JP2006508010A - カンラン石からシリカを製造する方法 - Google Patents
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Abstract
Description
沈降シリカは、通常、ケイ酸ナトリウムと酸、最もしばしば硫酸から製造される。沈降シリカの代替原料は、世界中の多くの場所で大量に入手できる天然のケイ酸マグネシウム・鉄であるカンラン石である。カンラン石は酸に容易に溶け、そしてマグネシウム化学薬品およびシリカの原料と考えられてきた。未処理の採掘カンラン石は、酸に貧溶性で、適正な処置が取られなければ沈降シリカを汚染する随伴鉱物(例えば、輝石、尖晶石および緑泥石を5−8重量%まで含んでいることができる。Olerud(米国特許第5,780,005号)は、カンラン石からシリカを製造する方法について述べている。Olerudは、カンラン石から製造される沈降シリカを、もし除去されなければ汚染するかもしれない随伴鉱物の大部分をそのカンラン石から除去するために、カンラン石を予備処理することを含む方法を開示している。Olerudによる方法は、また、生成シリカの比表面積を制御するための特長も含む。酸力価、温度および浸出時間が全てシリカの比表面積に影響を及ぼすことが証明されている。
カンラン石は、沈降シリカおよびマグネシウム金属またはマグネシウム化学薬品を製造するための潜在的に有用な原料である。カンラン石を塩酸に熔解することによって得られる金属塩化物溶液は、マグネシウム、鉄、ニッケルおよびマンガン、並びに低含有量での他の成分を含んでいる。この溶液から、鉄、ニッケル、マンガンおよび他の不純物の制御された沈殿によって高純度の塩化マグネシウムを得ることができる。この精製された塩化マグネシウム溶液を蒸発させることによって、さらに処理するための濃厚塩化マグネシウム溶液を得ることができる。蒸発に使用されるエネルギーを最小限に抑えるためには、カンラン石の溶解で得られる金属塩化物溶液をできるだけ濃縮することが重要である。これは、同じプロセスで高比表面積を持つシリカを得るという希望とは相容れない可能性がある;使用される酸の濃度が高ければ高いほど得られるシリカの比表面積は低くなることが見いだされている(Olerudを参照されたい)からである。
上記の目的は、適切な粒度を持つカンラン石を用意し、そのカンラン石を鉱酸に制御された条件下で溶解し、任意にその沈降シリカのスラリーから粗い鉱物質不純物(未溶解カンラン石を含む)の少なくとも一部分を分離し、そのシリカを濾過および洗浄して溶解した塩を除去し、そのシリカを水中でスラリー化し、そしてそのpHを約1−5の範囲内の値に調整して低粘度の濃厚スラリーを得る工程を含む方法により達成される。シリカ中の残留不溶性物質は次いでシリカから重力法によって分離することができ、またシリカスラリーのpHは、任意に、最終的にシリカの粉末、ビーズまたは粒体を得るために、そのスラリーを乾燥する前に調整することができる。
本発明の方法にとってカンラン石粒子は適切な粒度を有すべきであって、それは、好ましくは直径1mm未満、より好ましくは直径約0.750mm未満、それよりさらに好ましくは直径約0.500mm未満、そして好ましくは直径約0.020−0.500mmの範囲内、さらに好ましくは約0.200mm未満である。適したカンラン石は、世界中の色々な供給源から、例えばノルウェー、グリーンランドおよび北アメリカで得ることができる。原料カンラン石鉱物は、常用の方法で、例えばコーンクラッシャーおよび/またはディスクミル中でミリングすることによって実質的に上記の適切な粒度まで粉砕することができ、またその物質は、任意に、もっと均質な粒度分布を得るために分別することができる。
前記のように、ある特定の有用な態様において、カンラン石は鉱酸溶液に前もって定められた速度で加えられる。これは色々な手段で、例えばカンラン石粒子が酸溶液中にカンラン石の流束を制限する直径を持つパイプを通して流入するか、またはカンラン石を酸溶液に色々な搬送手段のどれか、例えばコンベヤーベルトまたはスクリューフィーダーにより供給することができるシステムまたは装置を使用することによって成し遂げることができる。カンラン石添加の適した速度は、使用される容器、攪拌手段等々の構成および規模(容積および寸法)のような多くの因子に依存する。カンラン石は、また、反応器に水または酸と一緒に供給されてもよい。カンラン石添加の速度が制御される態様では、カンラン石の粒度は、相対的に速い添加が適用される態様におけるよりも、生成シリカの得られる比表面積に対して実質的に大きい影響がある。従って、カンラン石添加の速度が本明細書に記載されるように制御される場合は、約0.40mm未満の粒度を有するカンラン石が好ましく、そして0.30mm未満、例えば0.20mm未満の粒度のものがさらに好ましい。ある特定の態様において、非一定添加速度を有することが、即ち添加を第一速度で始め、その第一速度を添加プロセス中に1回または2回以上変えることが有益なことがある。1つの態様において、カンラン石は、カンラン石約1−10g/当量の酸(equivalent acid)/分の範囲を含めてカンラン石約0.2−20g/当量の酸/分の範囲のようなカンラン石約0.1−50g/当量の酸/分の範囲内の速度で加えられる。この文脈における用語・当量は通常のイオン当量用語を指すものであって、中和反応に与る物質の1当量は、その反応において1モルの水素イオンに寄与するか、または1モルの水素イオンを消費するかのいずれかである物質のその量である。
使用されるカンラン石(ノルウェー、A/S Olivin社からのAFS 120)の化学組成が表1に示され、そして篩分け試験の結果が表2に示される。これは随伴鉱物を比較的高含有量で有する微粉の画分である。
この実施例は、2065gの22%の酸を用い、そして500gのカンラン石を用いたことを除いて実施例1と同じ方法で行われた。洗浄後のフィルターケーキのpHは約5であり、それを水中でpH3においてスラリー化し、そして前記のようにデグリットした。22重量%の固形分含有量を有するスラリーが得られ、このスラリーを噴霧乾燥した。この試料の分析データは表3に示される。
この実施例は、カンラン石の量が約2044gであり、また109℃での加熱時間が数分長かったことを除いて実施例1と同じ方法で行われた。シリカフィルターケーキを、また、濾過後のフィルターケーキのpH(実施例1におけるように測定)が6.1となるようにもっと大量の水で洗浄した。このフィルターケーキから低粘度スラリーを得るために、より大量の水を加えることが必要であり、その結果スラリーの固形分含有量は実施例1の21.5%および実施例2の22%と比較してたった8%に過ぎなかった。このスラリーを実施例1に記載したようにデグリットし、そして濾過し、それから105℃のオーブン中で一晩乾燥した。このシリカ試料の分析からの結果は表3に示される。
前の実験におけると同じカンラン石を用いた;表1を参照されたい。1134gの10.4%塩酸を100℃にセットされた油浴上で94℃まで加熱した。この反応器に130gのカンラン石を約10秒で注ぎ入れた。この反応混合物の温度は14分で102℃まで上昇したが、その後温度はゆっくり下がり始めた。28分後にその反応器に832gの室温の34.6%塩酸を注ぎ入れた。温度が94.5℃まで上昇したとき、(開始から41.5分の時点に)320gのカンラン石のさらなる添加を開始した。カンラン石を20gずつに分けて3−5分毎に添加し、また数gの水を用いて供給漏斗を洗い流した。この実験中の温度分布は図1に見られる。カンラン石添加の時間は、この図で、カンラン石と水を加えると直ぐの僅かな温度降下により最もしばしば分かる。この実験中の温度は常に沸点より低かった;図1を参照されたい。カンラン石の添加は130gのカンラン石の最初の添加後85分で完了した。カンラン石添加の平均速度はカンラン石0.47g/当量の酸/分の添加速度に相当する。加熱をカンラン石の添加が完了した後さらに110分間続けた。室温まで冷却されたスラリー試料のpHは−0.65であることが見いだされた。この結果得られたスラリーを次に2つの部分に分けて、24cmのブフナー漏斗で熱時濾過した;濾過時間は約5分に過ぎなかった。500gの冷水および1600mLの熱水による洗浄の総時間は約14分であった。そのフィルターケーキからのデグリット済みシリカ試料は約165m2/gの比表面積を有していた。そのフィルターケーキのpHは約7である(得られたスラリーにおいて、10gのフィルターケーキを25mLの蒸留水中でスラリー化することによって測定)ことが見いだされ、またそのフィルターケーキの固形分含有量は24.8%であることが見いだされた。
この実験で使用したカンラン石の組成は以下に示される:
この試料を磁気処理に付し、その結果カンラン石以外の他の鉱物、例えばクロム鉄鋼が減少した含有量でもたらされた。
この実験では、カンラン石をもっと速い速度、即ち55分で約150gの速度において加えたことを除いて実施例5の条件を繰り返した。これはカンラン石0.85g/当量の酸/分の添加速度に相当する。この実験からのシリカの比表面積は110m2/gであった。
この実験では、カンラン石をカンラン石2.5g/当量の酸/分の添加速度に相当するより速い速度で加えたことを除いて実施例5の条件を繰り返した。この実験からのシリカの比表面積は175m2/gであった。
この実験では100−500μmの粒度を有するカンラン石を用いた;以下において表5の組成を参照されたい。
塩酸(20重量%、740g)を95℃の熱油浴上で85℃まで加熱した。次に、この酸に150gのカンラン石を約15秒で加えた;これはカンラン石150g/当量の酸/分の添加速度に相当する。この混合物の温度は次いで約16分で104℃まで上昇した。さらに4分後に温度は低下し始める。カンラン石の添加が完了した後、総加熱時間は2時間であった。得られたシリカを前記のように濾過し、洗浄し、デグリットし、そして乾燥した。得られたシリカのBET比表面積は150m2/gであることが見いだされた。
この実験は、カンラン石の添加時間がをカンラン石4.1g/当量の酸/分の添加速度に相当する9分であったことを除いて実施例7におけるのと同じ方法で行われた。カンラン石の添加後の総加熱時間は2時間であり、そして得られたシリカは100m2/gの比表面積を有することが見いだされた。
シリカを工業規模で製造する装置系が図2に略図として示される。不純物としての鉱物を低含有量で有する、本明細書に記載される適した粒度、好ましくは200μm未満の粒度を持つカンラン石(1)は、攪拌されている槽反応器(3)中の70−90℃まで加熱されている塩酸(2)に加えられる。任意に、塩酸は、再循環され、そしてHClの吸収のために使用されている希薄なブラインに由来する若干の溶解金属塩化物を含んでいることができる。カンラン石の添加速度は制御される。(攪拌されている槽反応器に代えて、少なくとも加熱の初めの約30分について、管状の連続反応器を用いることも可能であろう。)上記混合物は約1−2時間加熱され、続いて反応器は空にされる。
液体サイクロンH4(12)からのシリカスラリー(オーバーフロー)のpHは、槽TC(17)(または静的ミキサー)中でNaOH(16)(約1kg/トン・シリカ)でpH約6.5に調整され、その結果得られる濃厚なペースト(18)(約20重量%固形分)は適当な乾燥機で直接乾燥されるか、または乾燥前に熟成されるかのいずれかがなされる。
Claims (13)
- 制御された比表面積を有する粉末形態のシリカを製造する方法であって:
(a)適切な粒度を持つカンラン石粒子を用意し;
(b)上記カンラン石と約50−110℃の範囲内の温度にある鉱酸溶液とを混合し、そして約50−500m2/gの範囲内の制御されたBET比表面積を有するシリカを得るために約10−600分の範囲内の期間反応させ;
(c)任意に、得られたシリカスラリーから未溶解カンラン石の少なくとも一部分および他の鉱物を分離してよく;
(d)該シリカスラリーを濾過してそのシリカから溶解金属塩を分離し、そしてそのシリカフィルターケーキを洗浄し;
(e)該シリカフィルターケーキを水溶液中でスラリー化して約10−30%の範囲内の固形分含有量を有する低粘度スラリーを得;
(f)該シリカスラリーから鉱物質不純物を分離し;
(g)任意に、該シリカスラリーのpHを所望のpH値に調整してよく;
(h)上記シリカスラリーを乾燥して
制御された比表面積を有する粉末形態の高純度シリカを得る工程を含む上記の方法。 - 工程(e)において、シリカフィルターケーキを水溶液中でスラリー化して約1〜約5の範囲内にあるpHの低粘度スラリーを得る、請求項1に記載の方法。
- 工程(e)において、アルミン酸ナトリウムをスラリーに加えて低粘度スラリーを得る、請求項1に記載の方法。
- 工程(g)において、シリカスラリーのpHを約5〜約8.5の範囲内のpH値に調整する、請求項1に記載の方法。
- カンラン石を約70〜約110℃の範囲内の温度に加熱されている鉱酸溶液に溶解させる、請求項1に記載の方法。
- カンラン石を前もって決められた速度で鉱酸溶液に加える、請求項1に記載の方法。
- カンラン石を、鉱酸に前もって決められた速度で加えられる水溶液中でスラリー化する、請求項1に記載の方法。
- 前もって決められた添加速度がカンラン石約0.1−50g/当量の酸/分の範囲内である、請求項6に記載の方法。
- カンラン石粒子が実質的に直径約0.200mm未満の粒度を有する、請求項6に記載の方法。
- 鉱酸が約10〜約37重量%の範囲内の塩酸から成る、請求項1に記載の方法。
- シリカスラリーを噴霧乾燥機中で乾燥させてシリカビーズを得る、請求項1に記載の方法。
- シリカ粉末を粒状化させる、請求項1に記載の方法。
- シリカビーズを粒状化させる、請求項11に記載の方法。
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