JP2006509525A - 原核生物宿主におけるil−21の生産 - Google Patents

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Abstract

IL-21の大規模生産用の発現ベクターおよび大腸菌発現系を用いる方法を開示する。同ベクターは、大腸菌における翻訳のためのコドンおよびmRNAの2次構造を最適化するために特定のヌクレオチド変化を有するIL-21のコード配列を利用する。この発現ベクターを用いて、IL-21遺伝子を流加回分発酵によって1 g/Lを上回るレベルまで大腸菌で発現させた。またIL-21発現ベクターで形質転換されたOmpT欠損大腸菌株も含む。

Description

発明の背景
ヒトおよび他のゲノムに由来する遺伝子群の利用および同定の増加に伴い、組換えタンパク質の効率的な発現および精製のニーズが高まっている。細菌におけるタンパク質の発現は、クローン化された遺伝子産物の産生に極めて広く用いられている方法である。多くの理由から、細菌における発現の方が真核細胞における発現より好ましい。例えば細菌は真核細胞に比べて容易に成長させることができる。具体的には、多くの優れた分子遺伝学的ツール、および数千種類の変異体が利用できることから、大腸菌はタンパク質産生に極めて有用な発現宿主となっている。しかし、大腸菌における機能タンパク質(特に真核生物供給源に由来するタンパク質)の高レベルの産生には問題も少なくない。
IL-21(当初はZalpha11リガンドと呼ばれていた)は、IL-4、IL-7、IL-9、IL-13、およびIL-15も含まれるIL-2ファミリーのサイトカインである。このファミリーのタンパク質は、抗癌作用および抗ウイルス作用の両方を有することがわかっている。IL-21は、免疫の重要な調節因子であるヘルパーT細胞によって作られる。この同起源の受容体の発現パターン、およびタンパク質の投与に基づき、IL-21が、腫瘍細胞およびウイルス感染細胞を根絶する2つのクラスのリンパ球であるCD8+キラーT細胞およびナチュラルキラー(NK)細胞を活性化することがわかっている。IL-21は一部のクラスのB細胞も刺激する(Parrish et al., Nature 408: 57-63, 2000)。
組換えIL-21は原核細胞(特に大腸菌)で作られている。結果として得られる細菌産生タンパク質はグリコシル化されておらず、また凝集状態で産生される。大腸菌からのIL-21の産生には、凝集した状態のタンパク質を不溶性の封入体から可溶化し、再生させる、すなわちリフォールディングさせる段階が必要である。再生なしには、この組換えタンパク質の特異的な活性は大きく損なわれることになる。
細菌宿主における組換えタンパク質の発現が進展しているにもかかわらず、生物学的に活性で、純粋な組換えIL-21タンパク質を、高収量でタンパク質を産生する原核生物系で産生させるための改善された方法が求められている。こうした局面、および本発明の他の局面は、以下の詳細な記述を参照することで明らかになる。併せて、全体が参照として本明細書に組み入れられる、さまざまな参考文献を以下に紹介する。
発明の概要
1つの局面では、本発明は、操作可能に連結された原核生物の複製起点エレメント、転写開始DNAエレメント、およびSEQ ID NO: 27に記載されたポリヌクレオチド配列、および転写ターミネーターを含む、IL-21タンパク質を産生させるための発現ベクターを提供する。別の局面では、このような発現ベクターはベクターpTAP337である。別の態様では、発現ベクターは選択マーカーを含む場合がある。
別の局面では、本発明は、SEQ ID NO: 28に記載されたポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列SEQ ID NO: 27またはベクターpTAP337を含むような発現ベクターで形質転換された原核生物宿主細胞を提供する。他の態様では、このような宿主株は、American Type Culture Collection(Manassas, VA)に登録された大腸菌W3110株またはzGOLD1株である。
別の局面では、本発明は、IL-21タンパク質が発現される条件でIL-21タンパク質を産生させる方法を提供する。1つの態様では、このような方法は、IL-21を発現する宿主細胞をpTAP337による形質転換後に培養する段階を含む。別の態様では、このような方法は、SEQ ID NO: 27を含む発現ベクターで形質転換された宿主細胞を培養する段階を含む。このような方法は、培地から宿主細胞を回収する段階、およびこれに続く宿主細胞からIL-21タンパク質を単離する段階も含む。
他の局面では、本発明は、上記の段階を含む、流加回分発酵(fed batch fermentation)プロセスまたは回分発酵(batch fermentation)プロセスでIL-21を産生させる方法を提供する。
別の局面では、本発明は、宿主細胞を上記の手順で振盪フラスコ内の成長培地中でOD600が5〜20となるまで培養する段階、宿主細胞を含む1〜12%(v/v)の振盪フラスコ培地を発酵槽に接種する段階、宿主細胞を6.2〜7.2のpHで成長培地中で培養する段階(供給溶液は、15時間の発酵経過時間(elapsed fermentation time; EFT)前に発酵槽中に供給する)、誘導薬剤をEFTが20〜30時間の時点で発酵槽に添加する段階、および宿主細胞をEFTが48〜56時間の時点で回収する段階を含む、IL-21タンパク質を産生させる方法を提供する。1つの態様では、誘導薬剤は0.5〜2 mMのイソプロピルチオガラクトピラノシド(IPTG)である。別の態様では、供給溶液はグリセロールおよびグルコースからなる群より選択される炭水化物を含み、また供給は1時間あたり5〜15 gの炭水化物とする。別の態様では、供給溶液中のグリセロールは40〜70%(v/v)のグリセロールであり、またグルコースは40〜70%(w/v)のグルコースである。他の態様では、グリセロールは約70%(v/v)であり、グルコースは約60%(w/v)である。
1つの局面では、本発明は、SEQ ID NO: 28に記載されたIL-21ポリペプチドを発現する大腸菌W3110宿主細胞、またはpTAP337ベクターを含む大腸菌W3110宿主細胞(IL-21ポリペプチドが発現されている)を含む接種菌を、約5 g/lのグリセロールを含む成長培地とともにフラスコに接種する段階、接種菌を成長培地中で約30℃で16〜20時間培養する段階、培地中の培養後の接種菌を0.5〜5%(v/v)の接種菌濃度で回分発酵槽に移す段階、回分発酵物を約37℃で、また約6.8のpHで約2%グリセロールとともに発酵させる段階、約9.5 gグルコース/リットル/時のグルコース供給溶液をEFTが約8時間の時点から導入して発酵段階の終了時まで継続する段階、EFTが24時間の時点でIPTGを最終濃度が0.5〜2 mMとなるように添加する段階、IPTGとともに約28時間発酵させる段階、発酵槽から発酵ブロスを回収する段階、発酵ブロスに等容量の水を添加する段階、ならびにIL-21タンパク質材料を含む細胞ペレットまたは細胞スラリーをホモジナイズして遠心して回収する段階を含む、IL-21を産生させる方法を提供する。
別の局面では、本発明は、水に不溶性のIL-21タンパク質と細胞ペレットまたは細胞スラリーを分離する段階、不溶性のIL-21材料をカオトロピック溶媒に溶解させる段階、カオトロピック溶媒を希釈してIL-21タンパク質をリフォールディングさせる段階、ならびにIL-21タンパク質を単離する段階(単離されたIL-21タンパク質は生物学的に活性でありうる)段階を含む、SEQ ID NO: 28に記載されたアミノ酸残基の配列を含む不溶性のIL-21タンパク質を単離する方法を提供する。本発明の1つの態様では、単離されたIL-21タンパク質の純度は少なくとも90%である。別の態様では、単離されたIL-21タンパク質の純度は少なくとも90%であり、またエンドトキシンレベルは10エンドトキシン単位/mg IL-21タンパク質未満である。
別の局面では、本発明は、発酵ブロスから水に不溶性のIL-21タンパク質材料を含む細胞ペレットまたは細胞スラリーを分離する段階、細胞ペレットまたは細胞スラリーをホモジナイズして封入体を回収する段階、不溶性のIL-21タンパク質材料をグアニジン塩を含むカオトロピック溶媒に溶解する段階、アルギニン塩および還元成分と酸化成分の混合物を含むリフォールディング緩衝液を添加してカオトロピック溶媒を希釈する段階、折りたたまれていないタンパク質および凝集状態のタンパク質を濾過して除去することでIL-21タンパク質を単離する段階、ならびにIL-21のリフォールディングタンパク質を陽イオン交換カラムで精製する段階(単離され、精製されたIL-21は生物学的に活性でありうる)を含む、SEQ ID NO: 28に記載されたアミノ酸残基の配列を含む不溶性のIL-21タンパク質を単離する方法を提供する。
別の局面では、本発明は、水に不溶性のIL-21材料を含む細胞ペレットまたは細胞スラリーを発酵ブロスから分離する段階、細胞ペレットまたは細胞スラリーをホモジナイズして封入体を回収する段階、不溶性のIL-21タンパク質材料をグアニジン塩を含むカオトロピック溶媒に溶解させる段階、アルギニン塩および酸化成分と還元成分の混合物を含むリフォールディング緩衝液を添加してカオトロピック溶媒を希釈する段階、折りたたまれていないタンパク質および凝集状態のタンパク質を濾過して除去することでIL-21タンパク質を単離する段階、IL-21のリフォールディングタンパク質を陽イオン交換カラムで精製する段階、ならびにIL-21溶出液を疎水的相互作用カラムで精製する段階(単離され、精製されたIL-21タンパク質は生物学的に活性でありうる)を含む、SEQ ID NO: 28に記載されたアミノ酸残基の配列を含む不溶性のIL-21タンパク質を単離する方法を提供する。
別の局面では、本発明は、水に不溶性のIL-21タンパク質材料を含む細胞ペレットまたは細胞スラリーを発酵ブロスから分離する段階、細胞ペレットまたは細胞スラリーをホモジナイズして封入体を回収する段階、不溶性のIL-21タンパク質材料を約6 M 塩酸グアニジン、40 mMジチオスレイトール(DTT)を含むカオトロピック溶媒に室温で約1時間かけて溶解する段階、溶液中に溶解した状態の封入体を約2 mM DTT、4 mMシスチン酸化還元対を含むリフォールディング緩衝液に少なくとも20倍に希釈することでリフォールディングさせる段階、pHを約20%の酢酸で約5.5に調節して溶液を少なくとも5時間反応可能とする段階、溶液を約1+1.4容量の25 mM酢酸、pH 5.5で希釈する段階、溶液を濾過する段階、溶液を、酢酸ナトリウム緩衝液でpH 5.5に平衡化されたTosohaas SP-550C樹脂カラムにロードする段階、樹脂カラムを約0.4 Mの塩化ナトリウムで洗浄する段階、樹脂カラムを約0.75 Mの塩化ナトリウムで洗浄して、結合状態のIL-21タンパク質を溶出する段階、硫酸アンモニウムを濃度が約1.5 Mになるように溶出液に添加して溶出液を濾過する段階、溶出液を、1.5 M硫酸アンモニウム、0.05 塩化ナトリウム(溶媒は酢酸ナトリウム緩衝液)に平衡化されたTosohaasブチル650-Mカラムにロードする段階、溶出液を、酢酸ナトリウム緩衝液で平衡化されたSPセファロースHPカラムで希釈する段階、カラムを20カラム容量の直線勾配(0.3〜0.7 M)の塩化ナトリウムで洗浄する段階、IL-21タンパク質を濃縮する段階、ならびに緩衝液を平行流(tangential flow)限外濾過で剤形化緩衝液と交換する段階を含む、SEQ ID NO: 28に記載されたアミノ酸残基の配列を含む不溶性のIL-21タンパク質を単離する方法を提供する。他の態様では、不溶性のIL-21タンパク質を単離する上記の方法は、IL-21受容体結合アッセイ法で生物学的活性を測定する段階を含む。
別の局面では、本発明は、SEQ ID NO: 28のアミノ酸残基2〜163に記載されたポリペプチドを、約10 mMヒスチジン、4.7%のマンニトール、pH 5.3中に約10 mg/ml IL-21タンパク質の濃度で含むIL-21タンパク質を含む組成物を提供する。
発明の説明
本発明の理解を促すために、以下の定義について説明する。
本明細書で用いられる、「核酸」または「核酸分子」という表現は、デオキシリボ核酸(DNA)、またはリボ核酸(RNA)、オリゴヌクレオチド、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で生じる断片、ならびに連結、切断、エンドヌクレアーゼ作用、およびエキソヌクレアーゼ作用のいずれかによって生じる断片などのポリヌクレオチドを意味する。核酸分子は、天然のヌクレオチド(DNAやRNAなど)、または天然のヌクレオチドの類似体(例えば天然のヌクレオチドのα-エナンチオマー)、または両者の組み合わせであるモノマーから構成される場合がある。修飾型のヌクレオチドは、糖部分および/またはピリミジン塩基部もしくはプリン塩基部に変化を有する場合がある。糖の修飾は例えば、1つもしくは複数のヒドロキシル基とハロゲン、アルキル基、アミン、およびアジド基との置換を含むか、または糖はエーテルもしくはエステルとして官能基が付される場合がある。さらに糖部全体が、アザ糖および炭素環糖アナログなどの立体的また電子的に類似の構造と置換される場合がある。塩基部修飾の例には、アルキル化されたプリンおよびピリミジン、アシル化されたプリンもしくはピリミジン、または他の周知の複素環置換などがある。核酸モノマーは、ホスホジエステル結合、または同結合に類似の結合によって連結される場合がある。ホスホジエステル結合の類似結合には、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニロチオエート、ホスホアニリデート、ホスホラミデートなどがある。「核酸分子」という表現は、ポリアミド主鎖に結合した天然または修飾型の核酸塩基を含む、いわゆる「ペプチド核酸」も含む。核酸は1本鎖または2本鎖のいずれかの形状をとりうる。
「核酸分子の相補物」という表現は、相補的ヌクレオチド配列、および標準ヌクレオチド配列と比較して逆方向を有する核酸分子を意味する。
「エンハンサー」は、転写開始部位に対するエンハンサーの距離または方向にかかわらず転写効率を高めることが可能な調節エレメントの1種である。
「異種DNA」という表現は、天然には任意の宿主細胞に存在しないDNA分子またはDNA分子の集団を意味する。特定の宿主細胞に対して異種であるDNA分子は、宿主DNAが非宿主DNA(すなわち外因性DNA)と混合した状態にある限りにおいて、宿主細胞種に由来するDNA(すなわち内因性DNA)を含む場合がある。例えば、転写プロモーターを含む宿主DNAセグメントに操作可能に連結されたポリペプチドをコードする非宿主DNAセグメントを含むDNA分子は異種DNA分子とみなされる。逆に異種DNA分子は、外因性プロモーターに操作可能に連結された内因性遺伝子を含む場合がある。別の説明として、野生型細胞に由来する遺伝子を含むDNA分子は、対象DNA分子が野生型遺伝子を欠く変異型細胞に導入される場合に異種DNAとみなされる。
「コンティグ」という表現は、別の核酸分子と同一または相補的な近接した配列を有する核酸分子を意味する。近接配列は、任意の核酸分子を全体的に、または核酸分子の部分的な連続に沿って「重複する」と表現される。
「相補的DNA(cDNA)」は、逆転写酵素によってmRNAテンプレートから形成される1本鎖のDNA分子である。典型的には、mRNAの一部に相補的なプライマーが逆転写の開始に用いられる。当業者は、このような1本鎖DNA分子と、その相補的DNA鎖からなる2本鎖DNA分子についても「cDNA」という表現を使用する。「cDNA」という表現は、RNAテンプレートから合成されたcDNA分子のクローンも意味する。
「単離された核酸分子」は、生物のゲノムDNAに組み込まれていない核酸分子である。例えば、細胞のゲノムDNAから分離された、成長因子をコードするDNA分子は単離されたDNA分子である。単離された核酸分子の別の例は、生物のゲノムに組み込まれていない化学的に合成された核酸分子である。特定の種から単離された核酸分子は、このような種に由来する染色体の完全なDNA分子より小さい。
「直線状のDNA」は、遊離の5'端および3'端を有する非環状のDNA分子を意味する。直線状のDNAは、プラスミドなどの閉環状DNA分子から、酵素による切断や物理的な破壊によって調製することができる。
「プロモーター」は、構造遺伝子の転写を誘導するヌクレオチド配列である。典型的にはプロモーターは、構造遺伝子の転写開始部位に近位の、遺伝子の5'側の非コード領域に位置する。転写開始時に機能するプロモーター内の配列エレメントは、コンセンサスヌクレオチド配列によって特徴づけられることが多い。このようなプロモーターには例えば、IPTGによって誘導されるプロモーター、バクテリオファージのT7プロモーター、およびバクテリオファージのλpLなどがあるがこれらに限定されない。プロモーターに関しては、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 2001を参照されたい。典型的なプロモーターは、-35位および-10位におけるコンセンサス配列と、この間に位置する16〜19ヌクレオチドの配列からなる3つの成分を有する(Lisset, S. and Margalit, H., Nucleic Acids Res. 21: 1512, 1993)。このようなプロモーターにはlac、trp、trp-lac(tac)、およびtrp-lac(trc)などがある。プロモーターが誘導プロモーターの場合、転写速度は誘導薬剤に対する反応によって上昇する。対照的に、プロモーターが構成的なプロモーターの場合は、転写速度は誘導薬剤によって調節されない。抑制可能なプロモーターの存在も知られている。
「コアプロモーター」は、転写開始を含むプロモーター機能に本質的なヌクレオチド配列を含む。この定義では、コアプロモーターは、活性を高めるか組織特異的な活性をもたらす可能性のある特定の配列の非存在下で検出可能な活性を有する場合もあれば有さない場合もある。
「調節エレメント」は、コアプロモーターの活性を調節するヌクレオチド配列である。例えば、真核生物の調節エレメントは、転写を特定の細胞、組織、またはオルガネラで独占的もしくは選択的に可能とする細胞因子に結合するヌクレオチド配列を含む場合がある。このような調節エレメントは通常、「細胞特異的」、「組織特異的」、または「オルガネラ特異的」に発現される遺伝子と結合する。細菌のプロモーターは、アクチベーター分子またはリプレッサー分子が結合するオペレーター配列などの、コアプロモーターに結合してその活性を調節する調節エレメントを有する。
「クローニングベクター」は、宿主細胞で自律的に複製する能力を有するプラスミド、コスミド、またはバクテリオファージなどの核酸分子である。クローニングベクターは典型的には、核酸分子の挿入を、ベクターの本質的な生物学的機能を失うことなく決定可能に可能とする1つまたは少数の制限エンドヌクレアーゼ認識部位、ならびにクローニングベクターで形質転換された細胞の同定および選択における使用に適したマーカー遺伝子をコードするヌクレオチド配列を含む。マーカー遺伝子は典型的には、抗生物質に対する耐性をもたらす遺伝子を含む。
「発現ベクター」は、宿主細胞で発現される遺伝子をコードする核酸分子である。典型的には発現ベクターは、転写プロモーター、遺伝子、複製起点、選択マーカー、および転写ターミネーターを含む。遺伝子の発現は通常、プロモーターの制御下にあり、またこのような遺伝子は、プロモーターに「操作可能に連結された」と表現される。同様に、調節エレメントおよびコアプロモーターは、調節エレメントがコアプロモーターの活性を調節する場合に操作可能に連結される。発現ベクターは発現コンストラクトとしても知られる場合がある。
「組換え宿主」は、クローニングベクターや発現ベクターなどの異種核酸分子を含む細胞である。
「発現」という表現は、遺伝子産物の生合成を意味する。例えば構造遺伝子の場合、発現には、構造遺伝子のmRNAへの転写、およびmRNAの1つまたは複数のポリペプチドへの翻訳が含まれる。
「分泌シグナル配列」という表現は、細胞の分泌経路を介して、より大きなポリペプチドの成分としての大きなポリペプチドを誘導するペプチド(「分泌」ペプチド)をコードするDNA配列を意味する。大きなポリペプチドは一般に、分泌経路を通過中に切断されて分泌ペプチドが除去される。
「ポリペプチド」は、天然の状態で作られるか、または合成的に作られるペプチド結合で連結されたアミノ酸残基のポリマーである。約10アミノ酸残基に満たないポリペプチドは一般に「ペプチド」と呼ばれる。
「タンパク質」は、1本または複数のポリペプチド鎖を含む巨大分子である。タンパク質は、炭水化物の官能基などの非ペプチド成分を含む場合もある。炭水化物および他の非ペプチド性の置換基がタンパク質に追加される場合がある。タンパク質は本明細書において、そのアミノ酸主鎖の構造によって定義され、炭水化物官能基や非ペプチド官能基などの置換基は一般に特定されないが、それにもかかわらず存在する場合がある。
非宿主DNA分子にコードされたペプチドまたはポリペプチドは、「異種」のペプチドまたはポリペプチドである。
「単離されたポリペプチド」は、天然の状態でポリペプチドと結合した炭水化物、脂質、または他のタンパク性の不純物などの混入性細胞成分を本質的に含まないポリペプチドである。典型的には、単離されたポリペプチドの調製物は、純度が少なくとも約80%の、純度が少なくとも約90%の、純度が少なくとも約95%の、純度が95%を超える、または純度が99%を超える高度に精製された状態のポリペプチドを含む。特定のタンパク質調製物が、単離されたポリペプチドを含むことを示す1つの方法は、対象タンパク質調製物のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)-ポリアクリルアミドゲル電気泳動と、クーマシーブリリアントブルーによるゲルの染色後における1本のバンドの出現による。しかし、「単離された」という表現は、二量体や、二者択一的にグリコシル化された状態、または誘導体化された状態などの他の物理的状態の同じポリペプチドの存在を除外しない。
「アミノ末端」または「N末端」、および「カルボキシ末端」または「C末端」という表現は本明細書で、ポリペプチド内の位置を示す表現として用いられる。文脈により、近接性または相対位置を示すために、ポリペプチドの特定の配列または位置に関して、これらの表現が用いられる。例えば、ポリペプチド内の標準配列に対してカルボキシ末端に位置するある配列は、標準配列のカルボキシ末端の近位に位置するが、完全なポリペプチドのカルボキシ末端に必ずしも位置しない。
「融合タンパク質」は、少なくとも2つの遺伝子のヌクレオチド配列を含む核酸分子から発現されるハイブリッドタンパク質である。
「アフィニティタグ」という表現は本明細書で、第2のポリペプチドに結合して、第2のポリペプチドの精製または検出を可能とする、または基質に対する第2のポリペプチドの結合部位を提供可能なポリペプチドセグメントを示す表現として用いられる。原理的には、抗体または他の特定の結合剤が利用可能な任意のペプチドまたはタンパク質をアフィニティタグとして使用できる。アフィニティタグには、ポリヒスチジン鎖、タンパク質A(Nilsson et al., EMBO J. 4: 1075 (1985); Nilsson et al., Methods Enzymol. 198: 3 (1991))、グルタチオンSトランスフェラーゼ(Smith and Johnson, Gene 67: 31 (1988))、Glu-Gluアフィニティタグ(Grussenmeyer et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82: 7952 (1985))、サブスタンスP、FLAGペプチド(Hopp et al., Biotechnology 6: 1204 (1988))、ストレプトアビジン結合ペプチド、または他の抗原エピトープもしくは結合ドメインなどがある。これについては一般に、Ford et al., Protein Expression and Purification 2: 95 (1991)を参照されたい。アフィニティタグをコードするDNA分子は業者から入手可能である(例えば、Pharmacia Biotech, Piscataway, NJ)。
「等張である」という表現は本明細書で、NaClの0.9%溶液に相当する血液と等しい等張性を有するという従来の意味をもつ用語として用いられる。塩の「等張量」は、等張液の調製に、または凍結乾燥調製物の再生時の等張液の調製に必要とされる量である。
濃度は本明細書では、液体組成物のモル濃度または%(w/v)の単位で記載される。組成物が凍結乾燥粉末の状態である場合は、個々の成分の濃度は、粉末の再生時に特定の濃度となるような濃度である。
標準的な分析法は正確さを欠くために、ポリマーの分子量および分子長は概算値として理解される。値が「約」X、または「およそ」Xと表される場合、記載値Xは±10%の精度であると理解される。
組換えIL-21の発現
本発明は、発現ベクター、および原核生物宿主から組換えIL-21タンパク質を産生させる方法を提供する。IL-21は過去に「zalpha11リガンド」と呼ばれており、参照として本明細書に組み入れられる米国特許第6,307,024号に一般的に詳述されている。特に、本発明の発現ベクターおよび方法は、大腸菌における翻訳におけるコドンおよびmRNAの2次構造を最適化するためにヌクレオチドに特定の変化を有するIL-21のコード配列を利用してIL-21を大規模に産生させるための大腸菌発現系を含む。本発明の発現ベクターおよび方法を用いて、大腸菌でIL-21遺伝子が流加回分発酵で1 g/Lを上回るレベルまで産生された。発明者らは、大腸菌OmpTプロテアーゼ欠損株UT5600を産生宿主として使用することで、IL-21metに関する安定性の問題が克服されることを見出した。IL-21metは、ポリヌクレオチド配列の5'端に追加されたN末端のMetをコードするコドンを有するIL-21のコード配列である。本明細書に記載された発現ベクターを用いることで、細菌から回収される組換えタンパク質の収量が大きく改善された。この産生宿主株の使用により、50 mg/Lを上回るIL-21met封入体が振盪フラスコ培養で得られた。別の態様では、高細胞密度の流加回分発酵の開発を促すために、IL-21の大規模生産用の宿主として別の大腸菌であるW3110株が選択された。この宿主株は非病原性であり、最小規定発酵培地で高細胞密度に成長させることができる。大腸菌W3110株におけるIL-21metの生産性は、振盪フラスコおよび回分発酵による大腸菌UT5600株における生産性と同等であった。
本発明は、IL-21タンパク質が宿主によって発現され、グリコシル化されていない不溶性封入体として宿主細胞中に見出される場合に、原核生物宿主から組換えIL-21タンパク質を回収する方法も提供する。原核細胞を溶解して封入体(屈折体とも呼ばれる)を単離すると、封入体はIL-21の凝集体の状態である。したがってIL-21タンパク質を単離するためには、封入体を解離させて溶解しなければならず、このためには一般に、有意な生物学的活性を有するようにリフォールディングしなければならないポリペプチドの回収につながる、変性作用をもつカオトロピック溶媒の使用が必要となる。IL-21タンパク質がリフォールディングしたら、このようなタンパク質を捕捉して精製しなければならない。したがって本発明は、原核細胞から不溶性のIL-21タンパク質を単離し、不溶性のIL-21タンパク質材料をカオトロピック溶媒に溶解し、IL-21タンパク質がリフォールディングして単離されるようにカオトロピック溶媒を希釈する方法を提供する。本発明はまた、希釈したリフォールディング緩衝液から再生したIL-21を陽イオン交換クロマトグラフィーで捕捉する方法、およびリフォールディングしたIL-21タンパク質を疎水性相互作用クロマトグラフィーで精製する方法も含む。またIL-21受容体を用いる結合アッセイ法における陰イオン交換でさらに精製することもできる。
ヒトのIL-21遺伝子は162アミノ酸のポリペプチドをコードする。完全長の配列は、SEQ ID NO: 1および2に記載された29アミノ酸のシグナルペプチドと、残基30(Gln)〜残基162(Ser)を含む133アミノ酸の成熟タンパク質を含む。原核生物の発現系を用いて発現されるIL-21の配列はN末端にMetを有し、またヌクレオチド配列および対応するアミノ酸配列はSEQ ID NO: 27および28に記載されている。SEQ ID NO: 27のヌクレオチド配列は、本発明の範囲に含まれる、コドンが最適化された配列を示す。
哺乳類発現系を利用した組換え型のヒトIL-21の生産では、約20 mg/Lのタンパク質が得られている。したがってIL-21の大規模生産には、より費用効果に優れた発現系が望ましかった。大腸菌の系は、大規模生産の優れた代替法となることがわかった。1か所の潜在的なAsn結合グリコシル化部位が存在するが、哺乳類発現系を用いるCHO細胞系列、またはバキュロウイルス発現系を用いる昆虫細胞で発現されるタンパク質中にはこれは存在しない。このような構造的特徴のためにIL-21は、原核生物における発現の良好な候補となる。大腸菌における発現には、特に開発コストの安さや生産収量の高さといった、他の発現系に勝る数多くの利点がある。
大腸菌で発現されるN末端残基を有する組換えIL-21(IL-21met)を、細胞破壊後に不溶性の封入体として単離した。この材料は誤ってフォールディングし、所望の生物学的活性を有していなかった。多くの場合、封入体は変性作用をもつカオトロピック溶媒への可溶化が必要とされ、また精製後にカオトロピック剤の希釈によってタンパク質をリフォールディングさせる必要がある。タンパク質は、その最適なリフォールディング環境の幅が極めて広い。適切にフォールディングし、生物学的に活性な材料の回収率に影響を及ぼす可能性のある因子には、初期タンパク質濃度、酸化状態、pH、賦形剤、塩、界面活性剤、温度、リフォールディング緩衝液の添加モードなどがある。IL-21と配列および構造の類似性を有するタンパク質IL-2が大腸菌系で発現されており、良好なリフォールディングが報告されている(Weir et al., J. Biochem. 245: 85, 1987)。ヒトIL-2の組換え変異体であるALDESLEUKIN(登録商標)は、大腸菌系で封入体として発現されており、インビトロでリフォールディングされている。
ヒトIL-21のcDNAに使用されるコドンの調査から、これが大腸菌では使用頻度の極めて低いコドンを多く含むことがわかった。まれにしか出現しないコドンを多く含む遺伝子は、大腸菌で低レベルで発現される傾向がある(Kane, Curr Opin Biotechnol. 6 (5): 494-500, 1995)。大腸菌におけるヒトIL-21の発現に関する別の問題は、IL-21配列中に位置する4か所の潜在的なOmpT切断部位の存在である。OmpTは、2つの連続した塩基性残基間を特異的に切断するエンドペプチダーゼであり、また同酵素は8 M尿素および6 M 塩酸グアニジンなどの変性条件で活性を保つ(White et al., J Biol Chem. 270 (22): 12990-4, 1995; Dekker et al., Biochemistry, 40 (6): 1694-701, 2001)。これは、OmpTのタンパク質分解活性のために、大腸菌の細胞抽出物におけるIL-21の安定性に関する問題となる。
特定のまれなtRNAの量を宿主内で増やすことで、コード遺伝子がまれなコドンを含むタンパク質の発現レベルを劇的に改善可能なことが複数の研究室によって明らかにされている(Zdanovsky et al., Appl Environ Microbiol. 66 (8): 3166-73, 2000; Calderone et al., J Mol Biol. 262 (4): 407-12; Kleber-Janke et al., Protein Expr Purif. 19 (3): 419-24, 2000; You et al., Biotechniques. 27 (5): 950-4, 1999)。pRAREプラスミドは、大腸菌ではまれなtRNA(argU、argW、leuW、proL、ileX、およびglyT)の遺伝子を個々の天然のプロモーターと共にコードする(Novy et al., InNovations, 12: 2-3, 2001)。pRAREの共発現は、大腸菌におけるIL-21metの生産を約5〜10倍に高めた。pRAREの共発現はまた、大腸菌の細胞溶解物中における短縮型IL-21metのレベルを低下させたことから、より適切なコドンを有するIL-21met遺伝子を再合成することが有益なことが示唆された。
本発明は、大腸菌における翻訳に最適化されたコドンを有するIL-21のコード配列を含む発現ベクターを提供する。IL-21metをコードする合成遺伝子はオーバーラップPCRによって得られた。最終PCR産物を、Tacプロモーターの制御下で発現させるために発現ベクターに導入した。しかし発現は低かった。IL-21metのcDNAの2次構造を検討した結果、非常に安定なヘアピン構造の存在が明らかとなった。このヘアピンループが、十分に最適化された配列からの効率的な発現を妨げる構造エレメントであることが疑われた。最適化された配列の先頭の80塩基をSEQ ID NO: 1に記載された配列と置換することで同ヘアピン構造を除去した。このハイブリッドIL-21はSEQ ID NO: 27に記載されており、結果として得られた遺伝子は大腸菌で高レベルで発現された。新しい発現コンストラクトによる発現レベルは、全細胞タンパク質の約20%(すなわち100 mg/L)に上昇した。
原核細胞における所望のタンパク質の生産に適した発現ベクターは典型的には、(1)細菌宿主における発現ベクターの維持に関する細菌起源の配列をコードする原核生物のDNAエレメント、(2)転写の開始を制御するDNAエレメント(プロモーターなど)、(3)転写物のプロセシングを制御するDNAエレメント(転写ターミネーターなど)、ならびに(4)選択マーカー(抗生物質耐性など)をコードする遺伝子を含む。原核生物宿主細胞は、発現ベクターの導入時および適切な誘導因子の添加時にIL-21を産生する。したがって本発明は、プロモーター、IL-21に最適化されたヌクレオチド配列、およびターミネーター配列を含む発現ベクターを対象とする。典型的な最適化されたIL-21のヌクレオチド配列をSEQ ID NO: 27に示す。別の態様では、発現ベクターは選択マーカーをさらに含む。1つの態様では、選択マーカーはカナマイシン耐性である。
発現ベクターは、所望のタンパク質の精製の一助となるペプチドタグをコードするヌクレオチド配列を含む場合もある。組換えポリペプチドの単離に有用なペプチドタグには例えば、ポリヒスチジンタグ(ニッケルキレート樹脂に対する親和性を有する)、c-mycタグ、カルモジュリン結合タンパク質(カルモジュリンアフィニティクロマトグラフィーで単離される)、サブスタンスP、RYIRSタグ(抗RYIRS抗体と結合する)、Glu-Gluタグ、ならびにFLAGタグ(抗FLAG抗体と結合する)などがある。これらについては例えば、Luo et al., Arch. Biochem. Biophys. 329: 215 (1996)、Morganti et al., Biotechnol. Appl. Biochem. 23: 67 (1996)、およびZheng et al., Gene 186: 55 (1997)を参照されたい。このようなペプチドタグをコードする核酸分子は例えば、Sigma-Aldrich Corporation(St. Louis, MO)から入手できる。
当業者であれば、発現ベクターを調製するための多数の分子生物学的手法を承知している。例えばIL-21ポリヌクレオチドは、両方向からプライミングする長いオリゴヌクレオチド、および本明細書に記載されたヌクレオチド配列を用いて核酸分子を合成して調製することができる(例えば、Ausubel (1995), pages 8-8〜8-9を参照)。ポリメラーゼ連鎖反応を用いる確立された手法では、少なくとも2キロ塩基の長さのDNA分子を合成することができる(Adang et al., Plant Molec. Biol. 21: 1131 (1993), Bambot et al., PCR Methods and Applications 2: 266 (1993), Dillon et al., "Use of the Polymerase Chain Reaction for the Rapid Construction of Synthetic Genes," in Methods in Molecular Biology, Vol. 15: PCR Protocols: Current Methods and Applications, White (ed.), pages 263-268, (Humana Press, Inc. 1993), and Holowachuk et al., PCR Methods Appl. 4: 299 (1995))。
発現系の別の構築法では、酵母系を用いる相同組換えを利用する。これについては、参照として本明細書に組み入れられる米国特許第6,207,442号、「Plasmid Construction by Homologous Recombination」を参照されたい。この系は、ポリペプチド融合体を含む任意の対象ポリペプチドをコードするDNAのクローン化に使用可能な普遍的なアクセプタープラスミドを提供する。この系は、対象タンパク質をコードする領域を含む2本鎖の環状DNA分子を調製する方法となる。対象タンパク質(すなわちIL-21)をコードする1つもしくは複数のドナーDNA断片を、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)の宿主細胞中で、アクセプタープラスミド、第1のDNAリンカー、および第2のDNAリンカーと混合する(ドナーDNAはアクセプタープラスミドと結合し、ドナーDNA、アクセプタープラスミド、およびリンカーの相同組換えによって閉環状プラスミドが形成される)。
本発明の核酸分子は、「DNA合成装置(gene machine)」を利用してホスホラミダイト法などのプロトコルによって合成することもできる。化学的に合成された2本鎖DNAが遺伝子または遺伝子断片の合成などの応用に必要な場合は、個々の相補鎖を別個に作製する。短い遺伝子(60〜80塩基対)の産生は技術的に容易であり、また相補鎖を合成後にこれらをアニーリングすることで達成できる。しかし、長い遺伝子(>300塩基対)の作製に関しては、特別の方法が必要となる場合がある。なぜなら、DNAの化学合成時における各サイクルのカップリング効率が100%となることはまずないからである。この問題を解決するために、合成遺伝子(2本鎖)を、20〜100ヌクレオチドの長さの1本鎖断片からモジュール状に集合させる。ポリヌクレオチドの合成に関する総説については例えば、Glick and Pasternak, Molecular Biotechnology, Principles and Applications of Recombinant DNA (ASM Press 1994)、Itakura et al., Annu. Rev. Biochem. 53: 323 (1984)、およびClimie et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 87: 633 (1990)を参照されたい。
IL-21遺伝子および発現ベクターの調製に使用可能な別の手法の例には例えば、いずれも当技術分野で周知の、制限酵素による切断および連結、ならびにポリメラーゼ連鎖反応などがある。
さまざまな選択マーカー遺伝子を利用することができる(例えばKaufman, Meth. Enzymol. 185: 487 (1990); Kaufman, Meth. Enzymol. 185: 537 (1990)を参照)。発現ベクターは、テトラサイクリン耐性、アンピシリン耐性、カナマイシン耐性、ネオマイシン耐性、またはクロラムフェニコール耐性などの選択マーカーを含むことが一般的である。選択マーカーは、非形質転換細胞からの、発現ベクターで形質転換された細胞の選択および/または検出を可能とする。発現ベクターは、このような抗生物質耐性遺伝子を複数有する場合がある。抗生物質耐性のない選択マーカーの例では、プラスミドR1に由来するhok/sok系を用いる。hok遺伝子は52アミノ酸の毒性のあるHokタンパク質をコードし、sok遺伝子はhokのmRNAリーダー配列に相補的なアンチセンスRNAをコードする。この選択マーカーは当業者に知られており、Gerdes, K. et al., Genetic Engineering, 19: 49-61, 1997に詳細に記載されている。
さまざまな適切な組換え宿主細胞が本発明の対象となり、またグラム陰性の原核生物宿主生物を含むがこれらに限定されない。大腸菌の適切な株にはW3110、K12由来株MM294、TG-1、JM-107、BL21、およびUT5600などがある。他の適切な株には
Figure 2006509525
などがある(例えばBrown (ed.), Molecular Biology Labfax (Academic Press 1991)を参照)。他のグラム陰性の原核生物宿主にはSerratia、Pseudomonas、Caulobacterなどがある。原核生物宿主はBacillus(例えばB. subtilisやB. thuringienesis、およびB. thuringienesis var. israelensis)、ならびにStreptomyces(例えばS. lividans、S. ambofaciens、S. fradiae、およびS. griseofuscus)などのグラム陽性の生物を含む場合がある。Bacillus subtilusの適切な株にはBR151、YB886、MI119、MI120、およびB170などがある(例えば、Hardy, "Bacillus Cloning Methods," in DNA Cloning: A Practical Approach, Glover (ed.)(IRL Press 1985)を参照)。原核生物宿主でベクターを増やす標準的な手法は当業者に周知である(例えばAusubel et al. (eds.), Short Protocols in Molecular Biology 3rd Edition (John Wiley & Sons 1995); Wu et al., Methods in Gene Biotechnology (CRC Press, Inc. 1997)を参照)。原核生物のプロテアーゼ欠損株の概要については、Meerman et al., Biotechnology 12: 1107-1110, 1994を参照されたい。本発明は、American Type Culture Collection(ATCC)にATCC#27325として登録されているW3110株の使用によって代表される。
クローン化されたDNA分子を操作する手法、および外因性DNAをさまざまな宿主細胞に導入する手法は、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989、およびAusubel et al., eds., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley and Sons, Inc., NY, 1987に記載されている。形質転換された宿主細胞、またはトランスフェクトされた宿主細胞は、選択された宿主細胞の成長に必要な栄養分および他の成分を含む培地で従来の手順で培養される。規定培地および複合培地を含む、さまざまな適切な培地は当技術分野で周知であり、また一般に炭素源、窒素源、必須アミノ酸、ビタミン、およびミネラルを含む。培地は、必要であれば成長因子や血清などの成分を含む場合もある。成長培地は一般に、例えば、発現ベクターに担われている選択マーカーによって相補される薬剤選択または必須栄養素の欠損、または宿主細胞への同時トランスフェクトによって、外因的に添加されたDNAを含む細胞に選択性を示す。液体培地は、小さなフラスコの振盪、または発酵槽のスパージングなどの、従来の手段による十分な通気によって提供される。形質転換細胞は、対象遺伝子を発現する組換え宿主細胞を提供するように選択して増幅することができる。IL-21はMBP(マルトース結合タンパク質)融合系を用いることで大腸菌で発現させることができる(New England Biolabs (NEB; Beverly, MA))。この系ではIL-21のcDNAをmalE遺伝子の3'端に結合させて、MBP-IL-21融合タンパク質を形成させる。融合タンパク質の発現はtacプロモーターによって駆動され、1 mmolのIPTG(イソプロピルチオガラクトピラノシド)が添加されてプロモーターが誘導されるまで「オフ」の状態にある。このコンストラクトは、pMAL-c2ベクター(NEB)のマルチクローニングサイト(MCS)に準拠して、また製造業者の指示書にしたがって、MBPとのインフレームの融合体として構築することができる。
発酵
本発明の1つの態様では、特に本発明の発現系を用いるIL-21の大規模生産が必要な場合に回分発酵を利用することができる。一般に回分発酵は、第1段階のシードフラスコを、振盪フラスコ培養用の適切な培地でIL-21を発現する大腸菌株を成長させるように調製することで、600 nmにおける光学密度(OD)が5〜20までの成長を可能とする段階を含む。適切な培地は硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、塩化アンモニウム、酵母エキス、加水分解された動物タンパク質、加水分解された植物タンパク質、または加水分解されたカゼインなどの供給源(群)に由来する窒素を含む場合がある。リン酸はリン酸カリウム、リン酸アンモニウム、リン酸、またはリン酸ナトリウムから供給される。他の成分には、塩化マグネシウム、または硫酸マグネシウム、硫酸第二鉄、または塩化第二鉄、および他の微量元素などがある。成長培地には、成長を改善するためにフルクトース、グルコース、ガラクトース、ラクトース、およびグリセロールなどの炭水化物を添加できる。ある態様では、炭水化物の添加は1〜20 g/L培地のグリセロールまたはグルコースの添加である。ある態様では、グリセロールまたはグルコースは5〜10 g/Lである。成長は、好ましい成長培地を含む振盪フラスコ(500 ml〜2000 mlのバッフル付きフラスコ)への、抗生物質(例えば10〜50μg/mlのカナマイシン)を含む寒天培地に由来する適切な濃度の大腸菌、または凍結ストック培養物に由来する大腸菌の接種によって開始させる。振盪フラスコ内における菌体の成長は28〜40℃の温度で行う。ある態様では、振盪フラスコを30〜37℃で維持する。フラスコを200〜300 rpmの設定値で攪拌しながらインキュベートする。
発酵槽に適切な成長培地を入れて滅菌する。培地のpHは6.5〜7.5に調節する。ある態様では、pHを6.8、6.9、7.0、7.1、または7.2とする。発酵槽を適切な通気レベルおよび攪拌レベルに設定し、既に10〜20時間成長させて600 nmにおけるODが5〜20となった第1段階のシードフラスコ培養から接種する。接種レベルは1%〜12%容量/容量(v/v)とする。ある態様では、接種レベルは3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、または10%(v/v)である。溶存酸素レベルは、攪拌速度の上昇、通気量の上昇、酸素のスパージング、またはこれらのさまざまな組み合わせによって20%飽和以上に維持する。培養液を600 nmにおけるOD単位(OD600)が2〜20に達するまで成長させる。次にイソプロピルチオガラクトピラノシド(IPTG)を、0.1〜2.0 mMの濃度になるように培養物に添加する。IPTGはtacプロモーターを誘導してIL-21を発現させる。あるいは24時間後に、ラクトースの30%溶液を10 g/lとなるように添加して誘導することができる。続いて培養物をさらに2〜8時間成長させる。ある態様では培養物を3〜4時間成長させる。
別の態様では、流加回分培養で高収量のIL-21タンパク質を得る。IL-21を産生する大腸菌株を振盪フラスコ培養内の適切な培地で600 nmのODが5〜20になるまで成長させる。適切な培地は硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、塩化アンモニウム、酵母エキス、加水分解された動物タンパク質、加水分解された植物タンパク質、または加水分解されたカゼインなどの供給源(群)に由来する窒素を含む場合がある。リン酸はリン酸カリウム、リン酸アンモニウム、リン酸、またはリン酸ナトリウムから供給される。他の成分には、塩化マグネシウム、または硫酸マグネシウム、硫酸第二鉄、または塩化第二鉄、および他の微量元素などがある。成長培地には、成長を改善するためにフルクトース、グルコース、ガラクトース、ラクトース、およびグリセロールなどの炭水化物を添加できる。ある態様では、炭水化物の添加は1〜40 g/L培地のグリセロールまたはグルコースの添加である。1つの態様では、グリセロールまたはグルコースは5〜10 g/Lである。成長は、好ましい成長培地を含む振盪フラスコ(500 ml〜2000 mlのバッフル付きフラスコ)への、カナマイシン(10〜50μg/ml)を含む寒天培地に由来する大腸菌、または凍結ストック培養物に由来する大腸菌を接種することで開始される。振盪フラスコ内における成長の温度は28〜40℃とする。ある態様では、成長温度は30〜37℃である。フラスコを200〜300 rpmの設定値で攪拌しながらインキュベートする。
第2段階の発酵槽に適切な成長培地を入れて滅菌する。適切な培地は例えばSuper Broth II(Becton Dickenson, Franklin Lakes, NJ)、APS-Super Broth、Luria Broth、またはZSM(表1〜4を参照)、およびカナマイシンを含む場合がある。成長培地に炭水化物を添加して成長を促進させることができる。ある態様は、グリセロールまたはグルコースが1〜40 g/L培地で添加される炭水化物の添加を提供する。1つの態様では、グリセロールまたはグルコースは5〜10 g/Lとする。培地のpHを6.5〜7.5に調節する。ある態様では、pHを6.8、6.9、7.0、7.1、または7.2とする。発酵槽を適切な通気レベルおよび攪拌レベルに設定する。10〜20時間成長させて600 nmにおけるODが5〜20に達した第1段階のシードフラスコ培養物を発酵槽に接種することで成長を開始させる。接種レベルは1%〜12%(v/v)とする。ある態様では、接種レベルを3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、または10%(v/v)とする。溶存酸素レベルは、攪拌速度を速めることで、通気量を高めることで、酸素をスパージングすることで、またはこれらのさまざまな組み合わせによって20%飽和以上に維持する。
発酵槽に(上述の手順で)適切な培地を入れて滅菌する。培地のpHを6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、または7.2に調節する。1つの態様では培地のpHを6.8に調整する。成長培地に炭水化物を添加して成長を促進させることができる。いくつかの態様では、炭水化物の添加はグリセロールまたはグルコースの5〜40 g/L培地の添加である(ある態様ではグリセロールまたはグルコースは15〜20 g/Lとする)。発酵槽を適切な通気レベルおよび攪拌のレベルに設定し、10〜20時間成長させて600 nm のODが5〜20に達した第1段階のシードフラスコ培養物または第2段階のシード発酵槽から接種する。接種レベルは1%〜12%(v/v)とする。ある態様では、接種レベルは5%、6%、7%、8%、9%、または10%(v/v)とする。溶存酸素レベルは、攪拌速度を速めることで、通気量を高めることで、酸素をスパージングすることで、またはこれらのさまざまな組み合わせによって20%飽和以上に維持する。
炭水化物溶液を、発酵段階の開始時に所定の速度で発酵槽に供給するが、一般に発酵経過時間(elapsed fermentation time; EFT)が6時間の時点、遅くともEFTが12時間の時点までに供給する。供給は発酵終了まで継続する。供給溶液は40〜70%(v/v)に調製されたグリセロール、または40〜70%重量/容量(w/v)に調製されたグルコースとすることができる。ある態様では、グリセロールまたはグルコースを70%(v/v)グリセロールおよび60%(w/v)グルコースに調製する。供給速度は5〜15 gグルコースまたはグリセロール/リットル/時とすることができる。1つの態様では、供給速度は8 g/L/時、9 g/L/時、または10 g/L/時である。EFTが20〜30時間の時点、例えば24時間の時点においてIPTGを培養物に0.5〜2 mMの濃度となるように添加する。あるいは30%ラクトース溶液を24時間の時点で10 g/lとなるように添加して誘導してもよい。EFTが48〜56時間の時点で発酵物を回収する。あるいは、さらに0.5〜2 mmol/LのIPTGを発酵培養物に添加する。この場合、EFTが52〜56時間の時点で発酵物を回収する。
発酵段階の終了時に、温度を4〜20℃低く調節し、またpHを維持するか、または5.0〜9.0に調節する。ある態様ではpHの範囲は6.0〜8.0とする。発酵槽を加圧し、ブロスを試料ポートから回収することで発酵ブロスを回収する。ポンプを用いてブロスを試料ポートから汲み出すこともできる。発酵ブロスは10%〜30%(w/v)の固形分を含む場合がある。
IL-21の回収
発酵後に、遠心処理を行って細胞を回収し、ホモジナイズ用緩衝液に再懸濁し、例えばAPV-Gaulinホモジナイザー(Invensys APV, Tonawanda, New York)か、ビーズミルや超音波処理器などの他の型式の細胞破壊装置でホモジナイズする。あるいは、発酵槽から細胞を直接回収してAPV-Gaulinホモジナイザーでホモジナイズする。あるいはホモジナイズに先だち、発酵ブロスを水または緩衝液で希釈する場合がある。
1つの態様では、発酵ブロス中で細胞を直接ホモジナイズする。例えばAPV-Gaulin 1000ホモジナイザーまたはAPV-Gaulin 2000ホモジナイザーを4〜15℃に少なくとも30分間冷やす。発酵ブロスをホモジナイザーに通し、細胞懸濁物を回収する。細胞破壊を最大限とするために、ホモジナイザーの圧力を6000〜14,000 psiに設定することができる。1つの態様では同圧力を10,000 psiに設定する。懸濁物をホモジナイザーに1〜5回(例えば3回)通す。別の態様では、ホモジナイズに先だちブロスを等容量の水で希釈する。DNAの量は、ホモジナイズ段階中またはホモジナイズ段階後にPEI、スペルミン、またはベンゾナーゼの添加によって減少する場合がある。
ホモジネートを遠心し、上清をデカントして、封入体を含むペレットを得る。封入体ペレットを水またはTris緩衝液で洗浄する。Tris緩衝液は、塩化ナトリウム、尿素、Triton X-100、塩化亜鉛、ラウリル硫酸ナトリウム、ショ糖などの化合物をさまざまな量で含む場合もあれば含まない場合もある。
別の態様では、発酵ブロスを遠心ボトルに移し、2〜8℃で20〜60分間遠心することで細胞を回収する。例えばKompSpin KAJ7.100ローターを取り付けたBeckman J6MI遠心機(Beckman Coulter, Fullerton, CA)を使用して7500×Gで細胞を回収することができる。Beckman JLA-8.1の固定型アングルローター(8,000〜15,800×G)、またはAries JS 5.0 Swinging Bucketローター(2.25 Lのボトルを7500×Gで使用)を取り付けたBeckman Avanti JHC遠心機を使用することもできる。Carr Separations社(Franklin, MA)、またはWestfalia Separator社(Northvale, NJ)から入手可能な連続遠心機を使用することもできる。
培養ブロスまたは上清を遠心ボトルから除去する。細胞ペレットを、ホモジナイズ用緩衝液(100 mM Tris、5 mM ZnCl2、pH 7.5)に、固形分が10〜30%(w/v)となるように再懸濁する。発酵ブロスをAPV-Gaulinホモジナイザーに通して細胞懸濁物を回収する。ホモジナイザーの圧力は、細胞破壊を最大限とするために6000〜14,000 psiに設定すべきである。1つの態様では圧力を10,000 psiとする。懸濁物をホモジナイザーに1〜5回(例えば3回)通す。
またIL-21の回収法はさらに、IL-21の沈殿、洗浄、および再可溶化の各段階を含む場合がある。洗浄後の封入体を6 Mグアニジンまたは8 M尿素に可溶化し、水または緩衝液で6〜10倍に希釈し、30分間インキュベートし、遠心するか濾過する。あるいは、限外濾過または精密濾過で、ホモジナイズ後に封入体を洗浄することができる。結果として得られた沈殿物を2〜6 M 尿素で洗浄する。これにはIL-21タンパク質が含まれる。次に、可溶化に先だち沈殿物を水で洗浄する。Al3+もしくはFe3+、またはスペルミン、PEI、およびベンゾナーゼなどの陰イオン性および陽イオン性のポリマーまたは試薬が、細胞デブリ、可溶性タンパク質、DNA、RNA、および炭水化物を沈殿化させるために添加される場合がある。
封入体の可溶化
洗浄後の封入体調製物を、ベータ-メルカプトエタノール(10〜100 mM)またはジチオスレイトール(5〜50 mM)などの還元剤を含む塩酸グアニジン(5〜8 M)、グアニジンチオシアネート(5〜6 M)、または尿素(7〜8 M)を用いて可溶化することができる。この溶液はTris、リン酸、HEPES、または他の適切な緩衝液を溶媒として調製することができる。封入体は、ラウリル硫酸ナトリウム(0.1〜2%)を含む尿素(2〜4 M)に可溶化することもできる。1リットルの発酵ブロスに由来する封入体を50〜200 mlの上記溶液に可溶化することができる。1つの方法は、40 mMのDTTを含む100 mM Tris、pH 8.0中に調製した150 mlの6 M GuHCl中に、1リットルの発酵ブロスに由来する封入体ペレットを可溶化することである。別の態様では、封入体のスラリーを50〜100 mlの8 M GuHClと混合する。このスラリーをスパーテルで混ぜて再懸濁した後に、Omni EZホモジナイザー(Omni International, Warrenton, VA)でホモジナイズするか機械装置で混合する。懸濁物を3〜37℃で30〜120分間混合する。1つの態様では、懸濁物を15〜25℃で混合して可溶化段階を終了する。次に試料を適切な遠心機で遠心する(7,500〜16,000×G、4℃、10〜30分間)。可溶化したIL-21を含む上清試料をデカントして保持する。
可溶化分画のIL-21濃度を逆相HPLCで決定する。Jupiter C5カラム(Phenomenex, Torrance, CA)を、アセトニトリル/トリフルオロ酢酸を移動相として使用する。IL-21標準をグアニジン/DTT/Trisを含む緩衝液に希釈し、さまざまな量をカラムに注入する。IL-21ピークの下面積を元に標準曲線を作成する。可溶化したIL-21試料を微量遠心して粒子状物質を除去した後にHPLCカラムに注入する。IL-21のピーク下面積を決定することで、標準曲線からIL-21濃度を定量することができる。
また、可溶化したIL-21を、平行流濾過、固定化された金属アフィニティクロマトグラフィーの逆相HPLCによって同段階で精製することができる。
リフォールディング
本発明の1つの局面では、IL-21が発現されている形質転換された大腸菌宿主株から、精製されたIL-21を屈折性封入体として回収する過程で、細胞を破壊し、封入体を遠心して回収する。
次に封入体を可溶化し、還元剤を含む6 M塩酸グアニジンで変性させる。次に、還元されたIL-21を、制御された再生段階で酸化する。この段階では、塩酸アルギニン、塩、およびオキシド-シャッフリング系を含むリフォールディング緩衝液に希釈する。オキシド-シャッフリング系は、IL-21分子のジスルフィド結合の形成を開始するために使用され、システインとシスチン、DTTとシスチン、還元型グルタチオンと酸化型グルタチオン、およびDTTと酸化型グルタチオンなどの還元性分子と酸化性分子の混合物に基づく。酸化型グルタチオンに対する還元型グルタチオンの比は1:1〜6:1の場合がある(濃度範囲は0.5〜8 mM)。1つの態様では、最適濃度は4 mMの還元型グルタチオン:2 mMの酸化型グルタチオンである。シスチンに対するシステインの比は2:1〜1:1の範囲の場合がある(濃度範囲は各試薬について4 mM〜1 mM)。1つの態様では、最適濃度は4 mMのシステイン、2 mMのシスチンである。最適なリフォールディングは、4 mMのシステインおよび2 mMのシスチンを形成する4 mMのシスチンおよび2 mMのDTTを用いて達成することもできる。リフォールディングは、亜硫酸ナトリウムやナトリウムテトラチオネートなどの試薬の存在下で亜硫酸分解によって進む場合もある。再生したIL-21を、希釈されたリフォールディング緩衝液から陽イオン交換クロマトグラフィーで捕捉し、疎水性相互作用クロマトグラフィーおよび高速陽イオン交換クロマトグラフィーで精製する。
IL-21を含む溶質をリフォールディング緩衝液に混合しながら速やかに(1〜5分間)、または緩やかに(0.5〜5時間)添加する。リフォールディング緩衝液はアルギニン(0.5〜1.25 M)、PEG、および塩を含む。リフォールディング緩衝液は、グリセロール、塩酸グアニジン、尿素、EDTA、プロテアーゼ阻害剤、およびシャペロン、アルコール、界面活性剤、グリセロール、および硫酸銅を含む場合もある。1回の添加、複数回の添加、または経時的な供給でIL-21を添加することができる。IL-21をリフォールディング混合物に、最終濃度が0.05〜1.2 mg/mlとなるように添加する。温度範囲は4〜30℃とし、pHは7.3〜8.5とする。リフォールディング混合物を含む容器の蓋をせずに大気中に放置するか、または再生中に空気もしくは窒素にスパージングすることができる。リフォールディングを1〜26時間かけて進行させることができる。
リフォールディングは、メチオニンの酸化を低下させるためにEDTAの存在下で、またはサイズ排除カラムで、または平行流濾過もしくは電気透析で進行させることもできる。
リフォールディングしたIL-21の清澄化および濃縮
リフォールディングしたIL-21のpHを5.5に調節した後に、1.2μmのフィルターに通して清澄化して不溶性タンパク質を除去する。濾過後の溶液を、プレートおよびフレームシステムで平行流濾過を用いて、または中空繊維カートリッジを用いて10〜30倍に濃縮する。次に濃縮物を緩衝液または水で3〜10倍に希釈し、フォールディング状態を緩め、凝集状態のタンパク質を沈殿させる。次に同溶液をフィルターに通して清澄化して不溶性タンパク質を除去する。
あるいは、リフォールディングしたIL-21を水または25 mM酢酸ナトリウム、pH 5.5に2倍〜10倍に希釈する。沈降物または凝集物が生成し、約30分〜5時間後に濾過して除去する。1.2μm(公称値)のフィルターと、これに続く0.45μm(公称値)のフィルター、または正のゼータ電位を有するデプスフィルターを用いて凝集物を除去することができる。密度勾配フィルターなどの他のフィルターを使用することもできる。遠心機または微量濾過器を用いて凝集物を除去することもできる。
IL-21の捕捉
本発明の別の局面では、IL-21タンパク質のリフォールディングおよび濃縮後に、本発明の方法は、陽イオン交換カラムで希釈された緩衝液中に捕捉されたリフォールディングしたIL-21タンパク質を捕捉する段階、ならびに疎水性相互作用クロマトグラフィーおよび高速陽イオン交換クロマトグラフィーでIL-21タンパク質を精製する段階を含む
捕捉段階は、希釈された状態のリフォールディングしたIL-21を捕捉し、初期精製を実施するように設計する。IL-21をカラムに結合させるために最初に希釈を行う。清澄化された、希釈されたIL-21はpH 5.5で陽イオン交換カラムに捕捉される。典型的にはSPセファロースXL(Amersham Biosciences, Piscataway, NJ)、またはTOYOPEARL SP 550C(Tosoh Biosep, Montgomery, PA)を使用する。平衡化緩衝液は、25 mM酢酸ナトリウム、0.2〜0.45 M塩化ナトリウム、pH 5.5であり、結合状態のIL-21を塩勾配を高めながら溶出する。IL-21は、約0.6 Mの塩化ナトリウムでSPセファロースXLから溶出され、また約0.8 Mの塩化ナトリウムでTOYOPEARL SP 550Cから溶出される。
流動層(expanded bed)クロマトグラフィーでも、リフォールディング後のIL-21を捕捉することができる。この場合、IL-21をカラムにロード中に希釈段階をインラインで実施する。Streamline SP XL(Amersham Biosciences)を25 mM酢酸ナトリウム、0.2 M NaCl、pH 5.5で平衡化する。次にIL-21を上向きモードで、標準床(settled bed)の高さの2倍で維持される平衡化されたStreamline SP XL樹脂にロードする(水で1:3にインラインで希釈時)。上向きおよび下向きの両モードによる洗浄後に、IL-21を0.6 M NaCl刻み、すなわちNaCl勾配で下向きモードで溶出させる。
本発明の方法は、この段階における、弱い陽イオン交換物質(カルボキシメチルなど)、さまざまな種類の固体支持体(アガロースやセルロースなど)、またはさまざまな粒径の物質を含む多種多様な陽イオン交換樹脂の用途を提供する。本発明の方法は、5.0〜7.0のさまざまなpHにおける、またさまざまな緩衝液および塩によるカラム処理の実施を提供する場合もある。あるいは、疎水的相互作用、陰イオン交換、および金属キレートなどの他のクロマトグラフィーによる方法で、リフォールディングしたIL-21を捕捉することができる。
精製
本発明の1つの局面はIL-21タンパク質の中間精製である。この段階は、疎水性相互作用クロマトグラフィーによるIL-21のさらなる精製を達成するために設計されている。典型的には、ブチルセファロースFF(Amersham Biosciences)、またはTOYOPEARLブチル650M(Tosoh Biosep)が同段階で使用される樹脂である。この樹脂を25 mM酢酸ナトリウム、50 mM NaCl、1.5 M (NH4)2SO4、pH 5.5で平衡化する。陽イオン交換クロマトグラフィーで精製されたIL-21を1.5 M (NH4)2SO4で調節後に0.45μm(公称値)のフィルターに通す。次に、調節され、また濾過されたIL-21を、平衡化済みの樹脂にロードした後に、平衡化緩衝液で洗浄して非結合材料を除去する。IL-21を25 mM酢酸ナトリウム、50 mM NaCl、pH 5.5に至る勾配で溶出する。IL-21は約0.75 M (NH4)2SO4〜0.3 M (NH4)2SO4でカラムから溶出される。
この段階に使用可能な他の疎水性相互作用クロマトグラフィー用の樹脂には例えば、フェニルまたはヘキシルで置換された樹脂、アガロースまたはセルロースなどのさまざまな種類の固体支持体、およびさまざまな大きさの粒径の物質などがある。本発明は、5.0〜9.0の範囲のさまざまなpHで、またさまざまな緩衝液および塩でカラム処理を行う段階も提供する。本発明はまた、IL-21が結合しないようにカラム処理を行う段階も提供する。
高速陽イオン交換クロマトグラフィーでIL-21をさらに精製する。典型的にはIL-21を30 mS/cmの伝導率に希釈し、0.5 M二塩基性リン酸でpHを6.0に調節し、セファロースSP HP(Amersham Biosciences)のカラムにロードする。同カラムは25 mMリン酸ナトリウム、0.3 M塩化ナトリウム、pH 6.0で平衡化する。同カラムを平衡化緩衝液で洗浄後に、IL-21を塩化ナトリウム勾配で溶出する。本発明は、他の高速陽イオン交換樹脂を使用する段階も提供する。カラムは、リン酸などのさまざまな緩衝液を用いて5.0〜7.5の範囲のさまざまなpHで処理することができる。ロードする材料は、伝導率が5〜35 mS/cmになるように水または緩衝液で希釈することができる。
IL-21の精製法は、タンパク質の濃縮段階と、緩衝液交換段階を含む場合がある。この段階は、高速陽イオン交換カラムの溶出液を濃縮し、これを剤形化緩衝液と交換するように設計されている。プールした最終カラム溶出液を、5 kDaの分子量カットオフ値の平行流濾過プレートおよびフレーム膜を用いて約10倍に濃縮し、リン酸緩衝食塩水、pH 6.0、または10 mMヒスチジン、4.72%(w/v)マンニトール、pH 5.0、5.1、5.2、または5.3で透析濾過(diafiltration)した後に、2回目の濃縮を行ってIL-21の濃度をさらに高める。
3 kDaまたは8 kDaの分子量カットオフプレートおよびフレーム膜、または10 kDaの分子量カットオフ値の中空繊維システムなどの他の膜を用いて限外濾過/透析濾過段階を行うことができる。高速陽イオン交換クロマトグラフィー後のIL-21の純度は少なくとも95%であり、またドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動では典型的には98%を上回る。陽イオン交換クロマトグラフィーによる捕捉、疎水性相互作用クロマトグラフィーによる精製、および緩衝液交換後におけるIL-21調製物中のエンドトキシンレベルは一般に、1 mgのIL-21タンパク質あたり10エンドトキシン単位未満であり、典型的には2エンドトキシン単位未満である。高速陽イオン交換クロマトグラフィー後のエンドトキシンレベルは一般に、1エンドトキシン単位/mg IL-21未満である。
Streamline SP XLおよびブチルセファロースFFで得られた材料(陽イオン交換クロマトグラフィー前の20倍の濃縮なし)の解析の結果、凝集物がサイズ排除HPLCで0.2%未満であり、電荷不均一性が陽イオン交換HPLCで約10%であり、また逆相HPLCで測定された純度が約90%であることがわかった。Toyopearl SP 550C、Toyopearlブチル650 M、およびSeparose SP HPを用いて得られた材料の解析の結果、凝集物がサイズ排除HPLCで2%未満であり、純度が逆相HPLCで約90%であり、陽イオン交換HPLCで測定された電荷不均一性が約4%であることがわかった。
IL-21をさらに精製して、残存する不純物および混入物を除去することが望ましい場合がある。例えば、陰イオン交換カラムを使用してエンドトキシンレベルを下げることができる。IL-21を10 mS/cm未満の伝導率レベルまで希釈し、pHを8.0に調節する。これを、20 mM Tris、pH 8.0で平衡化されたQセファロースFFカラム(Amersham Biosciences)にアプライする。IL-21はカラムを通過し、エンドトキシンはロード量に対して約80%減少する。Mustang QまたはMustang E(Pall, Port Washington, NY)膜を用いて、pH 5.0〜9.0でエンドトキシンレベルを下げることもできる。
IL-21をさらに精製するために潜在的に使用可能な他の精製段階には、金属キレートクロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、またはフェニルカラム上における疎水性相互作用クロマトグラフィーなどがある。IL-21のリフォールディングに先だって、例えば逆相HPLC、イオン交換クロマトグラフィー、または金属キレートクロマトグラフィーで精製を行うこともできる。したがって本発明はさらに、本明細書に記載された精製の追加的段階を含む方法を提供する。
精製されたIL-21の特性解析
BaF3は、マウス骨髄に由来するインターロイキン-3(IL-3)依存性の前リンパ細胞系列である(Palacios and Steinmetz, Cell 41: 727-734, 1985; Mathey-Prevot et al., Mol. Cell. Biol. 6: 4133-4135, 1986)。完全長のIL-21受容体を発現するBaF3細胞は、米国特許第6,307,024号に記載された手法で調製されている。生存に関するIL-21受容体関連経路に依存するこの細胞系列、および他の成長因子の非存在下における細胞系列の培養が、生物学的に活性なIL-21のアッセイ法に使用可能である。BaF3/IL-21R細胞の増殖は、細胞に添加される精製後のIL-21タンパク質をさまざまに希釈し、処理細胞の成長を、IL-21タンパク質の非存在下で成長させた細胞の成長と比較することで評価できる。
細胞の増殖または分化を測定するアッセイ法は当技術分野で周知である。例えば、増殖を測定するアッセイ法には、中性赤色色素に対する化学感受性(参照として本明細書に組み入れられるCavanaugh et al., Investigational New Drugs 8: 347-354, 1990)、放射標識ヌクレオチドの取り込み(参照として本明細書に組み入れられるCook et al., Analytical Biochem. 179: 1-7, 1989)、増殖途上細胞のDNA中への5-ブロモ-2'-デオキシウリジン(BrdU)の取り込み(参照として本明細書に組み入れられるPorstmann et al., J. Immunol. Methods 82: 169-179, 1985)、ならびにテトラゾリウム塩の使用(いずれも参照として本明細書に組み入れられるMosmann, J. Immunol. Methods 65: 55-63, 1983; Alley et al., Cancer Res. 48: 589-601, 1988; Marshall et al., Growth Reg. 5: 69-84, 1995; and Scudiero et al., Cancer Res. 48: 4827-4833, 1988)などのアッセイ法がある。分化を測定するアッセイ法には例えば、組織、酵素活性、機能活性、または形態変化の段階特異的な発現と関連する細胞表面マーカーを測定する方法などがある(いずれも参照として本明細書に組み入れられるWatt, FASEB, 5: 281-284, 1991; Francis, Differentiation 57: 63-75, 1994; Raes, Adv. Anim. Cell Biol. Technol. Bioprocesses, 161-171, 1989)。本明細書に記載された方法で得られたIL-21は、BaF3/IL-21R細胞の増殖を高める能力を有する。
精製後のIL-21の特性を、いくつかの物理学的方法で解析することができる。理想的には、アミノ酸解析により、全残基のアミノ酸組成が推定値の10%以内にあることがわかる。N末端の配列決定により、メチオニンで始まり、IL-21発現ベクターから推定される配列に対応する1つの配列が明らかとなる。質量分析による全質量解析で、IL-21の推定質量(15593.84 Da)の0.01%以内の値が得られる。液体クロマトグラフィー-重量分析後のエンドプロテアーゼによるLys Cの切断で、全ピークがIL-21中の推定トリプシンペプチドの質量に対応し、またIL-21から全ての推定トリプシンペプチドが同定されるペプチドマップを作成することができる。ペプチドマッピングから、IL-2ファミリーのタンパク質の推定配列と一致するジスルフィド結合の存在、ならびにメチオニンの酸化が存在しないこともわかる。
剤形化
SE-HPLC(可溶性の2量体の形成、内容物の喪失)、CIE-HPLC(明瞭なアミド分解)、およびRP-HPLC(未同定経路による酸化および分解)で観察される分解を最小にするpHを選択した。ある態様では、緩衝能、安定性、および非経口投与の適合性に基づくヒスチジン緩衝液使用時のpHは5.0〜5.6である。あるいは、クエン酸またはコハク酸の緩衝液を使用することができる。1つの態様では、安定性および凍結乾燥との適合性に基づき、等張性調節剤(等張液)としてマンニトールを選択した。他の態様では、ソルビトールまたはグリシンを使用することができる。NaClを使用することができるが安定性に劣る場合がある。トレハロースまたはショ糖を使用することができるが、このようなわずかに酸性の条件では潜在的に加水分解する場合がある。しかし剤形化は1 mg/ml〜100 mg/mlのIL-21を剤形に含む場合がある。1つの態様ではIL-21タンパク質を10 mMヒスチジン、4.7% w/vマンニトール、pH 5.3中に10 mg/mLのIL-21濃度で剤形化する。この産物を-20℃で凍結保存する。溶液産物が視認可能か否かの判定は、受け入れられると考えられていて、また当業者が、産物回収率を最大化し、凝集を最小化し、電荷の不均一性を最小化し、不純物を最小限とし、ならびに許容可能な生物学的活性を維持するように定義する規格限界に依存する。限界が二量体の3%未満(高分子量)、CIE-HPLCおよびRP-HPLCによる90%を上回る純度、および表示量の90%を上回る内容物の場合、冷蔵溶液産物は安定であり、妥当な代替物であるとみなされている。0.1〜3 mg/kgのIL-21の用量は一般に、IVボーラス投与に関して30 mlを越えない。
凍結乾燥産物を調製することも可能であり、これは本発明の範囲に含まれる場合がある。他の賦形剤も本発明の組成物に含まれる場合がある。例えば、許容可能な賦形剤は、トレハロースやショ糖などの二糖類を安定剤として0.5%〜10%で含み、ポリエチレングリコールを安定剤もしくは湿潤剤として0.001%〜0.1%で含み、tween 20、tween 80、またはtriton-X-100などの界面活性物質を安定剤もしくは湿潤剤として0.001%〜0.1%で含み、またはグリシン、ヒドロキシエチルデンプンなどの他の増量剤を0.5%〜5%の範囲で含む。
安定性に関する試験が、25℃〜45℃の高温における保存、または攪拌しながらの保存などの加速条件で行われる場合がある。例えば、複数回の凍結溶解サイクルが行われており、IL-21剤形が20 mg/mlの濃度で安定なことがわかっている。1つの態様では、分解速度を下げるためにpHを5.25とする。しかし、凍結乾燥産物の最適なpHの範囲は4.75〜7.5であり、非凍結乾燥産物ではpHの範囲は5〜5.6である。
1種類もしくは複数の保存剤を本発明の組成物、特に複数回使用のために包装された組成物に含めることもできる。本発明に使用可能な保存剤には、メチルパラベン、プロピルパラベン、ベンジルアルコール、m-クレゾール、エチル水銀チオサリチル酸、フェノール、チメロサールなどの薬学的調製物に使用される保存剤などがある。
薬学的使用に意図されたIL-21組成物は無菌性とし、パイロジェンフリーとし、また許容される薬学的手順にしたがって製造および包装される。同組成物は、単位用量または複数用量に包装可能である。組成物は典型的には、ポリテトラフルオロエチレンで裏打ちされたストッパーの付いた密封ガラスバイアル中に包装され、適切なラベルが貼付される。凍結乾燥された組成物は、注射用水(WFI)または5%デキストロース(溶媒はWFI)などの適量の適切な希釈液を含むキットとして包装される場合がある。
本発明をさらに、以下の非制限的な実施例で説明する。
実施例
実施例1
発現ベクターpTAP237の構築
PCRで生じたリンカーをpTAP186のSmaI切断部位に相同組換えで挿入することでプラスミドpTAP237を作製した。プラスミドpTAP186はプラスミドpRS316(Saccharomyces cerevisiaeのシャトルベクター)と、pKK223-3に由来する大腸菌発現プラスミドであるpMAL-c2に由来し、tacプロモーターおよびrrnBターミネーターを含むプラスミドpTAP186は、SmaI切断部位がつぶされたカナマイシン耐性遺伝子を含み、NotI切断によるプラスミドからの除去を容易にするための、酵母のARS-CEN6およびURA3配列に隣接するNotIおよびSfiI切断部位を有する。PCRで生じたリンカーで、pTAP186中の発現共役配列を合成RBS II配列と置き換えた。これは、SEQ ID NO: 3および4にそれぞれ記載された100 pmolのオリゴヌクレオチドzc29,740およびzc29,741と、SEQ ID NO: 5および6にそれぞれ記載された約5 pmolのオリゴヌクレオチドzc29,736およびzc29,738から調製された。これらのオリゴヌクレオチドを94℃で30秒、50℃で30秒、および72℃で30秒を10サイクルと、これに続く4℃における浸漬からなるPCRで混合した。結果として得られたPCR産物を2倍容量の100%エタノールで沈殿させて濃縮した。ペレットを10μLの水に再懸濁し、合成RBS II配列を含むコンストラクトを作製するためにSmaIで切断したレシピエントベクターpTAP186への組換え用に用いた。PCRで生じた約1μgのリンカーと、SmaIで切断した100 ngのpTAP186を混合し、コンピテントな酵母細胞(S. cerevisiae)を形質転換した。次に同酵母を-URA Dプレートにプレーティングし、室温で約72時間静置した。次に、1枚のプレートに由来するUra+形質転換体を1 mLのH2Oに再懸濁し、軽く遠心して酵母細胞のペレットを得た。この細胞ペレットを0.5 mLの溶解緩衝液に再懸濁した。DNAを回収し、大腸菌MC1061を形質転換した。クローンを、それぞれSEQ ID NO: 3および4に記載された20 pmolのオリゴヌクレオチドzc29,740およびzc29,741を用いて上記の手順でコロニーPCRでスクリーニングを行った。アガロースゲル上で正しい大きさのバンドを示すクローンを配列解析の対象とした。正しいプラスミドをpTAP237と命名した。
実施例2
pTAP252の構築
ヒトIL-21のコード配列(SEQ ID NO: 1)を、CD3+ cDNAライブラリープールをテンプレートとして、またオリゴヌクレオチドプライマーzc29,084およびzc22,127(それぞれSEQ ID NO: 7および8)を用いたPCRによる増幅により得た。大腸菌における翻訳過程を最適化するために、プライマーzc29,084(SEQ ID NO: 7)でIL-21のコード配列の5'端にATG開始コドンを追加した。結果として得られた遺伝子配列は、1残基の追加のメチオニンをN末端に有する成熟型IL-21(IL-21met)をコードするものとなった。最終PCR産物を、酵母における相同組換え(参照として本明細書に組み入れられるRaymond et al., Biotechniques. 26 (1): 134-8, 140-1, 1999; 米国特許第6,027,442号)によって発現ベクターpTAP237(実施例1に記載)に挿入した。発現コンストラクトpTAP252を酵母から抽出し、コンピテントな大腸菌MC1061を形質転換した。カナマイシン耐性クローンをコロニーPCRで同定した。陽性クローンを配列決定によって検証後に、産生宿主株E104またはUT5600のいずれかを形質転換した。
実施例3
コドンの最適化
pTAP252からヒトIL-21metの発現を誘導したところ、大腸菌株E104で総細胞タンパク質の約2〜5%が産生された。IL-21のコード配列に使用されたコドンを調べた結果、これが大腸菌でまれにしか出現しないコドンを多く含むことがわかった(CAI値は0.181)。CAIは、同義的なコドンバイアスの統計的な尺度であり、タンパク質産生レベルの推定に使用することができる(Sharp et al., Nucleic Acids Res. 15 (3): 1281-95, 1987)。高度に発現されるタンパク質をコードする遺伝子はCAI値が高い(>0.6)傾向があるが、CAI値が低い(<0.2)遺伝子にコードされたタンパク質は一般に効率的に発現されない。この事実は、大腸菌におけるIL-21の産生が低い理由を示唆する。また、まれなコドンは、高い確率で生じる翻訳の停止、早すぎる翻訳終了、およびアミノ酸の誤った取り込みに至るmRNAの後半にクラスターを形成している(Kane JF. Curr. Opin. Biotechnol. 6 (5): 494-500, 1995)。
遺伝子がまれなコドンを有するタンパク質の発現レベルは、特定のまれなtRNAのレベルを宿主内で増加させることで劇的に改善可能なことがわかっている(Zdanovsky et al., ibid., 2000; Calderone et al., ibid., 1996; Kleber-Janke et al., ibid., 2000; You et al., ibid., 1999)。pRAREプラスミドは、大腸菌でまれに用いられる複数のコドンのtRNAをコードする遺伝子(argU、argW、leuW、proL、ileX、およびglyT)を有する。これらの遺伝子は、その天然のプロモーターの制御下にある(Novy, ibid.)。pRAREとの共発現は、大腸菌におけるIL-21metの産生を約5〜10倍促進した。pRAREとの共発現はまた、大腸菌溶解物中の短縮型IL-21metのレベルを低下させた。以上のデータは、より適切なコドン使用によってIL-21metをコードする遺伝子を改めて合成すれば、大量のIL-21が発現される改善されたベクターが得られることを示唆している。
コドンが最適化されたIL-21metのコード配列を16種類の重複性オリゴヌクレオチド:
Figure 2006509525
から構築した。PCR増幅によるこれらの重複性オリゴヌクレオチドのプライマー伸長により、大腸菌における発現に最適化されたコドンを有する完全長のIL-21met遺伝子が得られた。最終PCR産物を、酵母の相同組換えによって発現ベクターpTAP168に挿入した。発現コンストラクトを酵母から抽出し、コンピテントな大腸菌MC1061を形質転換した。カナマイシン耐性クローンをコロニーPCRで同定した。陽性クローンを配列決定で検証後に、産生宿主株E104またはUT5600のいずれかを形質転換した。最適化されたIL-21met配列を有する発現ベクターをpTAP196と命名した。最終PCR産物を、Tacプロモーターの制御下で発現させるためにベクターpTAP168に導入した。しかし、発現は極めて低く、産物はIL-21に対するモノクローナル抗体をプローブとして用いるウェスタン解析によってのみ検出することができた。
IL-21metのmRNAの2次構造を調べた結果、塩基の36〜64間の領域に非常に安定なヘアピン構造が存在することが判明した(SEQ ID NO: 1)。この構造エレメントは、IL-21metのmRNAからの効率的な翻訳を妨げていることが疑われた。したがって、ハイブリッドIL-21metのコード配列をオーバーラップPCRで作製した。先頭の80塩基の最適化されていないIL-21met配列を含む断片をpTAP252をテンプレートとして、またオリゴヌクレオチドプライマーzc29,740(SEQ ID NO: 3)およびzc40,133(SEQ ID NO: 25)を用いたPCRによる増幅で得た。塩基81〜450(SEQ ID NO: 27)のIL-21metの最適化された領域をpTAP196をテンプレートとして、またオリゴヌクレオチドプライマーzc22,971(SEQ ID NO: 23)およびzc40,107(SEQ ID NO: 26)を用いたPCRによる増幅で得た。これら2つのPCR産物を混合し、オリゴヌクレオチドプライマーzc22,971(SEQ ID NO: 23)およびzc29,740(SEQ ID NO: 3)を用いて増幅し、オーバーラップPCRで完全長のIL-21metを得た。酵母における相同組換えによって最終PCR産物が発現ベクターpTAP237に挿入された。発現コンストラクトを酵母から抽出し、コンピテントな大腸菌MC1061を形質転換した。カナマイシン耐性クローンをコロニーPCRで同定した。陽性クローンを配列決定で検証後に、産生宿主株E104またはUT5600のいずれかを形質転換した。ハイブリッドのIL-21metのコード配列を有する発現ベクターをpTAP337と命名した。
最適化された先頭の80塩基の配列と、最適化されていないIL-21met配列(SEQ ID NO: 1に示す)の先頭の80ヌクレオチドとの置換によってヘアピン構造を除去したところ、結果として得られた遺伝子が大腸菌で極めて良好に発現された。この新しいコンストラクトの発現レベルは、全細胞タンパク質の約20%に達した。
実施例4
IL-21metの発現
大腸菌を、0.01% Antifoam 289(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)、および30μg/mlのカナマイシンを含む100 mLのSuper Broth II培地(Becton Dickinson, Franklin Lakes, NJ)に接種して37℃で一晩培養した。10 mLの接種菌を2 Lの培養フラスコ内の500 mLの同培地に添加し、培養物のOD600が4に達するまで37℃で275 rpmで振盪した。次にIPTGを最終濃度が1 mMになるように添加し、振盪をさらに2.5時間続けた。細胞を4℃で4,000×gで10分間遠心した。細胞ペレットを使用時まで-80℃で凍結した。
IL-21metの発現を、25 mLの培養物中で37℃で大規模に行った。IPTGで誘導した2時間後に1 mLの培養物を回収した。大腸菌細胞を等容量のBugBuster(登録商標) Protein Extraction Reagent(Novagen, Madison, WI)に4℃で再懸濁して20分間インキュベートした。可溶性分画と不溶性分画を遠心(16,000×g、10分、4℃)して分離した。
組換えIL-21metが不溶性の封入体として蓄積した。大半の大腸菌株からのIL-21metの回収率は低いとみなされた。封入体中のIL-21metの約80〜90%が、細胞の溶解および4℃におけるインキュベーション後の20分以内に失われた。細菌を8 M尿素で溶解しても回収率は改善しなかった。しかし、5 mM ZnCl2および0.5 mM Benzamidineなどのプロテアーゼ阻害剤を細胞溶解緩衝液に含むとE104株(W3110 arabinose-)からのIL-21metの喪失を防ぐことができた。この結果は、変性条件でIL-21metを切断可能な細菌プロテアーゼが封入体と同時精製されることを意味していた。IL-21metは、UT5600株に由来する細胞溶解物中では安定だが、E104細胞溶解物中では安定ではないことが観察された。この事実は、プロテアーゼがE104には存在するがUT5600には存在しないことを示唆していた。これらの株の遺伝子型を比較したところ、二塩基性残基間を切断するOmpTがE104には存在するがUT5600には存在しないことがわかった。OmpTは熱に安定であり、変性条件でも活性を示す(White et al., ibid. 1995)。IL-21のアミノ酸配列を調べたところ、少なくとも4か所の潜在的なOmpT切断部位が含まれることがわかった。IL-21metは、別のOmpT欠損大腸菌株であるBL21でも安定性が優れていることがわかった。以上の結果は、OmpTプロテアーゼ活性が、IL-21の安定性および回収率に重要な役割を果たすことを示唆している。産生宿主として大腸菌UT5600株を使用すると、IL-21metの回収率は大いに改善する。全体としてIL-21metの収率は、コンストラクトと宿主株の改善を組み合わせた場合に2 mg/Lから50〜100 mg/Lに上昇したことになる。
実施例5
IL-21の特性解析
ウェスタン解析では、タンパク質試料を4〜20%のMES-SDS NuPAGEゲル(Invitrogen)で還元条件で分離し、ニトロセルロース膜(Invitrogen)に30 Vで1時間かけてトランスファーした。この膜をTTBS緩衝液(20 mM Tris pH 7.4、160 mM NaCl、0.1% Tween 20)に溶解した5%脂肪除去乳でブロック処理した。ヒトIL-21に特異的なポリクローナル抗体をTTBS緩衝液に5%脂肪除去乳とともに添加して1時間インキュベートした。TTBSによる洗浄後に、このブロットをHRP結合ヤギ抗ウサギIgG(Bio-Rad)で1時間プローブ処理した。このブロットを次にTTBSで3回洗浄後に、ECL試薬(Pierce)を用いて化学発光による検出を行った。
実施例6
プラスミドの安定性解析
大腸菌を、0.01%のAntifoam 289(Sigma)および30μg/mlのカナマイシンを含む25 mLのSuper Broth II培地(Becton Dickinson)に接種し、37℃で一晩培養した。25μLの接種菌を、25 mLの培養フラスコ内のカナマイシンを含まない25 mLの同じ培地に添加し、これを37℃で275 rpmで振盪した。100μlの培養物を4つの時点(培養物のOD600値が2、4、6、および8に達した時点)で採取した。この試料を希釈し、添加剤を含まないLB寒天プレートにプレーティングした。37℃で一晩インキュベートした後に、100個の大腸菌コロニーをレプリカ法でLB寒天プレートと、30μg/mlのカナマイシンを含むLB寒天プレートにプレーティングした。37℃で一晩のインキュベーション後に、各プレート上に出現したコロニー数をカウントして比較した。抗生物質を含まないプレート上で成長したコロニー数に対してLB+カナマイシン上で成長したコロニー数は、発現ベクターを依然として有する細胞のパーセンテージを反映していた。
pTAP337発現ベクターを有するW3110のクローンを、カナマイシンを含まない培地で12時間培養したところ、90%以上がプラスミドを保持していた。IL-21遺伝子を含まない発現ベクターを有するクローンでは、プラスミド保持傾向は同様であった。以上の結果から、IL-21を有するpTAP337発現ベクターがW3110において安定なことがわかる。
大腸菌株TG1およびMM294は、IL-21の生産性の低さと、プラスミドの不安定性が大きいために産生宿主として選択しなかった。最も有望な結果は、大腸菌W3110株(ATCC#27325)でIL-21を産生させる検討から得られた。W3110の生産性はUT5600と同等であった。プラスミド安定性の検討から、発現ベクターpTAP337もW3110で維持されることが判明した。UT5600は栄養要求性株であり、大規模生産が非常に困難である。こうした事実から、IL-21の産生に好ましい宿主株としてW3110を選択することとした。
実施例7
回分発酵
第1段階のシードフラスコ(100 mlの培地を含む500 mlのバッフル付きフラスコ)に、グリセロール(5 g/L)およびカナマイシン(25μg/ml)を添加したDifco APS Super Broth(Difco Laboratories, Detroit, MI)を入れた。24時間齢の寒天プレート(25μg/mlのカナマイシンを含むLuria寒天(Difco Laboratories))に由来する、発現ベクターpTAP337を含むループフル(loop full)の大腸菌W3110(EE410)を振盪フラスコに接種することで成長を開始させた。振盪フラスコ内における成長は30℃の温度で行った。フラスコを250 rpmに設定した攪拌速度でインキュベートした。
6 Lの発酵槽に3.0 LのDifco APS Super Brothを入れて滅菌した。この培地に、グリセロール(10 g/L)およびカナマイシン(25μg/ml)を添加した。培地のpHを7.2に調製した。発酵槽の通気量は1 vvmに設定し、攪拌速度は350 rpmに設定した。温度は37℃に設定した。600 nmにおける光学密度(OD)が16に達するまで16時間成長させた第1段階のシードフラスコ培養物を発酵槽に接種した。接種は5%(v/v)とした。溶存酸素は、攪拌速度を速めることで20%飽和以上に維持した。
培養物をOD600が2.5に達するまで(約2.5時間)成長させた。培養物にイソプロピルチオガラクトピラノシド(IPTG)を1.0 mMの濃度になるように添加した。培養物をさらに3時間成長させた。
実施例8
A.流加回分発酵
第1段階のシードフラスコ(100 mlの培地を含む500 mlのバッフル付きフラスコ)に、グリセロール(5 g/L)およびカナマイシン(25μg/ml)を添加したDifco APS Super Brothを入れた。調製してから24時間が経過した寒天プレート(25μg/mlのカナマイシンを含むLuria寒天)に由来する発現ベクターpTAP337(上述)を含む、ループフルの大腸菌W3110を振盪フラスコに接種することで成長を開始させた。振盪フラスコを30℃でインキュベートした(攪拌速度は250 rpmに設定)。
6 Lの発酵槽に3.0 LのZymoM成長培地を入れて滅菌した。成長培地にグリセロール(20 g/L)およびカナマイシン(25μg/ml)を添加した。培地のpHを6.4に調製した。通気量を1 vvmに、攪拌速度を350 rpmに、また温度を32℃に設定した。OD600が16に達するまで16時間成長させた第1段階のシードフラスコ培養を発酵槽に接種した。接種は5%(v/v)とし、攪拌速度を速めることで溶存酸素を飽和20%以上に維持した。
EFTが10時間の時点で炭水化物溶液を発酵槽に供給した。発酵終了時まで供給を続けた。供給溶液は70%(v/v)となるように調製したグリセロールとした。供給速度は、初期開始容量を元に6 gグリセロール/リットル/時とした。EFTが24時間の時点でIPTGを濃度が2 mMとなるよう培養物に添加した。EFTが48時間の時点で発酵物を回収した。
別の流加回分過程では、第1段階のシードフラスコ(100 mlの培地を含む500 mlのバッフル付きフラスコ)に、グルコース(20 g/L)およびカナマイシン(25μg/ml)を添加したZSMを入れた。20%グリセロール中で凍結させた、発現ベクターpTAP337を含む300μlの大腸菌W3110を振盪フラスコに接種することで成長を開始させた。この培養物を250 rpmで攪拌しながら30℃でインキュベートした。
6 Lの発酵槽に3.0 LのZymoM成長培地を入れて滅菌した。この成長培地にグルコース(20 g/L)およびカナマイシン(25μg/ml)を添加した。培地のpHを6.8に調整した。通気量を1 vvmに、攪拌速度を350 rpmに、また温度を37℃に設定した。OD600が16に達するまで16時間成長させた第1段階のシードフラスコ培養物を発酵槽に接種した。接種は5%容量/容量とし、攪拌速度を速めることで溶存酸素レベルを20%飽和以上に維持した。
炭水化物溶液をEFTが10時間の時点で発酵槽に供給した。供給は発酵終了まで続けた。供給溶液は60%(v/v)で調製したグルコースとし、供給速度は、当初の開始容量を元に9.5 gグルコース/リットル/時とした。EFTが24時間の時点で、培養物にIPTGを濃度が2 mMとなるように添加した。EFTが48時間の時点で2 mmol/lのIPTGを培養物に添加し、IPTG濃度を4 mMとした。発酵物を56時間の時点で回収した。
(表1)ZSM培地(振盪フラスコおよびシード発酵槽)
Figure 2006509525
(表2)流加回分用の60%グルコース溶液
Figure 2006509525
(表3)ZymoM-(流加回分発酵培地)
Figure 2006509525
(表4)Trace D溶液(ZymoM培地およびZSM培地に使用)
Figure 2006509525
B.PCOL22培地を使用した流加回分発酵
第1段階のシードフラスコ(100 mlの培地を含む500 mlのバッフル付きフラスコ)に、グルコース(20 g/L)およびカナマイシン(25μg/ml)を添加したZSM培地を入れた。生産株EE410(発現ベクターpTAP337を含む大腸菌W3110)を含む、解凍した凍結バイアルに由来する300μlの材料をフラスコに接種することで成長を開始させた。振盪フラスコを250 rpmの設定値で攪拌しながら32℃でインキュベートした。
6 Lの発酵槽に2.7 LのPCOL22培地を入れて滅菌した。冷却後、成長培地にグルコース(20 g/L)、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、およびカナマイシン(25μg/ml)を添加した。培地のpHを5 Nの水酸化アンモニウムで6.8に調整した。通気量を1 vvmに、攪拌速度を350 rpmに、また温度を37℃にそれぞれ設定した。発酵槽に、OD600 nmが16に達するまで16時間成長させたEE410の第1段階のシードフラスコ培養物を接種した。接種は5%(v/v)とし、攪拌速度を速めることで溶存酸素を20%飽和以上に維持した。5 N NH4OHを添加してpHを6.8に調整した。
グルコース溶液(60% w/v)を、EFTが8時間の時点で発酵槽に供給した。9.5 gグルコース/L開始容量/時の一定の供給速度を発酵段階の全体で維持した。EFTが24時間の時点でIPTGを培養物に、濃度が0.5 mMとなるように添加した。EFTが48時間の時点で発酵物を回収した。
C.カナマイシンを含まないPCOL22培地を使用した流加回分発酵
第1段階のシードフラスコ(100 mlの培地を含む500 mlのバッフル付きフラスコ)に、グルコース(20 g/L)およびカナマイシン(25μg/ml)を添加したZSM培地を入れた。生産株EE410(発現ベクターpTAP337を含む大腸菌W3110)を含む、解凍した凍結バイアルから300μlの材料をフラスコに接種することで成長を開始させた。振盪フラスコを250 rpmの設定値で攪拌しながら32℃でインキュベートした。
6 Lの発酵槽に2.7 LのPCOL22培地を入れて滅菌した。冷却後、成長培地にグルコース(20 g/L)、硫酸マグネシウム、および塩化カルシウムを添加した。カナマイシンは添加しなかった。培地のpHを5 N水酸化アンモニウムで6.8に調整した。通気量を1 vvmに、攪拌速度を350 rpmに、また温度を37℃にそれぞれ設定した。発酵槽に、OD600 nmが16に達するまで16時間成長させたEE410の第1段階のシードフラスコ培養物を接種した。接種は5%(v/v)とし、攪拌速度を速めることで溶存酸素を20%飽和以上に維持した。5 N NH4OHを添加してpHを6.8にコントロールした。
グルコース溶液(60% w/v)をEFTが8時間の時点から発酵槽に供給した。9.5 gグルコース/L開始容量/時の一定の供給速度を発酵段階全体で維持した。EFTが24時間の時点で培養物にIPTGを濃度が0.5 mMとなるように添加した。EFTが48時間の時点で発酵物を回収した。
D.PCOL22-L培地を使用した流加回分発酵
第1段階のシードフラスコ(100 mlの培地を含む500 mlのバッフル付きフラスコ)に、グルコース(20 g/L)およびカナマイシン(25μg/ml)を添加したZSM培地を入れた。生産株EE410(発現ベクターpTAP337を含む大腸菌W3110)を含む、解凍した凍結バイアルから300μlの材料をフラスコに接種することで成長を開始させた。振盪フラスコを設定値250 rpmで攪拌しながら32℃でインキュベートした。
6 Lの発酵槽に2.7 LのPCOL22-L培地を入れて滅菌した。この培地はクエン酸を含み、沈殿生成を妨げるために3分の1未満の塩を含む。冷却後、培地にグルコース(20 g/L)、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、およびカナマイシン(25μg/ml)を添加した。培地のpHを5 Nの水酸化アンモニウムで6.8に調整した。通気量を1 vvmに、攪拌速度を350 rpmに、また温度を37℃にそれぞれ設定した。発酵槽に、OD600 nmが16に達するまで16時間成長させたEE410の第1段階のシードフラスコ培養物を接種した。接種は5%(v/v)とし、攪拌速度を高めることで溶存酸素を20%飽和以上に維持した。5 N NH4OHを添加してpHを6.8にコントロールした。
硫酸マグネシウムを含まないグルコース溶液(60% w/v)を発酵槽に、EFTが8時間の時点で供給した。9.5 gグルコース/L開始容量/時の一定の供給速度を発酵全体で維持した。EFTが24時間の時点で、IPTGを培養物に0.5 mMの濃度になるように添加した。EFTが48時間の時点で発酵物を回収した。
E.PCOL12-L培地を使用した流加回分発酵
第1段階のシードフラスコ(100 mlの培地を含む500 mlのバッフル付きフラスコ)に、グルコース(20 g/L)およびカナマイシン(25μg/ml)を添加したZSM培地を入れた。生産株EE410(発現ベクターpTAP337を含む大腸菌W3110)を含む、解凍した凍結バイアルから300μlの材料をフラスコに接種することで成長を開始させた。振盪フラスコを250 rpmの設定値で攪拌しながら32℃でインキュベートした。
6 Lの発酵槽に2.7 LのPCOL22-L培地を入れて滅菌した。この培地は、沈殿生成を防ぐために1/4未満の塩を含む。冷却後、成長培地にグルコース(20 g/L)、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、およびカナマイシン(25μg/ml)を添加した。培地のpHを5 N水酸化アンモニウムで6.8に調整した。通気量を1 vvmに、攪拌速度を350 rpmに、また温度を37℃にそれぞれ設定した。発酵槽に、OD600 nmが16に達するまで16時間成長させたEE410の第1段階のシードフラスコ培養を接種した。接種は5%(v/v)とし、攪拌速度を速めることで溶存酸素を20%飽和以上に維持した。5 NのNH4OHを添加してpHを6.8にコントロールした。
硫酸マグネシウムを含まないグルコース溶液(60% w/v)をEFTが8時間の時点から発酵槽に供給した。9.5 gグルコース/L開始容量/時の一定の供給速度を発酵段階全体で維持した。EFTが24時間の時点で、培養物にIPTGを、濃度が0.5 mMになるように添加した。EFTの48時間の時点で発酵物を回収した。
F.PCOL12-R培地を使用した流加回分発酵
第1段階のシードフラスコ(100 mlの培地を含む500 mlのバッフル付きフラスコ)に、グルコース(20 g/L)およびカナマイシン(25μg/ml)を添加したZSM培地を入れた。生産株EE410(発現ベクターpTAP337を含む大腸菌W3110)を含む、解凍した凍結バイアルから300μlの材料をフラスコに接種することで成長を開始させた。振盪フラスコを250 rpmの設定値で攪拌しながら32℃でインキュベートした。
6 Lの発酵槽に2.7 LのPCOL22-R培地を入れて滅菌した。この培地は、グルコース供給開始前に宿主株の成長を高めるために高濃度の酵母エキスおよびグルコースを含む。冷却後、成長培地にグルコース(40 g/L)、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、およびカナマイシン(25μg/ml)を添加した。培地のpHを5 N水酸化アンモニウムで6.8に調整した。通気量を1 vvmに、攪拌速度を350 rpmに、また温度を37℃にそれぞれ設定した。発酵槽に、OD600 nmが16に達するまで16時間成長させたEE410の第1段階のシードフラスコ培養を接種した。接種は5%(v/v)とし、攪拌速度を速めることで溶存酸素を20%飽和以上に維持した。
グルコース溶液(60% w/v)を、EFTが8時間の時点で発酵槽に供給した。9.5 gグルコース/L開始容量/時の一定の供給速度を発酵段階全体で維持した。EFTが24時間の時点で、IPTGを培養物に0.5 mMの濃度になるように添加した。EFTが48時間の時点で発酵物を回収した。
G.20 Lの発酵槽における流加回分発酵
別の流加回分過程では、第1段階のシード発酵槽(6 l)に、グルコース(20 g/L)およびカナマイシン(25μg/ml)を添加した3.0 LのZSM培地を入れた。生産株EE410(発現ベクターpTAP337を含む大腸菌W3110)を含む、解凍した凍結バイアルから3.0 mlの材料を発酵槽に接種することで成長を開始させた。通気量を1 vvmに、攪拌速度を350 rpmに、また温度を32℃にそれぞれ設定した。
20 Lの発酵槽に10.8 LのPCOL22培地を入れて滅菌した。冷却後、成長培地にグルコース(20 g/L)、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、およびカナマイシン(25μg/ml)を添加した。培地のpHを5 N水酸化アンモニウムで6.8に調整した。通気量を1 vvmに、攪拌速度を350 rpmに、また温度を37℃にそれぞれ設定した。発酵槽に、OD600 nmが16に達するまで16時間成長させたEE410の第1段階のシード発酵槽の培養物を接種した。接種は5%(v/v)とし、攪拌速度を速めることで溶存酸素を20%飽和以上に維持した。5 N水酸化アンモニウムを添加して培養物のpHを6.8にコントロールした。
グルコース溶液(60% w/v)をEFTが8時間の時点から発酵槽に供給した。9.5 gグルコース/L開始容量/時の一定の供給速度を発酵段階全体で維持した。EFTが24時間の時点でIPTGを培養物に、濃度が0.5 mMになるように添加した。EFTが48時間の時点で発酵物を回収した。
H.2段階接種による流加回分発酵
第1段階のシードフラスコ(100 mlの培地を含む500 mlのバッフル付きフラスコ)に、グルコース(20 g/L)およびカナマイシン(25μg/ml)を添加したZSM培地を入れた。生産株EE410(発現ベクターpTAP337を含む大腸菌W3110)を含む、解凍した凍結バイアルから300μlの材料をフラスコに接種することで成長を開始させた。振盪フラスコを250 rpmの設定値で攪拌しながら32℃でインキュベートした。
第2段階のシード発酵槽(6 1)に、グルコース(20 g/L)およびカナマイシン(25μg/ml)を添加した3.0 LのZSM培地を入れた。生産株EE410(発現ベクターpTAP337を含む大腸菌W3110)を含む第1段階のシードフラスコから100 mlの材料を培養槽に接種することで成長を開始させた。通気量を1 vvmに、攪拌速度を350 rpmに、また温度32℃に設定した。
20 Lの発酵槽に10.8 LのPCOL22培地を入れて滅菌した。冷却後、成長培地にグルコース(20 g/L)、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、およびカナマイシン(25μg/ml)を添加した。培地のpHを5 N水酸化アンモニウムで6.8に調整した。通気量を1 vvmに、攪拌速度を350 rpmに、また温度を37℃にそれぞれ設定した。発酵槽に、OD600 nmが16に達するまで12時間成長させた第2段階のシード発酵槽中の菌液を接種した。接種は5%(v/v)とし、攪拌速度を速めることで溶存酸素を20%飽和以上に維持した。5 N水酸化アンモニウムを添加して培養物のpHを6.8にコントロールした。
EFTが8時間の時点でグルコース溶液(60% w/v)を発酵槽に供給した。9.5 gグルコース/L開始容量/時の一定の供給速度を発酵段階全体で維持した。EFTが24時間の時点で、IPTGを培養物に、0.5 mMの濃度となるように添加した。EFTが48時間の時点で発酵物を回収した。
I.ZGOLD1を使用した流加回分発酵
発現ベクターzGOLD1の構築は実施例19に記載されている。第1段階のシードフラスコ(100 mlの培地を含む500 mlのバッフル付きフラスコ)に、グルコース(20 g/L)およびカナマイシン(25μg/ml)を添加したZSM培地を入れた。発現ベクターpTAP337を含む生産株である大腸菌W3110 ompT-(ZGOLD1)を含む、解凍した凍結バイアルから300μlの材料をフラスコに接種することで成長を開始させた。振盪フラスコを250 rpmの設定値で32℃で攪拌しながらインキュベートした。
6 Lの発酵槽に2.7 LのPCOL22培地を入れて滅菌した。冷却後、成長培地にグルコース(20 g/L)、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、およびカナマイシン(25μg/ml)を添加した。培地のpHを5 N水酸化アンモニウムで6.8に調整した。通気量を1 vvmに、攪拌速度を350 rpmに、また温度を37℃にそれぞれ設定した。OD600 nmが16に達するまで16時間成長させたEE410の第1段階のシードフラスコ培養物を発酵槽に接種した。接種を5%(v/v)とし、攪拌速度を速めることで溶存酸素を20%飽和以上に維持した。5 N水酸化アンモニウムを添加して培養物のpHを6.8にコントロールした。
EFTが8時間の時点から、発酵槽へのグルコース溶液(60% w/v)の供給を開始した。9.5 gグルコース/L開始容量/時の一定の供給速度を発酵段階全体で維持した。EFTが24時間の時点でIPTGを培養物に、0.5 mMの濃度になるように添加した。EFTが48時間の時点で発酵物を回収した。
(表5)PCOL22産生培地
Figure 2006509525
(表6)PCOL22-L培地
Figure 2006509525
(表7)PCOL22-LおよびPCOL12-L培地に使用した流加回分用の60%グルコース
Figure 2006509525
(表8)PCOL12-R培地
Figure 2006509525
(表9)PCOL12-L培地
Figure 2006509525
実施例9
IL-21の回収率
A.回収細胞の破壊
回収した大腸菌のペレットが流加回分発酵によって得られ、約5〜6 g/LのIL-21metを封入体の状態で含んでいた。8000×gで30分間遠心して発酵ブロス(1 L)のペレットを得た。このペレットを850 mlの破壊用緩衝液(100 mM Tris、pH 7.2、5 mM ZnCl2)に再懸濁し、氷中で冷却した。このブロスをAPVホモジナイザーに3回、10,000 psiで通した。次に同ブロスを8000×gで30分間遠心した。緩いペレットが剥がれ落ちないように注意しながら上清を捨てた。ペレットを800 mlの脱イオン水に再懸濁して2回洗浄し、8000×gで40分間遠心した。緩いペレットが剥がれ落ちないように注意しながら上清を捨てた。封入体ペレットを-80℃で保存するか、または凍結することなくリフォールディングさせた。
B.回収ブロスの直接破壊
回収した大腸菌ブロスが流加回分発酵で得られ、約6〜7 g/LのIL-21metを封入体の状態で含んでいた。発酵ブロス(0.5 L)を脱イオン水で1.0 Lに希釈し、APVホモジナイザーに3回、10,000 psiで通した。次に同ブロスを15,000×gで30分間遠心した。緩いペレットが剥がれ落ちないように注意しながら上清を捨てた。ペレットを500 mlの脱イオン水に再懸濁して15,000×gで30分間遠心した。緩いペレットが剥がれ落ちないように注意しながら上清を捨てた。洗浄段階を繰り返し、封入体ペレットを-80℃で保存するか、または凍結することなくリフォールディングさせた。
C.可溶化および沈殿生成
1.洗浄後の封入体ペレットを、200 mLの100 mM Tris、6 M塩酸グアニジン、5 mM ZnCl2、pH 7.2に室温で1時間かけて懸濁して可溶化した。次に懸濁物を12000 gで30分間遠心した。上清を4℃で保存した。上清を100 mM Tris、5 mM ZnCl2、pH 7.2で1:8(v/v)に希釈した。懸濁物を12000 gで10分間遠心した。上清を捨て、ペレットを200 mlの100 mM Tris、8 M Urea、pH 7.2に再懸濁した。懸濁液を12000 gで30分間遠心した。上清を捨て、洗浄をさらに2回繰返した。洗浄後のペレットを、200 mLの100 mM Tris、6 M塩酸グアニジン、10 mM DTT、pH 7.2に懸濁して再可溶化した。懸濁物を12000 gで30分間遠心した。HPLCタンパク質アッセイ法で測定された上清のタンパク質濃度は10 mg/mLであった。IL-21試料を4℃で保存した。
2.洗浄後の封入体ペレットを、100 mM Tris、pH 8.0(GDT40)中に調製した6 M塩酸グアニジン、40 mMジチオスレイトール(DTT)に懸濁してIL-21を可溶化した。当初の発酵ブロスの1リットルにつき約150 mlのGDT40を使用した。可溶化は室温で1時間かけて行った。次に懸濁物を遠心した。溶解状態の封入体の上清を、0.75 Mアルギニンに加えてDTT/シスチン酸化還元対を含むリフォールディング緩衝液中に希釈(20〜30倍)することでリフォールディングさせた。リフォールディングは5〜16時間かけて起こるようにし、次に混合物のpHを5.5に調節し、濾過後に精製過程へ進んだ。
D.ZGOLD1から回収したブロスの直接破壊
回収した大腸菌ZGOLD1ブロスは、PCOL22培地(上述)を使用した流加回分発酵によって得られ、約9〜10 g/LのIL-21metを封入体の状態で含んでいた。発酵ブロス(0.5 L)を脱イオン水で1.0 Lに希釈し、これをAPVホモジナイザーに3回、10,000 psiで通した。次に同ブロスを15,000×gで30分間遠心した。緩いペレットが剥がれ落ちないように注意しながら上清を捨てた。ペレットを500 mlの脱イオン水に再懸濁し、15,000×gで30分間遠心した。緩いペレットが剥がれ落ちないように注意しながら上清を捨てた。ペレットを500 mlの脱イオン水に再懸濁し、15,000×gで30分間遠心した。緩いペレットが剥がれ落ちないように注意しながら上清を捨てた。封入体ペレットを-80℃で保存するか、または凍結することなくリフォールディングさせた。
実施例10
A.洗浄後の封入体の可溶化
洗浄後の封入体ペレットを、150 mLの100 mM Tris、6 M塩酸グアニジン、20 mMジチオスレイトール、pH 7.5に室温で1時間かけて懸濁して可溶化した。次に懸濁物を12000×gで30分間遠心した。HPLCタンパク質アッセイ法で測定した上清のタンパク質濃度は21 mg/mLであった。次にIL-21試料を4℃で保存した。
B.ZGOLD1に由来する洗浄後の封入体の可溶化
1リットルの発酵ブロスに由来する洗浄後の封入体ペレットを、150 mLの100 mM Tris、6 M塩酸グアニジン、40 mMジチオスレイトール、pH 8.0に室温で1時間かけて懸濁して可溶化した。次に懸濁物を15,000×gで30分間遠心した。HPLCタンパク質アッセイ法で測定した上清のタンパク質濃度は29 mg/mLであった。次にIL-21試料を4℃で保存した。
C.可溶化した封入体の清澄化
固定化金属アフィニティクロマトグラフィー(IMAC)樹脂を使用して、可溶化したIL-21封入体のペレットを清澄化した。1つの例では、洗浄後の封入体ペレットを、10 mMイミダゾール、pH 7.5を含む6 M塩酸グアニジンに室温で1時間かけて可溶化し、1.0 mlのHisトラップカラム(Amersham Biosciences)を0.5 mlの0.1 M NiSO4でチャージした。チャージと、水による洗浄後に、6 M GuHCl、20 mMイミダゾール、0.5 M NaCl、および20 mMリン酸を含む5.0 mlの結合緩衝液を用いてカラムを平衡化した。
溶質試料(1.0 ml)をカラムにアプライし、5.0 mlの結合緩衝液で同カラムを洗浄した。2.5 mlの溶出緩衝液(6 M GuHCl、0.5 Mイミダゾール、0.5 M NaCl、および20 mMリン酸)をカラムにアプライしてIL-21を溶出した。この溶出段階を繰り返し、試料の純度を解析し、SDS-Pageゲルで清澄化した。
実施例11
リフォールディング
A.GSHおよびGSSGによる再生
可溶化分画のIL-21濃度を逆相HPLCで21 mg/mlと決定した。リフォールディング緩衝液の容量の決定は、溶質の量と、溶質中に存在するIL-21の濃度を元にした。リフォールディング緩衝液(50 mM Tris、10 mM NaCl、0.5 mM KCl、2 mM MgCl2、2 mM CaCl2、0.05%(w/v) PEG3350、1.1 M L-アルギニン、2 mM GSH、1 mM GSSG、pH 7.5)を室温(21℃)に冷却した。GSHおよびGSSGは使用直前に溶解した。
IL-21を含む溶質(175 ml)をリフォールディング緩衝液(11 L)に混合しながら緩やかに(1.5時間かけて)添加した。IL-21をリフォールディング混合物に、最終濃度が0.30 mg/mlとなるように添加した。温度範囲は20〜22℃とした。リフォールディング混合物を含む容器を、蓋をせずに大気中に放置した。リフォールディングを16時間かけて進行させた。リフォールディングしたIL-21の濃度を0.165 mg/mlと決定した。これは55%の再生収率に相当する。
B.DTTおよびGSSGによる再生
可溶化分画のIL-21濃度を逆相HPLCで15.02 mg/mlと決定した。リフォールディング緩衝液の容量の決定は、溶質の量と、溶質中に存在するIL-21の濃度を元にした。リフォールディング緩衝液(50 mM Tris、10 mM NaCl、0.5 mM KCl、2 mM MgCl2、2 mM CaCl2、0.05%(w/v) PEG3350、1.1 M L-アルギニン、2 mM DTT、4 mM GSSG、pH 7.5)を室温(21℃)に冷却した。DTTおよびGSSGは使用直前に溶解した。
IL-21を含む溶質(88 ml)をリフォールディング緩衝液(1.0 L)に混合しながら緩やかに(1.0時間かけて)添加した。IL-21をリフォールディング混合物に、最終濃度が0.50 mg/mlとなるように添加した。温度範囲は20〜22℃とした。リフォールディング混合物を含む容器を、蓋をせずに大気中に放置した。リフォールディングを16時間かけて進行させた。リフォールディングしたIL-21の濃度を0.27 mg/mlと決定した。これは59.5%の再生収率に相当する。
C.システインおよびシスチン二塩酸塩による再生
可溶化分画のIL-21濃度を逆相HPLCで18.6 mg/mlと決定した。リフォールディング緩衝液の容量の決定は、溶質の量と、溶質中に存在するIL-21の濃度を元にした。リフォールディング緩衝液(50 mM Tris、10 mM NaCl、0.5 mM KCl、2 mM MgCl2、2 mM CaCl2、0.05%(w/v) PEG3350、1.0 M L-アルギニン、4 mMシステイン、2 mM塩酸シスチン、pH 7.5)を室温(21℃)に冷却した。システインおよびシスチン二塩酸塩は使用直前に溶解した。
IL-21を含む溶質(20.5 ml)をリフォールディング緩衝液(0.78 L)に混合しながら緩やかに(0.5時間かけて)添加した。IL-21をリフォールディング混合物に、最終濃度が0.49 mg/mlとなるように添加した。温度範囲は20〜22℃とした。リフォールディング混合物を含む容器を、蓋をせずに大気中に放置した。リフォールディングを21時間かけて進行させた。リフォールディングしたIL-21の濃度を0.29 mg/mlと決定した。これは58%の再生収率に相当する。
D.DTTおよびシスチン二塩酸塩による再生
可溶化分画のIL-21濃度を逆相HPLCで18.6 mg/mlと決定した。リフォールディング緩衝液の容量の決定は、溶質の量と、溶質中に存在するIL-21の濃度を元にした。リフォールディング緩衝液(50 mM Tris、10 mM NaCl、0.5 mM KCl、2 mM MgCl2、2 mM CaCl2、0.05%(w/v) PEG3350、1.1 M L-アルギニン、2 mM DTT、4 mMシスチン二塩酸塩、pH 7.5)を室温(21℃)に冷却した。DTTおよびGSSGは使用直前に溶解した。
IL-21を含む溶質(20.5 ml)をリフォールディング緩衝液(0.78 L)に混合しながら緩やかに(0.5時間かけて)添加した。IL-21をリフォールディング混合物に、最終濃度が0.49 mg/mlとなるように添加した。温度範囲は20〜22℃とした。リフォールディング混合物を含む容器を、蓋をせずに大気中に放置した。リフォールディングを16時間かけて進行させた。リフォールディングしたIL-21の濃度を0.28 mg/mlと決定した。これは58%の再生収率に相当する。
E.タイムパルスリフォールディング
タイムパルスリフォールディングは、最終濃度が0.3〜0.9 mg/mLとなるヒトIL-21metのリフォールディング法となる。回分リフォールディングで、リフォールディング緩衝液中の最終IL-21タンパク質濃度は0.2〜0.3 mg/mlに最適化された。高濃度のアルギニン(1 M)が必要とされ、またリフォールディング段階の収率は40%〜50%であった。タンパク質のリフォールディングの従来の基準で十分であったものの、さらに高濃度でリフォールディングしたIL-21metが極めて望ましい。
可溶化した封入体の調製は、最終タンパク質濃度が15 mg/mlであることを例外として実施例4に記載されている。溶質の1:50の希釈は、前述のリフォールディング緩衝液を用いて達成された。次に同溶液を室温で3時間攪拌した。3時間の終了時点で試料を採取して遠心した。上清を対象にHPLC解析を行った。次に、この過程をさらに4回繰返した。
適切にリフォールディングしたIL-21metのパーセント収率は、最初の3回の反復中に変化は認められなかったが、4回目の反復後に低下した。収率を損なうことなく達成された最高最終タンパク質濃度は0.9 mg/mlであった。リフォールディングの初期段階(<3時間)における高タンパク質濃度(>0.3 mg/ml)は、凝集のために低収率であった。リフォールディングが完了したら(>3時間)、リフォールディングストックの添加を、収率を損なうことなく終了することができる。最終リフォールディング緩衝液の最大塩酸グアニジン濃度は0.3〜0.6 Mであった。
F.低アルギニン濃度におけるDTTおよびシスチンによるリフォールディング
可溶化分画のIL-21濃度を逆相HPLCで14.53 mg/mlと決定した。リフォールディング緩衝液(50 mM Tris、10 mM NaCl、0.5 mM KCl、2 mM MgCl2、2 mM CaCl2、0.05%(w/v) PEG3350、0.75 M L-アルギニン、2 mM DTT、4 mMシスチン、pH 8.0)を21℃に冷却した。シスチンは0.25 M NaOHに80 mMの濃度となるように溶解し、DTTとともに使用直前に添加した。
IL-21を含む溶質(96 ml)をリフォールディング緩衝液(1.0 L)に混合しながら緩やかに(1.0時間かけて)添加した。IL-21をリフォールディング混合物に、最終濃度が0.61 mg/mlとなるように添加した。温度範囲は14〜16℃とした。リフォールディング混合物を含む容器を、蓋をせずに大気中に放置した。リフォールディングを16時間かけて進行させた。リフォールディングしたIL-21の濃度を0.40 mg/mlと決定した。これは66%の再生収率に相当する。
G.DTTおよびシスチンによる容積リフォールディング(volumetric refolding)
容積リフォールディングはIL-21溶質の容積に基づき、溶質中のIL-21濃度とは無関係である。可溶化分画のIL-21濃度を逆相HPLCで26.1 mg/mlと決定した。リフォールディング緩衝液(50 mM Tris、10 mM NaCl、0.5 mM KCl、2 mM MgCl2、2 mM CaCl2、0.05%(w/v) PEG3350、0.75 M L-アルギニン、2 mM DTT、4 mMシスチン、pH 8.0)を15℃に冷却した。シスチンは0.25 M NaOHに80 mMの濃度となるように溶解し、DTTとともに使用直前に添加した。
IL-21を含む溶質(935 ml)をリフォールディング緩衝液(28.0 L)に混合しながら緩やかに(2.0時間かけて)添加した。IL-21をリフォールディング混合物に、最終濃度が0.83 mg/mlとなるように添加した。温度範囲は14〜16℃とした。リフォールディング混合物を含む容器を、蓋をせずに大気中に放置した。リフォールディングを16時間かけて進行させた。リフォールディングしたIL-21の濃度を0.51 mg/mlと決定した。これは61%の再生収率に相当する。
H.ZGOLD1を使用する容積リフォールディング
可溶化分画のIL-21濃度を逆相HPLCで29.9 mg/mlと決定した。リフォールディング緩衝液(50 mM Tris、10 mM NaCl、0.5 mM KCl、2 mM MgCl2、2 mM CaCl2、0.05%(w/v) PEG3350、0.75 M L-アルギニン、2 mM DTT、4 mMシスチン、pH 8.0)を15℃に冷却した。シスチンは0.25 M NaOHに80 mMの濃度となるように溶解し、DTTとともに使用直前に添加した。
IL-21を含む溶質(935 ml)をリフォールディング緩衝液(27.3 L)に混合しながら緩やかに(2.0時間かけて)添加した。IL-21をリフォールディング混合物に、最終濃度が0.96 mg/mlとなるように添加した。温度範囲は14〜16℃とした。リフォールディング混合物を含む容器を、蓋をせずに大気中に放置した。リフォールディングを16時間かけて進行させた。リフォールディングしたIL-21の濃度を0.60 mg/mlと決定した。これは62.3%の再生収率に相当する。
実施例12
A.リフォールディングしたIL-21の清澄化
この段階は、リフォールディング反応を停止して、リフォールディングしたIL-21溶液から粒子状物質を除去するために行う。リフォールディングしたIL-21を典型的にはpH 5.5に調節した後に、1.2μm(公称値)のフィルターに通した。場合によってはpHを濾過前に調節せず、また場合によっては、さまざまなサイズ(0.45〜2.0μm)、またはさまざまな種類のフィルターを使用することができる。Carr powerfuge連続遠心機(Carr Separations, Inc., Franklin, MA)で遠心することで、またはボトル内で遠心することで粒子状物質を除去することができる。
SP550 C捕捉樹脂へロードするために、リフォールディング後に緩衝液の伝導率を下げる必要がある。濁った状態の溶液についても、濾過することで、折りたたまれていないIL-21および沈殿した大腸菌タンパク質を除去する必要がある。1つの例では、リフォールディングしたIL-21を含む29.5 Lのリフォールディング緩衝液を1.4倍量(42.0 L)の25 mM酢酸緩衝液(pH 5.5)で希釈した。この溶液を、室温で4時間かけて沈殿を生成させた。次に同溶液を1.2〜0.8μmのCuno Zeta Plusデプスフィルターで濾過した。
B.リフォールディングしたIL-21の希釈および清澄化
この段階は、リフォールディング反応を停止して、リフォールディングした材料を希釈して、陽イオン交換クロマトグラフィーとの結合を可能とし、またリフォールディングしたIL-21溶液から粒子状物質を除去するために行う。リフォールディングしたIL-21を典型的にはpH 5.5に調節した後に、25 mM酢酸ナトリウム、pH 5.5で1.4倍に希釈する。この溶液を、希釈されたリフォールディング溶液中に存在する可溶性タンパク質と不溶性タンパク質の物理的な分離が進んでいることを視認しつつ、室温で約4時間かけて沈殿を生成させる。粒子状物質をほとんど含まない沈降した、また希釈された状態のリフォールディング溶液を、次に典型的には1.2〜0.8μmのデプスフィルター(Cuno Zeta Plus A30M03)に通す。
実施例13
清澄化後の、リフォールディングしたIL-21の濃縮
清澄化後の、リフォールディングしたIL-21を平行流濾過によって10倍〜30倍に濃縮する。平行流濾過装置および膜(Millipore Pellicon Biomaxの5 kDa分子量カットオフプレート(Millipore, Bedford, MA)およびフレームシステム、またはAmersham Biosciencesの10 kDa分子量カットオフ中空繊維システム)を0.5 M NaOHで清浄化して水ですすぐ。1 Lの発酵ブロスからリフォールディングしたIL-21に関しては、0.2 m2〜0.3 m2の膜面積とし、約48 L/時のクロスフロー速度および20 psi〜30 psiの膜間圧とする。
実施例14
リフォールディングしたIL-21の捕捉
A.TOYOPEARL SP 550C樹脂を使用した陽イオン交換
濃縮後にIL-21を陽イオン交換カラムに捕捉する。1つの例では、濃縮後のIL-21を水または25 mM酢酸ナトリウム、pH 5.5で3倍に希釈する。生じた沈殿物を、室温で30分間のインキュベーション後に濾過して除去する。Millipore 1.2μm Polysep IIフィルター(Millipore)、または1.2-0.8μm Cuno Zeta Plus A30MO3膜(Cuno, Meriden, CN)を使用する。濾過後のIL-21を、平衡化緩衝液(25 mM酢酸ナトリウム、0.2 M NaCl、pH 5.5)で平衡化した、TOYOPEARL SP550C樹脂(Tosoh Biosep)を充填したカラムにロードする。このカラムに6〜10 g IL-21/L樹脂の容量でロードし、粒子層の高さ(bed height)を15 cmとし、280 nmおよび215 nmにおけるUV吸光度をモニタリングし、流速を150 cm/時とする。ロード後に、カラムを平衡化緩衝液で、UV吸光度がベースラインに戻るまで洗浄する。次にカラムを4カラム容量の50%平衡化緩衝液、50%溶出緩衝液(25 mM酢酸ナトリウム、1.0 M NaCl、pH 5.5)で洗浄する。カラムからIL-21を25%平衡化緩衝液、75%溶出緩衝液で溶出する。あるいは、IL-21のカラムへのロードおよび平衡化緩衝液による洗浄後に、カラムからIL-21を10カラム容量の直線勾配(100%平衡化緩衝液〜100%溶出緩衝液)で溶出する。
あるいは、pHの調整、希釈、ホールド段階、およびデプスフィルターによる濾過後に、IL-21を陽イオン交換クロマトグラフィー用に捕捉する。濾過後の溶液をTOYOPEARL SP 550 C樹脂(Tosoh Biosep)のカラムにロードし、平衡化緩衝条件(25 mM酢酸ナトリウム、pH 5.5、0.4 M NaCl)で平衡化する。このカラムに6〜15 g IL-21/L樹脂の容量でロードする。280 nmおよび215 nmにおけるUV吸光度をモニタリングし、流速を150 cm/時とする。ロード後に、カラムを平衡化緩衝液で、UV吸光度がベースラインに戻るまで洗浄する。IL-21をカラムから、100%溶出緩衝液(25 mM酢酸ナトリウム、pH 5.5、0.75 M NaCl)に至る段階勾配(step gradient)で溶出する。
B.SPセファロースXL樹脂を使用する陽イオン交換クロマトグラフィー
濃縮されたIL-21を25 mM酢酸ナトリウム、pH 5.5で10倍に希釈する。生成した沈殿を、室温で30分間のインキュベーション後に濾過して除去する。Millipore 1.2μmのPolypro XLフィルター(Millpore)に続いて、0.45μm Whatman Polycap 75 ASフィルター(Maidstone, Kent, UK)で処理する。濾過後のIL-21を、平衡化緩衝液(25 mM酢酸ナトリウム、0.2 M NaCl、pH 5.5)で平衡化したAmersham Biosciences SPセファロースXL樹脂を充填したカラムにロードする。次にカラムを、3〜6 g IL-21/L樹脂で、粒子層の高さが15 cmの容量でロードし、280 nmおよび215 nmにおけるUV吸光度をモニタリングし、150 cm/時の流速を用いる。ロード後に、平衡化緩衝液でUV吸光度がベースラインに戻るまでカラムを洗浄する。次にカラムを4カラム容量の25%平衡化緩衝液、75%溶出緩衝液(25 mM酢酸ナトリウム、1.0 M NaCl、pH 5.5)で洗浄する。50%平衡化緩衝液、50%溶出緩衝液でIL-21をカラムから溶出する。
C.Streamline SP XL樹脂を用いた陽イオン交換クロマトグラフィー
別の例では、IL-21を陽イオン交換クロマトグラフィーによる捕捉前に平行流濾過で濃縮しない。リフォールディング後にpHを5.5に調整し、同材料を1.2μm(公称値)のカットオフフィルターで濾過する。Amersham Biosciences Streamline SP XLを充填したAmersham Biosciences Streamlineカラムを平衡化緩衝液(25 mM酢酸ナトリウム、0.2 M NaCl、pH 5.5)で平衡化する。平衡化後に、濾過後のpHが調整済みのリフォールディングしたIL-21をインライン希釈を用いてカラムにロードする(すなわち30%の濾過済みでpH調整済みのリフォールディングしたIL-21と70%の水をクロマトグラフィー系でロードして正しい比を得る)。IL-21を、標準状態の粒子層の高さと比較して樹脂の2倍の膨潤を引き起こす流速でカラムに上向きにロードする。濾過済みでpH調整済みのリフォールディングしたIL-21をロード後に、平衡化緩衝液と置き換える。次にカラムへのポンプ処理を30%平衡化緩衝液と70%水で、カラム注入口で記録された伝導率が10 mS/cm未満となるまで続ける。次にカラムを、標準状態の粒子層の高さの2倍量の平衡化緩衝液で上向きモードで、280 nmにおけるUV吸光度がベースラインに戻るまで洗浄する。次に流れを止めて樹脂層を沈降させる。Streamlineカラムのプランジャーを、標準状態の粒子層の高さまで下げ、カラムを2カラム容量の平衡化緩衝液で下向きモードで150 cm/時の流速で洗浄する。次にIL-21を50%溶出緩衝液(25 mM酢酸ナトリウム、1.0 M NaCl、pH 5.5)、および50%平衡化緩衝液で下向きモードで150 cm/時で溶出する。
実施例15
疎水性相互作用クロマトグラフィーによるIL-21の中間精製
A.ブチルセファロース樹脂を使用する疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)
198 gの固体硫酸アンモニウム/リットルのIL-21溶液を添加することで、IL-21を1.5 M硫酸アンモニウムに調節する。この溶液を、硫酸アンモニウムが溶解するまで攪拌し、次に固体材料を0.45μm(公称値)のカットオフフィルターで濾過して除去する。1つの例では、Amersham Biosciences社製のブチルセファロース4 FFの15 cm高のカラムを平衡化緩衝液(25 mM酢酸ナトリウム、50 mM塩化ナトリウム、1.5 M硫酸アンモニウム、pH 5.5)で平衡化する。調節された濾過済みのIL-21溶液を、1.0〜2.5 g IL-21/L樹脂の容量で流速150 cm/時でカラムにロードする。280 nmおよび215 nmにおけるUV吸光度をモニタリングする。ロード後に、カラムを平衡化緩衝液でUV吸光度がベースラインに戻るまで洗浄する。カラムからIL-21を50%平衡化緩衝液および50%溶出緩衝液(25 mM酢酸ナトリウム、50 mM塩化ナトリウム、pH 5.5)で溶出する。あるいは、IL-21のカラムへのロードと平衡化緩衝液による洗浄後に、IL-21をカラムから、10カラム容量の直線勾配(100%平衡化緩衝液〜100%溶出緩衝液)で溶出する。
B.TOYOPEARL 650M樹脂を使用するHIC
別の例では、異なる樹脂(Tosoh Biosep TOYOPEARLブチル650M)を用いてIL-21を精製する。この方法は、陽イオン交換溶出液を3.5 Mの(NH4)2SO4ストック溶液で1.5 M (NH4)2SO4に調節すること、調節後の濾過後のIL-21溶液を10〜12 g IL-21/L樹脂の容量のカラムにロードすること、ロード後にカラムを平衡化緩衝液でUV吸光度がベースラインに戻るまで洗浄すること、IL-21を100%溶出緩衝液(25 mM酢酸ナトリウム、pH 5.5、0.05 M NaCl、0.15 M (NH4)2SO4)でカラムから溶出すること、という点を除いて、ブチルセファロースFF樹脂の使用時と同じである。
実施例16
A.精製されたIL-21の濃縮およびリン酸緩衝食塩水への緩衝液の交換
精製後にIL-21の限外濾過および透析濾過を行ってIL-21を濃縮し、保存に適切な緩衝液と交換する。平行流濾過装置および膜(Millipore Pellicon Biomax 5 kDa分子量カットオフプレートおよびフレームシステム)を0.5 M NaOHで清浄化して水ですすぐ。1 Lの発酵ブロスから精製されたIL-21の場合は、0.1 m2未満の膜面積を、約20〜25 L/時のクロスフロー速度、および10 psi〜15 psiの膜間圧で用いる。IL-21を約15〜20 mg/mLに濃縮した後に、約5〜10の透析濾過容量(diavolume)のリン酸緩衝食塩水、pH 6.0で透析濾過する。濃縮後の緩衝液交換済みのIL-21を-80℃で保存する。
B.精製後のIL-21の濃縮およびヒスチジン/マンニトール緩衝液への交換
SP HPセファロースによる精製後に、IL-21を対象に限外濾過および透析濾過を行い、精製後のIL-21を濃縮し、保存に適切な緩衝液に交換する。平行流濾過装置および膜(Millipore Pellicon Biomax 5 kDa分子量カットオフプレートおよびフレームシステム)を0.5 M NaOHで清浄化し、水ですすぐ。1 Lの発酵ブロスから精製したIL-21に関しては、0.1 m2未満の膜面積を、25 psiの膜間圧で約30 L/時のクロスフロー速度で用いる。IL-21を約10〜15 mg/mlに濃縮後に、約5〜10透析濾過容量の10 mMヒスチジン、4.72%(w/v)マンニトール、pH 5.0〜5.3で透析濾過する。結果として得られる溶液を無菌的に濾過する。
実施例17
IL-21の追加精製
A.追加精製(polishing)用のSP HPセファロース樹脂を用いた陽イオン交換クロマトグラフィー
SP HPセファロースを用いて追加精製を行い、全体的な純度をさらに改善する。TOYOPEARLブチル650Mの溶出液を水で30 mS/cmに希釈後に、二塩基性リン酸ナトリウムストック溶液でpHを6.0に調整する。調整後の溶液を次に0.22μmのフィルターで濾過する。濾過後の材料を、50 mMリン酸、pH 6.0、0.3 M NaClで平衡化したカラム上に10〜15 g IL-21/L樹脂でカラムにロードする。280 nmおよび215 nmにおけるUVをクロマトグラフィーのモニタリングに用いる。ロード後に、UVがベースラインに達するまでカラムを平衡化緩衝液で洗浄する。IL-21をカラムから、100%溶出緩衝液(50 mMリン酸、pH 6.0、0.7 M NaCl)までの20カラム容量の勾配を用いて溶出する。
B.陰イオン交換クロマトグラフィー
IL-21を陰イオン交換カラムに通してエンドトキシンを除去する。Amersham Biosciences QセファロースFFのカラムを、平衡化緩衝液(20 mM Tris、pH 8.0)で平衡化する。IL-21溶液の伝導率を平衡化緩衝液で10 mS/cm未満に調節する。調節後のIL-21溶液を150 cm/時の流速でカラムにロードする。IL-21はカラムに結合しないので、フロースルー中に回収される。他の例では、Amersham Biosciences DEAEセファロースFF樹脂またはPall Mustang Q膜をQ セファロースFFに代えて使用してIL-21を精製することができる。さらに他の例では5.0〜9.0のpH値でIL-21が陰イオン交換溶媒を通過することがわかっている。
C.疎水性相互作用クロマトグラフィー
他の例では、上述のブチル樹脂使用時とは異なる条件による疎水性相互作用クロマトグラフィーがIL-21の精製に使用されている。Amersham Biosciences社製のフェニルセファロースFF high sub、Amersham Bioscience社製のフェニルセファロースHP、およびAmersham Biosciences社製のブチルセファロース4 FFを結合モードとフロースルーモードの両方で樹脂として使用することができる。IL-21を結合させるために、カラムを25 mM酢酸ナトリウム、50 mM塩化ナトリウム、1.5 M硫酸アンモニウム、pH 5.5で平衡化する。固体硫酸アンモニウムを添加して溶解するまで攪拌することで、IL-21を1.5 M硫酸アンモニウムに調整する。調整後のIL-21溶液を、平衡化したカラムに150 cm/時の流速でロードする。280 nmおよび215 nmにおけるUV吸光度をモニタリングする。洗浄後にIL-21をカラムから10カラム容量の100%平衡化緩衝液〜100%溶出緩衝液(25 mM酢酸ナトリウム、50 mM NaCl、pH 5.5)の直線勾配で溶出する。フロースルーモードでは、IL-21を含む溶液を1.0 M以下の硫酸アンモニウムに調節し、25 mM酢酸ナトリウム、50 mM NaCl、1.0 M硫酸アンモニウム、pH 5.5で平衡化したカラムにロードする。フロースルーを回収する。
他の例では、塩として硫酸アンモニウムの代わりに硫酸ナトリウムを用いた疎水性相互作用クロマトグラフィーでIL-21を精製した。Amersham Biosciences社製のフェニルセファロースFF high sub、Amershan Biosciences社製のフェニルセファロースHP、およびAmersham Biosciences社製のブチルセファロース4 FFを樹脂として使用することができる。このカラムを25 mM酢酸ナトリウム、50 mM塩化ナトリウム、1.5 M硫酸ナトリウム、pH 5.5に平衡化する。IL-21を、固体硫酸ナトリウムを添加して、硫酸ナトリウムが溶解するまで攪拌して1.5 M硫酸ナトリウムに調整する。調整後のIL-21溶液を、平衡化されたカラムに150 cm/時の流速でロードする。280 nmおよび215 nmにおけるUV吸光度をモニタリングする。洗浄後にIL-21を、10カラム容量の100%平衡化緩衝液〜100%溶出緩衝液(25 mM酢酸ナトリウム、50 mM NaCl、pH 5.5)の直線勾配でカラムから溶出する。
別の例では、HIC FPLCのフロースルーを、ブチルセファロース4 FFカラム(Amersham Biosciences)を装着したBIOCAD 700E FPLC系(Perseptive Biosystems, Framingham, MA)で行った。このカラムを25 mM NaOAc、600 mM NaCl、1 M (NH4)2SO4、pH 5.5で調整した。固体(NH4)2SO4を、最終濃度が1 Mとなるように陽イオン交換溶出液に添加した。同溶液をカラムにロードし、フロースルー中からIL-21を回収した。
D.金属キレーティングセファロースを用いるIMAC
Amersham Biosciences社製のキレーティングセファロース(Amersham)を使用してIL-21をさらに精製する。捕捉されたIL-21 CIE溶出液を、銅、亜鉛、またはニッケルのイオンがチャージされたカラムにロードし、25 mM酢酸ナトリウム、pH 5.5;0.8 M NaClで平衡化する。280 nmおよび215 nmにおけるUVによってクロマトグラフィーをモニタリングする。次にカラムを平衡化緩衝液でベースラインまで洗浄し、100%溶出緩衝液(25 mM酢酸ナトリウム、pH 5.5;0.8 M NaCl、0.5 Mイミダゾール)までの10 CVの勾配を用いて溶出する。
実施例18
A.アセトニトリル緩衝液中に可溶化したIL-21の逆相HPLC解析
この実施例に記載された方法で、可溶化した封入体試料および精製後の試料中のIL-21を定量する。4.6×50 mmのJupiter C5カラム(300 Å、5μm、Phenomenex)を、サーモスタットを備えたオートサンプラーおよびサーモスタットを備えたカラム部を付属したAgilent Technologies 1100シリーズのHPLC系に使用する。0.2μmのプレカラムフィルターをカラムの手前に配置する。移動相Aを0.1% TFA(溶媒はHPLCグレードの水)とし、移動相Bを0.1% TFA(溶媒はアセトニトリル)とする。
精製後の試料用の溶出勾配/時間の表を以下に示す:
(表10)
Figure 2006509525
可溶化後の封入体試料の溶出勾配/時間の表を以下に示す:
(表11)
Figure 2006509525
カラムを、安定なベースラインに達するまで溶出勾配/時間の表の初期条件で平衡化する。
方法のパラメータを以下に示す:
1.流速:1 ml/分
2.総実行時間:20分間
3.カラム温度:40℃
4.オートサンプラー温度:8℃
5.最大カラム圧:240 bar
6.インジェクター吸引速度:100μL/分
7.インジェクター駆出速度:100μL/分
8.ダイオードアレイ検出器データ回収波長:シグナルA:280 nm、バンド幅25 nm
9.ダイオードアレイ検出器データモニタリング波長:シグナルB:215 nm、バンド幅10 nm
10.ダイオードアレイ検出器データ標準波長:シグナルA:350 nm、バンド幅25 nm;シグナルB:350 nm、バンド幅25 nm
11.ダイオードアレイ検出器のオートバランス:プレラン/ポストランモード
12.ピーク幅反応時間:>0.1分
13.スリット幅:4 nm
14.ニードル洗浄機能:ニードルおよびニードルシート上へのグアニジンの蓄積を低減させるようにプログラム。
折りたたまれていないIL-21の定量に関しては、IL-21標準物質を50 mM Tris、pH 7.5、6 M塩酸グアニジン、10 mM DTTで0.5 mg/mLに希釈し、40℃で20分間加熱する。10μg〜50μgの少なくとも5つのレベル(例えば10μg、20μg、30μg、40μg、および50μgの注入)を希釈後の標準物質をカラムに注入する。可溶化後のIL-21試料を微量遠心機で遠心し、50 mM Tris、pH 7.5、6 M塩酸グアニジンで1:10に希釈後に25μlの試料を注入する。
リフォールディングしたIL-21の定量に関しては、IL-21標準物質をリン酸緩衝食塩水、pH 6.0で1.0 mg/mlに希釈する。リフォールディングしたIL-21試料を、何ら処理を行わずにHPLCに注入する。クロマトグラフィー後に、IL-21のピーク下面積を積分する。標準曲線を作成し、試料のIL-21濃度を標準曲線から読み取る。
B.メタノールベースのRP-HPLCによるIL-21の定量
可溶化状態の封入体から最終産物に至るIL-21調製物を評価するために、15分間のメタノールベースのRP-HPLC法も用いることができる。
IL-21のメタノールベースのRP-HPLC解析の方法のパラメータを以下に示す:
カラム:Zorbax 300SB-CN(4.6×50 mm)、3.5ミクロン
移動相A:0.154% TFA、HPLCグレードの水
移動相B:0.154% TFA、メタノール
溶出勾配/時間の表
(表12)
Figure 2006509525
総実行時間:15分間
カラム温度:40℃
オートサンプラー温度:5℃
インジェクター吸引速度:90μL/分
インジェクター駆出速度:90μL/分
DADモニタリング波長:シグナルA:280 nm、バンド幅8 nm
シグナルB:215 nm、バンド幅8 nm
シグナルC:280 nm、バンド幅6 nm
(標準波長オフ)
DADデータ収集波長:シグナルA:280 nm、バンド幅8 nm
DAD標準波長:シグナルAおよびB、360 nm、バンド幅16 nm
DADオートバランス:プレラン/ポストランモード
ピーク幅反応時間:>0.1分
スリット幅:4 nm
負の吸光度のマージン:100 mAu
標準曲線のロード量範囲:1〜20μg
最小注入容量:5μL
最大注入容量:100μL
圧力限界:350 bar
通常の実行圧:130〜200 bar
実施例19
IL-21発現用のOmpT欠損株
A.IL-21生産用の新しい宿主株の構築
現行のIL-21生産段階は、大腸菌宿主W3110[F- mcrA mcB IN(rrnD-rrnE)1 λ-]における発現を含む。W3110は、IL-21生産に関する安定な宿主であるが、下流の処理には理想的ではない。細胞溶解に伴ってIL-21は、外膜中に存在するOmpTプロテアーゼによってリシン74で切断される(SEQ ID NO: 28に図示)。このプロテアーゼは、FGF-18を含む他の異種組換えタンパク質を切断することが知られている。IL-21のタンパク質分解は、BL21[F- ompT hsdSB (rB-mB-) gal dcm lon]などのOmpT欠損株では生じない。OmpT活性は、ZnSO4またはCuSO4を添加することで細胞溶解中で最小化することができるが、精製スキームは、短縮型IL-21を最終産物から除去するように設計しなければならなかった。IL-21生産過程を合理化する取り組みの過程で、OmpTプロテアーゼをW3110から除去して新しい生産株を作製した。この新しい大腸菌宿主株の構築について以下に説明する。
B.Redリコンビナーゼオペロン発現用のプラスミドpCHAN1の構築
相同組換えに基づく方法を採用してOmpTプロテアーゼをW3110から除去した。相同組換えによって大腸菌の染色体から遺伝子を効率的に欠損させるためには、リコンビナーゼ活性を有する特定の酵素が細胞内に存在しなければならなかった。これを実現するために、バクテリオファージλに由来するRedリコンビナーゼオペロンを有するプラスミドを構築した。Redリコンビナーゼ遺伝子を含む断片をバクテリオファージλのDNA(New England Biolab)から、組換え特異的なプライマーZC43,586(SEQ ID NO: 29)およびZC43,587(SEQ ID NO: 30)を用いたPCRで合成した。この反応物は、プライマーZC43,586およびZC43,587(各100 pmol)、10×PCR緩衝液(Boehringer Mannheim)(10μl)、Pwoポリメラーゼ(Boehringer Mannheim)(1μl)、0.25 mMのヌクレオチド三リン酸ミックス(Perkin Elmer)(10μl)、およびdH2Oを含んでいた(最終容量100μl)。このPCR反応は、94℃で5分間の1サイクルに続き、94℃で1分間、50℃で1分間、および72℃で1分間の30サイクルで行った。30サイクル後に72℃で5分間の伸長を行い、反応を4℃で一晩保ちながら続けた。結果として得られた1964塩基対(bp)の断片はRedリコンビナーゼオペロン(SEQ ID NO: 31)を含んでいた。SEQ ID NO: 31に示すヌクレオチド配列は、Gam(γ)(ヌクレオチド41〜454)、Bet(β)(ヌクレオチド463〜1245)、およびExo(ヌクレオチド1245〜1922)の3つの遺伝子をコードする。
酵母においてRedリコンビナーゼオペロンを相同組換えでプラスミドに導入した。コンピテントな酵母細胞(100μlのS. cerevisiae SF838-9Dα)を100 ngのSmaI切断済みのpTAP399(American Type Culture Collection(Manassas, VA.)に登録(出願時には未指定))、アクセプターベクター、および上記の1μgのPCR断片と混合した。酵母/DNA混合物を0.2 cmのエレクトロポレーション用キュベットに移し、0.75 kV(5 kV/cm)、無限大のΩ、キャパシター25μFでパルス処理を行った。次に形質転換混合物を1 mlの1.2 Mソルビトールに添加し、30℃で1時間インキュベートした。細胞を500μlのアリコートとして2枚のURA DSプレート(2%デキストロース、2%ソルビトール)にプレーティングし、30℃で2日間インキュベートした。約48時間後にUra+酵母形質転換体をプレート2 mlの水に懸濁し、遠心してペレットを得た。この細胞ペレットを1 mlのQiagen P1溶解緩衝液(Qiagen)に再懸濁し、1 mlの0.5 mmジルコニア/シリカビーズ(Biospec Products Inc.)を含む新しいチューブに移した。細胞を溶解し、試料を沈降させ、250μlの溶解物を新しいチューブに移し、Qiagen Spin Miniprepキットを製造業者の指示書にしたがって用いてプラスミドDNAを単離した。
エレクトロコンピテントな大腸菌DH10B細胞(Invitrogen)を、1μlの酵母DNA調製物で形質転換した。この細胞を0.1 cmのキュベット内で、2.0 kV、25μF、および100 Ωの条件でパルス処理した。エレクトロポレーション後に、250μlのSOC(2% Bacto Tryptone(Difco, Detroit, MI)、0.5%酵母エキス(Difco)、10 mM NaCl、2.5 mM KCl、10 mM MgCl2、10 mM MgSO4、20 mMグルコース)を各試料に添加した。細胞を37℃で2時間かけて回収した。全250μlの試料を1つのアリコートとして、25 mg/Lカナマイシン(Sigma)を含むLBプレート(LBブロス(Lennox)、1.8% Bacto Agar(Difco))にプレーティングした。プレートを37℃で一晩インキュベートした。Redリコンビナーゼオペロンを有する個々のクローンを制限酵素による切断で同定し、挿入物の存在を検証した。陽性クローンの挿入物を対象に配列解析を行った。正しい挿入物を含むプラスミドをpCHAN1と命名した。
次に酵母配列をpCHAN1のベクターの主鎖から除去した。3.0μlのプラスミドDNAを、24.3μlのH2O、2.7μlの緩衝液H(Roche)、および2.0μlのNotI(New England Biolabs)とともに37℃で一晩インキュベートした。5μlの一晩切断物を1μlの6×DNA試料色素(25% Ficoll Type 400(Sigma)、0.25%ブロモフェノールブルー(EM Science)、0.25% Xylene Cyanol(Kodak Biomedicals Inc.))と混合し、4μlの同溶液を1%アガロースゲル(EM Science)に流して切断が完全か否かを検証した。このプラスミドを再び環状化するために、14μlの一晩NotI切断物を4μlの5×連結緩衝液(Invitrogen)、および2μlのリガーゼ(Invitrogen)と混合した。この連結物を25℃で一晩インキュベートした。
再連結後のpCHAN1でW3110を形質転換した。エレクトロコンピテントなW3110細胞(50μl)を、大腸菌を対象とした上述のエレクトロポレーションのプロトコルで1μlのpCHAN1のDNAによって形質転換した。回収後に、全250μlの形質転換混合物を1つのアリコートとして、25 mg/Lのカナマイシンを含むLBプレートにプレーティングした。プレートを37℃で一晩インキュベートし、結果として得られたクローンのうち10個を後の解析用に選択した。これらを、25μg/mlのカナマイシンを含む2.0 mlのSuper Broth II(Becton Dickinson)で37℃で一晩で成長させた。翌日、1.0 mlの一晩切断物を用いてpCHAN1の存在を確認した。Qiagen Spin Miniprep Kitを使用して製造業者の指示書に従ってプラスミドDNAを作製した。プラスミドが目的のものであることは、制限酵素EcoRI(Gibco BRL)およびNotI(New England Biolabs)で切断して確認した。分離株#3を後の実験用に選択し、EE670と命名した。
W3110における遺伝子置換用のテトラサイクリン断片の作製
OmpT座位への相同組換えに適切なマーカーとしてテトラサイクリン遺伝子を選択し、OmpT遺伝子を不活性化した。テトラサイクリンプロモーター::テトラサイクリン(tetP::tet)断片を、pBR322のDNA(New England Biolabs)を対象としたPCRによって、組換え特異的なプライマーZG45,112(SEQ ID NO: 32)およびZG45,171(SEQ ID NO: 33)を用いて作製した。反応混合物は、ZG45,112およびZG45,171のプライマー(各100 pmol)、10×PCR緩衝液(Boehringer Mannheim)(10μl)、Pwoポリメラーゼ(Boehringer Mannheim)(1μl)、0.25 mMヌクレオチド三リン酸ミックス(Perkin Elmer)(10μl)、およびdH2Oを含んでいた(最終容量100μl)。PCR反応の条件は、94℃で2分間を1サイクルと、これに続く94℃で30秒間、50℃で1分間、および72℃で2分間を30サイクルとした。これに続いて、72℃で7分間の伸長を行い、4℃で一晩静置した。結果として得られた1590 bpの断片はtetP::tet(SEQ ID NO: 34)を有する。
tetP::tet断片を精製するために、同PCR反応物を1%アガロース分離用ゲルにロードした。tetP::tet断片をゲルから切り出し、アクアリウムフィルターフロス(Finny Products, Inc., Cincinnati, OH)に連結した、底に小さな穴の開いた0.5 mlのエッペンドルフチューブに移した。このチューブを1.5 mlのエッペンドルフチューブに差込み、卓上型遠心機で遠心した(14,000 rpm、25℃、10分間)。1.5 mlのチューブの底にある液体を、10%(vol/vol)の3 M NaOAcおよび2倍容量の100%エタノールと混合した。同試料を-20℃で10分間でインキュベートし、卓上型遠心機で4℃で10分間遠心してPCR断片を沈殿させた。上清を吸引し、ペレットを50μlの水に再懸濁した。tetP::tet断片は50 ng/μl の作業濃度とした。
PCR断片をpCR4.0-BLUNT TOPO(登録商標)ベクター(Invitrogen)に連結して、遺伝子置換実験の陽性対照として使用した。この連結は、製造業者の指示書に従って実施した。大腸菌DH10B細胞(Invitrogen)を、大腸菌を対象とした上述のエレクトロポレーションのプロトコルで2μlのtetP::tet DNA断片で形質転換した。回収後に、全250μlの形質転換混合物を、100 mg/Lのアンピシリン(Sigma)を含むLBプレートにプレーティングした。プレートを37℃で一晩インキュベートした。
10個のクローンを後の解析用に選択した。これらを、100μg/mlのアンピシリンを含む2.0 mlのSuper Broth II(Becton Dickinson)中で37℃で一晩成長させた。翌日、1.0 mlの一晩培養物を用いて、プラスミドDNAの存在を確認した。Qiagen Spin Miniprepキットを使用し、製造業者の指示書に従ってプラスミドDNAを作製した。プラスミドDNAを対象にSalI(New England Biolabs)およびPstI(New England Biolabs)による制限酵素解析を行い、プラスミドの内容および挿入方向を検証した。分離株#1を後の実験用に選択した。同プラスミドをpSDH185と命名し、クローンをEE686と命名した。
W3110における遺伝子置換:OmpT遺伝子の欠失
W3110/pCHAN1の500 mlの培養物をSOB培地[20 g/Lトリプトン、5 g/L酵母エキス、0.5 g/L NaCl、10 ml/L 250 mM KCl、5 ml/Lの2 M MgCl2、pH 7.0]中でOD600が0.6になるまで37℃で成長させた。この培養物を4つの125 mlの培養物に分けた。1つの培養物を非誘導性の対照とし、残りの3つを1 mM IPTGでそれぞれ15分間、30分間、または60分間かけて誘導した。個々のインキュベーションの終了時に、全4つの培養物からコンピテント細胞を以下の手順で調製した。5000 rpmで10分間遠心して細胞のペレットを得た。上清を吸引し、個々のペレットを62.5 mlの氷冷水に再懸濁した。培養物のペレットを再び得て上清を吸引し、個々のペレットを31.25 mlの冷10%グリセロールに再懸濁した。次に培養物を8000 rpmで5分間遠心した。このペレットから水分を十分に除き、残りの10%グリセロールに再懸濁した。
全4つの培養物を6つの50μlのアリコートに分け、これらを以下の手順で形質転換した。(1)DNAを含まない負の対照、(2)1μl(1μg/μl)のpBR322(New England Biolabs)陽性対照、(3) 1μl(1μg/μl)のpTAP279陽性対照、(4)1μlのpSDH185陽性対照、(5)2μl(50 ng/μl)のtetP::tet断片、および(6)4μl(50 ng/μl)のtetP::tet断片。これらの細胞を、大腸菌に関して上述した手順でエレクトロポレーションにより形質転換した。全形質転換混合物を、10 mg/Lのテトラサイクリン(Sigma)を含むLBプレートにプレーティングした。ただしpTAP279対照については、35 mg/Lのクロラムフェニコール(Sigma)を含むLBプレートにプレーティングした。プレートを37℃で一晩インキュベートした。また、4種類の培養物の10-6倍および10-7倍の水による希釈物をLBプレートにプレーティングし、細胞数を決定することで組換え過程の全体的な効率を評価した。
翌日、対照プレートをインキュベーターから取り出して評価を行った。tetP::tet断片で形質転換した試料を、さらに24時間インキュベート後にアッセイ法を行った。大きな26個のクローンを後の解析用とした。
ompT欠損クローンの特性解析
26個の選択された各クローンを、5μg/mlのテトラサイクリンを含む1 mlのLBで37℃で一晩成長させた。翌日、Genomic Prep DNA Isolationキット(Amersham Pharmacia)を用いて製造業者の指示書に従って全26個のクローンからゲノムDNAを回収した。
各クローンのゲノムDNAをdH2Oで1:100に希釈し、PCR解析用のテンプレートとして使用した。希釈済みの各試料を3組の異なるPCRプライマーを用いて調べた(1つのクローンにつき3通りのPCR反応)。反応物は100 pmolの各プライマーセット#1:ZG45,357(SEQ ID NO: 35)とZG45,350(SEQ ID NO: 36)、またはプライマーセット#2:ZG45,353(SEQ ID NO: 37)とZG45,355(SEQ ID NO: 38)、またはプライマーセット#3:ZG45,354(SEQ ID NO: 39)とZG45,359(SEQ ID NO: 40)を含むものとした。残りの100μLの最終容量を、10μlの10×PCR緩衝液(Boehringer Mannheim)、1μlのPwoポリメラーゼ(Boehringer Mannheim)、10μlの0.25 mMヌクレオチド三リン酸ミックス(Perkin Elmer)およびdH2Oにより調製した。反応条件は、94℃で5分間を1サイクルに続いて、94℃で30秒間、50℃で1分間、および72℃で2分間を30サイクルとした。PCRを72℃で7分間の伸長段階で終了し、4℃で一晩保存した。仮にW3110のOmpT遺伝子がテトラサイクリン遺伝子と良好に置換されていたら、プライマーセット#1では1584 bpのバンド(SEQ ID NO: 41)が増幅されるはずであり、またプライマーセット#2では1190 bpのバンド(SEQ ID NO: 42)が増幅されるはずである。そして結果は、スクリーニング対象の26個のクローンのうち25個がompT-であると判定されたことを示していた。W3110のompT-クローン#1および#3を後の解析用に選択した。
タンパク質分解活性の欠損を確認するために、新たに誘導されたompT-株およびW3110親株に由来する細胞溶解物とIL-21をインキュベートした。ompT-株であるBL21に由来する溶解物を陽性対照として含めた。細胞をSuper Broth IIに接種し、37℃で一晩成長させた。個々の一晩培養物の4つの1 mlのアリコートの沈殿を室温で得て、BugBuster(登録商標)(Novagen)を用いて製造業者の指示書に従って細胞を溶解した。細胞溶解物を(1)0.332 mg/mlのIL-21、または(2)0.332 mg/mlのIL-21(5 mM ZnCl2の存在下)のいずれかと25℃で4時間インキュベートした。各試料を、2%β-メルカプトエタノール(Sigma)を含む等容量のNuPAGE 4×Sample Buffer(Invitrogen)と混合した。還元後の試料を100℃で5分間加熱し、10μLを10% NuPAGEポリアクリルアミドゲル(Invitrogen)にロードした。電気泳動を1×MESランニング緩衝液(Invitrogen)を用いて変性条件(SDS-PAGE)で130 Vで実施した。ゲルをSimply Blue Safestain(Invitrogen)を用いて製造業者の指示書に従って染色した。
得られた結果は、遺伝子置換によってOmpTプロテアーゼが不活性化されたことを意味していた。IL-21は、BL21、W3110 ompT- #1、およびW3110 ompT- #3由来の溶解物の4時間のインキュベーション後に全く損なわれていなかったが、W3110親株に由来する溶解物では完全に損なわれていた。OmpTプロテアーゼの活性は亜鉛で阻害された。5 mM ZnCl2を含むインキュベーションではIL-21は損なわれておらず、OmpTが分解に関与することが示唆された。新たに構築されたW3110 ompT-株をZGOLD1(W3110 ompT- #1;(American Type Culture Collection(Manassas, VA.)(出願時には未指定)に登録))、およびZGOLD3(W3110 ompT- #3)と命名した。
ZGOLD1およびZGOLD3の特性解析
成長を評価するためにZGOLD1およびZGOLD3をW3110親株とともに成長させた。全3株の培養物をLB中で37℃でOD600が1.0になるまで成長させた。細胞密度を1時間毎に測定して成長を評価した。個々の培養物の希釈物(水を溶媒とする10-6倍、10-7倍、および10-8倍)を、LBカナマイシンプレート(上記参照)にプレーティングして細胞数を決定した。この結果は、ZGOLD株の成長がW3110親株の成長と同等であることを意味している。
形質転換効率を評価するために、細胞を回収し、上述の手順で形質転換にコンピテントな状態とした。各株のアリコートを(1)1μlのpTAP337(IL-21発現プラスミド;ATCC No.PA-4853)、または(2)DNAなし(負の対照)のいずれかによって形質転換した。エレクトロポレーションを上述の手順で実施した。回収後に、各形質転換混合物を、25 mg/Lのカナマイシンを含むLBプレートにプレーティングし、37℃で一晩インキュベートした。得られた結果から、W3110の形質転換効率がompTの除去を影響を受けなかったことがわかる。
タンパク質の産生を評価するために、IL-21発現ベクターで形質転換した各ZGOLD株の10個のクローンを選択した。これらのクローンをSuper Broth II(25μg/mlのカナマイシンを含む)中で37℃で一晩成長させた。これらの一晩培養物を、25μg/mlのカナマイシンを含むSuper Broth IIを含むローラードラムに接種した。細胞を37℃で成長させた。クローンの1つの第2の培養物を成長させて、非誘導対照として使用した。各培養物のOD600が1.5〜2.0に達した時点で、1 mMのIPTG(ICN Biomedicals Inc.)を添加して誘導した。培養物のインキュベーションをさらに5時間継続した。各培養物の試料をSDS-PAGE(4〜12%の勾配のNuPAGEゲル(Invitrogen))で、上述の還元条件下で解析した。得られた結果は、ZGOLD1およびZGOLD3によるIL-21の産生が、W3110親株による産生と同等であることを意味する。ZGOLD1/pTAP337 #1(American Type Culture Collection(Manassas, VA.)に登録(出願時には未指定))を、IL-21産生プロセスのさらなる開発用に選択した。
以上の記述から、本発明の特定の態様を説明目的で本明細書に記載したが、本発明の趣旨および範囲から逸脱せずに、さまざまな変更が可能なことを理解されたい。したがって本発明は、添付の特許請求の範囲に記載された事項を除いて制限を受けない。
IL-21のヌクレオチド配列に最適化されたコドンを含む発現プラスミドpTAP337を示す。ヒトzalpha11リガンドと記載されたものはIL-21である。このプラスミドは、American Type Culture Collection(Manassas, VA.)にPatent Deposit Designation PTA-4853として登録されている。

Claims (22)

  1. 操作可能に連結された以下のエレメントを含む、IL-21タンパク質を産生させるための発現ベクター:
    (a)原核生物の複製起点;
    (b)転写開始のDNAエレメント;
    (c)SEQ ID NO: 27に記載されたポリヌクレオチド配列;ならびに
    (d)転写ターミネーター。
  2. 選択マーカーをさらに含む、請求項1記載の発現ベクター。
  3. American Type Culture Collection(Manassas, VA.)にPatent Deposit Designation PTA-4853として登録されたpTAP337ベクターを含む発現ベクター。
  4. 請求項1、2、または3のいずれか一項記載の発現ベクターで形質転換された原核生物宿主細胞。
  5. 宿主細胞が大腸菌W3110株である、請求項4記載の宿主細胞。
  6. 以下の段階を含む、IL-21タンパク質の生産法:
    (a)IL-21が発現される条件で請求項5記載の宿主細胞を成長培地で培養する段階;
    (b)成長培地から宿主細胞を回収する段階;ならびに
    (c)宿主細胞からIL-21タンパク質を単離する段階。
  7. 以下の段階を含む、IL-21タンパク質の生産法:
    (a)流加回分発酵によって成長培地で請求項5記載の宿主細胞を培養する段階;
    (b)成長培地から宿主細胞を回収する段階;ならびに
    (c)宿主細胞からIL-21タンパク質を単離する段階。
  8. 以下の段階を含む、IL-21タンパク質の生産法:
    (a)振盪フラスコ内の成長培地でOD600が5〜20になるまで請求項4または請求項5記載の宿主細胞を培養する段階;
    (b)1〜12%(v/v)の宿主細胞を含む振盪フラスコ内の培地を発酵槽に接種する段階;
    (c)宿主細胞をpHが6.2〜7.2の成長培地で培養する段階であって、発酵経過時間(EFT)15時間の前に発酵槽に供給溶液を供給する段階;
    (d)EFTが20〜30時間の時点で誘導薬剤を発酵槽に添加する段階;ならびに
    (e)EFTが48〜56時間の時点で宿主細胞を回収する段階。
  9. 誘導薬剤が0.5〜2 mMのイソプロピルチオガラクトピラノシド(IPTG)である、請求項8記載の方法。
  10. 供給溶液が、成長培地のある濃度でグリセロールおよびグルコースからなる群より選択される炭水化物を含み、供給速度が5〜15 g炭水化物/時である、請求項8記載の方法。
  11. グリセロールが40〜70%(v/v)のグリセロールであるか、またはグルコースが40〜70%(w/v)のグルコースである、請求項10記載の方法。
  12. グリセロールが約70%(v/v)であるか、またはグルコースが約60%(w/v)である、請求項10記載の方法。
  13. 以下の段階を含む、IL-21タンパク質の生産法:
    (a)SEQ ID NO: 28に記載されたIL-21ポリペプチドを発現する大腸菌W3110宿主細胞、またはpTAP337ベクター(IL-21ポリペプチドが発現される)を含む大腸菌W3110宿主細胞を含む接種菌を、約5 g/Lのグリセロールを含む成長培地とともにフラスコに接種する段階;
    (b)接種菌を成長培地で約30℃で16〜20時間培養する段階;
    (c)成長培地で培養された接種菌を0.5〜5%(v/v)接種菌濃度で回分発酵槽に移す段階;
    (d)回分発酵物を約37℃で、pHが約6.8で約2%グリセロールとともに発酵させる段階;
    (e)約9.5 gグルコース/リットル/時のグルコース供給液を、約8時間の発酵経過時間(EFT)の時点で導入し、発酵プロセスの終了時まで継続する段階;
    (f)EFTが約24時間の時点でIPTGを最終濃度が0.5〜2 mMとなるように添加する段階;
    (g)IPTGの添加後に約28時間発酵させる段階;
    (h)発酵槽から発酵ブロスを回収する段階;
    (i)発酵ブロスに等容量の水を添加する段階;ならびに
    (j)発酵ブロスをホモジナイズして遠心し、IL-21タンパク質材料を含む細胞ペレットまたは細胞スラリーを回収する段階。
  14. 以下の段階を含む、SEQ ID NO: 28に記載されたアミノ酸残基の配列を含む不溶性のIL-21タンパク質を単離する方法:
    (a)水に不溶性のIL-21タンパク質材料と、細胞ペレットまたは細胞スラリーを分離する段階;
    (b)不溶性のIL-21タンパク質材料をカオトロピック溶媒に溶解する段階;
    (c)カオトロピック溶媒を希釈し、IL-21タンパク質をリフォールディングする段階;ならびに
    (d)IL-21タンパク質を単離する段階であって、単離されたIL-21タンパク質は生物学的に活性でありうる段階。
  15. 単離されたIL-21タンパク質の純度が少なくとも90%である、請求項14記載の方法。
  16. 単離されたIL-21タンパク質の純度が少なくとも90%であり、エンドトキシンレベルが10エンドトキシン単位/mg IL-21タンパク質未満である、請求項14記載の方法。
  17. 以下の段階を含む、SEQ ID NO: 28に記載されたアミノ酸残基の配列を含む不溶性のIL-21タンパク質を単離する方法:
    (a)発酵ブロスから、水に不溶性のIL-21タンパク質材料を含む細胞ペレットまたは細胞スラリーを分離する段階;
    (b)細胞ペレットまたは細胞スラリーをホモジナイズして封入体を回収する段階;
    (c)不溶性のIL-21タンパク質材料を、グアニジン塩を含むカオトロピック溶媒に溶解する段階;
    (d)アルギニン塩と酸化成分および還元成分の混合物とを含むリフォールディング緩衝液を添加してカオトロピック溶媒を希釈する段階;
    (e)折りたたまれていないタンパク質および凝集したタンパク質を濾過して除去することでIL-21タンパク質を単離する段階;ならびに
    (f)IL-21のリフォールディングタンパク質を陽イオン交換カラムで精製する段階であって、単離精製されたIL-21タンパク質は生物学的に活性でありうる段階。
  18. 以下の段階を含む、SEQ ID NO: 28に記載されたアミノ酸残基の配列を含む不溶性のIL-21タンパク質を単離する方法:
    (a)発酵ブロスから、水に不溶性のIL-21タンパク質材料を含む細胞ペレットまたは細胞スラリーを分離する段階;
    (b)細胞ペレットまたは細胞スラリーをホモジナイズして封入体を回収する段階;
    (c)不溶性のIL-21タンパク質材料を、グアニジン塩を含むカオトロピック溶媒に溶解する段階;ならびに
    (d)アルギニン塩と酸化成分および還元成分の混合物とを含むリフォールディング緩衝液を添加してカオトロピック溶媒を希釈する段階;
    (e)折りたたまれていないタンパク質および凝集したタンパク質を濾過して除去することでIL-21タンパク質を単離する段階;
    (f)IL-21のリフォールディングしたタンパク質を陽イオン交換カラムで精製する段階;ならびに
    (g)IL-21の溶出液を段階(f)から疎水的相互作用カラムで精製する段階であって、単離精製されたIL-21タンパク質は生物学的に活性でありうる段階。
  19. 以下の段階を含む、SEQ ID NO: 28に記載されたアミノ酸残基の配列を含む不溶性のIL-21タンパク質を単離する方法:
    (a)発酵ブロスから、水に不溶性のIL-21タンパク質材料を含む細胞ペレットまたは細胞スラリーを分離する段階;
    (b)細胞ペレットまたは細胞スラリーをホモジナイズして封入体を回収する段階;
    (c)不溶性のIL-21タンパク質を、約6 Mの塩酸グアニジン、40 mMのジチオスレイトール(DTT)を含むカオトロピック溶媒に室温で約1時間かけて溶解する段階;
    (d)約0.75 Mのアルギニン、2 mM DTT/4 mMシスチン酸化還元対を含むリフォールディング緩衝液で少なくとも20倍に希釈することで、溶液中に溶解した封入体をリフォールディングさせる段階;
    (e)約20%の酢酸でpHを約5.5に調節し、溶液を少なくとも5時間反応させる段階;
    (f)溶液を、約1+1.4容量の25 mMアセテートpH 5.5で希釈する段階;
    (g)溶液を濾過する段階;
    (h)酢酸ナトリウム緩衝液でpH 5.5に平衡化した樹脂カラムに溶液をロードする段階;
    (i)樹脂カラムを約0.4 Mの塩化ナトリウムで洗浄する段階;
    (j)樹脂カラムを約0.75 Mの塩化ナトリウムで洗浄して、結合状態のIL-21タンパク質を溶出する段階;
    (k)硫酸アンモニウムを約1.5 Mの濃度になるように添加して溶出し、溶出液を濾過する段階;
    (l)溶出液を、1.5 M硫酸アンモニウム、0.05 M塩化ナトリウム(酢酸ナトリウム緩衝液中)に平衡化したTosohaasブチル650-Mカラムにロードする段階;
    (m)カラムを約0.15 Mの硫酸アンモニウム、0.05 M塩化ナトリウム(酢酸ナトリウム緩衝液中)で洗浄する段階;
    (n)溶出液を、約30 mS/cmの伝導率になるように水で希釈する段階;
    (o)溶出液を、酢酸ナトリウム緩衝液で平衡化したSPセファロースHPカラムにロードする段階;
    (p)カラムを20カラム容量の0.3〜0.7 Mの塩化ナトリウムの直線勾配で洗浄する段階;
    (q)IL-21タンパク質を濃縮する段階;ならびに
    (r)緩衝液を、平行流限外濾過で使用する剤形化緩衝液と交換する段階。
  20. 生物学的活性をIL-21受容体結合細胞アッセイ法で測定する、請求項13、14、15、または16のいずれか一項記載の方法。
  21. SEQ ID NO: 28に記載されたアミノ酸残基1〜163を、約10 mMのヒスチジン、4.7%マンニトール、pH 5.3中に、約10 mg/mlのIL-21タンパク質の濃度で含む、IL-21タンパク質を含む組成物。
  22. American Type Culture Collection (ATCC;Manassas, VA.)にPatent Deposit Designation PTA-4853として登録されたpTAP337ベクターを含む発現ベクターで形質転換された、ATCCに登録されたzGOLD1株に由来する宿主細胞。
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