa320〜339:LYNPERTITVKGNVETCAKA(配列番号461)
(6)aa340〜359:EEEIMKKIRESYENDIASMN(配列番号462)
(7)aa370〜389:LNALGLFPPTSGMPPPTSGP(配列番号463)
(8)aa380〜399:KIAPAEAPDAKVRMVIITGP(配列番号464)
これらの中から、6つのエピトープが、肺胸水液(lung plural effusion fluid)サンプルおよび肺患者の血清の両方において共通である。これらの6つのうち、配列番号459および配列番号463は、他のL523Sファミリータンパク質(例えば、IGF−II mRNA結合タンパク質1および2)との相同性を有さない。従って、これは、これらの2つのペプチドが、アッセイ系として使用されて、L523Sに対する抗体応答を決定し得ることを示す。
【0431】
(実施例28)
(インビトロ全遺伝子プライミングを用いたL523S特異的CTL系統の作製)
L523Sが、CD8+T細胞免疫応答を作製し得るか否かを決定するために、CTLを、インビトロ全遺伝子プライミング方法論を用いて作製し、腫瘍抗原ワクシニアでDCを感染させた(Yeeら、The Journal of Immunology、157(9)4079〜86、1996)。インターフェロンγELISPOT分析によって決定されるように、L552S腫瘍抗原を用いて形質導入された自己由来の線維芽細胞を特に認識するヒトCTL系統を誘導した。特に、樹状細胞(DC)を、プラスチック付着によって、正常なヒトドナーのPBMCから誘導されたPercoll精製単球から分化させ、そして5日間、10% ヒト血清、50ng/ml ヒトGM−CSFおよび30ng/ml ヒトIL−4を含むRPMI培地において増殖させた。培養の5日後、このDCを、感染多重度(M.O.I)33、66および100で、L523Sを発現する組換えアデノウイルスで一晩感染し、そして2μg/ml CD40リガンドの添加によって一晩成熟させた。次いで、このウイルスを、UV照射によって不活化した。CTL系統を作製するために、自己由来のPBMCを単離し、そしてCD8+T細胞を、CD4+細胞、CD14+細胞、CD16+細胞、CD19+細胞、CD34+細胞およびCD56+細胞に結合体化した磁気ビーズを用いて、負の選択によって質を高めた。L523Sに特異的なCD8+T細胞を、10% ヒト血清、10ng/mlのIL−6および5ng/mlのIL−12を補充したRPMIにおいて、1ウェル当たり10,000のL523S発現DCおよび100,000のCD8+T細胞を用いて、丸底の96ウェルプレートにおいて確立した。この培養物を、IL−2の存在下において、L523Sを用いてレトロウイルスによって形質導入された自己由来の初代線維芽細胞、および同時刺激分子CD80を用いて、7〜10日毎に再刺激した。この細胞をまた、IFNγで刺激して、MHCクラスIをアップレギュレートした。この培地は、刺激時、ならびに刺激後2日目および5日目に、10U/mlのIL−2で補充した。3回の刺激サイクル後、10のL523S特異的CD8+T細胞系統を、インターフェロンγELISPOT分析を用いて同定し、この分析は、L523S腫瘍抗原で形質導入された自己由来の線維芽細胞で刺激した時に、インターフェロンγを特異的に産生するが、コントロール抗原で刺激した時には産生しない。
【0432】
1つの系統、6B1を、抗CD3細胞および支持細胞を用いてクローニングした。このクローンを、L523Sで形質導入された線維芽細胞に対する特異性について試験した。さらに、L523Sを発現するベクターを用いて形質導入されたHLAミスマッチの系統のパネルを用いて、そしてELISPOTアッセイにおいて、このCTL系統によるインターフェロンγ産生を測定して、このクローン6B1.4B8が、HLA−A0201によって制限されることを決定した。
【0433】
また、トランスフェクトされたCos細胞を使用して、クローン6B1.4B8が、HLA制限様式および抗原特異的様式で、pcDNA3 HLA A0201/L523Sを用いてトランスフェクトされたCos細胞を認識することを示した。
【0434】
エピトープマッピング研究は、クローン6B1.4B8が、ペプチドプール3(L523Sのアミノ酸33位〜59位に対応するポリペプチド)を用いてロードされたHLA−A201 LCLを認識することを実証した。
【0435】
ペプチドプール破壊研究は、クローン6B1.4B8が、L523Sのアミノ酸37位〜55位由来の15マーのペプチド、TGYAFVCPDESWALKAIE(配列番号465)を用いてロードされた自己由来のB−LCLを認識することを実証した。さらなるペプチド破壊研究は、クローン6B1.4B8が、同じ15マーのペプチドを用いてロードされたT2細胞を認識することを実証した。
【0436】
ペプチド認識研究は、クローン6B1.4B8が、ペプチドFVDCPESWAL(配列番号466)を用いてロードされたT2細胞を選び、このペプチドは、L523Sのアミノ酸配列41位〜51位に対応し、そして配列番号467のDNA配列によってコードされることを実証した。
【0437】
(実施例29)
(他のヒト癌におけるL523S発現)
L523Sが、肺癌(扁平上皮癌、腺癌および小細胞癌を含む)において発現することが、実施例2において以前に開示された。L523SのESTプロファイリング分析は、このタンパク質がまた、多くの他の腫瘍型(結腸腺癌、前立腺癌、CML、AML、バーキットリンパ腫、脳腫瘍、網膜芽細胞腫、卵巣腫瘍、奇形癌、子宮筋肉腫、生殖細胞腫瘍を含む)、ならびに膵臓腫瘍細胞系統および頸部腫瘍細胞系統において発現され得ることをさらに実証する。
【0438】
上述から、本発明の特定の実施形態が、本明細書中において、例示の目的で記載されているが、種々の改変が、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなくなされ得ることが理解される。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲による限定を除いて限定されない。
Claims (18)
- 単離されたポリヌクレオチドであって、該ポリヌクレオチドは、以下:
(a)配列番号351、353、358、362、364、366、368、370〜375、420、424、428、431、434、442、447、450、および467に提供される配列;
(b)配列番号351、353、358、362、364、366、368、370〜375、420、424、428、431、434、442、447、450、および467に提供される配列の相補体;
(c)配列番号351、353、358、362、364、366、368、370〜375、420、424、428、431、434、442、447、450、および467に提供される配列の少なくとも10個連続する残基からなる配列;
(d)配列番号351、353、358、362、364、366、368、370〜375、420、424、428、431、434、442、447、450、および467に提供される配列に高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列;
(e)配列番号351、353、358、362、364、366、368、370〜375、420、424、428、431、434、442、447、450、および467の配列に少なくとも75%の同一性を有する配列;
(f)配列番号351、353、358、362、364、366、368、370〜375、420、424、428、431、434、442、447、450、および467の配列に少なくとも90%の同一性を有する配列;ならびに
(g)配列番号351、353、358、362、364、366、368、370〜375、420、424、428、431、434、442、447、450、および467に提供される配列の縮重改変体、
からなる群より選択される配列を含む、単離されたポリヌクレオチド。 - 単離されたポリペプチドであって、該ポリペプチドは、以下:
(a)配列番号352、354、357、361、363、365、367、369、376〜382、387〜419、423、427、430、433、441、443、446、449、および451〜466に提供される配列のいずれか1つのアミノ酸配列を有するポリペプチドに少なくとも90%の同一性を有する配列;
(b)請求項1に記載のポリヌクレオチドによってコードされる配列;
(c)請求項1に記載のポリヌクレオチドによってコードされる配列に少なくとも70%の同一性を有する配列;ならびに
(d)請求項1に記載のポリヌクレオチドによってコードされる配列に少なくとも90%の同一性を有する配列、
からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチド。 - 発現制御配列に作動可能に連結された、請求項1に記載のポリヌクレオチドを含む、発現ベクター。
- 請求項3に記載の発現べクターで形質転換またはトランスフェクトされた、宿主細胞。
- 請求項2に記載のポリペプチドに特異的に結合する、単離された抗体またはその抗原結合フラグメント。
- 患者における癌の存在を検出するための方法であって、該方法は、以下の工程:
(a)該患者から生物学的サンプルを得る工程;
(b)請求項2に記載のポリペプチドに結合する結合因子と該生物学的サンプルを接触させる工程;
(c)該結合因子に結合するポリペプチドの量を該サンプル中で検出する工程;
(d)該ポリペプチドの量を、所定のカットオフ値と比較し、そして、それから、該患者における癌の存在を決定する工程、
を包含する、方法。 - 請求項2に記載の少なくとも1つのポリペプチドを含む、融合タンパク質。
- 前記融合タンパク質が、配列番号352、354、423、427、430、および433に提供される配列からなる群より選択される、請求項9に記載の融合タンパク質。
- 配列番号351、353、358、362、364、366、368、370〜375、420、424、428、431、434、442、447、450、および467に示される配列に高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、オリゴヌクレオチド。
- 腫瘍タンパク質に特異的なT細胞を刺激および/または拡大するための方法であって、該方法は、以下:
(a)請求項2に記載のポリペプチド;
(b)請求項1に記載のポリヌクレオチド;および
(c)請求項1に記載のポリヌクレオチドを発現する抗原提示細胞、
からなる群より選択される少なくとも1つの成分と、T細胞を、T細胞の刺激および/または拡大を可能にするのに十分な条件下および時間で接触させる工程、を包含する、方法。 - 請求項10に記載の方法に従って調製されたT細胞を含む、単離されたT細胞集団。
- 第1の成分および第2の成分を含む組成物であって、該第1の成分は、生理学的に受容可能なキャリアおよび免疫刺激剤からなる群より選択され、そして該第2の成分は、以下:
(a)請求項2に記載のポリペプチド;
(b)請求項1に記載のポリヌクレオチド;
(c)請求項5に記載の抗体;
(d)請求項7に記載の融合タンパク質;
(e)請求項11に記載のT細胞集団;および
(f)請求項2に記載のポリペプチドを発現する抗原提示細胞、
からなる群より選択される、組成物。 - 請求項12に記載の組成物を患者に投与する工程を包含する、該患者における免疫応答を刺激するための方法。
- 請求項12に記載の組成物を患者に投与する工程を包含する、該患者における肺癌の処置のための方法。
- 患者における癌の存在を決定するための方法であって、該方法は、以下の工程:
(a)該患者から生物学的サンプルを得る工程;
(b)請求項9に記載のオリゴヌクレオチドと該生物学的サンプルを接触させる工程;
(c)該オリゴヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドの量を該サンプル中で検出する工程;および
(d)該オリゴヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドの量を、所定のカットオフ値と比較し、そして、それから、該患者における癌の存在を決定する工程、
を包含する、方法。 - 請求項9に記載の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを備える、診断キット。
- 請求項5に記載の少なくとも1つの抗体および検出試薬を備える診断キットであって、該検出試薬がレポーター基を含む、診断キット。
- 患者における肺癌を処置するための方法であって、該方法は、以下の工程:
(a)T細胞が増殖するように、患者から単離されたCD4+および/またはCD8+T細胞を、以下:
(i)請求項2に記載のポリペプチド;
(ii)請求項1に記載のポリヌクレオチド;および
(iii)請求項2に記載のポリペプチドを発現する抗原提示細胞、
からなる群より選択される少なくとも1つの成分と共にインキュベートする工程;
(b)有効量の該増殖したT細胞を該患者に投与する工程、
を包含し、
それにより、該患者における癌の発生を阻害する、方法。
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